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2012年12月18日 第11回新水道ビジョン策定検討会議事録

健康局水道課

○日時

平成24年12月18日(火)13:00~16:00


○場所

厚生労働省専用第22会議室


○出席者

出席構成員

滝沢座長 浅見構成員 永井構成員 岡部構成員 尾崎構成員
木暮構成員 佐藤構成員 長岡構成員 服部構成員 平田構成員
吉岡構成員

○議題

(1) 第10回検討会議事録(案)について
(2) 新水道ビジョン骨子案(修正版)について
(3) 新水道ビジョン(素案)〈全体構成案〉について
(4) ワークショップの開催概要について
(5) その他

○議事

○ 日置課長補佐
定刻となりましたので、ただいまから第11回新水道ビジョン策定検討会を開催させていただきます。構成員の皆様にはご多忙にもかかわらず、ご参集いただきましてまことにありがとうございます。まず構成員の出席状況でございますが、本日、長岡構成員から30分ほどおくれて来られるというご連絡をいただいているところでございます。したがいまして、本日、11名すべての構成員の方にご出席いただいているという状況でございます。

○ 水野係長
それでは、議事に入ります前に事務局から配付資料の確認をさせていただきます。お手元の配付資料、まず一番上に議事次第がございます。その裏面が添付—1、名簿でございます。添付—2が座席表、添付—3が検討会のスケジュール(案)でございます。続きまして、資料—1が第10回新水道ビジョン策定検討会の議事録(案)でございます。次に資料—2が新水道ビジョン(素案)全体構成案というホチキスどめのものでございます。その下に資料—2の参考という一枚紙がございます。続きまして、資料—3、これもA4一枚紙、新水道ビジョンワークショップ実施概要(案)というものがついてございます。続きまして、参考資料—1ということで、前回の資料より骨子案がついております。続きまして、右上に構成員提出資料と書いてございますが、佐藤構成員、岡部構成員から資料をちょうだいしておりますので、議事次第のところには書いてございませんが、いただいた資料を添付してございます。
資料は以上でございます。不足等ございましたら、事務局までお願いいたします。よろしいでしょうか。

○ 滝沢座長
それでは、早速でございますが、議事に入らせていただきます。
まず議事の1番目ですが、第10回検討会議事録(案)でございます。これにつきましては、既に構成員の皆様方にメール等で配付し、ご意見をいただいていると伺っておりますが、何か追加で修正ございますか。
よろしければ、「(案)」をとらせていただいて、これで議事録ということで確定させていただきたいと思います。
それでは、議事の(2)が本日のメインの課題となりますけれども、その前に事務局から報告事項があるということでございますので、ご報告をお願いいたします。

○ 日置課長補佐
議事に入ります前に、先日、12月4日火曜日でございますけれども、第13回厚生科学審議会生活環境水道部会が開催されまして、その議事といたしまして、新水道ビジョンの検討状況について報告をいたしました。部会の委員からは、その中で、小規模水道、簡易水道の今後の扱い、方向性についてどのようなものが出てくるのかですとか、あと、水道事業の広域化についてのご意見、また、官民連携についてのご意見、災害時の民間を含めた役割分担ですとか、これまでの現行のビジョンの中で位置づけられていた環境と国際というものの今の新水道ビジョンにおける位置づけの違いですとか、そういうところについていろいろとご意見をいただきまして、それらを踏まえて事務局としても検討しているというところでございます。この詳細につきましては、ホームページでもご確認いただけるようにしたいと考えておりますので、またよろしくお願いしたいと思います。
以上でございます。

○ 滝沢座長
 ありがとうございます。
 それでは、議事の(2)に入りたいと思いますが、新水道ビジョン(素案)の検討についてでございます。事務局からの資料の説明の前に、構成員の方から何件か、私案をいただいております。議論を活性化するという意味も含めまして、まず構成員の皆様方からご説明をいただきたいと思います。初めに佐藤構成員からご説明をお願いいたします。

○ 佐藤構成員
皆様のお手元に構成員提出資料—1としまして、私の新水道ビジョンの基本理念に関する資料を用意させていただきました。この資料は、今回の新水道ビジョンの基本理念について、私の個人的な意見の提案を試みたいということで用意させていただいたものです。
 まず最初に、表紙1ページ目から順次ご説明させていただきたいと思います。今回の新水道ビジョンの基本理念として、「地域を拓き、未来につなぐ信頼の水道」を提案したいと思います。
この提案のコンセプトですが、水道は日本を初めすべての国々の地域にかかわるインフラです。こうしたことから、「地域」の問題を避けては通れないということが、「地域」というキーワードを切り出す着眼点です。
 続いて「拓く」ですが、日本国内においては水道再構築として人口減少下における水道を切り拓く必要があること。福島県などの被災地においては、まさしく「拓く」という字が意味するとおり、手で石を運んで新天地を開墾するがごとくに水道を今、考えなければいけないような状況に迫られていること。さらには、限界集落においても、水道の先人たちが考えなかったような給水サービスの多様な手法を考えなければいけない時期に来ていること。さらに途上国に目を向けたならば、水道創設が求められていること。このようなことは総じて、ニュー・フロンティアを切り拓いていくような概念ととらえるべきではなかろうかと思っております。
 続いて「つなぐ」です。「つなぐ」とは、水道管路をつなぐばかりではなくて、過去・現在の水道を次世代につなぐこと、水道広域化における公と公、官民連携における公と民、水道先進国と途上国をつなぐ国際貢献、東日本大震災で経験した「絆」、こうしたことをつなぐという意味であらわしております。
 そして何より、命の水である水道は、水道利害関係者からの信頼を得るとともに、将来にわたって「信頼」を獲得できるよう、水道事業者は事業を継続しなければいけない使命を負っているということ。
 このようなことから、「地域」「拓く」「つなぐ」「信頼」などをキーワードとして、基本理念として「地域を拓き、未来につなぐ信頼の水道」ということを今回ご提案申し上げます。
 さらに1ページ下の欄に少し書いてございますとおり、「『安心・持続・飛躍』そして強靱な水道をきずく」ということで、実際の実現方策としては、「強靱」を水道が目指すべき重要な上位概念と位置づけて、その実現のために、(1)安全、(2)持続、(3)飛躍を目指すべき方向性ということで、今回構成してみました。この内容につきましては、2ページ目以降でご紹介させていただきます。
 2ページ、1番、基本理念です。まずここで確認ですが、候補?、「地域を支え、世界に貢献する日本の水道」、これが前回、11月26日時点で何人かの構成員の方々から支持いただいた提案でございました。これをもとにした議論を踏まえた結果、第2案としては「地域を拓き、世界につながるニッポンの水道」。そして?、「地域を拓き、未来につなぐ信頼の水道」、ここの「未来」は、例えば「世界につなぐ」、あるいは「つなぐ」の部分を「未来を拡げる」などという言葉への置きかえはあるかもしれませんが、今回はあえて?を基本として、「地域を拓き、未来につなぐ信頼の水道」を提案してみたいと思います。そして副題は、またこれも後ほど皆さんと議論していきたいと思うところですが、「『安全・持続・飛躍』そして強靱な水道へ」というように、ここではまとめてみました。
 このような基本理念を達成するために目指すべき方向性を2番としてまとめてみました。ここでの着眼点は、将来の水道を築く4つのSということで切り出しました。まず(1)安全(Safety)、(2)持続(Sustainability)、(3)飛躍(Step-up)、そして、その根幹となるものを強靱(Strength)という形でまとめてみました。これまでの検討会の中では、既に「安全」「持続」「強靱」については議論が整理されているところであって、本日の提案は、ここにさらに「飛躍」としてのステップアップというところを追加しているという点が新しい特徴といえようと思います。この「飛躍」については、例えば?国際協力、?環境貢献などという形で、あるいは中小水道事業体の場合には、さらなる魅力ある水道事業体への発展ということが入ってこようかと思います。そして最後、「強靱」ですけれども、水道の強靱化のために「安全」「持続」「飛躍」を支える精神的な概念と位置づけて、「強靱」についての定義を、「水道が、強さとしなやかさを保ち、社会を支える基盤であり続けること」と整理してみました。
 これまでの議論と異なるところは「飛躍」が入ったところにありますけれども、考え方によっては、実は「飛躍」の(3)と「強靱」を置きかえて、今までの議論を踏襲したまま、(1)安全、(2)持続、(3)強靱としながらも、その発展系として「飛躍」という今後将来の方向性、あるいはここは「成長」というような言葉でもいいのかもしれませんけれども、そのような将来展望まで含めて、今回のビジョンをとらえてはいかがか、という提案です。
 このような方向性を示した上で、2ページ、3番、今後の実現方策として、既に前回までにさまざまな手法の検討を試みてはおりますけれども、あえて私の個人的な提案といたしましては、まず(1)横断的な方策として、運営基盤の適正化、あるいは言葉としては水道広域化と置きかえてもよろしいかと思いますが、この広域化による水道の運営基盤の強化を実現方策の中で特に上位に位置づけて、今後将来の日本の水道の再編成のモデルを示してはどうかということが、ここで示した横断的方策の特徴です。このようなもとに、?連携の推進、?役割、責任、権限の明確化、?管理(マネジメント)の強化という形で再構築を考えてみたいと思います。
 こうしたことを(2)個別的方策(戦略)としては、先ほど紹介のとおり、既に「強靱」ということを上位的な精神的概念と位置づけていることもありまして、「強靱」のもと、(1)安全、(2)持続、(3)飛躍というような形で、それぞれの個別の具体的な戦略ということを結びつけるということも案としては考えられるのではなかろうかと思って提案いたします。
 以上、ここまで新ビジョンの、特に基本理念にかかわるようなところをご紹介してまいりました。
 続いて、3ページで少しだけ基本理念の概念図の解説を試みたいと思うわけですが、特に3ページ、2番、目指すべき方向性についてです。目指すべき方向性は、基本理念に描く姿を実現するために、具体的に達成すべき目標を端的に示す必要があると考えます。今回の案では、「強靱」が強さとしなやかさを保ち、社会を支える基盤であり続けること、このような包括的な方向性として位置づけた上で、「安全」「持続」「飛躍」の3つの柱で構成しております。そして、目指すべき方向性のイメージは、「地域を拓き、未来につなぐ信頼の水道」、これを基本理念としながらも、「安全」「持続」「飛躍」、これらが流線形として流れる水とキーワードのSをイメージした形で、ここで概念的な図として示しております。ここでは、これまでと変わらない「安全な水道」から「持続性の確保」、そして新しい未来への「飛躍」をしていく様子を右肩上がりの配置で表現しているところです。特に「安全」から「飛躍」に向かうまでの基礎概念として表すとともに、その中で「強靱」をその根幹に据えているということです。
 このようなことをあえて概念図としてお示ししたところではありますけれども、先ほどご紹介したとおり、「飛躍」と「強靱」の位置がこのままでいいのかどうか、あるいは、このようなイメージ図でいいのかというようなところは、後ほど皆さんからぜひご意見をいただければと思っております。
 以上が特に骨格で、3ページ、(1)安全について、ここ以降は各項目の細かい内容ですので、簡単に触れさせていただいて説明にかえたいと思います。
 まず(1)安全について。安全とは、安心な水がいつでも安定して供給されることということで、以下、これまでの議論等を整理したところです。
 4ページ、(2)持続についてですが、ここにつきましては、?経営面、?施設面という形で、双方の健全性が維持されていることが必要だという観点から、ここでは「持続」をあらわしております。
 4ページ、(3)飛躍についてです。飛躍については、日本の水道が新しい未来に向けて、国内から世界に挑戦していく際のステップアップの場となること。ここでは世界と書いてはおりますけれども、世界にとどまらず、日本国内のこれまで抱えていた問題を克服して、乗り越えていくさまも飛躍という概念に含めていることを、あえてここで補足しておきます。そうした観点から、官民連携を進め、新しい人材を呼び込んでいくためには、水道自体が挑戦しがいのある魅力ある存在であるとともに、成長し得るような水道という産業であることが重要だということを、ここではまとめております。その展開方策として、例えば国際協力、あるいは環境貢献などを位置づけてはどうかということでまとめてみました。
 そのほか、4ページ、3番の実現方策、ここについては先ほど概念図でご紹介したとおりですが、まず1つ目、?水道の広域化ということを横断的な方策として位置づけてはどうかということです。
さらに5ページ、?連携の推進ですが、ここでいっている連携という用語の中には、官民連携のほか、住民との連携など、いわゆる水道事業体とその利害関係のある団体との連携推進はどうあるべきかというようなところを概念図としてお示ししております。
 5ページ、?役割、責任、権限の明確化、ここについては、それぞれ監督官庁、水道事業体、地方自治体、そして、それを取り巻く民間企業や住民などという形を概念図としてお示ししておりますが、この?については多分これまで議論されたところを図示したというレベルで理解いただければよろしいかと思います。
 6ページ、?管理(マネジメント)の強化でございます。やはり今回の水道ビジョンが強く運営基盤の強化に軸足を置いていると私はとらえるべきだと考えております。そうした観点から、ここではマネジメントの強化のイメージを3つのパターンでお示ししております。まず1つは、地域水道ビジョンに基づいた議会によるチェック、監督官庁による評価などという観点から、2つ目は、水安全計画などにおいて専門機関による評価、監督省庁による評価、そして、経営計画、財政計画などについては、監査によるチェック、議会によるチェックなどという形で、マネジメントが強化されるような方向を整理することが重要だと考えております。そうした中で、今回の水道事業全体の中では、国における新水道ビジョン、そして都道府県版の水道ビジョン、さらに各水道事業体における地域水道ビジョンというものが計画的な体系をもって整備されることが重要であろうということを、ここでまとめております。このほか、いろいろと意見はあろうと思いますけれども、このようにまとめてみました。
 さらに6ページ、下の段、補足ですけれども、今後、議論の材料として副題が必要になる場合に1つ、提案としてお示ししております。「切り拓こう!われらがきずく 水道のニュー・フロンティア」、こうしたことも今後将来、さまざまな経営課題を抱えている水道界ではありますけれども、積極的にそれを乗り越えていこうという意思をもった形での副題を掲げてはいかがかということをもって、本日の資料として提出させていただきました。
 そのほか、7ページ目については前回の資料の再掲でございますので、あわせてごらんいただければと思います。
 以上、私からの報告を終わります。

