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2014年9月8日 障害年金の認定(言語機能の障害)に関する専門家会合(第3回)議事録

○日時

平成26年9月8日(月) 17:00~


○場所

厚生労働省 専用第12会議室(12階)


○出席者

構成員

中島八十一座長、石本晋一構成員、加藤元一郎構成員、武田克彦構成員
田山二朗構成員、豊原敬三構成員

○議題

(1)障害認定基準(言語機能の障害)の見直しの検討

(2)障害認定基準(言語機能の障害)の事務局見直し案(修正版)
について

(3)診断書の事務局見直し案(たたき台)について

○議事

(中島座長)

 幾らか定刻より早いけれども、皆様おそろいになりましたので、第3回障害年金の認定(言語機能の障害)に関する専門家会合を開催いたしたいと思います。

 本日は、大変お忙しい中、本会合にご参集いただきましてまことにありがとうございます。

 夏目構成員におかれましては、本日は欠席とのことで伺っております。

 それでは、本日の資料と議事について事務局より説明をお願いいたします。

 

(和田事業管理課給付事業室長補佐)

 本日の会合資料の確認をさせていただきます。座席表、構成員名簿のほか、お手元の議事次第のもと、資料1といたしまして「障害認定基準(言語機能の障害)の検討事項」、資料2といたしまして「障害認定基準(言語機能の障害)の事務局見直し案(修正版)」、資料3といたしまして「診断書の事務局見直し案」、以上の資料のほか、参考資料といたしまして「言語機能の障害に関する認定事例(診断書)」をお配りしております。お手元にございますでしょうか。不足がありましたら、お申し出いただければと思います。

 なお、認定事例につきましては、第1回目の会合でお出ししたものと同じでございますけれども、個人情報保護の観点から非公開とさせていただきます。構成員の皆様方にはお配りしておりますが、会合終了後に回収をさせていただきたいと思います。

 続きまして、本日の議事でございますが、前回会合の議論の内容を踏まえまして事務局見直し案の修正版をつくりましたので、それについてご議論いただきたいと思います。あわせて、診断書について事務局で見直し案のたたき台をつくりましたので、ご意見をいただければと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

 

(中島座長)

 ただいま事務局から説明がありましたが、前回の議論を踏まえての障害認定基準の修正版と、今回新しく提示いたします診断書のたたき台について、この2点について議論を進めていきたいと思います。

 それでは、「障害認定基準(言語機能の障害)の検討事項」について、事務局から説明をお願いするところですが、広範囲に及びますので、ある程度区切って説明いただき、その都度意見交換をするという形式で進めていきたいと思います。

 それでは事務局お願いいたします。

 

(大窪障害認定企画専門官)

 それでは、お手元の資料1「障害認定基準(言語機能の障害)の検討事項」、資料2「障害認定基準の事務局見直し案」、資料3「診断書の事務局見直し案」について説明させていただきますので、お手元に3つの資料をご用意ください。

 まず、資料1でございますが、こちらは前回会合で構成員の先生方にご議論いただきました内容について、検討課題ごとに異論が出なかった事項と、今回の会合でさらにご検討いただきたい事項に分けて記載しております。また資料の下段には、前回会合で構成員の先生方からいただいた主な意見を記載しております。

 次に、資料2ですが、こちらは前回会合でのご議論を踏まえ、認定基準の見直し案を事務局で作成したものでございます。朱書き部分が前回会合でご説明した箇所になります。黄色のマーカー部分が今回修正した箇所になります。なお、本資料のページについてでございますが、これは認定基準の原文における該当ページをそのまま抜粋しておりますので、13ページ、14ページとなっているものでございます。ご了承ください。

 続いて、資料3をごらんください。現在の診断書につきましては表面のみを使用しているものでございますが、見直し案につきましては、中段の「マル10障害の状態」の「(5)音声又は言語機能の障害」以降を裏面に移しております。また、裏面の青文字の部分が今回見直した箇所になります。個々の見直し内容につきましては、後ほど順次ご説明させていただきます。

 それでは、資料1の1ページ、検討課題1「対象疾患の定義について」をご説明いたします。あわせて資料2の13ページ、認定要領(1)をごらんください。

 前回会合では、この節の標題を「音声又は言語機能の障害」へ変更すること。「音声又は言語機能の障害」を症状や損傷の場所に応じて、「構音障害又は音声障害」「失語症」「聴覚障害による障害」の3つに分けて定義することについて、異論が出なかった事項としております。

 また、ここでの検討事項はございません。

 なお、失語症に係る定義につきましては、前回会合において、「言語中枢」という表現は、最近は「言語野」と言われることが多いとのご意見がありましたことから、このご意見を踏まえまして、認定基準の見直し案を修正しております。資料2、13ページ、認定要領(1)の黄色マーカー部分になりますが、当初の「言語中枢」を「言語野」と修正しております。

 このほかに修正すべき部分等ございましたら、ご意見をいただきたいと思います。

 次に、資料1の2ページ、検討課題2-1、項番(1)「「発音不能な語音」の評価」をごらんください。

 ここでは、発音の状態を確認する検査を、評価の参考として診断書に記載すること。この場合、現行の「4種の語音」及び他の発音に関する検査結果を評価の参考とすることを、異論が出なかった事項としております。

 また、ここでの検討事項はございません。

 資料2では、14ページの認定要領(5)が該当部分になりますが、こちらにつきましては、前回会合でお示ししたものから変更はございません。

 なお、この部分を診断書の見直し案に落とし込んだものが、資料3裏面の(5)「ウ 発音不能な語音」の部分になります。この項目は、同じ診断書の上段にございます「ア 会話状態」の評価の参考とするもので、構音障害または音声障害の方について記載していただきます。「1(アラビア数字) 4種の語音」の確認と「2(アラビア数字) 発音に関する検査成績」の記載欄を設けています。このうち「2(アラビア数字) 発音に関する検査成績」につきましては、語音発語明瞭度検査を例示しておりますが、評価の参考になり得る検査を実施している場合は、随時この欄に、その検査成績を記載していただきます。

 続けて、資料1の3ページ、項番(2)の「失語症に関する発語等の評価」をごらんください。

 こちらについては、前回会合で、失語症の重症度を評価できる適切な評価項目はあるか、及び会話状態の評価の参考となるものはあるかという課題を挙げ、4ページの2案をたたき案としてご議論いただいたところでございます。これらは会話状態の評価の参考とする旨ご意見がございましたので、これを異論がなかった事項としております。

 今回の検討事項としましては、「会話状態」の妥当性を評価するための参考として、具体的にどのような確認項目がよいかを挙げております。議論のたたき台として4ページに挙げております2案は前回会合で提示したものですが、案1の2「短文の発話」と3「長文の発話」についてですが、「短文」とは2から3文節程度の文章、「長文」とは4から6文節程度の文章であることを追記いたしました。

 また、前回会合で各案に対していただいたご意見を下段に記載しております。

 なお、この部分を資料2「認定基準の見直し案」の認定要領(6)と、資料3「診断書の見直し案」裏面の(5)「イ 音声言語の表出及び理解の程度」に、いずれも案1を仮置きして追記しておりますのでごらんください。

 (3)診断書のほうでご説明いたしますが、この項目は「ア 会話状態」の評価の参考とするもので、失語症の方について記載していただきます。項番1から3では、単語の呼称や文章の発話の可否を、項番4から6では、単語及び文章の聞き取りの可否を確認し、それぞれ「できる」「おおむねできる」「あまりできない」「できない」のいずれか該当する箇所にチェックしていただきます。

 この会話状態の妥当性を評価するための参考として、案1、案2のどちらのほうが妥当か、また、ほかに適切な確認項目があるかなどについて、先生方のご意見をいただきたいと考えております。

 以上、まずはここまで、ご議論のほどよろしくお願いいたします。

 

(中島座長)

 ありがとうございました。

 ただいまご説明いただいたことにつきまして、構成員の皆様からご意見を頂戴いたしたいと思いますが、まずは検討課題1の「対象疾患の定義について」、資料1の1ページ目です。認定基準の見直し案、資料2のほうでは13ページの2の(1)という部分になりますけれども、いかがでございましょうか。

 石本先生、前回ご欠席でしたけれども、この定義いかがでございましたでしょうか。

 

 

(石本構成員)

 この記載されたものでよいと思います。

 

(中島座長)

 ありがとうございました。

 ほかの構成員の方々、いかがでございましょうか。

 それでは、この定義につきましては、見直し案のとおりで合意が得られたというふうに判断いたしますけれども、まだこの会議は次回もございますので、もし、またご検討いただいてご意見があれば、改めて承りたいと思います。

