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2014年7月23日 平成26年第3回目安に関する小委員会 議事録

労働基準局

○日時

平成26年7月23日(水)
17:00~21:35


○場所

厚生労働省19階共用第8会議室


○出席者

【公益委員】

仁田委員長、武石委員、藤村委員

【労働者委員】

須田委員、田村委員、冨田委員、萩原委員

【使用者委員】

小林委員、高橋委員、横山委員、渡辺委員

【事務局】

谷内大臣官房審議官、里見大臣官房参事官(併)賃金時間室長
辻主任中央賃金指導官、久富副主任中央賃金指導官、小泉賃金時間室長補佐
新垣賃金時間室長補佐

○議題

平成26年度地域別最低賃金額改定の目安について

○議事

(第1回全体会議)

○仁田委員長 それでは、定刻となりましたので、ただ今から第3回目の目安に関する小委員会を開催いたします。

 本日は中窪委員が御欠席です。また、武石委員は途中退席の予定でございます。

 それでは、まず最初に前回高橋委員から御要望のありました中小企業支援に関する質問について、事務局から説明いただけるとのことですのでお願いします。


○辻主任中央賃金指導官 それでは、御説明いたします。第3回目安に関する小委員会配付資料を御覧ください。前回の目安小委員会におきまして高橋委員から御要望がございましたもので、業務改善助成金申請時の事業場内最低の賃金額について、地域別最低賃金への張り付き状況をお示ししたものでございます。平成25年度におきましては、1,937件について、業務改善助成金の交付決定を行っております。このうち、申請時の事業場内最低の賃金額が地域別最低賃金と同額でありましたのものは216件で、全体の11.2%。地域別最低賃金から9円以内のものは、430件で、全体の20.8%となっております。

 以下、10円刻みで御覧のとおりになっておりまして、地域別最低賃金から49円までに張り付いているものは、累計で1,351件、率にして69.7%。同様に99円までですと、累計で1,858件、率にしまして95.9%。こういう状況になっております。なお、本制度につきましては、事業場内の最低賃金額が800円未満としている事業場であれば、支援の対象としておりますので、申請額が地域別最低賃金の100円以上になっているものも一定程度みられるところでございます。

 報告は以上でございます。


○仁田委員長 どうもありがとうございました。ただ今の説明について、何か御質問等ございますでしょうか。


○高橋委員 事務局の皆様には、短時間の間にお調べいただきまして感謝申し上げたいと思います。私が想像していた以上に最低賃金額に張り付いていた件数が少ないという印象を持ちました。最低賃金の引上げに向けた支援事業のうち、全予算額の8割くらいを占めるのが業務改善助成金ですので、はたして最低賃金の引上げに向けた支援事業というものが、本当に最低賃金の引上げに向けた事業なのかどうか、依然として疑問を持ったということだけ申し上げたいと思います。以上です。


○仁田委員長 はい、わかりました。それでは、引き続きまして審議を進めたいと思いますが、前回の小委員会におきまして労使双方から今年度の目安についての基本的な考え方をお示しいただきました。慣例によりまして、双方の主張を整理いたしましたので、これから申し上げます。

 まず、労働者委員からは、以下のような御主張がありました。

 1点目に、今年の春季生活闘争において、多くの労使で労働条件の改善や賃金の引上げに対する取組が行われたが、労使の取組がなされていないところもある。最低賃金審議会は、春季生活闘争の取組を行ってきた労使の代表が出ており、賃金の最低水準をどうするかと論議する重要な場である。また、昨年12月の政労使会議において、企業の収益を拡大し、賃金・雇用の拡大に結び付け、さらに消費の拡大、投資の増加に結びつけることで経済の好循環を目指していくことが取りまとめられたが、最低賃金の引上げについても、経済の好循環に結びつけることが求められているというふうに認識している。

 2点目に、今年度は消費税率の引上げなどの要因により、物価が上昇局面にあり、物価の上昇が生活に大きな影響を与えることを考えると、この物価上昇局面を勘案する必要がある。また、昭和53年の目安に関する小委員会の中で、目安の引上げ率は消費者物価上昇率を下回らないようにする必要があると判断されていることを踏まえた上で議論を行いたい。

