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2015年5月25日 第2回化学物質のリスク評価に係る企画検討会

労働基準局安全衛生部化学物質対策課化学物質評価室

○日時

平成27年5月25日(月)15:30~


○場所

経済産業省別館8階850会議室


○議事

○平川化学物質評価室長補佐 本日は大変お忙しい中、御参集いただきまして誠にありがとうございます。ただいまより、第2回化学物質のリスク評価に係る企画検討会を開催いたします。委員の出席状況ですが、吉田委員が御欠席と伺っております。また、堀口委員は若干遅れると伺っております。それでは櫻井先生に座長をお願いすることといたします。早速ではございますが、以下の議事進行をお願いいたします。

○櫻井座長 まず事務局から、今日の資料の確認をお願いいたします。

○平川化学物質評価室長補佐 議事次第の裏を御覧ください。資料1-1が労働者の健康障害防止にかかる化学物質のリスク評価方針の平成27年度の案です。資料1-2が平成27年度におけるリスクコミュニケーションの進め方の案です。資料2が通知対象(SDS)新規候補物質の資料です。資料3が今後の予定です。参考資料1が化学物質のリスク評価に係る企画検討会開催要綱、裏が参集者名簿となっております。参考資料2が委員・事務局のみの机上配付で、通知対象(SDS)新規候補物質に係る許容濃度等勧告に係る資料です。過不足がありましたら、事務局のほうに申し付けをお願いいたします。

○櫻井座長 特に過不足はないようですので、本日の議事に入ります。今日は議題122つありますが、議題2の御審議を先にお願いいたします。前回の続きです。まず事務局から、前回の宿題事項についての説明をお願いいたします。

○柳川化学物質国際動向分析官 宿題事項は2点あったかと思います。1点目は、資料236ページの(13)酸化マグネシウムについてです。酸化マグネシウムを別表要件の対象にすることについて、日本鉱業協会に御意見を伺ってくるというのが1つの宿題事項になっていたかと思います。私どものほうで去る514日の午前中に日本鉱業協会をお訪ねして、別表第9について御説明し、現在、これを別表第9の対象にし、これがSDSの対象になるということと、間もなくこれが表示及びリスクアセスメントの対象になるといったことを御説明いたしました。協会のほうからは方向性について、おおむね御理解を頂きました。ただ、協会としては有害性の根拠について、きちんと明確にしておいてほしいという御要望を頂きました。これについて、私どものほうで早急にモデルSDSを作成するという御回答をいたしました。

 それと同時に、もう1つは協会のほうから、metal fume feverについては若干の違和感を覚えるといったお話もいただいております。酸化マグネシウムですのでメタルではありませんし、フュームになることも余りないのではないかと。そうしますと、metal fume feverというのは一体どういうことだろうといったことについて、若干の疑問を頂いているところです。

 ここで御了解いただきたいことがあります。前回お出ししたときに36ページの資料には、「URT(上気道)」という文字を書いていたのですが、ACGIHの提案理由書のほうには「Irritation」と書いてあります。恐らく上気道に対するIrritationということで意味は変わらないのだろうと思いますが、一応提案理由書に基づいて、「Irritation」に修正させていただいております。

○櫻井座長 何か御質問、御意見等はありますか。別表9に追加するという方向性で、前回議論を終えましたよね。

○柳川化学物質国際動向分析官 はい。

○櫻井座長 metal fume feverは、確かに高濃度のフュームが発生した場合ということで、やや特殊な状況なので、その点については違和感があるという御意見のようですね。「Irritation(刺激)」も決して無視できないことから、前回は別表9に載せるという方向性で議論して結論があったように思いますが、それでよろしいでしょうか。

(了承)

○櫻井座長 それでは、そのようにさせていただきます。では次をどうぞ。

○柳川化学物質国際動向分析官 2点目は50ページの(18)N,N-ジエチルヒドロキシルアミンです。これはかなり一般的に使われるもので、STEL値がどのぐらいになるのかを知りたいという御質問がありました。STEL値について私どもはGHSの数字を用いるわけですが、この区分となりますと、1ウエイトパーセントということになります。以上、御報告いたします。

○櫻井座長 1ウエイトパーセント。それは確認事項だったと思いますが、よろしいですか。前回はそこまででしたね。

○柳川化学物質国際動向分析官 はい。

○櫻井座長 今日は、52ページの(19)ジアセチルからです。それでは説明を事務局からよろしくお願いいたします。

○山口委員 終わったものですが、タルクに関して、一部の関連の産業界から意見を頂いたものがあります。業界の意見を聞くと、タルクは今でも紙、樹脂、ゴム、塗料、化粧品、医薬等、幅広く使われているということで、タルクの有害性がアスベストのないものに関して、きちんとしたデータなのかどうかという確認を、是非お願いしたいということです。というのは、かなり幅広く使われていますので。特に化粧品、医薬等、人体の中に取り込むことを前提に使っているものもありますので、有害性のデータがタルクそのものとしてきちんと認識されているのかどうか、調査されたものなのかどうか、そこを確認してほしいという意見がありましたので、また追加として調査いただければと思います。

○櫻井座長 妥当な疑問だと思います。今時間を使うことはできませんので、その点は調査事項として宿題にします。

○名古屋委員 許容濃度を見るのは、アスベストではなくて粉じんではないですか。今は0.1%以上は使えないことになっているし、分析方法も塊状のものは結構だけれども、粉状については使用禁止になっていますので、ここで扱うタルクは完全にアスベストなしですよ。

○山口委員 この海外のデータも、全くアスベストがないものとしての。

○名古屋委員 許容濃度で、もともとタルクが出ているのは、粉じんの濃度が出ていますので、ないのではないですか。

○山口委員 出てきた文献の実験の中身を確認していきたいです。

○櫻井座長 文献を明確にしたいということですね。

○山口委員 ええ、そうです。非常に一般的に使われているものですから。

○櫻井座長 ほかによろしいですか。それでは(19)のジアセチルに入りたいと思います。御説明をどうぞ。

○柳川化学物質国際動向分析官 52ページです。ジアセチルの物理化学的性状ですが、形状は緑色若しくは黄色の液体です。臭い、ペーハーについてはデータがありません。融点が-2.4℃、沸点が88℃で、蒸気圧は25℃の下で7.6kPaとなっております。用途は有機合成中間体、香料等に用いられます。日本香料工業会の情報によりますと、1年間の生産量は約1.6tであるという情報を得ております。

 次に、TLV-TWA0.01ppm、発がん性がA4です。TLVBasisは呼吸器系へのダメージで、括弧書きとして(閉塞性細気管支炎)と書かれております。モデルSDSはありませんが、国際化学物質安全性カードがあり、この中で短期ばく露の影響として、眼への重度の刺激、皮膚及び気道を刺激、中枢神経系への影響、高濃度にばく露すると意識低下といったことが掲げられており、長期及び反復ばく露の影響としては、肺への影響若しくは肺の機能障害が挙げられております。GHS分類が書かれており、注意喚起語としては「危険」、シンボルは炎・どくろ、飲み込むと有害、蒸気を吸引すると有害、皮膚刺激、強い眼刺激というようになっております。

53ページにNIHの英文の資料を幾つか付けておりますが、これについてはジアセチルを扱っている労働者に対して、細気管支閉塞性診断が行われたということです。先ほどのTLV Basisと同じものですが、これが出たといった情報が幾つか書かれております。もともと電子レンジ用のポップコーンを作る労働者で知られていたけれども、それ以外にも広がってきたといったことが書かれております。

○山口委員 確認です。モデルSDSはないけれども、GHSの分類が下に「注」として出ています。これはどこからですか。

○柳川化学物質国際動向分析官 国連ですね。環境省のWebサイトに載っているものをそのまま引っ張ったということです。

○櫻井座長 ACGIHRecommendationの資料は89ページですね。ばく露限界値が、TRV-TWA0.01ppmと非常に低い。それをACGIHがプロポーズしたのが2011年で、採用したのが2012年ということで比較的最近です。その前は何もなくて、2011年、2012年に勧告されたものですね。先ほど御説明がありましたように、それを製造したり、それを取り扱う労働者で閉塞性細気管支炎という疫学的な報告が複数出て、しかも非常に低濃度であることから、新たにこういうばく露限界値になったと理解しております。香料ですね。ときどきあるのです。非常に低い濃度で香料として使われている分にはいいのかもしれませんが、ちょっと高くなると問題が発生すると。ポップコーンもそうですかね。ポップコーンの焦がすような臭いを付けるものですね。

