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2015年9月7日 第1回水道事業基盤強化方策検討会 議事録

健康局水道課

○日時

平成27年9月7日(月)10:00~12:00


○場所

厚生労働省専用23会議室(中央合同庁舎第5号館6階)


○出席者

構成員

有田構成員 石井構成員 浦上構成員 阪口構成員 佐藤構成員
滝沢構成員 友岡構成員 永井構成員 古川構成員 柳川構成員

厚生労働省

福島審議官 宮崎課長 高澤室長 小柳補佐 久保補佐

○議題

(1)水道事業基盤強化方策検討会の設置について
(2)地方分権改革における水道事業等の認可権限移譲について
(3)水道事業基盤強化に関する現状と課題について
(4)その他

○議事

久保補佐

 定刻となりましたので、第1回水道事業基盤強化方策検討会を開催したいと思います。

 皆様におかれましては、ご多用中にもかかわらず、また雨で足元の悪い中をお集まりいただきまして、まことにありがとうございます。

 初めに、大臣官房審議官の福島よりご挨拶申し上げます。

 

福島審議官

 大臣官房審議官の福島でございます。本来であれば健康局長・新村がご挨拶申し上げるべきところでございますけれども、他の用務がございまして、私からご挨拶を申し上げます。

 皆様方におかれましては、大変お忙しい中、また足元が悪い中、水道事業基盤強化方策検討会にご出席いただきまして、まことにありがとうございます。

 水道はもちろん、国民の皆様の生活に欠かせないインフラでございまして、その普及率は平成24年度末で97.7%に達しており、おおむね国民皆水道といえるところまでの発展を遂げておると思っております。一方で、日本の人口は2010年をピークに減少を続けております。特に地方の小都市あるいは農山村部では急速な人口減少が進むものと予測されておるわけでございます。こういう人口減少に伴う料金収入の減少などによりまして、今後、水道事業は、厳しい事業経営が余儀なくされることが考えられるわけでございます。

 こういう中で昨年度、内閣府に設置されております地方分権改革有識者会議に対して、複数の都道府県から、都道府県がイニシアチブをとって広域化等を推進するために、水道事業の認可に係る国の権限を都道府県に移譲することについての提案がなされ、検討が進められました結果、手挙げ方式でございますけれども、平成27年1月30日に一定の条件を満たす都道府県に対して水道事業の認可権限を移譲する方針が閣議決定されてございます。

 この閣議決定におきましては、その権限移譲の条件として、都道府県において水道事業の基盤強化に係る計画を作成していることや、都道府県における監視体制が十分であることが定められております。今後、こういう条件の実際の具体的内容について検討する必要がございまして、この検討会では権限移譲の条件の具体的内容に関する、皆様方のご知見を踏まえたご意見をちょうだいしたいと考えているわけでございます。

 また、昭和40年代後半から急速に水道施設は整備されたわけでございますけれども、更新時期を迎えつつあるわけでございます。法定耐用年数の40年を超えた管路延長が平成25年度では全体の10.5%となっておりまして、近い将来、老朽化を原因とする漏水などの管路事故の発生が増加することが懸念されているわけでございます。

 このため運営管理の一体化、事業統合型の広域化や官民連携等による経営基盤の強化を図るとともに、水道施設の計画的な修繕・更新を促進するなどして、中・長期的な視点に立った今後の水道事業の進むべき方向を示して、水道インフラを確実に次世代に引き継いでいくことが急務であると考えているわけでございます。

 この検討会では、先ほど言いました都道府県への認可権限の移譲の具体的な要件設定、具体的な制度運用のあり方を中心に3回程度、ご議論を行っていただきたいと考えております。その後に、水道事業の基盤強化に関する方策をご議論いただきまして、できれば年内をめどに一定の取りまとめを行っていただきたいと考えているわけでございます。

 大変お忙しい中、タイトなスケジュールでございますけれども、何とぞ趣旨をご理解いただきまして、この会が実り大きくなりますよう忌憚のないご意見をちょうだいできますようにお願い申し上げまして、簡単でございますけれども、冒頭のご挨拶にさせていただきます。どうぞよろしくお願い申し上げます。

 

久保補佐

 ありがとうございました。

 続きまして、本日は第1回目でございますので、出席者の皆様のご紹介をさせていただきます。お手元の議事次第の次のページに本日の出席者名簿を添付してございます。名簿の順に私から読み上げますので、よろしくお願いいたします。テーブル時計回りになります。

 まず、主婦連合会会長の有田芳子様でございます。

 続きまして、東洋大学経営学部教授の石井晴夫様でございます。

 近畿大学経営学部教授の浦上拓也様でございます。

 豊中市上下水道事業管理者の阪口博様でございます。

 浜銀総合研究所シニアフェローの佐藤裕弥様でございます。

 東京大学大学院工学系研究科教授の滝沢智様でございます。

 日本大学法学部教授の友岡史仁様です。

 全日本水道労働組合中央執行委員長の永井雅師様です。

 八戸圏域水道企業団副企業長の古川勲様でございます。

 最後に、佐賀東部水道企業団企業長の柳川和政様でございます。

 なお、本日は、国立保健医療科学院の浅見様、神戸大学大学院工学研究科の鍬田様、北海道総合政策部政策局研究法人室長の湯谷様がご都合によりご欠席となっております。

 続きまして、事務局の紹介をさせていただきます。

 冒頭、ご挨拶申し上げました福島審議官でございます。

 水道課長の宮崎でございます。

 課長補佐の小柳です。

 最後になりました。私が課長補佐の久保と申します。どうぞよろしくお願いいたします。

 また、本検討会ではオブザーバーとして関係省庁の方々にもご出席いただいておりますので、ご紹介します。

 内閣府地方分権改革推進室の宍戸参事官でございます。

 総務省自治財政局の細見公営企業経営室長にもオブザーバーになっていただいておりますが、本日、ご出席がかなわないということで、代理として課長補佐の木村様にご出席いただいております。

 よろしくお願いします。

 以上、出席者のご紹介でございました。

 ここで傍聴の皆様にお願いしたいと思います。カメラの撮影はここまでとさせていただければと思いますので、ご協力をよろしくお願いいたします。

 第1回ということで、本検討会の座長について決める必要がありますが、先に配付資料の確認からさせていただきたいと思います。お手元のクリップどめの資料の束の1枚目が議事次第になっていると思いますが、その下に配付資料の名称が書かれております。

 クリップを外していただきまして、最初が資料1-1で「水道事業基盤強化方策検討会開催要綱」になっております。その次が資料1-2で、本検討会の「開催スケジュール(案)」でございます。その次が資料2-1「地方分権改革における議論と対応方針」。続きまして、資料2-2で「水道事業等の認可権限移譲における検討事項への対応(事務局案)」でございます。その次が横向きのパワーポイント資料になりまして、資料2-2「(参考資料)」という束になっております。続きまして、資料3で、これも横向きのパワーポイント資料ですが、「水道事業基盤強化に関する現状と課題」でございます。この後は参考資料になりまして、参考資料が1、2、3、4と、4種類ついております。過不足等ございましたら、事務局までお申しつけいただければと思います。

 さて、資料1-1に本検討会の座長について、構成員の互選で決めるとしておりますので、どなたかご推薦いただければと存じます。

 

浦上構成員

 私からよろしいですか。近畿大学の浦上です。

 私から、東京大学・滝沢先生を推薦させていただければと思います。滝沢先生は、皆さんもご存じのように、非常にご経験豊富であり、過去、座長を幾度となくご経験されております。また、私も一度、ご一緒させていただいておりますけれども、その経験からも座長に非常に適任であると考えておりますので、滝沢先生を座長として推薦させていただきます。

 

久保補佐

 ただいま滝沢構成員を推薦するという意見がございました。皆様、滝沢先生に座長をお願いするということでよろしいでしょうか。

〔「異議なし」の声あり〕

 

久保補佐

 ありがとうございます。ご異議ないということですので、座長を滝沢先生にお願いしたいと思います。

 恐れ入りますが、今後の進行をお願いいたします。

 

滝沢座長

 ただいまご推薦いただきました東京大学の滝沢でございます。大変重要な役職だと認識しておりますけれども、皆様のご協力をいただきながら議事進行を進めてまいりたいと思いますので、よろしくお願い申し上げます。以下、座って進行させていただきたいと思います。

 まず、先ほど久保補佐から少しご説明ございましたけれども、お手元の資料1-1「開催要綱」の2.(3)に、「座長は構成員の互選により定める。座長が検討会に出席できない場合は、座長があらかじめ指名する構成員がその職務を代行する。」ということで、座長の職務を代行するものをあらかじめ定めるという規定がございます。これについて、私から東洋大学の石井先生にお願いしたいと考えておりますけれども、よろしいでしょうか。

〔「異議なし」の声あり〕

 

滝沢座長

 ありがとうございます。それでは、よろしくお願い申し上げます。

 資料の確認は既に済んでおりますので、早速、議事に入ってまいりたいと思います。議事の1つ目でございます。資料1と2に基づきまして、水道事業基盤強化方策検討会の設置について、ご説明をいただきたいと思います。よろしくお願いします。

 

久保補佐

 お手元の資料の1-1及び1-2を使って、ご説明したいと思います。

 資料1-1は、本検討会の開催要綱でございます。1.趣旨として、さんざん言い尽くされていることかと思いますが、水道については更新時期を迎えているということで、老朽化の進行、それから耐震性が低い施設がいまだに多くあるという状況にございます。他方、人口減少社会の突入に伴いまして、給水収益が先細りになるということが見込まれておりまして、個々の水道事業の運営事業について、なかなか厳しい状況にあるということであります。

