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2004年3月16日 第6回社会保障審議会統計分科会 議事録

大臣官房統計情報部企画課統計企画調整室

○日時

平成16年3月16日(火)16:00~16:45


○場所

厚生労働省省議室(中央合同庁舎5号館9階)


○出席者

委員

廣松分科会長
今田委員
大江委員
柏女委員
西郷委員
津谷委員
松尾委員

○議題

1.中高年者の生活に関する継続調査-中高年者縦断調査(仮称)の整備の方向について
2.疾病、傷害及び死因分類専門委員会について
3.平成16年国民生活基礎調査について

○議事

(1)開会

○牧原企画課長

出席予定の方で、まだお見えになっておられない方もおられますけれども、定刻になりましたので、ただいまから「第6回社会保障審議会統計分科会」を開催させていただきます。委員の皆様方におかれましては、お忙しい中を御出席いただきまして、誠にありがとうございます。失礼ですけれども、座って進行させていただきます。

審議に入ります前に、まず今回初めて御出席いただきます委員の御紹介をさせていただきます。

早稲田大学政治経済学部教授の西郷浩委員でございます。

 

○西郷委員

早稲田の西郷です。よろしくお願いいたします。

 

○牧原企画課長

ありがとうございました。

また、本日は御欠席でございますが、日本女子大学人間社会学部教授の岩田正美委員にも統計分科会員に御就任をいただいております。

なお、昨年7月に吉村功委員が、また、本年1月に阿藤誠委員が任期満了をもって御退任されております。

  また、前回分科会以降、事務局メンバーの大半が異動いたしておりますので、御紹介をさせていただきます。

統計情報部長の坂田でございます。

人口動態・ 保健統計課長の村山でございます。                   

社会統計課長の西山でございます。                                   

雇用統計課長の等々力でございます。         

統計企画調整室長の赤木でございます 。

国民生活基確調査室長の大橋でございます 。            

疾病傷害死因分類調査室長の木村でございます。

それから、私、企画課長の牧原でございます。

次に、本日の出席状況でございますが、本日は、先ほど御紹介いたしました岩田委員のほか、青井委員、大竹委員が御欠席でございます。なお、大江委員と柏女委員からは、少し遅れるとの御連絡をいただいております。

出席いただきました委員が3分の1を超えておりますので、会議は成立しておりますことを御報告申し上げます。

  それでは、廣松分科会長、以後の進行につきまして、よろしく お願いいたします。

 

○廣松分科会長                     

皆様、本日はお忙しい中をお集まりいただきまして、誠にありがとうございます。

議事に入ります前に、社会保障審議会令第5条第5項に、「分科会長に事故があるときは、当該分科会に属する委員、または臨時委員のうちから分科会長があらかじめ指名する者が、その職務を代理する」 となっております。余り事故がないようにしたいと思うのですが、この社会保障審議会令に基づきまして、分科会長の代理をお願いしております。

これまで、阿藤委員にお願いをしていたところでございますが、先ほど御紹介いただきましたとおり、阿藤委員は1月に御退任でございますので、今後につきましては、本日、残念ながら御欠席ではございますが、岩田委員にお願いをしたいと思いますので、よろしくお願い申し上げます。岩田委員には、事前に御承諾をいただいております。

それでは、議事を進めてまいりたいと存じます。

本日の議題といたしましては、お手元の議事次第にございますとおり、大きく3つございます。

最初が「中高年者の生活に関する継続調査-中高年者縦断調査(仮称) の整備の方向について」 。

2番目が「疾病、傷害及び死因分類専門委員会について」 。

3番目が「平成16年国民生活基礎調査について」の3つでございます。

それでは、まず最初の「中高年者の生活に関する継続調査-中高年者縦断調査(仮称) の整備の方向について」 御議論をいただきたいと思います。

まず、事務局の方から御説明の方をよろしく お願い申し上げます。

 

(2)    「1 中高年者の生活に関する継続調査-中高年者縦断調査(仮称) の整備の方向について」

 

○赤木統計企画調整室長

赤木でございます。それでは、議事1の「中高年者の生活に関する継続調査-中高年者縦断調査(仮称) の整備の方向について」ということでございますけれども、これの関連の資料を御説明させていただきます。恐縮でございますが着席させていただきます。

資料といたしましては、資料1-1と1-2をお配りしてございます。1-1の方につきましては、この調査のフレームと申しますか、大枠の考え方を整理いたしております。

それから、1-2につきましては、いろいろ検討事項等もございますし、行政とどのように関わるのかというのもございますので、その辺りの整理をいたしております。

それでは、まず、資料1-1の方から御説明を申し上げます。

中高年者の生活に関する継続調査、中高年者縦断調査でございますけれども、この調査の整備ということにつきまして、資料1-1の3ページ目をご覧いただきたいと思います。  

ここに「参考」ということで、抜粋を掲載いたしておりますけれども、統計行政の新たな展開方向ということで、各府省が集まりまして、統計の主管部局長等会議というところで申し合わせを行っておりまして、平成15年6月27日に、今後の統計行政の進め方について整理を行っております。 その中に、10としまして「国民生活に関する統計の整備」という部分がございます。                                                    

この中で「(1)世帯や個人の活動等に関する統計」ということで、「背景・現状」「基本方向」   「具体的方策」がございますけれども、「背景・現状」の下線を引いてある部分、「このような中、特に、中高年齢者については、体力の低下や健康面における懸念が増す一方で、転職・退職等の変化を迎えるとともに、子育てや介護の面でも多大な負担を有するなど多くの局面において重要な役割を占めていることから、雇用や福祉対策等各種施策の推進を図る上で、中高年齢者についても、既存の調査と併せ、その行動の変化や事象間の関連性などについて把握することにより、より詳細な分析が可能となるよう、データの整備・充実を図ることが求められている」と、このようになっております。

   「基本方向」といたしましては、中高年齢者の生活実態がより明らかとなるような新たな調査手法の導入について検討すること。

「具体的方策」としましては、一番下の行にございますけれども、Bとしまして「厚生労働省は、既存の縦断調査の実施状況を踏まえつつ、平成16年度以降、中高年齢者に焦点を当てた縦断調査の実施について検討する」 ということで、新たな展開方向の中に記述されております。

私どもとしましては、これを受けまして、今後、具体的にこの調査の整備を検討してまいりたいということで、関係部局などから意見等も聞き、どのようなフレームの調査にするのかということで検討を今まで進めてまいりました。

大枠として、このような枠取りが考えられるのではないかということで、一応整理をしております。

資料1-1の最初のページになりますが、調査の目的としましては、「超高齢社会の到来を踏まえ、中高年者の健康、就業、社会活動等の生活実態と意識を継続的に調査することにより、高齢者の健やかで安定かつ充実した生活の確保等、高齢者の生活実態と変化に対応した高齢者対策に資する基礎資料を得る」 というように、一応整理をいたしております。

この目的に沿った情報、あるいは、この中高年者縦断調査のターゲットとして調査をするとどのようなメリットがあるかということでございますが、これについては、資料1-2の1のところに簡単に整理をいたしておりまして、簡単に御説明をしますと、(1)としましては、高齢化で人口的にも多くターゲットとなる団塊の世代を包含した統計で実態を明らかにすること。

(2)としまして、就業から引退へ移行する年齢層であり、就業から引退後の生活実態の継続的把握が可能となること 。

(3)としまして、雇用、年金等の制度改正や変更が就業、家計、生活に及ぼす影響・変化を、継続して、変化時期と、その対応行動・理由も含めて把握・分析が可能となること。

(4)としまして、健康レベル・身体機能が低下していく時期に当たり、健康水準の加齢に伴う変化、これに伴う受療、健康管理・増進と、これらにかかるコスト等を継続的に把握し、分析することができる。

それから、一部、年齢の取り方によりますけれども、介護関連に係る部分の情報というのも把握可能になってくること。

(5)としましては、今後の超高齢化社会を踏まえ、高齢者の社会活動等に係る行動と意識の実態や変化を継続的に把握して、分析が可能になること。
 このような形で、新たな統計情報を得ることができるのではないかと考えております。資料1-1の最初のページに戻っていただきまして、調査を行う場合、その対象をどのようにするかということが重要な事項になるわけでございます。調査の対象及び客体数は予算とも関係いたしまして、これから直近の予算を確保するということになれば、平成17年度ということになります。平成17年に調査対象年齢の男女を対象とし、国民生活基礎調査の調査地区内の当該男女云人と、これにつきましては、得る統計情報とか、その年齢層をどうするかによって違ってまいりますけれども、万単位の客体数を確保することになると思います。

調査対象の年齢をどうするかということでございますけれども、これにつきましては、現段階ではいろいろ案が考えられるわけでございまして、ここに書いてございますように、55歳から59歳という年齢層と、それから、6569歳という年齢層を考えるという方法。それから、50歳から64歳という年齢層を考える方法。それから、案の3 として、例えば55から64歳という年齢層を考える方法がございます。

