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2012年9月27日 第4回国立高度専門医療研究センターの在り方に関する検討会議事録

医政局国立病院課

○日時

平成24年9月27日 14:00~16:00


○場所

中央合同庁舎5号館専用第22会議室(18階)


○議題

1 報告事項
2 日本医療機器産業連合会からの要望について
3 国立高度専門医療研究センターの役割、機能、業務等について
4 その他

○議事

○猿田座長 それでは、時間になりましたので、「第4回国立高度専門医療研究センターの在り方に関する検討会」を始めさせていただきます。
 委員の先生方におかれましては、お忙しいところお集まりいただきましてどうもありがとうございました。
 早速ですけれども、本日の委員の出席状況などを事務局からよろしくお願いいたします。
○河内国立病院課長補佐 本日は、永井委員、新浪委員、仁科委員、福井委員、松本委員が御欠席です。
 なお、9月10日付で人事異動がありましたので御紹介いたします。医政局長の原でございます。
○原医政局長 9月10日付で医政局長を仰せつかりました原でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 猿田座長を初め、委員の皆様方におかれましては、大変お忙しい中、本検討会にお集まりいただきましてありがとうございます。
 国立高度専門医療研究センターにつきましては、6つそれぞれの専門分野で、名前のとおりですけれども、高度かつ専門的な医療の向上を図るという使命を遂行して公衆衛生の向上や推進に寄与するということで、その成果を出していただいております。厚生労働省の独立行政法人評価委員会の中でも高い評価を得ておりまして、いずれのセンターも活発に活動されており、おおむね順調に運営していると考えているところでございます。
 この検討会も7月に第1回を開催して、6つのセンターからその状況等についてお聞きいたしまして、今回からは、平成26年4月以降のセンターの在り方について様々な観点から御議論いただきたいと思っております。
 独立行政法人として発足しておりますけれども、この国立高度専門医療研究センターをどうしていくかということについて、ここでの検討を踏まえまして、次の通常国会には法案提出を目標としておりますので、活発な御議論をお願いしたいと思います。
 最後に、医療行政に対しまして、引き続き御指導、御鞭撻を賜りますようお願い申し上げまして私の挨拶とさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。
○河内国立病院課長補佐 続きまして、国立病院課長の土生でございます。
○土生国立病院課長 同じく9月10日付で国立病院課長を拝命いたしました土生と申します。どうぞよろしくお願い申し上げます。
○河内国立病院課長補佐 次に、お手元の資料の確認をさせていただきます。議事次第が1枚、次に座席表と名前の入った裏表の1枚紙。資料1として、日本医療機器産業連合会から「NCの今後に期待すること」についてが6ページ。資料2といたしまして、「国立高度専門医療研究センターの法律上の業務等について」が4ページ。資料3といたしまして、各センターの概要ペーパーが全部で6ページ。資料4といたしまして、「国立高度専門医療研究センターの連携について」が2ページでございます。資料5-1といたしまして、「国立高度専門医療研究センターの在り方について」が1枚。資料5-2といたしまして、「前回までの主な意見」ということで6ページ。資料5-3といたしまして、「独立行政法人化のメリットについて」が1枚。資料5-4といたしまして、「高度専門医療研究部会 平成22年度、23年度実績に係る評定結果一覧表」が1枚です。参考資料1といたしまして、「国立高度専門医療研究センターの総人件費改革について」が1枚。最後に、参考資料2といたしまして、「平成23年度業務実績の評価結果」が2枚ペーパーでございます。
 資料に欠落等ありましたら事務局にお申しつけください。よろしいでしょうか。
 それでは、以降の進行は座長にお願いいたします。また、カメラ撮りはここまでとさせていただきます。
○猿田座長 どうもありがとうございました。資料はよろしいでしょうか。
 それでは、早速議題に入りますけれども、これまでの3回は、各ナショナルセンターの方に来ていただいて状況を御説明いただいたということで、これからいよいよあと残り4回になりますけれども、在り方をどうしていくかということ、その他を詰めていかなければいけないということで、今日、第4回目は、そういった点で皆様方の貴重な御意見をいただきたいと思っております。
 まず、この議事次第に従いまして、1番目が報告事項ということでございますので、事務局から御説明をよろしくお願いいたします。
○河内国立病院課長補佐 それでは、前回までの3回やりました6センターからのヒアリングの際に、各センターから要望事項として挙げていた総人件費改革と運営費交付金の削減などにつきまして、改めてそれぞれの状況などを御説明いたします。
 初めに、参考資料1をご覧になってください。「国立高度専門医療研究センターの総人件費改革について」ということで、3回のヒアリングをこれまでしまして、各センターから問題点、課題等、あるいは要望ということで総人件費削減の適用除外ですとか、運営費交付金の中期計画を上回る大幅な削減はやめていただきたいということがありましたが、そもそも総人件費改革がどういうものなのかというところを改めて御説明させていただきます。
 まず、経緯ですけれども、簡素で効率的な政府を実現するための行革推進法及び経済財政運営と構造改革に関する基本方針、これは閣議決定でございますが、平成22年度より、独立行政法人に移行した国立高度専門医療研究センター、いわゆるNCは、平成22年度以降の2年間で2%以上の人件費削減を基本として取り組んできたということになっております。しかしながら、平成22年度の総人件費は、対象となる平成21年度と比べまして12.3%増でございまして、総人件費の削減目標であったマイナス2%というのが達成されていません。達成されなかった理由としては、例えばがん、循環器病等の疾患につきまして、高度先駆的医療の開発・普及・提供のための人材確保を行う必要があることから、診療部門で医師、それから看護師等の増員をしたためと考えられております。また、医療職以外の事務職とか技能職の人件費につきましても、実は独立行政法人移行後に、経営の分析とか監査業務それから知的財産管理体制の強化等々を行う必要があったことなどを理由に、こちらも平成21年度に比べますと1.9%増加している、これが現状でございます。
 平成24年度以降におきましても、引き続き技能職の退職後の不補充等の効率化の努力を行う中で、病院収支の改善に努めるとともに、さらに効率的な運営が達成されるよう改革を進めていくということにしております。また、今後の総人件費改革につきましては、平成23年10月28日の閣議決定では、「今後進める独立行政法人制度の抜本見直しの一環として、独立行政法人の総人件費についてもさらに厳しく見直す」ということになっております。
 次に、参考資料2をご覧いただきたいと思います。こちらは、今年の夏にありました厚生労働省独立行政法人評価委員会の抜粋でございまして、この(2)は循環器病研究センターの例ですけれども、下線を引いてあります部分の下の方ですが、「運営費交付金の大幅な削減があり、結果として経営に結びつかず、年度計画に掲げる経常収支に係る目標を達成できなかった。」となっております。同じようなことを評価委員会の委員からいただきまして、これは循環器病研究センター、それから国際医療研究センター、成育医療研究センターに同様のことが書かれております。
 (8)の予算、収支計画及び資金計画等の下線部分でございますが、「中期計画で定めた運営費交付金算定ルールを大幅に超えた運営費交付金の削減が行われ、今後もこのような状況が続くと、センターの事業活動に支障が生じる恐れがあることから、センター運営における主要な財源である運営費交付金については、中期計画で定めた運営費交付金算定ルールに沿った予算措置がされるよう、配慮が必要と考えられる。」とあり、こちらも循環器病研究センター、国際医療研究センター、成育医療研究センターについて記載されております。ここでいう運営費交付金算定ルールに沿った予算措置ということですが、これにつきましては、前年度比△1%で、5年で△5%ということでございます。
 それから、2ページ目の最後の(10)に評価委員会が厳正に評価する事項及び政・独委の評価の視点への対応ということで、こちらも下線を引いておりますが、また総人件費について、「今後とも適正な人件費管理を行い人件費改革に強力に取り組む必要があるが、国内外の関係機関と連携し、研究・開発及び人材育成に関し国際水準の成果を生み出していくためには、研究・医療現場に対する総人件費改革の一律の適用は困難である。」ということが、今年の夏に行われた評価委員会で全センターに記載されているということを御紹介いたします。総人件費等についての説明は以上でございます。
○猿田座長 どうもありがとうございました。今、御説明いただいたとおりでございまして、評価委員会では、祖父江委員、花井委員、それから永井委員が責任者としてやっていただいているのですけれども、私も委員として出ておりまして、評価委員会では、各センターから、運営費交付金の問題とこの人件費の問題はかなり強く言われたということです。
 ですから、本当にしっかりとした仕事をやっていく上においては、運営費交付金を減らされては困るということだと思います。それから、病院の方は運営費交付金とは関係ありませんが、適切な人材ということを考えて、医師それから看護師の皆様方は、他の施設との比較になりますと、人件費が抑えられるとなかなか大変であると思います。ともかく、しっかりした運営をやっていくためには、運営費交付金を余り削られては困るというのが意見でございました。これは、私が今まで感じてきたことでございますけれども、早速委員の先生方から御意見をいただけますでしょうか。花井さんどうですか。
○花井委員 今、御紹介の評価に加わったのですけれども、結局、ミッションを遂行しようと思うと優秀な人材が絶対必要です。しかし、一律で人件費削減ということになりますと、そういったいわゆる専門職もという形になると、これは非常に厳しいところがあるのではないのか。一般事務は限界まで絞っていると各センターはおっしゃるのですけれども、そこはまた別の評価があっていい、これが一点あるのではないか。だから、一律というのは難しいのではないかと。