○ 滝沢座長
ありがとうございます。
関連の資料をすべてご説明いただいた後に少し議論をしたいと思います。続きまして、岡部構成員からご説明をお願いいたします。

○ 岡部構成員
それでは、私から説明させていただきます。ちょっと風邪ぎみなので、声が悪いのはご勘弁ください。
私の提案は、あえていうなら1つなのですけれども、水道ビジョンもキャッチフレーズ、イメージ、骨子、今までの議論を踏まえて、現状の課題の整理とか、今後の目指すべき方向性というのはかなり描けてきているのではないかと思います。しかし、水道ビジョンは骨子の中にあるように、50年から100年先の理想像と目標像を描くとありますが、現在、議論されている近未来の目指すべき方向性というのはあるのですけれども、やはり最終形というか、理想とするもの、50年後、100年後をイメージした理想像、目標像が今のところ、まだもう1つみえていないのかなという気がしました。今の議論とはちょっと別なのか、あくまで目標として掲げるか、ちょっとわかりませんけれども、新水道ビジョンの中に課題が多くてだめなイメージがあるのですが、そうではなくて、50年、100年、これを目指しましょうといったもの、夢みたいなものになるかもしれませんけれども、盛り込んでほしいなというのが提案でございます。
少し具体的になりますけれども、新水道ビジョンの目指すべき方向性の項目の中で、包括的なキーワード、安心、安定とか、キーワードだけではなくて、もう少し具体的に述べてほしいなというのがお願いでございます。
例えば水道の普及についても、全国民が何らかの形で安全、強靱、持続可能な水道、現状の水道形態にはこだわらなくてもいいけれども、恩恵を受けているとか、大都市、中規模もレベルを保ちながら、中小の事業体とか、島しょ、簡易水道もちゃんと恩恵を受けている。幾つか課題が残る小規模水道、井戸水を水源とした簡易水道などもそれを克服している。水道水の安全性については、小規模については水質検査や安全管理体制が広域的な仕組みで、小さいからできないという話だけではなくて、その解決策を少し示す意味でも、広域的な仕組みで確立されており、国民みんなが安心して水道を使っている。水道施設の老朽化についても、アセットマネジメント、アセスメントが適用されて、適切な水道施設の更新、維持管理がなされており、老朽施設は毎年の更新必要量以下であり、水道施設の健全性が保たれている。水道施設の耐震化など強靱性についても、100年後であれば耐震化はほぼ100%に達して、レベル2地震動に対しても水道は断水することなく水供給ができる状態になっている。
水道技術に関しても広域化が進み、簡易水道は水道と統合して、例えば計画、設計、施工管理、維持管理面、これはもしかしたらばらばらになるかもしれませんけれども、民間企業の技術力などをかりながら担保できている。水道料金については、どうしても人口減少とか使用水量の減少から、立米当たりは下手すると倍とか割高になっているかもしれませんけれども、水道の必要性が市民に理解されていて、経営的にも健全性を保っている。例えば浄水場などについては、技術の継承はできない、人も減るというものがありますので、どうするのかという話になるのですけれども、例えばですが、全自動運転がされており、給水メーター等もスマートメーターなどに変わって高度な管理を行っており、環境にも優しく、世界にも水道技術で貢献できる状態になっている。
これらを実現するために、以下のような水道の100年後の姿を描いてほしいということで、少し細かくなりますけれども、2番以下は、例えば安全性については、水道水の水質が水道事業体——「体」の字が間違っていますけれども、規模にかかわらず、上水道を含めて、水道管路の途中や末端でも監視されていて、それらの情報が市民にも公開されている。そういう姿を描くとか、あとは小規模な水道施設であれば、膜とかが導入されて、広域的な水質管理体制ができており、規模にかかわらない安全性が担保されている。水道の水質は現在の高度処理レベルが確保されており、しかし、希望する市民には、昨今、ペットボトルなどもふえていますので、水道事業体が宅配水道なども並行してやって、それがまた災害時とか緊急時にはバックアップにもなるというような安全な飲料水の供給体制ができているとか、水道の使用水量の減少により、水源の統廃合が進み、水質的によい上流取水、今、議論はされていますけれども、そういったものが進んで、原水水質の改善が図られている。
3番目としましては、水道施設の強靱性ということで、毎年の水道管路の更新率は老朽化が発生しないサイクルで更新されており、水道施設の中でも一番年月を必要とする水道管路においても耐震化100%が達成されている。したがって、レベル2地震動に対しても断水することなく供給することができる。配水管の事故も地震動だけでなく、かなり平常時の事故も多いので、そういった平常時の事故、他工事による損傷、そういったことも含めて、平常時においても市民に断水や濁水などの迷惑がかからないようになっています。浄水場や配水池など水道施設においても、あと計装とかそういうものを含めて耐震化が100%に達しており、レベル2地震動に対して浄水場、配水池も損傷することなく稼働している。災害も地震に限らず、風水害の断水も結構あるみたいですけれども、今回の東日本大震災で課題を残した津波、そういったものも含めて対応できるような形になっている。
よく水管橋などもあるのですけれども、このあたりも海岸部には水管橋でなく伏せ越しにするとか、そういったことも考えられますし、あと道路埋設も少し深く埋めたり、舗装を厚くするなどの対策も施されていて、津波に対しても結構強靱になっている。あとは水管橋の取り合いとか、ちょっと細かい話になりますけれども、可とう管とか、管路の弱点部というのはあるのですが、そういったところも計測管理がされており、補修や改善が一応終わっている。あと、配水管だけでなくて給水管、被害の数が多いのは給水管なので、それらについても、ステンレス給水管がどこまでかというのは私も詳しくは知らないのですけれども、例えば新しい材料とか、設計上の工夫、地盤変位を吸収するとか、給水管もやられるようになっている。100年後であればこのような理想を描けないかなと。
4番目、水道の持続性ということで、仮ですが、水道料金は倍程度になったけれども、市民には理解されて安定している。現在の簡易水道とか島しょ、非常に効率が悪いところもありますけれども、そういったところについても都道府県レベルの広域化が進んでおり、経営的にも技術的にも、場合によっては人的にも持続可能な体制になっている。この辺は小さなところも切り捨てないという感じのことです。あと、水道メーターもスマートメーターの導入により、効率的な水道料金の徴収がなされており、水道料金の体系も例えば季節とか時間性とか使用目的、そういう単なる節水ではなく、市民の満足度が高くなるようなきめ細かい水道料金になっている。前も話がありましたけれども、庭まきとか洗車は下水料金免除するとか、深夜電力ではないけれども、深夜料金とか、ピーク時は高くするとか、いろいろな方法ができるようになるのではなかろうかなと。
あと、簡易水道や島しょなど効率が悪い地域では、水道のみならずインフラ整備のコスト縮減のためコンパクトシティーができており、今回、東北の復興の中でもこのような話があるみたいですけれども、インフラが広がっていると非常に効率が悪いので、本当に人口も減ってやっていけないのであれば、やはりコンパクトシティー的な考えも出てくるのかなと。それから、浄水場が無人化されて、配水池などの管理も遠隔管理が実現しており、人件費などの低減が実現している。水道職員の減少とか技術継承が難しくなっているということですから、それをカバーするための自動化、システムが実現してきている。あと水道施設のバックアップや二重化も実現しており、災害時や事故時にも安定した水供給が実現している。技術継承は広域化した水道の技術をつかさどる水道のプロ集団、これは事業体の一部の方でも結構ですし、民間でもいいと思うのですけれども、水道施設、浄水場、配水池、管路などの施設計画とか設計、施工管理、維持管理、こういったもののプロ集団みたいなものができて、そこでカバーしているとか、そのためにもプロ集団の仕事が継続していけるだけの水道の規模が実現することが前提になるでしょう。
あと、気候変動などによって水源の不安定性などが増加するということが懸念されていますけれども、水道事業体の相互融通、連絡管の整備というのが一部で進んでいますが、現在でも渇水地域——字が間違っていますけれども、そういったものについても、水が余っている地域から融通できるような全国的な水融通、玉突きかもしれませんが、一応できるようになっている。そのためにも、水道事業体間で非常時における水利権売買ではないですけれども、そういった制度も改定されている。
あと、環境対策ですけれども、水道施設で使用する管材料や設備の再利用とかリサイクル、工場であればゼロエミッションとかをやるのですが、そういったことも実現しているとか、スマートメーターの導入により、電気使用量の一番多いポンプ、こういったものの省力運転ができるようになっているとか、あと小水力発電は一部でやられていますけれども、これも少しきめ細かく、自然エネルギーを使って水道事業の使用電力の何%ぐらいかは自分で賄っているとか。
国際展開につきましては、日本の水道技術が人口減少とともに後退するのではなくて、上記発展を遂げることにより、世界的にも高水準な水道を確保し続け、それらの技術を用いて世界に貢献している。そのころには、日本の官民連携かもしれませんけれども、水道のプロ集団も育って、日本の水道を守るとともに世界に打って出ている。
50年後、100年後の目指すべき日本の水道の姿を描いて、それからバックキャストした形で、それとは別に10年、30年後ぐらいになると思うのですけれども、今、主に議論されている新水道ビジョンを示してほしい。それらがまたイメージとかで、わかりやすい図とかで表現されるといいなと思います。というのが意見です。

○ 滝沢座長
ありがとうございます。
それでは、もう1件、続きまして、事務局から素案の検討資料、資料—2が配付されておりますので、これについてご説明をいただけますでしょうか。

