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2015年7月30日 平成27年度第1回水質基準逐次改正検討会議事録

健康局水道課

○日時

平成27年7月30日(木)
13:30~15:00


○場所

三田共用会議所会議室
3階大会議室


○出席者

出席委員

松井座長 浅見委員 伊藤委員 片山委員 亀屋委員
小林委員 西村委員 広瀬委員

○議題

(1) 水質基準に係る検討事項について
(2) 水質異常時における摂取制限を伴う給水継続の考え方について
(3) その他

○議事

○鈴木室長補佐

 それでは、定刻となりましたので、ただいまより平成27年度第1回「水質基準逐次改正検討会」を開催いたします。

 委員の皆様方は御多忙中にもかかわらず、お集まりいただきありがとうございます。

 本検討会の開催に当たり、事務局を代表して厚生労働省健康局水道課水道水質管理官の長坂より御挨拶申し上げます。

 

○長坂水道水質管理官

 水道水質管理官の長坂です。

 本日は、厳しい暑さの中、水質基準逐次改正検討会に御参集いただきまして、まことにありがとうございます。

 この検討会ですが、今年度から何人か委員の先生にかわっていただいておりますけれども、逐次改正検討ということで水質基準について平成15年の大改正の後は毎年少しずつ最新の知見を踏まえて逐次変えていくという体制で続けておりまして、今後ともそういうことでやっていきたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。

 本日は、水質基準そのものではないのですけれども、農薬で少し検出状況が懸念されるものもございますので、それについてどういった対応があるのかということについて御検討いただくことと、これはもう2年ほど前から議論を重ねてきてはおりますが、摂取制限を伴う給水継続について、考え方を改めてまとめてみましたので、そちらについて御意見いただければと考えているところでございます。

 活発な御議論をいただければと思っておりますので、本日はどうぞよろしくお願いいたします。

 

○鈴木室長補佐

 本日の出席状況でございます。委員8名の全員御出席いただいています。今年度委員の改選がございましたので、御紹介をさせていただきます。

<委員紹介>

 続いて配付資料の確認をいたします。

<資料確認>

 以降の議事進行に先立ち議長の選出を行いたいと思います。参考資料2本検討会の運営要領の3(2)に、議長は第1回検討会において委員の中から選出するということになっています。事務局としましては、平成15年の水質基準の改正時から本検討会の委員を務められ、水質基準に関する知見に長けていらっしゃる松井委員にお願いしたいと考えていますが、よろしいでしょうか。

(「異議なし」と声あり)

 

○松井座長

 ただいま座長に御指名いただきました松井でございます。

 この検討会は水質基準について議論していくわけでございますが、水質基準はリスク評価・管理の多様な観点から議論をして、適切に改正されていくべきものと思っております。その意味で、この委員会はさまざまな専門分野の先生方に参画いただいて構成されていると思っています。したがいまして、この委員会におきましても多様な観点から御意見をいただいて、それをしっかりまとめていきたいと思いますので、御協力のほどよろしくお願いしたいと思います。

 簡単ではございますが、挨拶にかえさせていただきます。

 

○鈴木室長補佐

 マスコミの方におかれましては、カメラ撮りは冒頭のみとさせていただきますので、御協力をお願いします。

 それでは、以降の議事進行につきましては、松井座長にお願いします。

 

○松井座長

 それでは、議事に入る前に本検討会の公開の取り扱いにつきまして、事務局のほうから御説明をお願いします。

 

○鈴木室長補佐

 参考資料2の本検討会の運営要領の4「その他」(3)に、公開の取り扱いには検討会において決定するとございます。その取り扱いの案を参考資料3につけています。

 本検討会は、水道課長の設置する検討会でございますが、個人情報保護などの特別な理由がない限り基本的に公開するとしています。そのため、本検討会は原則公開でございます。

 また、開催予定や、委員のお名前、御職業、会議資料そのもの、また、議事要旨もあわせて公開でございます。

 ただし、検討に必要なために取りまとめ前の中間段階の調査結果、あるいは先生方から未発表の研究成果を出していただく場合は、知的財産権の保護という観点もございまして、非公開とさせていただきたいと考えています。

 よろしいでしょうか。

 

○松井座長

 ありがとうございます。

 それでは、議事に入りたいと思います。次第の2の「議題」の「(1)水質基準に係る検討事項について」でございます。事務局から御説明をお願いします。

 

○吉崎係長

 それでは、資料1及び参考資料4を用いまして説明させていただきます。

 今回、議題の中で水道原水での検出濃度が高い農薬への対応について御議論いただきたいと思っておりますけれども、その前に平成25年4月1日から施行されている現在の農薬類の分類の考え方について、参考資料4を用いまして簡単に説明させていただきたいと思います。

 参考資料4は、平成24年度第2回水質基準逐次改正検討会資料2をそのままつけたものでございます。平成15年の局長通知により、もともと農薬については、その全部が農薬類として総農薬方式によって水質管理目標設定項目に位置づけられているといったようなものでございました。その通知の中では、測定を行う農薬については各水道事業者等がその地域の状況を勘案して適切に選定するものであるということでございまして、平成15年から10年たったということで、その検出状況や出荷量、また、ADIの見直し状況を踏まえて農薬類の分類を平成25年に見直したものでございます。

 見直し前に、出荷量や検査方法が確立されているかどうか等で第1候補群から第3候補群ということで農薬の分類がされていたものを参考資料4の4ページに示す農薬類の新分類区分として、5つの分類区分に見直したものでございます。

 まず、「(1)水質基準農薬類」、こちらについては、浄水における検出状況が直近3か年継続で目標値の50%超過地点等があるもの等については水質基準に位置づけようということでしたが、現在は対象になるような物質はございません。