 それから、もう一点重要なのは、明らかに経営努力が足りないところ、例えば医業で赤字が出ているとか、本来うまくやればもうちょっと黒字化できるところの努力する余地がある話と、それから、ある種経営努力によって余剰金を確保しているのに、それを国に取られることによって努力が報われない、こういう話があって、やはり一律にやることには無理があると。だから、きっちり経営努力でやっているところは、それなりにその余剰分を自由に扱えるという体制と、それから、人件費についても、職種によってちょっと丁寧に見ていくということを見て、あとはミッションができたかどうかで、そこは税金ですから、運営費交付金は、最初の中期計画でこれだけくれると言ったのに、減らすのはおかしいではないかと、それはそのとおりですが、やはりそこは全体で、国の財政が厳しい中で、だからといって、税金は約束どおり入れるべきだという議論には直接すぐにはならないと思うのですね。ですから、やはりきちんと仕事ができているかどうかを含めてそこは評価して、それに対して、やはり不採算な部分はたくさんあるわけですから、そこについては、きっちり税金を投入していくという整理をしないと、今までのような一律ということでは難しかろうというのが、評価委員全体としての考えだったのではないかと思います。
○猿田座長 どうもありがとうございます。申し訳ないですけれども、祖父江委員からも一言お願いします。
○祖父江委員 今、言っていただいたとおりなのですが、結局これは、ナショナルセンターが何を目指すのかというミッションが幾つかあると思うのですね。1つは、専門施設としていい医療を提供するとか、それから地域の病院としてやっていくとか、一番重要なのは、世界をリードできるような開発研究センター、臨床研究センター、あるいは治験センターとしてのミッションだと思うのですけれども、この最初の、きょう読んでいただいた「簡素で効率的な政府を実現するため」に総人件費改革をやると。その総人件費改革の心が、世界のセンターを国策的に動かすのに果たしてマッチしているかどうかというところが非常に重要だと思うのですね。
 ですから、例えば行政とか、それから、色々なメンテナンス型の業務をやっていくのに、総人件費を減らしていくということは非常にアグリーできるところだと思うのですね。このナショナルセンターの中にそういう部門もあると思うんです。ただ、先ほどおっしゃったのと全く同じ意見なのですけれども、研究開発型のところに、同じようにそういう網をかけることが、本来のミッションをだめにしてしまって、それは、ひいては国民の皆さんの期待も裏切ることになるという感じがちょっとしていまして、そこは、やはり区別して考えないといけない。
 それから、評価の中にちょっとよく見られたパターンは、これは私の個人的な印象かもしれませんが、病院の医業が上がったので黒字になった、こういうところが若干あったのですけれども、その医業の内容を見てみますと、必ずしも研究型の医業ではないのですね。地域の病院として何でも診ますよと。何でもいいというわけではないですが、かなり広汎に、そこのミッション性と違う疾患もどんどん診て医業の業績を上げているという部分が見え隠れしておりまして、この病院の本来的な在り方はどうあるべきかと。やはり研究的なところを突き進めるような病院にするのか、地域の病院にするのか、あるいはいい医療を提供する形の病院にとどめさせるのか、その辺の病院の在り方ということについても、これは大きな財源のリソースになっているのですけれども、そこももう一度議論すべきではないかと思いました。以上でございます。
○猿田座長 どうもありがとうございました。一緒に評価をやらせていただいたものですから御意見を伺いましたが、評価をしていて私がもう一つ感じたことは、各ナショナルセンターは中期目標を立てています。その中期目標は、それぞれのセンターで、それぞれの考え方があって計画しています。いきなり運営費交付金を削られたということで、どうしても中期目標に合わなくなるということを一部のセンターの方はおっしゃっていて、それはごもっともだと思います。私は、国立病院機構の評価もやっていますけれども、国立病院機構でもかなり目標をしっかり立てて、中期目標などに従って仕事をしっかりとやられて業績を上げています。運営費交付金を少し削られただけでも大変であろうということが、私ども評価を一緒にやっていた方々が感じたことでございます。
 これが一応、関係した委員の意見ですが、他の先生方から御意見をいただければと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
○近藤委員 今、私はPMDAというところにいると、今、医療のイノベーションという大きなミッションの一部を担っていると思うのですけれども、色々な大学の例えば橋渡し研究であるとか、それからシーズ探索型の研究とか、そういうものを見せていただくことが多くて、その機能というものもよく見せていただくことが多いのですけれども、昔は、間違いなく研究費というのは、手を上げて、手を上げたところに配られていってという経過だったのかもしれませんけれども、この数年においては、手を上げたからには、きちんとコンプライアンスのある研究をする、こういうことで大学の対応は随分変わってきたと思う。
 つまり、あえてこういうことを申し上げるのは、やはりこちらから明確に何をするのか、その病院が、ナショナルセンターがどういう使命を持っているのか、まず理念を明確にしてもらって、それに対してどれだけコンプライアンスのある仕事をするかどうかということをまずした上でないと、今までみたいに自発的なことで評価をしていると、やはりだらだらしていることになるのかもしれません。今、6つナショナルセンターがございますけれども、その6つのナショナルセンターが、本当に理念を持ってきちんとやっているかどうかわからないですね。確かに稼いでいるところはあるかもしれない、稼いでいないところもあるかもしれない。本当にこれから日本のイノベーションに向かって気合が入っているかどうかというのは、これからだと思うのですね。そのこれからというところにどう持っていけるかというところのリーダーシップが求められていると思うのですね。
 ですから、現状での評価は、今の先生方のお話を聞いて物凄くよく分かるし、そのとおりだろうと思う。しかし、これからはちょっと違うという角度で評価していかなければいけないのかなと、ちょっと印象で思います。以上です。
○猿田座長 おっしゃるとおり、今の近藤委員の言ったことが一番大切なところで、この委員会の目的もそこが非常に重要なところですから、これから議論していきたいと思います。
 他に御意見ありませんでしょうか。ヒアリングをさせていただいて、それから、一部私どもは評価もさせていただいて感じてきたことでございます。今の問題はこれから非常に重要でございますので、これから議論していきますけれども、一応ここまでのところはそういうことで、他に御意見がなければ先に進めさせていただきますが、よろしいでしょうか。
 それでは、議題1は報告事項でありますので、続きまして、2番目の日本の医療機器産業連合会からの要望について、これは荻野委員より事務局に申し出がございまして、日本医療機器産業連合会からの要望ということで説明させていただければということでございます。これはお受けしようと思いますが、よろしいでしょうか。

(異議なし)

○猿田座長 それでは、荻野委員から10分ぐらいで御説明いただきたいと思います。
○荻野委員 大変貴重なお時間を頂戴いたしまして申し訳ございません。先だって来、各センターからのお話を聞いてきましたが、せっかくの機会でありますので、医療機器産業界として、今後のNCの在り方を考える際に、医療機器産業界としてはこんな期待をしているということを一言申し上げさせていただければということで資料を出させていただきました。
 2ページに我が国の医療機器市場の現状、これは皆様既に御存じでありますが、2兆3,000億円の市場でございますが、およそ半分は輸入品であるということで、安定供給でありますとか医療経済といった面で問題があります。それから、現在、輸出入の差は6,000億円の赤字ということになっておりますが、これはもう20年以上赤字の状態がずっと続いております。特に治療機の国際競争力が弱い。また一方で、医療とか介護、健康といった分野は大変大きな産業であると思いますが、総務省の統計によりますと、我が国の総就労人口はおよそ6,200万人ぐらいですが、その10%はこの分野にあるということで、大変大きな雇用を抱えているということは念頭に置いたほうがいいかなと思います。
 そういう訳で、この医療・介護・健康分野の発展というものが、当然国民の健康を守って、QOLを高めることに貢献しますし、ひいては、日本の経済発展のためにも非常に大きな産業でありますので大変重要である、そういう感じを持っております。
 3ページは、これも皆様既に御存じでございますが、2年ほど前に新成長戦略が政府から発表されまして、医療・介護・健康といった分野で、産業の育成と雇用の創出ということがうたわれました。成長を牽引する産業の一つに育てよう、それから日本発の革新的な医薬品、医療技術の研究開発を促進すべきである、それから、従来、医療というのは海外ということに対して余り大きな議論がなかったのでありますが、せっかく日本は優れたよい医療サービスを持っておりますので、こういったものをアジア等の海外でも色々な形で展開し得るのではないか、そんなことが謳われました。これを受けまして、つい先だって、6月に医療イノベーション5か年戦略というものが、4ページに書いてございますが、この成長戦略を実現する上でこういう戦略で臨みたいということが打ち出されました。これは7月末に日本再生戦略で閣議決定された中にもそのまま織り込まれております。この中にも「ナショナルセンターの課題」ということで、ここに書いたようなことが掲載されておりまして、色々な連携を深め、研究開発体制を作り、ネットワーク構築、データベース構築、あるいはオールジャパンの体制を構築するのだということが謳われておるところでございます。
 そういった環境、背景に思いをいたしながら、医療機器産業という立場から見ますと、5ページのところに何点か書いてございますが、1点目は、NCの本来の設立目的がそのものであると思いますが、国民の健康に重大な影響のある疾患の克服のためには、やはり臨床現場の中で、横断的・専門的・重点的な研究を行う、それから、先進的診断・治療技術というものを臨床現場の中から開発していくということが大変大事でありますし、関係する医療従事者の方々の技能向上、あるいは全国への展開、それから国民への啓蒙活動というのは色々な意味で大変重要であると思うわけでありまして、中核拠点としてのこの3つのNCの存在意義は、非常に大きいのではないかと思います。
