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2015年2月27日 第103回労働政策審議会職業安定分科会

職業安定局

○日時

平成27年2月27日(金) 15:30~17:00


○場所

中央合同庁舎第5号館 厚生労働省職業安定局第1・2会議室(12階)
(東京都千代田区霞が関1-2-2)


○議事

○阿部分科会長 定刻より若干早いですが、ただいまから第103回労働政策審議会職業安定分科会を開催します。

 本日の委員の出欠状況ですが、公益代表の鎌田委員、宮本委員、使用者代表の上野委員、坂倉委員、田沼委員、深井委員、深澤委員が欠席です。田沼委員の代理として、日本商工会議所の福田様が、深澤委員の代理として、東日本旅客鉄道株式会社の下村様が出席されています。

 なお、本日は資料の関係で、職業能力開発局総務課の宮下調査官も出席されています。また、職業安定局長におかれては、所用のため遅れて参加の予定と聞いています。

 議事に入ります。最初の議題は、「勤労青少年福祉法等の一部を改正する法律案要綱について」です。本件については、本日付で厚生労働大臣から労働政策審議会会長宛て諮問を受けており、先ほど開催された雇用対策基本問題部会において、報告が取りまとめられています。雇用対策基本問題部会の部会長は私が兼ねていますので、本件については、事務局より御報告をお願いします。

○派遣・有期労働対策部企画課長 私から議題1「勤労青少年福祉法等の一部を改正する法律案要綱について」御説明申し上げます。資料No.1-1、法律案要綱です。資料No.1-2に基本問題部会からの報告を入れています。資料No.1-3として、この法律案要綱の概要、また資料No.1-4として、先般123日に取りまとめられました若者の雇用対策の充実等についての建議を入れています。

 資料No.1-1に基づいて御説明いたします。資料をめくりまして、諮問文かがみが付いています。別紙にて、御説明を申し上げたいと思います。勤労青少年福祉法等の一部を改正する法律案要綱について。第一として、勤労青少年福祉法の一部改正関係です。一、題名について「青少年の雇用の促進等に関する法律」に改める、ということです。二、目的として、青少年について、適職の選択、職業能力の開発向上に関する措置等を総合的に講ずることにより、雇用の促進等を図ることを通じて、青少年がその有する能力を有効に発揮することができるようにする。もって福祉の増進を図り、あわせて経済及び社会の発展に寄与することを目的とする、ということです。

 三、関係者の責務等。1 事業主についての責務。青少年の有する能力を正当に評価するための募集及び採用の方法の改善、職業の選択に資する情報の提供並びに職業能力の開発、向上に関する措置等を講ずることにより、雇用機会の確保及び職場への定着を図り、青少年がその有する能力を有効に発揮することができるように努めなければならないものとすること。2 職業紹介事業者、募集受託者、労働者の募集に関する情報を提供することを業として行う者、青少年の職業能力の開発及び向上の支援を業として行う者(以下「職業紹介事業者等」という。)は、青少年の雇用機会の確保、職場への定着が図られるよう、相談に応じ、また必要な助言、その他の措置を適切に行うように努めるということです。3 国は、青少年の適職の選択を可能とする環境の整備、職業能力の開発、向上、その他必要な施策を総合的かつ効果的に推進するよう努める。また、地方公共団体は、国の施策と相まって、地域の実情に応じ、必要な施策の推進に努めるということです。4 国、地方公共団体、事業主、職業紹介事業者等、教育機関その他の関係者は、青少年の福祉の増進を図るために必要な施策が効果的に実施されるよう、相互に連携を図りながら協力するように努めなければならない。二頁、三頁ですが、5 として、先ほど申しました12及び4に関して、事業主、職業紹介事業者等その他の関係者が適切に対処するために必要な指針を定め、これを公表するということです。

 三頁の、四、青少年雇用対策基本方針。1 厚生労働大臣は、青少年の福祉の増進を図るため、適職の選択、職業能力の開発、向上に関する措置等に関する施策の基本となるべき方針を定める。2 この基本方針においては、青少年の職業生活の動向に関する事項、青少年の適職の選択を可能とする環境の整備、職業能力の開発、向上を図るために講じようとする施策の基本となるべき事項等を定める。

 五、職業指導等。公共職業安定所は、青少年の適職の選択を可能とするために、職業経験がないこと、学校を退学したこと、また、不安定な就業を繰り返していること、フリーターといった状況を念頭においていますが、その他青少年の状況に応じた職業指導及び職業紹介を行う等の必要な措置を講ずるものとすること。

 三頁、四頁の、六、求人の不受理です。公共職業安定所は、求人者が学卒求人の申込みをする場合について、その求人者がした労働に関する法律の規定で、政令に定めるものの違反に関して、法律に基づく処分、公表その他の措置が講じられたときとして、厚生労働省令で定めるときは、職業安定法の規定にかかわらず、その申込みを受理しないことができるものとするということです。

 七、国と地方公共団体の連携。国及び地方公共団体は、青少年が希望する地域において、適職を選択することを可能とするために、相互に連携を図りながら、地域におけるその希望を踏まえた求人に関する情報の収集、提供、その他必要な措置を講ずるように努めなければならない。

 四頁の後のほうからの、八、青少年雇用情報の提供です。1 労働者の募集を行う者及び募集受託者は、学卒者の募集を行うときは、青少年の募集及び採用の状況、職業能力の開発、向上並びに職場への定着の促進に関する取組の実施状況、その他の青少年の適職の選択に資するものとして、厚生労働省令で定める事項(以下「青少年雇用情報」という。)を提供するように努めるとともに、学卒者の募集に応じ、あるいは応じようとする学校卒業見込者等の求めに応じ、青少年雇用情報を提供しなければならないものとすること。2 求人者が、新規学卒求人の申込みに当たり、公共職業安定所又は職業紹介事業者に申込みを行う場合は、青少年雇用情報を提供するように努めるとともに、その申込みを行った公共職業安定所あるいは職業紹介事業者又はこれらの紹介を受けている、あるいは受けようとする学校卒業見込者の求めに応じ、こうした情報を提供しなければならないものとするということです。

 五頁、六頁の、九、基準に適合する事業主の認定等です。1 厚生労働大臣は事業主(常時雇用する労働者の数が300人以下のもの)からの申請に基づき、当該事業主について、青少年の募集及び採用の方法の改善、職業能力の開発及び向上、並びに職場への定着の促進に関する取組に関し、その実施状況が優良なものであること、その他の厚生労働省令で定める基準に適合するものである旨の認定を行うことができるということです。六頁の、2 1の認定を受けた事業主は、商品等々に、厚生労働大臣の定める表示を付することができる。また認定事業主以外は、こうした表示あるいは紛らわしい表示をしてはならないということです。3 基準に適合しなくなったとき、あるいは法律若しくはこの法律に基づく命令に違反したとき、その他不正の手段により認定を受けた場合には、認定の取消しができるということにしています。4 認定を受けた事業主が、承認中小事業主団体の構成員である場合について、委託募集の特例を措置するということです。六頁、七頁の、十、職業訓練等の措置。国は、地方公共団体その他の関係者と連携して、青少年に対して職業訓練の推進、職業能力検定の活用の促進、キャリアコンサルタントによる相談の機会の付与、職務経歴等記録書、いわゆるジョブ・カードの普及の促進、その他必要な措置を総合的かつ効果的に講ずるように努めなければならないものとすること。

