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2015年3月24日 救急・災害等の課題に対する研究会 

○日時

平成27年3月24日(火)9:59~12:28


○場所

中央合同庁舎第4号館 12階
「共用1214特別会議室」


○議題

1.救急・災害医療の現状と本研究会の概要について
2.今後の救急救命処置のあり方と運用について
3.災害時のドクターヘリ参集方法について
4.その他

○議事

○西嶋室長 

それでは、定刻となりましたので「救急.災害等の課題に対する研究会」を開催いたしたいと思います。

 本日は、先生方におかれましては、御多忙のところ、御出席賜りまして、まことにありがとうございました。

 開催に先立ちまして、北波地域医療計画課長より一言御挨拶を申し上げます。

 

○北波課長 

皆さん、おはようございます。医政局地域医療計画課長の北波と申します。どうぞよろしくお願いいたします。

 構成員の皆様方には年度末のお忙しい中、お集まりいただきまして、まことにありがとうございます。これまで救急分野、災害分野に関しましては、定期的に検討会を開催いたしまして、それぞれ政策の方向性について議論いただいてきたところでございます。

 今回の研究会と申しますのは、現在、救急、災害の第一線で御活躍の、特に若い方々に、いろんな職種の方々にお集まりいただきまして、現場の現在の問題点、課題について上げていただいた上で、厚労省が今後、どのような政策を展開していけばいいのかということについて、非常に参考とさせていただくような御意見を賜りたいと考えております。

 このような枠組みでの研究会というのは今回が初めてでございますので、どうぞよろしくお願いします。

 特に喫緊の課題というか、今回につきましては、昨年の4月から救急救命処置の範囲に新たな処置が追加されております。全国各地で処置が行われているのですけれども、さきに行われました検討会でも、今後の救命救急処置のあり方について宿題をいただいているところでございます。

 また、今年度というか、昨年から、各地で災害が発生しまして、ドクターヘリの役割につきましてもますますこれから期待が高まってくるということでありますが、その運用の方法であるとか、災害と救急の間であるとか、その関係についてはいろいろな課題、議論をしなければならない点というのがあろうかと思います。

 本日は初回でもございますので、ぜひ活発な御議論をいただきまして、現場の声を私たちにも勉強させていただければと思いますので、何とぞよろしくお願いしたいと思います。

 どうぞよろしくお願いいたします。

 

○西嶋室長 

続きまして、構成員の方を御紹介いたしたいと思います。

 まず、昭和大学病院院長の有賀徹様でございます。

 東京医科大学救急.災害医学分野准教授の織田順様でございます。

 独立行政法人国立病院機構大阪医療センター救命救急センターの梶野健太郎様でございます。

 救急振興財団救急救命東京研修所教授の田邉晴山様でございます。

 札幌市消防局警防部救急課長の菩提寺浩様でございます。

 前橋赤十字病院高度救命救急センター集中治療科.救急科副部長の町田浩志様でございます。

 札幌医科大学医学部救急医学講座助教の水野浩利様でございます。

 広島国際大学保健医療学部医療技術学科教授の安田康晴様でございます。

 朝日航洋株式会社航空事業本部営業統括部長の横田英己様でございます。

 続きまして、事務局の紹介をさせていただきます。

 先ほど御挨拶をさせていただきました、地域医療計画課長の北波でございます。

 救急医療専門官の辻でございます。

 病院前医療対策専門官の酒井でございます。

 災害時医師等派遣調整専門官の葛西でございます。

 災害医療対策専門官の生駒でございます。

 また、関係省庁からは、消防庁救急企画室寺谷救急専門官でございます。

 同じく消防庁広域応援室小泉航空係長でございます。

 なお、私は救急.周産期医療等対策室長の西嶋でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

 続きまして、本検討会の座長の選出を行いたいと思います。本日の資料を1枚めくっていただきますと、この研究会の開催要項がございますけれども「構成員」ということで、構成員のお一人の方を座長として互選により選出するとなってございます。

 座長の御推薦をお願いしたいと思います。

 織田先生、お願いいたします。

 

○織田構成員 

有賀先生を御推薦いたしたいと思います。

 

○西嶋室長 

ただいま、有賀構成員というお声がございましたが、いかがでございましょうか。

(「異議なし」と声あり)

 

○西嶋室長 

ありがとうございます。

 それでは、皆様の御賛同を得ましたので、有賀構成員に今後の座長をお願いしたいと思いますので、座長席のほうへお移りいただきますよう、よろしくお願いいたします。

(有賀構成員、座長席へ移動)

○西嶋室長 

それでは、以降の進行につきましては、有賀座長のほうからお願いいたしたいと思います。よろしくお願いいたします。

 

○有賀座長 

ただいま座長に推薦されました、昭和大学の有賀です。どうぞよろしくお願いいたします。

 本日のこの会議は、事前の御説明を賜ったところによりますと、比較的ざっくばらんといいますか、私自身についてのみ言えば、どういう会議でも比較的ざっくばらんに発言してしまうということがあって、ある意味ひんしゅくを買っているのかどうか知りませんが、そういう会議の中では大変自由な発想でいろんな議論ができるということが本会議の非常に大事な部分と聞いておりますので、そのような感性を持ってお互いにそういう感性を共有しながら議論を進めていくことができるといいなと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 では、この研究会のためにあります資料の確認を事務局からお願いいたします。

 

○辻専門官

 それでは、資料の確認をいたします。

 まず、議事次第、座席表、開催要綱、構成員名簿が1枚になっております。

 資料1といたしまして「救急.災害医療の現状と本研究会の概要について」というパワーポイントの資料。

 資料2といたしまして「今後の救急救命処置のあり方と運用について」という資料がございます。

 資料3といたしまして「災害時のドクターヘリ参集方法について」という資料でございます。

 資料4といたしまして、有賀構成員より御提出いただきました「災害医療について考える」という資料でございます。

 続きまして、参考資料を御説明します。

 参考資料1としまして「救急医療体制等のあり方に関する検討会報告書」でございます。

 参考資料2といたしまして「災害医療等のあり方に関する検討会報告書」でございます。

 参考資料3といたしまして「救急救命士の業務のあり方等に関する検討会報告書」でございます。

 参考資料4といたしまして「救急救命士の救急救命処置拡大に関する実施状況調査の結果について」という資料でございます。

 参考資料5といたしまして「今後の救急救命処置の拡大、追加に際して基本的な手順、流れについて」という資料でございます。

 参考資料6といたしまして「航空法施行規則第176 条の改正に伴うドクターヘリの運航について」という資料でございます。

 参考資料7といたしまして「災害時におけるドクターヘリ参集案」でございます。

 なお、参考資料8といたしまして、安田構成員から救急救命処置範囲拡大についてのヒアリングという資料がございます。こちらに関しましては、随行の方にはまだございません。申しわけありません。

 お手元の資料に不足等ございましたら、事務局にお申しつけください。

 以上でございます。

 

○有賀座長

 どうもありがとうございます。

 それでは、研究会の議題を進めていきたいと思います。

 まず、議題は1、2、3、4とあって、1番が「救急.災害医療の現状と本研究会の概要について」。これは全体を俯瞰するための議題ということなので、まずは事務局から御説明をいただいて、位置づけなどのこともありましょうから、ちょっぴり議論という話でしょうか。

 よろしくお願いいたします。

 

○辻専門官

 資料1に基づきまして、資料の御説明をいたします。

 1枚おめくりいただきまして1ページ「救急出動件数及び搬送人員の推移」でございます。

 昨今、救急出動件数、救急搬送人員等は増加傾向にありまして、昨年の12月に出ました「救急.救助の現況」からしましても、平成25年中救急出動件数は590万件、搬送人員は530万人を超え、4年連続で増加となっております。

 2ページ目、こちらは「救急自動車による現場到着.搬送所要時間の状況」でございます。現場到着所要時間、電話が鳴ってから現場に到着するまでの時間というのが、全国平均8.5分となっておりまして、前年より伸びておりまして、これも延長傾向にあるということでございます。

 また、収容所要時間、電話が鳴ってから医療機関に搬送されるまでの時間でございますけれども、これも全国平均が39.3分ということで、これも延長傾向にあるということでございます。

 続きまして、3ページ目、救急搬送件数が伸びている中で、何が主な要因かということでございます。こちらに関しましては、特に高齢者の軽症.中等症がこの10年で比べたときでもかなり増加しているということがわかります。

 続きまして、4ページ目、搬送困難事例の御紹介でございます。「救急搬送における医療機関の受入状況」ということでございますけれども、搬送困難事案、医療機関の照会が4回以上、現場滞在時間が30分以上という定義のもとで行っておりますけれども照会回数の割合は減少が見られておりますが、現場滞在時間がまだ延びているような状況でありまして、特に首都圏、近畿圏等の大都市部において、照会回数の多い事案の比率が多いという傾向がございます。これは数年間変わっておりません。

 続きまして、5ページ目、医療機関の整備の状況でございます。26年3月31日時点のものでございます。

 救命救急センターに関しましては、徐々に増加傾向にございまして、平成26年3月31日時点では266ということでございますけれども、入院を要する救急医療施設としての二次救急医療機関でございますが、平成25年が2,904、平成26年が2,836と、若干減少傾向にあるということが見て取れます。

 続きまして、6ページ、二次、三次とは別に、救急車を受け入れる医療機関として告示医療機関というものがございます。告示医療機関に関しましても前年から減少傾向ということが見て取れるということでございます。

 7ページ、これらの多くの問題点に関しまして、行政としましては「救急医療の充実」ということを念頭に置きまして、病院前、患者が発生したとき、そして、後方医療機関の円滑な受け入れができるよう、さまざまな政策に取り組んでおります。

 特に、今年度よりメディカルコントロール協議会に専任の医師を配置する、もしくは一時的であっても必ず受け入れる医療機関の整備という事業を始めております。こういったことで、救急医療の充実を図っているということでございます。

 8ページは、昨年、有賀座長にも座長をしていただきましたけれども、救急医療体制等のあり方に関する検討会というものが平成25年2月~12月まで開かれまして、平成26年2月に報告書が出されております。

 これらの中でも「救急患者搬送.受入体制の機能強化について」「救急医療機関.救急医療体制の充実強化について」「救急患者の搬送等について」「小児救急医療における救急医療機関との連携について」「母体救命に関する救急医療機関との連携について」「精神疾患を有する患者の受入れ、及び対応後の精神科との連携体制の構築について」ということについて議論をいただきまして、これらの報告書でいただいた提案に関しまして、現在、政策実現に向け取り組んでいるところでございます。

 先ほど御紹介しましたメディカルコントロール協議会に医師を配置するということもこちらから派生したものでございます。

 続きまして、9ページ「厚生労働省の災害医療に関する施策」でございます。これまでは災害拠点病院の整備、災害派遣医療チーム、DMAT等の体制整備、災害時情報網、EMISの整備に重点的に取り組んでまいりました。ただ、重点課題の3つだけでは抱え切れない問題が多々起こっております。

10ページ、これまで救急や災害に関する検討会が定期的に開催されていますけれども、検討するべき課題はなお山積しております。特に本年度は平成264月から救急救命処置の範囲が拡大され、救急救命士が心肺停止前のショック状態の傷病者に対して行えるようになったところであるが、議論がなされた「救急救命士の業務のあり方に関する検討会」の報告書では、今後の処置範囲の拡大に関して一貫性のある評価方法を検討する必要があるのではないかという意見がありました。

 また、各地で発生している集中豪雨や御嶽山噴火等の自然災害を踏まえ、災害時のドクターヘリの活用について議論が必要ではないかとの意見が多くありました。

 そこで、今回は現在救急医療、災害医療の現場で活躍している方々から、最近のトピックスや、また、現場で抱えている問題点を抽出し、政策の方向性を探っていければと考えておりまして、活発な御議論をいただければと思っております。

 以上でございます。

 

○有賀座長

 どうもありがとうございました。

 今の御説明で、この研究会の当面の議論すべき対象について御理解いただけたと思います。どなたか御意見ございましょうか。

 どのテーマもそのように言えば全くそのとおりですが、それぞれの問題にはその問題のより上位の、例えばドクターヘリというテーマがあれば、ドクターヘリと一緒に消防防災ヘリはどうなのだろうとか、それら全体を統括する指揮命令がどのようになるのだろうとかあって、上位概念に向かって話をしていけば幾らでも話が出るわけです。ですから、その件を全く知らないで議論するというのもおかしいのですが、とりあえず厚生労働省の、それこそ最後に現場で活躍している若い方々と今、言われましたが、厚生労働省の現場で活躍している若い方々が問題点を指摘したという図式でいきますと、やはり各論には各論なりの意味があると思いますので、そういう観点で少し議論していっていいのではないかと私は思いました。

 私のことを座長に推薦した織田先生はいかがですか。資料1のイメージでも何でも。

 各論も総論も大事で、だけれども、各論もそれなりに議論しないといけないというような...

