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2014年10月22日 第83回労働政策審議会職業能力開発分科会議事録

職業能力開発局

○日時

平成26年10月22日(水)10:00~12:00


○場所

厚生労働省専用第14会議室(12階)


○議題

(1)職業能力開発施策について
(2)第9次職業能力開発基本計画のフォローアップについて(報告)
(3)その他

○議事

○小杉分科会長 定刻になりましたので、定足数に達しておりますので、ただいまから第83回労働政策審議会職業能力開発分科会を開催いたします。本日はお忙しい中、お集まりいただきましてありがとうございます。

 議事に先立ちまして、当分科会に所属されている委員の交代がありましたので、御報告申し上げます。労働者側委員として、澤田委員に代わって日本基幹産業労働組合連合会中央副執行委員長の高橋委員です。最新の名簿は、参考資料1として配布しております。次に本日の出欠状況です。浅井委員、原委員、水町委員、河本委員が御欠席です。なお、上原委員、新谷委員は都合により、途中退席されます。

 それでは、議事に入ります。議事次第のとおり、本日の議題は「職業能力開発施策について」「第9次職業能力開発基本計画のフォローアップについて」「その他」です。では、議題1「職業能力開発施策について」のうち、まず資料1の内容について説明いただき、その後、一旦御議論いただきます。更にその後、資料2を説明し御議論したいと思います。では、説明をお願いします。

 

○宮下総務課調査官 それでは、第82回の分科会で頂いた主な意見ですが、5つの項目ごとにまとめて資料3として提出しています。このうち本日は、「(2)産業界のニーズや労働者の属性を踏まえた企業内訓練を含む職業訓練の在り方について」と「(3)新たな職業能力評価制度の構築について」関する資料を提出しています。まず(2)に関して、論点をまとめた資料1-1と、関連事項をまとめた資料1-2で説明いたします。

 資料1-1の第1、「産業界や地域のニーズをより一層踏まえた職業訓練の実施の在り方についてどのように考えるか」という論点と、第2の「公共職業訓練と求職者支援訓練の効果的な実施の在り方についてどのように考えるか」という点に関して、資料1-21ページを御覧ください。

 現在行われている公的職業訓練の全体像を示す資料ですが、御覧のとおり、公共職業訓練と求職者支援訓練の大きく2つに分けられます。離職者、在職者、学卒者それぞれに対して、国や都道府県、民間の教育訓練機関などがそれぞれ訓練を行っています。それぞれの実施主体による公的職業訓練が効果的に行われることが重要であり、これまでも都道府県、労働局、それから独立行政法人高障求機構が連携してきたところですが、更なる連携強化に取り組むよう、本年929日付けで各機関に対して通知を発出しました。その内容は2ページに記載しています。

1の「関係機関の連携体制の強化」では、訓練コースの設定等を関係機関の間で十分に調整するなど、地域訓練協議会などの合議体の更なる活用や、自治体、機構、労働局との間で、公的職業訓練に関する雇用対策協定の締結を推進すること、また、2の「公的職業訓練ニーズの把握及びニーズを踏まえた適切な訓練コースの設定」では、ハローワークが把握する訓練ニーズや求職者の希望を訓練機関へ体系的に提供することや、訓練コースは産業政策等を踏まえて設定することなどが盛り込まれています。

3ページ、4ページは、国、地方自治体、高障求機構の三者が協定を結んで、職業訓練と就職支援を一体的に実施している京都府の事例です。三者は、平成262月に「国・府一体人づくり事業の実施に関する協定書」を結んでおります。その内容は4ページですが、国と京都府が所管する全ての訓練などについて、総合的かつ一体的に企画立案し、職業訓練機関と就業支援機関の連携により、相談、訓練等から就職までを一貫して支援する取組を行っています。教育界、労使団体、高障求機構、行政機関などの関係者を構成員とする「京都府地域訓練協議会」が、毎年「京都府地域職業訓練実施計画」などを策定し、計画期間内における求職者支援訓練や、その他の公共職業訓練のコース、定員、実施時期などを定め、各種訓練を実施しています。

5ページですが、高障求機構が訓練コースを設定する際、技術革新等に対応した職業訓練とするため、事業所に対するヒアリング調査や、訓練修了者が就職した事業所を訪問しヒアリングを行うなど、PDCAサイクルにより継続的に改善を行っているということを示す資料です。

6ページは、ポリテクセンター等の職業訓練等のコースに、産業界の人材育成ニーズをより一層的確に反映するための取組です。ものづくり業界団体などと高障求機構が協定を締結することで、業界の訓練ニーズを踏まえた離職者訓練や在職者訓練のカリキュラムの開発、企画実習先の調整などを行えるようにするものです。第1号として、825日付けで、一般社団法人日本機械工業連合会と協定を締結済みです。

7ページは、地域の関係機関が協働して職業訓練コースを開発する今年度からの取組です。離職者向けの公的職業訓練の8割は民間教育訓練機関が行っていますが、分野によって就職率にばらつきがあります。このため、企業や業界団体などと行政機関が協働し、より就職の可能性を高めるため、1年以内の短期職業訓練コースを開発し、検証するものです。今年度は10地域で実施し、建設や航空機製造関連の訓練を開発中です。

8ページは、在職者に対する訓練の概要です。4つ目の「企業内訓練に対する今後の国の支援の在り方についてどのように考るか」という論点にも関連しますが、国は主に、企業の中核的な役割を果たしている方を対象に、高度なものづくり分野における技能や知識の習得を、都道府県は主に、初任者を対象に地域企業や地場産業の訓練ニーズに対応した基礎的な訓練をそれぞれ実施しています。

9ページは、民間教育訓練機関に委託し、そのノウハウを活用して行っている公共職業訓練の概要です。委託先は株式会社などが51%で最も多く、訓練として早期就職を目指す訓練や、高度な技能・資格の取得を目指す訓練などが行われています。なお、3番目の論点である「キャリアアップの機会に恵まれにくい中小企業の労働者や母子家庭の母、障害者の方などに対する職業訓練の実施についてどのように考えるか」にも関連しますが、受講者の個別事情に配慮した訓練として、母子家庭の母等や刑務所を出所された方向けのコースも委託している状況です。

10ページは、障害者の方に対する職業能力開発の概要です。障害者職業能力開発校が国と都道府県合わせて19校が設置、運営されており、委託訓練も平成16年度から開始しています。受講者数、就職率は御覧のとおりです。

 次からは、4つ目の論点の「企業内訓練に対する今後の国の支援の在り方についてどのように考えるか」という論点に関する資料です。現在、11から13ページの資料のとおり、事業主等が行う職業訓練のうち、教科などが厚生労働省令で定める基準に適合しているものは、都道府県知事の認定を受けることができ、認定を受けた事業主等は国や都道府県から「認定訓練助成事業費補助金」が助成されています。

 補助対象は、運営費、施設費、設備費の3種類で、13ページのように構成員が2都道府県以上にわたる中小企業事業主団体等が行う認定職業訓練に対しては、運営費のみが補助の対象となっています。

14ページは、認定職業訓練施設の属性と主な訓練科で、法人形態、建築・土木関係が多いという状況です。

15ページは、職業訓練などを実施する事業主に対し、訓練経費や訓練中の賃金を助成するキャリア形成促進助成金の概要、16ページが支給実績です。

17ページは、平成24年度の能力開発基本調査に基づく、キャリア形成促進助成金制度の利用状況です。助成金制度を知らないという事業所の割合の方が多く、知っている事業所のうち18%が利用している結果になっています。

18ページ、19ページは、キャリア形成促進助成金に関する平成25年度のアンケート調査結果です。591件の回答がありました。業種としては、建設業、製造業、サービス業が多く、複数回利用者が8割となっています。利用した訓練コースは、一般型訓練が約6割、政策課題対応型訓練が5割であり、政策課題型のうち、若年人材育成コースが約2割と最も多くなっています。訓練の受講延べ時間は「50時間未満」が約7割、訓練実施機関は「公益法人、その他公的団体等」が約3割、実施した訓練の内容は「技術・技能」が約5割とそれぞれ最も多くなっています。

 続いて19ページは、本助成金の効果などですが、目的とする人材育成に役立ったとする事業主が97.1%、また、訓練修了後の従業員の処遇に関し、担当する職務範囲を広げたとする事業主が60.1%、訓練受講がキャリアアップにつながったとする従業員が98%超などとなっています。一方、4にあるとおり、書類や手続の簡素化の要望が多い結果となっています。

20ページは、来年度予算で要求している「企業内人材育成推進助成金(仮称)」です。従業員のキャリア形成を促進する制度を開発・導入し、就業規則などに規定した上で、従業員に適用・実施した事業主や事業主団体などに一定額を助成する制度としています。

21ページはジョブ・カード、22ページは現在実施している2つの雇用型訓練の概要、23ページはジョブ・カードを活用した雇用型訓練の流れ、24ページはそれぞれの実績の資料となっています。25ページからは、非正規雇用労働者の企業内キャリアアップを促進するためのキャリアアップ助成金の概要、26ページはその支給実績です。

27ページは、5番目の「効果的に職業能力開発施策を実施するための、都道府県労働局やハローワークの役割についてどのように考えるか」という論点に関するものです。改革検討チームの報告書では、職業能力開発行政の主な課題として、地域における人づくりは、様々な担い手により行われているが、全体として調整が不十分で、地域や産業界のニーズに応えた効果的・効率的なものとなっていないことが指摘されています。これを受けて、目指すべき方向性として、地域全体の人づくりの視点による職業訓練行政の一体的実施、労働局・ハローワークを国の職業能力開発行政の拠点にすることなどが掲げられており、本省職業能力開発局の権限の一部を労働局に委任し、労働局が指揮命令すること、都道府県、労働局、高障求機構や有識者、産業界を構成員とする地域訓練企画協議会(仮称)を設置し、企業内訓練も含めた地域全体の人材育成の基本方針を決定し、実施するという体制案が示されています。

28ページ、29ページは最後の「公共職業訓練(離職者訓練)や求職者支援訓練を実施する民間教育訓練機関の質の確保・向上のための方策についてどのように考えるか」という論点に関するものです。民間教育訓練機関が実施する訓練の質を向上させるため、厚生労働省が平成2312月にガイドラインを策定して、PDCAサイクルによる訓練の管理・運営を推奨しております。このために必要な知識や技能を習得させるべく、民間教育訓練機関の訓練運営責任者などを対象とし、2日間(12時間)の研修を高障求機構が実施しています。今月から実施地域を拡大し、全都道府県のセンターで実施している状況です。