 (2)としまして「対象農薬リスト掲載農薬類」、こちらについては目標値の1%を超えて浄水から検出されるおそれのある農薬類、もしくは検出のおそれが小さくとも社会的な要請がある農薬類がここに位置づけられてございます。

 (3)としまして「要検討農薬類」、こちらについては対象農薬リストに掲載しない農薬類のうち、積極的に安全性評価及び検出状況に係る知見の収集に務める農薬類ということで位置づけられてございます。

 (4)として「その他農薬類」、こちらについては、抽出された農薬類のうちADI当たりの使用量であるとか流出リスクの高い水田使用状況から判断しまして、目標値の1%を超えて浄水から検出されるおそれが特に小さい農薬類ということで優先順位を下げたものがこちらに位置づけられております。

 「(5)除外農薬類」、こちらについては、もともと第1群として測定されてきた農薬類のうち、測定結果がある程度蓄積されていまして、今後出るおそれは少ないだろうといったものを除外農薬類に位置づけてございます。

 これらの位置づけの具体的な考え方というのが、次の6ページ、7ページにございまして、これは検討対象農薬類の再分類の考え方をまとめたものでございます。

 平成25年以前に第1候補群として位置づけられていた農薬類については、一覧表として7ページの右上の表をごらんいただきますと、第1候補群は基本的には対象農薬リストに全て入るというものですけれども、検出実績等から除外農薬類に位置づけられているものも幾つかありました。第2候補群、第3候補群、また、新たに検討を要すると思われる追加農薬類については、水道原水での検出実績で目標値の1%を超えて検出の実績があるといったようなものは対象農薬リストに掲載しますし、1%超え検出のおそれが高くて、さらに目標値も設定済みといったものも対象農薬リストに掲載することとしています。

 要検討農薬類のほうに位置づけられているものも幾つかありまして、本日御議論いただきますテフリルトリオンという農薬については、この当時、追加農薬類として検討をされて、現在、要検討農薬類に位置づけられております。

 この中で1%超えの検出の実績というのは実際測定された結果ですけれども、1%を超えて検出のおそれが高いというのは、少しページをおめくりいただいて10ページ、11ページにあります検出のおそれをはかる指標をこの当時検討しまして、それに該当するような農薬については検出のおそれが高いということで整理されてございます。

 ここでは詳細な説明は省略いたしますけれども、基本的には出荷量、ADI、もしくは面積等を用いて指標を定め、その選択基準に該当するものを検出のおそれが高いとして整理しています。具体的には、第2選択基準線に当てはまるもの、このグラフでいうと第2選択基準線より右上にプロットされているものは、検出のおそれが高いということで対象農薬リストに掲載したといったようなものでございました。

 これが当時の農薬類の分類の考え方でございます。

 資料を戻っていただきまして、本日御議論いただくテフリルトリオンについて、資料1を用いまして説明させていただきます。

 要検討農薬類に分類されていますテフリルトリオンについては、分類見直し時には本格的にまだ普及され始めたばかりでありまして、出荷量の実績や浄水、水道原水での測定データの不足等から「対象農薬リスト掲載農薬類」への掲載を見送っておりましたけれども、今般、厚生労働科学研究の中で水道原水で検出濃度が高い値を示すデータが集積されたことから、その取り扱いについて検討するものでございます。

 テフリルトリオンは、平成19年に農薬取締法に基づく新規登録申請が水稲でなされており、用途は除草剤でございます。

 評価値として0.002mg/Lと算定された値が現在の要検討農薬類の目標値としても設定されてございます。

 ページをおめくりいただきまして、その出荷状況でございます。テフリルトリオンの出荷量については、「農薬要覧」に記載されています農薬製剤別都道府県別出荷数量と登録農薬情報から算出してございます。平成19年に農薬取締法に基づく新規登録の申請がなされて、平成23農薬年度に出荷量が約60トンに急激に増加、その後は少し減少傾向にありまして、下の都道府県別の出荷量をごらんいただいても、米の主要な生産地である東北地方、もしくは新潟県といったようなところで出荷量が多い状況でございます。

 その次のページ、検出状況でございます。テフリルトリオンの検出状況については、厚生労働科学研究のデータを厚生労働省でまとめたものを、以下の表、グラフに示しております。

 水道原水、河川水においては、全体の約2割で目標値の1%を超える値が検出されており、また、1地点ではありますけれども、目標値の50%を超える値も検出されている状況でございます。

 グラフには、2012年のデータに工程水という項目がありますけれども、これについては活性炭での処理性をはかるという意味でとったデータでございまして、一応参考に載せているといったようなものでございます。

 浄水においては定量下限値を上回って検出された値はありません。

 最後4ページ目になりますけれども、「検出のおそれの検討」ということで、平成25年当時は、測定結果等のデータが少なかったため、検出のおそれをもって判断してあげようという考え方がございましたので、その考え方にテフリルトリオンを当てはめたらどうかと示したものでございます。

 黒い丸、ダイヤ及び三角がセカンドセクションレベル(第2選択基準線)よりも右上にプロットされていますので、「対象農薬リスト掲載農薬類」に掲載する当時の選択基準にも該当する状況でございます。

 以上の結果から、今後の方針としまして、今般、水道原水中で目標値の10%を超える検出状況が確認されたといったようなことと、直近3か年の出荷量も平均約52トンと多い状況でありますので、今後は浄水中での実態、また、検査方法等について引き続き調査検討を進めて、必要に応じて「対象農薬リスト掲載農薬類」に位置づけて監視していくということが考えられるといったようなものでございます。

 資料1の説明については以上でございます。

 