 他方、審議官のご挨拶にもありましたとおり、地方分権改革の中で本年1月に閣議決定がなされておりまして、水道事業に関する認可等の厚生労働大臣の権限に属する事務について、一部都道府県にその権限を移譲していくということが既に決められております。このようなことも踏まえまして、地方分権における国から都道府県への権限移譲、そのための要件、それから水道事業基盤強化全般について検討を行うということで、本検討会を開催したいと考えております。検討会の構成員については、別紙に構成員リストがついております。また座長、座長代理については滝沢先生からお話があったとおりであります。

 3.の検討事項であります。初めに(1)として水道事業に関する現状と課題、現状認識を皆様で共有した上で、(2)になりますが、事業の地方分権改革に基づく認可権限の移譲に必要な条件についてご議論いただければと思います。それから、(3)になりますが、水道事業の今後の基盤強化に当たっての課題、方策についてご議論いただければと思います。

 4.その他になります。重要なものとしては、(2)として、この検討会は原則公開としたいと考えております。ただし、座長が必要と認め、その全部または一部を非公開とするという場合には開催予定とともに非公開である旨をお知らせし、非公開とするというふうにしたいと思います。

 それから、資料1-2になります。今後の開催のスケジュールであります。今後のスケジュールですが、柱書きにありますとおり、まずは地方分権改革における国からの認可権限移譲に当たっての要件の検討をやっていきたいと考えております。ということで、表になっておりますが、本日が第1回で、11月上旬ごろを考えておりますが、第3回までかけて地方分権改革における事業の認可権限の移譲についてご議論いただければと考えております。

 事業基盤強化方策については、本日、少しフリーディスカッションをした後で第3回にも検討し、一番下、※印、なお書きになっておりますが、第3回までの議論の内容を踏まえて第4回以降をどうするかを考えたいと思います。恐らくは年内あるいは年明けぐらいまでに、さらに数回、会議を開催させていただくのではないかと考えております。

 以上です。

 

滝沢座長

 ただいまご説明いただきました資料1-1の開催要綱と、1-2は今後の日程でございますが、何かご質問ございますでしょうか。——よろしいですか。

 それでは、次の議事に進んでまいりたいと思います。(2)でございます。地方分権改革における水道事業等の認可権限の移譲についてということで、資料2-1と2-2についてご説明をいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

 

久保補佐

 それでは、資料2-1と2-2についてご説明いたします。地方分権改革における議論と対応方針という資料2-1でございます。

 まず、このお話の経緯についてご説明します。昨年度、平成26年度の地方分権改革に関する提案募集がございまして、その中で、福島県、愛知県、大阪府、和歌山県、広島県、鳥取県、中国地方知事会から、事業認可権限を国から都道府県に移譲してほしいという要望がございました。詳しくは参考資料1に当時の経緯がございますけれども、本日はお時間の関係で省略させていただきます。

 その後、下にポツ4つで、時系列で検討経緯を書いておりますが、昨年8月から10月の終わりにかけて関係地方団体のヒアリング、あるいは我々厚労省側からの意見陳述等を踏まえまして、1029日に中間取りまとめ「当面の方針」が定められました。それを踏まえて、今年に入りまして、平成27年1月30日に「平成26年の地方からの提案等に関する対応方針」という形で、閣議決定がなされたということであります。

 閣議決定の内容について、四角のポツに書いております。水道法に関する部分としては、丸数字1広域化を促進するような水道事業基盤強化計画、名前は仮称ですが、こういったものを策定した都道府県であって、かつ丸数字2になりますが、業務の水道事業の監視体制を十分に整えているところであって、丸数字3水道の認可権限等々の事務の移譲を希望するところに対して、全ての水道事業の認可権限をおろすわけではないのですが、丸数字4、都道府県内で水利調整が完結するような事業、ただし、都道府県自体が経営主体になるようなものは除いて、基本的には市町村が経営主体になるものになりますが、そういったものを対象に厚労大臣の認可権限を都道府県に移譲しますという方針が定められております。

 なお書きがついておりますが、都道府県内で水利調整が完結しないような水道用水供給事業から受水する水道事業も世の中にございます。そういったものについては、水道用水供給事業との事業統合を行うことを計画に盛り込んだ場合には移譲対象とするという形で定められております。

 このような閣議決定がなされております。この閣議決定に至る議論の中で、我々として、厚生労働大臣の権限を都道府県に下ろしてもよいのではないかという判断に至った理由を2.に書いております。すなわち、自治体から今回の権限移譲の要望をされた理由として、括弧書きで書いておりますが、都道府県が主導して水道事業の統合とか広域化を進めるということが今後の事業のふさわしいやり方を考えていく上でよいのではないかということ。2つ目の理由として、国よりも地元をきちんとみることのできる都道府県のほうがきめ細かな指導や監督ができるという理由がありました。

 こういった理由については、確かに一理あるというものでありました。しかしながら、全国的には全ての都道府県がこういった事務をできるのかというところに問題があります。例えば監視体制が不十分なところもあるでしょう。それから、重要な広域化等々の施策を促進させるための取り組みが現在まだなされてなくて、余り方針がないよという都道府県に事務を下ろすというのもいかがなものかという課題があります。さらにいうと、水利権の問題、調整が絡むような場合も都道府県単独でというのは難しい。このようなことがあったので、先ほどの閣議決定の丸数字1から丸数字4という条件を付した上で、それを満たすようなところについては権限を下ろして、今後は都道府県にしっかりやってもらいましょうという判断をしたものであります。

 3.になります。今後の検討課題ということで、特に閣議決定の内容のうち、具体的に中身を定める必要がある部分、条件丸数字1から丸数字4のうちの丸数字1と丸数字2になると思いますが、ここについて、この検討会で具体的な中身を検討していただければと思っております。検討が必要な事項としては、条件丸数字1の水道事業基盤強化計画については、一体計画に何を書いてもらうのか、確認のポイントということでどういうことが書いてあれば、これはきちんとした計画ですねと認めてよいのかという部分について詰める必要があります。それから、条件丸数字2として業務の監視体制ということで、一体どのぐらいの職員数が必要なのかとか、専門性をどういう形で担保していったらいいのかという部分について議論が必要だろうと考えております。

 4.の今後のスケジュールになります。先ほど資料1-2でご説明したとおり、本日9月から11月ごろまで3回ぐらい本検討会を開催しまして、先ほど飛ばしましたが、第2回は都道府県からのヒアリングなども行いつつ、権限移譲の詳細ルールについてご意見をいただければと思います。その後、11月以降、それを政省令という形で世の中に出していくことになると思いますので、そういったもののパブリックコメントを行う。年明け2月ごろ、これは定例でやっておりますが、厚生科学審議会の生活環境水道部会が年に1回開かれておりますので、そちらに取りまとめた結果を報告し、年度内、3月には政省令を制定・公布、新年度から施行していきたいと、そんな形で考えております。

 前置きが長くなりましたが、中身の資料ということで、資料2-2に移りたいと思います。認可権限移譲における検討課題への対応ということで事務局案をお示ししております。

 まず1つ目の水道事業基盤強化計画について、一体どういうことを書いていただこうかということであります。これについては、参考資料の1ページ目に、我々が平成25年3月に定めた新水道ビジョンのポンチ絵がついております。こちらをごらんいただくと、楕円で、カラーで、「安全」「強靱」「持続」と水道に求められる大きなテーマをドーンと出しておるところでございます。

 このようなことも踏まえまして、都道府県でつくっていただく水道事業基盤強化計画についても、同じような考え方で計画を書いてもらおうかなと。ただし、基盤強化のための計画になりますので、優先順位的には持続性、それから、いかに強靱な老朽化あるいは災害に強いものにしていくかという話、それから、水の安全という順番で書いた上で、さらに、この資料の丸数字4になりますが、その計画をいかにきちんと実行していっていただけるのか、その実行性の確保に関することもあわせて記述していただくのかなと考えております。

 すなわち、丸数字1が運営基盤の強化方策について、この計画に書いてもらう必要があるであろう。具体的な中身としては、県内の地域割をある程度やってもらった上で、それぞれの地域の実情に応じた基盤強化方針ということで、例えば広域化だったり、官民連携であったり、ダウンサイジングをきちんと進めていくという方針をお示ししていただくのだろうと考えております。

 また、どこまで書けるかというのはそれぞれの都道府県次第かと思いますが、運営基盤強化に向けた取り組みの方向性として、例えば協議会を設置するのかしないのか、水道事業者の調整や助言をどのようにやっていくのかということ、さらには段階的に取り組んでいくのだと思いますが、目標年度についても可能な範囲で書いていただくのかなと考えております。

 2つ目の強靱性の部分になります。すなわち、老朽化施設の計画的な更新あるいは耐震化をどう促進していくのかという点についても計画に記載していただく必要があると考えております。まずは経年化あるいは耐震性について、現状はどうなのかという情報を整理していただいて、その上で将来目標の設定を行っていただくのだろうと思います。そして、各水道事業者が、例えばどうやってアセットマネジメントをやっていくのか、そういう結果を踏まえてどのように更新あるいは耐震化の計画をつくってもらうのか、どうやって取り組んでもらうのか、そういう事業体の取り組みの実施を促すための方針について、きちんと強化計画に書かれる必要があるだろうと考えております。

