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2015年3月2日 化学物質のリスク評価結果と健康障害防止措置の導入に関する意見交換会【大阪】 議事録

労働基準局安全衛生部化学物質対策課化学物質評価室

○日時

2015年3月2日(月) 13:30~


○場所

一般財団法人 大阪科学技術センター 4階 401号室


○議事

司会 者(森田) それでは、定刻となりましたので、ただいまより「平成26年度第3回化学物質のリスク評価に係るリスクコミュニケーション」を開催いたします。

  私、本日の司会を務めさせていただきますテクノヒルの森田と申します。よろしくお願いいたします。

  最初に、お手元の資料の御確認をお願いいたします。ホチキスどめの基調講演資料が1部、A4のピンクと水色のアンケート用紙が1部ずつ、こちらピンクは休憩時間に回収いたします。はがき大の赤と青の厚紙が1枚ずつ、お手元におありでしょうか。大丈夫でしょうか。こちらについては、後ほど御説明いたします。

  さて、このリスクコミュニケーションでございますが、働く方の健康障害を防止するために、厚労省が行っております化学物質のリスク評価に当たりまして、関係する事業者の方、また、事業者の団体の方等との情報共有、意見交換を行うために実施しているものです。

  厚生労働省からの委託を受けまして、私どもテクノヒルが昨年度に引き続き運営をさせていただいております。

  それでは、本日のスケジュールについて簡単に御説明いたします。

  まず「リスク評価の結果について」というタイトルで、厚生労働省の検討会である化学物質のリスク評価検討会で行われました検討内容につきまして、帝京大学医療技術学部スポーツ医療学科教授の宮川宗之先生に御講演を25分ほどいただきます。

  次に「化学物質のリスク評価を踏まえた健康障害防止措置の導入について~ナフタレン、リフラクトリーセラミックファイバー~」というタイトルで、厚生労働省労働基準局安全衛生部化学物質評価室長の角田伸二様に御講演を40分いただきます。

  以上の基調講演が終わりましたら、一旦20分の休憩をいただきます。その間に1回目のピンクのアンケート用紙を事務局で回収させていただきます。こちらのピンクのアンケートに基調講演をお聞きになられての御感想、疑問点、御質問されたい点等につきましてお書きいただきまして、会場内におります事務局にお渡しいただきますよう、お願いいたします。いただいた御意見を踏まえた形で、後半の意見交換会を進めさせていただきます。

  後半の意見交換会では、コーディネーターを長崎大学の堀口逸子先生にお願いし、パネリストとして基調講演をいただきました宮川先生、角田室長ほか、厚生労働省の方にお入りいただきまして、質問にお答えいただくことになっております。

  意見交換は、1時間ほどはアンケートにお書きいただいた御質問について御回答する形で行い、その後、30分ほどは会場から直接御質問をお受けいたします。

  なお、この講演会につきましては、後半の意見交換を含めて議事録作成のために録音しておりますので、あらかじめ御了承いただけますよう、お願いいたします。

  録音の関係上、30分ほどの質疑応答のときには、マイクを持ってお席まで事務局がお伺いいたしますので、マイクを通しての御質問をお願いいたします。

  全体の終了は4時半を予定させていただいております。

  それでは、1つ目の基調講演「リスク評価の結果について」を宮川先生、どうぞよろしくお願いいたします。

 

基調講演

「リスク評価の結果について」

 

○宮川 帝京大学の宮川でございます。

  本日は25分と短い時間ですけれども、リスク評価につき、簡単に説明をさせていただきます。

 

(スライド1

  話の中身ですけれども、一般的な話、職場における化学物質の安全性確保の重要性について、少し述べさせていただきまして、国が実施するリスク評価制度の全体のスキームについてお話をします。

  そして、本日はナフタレンとリフラクトリーセラミックファイバーにつきまして、詳細リスク評価の結果について御紹介したいと思います。

 

(スライド2

  一般的なことですけれども、職場における化学物質の安全性確保は非常に重要なことであります。6万種類とも言われている化学物質が日本で現在使われております。また、毎年1,000物質を超える新規届け出があります。そのような化学物質、基本的には化学物質というものは毒なものと毒でないものがあるというよりは、ばく露量によっていろいろな影響が出てくるわけですけれども、それぞれの化学物質がどのようなものかということをきちんと把握して、対策をすることが重要ということになっております。

 

(スライド3

  平成元年から平成25年まで、この四半世紀の化学物質等による疾病者数ということで、「業務上疾病発生状況(休業4日以上)」をまとめるとこのようになっておりまして、平成になって最初のころと比べますと、現在は大分減少してきておりますけれども、これをなるべく低くしなくてはいけないということで、これからも対策が必要ということになっております。

  ちなみに、国によるリスク評価事業というのは、平成18年にスタートしております。それよりも前と比べると、その事業がスタートしたころから見ると若干減少が見られる。リスク評価事業がこの数値の減少に貢献しているのであれば幸いだと思います。

 

(スライド4

  この図はそのような化学物質の管理の全体の枠組みについて、業界関係の方はよく御存じだと思いますけれども、それをあらわした図です。先ほど6万種類の化学物質が使われていると言いましたが、個別具体的な規制がされている物質はその中のわずか一部です。最も厳しい規制、製造禁止が石綿等8物質。製造許可が必要なものが7物質。このあたりは過去に発がん性等の性質により労働者に健康障害を起こし規制が入っているというものがほとんどでございます。

  その下にありますのが115物質と書いてありますけれども、こちらも過去においてそういう事故を起こしたものが多いわけです。細かい取り扱い上の規則が決められていて、特殊健康診断を受けなさいとか、作業環境測定をしなさいという個別具体的な規制がかかっている物質が115物質あるということです。

  ここからここまでトータルで640物質ですけれども、この640物質はSDS交付の義務がある物質。通知対象物質と言われますが、SDSSafety Data Sheet)、どのような危険有害性があるかということを記載した文書をこれらの化学物質を譲渡・提供する者は交付する義務があるということになっている物質が640物質あります。

  特例規則等による規制がないものだけでも500物質以上、このSDSを交付する義務というものがかかっているわけです。

  これらは、基本的には学会が決めた許容濃度があるとか、あるいは一定の発がん性の分類に入っているということを根拠に選ばれていると思うのですけれども、これらの物質については、SDSに基づいて自主的な管理をしてくださいということになっています。

  特に昨年安衛法の改正がありまして、SDS交付対象物質といいますか、640の通知対象物質については、リスクアセスメントが義務化されます。つまり、取り扱う事業者においてリスクアセスメントをし、管理をしてくださいということに今後なるということになっております。

  さらに、それ以外の物質、数万ありますが、SDSについては努力義務、交付をするよう努めるということになっていますけれども、このような物質についても危険有害性の調査は努力規定ということで、できればリスクアセスメントをやってくださいとなっております。

  これが規制の全体枠で、細かい具体的な規制があるというのは非常に少ない。自主的な管理が重要だということになると思います。

  しかし、そうは言っても、自主的な管理だけでなくて、重要なものについては国みずからが個別具体的な物質を選んでリスクアセスメントをし、必要に応じて適切な管理手法を求めていくということで、場合によってはこちらの(規制のある)方に入れることを考えるというのが国のリスク評価事業です。

 

(スライド5

  過去の対策としてはハザードベースの規制で、実際には既に労働者に健康障害を発生させた化学物質について、後追いによって特別規則で管理をするということが過去の対策でありましたけれども、平成18年以降、このリスクアセスメント事業が導入されてからは、基本的には事業者がリスクアセスメントを実施し、それに基づいて自主的な管理をする。国がリスクアセスメントをして、特別規則等適切な管理を守ることが必要ということになったものについては、そのような対策を打っていくということになっております。

 

(スライド6

  国が実施しているリスク評価制度の概要でございますけれども、このような枠組みになっております。

  まず、物質を選定いたします。これはそのための企画検討会があります。物質が選定されると、それについて有害物ばく露作業報告というものを国が事業者に求めることになります。これでばく露状況がわかってきます。

  一方、今度は別の検討会で、リスク評価検討会というものが国の中にありまして、そこでは大きく分けて2つの検討会に分かれております。有害性情報を調べてまとめる小検討会と、もう一つは、ばく露報告等に基づいて、実際に現場に行って調査をするということで、ばく露の実態調査をし、現場の労働者のばく露レベルを調べるという小検討会。リスク評価というのは基本的には有害作用がどのくらいのばく露で発生するかということを文献などによって求めるとともに、実際のばく露がどの程度かということを比べる。そこを比較して、リスクがあるかどうかということを評価することになります。

  この程度以下のばく露であれば有害作用は生じないよ、健康障害は生じないよということであれば、リスクはないと判断できるわけですけれども、それを超えてばく露があるという場合には、健康障害が発生している可能性がありますから、その場合には健康障害防止の対策を考えるということで、ここはまた別の検討会がやっているということになります。

 

(スライド7

  平成21年から行われている国のリスク評価の推進体制でございますけれども、今、申しましたように、もう一度まとめますと、化学物質のリスク評価に係る企画検討会で対象物質を選ぶということをメーンでやっておりますし、このリスクコミュニケーション自体もこの検討会の下でなされているということになっております。

  それから、リスク評価検討会というものがございまして、こちらは有害性評価、文献情報などによりどういう有害性があるのか、また、どの程度のばく露で有害作用が生じるのかということを調べる有害性評価小検討会とばく露の実態を評価するばく露評価小検討会というものがありまして、それとは別にリスクがあるのではないかということになったものについて、対策を考える検討会があるという体制で事業が進められております。

 

(スライド8

  リスク評価対象物質・案件の選定手順です。個別具体的に自分の会社で使っている物質がこれに選定されるといろいろとお手数をおかけすることになっているのだと思いますけれども、どういう形で選ばれるかについて、少し御説明をしたいと思います。

  有害物ばく露作業報告書対象物質の選定手順です。リスク評価の対象とする物質については、企画検討会が選びますけれども、その際に企画検討会のメンバーからどういう物質について評価が必要かという情報、海外で健康障害が起きているという情報がもたらされることもありますし、どの程度日本で使われているかということも参考になります。さらにパブコメも求めていますので、そういうところからあがった情報をあわせて、一定の考え方のもとで対象物質を選定いたします。それが決まるのが夏ごろです。

  それが国から公表されて、翌年報告対象期間ということでもって、1年間使用状況がまとめられ、年明けとともにその報告を求めるということになっております。

  これで実際に使われているかどうか、どういう扱われ方があるかということがある程度把握できるということになります。

 

(スライド9

  使用状況がわかると、いよいよリスク評価をするということになります。今日は業者の方が多いと思いますので、皆さん既に御存じとは思いますけれども、念のため振り返りたいと思いますが、「リスク評価」と言っておりますが片仮名で言うと「リスクアセスメント」です。健康障害に関するリスクアセスメントといった場合には、健康障害が生じる可能性があるかどうかということを判断するのがリスクアセスメントです。化学物質の有害性そのものは片仮名では「ハザード」と言いますが、ある化学物質が特定の有害性を持っているかどうか。それが有害性の把握ということです。

 リスクアセスメントの最初のステップはそこからスタートいたします。特定の化学物質を選んできて、その化学物質にはどういう有害性があるのか。どのくらいの量を摂取すると死亡するのか、発がん性があるのかないのか、生殖毒性があるのかどうか、神経毒性があるのかどうかということを調べるということが有害性の把握です。

  動物実験のデータとヒトでの調査、症例報告等がここで使われるわけです。

  さらに、その次の段階は、ここには書いてありませんけれども、用量-反応関係解析といい、量と反応の関係を分析します。「量-反応関係の解析(NOAEL等の利用)と書いてあります。どの程度ばく露するとある有害性が生じるのか。例えばがんが発生するのか、肝臓障害が起きるのかということを調べるのが量-反応関係の解析で、ある物質についてどういう毒性がどの程度ばく露すると生じるかということを調べることになります。

  さらに、そこから一歩進みまして、ヒトのばく露はどの程度までに抑えたらいいのかということを考えるのもこの過程になります。実際にヒトで疫学情報などがあって、この程度ばく露して働いている人たちにこういう病気が出ているよ、このぐらいのばく露だったらそういう健康障害がないよということがわかれば、そのあたりでもって線を引いて、それ以下であれば大丈夫だというところを決めればいいわけです。ヒトの疫学情報があると非常に決めやすいということになりますが、なかなか難しい。大規模な疫学調査というものはない場合が多いのです。

