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2015年5月13日 平成27年度第1回発がん性評価ワーキンググループ

労働基準局安全衛生部化学物質対策課化学物質評価室

○日時

平成27年5月13日(水)15:30~


○場所

第5合同庁舎専用第21会議室(17階)


○議事

○櫻井有害物調査機関査察官 本日はお忙しい中、御参集いただきまして誠にありがとうございます。定刻になりましたので、ただいまより「平成27年度第1回発がん性評価ワーキンググループ」を開催いたします。以下の進行は、西川座長にお願いいたします。

○西川座長 議事に入る前に、事務局から議事次第と資料の確認をお願いします。

○櫻井有害物調査機関査察官 資料確認の前に、当化学物質評価室で、41日付けで異動がありましたので、御報告いたします。

 化学物質評価室長補佐の平川です。私は有害性調査機関査察官の櫻井でございます。よろしくお願いいたします。

 お手元の議事次第にあるように、本日は(1)(4)の議事と、(5)その他のテーマで行います。(1)平成26年度の既存情報による発がん性評価について(報告)(2)平成27年度の既存情報による発がん性評価について、(3)平成26年度の中期発がん性試験の結果の評価について、(4)平成27年度の中期発がん性試験の対象物質の選定について、(5)その他です。

 資料確認です。資料1-1「平成26年度文献調査を踏まえた発がん性評価について()」です。これは1枚物で、右下隅に1ページと振られています。以下、ページは右下隅の通し番号でいきます。資料1-2「発がん性詳細調査対象物質候補一覧」は39ページ。資料21枚物で「平成26年度中期発がん性試験対象物質一覧」は11ページ。資料2-1-1「試験概要(1,4-ジブロモブタン)」は1316ページ。資料2-1-2は机上配布資料で、1,4-ジブロモブタンの試験報告書で、1747ページ。資料2-2-1「試験概要(1,2-ジクロロ-4-ニトロベンゼン)」は4952ページ。資料2-2-2は机上配布資料の試験報告書で5382ページ。資料2-3-1「試験概要(4-tert-ブチルフェノール)」は8388ページ。資料2-3-2は机上配布資料の試験報告書で89110ページ。資料2-4-1「試験概要(2-クロロピリジン)」は111117ページ。資料2-4-2は机上配布資料の試験報告書で119137ページ。資料2-5-1「試験概要(1,4-ブタンジオールジグリシジルエーテル)」は139143ページ。資料2-5-2は机上配布資料の試験報告書で145164ページ。資料2-6-1「試験概要(臭素酸ナトリウム)」は165168ページ。資料2-6-2は机上配布資料の試験報告書で169190ページ。資料3-11枚物で、「平成27年度の中期発がん性試験対象物質の選定について」、191192ページ。資料3-2「平成27年中期発がん性試験候補物質リスト」は193196ページ。そのほか、添付資料17は机上配布資料で文献資料になりますが、197259ページ。資料3-3「平成27年度中期発がん性試験候補物質の投与媒体への溶解性検討結果」は261ページ。資料4「今後の予定」は263ページです。

 続いて、参考資料です。参考資料1「発がん性評価ワーキンググループ参集者名簿」。参考資料2「職場で使用する化学物質の発がん性評価基準骨子」。参考資料3「専門家による発がん性評価の基本的な考え方」。参考資料4「中期発がん性試験の結果の評価基準」。参考資料4-2「ラット肝中期発がん性試験による調査の基準」。参考資料4-3「スクリーニングとして行う中期発がん性試験の対象物質の選定方法等について」。参考資料5「平成26年度発がん性評価について」、これはIARC2B以上相当ですが、1326ページ。参考資料5-2「平成26年度発がん性評価について」の抜粋版。参考資料6「職場で使用される化学物質の発がん性評価の加速化(取り組みの概要)」は29ページです。資料に不備などがありましたら、事務局にお知らせください。

○西川座長 それでは、本日の議題に入ります。まず議題1「平成26年度の既存情報による発がん性評価について(報告)」を事務局から説明してください。

○角田化学物質評価室長 参考資料6の大きなフロー図に、本日の検討の概要を載せていますので、簡単に御紹介してから入りたいと思います。

 参考資料6に「取り組みの概要」があります。真ん中の所に発がん性評価の加速化のためのスキームが書かれています。右下に注書きがありますが、色塗り部分は、発がん性評価の加速化のために平成25年度から導入した、発がん性情報のない物質についてのスクリーニングの仕組みです。本日の検討は、右上に書いてあるとおり、太い枠の所の検討です。右のほうにある「中期発がん性試験」、これが平成26年度、6物質実施しましたが、この評価を行うというのが1つあります。それから、その隣に同じく「中期発がん性試験」で、平成27年度対象物質の選定ということで、6物質ほどを予定しています。それから、一番左のほうに、平成27年度検討評価対象物質ということで、平成26年度にいろいろと文献で12B相当の物をリストアップしていただきましたが、それについて御報告をすることと、平成27年度に検討を行う物質について提示し、進め方等をお諮りするというところです。

それでは、議題の(1)「平成26年度の既存情報による発がん性評価について(報告)」、参考資料5と参考資料5-2です。ページは参考資料の13ページからです。13ページからの資料は、昨年度第3回、第4回のWGで御検討いただいたものを取りまとめたものですが、特にIARC12B相当のものを抜粋したものが、参考資料5-227ページにありますので、そちらについて報告いたします。

27ページと28ページは、既存情報を踏まえた判定で、真ん中辺りに欄がありますが、IARC12B相当となったものは、1番の「オルト-クロロニトロベンゼン」、10番の「アンモニンムN-ニトロソフェニルヒドロキシルアミン」です。その下の15番は色を塗っていますが、これは既に「炭化ケイ素」ということでIARCモノグラフ111で評価されているものですので、検討対象外として色を塗っています。28ページは、43番の「トリクロロ酢酸ナトリウム」、それから54番の「2,4,6-トリクロロフェノール」です。以上の4物質です。

1点補足すると、43番の「トリクロロ酢酸ナトリウム」については、トリクロロ酢酸がIARC2Bの発がん性評価になっており、それを踏まえて○としておりますが、今、トリクロロ酢酸が2Bの評価を踏まえて既にリスク評価の対象となってレールに乗っていますので、その中でこの物質についても有害性等の情報収集をしていきたいと考えております。ここで、こういったIARC12B相当ということで整理していただきましたので、これを企画検討会などで、今後のリスク評価の対象物質の候補としてお諮りするというような形で活用していきたいと考えております。議題(1)については以上です。

○西川座長 今の説明について、特に何か御意見等がありましたら、お願いいたします。よろしいですね。

 それでは、議題2に移ります。「平成27年度の既存情報による発がん性評価について」を事務局から説明してください。

○角田化学物質評価室長 資料1-11ページを御覧ください。「平成26年度文献調査を踏まえた発がん性評価について()」です。昨年度は、平成25年度の文献調査結果を踏まえて、先ほど説明したとおり、御検討いただいたところですが、平成27年度についても、平成26年度の文献調査を踏まえた発がん性評価を考えているところです。1.は、平成22年度一般化学物質製造数量等届出のあった物質のうち、化審法のスクリーニング評価において、年間製造・輸入数量の全国合計が10トン以下であった4,482物質を対象としており、これを昨年度の委託事業の中で絞り込みをして、詳細な文献収集を行ったものです。

