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2012年9月7日 第14回原爆症認定制度の在り方に関する検討会議事録

健康局総務課

○日時

平成24年9月7日(金) 15:00〜17:00


○場所

中央合同庁舎第5号館 厚生労働省 省議室(9階)


○議題

1.開会

2.議事

(1)中間とりまとめを踏まえた今後の議論について

(2)その他

3.閉会

○議事

○榊原原子爆弾被爆者援護対策室長 開会に先立ちまして、傍聴者の方におかれましては、お手元にお配りしております「傍聴される皆様への留意事項」をお守りくださいますようお願い申し上げます。
 それでは、これ以降の進行は、神野座長にお願いいたします。
○神野座長 それでは、これから第14回になりますが、「原爆症認定制度の在り方に関する検討会」を開催したいと存じます。
 本日は、皆様方、大変お忙しいところ、さらに暑さがまだまだ続いておりますところをわざわざ御出席いただきまして本当にありがとうございます。長い間を置いてからの開催になりますが、よろしく御協力をお願いしたいと考えております。
 本日は、大変お忙しい中、藤田厚生労働大臣政務官に御臨席をいただいておりますので、一言お言葉を頂戴できればと思います。
 藤田政務官、よろしくお願いいたします。
○藤田厚生労働大臣政務官 皆様、こんにちは。政務官を務めております藤田一枝でございます。
 本日は、残暑厳しい中、委員の皆様方には御出席をいただきまして、本当にありがとうございました。心から御礼申し上げます。
 本検討会においては、6月末に中間とりまとめを策定していただきましたが、いよいよ本日より、この内容を踏まえ、より具体的な議論を進めることとなっております。本日は、節目の回ということでもございますので、一言御挨拶を申し上げたく、出席をさせていただきました。
 改めまして、委員の皆様には、中間とりまとめまでの御協力に心から感謝を申し上げたいと存じます。策定いただきました中間とりまとめでは、おおむね一致した意見がある一方で、意見が分かれているところがございます。意見の隔たりを埋め、制度の在り方を見直していくために、今後とも委員の皆様方には御尽力をいただくことになろうかと思います。
 とりわけ、現在、御議論いただいている原爆症の認定制度の在り方の見直しにおいては、行政と司法判断との乖離をどう埋めるかなど大変難しい課題もございますが、ぜひ委員の皆様方の英知をもって総合的に御議論いただき、その上で御意見のとりまとめに御協力をいただきたく、心からお願いを申し上げる次第でございます。
 現在、約21万人の被爆者の方々が、広島、長崎を初め全国においでになられますが、厚労省としてもこの間、被爆者援護法に基づき、保健医療福祉にわたる総合的な対策を推進してきているところでございます。しかし、戦後六十数年を経て、被爆者の方々もお年を召され、残されたさまざまな課題について、1日も早い解決を望んでおられます。そして、そのお気持ちは、私も共有をするところでございます。
 ぜひとも委員の皆様方の御意見を踏まえて、見直しに取り組んでまいりたいと考えておりますので、重ねてよろしくお願いを申し上げ、大変簡単ではございますが、ごあいさつとさせていただきます。どうぞよろしくお願い申し上げます。
○神野座長 どうもありがとうございました。
 それでは、議事に入ります前に、事務局から委員の出席状況の報告と資料の確認をお願いしたいと思いますので、よろしくお願いします。
○榊原原子爆弾被爆者援護対策室長 本日の出席状況でございますが、佐々木委員から欠席との連絡をいただいております。
 次に、お手元の資料について御確認をさせていただきます。
 議事次第、資料一覧に続きまして、資料1「原爆症認定制度の在り方に関する検討会」中間とりまとめ。
 資料2、原爆症認定制度の在り方に関する検討会での検討状況。
 資料3「中間とりまとめ」の整理。
 資料4「中間とりまとめ」に基づく方向性の整理。
 資料5、方向性のイメージ図。
 資料に不足、落丁がございましたら、事務局までお願いいたします。
○黒木原子爆弾被爆者援護対策室長補佐 済みません、カメラの方はここでよろしくお願いします。
(報道関係者退室)
○神野座長 どうもありがとうございました。
 前回、委員の皆様方の御協力をいただきまして、これから議論を進めていくためのベースキャンプとして、中間とりまとめをまとめさせていただきました。これ以降、次のステップに入るわけですけれども、この中間とりまとめの内容を踏まえて、政務官のお話にもございましたが、具体的な制度設計に向けた議論を進めていければと考えております。
 議論を生産的にするために、この中間とりまとめの中を読み込んでいくと幾つかの方向性が出てくると思いますので、今後の議論を展開する上で、まずそうした内容を軸にした方向性などについて、事務局と私で相談させていただいてとりまとめたものがございますので、その整理を事務局のほうから説明していただければと思います。よろしくお願いいたします。
○榊原原子爆弾被爆者援護対策室長 それでは、資料の説明に移りたいと思います。
 まず、資料1は中間とりまとめでございます。委員の皆様に御議論いただきましてとりまとめていただきました中間報告、最終的に字句が確定したものを本日、再度配付させていただいております。説明は割愛させていただきます。
 資料2でございます。「原爆症認定制度の在り方に関する検討会」のこれまでの進行ということでございます。森先生の御提案された「知る」段階、「考える」段階、「作る」段階に分けて議論するということで、「知る」段階、「考える」段階と議論してまいりまして、6月に「作る」段階の入口として、これまでの論点に基づく議論の中間とりまとめというものをしていただきましたというところでございます。
 そして、今回が「作る」段階、制度の中身についての議論ということで、今回、開催させていただいているということでございます。
 以上が資料2でございます。
 続きまして、資料3でございます。これは先ほど配付をさせていただきました中間とりまとめの中身をそのままばらして整理したものでございます。
 1枚目が、おおむね認識の共有が図られている事項ということで記載されているものでございます。基本的な制度の在り方、原爆症の認定制度の認定基準、手当についてと大きく3つの論点で議論いただいたところでございます。
 全ての紹介は割愛させていただきますが、基本的な制度の在り方の中では、よりよい制度とするため、必要に応じて被爆者援護法を改正すべきなどの意見が出ております。
 また、原爆症認定制度の認定基準につきましては、司法判断と行政認定の乖離を認め、どのように埋めていくか考えていく必要があるなどの意見が出てございます。
 手当については、手当を初めとする被爆者援護の財源についても、国民の理解が得られるよう努めることが必要であるなどの意見が出ているところでございます。
 2ページ目、こちらはさまざまな意見が出されている事項を整理したものでございます。中間とりまとめに記載されているさまざまな意見が出されている事項を整理させていただいたものでございます。大きく3つに分けてございます。
 1つ目が、田中委員から御提案をいただきました案を中心として、それに関連する意見を記載させていただいております。
 乖離を埋めることができないのだから、制度全体が破綻しているのではないか。
 被爆者であれば何らかの放射線の影響があるから、これを前提として、手当を初めとする援護を行うべきではないか。
 現行の審査の方針では、残留放射線の影響が著しく軽視されているのではないか。
 放射線の科学は科学として、尊重されるべきである。裁判所の中には、科学的には放射線起因性で説明できないものもあるのではないか。
 被爆者であれば何らかの影響を受けているのだから、全員に手当を支給すべきではないか。
 全員に基本的な手当(現行の健康管理手当相当)を支給し、症状に応じて加算していくことで、段階的な手当制度をつくるべきではないかなどでございます。
 また、これに対しましては、被爆者全員に手当を支給するのは手当の趣旨が異なってくる上、財政負担をお願いする国民の理解を得られず、難しいのではないか。
 段階をつける新制度を導入するのであれば、現行よりも手当額が下がる人が出てくるのではないかなどの意見も出されています。
 続きまして、2つ目の囲みでございますが、山崎委員から御提案のあった案を中心とするこれに関連する意見を記載させていただいております。
 放射線起因性の証明しがたい部分、科学の限界がある部分には、新たな制度を付加して救済すべきではないか。
 手当の対象となる認定については、裁判例などを踏まえ、放射線起因性が無視できないという程度でのグレーゾーンをつくるべきではないか。
 既存の制度の延長で、認定対象者を拡大しつつ、その上で、医療必要度だけでなく、介護や日常生活支援の必要度などに応じた手当を設定することで、段階的な手当制度をつくるべきではないか。
 認定(手当の給付)の期間を限定することも考えるべきではないか。
 これに対しましては、グレーゾーンをつくるにしても、既に認定されている人も含め、その要件を明確に設定するのは難しいのではないか。
 段階をつける新制度を導入するのであれば、現行よりも手当額が下がる人が出てくるのではないかなどの意見も出されております。
 残りの部分をその他の意見という形で記載させていただいております。
 裁判例や医療分科会の客観的な積み重ねを尊重しつつ、相当程度判断が固まっているものを救済の観点から行政認定に取り入れていき、乖離を埋めていくべきではないか。
 裁判所の判断は個々の原爆症認定についての判断であり、制度を見直すべきとの判断にまで及んでいないのではないか。
 要件に明確に当てはまらない場合の総合判断は必要で、新しい審査の方針のこういった仕組みを残し、医療分科会の知見を活かしつつ、新しい審査の方針を客観化するため、法令で規定していくことを考えるべきではないか。