これらにつきましては、それぞれ特徴があるわけでございまして、大変恐縮でございますが、資料1-2の2をご覧いただきたいと思います。「対象年齢層の選択」ということでございまして、先ほど申し上げました(1)の5559歳と6569歳という2つの年齢層を調査するというようになりますと、5559歳につきましては、団塊の世代というまとまった年齢層を含んで、就業から定年、引退への実態プロセスの変化を把握していくことができると思います。

それから、6569歳につきましては、前期高齢部分の年齢層につきまして、介護・健康等をメインに実態・変化の把握が可能であるというように思います。年齢層が限定されて、調査のテーマといいますか、内容的にはかなりクリアーな設定が可能になると思います。

調査内容によりましては、前者の部分が就業状態から引退へのプロセス部分、それで、65歳以上につきましては、多くの場合は引退過程に入っているわけでございますので、2つのグループによる比較も当然可能になってまいります。

就労・健康からは、この年齢層でございますと、50歳の前半部分というのが抜け落ちますので、いわゆる中年部分に関するデータというのは把握できないという、ある意味、デメリット部分も出てくるということでございます。

年齢層ごとに2つの調査票様式が必要になってきますが、これにつきましては、実際上の問題としまして、その処理負担の問題というのが相対的に重くなってくる可能性が出てくるということでございます。

50 64歳という年齢層を把握するということになりますと、団塊の世代という部分が当然、真ん中辺りに含まれているわけでございまして、これを含めて50歳部分からの、いわゆる中年的な部分から64歳の部分の高齢に至る部分となり、就業部分から引退後までの幅広いテーマで実態把握が可能になること 。

それから、年齢層が連続しておりますので、5歳階級での比較が可能になるというメリットもございます。

この年齢層でございますと、5歳階級3階級分のサンプルを確保しなくてはいけなくなります。

一応連続しておりますので、調査票の工夫の仕方によっては、1調査票によって設計も可能でございますので、実際上の処理負担部分というのは、ある程度、軽減される部分は出てくるというのがございます。

(3) は55歳から64歳ということでございまして、団塊の世代部分を含んだ10歳階級から調べるということになります。これは、就業年齢層と引退した年齢層を同時に観察・比較が可能であること。それから、年齢や環境条件等の差異による比較も可能ということでございます。

次のべージにまいりまして、(4) は50歳代に的を絞ると申しますか、団塊の世代を含む10歳階級で調べるという一つの考え方でございます。

50 歳からカバーするので、就業年齢層を長期間にわたり観察が可能であること。

それから、1調査票による調査が可能になります。

ただ、引退した部分、いわゆる高齢者に係る部分というのは当然、抜け落ちますので、その部分の情報を把握するまでに時間を要するというのがございます。

次の(5)になります。これは、55歳から59歳という、いわゆる団塊の世代を割り切って、この部分をまとまった年齢層として調べてしまうという一つの考え方でございます。

これは、非常に類似性の高い集団を継続的に観察することが可能でございますし、全体の標本数も相対的に少なくて済むという部分がございます。

これで割り切ってしまいますと、先ほどと同じように、50歳の前半部分と、高齢に係る部分引退した部分の情報が得られませんで、それとの比較というのは不可能になり、ある意味、情報量的には制約は受けるという部分がございます。

処理負担的には、当然、1調査票で処理可能でございますので、処理負担というのは相対的には軽いということでございます。

(6)でございますが、これは55歳から75歳あるいは80歳ということでございますけれども、実はこれを挙げてございますのは、私どもが調査のフレームを検討するにつきまして、関係部局の意見をある程度聞いておりまして、その中で、介護関係の情報をできるだけ早く把握してほしいというニーズもございまして、高齢者の部分を含んだ形で対応できないかという要望もございますので、もし、それを考慮するとすれば、高い年齢層部分を当初から入れるというような部分になっております。

ただ、これは非常に調査が内容的に違った形になりますので、当然、調査票は2票様式になります。介護部分をどこまで入れるかという調査設計の問題と当然関係してくるということでございます。

以上が対象年齢層の選択肢のオプションというのは、私どもが考える限りで、このような形があるのではないかということでございます。

次が、資料1-1の最初のページに戻っていただきまして、 「3 調査の期日」でございますけれども、これにつきましては、平成17年度を予定するとすれば、この年は10月1日にセンサス、国勢調査が実施される予定になっておりまして、当然、この時期は調査員の確保、世帯との関係から言えば、それを避ける必要がございますので、実際どの時期にするかということでございますが、今後、その時期は避けつつ、適切な時期に絞り込む必要性があると考えております。

次の4でごさいますけれども、これは調査事項、どのような部分に絞って調査をしていくかということでございます。調査事項につきましては、年齢層をどうするかということで、影響は受けるわけでございますけれども、中高年の生活について、継続的に把握をして、各種施策に役立てるということになりますと、とりあえず、このような分野と項目というふうに考えております。

まず、ざっと御説明申し上げますと、基本的事項としまして、性、年齢、世帯形態、婚姻、世帯主との続柄、学歴、同居状況、生活満足度、生活不安要因。

健康関連でございますと、健康の意識と疾病・介護の状況、健康診断の受診状況、生活習慣絡み、あるいは生活機能絡みの項目というのがあり得るのではないか。

就業関係ということでございまして、就業の現状、それから、就業歴。ただ、就業歴と申しましても、非常に詳細な就業歴は当然取れませんので、例えば最も長い就業歴に絞って取るとか、当然そういう対応が必要と考えております。それから、定年絡みの情報、引退絡みの情報というのが考えられるのではないかというふうに考えます。

あと家計・経済状況でございまして、生活をどう支えていくのか、あるいは年金制度との関係ということでございますので、やはり収入とか、その内訳、変化理由あるいは資産系の情報というのが当然必要になってくるのではないかと。ただ、項目的にどのような形で把握するかという部分の検討は当然必要でございますし、どういう絞り込みをするかというのも当然ございます。

次の項目は、家庭・地域での役割及び社会的ネットワークということでございまして、これは夫婦とか、あるいは家庭での役割の分担、それから、社会的ネットワークということで、これは特に引退後、社会との関わり合い、友人とか親族とか、あるいは閉じこもっているのかとか、あるいは地域、友人などとどのように関わっているのかとか、そういう社会的な関わり合いを持っておられるのかという部分も、やはり調べていく必要があるのではないかと考えております。

最後の社会活動でございますけれども、今後、高齢化が進んで、高齢者自体の社会活動というのも非常に重要な社会的な意味を持ってまいりますので、社会活動の現状とか過去歴、あるいは参加意識とか、そういうような部分というのも今後把握していくことであるというふうに考えております。

調査事項については、このようなことが一応、想定はされるわけでございますけれども、私ども国の調査として実施しますので、やはり全体のボリュームというのは当然制約を受けるわけでございますので、今後は実際の調査票設計の段階で全体の量、あるいはこの調査の趣旨、あるいは年齢層からいって、とにかく把握しなければいけないものは何なのか、そういうものを含めて、これからいろいろ絞り込み、あるいは選択をして設計をしていく必要性があるというふうに考えております。

資料1-1の次のページでございますけれども、「5 調査の方法及び調査の系統」でございますが、これは実際の設計に向けて検討をしていきたいというふうに考えております。やはり高齢者等の調査になりますので、調査員調査はある程度必要かなと今、考えておりますし、調査系統につきましても、やはり調査の負担といいますか、いわゆる処理的な負担に耐え得るルートを選択して実施していく必要性はあるというふうに考えております。

それから 「6 集計及び結果の公表」 でございますけれども、縦断調査でございますので、データにつきましてはデータベース化をしまして、集計分析に必要なデータセットをつくって集計分析をしていくということを考えております。

分析につきましては、通常のフラットな集計も当然行いますし、グループ化あるいはモデル分析的な分析、それから、分散とか因子分析系の、いわゆる要因系の分析というのも縦断調査では重要な分析になりますので、その辺りも考慮に入れて対応していきたいと考えております。

あと、調査項目に関連する点をちょっと御説明申しますが、資料1-2の3ページ目でございますけれども、「3 調査事項と施策の関連」ということで、詳細の御説明は省略させていただきますが、各項目分野ごとに施策との関連性ということで、例えば健康関連であれば中高年齢者の健康施策、あるいは健康増進施策。

就業関係で申しますと、特に年金支給開始年齢の延長と、中高年齢者の就業の確保のために雇用延長制度というのを、今、法案を提出しておりますが、そういう絡みで重要な情報が必要になってくるという部分、さまざまございますが、こういう形で、それとの関連性を一応整理してございますので、別途ご覧いただきたいと思います。

大体、御説明は以上でございますけれども、私どもといたしましては、とりあえずは、このようなフレームで考えておりますので、本日はさまざまな角度から御意見を是非伺えればという具合に考えております。よろしくお願いします。