2.ですが、この4,482物質のうち、IARCの発がん性分類で2B以上となっているものを除いた上で、1)IARCの発がん性分類が3又はなしであって、1ACGIH等でIARC2B以上相当の発がん性分類がなされているもの、2ACGIH等でIARC2B以上相当以外の発がん性分類となっているが、発がん性試験で陽性の結果が出ているものと、それから、2)IARC又は他機関での発がん性分類はないが、発がん性試験で陽性の結果が出ている物質を選定したところ、資料1-2に掲載されている51物質となりました。

3.として、この51物質のうち特化則で規制済みの物もあり、それを除くと50物質となりましたので、このリストの提示をして、発がん性評価WGで評価対象とするか検討の上、対象となった物について発がん性評価WGによる発がん性評価を行うという案です。

 次ページは、資料1-2「発がん性詳細調査対象物質候補一覧」です。左に通し番号で151まで振っています。左から、通し番号、整理番号、CAS番号、MITI番号、物質名称を記載しております。データの状況は、まず、発がん性分類の欄がありますが、それぞれの所でどういう評価をしているかというものです。「0」となっているのは、これは「ない」ということで理解いただければと思います。その隣に発がん性試験の有無ということで、文献で発がん性の試験の結果があるかどうかということで、ある物について「○」にしています。その隣は遺伝毒性情報で、それぞれの試験ごとに○×で書いています。情報の有無を一番右の欄に○×で表しています。参考として、物性情報を入れ、右の欄に用途、備考欄で今までの検討結果や規制の状況など、データがあるものについて記載しております。

 また、4ページの「1-ナフチルアミン」は、これは特化物ですので、色塗りで除いています。これを除くと50物質ということです。

 事務局としては、これを御確認いただき、その上で、また昨年のような形で御検討いただけるかどうかということを含めて、進め方等を御検討いただければと考えております。説明は以上です。

○西川座長 それでは、資料1-2の表の対象物質候補について、御意見等がありましたらお願いいたします。

○吉田委員 今回、この資料1-2で選ばれた中に、農薬がかなり入っているのですが、恐らく食品安全委員会で既に評価していたり、JMPR、あるいはEFSAEUでも評価が終わっている物も随分多いように思います。そうなると、それについては既に日本である程度評価もされておりますし、あとは国際機関、あるいは欧州でも評価されているというものについてはどうされるのでしょうか。例えば、例を挙げると、25番のシプロコナゾールという農薬がありますが、こちらは多分、2010何年かにJMPRで評価も行っていると思いますし、ほかの国でも、日本でも評価が終わっていると記憶しておりますが。

○角田化学物質評価室長 今、おっしゃっているのは、特に発がん性分類についてということですか。

○吉田委員 そうです。農薬ですから、発がん性も遺伝毒性も全て、農取法で決められたガイドラインを全て実施しているはずですので、それにもかかわらず、更に調査が必要かどうかというようにも思いますが。

○角田化学物質評価室長 それでは、農薬関係でデータがあるものについては、また、別途、先生に情報を頂いて。

○吉田委員 そうですね。添加物も動物薬もいろいろあるので。

○角田化学物質評価室長 その上で、方針を整理して、お諮りしたいと思います。

○西川座長 ただ、発がん性試験の有無で、発がん性試験がありというのがほとんどですので、当然、それも含まれているような気もしますけれども。念のため。

○角田化学物質評価室長 今、おっしゃっているのは、ここでいろいろな機関の発がん性分類というように書いてありますが、これとは別に、またあるという理解ですね。

○吉田委員 はい。この表以外にあるということです。

○角田化学物質評価室長 ですから、そこはもしデータとして別途、追加するものがあってそれを収集ができれば、また入手して一緒に御検討いただくこともあるかもしれませんので。

○西川座長 情報が多いほうがいいと思いますが、例えばJMPREFSAだけでいいのかとか、いろいろややこしい問題が起こってくるような気がしますけれどもね。取りあえずJMPREFSAということなのでしょうね。それでよろしいですか。

○吉田委員 すみません、私の中で頭が少し混乱しているのかもしれないのですけれども、日本において、これは農薬と言っても、食品経由ではなくて、作業者がばく露するという意味での農薬の調査対象ということですね。

○角田化学物質評価室長 それを作っている過程において、例えば労働者がばく露するという懸念があるとかが該当します。

○吉田委員 そうなると、日本ではその基準はないのかもしれませんが、EPAEUは、その作業者ばく露の基準がもう既に一緒に設定されていると思いますので。すみません、略称を忘れました。それらのデータも入れ。

○西川座長 EPAの情報は、発がん性分類に既に入っているのですね。

○角田化学物質評価室長 EPAは、先ほどの中に既に入っています。

○吉田委員 入っていますね。EUも入っていますけれども、繰り返しますが、EUの情報というのは、EUでも化学物質とか、農薬、食品や添加物とか、いろいろ規制があると思いますが、全て含めてのEUという捉え方でよろしいのですか。

○角田化学物質評価室長 化学物質ということで想定していたのですが、ただ、農薬のほうで、ある程度リスク評価のデータがあれば、当然そういうことも加味して検討する必要があると思います。

○吉田委員 そうですね。

○西川座長 それでは、御検討をお願いすることにしたいと思います。ほかによろしいでしょうか。

 一番最後の「カフェイン」ですが、先ほど津田先生と確認したら、国立がんセンターの高山昭三先生が、最初に試験をしてポジティブという結果を出したのですが、もう少し詳細に丁寧に試験をしたら、ネガティブだったという結論になっていると思いますので、その文献は恐らく重要かと思いますので、入手していただきたいと思います。

○角田化学物質評価室長 はい。今、カフェインも4つほど動物実験のデータがありますので、先生の御指摘のものも、入っていなければ入れたいと思います。

○西川座長 是非、お願いいたします。

○若林委員 高山先生のカフェインのレポートは、厚労省のがん研究助成金か何かの報告書止まりにはなっていないでしょうね。

○西川座長 少なくとも、2報目というか、正式にネガティブという結果は、がんに確か乗っていたと思います。

○若林委員 そうでしたか。

○西川座長 ですので、文献は入手可能だと思います。よろしいでしょうか。

○若林委員 これは、平成26年度に発がん性のIARC2B相当のものを皆さんで作業しましたが、あの作業と同じものが、またいつか回ってくるという。

○角田化学物質評価室長 平成26年度にしたものと同じような形で考えてはおります。したがって、先ほどの資料の中で、参考資料5、参考資料5-2がありますが、あのような形で取りまとめをまずこちらで整理をしたものを、先生方に文献と一緒に送らせていただき、よろしければそれを踏まえて御検討いただくことを考えております。あとは、時間的なことや進め方は、もしそれでよろしいということであれば、別途、御相談して進めたいと考えております。

