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2015年1月8日 第5回外国人介護人材受入れの在り方に関する検討会 議事録

社会・援護局福祉基盤課福祉人材確保対策室

○日時

平成27年1月8日(木)13:00~15:00


○場所

TKPガーデンシティ永田町 ホール3A


○議題

技能実習について
(1)監理団体による監理の徹底
(2)適切な実習実施機関の対象範囲
国家資格取得者への在留資格等(外国の看護師の取扱い含む)

○議事

○山田室長補佐 皆様、こんにちは。新年が明けました。本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。

 定刻よりも若干早いのですけれども、御出席の御予定の皆様が全てそろっておりますので、ただいまから第5回「外国人介護人材受入れの在り方に関する検討会」を開催いたします。

 構成員の皆様におかれましては、大変お忙しいところをお集まりいただきまして、まことにありがとうございます。

 初めに、本日の構成員の出欠状況でございますけれども、平川博之構成員から御欠席の連絡をいただいております。また、猪熊構成員から、おくれて御出席されるとの御連絡をいただいておりますので、御報告申し上げます。

○根本座長 ありがとうございます。

 本日の検討でありますけれども、本日は、大きく分けて3つの内容を取り扱うことになっております。

 まず、前回に引き続きましての技能実習に係る主な検討事項の残りでございます。2点あったかと思いますけれども、前回に引き続いての技能実習に係る主な検討事項。続きまして、技能実習本体の見直し状況についての御報告。そして最後に、国家資格取得者への在留資格等。以上の3点でございます。

 まず、事務局から資料の確認をお願いいたします。

○山田室長補佐 まず、報道関係者の皆様、撮影はここで終了といたします。

(報道関係者退室)

○山田室長補佐 それでは、お手元の資料の確認をお願いいたします。

 本日は6種類の資料を御用意させていただいております。

 座長より説明がございましたけれども、大きく3つの内容の関係で資料がございます。

 まず、技能実習への介護分野の追加に関する資料として、資料1と資料2でございます。資料1は検討の進め方、資料2は主な検討事項のうち技能実習についてのものです。

 2つ目は、技能実習本体の見直し状況に関する資料でございます。資料3「技能実習制度の見直しについて」ということで、職業能力開発局外国人研修推進室より提出されている資料でございます。

 3つ目が国家資格取得者への在留資格等ということでございまして、資料4として、主な検討事項のうちの国家資格取得者への在留資格等ということでございます。

 また、本日は、構成員の田中先生より資料を御提出いただいております。

 最後に、資料5として「基礎資料」がございます。

 資料の過不足等がございましたら事務局までお申しつけいただきますようお願いいたします。よろしゅうございましょうか。

○根本座長 それでは、早速、議事に入りたいと思います。

 まず、事務局から御説明をお願いします。

○武内室長 それでは、本日の資料の内容について御説明申し上げます。

 お手元の資料1においては、従前から毎回お示しさせていただいている技能実習への介護分野の追加についての検討の進め方の考え方をまとめたものです。こちらは以前も御説明申し上げたとおり、基本的な検討に当たっての視点ということで、1ページ目には、1として「追加するとした場合の実施内容及び方法はどのようなものか」、2として「技能実習制度の抜本的見直しとの関係をどのように考えるか」という前提に立つ必要があるということでございます。

 それから、2ページ目になりますが、こちらは、介護分野を追加するとした場合の要件としまして、共通要件、介護固有要件というものがあり、その中で介護固有要件について具体的な懸念される内容、そして、それを解決していくための主な検討事項というのが(1)から(7)まであり、きょうはオレンジ色の部分、(4)と(7)について議論をしていく、そういう位置づけになっています。

 こうした全体像に基づいて資料2にまいります。

 資料2の「主な検討事項(技能実習)」に関しまして、まず「(4)適切な実習実施機関の対象範囲の設定」についてです。

 2ページをごらんください。「論点と考え方」でございます。まず【前提】につきまして、技能実習に介護分野を追加するとした場合、技能移転という制度の本旨を達成するために、実習生が適切に介護の技能を習得できる施設等で実施をすることが必要であるということ。そしてもう一つ、現在の技能実習制度においては、個々の業種の枠内で実習実施機関の範囲が制限されている例はないという現状についてお示ししています。

 その上で【論点と考え方】。介護を職種追加するとした場合、実習実施機関の対象範囲についてどのように考えるかという点です。この点に関しまして、まず1つ目のポツでは、介護という業務には多様な形態が想定をされます。しかしながら、関連制度において、介護の業務が行われていると制度上想定をされている範囲に限定をすべきではないかということでございます。

 これに関して、例えば介護福祉士の国家試験の受験資格要件、すなわち実務ルートでは実務経験3年以上という要件があります。この実務経験として認められる施設類型を参考にしてはいかがかということを掲げております。

 具体的には、3ページを一旦ごらんください。こちらが介護福祉士試験の受験資格の認定に係る介護等の業務の範囲ということで、具体的には厚生労働省の局長通知の中で示されているものでございますが、ここに掲げられている施設類型が、介護が行われて、介護福祉士の国家試験の受験資格として認定される業務の行われる場所であるということで掲げられております。

 もう一度、2ページにお戻りください。こうした制度上想定される範囲に限定するという考え方をとった上でもなお、一律に外形的な施設類型のみで論じるのではなく、個々の受け入れ機関において実習生が介護の業務に従事する必要があるということで、これをどのように運用上担保するのか。すなわち、実習計画の策定など、実態上それがしっかりと担保されることが必要ではないかということを書いております。また、一定程度安定的な経営が行われている場合に限定するという考え方についてどう考えるのかということを掲げております。

 そして、3点目です。単独で居宅を訪問して業務を行うことが基本となる訪問系サービスについてどう考えるかという点です。技能実習生という方々が労働者として働かれるという枠組みの中でこういった局面でどう働くかということについてどう考えるのか。それに関しまして、実習生の労働者としての人権擁護、あるいは適切な在留管理等の観点も含め、さまざまな観点からどのように考えられるのかということでございます。

 参考として、EPAの介護福祉士については、EPAの介護福祉士の候補者の段階、それから合格して資格を取った段階、双方において、訪問系サービスについては、適切な在留等の観点から従事できないという整理がされております。

 以上でございます。

○根本座長 ありがとうございました。

 ただいまの御説明、この検討事項に関する論点と考え方に御意見等がございましたら、どうぞ。

 平川構成員、どうぞ。

○平川構成員 ありがとうございます。

 先日、新聞等でこの外国人の受け入れの問題について、技能実習制度を活用して介護職場に外国人を増員するという、あたかも技能実習を導入することが決まったかのような報道がありました。私ども連合としましては、基本的には、この技能実習制度に介護職を追加することについては問題が多過ぎて反対であるということをたびたび発言させていただいているところであり、このように報道がされてしまいますと、この検討会そのものの位置づけも問われるのではないかと思っているところでありますので、その辺についての御見解をぜひともお示ししていただきたいと考えます。よろしくお願いいたします。

○根本座長 よろしくお願いします。

○武内室長 御指摘いただいたのは、1月6日の読売新聞の1面の、介護職の技能実習制度を使うことが決定したという趣旨の記事であったと。この点についての御指摘だと理解しています。この点につきましては、技能実習の対象職種に介護を加える方針を政府として決定したという事実はございません。したがって、この記事の内容については、私どもとしては全く承知をしていないという理解で結構です。

 もとより、申し上げるまでもなく、まさに皆様にお集まりをいただきまして、本検討会で日本再興戦略に盛り込まれた内容を受けて検討するという場を持っていただき、技能移転という制度の趣旨に沿って予断を持つことなく検討を進めているというのが現在の状況でございますので、皆様の御意見、御議論を踏まえて、また関係省庁とも連携しつつ、さらに検討を進めてまいりたいと考えております。

○根本座長 それでよろしいでしょうか。

○平川構成員 

 いずれにいたしましても、私どもとしては、この報道によって、あたかも導入前提で議論に参加しているのかというような疑念も招きかねないと考えますので、ぜひともそういうことのないようにお願いしたいと思いますし、技能実習の対象職種に介護を加えることについて基本的には反対であることについては再度申し上げさせていただきたいと思います。

 以上です。

○根本座長 ありがとうございます。

 ただいまの例の新聞記事に関するあれですが、また本論に戻りまして、この適切な実習実施機関の対象範囲の設定についての事務局からの御説明、御提案等について何か御意見。

 いつも皮切りは石橋構成員、よろしくお願いいたします。

○石橋構成員 御指名いただきましたので、早速ではございますけれども、事務局のほうで示されています実習機関の対象範囲についてでございます。こちらで示されているとおり、「国家試験の受験資格要件を満たすための実務経験として認められる施設等に限定」ということは望ましいのではないかと思っています。なおかつ、単に人手不足で研修生を受け入れて活用されるという弊害が出ないように、受け入れ側としても安定的な経営がきちんと行われている場合であるとか、実習生がきちんと実習を受けられるように実習計画の策定とか、実習指導者がきちんと配置されているとか、そういうこともしっかり踏まえた上で限定すべきではないかと思っております。

 それから、最後のところですけれども、今、EPAの介護福祉士についても訪問介護系には従事することができないとされております。技能実習生が訪問介護に実際に来られた場合について、利用者さん側も不安を抱くでしょうし、本人側もひょっとしたらうまく対応できないということに陥って実習に支障がでることも考えられますので、訪問系サービスについては対象外とすべきなのではないかと思います。

○根本座長 ありがとうございます。

 白井構成員、どうぞ。

○白井構成員 私もその実習範囲に関してですが、お示しいただいたように、どこで実習するかというのは非常に重要なことと思っておりますので、範囲を指定することは非常に重要なことであるかなと思っています。