 それから、3つ目になります。事業基盤とはちょっと違う話になってきますが、水道は口から入るものですので、水質は非常に重要な課題であります。そういうこともありまして、県内の事業者の水質検査体制の確保と、主には流域ごとという形になると思いますが、広域的な水質監視体制の確保について、県も絡んでどのように進めていこうと考えておられるのか、そういった計画をお示しいただきたいと考えております。

 4つ目として、上記3点を記載した計画をどうやってきちんと進めていくのか、そこについて書いていただきたいと思っております。例えば担当者会議の場を通じて進めますということですとか、事業者への指導・監督をこのようにやっていきますというようなことを書いていただくとか、そういったことを記載していただくとともに、認可権限を下ろしたままにしてよいのかどうかの判断材料として、今後、国に対しても定期的に計画に基づいた取り組みの実施状況を報告してもらうことが必要なのではないのかと考えております。

 大事なこととして※で書いておりますが、これらの事項は新水道ビジョンの柱を参考に書いているということもありまして、既に都道府県で水道ビジョンをつくっているような場合には、既にこういうことが書かれている場合もあろうかと思います。そういった場合に、水道事業基盤強化計画として同じような内容のものをつくり直してもらうというのも余り意味のある話ではございませんので、そういう場合にはもともとあるビジョンを提出していただいて、この計画のかわりにして差し支えないという、中身を重視して無駄な事務を減らすような運用にしたいと考えております。

 続きまして、2.の業務の監視体制でございます。これまで国が認可・指導監督を行っていたような水道事業について、今後、適正に認可等の業務を行うとともに、さらには都道府県主導で広域化を推進する、よりきめ細かな指導・監督をする、そういったことを通じて、各水道事業の基盤を強化していくということを進めていただくために、最低限整えるべき体制について考えたものでございます。

 これは参考資料の最後のページをごらんいただければと思います。こちらはグラフを2つ出しております。現状の都道府県の水道事業の監視体制、人数とか資格について書いたものであります。この参考資料もみながら、もとの資料をごらんいただければと思います。

 まず丸数字1の専任の職員数でございます。都道府県で権限移譲を受けて水道の理想的な将来像を描いて実現していくためには、少なくとも現状の平均的な都道府県の職員数の水準を上回るような体制が要るのではないのかなと考えられます。

 2段落目になりますが、水道事業の監督等々に関する業務というのも、内容はいろいろ多岐にわたっているところがあります。具体的には水道の認可・指導監督の業務以外に、例えば補助金や交付金の執行事務があって、こういったものを通じて、水道事業の財務体制は一体どういうものなのかという部分について、きちんとわかっている人間が必要だろうということ。それから、今後の水道のあり方を考える上で、ふだんから各種の調査整理集計といった業務もやっているだろうということ。それから、口から入るものですので、衛生管理の話。それから、これは基本的なインフラということで災害対策。そういったものについても都道府県でしっかりと方針を打ち出して業務をやっていただく必要があるということで、こういう5分野について、きちんと中身のわかっている人がいないといけないだろうと考えられます。

 ちょっと話は戻りますが、職員数の分布については、参考資料の棒グラフをごらんいただきますと、平均の人数あるいは最頻値という意味でも、1県当たり4人が世の中の平均ぐらいなのかなというところがみてとれるかと思います。そういったことと、今申し上げた5分野について、それぞれきちんと専門性のある人が要るねということをあわせ考えますと、権限移譲を受けるような都道府県については、専任職員が5人以上いるのが一つの目安になっていくのかなと考えられます。

 それから、丸数字2の専門性についてであります。こちらも同じく県内の事業の監視ですとか、広域化の重要施策を推進していくということで、水道事業そのものについて高い水準で知識がある、理解をしているということが必要かと思われます。そうなりますと、個々の水道事業者には技術的事項を監督する職員ということで水道技術管理者を置いてくださいということにしておりますが、そういった資格を持つような、水道事業全般というか、特に技術面でありますが、そういったところについて高い水準の知識、経験を有するような職員が確保されているということも、あわせて必要なのかなと考えております。

 説明は以上になります。

 

滝沢座長

 どうもありがとうございます。

 ただいまご説明いただいた事項について、構成員の皆様のご意見をいただきたいと思います。資料2-1は経緯の説明ということと検討課題として2点、検討丸数字1と検討丸数字2がありますということです。資料2-2は事務局案ということでございます。現時点での事務局案でございますので、構成員の皆様のご経験に基づいて、妥当であるかどうか、あるいはさまざまなご意見をいただきたいと思います。資料2-1、2-2、どちらでも結構でございますので、ご意見ございましたら、順不同でご発言をいただければと思います。いかがでございましょうか。

 

柳川構成員

 おはようございます。柳川です。

 県がしっかりするという話は大賛成です。問題は、しっかりしている県はいいのでしょうけれども、そうではない県はどうなるということを私は心配します。地方は後のほうの部類になるだろう。大変な現状があるわけですから、どうするというときに、私は基本的に事務局案のとおりでいいと思いますけれども、手を挙げない、挙がらない、挙げたいけれども、挙げられない、そんな県にも同じように、同時進行に何かの施策をするべきだ。そうしないと、遅れたところはますます疲弊するし、手のつけられないようなことになっていく。どうしてくれるのですかみたいな話を私がしてはいけないのでしょうけども、どうするのかを決めるのでしょうけれども、そういう現状に一つも触れられていないのはおかしいと私は思います。

 

滝沢座長

 大変重要なご指摘だと思います。先ほど久保さんのご説明ございましたけれども、最初に権限移譲の話を少し集中的に議論して、その後に運営基盤強化についても議論するという二本立てといいますか、そういう形で進行されるように理解したのですけれども、そういう理解でよろしいでしょうか。

 

久保補佐

 おっしゃるとおりでありまして、もう一つの議題のほうで、その辺をしっかりと検討していきたいと思います。

 

滝沢座長

 ありがとうございます。

 ほかにお気づきの点、ございますでしょうか。

 

浦上構成員

 近畿大学の浦上です。幾つか質問させていただきます。

 まず資料2-1の2ページの1行目、課題として、「都道府県においては監視体制が不十分である、重要施策を促進させる取組が不十分である」と、その不十分の内容です。具体的には事務局案として5名以上の職員数が必要ではないかということではあったのですが、監視体制が不十分である内容について、ご存じのところがあればお伺いしたいのです。それは人数の話なのか、それとも監視そのものの内容の話なのか。内容であれば、どのような話なのかということで、内容次第によっては、5名が果たして本当に望ましい数字なのかという疑問があります。

 これまでの水道事業は人口が拡大して需要が伸びる中にあっての体制であったと理解しております。また、これから本格的に維持管理の時代を迎えて、人口がどんどん減少して水需要が減少していく中にあって、同じような体制では難しいのではないか。むしろ、もっともっと人をそこに割いてやっていかないといけないのではないか。そうすると、平均的に4人と、プラス1人で5人ということでは全然足りないのではないかなという疑問があります。まずは、先ほどいいました監視体制が不十分である具体的な中身をもう少し説明していただけないかなと思います。また、5名という人数が出てきておりますけれども、それの数字が本当にいいのかなと。

 もう一つ、それにあわせまして、資料2-2の2ページ目の最後に「水道事業に関する高い水準の知識や経験」という一文がありますけれども、資格をもった人であればいいのかということと、水道事業に長く携わって水道事業そのものを知り尽くしているご経験の方を配置すべきなのだろうと思いますが、都道府県にそのような方がおられるのか。おられない場合には、どうしたらいいのかというところが心配であります。「高い水準の知識や経験」という部分は一体どのようにお考えなのか、少しお伺いできればと思います。

 

久保補佐

 5名で本当に十分なのかという部分は、お答えするのはなかなか難しいところがあります。現状は参考資料にお示ししたとおりで、ごく人数の少ないところは専任職員が1人とか2人とか、いかにも人が足りませんというところが結構あるということ。それから、特に本編資料で「重要施策を促進させる取組が不十分」という書き方をしておりますが、参考資料の後ろから2ページ目をごらんいただきますと、これが全てではないと思いますが、都道府県の水道ビジョンの策定状況について書いております。

 この日本地図をごらんいただければわかるとおり、策定していないところのほうがずっと多いという状況でありまして、特に今後、規模を縮小していかなければいけないということも踏まえて、どこまでしっかりした将来ビジョンあるいは計画みたいなものがあるのかというところについては、現状ではまだまだ物足りない部分があろうかと思います。

 さはさりながら、我々もこの議論を今から始めているようなところがありますので、都道府県におかれましても、きちんとこういう議論を進めていただいて、やる気があるところには我々の権限も下ろして、都道府県でしっかりと監督していただくのがいいのかなというのが今回の閣議決定の趣旨かなと思います。

 それから、水道事業に長年携わった経験がある人がきちんと行政にも入るべきではないかというのは全くおっしゃるとおりです。それゆえ水道技術管理者という、これは県の行政職員ではなくて、各水道事業体で必ず置かなければいけない技術的な知見が高くて経験も長い人というものでありますので、そういう方が人事交流などで県に来てくれているということを求めたいということで、この案にしております。

 多くの水道事業は市町村経営でありますので、県の職員が水道事業をやっているケースはなかなかないようにも思うのですが、実は用水供給で県営の水道をもっているところもあります。もちろん市町村との人事交流もありますので、そういった形で、行政だけではなくて水道事業体の経験もあるような、よく現場のわかっている方が来てもらえるといいのではないかということで今回の案にしているといった感じであります。