30から32ページですが、諸外国における職業訓練施策をまとめたものです。30ページは若年者に対する訓練で、アメリカでは事業主、労働組合、あるいは使用者団体の共同により実施される「登録養成訓練制度」、イギリスでは、事業主のニーズに沿うように設計された職場実習型訓練である「養成訓練制度」などが行われています。

31ページは、失業者に対する訓練です。アメリカではワンストップの職業センターを通じて、労働力投資委員会が実施する対象者のニーズに沿った各種支援、イギリスでは、求職者給付を受けている方に対し、地域の労働市場の需要に基づいた業種で実施される業種別ワークアカデミー、フランスでは、地域圏レベルで産業部門が求める職業能力を考慮して、雇用センターが提携教育機関を選定し、求職者の訓練費用の一部を税負担する制度などが行われています。

32ページは、在職者に対する職業訓練です。各国とも各種の助成措置を講じていますが、イギリスやフランスでは、教育・訓練機会を受けるための休暇制度を導入しています。

33ページ、34ページは、最近取り上げられた産業界のニーズや、労働者の属性を踏まえた職業訓練の在り方に関する記述をまとめています。

 資料4ですが、前回の分科会で、企業内訓練に関して訓練費用などもう少し細かい実態を示す必要があるのではないかなどという御意見があったことから、能力開発基本調査の結果や、経産省の企業活動基本調査から関連する事項について提出しております。

 その他、議論の参考として、参考資料2は、前回提出した現状に関する資料を再度提出しております。参考資料3ですが、後ほど報告する「第9次職業能力開発基本計画」の全体と本文、参考資料4930日に公表した在り方研究会の報告書、参考資料5が、職業能力開発行政改革検討チームの報告書、参考資料6が、現在、職業安定局が事務局となっている職業安定分科会基本問題部会に提出された資料です。1ページ目が課題認識、2ページ目が検討スケジュールとなります。以上です。

 

○小杉分科会長 資料1-1の「産業界のニーズや労働者の属性を踏まえた企業内訓練を含む職業訓練の在り方について」の中から3つの論点について、皆様から御意見を頂ければと事務局からの要請です。今の説明について質問はありますでしょうか。

 

○新谷委員 本日は職業訓練の在り方に関する網羅的な資料を提示いただきましたが、質問があります。

 従来、職業能力開発行政予算は、年間約1,600億円から約1,700億円程度で推移してきましたが、今年10月からは、約890億円という職業能力開発行政の半年分の予算額にも上る巨額の予算規模の専門実践教育訓練がスタートしました。本日頂いた資料の中では、専門実践教育訓練がどこに位置付けられるのかということを、まず教えていただきたいと思います。

 

○小杉分科会長 事務局、お願いします。

 

○吉永総務課長 専門実践訓練については、自己啓発型の訓練になりますので、今回の中には具体的にはお示ししていません。基本的には、公共訓練のメニューの中で成立するものを今回資料として提示させていただいたものです。もとより非常に重要テーマですので、自己啓発的な訓練という体系も十分に考えていきたいと考えております。

 

○新谷委員 専門実践教育訓練については、本分科会で随分論議しましたが、その予算規模は、先ほど申し上げたように従来の1年間の職業能力開発行政の予算の半分に匹敵する額であり、その財源は労使が拠出する雇用保険料から投入されています。労働側としては、教育訓練機会に恵まれにくい非正規労働者の方や中小零細企業で働く方が、専門実践教育訓練を使って生涯生計を立てることができるような仕事に関する専門的なスキルを身に付けるために有用であるという観点から、制度創設に同意しました。

しかし、本日示された論点表の「労働者の属性を踏まえたという職業訓練の在り方」という項目には、一切専門実践教育訓練の記述が出てきません。これは奇異な印象を受けます。予算規模からしても、資料の中から抜け落ちていることは、おかしいのではないかと思います。

 「労働者の属性を踏まえた職業訓練の在り方」ということであれば、資料1-21ページに公的職業訓練の全体像が記載されていますが、専門実践教育訓練がどこに位置付けられるのかという点が曖昧です。また、資料1-29スライドに委託訓練の記載もありますが、委託訓練と専門実践教育訓練をどのように棲分けするのか、この点も整理されていないと思います。専門実践教育訓練は、あれだけ巨額の予算規模を使い、且つ、労使の保険料を財源としていることからしても、今後は職業訓練の中でどのような位置付けをするのかということを整理していくべきであると思います。

 それと、本日の資料は、訓練の供給サイドからの整理であって、訓練受講者側からの整理となっていない。つまり、働きながら訓練を受ける者や離職者の方々が、どのような訓練を受けられるのかという整理が書かれていないのです。訓練実施者が「このような訓練を提供できる」とは書いてありますが、正しく「労働者の属性を踏まえた職業訓練の在り方」を考えるのであれば、労働者の属性ごとにどのような訓練を受講できるのかという整理が必要なのではないかと思います。

 

○小杉分科会長 要望ということで、返答ありますか。

 

○吉永総務課長 全体の訓練のパッケージの中で、教育訓練給付、特に専門実践型のスキームが非常に大きな位置付けを持っていると思っています。前回の審議会でも、情報について御提供しましたが、今後、全体の資料の作成については留意する、正に労働者がどのような形で受けられるのかという、訓練メニューに留意した形の資料を作っていきたいと考えております。

 

○小杉分科会長 分かりました。参考資料3に示された施策全体の話の中には当然入ってくるけれども、今回は整理の仕方が違っていたということでした。

 

○吉永総務課長 むしろ公共訓練のパッケージの中で、ある意味、訓練の供給サイドを前提とした資料づくりになっていましたので、その中で御指摘の点が入っていなかったというものです。今後、留意して資料作成に当たりたいと考えています。

 

○小杉分科会長 ほかに何か御意見ありますでしょうか。

 

○大隈委員 質問ですが、17ページの。

 

○小杉分科会長 資料1-217ですね。

 

○大隈委員 キャリア形成促進助成金制度を知っているという事業所が40%、知らないというのが58%ですが、18%はそれなりに意味がある数字だと思いますが、知らない方の58%はちょっと多過ぎるような気がします。やはりそれをどうやってもっと周知をするというか、宣伝やPRをするというか、今やられていることがあったら教えてください。

 

○小杉分科会長 PRをどうするか。

 

○吉永総務課長 端的に申しますと、11月が職業能力開発促進月間となっていますが、この中で各ハローワーク、あるいは都道府県労働局を中心にこのような訓練メニューがあるとか、あるいはジョブ・カードとか、様々な能開施策の周知を行うという指示を改めて労働局に対して行なったということがあります。また、これまでも事業主団体等々にもお願いをしつつ、その傘下への周知という形もやってきています。ただ、このような実態になっている中で、18ページにもありますが、使っていただいている事業主の方は繰り返し使っていただいているという制度ですので、使っていただければ非常に効果があるものだと思っております。

 また、今年度から大企業も対象とするという形で制度を拡充していますので、そういう意味で、これまで目を向けていただけなかったような事業主の方でも活用していただけるのだと思っています。そのような観点でこれを見ると、4割の事業主の方が御存じで、そのうちの18%で利用されているということになると、実際の利用率は1割に満たないという状況ですので、こういった現状は改善すべく、更なる周知に取り組んでいきたいと考えております。

 

○小杉分科会長 よろしいですか。

 

○大久保委員 関連して、今の御質問に私もちょっと近いのですが、論点の中にある企業内訓練に対する今後の支援の在り方についてというところです。前回の分科会で議論になりましたが、企業が支出しているOFF-JTのためのコストとか、その他、自己啓発もOJTもそうですが、若干、少しマイナス傾向にあるというようなことが能力開発基本調査の中でも出てきていたと思いますが、そのようなものを補完するような形で企業内訓練に関する支援というものがあってほしいと思います。

 今、御指摘があったように、例えば先ほどのキャリア形成促進助成金の場合、認知が4割で利用はそのうちの18%で、そのうち50%の企業が毎年使っているという。つまり、ある意味、使ってみると実は結構使えて、いい制度ですが、実際にヘビーユーザーとなった人は全体のパーセンテージは4%しかないという、つまり企業の中の利用実態の偏りみたいなものがやはり気になっていて、企業内訓練に対する在り方という意味では、その偏りを少し注意しながら、やはりどうやってその利用に結び付くまでの分かりやすさを担保していくのかということが、すごく必要だと思います。私、繰り返して同じようなことをいつも言っていますが、改めてそこについては考えていただきたいと思います。

 

○小杉分科会長 関連してですね。

 

○諏訪委員 関連してです。やはりキャリアアップ助成金とか、助成金に関しては中小企業、小規模企業の立場でお話させていただくと、まず計画書を作らなければいけない。その段階で小規模企業は仕事の波によって、仕事の薄いときに人材教育を入れていくので、年間計画を立てるのがやはり非常に躊躇するというか。結構、真面目な企業が多いので、そのとおりにやらなければいけないというようにまず思ってしまって、足踏みをしてしまうという実体もあることを理解していただきたい。

 

○小杉分科会長 どうぞ。

 

○吉永総務課長 まず大久保委員からOFF-JT等々という能力開発費の関係の御指摘についてはデータがございます。後ほど御説明する予定で資料4を付けています。景気変動の中で、企業がOFF-JTに支出した金額などは、平成19年、平成20年に比べると、やはりリーマン・ショックの後大分落ちていることがあります。一方で、労働者の自己啓発も同じような状況ですので、景気が悪くなって所得が減るということもあるかもしれませんが、その中で景気が悪くなると訓練にかかる経費が落ちる。同様な形で2ページ目のスライドもありますが、能力開発費についても平成22年までありますが、平成23年から落ちていくという状況があります。このような景気の波ということもありますので、やはり人材育成は長期的なスパンで見ていく必要がある中で、それを下支えするというものが、ある意味キャリア形成促進助成金のようなメニューではないかと思っています。

 諏訪委員の御指摘のとおり、やや面倒くさいというところもありますが、資料1-219ページのスライドにもありますが、改善点については書類や手続を簡素化してほしいという御指摘があります。これは必ずしも年間の訓練ではなくてもよいので、もう少し短期的なものでもよいので、年間の仕事の波の中で御判断いただければという部分がありますが、やはりこの辺りを少し考えていく必要があるのかなと。ただ、一方で、助成金制度はキャリア形成促進助成金に限らず、不正受給の問題もありますので、その問題が起きるたびに少し要件が厳しくなることを繰り返している状況もあります。その中で、より効果的に御利用いただけるような制度運営を考えていく必要があると考えております。