 その中で居宅というところですが、私自身、看護職として訪問看護を経験していた中で、幾ら知識・技術があっても、1対1のところでケアをするというところには不安もあり、それと利用者様がいるというところでは、利用者様への支援をするときには居宅というのは支援体制がしっかり整っていないと難しいところがあると思います。居宅には、利用者様、御家族様、いろいろいらっしゃる中で、実習生が技能移転ということで、こちらにも書いていた人権擁護という点でも、そこで何が起きるかわからない、そこにすぐ手を差し伸べることができないようなところでの実習というのは避けたほうがよいのかなと思っております。

 以上です。

○根本座長 ありがとうございます。

 ほか、いかがでしょうか。

 どうぞ。

○北浦構成員 この介護の職種を新たに追加することになると、職種をどう定義するかということに全てかかわってくると思います。そういった意味で、いわゆる標準職業分類的な発想でいけば、介護というのは幅広く考えられるということにはなるのですが、現実の日本の姿を見れば、この介護業務については介護保険という枠組みを通じて一つの規定化がされてきている。また、そこにおいて介護福祉士という一つの国家試験制度、あるいはそれに類するところのいわば標準的な一つの能力目標というのがあるわけですから、それに準じた形で介護業務を規定していく形にしませんと、これは周辺まで広げてしまうと混乱が起きる。その意味において、介護業務を、そういったものが実施できるこういった機関にある程度の制約を加えていくことは極めて妥当ではないかと感じます。

 もう一つは、ここありますところの居宅サービス、訪問系サービスについてどう考えるかということです。技能実習ということを考えますと、実習に当たっては必ず指導者がついている、あるいはOJTということであれば、そういった体制ができるような教育体ができる環境でないといけない。そうしますと、訪問系サービスが複数で実施されているとかいうことであればまた違うのかもしれませんけれども、現実的にそのような環境はなかなかつくりにくい。あるいは、そういうことが逸脱してしまう可能性が高いということであれば、その部分は少し除外して考えるというのも妥当ではないかと思います。

○根本座長 ありがとうございます。

 平川構成員、どうぞ。

○平川構成員 実習実施機関の対象範囲のところですけれども、介護の業務が行われていることが制度上想定される範囲に限定すべきということで記載されておりまして、かつ、一定程度安定的な経営というのが示されているところであります。ただ、先ほどから少し意見が出ていましたけれども、安定的な経営とは何なのか、そしてまた、研修を行うに値する、そういう能力がある施設はどうなのかということに関しては、これだけではよくわからないのではないかと思うところであります。安定的な経営というと、施設の設置の主体がどこにあるのか。例えば国立なのか公立なのか、それとも社会福祉法人なのか。もしくは、過去に監査などで指摘を受けたことがあるかないか。もしくは、その施設の離職率がどうなのか。離職率が高ければ、当然、OJTをやっているような余裕もないでしょうし、そういうことはどうなのかということを含めて、安定的な経営に関してもっと突き詰めて考えていかないとだめなのではないかと考えます。

 それから、居宅を訪問して業務を行うことが基本である訪問系サービスの関係であります。現行の介護保険制度でも、訪問介護の職員に関しては現行では初任者研修以上ということで限定されていることを考えれば、資料にEPAの例も書いてありますけれども、訪問系サービスを実習生が実習として行うというのは無理なのではないかと考えております。

 以上です。

○根本座長 ありがとうございます。

 どうぞ、お願いいたします。

○田中構成員 この3ページの範囲でございますけれども、これで結構だと思います。ただ、要は、ここでしっかりと技術移転ができるかどうかというところが一番の課題ではないかと思っております。そのときに、技能実習でございますので、体系的にどれだけ身につけるかというのは甚だ大きい課題であると思います。少なくとも介護の幾つかの職能のうちの生活支援技術をしっかりと身につけることができるような指導体制があるかどうかというのが一つ大事なポイントではないかと私は思います。

 以上です。

○根本座長 ありがとうございます。

 それぞれの項目について大分具体的な御指摘も出てきておりますけれども、いかがでしょうか。

 平田構成員、どうぞ。

○平田構成員 おおむね、今、皆さんがおっしゃったような意見なのですけれども、経営協としても、実務経験の対象となる施設に限定するというのは賛成であります。また、基本的に一定程度の経営の安定という部分で、例えば3年という、ある程度の開設後の経験を加味した要件をここに加えるということもいい。それと、訪問系は、EPAでも当然制限されていますし、こういう実務実習という意味ではここは除外するということ、これらの部分は、団体としても共通した御意見だろうと思います。

○根本座長 ありがとうございます。

 幾つかのポイントにおいて大分具体的な部分も出てきておりますけれども、大体よろしゅうございましょうか。

 それでは、いろいろいただいた御意見等についてはまた集約の段階で加味していただくことといたしまして、今度は、最後の検討事項になりますけれども、監理団体による監理の徹底につきまして事務局から御説明をお願いいたします。

○武内室長 それでは、引き続きまして、資料2の5ページから、監理団体よる監理の徹底に関することでございます。

 5ページ「論点と考え方」でございます。まず【前提】としまして、監理団体とは、この下に省令の名前が書いてありますけれども、団体要件省令というものにおきまして「技能実習生の技能、技術又は知識を修得する活動の監理を行う営利を目的としない団体」とされております。そしてその役割としましては、技能実習を実施する各企業等において、技能実習計画に基づいて適正に技能実習が実施されているか否かについて状況を確認し、企業等を指導するということが挙げられております。

 具体的には7ページをごらんください。技能実習における監理団体について関係する省令の中でつぶさに規定がされております。まず【監理団体の要件】につきましては、商工会議所を初めとしまして法人の類型が掲げられておりますけれども「営利を目的としないもの」といった要件が設定されております。

 また【監理団体による監理の内容】といたしまして、これも省令の中でつぶさに規定されておるのですが、その重立ったものを項目として挙げております。例えば1つ目の○では、実習実施機関に関する監査、そして報告。2つ目の○では、実習生からの相談に対応する体制の構築、相談員の配置等。3つ目の○では、実習継続が困難な場合に新たな実習実施機関を確保すること。2つ飛びまして、実習実施機関に赴いての実施状況の確認・指導。実習1号については一月に1回以上とされています。2つ飛びまして、講習の実施状況に係る文書の作成・保管。こういった具体的内容が掲げられています。

 こういったものをガイドラインのレベルで見ますと8ページになります。法務省で作成している「技能実習生の入国・在留管理に関する指針」というものから取り出したものですけれども、監理団体の役割をまとめますと、技能実習制度における監理とは、実習生を受け入れる団体が実習計画に基づいて適正に実施されているか否かついてその状況を確認し、企業等を指導することと規定されております。

 また、次の○では、中小企業等の実習実施能力を補完して適正な技能実習を実施させるということ。

 そして3つ目では、監理団体は、技能実習の趣旨が、人づくり、国際貢献にあるということを理解し、実習実施機関や送り出し機関にそれを周知し、実習生を安価な労働力と考えている実習実施機関や送り出し機関が参入することを防がなければならないということが宣明されております。

 こういった現状に立ち、再び5ページに戻っていただきたいのですけれども、こういった制度の立てつけになっている中で、【前提】の2つ目の○でございます。現在、技能実習制度本体の見直しの作業が行われておりまして、その中では、監理団体による監理の適正化、公的機関による監視体制の強化について検討が進められております。これは後ほど補足の御説明をさせていただきます。

 こうした上で【論点と考え方】でございますが、介護分野を職種追加するとした場合、監理団体のあり方についてどのように考えるかということでございます。これに関しましては、技能実習制度本体の見直しの中で予定されている監理の適正化等の内容を十分に踏まえて対応する必要があるのではないか。そして、その見直しの内容が、従前に機能するよう制度のレベルだけではなく、運用のレベルで担保していくことが必要ではないかということです。

 それから、次のポツでは、個々の監理団体をしっかり見ていく必要があるということで、個々の監理団体の適格性については、この制度本体の見直しの内容に沿いながら、個別具体的にその適格性を判断していくことが必要ではないかということを掲げております。

 では、補足をお願いします。

○山田室長 外国人研修推進室長の山田でございます。

 私から、この論点に関して、技能実習の全体の見直し・検討の中での状況について御説明いたします。

 資料3でございます。1枚おめくりいただきまして、2ページになります。これは、昨年1110日、第1回の法務省・厚生労働省の合同の有識者懇談会の資料でございまして、この懇談会の中で検討する論点について網羅したものでございます。今回の中で関連しますのは、この2ページの1.の「(2)監理団体による監理の適正化及び公的機関による監視体制の強化等」というところでございます。

 まず、(1)ですが、新たな法律に基づく制度管理運用機関による指導監督のあり方をどうするのか。報告徴収・立ち入り調査。現在、国際研修協力機構(JITCO)が私どもからの委託事業で巡回指導をやっておりますけれども、権限付与していくという方向でできないかという議論。

 それから、(2)で監理団体や実習実施機関のガバナンス強化のあり方ということで、括弧内に「外部役員設置又は外部監査等」と書いてあります。この外部役員設置、外部監査につきましては、監理団体を念頭に置いているものでございまして、これは既に昨年の6月10日に、法務省の出入国管理政策懇談会の外国人受入れ制度検討分科会の中でも指摘をされておりますし、また、6月24日の成長戦略の中でも既に盛り込まれていることで、こういった方向で検討を進めていくということでございます。

 また、(3)で、悪質な監理団体等がある場合に対してどういうサンクションをかけていくかということで、刑事罰や公表制度といったところが論点として議論がなされています。

 具体的には、またおめくりをいただきまして、小さいページ番号の6ページのところでございます。資料としては第1回と第2回の懇談会の議事要旨をつけておりますが、時間の関係もございますし、また、第1回のほうで大体網羅しておりますので、こちらのほうで御説明いたしますと「(2)監理団体による監理の適正化及び公的機関による監視体制の強化等」とあります。まず、新たな法律に基づく制度管理運用機関のことです。最初の○で、現在、JITCOで行っているさまざまな指導監督がありますけれども、これを見直して、JITCOにかわって、法律に基づく公的機関を立ち上げて、政府として体制強化をすべきだという御意見がございます。

