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2012年5月29日 第116回労働政策審議会雇用均等分科会 議事録

雇用均等・児童家庭局短時間・在宅労働課

○日時

平成24年5月29日(火)10時00分~12時00分


○場所

中央労働委員会講堂(労働委員会会館7階)


○出席者

公益代表委員

林分科会長、田島委員、中窪委員、山川委員

労働者代表委員

小林委員、齊藤委員、關委員、冨高委員、中島委員

使用者代表委員

川﨑委員、瀬戸委員(小林委員代理)、中西委員、布山委員

厚生労働省

西村副大臣、藤田政務官、髙井雇用均等・児童家庭局長、石井大臣官房審議官、
吉本雇用均等政策課長、成田職業家庭両立課長、吉永短時間・在宅労働課長、
大隈均衡待遇推進室長

○議題

1 パートタイム労働対策について
2 その他

○配布資料

配布資料No.1 今後のパートタイム労働対策について(報告)(案)
No.2 論点及び関連する主な意見

○議事

○林分科会長 定刻になりましたので、ただいまから「第116回労働政策審議会雇用均等分科会」を開催いたします。本日は、権丈委員、佐藤委員、瀬戸委員、渡辺委員がご欠席です。なお、瀬戸委員代理として、全国中小企業団体中央会 労働政策部長 小林様にご出席いただいております。
 また、本日は西村副大臣と藤田政務官がご出席です。藤田政務官は、政務のため途中退出しますが、それまでの間よろしくお願いいたします。
 本日の議事に入りたいと思います。議題は、「パートタイム労働政策について」です。これまでの議論を踏まえ、事務局で資料No.1「今後のパートタイム労働対策について」として、分科会の報告の案を作成しておりますので説明をお願いいたします。

○大隈均衡待遇推進室長 それでは資料No.1をご覧ください。これまでの分科会での議論を踏まえ、事務局の方で作成した分科会報告の案です。読み上げということで説明に代えさせていただきたいと思います。

「今後のパートタイム労働対策について(報告)(案)」

○ 労働政策審議会雇用均等分科会は、「短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律の一部を改正する法律」(平成19年法律第72号)附則第7条の検討規定に基づき、昨年9月以降、同法による改正後の「短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律」(平成5年法律第76号。以下「パートタイム労働法」という。)の施行状況等を勘案し、今後のパートタイム労働対策の在り方について審議してきた。
○ 人口減少社会を迎え、労働力供給が制約される日本では、「全員参加型社会」の実現と、日本経済の発展と社会の安定の基礎となる「分厚い中間層」の復活が課題となっている。
  このような中、様々な事情により就業時間に制約のある者が従事しやすく、雇用者のうち4人に1人以上が実際に従事しているパートタイム労働という働き方の環境整備が必要であり、パートタイム労働者の均衡待遇の確保を一層促進していくとともに、均等待遇を目指していくことが求められる。
○ また、短時間であることから働き方が多様となるパートタイム労働者の待遇について、納得性を向上させ、あわせてパートタイム労働者に対する継続的な能力形成も進めていく必要がある。
○ 有期労働契約の期間の定めのない労働契約への転換、期間の定めがあることを理由とする不合理な労働条件の禁止等を内容とする「労働契約法の一部を改正する法律案」、パートタイム労働者に対する厚生年金・健康保険の適用拡大の措置を含む「公的年金制度の財政基盤及び最低保障機能の強化等のための国民年金法等の一部を改正する法律案」が国会に提出されている状況の下、このような動きを念頭に対応していくことが必要である。
○ 以上のような点を考慮し、今後のパートタイム労働対策として下記の事項について法的整備も含め所要の措置を講ずることが適当であると考える。

 「記」以下は2頁以降です。

1 パートタイム労働者の均等・均衡待遇の確保
(1) 有期労働契約法制の動向を念頭に、パートタイム労働法第8条については、①3要件から無期労働契約要件を削除するとともに、②職務の内容、人材活用の仕組み、その他の事情を考慮して不合理な相違が認められないとする法制を採ることが適当である。
(2) 職務の内容が通常の労働者と同一であって、人材活用の仕組みが通常の労働者と少なくとも一定期間同一であるパートタイム労働者について、当該一定期間は、通常の労働者と同一の方法により賃金を決定するように努めるものとされているパートタイム労働法第9条第2項について、有期労働契約法制の動向を念頭に、削除することが適当である。
(3) 通勤手当は、パートタイム労働法第9条第1項の均衡確保の努力義務の対象外として例示されているが、多様な性格を有していることから、上記(1)の見直しに合わせ、一律に均衡確保の努力義務の対象外とすることは適当ではない旨を明らかにすることが適当である。

