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2012年9月4日 第8回新水道ビジョン策定検討会議事録

健康局水道課

○日時

平成24年9月4日(火)14:00~17:00


○場所

厚生労働省共用第8会議室


○出席者

出席構成員

滝沢座長 浅見構成員 永井構成員 岡部構成員 尾崎構成員
木暮構成員 佐藤構成員 長岡構成員 服部構成員 平田構成員
吉岡構成員

○議題

(1) 第7回検討会議事録(案)について
(2) 被災事業体との意見交換会について
(3) 特定テーマ6   水道サービスの持続性の確保について(水道の運営基盤の強化・その2)
(3)-1 事務局からの報告
(4) その他

○議事

○ 日置課長補佐
定刻となりましたので、ただいまから第8回新水道ビジョン策定検討会を開催させていただきます。構成員の皆様にはご多忙にもかかわらず、ご参集いただきましてまことにありがとうございます。まず構成員の出席状況でございますが、本日11名すべての構成員にご出席いただいております。
また、構成員の交代がございましたので、ご紹介させていただきます。岡?構成員のご後任として、全日本水道労働組合執行委員長・永井雅師構成員でございます。ごあいさつを一言ちょうだいできればと思います。よろしくお願いします。

○ 永井構成員
岡?の後任ということで、先月31日の人事大会で委員長に就任いたしました永井と申します。岡?同様、よろしくお願いしたいと思います。
出身事業体は札幌市でございまして、37年間、水道事業に携わってきましたが、そのうち7年間、専ら労働組合のほうの任務についておりまして、30年間、太いパイプの維持管理を担当してきたところでございます。この間、ちょっとご縁がありまして、札幌市の北隣に石狩市という5万人ほどの人口の都市があるのですけれども、平成18年から22年まで、石狩市の水道事業運営委員会特別委員を務めてまいりまして、そんな意味では、そうした給水人口の少ないところの一定の悩み等も伺ってきたところでございます。とにかくパイプの世界しか知りませんけれども、何とか新水道ビジョン策定の検討会として、立派なビジョンをつくられて、今後とも持続可能な水道となるよう、ひとつ意見反映してまいりたいと思います。どうぞよろしくお願いします。

○ 日置課長補佐
どうもありがとうございました。
また、事務局におきまして人事異動がございまして、9月1日付で名倉の後任といたしまして、私、日置が着任いたしました。どうぞよろしくお願いいたします。

○ 水野係長
それでは、議事に入ります前に事務局より配付資料の確認をさせていただきます。まず議事次第がございます。裏面が検討会名簿、次のペーパー、添付—2が座席表でございます。添付—3が検討会のスケジュール(案)でございます。次の資料—1が第7回検討会議事録(案)でございます。資料—2が被災事業体との意見交換会の各事業体ごとのまとめになっております。資料—3が「水道サービスの持続性の確保」、事務局からの資料でございます。参考資料—1が先回の資料の修正版になっております。参考資料—2と3としまして、佐藤構成員から先回報告いただきましたが、その補足ということで、本日も資料をいただいております。参考資料—2と3が佐藤構成員からの資料になっております。議事次第には時間の都合上ございませんが、今回、添付させていただいております。
以上でございます。不足等ございましたら……。よろしいでしょうか。

○ 滝沢座長
それでは、早速、議事に入ってまいりたいと思います。
まず議事の1番目でございますが、第7回の議事録(案)でございます。前回、8月21日に開催されましたが、前回からの期間が短いために、まだ構成員の皆様方に議事の内容をご確認いただいているところでございます。このため、9月11日をめどに事務局まで修正意見等ございましたらお寄せいただきたいと考えております。その後、最終議事録として確定してまいりたいと思いますので、よろしくお願い申し上げます。
続きまして、議事の2番目でございますが、構成員の皆様におかれましては、8月22、23日に開催されました東北被災事業体との意見交換会にご参加いただきまして、まことにありがとうございます。議事の2番目は、この意見交換会において、いただきましたさまざまな意見についてご紹介いただき、議論してまいりたいと思います。それでは、まず資料—2、被災事業体との意見交換会についてご紹介いただきたいと思いますが、22、23日の意見交換会に加えて、何人かの構成員の皆様から、今回、8月に回れなかった福島県の水道事業体ともぜひとも意見交換を行うべきではないかというご意見を寄せられております。これについて、皆さんご異議がなければ、事務局のほうであわせて福島県の事業体との意見交換会を設定させていただきたいと考えておりますが、よろしいでしょうか。
それでは、皆さん、ご賛同いただけたということで、後ほど事務局からあわせてご説明をいただきたいと思います。
それでは、早速でございますけれども、資料—2に基づきましてご紹介いただきたいと思います。よろしくお願いします。

○ 日水コン(榊原)
それでは、事務局から被災事業体との意見交換会のご報告を10分程度でさせていただきます。4カ所の水道事業体を訪問いたしました。
まず1ページ目ですけれども、登米市さんです。1番の東日本大震災での経験等についてということですけれども、かいつまんでご説明いたしますと、最初の箇条書きですが、電話、メール等が使えず、唯一役立ったのは現場の無線設備であった。2番目ですけれども、災害対策マニュアルは以前から整備していたのですが、マニュアル自体に厚みがあって、余り震災時には役に立たなかったとのことです。これを踏まえて、現在、紙1枚程度で整理したものを策定中とのことです。1つ飛びまして4番目の箇条書きですけれども、登米市さんにおかれましては、隣接の南三陸町を支援されたわけです。ただ、ご自分のところも被災をされていましたので、南三陸町に人員を派遣することが困難であったのですけれども、現地の実態をみて派遣の必要性をすごく強く感じたということで、その後、継続的な派遣につながったとのことです。1つ飛びまして1番の下から2つ目の箇条書きですけれども、資機材の確保がかなり重要なポイントになったということで、特にポンプ設備など特殊な資機材が注文生産になりますので、復旧までに時間を要したとのことであります。
2番目、新水道ビジョンへの意見、期待です。登米市においては水道料金がほかと比べてかなり高いということなのですけれども、この会議では市長様もご出席されましたが、非常時の安定給水ですとか、バックアップの整備のためには高い水道料金で財源を確保することが必要であるということを議会や住民に説明しているとのことであります。2番目ですけれども、現行の補助制度ですと、災害復旧に対しての支援はあるのですが、耐震化ですとかバックアップといった予防保全的なものについては支援制度が存在しないということで、こうした取り組みに対しての支援を要望されていました。ですので、3番目ですけれども、水道事業に求められる要件のようなものを定めてチェックしていくような支援があればよいのではないかとのことであります。4番目ですけれども、水道事業の持続のために、人材の確保とシステム化に取り組んでいるということで、矢巾町のサポーター制度を参考にして体制構築を進めているとのことです。最後、一番下ですけれども、管路のような地下埋設物といった目にみえないものに対する取り組みに対して、需要者にいかに説明していくかが課題ということであります。
続きまして2ページですけれども、陸前高田市さんです。こちらは津波の甚大な被害を受けたところです。1番目の最初ですが、津波による被害が甚大であった。マニュアルですとか図面が津波でほとんど流されてしまったということです。ですので、特に図面は現場だけではなくて、例えば県庁にも保管していればよかったのではないかとのご意見でございました。1つ飛びまして上から4つ目ですけれども、応援にたくさん来ていただいたのですが、応援の方への世話ができないとのことで、食料ですとか、宿泊も含めてセットで用意してきていただけないと、なかなか受け入れが難しいとのご意見でありました。こちらは特に水源の井戸が塩水被害を受けたということで、塩化物イオン濃度が上昇したわけですけれども、特に被災直後、引用以外の雑用水として供給することも考えたというぐらい、かなり切迫した状況だったとのことです。その下ですけれども、津波ということを考えた場合に、応援の体制が沿岸部と内陸部の水道事業体で組み合わせたらよいのではないかとのご意見がございました。
2番目の水道ビジョンへの意見、期待です。現状、復旧を最優先で考えていて、なかなか水道事業の将来のことまで考える余裕がないといった状況だったのですけれども、2番目のところですが、ほかの水道事業体から復興支援に派遣されている割と若い職員の方が2人いらっしゃったのですけれども、被災地のさまざまな業務を手伝っていらっしゃいまして、個人的には大変有意義な経験をされているとのことでした。小規模水道ですと技術者が少ないという問題があるのですけれども、ふだんから水道事業者間で交流・提携のようなものがあってもよいのではないかとのことであります。
続きまして3ページ、仙台市さんです。まず1番目の最初ですけれども、こちらは浄水場ですとか配水池などといった基幹施設の被害が軽微であったということで、給水停止にまでは至らなかったということです。2番目ですけれども、危機管理マニュアルは全職員が携帯、毎年訓練を実施されている。それから、札幌市さんですとか、東京都との合同訓練を実施していて、これが有効に機能したということです。3番目と4番目の箇条書きですけれども、こういった広域な被害に対しては、現場での判断が必要になるということですので、一極集中のマニュアルだけではなくて、浄水、給水、復旧といった班ごとの分散型マニュアルの必要性を感じたとのことであります。1番目の下から5つ目の箇条書きのところですけれども、水道協会のほうで今、各事業体の備蓄資材のデータベース化に取り組んでいるということであります。1番目の下から2つ目の箇条書きですけれども、応急給水につきまして、町内会やマンション管理組合が機能した、これが混乱の抑制につながったということであります。
新水道ビジョンへの意見、期待ですけれども、これは水道だけではなく、国としての超長期のあるべき姿を示す必要がある。それから、仙台市では水需要の停滞によって、需給のバランスに大きなギャップが生じているとのことなのですけれども、そのことがかえって震災時には各水系間の水融通につながった。ですので、水需給に一定の余裕が水道の施設には必要とのことであります。広域連携に関しましては、近隣も復興で手いっぱいの状況でありますので、ソフト連携ということで、周辺水道事業体と研修を行うなどをやっているとのことであります。水道水の利用拡大に対してもビジョンの中で触れていただきたいとのことで、井戸水の利用の話がこれまで何度か話題になりましたけれども、こういったことの利用の抑制も検討していただきたいとのことです。
続きまして最後、4ページ、石巻地方広域水道企業団さんです。まず1番目の震災の件ですけれども、耐震型継手では被害は発生しなかったとのことであります。3番目の箇条書きですけれども、今回の震災は平日の昼間に発生したということで、初動体制はスムーズであったということですが、夜間や休日に発生するということを想定した場合に、さまざまな問題が想定されますので、各事業体でマニュアルの改訂をやっていると思いますが、これが今後の課題ではないかとのことであります。通信については、衛星携帯電話が有効であったとのことです。1つ飛びまして、病院への応急給水の件ですけれども、ほとんど受水槽で給水するということで、多量の給水が必要になるということで、大容量の加圧式給水車の必要性があるとのことです。その下ですけれども、津波によって油ですとか飼料など、倒壊した家屋の水道管から逆流して本管に混入する状況がみられたとのことで、水質の安全性の確保にも苦慮したとのことであります。1番目の一番下ですが、震災後の高台移転が進められていますけれども、居住地と作業場が離れると、両方に水を供給しなければいけないということで、水道施設としては二重投資になるといったようなことをおっしゃっていました。
新水道ビジョンへの意見、期待ですけれども、今回、震災によって大きく人口が減少して、このことが今後の事業経営への課題になるとのことです。水道事業経営、施設基盤の強化という2つの課題に対して、国として道筋をつけていただきたい。3番目ですけれども、被災事業体と応援事業体を結ぶコーディネーターの役割が重要。最後、業務用無線ですけれども、周波数が消防や警察のように、水道についても全国共通波の整備を望むとのことです。
キーワードを中心にご説明いたしました。事務局からは以上です。

○ 滝沢座長
それでは、ご参加いただいた皆様におきましては、この事務局のとりまとめ、このような内容でいいかどうかということもございますし、また、ご参加いただけなかった方については、ここに書いてある内容に対するご質問ということも結構だと思います。順不同で、どこの項目、どこの自治体の意見でも結構でございますので、お気づきの点があれば、ご指摘、ご意見、あるいはご質問をいただきたいと思います。いかがでございましょうか。どうぞ。

○ 尾?構成員
2ページの陸前高田市役所、現場視察の中でお話があったのですが、「技術職員の育成が必要である」と書かれている。一番最後のところなのですが、これはもう少し具体的に話をされていましたので、その旨を書かないと、どういうことでどうして必要なのかという彼らの考え方が理解できないと思うのです。現場がわかっている技術職員がいないと、いざというときに仕事ができない、作業ができない。そういう中で、例えば転勤してもまた水道に戻す、また転勤しても水道に戻す、そのような流れの中で職員を育成しなければ、いざというときに活躍できる人材には成長しないというようなことを話されていましたので、その旨を書かれたほうが今後のためにいいのかなと思いました。

○ 滝沢座長
よろしいでしょうか。

○ 日水コン(榊原)
はい。

○ 滝沢座長
ほかに何かお気づきの点はございますでしょうか。仙台市のご意見の3番目で、「マニュアルは一極集中型となっているが」ということですが、一極集中と書いてあるわけですけれども、情報をどこかに一元的に集めて、それで危機に対応するという仕組みになっている、そういうご説明だったと思いますが、そういうことですね。それであるが、なかなかそういったシステムが、実際にすべてが被災してしまうとうまくいかなくて、逆にそれぞれの現場で必要性、あるいは適切性を判断して行動されたところはうまくいったし、そうでない、指示待ちになった状態のところはなかなか対応がうまくいかなかった、そのようなご意見だったと思います。これについても、今、尾?さんがご指摘いただいたところと少し関連するのですが、やはりある程度経験のある職員がいた現場では、そういった判断ができたけれども、余り経験がないといいますか、まだ着任して日が浅い人しかいないような職場では、なかなかそういう判断も難しかったといったようなこともいわれていたように記憶しております。そうだとすると、災害対応ということも含めても、それなりに経験をもった人たちが配置されているということが人的には対応能力につながっている部分もある。そのようなご指摘だったのかなと思います。
ほかに何かお気づきの点。どうぞ。