 

○廣松分科会長

どうもありがとうございました。                              

先ほど、御説明にもございましたとおり、この調査は出生児調査、いわゆるベビー調査と、成年調査の縦断調査に続く3番目のものでございます。

資料1-1の3ページ目でございます、「統計行政の新たな展開方向」の委員会で、私もこの国民生活に関する統計の整備を担当した小委員会に属しておりまして、この辺りを大変強く主張した者の1人でございます。

今回、こういう形で、ある程度具体的な検討が始められるということに対して大変個人的にも喜んでおります。

ただ、この中高年に関しましては、今、ごく簡単に御紹介いただいた内容でもおわかりのとおり、大変幅が広いという側面がございます。ベビー調査と成年調査は、どちらかというと少子化対策というか、そちらの方が焦点にあるわけですが、中高年に関しましては、勿論、高齢化という側面はございますが、それ以外に、今、御紹介がございましたとおり、健康とか就業とかあるいは引退後の生活というような側面を含んでおりますので、今後、詰めなければいけない点は多々あるかと思います。 大体1時間ぐらいの予定で、この議題1に関して御議論をいただきたいと思います。

ただ、恐らく、これはそんなに大きく動かせないだろうというのが、まず調査対象者数に関して何万人というオーダー、すなわち1けた増やすというのは、ちょっと非現実的、2けた増やすというのはもっと非現実的な話でありまして、大体、何万人のオーダーというのが現実的、フィージビリティーから考えても、限度ではないかというふうに考えております。

もう一つは、これは平成17年に開始をするとして、国勢調査は10月1日に行いますので、それとのバッティングは避けざるをえない状況でございます。

したがいまして、実施時期に関しては、勿論、平成17年のいつかというふうに、ある程度幅はございますが、やはり少し限定されるというようなことではないかというふうに思います。

さて、とりあえず、今、厚生労働省の方では、先ほど御説明いただきましたような検討をしていただいているわけでございますが、特に年齢層とかあるいは把握事項に関しては、まだまだ詰めなければいけない点もございます。

どうぞ、御自由に御発言をいただければと思います。あるいは、もう少し広く、対象年齢層だとか調査事項に限らず、お気づきの点がございますれば、御自由に御発言をいただきたいと思いますが、どうぞ、どなたからでも御発言をいただければと思います。よろしくお願いいたします。

 

○津谷委員

それでは、まず、この対象とする年齢のことですけれども、私見ですけれども、ここに御提示いただいた案ですが、私自身は、先生方の御意見をまだ伺っておりませんけれども、この案の2 、50歳から64歳というのが適当ではないかなと考えておりました。その根拠をお話しいたします。

まず、第1ですけれども、ちょうど、この団塊の世代、50代後半を挟んで、その前と後のコーホートが、人口学的に言いますと出生コーホートが含まれているわけです。そうしますと、先ほど、団塊の世代だけを見るというふうな案もありましたし、10年遅れたものとの比較ということもございましたけれども、この団塊の世代、現在、日本の人口の9%ぐらい、将来的に出生率が減っていきますともっと大きくなってくるわけですけれども、この団塊の世代、行動もそうですけれども、属性もそうなのですが、意識的にどう違っているのかということを見るときに、やはり比較ができませんと話のしようがないというふうに思います。

その比較ということで、難しいことを言いますと、コーホート効果と年齢効果と期間効果と、確実にこれを分類、分解することはできないにしても、やはり3つやる方が、私はいいのではないかなと思いますのが第1点であります。

次ですが、50歳、これ恐らく10年間、毎年調査をされていきたいと思っていらっしゃると思いましてお話しするのですが、最初に、まだ元気で働いていらっしゃる年齢、50代の前半、最近、リストラ、その他ございますけれども、それにしても就業率はまだ高い。 特に、男性の場合、その後10年後ということを考えますと、ある意味、元気でばりばりと働いていたところから、50代の後半になっていきますと、会社によっては、そろそろ定年退職、そしてだんだんそれが増えてくるという部分が追えていくのではないかなと思います。もう退職者がたくさん出てからやってしまうよりも、この方がいろいろな就業のメンタルヘルス、それから、経済的なこと、家族のことを追えるのではないかというのが第2点です。

もう一つは、それほど重要ではないかもしれないのですが、この50代というのは、特に、ケアギバーですね。 先ほど、介護の問題で是非やってほしい70代、75歳まで、80歳までというお話がありましたけれども、要介護者の方にどうしても、厚生労働省ですから御興味がおありなのはよくわかるのですが、実は、人口の年齢構造を見ますと、私、大変心配しておりますのは、むしろケアギビングをする方なんですね。そうすると、年齢差を考えてみたときに、やはり50歳ぐらいからやっておかないと大事な部分が出てこないのではないかなと思いまして、特に50代の女性の担う部分、大変大きいので、ケアをする方というものを考えたときに、これはいいと思います。

最後の点ですけれども、調査方法はまだ決まっていないということですが、高齢者は別にしてですけれども、恐らく自計の可能性が高いと。できることなら、これは自計でやりますとありがたいと。コストの面からも、それから、負担の面からも。

特に、働いていらっしゃる方に調査員が来られて、他計してもらうとなると、時間的に非常に大変だということがありますので、もし自計ですべてやってしまえるとなるならば、10年後に、回答者の上限64歳というのが74歳ですので、恐らく上限ではないかなと思います。

ちなみに、先ほど他計でやると、自計と他計を混ぜるというお話なのですが、厳密に言いますと、モードエフェクトと言いまして、調査のモードの効果が違いますので、本当は混ぜない方が、私はいいと思います。途中からモードが変わってしまいますと、これをどのように、特に主観的な調査項目なんかは、相手に答えるのと自分で自計するのとは違ってきますので、その面からも50歳から64歳というのがいいのではないかなと考えておりました。

 

○廣松分科会長

ありがとうございました。

特に、年齢層のことに関して、2番目の5064歳という案が出ましたが、ほかに御意見いかがでしょうか。

 

○今田委員

追跡調査、パネル調査として、出生児を追跡する調査と、成年調査に続いて、いよいよ第3番目の調査がプランニングに上がってきたことを、関心を持っている者として大変喜んでいます。是非良い調査になればと思っています。この高齢層の調査は、そういう意味では非常に期待がかかっている調査ですが、色々な項目が関わるのでとても難しい調査になろうかと思います。設計をどのようにするか、いろいろ知恵を出さなければいけないと思っています。 基本的には、高齢社会が最も深刻になるのが団塊の世代が高齢期を迎えて、年金生活に入り、健康保険とか介護保険など、いろいろな社会的コストがかかる、そういう時代が焦点になるわけでして、この調査では基本モデルといいますか、調査として、どういう情報を得たいかというときの基本モデルを設定して調査を設計することが重要なのではないかと思います。

その場合の基本モデルというのは、健康で、就労を中心とした社会参加をできるだけ長期的に可能であるようなライフステージモデルというか、ライフサイクルモデルが基本になると思いますので、そのためには、高齢期に入ってからの情報だけでなく、先ほど津谷委員がおっしゃったように、就業している期間の情報も重要だと思います。つまり就業から引退をして年金生活に入っていく期間のフォローが重要で、就業生活中の意識や生活の在り方によって、引退後の生活もいろいろ相違があると予想されます。 健康状態も、あるいは社会参加の度合いも、就業を何歳ぐらいまで継続するかというのも違うと思います。

マクロに捉えると、多くの人たちが生きがいを持って、健康で就労を中心とした社会参加が実践されている社会が、モデルになると思います。そうした社会を実現することで、高齢社会においても、年金への圧迫、健康保険や介護保険でのコストの圧迫等を、抑制していけるのではと期待されるわけです。逆のケースになれば、多くの負担増に苦しむ社会になるということだと思います。したがって、この調査は、そういうモデルとなるライフコースというか生き方を、多くの人たちに実現してもらえるような、社会的な支援とか制度整備とはいかなるものかついて、また、どういう支援やニーズが必要なのかついては、メッセージを出すことが重要になります。 したがって、この調査が発信する情報の基になるライフコースのモデルを調査設計や調査票の設計において考えておくことが必要かと思っています。

就業も健康も社会参加も人々の意識も重要で、いろいろと欲張ることになるんですけれども、最低限の基本情報は提供できるような調査設計が必要であり、できるだけスリムにするという努力はするにしても、基本的な項目は是非ともこの調査票で確保するような努力が必要だというふうに思います。

ということで、要約すると、津谷委員がおっしゃったように、高齢期に絞るよりも、少し前の就業している段階からフォローできるような調査であることと、生活の基本としての三大要素である健康、就業、社会参加について、それらを実現し得るモデルというものに基づいて調査を行って、そこから支援とか施策の在り方というのが問えるような、そういう調査設計上の工夫というものを、どうにか知恵を出してつくっていければというふうに思っています。