 続きまして、検討課題2-1(1)の「「発音不能な語音」の評価」について、資料1の2ページ目になります。これにつきまして、ご意見をお願いいたしたいと思います。認定基準の見直し案、資料2のほうでは14ページの、つまり裏側ですね、14ページの(5)、診断書のたたき台、資料の3のほうでは、診断書の裏面の中段あたり、ウの「発音不能な語音」の部分に相当いたします。これについて、いかがでございましょうか。内容はこれでよろしゅうございましょうか。

 田山先生、いかがでございましょう。

 

(田山構成員)

 いいと思いますが、「音声障害」はなくてもいいのかなというような気もするんですけれども、発音ですから「構音障害」だけでもいいような気はしますが、構音障害と音声障害がまとまっているので、この記載でも構わないとは思います。

 

(中島座長)

 その「音声」という言葉は要らないのではないかというご指摘ですね。

 

(田山構成員)

 そうですね。そもそも音声がなければ構音はできないんですけれども、ちょっと回りくどい感じはしますが、そもそも構音障害と音声障害、対に文言が記載されているものですから、これでも支障はないかとは思います。

 

(中島座長)

わかりました。確かに、こうやって認定基準を見直してみますと、13ページの冒頭の、タイトルから全て「音声」がついているということで、ここだけではないというご認識は、皆様方にはお持ちいただけるかと思います。

 田山先生からそのようなご意見も出ましたけれども、ほかに構成員の方々で何かご意見ございましょうか。

 

(加藤構成員)

 すみません、ウの2(アラビア数字)番に「発音に関する検査成績」と書いてあるんですけれども、ここの話はしていいですか。

 

(中島座長)

 どうぞ。

 

(加藤構成員)

 これ、ここの後に「語音発語明瞭度検査など」と書いてあって、何か、いかにもここは検査成績を書くというふうになっているんですけれども、左側の1(アラビア数字)番の1から4の音声の種類によるものだけではなくて、例えば、難しいんですけれども発語失行というのがありますよね。発音の中でもちょっと特殊な発音状態などがあるので、そういうことも記載できるようにするためには、この検査成績だけではなくて重症度についても書けるようにというか、こういう、いかにも検査成績だけを書くようになっているので、そうではなくて、もうちょっと発音が不能な状態、語音についての情報を盛り込むようなタイトルにして、いろいろ書けるようにしたほうがいいんじゃないかと思いますけれども。

 

(中島座長)

 事務局いかがでしょう。

 

(大窪障害認定企画専門官)

 ご意見を踏まえまして、表題の書き方につきましては、また検討したいと思います。ありがとうございます。

 

(加藤構成員)

 「発音に関する検査成績やその特徴」とか、そんなんでもいいと思うんですけれども。

 

(大窪障害認定企画専門官)

 わかりました。

 

(田山構成員)

 単純に「検査結果」とか、それだけじゃだめですかね、「成績」じゃなくて。

 

(加藤構成員)

 そうですね。

 

(田山構成員)

 というのは、次にページの説明には「検査結果を記載してください」と書いてあるので、2には検査結果をということなんで、結果であればいろんなことが書けると思うんですけれども。

 

(加藤構成員)

 そうですね。「検査結果など」と書いておいて、何かほかにいろいろ記載できるにしておいたほうがいいと思いますけれども。

 

(大窪障害認定企画専門官)

 わかりました。運用面等も含めまして、今いただいたご意見を踏まえて検討させていただきます。ありがとうございます。

 

(中島座長)

 それでは、運用面につきましては、また次回、時間を持ちまして議論を重ねたいと思います。

 ただいまの部分、見直し案、たたき台に関しましては、基本的な合意は頂戴できたというふうに思います。運用面につきまして、次回また議論いたしたいと思います。

 続きまして、検討課題2-1(2)の「失語症に関する発語等の評価」について、これは資料1の3ページ、4ページでございます。これにつきましてご意見を伺いたいと思います。認定基準の見直し案、資料2のほうでは14ページの(6)、裏側の(6)の黄色マーカーがついているところでございます。診断書のたたき台、資料3では裏面5のイの部分になります。

 それぞれ、診断書案の仮置きとして、案1の音声言語の表出及び理解の程度を記載したものをお配りしてございます。この点につきましてはいかがでございましょうか、ご意見を承りたいと思います。

 豊原先生お願いします。

 

 

(豊原構成員)

14ページ(6)なんですけれども、「失語症については、音声言語の表出及び理解の程度を評価の参考とする」となっているんですが、何か「評価の参考とする」というのは、どこまで参考としていいかよくわからない。もうちょっと何かいい語句は、もうちょっといい定義みたいなものはないんでしょうか。「評価の参考とする」というのは、どうも何か、いま一つ適切でないような感じがするんですけれども。

 

(中島座長)

 そうすると、この案1、案2はともかくといたしまして、これらを評価、ここにチェックリストでチェックしていくというのが「評価の参考とする」ということでは、なじまないということですね。

 事務局、お願いいたします。

 

(池上事業管理課給付事業室長)

 ここで「評価の参考」と書かせていただいていますのは、(5)のところの書きぶりと共通なんですけれども、「評価の参考とする」という趣旨は、基準そのものではなくて、基準そのものは会話状態で見ていただくことになるんですけれども、そのときに根拠となるような、参考となる情報を出してもらって、それを参照しつつ認定をしていただきたいというつもりで書かせていただいています。なので「基準とする」という言葉との対比で、こういうような表現ぶりにさせていただいているところです。

 

(豊原構成員)

 確かにおっしゃるとおりで、表現としては、そうならざるを得ないかなと思いますけれども、障害等級を評価する場合、表出及び理解の程度と会話状態との間の整合性を見る意義もあると感じました。

 それから、ついでにもう一つですけれども、「「会話状態」の評価の参考について」と4ページにあるんですけれども、案1と案2があるんで、どちらがいいかということなんですけれども、私も前回の会議で言いましたけれども、案1のほうがいいかなというふうに思います。それで、この会話状態の評価に関しても、精神・神経疾患を専門としない先生方、例えば、私、実際に診断書を見ましたら、消化器内科の先生が書かれているとか、循環器内科の先生方が作成しているということがありますので、やはり専門家の先生に書いていただきたいということで、案1のほうがいいかなと考えております。

 

(加藤構成員)

 よろしいですか。

 

(中島座長)

 はい。

 

(加藤構成員)

 僕も案1がいいかというふうに思います。それで、この前も言ったんですけれども、議論の進行の上で、言葉が大変曖昧というか、混乱していると思っています。例えば、診断書の事務局見直し案(たたき台)のところのイのところに、この今の表、案1が当たるんですが、これは、ここにはちゃんと書いてあって、「音声言語の表出及び理解の程度」というふうに書いてあります。ところが、こっち側の、この検討事項のほうでは「会話状態」となっていて、これは「会話状態」という言葉が出てきているわけですけれども、正確には、この「音声言語の表出及び理解の程度」というのが正解なので、「会話状態」というのは、この事務局見直し案(たたき台)では、左側、アのところに書いてあって、これはいわゆる重症度を示すものなんです。ですから、言葉が、タイトルが一致していないんです。なので「会話状態」というところは、とりあえずこの「音声言語の表出及び理解の程度」という言葉で置きかえていかないと、なかなか、何か混乱してくると思うんですけれども。

 

(中島座長)

 加藤先生のご指摘はもっともなことだと思います。要するに、この診断書(案)のほうは、これはこれでよろしいということですね。

 

(加藤構成員)

 はい。

 

(中島座長)

 検討課題としてのタイトルに不一致があるんではないかということですね。

 

(加藤構成員)

 そうです。

 

(中島座長)

 わかりました。事務局その点はよろしいですね。

 ただいまの加藤構成員のご指摘は、検討課題のほうの4ページにあります「「会話状態」の評価の参考について」というタイトルは、そもそもが「音声言語の表出及び理解の程度の評価」とするべきということですね。

 

 

(加藤構成員)

 そのとおりです。

 

(中島座長)

  それで事務局は、いかがでしょうか。

 

(池上事業管理課給付事業室長)

 はい。そうしたら、こちらのほう、このタイトルについては、おっしゃっていただいたとおりだと思います。

 それで、認定基準の文章、それから診断書の文章については、修正の必要はおありでしょうか。なしという理解でよろしいですか。

 

(中島座長)

 加藤構成員のご指摘では、診断書の案については、文言は特に問題がないということですか。

 

(加藤構成員)

 問題ありません。

 

(中島座長)

 修正はなし、問題なしということですね。

 