○ 木暮構成員
 今、尾?構成員と座長がいわれたとおり、マニュアルは大変重要だと思うのですけれども、当然、マニュアルはあるべきものであって、ただ、こういう大災害ですとか、いろいろな危機管理の場面になると、マニュアルに書いていないような事象が発生した場合に、その場でどう対応するかということで、どうしても技術職員の養成といいますか、人材の育成、あるいは経験のある人間がそこで有効に機能したときに、うまい対応ができたということが、今回、事業体を訪問して聞いた中でも、そういうことを改めて感じた次第です。小規模事業体ですと、どうしても数少ない中で経験のある人数をそろえるというのはなかなか大変だと思うのですけれども、地域の連携とか、その辺を加味すれば、いろいろな形で経験豊富な職員の知識が有効に機能できるのかなということは日々感じているところですので、その辺は改めて認識しました。これは私の感想です。

○ 滝沢座長
 ありがとうございます。
 ほかにお気づきの点ございますか。どうぞ。

○ 吉岡構成員
私は2点ですけれども、まず陸前高田市のところです。下から2番目なのですが、「被災地の様々な業務を手伝っており、個人的には大変有意義な経験をしている」ということを大きな事業体から派遣された職員がおっしゃっていました。前回、配付していただいた参考資料の25の中で、技術力の確保に向けた課題ということで、大規模事業体や民間企業からの支援という形で、中小水道事業体の運営基盤強化を図っていこうという絵が描いてありましたが、それ自体は、小さい事業体にとって非常に有意義なことだと思います。一方、現場でおっしゃっていたのは、自分のところにいたときはほかの係に移したようなものを、全部最後まで一貫して自分の仕事としてやって、答えまで出さなければいけないということは、水道事業全体をみる中で非常にいい経験をしているとおっしゃっていました。こうした取組みは、小規模の運営基盤を強化するだけではなくて、大規模の職員の人材の育成にもつながるのではないかというのが、この間、お話を伺った中で何かヒントとしてあったのかなということを感じました。
あともう1点は、登米市です。登米市と矢巾町は前から交流をさせていただいているのですけれども、ステークホルダーとの関係性を築くということに関係することで、登米市には水道モニターという制度がありまして、そのモニターさんと矢巾町の水道サポーターが交流会をした時、住民の方々は、お互いの情報交換をする中で、水道事業に対する姿勢がどんどん欲張りになっていきました。そうした事を踏まえて、登米市では活動を発展させようと考えているようです。今回、被災地との意見交換という形で視察に行きましたが、住民との交流という部分でも、参考になる話しが聞けたと思います。

○ 滝沢座長
 ありがとうございます。
 ほかに。岡部さん。

○ 岡部構成員
 私は石巻広域水道企業団についてですが、先ほどのご説明でもコーディネーターが重要だというのがありました。ここには「危機管理に関しては」と書いてありますけれども、私が聞いた感じだと、コーディネーターの人がいればもっとうまくできたのにという思いがかなりあったのではないかと思います。災害ボランティアと書いてあるのですけれども、私の感じだと、事業体と事業体を結ぶとか、もっと民間の支援をうまく活用するとか、コーディネーターはもっと重要な役割があるのではないかという気がしています。ここのところももう少し重要さをしっかりと書いておいていただいたほうがいいと思います。よく海外の難民支援などでも、復旧支援物資などをコーディネーターというプロの方がいて、日本ではそういう制度がありませんが、今現在、できる人がいるかどうかわからないですが、大手の水道事業体の方だったら、かなりできる人がいるのではないかと思います。、このあたり、さらっと書くのではなくて、何でこれが必要かというところも踏まえて書いていただいたらと思います。
 あと1つ、小さな話なのですけれども、上のほうに「鋼管のついても印ろう継手で」と書いてあるのですが、鋼管の印籠継手もあるのですか。


○ 尾?構成員
あるでしょう。

○ 岡部構成員
ありますか。では、いいです。済みません。以上です。

○ 滝沢座長
ありがとうございます。
ほかにお気づきの点。佐藤さん。

○ 佐藤構成員
1ページ、登米市の意見交換会の資料から、2番の新水道ビジョンへの意見、期待として、最初に水道料金の問題について触れております。水道料金の高さを指摘されているとあります。しかしながら、非常時の安定給水やバックアップの整備のために必要で、住民や議会に説明しているということです。このことは、きっと水道料金というのは今後将来の安全のコスト、あるいは持続する水道を維持すること自体がサービスに含まれているということを意味しているのではなかろうかと思います。そういった観点からは、目先の水道料金の高さ、安さだけではなくて、安心・安全のコストというものも水道料金の一部であって、そうしたものも維持することが住民へのサービスではないかと読めるように思います。こうしたところも参考にすべきかなという感想を申し述べておきます。

○ 滝沢座長
資料—2ですけれども、今、ご意見を多数いただいているところですが、ご意見を踏まえて修正していただけるという理解でよろしいですか。

○ 日水コン(榊原)
はい。特に今、加筆のご指摘があったものにつきましては、加筆をします。ちなみに、このメモは、事務局のほうでつくったものを先方4事業体に一度ごらんいただいたものではありますけれども、検討会でこういったご指摘があったので、さらに修正しましたという形で、また4事業体のほうに送って最終確認をいただこうと思います。

○ 滝沢座長
ありがとうございます。
それでは、ほかに。浅見さん、どうぞ。

○ 浅見構成員
ありがとうございます。まず全般に関しましては、今回、仙台に泊まって、陸前高田とか石巻とか、そこを拠点に往復させていただいたのですけれども、やはり宿泊場所がそこしか十分に確保できないということもありましたし、実際に給水車が行く場合にも、かなり遠いところから、50~60キロ離れたところから給水車で毎日通うというようなことをご指摘されている場合もございまして、やはりバックアップとか拠点というのと、実際の被災地との結びつきが非常に重要だなと。地理的にも重要ですし、補給拠点として宿泊場所ですとか、必要な資材ですとか、給水車の方々の食事だとかなんとかも含めて、その辺の後方支援の部分が非常に重要だということを繰り返しご指摘いただいたというのが非常に印象的でした。
あと、実際にお話を聞かせていただいたのと、現地の皆さんにみせていただいて、新水道ビジョンに関しての期待をいってくださるものもあったのですけれども、そういう課題にまだなかなか到達できないといいますか、実際上は復興もまだ半ばにも至っていないような状況があって、そういうところでこういうご質問をするのもちょっと心苦しい点もあったのですが、できるだけ知見を生かしていく必要があるかなと感じております。
もう一つ、先ほど岡部構成員からコーディネーターのことでご指摘があったのですけれども、実際には、ここの場合は特に半島部で、日ごろですと地理的にも離れているところで、ある市の方々が実際の管工事の業者の手配ですとか、そういうところも含めてコーディネートをしてくださった。専門的な知識をもって、かつ一定程度以上の能力と指示できる体制を確保されていたということで、一々確認しなくても、そこの部分はお願いしますということで、行ってから非常に進んだということでしたので、かなり重要な部分を担っているということだったかなと思います。実際は医療ですとか、保健師とかで、今、コーディネーターの育成というのも非常に課題になっていまして、緊急の医療とかの部分でも、そういう分野は非常に注目されているかなと思いますので、そういう点も含めて非常に重要なご指摘かなと思っております。

○ 滝沢座長
ありがとうございます。後方支援が重要だということですね。水そのものではなくて、給水支援に回る方々の支援といいますか、自立といいますか、自分たちがまず生活ができるよう、そこで寝泊まり、食事も含めてできるようになって初めて支援ができるということなのだろうと思います。
ほかにお気づきの点ございますか。いかがでしょうか。どうぞ。

○ 木暮構成員
感想なのですけれども、最後の石巻のところのページの真ん中辺に書いてあるのですが、我々水道関係からすると、給水車というと住宅地に入っていくので、小回りのきく2トン車ですとか、4トン車でも多少でかいなと思うようなこともあるわけですけれども、病院関係の方からすると、その辺、私もちょっとそういう意見は聞いておりまして、水道事業体がもっている給水車だと、何回も来てもらわなければ受水槽がいっぱいにならないということ。今回、石巻の方が、飲料用の水を運ぶ車ではないのですが、NEXCOの車を使ってそういう対応をしたということで、参考というか、なるほどなということがあったので、これも今後、何かのときに役立つ知恵といったら変ですけれども、そういったことで気にとめることとして、ここで感想を述べさせていただきました。

○ 滝沢座長
ありがとうございます。
ほかにお気づきの点はいかがでしょうか。ございますか。どうぞ。

○ 岡部構成員
登米市さんのところの新水道ビジョンへの意見という中に、「災害復旧に対して多額の支援はあるものの、予防保全的な観点の支援制度が存在しない」とおっしゃられていて、「このような取組に対しても国の支援を要望する」とあるのですけれども、今後、どちらかというと予防保全的なことをいろいろやっていかなければいけないのかなと思うのですが、このあたりについて、現状とか国のお考えとかあれば、今後の議論のためにお聞かせ願えればと思うのですけれども、いかがでしょうか。

○ 滝沢座長
ご回答いただけますでしょうか。

○ 石飛課長
私どもがもっている支援というのは大きく2つありまして、1つは財政的な支援、もう1つは技術的な支援ということになろうと思います。財政的な支援は従来から補助金で、さまざまな施設整備、それから改良に対して行ってきたわけでありますけれども、このような災害に対する予防保全的な意味ということでも、従来から耐震化ということについては補助制度の中に位置づけてやってきたわけでございますが、昨年の大震災を受けまして、被災地の復旧・復興はもちろんでありますけれども、今後、起き得る大災害に対しての予防的な耐震化というのは、ますます重要になってきているということで、全国防災という言葉を使って、今年度も201億円の予算を計上して、これを主として耐震化に使ってもらおうというようなことを明示的に示して、それを推奨しているということがございます。
それから、技術的な面でいきますと、アセットマネジメント等で耐震化も含めて計画的な更新をする、また、更新の際には、より災害に強いようなシステムに仕上げていくというようなことを、さまざまな手引き等を使って出しているところでございます。これにつきましては、これまでの検討会の資料でもお示ししているところでございますが、問題は中小事業体を中心になかなかそこが浸透していっていないというところを、どう新水道ビジョンの中で課題として挙げて、その解消に向けて施策が講じられるかというところでございますので、そこは既存のさまざまな支援策に加えて、何があり得るのかということも、できればご議論の中で見出して、そして位置づけられれば、進むのではないかと期待しているところでございます。

○ 滝沢座長
ありがとうございます。よろしいでしょうか。
それでは、永井さん。

○ 永井構成員
今、気がついたのですが、登米市の新水道ビジョンへの意見、期待の中で、●の3つ目です。「『水道事業に求められる要件』のようなものを定め、その要件をもとに『アメとムチ』的な支援があるとよい」と記載されているのですが、この意味をどのように理解していいのかなと考えましたので、例えばこの真意はこれですよというのがあれば、表現を少し変えたほうがよろしいのではないかなということを1点だけ申し上げます。

○ 滝沢座長
どうぞ。

○ 日水コン(榊原)
これはご指摘のとおり、比喩で「アメとムチ」という表現をこの方がされたのですけれども、中身をもう一度確認しまして、表現を改めたいと思います。

○ 滝沢座長
私の記憶では、防災等も含めていろいろ努力をしているところには、さらに努力を後押しするような策、それをやらないところにはそれなりの策というような趣旨の中でご発言されたのではないかなと思っています。

○ 尾?構成員
震災対策に対して、予防的にどんどんやればいいという意見もあるけれども、やらないで災害が起きたときに補助金をもらって直したほうが経済的で、市の財政もいいんだというような意見も、いろいろ議論していると部下の中から上がってきたと。私はそうではないと思っていると。でも、そうはいっても、一生懸命やっているところが報われるようなシステムにしなければだめでしょうと。震災のときに補助金をもらって直してしまったほうがいいという話が出てくるようなものではまずいのではないかなと。そういうところは「アメとムチ」というか、本当は違いますよというような意見をいうとか、一生懸命やっているところはもう少し救ってやるような施策を考えるとか、そのような感じで私はとらえました。

○ 滝沢座長
ご説明のとおりだったと思います。
ほかにお気づきの点ございますでしょうか。どうぞ。

○ 木暮構成員
今、尾?さんからご発言があったとおりかと思うのですけれども、先ほど石飛水道課長からも国からの財政支援ということで、地震ということに関してみれば、予防的な保全として耐震を進めるための補助金ですとか、ある意味、また今、話がありましたように、災害復旧に対する補助金という側面があるかと思います。災害復旧に関しては、当然、復旧しなければならないということで、補助率もかなりかさ上げになっています。そういったことで、先ほどいわれたように、予防的な保全をしないで、災害補助をもらって直せばいいのではないかと、当日、そういう話もありました。そういったところで、私としても、都道府県の中で市町村の補助金をとりまとめて扱っている感想からいいますと、予防保全で補助金をもらって事業を起こすということが市町村の中で、やっているところはやっているのですけれども、なかなか浸透していないというところがありまして、国の補助があるのに、耐震を進めるのがなかなか難しいというところがあります。これは事務が煩雑というところもあると思うのですけれども、国の補助金の補助率についても、かさ上げをすればいいということではないとは思うのですが、直すのはほとんど出してくれるけれども、予防保全だと3分の1とか、2分の1とか、そんな形になっているかと思うので、今後、その辺についてもいろいろ議論していただければなと感じました。

○ 滝沢座長
ありがとうございます。
ほかにお気づきの点ございますでしょうか。どうぞ。

○ 岡部構成員
これは感想なのですが、仙台市さんの新水道ビジョンへの意見の中に、仙台市さんは水需給のギャップがかなりあるけれども、これが震災時、各水系間の水融通につながったということで、水道事業においては水需給の一定の余裕が必要と考えるというのがありました。私、これを聞いたときに、今、ダウンサイジングとか、効率化ということが物すごくいわれているのですけれども、ビジョンの中でも水事業だけでなくて、安全率という話もたしかこの間、出たような気がしますが、ここは結構重要なところだなとおもいます。仙台市さんはそれを身をもって感じたのだなというのが印象に残ったので、つけ加えたいと思います。