 それから、4番目の○でございますが、制度管理運用機関には、監理団体あるいは実習実施機関への立ち入り権限、それから、指導監督の権限を法律上位置づけていくべきだといった御議論がございます。

 そして、それを実効性あるものにするために、その下の○で、新法人の独立性を担保すべきだと。あるいは、その下の○では、財政面での独立性という観点からも、新法人についてはしっかり国費で見ていくべきだという意見がございます。

 一方で、その下の○ですけれども、やはり行政改革の観点というのもあるので、効率的な形で対応すべきだというような意見も出されてございます。

 それから、その下の(2)監理団体や実習実施機関のガバナンスの強化というところでございます。外部役員ですとか、そういった基本的な方向性については既に打ち出されているところでございますが、具体的な議論といたしまして、最初の○ですけれども、員外役員に役員報酬を払うということについて厳しい部分があるのではないかと。そういったことについてどうやっていくのかという意見も1つ出されております。

 次のページです。逆に、監理団体として認められる法人の類型の中に事業協同組合というものがあるわけですけれども、実態として事業協同組合をつくって、すぐ技能実習生を受け入れるということを仮にやるとすると、財政基盤もしっかりしていない場合もあり得るし、それでは監理団体としてきちんとした役割を果たせないのではないか。やはり事業協同組合あるいは実習実施機関について、まず事業の実績をきちんと確認した上で、技能実習を行わせる。これが適切にできるかどうかということを判断すべきではないかというような意見も出されております。

 実は現在も中小企業庁のほうから平成20年に出されました事務取扱要領の中で、新たに事業協同組合を設立して、外国人技能実習生の受入れ事業を行う場合には、当該事業以外の事業を少なくとも1年間実施する。一定の実績といいますか、そういったものを積むということを指導しているというのが現状でございます。

 それから、今のもとの資料の7ページの2番目の○でございますけれども、ここに「異業種組合」という言葉が出てきております。これは、事業協同組合の中に、例えば工業系なら工業系のところが集まってつくった団体だけではなくて、農業だとか、必ずしも相互に関連のない業種も含めて監理団体として活動していくということが法律上は可能でございます。こういったところが、今までの実態として問題を起こして、例えば地方入国管理局から不正行為だという形で認定をされた後に、また新たに事業協同組合をつくって活動するという実態が指摘されており、そのあたりをどうするのかというような問題提起もされております。

 また、(3)で悪質な監理団体も過去にあったということで、罰則ですとか、そういったところを公表していくということを新しい制度の中でしっかり位置づけていくべきだということが指摘をされてございます。

 以上でございます。

○根本座長 ありがとうございました。

 ただいまお2人の室長さんから御説明がありましたけれども、この監理団体による監理の徹底、この検討事項につきまして御意見等ございましたら、よろしくお願いします。

 平田構成員、どうぞ。

○平田構成員 今、御説明いただいたのですけれども、具体的にはどういう団体が想定されますか。今、この「論点と考え方」を含めて協同組合だとかいろいろ案が出ていたのですけれども、本体で想定される監理団体は新しくつくられるというイメージですが、我々にわかりやすく、少し具体的に例を挙げていただければ助かります。

○根本座長 お願いします。

○山田室長 私から御説明いたします。

 お手元の資料2のほうで御説明させていただきますと、7ページのところに監理団体の要件というものが書かれてございます。この中に現在の入管法、法務省令に基づいて団体の要件が規定されておりますけれども、ここにありますとおり、商工会議所、商工会、あるいは中小企業団体といったもの、あと、公益財団法人とか、法務大臣が個別に告示するケースもありますけれども、そういったものが監理団体として想定されています。現在の法務・厚労省の有識者懇談会の議論の中では、今のところ、この類型自体をどうするということが議論されているものではなくて、基本はこの監理団体の要件を前提に、これらの類型の監理団体が実際に監理事業を行うに当たって、どうしたら体制的に適切な監理事業ができるのかという観点からの枠づけをしていくという議論でございます。

 先ほどの資料には直接書いておりませんでしたけれども、事務方のほうからは、新しい制度になってから監理団体として参入するに当たっては事前の許可制を設けることも素案として提示させていただいております。現在はそういった制度はございませんので、一定の要件に当てはまれば、そういったことを証明する書類をもって個々に実習生を入れるための入国管理審査を受けることができるわけです。新しい制度になって、もし私どもの事務方の案の方向になれば、その以前に監理団体としての許可要件を満たすことが大前提になってくるという形になりますけれども、そういったことも含めて現在検討を進めている状況でございます。

○根本座長 よろしゅうございましょうか。

 どうぞ。

○田中構成員 私は、昨年4月の法務省の懇談会のヒアリングのときに意見を申し上げましたときには、これは反対であるとはっきり申し上げました。それは、現行の技能実習制度が技術移転ということにはほど遠い現状であるということだったからであります。それは、もとよりこの監理団体というところに大きな問題があったのではないかと認識しておりました。そういう意味から、この団体が介護というものを対象にすることによって、日本の技術移転について全体的にレベルアップできるということについては、これは大変いいチャンスではないかと思っております。

 加えてもう一点です。これは反対の方がいらっしゃるかもしれませんが、罰則を強化するということ一辺倒ではこれは実行できないと私は思います。むしろ、事業者の自主的な努力が積極的に出てくるような仕組みも必要ではないか。罰則は必要でありますけれども、そればかりではこの技術の移転は適正な形ではできないと思いますので、実際に受け入れた事業主が、できるだけ隠さないで、もっと積極的に開放的にこういうものを改善していく仕組みも必要ではないかと感じております。

 以上です。

○根本座長 ありがとうございます。

 どうぞ、お願いいたします。

○熊谷構成員 技能実習制度につきましては以前からいろいろ問題が指摘されておりましたが、今回の議論の中で相当具体的に問題点が挙げられているようですし、この方向で進めていただければと考えます。

 監理団体につきましては御提案のとおりだと思いますが、今回の議論にはありませんけれども、外国からの送り出し機関につきましてもぜひ厳密に審査していただいて、具体的に言いますと、前借りみたいなことをして無理をしてくるということがいろいろ問題につながっているやに聞いておりますので、その辺も含めて御議論いただいて、制度がうまく機能しますようにお願いしたいと思います。

○根本座長 どうぞ。

○山田室長 今の点についてちょっと御説明いたしますと、いわゆる保証金と言われているものだと思います。外国から入国する前に、送り出し機関に何がしかのお金を預けて、日本で何か問題を起こしたらお金が返ってこないぞというようなものを一般的に保証金と呼んでおります。現在、これは法務省令で禁止をされておりますけれども、私どもがJITCOに委託している帰国後フォローアップ調査というのがございまして、日本で実習が終わって国に帰る、そうしたら正直にいろいろ答えてくれるだろうということでフォローアップ調査をやっておりますが、やはり現実には一定の割合預けているケースがあるという調査結果も出ております。

 外国の機関にどのような形で縛りをかけていくかは非常に難しいところがございますが、現在、方向性として1つ考えておりますのは、我が国政府が前面に出て、二国間で何らかの取り決めをしていって、その取り決めの中で、送り出し機関とはこうあるべきであると。例えば先方の国で認定した送り出し機関といったところに絞り込んでいくという方向というのは一つ考えられると思っておりますが、このあたりも含めて、今後、懇談会のほうでさらに議論していただければと考えております。

○根本座長 ありがとうございます。

 技能実習本体の見直しにつきましては、本日の2番目の話題としてこの後すぐにもう一度取り上げることになっておりますので、またそちらのほうでもよろしくお願いいたします。

 どうぞ。

○平川構成員 今、検討されている監理団体の権限ですけれども、監理団体の要件として、商工会議所とか中小企業団体が監理団体として引き続き中心的な役割を担ってもらうという形になっているかと思いますけれども、例えば強制的な事業停止命令をかけるということについては、公的な権力でありますので、ある意味、原則公務員でなければならない。その例外として、例えば年金機構とか、公法人はその権限を法律上持ち合わせるという相当ハイレベルな仕組みになっていると思うのです。これが、この監理団体として、例えば商工会議所ばかり言って申しわけないのですけれども、農協とかがそういう権限を持ち得るのかどうなのかとなると、どうなのかなと思われます。先ほど言いました介護保険上の問題に関しても、不正があれば、記録を書いていなければ事業停止まで行ってしまうぐらいかなり厳しい内容になっています。それだけ介護の世界ではサービスの質の担保ということもしっかりとやられるよう努力されているというような状況になっているかと思います。

 そういう意味で、今、議論されているかと思いますけれども、この監理団体が、立ち入り権限もありますが、どういう仕組みでやろうとしているのかというのをちょっと教えていただければと思います。

○根本座長 お願いいたします。

○山田室長 御説明をいたします。

 現在、監理団体は傘下の実習実施機関に対していろいろなサービスを行う。外国から実習生を集めて紹介をするという職業紹介的な機能も持っております。その一方で、傘下の実習実施機関で適切に実習が行われているかどうかということを3カ月に1回監査をするということが法務省令の中で定められております。そして、監査をした実績について報告をするという義務も課されております。問題は、この監理団体の監査というものが本当にきちんとなされているかどうか、あるいは実習実施機関で実習計画に基づいてきちんと実習がなされているかどうかをきちんと見ているかについてどのような形で担保するかというところでございます。

 現在は、監理団体がきちんと実習実施機関を見るという前提ですけれども、その監理団体がきちんとやっているかどうかということについて、JITCO(国際研修協力機構)に対して、私ども、国、厚生労働省から委託をして巡回指導をさせる。これは監理団体だけではなくて実習実施機関に対しても行くわけですけれども、そのような形でやっております。