○松井座長

 ありがとうございました。

 それでは、ただいま御説明いただきました事柄につきまして、御意見、御質問をお願いします。

 浅見先生。

 

○浅見委員

 今、御説明のありましたように、この農薬につきましては急激に出荷量がふえまして、その後、幾つかの事業体様から御協力をいただいてモニタリングをしているところなのですけれども、今年度も途中経過ですけれども検出率がかなり高いということでマークしていく必要があるという状況になっております。

 ただ、浄水過程での分解をするということもありますので、それがどういう形になっているのかとか、そういう点につきましても情報収集をして今後の対策といいますか、どのように入れていくのがいいのかということを検討する必要があるかという点になっております。

 もう一つは、測定に関しましても小林先生も御検討いただいているということで、それほど今までの農薬の並びではかれるようになるのではないかということですので、それほど困難ではないのではないかという状況なのですけれども、また今年度末に向けてまとめていきたいと思います。

 

○松井座長

 ありがとうございます。

 小林先生、測定法については従来の一斉分析法の中で分析できると考えてよろしいでしょうか。

 

○小林委員

 農薬の一斉分析に関しましては、対象農薬だけではなく、要検討農薬やその他農薬も含めてLC/MS/MSでの一斉分析法が適用できるものに関しては、今、別添方法20の2番の検査法の中で通知されています。我々は、その対象農薬の範囲を拡大することを目的とした研究を続けていまして、テフリルトリオンについても別添方法の20の2番の方法で、検査ができるという研究結果が得られています。

 

○松井座長

 ありがとうございます。

 ほかにございませんでしょうか。

 小林先生、ありますか。どうぞ。

 

○小林委員

 資料についての細かい質問になるのですけれども、資料1の4ページの基準線との比較の議論では、ここのデータを見るとテフリルトリオンの後ろの括弧内の数字が20111214というふうに書いてあります。前のページまでは平成24から26年の検出状況の話をされていると思ったのですが、同じデータで議論しているわけではないのですか。

 

○吉崎係長

 これは2013年の出荷量のデータがまとまっていないので、そこだけが抜けている段階なのですけれども、20111214というのは確かなデータです。

 

○小林委員

 これは、3ページのヒストグラムのところのデータと整合性のとれているものなのですか。3ページのこの2012年、13年、14年のデータは、4ページのデータとかぶっているという解釈でよいですか。

 

○松井座長

 追加説明させていただきますと、2013年は直近になってデータがそろいまして、それをプロットしたところ、111214と近い値になっておりました。

 それから、最後のページのおそれのグラフというのは県別に出荷量を整理して指標値を算出しているので、必ずしも全国出荷量とは1対1になっていないということです。

 浅見先生。

 

○浅見委員

 あとちょっと補足させていただきますと、3ページの図に関しましては、厚生労働科学研究の実際に検出をされているデータなのですけれども、4ページに関しましては、出荷量から、今、松井先生から御説明あったようなシミュレーションといいますか、計算をされて整理されたものになりますので、もともとデータのもとが全然違うということになります。

 

○松井座長

 広瀬先生。

 

○広瀬委員

 どのくらいの可能性があるのかわからないのですけれども、分解物についても一応ケアすることになっているみたいなので、今後の監視していくときは分解物がどのくらいあるのかというのを一緒にしたほうがいいのではないかと思うのです。

 

○松井座長

 ありがとうございます。

 浅見先生、それについて最近の検討状況は何かございますか。

 

○広瀬委員

 今、これには入っていないのですよね。

 

○浅見委員

 今のデータの中には入っておりませんけれども、今年度は事業体様の幾つかのところで試してはかっていただいておりますので、データとしてはある程度まとまるのではないかと思うのですけれども、もう一つは、分解したものが本当にケアしなければいけないのかどうかというところも含めて情報収集をしないといけないと思いますので、広瀬先生にもぜひ御助言をいただければと思っております。

 

○松井座長

 ほかにございますか。

 分解物については、引き続き今年度も情報収集をしていくということでございます。

 小林先生。

 

○小林委員

 今後の方針のところでお伺いしたいのですが、「対象農薬リスト掲載農薬類」は、今後の進め方として、このように一個ずつ随時追加をしていくという手続を取るということですか。

 

○松井座長

 事務局、よろしいですか。

 

○吉崎係長

 当時の再分類後の見直し方法というのが参考資料4の7ページのほうに、この当時、今後はこうしていきましょうというのがありまして、水質基準項目同様に逐次改正ということで新たな知見等が出ればそれに対応して検討する必要があろうかと思いますが、出荷状況等についての見直しという形では、7ページの(2)のところに「再分類後の見直し方法」ということで書かれてございまして、出荷量等の統計資料はおおむね3年ごとに整理して使用状況の変化に対応して再抽出及び検出のおそれの再判定を行って、見直しを行っていきましょうということにしております。平成25年当時に整理しておりますので、平成2526、今年度分ぐらいまでのデータがある程度それで3年分蓄積されますので、その段階でまたデータを提出して検討いただくような形で進めていく予定でございます。

 

○松井座長

 浅見先生。

 

○浅見委員

 あとちょっとお願いなのですけれども、この原体もそうですし、分解物に関しましても、今日、農薬の評価書を添付していただいているのですけれども、これのもとになっています抄録という農薬の毒性評価をされたときのデータのもとには、その分解物のことも若干記載等があるかと思いますので、今後その辺の情報も教えていただいて、本来こういう中に分解物の一つとして一緒にはかっていくべきかどうかというところも情報収集をお願いできればと思います。

 