(加藤構成員)

 はい。

 

(池上事業管理課給付事業室長)

 わかりました。ありがとうございます。

 

(武田構成員)

 「音声言語の表出及び理解の程度」のところで、「できる」「おおむねできる」「あまりできない」「できない」となっているわけなんですけれども、これは、およそわかるんですけれども、例えば「単語」だと5つのうち1つ、2つしかできなければ、「あまりできない」というふうにとるんじゃないかと思うんですけれども、「長文の発話」についても、およそ大体わかるんですけれども、「短文の発話」が、例えば「おおむねできる」と「あまりできない」というのが、例えばどういうふうに違うのかというようなことを考えてきた場合に、例えば、その「短文の発話」のうち、一部の単語の発音だけができるというのを「あまりできない」のほうにするというふうな認識でよろしいんでしょうか。ちょっと、そこをお聞きしたいんですけれども。

 

(大窪障害認定企画専門官)

 今のところ、武田先生がおっしゃったような感じで、今、例文として「女の子が本を読んでいる」というふうになっているんですけれども、例えば「女の子」、それから「本」、「読んでいる」という3つの文節のうち、例えば1つしかできなければ「あまりできない」、2つ以上できれば「おおむねできる」、全てよどみなくしゃべれれば「できる」というような評価になろうかと現在考えております。

 

(中島座長)

 いかがでしょうか。武田先生

 

(武田構成員)

 要するに、「おおむねできる」というのは、少しこの上の本当の文章を、「女の子が本を読んでいる」というのは正確にできなくても、これに類したちょっと短い文章などはできているし、できたりできなかったりするぐらいだというふうに考えていいですか。

 

(大窪障害認定企画専門官)

 そうですね、あくまで例文になりますので、そのように捉えていただいて結構です。

 

(中島座長)

 ありがとうございました。

 ほかの先生方にはご意見ございますでしょうか。

 それでは、タイトルのことはさておきまして、ここには案1、案2が示されておりますので、いま一度、このどちらがよいかということを検討しておきたいと思いますけれども、構成員の方々では案の1というご意見が出てきておりますけれども、案2のほうが、やはりいいとおっしゃる方は、この場ではございますでしょうか。

 

(豊原構成員)

 よろしいですか。

 

(中島座長)

 どうぞ。

 

(豊原構成員)

 やはり、案2だとちょっと具体性に欠けるところがありますので、案1のほうが、よりいいのでは。こういうものはどうしても主治医の主観が入ってしまいますので、なるべく、客観的に書かれたものがいいと思いますので、私は、やはり案1のほうがいいかなというふうに考えております。

 

(中島座長)

 ありがとうございました。

 

(加藤構成員)

 私も豊原先生と同じ意見で、案1です。

 

(中島座長)

 それでは、この場ではご異論がないようですので、案1を優先的に取り扱いたいと思います。本日欠席の夏目構成員に関しましては、また後ほど、別途議論を重ねてご理解をいただきたいと思います。

 それでは、次の課題に移りたいと思います。資料1、検討課題の横長の資料ですけれども、この5ページから11ページまでについて事務局に説明をお願いいたします。

 

(大窪障害認定企画専門官)

 それでは、資料1の5ページ、項番(3)の「「会話状態」の評価」からご説明いたしますのでごらんください。

 こちらにつきましては、前回会合で異論が出なかった事項として、現行の「会話状態」をもとに、ボストン失語症重症度評価尺度を参考にしまして、話し言葉の理解も勘案した、よりわかりやすい表現に見直すこととなっております。

 また、前回会合でのご意見を踏まえ、今回の検討事項として2点挙げております。1つ目は、「会話状態」をどのように見直すか。2つ目は、失語症の「読み書き」についてはどう取り扱うかです。

 まず、1つ目の課題についてですが、議論のたたき台として、6ページに「会話状態」の変更案を、7ページにボストン失語症重症度評価尺度を挙げております。「会話状態」の変更案は、前回会合でのご意見を踏まえ、文章を簡潔にし、誰が話すことや聞くことができないのかを明確にするため、文頭に「患者は」という文言を入れました。

 資料3の診断書の見直し案をごらんください。裏面の「ア 会話状態」が該当箇所になります。ボストン失語症重症度評価尺度の区分1及び2には、話し言葉の理解のことは入ってございませんが、変更案につきましては、話し言葉の理解を入れております。よりわかりやすく、より判定しやすい表現になっているかなど、ご意見をいただきたいと思います。

 次に、2目の課題、失語症の「読み書き」についてはどう取り扱うかですが、8ページから11ページを題材にご検討いただきたいと思っております。

 まず8ページですが、現在、国内で広く実施されている失語症の総合的な検査を3つ挙げております。どの検査におきましても、「聞く」「話す」「読む」「書く」と「計算能力」の5つの観点から失語症の有無、重症度、失語のタイプを診断しており、読み書きの障害も失語症状の1つであることがわかります。

 次に、9ページの上段に移ります。他の制度における読み書きの取り扱いを2例挙げてございます。

 身体障害者手帳では、失語症は年金と同じく言語機能障害で取り扱っておりますが、認定に当たっては、読み書きは評価の対象となっておりません。認定要領を見ましても、「「言語機能障害」とは、喉頭レベル以上の構音器官における発音(構音)にかかわる能力と、音声言語(話しことば)の理解(意味把握)と表出(意味生成)にかかわる能力をいう」となっており、音声言語が評価対象となっていることがわかります。

 労働者災害保険では、失語症は、精神の障害(高次脳機能障害)で取り扱っております。認定基準を見ていただきますと、「高次脳機能障害については、意思疎通能力、問題解決能力、作業負荷に対する持続力・持久力及び社会行動能力の4つの能力の各々の喪失の程度に着目し、評価を行うこと」となっており、失語症は、この4つの能力のうちの「意思疎通能力」の「言語力等」に含まれています。意思疎通能力の判定は、「職場において他人とのコミュニケーションを的確に行えるかどうか等について判定する」こととなっていますが、具体的には、主に会話状態がどうかで評価しており、読み書きでの評価は行っておりません。

 また下段は、前回までの会合で、読み書きに関して各構成員からいただいたご意見をまとめております。会話能力から評価すべきというご意見が多いですが、読み書きも含めたほうがよいというご意見もございました。

 こうした現状を踏まえまして、10ページに「読み書きの評価の取り扱い(案)」として提示させていただきました。

 まず、1つ目の丸についてですが、現在検討している認定基準の見直し案では、音声または言語機能の障害の定義を、下線部分にありますとおり、音声言語を対象とする案としています。これは、前回の会合での記載のとおりでございます。

 次に、2つ目の丸ですが、失語症の読み書きに関しては、以下の2点を踏まえた上で、考えられる2案を、たたき台として挙げました。

 まず、失語症における中核症状は音声言語の障害とされており、読み書きだけに障害が生じることは非常にまれであること。

 また、読み書きは、音声言語獲得後の学習によって習得する言語であることから、音声言語の障害のほうが、より日常生活への影響が大きいのではないかと考えられます。

 こうしたことを踏まえ、案1では、失語症による読み書きの障害も「言語機能の障害」に含みますが、原則として音声言語の理解と表出(話す・聞く)による評価をもって、全体として判断するとしています。この案は、現在の認定基準の取り扱いを踏襲したものであり、失語症の中核症状である音声言語の障害に係る評価をもって、読み書きも含めた失語症全体を判断することが適当ではないかと考えたものでございます。

 なお、この案の場合、見直し案の定義を一部見直す必要がないか、また音声言語にほとんど障害がなく、読み書きの障害が重い場合には、一定の配慮が必要ではないかといった検討が必要と考えております。

続いて、案2でございます。案2は「第6節 音声又は言語機能の障害」では、音声言語の理解と表出を評価の対象とし、失語症による読み書きの障害がある場合は、必要に応じて「精神の障害」で評価するというものです。

 この案は、第6節での評価対象は音声言語とし、失語症が高次脳機能障害の症状の1つであることから、この節で評価しない失語症の読み書きの障害は「精神の障害」のほうで評価することによって、失語症全体を評価することができるのではないかというものです。

 ただし、この案の場合、「精神の障害」の認定基準や、診断書を一部見直す必要があることなどについて検討が必要と考えております。

 なお、11ページに、案2に係る参考として、「精神の障害」のうち、高次脳機能障害に係る認定基準の抜粋と、「音声又は言語機能の障害」と「精神の障害」の併合認定について記載しております。