 

○織田構成員

 そうですね。今、約10枚のスライドを使って説明していただいたところなのですけれども、現場感覚でいきますと、どの1枚に関しても言いたいことが出てくる方が多いのではないかなと思います。

 例えば2ページの、時間で物を言っているというところで、現場到着までは時間で語るのは納得できる。医療機関収容までのところは時間が大事な場合もあれば、時間よりも傷病者に向いているところを正しく選定するということが重要という観点も入ってくるかもしれないというような、これを全部時間で評価をしていいのか。ただ、何かを計算するときにはある程度客観的な指標にしないと仕方がないので、デジタルな評価指標として時間をとっているのかとか、あるいは、その次のスライドに関しては軽症.中等症の高齢者がふえているなどもふだんの臨床感覚そのものだとか、一枚一枚見ていきますと、そのようにちょっとずつ文句ではないのですが、皆さん、お持ちのものがあるかなと思いますので、中ぐらいの大きさの柱ごとに進めていただけましたら、発言もしやすいかなと思います。

 これを一枚一枚やっていきますと、私の今の調子で延々と細かいことばかり言ってしまいそうになるものですから、ある程度まとめながらがいいのかなと思います。

 

○有賀座長

 まとめながらというか、資料そのものについて。

 5ページと6ページを見ていただきますと、6ページについては平成25年までのデータがあって、前年からの増減-40-165とかとずっと並んでいますね。着々とというか、平成22年から23年にかけては横ばいで、そういう意味では5ページの表の23年から24年にかけて横ばいというのはそうなのかなという気がしますけれども、平成24年から25年にかけてちょっと減って、その後平成26年でまた減ってとありますが、ここ辺は厚生労働省はどういうことが起こっていると分析されているのですか。

 一昔前の議論で、告示医療機関が減っているといっても、二次救急医療機関は横ばいですという話があったのです。確かに横ばいだったのでしょうが、ちょっとそこら辺の厚生労働省のデータから見ても、減っているという状況についての分析を現状においてどのように考えているか教えてください。

 

○辻専門官

 二次救急医療機関なのですけれども、昨年の検討会におきましてもほぼ横ばい状態だということではありましたが、現状といたしまして、少し減っているということでございます。

 これには、幾つかありまして、各都道府県から出していただく調査の中身に関しても、少し齟齬があったということもあるのですが、ただ、報道レベルでもあるように、二次救急医療機関の体力というところが、二次救急医療機関をやっていくことで高齢化であったりとか、人員の確保の面とか、そういうことが難しくなっているということも話が上がってきております。様々な原因があり、二次救急医療機関が減少している現状がありますので、今後調査を含め検討を始めていきたいと思っております。

 

○有賀座長

 これは医療施設の数ですから、100床の病院がやめても1件ですし、1,000床の病院がやめても1件は1件ということになりますね。全体の病床数という意味では余り変わらないのですか。そういう分析も多分されているのではないかというか、東京でも閉鎖するところはどちらかというと私的医療機関の中小規模のところが多いという気がしますし、少なくとも診療所そのもの、救急告示の有床診療所がやめてしまって普通のクリニックになっているということがあるので、ベッド数そのものがどうかという話はまた別の話として、きっと厚生労働省は把握しておられるのですね。

 

○辻専門官

 今、具体的な数は持ち合わせてございませんけれども、数はあります。

 

○有賀座長

 わかりました。

 ということで。

 

○織田構成員

 今の話題に関連して一言よろしいでしょうか。

 厚労科研のほうでやっている二次救急医療機関の検討の中で、私が担当させていただいているところで、救急の、まさに厚労省が集めておられる二次医療機関の現況調のデータの解析もあわせてさせていただいているところなのですけれども、前から同じような傾向はあったものの、年間365件救急車をとっていない、すなわち1日1件とっていないという医療機関がまだまだ1,000以上あるというところもございまして、各二次医療圏ごとに深掘りをしていきますと、今まで救急をよく受けている医療機関はそれほど減っていないようだという手応え、今、これの数字は出せないですが、そういう感じで、今まで余りとっていなかったところが少し二次を外れていっているのかなという印象を抱いております。

 以上です。

 

○安田構成員

 この中で横ばいといいますか、少し減っているという数ですけれども、都市部でやめたというものと、地方、特にそこしかとりでがないような二次病院が疲弊してしまって、受け入れないということが今、実際に起きております。我々もどちらかというと地方のほうからいるので、例えば外科の先生がいなくなったので診られないとか、診られないことがずっとつながっていって、最終的には救急をやめたというようなことが起きていますので、この少ないとか、もしくは横ばいとか、微減しているというのは、地方にとってはかなり大きな問題になっているのが救急隊のほうの実情になっています。

 

○有賀座長

 そういう意味では、喫緊のテーマという意味ではそこら辺も少し虫眼鏡でじっと見ながら議論するということは多分必要かもしれませんね。そのことと恐らく関係あるのだと思いますが、3ページに中等症.軽症のお年を召した方がどんどんふえているとあります。このような方たちを若い人たちの本当の急性発症と同じような感じで救急病院が受け続けることになっているかというと、必ずしもそういうわけではなさそうですね。

 今、たまたま外科の話が出ましたけれども、外科の先生が早速面倒を見なくてはいけないというようなことが高齢者の中等症.軽症でどれぐらいあるかという話になると、少し運ばれる患者さんの景色が少しずつ変わっているので、受け手の病院の景色も少しずつアレンジするというか、そのようなことは多分、起こり得るのではないかという気がしますから、そのようなことも含めて議論していく必要があるのかもしれません。

 ただ、これは救急搬送人員というか、それこそ救急車の疲弊の仕方みたいなところがありますので、厚生労働省というよりもむしろ寺谷さんのほうが面倒を見なくてはいけないのかもしれません。

 どうぞ。

 

○田邉構成員

 それに関連してですけれども、確かに医療機関の数だけの問題ではないのだろうな。座長がおっしゃったとおり、病院ごとのベッド数とか、あるいは今まで受けていないところがやめるというのであれば、数が減っていたとしても大きな問題ではない。

 ただ、一方で、数が減ると、これは確実にアクセスが悪くなりますから、そう言ったところは考えていかなければいけないのだろうということ。

 もう一つ、救命センターの数は平成21年から26年にかけてふえている。数の議論ではないと言いつつ、救命センターのほうは数がふえている。一方で、二次救急医療機関のほうは数が減っていると。

 振り返ってみて、3ページの平成15年と平成25年の重症、中等症、軽症は重症を救命センターが診るのだとすると、重症の数としてはそう多くふえているわけではない。小児、成人、高齢者、患者さんとしてふえていないけれども、医療機関の数としてふえている中等症に限って見てみると、高齢者だと47万人ふえているけれども、数としては減っている。このアンバランスはちょっと考えていかなければいけないのではないかと思います。

 

○有賀座長

 最初の資料は現状の部分に触れてしまうと今のようにいろんな議論が花盛りという話になりますので、そういう現状を知っていて、それで本研究会の辻先生たちがお示しになるところのテーマについて少しもんでいくという話でしょう。多分、総論と各論が言ったり来たりするということはこれからも起こり得ます。

 どうぞ。

 

○寺谷専門官

 済みません、オブザーバーから発言させてもらいます。

 有賀座長がおっしゃったとおり、当然、総論、各論、鳥の目、虫の目で議論されていくと理解していますので、我々が思っているあれもこれも全部ここでやってくれという気は毛頭ないのですが、ここにいる先生方は私たちの検討会に出てくださっている先生もいるのですが、いらっしゃらない方もいるので、消防庁でやっていることを簡単に御紹介しますと、今年度も救急業務あり方検討会というものを計4回開催して、報告書を年度末に向かってまとめているところでございます。

 そこでは多く3足す2の柱がありまして、消防と医療の連携という話、我々救急業務自体の高度化、さらに、救急が来るまでの予防とか応急手当の議論をします。それが3つの柱。さらにプラス2として人材育成、緊急度判定体系の普及ということを5つの柱として話したところです。

 我々は実は今まで救急の中でも消防が救急業務をやるべきことというのはかなり焦点を絞ってやっていたところがあるのです。ことしは大きく2つという意味で外に打ち出すものがあると思っていて、1つは医療との連携の中で地域包括ケアについて、救急業務について論じました。地域包括ケア時代の搬送を全部消防を担うのかといえば、そうではなくて、やはり我々は緊急性のあるものを搬送するというのが我々の仕事なのですが、やはり地域包括ケアは無縁だといっていくと、結局いつまでたってもそことのうまい関係性はつくれないだろうということで、一部の消防の方からは、それを全部消防がやるのですかなどという誤解を招くのですが、そうではなくて、あえてちゃんと前に出ていって立ち位置を整理したいと思っているのですということで、こういう議論をしていただいたということです。

 もう一つ、緊急度判定体系というのも非常に重要だと思っていて、結局、もともとおうちにいる人が、不安を持った人が救急車を使う、使わない、病院に行く、行かないというのを、全てそこに横串を刺すような物差しだと思っていますので、これも非常に重要だというところで議論させていただいたところでございます。

 私たちはそのように、私たちの救急業務という狭い面もあるのですが、やはりちゃんと鳥の目もしっかり持って議論したというところをお伝えしたいところです。

 1点だけこの資料について、私が見たときにそうかと思ったのは、全体を見ると、これは救急医療の現状というよりは救急業務と救急移動提供体制の現状なのだろうなという気がしました。もし、救急医療の現状というのであれば、そもそも日本人ではこのぐらいの方が心停止をしています、このぐらいの方が心筋梗塞になっていますという、もっとパブリックヘルス的な視点があったりとか、これも医療機関はあくまで体制なので、もっとそのマネジメントである医療計画のことは書かれるのかなと思ったのですが、恐らくこの後の議論をスペシフィックにやろうという意図でこのような資料組みをされているのだろうと思いつつも、その辺は常に鳥の目も意識してやっていただけたらありがたいという気がします。ここで全部議論しろという意味ではなくて、資料を見たときに、いきなり出動件数から始まるのだなということに少し違和感を覚えたものですから、お伝えしたまでです。

 以上です。

 

○有賀座長

 今、言った鳥の目みたいな話は後から出ますが、議題の3のところにドクターヘリの話がありますが、その資料を見て、資料4がくっついているということになりますので、それはそれで今、言った総論的な話と今回の本件について議論したいという部分との行ったり来たりの関係はこれからもずっとあるということをわかった上でやろうという話でございます。

 では、議題1の初めにみたいなところは置いておいて、2番の「今後の救急救命処置のあり方と運用について」の資料について、よろしくお願いします。

 

○酒井専門官

 酒井から資料の御説明をさせていただきます。「今後の救急救命処置のあり方と運用について」というところで、1枚めくっていただきまして1ページ「課題」を設定させていただいております。

 まずは、今後の救急救命処置の範囲はどうあるべきか、これについてまとめる必要があると考えております。

 また、そのためには厚生労働省として現場でどのように運用されているかを知っておかなければならないと考えておりまして、課題の2つ目、新しい処置が運用される際、現場ではどのような対応が求められているのかということを課題として設定させていただいております。

 続きまして2ページ、こちらは「救急救命士の概要」を御説明させていただいております。枠で囲っているところは救急救命士法第2条第2項に書かれております定義でございます。

 救急救命士はその名称を用いて、医師の指示のもとに重度傷病者が病院または診療所に搬送されるまでの間に救急救命処置を行うことを業とする者と定義されております。

 次、めくっていただきますと3ページ「救急救命士の養成の仕組み」を示したものとなっております。救急救命士法では第34条で救急救命士国家試験の受験資格を定めておりますけれども、1号から5号まであります。

 5号は外国籍の方等を対象としたもので、該当数が少ないですので、こちらで1から4号までを説明しております。

 一番上の青で囲っているところ、第1号は、いわゆる養成学校になります。

 続いて、第4号は救急隊員が一定期間救急業務の経験を積み、6カ月以上の教育を受けるコースで、田邉構成員がいらっしゃる救急救命研修所などで教育がなされております。

 第2号が大学.医療機関の養成所で、1年以上就業した者が1年の課程を受けるコースでありまして、自衛隊の准看護師さんが救急救命士の資格を得るために御活用されているコースになっております。

 一番下の第3号が、いわゆる大学に設置されている救急救命士コースで、本研究会では安田構成員がこちらの大学でお勤めと伺っております。

 続きまして4ページ、この資料は消防機関における救急救命士の運用の状況を示したものでございます。救急救命士の資格は、多くは救急隊員として活動される中で活用されていることがほとんどでありますので、その運用について示したものになります。

 まず、左の表でございますけれども、大きく2列に分かれておりますが、左側が本部数と救急救命士運用本部数について示してあります。

 救急救命士は平成3年に制度が創設され、平成4年から救急救命士が誕生しております。資料は平成14年、つまり、10年たったところから始まっておりますが、こちらの段階で95.8%が救急救命士を運用されているというところでございまして、平成18年から残り1本部以外では救急救命士を運用されているということです。

 また、同じ表の右側は、救急隊員の数を示したものであります。この資料の中で救急救命士運用隊とは、特定行為に必要な資機材を積載する救急自動車に、救急救命士の資格を持つ救急隊員が乗車し、医師からの指示体制を整えている隊ということで定義されております。

 平成26年では、97.4%となっております。こちらの救急救命士運用隊とは、毎日救急車に救急救命士が乗車していることを示しているのではなく、日によっては救急救命士が乗車していない場合も含んでいるということで、救急救命士常時運用隊というものが毎日全ての時間帯で救急救命士を活用しているというものになりますけれども、こちらは本日の資料につけてございませんが、全国では今、86.6%と救急救助の現況には書かれております。