○松井座長

 ほかにございますか。

 よろしければ、今までいただいた意見を踏まえてさらに検討していただくということで進めさせていただければと思います。よろしくお願いします。

 それでは、続きまして、議題2の「水質異常時における摂取制限を伴う給水継続の考え方について」でございます。これにつきましても事務局のほうからまず御説明をお願いします。

 

○鈴木室長補佐

 それでは、資料2「水質異常時における摂取制限を伴う給水継続の考え方」をご覧ください。

冒頭の御挨拶で少し触れましたが、これまでのこの検討会でも検討を進めていただいていた議題となります。今回こちらの資料をまとめてまいりましたので、まず御説明させていただきたいと思います。

 1番目が「検討の必要性」です。水道水については飲用だけではなくて炊事とか洗濯、お風呂、水洗便所などに使用されている利便性の確保のみならず、都市機能や公衆衛生の維持に不可欠な生活用水であります。

 2段落目ですが、平成24年5月に利根川水系でホルムアルデヒドの水質事故が起こった件につきまして、千葉県内で給水停止が行われたことで市民生活に大きな影響が生じたことを記載しています。

 次の段落で、一方、平成23年3月に発生した福島第一原子力発電所の事故に関連した放射性物質の対応につきましては、飲料水は別途確保しつつ摂取制限を行いながら給水を継続するという措置が講じられています。

 4つ目の段落は、このような突発的な水質事故等により水質異常が生じた場合の対応については平成15年に発出された水道課長通知により示しています。通知は本日の参考資料9でお示ししています。近年の水質事故などの経験を踏まえ、水道事業者及び水道用水供給事業者が摂取制限を行いつつ給水を継続するという対応を選択肢として判断できるように考え方を示すことが必要であるというのが検討の必要性でございます。

 2番目の「検討にあたっての前提」です。水道事業者等は、水道法に基づき一般の需要に応じて飲用に適する水を常時供給することが求められています。そのため、原水の水や量、地理的条件、当該水道の形態等に応じて施設の整備を行い、その施設の管理及び運営、水質検査等を行う必要があるとされています。また、原水の質の悪化や突発的な水質事故等にあっても、必要な監視体制、浄水設備の高度化、配管のループ化、配水池容量の確保や緊急連絡管の整備等により、浄水の水質を含め給水への影響を最小限にとどめる必要があります。また、さらに水道事業者等は水道法第23条第1項に基づき、その供給する水が人の健康を害するおそれがあることを知ったときは、直ちに給水を停止しなければならないこととなっています。この規定につきましては、資料の中の参考資料1として7ページ目に規定を引用しています。

 今申し上げたのは大前提のことですが、今般の検討に当たっては、このような措置の必要性を変更するものではないというのが検討の前提でございます。

 2つ目の段落です。水質基準項目は、人の健康の保護の観点から設定されているいわゆる健康関連項目と、生活上の支障の観点から設定されているいわゆる生活関連項目の2種類から成っています。水質異常時に水道事業者等が摂取制限を行いつつ給水を継続するかどうかということについては、「人の健康を害するおそれ」について判断を行うこととなると考えていますので、今般の検討は健康関連項目について行うこととし、生活関連項目は検討の対象とはしていません。

 続いて、3番目の「水質異常時の対応に係る論点整理」です。水質異常時に水道事業者が取り得る対応として、1から3、給水停止と摂取制限を伴う給水の継続、摂取制限を伴わない給水の継続について、それぞれメリット、デメリットと課題を表1に整理しています。

 給水停止については、例えば基準を超えれば停止するということで判断がしやすいとか、利用者にとってわかりやすいのではないかということがメリットとしてありますが、デメリットとしては、水道事業者が個別の状況に応じた柔軟な対応ができないことや、生活用水が利用できないこと、都市機能、消防等への影響のおそれということがあります。また、不足する大量の水を応急給水するための方法が課題として挙げられると考えています。

 2つめの摂取制限を伴う給水の継続のメリットとしては個別の状況に応じた柔軟な判断が可能であること、先ほどの1と比べて、断水による影響が最小限に抑えられるのではないかということや、利用者にとっても生活用水の使用が可能ということメリットと考えています。

 また、デメリットとして、判断が難しいことや、水質基準の安全性に対する疑念が生じるおそれなどが挙げられています。課題としては復旧の際の確認が難しいのではないかとか、また、適切に伝えるための広報の方法が考えられます。

 3番目の摂取制限を伴わない給水の継続です。2と同じように断水による影響が抑えられるということがメリットと考えています。また、応急給水も不要であることはメリットとしていますが、水道に関する信頼が低下するおそれがあるのではないかというのはデメリットとして考えられますし、広報の仕方については課題と考えられます。

 3ページ目にまいりまして、表の下です。水質異常が発生した場合であっても、汚染の状況や復旧するまでに要する時間、また、給水区域の規模とか地域性に応じて摂取制限、給水停止による地域住民に対する影響などが異なるため、その対応は一律に定まるものではないと考えています。そのため、水道事業者等が状況に応じてどのような対応を行うかというのを判断することとなりますが、飲料水として利用は制限しつつ給水を継続するという対応もあり得ると考えています。

 このような摂取制限を伴う給水継続というのは、1ページ目でも御紹介したように平成23年の福島第一原発の事故に関連した放射性物質への対応において一部の地域で実施されていますが、ほかの例については広く承知されていないところでございます。そのため、水道事業者等において判断する際の参考になる考え方などを示す必要があると考えています。