 次の2点目ですが、したがいまして、健康大国戦略でありますとか医療イノベーション5か年戦略、これを実現しないと何も意味がございませんので、そういったことを行っていく上で、NCの機能というのは、色々整理すべきところはあろうかと思いますが、基本的には、やはりもっと使命を強化・充実する方向で考えたほうがよろしいのではないか。それから、最後のページでありますが、3点目、特に医療機器という立場から見ますと、とりわけ医薬品と違いまして、臨床現場の中で改良・改善が繰り返され、毎日使われていく、こういうものでございますので、それぞれの疾患に特化したNCにおいても、この医療機器というものから見た臨床研究、治験体制の充実あるいは強化ということをする中で、産官学が連携・医工連携をしていく、そういう機能を今後充実していただくと、日本の医療機器産業としても大変ありがたいと思うわけであります。
 そういうことで、4点目、例えば企業との連携、もう既に色々やってはおられると思いますが、受け入れ体制でありますとか相談体制といったことを含めて強化していただく、あるいは、5点目といたしまして、医療機器の開発に従事する、どちらかといえば企業サイドの人材といったものを臨床現場の中で一体となって教育していく、そういった機能があれば非常に心強いと思うわけでございます。いずれにしましても、重大な疾病の解明、研究といったことだけでなくて、やはり診断・治療の革新のためには、必要となる先進的な医療機器の開発が必要でありまして、これを強力にオールジャパンとして推進する中核拠点としての機能を備えて位置づけをしていただいて、日本発の先進的医療技術の開発をリードしていっていただくということに大きな期待を寄せたいと思います。
 ご存知のとおり、米国のNIHの仕組みなどを見ましても、国を挙げて大変大きな予算を投入し、非常にしっかりした体制を作って拠点としての機能を発揮しておると思いますので、これから国際競争が大変激しい時代ですので、日本としてもぜひそういうことをさらに充実させるよう期待したいということでございます。大変ありがとうございます。
○猿田座長 どうもありがとうございました。今、御説明いただいたように、確かに日本では医療機器の面での遅れがございます。お話しいただいたようにもっともっと伸びていかなければいけない。しかしながら、実際は、かなり欧米の新しい機器が入り込んでいるという状況です。厚生労働省でも、一昨年、早期探索事業を立ち上げて、5つの拠点を設置して、その中で一つだけ医療機器の拠点が設置されることになり、循環器病研究センターに置かれました。ところが、そこだけで、6つのナショナルセンターがありますから、それぞれのところで当然、今、荻野委員がおっしゃったようなことが必要だと思います。とりあえずは循環器病研究センターでは人工心臓など、そういった面での機器が一番多いだろうということで、循環器病研究センターに拠点が置かれたのですが、実際には、がん研究センターにも成育医療研究センターにも当然必要と思います。それでは、この点に関しての御意見をいただければと思います。どうぞ。
○手代木委員 私ども製薬産業に関して言いますと、今、荻野委員が御発表になられたこととほぼ同様の見解を持っております。どこまで本当に突っ込んでラディカルなことを申し上げていいのかというのはあるのですが、ナショナルセンターと国立大学病院、そしていわゆる厚生労働省、文部科学省、経済産業省に所属する各大きな研究所等のライフサイエンス部門を本気でやるのであれば、今、荻野委員がおっしゃったように、NIH的なまとめ方をして、かなり大きな予算と執行権限をそこに任せないと、他国との競争という点では、全くかなわないだろうというのは、火を見るより明らかでございます。
 おっしゃっていただきましたように、早期探索臨床試験拠点にがん研究センターと循環器病研究センターが入っていますが、そこで見つけたシードをINDのような形でなるべく早く進める。とにかくファースト・イン・ヒューマンを早くするというような機構も作っていただいてはいるのですが。
○猿田座長 結局、医療機器では循環器病研究センターだけなのです。
○手代木委員 そうですね。医薬はその2つなのですが、このあたりも、正直申し上げて、集中して物事を進めるということであれば、やはり力不足という点があって、祖父江委員がおっしゃったように、本当のミッションを遂行するのであれば、最初のところに戻って、申し上げていいのか分かりませんが、やはりここにおいて一般の地域病院に近いような形の診療を行って、その診療点数でいわゆる業が成り立つということを志向するのが本当に正しいのかと。そこは、花井委員がおっしゃったように、もちろん税金ですので無駄があるということについて我々は非常に細かく見るべきだと思います。一方、ここで本当に黒字とか赤字とかを考えて国全体としてこれを推進するのかどうかということを考えると、私ども製薬業界も、やはり国を挙げてやるのであれば、もっと大がかりに、しかも結果というのは、財務上、経理上の結果を追うのではなくて、本当に結果としての医療のイノベーションがどのぐらい起きたかという中長期の実績で追っていくという形に変更しないと、国際的に日本再生戦略の中で取り上げられたライフイノベーションを本当に推進するということを行っていくには、かなり力不足だろうと。そこにおいて、この6つのナショナルセンターというものがコアであるべきであるということなので、産業界からすると、荻野委員がおっしゃったようなことをずっと考えているのですが、それを今回のナショナルセンターの見直しという枠の中でどう考えるかということは、今みたいな話をかなり突っ込んで、少なくとも提言の一つになるような形にならないかなとは思っているところでございます。すみません、長くなりました。
○猿田座長 ありがとうございました。今のお話の中で一つだけ、私よりもっと経験の多い方がいらっしゃると思いますが、ナショナルセンターを作る時に、祖父江先生がおっしゃったナショナルセンターにおける医療がどうあるべきか、最初にずいぶん議論され、普通の医療をやるのではなくて、例えば成育医療研究センターの時は一般の病院ではなかなか出来ない高度な医療をやるところであるべきとされたことを覚えております。
 ところが、経営の問題が入ってくると、なかなかそうはいかなくなってしまうということです。例えば国際医療研究センターの場合は、救急をたくさん受け入れているといった形になってしまう。基本的なナショナルセンターの医療というのはそうあるべきだということで、本当に、あるいはそこしかできない、例えば成育医療研究センターの場合には、もう本当にハイリスクの妊娠の問題、ハイリスクの分娩、それをやるところがそうだと。循環器病研究センターも同じなのですね。そういったことがちょっとあったことだけ付け加えさせていただきます。
 それでは、委員の皆様方から御意見をいただければと思うのですけれども。今おっしゃられたことは非常に重要な点でございます。
○近藤委員 がん研究センターができたのはたしか昭和37年ぐらいだったですよね。日本にそういうがんの専門の病院がなかった。要するに、情けないかな、特に集中して作った。それに続いて循環器を作った。したがって、臓器別とか、そういう形でどんどん広がったのだろうと思います。これは、あくまでも、当時は一般的な医療の中で、より高度な医療を提供するという、国民に向かった医療の提供の場として行ったのだろうと思いますね。
 これからのナショナルセンターというのは、もう一つ違うと思うのですね。やはりイノベーションが絡んでいるのだと思います。恐らく日本全国でどの大学でも、少なくとも大学病院は高度な医療をやっているわけです、高度ながん治療もやっているわけだし、がん研究センターだけがやっているわけではない。つまり考え方を変えていかなければいけないだろう。それは、まさに研究主導で、開発型のNIHになっていかないとだめだろうと思うのです。ですから、そのNIHの任務を負えるような機能をどれだけ持っているか。例えば、色々な疾病があるわけでありますけれども、それのふさわしい研究がどれだけできて、また、それをどうその場で実現できるようにするか、そのミッションをどれだけ持っているかどうか、気構えがあるかどうかだろうと思いますね。ですから、だらしのない収益というのは許されないことですけれども、恐らく僕自身思うのですけれども、ミッションがどんどん明確になってきて、やろうと思えばそういう無駄なお金も使わなくなってくるのだろうと思います。だらしがないと経理まで含めて全てがだらしなくなる。ですから、色々なナショナルセンター、それぞれ気持ちを引き締めていただくように少し誘導しなければいけないのかなと思います。そうすると随分違ってくるのではないか。だから、どこのセンターにはどういうことをしてもらうということは決めるわけですけれども、そういう格好になるかもしれない。
 それから、さっき医療機器の話が出ましたけれども、循環器病研究センターのやる医療器械というのは循環器系統のものだと思いますけれども、ロボット手術なんていうのはどこでもできると思うのですね。そして、私自身思いますけれども、今アメリカで開発されたロボットは汎用型ですね。もっと、例えば臓器別に分けて、もっとスマートな小さなロボットは幾らでもできると思います。これは日本がやれることだろうなと思います。しかも、これは荻野委員がおっしゃっていたように、日進月歩で、1つできれば、次から次へ改良はどんどん進化していく。今がまさにチャンスだろうと思うのですね。汎用型で勝負すべきではないだろうなと思います。
 だから、がん研究センターで作るロボットがあるだろうし、それから成育医療研究センターで作るロボットがあるだろうし、精神・神経医療研究センターでもできるだろう。国際医療研究センターでもできると思います。そのつもりで手術ロボットを作ると。それは大学も含めてオールジャパンの体制で作れば、例えば何とか先生方式のロボットではなくて、オール日本式のロボット、そういう格好で、オールジャパンで力を合わせてもらって脳外科用の専用ロボットをつくるとか、そういう戦略的に厚生労働省、文部科学省は、英知を集中させて指導されるといいのかなと思います。
 今までみたいにばらばらに競争的原理を、競争原理こそがいいものが出てくる、間違いなくそれはあるのですけれども、賢いやつでやればそうかもしれないけれども、やはりまとめなければいけない時はあるんですね。やはりそれは戦略的に行かなければならん。それは、やはり政府の、またこういう会議の皆さん方の英知を入れることが必要かもしれません。やはり競争だけではないと思います。
○猿田座長 確かにこういうことをやるとなれば、各領域でナショナルセンターが非常に重要な使命を持っていると思います。現在は循環器病研究センターだけですけれども、やはり全てに医療機器の拠点が必要ですね。荻野委員どうですか。
○荻野委員 6つのNCでそれぞれにちょっと濃淡がありますし、今後の在り方というのは少しずつあるいは違うかもしれませんが、循環器はもちろん大事ですし、がんももちろん大事ですけれども、日本は今、非常な勢いで高齢化が進んでいますし、21世紀は脳の時代ということで、各国それぞれに非常に力を入れて研究をやっていることなどを考えますと、脳神経のNCも、もうちょっと位置づけを高める、あるいは中核的な位置づけを強化して、あそこももうちょっと力を入れて、未来志向の研究開発にもっと取り組んでいただけるといいのではないかと思います。