 十一、職業生活における自立促進のための措置です。1 国は就業、修学及び職業訓練の受講のいずれもしていない青少年であり、職業生活を円滑に営む上で困難を有する者(以下「青少年無業者」という。)に対して、その特性に応じた相談の機会の提供、職業生活における自立支援のための施設の整備、その他の必要な措置を講ずるように努めなければならない。地域若者サポートステーションを意識しているところです。2 地方公共団体は、1の国の措置と相まって、地域の実情に応じ、青少年無業者の職業生活における自立支援のために必要な措置を講ずるように努めるということです。3 公共職業安定所は、青少年無業者に適職を紹介するために必要な場合に、求人者に対して、職業経験、その他の求人の条件について指導するほか、青少年無業者を雇用し、あるいは雇用しようとする者に対して、配置その他の雇用に関する事項について、必要な助言、その他の援助を行うことができるものとしています。

 八頁の、十二、労働に関する法令に関する知識の付与。国は、学校と協力をして、その学生、生徒に対し、職業生活において必要な労働に関する法令に関する知識を付与するように努めなければならないものとしています。

 十三、事業主等に対する援助。国は事業主、職業紹介事業者等その他の関係者に対して、必要な助言、指導、その他の援助を行うように努めなければならないということです。

 十四、この法律の施行に関して必要がある場合における、報告の徴収、助言、指導、勧告についての規定です。

 十五、相談及び援助です。公共職業安定所は、青少年の相談に応じ、又は必要な助言、その他の援助を行うことができるということです。

 九頁の、十六、船員に関する特例等。船員に関する特例並びに国家公務員、地方公務員の適用除外について所要の規定を設ける。

 十七、その他。1 所要の罰則。2 勤労青少年の日、都道府県勤労青少年福祉事業計画、勤労青少年福祉推進者、余暇の有効活用、勤労青少年ホーム及び勤労青少年ホーム指導員に関する規定を廃止すること。3 その他所要の規定の整備を行うこと。

 第二として、職業安定法の一部改正関係です。公共職業安定所が学校と協力して行う職業指導及び職業紹介並びに学校が届出により行う無料職業紹介の対象者に、学校を退学した方が、これまで入っていませんでした。これについて対象に加えるというものです。また、公共職業安定所が学校、その他の関係者と協力して、職業の選択についての学生、生徒の関心と理解を深めるために講ずる措置として、キャリアコンサルタントによる相談の機会の付与を追加すること。

 一〇頁に移ります。第三として、職業能力開発促進法の一部改正関係です。一、基本理念。労働者は職業生活設計を行い、その職業生活設計に即して自発的な職業能力の開発、向上に努めるもの。二、職務経歴等記録書の普及。ジョブ・カードについてのものですが、国は職務経歴等記録書の様式を定め、その普及に努めなければならないものとする。また、国はその様式を定めるに当たり、青少年の職業生活設計に即した自発的な職業能力の開発、向上が促進されるよう配慮するということです。一〇頁、一一頁の、三、キャリアコンサルタント。まず、1 「キャリアコンサルティング」とは、労働者の職業の選択、職業生活設計又は職業能力の開発及び向上に関する相談に応じ、助言及び指導を行うことをいうものとすること。2 キャリアコンサルタントは、キャリアコンサルタントの名称を用いて、キャリアコンサルティングを行うことを業とするものということです。3 キャリアコンサルタント試験は、厚生労働大臣が行うものとし、大臣の登録を受けた法人に、その試験実施の業務を行わせることができる。また、登録の要件、その他の所要の規定を設けること。4 この試験に合格した方について、キャリアコンサルタント名簿に、氏名、事務所の所在地、その他省令で定める事項の登録を受け、キャリアコンサルタントとなれる。登録は5年ごとの更新ということです。また、大臣は、大臣の指定する者に、キャリアコンサルタントの登録に関する事務を行わせることができる。その他、所要の規定を設けるということです。一一頁の最後、5 キャリアコンサルタントについて、その信用失墜行為の禁止、あるいは守秘義務を設けること。一二頁に移りまして、6 キャリアコンサルタントは、省令で定めるところにより、キャリアコンサルティングに関する講習受講の義務を負う。7 キャリアコンサルタントでない者について、キャリアコンサルタントあるいは紛らわしい名称を使用することを禁止するものです。8 事業主が必要に応じ講ずる措置として、労働者が自ら職業能力の開発、向上に関する目標を定めることを容易にするという観点から、業務遂行に必要な技能等に関して、キャリアコンサルティングの機会の確保、その他の援助を追加する。9 公共職業能力開発施設の長は、必要に応じてキャリアコンサルタントによる相談の機会の確保、その他の援助を行うよう努めなければならないというものです。

 一二頁の最後、四、職業訓練の実施に関する計画策定における意見聴取です。厚生労働大臣は、国が設置する公共職業能力開発施設が行う職業訓練等の実施に関する計画を定めるに当たっては、あらかじめ、関係行政機関の長、その他の関係者の意見の聴取を行うということです。

 一三頁の五、職業能力検定です。1 技能検定の実技試験の実施方法について、検定職種ごとに厚生労働省令で定める。2 厚生労働大臣は職業能力検定の振興を図るために、事業主、その他の関係者の行う望ましい職業能力検定の基準を定めること。

 六、その他。1 所要の罰則の規定。2 その他、所要の規定の整備を行う。

 第四として、施行期日等です。全体としては、平成27101日から施行ということです。ただし書き部分についてです。第一の三の、青少年雇用情報の提供、あるいは求人の不受理に関連する部分については、平成2831日から。また、職業能力開発関係を中心とする部分は、平成2841日から施行するとしています。二、検討。施行後5年を目途として、規定の実施状況を勘案し、結果に基づいて必要な措置を講ずるもの。三、経過措置等。必要な経過措置等を設けるとともに、関係法律の所要の改正。四、厚生労働省設置法の一部改正。職業能力開発に係る都道府県労働局の事務分掌に関する規定の整備を行うこと。以上、123日に取りまとめられた建議に基づいて、勤労青少年福祉法等の一部を改正する法律案要綱についてお諮りしているものです。

 先ほど御紹介申し上げましたように、この後ろの資料No.1-2として、先ほど分科会長からお話がありました通り、雇用対策基本問題部会から、この要綱について、資料のとおり、「厚生労働省案は、おおむね妥当と認める」という形での報告が入っています。以下資料No.1-3は概要、資料No.1-4123日の建議ということです。以上、私からざっとでしたが、報告させていただきました。

○阿部分科会長 ありがとうございました。本件について、御質問、御意見がありましたら御発言ください。いかがですか。特にないようでしたら、当分科会は厚生労働省案を「おおむね妥当」と認め、その旨を私から労働政策審議会会長に御報告申し上げたいと思いますが、よろしいでしょうか。

