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2012年5月11日 第4回新水道ビジョン策定検討会議事録

健康局水道課

○日時

平成24年5月11日(金)13:00~16:00


○場所

財務省 108会議室


○出席者

出席構成員

滝沢座長 浅見構成員 岡崎構成員 岡部構成員 尾崎構成員
木暮構成員 佐藤構成員 長岡構成員 服部構成員 平田構成員
吉岡構成員

○議題

(1) 第3回検討会議事録(案)について
(2) 特定テーマ3(安全な水の確保)
(2)-1 事務局からの報告
(2)-2 ゲストスピーカーからの話題提供 (1)
(2)-3 ゲストスピーカーからの話題提供 (2)
(3) 今後のスケジュールについて
(4) その他

○議事

○ 名倉課長補佐
では、定刻となりましたので、ただいまから第4回新水道ビジョン策定検討会を開催させていただきます。本年度初めての開催となります。構成員の皆様にはご多忙中にもかかわらず、ご参集いただきまして、まことにありがとうございます。まず構成員の出席状況でございますが、本日11名すべての構成員にご出席いただいております。
また、本日、議事次第をみていただきますとございますけれども、ゲストスピーカーといたしまして、NPO法人水道千葉さんにおいでいただいておりまして、富田理事長、名雪副理事長、竹形顧問にご出席いただいております。
また、事務局におきまして、4月の異動で係長の水野が着任していますので、ご紹介いたします。

○ 泉技術係員
それでは、議事に入る前に事務局より配付資料の確認をさせていただきます。一番上にございますのは議事次第です。めくっていただきまして裏側、添付—1が検討会名簿、次のページ、添付—2が座席表、裏側に添付—3、検討会の実施スケジュール(案)がございます。次が資料—1になりまして、第3回検討会議事録(案)となります。次が資料—2、安全な水の確保、事務局からの報告の内容の資料になります。次が左肩に資料—3とついてございます水道水質管理の現状と課題という資料になります。資料—4がNPO法人水道千葉の活動報告でございます。さらに参考資料—1として、NPO法人水道千葉定款をつけてございます。最後に資料番号はついてございませんが、NPO法人水道千葉の事業案内、パンフレットとなりますが、こちらを一番下に添付してございます。
 資料は以上になります。足りないもの等ございましたら、事務局にお申しつけいただければと思います。よろしいでしょうか。

○ 滝沢座長
それでは、早速でございますけれども、議事次第に従って進行してまいりたいと思います。
本日、3件のご報告をいただく予定になっておりまして、まず初めに事務局から、それから、水道水質の話題につきまして、私のお隣にいらっしゃいます浅見先生からお話をいただきまして、3つ目は本日お越しいただいていますNPO法人水道千葉さんからご紹介いただく。その後、全体で討議を進めてまいりたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
議事録ですが、既に皆さんごらんいただいていると思います。確認、よろしいでしょうか。
それでは、進めてまいりたいと思います。特定テーマ3、安全な水の確保ですが、まず初めに事務局からご紹介ください。資料—2ですね。