○猿田座長 ありがとうございます。では、佐々木委員。
○佐々木委員 名取市長の佐々木です。行政改革のことですが、我々も地方自治体で改革を迫られております。どんな工夫をしていくかということになると、行政ニーズがだんだん大きくなる、医療・福祉では市民ニーズもだんだん幅広くなっていく、肥大していく一方の中で、どうやって財源を縮めるかということになると、今までやっていたサービスの要らなくなった部分、時代的なニーズが終わった部分についてやめていく、あるいは直営でやっていたものについて、民間でできることについては民間にお願いしていく。ですから、今まで抱えていたものをどうやって縮小していくか、切り離していくか、そういった中で、コアな部分だけどうやって残していくかという工夫を今やっております。
 ですから、今回のNCについても、そういった工夫ができる余地があるのかないのか。これまでの議論をお聞きしていますと、臨床部分について、一般の病院でもできることについてやる必要があるのか。ただ、先ほどのお話では、臨床現場だからこそ、そういった効果が発揮できるという部分もある。ですから、そういった工夫をどうやっていくのかということだと思うのですね。ですから、病院は病院として別にやっていただいた中で、その臨床の現場をお借りするとか、連携するとか、そういった工夫ができないのか。つまり、どういうことかというと、病院というのは、ある意味、収益事業でもあるわけです。うまくすれば儲かる。それで、一方では交付金をもらっているわけですね。黒字のところに交付金をつぎ込めるかというと難しい。ですから、収益事業を切り離した上で、必要な研究開発をやる、そこについて公費を投入してくださいということで切り分けることができれば分かりやすくなるのではないか、そういう工夫ができないかどうかということですね。
 それともう一つが、こういった議論が厚生労働省の中で行われている。たまたま私がかかわっているプロジェクトの一つで、陽子線を地元に作りたいというので今取り組んでいるのですが、これはアメリカのベンチャー企業が、新しい陽子線の治療器械を開発したのですね。これまでのシンクロトロン、サイクロトロンというと、かつては直径30メートルとか、それがだんだんコンパクトになったとはいえ直径15メートル、それの建屋を作らなくてはいけない。大変なイニシャルコストがかかって、治療費も当然高くなる。それを、新たなベンチャーでは、直径2メートル以下の器械を開発したのですね。粒子線のシンクロトロン、サイクルトロン。それで、体の中で32センチぐらいまで到達できるぐらいのパワーを持っている。それがFDAの承認を取って、今、1号機がワシントン大学でこれから臨床試験に入るという状態なのですが、それを何とか日本に持ってくることができないかと。
 本来は日本の中で開発してほしいのですよ。ところが、そういった革命的な機器類の開発というのは、残念ながらなかなか日本でできない。ですから、今せっかくこれだけの体制の中で先進医療を目指しているにもかかわらず、そういった工業系の医療器械の方々、専門家たちとの連携がどれだけ図られているのか。やはり厚生労働省が主導してやっている限界があるのかなと。日本は特に縦割りの壁が非常に厚いわけでありますので、それをどうやってフラットにしていくか、連携をとっていけるか、こういったことを考えないと、そういった革命的な機器の開発というのは難しいのかなと。今の日本の状態を考えれば、やはり世界に打って出るというのは、こういった最先端の技術であり、医療であり、福祉であろうと思うのですね。ですから、こういったベースをもとに、そういったことができるような環境をもっと積極的に進めていったらいいのではないかと思っております。
○猿田座長 ありがとうございます。私は今、文部科学省の方でトランスレーショナルリサーチ拠点整備事業のディレクターをしていますが、お願いしているのは理工学関係との研究です。現在、東北大学では医工連携の拠点として頑張って下さっており、北大も医療機器の研究が随分出てきました。荻野委員が言って下さったようにかなり遅れていますから、できるだけ進めることが大切です。残念ながら医療機器に関しては、そうやって力を入れていますけれども、まだまだ遅れています。
 私は厚生労働省の方で先進医療、高度医療のことをやっていますが、陽子線や重粒子線治療など日本のものではないのですけれども、所有する施設が少しずつ増えてはきていまし、医療機器の重要性がよく分かってきていますので、これから一層力を入れていただくことが非常に大切であります。
 医療機器の問題はこのくらいにしたいと思いますが、他に何かありますか。どうぞ。
○祖父江委員 まず、縦割りのことですけれども、大学におりますと、文部科学省の領域と厚生労働省の領域が何かぴたっと分かれている部分があって、あるところまでやって、その先の治験なんかを一気通貫にやろうとするとお金が出ない、そういう非常に縦割りの弊害が日本にはあると思うのですね。NIHなんかはそういうことはどうもなさそうで、これが一貫してイノベーションをやっている。ですから、先ほどどなたかもおっしゃいましたけれども、諸外国を見ると、それをぶつ切りにしてサポートするというような国は、日本以外に余りないのではないかとはちょっと思っているのですね。ですから、これはたまたまナショナルセンターが厚生労働省の中に入っていますので、その枠の中で考えるというのは、限界がちょっとある部分もあるとも思います。
 ちょっと時間が長くなってしまいますが、先ほど近藤先生がおっしゃったように、専門病院であればいいだろうという考え方は、ちょっともう捨てないといけないのではないかと思います。ですから、世界をリードする研究開発型にしていかないといけない。そういうミッションをやるのに、生み出す組織の形ができているかどうか、あるいは人材がそこに集約されているかどうか。それで、アウトカム型の評価というか、評価自体が、今、これは自分たちが考えて1年ごとにちょこちょこやっている評価ですので、これだと本当の意味のアウトカムが出てこないような。だから、評価システム自体を、僕は近藤先生がおっしゃったようにちょっと変えていかないと、本当の意味のイノベーションが起こってこないと思います。
 それからもう一つ、ナショナルセンターであれば、例えば、がん研究センターは比較的やっていると思うのですけれども、国全体をコホート的に管理運営するということができていないですね。それをやはり一つの大きなミッションにしたらどうかと思います。
○猿田座長 ありがとうございました。医療機器の問題はまだまだ日本は遅れていて、これから一生懸命やっていかなければいけないということにさせていただいて、それでは、本日の議題の3番目の国立高度専門医療研究センターの役割、機能、業務ということに入らせていただきます。もう一部お話が出ましたけれども、これについて事務局から説明をお願いします。
○河内国立病院課長補佐 それでは、資料2から資料5-4まで一気に説明させていただきます。資料が多く、若干説明時間が長くなりますけれども、一連の流れでございますので、御了承いただきたいと思います。
 それでは、まず資料2でございます。今も色々と議論がありましたけれども、現在の6センターの法律上の業務等についてということで、高度専門医療に関する研究等を行う独立行政法人に関する法律の抜粋でございます。
 まず、国立がん研究センター。目的としましては、当然のことながら、がんその他の悪性新生物に係る医療に関し、調査、研究及び技術の開発並びにこれらの業務に密接に関連する医療の提供、技術者の研修等を行うことにより、国の医療政策として、がんその他の悪性新生物に関する高度かつ専門的な医療の向上を図り、もって公衆衛生の向上及び増進に寄与することを目的としております。
 業務の範囲はと申しますと、がんその他の悪性新生物に係る医療に関し、調査、研究及び技術の開発を行うこと。前号に掲げる業務に密接に関連する医療を提供すること。がんその他の悪性新生物に係る医療に関し、技術者の研修を行う。前3号に掲げる業務に係る成果の普及及び政策の提言を行うこと。前各号に掲げる業務に附帯する業務を行うこと。以上となっておりまして、循環器病研究センター、精神・神経医療研究センターが2ページ目、疾患について変えただけで、ほとんど条文は同じでございますが、2ページ目の下の国立国際医療研究センターについては、色々とヒアリングの際も御意見が出ていますので、いま一度御説明させていただきます。
 国際医療研究センターは、感染症その他の疾患であって、その適切な医療の確保のために海外における症例の収集その他国際的な調査及び研究を特に必要とするものに係る医療並びに医療に係る国際協力に関し、調査、研究及び技術の開発並びにこれらの業務に密接に関連する医療の提供、技術者の研修等を行うことにより、国の医療政策として、感染症その他の疾患に関する高度かつ専門的な医療に係る国際協力等の向上を図りということになっておりまして、次のページでございますが、業務の範囲、こちらが4番のところ、感染症その他の疾患に係る医療及び医療に係る国際協力に関し、技術者の研修を行うことまでは一緒でございます。6番が国立高度専門医療研究センターの職員の養成及び研修を目的として看護に関する学理及び技術の教授及び研究並びに研修を行う施設を設置し、これを運営することということで、御存知のとおりでありますけれども、国際医療研究センターには国立看護大学校というものが、6センターの中で唯一設けられております。
 成育医療研究センター、長寿医療研究センターにつきましては、ほとんどがん研究センターと同じですので、割愛させていただきます。
 続きまして、資料3でございます。こちらは、各センターの概要をそれぞれ1枚にまとめたものです。がん研究センターは、御存知のとおり、築地と千葉の柏に2病院あるということでございます。(2)の業務範囲は、今、説明したとおりでございます。主な取り組みということで、こちらは中期計画から抜粋しております。研究・開発では、がんの原因、発生・進展メカニズムの解明、各種がん登録、疫学研究によるがんの実態把握、高度先駆的ながん診断、治療法の基礎技術の開発ですとか、がん医療の質的向上・均てん化のための研究開発。医療の提供では、高度先駆的医療の提供、ゲノム・プロテオーム解析による個別化治療の開発・普及、希少がん及び難治がんを含めた各種がんの標準的治療の実践。人材育成では、レジデント制度、専門教育制度の充実ですとか、がん診療連携拠点病院の医療従事者等を対象とした研修の実施。医療の均てん化、情報収集・発信では、都道府県がん診療連携拠点病院等との意見交換、情報共有などとなっております。