○ 日置課長補佐
事務局から資料—2について説明させていただきます。資料—2に合わせまして参考資料もつけさせていただいております。参考資料—1ということで、前回の骨子案というのがございます。「第10回新水道ビジョン検討会(H24.11.26開催)資料—4より」というもの、これと合わせた形で説明をさせていただきたいと考えております。
では、資料—2を説明させていただきます。今回、新水道ビジョン(素案)ということで、全体構成案を1枚にまとめているところでございます。前回の骨子案と大きく変わったところは、6、7、方策のところを若干分けた形で再整理したというところでございます。
1枚めくっていただきまして、「はじめに」というところであります。今回、素案で前回の骨子案と変えたところにつきましては、現行水道ビジョンから新水道ビジョンへという矢の印を3つ示しておりますけれども、今回、なぜ新水道ビジョンを策定するのかというところを「はじめに」で明記することで、全体の性格をもっと明らかにしたいということを考えまして、まずここに新たに、なぜ今、新水道ビジョンをつくるのかというきっかけとなったことを書きたいということで盛り込ませていただきました。
次、基本理念に続きますが、こちらにつきましては、前回、「信頼され続ける」というところでいろいろなご意見をいただいたところでございますので、今回、「信頼を未来へつなぐ日本の水道」と、若干修正した形で基本理念を仮置きさせていただいています。こちらにつきましては、先ほど佐藤構成員からもいろいろなご意見をいただいているところでございますので、括弧書きに書いていますが、これまでの検討会の意見等を参考に仮置きしているという話、今後、内容の議論を踏まえまして、次回以降に確定したいということで、今後振り返って、改めてこの基本理念でいいかどうかという形で、ご議論いただけたらと考えているところでございます。
続きまして、次のページでございます。3の水道の現状評価と課題というところでございまして、課題のところで、前回の骨子のほうは、3点、水道サービスの持続性は確保されているか、安全な水の供給は保証されているか、危機管理の対応は徹底されているかということで書かせていただいておりましたが、それぞれ項目立てしまして、現状評価と課題ということで整理をしております。これは、これまで過去の本検討会の議論を踏まえまして、内容を整理しているところでございます。(1)におきましては、現状評価として、水道の普及の話、水道の経営の話、水道事業のネットワーク、水道の発展といったようなことで現状をあらわす。課題については、料金設定、職員の減少、人口減少に向けた施設計画、中小規模の水道事業という項目で文章をまとめているところでございますが、この文章は確定したものではございませんで、そこに書いている概念のことを今後詰めて書いていきたいという趣旨で書きとめているものでございます。
続きまして(2)といたしまして、安全な水の供給は保証されているかという点でございます。こちらにつきましても、現状評価と課題ということでございまして、現状としては、水へのアクセスの状況、水質検査の状況、水質汚染事故の状況、水質管理の変遷というようなことで、現状を確認したいということでございます。それに続く課題といたしましては、未普及地域の話、未規制物質の話、水安全計画の話、また、登録検査機関の役割ですとか、貯水槽水道の状況、飲用井戸等の状況というものがあるかと考えているところであります。さらには給水装置というところも課題としてあるということで、まとめていきたいと考えている次第でございます。
続きまして(3)危機管理への対応は徹底されているかという点でございます。こちらにつきましては、現状評価といたしまして、東日本大震災に関わる危機管理、これまで1回の検討会を割きまして議論させていただいたところでございます。その中で水道の被害の状況、被害の事例、原子力災害、応急給水の話、こういったことをまとめられるのではないかと考えています。その他の危機管理といたしましては、耐震意識の定着ですとか、耐震化計画、耐震化の状況、また、その他、様々な危機対策ということで、現状の評価ができるのではないかということでございます。課題といたしましても、東日本大震災に関わるものといたしまして、耐震化の遅れであったり、資機材の確保の体制であったり、緊急時の給水、広域応援といったような課題があったのではないかということでございます。他方、その他の危機管理ということにおきましては、多様な危機管理、渇水、風水害、そういった話、あと相互応援、コミュニケーション、複雑な危機管理というところで整理ができるのではないかと考えているところでございます。
次は将来の事業環境というところでございまして、骨子の段階では外部環境の変化、内部環境の変化ということで整理いたしておりまして、それぞれについてまとめていきたいイメージを具体的に書いているところでございます。
まず(1)の外部環境の変化といたしましては、社会構造、人口分布、水道の需要減、収入減少といったようなことがあるのではないか。また、水源の汚染ですとか気候変動、さまざまな危機管理ということ、こちらは水道事業者の力ではどうにもならないというところ、これらを所要の条件として今後考えていかなければならないというものを、外部環境の変化として整理したいと考えております。
次、内部環境の変化というところでございます。こちらは水道事業者の内部環境ということで、施設の老朽化ですとか、職員数、人的資源の減少といった、これまでさまざまなところで指摘されている状況、こういった水道事業者の中で起こっている状況を整理するというように考えているところでございます。
次でございます。5といたしまして、目指すべき方向性とございます。こちらはもちろん、水道の目指すべき方向性ということでございますが、先ほどの水道の現状評価と課題、こういったものも踏まえまして、持続性の確保ですとか、安全な水の供給、強靱な水道の構築、こういったものを目指して具現化に努力することが必要だということをまとめたいというところでございます。
その中でまず1つ目、枠囲いで「持続」と書いております。具体的には、人口減少社会の到来、施設の老朽化と更新需要の増大等、水道を取り巻く環境が厳しくなる状況であっても、水道事業の運営が安定的に持続する水道、こういう水道を目指すべきではないかということでまとめたところでございまして、先ほど岡部構成員からいただきましたさまざまな将来の水道の状況、こういったものをより具体的に書くと、岡部構成員からご提案いただいた内容になるのかなと考えているところでございます。その中で、事務局で書かせていただいている文章は、持続の意義ということ、なぜ大切かということを書いているところでございます。それは安定的運営基盤の観点、国民からの信頼、そもそもの水道サービスの話、こういった内容から持続というのが大事なのではないかということで、そこの文章を書かせていただいているところでございます。こちらにつきましては、先ほどの岡部構成員からの意見等を踏まえながら、より具体的にわかりやすくとりまとめていきたいと考えております。
続きまして、「安全」という切り口でございます。こちらにつきましても、水道原水の水質保全、適切な浄水処理、管路内における水質保持、飲用井戸等の衛生対策を徹底することにより、すべての国民が水道水を安心しておいしく飲める環境を享受できる水道ということでございまして、こういう水道ということで、こちらも岡部構成員からいただいた内容とかが具体的な姿になるのかなと考えているところでございます。なぜ安全が大事かというところも、事務局から補足させていただいているところでございます。安全の意義というところでございますが、水道水そのものの安全性、適正な施設管理、水源の話、小規模水道施設の話、こういった観点から安全というのが大事なのではないかということで考えた次第でございます。
続きまして、「強靱」という概念でございます。こちらも施設の耐震化やバックアップ機能を構築するということによりまして、自然災害による被災を最小限にとどめる強い施設を実現するとともに、施設が被災した場合であっても迅速に復旧対応を図ることが可能な水道ということでございます。こちらも具体的なことを書いていくと、岡部構成員からいただいたところが該当するということでございます。基本的に、なぜ強靱という概念が大切なのかということでございますが、災害時の対応というところで、危機管理、こういった内容で重要だということが、事務局が書かせていただいた文章の中で述べているところでございます。
以上、5の中で、将来、目標とする水道、こちらについて「持続」「安全」「強靱」の切り口から整理したところでございまして、そこを6の重点的な実現方策というところに向けて、具現化につなげていくという考え方で構成しているものでございます。6につきましては、骨子の中の5の(2)と(3)というのがございました。(2)方向性への実現方策、(3)横断的な実現方策ということで整理したものを、今回、6と7ということで分けた形で再整理させていただいたところでございます。
まず重点的な実現方策といたしまして、前回、骨子の中の方策を大きく3つに分けました。まず水道事業の内部方策、もう1つは関係者間の連携方策、3つ目が水道の将来を指向した方策ということでございます。
まず最初の水道事業の内部方策につきましては、水道事業者みずからの中で何とか対応できる項目、そういうものを整理したものでございます。1つ目が水道施設のレベルアップ、こちらは更新時の再構築、長寿命化・情報の電子化、こういった話。2つ目が資産管理の活用、こちらもアセットマネジメント、事業経営の改善と、前回、アセットマネジメント単独で言葉を出しておりましたが、もうちょっと包括的な概念のほうが適切ではないかということを受けまして、資産管理の活用ということで、今回、整理させていただきました。(3)人材育成・組織力強化、こちらは職員教育、人事配置のバランス、技術力の確保といった内容でございます。(4)危機管理、こちらは施設での対応、応急的な対応、水安全、資機材・エネルギー確保といった内容が該当するのではないかということで、内部方策としてまとめたところでございます。
他方、関係者間の連携方策というところでまとめた4つの方策につきましては、個々の水道事業者ではなく、水道事業者とだれか相手との関係の中で対応していく方策ということで整理したものが、(5)の住民との連携、コミュニケーションの促進というもの。あと、発展的広域化ということでございまして、事業間連携、事業共有化、共通化、これまでの広域化をより発展的にとらえた、さまざまな観点から広域化を図っていこうということで、発展的広域化という言葉をここで書かせていただいているところでございます。(7)官民連携の推進、業務での連携、資材の調達や人材交流、経営への助言、こういったところも含めて官民連携の推進という方策があるのではないか。(8)といたしまして、技術開発、調査・研究の拡充、こちらは情報収集とその活用というものも含まれるということでございます。
3つ目、水道の将来を指向した方策ということで、これまで水道事業の内部方策、連携方策といったところに必ずしも当てはめると、各項目の多い少ないの問題とかバランスの話も出てくるというようなことで、特定テーマについて一たん切り出して整理したほうがいいのではないかということで、外に出した項目が4つございます。例えば料金制度の最適化ということでございます。これまで議論に出てきました逓増制の見直しですとか、将来世代との負担の公平性の話、また小規模水道対策、かねてから議論されています簡易水道の今後の話ですとか、市町村ごとの事業統合の話、自家用水道対策、こちらも専用水道、簡易専用水道、貯水槽水道、そういった水道の衛生管理の話、多様な手段による水供給ということで、管路によらない供給方式ですとか、水道事業の多様な供給形態ですとか、規模を縮小していかなければならない、こういう対応。個別的な対応について、個々に項目を挙げて議論したほうがわかりやすいのではないかということで、4つほど外に出したということでございます。
次が7、社会的ニーズへの対応ということでございまして、環境対策と国際展開ということで入れております。こちらにつきましては、前回、骨子の中では横断的な実現方策の中の1つという位置づけだったのですけれども、時代のニーズ、社会的ニーズから考えて、1つ項目を立てて明示すべき話ではないかということで、7番ということで1つ項目を起こした次第でございます。社会的ニーズへの対応として、水道全体のレベルアップに向けた取り組みを環境対策と国際展開に分類して必要な内容を示すということで位置づけたいと考えております。
環境対策につきましては、その中での省エネルギー対策ですとか、再生可能エネルギー、資源の有効活用、水源林保全、こういった内容が該当するのではないか。国際展開に関しましては、水ビジネス、これは民間企業の育成にもつながっていく話でございます。また国際貢献ですとか、国際標準化、こういう話につながっていくということで、社会的ニーズへの対応という位置づけにしたいと考えているところでございます。
最後、8でございますけれども、関係者間の役割ということでございます。前回の骨子とほぼ変わっていないのですけれども、内容を若干具体的に書いたのと、関係者を若干ふやしたということでございます。まず国につきましては、財政支援、技術支援などを行うということ。都道府県については、広域的調整機能の強化という話、あと流域単位の連携推進、こういう役割があるのだろう。市町村におきましては、自家用水道の規制に関与する立場、また住民サービスの公平性、こういったことに関与する立場での役割がある。水道事業に関しましては、これまで述べてきた水道ビジョン、水道事業の安全、強靱、持続に係る取り組みを推進していく役割がある。また、水道の設置者、これは新しく明記したものでございますけれども、専用水道ですとか、簡易専用水道、こういった水道の設置者についても適切な維持管理、設置している責任と自覚というものが必要なのだろうということでございます。もう1つ追加したもの、水道関連団体ということがございまして、技術力の確保ですとか、緊急時のセーフティーネットといったような役割が期待できると考えているところでございます。あとは民間企業、大学・研究機関、住民といったところにつきましては、前回の骨子と同様ということでございます。
以上が新水道ビジョンの素案ということで、骨子を若干肉づけした形で提案させていただいたものでございます。本日、この全体的な構成等、ご意見をいただいて、特に「持続」「安全」「強靱」という切り口で、今後、これを完成に向けて進めていけるかどうかという話ですとか、環境、国際の位置づけですとか、ビジョン完成に向けて作業していくに当たっての基本的なところについて、ご意見等をいただければ大変助かるということでございますので、どうぞよろしくお願いいたします。
以上でございます。

○ 滝沢座長
ありがとうございます。
それでは、残りの時間を使って議論を進めてまいりたいと思いますが、簡単にもう一度振り返りますと、佐藤構成員からいただいた資料は、主に基本理念について、新しい「飛躍」という言葉も加えてご提案いただいたものでございます。岡部構成員からいただいたものは、新ビジョンが目指すべき50年から100年の理想像と目標像について、より具体的な中身も含めてご意見をいただいたものでございまして、これにつきましては事務局資料の、先ほどご説明いただいたところですが、「はじめに」の2つ目の◎50年から100年先の水道の理想像と目標像について示すという項目立ては挙げておりますけれども、その中身について、より具体的なご提案をいただいたものだと理解しております。また、事務局資料—2につきまして、基本理念のところは前回のご議論も踏まえまして少し修正いたしまして、「信頼を未来へつなぐ日本の水道」ということで、この「未来へつなぐ」というところは、前回、佐藤構成員からいただいたような提案を少し盛り込んだような形で修正した仮題ということですが、事務局案が出ているということでございます。
それでは、幾つかご議論いただきたい点がございますが、まず基本理念について、佐藤構成員からのご発表も含めて、また事務局修正案も含めて、ご議論をいただきたいと思います。いかがでございましょうか。佐藤構成員のご提案は、「地域」「拓く」「つなぐ」「信頼」という4つの言葉をまず挙げまして、それをつなぐ文章として、「地域を拓き、未来につなぐ信頼の水道」というようなご提案でございます。ここにつきましては、事務局案と比べますと、「地域を拓き」というところが事務局案にはない佐藤さんのご提案のところかなと。それ以外のところは、「未来につなぐ信頼」か、「信頼を未来へつなぐ」ということで、極めて似た部分があるというような感じになっております。いかがでございましょうか。
これとあわせまして、もう1つ、3つのキーワード、目指すべき方向性につきまして、「安全」「持続」「強靱」ということでこれまで議論してきたところでございますが、改めて佐藤さんから「飛躍」という新しいキーワード、方向性をご提案いただいております。「安全」「持続」「飛躍」という3つのキーワード、方向性のご提案ですが、これにつきましては、「強靱」と「飛躍」という位置づけを置きかえるということも考え得るかなというのが佐藤さんのご説明のところでした。3つの方向性と基本理念につきまして、あわせて議論したいと思いますので、ご意見をいただきたいと思います。いかがでございましょうか。どうぞ、服部さん。

○ 服部構成員
こういう基本理念というのは、みて明るいとか、未来を感じるとか、そういったことが非常に大事なのだろうなと思っていまして、事務局が書かれているような「信頼を未来へつなぐ日本の水道」、これは佐藤さんの案でも「未来につなぐ信頼の水道」ということで、この辺がもう妥当なところなのではないかなと思っています。要は、「地域を拓き」というところが非常に大事な部分で、確かに水道ビジョン検討会が開催された年度が、3.11の後に行われているというようなこともありまして、「地域」とか「拓く」という言葉も非常に大事なことなのだろうなと。あるいは時代に合った言葉なのではないかなと。今回の選挙も、地域というのは話題に出ている話でもありますし、非常にいいアイデアではないかなと思ってみせていただきました。
それと、ステップアップ、「飛躍」というような言葉も、我々のような民間企業からみると、水道にかかわることが、これからどんどん成長していくんだということを感じ取れるような、非常に希望のもてる言葉でもありますので、こういった希望をもてるような言葉を散りばめていただくというのは非常にありがたいなと思っています。