○西川座長 前回同様のということですので、がん原性試験の動物種とか、雌雄とか、その辺りの情報も含んでいただけるということですね。

○角田化学物質評価室長 そのように比較ができるような形の様式にして、まず整理したものを文献と一緒にお送りいたします。

○西川座長 よろしいですね。

○若林委員 前半は、かなり混乱を生じましたので。

○西川座長 あそこに至るまでにちょっと右往左往しましたけれども、一応、あのスタイルが結構分かりやすいと思いますので、そのようにお願いしたいと思います。

 次に、議題3「平成26年度の中期発がん性試験の結果の評価について」、事務局から説明をお願いします。

○角田化学物質評価室長 資料211ページにリストが載っております。6物質ありますが、それぞれ実施機関は、日本バイオアッセイ研究センターと、株式会社DIMS医科学研究所にお願いしております。1物質ずつ御検討いただければと思っております。概要と試験報告書がそれぞれまとめてありますので、実施機関から報告書を中心に御説明いただく形で進めていきたいと思います。

 資料2-1-1は、1,4-ジブロモブタンの試験の要約版です。この物質は、強い変異原性がある物で、変異原性指針の対象になっているものですが、化審法のスクリーニング評価で、変異原性クラス2ということで対象に選定したものです。用途の所で、生産量は1,000t以下で、医薬の中間体として使われております。

 遺伝毒性情報としては、微生物を用いる変異原性試験は陽性で、比活性値が1.6×103rev/mgということで、強い遺伝毒性という形です。

15ページに結論がありますが、1,4-ジブロモブタンは、本試験条件下では肝臓に対する発がんプロモーション作用は示さないという結果になっております。

 それでは、恐縮ですが、日本バイオアッセイ研究センターから御説明をお願いいたします。

○日本バイオアッセイ研究センター 日本バイオアッセイ研究センターの竹内です。「1,4-ジブロモブタン」のラットを用いた強制経口投与による肝中期発がん性試験として、資料2-1-114ページから15ページを御覧ください。試験の方法ですが、試験は6週齢の雄ラット(フィッシャーラット)です。1群当たり22匹を用い、5群の構成、合計110匹で行いました。動物にN-ニトロソジエチルアミンを200mg/kg体重の用量で、1回腹腔内投与し、2週間後から1,4-ジブロモブタンを、コントロールは水に溶けないのでオリーブ油、投与用量は12.550及び200mg/kg体重の用量で6週間、毎日強制経口投与しております。

 なお、陽性対照としては、フェノバルビタールナトリウムを、25mg/kg体重の用量で、やはり被験物質と同じ期間、強制経口投与する群を設けております。

1,4-ジブロモブタン投与開始1週間後には、肝臓の3分の2を切除する手術を行いました。体重等を測定し、投与終了翌日、すなわち6週間の投与終了翌日に、動物をイソフルランの吸入麻酔で安楽死させて、肝臓を摘出しております。重量を測定してから、ホルマリン溶液で固定した肝臓について、GST-P陽性細胞の免疫組織学的染色を行い、病理標本画像解析装置(オリンパス製)にて、直径が0.2mm以上に相当するGST-P陽性細胞巣の個数、それから面積を計測し、肝臓切片1cm2 当たりの個数、面積を算出いたしました。

15ページに結果の一覧表を載せてあります。体重に関しては、最終体重として、1,4-ジブロモブタンの一番高用量の200mg/kg群に抑制が認められております。5012.5mg/kg群には有意差は見られませんでした。肝臓重量は、絶対重量が中間用量の50mg/kg群から増加しております。相対重量については、一番下の低用量の12.5mg/kg群から検定で有意差が出ております。そして、GST-P陽性細胞巣です。数に関しては、一番上の高用量200mg/kg群のみ検定で、コントロールに比べて減少という結果です。面積に関しても同様に、一番上の200mg/kg群で減少という結果が出ております。なお、その下の中間用量でも、検定では有意差は付きませんでしたが、数・面積ともに減少傾向が見られております。なお、陽性対照フェノバルビタールを投与した群では、コントロールに比べて肝臓重量、GST-P陽性細胞巣ともに、明らかに増加して陽性が確認されております。

 以上の結果から、1,4-ジブロモブタンが、本試験条件下では、肝臓に対する発がんプロモーション作用は示さないと結論いたしました。以上です。

○西川座長 ただいまの報告に対し、御意見等がありましたらお願いいたします。きれいにネガティブという感じがします。

○津田委員 陽性対照は注射と発言されたのですが、注射に変わったのでしょうか。

 

○日本バイオアッセイ研究センター 経口投与です。

○津田委員 わかりました。

○日本バイオアッセイ研究センター 失礼しました。

○若林委員 細かいことです。この結論はいいと思うのですが、表示の問題です。重量とか陽性巣は、多分これは±でSDSEかで表したほうが一般的ではないでしょうか。どうですか。後半のDIMSさんはそれで表していますよね。

○日本バイオアッセイ研究センター 報告書では、相当細かく全てテーブルで載せています。これは要約版ですので、平均値のみを載せています。

○若林委員 それでしたら結構です。

○西川座長 他にないようでしたら、本物質については、肝臓に対する発がんプロモーション作用はないという結論にいたします。次の物質について、同じように説明をお願いします。

○日本バイオアッセイ研究センター 49ページを御覧ください。「1,2-ジクロロ-4-ニトロベンゼン」のラットを用いた強制経口投与による肝中期発がん性試験の結果です。50ページで、方法に関しては、先ほど説明したのと同じ方法でやっております。投与量に関しては、1,2-ジクロロ-4-ニトロベンゼンは、コントロールは同じように水に溶けないのでオリーブ油です。用量は下から625100mg/kg体重の用量で行っております。51ページに一覧表を載せております。先ほどの物質と同様に、被験物質の一番上の用量が、今回は100mg/kgですが、この用量群で体重の増加の抑制が認められています。中用量以下では、検定で引っ掛かっておりません。肝臓重量に関しても、絶対重量は、中用量の25mg/kg群から増加、それから相対重量に関しては一番下の6mg/kg群から増加という結果が出ております。GST-P陽性細胞巣に関して数は、一番上の用量の100mg/kg群で減少、面積についても100mg/kg群で減少。当然、陽性対照のフェノバルビタール群では、肝臓重量は増加、GST-P陽性細胞巣も、面積・数ともに、コントロールに比べて増加しております。

 この結果から1,2-ジクロロ-4-ニトロベンゼンは、本試験条件下では、肝臓に対する発がんプロモーション作用は示さないと結論させていただきました。以上です。

○西川座長 本物質についても、先ほどと用量は違うのですが、同一の条件で実施し、結果もよく似ていると思います。結論的には、プロモーション作用はないということですが、よろしいでしょうか。よろしいようでしたら、3つ目の物質についてはDIMSさんのほうからでしょうか。

