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2015年12月2日 第8回 医師臨床研修制度の到達目標・評価の在り方に関するワーキンググループ議事録

○日時

平成27年12月2日(水)10:00 ~ 12:00


○場所

厚生労働省共用第8会議室(19階)
    東京都千代田区霞が関1-2-2


○議題

・医師臨床研修制度の新たな到達目標・評価の在り方について
・その他

○議事

○吉本医師臨床研修専門官 それでは、そろそろ定刻になりますので、第8回「医師臨床研修制度の到達目標・評価の在り方に関するワーキンググループ」を開催いたします。

 本日は、先生方には御多忙のところ御出席を賜りまして、まことにありがとうございます。

 カメラを持たれている方がいらっしゃいましたら、こちらで退室をお願いいたします。

 続きまして、本日の御出席について御連絡させていただきます。

 本日は片岡構成員、神野構成員、古谷構成員、前野構成員から御欠席との御連絡をいただいております。

 また、金丸構成員におかれましては、所用により少しおくれて御出席の御予定です。

 厚生労働科学研究班からは、野村英樹先生、高橋理先生、大出幸子先生に本日はお越しいただいております。

 また、文部科学省医学教育課からは、佐々木企画官にお越しいただいております。

 以降の議事運営につきましては、座長にお願いいたします。福井先生、よろしくお願いいたします。

○福井座長 おはようございます。朝早くから、よろしくお願いいたします。

 最初に、事務局から資料の確認をお願いします。

○吉本医師臨床研修専門官 それでは、資料の確認をいたします。

 まず、議事次第が1枚ございます。その後、座席表がございまして、資料1「これまでの検討経緯等について」。

 資料2といたしまして「臨床研修の到達目標、方略及び評価の骨格案(厚生労働科学研究班案)」。

 資料2別添といたしまして「ご議論いただきたい事項」。

 参考資料1といたしまして、開催要綱。

 そして、お手元には机上配付資料としまして、ヒアリングにおける御発言より事務局がまとめました主な御意見等ということで配付をさせていただいております。

 また、毎回使用しております分厚いファイルをお手元に配付をしております。

 何か不足等がございましたら、御連絡をお願いいたします。

 ありがとうございます。

○福井座長 よろしいでしょうか。

 はい、どうぞ。

○中島構成員 私が忘れていただけなのですけれども、いつまでにまとめないといけないのでしたかね。それを聞き漏らしたような気がするのだけれども。

○福井座長 それでは、大まかなスケジュールは、事務局のほうからお願いします。

○吉本医師臨床研修専門官 大まかなスケジュールなのですけれども、本日の議論も踏まえまして、いま一度相談させていただきまして、御連絡をしたいと思います。最終的には、平成32年度までの見直しに向けてということになりますが、詳細なスケジュールは今後また御連絡をさせていただきたいと思います。

○中島構成員 詳細スケジュールはわからないということですね。わかりました。

○福井座長 5年後の見直しが予定通り行われるとすると、平成31年の前半ころにはでき上がっていないとだめですので、逆算するとそんなに時間はないかもしれない。

 よろしいでしょうか。

 先月まで臨床研修制度の到達目標・評価についてヒアリングを行ってまいりました。本日はこれまでのヒアリングや議論を踏まえまして、新たな目標の骨格案についての議論に入りたいと思います。

 それでは、まず事務局から資料1の説明をお願いいたします。

○吉本医師臨床研修専門官 それでは、資料1のパワーポイントの横長の資料ですが、これまでの検討経緯、あと本日研究班の先生方から御紹介いただく骨格案の流れまでを御説明したいと思います。

 まず、1枚おめくりいただきまして、2ページ目が「臨床研修の到達目」でございます。ご承知のとおり、こちらは「省令の施行について」という局長通知がございまして、その別添という扱いでございます。この中で、行動目標と経験目標ということが定められていまして、また、上の点線で囲ってある通り、臨床研修の基本理念ということで、省令からの抜粋も記載されているところです。

 こちらの到達目標については、平成2512月にまとめられた医道審議会医師分科会医師臨床研修部会の報告書で課題が指摘されていましたけれども、まず1点目として、人口動態や疾病構造の変化、医師養成全体の動向、医療提供体制の変化などについて配慮して、また、適切に踏まえるべきであるということ、それから、診療能力の評価をさらに重視すべきだということ、また、項目が細分化されているため、何らかの簡素化が必要ではないかということ、それから、評価のあり方についても何らかの標準化が必要、こうした指摘がありました。

 また、部会報告書において、次回の見直しに向けて別途検討会の場を設けるということで、こちらのワーキンググループが設置されて、御協力をいただいている、こうした経緯でございます。

 3ページは、これまでのワーキンググループ開催状況ですが、これまで7回の開催をしてまいりました。3回目までは、先ほどの部会の報告書の指摘事項に対する御議論ですとか、また、研究班からの御報告をいただきまして、4回目以降は、関係する団体や構成員の先生方からもヒアリングを実施してまいりました。

 また、3回目のワーキンググループですけれども、研究班からの御報告をいただいた際には、左下に四角で囲っておりますけれども、新たな上位目標(案)ということで、Iのコミュニケーションから8の科学的探究と生涯学習ということで、御紹介があったところです。

 4ページ目には「ワーキンググループのこれまでの議論・ご意見より」ということで、かなり大まかなまとめ方ではございますが、このような御意見があったのかなということでまとめております。

 まず、到達目標の構成等についてということで、目標の構造化をする際には、プロフェッショナリズムとその他のコンピテンシーの扱いについて検討すべきではないかという御意見、また、もともと英語であるとか片仮名の概念については、適切な日本語を検討すべきではないかという御意見がありました。

 それから、現在の経験目標の扱いについては、目標を達成するための方略として最低限を組み込むべきではないかという御意見ですとか、あとは、評価を行うためにも、現在の経験 目標 は絞り込んだ上で、やはり経験を求める必要があるのではないかという御意見、それから、プログラム責任者がプログラムを構成する観点から、ある程度現在の経験目標を維持することも必要ではないか、こういった御意見をいただいておりました。

 また、具体的な到達目標の項目と申しますか、内容についてですけれども、何点か大きくまとめてしまいますと、以下のとおりの項目について重要であるような目標に組み込む、もしくは充実するといったことが考えられるのではないかという御意見がありました。

 ただ、その際は全ての研修医の目標とすることについては、実行性の観点からも検討すべきではないかということもございました。

 具体な項目ですけれども、例えば、医療の社会性に係る項目、これには医療保険であるとか、その理解等が含まれます。

 2点目ですけれども、地域医療に係る項目、こちらは在宅医療ですとか介護、もしくは地域包括ケアシステムに係るようなものでございます。

 3点目としまして、予防医療に係る項目 外来診療に係る項目、最後に、研修医の教育者としての役割に係る項目ということで、こういったものが大きく分けますと御意見としていただいていたかと思います。

 次の○のところですけれども、これまで各学会の先生方から御意見をいただいてきたところですが、臨床研修を 行う 各分野に係る項目については、今後どの分野に進んでも必要となる範囲を検討する必要があるのではないか、こういったものが構成員の先生方からは出ていたかと思います。

 詳細の各ヒアリングでいただいた御意見については、別添机上配付資料にまとめております。適宜御参照いただければと思います。

 また、医師養成全体の動向との関連については、卒前・国家試験・臨床研修・専門研修を一連のものとして捉えて検討すべきではないかといった御意見があります。

 最後に<評価について>ですけれども、評価の 方法 は、ある程度は全国共通となるものが必要ではないかという御意見もありますし、また、どの病院でも実施可能であるレベルを検討することが必要ではないかといった御意見をいただいていたところです。