  それに対して、動物実験のデータがある場合。これは動物で100ppm400ppm1,000ppmという数値でもって、動物に吸入ばく露して、ここまでだったら毒性が見られなかった。これ以上で吸入させると毒性が見られるということがわかるとします。その場合は、例えば400ppmだと毒性が出た、その下の100ppmでは有害な影響は何も出ていないとすると、100ppmNOAELNo observable adverse effect levelということになります。これは有害な影響が見られなかった最も高い濃度がNOAELということになります。

  動物でNOAELが見つかった場合、そこまで労働現場の濃度を抑えればいいかというと、動物と人間では感受性に差があるかもしれないということで、通常は動物の場合よりも10分の1低いところで基準は設定しましょうというように、一定の基準でもって評価のレベルを決めます。その評価のレベルを「評価値」という言い方で国の事業では呼んでおりますけれども、そうやって調べたものが一次評価値ということになります。

  さらに、もう少しぎりぎりのところで許容濃度、ACGIHや産衛学会の許容濃度というものがつくられている場合が多く、一定の規則でもってNOAELをもとにして計算した値よりも若干高目の値が許容濃度として設定されている場合があります。

  事実上、規制に結びつけるようなときには、こういう濃度が非常に参考になりますので、こちらを二次評価値ということにしています。この事業では動物実験等から求めた一次評価値と、ACGIHや産衛学会の許容濃度を採用した二次評価値という2段階での評価をしているということになっております。

 

(スライド10

  そういう評価値と何を比べるのか。それはばく露の評価結果です。リスクアセスメントの3段階目、ばく露評価の結果です。実際に人々がどの程度ばく露しているかということを調べて、その両者を比較します。ばく露の程度が、定められた評価値よりも高ければ健康障害の可能性がある。リスクというのは確率のことですけれども、実際何%という確率の計算は難しいので、可能性があるかないかで通常は判断いたします。ばく露のほうが定められた値よりも高い場合にはリスクがある。低い場合は当面リスクがないだろうという判断をすることになります。

  なお、安全サイドを見越した低目の一次評価値と、許容濃度等を使う比較的高目の二次評価値と、2段階でもって評価をします。通常、詳細評価を行って措置が求められるということになるときには、この二次評価値を使うということになっております。

 

(スライド11

  今の話をもう一回まとめますと、動物実験のデータなどから計算した一次評価値と許容濃度などから求めた二次評価値があります。実際に現場のばく露の状況を見てみると、一次評価値よりもみんな低ければリスクは低い。二次評価値よりも高ければリスクがあるだろうということでもって、初期リスク評価を行った後に、さらにもう少し詳細に現場の状況を確認した上で、本格的な調査をしましょうというのが詳細リスク評価です。

  先に初期リスク評価をし、必要なものについて詳細リスク評価に移るということになっておりまして、今日、結果を御説明いたしますナフタレンとリフラクトリーセラミックファイバーについては、詳細リスク評価が必要ということになり、詳細リスク評価をした結果、措置が必要ということになったものだということになります。

  中間の場合は、現時点ではリスクは高くはない。気をつけて見守りましょうという形で次に行くということになっております。

  リスク評価の手順が、今言いました一次評価値の求め方とか二次評価値を使って最終的に評価をしていくということが、それらと比べるのは個人ばく露濃度を使うのだということが、明確化されて文書となっており、公表されております。

  ただ、個人ばく露濃度と比べるというときには、個人ばく露濃度の中でもって何人かの人について測った中で、最大の値を使うというのが通常だとは思うのですけれども、この事業ではそれだけではなくて、一定の統計学的な手法を使っています。母集団の想定できる最大値、上側5%レベルというものを計算して、どちらかの大きいほうを使って評価をするということになっております。

  余り詳しいことをお話ししてもしようがないと思いますので、個別の物質の結果に移りたいと思います。

 

(スライド12

  初期リスク評価と詳細リスク評価でこのような物質についてリスク評価をしたわけですけれども、実際、今年度健康障害防止措置の検討に移るということになったものはナフタレンとリフラクトリーセラミックファイバーの2つでございます。こちらについて結果をお話ししたいと思います。

 

(スライド13

  まず、ナフタレンの詳細リスク評価の結果でございます。

  リスク評価の概要を最初にお話ししてしまいますと、有害性評価の結果、二次評価値10ppmという値が評価の基準として適当だろうということになりました。

  ばく露評価結果はどうだったか。リスク評価における個人ばく露測定は22人について行われ、その最大値もしくはそのデータをもとに区間推定をした上側限界値5%点の値を求めて、その高いほうを使うわけですけれども、この場合には17.3ppmという区間推定上限値のほうが高い値となりましたので、これを二次リスク評価値と比べることになります。この17.3ppmというものが10ppmを上回っています。これが結果です。したがって、健康障害防止措置の検討が必要ということになっております。

 

(スライド14

  ナフタレンについては、御存じのように防虫剤として使われていますし、それ以外に染料中間剤とか合成樹脂の材料とか爆薬の材料とか、いろいろなものに使われるわけでございます。

 

(スライド15

  どういう有害性があったかというと、発がん性に関しては可能性がある程度。グループ2Bというのは疑いがあると考えておけばよろしいかと思います。

  急性毒性については、どの程度摂取すると死ぬかということなので、こういう大量のばく露を受ける現場は普通はないと思います。

  あと、皮膚に対する作用は軽度から中等度の皮膚刺激性があるということです。腐食性ありではなくて軽度から中等度の皮膚刺激性があり。眼に対する作用としては、ごく軽度から中等度の眼刺激性があるということです。感作性については報告がなく、生殖毒性については判断できないとなっております。

 

(スライド16

  ナフタレンの詳細リスクの評価結果で使われた10ppmというのは、ACGIHの8時間平均ばく露の許容基準10ppmというものです。これは何に基づいて定められた値かというと、1つ前で申しました眼などに対する刺激性を防ぐためにということで規定されている数値がこの値です。

  また、このACGIHでは経皮吸収があるので注意しましょうということになっています。

  一次評価値は計算しなかったのかというと、実は動物実験で発がん性が認められているのですけれども、閾値があるのかないのかという判断がなかなか難しくて、したがって、10-4 の過剰発がんレベルを基準にするのか、あるいは動物実験の結果からこの濃度以下だったら発がんは起きないというNOAELを求めそれを基準にするのか、そこが判断できないため一次評価値はありません。そもそも詳細評価では基本的には二次評価を使って健康障害防止策が必要かどうかを考えるということになっております。この10ppmと実際のばく露現場が比べられたということです。

 

(スライド17

  時間がありませんから少しはしょりますけれども、152事業場から505作業の報告があり、延べ人数9,151人という労働者がこれに従事しているという状況です。実際に24年・25年度に現場調査をしたのが10事業場で、個人ばく露濃度測定を行ったのが40人、7単位作業場です。

 

(スライド18

  作業測定の結果がどうだったかと申しますと、ナフタレンの場合ですが、個人ばく露の8時間平均値の最大値が7.55 ppm です。これは二次評価値の10ppmを上回ってはいないのですけれども、先ほど申しましたように、統計学的な推計で上側5%の値を求めると、もう少し高い値になるのです。実際の個別の個人ばく露の測定結果は二次評価値を上回っているものはなかったということになります。

 

(スライド19

  個人ばく露濃度最大値と区間推定値上側限界値の大きい方で、こちらの推定値の方が採られたわけですけれども、これが17.3ppmなので二次評価値を超えているということで、防止策の検討が必要ということになりました。

 

(スライド21

  大急ぎで申しわけありませんけれども、次にリフラクトリーセラミックファイバーの話に移りたいと思います。

  先に結果から申しますと、二次評価値は0.2f/cm3 です。これはACGIHの値からとってきたものと思いますけれども、1cm3 当たり0.2本の繊維の数ということです。この繊維というのは、WHOの基準に従って、アスペクト比と繊維の長さで決まっているものが繊維と定義されています。

  ばく露の結果がどうだったかというと、個人ばく露測定の最大値、この場合には統計学的な推定値ではなくて、最大値が1.84f/cm3 というものがありまして、二次評価値を上回っているということで、現にこの値を上回った個人ばく露濃度を示した方がいるということから、健康障害防止措置の検討が必要ということになりました。

 

(スライド22

  少し細かく見ていきますと、このリフラクトリーセラミックファイバーというものは、炉のライニング材とか防火壁保護材とかアスベストの代替品として使われるようなものだと思いますけれども、そのような人造繊維状の鉱物、人工的な繊維状の物質です。

  ここに書いてありますように、アルミナとシリカを主成分とした非晶質の人造鉱物繊維ということになります。

 

(スライド23

  どういう毒性があるかですけれども、有害性評価結果です。

  発がん性はIARC2Bで発がん性の可能性がある。動物実験で若干データがあるようです。

  皮膚、眼、呼吸器等に対してですが、呼吸器への刺激性としてぜんそくや息切れがばく露濃度の増加とともに増加する傾向が認められたということで、呼吸器に対する影響があります。反復ばく露すると肺機能に影響があり、さらに遺伝毒性ありということになっております。ただ、遺伝毒性がある場合には、通常発がんに関しては閾値がないということで評価をするわけですけれども、この場合には閾値ありという形でもって、一定の量以上ばく露して肺に炎症反応が起きたり、炎症が継続した起きたときに初めて発がんに結びつくということで、閾値ありというモデルでもって評価をするのが適当ということになっております。

 

(スライド24

  リスク評価結果ですけれども、ACGIH0.2f/cm3 、吸入性繊維としてというのが条件になっています。

  こちらで算出した一次評価値はなしです。なぜなしかというと、動物試験により導き出した値というのは、動物の発がん試験で肺に腺腫やがんが見つかるという濃度です。それを基準に一定の規則で計算をしますと、0.9f/cm3 という値が出ました。この場合は、そもそもACGIHTLVよりも高い値ですので、一次評価値は採用しないということで、二次評価値0.2fというものだけが評価値として使われるということになり、これを用いて現場のばく露状況が評価されたわけです。

 

(スライド25

  全部で398事業者から850作業の報告があり、延べ826人について報告が上がっております。

24年・25年度の国による調査では、12事業場で51人の個人ばく露濃度が測定されております。作業環境測定として6単位作業場です。

 

(スライド26

  こちらが結果ですけれども、幾つかの作業によって違うわけですけれども、個人ばく露測定の最大値が1.84f/cm3 という値が出ておりまして、こちらは統計的な方法による推定値1.6 f/cm3 よりも高い値が実際に測定されております。

  したがって、この結果をもちまして現場を見ますと、0.2 f/cm3 という二次評価値で実際の作業場をみますと、これだけ調べた中で多くのところがこの二次評価値0.2 f/cm3 を上回った値が得られたということでもって、かなり許容濃度を超えたばく露状況が見られる、二次評価値を超えたばく露状況が見られたということです。

  したがいまして、結論としては個人ばく露濃度の最大値が二次評価値0.2 f/cm3 を相当程度上回っているし、上回っているところの数も多かったということから、健康障害防止措置の検討が必要であるということが結論となったわけでございます。

 

(スライド29

  時間が短くて大急ぎで来ましたけれども、以上、詳細評価になりましたナフタレンとリフラクトリーセラミックファイバーにつきましては、健康障害防止措置について検討を実施したということでもって、取りまとめに入っているところでございます。

 

(スライド30

  今後の予定について少しお話をします。26年度ばく露実態調査予定の物質については、初期リスクが終わって懸念があるということで、詳細リスク評価に入ったものが4物質あります。

  それから、初期リスク評価としては、ここにありましたように結構な数の物質が対象になっておりまして、これについては発がんのおそれがあり、省令改正で従来の有機則から特定化学物質に位置づけが変わり、特化則の規制が導入されたものになっております。

 

(スライド31

  今後、リスク評価の予定としては、ここにありますように数多くのものが挙げられておりますけれども、生殖毒性があるもの、神経毒性があるものということを基準に選ばれたものがあるということで、パブコメを踏まえて選ばれた物質、1-ブロモプロパンというものもあります。こういうものについて、リスク評価事業が継続されるという予定になっているということでございます。