 ただ、現在、JITCOには法的な権限が付与されているわけではございません。ですから、見回りに来たところの実習実施機関なり監理団体に嫌だと言われれば、法律上はそれ以上は踏み込めないという形になりますので、そこを新たな法人をつくり、かつ、その法人に立ち入り検査権限などの法的な権限を持たせてやっていこうということです。今、議論しているのは、監理団体にその法的な権限を持たせるということではなくて、監理団体を監視する新たな公的機関、JITCOにかわる制度管理運用機関をつくっていこうと。これは、ある意味、法務省、厚生労働省、両方の権限にまたがるようなものでございますので、両省から一定の権限を委任するような形で、かつ、法的な権限を持たせる。その法的な権限を持たせる際に、そういった法人にどこまでのものを持たせられるかというのは、実は法的ないろいろな並びの問題等もございますので、そのあたりをさらにきちんと精査していきたいと思います。

 これまでの実例でも、そういった法人が立ち入り検査権限を持っているというケースは幾つもございます。さらに、例えば許可権限だとか、そんなところまでできるかどうかはさらに精査をする必要がございますけれども、いずれにせよ、そういった監理団体や実習実施機関をきちんと見回るというか、立ち入り検査も含めてやっていく新しい機関をつくっていくという方向で議論を進めている状況でございます。

○根本座長 ありがとうございます。

 どうぞ。

○平川構成員 ありがとうございます。状況がよくわかりました。

 現状の監理体制につきましては、これまでもずっと問題を申し上げておりますけれども、監理体制に全く実効性がないということが実態としてあるということについてはいろいろなところで指摘されているのではないかと思います。今、それをどうしていくかに向けて努力されているというのはよくわかりました。

 ただ、今のお話を聞きますと、実際、事業所とかを含めて対応していくのは監理団体ですが、監理団体には権限がない。権限があるのはその上のJITCOという形になれば、この間、議論をしておりますとおり、日本語の能力の問題であるとか、介護の実習の中身の問題であるとか、評価システムの問題であるとか、介護としてのさまざまな特殊性、課題というのがいろいろ議論されてきたと思いますが、これで本当に適切な体制がとれていけるかというのは、かなり疑問だと言わざるを得ないと思います。

 先ほど、技能実習制度の大きな問題は監理団体との御指摘や意見がございましたけれども、この状況では、率直に言って、介護の分野を技能実習制度の職種として追加していくというのは、こういうところからも大きな問題がありますし、担保がされていないのではないかと思っております。

 以上です。

○根本座長 ありがとうございます。

 石橋構成員、どうぞ。

○石橋構成員 いわゆる技能実習制度に介護分野を仮に導入するとなると、適切に技能実習ができるように監理団体が公正中立な立場にならなければならないという、平川構成員のおっしゃるとおりだと私も思います。さらに、説明があったように、監理団体に余り権限がないということで、さらに新しい仕組みをつくって監理団体を指導するものができても、それがうまく機能しなければ、末端の実習施設などにきちんとそれが伝わらないというか、効果がなければ余り意味がないではないかというような気がします。

 本体というか、もともとの技能実習のあり方のほうで見直しがさらになされると思いますけれども、介護分野においてはさらにもう少し監理団体の要件をある程度制限することなども必要ではないかと思っています。

 それから、大きな問題として、先ほど熊谷構成員がおっしゃられました送り出し機関のほうで、いわゆるブローカーみたいなものがその国にいて、そこから受け入れるということもなきにしもあらずでございますので、そこのところをしっかりと監視していくというのですか、そういう仕組みもこれから必要になってくるのではないかと思います。

○根本座長 ありがとうございます。

 どうぞ、お願いいたします。

○北浦構成員 今の監理団体に対する監理体制をしっかりさせるということについては、今、かなり検討されているということは十分理解できたと思います。そういった意味で、監理内容というところをもう一度考えてみると、資料にもありましたように、大きく言えば、出入国管理との関連性、それを補完していくような性格のものと、技能実習そのものの内容、それを適正に行うものとの2通りあるのだろうと思うのです。そういった意味では、今までの監理団体というのは、出入国管理のほうは法務省さんとの関係もあってかなり厳しくやられているのでしょうが、問題は、もう一つの技能実習の中身のほうをちゃんとやれるか。そこにいろいろな意味での御懸念があるという意見もございました。そこのところをしっかり見ていくということが今回大事なのだろうと思います。

 とりわけ介護につきましては、日本語能力を求めるであるとか、先ほど来のような介護業務というものの規定の仕方といったものから考えますと、そういったものを十分に指導できるような機関でないといけないということにもなります。具体的にどういう団体がそれに当たるのかというのはちょっとわかりませんが、そういったものをきちんと要件化していくことが大事なのだろうと思います。

 もう一つ、監理団体方式ということでいくと、先ほど傘下とおっしゃいましたが、勘違いでなければ、たしか実習機関を会員化して、そこへ御紹介するような形をとっていたのではないかと思うのです。そうしますと、もしこれが介護と全然関係ない団体であったとした場合に、どういう実習機関の方がそこにいるのか。手を挙げれば会員にはなれるのでしょうが、その選別というのはどうしていくのかなという問題もあるのかなと思います。そういった問題も含めて、この監理団体というのは、そのときに実習機関をきちんと選べるような機関でないといけないわけですので、そういう能力も求められる。

 等々、具体化していくに当たっては、そこの一般要件以上に、指針でもかなりうたわれております。責任下及び管理下のもとに技能実習、能力を補完するという言い方をしていますが、まさにそれができるだけの要件を具体列挙していく必要があるのではないかと思います。

○根本座長 非常に具体的な御指摘、ありがとうございます。

 どうでしょうか。

 この監理団体による監理の問題につきましても非常に具体的に多くの御意見が出されましたが、それらを踏まえまして、またまとめの作業に入られるのだろうと思います。

 ほかにこの点についてはよろしいでしょうか。

 それでは、これで7点にわたりまして技能実習に関する主な検討事項につきまして一わたり議論をしてまいりました。

 ここで、現在、同時並行で進められております技能実習本体の見直しの進捗状況につきまして御報告を受けたいと思います。よろしくお願いいたします。

○山田室長 それでは、資料3でございます。

 資料3の下のほうのページの5ページをお開きいただければと思います。これは第1回懇談会での議事要旨でございますが、ここで全体の論点的なものはおおむね網羅されておりますので、主としてこちらのほうで説明をさせていただきます。

 真ん中のところに「論点1」ということで、まずは制度を適正化していくという観点からの議論でございます。

 まず最初は「確実な技能等の修得・移転」ということで、(1)技能実習の各段階での技能評価のあり方について幾つか議論がなされております。

 最初の○でございますけれども、現在、技能実習の1号で入って、2年目、3年目のいわゆる2号に移るためには、外国人向けの基礎2級の試験を受けて合格をすることが要件になっております。さらに、3年目に相当する方は、日本人向けの技能検定の3級に相当する試験を受けていただくことを前提にしておりますけれども、受検の義務というものはございません。これについて、技能実習制度が技能移転をしていく、技能を身につけて母国の産業発展に生かしていくのだという趣旨を徹底するのであれば、最初の○にありますとおり、2号の修了時に3級の受検を義務づけて、技能が向上したかどうかを確認すべきだという意見が出ております。

 次の○でございますけれども、3年間での日本語の習得レベルもあり、筆記試験まで求めると、それが一つネックになってくるのではないかという意見があって、例えば実技だけの合格を求めていくといった議論もあります。

 一方で、3番目の○にありますとおり、きちんと適切に評価をしていくためには、実技、学科、両方の受検を義務化していくべきだといった議論も出ております。

 次の○は、次のページまでわたっておりますけれども、大前提として、実習生が何のために来ているのか、日本に来て最大3年間学んで技能を身につけていくということをきちんと実習生本人に自覚させるために、実習生が学ぶ計画、技能実習計画と呼んでおりますけれども、そういった計画あるいは概要をきちんと本人に示して理解をさせていくことをまずきちんとやるべきだという意見も出されております。

 それから、同じ6ページの上の(2)、帰国後のフォローアップの推進ということでございます。要は、この制度の趣旨が、日本で学んでそれを母国に生かしていく。では、生かせるような形になっているかどうか。そういう制度趣旨に沿った運用になっているかどうかということを調べるために、帰国後フォローアップ調査を現在やっております。ただ、こちらの○にありますとおり、現在、回収率が15%程度にとどまっているということもございますので、例えば実習生に調査への協力を義務づけるなど、そういったことも含めて回収率の向上を図るべきだといった意見が出されております。

 次の(3)ですけれども、帰国後の能力発揮を促進するという意味で、例えばそういった技能検定試験に合格をしましたと。日本で合格をしたその合格証書というのが海外でどれぐらいの意味があるのかといったところをもう少し発展的に考えるべきだということで、技能検定が母国の労働市場でも評価・活用できるようにすべきではないかといった意見も出されております。これは、実は厚生労働省の職業能力開発局の海外協力課の事業で、工業的な職種ですけれども、東南アジアの幾つかの国でそういった技能検定を移植していくという事業もやっておりますので、そういったことを発展させていくといった意見でございます。

 その下の監理団体の監理の適正化については、先ほど御説明いたしましたので省略をいたします。

 それから、次の7ページのところでございます。(3)技能実習生に対する人権侵害行為といったケースがあるということがいろいろ指摘をされ、問題として提起をされております。これに対する対応の強化ということで、まずは通報・申告窓口を充実させていくことが論点でございます。

 最初の○にありますとおり、実習生の人権侵害がなかなか表面化しづらい背景に、実習生が実習実施機関に縛りつけられている面があるという指摘がなされております。これは、技能実習という性格から、基本的には、入ってきた3年間継続してそこの事業場の中で技能を身につけていくという観点からすれば、自由な転職を認めるということは制度趣旨にもとるわけでございますけれども、その一方で、逆に縛りつけられてしまうということでいろいろ物を言うことができないのではないのかといった指摘もございます。

 次の○でございますけれども、やはり通報の窓口をしっかり強化していくことが重要でございます。この後に書いてあるように、実習生が実習実施機関、自分の企業が何かおかしな行為をやっているのだということを監理団体に相談したら、実はその監理団体と実習実施機関が結託していたみたいな話があるということも指摘されておりますけれども、その意味では、公正中立な機関、しかも母国語で相談に乗れるという体制をしっかりつくるとともに、そういう窓口があるということを実習生にきちんと知らせていくことが重要だという指摘がなされております。