○角田化学物質評価室長 はい。DIMS医科学研究所から説明をお願いします。概略は今の様式と同じように、83ページに資料2-3-1で、4-tert-ブチルフェノールのラットを用いた試験ということで概略がまとめてありますので、それを参考にしていただければと思います。これも、先ほどの2つの物質と同じく、化審法のスクリーニング評価で、変異原性クラスが高いということで選定されたものです。よろしくお願いします。

DIMS医科学研究所 DIMS医科学研究所の河部です。「4-tert-ブチルフェノール」のラットを用いた強制経口投与による肝中期発がん性試験について御報告いたします。試験方法については、先ほど日本バイオアッセイの先生方がお話されたものと全く同じ試験系を用いております。違う点としては、陽性対照群として用いているフェノバルビタールナトリウムについて、弊社では500ppmの濃度で混餌投与して実施しておりますので、その点が違うのみです。

 今回の試験用量は、媒体をトウモロコシ油を用い、20100500mg/kgの用量で、毎日1回、強制経口投与いたしました。結果を85ページに示しております。一般状態では、最高用量の500mg/kg群で少数例に流涎が見られておりました。体重では、500mg/kg群で有意な低値が見られています。これは図1を御参照ください。肉眼的病理学検査では、500mg/kg群の1例で、前胃の境界縁に変色点が見られました。組織学的検査で前胃境界縁の過角化が有意に見られました。また前胃及び前胃境界縁では、扁平上皮過形成が、これは有意ではありませんでしたが、数例に認められております。

 肝臓重量を表1に示しました。500mg/kg群で、相対重量の有意な高値を示しましたが、病理組織学的検査では、これらを示唆する変化は認められておりません。

 表2GST-P陽性細胞巣の定量的結果を示しております。最高用量の500mg/kg群においても、対照群と比較して統計学的な有意な差は見られておりません。

 以上の結果から、に4-tert-ブチルフェノールは、ラットの肝臓に対して発がんプロモーション作用を示さないと結論いたしました。以上です。

○西川座長 施設は違うのですが、ほぼ同様の実験条件で試験をしたということです。ただ1つの違いは、陽性対照のフェノバルビタールを混餌で投与したということです。御意見等がありましたらお願いいたします。

○津田委員 大体バックグラウンドとして同じデータが出ているのですが、摂取量として両者で合わせているのでしょうか。

DIMS医科学研究所 すみません、もう一度お願いいたします。

○津田委員 フェノバルビタールの摂取量が、片側は胃内投与でしたね。

DIMS医科学研究所 はい。

○津田委員 こっちは混餌なので、陽性対照にする場合にここに並べると同じぐらいなのですけれども、総摂取量で合わせているのでしょうか。

DIMS医科学研究所 私どものほうでは、過去のデータ全てフェノバルビタールに関しては500ppmの混餌投与でこれまで文献等を参考に実施しております。強制経口投与の25mg/kgがこれに相当するかどうか、私のほうでは分かりかねます。

○津田委員 バイオアッセイさんのほうではどうですか。

○日本バイオアッセイ研究センター 以前検討し、DIMSさんでやっている濃度等の、オープン……経口投与でどれぐらいがよろしいかということでやった結果、25mg/kgあるいは50mg/kgという形で検討したのですが、50mg/kgはちょっと強すぎたものですから、25mg/kgぐらいがちょうどいいだろうと。それでDIMSさんのデータを見たときに、同じぐらいの比であることが分かりましたので、それに合わせて……25mg/kgの強制経口投与を。

○津田委員 摂取量は同じぐらいですか。

○日本バイオアッセイ研究センター 実際に自分で計算したわけではないのではっきりは分かりませんが、同じぐらいと聞いております。

○津田委員 実際に計算できるわけでしょう。

○日本バイオアッセイ研究センター はい、計算した結果そのぐらいだということは聞いております。

DIMS医科学研究所 今回実施させていただきました、一番最後の4試験目のデータになるのですが、マテリアルインテイクが計算してあります。それでは、平均で33.5mg/kgという結果に、フェノバルビタールの摂取量はなっております。

○津田委員 念のために、バイオアッセイさんのほうで、大体どのぐらいか分かったら教えてください。本日でなくてもいいです。やはり陽性対照として採っているから、摂取量はきちんとしておいたほうがいいと思います。

○日本バイオアッセイ研究センター はい、分かりました。

○西川座長 それでは、よろしくお願いいたします。結果はこれも結構はっきりしているような気がいたします。他にないようでしたら、本物質の4-tert-ブチルフェノールについては、ラット肝臓に対して発がんプロモーション作用を示さないという結論にしたいと思います。次の物質は2-クロロピリジンです。

○角田化学物質評価室長 2-クロロピリジンから3つ続きますけれども、これらは平成25年度の遺伝毒性のWGで、強い遺伝毒性があると結論されて、それを踏まえて中期発がん性試験の対象物質として選定されたものです。これらは強い遺伝毒性ということで、指針で指導済みの物質です。よろしくお願いします。

DIMS医科学研究所 「2-クロロピリジン」について御報告させていただきます。試験方法は先ほどと同じです。こちらも媒体はトウモロコシ油を用い、01310mg/kgの用量を設定いたしました。結果は113ページです。生存率、一般状態、表1に体重を示しましたが、摂餌量では被験物質投与の影響は全く認められておりません。肉眼的病理学検査では、10mg/kg群のみに胃の変色斑が認められました。病理組織学的検査で軽微から軽度の腺胃の出血が有意な高値を示しましたので、被験物質投与による影響と考えております。

 表2に肝臓重量を示しました。103mg/kg群で絶対重量と相対重量ともに有意な高値を示し、最低用量の1mg/kg群においても、相対重量が対照群に比較して有意な高値を示しております。病理組織学的検査では、被験物質投与群全てでびまん性の肝細胞肥大が認められました。その程度も用量に関連して増強する結果が得られました。以上のことから、被験物質による肝臓に対する毒性影響が認められたと思われます。

 しかしながら、免疫組織化学的検査においては表3に示したように、被験物質投与群と対照群との間に統計学的差異は見られず、発がん促進作用は検出されておりません。

 以上の結果から、2-クロロピリジンは強い肝毒性を示す結果が得られましたが、肝臓の前がん病変に対しては、明らかな修飾作用は示さなかったと結論いたしました。以上です。

○西川座長 これも先ほどと同じ実験条件で実施したということです。表2が見づらいのですが、ラインがちょっとずれているようです。分からないことはないのでいいかと思います。これについても、結構はっきりしたネガティブの結果だと思われます。

○吉田委員 発がん性については、むしろ若干減少しているような、有意差はないですけれどもGST-Pをやっているということで、この結論としては異論はありません。ただ、結論で強い肝毒性とおっしゃっています。この血液生化学等は測っているのですか。

DIMS医科学研究所 血液生化学等は測っていないです。

○吉田委員 その場合に壊死、あるいは炎症等もない状態で、強い肝毒性と評価されたのは、例えば、出ているのはびまん性の肝細胞肥大と、脂肪変性と脂肪化のどちらですか。Fatty changeですか。