 まず、「精神の障害」の認定要領(5)の下線部分になりますが、現在、「失語の障害については、本章「第6節 言語機能の障害」の認定要領により認定する」となっていますので、案2で整理する場合は、この部分の記載内容を見直す必要があります。

 次に、併合認定についてですが、案2で読み書きを「精神の障害」で評価するとした場合、読み書きだけでは障害等級に満たないとしても、失行や失認など、他の高次脳機能障害とあわせて評価をすれば、精神の障害として一定の等級となることも考えられ、さらに、「音声又は言語機能の障害」との併合認定によって上位等級になる場合もございます。

 以上、これらを踏まえまして、「読み書き」の評価の取り扱いについて、ご意見をいただきますようお願いいたします。よろしくお願いします。

 

(中島座長)

 ありがとうございました。

 ただいま、検討課題として、「会話状態」の評価について、資料1の5ページから11ページまでの説明をいただきました。評価基準の見直し案では1314ページの2の(2)から(4)、診断書のたたき台、資料3では、裏面(5)のアの部分となります。大変分量が多いので、これにつきましても幾つか分けまして、構成員の皆様からご意見をいただきたいと思います。

 まず、資料1の5から7ページにあります、「会話状態」の変更案につきまして議論を頂戴いたしたいと思います。資料1の5ページから7ページ、この「会話状態」の評価、先生方、どのようなご意見ございますでしょうか。

 

(豊原構成員)

 よろしいですか。

 

(中島座長)

 はい。

 

(豊原構成員)

 この「会話状態」の評価、6ページなんですけれども、この中の3の、現行は「日常会話が家族は理解できるが、他人は理解できない」、まあ3級になっていて、変更案は右に書いてあるとおりなんですけれども、非常に、「断片的に」という表現がどうも英語から来たもので、fragmentaryということなんでしょうけれども、何か「断片」というと、切れ端的なもの、意味合いが、何か強いようなので、この「断片的」というのではなくて、全体の中の部分的に障害があるということで、「見当をつけることなどで部分的に成り立つ」というような表現はいかがかなということと、それからもう一つは、区分2におきまして、この3と2の間をより明確にするのであれば、変更案の中で「日常生活が、互いに確認することなどで、ある程度成り立つ」というのを、「ほぼ成り立つ」というふうに思い切ってしてしまうのもいいのかなというふうに考えておりますけれども、ほかの委員の先生方のご意見をお聞きしたいと思います。

 

(加藤構成員)

 ここ大事なところだと思うんですけれども、ここの6ページの変更案のところの区分4と区分3で、区分4のほうは2級で、これはほとんど発語も理解もできないということなんですけれども、本当は、この3番の断片的にしか成り立たないというような状態も非常に失語症としては重いので、これ、なかなかどうなるのか、前にもこういう意見があったと思いますけれども、この4番と3番の表現の障害の人が2級なんだと思うんです。ですから、この4と3を合わせたような表現、全然成り立たない、ほとんど、まあ全失語ですね、「全失語」か「重度失語」という表現を2級にして、3級と障害手当金のところが、このボストンの失語重症度評価の2番と3番に当たるというふうな、大変大きな変更になるかもしれないんですけれども、全失語は2級でもいいと思うんですけれども、重度失語のレベル、英語だとfragmentaryにしか成り立たない、見ていてごく部分的にしか成り立たないというようなレベルも2級じゃないかと思うんですけれども。ですから4と3を詰めて、区分の2を2つに分けて、1はそのままというふうに変えるべきじゃないかとはやっぱり思うんですけれども。

 

(武田構成員)

 私も、実は先生の意見に賛成というか、特にその2級というのは、結局日常生活において非常に不自由があるということなので、やはりその全失語の方と、ほんの一言、二言、三言ぐらいしかしゃべれなくて理解はいいという、そのくらいの方と、それから、ぺらぺらしゃべるけれども内容が非常に乏しくて、理解が非常に悪いと、こういう人は、やはり日常生活がほとんど、非常に難しいというふうに考えて、やはり2級にするのがいいんではないかというふうに私は思いまして。今の書き方だと、どう見ても全失語しか2級にならないということになると思うので。ですから、その表現を、ボストンのなんかで言うと、やっぱり、極めて断片的な言語、発話があって、理解も極めて障害されているというような……断片的な発話の障害があるか、理解も極めて障害されている例というのは、やはり何とか2級に入れたほうがいいんじゃないかというふうに思っています。

 

(中島座長)

 どうぞ、先生。

 

(豊原構成員)

 前の基準では、身振りや書字等補助的動作で意思の疎通は可能であるというような、たしか表現があると思うんですけれども、としますと、全失語と、それから全失語にほぼ近い状態も2級に入れるのはいいかなと、私もそう思います。

 

(中島座長)

今回の変更案につきましては、前回に比べまして、文言は非常に、格段の進歩を遂げたと思いますが、事前のご意見を承っておりましても、この区分3が、要するに2級と3級を両方含んでいるんではないかというご指摘が複数の構成員から上がっておりまして……。

 どうぞ。

 

(大窪障害認定企画専門官)

 議論に際しまして、私どものほうで、現在の認定がどのようにされているのかのご説明をするために、参考資料のほうをお配りしておりますので、まずはそちらのほうをご説明させていただきたいと思います。

 こちらは、第1回目のときにもごらんいただいたものではあるんですけれども、いま一度ご説明をさせていただきたいと思います。

 表紙を1枚めくっていただきますと、事例が10例ございまして、それぞれ2級の事例が5つ、3級の事例が5つございます。簡単に2級と3級、それぞれの認定事例をご紹介させていただきます。

 まず、2級の事例1をごらんください。1枚めくっていただきますと、右上に「事例1」というふうに書いてあるものでございます。

 下線部分は、私どものほうで、失語に関する状態を記載した部分について下線を引いたものでございます。

 まず、こちらの方の傷病名は、1の欄にございますが、出血性脳梗塞というふうになってございます。

 また、診断書の中段あたりの10欄「障害の状態」のところに、診断書作成医療機関における初診時所見になりますが、ここに、失語あり、重度失語症にて理解も発語も難しい状態である旨の記載がございます。

 続いて、10欄の(5)「言語機能の障害」ですが、本来記載していただくべき「ア」の部分には記載はございませんが、「会話状態」のところでは、4に丸がついてございます。

 さらに、11欄「現症時の日常生活活動能力及び労働能力」の欄につきましてですが、「言語面では、全失語と重度障害、発話も困難で、身振り手振りで伝えようとするも、周囲の人や家族には伝わらず、くみ取る必要あり」との記載がございます。

 また、12欄「予後」では、「失語症の責任病巣が広範で重度障害であり、かつ言語療法などのリハビリテーションに対して拒否強く、今後、失語症の改善は期待できない」との記載がございます。

 では事例2についてご説明をさせていただきます。かいつまんで下線部分等のところをご説明させていただきます。

 こちらの方の場合、マル8欄になりますが、「重度の失語が認められた」という記載がございます。

 また、マル11欄のところでは、「重度の全失語が残存しており、労働は不能である」という記載がございます。

 これらの内容から2級と認定されております。

 続いて、事例3についてご説明させていただきます。

 こちらのマル8の欄に「コミュニケーション、発語マイナス」との記載がございます。

 また、マル11欄には「発語は困難(運動性失語)」との記載がございます。

 これらの内容から2級と認定されております。

 続いて、事例4についてご説明いたします。

 こちらは、マル11欄に「中枢性失語症のため、本人との会話が成立しない」との記載があります。

 続いて、事例5をご説明いたします。

 こちらは、マル10欄のところ、「会話状態」のところの余白に、手書きで「発語なし」と書かれております。

 また、マル10欄に「言われていることはある程度理解できる。イエス、ノーの意思表示可能。発語不可(失語)」との記載がございます。

 ここまでが2級の認定事例でございます。

 続いて、事例6から3級の事例になります。ご説明させていただきます。

 まず、マル8欄でございますが、「失語症、高次脳機能障害によるコミュニケーション障害があるとの記載がございます。

 マル10欄(5)「ア」の下のところに、「視床失語のため、発語、理解とも低下している」と記載されてございます。

 さらに、マル11欄には「視床失語と注意・記憶障害のため、聞き間違いが多発し、音圧の低下、言い間違いが多く、日常では単語レベルの会話」との記載がございます。

 次に、事例7をご説明いたします。

 同じくマル8欄でございますが、「発語困難であり、音声は認めるが理解困難である」という記載がございます。

 続いて、事例8をご説明いたします。

 同じくマル8欄に「失語症を認める」、またマル9欄には「失語症残存している」という記載がございます。

 さらに、マル11欄には、「失語症あり、コミュニケーションがとれないため就労は困難である」という記載がございます。

 次に、事例9をご説明します。

 まず、マル8欄に「失語」という記載がございます。

 さらに、マル11欄には「ごく簡単な内容の理解は可能だが、困難なこともある。文字提示すると理解促進されやすい。有意味語の表出はなく、名前を言うことも困難。言葉での意思伝達は難しい」という記載がございます。