2 パートタイム労働者の雇用管理の改善
(1) パートタイム労働者の「雇用管理の改善等に関する措置」(賃金に関する均衡、教育訓練の実施、福利厚生施設の利用、通常の労働者への転換等)に関し、事業主が、パートタイム労働者の雇入れ時等に、当該事業所で講じている措置の内容について、パートタイム労働者に説明することが適当である。
(2) 事業主は、パートタイム労働者からの苦情への対応のために担当者等を定めるとともに、パートタイム労働者の雇入れ時等に周知を図ることが適当である。
(3) 事業主は、パートタイム労働者がパートタイム労働法第13条に定める待遇の決定に当たって考慮した事項の説明を求めたことを理由として、解雇その他不利益な取扱いをしてはならない旨、「事業主が講ずべき短時間労働者の雇用管理の改善等に関する措置等についての指針」(平成19年厚生労働省告示第326号。以下「パートタイム労働指針」という。)に規定されているが、これを法律に位置付けることが適当である。
(4) 厚生労働大臣は、パートタイム労働者の雇用管理の改善等に関し必要な事項について調査、研究、資料の整備に努めるものとされているパートタイム労働法第42条の規定に基づき、教育訓練の実施やパートタイム労働者に関する評価制度(職務評価・職業能力評価)についての資料の整備を行い、必要な事業主に対し提供することを促進していくことが適当である。

3 その他
(1) パートタイム労働者が親族の葬儀等のために勤務しなかったことを理由として解雇等が行われることは適当でない旨をパートタイム労働指針に規定することが適当である。
(2) 報告徴取の実効性を確保するため、報告を拒否又は虚偽の報告をした事業主に対する過料の規定を整備するとともに、勧告に従わなかった事業主の公表の規定を整備し、さらに、勧告を行う場合であって必要と認められるときに措置計画の作成を求めることができるようにすることが適当である。
(3) 行政刷新会議「事業仕分け」で、短時間労働援助センターの在り方について法改正を含めて対応するよう指摘されたことから、同センターを廃止することが適当である。

 資料No.1は以上です。議論の参考に、資料No.2として前回までの公労使各側の主な意見を添付しております。

○林分科会長 ただいまの事務局の説明について、委員の皆様から、ご質問、ご意見がありましたらお願いいたします。

○齊藤委員 ただいまの説明の中の報告の第8条の部分で、ここの記載の趣旨ですが、8条については、3要件から無期労働契約要件を削除するだけで、差別的に取扱いを禁止する規定は、維持されるという理解でよろしいでしょうか。

○吉永短時間・在宅労働課長 こちらの案で記載しているものについては、3要件から無期労働契約要件を削除するという形で、まず3要件のうち2要件になるということを書いております。その上で、要件を考慮要素という形で考え方を整理する。それは有期労働契約に関する労働契約法の見直しに合わせた形で、そういう考え方にするという形です。
 基本的にパートタイム労働法は行政法規ですので、行政指導という形でやっていくと考えた場合に、1つメルクマールとしてこういう職務、人材活用の仕組みとか、そういうものできちんと見ていく必要があることからしますと、その限りにおいて、差別的取扱いといいますか、同じものについて同じように取扱うという部分は従来どおりのものになるだろうと考えております。

○林分科会長 ほかにご質問、ご意見はございますか。

○中西委員 まずはじめに、この度のパートタイム労働法の見直し審議に関しまして、これまでの議論を踏まえ、全体を通じた感想を申し上げたいと思います。平成20年に施行されたパートタイム労働法は、施行後満4年になろうとしておりますが、今日、中小企業を含めた企業の現場で相当程度の定着をみるに至っております。企業の現場では、法改正を受けて、それぞれの実情に応じて、パートの処遇の改善や賃金考慮要素の見直し、正社員転換措置など、パートタイム労働者の雇用管理の改善に着実に実績を上げてきているところであります。
 これまで何度も申し上げておりますとおり、このたびの見直し議論は、パートタイム労働者の待遇・雇用管理の改善等を目的としていますが、不合理な扱いを受けているパートタイム労働者がいる職場の実態がどの程度存在しているのか、その明確なデータ等があるのか、また、そのような事例が労働政策課題としてどの程度の代表性を有しているのか、という現状認識に関わる疑問がいまだ解決されておりません。そもそも、こうしたパートタイム労働者の雇用管理の改善の問題については、まずは職場の労使のコミュニケーションをいかに円滑にしていくかという点が前提であり、法律上で詳細まで規定し、実質的に影響のないところまで一律に措置を求めていくというのは必要性が見出せないと考えております。
 次に、個別の論点について、意見を申し上げたいと思います。まず、通勤手当については、契約時の合意の状況を含めて、考えていく必要があると考えております。また、「葬儀等で勤務しなかったことを理由として、解雇等が行われることは適当ではない旨を指針に規定すること」については、そのような理由で解雇等が行われているという実態が確認できない中、一律に指針で規定することは不要であり、違和感を覚えます。現場の労使は、シフト勤務等で柔軟に対応しているのが実態であります。

○林分科会長 ご意見として承るということでよろしいですか。

○中西委員 はい。意見と前半部分は感想です。

○布山委員 本日提示された報告案はこれまでの議論を踏まえてということで理解をしました。少し質問ですが、3頁のその他の(2)です。「さらに」以下の「勧告を行う場合であって必要と認められるときに措置計画の作成を求めることができるようにする」の意味ですが、これは、勧告の一形態として措置計画というものを考えているということでよろしいでしょうか。