○柳川化学物質国際動向分析官 そういうものでは知られていたけれども、それが更に広まってきたということです。

○名古屋委員 1.6tですから、取扱量が多いですね。

○宮川委員 先ほどのGHS分類の根拠は国連ということですが、一般的に国連自身が分類を公表することはないので、トレーニング用に幾つか作っている教科書などにあったのかもしれません。念のために確認していただくのがよろしいかと思います。上の呼吸器に対する影響と、ここに書いてある特定標的臓器毒性が書いていないので、ちょっとずれているところがあると思います。

○柳川化学物質国際動向分析官 はい。恐らく引用元はどこかに書いてあっただろうと思うのです。

○山口委員 「リスク増加が認められているが、本物質が原因になるという十分な証拠はない」とか、「健康への影響は十分に調べられていない」という注書きが付いていますが。

○柳川化学物質国際動向分析官 この「注」は長期又は反復ばく露の影響に付いているもので、短期ばく露のほうには、この「注」は掛かりません。

○山口委員 ここの部分だけの「注」ということですね。

○柳川化学物質国際動向分析官 そうです。いわば閉塞性細気管支炎についての「注」ということですよね。

○櫻井座長 やや厳密に疫学的な報告が複数積み重なっているので、そういう方向でTLVは決められておりますが、厳密に言えば完全に証明されていない、若干の議論が残っている物質ですね。

○山口委員 食品などの香料ですので、有害性の程度がはっきりしないと。これはもう既に香料として使われているわけですよね。ですから妙に誤解を招くと、非常に有害な物を売っているような印象を与えると困るのです。量は大した量ではないと思うのです。

○櫻井座長 1.6tですね。

○山口委員 全体としてはですね。しかも配合している量が極めて少なければ問題ないでしょうけれども、香料というのはそういうものが全体的に多いと思います。

○櫻井座長 香料というのは、大体そういうものが多いようですね。

○山口委員 合わない人が結構いますよね。ですから、これも一応、香料工業会のほうで何か意見というか、これに関して有害性のデータがあるのか。もう既にある程度の有害性を認識していて、使わない方向に行っている可能性もありますので、一応香料工業会に意見を聞いていただければと思います。これに限らず、今後、香料に関してはいろいろ出てくる可能性があると思いますので、一度意見を聞いておいていただければと思います。

○柳川化学物質国際動向分析官 では、御意見を伺っておきます。

○櫻井座長 では、そのように進めてください。

○柳川化学物質国際動向分析官 分かりました。

○櫻井座長 では、その次をお願いします。

○柳川化学物質国際動向分析官 (20)硫化カルボニルです。物理化学的性状ですが、形状は無色のガスで、臭い、ペーハーについてのデータはありませんでした。融点は-138℃、沸点は-50℃の液体で、蒸気圧は21.1℃で、1,103MPaです。用途は殺虫剤、医薬・除草剤の原料として用いられるようです。TLV-TWA5ppmTLVBasisは中枢神経系に対する毒性となっております。GHS分類のモデルSDSは作成しておりませんが、Chemical BookというWebサイトを見ますと、R-phrasesが、11-20-36/37/38の組合せといったものが出ております。

○櫻井座長 これはACGIH99101ページまでですが、これもごく最近、2011年にプロポーズされて、2012年に決定したものです。最近だんだん増えているもので、動物実験だけから決定されております。99ページの左上のRecommendationを見ますと、5ppm。動物実験でNOEL51ppm。ラットの2週間のデータで無毒性量が51ppmだから、その10分の1を取っているのですね。ただ、高い濃度で中枢神経系への影響があるということです。こういうものがだんだん増えていくとは思いますが、動物とヒトとの種差を考えると、5ppmというのは妥当なのだろうという気がします。

○山口委員 R-phrasesS-phrasesが既に出ているので、内容がよく分かりますが。

○櫻井座長 数字が書いてあるけれども、これは。

○柳川化学物質国際動向分析官 111ページ以降に表を付けております。R11は引火性で、R20が吸入による有害です。R36R37R38は、眼と呼吸器系及び皮膚に対する刺激ですね。

○山口委員 これまでもそうですが、規制の場合はSDSが全て完成した形で。

○柳川化学物質国際動向分析官 もちろんです。これは最優先でやります。

○櫻井座長 では、これは別表9に追加するということでよろしいでしょうか。

(了承)

○櫻井座長 ありがとうございました。それでは次の物質、(21)をどうぞお願いします。

○柳川化学物質国際動向分析官 それでは(21)ジメチル=2,2,2-トリクロロ-1-ヒドロキシエチルホスホナート(別名トリクロルホン若しくはDEP)です。物理化学的性状は白色固体結晶で、臭いはデータなし、ペーハーもデータなし。融点が7781℃、沸点についてもデータはありません。蒸気圧は20℃の下で7.8×106mmHgとなっております。用途は殺虫剤・防虫剤、農薬(殺虫剤)系です。製造・輸入量は100(年間)のオーダーとなっております。TLV-TWA1mg/m3 です。その理由は、コリンエステラーゼの活性を阻害することになっております。産業衛生学会の許容濃度は0.2mg/m3 となっております。GHS分類ですが、急性毒性(経口)が区分3、眼に対する重篤な損傷・眼刺激性が区分2B、皮膚感作性が区分1、生殖毒性が区分2STOTが区分2(神経系)となっております。

○櫻井座長 コリンエステラーゼ活性阻害は、典型的な有機リン剤ですね。この別表9への追加については、そういう結論になると思いますが、それでよろしいですね。

(了承)

○櫻井座長 では、次をお願いします。

○柳川化学物質国際動向分析官 60ページの(22)亜硝酸イソブチルです。物理化学的性状は無色の液体で、果実のような臭いがします。ペーハーはデータなし。融点が0℃、沸点が67℃、蒸気圧が25℃の下で1.3kPaです。用途は「RUSH」という俗称のある危険ドラッグの1つで、旧薬事法、今では医薬品・医療機器等と略されますが、この法上の指定薬物で、「元素又は化合物に化学反応を起こさせる用途」のほかは、極めて限定された用途以外に使用は禁止されているものです。TLV-TWAですが、STEL値は1ppmとなっております。そのBasisは、血管拡張とメトヘモグロビン血症となっております。GHS分類ですが、急性毒性(経口)は区分4、同じく吸入・蒸気は区分3、生殖細胞変異原性は区分2、発がん性は区分2STOTの単回ばく露が区分1、同じくSTOTの反復ばく露が区分2で、血液系、呼吸器系となっております。

○櫻井座長 血管拡張剤として亜硝酸アミルが、今は一番よく使われますが、亜硝酸イソブチルをまだ医療用に使っているかどうかは分かりません。それとNO2 がくっついているので、やはりMeHb。その他、危険ドラッグとして一時はやったということで、今は使われていないということです。別表9への追加でよろしいですか。

(了承)

○櫻井座長 では、次をお願いします。

○柳川化学物質国際動向分析官 次は62ページ、(23)0-3-クロロ-4-メチルクマリン-7-イル0,0-ジエチルホスホロチオアートですが、物理化学的性状が無色の結晶、薄い褐色で固体です。臭いが弱い硫黄臭、pHデータはありません。融点が93℃、沸点はデータなし、蒸気圧は20℃の下で9.7×10-8mmHgとなっております。用途ですが、駆虫剤、動物用の医薬品、防疫用の殺虫剤、有機リン系の殺虫剤ということです。製造・輸入量については、探したのですがデータが見当たりませんでした。TLV-TWA0.05mg/m3、皮膚を介した侵入のおそれがありということです。TLVBasisですが、先ほどと同じコリンエステラーゼの活性を阻害するということです。急性毒性(経口)が区分2、同じく経皮が区分3、同じく吸入:粉じんが区分2、眼に対する重篤な損傷・眼刺激性が区分2STOTの単回ばく露が区分1で神経系、同じくSTOTの反復ばく露が区分1で神経系、脾臓となっております。以上です。

○櫻井座長 これも有機リン剤であり、しかも先ほどのものよりも低い濃度でコリンエステラーゼ活性阻害を起こすようですが、別表9への追加ということでよろしいでしょうか。

(了承)

○櫻井座長 そのようにお願いいたします。次をお願いします。

○柳川化学物質国際動向分析官 次は64ページ、(24)ポルトランドセメントです。一般的なセメントですが、色は明るい灰色若しくは白色の粉末、臭いはデータなし、pHはデータなし、融点が1,000℃で、沸点、蒸気圧についてはデータがありません。用途は、よく知られているように、モルタル・コンクリート・建材原料といった形で、製造・輸入量についてはセメント協会の調べですが、ポルトランドセメントとして43,766千トン、混合セメントとして、これはポルトランドセメント含有ですが、14,705千トンとなっております。TLV-TWA1mg/m3 TLVBasis3つ書かれており、肺への機能、呼吸器症状、喘息となろうかと思います。許容濃度は第2種粉じんについて、吸入性粉じんについて1mg/m3 、総粉じんについて4mg/m3となっております。モデルSDSは作成しておりません。国際化学物質安全性カードによると、ばく露の経路としては吸入。吸入の危険性としては、拡散すると浮遊粒子が急速に不快濃度に達することがある。短期ばく露の影響としては、皮膚や気道に対する刺激、眼に対して腐食性。長期又は反復ばく露の影響として、反復又は長期の皮膚への接触により皮膚炎を起こすことがある。また、反復又は長期の接触により、皮膚が感作されることがあると書かれております。以上です。