○ 滝沢座長
ありがとうございます。
特に追加のご意見、いかがでしょうか。平田さん、何かお気づきの点ございますか。

○ 平田構成員
仙台市水道局でのお話で、応急給水について書かれている下から2番目の「応急給水においては、町内会やマンション管理組合が機能したことが、混乱の抑制につながったと考える」というところなのですが、これは私のほうで当時の状況を質問させていただいた回答ですが、給水の混乱は、やはり町内会で顔のみえる関係があったところは非常にスムーズだったと伺いました。そういった話の流れで石飛課長が、給水の訓練などが今後必要なのではないかというようなお話もされていらっしゃって、住民がこういった事態が起きたときに、どこで給水をしたらいいのかという広報が今後更に必要だと思いました。そういった部分をビジョンに盛り込むことも必要だというお話だったので、入れていただければなと思いました。

○ 滝沢座長
ありがとうございます。住民の方々のふだんの顔のみえる関係というか、良好な関係が、いざというときに非常に重要だというご指摘でした。そのとおりだったと思います。
ほかに特にご指摘の点がなければ、これは一たんこ終了しまして、次の議題に進んでまいりたいと思います。次の議題、前回やりました特定テーマ6の続きでございますけれども、こちらは資料—3のほうに、前回の特定テーマ議論の中でご指摘いただいたところを中心に、要点をもう一度、情報を補足しながらまとめていただいているところでございます。それでは、こちらの資料について事務局からご説明をいただけますでしょうか。

○ 日水コン(辻)
日水コンの辻と申します。第7回の検討会で幾つかのご指摘がございましたので、不足する視点を追加しております。
水道の職員の経験年数に関する統計値がないかということもございましたので、目次をみていただきたいのですけれども、水道の経験年数というものが水道統計のほうで整理されていましたので、それをグラフ化しています。あと、中小規模水道事業に関すること、もっとポイントを絞ったほうがいいというところもございましたので、主に経営面からみた中小規模事業の状況というものも整理しております。あと、更新需要への対応の補足ということで、給水原価を推計しておりますし、今後の水道料金のあり方と、あと施設の再構築、広域化の事例というもので、もう少し事例がございましたので、それをご紹介したということでございます。
まず2ページからなのですが、これが職員の平均勤続年数ということと、3ページが技術職員の平均勤続年数ということで、統計では平成17年度からとっておりまして、当該事業体に勤務した年数の平均値を整数値で記入する形で回答をしていただいたものでございます。水道統計からなのですけれども、傾向としては、小さい事業体ほど平均的な勤続年数というものは小さい傾向であるということは、2ページ、3ページからも見受けられるのではないかということです。平成17年と21年の統計値を比較しますと、大きな経年的な傾向というのは特に変わりはないのかなということと、あと職員の異動のサイクルはこの統計値からみるのは限界があるということで、今回あるものとしてはこの程度ということで、資料を整理させていただいております。
次に4ページは、中小規模水道事業体の状況ということでございまして、まず上水道事業と簡易水道事業、上水道事業については水道事業経営指標というものが人口規模別に整理されていますので、その統計値を使って、あと簡易水道事業についても、簡易水道事業年鑑というものがございますので、その統計値で、簡水については法適と非適で2種類整理しています。ただ、法適については、事業数自体が少ないので、傾向としては非適のほうをみていただければいいのかなということで、法適は参考程度に今回データを整理しております。
まず施設の効率性というところをみますと、上水道事業に関していいますと、施設利用率というのは1日平均配水量が分子で、配水能力が分母なのですけれども、拡張の時代は分子のほうを伸ばしてきたところもございますが、平成12年度、需要のピークが訪れて、その後、減少していくという状況もありますので、それを境に施設の利用率というのは減少傾向であるということが、上水道事業、簡水のほうでも見受けられるということでございます。あと、規模別にみますと、規模が小さいほど施設利用率が低いという傾向が上水道事業のほうではみられるということでございます。
5ページは、統計を整理する上で、上水道事業数の推移というのもみるのが必要であるかということもございますので、上水道事業の推移というものも参考につけております。平成の市町村合併の影響も受けましてか、事業数そのものをみますと、給水人口5万人未満の事業数は減少、5万人以上の事業は増加傾向であるということでございます。
6ページは経営的な点からの指標による分析ということで、今回、上水道事業と簡易水道について7つの指標を整理しました。損益計算上、給水費用を収益で賄えているかということで経常収支比率、簡水については、非適については収益的収支比率で評価しております。給水費用を料金で賄えているかということでは料金回収率、あと収益的収支における繰入状況ということで、繰入金比率と基準外繰入金比率、簡水については総収益に対する他会計繰入金の割合で整理しています。資本的収支における繰入状況については、同じく上水についても繰入金比率と基準外を整理している。あと、欠損金の発生状況では累積欠損金比率、支払利息ということでは給水収益に対する企業債の割合と地方債利息の割合ということで整理しています。企業債の残高ということで、上水道では給水収益に対する企業債残高、簡水については地方債残高ということで、指標を整理いたしました。
7ページが、まず経常収支比率というところなのですけれども、上水道事業のほうをみますと、経常収支比率はおおむね100%以上保持している。経年的にみますと増加傾向であります。簡水といたしましては、非適のほうをみますと、平成11年度で100%を下回っておりまして、それ以降、減少傾向でございます。
8ページは料金回収率です。使用者からいただいた給水原価の供給単価でございますので、費用が料金で回収されているかという点なのですけれども、料金回収率をみますと、上水道事業では100%を下回っているということと、あとは小さい規模ほど料金回収率が低い傾向であるということがうかがえます。簡水のほうをみますと、経年的に料金回収率は減少傾向でございまして、その水準というのも上水道事業よりも下回るような値で推移しているというような状況でございます。
9ページは繰入金比率ということでございまして、繰入金比率には基準内繰入金と基準外繰入金というものがございます。基準内は総務省がお示ししました公益性の観点から公営企業会計に繰り出す経費というものが定められておりまして、その範囲内での繰入金、それに合致しないものは基準外繰入金ということになるのですけれども、その比率を提示したものでございます。上水道事業に関しては、小さい事業体ほど繰入金比率は高い傾向でございますし、基準外をみましても同じような傾向が見受けられるということでございます。
10ページが簡水のものなのですけれども、他会計からの繰入金の割合をみますと、上水道事業の小規模なところと同じような割合で繰り入れをしているという状況でございます。
11ページが、先ほどは収益的収支に対する繰入金比率でしたが、資本的収入に対する繰入金比率ということで、これも給水人口規模が小さい事業体ほど繰入金比率が高いというような傾向が同様に見受けられます。
次に12ページが上水道事業の累積欠損金比率です。赤字がずっと続いていれば、欠損金比率というのがだんだん高くなってくるのですけれども、率でみますと、累積欠損金比率は小さい事業体ほど高い傾向がございます。これは率ということで、単純平均になってしまうので、参考に右側に事業体数と累積欠損金のある事業体数というものも、統計値として値そのものを載せておりまして、累積欠損金のある事業体数そのものは減少傾向であるということもありますので、それなのに累積欠損金比率が増加するということは、例えば財政的に弱い事業体が取り残されているのではないかということが推察されるのではないかと思います。
13ページが上水道事業の給水収益に対する企業債利息の割合ということでございまして、上水道事業では経年的には減少傾向、小さい事業体ほど利息の割合が高いというような傾向が見受けられます。簡易水道をみますと、上水道事業よりも比較的利息の割合が高い傾向でございます。要は、利息があるということはそれだけ借金を抱えているということでございますので、14ページに平成21年度時点の給水収益に対する企業債残高の割合というものを棒グラフでお示ししました。やはり小さい事業体ほど企業債残高の割合が高くございまして、上水道事業では5,000人未満ですと、給水収益の6.5年分の借金を抱えている。あと簡易水道をみますと、法非適用事業ですと、給水収益の13年分の借金を抱えているという状況でございます。
次は、15ページが上水道事業の有収水量1トン当たりの金額でございまして、これを費用構成別にみたものでございます。左のデータが生データになりまして、実は緑色のところが受水費になりまして、受水費があると、明確な使用目的の金額というのが比較できないのかなということもございますので、受水費を用水供給事業の費用構成比で按分したものが右の図となります。これをみますと、1万人未満の給水人口レベルのところですと、相対的に費用が高くなる傾向であるということと、あと、都及び指定都市というところがポコッと大きくなっているのですけれども、よくみると維持管理費というところが高くなってございまして、その内訳をちょっとみますと、修繕費の割合がほとんどだったというところでございます。
16ページは、運営基盤強化のための水道事業規模にかかる基礎調査報告書というものがございまして、その中で水道事業体に業務59項目のそれぞれの5段階の自己評価をしたアンケート調査がございました。その中で小規模事業体における自己評価が低かった項目というものが整理されておりまして、ここに示されているものなのですけれども、企画とか計画系の業務のものの評価が低い傾向が見受けられるということでございます。
次に更新需要への対応ということで、17、18ページです。
次に19、20、21ページは、今までの参考資料—1にも提示されているものなのですけれども、このデータをもとに、将来給水原価を推計したというものが22ページの図になります。法定耐用年数で更新する場合と、法定耐用年数の1.25倍のサイクルで更新する場合でも、現況の給水原価と比較しても将来的には大幅な上昇が見受けられるのではないかということで提示しています。1.5倍でも現況以上の原価が必要になるということになります。
23ページ、24ページ、25ページも、前回の参考資料と同じものなのですけれども、四国地方についても同じように26ページ、給水原価を推計したものを今回つけております。これをみますと、給水人口規模が小さい事業体ほど将来的に給水原価というものは上昇する見込みということがわかるのではないかということで、つけております。
次に27ページ、28ページも、参考資料—1に添付されているのですけれども、水道料金算定要領です。そこから入りまして29ページが原価の配賦の考え方なのですけれども、現況の水道料金の設定方法というのは、固定費を水量料金と準備料金に配分するということなのですが、多くの事業体では逓増制を使用。あと、固定費の多くを水量料金に振りかえているという現況がございますので、準備料金というのは基本的に基本料金、水量料金というのは従量料金になるのですけれども、そういった実態もございまして、固定費を回収できないというところが大きな問題ではないかということもありますので、今後の水道料金としては、固定費を回収するために、準備料金の配分のアップをする必要があるのではないかということで、イメージ図を今回つけております。
次に施設再構築の広域化の事例ということでございまして、東京都の事例については参考資料—1にもついていて、前回、説明を入れております。ここで事例として新たに追加したのは、33ページの今治市の施設再構築の事例ということで、もともと島嶼部とか沿岸部というのは塩水化による水質の悪化とか、冬場の水不足等が問題になっていますので、旧今治市の基幹浄水場の再構築に伴って、沿岸部と島嶼部に給水するというような再構築の事例でございます。
次に広域化、事業統合の事例として、宗像地区は前回ご提示したとは思うのですけれども、新たに岩手中部広域化検討のプロセスということで、37、38ページに事例をご紹介させていただいております。どっちかというと、用水供給事業と末端給水事業が広域化したという事例でございまして、再構築の事例にもなりますが、38ページに基本的な考え方が提示されているということでございます。
最後に、39ページに群馬県東部地域における広域研究会の事例ということなのですけれども、40ページに、前回、木暮構成員からご紹介があったと思うのですが、グレーのところで両毛地域のワーキンググループ、協議会をやりまして、その中で広域化というのは難しいので、現実性をもって検討し得る、判断できる組み合わせとして、太田市などの4市5町という中での広域化の実現に向けての検討を行っている研究会の事例をご紹介させていただいております。
41ページについては、広域化をすれば事業規模が拡大いたしますので、そういった中でも民間委託の可能性が期待できるということで、こういったポンチ絵がございましたので、それをご紹介させていただいたということでございます。
以上でご報告を終わらせていただきます。

○ 滝沢座長
ありがとうございます。
討議に入る前に、佐藤構成員から参考資料—2と3という形でご意見を含めてご提示いただいております。やや予定した時間よりも早目に進んでおりますので、まずこれをご紹介いただいて、討議の前に一たん5分ほど休憩に入りたいと考えておりますけれども、よろしいでしょうか。
それでは、時間的には少し余裕がありますので、ご紹介いただければと思います。