○ 滝沢座長
ありがとうございます。
ほかにご意見ございますでしょうか。浅見さん、どうぞ。

○ 浅見構成員
佐藤構成員、岡部構成員に非常に内容の濃いご提案をいただいて、大変ありがたいなと思っております。資料をみせていただきまして、非常に希望がもてるという感じもいたします。重要なことがたくさん入っているなと思うのですけれども、今の「飛躍」という感じですと、夢はもてるのですが、現在の状況からいくと、ちょっと厳しい部分もあるかなという感じも正直いたしまして、「成長」ですとか、「向上」ですとか、飛んでいくというよりは、もうちょっとしっかりと進めていくというニュアンスのほうが合っているのかなという感じが1つしております。先ほど逆にして、「強靱」とステップアップ的なことを入れかえてというようなご説明もありましたので、そこは着実にできることというところのニュアンスが入っていたほうが近いのかなという感じがしております。
ただ、ご提案の中で非常に有意義だなと思っておりますのが、PDCAサイクルといいますか、今回の計画を立てながら、それを順調に進んでいるかどうかをみながら、また現状に合わせて計画を見直していくというようなところは非常に合っているのかなという感じがいたしますのと、あと、それをみていく中で、着実に現在の状況と将来の状況を踏まえながら、いろいろな意味でチェックをしてくというところが非常に合っているのではないかなと思います。
もう1つ、岡部構成員のご提案の中で、地域ごとに差がある場合があるということが出ているのですけれども、今までも指摘がありましたし、もう少し議論してもよかったかなと思っているのですが、現在の水道の技術というのが、都市部と、地方にもいろいろな地方がありまして、地域ごとに実情が異なるようなところで、新しい技術ですとか、確実な技術がなかなか導入できないとか、業者さんもなかなか回っていけないというところで、技術が国内にちゃんと広まっていない部分というのもあると思われます。そういうところの技術の普及ですとか、技術の標準化ですとか、あと、例えば資材の流通を考えたり、設計とかを考える場合にも、全国的にほかのところで使えるような状況のものは標準化して、そのままもっていけるということですと、価格も抑えられて、実際の適用もしやすいというようなことも出てくると思いますので、そういう意味で技術の普及というところは非常に重要かなと思います。
あと、国際の部分を入れていただいたのは非常にありがたいといいますか、環境とか国際とか、今までも柱の中に入っていたので、今後も何らかの形で触れていくことになると思うのですけれども、国際もそうですし、国内での連携もそうですしというようなところがよくわかるような形で、事務局案の中では入れていただいているかなと思いますので、その辺も進んだような感じがいたしました。ありがとうございます。

○ 滝沢座長
どうもありがとうございます。「飛躍」よりももう少し違った言葉がいいかなというようなご意見でございました。
いかがでしょうか。木暮さん、どうぞ。

○ 木暮構成員
今、何人かの方の意見を聞きながら思っていたのですけれど、事務局の提案である方向性、これは前から議論されていたところであるのですが、「持続」と「安全」と「強靱」ということで横並びで書いてあったのですけれど、振り返って考えてみると、佐藤構成員のほうで整理されたように、「安全」だとか「持続」だとか、そういうキーワードを包括して「強靱」ということになるのかなと、そんなことを考えていました。
あと1つ、「飛躍」という言葉が適切かどうか、私も浅見構成員と同じようなニュアンスで、ステップアップというイメージが余りないのかなと感じます。ただ、環境貢献、国際協力、こういったことを何らかの形で、事務局では社会ニーズへの対応ということで整理はされていますけれど、やはり目指すべき方向性の中に入れておいたほうがいいのかなと考えます。

○ 滝沢座長
ありがとうございます。
吉岡さん。

○ 吉岡構成員
私は前回、「信頼され、未来へつなぐ日本の水道」という提案をさせていただいたのですけれども、事務局案から「信頼を未来へつなぐ日本の水道」、佐藤構成員から「つなぐ」「信頼」というキーワードがある基本理念が提案されていまして、先ほどいっていましたように、およそこういう認識なのかなというような感じがしておりました。その中で、「地域を拓き」というところなのですけれども、いいキーワードだなと思います。これから地域がどうしていくのかなといったときに、地域を拓いていくというところは非常に意味があるのかなという感じがしました。
ただ、将来の事業環境、8ページ、9ページのところで、外部環境の変化、内部環境の変化というところが挙げられております。こういう中で、主に水道事業をこれから担っていかなければいけないというのは、水道事業体という形になろうかと思うのですけれども、その中で、水道事業体が「地域を拓き」ということに対してどれだけ思いがあるのかなといったことを考えました。「地域を拓く」というのは入れてもいいのかなと思ったのですけれども、佐藤構成員の提案の中である福島の認識であるとか、被災した事業体の認識というのは、現段階で「拓く」とは認識していないのではないかなと思います。それより絶望のふちにあるというか、目の前を何とかクリアしなければならないという気持ちではないかという気がしてならないのです。「拓く」という意味をもっと違う次元で、これからの一般的な水道事業体が拓いていかなければいけないというところでまとめていったらいいのかなという気がしました。

○ 滝沢座長
前回はたしか「地域を支え」という言葉だったのですが、「支え」という言葉もちょっと違うかなというご意見があったと思います。ありがとうございます。「地域」という言葉に関しては入れたほうがいいということですか。

○ 吉岡構成員
そうですね。中小事業体がこれからどうにかしていかなければいけないということの中では、横断的な対応策として、広域化であるとか、官民連携ということは示されていますけれど、その前にまず自分のところをきちんとしなければいけないというところがあると思うのです。その中では、ただただ困った、助けてくれではなくて、自分のところが当事者意識をしっかりもって、そこの地域を拓いていくといったような認識が、まずこれからの水道事業を支えていく上では必要な認識だと思います。「地域を拓く」というのは、そういう意味ではいいキーワードになるのではないかなと思いました。

○ 滝沢座長
ありがとうございます。「拓く」の意味は、佐藤さんの配付資料によりますと、被災地ではこれから改めて構築しなければいけない、それから、全国的にも水道の再構築があるだろう、また、小規模な集落においては、これまで考えられなかったような新しい形態の水道サービスも考え得るかもしれないということで、「拓く」という言葉をご提案されたということです。
ほかにご意見いかがでしょうか。「未来につなぐ信頼の水道」、あるいは事務局案ですと、「信頼を未来へつなぐ日本の水道」、ここの部分に関しては、今までご発言された構成員の皆様、大変いいのではないかというご意見がほとんどだったと認識しております。「地域を拓き」ということについて、ご意見を少しいただければと思いますが、いかがでしょうか。

○ 浅見構成員
今、拝見している中で、現状として、地理的に新しいところに展開するというのは、水道としてなかなか難しいような状況になっていて、逆に縮小時代といいますか、効率的にコンパクトに住んでいかなければいけないとか、持続性を保つためには効率が上がるような形で見直しをしていかなければいけないということで、「拓く」というもののご説明を書いていただいている中では、そういうニュアンスも書いてあるのでわかるのですけれども、それだけ聞くと、無理やり水道を引いてしまうようなイメージがまだ何となくいたしまして、そういう誤解が出ないような形で、例えば「地域とともに」とか、そういう用語のほうが近いのかなという感じがしたりしておりますが、ほかの方、いかがかなと思います。

○ 滝沢座長
「地域とともに」という、連帯するというイメージの言葉ですね。
どうぞ。

○ 木暮構成員
私も言葉のイメージなのですけれども、「開拓」という漢字が、どうしても一般的にはそのように受け取ってしまうのかなと感じます。今、浅見構成員もおっしゃっていましたように、普及したとはいいつつ、まだ普及されていないところについても、当然、これから何らかの形で創設ということもあるのかもしれませんけれども、開拓みたいなイメージをもってしまいがちかなという感じは個人的にはいたしました。

○ 滝沢座長
「地域とともに」だといかがですか。

○ 木暮構成員
佐藤構成員の資料の一番上にもありますけれども、「支え」だとか、「ともに」ですとか、「一緒に」、そういったほうが、一般的には何となく水道が地域とともに歩んでいくんだというイメージにはなりやすいのかなと感じます。

○ 滝沢座長
ありがとうございます。1つの案として、今、浅見構成員がいわれた「地域とともに」という言葉からもし始まるとすると、事務局案との合体になりますけれども、「地域とともに、信頼を未来へつなぐ日本の水道」という言い方もあるかなと思います。いかがでしょうか。

○ 佐藤構成員
今、「拓く」という言葉が少し議論となっていますので、一応、提案者からもう少し補足のコメントをしておきたいと思います。提案者としては、ここで使った「拓く」というのは、過去これまでですと、拡張とかを確かにイメージさせることかもしれませんけれども、これから人口減少下において直面する水道というのは、ひょっとするとダウンサイジングなどを視野に入れて再構築していかなければいけない。そうしたことを考えると、過去これまでの水道の諸先輩方がやってきた思想、あるいは事業の内容とはまた異なるような観点からの展開が必要だろう。そういう観点からは、新しい精神的な、開拓者精神ですか、そういった概念を水道では取り込んでいって、今後、2050年の水道を展望しようではないか、そういう思いからこの言葉を使ってみたということを補足的にコメントしておきたいと思います。

○ 滝沢座長
ありがとうございます。
大分意見は集約してきましたけれども、いかがでしょうか。どうぞ。

○ 岡部構成員
単なる言葉なのですが、「地域」というのと「地方」、都市と地方という意味の「地域」なのかもしれないけれども、一般的に「地域」といってしまうと、必ずしもイメージが合うのかなというのがちょっとあります。

○ 滝沢座長
「地方」といってしまうと、都市に対する地方部というような言い方、ニュアンスにもとられるので、それはちょっとどうかなという感じがしますが、その点、「地域」というのはいろいろなとらえ方ができてしまうということですね。
 どうぞ。

○ 吉岡構成員
いろいろな意見が出て、何となく言葉の好き嫌いみたいな感じにはなってきていると思うのですけれども、「拓く」という言葉がすぐ拡張につながるかは読み方、書き方だと思います。ある意味でこれから再構築の時代ですから、もう一度つくり直さなければいけないという事です。今までつくってきたものを次の世代へ引き継ぐときには、それなりのことをやっていかなければならないこと考えると、「拓く」という言葉もありなのかなという気がします。何より、これまで議論して、夢がないといった部分に、何となくこの言葉の中にそういう光を感じるような気がします。

○ 滝沢座長
ありがとうございます。「地域を拓き」といった感じで、皆さんどのような印象を受けるかということですね。「地域を拓き」といったときに、恐らくは多くの方から、「地域を拓く」というのはどういう意味でしょうか、どういうことをその言葉に込めたのですかというようなことを、いろいろな意味で聞かれる可能性はありますね。それは興味をもって聞かれるという意味ではもちろんポジティブな聞き方もあると思います。
いかがでしょうか。永井さん、いかがですか。

○ 永井構成員
基本理念のキーワードとして、いろいろなイメージをもっているような、これまでの水道から新たな水道事業に向けたということで、いろいろな考え方を提出していただいています。佐藤さんについては時間も相当とられているかもしれません。ただ、私もイメージを先行して考えるとするならば、「拓く」というものは、別に余りこだわりませんけれども、解説書をつけなければ、一般の人、いろいろな階層の人に理解されにくいというのであれば、文言の理念としての言葉としては引っかかりがあるというのですか、いかがなものかなということだけ申し上げておきます。

○ 滝沢座長
説明がなくても、だれでもわかったほうがいいという趣旨ですね。言葉としてはそうかもしれません。
まだご発言のない構成員の方いらっしゃいましたら、一言ご発言いただければと思いますが、いかがでしょうか。どうぞ。

○ 長岡構成員
佐藤さんの案は非常にいいと思います。皆さんもおっしゃっているのですけれども、「飛躍」という言葉がいいかどうかは別にして、「未来」というところに国際とか環境とか、水道の未来というものがそこでみえるという、この概念は非常にいいと思います。事務局案の場合、「持続」「安全」「強靱」、それはそのとおりなのだけれども、未来というところにちょっと物足りなさがある。もちろんそのとおり3つが重要なのはわかるのですけれども、「未来につなぐ」という、「未来」というのがみえにくいという感じはしますので、絵とか「飛躍」という言葉はともかくとして、このコンセプトは私は支持したいと思っております。

○ 滝沢座長
今のご意見は、佐藤さんの資料でいうと2枚目のところで、「安全」「持続」「飛躍」というのを3つの柱にして、それを包括するところのコンセプトとして「強靱」というのがあると。

○ 長岡構成員
この絵も含めてわかりやすいかなと私は思います。

○ 滝沢座長
基本理念のほうについて何かご意見ございますか。

○ 長岡構成員
「拓く」ですか。

○ 滝沢座長
「拓く」だけではなく、全体で結構です。

○ 長岡構成員
「地域」とか「未来」とか「信頼」というのはよろしいと思います。「拓く」はどうなのだろう。「拓く」でもいいし、「地域とともに」でも、どちらかというと私はそんなにこだわらないほうですかね。「拓く」でもいいと思いますし、そんなにこだわっていません。

○ 滝沢座長
現時点では「地域を拓き」、あるいは「地域とともに」というのが出ています。
どうぞ。

○ 岡部構成員
地域を拓くのが大切なのはわかるのですけれども、どちらかというと未来につなげていく水道のための1つの要素だと思うので、皆さんの話を聞いていて、逆に「未来につなぐ信頼の水道」ということだけでもいいのかなという気もしました。そのほうがシンプルだし、「未来につなぐ」というのは、前にご説明がありましたけれども、ターニングポイントに来ている今の日本の水道、つくってきて、これからどうなるのか。今までの100年、これからの100年、つながなければいけないというのが今の一番の課題なのかなということであれば、未来につなぐ、しかも今まである信頼をつなぐ、ちゃんと守っていこうと。その守る中の1つに、地域でもしっかりやっていかなければいけないとか、ほかにもいろいろなことがあると思うのですけれども、そのように感じました。

