ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 厚生科学審議会(厚生労働行政の推進に資する研究に関する委員会)> 第2回 厚生労働行政に資する研究に関する委員会 議事録(2015年2月24日)




2015年2月24日 第2回 厚生労働行政に資する研究に関する委員会 議事録

厚生労働省大臣官房厚生科学課

○日時

平成27年2月24日(火) 9:30~11:15


○場所

厚生労働省専用第20会議室


○出席者

委員

松谷委員長
大久保委員、岸委員、齋藤委員、中村耕三委員、中村利孝委員、
吉倉委員、若林委員

○議題

1.報告書について
2.その他

○配布資料

資料1 総論(素案)
資料2 各論(素案)
参考資料1 健康・医療戦略の概要等
参考資料2 厚生労働科学研究費について
参考資料3-1 平成26年度厚生労働科学研究費補助金 採択課題一覧
参考資料3-2 平成26年度厚生労働科学研究委託費 採択課題一覧(平成27年度よりAMED研究費)
参考資料4 予算額及び採択件数の推移

○議事

○中山研究企画官

 定刻となりましたので、「第2回厚生労働行政の推進に資する研究に関する委員会」を始めたいと思います。

 本日はお忙しいところ、朝からお集まりいただきましてどうもありがとうございます。本日は2名の委員から、御欠席の連絡を頂いています。金子先生は御欠席です。

 続いて、本日の会議資料の確認をしたいと思います。議事次第の後に、資料1として総論(素案)、資料2として各論(素案)というものがあります。その後に参考資料1、参考資料2、参考資料3-1、参考資料3-2、参考資料4となっております。ないものがありましたら随時お知らせください。

 以降の進行については、松谷委員長にお願いしたいと思います。

○松谷委員長

 お二人の委員は、遅れていらっしゃるということでよろしいですね。

○中山研究企画官

 遅れて来られると思います。

○松谷委員長

 議事に入る前に、前回の委員会で御指摘のあったことについて、事務局から説明があるということですので、お願いいたします。

○中山研究企画官

 それでは、参考資料14を御覧いただければと思います。前回御指摘いただいたことを踏まえ、全般的な説明をさせていただきたいと思います。今回話題にしておりますのは、最近「AMED」と呼んでいる日本医療研究開発機構に集約される研究費と、一方で、そこには集約されないで、厚生労働省で引き続き実施する研究の2種類があります。この引き続き実施するほうの研究の重要性を再度まとめていこうというのが、今回のこの委員会の趣旨です。一方で、AMEDに集約されるほうについても、どういった流れであったかというところを再度確認するということで、まずは説明させていただきたいと思っております。

 この12年の中で、いわゆる健康・医療戦略の推進というのが、政府全体として進められてきました。その根本となるものとして健康・医療戦略推進法というのができており、それが参考資料1のポンチ絵です。

 健康・医療戦略推進法とはどういうものか。法の目的としては、世界最高水準の医療の提供に資する研究開発等により、健康長寿社会の形成に資することを目的としています。その中身の骨格となるものとして、健康・医療戦略推進本部を設置します。この後の資料に出てきますが、これは本部長を総理とし、全閣僚が入っている推進本部です。この中で健康・医療戦略の案を策定し、実施の推進をします。さらに、その健康・医療戦略に基づく医療分野研究開発推進計画、いわばAMEDに集約される研究費を、今後5年なり10年といった単位でどうやって進めていくかという計画を作成するという使命があります。また、医療分野の研究開発等の資源配分方針、つまり、限られた予算の中でどういった配分をするかということを決める。さらに、新独法の理事長・監事の任命、中期目標の策定をやるというのが、健康・医療戦略推進本部の使命となっております。

 また、推進法の中では、健康・医療戦略を閣議決定で決めるとか、医療分野研究開発推進計画を、この推進本部の本部決定で行うことも法律で決まっています。それらに基づいて、いわゆる「AMED」と呼ばれている、独立行政法人日本医療研究開発機構が設置されて、そこで実施されるということです。

2ページが、健康・医療戦略の推進体制についてです。健康・医療戦略推進本部とはどういうものか。内閣総理大臣を本部長とし、その他閣僚の皆様方がおります。ここで、今申し上げたようなことを決めるという体制になっております。その他政策的助言をするために、健康・医療戦略参与会合というものがありますし、専門的調査を行うために、健康・医療戦略推進専門調査会というものも設置されております。

 健康・医療戦略推進本部は閣僚の皆様方なので、実務的な決定をする組織として健康・医療戦略推進会議というものがあります。議長は健康・医療戦略担当大臣ということで、現在は甘利大臣がやっております。構成員としては厚生労働省、文部科学省、経済産業省各機関の局長クラスの方々が入っています。実際のいろいろな推進の中には医療分野の研究開発だけではなく、創薬支援ネットワーク協議会、次世代医療機器開発推進協議会など、各種協議会があることを御承知おきいただきたいと思います。この健康・医療戦略の推進体制全体の中では、医療分野の研究をどう推進させるかということが大きな1つの柱ですが、その他、健康・医療戦略に関わるものについての各種協議会、タスクフォースがあるという状況です。

3ページが健康・医療戦略の概要です。健康・医療戦略自体、基本理念というものがあります。世界最高水準の技術を用いた医療の提供ということで、基本的に医薬品、医療機器、再生医療等製品、その他各種医療技術の実用化に資する研究などを進め、世界最高水準の技術を用いた医療の提供を基本理念とする。それとともに、もう1つ大事なことは、政府全体の成長戦略の一環であるので、経済成長への寄与というのが、もう1つの柱としてあります。健康・医療戦略というのは、健康・医療という非常に包括的な名前ですが、その基本理念の部分については、政府全体の成長戦略という趣旨が入っているということです。

 この内容は4ページからです。(1)として、世界最高水準の医療の提供に資する分野の研究開発等に関する施策ということで、研究開発が大きな柱になっていますが、67ページなどを御覧いただくと分かるとおり、健康・医療に関する新産業の創出及び国際展開の促進等といった事業に関しての内容も入っています。それとともに7ページにありますように、世界最先端の医療の実現のための医療・介護・健康に関するデジタル化・ICT化に関する施策というのも、この辺でまとめられております。9ページぐらいには、それぞれのアウトプットと言いますか、目標値が掲げられているという構成になっております。

 その次に「医療分野研究開発推進計画の概要」という資料があります。これもその研究の部分について、どういった方針でやっていくかということがまとめられているものです。この医療分野研究開発は、通し番号の11ページ以降にまとめられております。通し番号13ページを御覧いただくと分かりますように、その中に書かれていることの1つが、いわゆるAMED(国立研究開発法人日本医療研究開発機構)に期待される機能です。さらに基礎研究から実用化へ一貫してつなぐプロジェクトの実施ということで、9つのプロジェクトが掲げられています。医薬品創出、医療機器開発。革新的な医療技術創出拠点というのは、臨床研究拠点のことです。さらに再生医療、オーダーメイド・ゲノム医療、がん、精神・神経疾患、新興・再興感染症、難病というのが、9つの大きなプロジェクトとして書かれています。ただ、厚生労働省としては非常に大事な、その他の医療分野の研究もありますので、そこが10番目ということでまとめられています。あと、臨床研究中核病院の医療法上の位置付けなどもまとめられています。

 最後の16ページに、「平成27年度 医療分野の研究開発関連予算案のポイント」という資料を付けております。平成27年度予算案としては、AMEDに集約される予算が1,248億円規模であるということで、平成26年度当初の「厚」と書いてある所を見ると、若干減っているように見えますが、これは補正予算で取った部分を除いておりますので若干減っております。しかし、今年度の補正予算を含めて計上しますと増額となります。一応これくらいの規模の予算が、AMEDで集約される予算になっているということです。参考資料1に関しては以上です。

 次に、参考資料2を御覧ください。厚生労働科学研究費は、どういった視点で、「AMED」と言われているほうに集約する予算と、そうでない予算を分けたのかという、その考え方についての資料が参考資料2です。いわゆる新独法対象となる経費というのが、AMEDに集約される経費という意味です。こういった経費は、厚生労働科学研究費の内でということですが、疾病の治療法、診断法等の医療技術の開発に関するものを集約しました。さらに、医薬品の開発に関するものと医療機器の開発に関するものということで、具体的にどのような例があるかというと、例えば疾病の治療法、診断法等の医療技術の開発に関するものとしては、幹細胞による次世代の低侵襲軟骨再生治療の開発と臨床応用の研究といった課題が含まれております。

 一方、引き続き厚生労働研究として残るのは、新独法対象外となる経費です。1つ代表的なものが、医療分野以外の調査研究に関するものです。医療分野以外ということになりますと、例えば食品衛生、化学物質対策、労働安全衛生といった類いのものがあり、そういった関係は引き続き残っているということです。