○櫻井座長 いかがでしょうか。

○山口委員 確認ですが、ポルトランドセメントとしてCASナンバーが特定して、こういうものが付いていると。

○柳川化学物質国際動向分析官 付いています。これについては、業界には事前に説明しております。

○櫻井座長 これもTLVを決定するのに非常に長い歴史がありますね。136ページにずっと書いてあります。それまでは10mg/m3だったのを2005年に1mg1mgをプロポーズして、その後もいろいろと議論を重ねて2014年に1mgが決定したということなので、結局、肺機能に対する障害、あるいは喘息というデータがだんだん積み重なってきたということで、現在のばく露限界値に落ち着いているというものです。アスベストを含まないということ、それから結晶質シリカを1%未満という条件が付いています。御質問、御意見はよろしいでしょうか。これも別表9へ加えるという結論でよろしいでしょうか。

(了承)

○櫻井座長 そのようにいたします。次はアルミニウム及び不溶性化合物です。

○柳川化学物質国際動向分析官 アルミニウム及び不溶性化合物ということで、65ページから70ページまで、ア、イ、ウ、エと4つの物質について挙げております。まず、アルミニウム(金属)については、形状は白、若しくは灰色の粉末、臭い、pHについてはデータなし、これはアルミニウム粉についてのモデルSDSですので、粉末となっているということです。融点が660℃、沸点が2,327℃、蒸気圧についてはデータがありません。用途についてはよく知られているように、ここに書かれているようなことです。TLV-TWAですが、1mg/m3 となっております。そのBasisですが、最初のじん肺はともかくとして、次が下気道といいますか、気管支と言うべきか、LRTに対する刺激性とneurotoxicityですから、神経毒性があると書かれております。許容濃度は、あくまでも第1種粉じんとしてということですが、吸入性粉じんについて0.5mg/m3、総粉じんについて2mg/m3となっております。GHS分類ですが、STOTの反復ばく露が区分1()です。同じくSTOTの反復ばく露が区分2(神経系)となっております。この2つはアルミニウム粉についてのものになります。説明が前後しますが、製造・輸入量については、製造量(新地金)については3トン、輸入量(新地金)については1,849トンという数字が出ております。

 次は67ページのヘキサフルオロアルミン酸三ナトリウムですが、無色の固体で、融点1,013℃、蒸気圧が1,009℃の下で2.53hPa。用途ですが、農薬、フラックス、アルミ精錬融剤、エナメル・ガラスの乳白剤、ゴム充填剤、殺虫剤原料といったものに用いられます。TLVについては同じで、GHS分類についてはSTOTの単回ばく露が区分3、これは気道刺激性となっております。

68ページの三フッ化アルミニウムは、白色の六方晶、臭い、pHはデータなし、融点は1,090℃、沸点は1,272℃、蒸気圧は1,238℃の下で1mmHg。用途としては、セラミックス、治金の溶剤、アルミニウム製造、発酵の阻害剤、有機反応の触媒等に用いられます。TLV-TWAは同じで、GHS分類は急性毒性(経口)が区分3、生殖毒性が区分2になっております。STOTの反復ばく露は区分1()になっているという状態です。

70ページの水素化ビスですが、無色の固体、臭い、pHについてはデータなし、融点は0℃よりも低い、沸点はデータなし。蒸気圧ですが、25℃の下で4.1×10-11mmHgという数字が出ておりました。用途ですが、精密化学品生産の還元剤、ラクタムとアルケンの重合触媒、有機イソシアネートの三量体化、グリニャール試薬の調整に用いられます。TLV-TWAは同じです。GHS分類ですが、モデルSDSはできておりますが、全ての項目について分類できない、又は分類対象外となっております。ただ、CLP分類を見ると、いろいろ書かれており、例えばskin burns、あるいはeye damageとなっております。eye damageについてもシリアスなeye damageとなっており、いろいろと状況はあるということのようです。STOTについても単回ばく露で呼吸器刺激性があり得るという、May courseという表現になっております。以上です。

○櫻井座長 ア、イ、ウと3種類。

○山口委員 これに関しては、全体の名称として「アルミニウム及び不溶性化合物」となっていますが、具体的な規制に関してはCASナンバーのものに関してGHS分類に基づいて実施するのですか。

○柳川化学物質国際動向分析官 逆に、そこもお尋ねしたいのですが、私どもとしてはTLV-TWAで「アルミニウム(金属)及び不溶性化合物」となっている以上、それについてのTLV-TWAがあるわけですから、その形で入れるのが筋ではないかと考えておりますけれども。

○山口委員 アルミ化合物はいっぱいあるので、中小の所が、CASナンバーがきちんと出ていれば対応できるのですが、なければ何でもかんでもということになって、少なくともアルミニウムの粉は引っ掛かってきますが、インゴットみたいなアルミの塊はいいわけですよね。

○柳川化学物質国際動向分析官 これはモデルSDSがアルミ粉でできているというだけで、ACGIHTLV-TWAはあくまでもmetalという形で出ているものですから、パウダーとは書いていないのです。

○山口委員 それは多分、そうなると、アルミサッシを作っている所も全部引っ掛かってくると思うので検討をお願いします。

○柳川化学物質国際動向分析官 いやいや、最終消費者に影響するものは当然、該当しませんので。

○山口委員 ですから、そこはこういう物質を決めてもいいのですが、該当しないものに関してちゃんと外してもらわないと、アルミニウムを単にこれでやると、めちゃくちゃ広がりが多くなってしまうので。

○柳川化学物質国際動向分析官 要は、インゴットみたいなものはあれですよね。

○山口委員 アルミ合金類はいっぱいありますから。

○柳川化学物質国際動向分析官 合金は混合物ですからあれですが、問題は化合物ですね。

○山口委員 化合物でも「アルミ及び不溶性化合物」という。

○柳川化学物質国際動向分析官 そうです。だから、混合物は入ってしまうのです。

○山口委員 その辺を明確にしてもらわないと企業として対応が難しいです。

○柳川化学物質国際動向分析官 ですから、混合物は、要はストレートに該当するか該当しないかで切ります。あとは固体でやる場合については、消費者の所に届くまでの間に、例えば加工されるおそれがないか、削られるとか、溶かされるとか、そういったことが全くないような固体だということであれば、それは一般消費者に影響するものと扱われるのですけれども。

○山口委員 ということは、基本的にアルミニウムの元素として規制を掛けるという理解になるわけですよね。

○柳川化学物質国際動向分析官 要するに現行の考え方がそうですから、そこに入るものはそういうことになります。

○山口委員 不溶性、そうなると例えば酸化アルミナも該当するのですか。

○柳川化学物質国際動向分析官 あれは不溶性ですね。

○山口委員 それはやはりいろいろ外すのか。これはめちゃくちゃ出てきますよ。

○名古屋委員 用途を見たって全然違うのがいっぱい入っているので、それを一括りにはとてもできないのではないですか。

○山口委員 これは多分めちゃくちゃ多いですよ。

○名古屋委員 そこはちゃんとしてあげないと、アルミは研磨剤としてもありますからね。

○櫻井座長 鉛とか、カドミウムの場合は、それが入っていると元素毒性という感じでメーカーは納得するけれども、アルミニウム化合物の場合はそういうわけにはいかない。ものによって違う。

○山口委員 そうなのですよ。単純にこれで決めてしまうと対応できないと思うのです。

○宮川委員 形成品は違うのですよね。だから、アルミ缶だとかアルミサッシ、要するにその段階で削って使ったりとか、紛体が出なければ関係ないという理解ですよね。

○柳川化学物質国際動向分析官 要するに、例えば労働者が加工するであるとか、溶かすであるとかで、ばく露するおそれがあるとすると、その場合は一般消費者に影響するものとは言えないだろうと。ただ、そういったことは全くない状態で、あとは固体としてしか動きませんということであれば、仮にB to Bであったとしても、それも一般消費者に影響するものになるわけです。