 医療特別手当を初めとする援護を行う理由として、放射線の影響を無視することはできないのではないか。
 残留放射線のさまざまな影響は、行政認定でも勘案しているのではないか。
 放射線起因性は、科学的知見をベースとしつつも純粋な科学で説明できない部分があるものであり、法律上の要件として説明するものではないか。
 以上でございます。
 続きまして、資料4「『中間とりまとめ』に基づく方向性の整理(案)」でございます。
 認定制度の今後の在り方を議論するにあたり、中間とりまとめにおける論点に基づき、今後の方向性について整理した。
 中間とりまとめを踏まえると、今後の方向性についておおむね3つに分かれるのではないか。今までの検討会でも、佐々木委員あるいは石先生からも同様の御発言をいただいているところでございます。
 1つ目でございますが、現行の原爆症認定制度を廃止し、全ての被爆者に基準的な手当(現行の健康管理手当相当額)を支給することとしてはどうか。
 関連する中間とりまとめを記載させていただいておりますが、重複しますので読み上げは割愛させていただきます。
 2つ目でございますが、裁判例等を踏まえた放射性起因性が無視できない程度のグレーゾーンを設け、医療度・介護度等により段階的な手当を設定することとしてはどうか。
 関連する中間とりまとめの記載を以下に記載させていただいております。
 3つ目でございますが、法令で基準を明記することも含め認定基準を客観視し、相当程度判断が固まっているものを行政認定に取り入れることとしてはどうか。
 関連する中間とりまとめの記載を記載させていただいております。
 資料5「方向性イメージ図」でございます。
 1ページ目、方向性1についてということで図を記載させていただいております。
 被爆者(手帳所持者)全員に手当を支給する。基本的な手当を支給しまして、健康管理手当相当として、症状に応じて加算をするというイメージ図でございます。
 2ページ目、方向性2について。今の医療特別手当の外側に、裁判例等を踏まえた放射線の起因性が無視できない程度のグレーゾーンを付け加えさせていただきました。医療・介護度などによる段階的な手当のイメージ図とさせていただいているところでございます。
 3つ目でございます。今の医療特別手当につきまして、相当程度判断が固まっているものを行政認定に取り入れる。法令で基準を明記することも含め、審査基準を客観化というイメージ図を記載させていただいております。
 資料としては以上でございます。
○神野座長 どうもありがとうございました。
 先ほどもお話をしましたように、これからのステップを進める上での出発点として中間とりまとめをおまとめいただいたわけでございますが、この中間とりまとめを読み込んでいくと、この中間とりまとめにはここの委員でもって、共通の認識としてこういう点は同意できているのだけれども、こういう点は相違しているのだということをお互い認め合ったというのが中間とりまとめになっておりますが、その中間とりまとめを読み込んでいくと、ほぼ3つの方向性を持った議論があるのではないかということで整理していただいたものでございます。
 これを踏まえて議論していただくのが一番効率的ではないかということで考えておりますけれども、もちろん、まずこういう整理の仕方でいいかどうか、つまり、3つにまとめていいかどうかとか、この3つのうちどれを選択するのかという議論のために出しているのではありませんので、大体3つの考え方があるのではないかということで整理をしておいた方が、今後、具体的な制度設計などの議論を進める上で生産的に進められるのではないかという点で御提示しておりますので、それぞれの方向性についての御議論を頂戴すると同時に、こういう方向性でそもそもいいかどうかを含めた議論。わざわざ分ける必要もないわけですけれども、便宜上分けているということだけ御理解をいただいた上で、こうしたまとめ方を素材にしながら御議論を頂戴できればと思います。いかがでございましょうか。
 どうぞ。
○高橋進委員 1枚ものの整理の案ですが、1の2行の文章の下にとりまとめの記載ということで5点挙がっていますが、2番目の丸ポツと4番目の丸ポツが同じ文章なのですが、これは意味があったのか、途中から文章が違っていたものが一緒になったのか、単純なる重複なのか、確認をお願いします。
○神野座長 これはその前の違いの文章のところとほぼ一致しているはず。これはどうなっていましたか。気がつかなかった。
○榊原原子爆弾被爆者援護対策室長 事務局からおわびをさせていただきたいと思います。単純なミスということでございます。申しわけございませんでした。修正させていただきたいと思います。
○神野座長 済みません、見方はどちらを先にするかという問題はありますが、いずれにしてもこの検討会の中間とりまとめを整理しておりますけれども、この共通の部分のほかに幾つか一致していない意見があって、これをまとめると大体この3つに整理できているのではないかという論理展開から引き出しておりますので、もともとの意見はこちらですので、そちらを見ていただければと思います。
 失礼いたしました。どうぞ。
○坪井委員 今の問題は、行政のほうが早めに送ってくれたので私も読ませてもらってふふふと笑ったところですが、全く同じ文章ですからね。今日のもそうです。何日か前に送っていただいたのも同じですね。これは単なる機械のいたずらかもしれませんので、どちらか1つが生きているということでしょう。そう解釈すればいいと思います。前にもらったのも同じです。今度も同じです。同じことが2回出ています。座長さん、ということでしょう。
○神野座長 はい。申しわけありません。
○坪井委員 だから、今日のも前のもいいわけです。
○神野座長 あといかがでございましょうか。御意見頂戴できればと思います。
 草間委員、どうぞ。
○草間委員 きょう、方向性ということで1,2,3のイメージをお出しいただいたのですけれども、このイメージについては1つの案という形で案を考えながら検討するということでいいかと思います。在り方検討会等で明確にしていただきたいと思うのは、前から申し上げているのですけれども、健康管理手当あるいは医療特別手当が、今、医療の現物支給も行われている中で、それぞれどういう意味があるかということをもう一度明確にしていただいた方がいいのではないかと思います。
 特に方向性1につきましては症状に応じて加算という形で示されておりますが、少なくとも医療費そのものあるいは関係費等につきましては、既に現物支給という型で、かかったものは全て支払われていると思いますので、そういう中で医療特別手当というのはどういう意味合いがあるかということを明確にすることにより、段階をつけるときにどういう視点でつけるかというのがはっきりするかと思いますので、その辺をもう一度明確にする必要があるのではないかというのを強く思うのですけれども、いかがでしょうか。
○神野座長 出していただければ、次回、それぞれ手当の資料については何回かお出ししておりますので、それぞれ次回以降深めるときに、もう一回手当の現行の意義を含めて、手当の在り方について特に議論したいという御提案だと理解してよろしいですね。
○草間委員 手当そのものの意味というか。
○神野座長 意味を考えながら、手当の在り方について特にアジェンダとして取り上げるべきではないかという御提案だと受け取っていいですね。
○草間委員 はい。
○神野座長 構いません。お出しいただければ次以降の議題設定にさせていただいた上で考えさせていただきますので。
○草間委員 この手当等につきましても、さまざまな全体の医療の給付とか、各種手当、福祉サービスといったものがあって、これら全体のバランスを考える必要があると思うのです。今年の予算が100兆円を超えましたということですけれども、原爆援護法あるいは原爆にかかわるお金のトータルが大体どのくらいの枠の中で考えていかなければいけないかということも必要と思います。さまざまな被爆者援護の財源についても国民の理解が得られるようにする必要があるということが明記されているわけでして、そういう意味では、国の財政が逼迫しているときに、医療費等も含めまして大体どのくらいの枠の中で考えていかなければいけないかということも明確に出していただいて、その中で3つ方向性の選択によって手当が下がるかもしれないというようなこともあり得る訳ですから、これから将来を含めましてどのくらいの予算が確保できるかというところも必要ではないかと思います。財源についてもきっちり示していただいた方が議論もしやすいのではないかと思うのですけれども、いかがでしょうか。
○神野座長 わかりました。よろしいでしょうか。
 私の理解では、一応3つあるいはほかにもあるかもしれませんが、とりあえず3つぐらいの方向性が考えるとしてこの方向性を横軸に議論するときに、手当という観点からもう一度見直して、それぞれどういう意味があり、この3つの話のどれを選ぶかという単純な議論ではないにしても、横軸として手当の体系、そのほか含めた給付体系、今お話の予算を含めて議論をしておくべきではないかという御提案だと理解してよろしいですね。
○草間委員 はい。
○神野座長 ありがとうございます。ほかはいかがでございましょうか。
 どうぞ。
○田中委員 今の草間先生の意見にちょっと抵抗がありまして、やはりどういう考え方で原爆症認定の問題から入って、医療特別手当をどうするかという議論をするべきであって、全体の総額の予算でやっていくようなのは本末が転倒しているのではないかという気がするのです。こうあるべきだというのが議論されていって、では、それについてどれくらいのお金が必要かという段階に入って全体のバランスをどうするかという議論をしていかないとおかしくなる。今、財政困難だということを言われていますから、皆さん、縮小する、縮小するという考えがどうしても先行してしまうと思うのです。それは対策としてはそう考えてもらいたくないというのが私の気持ちですので、まずどうあるべきかから議論していただきたいと思っています。