 医療分野であっても、厚生労働省の実施する政策の推進、評価に関するものということで、例えば特定保健指導の階層化基準外の者の保健指導の有効性に関する研究は、医療分野の実用化研究といったものとは性質が異なるので、医療分野ではあるものの、引き続き厚生労働省で実施する研究として残っているわけです。

 あと、代表的なものとしては、厚生労働省の行う危機管理に関するものがあります。これは災害時における医療チーム派遣及び関係機関との連携のための研究といったものも、引き続き厚生労働省で実施する研究として残っているものに含まれています。

 おおむね全体としては、こういった考え方に基づいて、AMEDで集約する研究費と、引き続き厚生労働省で実施する研究費とに分けたということです。

 その後に、参考資料3-1と参考資料3-2があります。こういった研究費をAMED集約型と厚生労働省に引き続き残るタイプとに分けたのは、平成26年度からです。それ以前は、そういった分け方はしていません。平成26年度に分けたものの、実例としてどういった課題があるかというのを、参考資料3-1と参考資料3-2で全部挙げております。参考資料3-1が、引き続き厚生労働省として実施する研究として残しているタイプのものです。ざっと1ページを見ていただくと、行政政策研究分野ということで、基本的には厚生労働省で引き続き実施するような研究になり、社会保障や統計情報といったものが含まれています。23ページ以降は、疾病・障害対策研究分野です。こういったものの多くは、参考資料3-2にあるような実用化研究に、たくさんの課題があります。ただ、一方で、疾病の研究でありながらも、いろいろな社会科学的な側面や政策に資する、厚生労働省の政策に直結するような研究については、引き続きこちらに残っているということで課題が挙がっています。

 参考資料3-111ページ以降に、健康安全確保総合研究分野というのがあります。ここについては厚生労働省の中で言いますと、医政局が担当している医療提供体制に関する研究が多く含まれているとともに、その他医療分野以外ということで、食品衛生、化学物質対策、労働安全衛生といった分野、あるいは危機管理や水安全といった研究課題が一通り並んでいるという状況です。

 参考資料3-2AMEDに集約されるタイプで、これについては基本的に医薬品、医療機器、医療技術の実用化といった研究のタイプのものが入っています。

 最後に参考資料4、厚生労働科学研究費の推移の資料です。研究費としては、平成13年度から平成14年度にかなり大きな増額があった以降、おおむね横ばいの状態かと思います。最近のAMED集約型の研究費が大きく伸びたわけですが、そういったことを足し合わせると、平成26年度、27年度については、それ以前の34年と比べると伸びているという状況かと思います。採択件数に関しても、おおむね1,500前後を推移しているという感じであろうと思います。

 研究費の中で、分野別の移行の度合があるかどうかということですが、それも基本的におおむね横ばいです。分野ごとの変異がどんどんあったかというと、先ほど述べたような大きなカテゴリーで、例えば行政政策研究分野とか厚生科学基盤研究分野とか。厚生科学基盤研究分野というのは、名前から言うとよく分かりませんが、医薬品の開発や医療機器の開発、再生医療の推進といった分野の研究です。疾病・障害対策研究分野というのは、各種疾病に係る研究です。そういった大枠のカテゴリーで並べたときには、おおむね横ばいということになろうかと思います。

 表としては比較がなかなか難しいところがあります。下の棒グラフですが、平成23年度、24年度、25年度というのは、赤い色の健康長寿社会実現のためのライフ・イノベーションプロジェクトという、がんの研究や難病の研究を集約させたカテゴリーをつくったのです。もともと平成22年度には292億円の疾病・障害対策研究分野があって、そこが翌年度は減っているように見えますが、ここは赤い色の所で別のカテゴリーとして寄せたのです。あと、この赤い所にはIIの厚生科学基盤研究分野というものも入っています。そういったものを寄せたので、ちょっと減ったように見えますが、実は赤い所に含まれていて、別なカテゴリーとしてまとめただけです。そういった意味で言うと、各分野ともおおむね横ばいだと言えると思います。ただ、疾病・障害対策分野の中でもがんや難病に対しての研究は、最近少し伸びてきたという傾向があることは事実であろうと思います。そのような形で研究額の推移というのも、一応念のためにお知らせしたいと思います。

○松谷委員長

 これは前回の御質問、御指摘に沿ってまとめていただいたものですが、ただいまの説明について御質問、御意見はありますか。

○若林委員

 参考資料4の予算額の所が、一番分かりやすいと思います。平成25年が448億円、平成26年が407億円と84億円となっていますが、平成26年度の84億円分のものが、平成25年度の448億円のときにはどのぐらいだったのか。例えば、100億円だったものが80億円ぐらいになって、それが問題になっているということはありませんか。

○中山研究企画官

 今、正確な数字は手元にないのですが、確かにそれぐらい、おおむね100億円規模であったと思います。実際に平成26年度に407億円の部分を増額させるために、厚生労働省の中でいろいろな予算を集めなければいけないということがあったのです。こういった研究費については最初の予算要求の段階から、まず10%をカットしてというところから始まるので、それぐらいは通常でも大体減る部分なのです。ただ、この407億円を大きく伸ばすために、研究費以外からも厚生労働省の中で研究費を集めなければいけないけれども、研究費の中からも、寄せるために少し減額しなければいけないということがあって、その部分が少し大き目に減ったという事実はあります。

○吉倉委員

 参考資料2についてです。感染症対策というのはどこにいくのか。感染症対策というのは、危機管理の場合もあるし、延々と何十年と続いているものもある。その辺はこういう研究費ではなく、庁費でやるというお考えですか。従来やっていた感染症対策というのは、どの辺で面倒を見る気なのか、どういう具合になっているのかがよく分からないのです。

○中山研究企画官

 感染症対策という面で見ると、まず研究費で実施しているものは、いろいろ含まれていると思います。参考資料2でいくと、疾病の治療法、診断法等の医療技術の開発ということで、感染症に関する医療技術の開発という観点でAMEDに行っているものと、医薬品の開発に関するものに集約されるものもあろうかと思います。あと、政策に関する研究ということで引き続き残るタイプで、厚生労働省の実施する政策の推進評価に関するものに含まれる場合もあり得ると思います。参考資料3-1で言うと10ページの191200番が、いわゆる感染症対策として実施されている研究で、各種研究があろうかと思います。

 一方で参考資料3-2では、14ページからありますように、例えば感染症には各種の研究がありますが、様々な感染症の技術開発、感染症に絡む医薬品開発に資するものについては、AMED集約のほうに入っています。

 感染症全体ということで言うと、その他感染症関係の事業費で実施されているものもあるでしょうし、感染症研究所のほうで、その機関内で実施しているものもあろうと思います。

○吉倉委員

 事業費として予算が確保されていれば、別に何も問題はないと思います。

○椎葉課長

 付け加えますと、先ほど企画官のほうから説明がありましたが、参考資料113ページの上のほうのマルのうちの2、「基礎研究から実用化に一貫してつなぐプロジェクトの実施」の中の8番目が新興・再興感染症です。AMEDのプロジェクトは全部で10あるのですが、8番目に掲げたということで、AMEDでも推進しますし、厚生労働省に残る研究費でもいろいろな体制研究、行政的な政策研究、感染研での研究という3本固めでやるということです。

○吉倉委員

 政府の科学政策に従ってやることですから、余り言うことはないのですが、例えば今、WHO関係で麻疹のエリミネーションとか、延々と今までやってこれからも続くものがあるのです。感染症は、こういう時限つきのものにそぐわないものが結構多いのです。そういうものを厚生労働省の中でどういう具合に政策的に維持しようとしているのか。というのは、どんどんそちらのほうが痩せ細ってきて、実際上マネージメントで困っていることがあってお聞きしたのです。

○齋藤委員

 もともとAMEDの基本理念として、最高水準の医療の提供とともに経済成長への寄与というのが、非常に強調されているのです。経済成長への寄与というのは、医療機器や薬を売って、ポジティブにお金を稼ぎたいという考えです。ところが感染症というのは、予防をすることによって、莫大な損失を防ぐという貢献ができるわけです。こういう見方をすると、それが隠れてしまうわけですね。

○吉倉委員

 何も見えない。

○齋藤委員

 本当は見えないけれども、大流行するのを防げば、多大な経済的な損失を防ぐという意味では非常に大きいと思います。

○松谷委員長

 プラスの増大だけではなくてマイナスの減少。

○吉倉委員

 それは感染症だけではなく、食品安全もそうだし、行政そのものの、例えば、アメリカで言えばFDACDCなどです。アメリカの場合、NIHと予算が全然違いますから。ですから、これを全部NIHの予算にしてしまうと、アメリカで言えばFDACDCの機能への予算的裏付けがなくなるということを、どう考えていらっしゃるのかと思ったのです。