○ 滝沢座長
その場合、「未来につなぐ信頼の水道」という言い方と、事務局案の「信頼を未来へつなぐ日本の水道」とありますが、この両者ですとどちらがいい感じですか。

○ 岡部構成員
私は「未来につなぐ信頼の水道」でいいのではないかと思います。

○ 滝沢座長
どうぞ。

○ 吉岡構成員
佐藤構成員の基本理念の提案というのは、議論を活性化するためとともに、事務局の当初の案に対して夢がないという指摘がその発端だったのではないかと思います。そういった意味では、今、岡部構成員がいったように、これは手段の1つだといわれると確かにそのとおりだし、もう1ついえることは、確かにキャッチフレーズとして、基本理念として説明がつかなければどうかというのもそのとおりだと思います。言葉の好き嫌いではまとまらないし、議論も煮詰まってきていると思いますので事務局案をベースに、再度、次回に向けてまとめていただいた方がいいと思います。

○ 滝沢座長
そういうご提案も出ました。たくさんご意見をいただきましたけれども、事務局としていかがですか。大分集約はされてきてはいるのですけれども、最後のちょっとの文言のところで幾つかご意見が出ているという状況ですが、いかがでしょうか。

○ 日置課長補佐
大変ありがたいと思っておりまして、大事な言葉でありますので、事務局からも申し上げたとおり、次の回、また改めてみていただいて、決めていただけたらと考えております。

○ 滝沢座長
それから、もう1つの点ですけれども、幾つか、長岡先生を初めご意見をいただきましたが、佐藤構成員の資料ですと2ページ目にあります「安全」「持続」「飛躍」「強靱」、事務局案ですと「安全」「持続」「強靱」だったわけですけれども、「飛躍」という言葉を入れて再構成した案を佐藤構成員からご提案いただいているところです。これにつきましても、もう少しご意見をいただきたいと思います。「飛躍」という言葉が、まだ決まっておりませんけれども、皆さんから多く支持をいただいた基本理念として「未来」という言葉が入っていますが、その言葉につながるような言葉である、あるいは方向性であるというご意見をいただきましたし、「飛躍」という下に、将来の発展系として、国際、あるいは環境というものが入ってくるというようなものがイメージとしてはいいのではないかというご意見もありました。改めまして、ここについてご意見をいただきたいと思いますが、事務局案にかえて「安全」「持続」「飛躍」という言葉でいくか、あるいは「飛躍」という言葉に対して、現状をみると、もう少し違った言葉、例えば「成長」とかいうような言葉がいいのではないかというご意見も浅見さんからいただいたところです。
どうぞ。

○ 木暮構成員
先ほどもちょっとお話しさせていただいたのですが、「強靱」というもので「安全」と「持続」と、佐藤構成員の案では「飛躍」という言葉で国際協力と環境貢献をつないでいるのですけれども、「飛躍」という言葉が適切かどうかは別にして、右のページのステップアップのところに国際協力と環境貢献を何らかの形で含めて、強靱なものでくくっていくというのはいい案というか、考え方なのかなと思います。

○ 滝沢座長
ありがとうございます。
ほかにご意見いかがでしょうか。どうぞ。

○ 尾?構成員
「安全」「持続」「飛躍」など、様々な言葉があるなかでの構成を考えてみたとき、長岡構成員が言われたように、国際協力や環境貢献が組み込まれて図化されると、わかりやすいと思いますし、これまでの水道ビジョンとの整合性もでて、非常に良いと思います。
ただ、一つ一つの言葉をみると、国際協力、環境貢献を「飛躍」だけで説明して良いのかが、気になるところです。また、「強靱」はイメージ的には良いのですが、耐震の強化や促進のメッセージが伝わってこない点で、まだ課題が残っているように思います。
なお、事務局案の環境対策や国際展開は、社会的ニーズへの対応と説明されています。しかし、事業体が環境対策や国際展開を行うのは、自らのために行うのが基本だと思いますので、もう一度検討して整理してはどうでしょうか。

○ 滝沢座長
ありがとうございます。「強靱」の中に入っていた幾つかの重要な考え方が、これですと若干みえにくくなってしまうところが問題点はあるということですね。ただ、基本的にはこういう考え方、いい点があるというご意見でした。
ほかにご意見いかがでしょうか。どうぞ、浅見さん。

○ 浅見構成員
どちらかというと「強靱」が上位概念というご提案なのですけれども、むしろ「持続」のほうが全体を結ぶキーワードとか、一番上位に来る概念なのかなと今まで思っていたこともあって、ちょっとここに違和感を覚えております。安全で強靱な水道を持続するというのが基本的な考え方で、それが可能であるような形に、環境に配慮したり、国際に配慮したりということになるのではないかなというのも、むしろ含まれるほうなのではないかなと思っていたのですが、環境と国際がその中に入ってしまうとわかりにくいということであれば、そこはもう少しわかりやすくということでもいいのですけれども、ただ、「飛躍」というのは、国際とか環境をすることが飛躍かというと、どういう形でできるかなというのが、できるところもありますし、それが飛躍につながっていらっしゃるところも確かにあるのですが、全部がそれを目指せるかというと、ちょっとつらい部分があるかなという感じがしております。そういう点で、横並びにするとしますと、「安全」と「強靱」と、それの「持続」、安全で強靱な水道を持続することというのがミッションであって、国際と環境をその中にうまく織り込んでいくというような形がいいのかなと思います。

○ 滝沢座長
3つのキーワードでいきますと、「安全」と「持続」と「強靱」というキーワード、方向性だという理解でいいですか。

○ 浅見構成員
「安全」と「強靱」というのは、どちらかというと両方それぞれ達成するような感じなのですけれども、「持続」というのはそれを全部、経営的なところも、安全と強靱を確保しながら持続するという意味と、経営的な持続というのが含まれているような感じがしております。

○ 滝沢座長
「持続」が上位の概念ではないかというご意見です。並列ではなくてということですね。

○ 浅見構成員
並べるときは並列でもいいのですけれども。

○ 滝沢座長
「飛躍」のところはどういうご意見ですか。国際協力、環境貢献をどこか、「安全」「持続」「強靱」の下に移したほうがいいというお考えですか。

○ 浅見構成員
そこは完全に決め切れていないのですけれども、絵を描くのであれば、そこだけ特出しで丸を描くのはいいと思うのですが、キーワードの中で読み込んでいくとすると、本来であれば持続の概念のどこかに入っていくようなことなのかなという気がしますが、やはり環境と国際は何らかの形でわかりやすくということであれば、少し目立つようにするというのもあると思います。

○ 滝沢座長
目立つというのは、何となく将来の発展系であるということでしょうか。

○ 浅見構成員
できるところはという感じがちょっとしております。

○ 滝沢座長
吉岡さん、どうぞ。

○ 吉岡構成員
できるところはというのがまさにキーワードだったような気がします、前の水道ビジョンのときに、国際という文言が入ったときに、結構、小規模事業体はどう読みこなしていいのだろうか、これは小規模事業体は関係ないことなのかというように読んでいたところがほとんどだと思います。そういった意味では、目指すべき方向性のイメージの中での扱いというのは非常に難しいと思います。最初に見られる部分ですからすごく工夫が必要だと思います。また、今回社会的ニーズへの対応という形で、環境対策、国際展開が項目として出てきているということはいいと思うのですが、先ほど尾?構成員がおっしゃったように、これは社会的ニーズへの対応なのかなというところはごもっともだと思いますので、そういった意味では見直しが必要なのかなという気がしました。
あと、私も「強靱」と「安全」と「持続」といった3つの並列というよりは、浅見構成員がおっしゃったように、安全、強靱を持続していくという部分のほうがすっきり読みこなせるのかなという気がします。

○ 滝沢座長
ありがとうございます。国際協力、環境貢献等について、どういった立場で、考え方で、こういったことに取り組むのかということですね。外部的に要請されているのでやっているということなのか、あるいは水道事業体がみずから進んで取り組むということを重点的に考えるのかといったところだろうと思います。「飛躍」という言葉で少し前向きに動く、あるいは「未来」という言葉がここに反映されているというイメージで、「飛躍」ということをご提案されたということだと思いますが。
どうぞ。

○ 木暮構成員
「持続」と「強靱」、どちらでくくるかということですけれど、これもさっきの「拓く」と同じような感じで、言葉の問題かなと思います。例えば佐藤構成員の資料の2ページ目の真ん中のところで、これも注釈がついているのですが、「強靱」とはどういうことかというと、水道が強さとしなやかさを保ち、社会を支える基盤であり続けること、これはまさしくそうで、これも持続といえば持続ということなので、そういった意味では、こういうことが安全であり、持続的なというところもあるし、国際貢献、環境、そういったものも含めて、社会を支える基盤であり続ける、そういったところなのかなと思います。これも今後、事務局等で整理していただいて、「強靱」という言葉をどういったもので位置づけるのかということだと思うのですけれども、どっちが外に出てくるのかなというのはあるかとは思います。

○ 滝沢座長
「強靱」の中身について、いろいろなものが入り得るということですね。ありがとうございます。
いろいろなご意見がありましたけれども、提案者として今のご意見をお聞きして、どんな印象をおもちでしょうか。

○ 佐藤構成員
1つは、「飛躍」という言葉がどうかという話で、ここについては言葉をもう少ししっかりと見直す必要があろうかという思いをもっています。一方、これまで「安全」「持続」「強靱」という3本柱で議論がされていた中で、あえて今回、「飛躍」という概念を出させてもらったのは、実は安全であり、持続であり、強靱、この3つを2050年まで——今回、2050年までの1つのビジョンということですよね——やり続けた結果、日本の水道界は一体どうなっているのだろうかということを明らかにする、あるいは道を示す必要があるだろう。そうでないと、これまで議論してきたとおり、今後、日本の水道界は技術者の減少であるとか、更新財源の確保難であるとか、さまざまな困難が待ち受けている。そうしたことをこれから乗り越えていこうという思いをもたなければいけないこと。それとともに、2050年には実はそういった大きな山は既に乗り越えている時期に達しているはずである。そうしたことを考えると、2050年の展望を示す必要があるのではなかろうかと思います。
ただ、きょう示した中では、国際協力と環境貢献という2つでしたので、ここにさらに加えて、中小水道事業体が2050年にどうなっているかというのが、メニューというか、絵姿がここで入ると、もう少し締まるのかなということを、先ほどの皆さんからの意見をいただいた中で感じ取ったところです。

○ 滝沢座長
岡部構成員からいただいた資料とも関連しますけれども、ビジョンの役割として、50年から100年後の水道のあり方を見据えてということです。それにつながるような目指すべき方向性というのがないといけないのではないかというようなご意見だったと思います。冒頭、ご説明の中でいわれた「飛躍」と「強靱」の位置なのですけれども、「安全」「持続」「強靱」を実現した結果的に、将来の、「飛躍」という言葉がいいかどうかはもう一回検討するとして、飛躍した、あるいは50年後の水道が実現できる、そのような考え方もあり得るかと思うのですが、その点についてはいかがですか。

○ 佐藤構成員
今、滝沢座長からいただいたとおり、私自身も実は、まずこれを考えるときに、「安全」「持続」「飛躍」があって、最終的にこれが全体として「強靱」な水道というようにまとめられるのか、あるいは、「安全」「持続」「強靱」ということをこれまでの議論の中で展開した結果、2050年には新しい段階の水道がイメージされて、そこが飛躍になっているということがあり得るのかもしれない。ここは私は両論とも考えました。ですから、図の位置として「飛躍」と「強靱」というのは入れかえもあり得るかなというところを点線で示しているように考えております。ここについても、本日は「強靱」ということをプラットフォームとしてはおりますけれども、今後の組み立てによっては入れかえということもあろうかと思います。

○ 滝沢座長
ありがとうございます。
平田さん。

○ 平田構成員
皆様のご意見を聞いて思いついたのですけれども、私も「飛躍」という意味合いを込めた言葉というのは必要だと思っておりまして、国際協力と環境貢献は技術を展開していくという意味で、ここの部分は「展開」というような言葉がいいのかなと思いました。

○ 滝沢座長
「展開」という言葉をご提案いただいて、位置としては、佐藤構成員の原案を踏襲すると、(3)のところがいいのか、あるいは全体のベースになるといいますか、全体を実現することで展開していくということで、今、「強靱」という言葉が書いてある位置に来るのがいいか、そこら辺はいかがですか。

○ 平田構成員
私のイメージですと、(3)の「飛躍」を、「展開」という言葉に変えてみてはいかがかなと思いました。というのは、「成長」という言葉とか、「飛躍」という言葉が未来をイメージするということでしたので、「展開」という言葉も同様に未来に拓くイメージだと思います。ただ、浅見先生のご意見ですと、それが今の水道の現状としては、縮小しなくてはいけない必要もあるということなので、誤解を招かないように、「技術の展開」という意味で、こちらの(3)に入れたらいかがかなと思いました。

○ 滝沢座長
ありがとうございます。
ほかにいかがでございましょうか。どうぞ。

○ 吉岡構成員
「飛躍」という言葉、50年後ということをいろいろ考えながら話を聞いていたのですが、いわゆるジャパンシンドロームなどといわれる中で、これからどのように対応していかなければならないかという現実が、50年後果たしてステップアップしているのかつなげようと思ったのですが、つながらなかったというのが私のイメージです。人口減少する中で、浅見構成員もいっていましたけれども、ダウンサイジングなども考えていかなければいけない。水道システムをどうつないでいくのかというのは、岡部構成員に提案していただいた内容などを参考にできるかとは思うのですけれども、そうしたものが実現したとして、果たしてステップアップといった状態なのか良く分かりません。小水道事業体の立場で、これからステップアップできるかというと現状の維持ですら大変難しいことが予想されます。どっちをみて、どこを重点的に進めたい政策なのかな、分かりやすいほうがいいと個人的な感想としてもっています。

○ 滝沢座長
ありがとうございます。日本の事業体は置かれている状況も異なりますので、それぞれ今後の取り組みについても着実にやるべきことをやらなければいけないところもありますし、より高い水準を目指していただきたいというところもあるという中で、どこをターゲットに主たる対象と考えて、こういった目指すべき方向性を書くのかというご質問ですね。
いかがでしょうか。どうぞ。