DIMS医科学研究所 脂肪変性だと思います。

○吉田委員 Fatty changeですね。

DIMS医科学研究所 はい。

○吉田委員 Fatty changeと、それから肥大が認められていて、肝毒性があることは否定しないのですけれども、「強い」というのは少し言いすぎかと思うのですが、いかがでしょうか。

DIMS医科学研究所 資料の116ページと117ページに、用量設定試験を実施したときの結果を示しています。当初、投与の設定の根拠となるデータがLD50342mg/kg/dayというデータしかありませんでしたので、一番最初の試験は200mg/kgを最高用量として実施したのですが、その時には投与1回で10%以上の体重増加抑制も見られました。また、自発運動等の一般状態の変化も見られましたので、全例切迫屠殺しています。1日投与、1日の時点で肝臓の変色や肥大、また出血をしているような、出血痕のような変化も認められ、かなり強く肝臓に対して影響が出ているのではないかと。組織学的評価まではしていませんし、生化学的検査もしていないのですけれども、かなり毒性は肝臓に対して強いのではないかと。

○小野寺委員 これは、腺胃にも結構出血ということで高中を主にした……というので、慢性的な出血などが起きて、肝臓の造血機能が亢進、例えば髄外造血とか、そういうプロモーターと関係ない肝臓への所見というのは、こういうものは影響しないのでしょうか。

DIMS医科学研究所 造血を来すほどの出血というような印象は持っておりません。それが肝臓の大きさに影響を及ぼしたとまでは考えられないと。肉眼的な検査の結果からの判断ではそのように考えます。

○西川座長 一番の目的は、プロモーション作用があるか、ないかであって、関連する変化として肝毒性があることは間違いないと思うのですが、この要約だけを見ると、本当に強いかどうかまでは分からないので、「強い」は消したほうがいいのかもしれません。要約だけでですけれども。

DIMS医科学研究所 はい。

○若林委員 これは表現の問題ですけれども、この2-クロロピリジンの場合には「前がん病変発生に対しては、明らかな修飾作用は示さなかった」と書いてあります。今までは全部、「プロモーション作用は認められなかった」というように書いてあります。物質によって表現を変えた理由は何かあるのですか。

DIMS医科学研究所 特に表現を変えた理由は。

○若林委員 これは結論なので、やはりここは全部一定にしたほうがいいのではないでしょうか。担当者が違うことはあっても。

○西川座長 特に記載の違いに意味がなければ、合わせて「発がんプロモーション作用はなかった」というようにお願いします。

DIMS医科学研究所 はい、次回から気を付けます。

○西川座長 他によろしいようでしたら、この物質についても同様に、肝臓に対する発がんプロモーション作用はなかったという結論にしたいと思います。次は139ページの資料2-5-11,4-ブタンジオールジグリシジルエーテルの肝中期発がん性試験の結果について説明をお願いします。

DIMS医科学研究所 DIMS医科学研究所の土井です。以下2物質について御報告いたします。140ページを御覧ください。実験方法は、前2物質と同様の方法です。媒体としては、水に溶けるものでしたので、注射用水を用い、0mg/kgをコントロールとして、2060200mg/kgの用量で投与しました。陽性対照については、前出と同様に混餌投与500ppmの濃度で行っております。

 結果は140ページの下のほうにあります。一般状態については、被験物質投与に関連した変化は観察されませんでした。142ページに体重の推移を示しております。被験物質投与1週後、この図でいくと第3週より、200mg/kg及び60mg/kg群で、体重の有意な低値が認められ、投与終了時まで継続して観察されました。摂餌量についても、200mg/kg群で、投与1週後より有意な低値が認められております。剖検時の所見としては、60mg/kg群で前胃に白色斑が3例、200mg/kg群で前胃に隆起域が全例に、結節が1例に認められております。

 表1に肝重量の結果を示しております。200mg/kg群で、肝臓絶対重量の有意な低値、相対重量の有意な高値が認められました。

 表2に病理組織学的検査の胃の結果を示しております。200mg/kg群で前胃の炎症が11例、前胃の潰瘍が2例、扁平上皮過形成は60mg/kg群で13例、200mg/kg群で全例に認められました。肝臓については、病理組織学的に被験物質投与による変化は認められませんでした。

 表3GST-P陽性細胞巣の結果を示しております。被験物質群全群において、単位面積当たりの個数及び面積ともに有意な変化は認められませんでした。

 以上の結果より、1,4-ブタンジオールジグリシジルエーテルは、肝臓に対して発がんプロモーション作用は示さないと結論いたしました。以上です。

○西川座長 この物質についても、同様の実験条件で、フェノバルビタールは混餌で投与してという条件で提示したものです。結果は、これもはっきりとしたネガティブという印象を受けました。御意見をお願いいたします。

○小野寺委員 肝臓に対してプロモーション作用がないのは分かるのですけれども、これは先ほどの物質とも一緒に、胃に対していろいろ出てくるというのは、刺激性か何かの観点なのでしょうか。

DIMS医科学研究所 刺激性の問題だと思っております。

○津田委員 155ページの投与方法の所です。3.11.1を読んでもよく分からないのです。3.11.1の起始物質、DEN

DIMS医科学研究所 腹腔内投与をしております。5mL/kgの容量で。

○津田委員 何の用量ですか。

DIMS医科学研究所 投与容量です。

○津田委員 字が違うのではないですか。

○西川座長 これはボリュームですから。

DIMS医科学研究所 ボリュームが、体重当たり5mLで、DENの投与量としては200mg/kg

○津田委員 それは分かっています。

○西川座長 よろしいでしょうか。

○津田委員 GST-P陽性巣の大きさの記載はありますか。

DIMS医科学研究所 直径0.2mm以上のものをカウントしております。

○津田委員 どこに記載がありますか。

DIMS医科学研究所 158ページにあります。3.15.43項に記載しております。

○津田委員 分かりました。

○西川座長 よろしいでしょうか。もし他にないようでしたら、この物質についても同様に、ラット肝臓に対する発がんプロモーション作用はなかった、認められなかったという結論になるかと思います。続いて165ページの臭素酸ナトリウムに関する試験結果について報告をお願いします。

DIMS医科学研究所 「臭素酸ナトリウム」の御報告をいたします。166ページに方法を記載しております。実験方法については、前出の物質と同様の方法です。媒体としては、注射用水を用い、052080mg/kgの用量で投与いたしました。

 結果ですが、まず肝部分切除により2例の死亡が見られております。20mg/kg80mg/kg群で各1例の死亡が認められております。これとは別に、80mg/kg群で毒性による影響として、第45日以降に削痩、自発運動の低下、緩徐呼吸、体温低下などが認められ、計9例がその後死亡いたしました。

 図1に体重の推移を示しております。被験物質投与1週後、この図でいくと第3週より80mg/kg群で体重の有意な低値が認められ、試験終了時まで継続して観察されました。摂餌量についても、同群で投与1週後より有意な低値が認められております。

 表1に肝重量の結果を示しております。80mg/kg群で、肝臓の絶対重量の有意な低値、相対重量の有意な高値が認められました。病理組織学的には、肝臓には被験物質による毒性学的影響は認められませんでした。腎臓については、被験物質群全群で硝子滴の沈着が認められ、80mg/kg群で尿細管の好塩基性化が認められております。