 最後になりますが、事例10をご説明します。

 マル8欄に「失語症状を認めた」という記載があります。

 さらに、マル11欄には「失語症によりコミュニケーションが困難」という記載がございます。

 以上、3級の認定事例についてご説明いたしました。

 

(池上事業管理課給付事業室長)

 今、認定事例について1個1個お目通しいただきましたけれども、これまでの認定の水準を基本的には維持しつつ、それをどうわかりやすい表現にするかというのがポイントになってくるかと思いますけれども、その中で、先ほど武田先生からコメントがありました、全失語、それ以外に、ほんの二、三言しか話せないけれども理解がよいような方はどうなのか、あるいは、よくしゃべるんだけれども余り意味をなしていなくて、聴覚的な理解ができないような方がどうなるのかというお話がございました。

 変更案の区分4のところを改めてご説明申し上げたいと思うんですけれども、「患者は、話すこと、聞いて理解することのどちらか又は両方がほとんどできないため、日常会話が誰とも成立しない」という書き方になっておりますので、話すことがほとんどできない、聞くことはしっかりできるというような方も、この案だと2級に該当します。それから、逆のパターンについても、2級になるという案になっています。

 ただ、あわせて、「断片的に会話が成り立つ」という、その区分3のところの記載について、豊原先生のほうから具体的な修正のご提案もいただきましたので、そのあたり、区分3を中心に、事務局でもさらに検討させていただきたいと考えてございます。

 

(中島座長)

 ありがとうございました。

10件の事例をご提示いただいたわけなんですけれども、やはり、これまでの等級区分を維持されないといけないというのは共通の認識でございますけれども、それを踏まえた上で、「会話状態」の評価というものが変更案でどうかという議論を現在続けているところです。今出ました、豊原先生からのご提案は、例えば、区分3の変更案の最後の文章を、「見当をつけることなどで部分的に成り立つ」というような表現にすれば、より一層、2級、3級の区分けにつながるかというご意見も出ました。

 それともう一つ、もともとこのボストンのBDAEの評価方法というものが、我が国の認定基準に従う2級、3級という、そういった等級区分と、厳密なところでは一致しないところがあるわけでございますので、そこのところを踏まえて、変更案というものを幾らか、ボストンの文言をそのまま採用するのではなく、幾らか工夫を加えなければいけないというふうに私は個人的には思っています。この変更案、豊原先生のご提案、その他、ボストンとのすり合わせについては、いかがでございましょうか。いずれにしましても、この区分3が、これでは2級と3級の人、両方が含まれるなということでは運用上の困難を来すかと思います。いかがでしょうか。

 

 

(豊原構成員)

 やはり、これに限らず、言語障害に限らず、認定基準というのは、やはり従前の認定基準との間に整合性がなければいけないというふうに考えておりまして、変更案に関しても、現行の基準と余り乖離がないような表現を、もう少し考えたらいかがかなというふうに考えております。

 

(中島座長)

 ありがとうございました。

 この点につきましては、非常に慎重に考える必要があるところでございまして、本日、おおむね、何が問題になっているかということでは、構成員の方々、皆さん共通の認識ができたかと思います。

 したがいまして、この点につきましては、また次回までによく検討を加えて、次回また改めてご検討をお願いいたしたいと思います。

 

(加藤構成員)

 いいですか。

 

(中島座長)

 はい、どうぞ。

 

(加藤構成員)

 確かに今の問題は非常に難しいので、慎重に考えなきゃいけないと思うんですけれども、また変なことを言いますけれども、ここの「会話状態」というタイトルは変えることができないんですか。

 

(中島座長)

 例えば、どんなことでしょうか。

 

(加藤構成員)

 これは、はっきり言うと、言語コミュニケーションの重症度評価ですよね。ですから、この昔の項目だと、会話の状態はどうですかという話なんですけれども、「重症度評価」というような形に、もう本当にきちっとやっちゃったほうがすっきりするんじゃないかと思うですけれども。これは1つのご提案ですけれども。

 

(中島座長)

 今、加藤構成員から、「「会話状態」の評価」ではなくて、「言語コミュニケーションの重症度の評価」という形に表現を変えてはいかがというご提案がございました。

 じゃ、その点も含めまして、次回議論させていただきたいと思います。これは懸案として残しておきます。

 続きまして、失語症の「読み書き」の取り扱いに入りたいと思います。 資料1の8ページから11ページですが、この、他の失語にまつわる社会保障制度での取り扱いもご紹介いただいたわけですけれども、いかがでしょうか、構成員の皆様方のご意見を承りたいと思います。

 

(豊原構成員)

 読み書きの評価の取り扱いに関してですが、私としては案2のほうが、ベターではないかなと思います。もし読み書きに障害がある場合は、次の11ページにありますけれども、器質的精神障害の中の高次脳機能障害の多くの認定基準で評価できるのではないかと。少なくとも読み書き、言語障害が表出する、要するに音声による言語障害が余りなくても、読み書きが障害されているというのであれば、それは高次脳機能障害の1つとして認めてあげて、そして、この精神のほうの器質的精神障害の中で評価していくということ。それからそうした場合に、この精神のほうの、器質的精神障害の一部例示というのがあるんですけれども、これを変える必要があるかどうかということなんですけれども、これはそのままで、特に変える必要はないのかなというふうに思いますけれども、構成員の先生方のご意見をお聞きしたいと思います。

 

(中島座長)

 1つ質問がありますけれども、そうすると、ただいまの先生のご意見で、案の2ということですと、例えば運動性失語のような場合で、話せないだけではなくて、同時に文章を書くことができないという方については、これは両方の対象になるという、精神と両方にまたがってということになりましょうか。

 

(豊原構成員)

 そこはちょっと難しいですね。言語障害と器質的精神障害がある場合は、これは併合認定というふうになっていますよね。ですから、そこはどうしていいのか、今すぐにはお答えできません。

 

(加藤構成員)

 今の問題もありますが、やっぱり読み書きの障害だけ、また高次脳機能障害に移すのは非常にややこしいと思います。やっぱり読み書きの障害というのは、圧倒的に大分部の人が表出言語の障害を伴っていますので、やっぱり案1のほうがベターで、案2にすると、本当に口頭言語の障害だけがこちら側の言語機能に入って、あと全ての高次脳機能障害が精神のほうに入って、じゃ、読み書きも高次脳機能障害のほうに入れるというのは本当にややこし過ぎるし、現状に合わないんではないかなというふうに思いますので、私は案1でいいんではないかと思っていますけれども。

 

(中島座長)

 非常に大事なところで、構成員皆様方のご意見を頂戴いたしたいと思いますけれども。

 武田構成員、いかがでございましょう。

 

(武田構成員)

 読みだけがもし障害されていた場合ということもあり得るんですけれども、そういうのを純粋失読と言っていますけれども、それは、確かに失語症の中に入れていいかどうかはちょっと疑問もありまして、その場合だけは、例えば失認というような扱いにするというのはあり得ると思うんです。ただ、全体的にどちらで評価するといえば、やはり言語の障害として、含めて評価するというふうな考えに私自身は賛成ですけれども。

 

(加藤構成員)

 確かに純粋失読の場合は失認なんですけれども、非常に数が少ないです。そのためにある程度この案を2にずらすのは、ちょっと困難ではないかと思いますけれども。

 

(中島座長)

 石本先生、いかがでございましょう。

 

(石本構成員)

 どちらがいいかというと、はっきりわからないのが現状で、失語症を全部この音声障害で取り入れて評価していく、例えば、実際に評価する者が、耳鼻科医が多いと思うんですけれども、そのときに、やや今までのカテゴリーよりも大分広がって評価しなきゃいけないので、その辺を考えていくと、案2なのかなと思うんですけれども、先生方の意見を今聞いて悩んでいるところです。

 

(中島座長)

 田山先生、いかがでございましょうか。

 

(田山構成員)

 「精神の障害」の認定基準のほうに、「失語症の障害については、「言語機能の障害」の認定要領により認定する」ということがもう既に書かれている部分があるのが1つと、それからもう一つ、案1のほうの評価方法のところで、この内容で専門の方が疑問を持たないのであれば、僕はそれでいいのかなとは思っておりますけれども。その辺は、僕は専門家でないので明確に答えることはできないのですが、案2だと他の認定基準との関係ということも問題になってくるかと思うので、その辺で、案1でおさまれば、それでいいのかなとも思います。以上です。

