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2003年5月30日 第5回社会保障審議会統計分科会 議事録

大臣官房統計情報部企画課統計企画調整室

○日時

平成15年5月30日(金)14:00~16:00


○場所

厚生労働省共用第7会議室(中央合同庁舎5号館5階)


○出席者

委員

廣松分科会長
青井委員
大江委員
大竹委員
柏女委員
津谷委員
松尾委員
吉村委員

○議題

1.平成15年度厚生労働省統計調査実施計画について
2.平成16年国民生活基礎調査の調査計画案について
3.その他

○議事

(1) 開会                                                             

○高原企画課長

まだいらっしゃらない先生もおられますが、大江先生と柏女先生からは1時間ほど遅れるというご連絡をいただいておりますので、少し定刻前でございますが、第5回の社会保障審議会統計分科会を開会させていただきます。委員の皆様方におかれましては、お忙しい中をご出席くださいまして誠にありがとうございます。           

      

(資料確認)

 

廣松委員、そして本日ご欠席でございますが、阿藤委員におかれましては、前回の分科会の後に社会保障審議会委員の任期が満了となりましたが、1月29日付で社会保障審議会委員として再びご就任いただきまして、引き続き統計分科会にご参加いただくこととなりました。また、京極委員におかれましてはご都合により統計分科会への指名をご辞退され、今回からご参加いただいておりません。

本日は、阿藤委員、今田委員がご欠席でございます。それから、先ほど申し上げましたが、大江委員と柏女委員からは1時間ほど遅れるというご連絡をいただいております。

出席いただきました委員の方が3分の1を超えておりますので、会議は成立しておりますことをご報告申し上げます。

次に、分科会長の選任についてでございます。分科会長は社会保障審議会令に基づきまして、当該分科会に属する社会保障審議会委員の方々の互選により選任することとなっております。このため、統計分科会長につきましては廣松委員、阿藤委員で互選いただきまして、引き続き廣松委員に分科会長をお願いすることとなりましたのでご報告申し上げます。                                                     

それでは廣松分科会長、以後のご進行につきましてお願いいたします。

 

○廣松分科会長

  引き続き、統計分科会長を務めさせていただきます。何とぞよろしくお願い申し上げます。

  議事に入ります前に社会保障審議会令第5条第5項に、分科会長に事故があるときは当該分科会に属する委員、または臨時委員のうちから、分科会長があらかじめ指名する者がその職務を代理するとされております。この分科会の分科会長代理につきましては、本日ご欠席ではありますが、阿藤委員にお願いをしたいと思いますので、よろしくお願い申し上げたいと思います。

それでは、早速議事に入りたいと存じます。本日の議事は、議題といたしましてお手元の資料にございますとおり「平成15年度厚生労働省統計調査実施計画について」及び「平成16年国民生活基礎調査の調査計画案について」でございます。

それでは、まず最初の議題でございます「平成15年度厚生労働省統計調査実施計画について」 をご議論いただきたいと思いますが、その前に事務局の方からご説明をお願い申し上げます。

 

(2) 「1 平成15年度厚生労働省統計調査実施計画について」

 

○赤木統計企画調整室長

  赤木でございます。着席して説明させていただきます。資料1-1、1-2、1-3でご説明を申し上げたいと思います。

まず資料1-1でございます。これは平成15年度に実施を予定しております厚生労働統計調査の一覧でございます。調査名、調査内容、調査対象について概要を記載いたしております。統計情報部以下、各部局の調査を網羅いたしております。今年度は、厚生労働省全体で約80本の統計調査の実施を予定いたしております。このうち、統計情報部は約30本を担当することになっております。ほとんどの調査につきましてはルーチンのものでございますので、主なものについて簡単に触れさせていただきたいと思います。

最初のページの上から7番目に社会福祉施設等調査がございます。これは全国の社会福祉施設等の数、在所者、従業員等の実態等、基礎的な実態を把握する調査でございまして、3年周期で精密な調査を行っており、15年度がこれに当たることになっております。

1枚めくっていただきまして2ページ目になりますけれども、各部局のうち中程に健康局がございます。健康局の担当する国民健康・栄養調査という名称の調査ですけれども、この調査につきましては従前、国民栄養調査ということで行ってまいりましたが、今年の5月1日に健康増進法が施行になっております。その関係でこの調査をある意味で充実するということで、調査の組み立てがやや変更になって行われるということでございます。従前の国民栄養調査では身体状況と栄養の摂取状況の調査をいたしたわけでございますけれども、これに生活習慣病あるいは生活習慣についての調査を組み込んだ形で新たに行うという計画でおります。この調査は約5,000世帯で1 万5,000人を対象に行うということでございまして、11月に実施を予定いたしている調査でございます。

それから、最後のページ下から2番目に社会保障・人口問題研究所が担当します全国家庭動向調査がございます。これは家庭における出産、子育て、扶養・介護、家庭機能の実態とか、そのような状況、あるいは変化の動向を把握するということでございまして、これは300地区、1万5,000世帯を対象に7月に実施を予定している調査でございます。

次が資料の1-2、こちらが月別のスケジュールでございます。これは統計情報部実施調査のみを掲載しております。6月に国民生活基礎調査を実施するわけでございますけれども、それと合わせる形で保健福祉動向調査を行うということでございます。この調査は国民生活基礎調査の大規模年以外の中間年に行っている調査でございまして、今年のテーマはアレルギー様症状ということでございまして、アレルギーの実態について把握をするという予定にいたしております。        

それから、厚生統計関係では10月に、先ほど申し上げました、15年社会福祉施設等調査ということで精密調査を行います。今回変わる部分と申しますのは、15年度から支援費制度というものが施行されます。これに伴いまして身体障害者福祉法、知的障害者福祉法及び児童福祉法に基づく指定の施設、それから居宅サービスを行う指定居宅支援事業所が調査対象に加わるということでございまして、調査票も新たに増えるという形になります。

それから、労働統計関係でございますが、9月に産業労働事情調査がございまして、最近雇用状況が非常に厳しい状況にございますので新たな雇用の創出、雇用機会の提供の拡充の部分などについて調査を行うこととしております。                    

11 月には技術革新と労働に関する実態調査がございます。これは、労働安全衛生特別調査の枠の中で行っているものでございますけれども、今回はIT化で情報通信というものが労働の態様にどのような影響を与えているのか。それから、衛生管理がその関係でどうなっているか、その辺の実態調査を行う予定になっております。

最後の資料の1-3でございます。これは14年4月以降に公表いたしました統計情報部が担当します調査の概要でございます。公表順に厚生統計、労働統計を含めたものを収載いたしております。

大変簡単ではございますが、 ご説明は以上でございます。

 

○廣松分科会長

  どうもありがとうございました。ただいまの平成15年度厚生労働省統計調査実施計画につきまして何かご質問、ご意見はございますでしょうか。

では、かなり大部の資料ですので、ご覧いただいて後ほどお気付きの点がございますればご発言をいただくということにさせていただいてよろしいでしょうか。

それでは、議題の1に関しましてはとりあえず以上にさせていただきまして、続きまして議題の2 の「平成16年国民生活基礎調査の調査計画案について」のご議論をいただきたいと存じます。 

それでは、まず事務局の方からご説明をよろしくお願い申し上げます。

 

(3)「2 平成16年国民生活基礎調査の調査計画案について」              

 

○大橋国民生活基礎調査室長

  大橋でございます。どうぞよろしくお願いいたします。座って説明させていただきます。

それでは、資料2-1からご説明いたします。国民生活基礎調査は昭和61年に従来厚生省で実施しておりました厚生行政基礎調査、国民健康調査、国民生活実態調査、保健衛生基礎調査、この4つの調査を統合いたしまして、世帯調査としては国勢調査は別格といたしまして、世帯関係では住宅・土地基本調査、あるいは就業構造基本調査に次ぐ大規模な調査でございます。

平成16年は3年に1度の大規模調査年でございます。大規模という場合、客体が多いのと、中間年は世帯票と所得票を実施いたしておりますけれども、それに加えまして健康票、介護票、貯蓄票を調査しております。

客体は大規模年は中間年の約5倍でございます。この客体を増やしておりますのは、1つは母子世帯等、低頻度事象というものを把握したいということと、もう一つはいわゆる地域別表章、都道府県別等国だけではなくて地方にも使えるようなものにしたいという趣旨でございます。

この調査の目的は2つございます。国民生活の基礎的事項を調査し、厚生労働省の政策の企画立案に必要な基礎資料を得るというのが1つと、もう一つは厚生労働省が実施をいたします後続調査の親標本を設定することを目的としております。

具体的には資料の2-2を見ていただきたいと思います。これは国民生活基礎調査の体系を表したものでございますが、国民生活基礎調査は標本調査でございますので、国勢調査から後置番号の1と8を抽出いたしまして、その90万地区の中から3年に1度5,280地区を選びまして、事前に地区要図だとか世帯名簿を作りまして、その後、本体の調査を実施します。

それで今、申し上げました後続調査でございますけれども、ここに5本一応掲げておりますが、現時点で16年にこのようなものが予定されております。いずれにいたしましても、このように調査の目的には後続調査の親標本という役割がございます。