(「異議なし」と声あり)

○阿部分科会長 ありがとうございます。それでは、報告文案の配布をお願いします。

                                (報告文案配布)

○阿部分科会長 お手元に届きましたでしょうか。配布された報告文案により、労働政策審議会会長宛て報告することとしてよろしいでしょうか。

(「異議なし」と声あり)

○阿部分科会長 ありがとうございます。それではそのように報告させていただきます。

 ここで坂口派遣・有期労働対策部長より、御挨拶があります。

○派遣・有期労働対策部長 先ほど分科会長からありましたとおり、安定局長は今、国会の委員会に出席されていますので、代わりまして私から御挨拶させていただきます。分科会の委員の皆様方には、この若年の雇用対策問題について、1月の建議の取りまとめに引き続き、本日、法律案要綱の御審議を賜りまして、御答申を頂きました。誠にありがとうございます。今後は私ども、今日お諮りしました要綱に基づき、改正法案を作成しまして、国会のほうに提出させていただきたいと思っています。もとより重要な課題ですので、また国会のほうでも早期の審議成立に向けて、しっかり努力をしてまいりたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 また、その暁には今御説明しました要綱の中にもありましたとおり、政省令で定める事項や基本方針といったようなもの等々、幾つかまた皆様方に御審議を頂くという案件もありますので、その際には引き続きよろしくお願いいたします。以上、御挨拶とさせていただきます。ありがとうございました。

○阿部分科会長 ありがとうございました。それでは次の議題に移ります。

 「地域雇用開発促進法施行規則の一部を改正する省令案要綱及び雇用開発促進地域及び自発雇用創造地域における地域雇用開発の促進に関する指針の一部を改正する告示案要綱について」です。本件については、本日付けで厚生労働大臣から労働政策審議会会長宛て諮問を受けております。事務局より説明をお願いします。

○地域雇用対策室長 資料No.2-1の要綱と資料No.2-2の両方で御説明いたします。まず背景として、資料No.2-2の1に「概要」があります。地域雇用開発促進法は、雇用機会が不足している地域で雇用開発を行って職業の安定を図っていこうというものです。これは、手法としては、雇用情勢の悪い地域を指定して、その中で、地域内で対策を講じるというやり方です。今般の改正案は、その指定要件の緩和の内容です。

 1「概要」にあるとおり、ここのところ全国的に雇用情勢が改善している一方で、職種によるミスマッチが多くあります。すなわち、有効求人倍率が高い地域であっても、必ずしも実態としての雇用情勢が回復しているとは言い難い状況も見られます。また、人口減少が進む地域においては、有効求人倍率の分母に当たる求職者の数が減ることで、見掛け上の率が改善していることも、場合によっては考えられます。この地域法においては、「雇用開発促進地域」という雇用機会が著しく不足している地域と、「自発雇用創造地域」という雇用機会が相当程度不足している地域の指定があります。どちらも有効求人倍率を指定要件として、省令と告示レベルに規定がありますが、この要件の水準を緩和して、より広い地域を施策の対象に入れていきたいと考えております。

 具体的な改正案については、資料No.2-2の概要資料では2、要綱上は、資料No.2-1の別紙1と2の第一、雇用開発促進地域の要件の一部改正と、第二、自発雇用創造地域の要件の一部改正の部分です。まずは、雇用開発促進地域、1番目の著しく雇用機会が不足している地域ですが、要綱の第一の部分、雇用開発促進地域の要件のうち、改正の内容として、有効求人倍率に係るものについて、最近3年間又は最近1年間のその地域の有効求人倍率の月平均値が、全国の月平均値の3分の2以下であるものとすること。また、この数値が1を超える場合は10.67未満である場合は0.67、ただし、全国の月平均値が0.67未満である場合は、全国の月平均値とみなすという改正案です。

 これを資料No.2-2の概要のほうで御説明いたします。現行の要件は、地域において最近3年間と1年間の両方の値が、全国平均値の3分の2以下であることを求めています。しかしながら、昨今の状況を考えると、急激な雇用情勢の改善があるが、ミスマッチなどで必ずしも情勢が良いとは言えないという場合があるので、改正案の中では、3年間と1年間のどちらかの数字が該当していれば可とするという内容でお出ししています。併せて、基準値の下限も、0.50としていたものを0.67に引き上げる緩和も行う内容としております。

 これは、仮にこのまま基準を改正せずに現行の基準で平成27年度を迎えると、日本全国の地域のうちどのくらいカバーされているかという率で見た場合、全国を100とすると、大体7%以下に落ちてしまうところですが、この改正をすることによって、現行とほぼ同じ2割強を施策の対象とすることができます。例えば青森市や鹿児島市、沖縄の那覇市といった地域が、この改正によって引き続き指定地域となることができるという内容になっています。

 著しくではなく、相当程度雇用機会が不足している地域のほうですが、資料では2番目のものです。省令案の要綱の第二、自発雇用創造地域の要件について、次のいずれかに該当するものとすること。()最近3年間又は最近1年間におけるその地域の有効求人倍率の月平均値が、全国の月平均値以下であること。ただし、この数値が1を超える場合は10.67未満である場合は0.67とみなす。()次のイ及びロのいずれにも該当すること。イとして、最近3年間又は最近1年間におけるその地域の有効求人倍率の月平均値が、1未満であること。ロとして、最近5年間におけるその地域の人口減少率が、全国の人口減少率以上であること。

 この内容を、資料No.2-2の概要に基づいて御説明いたします。現行の要件は、3年間と1年間の両方の値について、全国平均以下であることを求めていますが、改正案は、これを()()のいずれかの要件に該当すればよいとするものです。()のほうは、先ほどと同じような考え方で、3年と1年のどちらかの数字が全国以下であれば可とする内容です。()のほうは、人口が減少している地域で雇用創出の自発的な取組をしている地域を、支援策の対象とできるように、有効求人倍率が全国平均にかかわらず1未満であって、しかも最近5年間の人口減少の度合いが全国の減少の度合い以上である地域についても、対象とできるような内容としております。

 これについては、仮に基準を改正せずに現行の内容で平成27年度を迎えると、全国の地域のうち、カバー率は、全国の市町村の7割強に落ちてしまうわけですが、この改正によって9割弱の市町村を対象とすることができます。これによって、地方創生の流れにも沿って、地方の雇用開発の取組を支援できるようになると考えております。具体的には、この改正により、例えば被災地有効求人倍率が急激に上がっている所がありますが、このうち宮城県の東松島市や福島県の双葉町などが対象に入ってきます。それから、人口減少が見られる地域、例えば福井県の大野市や富山県の高岡市、静岡県の下田市、兵庫県の豊岡市など、約250の市町村が、この改正によって追加的に対象となることができます。