○ 日水コン(榊原)
それでは、資料—2、安全な水の確保につきまして、事務局から時間は25分程度でご説明させていただきます。事務局からは安全な水の確保というテーマの全体的なお話をさせていただきまして、この後、浅見先生とNPO法人水道千葉さんから、より具体的なご説明をいただけると考えております。
まずスライドの2番ですけれども、水道法に基づく水質管理ということで、水道法上の衛生に関する規制について整理をしております。この図の右側のほうに上水道事業・水道用水供給事業がございまして、これは計画給水人口が5,000人以上の水道事業です。その下に簡易水道事業がございますけれども、100人以上5,000人以下が簡易水道事業になります。100人以下というのが飲料水供給施設ということになっております。真ん中に簡易専用水道、小規模貯水槽水道とありますけれども、この2つが貯水槽水道というくくりでいわれておりますが、これは水道水を受水槽に受けて供給するような施設でありまして、マンションですとかビルなどといった受水槽があるものを、このような貯水槽水道といっております。左の上のほうに専用水道ということで、これは水道事業からの水道の供給を受けずに、自家用の水道を設けて、寄宿舎ですとか社宅、ホテルなど、いろいろとございますけれども、一定規模以上のものを専用水道といっております。一番左下、小規模自家用水道ということで、飲用井戸などであります。
色分けしておりますけれども、水色の部分が水道法上の衛生規制の対象になります。小規模貯水槽水道は黄緑色になっていますけれども、水道法の規制対象ではないのですが、維持管理において水道事業者がかかわることとされております。
ページをめくっていただきまして、監督とその分担ということで、各種の水道事業等がどういった形で監督されているかということで、監督の内容としましては左上にありますように、事業認可、認可取消、改善指示、給水停止命令、報告徴収、立入検査等といった監督の内容があります。その監督者ですけれども、国、都道府県がそれぞれ水道事業の規模に応じて所管をしております。都道府県におきましては、水道事業のほかに専用水道と簡易専用水道、そして小規模貯水槽水道といった、貯水槽水道についても管理をされています。ただ、スライド3の左下にございますように、平成25年4月より、都道府県が行っている専用水道と簡易専用水道に係る事務は市に委譲されるということで、1つ大きなポイントになるかと思います。
続きまして2番、原水及び浄水水質の状況ということで、スライド4は水質汚染事故の発生状況を示しております。これは国に報告された水質汚染事故ということで、年間60~80件ぐらいの水質汚染事故が起きているということです。
この中で特に健康影響にまで至ったというのが5ページのスライドでございまして、字が小さいですけれども、直近のものをごらんいただきますと、病原大腸菌(O157)ですとか、ボツリヌス菌、カンピロバクターなどといった細菌類の事故が発生しているということであります。
スライド6は、直近10年間で何らかの対策を必要とした水道原水ということで、全体の約4分の1、21%が何らかの対策が必要なほど原水水質が悪化したということです。その悪化の内訳としましては右側のグラフですけれども、臭気・カビ臭・藻類、クリプトスポリジウム、濁度などといったものが挙げられております。
まためくっていただきまして、スライド7、こうしたさまざまな原水の悪化に対して水道としての取り組みですけれども、何度かこのスライドをごらんいただいていますが、左側が高度浄水処理の導入の状況です。粉末活性炭、粒状活性炭、オゾン、生物処理などを導入しているということです。その結果としまして、スライド7の右側の異臭味被害というのは、ピーク時には2,000万人ぐらいいたのですけれども、今は200万人を切っているというところまで来ているということであります。
一方、地下水ですが、8ページをごらんいただきたいのですけれども、こちらは環境省が毎年、地下水の汚染が新たに判明された井戸を調査・記録されていまして、このグラフはその時々、各年度ごとに新たに汚染が明らかになった井戸の件数ということであります。グラフが3つございますけれども、VOC、重金属、硝酸・亜硝酸態窒素、これが主な水質項目ということであります。
続きまして9ページ、10ページですけれども、水道統計水質編の最新の平成21年度の年最大値の中で、それぞれ水質基準を超過している件数をカウントしたものでありまして、5,700とか、それぐらいの数に対して、1件とか2件とか、その程度の、つまり、日本の水道事業においてはほとんど水質基準を達成しているということです。全部で50項目ございますので、その延べの件数は10ページの右側に書いてありますけれども、27万4,563、達成率でいきますと99.97%は水質基準を達成しているということでございます。きょうのご説明の後ろのほうで飲用井戸の話が出てきますが、飲用井戸の水質基準の超過と比べると、明らかに水道の水質は良好であるということであります。
11ページは、水道水質基準ではないのですけれども、水質管理目標設定項目の一覧を示しております。
12ページのスライドは、水道原水における大腸菌の検出状況ということで、水道原水で大腸菌が検出されるということは、哺乳動物によるふん便汚染の指標になり得るわけですけれども、棒グラフの一番左側の0というところ以外は何らかの検出がされているということです。検出率という観点からみてみますと、表流水95%、ダム湖沼水91%、地下水は一般に水質が良好といわれていますけれども、17%は大腸菌が検出されているというような状況です。
続きまして、スライドの13は水質基準等ということで、これも何度かごらんいただいておりますけれども、日本の水道水質管理においては、水質基準が水道法で定められている。その下に水質管理目標設定項目、そして要検討項目ということで、3段階の基準等のレベルがございまして、そういった中で水質の管理を行っているということです。
もう1つ、14ページに近年における逐次改正の状況をお示ししております。最新の科学的知見に従って常に水質基準は見直しが行われるべきであると、専門家から成る検討会が定期的に開催されているということで、直近4回分の改正の内容を示しておりまして、基準値が厳しくなったり、あるいは緩和されたり、水質基準の入れかえがあったりなど、常に見直しが行われているということであります。
続きまして、15ページは農薬ですけれども、農地で非常に多くの種類の農薬が使われているということで、水道においては総農薬方式ということで、農薬類という1つの値に集約して、水質管理目標設定項目の中で位置づけられています。ただ、農薬につきましては、検査法の問題ですとか、検査の信頼性など、いろいろと問題があるということで、妥当性評価ガイドラインが平成24年7月ごろに作成されて、平成25年4月予定で農薬類の分類の見直しが行われるということであります。
水質検査体制ということで16ページにお示ししておりますけれども、これまで水質検査機関というのは国が指定してきたわけですが、官民の役割分担ですとか、規制改革といった背景のもとで、水質検査機関は登録制度になったということで、これが平成15年からスタートしました。その後、登録検査機関が順調にふえてきているということであります。
ただ一方、登録検査機関がどんどんふえている中で問題もあるというようなことがこの後、出てまいりますけれども、17ページは水質検査の信頼性確保に向けて、それぞれ関係者がどういった取り組みをされているかということで、国、水道事業者、登録水質検査機関、関係者の中で、国は水道事業者に対して適切な指導・監督を行う。検査機関に対して国は適切な指導・監督を同じように行うわけですけれども、水道事業者は検査機関に対して水質検査を委託という形でしますので、適切な委託が必要だと。また一方、検査機関は水道事業者に対して正しい結果を示すという、あるべき姿を示したものであります。
18ページが登録検査機関の推移ということでお示ししておりまして、特に平成11、12年度ごろから15年度ぐらいまではすごくふえて、最近は落ちついておりますけれども、直近で218の登録検査機関が登録されているということであります。
19ページに水質検査に関する課題ということで、大きく分けて2つお示ししておりまして、まず1つが水道事業体の水質検査の委託に関する課題です。委託に関する課題のグレーの枠の中でいろいろと書いてありますけれども、キーワードを挙げてみますと、選定理由として価格や立地が重視されていて、後でちょっと出てまいりますが、GLPなど信頼性という観点が、検査機関の選定において余り考慮されていないといったことがあります。それから、水質の委託は出すのですけれども、検査の内容ですとか、精度管理をどこまでちゃんとやっているかとか、緊急時の問題ですとか、そういったことは余り考慮されずに、価格が選定の大きな理由になっているというようなことがございます。
一方、検査機関のほうの課題ということで、下半分ですけれども、またグレーの枠の中を読んでみますと、キーワードですが、検査法の告示及び標準作業書に示す検査方法と異なることをやっている。速やかな検査が遵守されていない。再委託、あるいは低料金化、料金のダンピングみたいなことが起こっているということです。
20ページに水道水質基準50項目の委託の費用を示しておりますけれども、20万円以上というところから、安いところでは5万円でやってしまうというようなところもかなりございまして、過当競争といいますか、ダンピング的なところがあるのかなということです。
もう1つ、20ページの右側ですけれども、サンプリングした後になるべく速やかに、特に細菌試験の場合には12時間以内に試験を行うこととされているのですが、12時間以内にやっているところは、直接委託のところで74.5%、再委託においては37.7%ということで、精度管理的にも余り好ましくないような状況でやられているということです。
21ページは、特に信頼性の問題点がございますので、信頼性を確保するための取り組みということで、行き過ぎた価格競争ですとか、検査機関の信頼性が議論になったということで、水道法施行規則の改正の中で、それぞれ水道事業者の委託について、登録水質検査機関の水質検査の内容について、そして、国が実施する調査について、それぞれ改正が行われたということです。
22ページは外部精度管理ということで、検査機関の評価といいますか、品質を確認するために、統一試料を使って外部精度管理を行って、信頼性の確認をするといったような取り組みが行われています。右のほうですけれども、業務管理要領、日常の業務の管理を要領として作成されるということで、平成24年上半期に行われるということであります。そういった調査が平成24年度下半期から行われるということであります。
以上が検査機関の話でして、23ページですけれども、今度はクリプトスポリジウムについてです。クリプトにつきましては、水道原水では頻繁に検出されておりますけれども、徹底した濁度管理が行われていて、浄水でまずクリプトスポリジウムなどが検出されることはまれではありますが、23ページでごらんいただけますように、まれにクリプトが浄水から出てしまうというような状況があります。
24ページは、平成19年度にこれまでの暫定がとれたクリプトスポリジウム対策指針が出ましたけれども、その中で特に強調された対策のフローということです。これは指標菌ということで、大腸菌と嫌気性芽胞菌を測定して、その検査の結果、あと水源の種類なども考慮して、レベル4、3、2、1ということで、対策の必要なレベルを定めたということです。現状、24ページの下ですけれども、対策の必要な施設、すなわちレベル4と3というのが6,841施設ございますが、このうち4,330が対応済み、残りの2,511は検討中という扱いであります。
25ページは上水道、用水供給、簡易水道、専用水道、それぞれごとにレベル1、2、3、4、それから、指標菌検査を行わないとレベル判定できませんので、レベル未判定も含めた内訳を示しております。グレーのレベル未判定というのが好ましくないということですけれども、年々、レベル未判定は減ってきているということであります。
26ページの左側ですけれども、クリプトの対応がまだされていないといいますか、施設整備を検討中という扱いでいわれていますが、平成22年度時点で日本全国で約400万人がクリプトの対応が検討中の状態にあるということであります。人口の割合でいきますと、日本全国の3.3%ということです。
続きまして27ページをごらんください。ここからは水道水質管理のための統合的アプローチということで、まず水安全計画です。水安全計画につきましては、WHOが飲料水水質のガイドラインの第3版で提唱したところから始まりますけれども、水源から給水栓までの、ここには弱点と書いてありますが、危害を列挙して、おのおのの危害に対してリスクレベルを設定し、なおかつ対応措置を包括的に整理していくという手法であります。厚生労働省さんでも平成20年度にガイドラインを出されて、平成23年度を目途に策定を検討依頼されているというところです。特に水安全計画の効果ということで、27ページのスライドの左側の一番下ですけれども、(1)から(6)までガイドラインで掲げられていまして、(1)安全性の向上がメインの目的になりますが、これ以外では維持管理の向上・効率化、技術の継承、説明責任、一元管理、関係者の連携強化といった効果もあるということでありまして、これを水道事業体に策定していただくということで指導されています。
一方、策定状況ですけれども、28ページの左側のグラフにありますように、この当時、もう1年半ぐらい前の調査ですが、策定済み、あるいは一部で策定済みというのが全体の2割弱ぐらいで、80%以上が未策定という状況です。その理由としましては、28ページの右側ですけれども、?策定する人や予算が確保できていない、?水安全計画の策定手順を理解できない、?浄水システムが複雑なため検討事項が多く手が回らない、?は逆の話ですけれども、浄水システムが単純なので、ここまでのものをつくらなくてもいいのではないかというようにいろいろと考えていらっしゃるわけですが、基本的に浄水システムの複雑さとかは余り関係なく、つくっていただくことが必要なのかなということです。
29ページは策定状況を事業規模別にみておりまして、薄くてみにくいかもしれませんが、小規模のところはほとんどつくられていないということと、もう1つは右側ですけれども、浄水方式で消毒のみのところはほとんどやられていないとか、そういったことが背景にあるということであります。
30ページはGLPということで、水質の信頼性確保の向上を目的とした枠組みといいますか、日本水道協会が定めた認定の規格のことを情報として入れさせていただきました。
続きまして31ページですけれども、給水装置の工事事業者の関係であります。水道が高度処理を導入して、配水管の整備も行って、安全で良質な水道水を供給しているわけですけれども、配水小管から給水の管の取り出し以降の宅地の部分においては工事業者がやるということですので、工事の事業者も適切な技術等をもった方がやるべきだということでありまして、31ページのスライドの一番下にございますが、平成20年3月に「給水装置工事事業者の指定制度等の適正な運用について」ということで、国のほうで指導をされています。
優良工事事業者制度ということで、32ページにございますけれども、これはほんの一例ですが、各水道事業体において、お客様に対して業者を指定するということはできませんので、優良な工事業者をリストアップといいますか、選んでいただけるようなものを提供するということで、こういった制度がございます。
続きまして33ページ以降、鉛製給水管ということでありまして、日本全国で鉛管は着実に減ってはいるのですけれども、まだ現在でも7,500キロの鉛製給水管が残存しているという状況です。
そもそも把握しているか、していないかということで、34ページのグラフですけれども、約2割の水道事業体では、どれだけ残存しているかということも把握できていないということです。鉛製の給水管を更新するために、お客様に対して広報をしているか、していないかということで、34ページの下のグラフでございます。
35ページですけれども、布設がえの有無、起債制度の有無、助成制度、融資制度などといった各種の対策の状況を規模別に示しておりまして、小規模のところはそういった更新を促すような対策がおくれぎみということであります。
37ページ以降、貯水槽水道であります。きょう、ご説明の冒頭で簡易専用水道と小規模貯水槽水道、これが貯水槽水道ということで、水道を受水槽などで受けて、建物の中で給水する水道ですけれども、それについての説明と、これは年に1回、貯水槽の設置者が検査、管理をするということが義務づけられているわけですが、その管理の基準と、どういった検査を行うかといったことを記しております。
38ページ、これも何度かごらんいただいていますけれども、簡易専用水道と小規模貯水槽水道のどれだけ検査が行われているかという表でありまして、まず上の簡易専用水道ですと、平成22年の真ん中のところに79.8%とございますが、全体の79.8%で検査が行われている。2割程度は検査が行われていないということです。このうちの何らかの指摘がされた検査指摘率が27.3%です。一方、小規模貯水槽水道ということで、これは10立米以下のタンクをもつところですけれども、水道法ではなく、各条例、要綱などで指導されていますが、検査の受検率が3.2%にすぎないということであります。
39ページは水質事故事例ということで、高置水槽、高架水槽で太陽光が当たって、中で光合成をして、衛生的によくないような状況の写真をお示ししております。
40ページは、貯水槽水道はいろいろと水質管理上、問題がありますので、貯水槽水道設置者と行政と水道事業者、そして検査機関の間でこういった連携を図って、検査をしたりですとか、検査結果を行政に代行報告するとか、水道事業者は適切な助言を行うといったような連携の枠組みを書いています。
41ページですけれども、直結給水ということで、貯水槽の問題点を解決するための1つとして、学校などで最近行われていますのが、貯水槽、受水槽は残すとして、飲み水のほうは直結で行う、二元的に送るような取り組みがされているところもございます。
42ページは、国としての取り組みということで、平成22年3月の課長通知の中で、行政と水道事業者が適切に管理を行うために、所在地の情報を共有するですとか、代行報告を活用していただく、あるいは未受検施設に対する指導の実施など、こういったお願いをされているということです。
そのときにアンケートがされていまして、43ページに示しておりますけれども、そもそも貯水槽水道が日本全国でどれだけあるかという正確な数を知ることはなかなか難しいものがありまして、水道事業体が貯水槽水道の存在を知っていますので、そういった施設の情報を共有するような取り組みということで示しております。半分ぐらいはやっているのですけれども、なかなかそういった情報が共有されていないところも3割とか4割ぐらいはあるということを示しております。
44ページは都道府県の貯水槽水道の指導・監督ということで、平成25年4月から市町村に移管すると最初のほうでご説明しましたが、今現在でも6割ぐらいは地方に移管されているということであります。
45ページは貯水槽のランキング制度ということで、給衛協さんのほうで貯水槽水道のランキングを定められて、管理者に対してインセンティブを働かせるような仕組みをつくられているということです。
46ページは水質事故事例を示しております。
47ページ以降は飲用井戸と専用水道ということで、水道以外の個人が管理するようなところにつきましても問題点がありますので、48ページの水質でいきますと、平成22年度の一般項目で、全体の6,614ヵ所、16.4%において水質基準が超過しているというような問題があります。
あと1分ぐらいで終わります。最後、49ページと50ページなのですが、水道未普及地域・未普及者への対応ということで、前回の検討会までに、将来の事業環境というものを考えた場合に、相当厳しいものがあります。一方で、水道普及率100%を目指すということでこれまで国としてやってこられた中で、将来的に限界集落ということを考えると、水道管によって水道を供給するというモデル自体をまた改めて考えてみる必要があるのではないかということで、49ページは拠点給水型事業、これは少し以前になりますが、佐賀県のほうで硝酸性窒素の関係で水道をつくったわけですけれども、そのときに拠点給水的に水をとりに来てもらったという事例です。
50ページの左側、運搬給水ということで、中部地方のH市で、水が余り豊富にとれないようなところで、水道事業体の方が2トンの給水車でその地区まで行きまして、その地区の給水タンクに給水を実際に行っているのですけれども、そのような事例を示しております。
50ページの右側は水道水宅配事業の概念ということで、5年ほど前に水道技術研究センターさんで検討されましたペットボトル等による宅配事業の事例といいますか、考え方を示したものであります。
5分ほどオーバーしてしまいまして済みません。説明は以上でございます。