次に調査の対象及び客体でございますが、全国の世帯及び世帯員を対象とし、世帯票と健康票について世帯数にして約26万世帯、約72万人を客体としています。

次に介護票は、先ほどの体系図にありますように5,280地区の中から2,500地区について介護保険法の要介護者及び要支援者、介護保険の適用を受けられている方について調査を実施し、約5,000人くらいの方に調査の協力をいただきます。

次に所得票、貯蓄票についてはこの地区の中から調査の精度を上げるため、1地区を25世帯 、約半分に分けまして単位区 というものを設定し、そのうち2,000単位区を調査客体としています。約5万世帯あります。                             

調査の時期は来年の6月10日と7月15日に分けて調査を実施いたします。

調査事項につきましては、後ほど説明いたします。今回、調査事項設定するにつきまして一応視点といいましょうか、基本的な考え方は、3点ほどあります。今回の国民生活基礎調査は厚生省と労働省が再編されましてから初めての企画のものでございます。 したがいまして、1点目はいわゆる厚生行政と労働行政の境界領域に資するという観点から、就業の状況を重点的に調査することにいたしております。

2点目は、現在総務省を中心といたしまして、各府省が集まりまして統計行政の新たな展開の方向に関する検討会議でいろいろと検討がされております。この結果につきましてはこの6月の末に出されますが、私どもも、その中でどのような議論がされているかを知っておりますので、この調査事項の中に可能なものは取り入れていくということでございます。具体的には、家庭の機能・役割について議論がされておりますので、その点について配慮いたしました。そのほか、前回の統計審議会において幾つか検討課題をいただいております。これらについても配慮をいたしました。             

次に、調査方法でございますが、世帯票、健康票、介護票につきましては調査の系統として保健所経由で、所得票、貯蓄票につきましては福祉事務所経由で実施するわけでございますけれども、世帯票につきましては他計、健康票は自計、介護票は他計、所得票は他計、貯蓄は自計という方法で実施することを考えております。以上がこの調査の概要案でございます。

次に、資料2-3をご覧いただきたいと思います。先ほど調査事項を設定する際の基本的な考え方についてご説明いたしましたが、個別には、行政に役に立つために調査項目を設定しておりますので、現在、厚生労働省として重点的な問題として何があるのかということを一応整理いたしております。やはり厚生省と労働省が一緒になったわけでございますので、年金の問題、働き方の問題、少子化、こういう面の施策についての連携を図れることがメリットでございます。ご承知のとおり、年金制度につきましては、いわゆるパート等、短時間労働者の社会保険の適用、雇用保険の適用の問題等もございます。その中で必要情報としてどんなものが考えられるのかを列挙しております。                             

次に、多様な働き方の実現のところでは、最近若い方、フリーター等、若年者の雇用の問題というのは非常に大きな社会問題になりつつございますが、これらの施策には、右にございますような情報が必要ではないだろうかと考えております。                

それから、少子化につきましては子育てと仕事の両立ということになれば、子どもの育児、母の働き方、労働時間、そういう情報が必要になってくるだろうと考えております。いずれにいたしましても、これらの施策というのは個別ではなくて、先ほど申し上げましたようにお互いに連携し合って推進していく必要があります。

これらの必要情報を一応列挙いたしましておりますが、調査項目としてどんなものが考えられるのかということについては、後ほど個別の調査票の中でご説明をいたしたいと思います。いずれにいたしましても、このような新規項目や既存項目、あるいは基本的な調査項目をクロス集計分析いたしまして、施策の企画立案、実施、評価に役立てたいと考えております。                                      

それでは、具体的に調査票の内容についてご説明いたします。資料2-4をご覧ください。最初に調査事項の比較票がございます。それから、調査票は13年の調査票と今回の16年の案、それから新旧対照表、の順になっていると思います。調査票でご説明をします。机のスペースが狭くて恐縮でございますが、13年と16年をお開けいただきたいと思います。

まず16年で調査事項を設定したものについてご説明いたします。上の方に世帯全体の情報がございますが、それの(3)のところでございます。家計支出額のうち、下の方に別居の親への仕送り額と別居の子への仕送り額、これを調査いたします。これにつきましては、核家族化が進み、高齢者の単身世帯あるいは夫婦のみの世帯が増えている中で、先ほど申し上げましたように統計行政の新たな展開の方向に関する検討会議におきまして、家庭機能の把握の必要性が指摘されており、先ほど社会保障・人口問題研究所の方で家庭動向調査を実施するということを紹介いたしましたが、そういうものの調査項目も踏まえまして、本調査において調査可能な家庭機能の中で、いわゆる経済的な支援ということで、別居の親及び子への仕送り額をここで把握をしたいと考えております。

それと関連いたしまして、この調査票の(20)のところに「別居している子の有無」という欄がございます。従来は60歳以上の者のみ記入でございますけれども、これについては必ずしも家庭機能ということになれば年齢制限は必要はないだろうということで、別居をしている子どもがいる場合はすべて記入していただくということにいたしました。      

それから、新たに別居の子どもの数を記入していただくことにいたしております。先ほど言いましたように、老夫婦のみの世帯あるいは単独世帯が増えておりますが、実際にその人たちについて子どもがいるのか、また何人いるのかということも重要な基礎的情報であるということで、別居の子の数を把握いたします。

合わせまして、最近40歳代くらいの母親が働くようになってきていますが、そういう方について子どもの学業のために別居している者がいるというようなこともございますので、こういうところにつきまして人数も把握したいと考えております。

次に、この調査票の16年の(14)と(19)をご覧ください。これは医療保険と公的年金の加入状況を把握するものでございますが、13年を見ていただきますと、従来は保険の種類を把握しておりました。ご承知のとおり医療保険につきましては3割負担になりましたこともあり、これらについては簡略化をしたいと考えております。

その医療保険との関係で、保険という観点から16年の調査票の2枚目の(23) に新たに「雇用保険の加入状況」 というものを把握したいと考えております。厚生労働省に統合されましたし、それからパート等の方について雇用保険の問題をどうするのかという問題もございますので、新たに雇用保険の加入状況を把握するということでございます。

次ですが、その雇用保険の加入状況を把握するということで、13年の調査票を見ていただきたいのですが、13年の(19) で「雇用保険の受給状況」を調査しておりました。これについては今回、削除したいと考えております。1つは、所得票の方で今回新たに雇用保険の受給額を調査します。それから、仕事がある場合、雇用保険を受給していると回答するのに多少躊躇されるようなこともあるのではないかと配慮いたしました。

もう一点、削除いたしますのは、13年の調査票の(2)のところで住居の状況というのを把握していますが、これの一番下の欄に敷地面積を13年に初めて調査をいたしました。これは世帯における金融資産に加えまして住宅の宅地資産額を把握するということで、調査をしたところでございます。この推計方法につきましては面積を調べまして、それに推計宅地単価をかけて算出しようとしたのですが、実際に調査をいたしましたところマンション等、集合住宅においてはなかなか面積を正確に把握することは難しいことが分かりました。

そこで、今回は何人かの先生方のお知恵も拝借しながら、これらについての改善を検討したわけでございます。その中で固定資産税の評価額の把握というような方法でどうだろうかということでご提言をいただきました。けれども、実際に住民への通知様式が市町村によって異なっておりまして、現時点ではマンションにおいて算出というのはちょっと難しいのではないかとの結論に達し、次回の19年に向けては検討させていただきたいと考えております。                                                                               

それともう一つの理由としまして、平成16年に全国消費実態調査が実施されまして、そこでもこの資産額の調査をするということを聞いておりますので、重複を避けた方がいいのではないかと考えております。以上が、13年の世帯票を削除するところでございます。

次に、また元に戻っていただきまして、16年の調査票をご覧ください。今回、大幅に変えましたところは(18)と、次のページの(21)、(22)、の就業のところでございます。ここについてご説明をいたします。

まず13年の調査票を見ていただきたいと思いますが、従来は「仕事あり」ということだったのですが、今回は「仕事あり」について、区分を細分化しました。これについては国勢調査あるいは就業構造基本調査、労働力調査等を見ましてもこのように分けております。今回私どもはフリーターをつかまえたいと考えております。先年の労働白書によりますとフリーターの定義というのは年齢が15から34歳で仕事ありで、呼称がアルバイト、パート。男性については継続就業年数が1年から5年未満、女性については未婚で、主に仕事をしている者でございますので、細分いたしました。  

次に右側にいきまして、複数の仕事をしていたかどうか、最近いわゆるマルチジョブの方が増えてきておりますので、これについて把握する必要があると考え、単一の仕事、複数の仕事、休業していたと区分しております。

それから、次に仕事のある方について、次のページに「勤めか自営かの別」と「仕事の内容」 がございます。自営業主からその他までは従来から調査しておりました。これに新たに「勤め先での呼称」について、「正規の職員」からずっと「その他」まで調査項目を設定しております。また、今回、企業規模のところにつきましては300人で細分化いたしました。これは現在、国会に上程中の次世代育成対策推進法の中で企業の300人以上の場合は行動計画の策定、届出義務等もございますので、このように細分化しています。