 現在、JITCOに対して私どもからの委託事業の中で母国語相談というものはございます。また、全ての実習生に対して手帳をお配りして、基本的な知識とかそういうものだけでなく、いろいろな相談窓口なども入れております。例えばそういうものをさらに発展させていくようなイメージでしっかりと窓口を強化していくべきだという指摘がなされております、

 それから、実習生に対する支援・保護のあり方です。2番目の○ですけれども、実習生の保護の観点からは、新法人、新しくつくることを検討しております制度監理運用機関が関与した中で、人権侵害など不適正な受け入れをしている実習実施機関がもしあれば、そこからどこか別のところに転籍できるような措置を講じるべきだと言われております。

 それから、実習生の賃金、処遇の適正化について幾つか議論がなされております。これは一つの例で、農業は特に賃金が低いのではないかということで、全体の平均を下げているではないかという御指摘があります。

 それから、次の8ページのところでありますけれども、日本人のなり手がいない分野で、現実としては最低賃金に張りついた形になっている懸念があるという御指摘がございます。

 現在、御承知のとおり、報酬については法務省令の中で日本人と同等以上という要件がありますけれども、この実効性を持たせる、そういった担保する仕組みをつくるべきだといった議論がなされております。

 その下の「(4)送出し機関への規制の実効性の強化」ということです。これも先ほどちょっと御指摘がございましたけれども、最初の○にありますが、送り出し機関について、実態として幾つか不正行為などがあるので、どういった措置ができるか。やり方として、外国政府と二国間協定など規制の実効性をやることでどこまで確保できるのか、こういった御指摘もございます。

 それから、3番目の○ですけれども、先ほど御指摘のあった保証金といったものを根絶していくためには、相手国と日本国の二国間で何らかの取り決めを結んで、不適切な送り出し機関を排除して、適正ではない送り出し機関からは受け入れないといった制度にすべきだという意見が出されております。

 それから、その下のところにございますけれども、論点2として、制度を適正化するということを前提に拡充を図っていくことについてもこうして議論がなされております。

 「(1)実習機関の延長又は再実習」ということですけれども、これについては、再興戦略の中で、優良な監理団体、そして実習実施機関といったところに限っていくということが既にうたわれているところでございます。これについての議論の中では、まずはきちんと制度の適正化を図っていくことが前提でしょうという御意見。仮に実習期間の延長を認める場合であっても、当然、法令をきちんと遵守をしているということ。あるいは、今、3年目の2号の修了時に技能検定3級の受検率ですとか合格率が高い監理団体あるいは実習実施機関といったところ、技能実習を適切にきちんと教えているというところに限って認めていくという意見も出されております。

 それから、次のページでございます。その一方で、期間の延長の対象となる優良機関の基準については、ある程度、現実的な水準にしてほしいといった意見もございます。

 それから、(2)でございますが、延長または再実習が可能となる場合、実習生の要件をどうするのかというところでございます。1番目の○ですけれども、仮に実習期間の3年を5年に延ばすとしても、長く家族と離れた形でずっと実習を続けるということは人道上の問題もあるということですので、必ず一度帰国するということを要件とすべきではないかという意見がございます。

 それから、3番目の○ですが、延長の対象となる実習生については、技能検定3級、あるいはそれに準じた試験の合格を要件とすべきだといった意見がございます。一方で、筆記試験については、日本語の関係で難しいので、実技面を重視して判定してはどうかという意見も出されているところでございます。

 その下「(2)受入れ人数の上限の見直し等」でございます。これについては、優良な受け入れ機関については受け入れ人数の上限枠を緩和するとか、常勤の職員数に応じて、もう少し区分をなだらかに、きめ細かく人数設定していくというような論点がございますけれども、これについては最低基準のものなので安易に緩和すべきでないという意見がある一方で、弾力的な受け入れ枠という意見も出されております。

 それから、(3)でございますが、対象職種の拡大の関連の中で、多能工化ニーズへの対応という意見が出されております。現在、68職種126作業あるわけでございまして、それぞれ細分化された職種作業を3年間実習していくことが前提となっておりますけれども、現場の実態の中で、より複数の技能を身につけることが現場の実態として求められているのではないかという意見もございます。

 そういった観点から、最初の○にありますとおり、多能工化ニーズは多くの企業から上がっているので、技能実習計画上で複数の技能を修得できるようにしてほしいという意見が出ております。

 一方で、次のページに集約されると思いますけれども、最初の○ですが、送り出し国にそういうニーズがあるのか、あくまでも技能を移転していくことが前提ですので、そういった趣旨に沿っているのかどうかということをきちんと見ていく必要があるといった意見も出されております。

 最後、(2)ですが、現在、職種を認める要件として、いわば全国職種といいますか、ある職種を認める場合には、日本全国でどこでも受け入れられる、試験がきちんと受けられるということを前提としておりますけれども、そういったものについて、例えば地域ごとの産業特性を踏まえた職種を認めてはどうか。あるいは、企業単独型の場合で、既に社内検定があって、そういったものが運用されている場合に、そういったものを活用した形での職種の追加を認めてはどうか、そういった意見も出されて論点になっております。

 ただ、前提として、送り出し国にきちんと固有のニーズがあるということが前提だろうという意見が出されている状況でございます。

 以上でございます。

○根本座長 ありがとうございました。

 申すまでもなく、この検討会は技能実習本体の見直しについて議論を行う役割を担っているものでありませんけれども、ただいまの事務局から御説明につきまして、特段の御質問等ございましたら、よろしくお願いいたします。

○田中構成員 1点だけ、4ページの技能実習生に対する人権侵害行為等への対応の強化というところでございます。窓口を強化するということでございますが、もう少し進めまして、そういった人権侵害の申告があった場合には、働いている技能実習生がいる事業所への立ち入り、面談を、先ほどの強化というところであれば具体的に検討していただきたいと思っております。

○根本座長 山田室長、どうぞ。

○山田室長 ぜひ新しい制度で、制度管理運用機関、権限があるところでやっていくということがもし認められれば、当然、そういった問題があるところにはしっかり入っていって是正をしていき、必要な対策をとっていくことになると思います。

○根本座長 ありがとうございます。

 よろしゅうございますか。

 ほかはいかがでしょうか。

 それでは、特段の御質問等ございませんようなので、これをもちまして、主な検討事項につきましての本日の1番目の大きい議題、数回にわたって検討してまいりました「技能実習」についての検討は一応終えることといたします。

 続きまして、2番目のテーマでございます国家資格取得者への在留資格等の問題につきまして、まず、事務局から御説明をお願いいたします。

○武内室長 それでは、資料4をごらんください。「国家資格取得者への在留資格等」ということでございますが、2ページから「論点と考え方」がございます。

 【前提】といたしまして、昨年の6月の「日本再興戦略」改訂2014におきまして「我が国で学ぶ外国人留学生が、日本の高等教育機関を卒業し、介護福祉士等の特定の国家資格等を取得した場合、引き続き国内で活躍できるよう、在留資格の拡充を含め、就労を認めること等について年内を目途に制度設計等を行う」とされております。

 また、先般、法務省の出入国管理政策懇談会の報告書におきましても「介護福祉士養成施設に指定されている我が国の高等教育機関を卒業し、介護福祉士の資格を取得した留学生が、我が国の介護施設等に就職して介護福祉士としての業務を行えるよう、在留資格の整備を進めるべきである」とされたところでございます。

 参考といたしまして、5ページをごらんいただきますと、こちらは、従前、基本的な資料として御説明申し上げたことがございますけれども、日本で就労することができる外国人の類型として5つの類型がございます。

 そのうち、今回、この論点に関して議論になっているのは「(1)就労目的で在留が認められる者」でございまして、いわゆる専門的・技術的分野と呼ばれているものでございます。具体的には、その右に表がございますけれども、専門的・技術的分野に該当する在留資格としては、技術、人文知識を初めとしまして、下のほうには、医療、すなわち医師・看護師などの専門職種が掲げられており、この枠組みにおいて介護福祉士の資格を取得した留学生の方々に在留資格の整備を進めるべきであるということを前提として議論を進めさせていただければと思います。

 それでは、2ページ目に再度戻らせていただきます。

 まず、今般の在留資格の拡充の対象となる者の範囲についてどう考えるか。この点について、介護福祉士については、現在、さまざまな資格取得のルートが用意されています。ただし、今般の見直しにおいては、日本再興戦略において「外国人留学生」が「日本の高等教育機関を卒業」した場合という形で明記をされております。この趣旨を踏まえた対応が必要ではないか。具体的には、該当する分野の専門的な学習を行う、国家資格を取得することが求められるという制度の趣旨、考え方から、介護福祉士の国家取得を目的として養成施設に留学し、介護福祉士資格を取得した者を想定することが適当ではないかということを掲げております。

 それから、3ページ目でございます。次に、対象となる方々の周辺に関する論点でございますが、在留資格が認められることとなる介護福祉士資格を取得した外国人の就労場所についてどのように考えられるか。その点につきまして、専門的・技術的分野の一つとして、介護分野の国家資格を取得したことに着目して在留資格が付与されるものであるという側面がございます。その一方で、介護という業務の特性を踏まえ、単独でサービスが提供されることが基本となる訪問系サービスについて、人権擁護、あるいは適切な在留管理等の観点もございます。こうした点を含めて検討する必要があるのではないかということでございます。

 (参考)については先ほど紹介したとおりです。

 2つ目の○については、指導・学習体制です。外国人留学生が資格の取得を目指す場合の適切な指導・学習の体制についてどのように考えるか。1つ目には、介護福祉士の養成施設における指導体制のあり方についてどのように考えるのか。例えば指導員の配置などについてどう考えるのかという点がございます。また、そのほか、留学生のための適切な学習環境を確保する観点から、どのような点に留意することが求められるかという論点がございます。