○ 滝沢座長
それでは、先にご説明のほうを3件通して行いまして、最後に全体的な討議を進めたいと思います。
続きまして、浅見先生から資料—3に基づきましてご説明をいただきたいと思います。よろしくお願いします。準備があるようですけれども、パワーポイントを使われてのご説明ですね。

○ 浅見構成員
お手元のもので、新聞記事等以外はほとんどそのままでございますので、よろしくお願いいたします。
(パワーポイント)
本日は「水道水質管理の現状と課題」ということで、旧水道工学部、今は生活環境研究部という名前になっておりますけれども、そちらの研究成果の中から幾つかご紹介と、あと全国的な状況でみていただきたいようなものをご紹介させていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
(パワーポイント)
水質管理に関しましては利用される方々の関心も高いと感じておりますが、従来から病原生物、微生物の問題が非常に大きくて、その制御がとにかく一番大事というのは水道のまず基本だと思います。そのこと自体は変わっていないのですけれども、その後、重金属とか、有機物ですとか、アンモニア、硝酸といったいろいろな環境汚染の問題が出て、また、塩素消毒をしたことによってトリハロメタンですとか、消毒の副生成物が出てしまうということが社会的にも問題になって、その低減化のためにいろいろな努力が重ねられてきたところです。1980年代からは異臭味の問題と微量の化学物質ですとか、消毒副生成物の低減化のために高度処理が積極的に導入されてまいりまして、先ほどもご紹介にありましたように、水質的にはかなり安定したものが大規模なところでは供給されているような状況だと認識しております。
もう1つ、微生物の次に問題になりましたのが、病原微生物の中でも耐塩素性病原微生物、クリプトスポリジウムの問題がございまして、これは1994年、1996年に大きな事故も起こってしまったということがあります。今までですと塩素さえちゃんと注入していれば、最悪の事態は避けられたということではあったのですけれども、その塩素が効かない原虫が検出されるということがわかりまして、濁度管理をしっかり徹底して、浄水処理をしっかりやっていかなければいけないというような問題が、新たに水道の大きな課題になっているところにございます。
そのほかにいろいろな微量な化学物質ですとか、あと消毒剤の副生成物の中でも塩素酸という次亜塩素酸ナトリウムに起因するものも出てまいりまして、その辺についても最近、事業者の方々の関心がかなり高まっているところでございます。
そういっていたところで、昨年の放射性物質の事件がございまして、水質に関して大きな問題になりまして、昨年はほとんどそれで振り回されたというような状況ではあったのですけれども、次回、今度の震災の関係のところでお話があるということですので、きょうは入れないでお話しさせていただきたいと思います。
(パワーポイント)
 きょうは特に飲用井戸のことですとか、微生物汚染の現状とか、突発的な水質変化とその影響がどのようになっているか、あと、化学物質の関係で若干だけご紹介させていただきたいと思います。
(パワーポイント)
 今、水質の事故がありますと、飲用井戸であっても何であっても、飲料水にかかわるものに関しましては厚生労働省に報告をしてくださいというのが決まっておりまして、健康危機管理要領というので通報をしていただくことになっているのですけれども、特に健康被害が出てしまったというようなものについて、当院で集計をさせていただきました。若干新しいものもふえているのですけれども、一度、10年間のものを整理したときのものをご紹介させていただきたいと思います。
 10年間に積算いたしますと、40件、被害者数3,347名ということで、飲料水を原因として健康被害が起きたというのが明らかになったものでこの数字というような状況でございます。中身をみていきますと、病原微生物に関するものでおなかを壊してしまったですとか、何か症状が出て病院に行ったというようなものですとか、あと化学物質に関しましては、後でご紹介いたします砒素のものとか、次亜塩素酸ナトリウムが入り過ぎていて被害が出てしまったとか、余り快適でないというような被害が出たという状況です。
(パワーポイント)
 このようにいろいろな事件があるのですが、いろいろな報告の中にも定期的な検査で検出されたものですとか、あと研究によって新規物質が検出されて、健康影響評価をするとそれほどではないのだけれども、検出されたというような割と軽い事例と、上流で流出事故があって取水制限ですとか、粉末活性炭の対応を行ったような事例、それから、実際に異臭味が出てしまいまして、住民から非常に苦情があって、それに対応を行ったような事例、健康障害のほうから影響が出まして、保健所に食中毒ではないかというような疑いでいったのを、よくよく調べてみると飲料水だったというような事例とか、いろいろなレベルがあるのですけれども、これをレベルに分けまして解析をいたしました。
(パワーポイント)
 カテゴリーに分けまして、健康被害が出たものが一番重いとしますと、給水停止ですとか用途制限というのが次に来るかと思います。それ以外に水道事業体のほうで早期に検知されて、検知しただけで済んだものですとか、取水停止を数時間とか、一定の期間行われて、結局、被害的には出なかったというものもございますので、そういうものは4、5というところにカテゴリーで掲載をしております。
(パワーポイント)
 そういたしますと、上水道と簡易水道、用水供給、専用水道、貯水槽水道、未規制小規模施設といった区分けをいたしますと、このような比率になってまいります。上水道のところをみていただきますと、検知ですとか取水停止といったところで済んでいる件数がほとんどでして、給水停止とか健康被害までいった事例は非常にまれということになるのですけれども、片や未規制ですとか貯水槽水道のほうにまいりますと、逆に健康被害が起こって初めてわかるとか、給水停止になって初めてわかるというような事例のほうが比率が高くなっているというような状況です。
(パワーポイント)
 これは1つの事業体ごとに報告をしていただいていますので、給水人口によってどういう影響があるのかということを計算いたしましたところ、被害人口を給水人口として計算いたしますと、上水道に関しましては、用途制限ですとか給水停止といったものが、人口が多いですので確率としても高く出てくるのですけれども、専用水道とか未規制の小規模施設については、件数が多くて数も少ないのですが、もともと供給されている数が少ない割には意外と多いというようなことがわかってまいりました。これからいきますと、専用水道ですとか未規制の小規模施設のほうがリスクが高いといいますか、こういうことが起こりやすい。非常に重要な部分としては、こういうところがあるのではないかと把握をしております。
(パワーポイント)
 これがどのようなことで起こっていたのか、主なものを挙げさせていただきますと、管理の不備、長期間清掃されていなかったとか、工事後の洗管が不十分であったとか、凝集がちゃんと行われていなかったとか、実際、状況に対応した凝集剤の注入が行われていなかった場合ですとか、逆に消毒剤の過注入が起こってしまっていたような場合があります。
 また、消毒装置というのは、先ほどもご紹介にありましたように、消毒のみで給水しているところが一番ホットなポイントですので、一番重要なのですが、タンクの中の塩素が切れてしまったですとか、あと注入ノズルが詰まってしまって、実際、なかなか注入されていなかったとか、消毒装置がない施設であったとか、検査のときだけ入れていたのだけれども、最近は出ていなかったとか、そういうことも起こっております。
(パワーポイント)
 また、周辺からの汚染というのも原因の1つにありまして、井戸の位置が低く汚水が侵入した場合ですとか、排水設備の漏水により井戸が汚染されたとか、そういった外からの汚染。それから、クロスコネクションといいまして、ほかの配管と間違えてつないでしまったというような事例も、数としてそんなに少なくはないという状況です。例えば農業用水と誤接合をしてしまいまして、農薬の入った水が反対に給水のほうに入ってしまったような場合ですとか、バルブの誤操作で誤接合管を経由して実験していた水が入ってしまったですとか、基本的にはそういうものを直接つながないように、水で縁を切るようにという指導をされているのですけれども、それを知らないで接続してしまったとか、資格のない人が接続をしてしまったというような事例がございます。
(パワーポイント)
 アメリカでも同様に調査が行われておりまして、患者数が1995年から2004年の間、ほぼ同時期の10ヵ年の間に123件、把握されているもので1万2,000人ということで、人口比を考えますと、もうちょっとあちらのほうが高いかもしれないのですが、同じような傾向にあります。それにつきましても、細菌とかウイルス、クリプトスポリジウムを含むような原虫というのが数として上がってきておりまして、それらの混合したものですとか、化学物質による事故というのが集計されております。同様に消毒の不備ですとか、未処理の地下水の供給が原因の多くというようにされております。
(パワーポイント)
 アメリカでもミルウォーキーでクリプトスポリジウムによる健康被害がございまして、その影響は大きかったのですけれども、それ以外にもジアルジアですとか、同じような耐塩素性の病原微生物ですとか、カンピロバクターによるものとか、いろいろな病原菌によって汚染が起こっておりまして、同様に、紫色に示したように、大きな事故が起こるときに、原虫が原因になっているものが起きているというような状況です。
(パワーポイント)
 最近では、問題になっているもののもう1つの水系感染症の中で、レジオネラの問題がありまして、これは水道直接というよりは、温泉施設ですとか公衆浴場のようなところで循環して使っていたり、周囲からの汚染があるようなところで、レジオネラによって集団感染が起こってしまってというような事例もここの集計に入るようになりまして、日本でも死亡事故が起こっているのですけれども、あちらのほうでも問題になっているというような状況です。
(パワーポイント)
 こちらは平成15年の砒素の事件なのですけれども、ちょうど私もこのときに厚生労働省にいたこともありまして、非常に緊張した事例だったのですが、集合住宅で使われていた井戸水の中から高濃度の砒素が検出されて、しかも症状が普通の砒素と違うということで、もっと調べられたところ、化学兵器に使われるような成分のものが近くに埋まっていたということからわかったような事例です。検査をしていればわかったのではないかということが、集合住宅の地下水でわかっていなかった。規制よりも小さい規模だったのですけれども、その後、条例が定められて、厳しくなったところもあれば、同様の規模でもまだ規制の対象になっていないところもあるというような状況です。