次に、新たに今回、現在の主な仕事についた時期を調査しますが、これは先ほど言いましたようにフリーターを把握するには継続就業年数も必要ですし、それから全体的に仕事の習熟度みたいなものを把握する必要もあります。それから下の欄の就業日数、就業時間、こういうものは基本的な情報として把握するということでございます。

以上が、世帯票の改正点でございますが、前回のこの分科会で学歴が把握できないのかというご発言をいただいております。国民生活基礎調査は就業の専門調査ではなくて、国民生活の中の広い、その一部分として就業を把握するということでございます。先ほど後続調査の話をいたしましたが、今後後続調査として就業関係の世帯調査を実施するということがあるならば、学歴というのはその後続調査の中で把握した方がいいのではないかと考えております。非常にプライバシーの高い調査項目でございますので、現在の世帯票には少しなじまないのではないかと現時点では考えております。以上が世帯票でございます。

続きまして、健康票についてご説明いたします。健康票につきましては、調査事項の比較というペーパーがございます。その次に調査の流れというペーパーがございます。今回、基本的にはこの流れと同様の流れで調査を実施いたします。それでは、改正事項につきまして調査票でご説明いたします。これも16年と13年の調査票を見比べていただきたいと思います。

まず16年ですが、補問の8-2でございます。質問の8のところで、悩みとかストレスがあるかどうかを聞いておりまして、これにつきましてどのように相談しているのかということを把握するものでございます。実はこれは10年にも調査をいたしておりますので、新規と言うよりは復活させたと考えていただきたいと思います。

それから、次のページの質問9につきましては、従来は糖尿病に限定をして健康診断の情報を調査していたのですが、これについては一般向けに変更しました。その中でどういう機会に検診を受けたのかどうか。検診の結果、何らかの指摘を受けたのかどうか。それについて受診するように進められたのか。その後、医療機関に行ったのか。これらを調査することによって、検診の進捗状況というようなものを把握したいと考えております。

それから、補問9-4でいわゆる検診を受けられない方たちはどういうような理由で受けなかったのかということを調査いたします。これによって、受診することを推進するための貴重な基礎資料 を得たいと考えております。 以上が、この調査票の中で変更した点でございます。                             

そのほか、細かな点を申し上げますと、質問3-1のところで06に精神病というものがございます。これを統合失調症に改めます。ただ、ICDでまだ精神分裂病というものが残っていますので、括弧で精神分裂病にしてございます。同様の取扱いをしておりますのが33で、従来は慢性関節リウマチだったのを関節リウマチに変えました。それから、新たにこの中で46に不妊症というものを付け加えております。

それから、質問の4のところですが、ここでは保険医療費を調査しております。これにつきましては13年の調査票を見ていただきたいのでございますが、13年の調査票の質問4の(2)でいわゆる自己負担額を13年に初めて調査しました。これにつきましては、付加給付だとか、あるいは高額療養費等で返ってくる部分があるということで、記入率が悪く、また実際に書かれている数字についても問題のあるものがありましたので、今回削除しております。

それから、補問の8-1のところで悩みやストレスについての原因を聞いていますが、これにつきまして、14の恋愛と17の性に関すること、それから仕事に関することを222425と、このように分割いたしました。子どもの仕事に関すること、それから就職だとか失業だとか、そういうことについての悩み、自分の仕事そのものについてというようなことで分割いたしております。それから、28にセクハラを入れております。以上が16年の調査票でございます。                                                                           

次に、13年の調査票で削除いたしましたところについてご説明いたします。今年の5月から施行されました健康増進法に基づく国民健康・栄養調査において、生活習慣に関する事項につきましてはその調査で実施をするということで整理しましたので、質問の9の飲酒の状況、それからたばこの状況の質問10、それから質問13につきましては、この調査からは外しています。

それからもう一点、13年の調査票の補問の3-2というところで「最も気になる傷病で、通っている病院や診療所等はどこですか」 という欄につきましては削除しております。これにつきましては、ほとんど3の比較的大きな病院に○を付けることが多いということと、それから、この情報を得ることによって具体的に施策にどう生かしていくのかという点について、今の時点で把握する必要性は高くないということで削除しております。以上が健康票でございます。                                                                               

続きまして、介護票についてご説明いたします。資料の2-6をご覧ください。最初に16年の調査票を見ていただきます。新規に調査事項を設定した部分については問6、問7、問12、問13でございます。問6は介護保険におけるサービスで、利用していない理由を聞いております。これは現在、介護保険の適用を受けながら実際にサービスを受けてない方が2割強おられます。これは前回の私どもの調査で分かったのですが、その人たちは一体どのような理由で受けていないのか。お金の問題なのか、あるいは受けたいサービスがないのか等々について把握をしたいということです。

それから、次に問7でございます。これについては介護保険施設、これはデイサービスとか、そういう利用施設ではなくて入所施設でございますが、これにについて待機をしている方がかなりいらっしゃるという話もございますので、介護が必要な本人と、主に介護をする2人に 希望を聞いています。 先ほど言いましたようにこれは他計でございますが、最初にこの調査の回答者について記入をしていただいておりますので、分析をする際にその辺りに注意が必要と考えています。      

次に問12でございます。「65歳以上の介護保険被保険者における介護保険料所得段階」、これは後でご説明いたしますが、従来は所得を把握していたのでございますが、所得よりも介護保険料額決定通知書にある所得段階区分の方が担当部局としては使い勝手があるということで、これを調査事項の中に設定いたしております。

次に問13でございますが、いわゆる介護費用の負担力ということで、実際に介護費用が必要な方はその方の収入のみでまかなったのか、あるいは貯蓄等を取り崩したのかどうかということについて調査をいたします。

以上が新規でございます。変更の部分につきましては問4のところで「介護が必要となった原因」、パーキンソン病というのを新たに入れております。それから、問5の「居宅サービスの利用状況」でございますが、従来は訪問介護、 訪問入浴介護等々、細かく調査していたのですが、これらについて訪問系のサービス、通所系のサービス、短期入所サービスとまとめました。これにつきましては13年の調査をした際に、この違いについて被調査者がなかなか書きづらいというようなことが分かりましたので、それについて配慮をいたしました。                                   

それから、問9でございます。主な介護者以外の介護をする者の状況ですが、従来は何人も聞いていただいていたのですが、2人以上いる場合は介護時間の多い方にだけ聞くということに変更しております。                                                            

それから、問1は居宅サービスの費用です。後ほどご説明いたしますが、非常に細かく調査していたのですが、これについては介護費用一本にします。以上が16年の調査票でございます。

続きまして、13年の調査票についてご説明いたします。13年の調査票では問5と問6を削除しております。これにつきましては、実際に使う際には、問3の要介護度である程度把握できるのではないか。又、世帯票が非常にボリュームが大きくなったということで記入負担ということも考える必要があり、問5と問6については削除をさせていただきました。                                                        

それから、問8の「利用している福祉用具の状況」です。これについては毎回調査する必要もないだろうということで、今後ローテーション項目の中に入れればいいのではないかと考えています。

それから、問9の 「居宅サービス費用」です。従来は利用者負担と保険全額負担と調査したわけでございますけれども、医療費と同様、これについては記入率が悪く、又、書かれている数値についても、余り正確に書かれていないのではないかということもあり、今回削除することとしています。

10は、先ほど言いましたように介護保険料の決定通知書に書かれている介護保険料の所得段階を把握するということで削除いたしております。

次に裏面でございます。問11については従来全員記入していただいていたのですが、1人のみに改正いたしております。

それから、問13に介護の専用室と、問14に住宅設備の状況を聞いております。これらにつきましては、 ローテーション項目にしたいと考えております。以上が介護票でございます。

続きまして、所得票についてご説明いたします。資料の2-7をお開きください。調査票の16年と13年を見比べていただきたいと思います。所得票につきましては4点ございます。従来は(8) の「家賃・地代の所得」 と(9)の「利子・配当金」 と分けていましたが、今回これを財産所得ということでまとめさせていただきました。これは、1つは実際に挙がってくる数字として利子配当金というのが非常に少なく、平均いたしますと1万6,000 円くらいで、全体の0.3%くらいになっているということがあります。

それから、今回新たに16年の調査の(9)のところで雇用保険の受給額を調査したいと考えております。これが2点目でございます。

3点目は、16年の調査票の(12) と(18)でございます。従来の調査票ですと(12)と(18)に個人年金がございますが、これに企業年金というものを加えました。ご承知のとおり、13年の10月から確定拠出年金法あるいは14年の4月から確定給付企業年金法が成立いたしまして企業年金の再編も行われたものでございますので、これを加えました。従来はその他の所得に入っていたものを、いわゆる私的な年金ということで整理をしたということです。

4点目は課税の状況等を見ていただきたいのですが、社会保険料のところにつきまして医療保険、年金保険、介護保険、その他に分割いたしました。これにつきましては前回の13年の企画の際、統計審議会におきまして社会保険料について、このように分割をすることの可否について検討すべきという課題をいただきました。私どもの方で検討しました結果、これらについては調査が可能であるだろうという判断をいたしまして調査項目の中に設定しています。以上が所得票でございます。