 右側のグラフは救急救命士と救急救命士運用隊について推移を示しております。右肩上がりに上っておりますが、まだ運用隊は100%に至っていないというところでございます。

 次の資料5ページ目、こちらは救急救命処置の定義を示したものになります。線で引いておりますけれども「救急救命士処置」とは「重度傷病者」という対象の制限に、病院または診療所に搬送されるまでの間という場所の制限が加わった、緊急に必要なものと定義されております。

 次の6ページは「救急救命処置の範囲の規定の経緯」を示しております。平成3年に救急救命士法が施行されましたけれども、特定行為等以外の救急救命処置については定められておらず、平成4年にまとめられました救急救命処置検討委員会の報告をもとに救急救命処置の範囲を規定しております。

 この検討会の中では、表で示しておりますけれども、救急隊員の応急処置の基準を医師の指導、助言が必要なものなものと、一般人でも可能なものに整理し、左側の表に移りますが、救急救命士は医師の指導、助言が必要とされる処置に加え、産婦人科領域の処置、小児科領域の処置、精神科領域の処置、これに加えて医師の具体的指示を必要とする特定行為、こちらを合わせたもの、つまり、表の中では青で塗り潰したところが救急救命士としての範囲と規定されております。

 次の7ページに行きます。こちらは「救急救命士の処置範囲見直しの経緯」を示したものであります。左側がそれぞれの処置が施行された日、真ん中に施行された項目、1.2.としまして、1.がきっかけ、2.が検討の場というところを示したものでありまして、冒頭の3つ、除細動、気管チューブ、エピネフリンにつきましては、救急救命士制度創設時からの懸案事項であったことと、平成12年の病院前救護体制のあり方に関する検討会で議論がされたことを受けて、平成14年に行われました救急救命士の業務のあり方に関する検討会で検討され、新たに救急救命処置の範囲として位置づけられたものになります。

 平成21年のエピペンにつきましては、国会で要望があり、厚生労働科学研究で調査を行った上で、救急救命処置に位置づけられたという経緯があります。

 ビデオ挿管用喉頭鏡につきましては、新たな処置という位置づけにはなりませんけれども、新しく出た資機材というところで疑義照会がありまして、こちらは消防庁の救急業務の高度化推進検討会で議論され、新たに処置の1つとして位置づけられております。

 冒頭から説明がありました平成26年4月からは、心停止前の輸液と血糖測定.ブドウ糖溶液の投与等が新たな処置に位置づけられております。こちらの処置につきましては、次のページで詳しく説明させていただいております。

 8ページ目、こちらは平成20年から構造改革特区に対する提案で発案されたものであります。特区の考えの中で救急救命処置については直ちに生命に影響を及ぼすものであり、特区において実験的に事例を蓄積することはなじまないものではないかという議論がなされまして、まず、提案内容につきまして精査を行った検討会を開催しております。

 検討会の中では、省令改正を行って、実証研究を行うことが決められ、実証研究を行った後にその結果を再び救急救命士の業務のあり方等に関する検討会で議論していただきまして、このたび、平成26年から省令改正、通知改正を行いまして、新たに運用していただいているというところになります。

 次の9ページでございますけれども、この資料は現在の「救急救命士による救急救命処置」の範囲を示したものでございます。赤くなっており線を引いているところは今回、検討された上で追加された項目になっております。また、左側にございます「胸骨圧迫」以降につきましても、従来は一般人でも可能な応急手当として位置づけられ、救急救命処置には位置づけられておりませんでしたけれども、救急救命士が実施する場合には反復.継続として業として行うものであること、また、救急救命士国家試験のあり方等に関する検討会でも議論がされたこともあり、昨年4月に同時に救急救命処置として位置づけております。

 次の10ページ、こちらが私たちに与えられた課題というところで、検討会の報告書の抜粋を載せております。線を引いているところで、今後は「一貫性のある評価方法」を検討する必要があるというところと、下のほうでは「救急救命処置の範囲についてどのように構築するか」ということを考えていかなければならないという指摘を受けております。

 次の11ページ、ここからは救急救命処置の範囲について考えていく際にヒントになるのではないかという資料になります。

11ページは、先ほど寺谷専門官から御紹介いただきました消防庁の救急業務のあり方等に関する検討会の第2回資料より抜粋したものであります。この資料は救急救命処置と医療機関への収容所要時間について示したものであり、この調査はスライドの中ほどに「調査内容における注意点」として記載がありますけれども、消防庁が複数の消防本部に対し、収容所要時間の増減要因として考えられるものを聴取し、選択肢と設定したものに対して消防本部が実感をもとに回答しているものであります。

 下の結果を見ますと、上から3つ目の「救急救命士の処置範囲の拡大に伴う、現場での処置時間の増加」というものが収容所要時間の延伸要因として約39%の本部が実感しているという結果になっております。

 次の12ページ、こちらは厚生労働科学研究班が消防庁の協力を得て行ったアンケート結果でございます。昨年7月31日段階での新たな救急救命処置の実施状況を調べたものでございます。結果の全体版は参考資料4として添付させていただいております。

 次の13ページ、結果を御説明させていただきます。こちらは7月31日時点での新しい処置の運用の状況と今後の予定を示したものであります。7月31日に省令通知改正を行ったところ、4月から対応された本部は46ありました。

 本日は、3月末になりまして、グラフの右側になりますけれども、まだこれ以後4月以降に取り組むとされている本部が177、時期は未定だけれども実施していくというところが194、当面の予定はないというところが87本部でした。このように運用改正については地域で差があることを示していると考えております。

 次の14ページは、医師が現場にいないところで医学的処置を救急救命士が行うことに対して、質の保障を行っているという「メディカルコントロール体制の確保」について示したものであります。

 業務内容については次のページで御説明いたしますが、厚生労働省と消防庁の連名で都道府県、地域にメディカルコントロール協議会をつくり、体制整備をするようにお願いするところであり、都道府県協議会では47都道府県、地域では248の協議会が設置されております。

 また、これらの協議会の情報共有を図るために、平成19年から全国メディカルコントロール競技会連絡会を行っております。

 次の15ページで「メディカルコントロール体制」の業務について御説明させていただきます。

 先ほどの資料にありました1.から4.4.は中央に位置づけられており、コア業務とされております。コア業務はPDCAサイクルを回す形となっております。また、これらのコア業務のほかに教育、危機管理、救急医療体制等、救急業務に関連した事項を多く扱っております。

 また、先ほど辻専門官から紹介がありました参考資料1「救急医療体制等のあり方に関する検討会報告書」、5ページ目でも、メディカルコントロール協議会につきまして、「平成21年の消防法の改正により救急搬送.受入れに関する協議会を兼務している地域もあり、救急業務全般について医学的側面から質の向上を図り、地域の救急医療体制を構築するための協議会としての役割が求められるようになってきた」と、メディカルコントロール体制について説明されております。

 次の16ページ、こちらは平成27年度新規事業である「病院前医療体制充実強化事業」について説明したものになります。厚生労働省では、より一層病院前医療体制の充実強化を図るために、このような事業を行うことを考えております。

 まず、上段1つ目は、先ほどの資料で御紹介いたしましたメディカルコントロール協議会連絡会を厚生労働省も予算立てをしてしっかり行っていくというところでございます。

 そして、2つ目ですけれども、2.救命率向上に関する資する検討というところで、1つ目のポツとしまして、救急救命士が行う救急救命処置に関する検討の迅速化を図るため、新たな検討の場を設置すると考えております。こちらは救急救命士の業務のあり方等に関する検討会での指摘事項に対応するものとして考えております。

 本日、皆様からいただけるこの課題に対する御意見を、検討の場の設置、検討の基準等の作成の参考にさせていただきたいと考えておりますので、御議論のほうをよろしくお願いいたします。

 最後の17ページでございますけれども「論点」としまして、冒頭の課題の1つ目に対しては2つ、2つ目の現場の声に対しては4つ、こちらを設定されていただいております。

 以上が資料2について事務局で用意させていただいたものです。ありがとうございます。

 

○有賀座長

 どうもありがとうございました。

 この17ページにある「今後の救急救命処置の範囲はどうあるべきか」とか、「現場ではどのような対応が求められるのか」ということについてのディスカッションをしてくださいということになっているようですが、ここら辺は多分、田邉先生はいろんな場面で最後の論点に関連するようなお仕事をやってきておられますね。

 今の厚生労働省の方からの処置のあり方と運用についてという話なのですが、もう少し具体的に、こんなことをぜひここでという御発言をいただくとありがたい。

 

○田邉構成員

 先ほど酒井専門官から御説明がありました救命士の業務の拡大の見直しの経緯ということで、気管チューブを用いた気管挿管とか、エピネフリンの投与、あるいはエピペンとか、最近の心肺停止前の輸液、血糖測定、ブドウ糖投与、これはどういった過程で新しい処置として加わってきたという御説明がありましたけれども、それについてはどうしても一貫性がない。国会での要望であったり、あるいは疑義照会であったり、特区での提案であったりといったことがきっかけになっているが、それぞればらばらで、一貫性がある形で新しい処置を検討してはどうかといった提案があって、そこに一緒に研究させていただいている愛知医科大学あるいは藤田保健衛生の野口教授が加わっている中で、一貫性のある救急救命処置の追加の基本的な流れがつくれないかというような問題設定があって、それを今年度検討したというのがございますので、それをちょっと御紹介したいと思います。

 参考資料5、縦長の1枚紙です。これは新しい処置を加えるか加えないかを一貫した形で検討できないか、それにはこういったものでどうかといったもので、野口教授のもとでまとめたのですけれども「救急救命処置の追加、除外等の基本的な手順、流れ(案)」です。これは最初、追加のことを考えていたのですが、追加のことを考えている中で、除外を考えると同じ仕組みでできそうだということで、除外というのを加えていますけれども、ここでは新しい処置を追加するときにどうするかという観点から御説明したいと思います。

 大きな流れは新しい処置を救急救命処置として追加してはどうかという提案が、真ん中に書いてあります救急救命処置検討委員会が窓口になって、提案、要望を受け入れて、この委員会の中で提案された処置を評価し、振り分けて、その振り分けを厚生労働省に伝えて、委員会の中で振り分けた内容によって、これはすぐ救命処置として加えたらいい、あるいはもうちょっと検討が必要だ、これは見送ったほうがいいという形で流していく。それが大きな概要、流れになります。

 少し細かく御説明しますと、真ん中に救急救命処置検討委員会(仮称)を常設するのか、そういった形で常に提案を受け入れる、あるいはそれを評価する、方向性を振り分けるといった委員会をどこかにつくって、そこが窓口になる。窓口には基本的には左の上側に書いてある「専門組織」、都道府県メディカルコントロール協議会、あるいは消防本部、海上保安庁、自衛隊、救急医療に関係する医学会から、こんな処置を救急救命士がやってはどうか、あるいは消防本部等で働いている救命士自身が、傷病者を助けるためにはこんな処置が必要だといったことを提案として委員会に上げる。ただ、どうしても供給者側だけのことになると偏るというのもどうかと思いますので、個人あるいは組織、団体、患者団体等を想定して、そういったところもからも新しい処置の要望、提案が上がってくる仕組みにする。

 ただ、どうしてもあれもこれもという形になるといけませんから、一応この前提の一番上の「新しい処置の要望.提案」のところに、予後の改善が必要、あるいは重度傷病者に対して行うもの、病院前にて行うものといった前提事項とか、あるいはこういった新しい処置を加えると救命士の養成課程で必要な教育とか、あるいは処置を行った後の事後検証に対す負担がどうしてもふえてきますから、そういった考慮すべき事項も考えていただいた上で、MC協議会、あるいは個人からこの委員会に提案を上げていただく。この委員会の中では処置を評価して、評価というのは処置にどんな利点があるか、あるいは頻度がどれぐらいなのか、難易度がどれぐらいなのか、侵襲度はどれぐらいなのかを評価して、それに基づいて振り分けます。

 どのように振り分けるかというと、カテゴリー1が「追加することが望ましいと判断される処置」、利点がしっかりあって、頻度もそれなりにあります。一方で難易度とか侵襲度は大したことがない。例えば前回の検討委員会の中であった、血中CO2濃度を簡単なセンサーではかれるよう、ああいったものは侵襲度もほとんどないわけですし、そのまま追加していいのではないかといったことを想定して、カテゴリー1の「追加することが望ましいと判断される処置」。

 カテゴリー2というのは、それなりに利点もある、頻度もある、だけれども、なかなか難易度として難しい。習得するまでに時間がかかる、あるいは費用がかかる。想定するのは気管挿管などですけれども、気管挿管などは病院実習で何でしなくてはいけない。とてもいろんなところと調整したりする必要があるといったものについては、さらなる検討が必要だということで、場合によっては厚生労働科学研究で実証研究を行ったり、あるいは今までのような形で厚生労働省の検討会でさらに広い視点から検討した上で、そこで検討を踏まえて処置に追加する、あるいは見送りにする。そういったことがカテゴリー2。

 カテゴリー3というのは、頻度が少ないし、あるいは利点もないし、難易度が余りにも高過ぎるといったようなものは追加することが不適切だ。こんな振り分けをするのが仮称の救急救命処置検討委員会、こんなものをつくっておけば、常時新しい処置の案があれば、それを検討できるといった形で大きな流れとして考えてみたというものがこの資料の説明になります。