18ページのスライドで御覧いただくと、御利用いただいている事業主の産業分類が建設業29%、製造業20%、サービス業20%です。これは先ほどの大久保委員が御指摘のように、リピーターのところにも関わってくるわけですが、建設業は別枠の助成制度もあって合わせてということもありますが、やはり現在の全体の労働者の産業分類とは、かなり偏りがあるのではないかと思っています。その意味で、先ほど御指摘いただいたとおり、まず事業者から知っていただき、利用していただく。その上で御利用いただければかなり効果的な助成金の制度だと思っておりますので、御活用いただけるのではないかと。景気の繁閑とか、企業の収支の状況ということを越えて、少し中長期的なスパンでの人材投資というものをお願いできればと考ているところです。

 

○小杉分科会長 企業内の訓練の話に終始しましたが、ほかの論点でいかがですか。

 

○大野委員 意見として申し上げますが、資料1-2のスライド21のジョブ・カードです。ジョブ・カードの制度については、今後、制度設計を一から見直しをして、名前も変えて更に強力に推進していくというお話を伺っておりますが、前回か前々回に出ていた資料の中で、ジョブ・カードが現在普及していない理由の分析の中で、1つは手続や書式が複雑であるというのがありまして、もう1つは、ジョブ・カードが非常に有効なものであることについて、認知、認識がされていないというようなことがあったと思います。

 その中で、手続や書式については仕組みを見直して、より使いやすいものにすると書いてありましたが、もう一方のジョブ・カードが有効であるということが認知、認識されていないことについて、深くその原因などの分析がされていないような気がしていて、そこを明らかにしていかないと、今後その制度設計をして進めても、結局、私は普及しないのではないかと思いますので、そこをしっかりとやっていく必要があるのではないかと思っています。

 

○小杉分科会長 その辺について、見直しを進められているところはありますか。

 

○吉永総務課長 ジョブ・カード制度については、もともとの発想が、特にフリーターの方などの職務経験が乏しい方の履歴書をどのような形で作っていくのか。短期的なアルバイト等々についても少しずつ職務の技能が付いているのであれば、それを書いて就職につなげていこうという発想から始まったところがあります。その辺りがありますので、ある意味、かなり限定的なところからスタートした経緯から、そうすると1回就職してしまえばそれで目的を果たすというような活用が当初あって、ただ、実際に現在、雇用型訓練についての活用が非常に多くなっていますが、雇用型訓練に入るタイミング、あるいは終わるタイミングというところで、やはり職業能力の向上というものは認められると思っていますし、また、雇用型訓練の場合は、就職率、特に正社員の就職が非常に高いという状況です。

24ページのスライドは、有期実習型が非正規労働者の方を対象としたメニューですが、大体、正社員としての就職率が約80%、受講修了者がベースになっていますが79.5%。実践型人材養成システムは、これはもう少し企業の中核的な人材という形ですので、少し性格は違いますが、2年以内の訓練では96.5%の形で正社員化されています。

 雇用型訓練の場面でのジョブ・カードは一定程度有効だと思っていますが、そこから先をどの形で広げていくのか。就職のタイミングの一過性のものではなくて、それを伴ってステップアップできるような形の活用が進めば、更に価値が高まるのではないかというように思っております。その意味で、現在、キャリア・パスポート構想という形で議論を進めていますが、やはり本人が能力をどのような形でステップアップしていくのかという目標的な形で使えるようなスキームになれば、もう少し御利用もいただけますし、また、企業でも御活用いただける。逆に御活用いただければ認知度も上がることにもつながるのではないかと思っております。そのような活用方針について、今、議論を進めているところです。いずれかのタイミングにおいて、当分科会でも検討状況を御紹介できればと考えております。

 

○上原委員 関連ですが、ジョブ・カードのお話が先ほどありましたが、原点がフリーター等を就職に結びつけていこうということにありましたが、その点は評価できると思います。以前、数字が先行して、拡大してきていて疑問があることを発言しましたが、労働側にジョブ・カード制度について聞きたいと思います。どのように考えているのか、効果があるのかないのか、あるいはその中間なのか。その辺の意見を聞きたいと思います。

 

○小杉分科会長 ということで振られましたが、どうですか。

 

○新谷委員 ジョブ・カードについては、労働側としても制度創設の際から論議に参画してきました。政府の成長戦略で、配布枚数300万人という数値目標が唐突に示された点には違和感を覚えましたが、ジョブ・カード自体は訓練から就職につなげていくための有効なツールであると思いますので、普及に向けて取り組んでいく必要があると思います。以上です。

 

○小杉分科会長 ということで、いかがですか。

 

○上原委員 私が直感的に思うのは、行政というのは動き出した施策をストップするのは非常に難しい組織なのだろうと思うのです。例えば、やめることが失敗したことにつながりますから、責任問題が出てくることがあるとは思うのです。ただ一方で、振り出しに戻ってみると、原点のフリーターなどは60万人とか80万人とか減っていないのです。そこだけを見ると、効果がないということだと思うのです。ですから、そこの部分を少し深掘りするような施策に持っていった方がいいのではないか、拡大するのはその後の話なのではないかと直感的に思うのです。

 

○小杉分科会長 ジョブ・カード制度は、これまで何回も見直しされていて、現在はフリーター対象のものではなくなっている状態なのです。その辺りを少し整理してお話いただけますか。

 

○吉永総務課長 現状で更に見直しを進めておりまして、いわゆる「キャリア・パスポート構想」と言っておりますが、これについては、先ほど申した就職という一過性のものというよりは、職業生活の中で、自分で自分のキャリアの棚卸しのようなものを常に行うということで、労働者個人の方が、自分がどういう能力を持っていて、今後どういうものを身に付けていくべきか、振り返りができるような形の仕組みが重要ではないかということで、見直しを進めているところです。

 そういう中で、在職者の方についてもお使いいただくという形で、現在、入職してから退職するまでキャリアチェンジがない方はほとんどないわけですので、そういうキャリアチェンジなどを想定しつつ、自分が何をやっていくかということについて、労働者の方にお考えいただくという構造が重要ではないかということです。

 確かに、企業の側で採用する、育成するという形で考えたときに、現状では、就職のときのためだけのものであると、御利用いただくことはなかなか難しい部分がありますが、そういう様々な形で使っていただける場面を想定しつつ、使えるような形で、今、見直しをしているところです。具体的には、恐らく次回にジョブ・カードについて資料を御提示しつつ、更に御議論いただければと考えております。

 

○上原委員 私が企業側で聞いている意見では、使っているという話は余り聞かないのです。教育訓練の出だしにも、企業のニーズについて書いてあるわけで、そういう意味では、ニーズにマッチしていないのではないかという気がするのです。現行の政策に対する批判というのは、言うのはなかなか難しいわけで、そうかといって放置しているとそのまま予算が拡大するわけですから、そこの大坦な見直しのようなものは必要なのではないかと思います。

 

○豊島委員 ジョブ・カード制度が創設されてから数年が経過しますが、私の印象は、発行数自体が目的化しているのではないか、というものです。そのため、職業訓練機関で訓練を受けた人に発行し、それを使って就職してもらうということが割と強いイメージがあるのです。ジョブ・カードの見直し論議を進めるにあたっては、まず、どの機関でどの程度発行されたのかといった推移も見据えて議論すべきです。この点はジョブ・カードを有効なものにするためにも重要であると思います。

 

○小杉分科会長 その数字は次回でよろしいということですか。

 

○豊島委員 次回で結構です。ただ、今申し上げた印象は間違っていないですか。

 

○吉永総務課長 基本的には、やはり、訓練のメニューの中で使われているのが、かなりの部分を占めているのは事実です。いずれにしても、その辺りのデータも含めて、次回に見ていただければと思います。

 

○新谷委員 上原委員と豊島委員が指摘をされましたが、私はジョブ・カードに限らず、厚生労働行政において実施されている施策について、問題点があれば指摘して改善を求めるということが、労働政策審議会の重要な役割であると思います。労使の目線で、課題のある政策に対しては、積極的に発言したいと思います。

 その上で、ジョブ・カードは、豊島委員がおっしゃったように、2020年までに新規発行枚数を300万枚にするということが政策目標になってしまった。これは、目標としては余り適当ではなかったのではないかと、今にしては思います。ジョブ・カードは、訓練の経歴を残して、ジョブマッチングにつなげていくという点こそを政策目標とすべきであって、新規発行枚数のみを追いかけるのは適当ではないと思います。

 そういった意味で、後ほどまた論議させていただきますが、ジョブ・カードについては、雇用型訓練との接点が重要であると思います。同時に、労働市場において、このジョブ・カードの認知が足りていない。ジョブ・カードを持っていたからといって、就職に有利に働くということには至っていない。つまり、カードはカード、マッチングはマッチング、訓練は訓練と、ばらばらの状況になっていますので、これをどう有機的につなげていくか。特に雇用型訓練が、大企業において実施されていないこともありますので、訓練とジョブ・カードそしてジョブマッチングに至る一連の整合的なシステム設計が必要ではないかと思います。

 

○小杉分科会長 ありがとうございます。少し論点が偏っていますので、前のほうの論点についても御議論いただきたいと思います。産業界のニーズを踏まえた訓練の在り方、求職者訓練と公共訓練との関係などで御意見はありますか。

 

○田口委員 資料1-212ページです。何度か申し上げていますが、認定訓練助成についてです。補助要件で「中小企業事業主等に雇用されている者等」となっているのです。建設業の就業者は685万人いたのが、今は500万人ほどまでに落ちていますが、就業者が減っているし、若年の就業者も減っているわけなのです。

 これは建設業に特有のことなのですが、「一人親方」と言われている人たち、我々は「偽装請負労働者」と呼んでいるのですが、その一人親方が最近、急激に増えています。厚生労働省でやられている「一人親方労災保険」ですが、数字は正確ではありませんが、私の記憶では、ここ1年間で確か2万人増えていて、我々組合が掌握している労働保険事務組合でも、この1年間に3,000人増えています。国土交通省でも、この増え方が異常だという認識は持っているようです。