○吉永短時間・在宅労働課長 こちらでお示した案については、ご指摘のとおりです。改善するに当たっても、ただちに改善できるもの、時間がかかるものいろいろあるかと思いますが、ただちに改善が難しいものについて計画的に進めていただくという観点で、従来の勧告の一形態としてこういうものを導入してはどうかという形で提示したものです。

○布山委員 少し戻りまして、2頁の2の(1)です。前回、公益の先生から13条の関係でご確認があったと思いますが、これはそのときの回答と同様に、この説明の程度なのですが、制度については、制度の仕組みといった概括的なものであって、個々のパートに対する個別具体的な内容の説明ではないという理解でよろしいでしょうか。

○吉永短時間・在宅労働課長 ここに例示しておりますが、賃金に関する均衡、教育訓練の実施あるいは福利厚生施設の利用、通常の労働者への転換等、かなり細かい中身が入っていますので、これを全て雇入れ時に説明するのは、かなり難しい部分があるのだろうと思っています。いずれにしてもこういう中身については、どういう方針かという基本的な事項については説明いただくことと、併せて、疑問点がある場合については、2の(2)にあるような相談窓口のようなところで処理をしていただくいう形で、その中で労使の話し合いをしていただきながら解決をしていただくという考え方ではないかと思っております。

○川﨑委員 1つ確認させてほしいのですが、2頁の1の(3)通勤手当の項目で、「様々な性格を有していることから」と記載がありますが、これに関しては、企業の考え方によっては、職務非関連とは言い切れず、職務関連の場合もあるという理解をした上で、「一律に均衡確保の努力の対象外とするということが適当でない旨を明らかにすることが適当である」と、そのようになっていると理解してよろしいですか。

○吉永短時間・在宅労働課長 通勤手当については、導入された背景等々が企業によっても異なると思いますし、具体的にどこまでの範囲をカバーするかということも企業によってそれぞれだろうと思っております。基本的に通勤手当については、前回もご説明しましたが、店舗間異動等がある人に対して通勤手当を出している一方、店舗間異動等のない人、もうこの店舗だけだというときに、通勤手当を支払っていないというような場合について、それは一定程度合理性が認められるし、ある意味、人材活用の仕組みという観点からも整理がつくのであろうと思っております。
 一方で、昨今では、一律に通勤手当を支払っているようなケース、距離や実際かかっている経費とは関係なく支払っているようなケースも散見されますし、そういう場合にうまく人材活用の仕組みでありますとか、そういった様々な考慮要素で説明ができる部分があるかどうか。仮にその考慮要素で説明できない部分があるとすれば、少なくとも現行法では、それも含めて均衡を考慮する必要がないという整理になっておりますが、少なくとも均衡を考慮していただくという形の整理ではないかと思っております。
 そういう意味で現行の3要件が2要素になったときに、人材活用の仕組み等々で説明できる部分というものは当然あると思いますが、それを説明できない部分について、一定の場合につきまして、職務関連というような形の整理というものが可能な部分というのがあり得るのではと思います。

○冨高委員 通勤手当の件ですが、前回の論点のときには、有期との動きを踏まえて、第9条第1項の対象外の例示から、通勤手当を削除するとなっていたかと思います。今回は、どのように法文に書き込んでいただくかはわかりませんが、「一律に均衡確保の努力義務の対象外とすることは適当ではない旨を明らかにすることが適当である」という若干わかりづらい記述になっており、労働側としては、かなり後退しているのではないかと考えています。
 前回のここの説明のときに課長のほうからも説明いただいたとおり、有期との整合性というのを重視してきたかと思います。有期の法制の中で職務の内容や人材活用の仕組み、その他の事情を考慮した上で、なお不合理な、そういう認められないものに通勤手当も含める議論もあったということで我々は認識しており、労働者側としては、その考え方は当然妥当ではないかと思っています。パート法の中では、事業主に一般的な均等待遇確保の努力義務というものがあり、その指針の中でも法対象の事項も、法の対象外の事項も均衡を考慮するように明記されておりますので、そういう意味で、現行法で通勤手当を9条第1項の対象外に例示することは不適切ではないかと考えておりますので、前回の論点のとおり9条1項の対象外の例示から削除するという記述にしていただきたいと思っております。