  時間がないところ、大急ぎで申しわけありませんでした。

  以上でございます。

 

○司会者(森田) 宮川先生、御講演ありがとうございました。

  次に、厚生労働省安全衛生部の角田室長に「化学物質のリスク評価を踏まえた健康障害防止措置の導入について~ナフタレン、リフラクトリーセラミックファイバー~」について御講演をいただきます。準備が終わるまで少々お待ちください。

 

○角田 厚生労働省労働基準局安全衛生部化学物質評価室の角田と申します。どうぞよろしくお願いいたします。

  本日は、このリスクコミュニケーションに御参加くださいまして、誠にありがとうございます。

  また、御参集の皆様におかれましては、日ごろより私ども厚労省の施策推進に御協力くださっておられますことに、この場をかりまして、厚く御礼を申し上げます。

  このリスクコミュニケーションですが、冒頭説明がありましたとおり、化学物質のリスク評価に関する意見交換の場ということで、事業者の皆様を初め、広く一般の方々との意見交換を行うという場でございます。26年度につきましては、12月に1回、それから、先週の金曜日に1回開催しまして、今回が3回目ということでございます。

  私ども評価室は、労働基準局の中にございまして、労働者の化学物質による健康被害を防止するということで、毎年化学物質のリスク評価を行っております。

  宮川先生の御説明のとおり、先生もメンバーになっておられます化学物質のリスク評価検討会というものを初めとします各種の検討会がございまして、その中でリスクを評価して、その検討の結果リスクが高いと判断された物質につきましては、必要な健康障害防止措置を検討し、さらにそれが決まりましたら、その内容で必要な法令改正を行って規制化を行っいるところでございます。

  先ほど先生からナフタレンとリフラクトリーセラミックファイバーについて、リスク評価検討会で取りまとめた評価結果についてお話がございましたが、私からはそのリスク評価結果を踏まえて、健康障害防止措置を検討した報告が今般取りまとめられましたので、それについて御報告をしたいと思います。

 

(スライド35

  これは先ほどの先生の資料にありましたフロー図でございまして、右側の詳細リスク評価の中で、ここにナフタレンとリフラクトリーセラミックファイバー、長いので以下RCFと言わせていただきますが、この2つにつきまして、リスクが高く措置検討を要するということになりましたので、健康障害防止措置の検討が行われたということでございます。先ほどの資料にございますとおり、去年の夏から12月の終わりにかけて、都合7回の検討がなされたというところでございます。

 

(スライド36

  その結果の中身でございますが、まず、今回の措置検討会の報告の前に先ほど御説明がありましたリスク評価報告書の概要を、ナフタレンとRCFについて簡単にまとめております。

  ナフタレンは、ナフタレンの製造・取り扱い事業場におけるばく露最大値が二次評価値を超える水準となった。また、スポット測定においても二次評価値に近い水準が確認され、ナフタレンの製造・取り扱い事業場において労働者の健康リスクが高いと考えられることから、健康障害防止措置の検討が必要となったということでございます。

RCFですが、RCFの製造・取り扱い事業場における個人ばく露測定の最大値及び区間推定上側限界値は二次評価値を大きく超える水準となりまして、RCFの製造・取り扱い事業場において労働者の健康リスクが高いと考えられるということから、健康障害防止措置の検討が必要となったというところでございます。

 

(スライド37

  ナフタレンは、先ほど御説明がございましたので上のほうは省略させていただきますが、これまでの経緯が下のところに書かれております。従来、どのような規制があったかということをまとめておりますが、平成12年以降、労働安全衛生法の規定に基づきまして、名称等を通知すべき有害物と指定されているところでございます。

  これは譲渡・提供をするときに、名称や成分、含有量、人体に及ぼす作用など、法律で定める事項を通知しなければならないという規定でございまして、具体的にはSDS、安全データシートによってそれが通知されているというものでございます。

  なお、このほかナフタレンは変異原性があるということで、変異原性が認められた化学物質による健康障害を防止するための指針というものが、これは法律ではなく指導でございますが、そういった指針に基づく措置を講ずるようお願いしてきたという経緯がございます。

 

(スライド38

  次が、一番上にありますとおり、2月6日に公表されました化学物質による労働者の健康障害防止措置に係る検討会報告書の概要をまとめてございます。

  先ほどの資料のとおり、検討会を開催し、報告書を取りまとめまして、その報告書の詳細につきましては、今回の資料の末尾にインターネットのURLが掲載されておりますので、そちらで御確認いただけますけれども、今回はそこから概要を抜粋しまして、それを御説明いたします。

 まず、導入方針でございます。ナフタレン及びナフタレンを含む製剤その他のものを製造し、または取り扱う作業については、リスク評価における有害性の評価及びばく露評価の結果を踏まえ、健康障害防止のための特定化学物質障害予防規則の特定第二類物質と同様に作業環境測定の実施や、発散抑制措置等を講じることが必要であるとされたところです。

  また、ナフタレンはヒトに対して発がん性の可能性があることを踏まえて、作業の記録の保存等が必要となる特化則の特別管理物質等と同様の措置を講じることが必要となりました。

  さらに、同物質については吸入ばく露のほか、皮膚刺激性があって、ヒトに皮膚炎を起こす場合もあることから、取り扱い状況にこれらの有害性に留意する必要があるということでございます。

  ポイントとしましては、ナフタレン及びその含有物について特化物の特定第二類物質、特化則の特別管理物質と同様の措置を講じる必要があるということが結論でございます。

 

(スライド39

  特定第二類物質と同様の措置と書かれておりましたが、特化物の全体の分類は各物質の有害性を踏まえて、このような形になっております。特定化学物質ということで、全体が3つに大きく分かれまして、第一類物質としてこれは製造許可物質でございますが、PCB等が含まれております。

  第二類物質は、大きく4つに分かれておりまして、色を塗っております特定第二類物質ですけれども、これはアクリルアミドとかベンゼンとか最近の改正でこの分類に入ったものとしてはDDVPなどがありますが、慢性障害と急性中毒の防止措置が両方必要な物質ということで、ナフタレンについては措置検討の結果、この特定第二類物質と同様の措置が必要になったというところでございます。

  このほか、第二類物質の中では管理第二類物質、オーラミン等、特別有機溶剤等という分類が含まれております。特別有機溶剤等の中には昨年政省令を改正しましたジクロロメタン等の10物質、一昨年に政省令を改正しました1,2-ジクロロプロパンなどが入っております。

  第三類物質には、アンモニア、一酸化炭素等が入っています。

  一番下に特別管理物質と書かれておりますが、これは発がんという遅発性の健康障害のおそれがあるということから、特別の管理を要する物質で、具体的には作業場に名称や人体に及ぼす作業や取り扱い上の留意事項などを掲示したり、作業記録を作成して、それを30年間保存したりするというものでございます。

  これは上記の分類等は別の観点からの整理なので、それぞれの分類の中にこれに該当するものが含まれているというものでございます。

  ナフタレンにつきましては、発がん性を踏まえた特別管理物質と同様の措置が必要とされたというところでございます。

 

(スライド40

  ナフタレンの必要な健康障害防止措置ということで、以下整理しております。まず、規制対象業務なのですけれども、ナフタレン及びナフタレンを含む製剤その他のものを製造し、または取り扱う作業について、規制化が必要とされたところでございます。

  規制対象から除外する業務ということで、3点ほど書かれております。これらの業務につきましては、措置検討の中でばく露リスクが低いという結論になりましたので、規制対象から除外しても差し支えないという結論になっております。具体的には、密閉系で液状ナフタレンを製造し、または液状ナフタレンを原料としての製剤等を密閉系で製造する工程におけるサンプリング等の作業。液状ナフタレンのタンクローリーまたは整備への注入・移送の作業。溶剤に溶けた状態のナフタレンを常温で取り扱う作業。こうしたものが除外業務として報告書で整理されております。

 

(スライド41

  次でございますが、具体的な健康障害防止措置の概要をまとめたものでございます。

  1つ目の表示(ラベル)ということです。これは安衛法の規定に基づきまして、譲渡・提供する場合に容器や包装に所要の事項を表示するというものでございます。名称や人体に及ぼす作用とか、そういったものでございます。

  括弧書きでありますとおり、文書(SDS)について既に交付の対象となっておりますので、これは変更ございません。

  次は発散抑制措置ですが、労働者のばく露を防止するための次の措置ということで、製造工程の密閉化でありますとか、ガス、蒸気もしくは粉じんが発散する屋内作業場の発散抑制措置等といったものが必要とされたところでございます。

 

(スライド42

  次は、漏えい防止措置でございます。特定化学設備の漏えい防止措置で、特定化学設備は製造・取り扱い設備で移動式以外のものでございますけれども、そこからの漏えい事故などによる労働者の健康障害を防止するために、漏えい防止措置が必要であるということでございます。特化則では現在腐食防止措置とか、接合部の漏えい防止措置等が規定されておりますけれども、そうしたものでございます。

  不浸透性の床の整備も漏えい防止措置として必要とされたところでございます。

  次は、作業環境の改善でございます。これには休憩室の設置や洗浄設備の整備等が含まれております。

  作業管理でございます。作業主任者の選任でございます。作業主任者は現行の特化則の規定では定められた特化物等の講習を修了した人の中から選任され、労働者が特化物を吸入したりしないような作業方法を決めて、労働者を指揮したり局所排気装置を点検したりするということが業務でございますが、そうした作業主任者を選任する必要があるということでございます。

  それ以外でございますが、立入禁止措置、飲食等の禁止、適切な容器の使用、ぼろ等の処理、有効な保護具の備えつけ。こうしたものも必要な措置として整理されました。

  作業環境の測定でございます。管理濃度につきましては、別途管理濃度の検討会がございますので、そこで検討されますけれども、本報告書では必要な措置として作業環境測定の実施と記録の保存、結果の評価と保存、結果に基づく措置が規定されたところでございます。

 

(スライド43

  先ほど触れました特別管理物質としての措置ということで、発がん性を踏まえた掲示、括弧に書いてあるようなことでございます。こういったことを掲示する。

  作業記録の作成と30年間の保存ということが必要になってくるところでございます。

  健康診断につきましては、これも管理濃度と同じように別途検討会がございますので、そこで検討がなされて、その結果によって必要な措置が決まってくるということでございます。

  以上がナフタレンについての御説明でございます。

 

(スライド44

  次が、リフラクトリーセラミックファイバー、RCFでございます。

  これまでの経緯のところですが、これも同じようにSDSの交付対象になっております。

 

(スライド45

  次の健康障害防止措置の導入方針のところです。これが結論部分でございますけれども、RCF及びRCFを含む製剤その他のものの製造・取り扱いを行う作業については、リスク評価における有害性の評価及びばく露評価の結果を踏まえ、RCFによる健康障害を防止するための措置を講ずる必要があるということです。

  このために、RCF及びRCFを含む製剤その他のものについて、特定化学物質障害予防規則の特定化学物質管理第二類物質と同様の措置を講ずることが必要である。また、RCFがヒトに対して発がんの可能性があることを勘案し、作業の記録の保存等が必要となる特別管理物質と同様の措置を講じることが必要であるとなされたところでございます。

 

(スライド46

  これは導入方針の続きでございますが、さらに措置内容の検討の過程において、RCFを断熱材等として用いた設備等の施工・補修・解体等の作業については、短期間の作業である場合が多い反面、作業の性質上発じんのおそれが高いため、発散抑制措置等による場の管理を基本としつつ、別途呼吸用保護具の着用を義務づけるなどのばく露防止措置、また、湿潤化等による作業場外への飛散防止措置の規制化が必要であるとされたところでございます。

  ここの部分につきましては、若干経緯を御説明いたしますと、RCFにつきましては、製造・加工を行う作業場がある一方で、それを活用した設備、つまり鉄鋼・金属工業とか、化学工業で用いられる工業炉、そこに断熱材とか耐火材として用いられている実態がございます。このような炉を現場で施工したり補修したり解体したりする場合は、RCFの製造・加工とは実態が異なるので、措置検討会で分けて検討すべきではないかということになった次第です。

  このため、措置検討の中にあります必要な措置についての様式も、製造・取り扱いのほかに加工・補修・解体の欄も設けて、検討・整理されたところでございます。

  その結果、このように施工なり補修なり解体につきましては、発じんのおそれが高いので、呼吸用保護具の着用や作業場外への飛散防止のための措置についても言及されたというところでございます。