○ 佐藤構成員
本日、お手元に参考資料—2としまして「運営基盤強化のための20の提案」というもの、参考資料—3といたしまして「水道事業の広域化に向けた都道府県の役割に関するアンケート」調査結果とその考察と、2種類の資料を用意させていただきました。このうち、まず参考資料—2「運営基盤強化のための20の提案」ということから少しコメントしてみたいと思います。
まず、今後の水道の目指すべきイメージとして、持続可能性のある日本型モデルを構築することと書いていますが、今回、実は2100年の姿を見据えながら2050年までに何をすべきかということを、そもそもビジョンとして想定しなければいけない。そうした中で、今まで目指すべきイメージというのが必ずしも十分議論されていなかったようにも思いますので、ここで1つ参考的に示してみたということです。そうした場合に、持続可能志向モデルとして、今後は経営再編成型の水道事業のへの広域化を促進して、魅力と活力ある水道事業の構築の道を目指す。そこでは運営基盤が強固で、意欲と能力のある大規模公営水道事業者を基本としながらも、民間事業者が共存と競争を繰り広げるような多様な経営形態が並立しているような水道というのがあってもよいのではないかということを示しています。いずれの場合であっても、水道事業への公の関与の余地というのは必要である。こうしたところが、今回、ここで示してみたところです。
こうした中で、20項目から成る提案を以下示しておりますが、幾つか、前回話した部分もありますので、かいつまんでご紹介します。
まず1ページ、料金の適正化、1番、水道料金の改定における適正性・妥当性の評価の仕組みを地方議会の議決のために必要な前段階の評価意見を求めること、構築することと書いてあります。現在、料金決定については地方議会の判断にゆだねられている。必ずしも適正・妥当な判断が行われていない場合も多い。ここに記載した、多いという表現は、そういう事例があると置きかえていただければ結構かと思います。こうしたことから考えると、議会の判断を基本としながらも、その適正性・妥当性について、一定の評価や意見をつけ加える仕組みを設ける必要があるのではないか。実はこの問題は、水道料金の制度としては既に用意されていて、運用上の問題であります。とはいえ、もはや運用強化を促すような仕組みということは、今回、考えなければいけないのではなかろうかということで、ここで示しております。
そのほか、2番目から幾つかについては、前回コメントしたところですので、先に進ませてもらいまして2ページ、人材・組織力の強化、ここでは6番として、広域化の規模は都道府県で1つの水道を目指すことということです。これまで広域化の必要性は議論されてはおりましたけれども、実はどの程度の規模を目指すかといったところが必ずしも明確ではないので、1つの意見としてここでは記してみました。今後の広域化の単位としては、例えば道州制であったり、都道府県単位、流域単位などが考えられるが、当面は都道府県単位ということを目指すのが現実的ではないかとここで示しております。ただし、実は2100年を展望して2050年を見据えた場合には、もっと大規模な水道事業体があってもいいのではなかろうかという思いもあります。一方で、足元をみると、まだまだ遠い現実があるので、当面、都道府県レベルではないのかということで記してはおりますが、ここは今後、皆さんと意見交換ができればと思っているところです。
そのほか、少し進みますけれども、3ページ、首長・議会の役割として12番です。管理者を必置とすることで行政と経営の分離を徹底し、経営責任の明確化を図ることと記しております。特に中小規模の水道事業では、首長が管理者を兼ねる場合が多いため、事業経営の観点からなかなか十分な意思決定が行われていない。こうしたことを考えると、今後、1つ広域化として一定の組織規模になると、当然、拡大した組織規模に必要な経営管理体制が必要であって、専任管理者制度ということも考えてはどうか。こうしたことも現行の制度枠組みは準備されているので、運用強化として考えてはどうかというようなところを示しております。
そのほか、3ページ、国の役割等を記しておりますが、ここでコメントしたいのは4ページ、15番になります。水道法による市町村公営原則を見直すことと記しております。経営の観点から最適な事業規模を考えるためには、現在の水道事業の市町村公営原則を見直す必要があるのではないか。これは後ほどご紹介しますけれども、例えばアンケート結果、あるいはこれまで既に資料として提示されました関係団体ヒアリング結果からも、市町村という枠組みが、かえって広域化等の事業再編の足かせになっているような事実がある。こうしたところを、今後は公営を原則としながらも、経営単位としての見直しが必要ではなかろうかということで記しております。
さらに、都道府県の役割といたしまして、ここでは17番、広域化の推進のため、主体的に都道府県が関係できるよう権限を与えることと記しております。現状の広域水道整備計画については、市町村からの要請を前提としている。こうしたことから、広域化における都道府県の主体的な関与というものは必ずしも前提とはなっていない。これが現在、広域水道整備計画が進まない現状、もしくは実効性が十分でないというところではなかろうかということから記しております。
そのほか、飛ばしましたけれども、全体で20項目ぐらいをここでは資料としてまとめてみました。今後、皆さんとの意見交換の資料として参考にしていただければ幸いと思います。
もう1つの資料、参考資料—3です。参考資料—3の取り扱いですけれども、これまでの検討会で、どうやら広域化、そしてそれに伴う都道府県の役割が重要であろうというところまでは意見として出ていたと認識しております。そうしたことから、2ページにありますとおり、今回、47都道府県の水道行政担当部署を対象といたしまして、広域化に関するような意識アンケート調査を実施いたしました。その結果がこの参考資料—3でございます。
今回の集計結果は4ページから、問1—1、広域化の必要性、ここで貴団体の広域化の必要性についてどのようにお考えですかということで、段階的に推進していく必要があるというような回答があったということです。
このように各ページ、それぞれの設問と集計結果並びに簡単なコメントを付しております。中には、これまでの議論の中で既に確認済みのものもございますので、ここであえてコメントしておきたいのは、スライド番号8、問2—4、重要な利害関係者です。広域化を進める際に影響を与える利害関係者として、やはり最も多かった答えが3の議会又は首長ということであって、どうやら今のところ、利害関係者として認識されているところは議会などということです。この問題を考える場合に、水道の経営問題、運営基盤の問題を考えるにあたって、実は政治の場で決着する現実に目を向ける必要がありますここのところをいかに乗り越えていくのか、あるいは乗り越えるような、後押しをするような仕組みというのが必要ではなかろうかということを、このアンケート結果からコメントしてみたいと思っております。
そのほか、9ページ等についてはまとめですが、これは先ほどの20の提言の中にも含んでいるところがありますので、この辺は先に進んで、特にアンケート結果の重要なところ、スライド番号11、問3—1、都道府県の役割の評価についてです。広域化において都道府県の果たす役割はどの程度重要かという設問でございます。非常に重要と考える積極派とみていい団体と、そうでない、やや重要、あるいは余り重要でないと考える団体、ここでは割と中立的というようにここではくくっておりますが、割合としては中立的な意見のほうが多い。こうしたことを考えると、これまでの議論の中では、都道府県の役割が重要だということではありますけれども、現場の意識とギャップがありそうなので、この辺の都道府県の関与の強化が必要ではなかろうかというところをここでは記しております。
そして、今後の推進に当たって、スライド14ページ、問3—3です。都道府県の権限のあり方として、今後、広域化を推進するに当たって重要と考えられる権限見直しのあり方を聞いたところ、事業認可権限の見直しとして積極的に認可の見直しという意識をもっている団体と、これに対して、権限の見直しは不要であるというような回答も非常に多く見受けられました。こうした積極的な考え方とそうでない考え方をもっている団体が混在しているということが今回の実態であって、ここの違いを明らかにするために、15ページ以降の自由回答の中から考えてみたいと思いました。
まず15ページ、問4、広域化の推進に向けた意見・要望の中で、下の段、都道府県域内を広くとらえた広域化を考えたとき、計画給水人口5万人超の水道事業体との連携が必要である。しかし、当該水道事業体に対しては国が直接指導監督を行っていて、都道府県において当該水道事業体への関与がない中で広域化も進まない。都道府県域内の水道事業体について、日ごろより都道府県において指導監督を行うことが、地域としての水道事業の連携に対する認識を高めることができ、広域化を推進するために必要である。こうした積極的な意見がございました。
さらにその次のスライド、16ページ、上の段になります。黄色の字、広域化を本当に推進するためには水道法改正により時限を設けて1都道府県1水道等への移行を検討する必要があると感じている。このように県の担当者みずからが1都道府県1水道という意識をもっているような団体も見受けられました。
これに対してですが、17ページ、問4の一番下、4つ目ですが、当都道府県の場合、弱小事業体がほとんどであるが、弱小事業体が直面している課題に対して、広域化がどのようなメリットがあるのかわからない。都道府県の立場が不明確であるため、都道府県の果たす役割がわからない。
あるいは、18ページの一番下の行、広域化に対して都道府県の関与はなくすべきとの考え方もできるのではないか。ここの根拠は、その数行上にありますけれども、水道法では、?水道事業は市町村が経営することが原則、?地方分権・地域主権の趣旨を踏まえた形で、このようにアンケート結果として、どうやら都道府県の役割が重要とはいいながら、現状の認識については大きく分かれているような状況があったということです。
これが実態であるとご報告させていただくとともに、ひょっとすると今回のビジョンの中で、水道広域化による運営基盤の強化を推進するという観点からするならば、ここの部分について、都道府県の役割を明確化する、あるいは広域化を推進するような視点での意見というものを必要とするのではなかろうかということをご紹介して、この資料の報告を終わりたいと思います。

○ 滝沢座長
ありがとうございます。この資料と、その前に事務局からご説明いただきました資料をまとめて討議したいと思いますが、その前に5分ほど休憩を挟みたいと思います。あの時計で25分まで休憩を挟みたいと思います。その後、また討議を再開したいと思いますので、よろしくお願いします。

     (暫時休憩)

○ 滝沢座長
それでは、引き続き議論に戻りたいと思います。日程をみますと、後ほど詳しい日程がございますけれども、次回、中間とりまとめを予定しております。そういう意味では、これまでいただいた議論、それにきょうのこれからのご議論をまとめて、どのような議論があったかということを次回とりまとめるようになっておりますので、お気づきの点はぜひともきょう、発言として残していただければ、その議事録の中から重要な点を事務局と一緒にまとめていくという形になると思いますので、ここはと思うようなところはぜひともご発言いただいて、議事録に残るような形にしていただければと思います。
それでは、先ほどご説明いただきました資料—3、それから、前回、関連いたしましてご説明いただきました参考資料—1、まずはこの2つについてご意見、あるいはご質問がございましたら、議論をしてまいりたいと思います。その後で引き続き佐藤構成員からご意見も含めてご紹介いただいた参考資料—2と3がありますので、ここも踏まえた議論を展開していきたいと考えております。
まず初めに事務局からご説明いただいた資料—3でございますが、前回の参考資料—1も含めまして、何かお気づきの点、あるいはご意見ございますでしょうか。いかがでございましょうか。どうぞ。

○ 浅見構成員
それでは、気づいた点と今後の課題になるところを申し上げたいと思います。まず今回の資料で、7ページから14ページにいろいろな経営の指標について書いていただきまして、非常に重要なものが出てきたなという感じがしております。まず簡易水道も含めまして、経常収支が年度を追って悪化をしているような状態がよくわかるかなというところ、それから、8枚目に関しましては、料金回収率が非常に落ちていて、このままだと、ことしも既に大分落ちているのかなという感じがいたしますが、このような料金回収率に対しても、ちゃんと回収できるようにしていかないといけないのかなという感じがいたします。
また、繰入金の比率が上昇していたり、基準外のものが特に減っているところがあるということで、これは平均値ですので、場所によってはもっとひどいところもあったり、あと、今後、人口減少が激しいところではもっとひどいことになる可能性もあるのかなという感じがいたします。先ほど事務局からご指摘がありましたけれども、累積欠損金比率が高いところが取り残されているというような現状は、今回の資料からもみて推測ができるところかなと思いますし、そういうところをどうするのかというのは非常に重要なところかなと思います。6.5年分の借金ですとか、法非適の簡易水道になりますと、平均13.8年分の借金が既にあるということになりますと、今後、これが自動的に改善するということはなかなか考えにくいので、どうあるべきかというところが非常に重要かなと思います。
佐藤構成員からの非常にいい資料、今後の論点になると思うのですけれども、今後の課題の1つとしましては、経営の現状をちゃんと把握して、どのようにアドバイスといいますか、改善をしていくところの仕組みがどうつくれるかというところがまず一番重要なのかなと思います。
もう1つ、質問なのですけれども、これが法適用と非適用が今回出ていますが、今後、制度改正とかがありました場合にどちらの方向に動きそうで、もし全体に法適用になった場合には、どういうことが予想されるのかというのを総務省の方か水道課の方に教えていただければと思います。佐藤構成員かもしれないですけれども、よろしくお願いいたします。

○ 滝沢座長
これは一度話題に出たような記憶がありますけれども、まだご検討中だったというようなご回答だったように思いますが、もう一度、追加でご説明いただけますか。

○ 宮澤室長
総務省でございます。前回、法適化についてのご質問がございまして、そこの点については現在検討中でございますということでお答えしたとおりなのですけれども、まだ確定しているわけではありませんが、できれば研究会のようなものを設置して、検討していきたいなというようなことは、今、考えているところでございます。

○ 浅見構成員
多分、どちらかというと全部を非適用にするという方向にはいかないのかなという感じがするのですけれども、もしどちらかに動いた場合に、事業体さんにとってどういう状況になるのかということと、行政上といいますか、どういうことが予想されて、どういう課題が出そうかというのを、逆に私は余りよくわからないので、教えていただきたいというところなのですが。

○ 宮澤室長
方向性としましては、より民間の経営に近い方向でありますとか、経営の透明化とか、そのようなことがいわれておりますので、大きな方向性ということでは、法適化の方向だと思っておりますけれども、ただ、小さな事業体がどこまで対応できるかといったようなこともあろうかと思っています。そういうことで、今後、小さな事業体を含めてご意見を聞きながらまとめていきたいなと考えているところでございます。

○ 滝沢座長
ありがとうございます。水道課から何か追加ございますか。よろしいですか。
それでは、今、7ページ、8ページ、9ページあたり、幾つか課題をご指摘いただきました。その中の8ページで、簡易水道の料金回収率が平成になってから、法適かどうかにかかわらず、かなり下がってきているのですけれども、ここら辺は何か理由は、推定でも何かおわかりになりますか。この傾向。浅見委員から平均値なのでということで、自治体にはいろいろな事業があると思うのですけれども。

○ 日水コン(辻)
事業統合というのも、簡水はなされていますので、弱いところがもしかしたら、先ほどの累積欠損金比率からもみられますように、そういったところばかりが残されていて、そこそこのところは吸収されてしまってこうなったということも類推はできるのですけれども、明確な根拠ではないですが、そういったところが推察される程度です。

○ 滝沢座長
わかりました。
ほかに何かお気づきの点ございますか。どうぞ。

○ 佐藤構成員
今、例えば12ページの累積欠損金比率に関係するような議論になっておりましたので、ここでまずこの資料の見方ですが、累積欠損金のある事業体数、平成11年度から平成21年度まで、この間、平成の大合併があって、そこの部分が少し隠れているので、必ずしも明らかではない。とはいえ、もう一つ、実はこの間に財政健全化法によりまして、水道事業等もしっかりとした指標で管理されるようになった。そのうち資金不足比率とともに累積欠損金がある団体を法律は問題としていて、その法律によってしっかりと健全化を促す枠組みができたので、自治体側もそれに合わせて行動パターンを変えた部分も含まれていると思います。そうしたことから考えると、どうやら自治体の運営基盤の強化を変えるには、やはり制度的な枠組みというのは、たまたま財政健全化法が少し実証したようなことかもしれない。そうすると、今後さらに運営基盤強化の面からも制度的に見直すことが有効かもしれないということをコメントしておきます。