○吉永短時間・在宅労働課長 論点の書きぶりから若干変更になっている部分につきまして、説明したいと思います。前回、論点の中で説明させていただいたものについては、冨高委員のご指摘のとおりです。有期労働契約についての議論の中で、有期、無期ということによって、通勤手当の支給の有無や差があるような場合について、職務あるいは人材活用の仕組み、その他の事情を考慮して不合理な相違と認められることがあるのではないかという形の整理が、一方でなされているという状況のもとで、パートタイム労働法は、通勤手当という名前が付いただけで均衡も考慮する必要がないということの整合性をどういう形で整理していくのがよいかという論点があるのではないかという形で、前回ひとつの考え方として、通勤手当を均衡から除外している項目から削除すると。ただそこは、削除して直ちに全てが均衡になるという形ではなくて、その上で人材活用の仕組み等々で考慮した上で整理をするという考え方をお示したところです。
 今回お示しているものについては、基本的には通勤手当というものを適用除外にしている部分については維持するという考え方のものになっておりますが、基本的には通勤手当というものが均衡を考慮するべきものと、均衡を考慮する必要がないものというものに性格が分かれるものがあるのではないか。通勤手当は非常に多様な性格を持っているのではないかということで、一律に通勤手当を均衡から除外することも、一律に通勤手当を均衡の対象にすることもなかなか難しい中で、表から書くか、裏から書くかという考え方になるかと思います。考え方としては、そういう多様なものについては法的にどういう整理をするか、一律にどちらかに委ねるという形ではなくて整理をしていくという考え方で整理をさせていただいたところです。その限りにおいて論点と今回お示している報告書の案については差はないものと考えております。

○林分科会長 そのほかご意見、ご質問ございますか。

○瀬戸委員(小林委員代理) 2点ばかり確認させていただきます。2頁の2のパートタイム労働者の雇用管理の改善の(2)、(3)について、(2)のところで苦情処理の担当者を定めるとともに、その周知を図るとなっていますが、これは法律で規定される形になるのか、省令等で規定するのか、確認をさせていただきたいのが1点です。
 もうひとつ、(3)で、現在パートタイム労働法の第13条で定める待遇の決定に当たって考慮した事項について、これらは指針で定められているところなのですが、これを法律に格上げすると、法律に位置付けることが適当であるというようになっています。いままでの議論の中でデータに基づいて格上げすることが必要だというような形のデータはなかったと思います。指針から法律に格上げすることの理由についてご説明をいただければと思います。

○吉永短時間・在宅労働課長 小林委員代理から2点ご質問いただきました。1点目は、苦情処理の窓口について周知を図る部分です。この辺りは、審議会でご意見を取りまとめていただいた後に内閣法制局と相談をしながら、どういう法型式にするかは最終的に決めていく必要があると思っております。現行法のパート法においては、雇入れ時に様々なものを周知するという規定が、既に法律の中に入っていて厚生労働省令で定めるということができる形になっております。例えば、退職金の有無、昇給の有無など、そういうものについて雇入れ時に周知していただくという形になっております。窓口の周知ということについては、そういうやり方もあるのではないかと考えております。
 一方で苦情処理体制については、現行パート法については、労使が入った形での苦情処理機関の設置について努力義務がかかっているということに留まり、労使に関わらず苦情処理の窓口についてどういう形にするかについては、もともと労使での苦情処理機関が規定されていることは、苦情を受ける方が存在することが前提の規定でありますが、そのことについてパート法はあまり明確に言っていないということで、先ほど申したように窓口の周知だけであれば、厚生労働省令で定めることはできるのですが、その前提条件をどういう形で整備するかということについて、一定程度、法的な整理が必要になる部分がある可能性はあると思っております。いずれにしてもこの点については、報告書を取りまとめていただいた後で、内閣法制局等や関係者と調整しながら進めていきたいと考えているところです。
 2点目の待遇の決定にあたって考慮した事項の説明を求めたことを理由とする不利益取扱いの部分です。先般から指摘を受けている部分です。データとしては、先般も説明したとおり、待遇について現行法でも13条で、事業主に対してどういう内容を考慮して決まっているのかを聞くことができるという規定がありますが、これが活用されていない理由について聞いてみると、事業主に聞かない理由では、やはり不利益に取扱われる可能性があるというものが、一定程度、2割程度でありますが、出てきているという状況があります。ご指摘はその指針と法律の差ということかと思いますが、法律に上がることで基本的な規範性が変わるとは思いませんが、こういうものを通じて労使のコミュニケーションというものを図っていく1つのきっかけになるのではないかと考えております。報告書2の(1)、(2)、(3)いずれも労使のコミュニケーションを促進していただけるのではないかという観点のものです。
 先ほど中西委員のご意見の中でも労使のコミュニケーションが前提であるという感想等がありましたが、そういうものをどういう形で促進していくのかの観点から、2の(1)、(2)の規定に併せて(3)の規定についても整備を行って、そういう労使のコミュニケーションの前提条件のようなものを整備していきたいという考え方です。