最後に貯蓄票でございます。資料2-8をご覧ください。貯蓄票につきましては、調査事項の変更はございません。ただ、様式を若千変えました。これにつきましては、従来の貯蓄につきましては10年までは貯蓄の階級を調査していましたが、13年から実額に変え、それで調査を実施したのでございますけれども、他の調査結果に比べこの貯蓄額が低く出ております。それらについて原因等をいろいろと考えてみました。1つは(2)の生命保険のこれまでに払い込んだ保険料というものが正確に書かれていない可能性もあるのではないだろうかということで、今回ゴシックにして計算例みたいものを付けました。それと同時に、今までは次のページにございますように貯蓄計算メモというようなものを記入者に渡していなかったのですが、貯蓄計算メモを配布して調査を実施するということでございます。

あとは、質問2のところでいわゆる貯蓄額が減った場合の減少額という文言を付けさせていただきました。以上でございます。

そのほか、前回の統計審議会で準同居を把握することについて検討すべきということがございました。準同居の定義がどうなのかということはございますが、私どもとしましては、現在、財布は一緒だけれども住んでいるところは別な世帯、これを準同居というふうに考えております。これにつきましては、調査をする際に事前に準備調査を実施し、その中で世帯名構というものを作成いたしまして、その世帯名簿の中で、把握できるようにしたいと考えております。以上でございます。                                 

 

○廣松分科会長

  どうもありがとうございました。平成16年は大規模調査ですので今、逐次ご説明いただきましたとおり、かなりの量というか、ボリュームになります。全体を通してのご意見は後ほど伺うことにいたしまして、とりあえずこの計画案につきまして1つずつご意見を伺っていった方がいいだろうと思います。  

まず資料の2-1でございますが、調査の概要に関しまして、これは13年と比べてそんなに大きな変化があるわけではございませんが、何か概要全体に関してご意見、ご質問ございますでしょうか。

念のため、各調査票に関して、自計は世帯票、健康票、貯蓄票で、介護票、所得票は他計ということですね。

 

○大橋国民生活基礎調査室長

  はい。ただ、最近世帯票につきまして、見ていただいたら分かりますように比較的自計でも書けるものですから自計でもいいのではないかと、都道府県からもそのような要望もきております。現時点では他計でございますが、実際は併用というような形でも可能ではないかと考えております。                                

 

○廣松分科会長

  それでは、調査票ごとにご意見をいただきたいと思います。

まず今の世帯票でございますが、いかがでしょうか。世帯票の新旧対照表もございますが、大きくは就業の状態に関する調査項目がかなり充実したというか、増えた。それに伴い、これはいつもこういう調査票あるいは調査項目の検討をいたしますときにジレンマですが、やはり増やすばかりでは記入者の方の負担が増えるばかりで、当然削除すべき項目というものも考慮しなければいけないということでございますが、いかがでしょうか。

 

○大竹委員

  まず、勤続年数の調査をしていただくのは大変ありがたいと思います。残念なのは、ご説明がありましたけれども学歴は今回は入らないということで、できたら今後とも検討していただけたらと思います。フリーターの問題の場合でも、低学歴あるいは中退者が多いというような議論もございますし、あるいは例えば女性の問題にしても人の特徴として高学歴の女性が仕事をしないということもよく言われていますから、そういったものを家計の全体像がわかるデータと一緒に調べることができれば、行政にもかなり 資する のではないかというふうに私は思っています。

それで、ほかのコメントが幾つかございます。第1点は、世帯票の(18)で非常に細かい点ですが、ここで「仕事なし」 の中で5の通学のみというものを選んだときに、ここで就業希望の有無というところにいっていない。これはほかの調査がそうなっているのかどうか知りませんけれども、通学者であってもアルバイト先を探していて失業しているというのも論理的には考えられると思うんですが、これが外してある理由を教えていただきたいということです。                                                        

それから、2番目は勤続年数が分かるのはありがたいんですが、無業の期間だとか、あるいは失業の期間というのも分かればいいなと。これは質問が増えて申し訳ないんですけれども、そういうことです。

3番目もまた細かいことですけれども、16年の調査票の職業の「勤め先での呼称」というところで、契約社員、嘱託、その他とあるんですが、今、増えている職種の中で請負労働というものもあります。これはその他に入れるのか、派遺の一部に入れるのかというような定義をどこかで書いておくことも必要かと思いました。

それからもう一点、介護をされている人に ついては分かるんですけれども、同居でなくて介護をしている人というのはとらえられない かということですね。普段何をしているかというところで、介護をしている人というのが分かるかどうか。質問票に制約がある中でいろいろご意見を申し上げましたけれども、思い付いた点は以上でございます。

 

○大橋国民生活基礎調査室長

  それでは、お答えいたします。

1つは、まず「仕事なし」の通学のみの場合、就業希望を調査してもいいのではないかというご意見でございますが、今回は私どもは通学のみというのは勉学が主であるだろうということで外したわけでございます。今、大竹先生からほかの調査はどうなっているのかというお話がございましたが、就調あるいは労調を見てみますと、通学のみの方も就業希望を聞いております。ただ、実際にそういう通学の人で例えばアルバイトをしたい方がどのくらいいるのかという数字があれば良いというのは分からないではないのですが、ではそれが施策との関係でどうなのかというところについて若千考えなくてはいけないのではないかと思います。いずれにしましても、ご意見については考えさせていただきたいと思います。

2点目に、無業あるいは失業の期間等についてどうなのか。今回の国民生活基礎調査の位置付けについてでございますけれども、あくまでも労働力調査とか就業構造基本調査のように、いわゆる就業の専門の調査ではないのでは、と思っております。その際に、失業期間というものをどう考えるのかということだと思います。国民生活基礎調査として失業期間が必要なのかどうか。実は、正直申しましてここのところについては余り詰めた議論はしておりません。これについても少し考えさせていただきたいと思います。

それから、3点目の請負の話でございます。実はこのカテゴライズは就調なり労調を参考にいたしましたものですので、総務省にその点を聞いてみました。いわゆる派遣職員というのは人だけ派遣するのでございますが、請負というのは仕事の完成を目的としており、したがって、事業だから実際に請負というのはどこに挙がっているかというと自営業であり、あるいは雇われていれば一般常雇者ではないかということでした。これについてご意見があれば承りたいと思います。

それから、4点目の別居の介護というのは、この世帯側から別居している方について介護をしているかどうかということだと思いますが、世帯の定義というのは従来、国の統計調査では一緒に住んでいて財布も一緒であるということですが、別居の部分をどうするのかという議論があります。その点につきまして世帯の概念を広げてはいないのですが、別居している方の介護も把握するということでは社会保障・人口問題研究所の家庭動向機能調査で調査をしております。現時点では国民生活基礎調査でそこまで広げて調査をするとは考えてはいませんですが、検討に値する問題だというふうには考えます。以上でございます。                                                                                                            

 

○吉村委員

  今度新しい項目が、どちらかというと厚生省と労働省が一緒になったということで仕事の方に着目されたということなんですが、新しい分だけ、もし統計データが出てきたときにそれをどう使うのかという目的、使い方と、こういう基礎数値みたいなことの関係がきっと問題になるんだろうと思います。

そこで、この新しい項目の(18) で、例えば「単一の仕事のみをした」、「複数の仕事をした」 というのがあるんですけれども、単一の仕事ということの概念は今のような複雑化したときに間違いなく統一的につくれるものなんでしょうか。例えば今、我々の周りに結構半分学生、半分社会人などというのが多くいるのです。うちの大学などは特に都心にあるものですから、そういう人たちというのはある部分ではSOOといいますか、自分のところで特定の会社からの仕事を持っているし、ある部分ではよそからも受けている。では、金額的にというと、その度ごとにすっかり変わるんです。あるときは500万円で受け持って、あるときは30万円でやる。しかも、それは同じ会社からくることもあるし、別の会社からくることもある。かといって、では本人は 何か請負業務をやっているのかというとそうでもない。 何となく仕事が入ってきてしまうということです。

そうした場合に、仕事は単一か複数かと言われると、仕事をやっていること自身は、例えばコンピュータを使っていろいろなことをやっていますから、仕事の質みたいなものから言うとほぼ同じなんです。あいつはあの道ではなかなかの腕だぞという感じなんですね。だから、そのときの仕事が雇い主という感じのものなのかどうかということですね。それは多分この統計を使うときに問題にきっとなると思うんです。単一の仕事の人が何%いますとか、複数の仕事の人が何%いますというのをどういう理解で使うかということですね。これは多分調査のときにインストラクションに、こういうときは1つにしてくださいとか何とかということにきっとなるんだろうと思いますけれども、それに関してある意味では見通しが立っているのかどうかというのがご意見をお聞きしたいところです

 