 

○有賀座長

 そうすると、田邉先生、今回の17ページに「論点」があるではないですか。「今後の救急救命処置の範囲はどうあるべきか」とか、どのような対応が求められるのかという、この論点から見ると、先生の参考資料5はどういう関係で論点というか、ここで議論しなくてはいけない部分、議論に対する一定の、途中の結果と言っていいのかもしれませんが、参考資料5が全部の結果というわけではもちろんないのでしょうが、この場においては参考資料5を利用してどのような議論にしていくべきなのでしょうか。

 検討することに関して迅速に検討していかなければいけないという話や、検討というか処置範囲についてのディスカッションについては、一定の標準化された方法論を持たないといけないという話になるのだと思うのですが、この場においては何を議論しろと理解すればいいのでしょうか。

 

○田邉委員

 この「論点」の上の部分「今後の救急救命処置の範囲はどうあるべきか」といったところから、今後の範囲はといったところで、この論点は設定されていますけれども、私たちがつくった資料は救命処置はどうあるべきかといったところから入ったのではなくて、今までの処置の拡大の流れを整理する方向ではどうかという意味でつくったものなのです。ですから、ここの論点にすぐ答えられるものではないのですが、救急救命処置検討委員会(仮称)の中で、新しい処置を加える、加えないといった議論の中で、救急救命処置の範囲というのはおのずから決まってくるのだろう。そういった形でしか決められないのかなと思います。

 

○有賀座長

 きょうのこの議論に資するかどうかわからないのですけれども、東京消防庁の中で正式に議論した話ではないのだけれども、ブドウ糖溶液の投与の件と、乳酸化リンゲルの輸液の件を議論するときに、特に後者については東京消防庁の現場の人たちは災害のときに役に立つのではないかということをアプリオリにおっしゃったのです。

 私は災害のときに役に立つという話はそれはそれでいいだろう、だけれども、災害が毎日毎日あるわけではない。交通災害も災害だといえば毎日あるのでしょうが、むしろそれより地域に高齢者がふえてきて、特に夏などは熱中症でぐったりするというような局面において役に立つ、つまり、在宅の場面に役に立つことが多いのではないかという議論をしたことがあるのです。現に、去年の夏ごろの状況は クラッシュ. シンドロームみたいなものにも輸液をしているのですけれども、お年を召した人の熱中症っぽいものだとか、下痢だとか、そのようなものに輸液をしているのです。

 ですから、救命処置の範囲はどうあるべきかという話は、どうあるべきかも何も救急救命士がどのような局面で今後、地域社会で役に立つのかという話から出発するのかなと思いながら、具体的な処置を提案するという腹積もりがあるのかなということも少し思いながら、この議題はある意味単純なように見えて実は難しいのではないかという気がすごくするのです。

 厚生労働省の方はコメントはありますか。何をしたらいいのですかという、真正面の直球が今、腰よりちょっと高目に来たので、ホームランを打てるかもしれないのでお答えいただきたいのですが。

 

○酒井専門官

 事務局でございます。

 何がしたいか、新たなものをすぐ加えたいという腹積もりがあるわけでは全くなく、まさしく資料でも出させていただきましたように、救急救命士の業務のあり方等に関する検討会で今後、処置範囲のことを考えるのであれば、一貫性を持った基準をもっておきなさいと御指摘を受けたことを踏まえて、道筋を立てていくというところが必要ではないかと考えているところです。

 具体的に、確かにいろいろな提案というのが私どものところに届くことはあるのですが、それについてこのスキームに乗せようというのではなくて、まずは一貫性のところを、検討会報告書に応えていかなければならないと考えているところであります。

 

○有賀座長

 ということで、では、私を座長にした先生。

 

○織田構成員

 仕組みといいますか、標準的な議論の仕方というか、そこに今回、注目されて、そこを主に出されたというところですね。

 

○酒井専門官

 そうです。今後、検討していくのであれば、課題を設定させていただきました「どうあるべきか」というところをスキームの中に、恐らく私の考えでは田邉先生の資料では上のほうに書いていただきました前提事項、考慮すべき事項というところと、評価、処置の利点、頻度、難易度、このようなところが一貫性のというところの基準になっていくのではないかと考えております。

 

○織田構成員

 ありがとうございます。

 何かこの処置はどうかという提案があった場合の、後の標準的な流れというのを提案するものであると思うのですが、これから処置拡大としてどうかという提案のところに関して、みんなちょっと気になるところだと思うのですが、それをどのような考え方で上げていくか。

 一般からの御意見を随時募集していますというオープンな感じなのか、あるいは、何か大きな数字を見てみて、ここの部分がちょっと弱いかもしれないので処置拡大を考えていくとなっていくのか。

 あるいは、もう一つ、余りふだん行われていないような方法だと私は思うのですが、実際、医師とそこに運んできた救急隊の間では小さい振りかえりみたいな、フィードバックといいますか、よく消防の方が機嫌の悪い医師に怒られたりとかというような理不尽な場面も多く見られるみたいなのですが、そこで何がしかのフィードバックであったりアドバイスであったりが行われていまして、そういうところのものを積み上げていって、こういうことが必要だというのが出てきて、それを処置拡大とか質の向上につなげていくという仕組みなどもいいのかなということを、ふだん考えているわけなのですけれども、いずれにせよ、こういう新しい処置はどうかなということを集めたり提案したりというところについては何かお考えはあったりするのでしょうか。

 

○酒井専門官

 ありがとうございます。

 集めたりというところではなく、もし、提案するのでしたら、こういう条件があるということを検討しなくてはならない私たちとしては、あらかじめ示しておくというところはいろんな御意見に対して、制限をかけるという言葉はおかしいですけれども、ある程度基本指針を示しておかないといけないと考えているところであります。

 

○西嶋室長

 補足ですけれども、個別の具体的な業務というよりは、患者さんを救命しようというのが救急救命士さんにしろドクターにしろ、共通の理解だと思いますが、その手段として病院に搬送するまでの間、少々時間がかかってでも救急救命士が処置をした上でドクターに引き継ぐ方が、その患者さんの救命率向上に資するものになるのか、あるいは、そういうのはさておきいち早く運んだ方がいいのかということについて、まさに救急救命士の立場と患者の立場と、立場によって若干違うような気がします。そのあたりについてさまざまな立場の先生方が今日、来ていらっしゃるので、ぜひ全体的な御議論をいただけるといいかなと思います。

 そういった前提が、フィロソフィーがあって、その上で具体的なスキームをどうしよう、あるいは具体的な業務を拡大しようということを議論するのかなと思っています。

 

○梶野構成員

 大阪医療センターの梶野でございます。

 新しい処置に関しましては、基本的に医学的に有効性が認められているものであれば、救命士さんにもやっていただきたいというのが自分の考えであります。

 新しい処置等に関しても、どんどん要望が上がってくる可能性があると思います。ただ、単にこれを入れてほしいというのを受け取ると物すごい数になりますので、ある程度先行文献とかそういうものをきっちり調べていただいて、資料にまとめていただいた形で御提案いただく。今、問題になっているのは御提案をさせてもらう場所が多分、厚生労働省の窓口しかないので、そこで検討してほしいと言っていても、やはり検討会にかけてとか、臨床研究してというは話になると思いますので、そういう意味ではこういう救急救命処置検討委員会のような第三者機関をつくっていただければそこに上げやすくなるのかなというのがあります。

 あとは、1つ時間的要素ということがこちらの資料にも書いてございますけれども、確かにここの部分は重要で、処置を現場でやろうと思うと時間がかかるというのがありますけれども、かかり過ぎるのは問題ですが、ある程度の時間がかかるということは容認していかないといけないと思うので、そこは時間対効果、費用対効果を考えていく必要があると思います。

 そういう意味では、まずは予後の改善に資する、それが重症の傷病者に対して必要、病院での実施が必要というものをやっていって、その後にできれば教育の増大とかお金の問題を考えていただきたいと思います。そこがまず考えてと言われると、どうしても新しい提案というものはしにくいと思いますので、まずは医学的見地に立って提案ができるところがあればいいなと個人的には思います。

 以上です。

 

○菩提寺構成員

 現場の救急をやっている者からの意見を言わせていただけると、この論点の中では教育と時間という2つの大きなものがあるのかなと思うのです。

 教育に関しましては、基本的に処置をするしないは別として、全ての救急救命士が知識としてはあったほうがいいのだろうと思っています。気管挿管が始まったときに、事故が起こった例に関しますと、その隊の中で1人しか気管挿管をできる人間がいなくて、それが正しいのか正しくないのかもわからないので、周りがその処置を止めることができなかったということも考えると、知識は皆あったほうがいい。その中でできる人間は選別されていくのだろうと思いますけれども、そういう教育はされるべきだと思いますし、今までは確かに処置をやるという教育をしてきましたが、やらないという教育も必要なのだろうと思います。こういう場合はやらないという判断をする教育もしていかないと、ただ単に現場で全て処置をしようとして時間を延ばすようなことになるのだろうと思います。

 そこも含めまして、現場で処置が増えることは、先ほども先生方も言われていましたが、現場でやる処置と、現場ではなくて病院に行く途中でやる処置があっていいのだろう。だから、病院に早くいかなければならない処置と、現場でしっかりやってから病院に行く処置があるのだろうと思っています。

 ちなみにですけれども、札幌の私どもの時間しかありませんが現場到着して、病院が決まって救急車が動き出すまで、要するに現場で活動している時間なのですが、札幌の全出動、途中引き上げとか不搬送の事例は除きますが、約8万8,000件の現場滞在時間は1754秒です。それに対してショックの輸液を実施した、もしくは実施しようとしたものに対しての現場滞在時間は1526秒で、全出動よりも短いのです。そのかわり、ブドウ糖溶液投与に関しては2645秒と長いのです。ショックに関しては、基本的に救命センターなどの三次病院ですから決まるのが早かったり、動き出しが早かったりするのですが、ブドウ糖溶液投与になると、かかりつけに確認をしたり、そのほか夜間帯だといろんな病院に聞いたりすることがあるので、時間がかかったりしますけれども、現場でやる処置と走りながら救急車内でやる処置、特にそういうことを考えて教育をしていく必要があるのではないかと思っています。

 

○寺谷専門官

 菩提寺課長から、消防の現場に近い意見をいただいたので、私も消防の立場からお話しますので、もし補足があればお願いします。

 まず、鳥の目的な意味でいうと、多分、これを議論してくれというよりは話題ということで知っておいてほしいのが、1つ我々は特に心停止でない方に処置をすることになっています。ですから、より説明責任を求められたり、トラブルのケースがふえていると聞いています。そうなってくると、DNARとかも入ってくるのですけれども、いわゆるPOLSTの議論であるとか、アゲンスト.メディカル.アドバイスの議論、事故調の話も出てきています。実はその辺の周辺環境を整えてあげることも非常に重要ですから、それは課題として考えているということ。

 もう少し違う観点から、公衆衛生的に考えると、例えば低血糖の方に関して処置を消防がしっかりやってくれるのはいいのですけれども、例えばあるクリニックが常に低血糖の方がよく発作を起こしてしまっているのは、そのクリニックに対してその情報をフィードバックして、地域全体をそもそも低血糖発作を起こさないようにするという施策は、実は鳥の目からいうと一番重要な気がしているので、別にこの場で議論しろというわけではないですけれども、1つ論点として知ってほしいと思います。

 ここの話でいいますと、私がこれを聞いていて思うのは、結局はいい面、悪い面があるけれども、もし、その処置をやって本人のためにどうしてもならないような処置はそもそもやるべきではないのですが、本人にとってはいいことだけれども、時間がかかることによって、ほかの人が困る。要は公共性の議論がどう入ってくるかということがあるのだと思います。

 ただ、結局それは消防本部によってどのぐらいの時間、負荷をかけるかというのは多少あるでしょうからという観点もあるし、もっと言うと、救急救命処置は別に消防の救命士だけではないはずですから、時間がかかるからやらないほうがいいというのは消防には当てはまるかもしれませんが、ほかには当てはまらないのかもしれません。

 さらに、先ほど有賀座長もおっしゃったように、危機管理的な観点、平時とは違う状態での有効性のあるなしもあると思いますから、そういうことは少し考えていただいたらいいかなと思いますが、医療機関に到着する負の側面というのも幾つか切り口があるということはお伝えしたいと思います。

 

○有賀座長

 どうぞ。

 

○安田構成員

 論点というよりも、そもそも今回、この構成員になったときにいろいろと今後の救急救命処置範囲の拡大というざくっとした意見をまとめたものを追加した配付資料がございますので、ただ単に箇条書きにしておりますので、補足しながら説明していきたいと思います。

 消防本部、これは主に近畿と中国地方と考えていただければいいですけれども、非公式にざっくばらんにいろんな話を聞かせいただきました。ほとんどのところというか、全てが今後の処置の範囲が拡大することについて、消極的という言い方です。全く否定はしていない。住民とか国民にとって明らかに有益であるのであればやるべきであろうけれども、少しずつふえていくということに関しては、以下の理由があって消極的であるということです。

 まず1つ、現段階では、参考4と重複しますけれども、行うという前提でいろんな問題を今、精査しているところが結構多いというところです。中にはよその実情も踏まえながら、状況を見てからスタートするというような意見もありました。