○松谷委員長

 今の御議論は、非常に大事な視点だと思います。この委員会のレポートの中の1つのポイントになるのではないかと思います。ほかにありますか。

○中村()委員

 この全体の計画、事業を拝見させていただきますと、先ほどの政府の政策の趣旨を広く反映しているという意味では、本当にそうだと思いました。そこで資料12ページの総論の素案の文章ですが。

○松谷委員長

 資料は次の議題のほうになりますので。参考資料の関係、前回の関係はよろしいですか。

 それでは、本日の議題に入りたいと思います。まず報告書の総論の素案について、事務局から説明をお願いします。

○中山研究企画官

 今回、この委員会での目標と目的が、基本的に厚生労働省で実施する研究についての重要性と言いますか、今後の方向性をまとめていきましょうということで、資料1と資料2において総論と各論ということでの素案です。これから先生方の御意見も伺いながら、最終的に詰めていきたいと思っておりますので、その議論のためのたたき台の素案ということで御覧いただきたいと思います。

 総論については3ページほどですので、全体を読み上げさせていただきたいと思います。素案として、厚生労働科学研究は、少子高齢化の進展、疾病構造の変化などに的確に対応した厚生労働行政を推進する上で、適切妥当な科学的根拠に立脚する必要性に資するものである。

 現在の研究費補助の萌芽は、昭和26年度に創設された厚生労働科学研究費補助金制度である。それ以降、漸次拡大され、平成26年度は約480億の研究費により年間約1,500の研究をサポートしているということです。ここまでについては一般的に、厚生労働科学研究費とはということで使われている文章です。

 この後ですが、「厚生労働科学研究の課題を分類すると」ということで、(1)疾病の診断・予防・治療のための医薬品、医療機器、その他の医療技術開発に関する研究、(2)医療分野の厚生労働省の実施する政策((1)を除く)の推進、評価に関する研究、(3)医療分野以外(食品衛生、労働安全衛生、化学物質など)に関する研究に分類される。

(2)には様々な研究課題が含まれており、例えば、特定保健指導の階層化基準外の者の保健指導の有効性に関する研究、医療資源の必要量の定量と医療評価の在り方に関する調査研究、災害時における医療チーム派遣及び関係機関との連携のための研究などがあるということです。

 一方、平成252月、内閣官房に健康・医療戦略室が設置され、文部科学省、厚生労働省、経済産業省の各省の医療分野の研究開発を連携して実施する仕組みが検討され、内閣総理大臣を本部長とする健康医療戦略推進本部の設置、平成274月から日本医療研究開発機構(AMED)の設置などが進んでいるということです。

 これまでの厚生労働科学研究費のうち医療分野研究開発推進計画に規定されている研究は、上記の分類の(1)が該当し、これについては、平成27年度からAMEDに集約され、日本医療研究開発機構対象経費となり、上記(2)(3)については引き続き厚生労働科学研究費として厚生労働省の行政施策と一体的に推進されることとなります。

2ページ。上記分類(2)については、特定の疾患ではなく国民を広く対象とするものであり、また、科学的に新規の知見を求めるものではないが十分な科学的エビデンスを必要とし、さらに、行政施策と密接な関係を持ち行政の責任において推進されるべきものである。

 さらに、今後は、効果的・効率的な医療を提供するための、制度や体制などの整備を実現するための調査及び評価を含めた研究と、AMEDに集約される研究で実施される革新的な医療技術開発を、言わば車の両輪として推進し、相乗効果を生み出していかなければならない。

 また、上記分類(3)(医療分野以外)は、厚生労働科学研究のうち、労働安全衛生、食品保健、化学物質対策、健康危機管理、水安全、生活環境安全、社会保障、障害保健、福祉施策、統計情報など国民生活の安全と生活の質の向上に直結する公衆衛生学的な研究等である。感染症、食中毒、労災、有害な化学物質等は現代においても国民の健康への大きな脅威となっており、その予防にはエビデンスに基づく科学的に妥当な規制と、地道な公衆衛生的な対策とが必要となる。

 これは直し間違いだと思いますが、文章がダブります。「さらに、厚生労働省の所管する保健福祉施策の対象となる国民に適切なサービスが提供されるための手法の検討や、社会保障の在り方についての研究などがある」ということで、前段の所で修正漏れになっていると思いますので、後日修正させていただきたいと思います。

 このように、AMEDに集約される研究以外の厚生労働科学研究は、国民生活の安全(労働安全衛生、食品保健、化学物質対策、健康危機管理)、適切な保健福祉サービスの提供、維持可能な社会保障の仕組み、またAMEDの研究成果を国民に裨益するものとするための仕組みに関するもの等、いずれも、行政施策と密接な関係を持ち、行政の責任において十分な研究を推進する必要がある。

 また、このような研究の成果は、国民の安全や健康の確保に資し、国民の安全と健康は、労働力の確保など経済成長の基盤となるものであるから、十分な研究推進を可能にする環境整備を行う必要がある。

 今後、このような厚生労働科学研究の重要性について、改めて整理を行った上で関係者の十分な理解を得ていく必要がある。また、厚生労働科学研究の中長期的な方向性や今後取り組むべき具体的な課題について、制度や体制の整備等のために持続的に実施しなければならない研究とその時々の行政課題に応じて13年程度で結論を得ていくタイプの研究があることも踏まえ、戦略的に打ち出し、その重要性を訴えていく必要がある。

 ということで、まず素案として総論を出させていただきました。以上です。

○松谷委員長

 ありがとうございました。それでは、ここについての御意見を頂きたいと思います。まず、中村委員。

○中村()委員

 少し細かなことを言うようですが、結構基本的なことだと思います。資料12ページの上記分類(2)の領域について、2行目でまた書きで、「科学的に新規の知見を求めるものではない」と言い切っておられるのですが、ここが非常に引っ掛かります。これは必ずしも科学的に新知見を求めるものではないけれども、得られたデータは十分に科学的なものなわけです。得られたデータは十分科学的なものを求める。演繹的ではないかもしれませんが、機能的に一貫性のあるデータを求めるというのは、最も重要なことで、それが私は、この分野が少し予算の比率的に、400億円に対して、僅か70億円ぐらいしかないといったことに関係しているような気がしてなりません。

 したがって、これは十分にこの分野も科学的であるということを言いたいと思います。「また、必ずしも」という言葉なら、私はそれでいいかなと思います。

 では、比率の問題がどこで出てくるのかなと思うのですが、AMEDに行く分と、こういう政策的に行うものとの、ここが分からないのですが。

○中山研究企画官

 というものを、比率を決めて分けたというよりも、AMEDに集約される前に実施されていた研究について、一定の線を引いて、集約型とそうではないものとに分けたということですので、比率をまず先に決めて、あちらという話ではなくて、実態の中でどこで線を引くかを決めて分けたという状況です。

○中村()委員

 そうしますと、車の両輪論は本当にそのとおりだと思いますし、これが基本だと思いますが、私どもが最近経験した、例えば国際感染症の対応などに対する対策を立てるということは、全く持ち出しです。完全な持ち出しで、しかし、それに一歩一歩対策を作っていかなければいけない。これも十分に科学的な対応なのです。そういったものが、ある一定の枠を作っておいていただければ対応できるのですが、毎年毎年状況に応じてやらなければいけない、応募して新たな環境の中で選ばれていかなければいけないとなると、現場は結構苦労します。

 何を言っているかというと、端的に言えば、車の両輪と、もう1つ別な政策遂行のための一群のものがあるのです。そこをこの中でどのように入れていくかということを。入れなくてもいいという考えもありますが、恒常的に必要な部分をどうするかお考えいただければと思います。

○中山研究企画官

 先生の御指摘はよく分かりました。その辺については、各局の政策課題に対して、どう課題を解決するかというための事業としての事業費的な側面もあると思いますし、そういった独立行政法人の中で、どうやっていただけるかという話とか、厚生労働施策全般のことになってくると思うので、ここだけの話としてやるのは難しいところがあるかと思います。ここはあくまで研究ということに焦点を絞った中でということにさせていただけないかと思っております。

○松谷委員長

 では、先ほどの最初のところの御指摘を踏まえて、少しお考えいただければと思います。

○齋藤委員

 総論の案はなかなか整理されていると思います。最初のページの上から4つ目の○です。今議論になっている(2)の「例えば」以下が、例として余り適切ではない。特に「特定保健指導の階層化基準外の者の保健指導の有効性に関する研究」は、先ほどのを見ると、参考資料の2から取ったそのままの文章ですが、余りにも各論的すぎて、例えば医療提供体制の在り方とか、もう少し大きい、素人が見ても、あっ、これは(2)として、どうしても厚労省がやる必要があるなと思うようなものに置き換えたほうがいいと思います。以上です。