 以上の改正案について、施行日は41日、又は、予算成立が仮に新年度にずれ込むことがあれば、予算の成立日を予定しております。

 この要件の見直しの効果として、資料No.2-2の3に書いております。雇用情勢が著しく厳しい雇用開発促進地域については、設備投資を行う事業主さんに対する雇入れ助成金の対象となってまいります。相当程度雇用情勢が厳しい自発雇用創造地域については、事業名としては「実践型地域雇用創造事業」という名前で、地域が町おこしを通じて雇用創出をしようとする際に、国が必要な支援をすることができるという措置の対象となってまいります。以上です。よろしくお願いいたします。

○阿部分科会長 それでは、本件について御質問、御意見があれば御発言ください。

○新谷委員 ただいま御説明いただいた内容ですが、ちょうど本日、厚労省から1月の雇用情勢の概況が発表されています。これによりますと、完全失業率は先月よりも0.2ポイント悪化しましたが、それでも完全失業率は3.6%、有効求人倍率は1.14倍ということで、これは、過去の最悪期であった、失業率5.5%、有効求人倍率0.42倍と比べると大幅に改善しており、回復基調にあることは明らかだと思います。

 しかし、この数値から単純には読み取れない部分がありまして、それは例えば、雇用のミスマッチであったり、中身について見れば正社員の有効求人倍率は0.71倍でしかない、といった状況です。なお課題が残る地域への対応として、今回の地域要件を見直す趣旨については理解をするところです。ただし、今回の地域要件の見直しにより、全てが解決するということではなくて、有効求人倍率が1倍を超える地域についてはその対象から外れるということです。この有効求人倍率が1倍を超えているという場合でも、先ほど申し上げたように、雇用のミスマッチという論議もありますし、雇用の質の問題等に留意をするべきだと思っております。

 また、被災地については、見掛けの数値以上に雇用の内容が改善していない、ということに留意すべきで、私も福島の相馬に行ったことがありますが、避難されたまま地元に帰ってこられていない労働者の方がたくさんおられて、求人側、求職側の比率だけで見ていてはなかなか真実が分からない、ということです。被災地の自治体を含めて、今回の見直しによって対象から外れる地域については、厚労省としての細かなフォローのお願いをするとともに、必要に応じた対応の実施をお願い申し上げまして、労働側として、諮問内容については了承したいと思います。以上です。

○阿部分科会長 ありがとうございました。ほかに御意見、御質問はありますか。

○玄田委員 今の新谷委員の御意見に関連して一言だけ意見を申し上げたいと思います。私も、内容については特段、異論のあるものではありませんが、ミスマッチという点に関しては、有効求人倍率及び完全失業率のみにとらわれない、客観的な情勢把握の必要性を常に感じております。つまり、具体的に申し上げると、有効求人倍率は極めて重要な労働需給の情勢を見る指標であることは言うまでもありませんが、併せて、いわゆる充足率についても注目をしていっていただきたい。

 具体的には2種類の充足率があります。つまり、有効求職者数に対する就職案件数、及び、有効求人数に対する就職件数。それぞれは、有効求人倍率とは多分違う動きを示しますし、地域によっても大変違うことになると思います。今重要なのは、やはり充足状況がどうかということで、これがミスマッチを測る上では極めて重要なポイントになると思います。ですので、この案件とは別に、今どの地域が非常に就職上の困難を抱えているかということについて、それらの指標も併せて検討することによる情勢把握を是非、お願いしたいと思います。

 公表されている職業安定業務統計では、充足率については年次別や職業別には把握できますが、私の知る限りでは、都道府県別には充足率のデータは公表されていませんので、その辺りの公表も含めて、是非、検討を続けていっていただきたいと思っております。

○総務課長 御指摘いただきありがとうございます。今の玄田委員から御指摘のあった件につきましては、恐らく都道府県別の充足率、就職率については、各労働局のほうでは発表している所もあるのではないかと思うのですが、御指摘のとおり、全国の分をまとめて見られるという形で、これまでお示ししていなかったかもしれませんので、また今後、数字の公表の仕方について検討していきたいと思います。

○阿部分科会長 よろしくお願いします。ほかにいかがでしょうか。特にないようでしたら、当分科会は、厚生労働省案を「妥当」と認め、その旨を私から労働政策審議会会長に御報告申し上げたいと思いますが、よろしいでしょうか。

(「異議なし」と声あり)

○阿部分科会長 ありがとうございます。それでは、報告文案の配布をお願いします。                                 

(報告文案配布)

○阿部分科会長 お手元に配布された報告文案により、労働政策審議会会長宛て報告することとしてよろしいでしょうか。

(「異議なし」と声あり)

○阿部分科会長 ありがとうございます。それでは、そのように報告させていただきます。

 次に移ります。議題の「その他」として資料が配布されています。まず、資料No.3について事務局から説明をお願いします。

○総務課長 平成27年度の予算案について、簡単に御報告させていただきます。資料No.31ページです。予算案の概要ということで、全体の枠を示しております。「予算規模」ですが、一般会計、特別会計、雇用勘定ともに平成27年度予算は、平成26年度予算と比べて減少しています。

 一般会計については対前年比91%ということで、内訳で申し上げますと、義務的経費が約120億円の減少です。こちらは、主なものとしては失業等給付の国庫負担分の減少、また、求職者支援制度の職業訓練受講給付金等の同じく国庫負担分の減少となっています。また、一般会計のうち裁量経費については81.4%、47億円の減となっています。このうち主のなもは、求職者支援訓練の奨励金の減少分と、シルバー人材センターへの補助金の減少ということです。復興特別会計については、また後ほど説明いたしますが、基金の積増しがあり、増額しています。

 雇用勘定です。雇用勘定全体としては97.4%となっています。この中で、失業等給付費が約402億円の減となっています。減少幅の大きなものとしては求職者給付で、約750億円の減少となっています。一方で、育児休業給付が約360億円増加するといったこともあり、トータルで402億円の減少となっています。このほかに、雇用勘定のうち雇用保険2事業ですが、雇用勘定全体から失業等給付費を除いていただくと、448億円の減少となっています。この中で大きなものは、雇用調整助成金で、352億円の減少となっています。以上の3つの会計を合わせて、トータルでは3.1%の減となっています。

 続いて項目ごとに御説明します。まず、全体の資料の見方なのですが、額が示してありまして、その横に括弧書きがあります。この括弧書きは平成26年度予算の額です。

1、若者の関係です。(1)若者の活躍推進として145億円を計上しています。マル1は、先ほど御審議いただいた勤労青少年福祉法等の一部を改正する法律案の施行経費です。説明会の開催、また、リーフレット作成などの経費を計上しています。マル2が新卒者等の対策です。具体的には、認定企業に対して、。キャリアアップ助成金、キャリア形成助成金、トライアル雇用奨励金、それぞれについて上乗せをいたします。また、新卒応援ハローワーク等において学生の就職支援をいたします。また、高校生に対する、人手不足産業の企業、職業への理解促進もいたします。また、中退者、未就職卒業者に対する就労支援施策や、若者の離職率が高い業界に対し、コンサルティングによる「魅力ある職場づくり」を支援します。こういった経費をこちらに計上しております。マル3はフリーター等の関係です。こちらは、わかものハローワークでの支援の経費や、フリーターを継続することに伴う不利についての周知広報をしていくといった経費を計上しています。