○大橋国民生活基礎調査室長

  この質問は、1つはマルチジョブというのをつかまえたいということがまずありました。どういうことかといいますと、例えば最近、一般的に言われていることなんですけれども、いわゆるパート法が改正されまして、雇用保険につきまして20時間以上働けば雇用保険に入ることができる。                  

事業主の方から、雇用保険に入れるのはなかなかしんどいので、巷間言われているのは例えばパート時間を制限をする。そうした場合、パートのパー ト化みたいなもので働かざるを得ないというようなこともあります。全体的に仕事というのは先生が今おっしゃったように1つの仕事だけをしているのではなくていろいろな仕事をしている人も多い。単一かどうかというところについては先生が言われたようなところまで深くは議論はしていません。ただ、聞き方として主な仕事のほかに何かしていますかとか、そういうような聞き方で聞くというのは可能かもしれません。

 

○吉村委員

  問題は、単一ということは何をもって単一と言うかということだろうと思うんです。私の周りはコンピュータ絡みの人間などが割とたくさんいるんです。とにかく彼らの仕事ぶりというのは、一体1つなのか2つなのかさっぱりわからない。腕前は1つなんです。だから、技能的に言えば基本的には1つなんだけれども、請負的な意味で、つまりどこからその仕事をもらうかということに関しては非常にマルチである。そういう状況のときに統計としてどういう切り分けをするのかということです。それは使い方との絡みだと思うんですけれども。

 

○高原企画課長

  雇われて勤めているという場合は、1つの使用者に使われているか、あるいは複数の使用者に使われているかということで、かなりクリアな定義でとらえればいい。それで、いわゆる自営の場合ですね。

 

○吉村委員

  それは普通の意味でのサラリーマンではないということですね。

 

○高原企画課長

   自営というか、1つの店を持っている商店主だという場合は単一ということになります。あとは、今おっしゃったようにプログラムを組むとか、いろいろな業務をやられているのであれば、複数のところから業務を請け負っても、それは仕事の質として同じであれば単一というふうに定義していけば比較的説明は可能だと思います。分析する場合にも、1つのところから確かに専属請負的にやっているのか、複数から請け負っていろいろなところからもらっているのかで意味はあるのかもしれませんが、自営、そういう請負ということであれば1つで考えて分析していけばいいのではないかと私は思うんですがご意見がおありかと思います。

 

○吉村委員

  要は、こういうものが報告書でばんと出てしまいますと、その項目で数字が何%、何%と出てくる。そのときに、それを受け取ってその統計を使おうとした人がとんでもない誤解をするということが起こらなければ、政策に反映したときに、あるいは社会的ないろいろな結論を出すときに間違いがなければいいんですけれども、それがちゃんといけるだろうかということなんです。                                            

この仕事関係で、結局この項目を入れた最大の理由は現在就業形態なり仕事の形態が昔と全然違っていて、しかもそれが非常に切り分けにくい形になっているということです。逆に言えば、この統計でその実態を知りたいわけですね。それがこの項目立てで本当に今、非常に複雑化している就業実態が把握できるかどうかということだろうと思うんです。

それで、前にも言ったと思いますけれども、統計というのはある意味では多少時間的に統一的でないと意味がないわけですね。つまり、今回やって失敗したから3年後にはまた全然項目を変えましょうというわけにはいかない。そうすると、なるべくそのスタートのときにいろいろなことを考えた上で、こういう切り分け方だったら後々いろいろなジョブ形態の変化をちゃんと把握できるに違いない。そういう項目立てを十分考えてつくらなければいけないだろう。                                                          

その場合に、仕事の業種的なものでやった方がいいのか、例えば金を払ってくれる方を中心にしてやるのか。そこは何となくちゃんとしておいた方がいいのではないか。多分、現在のジョブ形態からいくと、金を払う方じゃなくて金を受け取る方の側で分類した方が多分いいだろうと私は思っているのです。

 

○渡辺統計情報部長

  今、先生の言われたことは考慮してもう一度その点を考えてみたいと思いますが、この調査票ですと第2面の方で職業といいますか、自営業主、常用雇用者などを取っています。マルチジョブという場合にはこの中で一般常雇者など、雇用者として答えた人の中で複数の仕事をしているというのは概念上マルチ常雇という結果にはなるかと思います。                                 

それで、先生の言われた、ある一面では自営業主で、もう一方では雇われて仕事をするというのは確かに非常に難しいものだと思いますけれども、そのときに例えば学生さんが職業のどこに丸をするかですね。そこは多分、自営業主には付かないのかなと。一般のアルバイトとかに付いてきてしまうのかなという感じがします。常用雇用の中で複数の仕事をしたというところを集計して出さないと、確かに先生の言われるように第1面の方からだけの単純集計で出してしまうと、自営業主の人は複数の相手から仕事を請け負ってやっていますから複数の仕事をしたという誤解を呼ぶことになります。その点はもう一度再検討をさせていただきたいと思います。                             

 

○青井委員

   1つは今の学歴の問題ですけれども、これがもし自計であれば書けるようになるのでしたら、今後自計にして考え直していただきたい。

というのは、1つは私ども医者は卒業してすぐ就業するということが非常に困難で、現在臨床研修義務化ということが行われて労働者制と研究者制の2つの性格を持った時期を経なければならないということと、それから一時、就職してまたその後、自分のスキルアップのためにどこかへ研究に行くというような生活をして、そしてまた後ほど自分で開業をするとか病院に勤めるとか、大変断続した動務の形をとって就業形態が複雑化しております。そういうことをこの勤続年数のところでどういうふうに、現在の主な仕事については時期というのはかなり古くても、途中で大学院に通うとかして辞めている時期もありますので、どんなふうに考えたらいいのかちょっと迷うかなと思います。それで、学歴のこととそういうことは相関するのではないかと思うので、自計になったときにはそうほしいと思います。

それからもう一つは、扶養の問題です。これは4人しかないですが、これはもっと大きな紙になるのですか。というのは、一人っ子のところで一人っ子同士が結婚して4人の親を介護しているなどという形もこのごろは見えておりますので、これでは足りないのかなというふうに思いました。以上です。

 

○大橋国民生活基礎調査室長

  お答えいたします。学歴のところについては引き続き検討させていただきたいと思います。調査票が4欄しかないというのは、実際は5人、6人いらっしゃる方については必要枚数を配布して書いていただくということになっております。

 

○津谷委員

  まず、今回のこの調査ということではなく、先ほど青井先生からご指摘のありましたことで、自計でもこれは恐らく見ておりますとできるであろうというご意見に私も賛成です。小さな字ですし、大変かもしれませんけれども、これくらいのある意味ハウスホールドロースターでしたら恐らく自計でできるのではないかと思います。今後、将来のことをご検討なさるときに、そのための意見として申し述べさせていただきます。その際には、やはり学歴も自計でしたらやっていただくことができる。基本的な属性ですので、これは大変重要ではないかと思います。

ただ、今回のことについて申し上げますと、これはまだ他計ですので、先ほどからお話が出ております単一の仕事、複数の仕事ということ、これは回答者自身が考えるわけではありませんね。ですから、たくさんいらっしゃるので大変だと思うのですが、ガイドラインのようなものをお書きになって、インタビュアーのトレーニングをなさるときに迷いそうになったらこういうものだというふうにそれなりのルールを書いて徹底させれば、ある程度それは今回防止できるのではないかと思います。インタビューすることの利点をなるべくうまくつかまえて、特にこの仕事に関するいろいろな微妙な、そして多様な情報をとらえられればいかがかなと思います。第1回目ですのでこれをベースにして、それから次に反映していくということでよろしいのではないかと思います。                                  

最後ですけれども、これはプリテストというのを一応なさるのであろうと思います。今回、この世帯票は随分量が増えております。その分、介護票が減っているので全体として大体同じくらいということだと思いますし、人に よって量が随分違うんですけれども、最大何分くらいかということはちょっとプリテストでやって、だからと言って減らせというわけにもいかないと思うんですけれども、ある程度あらかじめやってみることで現場の本番での混乱を避けられるものならば、そして回答者の過重な負担もできることならば少し減らせればよろしいと 思います。

 

○大橋国民生活基礎調査室長

  ありがとうございました。プリテストにつきましては、調査の実施が来年の6月ということで1年しかありません。ご承知のとおり試験調査であっても総務省の申請が必要なもので、時間的にきついかなという感じは受けております。客観的には難しいという状況でございます。

ただ、オフィシャルではなくて何人か職員に対しやってみたいと思います。

 

○廣松分科会長

  ありがとうございました。この世帯票に関しましては、先ほど最初に申し上げましたとおり、今回新たに就業に関する項目が入ったということで大変重要な変更といいましょうか、追加というふうになるかと思います。                              

いろいろまだご意見はあるかと思いますが、後でまとめてご発言をいただくことにいたしまして、次に健康票に関しましてはいかがでしょうか。この調査票に関しましては、先ほどご説明をいただきました国民健康・栄養調査との連携も考慮に入れて平成13年の調査に比べると少し変わっている分、新たな項目も起こしてはあるようでございますが、いかがでしょうか。

 