○神野座長 わかりました。ちょっと最後によけいなこと。草間委員の趣旨も総額をという議論ではなく、手当の体系そのものを議論するということで横軸の議論設定をしようということですので、最後に予算制約のお話があったのでそれも付け加えただけですので、そこに主たる目的があるわけではありませんから、手当そのものを議論していくということだろうと思います。
○田中委員 そうであれば、それだけでよろしいのではないかと思うのです。
 前からずっと強調しているのですけれども、このモデル図を見ても、原爆症認定制度を制度として、第10条、11条を残して、それをいろいろ手直しして改善していくかということと、私どもが言っていますように、原爆症認定制度というのを置いておくと必ず認定問題で基準の問題で異論が出てくるのではないというのを危惧しているわけです。異論が出てきて最終的には裁判でそれを改善しようということになっていくのではないかという非常に危惧を持っているわけです。
 ですから、そういう意味で原爆症認定制度は破綻しているという言い方をしたのですけれども、放射性起因性をもとにした認定の在り方で認定制度を残していくというのはどうなのだということを最初に議論していただければいいなと思っているのです。
○神野座長 高橋委員、どうぞ。
○高橋進委員 今の点に関してですけれども、1と2のイメージ図を見ると、まさに認定制度を残すか残さないかということが根本的に違った上でつくられていますが、ただ、1と2の図というのは、意外と形は似ていると思うのです。当然、面積だとか高さは違うと思いますが、形は似ているということを考えると、私は認定制度を残す、残さないということを入口で議論して、そこからどうこうということもあるのかもしれませんが、とりあえず認定制度を残す、残さないの議論は置いておいて、どうあるべきかという手当の在り方とかそういうことを議論していって、最後にでは今の認定制度でその形はどうもなりませんねということであれば認定制度を変えるということはできないのかということは考えるのですけれども、最初に認定制度のあるなしを議論しないと前に進めないのでしょうか。
 繰り返しになりますが、形が似ているということも含めて考えると、手当の在り方だとか、基本的な考え方をもう一回整理していけば、最後に何か歩み寄る余地が出てくるのではないか。今の認定制度をやめるのかどうかでなく、今の認定制度を改善するのかということで歩み寄りが結果的にできないのかと思うのですけれども、そこはいかがでございましょうか。
○神野座長 どうぞ。
○田中委員 草間先生もおっしゃいましたように、お金のことから入っていくと、私どもが提案している1のモデルと2のモデルは非常に似ているのです。そのことは前に申し上げたことがあると思います。
 ですから、手当をどれくらいどうやって支給するかということで議論してしまうと余り変わらないなということになってしまうと思うのです。ですけれども、先ほども申しましたように、10条、11条で決めてあるのは手当のことではないのです。大臣が認定する疾病に対して、全額給付するということを決めてあるのです。そこはどうするのだというのが私の強調しているところなのです。
 それを残したままやりますと、必ず大臣が認定する動機は何なのだということに入っていってしまうのです。最後はまたそこにいくと思うのです。手当の形を整えたとしても、では、一番高いところの手当に相当するのはどうやって決めるのかということになりますと、大臣が認定するのか、そうではないのかという議論になってしまうと思うのです。そこで振り出しに戻ってしまう議論になってしまうという気がいたしますので、大臣が認定する疾病というものを残しておくと、それはずっと争いの種になっていくのではないかという心配をしているものですから、それはなくそうではないかということを合意していただきたいなということで何回も何回も主張してきたのです。
 司法の行政の乖離というのは何かといったら、手当を出す、出さないで乖離があるのではないか。行政の医療分科会の判断でこの病気は認定できませんと出たものが、行政ではそれを認定しなさいという判断なのです。だから、疾病をめぐって乖離があるわけですから、お金の問題ではないので、行政と司法の乖離を埋めようということであれば、まずそこから入らないと本質的な議論にはならないというのが私の気持ちです。
○神野座長 もう一度、高橋委員、どうぞ。
○高橋進委員 おっしゃることはわかります。確かに手当というのはしょせん結果ですから、その前に症状についてどう判定を認定するのか、それとも判定するのか、あえて言葉を分けさせていただきますが、症状をどう見るかというところが問題だと思いますけれども、その観点に立つと、田中委員のおっしゃっていることは、要するに被爆者であれば放射線の影響は必ずある。したがって、病気は全て放射線あるいは被爆に関連しているということになってしまいますので、ここのところはほかの委員の方と折り合うことは相当難しい部分ではないのかなと思うのですけれども、そこはいかがでございましょうか。
○神野座長 高橋委員からも言っていただいているような形で少し中間とりまとめのときも御了解いただいたように、高橋委員は最終的に議論を詰めていって、結果として制度そのものを根本から否定せざるを得ない場合にはしようがないということだろうと思いますますので、議論の進め方としては、乖離を埋めるべく行政の判断の在り方を含めて検討していって、その基準がいよいよもって立法的にそこを直さないとだめだという結論に達したときにそちらの方向に行くということでまとめさせていただいたらと思います。
 したがって、ここで議論するときに、結果としてここに御出席の委員の方々がそういう立法的な改正をせざるを得ないということで一致するのであればいいかと思うのですが、事前にその判断を先にやるということは、それぞれ委員で中身を尽くしていくというプロセスがないまま最初にあれかこれかということをするのではなく、後からということで、今、高橋委員が御説明していただいた方向で私は一応了解いただいていると思っております。
 結局、議論をしていく過程で、その問題は条文改正でないとクリアできないのだということを御指摘いただいて、それを皆さん納得できればそういう方向に行くということで中間報告も交わさせていただいているつもりでございますので、議論の進め方はそうさせていただければと思っております。
 つまり、最初にここで多数決を取るというわけでもありませんが、そこをまず決めてしまうということではなく、個々の論点について論議を尽くした上で判断したいというような仕方を取りたいと思っております。よろしいでしょうか。これは中間とりまとめをいただいたときもそのような方向で御理解いただいていると私は了解しております。よろしいでしょうか。
○田中委員 どうしてなのかというのが私はわからないのです。
○神野座長 個々に詰めていかないと。
○田中委員 原爆症認定というのは疾病を大臣が認定するということなのですか。
○神野座長 そうです。
○田中委員 そのことが決まらないで何が議論できるのですか。
○神野座長 決まらないでということではなく、そうしたことをもって生じている司法的な判断と行政的な判断の相違を埋めていくためにどうしたらいいかということでの。
○田中委員 司法と行政の違いは、疾病で違っているわけです。それが乖離なのです。
○神野座長 疾病で違うという意味は、疾病の判断ということですね。この症状でという意味ですか。
○田中委員 がんの場合は、距離があって制限があって2つに分かれますけれども、それ以外のいろんな病気を司法は認めているわけですね。認定すべきだと言っているわけです。ところが、行政は必ずしも認定しないわけです。それはどうしたら埋まるのかといったら、やはり認定の疾病というのは何かという議論をしないと埋まらないのです。埋める、埋めないというのは手当ではないと思うのです。
○神野座長 草間委員の意見もアジェンダとして手当が入ってそれを取り上げてやるべきではないかとおっしゃっているだけで、今、疾病について議論をしていくということは否定しているわけではなくて、アジェンダはいろいろあるでしょうと。ただ、1つのアジェンダとして手当の問題というのを横軸を入れて議論していくべきではないかという御主張だと思います。つまり、手当で全部判断してしまってということではないですね。
○草間委員 ないです。いずれにしましても、手当だけではなく、医療給付とか現物給付的なものもあるわけですので、そういったものも全部を含めて前の中間報告の中にもあるように、やはりバランスを考えてやっていきましょうということです。確かに疾病によって、現在、分科会で基準が違うというのは当然なのだろうと思うのです。なぜかというと、分科会は放射線起因性を重視してやりましょうという形でやって、司法は必ずしも放射線起因性というのは科学だけでは判断できないからといって司法判断をしているために乖離が起こってきているのだろうと思うのです。
 だから、そこのところをどう埋めていくかという議論は、ここで徹底的にすべきなのだろうと思うのです。私が申し上げているのは、決して予算を縮小しましょうとかという意味ではなくて、今、原爆にかかっている手当だけではなく、現物給付的なものも全体を含めて、いずれにしてもそんなに青天井でできるということがあるわけではないので、枠の中で私たちは考えていかなければいけないのではないかと思います。枠の中で考えていくときに、それが全てではないのですけれども、1つの判断基準を作る目安になるのではないでしょうか。原爆被爆者の方たちも本当に高齢化している中で、原爆に国がかけられる予算の枠がわかって議論したらどうでしょうということを申し上げただけのことで、決してそれで縮小しましょうとかを提案しているわけではないことは御理解いただきたいと思います。
○神野座長 どうぞ。
○荒井委員 これまでの議論で、2つ、問題の指摘があると思います。