(2)「正社員実現加速プロジェクト」です。こちら全体では272億円です。マル1は再掲です。マル2は非正規雇用労働者の関係ですが、こちらにはキャリアアップ助成金、トライアル雇用奨励金の拡充の経費を計上しています。拡充の内容については、次回の分科会で御審議いただく予定です。

(3)非正規雇用労働者の雇用の安定と処遇の改善ということで、285億円を計上しています。マル1は再掲です。マル2は派遣法の関係ですが、派遣の関係については、労働政策審議会の建議を踏まえて、必要な法的措置を講ずるとともに、その円滑かつ着実な実施に向けた対応を行うための計費を計上しています。また、小規模な職業紹介事業者の事業運営方法の改善等の経費もこちらに計上しています。マル3は「多様な正社員」の関係です。こちらは好事例の収集等、啓発関係の経費を計上しています。

 続いて、2、女性の関係です。女性の活躍推進については、女性のライフステージに対応した活躍支援ということで、マザーズハローワーク、マザーズコーナー等における相談支援の充実、強化を図ります。

3、高齢者・障害者の関係です。(1)高齢者ですが、高齢者については、「シニア活躍応援プラン(仮称)」を推進してまいります。具体的には、マル1「生涯現役社会」の実現に向けた企業への支援策の充実ということで、「生涯現役社会」の実現に向けた業界団体向けのマニュアルの作成や、高齢期の職業生活設計に係るセミナーの開催、また、高年齢者雇用安定助成金などをこちらに計上しています。マル2は高齢者の再就職支援の充実です。ハローワークでの高齢者の再就職支援の経費や、高年齢者雇用開発特別奨励金といったものをこちらに計上しています。マル3は、シルバー人材センターへの補助経費等を計上しています。

(2)は後ほど御説明いたしますが、専門的知識等を有する有期雇用労働者等に関する特別措置法(有期特措法)の施行経費をこちらに計上しています。

 続いて(3)障害者の関係です。全体としては132億円を計上しています。具体的には、障害特性に応じた就労支援の推進として、精神障害者、発達障害者、難病患者等に対する、ハローワークでの就職支援体制の充実を図ってまいります。また、ハローワークだけでなく、地域の関係機関と連携したチーム支援も行ってまいります。障害者のトライアル雇用奨励金も計上しています。マル2として、地域就労支援力の強化による職場定着の推進です。具体的には、障害者就業・生活支援センターによる支援体制の強化、職場適応・定着に取り組む事業主への支援の充実のための経費をこちらに計上しています。マル3としては、中小企業事業主への支援、助成のための経費を計上しています。

 続いて、4、労働市場インフラの戦略的強化です。(1)マル1として、失業なき労働移動の実現ということで、こちらには労働移動支援助成金として349億円を計上しています。平成26年度予算は301億円でしたので増額となっています。なお、労働移動支援助成金と雇用調整助成金の逆転ということが、産業競争力会議等から要請されていたわけですが、雇用調整助成金の額はこちらには記載していないのですが、御参考までに申し上げておきます。雇用調整助成金は、平成27年度予算案は193億円となっています。平成26年度は545億円でしたので、支給要件の絞り込み等により減額となっています。失業なき労働移動の関係では、産業雇用安定センターの機能強化も図ってまいります。

 マル2民間人材ビジネスの適切な評価と積極的な活用です。こちらは具体的には、優良な職業紹介事業者、派遣事業者の認定、育成を行ってまいります。また、民間事業者を活用したキャリアコンサルティングの強化も行ってまいります。マル3労働市場全体としてのマッチング機能の強化ということで、ハローワークの求人、求職情報の提供のためのシステム整備等の経費をこちらに計上しています。マル4は再掲です。

5、重層的なセーフティネットの構築です。(1)雇用保険制度、求職者支援制度によるセーフティネットの確保です。この1,523億円というのは、雇用保険制度、求職者支援制度の国庫負担分をこちらに計上しています。総額については※で記載しております。

(2)生活保護受給者等の生活困窮者に対する支援です。こちらは生活保護受給者等の生活困窮者と、刑務所出所者等に対する就労支援に係る経費を計上しています。

6、地域の関係です。(1)「地域しごと創生プラン(仮称)」の推進ですが、こちらについては先ほども省令等の改正について御説明しましたように、地域における雇用機会の創出と、必要な人材の育成・確保を図るため、「実践型地域雇用創造事業」、「地域雇用開発奨励金」の拡充等の経費を計上しています。その下に(参考)として、「平成26年度補正予算案」という記載をしております。こちらは厚生労働省ではなく、内閣府で平成26年度補正予算として計上したものですが、その内容は「地域しごと支援事業」の推進ということで、こちらに書いてあります[地方創生先行型]交付金の中のメニューとして「地域しごと支援事業」が挙げられていまして、これを都道府県の雇用対策に活用していただくことができるということです。参考として記載しております。

(2)人材不足分野の対策です。マル1雇用管理改善による「魅力ある職場づくり」の推進として、雇用管理改善につながる制度を導入し、適切に実施する事業主への助成制度の拡充のための経費を計上しています。また、マル2潜在有資格者の掘り起こし・マッチング対策の強化として、福祉人材、建設人材確保のための経費を計上しています。

7、外国人の関係です。(1)外国人材の活用については、ハローワークの外国人雇用サービスセンター等において、特に外国人留学生の就職支援の強化などを行ってまいります。また(2)EPAの関係ですが、経済連携協定などの円滑な実施については、EPAでの外国人看護師・介護福祉士候補者の適正な受入れに関する経費を計上してまいります。こちらは受入れ枠がありますが、その枠に達していないということで、その枠を活用するという趣旨です。

8、震災の復興の関係です。こちらは(1)が被災者の一時的な雇用の確保、(2)が産業政策と一体となった被災地の雇用支援です。緊急雇用創出事業臨時特例基金を積み増して、それぞれ、「震災等対応雇用支援事業」と「事業復興型雇用創出事業」の延長を行うものです。

(3)は福島の関係で、福島避難者帰還等就職支援事業です。避難解除区域等への帰還者の雇用促進に関する事業に引き続き取り組んでまいります。以上です。

○阿部分科会長 それでは、本件について御質問、御意見がありましたら御発言ください。

○新谷委員 3ページに、先ほども御説明いただいたのですが、(3)のマル2派遣法の見直しの着実な実施等ということで予算が計上されていまして、その説明文に「労働政策審議会建議を踏まえ、必要な法的措置を講ずる」とあります。この派遣法は、昨年の通常国会と臨時国会、それぞれで廃案になったわけですが、この記述を見ますと、この通常国会においても法案を提出する意向を政府はお持ちなのか。それを、まずお聞きしたいと思います。