具体的な調査設計ということでは、これからの作業だと思いますけれども、大変重要な調査ですので、中身の濃いものにしていかなければと期待しています。

 

○廣松分科会長

どうもありがとうございました。

先ほど、津谷委員の方からは、調査方法に関して自計、他計という言葉が出てまいりました。 今のところ、それも必ずしも明確に決まっているわけではございませんが、先ほど説明の中で少し出ましたとおり、調査員調査と同時に自計方式を念頭に置いていると思っています。 勿論年齢層が高くなると、必ずしもそれが可能ではないかとも思いますが、最初から他計という形で進めるかどうか、そこは確かに考える必要があるというふうに思われます。

もう一つ、これは御参考までに申し上げますと、もしこれが平成17年から開始されたとして、既に調査が実際に行われておりますベビー調査とか成年調査のケースで見ますと、大体1期5年を念頭に置いてやっておりまして、その5年が経過した後結果を十分吟味した上で、2期以降どういう形で進めるかということは検討するということになっておりますので、この中高年に関する調査に関しても、どういう形になるかはともかくとして、大体そういう形の方法になるのではないかなというふうには考えます。

 

○今田委員

済みません、追跡の期間について、5年ということですか。

 

○廣松分科会長

いえ、そうではありません。

 

○今田委員

追跡の期間は、どのぐらいを追跡していく、調査期間と言いますか。

 

○廣松分科会長

原則はずっと継続して追うことですが、今、実際に行われておりますが、調査項目をローテーション項目というか、毎年ずっと取るべき項目も当然あるでしょうけれども、例えば意識に関わるようなものに関しては、必ずしも毎年ではなくて何年かおきに取ることも考えられます。

だから、現在行っております調査でも、5年間に必要であろうと思われる調査項目を調査しているわけですが、今後それをどういう形で2期目以降行っていくかということを検討することだと思います。

 

○赤木統計企画調整室長

調査期間でございますけれども、まだ案的な段階ではございますけれども、ミニマム10年、マックス15年、大体そんなところかというように一応は考えております。

 

○大橋国民生活基礎調査室長

調査方法で、少し補足説明させていただきたいのでございます。成年者調査につきましては、調査員で調査しておりますが、自計でございます。

これはどういうことなのかと申し上げますと、郵送でやりますと非常に回収率が悪いということで、配布をして、説明をさせていただいて、そして密封で、自計で、後で回収すること。

ただ、転居される方がいらっしゃいますので、その方たちに対しては、いわゆる郵送で調査を実施しております。

 

○津谷委員                                                  

済みません、私も今、他計、自計と申しましたのは、調査員調査の自計、年齢層にもよりますけれども、それがコスト的にも、負担的にも、特に就業率が非常に高い年齢の方がもし混じってくるとなりますと、帰ってきたとき、夜にでもやるというふうなことができるようにした方が、そうでないと私ごく最近大調査をやりまして、ものすごくここ1、2年で、個人情報の流出その他、急激に調査環境が悪くなっておりまして、特に調査員が行って、面と向かっていろんなことをお何いしたいと言うと、これは相当、時間的な制限もありますけれども、制約もありますけれども、心理的にも圧追感があるようで、先ほどおっしゃったように、郵送ですと非常に回答率が悪くなるであろうというふうに思います。

ですから、その意味での工夫は必要ですが、年齢層にもよりますが、基本的には調査員を使った自計の調査で調査項目も工夫をしまして、見ただけで大体厚さと字の大きさと質問の数をばっと見られるんですね。それで、やるかという気持ちになっていただくようにするということが大変大切だというふうに思いました。これは私自身の経験でございます。もう一つ、申し上げたかったのは継続調査、つまり追跡の調査ですので、すべてを1回の調査で聞く必要はないというふうに思います。

客観的な調査項目と、主観的な調査項目、これ考えますに、特に第1回はできる限り主観的な調査項目を押さえるふうにした方が、原則論ですが、私はいいのではないかと思います。

理由を申し上げます。最大のパネル調査の利点というのは、よく言われますが、人間の意識ですね。それと行動というものを、1回のクロスセクションでやりますと、どっちがどっちかわからない。つまり、内生性が非常にありますので、エンドジェネラリティーです。

いろんな世論調査がありますけれども、もし意識がある程度、その後の人間の行動を決定するということが、こちらでわかれば、いろんな意識を聞く意味があるわけですね。つまり、将来の変化というのは、ある意味それでしか読めなくなってきているように思うのです。聞き方にもよりますが。

そうしたときに、先に、すべてタイムオーダー、タイムシークエンスが因果関係を100%実証はいたしませんけれども、先に意識を聞いておいて、その後の行動というものを調べるという方が、私は、このパネル調査の最大の利点の一つだと思います。

年齢とか学歴とか、正直に答えていただくということを想定するならば、それは次の調査で聞いても、もうこの年齢ですから、年齢は1年ずつ年を取っていくだけですし、学歴も、そう大幅には変わらないであろうと。そういうことは、実は次に回しても、むしろ構わない。いつ結婚したかとか、初婚年齢なんかも、もしスペースに余裕がなければ後で聞いてもいいと思います。

ただ、 廣松分科会長がおっしゃいましたように、毎回毎回意識を聞く必要があるのかということは検討課題だと思いますが、第1回については、そういうことを考えながらやった方がよろしいのではないかと思います。

 

○廣松分科会長

ありがとうございます。

ほかに、御意見はございませんでしょうか。

 

○松尾委員

子どもに関係したいろいろな調査というのを見ますと、日本の調査は、対象数は非常に大きいけれども、問題の絞り込みはやや浅いという調査が多いと思うのですけれども、国際比較ということをやりますときに、類似の調査が外国でなされていて、その変数だとか、調査の方法というのを共通化できれば、後で日本の特性というのがよく理解できるようになるのではないかと思うので、是非、外国の調査というのを参考にしていただきたいと思うのですけれども、いかがでしょうか。

 

○廣松分科会長

ありがとうございます。

いかがですか。 国際的な比較が可能になるようにするという意味からは。

 

○赤木統計企画調整室長

中高年者の縦断調査については、例えばアメリカ等にございますけれども、ただ、問題は調査事項が、例えば外国の場合、特に縦断調査の場合は、普通数十ページの調査を行いますので、ある意味では向こうの方が非常に多く、日本側のものが少ないですから、特に基本事項は多分合わせやすいと思うのですけれども、調査事項がコアでない部分は非常に合わせにくいという問題があります。つまり外国の調査というのは非常に幅広い調査を、50ページとか60ページの調査票で行いますので、その辺が非常に難しいかもしれませんが、コア項目であればある程度の調整は可能かもしれないという部分はございます。

 

○廣松分科会長

確かにおっしゃるとおり、そこはちょっと難しいところであります。アメリカなどで、今、おっしゃったような膨大な調査をやっているのは、どちらかというとモニター制というか、希望者が調査に応じるというようなものが多く、日本の場合は原則、今そういう方法は取っておりません。

当然のことながら、現在検討中の中高年者縦断調査に関しても、先ほどございましたとおり、国民生活基礎調査の中からサンプルとして選んで、その方々に御協力をお願いするという形式になっておりますので、いわゆるモニター制とは性質が違います。

 

○津谷委員

ただ、アメリカの場合、先ほどおっしゃったことはほぼ正しいのですが、実は、プロバビリティーサンプル、つまり、無作為抽出でやっている追跡調査、パネル調査で一番有名なものは、 NLSYと呼ばれる、ナショナル・ロンジチューディナル・サーベイ・オブ・ユースですね。これは、70年代の頭に10代の後半、16歳か18歳かちょっと覚えていないのですが、それから20代のコーホートを選びまして、それから毎年やっておりますので、もう三十数年。ですから、一番大きなコーホートが50代に入っております。

ただ、この中高年齢者調査ではないわけですね。始めたときにはユースですので、若者であります。

日本も成年者縦断調査をずっと続けていっていただければ、このNLSYのようなすばらしいデータができるであろうと思います。これはプロバビリティーの調査ですので、ランダムサンプルであります。

あと ロンジチューディナル・ オン・ サーベイ・ オブ・ エイジング、つまり高齢者のパネルもあります。これは本当の高齢者、65歳以上の高齢者ですので、ちょうどこの中高年調査の年齢層はないので、その意味でもある意味大変に重要な調査だと思います。

アメリカと比べまして、日本の場合、ライフコースを見ていきますと、多様化してきているとはいえ、非常にパターン化されておりますね。いろんな年齢でもって、いろんなイベントが起こってくる確率が高いということを考えると、やはり私、今、これをやっておくことは大変に必要な調査であると期待をしております。

ただ、先ほど、同じ項目を聞けばどうかという松尾先生の御意見ですが、ロンジチューディナル、つまり、パネル調査ではないのですけれども、GSSと、御存じのとおり、ジェネラル・ソーシャル・ サーベイと呼ばれるものがあります。これはクロスセクションでずっとやっておりますが、少なくとももう三十何年やっています。