○林分科会長 ほかに、ご意見等ありますか。

○小林委員 通勤手当に戻ってしまうのですが、先ほど課長の説明の中で、冨高委員が申し上げた前回よりも今回の書きぶりが少し後退しているということに対して、中身的にはそんなに差はないというような説明をいただきました。現行、このパート法で今回無期については外れるというようなことも提案ではありますが、現行では99%のパート労働者には、この通勤手当が均衡を考慮しなくてもいいというような解釈になってしまうと考えています。現行のパート法では、99%の労働者がパートの法律から外れてしまうので、均衡も考慮しなくてもいいという1つの例が、通勤手当だと思っています。
 このパート労働法というのは、第8条の対象者に入るか入らないかはもちろん重要なのですが、パート労働者全体の雇用管理の処遇や改善を目指すものであって、改めて第8条対象者以外の通勤手当を均衡待遇の対象外とするのは整合性を欠いた規定だと、労働側としては考えています。この審議会の中でも、通勤手当については、いろいろな要素がある、企業によって違うというような話もありましたが、通勤手当がパートに適用されないケースについて、その合理性をここで明確に発言するようなことは一度もなされていないと思っていますし、労働側としてはそれは不合理であると考えています。そこで、この通勤手当が多様な性格をもっていることは、この審議会の中でも十分に話し合いがなされたと思いますが、これが適用されないパート労働者は、職務に欠かせない通勤経費のために、実質の手取りが減ってしまうこともあり得ると思っています。正社員だけに通勤手当を支給していては、均衡待遇から正社員とパートの格差はやはり遠ざかるという考えを持っていますので、パート労働法の趣旨からすれば、すべてのパート労働者に通勤手当を均衡待遇の対象とするのが当然と考えていますので、私たちとしては、第9条第1項の対象外の例示からの削除を求めていきたいと思っています。

○布山委員 この通勤手当については、現行のパート法第9条第1項の通勤手当をどう取扱うかという議論だと思います。この間も申し上げたとおり、この第9条第1項は職務関連なのか非関連なのかという分け方をしている以上、通勤手当を削除すると、それは職務関連になるという形については、完全に反対をさせていただきたいと思います。つまり、職務関連で通勤手当を払っているというよりは、それ以外の要素が多いからです。逆に、この枠組の中で労側の委員の方が職務関連だとおっしゃるのであれば、どの程度そのようなデータがあるのかお示ししていただければと思います。

○中島委員 職務関連のデータがあるかないかよりも、私どもは短時間であろうと正社員であろうと、仕事をするために通勤をしてくるという事実に対して、実費がかかるわけですよね。その際、基本給に実費が食い込んでしまうようなことは、本来あってはならないと思っています。もちろん、新幹線通勤をするなど、想像を絶するようなことはないと思うのですが、必要最低限の実費として支給をしてほしいという、ただそれだけの意味です。

○林分科会長 通勤手当については、このぐらいでよろしいですか。それでは、ほかの論点についても何かご意見、ご質問はありますか。

○關委員 2の(1)の雇用管理の改善等に関する措置について、パート労働者に説明をするというように定めることは、我々としては基本的に賛成です。さらに言えば、当然義務規定とすべきですし、説明については文書で交付で行うことが望ましいと考えています。また、これは前回の公益委員の方からのご意見で、資料No.2にも掲載いただいていますが、パート労働者が将来のキャリアアップを展望できるように、キャリアラダーやそれに関する評価制度についても、雇入れ時に説明することは有益であるといったご意見、あるいは第9条第1項の努力義務を果たすための措置としての職務評価制度を説明させることで、パート労働者の納得性の向上につながるといったご意見があったかと思います。労働者側としても、そうした評価制度、あるいはキャリアラダー等々の項目について、説明項目に加えることは望ましいと考えていることは、付言させていただきたいと思います。

○齊藤委員 2頁の1の(2)ですが、第9条の第2項の削除というのは、第8条から無期要件がなくなったことによって、第9条第2項が第8条に包含されるために削除されるというような理解でよろしいのでしょうか。

○吉永短時間・在宅労働課長 第9条第2項については、一定期間、人材活用での仕組みが同じ方には、賃金の決定方法について、基本的なところを揃えていただくというような努力義務が入っている規定です。一定期間人材活用の仕組みが同じという考え方は、基本的に通常の労働者と同じレベルの職に2回ぐらい就けば、大体同じような形ではないかということで整理をしています。その後、職が分かれるにしても、少なくとも3年ぐらいではないかと考えていますが、その期間は賃金決定方法を揃えてはどうかという努力義務になっているものです。
 今般、パートタイム労働法の3要件のうち、契約期間の要件が外れるということで、一定期間という考え方となかなか整合性が取れません。基本的な部分について第9条の対象者の方は、まさに有期であるが故に3要件に該当しなかった方ですから、職務も人材活用の仕組みも、事実上同じなのですが、有期であるが故に入ってこなかった方は、第8条の対象になると思います。ただ、第9条第2項についてもいろいろな方がいらっしゃいますので、必ずしもそのような方でない場合は、すべてが包含されて第8条に上がるという形にはならない部分はあり得ると思います。基本的に、パート法の第9条は有期労働者への対応をどうするかという考え方の条文ですので、その対象は第8条の中に吸収される整理ではないかと考えているところです。

○齊藤委員 そうしますと、パートタイム労働者はここまでしかいかない、一定の職務までは通常の労働者と同一となっているけれども、それ以上の職務にはフルタイムにならないと就けないというキャリアラダーを導入している企業もあると思います。そのような場合の一定期間同一であるパートタイム労働者は、有期、無期に関係なくいるとは思うのですが、どのような取り扱いになるのかをお聞きしたいのですが。