○ 木暮構成員
今、吉岡構成員がいわれたように、言葉の「安全」「持続」ということですと、これは恐らく今のものを守っていくというか、持続していくというか、今まで構築したものを将来に引き継いでいくんだというスタンスなのかなと思います。それに対して、引き継いでいく中でも、いろいろな再構築ですとか、広域化も含めて、いろいろなものにチャレンジしていくという意味では、新しいキーワードが(3)に必要なのかなとも思います。そうした場合に、新しいキーワードが逆にいえばすべてを包括して、佐藤さんの資料で点線の矢印で書いてありますけれども、「強靱」が中に入って、新しいキーワードでくくるということも1つの案としてはあり得るのかなと。今、いろいろな人の話を聞きながら、そんな感じも受けました。

○ 滝沢座長
「飛躍」という言葉が、非常に困難な状況にある中で、飛躍をしなさい、あるいは飛躍しましょうといわれたときに、なかなかすぐにはイメージしづらいというのが吉岡さんのご意見だったと思いますが、それに対して、「強靱」を中に入れて、「飛躍」、あるいはそれにかわる言葉を外に出すといいますか、全体をくくるような言葉にするということもあり得るというのが木暮さんのご意見でした。
どうぞ。

○ 吉岡構成員
私、「飛躍」という言葉が自分の頭の中でつなげられなかったということであって、この言葉自体を否定しているわけではありません。ただ、今までの水道ビジョンの展開をみたときに、最後のページでもあると思うのですが、役割分担をみたときに、国が新水道ビジョン、都道府県が都道府県ビジョン、水道事業体が地域水道ビジョンという形で出したとしても必ずどこかで止まってしまうのではないかと思うのです。国は課題提起をして、さまざまな問題に対して方向性を示します。しかし、現状をみてもなかなか変わらないというのは、それが政策の実行といった視点でうまく市町村に展開されていないからこそこういう現状が顕在化してきているということが絶対あると思います。
そうした中で、これまで新水道ビジョンの議論は非常にいい議論をしてきていると思います。そこで共通の認識となった加速度的に落ちていくであろう人口減少社会を迎えるときに、もう待ったなしといった状況に置かれていると考えるならば、できるだけこの政策が実行に移されるというキーワードをより多く含んでいないと、また絵にかいた餅になってしまうのではないかなというのが私の一番心配しているところです。この言葉が好き嫌いというよりは、地域水道ビジョンに確実につなげていただいて、日本の水道をどう守っていくかという視点に立った形でいかないと、最後の政策の実行といったところで、これまでと同じになってしまうと思います。言葉が好きとかというのはさまざまあるのですが、そういったものにしていただきたいなと思います。

○ 滝沢座長
そのためには方向性が着実なものでないといけないということですかね。

○ 吉岡構成員
私は少なくともそう思っている派ですし、現場を経験した者たちではそういう意見が多いという事を認識しているところであります。ただ、こうした検討会の席で政策の方向性とかを決める時は、様々なことを配慮しなければならないことを、この検討会を通じて勉強させていただきました。その中でどうあるべきかというのはこれまで発言してきた事になりますが私の意見としては地域水道ビジョンに着実につなげる内容であってほしいと考えています。

○ 滝沢座長
ありがとうございます。ご意見としては、両方とも大事だと思うのですが、1つは、吉岡さんが今ご発言になったように、水道の現状をレビューする中で、非常に困難な経営状況に置かれているところも数多くあり、そういったところが着実に地域水道ビジョンの必要性を理解して、それぞれの経営に、このビジョンに書かれたことを盛り込んで反映できるようなものにしていくようなものをつくるべきだというご意見と、もう1つ、そうはいっても、未来に向けて明るい方向性も必要ではないかというようなご意見がこれまで、前回もありましたけれども、そういった2つのところをいかに方向性の中に反映させていくのかということなのだろうと思います。未来へ向けてというところが、佐藤さんの案ですと「飛躍」という言葉で出てきたというわけですけれども、永井さん、いかがですか。

○ 永井構成員
目指すべき方向性ですから、「飛躍」というのは後ろ向きの言葉でもないし、これは大事な言葉だと思うのです。ただ、ここに書かれているように、国際協力の中で世界に役立つ、あるいは環境だということですが、どうもイメージが結びつかないのです。特に国際協力、貢献という言葉は、中小事業体では全く無縁であると思っています。大きな事業体であっても、例えばJICAの研修生を1ヵ月程度受け入れする。それこそ国際貢献だ、技術を伝えるんだといいながらも、事業体の中で、幹部の間で、いろいろな議論が実際あるということも踏まえれば、「飛躍」の位置づけの内容を改めて考える必要があるのではなかろうかということだけ申し上げておきます。

○ 滝沢座長
長岡先生、どうぞ。

○ 長岡構成員
以前、このビジョンがどこを対象にしているかという話で、第一義的には水道事業体のためのビジョンだということだったのですけれども、そうはいっても、水道界の中での民間の役割がこれから重要になっていくだろう。水道界の中の民間がこれから発展していくということでないと、日本の水道の将来はないと私は思うのです。その中で飛躍、国際ということは欠かせないのではないかと私は思います。ですから、水道事業体だけではなくて、もうちょっと民間まで含めた水道界のビジョンという位置づけが必要なのではないかと思っています。

○ 滝沢座長
佐藤さん、どうぞ。

○ 佐藤構成員
今、「飛躍」の部分で、私のつくった資料が国際協力、環境貢献という2つをお出しさせていただいているということもあって、構成員の皆さんが国際協力、環境貢献の2つのテーマに狭く拘ることとなったために、議論を少しミスリードしている部分があろうかと思います。私がここで「飛躍」を打ち出したのは、今後、2050年、2100年を展望した場合に、一体どうなっているのかという絵姿です。そうすると、この2つのほかに加えて、ここにメニューとしては中小事業体が2050年、2100年に現在の抱えている経営課題を克服した後の展望・絵姿を少しここに盛り込む必要がある。ここは私も少し考えてみたいと思いますが、こうしたことが「飛躍」の提案に込めた思想です。
ただ、ここで3ページの中段にある概念図でご説明させていただければと思うのですが、「安全」「持続」、そして「飛躍」という形で、流れる水、キーワードのSという形を概念としながらも、基本的には右肩上がりで実はこのイメージをつくってみました。このイメージで少し皆さんに想像していただければありがたいと思うのですが、2050年、2100年、そのときには、今ここで問題としている水道界の経営課題はすべて乗り越えているはずであって、そこにかかわっているような水道事業者並びに今後支えていくであろう民間事業者などとともに、さらに発展した新しいレベルの水道が描かれていかなければいけないだろう。そういう思いをもって、3ページの概念図を示しております。
以上、少し私の組み立て方を補足的に説明させてもらいました。

○ 滝沢座長
ありがとうございました。国際協力、環境貢献は、必ずしも「飛躍」の下でなくてもいいということでしょうかね。

○ 佐藤構成員
これはメニューの1つとして、私は入っていいと思います。ただ、今、「飛躍」で国際協力と環境といわれると、今回のビジョンで特に問題となっている中小規模の水道事業体にとっては、そこは必ずしも十分かかわれない領域であって、だとすれば、そこは「飛躍」ではないでしょうということが、多分皆さんのイメージの中にあるのではなかろうかと思います。そうではなくて、あえてこれからの議論として、「飛躍」の中に中小事業体のあるべき姿としての「飛躍」のメニューを考えてみたい。そうすれば、さらにこの概念というのは説得力を増すのではないかと思って提案してみました。

○ 滝沢座長
服部さん、どうぞ。

○ 服部構成員
長岡先生から民間の話が出たので、ちょっとお話しさせていただくと、例えば事務局案の3ページをみますと、水道の持続性が丸印で書かれています。この中で、デジタルな意味で、例えば料金設定であるとか、人口減少に向けた施設計画だとか、中小規模の水道事業、こういったことを考える人が、この場でも相当議論されているわけですけれども、今いる5万2,000人の水道関係者の中で、特に技能職、技術職というのはたしか3万人ぐらいだったと思います。その中で、この10年で50歳以上、60歳まででやめていく人、退職しておられる方が1万人。1万人の方が水道の運営の中で減っていくことはデジタルといって間違いないですね。各事業体がそのために新規を採用したりしているかというと、決してそういうわけではなくて、今、大枠の中でいろいろな努力をされていますけれども、規制がかかっている。いい悪いは別にしまして、どうしても1万人減っていく部分で、何人か残られたとしても、数千人の規模でそれを補完するような形で、民間との連携が多分必要になるのだろうと思います。
そういった意味で、とにかく人を、特に技術職、技能職というのは1年や2年でつくれるものではないものですから、我々にとっては清水の舞台から飛びおりるような気持ちで、技能職、技術職をこれから育成していかなければいけない。それも何千人の規模で。それをやらないと、水道のシステム自体がうまく回らなくなってしまう。人がいなければ何もできないわけですから。そういう意味で、我々にとっては頭の切りかえが必要なのではないかということをつくづくこの水道ビジョンを通して感じています。
そういった意味で、例えば事務局案の8番目、関係者の役割分担というのがあるのですけれども、ここに民間企業で官民連携の推進というのは民間サイドで書かれていますが、これはまさに水道事業者にも同じことがいえる。要は官民連携を推進していただかないと、今申し上げたようなデジタルの実感として、この10年で1万人減っていく水道技術者をどうやって補完するのかというようなことにつながっていく部分だろうなと感じています。

○ 滝沢座長
ありがとうございます。目指すべき方向性としてはどんな印象でしょうか。「飛躍」と書いてあるようなところに、今おっしゃられたような発想の転換も含めて、そういったものが入るべきなのか、あるいはそういったものは持続性の問題なのか、その辺はいかがですか。

○ 服部構成員
発想の転換に入れていただければなと思います。

○ 滝沢座長
持続も必要であり、発想の転換も必要であるということですね。
どうぞ。

○ 岡部構成員
私がきょう提案した中でも、議論が割と近未来というか、当面の話と将来の話、50年後の話、それを一緒にするのか、もうちょっと将来の話は将来の話で描いて、当面こうしましょうという話と、場合によっては分けたほうがいいのかなというのが1つ。
あと、イメージ図の中で、「飛躍」というのが多少抵抗あるのであれば、よく一般的な言葉としては「発展」とか、もしくは、必ずしも上昇ではなくて、ダウンサイジングなどをいうのだったら、例えば「進化」みたいな言葉を入れたらどうかなと思います。
あと、佐藤構成員の資料にもあるのですけれども、前にも一度いったと思うのですが、安全とか安心とか安定とか、結構これは使い分けが難しくて、佐藤さんの場合だと、「安全」というのは安心な水と安定供給ということになっているのですが、事務局案の「安全」というのは、ここでいう安心な水とか水質のことをいっていたり、安定というのが場合によっては持続のことをいっていたり、安定というのは実は災害対策で強靱のことをいっていたりとか、このあたりも言葉の定義をしっかりするのと、みんながわかるようにしないと、同じ言葉でもみんな思い描くことが違うというと、ビジョンのキーワードとしてもよくないのかなというのを感じました。
あと、目指すべきイメージ図なのですけれども、一般的だと当然、安心、安定、安全とか、持続とかいう言葉になるのですが、今回のビジョンで、先ほど座長もおっしゃっていましたけれども、今やらなければいけないことを並べるのかというようなところは、やはり整理してやったほうがいいのかなと。本当に今やらなければいけない、今、何が困っていて、当面やらなければいけないことを3つ挙げろといったら違うキーワードが来るでしょうし、水道の本来の姿だったら、イメージ図は100年前も多分ずっと一緒なのです。そのあたりを整理して議論しないと、ぐるぐる回ってしまうのかなという気がちょっとしました。

○ 滝沢座長
今すぐにやらなければいけないことと、少し先の姿を目指した方向性なのか、そこら辺を少し整理していかなければいけないというご意見です。
浅見さん、どうぞ。

○ 浅見構成員
手短になのですけれども、「飛躍」という言葉のところで、今、お話が出ているのですが、皆さんのお話を総合すると、多分、「挑戦」みたいな感じのことなのかなという気がいたしました。国際協力とか環境貢献もそうなのですけれども、今回のビジョンの一番の柱の1つが連携ですとか、今までの発想と違うこと、今までだと地域の縛りでできないなと思っていたようなことも、そこの領域を超えて、広域化ですとか、官民連携とか、そういうことをしていかないといけないとか、いろいろなことに挑戦しなければいけないみたいな感じのことが入ってきて、かつ、中小規模の方々も、それだったらうちの隣町と会合をもってみるというところから始められるとか、そういうところから始めていただいて、挑戦していくことがいっぱい出てくるのかなと。まだじっくり練ってというわけではないのですけれども、そういうニュアンスかなという感じがいたしました。

○ 滝沢座長
それは前のビジョンの「チャレンジ」とはちょっと違う感じですか。

○ 浅見構成員
ちょっと似ているのですけれども、前はとにかく上に向かってチャレンジするぞという感じではあったのですが、今回、それだけではなかなかカバーできない部分を何とか強化していこうというのが今回のビジョンの1つの特徴だと思いますので、そういう意味で、国内連携のチャレンジですとか、事業体が縮小しながらもレベルアップするのをチャレンジするとか、いろいろな意味での挑戦があるのかなという感じがしております。

○ 滝沢座長
「強靱」という言葉の扱いについてはどんなイメージですか。3つに絞らなければいけないということでは必ずしもないのですけれども、佐藤さんの案ですと、3つの方向性があって、その下のベースを支える「強靱」、あるいはこの3つを実現することで強靱なものができるというようなイメージで書かれているのですが。