(パワーポイント)
 こちらが硝酸の事例なのですけれども、地下水の汚染の中でいまだに改善の傾向がなかなかみえないのが硝酸の事例でして、新生児が硝酸の濃度の高い地下水でつくったミルクを飲んでいますと真っ青になってしまって、症状が出ているのだけれども、病院に運ばれると、そこではある程度、改善するのですが、また家に帰ると同じようなことが起こって、どうもおかしいといって水を調べてみたら、硝酸濃度が高かったというような事例が、日本でも観察されております。
(パワーポイント)
 これは、このような集計の前に起こった事件ですが、水道関係といいますか、水環境の関係の先生方からも、この事例は重要なので紹介しておいたほうがいいのではないかということで、改めて紹介させていただきます。幼稚園で飲用井戸を使っていて、未届けのまま、水道の水よりもいいからということで使っていたところ、消毒も行われておらず、参加者のうち、かなり高い確率で症状が発生し、幼稚園児の死亡事故になってしまったというような事例です。県営水道も入っていたけれども、井戸が汚染されていたことに気がつかず、それを使ってしまったということで、まだ解決できていない部分と、もし同じようなケースがあったとしても、今はまだ検査を受けていないところであれば、同じようなことが起こっても不思議ではないというような事件になります。
(パワーポイント)
 これまで井戸水のご紹介をさせていただきましたが、それだけではなくて、表流水に関しましても、微生物の存在状況というのはかなり広がっておりまして、公共用水域の存在実態調査ということで、当院でいろいろなところの水、割と大きな水道の原水になっているものを集めて、同じ方法で検出をしたというのが、恐らくこれは初めての事例だと思うのですけれども、同時調査を実施いたしました。クリプトとかジアルジアですとか、あと病原性のあるウイルスに関しても同時に調査をしておりまして、今までですといろいろな方法で検査をされているので、回収率の違いですとか、なかなか比べにくい部分もあるのですが、これに関しては大体一定のものとみていただいていいのではないかと思います。
(パワーポイント)
 みていきますと、大規模な水道の原水でウイルスですとか、クリプト、ジアルジアの検出が、大まかにいって2~3割ははかれば出るというような状況です。これは場所によらず、どこの地域でもそれなりに出るということで、日本の水でクリプトスポリジウムはなかなか検出されない、あとデータも少ないというのもあるのですけれども、ちゃんとはかると3割ぐらいは出る可能性があるというような形かと思います。
(パワーポイント)
 クリプトのデータは、なかなか測定方法が難しかったので、まだ少ないのですけれども、今、大腸菌とか嫌気性芽胞菌というのが指標菌として使われておりまして、それが検出されたところはろ過施設をつけてくださいと指導されているのですが、その指標に使われる嫌気性芽胞菌の濃度が高くなりますと、クリプトとかジアルジアが高いということがわかりまして、数値の高いところでは6~8割ぐらいがクリプト、もしくはジアルジアが検出される。今回の調査からはそのような状況ですので、嫌気性芽胞のデータで出ているところは、ぜひ油断しないで、クリプト、ジアルジアの対策を早くとっていただきたいと思っております。施策の優先順位をつけるときに、濃度が高いところは優先的に対策をとるというようなこともしたほうがいいのではないかなと考えております。
(パワーポイント)
 あと、今回のリスクがどのぐらいの濃度なのかというのを計算で出したものがこちらになります。いろいろな仮定を置いて計算をしておりますので、ちょっと幅はあるのですけれども、相対的にみますと、クリプトスポリジウム、ジアルジア、ウイルスという、割と感染性の高い生物の消毒、ちゃんと処理をしたときは、クリプトスポリジウムが影響を出してしまう確率が一番高くなっております。うまくいっていれば、あと高度処理を入れていればもっと確率が下がるとか、ろ過がうまくいかないとクリプトがちょっと上がるとかあるのですけれども、もし消毒がちゃんと効いていないと、ジアルジアですとかアデノウイルスとか、ほかの微生物からの影響もかなり高くなっていきまして、消毒とろ過が非常に重要だということをみていただけるかなと思います。
(パワーポイント)
 これは仮定を置いて予測をしたところではあるのですけれども、どこでも検出されるということで、日本の国内は非常に人口密度も高いですし、いろいろな施設も点在しておりますので、畜産の施設ですとか、人にもし感染者がいるとすると、どのくらいの割合だとどのくらいの濃度になるのかというのを計算したところなのですが、実際の検出データと比較して、同じようなオーダーのことが畜産からの予測と、あと流域に、例えば1万人に1人の患者さんがどこかに行っていらして帰ってきて入ると、このぐらいの濃度が出ても不思議ではないというぐらいの濃度が検出されていることがあるというような状況です。
(パワーポイント)
やはり微生物の検出というのは、季節性ですとか、患者さんが上流にいるかどうかによりますので、なかなか難しいのですけれども、これは埼玉県の原水のところで季節的にみていただきますと、ノロウイルスですとかアデノウイルスが冬に患者数も上がって、ウイルスの濃度も上がってというような状況を、水道の原水の川の水からもみることができるというようなことで、このような状況の中で水質管理をしっかりして、事故が起こらないような給水をしているのが今の水道の実態だということをみていただけるとありがたいなと思います。
(パワーポイント)
 今までは微生物だったのですけれども、生物障害を起こすような生物もありまして、ダムとか湖沼が上流にあるものとか、河川の自流を使っているものというのが水道の原水になっているのですが、そういうところで生物障害が発生した浄水場数というのを科学院のほうでアンケートをしております。
(パワーポイント)
数は少ないのですけれども、アンケートをした範疇ではちょっとふえているというような状況です。
(パワーポイント)
これはある程度、場所にもよっているのですけれども、中国・四国地方はたまたま異臭味被害についてのみ報告されておりますので、今のところ、ほかのところが生物障害というように出ているのですが、水温が低いところでも生物障害が発生しているという状況です。
(パワーポイント)
 生物障害とは何かというと、1つ先に行かせていただきますと、一番大きいのは異臭味被害が出てしまうということで、アオコですとか、放線菌ですとか、ピコプランクトンとかの影響で、特に藻類と放線菌などから異臭味が出てくるといわれているのですが、それ以外に凝集阻害ですとか、ろ過砂が詰まってしまって、処理に支障を来すケースというのが、異臭味以外に関しましてはかなり多いというような報告が出ております。
(パワーポイント)
 1つ戻りますが、それがダムとか湖沼だけではなくて、地下水ではほとんど出ていないのですけれども、自流と思われている河川水からは出てくる場合があるということで、この辺が濁度の管理をちゃんとしようとすると難しい場合があるということです。
(パワーポイント)
 こういう事例が起こりますと、処理のコストも、これは試算をされたものですけれども、2~3倍に上がる場合があるということで、コスト的にもはね返ってしまうということになります。
(パワーポイント)
 もう1つは、前に長岡先生から、気候変動が起こったときに一体どういう具体的な被害があり得るのかというのをもうちょっとピンポイントで示してほしいというご要望をいただきまして、ちょっとだけご紹介させていただきます。台風ですとか豪雨の事例が最近ふえておりまして、ちょっと前のものではありますけれども、豪雨が起こったり台風が起こりますと、濁度が上がって、凝集剤の注入率もふやさなければいけないということになります。
(パワーポイント)
普通ですと、大体の比例関係で凝集剤の注入率がふえますというだけなのですけれども、台風とかの場合には、それだけではなくて、日ごろ流れてこないようなものも流れてくる影響があって、凝集剤の注入率をもっとずっと上げなければいけないとか、10倍以上の凝集剤を入れなければいけない場合が出ているということもありまして、雨の降り方が全然変わってしまったときには、凝集剤の注入率もこまめに制御しないと、原水の質に合わせてコントロールしないといけないし、かつ、量が非常にふえる場合があるということになります。
(パワーポイント)
 最後にちょっとだけ化学物質に関してご紹介させていただきたいのですが、基準項目になりますと、かなり皆さんも意識を払われるので、今、ほとんど超過率はないのですが、これは要検討項目になっております過塩素酸という物質で、利根川の上流で排出源があるということで、以前から調査をしておりまして、事業者にも要検討項目にも入ってきたので取り組んでほしいということで働きかけをいたしまして、その結果、だんだん下がってきているという状況になります。このような基準以外のものについても、ちゃんと調査をして取り組みをするということは、水安全計画の効果の1つではないかなと思っております。
(パワーポイント)
 あと、報道等で時々出るものとしまして、医薬品の検出というのもあります。
(パワーポイント)
いろいろなものを調査しますと、浄水からも出るケースはあるのですが、このようなものも評価としましては、これをずっと摂取したとするとどのぐらいの量になるかというのを計算いたしまして、通常の用量で風邪薬の1日分ぐらい、ずっと飲んだとしてもそのぐらいに相当するとか、そういう計算をしながら評価をしているという現状です。非常に微量なので、直接的な影響というのは特にないですし、間接的な影響というのも今のところ考えられないと思うのですけれども、このような調査をしながら、リスクコミュニケーションに時々必要になってくる場合があるということになります。
(パワーポイント)
 あと、苦情で非常に多いものの中には塩素臭というのがあるのですが、原水中のアンモニアの影響が大きいので、その濃度が高くなると苦情がふえるということもありますし、あと低濃度では、もうちょっとほかの物質も寄与しているのではないかということを、現在、調査しております。いろいろなところで異臭味に関しましては取り組みが行われているのですが、今後もこの辺についても重要な課題ではないかと思います。
(パワーポイント)
 微生物もそうですし、特に小規模の管理は今後も重要だと思われます。また、水源対策についても、環境省さん等と協力して進めていただければということで、今後の課題を示させていただきました。ご清聴ありがとうございます。
(パワーポイント)
 最後に、利根川の上流の、上流の、上流の小さな川の上に、こんな感じで牛さんがいたりとか、いろいろなことがありまして、やはりこういうところの川の水が、雨が降ったりするとザーッと流れてきて、そういうものが水源になっているということも改めて写真で示させていただきました。ありがとうございました。