 その中で、最近、10歳代の一人親方労災保険加入者が一定数見られるようになってきています。私が申し上げたいのは、法人事業所でなくて、親子でやっていたりして、同業親族の息子がいたりします。この人たちは雇用保険の対象になりませんから、助成を受けるのに一人親方労災保険に入らないといけないということがあります。しかも、都道府県によっては、一人親方労災保険加入者でも助成の補助対象になっている部分もあるようなのです。そういう若年の補助対象者にならない就業者が、今どんどん増えています。そこの部分の労働実態をよく掌握して、法律を変えるのはなかなか難しい問題ですので、補助対象にするような工夫をして、拡充できないかということを検討していただけないかということです。

 

○竹内能力開発課()育成支援課主任職業能力開発指導官 認定職業訓練については前回も申し上げましたが、まず補助金の算定基準の引上げを概算要求でお願いしております。更に、今お話にありましたように、現在でも35歳未満の場合は、5人の要件を3人以上にするなどの緩和をしております。来年度要求の中で、まだ細かなところまで詰まっていませんが、そういった要件の緩和についても、最後の概算要求の査定を頂くまでに調整していきたいと思っております。今、調整している最中です。

 

○高橋()委員 本日の論点には書かれていないことなので、突拍子もない発言かもしれません。本日の資料1-2の最初のページに、公的職業訓練の全体図をお示しいただいたのは、頭の整理としても大変助かるのですが、かねてからの個人的な問題意識として、対象者が「離職者向け」「在職者向け」「学卒者向け」だけで本当にいいのかという問題意識を持っております。これに、もう1つ「在学者向け」というのがあってもいいのではないかと思っております。

 キャリア教育の充実などが謳われている昨今において、希望者だけでもいいかもしれませんが、高校生や大学生に対しても何らかの訓練を実施していくことは、ますます重要になっているのではないかと思います。ポリテクセンターもあり、能開大もあり、あるいは各都道府県には都道府県の訓練施設もありますので、各地域の高校や大学とうまく連携して、例えば、休み期間中に短期の訓練メニューなどを独自に作っていただいて、そこで希望者に対して訓練を経験していただくことが、学生さんたちのキャリアを開いていく1つのきっかけにもなっていくのではないかと、前から感じているところです。是非、御検討いただければ有り難いです。

 

○三村委員 日本の産業に従事している人に、職業訓練という意識は非常に弱いと思うのです。これがジョブ・カードの広がりを阻害している要因のひとつではないかと思うのです。そのためには小・中・高のキャリア教育の中で早い段階から職業訓練を身近に感じるようにしながら、自分の得意な部分を伸ばしていくという考え方を浸透させていく必要があります。そうすることによって、いわゆる職業人になってから、訓練を受けてみようというところにつながっていかないと思うのです。その移行の部分で非常に大きな障壁があるので、それを取り払っていくことは重要です。

 特に、今、高橋委員からもありましたように、例えば専門高校のカリキュラムの中に職業訓練が入り込んで、そして、公共職業訓練所で学ぶことがカリキュラムの一部になるというような発想です。これはアメリカでは地域職業訓練機関は当たり前にやっています。さらに、そのような機関では、企業の方と高校生が一緒に職業訓練を受けているのは当たり前の状況になっています。学校教育に職業訓練の概念を積極的に取り入れる必要があるのです。

 

○諏訪委員 関連してなのですが、今、工業高校などでデュアルシステム科というのがあります。当社はそこから受け入れているのですが、1年のときには1週間、2年で1か月、3年で3か月、当社のほうで企業訓練をしながら、それが単位になっていくというシステムなのです。そういう形でその後就職した子たちもいるのですが、そうすると、離職率が格段に低くなりますし、こういうシステムは有効ですので、こちらの中にも書かれていたと思うのですが、それを職業訓練校などにもっと発揮させて欲しい。今の状況では本当に、誰が来るか分からないというような、学校の推薦だけで希望者を採って、という形なので、企業側は全く選べない形なのです。こういう仕組みづくりをもう少ししっかりやっていただけたら有効だと思います。

 

○大久保委員 高橋委員の意見に関連なのですが、1ページにある全体像のようなまとめ方は大変有効だと思います。もっとやってほしいと思っていまして、例えば「在職者向け」と言うのであれば、在職者の中にもいろいろな属性の人がいますし、在職者であれば、OJTOFF-JT、自己啓発というものがあるわけですから、そこに関連する施策はいろいろあるわけです。その施策が本来は有機的に結び付いて、問題解決につながっていくということだと思うので、そういう視点から事業を1回チェックしてみたり、整理してみることが、実際に今後の在り方を考える上で非常に有効だろうと思います。

 また、そのことが、普及・広報にも非常に貢献するだろうと思うのです。これはもともと新谷委員が最初におっしゃったこととも近いのですが、そういう作業の仕方をやることが議論を活性化させたり、改善につながっていくのではないかと思います。更にやっていただきたいと思います。

 

○板垣委員 働きながらの訓練受講が可能な環境整備ということで発言をさせていただきます。

まず、そもそも本当に訓練が必要な人が、訓練の存在を知る機会に恵まれているのか、という疑問があります。こうした観点からすれば、訓練の情報提供の在り方が非常に重要であると思います。現状でも情報提供自体は様々な政府関係部局でされていると思いますが、訓練情報を、本当に訓練が必要な人に届けるためには、攻めの情報提供の在り方という観点で、今一歩踏み込んだ議論をすべきではないかと思います。

 併せて、働きながらの訓練を受講するという観点からすれば、夜間や土・日開講の訓練講座の充実や、託児施設付き訓練の拡充も必要です。

以上2点、意見を申し上げさせていただきました。

 

○小杉分科会長 これは論点として、周知という意味で、労働局やハローワークの役割も関連してきます。

 

○田口委員 そういう情報提供とか、間口を広げるとか、能力開発に関心を持ってもらうために、例えばここにおられる皆さんは、技能オリンピックをやったり、技能グランプリをやったり、あるいは若年者のものづくり競技大会であったり、そういうことは御存じだと思うのですが、私はそこに行ったことがないのです。見たことがないし、報道もあまりされたことはないと思います。ですから、例えばそこで、総理大臣賞、厚労大臣賞をもらったり、あるいは1位になったり、私の組織の前の副委員長は、技能オリンピックの銀メダルを世界で取っている人間なのです。そういう方にスポットライトが当たるというか、社会的評価が高まるような雰囲気を作るのが大事だと思っています。

 例えば農水省は第一次産業で映画に協賛したり、応援したりしているし、林野庁も、最近そういう映画が出たりしました。映画かどうかは別として、言いたいことは、もっと社会的にこういう能力開発があるということ、そして、そういうところで頑張って、例えば技能オリンピックなどは、同僚も、会社も、本人も、本当に頑張って目指して、名誉ある地位を獲得するわけで、その方がパッとスポットを浴びたら、「俺も目指そう」みたいな感じで頑張る人もいるのではないか。そう簡単ではないかもしれませんが、そういうものを作っていくのは大事だと思います。どうすればどうということは分かりませんが、そういうことを考えていただければと思います。

 

○諏訪委員 技能検定に関してなのですが、やはり、本当に今は大手さんだと受けられる、中小企業だと受けづらいというのがあります。ただ、今の若者に関しては、やはり外的な評価はとてもモチベーションにつながりますので、受けさせたいというのもあるのですが、その教育にかける時間とお金とが、実際に受けるときに、大手さんとかなりの差が付いてしまうのです。ですので、そこの助成をしていただきたいということ。

 あと、もう少し町工場にも有効である、本当の労働者というか、皆さんに。資格を取ることによって、これは日本の基盤技術の底上げにもつながっていくと思うので。今は3級と2級でものすごく格差があるのです。3級は本当に高校生向けで、2級に関しては、それこそ企業で働いて訓練を受けて、練習をしてというところにあるので、もう少しそこの基準の見直しなどもしていただけると、もう少し普及するのではないかと思います。

 

○小杉分科会長 ありがとうございます。その辺りは次の論点にかかっているのですが、では、少し踏み込みますか。

 

○伊藤能力評価課長 次の議題とも関連しますが、ただいま中小企業における技能検定の活用について御意見を頂きました。私どもも、中小企業従業員をはじめとする技能労働者の技能検定受検機会の確保、その活用は大変重要だと思っております。受検会場の設定その他の観点から、可能な限りの配慮をということで運用に努めているところですが、至らない部分については、御指摘も踏まえて更に改善をしたいと思います。

 検定のレベルの問題に関しては、今お話いただいたように、2級が中小企業従業員の方にとって少し難しいという指摘もあり、逆にこの部分は、実践性という観点で簡単ではないかという指摘を作業ごとに受けることもあります。私どもは各職種、作業、この難易度という観点も含め、定期的な見直しを行っております。ここはかなり各論に属する部分ですが、せっかくの技能検定が、より実践的で活用されるものになるようにということで、検定の中身もブラッシュアップしてまいります。

 技能競技大会についても御指摘を頂きました。技能競技大会は、選手の能力開発の目標ということだけではなく、技能振興という観点から運営している事業です。これを幅広く発信することは、御指摘いただいたように大変重要だと思っております。この技能競技大会の上位入賞者については、例えば、卓越技能表彰の要件にしたり、あるいは、その中でもチャンピオンクラスの方については、各省連携して内閣総理大臣表彰といった仕組みもあります。

 競技大会そのもののショーアップにも努めておりまして、今年の11月は全国大会が愛知開催ということで、過去最高の参加者数も見込まれ、地元では大変盛り上がっているのですが、全国レベルで言うと、確かにこの全国大会を大きく取り上げられる機会はなかなかに制約されていることも事実です。2年に1回の国際大会については、やはり特別なものとしての露出、PRはかなりできていると思うのですが、こういった全国大会の意義に鑑みての一層のPRにも、更に工夫をしていきたいと思っております。よろしくお願いいたします。

 

○上原委員 資料1-23032ページの、「諸外国の若年者に対する職業訓練」はよくできていると思うのですが、上ばかり見ていないで、もう少しアジアがどうなっているのかの辺りを入れて欲しい。それと、国柄の要約が要ると思うのです。ドイツなどは我々の認識では、先ほどの話と関連するのですが、職業選択のようなものは年齢的にジャッジが早いです。そういう要約を入れてもらって、どこを学ぶか。例えば、国ごとに交流があるのか、行ったり来たりというか、そういうものを日本が音頭を取るとか。国柄でいろいろ違い、終身雇用でない国も多分多いと思うので、そういう情報をもう少し広めて、参考にしたらよいと思います。