○山口委員 決して発病しなければいい、ばく露の可能性が少なければいいということですよね。

○柳川化学物質国際動向分析官 そうです。そういった行程があるよりも前にあるとしたら、それは一般消費者に影響するものとは言えないでしょうと。

○名古屋委員 コバルトなどは入っただけで付くわけでしょう。加工で磨耗するからと。

○山口委員 シリカゲルなどは全部駄目ですよ。

○名古屋委員 アルミはちょっと違うのではないか。

○柳川化学物質国際動向分析官 その辺については御意見をお伺いしたいと思っており、場合によっては個々の今挙げてあるものだけにするとか、逆に。

○山口委員 有害性のはっきりしているものに関しては付けるべきというのは、それは皆さん、有害性データがはっきりしているからいいかと思うのですよ。それをアルミ元素という形で広げることが、いろいろ業界によっては対応が難しいです。

○柳川化学物質国際動向分析官 不溶性化合物として入れるのではなくて、物質としてこれとこれとこれというように入れるのであれば問題はないのではないかと。

○山口委員 それは問題ないと思います。作る側はもう分かりますから。

○柳川化学物質国際動向分析官 アルミニウムもOKということですか、メタルも。

○山口委員 アルミニウムのメタルそのもので粉で使う場合は余りないと思うので。あと、アルミだと粉の場合は酸化アルミナになりますよね。

○櫻井座長 そうですね。さすがにあれはちょっとという気がしますね。

○山口委員 なかなか。そうなると酸化アルミナになると思うのですよ。酸化アルミナも入るということですかね。

○柳川化学物質国際動向分析官 このまま入れてしまうと入りますよね。それはあくまでも、例えば4つある物質についてだけ入れるということであれば、それは入りませんよね。

○山口委員 なるべく特定しないと、出す側が対応できないのではないかと。ア、イ、ウに関しては特に問題ないと思うので、ただ、それを全部広げるということに対して、今までもそうなのですが、金属系のものと、その化合物というPRTRもあるのですが、そうすると物質になると何千に広がってしまうわけですよ。

○柳川化学物質国際動向分析官 よく分かります。逆に先生方の御判断として、ここは、もうこれだけにするべきだということであれば、それでも。

○山口委員 とりあえずこれだけにして、また有害性のデータなり実際に何か問題が出てくれば、広げるという形で考えていただいたほうが。余りにも普通に一般に使われているので。

○柳川化学物質国際動向分析官 業界にもお話を聞いて、情報収集して改めて。

○山口委員 アルミの、特に金属を作っている所の関係がたくさんあると思いますので。

○柳川化学物質国際動向分析官 当面は、この4つについては御了解いただいたという形で、業界団体にお伺いするということと、その他の物質については様子を見るというか、状況を見るというか、ということでしょうか。

○石井委員 教えていただきたいのですが、このイ、ウ、エはどこから選ばれたのでしょうか。ACGIHを見てみますと、ACGIHの中の不溶性化合物は、アルミナであったり水酸化アルミニウムとか散見されるのですが、恐らくこの辺も含めた上でACGIHとしては判断しているのかと思うのです。ここの部分と今挙げていただいたイ、ウ、エとの関係について、教えていただけたらと思います。

○柳川化学物質国際動向分析官 これは原則としてACGIH1つのグループで挙げている場合については、報告書に物質名が具体的に載っている場合については、それのみを挙げております。載っていない場合については、私どもでモデルSDSを作っている物質を挙げているという形をとっておりまして、これはここに挙がっている4つを挙げたということです。

○石井委員 イ、ウ、エについては、それぞれのCASナンバーで、モデルSDSができているということですか。

○柳川化学物質国際動向分析官 そうですね。これは4つともできていますね。

○櫻井座長 それはそれでよろしいでしょうか。

○山口委員 そういう物質が入ってCASナンバーが紐付けされていて、特定されてSDSがあればいいのですが、単にアルミナ何々となると、何でもかんでも入ってしまって、皆さんはどこまでやっていいのかというのは、なかなか判断が難しい部分が出てくるので。

○柳川化学物質国際動向分析官 それはいろいろなケースがあろうかと思いますので、ここは逆に、私も御判断をお伺いしたいので。

○山口委員 関連の業界に意見を聞いていただいて、逆にこれは外してもいいという形で、外す側をはっきり明確にするということでもよろしいかと思うのですけれども。

○櫻井座長 それは今日出ております物質については、金属もよろしいですね。固体として存在する場合は問題ないけれども、粉じんとして問題になりますので、別表9に載せるということで合意していただけたでしょうか。

(了承)

○櫻井座長 その他の物質については、非常に幅広い物質を含んでおりますので、業界の意見等、あるいはその他の識者の意見等も聞いて、妥当な方向性を探っていただきたいと思います。よろしくお願いします。次をお願いします。

○柳川化学物質国際動向分析官 次は(26)エチレン、71ページです。物理化学的性状については無色の圧縮ガスと書いてあります。臭いは特徴的な臭気、pHデータはありません。融点が-169.2℃、沸点が-104℃、蒸気圧が15℃の下で8,100kPaとなっております。用途はこちらに書かれておりますように、様々なものに用いられるものです。TLV-TWA200ppmで、そのBasisは窒息です。GHS分類はSTOTの単回ばく露で区分3(麻酔作用)となっております。順番が前後しましたが、製造・輸入量が400万~500万トンとなっております。以上です。

○櫻井座長 いかがでしょうか。

○山口委員 聞いてみたところ、大量の場合は配管で移送でプラントからプラントという形らしいのですが、小量の実験用にボンベで使う場合があると。そうすると、そこから間違って、操作を誤って漏れるケースがあるので、そういうことを考えると入れざるを得ないかなという意見が出ましたので、まず普通は工場ではないのですが。

○櫻井座長 その他のパブリックはありますか。ACGIH200ppmというのですが、根拠はasphyxiaですね。窒息と書いてありますが、実際はACGIHも心配しているのは、エチレンが代謝されて、一定の比率でエチレンオキシドになる。それが怖いと。だから、200ppm辺りは妥当な線ではないかと。これは別表9ということで、よろしいでしょうか。

(了承)

○櫻井座長 そのようにさせていただきます。

○柳川化学物質国際動向分析官 次は72ページからになりますが、沃素及び沃化物ということで、ア、イ、ウと3つ挙げており、77ページまで続きます。沃素及び沃化物といいましても、沃素については既に通知対象物質になっておりますので、この表からは、資料から除いております。まず、沃化カリウムですが、物理化学的性状は無色又は白色で、立方体の結昌、顆粒又は粉末となっており、融点が688℃、沸点が1,330℃、蒸気圧は745℃で1mmHg。用途ですが、写真用のエマルション、放射線事故の処置、分析用、動物及び家禽の飼料、食卓塩や飲料水のヨード源、触媒、殺菌用といったことに用いられます。製造・輸入量については、1,0001万トン未満となっております。TLV-TWA0.01ppm、そのBasisは甲状腺の機能低下症と訳すべきでしょうか。あとは上気道刺激性ということになります。GHS分類ですが、眼に対する重篤な損傷、眼刺激性が区分2、生殖毒性が区分2STOTの反復ばく露が区分1(甲状腺、皮膚、全身毒性)ということになっております。

 次は74ページ、ヨウ化銀です。物理化学的性状として、色、臭い、pHデータはありませんが、形状は固体、融点が552℃、沸点が1,506℃、蒸気圧が820℃の下で1mmHg。用途は、医薬、写真乳剤原料、人工降雨・降雪となっておりますが、これは雨や雪を降らせるときに撒くことがあるものですから、そういったものに使うということです。TLV-TWAは同じです。GHS分類ですが、こちらはモデルSDSができているのですが、全ての項目について分類できない、若しくは分類対象外となっております。Chemical BookにはR-phrasesがあって、36/37/38の組合せが出ているということです。CLP分類を見てみたのですが、これもHealth hazardsについては全てデータ不十分といったことになっているのです。ただ、環境毒性については水生生物に対する影響があるといったことです。

 次に76ページのヨウ化水素ですが、無色の液化ガス、刺激臭がいたします。pHデータなし、融点が-51℃、沸点が-35.1℃、蒸気圧が765kPaということです。用途は、医薬品、医薬中間体、合成中間体に用いられます。TLV-TWAについては同じで、GHS分類については、皮膚腐食性・刺激性が区分1A1C、眼に対する重篤な損傷・眼刺激性が区分1STOTの単回ばく露が区分1、これは吸入で呼吸器系、STOTの反復ばく露も区分1(吸入:呼吸器系)となっております。以上です。

○櫻井座長 アとイとウと3つの物質についてまとめて説明していただきましたが、いかがでしょうか。

○山口委員 どうも先ほどと同じで、沃素及び沃化物ということで、沃素としてはある程度の有害性は理解できるのですが、体に必須の成分でもありますよね。

○柳川化学物質国際動向分析官 どんなものでしょう。逆に私のほうから先生にお伺いしたいのですが、沃素及び沃化物として規制を掛けるべきか、それともこの3つ、別々に物質として挙げるべきか。