○ 滝沢座長
どうもありがとうございました。
続きまして、NPO法人水道千葉さんからご報告いただきたいと思います。

○ 富田理事長(NPO法人水道千葉)
NPO法人水道千葉の活動報告を行います。理事長の富田でございます。
(パワーポイント)
 今、2つのすばらしい資料を用いまして話を聞いたわけですが、私のほうは白黒のものでご説明したいと思います。よろしくお願いいたします。
(パワーポイント)
 きょうは、NPO法人設立の経緯につきまして少しお話しして、それから、どんなことをやっているのかということで、2番目に事業ということでお話しします。3番目としまして、実際に活動をしている報告をしたいと思います。4番目におわりにということで、この4つを報告したいと思います。
(パワーポイント)
 設立の経緯でございますが、平成12年に千葉県水道局のOBで千葉会という親睦団体をつくりました。そのときに、規約の中に「千葉県水道事業の推進に協力すること」ということで1つの項目をつくりました。
(パワーポイント)
それはどういう状況かということを次のところでお話ししたいと思いますが、ちょうど千葉県水道局は昭和40年、人口が急増して、給水人口が71万8,000人、一日最大給水量が21万、技術者数が350人、そういうことでやっておりましたが、昭和45年、50年、平成12年という形でみていきますと、急激にふえて、普及率が75%から95%まで上がる。一日最大給水量も21万から100万トンを超えるような形になった。その間、技術者をたくさん入れましたけれども、平成12年のときに振り返ってみまして、技術者がどんな年齢構成になっているのかなということでみましたら、51~60歳が40%、41~50歳が34%ということで、51~60歳の人はあと10年で退職するということになれば、我々が築いた技術の継承だとか、安全な水を送れるかというようなことを心配しまして、我々にできることがあれば何か支援したいということが、この規約の中に入れた理由でございます。
水道局と打ち合わせをしましたら、千葉会のほうに13項目ぐらいの支援がありますよと。例えば浄水場見学案内だとか、震災時等の応急給水だとか、他企業体が来られたときの案内だとか、そういういろいろなことで13項目ぐらいありますよという話が出てきました。例えば浄水場見学案内というのは常時になります。そういう形になりますと、交通費がかかるだとか、いろいろな費用がかかるのですが、水道局のほうは払ってもいいよと。しかし、親睦団体には払えませんよというような話でございましたので、我々は法的にもしっかりした形でそれを受けようではないかという形で、NPOの検討が始まったわけでございます。平成16年にはNPO法人の設立検討会、準備会を設置いたしまして、検討に入っていったわけでございます。国としましても水道ビジョンで、NPO関係で例えば一般の利用されている方への説明だとか、そういう形で活躍してくださいよというのが示されていたわけでございます。
 そういうことで私どもはやってきましたけれども、これは千葉県水道局だけでいいのだろうかということで、千葉県全体で行ったほうがいいのではないかという結論になりまして、それらをまとめまして、平成18年、県のほうに出しまして、4月にNPO法人水道千葉という形で県知事の認証を受けたわけでございます。
(パワーポイント)
 この法人の設立の目的でございますが、水道に関する豊富な知識と経験を有する会員相互の協力により、千葉県民及び水道事業体に対して多様化した水道のニーズに的確にこたえていくため、水道普及活動、技術継承活動、水道災害支援活動等を行い、よって、水道サービスの充実を図り、県民の福祉に寄与することを目的とするというようなことをうたいまして、定款をつくったわけでございます。
(パワーポイント)
 NPO法人でございますので、行う事業というのは17種類に該当するものという形で決まっておりますが、その中で水道の支援に関するところを抜き出しまして、私どもは7つの事業をやろうということで、水道普及促進支援事業、水道技術継承支援事業、水道事業の技術に関する紹介及びアドバイザー事業、震災時等の非常時における県民及び水道事業体への支援事業、水道使用者の水道に関する改善支援事業等々、7つの事業を行うことにしたわけでございます。
(パワーポイント)
 活動報告を行いたいと思います。まず水道事業の支援ということでございまして、中小水道事業体支援の活動報告をしたいと思います。T市水道事業体支援ということで、T市水道事業の概要でございますが、新東京国際空港に隣接した市でございまして、人口は増加している地区であります。計画給水人口が5万3,000人、計画一日最大給水量が2万2,270立方メートル、水源としましては地下水7,500立方メートルという計画になっておりまして、用水供給受水ということで1万4,770立方メートルということで計画しているところでございます。平成22年度の年間給水量は約400万立方メートルでございます。平成21年2月に給水場の更新工事をやっておりまして、その連絡管工事で抜け出しの事故が発生し大規模断水になりました。このような事故を絶対起こしてはいけないということで、私どもNPOに相談がありまして、会員2名が水道の技術等につきまして指導・助言を行ったわけです。
 助言を行った項目につきましては、6項目書いてございますが、特に各種マニュアル類の作成や、未整備なものを整備することによって、だんだんこういう事故を起こさないような体制にもってきています。
(パワーポイント)
 水道普及促進支援事業でございますが、千葉県水道局では配水管布設工事が完了している地区の水道未使用者宅を訪問し、水道使用についての勧誘及び意向を調査しております。NPO法人がこれを受けまして、6名の会員がかかわりまして支援をしました。平成23年度の事例でございますが、1,000戸訪問してくれというように受けまして行いましたが、1回目の訪問が1,002戸、そのうち456戸が不在であった。不在のところを2回目、3回目と訪問して、将来、水道を引く気がありますか、また、水道について考え方、意見だとかはありますかというようなこと、また、地下水の井戸はどうですかというようなことをアンケートでとりました。
 効果としまして、1年以内に加入予定が30世帯、2~3年以内に加入予定が38世帯、5年以内が13世帯ということで、5年以内に81世帯の加入の意向がわかりました。1,000戸のうち81ですので、1%にも達しておりませんが、接触するということがすごく意義があるのではないかなと思っております。
(パワーポイント)
 それから、浄水場見学者案内でございます。平成23年度は柏井浄水場、ちば野菊の里浄水場、これは千葉県水道局で一番新しい浄水場でありますが、柏井浄水場では小学校78校が来まして6,256名、一般の人も7名、それから、ちば野菊の里浄水場では、小学校は49校、4,865名、一般の人及び団体615名、計1万1,736名の方が見学し、水道ができるまで等々につきまして行ったわけでございます。案内に際しましては、見学者に事故が起こらないように最新の注意を払うとともに、わかりやすい言葉で一生懸命説明したところでございます。
(パワーポイント)
 この写真が、浄水場見学案内をしている状況でございまして、一番左の上が、まず講堂に集めまして、水ができるまでを簡単に説明した状況でございます。右上が着水井です。これは浄水場の表玄関ですよというようなことで、川から一番先に浄水場に来るところというような話と、こんなに濁っているんですよ、これがきれになりますよというようなことを説明いたします。左下はろ過池に入る手前です。沈殿池から樋を通してろ過池に入るんですが、これもこんなにきれいなんですけれども、ろ過池でもっと細かいものをとるんですよというようなことを説明します。次が質問を受けているところでございます。
(パワーポイント)
 また、千葉県水道局では、「安全・安心・おいしい水づくりキャンペーン」ということで、水道出前講座を実施しておりますが、、私どもがそれを受けてやっています。小学校が12回35クラスで、生徒数等々は書いてあるとおりでございます。一般向け水道出前講座は18回行いまして、小学校、一般向けを合わせまして1,777名の方に安全・安心・おいしい水づくりの説明をしながら、水道について理解してもらったわけでございます。平成23年度は3月11日に発生しました東日本大震災及び福島原発の問題で、特に福島原発の放射能問題から、水道水の安全性を確かめる機運が強く、若いお母様たちを中心として本講座を受講する人が多かったところでございます。水道出前講座に関する感想なのですが、水道局の皆様が安全のために取り組んでいることを聞き安心できたとか、わかりやすく楽しかったとか、安心して水道水を使うことができる、水道水を大切に使いたいなど、感想をいただきました。
(パワーポイント)
 おいしい水教室の風景でございますが、まず水ができるまでを、私どもは紙芝居のアクターになりましてやったわけでございます。次は沈殿、高度処理実験装置等を用いまして、水ができるまでを実験で、あともう1つは、実際に生徒、参加者に凝集する体験をしていただきました。といいますのは、原水にPACを入れて、そして振ってもらうという形で、こうやって水の濁りが凝集して、その濁りをとることによってきれいになるんですよという話をしました。次が消毒の塩素で、水道には塩素が入っていなければ安全が確保できませんということ。次は、これは小学生に行うわけですが、千葉県水道局のキャラクター、ポタリちゃんを登場させまして、これは私どもが入っているのですが、身近なことというような形で印象づけようと努力したわけでございます。
(パワーポイント)
 次に、私どもNPO独自の活動として、技術継承、情報提供活動ということで、講演会を行いました。最近2年の講演会は、平成22年11月、「水質管理と浄水処理」ということで、きょうも来ておりますが、名雪副理事長からこのお話をしてもらう。また、平成23年度は東日本大震災がございましたので、その状況、課題等々につきまして、有村水道ネットワーク通信代表にお話をしてもらう。こういう状況でございます。
(パワーポイント)
 これも私ども独自の活動でございまして、水道使用者への改善支援活動、高齢者宅に水道の点検サービスということで、宅地内の水道設備(給水装置)はお客様が所有し、適切に管理することになっておりますが、特に高齢者はなかなかそれが管理できない。そういうことで、私どもがボランティア活動として行ったわけですが、平成23年度は老人会から行ってくれないかという要請がありまして、29戸を訪問しているわけでございます。漏水チェックだとか、コマパッキンの取りかえだとか、蛇口のフィルター清掃、また給水装置についていろいろな話を聞きながらというような活動をしています。
(パワーポイント)
 おわりに、まず中小水道事業体支援活動を行ってみてということでありますが、先ほどのT市の2万トン近く水を供給する、そこに携わっている、かかわっているということ、それも技術者が2~3年ごとに変わってしまうということで、また新しい人が入ってくる。よく引き継ぎができていない等々がありまして、管理ができていないということが実際あります。そういうところで私どもが活動するということは大事なことではないか。
 もう1つは、各水道事業体が委託化を進めております。委託化をすることによって、委託する業者の皆様方がそれに対して十分対応できるような体制にもっていくために、私どもは呼ばれれば行って、このような形でやったほうがいいですよとかのアドバイスを、そのような活動を実際にやって、手助けをしています。
 それから、水道啓蒙活動は、浄水場見学、おいしい水教室、出前講座等々を行ってみまして、まず見学会は今までは職員がやっていました。見学者が来ますと、3時間はとられます。午前中は仕事になりません。忙しいときに見学者が来ると、見学者に一生懸命説明したい、対応したいと思うのだけれども、それができない。それが子供たちもよくわかるのです。だから、いい印象がもてなくて帰るということもあったのですけれども、私どもが一生懸命やりましたら、本当に目を輝かせてくださいまして、質問もよくしてくれる。そういうことで、私どもがやることによって、浄水場に勤めておられる方が十分仕事ができるのかなというようなことがはっきりわかりました。
 それから、おいしい水教室を行っていまして、若いお母さんから、水道水って安全なのと不安に思って飲めなかった、子供たちにも飲ませることをしなかった。しかし、この講座を聞いてよくわかった。200項目の検査もしているのですねと。そのようなことで、安全ということがわかって、これから子供たちにもどしどし飲ませたいというような話を伺い、そういう人たちに水道局、水道事業のバックアップ者になってもらわないといけないということを本当に感じました。そういう意味においては、この支援活動というのは本当によかったなと思っています。
 それから、講演会、水道使用者への改善支援活動を行ってみましてもやはりそうでありまして、このNPOの精神といいますのは、何か悩みがあるとか、そういうところに私どもが待っているのではなくて、聞きに行ったり、何かをしまして、手助けするところは手助けする、それが会社にはできないNPOの1つの特質なのかなと。そういうことが、今後、水道に従事する人が退職して少なくなってくる中において必要なことなのかなと。そのためにまだまだ頑張りたいと思っております。