○吉倉委員

 これは(2)の考え方なのですが、(2)に該当するのは厚労省なり何なりが政策決定をやりますね。そういうときの科学的なデータ、エビデンスを提供する所だと思います。

○中山研究企画官

 そうですね。

○吉倉委員

 もう1つの機能は、こういう調査研究によって、その政策が良かったか悪かったかを評価するという非常に重要な仕事があるわけです。何をすべきかということ。新しい発見を求めるのではなくて、それが一体なぜ必要かというのを、ここではきちんと、政策決定のための基になるデータと、それの評価のためのものだというのをはっきり書かれたほうがいいと思います。

 もう1つ、先ほどCDCと言ったのですが、CDCの予算規模は7億ドルです。7億ドルというのは、WHO予算の2年間の予算が4億ドルと比べると如何に大きいか分かると思います。そういうものすごく大きい感染症あるいは疾病対策の予算を政府として持っていて、その上でのNIHのグラントがあるわけです。こういう状況をアメリカと日本と比べるのは、余り適切ではないかもしれませが、一体日本はこういう健康に対する対策をどう考えているのか。要するに、開発だけで何とかやっていけるのか。開発もいいのですが、厚労省は国民の健康を守るということをやっていけるのか、十分考えたほうがいいと思います。

○松谷委員長

2点あったと思います。最初の点の、分類(2)の考え方の基本のところはいいですね。後段の今の御指摘は、この委員会の範囲から若干出るところがありますが、若干触れてもいいのではないかとは思います。

○中山研究企画官

 はい。

○中村()委員

 文言で恐縮ですが、私は「必ずしも」を付けると言いましたが、それよりも、私は吉倉先生の御意見に全く賛成です。科学的新知見の有無ということを、あえて記載する必要はないのではないかと思います。政策の対象となる分野の実態や、その成果を評価する十分な科学的エビデンスを得るのだという研究として推進されるべきものであるとして、科学的であるか、ないかは。

○松谷委員長

 ありがとうございます。もっと肯定的に書くようにということですね。

○岸委員

 読ませていただきまして、各論も一緒に読みながら考えたのですが、WHOなどでは日本の厚生労働科学研究で得られた成果を、先進国の1つとして活用して、いろいろな国際的なガイドラインなどを作ろうとされていると思います。私も昨年6月、ボンでWHOヨーロッパの化学物質リスク評価に関しての会議があって出席してまいりました。日本のデータというのは、非常に信頼性も高いですし、正に科学的なデータを出しているから信頼性が高いと思うのですが、総論部分もそういう国際的なものの連携、協調と言いますか、期待されているということを、もう少し書いたほうが迫力が出るのではないかと思います。

 各論を見ましたら、事業によってはそれを書いている所もあるのですが、余り強調されていない所もあって残念に思いました。これこそ日本の厚生労働省でやっている研究が国際的ないろいろな所に使われているのです。それをもっと強調していただきたいと思います。

○松谷委員長

 国際的に期待されている面があるということですね。

○大久保委員

 拝見させていただいて、総論はよくまとめていただいていると思います。最後の所を拝見すると、「今後」以降に書かれているわけですが、「重要性について、改めて整理を行った上で関係者の十分な理解を得ていく必要がある」とか、最後の「戦略的に打ち出し、その重要性を訴えていく必要がある」と書かれていますが、私の理解が違っていれば言っていただきたいのですが、この委員会の中で、こういった具体的な案を、ある程度打ち出していくことも求められているのではないかと思っています。

 そうすると、今までの厚生労働科研でAMEDに行ったものもあるし、残ったものもあるわけですが、こういったものの課題をどのようにして、今後作り上げていくとか、評価をやっていくのかということを考えないと、予算というのは無条件に減っていくわけです。

 そういう状況の中で、厚生労働科研が今後目指していく大きな方向性などを決める枠組みを、どこかで作っておいていただく必要があるのではないか。特に残っている分野は、ある意味で分野が非常に広くて、様々な領域に渡っているために、AMEDに行くほうがむしろ新しい産業の創出であったりという形で、非常に分かりやすい軸はあるのですが、こちらのほうは単純な軸ではなかなか評価しづらいということになりますので、きちんとそれを評価し、どういう優先順位を付けていくのかといったことを考えられるような枠組みを作っていかなければいけないということも述べるべきではないかとは思います。

○松谷委員長

 結論の書き方を、もう少し具体的に、当委員会としての意見をはっきり書くようにということですね。

○若林委員

2つありまして、1つは岸委員が説明されましたように、日本の化学物質のリスク、食品安全などに関しては非常にクオリティが高くて、OECDのガイドラインでも非常に有用的に使われていますので、是非、そういうところを強調してほしいというのが1つです。

 もう1つは、総論のトーンが、上にAMEDが来ているような感じがしてしょうがないのです。実際の日本の生活様式とか健康というのは、一番ベースには公衆衛生、生活、食品の安全性、化学物質の安全があって、その上に創薬や医療機器の開発といったものがあるのだと思います。それがどうも逆転して、AMEDに貢献をするという、裨益というような書き方になっているのが少し気になるのです。ですから、一番基盤をなしているものは、厚生行政であるということを強調されたほうがいいような気がしますが、いかがですか。

○松谷委員長

 重要な御指摘だと思います。今回の委員会の設置が、AMEDができて、研究費が分けられたことを反映してというか、受動的に行われたことが文書の中にも反映してしまっているということではないかと思います。本来の筋に戻って、研究とはこうであるということからすると、残っているほうが本筋ということはないのですが、全体の中で、こういう役割分担をしていくのだという書き方の順番というか、書き方の視点を少し変えたらという御指摘です。文章化するのは難しいかもしれませんが、重要な御指摘だと思います。ほかにありますか。

○中山研究企画官

 先ほど大久保委員から、3ページの最後の結論の所の書き方の御指摘があましたが、先生方で御意見があれば、参考に伺わせていただきたいと思います。

○松谷委員長

 そういった御意見もあったということで、併記していくということでいいのではないか、決め付けなくてもいいのではないかと思います。

○齋藤委員

 今、大久保委員が言われたように、これを読むと、最後の「今後、このような厚生労働科学研究の重要性について、改めて整理を行った上で」と言っている。今、ここで整理しているわけですから、方向としては、このように整理をしたと書けるようにしたほうが強くなると思います。これだと先送りしているみたいで、問題点だけを指摘して、今後やりますというようなトーンですよね。

○松谷委員長

 ありがとうございます。一番のポイントのところだと思います。

○大久保委員

 先ほど若林委員が言われたとおりで、AMEDのほうはもう1回見てみたら、基本的に病気があって、それを治療するという作業なのです。病気にならないためであるとか、国民生活の質を向上させるという意味で、健康ということに立脚をしていて、病気が有る無しは問わない。病気がなくてもという観点でなったときには、こちらのほうしかやっている分野はないように思うので、その辺をもっと強調してもいいのではないかとは思います。

○吉倉委員

 今後として書くのもそうですが、今までどのぐらい重要なことをやっていたかというのを簡潔に書くと、この意味が出てくると思います。

○中村()委員

 今、病気にならないようにという話があったのですが、なった後の障害というのも実は残っていて、そちらも非常に大事な社会保障の面でもありますし、障害の方がだんだん増えていますので、そこも是非入れていただければと思います。

○松谷委員長

 両方の面ですね。研究全体の中で治療のところを抜き出して、1つの体制ができたということですが、大事なのはもう少し前後にあるということです。ほかにありますか。

 総論ですので、各論が終わってから議論をするということで、各論に入りたいと思います。各論はちょっと厚いので、分けていきたいと思います。まず、前回御議論いただいた4つの分野がありますが、まずIIIの分野からお願いします。

○中山研究企画官

 それでは、各論です。かいつまんでということで、先生からの御意見を頂くところを中心にしたいと思います。

 まず各論については、最初の表紙を御覧いただくと分かりますように、IIIIIIIVということで、大きな分類として、行政政策研究分野、厚生科学基盤研究分野、疾病・障害対策研究分野、健康安全確保総合研究分野があります。まず、IIIに触れさせていただきます。

1ページです。まず、行政政策研究分野については、1つの事業として社会保障行政ということでの課題に対応する研究を実施しているということで、持続可能かつ適切な社会保障制度(医療、介護、福祉、年金等)の再構築等という課題に資するための研究を実施しています。

 前回、各事業の概要については説明しましたので、内容については省略させていただきます。基本的には、3の今後の方向性ですが、人口減少及び高齢化による労働力の減少、社会保障費の増加等、社会・経済構造の大きな変化が起こる中、社会保障の在り方が問われている。社会・経済構造の大きな変化を踏まえた持続可能な社会保障制度を再構築することは、未来への投資であり、喫緊の課題である。近年エビデンス(科学的根拠)に基づいた施策立案が求められており、上記課題解決に資するために理論的・実証的な研究が必要である、ということが書かれています。