○ 滝沢座長
ありがとうございます。
ほかにお気づきの点ございますでしょうか。はい、追加で。

○ 浅見構成員
今のに関連してちょっと教えていただきたいのですが、12ページで、5,000人未満の上水道事業で大きく欠損金比率が上がっているようにみえるのですけれども、1万人未満も上がっているとは思うのですが、先ほどのご指摘でいきますと、財政健全化の法適用になって、この辺のところは財政がもうちょっと健全化しているべきところが、なかなかそうはいっていないというのがこの数字に出てきているのかなと思うのですが、この辺の事情をもう少し詳しく教えていただきたいのですが。

○ 佐藤構成員
私からよろしいですか。まず累積欠損金比率が上がっているようにみえますけれども、これは精査してみないと何ともいえませんが、この算式自体が営業収益を計算の基礎として、さらに累積欠損金との関係を表しています。小規模団体はそもそも営業収益が低いので、そうすると累積欠損金の額が少し膨らむと、比率としては高くなってしまうので、それがここにその影響が出ているのではなかろうかと推測されます。

○ 滝沢座長
分母が小さいので、上が少し動くと値としては非常に大きく動く可能性があるということだろうと思いますが、特に5,000人未満のところが飛び抜けてといいますか、離れて大きく高くなっているということですね。上水道事業で5,000人未満なので、やや特殊なデータなのかなと思いますけれども、どうでしょう。

○ 熊谷室長
まさにおっしゃられるとおり、上水道事業で5,000人以下というところがキーなのです。これは簡易水道ではないのです。ということは何かというと、認可のときには5,000人以上のものとして構成されていて、事実上、事業が休止されているとか、全く予想に反した状況で運営されているというものですから、中にはほとんど、表現は悪いかもしれませんけれども、開店休業状態のようなもので、その上側の5,000~1万人未満とか、いろいろな関係で動いていて、このデータを直接はみていませんが、事業数としては減ってきているので、明らかに上水道事業として成立しにくいものがここのところのデータではっきり残ってしまって、こういう状況になるということですので、私は逆に5,000人未満の上水道事業のこの辺を議論する必要は正直ないと思います。要するに、定常状態の事業経営状態になっていないものが、数字の処理上、ここに出てきてしまっているということですので、逆に5,000人以上のところの数字をどのように読み取るかということを考えるのが積極的ではないかと思います。

○ 滝沢座長
ありがとうございます。時間的なトレンドをみるときに、先ほどのご説明でもありましたけれども、母数の構成が変わってくると、単純にそのトレンドで悪くなっているとか、よくなっているというような議論ができないということですよね。そこも数字をみていく上で注意が必要なのだろうと思います。ありがとうございます。
ほかにお気づきの点、いかがでございましょうか。
私から1つご質問させていただいてよろしいですか。22ページに給水原価の推計が出ているのですけれども、あくまでも仮定に基づいた将来の推計ということなのですが、この計算をしたときに、全体の平均だけではなくて、ばらつきというのは同時に計算されていますか。徐々に上がっていくというトレンドだろうと思うのですけれども、中でも例えばとんでもなく高い料金になってしまうようなところが出てくるのかどうかとか、そういったばらつきも少し考えていく必要があるように思うのですけれども、これはあくまでも平均としての計算というやり方なのでしょうか。

○ 日水コン(辻)
基本的にここに掲げている更新需要のトータルで推計したものですので、平均といえば平均になります。

○ 滝沢座長
そうすると、個別の事業に関しては、現状ではまだされていないということですね。

○ 日水コン(辻)
参考として四国というところに焦点を置いたのが25ページ以降の計算になるということです。

○ 滝沢座長
これも四国全体ということですね。

○ 日水コン(辻)
そうですね。

○ 滝沢座長
わかりました。
ほかに何かお気づきの点ございますでしょうか。どうぞ。

○ 永井構成員
14ページに給水収益に関する企業債残高の割合のグラフが載っているのですが、例えば今の水道界の置かれている事情、あるいはこれから高齢化、人口減少だという中で、給水収益がなかなか上がらないという中で、一方では質の高い水道といいますか、そうしたものが震災に強い施設をつくろうというところで発想するとしても、一定程度、起債が圧迫するということを考えるならば、例えば規模別にいろいろグラフがありますけれども、企業債残高の割合がどのぐらいであれば適正なのだろうかということが、この間、議論されているのか。あるいは、どなたか、例えばこのぐらいの人口であればこのぐらいの割合がよろしいのではなかろうかということがあれば教えていただきたいと思いますし、あえてこのようにグラフで出すということは、何らかの意見として必要だということから出ているのかなということで、ただデータだけみれば、こんなものかというようになりますから、その辺、意見として申し上げてみたいなと思います。

○ 滝沢座長
これは21年度のデータを使っていますので、下に書いてあるとおり、規模が小さいほど企業債残高が高いという傾向なのですけれども、果たしてどれぐらいが適正なのかというご質問ですね。そういうことに関して、どなたかご意見、あるいは考え方を提示されるようなことはございますか。いかがでしょうか。

○ 佐藤構成員
企業債残高をみる場合には、このように給水収益に対する割合でみる見方と、もう1つ、自己資本構成比率として実際の負債資本合計のうちの負債割合がどれぐらいかという見方があります。これは結局、自己資本構成比率が高ければ高いほどいい。裏を返せば、その分だけ企業債への依存が少なくなっている。今、正確な手元のデータはございませんけれども、年々、自己資本構成比率は上がっているという傾向があるので、確かに一定程度の起債というのは負担にはなっておりますが、今のところ、事業体全体としてはいい方向には向かっている。
もう1つ問題となるのは、事業規模別にどの程度かということですけれども、14ページの資料が示しているとおり、規模が小さいほど企業債残高が多いというのが、規模が小さい水道事業体であっても一定程度の投資はしなければいけない。そこに資金調達の負担があるのですが、実は一定の規模の経済が働くということでもあるので、広域化等によって、あるいは規模が大きくなれば、もう少し起債は全体の割合から負担が減ってきて、健全な方向に向かうという見方ができると思います。一応、資料の見方としてご紹介しました。

○ 滝沢座長
ありがとうございます。
ほかに何かお気づきの点。長岡さん。

○ 長岡構成員
質問というか、教えてほしいのですけれども、今の14ページでもそうなのですが、10~15万人というのが数字が一番小さくなっていますね。それから、15ページの経営状況というところをみても、よくみると10~15万人のところが一番小さくなっているのですが、これは何か原因があるのでしょうか。それとも、たまたまなのでしょうか。もしわかっていたら教えてください。どなたでも結構です。

○ 滝沢座長
いかがでしょうか。なかなか明確な理由というのは答えにくい部分があると思いますけれども、全体的な傾向でみると、今、佐藤構成員がおっしゃられたように、ある程度の規模の経済がきいている部分があるということですね。個別にみると、多少のでこぼこがあって、今、長岡構成員のご指摘のとおり、10~15万人が一番低くみえるということでありますけれども。

○ 日水コン(榊原)
15ページのスライドなのですけれども、確かに10~15万人が一番低いようになっていますが、これは規模が大きくなればなるほど規模の経済性が働いて、コストが下がっていく。ただ、15万人以上になりますと、それなりの規模になって、水道事業としてのレベルも上がりますので、施設の整備とか維持管理とか、その辺にもお金をかけるようになっているのではないか。そこで、また今度は逆に右肩上がりになっているようにみえますけれども、恐らく規模の経済性という観点と、施設のレベルといいますか、その2つの要因が重なっているのではないかと考えます。

○ 熊谷室長
ご質問いただいたことに正確に答えられる人間は多分いなくて、まさに全国でミクロで起こっていることを集計すると、こういう状態になっているという以上でも以下でもないというように私は理解をします。前段でもお話しいただいたとおり、この割合をみるということと、毎年、水道事業全体でどうなっているかというと、先ほど佐藤さんのお話があったとおり、3,000~4,000億円ぐらい、毎年、残高が減っている状況で、日本全国的にみると、水道事業は今、借金返済期にあります。ただ、それが数字上は非常にいいことなのですけれども、再投資どういう状況になっているかということとセットでみない限り、見た目の経済指標とか経営指標としては改善しているのですけれども、それは再投資に対するところを抑え込んでもよくなりますし、逆に再投資を積極的にやれば、見た目の収支は変わっていく。ここのところも、ひょっとしてですけれども、事業体の再投資に対する取り組み状況が多少の人口規模のところのでこぼこに反映されているという可能性はあるかと思いますが、あくまでも推測の範囲ですので、現状の数字が平均的にみるとこういう状況だという範囲内でご理解いただければいいかと思います。

○ 滝沢座長
ありがとうございました。あくまでも必要な再投資をした上で企業債の残高が減っているのか、そうでなく減っているのか、そこをみて判断していくのが大事だというご指摘だろうと思います。
ほかにお気づきの点ございますでしょうか。前回に続いて2回目になりますので、前回、既にいろいろな点が議論されましたので、ある程度、議論を尽くしている部分もあるかもしれませんけれども。どうぞ。

○ 岡部構成員
前回の資料の4ページで、上水道事業の将来の需要水量が有収水量ベースで減っていくというグラフなのですけれども、コラムの中の50年後の1,500万トンと100年後の2,600万トンというのは、グラフ上に書いてある50年後である2060年、2110年と値が違うようにみえるのですが、これは……。50年後のほうが水量が少ないようにも書かれているし、微妙に右のほうに書いてある値とちょっと違うようにみえるのですけれども。

○ 滝沢座長
グラフの中に書き込んであるのが、2060年に2,200万m3、2110年には1,100万m3で、四角い中に書いてあるのは50年後に1,500万m3、100年後はふえて2,600万m3と書いてある。これは数字が間違っているのですかね。

○ 日水コン(辻)
訂正いたします。

○ 滝沢座長
では、訂正をお願いいたします。
ほかにいかがでしょうか。前回はその反対側にあります6ページのチャートについても幾つかご意見をいただいたような気がいたします。これはあくまでも例というか、考え方としてお示ししたということではありましたけれども、そこも含めて何かお気づきの点があれば、ご意見をお聞きしたいと思います。
資料—3の5枚目の水道事業体の数、推移で参考データとして書いてありますけれども、平成の合併等で、特に平成11年から21年でかなり減っているという意味で、その中でも人口規模として1万5,000人未満のところが減っていますが、この傾向自体は平成21年度以降は市町村合併がとまっているので、ここからは現状では余り変化していないという感じで理解してよろしいのですかね。平成11年から21年にかけての減少数というのは、主に……。

○ 日水コン(辻)
新しい統計が平成21年度ですので、22年度の統計をみないと明確にはいえないのですけれども、最新の実績は21年という理解で整理はしています。

○ 滝沢座長
ありがとうございます。
ほかにお気づきの点はございますでしょうか。どうぞ。

○ 木暮構成員
今の水道事業の数ということであれば、ふえることはないとは思うのですけれども、微減しているのかなというところで、それほどは変わらないのかなと思います。あと、簡易水道の事業ということでみると、今、日本の中では、統合計画に基づいて統合が進まれていると思いますので、ある程度減っていくのかなと。先ほどのご意見がありましたけれども、どうしても残っていくといっては変ですけれども、簡易水道事業として統合ができずに持続していかなければならない事業があると思うのですが、どうしても非効率な事業でありますし、収益的にも望めないということで、一般財源からの繰り入れ等もふえる事業であるかなと思います。だから、そこら辺を今後どうしていくのかというところで、広域化できれば、行政区域を超えた中で広域化していかなければいけないと思うのですけれども、そういったところが日本全国的に、次の佐藤さんの資料でもありますが、都道府県なりその辺が主導して、広域化を進めていくべきなのか、その辺が今後、水道界といいますか、20年、50年を見据えた中では考えていかなければいけない部分なのかなと思います。

○ 滝沢座長
ありがとうございます。
いかがでしょうか。資料—3について、他に何かご意見ございますか。特になければ、佐藤さんからご説明いただきました参考資料—2と3がございます。特に参考資料—3はアンケートの結果でございますので、こちらのアンケートの結果に対する質問も含めて、何かご意見があったらご指摘いただきたいと思います。あるいは参考資料—2のほうで佐藤さんから考え方を提示されていますので、これをもとにした議論ということでも結構でございます。いかがでしょうか。どうぞ。

○ 服部構成員
資料—2の中で仙台市さんから幾つかキーワードがあったかと思うのですけれども、新水道ビジョンへの意見としまして、超長期というキーワードが1つあった。それから、広域連携、ソフト連携、水道水の利用拡大、アセットマネジメント、こんなキーワードがあって、これに対して具体的にどのように新水道ビジョンがこたえていくのかなというところで、佐藤さんがお書きになったものをみていくと、非常に具体的に書かれていまして、例えば日本型モデルについていえば、我々民間へも踏み込んで、民は官の補完だけでなく、主体でもあり得るということも書かれていて、非常に身の引き締まる思いがするのです。前回の経営のお話の中で、1つ大きな重要なポイントとして、特に人材のお話に焦点を当てられて佐藤さんが説明されたかと思うのですけれども、特に我々民間企業の立場からいうと、6番、7番、8番、非常に重要なところでありまして、6番についていえば、まさに都道府県単位で水道の広域化をまず進めていただきたいと大きく思いますし、7番についていえば、まさにここに書かれていますけれども、参入障壁、ほかの言葉でいうと、発注条件の緩和というようなことにもつながるかと思いますが、そういったことを図ってくださいと。あるいは、8番に受け皿を多様にやったほうがいいですよというようなことも書かれていまして、さっきの仙台市さんの例を引くまでもなく、具体的に15番などは水道法の改正等も視野に入れて考えたほうがいいよというようなご説明をされていて、仙台市さんの期待にも添えるような具体的な提案になっているのかなと思っています。
実はその後で、佐藤さんの参考資料—3で、アンケート調査をなさって、積極的な自治体、消極的な自治体というようなところで、意見が2つに分かれるというようなこともあったのですけれども、我々民間企業も時代の変換のときに、社内の意見が2つに割れるということはよくあることです。まさに今、時代が2つに分かれていて、一番肝心なのは、きょうよりもあすのほうが期待がもてますよ、あすにかけられますよということが1つの判断の基準になってくるのかなと。このまま放っておくと、やはりじり貧ですよねと。企業経営もそうなのですけれども、このままの形態でいたらじり貧になりますねと。違う新しいことを考えましょうと。そのときには必ず議論が割れるわけで、消極的な自治体さんたちに向けて、成功事例も含めていろいろな事例を踏まえながら、ご理解を得ていくようなステップをつくっていかなければいけないのではないかと思いました。