 最後に、5ページ目ですけれども、今回、研究班のほうでは、主に到達目標の構成等についてといった御意見を踏まえて、再度今後の目標の骨格となるような案について御検討いただいておりますので、ごくごく簡単に御説明します。

 まず、一番左上が「現行の到達目標」ですけれども、先ほど申し上げたとおり、行動目標と経験目標があります。真ん中が、第3回WGで研究班から御報告をいただいた新たな上位目標の案です。そして、右側が今回御説明いただく案です。大きな項目としては、真ん中の3回の研究班の案でプロフェッショナリズムといったものが位置づけられていましたが、これまでの御議論の御意見を踏まえて、こちらは「医師としての基本的価値観」というものと「資質・能力」、こちらが新しい日本語が充てられていますけれども、その中の倫理観というところに分けられて入っているということになります。

 また、これとは別に、遂行可能業務という概念が入っているということ、また、臨床研修の方略というもの、この中に経験が求められる症候・病態・疾患というものが入っているということがございます。こちらの四角、実線で囲っているところが到達目標の範囲ということで、研究班から御提案がある部分でして、また、点線のところは、研修プログラムに係る範囲としての御提案になります。

 こちらの研修プログラムという用語ですけれども、これは、一番左の四角の下に括弧書きで書いていますけれども、現在の施行通知の中でこの研修プログラムという用語が記載されていまして、これは臨床研修の実施に関する計画であり、各病院が基本理念にのっとり作成することとなっていまして、このプログラムに掲げる事項には、臨床研修の目標、その目標というのは、この施行通知、別添の到達目標を達成できる内容であること、この目標と、あとは臨床研修を行う分野ですとか、該当分野ごとの機関、もしくは施設等を記載することになっています。ほかにも、指導体制ですとかいろいろな項目がありますが、こういったものがプログラムになります。

 ですので、真ん中の四角の下の※に書いてありますが、これから御検討いただきます到達目標ですとか方略といったものの扱いといたしましては、今の扱いにのっとった場合であれば、臨床研修病院がこの御検討いただいている目標を達成できるような独自の目標を定めまして、新たに示す方略を踏まえた研修プログラムを作成するといったような扱いといったものが考えられるかと思います。

 事務局からは以上でございます。

○福井座長 ありがとうございます。

 ただいま吉本先生から説明がありましたように、本日は研究班から提出されましたこの骨格案の説明をしたいと思います。

 最初に、私が資料2を用いて大まかな説明をいたしまして、その後、「医師としての基本的価値観」の部分を野村先生、それから、2ページ目の上3分の1ぐらいのところから始まっている「資質・能力」の部分につきましては、大滝先生から説明をお願いしたいと思います。

 最初に、私から、資料2の大まかな骨格について説明いたします。到達目標、方略、それから評価の案をつくっていく上で、最初に確認しておきたいことが省令で定められていて、省令の中にある基本理念の内容を達成するためにつくるプログラムだということをまず確認したいと思っています。

 そして、この内容を達成するために、最初に臨床研修の到達目標、それから最後の4ページに臨床研修の方略、それから評価があるという形になります。そして、この目標の中に、医師としての基本的価値観、2ページ目の資質・能力、それから、まだ内容は書いておりませんけれども、4ページ目の遂行可能業務、英語ではEPAに相当するような項目も今回書き出してはどうかという案です。

 行ったり来たりで済みません。基本的価値観につきましては、プロフェッショナリズムが主にはなっておりますけれども、その中の医学的な知識や技量は資質・能力のほうに移して、医師としての望ましい行動規範のみを医師としての価値観に残してはどうかという案になっています。

 そして、資質・能力には、具体的に行動として測定できるような医学知識であり、技量であり、そういう部分を持ってきてはどうかと考えた次第です。

 このような大きな枠組みの中で、最初に「医師としての基本的価値観」の部分につきまして、野村先生から説明をお願いします。

○野村研究分担者 そうしましたら、こちらに書かれております1~7の項目につきましては、既に以前のワーキンググループでも御説明させていただきましたので、細かい御説明はちょっと省かせていただいて、「基本的価値観」という位置づけにすることについて、こちらの考えを説明させていただきたいと思います。

 先ほど、事務局からも御案内がございましたように、ワーキンググループの中で、以前にプロフェッショナリズムというものの位置づけをほかの資質・能力とは別に、一段上といいますか、根本にある「木の幹」という表現をたしか中島先生がされたと思うのですが、そういうものに位置づけてはどうかというお話がありましたことが1つ。

 もう一つは、プロフェッショナリズムという英語ではなくて、日本語の表現で、その言葉単独で意味が通じる表現をとりたいということがありまして、それで「医師としての基本的価値観」という表現で提案させていただいております。

 なぜこのような表現にしたかということですが、参考としましたのは、主にビジネス分野で用いられているミッション・ビジョン・コアバリューという3つの目標といいますか、会社なり組織のあり方をあらわす言葉があると思うのですが、ミッションというのは社会の公器としての存在意義という意味を持っているそうです。それから、ビジョンというのは、そのミッションを達成したときの組織の姿をあらわしている言葉だそうです。ですから、社会の中での存在意義がミッションで、自分たちのあるべき姿がビジョンであると。さらに、コアバリューというのは、ミッションやビジョンを実現するために、組織が独自に持つ共通の価値観のことを意味するということだそうです。基本的価値観、中心的価値観、あるいは中核となる価値観、いろいろな日本語訳が充てられているようですけれども、今回は国としての臨床研修全体の価値観ですので、基本的価値観という表現がやはりいいのかなと。と言いますのは、組織ごとに、プログラムごとにもう少しつけ加えた価値観はもちろんあってもいいわけですので、これだけは日本の医師として持っていてほしい価値観だということで、医師としての基本的価値観と、ちょっと長くなりますが、そういう表現をとることを御提案させていただきました。

 これは後で、大滝先生からも御案内があると思いますけれども、最初、資質・能力の一つとして入れておりましたので、これを基本的価値観というふうに別に位置づけることで、そのほかの倫理的なもの、あるいは価値観というものは直接に測定できるものではないわけですので、測定できる行動規範といいますか、そういうものをまた別に資質・能力の中に設ける必要が恐らくあるだろうということで、現在は倫理観という表現になっていますが、もしかしたら、行動規範でもいいのかもしれませんが、そういうものが一応別に設定されているという形になっております。

 以上です。

○福井座長 ありがとうございます。

 それでは、大滝先生から「資質・能力」の部分についての説明をお願いします。

○大滝構成員 2ページ目の「資質・能力」のところから順を追って説明をいたします。

 まず、この「資質・能力」という呼び方です。これについては、今までの議論の中で、この目標を立てるに当たって、観察可能、測定可能で、かつある程度複合的な目標、例えば知識だけではなくて、知識、技能、態度を含む形の目標であり、それを海外ではコンピテンシーと呼んで使うようになっており、そういった形で整理してはどうかということを御提案して、いろいろと御議論いただきました。そして、コンピテンシーという英語はわかりにくい、わかりやすい日本語で、かつわかりやすい概念で整理していくことが重要であろうという御指摘をいただいたと認識しております。それをもとに今回の案では、「資質・能力」という名称で、今、申し上げたような目標、つまり観察・測定可能かつある程度複合的な能力、それをリストとしてお示しして、その全体をまとめた項目の名称として、「資質・能力」という日本語を充ててみました。