  その他、除じん装置からの粉じん回収や床、器具、作業服等に付着した粉じんが舞い上がることによる二次発じんによる健康障害を防止するため、床の清掃や作業場外への持ち出しを防ぐための措置を講ずる必要があるとされたところでございます。

 

(スライド47

  これも先ほどと同じような図でございますが、管理第二類物質と同様の措置ということになりましたので、先ほどと同じように整理したものでございます。

  ここで色を塗ってあります管理第二類物質、これが今回のRCFに同様の措置が必要とされたものでございます。この管理第二類物質は第二類のうち、特定第二類、オーラミン等、特別有機溶剤等以外のものという整理になっておりますが、慢性障害防止措置が必要なものでございます。

  最近の改正で追加されたものとしましては、インジウム化合物とか、コバルト及びその無機化合物が該当しております。

RCFについては、有害性やばく露実態等を踏まえて、この区分と同様の措置が必要だとされたところです。

  下にありますが、発がん性を踏まえて特別管理物質と同様の措置が必要とされたところでございます。

 

(スライド48

  次の規制対象業務でございます。

  まず、規制対象業務はRCF及びRCFを含む製剤その他のものの製造・取り扱いを行う作業です。

  規制対象から除外する業務ということで書かれておりますが、バインダー等で処理されたボードや真空成形品等の発じんのおそれの低い製品を切断等加工せず取り扱う作業となっております。RCFはいろいろな形態のものがございますが、溶融して吹き飛ばすなどの製造方法で繊維化したものが一次製品ですが、これをいろいろな形態の二次製品に加工している実態がございます。例えばボードとかブロックとかブランケットとか真空成形品とかペーパーなどでございますけれども、これらのうち、ここで書いてありますとおり、バインダーで処理されたもの等で発じんのおそれの低い製品を切断等加工をせず取り扱う作業が規制対象から除外しても差し支えないとなったところでございます。

  切断等の加工を行うと、そこから発じんすることになりますので、そういった作業は対象外とはならないという整理でございます。

 

(スライド49

  次は、表示でございます。これは先ほどのナフタレンと同じでございます。

  発散抑制措置等でございます。労働者のばく露を防止するための次の措置ということで、これも製造工程の密閉化、ガス、蒸気もしくは粉じんが発散する屋内作業場での発散抑制措置ということになっております。これらが必要とされました。

RCFを断熱材等として用いる設備等の施工・補修・解体等の作業につきましては、湿潤化等作業場所以外への飛散防止措置を講ずるということが必要とされたところでございます。

 

(スライド50

  漏えい防止措置でございますが、これは不浸透性の床の整備が必要とされました。

RCFは固体でございますので、浸透するものでございませんが、再発じんの防止の観点から床を清掃のしやすいものにするという趣旨でございます。

  作業環境の改善としましては、休憩室の設置、洗浄設備の整備、清掃、こういったものが必要とされたところでございます。

  清掃につきましては、従来の管理第二類物質の規制にはなかったものですけれども、こうした発じんのおそれを踏まえて、このように規定されたところでございます。

  作業管理でございますが、これも作業主任者の選任、立入禁止措置、飲食等の禁止、適切な容器の使用、用後処理、ぼろ等の処理が必要とされたところでございます。

  また、有効な保護具、保護衣の備えつけも必要とされたところでございます。

RCFを断熱材等として用いる設備等の施工・補修・解体等の作業につきましては、呼吸用保護具の使用、保護衣の着用及びその適切な処理ということが必要とされたところでございます。

 

(スライド51

  作業環境の測定につきましては、ナフタレンと同じで、別途管理濃度について検討されます。内容的には実施と記録の保存、結果の評価と保存、結果に基づく措置が必要となりました。

  特別管理物質としての措置につきましても、先ほどと同じように発がん性を踏まえた掲示と作業記録の作成と30年間保存などが必要とされたところでございます。

  健康診断は別途検討となっているところでございます。

 

(スライド52

  ナフタレンとRCFで規制をこれから検討していくと申し上げましたが、規制導入のスケジュールの目安でございます。これは報告書の検討シートに記載している表ですけれども、一番下にありますとおり、予定が決まっているわけではなく、措置導入の準備期間の目安として整理しているものですので、御参考にしていただければと思います。

  政省令改正を行う場合、今年の6月ごろにパブリックコメントを募集しまして、一般に広く案について御意見を聞くということでございます。

  8月ごろに改正政省令を公布しまして、10月ごろには施行というスケジュールを想定しております。施行のところに一部猶予と書いてありますけれども、これは従来から資格者の確保を要する作業主任者とか設備導入など、準備を要するものについては猶予期間を設定しているところでございます。図の矢印のスタート地点に差があるというのは、そういう意味でございます。

 

(スライド53

  これは既に発した通知でございますけれども、2月12日付で当省の安全衛生部長名でお知らせした通知からの抜粋でございます。関係業界団体の皆様にお送りしておりますので、既にごらんになっている方もおられるかもしれませんが、措置検討結果の2物質、ナフタレンとRCFにつきましては、○の1つ目のところ、今、法令改正を準備しているところですが、措置検討結果を踏まえ法令改正を待たず速やかに有害性等の調査を行って、その結果に基づいた措置を講ずることによりリスクの低減に取り組むことをお願いしているところでございます。

  「初期リスク評価で高いリスクが認められた5物質」となっておりますが、今後詳細リスク評価を行いますけれども、有害性が高い物質でございますので、高いばく露が生ずる可能性があることから、詳細リスク評価の結果を待たず、速やかに有害性等の調査を行って、その結果に基づいた措置を講ずることによって、リスクの低減に取り組むこととお願いをしているところでございます。

  「初期リスク評価の結果リスクは低いものの適切な管理を行うべき4物質」は、事業場でリスクが低いことが確認されましたが、有害性の高い物質であることから、有害性等の調査を行って、その結果に基づいた措置を講ずるほか、事業者による自主的な管理を推進することとされているところでございます。

  5物質とか4物質と書いてございますが、これは18ページのスライド35に「リスク評価結果について」というフロー図があったかと思いますが、そこのところでリスク評価の結果、高いリスクが認められた5物質というものが左のところにありますエチレンクロロヒドリン、グルタルアルデヒド、タリウム及びその水溶性化合物、オルト-フェニレンジアミン、クロロメタン。これが5物質でございます。

  リスクは低いものの適切な管理を行うべき4物質と書いてありますのが、左のところのメタクリロニトリルとアルファ-メチルスチレン、2-エチルヘキサン酸と弗化ナトリウムという4物質でございます。

 

(スライド54

  これは厚労省のホームページの掲載情報ということで、御参考にしていただければと思います。上の2つがリスク評価の関係の報告書でございます。

  3つ目が、今、御説明しました措置検討会の報告書が掲載されているページでございます。より詳細な情報はこちらでごらんになっていただければと思います。

  4つ目は、健康障害防止措置の報告書をまとめた、都合7回実施しました措置検討会での検討がここのところに載っております。資料と議事録は全部ここに載っておりますので、御参考にしていただければと思います。議事録はまだ全部掲載されておりませんが、追って掲載していきたいと考えております。

  この健康障害防止措置検討会というのは、労働基準局の検討会というところに掲載されているのですけれども、その並びでリスク評価検討会、先ほどいろいろリスク評価のための検討会があると申し上げましたが、その検討会の資料と議事録も全てこの並びのところに載っておりますので、御参考にしていただければと思います。

  そこに「リスク評価に係る企画検討会」というものがございまして、それをごらんになっていただきますと、このリスクコミュニケーションの資料と議事録も載っております。

26年度はまだ12月分が掲載されておりませんが、25年度のリスクコミュニケーションにつきましては、議事録と資料が全部載っておりますので、どういうやりとりがあったかということはごらんになっていただければと思います。

  皆さんとのの質疑のやりとりもお名前は出さずに、Aさんとか、そういう形で掲載しておりますので、今回につきましても、そういう形で掲載したいと思いますので、よろしくお願いします。

  きょう、御説明した措置内容につきましては、これから政省令の案をつくっていく段階で具体的な中身を詰めていくということになりますので、まだ案が固まったわけではございません。

  ただ、全て案が整理できてからお示しして意見を聞くというより、私どもは、措置検討会の報告が出て、こういう規制措置が必要ですという結論が出た段階で、広く皆さんにもお示ししていろいろと御意見を聞くという形にしたいと思いまして、こうしたリスクコミュニケーションの場を活用しているというところでございます。

  案ができた段階で、先ほど申し上げましたとおり、またパブコメで御意見を聞くという機会もありますので、それは6月ぐらいと先ほど資料にありましたが、その段階でもまたよろしくお願いしたいと思います。

  御説明は以上です。

  わかりにくかった部分もあるかもしれませんが、後半の質疑を活用いただければと思います。

  御清聴ありがとうございました。

 

○司会者(森田) 角田室長、御講演ありがとうございました。

  それでは、ここで休憩時間とさせていただきます。後半の意見交換会は5分ほど早く進んでおりますので、予定より5分早く、1455分までのお休み時間とさせていただきます。

  お手元のピンク色のアンケート用紙に御質問をお書きいただきまして、できましたら、1445分ぐらいまでに会場におります事務局にお渡しいただけましたらと思います。

  お書き終わりになりましたら、挙手で私どもにお知らせくださいませ。お声かけのほど、どうぞよろしくお願いいたします。

 

(  休 憩  )

 

○司会者(森田) それでは、お時間となりましたので、後半の意見交換会を始めさせていただきます。

  コーディネーターは、先ほど御紹介させていただきました長崎大学広報戦略本部准教授の堀口逸子先生にお願いしております。

  また、パネリストに基調講演を行っていただきました宮川先生、角田室長、また厚生労働省から岸室長補佐に御出席をいただいております。

  予定では16時ごろまであらかじめ会場からいただきました御質問につきまして、先生から御回答いただきたいとも思います。

  それでは、堀口先生、どうぞよろしくお願いいたします。

○堀口 皆さん、こんにちは。

  たくさんの質問をいただきましたので、順を追って御紹介し、後半ではフロアのほうから御質問や御意見などを忌憚なくいただきたいと思います。

  最初に、今回リスク評価対象物質としてナフタレンとRCFが選択されましたが、多くの化学物質の中から選択されたいきさつを教えていください。

○角田 ナフタレンとリフラクトリーセラミックファイバーにつきましては、それぞれ(IARCの)発がん分類で2B以上ということがございましたので、そういったことを踏まえて、選定がなされております。

  最初は先生の御説明にもありましたとおり、ばく露作業報告をお願いしますということで、告示をいたしまして、その結果、取り扱っている事業者の方々からその作業報告が上がってきて、それを踏まえて対象事業所を絞り込んでばく露実態調査をしまして、そのデータを踏まえてリスク評価をしたという流れになっております。

○堀口 また、わからなければ追ってということで。

  ナフタレンに関する質問がたくさん寄せられていますので、ナフタレンのほうから進めていきたいと思います。

  ナフタレンは、労働安全衛生法57条第2項により、0.1%以上含有で通知となっています。その範囲に変更はありますか。

○角田 今のところ、その通知についての数値を変更するということは考えてございません。

○堀口 特化則に該当するときに範囲がどうなっていますか。

○角田 含有率の裾切りのことかと思いますけれども、それもこれから法令を決めていく段階で検討するということになろうかと思います。通常、御存じかと思いますが、特化物の場合は大体1%を裾切りにしておりますけれども、そのとおりになるのかも含めて、これからの検討事項でございます。

○堀口 ラベル等への表示の範囲はどうなるのですか。

○角田 ラベルの裾切り値が別途決まっておりますけれども、表示対象になるかどうかということですね。これについても、今回新たに決めるということになりますので、これからの検討ということになろうかと思います。

○堀口 ナフタレンを含んでいるが、特化則の規制対象から除外される業務で使用されるものについては、SDSによる通知のみでラベルへの表示や特化則に伴う業務(作業主任者の選定、環境測定、作業記録エトセトラ)は行わなくてもよいのでしょうか。

○角田 先ほど御説明しましたナフタレンにつきましても、一部適用除外業務がございますが、基本的には製造・取り扱いの業務に規制措置が必要という結論になりましたので、それについては規制措置がかかってくると御理解いただければと思います。