 3点目に、「成長力底上げ戦略推進円卓会議合意」や「雇用戦略対話合意」で当面目指すべき水準について、高卒初任給水準、2020年までのできるだけ早い時期に800円、1000円との合意がされてきたが、まだその実現には至っていない。生活できる最低賃金水準の確保という観点から、早期に800円を超えるための道筋をつける審議を行いたい。

 4点目に、今年度は新たに5都道県で生活保護水準との乖離が確認されたが、単年度で解消すべきである。また、生活保護費との優位性が多くの県で縮小しているが、しかるべき優位性を保つことが必要である。改めて、生活保護費との整合性のある賃金水準のあり方を議論すべきである。

 5点目ですが、生活保護との乖離解消を目指した引上げもあって、地域別最低賃金の最高額と最低額の比率が76.4%となるなど、結果としてランク間の格差が拡大した。目安制度の趣旨である全国的整合性や、地域の活性化といった観点も踏まえて、それぞれのランク区分ごとの賃金水準はどうあるべきなのかについても議論したい。また、勤労者の生活実態、生計費、各種賃金指標の水準、環境変化の動向を踏まえると、今年度については、少なくとも昨年実績を大幅に上回る必要がある。

 6点目、非正規労働者の増加や一人親世帯の相対的貧困率の高さなど、ワーキングプアを作り出す状況の改善や女性の就労環境を改善し、活躍促進するために、社会的セーフティネットである最低賃金の引上げが必要である。

 7点目ですけれども、最低賃金近傍で働いている人々の実生活は、物価上昇などにより非常に厳しくなっているため、10月1日発効ができるように審議を行うことを審議会の基本的なスタンスとして共有したい、等といった主張が行われていたというふうに思います。

 一方、使用者委員のほうからでございますけれども、1点目に、企業の経営環境は、安倍政権の経済政策によって、総じて改善してきているが、円安による原材料価格や燃料費の高騰などによる経費の増大や、人手不足による人件費の増大への対応に苦慮している。また、中小企業・小規模事業者の景況感に大きな改善がみられるまでには至っていない。このような現状を踏まえると、中小企業・小規模事業者の活力を削ぐような事態を招くことになれば、地域の雇用・経済に深刻な悪影響を与えることになるというふうに危惧している。

 2点目に、過去5年間にわたって、生活保護との乖離解消や、生産性と関係なく引上げを最優先する審議が続いたことにより、大幅かつ急激な引上げが続いてきている。その結果、影響率も上昇し、最低賃金の引上げが企業経営に与えるインパクトが従来以上に高まってきている。賃金水準の引上げは生産性向上に裏付けられた付加価値の増加を伴うものでなければならず、最低賃金の引上げは、生産性向上と切り離すことなく、セットで考えるべきである。

 3点目、中小企業・小規模事業者に対する生産性向上のための政府の支援策の成果が生産性の上昇という明確な形で認められることが大変重要であり、十分な生産性の上昇が確認できないまま、最低賃金の大幅な引上げだけが求められることになれば、引上げの根拠が説明できない目安を地方最低賃金審議会に示すことになり、地方での審議における大きな混乱を招くことになる。ひいては、目安そのものに対する信頼が失われることになりかねない。

 4点目、生活保護水準との乖離解消については、これまでのルールに則って、今年度も着実に取り組むべきである。

 5点目、消費税引上げについて、規模が小さい事業者ほど価格転嫁が出来ておらず、経営を圧迫しているという実態がある。また、中小企業の景況感についても、先行き不透明な状況が続いており、地方の中小企業からは、人手不足のために、生産・営業活動を抑制しているという声もあり、自社の支払い能力を超える引上げの目安を示すことは、雇用への悪影響だけでなく、事業の存続をも危うくする。売上はあっても利益が出ていないというのが、多くの中小企業・小規模事業者の現状である。この状況が続けば、企業としてもいずれ人件費や人員の削減といった手段を選択せざるを得ない。

 6点目、今年度のランク別の目安については、地域における労働者の生計費、賃金及び通常の事業の支払能力という最低賃金法の3要素を総合的に表している賃金改定状況調査結果の、特に第4表のデータを重視した審議を行うとともに、最低賃金の張り付き状況などを踏まえた、ランクごとの実態を反映した目安とすべきである。なお、第4表は消費税の引上げに伴う物価上昇分も踏まえ、個々の中小企業・小規模事業者が決定した賃上げ結果を集約したものであるので、第4表の数値に基づいた審議を行うことが何よりも重要である、等といった主張があったというふうに思います。