 さらに、その中の各項目としては、先ほどの「これまでの経緯」の中の御説明にもあったように、8項目にまとめました。また当初の案ではプロフェッショナリズムとなっていた7番目の項目を、先ほどの野村先生のお話にあった「基本的価値観」に大半は移して、行動規範、ルールといったものだけを、ここでは「倫理観」という仮の項目名にしてありますが、そこにまとめた構成になっております。

 各項目については、これまでの検討を踏まえて、例えば医学教育学会で同様の方向で提案されている内容、あるいは現行の研修目標の内容、その他用語の定義の資料などを参考に、それぞれの資質・能力の項目について数行の説明文をつけてみました。

 この説明文の内容については、以前に研究班からの案としてお示しした段階で、概念やその範囲、それから重要性、特記事項などを含む形でまとめたいと御提案していたものですが、今回整理する作業の中では、主に概念と範囲を中心に短く、最大で4行程度でまとめてみました。重要性や特記事項についても、これまでに検討した幾つかの資料などには含まれていたのですが、それを含めますとかなり長くなることと、項目によってその含め方にかなり差が出ましたので、今回は削りまして、概念と範囲を中心にまとめてみたものです。

 個々の項目について読み上げてまいります。

 まず、1つ目が「コミュニケーション」です。「コミュニケーションとは、人間同士が行う情報の伝達、意思の疎通、心や気持ちの通い合い、相互理解などを含む概念であり、医療においては、患者・家族を含む医療チーム、同僚やメディアカル・スタッフ、他診療科・他院、そして社会が対象となる。それらとの良好なコミュニケーションにより医療を実践する能力である。」といたしました。前半のほうが主に概念、後半のほうが範囲です。語尾については、今回は「何々を実践する能力である」としてみました。語尾については、今後また御意見をいただいて、検討していきたいと考えております。

 2番目の「チーム医療」については、「チーム医療とは、患者中心の医療を実現するために医療従事者が連携して治療やケアに当たることであり、記録や情報の共有、多職種や複数の診療科による合同の回診や意見交換、診療方針の共有などを含む多職種が連携して行う活動である。これらの活動を実践する能力である。」ということで、まだ一部こなれていない面もあるかと思いますけれども、こういった案をつくりました。

 それから、3番目が、一番ボリュームとしては大きくなる領域になると推測されますが、「医学知識と問題対応能力」であります。これについても、いろいろな資料を見ますと、例えばいわゆる診療科などの領域別になっている形でまとめられているものもあったのですが、ここではそういった枠組みをとらない形で仮にまとめてあります。「医学知識を知っているだけでなく、それに基づいて問題に対応する能力であり、卒後初期臨床研修修了時に求められるのは、緊急を要する場合の初期対応、頻度の高い症状への初期診療などを実践するのに必要な能力である。」としました。ここでだけ「初期臨床研修修了時に求められる」という文言を入れてあります。実際には、例えばカナダのCanMEDSのように、医師に求められる各項目について、生涯教育まで全部同じリストを使うことになりますと、こういった説明ではなくて、より広い概念を説明する必要が出てくるかと思いますが、今回は説明する上で、レベルをある程度入れないとわかりにくいと考えて、こういったものにしてあります。これについても、また御意見をいただければと思います。

 さらに、この項目では、下位項目の案もつくってみました。まだこういった形式で今後作業を進めていくかどうかについての検討や合意が得られておりませんので、一番わかりやすいと思われるこの項目についてのみ、「3.医学知識と問題対応能力」の下に、3.1から仮に3.7までの下位項目を仮につくってみました。

 これについても、今までいろいろなところで出されている研修に関する目標などを参考に仮につくったものでありまして、今後つくり込んでいく必要があると思いますし、先ほど申し上げたように、診療科別でなくてよいのかとか、例えば年齢とか、状況とか、そういったものを踏まえた項目にするという考え方、項目のつくり方も下位項目についてはあるかと思いますが、ここではそういう診療科や診療の場ではなくて、個別のやや具体化した医学知識や問題対応に関する能力を挙げております。内容については、お目通しください。

 次は「4.安全管理」です。これについては、文言が余り長くないので、今後さらにいろいろつけ加えていく必要もあると思います。「医療に伴う危険とその予防や対処の重要性について理解し、必要な知識や技能、体制、制度を学び、実線する能力である。」としました。

 5番もかなりボリュームが大きくなるところかと思いますが、「患者へのケアと診療技術」ということで、「診療に必要な手技と、患者・家族への接遇や態度を統合して診療する能力であり、卒後初期臨床研修医に求められるのは、緊急を要する場合の初期対応、頻度の高い症状への初期診療など実践するのに必要な能力である。」ということで、診療の態度や、それから特殊な診療の場についての対応能力といったものもここの範囲に含まれるという形でまとめてあります。

 次は「6.医療の社会性」です。これは、現行の研修目標よりもやや広めの内容で、仮につくってみました。「医療が社会基盤に基づく活動であることを理解し、医師や医療の社会的役割、健康保険や各種の医療制度の活用、保健所や地域包括ケアに関する施設との連携、予防医療などを実践する能力である。」としてみました。

 7番が、先ほど申しました「プロフェッショナリズム」の中から価値観を移した残りといいますか、具体的な項目を残した、「倫理観」という名前を仮につけた項目です。「生命倫理、医療倫理、職業倫理など、医学や医療に関連する倫理について理解し、それらに基づいて守秘義務を遵守し、プライバシーに配慮しながら臨床現場で生じている倫理的な問題を認識し、分析し対応していく能力である。」としました。

 最後に「8.科学的探究」です。「社会的ニーズの変化や医療の進歩に対応し、みずからの学習や診療の質の継続的な向上を図るため、修得したみずからの知識や能力を振り返り、新たな学習の必要性を認知して、信頼できる情報を得て批判的に吟味し、その学びをその後の学習や診療に活かす能力である。」ということで、一部医学知識と重なる部分がありますが、こういった形でやや広めに設けてみました。

 また、「研究について」という言葉をこの領域にどのように入れるかについても、今後検討していく必要があると思います。

 ここまでが「資質・能力」についての説明です。

 続けて、「遂行可能業務」という、今までこのワーキングでは出てこなかったと認識していますが、この項目を挙げた理由、それからその内容について御説明します。

 今、「資質・能力」についての提案をお示ししました。基本的には目標とするこの能力が習得できたかどうかを評価していくわけですが、海外でこれに類する、コンピテンシーなどを目標に掲げている教育活動の様子を見ますと、コンピテンシーの各項目を直接評価するのはいろいろと難しい面があるので、実際には最終的にどのような業務を任せられるようになるかに注目して評価する、そのような方法が広まりつつあります。つまり、ある程度具体的なひとまとまりの業務、その業務をその人に任せられるかを評価する仕組みにするとわかりやすいし、実施しやすい。また、評価をしたその後に、その評価をもとに指導もしやすいということです。資料では横の囲みの枠の中にあるのがそれで、「entrustable professional activity」略してEPAと呼ばれています。エイコサペンタエン酸と同じ略称なので、間違えないようにしなければなりませんが、そういった概念が、目標に使われるようになってきています。これがコンピテンシーと共に研究班で話題になりました。目標に基づいて評価をしないと実際に教育活動が動かない、実質的な研修の効果が上がらないということが今までにも話題になりましたが、こういった概念を目標にも取り込んだほうが評価を教育活動に組み込みやすいし、新たな研修制度が実効性のあるものになると期待できるのではないか、という議論がなされてきました。そこで今回、ワーキングでは初めてになりましたが、こういったものを目標のコンピテンシーの次のところに、ちょうど目標と評価をつなげるような位置づけになりますが、こういったものを入れることをご提案するものです。