○ 滝沢座長
ありがとうございます。佐藤さん、今、服部さんからご指摘いただいた、アンケートで議論が割れたということ。それも踏まえて、都道府県の役割を明確化したほうがいいというようなご提案なのですが、これに対して消極的なといいますか、都道府県の役割を特に果たす必要がない、あるいは関与をなくすべきというようなご意見もあったようですけれども、この辺はどのようにお考えでしょうか。

○ 佐藤構成員
まずこれは今後の都道府県に対する役割をどのように我々は考えていくのかということで、本当に意見の領域になってくると思いますが、まず消極的に考えているところは、今のところ水道法で市町村公営原則、あるいは広域水道整備計画にしても、市町村からの要請というようなことがあって、どうやら字義的に解釈すると、受け身にならざるを得ない立場にある。そうしたことから、このような消極的な意見になっているのではなかろうかと思います。
一方で、積極的な意見のところも、水道法を改正して、1都道府県1水道などといっているところもあって、対立しているようにはみえますけれども、私の見方は実は共通している部分もあると思っています。その共通というのは、何らかの役割をもっと明確にすべきだということです。都道府県の担当者が行動できるような裏づけが必要だというようにこれは読めるのではないかと思います。そうしたことから私は意見として、都道府県の役割を明確にするというところを導いた次第です。

○ 滝沢座長
ありがとうございます。
どうぞ、吉岡さん。

○ 吉岡構成員
私は都道府県の役割というのは非常に重要だと思うのですけれども、ただ、都道府県の役割というのは、地方分権で機関委任事務として、そもそも国がもっていた事務と同様のものを都道府県は負っているわけですから、単に権限がどうこうというのは、法律のミスリードではないのかなと思っています。そういう意味では、都道府県の行政の部分というのが若干弱い県もあるのではないかなというところが見受けられます。なので、積極的なのか、消極的なのかというところは、自分たちのところで水道をやっている県であれば積極的な意見も出るのでしょうけれども、そうでないところは決して積極的な意見という形では出てこないのではないか。というのは、市町村と同じように短い人事サイクルでどんどん人が変わっていって、そこの蓄積がされていないという現状もあると思うのです。そういった中で、この資料の見方として1つもっておく必要があるのではないかなと思いました。
あと、広域化という部分について、私はだんだん口数が少なくなってきたのですけれども、やはり広域化は必要だと、この会議に参加するたびに強く思うようになりました。ただ1つ、前の水道ビジョンのときも広域化は必要だという話はしたと思うのです。確かに佐藤さんがつくった資料はすごく具体的でいいと思うし、首肯できるものだと思いますが、次のビジョンに向けて一歩踏み込むべきというところは、平成の大合併のときのうたい文句に、大きくなれば専門的な職員を雇用することができる、という話がありました。しかし現実がどうだったのかをもう一度見直しておく必要があると思うのです。私は、決して言われたとおりになっていないと思っていますし、お話を聞いても決してそうではなかったような気がします。逆に大きくなったことによって、人が削減されて、より大きな面積をカバーしなければならなくなってしまったために、仕事がどんどん非効率になったという話をよく聞きます。そういったところの中で、一歩踏み込んで反省にたち将来を考えたほうがいいのかなと思います。
あと、私は広域化については、規模の経済が働くというところがありましたが、最近の研究成果では、収穫逓減になるというところも数多く報告されていますので、そういった部分にも着目する必要があるのではないかと思います。
広域化で問題なのは取り残されていくところであって、例えば中核になるような都市もなく、ただ、自立するのがやっとの事業体が集まって広域化を議論しても、なかなかうまくいかないのではないか。そうした所の持続可能性にどういうヒントがあるのかなというのをこのビジョンで打ち出せたらいいのではないかなと思いました。

○ 滝沢座長
ありがとうございます。今のお話ですけれども、平成の大合併で合併したところで実際どのような状況になったのか、そこをしっかりと踏まえた上で、より一歩踏み込んだとおっしゃいましたが、具体的な提言をしたほうがいいのではないか、そういうご意見だったと思います。
ほかにお気づきの点ございますか。木暮さん、どうぞ。

○ 木暮構成員
都道府県ということで、私も都道府県の立場で、肩身が狭いというか、佐藤さんのアンケートも8月の中旬ぐらいに来まして、このビジョンに関してということではなかったのですけれども、これはきっとビジョンの中で紹介される案件だろうなと思いまして、うちの担当にちゃんと答えておきなさいということで出した次第でございます。都道府県といいましても、各都道府県に求められていることが、各都県によって違うと思うのです。やはり埼玉は埼玉、違うところなら違うところで、逆に各市町村の水道が都道府県に求めていることに対して、都道府県が消極的であるということであれば、これは非常に問題であると思うのですけれども、逆にいうと、都道府県がなくてもうまくやっていけるところもあるのかなとは感じています。そういった意味で、すべてが同じように考えていく必要はないと思っていますし、日本で同じような形で、同じような都道府県の水道でなければいけないということではないと思っていますので、そういった意味では、各地域で支えていけばいいのかなと思っています。それが都道府県の役割であれば、各都道府県が頑張っていく必要があるのかなと。
例えば埼玉県であれば、せんだっての検討会でも説明させていただきましたけれども、県営水道の立場が水量的にも多いということでありまして、各市町村からは県で引っ張っていってもらいたいという意見もありますので、埼玉が頑張っているところではありますが、実際にいざ広域化ということになりますと、いろいろな障害があって踏み出せないというところもあります。過去からいえば、先ほど吉岡さんのほうでもお話がありましたけれども、広域化ということに関してみれば、過去においては市町村の合併でやってきた。なかなか事業の広域化が進まないということで、前回のビジョンでは新たな広域化というところで、必ずしも事業が統合しなくても業務を共同化でやったりとか、そういったところも段階的には考えていったほうがいいのではないかということで提案された次第でありまして、そういったところであれば、埼玉県内でも水質検査ですとか、料金徴収、そういうものを行政の区域を飛び越えてやっているところも幾つか出てきました。そういった意味では、前回のビジョンの成果としては出てきているのかなと。
これからこのビジョンで広域化ということに対して、どこまで目標として書いていくべきなのかなということは、中間とりまとめとか、そういったところでいろいろ出てくるかと思いますけれども、一歩踏み出して、行政を飛び越えた広域化、資料の中で事例としてありましたが、基本的に用水供給事業と受水事業者の広域化というのは全国でみれば幾つかありますけれども、水道事業同士の統合というのはなかなか事例としてはないところであります。そんな中で、先ほど事務局からも説明がありましたけれども、群馬で一部、用供を受けている事業者がありながらも、水道事業者の中で事務組合をつくって統合するということ、これがうまくいけば1つの成功事例として、モデルケースではないですけれども、幾つかほかについていくところが出てくるのかなと期待しているところでございます。
ちょっと話があれですけれども、そんなところで、今回のビジョンの中で、先ほどの話もありましたが、弱小、取り残されていく事業体を含めた中で、どういった形でビジョンの中で統合というものを示していくのかというところを、これから中間とりまとめ並びに最終的なパブコメ等を出すと思いますけれども、そういったところにどうやって書いていくかということを考えていかなくてはいけないのかなと感じています。

○ 滝沢座長
ありがとうございます。取り残されていくところをどうするのかといった課題もご指摘いただきましたけれども、何かご意見ございますか。岡部さん、どうぞ。

○ 岡部構成員
私は民間の立場ということもあって、多分、多くの方みたいに水道事業そのものに携わっているわけではないので、ちょっと環境が違うかもしれませんけれども、日本の水道は簡水を含めて普及ということでかなりやってきて、今になって、ある意味では料金が違うとか、経営的にどうのこうのとか、持続可能かといわれているのですが、その中でまた1つの手法として広域化という話も出てきて、市町村からすると、今まで自分たちで一生懸命、苦しくて頑張ってやってきたのにという思いもあると思うので、そのあたりも十分汲んで検討していくことも必要なのかなという思いがあります。
あと、佐藤構成員の話を聞いたときに、経営基盤の強化というのは大切だとすごくわかるのですけれども、これも将来の水道システムとしてきっちりとしたレベルを保つのが一番重要で、そのために経営基盤をちゃんとしなければいけないとか、そのために広域化しなければいけないというのが必要条件としてあるのかなと。
あと、広域化についてですが、資料の中にも最初のころにありましたが、人口減少の中で、大きな事業体でもやっていくのはいろいろな面でも苦しくなるという中で、小さな事業体、ましてをやという思いがあるので、必要だと思うのですけれども、いろいろな阻害要因という話がたくさん出てきて、お話を聞いていると、料金の問題もあるし、施設レベルもあるしという話になってしまうのですけれども、実際に結構進められているところ、それが市町村合併だったり、ほかの用水供給で水源の問題だったりとあるかもしれませんけれども、合併しているところもあるので、もう少し深く、どうやったら広域化ができているのかとか、そのあたりを深く探る必要があると思います。
私のイメージですけれども、当然、小さいところ、大きいところ、悪いところ、料金が高いところがあって、どうせ合併できないよね、問題あるよねという話になるのですけれども、やはりビジョンですから、そういったものが例えば5年後、10年後でもいいのですが、料金が低くて施設整備をしていないところは頑張って施設整備していき、ちょっと料金が上がるけどお互い目標をもって、ある程度のレベルまでいって、その後に合併するとか、具体的に進むようなビジョンみたいなものを示せないかなと思います。問題があるからという話をしているとだめだと思いますので、そのあたりをビジョンの中でもうちょっと具体的に示すべきだと思います。前回のビジョンでは、垂直統合、水平統合とかの手法の紹介はかなりあったと思うのですけれども、もう少し踏み込んで、具体的に広域化が進むような形を洗い出せないかなという気持ちがあります。
あと、今、だめになるみたいな話がかなりあって、余り夢みたいな話はないのですけれども、東京都のビジョンの中でも、省エネ水道とか、よりよい水道みたいなところ、そういったものももうちょっと織り込めないかなというのがあります。


○ 滝沢座長
ありがとうございます。阻害要因をいうだけでは前に進まないので、具体的に前に進めるような方策も書く必要があるのではないかというご意見だったと思います。
どうぞ。

○ 吉岡構成員
岡部構成員のおっしゃっていたこと、全くそのとおりだなと思うのですけれども、21世紀は水道をもう一度つくり直す世紀だと思うのです。今まであったものを全部取り替えしなければいけない、そして新たにつくりかえていくというときだと思うのです。その中で、経営基盤の強化というのは、それを行う上で非常に重要なことなのですけれども、そちらが前面に立ち過ぎると、やはり事業体側としてやることをやらないということも出てきてしまうのかなということもあると思うので、ビジョンの中では、日本の水道をどう次に引き継いでいくのかというところをきちんと明確にした上で、それを行う経営基盤の強化というところをきちんとうたうべきなのかなと思いました。

○ 滝沢座長
ありがとうございます。
どうぞ。

○ 佐藤構成員
まず運営基盤の強化を推進している立場からすると、私の趣旨が少し誤解されているのかなという気がしたところです。私が今いっている運営基盤の強化というのは、今まで以上に、より積極的にやっていこうという発想のものであって、要するに、やることもやらないで、目先の財務諸表をよくしようとか、そういうレベルのことではない。先ほど永井構成員から質問いただいたとおり、企業債残高は事業別にどれぐらいが適正なのかというのは、規模の小さいところは、もはや抱える企業債は厳しいわけです。そうすると、やるべきこともできない。そうではなくて、一定の経営基盤になることによって、より企業債を抱える残高等も大きくなるでしょうし、やるべきこともできるだろう。そういうための運営基盤の強化といっているので、少なくとも縮こまろうという趣旨ではないということです。
もう1つ、今回、私がこうやって資料を提起した思いは、過去これまでの例えば経営計画であるとかビジョンをつくるときというのは、現時点でこうで、今後こうしようという着眼点です。そしていろいろな阻害要因があるから、ここまではできるから、こういう計画にしようというような発想でつくられていた団体が多かったように思われます。そうではなくて、今回は2100年を展望した上で、2050年までに何をすべきかを明らかにすることです。そうすると、発想も着眼点も異なってきて、そこから出てくる答えというのも、確かに吉岡さんが先ほどいったとおり、平成の大合併とか、専門職員が育たないとか、職員がなかなかふえなかったという問題は事実あるかもしれませんけれども、そのような着眼点だけで物事を考えると、ひょっとすると今後将来の水道のあり方をミスリードすることがあるかもしれない。割と長い視点から今回のビジョンを私は考えてみたいと思っています。

○ 滝沢座長
長い視点から考えるというご提案です。
ほかに何かお気づきの点ございますか。吉岡さん。

○ 吉岡構成員
私も佐藤構成員がそういうところをないがしろにしているとは全く思っていないのですが、今、お話しした中で、確かに今まで計画をつくるときは物事をフォアキャストをしていた部分があると思います。一方で、たたき台として佐藤構成員のほうで出していただいたものはバックキャストをしていて、あるべき姿からどのようにしていったらいいのかという道筋をちゃんと考えるような提案がなされているなと思いました。ただ、バックキャストして計画を策定するにしても現状の評価や反省は必ずなされるべきことだと思います。そうした意味で、もうちょっと議論が必要なのかなという部分もあります。例えば6番に広域化の規模は都道府県で1つの水道を目指すこととあるのですけれども、それ自体を否定するものではりませんが、現状とかけ離れ過ぎているというところの中で、バックキャストをするにしてもきちんとフォローした形での計画のつくり方、コメントのつくり方をお願いしたいなと思います。