 次に3ページの統計情報総合研究事業です。ここは文字どおり、厚生労働統計の行政的な課題に対応する研究となっております。その内容を簡単に申し上げますと、統計情報の高度な分析による政策立案のためのエビデンスの提供ということで、ここは社会保障や保健医療政策において、政策決定に資する基礎資料を提供するという役割があります。また、国民・行政・研究者のニーズを満たす統計の作成などの研究が行われています。

4ページの今後の方向性としては、統計情報は政策を企画立案、決定する上での基礎資料となっており、国民生活、ひいては国の行方に大きな影響を及ぼす情報である。本研究事業の成果は統計情報の収集・分析・活用に直接反映されており、行政ニーズに対応した情報を得るために極めて重要である。また、厚生労働行政全般にわたって、その時々の行政課題の解決に資する統計情報を提供し続けるため、今後の統計情報の在り方に関する研究、統計情報の精度や国際比較性の向上に関する研究、統計情報の高度利用による新たなエビデンスを生み出す研究を今後も推進していくということがまとめられています。

5ページ、6ページは、地球規模保健課題解決推進のための行政政策ですが、地球規模保健行政ということで、この内容は国際保健の視点でいうところの感染症対策、母子保健、公衆衛生緊急事態、保健医療制度などがあり、5ページの下にあるとおり、日本のみならず東アジア、ASEAN諸国を含めた広い範囲を対象に、高齢化を見据えた社会保障制度の在り方を検討する研究なども実施されていますし、6ページにありますように、国連ミレニアム開発目標で達成期限が2015年ですが、2015年以降のポストMDGsについて、それを検討するためのいろいろな研究も必要であるということです。

 今後の方向性としては、最新の国際社会の動向や要請等に基づき、保健課題の原因究明、効果的な介入方法の提示・検証、人材育成の在り方等の検討を行い、引き続き、我が国の貢献がより効果的で国際的に存在感を発揮するものとなるよう、体系的・戦略的な国際協力政策に資する研究を推進していく、とまとめています。

7ページのIIは、厚生科学基盤研究分野ということで、ここの分野は、基本的に医薬品、医療機器、再生医療の技術開発の研究がほぼ全てで、こちらの行政政策ということでの研究が一部残っています。これはHIVの薬害エイズ訴訟の和解措置ということで実施されている研究です。

 今後の方向性ということで、HIVに感染した血友病患者等に対する未承認薬の有用性を評価し、至適治療法を開発する研究を推進することにより、医薬品の実用化の加速を図る事業であるとともに、訴訟後の行政対応として極めて重要であり、引き続き支援していく必要がある、ということでまとめています。IIIは以上です。

○松谷委員長

 ただいまの説明について、御質問、御意見はありますか。

○齋藤委員

 参考資料3-1は、非常に分かりやすいというか、実際にそれぞれどのような研究をしているかということが挙げてあっていいと思うのですが、参考資料3-12ページの上のほうの3つぐらいが、地球規模の研究で、その下に24から厚生労働科学特別研究事業が並んでいて、これがここに入っている理由をどこかに書いておかないと分からないのです。

○中山研究企画官

 いわゆる特研と呼んでいるものですが、その記載がここの中では抜けていました。そこについては記載を加えることにしたいと思います。

 いわゆる特研というのはどういうものかを付け加えますと、緊急に何か事態が起きたときのために、緊急的に措置するために、一部研究費を厚生科学課で確保しておりまして、緊急事態に応じて、それを手当てするために出す研究という位置付けで、そこは記載が抜けていましたので、入れたいと思います。

○松谷委員長

 ほかにありますか。

○吉倉委員

1ページですが、方向性の中に高齢化というのが。この中で、もう1つ非常に大事なのは、地域的に年齢分布とか、そういうのが、今は変わっているのです。そういう側面を入れておいたほうがいいと思います。今、担当大臣がいて、地方何とかと言っていますが、それと関係のある話なのです。例えば日本の人口が少なくなっている所は老齢化がうんと進んでいるわけです。一方、出生率は日本中どこもあまり変わらない。今、地方再生で問題になっている所を、23キーワードを入れたらどうかと思います。日本の中で、ヒューマンリソースをいかにうまく使うかということと非常に関係がありますから。

 もう1つは統計で解析して外に出すのは、今までやってこられていて良いのですが、今からは統計は、プライバシーの問題とか、いろいろありますが、今からはビッグデータとしていろいろな研究者が使えるようにするのは非常に大事です。統計情報部等が全部抱え込んでいて、それで解析して外へ出すという時代は、少し古くなっているのではないか。そういうビッグデータ解析というのは、今のグローバルなトレンドの1つですから、そういうことは勇気を出してやっておいてもいいのではないかと思います。この中でやるというよりも、ビッグデータをこういう研究事業によって、より多くの研究者が使えるようにするというのは、今後は非常に大事だと思います。この件は、いろいろ差し支えのある所がありますから、うまく書いていただけるといいと思います。

○中山研究企画官

 そういった視点の記載は入れたいと思いますが、ビッグデータに関して言えば、統計情報部だけに限りませんが、保健局とか、そういった所でいろいろな動きもありますし、それ以外にも政府全体として取り組んでいかなければいけないということで、いろいろやっている取組もありますので、統計情報だけではないと思いますが、いろいろ書ける所は書いていきたいと思います。

○吉倉委員

 いいキーワードを入れていただくといいと思います。[例えば定量的情報に基づく政策決定とその評価(議事録修正時に追加)]

○松谷委員長

 今、2点ありましたが、ほかにありますか。

○若林委員

 「目標(検討中)」というのには何か入るのでしょうか。

○中山研究企画官

 入れたいと思っていて、できるだけ数値化したいと思うのですが、目標の置き方というのは難しいところがあって、今回は出せなかったということです。数値化できない部分は多いと思いますが、何らか入れられるように、次回に向けて検討したいと思います。万が一、目標というのは具体的に難しいということであれば、また相談をさせていただきたいと思います。

○松谷委員長

 ほかにありますか。よろしければIIIの「疾病・障害対策研究分野」について御説明をお願いいたします。

○中山研究企画官

 ここのIIIは、各種疾病対策に関する研究ということです。ざっといかせていただきますが、まず最初が母子保健関係で、行政上の課題に対応するために、例えば8ページの真ん中辺りにありますが、疾患の早期発見・早期予防の推進に係る研究や、妊娠・出産に関わる医学的・倫理的課題等への対応ということの研究が、この中では実施されているということです。

9ページの今後の方向性の所は読み上げさせていただきます。子供・子育ての分野においては、社会や家庭環境の変化により、解決すべき課題は、急激に増加するとともに、多様化している。健やか次世代育成基盤研究事業においては、特に、乳幼児の疾患の克服と障害の予防、また、母性及び乳幼児の健康の保持増進並びに児童福祉の向上に向け、戦略性をもって、これらの課題の解決に向け、研究の強化・充実を図る必要がある。本事業での研究を通じた研究成果は、母子保健・児童福祉の現場に還元され、行政施策の検討においても活用される。

 今後は、生殖補助医療等に関し医療技術の進歩に伴う論理的な問題も含めた様々な課題や、子供を成育疾患から守り、健やかに成長するための環境整備を推進するため、これらの課題を解決するための研究を着実に実施することが必要であるということです。

 このIIIの疾病・障害対策研究分野については、いわゆるAMEDで集約される予算と、引き続き残して実施する研究の両方あるというタイプです。今まで申し上げたところは引き続き残るものについてということですが、一応、「その他」の所で、AMEDに集約されるタイプのことも触れています。そのAMEDに集約されるタイプの研究事業は、小児の稀少疾患に対する遺伝子治療、生殖補助医療により出生したときの長期予後や母子感染の検査及び治療に関する研究等を実施しているということで、そういったものとが分かれているということが書かれています。

10ページはがん政策研究事業です。がんに関する行政施策は、がん対策推進基本計画に基づいて推進しているということで明確になっています。

 真ん中の辺りにあるように、さらにがん研究については、「がん研究10か年戦略」というものが出来上がっており、これに基づいて基本計画の目標達成に資する研究を実施している状況です。

 厚生労働省で実施する研究では、10ページの一番下にあるとおり、充実したサバイバーシップを実現する社会の構築を目指した研究や、11ページにあるような、がん対策の効果的な推進と評価に関する研究というものが実施されています。