 遂行可能業務について、では具体的にどのようなものを挙げるのかについては、まだ研究班でも議論していない段階です。それで、ここに挙げてありますように、例えば単独でこれができるようになってほしいという目標、さらに指導医のもとであればこれができる、あるいは、これは速やかにその判断をして、専門医に相談する、そういったぐらいのレベルといいますか、状況といいますか、そういった形で切り分けた上で、かつどの医師にもこれはできるようにというような項目をここに並べていって、それをもとに具体的な評価を各プログラムでしてもらうことを考えました。

 この項目について、現在までの検討について述べました。

 私の説明はここまででよろしいでしょうか。

 以上です。

○福井座長 ありがとうございます。

 実は、この「entrustable professional activity」の日本語訳として、どういう言葉が適切なのかについては十分話し合われておりません。野村先生が幾つか提案されています。

○野村研究分担者 「依託可能業務」としてはどうかと思うのですが、「いたく」というのは「委ねる」ではなくて「依る」のほうです。辞書を見ますと、委ねるほうは、どちらかというと下の者に任せる、外注するというような意味を持っているのに対して、依るほうは信頼してお任せするという意味になるそうですので、依るほうの依託であればいいのかなと思っております。

○福井座長 つまり上から目線で考えるのか、本人の視点で考えるのかによって、随分ここの言葉は変わってくると思います。本人が遂行できるというのと、任せてもいいという任せる立場からの言葉にするのかによって異なってくると思いますので、これにつきましても後ほど御議論いただければと思います。

 それでは、これまで説明していただいた事柄につきまして、資料2の別添をごらんいただき、必ずしも一つ一つ順番に御議論いただかなくても結構ですが、できる範囲内でこの順番で御検討いただければありがたいです。

 到達目標案の大きな構造について、2番目が経験目標をどうやって扱っていくのか、今までの目標の中にあった経験目標について、それから3番目がこれまでに組み込むべき、また充実させるべきとの議論があった項目をどうやって組み込んでいくのか。それから4番目に評価について御議論いただければありがたいです。とりあえず1番目を頭に置いた議論をお願いできればと思います。

 新たな到達目標案の構造、全体像と基本的価値観という部分、そして、資質・能力、遂行可能業務という枠組みについてはいかがでしょうか。

 小森先生、どうぞ。

○小森構成員 口火を切る形で。私は基本的に賛成です。これまでの議論の中で、特に、野村先生も中島先生の御発言を引かれて「幹」というお話をされました。やはり全ての基盤となるものというのを高位概念と呼ぶのかどうかわかりませんが、そういう意味でプロフェッショナリズム、日本語ということでございますが、基本的な骨格については賛成でございます。

 それから、私どもも、田中先生もお見えですが、全国医学部長病院長会議、あるいはさまざまな団体とも意見交換をしている中におきまして、コンピテンシーつまり卒後に求められるもの、国家試験に求められるもの、初期臨床研修、さらに専門研修に求められるもの、基本的に同じものを求めてきていると。これを明確に分けるべきだという議論がありつつも、では、そのさまざまな細かい領域によって、それを仕分けをすると極めて困難なことです。当然、患者さんそのものが疾病によって分けられるものでなくて、全人的な一個の生命体として存在するわけですから、それを項目別に分けるということは極めて問題であると思いますので、やはりそこには深さといいますか、そういう意味での評価が必要だろうという議論だろうと思います。

 私は個人的には、今後皆さんの御議論によるのだと思いますが、依託というよりは遂行、つまり本人の言葉のほうがいいのかなという感じがいたしますけれども、そういう意味では、遂行可能業務、つまり初期臨床研修を終えた時点で身につけて、単独というのは本当の意味でいいのかどうか別途でございますが、できるという仕分けというのは非常にリーズナブルだなと感じました。

 以上です。

○福井座長 ありがとうございます。

 ほかにはいかがでしょうか。

 田中先生、どうぞ。

○田中構成員 すっきりした感じになったと思うのですけれども、実際に組んでみたときに、ちょっとイメージが湧かないので、考え方を教えていただきたいのですけれども、「資質・能力」の、例えば「3.医学知識と問題対応能力」とか、「5.患者へのケアと診療技術」というのがあるわけなのですけれども、その後のEPAもある意味技術だったりするわけですけれども、その関係はどういうふうになるのでしょうか。

○福井座長 大滝先生、どうぞ。

○大滝構成員 EPAといいますか、まだ遂行可能業務の内容をつくり込んでいませんが、海外のEPAを見ますと、非常に単純なものとしては、例えば「点滴を自分で用意して点滴できる」といったものもあります。そこまで細かいものをここに入れるのかについては検討が必要です。私のイメージとしては、例えば「救急外来に来た軽症かつよくある症状の患者についての初期対応が一人でできる」といったイメージです。その中にはいろいろなコンピテンシーが含まれていて、指導医が観察して、任せられそうであると評価すれば合格ですが、まだちょっと無理かなという評価になったら、ではどこが足りないのかについて、コンピテンシーに戻ってチェックします。そうすると、このコンピテンシーが弱いので、それをもう少し学んでから、また遂行可能業務別にチェックしようというイメージが、今のところの私の理解です。野村先生がお詳しいので、追加をお願いします。

○野村研究分担者 恐らく御存じの方も大勢いらっしゃると思うのですが、AAMEですね、アメリカの医学教育の協会では12項目ぐらいだったと思いますけれども、メディカルスクールを卒業した時点のEPAを定めておりまして、これは日本で言えば臨床研修修了時にほぼ相当すると思いますが、例えば外来診療ができるという項目、あるいは自分ができることとできないことをちゃんと判断して、できないことに関しては相談したり、専門医にコンサルトできる能力というかなり大ざっぱなものを定めていると思います。ただ、各コンピテンシーとそれぞれのEPAを縦軸、横軸に組み合わせていきますと、それだけで50項目ぐらいになると思いますので、かなり細かくいろいろな領域をカバーすることになると思いますので、私はどちらかと言いますと、資質・能力に余り細かい、さらに下位の項目はつくらなくてもいいのかなと思ってはいるのですが、それは今後の議論だと思います。

○福井座長 どうぞ。

○田中構成員 つまり資質・能力をブレークダウンして細かくしていったものが遂行業務なのか、今ちょっとおっしゃいましたけれども、横軸と縦軸みたいな関係なのか、どちらのコンセプトなのですか。

○野村研究分担者 横軸と縦軸であると思います。正直申し上げて、まだ研究班でも十分議論がまとまっていないと思うのですが、先ほど、大滝先生が御説明された資質・能力の「3.医学知識と問題対応能力」の中にもちょっとEPA的な記述とも思われる部分もあると思いますので、これが例えば外来診療、ある程度もちろん外来診療に形容詞は必要だと思いますけれども、遂行できるというEPAにすれば、ここにある細かい項目はなくてもいいのかもしれないと思います。

○田中構成員 ありがとうございました。

○福井座長 ほかにはいかがでしょうか。

 金丸先生、どうぞ。

○金丸構成員 おくれてきていて流れが間違っていたら済みません。今、基本的な骨格のところ、基本的価値観、これは前回のときにも発言させていただいた一人で、やはりこのような構造にあっていく中で、資質・能力でそれを分けた倫理観というところの位置づけが、やはり望ましいのかなと思います。