○櫻井座長 いかがでしょうか。沃素は別々に挙げなくてもいいような気がするのですけれどもね。

○柳川化学物質国際動向分析官 これはまとめますか。

○櫻井座長 宮川委員、どうですか。

○宮川委員 毒性が同じようであればいいのですが、ヨウ化銀だけがちょっと気にはなります。

○柳川化学物質国際動向分析官 これはヨウ化銀だけは産衛学会のほうは、銀及びその化合物ということで、0.01が入っていますが、これは別の話ですね。74ページの許容濃度は産衛学会で定めているのですが、これはあくまでも銀及び銀化合物として定めていますので、特に沃素とは余り関係はない話ですね。

○櫻井座長 銀としてですね。

○柳川化学物質国際動向分析官 はい。

○櫻井座長 銀のほうで0.01mgとなっているわけです。

○柳川化学物質国際動向分析官 ですから、ほかの2つについては許容濃度はないわけですね。

○櫻井座長 沃素ですと、ヨウ化銀は固体ですよね。

○柳川化学物質国際動向分析官 固体です。

○櫻井座長 だから、イのヨウ化銀のTLV-TWA0.01ppmではなくて0.1mg/m3 だと思います。

○柳川化学物質国際動向分析官 そうなのですが、ACGIHのほうは沃素及び沃化物でまとめていたものですから、このようになってしまったのですが、確かにこれはそうですよね。

○櫻井座長 161ページですが、0.01ppm(0.1mg/m3)と書いてありますね。

○柳川化学物質国際動向分析官 失礼しました。

○櫻井座長 固体の場合は0.1mg/m3 。ですから、銀として見ると、それより1桁下の0.1mgにしたいわけですね。だから、いずれにしてもヨウ化銀は問題が大きい。当然、別表9に入れるべきものなのです。

○柳川化学物質国際動向分析官 ここは沃素が入っていますが、沃化物として入れるということでよろしいですか。

○櫻井座長 沃化物は全て同等であるという根拠がないまま、ほかの場合も、鉛とかカドミウムだって同じなのですが、ただ、その元素が存在すること。全然溶けなければ、また問題は起こらないのですよね。

○山口委員 要するに、そこの問題ということですよね。体に必要な物質ではあると。

○櫻井座長 ただ、吸入の場合は大抵溶けてしまうのです。カドミとか鉛とか、ああいうものも全てそうですよね。不溶性と言ったって、やはり吸うと、長期間には大体溶けて、いろいろ問題を起こすので、沃素という物質は溶ければ、逆に甲状腺機能低下症を起こすと。必要なのだけれども、なぜか長期間、多いと低下するのです。そこがちょっと。

○宮川委員 全ての物質について多量であれば有害になるので、それを避けていたのでは問題が解決できないと思いますので、沃素に関しては、沃素としての毒性がある程度共通点があるという今のお話のとおりですので、括るということにも合理的な理由はあるのかと思います。

○櫻井座長 1つでいくということで、沃素及びその化合物ということでよろしいでしょうか。

(了承)

○櫻井座長 では、そのようにお願いいたします。

○柳川化学物質国際動向分析官 78ページ、(28)硫酸カルシウムのアの硫酸カルシウムです。こちらもア、イ、ウ、エと82ページまで挙げています。物理化学的性質ですが、色は白色、形状は吸湿性の結晶性粉末、臭い、pHはデータなし、融点は1,450℃、沸点、蒸気圧はデータなしとなっています。用途はセメント・ボード・プラスターにも使われますし、いわゆる豆腐凝固剤としても用いられます。農薬にも用いられます。TLV/TWA10mg/m3で、鼻に影響を与えるといったことがTLV Basisになっています。GHS分類ですが、モデルSDSは作成していません。国際化学物質安全性カードより、短期ばく露の影響として、経口摂取すると胃腸管の閉塞を引き起こすことがある。長期または反復ばく露の影響として、結晶シリカが存在すると、反復または長期の粉じん微粒子ばく露により肺が冒されることがあるとされています。製造・輸入量は百万~1千万トン未満と書かれていますが、これは恐らくアだけでなく、ア、イ、ウ、エ全てを含めてということだろうと思います。

80ページ、イの硫酸カルシウム(1/2水和物)、これもほぼ同様です。物理化学的性質ですが、色は白色、形状は吸湿性粉末、融点は163℃となっています。GHS分類については作成していませんが、国際化学物質安全性カードには、短期ばく露の影響として、機械的刺激を引き起こすことがあると書かれています。

81ページ、ウの流酸カルシウム、これもほぼ同様です。形状は結晶性粉末、色、臭い、pHはデータなし、融点は100150℃です。用途はセメント・ボード・プラスター原料、医薬部外品添加物、食品添加物と書かれていますが、ほぼ同じようなものということです。GHS分類についてはデータがありませんけれども、国際化学物質安全性カードによると、ここに書かれているとおり、短期ばく露の影響として機械的刺激を引き起こすことがある。長期または反復ばく露の影響として、反復または長期にわたる粉じんのばく露により、肺が冒されることがあるといった表現になっています。

82ページ、エの硫酸カルシウム(2水和物)ですが、これもほぼ同じです。色は白色、形状は結晶性粉末または塊状物、GHS分類については行っていません。国際化学物質安全性カードもほぼこれまでのものと同じ形になっています。以上です。

○櫻井座長 いかがでしょうか。

○山口委員 あまりにも周りにある物質で。石膏ですよね。

○櫻井座長 あまり毒性は高くないですね。

○山口委員 よっぽど粉じんを吸わない限りは、いろいろな所に使われている物質なので。

○柳川化学物質国際動向分析官 ACGIHTLVが出たので、機械的にも入れていますので。

○山口委員 刺激性も分かりますよね。硫酸根も付いてますし。

○櫻井座長 有害性の問題で、これは40mg/m3というレベルで、感覚的なデータで、人にばく露すると何かを感じるというデータなのです。それ以外に毒性の影響は見つからないという報告です。167ページから4ページにわたって書いてあるのです。ばく露限界値の提案理由なんかもそうなのです。40mgで微かに感じるというので。

○山口委員 GHS分類に基づいてSDSの提供とかラベルの表示が義務化されています。

○柳川化学物質国際動向分析官 CLPの分類を見ても「ない」と書いてあるし、データ不十分なのです。正直申し上げて、モデルSDSを作ったときにGHS区分が出るかというのが若干気になるのです。

○山口委員 ある程度の有害性はあるとは言え、健康障害になるくらい、ばく露する可能性があるかと言うと、よほど特殊なケース以外は。

○櫻井座長 これのSDSを作ってみてもいいかもしれませんね。恐らくどれも区分外になってしまうかと思います。

 

○山口委員 国際整合性という点でも必要性がないと思います。

○森戸化学物質対策課長 今、示したように非常にハザードが低い。なおかつ、長期のところでシリカというのが存在していますが、結晶シリカはシリカで既にあるので、そういう意味で逆に言いますと、ほかのデータが出てくるか注視するというのでもいいかと思いますが、そこは先生方の御判断でということ。

○名古屋委員 粉じんの濃度が3mgだと10mgでしょう、非常に弱いですよね。普通の粉じんでも3mgはありますね。遊離ケイ酸がなくて、どんな粉じんか分からなくても3mgというのがある。これは10mg3倍危なくないですねというのがある。どうなんでしょう。

○櫻井座長 ACGIHは、粒子状物質については10mg/ 3 を上限にしているのです。○名古屋委員 そうですね。

○櫻井座長 だから、もっと高くてもいいのですが、一応、10mg/ 3 にしているわけです。

○名古屋委員 しているわけですね。

○山口委員 国際整合性でも、あまり必要がないと思います。

○櫻井座長 あまり毒性の弱いのも一律に入れてしまうと、かえって他のものに対する危機感が減ってしまうという副作用が出る可能性もあるのです。

○宮川委員 これはどれも、GHS分類をしようと思っても情報なしで、全然付かないので、それを公表されても困ると思いますから必要ないかなという気がします。

○櫻井座長 これは載せないということで、結論にします。次は(29)