 以上が、まとめたものでございます。それでは、労使の皆様に前回検討をお願いしておりましたが、その検討の結果をただ今の説明の補足や訂正等あればそれも含めてお伺いをしていきたいと思います。

 順番は労、使の順番でお願いしたいと思います。それでは、労側お願いします。


○須田委員 修正していただかなくてもいいんですけれども、労側も地域の活性化のためには、地域の中小企業の活力を保つためにも最低賃金の引き上げが必要だということは主張させていただいております。要は最低賃金が低いところから高いところへ労働力が移動している、という事実があることも踏まえて主張させていただきました。それから、生産性についても物的生産性の向上はある、職場は努力している。ただ適正な価格で取引されているかどうかによって付加生産性をどうみるかというのは課題である。働く者からみれば、一生懸命頑張って生産性を上げた分が報われていないということも主張させていただきました。そのことが別立てて並べてしまうとそう反論しているようにみえますけど、反論じゃなくて、労側はそう思っているということで主張したということについては承知しておいていただければと思います。前回、終了間際に会長のほうから乖離が大きいので再考と言われたことは承知しておりますが、どの方向で再考すればいいのか具体的にわかりませんので、今日段階、今段階では前回の主張と変わっていないということを申し述べておきたいと思います。


○仁田委員長 はい、ゼロ回答。それでは、使用者側のほうお願いします。


○高橋委員 取りまとめいただいた基本的な考え方の最初の取りまとめ部分が前回申し上げたことと若干ニュアンスが違うような形なので、後で修正をしていただきたいと思います。経営環境全般について総じて改善しているとは申し上げましたが、その後に申し上げたのは、中小企業・小規模事業者にとっては、円安による原材料価格、燃料費の高騰といったようなこと、あるいは人手不足等の対応に苦慮しているんだということを申し上げました。このまとめの文章だと、それとは別にまた、と言って景況感に改善がみられるには至っていないという整理ですが、そうではなくて、円安等の原材料価格等の問題に加えて、取引先企業の海外進出ですとか、地方の人口減少ということ、それらを重ね合わせる形での要因によって景況感に大きな改善がみられるまでには至っていないというふうに申し上げたのであって、この取りまとめだとその趣旨が全然反映されていない文章になっています。基本的に私が申し上げたとおりに直していただきたいと思います。

 基本的な見解を前回申し上げましたけれども、それ以降、大きな変化がない現状において見解が変わるということはございません。以上です。


○仁田委員長 ただ今労使の主張を承りました。労使の主張には、なおかなりの開きがございますようですので、この後、公労・公使で個別に主張を伺いながら、開きを詰めていくという作業をしていきたいと思いますが、よろしゅうございますか。

(了承)


 それでは、順番として公労会議から始めていきたいと思います。

 

 

(第2回全体会議)

○仁田委員長 それでは、ただ今から本日第2回目の全体会議を開催いたします。

 本日は、今年の目安を取りまとめるべく、労使の歩み寄りを期待してお話をさせていただきました。

 しかしながら、依然として双方の主張の隔たりが大きいということから、本日の取りまとめは断念して、次回に持ち越すことといたしたいと思いますが、これについてよろしゅうございますか。

(了承)

 それでは、労使双方におかれましては、本日の議論も踏まえて、目安を取りまとめるという観点から、再考をお願いしたいと思います。それでは、次回の日程と会場について、事務局から連絡をお願いします。


○小泉室長補佐 次回の第4回目安に関する小委員会は、7月28日、月曜日の10時から、日本青年館ホテル5階501会議室で開催いたします。


○仁田委員長 それでは、以上をもちまして、第3回目安に関する小委員会を終了いたします。議事録の署名ですが、須田委員と高橋委員にお願いいたしたいと思います。

 皆様、長時間どうもお疲れ様でした。

 


(了)
<照会先>

労働基準局労働条件政策課賃金時間室
最低賃金係(内線:5532)

代表: 03-5253-1111

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