○ 滝沢座長
どうもありがとうございました。
それでは、この後、全体討議に移りますけれども、机のアレンジ等もありますので、5分ほどトイレ休憩を挟ませていただきたいと思います。35分から開始でよろしいでしょうか。では、それでお願いします。35分から再開します。

     (暫時休憩)

○ 滝沢座長
それでは、時間になりましたので、再開したいと思います。
3件のご報告をいただきましたので、まず初めにこれら3件のご報告に対する質問、あるいはご意見をいただきたいと思います。順番でまいりたいと思いますが、事務局からご報告いただきました安全な水の確保の資料—2、これに関しまして、何かお気づきになった点、あるいはご質問等ございますでしょうか。

○ 浅見構成員
3点、お話しさせていただきたいと思います。1つは小さいところなのですけれども、12ページの地下水の水質の状況を拝見させていただきまして、地下水でも大腸菌がこれだけ検出されている原水というのが結構あるのだなと思ったのですが、累積の度数のものが棒グラフと合っていないような感じがしますので、これは後ほどご確認をいただければと思います。お願いします。
あと、19ページのところで委託の検査がふえていて、いろいろ課題はあるのですけれども、この報告書のときにも非常に気になりまして加筆をしていただいたのですが、自己検査のところが減ってしまっていて、水道の水質に関しての関心は自己検査をしていらっしゃるところのほうが非常に高くて、まずは管理をしっかりやって、その上で正確な値をちゃんとはかるというようなことをしないといけないのかなと思うのです。車の両輪のようなところではあるのですが、ぜひ自己検査について何とか確保できるような対策も考えていただければと思います。
もう1つは25ページなのですけれども、クリプトスポリジウム対策で、いろいろな対策がなされているところなのですが、左下のところの件数を拝見いたしますと、レベル4がふえているようにみえます。これはひょっとしたら、データが蓄積して、前はレベルが別のところにあったものがふえているのかもしれないのですけれども、微生物汚染のおそれが高いところのほうが割合としてふえているということは、何らかの対策をもう少し強力に推進する必要があるのではないかなと感じました。

○ 滝沢座長
ありがとうございます。ご指摘いただいた点について、今すぐ何かお気づきですか。そうでなければ確認していただきたいと思います。

○ 日水コン(榊原)
確認いたします。

○ 滝沢座長
ほかに何かご意見。平田さん、どうぞ。

○ 平田構成員
質問なのですけれども、4ページ、安全な水の確保の2の原水及び浄水水質の状況のグラフなのですが、平成7年度のところだけグラフが伸びているのですけれども、ここで何かあったのかどうか、素朴な質問です。先ほど浅見先生のプレゼンの中で、台風ですとか、そういった事故で濁度が上がってというようなお話もあったのですが、平成7年度に何か気象の異常があったとか、どこかの地方で工場の事故があったとか、その辺のところがあるのであれば教えていただきたいのですけれども。

○ 滝沢座長
平成7年度に棒グラフが大きくなっている理由ですね。これは水質事故なので、台風とか、そういうのは入っていないですよね。いわゆる事故ですよね。

○ 日水コン(榊原)
これはグラフの下に凡例が書いてありまして、?のところに粉末活性炭の使用ということも書いてありますので、例えば渇水とか、そういう場合にも……

○ 滝沢座長
水質が悪くなるときもあり得るわけですね。平成6年は渇水ですよね。

○ 日水コン(榊原)
ちょっと1年違うのですけれども。

○ 滝沢座長
平成6年は非常に大きな渇水があったので。平成8年もやや渇水ぎみでしたね。その挟まれた間なのですけれども、もしかしたら水質が悪くなったということがあるのかもしれません。

○ 木暮構成員
多分、渇水による流況の悪化だと思います。

○ 滝沢座長
縦軸の目盛りのところが「水道事業等数」になっていますが、「水道事業体数」ですか。

○ 日水コン(榊原)
「等数」は間違えています。「事業体数」です。失礼しました。
今の平田さんのご質問で、渇水とか、流況の変化と木暮さんからもお答えをいただきましたけれども、雨が少なくて河川の流量が減りますと、水質の濃度は高くなるということです。生活排水とか工場排水というのは天候によらずほぼ一定量で入ってきますけれども、それを希釈する水量が渇水によって減って濃度が高くなりまして、水質が悪くなるということです。平成6年はすごく有名な、全国的に大変な渇水だったのですけれども、平成7年は調べた上で、またホームページアップロード版の際にはその点の説明を入れたいと思います。

○ 滝沢座長
ありがとうございます。
続きまして、どなたかご質問ございますか。木暮さん、どうぞ。

○ 木暮構成員
2点ほどあるのですけれども、浅見構成員のお話にもかぶる部分があるのですが、まず1つ目、水道事業体で水質検査を自己検査されているところが70%ぐらいでしょうか。失礼しました、自己検査ではないところが70%ですね。登録検査機関に委託で検査をしているのですけれども、やはり検査を委託してその結果のシートが提出されても、水質基準に入っていますよねで終わってしまうような事例が、立ち入りとかいろいろ話を聞いていても、そういったことが多いと思います。水質検査の内容において、基準に入っていてもいろいろな物質が検出されているわけでございまして、その中でリスク判断をして、水処理とか運転管理に反映していかなければいけないと思います。そういった意味でも水安全計画というものが必要になってくるわけです。この水安全計画も、小規模事業体からすると、アンケートにもありましたように、ガイドラインが立派過ぎてなかなか踏み込みづらいところもあると思います。そういった意味では、簡単なものでも結構ですので、ガイドラインのような立派なものではなくてもいいから、何らかの形で勉強してやってくださいねという指導は各都道府県の中で必要なのではないかなと思います。特に水質検査を外部に委託で出していても、返ってきたデータを吟味しないで、ファイリングしてそのまま終わってしまうというようなことがあるのかなと感じています。
あともう1点ですけれども、安全な水の関係でいくつか事故事例とかが出ていまして、埼玉県は水道だけではないのですが、衛生行政ですと、過去からいろいろな事件事例がありまして、水道でも越生でのクリプトですとか、先ほどの幼稚園のO157では幼い命が亡くなるというようなこともありました。幼稚園の場合については未規制部分なのですけれども、こちらについても立派な報告書が出ていまして、公開されていますので紹介しますが、実際には井戸水の検査はしておりまして、大腸菌が事故前から出ていたのです。それに対して飲用指導はしていたけれども、なかなか指導が行き届かないで、ああいった事件になってしまった。振り返ってみれば、もうちょっといろいろな指導のやり方があったのかなと、私もたまに報告書を読み返しますと、そんなことを感じている次第でございます。
ただ、市町村が来年度からこれを担ってくるような形になるわけでして、各市においては水道の衛生関係の知識のある方はほとんどいないような状況でございます。そんな中で、なおさら都道府県の役割というのが、各市の指導も含めると大きくなるのかなと。そういったところで、新ビジョンの検討でもそうですし、国からの支援などもいただければというようには日々感じているところでございます。