 表2GST-P陽性細胞巣の結果を示しております。80mg/kg群では、単位面積当たりの個数及び面積の有意な低値が認められました。

 以上の結果より、臭素酸ナトリウムには肝臓に対して発がんプロモーション作用はないと結論いたしました。以上です。

○西川座長 この物質についても、同様の試験条件で実施したということです。結果はネガティブということです。御意見等がありましたらお願いいたします。

○小野寺委員 最高用量の80mg/kgというのは毒性が出ている量なので、これでプロモーター作用があるか、ないかという判定というのは、陽性細胞巣数にしても、面積数にしても、極端に減っています。これを減ったという結論にしていいのでしょうか。

DIMS医科学研究所 減ってはいるのですが、抑制だとは考えておりません。毒性が強く、体重低下などの影響によるものと考えていて、抑制であるとは結論しておりません。

○西川座長 それよりも下の用量での結果も増加はないので、総合的に有意な増加はなかったということだと思います。

○小野寺委員 結論は変わりませんけれども。

○西川座長 これで抑制したということになればまずいと思いますけれども、そうは言っていないということです。

○若林委員 臭素酸ナトリウムの腎毒性というのは以前から知られている……ですが、そちらのほうで知られているDOSEと、こちらのDOSEに関しては。

DIMS医科学研究所 それは、臭素酸カリウムです。

○西川座長 カリウムです。

○若林委員 臭素酸カリウムですか、失礼しました。

○西川座長 ですから、臭素酸ナトリウムについての発がん性試験の結果というのは多分ないと思うのです。

○若林委員 カリウムでしたらそうですね。

○西川座長 余計な話ですけれども、結局、臭素酸カリウムは腎発がんがあります。そうすると、これは腎臓を標的として見る必要があるのかという気がしないでもないのです。肝中期の発がん性試験については陰性ということになります。

○津田委員 臭素酸カリウムの過去のデータはあるのではないですか。もちろんこのモデルのデータです。

○小野寺委員 カリウムはあります。

○津田委員 いや、このモデルでのデータです。

○西川座長 中期発がんはあるかもしれないです。

○吉田委員 potassiumではなくて、sodiumですか。

○小野寺委員 いや、potassium

○津田委員 potassium

○吉田委員 potassium

○__ potassium bromate

○小野寺委員 potassiumsodiumとどれぐらい違うのか。

○津田委員 それがあれば、この方法でスクリーンアウトできることになります。そこは大事なところなのですけれども、どうなのですか。

○西川座長 伊東法に詳しい津田先生が御存じなければ分かりませんけれども。

○津田委員 調べてみます。

DIMS医科学研究所 文献のほうを確認してみます。

○西川座長 そうですね、念のためによろしくお願いします。他にないようでしたら、臭素酸ナトリウムについても、ラット肝臓に対する発がんプロモーション作用はないという結論になるかと思います。

○角田化学物質評価室長 冒頭に御説明すればよかったのですけれども、参考資料を御覧いただきますと、先ほどの参考資料6のフローチャートの図です。ここで真ん中の下から4つ目の箱の中に、「中期発がん性試験」とあります。これで陽性になってくれば、その下の健康障害防止措置の指針による指導なり、それから長期発がん性試験の実施なり、リスク評価なりという形で進むことになっております。

 その辺のルールを書いているのが参考資料23ページです。これは、リスク評価の対象物質候補とすべきものということで書いてあります。1(1)3で、中期発がん性試験などで、陽性の結果が得られたものを、リスク評価の対象にすると書いてあります。次のページで、その3に該当するものについては、長期発がん性試験の対象の候補とすべきと書いてあります。これが、先ほどのフローのルールです。

7ページは、評価基準の中で指針についても言及していて、2番にがん原性指針の策定の要否の判断基準ということで、これが陽性と判断された物質は原則として指針の対象とするということで、これがフローに該当しています。ただ、今回は全て陰性となりましたので、このような形に行くことにはならないことになります。補足です。

○西川座長 この流れ図を作成する際にいろいろな議論がありました。中期発がん性試験、肝臓を標的とする試験で陰性になった場合でも、それ以外の臓器で発がん性のある可能性がある場合は、多臓器モデルもという話もあったかと思います。そうすると、臭素酸ナトリウムについて、腎臓が恐らく標的になりそうなのですが、その辺りの取扱いはどういうことになるのでしょうか。

○吉田委員 確かにpotassium bromateは余りにも有名なのですけれども、今回は雄で、かつ硝子滴もあるので、もしこれを進めるならば、まずその前にα2u-グロブリンだけでも確認してから、というのが私の提案としてあります。

○西川座長 臭素酸カリウムについても、恐らくα2u-グロブリンの影響が大きいと思うのです。現時点では、それだけでは説明できないことになっていますので、臭素酸ナトリウムは同じようなメカニズムを考える必要があるのかと思っています。余計なことでしたが、肝中期発がん性試験で陰性だから発がん性なしと決め付けるには、標的臓器の問題がありますので、ちょっと気にはなります。

 議題4に移ります。平成27年度の中期発がん性試験の対象物質の選定について事務局から説明をお願いします。

○北村化学物質情報管理官 資料3について説明いたします。通し番号は、191ページからになります。先ほど、平成26年度に実施した中期発がん性試験の評価をしていただきましたが、平成27年度についても同じように6物質についてラット肝中期発がん性試験を予定しております。これら、平成27年度に実施する6物質について、今回のワーキンググループで対象物質を選定していただこうと考えております。

 資料3-12「ラット肝中期発がん性試験対象物質の選定について」です。まず、今回のワーキンググループの前に、昨年度末の319日に「化学物質のリスク評価に係る企画検討会」において、候補物質を選定していただきました。こちらの候補物質を選定する条件については、参考資料4-3と下記の()から()は同じことを書いてあります。()は、国が委託した微生物を用いる変異原性試験(Ames試験)結果において陽性で、比活性値が1,000rev/mg以上となり、強い陽性という結果になったもの。()として、国が委託したBhas形質転換試験において、遺伝毒性評価ワーキンググループで陽性と評価された物質。()として、既存の遺伝毒性試験等の情報を踏まえて、遺伝毒性評価ワーキンググループで強い遺伝毒性ありと評価された物質。()として、国が強い変異原性物質であるとして既に行政指導の対象としている物質。これらの4つの条件から選定をしております。

 ただ、昨年度末に企画検討会を開いており、()()についてはまだ評価が終わっておりませんでしたので、企画検討会では()()から選定していただいております。この中から、候補物質7物質を選定していただきました。

 次に、(2)平成26年度実施Bhas形質転換試験で陽性となった4物質と、(3)平成26年度に実施したAmes試験で強い変異原性ありとされた8物質のうち、既に特定化学物質である1物質を除いた7物質、こちらの(2)(3)は、今年の4月に開催した遺伝毒性のワーキンググループで評価していただいた物質です。