○大江委員

  これ以外に別の調査があるのかもしれませんが、素朴な疑問としては、これは健康な人は余り答えるところはないのですが、例えば生活のリズム、具体的には睡眠時間だとか食事の回数、朝ご飯を食べているかとかですね。それから、過去の調査の1週間の中で仕事の時間帯が夜の時間帯が多いか逆かとか、基本的な生活習慣に関わるような調査、それからあとは例えば最近は動物と2人暮らしとか、そういう方が非常に増えている。非常にかどうかわかりませんが、世界的にはよく報道されますね。そういった環境というのは医学的には感染症の問題とか、いろいろこれから問題になってくるわけですが、そういったような調査というのは別に何かあるのでしょうか。                          

 

○大橋国民生活基礎調査室長

  私の知る限り今、言われました動物の部分に関しては存じ上げません。               

睡眠とかそういうものにつきまして、いわゆる一般国民が1日の生活時間をどのように過ごしているのかにつきましては総務省に社会生活基本調査という調査がございまして、そちらの方で調査をしております。ただ、健康に絞ってのそういう調査は多分ないのではないかと思います。

ただ、国民栄養調査で栄養の摂取状況とか、そういうものを調べておりまして、その中で食事でどういうものを食べているかとか、それからどういうような生活習慣をしているのかというようなものについては今、手持ちがございませんので詳しいことは分かりませんけれども、そういうものを調査しております。

ただ、そういうものについて体系的にきちんと調査をしているというふうになっているかどうかについては、ちょっと不明でございます。先生がおっしゃったことについてきちんと調べるということになるならば、どちらかといいますと、こういう横断調査よりもいわゆるパネル調査みたいなもので追っていった方が、そういうものの影響がどうだろうかとか、そういう結果が出てくるのではないかと思います。多分、何人か研究者の方でそういうことをおやりになっている方はいらっしゃるのではないか。ただ、国レベルでいわゆるパネル調査でそういうものを実施するといっているものはございません。

 

○松尾委員

  細かいことを1つと、大きなことを1つ提案させていただきます。

尿路性器系というところに、できたら性行為感染症みたいなものを加えてもいいのかなと思います。それから、この調査自体、体の病気のことに非常に主体がありまして、心の問題というのが非常に限られていて、その項目の選定についてもこれからの社会を考える上で一番適当かどうか若干疑問がございますので、次回の調査までにはそういうこともご考慮いただければと思います。

 

○大橋国民生活基礎調査室長

  感染症の話は、後で担当の方から答えさせます。

21 世紀はどちらかというと健康の場合は、心の健康といいましょうか、そういうものが重要であるかということでご提言をいただいたと思います。それで、実は今回16年の調査を設計する際に、今回は質問8のところでストレスを聞いているんですが、もう少し広く心の健康の問題について検討はいたしました。ただ、幾つか問題がございました。1つは、何をもっていわゆる心の健康の物差しとするか、その基準というものを示すことがなかなか難しいのではないか。今、世界的に見てみますとWHOで現在そういうことについて研究、検討をしております。それから、所管課も今そういうものについて必要があるということで研究をしております。

それからもう一つは、そういうことで調べた場合、個別に、では私は一体どうなのかと被調査者が知りたがることもあるでしょうし、現時点ではうつだとか、ある意味ではレッテル張りになるのではないかというようなことも議論が起こってくることもあります。そういうことについての国民のアレルギーみたいなものについても考える必要があります。いずれにいたしましても、ある程度時間をかけて、国民のコンセンサスを得た上で調査をしなくてはいけないと思います。

また、ご承知のとおり、指定統計については申告義務がございますので、指定統計で調べることについて現時点ではなじむのかどうか。ただ、問題意識は非常に持っておりまして、これにつきましては先生から19年と言われましたので、実際にこれらを調べることについて可能かどうかも含めましで検討をさせていただきたいと思います。

今の尿路感染症の問題については、担当の補佐から答えさせます。

 

○事務局

  それでは、座ってご説明させていただきます。尿路性器系のところで性行為感染症、いわゆる STDでございますが、それについて検討してみてはどうかということでございます。近年、特に若年者の性活動が活発化しているということで、そういうことがある程度問題になってきつつあるということについては認識してございます。性行為感染症につきましては、感染症サーベイランス発生動向調査という形で、その頻度等につきましては把握されているところでございます。                                

この国民生活基礎調査の健康票の中でそれを傷病として入れるかどうかということにつきましては、単なる感染症であるというふうな考え方をするか、もしくはそういう感染症がそういう世帯の構造とかに影響を与えるものとして今度、不妊症という形でそういうことについては入れさせていただいてもらっているところでございますが、そういう関係も含めて次回に向けて検討させていただきたいと思っております。どうもありがとうございました。

 

○津谷委員

  これは意見というよりご質問なのですが、今回喫煙と飲酒については国民健康・栄養調査の方に移るので質問が削除されたということですのでちょっと伺いたいと思います。

これを見ておりますと、自分が飲酒すること、自分が喫煙することについての質問はあるのですけれども、間接喫煙ですね。家族でもそうなのですが、ある意味で選択ができない職場での間接喫煙ということについての質問はこちらの国民健康・栄養調査でなされるのでしょうかということがまず第1点です。

それからもう一つはストレスの問題とも関わりまして、例えば家族の者が酔っ払って家に帰ってくるとか、家で喫煙をされることによって家族生活、家庭生活への影響はどれぐらいあるのかということなどはプライバシーの問題もあるのでしょうけれども、そういうふうな情報はこの国民生活基礎調査ではなくてほかの調査でも結構なのですが、お調べになっているのかどうかを伺いたいと思います。

 

○大橋国民生活基礎調査室長

  まず1点目でございますけれども、国民健康・栄養調査は11月に調査を実施する予定でございます。したがって、まだ現時点では細かな調査票を設計してはいないと思います。ただ、今の先生のご発言というのは重要なことだと思いますので、所管している課にそのご意見は伝えておきます。

それから、2点目のご質問につきましては、私の知る限りはないだろうと思います。

 

○廣松分科会長

  ほかに健康票についてご意見、ご質問はございますでしょうか。よろしいでしょうか。

それでは、とりあえず次に進ませていただくことにいたしまして、介護票でございます。これは平成13年に新しく導入された調査票でございますが、その意味で今回は2回目ということになります。前回、平成13年のときの調査の結果も踏まえて、今回調査票の設計をお願いしていただいたわけでございますが、この介護票に関しましてご意見がございますでしょうか。                                     

最も単純な質問で、これは量的には今度はA4表裏1枚で済む形になっていると考えてよろしいのですか。                                     

 

○大橋国民生活基礎調査室長

  そのとおりでございます。          

 

○廣松分科会長

  いかがでしょうか。前回の平成13年のときの議論でも、介護票に関しては出現率が心配されたというか、具体的にどの程度本当に調査が挙がってくるのかということが議論になったようにも記憶しておりますが、今回、平成16年の場合は大体5,000人程度をめどとして考えておられますか。

 

○大橋国民生活基礎調査室長

  私どもでは、これだけの情報を得るには5,000くらいで十分じゃないかなと考えております。

 

○吉村委員

  その5,000人というのは全国でですか。

 

○大橋国民生活基礎調査室長

  いえ、そうではございません。全国では340万人くらいの介護保険の認定者がおります。調査しますのは、そのうち2,500地区ですから、大体1地区2人くらいかなと。50世帯で2人くらいかなと考えております。

 

○吉村委員

  多分これは地域差が大きく出るのではないかという印象があるのですけれども。

 

○大橋国民生活基礎調査室長

  これについては地域別に表象はしません。これは全国レベル一本でございます。

 

○吉村委員

  そうすると、いわば全国平均みたいな形で使うことになるのでしょうか。

 

○大橋国民生活基礎調査室長

  そういうことでございます。                                    

 

○吉村委員

  そういうふうに全国平均みたいな形で統計データを使うとすると、それはどういうところに生かされるのでしょうか。             

 

○大橋国民生活基礎調査室長

  例えば、今回、介護保険施設の施設サービスの規模状況を取っておりますが、これについて、全体としてどのぐらいの需要があるのかということが分かるならば、施設整備費を財政当局に要求する場合、各都道府県でどれくらいかというのはありますけれども、政府全体としてどのくらいの需要があるのか、予算はどのくらい必要なのかというようなときにこのデータが使われると思います。                      

 

○吉村委員

  各都道府県は各都道府県で独自で調査をやっているということなのでしょうか。

 

○大橋国民生活基礎調査室長

  それはやっている場合もありますし、やっていない場合もあります。

ただ、もう一つは、今回、世帯面で調査しますので、どういう程度の人が、しかもそれは介護が必要な人本人なのか、あるいは主に介護をする人がどの位需要があるのか測れるのではないかと考えております。                         

 

○松尾委員

伺いたいことは、子どもの要介護ということが対象になっているのかどうかということです。例えば重症心身障害児であるとか、出生時の障害で一生要介護の人というのは年々増えていると思いますけれども、これは昭和の生まれまでしか含まれていないので、子どもが除外された調査をお考えかどうかということです。

 