 これに関連しまして、参考といたしまして4ページをごらんください。看護師の場合「看護師等養成所の運営に関する指導要領」というものがございます。こちらの中では、外国人の留学生の受け入れということで幾つかの項目がガイドラインとして示されております。その中では、(1)にありますように、看護師等養成所で受け入れる留学生の人数については各学年定員の10%以内であるということ、(2)では、留学生の方々の教育及び生活指導の向上のため、専任教員に加えて、留学生5人に対し1人の割合で専任教員を置くということ。そのほか(3)では、学歴、日本語能力について確認をするとともに、留意すべきこととして、生活面のことなどが掲げられております。こうした事例も一つの議論の御参考としていただければと存じます。

 以上です。

○根本座長 ありがとうございました。

 この検討事項に関しまして田中構成員からの提出資料がございます。田中構成員、御説明をよろしくお願いいたします。

○田中構成員 失礼いたします。

 介護福祉士の有資格者に在留資格をということは、我々、団体として長年申し上げてきたところでございます。今回、そのようなことを検討していただき、私たちとしては大変光栄に思っております。

 そこで、昨年の4月に、現在の養成校でどのような留学生を受け入れて、どのような教育を行い、結果はどうであったかという調査をいたしております。この留学生問題がまだ十分固まっていないときでございますので、的を射た調査報告になるかどうかはいささか懸念するところでありますが、まず、この4月、204の課程がございます。実際は380校ですけれども、404課程に対して調査票を配付いたしました。回収率が72%という調査結果でございます。本文はここにございますけれども、これをやっていますと2~3時間かかりますので要約してここにまとめました。

 まず、2326年の過去4年を見ますと、合計で190名の留学生が入学しております。ただ、属性、男女別、年齢別、学歴別、そういうことはここでは控えさせていただきます。

 それから、出身国で見ますと、図表2でございますけれども、中国、韓国、両方で70%。主にその2カ国が留学生として中心であるということ。

 2ページにまいりまして、その留学生に対してどのような入学試験を課しているかでございますが、面接と日本語による作文ということで合否を決めて入学させているということでございます。

 その入学した学生がどういう学習状況であるかというのが図表4でございますが、座学と実習に分けまして、これを見てみますと、今、非常に熱心で評価が高い。実習先でも技術的にも非常に高い評価を受けている。ただ、問題は、座学のときのノートテイク、ノートをとっていくという書き言葉、今、これに非常に苦労しているということ。

 同じく実習記録でございます。これは特に利用者にかかわることでございますので、非常に苦労しているということでございます。

 そこで、日本語の理解力ということで見てみますと、入学のときにN2を基準としています。そうでない学校もいますけれども、一応、N2でないと授業には難しいだろうという基準を設けました。

 ところが、このN2を持っておりましても非常に個人差があります。本当にN2かなという程度がございますが、そういうときには教員が交代で個別指導するという体制をとってきております。

 卒業後の進路でございますけれども、学業半ばで資格を取れないということで帰国する人。それから進学。この2つが圧倒的に多いわけでございます。特に進学が非常に多いのでございます。大学院、大学3年編入、その他の専門学校というように修学ビザで滞在していくことが多い。

 そのほか、3つほど特異な部分で、日本で在留して働いているという方がいらっしゃる。これは非常に少数であります。

 そういうことで、学校としては、この留学生を受け入れることに対してどのように感じているかでございます。教育効果ということですが、今、学習意欲が非常に高いので、日本人の学生にも非常にいい影響を与えている、質が高いということでございます。

 もう一点は、異文化理解あるいは国際交流。そういうことを通して改めて日本を再認識するという教育効果があらわれているということで、国際交流という意味でもこれは歓迎すべき事柄であるという評価があります。

 課題は4つございます。

 まずは日本語力。特に漢字がなかなか苦手であるということです。ですから、N2であっても、教員が補習をして指導しなくてはいけないとなっております。

 2つ目の問題は、卒業後の就労の問題であります。これはできません。したがいまして、資格を取っても本国に帰るということになります。

 3つ目は学費の問題がございます。実習費を含めますと、学費だけでも年間約100万かかります。1年目は払えても2年目がなかなかしんどいところがございまして、アルバイト等々で補っていくということがございます。

 そういうことで、4つ目に生活支援ということで、アルバイト等々のいろいろな相談に乗っていくということ。あるいは、文化の違いから生ずる、住んでいるところの隣近所との課題ということ。あるいは、孤独でノイローゼになるという面もあって、こういった生活支援が必要であろうというような問題が出ております。

 3ページにまいりまして、これから養成校は留学生をどう思っているかと申しますと、受け入れる可能性を訪ねてみましたら、この4月の時点で全部で182校が受け入れてもよいと。これはまだ留学生のことがはっきりわかっていない段階での話でございます。今、66校受けておりますけれども、115校がふえることになりまして、受け入れてもよいという学校、関心のある学校が多いということでございます。

 ただし、そのときに条件がありますよという学校があります。それは図表7でございますが、まず日本語の能力、日本文化に対する理解、日本人の生活様式というものに理解があるかどうか。2つ目は、資格を取るという目的意識をはっきり持ってほしい。そういう人でないと勉学を続けられない。3つ目は、身元引受人が必要である。これは日本人にはないのですけれども、ここのところに各校はいささか問題意識、課題を持っているということでございます。

 こういう条件がありますけれども、この学生たちにどんなことを支援すれば勉学が続けられるのかということです。一番多いのは、日本語の能力をさらに高める支援、教育です。2つ目は住宅、奨学金などの経済的な問題であります。経済的な支援が必要である。3つ目が就労の問題であります。資格を取ってから日本で働きたいと。こういうことについて支援があれば、卒業後の就労の可能性が介護の現場に求められることでございます。

 それが調査でございます。

 4ページにまいりまして、そういうところで多少整理しましたところ、留学生受け入れの諸課題は、学校としては、日本文化、生活習慣の理解、そういう教育がまず必要であろうということであります。

 2つ目は、こういう留学生が入ってくることで国際貢献に寄与し、あるいは、国際交流が進んで、教育のグローバル化ということで日本の教育に大きな影響を与えるだろうと積極的に思っています。

 3つ目は、質の問題があります。これは賛否両論ありまして、留学生が来ることによって、ウエルカム、質が高い、上がるというところと、いやいや、余りふえると日本人の教育の質が下がるのではないかという意見もあるということで、この賛否ということにいたしております。特に経営のほうでは、留学生がたくさんふえると日本人の学生が来ないのではないかという意見もあるということは御承知おきいただきたいと思います。

 そういうことで、私たちとしては、この留学生を受け入れることを前提で、どのように考えていったらいいかということを4番目に考えました。まずは、昨年、私どもの協会で国際交流委員会というのを立ち上げまして、そこで検討しております。まずは、どの養成校にもみんないらっしゃいということではなくて、しっかりと留学生を受け入れる学校のガイドラインをつくりましょう、指標をつくりましょうと。その指標に基づいて留学生を受け入れています。それを情報公開して、留学生がそれを選んでいく、こういう仕組みをつくろうということで検討しました。

 中身は、1つは、日本語教育を中心に、教育編成上の配慮をする。つまり、カリキュラムや教員の配置ということであります。

 2つ目は、生活相談です。生活をきちっと支えていくことも留学生を卒業させる重要な部分であります。

 それから、3つ目は人数の問題でございます。看護のところで10%というのがございます。私どもの実践経験からしますと、10%までいきませんが、実際は勉学がおくれた人に対しては教員みんなが総がかりでやっているという実態がございます。そういうことで、まずは10%というところで節目をつくって、それでもし可能であれば、3年目から2割の学生を受け入れるという体制に持っていってはどうかという考えを持っております。これもまだ検証は十分できておりませんけれども、我々の経験からこれぐらいはいけるだろうと考えております。

 最後に、このガイドラインにつきましては、自己評価をしていかなければいけない、自分たちで自助努力をしていかなければいけない。私どもはずっと、各学校に自己点検をやらせて協会に提出してもらっております。その中に留学生項目を入れてきちっとやられているのかということを協会が把握する。できれば、将来は、各校全体を第三者評価の中に組み入れていくことを考えております。

 最後の2点は国レベルの問題でありまして、経済的な問題ということでは、奨学金をぜひ留学生枠でつくっていただきたい。30万人という目標が国にあるようでございますけれども、その部分に介護が少し寄与できるのではないか。ぜひ奨学金の創設を留学生枠ということでお願いしたいと思います。

 最後は、この留学生問題は、私ども専門学校が7割ほどございます。大学が60校、短大が80校ですか。専門学校でございますので、こういったところは体制としてはなかなか弱いところがございます。これは、協会として総力でお互いを補いながら留学生を受け入れる仕組みをつくっていこうと思うのですけれども、留学生を受け入れるということについては、ぜひ産・官・学でこの仕組みをつくり上げていきたい。そのときには、ぜひとも御相談に乗っていただきたいと思っております。

 最後に、私見でございます。もし来年からやるとするならば、一体どれぐらい受け入れるのかということでございますが、10%としますと、平均定員が50名でございますので、5名×182校で910名、年間約1,000名程度の留学生を受け入れる可能性がある。将来的には2,000名も可能であるということでございます。

 以上でございます。

○根本座長 ありがとうございました。

 ただいまの事務局及び田中構成員からの御説明につきまして、御意見等がございましたらよろしくお願いいたします。

 どうぞ。

○石橋構成員 まず、2ページの【論点】の1番目の○ですけれども、今般の在留資格の拡充の対象となる者の範囲については、こちらで示されているとおり「介護福祉士の国家資格取得を目的として養成施設に留学し、介護福祉士資格を取得した者を想定する」は適当であると思います。

 それから、次の3ページの就労場所についてという論点のところでございます。先ほどの技能実習の場合と違って専門分野として位置づけられた専門職でありますので、施設等は当然働けるということですが、在宅の場合についても、これから介護分野については地域包括ケアが推進されていく中において、必ずしも施設だけというのではなくて、この専門職の場合については、例えば、その介護福祉士の国家資格として実務経験3年とか5年とか、日本語のレベルも一定程度きちんと達しているという条件のもとであれば、将来的には訪問介護もある程度認めることも必要なのではないかという気がいたします。