 中国などの例ですと、ハローワークなどはなくて、特にワーカーさんのレベルで、机と看板で公園で募集しているのです。そういうのもあるので、アジアのそれぞれのものを入れてみると参考になるかもしれません。例えば、ある機械を操作するということになると、実際にやらせてみて、できるかできないかで、すぐ採用するとかしないとかというレベルです。日本の方がある意味では丁寧なのかもしれません。「未定稿」とは書いてあるのですが、そういうことも含めてもう少し深掘りしていただければ参考になるのではないかと思います。

 

○吉永総務課長 交流ということになると、技能検定の関係ではワールドスキルズという国際組織もありますので、私どもとしても、中央職業能力開発協会を中心として交流している状況です。その中で、訓練についてもそれなりの交流もあるのだと思っております。

 その中で、幾つか先進国を中心にしてとりあえずまとめておりますし、あと幾つか北欧などの調査も並行してやっているところです。アジアの状況も、最新の状況がどうなっているのか、労働力供給の状況などが全然違いますので、その中でどこまで参考になるかということはありますが、可能な限り情報収集をしていきたいと考えております。

 

○諏訪委員 本当に根本なのですが、産業界のニーズは何でしょうか。ニーズを聞かれたことが余りないので。まずニーズがあって、そこに対するものだと思うのですが。

 

○吉永総務課長 ニーズというのもなかなか難しいのもあるのですが、私どもが職業訓練を担当して施策を展開しておりますが、訓練のための訓練というのはあり得ないので、最終的に就職をして、その企業の中で活躍していただく人材をどのように育てていくかということが課題だと思っております。そういう中で、どういう人材が必要かという辺りについて、1つ一番単純に言えば、今どういう職種で、どういう企業が採用していくのかということになるかと思いますので、そういう中で見ていくというのが1つあると思っております。

 私どもの取組の中では、資料の5ページで訓練コースの見直しという形でやっておりますが、能開施設の指導員が事業所を訪問してヒアリングを行うことが中心にはなります。その他、全体としての求人、求職の状況や、事業所数や従業員数という形での基礎データの辺りを見据えながら、今後、その地域において必要となるような人材像を位置付けながら開発していくことが、1つ中心になっております。

 逆に、在職者訓練のような形になると、今、施設で、ポリテクなどでやっているのは、むしろ企業あるいは業界から、こういうコースについて訓練してくれないかという具体的な要請を受けて、例えば金型であれば、金型の非常に精密な加工についてポリテクの中で指導を行うというような具体的なこともやっています。そういう中で、様々な要請を頂きながら、実際に企業で活躍できる人材を養成していくのが私どもの使命だと思っております。そういう中で、個別に諏訪委員の所にどういう人が必要ですかという形でお問い合せができていないところはあるかもしれませんが、産業界の中でどのような人材が必要か。

 

○諏訪委員 アンケートなどを実際に取っていただいて、本当にどういう人を必要としているのかをしっかり把握していただいた上で、いろいろ検討していただきたい。ハローワークさんなどの機関と、とても情報を密にしている所からの声だけしかないだとか、そうなってしまうと偏りが生じてしまうので、やはりニーズというものは的確に捉えていただきたいと思います。

 

○田口委員 おっしゃるとおりなのです。結局、今おっしゃったのは、これからの話ではなくて、既にやっていることですよね。訓練協議会の中でもやっているし、あるいは今ポリテクがとおっしゃったけれども、その現場の付き合いがある企業さんから話を聞いて、カリキュラムを作って、それで訓練して送り出す。これは今までやってきていることで、これから作っていくときに、もっと良いものにしようという話であれば、正に企業団体などをいろいろ巻き込んで一緒に議論して、組合も含めて議論するとか、あるいは今おっしゃったようにアンケートを取るとか、そういう具体的なことがあればあるほど、より良いものになるのだと思います。

 

○吉永総務課長 それについて私どもで非常に重視しているものが2つあります。既に御紹介したのですが、資料の6ページにあります業界団体との連携ということです。これは、本年の825日に日本機械工業連合会と高障求機構の中で協定書を結んだということです。この中で、具体的な人材について各業界団体との協定を、もとより日本機械工業連合会というのは連合会ですので、個別の傘下の具体的な企業を持っているというものではありませんが、ここから個別の企業に団体経由で、具体的にどういう人材が必要かということについてポリテクレベルで相談をさせていただければ、特にものづくりの分野であれば、かなり御協力できる部分もあるだろうということを、正にこれからやっていきたいというところです。

 包括的な協定ができたということで、これから具体的な協定をということで、先ほど、金型などで先行していると御説明しましたが、これをどんどん進めていきたいと思っております。個別の企業のアンケートなども当然やる必要はありますが、正に産業界のニーズを、こういう形で受けていくことは1つあると思っています。

 もう1つは、これも既に御説明したのですが、資料の3ページです。国と京都府とで連携して、職業訓練と就職支援に関して一体的に実施していこうと。雇用対策の協定は既に結んでいますが、訓練を含めた自治体との協定はこれが初めてです。もとより、国がポリテクなどで、ものづくりなどの先導的な訓練を行う。自治体、都道府県が施設型の訓練を行う。また、委託訓練という形で民間の教育訓練機関を活用する。それと別枠で求職者訓練のメニューがある。都合、4つのカテゴリーが大きくあるわけですが、それを地域のニーズにふさわしい形で、うまく調整していくことは非常に重要だと思っております。

 この中でも労使に参画していただきながら、具体的にどういう訓練メニューが必要か、定員をどうするかという辺りも含めて調整していく。大きな枠組みとしてはこういう枠組みがあります。これも、昨年の2月に初めて京都府と結んだものですので、正にこういったものが動き出している時期です。

 こういった、先ほどの日本機械工業連合会の取組との関係と、あるいは自治体との取組、こういったものを複合的に調整していくことで、正に産業界のニーズを踏まえた訓練を実施して、具体的にその訓練を行った方がその企業で活躍していただける、ということを目指していければと考えているところです。

 

○小杉分科会長 若干、意見を申し上げると、そういう継続的な関係は非常に重要で、1回限りで聞くのではなく、PDCAを回していくという意味でも、こうした協議会のような形で継続的な関係を構築していくのが一番大事なポイントではないかと思います。

 

○高橋()委員 資料の24ページの雇用型訓練について伺います。この資料にあるように、雇用型訓練は、有期実習型訓練はおよそ8割、実践型人材養成システムは96%と非常に高い就職率を示しています。こうした実績からしても、今後は雇用型訓練を、正規雇用の経験の少ない者を安定雇用に結び付ける方策としてしっかり位置づけ、より積極的に推進していくべきであると思います。

 その上で質問をすると、4万人という雇用型訓練修了者の実績は、おおむね制度創設時の見込みとおりなのか。また、雇用型訓練は、実態としては中小企業を中心に行われていると思われますが、企業別の雇用型訓練の実施割合について伺いたいと思います。

 

○塚本実習併用職業訓練推進室長 雇用型訓練の予算との関係ですが、まず、予算の実施状況という観点から申し上げます。まず有期雇用型訓練ですが、これについては平成25年度予算額9.6億円に対して、受講予定者数が1.5万人で、このときの計画、受付時点での試算額が55億円ということで、当初の目標以上の活用がなされるという状況です。

2つ目ですが、規模別で見ると、これは計画の確認件数ベースですが、中小企業の割合が99%といった状況です。

 

○高橋()委員 雇用型訓練は、99%が中小企業で行われているということですが、正規雇用の経験が少ない人を安定雇用に結び付けるという意味からしても、もう少し大企業で実施されることが望ましいのではないかと思います。この点について厚生労働省としても検討をお願いしたい。

 また、予算ベースでは、受付時点の試算額が55億円と当初目標以上であったということですが、これは有期実習型も実践型の双方で目標を超過しているということでよいのか。

 

○吉永総務課長 実際の支給額については、特に有期実習型については、平成255月に創設されていまして、それから募集して開始し、訓練修了後にお支払いすると。通常、6か月ぐらいのコースになりますので、そういう意味で、平成25年度予算枠についてはあまり消化できていない。実際には5,000万円ほどしか消化できていない状況です。ただ、実際には年度途中から始めていただいているところについては、今年度支給になりますので、そういう意味で、おおむね予定どおり、あるいは予定を上回る水準になるのではないかと思っております。

 ただ、全体として、雇用型訓練の実績から見ると、もう少し実施を増やしていくということも考え方としてはあると思っていますし、また、諸外国の例の資料を付けていますが、諸外国は、ある意味、雇用型訓練が訓練の中心になっている部分があります。やはりOJTOFF-JTを併せて実施するということ、先ほどのデュアルシステムの話も頂きましたが、そういうものが訓練として効果的であるということからすると、こういった枠組みをもう少し増やしていくということも、今後の展開としては期待できるのではないかと考えているところです。

 

○新谷委員 資料1-227スライドに、職業能力開発行政改革検討チームの報告書が掲げられています。労働側から再三申し上げているように、労働行政の中でも、職業安定行政については全国津々浦々、ハローワークというネットワークが張り巡らされているのですが、能力開発行政については地方拠点が不十分であると言わざるを得ないと思います。先ほど申し上げた専門実践型教育訓練が労使の保険料を財源として今年10月よりスタートしましたが、専門実践教育訓練の開始により能開行政の内容が変質し、本当にユニバーサルサービスとして能開行政を展開する必要性が高まっていると思います。そういった意味で、能開行政の地方における強化に、是非取り組んでいただきたい。

 それに関連して、27スライドに、地域訓練企画協議会を設置するという提案がなされています。この協議会の構成を見ると、訓練機関、有識者、産業界とは書かれているものの、労使団体の代表が参画するということはどこにも記載されていない。求職者支援制度の地域訓練協議会は労使団体の代表が入ることとされているのですが、地域訓練企画協議会の構成員に労使団体の代表が入っていないのはなぜか。この理由についてお聞かせいただきたいと思います。

 

○吉永総務課長 この書きぶりは、基本的には先ほど御紹介しました京都府の事例を参考としつつ記載しているものです。その中で、京都府で正にこういう議論が先行しているというものを、各都道府県に展開できないかと。そういう意味で、その第一歩として、来年度、都道府県の労働局に職業能力開発担当の職員を配置しようという形で、今、作業を進めているところです。

 その構成については、これから最終的な調整に入りますが、京都についても、産業界の代表という形で労使に入っていただいているという状況ですので、これが1つ参考になる事例ではないかと考えているところです。何とぞ御協力いただければと考えております。