○堀口 ナフタレンの規制対象除外について、塗料の製造工程は常温のため、ナフタレンを含む溶剤を使用しても規制対象外と思います。しかし、焼きつけを必要とする塗料の場合、塗装した板も密閉式の乾燥炉に入れ、加熱します(80200℃程度)。このような作業は規制の対象となるのでしょうか。

○岸 ナフタレンの場合の適用除外は溶剤に溶けた状態のナフタレンを常温で取り扱う作業ということでございまして、加熱する業務で常温での取り扱いにならないものについては、適用除外には当たらないと考えております。

○堀口 除外についての御質問がいろいろありまして、ナフタレンについて、除外される業務について、以下は該当しますか。芳香族系混合溶剤の一成分として含まれている。1、塗料の溶剤として使用しているが、分散工程から出るときには、4050℃となって、半密閉式タンクに入る。除外される業務になりますか。

○岸 「常温で取り扱う」の範囲につきましては、これから検討することになっておりますので、40℃、50℃あたりがこれに入るかどうかについても検討したいと思います。

○堀口 2で、塗料の粘度を下げるため、溶剤で希釈するのではなく、塗料自体を加温して(3050℃)、スプレー塗装するケースはどうでしょうか。

○岸 これも先ほどと同じような考えで、常温の範囲を検討していきたいと思っております。

○堀口 3番目として、溶剤に溶けた状態のナフタレンの含有量が何%未満なら規制の対象外となるのでしょうか。

○岸 先ほど室長のほうから回答がありましたとおり、特化物上の裾切り値については、これから決めていきたいと考えております。

○堀口 その常温のお話がいろいろありまして、反応容器中で重合反応終了後に溶剤に溶けた状態のナフタレンで希釈する場合、液温は40℃程度です。この場合、特化則に該当しますか。

○岸 これも先ほどとも同じ考えで、これから常温についての範囲を決めたいと思っております。

○堀口 皆さんから状況を書いていただいていることがいいことなのではないかと思っているのですが、常温の話で、80100℃になる樹脂製造時、密封状態でナフタレンを含有している高沸点炭化水素系溶剤を加える作業は対象外と考えて問題ないでしょうか。場合によってはばく露作業測定が必要でしょうか。

○岸 80℃ですか。

○堀口 80℃から100℃になる。

○岸 常温についてはこれから決めますけれども、80℃ぐらいになると厳しいかなという感じはしますが、どちらにしましてもこれから決めたいと思います。

○堀口 21ページの40番目のスライドの規制対象から除外する業務の「溶剤に溶けた状態のナフタレンを常温で」と書いてある「常温」とは何℃を指しますかという御質問があって、ここにも例えばナフタレンの入った塗料を塗装後、乾燥炉で80150℃で乾燥させる場合にこの業務に入るか入らないのかというお話が書いてあります。

○岸 これも同じ考えですけれども、通常乾燥業務というのは、ガス炉とか電気炉に入れて焼きつけとかをするわけでしょうから、なかなかこれを常温というのは厳しいのかとは思いますけれども、どちらにしても常温という範囲はこれから決めたいと思っております。

○A氏 塗料会社のものです。

  ここで1つ質問したいのですが、乾燥という場合、通常でしたら密閉されたところで乾燥させたり、あるいは先ほど言ったようにトンネルみたいな乾燥炉であれば当然人が入らない状態で、外に排出される状態になりますので、通常はそういった条件であれば問題ないと考えていいのですか。

○岸 労働者の取り扱いがあるかどうかというところが、そのあたりの1つの判断要素になるかと思いますので、労働者がそこに入らないということであれば、取り扱い作業はないと考えます。

○A氏 そう判断してもよろしいのですか。

○岸 考えてよろしいのではないかと思います。

○A氏 通常、乾燥炉というのはそういう形がほとんどなので、そういう条件であれば不要と。

○岸 例えば乾燥の状態を見るために窓をあけて見ているとか、そういう ばく露のおそれがある作業がなければ、取り扱い業務はないと考えていいと思います。

○A氏 ありがとうございます。

○堀口 炭化水素系溶剤の不純物として含有されるナフタレンに関して、製剤である塗料の屋外塗装に除外規定が適用されますか。1常温の定義が夏季の屋外作業(5070℃想定)に適用されますか。

○岸 まず、ナフタレンにつきましては、有機溶剤等とは違いまして、屋内、屋外という部分での仕切りはないと考えておりますので、屋外であっても取り扱いにはなると思います。

  あと、常温については、これまでどおりのお話で、季節による温度変化も当然あるかと思います。冬と夏とでは全然影響が違うと思いますので、そのあたりも含めて考えていきたいと思います。

○堀口 開放された作業場に措置が必要でしょうか。

○岸 これも先ほどの屋外と通じるところがあるかと思いますけれども、基本的に屋内屋外という仕切りはないと考えておりますので、そのような考えでお願いいたします。

○堀口塗装された物品を焼きつけ乾燥する乾燥炉は、排気処理がされていれば措置済みと考えてよいでしょうか。

○岸 排気で排ガス処理をされているということだと思いますけれども、先ほどの御質問にあったように、人による取り扱いがあるかどうかということが1つの判断要素になるかと思います。

○堀口 ナフタレンが含有される製剤のナフタレン濃度が非常に低い場合のばく露防止措置も高濃度のナフタレンを取り扱う際の防止措置が必要になりますか。製剤の区分、閾値の設定と書いてあります。

○岸 裾切り値の話かと思いますけれども、裾切り値はこれから決めていきますので、それ以上のものについては、例えばもし1%と決まった場合には、2%であっても90%であっても、講ずる措置は同じと考えていただいていいと思います。

○堀口 常温とかの定義はないのでしょうか。少量、数回/月で数値化はできないでしょうかという御質問です。

○岸 常温の定義についてはこれから検討するということと、頻度については、健診とか測定などでは常時性の話が出てくるかと思いますけれども、常時性は頻度だけではなくて、反復継続して行われているかどうかというところの判断もありますので、その辺も含めて措置が必要かどうかということをお考えいただければと思います。

○堀口 ナフタレンにおいて、液状ナフタレン、溶剤に溶けた状態のナフタレンを常温で取り扱う作業は、健康障害防止措置の規制対象業務外との御説明のため、溶剤に溶けた状態のナフタレンを含有する物質は、規制対象外と考えてよいのでしょうか。

○角田 その場合も、先ほど説明しましたとおり常温で取り扱う場合は規制対象外と理解していただければと思います。

○堀口 あと、ナフタレンのばく露濃度の測定は中災防や労基へ依頼は可能でしょうか。

○岸 民間の依頼は中災防でもやっていると聞いておりますので、もし自分のところでばく露濃度測定を実際にやってみたいということでしたら、中央労働災害防止協会のほうに問い合わせていただければと思います。

○堀口 防虫剤を製造する職場では、今後どのようなことに留意するのか、事前対応しておくことを教えてくださいと書いてあります。

○岸 防虫剤の製造ということになりますと、防虫剤は固体のナフタレン、純度の高いナフタレンということになりますので、昇華などによりかなりガスが発散しますので、特にばく露防止、局排ができましたら局排でしょうし、それができなければマスクなどの着用や経皮吸収などもあるということでしたので、手袋や保護衣など、あとは眼鏡とか、そういう体全体からのばく露を防ぐ措置を行っていただきたいということです。

○堀口 ナフタレン、RCFともに特別管理物質として扱う。発がん率があるのですかという御質問です。

○角田 これは先ほど宮川先生のお話にもありましたが、発がん性、IARC2B以上ということでありますので、そうしたことを踏まえて、今回リスク評価を行って、措置検討まで至ったというところでございます。

○堀口 2Bだと思います。

  先生。

○宮川 質問の趣旨が、「発がん率はあるか」ということが、一定の量のばく露でもってどの程度が発がんするかという発がん性の強さ、ユニットリスクなどに代表されるかもしれませんけれども、そのような定量的な発がん性の強さでもって規制しているという規則にはなっていないですね。

  ですから、特定の発がん率があるかないかということで決めているというわけではないと思います。

○堀口 発がん性ですね。率ではなく。

RCFについて、ボードとありますが、これは成形品であり、化学物質として取り扱うのでしょうか。

○角田 成形品でありましても、化学物質として当然対象になり得るものでございます。

○堀口 2月6日の報告書の参考2-2のリフラクトリーセラミックファイバーの健康障害防止措置の検討シート、3健康障害防止措置の「○、×、-」の意味を教えてください。特に「-」は適用外の意味でしょうか」。

○角田 「×」については、対象外であるという意味でございます。「-」については、対象外というより、そもそもその業務についてその措置が想定されないようなものについて「-」で整理をしているという考え方でございます。現行の管理第二類のところで、飛散防止措置とか湿潤化みたいなことが「-」になっておりますけれども、その部分は今回のリフラクトリーセラミックファイバーの業務実態を踏まえての項目でございますので、そこは該当しないという意味で「-」にしていると御理解いただければと思います。

○堀口 RCFの規制値について、素人にも根拠をわかりやすく説明できるような資料があるとありがたい。0.2f/cm3 については、納得しない人がいますということです。

○宮川 ACGIHの説明がいまひとつよくわからないのは確かだと思います。ただ、一応お決まりの手順として、二次評価値はACGIHもしくは産衛の許容濃度がある場合にはそれを使うということで選ばれたと思います。

  ただ、中身を考えますと、有害性評価書に別添1及び別添2というものがついております。別添1のところでまとめられている毒性の中で、評価値の決定に使われていないのですけれども、反復投与による毒性ということで、肺や気管支、呼吸器に病理学的な変化を出す濃度というところから、NOAEL、最も少ない量でどのくらいのところから影響が出てくるかという動物実験のデータを使って、それにばく露条件を労働条件と同じように補整し、なおかつ動物と人間の種差で10倍の安全係数を見込み、さらにLOAELからNOAEL、影響が認められたところから影響がないところを推定するための10倍の安全係数、あわせて100倍の安全件数を見込んで計算すると、ちょうど0.2fという数字が出てきます。

  発がんに関しては、この物質は閾値があるという考え方なのですけれども、仮に閾値がないとして、WHOが決定したユニットリスクから計算すると10-4 という通常閾値がない場合のリスク評価事業での一次評価値の計算手法を適用すると、0.1fという数値が出てきます。

  そのあたりを考えますと、0.2fというのはそれなりに、例えば私に許容濃度を考えてくださいと言われたときには、そのような数値を考えて、0.2fぐらいかなということが頭に浮かぶ数値ではありますので、私としては許容濃度にするのに納得できない数字ではないかと思います。

  ただ、同じ有害性評価書のところでまとめられておりますけれども、閾値があるとして動物実験から評価レベルを計算すると、この場合は0.9fという値になって、4倍程度大きな値が出てくる。大体0.1f~1fの間ぐらいのところを選ぶことになるのかと思います。

  さらに、国の有害性評価書をつくるもとになった、検討会でもって使用した、別添2の31ページに、いろいろな国のリフラクトリーセラミックファイバーのばく露限界値というものが書いてあります。オーストラリア、オーストリア、カナダ、ベルギー、デンマーク、フランス、ドイツ、オランダ、ニュージーランド、ノルウェー、ポーランド、スウェーデン、英国、NIOSHというものがあって、そこを見ますと、0.1f0.5f、場合によっては1.0fという数値がありますので、0.1f~1fの間、10倍の開きがありますけれども、この範囲は使用したデータによって妥当な範囲なのかと、現状ではそのように考えております。

  私の個人的な考え方ですけれども、私がこの数値に納得するかどうかと言われると、その辺を見ますと諸外国の状況とか動物実験のデータからそれほど不自然な値ではないように私は思っております。

○堀口 そういうことを質問した人が全部説明が難しいので、わかりやすいパンフレットが欲しいと言われていると思います。

  私も別に化学物質は専門ではないのですけれども、ばく露量が多くて、0.2を上回る人たちが多かったという14ページのグラフ、0.2で切ったときのものを見ると、多くの人に納得していただかないと企業の人たちは困るのだろうと思いますので、厚生労働省のほうからわかりやすい、説明しやすい何かを報告書の資料としてでも挙げていただけると、企業の方は従業員に説明をするときに、少し苦労が軽減されるのではないかと思いますが、私が言っていることは間違えていないですね。