○ 滝沢座長
そこに至るまでの道筋みたいなものですかね。ありがとうございます。
ほかにご発言される方いらっしゃいますか。いかがでしょうか。どうぞ。

○ 岡部構成員
これからの持続可能な水道にしていこうという中で、もちろん経営の問題とか、施設面とか、そういう問題もあるのですけれども、最近、更新とか耐震化も市民の理解がないとやっていけないよという話もあるので、水道事業の持続可能性、もしかしたら別の場所での議論になるのかもしれませんが、市民とのかかわり合いとか、理解とか、そのあたりをもうちょっとキーワードとして入れていただきたいなと思います。

○ 滝沢座長
どうぞ。

○ 吉岡構成員
関連してなのですけれども、広域化しようとしていく仕組みの中で、恐らく企業団という形が真っ先に私の頭の中に浮かんでくるのですが、地方自治の中で、地方公共団体の形式からいうと、企業団というのは多分、住民の民意が一番反映されにくい仕組みになっているはずです。その中で、私たちは住民との連携というのをこれからキーワードとして挙げていくという中では、そこら辺もよほど踏み込む必要があるのかなといったところを考えていく必要があるのではないかと思います。

○ 滝沢座長
住民の意見を反映するような形でというご意見でした。
ほかにお気づきの点、いかがでしょうか。木暮さん。

○ 木暮構成員
確かに今、ご発言がありましたように、行政区域を飛び越えた広域化になると、1つは事務組合、企業団という形があるかと思います。確かに企業団という形になりますと、議会等も、また寄せ集めといっては変ですけれども、そういった形になりますし、区域の民意が十分反映されるかというと、なかなか仕組み的に難しい部分があるかと思います。ただ、現状からいいますと、今回の議論にありますように、運営基盤を強化するためにある程度の事業ボリュームが必要だと思っていますし、それがどのくらいが適切かというのはなかなか難しいと思いますが、ある程度ないと、例えば埼玉の例でいっても、市町村合併でくっついて、水道料金は上がるけれども、それなりに老朽管ですとか、石綿セメント管の更新が進んだとか、そういった事例は幾つもありますし、小さな事業体ではなかなかその辺がうまくいかない。そういった意味からすると、運営基盤の強化をするためにはある程度の事業ボリュームが必要だと思っていますし、その中で事務組合というのも1つの手法ではあると思いますし、それが事務組合でなければできないのか、1つの事業が周辺の事業を吸収するというやり方もあるかと思いますけれども、これから幾つかそういう事例は出てくるかと思いますが、うまくいった事例、あるいは課題が出てきたところというのは精査しながら、どれが正解ということはないのかもしれませんけれども、いろいろなケース・バイ・ケースの中で検証していけばいいのかなと思っています。

○ 滝沢座長
ありがとうございます。事務組合といった、やや具体的な議論になりましたけれども、佐藤さんに提案していただいた参考資料—2をみますと、個別の20のご提案を幾つかにまとめられて、1つは料金のこと、それから、人材・組織のこと、利害関係者の役割、首長・議会の役割、国の役割、それぞれの関係者の役割について、いろいろなご提案をいただいているわけです。これまで料金についてのご意見は多くは出ていませんでしたけれども、この点も将来に重要な因子になるのだろうと思います。佐藤さんのご提案も踏まえて、地方議会の議決の前段階で評価意見を求めるというようなご提案もされていますけれども、ここについて何かご意見ございますか。料金制度全般に関してでも結構ですけれども。どうぞ。

○ 木暮構成員
今、料金の関係で、地方自治体の中で議決が必要ということで、議会の議決の手前で何らかが必要だということですけれども、基本的には審議会、あるいはそれに類似したものの中で議論はしていると思います。ただ、それが形骸化しているといっては変ですけれども、ただやっているだけということで、十分な議論はしていないのかなと。審議会のメンバーに関しても、本当の外部から意見をいうような人が集まっていなかったりとか、そういったところの仕組みというか、考え方を整理すればいいと思いますので、基本的なスキームといいますか、やり方とすれば、そういった審議会なり何なりが開かれていると思いますので、そこの中で有益な意見交換、あるいは議論をすればいいのかなと、私は各市町村の水道事業者のそういうところをみていると感じているところではあります。

○ 滝沢座長
ほかにお気づきの点ございますか。いかがでしょうか。どうぞ。

○ 浅見構成員
今のに若干関連してなのですけれども、料金の適正化という題名にはなっていますが、中身を拝見しますと、合理化ですとか、適正化といいますか、ちゃんと料金を設定して、かつ、ちゃんと経営をしようというところが重点なのかなという感じがしております。一番肝心なのは、やはり健全な投資を確保して、かつ健全な経営をする、そちらのほうが料金も含めた形で重要なのかなということがここで述べられているのかなという気がしています。料金が高い低いというのももちろん問題なのですけれども、今の状態ですと、経営がちゃんと回っているかどうかというのをチェックするという組織ですとか体制が非常に脆弱で、料金を上げる下げるという議論のもとになるようなもの自体がなかなか理解されにくいところなのかなということがあるかと思いますので、投資と経営のことも含めて助言しやすいとか、アドバイスしやすいとか、チェックしやすいというような体制づくりとかアドバイスが重要なのかなと思います。例えば中小企業ですと、税理士さんとかが時々入ってアドバイスをするとか、そのようなことが行われているようですけれども、そういったことが水道でできるのかどうかとか、どういう場が適正かというところも含めて、健全な経営をしていくためのアドバイスというのは考えるべきことかなと思います。
もう1つ、6番の都道府県で1つの水道を目指すというのは、私も最初のイメージにすごく合っているようなところではあるのですけれども、1つの水道といっても、都道府県が本当に1つの会社になったりとか、広域の水道企業団になったりというところが適している場合もありますし、小さなところが並立しながらも、それぞれ活力をもってうまくやれるところもあるしというところで、1つの都道府県で少なくとも目配りをして、お互いがどういう状態かというのをわかりつつ、体制をうまくもっていくというところが重要なのかなと思います。例えば人事交流をその中でやるというのも選択肢の1つなのかなと思います。
もう1つ、参考になるかなと思いますのが、海外で既に人口減少が起こっているところで、限界集落といいますか、人口が物すごく減ったようなところとか、一部給水量が減ったようなところで、管路を更新するときに少し細い管にして更新をしていくと、逆に水質の劣化とかも防げますし、場所の確保も簡単ですし、工法自体もそれほどお金がかからずできる場合もありますので、そういう海外の事例とか、人口減少を既に経験しているようなところの事例も踏まえながら、次のビジョンに書き込んでいけるといいのかなと思います。

○ 滝沢座長
ありがとうございます。料金の4項目、ご提案いただいていますけれども、4つ目にアセットマネジメントのことが書いてありまして、これは先ほど服部さんからご指摘いただいた仙台市との意見交換会でもアセットが重要だというご指摘がありまして、重要性が高まっているということなのですが、その一方で、先ほどどなたの発言か、ご議論の中で、取り残されしまう事業体がどうしても出てきてしまう。そこをどうしていくのかというのがもう1つの課題だというようなご指摘もあったと思うのですが、どのような方策が考え得るのかといったことも考えていかなければいけないと思うのですが、佐藤さんからは、人材を専門知識や外部から取り入れる仕組みというようなこともご提案されています。こういったことをすることで、いわゆる取り残されてしまうような事業体というのはうまく拾い上げていけるようなものなのでしょうか。佐藤さん、何かご意見ございますか。

○ 佐藤構成員
先ほどの浅見先生のお話、もしくは今、滝沢先生からいただいた質問、結局、どうやって料金、もしくは経営問題を解決するかということになります。例えば私がきょう出した資料では、3ページ、9番、人材や専門知識を外部から取り入れる。地方自治法では専門委員という制度があって、実は制度設計されているにもかかわらず、まだまだ利用されていないようなものもいっぱいあるわけです。こうしたところは制度の問題ではなくて、運用の改善として、今回のビジョン、もしくは今後の水道の経営改善に向けた中で知らしめていくというのも必要かと思います。もともと気づかれていない、あるいは制度はあるのだけれども、運用されていないということも実はいっぱいあるわけで、そういったところの活用が1つ重要かと思います。
そのほか、先ほど税理士さんの話のようなものもこれかもしれませんし、先ほど木暮さんがお話しされたとおり、多くの団体は審議会等をやっているといいますけれども、現実的には中小のところがそうした会を開催するだけの余力がない。あるいは、そういった委員を集めるような状況にもないということで、小さいところというのは難しい状況にあるようにも思われます。こうしたところについては、しかるべき第三者が意見をいえる仕組み、もしくは意見を求めるということも必要だということが、ここから私はいえるのではなかろうかと思います。

○ 滝沢座長
ありがとうございます。こういった専門の知識をもった方をうまく活用していくといいますか、協力をいただくということですが、その一方で、規模が小さい、あるいは中小でも横のつながりをうまく活用していくということも考えられると思いますけれども、吉岡さん、いかがでしょうか。例えばそういったつながりの中で、アセットマネジメントだけではないと思いますが、そういった取り組みがおくれてしまう事業体をできるだけ少なくしていく、減らしていくということは可能でしょうか。

○ 吉岡構成員
私は可能だと思います。というのは、人数が少ない、余力がないといっている事業体の職員、確かにそのとおりなのですけれども、決して全くやる気がないわけでもないし、責任感がないわけでもないのです。そういう方々の思いをきちんとくみ上げるより具体的な取組みをすればできるはずです。今、アセットマネジメントは1Aからやってください、着手してくださいという言い方をしていると思うのですけれども、先日、熊本で、答えが出るまでの道筋を立てて、1Aのアセットの取組み方について話をしました。1Aはアセットなのかという議論を別にすれば、とりあえず取り組みとして推奨されている部分については、みんな、こんなもんなのねと好感触です。確かに着手するという段階で、マニュアルが分厚かったりして、様々な業務を横断的に取り組まなければならない中小水道事業にとっては、その前段で若干の障害になる部分はありますがその辺をうまく整備すれば十分に取り組みにつなげていくことはできると思います。あと、水道料金の関係に関していえば、例えば広域的に勉強会をしていても、個別の立ち入った状況に必ずしも踏み込んでいくというのは難しいのが現実です。ですから、広域化して、そういう知識を蓄えていくことはできると思うのですけれども、この資料にあるように、やはり専門家の関与というのは必要になってくるのではないかという気はします。

○ 滝沢座長
いろいろな手法を組み合わせてということですね。ありがとうございます。
ほかに何かお気づきの点ございますでしょうか。料金のことに限らずで結構でございます。

○ 服部構成員
今の吉岡さんのもので、別の見方をしますと、資料—3の16ページに、小規模事業体(給水人口10万人未満)における自己評価が低かった項目というものがあって、業務項目が幾つか書かれてありますけれども、自己評価が低かったということよりも、むしろここまで手が回らないというような理解をしたほうが正しいのかなと思っていまして、ここに書かれてあるようなことというのは、あすの水道といいますか、あしたの飲み水といいますか、そういったものを本当は考えなければいけない。企業でいうと、ここの人件費は間接原価になるわけですけれども、あしたの企業、あしたの会社ということを本当に真剣に考えていかなければいけないような業務項目が、手が回らない、もしくは自己評価が低い項目というような話になっているというのは、こういうことに県なり、隣の大きな自治体なり、あるいは民間でもいいのですが、幾つかお手伝いしながらやっていかない限りは、持続ができないのではないかということを、この表をみながら感じました。

○ 滝沢座長
ありがとうございます。
木暮さん、いかがでしょうか。

○ 木暮構成員
佐藤さんの参考資料—2の3ページで、先ほどもお話がありましたが、9番のところで専門知識のある方を外部から取り入れる仕組みを普及させることということがありましたけれども、なかなかそういったことが難しいといったこともあるかと思いますし、逆にいうと、常時いなくても例えば技術的なこと、経営面のこと、相談する人が、近くの事業体でもいいし、県でもいいし、国でもいいのですけれども、そういったところに気軽に聞けるような環境が必要なのかなと。私も、自分でいうのもあれですけれども、技術系の人間なので、県内の市町村の水道に対しては何でも聞いてくださいよと。そういったところで答えられる部分については相談役みたいなことをしていますし、市町村には変な話、顧問弁護士ではないですけれども、民間の方と顧問技術者の契約みたいなやり方もあるのではないか。やっていることはまだないのですけれども、そういった話もしています。逆にいうと、経営面でいうと、私も経営面のことを聞かれると、「あれ?」という感じでなかなかつらいところもあるのですけれども。
そういったところで、水道事業の経営のことについて質問、あるいは聞きたいときに、なかなか聞ける人がいないのかなと。そういう水道経営のプロフェッショナル、今回、佐藤さんをご紹介しようかなと思いますけれども、そういったところで聞ける人材がなかなか近くにいないのかなという部分はあるかと思います。そういった環境を、我々も人材も含めた形で整理していかなくてはいけないのかなとちょっと感じています。

○ 滝沢座長
ありがとうございます。アドバイスできるような人材を育てていくことも必要だということだと思います。
ほかにいかがでしょうか。お気づきの点ございますか。どうぞ。