 2ページ目は、国立循環器病研究センターですが、大阪府の吹田市にあります。このセンターについては、現在、移転建替整備の計画が出ております。(2)は割愛します。 (3)の研究・開発は、循環器病の本態解明です。医療の提供では、先ほども若干出ましたが、高度先駆的医療の提供の中で、人工臓器、移植、遺伝子治療等。人材育成では、循環器病領域のリーダーとして活躍できる人材の育成となっております。
 3ページ目が精神・神経医療研究センターでございます。主な取り組みとして、精神・神経疾患等の発生機序や病態解明につながる研究ですとか、新規の予防、診断、治療法を開発するための基礎医学、臨床研究等です。医療の提供では、医療の標準化を推進するための科学的根拠に基づく医療の提供のほか、医療観察法対象者への医療の提供、重症心身障害児への医療の提供。人材の育成では、精神・神経疾患等の研究・医療に関する専門家の養成をしています。
 4ページでございます。国際医療研究センター、こちらは新宿区戸山と千葉県市川市にあります。先ほど申し上げましたように、6センターの中で唯一、看護大学校というものを持っておりまして、各センターで求められる高度な臨床看護実践能力ですとか、臨床看護研究能力を身につけ、先端医療の現場や広く海外で活躍できる看護師または助産師を養成することとなっております。卒業生のほとんどが、NCまたはNHO、国立病院機構のほうに就職しているということでございます。業務範囲は割愛させていただきます。主な取り組みでございますが、感染症その他の疾患の発生機序や病態解明につながる研究、高度先駆的な予防法、早期診断技術、治療法の開発などです。医療の提供として、高度先駆的医療の提供。例えばエイズ患者に対する薬剤血中濃度モニター等に基づく個々人の病態に即した医療の提供、全科的総合救急医療、精神科救急医療です。人材の育成では、総合医療を基盤とした、高度先駆的な医療を実践できる人材の養成、医療の均てん化、国際保健医療協力の充実等を目的としたモデル的研修を行っています。
 5ページ目の成育医療研究センターでございます。(3)でございます。先天性免疫不全症、先天代謝異常症等の成育疾患の病態解明、胎児期から長期に渡る児の追跡による影響調査等、成育疾患の実態把握、成育疾患の安全かつ効果的な遺伝子・細胞治療等、高度先駆的な予防、診断、治療法の開発です。医療の提供といたしましては、子供の心の問題の症例に対するモデル的な医療の提供、リスクの高い妊娠に対する医療等、周産期医療における中核的な役割となっています。人材育成では、成育医療に対する研究・医療の専門家の育成。
 最後、6ページの愛知県大府市にあります長寿医療研究センターでございます。(3)研究・開発ですが、認知症の発症や加齢に伴って生ずる心身の変化のメカニズム解明、医学、心理学等の広い分野で加齢変化を長期的に調査する実態把握。医療の提供では、高齢者に特有な疾患の予防、診断、治療及び機能低下の回復のための高度先駆的医療の提供、モデル的な在宅医療支援の提供。人材の育成、長寿医療分野において将来専門家として活躍する人材の育成、認知症患者の地域支援調整等に携わる医師を対象とした研修等、モデル研修・講習の実施となっております。
 続きまして、資料4でございます。センターの連携についてということで、現在、6NCで連携していることでございます。順番がちょっと逆になりますが、まず、医薬品、それから医療材料、検査試薬などは共同購入しています。6NCだけではなく、実は、国立病院機構とも連携しておりまして、例えば医薬品であれば、かなりの数、4,000ぐらいの品目をやっております。それから、バイオバンク事業の研究事業ということで、これは次のページをご覧いただきたいと思います。6NCバイオバンク事業ということで、6NCがそれぞれの疾患について、病院に来た患者さんから同意を得た上で、血液や細胞などの生体試料を収集し、そのDNAなどを解析することで、個々人に適した副作用の少ないオーダーメード医療の実現を目指すといった事業でございます。行く行くは産官学や、下にある連携病院等と協力しながら、オールジャパン体制で事業を進めることも検討しております。
 戻っていただきまして、1ページですが、その他に連携していることで、これは連携と言うかどうかということもあるのでしょうけれども、会議等ですとか、医師、看護師等の研修といったこともやっております。
 それから、今後、検討していくことということでございますが、これは、まだ実現できていない医療機器の共同購入、上のほうは医薬品とか医療材料ですけれども、今後、検討していくべきこととして、医療機器の共同購入は6センターでできないものなのかということ、それから、人事交流ということでございます。
 共同して実施することが効果的・効率的な研究・事務については、引き続き、連携・共同化を推進していくということにしております。
 続きまして、資料5でございますが、こちらは、まず、資料5-3からお願いしたいと思います。資料5-3ですが「独立行政法人化のメリットについて」ということで、平成22年に独立行政法人化して、国であった時代と比べてどういうメリットがあったかということを各センターにもお聞きしながらまとめたものでございます。
 まず、1つ目ですが、優秀な人材の確保。これは、当然のことながら、国家公務員法の適用を受けなくなったということでございまして、各センターにおいて独自に職員を採用することが可能となりました。結果的により優秀な医師、看護師などの確保につながった。また、職員へのインセンティブや優秀な人材確保のための手当て等の創設が可能となった。あるいは、任期つき採用というものが可能となったということもございます。
 人員確保により、診療報酬において上位の施設基準を取得することができるようになるなど、収益面での向上も見られました。一方で、最初に御説明しました総人件費との関係があることは、忘れてはいけないのですけれども、いずれにしても、例えばの話ですが、6センター全体では、医師については、国時代が806名だったのが、独法後、平成23年度で938名になり、結果として132名の増員と、約16%増ということになったということがあります。それから、施設基準が上がったということで、医師、看護師の増員を図ったということで、例えば4センター、4病院と申したほうがいいのですが、がん東病院、精神・神経医療研究センター、国際の国府台病院、長寿医療研究センターにおいては、入院病棟の入院基本料7対1の取得が可能となり、増収につながったといった結果も出ておりますし、既に最上位の基準を取得しているセンターでは、平均在院日数の短縮ですとか、病棟の再編計画の実施などにより診療点数のアップ等につながっております。
 次に、研究等の資金ルート拡大。産業界等からの寄付金など、外部資金の獲得が柔軟にできるようになり、研究等に要する資金の受け入れルートが拡大したということでございまして、こちらにつきましても、平成22年度は136件だったのが23年度には215件ということで、飛躍的に増加しているというような成果につながっております。
 研究成果の向上ということで、産業界等との人材交流による研究体制の強化や企業等との共同研究がしやすくなったことにより、研究成果の向上につながった。センター単独や企業との共同出願など知的財産の自己活用が増加した。
 柔軟、迅速な対応ということでは、予算に縛られることなく医療機器整備を行うことが可能となりまして、医療機器稼働率が向上するなど収益面での向上が見られた。また、老朽設備などの改修も行うことが可能となりまして、患者の療養環境、職員の勤務環境の改善に迅速に対応できるようになったということ。
 その他といたしましては、意思決定がトップダウンによりスピーディーに行えるようになった。企業会計原則による会計処理により、月次決算などの会計情報を役職員が速やかに把握することで迅速な経営判断が可能となったなど、まだこの他にもあるのですが、大きくまとめさせていただくと、このようなメリットがあったということでございます。
 続きまして、資料5-4でございます。こちらは、委員の先生方にもいらっしゃいます評価委員会の中で、平成22年度と23年度それぞれの各センターの評定結果を一覧表にまとめたものでございます。Sが一番よいということで、中期計画をはるかに上回っているというところで、Aにつきましては2番目にいいということで、中期計画を上回っていると。Bにつきましては真ん中でございまして普通なのですけれども、おおむね中期計画どおりといったようなことでございます。
 まず、これで見ていただきたいのが、例えば循環器病研究センターですが、平成22年度ではSが1、Aが13であったのが、23年度では4と10とそれぞれなっております。それから、長寿医療研究センターも平成22年度ではSが全然なくAが9、Bが5だったのが、23年度ではSが3、Aが11と、先ほどの評価については、今後検討も必要であるということではございますが、現時点で各6センターはかなりの高評価を得ているということです。
 続きまして、資料5-2をお願いしたいと思います。これは、前回までの検討会で先生方からいただいた主な意見でございます。今回と次回以降の会議で議論いただく項目ごと、センターごとに分類しております。全てを御紹介できませんので、今日の議題であるNCの役割、機能、業務について、主なものだけ御紹介させていただきますが、各センター共通では、今日も色々と御意見が出ておりますけれども、他でできることをあえてやるのではなくて、一般の病院なり研究所でできないことをナショナルセンターとしてやっていただきたい。4番では、ICTの活用については、強力にこういうことがやれる、やりたいのだということを出していただくと、実は制度上の隘路もたくさんあって、そういうことに対する変革のプレッシャーにもなっていくと思うので、そういったことをやっていただきたい。
 がん研究センターにつきましては、東病院に早期探索拠点が設置されることになった。東病院の基礎研究は進んでいると感じているので、中央病院と東病院の連携は非常に重要で、これがかなりドラッグ・ラグその他を解消する道としてもいいのではないか。
 循環器病研究センターでは、日本における循環器病研究センターが他の国と違っているところは、脳卒中と心臓病を一緒にやっていることであり、これは非常に大切なことなので、ずっと維持してこれから先の発展を考えて新しい病院の計画を立てていただきたい。
 精神・神経医療研究センターでは、多くの難病の解決を図らなければならない。これが使命かなと思うし、これから期待されるところだと思う。そうすると、どうしてもファースト・イン・ヒューマンというのは、これから絶対やっていかなければならないことで、そのバックアップとして、救急体制であるとか、他の全科診療体制というものを揃えていかなければならないと思う。