○派遣・有期労働対策部長 今、新谷委員からありました労働者派遣法については、当審議会での建議を昨年、御頂戴したところではありますが、昨年の秋の臨時国会でも提出いたしましたが、衆議院の解散ということで廃案になりました。私どもとしましては、ここの予算の説明文にもありますが、今開かれております通常国会に提出するという方向で、現在、作業しております。

○新谷委員 分かりました。新聞報道によりますと、先月の30日に与党の政調会長合意というものがあったと。そこで、この派遣法について修正がなされるという報道があったわけです。政調会長合意の話は政党側の話であり、本日ここに出ている内容は内閣提出法案の話です。資料には「労働政策審議会建議を踏まえ」と書いてあるのですが、労政審の建議は、昨年の2月の建議であり、この政調会長合意というものと、内閣提出法案と、労政審との関係をどのように理解すればいいのか、というのを教えていただきたいと思います。

○派遣・有期労働対策部長 今、新谷委員のほうからありましたように、確かに先月末、130日に、自民党・公明党両党で労働者派遣法について、先ほど申し上げました、提出し廃案になった法案について一定の修正を加えるべしということが合意されたということで、申入れを頂いたのは事実です。

 先ほども申し上げましたとおり、私ども政府としましては、この国会に提出すべく、今、検討しているところです。現在、その与党からの申入れも含めて、私どもとしましては法案の提出に向けて検討しているところです。

 もとより、今も新谷委員からもありましたが、私どもとしましては当審議会で昨年、建議を頂戴しておりますので、この建議を十分踏まえた形で対応を適切にしてまいりたいと思っております。

○新谷委員 労働政策審議会では私ども労働側も随分意見を申し上げておりまして、派遣期間制限の扱いや均等待遇原則の導入等についての意見を申し上げました。また、これも先ほど申し上げた、与党の政調会長合意の中で修正されると言われている、過半数組合の説明時期についても、もともと法律案に書かれていた内容は、延長した後に事後的に読める条文であったわけですが、今回のこの合意内容の中で、説明時期について、延長の前に行うということが明確に書かれたわけです。この点についても、法律案要綱の審議の際に、私ども労働側は再三申し上げてきたところで、それを厚生労働省は受け入れなかったわけですが、今回の自公の政調会長合意の中で、説明時期がまた修正されてきたということです。

 通常では、こういった政党での合意内容、それに基づいた提案ということであれば、議員立法で提出されるのが常だと思うのですが、内閣提出法案として提案を取り込むということのロジックについて、改めて教えていただきたいと思います。

○派遣・有期労働対策部長 今おっしゃいましたとおり、幾つかの点について、自公からの修正の要請という内容はあります。ただ、いずれにしても、私どもとしましては、最終的に政府として閣議決定を経て国会に提出するということで、そういったことも勘案しながら、今、全体として検討しているという状況です。

 その上で、今、委員のほうからもありましたが、当問題については、昨年、一昨年、審議会や部会で非常に検討いただいて建議を頂いておりますので、その建議をちゃんと踏まえた形で対応してまいりたいということです。

○新谷委員 本日は予算案がテーマですので、これ以上申し上げませんが、いずれにしても、内閣提出法案と、ILOの三者構成原則に基づくこの労働政策審議会での審議との関係、それと、政党との関係をうまく処理しないと、せっかく労働政策審議会でまとめた内容が、与党の修正によって変わってくるという前例にもなりかねませんので、これはやはり重要な問題だと思います。この件がテーマとなったときにはあらためて意見を申し上げますが、そういう懸念があるということは、取りあえず申し上げておきたいと思います。以上です。

○阿部分科会長 ありがとうございます。ほかにいかがでしょうか。

○林委員 予算案の5ページの「失業なき労働移動の実現」という項目の中の労働移動支援助成金について、一言、意見を述べさせていただきたいと思います。先ほど説明がありましたように、労働移動支援助成金については、20136月に閣議決定された日本再興戦略の中で、労働移動支援助成金と雇用調整助成金の予算規模を、2015年までに逆転させるということが掲げられています。2012年当時、労働移動支援助成金は24,000万円、雇用調整助成金は約1,134億円という記述があるかと思います。本日の資料では、細目までは明示されていないものの、先ほど事務局から口頭で説明がありましたように、来年度予算で予算規模の逆転、移動支援支援助成金が349億円に対して雇用調整助成金が193億円という逆転が、事実起こるとの説明がありました。

 私も何回か本分科会でも発言してきましたが、そもそも雇用調整助成金と労働移動支援助成金は全く目的が異なるものであるということを考えれば、単純にこれを逆転させることを目標に掲げることは不適当だという思いが、今でも拭えない部分があります。実際、リーマン・ショックのような大きな不況の時期には、特に中小企業を中心とした労働者、そして多くの企業が雇用調整助成金によって助けられたという経緯があります。

 連合加盟の産別組織の中でも中小で働く労働者が集まって構成をしている、JAMという産別組織が中心となって、2013年の年末から2014年の年明けにかけて、雇用調整助成金制度の見直しによる影響の把握と、併せて変動時の迅速な対応を求める署名運動を実施しました。結果として、5,000を超える労働組合と1,000を超える企業から、合わせて6,059筆の署名を集めて、20143月に、当時の田村厚生労働大臣に提出をしています。

 大きな景気変動があった場合の迅速かつ柔軟な対応を求めると同時に、制度の見直しによって影響を受ける中小企業の実態の把握を、きちんとしていただきたいということを求めたところ、これに対して当時の田村厚生労働大臣からは、基準については、何かあったときには条件緩和を含めて、フレキシブルにしっかり対応する、中小企業への影響については、実態を現場に聞いて、どういう状態なのかをきちんと確認する、という回答を頂いています。実際、現場への状態把握に関しては、後日、回答があったと聞いています。

 単に利用企業が減ったという数値ではなくて、今後も継続的に実態をきちんと把握していただきたいということと、併せて何度も申し上げますが、将来的に雇用情勢が悪化した場合にも、しっかりと雇用調整助成金を活用して、多くの雇用を守ることができるように、この雇用調整助成金の制度を維持するとともに、機動的かつ柔軟な対応をしていただきたいということを改めて要望いたします。よろしくお願いいたします。

○阿部分科会長 御要望として承っておきます。ほかにはいかがでしょうか。

○松原委員 私からは7ページに記載があります「地域しごと創生プラン(仮称)」についてです。こちらには61億円の予算が計上されているのですが、元をたどれば昨年8月の概算要求段階では、同じ項目で331億円という大きな予算がありまして、いわゆる特別枠という形で計上されていたと思います。数字を見る限り、財務当局との折衝の結果とも推察されるわけですが、概算要求と予算案との乖離がこれだけ出ている理由をまず伺いたいと思います。

○阿部分科会長 では、お願いします。

○地域雇用対策室長 御指摘のとおり、331億円の要求に対して、予算案として安定局分は61億円の政府予算案となっております。これは、まず概算要求の時期のところに立ち返りますと、昨年度6月末の骨太の方針で、50年後に1億人程度の人口を維持するという方針が出て、それに基づいて政府全体として地方創生に取り組んでいくという方向性が出てまいりました時期です。これを受けて、厚生労働省として、仕事関連の施策を1つのパッケージとして、「地域しごと創生プラン(仮称)」という形で要求を行いました。しかしながら、概算要求の後に、93日付けで、まち・ひと・しごと創生本部が発足し、また創生大臣が着任されました。こうした中で、急速に地方創生の在り方に関する議論が深まりましたところ、その内容を踏まえて当初要求の見直しが必要になったものです。