 4番目でございます。昨年度、この検討会で実施したヒアリング項目について、ヒアリングで得られた意見などを踏まえて考え方を整理したものが(1)から(7)です。

 まず、(1)「基本的な考え方」です。水質事故等により、浄水中の有害物質の濃度が一時的に基準値を一定程度超過する水質異常が生じた場合においても、水道事業者等の判断によって、利用者に対して水道水の直接飲用を控えるように広報し、給水を継続することが可能である。実施に当たっては、汚染状況、具体的には原因物質の特性とか濃度、汚染の範囲など、また、復旧までに要する時間、給水区域の規模や地域性に応じた摂取制限、給水停止による地域住民に対する影響、また、応急給水など代替手段の確保の実現性、広報体制などを踏まえて総合的に判断し、より社会的影響の小さい対応として選択する必要がある。

 ヒアリングにおいては、水道事業者等にとって選択肢が複数あることが望ましいということ、また、復旧時の対応を踏まえると給水を停止するほうが管理しやすいかもしれないというような御意見もいただきました。

 2番目の対象物質です。摂取制限を伴う給水の継続は、一般細菌や大腸菌、シアン、水銀のように基準値超過の継続時に給水停止が求められるものを対象に行うものではなく、長期的な健康影響をもとに基準値が設定されているものについて、一時的に基準値超過が見込まれる場合に行うことが可能となると考えています。このため、水質基準項目のうち、長期的な健康影響をもとに基準値が設定されている有害物質が対象になり、次のページの表2に示している25物質となります。

 ヒアリングにおいては、濃度や期間を明確にすべきという御意見をいただいたのですが、摂取制限を伴う給水継続を行う際の個別の濃度や期間につきましては、原因や復旧に要する時間、また、当該事業者における処理方式であるとか配水池容量などの水道システムの対応能力などがさまざまであるということから、一律に基準値を設けることは困難であると考えていまして、各水道事業者等が原因影響等を踏まえて総合的に判断することが必要であるとさせていただいています。

 また、(3)「緊急時の対応体制の整備について」では、水質異常が生じた際の対策について、あらかじめ意思決定や実施の体制、ほかの事業者との連携体制を整備しておくことというのが必要であるとしています。ヒアリングにおいては、用水供給事業者が水道事業者に水道水を供給している場合であるとか、水道の運転管理を委託している場合などはあらかじめ取り決めをしておくこと、また、応急給水に対応するために水源を別とするほかの事業者との連携体制を構築しておくことも有効という御意見をいただきました。

 また、水質異常時の対策に係る意思決定を水道事業者がするときに参考にするために専門家の意見を聴取できるような体制をあらかじめ整備することが有効と考えられます。

 続いて(4)の「実態把握、原因究明及び低減化対策の実施」です。このような摂取制限を伴う給水継続を行う際には、水道事業者等は直ちに水質異常に関する実態把握を行う必要がありますし、また、その原因を究明して必要に応じて低減化対策を実施する必要があると考えています。ヒアリングにおいては、速やかに情報伝達をする必要があるため、例えば水道事業を包括委託している場合については、受託者が流域協議会に参加するといったことが重要であるという御意見をいただきました。

 次のページです。(5)の「水道利用者に対する周知について」では、摂取制限を伴う給水継続を行う際には、水道事業者等は利用者に対して、水質に異常が生じていること、またはそのおそれがあること、給水を継続しているけれども飲用は避けることについて、速やかにかつ適切に周知することや、解除に当たってもその旨速やかに周知することが必要であるとしています。

 ヒアリングにおいては、周知の対象として特に乳幼児、また、妊婦、病院の入院患者により確実な対応が必要であるという御意見をいただきました。

 また、周知の方法としては、近年用いられている新たな手法の導入の検討も有効であると考えており、子供やお年寄りなど情報弱者対策を含めて複数の方法を用いて確実に行うこと、利用者からの問い合わせに対応することも重要であると考えています。

 周知の方法の例としまして、こちらにビラやエリアメール、緊急速報メール、ウェブ、連絡網などを挙げており、裏面の6ページに別添として周知の手法について幾つか具体例を挙げています。

 また、水道水が飲用できないことがあり得ること、その際に水道事業者等が講じる対策、どのように周知するか周知の方法について日ごろから貯水槽水道の設置者も含めて水道利用者と共有しておくことが有効であるとしています。

 (6)の「応急給水による飲用水の供給」です。摂取制限を伴う給水継続を実施する際は、応急給水により飲用水を確保することが必要ということで、ヒアリングにおいては、飲用水の配布に関しては水道事業者等と行政が連携することが必要であること。また、飲用水の不足に伴う脱水症状を回避するために、応急給水により飲用水を入手することが困難な者に関して配慮が必要であるという御意見をいただきました。

 最後に(7)の「摂取制限の解除」です。摂取制限を解除するに当たっては、末端の給水栓において実施する水質検査により、当該項目について水質基準に適合していることを確認することが求められると考えています。具体的に検査を行う給水栓については、通常の水質検査における採水場所ということで配水管の末端など水が停滞しやすい場所を参考に決定することとなると考えていますが、配水に要する時間などを踏まえて解除の方法を検討しておくことが重要であると考えています。

 7ページは「(参考1)給水の緊急停止について」として、水道法の規定を引用するとともに、水道法の逐条解説にどのように判断するか解説がありますので、引用しています。

 また、8ページ目以降は参考2として、昨年度実施した、どのような人を対象にヒアリングをしたか、いただいた御意見についてお示ししいる次第です。

 資料2につきましては、以上でございます。

 

○松井座長

 ありがとうございます。

 本件については長く議論をしてきましたけれども、委員もかわられましたので、ここでいろいろな意見をいただきたいと思います。よろしくお願いします。

 伊藤先生。

 