 今後の方向性としては、本研究事業では、「がん対策推進基本計画」に基づき策定された、平成26年度からの「がん研究10か年戦略」に沿って、行政的・社会的な研究として、充実したサバイバーシップを実現する社会の構築を目指した研究、がん対策の効果的な推進と普及に関する研究等に取り組み、臨床的に重要性の高い研究、がん対策に対して必要性・重要性の高い研究等を推進し、着実な成果を上げることにより、がん対策推進基本計画の3つの全体目標の達成を目指す。この3つの全体目標というのは注記をすべきでしたが、(1)「がんによる死亡者の減少」、(2)「全てのがん患者とその家族の苦痛の軽減と療養生活の質の向上」、(3)「がんになっても安心して暮らせる社会の構築」ということですが、そういった全体目標の達成を目指すということです。これについても、基本的には実用化研究と、このように残る研究があるということが、「その他」で書いてあります。

12ページは、循環器疾患・糖尿病等生活習慣病対策に関する行政ということですが、これについては健康づくりに関することと、健診・保健指導に関すること、生活習慣病対策に関することの研究がこの中にあります。それぞれ重要な行政の政策課題で、これらについて、各種施策を推進するための科学的根拠の蓄積を行うのが、この研究事業として実施されているものです。

13ページの今後の方向性です。我が国において、がん、循環器疾患、糖尿病、慢性呼吸器疾患などの生活習慣病は医療費の約3割、死亡者数の約6割を占めており、高齢化を背景にますます重要な課題となっている。がん以外の代表的な生活習慣病について保健・医療の現場や行政施策に直結するエビデンスを扱っている研究事業はほかになく、健康日本21(第二次)の取組を促進し、地方自治体や企業、国民等の健康づくりを更に支援し、社会保障制度を持続可能なものとすることに貢献することから、循環器疾患・糖尿病等生活習慣病対策の実用化に関連する研究以外の健康増進行政全般にわたって、その時々の行政課題を解決するための研究を進めるということが書いてあります。

 「その他」については、AMEDに集約するタイプの実用化研究と、このような研究があるということが書いてあります。

14ページは、女性の健康の包括的支援政策研究事業についてです。これは今までも他の事業の中に含まれて一部あったのですが、特出しして来年度から新設されることになった研究事業です。

 今後の方向性としては、これまで、我が国における女性の健康に関する取組は、主に疾病分野ごとに展開されてきており、女性ホルモンの状況がライフステージごとに劇的に変化するという特性を踏まえた取組や、社会的な側面を含めた生涯にわたる支援を推進し、女性の健康施策を総合的にサポートするため、我が国における実態を正確に把握した上で、女性健康を生涯にわたり包括的に支援するための研究について取り組むということが書かれています。これも実用化の部分はAMEDに集約されているということです。

16ページは難治性疾患政策研究事業です。難病行政の課題ということで挙げられています。

 行政施策と研究課題の関係ということで、16ページの一番下のほうからありますが、難病医療の均てん化対策に資する研究、あるいは、稀少がゆえに疾病概念が確立していない難病についての疾病概念の確立に関する研究、あと、難病患者のQOL向上のための対策に関する研究がこちらに含まれています。ここについては、医療分野の研究開発と分け方が、少し複雑というか、微妙なところがあるのですが、基本的な考え方としては17ページの一番上にある、難病法に基づく医療費助成の対象疾病の検討に資するような研究については、行政施策に関する研究ということで、厚労省に引き続き残して実施している研究ということで分けているとお考えいただければと思います。

 今後の方向性としては、原因が不明で、根本的な治療法が確立しておらず、かつ、後遺症を残すおそれが少なくない難治性疾患に対して医療水準の向上を図るとともに、行政的課題の解決を図り、健康長寿社会の実現につなげるために、診断基準の確立・治療ガイドラインの標準化等を行う必要がある。さらに、本事業の成果を基に、難病に指定された「指定難病」の検討が行われることとなるということで、そういったために資する研究が、ここで実施されているということです。一方で、新たな難病に対する医薬品の開発に資する研究はAMEDに行っているということです。

18ページは免疫アレルギー疾患等政策研究事業です。アレルギー疾患行政に対応した研究が実施されているということで、18ページの下から3分の1ほどにありますように、免疫アレルギー関係では、各疾患の現状(患者数、医療機関の受診状況、自己管理法)の把握等に資する研究や、アレルギー疾患医療の均てん化に資する研究が実施されているということです。

19ページの今後の方向性としては、花粉症、食物アレルギー、気管支喘息、アトピー性皮膚炎、関節リウマチ等の何らかの免疫アレルギー疾患を有する患者は国民の半数以上に上り、増加傾向にある。根治的な治療法が確立されていないため、免疫アレルギー疾患患者の長期的なQOLの低下を招いている。アレルギー疾患医療の均てん化や医療水準の向上に資するような研究成果を得られるように研究を推進し、着実に患者のQOLの向上を図るということです。これも実用化研究が一方であります。

20ページは免疫アレルギー疾患等政策研究事業の中の移植医療基盤整備研究分野というものがあります。

 移植医療行政に関して言いますと、研究課題の関係では20ページの真ん中辺りにありますが、造血幹細胞移植の安全性の確保、対象疾患に関する検討等に資する研究、あるいは、臓器提供施設の負担軽減等臓器提供プロセスにおける問題の解消に資する研究などが実施されています。

 今後の方向性としては、20ページの一番下ですが、移植医療においては、ドナーの善意を最大限に尊重する観点から、レシピエント・ドナー双方の安全性を確保するための方策を確立することが重要である。特に造血幹細胞移植においては、臨床応用を念頭に置いた基礎研究や臍帯血を用いた新たな医療技術の開発促進も求められており、本研究事業を着実に実施することが必要であるということです。これも一方で実用化もあります。

22ページは慢性の痛み政策研究事業です。慢性の痛みについては、22ページの下にあるとおり、医療体制の構築に資する研究ということで、従来から診断の困難性や治療が奏功しないためということで、患者にとっても医療満足度が低く、日常生活にも多くの障害を与え、社会的にも経済的にも損失が大きいといった状況があります。そういったものを解決するための医療体制の構築に資するための研究が実施されているとともに、23ページにありますように、慢性の痛みに関する普及・啓発の研究も実施されています。

 今後の方向性としては、「本研究事業では、多方面から課題に取り組み」と。「多方面」という所は追記する必要があると思いますが、疫学調査による問題点の抽出、教育システム・診療システムの構築、新しい治療の開発等を推進するということです。これも実用化のほうがあります。

24ページは長寿科学政策研究事業です。これは介護保険行政と関係している研究です。24ページの下のほうにありますが、介護予防ということで、住民参加型の介護予防に転換することが求められている状況がある中、そういった介護予防の取組に科学的根拠を与える研究が必須であるという状況や、質の高い介護サービスを提供するために資する研究が実施されています。

25ページの今後の方向性としては、今後更なる増加が見込まれる高齢者の地域における暮らしを支えるためには、介護サービスの充実を図る必要がある。また、団塊の世代が全て75歳以上となり、医療ニーズを併せ持つ要介護者の増大が見込まれる2025(平成37)に向けて、医療・介護・予防・住まい・生活支援が包括的に確保される「地域包括ケアシステム」を構築していくことが喫緊の課題だということです。このため、介護予防対策、質の高い介護サービスの提供等の介護保険行政全般にわたって、より効果的に行政課題を解決するための研究を進めるということです。これも実用化のほうがあります。

26ページは障害者です。障害者の行政施策については、障害者総合支援法に基づいて推進されている状況で、これに対応した研究課題が置かれています。26ページの一番下にありますとおり、障害者の社会参加の機会の確保や地域における共生の実現ということで、27ページにありますとおり、障害者基本計画の策定や、障害者総合支援法の見直し、適正に障害福祉サービス等の報酬改定を行うための知見の集積が必須であるというようなことが書かれています。さらに、身体障害者の認定基準や補装具基準額設定の見直しに資するような研究も重要だと書かれています。

 今後の方向性としては、我が国における障害者(障害児を含む。)の総数は787.9万人であり、人口の約6.2%に相当する。障害者数全体は増加傾向にあり、在宅・通所の障害者が増加し、また障害者の高齢化も進んでいる現状を踏まえ、障害者がその障害種別を問わず、地域社会で共生できることを目的とし、障害者総合支援法に基づいた総合的な障害保健福祉施策を推進していく。障害者を取り巻く現状について課題別に調査・分析し、障害者を取り巻く現状を正しく理解し施策の改革を行うことで、障害者の社会参加の機会の確保や、地域社会における共生の実現を目指すということです。これについても、精神疾患のメカニズム解明などの実用化研究は一方であります。