 

滝沢座長

 よろしいでしょうか。

 ほかにご質問ございますか。

 古川さん。

 

古川構成員

 先ほど柳川企業長がお話しされたとおりだと思いますが、八戸圏域で青森県の事業体と岩手県の事業体が連携を組もうという形で既に動き始めております。県が手を挙げるということは非常にいいことだと思いますが、今までの状況をみても、そういうふうな体制もなかったということを考えれば、県と事業体が連携を組むのは非常に重要だと思うので、今後、この話をいろいろ県が検討されて手を挙げられるような方向を国としても考えていただきたいという思いが非常に強いです。

 以上です。

 

滝沢座長

 この点も非常に重要なご指摘ですので、引き続き検討課題にしていただければと思います。ありがとうございます。

 佐藤さん。

 

佐藤構成員

 1つは、先ほど浦上構成員が提起されました5人の配置について、確認の観点から質問という形で伺います。先ほどの話ですと、平均が4人で、なおかつ重要なテーマとして5項目ぐらいがあってということから5人という説明でした。これだけでは説明が不十分かなと思っていて、追加で確認したいのは、現行の実態として、5人以上の団体はおおむねできているのかどうか。この辺は確実な資料、統計はないかもしれませんけれども、実態的な傾向等を教えていただければということで、確認の観点から質問したいと思います。

 

久保補佐

 5人以上の職員を擁している都道府県全てについて、どういう状況かというのを確認したわけではないのですが、これまで国がやっていた認可等々の事務が地方分権の改革で下りているのは北海道が一つありまして、こちらが現状8人という体制になっているということ。

 それから、今回、ご要望が6府県からあったのですが、6府県全てがきちんとした体制があるかというと、実はそうではなくて、現状でも、来年度から早速手を挙げるかどうかについて、手を挙げるのをやめようかなといっている県もあります。そうではない、積極的にこれから権限を下ろしてもらいたいといっている府県が4つあります。そちらに対して、現状の体制がどのような感じですかと伺ったところでは、それだけやる気があるということは人数にも多少反映されているのだと思いますが、5、6、7人という感じで、この5人という線をクリアしているという実態がございました。お答えになっていないかもしれませんが、そのような感じであります。

 

佐藤構成員

 承知いたしました。

 そうすると、ここの人数の設定によっては、せっかく権限移譲ということを考えている中で、ハードルを高くすること自体が活用を阻害するような状況になりかねない。そうした中で、今の事務局からの回答ですと、5名ぐらいの水準が一つ目安になりそうだという手がかりをいただきましたので、おおむね理解いたしました。ありがとうございました。

 

久保補佐

 ちょっと補足させていただきます。この5を考えるに当たって、ハードルを余り高くするのもよくないだろうというのはおっしゃるとおりで、我々も考えたところであります。それがあるもので、4の1人上ということで、5人にしたというのが実際の話になります。

 

宮崎課長

 昨年来、この地方分権の議論に参加しておりまして、都道府県の体制がさまざまであるということは十分承知しております。人数が少ないと事務が滞っているという実例もあるということを前提に昨年、議論をしました。例えば都道府県が認可されている事業体は都道府県が立入検査にいくことになっているわけですけれども、立入検査に年間一件も行っていないという県も実際にあるわけです。それは体制が悪いのか、やる気がないのか、そこまではっきりわかりませんでしたけれども、それが実態でした。ですから、人数が少ないところはそういう傾向があるのではないかなという気がしています。逆に、人数が多少あれば何とかやっているという例も承知しております。

 次回、希望される都道府県の方々に来ていただいて、自分たちは何人でビジョンもつくり、どういう指導をやっているかということを先生方に説明いただいて、先生方が「なるほど。それぐらいだと何となるのかな」という感触をいただければ、そういうのが判断基準になっていくだろうなと思っています。

 今日のところは、5人でどうしようかと思っているわけでは必ずしもなくて、たたき台としてはお示ししておりますけれども、これをきっかけとして、これから議論していただければという趣旨でございます。

 

滝沢座長

 石井先生。

 

石井構成員

 先ほどの関連です。私も幾つかかかわっている県の中では、水道行政を担当しているところは簡易水道を中心に公衆衛生とか保健衛生の部署です。一方では、多くの県には企業局があります。先ほど事務局からのご説明もありましたように、用水供給だけをやっているところ、あるいは末端給水も兼ねてやっているところ、間接的に企業団でやっているけど、企業団には事務局長として県から派遣されているところも多々あります。宮崎課長が言われたように非常に多様化していますよね。

 水道行政というか、水道の県の担当者ですね。こういう概念を決めたときに、よくみてみると、県には専門家は結構いるのですよね。ところが、行政のくくりでみると、公衆衛生、保健衛生の部分でみると、今ご説明があったように数人となってしまう。末端の事業をやっているところには専門家が結構いたりするのです。そういうところをどのように考えたらよいのでしょうか。

 あるいは、その方々も今回の基盤強化という形の中で新しい仕組として組み込むのか。先ほど協議会をつくる、つくらないというお話もありましたけれども、行政の枠を超えたセクションをつくって、そこでみんなで応援するような横断的な部隊ですね、そういう組織ができるのか、できないのか。また、そこまで考えていいのかどうかというところをちょっと教えていただければありがたいと思います。よろしくお願いします。

 

滝沢座長

 行政の枠を超えたというのは、例えば県営水道等があって、そこにしっかりとした技術管理者がいるというのは幾つか事例があると思いますけれども、県内を見渡したときに県営のようなものがなくて、ただ自治体は当然あるわけですから、そこには技術管理者がいて、それなりの中核市ぐらいのところがあるというところのイメージですかね。これをきっかけに、そういうところとの技術的なサポートも含めた人事交流みたいなものが促されるようなことがあるかないかということでしょうか。まだ確定的なことはいえないと思いますけれども、そのような可能性はいかがでしょうか。

 

久保補佐

 現実にどういう取り組みがあるか私は承知しておりませんが、先ほど古川先生もおっしゃったとおりで、こういう仕組み、制度をつくることによって、現状は県には水道に長けた人がいないかもしれないけれども、県下の市町村から人事交流で行政に入ってもらって、市町村の水道のことだけを考えるのではなくて、県全体のことを一緒に考えてくださいという取り組みが進むというのは、今お話を伺っていて、これから非常に有用な方法なのかなと。手前味噌になりますが、たまたま我々で考えた案がそっちの方向を向いていたのでちょっと安心したという感じであります。

 

有田構成員

 この経過の議論について今回からここに参加することになって、少しだけ事前に知識を得たというぐらいなので詳しくは存じ上げていないのです。けれども、専門家の先生方がいろいろ質問とか意見をおっしゃっていた中で、この方向性に事務局としては行ったほうがいいという意見を言っていただいたのでという回答もありました。県など手を挙げているところのヒアリング以外に、そういう調査は今までされていないわけですね。

 いろいろ調査はしているけど、細かいところはそれぞれの先生方が、自分がかかわっているところでご存じの範囲であって、全体のところでは調査はされていないということですね。確認です。経緯は余り詳しく知らないので、確認させていただきます。

 

宮崎課長

 有田先生のご趣旨がつかめていませんけれども、昨年、地方分権の議論のときには、水道の担当者の人数ですとか、立入検査にどれくらいいっているかですとか、あるいはどういう分野の人たちがいるかという調査はいたしました。その結果に基づいて、今日は、そのエッセンスだけを出しておりますけれども、そういうやり取りをしてございました。

 

有田構成員

 その経過については存じ上げておりますが、石井構成員から、こういう連携もあるという意見が出ましたので、そういうことは調査の中には入っていなかったのですねという確認です。

 

宮崎課長

 今、議論していただいたことについては、これから新しい仕組みを提案すれば、今後、どうなっていくかというお話にかかわる部分でしたので、残念ながら、そういう調査はしておりません。

 

友岡構成員

 視点が違うかもしれません。ちょっと確認です。

 さっきから専任職員5名以上という数値にこだわるような話があったかもしれないけど、私、一瞬みて、5分野で1分野1名ずつかなと思ったのですが、どうもそうではないだろうと。

 そうすると、基礎的な業務に関して5つの分野が存在しているということで、ここが果たして正しいか、多分正しいという論理で進めていくのだろう。そこで、仮にそれらの分野が網羅されているような状況をつくり出すのであれば、人数とは関係なく、十分監視体制が整っていると考えるかで決めればいいですよねというのが1つですね。

 もう一つは、丸数字1と丸数字2で分けておられるのですが、要するに、計画と監視体制とそれぞれ論点を分けているのですが、法律家なものだから実行性の確保といったところがちょっと気になります。このあたりについて、専任職員に関して十分確保できているという趣旨で説明できると、人数にこだわる必要があるのかなと。その辺、どういうふうに計画に盛り込むかというふうな要件といいますか、きめ細かな対応はどういうふうに考えたらいいのかなという点です。要するに、計画の内容でどういうふうに書いていくのかということもちょっと気になったということです。

 

滝沢座長

 友岡先生のご指摘は、例えば計画の中にきちんと記載事項が書いてある、人数も5人だと、でも、しばらくやってみたら、必ずしも計画どおりにいっていない可能性もあるのではないかと、そういうご心配ですか。

 