○伊藤委員

 この資料の範囲では、水道事業者が判断するときの参考になる考え方だけを示すことになっていて、給水継続できる濃度や期間は特に示さず、それは水道事業者が総合的に判断することにしています。一方、給水継続できる濃度、期間については、厚生労働科学研究の中で広瀬先生のグループが検討を続けてこられてきていますが、その研究成果、アウトプットの位置づけについてはどう考えさせていただいたらよろしいでしょうか。

 

○広瀬委員

 今のところはあくまで研究レベルという話だと思うので、それをどういう形で使っていただけるかというのはまだ未知数であります。研究成果という限りは、一応はパブリックなものとして学術雑誌等で公表することは考えていますので、そのときには参考資料という形はとれるのかと。ただ、指針のようにこういうときはこうするというのは、確かにここに書いてあるようにケース・バイ・ケースで短いとき、長いとき、どうするかというのは難しいと思うので、このような形で残すのは、もっと事例とか研究が進めば可能かもしれませんが、今のところは多分そこまでは熟していないという。

 

○松井座長

 事務局のほうで何か補足はありますか。もしなければ、伊藤先生、続けて。

 

○伊藤委員

 確認させていただいた背景としましては、4ページ後半に専門家の意見を聴取できる体制を整えるとよいと書いていますが、多分、この専門家というのも人によって意見は違うだろうと。例えば、このメンバーの中でさえ、どの範囲で給水継続できるかについては考え方が違ってしまう可能性があると思うのです。多分、我々の頭の中には、給水継続してもいいだろうと考える常識的な範囲というのが大抵ある。それは、例えば、濃度では基準値の1.5倍とか2倍ぐらいの濃度が、期間としては1日とか3日とか1週間ぐらいの範囲であれば給水継続してもいいというような常識的な範囲というのが頭の中にあるように思うのです。しかしながら、それは残念ながら、科学的な根拠に基づいたものではないのです。以前にも、この会で私が発言させていただいたことがありますが、常識的にこれぐらいなら許せると思っている範囲と、科学的にここまでは安全というレベルとの間には、多分大きなギャップがあるのでしょう。広瀬先生は御研究中だということですが、安全であると見られる範囲を科学的に求めてしまうと、それは非常に緩いところまで許せてしまうことになる可能性が高い。例えば、濃度では基準値の10倍とか、あるいは、期間では半年とか1年続いても、それは健康影響に特に問題になる範囲ではないという話になってしまう可能性が高い。そのあたりの我々としての認識の持ち方が悩みどころで、先ほど申し上げた範囲が常識的な範囲であるならば、科学的な根拠はないが常識的に許せる範囲について、例えばこのメンバーの中で共通認識として持てるかどうか。このような点は、この書面が出た後の我々の課題ではないかと思って発言させていただきました。

 

○松井座長

 広瀬先生、何か。

 

○広瀬委員

 確かにそのとおりだと思います。特につけ加えることはないのですけれども、必ずしも健康だけの影響で判断するものではないと思いますし、数字が与えるインパクト等も考えないといけない値だと思いますので、それは健康だけではなくて、もっとこういう研究会なり、こういう場の共通認識、数字を決めるというのはなかなかあれかもしれないですけれども、もうちょっと具体的な考え方にたどり着けるような方法を今後考えていくべきなのだとは思います。

 

○松井座長

 たしか、広瀬先生の御検討でも、物質によって単純に1.5倍、2倍まで短期暴露なら大丈夫だろうというふうにはなっていなかったと記憶しています。物質によって変わっていますよね。

 

○広瀬委員

 物質によって許容できないのとできるのとが、毒性の種類の出方が、例えば生殖発生毒性を指標にしてしまうと、時間の不確実係数は入っていませんので、結局はそれほど変えられない物質になりますし、そうではない物質は、伊藤先生がおっしゃったように5倍とか10倍というのは計算上科学的にも出てくることは出てくるのです。それは本当に物質によってケース・バイ・ケースなので、かといって、実は数字の場合はアロケーションもまた入っているので、そこもふだんの食事からの摂取と水道の摂取とのバランスというのもまた別途考えなければいけないファクターがありますので、実験から得られる健康影響のデータだけではない部分がたくさんありますので、もちろん今後の検討課題ではそういうことも含めなければいけないと思います。

 

○松井座長

 そうですね。WHOも最近になってアキュートリファレンスドーズを使って短期のガイドライン値も少しずつ算出するようになってきたと思っています。

 

○広瀬委員

 ただ、今、WHOがやっているのはほとんど農薬ですので、農薬の単回暴露で、特に食品なので単回暴露というのはあり得るのですけれども、水道の場合は、いろいろお聞きしていると単回ということはないので、多分わかったときには1週間複数回なので、水道の場合は違う考え方をとらないといけないのではないかと思います。

 

○松井座長

 そういう意味では、なかなかコンセンサスが得られるような、全国一律で考え方を出せるような状況にはまだ難しいのかなと私も思っています。

 

○伊藤委員

 本件については、どのような時間スケジュールで検討し固めて、どのような形で公表する予定でしょうか。

 

○鈴木室長補佐

 本検討会ですけれども、通常年2回開催させていただいていまして、第2回目は冬、11月から12月ぐらいになると考えており、今回いただいた意見を踏まえてさらに検討したいと考えています。

 また、その後に厚生科学審議会生活環境水道部会のほうに御報告させていただいた上で、最終的にはまとめた考え方について水道事業者等にお伝えしていくことを考えています。

 具体的にどのように伝えるのかという方法については、今のところはまだ具体的には考えていません。

 

○松井座長

 資料の2ページには、摂取制限を伴う給水の継続というのと、摂取制限を伴わない給水の継続というのが検討の資料に入っていますけれども、3の伴わない給水の継続というのはなかなか難しいということでよろしいですね。