 それと、資料2の骨格改定案の具体的な基本的価値観の文言の質問もよろしいのでしょうか。

○福井座長 はい、どうぞ。

○金丸構成員 「1.社会に対する使命感と責任感」というこのくくりを通してみると、最後の「同僚や後輩を支援する」というのは、なかなかわかりにくいところがどうかなというのが気になって、むしろそれと整合性を持たせるという意味では、社会に対しての責任を果たすとか、そういうふうにあるとどうなのかなというのがちょっと気になったものですから、それが1点。

 それと、2番目に安全な医療を提供するということに力を尽くす表現が、患者中心の医療の実践であるのですが、その4番のところ、共有できた価値観に基づいて安全な医療を提供する、つまり共用できる価値観というのは関係性によって不確実なところの概念が入るかもしれないということで、より明確に安全な医療を実践するという安全ということが入ったほうがいいかなと。5番目に、組織やチームのリーダー、メンバーとしての役割の2行目、適切なコミュニケーションを通じて良好な関係を構築し、連携し、より効果的な効率的な使命を果たす。良好な関係に含まれるとは思うのですが、良好な信頼関係、「信頼」という言葉がもし入ることができれば、そういうことも議論していただくとどうなのかなと。細かいことで申しわけありません。

 それと、「6.卓越性の追求と生涯学習」、私は個人的に批判という言葉がどこか耳にさわっていくところがあるのです。吟味という中に批判的という概念が入っているのかなと。よく吟味するというのは、批判も含めて吟味に入るかなと、個人的に捉えすぎているのかもしれませんが、というのは、後半に出てくる3.1で情報の収集と吟味ということで、吟味と整理されているところがあるので、あえて批判的という言葉が要るかどうかはまた御議論をいただけるとどうなのかなという、ちょっと細かいことで申しわけないのですけれども。

 最後に「7.自己管理とキャリア形成」の「生涯を通じて社会的使命に貢献する」という文言なのですが、先ほどの1番とかなり重なるところもあると思いますので、「生涯を通じて社会に貢献するため」とか「生涯を通じて社会的使命を果たすため」とかの表現の方がわかりやすいのではと。ちょっと細かいところですけれども、一番の骨格の幹のところであったので、意見を述べさせていただきました。また議論をいただけるとありがたいと思います。

○福井座長 ありがとうございます。

 どんなことでも結構ですので、御意見をいただければと思います。

 高橋先生、どうぞ。

○高橋構成員 いま一度、全体構造についての確認で質問させていただきます。

 前の議論でプロフェッショナリズムがコミュニケーションとかチーム医療とか全てを包含するものであるので上位にという考え方でこの構造ができたと今、理解しておりますけれども、そうしますと、医師としての基本的価値観、あるいはプロフェッショナリズムと言いかえてもいいのかもしませんが、これはいわゆる研修理念の下に来るもの、あるいは研修理念と同等なものと考えてよろしいのでしょうかということがまず1点。

 それから、資質・能力に関しては、恐らく観察可能、あるいは評価可能であるものを挙げられたのかなと考えておるのですけれども、その考え方でよろしいでしょうか。つまり、それに伴って、研究班としては実際の中身をこれからもっと詰めていくと理解してよろしいでしょうか。

○福井座長 基本的価値観の部分は臨床研修の基本理念と同一ではなくて、基本理念の中には「人格を涵養し」という言葉と、「基本的な診療能力」という2つの大きな幹がございます。それらの中の「人格を涵養し」という部分が基本的価値観に相当するものと個人的には思っています。そして、資質・能力は、基本的な診療能力という部分に対応するものと思っています。

○高橋構成員 結局は資質・能力を大多数のものを含むものが基本的価値観に相当するのではないかなと考えたのですけれども、そうではないのですか。

○福井座長 どなたか。

 野村先生、どうぞ。

○野村研究分担者 ありがとうございます。

 我々の考え方としては、いろいろな能力が必要である、こういう能力を身につけなければならないということを生み出す原動力といいますか、動機といいますか、それが基本的価値観だと思っております。ですから、これはあらゆる疾病にプライマリーに対応できる能力も、医師が一人しかいないところでそういう患者さんに遭遇したときに、たとえ専門医であってもきちっと対応できなければならないという気持ちがあって、初めてプライマリーケアの能力が必要だということになると思いますので、いろいろな能力を必要とする動機といいますか、原動力と考えております。

○福井座長 言葉で難しいのは、基本的価値観のところの例えば2番ですと、実践という言葉が入っていて、必ずしも測定できない価値観だけでうまくまとまっているわけではないようにも思われます。恐らく一人一人のイメージというか、考えが違うためかもしれませんけれども、私としては、基本的価値観のところは木の幹というイメージと、コンピュータシステムで言うと、オペレーティングシステムそのもの、土台にあるものというイメージも持っています。それで個別の知識や技量、目に見える態度などは資質・能力に書きあらわせないというイメージを持っていますが、それにぴったり合う文言にはなっていないように思っています。これから話し合いを進めていきたいと思います。

 野村先生、どうぞ。

○野村研究分担者 先ほどの金丸先生からの御指摘についてなのですが、非常にごもっともな御指摘をいただいたと思いますので、検討させていただきたいと思います。

 1点だけ、最初の「支援する」の部分なのですが、それが社会的使命に入っている理由は、自分が医学教育にかかわっているからかどうかわからないのですが、全ての医師は後進を育てることも社会的使命だということを強調したいということがありまして、トップといいますか、社会的使命の中に含めているというふうに御理解いただければと思います。

○福井座長 伊野先生、どうぞ。

○伊野構成員 私も今の案に賛成で、将来的にも、ただいまの医療だけではなくて次世代にも貢献をしていくべき使命を我々は持っているということは、なかなか意識化できないので、しっかり意識化するべくミッションの中の一つに入る新しいお医者さんを作っていただければと思います。

 それからもう一つですが、私もよくわかっていないかもしれませんけれども、「プロフェッショナリズム」の中に、価値観に基づいて自分が行動するのだといった「実践力」が資質に入ると聞いています。上位に含むべきかどうかはわからないのですけれども、その実践することにも「プロフェッショナリズム」の中の一つの大きな意味があるのではないかと思います。ただここをどう整理するのが妥当か教えていただければと思います。

○福井座長 話し合いを進めていきましょうというところですね。

 清水先生、どうぞ。

○清水構成員 御説明ありがとうございました。

 全体の構造について、私もちょっと理解不足なのかもしれないので確認させていただきたいのですが、現在の目標ですと、基本理念があって、そのまますぐ目標になるわけですけれども、この案ですと、「医師としての」の部分が大事なのかもしれませんが、内容について、基本的価値観で医師のプロフェッショナリズムについて具体的な目標を提示し、その細かな能力を資質・能力のほうで測定可能にしてあると理解すればよろしいのでしょうか。つまり、目標としては、資質・能力以下になると考えればよろしいでしょうか。

○福井座長 両方合わせて目標と考えています。私も舌足らずだったのですけれども、最初の2行目の真ん中までがどちらかというと基本的価値観に相当するものと思います。「医師としての人格を涵養し、医学及び医療の果たすべき社会的役割を認識しつつ」のところぐらいまでが、どちらかというと基本的価値と思います。この部分に、資質・能力も加えて、できることなら遂行可能業務的な切り口のものも含めて、全体を目標とできないかと思っています。