○ 浅見構成員
きょう、そこまでお話がいかないのかもしれないのですけれども、事務局案の資料—2の参考を拝見しますと、どれかに分けなければいけないということではなくて、具体的に行う施策が「安全」とか「強靱」を両方実現するものであったり、それぞれ相関性をもって実現していくものかと思いますので、そこはそんなに、どっちがどうというのをすごくこだわらなくても、切り分けなくてもいいかなという気がいたします。

○ 滝沢座長
事務局からこの辺で、今までの議論を踏まえてご発言ございますか。

○ 日置課長補佐
新しい概念を入れたときに、「飛躍」なら「飛躍」で、何を入れて今後整理していくべきかとか、環境、国際というものをどのレベルに位置づけるのかというところをまた整理しなければならないという気でおりますが、できればある一定の方向性なりを示していただけると、今後の作業がやりやすいなというのが正直なところでございます。

○ 滝沢座長
きょう、「挑戦」という言葉が新たに提案されまして、今まで「安全」「持続」「強靱」という3つのキーワードをベースに議論を進めてきたわけですけれども、「安全」と「持続」に関しては、「安全」について安心、安定などとの混同を避けるようにというご提案をいただきましたけれども、基本的に皆さんのご了解が得られたような形です。「飛躍」という言葉に対して、新たに提案された言葉ですけれども、「強靱」と置きかえるというような形で提案されたわけです。「飛躍」という言葉に対して、今まで議論の中で、これにかえる言葉として幾つか出されています。「成長」という言葉も出されましたし、「展開」「発展」「進化」、そして今、浅見構成員から「挑戦」という言葉が出されました。この「挑戦」の意味は、それぞれの状況に応じて挑戦をしていく。必ずしもみんなが同じところに挑戦して、同じ上を目指すわけではないという意味で出されたのが「挑戦」という言葉です。皆さんが十分意味を繰り返し考えて決めていくほうが本来好ましいと思いますが、出された中では「挑戦」という言葉が私自身は一番いいのかなという印象はもっております。
吉岡さん、いかがですか。

○ 吉岡構成員
前回もあった言葉ですけれども、何となく「挑戦」という言葉がもつイメージは、私たち中小規模の水道事業体もやらなきゃと思わせるという意味では、「飛躍」よりは自分たちに合っているように思いますので、今、話し合いの中で出てきた言葉の中ではいいのかなと私も思います。

○ 滝沢座長
浅見さんがいわれたとおり、それぞれの状況に応じてという意味での「挑戦」ということですね。

○ 浅見構成員
どうしても4つ目の柱に入れなければいけないかとか、そういうところとは別にしまして、概念的にはそういうことなのかなというところです。

○ 吉岡構成員
今、私たち水道事業者の中では、何となくだれかが助けてくれるのではないかとか、大きくなれば魔法にかかったように何かが改善するのではないかと思っているところがあると思うのですけれども、当面、自分たちのところがしっかりした上で、広域化があり、官民連携があり、だからこそ健全な水道ができるのであって、何も魔法の話をしているわけではなく、自分たちの実際に目を背けないで、挑戦するからこそ今後が開けるという意味ではいいのではないか。中小水道事業体へ向けての厳しいメッセージという意味合いでも、そういう言葉を入れてもいいのではないかなと思います。

○ 滝沢座長
ありがとうございます。
この3つの言葉が出てきましたけれども、「安全」「持続」、それから「飛躍」にかえて「挑戦」ということですね。それぞれの状況に応じて挑んでいく、前向きに進んでいくというイメージを少し出すということかもしれません。それから、これまで議論されていました「強靱」というのがあります。1つの案としては、「安全」「持続」「挑戦」という3つの柱を実現することで、全体として水道のあるべき姿として、「強靱」な水道システムをつくる。これはハードウエアとしても強靱というのがありますし、経営面でもさまざまな経営環境の変化に対してしなやかに対応ができるような強靱さをもつといったイメージをもつこともできるかもしれません。
佐藤さん、いかがでしょうか。

○ 佐藤構成員
今、滝沢先生が整理されたような概念で、私はまとめられればいいなという感じをもっております。

○ 滝沢座長
うなずいていただいている方もいらっしゃいますが、永井さん、いかがでしょうか。

○ 永井構成員
改めて考えたのですが、なぜ今、新水道ビジョン策定検討会を開催するのかということを考えれば、この間、十分議論が尽くされていると思うのですが、今、水道界が抱える、水道事業が抱える人的、経営的、施設的、さまざまな課題をどうこれから先、克服していくのか、そして、しっかりした日本の水道を守っていくのかということの議論だと思うのです。ですから、「持続」「安全」、この辺の議論を優先させていくべきではないか。ですから、何十年先はどのような世の中になっているのか、ここ何年先でも予知・予見ができないというような状況があるとするならば、先ほどもご発言が岡部さんからありましたけれども、目指す方向は何十年先でもいいのですが、目標としてはいいのですが、やはり5年、10年先の議論を優先するというのですか、それを中心に据えるべきではないかなと思いましたので、発言します。

○ 滝沢座長
ありがとうございます。
いかがでしょうか。「安全」「持続」、それから「挑戦」という言葉が今出てまいりまして、それらを実現することで「強靱」な水道システムをつくり上げるという意見にだんだん集約されてきておりますけれども、いかがですか。

○ 岡部構成員
私も話を聞いていて、今の感じはしっくり来ているのですけれども、これから困るだろう水道の経営とか、先ほどの人材育成の話とか、施設でいったら更新とか耐震化とか、具体策みたいなイメージがあるのですが、それが余り出てこないで消えてしまうような感じもするのです。そのあたりはさらに次の段階のところで表示していけばいいのですかね。それはさっき私がいっていた、今、何をやらなければいけないかということと一般的な話とが合致しないというか、「安全」といったらそうなのですけれども……。「持続」というのは全部含んでいるといえば含んでしまうのですが、前の水道ビジョンでもそうなのですけれども、何か聞くと、それはここに書いてあるといってどこかに書いてあるのです。すごく縫合されていて、うまくできているのですけれども、何をしたいのかというのがみえないような感じもあるので、今回も同じような感じになってしまうと、きれいなのですが、しっくりは来るのですけれども、どうなのかなというのはちょっと思いました。

○ 滝沢座長
当面やるべきことがどこに書いてあるのかがよくわからない、そのような感じですか。「持続」というのが非常に包括的なキーワードなので、いろいろなことをやることによって「持続」が実現されるということを考えると、多くのところが「持続」の方向性の下に入ってくるという感じはするのですけれども、それ以外に別にもっと緊急にやらなければいけないようなことがわかるような方向性が出たほうがいい感じでしょうか。

○ 岡部構成員
ビジョンですから、余り具体策を出すというのはあれなのですけれども、もう少しブレークダウンしたのもあるのではないかなという気もします。

○ 木暮構成員
今の話に関連して、きょう、理念とか方向性の部分をずっと議論して、やはりこれは長期的な話になってくるので、私の感覚だと、例えば短期的にすぐやらなければいけないこと、5年、10年といった場合に、実現方策のところで基本的には今のニーズに合わせて出てくるのかなと思います。当然、基本理念が変わることがあるのかもしれませんけれども、今後またビジョンのレビューですとか、見直しとかも入ってくると思いますので、その段階で実現方策などが見直されていくと思います。理念、方向性が変わる場合があるかもしれませんけれども、現時点では50年というスパンをみたときの方向性を示しておいて、実態のやるべきことというのはまた別口で、実現方策なりのところで、例えば耐震化をしっかり進めるとか、そういった話が具体的にはそこで出てくるのかなという感じはいたします。

○ 滝沢座長
具体的な方策のところで書き込むべきであるというご意見だと思います。
いかがでしょうか。今の案は、「安全」「持続」、それから「挑戦」というのを掲げて、「挑戦」には、それぞれの事業体の実情に応じて、さまざまなことに積極的に挑戦していくというような趣旨だとご説明いただきましたけれども、その3つの方向性を実現することによって、全体的に強くてしなやかな「強靱」な水道のシステムができ上がる、そういうイメージで、今、最終案となっております。ご意見があればお聞きしたいと思いますが、いかがでしょうか。どうぞ。

○ 石飛課長
事務局から口を差し挟むのはいけないのかもしれませんけれども、先ほどもどなたかおっしゃったように、言葉が第一印象ですっと理解できる意味合いと、ある程度ここで議論を重ねてきてつくったワーディングとは、かなり受けとめ方が違ってくると思うのです。その意味で私が気にしたいのは、「強靱」という言葉なのですけれども、昨年の大震災以降、明らかに耐震化であるとか、施設を強くするということに、我々は多くの時間、機会を割いて使ってきた言葉なので、ある意味、思い入れが強いのかもしれませんが、それをこのように「安全」「持続」「飛躍」を支える精神的な概念にすると、ある意味、概念を非常に広げていくということになると、私たちはどうしても「持続」と概念が重なってきて、そこはどういう使い分けなのかというのがちゃんと説明しなければいけないのではないかなと思ったということ。
それから、(1)の「安全」の中に、安定した水の提供というのが入るということについても、今までは安定した水の供給というのはどっちかというと「強靱」のところに重きを置いていたわけなのですけれども、ここに入れると、安定した水の供給は「安全」だというところも、また「安全」という概念が非常に広がってきて、今まですっと入ってきたものが入ってこなくなるというようなところがあるのかなと思って、発表したとき、読んでいただく事業体の方々、そして、一人一人の国民の方々になるべくすっと入るというようなことも、先ほどどなたかおっしゃったことの繰り返しでございますけれども、考える上では非常に大事なことかなと思いましたので、ちょっと付言させていただきました。

○ 滝沢座長
ありがとうございます。「強靱」という言葉の扱いですけれども、東日本大震災以降、概念的な強靱さではなくて、より具体的に震災等があってもそれに耐えていけるような水道システムをつくっていかなければいけないというような、具体性をもった「強靱」というもののほうが、今の状況に即しているのではないかというご意見でございます。
いかがでしょうか。

○ 尾?構成員
この新ビジョンは、3.11の震災の経験をふまえ、震災に強い施設づくりの概念を「強靱」で表現したのだと思います。「安全」については、どちらかと言えば水質の安全性であって、例の利根川の事故が念頭にあるのだと思います。もう1つ、中小事業体が経営問題を含めた諸課題をどのように乗り越えていくかの問題があります。これは、大規模事業体でも重要な課題ですが、この視点での言葉が「持続」だと思います。この検討会では、これらの3点について議論を進めてきましたので、今の段階で3点の柱を変更すれば、今までの議論は何だったのかということになると思います。私としては、今までの皆さんの議論も非常に参考になったのですが、原点に立ち返って、3点に国際協力と環境貢献をうまく入れるように考えるべきだと思います。

○ 滝沢座長
ありがとうございます。「飛躍」という言葉が新しく提案されまして、それをきっかけに、いろいろなご意見をいただいてきたところでありまして、「飛躍」から転化したような概念を支持するご意見としては、1つは国際協力や環境貢献というのをもっと表に出すような言葉が必要だということと、明るいというイメージをこういったところに込めたというようなところがあると思います。考え方としては、佐藤さんが冒頭にご説明いただいたとおり、「安全」「持続」「強靱」というような3つの柱をもとに、それを実現することで、あるいはそれを包括するようなことで、水道界全体、水道システム全体が飛躍をしていくというようなつくり方もあるかなというご提案をいただいたところです。今、尾?さんがいわれたように、これまで議論を重ねてきたところがあって、「強靱」という言葉についても、事務局から何回か案として出されてきたところでございますので、これから方向性を示す言葉としては、やはり皆さんが何回か議論をして、その方向性が十分納得がいくなというようなことを経た後で、本来決めるのが好ましいだろう。ここで出てきてパッと決めるというのは、その瞬間は合意がとれても、よくよく考えてみたらというようなことが起こることは当然あり得るわけです。
そこら辺も踏まえて、だからといってということではないのですが、皆さんにご意見をちょうだいしたいと思います。可能であれば、これまで2回ほど議論してきたところでございますので、本日、この場である程度、方向性については最低限、皆さんの合意をさせていただいて、今後の作業につなげたいというのが、事務局もそうですし、私もその方向でいければと考えているところでございます。
改めてですが、いかがでしょうか。「安全」「持続」、それから「強靱」をもってくるか、あるいは「飛躍」、あるいは「挑戦」という言葉をもってくるかということなのですが。

○ 長岡構成員
尾?さんのいわれたような方針で私はいいと思います。「安全」「強靱」、それを「持続」、さらに「挑戦」か何かわからないのですけれども、それが妥当なのではないかなと。「強靱」の受けるイメージというのは、あの3.11を受けてということだと普通はとられると思うのです。それについても随分議論してきましたし、事務局の「強靱」の定義、四角で囲ってありますけれども、そのようにとられるのが素直な考えなのではないかと思います。私は佐藤さんの絵で「飛躍」と出るのがよかったかなと思うのですけれども、「強靱」を別というよりも、「安全」と「強靱」「持続」、それプラスというほうがいいのかなという気はしてきました。

○ 滝沢座長
ほかの方、どうですか。

○ 岡部構成員
キーワードなのですけれども、前にいただいた議論の整理の中で、大きな項目として、事業環境があったり、2番目に住民との連携というのがあるのです。それ以外に安全というのと、危機管理、強靱の話と、持続性の話とあるのですけれども、住民との連携というのも、これからはいろいろと変わっていく中で大切なキーワードになると思うのですが、そのあたりは何かうまく入れ込めないのかなという……。