 

○鈴木室長補佐

 健康関連項目については、やはり難しい措置だというふうに考えています。

 

○松井座長

 西村先生。

 

○西村委員

 またもとに戻るのですけれども、今、御紹介していただいた研究とか、それから、水道事業者の方々もさまざまな情報を集めていらっしゃると思うのですけれども、2ページのところにあるような、汚染状況や復旧までに要する時間、削減方法など、いろいろな形でどこで汚染が発生して、どれくらいの濃度で汚染があった、それがどのように低減していくかという形の情報というものを、水道事業者の方々はたくさん視野をお持ちでしょうし、それぞれの状況に応じてのシミュレーションなりをしていらっしゃると思いますので、そのようなデータもこの際というとおかしいですけれども整理して、こういうときにはこうすればいいというふうな何かまとまったような形でぜひまとめていただいて対応をきちんとしていただきたいということでコメントさせていただきます。

 

○松井座長

 どうぞ。

 

○亀屋委員

 先ほどの短期の影響の件ですけれども、恐らく毒性試験のようなものをきちんと詰めると、かなり大量のものを体の中に取り込んでも短期的には大丈夫だというようなケースも出てくるかもしれません。例えば、私は環境系なので、例えば一般環境か作業環境かなんていう数字を比べてみると、作業環境のところの数字のほうが数十倍とか数百倍高い数字というのも実際あったりします。作業環境は防御の対策をしながら使いやすいとか、2つ数字があっても一般の方と作業員の方は化学物質について違ったとらえ方をちゃんとできるので、そういった2つ数字があっても理解してちゃんと使っていただけるのだと思うのですが、一般の水道の利用者に2つ数字が出てきたときに、不信感という言葉もありましたけれども、そちらのほうが先に強く出てくる可能性もあると思いますので、科学的にというよりも、むしろそちらのほうを少し気をつけて検討しなければいけないのではないかというふうに思いました。

 そういう意味で、仮に摂取制限を行うとしたときに、利用者の方への周知というのが非常に重要なことになってくると思うのですけれども、その中で気になったのが、摂取制限という言葉なのですけれども、摂取というのはどこまでのことを言うのか、飲み水だけを言うのか、料理の煮炊きのところまで言うのか、うがいのところまで言うのか、あるいはシャワーを浴びたときの蒸気を吸い込むとかそういうところまで言うのかとか、その辺、何かこの辺の範囲までを言うというようなガイドがあると、あちらの事業体のところではここまでだ、こちらではここまで広く言っているとかいうようなことがなくていいのではないか。利用者のところでそういう考える範囲とか数字とかにギャップといいますか、幅といいますか、そういったものがあると、結局は事業体のほうに苦情なり問い合わせなりとして跳ね返ってきてしまうので、その辺、どういう伝え方をするのかという範囲についてはもう少し限定というか、統一的な考え方を議論してもいいのではないかというふうに感じております。

 以上です。

 

○松井座長

 私も摂取制限という言葉がやや気になります。制限というと完全に飲用には適していないという意味にもとらえられることもあると思うのです。ここで実際に考えているのは、短期的な摂取による直ちに人の健康に障害が生じるおそれはないという段階での摂取制限ということなので、必ずしも100%制限ということを言っているわけでもないように思うので、摂取制限という言葉が適切かというのは、もう少しこれから議論して考えていかなければいけないのかとは思っています。

 例えば摂取制限だけれども誤って飲用しても大丈夫ですよというようなことを言ってしまうと、摂取制限ではなさそうですし、逆に厳しくとらえられてしまうと、今日みたいな非常に暑いときに水の摂取を制限してしまって、逆に熱中症のようなことが起こってしまっても困りますので、そこはこの言葉が適切かどうかも含めて議論していかなければいけないのかと思っています。

 浅見先生。

 

○浅見委員

 議論に大分長い時間をかけていただいているので、その間に事故の記憶とか、そのときのすごく困った状況とかというのが少しずつ薄れている面もあるかなというのが半分あるのですけれども、やはりヒアリングの中でもダブルスタンダードみたいなことはしないでほしいとか、説明を十分してほしいとか、いろいろな方々の御意見を伺っていたので、今、フラッシュバックして、やはりなかなかコミュニケーションが難しいなと思っているところではあります。

 今、御指摘ありましたように、摂取制限という言葉自体も、確かにそういういろいろなことを思われるなというのがあるのですけれども、なかなか1つに決められるわけではなくて、対象となるものによっても、それが揮発性かどうかとか、目に刺激があるかどうかとかによっても物すごくいろいろなバリエーションがあって、海外の事例などもいろいろ収集しておりますけれども、本当にトイレと消防用水だけで、ほかはとにかく管路の水は絶やさないようにしないと凍結してしまうので流し続けないといけないので、とにかく流し続けるけれども一切使わないでくださいというようなものもあれば、トイレ以外は使わないでくださいというようなものもあれば、飲んでも大丈夫なのだけれども、一応基準超過したのでお知らせしますというようなレベルのものもあれば、ペットのことをすごく心配される方もあればいろいろな方がいらっしゃるので、やはりケース・バイ・ケースにならざるを得ないけれども、いろいろなオプションがあるということは共有しておいたほうがいいかなというふうには思います。

 そこをどうやって出されるかというのはあると思うのですけれども、一つそういう知見をなるべく我々も集めるようにしているので、専門家の意見というのもばらばらに事業体さんだけで集めるのがつらい場合といいますか、健康危機管理実施要領もありますので、厚労省のほうになるべく早くお知らせいただいて、わかる限り知見を集めて、こちら側も協力して対応するというようなことをいつも考えておいたほうがいいかというふうには思っております。