 例を挙げますと、当初は地方の中核的な都市から、その地方のより人の流出が激しい所をブロック別に丁寧に見ていこうという考え方で、厚生労働省として予算案を積んでいたのですが、地方創生の議論を追ってまいりまして、結局は東京の一極集中が甚だしいので、東京一極集中の解消が必要だといった議論になってきた経緯もあります。

 また、雇用についての交付金を厚生労働省単独で要求しており、ここがかなり大きくて242億円分ありましたが、これは地方創生の議論の結果として、内閣府の地方創生本部が創生に資するお金として、一括して1,700億円、補正予算に盛り込みました。この内数の部分が、本来私どもが要求していた交付金の事業ができるものとして扱われたといった経緯もあります。

 こうしたことから、地方創生の議論の進展を反映するとともに、申しましたような内閣府で要求するものとの重複がないようにといった見直しも行って、最終的に94億円の予算案となりました。ただ、地方のひと・しごと対策については、厚生労働省のこれまでの政策の経験とか知見が正に生きてくる分野と認識しております。ですので、こういう認識に基づいて、この予算案について予算が通ればきちんと対応してまいりたいと考えております。ありがとうございました。

○松原委員 再確認なのですが、今のお話の中にもありましたが、7ページにある点線の枠囲みの中で、内閣府が計上している1,700億円の中に、同じ趣旨のものが含まれているということでよろしいですね。

○地域雇用対策室長 さようでございます。地方創生の趣旨に合うものについては、この枠の中でしごと対策に取り組んでいただくことになっております。

○松原委員 はい、分かりました。それから、今回の交付金1,700億円ということで巨額に上っているわけなのですが、今年度の補正予算の中で計上されているということで、当然繰り越して使うのかと思うのですが、今年度、補正予算の中で交付をしながら、来年度に繰り越して使用していくということになると、統一地方選前のばらまきだとも受け取られかねない懸念があると思っています。

 また、その交付を受けた地方自治体が、それを基に事業設計をして、PDCAサイクルを回しながら外部有識者も参加して、検証しながらKPIという形で効果を検証していく話があると思います。この事業概要とかKPIとかPDCA、これに変更がなければ地方創生先行型の考え方に反しない限り、具体的な事業手法とか細部については、交付決定後に地方公共団体の裁量によって変更できるとなっているかと思います。そうすると、地方ごとの裁量が大きいということもありますので、政府としても適正な事業が行われるように、しっかりとサポート体制を組む必要があると思うのです。その点に関して、厚生労働省の見解をお聞かせいただきたいと思います。

○地域雇用対策室長 おっしゃいますとおり、まち・ひと・しごとの創生に向けた政策5原則が創生本部から打ち出されており、この中に委員がおっしゃいました結果重視、すなわちPDCAメカニズムに乗せて、ばらまきにならないように、きちんと目標を立てるとともに、成果を刈り取っていくという方針があります。この事務自体は、結局は地方自治体の自治事務となるわけですので、国のほうで細かい点について、あれこれと口出しをすることは難しいです。しかしながら、地方に対して、こういう事業がありますという知恵出しは、むしろ国のほうから積極的にやっていって、それを見ながら地方が自分たちの地元の事情と、それぞれの発想によって取り組んでいただければと思っております。これまでに地方創生本部を中心に、何度も地方説明会を行って、厚生労働省からも具体的なしごと対策の実例を提出してまいりました。これが地方に届いております。まだ地方からはプランが出てきていない段階ですので、今後も引き続き地方の相談にはしっかり乗っていきたいと思っております。ありがとうございました。

○清水委員 予算案の8ページの7、外国人材の活用・国際協力の(2)にありますが、EPAに基づく外国人看護師と介護福祉士の候補者の受入れに関して、2点、質問させていただきます。まず、この項目の3行目に「受入れの拡大のため」という記述があります。現在、介護については国内労働市場への影響を考慮して、送り出し国ごとに1年に300人という受入人数枠が設定されております。ただし、現状では、今年度はインドネシアが146人、フィリピンが147人、ベトナムが117人と、いずれも300人枠に満たない範囲での受入れしか行われておりません。そうした状況に鑑みれば、今回の予算案の記述の「受入れの拡大のため」が意味するところは、当然、300人枠を拡大するということではなくて、受入れ実数の上限である300人に近付けるべく、施策を講じるということを意味しているという理解をいたしますが、それでよろしいでしょうか。

2点目は、介護分野における外国人材の受入れについて、外国人介護人材受入れの在り方に関する検討会で議論が行われ、新聞報道でも大々的に報道がされておりましたが、24日には技能実習制度において介護職種を追加することを内容とする中間取りまとめがなされたと承知しております。ただ、この検討会のミッションには、EPAの活用推進も含まれていたものの、24日の取りまとめには、これに関する記述がありませんでした。今後、EPAに関しては、どのような場で、どのようなタイミングで検討を行うことを考えているのか、2点よろしくお願いします。

○阿部分科会長 お願いします。

○総務課長 まず、1点目についてですが、御指摘のありましたとおり、8ページに書いてある趣旨は、受入枠に達していないため、受入人数を増加させるという趣旨です。

2点目の関係です。御紹介がありましたとおり、昨年10月から厚生労働省の社会援護局において、外国人介護人材受入れの在り方に関する検討会を開催しております。そちらで外国人介護人材の受入れに関する検討を進めて、技能実習と在留資格に関する議論については、24日に取りまとめを行ったと承知しております。また、御指摘のとおり、検討会では、今後EPAについて検討することとしておりますが、現段階ではEPAについての検討のスケジュールはまだ未定ということで聞いております。詳細については、今後、私どもとしても情報収集して、適宜、情報提供させていただきたいと思います。

○澤田委員 私も8ページの8の所の質問をしたいと思います。先ほど松原委員から、「地域しごと創生プラン(仮称)」の概算要求と予算の差についての質問があったわけですが、8の震災復興のための雇用対策についても、昨年8月の概算要求の段階では441億円を計上していたと思います。予算段階で、200億円以上もの減額をされた、そうした査定となった理由を教えていただきたいと思います。

○阿部分科会長 では、お願いします。

○地域雇用対策室長 御指摘のとおり、こちらに出ております(1)(2)の基金の事業は、それぞれ要求段階では107億円の震災等事業が194億円の要求、122億円の復興等事業が242億円の要求でした。この復興特会による雇用対策は、平成23年度から復興特会で緊急雇用創出基金事業での被災地の雇用対策として実施してまいりましたが、被災地の復興状況を考慮しながら、徐々に対象地域を狭めながらやってまいりました。こうした中で、平成27年度の要求に当たって、基金は厳に抑制するという政府方針が示されたものですから、ここは要求後に、復興の要求だけではなく全ての基金事業において、例外なく厳しく事業の必要性が問われたところです。