そこで、特に客観的な、一般的な意識の質問などは、もうGSSクエスチョンというのですけれども、何回もいろいろテストをされて、非常にスタンダード化された、標準化されたような質問がございまして、先ほど夫婦の家庭内の役割分担というようなものでも一番よく使われていると。いろんな分析にして使われていて、これは非常にある意味、ジェンダ一役割に関する意識をうまくはかっているという実証ができているものもありますので、そういうものももしはかられるのでしたら、特にワーディングを変えてしまいますと比較ができませんので、できる限り翻訳しなければいけないのですけれども、全く同じという形でお使いになると、パネルではありませんけれども、比較ができるというふうに思います。

あともう一つ、これは毎年のNLSYみたいなものではないのですけれども、ナショナル・サーベイ・オブ・ファミリーズ・アンド・ハウスホールズ、NSFHと呼ばれるものがあります。これは家族調査、世帯調査なのですが、87年から88年、そして92年から94年、そして今度第3次、大体5年ごとに、これは3万世帯ぐらい集めておりますが、これもある意味のパネル調査ですので、間隔が空いておりますけれども、これも御参考になるかなと思います。

ヨーロッパは割とパネルが多いのですが、世帯のパネルが多いので、ちょっと個人調査とは違うと思いますが、先ほどのNLSY、GSS、そしてNSFHはすべてネットで検索できますし、NLSYなどはMOがすぐにいっばいになってしまうのですけれども、データもダウンロードできると思いますので、参考になればと思います。

 

○廣松分科会長

ありがとうございました。

ほかに、御意見ございますでしょうか。

 

○西郷委員                 

先ほど廣松分科会長が毎年毎年というふうにおっしゃいましたけれども、頻度は、毎年をお考えなのですか。

 

○赤木統計企画調整室長

毎年を考えております。

 

○西郷委員

是非、毎年やっていただきたいというふうに思います。中高年を対象にした調査というのはなかなかないということもありますので、是非成功させていただきたいなと思います。

ただ、この質問の項目はかなり多岐にわたっていて、本当にこれを毎年毎年のレベルでできるのかなというのは、ちょっと心配というような気もいたします。

それとの関連で、中高年に対する調査ですので、アトリッションの率ですか、パネル調査でだんだん標本から、個人なり世帯なりが抜けていってしまうという率が高いのか低いのかというのがよくわからないのですが、10年ないしは15年を念頭に置いて、ずっと続けていく調査ということであれば、アトリッション、だんだん減っていってしまった世帯ないしは個人をどうやって補てんしていくのかということも併せて検討していただければと思います。

 

○赤木統計企画調整室長

質問項目につきましては、年齢層の絞り込みや、それから、トータルの質問量というのは当然、制限がございますので、適切な絞り込みを項目的にはやる必要があると思います 。

あと、サンプルの低減の問題でございますけれども、私どもの縦断調査の経験的に申しますと、大体初年度が8割強の回収率で、2年目以降は大体9割ぐらいという状況になっております。9割強ぐらいですね。

高齢者の場合は、転居というのは成人者と若年者に比べると相対的に少のうございますので、最低でも数パーセント減で回収率は恐らく確保できるのではないかと考えております。

あと、10年とか15年継続した場合のサンプルが、当然これは減少するわけでございますけれども、生物学的には、例えば50から60で開始した場合、10年、15年動かしても、まだ死亡による減というのは、非常に少ないレベルでございますので、実際の死亡というのは80歳以上からかなり低減してまいりますので、生物学的には、それほど落ちないのではないかと考えております。

ただ、問題は転居とかで当然ある程度、掛ける0.9で落ちてまいりますので、その後、例えば10年やっているときに、どの程度のサンプルになって、あと分析にどう影響するか、それにつきましては調査を継続していく中で、サンプル補充の問題等は考えたいというふうに考えております。

 

○廣松分科会長

ありがとうございました。

 

○柏女委員

中高年関係の専門ではないので、やや的外れなところがあるかもしれませんが、2点あります。

1点は、先ほどどなたかもおっしゃられていたと思うのですが、こういう調査の場合、政策立案の参考にするという側面と同時に、どういう生き方をしているか、いわば、元気で生きているなという一つのメッセージを出していく というのか、そういう面もあるのではないかなというふうに思います。

そういう意味では、元気な人は 、生きがいを持ってやっている人は、どういう生き方を選んでいくのか、特に仕事をしながらリタイアしていくときに、どういうソフトランディングをしたのかとか、そうしたところを把握できる調査もあると面白いかなというふうに思いました。 これが1点目です。

もう一点は、私、中高年の関係でこういうことが必要なのかどうかというのがわからないのですが、人数は少ないのだけれども、特定の政策のターゲットになる一群を見つけ出していくというか、そういうことも必要なのではないかなというふうに思っています。そこに集中的な調査をしていくというようなことです。

例えば、ベビー調査の方ですけれども、これまで2回あったわけですけれども、2回とも子育ての不安とか悩みがものすごく強い人というのが約1%位いるんですね。この人たちは一体、どういう人なのか。0歳のときもそうだったし、それから、1 歳のときも不安でしようがないと。 その人たちは、一体どういう人なのだろうか。その人たちにどういうサービスが必要なのだろうかというふうに、年代で両方とも、何年かにわたって問題状況を示している方々にターゲットを当てて、もう少し補充的な質問などもできないだろうかと。

あるいは、これはこの調査でやるのではなく、前から申し上げているのですけれども、そういう方々を対象にした、例えばヒアリング調査などを別途起こしていくといったような、そういうことも念頭に置いた調査票の設計ができればなというようなことを少し感じました。

中高年については、それが何がそうなのかということを私、ちょっとよく把握しておりませんけれども、子供については、そんなことが必要なのかなというようなことを思いながら、この中高年調査の方を聞かせていただきました 。

以上です。

 

○廣松分科会長

ありがとうございました。            

ほかに、いかがでしょうか。

 

○大江委員

質問ですけれども、この主要な調査事項の中に、後半の部分にある社会的ネットワークというのと、その次の社会活動というのは、かなりオーバーラップするようなものなのか、全く違うものなのか、ちょっと教えてください。

 

○赤木統計企画調整室長

社会的ネットワークでございますが、これは例えば、その方が、いわゆるうちに閉じこもるタイプの生活をしておられるのか、あるいは、かって職場の友人と比較的コンタクトを取って生活をしておられるのか、あるいは、親類縁者と申しますか、いわゆる家族型の付き合いをしているのか、そういう社会といいますか、地域も含めて、例えば地域社会の人とかなりコンタクトがあるとか、その人と社会、あるいは親戚、あるいは閉じこもるとか、そういう形の、いわゆる行動のパターンといいますか、それを把握するという部分でございます。

それから、社会活動の方は、これはボランティアとかNPOへの参加とか、どちらかといいますと、ある意味社会に役立つ活動というのをしているのか、あるいは意識はどうかというのを把握するという部分でございます。

 

○大江委員

ありがとうございました。

 

○廣松分科会長

先ほど、柏女委員の方から御指摘があった2番目の点についてですが、これは現在の調査がまだ検討中ですのであれですが、既に行われている調査に関して、例えば政策的に注目すべき層にターゲットを当てた、言わば補完調査というか、あるいは補足的な調査をかける。 あるいは、ヒアリング等を行う。それは今後の課題だと思いますが、例えば国民生活基礎調査というのが、この厚生労働省が行うほかの調査の、統計的に言えば名簿情報の基になっているというか、基礎になっているような側面もありますので、この調査に関しても、そういう使い方をされればというふうには思います。

ただ、一方で、その点は統計法上、法的に認められるかというか、ちょっと難しいことが起きるかもしれません。というのは、あくまでそれぞれの調査は、それぞれの調査の目的に応じて行われるものであって、そういう前提の基に調査が行われているわけです。

したがって、この縦断調査に関して、これは当然のことながら、被調査者の方の同意の必要性は当然ですが、その調査を基に、更にほかの調査を行うということに関して、あるいは実際に政策的な意味での必要性ができたときに追加調査を行うことに関して、その時点で検討すべきかと思います。その辺は、実際に調査を動かしながら、いろいろ御検討いただければと思います。

 

○今田委員

今の点に関してですが、とても有益な調査方法になり得る可能性として、そういう方法つまり補足調査、附帯調査のようなものは実施することが可能なのでしょうか。事務局の方。

もし、それが可能ならば、出生児調査にしろ、成年者の調査にしろ、この調査にしろ、ターゲットを絞って、極めて重要な情報について、事前にこちらにデータがあるわけで、ある課題がその層に集中的にあるということがわかるわけですから、それについて附帯的な調査を実施することは、もしできれば、すごく効率のいい情報収集の方法だと思うのですけれども、それがあるかないかで、この調査のデザインもまた変わってくるのではないかなと思うので、確認したいのですが、そういうことは可能なのでしょうか。