 

○小杉分科会長 時間になりましたので、ここでこの議論については打ち切らせていただきます。

 続いて、資料2について事務局より説明をお願いいたします。

 

○伊藤能力評価課長 論点の「新たな職業能力評価制度の構築について」、資料2について御説明します。2-1の論点と2-2のスライドが必ずしも11で対応していないので、資料2-2に基づき能力評価制度、その活用状況、課題等について概要をかいつまんで御説明します。

 最初のページですが、現行の能開法体系での評価制度の全体像です。国家検定である技能検定制度を中心としつつ、それを補完する大臣告示に基づく認定技能審査、認定社内検定といった検定制度があり、更に検定そのものではありませんが、そのベースともなる能力評価基準、多くはこうした4つの仕組みが現行の評価制度の中心となっております。

 それぞれ具体的に説明します。2ページ、「技能検定制度の概要」です。昭和34年から半世紀余り運用されております。この性格を一言で言うと、「技能の程度を検定し、公証する国家検定制度」という位置付けで、その社会的効果は名称独占資格として分類されるものです。現行128職種で実施され、下のグラフにもありますように直近で72万人の受検申請、30万人弱が合格といったボリューム観で、累計では延べ数で500万人以上の方が技能資格を取得しているという現状です。

3ページに、この制度の沿革、これまでの産業活動の変化等を踏まえ、実施体制・評価方法等逐次見直しを図ってきておりますが、最近の大きなエポックとしては、平成13年に導入された指定試験機関方式、一定の要件を満たす民間機関がこの検定の一部の業務を行うという仕組みの導入です。

4ページです。より具体的には、国家検定ですので、制度の主体は国、厚生労働大臣ですが、指定試験機関方式は、実施体制及び実施計画両面で一定の要件を満たす、ここにある事業主団体、公益法人、労働組合、その他の非営利法人が技能検定試験の業務を行うことができるといった仕組みです。具体的には現在14の職種で、下の表に掲げられている各公的団体が指定試験機関としての役割を担っています。

5ページです。この指定試験機関方式を前提に、また平成17年行革の重要方針などを踏まえ、検定の職種についてニーズに応じた設定や改廃を計画的に実施してきております。「受検申請者数実績に基づき」と書いておりますが、おおむね年間受検者100人が1つの基準になっております。加えて、関係業界団体の意向を十分に聴き取りした上で、計画的な統廃合を行うということです。ここにあるような実績が特に低いものの廃止・統合もありますし、特にニーズが高いものについては、近年は指定試験機関方式によっての新設等を行い、全体としては少し絞り込み加減です。「職種」の下位概念である「作業」についても、これに順じた見直し、Scrap and buildを実施しております。

 こうした見直しをした現在の検定職種の全体図を改めて俯瞰した資料が6ページです。大きくは「建設分野」「製造分野」「サービス分野等」という分類が可能です。赤の網掛け部分が、指定試験機関方式で実施しているものです。サービス分野を強いて分けるとすれば、サービス技能職、製造建設ではないけれども仕事の中身は技能系、あるいはいわゆる知的専門職と呼ばれるようなものと、対人的な性格が強いものという分類が可能ではないかということです。ただ、この分類は飽くまでも相対的なもの、仮のものということで補足します。先ほど申し上げた500万強の延べ数の内訳は、建設が25%、製造が43%、合わせて7割弱です。サービス分野が3割強、純粋対人サービスという意味ではごく少数にとどまっております。

 検定の具体設計に関わる資料が次のページ以下です。能力開発の目標・動機付けが検定の狙いということで、それに応じたグレードの設定をしております。当初は1級、2級のみでスタートしましたが、現状では中級相当の2級、初級相当の3級、ここを合わせると受検申請者で8割強で、この辺りがかなりのボリュームゾーンになっております。

 検定の方法は、大きくは知識を把握する「学科試験」、技能を把握する「実技試験」の二本立てです。実技試験については職種の特性に応じた様々な手法を用いていますが、9割近くの職種・作業では典型的な実技試験である作業試験、実際に物の製作・組立て、知的専門職等ではロールプレイングや面接といった手法を中心としながら、様々な制約の下で可能な限り実践的な能力評価をする、というコンセプトでの運営見直しを図っております。

9ページです。技能検定の近年の具体的な取組の重点としては、若者の活用促進という点があります。若者の人材育成、あるいは技能分野の人材確保等の観点から、平成5年に3級のグレードを創設し、学校や訓練施設在籍者でも受けやすいように、受検試験の緩和も順次図ってきました。そういったこともあり、現在、都道府県方式では36の職種が対象ですが、グラフにありますように受検申請全体としては横ばいの中で、3級については増加基調。文科省とも連携をし、学校教育の中での3級技能検定の位置付けも相当進んできております。

10ページです。今申し上げたような技能検定の様々な取組を踏まえての企業側での活用状況、あるいは評価についてです。技能検定を知っているという事業所は、製造・建設で全体のアベレージよりも多いということです。もともと目的としている職業能力向上に役に立つという評価は、8割以上の事業所から頂いておりますが、採用・配置転換・昇進等での活用はそれよりは回答率がかなり低く、別の調査で実施している「採用に当たって技能士であることを考慮するか」という観点では、考慮の割合が4分の1程度ということで、この辺りの活用はまだ限定的です。こういった外部労働市場における活用促進の在り方が、今後の課題の1つであろうと思っております。

 今申し上げた技能検定が、改めて労働市場全体でどの程度カバーしているのか。どれだけ受検に合格しているのかを抜きにして、技能検定の128職種がどれだけの就業分野をカバーしているのかを国勢調査に基づいて試算したものです。全体としては、128職種で3割程度カバーしています。ただ、分野によりかなり偏りがあり、ものづくり技能では8割とかなりの部分をカバーしていますが、対人サービス分野、先ほど申し上げたようにこの定義自体まだ未確定で要精査ではありますが、2割程度と、かなりのばらつきがあるという実態も認められます。

 技能検定以外の主な検定制度、認定技能審査及び認定社内検定の概要については、それぞれ12ページ、13ページにあります。事業主団体等々が実施する、特定地域のみに存在する職種などを主な対象とした認定技能審査では延べ5万人合格、認定社内検定は企業特有の技能などを対象としたもので、延べ18万人が合格といった実績です。

14ページです。能力評価基準、検定そのものではありませんが、今申し上げたような各種の検定の反映、それぞれの企業でのカスタマイズ、人事・教育訓練での活用を期し、52の業種での開発がなされております。この間も分科会で御指摘がなされているように、今後の活用促進という観点での一層の工夫が求められていると認識しております。以上が現状です。

 後半は、最近の見直し、議論に関わる幾つかの資料があります。15ページ以下には、4月の分科会で御報告した昨年度の能力評価制度の在り方研究会の報告書概要をお示ししております。既に一度御説明しているので、ここは割愛します。

17ページです。改めてポイントだけ触れますと、技能検定は生命・安全確保等の観点からより厳格な能力評価が必要であったり、そういった能力評価の必要性が相対的に高いものづくり技能職等の分野で主に設定・運用されてきました。逆に言うと、サービス分野ではこれまであまり技能検定等が設定・運用されていませんでしたが、こうした分野が今後の雇用吸収力があり、非正規雇用労働者のキャリア形成上の課題が顕在化しております。こういった分野を重点に、新たな検定が必要ではないかということを御議論いただいて、業界団体が主体となり、採用や人事での活用方針を明確化した上で、階層性、多様で実践的な評価方法、教育訓練との一体性といったコンセプトを備えた実践的な検定を開発・運用し、それに国が質保証等の観点から関与する仕組みを作った上で、教育訓練プログラムと効果的に組み合わせた運営が望まれる、といった趣旨の提言を頂きました。

18ページです。「日本再興戦略」の中でも、今申し上げたような意味での業界検定等の整備の必要性が謳われており、本年の改訂版の中でもサービス分野等における実践的な業界検定の計画的整備・拡大、教育訓練との一体運用の必要性といった政府方針が示されております。

19ページです。前回御報告した先の在り方研究会報告書の中でも、今申し上げたような業界検定に相当する外部労働市場でのキャリアアップ等に資する能力評価制度構築の必要性、また、こうした検定制度の運用に当たっての幅広い関係者の参画、階層性、企業独自の検定との組合せ、ジョブ・カード等との連携の下での能力見える化促進といったコンセプトについても御指摘を頂きました。

20ページです。業界検定に関しては前例がほとんどないので、まずはモデル事例を創出する必要性があるということで、サービス分野、雇用吸収力ある業界団体からの企画競争といった形で、本年度から2年計画で「業界検定スタートアップ支援事業」に取り組んでおります。流通等4つの業界団体が主体で、現在、ここにあるような能力評価ツールのコンセプト明確化、開発、作業の緒に就いております。このたびの概算要求の中でも、その拡大整備に係る内容を盛り込んでおります。

22ページです。今申し上げた現行の職業能力検定制度の全体像です。縦軸は、評価する能力そのものの性格という意味で地域・業界横断的であるのか、あるいは地域・企業特性が高いのかを表す軸です。横軸は、これは評価指標に密接に関連しますが、場面設定等によるパフォーマンスの差が比較的出にくいものが左側で、顧客ニーズに応じてパフォーマンスの差が比較的出やすいものが右側です。こういった軸を設定すると、当然、各制度の性格に応じて技能検定が一番上に来て、その下に技能審査、社内検定といった位置付け関係になります。

 対象分野という観点では、先ほどカバレッジデータで申し上げたように、現行の技能検定はものづくり技能、あるいはサービス技能等が中心的な対象となって、赤い点線で表示しておりますが、対人サービス分野においては、業界横断的な職業能力を測る公的検定の仕組みについては全体として未整備です。こういった点についてどのように考えるのかといった点も、今後御審議いただくに当たって大きな論点ではないかと考えております。

 資料2-1に戻ります。これまでも様々な見直しは進めてきましたが、産業ニーズの変化に即応した技能検定をはじめとする能力評価制度、対象分野、評価方法の在り方についてどのように考えるのか。データにも一部出ているように、技能検定制度でカバーしきれていないサービス分野等を重点とした労働市場でも活用可能な評価制度の構築の在り方についてどのように考えるのか。現状では、指定試験機関方式や社内検定等がそれに相当することになるかと思いますが、こうした企業・事業主団体等が行う検定についての国の支援の在り方をどのように考えるのか。更には、こうした検定制度について、必ずしもこのような観点からの技能検定等の活用は十分ではないわけですが、就職あるいはキャリアアップ等に資するという観点からの技能検定を含めての評価制度、その活用促進の在り方についてどのように考えるのか。こういった点について、御審議いただくに当たっての参考資料として、論点案としてお示ししております。よろしくお願いします。