○吉永短時間・在宅労働課長 キャリアラダーでどこまでいくかは非常に難しい問題だと思います。例えば、正社員でも現実にはいろいろなコースが存在しています。すべてが部長や取締役になるわけでもない中で、さまざまな雇用管理がなされている状況です。そのような中で、パートの方がどういう形になっているのか、正社員の方がどうなっているのかは、企業によって多様な性格を持っているのだと思います。そのうえで、通常の労働者と比較して、同じような雇用管理がなされている部分について、最終的に正社員であっても必ず部長になるわけではありませんので、そういうキャリアラダーについて同じようなラインで上がっていく、どこまでいくかは、正社員でも正直わかりませんので、そういう中で考えていくところについては、同じような取扱いになるのだろうと思っています。

○林分科会長 ほかにご質問、ご意見等はありますか。

○冨高委員 パートタイム労働者の雇用管理の改善のところで、先ほど説明もありましたが、苦情対応の担当者等を定めるという部分、それから雇入れ時等に周知を行うところは賛成です。これについては、是非文書で行っていただきたいと思います。苦情担当者等には対応窓口がきちんと入っているということで説明もいただきましたので、そこはガイドライン等の中にもきちんと入れていっていただきたいなと思います。
 もう1点(3)ですが、こちらも法律に位置付けることについて賛成です。先ほど説明があったような課題もあると思います。併せて、説明事項のところに賃金決定の方法、それから通常の労働者との賃金格差の程度とその理由を含めるべきだと思っています。先ほども、もうひとつのほうでも言わせていただきましたが、これは文書の交付等で行っていただくのが望ましいのではないかと思っています。以上です。

○林分科会長 ほかにご意見、ご希望も含めてありますか。

○小林委員 2の雇用改善管理で、もう1点、評価制度なのですが、これについてはこの分科会の中でもパート労働者の雇用にとって均等・均衡待遇の処遇の実現は重要だということの議論が交わせたと思っています。使用者側の方からも、うちはきちんとやっているというような非常にありがたいお言葉もいただきました。いろいろな企業があり、実際パートの雇用に関してとてもやる気を持たせるような雇用管理をしていただいている企業もあります。残念なことに、なかなかそうではない企業も現実としてありますので、この評価制度については法律に明記して施策を進めていただくことが望ましいと考えていますので、お願いします。

○林分科会長 ほかにご意見はありますか。

○瀬戸委員(小林委員代理) いま冨高委員から、苦情処理の担当者等の通知など、いろいろな説明について文書をもってということなのですが、担当者を設けることについては当然やぶさかではないというか、その部署を設けることは必要かとは思います。それについて文書でというのを義務付けるところまでは、ちょっと難しいのではないかと思います。口頭で説明して、通常、採用時等においては、労働条件通知書をもって労働条件等の説明をしているところです。それと、雇用管理の面でのいろいろな説明等も、福利厚生施設はこういう所を利用していいですよというようなこともご説明を申し上げるところだとは思います。それを、文書をもってと言われると、いろいろな事業所の形態等もありますから、口頭説明だけで十分ではないかと私は理解しているところです。

○吉永短時間・在宅労働課長 いまの点について、若干関連の情報だけご説明させていただきます。先ほど、苦情処理の窓口についての法令のレベルのお話があった際に、現行の昇給や退職手当の有無と同じような扱いで、厚生労働省令で定めることができるのではないかという方向もあり得るという説明をさせていただきました。現行のパート法の第6条に基づいた厚生労働省令になりますが、これについては文書で明示していただく構成になっています。仮に、厚生労働省令で定める場合は、担当部署あるいは担当者は文書で説明いただく構成に自動的になってしまうと思います。
 一方、賃金の均衡や教育訓練をどうするのかについては、ここでは記載していません。1点だけご紹介しますと、審議会に先立って開催しました研究会においては、個別の説明について文書で説明するやり方ももちろんありますが、それによって定型的になってしまうのではないかという危険もありますので、そこはメリット、デメリット両面あるのではないかというご意見がありました。例えば、現実に賃金の均衡のところなど、かなり細かくなりますので、ある意味これをどこまで書面でやるのかは、かなり難しい部分もあろうかと思います。研究会の議論の中で、そのような議論があったことを付言させていただければと考えています。

○冨高委員 いまおっしゃっていただいたように、かなり細かいところについては、口頭での説明も必要だとは思います。やはり口頭での説明は、そのタイミングでのみになってしまいますので、やはり書面に残るものでしっかり出していくことも必要なのではないかと思っていますので、そういった意味も含めての発言です。

○中島委員 文書でと言っている意味は、やはり手元に納得性のある資料が残るかということで、労働者が納得するかどうかという点で、わかりやすさや納得という意味で、非常にプラスの側面が強いと思っています。ですから、簡単なものでもいいので、できる限り文書での説明をいただいたほうがよろしいと思います。

○川﨑委員 「文書で」と言うと、紙に書くことがイメージされるわけですが、確かに、パートタイム労働者の雇用の条件に関しては、納得性を向上させることは重要なポイントかと思います。しかし、そのやり方として、すべての事業者に対して紙に書いて一律求めていくのは、実態にはかなり馴染まないのではないかと思います。現実的に考えると、パートタイム労働者の方に納得いただくような形で説明することが適当であると思っています。それを口頭でやるのか、紙でやるのか、あるいはどこまでの内容を含めてやるのかは、それぞれの事業主、ないしは事業所の実態に合わせてやっていくべきものであって、その方法までひとつひとつ法律で規定していくことに関しては、かなり馴染まないと考えています。