○ 岡部構成員
私も人というのは非常に重要だと思っていまして、人材の育成をしていかなければいけないのですけれども、私たち民間からみていてもちょっと心配なのは、水道事業体が官民連携という中で、だんだん委託したり、水道事業体の人が、私たち技術からみると設計とか施工とか工事のこととか、正直、だんだん離れていっているかなという感じがあります。そういった中で、今の水道事業体の方々というのは建設時代をまだ多少経験されていて、いろいろなこともやられているので、すごく知っているのですけれども、30年、50年たったときに、水道事業体にどんな方々がいて、私たち民間もどんな人がいるのかなというのはちょっと不安なところはあります。最近、神奈川県さんなどとの官民交流というのですか、いわゆる民間から事業体に行ったり、事業体から民に来たりみたいな制度が始まっているのですけれども、私のイメージとしても、佐藤さんの資料の3ページの民間の役割というのもあるのかなと思いまして、民間の方々が水処理のこと、機械電気のこと、ポンプ、バルブでもいいのですけれども、そういったものを知りたいときに、事業体の方を受け入れてしばらく一緒にやるとか、将来は違った意味での官民連携が必要になると思います。今、官民連携というと、どうしても運転管理を委託するとかいうイメージなのですけれども、相互教育といった意味での官民の連携というのも、人材育成というものと役割分担という中であるのかなと思いました。

○ 滝沢座長
人材と技術、そういったものをどこかにプールしておかなければいけないということだろうと思います。
どうぞ。

○ 木暮構成員
今、岡部さんがいわれたことはごもっともで、以前、官民連携とか、官民協力というと、どうしても自治体側からするとコストダウンというか、費用削減のために民間に任すのだよと。そういった形で過去においては民間活用が選択されてきたのかなと思います。ただ、現実は、今は費用削減ということではなくて、事業体の中の、特に水道とか下水とかもそうなのですけれども、事業体の中で技術力の維持がなかなか難しくなっていく中では、官民連携の中で技術的なところを補完していただく。現実的には少し出てきていますけれども、そういったところがこれから求められていくのかなと思っております。

○ 滝沢座長
長岡さん、どうぞ。

○ 長岡構成員
今、岡部さんがおっしゃったことなのですけれども、確かに昔は直営でやっていて、事業体の職員の方がすべて知っていたというのはそのとおりで、確かに最近は委託が進んで、細かい技術的なことがわからなくなっている。そのとおりだと思うのですが、ただ、逆にいうと、それではいけないのかという疑問もあるのです。任せるところは民間に任せても構わないと思いますし、ただ、最低限知らなければいけないと知らないといけないということだと思うのですけれども、それがどのぐらいのレベルまで知っていなければいけないかというのは、私自身もまだ答えがないところなのです。だから、事業体みずから設計できるまで本当に必要なのかどうか。そういうことについて、私自身はまだ答えがないというか、やや疑問に思っているところがあります。その辺、もしお考えがあれば教えていただきたいと思っています。
それから、9番の外部から専門知識を取り入れるとか、まさに私もそのとおりだと思うのですが、どうもいろいろ話を聞いていると、事業体側にまだまだ民間に対して不信感があるというか、民間と一緒にやろうというような考えがどうもまだまだ育っていないような気がします。例えばよくいわれる水ビジネスということで、民間企業が外に行くときにノウハウがないということで、ノウハウは自治体がもっているということで、そういう自治体のノウハウを伝えなければいけないというようなことをよくいわれるのですけれども、ただ、事業体側に本当にノウハウを民間に伝えようという気持ちがあるかということについては、現状では若干疑問に思うところが時々あります。ですので、事業体側も本当に民間と一緒に、事業体と民間が両輪で水道事業を担うのだという意識は、現状ではまだまだないと私は思います。ですから、やはり事業体側も意識を改革する必要が私はあるのではないかなという印象をもっています。ちょっと言い過ぎたかもしれませんが。

○ 滝沢座長
そういうご指摘ですが、水道といったときに、小さなところから大きなところまでいろいろな水道があります。そういったところの水道の技術を全部、民にお願いしてということでもないだろうと思うのです。やはり規模に応じて——規模だけはないかもしれませんけれども、規模や状況に応じて、その地域で核となる水道事業体は、ある部分の技術はしっかりともって継承していっていただく必要もあるでしょうし、そうはいっても、すべての事業体がそれと同じようなレベルで技術を継承していけるのかといったら、それはまた一方で疑問になります。ですから、平均的なというのは確かにあるのですけれども、その議論の中でも、それぞれの事業体の状況や規模をみた上で、公の側でもしっかりとした中心となるような技術を継承していく必要は当然あるだろうと思いますし、また、民の側が活躍することで、全体的に効率もよくなるというようなところも多分あるのだろうと思います。そこら辺のバランスを日本全体でどのように考えていくかというのを、これから議論していかないといけないということかなと思いますけれども、何か岡部さんから補足意見ございますか。

○ 岡部構成員
私も民の立場ですから、仕事というか、そういうものをたくさん民のほうにというのは歓迎ですけれども、30年たったら、多分、民のほうでもそれなりに育ってくるので、長岡構成員がおっしゃるように、それはそれでうまくいくかもしれませんが、どこかで官と民というか、水道事業体と民間の間で断絶みたいなものができてくると、お互いよくないので、そこに1つは交流が必要かなというご提案をしたのと、あと民間としては、いろいろな資機材、先ほどちょっといいました省エネになるような機器だとか、そういう供給というのも役割として重要ですし、今、アセットとかいいますと、ライフサイクルコストを低減するための製品の供給、そういったものも民の役割としてあるなと。ですから、今、役割のところに余り民が入っていなかったので、もう少し民の役割を考えなければいけないという反省も込めて発言しました。そういうことです。

○ 滝沢座長
ありがとうございます。
どうぞ。

○ 永井構成員
水道事業の将来のあり方をめぐって、これまでは過去に水道事業検討会ですか、あるいはその前後のフレッシュ水道計画ということを厚労省が訴えたりとか、水道ビジョン、それから1年後、地域水道ビジョンということで、それぞれ立派な方針を出されてきた、あるいはいろいろな角度から議論されてきたのですが、今まで皆さん方で議論されているのは、例えば経営基盤だけをみて強化するのであれば、いろいろな施策があろうと思うのです。私は2年ほど前まで自治体に、いってみれば現場におりましたから、そんな意味では、料金水準はどうあるべきかという議論もいろいろやってきております。それは、水道法1条に低廉というのがあるし、過去に近代水道が、消化器系の疾患で江戸末期から明治かけて、数年ごとに数万、十数万という方が亡くなられたということで、時の明治政府は衛生上、なかんずく公衆衛生の向上、これが水道事業の目的だということで、市町村公営原則がスタートしたというのをまずしっかり押さえておかなければならんと思うのです。
そういうもとで、それぞれ国民皆水道になってきましたけれども、いろいろな事情のもとで、これから水道の施設の運営、技術力の問題といわれていますが、技術力の問題は、民間の方の技術もお願いする立場でいるのですが、そこの事業体として最低この技術はもっていなかったらだめだろうと。いってみれば、失敗談も含めて、ノウハウのある人、水道の番人といいますか、そういう方は絶対必要だと思っております。
そんなことを考えれば、これから先、平成14年でしたか、第三者委託制度ができましたが、これだって法律的には事業者が水道法の責務を負いますよといっても、結果として事業体に責任が求められるのです。特に目の前に議会がありますから、何をするにしろ、これをするにしても、議会の承認が必要だということを考えるとするならば、ちょっと言い方は悪いのかもしれませんけれども、規模に応じた水道事業体はこうあっていいのではないですかと。あるいは広域化をくぐるとするならば、今までの料金格差、これも私もいろいろみていますけれども、相当な悩みです。そんな意味では、そうした格差を是正するに当たっては、低いところにおさめるのであれば簡単ですけれども、そうはなかなか難しいということも聞いています。
歴史的に、過去に、水道料金が全国で最高15倍という数字も聞いています。富士山のふもとのある小さいところは10トンで月300円だと。だけど、北海道のある町に行ったら4,500円だということで、過去に総務省がそうした高いところの料金対策を打ち出して、幾らか抑えられてきましたけれども、いってみれば水道料金は幾らでもいいと。そのかわり、質のいいサービスを持続的に50年、100年後、提供するかといっても、これは議会、住民の合意が得られないでしょう。特に近年、地域経済が疲弊して大変だと。事業者側からすれば、料金収入も減って、施設も古くなって、もがいているのです。だけど、簡単にいえば、ここで少し料金を上げさせてもらおうと思ったら、そこではなかなか難しい。ですから、1事業体でなくて、それぞれの事業体のモデルを考えて、それぞれの地理的要件だとか、いろいろな事情があるでしょう。ですから、そんな歴史ということを踏まえて、どこかをモデル的に引っ張ってみて、ここはこの間の水道がどのぐらいからスタートして、どのようになっているというように全部洗い出して、モデルケースを水面下でみてみたら、評価できる面、評価できない部分、難しい面、いろいろなことがあるのではなかろうかと考えています。
それと、この間、やはり技術力の問題も私は危惧しています。過去に長崎のある団体が、長崎の総会で、2006年問題と技術継承ということで、大きな会議を開きましたけれども、私も全くそのとおりだと思いますが、残念ながら水道事業を経営する、あるいは高いレベルの人は、市長部局の人事、それで来るわけですから、水道事業に理解をされない、あるいは意識が低い、いろいろなことを考えて、下のほうは立派な水道をつくろうという中でも、なかなか理解されないといった点がありますから、そんな意味からしますと、人材をどうみるのかということは、技術的な能力の人材だけでなくて、管理者、管理能力、ここにも何らかの形でアドバイスというのですか、一定程度、光を当てる必要があるのではなかろうかと思っています。そんなことを私の意見として申し上げさせていただきます。

○ 滝沢座長
 ありがとうございます。幾つか重要なご指摘をいただいたと思います。自治体による格差というか、違いを前提に、幾つかのモデルケースを示すことができないかというようなご提案、それから、技術者の不足、あるいは技術の継承ということ自体はもちろん問題だけれども、経営層の人材というのもしっかりと育てていく必要があるのではないかというようなご提案だったと思います。
 予定した時刻、あと10分ほどで限られてきてございます。何かまだご発言で言い残したこと等ございましたら、ぜひともこの機会にご発言をいただきたいと思いますが、いかがでございましょうか。どうぞ。

○ 吉岡構成員
きょうの議論は持続性の確保という内容でしたので、水道の運営基盤の強化について、広域化の議論が中心でしたがとりまとめの際のお願いなのですが、広域化を進める一方で頑張っている事業体もたくさんあります。小さいところが単体でも頑張っていけるようなビジョンであってほしいなと思います。長いスパンで見て広域化を考えるのはそのとおりですが、だとすれば、当面の間、自分たちで頑張らなければいけないという希望をもてるようなビジョンが必要だと思います。

○ 滝沢座長
小さいところがぜひ元気が出るビジョンにしてほしいというご意見です。
ほかに。どうぞ。

○ 長岡構成員
ちょっと前に戻るのですが、資料—2のところ、登米市のヒアリングなのですけれども、ここにはなかなか書けないのかもしれないのですが、やはり印象に残っているのは、市長さんみずからが料金の問題について高い意識をもたれていたということだったのです。書けないのかもしれないのですけれども、やはり首長のリーダーシップ、高い意識でああいう料金体系が成立しているということは、どこかに残したいなという気持ちがあります。

○ 滝沢座長
首長、管理者レベルの意識が重要だというご指摘だろうと思います。実際、そういうことは登米市もそうですし、それ以外のところでもそういう事例はあるだろうと思います。ありがとうございました。
ほかに。どうぞ。

○ 岡部構成員
どうしてもビジョンだとこうあるべきだとか、こういうものが目標ですよとなってしまうのですけれども、多分、水道事業体の方々とかが読まれたとき、少しわかりやすいシナリオがあると理解しやすいと思います。先ほど吉岡さんがおっしゃいました小さなところもあれば大きいところもあるのですが、ビジョンの中でこういったことで困っているばあいには、こんなステップでこのようにしなさいみたいな、少しシナリオみたいなものがあるほうが、余りにも経営はこうしなさいとか、耐震化はこうしなさいとか、ばらばらに示してもわかりにくいのかなということで、皆さんが実感できるようなシナリオをもったビジョンをまとめられればなと思います。これは希望ですけれども、よろしくお願いします。

○ 滝沢座長
ビジョンのまとめ方へのご提案でございます。まだこれからも何回か議論を続けると思いますので、ぜひそういった視点からもご意見をいただければと思います。
ほかに何か。浅見さん、どうぞ。

○ 浅見構成員
きょうの佐藤様のアンケートの結果で、15ページとかに出ているのですけれども、大臣認可の事業体が多いところといいますか、県の中で有力なところと、そうではない県というのが、事情として非常に大きく異なるというのはアンケートでも出ているなと思います。今後、ビジョンをつくっていくときに、正直なところ、前回までのビジョンというのは、大臣認可のところ向けの色彩もかなり強いような感じもしているのですけれども、そういうところがどのようにしていくべきかというのがもちろん重要ではあるのですが、それ以外のところとか、今までもビジョンを読み解くこと自体がなかなか難しいような事業体も、わかりやすくどのようにしたらいいのかというところがわかるような形になっていくといいなと思います。今後、大臣認可の位置づけというのがどうなっていくのかなというのはわからないのですけれども、それとあわせて全体像が描かれていかないと、少なくとも将来的には非常に重要なポイントになるのではないかと思っております。

○ 滝沢座長
ありがとうございます。
ほかに、特に最後にご発言ありましたらお受けしたいと思いますが、いかがでしょうか。よろしいですか。
それでは、本日予定した議事につきましては以上でございます。
最後に事務局から幾つかご連絡をいただきたいと思います。よろしいでしょうか。お願いします。

○ 日置課長補佐
本日の議事録につきましては、皆様にご確認いただいた上で公開することとさせていただきます。
また、今後の検討会の開催日時ですけれども、第9回を10月31日水曜日の14時から17時に予定しております。また、場所につきましては、決まりましたら改めてご案内をさせていただきたいと思っております。

     (事務連絡)

○ 滝沢座長
以上でございますが、全体を通して何かご発言、お気づきの点ございますでしょうか。よろしいですか。
それでは、一言ごあいさつをいただくことはできますでしょうか。いかがでしょうか。

     (名倉前課長補佐あいさつ)

○ 滝沢座長
以上で終了いたします。どうもありがとうございました。


(了)
<照会先>

健康局水道課

(代 表) 03(5253)1111 内線4028
(直 通) 03(3595)2368

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