○柳川化学物質国際動向分析官 (29)のクロロ酢酸です。物理化学的性質ですが、色は無色、形状は潮解性結晶、臭いは刺すような酢酸類似臭、pHは<1、融点は6163℃、沸点は189℃、蒸気圧は0.065mmHg(25)となっています。用途は除草剤、カルボキシメチルセルロース、医薬品、農薬、キレート剤、可塑剤、界面活性剤、パーマネント液、接着剤などの合成原料と書かれています。製造・輸入量は2012年ベースで16,402tとされています。TLV-TWA0.5ppm、皮膚を介して侵入する恐れがある。TLV Basisは上気道に対する刺激となっています。GHS分類ですが、急性毒性(経口)が区分3、急性毒性(経皮)が区分2、急性毒性(吸入:粉じん及びミスト)が区分2、皮膚腐食性・刺激性が区分1A、眼に対する重篤な損傷・眼刺激性は区分1、特定標的臓器毒性(単回ばく露)は区分1(神経系 心血管系、腎臓)、同じく単回ばく露で区分3(気道刺激性)、特定標的臓器毒性(反復ばく露)は区分2(心臓 肝臓)となっています。以上です。

○櫻井座長 いかがでしょうか。これはかなり反応性の強い物質で、GHS分類で区分1になっているものも多いし、別表9へ追加することは妥当だと思いますが、よろしいでしょうか。

(了承)

○櫻井座長 そのようにさせていただきます。次は(30)ジクロロ酢酸です。お願いいたします。

○柳川化学物質国際動向分析官 86ページ、(30)ジクロロ酢酸です。物理化学的性質ですが、色は無色、形状は液体、臭いは刺激臭、pHはデータなし、融点は13.5℃、沸点は194℃、蒸気圧は19Pa(20)です。用途は合成中間体、有機合成原料、医薬原料です。製造・輸入についてはデータが見つかりませんでした。TLV-TWA0.5ppm、皮膚を介して侵入の恐れがあります。TLV Basisですが、上気道と眼に対する刺激性、精巣へのダメージということになります。GHS分類ですが、急性毒性(経口)は区分5、急性毒性(経皮)は区分3、皮膚腐食性・刺激性は区分1A1C、眼に対する重篤な損傷・眼刺激性は区分1、生植細胞変異原性は区分2、発がん性は区分2、生殖毒性は区分2、特定標的臓器毒性(単回ばく露)は区分2(吸入:)、特定標的臓器毒性(反復ばく露)は区分1(神経系)、同じく区分2(肝臓 腎臓 精巣)という形になっています。以上です。

○櫻井座長 慢性ばく露で精巣毒性もありますね。神経系は区分1ということもありますし、非常にハザードが高い物質ですね。これは別表9へ追加ということで、よろしいでしょうか。

(了承)

○櫻井座長 では、そのようにいたします。次、お願いします。

○柳川化学物質国際動向分析官 次は88ページ、(31)アスファルトです。色は暗褐色あるいは黒色、形状は固体、臭いはデータなし、pHはデータなし、融点は54173℃、沸点は>300℃、蒸気圧はデータなしです。用途は道路舗装材料、ゴム練込み用材料、印刷インキ・塗料・建材・鋳物砂型・舗装材料・防水材料・電気絶縁材料原料、農薬等に用いられます。製造・輸入量ですが、米地質調査所のデータで53,000tとありますけれども、アメリカの場合、アスファルトとセメントは区別しないで統計を取りますから、あくまでもこれはセメントについての統計ということになります。TLV-TWA0.5mg/m3TLV Basisですが、上気道と眼に対する刺激性ということになります。GHS分類ですが、モデルSDSは作成していません。国際化学物質安全性カードによると、短期ばく露の影響としては、眼や気道に対する刺激、加熱すると皮膚熱傷。長期または反復ばく露の影響として、この物質のフュームは人に対して発がん性を示す可能性があるとされています。右下の備考ですが、労規則別表12、いわゆる「職業病リスト」ですが、その720に、「すす、鉱物油、タール、ピッチ、アスファルト又はパラフィンにさらされる業務による皮膚がん」というのが載っています。以上です。

○櫻井座長 これも混合物のような気がするのですが、CASナンバーはちゃんとあるのですね。

○柳川化学物質国際動向分析官 はい、付いています。

○山口委員 アスファルトとして、CASナンバーが付いていました。これ、有害性は分かるのですが、TLV0.5mg/m3ということは、要するに粉じんというか粉体というか。

○柳川化学物質国際動向分析官 Iと書いてありますので、インハラブル粒子(inhalable fraction)についてということだと思います。

○櫻井座長 蒸気を含んでいる感じではないですね。でもエアロゾルと書いてありますね。吸入性のエアロゾル、やはり。

○山口委員 条件によってはアスファルト。

○櫻井座長 これは固体の状態で、そうですね。

○山口委員 ほとんど使うとき固体で持って来て使います。

○櫻井座長 蒸発しても粒子状に。

○柳川化学物質国際動向分析官 DFGで見れば、蒸気とエアロゾルと、はっきり書いてありますね。

○山口委員 そしたらアスファルトでも、その部分が有害性、特にそこの部分に留意しなければいけないという注意書きを付けてもらえばいいかと思います。

○柳川化学物質国際動向分析官 SDSには、そういった注意書きは書かれることになると思います。

○宮川委員 フュームということですので、普通と違って、このフュームはvapour相も含んで、この重さと。ベンゼン抽出または同等の方法で分析されるエアロゾルとしてということなので、固体のフュームという意味でなく、これは蒸気も含まれているという趣旨ですね。

○櫻井座長 蒸気も含んでいますね。

○宮川委員 毒性があるのは、蒸気に限らず両方についてという理解でよろしいでしょうか。

○櫻井座長 そうだと思います。発がん性をIARC2Bにしていますけれども、労働基準法施行規則ですか、別表12では皮膚がんを認めているわけです。これは別表9に加えるということになると思いますが、それでよろしいでしょうか。

(了承)

○櫻井座長 では次、(32)

○柳川化学物質国際動向分析官 90ページです。(32)N-ビニル-2-ピロリドンです。物理化学的性質ですが、色はclear to light straw coloredとなっています。形状は液体、臭い、pHはデータなし、融点は13.5℃、沸点は193℃、蒸気圧は0.11mmHg(25)となります。用途は紫外線硬化樹脂反応溶媒、中間物、接着剤、希釈剤、添加剤と書かれています。製造・輸入量についてはデータが見当たりませんでした。TLV-TWA0.05ppmとなっています。TLV Basisですが、これは肝臓に対してダメージを与えるということです。GHS分類ですが、急性毒性(経口)は区分4、急性毒性(経皮)は区分3、急性毒性(吸入:ミスト)は区分4、眼に対する重篤な損傷・眼刺激性は区分1、発がん性は区分2、特定標的臓器・全身毒性(単回ばく露)は区分1(中枢神経系)、特定標的臓器・全身毒性(反復ばく露)は区分1(気道 肝臓 血液)となっています。以上です。

○櫻井座長 いかがでしょうか。これもTLV0.05と低いですね。肝障害、その他GHS分類で中枢神経系、気道、肝臓、血液と、いずれも単回または反復ばく露で区分1になっています。別表9への追加ということで、よろしいでしょうか。

(了承)

○櫻井座長 次、お願いします。

○柳川化学物質国際動向分析官 次は92ページ、(33)ポリ塩化ビニルです。物理化学的性質ですが、色は白色、形状は粉末あるいはペレットです。その他はデータがありません。用途としてはフィルム・シート、レザー、電線被覆、硬質管、一般塗料ベース、船底塗料ベース、紙のつや出し、接着剤、防湿セロファン、衣料用、カーペット、漁網、ろ布といったものに用いられるものです。製造・輸入量は9tから10万トンの間です。TLV-TWA1mg/m3 TLV Basisですが、じん肺はともかく、LRTは下気道というか気管支と訳すべきでしょうか、気管支に対する刺激性、それから肺機能の変化と書かれています。GHS分類ですが、モデルSDSは作成していません。国際化学物質安全性カードによると、短期ばく露の影響についてはデータはありませんが、長期または反復ばく露の影響として、反復または長期の粉じん粒子ばく露により肺が冒され、線維症(じん肺)を生じることがあると書かれています。その右隣、その他の有害性情報等ですが、IARCの発がん性評価ランクは3DFGMAK-Wert1.5mg/m3A、催奇形成がCというのはあまり強くないという意味ですが、こういうことになっていて、次の93ページに日本医薬品添加剤協会のWEBサイトからの抜粋を載せています。右側の中ほどに、「職業的曝露と精巣癌発生率との関連性についての患者対照研究を実施した。患者において精上皮腫及び胎生期精巣癌がみられ、PVC曝露の増加に関連したオッズ比の増加が認められた。」うんぬんと書かれていましたので、参考までに載せています。以上です。

○櫻井座長 いかがでしょうか。

○山口委員 有害性のデータが、あまり明確ではないような気がします。これも一般的によく使われているので。塩ビ協会さんのほうに一度意見を聞いて、SDSにしても特殊な微粉とか、そういったものに限定したほうがよろしいように思います。有害性のデータそのものは、一緒に入っている塩ビモノマーは分かるのです、残存しているものがですね。あとは添加物が備考の所にありますけれども、こういったものに起因するのは分かりますが、塩ビポリマー自体では有害性があるという認識はあまりないので、一度、塩ビ協会さんと意見交換していただければと思います。