 また、やろうと思っても教育がなかなか進められない。その大きな理由というのは近年、大量退職に伴い、教育に派遣する人員や予算確保ができていない。消防本部内もしかり、議会に出すというところの予算の説明が不十分であるという意見がありました。

 県MC全体でまとまった意見調整ができていないというか、できないというのは中央部の大きな救命センターがあるところだと比較的物事はまとまるのだけれども、本来必要とされるような郡部のところだと、MCをまとめる先生すらいない。県全体でという話になると、なかなか足並みがそろわないのでできないということがあります。

 ただ、要望というのはこれらの処置範囲をする前にもっともっとやってほしいことがあるということがあったので、ざくっと書いております。まずMC協議会というもの自体が今、どういう位置づけにあるのか。色々なことが取り組まれているが、法的な位置づけが明確なのかという意見がありました。法的位置づけをきちっとしてほしいということです。

 次に、救急救命士の責任として、現場で仮に失敗した場合、トラブルがあった場合に、誰がどのように責任をとらなければいけないか。例えば一昨年報道されましたが、大津市の消防本部で気管挿管時に誤挿管したということで、消防本部が当該事案に対応をした3人の救命士を3カ月間業務停止にしたということがあった。これは医療行為を一生懸命やる救命士が救急活動基準を遵守しなかったということで処分を受けたわけですが、そういうことが実際にあると、救命士が特定行為等をできないという意見もあります。

 先ほど、消防以外の救命士ということがありましたが、最近、いろんなところで、マラソン大会でメディカルコントロール体制下とか、ボランティア団体でメディカルコントロール体制下、メディカルディレクターによるMC体制下で、救命士を集めていろんなボランティア、特に被災地などもあるようです。それはそれとして非常にいいことなので、組織としても派遣をしてあげたいのだけれども、MCそのものは何が基準でMCというのか、しっかり消防機関などをやっているところにとってみると不明確であるという意見がありました。この度の処置拡大の追補版の記載も若干そういう記載にもなっていたので、そこら辺も、できるものならきちっと明確にしてほしい。グレーゾーンでいくならグレーゾーンでいいのだけれども、できればボランティア活動も堂々と行かせてあげたいので、MC体制について明確にしてほしいという意見がありました。

 予算関係は、どこにも出ていると思いますけれども、診療報酬の関係で、消耗品に関して、特定治療材料費というのがあるようですが、そういったものにうまく組み込んで、使ったものを病院からもらえないかという意見もありました。というのは、一回買っても期限切れになると大量廃棄をしなくてはいけないとか、年度末予算がなくなってくると使いたくても使えないとか、そのような問題が起きているところもあるようです。ですから、そういったコストの問題についても何らかの保障ができないかという意見がありました。

 さらに、指示件数の増大による医師の負担というものがあります。ある地域で試算したところ、指示件数が今の2行為だけで倍増する。2行為で指示が倍増するということは、検証件数もその倍になってくる。その中で、これ以上検証や指示を行う側の医師もかなりの負担を強いられるので、今後の拡大については医師の負担も考えた中でやっていかなければいけないだろうという意見もありました。

 先ほどから出ています現場滞在時間の懸念というのは、しっかり広報していかなければいけないのですけれども、逆に広報するときに、救急救命士はこんなことができますからと理解を求めても、今、実際、救命士のカテゴリーが多過ぎる。ただの救命士というと言い方が悪いですけれども、救命士があって、気管挿管ができて、薬剤だけとか、気管挿管、薬剤、ここにまた2行為が加わるというような、救命士1、2、3、4みたいなカテゴリーになっているので、住民になかなか伝えづらいと。受け入れ側の医師側もそれを言ってもらわないと指示も出せないという問題も起きているということがありました。

 最後に、ほとんどのところから出たのは、DNARの問題で、DNARの搬送というのがかなり多くなっており、病院間でのトラブルとか患者間でのトラブルが結構起きているということです。今後、救急業務の実施基準見直しとか、病院の中では終末期ガイドラインというものが3学会で提案されていますけれども、今後の救急業務の中でもDNARの取り扱いをできれば明確にしていただければという意見がありました。

 論点とはちょっと違いますけれども、2行為に関して処置範囲の拡大についてヒアリングした結果を補足して説明させていただきました。

 

○有賀座長

 どうもありがとうございます。

 結局、先ほど冒頭で田邉先生が手順を加えるという話も、除外という話もおっしゃいましたけれども、そういうことの周辺に関係する、多分、MCの位置づけの法的なものというのは寺谷先生あたりが少し説明していただいていいと思うのですが、責任の所在というあたりになると、非常にナイーブなテーマですね。病院で誤挿管をしたからといってその麻酔科の医者に3カ月やめておけみたいな話になるとえらい騒ぎになりますから、そういう意味では結構周辺にこそ難しい問題がどうもありそうだという話にもなります。

 マラソンの話は、ある日あるときのマラソンですけれども、実はスカイツリーの上に1人、下のソラマチのところに2人の救急救命士がいますね。ALSOKが雇っているみたいですけれども、そこにはスカイツリーが開業しているときは朝から晩までずっといるわけですね。誰が面倒を見るかというと、国士舘の先生が一応面倒を見ていることになっている。そのような仕組みこそ、もし社会的な広がりを見せれば、恐らく野球場だとかサッカー場だとか、マラソンとかではなくて、救命士の働く場所が多分できてくるだろうと。そうすると、それについてのMCをどのような形で確保していくのかという話ですね。

 むしろ、救急救命処置の追加または除外の標準的なあり方を考えるということも大事なのでしょうが、救急救命士の仕事ぶりをどのように見ていくのかという話は、先ほど私はたまたまお年寄りがふえてくる在宅の話をしましたが、海上保安庁や自衛隊の救命士さんと、我々の町で一緒に仕事をしている救急救命士さんは全然違いますね。

 例えばある日あるとき外傷によって腹腔内出血が起こったときに、たしか発泡スチロールみたいなものを腹腔内に入れて、膨らんで、とりあえずしばしの止血が確保できる。それで病院に連れて行ってちゃんと止血するという話は、アメリカの兵隊さんなどであるみたいですが、そのようなことは恐らく海上保安庁とか自衛隊みたいに、ある日あるとき鉄砲の弾が飛んでくるかもしれないみたいな救命士さんたちの仕事場にはあるかもしれない。しかし、それと、我々の仕事場とは違いますので、そのようなことも考えておかねばならないということになるのではないかと思います。

 そこら辺の、この論点は大事な論点ではあるのですが、周辺の状況を少し考えると、もうちょっと議論が大きくなるのではないかという気がしますけれども、いかがですか。

 

○町田構成員

 町田でございます。

 私は今、ドクターへりやカーなどで結構現場に出させてもらっています。救命士さんとすごく接触する機会が多いのですが、処置拡大は大賛成でどんどんやってほしい中で、そこまで実際現場でやっている救命士さんが全員が全員処置拡大を求めているわけではないかなという雰囲気も正直感じます。

 だから、一部の人で処置拡大の話がどんどん進んでいっても、本当に現場がついていけているのかなというのは、私は一番疑問に思っていて、例えば何かにつけて早期搬送を優先にしましたという言葉はよく聞かれることがあります。なので、こちらからMCでこういう処置をしてくださいと言っても、「もうドクターカーとかドクターヘリの接触まで3分くらいですから」など往々にして時間が前提になっていたり、余りそこまでやりたくないという方ももちろんいます。

 ただ、私はその判断も別に間違っていないとは思うので、処置拡大について範囲をどうあるべきかという場合に、まず、現状が本当にきちんとできているのかという評価が必要であるとかんじています。あとは実際には、処置を指示しても失敗率の高さは相変わらず変わらないかなという印象です。ほとんどうっ血確認できずとか、失敗という検証表ばかり私は見ています。ただ、残念ながら、うちのMCに関してもCPA以外の症例は全然検証はしていないので、検証自体もしっかりできていないということで、もしかしたら今、ここまで処置拡大が広がってきているところでいま一度、現状をしっかり調査しなくてはいけないのかなというのが私の考えです。具体的な案は全然思い浮かんでいないのですが。

 ただ、現場の救急隊の、早くドクターが来てくれるのだったらそちらに任せたほうがいいという気持ちもわからなくもないですし、いずれにしても、やる主義は医療行為であって、ちゃんとした評価を持ってやってもらいたい割には、プロトコルにのっとったということが前面に出てしまっているので、ちゃんとした評価ができているのか、手技の腕をちゃんと持っているかというところはまだまだ教育不足なのかなというところはあると思います。そこら辺の体制をきちっと、教育、評価をきちんとした上で次に進まなければいけないのかなという段階に来ているのではないかというのは、今、物すごく痛感しています。

 ざっくばらんでいいと座長が言ってくれたので超個人的な意見ですが、静脈の確保は全部行ってもよいも逆にありだと思うのです。ドクターヘリとかドクターカーで行っても、別に軽症で行っても、とりあえず点滴をとるのです。でも、とったことで別に害はないから、変な話、とりあえず点滴はとっていいよとやってしまえば救命士も悩むこともないし、もちろん、コストの問題とか考えると、もっともっと解決しなくてはいけない問題がありますけれども、逆に細かいことを考え過ぎて時間が延びるのだったら、そんなに害のない行為だったらやってしまってもいいぐらいでもいいという発想もありかなというのが、私が現場で感じた意見です。

 以上です。

 

○有賀座長

15ページにあるMC体制の本来業務を、今、ある処置についてもこれがそれなりの全国的なひろがりを持ってきちんとできるようにしなくてはいけないということがまずは前提という話から出発ですね。

 今、言った参考資料5はそれはそれとして恐らく標準的な流れという意味では意味があるのでしょうが、このことを出発して、MCの大事な部分を詰めて、つまり、外堀を埋めてから天守閣へ行けということなのかもしれませんね。

 あと何か御意見ございますか。もう一つのテーマもありましで、きょうは第1回目ですから、1回と書いていませんが、2回目以降もあるらしいので、せっかくなので次の災害時のドクターヘリの話も少ししてしまってもいいのではないかという気がします。

 水野先生、何かありますか。

 

○水野構成員

 今の処置拡大について、養成課程に教育内容を含めるべきかという点については、やはりこの場でお話があったように、そもそも救急救命士みながそれを知っておくべきなのかどうかにと返っていくと思うので。先ほど菩提寺さんが札幌市で処置拡大、ショックに対しての輸液の時間、現場にいる時間は長くないというお話をされていました。私の施設では札幌の周り、道央圏の事後検証をやっていまして、指示電話を受けていますと、搬送時間の遅延が起こっている可能性があるのではないかと感じています。

 というのは、今回の処置拡大では、特定行為を実施するかどうかの判断を救命士に求められる輸液というものが、ある意味新しいものがでてきたと考えます。現場での家族から情報収集し、また処置の実施においても時間を要する要素があるのではないかと感じています。

 そういった意味では、追加認定を持ったものだけではなくて、救命士全体がその処置をわかっておくということが重要なのかなと思っていますので、養成課程に含めるということは十分ありなのではないかと感じていますし、それについて時間が延びているかどうかはしっかり検証しなければいけないとい感じています。

○有賀座長 米国のパラメディックがこんなことをやっているから、こんなこともあんなこともという話は多分、元気な人たちは十分あるわけですね。だけれども、私たちのこの国の現状においてどうだという話にしていかないといけないわけですから、そういう意味では比較的丁寧なというか、丁寧なというとお休みするのかみたいな話がありますが、お休みするわけではなくて、着実にその議論をしていかなければいけないだろうということなのだと思います。

 

○梶野構成員

 もう一個いいですか。

 安田先生の要望のところに関係した内容になるのですけれども、まず、民間MC協議会の位置づけに関しては、現法体系から考えると、都道府県MCにいずれか属しているというか、ひもづけされているのが一番理想的ではないかというのがあります。

 実例といたしましては、石川県が、どうも市民がCPAの患者さんに早急に対応するために、ラピッドレスポンスチームみたいなものをボランティアでつくっている。そこで一番問題になるのは、一般市民の方がボランティアといえども、それを反復.継続してやると、問題になるのではないかというところ、あとは医療の質がどうなるかという問題点に関して、そこは県のMC協議会がちゃんと認めてやっています、理解した上でやっていますということを言われていまして、それはかなり大きな意味があるのではないか。

 医療機関であれば、そこでメディカルコントロール体制はできていますけれども、民間のMC協議会と言われても、質をどこが担保するのですかとなったときに、病院であれば医療監視等が入りますけれども、民間MCであればそういうものは入りませんので、そこのところを担保するとすれば、県のMCか、都道府県のMCかというのが1つあります。

 もう一点、全然話が変わるのですが、救命士さんの有効活用というところで、ちょっとこれはうがった考え方なのかもしれないのですけれども、自衛隊の方にお聞きすると、どうも准看護師さんの免状を取られてから救命士課程に1年行かれて、救命士を取られるというルートがあるという話を聞いております。

 ということは、逆に考えると、救命士の方もそれなりのカリキュラムをプラスすれば、看護士さんとか准看護師さんになれるようなシステムができれば、病院で働きたい方はそちらを取れるし、現場で働きたい方は救命士さんの資格でできるしというので、ダブルにできるのではないかということも今後は考えていただければと個人的には思います。