友岡構成員

 それも含めてですけれども、5人そろっていても実行性が担保されていないと意味がないわけだから、人数にこだわるというのは、もちろん客観的な基準としてわかりやすいというのはあるかもしれないけれども、中身の問題ではないかなと思ったわけです。

 

宮崎課長

 繰り返しになりますけれども、次回、県からのヒアリングにおいては、そういった視点でいろいろご質問いただければいいかなと思っております。確かに、人数でビシッと決まるというものでは必ずしもないのかもしれません。でも、何らか数字は出したいと思っておりますし、それで十分か不十分なのかというのは実例を聞いていただきながら、ご議論いただければと思っております。

 

滝沢座長

 ほかにご質問、どうぞ。

 

阪口構成員

 基本的に確認ですけれども、さきほどから柳川さんがおっしゃっている、なかなか任せ切れない都道府県もあるだろうけど、それは後の話にして、とりあえず任せられそうなところに任すための条件の確認を今からしましょうねという段取りで進めたらいいですね。

 今、話を聞いていまして、人数のこともあるのですけれども、どの都道府県も水道課みたいなところはないと思います。環境衛生とかそんな分野でやって、下手したら兼務しておるかわかりません。ですから、専任配置5名というなら、水道課として5人おらんことには、それらしく5人おるのとは全然意味が違うと思います。何なら、都道府県にきっちり権限移譲する部署をつくらせるような、組織としてカチッとさせるようなこともやっておかんことには、人数だけではぼけてしまいそうな気がしますので、その辺は確認したい。

 今度ヒアリングを聞いてもらったらいいのですけれども、ヒアリングしたところは、「あんたら、どんな部署で仕事しているの。どんな仕事しているの」といったら、かぶっておるときがあろう思いますから、その辺の確認も必要だと思います。

 

宮崎課長

 地方分権の議論でやっておりますので、こちらから、こうでなければいかんということはいいづらい議論になります。先ほどから繰り返して申し上げていますように、実例でどういうことが行われているかということを先生方にご確認いただいて、それぐらいだったら任せてもいいのかなとか、これは幾ら何でもひどいよというような議論を次回以降、していただければありがたいと思っております。

 

久保補佐

 それと加えて、水道課がある、あるいは水道部があるというのはもちろん理想だと思いますが、そこまでハードルを上げますと、手を挙げられる都道府県はほとんどなくなるだろうという実態の話もあります。そうはいっても、恐らく水道課長みたいなものでイメージされていると思いますが、例えば5分野の仕事があるといって、5分野それぞれに人がいればいいというものではなくて、全体をきちんとみられるような課長級に相当するような人間が要るだろうという考えが私どもにはあります。

 そういうことも踏まえて、丸数字2の技術管理者の資格が本当にそれにピッタリはまるかどうかという部分はありますが、水道事業全般について、よりよく経験と知識のある方がちゃんといるということもあわせて要件にしたいと考えた次第であります。

 

滝沢座長

 ありがとうございました。

 柳川さん。

 

柳川構成員

 今の5人の話ですが、阪口さんはそういったけれども、小さな佐賀県は多分難しいですよね。私は、基本的には何人でもいい。今、何が一番足らないかというと、水道に対して危機感が足らない。はっきりいえば、水道のことを余り考えていらっしゃらない。少し考えたら、どうしようかぐらいにはなる。どうしようかといったときに、先ほどの古川さんの提案みたいなことをやったらいい。そういう仕組みがないと、県へお任せします、条件はこうです、それから外れたところは知らないわけでしょう。私たちはどうするのですかって、またそこにいくわけですから、少し丁寧な仕組みをつくってほしいなと、後の議論でしょうけれども。

 

滝沢座長

 よろしいでしょうか。

 次回、具体的に都道府県の方がお越しになりましてご説明いただけるということですので、そのときに今回の質問も含めて、幾つか直接ご質問いただける機会があろうかと思います。

 3番目の議題に進みたいと思います。水道事業経営基盤強化に関する現状と課題についてということで、資料3についてご説明いただければと思います。

 

久保補佐

 資料3の横向きの資料についてご説明いたします。本日のところは、水道事業の全国平均的な像として、今どのような状況にあって、どのようなことが問題として考えられるのかということのご紹介にとどめまして、事務局から「だから、こういう方策が必要である」といった案は敢えてお示ししておりません。そこについては、資料の説明の後、さまざまなご意見をちょうだいできればと考えております。

 表紙をはねていただきまして、最初が人口減少の問題であります。人口減少社会の水道事業の将来予測であります。グラフをごらんいただきますと、黒の線が有収水量、売れた水の量であります。2000年ごろがピークで、全国で3,900万㎥/日ぐらい売れていたものでありますが、もちろん節水機器が増えているとかそういった要因もあるのですが、何よりも人口が減るということに伴いまして、今後ずっと右肩下がりで売れる水の量が下がっていきます。100年後、どうなるかわからない部分はありますが、仮に今のまま人口が減っていけば、100年後にはピーク時の30%まで売れる水の量が下がり、料金収入もそれにあわせて減っていってしまうということが想定されます。

 そうなりますと、もちろん事業経営が苦しくなるということで、例えば施設の更新、設備投資に回すお金もなくなっていくということ。それから、コスト削減ということで職員そのものも減らしていくことになると思いますが、それによって施設の維持管理が困難になっていく。漏水の事故が増えるといった形で、水道のサービス水準がどんどん低下していってしまうだろうということが懸念されるわけであります。

 次のスライドになります。老朽化の懸念があると申しましたが、いつごろ水道という施設がつくられて、いつごろから老朽化が顕在化してくるのかということについて、一つ資料をお示ししたいと思います。

 グラフの水色の棒グラフをごらんいただきますと、これが水道施設の整備にかかったお金でございます。青い丸でグラフをかいているのが水道の普及率の推移です。これをごらんいただきますと、昭和30年、40年代の高度成長期に急激に普及率が上がっておりまして、第1期目の整備のピークが昭和40年から50年あたりに来ております。その後、平成5年から10年ぐらいにももう一つピークがあります。

 この1つ目のピーク、昭和40年代ぐらいにできたピークが、できてからそろそろ40年ぐらいたってきて、法定耐用年数40年で、実際にはもうちょっともつかもしれませんが、今から老朽化が問題になってきているということが、この絵からみてとれるかと思います。

 また、設備別の投資額でいきますと、各年度の投資額の大体6割が総排水施設、特に管路という形で占められております。ということで、これから管路の更新みたいな話が非常に大事になってくるのかなというのがみてとれるかと思います。

 次のページにまいりまして、今の資料は水道事業体での投資額の推移をみたのですが、今度は国の予算の推移であります。こちらは一目瞭然でありまして、年々予算は減っている。最近、平成24年度ぐらいからピョコピョコと増えたり減ったりというのはありますが、全体の傾向としては、平成10年度ぐらいの3,000億強あったところをピークにずうっと下がっていて、今では1,000億円をかなり下回っているという状況がみてとれるかと思います。

 このように国のお金も減っていますし、地方の投資も減っていますという中で、次のページになりますが、老朽化がどのように進んでいるかでございます。これも右肩上がり、右肩下がりの余りうれしくないグラフになります。水道管路は法定耐用年数が40年とされておりますが、高度成長期ごろに整備されたものがボチボチ40年を超えてくるということで、そういったものが老朽化してきているわけであります。

 まず、左側の管路の経年比率でみますと、全国の総管路延長分の法定耐用年数40年を超えた管路の長さのパーセンテージをとりますと、平成18年度以降、毎年増えてきていて、平成25年度で10.5%に達している。単純に右肩で上がっているという状況がみてとれるかと思います。

 これに対して古い管路は新しい管路と取り替える、更新が必要になるわけですが、その更新が毎年どのぐらい行われているかというのが右側になります。これも全国の総管路延長分のその年に更新された長さをパーセンテージで示しております。こちらが平成13年ごろの1.5%ぐらいあったものがどんどん下がって、今では0.79%、1%を切っているという状況であります。1%を切っていますので、この数字で全国の管路を仮に今ある長さのものを全部更新しようとすると、単純計算で130年もかかるということがわかるかと思います。

 次のページにいきます。今度は耐震化の状況であります。こちらは平成232425年度の3カ年の状況を示しております。東日本大震災の経験、教訓も踏まえてということかもしれませんが、徐々には耐震化のポイント数は上がってきております。しかしながら、絶対値でみますと、基幹管路で約35%、浄水施設では2割ちょっとしかない。配水池は少しよくて半分近くとなります。いずれにしても、重要な生活のインフラである水道の耐震化率としては物足りない数字だろうと考えられます。

 続きまして、ちょっと視点が変わりまして、今度は職員のお話になります。水道事業に携わる全国の職員数の推移を書いております。ピーク時が1980年ごろかと思いますが、そのころで7万人以上いらしたのが、今というには少し古い数字になりますが、2010年ぐらいで5万人ちょっとということで、30年間で3割ほど職員数が減ってきてしまっているというのが全体としてみてとれるかと思います。

 さらに問題なのが隣の表のほうであります。給水人口別、水道事業体の規模別にどのぐらいの職員数がいるのかを集計したものであります。表の右から3列目に「合計」という欄がありますので、ここをごらんいただければと思います。大きい100万人以上を抱えるような事業体では1,018人ということで、およそ大企業といえるぐらいの人数がいるわけですが、零細な1万人を下回ってくるようなところをみますと、4人とか3人とか、本当にこの人数でどうやって将来のことを考えるのか、技術面も大丈夫なのかというのが心配になるような人数で事業を運営しているというのが実態であります。