 

○赤木統計企画調整室長

制度的な意味で言えば、例えば国民生活基礎調査の親標本、あるいは特定の属性の方に対して、追加と言いますか、別途調査をかけるとは制度的には可能なわけですけれども、ただ、その別途調査が国の統計制度の中で、認められるのか、あるいは縦断調査の中で補助票を使ってやるという方法だってあり得るわけです。別途調査するのか、あるいは補助票で詳細な調査をすることは、もしそれが行政的にも有益で、情報も有益であればという、システム制度的には、それはあり得る話だと思います。

ただ、問題は、それをやる意義といいますか、その必要性という、その辺をきっちり詰めて対応しなければいけませんけれども、方法論としてはあり得るということでございます。

 

○廣松分科会長

どうもありがとうございます。

 

○大橋国民生活基礎調査室長

若干懸念されることがございます。 国民生活基礎調査のような親標本から後続の調査、附帯調査をするのは可能ですが、成年者調査は、親標本調査から1年何ヶ月後に調査いたします。その間に転居していますので、与えられたその情報は、必ずしも全体を表わしてないという問題がございます。そういう調査から、また抽出をして調査を実施するということになりますと、かなりバイアスがかかるのではないかなというような点が統計の精度上、少し懸念されるのではないかと思います。

 

○津谷委員  

これはコメントかつ質問なのですが、一応、10年をミニマムで予定をしておられるということですね。

そうすると、情報公開法ですか、法律の縛り上、参加する回答者に10年やりますということを一番最初に、その調査に参加する時点で一応、言わないといけないのではないのかなと私は思いまして、特に毎年来るわけですので、10年参加をしますということを前提に参加をしていただくとなると、そこだけである意味選択性がかかってきてしまうようにも思います。

これは中高年ですので、若者調査ほどではないのですけれども、そういうことは気にしなくてよろしいのでしょうか。それとも、10年間は追跡をする予定ですので、御参加いただけますかということを言わなくてよろしいのでしょうか。

もし言わなければいけないとなると、政府の調査ですので高くはなると思いますが、その時点で10年はかなわぬというので辞退者が出てきて、これがランダムに発生すればよろしいのですけれども、そうではない場合に、ある意味統計的な代表性というものも実は懸念を、ではどうするのかと言われれば、これは仕方がありません。国勢調査とでもかけ合わせて、サンプルウエートを計算するかと、いろんなやり方はあると思うのですけれども、その点について、お伺いしたいと思います。

 

○大橋国民生活基礎調査室長

成年者調査を例にいたしますと、私どもは何年と明確には区切っておりません。可能な限りと。                                                                               

ただ、そうは言いましても、先ほど言いましたように、サンプル数が脱落してきますと実際、調査自体が可能かどうかというようなことで、一応5年をめどに検討しますということは申し上げております。基本的には可能な限り継続させていただきたいと、このように考えております。

中高年縦断調査については、赤木の方から。

 

○赤木統計企画調整室長                                                

基本的には、調査の最初の段階で調査の趣旨とか、調査内容も当然でございますけれども、いわゆる長期間にわたって継続しますということで、御説明は当然調査員の方から対象に対して行いますけれども、ただ、恐らく期間については、例えば10年とか15年は最初から明示するということはないと思いますが、いずれにしても長期間の調査になるので、継続して御協力をお願いしたいということは明確に申し上げますので、そのときに、例えばどのくらいになりますかと言われれば、調査員には10年は最低限お願いしたいということは回答を申し上げると。ただ、それを書面に書くかどうかというのは、書かないかもしれません。いずれにしても、長期間になりますというお願いは当然お伝えするということになると思います。

 

○村山人口動態・ 保健統計課長

21 世紀出生児縦断調査につきましても、何年続けるというようなことは特に明示しておるわけではなくて、引き続き御協力をお願いしますということしか言っておりません。

 

○廣松分科会長
ありがとうございました。

この辺は、まさに日本で政府統計として、こういう形の縦断調査を始めたばかりなものですから、まだいろいろ、実際に調査をやりながら考えていかなければいけない点が多々あるかと思います。

私も、先ほどの国民生活基礎調査の方を例に出して、ちょっとうかつだった点は事実でございまして、これはまさに縦断調査でございますので、その情報を、先ほど申しましたように補足、あるいは追加調査の名簿として使えるかどうかは、恐らくここでは何とも申し上げられない、法的にも多分、そういう状況にあるのではないかというふうに思います。

ただ、ここから先は私の個人的な意見というか、希望でございますが、せっかくこういう形で、大変貴重な調査が行われる訳ですから、それをいろんな形で、もちろん政策的にもそうですし、それが必要な情報を集める、統計情報を収集するという意味で利用できるものであれば是非使っていきたいというふうには考えます。

ほかに、御意見はございますか。

 

○松尾委員

柏女委員が御指摘の問題点は、私、全く 同じ問題の認識でありますけれども、再調査をしなくても個票のところまでさかのぼれば、どういうリスクファクターでそういう問題が起きているかということはわかりますので、その辺は是非、御検討いただきたいと思います。

それから、第2点は調査項目のことでありますけれども、健康関連の情報として最も重要な情報の一つは、中年者のメンタルヘルスだと思うのですが、この人たちが明らかな異常を示さない前の段階で、ある種のサインをキャッチできるような調査を是非入れていただきたいというように思います。

 

○廣松分科会長

ありがとうございました。

ほかに、いかがでしょうか。

今、松尾委員の方から御指摘があった個票データに関しては、現在、いろんな形で議論がされております。例えば、国民生活基礎調査の場合もそうですが、ましてやこういう縦断調査の場合には、極めてセンシティブな情報まで全部含まれているわけですから、恐らく、一般に公表するということはほとんど不可能だろうと思います。分析をするにしても、内部のしかるべき担当者が、その範囲に限定した上で使うということにならざるを得ないのではないかというふうに思います。

ただ、それも、先ほど申しましたとおり、今後、データが書積してくると、いろんな形でニーズが出てくるだろうと思いますから、それに関しては、やはり今後、調査を続けながら御検討いただく ことになろうかと思います。

ほかに、いかがでしょうか。

もし可能でしたら、先ほど説明の中にあった項目のうち、特に御意見が出なかった部分として、もう一つ大きな点として、サンプル数の減少すなわちアトリッションの問題があります。これはある程度、実査上の問題だけではなくて、分析上の問題にも関わると思います。そういう意味でも、もっと広く一般的な形で、縦断調査のデータの分析方法の確立ないしは、開発というのも同時にやっていくべきであると思います。それはどちらかというと、当初は理論的な形の検討になろうかと思いますが、今後、やはりやっていかなければいけない大きなテーマの一つではないかというふうに思います。

もう一つ、今、いろいろ御意見が出ましたけれども、それぞれ一つひとつ大変重い課題であろうかと思いますが、それを統計情報部の方で今後検討していただくわけでございますが、こういう調査の場合に継続というのが最も重要な意味を持つのですが、同時に継続することは、やはり労力、コストの意味で、大変大きな負担にもなると思います。

ましてや、今度、中高年層も含めて3つ同時に走らせるというのは、やはり大変な調査実施上、あるいは設計の段階からそうかもしれませんが、負担になると思います。そういう点に関して、是非厚生労働省さんの方でこういう調査を継続するための体制に関しても、今後御検討いただければというふうに思います。

これはちょっと、いささか比喩的で恐縮ですが、大体、私の経験から言っても、データベースをつくるということに関しては、つくる人は 大変意欲に燃えて、精力的にやるわけですが、それが一端完成した後メンテナンスしていくということになると大変手間がかかる上に、なかなか、ちょっと言葉は悪いですけれども、意欲が湧かないというようなことが結構起こります。 大変注目されながら始まったデータベースの運用というのが、なかなかうまくいっていないというケースもございますので、そういう点も是非御検討の方、よろしくお願いしたいと思います。

ほかに、この中高年者縦断調査(仮称) について、御意見・ 御発言ございますでしょうか。 よろしいでしょうか。

 

○赤木統計企画調整室長

これにつきまして、今日、さまざまな御意見をいただいたわけでございますけれども、私どもとしましては、新しい年度に入りましたら予算を含め、それから、実際の調査計画でございますけれども、それを検討してまいりたいというふうに考えております。                                                 

それで、予算の確保のめどの立った段階で、また改めまして、調査票案も含めた実施の計画案について、こちらの分科会の方で御検討を是非お願いしたいというふうに考えておりますので、よろしく お願いいたします。

 

○廣松分科会長

ありがとうございました。

いろいろ貴重な御意見をいただきました。発言の中にございましたが、社会情勢の変化とか、あるいは経済情勢の変化、あるいは中長期的な観点から取り組むべきものなど、課せられた課題や期待がたくさんあると思われます。