○柳川化学物質国際動向分析官 場合によっては、粉じんに限るという条件を付けることは、あり得るのかもしれませんけれども、TLV-TWAの所には(R)と書いてあります。これはRespirableの略ですし、一番右のその他の有害性情報にMAK Valueが書いてあります。Aと書いてありますが、これもRespirableの意味でドイツ語の頭文字です。こういうような傾向はあるのかなという気はします。

○櫻井座長 ポリマーで通常、生物活性は非常に低いというのが常識にもかかわらず、幾つかの報告があって症状も咳とか痰などがあり、ここにLRTと書いてあるのはLower respiratory tractですね。下部の気道の刺激の症状です。それから肺機能の低下というようなエビデンスがあることはあるのですが、どれが幾つあり、どれぐらい根拠が強いかという議論はこの場ではできませんけれども、業界のほうの意見を聞く時間は十分ありますから情報を整理していただき、次回ということでいかがでしょうか。

○山口委員 塩ビにSDSを付けるというのは、あまり聞いたことがない。

○柳川化学物質国際動向分析官 分かりました。取りあえず、こちらは塩ビ協会さんにお話を伺ってみるということにします。よろしいでしょうか。

○櫻井座長 はい、では。次、お願いします。

○柳川化学物質国際動向分析官 94ページ、(34)1-メチルナフタレン及び2-メチルナフタレンの双方について、TLV-TWAが定めてありますので、これもア、イとまとめています。アの1-メチルナフタレンです。物理化学的性質ですが、色は無色、形状は液体、臭い、pHはデータなし、融点は-22℃、沸点は245℃、蒸気圧は温度を書いていなかったのですが、多分、室温だと思います。7.2Paです。用途としては、ナフトエ酸原料、蛍光増白剤・界面活性剤原料、農薬溶剤ということです。製造・輸入量は4,0005,000tです。TLV-TWA0.5ppm、皮膚を介して侵入の恐れがあるということと、こちらも下気道に対する刺激と肺に対するダメージと書かれています。急性毒性(経口)は区分4、眼に対する重篤な損傷・眼刺激性は区分2、特定標的臓器・全身毒性(単回ばく露)は区分3(麻酔作用 気道刺激性)、特定標的臓器・全身毒性(反復ばく露)は区分2()となっています。

96ページ、イの2-メチルナフタレンですが、形状は固体、融点は35℃、沸点は241℃、蒸気圧は温度が書いてなかったのですが、9Paとなっています。用途はビタミンK3用原料、β-ナフトエ酸原料となっています。製造・輸入量は4,0005,000tです。TLV-TWAは先ほどと同じです。GHS分類ですが、急性毒性(経口)は区分4、眼に対する重篤な損傷・眼刺激性は区分2、特定標的臓器・全身毒性(単回ばく露)は区分3(麻酔作用 気道刺激性)、特定標的臓器・全身毒性(反復ばく露)は区分2()という形になっています。以上です。

○櫻井座長 いかがですか。1-メチルナフタレンと2-メチルナフタレン、両方とも似たようなことです。

○山口委員 関連の情報があって、これは食品衛生審議会の中で食品添加物に新規指定の手続中ということですけれども、そこら辺から有害性の情報をもう一度確認していただければ、食品添加物に新たに申請されるというものなので、かなり安全性は高いような気はするのです。424日に、添加物部会のほうで新しい認定について審議しているということですが、1-メチルナフタレンのほうです。

○櫻井座長 1のほうですね。

○山口委員 はい。

○櫻井座長 食品添加物として使われて。

○山口委員 今、新規指定の手続中らしいです。

○櫻井座長 そうですか。それは情報を確認してもらいましょう。

○堀口委員  新規の指定ということは、もう食品安全委員会で審議が終わったということですね。

○山口委員 細かいことをまだ見ていなかったので。

○堀口委員 ファクトシートとか出て、食品安全委員会で出ている可能性が高いと思います。

○山口委員 高いですね。新しく安全で指定するということは、かなりのデータが有るはずです。

○柳川化学物質国際動向分析官 調べてみます。

○櫻井座長 1-メチルナフタレンのほう。

○山口委員 そうですね、1-メチルナフタレンのほうが。

○櫻井座長 2のほうはどうでしょう。

○山口委員 2のほうは物質が違うから無理でしょうね。12は、大した違いはないような気がしますけれども。

○櫻井座長 2-メチルナフタレンのほうは。

○山口委員 併せて、もし情報があれば。

○櫻井座長 両方、一応、検討してもらえますか。

○山口委員 そうですね。

○柳川化学物質国際動向分析官 分かりました。

○櫻井座長 次へ進みまして、(35)

○柳川化学物質国際動向分析官 (35)t-アミルメチルエーテルです。物理化学的性質ですが、色は無色、形状は液体、臭い、pHはデータなし、融点は-80℃、沸点は86.3℃、蒸気圧は9kPa(20)です。用途はNITEの調査によると溶剤となっています。製造・輸入量についてのデータは見当たりませんでした。TLV-TWA20ppm、その理由ですが、中枢神経系に対する毒性があるということのようです。もう一つは肺、若しくは胎児に対してダメージを与えるということです。GHS分類(健康に対する有害性)ですが、国際化学物質安全性カードによると、短期ばく露の影響として、飲み込むと肺に吸い込んで化学性肺炎を起こす危険がある。高濃度の場合、意識低下を引き起こすことがある。長期または反復ばく露の影響として、この液体は皮膚の脱脂を起こすといったことが書かれています。「European Union Risk Asseasment Report」より、R22R672つが指定されています。以上です。

○櫻井座長 いかがですか。これは動物実験のデータのNOAELから一定の不確実性係数を使って、20ppmを勧告しているようですけれども、人のデータはあまりないようです。しかし、中枢神経系あるいは生殖毒性絡みですので入れておくほうがいいだろうと思います。よろしいでしょうか。

(了承)

○櫻井座長 では、そのようにさせていただきます。次は(36)です。

○柳川化学物質国際動向分析官 99ページ、(36)2-メチル-5-ニトロアニリンです。物理化学的性質ですが、色は黄色、形状は固体、臭い、pHはデータなし、融点は107℃、沸点はデータなし、蒸気圧は9.75E-004mmHg(25)です。用途は染料中間体、若しくは染料・顔料中間体と書かれています。TLV-TWA1mg/m3 TLV Basisは肝臓に対してダメージを与えるということのようです。GHS分類ですが、発がん性は区分2、特定標的臓器・全身毒性(反復ばく露)は区分1(肝臓)となっています。以上です。

○櫻井座長 これも載せるということで、よろしいですね。

(了承)

○櫻井座長 では、別表9に載せる方向で、次に(37)です。お願いします。

○柳川化学物質国際動向分析官 101ページ、(37)N-メチル-2-ピロリドンです。物理化学的性質ですが、色は無色透明、形状は液体、臭いは弱いアミン臭、pH7.78、融点は-24.4℃、沸点は202℃、蒸気圧は0.33mmHg(23.2)です。用途としては、石油化学プロセス、産業用樹脂、塗料、農薬、エレクトロニクス、樹脂溶剤、アセチレン溶剤、MOS半導体製造用溶剤、化粧品基剤です。MOS半導体というのは金属酸化物、セミコンダクターのMOSです。製造・輸入量は13,554tという数字が出ています。TLV-TWAですが、これは産業衛生学会が許容濃度として1ppm、換算すると4mg/m3という数値を出しています。GHS分類ですが、皮膚腐食性・刺激性は区分2、眼に対する重篤な損傷・眼刺激性は区分2A、生殖毒性は区分2、特定標的臓器・全身毒性(単回ばく露)は区分3(気道刺激性)、特定標的臓器・全身毒性(反復ばく露)は区分1(骨髄、ひ臓、副腎、腎臓、呼吸器、肝臓)となっています。以上です。

○櫻井座長 いかがでしょうか。これは別表9に追加ということで、よろしいでしょうか。

(了承)