 予算問題については、田中委員の御指摘のこともよくわかりますし、先ほど来の草間委員の御説明で、つまり、中間とりまとめの段階でも予算といいますか、財源問題について我々は念頭に置く必要はあるということは恐らく共通認識で、ただ、それをまず枠の中で議論しようというのが本末転倒だという議論がございましたので、そこは今はもうよろしいのではないでしょうか。確認はしていかなければいけないということは草間委員も御指摘のとおりで、それは私も同感でございます。もっと大きい問題は、田中委員が後で御指摘になりました、要するに放射線起因性という枠組みをベースにした制度でいいのかどうか。それは方向性の整理の資料4で整理していただいた考え方3つのうちの最初の1の考え方ですね。今の制度全体が破綻しているかどうかということを田中委員のお話を伺っていましたから、まずそこを決めてしまうように聞こえているのです。
 制度が破綻しているかどうかとか、起因性から完全に離れることができるかどうかという議論が中間とりまとめまでの十数回の議論の中でかなり議論をされていると思うのです。それをさらに、言わばどちらにするかを決めてしまうというのはちょっと早いのではないでしょうか。言ってみれば、この3つの案の1の是非を最初から、23のあとの2つの考え方を抜きにして、まず1だけの当否を検討しようではないかというのと等しい御意見のように聞こえるのです。
 だから、私は整理していただいた大枠の3つというのは、これまでの議論の整理として大体ここに収まっている。ただ、それぞれの案についての中身が必ずしも明確ではございませんね。それをお互いにそれぞれの案についての内容をもうちょっと深めていくとか、確認していくという作業が必ず必要ですね。
 さらに、それぞれの3つの考え方についてどういう問題があるのかどうかの検討も必要があると思う。そういうことを議論していく中で、幾らか共通項が少し広がってくる可能性もある。あるいは違いは違いで、はっきりもっとこれは違うなという認識ができる部分が広がっていくと思うのです。そういう進め方でよろしいのではないでしょうか。つまり、結論的には先ほどの高橋進委員の御指摘の取り組み方、検討の進め方でよろしいのではないかと思います。
○田中委員 破綻しているという言い方もしましたけれども、危惧をするのです。今の問題が本質的に解決しないで行ってしまうということについての危惧がある。というのは、今の認定制度が残っていると、それを争うことがどうしても起こってしまうのではないかという心配があるので、今の認定制度をきちんと議論してからでないと手当の議論などはできないのではないか。
 言い換えますと、司法と行政の乖離というのは何か。乖離を埋めようという合意ができたということになっているわけですね。埋める乖離というのは何か。埋めるものは何かといったら、手当だとかそういうものではないような気がするのです。どの病気を認定できるか、どの病気は認定できないかということで乖離が埋まるとか埋まらないとかという話になっていくのだと私は思うわけです。その議論を最初にするのが大事ではないか。その議論をするということは、まさに10条、大臣が認定する病気は何かということを議論することになりませんでしょうかということを申し上げたのです。
○神野座長 高橋委員、どうぞ。
○高橋進委員 手当と申し上げたのでよくなかったのかもしれませんが、要するに疾病をどう判断するかということの結果として手当というものが出てくると思いますので、手当の形を議論するのではなくて、疾病をどう認めるかどうかというところの議論がもちろん最初にあって、その上で手当の額だとか範囲だとかというものがその後決まってくるということだと思います。そこは議論として最初から手当の議論をすべきではないというのは共通項ではないでしょうか。私の申し上げ方が先走って申し上げたら、そこは誤解でございます。疾病のことをきちっと議論すべきだと思います。
 その上で、先ほど争わないこととおっしゃいましたけれども、確かに争うことで時間を費やし、どんどん被爆者の方にとって不利な状況になっていくというのは当然承知しております。ただし、一方で、争わないで何でもかんでも決めてしまうということが、今度は逆に国民の納得を得ることにつながるのかということも考えないといけないと思うのです。
 先ほど国民の理解を得られるといったときに、予算の規模とか制約という御議論がありましたけれども、私は個人的には予算の制約だとか規模というのは参考程度にはするかもしれないけれども、先にそれがありきでは全くない。ただし、国民の理解ということを考えるのは、要するに国民にとってこの制度は納得性があるか、国民一人一人が公平な制度だと感じるかどうかというところがむしろ問題だと思うのです。そのためには、制度は透明性がなくてはいけないので、争わなければ全部透明性があるとは言い切れない。あるいは争うから全部だめだということにはならないと思います。
 そういう意味では、争う、争わないではなくて、本当に必要な人に必要な認定ができるか、あるいはその人をカバーできるかということで疾病のことについてこれから議論すればよろしいのではないかと思うのです。
 結果として、認定では救済できないということであれば、認定制度そのものを変えるということの結論をこの場で出してもいいのだと思うのですけれども、そこは大体皆さん認定制度ありきとはお考えになっていないと思うのですけれども、いかがでしょうか。
○神野座長 石委員、どうぞ。
○石委員 若干別な角度から議論をしたいのですけれども、いろいろな形でベースが違う方がここに集まっているわけですから、一定方向に行くということはまずあり得ないですね。
 方向性は3つ出していただきましたけれども、私は結論的に言うと、よくできていると思います。これまでの我々の十何回の議論を、いろいろ違った面もあるし同じ面もある中で、骨太とは昔大分使った言葉だけれども、骨太に言うなら、この3つの方向で、恐らくここにおられる十何人の委員の方の何らかの意見は反映して、濃淡があるとは思います。方向1だけではだめだという人もいるだろうし、下げなければいけないだろうという人もいます。現行の制度を否定するか、否定しないかというところは、私はさほど大きな問題ではないと思って、疾病の認定だって、この方向性1では難しいだろうと言っているし、方向性3では相当程度判断が固まっている場合には行政認定に入れろとはっきり尺度、物差しを一応認定についても示しているわけだし、その2というのは、中間的な意味でグレーゾーンについてはなかなか決着がつかないから新しい仕組みで対応できないかという形で、いろんな角度からいろんな意見が出てくると思うけれども、3つの方向性に沿って我々は議論しないと、いつまでたっても同じところをぐるぐる回ってしまうのです。
 議論というのはリファレンスポイントがないと議論しにくい。そういう意味では、私は3つを軸にして、さらにこの3つについていろんな形で中身を確かめたいということもあろうと思いますし、今、問題になっている国民の理解とか財政の問題とかというのは当然入れて考えるべきだと思います。
 予算とか財政とか、入ったとたんに議論がおかしくなるという議論が起きていることがおかしいので、やはり国民の理解云々というのは納税者の背後にいるわけですから、それは理解してもらわないとどんな案を出してもまただめなので、金目の問題はある。例えば1が否定されるとかになってはまずいのですけれども、少なくともそれは頭の中に入れて議論しないと、国の制度ですから、政府の責任があるでしょう。したがって、政府が国民に対して責任を持っているわけですから、それなりの意見はちゃんと議論する方向で行くべきだと。
 急に3つの方向について議論が集約できるわけでは到底ないと思いますけれども、この3つの方向性の中身についてわからない点については、あるいは自分の思っていることとあの人が思っていること、例えば方向1といい、方向3といい、同じ方向で考えていても食い違う面も出てくるかもしれませんが、少し戦術的議論をすべきではないかと思いますけれどもね。
○神野座長 どうもありがとうございます。いかがでございましょうか。
 山崎委員、どうぞ。
○山崎委員 司法の判断を仰がなくても済むようにしたいというお気持ちはわかるのですが、それが本当にいいことかどうかわからないので、恐らく方向としては、できるだけ裁判に持ち込まなくてもいいように認定を改善するということだろうと思っております。
 もう一つは、この方向性1について、現在の健康管理手当相当のものを全員に、被爆者(手帳所持者)全員に支給するということなのですが、事実上、今、健康管理手当は全員に出ているのと同じくらい広がりを見せていると思っております。
 今時点では手当を受けていなくても、生涯を通せば恐らくほとんど全員の方が受けられる程度の手当になっているのではないかと思います。もし今の健康管理手当の問題があるのであれば、そういう争いがあってもいいのではないかと思うのですが、私は聞かないです。健康管理手当が出ないからおかしいという大きな声があるのかどうか。むしろそこのところはお聞きしたいぐらいに思っています。
 ですから、今でも事実上は実質的にほとんどの方に手当が出ていてという、それをあえて全員に被爆者手帳を所持すれば基本的な手当を支給するというのは、そこまで変える必要があるのかという気がするのです。
○神野座長 どうぞ。
○田中委員 私どもが提案しているものが通らなければ争いが起こるということを言っているのではないのです。今の原爆症の認定の在り方がそのまま残ってしまうと、ずっと裁判になるような事態が起こるのではないか。だから、それをなくす。なくすのだったら、全体を見直した方がいいのではないかというので提案になっているわけです。私どもの提案についても、全体が提案どおりでなければいけないと決して思っているわけではないのです。だけれども、認定の在り方については、今までいろいろ議論しましたけれども、やはり裁判が起こってしまうのではないかという危惧は今もしています。