その一方で、今、申し上げましたとおり、継続して行うことに大変、貴重な意味がある調査でございますが、その被調査者の方々の負担とかプライバシー保護の問題など、実査上の問題もたくさんございます。厚生労働省さんにおきましては、その辺りのことを十分考慮の上、課題を整理した上で具体的な調査の形にしていただきたいと思います。

今、御紹介がございましたとおり、この調査に関しましては、必要に応じて、当分科会において審議を行ってまいりたいというふうに存じます。

それでは、最初の議題に関しましては、とりあえず、これまでにさせていただきまして、2番目の議題でございます。「疾病、傷害及び死因分類専門委員会について」でございます。

それでは、この議題に関しまして、事務局の方から御説明をお願いいたします。

 

(3)    「2   疾病、傷害及び死因分類専門委員会について」

 

○木村疾病傷害死因分類調査室長

それでは、疾病、傷害及び死因分類専門委員会について御報告させていただきます。失礼して着席させていただきます。

来る3月18日、2日後でございますけれども、第1回「社会保障審議会統計分科会疾病、傷害及び死因分類専門委員会」を開催することになりましたので、本日、御報告させていただきます。

お手元に資料が2部、用意されていると思いますのでご覧ください。1つ目は資料2-1、   「疾病、傷害及び死因分類専門委員会の設置について」、2つ目は資料2-2、「2003年世界保健機関(WHO)国際分類ファミリー(FIC)戦略会議及び協力センター長会議」というものです。                                     

まず、資料2-1の方をご覧ください。

本専門委員会で討議いたします内容と申しますのは、この2-1の3枚目の参考にありますように、3つの項目に決められております。

今回の委員会では、WHOでICD-10のアップデートを担当いたしますURCという委員会がございますが、そこからの宿題である14項目についての検討を行いますので、この3つの審議のうち、「(2)『疾病、傷害及び死因分類』の軽微な変更」あるいは「(3)その他『疾病、傷害及び死因分類』に係る個別専門的事項」に当たります。

手続、その他といたしましては、廣松分科会長の御了解を得て設置いたしております。さて、次に、本委員会を開催する基となりましたWHO-FIC協力センター長会議について説明させていただきます。

これにつきましては、資料2-2の方をご覧ください。2ページ目の方に、この協力センター長会議の組織図、略語等ございます。 略語等は、この資料に基づいて使わせていただきます。              

ICDは、1900年に刊行いたしまして以来、ほぼ10年ごとに大幅な修正を行っておりますが、9回修正のICD-10までは、修正の際にだけ国際会議を開きまして、修正案を採択することとしておりました。

しかしながら、9から10へは大きな転換でございまして、項目数もほぼ倍増いたしました。 これは、医学の進歩が1990年以前に比して大きなものになっているということを示しています。そのため、ICD-10以降は、毎年1度、13あるWHO協力センター長が集まり、ICDに関わる問題について討議し、決定することとしています。

特に、2000年にはICDの亜分類であったICFとICDを2つの中心に添えまして、関連する分類を包括したFICという概念が導入され、現在に至っております。

センター長会議には、この国際分類ファミリーの下の図のところにございますように、現在、5つの委員会と1つの部会がございます。昨年まではICFの独立した委員会がございましたが、 MRG(死因分類改正グループ) を除いて、ICFの活動そのものがすべて、これらの委員会と部会に含まれるようになりまして、ICFの委員会は姿を消しました。

このFICに関わるアップデートすべてを扱っているのが、分類改正委員会、URCという委員会でございます。 このURCでは、年間約300から400の、主にICDに関わる案件がございまして、そこで取り上げられ、年間通し、主にeメールなり、テレカンファレンスなりで各国の意見調整をいたします。最終的に毎年10月に行われますセンター長会議で、最終的に議論、採択が行われるという仕組みになっております。

今回の専門委員会で討議される14項目というのは、この資料2-1の方に具体的にございますけれども、昨年のドイツ国ケルン市で行われましたセンター長会議で決定できなかった、持ち越しとなったWHOからの宿題でございまして、このWHOの方は、この各センター長国に対して、これを各国に持ち帰って討議して、その結果を意見出しをするようにということを求めております。以上のような経過でこの委員会を開催する運びとなりました。以上でございます。

 

○廣松分科会長

どうもありがとうございました。ちょっと補足をいたしますと、この疾病、傷害及び死因分類に関しましては、政令で政府が公表する統計に関しては、この分類を使うようにというふうに定められております。そういう定めがあるのは、標準産業分類とこの分類だけでございます。

標準産業分類の方は、総務省統計局の統計基準部が分類の改定作業等行っているわけですが、この疾病、傷害及び死因分類に関しましては、この当統計分科会が言わばその責任を持つという位置づけにございます。

したがいまして、先ほど資料2-1のところで御紹介いただきましたこの分類の、特に今回14項目の検討に関しましては、当然のことながら専門家の方々にお集まりいただいて、検討していただくのが最も適当ではというふうに考え、ここに専門委員会の設置を御報告するという形になっております。

資料1-2の2枚目をご覧いただければ、本分科会からは、大江委員と松尾委員にお加わりいただくということでございます。

この点に関しまして、何か御質問・御意見ございますでしょうか。

とりあえず、この専門委員会に関しましては、明後日開催をしていただきまして、この後随時開催をしていただいた上で、この検討をしていただくわけでございますが、資料2-1の一番最後、3 目の一番下の行に、疾病、傷害及び死因分類の大規模改正の場合を別途検討というふうに書いてございます。国際的な動きに関しましては、先ほど資料2-2の資料に基づいて御説明いただいたわけですが、今後現在使われておりますICD-10の大幅、大規模改正が検討されるときには、当然のことながらもし必要とあれば、日本から声を上げるということも十分考えられる、あるいは必要であろうと思いますので、その意味で別途検討と書いてございます。この統計分科会の場で、あるいは専門委員会の場でそういう御議論が出た場合には、そういう点も今後検討していきたいという趣旨でございますが、いかがでしょうか。

何か事務局の方で補足をいただくことはございますか。

 

○木村疾病傷害死因分類調査室長

特にございません。

 

○廣松分科会長

大江委員、 松尾委員の方から、 何かご発言はございますか。

何とぞよろしくお願い申し上げます。

それでは、2番目の議題に関しましては、これまでにさせていただきまして、続きまして第3 番目の議題 「平成16年国民生活基礎調査について」 でございます。 それでは、これにつきまして、まず事務局の方から御報告をお願いいたします。

 

 

(4)    「3 平成16年国民生活基礎調査について」

 

○大橋国民生活基礎調査室長                                                       

座って御説明させていただきます。本年に実施いたします、国民生活基確調査につきましては、既に前回のこの統計分科会で御審議をいただきましたけれども、前回の分科会以降、関係機関等の調整だとか、統計審議会での審議などを経まして、若干変更点がございます。

1月8日に総務省より承認を受けました。本日は新しい委員の先生もいらっしゃり、また前回の分科会からかなり時間も経っておりますので、改めまして今年行います国民生活基礎調査の概要を御紹介し、前回の分科会以降の主な点も含めて確定したものを御報告したいと思います。  

まず、資料3-1をご覧ください。御承知のとおりこの調査は、この目的にも書かれておりますように、国民生活の基礎的事項を調査し、厚生労働省の政策の企画等に必要な基礎資料を得るということと、後続の世帯調査の親標本を設定するというこの2つの目的、役割を持っているものでございます。

この統計調査は、3年に1度大規模に実施しておりまして、16年はその大規模調査年に当たるものでございます。

大規模の意味でございますけれども、調査客体が中間年の約5倍多いということと、それから調査票の種類が中間年の場合は世帯票、所得票の2本になっているわけでございますけれども、それに加えまして、健康票、介護票、貯蓄票の5表となっているということでございます。

調査客体が多いということによりまして、都道府県別等地域別表章、あるいは、母子世帯等低頻度事象の把握が可能となっております。この概要につきましては、3年前の前回と異なっております点は、2の調査の客体と4の調査事項の2点でございます。調査客体につきましては、さいたま市が指定都市になりましたので、13年に比べて40地区ほど多くなっている点だけでございます。

「3 調査の時期」 「5 調査の方法」 「6 調 の系統」につきましては、時間の都合もございますので、御説明は割愛させていただきたいと思います。

それでは、調査事項につきまして、御説明いたします。資料3-2をご覧ください。世帯票から貯蓄票まで5票ございます。まず最初に、今回調査を設定するに際しての基本的な考え方と言いますと、視点と言いますか、留意点は3点ほどございます。

1点は、今回の国民生活基礎調査は、旧厚生省と旧労働省が再編されまして最初の企画のものでございます。いわゆる旧厚生行政と旧労働行政の境界領域、例えば子どもと仕事の両立、あるいは年金、雇用などの問題、そういうものに資するという観点が必要だということで、特に就業関係の状況の充実ということを図っております。