 次のページは、国際医療研究センターのことはかなり言われておりましたが、例えば循環器病研究センターは人工心臓をやっているみたいな見え方がしないので、国民からすると分かりにくい部分はあると思うので、トランスレーショナルリサーチ、創薬を含めて研究に特化した形になるほうがいいのではないか。14番ですと、病院としては非常に優れていると思うが、地方にある国立病院や聖路加病院と何が違うのか。税金を使うのであれば特化するところをどこに持っていくか、感染症が強いのでエイズ、肝炎を初めとした感染症にシフトさせていくのかなどを、国府台病院の棲分けを含めて議論されていくことになるだろうと。
 成育医療研究センターでは、21番、臨床研究での高質な論文が日本で治験をやるに当たって必要になり、成育医療研究センターはそういったものを期待できるので、ますます進めていただきたい。
 長寿医療研究センターでは、介護の世界、介護士の問題と現場の医師の関係など、今後どのように連携してやっていくのか大変重要な問題がある。地域包括ケアの在り方のモデルができて、こういうふうにいけばいいというのを早く見せていただきたいと。
 今日はここまでですが、これからの議論でどうしても必要となってくると思いますので、3ページをご覧ください。2の組織でございますが、これは、次回以降に御議論いただく予定なのですけれども、今日、前段でかなりの御意見等もありましたので御紹介させていただきます。
 法人制度の類型というところで、各センター共通で、現行の独立行政法人制度にかかわる要望ということで、経営努力に見合うような制度に、それが実現できるような制度にどうしていけばいいのかということを、ぜひナショナルセンターでももっと詳細に上げ、それでどちらの方向に全体の経営改革が進んでいくのかというエビデンスをきちんと出していただくと、いろいろな独法も一緒になって改革していけると思う。
 国際医療研究センターについて、新たな制度に移行する時に、このまま横並びで研究独法の仲間でいくほうがいいのか、この特色を生かすのであれば、別の独法の枠組みで国際医療研究センターだけ違うミッションを持って独法化しても構わないと思う。
 (3)の機能面による再整理です。循環器病研究センターでは、臨床現場に光学系の研究機能が一つの建物の中に、医療、診断、治療もやりながら、隣で高度な医療機器を開発している。しかももちろん安全を確保しながら、非常にスピーディーにタイムリーにやれという環境を非常に強力なパワーとして作り上げていく拠点がないと、なかなか諸外国に対応した形での医療機器・医療技術のイノベーションは生まれてこないだろうということで、ぜひそういう核になる機能・施設を作るべき。
 精神・神経医療研究センターについて、研究所と病院をいかに一体させようかということは非常に大切。実際に先進医療が随分進んでいる。ファースト・イン・ヒューマンのところで、緊急体制をとれるような形で、一般の内科医や外科医がどのぐらい必要かは非常に重要なポイント。
 最後に資料5-1でございます。センターの在り方についてということで、1番、役割、機能、業務についてということで、6センターからのヒアリングを実施した結果、それから、今、御紹介しました資料5-2での意見を踏まえ上で、センターの役割、機能、業務について見直すべき点はないか。
 そして、体制ということでございまして、これまでの業務の実施状況ですとか高度専門医療研究部会での評価、当検討会委員の意見などを踏まえて、今後のセンターの体制について見直すべき点はないかということで、参考として資料の下のほうでございますが、NC法附則の24条を改めて申し上げます。この法律の施行後3年以内に、下段の方でございますが、国立高度専門医療研究センターの組織及び業務について、独立行政法人として存続させることの適否を含めた検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずる。今年の1月20日の閣議決定、下から2行目でございますが、その際、医療や創薬に関係する他の研究所との統合や機能面による再整理も含め、既存の枠組みにとらわれない検討を進めるとあります。
 本日はちょっと創薬の関係とか他の研究所のところまでは行かないと思いますので、1番の役割、機能、業務、それから体制について、を議論いただきたいと思います。長くなって申し訳ございません。説明は以上でございます。
○猿田座長 どうもありがとうございました。これはヒアリングから始まって、中期目標に関しての問題、それから、さらには今までの評価の問題、それから、特に全体としての在り方についてということを細かくお話しいただきました。それでは、これから二、三十分かけて委員の先生方から御意見をいただければと思います。かなり今までのところで議論が出てまいりましたが、どういう形でこれから進んでいったらいいだろうかということもございますので、どうぞ幅広く御意見をいただければと思います。花井委員どうぞ。
○花井委員 私の理解では、まず、国立病院機構が独法化して、その後でナショナルセンターが独法化する時に、その時点でも国立病院機構とNCはそんなに違わないことをやっている、同じようなことをやっているではないかという議論があって、その時にNCは研究型の独法として、それは国立病院機構とは違うのですよというところで今ここにあるのだと思うのですね。そこでまず第1段階として一つ整理をしたと思うのですが、今回この機を見て、どのくらいまで踏み込むのかというところが結局重要になってきて、理想的経営は何となくみんなで共有していて、例えば、先ほど佐々木委員が言ったことで、これまでの歴史からずっとこうやっているというのはもう止めろということは、非常に内部的にやっている人が、もう止めるというのは、どんな場合でも困難で、それをどこまで言うかと。
 ちょっと具体的に言ったら怒られるのかもしれませんが、例えば国際医療研究センターで言えば、看護大学校は別に別組織でもいいのかとか、国府台病院はもういいのではないかとか、そういうことは、みんな直感的には考えるわけです。それを国際医療研究センターの中におく、いや、あそこはもう切り離すのだ、もしくは、逆に言えば、それはもう診療事業をやっているのだから、どちらかというとNCではないのだと言うことはなかなか難しい。そうすると外から、外圧といいますか、もう明確なミッションを設定して、そのミッションの明確なアウトカムというところを評価基準、評価自体を見直すという議論がありましたし、そういう視点でもうドラスティックに踏み込むのか、今回はもう次の第2段階としてこの辺までやろうとするのかによって大分違うと思うのですね。私としましては、やはりこの検討会においては、ちょっと踏み込んだ形でそれをやるということを目指したらどうかと思います。
 ですから、後から事務局からも出してほしいと思うのですけれども、そもそも国立病院機構とどこが違うのだという議論は当時もされたと思うので、当時は何となく移行なので、言い方は悪いですけれども、ある程度大目に見た形で、看板は研究独法ということで進んだという経緯がありますので、今回はさらに一歩進めて、やはり研究独法、先ほどから何人もの先生が言っているような方向性と機能を持った組織としてあるべきというところをちょっと踏み込んだ形で議論したらどうかと思います。以上です。
○猿田座長 ありがとうございます。今おっしゃったとおりで、一番ポイントのところですから、そこを示さなかったら意味がないということですね。これはぜひとも出して、この委員会として意義づけをはっきりしなければいけないと思います。先ほど近藤委員からもお話がありましたように、本当に厳しくやっていかなければいけないと私も強く感じております。事務局でうまくまとめていただきまして、それから、皆様方の意見もよくここにまとめたとおりでございますけれども、どうぞ活発な御意見をいただければと思います。
 ちょっと座長がしゃべり過ぎて申し訳ないのですが。どうぞ。
○おおたわ委員 そもそもこのNCは、収益を年次ごとに上げていかなければいけない団体として捉えるのかどうかということも考えなくてはいけないと思うのですね。今までのところは、研究団体ではありながらも、保険診療部門などでぎりぎりのところで収益を上げながら、とんとんの赤字、黒字のところで頑張って、踏ん張ってきていらっしゃるというのが実情だとは思うのですが、本当に研究を主体に行くのであれば、年次ごとに必ず黒字が出るということはなかなか難しいと。例えば新しい医療機器ですとか新薬ですとか、何かシステムを開発して、それが海外に輸出できるレベルになるとしたならば、行く行くはそれは黒字に転ずるでしょうが、それまでに、要するに我慢する年数というのが何年間かかかるのは、それはもう背に腹はかえられないことで、そういうことも大目に見ていかないと、今までの、今はどうしても役所というところもあって、年々で決算を出していかなければいけない部分もあるのはわかるのですが、それと研究というものが余りにも乖離した物事のフィロソフィーのもとに成り立っているもののような気がするのですね。
 だから、まず単純に、収益を上げる団体でなければいけないのかどうか。その収益の上げ方として、その多くを保険診療に頼っていくやり方をこのままとり続けるのかどうか。そういったところだけでも少し、すぐにそれを実現することは無理でも、将来的に中長期目標というと原発みたいになってしまうのですが、中長期的に本当にどうしていくつもりで今、国は考えていらっしゃるのかというところをまず見せていただけるとやりやすくなると思いますね。
○猿田座長 ありがとうございました。おっしゃるとおりで、非常に重要なことで、それが中期計画とかそういう形のものだと思うのですけれどもね。3年ということですからね。
 他に御意見ございましたら。どうぞ、近藤委員。
○近藤委員 済みません、たびたび申し訳ないですが、間違いなく今、日本が世界と、今までは何となくトヨタ自動車とか日産自動車に任せていたかと思うのですけれども、今までみたいに呑気には構えられない時期になってきたことは間違いない。国民の健康にとって発展の余地のある非常に大事な分野は医療研究だろうと思うのですね。ですから、その観点から見ると、やはりしっかりとこれにはイノベーションの核にならなければいけないだろうと思います。そうしたときに、従来は大学がやっていた、お任せした研究というのは、自由研究というのでしょうか、それぞれの発想をそれぞれ能力のある人にお任せしながら、そこから何らかのスポンタンな成果を求める形があったと思いますけれども、ナショナルセンターのミッションは、そこはちょっと違って、やはり国の政策的な研究だろうと思うのですね。ですから、こういう研究をしてくださいよ、こういうところでしっかりやってくださいよ、そういうところに焦点を合わせて、無駄のない形で主導していく研究が必要なのかなと思います。