○櫻井座長 いろいろと毒性があるようです。そういう結論でお願いします。最後ですね。

○柳川化学物質国際動向分析官 最後になります。104ページ、(38)の綿じん(未処理原綿)です。物理化学的性質ですが、形状、その他データは一切ないですけれども、綿じんですから形状については綿埃状ということになろうかと思います。用途ですが、これは未処理原綿についての用途ということですけれども、衣料、寝具、医療品等の原料です。製造・輸入量については未処理原綿についてデータを探したのですが、ありませんでした。TLV-TWA0.1mg/m3 TLV Basis3つあって、綿肺、気管支炎、肺の機能に対する異常です。許容濃度ですが、これは綿じんとしてということになりますけれども、吸入性粉じんについて1mg/m3 、総粉じんについて4mg/m3となっています。GHS分類ですが、モデルSDSは作成していません。国際化学物質安全性カード、若しくはR-phrasesS-phrases等について探してみたのですが、残念ながら見つかりませんでした。綿肺症等の有機繊維じんによる呼吸器影響については労働基準法施行規則別表第12、いわゆる「職業病リスト」というものですけれども、その第46に「落綿等の粉じんを飛散する場所における業務による呼吸器疾患」というものが載っています。以上です。

○櫻井座長 いかがでしょうか。

○山口委員 簡単に言うと綿埃ということですよね。体に悪いとは思いますが。

○櫻井座長 実際に綿を使っている所で出るやつは、悪いことは確かです。

○名古屋委員 綿を取って来て使う所、昔、木村先生などが測定していましたけれども、測定方法は難しいですね。普通の測定でなくてブラッシングしていく測定だから、測定方法が確立していないのではないか。多分、そう思います。日本で原綿を今はなかなか扱っていないのではないか。どうだろう、表示できるのかな、布団屋さんで表示なんか出てくるでしょう。

○堀口委員 そうですね。

○名古屋委員 アメリカなんかは綿を取って来て、綿を作るから。

○佐藤委員 別表第9に追加する化学物質等の検討ということですが、事務局として「等」の中に綿じんが当てはまると判断され、ここに出されたのですか。

○柳川化学物質国際動向分析官 ということではなくて、TLV-TWAの勧告されたものと許容濃度で勧告されたものについて、機械的に載せています。ですから、申し訳ないですが、法令審査の際に、別表9に入る化学物質にならないのではないかといったことが議論になる可能性があります。

○宮川委員 私が気にするのは、以前、35条の検討会の対象に挙がり、そのときは、わざわざ別に入れなくても、既に落綿でもって規制されているのだからという議論もあったと思います。そうすると、基本的にそういうものは有害だということがある程度分かっている。化学物質としてのデータがなかったとしても、あるかなということで。しかも、今回使うSDSは業者間での話ですので、一般の方に布団が危ないんだという誤解を与えることはないと思いますから、こういうのもあってもいいのかなという気はしています。

○柳川化学物質国際動向分析官 GHS分類をどうするかという問題があろうかと思います。

○宮川委員 化学物質でないですからね。

○柳川化学物質国際動向分析官 要するに、SDSにどういう表現をしたものかという問題はあろうかと思います。

○山口委員 じん肺ですよね。CASナンバーが付かないでしょう。

○櫻井座長 SDS分類はないけれども、言葉で書いたほうがいいのではないか。

○山口委員 単純にやり取りの中で。

○櫻井座長 ええ。それの粉じんを長期にわたって吸入すれば。

○柳川化学物質国際動向分析官 SDSを何に付けさせるかという問題はあるかと思います。埃を譲渡提供する可能性はあまりないと思いますので、付けるとしたら恐らく未処理原綿のほうだろうと思いますけれども。

○櫻井座長 原綿に付けるわけです。だから原綿を取り扱う綿屋さん、布団屋さんの方々には、当然、気を付けてもらわなければいけないわけです。

○柳川化学物質国際動向分析官 おっしゃるとおりだと思います。

○森戸化学物質対策課長 綿じんというのは、未処理原綿ということで。

○櫻井座長 「未処理原綿」とはっきり書いたほうがいいかもしれません。そういうことです。これにも「untreated」とはっきり書いてあります。未処理の原綿と書いてありますから。

○柳川化学物質国際動向分析官 はい。

○櫻井座長 それならいいのではないですか。

○山口委員 これは化学物質の知識のない方がやる物質ですね。できるのですか。

○櫻井座長 未処理の原綿を日本で輸入して、どこかで処理した原綿にしている工場はあると思います。

○柳川化学物質国際動向分析官 それはあると思います。

○櫻井座長 既に知っていると思いますけれども、どこか小さな事業所がそういうことを始めると考えれば、あってもいいのではないかという気がします。

○柳川化学物質国際動向分析官 ただ、ひとつだけ御了解いただきたいのですが、これは、この後で当然のことながら法令改正のルールに基づいてルートに乗せていくと、法令審査を受ける必要がありますので、そのときに、これはそもそも化学物質に当たらないのではないかといった議論が出てきて、そこで落ちてしまう可能性もあることだけ御了解いただければと思います。

○櫻井座長 そうでしょうね。それは、そういう所の判断で結構だと思います。一応、この場では。

○山口委員 そうですね。そこらにあるのです。木綿の栽培をしている所にだって原綿はあるわけです。

○櫻井座長 未処理原綿ということで、別表9に載せる。

○山口委員 「マスク付けなさい」と書くのでしょう。入れておいてもいいのではないですか。

○櫻井座長 では、そういうことでお願いします。

(了承)

○柳川化学物質国際動向分析官 資料については以上になります。

○櫻井座長 ありがとうございました。以上で、一応、課題となっていた新規候補物質についての検討を一通り終わりました。幾つかの物質については宿題が残っていますので次回に回すということで、よろしくお願いいたします。

○山口委員 質問ですが、今度、法律の改正でリスクアセスメントが義務化になり、SDSとラベルが全部合致しますね。

○柳川化学物質国際動向分析官 はい。

○山口委員 それは来年の6月ということですが、追加も同じスケジュールですか。

○柳川化学物質国際動向分析官 追加については、この後、通常のルートに乗せていきます。それと当然のことながら、交付から施行までの間に、いろいろな所からの御意見も伺いつつ決めていきたいと思いますから、一緒になるという保証はないです。

○山口委員 ということですね。審議次第ということですね。

○森戸化学物質対策課長 むしろ遅れる。一緒に施行するよりも後ろだというふうに考えて。

○山口委員 分かりました。同じだとかなり問題があるのではないかと。

○森戸化学物質対策課長 同じには多分ならない。

○櫻井座長 それでは、次に議題1に戻りまして、前回の企画検討会で引き続き検討することになっていました「平成27年度リスク評価方針()」について、前回、修正がありましたので、修正の点を中心に、事務局から説明をお願いいたします。

○平川化学物質評価室長補佐 事務局から説明させていただきます。資料1-1、資料1-2について、まとめての説明ということでさせていただければと思います。この内容につきましては前回の御意見を踏まえた修正の御報告です。

 資料1-1を御覧ください。修正点ですが、末尾の2の所です。リスクコミュニケーションのほうが情報提供よりも広い概念であるという御意見を踏まえ、資料1-2との整合性を取り、表題等の修正という形にさせていただきました。これが資料1の修正です。

 次、資料1-2を御覧ください。こちらも末尾の4の部分を追加しました。今後のリスクコミュニケーションの実施に当たりましては、パブリックコメント、意見交換会、パンフレットのみならず、ホームページにもリスク評価に係る最新の情報を事業者、労働者に分かりやすく、見やすい形で一層充実させ、提供することが必要であるとの御意見を頂きましたので、それを踏まえた追加ということでさせていただきました。以上です。

○櫻井座長 いずれも資料の末尾に相当する所、アンダーラインを引いてある所が修正点です。前回、出していただいた御意見を取り入れて修正していますが、いかがでしょうか。皆さん、よろしいですか。

(了承)

○櫻井座長 ありがとうございます。それでは、現在、修正された案を「平成27年度の労働者の健康障害防止に係る化学物質のリスク評価方針」としてください。

 次に、その他ですが、事務局から何かありますか。

○平川化学物質評価室長補佐 それでは、今後の予定につきまして資料3に沿って説明させていただきます。平成27年度第3回化学物質のリスク評価に係る企画検討会は、730()午後330分から予定しています。7月の検討会ですので、行います議題は、平成28年有害物ばく露作業報告対象物質の選定についてです。以上です。

○櫻井座長 これで一応、予定された議題につきましては終わりました。

○角田化学物質評価室長 28年とありますが、29年の誤りです。27年に告示しますので報告は29年です。失礼しました。

○櫻井座長 なるほど。その他、特にまとめて何か御意見、御質問等ございますか。

○山口委員 今回残った案件や調査の項目等は、次回報告いただくということでよろしいですか。

○櫻井座長 先ほど述べていただいたことの前に宿題をやってしまって、それから今のお話ですね。ばく露作業報告対象物質の選定をやるということです。

○柳川化学物質国際動向分析官 次回は、報告書の形にまとめた形で御意見を伺いたいと思っていますので、幾つか宿題がありますから完全にガチッと固めることはできませんけれども、それについてもよろしくお願いいたします。

○櫻井座長 以上で閉会とさせていただきます。本日はありがとうございました。


(了)

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