 さらに次のページになります。本日の朝日新聞にちょうどこういう記事が載っておりましたが、水道料金のお話になります。平成13年度以降の推移を書いております。折れ線グラフの部分が水道料金の線になりまして、20立方メートル当たりの家庭用料金を示しております。これでみますと、ここ10年ぐらい、24年度から25年度にかけてちょっと上がっているようにみえますが、3,100円程度で横ばいに推移している傾向がみてとれると思います。

 その下に書いてある紺と赤の棒グラフが料金の値上げあるいは値下げをした事業体の数であります。全国の事業体は平成13年度ごろには1,900ぐらいあって、大分減ったとはいえ、まだ1,300ぐらいございます。1,000幾つという事業体に対して、毎年、数十あるいは100ぐらいの事業体が料金の改定をしております。紺色のバーが料金を値上げしたもの、赤色のバーが値下げしたものであります。この値下げしたところが心配になるわけであります。

 先ほどから申し上げていますように、今後、一般には人口が減っていく中で料金収入は平均的には減っていく傾向にある。そういう中で、更新の問題もあるというのに値下げしてしまって本当に大丈夫なのだろうか。実態は個々にみていかないとわかりませんが、そういう懸念を感じさせるような事業体が毎年、数十ずつぐらいあるという状況がみてとれるかと思います。

 次のページにまいりまして、今度は給水原価及び供給単価の推移でございます。左側のグラフの青の折れ線と赤の折れ線をごらんいただければと思います。青の折れ線が給水原価、つまり浄水処理をして水をつくってという、いわば水の製造に係るコストであります。それに対して赤のラインが供給単価、売るほうの料金の単価です。

 これをごらんいただきますと、実にずっと継続して青のラインが上にあります。つまり、売れば売るほど赤字という状態が過去ずっと続いているという状況がみてとれると思います。ただ、近年、平成12年度以降ぐらいは青のラインが少しずつ下がっている傾向にございまして、水をつくるコストが少しずつ下がっている。青と赤の差、つまり赤字幅も少しずつ縮小しているという傾向がみてとれると思います。

 同じく下の黄緑色のバーが水道料金の推移であります。平成13年度ぐらいまで少しずつ上がっていたのが、その後は1個前のスライドでお示ししたとおり、横ばいに転じているという状況がみてとれると思います。

 ですので、近年は水をつくるコストは下がっている。しかしながら、料金は下げずに頑張って横ばいにはしているという状況はみてとれるのですが、いずれにせよ、赤字は赤字だということかと思います。お隣の円グラフが収益の内訳であります。給水収益は全体のおよそ9割程度という状況がみてとれるかと思います。

 さらに、収益の構造について詳しくみていきたいと思います。次のページをおめくりいただければと思います。こちらでは、全国平均的な像ではなくて、個々の事業体別の状況を少しみております。このグラフで一個一個の丸がございますが、これが計算式にあるとおりで、縦軸が給水収益、水を売って得た収益から、人件費、薬品等々の水をつくるのにかかった費用、それから、借金を抱えていますので、支払いの利息、そういったものを差し引いた数字を水1立方メートル当たりに換算してお示ししたものであります。横軸は水道料金をとっております。

 これでごらんいただきますと、プラスマイナスゼロのラインを境にマイナス側により多く点がある。ただし、プラスのほうにもちゃんと点はあるという状況がみてとれると思います。このようにプラス、つまり給水収益のほうが水をつくったり売ったりするのにかかるコストよりも多いですと、黒字ですという点もあるのですが、赤字ですという点も多くて、特に赤字側、グラフでいうと下のほうになりますが、大きく赤字になっている事業体もポツポツ見受けられるという状況がみてとれるかと思います。

 なお、水道料金ごとに傾向があるのかなということで、こういうグラフにしてみたわけですが、ここからはなかなか傾向は読み取れないのかなということがみてとれると思います。

 次のスライドをお願いします。このような状況を踏まえまして、ここから今後の方向性めいた話にもなってきますが、今後、どう考えていくのかということであります。現状と課題のところに文章で書いておりますが、水道事業は水道法で市町村経営が原則ですとしております。また、地方財政法では、地方公営企業は独立採算が原則ですということになっております。他方、事業収入の約9割を占める料金収入は、これまで繰り返しご説明したとおり、今後、減少する傾向にある。また以下になりますが、職員数も行政部局以上に大きく削減されていることがございます。

 そういった中で、一番下の矢羽根になりますが、さはさりながら、そろそろ高度成長期につくった施設が耐用年数に達してきておりまして、今後、更新・耐震化という大きな事業が待っているという中で、資金、職員、人員をどうやって確保していくのかというのがこれから大きな問題になっていくと考えられます。それを解決するための手段を、これからこの検討会でご議論いただきたいと思っているものでありますが、一つ考えられるものが水道事業を広域化するということであろうかと思います。

 次のページに移りまして、これまでに実施された広域化について、どのようなパターンがあったのかというのをお示ししております。これまでの事例を類型化しますと、垂直統合、水平統合、弱者救済という3つのパターンに大別されるのかなと考えております。

 垂直統合は用水供給と末端の用水供給から受水した水を売るという事業を統合したものであります。メリットのところに書いておりますが、これはもともと施設が管路でつながっているというので統合化しやすいねということですとか、末端事業のほうで用水供給、受水とは別に水源とか浄水場を持っている場合に、今後、水の需要が減るのであれば、末端事業体の持っていた施設をつぶしてダウンサイジングするということが可能ということで、比較的進めやすいというメリットがあろうかと思います。

 それから、次の水平統合、いわば対等合併みたいな話です。こちらについては、メリット欄の2つ目に書いておりますが、業務を共同化するということで人員削減したり、民間委託の範囲を拡大するとか、いろいろ工夫が考えられまして、効率的な運営を行うことによってコスト構造を改善するとか、そういう効果が大きいだろうということが考えられます。他方、デメリットにありますが、統合しようというと、もともと料金の違っていたところを一本にまとめるということで、多くの場合は料金が上昇する自治体が出てくるということで、お客さんへの説明が難しいという困難さを伴うことがあります。

 3つ目の弱者救済型、これは吸収合併みたいな形かと思います。こちらは、また別の問題がございまして、吸収されるというか、してもらうという小規模の事業体にとっては、これから自前で事業を続けていこうとすると、コスト構造がどんどん悪化して、どんどん料金を上げなければいけないということをしないで済む。料金上昇を緩和できるというメリットがあったり、もちろん事業基盤も安定するというメリットがあります。他方、受け入れる側の中核事業にとっては、非常に厳しい言葉をいえば、お荷物を抱えるという部分もございまして、今後、経営的な負担が増していくという問題があり、これも進めるのは難しいということが考えられます。

 最後のスライドになります。官民連携の推進ということであります。細かくはご説明しませんが、官民連携、これまでもさまざまな中で、個別業務を民間に委託するという形、包括委託という形、あるいは、制度上は第三者委託というのもありますし、少し話は変わりますが、ハードウエアに関してはPFIみたいな手法がとられることはこれまでもございます。

 こういった形で、官民連携の形態としてはいろいろございますが、いずれにしても、民間のノウハウですとか、効率的な経営手法を用いて水道事業の経営を効率化していく、事業の基盤を安定化させるということは、なかなか難しい場合もいろいろあると思いますが、可能な場合もあるということで、そういった場合には民間の活用もご検討くださいということを今まで我々として推進しております。例えば水道分野の官民連携推進協議会という形で水道事業者と民間事業者が一堂に会する、いわばお見合いみたいな形の協議会を平成22年度から各地で実施してきております。その他、官民連携の手引きをつくったり、水道技術管理者研修の場で官民連携の話をさせていただいたりという形で、こういったものも進めてきているということで資料の説明を終わります。

 

滝沢座長

 来年度予算についてはいかがでしょうか。

 

小柳補佐

 補足させていただきます。資料3の5ページ目に戻っていただきますと、水道施設整備費の年度別推移という表がございます。また、参考資料4で、28年度の予算要求を示させていただいております。その後ろのページのグラフをごらんください。

 こちらを見比べていただきますと、平成27年度の数字について、資料3では305億と367億と記載されてございます。一方、参考資料4ではトータルで555億という数字がございます。この違いから簡単にご説明させていただきます。305億については、参考資料4の大きいグラフの当初というところの枠、公共255億と非公共50億を足した数字の305億となります。それに補正予算を足した数字が555億ですと申し上げております。片や左のほうは補正予算も含めた繰越予算額を上乗せしております。その点で、そのあたりの数字が若干違っているとお考えいただいた上で話を聞いていただければと思います。

 グラフにもございますように、平成28年度は全体で876億。これは、厚生労働本省以外に北海道ですとか沖縄ですとか水資源機構などを含めた、いわゆるオール水道といっている予算全額の予算要求額になります。内訳ですが、推進枠で581億円の要求をさせていただいております。この推進枠については、昨年度も同じような額で要求させていただいていたのですが、昨年は補正予算で250億いただいているにせよ、最終的には50億、要するに非公共の50億円にしかならなかったということでございます。この額で厚生労働省から財務省に予算要求をしておりますが、なお財務省との折衝については今後、予断を許さない状況であります。

 資料をめくっていただきまして、最初の頭のほうに戻っていただいて、一番下の段になります水道施設整備867億に東日本大震災の災害復旧の経費を含めて、おおむね1,060億という予算要求をさせていただいているところでございます。