 そうなってきた時に、その置かれている病院は何かというと、それをしっかり見るための臨床的なフィールドであると思います。ですから、そのフィールドの在り方ですけれども、もう全く専門だけの病院というやり方もあるかもしれないけれども、総合的なところも使えることも必要かもしれません。ですから、それは病院の持ちようによってフィールドの使い方はさまざまだろうと。例えば、先ほどから一つのファースト・イン・ヒューマンの研究であると、これはかなり厳しい環境の中でやらなければできないかもしれません。そうしたときに、例えばがん研究センターでそれが全部できるか、これは間違いなくできませんよね。精神・神経医療研究センターもできないかもしれない。そうしたときに、ファースト・イン・ヒューマンの施設をどこに置くかとなったとき、やはり総合的なことができるようなところに置いてやらなければいけない。例えば、そのトライアルをやるときは、がん研究センターの先生が総合的なことができるところに移動していくと。精神・神経医療研究センターもそうかもしれません。だから、常に一つのところで全部やろうというのではなくて、ナショナルセンターは全部力を合わせて、それぞれの機能を使ってやるべきではないかと思います。
 そうやって考えていくと、どう考えても、6つのナショナルセンターがばらばらに存在するのはちょっとおかしな話で、外国の目線から見ればNIHでしょう。そうすると、私の感覚から言えば、日本国内的に見ると6つあってそれぞれいいのかなと思うけれども、外国の目線から見ると、何かばらばらでどうなっているのか、インテグレーションはどうやってできているのかになるのではないですか。だから、そういう意味では、この6つのナショナルセンターというのは、医療から言うと、バーチャルでもいいからNCとしてしっかり固めるべきではないかと。無理やりくっつける必要はないですけれども、バーチャルでもいいから、インテグレーションのできた組織にすべきだろうと思いますね。
○猿田座長 ありがとうございます。先ほど資料4のところで説明いただいた国立高度専門医療研究センターの連携、これをただ連携だけでいいのか、もう一歩進めていくかということですね。そこは非常に重要な点だと思います。どうぞ。
○手代木委員 この中で私と荻野委員がある意味でべたべたの民間なので、民間的に今後のものを考える時に少し教えていただきたいと思うのは、私も花井先生とかおおたわ先生のおっしゃっていることは肝だと思っていて、国立病院機構とどこが違うのかとか、あるいは収益を本当に上げるのか、上げるとしたらそれはどこをベースにして収益を上げるのか、本当に保険診療で上げるのか、研究開発なり何なりということを短期に、例えば寄附なり研究開発費なりを稼いで、中長期にはもっと大きなハーベストを得るということで図るのかということを考えるのが筋だろうと思っているのです。
 その点で、特に5-3ですが、我々の会社の資料だと多分このようにはなりません。メリットがある時は、必ず裏面にはデメリットがいっぱい書いてあって、メリットとデメリットを必ず比較した上でどこがどうなのかということを考えます。独立行政法人と一言で言っても、国立病院機構の独立行政法人化になったときのプロコンもあるだろうし、PMDAが独立行政法人化したときのプロコンもあるだろうし、それは多分、独立行政法人という一つの枠でくくれないぐらい一つ一つのファンクションが複雑なので、NCについては、やはりどういう点がよかったかというのはここに書いておられますけれども、どういうマイナスがあったのかも書いていただきたい。それは、もしかすると6つのナショナルセンターごとにかなり違うマイナスが出てきているのかもしれないので、やはり見やすく一覧表に比較したときに、プラスもあるけれども、マイナスもあって、そのマイナス部分をどう考えるのかということとミッション論とを両方見ながら、今後の方向性をぜひあと2回とかで考えさせていただけると、随分すっきりするのかなと思います。ぜひその辺をお願いします。
○猿田座長 ありがとうございます。その点で、今日はメリットを出してもらいましたので、今度、少しデメリットの面をこういった形で出していただくと、また議論をしていく上にやりやすいのかもしれません。
 それから、もう一つだけ。今、非常に重要なことをおっしゃられましたが、国立病院機構とこのナショナルセンターとはかなり違いがあると思います。特に、ナショナルセンターの場合は研究を重視しています。国立病院機構ができた時に、赤字の病院も多いし療養所もあるし、色々な形の病院があって大変だったと思います。評価委員をしていた頃に実際にいくつかの病院を見に参りました。非常に古い形のものから、かなり新しいところと色々ありました。それを、矢崎理事長が苦労されて全体として改善してこられました。あれだけの赤字病院を黒字にされたことは、さぞ大変だったと思います。国立病院は全国にあって各地域の住民の健康管理のため、診療として貢献しなければいけないということで、一般診療を重視されていると思います。研究面でもしっかりやっておられますが、やはり研究はかなりナショナルセンターの方が中心で、これまで見ていますと、国立病院機構の方は各病院が一緒になって薬の治験をやったり、医療機器のことをやっているという形です。ナショナルセンターの方は、それぞれの領域の最先端研究に力を入れている。近藤先生がおっしゃるとおりです。そのあたりをしっかり出して下さらないと存在の意味がないということになるかと思います。どうぞ。
○祖父江委員 皆さん大体思うところは同じ方向を向いていると思うのですが、今の国立病院機構との切り分けという観点から言うと、研究開発型というミッションを重要な旗として立てますと、今、大学もTRを初めとして、大学病院が研究開発型の出口志向型にどんどんなっていますね。そうすると、その行き着く先は、ナショナルセンターとどこが違うのかということになってきますので、このナショナルセンターの5年後、10年後の目指すところはどこなのかと。それをやはりきちんと議論しておかないと、ミッションが一緒になっていってしまうということが起こるのではないか。例えば、私が担当させていただいた長寿医療研究センターで見ますと、骨粗鬆症はあるわ、認知症はあるわ、歯はあるわ、でミッションが10ぐらいあるんです。それをこの人数でやるというのは、政策的な研究開発をやっていく上でも、ちょっと分散していて、では、何をやるのが本来なのかというところの議論をもう一回きちんと出さないといけないと思うのですね。
○猿田座長 やはりそれは、この検討会ですね。
○祖父江委員 検討会のマターだと僕は思いますので。
○猿田座長 それはおっしゃるとおりだと思います。例えば精神・神経医療研究センターと長寿医療研究センターは認知症とかそういうところが重なってきていますね。そういったことは上手に連携していかなければいけないと思います。長寿医療研究センターは新しいことを始められて、その特徴づけをしっかり出すように努力されており、そういうところが大切です。
○祖父江委員 1年、2年というところ、先ほども10年後とか、非常に好循環していくところを狙うという話は出ましたけれども、やはり10年ぐらい先を見据えて、5年でもいいですけれども、何をやるのがいいのかという議論をちょっとやらないと。これは、研究・開発の項目でも、均てん化とか、何かちょっとよく分からないですね。みんな同じことが書いてある。
○猿田座長 一番大切なことは、そういったことを示すのがこの委員会だと思うのです。この委員会がしっかり方針を出して、特徴づけをしなければいけないと思っています。今、先生がおっしゃったとおりだと思います。これからあと3回しかなくなるので、こういうところを議論していくことが大切で、重要な点に焦点をあてていくことだと思っています。どうでしょうか。
○近藤委員 今、祖父江先生がおっしゃられたように、何でもかんでもやる必要はないと思うのですね。やはり得意なところをしっかりやってもらいたい。だから、大学だってやっているわけですから、ナショナルセンターで、ここだけはやらせてもらいたいというのはあると思うのですね。そういうところを見抜いてやってあげるといいのではないですか。
○猿田座長 それをしないと、今おっしゃったように、全部同じ流儀ではないかとなってしまうのです。だから、本当に特徴を出させることが非常に重要ですから。それでないと、それが日本の特徴でもあるかもしれませんけれども、そっちはそこのところは非常に大切だと思うのです。どうぞ御意見を。
○佐々木委員 ただいま均てん化ということをお話しいただきましたけれども、こういった最先端の研究の成果を全国にどうやって広めていくのか、これも、言葉では全部載っかっているのですけれども、では、具体的にどうやるのかということについては何もわからない。がんの難民がいなくなっているとか書かれていますけれども、現場はそうではないと思う。私たちは、仙台医療圏の中におりますので、がんなんかでも、比較的いい治療を受けることができる。ただ、ちょっと離れた地方に行くと、「何でこんな状態なの?」とびっくりするぐらいの、まともな治療が受けられずに命を落としていく患者さんたちがまだたくさんいるのですね。今は、「何でこんなことになっているの?」という状態です。
 ですから、確かにこういった最先端の研究、治療法の開発、薬の開発、医療機器の開発ということも大切ですけれども、そういった成果をいち早くやはり全国に行き渡らせる手法ですね、どうやっていくのか、そこまでやはり検討していただければありがたいなと。
○猿田座長 それがナショナルセンターの一番重要なところだと思うのですね。ですから、例えば成育医療研究センターならそこを中心として、日本全体の成育医療をどうしていくかを指導していく。循環器病研究センターでは、日本の循環器領域の中心として指導していくことが大切です。
 おおたわ委員が言われたように、余り経営にお金のことにとらわれないでやっていくことが理想です。日本としての特徴が出せることも重要と思っています。どうぞ。
○祖父江委員 私一人でしゃべってばかりで申し訳ないですが、今の均てん化の問題と開発の問題、両方とも絡むと思うのですけれども、結局ナショナルセンターが、先ほどもちょっと申し上げたように、全国の実態を本当に把握しているかという点、例えばコホート型研究で把握しているかというと、全然なんですね。ですから、どこがどういう研究のポイントかということを見ていく上で、やはりせっかく厚生労働省のセンターですので、ある程度強権発動型の全国のデータを集めるセンターというものは、僕はナショナルセンターのミッションとして非常に重要だと思うのです。だけれども、それはやっていないですね。がん研究センターは多少、登録型で進めていますが、あれは法律になっていますから。
○猿田座長 そういうところは、もうこの委員会から、きちんとそこで指令してこうしていけということでないと。
○祖父江委員 それでないと、今の何が問題かというのが浮かんでこないと思います。
○猿田座長 そうだと思いますね。どうぞ。