  うんってみんな言っているので、室長、よろしくお願いします。よろしいですか。

○角田 そこはきょうの御説明資料は抜粋の部分なので、ごらんになって十分わかりにくい部分もあるかと思います。

  今、宮川先生が御説明になった有害性評価書なりは先ほど資料のところにいろいろとホームページのURLが載っておりますので、そこのところを御確認いただいて、まずは見ていただいて、その上で何かあれば、私どものほうに御連絡なりしていただければと思います。

○堀口 皆さん、パブリックコメントでそういう資料が欲しいとたくさん書いてください。よろしくお願いします。

  先生、ほかにつけ加えることはありますか。大丈夫ですか。

  ナフタレンとRCFともに健康診断について別途検討中となっておりますが、過去に取り扱いがあった作業者に関しても、健康診断の対象となるのでしょうか。

○岸 基本的にはこれから検討ということで、健康診断の検討会はたしか今週末に厚生労働省で検討されますので、そのときに現在作業している人にはどのような健診項目、過去に作業している人についてはどのような健康診断をするべきかを検討する会議となっておりますので、その結果を御確認いただくか、傍聴もできますので、そういうところに出ていただくということがあると思います。

○堀口 その検討会の議事録がこういうところに載っているという御説明があったと思うのですけれども、スケジュールも公表されていますかという御質問です。今後のスケジュールとか。

○角田 会議の資料なり議事録が表形式で載っているところに、開催予定もあわせて載るような形になっておりますので、労働基準局の検討会のホームページをごらんになっていただいて、化学物質のリスク評価関係の検討会のところを開いていただくと、そういったことも確認できます。

○堀口 ほかにもたくさんいただいているので、これまでアスベストや鉱物性粉じんなどは結晶性シリカが肺の細胞に刺さって発がんリスクが高まるとの理解をしています。このたび、RCFのごとくアルミナとシリカを主成分とした非晶質系の繊維もリスクが高まるとのことでしたが、ほかにも懸念される製品がもしかするとかなりあるかもと心配です。その辺のサーチ状況について御説明くださいということです。

○宮川 公表されている資料でいいますと、リスク評価書の別添2のほうに有害性評価書というものがありまして、これはリスク評価に当たって有害性をチェックするときのもとになった書類です。

  現物は今、お手元にないかもしれませんけれども、その中の22ページの表を見ていただくと、繊維の溶解性、滞留性と肺毒性という一覧がありまして、長期吸入試験でもって肺に腫瘍を起こしたり線維化を起こすものにどういうものがあるか。一番てっぺんの載っているのが御承知の石綿の一種でありますアモサイトです。クロシドライトというものが載っています。

  それ以下、何種類かのグラスファイバーのたぐい、人造繊維状のものの表がありまして、そういうところを見ますと、基本的にはこの質問にもありますように、ある程度の細長い形で溶けずに長いこと滞留したものについては、今、申し上げたような石綿に準じたような形の毒性があってもおかしくないのではないかと、こういう表を見ると思うわけですけれども、では、個別の製品でどれとどれに毒性があるのかというと、物によって相当違うようですので、難しいかもしれませんが、1つのチェックポイントは溶けるかどうか、どのくらい肺に残るかどうか。もしそういうデータがあるのであれば、その辺をチェックして、22ページにあるような表と見比べて、毒性がわからないものについても、そういうデータがあるときには、有害性マイナスというほうに入るか、プラスというほうにあるのかという推測をする手がかりにはなると思っております。

○堀口 リスク評価を行った結果、ナフタレンとRCFは現状では特化則の対象物質となる可能性が高いのでしょうか。

○角田 そういうことでございます。

○堀口 あと、作業記録についての御質問がありました。製品によっては、SDS指定物質に当たらない旨、うたい文句としているものがある。溶剤製造業者にさらに指導をお願いしたいと書いてありつつ、30年間データ保存をすることとなっていますが、企業、特に中小企業零細企業はその期間継続できるか、その保存方法は紙では保存できないと書いてあるのです。

○角田 保存形態は別に紙でなくても電子媒体で保存することも可能ですので、そこは対応できるかと思います。

  長期にわたりということについては、そこは発がんという遅発性の健康障害が生ずるおそれがある物質でございますので、30年ということで保存しておくということが重要だと考えております。

○宮川 前半のSDS指定物質に当たらない旨をうたい文句にしているというのが、ある種非常に困ったことで、SDS、つまり640についてはSDSがあるはずです。あるということは、探していくと、それなりに許容濃度等このぐらいまでなら大丈夫かなという値が書いてある場合が多いわけです。

  そうではない、6万もあるいろいろな化学物質については何もわかっていないものがあるので、わかっていないものは安全なのでなくて、もしかするとすごい毒かもしれないし、毒でないかもしれない。わかっていない。わかっていないものを使うよりは、ここ以下であれば安全ですよということがわかっている物質を基準になる数字より低い濃度とか、ばく露がないようにして使用することが安全につながるのではないかと思います。こういう説明(SDS指定物に該当しない)をされたときには、きちんと指導していただく、行政のほうからも対応していただく必要があると思いますし、「売るほうとしてもその辺を気をつけてくださいね」ということを買う側から言うということも重要かもしれないと思います。

○角田 今の先生の御説明のとおりなのですが、要は規制されていないから大丈夫だということは全然該当しませんで、規制されていないからといって、それがイコール安全ということは必ずしも言えない。

  したがって、代替品を御意見等される場合でも、有害性情報については十分に御検討していただく必要があるということをお願いしたいと思います。

○堀口 今後、有害物ばく露作業報告の対象外の物質が規制対象になる予定があるのか教えてほしい。

○角田 御趣旨がわからない部分を想像して申し上げますと、要するにばく露作業報告をしないで規制するといいますのは、例えば去年の11月に施行になりましたジクロロメタン等の有機溶剤10物質のように、ばく露作業報告、 ばく露実態調査、それを踏まえたリスク評価を実施していないというものが今後出るかという趣旨という前提でお答えしますけれども、昨年の有機溶剤10物質につきましては、まだばく露実態調査を実施していなかったということもあって、現場の測定の結果や生物的な代謝物のデータを踏まえて検討会の中でこれはばく露のおそれがあると判定されましたので、それを踏まえて規制をしたということでございます。

  御質問に戻りまして、今後ばく露実態調査をしないで規制するものが出てくるのかということなのですが、今の段階ではこういうものを予定しているということはございません。ただ、いろいろと健康障害の発生状況とか、ばく露の状況とか、そういうことを踏まえて、緊急に対応が必要になってくるものが出てくれば、その都度そういったことも検討していくことになるのかと思います。

○堀口 今後の予定の動向として、GHS区分1の全物質がリスク評価を受ける可能性が高いのでしょうか。

○角田 今のところ全部ということでは考えておりません。ただ、GHSの分類もいろいろと有害性の動物実験のデータ、疫学データを踏まえていますので、当然そういうことも考慮しながらリスク評価を進めていくということになると思います。

  例えば私どもがリスク評価の企画検討会ということで先生方にリスク評価対象物質を毎年7月ごろ選んでいただいているのですけれども、その中でも生殖毒性とか、神経毒性とか、そういったものについて、GHS区分1の中から候補を選んで御審議いただくという形で検討しています。

○堀口 検討会に先生も私も入っていますが、リスク評価というのはものすごくお金がかかるので、1年間に100200もできないのです。リスクの評価のスピード感は一般的に考えると遅いような印象ではあります。

  なので、途中で何か障害がわかれば、もちろん早急に始めないといけないというのが現状かと思います。

  同じような質問が2つあったのですけれども、初期リスク評価の結果、リスクが低いとされた物質の事業者による自主的な管理とは、具体的にどのようなことなのでしょうか。リスク評価結果後リスクの低いものは事業者による自主的な管理を推進するとされておりますが、その際の管理基準はどこを目指せばよいのでしょうかという御質問です。

○岸 基本的には、二次評価値を参考にしていただければと思います。事業所によっては使い方がそれぞれ違いますので、自分の事業所ではどういう取り扱いをしているのか、労働者がどのぐらいばく露しているのかということを本当は実測すればいいのでしょうけれども、それが無理であれば、今、そういうことを推定するばく露推定モデルとか、あとはコントロール・バンディング、いろいろな手法がありますので、そういうかたちで有害性の調査をしていただくということで、それで高ければばく露防止の措置を講じていただくということで、対応していただければと思います。

 

○堀口 全体の話があるのですけれども、ハザードベースの規制からリスクベースの規制となる中で、今後も厚生労働省がかかわる形でのリスク判定、規制化へと進むと考えてよろしいでしょうか。例えばGHS分類結果から即規制するという方向性へ変更するとのお考えはないと思っていいですね。

○角田 それはそのとおりでございます。GHSですと、要するにハザードベースだけになりますので、そこでいきなり法令による規制をかけるということにはなりませんで、先ほどの先生の御説明のとおり、リスク評価は実際の有害性と現場でのばく露実態と両方あわせてやっていくということになりますので、その2つをあわせて規制をしていくということが現段階では基本と考えております。

○堀口 あと、御要望で、物質規制だけでなく、代替物の提示及びそのリスク評価についても同時に検討いただきたい。

  宮川先生、何かコメントはありますか。

○宮川 いや、代替物は。

○角田 代替物の提示というお話につきましては、現場で皆さん御承知のとおり、使用実態や、工程がかなり違いますので、例えばある物質の代替物がこれでありますよという言い方はなかなかできないと思います。

  そういうこともありますので、そこは実際に使っていらっしゃる事業者の皆様が、御自身のところで活用し得るものとして、先ほど申し上げましたような有害性も十分に確認の上、代替物を検討していただくということではないかと思います。

○宮川 追加しますと、例えば一定の業界で同じような物質を使っていたのが、規制が厳しくなって、ほかの代替物を探すというときに、その業界を通じてリスク評価の候補物質を、企画検討会でパブコメを募集していますから、その代替の候補となるようなこういう物質をリスク評価してもらいたいというパブリックコメントを出していただくと、場合によっては、なるほど相当数使用される可能性があるのであればと、対象になる可能性がないわけではないのかという気はしております。パブリックコメントを取り上げるかどうかは検討会での議論あるいは方針に従って判断されるものとは思いますけれども。

○堀口 ありがとうございます。

  総称名(例えばタリウム及びその水溶性化合物)とするための判断基準はどこにあるでしょうか。例えばタリウム及び水溶性化合物では以下の4物質、元素状タリウム、硫酸タリウム、硝酸タリウム、弗化タリウムが評価されているようですが、個別の規制対象ではなく、あえて総称するに足る基準を満たしているのでしょうか。総称とする基準(もしくは文書のありか)を御教示ください。

○宮川 有害性を評価する、あるいはGHSの分類を考えるときになかなか難しいのは、どの範囲のものまで入るか。全ての物質についてデータがあれば、それぞれの化合物ごとに判断できるわけですけれども、そうではない場合があります。

  例えば鉛の化合物だったら、通常は生殖毒性があるとか神経毒性があると判断できるわけです。化合物に溶けないものと溶けるものがあるような場合には、なかなか難しいこともあるかもしれませんが、ある金属のイオンが毒性を示すのだということがある程度メカニズムでわかっているのであれば、同じように溶ける水溶性の金属の化合物は同じような毒性があってもおかしくない。ある程度合理的に推量できることがあって、直接規制のことはわかりませんけれども、毒性を考える場合には、そのように考えると、この金属の化合物はほとんど有害性があると思えるというときに、何々及びその化合物という言い方をする場合はよくありますし、産業衛生学会の許容濃度の表もそういう書き方をしています。

  ただ、溶ける物質を対象に分類してしまった後に、溶けないものでは毒性が全然出ないということがわかるものもあり得るので、その辺は難しいところだと思いますけれども、そこを行政がどこまで取り入れてどのように指示するかについては、私は細かいことはわかりません。

○角田 今、先生の御説明にもありましたけれども、要するに有害性がどこに起因するのかということがはっきりしてくれば、それによって化合物として規制してくる範囲も基本的に決まってくると考えております。

  行政の立場ということで申し上げれば、それは有害性がきちんと確認できている範囲で規制するということが筋だと考えておりますので、今の先生のお話のように、金属イオンに起因した有害性が出てくるということが確認できれば、それについてはそういったものを含むものについて、規制を検討していくということになるかと思います。