 

○小杉分科会長 それでは、ただいまの説明について御質問、御意見を伺います。

 

○豊島委員 資料2-2の頭のページに、職業能力評価制度の概要が記載されています。この点について、先ほど新たに緒に就いた段階であるとおっしゃった業界スタートアップ検定と、1ページに記載のある4つの職業能力評価制度との関係はどうなっているのか。

 また、意見を申し上げると、技能検定、認定技能審査、認定社内検定、職業能力評価基準と様々な職業能力評価制度が整備されてきましたが、これらの制度はユーザーにとって分かりにくくなっているのではないかという印象を受けます。

 さらに、認定技能審査の箇所には、「13年に14業種を廃止、うち3職種は指定試験機関制度による技能検定へ」という記述があります。その下に、認定技能審査は8団体9職種が実施しているとありますが、新たな指定試験機関制度による技能検定と認定技能審査の実施機関は重複している所もあるのではないかと思います。もしそうであるならば、この点も資料として明らかにすべきと思います。

 加えて、今回、産業界のニーズに即応した職業能力評価制度を新たに作るということが示されています。この点については、業界団体と一緒に策定作業にあたるということですが、業界団体が主体となって作り上げた検定については、きちんと国が権威付けすることが重要であると思います。ニーズに即応した職業能力評価制度は、労働者としてもそれを活用するモチベーションがあがるでしょうし、企業側にとっても活用しやすいので、ニーズを具体的に把握して作り上げるという過程が重要です。その上で国が権威付けするという方向で実行に移していただきたいと思います。

 また、私は、能力評価の理想系の1つが認定社内検定であると思うのです。認定社内県愛知は、採用した労働者に、OFF-JTOJTを行い、資格を与える。その上で、それを評価して報酬につなげるというサイクルが、認定社内検定では構築されているのではないかと思うのです。

今後、業界検定を作る、あるいは今ある業界検定を見直すとしても、訓練ニーズから訓練カリキュラム、更には訓練を通じたスキルアップ、そして適正な能力評価を通じた資格の付与、そして処遇改善といったサイクルが一番の完成形であり、それを目指すべきであると思うのです。技能検定で行っても、社内で技能を磨いて、検定を受けて、その合格を通じて社内での評価が高まり、それが処遇の向上につながり、ひいては会社の企業価値が向上していくといった一体的なサイクルのイメージが重要なのです。抽象的な言い方で申し訳ありませんが、そういうアプローチをお願いしたいと思っています。

 

○高倉委員 スライドの21ページで「業界検定スタートアップ支援事業による業界検定」について質問をしたいと思います。今、豊島委員から企業や労働者のニーズという話がありましたが、スタートアップ検定は外部労働市場でも有効に活用ができるという目的で提起されています。しかし、企業側からすれば、自社の中でのスキルアップを図って優秀な人材を確保することが第一目標で、外部労働市場を意識しているわけではない。そうした中で、スタートアップ検定が、本当に企業のニーズがあった上での提起なのかどうかを教えてください。

 

○伊藤能力評価課長 全体として端折った説明で、説明不足な部分は大変恐縮です。

 現行制度の関係について、先に補足説明をいたします。1ページを御覧ください。認定技能審査に関して、先ほど説明を割愛しましたが、平成12年行革大綱に基づいて、いわゆる公益法人に対するお墨付きを廃するという全体共通の考え方の下で、この技能検定制度に関して新規の認定をストップしたと。ただ、それまで運営されているものまで廃止はしないという考え方で、引き続き制度として残っている状況です。そういった中で今現在運用されているのが、この資料にもある8団体9職種です。

 その際の考え方として、今後、仮に認定技能審査に相当するようなニーズがあった場合には、その翌年(平成13)に、技能検定の新たな実施形態である指定試験機関方式での実施が可能な場合が多いであろうという考え方もあって、今のような判断がなされたわけです。この指定試験機関方式に関しては、技能検定の実施体制、実施形態の一部です。指定試験機関方式以外のものは都道府県が主体となり、都道府県の自治事務という位置付けで現在運用されています。我々が都道府県方式と言っているものが、128職種のうち114職種、指定試験機関方式が14職種ということで、全体の各検定制度の関係としてはそのようなことになっております。

 業界検定に関して両委員から御指摘、あるいはお尋ねを頂きました。業界検定に関しては、これを受検し活用する側のモチベーションにつながる、それぞれの企業においても有効に活用されるべきものということは、もちろん私どもも認識しておりますし、そういう観点からのモデル事例の創出、あるいは今後、制度検討がなされるべきものと思っております。

 先に、それぞれの業界で本当にこれを活用しようという意図での取組がなされているのかということを申し上げると、「業界検定スタートアップ支援事業」については企画競争方式、それぞれの業界団体においてこの検定開発のコンセプトだけではなくて、その検定開発の暁には、それぞれの業界団体及び会員企業において採用人事その他の観点から積極的に活用していくと。必ずしも具体の細目まで決まっているわけではありませんが、そういう方針も合わせて応募・提出をいただいて、その中での選定ですので、会員企業の中での若干の濃淡はあり得るかと思いますが、全体として言うならば、当該業界団体又は会員企業の中でこの検定を積極的に活用していくという意思の下で取り組んでいただいているという状況です。

 また、業界検定と社内検定との関わりについてもお話いただきました。それぞれの企業における実践的な能力評価という観点では、ある種の究極形が認定社内検定、あるいはそれに相当する仕組みであろうということは私どもも認識しておりますし、それぞれの企業の細部にわたる様々な工夫を検定に反映する、それぞれの人事に結び付ける意味では、この認定社内検定はここにある45団体企業では有効に活用されると思っております。

 ただ、認定社内検定の場合、仮に労働移動の場面になったときに、他社にどう評価されるかという問題があります。また、認定社内検定は基本的にはそれぞれの企業が開発を行って、要件を満たせば大臣が認定する仕組みですので、評価の手法に労働市場や職務内容の特性に応じた最もふさわしい評価指標がしっかり盛り込み得るかどうか、開発の体制の開放性といった観点では、一方では限界がある。そういう意味では、業界検定か認定社内検定かの二者択一というよりは、それぞれの目的に応じて必要な検定が開発され、必要に応じ組み合わせて活用される姿をイメージしながら、そのブラッシュアップの方向性についても内部でも議論しているということです。

 次に、最初にお尋ねがあった業界検定コンセプトと現行の検定制度の関係です。詳細はこれからの話ですが、昨年度の能力評価制度に関わる研究会の中では、この業界検定に期待される役割との関わりで言うと、例えば対人サービス、顧客ニーズに応じた対応、実践的な能力を、今の技能検定制度の学科試験・実技試験の評価方法の枠組みのみで評価できるのかという課題。また現行技能検定制度の指定試験機関に関しては必ずしも事業主団体ということではなく、企業が母体となりつつも、能力評価のために専門特化をした団体が運営をしているケースも多々あります。そういった意味では、検定そのものが有用なものかということと、その検定が継続的に採用や人事の局面でも活用されるか。それをある種裏打ちをするような実施体制の確保が必要ではないかという趣旨の御提言を、これまでの研究会でも頂いております。そういった方向性も踏まえながら、私どもとしても更に制度設計について検討するとともに、本審議会において御審議いただければと考えております。

 

○小杉分科会長 いかがですか。

 

○大久保委員 質問を2つほどさせていただきます。これまでの議論の中で、職業能力評価と訓練は車の両輪のようなもので、そこが密接につながっていくことが重要であるというお話が以前にもあったと思いますが、現在の技能検定の128職種と公共職業訓練との関係はどうなっているのかというのが1つです。

2つ目の質問は、技能検定については、例えば採用のときの1つの要素になるとか、社内での評価の要素になるという部分はまだ弱いというお話がありました。認定社内検定も123職種ありますが、認定社内検定はその会社における非正規の人の正社員登用や昇進・昇格に活用されているのかどうかということで、以上の2つをお聞きしたいと思います。

 

○伊藤能力評価課長 1点目の現行制度における技能検定と職業訓練との関連付けですが、現行制度上は大きく3つほどあります。1つは、技能検定の受検要件として、公的職業訓練修了を位置付けています。公的訓練修了者の方が、他の受検要件である職務経験年数について短期でも、あるいはゼロでも受検できるといった形で、公的訓練修了者が技能検定を受けやすいような措置を形成しております。

 逆に技能検定合格者に関しては、職業訓練指導員の要件の中に位置付けられています。さらに、能開法の中で技能照査、技能士補という仕組みがあり、一定の要件を満たす公的職業訓練等修了した方について、修了の段階で技能照査を実施した上で、技能士補という称号を付与するとともに、こういった方に対して技能検定に関し学科試験を免除する仕組みがあります。こういった観点からも、公的訓練修了者をできるだけスムーズに技能士に結び付けていくと。公共訓練だけでなく、最初に説明のあった認定訓練修了者についても、同じような形で技能士への結び付けが図られているケースがあります。

 もう1点の社内検定の活用実態ですが、これは本当に千差万別で、総じて言えば、多くの認定社内検定を運用している企業では、正社員を主に受検勧奨、あるいは合格した場合の評価をするという活用の仕方が大宗です。非正規雇用労働者の方々を対象に、積極的に社内検定の受検を提供し、それを雇用形態や処遇等に反映しているケースは、現状ではまだ少数という認識です。

 

○豊島委員 スライド11ページにある技能検定のカバレッジについて、ものづくり分野は8割で、対人サービス分野は2割というご説明をいただきました。しかし、ものづくり分野の8割というカバレッジについても、詳細な分野ごとにばらつきがあるのではないか。もしばらつきがあるのであれば教えていただきたい。また、それを分析してどう評価するかということもお聞かせいただければと思います。

 もう1つ、技能検定で複数の検定に合格した方がいらっしゃいます。こうした方については、より上位級を持っている方として複合技能士といった形で特別に資格を与えていくことも必要なのではないか。そうすることによって労働者側のモチベーションも向上するとともに、企業側にとっても能力判断がしやすくなるのではないかと思いますので、検討していただきたいと思います。

 