 予算要求の説明については以上でございます。

 

滝沢座長

 ありがとうございます。

 予算のご説明もいただきました。こちらの資料3について、こういった資料をよくごらんになられている方もいると思いますが、初めてごらんになられた方もいるかと思います。どんな点でも結構でございますので、何かご不明の点あるいはご意見がございましたら、ご発言いただきたいと思います。いかがでしょうか。

 柳川さんからどうぞ。

 

柳川構成員

 当然、基盤強化策を何回か読んでの話ですけれども、これが基本的なことなのだろうと思いますが、正直、極論すれば、広域化をして、あとは民間委託なのか、形がどうあれ、そういうところにまっしぐら、一直線みたいな印象を受けます。それはそれでいいです。そういう方法だってあるだろうと思います。ただし、それ一本やりには少々違和感があるというのが主な私の論点です。

 ここで私たちはという話をしていいかどうかわからないですけれども、東部水道は自立公営でいくのだと決めてシナリオをつくって、大体いけるところまでいったわけです。だからという話ではないのですけれども、この中に自立という話が一言もない。自立があってこそ官民連携まであり得ると私は思います、仮にそっちの道があるとすれば。そういうことを全く触れないで、できるだけヒラッとなして、民間のほうがとられるように広域化しましょうよと逆にいったら、そう聞こえる。それはちょっと違うのではないですかと思いますというのが1点。

 あと一つは、仮にそうだとしても、民間事業者の多くは知らないけれども、私の立場で幾らか話を聞いたときに、「本気なの。本気でやるつもり」と。水道は難しいじゃないですか。儲ける仕事って、うちにはそんなにないですよね。ただし、ほしい。本気なのですかというところで、私には本気度がわからない、まだみえない。東京は違うかもしれないけれども、だから危ない。

 一番の課題は、日銭が問題ではないじゃないですか。毎年の収支が問題ではなくて、50年先の更新をみたときの大きな不足財源をどうするかというのは、全て何をしても、そこの議論を避けているのではないですか。そういうところをないままにしておったら、結局は、どこかでそのつけが大きく出るだけの話。だから、絶対的に自立、イコール自立できるか、できないかはわからないけれども、そういうやる気みたいなところが各事業体、さっきの県もやる気さえあれば、私はいいといったのですけれども、そういうところがないと、私は話についていけない。

 

滝沢座長

 ほかにご質問、ご意見ございますか。

 有田さん。

 

有田構成員

 老朽化と水道料金は消費者にとって重要な問題で、水道料金の値上げは必要かもしれない。そこにはいろいろ意見もありますが、今日のところは資料についてだけ。

 参考資料4も使って予算のことが説明されました。教えていただきたいのですが、更新率が0.79の平成25年度に一旦数値が上がった後に下がってきている。資料は5ページです。水道施設整備費の年度別推移予算ベースなので、実際には補正予算とか予備費が入った後の推移だとはわかるのですが、平成25年度、一旦上がった後に下がっていっているところの理由が知りたいです。

 それから、8ページの水道事業における職員数の規模別分布のところが、給水人口の中で事業体ごとの職員数が5,000人から1万人のところが4となっていて、先ほどいろいろ説明があったところ、これは集金をする人も含めてというよりも、事務職、技術職を含めての話なので、先ほど少ないところは1名といったのは、この合計とは関係なく技術職だけの人数で説明をされていたのかという確認。

 それと、9ページです。値下げ事業体数というところで、今日、朝日新聞に載っていたのですが、次の11ページでグラフが立米当たりの水道料金でいくと、神戸か何処かの水道料金が一番安い——自治体の名前を間違えているかもしれませんが——、そういうふうに書いてありました。そこは値下げしたのではなくて、ほかに健全な経営をしているがために値下げもできたのか、それとも低いまま推移をしているのか。

 それから、こんなに老朽化してきているのに値下げする事業体がふえているというのを心配されている説明があったのですが、値下げした事業体の理由がわかれば、主な理由を教えてください。

 

滝沢座長

 3点ほどご説明いただけますでしょうか。

 

小柳補佐

 まず予算のほうからです。先ほどの資料の5ページ目と参考資料4の裏側のグラフをごらんください。資料のつくり方がちょっと違っていると申し上げたところではあったのですが、例えば平成25年度、こちらの資料の補正予算473億というのがございますが、参考資料4をごらんいただけると、補正予算457億が平成26年度の予算額の上に載ってございます。

 平成25年度の補正予算がそのまま繰り越しをされて26年度で執行した関係もございますので、参考資料4はそのようなつくり方をさせていただいているのですが、資料3の5ページ目は補正予算をとった年度で入れていますので、その額がそのままオンされているので、ちょっと多くみえているようなところがあります。

 ですから、この473億と次の年度の602億が含有されている額になっているので、この額を全部足し上げると、全部事業費なのかというと、そういうことにはなっていないということであります。

 ただ、各事業体の要望に応じて予算の執行をしていく中でやってございますので、全体の山をみるのであれば、参考資料4の事業をみていただいたほうがよりわかりやすいのかなと思います。ただ、これはあくまでも予算の推移なので、こちらの5ページにありますように、繰り越しとか細かいところの数字については入っていないので、グラフの見方が紛らわしかったのかと思います。それはお詫びさせていただきます。

 

久保補佐

 ご質問3点で、まず職員数の件で、先ほど私の説明で1人とか2人といった件です。それは都道府県の行政側の専任職員が1人とか2人、県当たり1人とか2人しかいないというお話です。資料の8ページでお示ししているのは、個々の市町村の水道事業体の中にいる職員の人数の分布でして、1万人を下回る、あるいは5,000人を下回るようなどこか小さな町や村の水道だと思いますが、そういったところには3人とか4人しかいませんという、そういう違いです。

 それから、料金の値下げの件について、今朝の新聞で300何円というのが載っていたと思います。そこの事業体がなぜ安いのかについては、確認はとれておりませんが、一般論としては、井戸水ですごく水質のいい水がコンコンとわき出るとかいう形で、水をつくるのにコストが余りかからないとか、町がコンパクトになっていて配管をつくるのにもコストがかからない、あるいはよくない話ですが、現時点で全く更新をやっていないので、そっちのコストがかかっていないという要因があって安いところがあったりするということかと思います。

 それから、最近、値下げをした事業体の値下げの理由です。これもいろいろあると思いますが、ちょっとよろしくないなと思っている——よろしくないというと語弊があるのですが——、首長が選挙のときの公約で「公共料金を下げます」というのをドーンと言って、それがあったもので下げていますと。だからといって、野放図に下げるわけにもいかないので、下げ幅としてはちょっと頑張って、ちょっと下げて、水道事業としてはぎりぎり何とか成り立つラインをキープはしていますといった実例を幾つかみております。

 以上です。

 

滝沢座長

 ほかにご意見ございますか。

 石井先生。

 

石井構成員

 ありがとうございます。

 今の久保さんの関連というか、補足です。料金の問題については、せっかく公営企業会計の中で水道財政とか水道会計の制度があるのに、また、その制度に基づいて料金設定方式をしっかり構築しているのに、それを逸脱するような時の政治家とか時の外圧だとか、そういったものに対して簡単に変えられてしまうという危惧の念をもっております。これが第1点です。

 第2点は、先ほど有田さんからもご指摘ありましたが、9ページの料金値上げ、値下げのところで、平成19年度から平成22年度は値下げが結構多いのです。皆様もそうだと思いますけれども、私たちも幾つもの事業体に入って平成の大合併で合併後の料金調整をやりました。上・下水の調整が中規模以上の事業体では多かったのです。

 私が幾つか関係したところでは、上水道は目立つので合併するときに下げて、下水道は特に小規模の事業体の場合には下水道料金は安かったので、大都市と比較すれば下水道料金は高いので、こちらのほうに合わせることになりました。ですから、私が関係したところでは、上水は下げて下水を上げるというところが結構多かったのです。そういった調整もありました。平成22年度までは、まだいいですね。ところが、久保さんからご説明ありましたように、近年、この数年の中で下げているということは、根拠を聞いても、事業体のほうでも答えられないようなところがかなりあるのではないかと思っております。

 今、問題となっている今回の投資ですね、それから老朽化対策。これだけ老朽化して、老朽化対策の更新も0.7幾つだと、130年もかかるという状況の中で値下げしているのです。これは本当に問題で、利用者の方々はその実態を知りません。どういうふうに料金が組み立てられているのかも利用者はほとんど知らないですね。水道事業体がいろいろ広報でやっても、従来の損益的収支、資本的収支という、わからない仕組みの中で円グラフだとか棒グラフだとかつくってやっているので、利用者の方々も理解できないのです。

 ですから、これを平成26年度から企業会計に移行しましょうということで総務省や日本水道協会が中心になって、公営企業会計の制度を直していただきましたが、まだ緒についたばかりだということです。

 ここで一番大きな問題は何か。更新に対してお金がないということですよ。ですから、8年前の水道料金算定要領で資産維持費3%と入れたのですけれども、今年の2月の日本水道協会の今回の算定要領改定の中では、8年前の水道料金算定要領の資産維持費を3%程度にするということは明記されてはおりますが、時代とともに人口減少の中で施設の規模が変わってきている。そういったことも配慮して考えてくださいという文言は入っております。