 

(豊原構成員)

 よろしいですか。

 

(中島座長)

 はい、豊原先生。

 

(豊原構成員)

 言語機能の障害と高次脳機能障害は別々で、併合認定するということになっておりますので、純粋に医学的には問題があるかもしれないけれども、すっきりしているのは案1のほうだと思います。

 

(中島座長)

 極めて教科書的には、読み書きも含めての失語症という、そういう理解が、医師の中には共通認識として私はあるのかなという気がしますけれども、現在の教育を現実に担当しておられる先生方の中ではその点はいかがでしょうか、つまり、そこのところだけ外して、こっちは高次脳機能障害に属し、それで話す・聞くについてだけが失語症なのだということを、現場で実際に診断書を書かれる先生方が理解されるかどうか。学問的には純粋失読が失認だというご意見があるのかもしれませんけれども、なかなか、それだけを切り取るというのは難しいところがあるように感じられますが、いかがでしょうか。

 

(豊原構成員)

 さっき加藤先生がおっしゃっていましたけれども、純粋失読とか、やっぱり頻度の問題で、確かに頻度は少ないと思いますので、やはり案1でいいのかなというふうに思います。

 

(武田構成員)

 基本的には案1でいいと思いますけれども。ただ、そこの下のところに書いてあるように、音声言語にほとんど障害がなく、読み書きの障害が重い例を一定の配慮が必要ではないかという、この点を考えると、例えば、ある患者さんが、私は読めないというか、それを強く訴えて認定を求めた場合、それがどうなるのかなと思いましたけれども、そうすると、今のあれだと、音声言語には問題がないので、結局あなたはということになってしまうようにも思うんですけれども、その場合に、道としては、例えば失認というほうでとるとかということはあるのかなというふうに私自身は思ったものですから、基本的には私は案1でいいと思っています。

 

(加藤構成員)

 武田先生の意見に賛成です。

 

(中島座長)

 事務局お願いします。

 

(池上事業管理課給付事業室長)

 今ご指摘いただいた、検討事項の2番目のところですけれども、一定の配慮が必要ではないかということで、ちょうど事務局としても問題意識は持っているところでございます。もし可能であれば、次回の会合に向けて、この第6節に1つ留意事項を書き加えるような形で、「聞く・話すに比べて読み書きの障害の程度が高いような場合には、そこも含めて総合的に認定する」とか、そういうような留意点を書き加えるようなご提案を検討させていただければと思います。

 

(中島座長)

 ありがとうございました。この点につきまして、本日ご欠席の夏目構成員から、案2がいいのではないかというご指摘がありましたけれども、現在のこの議論を正確にお伝えすることで、本日ご出席の構成員の方々と共通の認識を持つことは可能であると思います。

 現時点におきましては案1を採用して、「一定の配慮」というものについて、丁寧な配慮をするということ、また事務局からもそのようにお申し出を頂戴いたしましたので、そこを共通認識の基盤として、細かい運用につきましては、次回にご議論をいただきたいと思います。

 ここでは案1を優先させるということで議論を閉じたいと思います。

 それでは、次の課題に移りたいと思います。事務局から説明をお願いいたします。

 

(大窪障害認定企画専門官)

 それでは、資料1の12ページになりますが、「等級判定の基準について」をごらんください。

 ここで、異論が出なかった事項として、まず、等級判定は「会話状態」により行うこととしております。

 次の2つにつきましては、再掲になりますので、ここでの説明は割愛いたします。

 また、今回の検討事項として2点挙げてございます。1つ目は「等級判定について、「会話状態」の区分4を2級相当、区分3を3級相当、区分2を障害手当金相当としてよいか」、2つ目は「失語症にかかる等級判定も、同様としてよいか」です。

 まず、1つ目の検討事項についてですが、先ほどもご説明いたしましたが、6ページの「会話状態」の変更案について、この区分4を2級相当、区分3を3級相当、区分2を障害手当金相当として評価することでよいかということでございます。この等級判定の基準につきましては、資料2の認定基準では、認定要領(2)から(4)が該当箇所になりますが、見直し案では、4種の語音は評価項目から削除し、「会話状態」を変更案の文言にそれぞれ改めたものとしております。

 なお、検討いただく際の参考として、先ほどお配りしております参考資料もございますので、こちらもあわせてご検討いただければと思います。

 次に、2つ目の検討事項、「失語症にかかる等級判定も、同様としてよいか」でございます。前回会合における関係団体からのヒアリングでは、失語症のみの障害では2級としか認定されない現状について配慮してほしい旨のご意見をいただいているところでございます。この意見を踏まえ、失語症に係る等級判定に変更が必要かご意見をいただきたいと考え、検討事項として挙げたものになります。これにつきましては、13ページから15ページを題材にご検討いただきたいと思います。

 まず、13ページでございますが、こちらは国民年金法施行令別表にて定められている、各障害等級の障害の状態を記載しております。この中で「音声又は言語機能に著しい障害を有するもの」として、2級の5に定められております。なお、前回会合において、関係団体からは、1級の7に定められております「両下肢を足関節以上で欠くもの」でも社会復帰をなし、就労している方が多いとの意見がございました。

 次に、14ページでございますが、認定基準に定める各等級の障害状態の基本事項を記載しております。

 まず、1級ですが、「身体の機能の障害又は長期にわたる安静を必要とする病状が日常生活の用を弁ずることを不要ならしめる程度のものとする」となっており、具体的には「日常生活において、他人の介助を受けなければほとんど自分のことができない程度のもの」となっております。例えば、下から2行目になりますが、「病院内の生活でいえば、活動の範囲がおおむねベッド周辺に限られるものであり、家庭内の生活でいえば、活動の範囲がおおむね就床室内に限られるもの」となります。

 次に、2級ですが、「身体の機能の障害又は長期にわたる安静を必要とする病状が、日常生活が著しい制限を受けるか又は日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度のものとする」となっており、具体的には「必ずしも他人の助けを借りる必要はないが、日常生活は極めて困難で、労働により収入を得ることができない程度のもの」となっております。例えば、「病院内の生活でいえば、活動の範囲がおおむね病棟内に限られるものであり、家庭内の生活でいえば、活動の範囲がおおむね家屋内に限られるもの」となります。

 続いて3級ですが、こちらは、「労働が著しい制限を受けるか又は労働に著しい制限を加えることを必要とする程度のものとする」となっております。

 続いて、15ページになりますが、他の障害の例を挙げてございます。

 内部疾患の障害の例として、肝疾患による障害を、精神の障害の例として、統合失調症を記載しておりますが、それぞれ1級の障害状態を見ていただきますと、いずれも常時の介助や援助が必要で、1人では日常生活を送ることができない程度の障害状態であることがわかります。

 また、15ページの下段に「音声又は言語機能の障害」と「肢体の障害」や「精神の障害」が併存する場合の併合認定について記載しています。

 障害が重複している場合には、それらの状態を併合して障害等級を決定することとしており、例えば、重度の失語症であって、肢体の障害や他の高次脳機能障害などがある場合には、併合して1級と認定される場合もあります。

 なお、肢体の障害や精神の障害との併合認定の取り扱いについては、資料2「認定基準の見直し案」において、認定要領(9)に今回追記することとしておりますので、ごらんいただければと思います。

 こうした現状を踏まえまして、失語症に係る等級判定に変更が必要かについて、先生方のご意見をいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

 

(中島座長)

ありがとうございました。ただいま、検討課題として「等級判定の基準について」、12ページから15ページを説明いただきました。認定基準の見直し案、資料2では、先ほど見ていただいたものと同じですが、13ページ、14ページの(2)から(4)まで、(9)では併合認定のことを記載してご説明いただきました。

 これについて、構成員の皆様からご意見をいただきたいと思いますけれども、一旦、資料1の6ページに戻っていただきまして、この区分案につきましては、先ほどもう十分に議論が進んでいますので、2級、3級を分けるというようなことについては、今後重ねて議論を続けるところでございますので、13ページに移っていただきまして、失語症に係る等級判定、すなわち、この2級とか3級という用語は、14ページにございます「障害認定基準」に基づいて、1級、2級、3級というものを定めているところですが、前回の会合で、当事者団体からは、この失語症に対して1級を認めてほしいという、そういうご要望が出ました。その妥当性も含めて、構成員の皆様方にご意見を承りたいと思います。要するに、現在の失語症の等級判定というものが2級から始まって、2級、3級ということなんですけれども、その点について構成員の先生方、皆様からご意見を承りたいと思います。いかがでございましょうか。