○ 滝沢座長
ありがとうございます。ガイドラインも、より細かく、詳しく、正確であることも重要ですけれども、使う側からみると、使い勝手のいいものも必要だというご意見、それから、都道府県の役割がこれからさらに重要になってくるかもしれない、そのようなご意見をいただきました。
それでは、ほかにご意見。服部さん、どうぞ。

○ 服部構成員
きょう、安全な水ということで、浅見先生の細かなご講演もあったのですけれども、水の安全を考えた場合に、安全な水を必要なときに必要なだけ飲めるということが非常に大事なのだろうなと思っております。その観点でいくと、最後の49ページ、50ページあたりに、水のいろいろな供給のやり方があるというようなことも書かれているのですけれども、例えば、今、非常に人口が集中していまして、東京都は非常に人口がふえていて、1人頭の水資源がどれだけあるのかとか、そういったことはほかのところでやるのでしょうか。例えば先進国のニューヨーク等と比べてみたときに、東京都1人当たりの水資源がきちんと確保されているのかどうかというような話も、安全な水の確保という意味で非常に大事な観点だろうなと。要するに質と量ですね。この辺のところを考えなければいけないのではないのかなと思います。

○ 滝沢座長
ありがとうございます。貯水池の量、あるいはダムの量というのは、水資源白書ですか、どこかに出ていたような気がしますけれども、それ以外の1人当たりというようなものですか。日本全国ではそんな統計がたしか整理されていると思いますけれども、それよりももっと詳しいものが必要だということですか。

○ 服部構成員
その辺の観点もどこかでやるのかなと。

○ 滝沢座長
これからですか。

○ 服部構成員
はい。安全な水というのは、水質上の安全性と量の安全性と、両方入るのではないですかということです。

○ 名倉課長補佐
量の確保のことは、今後、危機管理の全般を議論していくときに、渇水関係のことも少し扱おうかと考えておりますけれども、そういうところで議論になってくるかと思っております。

○ 滝沢座長
ほかにご意見。どうぞ。

○ 吉岡構成員
31ページの給水装置工事事業者の状況というところなのですけれども、事業体側からすると、最近、給水装置工事事業者の質というか、レベルというのがだんだん下がってきているというか、そういう問題点が数多く会議などで報告されている現状があります。処分するにしてもなかなか難しいというところがありまして、そういった事例とかを欲しいという声が現場ではよく聞かれるのですけれども、ここまで資料ができているのであれば、全国の処分の例とか、どのような形になっているのかというのをぜひ教えていただきたいなということと、今後、指定の取り消し処分の基準もさらに整備していただければ、現場サイドとしてはいいのかなと思っております。

○ 滝沢座長
ありがとうございます。何かご回答いただくことはありますか。

○ 名倉課長補佐
給水工事事業者の処分の例については、水道関係の担当者会議というのを春にやっているのですけれども、そこで昨年度から例示なりするようにはしております。

○ 滝沢座長
そういった情報はリクエストすればいただけるようなところなのですか。

○ 名倉課長補佐
はい。

○ 滝沢座長
ありがとうございます。
ほかに。岡部さん、どうぞ。

○ 岡部構成員
どうしても安全な水の確保ということになると、水質とか、水源とか、浄水処理とか、小さな事業体の維持管理ができていないという観点もあるのですけれども、実際には水を運ぶ管路というのがありまして、給水管であれば鉛とかそういったものも問題になるのですが、まだまだ配水管の中には、無ライニングの管だとか、石綿管とか、そういった管も多いので、管路の中における水質の確保という観点も必要だと思います。
あと、実際、常時流れている場合はいいのですけれども、夏場とか、夏休み前とか、管路の末端とか、管網の形態とか使用状態によっても、水質というのはかなり変化します。、現状の問題ということはかなり分かっているはずですので、もしも50年、100年先の本当に安全な水の供給ということであれば、管網の形態とか、送り方とか、そういったことについても考えていくべきではないかなというのが1つあります。また、住民の方々の信頼を得るためにも、水質基準を満足していたらいいというものでもないと思うので、よりレベルの高い水を送るということであれば、そういったところまでの観点が今後必要ではないかと思います。
あともう1つは、最初にご説明のあった水の監督の分担とかということで、同じ水道でもいろいろな管理体系の水道があって、それも多分、普通の上水道、簡易水道みたいに、水道が発展していく過程で、これだけの数があれば、国、また市町村が全部やるわけにいかないという中でできてきたと思いますけれども、これから水道を再構築していくのであれば、このあたりの水道の体系もこのまま引き継いでいくのか検討する必要があると思います。今、簡水の統合、広域化という話もしていますけれども、こういった水道の管理体系についても考えていく必要があると思います。それによって、また小さな水道事業とか、小規模貯水槽水道とか、管理が行き届かないところも管理できるようになるのではないか、それが安全な水につながっていくのではないかと思います。

○ 滝沢座長
ありがとうございます。管理体系について皆さんからも少しずつご意見をいただければなと思います。

○ 名雪副理事長(NPO法人水道千葉)
ゲストスピーカーでよろしいですか。

○ 滝沢座長
結構です。

○ 名雪副理事長(NPO法人水道千葉)

○名雪副理事(NPO法人水道千葉)
私は、利根川最下流に位置する中小規模の用水供給事業の創設事業に携わり、建設から維持管理における浄水処理及び水質管理に30年間係わってきました。
今、座長さんから中小規模の「管理体系」についての視点から、ご意見とのことですので一言述べさせて頂きます。
 中小規模の水道事業体等の方々から浄水処理や水質等の相談を受けて、現場を見る機会が多くありますが、これまでの水道ビジョンがどの程度活用されているかと言いますと殆ど活用されていないのが現状です。
 先ほどもお話が出ていましたが、水質検査については、法定検査を外部委託していてもその検査結果のデータを浄水処理の工程管理にどのように生かしたら良いか判断できないで維持管理をしているところもあります。また、出勤時と帰り際に現場を見る程度だけのところもあります。これらは、原水の水質変化に対応した適正な薬品注入等ができているのかどうか疑問であります。しかし、このような状況にならざるを得ないような体質があることも事実です。また、広域化の推進や老朽化施設の更新等がなぜ進展しないのか。これらの理由の一つには技術職員の減少と頻繁に変わる人事異動の影響が大きいと思います。
2つ目は、水道技術管理者の権限が組織的に弱いことです。特に中小規模の事業体では市町部局での人事配置優先の体制の中で、極端な言い方をしますと、ごく最近まで町民等の窓口業務をしていた一般職の方が水道へ配属となり、職員数の少ない中で水質管理や施設管理を担当し、数年で水道技術管理者になるケースもあります。職制的に上司の関係もあり、組織的に発言しにくい立場であり、ご本人は一生懸命に頑張っていても無理があるのではないかと感じます。
勿論、このようなことが事業管理者や責任ある要職にいる方の場合には、強いリーダシップの欠如になります。これは本人の問題よりも根本的にはシステムなど体質的な問題であると思います。
このような状況の中では、長年の経験から養われる地域特性の対応や技術的なレベルアップが不可能な職場環境になります。2~3年で異動してしまうようでは水道ビジョン等による将来的展望に立っての実施計画がどこまでできるか疑問です。現状の財政的な問題や短期異動を考えると必然的に何もできません。危機管理対策も困難な状況になります。
新水道ビジョンの策定に当たりまして、中小規模の水道事業体等におる効果的な水道ビジョンの活用を期待するためには、この頻繁に変わる人事異動や水道技術管理者の職場環境等の体質改善を考える必要があると思います。
それから、今、国の議員立法で動きつつあります「水循環基本法」との整合性を図る必要があります。特に「絵に描いた餅」にならないように、途中でのチエック体制やフォローアップも必要ではないでしょうか。
それから、「より安全な水道水の安定給水」の確保については、内部対策である浄水処理と外部対策としての水源対策をきちんと整理し、位置付けをして、水道事業体がすべきことと、外部対策としての水質保全対策は「被害者が加害者である構図」をもっと流域住民にPRをし、水環境問題の改善に向けた啓蒙が重要です。
これらの橋渡としましては、NPOの存在が有効であると考えられますので、水道OBの活用をよろしくお願いしたくご提案させて頂きます。
○ 滝沢座長
ご意見ありがとうございます。
では、佐藤さん、お願いします。

○ 佐藤構成員
私から1つ意見です。資料の50ページに、水道未普及地域への対応として、整理されております。これまで未普及解消という至上命題を抱えながらも、コスト問題等があって、現実的に難しい局面があったと認識しなければいけない事実があったと思います。そうした観点に対して、本日の資料で幾つか、運搬給水の事例なども含めて例示列挙されております。こうしたところは今回のビジョンの中においては、未普及解消の手法の多様化というような着眼点から取り上げるというのもいいのではなかろうかということで提案としてお話ししておきます。