○清水構成員 今の点で確認したかった点は、当然全部目標なのだと思うのですけれども、実際の現場からすると到達しているかどうかというのをチェックするべき目標としては、資質・能力以下という意味なのかどうかということをちょっとお聞きしたかったのです。

○福井座長 それは評価の仕方をどう考えるかによると思います。例えば、プロフェッショナリズムも行動面から評価されておりますので、基本的価値観をどのように評価するかによって、評価できるとかできないとかが決まるのではないかと思います。今のところはここに書き出したようなプロフェッショナリズムも評価できると、多くの医学教育関係者は考えているのではないかと思います。

 野村先生、いかがですか。

○野村研究分担者 私も福井先生と基本的に同じ理解です。行動を通じて価値観を測定するといいますか、行動というのは窓のようなもので、そこを通してしか価値観は見ることができませんので、もちろんできるだけ窓は大きいほうがいいのですが、全て中にいる「象」を全部見ることはできないとすれば、「象」である特徴を捉えたもの、窓から見えるものを測定して、この人は基本的価値観を備えているなと判断するということになるのかなと今のところは考えています。

○福井座長 高橋先生、どうぞ。

○高橋構成員 ありがとうございます。

 先ほどの質問と、清水先生の質問にも共通するのですけれども、ここはすごく大事なところで、この案を拝見すると、いわゆるプロフェッショナリズム、医師としての基本的価値観の部分と、資質・能力の部分が限りなくイコールに近いように思います。つまりこの基本的価値観のところに全てのものが含まれる。ですから、極論を言ってしまうと、この基本的価値観はすごく大事だと私は思っていますし、それを重要視して上位目標として設定は必要なのですけれども、でも全てを含んでいるとなると、要らないという極論もあり得るのかなと。そして、これがあることによって、かえって理解が難しくなるのかなという考え方もあるかなと感じたのですけれども、どうでしょうか。

○福井座長 どなたか。

 田中先生、どうぞ。

○田中構成員 最終的にどういう評価方法をつくるかにもよりますけれども、この到達目標というのは、指導医と研修医に対するメッセージでもあると思うのですね。そうすると、その資質・能力とか遂行可能業務という具体的な事象だけではなくて、例えば先ほど後輩を育てるのは義務だというのをやはりどこかに明示したほうがいいだろうとか、そういうふうに思うと、ここに明示するのが一番いいのではないかなと思います。

○福井座長 先ほどの小森先生の御発言ともかかわりますけれども、この基本的価値観は研修医だけの目標ではなくて、全ての医師の目標だと思います。また、資質・能力も全ての医師にとっての目標であって、その中のどのレベルまで研修医には求めるというふうな構造がに考えられます。したがって卒前教育も卒後研修も専門医の研修も、この枠組みを使ってもらって、その中のどのレベルまでの到達を求めるというふうに、シェアしてくれるとありがたいと思っています。

 はい、清水先生。

○清水構成員 今の福井先生の御発言と先ほどの福井先生と野村先生の御説明は、賛成とうか、私もそのように思いますので、基本的価値観が構造上上位にあって、資質・能力がそれのブレークダウンした具体的な行動になるというのはよくわかるので、やはり評価の工夫が要るかなと思っていて、基本的価値観は、今のお話だと、例えば全医師が生涯にわたって達成すべき行動規範みたいなものだとして、では、研修医のレベルだとこの全体の行動規範のどこまで達成しているという、そのレベルなのか、概略をどの程度理解しているという性質を評価するのかというところは評価の工夫が要るのかなと思います。ちょっと説明が下手で、わかりにくかったら申しわけございません。

○福井座長 高橋先生、どうぞ。

○高橋構成員 今の清水先生の補足になるかどうかわかりませんけれども、要は卒業時、あるいは研修修了時、あるいは専門研修時のマイルストーンを決めて、それに沿った評価をすると可能だと思うのですけれども、卒後初期臨床研修修了時のマイルストーンをこの中にも含めるというお考えでよろしいのでしょうか。

○福井座長 今のところ、マイルストーン的な考え方を取り入れる方向で話し合いをしております。目標がある程度でき上がらないと、評価案はなかなかつくりにくいと前野先生もおっしゃっていて、今の時点では具体的な案を出せませんので、理解していただくのはがお互いに難しい状況ではあると思います。

 中島先生。

○中島構成員 基本的には、今のような議論だとは思うのですけれども、全ての医師としての基本的価値観のところを番号を立てて書いていくと、非常に次と重なりやすくなるのですよね。だから、ここはちょっと表現の工夫が要るのではないかなというのが1つです。

 それから、その中の2ページの6です。「卓越性の追求と生涯教育」の「卓越性」と言われると、私は落ちこぼれにすぐなってしまいますので、どうもちょっとこれは言葉を変えたほうがいいですね。

 それから、3ページの一番下の「倫理観」は、倫理観とするから上の価値観のところと重なってしまうので、やはり行動規範のようにしたほうがいいのではないかなという気がいたしました。どうしても基本的価値観と資質能力のところは重なりやすいので、それをできるだけ重ならないような書き方にしていく。

 それから、また戻りますけれども、2ページの3の細かく書いていらっしゃるところですけれども、例えば3.で立案できる、検討できる、立案できる、立案できる、これは学生がやることですよ。もちろん初期臨床研修ですから、学生と専攻医の中間移行期に入っていていいのですけれども、ちょっと書き方が弱過ぎるのではないかなという気がいたしました。

 それからもう一つ、一番大切なところは、遂行可能業務というのが「entrustable professional activity」の訳だというのですけれども、日本語として聞いたときには何のことかさっぱりわからぬと思うのですよね。だから、むしろ各医師に与えられた実施可能業務というふうに、「実施」というふうに言ったほうがいいのではないかと思います。我々管理者が一番困るのは、指導医のもとでやってもらわなければいけないのに、勝手に単独でやってしまうとか、こういうことが一番困るわけです。このことの仕分けがきちっとできるというのは、もう最低限必要なことですから、ぜひこれは入れていただいたらいいなと思います。

 もう一つは、「8.科学的探究」というのは、大学のほうからもしきりに言われますので入っているのだとは思うのですけれども、やはり科学的ということが果たしてずっと続くと思っていらっしゃるのかなと、私は実は思うのです。科学というのは、本当は底の浅いものですから、そこに余り入れ込み過ぎるとまずいのではないかなというのがありますけれども、実証的とか何か入れられて、科学的と安易に言わないほうがいいのではないかなと思いました。

 以上です。

○福井座長 ありがとうございます。

 はい、金丸先生。

○金丸構成員 先ほど、野村先生、ありがとうございました。

 私も野村先生の御意見と同感です。ただ、やはり言葉は大事なので、同僚や後輩を支援するというこの言葉も入れつつ、先ほど述べた、社会に対する責任を果たす、という言葉も入れていく議論もいただけるとありがたいと思います。先ほど言われましたけれども、実践を通して、その姿でその研修医の言葉とかあるいは行動、あるいはそのことを通してその研修医が何を思っているかということが観察できる部分は少なからずあるように思いますので、先ほど先生がおっしゃったような評価というのは、どういう文言になるかわかりませんけれども、方法論としても入っていけるような仕組みがあるといいなと思いました。