  そこはこれから実際に検討していく過程で、そういう有害性の範囲も含めて検討していくということになるかと思います。

○堀口 リスクある物質について今後もふえていくのでしょうか。ある程度前もって早い段階で打ち出してほしい(情報は早く)。対象物質を含有する製品を取り扱われるユーザーなどの指導面、地方労基と温度差がある点を改善してほしいと書いてあります。

○角田 きょうの宮川先生の御説明資料に選定の流れというフロー図があったかと思うのですが、5ページのスライド8になりますが、このように対象化学物質を選定する検討会を大体7月ぐらいにやっております。企画検討会ですけれども、その化学物質のリスク評価に係る企画検討会という場で7月にリスク評価の対象物質を検討して決定いたします。

  これは傍聴もできますし、皆さんで資料をごらんになっていただければ、何がリスク評価のレールに乗っかったのかということがわかるわけですね。12月にここにありますとおり、その物質について告示で示し、事業者の皆さんに一定量、年間500キロ以上の取り扱いがある方々は報告を出してくださいとお願いするわけです。12月にお願いして、その次の1月から12月の歴年の1年分のデータを出していただくということになります。それが報告されるのが翌々年の1月から3月になりますので、それで報告が出てくればてばく露実態調査に入っていくということでございます。

  ばく露実態調査を1年かけてやりますと、その結果を踏まえて初期評価をまとめますので、初期評価報告書がリスク評価結果の報告として公表されますので、その時点でもまたごらんになれます。

  そこで、リスクが高いとなりましたら、もう一年かけて詳細リスク評価をやりますので、その詳細リスク評価がリスク評価の最終的な結論になるということです。その段階でもまた公表します。

  それでリスクが高いということになりますと、措置検討がなされまして、今日、説明した措置検討会の報告が出る。それもまた公表されるので、物質選定の段階、告示の段階、初期評価の段階、詳細評価の段階、措置検討の段階と順を追って検討が進むにつれて、随時公表されていますので、そういったところを注意してごらんになっていただけると、事前に情報を入手できると思います。

○堀口 7月の検討会にいつも先生と一緒に出ておりますが、たくさんの物質が資料として上がってきています。なので、まずその資料をごらんになれば、どういう物質が上がってきて、議事録を見ていただければ、どういう議論がされて、物質が少ないですけれども、決まったかということが皆さんにわかるかと思います。

  このリスク、労働衛生上の化学物質のリスク評価制度は、平成18年とか21年とかから始まっていますので、まだ、10年もたったというのか、10年しかたっていないというのかわからないのですけれども、10年で何物質今までやってきたかということを皆さんに考えていただければ、今の日本の中でのペースがおわかりになっていただけるのではないかと思います。

  皆さんが扱っている物質が必ずしもその中に載っていないかも、候補として上がっていないかもしれませんので、資料の御確認をしていただければと思います。

  細かい話もありつつ、ばく露実態調査とばく露評価、リスク評価、防止対策の決定となれば、それが実作業にどのくらい影響が出るのかが作業者に説明できない。説明できるような資料、数値はあるでしょうか。

○角田 ばく露作業報告をお願いするときは、かなり詳細なパンフレットでこういう様式に記入していただくのですよということをホームページに掲載しているのですけれども、ばく露実態調査につきましては、個別事業場に調査に入るということもありまして、このくらいの業務量になりますということは、公開はしておりません。

  ただ、例えばナフタレンとリフラクトリーセラミックファイバー、の去年の7月25日に公開したリスク評価報告書の中に、ばく露の実態調査の結果がかなり詳細に書かれております。どういう業務について、何人の方を調べ、結果的に何人の方がどのくらい評価値を超えたとか、そういったことが書かれておりますので、御参考にしていただければ、どのぐらいの業務になるのかということはわかるかと思います。

○堀口 640物質はSDSに安衛法が適用と記述されているもの全てでしょうか。きょうの説明以外の初歩的なことを済みませんという質問が来ました。

○岸 特別規則の対象になっているものについては、SDSの対象物質です。ただ、がん原性物質、つまり動物に対する発がん性があるもので、がん原性指針で示しているもののその中にはSDSの対象でないものも一部ございます。

○堀口 御要望で法57条の2、通知物質のリストにCAS番号をつけてほしい。法律の確認、管理のため。

○角田 政令別表第9になるのですけれども、通知物質にCAS番号がはついていないという実態はございます。経緯を全て承知しているわけではありませんけれども、今の別表9の整理の仕方は、必ずしも1対1でCAS番号に対応しているというわけでもないので、そこの部分から難しい部分もあるのかと考えております。

○堀口 あと、欧州におけるREACH規制との連携を行い、早目に化学物質管理を進められないでしょうか。

○角田 欧州に限らず、リスク評価を進めていくに当たりましては、海外の情報も踏まえて実施をしているところでございます。例えばIARCですと、2B以上のものは発がんの可能性があるというものでございますので、そういったものは順次リスク評価の対象にしております。また、新たにそういう分類に入ってくるものも含めて海外の情報も入れながら、リスク評価を推進しております。

○堀口 今後の予定として挙げられている多くの物質の今後の予定としてはどのように進めていくのでしょうかという問いがありましたが、それは今までの御質問の回答で大丈夫でしょうかね。

  あと、御意見などとして、明快にまとめられた資料がわかりやすかった。2つの物質の詳細リスク評価の説明は、高度な内容につき理解しづらかった。検討会の途中の内容を公表するというのは大変よいことだと思います。特定化学物質を使用の場合、今より安全性の高い物質に切りかえを行うときは、現状の商品より品質が同じまたは高品質でないと意味がない。そのために、化学物質の切りかえが困難な場合が多いです。同時に、コスト面での対応もありますという御意見をいただいています。

  あと、中小企業にとっては大きな負担になっています。公的機関での検討も行われていますが、理想と現実に差があり過ぎるので考慮いただきたいという御意見もいただきました。

  一応、いただいた御質問、御意見を全部読み上げたつもりですが、残りの時間、今までの質疑応答を含め、加えて質問なり御意見をいただければと思います。

  何か御質問、御意見ありませんか。挙手をお願いします。

  どうぞ。

○B氏 リスクの判定のところで、一次評価値のところなのですが、発がん性を考慮してという文言で書いておられて、万一触ってばく露してということで、1万人に1人の割合でがんを発生するであろうと推測されると書いてあるのですけれども、実際にはこれはしてもしなくても同じような値のような気がするのです。結局1万人に1人ということは、日本の人口であれば1万人ぐらい、それぐらいだったら大体がんで亡くなっている人の数に近いと思うのです。

○宮川  1万人に1人というのは、過剰発がん率ですので、1億人日本にいて、もしこの物質をみんながそのようにばく露していたら、1万人それが原因でがんになり、死ぬ人がふえますよという数字です。それをどう見るかというのは、サイエンスというよりは社会の見方だと思うのです。

  実際のところは、許容濃度を決めるようなときには、若干それよりも緩い値で決まっている場合が多いと思いますが、一次評価値に関しては学会が決める許容濃度でもなければ、直接規制に結びつく二次評価値でもない。初期リスク評価をしてスクリーニングをするという意味で、若干安全面も見越した上でやるときには、やはり10-4 でスクリーニングをするのがいいのではないかという数字です。

  これが100人に1人、その物質でがんになってもいいのだととすると、同期で100人ある会社に入って、その化学物質を使って40年間働いていると、100人のうち1人はそれで死ぬ、働くというのはそういうことだということであれば、そういう見方もあるかもしれませんし、やはり100人に1人は高いでしょう。1,000人に1人、1万人に1人。使っている物質は1つではない。生涯仕事をしていると10ぐらいの物質にはばく露するかもしれない。そのようなことを総合して考えると、少なくとも初期のスクリーニングとしての評価をするときには、この10-4 というのは妥当な数値かという気がしておりますし、学会などの評価レベル、このぐらいのばく露でもってこのぐらいの方が過剰に発がんしますというものにも、10-4 という値を使ったりしますので、スクリーニングとして厳し過ぎる値ではないような気が個人的にはしております。

  これは社会全体がそれをどう受けとめるかという判断だと思いますので、例えば大気汚染物質でもって1万人に1人だったら、日本人がそれでもって1万人余計にがんになるのかという話になって、これは高過ぎるのではないかということになるので、大気汚染の場合はもう一桁ぐらい低い10万分の1だとか、場合によっては100万分の1、10-5 10-6 という値が使われたりします。

  そのあたりについては、なかなか世の中にコンセンサスを得るのが難しいのですけれども、最近、ブルーバックスのシリーズで「基準値のからくり」という本がでました。安全のための化学物質のばく露の基準はどうやって決められているのかということを一般的に解説した本があります。

  そこに書いてある内容を見ていただくと、労働環境で1万分の1というのは、それほど厳し過ぎるものではない。特にいきなり規制ではなくて、スクリーニングをするときには適切な値ではないかという気が私はします。

○角田 若干補足いたしますと、10-4 レベルということについては、平成17年にこのリスク評価がスタートする前の年でございますけれども、発がん性について閾値がない場合に、当該物質のばく露による生涯の発がんの発生確率の増加分がどの程度であれば許容できるのかという水準を学識経験者の御意見も踏まえて、10-4 と設定しております。現在、発がんについて閾値がある場合は、その閾値水準から算定した値を一次評価値として設定し、閾値がない場合は10-4 という形で考えてきておりまして、ばく露評価のガイドラインや、リスク評価の手法というルールがあるのですけれども、それらについても10-4 レベルということで整理しているというところでございます。

  具体的にルール上どのように整理されているかというのは、リスク評価報告書、先ほど7月25日の報告を申し上げましたけれども、そこの中にリスク評価の手法やばく露評価ガイドラインが添付されているか、あるいはURLが載っていて、ごらんになれるようになっていますので、そこも御参考にしていただければと思います。

○堀口 ほかにありませんか。

  どうぞ。

○C氏 規制の導入に当たりましては、準備を要するものに対しては経過措置が設けられていることもあるかと思うのですけれども、実際のところ経過措置というのはかなり短い期間であります。有害なものを規制する必要があるということは理解するのですが、産業へのインパクト等を考慮して、少し経過措置を長目にとってもらうような配慮をしていただけないでしょうかというお願いです。

○角田 経過措置につきましては、先ほどのスケジュールの表がございまして、1年間ずれているものがあるところでございます。

  従来の規制措置の考え方は先ほど申し上げましたとおり、例えば作業主任者ですと資格のある方を確保しなければならないということで、これはすぐにはできないということ。あと、新たに設備を入れなくてはならないということになると、それは当然時間もかかりますということで、そういったものについては従来から猶与期間を設定してきた。それについては大体1年くらいを想定して導入を猶予するという措置になっていたところでございます。

  今回も、それを踏襲するような形になるかと思いますので、ある程度準備を要するものについては、経過措置を導入するということを考えているところでございます。

○C氏 できれば長目にできないでしょうか。

○角田 長目ということなのですけれども、それは従来の法令等の慣例等もございますので、御要望として承っておきたいと思います。

○C氏 よろしくお願いします。

○堀口 食品の仕事をしていたので、規制がかかったりすることがたくさんあって、2年間とか猶予の期間があったりなかったりなのですけれども、事業者さんのほうが長くと言われた長いという時間がどの程度なのかを、こちら側の規制をする側に相場感を持って伝えないと、例えば1年とプラス3カ月で大丈夫であれば、3カ月をどう議論するかという話になりますし、何をどう準備してどうかということが業界から資料として、ここまでやれば業界の6割が準備可能になりますとか、この期間であれば3割しか準備が頑張ってもできないとか、相場感をこういう場がせっかくできてきているので、例えばパブコメとか、そういうところで皆さん業界の団体があるということは、ある意味まとめて御意見を出せるという立場でもあろうと思うので、業界も幅があると思うのです。早目に準備ができるところから、なかなか準備できないところまであると思うのですが、そういう意味で、皆さんのところの幅と相場感というものがこちらに伝わるということもすごく大事なところなのかと思います。

  どうぞ。

○D氏 済みません。途中で手を挙げてしまって申しわけございません。

  どれくらいの猶予というところは、どれくらいの規制をするかによってこちらも変わってくるわけで、それはこれぐらいの案にするよといってから業界側でどのくらいの猶予が欲しいと要望できるような機会を設けてほしいというのが、一番建設的な意見ではないかと思います。