 

○松井座長

 片山先生、何かありますか。

 

○片山委員

 物によって全然違うという話ですけれども、病原微生物の観点で言うと、諸外国では加熱勧告というふうな形で対応しているというふうな例もありまして、それについては今回の議論の中では余り乗っかっていないのですけれども、将来的な課題というか、それこそクリプトスポリジウムとかが問題になるかと思いますけれども、ほかは塩素を強化するとかの対応になるのかもというふうにぼんやり考えていますけれども、そういうふうなことも、これは多分ここでやるというよりは、クリプトスポリジウムの対策指針全体を見る中での議論になるのかと思いますけれども、そういうことも考えていけたらというふうに思いながらお聞かせいただいていたというふうなところです。

 

○松井座長

 国内では病原微生物関連の項目で煮沸勧告、またはそれに近いような状況は、浅見先生、何件かありましたよね。片山先生、御存じなら。

 

○片山委員

 国内ではとめるというのが原則的な。

 

○松井座長

 浅見先生。

 

○浅見委員

 実際には煮沸勧告的にされたところもあると思いますし、今の指針もよく読むとそういうふうに読めるのではないかと思うのです。

 

○松井座長

 補足していただきます。事務局、何か。

 たしか私もそうだったと、幾つかの事例で煮沸というか、広報車を出して煮沸してくださいというような事例もあったかと思いますけれども。ただ、一方でそういうことが頻繁に起こりますと、まさに水道に対する信頼性を失うことになりますので、そういうのは余りやってはいけないので。

 

○片山委員

 煮沸勧告はなかなか届かないというのも、届かないと言うと語弊がありますけれども、周知できているかどうかが、それはここも同じだと思いますけれども、そこに関して結構怖いところはあるので、対応はまた別途、慢性毒性とは別のレベルで考える必要がもしかしたらあるのかもしれないと思います。でも、それは、先ほど伊藤委員の御指摘のようにレベルの問題もありますから。

 

○亀屋委員

 ただ、伊藤先生が言われたように、常識的に判断していいようなところもあるのではないかとも実は思っておりまして、例えば摂取制限と言ってしまうと飲み水のところを中心に話に焦点が当たるのですけれども、むしろ生活用水のトイレは使っていいよとか、ほかのところでは使っていいよという言い方をして、飲み水のところはできるだけ控えてください。どうしても使いたかったら、先ほどの煮沸ではありませんけれども、ここの表に並んでいるように、煮沸すれば結構飛んでなくなってしまうような物質もありますので、そこは保障しますという意味ではなくて、ある意味、自己責任でやっていただかなければいけない部分かもしれませんけれども、それをうまく伝えることができるのであれば、控えてください、どうしてもの場合は煮沸してくださいというような周知の仕方もあるのかというふうには思います。

 ただ、煮沸して本当に飛んでいくのか、別のものができていないかと言われると、ちょっとそこまでバックデータは持っていませんけれども、トリハロメタンを少しやったときには、ほとんどが外へ飛んでいくというようなデータはとったことがあるのですけれども、その他のものも結構飛んでいきそうなふうに見えるのですが、ちょっとしてみないとわからないです。

 以上です。

 

○松井座長

 ほかに意見ございますか。

 

○伊藤委員

 私もこのような資料を出すこと自体は賛成で、何もないよりは出したほうがいいと思います。ですので、ぜひ今日出ている御意見を参考にしておまとめいただき、出すという方向に進んでいただきたいと思います。

 

○松井座長

 まとめ方はなかなか難しいと思いますし、事業体のお立場、考え方もあります。まさにアンケートのとおりだと思うのです。いろいろなステークホルダーの意見がありますので、そこが集約できるようにしてまとめていければというふうに思っていますので、そういう意味で今回いただいた意見を踏まえて、さらに検討を深めていただければと思います。よろしくお願いします。

 それでは、本件についてさらに意見がなければ、議題2は終わらせていただきます。

 予定した議題はこの2つですので、その他、事務局のほうからございますか。

 

○鈴木室長補佐

 本日の議事録は、後日、事務局より送付させていただきますので御確認をお願いいたします。

 また、次回の逐次改正検討会については、先ほど少し触れましたけれども、11月から12月ごろに開催を予定しています。また日程については別途調整をさせていただきたいと思います。

 では、最後に事務局を代表して、水道水質管理官の長坂より御挨拶をいたします。

 

○長坂水道水質管理官

 本日は、活発な御議論、ありがとうございました。

 農薬のテフリルトリオンにつきましては、本日いただいた意見を踏まえまして、分解物等の問題もあるということですので、そちらのほうの情報収集等もした上で、また今後検討させていただきたいと考えているところであります。

 また、摂取制限を伴う給水継続、「摂取制限」でなくほかの言葉を考えなければいけないのではという意見もいただきましたけれども、どういう形で公表するかということについては、本日いただいた御意見を踏まえて考えたいと思います。また先ほど説明したとおり、もう一回、この逐次改正検討会で御議論いただくとともに、厚生科学審議会の生活環境水道部会のほうにも、これまで2回ほど説明をさせていただいておりますので、そちらのほうにも御意見をいただいた上で、最終的には来年度の頭に一つの考え方を示せればいいかと思っていたところでございます。

 引き続きこの件にもついても御議論をいただくことになるかと思いますので、またどうぞよろしくお願いいたします。本日は、どうもありがとうございました。

 

○松井座長

 ありがとうございました。

 それでは、以上で本日の審議を終わります。

 


(了)
<照会先>

健康局水道課
TEL: 03-5253-1111(内線4033、4034)

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