○ 長岡構成員
「持続」に入るのかなと思うのですけれども、確かにそれはちょっと私も気になったところではあるのです。だから、「地域で支える」か、「地域を拓く」か、ちょっとわからないのですけれども、「地域」というところに何となく住民も入るのかなというイメージを私自身はもっていたのですが、なかなか……。

○ 岡部構成員
私のイメージだと、軸になる3つと、先ほどの環境とか国際がどう入るかは別にして、環境問題もずっと並行して考えなければいけないし、それと並列ぐらいで住民との連携も考えなければいけないのかなと。そのあたりをできたら入れていただくような位置づけで考えていただくといいかなと思います。

○ 滝沢座長
ありがとうございました。いろいろな項目をこれまで議論してまいりましたので、その項目が一個一個どこに入るかということは考えなければいけないのですが、いろいろな項目にぴったりはまる言葉をどんどんふやしていきますと、なかなかおさまりがつきませんので、ミッションと書いてありますけれども、ビジョンとしてわかりやすい数に絞っていくということも、逆にみえやすい方向性を示すという意味では大事だろうと思います。今いただきましたご意見は、今後しっかりと議論してまいりたいと思います。
「安全」「持続」「強靱」ですが、いかがですか。

○ 浅見構成員
「挑戦」というのを発言した趣旨といたしましては、全体として横ぐしというのではないかもしれないですけれども、そういうことが思いとして入ればというだけで、柱としてはやはり「安全」「強靱」「持続」というほうがしっくりするかなという感じはいたしております。
あと、多分、きょうは13ページのところの実現方策を、内部方策と連携方策と将来を指向した方策と、こういう分け方で整理をしていくような、これに肉づけをしていくような形でいいかどうかというようなところでしょうか。

○ 日置課長補佐
前回は一緒くたに8項目しかなかったのを、こういう形でそれぞれのカテゴリー分けをして、これに沿って整理していきたいという方向性だけでもご了解いただければ、大変助かるなというところでございます。

○ 滝沢座長
ありがとうございます。
吉岡さん、どうぞ。

○ 吉岡構成員
私も先ほど「挑戦」という言葉はいいなという話はしたのですが、目指すべき方向性、今まで議論してきたことをないがしろにするものでは全くないし、今までの検討会で議論してきたことがすべてであって、それを説明する言葉としてあったらいいなと思うものですので、浅見構成員が申し上げましたように、横ぐしというような意味合いと同じく、私もそれで同意したいと思いますので、このキーワードで私はいいと思います。

○ 滝沢座長
「挑戦」という言葉、非常にいい言葉だと思います。今、浅見さんがいわれたように、全体の精神としていろいろなことを書き込むだけではなくて、積極的にそういったことにチャレンジしていく、挑戦していくという姿勢を示すというのが大事だという趣旨で、浅見さんはご発言されたのだと思いますので、この中に方向性として出すのではなくても、そういったことに積極的に取り組んでいくといったことをぜひとも書き込む段階で盛り込んでいただければと思います。
どうぞ。

○ 尾?構成員
安全」「持続」「強靱」の順番は別ですが、こられに国際協力と環境貢献が入り、その上で、これらを包括するような言葉、又は別の軸から整理したような言葉として「挑戦」と「連携」が表現できないでしょうか。
こうした整理がされれば、挑戦的な立場で進める、又は連携で進めるといった表現も可能となり、これまでと違ったアクティブさをわかりやすく表現できた、訴えの強いビジョンとなるのではないかと思いますので、良いご意見だなと感じました。

○ 滝沢座長
ありがとうございました。
構成員の皆様方、このような形で集約されてまいりました。もう一度まとめますと、3つの方向性として、「安全」と「持続」、それから「強靱」という方向性が示されました。それを包括する精神として、全体的な取り組みの姿勢として、挑戦するということ、それから、仲間と連携していくということ、これを背景の精神として書き込んでいくというようなことが示されました。また、国際、あるいは環境といったことに対しても、「挑戦」、あるいは「連携」とも関連しますが、できるところは積極的に取り組んでいくというような姿勢で、このビジョンの方向性としてまいりたいと思いますが、いかがでしょうか。ご同意いただけますでしょうか。
それでは、以上、ご同意いただきましたので、そのような方向でもう一度、次回以降の整理をしていきたいと思います。
もう1つ、資料—2の素案について、どこまで議論がきょう必要でしょうか。

○ 日置課長補佐
先ほど浅見構成員からおっしゃっていただいたところでございますけれども、重点的な実現方策のところで、内部方策、連携方策、水道の将来を指向した方策という形のところで、こういう分け方でとりまとめ作業を進めていって大丈夫かどうかというところをご意見いただけたらなというところでございます。7の社会的ニーズへの対応、環境、国際というところは、今、いろいろご意見をいただいたところを踏まえて、またちょっと考えたいと思っています。

○ 滝沢座長
ありがとうございます。環境、国際、ニーズへの対応というよりは、より積極的な取り組みとして書かれているといいというご意見だったと思いますので、よろしくお願いします。
この素案について、特に全体的な構成等についてご意見があればいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。資料—2をごらんいただきまして、これをもとにこれから肉づけをしていくというものでございますので、特に構成部分については、今、ご意見をいただければ、そこを修正しながら書き込んでいくということになると思います。

○ 永井構成員
7ページ、緊急時の給水、上のほうにありますよね。ここでちょっと発言させてください。ここに記載しているものは、これはこれで当然いいのですが、もう一方、一言でいえば、水道版トリアージというのですか、緊急度、優先度、あるいは初動態勢といいますか、その辺が必要ではないか。すなわち、近年は限られた職員の中で、いざ災害だ、あるいは災害に伴う断水だといったときに、人は緊急度に応じて集まる。災害マニュアルはつくられてはいるのですが、結局、マニュアル以外のことも求められる。なおかつ、この間の大規模災害をみますと、水をすごく供給するのですが、例えば病院だとか、そうした重要施設といいますか、自分たちで足腰きちんと立てない、そうした施設を優先的に供給する。マニュアルの中に入れてもいいのではなかろうかというような気がしています。もちろん一般住民からしますと、何でだという批判の声も来るのは当然ですけれども、水道事業体として最初は1人、2人、3人、その集まった人間で十分、給水車をもって出かけられるということがありますから、災害マニュアルも、今いったようなことが必要ではないかということで、各水道事業体に検討を促したらどうかなということを申し上げておきます。

○ 滝沢座長
ありがとうございます。今、議論になった強靱さの中の1つなのかもしれません。
ほかにご意見ございますか。

○ 木暮構成員
資料—2の13ページ、実現方策がここに書いてあって、これはこれでよろしいかと思うのですけれども、それに対して14ページの役割分担、この辺がちょっと、実現方策を役割分担に移すときに乱暴というか、整理されていないのかなという気がしますので、そこのところはもうちょっと整理していただきたいなと思います。

○ 滝沢座長
ありがとうございます。
どうぞ。

○ 永井構成員
同じ13ページです。水道の将来を指向した方策の中に、料金制度の最適化という項目があります。括弧書きしているところなのですが、逓増制の見直しという項目がございます。どのように見直すのか、これから書くのでしょうけれども、私が水道事業体の財政担当であれば、見直し方によっては料金収入に大きな影響を与えるということにつながると思っています。ですから、この辺の逓増制の見直しについては、あの場合、その場合と、いろいろな観点を踏まえた中で、事業体規模別に参考的に示すのがいいのではなかろうかなと思いましたので、発言させていただきます。

○ 滝沢座長
ありがとうございます。
いかがでしょうか。きょう初めてこれをごらんいただいたと思いますので、もし十分に吟味する時間がないということであれば、事務局ともご相談したいと思いますが、これをお持ち帰りいただきまして、ご意見をある時期まで区切っていただいて、それを反映したような形で次回の案を作成していただくということもできると思いますが、いかがですか。

○ 日置課長補佐
ぜひそうしていただければと思います。

○ 滝沢座長
いつごろまでよろしいでしょうか。

○ 日置課長補佐
年内ぐらいにいただければ、何とか整理を……。

○ 滝沢座長
わかりました。年内、あと10日ほどあります。期限が短くて……。

○ 長岡構成員
28日まで?

○ 日置課長補佐
年始までに届けば。

○ 滝沢座長
およそ年内、皆さんがお考えになる年内で結構でございますので、年内に事務局のほうへご意見をいただきたいと思います。意見を反映したような形で、次回、1月23日になるかと思いますが、そこでまた案を作成して、皆さんにお示ししたいと思います。ご協力よろしくお願い申し上げます。

○ 浅見構成員
1点だけ確認させていただきたいのですが、13ページ以降の実現方策を書かれるときには、どの程度の深さまで書かれるのか。例えば逓増制と今ご指摘ありましたけれども、それがどうあるべきかとか、すごく細かいことを書くのではなくて、そういうことについて今後検討が必要であるというような書き方をされるのか、その辺、どのくらいの深さになりそうなのかを教えていただきたいのですが。

○ 日置課長補佐
新しいビジョンという性格上、やはり考え方を中心に書きたいと考えていまして、具体的なところはそれぞれマニュアルがあったり、ガイドラインがあったり、そういうものがあると思いますので、そういうところに向ける形をイメージして、概念的なところを書きたいと考えています。

○ 滝沢座長
ありがとうございました。
何かご質問ございますか。どうぞ。

○ 尾川水道水質管理官
事務局側ですけれども、資料—2の参考をごらんいただきたいのですが、実現方策、ちょっと環境と国際が入っていませんので、それは置いておきまして、1つは、先ほどの方向性ごとには書かないということと、上の2つ、内部方策と連携方策という部分は、大体やり方は決まっていて、お金が足りないとか、人が足りないということについて、こういうことを進めるべきだということを書こうとしております。3番目の将来を指向したというのが、先ほど来からの「挑戦」か、「展開」か、わかりませんけれども、新しい概念に当たると思いますが、新しい境地を開く的なものでございますので、現在の制度では対応していないところとか、新たな発想が必要なものについて。ですので、今、お話がありましたように、内部方策、連携方策につきましては、単独でできること、一緒にやるべきことが、既存のマニュアルに書いてあることなりをやっていきましょうというようなトーンになると思いますし、最後の指向した対策については、逆にマニュアルをつくらなければいけないものとか、制度をつくらなければいけないもの、新しいツールが必要なものについて、こういうものがないと進んでいきませんよというものが書かれていくような形。深さというのは、そんなに具体的に書くものではありませんけれども、上の2つはやるべきことを加速しましょう、下のほうはもう少し新しい発想で進めていきましょうということで、若干書き方を変える予定でございます。

○ 滝沢座長
ありがとうございます。
私から1つだけ。先ほど来の議論の中で、「持続」とか「強靱」というのは概念を広くしてしまえば、オーバーラップする部分も出てくるのではないかと思うのです。ですから、最初に「持続」と「強靱」の考え方、あるいはこれが意味している概念をある程度きちんととらえて書いていただければと思いますので、よろしくお願い申し上げます。
それでは、最後ですが、ワークショップについて事務局からご連絡いただきたいと思います。

○ 水野係長
資料—3をごらんください。A4の一枚紙でございます。
新水道ビジョンワークショップ実施概要(案)ということで、先回もお知らせさせていただいたところなのですが、今週末、12月22日土曜日に実施いたします。日本水道協会の7階会議室をお借りすることができました。ありがとうございます。出席者についても固まりまして、一般から14名ということで、モニター、学生、一般応募者というところからご参加いただける予定になっております。出席いただける構成員の方、滝沢座長、長岡構成員につきましては専門家という位置づけでご参加いただけるということで、ありがとうございます。それから、平田構成員、吉岡構成員につきましては、一般目線に近いところで、構成員代表でご出席いただけるということで、どうもありがとうございます。事務局は、水道課職員と日水コンが当日おります。このような形で開催する予定でございます。
裏面には実施の手順がついております。参考にごらんいただければと思いますので、よろしくお願いいたします。
以上でございます。

○ 滝沢座長
これは公開でやるのでしょうかというご質問があります。

○ 水野係長
応募するときに既に公開で出しておりますので、基本的には公開前提ということで開催させていただくということでございます。

○ 滝沢座長
参加希望の方がいた場合はどうすればいいですか。参加というか、オブザーバーですか。

○ 水野係長
構成員の方から、オブザーバーとしてみていただくということは参加いただいて結構なのですが、一般から参加する方で、いろいろな材料とかをそろえておりますので、一連の裏面の流れに沿ってやっていく中の支障のない範囲でごらんはいただけるという趣旨でございます。

○ 滝沢座長
余りふえ過ぎてもちょっと困るということですね。参加者についてはもう人数が決まっていて、それをみに行く方については若干ふえても構わないということですね。

○ 水野係長
はい。

○ 滝沢座長
わかりました。この結果については次回の検討会でご報告いただけるという理解でよろしいですか。

○ 水野係長
はい。

○ 滝沢座長
ありがとうございます。ご質問ございますでしょうか。よろしいですか。
それでは、本日の議題はすべて終了いたしました。
その他、特になければ、最後、事務局から今後のことも含めてご連絡をお願いします。

○ 日置課長補佐
本日の議事録に関しましては、皆様にご確認いただいた上で公開させていただくということでお願いしたいと思います。
また、今後の検討会日時でございますけれども、先ほどお話がありましたが、第12回、1月23日水曜日、午後から予定しております。また、場所、時間につきましては、決まりましたら改めてご連絡をさせていただきたいと考えております。
以上でございます。

○ 滝沢座長
それでは、本日は以上で終了いたします。どうもありがとうございました。


(了)
<照会先>

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(代 表) 03(5253)1111 内線4028
(直 通) 03(3595)2368

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