 それで一番問題なのは何かというと、今の時代に合った料金の仕組みができていない。皆さんは資産維持費という言葉もわからないのです。そうではなくて、カレントコストも世界標準で時価会計をやらなかったら、国際的なところで糾弾されてしまうのです。グローバル企業では、国際会計基準に準拠しなければならないのです。もちろん、そこまではいかなくても、取得原価ではなくて、取得原価プラス取替費用の会計、つまり「取替取得原価主義」に基づく会計という基本的な考え方があるのです。それに基づいて資産維持費3%を8年前にやったのです。これについても、その後のフォローアップができず、残念ながら水道業界の中でも浸透できなかったのです。

 今回の事務常設委員会で料金算定要領を改定しましたけれども、3%はそのままありますけれども、説明も不十分なのです。どうして資産維持費を計上しなければならないのか、利用者の方はもちろん、専門家だってわからないのです。そういう基本的なところができていなくて、しっかりした老朽化対策や更新費用は捻出できないです。ですから、もっと地に足をつけた議論をしないと、あと10年たった時に日本の水道が至るところで断水するようなことになりかねません。ですから、私たちはそのことをしっかり認識する必要があります。

 まだ申し上げることはたくさんありますけれども、時間がありませんので、ここまでにします。もう一度、この原点に帰った議論をさせていただければと思っております。ありがとうございました。

 

滝沢座長

 ありがとうございます。

 ほかにご意見どうぞ。

 柳川さん。

 

柳川構成員

 近年、値下げをした事業体のうちですけれども、理由があります。それは先ほどから言っているシナリオで、周辺との連携が究極の目的、そのためには、話をする順序として、値下げができるならば値下げをしたい、それで周りと合わせたいという思いがあったのが正直。

 それと、それでうちがつぶれるようなことになったら大変ですけれども、そうなる前にいろいろなことをやって、あと値上げだって当然あるではないですか。更新のときに、必要になったときはお願いをすればいいわけです。そういう戦略の中の値下げというのはありかなと。今のままでは、連携、連携と幾ら口を高くしても、高いところがお願いしますといったって筋は通らないと私は思っております。

 

滝沢座長

 永井さん。

 

永井構成員

 資料3ということで、水道の現状と課題ということですから、余り中身に入るつもりはございませんが、1112年前ですか、水道ビジョンが策定されました。1年後、地域水道ビジョンが策定されました。そして、2年ほど前ですか、新水道ビジョンというのも多くの関係者の中で策定された。そして、こうした現状を踏まえたときに、こうあるべきでないですかと、いろいろな方策も提示しているのです。

 ところが、私どもみていますと、厚生労働省として、どういうふうに押さえているかというのは、それぞれの自治体、水道事業体として、自分のところの事業体の10年、20年後の先、シミュレーションしたことありますか、どのような課題がありますか、どのような課題はどういうふうにすれば克服できますかというところの議論がされていないとまでいいませんけれども、問題意識をもっと強くもつべきであると肌に感じているのです。

 すなわち、水道事業といっても一役所の一セクションですから、トップであろうが、ナンバー2であろうが、技術のトップであろうが、市長部局の人事の都合によって、紙一枚で人事へいくと、そうした傾向がこの間、いろいろ垣間みています。

 そうしたところの団体にあっては、なおかつ、先ほどおっしゃいましたけれども、首長が行財政改革だというふうにして訴えて当選してきた、あるいは議員としてもこうだということを訴えてきますから、その公約を達成するために職員をうんパーセント削減しますと。ところが、力関係で市長部局が強いという中では水道にしわ寄せがいく。

 ですから、先ほどのデータもありますように、平成7年ですから、阪神・淡路の大震災でしたか、それからしますと、相当落とされていますというのも、水道事業者が好んで削減しているわけないですよ。上からの圧力があるということもみていますので、少なくとも、こうしたいろいろな議論をするに当たって、市町村長の特段の理解を求めなかったら、これは絵にかいた餅に終わるのではなかろうかなと思います。

 そのようなことでは、厚生労働省として積極的に地方に出て、データ上、これは危ないね、将来こういう問題が起きますね、喫緊の課題を持っていますよというやつを強く指導するというのですか、そうしたことが必要ではなかろうかと思っておりますので、意見として申し上げておきたいと思います。

 それと、そうした中で、水道事業に愛情をもつ職員がえらい減ってきているということでございます。私もいろいろみてみますと、本当に水道事業で命をかけて推進している職員が2人、3人いれば、小さい町でも市でも、これは何となります。1人ならだめですよ、間違いなくつぶされますから。技術屋と事務屋の認識、意識の違いも明確にございますから。そうしたところも申し上げておきたいと思います。

 

滝沢座長

 ありがとうございます。

 ほかにご意見ございますか。

 

有田構成員

 初めて聞くと、水道局の人数など消費者団体で説明、勉強会をするにしても、どの分野がどういうふうにというのを勘違いしたり、分かりません。石井さんがおっしゃったとおりです。それから、先ほどグラフのところの違いは説明していただいたのですが、補正予算のとり方とか、その違いはどうしてなのかというのがあったので、それは聞かせていただいていないかなと思います。13ページで確認させてください。

 水道広域化の類型化ということで3つに分かれていて、それぞれデメリットに赤字でしっかり書かれているにもかかわらず、垂直統合型のところはデメリットが黒字で書かれていて、それほど赤字が入っていないということは、垂直統合型が一番問題がないということで、このようなグラフの説明になっているのでしょうか。確認です。

 

滝沢座長

 補正予算はどのようにとるのかというのが1点目です。

 

小柳補佐

 補正予算は通常、次の年度の予算要求をしていく中で、秋口ぐらいに補正を組むという話になったときに、次年度に要求している予算の事業費を前倒しするというスタンスで、あとは補正予算の額によりますので、額の範囲内で確保していくということが最近は多うございます。ですので、次年度予算分の前倒しという意味で補正予算をとって、それが繰り越されて次の年度に執行されることが多いというのが今の水道の事業費になります。

 蛇足で申し上げますと、平成27年度は、先ほど申し上げた250億の補正予算をとって、参考資料4のペーパーだけ申し上げれば、555億となってございます。執行予算で670億ぐらいありますが、実際の要望をかんがみると、27年度初めて、事業体の要望額にお応えすることはできませんでした。7割ぐらいという執行になってございます。

 ですので、それまでは予算額と繰り越しされた額で事業体の要望には応えていたのですけれども、今年度、そういう事態になったものですから、なおさら来年度はきちんと予算の確保をしていきたいということで頑張っているところでございます。

 これくらいでよろしいですか。

 

有田構成員

 先ほどどなたかがおっしゃったように、規制緩和も含めて国の予算の考え方が関連しているのでしょうか。ちょっと確認したかったのです。

 補正予算の繰り越し方はある程度は知っているのですが、予算要求が通らないとか、だんだん少なくなっていって、今年はしっかりとっていこうと思っているということの中身ですね。何人かの方がおっしゃったように、国が水道事業に対して強い姿勢というか、必要性を感じていないということでしょうか。確認させてください。

 

小柳補佐

 国の予算の中での水道予算のあり方というイメージですね。厚生労働省としては必要だということで、これを訴えていくしかないものと思っております。ただ、国全体の中で考えると、優先順位ということもあるので、そのときどきによって変わるとは思いますが、それでも私たちが訴えなければ予算は確保されないものだと思っていますので、そこは引き続き訴えていきたいと思っております。

 

滝沢座長

 資料の13ページ目の垂直統合型についてはどうでしょうか。

 

久保補佐

 垂直統合はデメリットが少なくてやりやすいのかといわれると、そうもいえない部分はあると思いますが、世の中の広域化がきれいにこの3つに分かれるかというと、垂直統合かつ用水供給の下に複数市町村の事業体があって、それを全部統合するという場合には、水平統合とか弱者救済的な色彩を帯びることもあるということかと思いますので、なかなかお答えは難しいのですけれども、少なくとも用水供給と一個の末端受水事業が合併するような場合においては、料金を上げる、下げるという議論はないので、そういう意味で、ここのデメリットにはそれを書いていないという趣旨であります。

 垂直統合する先が複数ある場合は、そこで料金格差をどうしましょうという議論は出てきますので、必ずしも簡単というわけではないということになります。

 

滝沢座長

 よろしいですか。

 ほかに何かご質問、ご意見ございますでしょうか。——よろしいでしょうか。

 それでは、以上、ご質問、ご意見をちょうだいいたしました。予定した議事を3番まで終わりましたので、その他、特になければ事務局に進行をお返ししたいと思います。

 

久保補佐

 本日、長時間にわたりご議論いただきまして、本当にありがとうございました。

 次回は地方分権の自治体からのヒアリングということで、資料3に関する議論は1回スキップさせていただければと思います。第3回の11月のときに、本日いただいたご意見を踏まえて、これから知恵を絞ってみますが、どのような方向性が考えられるのか等々、次の資料をつくりたいと思います。

 それから、スケジュール的なことで、既に資料1-2で書いておりましたが、次回の検討会が1020日の午後1時からということで予定しております。都道府県からのヒアリングということでございますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 それから、本日の議事録については速記が入っておりますが、速記録について各構成員にご確認をいただいた後、ホームページで公開という形にしたいと考えております。そちらのほうもご確認のご協力をよろしくお願いいたします。

 それでは、第1回の水道事業基盤強化方策検討会をこれで終了したいと思います。本日は、お忙しいところをありがとうございました。

 

——了——

 


(了)

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