○福井座長 ほかにはいかがでしょうか。

 はい、高橋先生。

○高橋構成員 ちょっと確認をお願いしたいと思います。遂行可能業務の話が出たので、そちらに飛んでしまいますけれども、もう一度確認させていただきたいのは、こちらは目標としての可能業務と考えてよろしいですか。というのは、単独での遂行が可能な業務と書かれますと、例えば、医学生に単独で遂行が許される医行為と重なってしまって、ここに載っているものは研修医が1年次でも単独でやっていいのだと認める許可になってしまうおそれがあると思ったのですが、そうではなくて、これはあくまで目標と考えてよろしいですか。

○野村研究分担者 そのように考えております。おっしゃるとおり、多分3つのレベルに分割しているので、学生の医行為のレベルとも重なってしまって、多分そういう誤解を受けてしまう可能性があるのではないかなということは危惧しております。12項目ぐらいでしたら、レベルにわざわざ分ける必要はないと思いますので、例えば外来診療を単独でできるというものと同列に、自分の能力に余るものはきちんとコンサルテーションができるという別のEPAといいますか、遂行可能業務をつけ加えればクリアできるのではないかなと思っているのですが。

○高橋構成員 ありがとうございました。

 それで安心したのですが、そうなりますと、やはり単独で遂行が可能な業務とか、そういう表現ではなくて、もうちょっと別の表現のほうがいいのかなと思います。

○野村研究分担者 おっしゃるとおりだと思います。

○福井座長 この1、2、3は全くの案ですので、消去しても構いません。

 ほかにはいかがでしょうか。

 金丸先生、どうぞ。

○金丸構成員 言葉尻かなという気にもなるのですが、2ページの資質・能力の、これは大滝先生が今から積み上げるということをおっしゃっていただいたので、1番のコミュニケーションは、先ほどの基本的資質に次ぐ幹なる部分かなと思っている場所なのですが、最後にコミュニケーションを説明する用語に「コミュニケーションにより実践する能力」と、コミュニケーションを使うことがちょっと気になったというか、例えば、それだけの良好な関係性により医療を実践する能力とか、コミュニケーションを説明する言葉をコミュニケーションを使って説明するという、何かわかっていくようでわかっていかないような何となく微妙に、ちょっと細かいことかもしれせんけれども、また検討していただけると。

○大滝構成員 ここは文案をつくったときに引っかかったところの代表的な場所の一つで、大変参考になりました。ありがとうございます。

○福井座長 ほかにはいかがでしょうか。

 はい、伴先生。

○伴構成員 1つだけ。根本的なことになるかなと思うのが、今の遂行可能業務、あるいは中島先生に言わせれば実施可能業務というところで、指導医のもとで遂行が可能な業務と書き始めたら、これはきりがなくなると思うのですね。ですから、多分やはりこの「entrustable professional activity」というのは、研修修了時に単独に遂行可能な業務という意味になるのだろうと思います。

○福井座長 そのような考え方で、次回には案を提出できればと思います。

 ほかにはいかがでしょうか。

 はい、伊野先生。

○伊野構成員 私もこの遂行可能業務という文言を入れるのは大変賛成なのですけれども、今まである経験目標との関連はどんなふうに考えていけばよろしいでしょうか。

○福井座長 ほとんど考えないで議論を進めてきております。経験目標自体を目標のカテゴリーに入れるのか、方略のほうに入れてしまうのかによっても全然違ってきます。関連性を考えないで案を作ってきたものですから、今は答えられません。

○伊野構成員 ありがとうございました。

○福井座長 ほかにはいかがでしょうか。

○伴構成員 経験目標というのは、やはり言葉としては使わないほうがいいのではないかなと思います。もともとこの研修目標が出てきたときから混乱ぎみでしたので。

○福井座長 それでは、資料2の別添の2番目のところに移りたいと思います。経験目標の扱いについて、研修する診療科のローテーションとか、個別の疾患名とか、全部目標として扱うのかどうかということの議論が必要ですが、現在のプログラムでいうと、これは資料1になりますけれども、経験目標にはA、B、Cがあり、その中のAについては資質・能力のところに入るものと思われます。これは診察法・検査・手技のところでしょう。Cも資質・能力のところに入る部分がありますが、Bにつきましては、目標ではなくて、方略に入れて、こういう事柄を経験した上でどうなってほしい、どういう能力を身につけてほしいという方向にいきますので、そういう意味では方略で考えたほうがいいのではないかと思っています。研究班でこのことについてはさらに詰めていきたいと思っております。

 経験目標については、いかがでしょうか。何かほかに御意見がございましたら。

 目標に組み込むべき、または充実させるべきとの議論のあった項目、それから評価についても、こういうふうに案を出したらどうかということも含めまして、御自由に。

はい、高橋先生。

○高橋構成員 全般的な大まかな話になって恐縮なのですが、経験目標で個別の疾患群一つ一つを取り上げることは意味はないかなと私は個人的には思います。ただ、ある程度の疾患群を挙げておかないと、幅広い研修を経験するためのプログラム作成に支障が出てくる可能性も危惧しておりまして、ある特定の診療科、あるいは特定の疾患だけしか見ていないのに、到達目標あるいはこれらの目標を経験した、あるいは達成したという評価が生まれてくるおそれはないかなということを危惧しております。その点は、先生方いかがでしょうか。

○福井座長 大滝先生、どうぞ。

○大滝構成員 私も同感で、特に今までの経験目標をどのように扱うかについては、研究班の中でも、例えば今回の「資質・能力」と同列で扱うのは適当ではないということでは一致しています。一方、経験目標をすべて外した場合に何が起きるかということも考えなければなりません。特に、研修に熱心なところはともかく言い方は悪いですが、できるだけ手を抜こう、楽な研修にしたいというところでは、研修が骨抜きになり過ぎるだろうと懸念する意見もありました。個人的な意見としては、今回の案で言う「遂行可能業務」の中にどれくらいその縛りというか、幅広い能力を身につけなければできない業務を含められるかというのが一つのポイントでしょう。それからもう一つは、方略の中でどれくらいの量と区分で、「研修で経験すべきこと」を組み込むかということです。これら2つのポイントは、研修が骨抜きになることを防ぐのに効果があると考えています。やや抽象的ですが、以上です。

○福井座長 実は、方略のところで3項目書き出していますけれども、経験したほうがいいと思われる症候・病態・疾患という切り口、どういう診療場面を経験してほしいという切り口、具体的に何カ月間ぐらいずつこれこれの診療科を回ってほしいという切り口など、違った切り口が考えられ、それをどういうふうに書き出していくかという作業の問題にはなるものと思います。

 ほかにはいかがでしょうか。

 はい、伴先生。

○伴構成員 後の評価のところとも関係してくると思うのですけれども、方略というのは、それぞれの研修施設がいろいろ工夫してやることであって、こうしなさいというふうに指定するものでもないと思うのですよね。そうすると、評価のところではよくあるのは、ツールキットみたいなものを準備されていて、それでそれぞれのプログラムに応じて、あるいは方略に応じて上手に使っていくということになるので、方略も何かそういう提案の仕方があるのではないかなと思います。

○福井座長 今回は簡略化するということも、このワーキンググループに課せられた命題でありますので、少なくとも現在の目標と比べるとわかりやすくて簡略で、必要なら参考資料をつくることも考えてよいのではないかと思っております。

 はい、清水先生。

○清水構成員 私も今の経験目標の部分が、スーパーローテーションを担保できる唯一のよりどころみたいなところがありますので、項目数が多いのはそのとおりなのですが、そこがよりどころになっているとすると全面的になくすのは問題かなとは思います。