○近藤委員 今、祖父江委員がおっしゃったのは非常に肝のところだろうと思うのですけれども、実はPMDAが色々な薬を使って、薬の副作用とか薬害、そういうものを早いうちにチェックしなければいけないということをみんな理解しておりますね。ですから、ナショナルデータベース、いわゆる保険の診療情報を集めて、その中から何とか使ったお薬と影響を調べるコホートを一つ始めたことと、もう一つ別は、10の大学病院の臨床情報を集めまして、我が国の約10%、1,000万人規模の患者さんの診療情報から薬の影響を調べる仕事を始めたところです。こういうことは、要するに何のためにやっているかというと、なるだけ早く国民のために新しいお薬や使い方から、なるべく早く問題を見つけるというミッションを持っているからやるわけであります。医療界はもう一つ、せっかくやっている治療法が、本当に一番いい治療法なのかどうか。みんなEBMで勝負をかけてやっているわけだけれども、そのEBMの作り方自体が、今の日本は物凄く難しい。臨床研究がなかなかできにくいのはそこにあると思うのですね。なぜかというと、病院の単位が非常に小さいから、その中でEBMを出すというのはなかなか大変なことですね。ですから、先ほど祖父江先生がおっしゃられたように、国民の総意として日本で一つのデータベースにまとめてしまうことです。そうすると、色々な診療の情報が集約されるわけだから、たった1例や2例のご自分の病院のデータも、その治療法がどうか、実は他と比べられるわけですね。だから、自動的にEBMというのができるのですね。
 実を言うと、エストニアが今度は国民の診療情報を全部集めると聞いています。これによって、あんな小さな国が世界の医療情報の最先端を行くようになってくる。そこで日本が躊躇していたら、これまた、必ずこれは世界中から取り残されると思うのですね。韓国もやるだろうと思うし、中国もやるだろうと思います。そうなってくると、日本だけがもたもたしていることになって、また間抜けだと言われかねない。だから、こういう将来を見据えれば、やはり絶対やらなければいけない。そのためには国民のコンセンサスを十分練ること。このメリットをきちんと教えてあげて、デメリットはないような工夫をするということで、やはりそういうことを指導していくのが、この組織のやり方なのではないでしょうか。
○猿田座長 そうですね。この見直しの機会に今おっしゃったことをみんなまとめて、遠慮しないでしっかり出していくことが重要だと思っています。今、先生がおっしゃったように、各センターがしっかりと全国的にナショナルセンターとして活躍していくことが非常に重要なのですね。近藤先生がおっしゃったように、確かに一つにするように考えるとなると、今の状態ではなかなか難しいでしょう。どうですか。先生、理想のことをおっしゃってください。
○近藤委員 ですから、バーチャルなNIHがそれはやるのですよ。
○猿田座長 どうぞ、他に御意見ありませんか。どうぞ。
○おおたわ委員 医療関係者ばかりで物を考えていると、どうしても同じ方向の意見で、そうだよねということで、大体中だけはまとまるのですけれども、余り反映されないという結論になりがちなので、ちょっと目先を変えてみて、例えば国立の小中学校というものをイメージしてもらうと、国立の小中学校というのは、今でしたら文部科学省、昔だったら文部省のカリキュラムにのっとっていないのですね。では、何をやっているかというと、それこそ5年後、10年後の子供教育に対して、これはいい、例えば週休2日制は大丈夫だろうかとか、前後期の2期制は大丈夫だろうかと、そのテストトライアルをやる場所なのですね。それで、結果がよいと出たものが、最終的に何年かたってゴーサインが出て、今は週休2日制になったりということが現実に行われるようになっているわけですが、それはどこかで必ずテストをしているわけですね。
 そう考えると、この国立高度専門医療研究センター、NCというものも、専門性があるところに分かれているので、どうしてもその専門性に特化した先端のものを開発しなくてはいけない、最先端、世界に誇れるものを作り出さなければいけないというミッションに追われがちなのですが、先ほどから言ったバーチャルなものを一元性にまとめるということを考えると、これらのものを全部まとめると、結局新生児から高齢者までいるわけですね。これが日本の縮図になるわけですね。これをやはりデータベースにして、多くの側面から切り口を持って調べていくことが、先端医療だけではなく、もしかしたら将来の日本の保険制度の在り方とか、高齢者医療の在り方とか、介護保険の制度の在り方とか、今つくられた保険制度の在り方というのは、もう何十年たっているのですか、すごい前だと思うのですね。これをこのままこの国は続けていくつもりですかと。これだけ経済の破綻が来されている中でと考えたときに、最先端と同時に、最底辺の当たり前のところ、保険制度の在り方とかを考えるのにも、もしかしたらすごく役立つのではないかと。最終的には、そういう最底辺のことというのが国の財政を救ってくれる可能性は、すごく星の一つをつかむようなビッグヒットを狙うよりも、もしかしたらそこをさらうということをやっていくことが、実は救ってくれる可能性が大きくあるような気がしますけれどもね。
○猿田座長 おっしゃるとおりだと思います。だから、その形と両方の形で見ていかなければいけないと思うのですけれども。ありがとうございました。時間がそろそろ迫ってきていますが、他に御意見ありますか。どうぞ。
○荻野委員 資料5-1の一番下に「医療や創薬に関係する他の研究所との統合」とか「再整理」という言葉が書いてありますけれども、どうも私は、どういうところにどういう機関があるのかよくわからないので、おおむね対象になりそうな、こういう機関がありますよというものを次回にでもちょっと教えていただけるとありがたいと思いました。
○猿田座長 そこはまた事務局とも相談させていただきます。
○河内国立病院課長補佐 一応今ここに書かれているのは、例えば基盤研ですとか栄養研のことを言われているのではないかということなのですけれども、実は、基盤研と栄養研は、もう既に統合するということになっておりますので、この部分については、また次回以降にちょっと議論いただければと思っております。
○猿田座長 どうぞ。
○手代木委員 大変失礼を承知で申し上げますと、今おっしゃられたのは厚生労働省管轄の研究所なのですが、このナショナルセンターがやっている研究で、例えば細胞レベルや遺伝子レベルの研究というのは、国レベルで言うと管轄の官庁が違うのですが、理研、産総研を含めたいわゆる全てのナショナルの研究所でやっています。それらも入れてイノベーション中心の研究を考える、もちろん臨床により近いところと言うとナショナルセンターなのだけれども、ナショナルセンターの中でやっている研究は、かなり基礎のところもカバーしていますので、それは厚生労働省管轄の研究所だけではなくて、話が大きくなって大変申し訳ないですが、研究所の規模という点では理研のほうが余程大きいわけだし、色々な意味での産業化を考えたときには、産総研はすごく先端的なこともやっておられるので、これらと比較してNCが何をするかというピクチャーで御提示いただければと思います。
○猿田座長 その面も非常に考えられます。研究の方は、むしろ今の理研とかそういう問題があるし、こっちは国立病院の方にありますからね。
○祖父江委員 先ほどの、むしろおおたわ先生のお話と関係するかもしれませんが、先ほど近藤先生もおっしゃっていただいたし、私も申し上げたのですが、全国の現状を把握して、コホート型でもいいですし、そういう形でやっていくミッションというのは、片方ではイノベーションにつながると思うのです。片方では、今おっしゃったような、政策医療とか医療制度とか、そういうものをどうしていったらいいかという研究につながると思います。ですから、僕は、これはナショナルセンターの非常に大きなミッションだと思っているのですが、そこが余り評価でも全然議論されていないですよね。ですから、ナショナルセンターでないとやれないというのは、まさにこれなのではないかと思っているのです。
○猿田座長 次の時にはそこのところもあわせて、事務局に資料をお願いしますが、そういうものを出していただいて、そこを中心にぜひ議論していきたいと思います。要するに、しっかりとした意見を出したいというのが希望でございますので、事務局に宿題が出て申し訳ないですが、先ほどのデメリットの面のことと、今の栄養研とか、基盤研とか、そのあたりのことの関係や理化学研究所との関係とかを少し出していただきたくお願いいたします。あと、病院のことに関してもやはり特徴を出さなければいけませんからね。よろしいでしょうか。何か事務局から追加ございますか。
○河内国立病院課長補佐 1つだけ。収益の関係でございますけれども、もちろん研究所、研究開発というか、頭に国立高度専門医療研究センターと「研究」が入っておりますので、収益を上げなければいけないものなのかどうかというところの部分だけなのですけれども、運営費交付金自体につきましては、各センターに研究所があるのですけれども、運営費交付金がついているのはこの研究所だけでございまして、病院には一部は入っているのですが、ほとんど入っていません。そうなると、当然のことながら病院を運営していかなければいけませんので、収益は独立行政法人でございますので、当然上げなくてはいけないということです。国の時代であれば、一般会計からの繰入れという形で出ていたのですけれども、運営費交付金という形になって、それが出ているのは、ほとんど研究所の部分ということです。
○猿田座長 ありがとうございます。先生方はよく御存じかと思いますけれども、病院に関しましても、各ナショナルセンターの特徴を出した病院でなければいけないというところが一番ポイントになると思います。それで赤字を出してはいけないだろうということですね。稼ぐためにあるのではなくて、それは大切なところだと思います。
 それからもう一つは、やはりこれだけ独立行政法人になって、各企業との連携で寄附が取れますから、研究面でしっかりと寄附を取っていくことも大切だと思います。そのあたり、資料を出していただいて、この次の時にしっかり議論させていただきたいと思います。
 他に委員の方から何か資料として出していただこうということがございましたら言っていただけるとよいのですが。よろしいでしょうか。では、そのあたりのところを、この次までによろしくお願い致します。
 それでは、これで終わりたいと思います。どうもありがとうございました。
○河内国立病院課長補佐 済みません、次回の開催日をお伝えします。次回の開催日は10月31日水曜日の時間が遅くて申し訳ございませんが、17時半からで場所は厚生労働省の22階の専用第14会議室でございます。青いエレベーターで上ってもらえればと思います。
○猿田座長 次々回以降の開催日もお願いします。
○河内国立病院課長補佐 第6回が11月19日、第7回が12月3日になっております。
○猿田座長 一応そういう予定だそうでございますので、ぜひとも皆様方の御予定に入れておいて下さい。どうもありがとうございました。


(了)
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