 本日のワーキンググループで検討していただくことは、192ページの(4)として、今回のワーキンググループにおいては、(1)(3)18物質の中から、既知の有害性情報等を参考にしていただき、ラット肝中期発がん性試験対象物質の6物質を選定していただくことを考えております。具体的には、下の1から4のいずれに該当するかを判断していただくことになります。1ラット肝中期発がん性試験の対象とすることが適当な物質であるか、2肝臓以外の臓器を標的とした腫瘍発生の可能性が高く、他の臓器を対象とした中期発がん性試験を平成28年度以降に実施すべき物質であるか、3スクリーニング試験の追加実施は不要であり、長期発がん性試験の候補とすべき物質であるか、4中期発がん性試験、長期発がん性試験がいずれも不要な物質であるかです。

 本日の検討を行う際の参考として、候補物質のうち、(1)7物質については、試験媒体の検討を既に行っており、資料3-3、通しページの261ページに検討結果を示しております。ただ、まだ7物質しか終わっておりませんので、残りの11物質については現在溶媒の選定をしていただいている状況です。

 次に、資料3-2、通し番号193ページからを御覧ください。こちらが、平成27年の中期発がん性試験の候補物質のリストになります。字が小さくて申し訳ありませんが、左端に通し番号を振っております。1から7までが、3月の企画検討会で選定しました候補物質です。194ページの通し番号8から11までが、Bhas形質転換試験で陽性となった物質です。それ以後の12から18までが、平成26年度Ames試験で強い陽性である物質です。表の右から2番目の列ですが、参考情報として試験データを記載しております。発がん性に関する試験では必ずしもないのですが、参考情報として書いております。

 こちらの18物質のうち留意していただきたいのが、5番目のポリ(オキシメチレン)、別名パラホルムアルデヒドです。こちらは、水との反応ではホルムアルデヒドに変わってしまい、ホルムアルデヒドは既に特化則の対象物質であるので、順位としては下がるのではないかと事務局では考えております。また、195ページの通し番号18番ですが、参考情報の所にラットの雌を用いた混餌試験の2年間の結果を書いております。こちらは、NTP2年間の試験が既にあり、先生方だけにお配りしておりますが、添付資料の7、通し番号の255ページになりますが、NTPの試験結果の概要を付けております。一番上に、結論を書いているのですが、ラットの雌でequivocal evidence、はっきりしないという結果が出ており、こちらについては2年間の試験が既に行われている状況です。事務局からの説明は以上です。

○西川座長 ただいまの説明について、御質問、御意見等をお願いいたします。それから、現在、溶媒の検討中ということですが、特にこれについては実施したほうがよいというような御意見があれば、是非お願いいたします。特にないですか。

○吉田委員 資料3-2についてですか。

○西川座長 そうです。資料3-2ですね。この表です。

○吉田委員 私の論文をコピーしていただいたので、お恥ずかしい論文で大変光栄です。この4番の物質は、高用量、数百ミリ投与すると、腹腔内投与等でエストロゲン作用があるというので、子宮がんの実験をしたということです。ですから、これそのものが子宮がんを起こすというよりも、このものの持つエストロゲン作用がということで、このものの本来の毒性というのは、不確かな記憶なのですが、こういう長期の1年程度ネズミを飼っただけでは肝臓の腫瘍が起きたような記憶はありません。ただ、非常に刺激性が強く、皮下投与などをしますと、血管内に入ると、その刺激性の強さで動物が死に至るようなこともありますので、かなり刺激性の強いような物質なのかもしれないなというのが情報としてあります。そのほかの腫瘍の発生は、私が実験をした限りでは経験をしておりません。

○西川座長 子宮の腺がんが増えたというのは、ENNGの影響ですかね。

○吉田委員 ENNGでしているのですが、このものはウテロトロピ活性等でも数百ミリを投与すると子宮の肥大を起こしますので、エストロゲン活性のある物質と理解をして実験をいたしました。

○西川座長 それで、この幾つかの文献の結論として、エストロゲン作用が子宮の発がんにどのような影響をしたということなのですか。

○吉田委員 エストロゲンは、子宮にとって非常に子宮の腺を増殖する強いファクトですので、その結果、子宮がんは予想どおり増えたというような結果になっております。

○西川座長 プロモーション作用を示したということですか。

○吉田委員 はい、そうです。プロモーション作用です。

○西川座長 分かりました。ほかにありますか。

○北村化学物質情報管理官 事務局から補足です。フロー図でいきますと、これらの分類のうち、形質転換試験で陽性となった物質は、次は中期発がん性試験という流れにはなっておりますので、問題なければ、4物質は確定ということでよろしいかと思います。残りの2物質について、どれを選定していただくかということになります。

○西川座長 そのような考え方で進めてよいかということですが。形質転換試験の結果は確か資料は送っていただいたのですが、これはいずれも明らかな陽性と理解してよろしいですか。

○北村化学物質情報管理官 そうですね。偽陽性ではないです。

○西川座長 先生、いかがですか。

○若林委員 この間発表がありまして、ドーズレスポンスがあり、しっかりとしたデータでした。○西川座長 Bhasアッセイというのは、イニシエーションのアッセイとプロモーションのアッセイを両方やって。というのは、試験の内容なのですが、こちらが要求しているのはプロモーションアッセイだけだと理解していますね。

○北村化学物質情報管理官 そうです。

○西川座長 したがって、プロモーション作用があるという結論になると思いますので、やはり2段階の試験で確認することは必要かと思いますが、よろしいでしょうか。特にないようでしたら、先ほど申し上げましたように、最終的には試験溶媒の検討結果を考慮して、事務局で最終案を整理していただき、それを各委員に確認していただくということで進めたいと思いますが、よろしいでしょうか。

○小野寺委員 今の物質を確認した中で、選ぶのは2個ですか。

○北村化学物質情報管理官 形質転換試験の4物質は、もう決まりでよいということですので、あと2つについて、残りの14物質の中から選ぶ。もしかしたら、溶媒が見つからない物質もあるかもしれませんので、2つないし3つ選んでいただければと思います。

○西川座長 そういうことですので、よろしくお願いいたします。次に、議題5、その他について。

○角田化学物質評価室長 今、よろしければ、若干その辺りも、もしこれについてやったほうがいいのではないかという御意見があれば。

○西川座長 はい、やりますか。まだ時間はありますよね。もし、この場でこれは是非試験をしたほうがいいというものがありましたら、御意見をお願いいたします。

○吉田委員 リコメンデーションではないのですが、事務局から、例えば作業者安全の面からこういう物質はというような推薦はあるのですか。

○北村化学物質情報管理官 通常、披験物質を選定するときは、取扱量、製造・輸入量を重視します。長期の試験であれば、吸入の試験ができるので揮発性の高いものが優先になりますが、中期の発がんは経口投与ですから気体はできないということで、その点については特に制限はありません。あとは、なるべく特殊な用途に限らない、幅広い用途で使われているものから通常は選ぶことになっております。