 以上です。

 

○安田構成員

 簡単に。

 別に民間のMCを否定するわけでもなく、むしろ卒業生をそういうところに送り込みたいので、できれば何らかのいい落としどころといいますか、活用出る方策も今後、検討すべきということで、これは私の意見もそうですし、多くの消防の方々も同じような意見をおっしゃっていましたので、補足させていただきます。

 

○有賀座長

 先ほどのスカイツリーでいうと、地域医療という観点でいえば、民間はどうのこうのというのも、例えば国士舘大学による方法論も、あっていいのかもしれませんが、あの地域のということでいくと、台東区が東京都のMCの下でどのようなスキームを組むのかという形である程度やっていかないと、クオリティーを保つという点で言うと急に民間がぽんぽんとできるという時代ではまずはなさそうだという気はします。そこら辺はどうか、厚生労働省のほうも、誰が考えるかといったら厚生労働省が考えなくていけないというものではないかなという気もします。救急隊のMCについては東京消防庁は頑張っていますが、スカイツリーになるとからっきし興味がないように思われますし。

 あそこにいてくれると、救急隊の呼ばれる回数が減るから楽だという程度には興味があるのですが、それ以上にそこの救命士の教育がどうなっているかなどという話については余りかかわりたくないのかもしれません。省庁でいえば厚生労働省が医療をかすっているという観点では気にしていただきたいという気がします。

 今、出たいろんな周辺の問題については引き続き考えていかなければいけないと思います。特に処置の範囲を拡大するスキームについての議論があったときに、失敗してしまった人を罰するみたいな話がどうやらあるという話は、本末転倒もいいところなので、今回の事故調の議論もそこら辺で結構紛糾したということもありますが、とにかくよろしくお願いしたいと思います。

 では、私の不手際で少し後ろに来てしまいましたが、13時までやると昼飯を出せという話になりますので、それは勘弁ということだと思います。

 次の 「災害時のドクターヘリ参集方法について」のところを少し御説明ください。

 

○葛西専門官

 葛西でございます。

 「災害時のドクターヘリ参集方法について」、資料3をごらんください。

 現在、ドクターヘリは36道府県で44機が運航しておりますが、平時の救急医療での活躍は当然のことながら、災害時の運行に関してもさらなる活躍が期待されているところでございます。

 資料1ページですが、災害時のドクターヘリの活動に関して大きな注目を受けましたのが、東日本大震災になります。東日本大震災ではドクターヘリは計16機出動しまして、140名以上の患者搬送を行っております。しかし、ドクターヘリの災害時の運航について問題点も浮かび上がったというのが現状でございます。

 2ページは、航空法の第79条から第81条の抜粋となっております。これに関しましては「離発着の場所」「飛行の禁止区域」「最低安全高度」「捜索又は救助のための特例」が記載されております。

 第81条第2号でございますが、前の3条、79条から81条の適用外に関しての記載をされております。

 では、東日本大震災におけるドクターヘリと航空法の関係についてです。3ページとなります。航空法では先ほどお示ししました3つの規制がございますが、特例規定として、国土交通省令で定める航空機であれば捜索や救助のために行う運航に関しては飛行ができるということになっております。この国土交通省令で定める航空機として、当時ドクターヘリは航空法の施行規則176条第2号に該当しておりまして、矢印で書かれた下になりますが、国土交通省や消防機関からの依頼や通報があって、初めて出動することになっておりました。

 東日本大震災のドクターヘリの運航については、第2号に該当していないのではないかという疑義が生じたこともありまして、出動要請に関しての解釈が行われております。

 4ページには、そのときのドクターヘリの運航に関しての解釈についての回答の全文を載せていただいておりますが、もう一度3ページに戻っていただいて右側の図「東日本大震災でのドクターヘリの出動要請」に関しましては、この図のとおり、緊急災害対策本部が設置されまして、全ての国務大臣がその本部長、副本部長、または本部員になったことになりますので、この本部の依頼または通報によって捜索と救助を行う航空として該当するということで、176条第2号の規定にて運航をしていただいたということになっております。

 それでは、5ページになりますが、そこで、航空法施行規則の一部を改正しましょうという動きが始まりまして、このように176条に3号が加わっております。この改正に伴いまして厚生労働省からも通知を発出し、同時に災害時のドクターヘリ運航に関しての運航要領の策定をお願いしているところでございます。

 6ページに記載しておりますけれども、平成25年に災害時のドクターヘリの運航に関しまして災害時の運航要領策定を各都道府県にお願いしているところでございますが、平成2610月1日の時点では25機に運航要領に災害時の対応の記載があるという状況でございます。

 7ページからですが、通知に記載させていただいております要領の案を記載させていただいております。これはあくまで要領の案でございますので、各地域に合ったものにモディファイしていただいて、運航要領を策定していただきたいということを求めております。

 7ページ、8ページに関しては運航の手続になります。

 9ページに関しては「災害時の指揮」をどのように行っていただきたいか。

10ページに関しては「災害時の任務」「搭乗する医師及び看護師」「費用等」などの指針を示させていただいております。

 このように災害時のドクターヘリの運航要領策定をお願いしていたところでございますが、昨年度局地災害が多く起こっております。その1つとして豪雨によって広島県で土砂災害が起きましたが、11ページに他県ドクターヘリ運用に関しまして示させていただきました。

 ドクターヘリの活動に関してのみピックアップして時系列を書かせていただいております。

1045分にはDMAT活動拠点本部から、ドクターヘリの支援要請が入りまして、1132分には島根県ドクターヘリ支援出動が決まったということを記載させていただいております。時間経過から見るとスムーズに他県へのドクターヘリ要請が行われたように見えますが、実際には具体的な連絡体制がこのときは定まっていなかったということが判明しております。

 通知には、災害時の運航の手続については既に規定されておりますが、どこからどのように連絡をとるかという具体的な手順に関しては明確ではないということが判明しております。

 広域災害や、さらに甚大な被害を及ぼすような局地災害の場合では情報が混乱する可能性がありまして、参集体制の整備が必要ではないかという御意見もいただいております。そのため、災害時のドクターヘリの運用について、現況調査が必要とのことで、以降にアンケート結果を載せていただいております。

12ページに関しては「局地災害におけるドクターヘリ参集のイメージ(案)」ということで、航空医療学会で平成25年に示されました資料をもとに、イメージ(案)を作成しております。

 それでは、13ページ、平成27113日現在の「災害時のドクターヘリ活用法に関してのアンケート結果」になっております。都道府県へのアンケートと、43の基地病院に対して、5問ずつアンケートをとらせていただいております。

 御説明させていただきますが、まず14ページ、都道府県のアンケート結果として「災害時のドクターヘリ出動に関して運航要綱はありますか」という質問に対して、都道府県の回答としては半数、50%でした。

 次の2つ目の質問が「災害時にドクターヘリ基地病院もしくは都道府県間での相互協力.共同運航や、ドクターヘリを補完する形での消防.防災ヘリ、民間病院ヘリ等の活用の仕組みはありますか」ということで「はい」の回答は64%になっております。

15ページ、2番の質問の具体的な内容になります。右側に記載してありますが「はい」答えた23道府県ですが「ドクターヘリ基地病院間での協定がある」とお答えされたのが2県。「都道府県間での協定がある」が14県。「消防、防災ヘリ等の活用、協力体制がある」が16県。その他が7県とありまして、下に詳細を書かせていただいております。

16ページ「広域災害時におけるドクターヘリ運用に関して指針等は必要と考えますか」ということで、これはやはり必要ですと答えられたのが100%となっておりました。

 5番に関しては、先ほど御説明させていただいた通知の中に、災害時のドクターヘリの第1陣は被災都道府県からおおむね300キロ圏内での活動を想定してくださいということをお伝えしてあるのですが、それの意識調査ということで調べさせていただいております。都道府県の答えとしては58%がそれでよいだろうという答えになっております。

17ページからは「基地病院アンケート結果」になっております。北海道では3機など、ドクターヘリを複数木所有する道府県があるということで、多少の数字のずれがありますが、1から4に関しては都道府県のアンケートとほぼ同じ結果となっております。ただ、意識に関しまして、19ページ、300キロルールというものに関しては、基地病院の先生方は84%がそれでいいだろうというお答えになっております。

 災害時のドクターヘリの運用の問題点として3つ記載させていただいております。

 「災害の規模に応じて、ドクターヘリの参集の調整を行う必要性があるのではないか」「各都道府県間や、各基地病院、消防.防災ヘリ、民間ヘリ等で、平時のドクターヘリ活動に関して相互運航、協定の締結も増加しているが、災害時に応用可能な体制か」「各都道府県や、ドクターヘリ基地病院は、災害時のドクターヘリ活用に関してどのような運用が望ましいと考えているのか」となっております。

 以上でございます。

 

○有賀座長

 どうもありがとうございました。

 先ほど来、総論と各論が言ったり来たりという話はいろんな部分で出てくるだろうという話がありましたので、ドクターヘリの話をするときに、資料4は実は私がメモ的につくったものです。「災害医療全体としての構造化.体系化について」という観点は、やはりドクターヘリを議論する上でも大事なのだろうと。

 1ページの上のほうにありますが、指揮.命令の全体のコントロールタワーについての共通認識的な理解というか、ある意味、次の2ページにありますが、もっと言いますと東京DMATのように官僚制の中に組み込まれるという方法論をとっているというやり方がある。これは単に顔が見えるという関係を超えて、作戦を遂行するための官僚組織という、場合によってはインシデント.コマンド.システムみたいなものなのかもしれません。

 要するに、そのときのレジリエンスの話は参考の2)の蛭間先生という、銀行員ですが、社会の仕組みを少し民間のお金の流れから考えていこうという形の人なのですが、先ほど来、日常の協定は災害時に使えるかという議論がありましたが、そういう意味では「Crisis is the new normal」というのだそうです。既に想定外などという話ではなくて、全て戦略的な危機管理をしなくてはいけないのだということです。

 ですから、私自身の個人的な経験からすれば、3ページ目にあります、山田町に行ったときなのですが、真ん中は病院の管理という観点で、私は病院長をやっておりますので、組織管理を階層的に考えるとこうなるだろうと。

 山田町に行った昭和大の舞台も1.2.3.5.6.と階層による全体のレギュレーションというか管理をしたわけですが、昭和大のチームが展開した山田町の周辺の複数チームのマネジメントについては、つまり、リーディングエージェンシーは実はみんなが集まるという話では2週間もすれば集まるようになるわけですが、その前は全然ないわけなので、このようなシチュエーションでヘリコプターの問題も、最初は集まるという方法をつくるのだという話でいいのでしょうが、その後のことも十二分に考えていかなくてはいけないのではないかと思います。

 その次の4ページと5ページは、行政がつくってくださったのをそのまま持ってきたものであります。災害対策本部に医療という観点で、責任ある立場で入っていないといけない。

 その下は、DMATの調整本部が総括DMATということで災害対策本部の中に入っていることは入っているのですが、先ほど来の官僚組織という意味での訓練というか、日常的な仕事ぶりを訓練することによってこうなっているかというと、必ずしもそうなっていないので、その部分についての広い意味での調整が恐らく必要なのだろう。

 6ページは、そのような意味で、これはある工学部の先生が昔、つくったものを持ってきたので、出典が散逸してしまったのですが、上が対数目盛りです。10のマイナス1乗、10のゼロ乗、1乗、2乗という感じで日数があって、医療がかなり早い段階で必要になってくるということがありますが、これは全体としてのインシデント.コマンド.システムはどうなっているのかということも総論的には必要だろうと。

 くだんのドクターヘリについても持ってきました。東日本大震災のときのヘリコプターは誰が出ろと言ったかという話などです。左側が誰が出ろと言ったか。右側が着陸するときの指示は誰に従ったかという話で、基本的には航空管制があるのだと思うのですが、ニアミスも結構あったと、この論文の引用では言っていました。

 ですから、参集方法もさることながら、もうちょっと先ほどの話でいうと、丁寧な議論をしておかないといけないのかもしれません。

 最後の8ページは、もっともっと大きな観点で、これはフィンランドの災害の戦略的な考えでいくと、何を守るかというのが下から順番にある。エネルギーネットワーク、通信、金融を含めた物流、それから医療がある。そのようなものを守って、最後に市民.消費者というところにいくわけですが、何を守るかといったときに、ここでは多分、医療という観点での切り口で各論をしゃべるのですが、恐らく国家的な総論中の総論もわきまえた上での議論が必要なのではないかと思って、ドクターヘリの参集方法についての付録の資料をつくってきた次第でございます。

 今、言った総論的なことはさておいても、そのようなことになりますので、場合によっては総論に行ったり来たりすることがあり得ますが、このドクターヘリの参集方法という部分については、これがいいのではないかというのは、皆さんの提案という意味では何ページを見ればよろしいのですかね。

 

○葛西専門官

 葛西でございます。

 局地災害に絞った意見になりますけれども、航空医療学会さんが出されている案をもとに作成させていただいたイメージが12ページのものになっております。ただ、これはあくまでもイメージ図になっておりますので、現在、考えられるものとしてはということで示させていただいております。

 

○有賀座長

 これは臨時発着場にとにかく来いという話なのですね。

 

○葛西専門官

 前もって参集場所に定められた空港などがあるのであれば、そこに集まっていただくという形になっております。

 