 認知症行政については29ページです。認知症行政と研究課題の関係でいくと、下のほうにあるとおり、認知症の実態把握ということで、そういった基礎資料として実態を把握する。あるいは、認知症の病態解明としても、医療という観点のみならず、社会・環境要因などに関する病態解明が必要となってくるということがこちらで実施されています。予防法、療法等の推進ということで、これも実用化のほうでも実施されていますが、予防についても、地域や職域などでの取組を包括し推進することも必要ということで、政策的な観点での研究も必要だということで、こちらに残っているということです。社会的な問題の解決ということで、徘徊の問題などに資する研究などもあるということです。

30ページの今後の方向性です。認知症の本態解明に関する分野、認知症の実態に関する分野、認知症への対策に関する分野と大きく分類し、効率的に、認知症全般にわたり、社会的なアプローチによる本態の解明、実態の把握、有効な対策法の開発等を推進する。特に、健康長寿社会の実現を目指し、認知症予防に向けた社会資産に関する研究や、認知症の徘徊・行方不明の問題の解決に向けた研究などを重点的に推進するということです。これも実用化に向けた研究があります。

31ページは感染症です。感染症と予防接種行政に対応した研究があります。下のほうにありますとおり、新興・再興感染症の全般的対策の推進ということで、2つ目の○にありますように、全体的な対策の基盤としてサーベイランスシステムは重要でありということで、その改善や集められたデータの利用促進に関する研究を継続的に行う必要があるということが、こちらの研究の中に含まれているということです。

 その他ありますが、今後の方向性としては、新興・再興感染症は我が国のみならず世界的な問題となっている。本事業は、国内外の新興・再興感染症に関する研究を推進し、これらの感染症から国民の健康を守るために必要な予防接種を含む行政施策の科学的根拠を得るために非常に重要な研究事業であり、今後ともその時々の行政課題を解決するために必要な研究を行っていくということです。これも実用化に関する研究があります。

 エイズ行政に関しても、「後天性免疫不全症候群に関する特定感染症予防指針」の改正に資する研究など、行政施設の推進に資する研究、あと、和解の趣旨を踏まえた研究などが実施されているということです。

 今後の方向性としては、平成25年の日本の新規HIV感染者数・エイズ発症者数は過去最多を記録した。今後のエイズ対策を効果的に推進するため、エイズ行政の課題を解決するための研究を進める。具体的には、動向に関する研究、社会医学的研究、及び複合感染対策等の行政課題を解決するための研究を進めるということとなっています。これも実用化の部分もあります。

 最後です。肝炎等克服政策研究事業、肝炎対策です。35ページの下のほうにありますとおり、急性肝炎も含めた全国規模の感染者数・患者数の実態、長期経過、予後調査、その医療経済評価等の、肝炎総合対策を展開するための科学的根拠を与える研究は必須であるということで実施されているということです。

 今後の方向性ですが、ウイルス性肝炎は国内最大級の感染症とされており、この克服に向けた対策を総合的に推進することを目的に、平成221月に肝炎対策基本法が施行されました。同法に基づいて、平成235月に告示された肝炎対策基本指針においても、国は肝炎対策を総合的に推進するための基盤となる基礎・臨床・疫学研究等を推進することとされています。本研究事業では、国民の健康を保持する上での重要な課題である肝炎対策を総合的に推進するための行政研究を引き続き推進するということです。長くなりましたが、以上です。

○松谷委員長

 疾病・障害対策研究分野はAMEDに区分される部門と、厚生労働省で直接所管する部門とが分かれるので、内容が非常に多岐にわたるものです。ただいまの説明について、何か御質問、御意見はありますか。

○齋藤委員

 参考資料3-1と対比して見ていて、本当にこれがAMEDに行かずにここに残っているかどうかを見ていたのですが、まだこれから入れられると思うのですが、難治性疾患の後で、肝炎アレルギーと痛みの所は採択課題が記載されていないので、今後ここに入れられるのですね。

○中山研究企画官

 肝炎アレルギーですか。

○齋藤委員

 採択課題があれば入れておいたほうが。

○中山研究企画官

 これは平成26年度の採択課題ということでは全て入れていると思いますので。

○齋藤委員

 でも、この文章を読むと、免疫アレルギーでもAMEDに行かないのはやっている。痛みもやっている。

○中山研究企画官

 あります。ただ、ここに挙げているのは、平成26年度に開始したというタイプのものなのです。

○齋藤委員

 なるほど。

○中山研究企画官

 平成24年や平成25年に開始されて、2年目であるとか3年目であるものもあって。

○齋藤委員

 それは書いていないのですね。

○中山研究企画官

 その当時は、AMEDや何とかと分けていないということで。

○齋藤委員

 分かりました。それをどこかに注記しておくとよいと思います

 それから参考資料3-19ページですが、上から難治性疾患のいろいろなものが来て、認知症というのは、各論の順番から言うと、障害者政策総合研究事業の下ではないですか。

○中山研究企画官

 どちらかに整合させます。

○齋藤委員

 それと、176の認知症政策研究事業ですが、「麻酔方法が術後認知機能に与える影響についての研究」というのは、これは政策研究ではなくてAMEDに行くような例だなと思って見ていました。以上です。

○中山研究企画官

 その辺りは仕切りで分けたのですが、微妙なところがあるのは事実かと思います。

○吉倉委員

 ちょっと考えたのですが、今、これをお読みになって、大体この分野は全部バーッと入っているわけですよね。

○中山研究企画官

 はい。

○吉倉委員

 一種、AMEDと渾然一体となっている印象があるわけです。どう切り分けているのかが余りはっきり分からない。というのは、今読まれた所が余りにも膨大ですから。

 もう1つ問題なのは、AMEDが金が増えちゃったから、ある程度政策研究に関わるものもAMEDでやらなければいけないかという気もするのですが、ただ、AMEDに一旦入ってしまえば、これはもう、そういう行政的な考慮は全くないはずですよね。要するに、新しい治療法ができて、どうなったかという、評価の基準がイノベーションになりますよね。

○中山研究企画官

 まあ、そうです。

○吉倉委員

 そういうことですよね。そういう具合に考えたときに、これだけたくさん書かれて、残った金で全部できるのかという、その相場というか、それがよく分からないのです。どの項目も全部いいのかもしれないのですが。

 例えば「がん登録」とあります。あれはずっと延々とやらなくてはいけなくて、役には立つのですが、開発研究には余りそぐわないところですよね。そういう、非常に行政調査に近いところを、もしもAMEDに持っていったときに、そこでの評価がどうなるかというのは分からないですよね。そういうことで、要するに残るほう、少ないほうで一体何をやるのか、もう少し明確に書けないですか。何をやるのか。全部バーッと書いてあるのですが、実際にコアは一体何かというのがよく分からない。

○岸委員

 私も吉倉先生の案に関連しまして、予防の、例えばアレルギーなどが端的なものですが、リスク要因の解明や発見や予防につながるところは、AMEDに行かずに残るほうがよいのではないか?環境側からのアプローチをどうされるのだろうと。環境側からのアプローチは切り分けのときに、予防というのがAMEDでやるとしたら一体どういう形でやるのだろうと。むしろ政策に活かせるような環境改善に結び付くようなものは厚労側に残さなければ駄目なのではないかと思います。

○大久保委員

 お話を聞いていて、読ませていただいて、今後の方向性は幾つかのパターンに分かれているように思います。正直言って、吉倉委員も言われたとおり、AMEDに行ってもおかしくないのではないかと思えるような将来の展望を抱えているところもあるのですが、ここで本来書くべきものを趣旨から考えると、やはり政策提言をやっていくのだという話のものと、規制を掛けていくとか基準を作っていくという話のもの、それから、どうしてもあるものが行政施策の根拠となるもの、後は、訴訟対策でやらざるを得ないものもあると思いますし、また、岸先生が言われたとおり、予防であるとか国民の生活の健康のレベルを維持するため、向上させるためのものになってくると、向こうのほうにはちょっと入らないような話だと思いますが、そういった幾つかのこちらのほうでやるべき重点課題をきちんと今後の方向性の中に記載していただくようにしないと、読んだ方によっては、「これはAMEDにくっ付けてもいいんじゃないの」と思われてしまうと困るかなと思います。

○松谷委員長

 今の三方の委員の御意見は、各論をもって、もう一度総論を見直して、明確にしていくということだと思います。どのようにしても、総論で書いたとおり、各論というのは、どっちの面もそれぞれ少しずつあるので、切り分けは大変難しいのはよく分かるのですが、それにしても、この各論を踏まえて、また総論の考え方を見直したらどうかということだと思います。

○中村()委員

 私は、この研究開発のAMEDに行っている部分は、本当に非常にスペシフィックな治療薬や医療機器等の開発というので、先端的なものだろうと思うのです。こちらのほうに残ったのが何をやるかというと、何に科学があるかというと、これはビッグデータの取扱いだろうと思うのです。