 

 

(豊原構成員)

 失語症に関してですが、大前提である1級、2級、3級というものも考えて、それから他疾患である、例えば内部障害の肝疾患においても、これはやはり、かなり重症で、もうベッドにほぼ寝たきりの状態なんです。精神の障害については、常時の介護または監視を必要とするというような状態ですので、失語症だけで見た場合には、なかなか1級はちょっと難しいかなと。2級でいいのかなというふうに思います。実際に身体障害者手帳の認定基準でも1級、2級はありませんので、3級、4級から始まっておりますので、他のこういうふうな障害者の公的な基準とか照らし合わせても、やはり、ちょっと1級はならないのかなと思います。

 それからもう一つは、失語症が重度の場合には、高次脳機能障害も合併しますので、精神の診断書を出していただくとか、肢体障害も稀ならず合併しますので、外部障害の診断書を提出していただきそれらを併合認定することによって、1級になる可能性が高くなると考えております。

 

(中島座長)

 ありがとうございました。

 どうぞ。

 

(加藤構成員)

 豊原先生の意見とほぼ同じですけれども、失語症だけで、確かに1級というのは難しいと思うんですけれども、失語症の等級判定の問題が先ほど出ましたけれども、現実的に言うと、麻痺があって、なおかつ重症のブローカ失語の人は、本当の状態としては1級に、現場感覚で言うと当たると思うんです、本当に何もできない。なので、ぜひそれは、言語2級と肢体で併合して1級を欲しいという意見は、とてもリーズナブルなんだろうと僕は思いますので、そういうことがあるというのを、ぜひ認定基準のほうにもきちんと書いていただいて、より積極的に、重度のブローカの人は肢体不自由と、それから言語で、2級と2級で1級になるというようなことをきちっと書いていただいたほうがいいと思います。

 それから逆に、肢体の麻痺がなくても、重症のウェルニッケでほとんど何をしゃべっているか、しゃべることはしゃべるんだけれども、全然言葉の理解ができなくて、でも手足がぴんぴんしている人が、余り多くはないですけれどもいます。この場合は結構、現場で言うと、こういう人は精神科の病院に入ったり精神科で診ることが多いんですけれども、その場合は言語の障害と、それから当然、非常にコンフュージョンというか、混乱した状態にありますので、精神の障害、ないしは社会的な、高次脳機能障害でもいいですし、その中の社会的行動障害とか、まあ行動の障害がありますので、精神でも2級をもらって、あわせて1級にするという、そういうふうにできたらなというふうに、僕は等級判定では思っております。それを少し積極的に、文章にして認定基準のところに書くのが大事なんじゃないかなというふうに思っています。以上です。

 

 

(田山構成員)

 まず、過去の等級との整合性を考えるということが1つと、それから、その併合認定、そういうこともありますし、事務局から提示された診断書の事例を見ると、2級をとっている方の日常生活の活動能力ですか、その辺のところは、日常生活は自立しているという症例、事例が多いと思うんです。ですから、そういった意味からすると、他の疾患の1級と同等に取り扱うのは難しいかなというような印象を受けますけれども。ですから、このままの等級でよろしいかなというのが私の意見でございます。

 

 

(武田構成員)

 その14ページに書かれている障害認定基準の一部抜粋というのを読むと、やはり私も、先生方が言われているように、やはり失語だけで1級というのは難しいんじゃないかというふうに思います。ですから、やはり加藤さんが言われたように、麻痺があるとかそういうので合算してという、失語だけだったら2級の認定で、それに加えて1級になることもあるという、そういう認識でいいと思うんですけれども。

 ここで、ちょっと違うんですけれども、1級、2級、3級とあって、3級というのが、労働が著しい制限を受けるということなんですけれども、たとえ失語が軽くても、やはり適切な名詞が出ないとかというぐらいのレベルでも、実際、仕事をするとなると、やはり適切な名詞が出ないわけですから、著しく労働は制限されているというふうにもとれますので、3級というのは、比較的軽い失語であってもこれに当たる可能性があるんじゃないか。この書きぶりから言えば、そういうことも考えられると思うんです。その点をどういうふうに考慮していくかということは大事かなというふうには思いますけれども。

 

(石本構成員)

 言語のほうを現場で評価していますけれども、重篤な場合は片麻痺などとの併合が多いです。単独では、ちょっと1級ほど重篤ではないのかなというのを、先生方のお話を伺って思っております。

 

(中島座長)

 ありがとうございました。追加のご意見ございませんでしょうか。

 ただいまの構成員の方々のご意見を集約いたしますと、おおむね、この障害認定基準というものに従って物事を整理するならば、これは現行のままでよろしいと。ただし、併合認定という制度があり、1級になる人はいる。したがいまして、その併合認定という制度もあるんだよということの周知ということについては、適時適切に行っていくという、そういうご意見のように承りました。私も全くそのとおりだと思います。

 ただ、障害者団体の方々のご指摘にもうなずける点のあることも、また事実でございます。それは障害というものの基準を考えるときの全体の大きな問題でございまして、その点では非常に貴重なご意見を承っているんだと思っております。

 しかしながら、現行のこの認定基準というものに照らし合わせたときに、一体どのような結論が導かれるか、今、この専門家会合の中で議論をすると、これまでとの整合性、他の障害認定との整合性、あるいは認定基準との整合性ということを考えると、現行案でよろしいというのが、この専門家会合のまとめだと思います。

 したがいまして、現在のこの議論については、等級判定の基準を、この提案のとおり、見直し案のとおりで行きたいというふうに思っております。

 それでは、次の課題に移りたいと思います。事務局から説明をお願いいたします。

 

(大窪障害認定企画専門官)

 それでは、資料1の16ページ、検討課題3の項番(1)「人工物の装着や補助用具を使用している場合の判定について」をごらんください。あわせて資料2の14ページ、認定要領(8)をごらんください。

 まず資料1ですが、ここでは異論が出なかった事項として、「補綴物について、歯の障害の場合は補綴後で判定し、それ以外に大きな欠損がある場合は、補綴前で判定する」としています。前回会合でご議論いただいた際、顎顔面補綴物につきましては、「欠損部に補填することで構音障害の改善が可能であり、永続性はあるが、長時間話すことができない、音の質が違うといった問題がある」や、「義歯はどこでも対応できるが、口蓋の欠損まで行くと、補綴での対応では技術の問題も出てくるので、歯の障害以外の大きな欠損は、治療前の状態で判定したほうがよい」といったご意見があったことから、資料2の見直し案を「第5節 そしゃく・嚥下機能の障害の認定基準」と同じく、「歯の障害による場合は、補綴等の治療を行った結果により認定を行う」という記載に改めることとしたものでございます。

 次に、資料1の18ページについてご説明いたします。本会合では、これまで人工物を装着または補助用具を使用している場合、どのように等級判定するかについて検討してきたところでございますが、これまでの議論内容を踏まえ、人工物の装着や補助用具の使用に係る等級判定の考え方の案をまとめてみました。

 人工物の装着や補助用具の使用がある場合は、マル1持続性、マル2障害の改善度合い、マル3使用時の負担度合い、マル4普及度合いがいずれも高いと認められる場合には、装着後または使用後の状態で等級決定することもできるのではないかというものでございます。例えば、眼鏡や義歯といった補助用具は、マル1からマル4のいずれも高いと考えられ、実際に装着後の状態で認定しているところです。

 今後、他の障害に係る認定基準の見直しも見据えまして、こうした観点から、判断基準を検討することについて先生方のご意見をいただきたいと思います。

 最後に、資料1の19ページをごらんください。あわせて、資料2の14ページ、認定要領(7)をごらんください。ここでは、異論が出なかった事項として2つ挙げております。1つ目は、「喉頭全摘出手術をしたものは、手術後に食道発声法の習得や人工喉頭の使用によって発生が可能となった場合も含め、発音に関わる機能を喪失したものとして2級と認定する」、2つ目は、「事例の例示は現行のまま(喉頭全摘出手術をした場合のみ)とする」になります。

 なお、1つ目の事項につきましては、前回会合において、「音声機能」のほうがより正確な表現ではないかといったご意見をいただいたところではございますが、「発音に関わる機能」の中には音声機能も含んでおりますので、見直し案に変更することとさせていただきたいと考えております。

 また、2つ目の事項につきましては、「喉頭全摘出手術をした場合」のように、例示すべき事例につきましてご意見がございませんでしたので、現行のままとするものでございます。