 というのは、なれた委員の先生方、どうなのでしょうか。今の原爆の認定、司法で改善すべきだという認定はどういうふうになさるだろうかという心配があるのです。司法が認めよと言ったのは、大臣の認定ができるのかできないか。今までの議論ではできないという議論だったと。別の言い方、例えば草間先生が言うように、原爆起因性みたいな概念を入れてくれば何とかなるかもしれないというお話もあったし、グレーゾーンというお話。グレーゾーンというのは認定とどうなるのか。グレーゾーンを認定するのかどうか。グレーゾーンに入る疾病を認定するのかどうかという問題が出てくると思うのです。
 だから、今までの認定の制度というのをどう変えられるかということで私が納得できるような御説明があればいいのですけれども、今のままの認定だったら今のままの認定でいくのではないか。そうすると、今もまだ裁判が続いていますけれども、新たな裁判。そういう格好で改善ができないのではないかという心配があります。大方は今の制度でよろしいのではないかと思ってらっしゃるのではないかと思うのです。
○神野座長 高橋委員、専門家から、どうぞ。
○高橋滋委員 今までお聞きしていましたけれども、既に一つ一つの選択肢についての具体的な議論に入ってきているのではないかと思います。また、私自身は、それぞれの選択肢についてまだ抽象的な段階で、その理念に従ってどうやって国民に御説明できる制度として、矛盾なく執行可能な制度とするのか。そこまで詰めた上での選択肢をきちんと国民の方々に提示するのが我々の役目だと思っています。したがいまして、3つの選択肢があるということは一応認めた上で、その上で、実際上1について御議論されたいのであればそれで御議論いただくという進め方がよろしいのではないかと思います。現に1についても私はお聞かせいただきたい部分もいろいろありますので、是非そういう形で3つの案は3つの案としてあると確定する。これを前提にこれから具体の選択肢について議論していきましょう、という形でそろそろ議論を進めていただきたいなと思います。
○神野座長 わかりました。それはよろしいですか。3つの案とこだわっていただかなくてもいいのですが、いずれにしても少し具体的なフェーズに入っていく手かがりとして大体3つぐらいの方向性があって、これはそれぞれ詰めていけばお互いに重なり合っていく場合もありますので、そういう方向で運営をさせていただくということでよろしいですか。
 坪井委員、どうぞ。
○坪井委員 1案、2案、3案といいますか、方向性が出ているわけですね。問題は原爆症というのがはっきりわからないのです。わかっていたら見やすいのです。それに照らし合わせてね。ややわかっているからその範囲でやっているのです。それは大家もおられますのでね。医学のほうで原爆症とはこういうものだとはっきり定義できていないのだから、これもらしい、これもらしいとかと言っているだけだと私は思っている。
 だから、そういうやり方であるから、どうしてもいろいろな小委員会をつくって、そこで当てはまるかどうかをやって大臣のところへ行くわけです。大臣はそこに入っていませんよ。権限を委譲しているように思うのです。
 そうしますと、一番もとはどうかとなる。被爆者とは何であるとか、被爆者はどういうように決めたのかに行くのです。それをほじくり出したら、そのときには我々は皆死んでいる。
 ということで、例えば司法がこう出したと。しかし、見方によっては、あるいは個々の問題であって、行政を動かすだけのあれではないという人もおるのだから、我々は反対になっていてもそれはだめだとかと言っても、そういう人たちを全て理解させる。
 だから、1案であったら私はどうしても法を変えなければいけない。そうすると、議員さんにも一生懸命やっていかなければいけないです。我々だけで変えるわけにはいかないですから、いわゆる認定制度をやめるのならばやめる、ほかの方法で行くというのだったら法を改正しなければいけません。そうなったら、法ができるように理解させなければいけないです。また何十年とかかると私は思う。
 3つぐらいの案があるでしょう。その辺が何とか共通の部分を出されないかと言っているわけです。余り厳しく厳しく言うと、根がそういうような勉強をしてきたのですから厳しくやるほうなのですが、それでは人間の世界ではないような気がする。厳しいだけが能ではないですから。どこでどのように我々委員が考えるかということが大事だと思います。そういうことですから、言葉も何も厳しく行き過ぎると動きが取れないと思っているのです。
○神野座長 あといかがでしょうか。
 潮谷委員、何かございましたら。
○潮谷委員 第1点に関しましては、被爆者援護法の第10条、第11条に基づく認定制度は破綻しているという田中委員たちの御意見があります。そこのところを例えば議論を通して現行制度をよりよいものに構築し直していくというような方法論、これはこの中で論議をしていくということについて、もう無理だとお考えでございましょうかというのが1点です。
 方向性についての2のところでグレーゾーンの問題です。この図式の中にグレーゾーンが加えられて判断するとなっているのですが、まさにグレーゾーンというのは裁量が非常に及んでいくところになっていくので、この積み上げのところのグレーゾーンというのにはやはり客観性と理論的な裏づけ、そういったようなものが危惧されるというような思いを抱いているところです。
 もしよろしければ、田中委員のほうから少しお聞かせくださればと思います。
○神野座長 田中委員、よろしいですか。
○田中委員 心配しておりますのは、大臣の認定になっているのです。大臣の認定の後に放射能の起因性が認められない場合、別の裏返しの言い方をしていますけれども、結果的には放射能の起因性が認められなければいけないと今の法律はなっているのです。そのことをめぐって随分議論をさせていただいたのです。放射能の起因性というのは放射線の起因性であって、科学的な知見、到達点がある。その到達点に従って厚労省は判断してきたということは今まで変わらなかったのです。それをどうにか変えられないかという御意見は残念ながらなかったのです。それはそれで科学的知見によって判断しないといけないのだと、別の手当について長瀧先生は別の発言をされますけれども、認定のところで知見が根本にないといけないとおっしゃいます。そうすると、今までの認定とほとんど同じだと考えるわけです。
 それが今まで裁判ではそうではないだろうと言われた。もっと総合的に考えて、広く認定すべき疾病、症状があるのではないかというのが司法の判断だった。それはどうやったら大臣の認定の基準の中に入れることができるのかという議論は実はないのです。グレーゾーンというのは、そういう判断のグレーゾーンではないと理解しているのです。手当に関連するグレーゾーンであって、疾病の判断のグレーゾーンではないと思っているのです。だから、そのところは今までいろいろ議論しているけれども、本質的には議論されていないので、そこから議論していただけませんかというのが先ほどから言っている発言なのです。
○潮谷委員 確かに現行制度が残っているということによって、これは認定制度を通して却下された方々が裁判に行くという懸念性は私もあるのではないかと思います。そして、個別性ではありますけれども、司法の中でグレーゾーン的な個々のケースというのが積み上がっていくのではないかと思うのです。
 しかし、その一方でこれを見直しした場合に、過去に認定制度の中で救済されてきた方々との整合性をどのように担保していくかのという、大変大きな課題が残ってくるのではないかといった懸念を私自身は抱いております。今回のとりまとめの方向ということで申し上げますと、何とか認定制度は破綻しているということではなくて、もう少しよりよい方向性というのが見直されていくような英知が出てこないものか。ではあなたはどうかと言われると、今、私は本当に頭の中がぐるぐる回っているみたいな状態なのですけれども、そういう思いを抱いているということです。
 以上です。
○神野座長 ありがとうございます。
 どうぞ。
○三藤委員 前も発言させていただいたことがあるのですけれども、やはり税を使ってやるからには、一定の基準なり明確な根拠なりを求めるということは自然な流れだと思います。そういう意味では、認定制度というものの中で一定程度やっていくということは、おかしい内容ではないと思っています。
 ただ、現在、乖離が生じているのは、制度の方に問題があるのか、それとも放射線起因性が証明しがたいとか、科学の限界があるのだということでグレーゾーンと先ほどから発言がなされている部分が発生しているのだと私は認識していますので、まず認定制度云々の議論をする前に、その部分に対して何らかの解決方法ができないかどうかという議論はしていいと思うのです。
 その議論をする中で、現行制度を残したままで解決が全く出てこないということであれば、それは制度改正ということも視野に入れて議論する必要があると思いますけれども、両方今のところ明確な議論が進んでいませんので、まず両方とも議論を進めていただければ答えがでてくるのではないかと思っています。
○神野座長 ありがとうございます。
 高橋委員、どうぞ。
○高橋進委員 私も同じ趣旨でございますが、やはり2のことを考えるときに、放射線と病気との因果関係の議論もありますが、もう一つ、残留放射線についてもやはり確定した知見はまだなかったと記憶しております。そもそも内部被曝がどうなのかということもありますが、同時に、今となっては残留放射線を浴びたのか、浴びていないのか、その程度がどうなのかということも証明できないということも頭の中に入っております。したがって、そういうことも含めて例えばグレーゾーンをつくるときには、手当先にありきの問題ではなくて、疾病だとか残留放射線について意見の違いがある、あるいは判断に限界があるということを考えながら議論をしたらいいのではないかと思います。
 大体皆さん委員の方は、どれにするかということを全て決めておられるわけではなくて、この議論を通して、もし1しか、それしか答えがないということになれば私は認定制度そのものを変えるという結論になってもいいのだろうと思いますし、そこは最初から決めつけないで、少しどこを詰めるべきなのかということでそれぞれの項目について議論していけば当然違いもわかってくるし、似ている点もわかってくるので、歩み寄れるのではないかと思うのです。