○中島委員 文書を個人個人にアレンジする必要はないと思いますが、労務管理上たぶんそれなりのルールがそれぞれの会社ごとにあると思いますので、そういう基本的なルールだけでも説明資料があると、非常にわかりやすいと思います。

○林分科会長 その基本的なルールというのは、例えば具体的にはどのようなものを念頭におかれていますか。

○中島委員 賃金の決め方や、どのぐらい努力をすればというか、年限を積み重ねれば、昇給、昇格の可能性があるかという、極めて基本的なことでいいと思っています。

○川﨑委員 どのぐらい働けば昇給、昇格があるかという部分に関して、企業の実態をお話しますと、正社員でもそのようなことをやっているところばかりではないと思います。そういった中で、この場合に紙ベースで求めていくのは、実態に馴染まないと考えます。

○中島委員 それは、正社員でも給料表や賃金制度の仕組みがないという意味でしょうか。

○川﨑委員 違います。制度自体はありますが、それが制度の説明に留まるということと、どのぐらいの年限になればどうなるといったことについては、ひとつひとつ告示をしているところはほとんどないのではないか、ということです。

○瀬戸委員(小林委員代理) 賃金表のお話が出てきましたが、中小企業で賃金表を労使相互の合意のもとに作っている所は、なかなかないと思います。実際、昇給の規定なども就業規則に書いてあると思います。そういうものも含めて、既存にあるデータ資料に基づいて納得いただくような形で、雇用管理の改善に向けたいろいろな説明を申し上げるとは思います。それを、また新たに雇用の度に資料を作れというようなイメージにとれてしまったのですね。ですから当然ながら事業所単位、規模によってもそれぞれ整えているデータと持っているデータは違うとは思います。就業規則は当然配りますし、その他いろいろな条件については口頭での説明もたぶんあると思うのです。そういう意味で、柔軟な対応というわけではないのですが、それぞれの事業所規模によっても違いがあるわけですから、その辺りも十分判断いただいて、説明責任については規定していただければありがたいというお願いです。

○林分科会長 この件は、この辺りでよろしいでしょうか。ほかの論点について、何かご意見等ありますか。

○關委員 違う観点で、意見を1つだけ述べさせていただきます。3の(2)、実効性確保、履行確保の観点で、過料あるいは勧告に従わなかった事業主の公表の規定整備、または措置計画の作成を求めることができるようにする等記載をいただいています。この点は、均衡法あるいは一体法とのバランスを考えても、当然だと思っていますし、妥当だと考えていることは、この点で付言させてください。

○中窪委員 先ほどから、納得性を高めることは非常に重要であることは、皆さん理解されていて、それをどのようにやるかだと思います。内容よりも、1頁目の前書きの3番目が、短時間であることから働き方が多様になるパートタイム労働者の待遇についてということで、正社員であれば何となくモデルとしてわかるが、パートになるといろいろなものがありますので、それについて明確化して、それをきちんと納得してもらうことが重要なことではないかと思います。ただ、そういう意味では、ちょっとこの文章は寂しい感じがしますので、きちんと条件やルールについて明確化したうえで納得していただくことが必要です。
 それから、一旦働き始めたあともいろいろ苦情が出てきたり、説明を求めたりということもありますから、事後的にもそういう対応は必要なわけです。先ほどから出ていました労使のコミュニケーションが非常に重要ですから、そういうものも少し加えたらどうかという感想を抱きました。

○山川委員 いつも同じような観点からの発言で申し訳ないのですが、やはり有期労働契約法制の動向等、整合性を改めて取るようにお願いしたいと思います。田島委員、権丈委員と私の3人が分科会で共通メンバーになっているものですから、ここであまり整合性が取れなくなりますと、やや問題があるように思います。通勤手当の取扱いは、現行法がやや複雑というか、難しい定め方をしていまして、そもそも第9条第1項そのものの問題ではないですし、省令レベルでかつ一律に努力義務から適用を除外しているか、対象外にしているということで、これが維持されるとすると、少なくとも整合性との関係から問題があると思います。具体的に、どのような形で省令レベルの問題で対応するかは、またご検討いただけるとは思いますが、少なくとも整合性は重々お図りいただきたいと思います。
 それと、先ほどの文章で説明するかどうかについても、法律レベルなのか、それとも省令あるいは指針レベルなのかという辺りは、まだここでは具体的には詰められないのかなと思います。例えば、OJTなどは実際上重要だと思うのですが、OJTを文章化するのは少し難しいのではないかと思っています。逆に制度的なものですと、文章化に馴染むものもあろうかと思いますので、事項によって、これから指針なども含めて検討されてはいかがかと思います。