2点目は、先ぼども少し触れましたが、総務省が中心となった統計行政の新たな展開方向に関する検討会議を議論されました事項の中から、特に家族機能の把握に関しまして、現時点でこの調査票で可能なものを取り入れたということでございます。

3点目は、前回13年調査の企画の際にいろいろ検討事項として残っていたものであります。 例えば、社会保険料の内訳を把握したらどうなのかということがございました。そういうものにつきまして対応したということでございます。

それでは、具体的に調査票について、13年に比べて変わったところについて御説明いたします。まず世帯票をご覧ください。最初に就業関係の充実というふうに申し上げましたけれども、調査票の(18)のところで、主な仕事のほかに別の仕事をしているという欄。それから、就業希望でいろいろ並んでおりますけれども、この欄について新たに調査事項を加えました。次に就業関係でございますけれども、裏面の方をご覧いただきたいと思います。(21)で勤め先での呼称、これはいわゆる就業形態を把握すると。(22)の就業開始時期等、就業時間等。(23)の雇用保険の加入状況。これを新たに設けたものでございます。就業関係は以上でございます。

次に、いわゆる家族機能の把握に関してでございますが、表面をもう一度見ていただきたいと思いますけれども、(5)で平成16年度中の家計支出総額と書いてございますが、このうちの内訳といたしまして、親への仕送り額と子への仕送り額を追加いたしました。そのほかに、    20)のところで、別居している子どもの数も新たに調査事項として新設しております。

この(5)欄の家計支出額の内訳につきまして前回の分科会以降、この親への仕送り額について、入院だとか入所している方、あるいは子への仕送り額について、学業なのか、そういうものを把握することによって、より家族機能の把握が可能であるだろうという御意見を賜りましたので、これを変更してございます。

以上が世帯票の主な改正点でございます。

次に健康票をご覧ください。健康票につきましては、2ページ目の質問4の右のところに、病気やけがなどで5月中に支払った費用について、この括弧の中の説明文について、もう少しわかりやすくする必要があるのではないかということで、医療保険の自己負担分を明らかにするとか、その辺りをわかりやすく変更いたしました。

次に質問8のところでございますけれども、補問のところので、悩みやストレスの原因を聞いております。これにつきましては、昨今の家庭、職場環境を考慮し、就業などの選択肢を拡充いたしましたけれども、その見合いで低出現率で、しかも施策的に重要度が低いと思われる選択肢につきましては削除させていただいたということになっております。

次に4ページの質問9のところで、喫煙状況を聞いております。たばこを吸うか吸わないか、何本ぐらい吸うのか。前回のこの分科会では、他の統計調査との重複調査の観点から、従来調査しておりました飲酒状況とか、あるいは健康のために日ごろ実行している事柄については調査しないということで、この喫煙状況につきましても、調査しない方向でおりましたが、健康リスクという観点から、やはり性とか年齢階級、あるいは都道府県別などに詳細に観察する必要があるのではないかという御意見をいただきまして、関係部局と相談いたしました結果、質問9については復活させていただいております。

以上が、健康票の主な改正点でございます。

次に介護票をご覧ください。この介護票は、介護保険の認定を受けている方に調査するものでございます。介護票につきましては、従来に比べてかなり調査事項を減らしております。 これは介護保険が実施されて以来、いろんな介護関係の統計調査が整理されてまいったからでございます。

今後の介護サービス推進等の基礎資料ということから、今回新たに問6のところで、介護保険によるサービスを受けていない理由。 問7で、介護保険施設における施設サービスの希望状況。問13の介護費用の負担力。こういうものを、聞くことにいたしております。介護票につきましては、前回の分科会でお示ししたものと、基本的には変わってはおりません。

次に、所得票について御説明いたします。従来と変更いたしました点は、(9)欄に雇用保険というものを追加したこと。それから(12) と(18)、従来これは個人年金だったのですが、企業年金を加えまして、企業年金、個人年金等にしました。

先ほどちょっと触れましたが、(16)の社会保険料のところに、負担について医療、年金、介護、その他というものを細分化する必要があるのではないか、これは前回統計審議会で御指摘を受けておりまして、これに対応したものでございます。

全体として、これにつきましても、前回の分科会以降、変更はございません。

最後に貯蓄票でございます。貯蓄票につきましては、私ども当初従来どおりとしたいとしておったのでございますけれども、これにつきましても、質問2の3のところで、貯蓄現在高の減少につきまして、昨今の資産価格の変動を踏まえまして、4のところで株式等の評価額の減少でございますけれども、これを追加すべきではないかという御意見がありまして、これを受けまして4に追加いたしております。

以上が、調査事項の主な改正点でございます。これらは、次の資料3-3で、調査事項主要改正点といたしまして、私が今、説明いたしましたものは一覧にまとめてございます。 また、既に前回までに委員の先生方にお知らせしているところでございますけれども、前回のこの統計分科会でちょうだいいたしました御意見につきましての私どもの対応というのは、次の資料3-4に一覧表にまとめております。16年は以上のとおりで実施させていただきたいと考えているわけでございます。

次回の19年に向けて、私どもといたしましては、1つは先ほど自計・他計の話が出たのでございますけれども、世帯票につきまして、今回この分科会でも学歴を取ったらどうだという話もございまして、そういうことへの対応もございまして、自計への変更ということと、それから健康票につきまして、先ほど松尾委員の方からメンタルヘルスの問題も言われまして、こころの健康の問題の重要性にかんがみまして、悩みやストレスのようなものについて、より的確に把握したいと、そういうものを検討してまいりたいと思っております。

以上、変更点でございますので、駆け足の説明で恐縮でございますけれども、以上でございます。

 

○廣松分科会長

ありがとうございました。この平成16年国民生活基礎調査に関しましては、最初に御紹介がありましたとおり、既に総務省統計基準部の方から承認が下り、実際にもう動き始めている状況でございますので、現段階で調査項目の変更等は不可能な状況でございます。その意味で、前回の分科会からの変更点を中心に御説明をいただいた次第です。

この点に関しまして、何か御質問・御意見、ございますでしょうか。

実を申しますと、統計審議会の部会審議で、私がその責任者を務めていたものですから、ごく簡単に全体の雰囲気を御紹介いたしますと、今回はいろんな情勢というか、社会意識の変化もあるのかと思いますが、どちらかというと健康票の方に大変意見が集中しました。勿論就業の状況を加えたことに関しては、大変高く評価されましたし、恐らくその結果に関して皆さん大変興味を持っているところだと思います。それ以外に関しましては、この健康票のところで、かなり意見が出ました。先ほどの悩みやストレスのところもそうですし、特に会長直々に喫煙のところに関しては必ずこれを復活するようにという強い御意見がございまして、こういう形になりました。私も復活させて大変よかったのではないかと思っております。

ただし、3年後、平成19年のときに、こういう形のままでやるかどうかに関しては、その時点で審議を、この統計分科会でもそうですし、統計審議会の方でも御審議をお願いするということになろうかと思います。いかがでしょうか。よろしゅうございますでしょうか。

一応予定をしておりました3つの議題に関しましては、一通り御審議をいただきました。全体を通じまして、何か御意見等、委員の方の御発言ございますでしょうか。よろしいでしょうか。

それでは、ちょっと予定の時間よりも早めでございますが、事務局の方から何かございますか。よろしくお願いいたします。

 

○牧原企画課長

長時間にわたり御審議ありがとうございました。参考資料についての説明は省略させていただきますが、簡単に御紹介をさせていただきたいと思います。参考資料の1と2といたしまして、平成16年度に厚生労働省が実施する予定の統計調査の概要と、統計情報部の調査実施計画、それから参考資料の3といたしまして、今年度統計情報部が公表いたしました、統計調査の概要を配布させていただいておりますので、後ほどご覧をいただければと思います。

また、次回の統計分科会の開催につきましては、別途日程調整の上、改めて御案内をさせていただきますので、よろしくお願いいたします。

以上でございます。

 

○廣松分科会長

テーブルに資料をいただいたのですが、 これについて何かコメントはございますか。

 

○松尾委員

出生児縦断調査の資料の一部を英訳させていただきまして、国際シンポジウムでこの間外国人に 配らせていただきましたので、御参考までに

 

○廣松分科会長

どうもありがとうございます。

それでは、本日は特に中高年者縦断調査に対して大変積極的な御意見をいただきました。 もしその後お気づきの点がございますれば、これは統計企画調整室の方へお申し出いただければよろしいでしょうか。是非良い調査にしたいと思いますので、委員の方々の御協力のほどを何とぞよろしくお願いいたします。

それでは、本日はこれで閉会いたします。どうもお忙しいところありがとうございました。

 

(5) 閉会


(了)
<照会先>

大臣官房統計情報部 企画課
統計企画調整室 統計企画係

電話: 03-5253-1111(内線7373)

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