○大橋国民生活基礎調査室長

  まず申し上げますと、介護票は介護保険の適用を受けている方に対し、基本的には65歳以上です。40歳からの方も一部いらっしゃいますが。したがいまして子どもさんについてはこの介護票では把握はできませんが、世帯票の中で見ていただきますと、「手助け、見守りが必要な者」を調査しておりますので、その方々がどのくらいいらっしゃるかというのは把握することはできます。

ただ、その方たちがどういうような障害なのか。いわゆる知的障害なのか、あるいは身体障害者なのかというようなところについては世帯票では分かりません。それらの情報につきましては専門調査がございまして、5年に1度身体障害児・者の実態調査を世帯面から、調査をしております。

 

○津谷委員

  また質問で恐縮でございます。ただ、この介護票で恐らく一番難しい点の一つは、だれが回答者かによって正確性もそうですし、記入の漏れその他も、そして意味も変わってきてしまう。それは十分ご承知と思います。           

ただ、前回これはおやりになったということで、主にどのような方がお答えになったのかということをひとつ知りたいと思います。

まず1つは、もし要介護者が非常に要介護度が重い場合、どなたかほかの方が恐らくお答えになるのだろうと思うのですが、それが介護をしている方、つまりケアギバーがお答えになった場合、親族ではなかったときは恐らく正確に答えられないものも出てくるのではないかと、ふと思いました。

そして、介護が必要な人がお答えになった場合、当然これは健康な人がオーバーリプレゼントされる可能性があるわけですが、その辺のプレゼンテーションの問題で、前回の調査を踏まえて何かわかっていることがございましたら伺いたいと思います。

 

○大橋国民生活基礎調査室長

  分析をする際には確かに先生がおっしゃったように、どういう方が答えたかということを類型して分析をしなくてはいけないと思います。

そういうこともございまして、今回問7のところで若干それらについて配慮をしたつもりでございます。介護が必要な方と、主に介護をする方にそれぞれ回答していただく。介護が必要な方ご本人が答えられない状態の場合は番号にバツを付けてくださいということで、一応配慮はしております。

数字としては、本人が答えたのが約2割、主な介護者が47%です。20% と47%で、その他は内訳はわかりませんけれども、配偶者が31%、不明が2%ということで、まあまあ全体として本人なり主な介護者がお答えになっております。          

 

○津谷委員

  ついでにこんなことをここで申し上げるべきかどうかわかりませんが、今度新しく問の12で要介護度が出ておりますので、ここから出てきたディストリビューションと、全国単位でもちろん介護保険をやっているわけですから、どれくらいの人が何%くらいというのはわかりますので、突き合わせてみてどれくらい誤差があるかということである程度ウエートをかけるなりして見てみることもできるかなと、ふと思いました。

なぜかというと、非常に要介護度の低い方ですと、これは当然アンダーエスティメイトされますし、反対でしたらオーバーエスティメイトということで、介護保険行政をやっていくために資するということが目的ですので、今回の問12は私はとてもいいなと思っているのですけれども、使えるのではないかと思います。

 

○大橋国民生活基礎調査室長

  ありがとうございます。

 

○廣松分科会長

  介護票に関しまして、ほかにご意見ございますでしょうか。よろしいでしょうか。      

とりあえず先に進ませていただくことにいたしまして、次は所得票でございます。これは先ほどご説明いただきましたとおり、一番大きなところは社会保険料のところの分割でございます。これは先ほどもご紹介がありましたとおり、統計審議会の方の部会で大変強い意見が出てきたものですから、それに対応していくという形で医療保険からその他まで分割をしていただいたということでございます。ほかに所得票、あるいはもしあれならば貯蓄票もまとめてご覧いただいてと思いますが、所得票及び貯蓄票に関しましてご意見、ご質問はございますでしょうか。                                                              

 

○大竹委員

  貯蓄票の質問2というのを見ていただきたいのですけれども、減ったというときには減少額を聞いてその理由を聞いているのですが、増えたというときにはどうして額を聞かないか。非対称になっている理由というのは何かあるのか。なければ入れても、情報量があればそれだけいいのではないかと思いますけれども、それを聞きたいと思います。                                                                                         

 

○大橋国民生活基礎調査室長

  これは旧厚生省の時に設けたもので、どちらかといいますと低所得者対策といいましょうか、そういう減った人たちに対してどうするのか。増えた方についても聞けないことはないのですけれども、 全体としてのボリュームもあります。

ただ、増えたことを聞くことによって具体的に厚生労働行政としてどうなのかなというところについて何か大竹先生からご意見があれば伺いたいと思います。国民生活基礎調査という名前ですから、すべて全般にというふうにお受け取りになるのは分かりますが、役所の調査でございますので、厚生労働行政に資するという目的との関係でどうなのかということが云えればと思うのですが。

 

○大竹委員

  1つは厚生労働省の社会保障の考え方で、高齢者の中にも豊かな人がたくさんいる。資産が増えている人もたくさんいるということが1つで、その中での助け合いというのも大きなテーマだと思うのです。ですから、減った人は すごく大変だということが出てくる一方、実は増えている人もたくさんいるということが分かるということも大事ではないかという気がいたします。

 

○大橋国民生活基礎調査室長

  増えた分といいましょうか、トータルで貯蓄額を調べますので、例えば高齢者所得で第5部位がどのくらいのウエートを占めたとか、増えたとか減ったとか、そういうことは分かると思います。

ただ、具体的に幾らか。全体の分布が分かるわけですから、そういう中で今、先生が言われたようないわゆる高齢者で比較的資産といいましょうか、そういうもののある方、あるいは所得のある方をどうするのか。今、税制の問題で高齢者に対する課税の問題が言われていますが、その際に言われているのは高齢者全体ではなくて比較的高齢者の中でもお金を持っていらっしゃる方に対しての優遇税制をどうするのか、あるいは年金課税をどうするのかという話になっておりまして、それは全体の分布ではある程度、分かりますので、具体的に増加額までは必要かという感じを持っておりますが。

 

○大竹委員

  もう一点の可能性は、やはり若者から考えても遺産、相続を受け取る方がかなり今の家計の資産に占める割合が大きくなってきていると思うのです。子どもの数が減っていますし、経済成長も低下していますから、子どもから見て親からもらう額というのはかなり大きい。ですから、子どもの世帯の方で急激に資産が増えるということの大きな原因が恐らく遺産をもらうことだろうと思いますから、増えたというときに遺産をもらって増えた。それがどのくらいの額になっているのか。これは恐らくかなりどんどん大きくなっている方向にあると思うので、行政的にも重要な課題ではないかと思います。

 

○吉付委員

  今、増えることのお話があったのですけれども、この減少額の1から4で収入が減ったことはその他に入るのでしょうか。

 

○大橋国民生活基礎調査室長

  収入が減った理由は聞いておりません。全体の所得を聞いていますから、全体的にマスとしてどうなのか。例えば、世帯主の年齢から・・・・・・。

 

○吉村委員

  要するに、貯蓄現在高が減ったのは、例えば職を失ったとか、定年退職をして収入が激減したから貯蓄を食いつぶしているのですということがきっとあると思うのです。それは余り気にならないというか、質問項目ではその他に入ってしまうとわからなくならないかということです。

                                                     

○大橋国民生活基礎調査室長

  この理由につきまして、先生がおっしゃったようにもう少し現時点での状況等を考慮して考えるというのはあると思います。

ただ、所得につきまして減っている理由というのは、現時点ではそこまでは聞けないだろうと思っております。

 

○吉村委員

  ついでにもう一つ、この所得の方について言うと、これは例えば過去1年間というような聞き方をするのでしょうか。                       

 

○大橋国民生活基礎調査室長

  大変失礼いたしました。実はこれは7月15日に調査員がお邪魔したときに、過去1年間の所得について聞き取り調査をするということでございます。

                                     

○吉村委員

  その場合、例えば昨年度ですと確定申告をしているということがあって割とシャープに出るのですけれども、過去1年間、例えば7月から前年7月までというと難しいのではないか。                                     

 

○大橋国民生活基礎調査室長

  過去1年ではございません。大変失礼しました。前年1年間でございます。

 

○廣松分科会長

  貯蓄票の方の増えたところを・・・・・・。

 

○大橋国民生活基礎調査室長

  これにつきましては考えさせていただきます。

 

○廣松分科会長

  もう一つ単純な質問で、貯蓄計算メモというものを配布するわけですが、これは回収するのですか。

 

○大橋国民生活基礎調査室長

  現時点では回収することは考えておりません。

 

○廣松分科会長

  ほかに、あるいはこの所得票、貯蓄票だけではなくてほかの調査票も含めまして全体に対しましてご意見等がございますでしょうか。

 

○大江委員

  貯蓄票のところでございますけれども、余り詳しくないのでわかりませんが、前年の貯蓄額で調査ということですが、株式のところは今年の6月の株価でよろしいのですか。それで困らないのでしょうか。

                            

○大橋国民生活基礎調査室長

  失礼しました。前年は所得票のみで、貯蓄票は6月末日現在における貯蓄額でございます。  

 