 こうした中で、(1)の事業は被災者の一時的な雇用の場を早急に確保することを目的とする事業ですが、これは本来の事業の趣旨に沿った、真に必要なものに限って予算が認められたところです。例えばこれまでですと、緊急的な雇用の場を提供するという意味合いで、公園の草むしりのような仕事も、お役所バイトのような仕事も、全て可としてまいりました。しかしながら、復興も徐々に進んできたものですから、平成27年度については、公務のうち復興に資する事業とか、仮設住宅の見回りような、人の命に関わるような事業に限って認められたという事情があります。

(2)の事業については、被災地の中核的な事業所を産業政策と一体となって、雇入れの人件費の面から支援を行う事業です。これはそもそも復興特会が平成27年度限りとされている中で、事業の収束に向け、実施要件の制限を設けることが要求の調整の中で行われて、それによって予算が認められたところです。具体的には、例えば1事業所当たりの上限額を設けておりましたが、これの引下げなどを行いました。その結果として、この額の予算案となったものです。先ほど新谷委員からも、被災地は特に雇用情勢は数字で見るよりもかなり悪いという御指摘がありました。私どもも重々承知しておりまして、実際の実態を見ながら、この予算だけではなくて、きちんと地元の方の雇用、それから人材不足の事情もありますので、地元の事業者が人を採れるようにといった視点でも見ながら丁寧に対応しているところです。以上です。ありがとうございました。

○澤田委員 先ほどのお答えの中で、十分、被災地についての御理解を頂いていると考えるわけですが、何と言っても雇用の創出というところが復興の一番の要、このように考えています。その中で、どうしても目で見える予算が減ったということが、非常に残念だなと感じました。被災3県の労働局やハローワークなどの厚生労働省の関係機関や、各県の復興局に対するヒアリングや、現場の視察を実施していると、その中で上がっている声は、先ほどの新谷委員からの発言にもありましたが、やはり被災地の雇用は数字だけでは分からないところがあるということ。その中で、ミスマッチが生じているのだということを十分に理解していただいて、今後も厚生労働省として被災地を風化させることなく、被災地の声に真摯に耳を傾けながら、雇用対策を取ることができるように対応していただきたいということ。私は自治労出身なのですが、アンケートを取って、現在職を持っている人たちの心と体の健康というものも、数値では見えない。先ほど答弁の中にもあったように、臨時でそこに人を置いていた部分の予算も切られているということもお伺いしましたので、しっかりとそういう部分も把握していただいているというのは分かりますが、これからも是非よろしくお願いしたいと思います。以上です。

○阿部分科会長 ほかにいかがでしょうか。特にほかになければ、この議題はこれで終わりにして、次に移らせていただきます。次は資料No.4についてです。この件に関しては、私のほうから報告いたします。

 資料No.4は、高年齢者有期雇用特別部会での議論についてまとめたものです。平成26221日に開催の第97回職業安定分科会において、「専門的知識等を有する有期雇用労働者等に関する特別措置法案要綱」の諮問・答申について報告をいたしましたが、その後、第187回臨時国会にて、同法案が可決・成立いたしました。

 法案成立後、平成261218日から労働条件分科会有期雇用特別部会と合同で、法施行に向けて必要な省令等の案について議論を行い、本年29日付け厚生労働省発基02094号をもって、労働政策審議会に諮問のあった「専門的知識等を有する有期雇用労働者等に関する特別措置法施行規則案要綱」等について、高年齢者有期雇用特別部会で妥当と判断しております。

 労働政策審議会令第7条第9項及び労働政策審議会職業安定分科会運営規程附則第4項により、「特別部会が議決をしたときは、当該議決をもって分科会の議決とする」こととなっており、また、労働政策審議会令第6条第9項及び労働政策審議会運営規程第9条の規定により、「分科会の議決をもって労働政策審議会の議決とすることができる」と定められておりますので、お手元にお配りしている資料No.4のとおり、特別部会の議決をもって労働政策審議会として厚生労働大臣宛て答申を行っております。以上、報告申し上げます。

 予定されている議題は以上で終了しましたが、ほかに御発言があれば御発言ください。

○高橋委員 今、阿部先生から御説明のあった資料No.4に関わることなのですが、有期特措法施行が今年41日ということで、もう間もなくだと思います。厚生労働省としても、この内容の周知徹底の準備に、今、取り掛かっていただいていると思いますが、今の準備状況とか、今後の周知徹底に向けた取組について、御説明いただければということです。

○阿部分科会長 分かりました。では、お願いします。

○高齢者雇用対策課長 周知につきましては、労働局労働基準部を中心として、事業主等々を集めての趣旨の説明がそろそろ始まる頃だと私どもは聞いております。当然、周知もしっかりやっていきますし、この短い期間の中で、かなりタイトなわけではありますが、現場のほうで混乱をしないように、パンフレットなども分かりやすい形で、今後PRをしていきたいと思っております。

○高橋委員 是非よろしくお願いします。

○阿部分科会長 タイトルは忘れましたが、厚生労働省のメールが、登録されている方には送られているようなのですが、昨日か一昨日、これに関する案内が出ていたと思いますので、そういう告知はそこそこされているのではないかと思っております。

○斗内委員 私からも今の資料No.4の有期特措法に関連して、1点要望させていただければと思っております。かねてから労働側としては、今回のこの有期特措法の関連省令に係る議論の中で主張してきましたが、今回の措置は定年退職後の継続雇用労働者について、労働契約法の無期転換ルールに特例を設けるものであるということです。そういう意味で申し上げますと、特例を設けるということであれば、高齢法で事業主に義務付けられている、希望者全員の65歳までの雇用確保が確実に実施されるべきです。しかしながら現実的には、継続雇用後の有期労働契約を更新しないことができる事由について、法律上には特段の定めがなく、事業主が有期雇用の更新事由を別途定めて、65歳到達前に恣意的に雇止めをすることも可能ということです。今後、希望者全員の65歳までの雇用が確実に確保されていくよう、特に継続雇用後の有期労働契約の非更新事由について、その在り方について、改めて基本問題部会等において議論されるべきではないかということで、そのことを1点、要望させていただければと思います。

○阿部分科会長 では、承りました。ほかにいかがでしょうか。

○岩村委員 先ほどの高橋委員の御質問ですが、厚生労働省のホームページで既にパンフレットが公開されておりますので、御覧いただければと思います。それから、省令告知については、パブリックコメントが終了して、これから公布・告示に向かって手続を取るというように聞いております。よろしくお願いいたします。

○阿部分科会長 ほかにいかがですか。ほかにないようでしたら、本日の分科会はこれにて終了したいと思います。本日の会議に関する議事録については、労働政策審議会運営規程第6条により、分科会長のほか2人の委員に署名を頂くことになっております。つきましては、労働者代表の松原委員、使用者代表の河本委員にお願いしたいと思います。本日もどうもありがとうございました。


(了)

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