○林分科会長 そのほかに、ご意見はありますか。

○中島委員 2つあります。先ほどの葬儀等に関して、一言補足をいたします。私どもが行っているパート労働電話相談や実際の面談での相談の中に、突然忌引きを取ってしまったことによって解雇されたとか、雇い止めになった、それから突然配置換え、シフト換えをされてしまったという事例が結構あります。そういうことが多くの企業であるとは思いませんが、残念ながらありますので、やはり格段のご配慮をいただきたいというのが、私たちの意見です。
 2つ目は、第8条に戻りまして、いま有期法制との整合性が言われましたが、確認をしたいと思います。第8条については、この取扱いが概ね妥当と考えていますが、有期法制との関係で、第8条の3要件から無期労働契約要件を削除するのは当然だと思います。前回、確か課長のお答えの中に、それは具体的に要件で絞り込む現行法の考え方を改めて、労働契約法案のように職務の内容、人材活用の仕組み、その他の事情について要素として考慮し、労働条件の相違について合理性を判断するという法制を取ると説明されたと思いますが、そういう理解でよろしいでしょうか。そういう考え方であれば、有期法制との関係も現在一定程度取れると理解ができると思いますので、そのような理解でよろしいかどうか、お願いします。

○吉永短時間・在宅労働課長 基本的にご指摘のとおりです。いまの要件で定めて、そもそも対象で絞り込んでしまって、その対象でなければ均等の対象から外すという考え方ではなくて、個々の処遇について考慮要素を当てはめていくという考え方になろうかと思っています。前回もご説明いたしましたが、基本的には職務の内容、人材活用の仕組みという形で、現行法の要件を要素化していくことと、その他の事情については有期でも現状これがその他の事情に入るというものは規定していません。ある意味、念のためのものですが、そういった要素は若干入ってくる部分がありますが、2つの要素になったことで、その要素に当てはめて考慮していくという、有期型の考え方に基本的な考え方を変えていくということでいかがかという案です。

○布山委員 先ほど、労側委員から葬儀等の関係で意見が出ましたので、確認です。3頁、その他の(1)です。この親族の葬儀等の「葬儀等」というのは、これまでの議論の趣旨からして、いわゆる親族の死という予期せぬ事態に伴って生じた事由によって勤務できなかった場合に、配慮をするという理解でよろしいでしょうか。

○吉永短時間・在宅労働課長 ご指摘のとおりです。基本的に、人の死のような通常予見することができない場合について、それに伴ってどのような対応をするかというときに欠勤せざるを得ないような場合であっても、仕事をしなければならないという考え方は、日本の社会ではないのだろうと思っています。そのような条件の下で欠勤してしまった場合について、解雇等が行われることがないようにというものを、指針で明らかにしていこうという考え方です。

○林分科会長 そのほかに、ご意見等ありますか。

○布山委員 個別の内容の確認ではなくて、全体的なことで要望があります。今回、現行法に施行3年後の見直しという条項が入っているということで、昨年より議論させていただいてまいりました。ただ、3年後ということで、施行後さほど時間が経っていないこともあり、現状を把握できるようなデータが少なかったように思います。見直しをするならば、それなりのデータが揃わないと難しいのかなと改めて思ったところです。その関係で、今回改正する見直しの中身の1つの論点が、労働契約法の改正の動向を踏まえてということですが、いま出ている改正法案が成立することになりましたら、使側としては有期労働の在り方が大きく変わってくると思います。
 パートタイム労働者の多くが有期契約ということを考えれば、有期パートについても大きな変化があると思います。そこで、今後、パートタイム労働対策について検討を行う場合には、この労働契約法の無期転換の状況なども踏まえて行うことが必要ではないかと思っていますので、要望として述べさせていただきます。

○中島委員 私も、大局的な観点から意見を述べたいと思います。これから超高齢化が進みますと、明らかに労働力不足という時代が間近に迫っていると思います。取り分け、生産年齢人口が減ってきますから、就業人口をどこで増やしていくかが課題になるわけです。そうすると、やはり女性の労働力のところで就業人口を上げていく、就労時間も延ばしていくことが社会的に迫られてくるのだと思います。税や社会保険料の担い手といいますか、支え手の側に女性を回していく必要が、当然、社会的、経済的にも必然的に起こってくるという大局的な観点が必要だと思っています。
 昨年のOECDの対日審査報告の中でも、日本の労働市場の二極化について、非常に懸念を示していました。いわゆる二極化中での格差の克服、差別の防止を、OECDがきちんと提言しています。私たちも、この格差の是正や差別の防止の観点が非常に重要だと思っています。取り分け、正規と非正規、パートと正社員の格差が非常に大きくなっていますので、何とかこれを協力し合って克服していかなければならないと思っています。併せて、女性の労働市場への参加を一層高めていくためには、均衡処遇や働きやすい環境を作っていく必要があると、改めて思っています。少しマクロな話ですが、感想です。

○林分科会長 ほかにご意見がないようでしたら、この報告案についての本日の議事はこれで終了とさせていただきます。最後に、本日の署名委員は、労働者代表は小林委員、使用者代表は川?委員にお願いいたします。それでは、これで終了といたします。お忙しい中、ありがとうございました。


(了)

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