○若林委員 実際、どれが多いですか。

○北村化学物質情報管理官 リストの所に製造・輸入量は平成24年度のもので記載しております。ただ、化審法のグループでの製造量なので、必ずしもこの物質そのものの量ではないのですが、参考にしていただければと思います。製造量で言いますと、8から11はだいぶ多いのですが、そちらは先ほど選んでいただきましたので、例えば345辺りは1万トンを超える量になっております。

○西川座長 そうですね。345から2つですから、今選べないわけではない。

○小野寺委員 5は、ホルムアルデヒドになってしまうのではないですか。

○北村化学物質情報管理官 そうですね。5はホルムアルデヒドに変わってしまうので。

○西川座長 34しかないということですか。であれば、迷うことはないですね。

○若林委員 4つ目の化合物は、吉田先生から指摘があったのですが。

○北村化学物質情報管理官 もしよろしければ、製造・輸入量で、事務局でふるいにかけて、あとは溶媒があるかないかで最終的には中期発がん性の試験物質を決めるということでよろしいでしょうか。

○西川座長 それでいいかと思います。とりあえず、34を残りの2つとして選定し、溶媒の問題がクリアできればそのようにするということでいかがですか。

○北村化学物質情報管理官 はい。

○西川座長 ありがとうございます。それでは、次にその他について。

○若林委員 今回の発表でもありましたが、フェノバルビタールの陽性物質の投与方法が試験で違っていたりしますし、あとはフェノバルビタールは多分だんだん規制の問題で使いずらくなるものだと思うのです。ですから、この陽性対照をどういう物で、どういう投与方法でやっていくのかは、この受諾をする場合には1つの用量で1つの投与方法がいいのではないかという気がするのですが、どうでしょうか。津田先生からも指摘があったのですが、その点は。

○西川座長 陽性対照としてきちんと作用していれば、余り細かい条件を決める必要はないかなという気もしますが、その辺りはいかがでしょうか。

○小野寺委員 いや、むしろhepatectomyをやったときの動物数の変化のほうが大きいような気がするのですが。

○若林委員 一応、標準化している試験なので、やはり同じ投与ルートで、同じ化合物を使うというのが一般的だと思うのですが。

○西川座長 その試験法で、陽性対照の投与方法まで1つにしてしまうかどうかということだと思うのですよね。ですから、先ほど言いましたように、陽性対照としてきちんと作用しているのであれば、余り厳密に、試験条件はこれ1つしかないというところまでは言わなくてもいいような気がしますが。いかがですか。

○若林委員 いや、皆さんにお聞きしたくて質問したのですが。

○西川座長 私の個人的な意見ですが。

○小野寺委員 別の実験間の中で陽性対照とか数とか面積を比較する場合は、条件が一定であるべきだと思うのですよ。ただ、試験の中で必ず陽性対照をもって、ネガティブコントロールをもって、ドーズレスポンスを見る場合には、そのときの動物の条件などもありますので、その中でしか比較できないと思うのですね。ですから、今回は例えば陽性のフェノバルビタールを使った陽性率が低かったとなれば、その低かったなりのところでの比較だと思うのですよ。もしも一定にするとするならば、そこから外れたときには条件はどうなのかということになると。

 もう1つは、もしもスタンダードと決めたときに陽性対照を使わなくてもいいということまでいけば、動物愛護とか数を減らす意味でなると思うのですが、このバイオアッセイの場合は例えば幾ら陽性対照を決めてもばらつくと思うのですよ。今度ばらついたときに、実験間でこれだけ違うことの原因を究明すると、またそれも大変だと思うのですよ。ですから、今回のところはそんなに数も多くないので、実験間ごとの評価のほうがやりやすいのかなと。

○若林委員 そんなに難しい話ですか。Igにするか、ダイエットにするかというだけの話ですので、同じ国内ですので、何か統一してもいいのではないかという気がしたのですが。

○吉田委員 私も、どちらかというと小野寺委員の意見に賛成です。というのは、本来混餌ですと、血中の安定性なり均一性を見ることが必ず入ってきます。そうすると、それはそれぞれ御経験のあるラボなので、ラボの御判断に任せてもよろしいのではないかなと思っておりますが。

○津田委員 これで見ますと、どちらにしてもうまく動いていて、フェノバルビタール投与の陽性群がDENだけの群の倍ぐらいというのは、開発当初からそういうことで判断しているので、これで見る限りはほとんど問題ないと思います。それから、群の動物数がばらつくのは、テクニックの問題で、習熟されれば20になると思います。多くの物質で実施した経験では、フェノバルビタールが一番信頼度が高いと思います。

○若林委員 申請しなくてはいけないですよ。

○津田委員 向精神薬ですから、ちょっと面倒ではありますが、ではほかに何かあるかというと、ないのです。歴史的に、くり返しますがGST-P陽性巣の数がちょうどDEN aloneの群の倍になるということがたくさんの例で分かっているので、まずデータを見るだけでこれでうまくいっているということが分かります。その範囲でやっていければそんなに問題ないと思います。

○西川座長 先ほど、小野寺委員が言われたことなのですが、結局ポジコンを置かなくてはいけないのかは、ある程度試験の数をこなしている施設であれば、安定しているような気もしますが。これは、やはりずっとポジコンを置かないといけないものなのでしょうか。

○津田委員 あったほうがいいです。ここでは皆さん御存じだと思いますが、対外的にきちんとシステムが動いているというきれいな証拠になるので、20匹ほどネズミを減らしてどれだけかという問題とそれとを考えると、あったほうがいいと言うより必須であると思います。

○西川座長 将来的には無くしてもいいような気もしますので、また少しデータを蓄積してから考えたいと思いますが、よろしいでしょうか。ほかによろしいでしょうか。なければ、その他について事務局からお願いいたします。

○櫻井有害物調査機関査察官 263ページをお開きください。資料4、今後の予定です。予備日を63日に予定しておりましたが、本日の検討で終了しましたので、開催はしないことといたします。したがって、次回は723日を予定しており、がん原生試験の対象物質に選定された物質の試験方法を御検討いただく予定です。その次は、日時は未定ですが、平成26年度に収集した文献の評価を実施していただいたあと、開催する予定です。また、2「委託事業」として、(1)遺伝毒性情報等の収集・整理が平成27年度末まであります。平成26年度の委託事業で情報を収集したおよそ300物質について、発がん性及び遺伝毒性に関する詳細情報の収集を行います。また、(2)として、ラット肝中期発がん性試験の実施を平成27年度末まで行う予定です。6物質について試験を実施する予定となっております。説明は以上です。

○西川座長 ただいまの説明について、何か御質問等ありましたらお願いいたします。この資料41(3)4回は日時未定となっておりますが、いつ頃ぐらいかは分かりませんか。

○北村化学物質情報管理官 吉田委員からの御指摘もありましたので、発がん性分類のところの情報を追加して、それを整理した上で、また先生方とスケジュール等については御相談させていただきたいと思います。

○西川座長 分かりました。どこまで収集するかによって、また時間が変わってきますよね。よろしくお願いいたします。それでは、以上で本日の発がん性評価ワーキンググループを閉会といたします。どうもありがとうございました。


(了)

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