 それから、外国人留学生が資格を目指す場合、適切な指導・学習の体制についてということでございます。養成施設においても、N2レベル以上の方が勉強されている場合について、先ほどの報告がありましたように、漢字とか日本語が十分できなくて授業についていけないという方もいらっしゃると思いますので、適切な指導員の配置、または日本語研修がきちんとできる方の配置ということをしっかりしていかないと、入学したはいいですけれども、ちゃんと進級できない、卒業できない。または、いずれ国家資格試験を受けなければいけないと思いますけれども、そのときに試験に不合格になって帰らざるを得ないということがないようにしていくためにも、そういうしっかりとした体制づくりはぜひ必要なのではないかと思っております。

 そのためには、介護分野も、4ページに書いてある「看護師等養成所の運営に関する指導要領」を参考に検討するのがよろしいのではないかと思います。

○根本座長 ありがとうございます。

 ほかはいかがでしょうか。

 どうぞ。

○白井構成員 ありがとうございます。

 私どもは、今、養成校におりますので、この論点の1の在留資格の拡充の対象としていただくのはすごくうれしいことであり、日本の介護というのが世界に少しずつ浸透し始める中で、この留学生たちは、認知症の介護などを学びたいとか、何を学びたいかという意欲を持って来るのです。ただ、養成校ですので、450時間以上の実習をやっておりますが、学びをしていくと、学生さんたちは、その学びを母国でもっと実践で伝えたりするときのために、現場の経験を少し踏まえていきたいという意見を非常に多く聞きます。そして、現場でいろいろな人のことを考えながら、自分の能力を高めていく場が欲しいという言葉を非常に多く聞いておりましたので、高等機関を卒業して介護福祉士を取得した者であれば、現場で働ける場所をつくっていただくことは非常にいいかなと思っております。それが1点です。

 あと、在留資格が認められることの外国人の就労場所ということです。先ほどは私も技能移転ということで在宅はというところではあったのですが、今ではなくて将来的に、卒業してすぐ在宅というのはちょっと難しいかもしれないのですけれども、働いていって、学びを深め、経験を深めていく中では、人の介護で言う「生活を支える」というところでは、日本の文化や日本語やいろいろなものになれてきた場合には在宅も視野に置けるような幅を持たせておいていただけると、介護福祉士という資格を持った方たちにとっては、働ける場を広げるというところでは、学んで、経験を深めて、そして場を広げるというステップを踏んでいただくようにしていただければいいなと思っております。

 では、その人たちが本当にできるかというと、できない人はきっと行かないと思うのです。日本語の能力はあれだし、人とかかわってちょっと不安だなという人は行かないと思うし、できる人には幅を広げていてもいいのではないかと思っております。

 それと、外国人留学生の人が介護福祉士の取得を目指す場合の適切な指導・学習の体制というところでは、先ほど田中先生がおっしゃっていただいたところで異論はなく、養成校として本校も何人か留学生を受け入れた体験上からは、ただぽんと受け入れるということは非常に難しいのは重々わかっておりまして、日本語能力N2レベル以上ということでも、その個人差は非常に大きく、そこへの支援、個別の指導ができるということは非常に重要なところです。それと、これから試験に合格するというところでも、日本語能力というところでの指導をどうするかというのは、学校ですので、協会を含めて独自のレベルを持っていくので、ルールなどを決めるときには参考に参加させていただければいいなと思っております。

 適切な人数というところであれば、やはり規定がないと、留学生だけの学校というところではそれはまた何か違うかなという気もしますが、うちの学生たちはお互いに文化を共有し合って非常にいい成果を出しているところではありますので、その人数配置等に関してもっと現状を見ながらちょっと考えていただける枠があっていただければいいかなと。

 それと、指導者というところですと、今、日本人の学生さんでも、メンタルとか学習の、例えばうちは年間100万くらいかかりますから、生活のお金、資金ということでは、日本人の学生さんでも非常に支援をしておりますし、相談窓口を学校独自でもつくって、どうしたら介護福祉士になりたいという気持ち、意欲をそがないでいけるかということを支援しているので、その支援体制なども協会独自でもやっていく、評価をしていくと思うのですけれども、そういうところをやっていく形をつくっていただければとは思っております。

○根本座長 ありがとうございます。

 熊谷構成員、どうぞ。

○熊谷構成員 2点ほど提案させていただきます。

 4ページですけれども、看護師さんの運営に関する指導要領。介護士の場合もこれがほとんど準用されるように思います。これは結構なのですが、一番最後の行の「原則として医療機関におけるアルバイトは行われるべきものでない」と。看護師さんの場合は医療機関ですからこういう問題が生ずると思いますが、介護士の場合は、逆に、介護現場でアルバイトをすることが学習につながることもあると思いますので、ここのところはひとつ御考慮いただきたいということが1点であります。

 もう一点は、2ページに戻りまして、就労場所の件であります。筋から言えば、介護福祉士の資格を取得すれば、訪問系も当然いけるとは思いますが、今までの諸外国の例を見ましても、人権侵害だとか、そういう問題がどうしても。訪問系の場合は1対1でありますし、人権侵害というのは、利用者さんに対するものではなくて、介護をする側に対する人権侵害という話を非常に多く聞いておりますので、この件につきましてはぜひ慎重な御議論をいただきたいと考えております。

 以上です。

○根本座長 ありがとうございます。

 平田構成員、どうぞ。

○平田構成員 4月の出入国管理局のヒアリングでも経営協として意見を言わせていただきました。この介護福祉士を高等専門人材に位置づけるという点では賛成をしています。この検討会は介護福祉士だけですけれども、4月のヒアリングの際には社会福祉関係の国家資格であります社会福祉士あるいは精神保健福祉士もあわせて考慮していただきたいというのを1点付言いたしました。

 それと、この就労場所の制限に関して確認です。現在、他の職種、医師・看護師等を含めて高度専門人材として位置づけられている職種で就労場所の制限があるのかどうか。もしないとすれば、介護福祉士を高度専門人材に位置づける際には、介護福祉士のみ就労場所の制限をするということをどう位置づけるか。つまり、本来なら、そこまで行けるぐらい専門性が必要ではないかという意見も一部あろうかと思いますし、他職種の例を含めて、この点もあわせて考慮する必要があるのではないかと思います。

 以上です。

○根本座長 わかりました。

 今の平田構成員さんからの最後の御質問みたいなところについて、事務局のほうでおわかりの点は何かございますか。

○武内室長 私ども厚生労働省として承知している範囲でございますけれども、医療の専門技術的分野で入国される方、すなわち外国人の方で医師あるいは看護師として資格を取られた方については就労場所の制限はないと承知をしております。

 他の職種については、もしよろしければ。

○根本座長 わかりました。

 その辺、北浦構成員、どうぞ。

○北浦構成員 基本的にEPAとのアナロジーもありますので、介護福祉士の日本の資格を取られたという意味においては、就労への道を開くというのは一つの考え。それは賛成できるところだと思います。

 ただ、在留資格の与え方のところはなかなか難しいかなと。これはむしろ法務省の中で御議論になるのでしょうが、どういう形で付与されるのかなと。その辺は技術的な問題もあるのかもしれませんが、いわゆる高度専門職に入っていくのか、あるいは特定活動的になって、いずれは在留資格になっていくのか、いろいろな道が考えられるのかなと思います。この辺の在留資格の付与については少し幅広に、他の資格との関係もありますので、総合的に検討されたほうがいいのかなとは思います。ただ、それにしても、こういった形で道を開くということはよろしいかなと。それが1点です。

 もう一点は、先ほどの田中構成員の御説明にもありましたように、これだけの試験を受ける方であっても日本語能力がばらばらになっているという実態。そういったことを考えますと、試験合格者であってもまだそういう状態が残るのかどうかよくわかりませんが、その辺の問題が生じないように、試験合格というだけで、実態的に後で問題が生ずるようなことにならないように、そこは何か留意をする必要があるのかなと思います。これは単なる懸念かもしれません。

 以上です。

○根本座長 ありがとうございます。

 田中構成員、お願いします。

○田中構成員 先ほど留学生を受け入れる養成校について石橋構成員から叱咤激励をいただきました。看護の基準を充当することが一つの道筋ですよという御指摘もありました。私の守備範囲で調べたところ、そういうところはなかなか見つかりませんので、看護のところで、この配置で、どのような留学生の実態があるのかということを、また我々が基準を進めていくときに役所のほうでお教えいただきたいと思っております。協会は留学生の卒業まで責任を持つという覚悟でおります。

 2点目は先ほどの就労の場所でございます。論点は、在宅を入れるか入れないかという議論でございますが、私は、結論からいきますと、そう分けることは不自然ではないかなと。理由は、1つは、これは国家資格でございますので、外国人だからそれはできないということが果たして言えるのかどうか。私たち、学生を教える場合には、一番能力の高いところは職業倫理なのです。職業能力評価で人権意識というのが非常に高い評価を受けております。そういうところで、どういう枠組みか知りませんけれども、国家資格を得た者が外国人ということでそれを外していいかということは、私は、制度上いささか疑問を持っております。

 もう一点は、国際的には、ヨーロッパなどは職業能力を一体化してどこの国でも働けるようにしましょうという時代になってきているわけです。我々、協会としても、そういったヨーロッパの職業能力のレベルと合わせながらレベルアップを考えております。そういう国際的流れからしましても、同じ資格を取っていて外国人だけがそれはだめですよということを国際通念として果たして言えるのかどうかということも懸念しております。法律論はわかりませんので、その辺のところは不勉強でございますけれども、そういう2点のところで、訪問系を外すということについては、私はいささか無理があるのではないかと。一緒にしてはどうかと。