 診察法・検査・手技などは、多分遂行可能な業務のほうにある程度入れられるのではないかなと思うのですけれども、症候・病態・疾患は、現在32のレポートの必要な症候と疾病がありますが、経験したという評価をどういうふうにするのかという前野先生の御案もあるかもしれませんが、32症候と疾病をもう少し膨らませた形で、きちんと経験したと評価できる項目をふやすぐらいが妥当かなと思っています。その中に大事な医療現場というのも含めて、今でしたらやはり終末期医療ですとか、それからお子さんの問題とか、必ず入れなければいけないものを考えればいいのかなと思っております。

○福井座長 いわゆるスーパーローテーションが求められるとのコンセンサスが得られたとして、現在つくっているものでは必ずしも症候・病態・疾患のところだけでそのことの必要性を示すという形にするのではなくて、資質・能力のところにもそういうことを書き込んでいけばよいのではないかなと思います。

 はい、田中先生。

○田中構成員 私もEPOCを運営していて、項目数が多過ぎるという全国津々浦々からの御要望と非難に耐えた10年なので、減らしたほうがいいと思うのですけれども、整理の仕方として、先ほどのX軸とY軸ではないのですけれども、症状を横軸にして、疾患を縦軸にして、例えばこの症状だったら、この疾患ぐらいはやはり医師たるもの経験しておいたほうがいいというふうに整理していくと、今より大分整理できるのではないかと、直感ですけれども、思います。

○福井座長 ちょっと話が違いますけれども、日本医師会のカリキュラムが全部そうなっていて、57種類の症候一つ一つについて、比較的頻度の高いものからリストアップしてありますので、資料としては出せると思います。

○田中構成員 私は存じ上げなかったのですけれども、小森先生に教えていただきたいのですけれども、そういうものを例えば、医師として生涯身につけるものとして医師会はつくられたわけですよね。

○小森構成員 いろいろ歴史的な経緯はございます。ただ、現在のカリキュラム2009の成立に当たっては、6年間議論を尽くされた中で、さまざまなレベルで、この構造については福井次矢先生に大変な御指導力を発揮していただいて、また、関連学会等の御協力もいただきながら作成をしてきた。当然これは不磨の大典というものではなくて、常に時代の変遷とともにバージョンアップもしていかなければいけない事項だと思いますが、この前お話ししましたように、やはりどういう領域であれ、専門化していくというのは極めて重要なことでもありますが、しかし常にリフレッシュし続けると。医師でありながら、目の前に起こったこの前の災害のようなときに、どのような専門性を持っていっても基本的な医師としての能力を持って、それにしっかり対峙できるということはリフレッシュし続けないといけないという状況の中から、それぞれの主要な兆候に対して、基本的な考え方をいつも持ち続けているという意味では、生涯教育であるから今の臨床研修の到達目標と別個のものであっては、これはとてもおかしなことでございますので、そういう意味では、いろいろな意味で関係性は極めて深いと思いますし、基本的な考え方はやはり同一のものなのだろうと思っています。

○田中構成員 であれば、やはりいつもゼロベースで議論が展開されるよりは、いろいろな資産、資産と言ったら失礼かもしれませんけれども、そういうものを活用するような形にしていったほうがいいと思います。

○福井座長 その考え方が卒前から卒後研修、専門医研修に至る医師養成の全体の流れの中で同じ目標を参考にして、この研修ではこのレベルまでできることを求めるというふうに使えると本当にいいですね。

 よろしければ、日本医師会のカリキュラムを次回の会議で見ていただいて、参考にしていただく、ということでお願いします。

 ほかにはいかがでしょうか。

○小森構成員 ぜひ参考資料としてまた御提示を申し上げ、また、御議論の参考にしていただければと思います。

○福井座長 私も個人的には症候からのアプローチを徹底的に2年間やれば、後は価値観のところを身につけてもらえれば、2年間はそれでいいのではないかと思っています。診療科別の特別な難しい病気も、できるだけ診たほうがいいとは思いますが、より重要なことは、症候からのアプローチですね。全ての医師に身につけてほしいのは。

 ほかにはいかがでしょうか。

 中島先生、どうぞ。

○中島構成員 先ほど4ページの「8.科学的探究」とごちゃごちゃ言ってしまったのですけれども、この中の説明文を読んでみると、これは探求は全く入っていませんよね。だから、これは科学的態度でいいのではないですか。あるいは実証的態度とかいうので十分だと思うのだけれども、これは科学的探求ですか。全然違うでしょう。

○福井座長 研究的な視点も持ってほしいということも、科学的探究の中には入っていると思います。また次回話し合っていただきたいと思います。

 ほかにはいかがでしょうか。外来に係る項目などを頭に置いて、具体的な項目作成の案を出したいと思います。

 伴先生。

○伴構成員 先ほど大滝先生が資質・能力の「3.医学知識と問題対応能力」のところで、卒後初期臨床研修時に求められるのはと限定句を入れると言われているのですけれども、先ほどの福井先生が言われたとおり、この基本的な価値観ないしは態度、姿勢と資質・能力というのは、卒前からずっと通して大きな枠組みとしては維持されるものが基本的な考え方だとすると、資質・能力はもう全ての1~8にこういう限定句が入ってということになるのではないかと思います。

○大滝構成員 そうしますと、むしろそこを省いた上で、かつ全ての医師にこういった基本的な能力が求められるということを強調するような文言に、また検討してみたいと思います。

○福井座長 ほかにはいかがでしょうか。

 中島先生。

○中島構成員 教えていただきたいのですけれども、この報告書の中で、ポートフォリオはもう捨ててしまうと。

○福井座長 それは次の段階で、案として出したいと思っています。

○中島構成員 先走り過ぎて済みません。

○福井座長 ポートフォリオも含めまして、随分御意見をいただきました。

 大滝先生。

○大滝構成員 今後の進め方についての確認なのですが、さきほど、伴先生からも御意見をいただいた「資質・能力」の「3.医学知識と問題対応能力」のところについてです。経験目標の扱いなどについてもいろいろ御議論がありました。特に「資質・能力」にある程度の経験目標を入れるとなると、場所としてはこの「3.医学知識と問題対応能力」が中心になると思います。その場合に、ここに仮に挙げたものとは異なるやり方で下位項目をくむとなると、診療科別で挙げている例もありますが、それはなじまないだろうと、先ほども述べました。例えば、急性疾患、慢性疾患とか、ターミナルであるとか、被災地であるとか、そういった概念、それから、小児、女性特有の問題、成人あるいは高齢者の問題、在宅、といったように、状況や年齢性別に応じた括りでこの下位項目をつくっていく方法もありそうです。そうすると、EPAとのすみ分けも多少見えてくる可能性はあるかなと思うので、そういった方向でもまた検討していくということでよろしいでしょうか。今後の作業の進め方が決まらないと、たたき台のつくり直しの方向がなかなか決まりませんので確認しました。ありがとうございます。

○福井座長 ほかにはいかがでしょうか。

 事務局から何かございませんか。つまり、こういうことがまだ抜けているとか、きょうこの時点でこれだけは確認しておきたいということがもしございましたら、お願いしたいのですけれども。

○吉本医師臨床研修専門官 事務局は、今、全体の構成について、遂行可能業務の概念を今後考慮していくであるとか、御確認いただけたものと認識しておりまして、次回以降の日程ですけれども、年明けとなるかと思いますが、今後の進め方も含めて再度御相談の上、日程調整をしたいと思っております。

 よろしくお願いいたします。

○福井座長 よろしいでしょうか。

 それでは、本日はこれで終了とさせていただきます。

 どうもありがとうございました。


(了)

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