 したがいまして、ここでの検討事項はございません。他に検討すべき事項などございましたらお願いしたいと思います。

 以上で説明を終わらせていただきます。よろしくお願いします。

 

(中島座長)

 ありがとうございました。

 ただいま、検討課題といたしまして、「人工物の装着や補助用具を使用している場合の判定について」、資料1の16ページから18ページ、加えて「喉頭全摘出手術をした場合の基準について」、19ページを説明いただきました。認定基準の見直し案、資料2では14ページの(7)と(8)になります。

 これについて構成員の皆様方からご意見を頂戴いたしたいと思いますが、まずは、最初に、人工物の装着や補助用具を使用している場合の等級判定の考え方、資料1の18ページ、その下半分のところでございます。2の「等級判定の考え方(案)」、これについてご意見を承りたいと思います。いかがでございましょうか。

 

(豊原構成員)

 じゃ、私のほうから。障害等級の考え、人工物の装着において障害等級の考え方ですけれども、この案でマル1、マル2、マル3、マル4と挙がっておりますけれども、読んでみて確かにもっともなことで、私はこれでいいと思います。

 

(中島座長)

 ほかに、田山先生、いかがでございましょう。

 

(田山構成員)

 つけ加えるとすれば、経済性とか、そういった問題も実は大きくかかわってくるのかなと思うんですが、余りお金のことを前面に押し出すのもあれですから、とりあえずマル1からマル4までは納得できるものだとは思います。

 

(中島座長)

 石本先生、いかがでございましょう。

 

(石本構成員)

 私もこの案でいいと思います。やはり事前、治療後と治療前で評価の仕方が変わってしまうと、例えば手術をした場合などは、その手術のやり方だとか、そういうことによって違いが出てきますし、それによって、そういうばらつきがあるといけないと思います。しかし眼鏡だとか義歯をあわせると大変なことになってしまいますので、この等級判定の考え方で、このマル1からマル4で非常によいかと思います。

 

(中島座長)

 いかがでございましょうか、ほかの構成員の方々のご意見を。

 特にご異論はございませんでしょうか。

 それでは、この点につきましては、「等級判定の考え方(案)」について合意が得られたものと考えます。

 つけ加えます。そうすると、資料2の14ページの(8)、これはこのように取り扱うということで合意が得られたということになります。

 続きまして、「喉頭全摘出手術をした場合の基準について」というところで、最後のページ、19ページに移ります。

 これについてご意見をいただきたいと思います。認定基準の見直し案、資料2では14ページの(7)の議論に相当いたします。ご意見いかがでございましょうか。

 

(田山構成員)

 私は「音声機能」という言葉にしたほうがいいんではないかと申したのですが、実は、文言をよく読んでみると、いろいろ、これ複雑でありまして、大前提が発音にかかわる機能というようなことになっていたので、こういう使い方をすると、「発音に関わる機能」でよいということになります。

 ただ、この問題、イのところでもう1点。以前、最初の会合のときにご指摘したと思うんですけれども、この「障害の程度を認定する時期は、喉頭全摘出手術を施した日(初診日から起算して1年6月以内の日に限る。)」これ、2年目にやったときにはどうなるかというところなんですが、どうも、やはりこの文章だけから読むと釈然としないところがあるので、このところは消してしまってもいいのかなと。「初診日から起算して1年6月以内の日に限る」というのは、ある必然性がないような気がするんですが、いかがでしょうか。

 

(和田事業管理課給付事業室長補佐)

 これも、以前先生からご指摘があったんですけれども、ここで書かれているのは、初診日から1年6カ月目が障害認定日ということで法律上規定されておりまして、それ以前に喉頭全摘出手術を施した場合は、1年6カ月よりも前であっても、該当すると。1年6カ月の時点で判断をいたしますので、その時点で手術をしていなくて状態が軽ければ認定されないわけですけれども、その後、事後重症請求というのがございまして、後で悪くなって認定をするときに手術を既に行っていれば、その時点で2級ということになります。これは制度の問題でありますので、ここで書いてあるのは、ほかの認定基準でも同じですけれども、認定するに当たって障害認定日を、その前でも認めるケースがありますということを説明するだけのところでございますので、そういうことでご理解いただければと思っています。

 

(田山構成員)

 ですから、その文言がわかりにくいような気がしていまして、「初診日から起算して1年6月以内の日でも可とする」とか、そういうほうがよろしいんではないかと。

 それから、例えば、喉頭全摘出手術を2年後にやったときに、それまでは障害ないわけなんで、要するに何も出していないわけです。そうすると、2年後に受けたときに初めて認定の書類を書くということになるんで、ですから我々の常識というか、手術によるものというのは手術日が認定日ということになって、「1年6月以内でも可」と言うほうがわかりやすいと。「限る」と言われると、この文言だけ読むと、2年たっているとできないのかというような、そういう形になると思うんですが。

 

(和田事業管理課給付事業室長補佐)

 これは認定基準ですので、認定をする先生側のほうで判断をされますので、作成される先生方にこれをお配りして見てもらうわけではないんですが、わかりにくいということであれば、少しその辺も検討させていただきます。

 

(中島座長)

 田山先生、今話された最初のほうの「発音に関わる機能」という、そこの表現はどうですか。

 

(田山構成員)

 これは、文章を前から読んでいくと、要するに文言の整合性をとっていくと、この用語になるということなんで、これは、ほかを変えると前も変えなくちゃいけないということになるんで、一応「発音に関わる機能」でいいということになります。

 

(中島座長)

 これでよろしいという、承知いたしました。ありがとうございました。

 石本先生、いかがでございましょうか。

 

(石本構成員)

 「音声機能」は、現場では「音声機能」と、耳鼻科ではよく言うんですけれども、実際、今までの流れだとか、あるいは話をする能力だとか、そういうことを考えると、「発音」でいいのではないかと思います。

 

(中島座長)

 ほかにご意見ございますでしょうか。

 では、検討課題につきましては、一通り順番にごらんいただき、それぞれについて真摯なご意見を頂戴いたしたところでございますけれども、最後に、全体を通じて、何か改めてご意見がおありになれば承りたいと思いますけれども、いかがでございましょうか。あるいは、あわせて認定基準、あるいは診断書等につきましても、ご意見があれば承りたいと思いますけれども、何かご指摘の点ございますでしょうか。

 

(田山構成員)

 よろしいでしょうか。

 

(中島座長)

 はい。

 

(田山構成員)

 診断書のサイズなんですけれども、これはA3のままなんでしょうか。

 

(大窪障害認定企画専門官)

 現時点では、まだA4にするかどうかについてまで、きちっと検討してございませんが、今、先生からもご発言がございましたので、できるかどうかも含めて検討したいと思います。

 

(中島座長)

 加藤先生。

 

(加藤構成員)

 これはこの後話し合われるのかもしれませんけれども、この障害認定基準の、14ページの一番最後の併合のことなんですけれども、しつこいかもしれませんが、ここに、黄色のところに、「また、音声又は言語機能の障害(特に失語症)と肢体の障害又は精神の障害とは併存することが多いが、この場合についても同様とする」と書いてありますけれども、「同様とする」というのが非常に何か曖昧なので、ちゃんと、上と同じように「併合認定の取り扱いを行う」というふうに直していただければ、ちょっとすっきりするかなとは思うんですけれども。

 

(中島座長)

 事務局いかがでしょう。

 

(池上事業管理課給付事業室長)

 検討いたします。

 

(中島座長)

 ほかに何かご意見ございますでしょうか。

 よろしいでしょうか。

 それでは、見直し案について、幾らかの、次回、議論を持ち越している部分もございますけれども、おおむね内容を固めていただけたのではないかと思っております。また、本日頂戴いたしましたご意見を踏まえまして、今後、事務局で整理をいたしたいと思いますので、事務局よろしくお願いいたします。

 それでは、本日の議論はこれにて終わりたいと思いますけれども、次回の会合の進め方や日程等につきまして、事務局からお願いいたします。

 

(和田事業管理課給付事業室長補佐)

 本日は、長時間にわたり、大変ありがとうございました。次回は、本日のご議論を踏まえまして、認定基準と診断書の改正案をお示しさせていただき、ご意見をお伺いしたいと思っております。

 なお、次回の日程につきましては、後日調整をさせていただきまして、その上で改めてご連絡を差し上げたいと存じます。

 以上です。

 

(中島座長)

 それでは、本日の会合はこれにて終了とさせていただきたいと思います。構成員の皆様方には、ご多忙中のところ、長時間にわたりどうもありがとうございました。


(了)
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代表: 03-5253-1111(内線3603)
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