 むしろ、その判断は、事業者責任であるということだと思います。本来、サービス責任者は事業者なのですから、事業者がやるかやらないかという問題であって、社会福祉法の中では全部そうなっておりますので、その判断によってやるかやらないかという枠組みではないかと考えております。

 以上です。

○根本座長 ありがとうございます。

 大分具体的な御指摘、あるいは御提案、さらには他職種にも影響を及ぼすような御意見、さらには調査等が必要な御質問等も出てきておりますけれども、御意見等はこれで大体出尽くされたということでよろしいですか。

○熊谷構成員 最後に1つ。

○根本座長 どうぞ。

○熊谷構成員 今回までの数回の議論を踏まえまして、私ども、受け入れ機関団体といたしましては、数回の打ち合わせも含めまして鋭意検討を進めております。次回には、合意に基づいた具体的な整理をしたものを文書として出させていただきたいと思いますので、そのときはぜひ御参考いただければと考えております。

○根本座長 ありがとうございます。

 それでは、この国家資格取得者への在留資格等の問題については一応こういうことで終えさせていただきます。

 最後になりますけれども「その他(諸外国の看護師資格取得者について)」につきまして事務局から御説明をお願いいたします。

○武内室長 資料4の7ページをごらんください。【前提】といたしまして、再興戦略の中で、今、御議論いただいた外国人留学生の話で「国家資格等を取得した場合・・就労を認めること等」というこの「等」という部分につきまして、この再興戦略を策定する過程において、諸外国で看護師の資格を取得した方々が我が国の介護分野で就労できるようにすることを検討してはどうかという提案がございました。これについてでございます。

 ちなみに、現状において、諸外国の看護師資格の取得者、外国人看護師の方々が介護分野で就労することが想定される在留資格としては2種類ありまして、1つは、身分に基づき在留する方、及び、特定活動、EPA介護福祉士候補者、EPA介護福祉士ということが考えられます。

 こうした中、8ページをごらんいただきたいと思います。「論点と考え方」につきまして、この外国人介護士を介護分野で就労させるということを検討するに当たり、そもそもどのような在留資格が想定されるのでしょうか、また、それらを根拠づける合理的な理由があるのでしょうかという論点です。専門的・技術的分野としての介護分野における在留資格を想定するとした場合、外国で看護師資格を取ったことをもって、我が国の介護福祉士資格を取得した外国人あるいは日本人と同等の知識・経験・能力を有していると考えられるか。他方、専門的・技術的分野と評価できない場合であっても、特例的・限定的な枠組みとして、在留資格の一類型である特定活動として設けるのに足りる喫緊の政策的な要請があると考えられるかという論点です。

 なお、介護人材の確保については、本検討会の検討の基本的な考え方でもお示ししたとおり、今後高まる介護人材の需要について量的に対応していくには国内人材の確保を基本とするということをこの検討会でも共有させていただきましたが、今後、総合的な確保対策を明らかにし、人材の量的な確保に向けた方策を講じることを予定しております。

 さらに、9ページをごらんください。外国人看護士が実態的に日本国内で直ちに介護業務に従事するための必要な知識・技術を持っていると考えられるのかという論点です。これに関しては、1つ目、介護の概念や業務が国によってまちまちだということ、あるいは未発達のことも多いという状況の中で、それぞれの多様な国における看護資格をもって必要な能力を有しているとみなすことは難しい面があるのではないか。特に専門的・技術的な分野の在留資格を想定して考える場合、現在、ただいま議論を行った外国人留学生の介護福祉士資格取得者と同じ能力を有していると考えられるのであるかどうかということ。

 それから、外国人全般についてでございますが、介護サービスの質の担保、利用者の安心の観点から、日本語能力が求められる。それについてどのように担保され得るのかということ。

 次の○では、外国人看護師が直ちに介護業務に従事することについて、介護現場のニーズがあるのかという点です。他国での看護師資格を有していることをもって直ちに従事することが期待されているのかということ。また、技能実習や介護福祉士資格を取得した外国人留学生についての検討が他方で進められている中、同時並行で検討を進めることが必要であると考えられるか。

 最後の○では、外国人看護師の方々が日本で介護業務に従事することについてのニーズについてどう考えるのか。母国で看護師をやっておられて日本の介護分野で就労することについて、外国人看護師側に就労意欲、そういったニーズがあると見込めるのかどうかといった点を掲げております。

 以上です。

○根本座長 ありがとうございます。

 ただいまの事務局からの説明につきまして、御意見等がありましたらよろしくお願いいたします。

 石橋構成員、どうぞ。

○石橋構成員 外国人の方で、自分の国で看護師資格を取られた方が、たちまち日本の介護現場に来て就労することについてですが、日本の介護内容もわからず、実際に、その知識・技術だけではなくて、前から申し上げていますように、外国人の方が日本の介護現場で働くためには、日本語コミュニケーション能力が非常に重要なわけでございますので、それも担保されずにすぐさま日本の介護現場で働けるというのは、現実的には無理な話だと思います。

 せっかく今、日本は介護人材確保のための検討会も行っていますし、外国人の介護人材の検討については、技能実習生とか留学生について検討しているわけですから、そちらのほうを主にして行うべきであって、外国人看護師の方が自国の看護師資格を持っているからといって、日本の介護現場に来て、そのまま就労できることに関しては反対と言わざるを得ないです。

○根本座長 ありがとうございます。

 平川構成員、どうぞ。

○平川構成員 今回、これがテーマになること自体に疑問を感じています。今、室長からは「介護分野での国家資格を取得した外国人留学生の活躍支援等」の「等」をもってこれを検討課題にするというような趣旨で言われていたかと思いますけれども、それはかなり無理があると思います。

 これまでの議論の流れは、いかに介護の質を担保し、日本語能力も含めて、どうやってそれを確保していくのかということも含めて議論をしてきたと思います。日本語能力についても何ら検討がされていない、介護とは何ぞやという議論もされていない中で、ただ単に外国で看護師の国家取得をしたことをもって日本で働くことを可能とするのは相当乱暴な話であり。これについて反対と考えています。

 そもそも、外国の看護の養成はどのようにされているか何も議論されておりませんし、白井先生は看護師でありますけれども、このメンバーの中には職能団体である看護協会も入っておりませんし、不適切ではないかと思います。

○根本座長 ありがとうございます。

 どうぞ。

○白井構成員 私は看護職なのですけれども、看護と介護の現場を長らく見てきた中では、外国人の看護師が介護現場につくというのは無理があるかなと思っています。まず一番は、日本語という点。

 それと、介護と看護は、日本でもそうですが、共有する部分もあるのですけれども、日本の介護が生活の支援とか自立とか、その人の生き方というところに特化して、30年間伝えてきた中では非常にすばらしいもので、外国で看護を持ったからできるかというと、それとこれは全く別の問題であるのかなと思っております。

 それと、私自身が看護から介護現場というか在宅の現場に入ったときに一番思ったのは、医療施設での看護経験の人が直接介護現場に来て生活を支援するとなると、安静ですとか、起きるということよりも、そうではない、自立ということでできることは何か。ICFでは「できること」と言っていますが、それでも治療とか疾病の治癒というところにかかわってきた方たちが実際に生活を向上させるというところにすぐシフトできるかというと、やはりそこには教育が必要ではないのかなと感じております。

○根本座長 ありがとうございます。

 ほかはいかがでしょうか。まだございますか。

 どうぞ。

○田中構成員 済みません。余りしゃべって申しわけないのですけれども。

 まず、看護の資格を持てば介護ができるだろうという一般認識だと思いますが、老人家庭奉仕員あるいは寮母と言われたころはそうかもしれません。しかし、こういう制度ができて26年もたち、理論的にはかなり整理されてきております。私たちの協会は、日本モデルというものをつくっていき、どう理論構築していくかということで、看護は疾病を持つ人の疾病管理ですと。私たちは心身に障害を持つ人の生活支援をしていて、段階的に能力を高めていく、これが、わかりやすく申した介護福祉士の理論的根拠であります。ですから恐らく、看護とやることは一緒であっても、その立ち位置は全然違うということなのです。したがいまして、理論的にこのように大変無理があるということではないかと思います。

 もう一点は、今、介護福祉士を取得するルートは3つございます。これでも混乱しております。今度、留学生、技能実習生、そしてまた看護師の人をということになれば、このことについてはもう少し議論を置いてから、まずは留学生、技能実習制度を詰め、その上で議論をすることにしていただきたいと思っております。

○根本座長 ありがとうございます。

 この問題につきましては、議論はほとんど出尽くしているかなと思います。時間も大分過ぎてまいりましたけれども、一応、これで一当たり御意見等をいただきました。

 この検討会におきましては、これまで5回にわたりまして技能実習及び国家資格取得者への在留資格等について議論を進めてまいりました。そして、この2つのテーマにつきましては、これまで何回も事務局から御説明がありましたように、日本再興戦略との関係で昨年中に何らかのまとめを得ることとされておるものでございます。そのため、若干おくれてはおりますけれども、これまで議論した部分につきまして、次回以降、取りまとめに向けた議論を行ってまいりたいと考えております。

 つきましては、本日までの皆様方の御議論を踏まえまして、まずは私と事務局とで問題、話題を整理いたしまして案をお示しいたしたいと思います。その際、あらかじめ皆様方に御相談させていただくことが可能性として十分あると思われますので、御協力をよろしくお願いいたしたいと思います。

 そういうことでよろしゅうございましょうか。

○熊谷構成員 当日ではなく、前もって差し上げたほうがよろしいでしょうか。

○根本座長 そこのところは、事務局と御相談させていただければと思います。

 それでは、予定の時間を若干過ぎましたので、本日はここまでにいたしたいと思います。

 次回の開催につきまして、事務局より御連絡をお願いいたします。

○山田室長補佐 次回の開催につきましては、追って御連絡させていただきます。

 事務局からは以上です。

○根本座長 ありがとうございました。

 それでは、本日の検討会は終了いたします。

 皆様、お忙しい中ありがとうございました。


(了)

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