○有賀座長

 つまり、ヘリコプターは飛んで来ますので、どこかでおりなければいけないわけです。そのおりる場所が一番下の左側のこれとなるのですね。

 

○葛西専門官

 そのとおりでございます。

 

○有賀座長

 わかりました。

 ドクターヘリの参集のイメージはこうなのですが、消防防災ヘリはこういうときにはどのようになっているのですか。

 

○小泉係長

 離着陸する場所でございますか。基本的にはそこの被災地の空港であったり、航空用のヘリポート等を調整して参集拠点にします。

 

○有賀座長

 私の拙い知識によると、例えば東京消防庁のヘリコプターでも、どこかのヘリコプターでも現場に行きますね。そうすると、基本的にはその現場の消防本部の指揮下にお助けする部隊は入るということでよろしいのですか。黒磯だったか、ブリヂストンタイヤか何かわっと燃えたときに、化学消防車とかいっぱいあるから東京消防庁もいたのですが、そのときの話は、現地を実効支配しているのはどうやら東京消防庁なのだけれども、形の上では黒磯の本部長が上にいて、その下の指揮下に入っていると。

 

○小泉係長

 そうですね。制度上は管轄する消防の指揮下に入るのが消防になります。ヘリは市町村消防からちょっと外れて都道府県で持っているヘリがあるので、そこは指揮下というよりかは密接に連携してという形に法制上はなっているのですが、実態上は。

 

○有賀座長

 埼玉県の消防防災ヘリは、本当に乗ったり飛ばしたりしている人たちは各消防本部からの来た人たちがやっている。

 

○小泉係長

 隊員ですね。救助したり救急したり活動する隊員は各消防本部からの集まりになっていまして、あと、操縦したり、整備したり、そういった航空従事者については民間の委託、埼玉の場合は本田航空さん。

 

○有賀座長

 そうすると、そのようなヘリコプターが12ページの決められた場所に来たというときには、今、言った火消しの人たちが下に入るとか、全体としてこのようなスキームになるというのとは少し違う景色になるのですか。

 

○小泉係長

 そうですね。航空ですとちょっと特殊で、実際に集結するところも地上とは違いますし、ミッションもまた違いますので、実態上としましては別行動という形になりまして、主に災害対策本部でヘリの運航が必要などのようなものがあるかというのを、災害対策本部で選別しまして、消防防災ヘリに、この地区に救急出動してくれとか、救助活動に行ってくれといった形で参集拠点に連絡が入りまして、その中でどのヘリが行きますかという形で。

 

○有賀座長

 この間の東日本大震災のようなときには、集まることは集まったけれどもという状況もあったらしいと聞いたのですが、何かあるのですか。今、言った災害対策本部と実際の消防ヘリが来て、上手に行かなかったらしいということも聞いたことがあるのですが。

 

○小泉係長

 あれ大規模な災害になりますと、なかなか連絡もできないというところとか、災害の整理もなかなかできないというところでうまくいかなかったというところはあると思うのですが、制度上としましては災害対策本部内に航空運用調整班というものが宮城県も岩手県もありまして、その中で同じヘリコプターを運航する自衛隊であったり、警察であったり、海上保安庁、消防防災ヘリ、この中で区域を分けたりとか、ミッションを分けたりして、うまく調整をしていったといったところです。

 

○有賀座長

 そうすると、今、せっかく出たので自衛隊とか警察とか、ヘリコプターを持っている組織がヘリコプターを12ページのようなところにしますね。そのようなときに、ドクターヘリと今、言った消防防災ヘリだとか、自衛隊だとか、警察のヘリのミッションの区分けだとか、災害対策本部における仕事を与えることと、ドクターヘリとの関係はどうなっているのですか。

 

○小泉係長

 大規模災害のときなのですが、東日本大震災の時をちょっと例にとってしまうと、航空運用調整班の中になかなかドクターヘリ、医療部局の者が組み込まれていなかったということがありまして、その辺のところの調整がうまくいっていなかったということは反省点として上げられています。

 

○葛西専門官

 今、厚生労働省で検討しているものの中で、ドクターヘリに関しては大きく2つ問題点があると考えております。

 今、議題とさせていただいております参集の問題と、いざ集まってからの指揮命令系統がどうなるか、この2つが、大きな課題だと考えております。指揮命令系統に関しては、今、小泉係長からあったとおりに航空運用調整班というところにドクターヘリも入っていただくという形の図を書いて、DMAT検討委員会で相談させていただいたり、航空医療学会に相談させていただいてもらっているところで、指揮命令系統に関しては解決をしつつあるという段階でございます。

 

○有賀座長

 相談はいいのですけれども、これは相談というタームなのですか。つまり、消防だとか、警察だとか、自衛隊は業務の一環として飛んでくる。そうですね。ですから、このヘリコプターはここに行ってくれ、このヘリコプターはあちらへ行ってくれという話は、そういう意味では決められた業務の一環としてやるわけですね。そこにドクターヘリも横並びになるという話が今の話だと思いますが、そうすると、ドクターヘリはそういう意味では、今、相談していますと言いますが、これはそうするのでそれに従えと言うような形での位置づけではないのですか、

 つまり、災害医療というのは戦略的に一定の目的をいつでも持って、勝利するために頑張るぞという形になりますので、ある日あるとき飛んできてくれるところまではボランタリーでいいのでしょうが、そこから先は私のスライドでいえば官僚制の中に位置づけられるという形をとるのが災害医療の筋ではないか。そのような観点でいうと、相談はしてもいいのです。でも、それはこのようにすることになりますので従ってくださいとしないといつまでたってもボランタリーの話になってしまって、責任の所在とかそういう話から、結構あいまいな話になるのではないかということを心配しているのです。

 

○葛西専門官

 平成26年に発出させていただいた通知の中で、災害時の運航の要領案にも書かせていただいておりますが、被災地に参集したドクターヘリに関しては、被災地の都道府県の災害対策本部に入って、そこの指示を仰いでくださいということにしております。指揮の上位としては被災地の災害対策本部がまず上位に来ることになっております。縦からの命令で動いていくというようなものを考えております。

 

○安田構成員

 ドクターヘリと消防防災、警察、各自衛隊のミッションというものが全く別だと私は思うのですけれども、恐らく大きな災害、局地にしても、ドクターヘリ以外の先ほど言った要請があったところというのは救助が結構主で、ホバリングするとか、逆にこの間の御嶽みたいな高さのところですと、ホバリングするだけで大きな機体でないとホバリングできないとか、いろんな問題があると思うのです。

 ここで言われている災害時のドクターヘリのミッションというのはきっと救助ではないのですね。救助された人たちを広域搬送するために来るという見方、そこら辺の根本的な話を聞かせていただきたいのですが。

 

○町田構成員

 私、東日本大震災でドクターヘリによる救助活動をしました。局地ではなくて大規模災害の話をちょっとさせていただくと、大規模災害だと何が起こっているかわからないので、要はとりあえずいまあるヘリでやるしかないというのが現状でした。

 東日本大震災のときは、残念ながらドクターヘリはほかのヘリ機関とは独立していました。私は石巻市立病院というところで150人の患者さんを、津波で取り残された病院から救助と言ったのですけれども、結局、ほかのヘリとの連携がなくて、ドクターヘリしかなかったので、ドクターヘリでやったのですが、確かに非常に効率が悪かったのは事実です。1機でも消防ヘリか自衛隊が来てくれればあっという間に済む。でも、そのときはその連携がなかったので、やるしかないというか、ドクターヘリでもさせてもらいました。ただ、ドクターヘリがあったおかげで取り残された患者さんは無事安全なところに出せたということがあったので、必ずしもドクターヘリは患者搬送とか、消防ヘリは救出だけというわけではないのが現状です。

 その中で、東日本の反省もあって、私もDMATをやっていてDMAT側の訓練しか出ていないので、DMATの視点になってしまって申しわけないのですが、一応その反省もあって、年に1回9月に行われている広域医療搬送訓練では、県の災害対策本部の中に、名前は忘れてしまったのですが航空支援何とかという部門をつくって、そこには自衛隊さん、警察さん、消防さん、海上保安庁さん、ドクターヘリなどDMATのヘリが横並びという形で入って、きたミッションに関して、「このミッションはどの機関ここでやりましょう」とか、たとえ救助がなくて患者搬送だけでも、消防さんがいっぱい集まっていれば、「消防さんどうですか」というような形で聞いたりするような横並びの関係で調整しました。ドクターヘリに関してはそこでドクターヘリに振られた指示をDMATのドクターヘリ運航調整の人たちが最終的に、集まったどのドクターヘリで使おうかというイメージで、昨年と一昨年の訓練は行ったという感じですね。

 

○寺谷専門官

 多分、言葉の救助のタームを整理してもらったらいいかなという気がしていて、多分、ドクターヘリはホイストなどできないですね。だから、ホイスト、つり上げをやるような救助は絶対使わないはずで、今、先生がおっしゃっている救助というのは人を運んだけれども病人ではないから救急搬送と言っていないということですか。多分、その辺の言葉は整理しないとわからない。

 

○町田構成員

 逆に、広域災害だと言葉の定義などはどうでもいいというのが私の正直な感想で、これはこのヘリのほうが絶対いいけれども、今、手持ちのヘリはこれで、しかも日没とかを考えてもここでやるしかないということが多々あるとおもいます。

 ただ、それぞれのヘリの特技、逆に言うとドクターヘリはやれることがある程度限られているというのがあるので、そういう意味ではちゃんといい役割分担ができるようにという形で県庁の災対本部内のヘリの中にドクターヘリもきちんと入りましょうというような方向では今、進んでいます。

 

○有賀座長

 ちょっとしつこいようですけれども、今、言った消防や警察や自衛隊のヘリコプターを全体として束ねる。その中にドクターヘリの機能も束ねられるという形で進めるべきだということを先生はおっしゃっているわけですね。

 私はそうならないといつまでたっても、先生が日本赤十字だから言うわけではないけれども、日赤は日赤の旗だけ立てていたのではだめなのだと、私は富田事業局長には言っています。もっと頑張れと言っているのですけれども、それはちょっと置いておいて、ドクターヘリだけがぴかぴか光ってもしようがないわけで、全体として航空機を使った災害の対応というのが有機的にいくことが必要なのではないかと思って聞いていました。

 

○町田構成員

 ありがとうございます。

 災害対応に関しては、ふだんからやっている延長線と逆に考えたほうが私はいいと思っていて、災害だから特別連携を組みましょうではなくて、例えば群馬県ではドクターヘリが飛べなければ必ず防災がすぐ飛んでくれると、あうんの連携ができていたりとか、長野県の佐久のドクターヘリは、県同士の協定は結んでいないけれども、他県からの要請に関しては基地病院の判断で飛べるという形で、佐久に近い群馬県の地域であれば佐久に飛んできていただいたり。

 ふだん、そういう連携をしていると、例えば御嶽山のことに関しては、群馬は比較的に長野に行きやすかったです。いろいろ誰が要請するのだという問題は結局出ましたけれども、ふだんの連携があると、逆に言うと群馬県で大きな災害が、局地災害があったとしても、恐らく長野と、あしたから連携を組む埼玉、栃木は多分ふだんのドクターヘリの運用要領の範囲で参集はできるのです。だから、平素からの連携の延長戦で、改めて災害だから特別どこが呼んでというのはもちろん必要ですけれども、ふだんからそういう連携を厚労省の力で県の壁を取っ払って運用できるような感じにしておけば、恐らく少なくとも局地災害の対応に関しては、変に災害に行って旗を上げなくても、ぱっと集まってぱっと解決できるのではないかと思っています。

 

○有賀座長

 今の話でいくと、「訓練でやっていること以上のことはできっこない」という言い方がしばしばありますね。ですから、どのようなことであれ、真珠湾攻撃だって山ほど訓練してから行ったわけですね。ですから、ふだんから訓練していないことをある日あるときやれといったってどうにもならないわけで、我々昭和大のDMATはレスキューの人たちとやるためにしょっちゅう京浜島に行っていますね。だから、そういうことは恐らく必要で、それも含めてこの件を議論することになるのではないかと思います。

 どうぞ。

 

○寺谷専門官

 現時点で問題意識だけお伝えしておきます。12ページなのですけれども、恐らくDMATの参集とドクターヘリの参集はかなり頭を切りかえないといけないと思うのは、DMATは極めて数も多いし、東京DMATのように消防の指揮下に入る手もありますが、確かに大きい災害があると結局現場では同じ行動はしないですから、そういう意味ではばらばらに集まるというのもリーズナブルといえばリーズナブルなのだろう。

 ただ、ドクターヘリの場合と防災ヘリは結局現場でも同じように活動しますねということ。

 それから、希少性が全然違いますね。医療はDMATが行ったからと言って地元の医療がゼロになるわけでもないし、消防もしかりです。ただ、ヘリの場合はもともと少ないものを出すから、そうすると、12ページで気になっているのは、例えばB県とかは消防防災ヘリ等の他のヘリシステムともやるし、基地病院ともやる。ただ、この調整はA県とか全体でもやるから、調整がいっぱいあるから、多分、行ったり来たりすることになるのかなという気はします。