○神野座長 ありがとうございました。
 長瀧委員、何か御発言があればどうぞ。
○長瀧委員 今のところ皆さんの御意見に従って進めたいと思います。
○神野座長 あとよろしいですか。
 どうぞ。
○田中委員 私も高橋先生がおっしゃることでいいと思う。ですから、グレーゾーンを認定の範囲の中に入れようと、今までグレーゾーンという話がいっぱい出たわけですから、草間先生が原爆起因性みたいな考え方を導入したらどうだろうかという御発言もあったり、面白い考え方かなと私も思ったのですけれども、それで放射性起因性を除いてしまって、全体を原爆起因性で認定するということになれば、今のやり方とは全然違うわけです。だからそういうふうに行けるということであればまた議論しましょうということに、何を原爆起因性と言うかどうかという議論に進めるのですけれども、そうはまだなっていないと私は思っているのです。
○神野座長 ありがとうございます。
 草間委員、何かございますか。
○草間委員 私は以前に原爆起因性を提案したことがあるかと思うのですけれども、これは放射線起因性といったときには科学的な判断でやっていただかないと、原爆だけではなく、例えば同じ厚生労働省の中で職業病認定等も放射線起因性があるかどうかということで判断されておりますし、これから福島で働いておられた方たち、あるいは被曝した住民の方たちのさまざまな問題が出てくるのだろうと思うのです。
 そういったときに放射線起因性というと原爆の場合も科学的に判断していただかないとさまざまなところに拡大していってしまうという可能性を危惧しましたので。原爆被爆者に関して、一般の福祉の考え方とは違いますよということに関しては、国民も含めて皆さん一致していただいていると思うのです。国民に理解していただくという点も含めまして、原爆起因性というと、またほかに拡大する可能性がなく、原爆症の認定の中で閉じた議論ができるので、それはどうでしょうかという形で提案させていただいたのです。
○神野座長 ありがとうございます。
 荒井委員、どうぞ。
○荒井委員 草間委員に質問させていただきたいのですが、放射線起因性というのか、原爆起因性というのか、言葉だけの問題ではなくて、端的に言えば従来で言うところの原爆症認定において、やはり放射線起因性ということを考慮していますね。放射線起因性から離れていいという御意見なのですか。
○草間委員 放射線起因性ももちろん含んでおります。疾病に注目したときに、健康管理手当は疾病があればほぼ全ての疾患に関して健康管理手当をお出ししているわけです。がん以外の疾患に関して放射線起因性という新たな報告書が出たわけですけれども、全ての疾病が放射線と関係している可能性があるとの前提です。
 原爆起因性といって考えると、原爆というのは必ずしも放射線だけではなく、科学的に言うと放射線の原因、起因性は15%くらいで残るような工夫とか熱線とかさまざまなものがありました。先ほど放射線起因性でない場合は云々と書いてあるということだったのですけれども、それに対する私の認識はケロイドの問題だと思っています。ケロイドそのものは放射線起因性ではないので、原爆による熱線で受けた傷害の治癒過程が遅れるということで、ケロイドを昭和30年後半から40年にかけて救済するというときに使いましょうといって出てきたと私は理解しているのです。
 いずれにしましても原爆起因性という形になれば、医療費という形で現物給付している。その上でさらに手当を出すということは、どちらかというと精神的なものも含めた手当と受け止めると納得がいく部分があります。放射線起因性というと放射線の被曝との因果関係を科学的に示す必要がありますけれども、原爆起因性となるともう少し広くいろいろ精神的なものも含めて考えられるということで考えていて、放射線起因性と原爆起因性は別な尺度で考えるべきだと考えています。
 だから、かつて放射線起因性の判断基準としてPCというのを提案させていただいて、しばらくの間判断していただいたわけです。がんに関して放射線起因性について判断しましょうというと、1つの判断基準として今の科学の中ではPCというような数字は1つの基準だろうと思って提案させていただいたのです。PCに関して金沢先生の委員会で基準としてよいという形になったのですが、自民党のPTでひっくり返されてしまっているわけですね。それは使いませんという形で。原爆起因性というと科学だけでは判断できないたくさんのものを含んでいますということになると思っております。
○神野座長 どうぞ。
○荒井委員 詳しいことを十分理解できていないかもしれないですけれども、要するに原爆症認定制度から放射線起因性を捨てろという御意見になるのではありませんか。
○草間委員 放射線起因性を捨てるという発想はありません。放射線起因性を捨ててしまうと、これはまたほかの戦争被害にも関係してくると思うのです。かつて昭和50年の初めくらいだと思うのですけれどもね。
○荒井委員 詳しいことは置いていただいて、放射線以外に原爆に遭った人たちの病気なり障害の原因というのは爆風なりいろいろあると思うのです。しかし、原爆症認定制度というのか、原爆症対策というものが出てきている一番ほかの戦争被害と違うところは、これまで繰り返しになりますけれども、放射線起因性というものから離れられないというのが1つのこれまでの考え方です。
 捨てるわけではないのだけれども、ほかの要素も考慮したほうがいいという御意見なのか。お伺いしていると、放射線起因性を捨てると聞こえるのですけれども、違いますか。
○神野座長 潮谷委員、先に。
○潮谷委員 私は草間先生の提案の中で、原爆起因性という中の1つとして放射線起因性もあるということで、領域的には広がるし、これまでグレーゾーン的な形で出てきたことも含めて原爆起因性という形になれば広がっていくという提案ではないかと思ったのです。
○草間委員 だから、今、潮谷先生が言われるように、放射線起因性を捨てるということは全く考慮しないということではないのです。先ほど言ったように、ほかの戦争被害とどうするかということをきっちり明確にしなければいけないというのは、かつて私も原爆には長いこと関係していまして、御園生先生が関係していたころ強く言われたのです。
 そういったことを考えたときに、長瀧先生も同じお考えだと思うのですけれども、グレーゾーンというのはどう考えても科学ではないのです。そうなると、原爆起因性という形でやれば放射線起因性も入り、さまざまなものが入っていくのではないかということで、そういったことで提案させていただいているとお考えいただくといいかと思います。
○神野座長 山崎先生、どうぞ。
○山崎委員 私が提案したときには、現在の認定制度の上では原爆症と言えないけれども、それに準ずる状態のものとしてという言い方をしたのでございます。それを第二種被爆者としてはどうかということで、基本的に同じではないかと思います。
 原爆症とは言い切れないけれども、放射線起因性も完全には否定できないと思っております。ですから、原爆症という言葉を基本にすればそれに準ずるというものがあるのではないか。そういうものとしてグレーゾーンを置いたらどうかというのが私の提案です。
○神野座長 田中委員、どうぞ。
○田中委員 山崎先生のお考えはよくわかりました。そうなると、10条の法文をなくさなくてもいいのですけれども、放射能の起因性が認められない場合、そこは変えないといけませんね。そうでないと認定制度は残るわけです。山崎先生は恐らくグレーのところも含めて認定の範囲に入れればいいのではないかというお考え。そうではないとしたら、認定制度とはまた全然別になってしまいますね。
○山崎委員 それはどういうことなのでしょうか。認定審査会で準ずるものまでも認定の対象にする。原爆症とは言えないけれども、可能性を否定しきれない部分までも審査会にかける、こういうことはあり得るかどうかよくわかりませんが、何らかの行政判断は必要だと思います。
○神野座長 どうぞ。
○田中委員 それだったら、そこのところは法律の10条を変えましょうでよろしいのですね。10条を変えないと医療分科会で認定できませんね。
○山崎委員 全く今の法律をいじらないということで我々はやっているわけではないと思います。ですから、必要ならば法律の改正。
○田中委員 わかりました。
○神野座長 長瀧委員、どうぞ。
○長瀧委員 原爆の影響と放射線の影響が明らかに違うというのは、例えば東大の先生が福島は原爆の200倍の放射線があったと除染の話をされました。原爆の200倍というのは、放射能だけで200倍なのですけれども、20万人亡くなった原爆の200発は東北の方がみんな亡くなってしまうぐらいの影響なのです。ところが、放射線だけ取り出すと、福島は放射線原爆の200倍だという計算もできてくる。非常に放射線の影響と原爆の影響が違うということは間違いありません。
 ただ、その中で東京大空襲と原爆と被爆者を区別するために放射線の影響というものが出てきて、放射線の科学がわかってきたらいっぱい矛盾するところが出てきた。しかし、行政の方は科学的に放射線の影響というところで枠を決めている。
 ところが、裁判は放射線の影響だけではなくて被爆者の援護というような感覚も含めて原爆症と認めるということになってきているので、まさに放射線ではなくて、原爆の影響ということになってきたように思います。被爆者援護を今回どう扱うかということが問題、皆さんの御意見だろうと思うのです。
 放射線の影響と原爆の影響が物すごく違うし、司法のほうは原爆の影響も含めて援護しようと思えます。放射線に基づいて行政が決めた規格と原爆ということで援護しようという司法とがどうしても乖離ができてしまうというような印象でとっております。
○神野座長 両高橋委員で、まず向こうの高橋委員、どうぞ。
○高橋進委員 今のお話で教えていただきたいのですけれども、原爆の影響といったときと放射線の影響といったとき。では、原爆による放射線の影響以外に原爆の影響というのはどんなものがあるのか。先ほどの熱量というお話が出てケロイドができるとかということがありますが、それ以外にどんなものがあるのか教えていただけますか。