  一方的に法律で決められて、1年でと言われても準備できないところが多々ありますので、そのあたりは行政のほうとも業界ともすり合わせをしてほしいと思います。

○堀口 皆さん、議論をする時間もたくさん設けられれば一番いいのかと思います。

  大分スケジュールも出てきているので、皆さんからの相場感も大丈夫かと思います。

○宮川 1点追加させていただければ、たまたまきょうの参加者の方々は業界の方々が多いようですけれども、実際にそれを使っている作業者の代表者の方々がここにいて、こういうことがあってリスク評価でもって規制が導入されるというときに、作業している人は「面倒くさい作業がふえて困るから、余裕を持ってゆっくりやらせてもらったほうがいい」と思うのか、「自分たちは有害なものを使っている状況にいた、これは一刻も早く改善してもらったほうがいい」と思うか、そのどちらかはわかりませんけれども、いろいろな立場があると思いますので、その辺は行政としては幅広く意見を聞かなければいけないということを行政でない立場から申し上げます。いろいろな立場があるということかと。毒性の種類、しばらく放っておいてもすぐ人が死ぬようなことがないというものと、ここでもってぐずぐずしていたために困ったことが起きるのだという場合とでは、待てるタイミングも違ってくるのかという気がいたします。

○堀口 先生、ありがとうございます。

  リスクコミュニケーションというのは、ステークホルダーが本来ならば全て集まっておかなければいけないので、実は労働者サイドの方々がこの場に参加してくださっていないのが、意見交換会をやっていての現状なので、そういう方々が出てきたときに、本当のリスクコミュニケーションができるのかと思っています。

  追加で御質問などありませんか。

  どうぞ。

○E氏 。本日はどうもありがとうございました。

  質問なのですけれども、塗料業界の状況から説明いたしますけれども、塗料はいろいろな化学物質のまぜ物でございますから、いろいろな物質を使っています。ですので、こういう規制がふえると、また今年も、来年もということで規制物質がふえていきます。そのたびに使っている作業者がこれとこれが危険だから、これは保護具を使えとは言っていません。なぜかといったら全部危険だと教えているからです。

  それから考えると、印刷業界の胆管がんの事例がございましたね。あれはどう考えても設備は悪いと保護具はしていないしという特殊な状況だと思うのです。そうものから、同じぐらいエチルベンゼンに規制がかかって、エチルベンゼンは工業用キシレンに入っていますから、塗装に限るということで規制緩和はされていますけれども、本来は密閉された船舶の中とかの塗装業務の話だったのが、塗装に限るということでいうと、塗料の製造工程とか技術部門がきちんと管理されたブースの中で塗装する、制御風速を守っているところです。そこで塗装しても塗装に限ると書いてあるのだからということで、労基署のほうから指導されていますという実態になっています。何か矛盾しているということで、法令の文言の書き方であるとか、本当に危ないところに規制がかかるような規制の方法はぜひ考えていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

○堀口 先生、何かございますか。

○宮川 まさにそのとおりで、本当に危ないところを何とかするというのがリスク評価・リスク対策ということなので、一番いいのは、今回リスクアセスメントが640の物質について義務になりましたけれども、努力義務という形では全ての物質について危険有害性の調査をしましょうということになっていますので、本当であれば危険な場合には自主的にやるのが本来の姿で、そのようになっていれば、幾つかの物質を選んで国が調査しても、リスクがない状況で使われているのだということになるのだと思うのですが、なかなかその辺が、いきなりリスクアセスメントしろと言われても、難しいよ、できないよ、どうしたらいいのだという話も一方から聞こえてきますし、本来から言えば、危ないところを放置しないというのがリスクアセスメントの趣旨だと思いますので、これをその規制にかけるかどうか、行政がどうするかということとは別に、必要なところをきちんとするというのが本来の姿かという気がいたします。

○E氏 あと、労働者の代表がいないということで、昔、労働組合にいたので過去の経験から言いますと、そうやって法令が決まって、当然設備は自分たちを守るからということはあるので、作業環境測定の場所がふえるとか、そうすると当然会社の経費がふえていくので、労働者という意味では賃金も問題になりますので、本当に先ほど宮川先生がおっしゃったように、企業にリスクアセスメントをして、ここは危険だから自主的にここはやる。ここはブースで制御風速でやっているのでここは大丈夫だということであれば、ここは作業環境測定は要らないという判断をさせていただけるのであれば、非常に有効になってくるのかと、今、宮川先生のお話を聞いて思いました。

  ありがとうございます。

○堀口 後ろの方。

○F氏 

  ただいまの議論に関してなのですけれども、1995年ぐらいですか、日化協でレスポンシブル・ケアという自主管理が叫ばれていたと思います。要するに、法律で縛るということも限度がある。結局また新しい物質も出てくるし、法律は法律プラス自主管理という立場で、幾ら危ないところはこういうところだといっても、実際に作業者がいいかげんな扱いで、それを管理者が指摘もせずにということですと、事故も起こるわけです。ですから、取り扱いを管理している人、作業者自身も自分のところの作業室の危なさかげん、ばく露のかげん、その辺を両方あわせてリスクの評価。まさにそういうことになると思うのですけれども、それを自分らで優先順位をつけて、それを起こさないようにするという姿勢が大事だと思うのです。

  そういう意味では、単に法律ばかりではなくて、それは本当に後追いになると思いますし、例えばSVHCというヨーロッパで1,500ぐらい、発がん性のリストもアメリカからも出ていますし、データを使おうと思ったらできるわけです。

  今度、日化協さんからBIGDrも出されて、厚労省さんも前から非常に検索しやすいデータベースをつくっておられます。そういうところで、それぞれが自分のところの扱っている物質についての危なさかげんを、SDSプラスそれに載っていないものはそういうことで調べられる、できるだけそういう姿勢を持って、自主管理をできるだけ進めるということ、そういうことをやっているかという行政のほうからの指導もしっかりやっていただくことが、そういう疾病をできるだけ少なくする、裁判沙汰とか、そういうことも少なくしていくことになるのではないかと思います。

○堀口 ありがとうございます。

  多分、担当の部署が違うのです。リスク評価のところですね。

○角田 そうですね。ただ、今、おっしゃったことはまさにそのとおりでございまして、法令で規制されているものは限られたものだけでございますので、それに該当しないものについても先ほど自主管理の話が出ましたけれども、御自身で実態に即して必要な措置を講じていただくということが非常に重要になると思いますので、そこは私どもからもお願いしたいと考えております。

○堀口 ゆくゆくは評価とマネジメントが分離できるといいかと個人的には思います。

  どうぞ。

○G氏 どうもありがとうございました。

  先ほど自主管理という話が出た中で、今回、RCFのばく露実態が非常にばく露量が多かったというお話が出ていたのですけれども、これがばく露量が少なかった、0.2以下で明らかに少なかった場合というのは、この特化則の規制にはかからず、そのまま自主管理でいったという考え方でよろしいでしょうか。ばく露量が低いのでリスクが低いという判断がされるであろうというお考えで合っていますか。

○角田 措置検討にいくかどうかという判定は、先ほどお話にもありましたとおり、詳細評価においてばく露実態を二次評価値と比較して、それによって高いリスクかどうかを判定するということでございます。

  もちろん、それは単なる2つの数値を比較するというだけではなくて、例えばその事業場が特殊な事情があってそこだけ特に高いのではないかという議論も当然出てきますので、そこが共通の問題であるかどうかということ、それから二次評価値との比較という2つで検討いたしまして、二次評価値を超えていたら措置検討に移るということでございます。

○G氏 そうすると、企業側の対応としては、有害ばく露の対象物質で使用している場合は、有害性情報をきちんと把握して、その値、幾つまでならできるだろうというところを管理して、その管理以下になるように自主的に管理をしていくということが非常に重要である。そういう対応をしていれば、法規制されることなくやっていけるという進め方を推進していくべきであるという考え方でよろしいのでしょうか。

○角田 そうですね。規制されていないものにつきましても、例えばいろいろ既存の機関等でばく露限界などのデータ等もございますので、そういったことも踏まえながら、御検討していただくということが非常に重要だと考えております。

○宮川 つけ加えますと、規制を受けないためにするというのが重要なのではなくて、そもそも事故を起こさないためにはどうしたらいいかです。一番簡単なのは、SDSはありますか、ということで取り寄せていただいて、ACGIHなり産衛学会の許容濃度、TLVが書いてありますね。今、実際にどのぐらいの環境で使っているのだろうか。そこよりも十分低いということであればいいかということになりますし、そこを超えて使っているのだということがわかったときには、規制のありなしとは全く関係なしに、何らかの対応をとるということを自主的に考えていただくのが本来の姿かという気がいたします。

○G氏 ありがとうございます。

○堀口 ほかに。後ろの方。

○H氏 本日はありがとうございます。

  総称について教えていただきたいのですけれども、先ほど宮川先生のお話の中で、タリウムイオンが危険だからその辺を含めて規制をするというお話があったのですが。

○宮川 タリウムのことについて言っていません。金属一般について考えるときにそういう考え方があるということです。

○H氏 一般でいいのですけれども、そのような場合に例えば今回資料の中にタリウム及びその水溶性化合物と指定されているような場合に、例えばタリウムの有機金属化合物で、スルホン酸がいっぱいついていて水に溶けるという場合には、この規制の中に入りますか。

○宮川 それは有機化合物とそうでない金属イオンでもって作用が違うかどうかということがわかっているかどうかにかかってくると思います。

  例えば今、おっしゃったような化合物は毒性を発揮しないということがわかっているデータがあるのだったら、それを除くという評価結果を出すことも可能だと思います。

○H氏 ということは、外すためにデータを出さなくてはいけない。

○宮川 ある程度既存の知識でもって推定できる場合があれば、こういう形の場合は多分毒ではないということを考えることもできるかもしれませんが、個々のものについてはほかにどういう情報があるかによって違ってくると思いますので、判断はケース・バイ・ケースだと思います。

○H氏 タリウム及びその水溶性化合物とされたということは、その根拠があると判断されたということでよろしいのでしょうか。

○宮川 タリウムについては、今、記憶でしゃべれないので、申しわけありません。

○堀口 大丈夫ですか。ほか御質問ありますか。

  そうしましたら、皆さんの机の上に赤と青の紙があるのですが、今回は厚生労働省の担当の方と検討会の委員をしていただいている宮川先生にお越しいただいているのですが、これまで意見交換会をする中で、実際にきょうのテーマになっている化学物質を扱っている事業者さんが実際に自主管理というか、実際にどのような管理を工夫してやっているかということを事例としてお話しいただいたことや、産業衛生コンサルタントの方にこういう中小企業零細の方に向けてコンサルティングをしているのだという事例を御発表していただいて、今回のようなディスカッションに加わっていただいたことがあるのですが、東京でも同じ質問をさせていただいたのですが、そういった事例が入ったディスカッションを今後希望したいという方は赤、このようなスタイルで役所と検討会のメンバーでやりとりをするというスタイルのほうがいいかと思う方は青を挙げていただきたいと思うのですけれども、よろしいでしょうか。お願いします。

(傍聴者 札表示)

○堀口 わかりました。皆さんからのそういった御要望を踏まえて、リスクコミュニケーションのあり方もこの検討会の中でいつもまとめを出していますので、皆さんから御要望を踏まえたいと思います。

  5分早く始めたので5分早く終わろうと思っているのですが、何かありますでしょうか。大丈夫ですか。

  それでは、コーディネーターをさせていただきました意見交換をこれにて終了したいと思います。どうもありがとうございました。

○司会者(森田) 先生方、厚労省の皆様、どうもありがとうございました。

  以上で、第3回「化学物質のリスク評価に係るコミュニケーション」を終了いたします。皆様、御参加いただきまして、まことにありがとうございました。

  今後の参考といたしますので、できましたら、水色のアンケート用紙に御記入いただきまして、会場出口の係の者にお渡しいただきますよう、お願いいたします。

  また、お配りいたしました赤と青のカードですけれども、これも同じように出口の係にお渡しいただければと思います。よろしくお願いいたします。

  本日はお越しいただきまして、まことにありがとうございました。


(了)

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