 例えばB県のドクターヘリが行こうと思ったら、そこは消防防災ヘリも全てのヘリが行ってしまったから残ってくれということになってみたり、実は後からこのヘリは、ほかの県から補完されれば平気なのだよとか、多分行ったり来たりという調整が起きないような仕組みをちゃんとつくらないといけないと思います。希少性をちゃんと考えた上で、行ったり来たりしないで、全体最適になるような仕組みにしておかないといけなさそうだなという気がします。

 

○小泉係長

 こういった応援に行くに当たって一番気にするところ、私たちも応援を要請するに当たって一番気にするところというのは、応援に行く側の地元の消防力をどれだけ確保をするかというのが非常に難しいところでありまして、特にヘリは各都道府県1機とか2機体制ですので、では、1機2機が抜けたときにそれをどう補完するかというのが非常に大切。

 あと、実際に応援に行く側もそれを非常に気にするというところで、ある程度制度的なものをつくっておかないと、県民に対してもなかなか説明もできないでしょうし、そういった後ろ盾がないと行きづらいというのがあとあると思いますので、ある程度の制度を運航要領のさらにちょっと上につくったほうが、応援に行きやすいのかなというのはあります。

 参考までなのですが、12ページを消防防災ヘリに当てはめますと、まず、基地病院、こちらが被災地の都道府県知事という形になります。都道府県知事が消防庁長官のほうに応援要請をする。応援要請を受けたところで、各応援に行くことができるヘリを持っている都道府県B県、C県、D県の都道府県知事に応援要請をすることになります。

 そのときに考えるのは、B県、C県、D県を全部出してしまうとそこのヘリコプターがなくなってしまうので、例えばC件、こちらもコンセプトは同じなのですが、残留とこちらは考えているのですが、C県をB県、D県をカバーするヘリコプターとして残すので、B県、D県さん、応援に出ていただけませんかという形で応援要請をかけます。それでA県に応援に行くといった形が消防防災ヘリの制度という形になります。

 

○安田構成員

11ページの件ですけれども、私は島根なのであれですが、中国圏で協定を組んでいますね。いわゆる県境を越えて補完しましょうというのを各知事が集まって協定書が締結されています。その関係で割とうまく連携がいったのか、たまたまこれが近畿地区とか中部だったらうまくいかなかったのか、そこら辺の事情は御存じでしょうか。

 

○葛西専門官

 広島県に際しては、広島県の基地病院から協定の結ばれている基地病院にすぐに連絡をしていたそうです。島根県だけに要請をしたわけではなくて、全てに連絡をして調整を始めていたということなので、協定に関しては有効に働いていたと思うのですが、手順が定まっていなかったことが本題ではないかと考えております。

 

○安田構成員

 そういう協定があってスムーズにいけば、そういう協定をまず、つくらなければいけないというのが1つと、12ページで消防の目から見ますと、この前、相互応援協定というもので、その上に緊急消防援助隊があるような形があるので、何かそういう仕組みをうまく、先ほど御説明があったように、基幹病院を消防本部に変えるとかというので、何かうまくいきそうな気は、素人で申しわけないですけれども、参考になるのかなという気がしました。

 

○水野構成員

12ページの局地災害に関してお話をすると、恐らく、隣県等のブロックの中で、幹事なり連絡担当者を決めて、そこが調整を図る。出るヘリコプターと残るヘリコプターを勘案しながら調整を図るというのが航空医療学会の案だったと。そこのあたりを明確化していけば、連絡体制も含めてうまくいくのかなと思います。

 各県間の協定は、あれば、そのベースとしてうまく機能するのではないかと。調整を図る体制作りの部分をリーダーシップをとってやっていく必要があるかと考えています。

 

○有賀座長

 水野先生は12ページのイメージをつくるときのディスカッションは少しはしておられるのですか。私はいろんな学術団体に勉強には行くのですが、さすが行き切れないところの1つなので。

 

○水野構成員

 松本先生が取りまとめた航空医療学会案、参考資料7ですけれども、これをつくる過程のお話は存じておりません。ただし、局地災害を考えると、隣県の中でコントロールをうまくできればいいという形で、誰が調整をやろうかということについては、そこで中心になっている先生が複数県の調整を図るという形になったのではないかと認識しています

 

○有賀座長

 先ほど寺谷先生や総務省の方たちが言われるように、みんながそこに行ってしまった後、残っているところはそれなり仕事を頑張ってねと、それも現場に行くのと同じ重要な仕事になりますから、残ることと出ることをどのようにバランスよくするかというのは、やはり災害の局地であれ、多少広いところであれ、考えながらやっていかなければいけない。その考えそのものは目的がこうだからこうなのだということで共有しなくてはいけませんね。ですから、ドクターヘリの参集のイメージはイメージでいいのですが、事務局がもうちょっと具体的にこのように考えますということをおつくりになってしまったほうが話が早いのではないという気がします。

 私は実は、総合診療専門医の件で、どういう人が指導医にふさわしいのか、どういう人かプログラム責任者になるのかという話は、はっきり言って私の案でございますと言って出して、たたいてもらって、それで一定の水準になったところで理事会にかけるという話をしますので、人がつくったものを持ってくるのはいいのですが、これをネタにしてこのようにしてやりますといっていただかないと困る。

 今、非常に大事なことを言っておられますね。総力戦ですね。つまり、残った人はそこに行かないのではないのです。行った人の跡を守るわけですから、そういう意味では行くのと同じぐらい重要なことを残った人がやっているという意味での総力戦をやるわけです。ですから、総力戦全体像を、災害医療の参謀は描かなくてはいけないわけですから、その描く景色が今、言ったほかのヘリコプターとの兼ね合いもそうですし、残ったヘリコプターがどこをカバーするのかという話もそうですので、それは事務局で一回つくっていただいたほうが話はすっきりすると私は思いますね。

 ここでみんなでわーわーやっていても、一晩酒を飲めば何とかなるような気もしますが、それはちょっと勘弁という話になります。それは葛西先生のほうでまた何か上手にハンドリングしていただくといいなと思います。

 

○町田構成員

 その件について現状では、DMATの考え方、航空医療学会のイメージ、関西広域連合などすでに地域で行われている連携がこんざいしています。

 例えばDMATでいう局地災害のブロックでいうと、近畿と中四国と全く別ブロックですけれども、関西広域連合には徳島県が配置されということもありますし、群馬県も一応関東ブロックですけれども、余りそこでくっきり分けられてしまうと直近の長野、隣で起こったのにもブロック違いと言われてしまうと、ふだんだったら連携を普通にしているけれども、災害対応となるとできないというところが出てくる可能性があります。中国地方の5県であれば、知事同士が手を結んで一番近いヘリを呼びましょうという協定にもなっていますので、そのような普段からの連携といろいろな考え方がざっとになっているまっただ中で、我々がその時に最も良い方法に当てはめて運用しているというのがあるのが現状です。

 例えば広島は災害という旗を立てたことによって逆にヘリ参集に様々な手続きを要しましたが、例えば亀岡で車が子供の列に突っ込んだ事故では、災害と宣言する前から普段の関西広域連合の枠組みで次々ドクターヘリがひょいひょいと集まってきたという流れもあるので、逆に言うと、災害と宣言することによって近隣への出動の手順が非常にやりにくくなる面もありますもちろん、災害宣言することできちんと指揮命令系統が成り立つので、どこかのタイミングで才芸宣言をきちんとしないと現場は混乱したままになり、後づけ後づけでこうなりましたに進んでいってしまうこともあります。

 災害にすぐ動きやすくなるように、普段のドクターヘリの県境を越えた運用について、ぜひ厚労省さんのほうでぐいぐいとリーダーシップを発揮してもらいたいと思います。

 

○有賀座長

 それは全くそのとおりで、私の1ページの「災害派遣の目的」というところがあるわけですね。これは行けという人と、行く人と、受け入れる人が全然違うディメンションで脳みそが動いていたらどうにもならないという話ですね。そういう意味では一貫性というか、体系化というか、そのようなことについての総論の部分の上にこの手の話があるのだという話になるわけですから、行ったり来たりというのはそういう意味でございます。

 きょうの議論を踏まえて、少し、あそこではこうだ、どこではどうだという話はそれはそれでいいですから、それぞれの任意団体がそれぞれ任意団体として現場でやっているという話はそれはそれでいいとして、国家の仕組みという観点での位置づけをぜひ提案していただきたい。このことがないと、あちらはどちら、こちらはこちらみたいな話で、さすがに日常の延長線上が災害とはいいますけれども、余りにも違う話があると何とも言いようがないですね。大阪弁と東京弁ぐらいもの違いで許してほしいという感じがしますので、そのような感じでぜひお願いします。

 

○辻専門官

 座長、せっかくですから、横田構成員も来られていますので、一言。

 

○横田構成員

 御指名ありがとうございます。

 総論的なお話で、今、座長がおまとめいただいた方向で何かグランドデザイン、原則的なものをお示しいただくという方向でしたので、特に発言をすることもないなと思って黙っておりました。

 少しだけお時間をいただけるのであれば、私見というところでコメントをさせていただければと思います。

 総論というか、あるべき姿については、皆様方が御議論いただいているところと、いわゆるドクターヘリを飛ばす民間の運航会社という立場から見たところは、大きな違和感、差異はございません。必要なのはどのようなルールがあるのかということをしっかりと周知していただくということと、特に災害については、周知をされたルールに基づいてコマンドが発令されるということが、運航会社としても非常に重要なキーワードになってまいります。

 そうしましたときに、災害医療という特性から見たならば、いろいろ「時間軸」というも、ぜひ検討の中に加えていただいて、超急性期というところから最終的に落ちついてきて、その地域をどう支援するのかというところの時間軸を展開していただくと、そこの中におけるドクターヘリの果たすべき役割というものには差があると私自身は認識しておりますので、そういう部分もルールづくりの中で御検討いただけたらと思っております。

 先ほど、町田先生が御指摘のいわゆる「局地」という申し上げるとするならば、そこの境目の考え方は一案としては参考資料7の中にも、「ブロックにこだわらず」にという文言が書かれていることは承知をしておりますので、柔軟性というところも、もちろん必要だろうと思った次第でございます。

 ただ、冒頭の葛西専門官からのお話がありました20を超える自治体で、災害時運用がルール化されているということで、厚生労働省御認識ということではあるのですが、非常に広さと深さというものがまちまちなままで、「通常、隣県との応援協定は災害時にも適用する」という一言だけで終わっているものから、水野先生が御在職中に書かれた通知のA案、B案というものを含めた中で、B案を踏まえた災害時の運用要領というところまで深く規定をしている県もあるというところは、1つ特性として踏まえた上でのルールづくりが必要だろうと思っております。

 なお、最後に蛇足ながら、災害現場というところに、いわゆる会社員を派遣するということになると、どうしても保障ということも大きなファクターになってまいりますので、その部分についても最終的にはうまく落とし込みをしていただけたらということを希望しております。

 ありがとうございました。

 

○有賀座長

 今の御発言に特に何かございますか。

 最後のフレーズは、図らずもどういう立場で職員を位置づけているのかという話とイコールでございますから、単純にボランタリーで来たから勝手に自分で面倒を見ろという話ではないはずなのです。ですから、総論はそこそこ効いてくるという話なのだと思います。そういう問題があるということをわかった上で、これから先も議論していかなければならないのだという話だと私は思います。全てがここで解決するなら、とっくの昔に解決しているということになります。

 きょうのところはこのぐらいにしませんか。10時から始まっていますので、そろそろ、きょう1日分のATPがもうすぐなくなるみたいだから。

 「その他」というのがあるのですが、これはそちらから何かありますか。感想か何かありますか。いいですか。

 何か一言。

 

○北波課長

 本来であれば、最後に西嶋が何か言うことになっているかもしれませんけれども、きょうはこの研究会の表題自体が救急.災害の課題に関するという、非常に広いテーマでお願いをしました。

 ただ、きょうは2点を中心に御議論いただきましたけれども、これは当面、私たちが抱えている課題でもありますので、まずは提示をさせていただいたというところであります。

 救命処置のことにつきましても、搬送と現地での救命、そのバランスをどのように図っていけばいいのか。度重なるいろいろと業務を広げればいいのではないかという御意見がいろんなところから来るのですけれども、やはり程度問題だろうというところも含めて、救急救命士さんができる業務、しなければならない業務、そういうもののTPOなりそういうものをきちんと考えないと、恐らく総体としての救急搬送は成り立たないのではないかという問題意識がございました。

 そういう観点から、ちょっと幅広い視点で御議論いただきたいということで、きょうは御議論いただいたことは非常に私たちの参考になりますので、引き続き御議論をしていただきたいと思っています。

 その次のドクターヘリの関係です。やはり平時と非常時の切りかえ、もしくは非常時から平時への切りかえというものは重要であるし、それぞれ違った局面でのルールの立て方というのはあるのではないかと今、御意見を踏まえて思った次第でございますし、また、ドクターヘリ、今、各県が整備することになっていますが、より災害時などは公共財としての位置づけが強まろうかと思います。そういう観点からいいますと、座長からも御示唆がございましたように、事務局で一度、それぞれの県がつくっている相互協定も踏まえまして、何が一番主軸としての基本的考え方なのかを整理し、もう一回御議論に供したいと思っていますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 きょうは本当にありがとうございました。

 

○有賀座長

 では、これで全部終わりにしたいと思います。どうもありがとうございました。

 

 


(了)

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