○長瀧委員 原爆の影響、日本では原爆を全然つくったことはありませんし研究もしていないということで、日本の原爆と同じようなものをアメリカが実験した。その実験の結果を持ってきてこれが原爆だと言うしかないわけです。
 それで言うと、少なくとも50%は爆風のエネルギーである。あるいは35%は熱線の影響だと。ですから、原爆の影響というと大部分が爆風であり、熱線であり、だから全部家が壊れてたくさんの方が亡くなって、それは原爆の影響です。その中で放射線の影響も当然その中にあるし、亡くなった方の中のあるパーセント、今はもうわかりませんが、何人かは放射線の影響で亡くなった。それは確かなのですが、放射線の影響だけを原爆の影響と考えるのかという、原爆の援護というときに初めからそこで放射線を取り出した。これは社会的な問題であり、政治的なといいますか、科学とは別のところの尺度で決められましたので、それを今度放射線だけ取り出して、科学的にこの影響が原爆症だということでいろいろと矛盾が起きているのではないか。ですから、そこをベースにしてどういう議論をしていくかということだと思います。
○高橋進委員 済みません、もう一点だけ。そうすると、今、原爆の影響とおっしゃった中には、例えば日本の広島と長崎の原爆をお受けになったことによる極めて悲劇的な経験をされたという精神的な心の問題というのは、今おっしゃった中には入っていないということでよろしいのですね。
○長瀧委員 放射線の影響と原爆ということで、放射線によって亡くなった方と放射線でなくても自然に亡くなった方との区別が科学的につかないのです。ですから、全て亡くなった方は放射線で亡くなったとずっと日本で言い続けている。ですから、国民の中に放射線でみんな亡くなるのだとインプットされていますから、そういう中で暮らしてきた被爆者の方をどう援護するかというのは今の段階で出てきたものではないか。精神的といいますと、60年間そういう状況で過ごしてきた方たちの援護をどう考えるかということになるかと感じています。
○草間委員 よろしいですか。
○神野座長 ちょっと待ってください。今、高橋委員に行きますので。
 それから、荒井委員、草間委員と行きます。最初に法律の問題もかかっていますので。
○高橋滋委員 繰り返し申し上げますが、3つの方向性は認められた上でこういう議論をしているのですね。そこはもうよろしいのですか。
○神野座長 後で私のほうで確認しようと思いますが、今、私の頭の中にあるのは、今のところそういうふうに全員が御理解いただいているかどうかわかりませんが、私の運営としてはそういうふうにまとめようと考えています。
○高橋滋委員 わかりました。その上でないと具体論に入りづらいので。
 いろいろと新しい制度設計をするというのに全く私もやぶさかではなくて、ある特定の考え方が採用されればそれをどうやって法律に現実化して、矛盾なく執行できる制度を考えるかというのは法律家の1つのここにいる役割ですから議論したいと思っていますが、今の話を聞いていて、原爆起因性といって変えた場合、例えば今の老齢化されて苦しんでおられる方の慰撫について、違うことが出てくるのかというのがよくわからないのです。
 本当にそういうことで健康ということで切ってきたものについて慰謝料的なものを入れるのであれば、制度を変えないといけないと思うのです。そこは要件そのものをがらっと変えるという話になるので、原爆起因性といったことで何が変わるのかということは、変えるときの非常に大きな議論をしないといけない点だと思いまして、どう変えるのか具体的な話をもうちょっと詳しく言っていかないと、私としてはなかなか納得できないし、さらに言うと、制度そのものが変わってしまうという危惧を持っています。
○神野座長 余り大きく制度そのものを全否定してしまうと、今度はゼロから白紙に制度を描きますから、どういう状態になるのかというのは討論してみないとわからないということになってしまいますのでね。
 ちょっと待ってくださいね。高橋委員の意見はそれでよろしいのですか。
○高橋滋委員 そうです。
○神野座長 どうぞ。
○荒井委員 私も後の高橋委員の御意見に共通するところがあると思うのですが、問題は原爆起因性というか放射線起因性というか、いずれにしても疾病を前提にした議論でないと、精神的損害にまで広げるというのは全然想定外の話になってくると思うのです。
 そうすると、疾病に関して言えば、原爆起因性という言葉を使った場合に、これまでの裁判例を含めてどこまで広がってくるか。例えば熱線の強さということが話題になりましから、言ってみればケロイド的なものをどう考えるのかという辺りは私でも関係してくるのかなとは思うのですが、もうちょっとそういう意味でそれぞれの考え方のイメージを明確にさせていかなければいけないかなと。
 2番目は、山崎先生は御退席ですけれども、グレーゾーンという場合に若干まだそれぞれの御意見のイメージが違うと思うのです。手当を中心にグレーゾーンと考えられてきたのではないかという御意見が先ほどどこかからあったと思うのですけれども、ただ、そこは必ずしもそうではないので、分科会といいますか、厚生労働省としてこれまで医療分科会では放射線起因性がないといったものが線量中心の考え方で、それが裁判に行ったら認定されてしまう。そこのギャップを放射線的にはちょっと低いかもしれないけれども、それをそのままにしておいていいかという辺りのイメージだろうと思うのです。
 ただ、私が1つ申し上げておきたいのは、ワンランク増やすというのは魅力的なのですけれども、これまでも申し上げたのですが、考えてみると従来の放射線起因性の考え方を前提にし、かつ健康管理手当を前提にして、中間くらいのグレーゾーン的なものをどういう要件で認めていくかというのは具体的に考えていくと随分難しい話だと思うのです。
 その1つの例が、高度の蓋然性ということで裁判が拾っていってと。そうすると、中程度の蓋然性というのがあるのではないかと、割合わかりやすいように思うのです。裁判で言うところの高度の蓋然性というのは、起因性、そこの因果関係を見ていく場合に、高度の蓋然性がなければだめだということであって、それよりも下の蓋然性という場合は、結果的には起因性はないという判断なのです。だから、それは制度の在り方としてもうちょっと低いところでもいいではないかという考え方はあり得ないではない。だけれども、今まで言われてきた高度の蓋然性があるのだから、中程度とかの蓋然性でも拾っていくべきではないかというのは違うのではないかということを申し上げたいわけです。
 やはり出発点に戻ると、放射線起因性というものにいろいろ限界があるのはわかるのですけれども、極力そこを認定しやすいような、科学にかかわる方々も余り悩まなくていいように、もう既に現在の仕組みでも、そういう意味では長瀧先生、これまでもしばしば御指摘のとおり、科学の面から言うと、はるかに飛び越えているということは十分念頭に置いてこれからの制度を考えていかなければならないのではないか。
 ちょっと長くなりました。
○神野座長 ちょっと待ってくださいね。順番からいって草間委員、どうぞ。
○草間委員 先ほどの原爆症と言ったときにどこまで入るのですかという議論ですけれども、いずれにしましても、熱線、爆風、放射線という物理的な要因だけではなく、私は原爆起因性というと少し精神的なというと慰謝料になるのではないですかというお話になるかもしれないのですけれども、必ずしも物理的な要因による健康被害というだけではなくて、精神的なものも入れる余地があるのではないかという印象を持っています。
 高度の蓋然性でということになると、例えばがんについては3.5km以内だったら認めましょうというPTが出した形で一応それは科学という形で認定されているわけですけれども、これが科学だとは思いません。3.5km以内で被爆した人のがんを全部認めましょうというと、これを科学の視点から考えて、決して高度な蓋然性があるということにはならないと思います。私は放射線リスクあるいは放射線防護をやっている者として、これが高度の蓋然性だったら、これからさまざまなほかのところで波紋を呼ぶことになるのではないかと強く思っています。
○神野座長 長瀧委員、どうぞ。
○長瀧委員 私が最初に申し上げましたのは、全体のお話を申し上げて、ただ、どうしても放射線起因性というのはとれない場合に科学としてどうするかといったときは、放射線の影響が認められるということは、非常に条件を限れば、少なくともある蓋然性を持って言えると思います。
 では、それ以外で否定できるかというと、それは科学的に否定できない。先ほどのグレーゾーンに相当しますけれども、その表現を放射線の影響を科学的に否定できない。そういう言い方でグレーゾーンみたいなものが決められるかどうかというのは1つ感覚的に。
 日本として放射線の影響が否定できないのだと、だから援護の気持ちで決めていくというのがグレーゾーンの1つの考え方かなという感じがいたします。
○神野座長 荒井委員、何かございますか。
○荒井委員 繰り返しになるのですけれども、高度の蓋然性という考え方を起因性の判断の中に取り組んでくるというのは、あくまでも法律上の制度として裁判上どういうふうに考えていくかという場合の考え方であって、裁判所が高度な蓋然性があると起因性を認めると言っても、それは科学の分野でどういうふうに考えられるかということは別次元の問題だろうと思うのです。そこは科学専門の先生方から言うとおかしいというところは残るだろうと思うのですけれども、もともと法律制度の中の話ですから、起因性ということを判断していくときに当然ながら最大限科学的知見を尊重するというのは当たり前のことですけれども、科学だけで判断がされていく仕組みではないと思うのです。そこは科学のお立場の方々から言うと、言ってみれば科学の純粋性に傷がつくというと言葉はきついのですが、そういう違和感をお持ちかもしれないのですけれども、もともとこういう制度というのはそういうものだとお考えできないものかということなのです。