○小杉分科会長 後半は要請ということでお聞きして、前半については次回、資料を出していただければと思います。

 

○伊藤能力評価課長 データはありますので、次回以降お示しします。

 

○上原委員 資料2-12番目のポツで「対人サービス分野等を重点に」ということですが、これは相手が人ですから、大変難しいと思うのです。あまりマニュアル的にやられても、価値が含む問題ですから、この辺りをどのように考えていくのかは大変難しいと思います。

 

○伊藤能力評価課長 今、委員から御指摘いただいたように、対人サービス分野の能力評価、あるいはその前提となる人材像、求められる能力の特定の仕方は大変難しいと思います。これは従来の課題でもありますし、今年度のスタートアップ支援事業での検討で既に具体化している中でも、私どもも実施団体も共通の課題として認識しております。今、議論している中では、従来型の作業試験にとどまらず、課題や評価方法を工夫したロールプレイ、あるいはそれぞれの現場での何がしかの方法での実際の対人対応の場面の評価、上司・顧客の評価など、いろいろな手法の組み合せが必要であろうと考えております。今後、このスタートアップ支援事業の進捗を通じ、こうした実践的な評価手法についても一定の方向を見出し、御報告できればと思っております。

 

○小杉分科会長 時間も迫っておりますので、あとお一方だけお受けします。

 

○田口委員 4ページですが「指定試験機関制度について」、平成13年度から民間機関が、技能検定試験の全部又は一部の業務をやられているので、その現状、これまでの制度から変わってどういうところが良いのか、その中で出てきている運用上の問題点などについて、資料を出していただければと思います。我々も建築大工について、日本工務店協会(JBN)という団体があるのですが、そこと共同事業で指定試験機関の認可の作業を開始しようと思っておりまして、是非よろしくお願いします。

 

○小杉分科会長 それでは、次回用意してください。

 

○伊藤能力評価課長 はい。

 

○小杉分科会長 それでは、この議論はここまでとして、もう1つここでお伝えすることがあります。今回までの議論を踏まえて、「地域若者サポートステーション」の在り方等若者の職業能力開発については若年労働部会で御議論いただくことになっておりますので、この点は御了知ください。

 次に報告事項として、議題2「第9次職業能力開発基本計画のフォローアップについて」の説明を事務局よりお願いします。

 

○宮下総務課調査官 資料5を御覧ください。本計画は、平成23年度から平成27年度までの5年間の計画で、現在4年度目ですが、これまでの進捗状況について報告します。

 計画の全体像は参考資料3にありますが、8つの柱を立てており、それぞれの柱ごとにこれまでの実績をまとめています。計画そのものには数値目標が示されていないので、どの程度進捗しているのか定量的に示すことは難しいのですが各項目の「計画の内容」の列に「進捗状況」という記述を加え、状況が分かるような体裁としました。

1「成長が見込まれる分野・ものづくり分野における人材育成の推進」ですが、2ページのマル2人材ニーズの把握、訓練カリキュラムや指導技法の研究開発に関し、261科を見直し、3ページのマル4大学等教育機関との連携強化に関し、成長分野における訓練カリキュラムを6コース開発、6ページのマル2環境・エネルギー分野等の新しい分野の訓練の拡充に関しては、16校のポリテクカレッジで「電気エネルギー制御科」を設置するなどの実績があります。その他、各種訓練なども国と都道府県が役割分担しながら年度ごとの表を付けておりますが、そちらのとおり実績を積んでおります。

2「非正規労働者等に対する雇用のセーフティネットとしての能力開発の強化」ですが、7ページの(1)マル1の年度計画の策定に関し、毎年度、年度計画を策定しており、これまでの期間は達成済みと考えます。8ページの(2)2のセーフティネットの創設についても、平成2310月に求職者支援制度を創設し、達成したと考えております。(3)ジョブ・カード制度の普及促進に関しては、平成32年までに300万人という目標に向け、今回の計画期間中も更なる取組が必要と考えます。

3「教育訓練と連携した職業能力評価システムの整備」ですが、11ページのマル1の「実践キャリア・アップ戦略」の構築に関し、平成235月に基本方針を策定し、平成255月からの段位のレベル認定を開始済み、12ページのマル2職業能力評価基準の普及・促進、13ページのマル3の技能検定制度の見直しも、それぞれ順調に進捗していると考えております。

4「職業生涯を通じたキャリア形成支援の一層の推進」ですが、14ページのキャリア・コンサルタントの養成人数や教育訓練給付の受給者数の増加、16ページのキャリア形成促進助成金等の支給件数、17ページの職業能力開発サービスセンターによる助言指導・情報提供数の増加等から、こちらも順調に進捗していると考えております。

5「技能の振興」ですが、19ページのとおり、各種の技能競技大会を毎年開催し、20ページの若年者への技能の魅力の紹介に関しても、魅力を伝える「ものづくりマイスター」の認定者数が平成25年度の目標数を達成しております。

6「特別な支援を必要とする者に対する職業能力開発の推進」ですが、21ページから23ページの各年度ごとの表のとおり、各対象者と就職率、進路決定者数も増加しており、順調に進捗していると考えております。

7「職業能力開発分野の国際連携・協力の推進」ですが、24ページのマル1の発展途上国への訓練指導員の派遣や、マル2の日本型技能評価システム構築の支援は順調に進捗しておりますが、マル3新たな技能実習制度の適切な実施に関しては、今後更なる適正化を進めるため、管理監督体制の抜本的強化等、その見直しに現在取り組んでおります。

8「我が国全体の職業能力開発プロデュース機能の強化」ですが、26ページの(1)職業能力開発のビジョン・訓練計画の策定に関して、マル1マル2ともに実施済み、27ページから29ページまでの(2)企業による労働者の能力開発の支援に関しても、厚労省のホームページでの情報提供や民間教育機関に対するガイドラインの策定、ハイレベルの訓練指導員を養成する訓練の実施など、順調に進捗しているものと考えます。以上です。

 

○小杉分科会長 それでは、これについて御質問、御意見を伺いたいと思います。

 

○高橋()委員 1ページから「成長が見込まれる分野・ものづくり分野における人材育成の推進」ということで、いわゆる「攻めの人材育成」に関する記述がありますが、これまでの実績は記載されているものの、3カ年経過後の評価や今後の課題についての記述がない。この点について是非お示しいただきたい。

 また、資料510ページにキャリアアップ助成金のことが触れられてお、その中でも雇用型訓練のうちの有期実習型訓練で、1798人が平成26年度7月末までに受講したとされています。しかし、現在の非正規労働者の数は1,900万人もいるのです。キャリアアップ助成金は非正規労働者のキャリアアップにつながるものなので、これについて十分に効果が発揮されるよう、情報の周知と助成金に基づく訓練の促進、さらには着実な予算執行をお願いします。

 

○小杉分科会長 これは後で評価・課題をまとめられるということですか。

 

○吉永総務課長 第9次の計画については、平成23年度から平成27年度までの計画になっております。この間いろいろな制度改正もあるので、そういうものも踏まえた形で、第10次の計画に向けて御指摘の点を踏まえた対応をさせていただければと考えております。

 

○高倉委員 スライドの25ページの技能実習生に関してですが、○の2つ目にフォローアップの調査結果が記載されております。これは有効回答数が1,810件で、技能実習生が11,731人ですから、有効回答率が15.4%しかないので、これで十分な検証がなされるのかということには1つ疑問があります。

2つ目には、法務省令の中には、入国して3年後には技能検定3級に相当する技能等が適切に取得できるものとするという規定がありますが、実際に今の受検率は1%下回っていると聞いております。そういった中で、外国人技能実習制度の抜本的な見直し、これは「日本再興戦略」の改訂版にあるわけですから、今それが進められようとしているわけですが、これはこの制度の理念と照らし合わせて真に効果を上げているのかどうか、十分な検証をまず行ってから抜本的な改革を行うべきだろうと思います。対象職種の拡大ありきとか、そういうことではなくて、必要な事項については見直しも行うという姿勢で、今後の抜本的な見直しに臨んでいただきたいという要望です。

 

○吉永総務課長 有効回答率が非常に低いというのは、御指摘のとおりです。これは調査のやり方が帰国してからやっているので、なかなか督促等も難しい状況の中でこういう回答率になっているということです。これについてはいろいろ工夫をしていかなければならないと思っておりますが、帰国した後の状況で確認するという手法からすると、期待されるような回収率にならないのが現状です。

2点目については、3級の受検率が非常に低いということですが、これは基本的には目標になっているという中で、低いことについてどう考えるのかということです。技能実習制度については、今、全体的な見直しの議論を進めておりますが、対象職種の拡大ありきということではなくて、まず現状の問題点をどういう形で解消していくのか、特に管理監督の観点をどういう形で考えていくのかをメインとしつつ、研修の実績が上がる形、今御指摘いただいた、3級の受検の促進といったものも含めた形での議論が当然必要だと私どもも認識しております。そういう中で見直しの作業を進めていきたいと考えております。

 

○高橋()委員 スライドの1ページに、「成長が見込まれる分野の人材育成」ということで、計画は分かるのですが、進捗の状況についてどこにも何も情報がないのです。子育てでも介護福祉でもいいのですが、その人材育成をどうやられているのかに関するインフォメーションが何もないのは、非常に違和感を持ちます。他にもいろいろあって、何を申し上げたいかというと、間もなく第9次が終わるという段階で進捗状況を御報告いただくのであれば、現時点において既にスムーズにいっているものもあれば、まだ課題を残して現在、途上のものもあると思うのです。ですから、単に実績がどうだというだけではなく、行政としてそれぞれの分野についてこういう点がまだ未達であったり、課題であったりといったことも合わせて記載をして資料を作っていただきたいというお願いです。

 

○小杉分科会長 これは豊島委員がおっしゃったことと同じですね。

 

○吉永総務課長 今後の作成に当たっては、留意して作っていきたいと思っております。計画自体が余り定量的にどうこうというものになっていないので、このような形になっておりますが、今後の課題が分かるような資料にしていきたいと考えております。

 

○小杉分科会長 時間ですが、他にございますか。ないようでしたら、この議題はここまでとします。

 そのほか、皆様から何かございますか。特にないようでしたら、本日の議論は以上とします。次回以降の日程については、改めて事務局から連絡をいたします。本日の議事録署名委員は、労働者側は高橋委員、使用者側は大隈委員にお願いします。

 それでは、本日はこれにて終了いたします。どうも御協力ありがとうございました。


(了)

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