○松尾委員

  全体的なことでございますけれども、資料の2-3という横のものです。この中の左の方の「生涯を通じた生活構造改革」 という丸の中に 「少子化対策」 というものがございまして「子育てと仕事の両立」というものがありますけれども、これは専ら親の立場からだけ書かれていまして、子どもの立場から本当に両立したのかという視点が全然ないと思うのですけれども、小児診療の場 で見ておりますと両立ということを目指しますと子育てを母親が放棄する。それから父親が無関心になるという形になって、結局子どもにツケが回るということが非常に高い頻度で起きていると思うのです。

ですから、この調査と子どもの立場の調査というものをリンクしていただいて、これは別々に皆、今まで調査が行われてきたのですけれども、是非この親調査にリンクさせていただいて、子どもの立場から見た少子化対策ということを検証していただければ非常にいいと思うのですけれども、いかがでしょうか。

 

○大橋国民生活基礎調査室長

  この調査を母集団にいたしまして担当の部局が世帯関係の後続調査を実施しております。それで、子どもの立場に立ってということが当然あって調査をしていると思うのですが、今、具体的に先生の言われたような観点で調査をしているかどうか。この辺り、柏女先生いかがでございますか。

 

○柏女委員

  少し遅れて申し訳ございませんでした。今のお話ですと、例えば厚生労働省の雇用均等児童家庭局が中心になって5年に1度全国児童環境調査という子どもたちの育ちの環境が一体どうなっているのかといったような調査がこれとたしかリンクして行われているのではないかと思いますし、それから全国家庭児童調査というものもやはり5年に1度行われております。これもかなり時系列的にとられておりまして、子どもの育ちがどうなっているのか。比較的、私などは重宝して使わせていただいておりますが、育児と仕事の両立という視点と、それから子どもの発達というところを直接リンクするものはまだ少ないかなというような気もいたしますので、その辺については、私は21 世紀出生児縦断調査にかなり期待をしているところです。以上です。

 

○大橋国民生活基礎調査室長

  ありがとうございました。担当の部局には私どもの方から、そういう観点からも調査をするという意見があったということについて話をしておきたいと思います。

 

○松尾委員

  両立ということを検証したデータというのは私が調べた範囲では存在しないと思いますので、是非どこかの時点で導入していただきたいと思います。           

 

○大橋国民生活基礎調査室長

  承知いたしました。

 

○吉村委員

  今、議論を聞いていてよく分からなかったのですけれども、子どもの立場というのは小さい子どもの時代と、それからその子どもが大きくなって親になったときとで随分違うのではないかという気がするのです。それは一体どういう視点で調べるべきなのでしょうか。                                                                          

例えば、うちの子どもたちは親が2人とも働いていて保育所に行ったり、保育所がなかったりという時代ですから、多分ある非常に特殊な状況で育った。それが自分たちが親になったときに、あれは嫌だったから僕は子どもをつくらないという感じになるのか。逆に、とにかく2人働いて いても昔のあんなきつい時代だっておれたちは育てられたのだから、こんな楽な時代だったら楽々よという感じになるのかですね。

だから、子どもの立場というのも子どもの現在自身の立場と、それからそれが親になったときの立場で随分違うだろう。そういうことというのは本当に調査可能なのでしょうか。

 

○松尾委員

  ご指摘のとおりでございまして、本当のことというのは3世代見ないとわからないわけです。ですから、非常にこの問題は難しいと思います。

ですけれども、非常に近いタイムスパンで考えますと、子どもがどういう環境に置かれているかということは調査できますので、恐らくそれがマイナスの影響をするだろうとかプラスの影響をするだろうということは政策的にわかります。例えばどういう生活をしているか。非常に小さい時期から塾に行くというのは、親が子育てをネグレクトしている一つの証左だと私は思っているのですけれども、そういうことはデータとして出ると思います。

 

○津谷委員

  先ほどのお話ですが、伺っておりますとミクロとマクロというのですか、印象と、それから全体のアグリゲー トでどれくらいかという2つがありまして、これをなかなか一緒にすることは難しいと思います。見方によると思うのですけれども、意識というものはある意味で本当に追跡調査でいかないと、後で思い出して、例えばこんな小さかったときのことを、これは当然その後の自分の生きたライフコース、現在の状況にある程度影響されてしまいますので、先ほどから出ているようなお話を本当にちゃんとやろうと思えば非常に長いスパンで、英語で言うロンジテューディナルサーベイ、 日本語で言うところの追跡調査をしていくしかないということで、今度厚生労働省も始められた2 つの新生児の縦断調査と、それから青年の縦断調査がありますが、これは10年ということですね。一応10年でもすごいわけですけれども、例えばアメリカとか欧米でこのデータが出ているところですと少なくとも三十数年ですね。

どういうふうにやるかというと、大体高校を出るくらいの人をすごい規模でもってずっと毎年追跡をしておりますので、欧米のデータは出ております。時間は逆には回転できませんので、これから我が国はまず最初に10年やってみて、その後もできることならば追跡していけばこれは出てくることだろうと思います。  

ただ、そこまでのところで、その場その場の状況というのはある意味で取っていく必要はあると思います。ただ、小さい子に聞くということは大変難しいですから、特にこういうふうな大規模調査でそういう情報がつかまえられるのかどうかということは検討すべき課題であろうかと思います。

 

○青井委員

  私どもの分野は、女性医師の就業しない率が高い。それは、子育ての分野で3歳児神話は崩れたと幾ら言っても、体感的にはそれは大変不安なので離職して、再度進歩発展する医療の中に次に復帰できなくて、せっかく職業に就いたにもかかわらず脱落していくというのが今、大変問題になっています。

それで、50%を超えるような卒業生、今回の国試では30%を超えているわけですけれども、そういう人たちが何割くらい脱落していくのかわかりませんが、国としては大変な予算の損失だと思います。その辺で3歳児神話が崩れたというのは確かアメリカのデータだったと思うのですが、 日本にはそれがないものですから、観念的には日本人の生活観としてはそういうことが神話ではなくて現実ではないかというふうに思われているところがあります。したがいまして、先生が今おっしゃったような調査というものをきちんとしていくことは、これから女性が就業していく上で非常に意味があることだと思うので、追跡調査ができるような形のものを組んでいただけるとありがたいと思います。

 

○廣松分科会長

  ありがとうございました。大体予定しておりました時間でございますが、ほかにご意見はよろしゅうございますでしょうか。                    

それでは、平成16年の国民生活基礎調査の計画案につきましては、今いろいろな形でご要望と同時に修正をすべき点についてご意見をいただきました。この点につきましては、担当の事務局の方でご検討を十分よろしくお願いしたいと思います。

この後の予定でございますが、この国民生活基礎調査は指定統計でございますので、統計審議会の審議、それから総務省の審査を経なければなりません。その対応に関しても国民生活基礎調査室の方で十分していただけると思いますが、そういう予定が入っておりますので、今後の扱いに関しましてはこの統計分科会のスケジュール等の関係もございますが、この会をもう一度催してご議論いただくのはちょっと難しい状況でございます。したがいまして、調査計画案の修正等に関しましては国民生活基礎調査室と分科会長の方にご一任いただきたいと存じます。もちろん適宜、各委員の方にこのご報告を申し上げるようにしたいと思います。そういう取り計らいでよろしゅうございますか。

               

(異議等の発言なし)

 

どうもありがとうございます。これで予定しておりました議事が終了いたしました。全体を通しまして何かご意見、ご発言ございますでしょうか。よろしゅうございますか。

それでは、本日の審議はこれで終了したいと思います。事務局の方から何か連絡事項等、ございますでしょうか。

 

○高原企画課長

  前回の会議でご報告いたしました統計行政の新たな展開の方向に関する検討会議における検討につきまして、現在総務省の方で意見募集を行っておりまして、6月に統計行政の新たな展開方向として取りまとめる予定でございます。その結果につきましては、当分科会におきましてもご報告をさせていただきたいと考えております。

それから、この統計行政の新たな展開方向の中で中高年齢者に焦点を当てた縦断調査の実施について検討することとなっております。これは、当省が既存の縦断調査の実施状況を踏まえて検討するということになっておりますので、今後整備の方向性等につきまして当分科会においてご議論いただくことになるかと思いますので、よろしくお願い申し上げます。

なお、次回の日程につきましては別途、各委員のご都合をお伺いいたしまして調整させていただきたいと思いますのでよろしくお願いいたします。                                    

 

○廣松分科会長

  よろしゅうございましょうか。一言追加、補足をいたしますと、先ほどご紹介がございました統計行政の新たな展開方向に関する検討のパブリックオピニオンというものを募集しております。今日の午後から総務省統計局のホームページに意見募集のサイトが開かれているようでございますので、ご興味がおありの委員の方は是非一度ご覧いただければと思います。

それでは、本日の分科会はこれで終了したいと思います。どうもお忙しいところありがとうございました。                                                                            

 

(4) 閉会


(了)
<照会先>

大臣官房統計情報部 企画課
統計企画調整室 統計企画係

電話: 03-5253-1111(内線7373)

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