○神野座長 潮谷委員、どうぞ。
○潮谷委員 これまでの状況の中で放射線起因性ということのゆえに行政と司法の乖離ということが生じてきているという現実があります。
 ですから、放射線起因性ということでこのまま行ったときには、恐らくこの乖離というのは相当また出てくるだろうと思います。そのときに方向3の相当程度判断が固まっているものを行政認定に取り入れていくという1つの方法論もあるかと思います。しかし、相当程度の判断が固まっているという評価をどのようにきちっとした形で説明を加えていくのかという問題が出てくるでありましょうし、認定制度の中にこれは相当程度判断が固まったというものについては、これこれです、何年度になったらこれこれですというような形での認定を繰り返していくのかという思いがあります。やはり原爆起因性というふうに考えてまいりましたときに、それは認定の方法が変わったということではなくて、認定の広がりが出てきたということであると思うのです。
 今、荒井先生が、科学だけでの制度判断ということではないからとおっしゃったのですけれども、荒井先生のそのお言葉を理解する上でも、むしろ原爆起因性という形の中で落ち着けることができれば、あとはここの部分でどのように法律的に不備、今までの制度上の問題を改正していくのか、あるいは読み込みをできるような形にしていくのかというような次のステップが出てくるのではないかなという思いを抱いているところです。
○神野座長 あといかがでございますか。
 どうぞ。
○田中委員 長瀧先生の後に申し上げようと思っていたのですけれども、司法の判断は行政判断ではないのです。法律があって、法律に基づいて判断されれば何も言うこともないのですが、法律に基づいて判断しているわけですから、放射能起因性はこれでもあるよという判断を司法はしているのです。それを委員会あるいは厚労省が認めないということですから、そこをどう考えるかなのです。
 やはりグレーゾーンと言っているのは、何回も申し上げておりましたけれども、放射性降下物が主だと思いますけれども、残留放射線のことが全く考慮されないわけです。それはどうしてもグレーゾーンになってしまう。科学的に証拠を求めてもいないし出ていないから。しかし、ないとは言えないのです。これはグレーゾーンになってしまうのです。恐らく裁判所は、それを放射線の起因性になっているのではないかという判断をされて評価、判断される。それを高度な蓋然性という言葉でやられたので、あくまでも放射能に依拠はしておられたのです。
 だけれども、今も分科会の先生方はそれを認めていただけないし、厚労省も認めないということであれば、これはどうしても裁判になっていかざるを得ないのではないでしょうかというのが私の気持ちです。
○神野座長 高橋委員、どうぞ。
○高橋滋委員 先ほどから司法と行政の乖離についての議論が出ています。しかしながら、前にも申し上げましたけれども、確定している最高裁判決は1件なのです。その中で一般性がある判断というのは、高度の蓋然性という基準を以て要件認定をするという判断である。これが法的に確定した判断ですが、ではそれ以上の最高裁判決が意味ないかというと、そこで、当該事例について結論を認定するという判断が出たということにつきると思います。これは事例判断と一般的に言われています。
 そして、その他の下級審の判決がそれぞれ出て争われないで確定したものもございます。しかしながら、それは政府の政治判断もあって争われないで確定した部分であるものもあるわけです。そういう意味では、個々の司法の判断をどう我々が受け止めていくのかというのは、こちらで判断しなければいけない問題だと私は思います。ですから、前にも申し上げましたが、幾つかの下級審の判断の間には非常に大きなばらつきがありますので、そのばらつきをどう見るのかというのはこちらで責任を持って判断して法制化していくという努力が必要なわけです。従いまして、それは単純な司法と行政の判断の乖離と言ってまるめて事が済むことではないのではないかと思っている、ということを申し上げたいと思います。
○神野座長 よろしいですか。
 どうぞ。
○田中委員 乖離そのものには確かにいろんなばらつきがあるのですけれども、30の判決が出て、20の判決で制度の認定の仕方がまずいのではないかということを言っているわけです。だから、それは共通しているのです。上級審でも下級審でもそのことは共通しているわけです。もっと変えなさいということを言っているわけで、それをどう変えられるかといったら、基準で変えられるのか、基準で変えられないのかということになるのです。
 今までの議論でいきますと、基準では変えられないと私は理解できるのです。そうすると、法律のところで変えるとか、そういうところでやらざるを得ないのではないかというのがずっと私どもが考えてきたことですので。
○高橋滋委員 ただ、御紹介もありますように、国が勝訴した事例もあるわけです。そういう意味では、国勝訴の事例と国敗訴の事例をどのように比較して、一体それがどういう合理的なところで説明がつくのかということをきちんと考えないと、単純に制度化していくというわけにはいかないと思います。そこは慎重な検討が要るのではないかと思っている、ということを申し上げたかったということです。
○田中委員 原告1人しかいないところで負けましたので、総論でも負けていないと思いますけれども、認定されなかったということだけで。
○高橋滋委員 そうでしたか。
○田中委員 岡山が原告1人で、それ以外は敗訴した原告はいますけれども、複数の原告の中でかなりの複数の人たちが認定すべきだという判決を受けているわけなのです。
○高橋滋委員 第1回の検討会のところでも、国敗訴の事例と勝訴の事例が表になって比較検討されていると私は理解したのですが、これは違うのでしょうか。
○田中委員 ちょっと意味がよくわからない。
○松岡総務課長 今の国勝訴の例と敗訴の例といたしましては、何度か出しているかと思うのですけれども、例えば平成23年7月に開催した第5回の資料3の6ページと7ページで国勝訴、敗訴の例というのでいろんなパターンがありますというのを出させていただいています。司法判断の状況について説明したものがございます。また、疾病別の判決の状況についてもございます。
○神野座長 よろしいですか。
 どうぞ。
○石委員 もう時間もないので最後に感想めいたことを申し上げたいのですけれども、いろいろな方角から議論されてきてある方向が出てきたとすれば、グレーゾーン、結局、司法と行政の間で齟齬が起こって、どうしようもないというあたりのグレーゾーンについて、皆さんの御意見はそれをどういうふうにして仕分けができるかという辺りで放射線あるいは原爆起因性、より広げた物差しで議論するのか、そうは言っても放射線というのが根っこにあって、それを広げてしまうと、どんどん拡張するという話だと思うのです。
 もう一つは、国民に対する説明として原爆症の認定というのは、他の戦争被害者との公平性というか違いを言うならば、放射線以外に方法はないと思うのです。放射線をやめて原爆症にしてしまうと、精神的なものまで入れてしまうと、爆風だとか入れても、他の戦争被害者も同じようなことをこうむって非常に苦しんでいる人がいるわけですから、そのグレーゾーンを決めるに当たって、物差しは放射線の方だろうと思います。
 他の戦争被害者との間の比較において公平を保つという2点あたりで議論を詰めて、具体的な物差しが出れば方向性1,2,3の間の具体的なものが出てくるのではないかという気がします。今日は最初ですからね。
○神野座長 どうもありがとうございました。
 それでは、今、お話のようにそろそろ時間でもございますので、私としては、石先生から御示唆いただきましたように、最終的にここで具体的な制度設計をできるだけ作成すべく努力をするステップとして、おおよそ今これは方向性ということで3つぐらいの方向性があるということを念頭に置いた上で、今度は縦軸のほうは今お話があったように認定基準とかグレーゾーンのお話とか、手当の問題とかという縦軸に論点が出てきて、それぞれそういう問題でこの方向性1,2,3、どこかに1つ収斂していくというのであればそれでも構いませんが、あるいは方向性がある意味で重なってきて、次の具体的な制度設計などが出てくるということもある話だと思いますので、とりあえず今日御議論いただいて多くの委員から御示唆いただいたのはこの3つぐらいに方向性を整理した上で、具体的な中身に入れないというお話もございましたから、少し中を詰めていくときの論点というのはまた縦軸でつくらなければいけないと思いますが、それを整理させていただいて少し今日の議論を整理した資料を次回出していただいて、当面、とりあえずこの3つの方向性があるのだということを念頭に置きながら具体的な制度設計へ向けた議論を進めていくという運営にさせていただければと思っております。いかがでございましょうか。よろしいですか。
(「はい」と声あり)
○神野座長 では、そのようにさせていただきたいと思いますので、そろそろ時間でございます。本当にお暑い中熱心に、しかも生産的に御議論頂戴したことを深く御礼をする次第でございます。
 きょう、いただきました御意見につきましては、今、申し上げたようなことで整理させていただきたいと思いますが、事務局のほうから、連絡事項及び補足事項その他ございましたら、頂戴したいと思います。
○榊原原子爆弾被爆者援護対策室長 次回の日程につきましては、9月27日、木曜日、午後2時から行いたいと考えておりますが、御都合を確認の上、改めて御案内いたします。
○神野座長 それでは、本日の検討会はこれで終了させていただきます。
 どうもありがとうございました。


(了)
<照会先>

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代表: 03-5253-1111
内線: 2317・2319

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