 「行政政策研究分野」という1番目の区分けが、政策科学推進研究と。これは恐らく制度研究で、2番目が統計情報、データ研究で、3番目は世界貢献とコラボレーション、ワールドコラボレーションですね。この枠組みでは何か欠落している。ビッグデータの取扱いによって新しい事実が分かってくるという、それが行政的にも非常に重要だし、施策の評価にも関係すると思うのです。そこをどういうふうに取り組むか。2番のところの統計情報総合研究事業の中の今後の方向性の所を、そういった意味ではもう少し広く、「ビッグデータの利用に関する研究を推進していく」とか、そういった立場があればいいなと思います。

 ゲノム科学がこれだけ進んできて、個人のレベルの医療情報でもビッグデータですよ。もう数年したら、次世代型シーケンサーは臨床レベルでも個人の遺伝情報を全部読みますから。そういう背景を考えると、この数の取扱いはスペシフィックだけではなくて、こういう集団としての取扱いに対する、我々のある程度のスタンスを作っておかなくてはいけないと思います。

○中村()委員

 いろいろな話はできると思うのですが、どこまでこの委員会で審議させていただけるのでしょうか。これはもう、原理的にというか、根本的に考えなくてはいけないIIIIIに残ったものを、今後どういうふうに、分類の話もありましたし、これからと言ったら語弊があるかもしれませんが、行かさせていただける枠を超えてしまっているのかどうか、少し心配な。できるだけ入れていただきたいと思うのですが。

○中山研究企画官

 中村先生から御指摘いただいたビッグデータの話は、この研究の中でも1つ、先ほど抜けているという御指摘がありましたが、特研という中で少し取組を開始しようという動きをしている部分はありますが、ここの研究の中でどこまでできるかというのには限界があって、もっと政府全体の大きな取組としてビッグデータの活用はやらなければいけない部分があるので、ここの範疇はかなり超えている部分があるかと思います。

 参考に申し上げると、参考資料12ページに「健康・医療戦略の推進体制」というのがあるのですが、この中で、真ん中の下のほうに「次世代医療ICT基盤協議会」というものを、この健康・医療戦略全体の中の政府全体をまとめる場としてやっていて、今、かなり動きがあります。そこに対して、当然、厚労省としても強く関与して進めていくということになっていますので、そういった中でビッグデータの活用はどうあるべきかというところは取り組むことになるのだと思います。この厚労科研費の中では一部やれると思いますが、網羅的なものまでやるには少し限界があるのではないかという感じで、別な場でしっかりやっていくことになると思います。

○中村()委員

 それはそれで、そういう枠組みでの話だというのは了解しましたが、政策研究分野の123の位置付けです。それについての確認ですが、政策科学推進研究分野というのは、主に制度設計などに関するものですか。そういう記載ですよね。

○中山研究企画官

1については、社会保障分野というか、そういったところになると思います。

○中村()委員

 ここの統計情報というのは、そうすると、そういう統計情報だということですね。

○中山研究企画官

 そういうと、そうです。この中でも当然、実施できると思いますけれども、いわゆる厚生労働省で言えば、統計情報部が担当している部分の研究ということです。

○松谷委員長

 そういう意味では、若干、戦略的ではないという。ほかにありますか。それではIVまで進みましょうか。

○中山研究企画官

 時間が余りないので、もう読み上げるのはやめますが、このIVの「健康安全確保総合研究分野」については、37ページにありますように、医政局が担当している医療提供体制に関する課題に資する研究が実施されているということ。さらには、39ページにありますように、労働安全衛生行政の課題解決のための研究。さらには41ページの食品の安全性を確保するためのということで、食品衛生に関する研究。さらには43ページは、医薬の規制絡みの行政研究ということで、危険ドラッグや血液安全対策などの研究が実施されているということです。あとは、45ページの化学物質対策。47ページ以降は、健康安全・危機管理ということで、健康・危機管理や水安全、生活環境安全といった研究も実施されているということで、すみません、時間がないので端折りました。

○松谷委員長

 そうしましたらIVに限らず、今までのところで何かほかに追加の御発言はありますか。

 まとめ方の考え方で、先ほど中村耕三委員からお話がありましたが、全体にAMEDのグレーのところをAMEDのほうに寄せるのか、こちらに残るほうに寄せるのか、そこの哲学はまだはっきりしていないし、また、本来の在り方としてどうなのかということと、目先の予算でどうなのかという話と、しかしそんな目先のことで動かされていると将来的にどうなるか全く分からないなどと、いろいろな要素があり、もう少し深い議論が必要ではないかとは思います。

○吉倉委員

 要するに、金も決まっているのだから、できることを書くよりしょうがないですよね。ですから先ほど言ったように、大風呂敷を広げて書いてもしょうがない。むしろ、ここでは一体何をやるのだということをはっきりしたほうがいいのではないか。でないと曖昧になって、AMEDにも入らなければ、こちらにも入らないというものが出ても困る。全部書くよりは、残るほうの内容はこれをやるというのをきちんと書いたほうがいいと思います。

○中村()委員

 全く賛成で、何か、残ったものを網羅的に書いたみたいな印象を少し持ちましたので、政策に資するエビデンスを出すとか、先ほど出ました、根拠をはっきりさせて、各事業もそれに合わせてくくっていくようなのが、例えばいいのではないかという気もしました。御参考にしていただければと思います。

○若林委員

 大久保委員が言われましたように、厚生行政から予防までの範囲のものが、やはり必要だというように思うのですが、多分、この1年でAMEDを作ってサッとやりましたので、あっちに行ったり、こっちに行ったりしているものはあると思うのです。それらのものを再構成するなどというような作業は、今後行われる可能性はあるのですか。行ったものは絶対に戻ってこないなどという話ですと、そもそも駄目でしょう。

○中山研究企画官

 医療分野でこの疾病・障害対策関係は実用化という面に資する基盤的な研究も全部含んでいるのだからなどといういろいろな意味で、一体化していくといった可能性はなくはないとは思うのですが。

○松谷委員長

 健康・医療戦略推進法の大きな考え方の中での議論であれば可能なのだろうと思います。特に、相当に急いでこの枠組みが作られて、ある意味ではディスカッションが足りていないと思います。だからこそこういう委員会ができているわけですが、本来はこういうものができた上で移すわけです。そこを省略しても法人はスタートするということになってくるので、そこの作業は、大きな枠組みの原則を崩さない範囲では可能なのだろうと思います。

 ただ、今、企画官もおっしゃられていたかもしれませんが、AMEDのほうの研究と、厚労省なり各省に残る研究というのは、各省に残った研究をAMEDに移すということは、今後あり得る。それはお金と一緒に移せばできるのですが、AMEDに一旦移したものがこちらに戻ってくるということは余り考えられない。ですから、半透膜になっているのです。そこをよく慎重に考えて、出すべきものは出すと。ただし、もうこれは出したら戻らないという覚悟でもって出すという考え方。多分その辺りも見通した上で、できるだけ残せるものは残すというスタンスで、今回はなっているのだと思うのです。ですから、この中で本来はAMEDに行ってもよかったものはあるのかもしれない。それを考えるということではないかと思います。

○大久保委員

 それはこちらのほうではなくて、別な部署が、この部分はAMEDに移すべきだなどという働きが来る可能性はあるのですか。

○中山研究企画官

 厚生労働省全体として考え方を統一しているだけでして。

○大久保委員

 厚生労働省の主体でできるということですか。

○中山研究企画官

 もちろん、関係する内閣官房などと協議する必要はありますが。

○大久保委員

 そうすると、できるだけ広く持っていたほうが融通が利くのではないかと思います。

○吉倉委員

 これは要するに行政側に必要な話だから、行政の方からきちんと、これが要ると言ってもらうのが一番簡単だと思うのです。我々がいろいろ言うよりは。

○中村()委員

 厚生労働行政の推進の今後にどういう方向が必要かということを、私はここしばらく考えさせていただいて、そういったことを中心に話をさせていただきました。しかし、この議論の持っている枠組みが、もともと研究費の今まであった塊を、AMED部分に分けるのと、こちらに残すのとという、技術的な問題での議論で、大体、方向性を決めていこうということなら、もう本当にこのとおりで枠組みはよろしいかと私は思います。あとは、やはりそれでもなお文言については、少し未来志向型にされたほうがいいのではないかということです。

○松谷委員長

 ありがとうございます。時間がまいりましたが、ほかに全体を通して何かありますか。特になければ、事務局から連絡事項をお願いします。

○中山研究企画官

 次回は325()10時からということにさせていただきます。もし追加で御意見などありましたら、メールなどでも随時頂ければ参考にさせていただきます。よろしくお願いいたします。

○松谷委員長

 それでは、少し慌ただしい審議でございましたが、本日はこれで終了といたします。どうもありがとうございました。


(了)

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