○ 滝沢座長
ありがとうございます。
長岡さん。

○ 長岡構成員
今回、貯水槽水道、特に小規模貯水槽水道の問題が列挙されているのですけれども、例えば私も入っている東京都でも、残留塩素の確保という点で非常に詳細な実態調査を行っています。ほかの事業体でもそういう調査を行っていますので、そういう情報も集めて貯水槽水道の問題点を示していただくと非常にいいのかなと思いました。
40ページにもありますけれども、保健衛生行政、保健所との連携というのが欠かせませんので、ここにも行政との連携というのが書いてありますけれども、その辺も強調していただければよろしいのかなと思います。

○ 滝沢座長
ありがとうございます。ご意見いただきました。
ほかにいかがでしょうか。木暮さん、どうぞ。

○ 木暮構成員
今の貯水槽水道の関係についてですけど、資料でいくと47ページですが、事業体によって、基本的には厚生労働省から出る通知の飲用井戸等衛生対策要領に基づいて各都道府県で衛生管理をしているところですけれども、地方自治体によっては独自に条例や要綱を定めて指導しているところもあります。また、検査の届け出を義務づけているところもあります。そういった中で、ここで表が書いてあるのですけれども、表現の仕方でちょっとみづらいなというのがあって、この辺の条例や要綱を定めていることで、衛生管理上、検査率ですとか、その辺にどのくらい反映できているのか、そのような資料のつくり方であればみやすくてありがたいなと感じます。事務局のほうで整理できるようであればお願いしたいなと思います。

○ 滝沢座長
今後、お願いできますか。

○ 日水コン(榊原)
個別の市町村といいますか、個別の検査……

○ 木暮構成員
個別のというか、例えば埼玉県などですと、特に条例、要綱等はつくっていないので、いわゆる飲用井戸対策要領のみで指導しているわけですけれども、例えば東京ですとか横浜市ですと、独自で条例などをつくって指導・管理をしていると記憶しています。そういったところで、検査率の差というか、そういうものがあるのかなと。各地方で条例をつくって指導したほうがいいのかどうかというところも含めて、データ的に整理できればいいかなと感じましたので。

○ 滝沢座長
すべて網羅するということではなくて、事例を示すということですね。

○ 木暮構成員
そうですね。

○ 日水コン(榊原)
検討いたします。

○ 滝沢座長
検討してください。ありがとうございます。
ほかにご意見ございますでしょうか。よろしいですか。
また戻ってまいりますので、ほかに2つ、資料をご発表いただきましたから、少し前に進みたいと思いますが、浅見先生からご発表いただきました「水道水質管理の現状と課題」という資料がございます。これにつきまして何かご質問、あるいはご意見ございますでしょうか。

○ 名雪副理事長(NPO法人水道千葉)
大変興味あるいいデータ、勉強になりました。ありがとうございました。1つお聞きしたいのですが、31コマの臭気の関係ですが、アンモニアによるトリクロラミンの臭気については、いろいろと問題にされていますけれども、低濃度のアンモニア以外の前駆物質も寄与の可能性があるとのことですが、アンモニア以外の低濃度の前駆物質といわれますと、どのようなものがあるのか、教えていただきたいのですが。

○ 浅見構成員
ありがとうございます。もともと塩素臭といいますのは、塩素と何かが反応してしまったものでありまして、塩素そのものはそんなににおうわけではないのですけれども、アンモニアと反応するとトリクロラミンという物質になって、これが一番メインなのですが、もうちょっと低いところではアミノ酸ですとか、有機物の中の窒素分の何らかの反応をしてふえるというようなところが今、研究が行われているところです。海外も含めまして、臭気の対策にはアンモニアの削減もそうなのですけれども、全般的に有機物の削減というのが重要なのではないかというのが、塩素臭に関しては1つ課題かなと思います。
ただ、異臭味というのは塩素臭だけではありませんで、ほかにもいろいろにおいのものがありまして、給水管の材質ですとか、実は配管に関係しているようなものも問題になっている場合もありますし、ケース・バイ・ケースでいろいろなにおいのもとがあるのですけれども、やはり住民の方が一番わかりやすいのはにおいというところですので、原因が何かとか、対策をどうやってとれるかというようなところは今後も重要かなと思います。ありがとうございます。

○ 名雪副理事長(NPO法人水道千葉)
どうもありがとうございました。

○ 滝沢座長
ほかにご質問ございますか。

○ 佐藤構成員
質問です。浅見先生にいただいた本日の資料の一番最後のページ、今後の課題ということで、1つ目に、未規制小規模・専用水道・飲用井戸で起こったものであり、最後、「管理が重要である」というようなまとめ方がなされております。私自身も実は同じような意見をもっております。ここで先生に確認ですけれども、ここでいっている「管理が重要」というのは、運用強化によって現場にゆだねて徹底しろというレベルでいいのか、あるいは規制というような形で、さらに新しい枠組みの中で進めたほうがいいのか、その辺の意見をいただければありがたいと思います。

○ 滝沢座長
具体的な対策ですね。

○ 浅見構成員
個人的な意見ではありますけれども、まずデータを収集するということが1つと、そのデータをみますと、数割程度以上のところは飲用に適さないものを飲んでいる状態だと思います。法律上は飲用井戸というのはたまり水と同じ状態といわれておりますけれども、結局、その辺の水を飲んでいる。データをとると何割かが汚染されているということがわかっている状態で、このまま放置をしていいのかというのは、個人的には非常に問題ではないかなと思っています。どういう方策が可能かというところがあると思うのですけれども、条例を設けていらっしゃるところのような先例をもとにして、もう少し厳しいような法律上の取り扱いをするというのも選択肢として重要なのではないかと思っております。

○ 滝沢座長
ありがとうございます。私の感想ですけれども、こういった問題を水道事業者の間だけで議論しているのではなくて、何らかの形で一般の市民、あるいは市長さんもあるかもしれませんが、そういう方々にそういう問題があるんですよということを我々はこれからちゃんと伝えていかなければいけないのだろうと思うのです。専門の方、恐らくこの部屋にいる方々はこういう問題を重々承知している。具体的なデータを出していただいたわけです。だけど、先ほどのご発言のとおり、水道の担当者や水道の専門家だけでは、実は物がなかなか前に進んでいかなくて、水道を直接担当している方ではない方、あるいは一般の市民の方も含めて、そういう課題があるということを、もっと積極的に外にデータを出す、情報を出すといったことが我々の責務ではないかなというような気もいたしました。
いかがでしょう。平田さん、そんなところからいかがですか。

○ 平田構成員
ありがとうございます。滝沢先生がおっしゃるように、きょう、浅見先生のプレゼンでこういった事故が現在でも起こっているということを初めて知って、正直、ぞっとしてしまいました。発生の理由が管理の不行き届きというところなので、防げたことであったと思いますし、今後、こういったことが絶対ないように準備をしていただきたいなという率直な感想です。

○ 滝沢座長
何かほかにお気づきの点はございますか。木暮さん。

○ 木暮構成員
今、まさに浅見構成員がいわれたとおりで、水道法の規制ですと100人という縛りがあって、100人が何なのかというと、居住者ですよと。何が居住者なのかというと、いろいろな議論があるのですけれども、そんな中で、人に飲ませるというのは、たとえ2人でも3人でも何らかの衛生的な縛りというか、指導、枠組みが必要なのではないのかなと私も日々感じるところであります。はっきりいって、自分の家で飲んでいて、保健所に検査を依頼して、これは大腸菌が出ているから危ないよと指導されても、自分の勝手でしょといって飲んでいる分にはいいとは思うのですけれども、それを例えば少人数でも施設の中で第3者に飲ませたりとか、そういったことが水道法の規制外だからという話になると、ちょっと考えなければいけないのかなと感じています。正直、今の法の中ではなかなか強制的に施設改善命令といった話では出せないところではありますけれども、そういった意味で、今後、いろいろな部局なりの人たちとそういった議論は必要になってくるのではないのかなと思います。

○ 滝沢座長
ありがとうございます。そもそも水道がなぜここまでできたか、普及したかということを考えると、かつて日本でも水系感染症が物すごくあった時代があって、そのころは恐らくさまざまな小さい水源を使っていたのではないかと思うのです。それに対する対応として水道ができたわけです。逆にこれだけ水道ができてしまったので、そういった病気の事例というのが余り報道もされないですし、一般の方がわからない、気がつかないという状況に至っているのではないかと思います。改めて、今の木暮さんのご発言でもありましたけれども、法律で、あるいは何かの制度で強制的に検査をしたり、改善命令をしたりという部分は確かにあると思うのですが、それだけではなくて、危険性を周知するというやり方も、もう少しソフトなやり方としてもしかしたらあるのではないかと思うのです。そのようなところも十分取り組んでいかなければいけないのかなと。NPO法人の千葉の方はそこも含めていろいろなことを取り組みされているのだと思いますけれども、そういった活動も重要ではないかなと思います。
岡?さん、いかがですか。

○ 岡?構成員
例えば成果が上がっていることについて、ないしは、いいかえると、水道の事業形態の成熟度合いなどについて、成果が上がっていることはみんなの知恵と努力で共有化すればいいし、その成果はみんなが、おれが頑張ったんだということでいいと思っているのです。問題は、近代水道、日本の水道100年の歴史といいつつも、実はきょう、いわゆる中小規模事業体の危うい実態について、安全な水の確保という切り口からみただけでも、またぞろ危ないところが出てきているわけですよね。危うさについてだれも責任をとろうとしないというのは、今までのこの会議でもいわせてもらったのですが、実は私自身の責任を含めて、いわゆる事業体、あるいは水事業にかかわる人間の一翼としての責任として、これは危ないよ、まずいよ、どうしようというところについて、どのようにちゃんと共同責任をとり合っていくのかというところが、ここでもまた出てきてしまっていますねと思います。
結論から申し上げると、さっき座長が1つ示唆をしていただいた、四の五のいわないで、ある意味では地域住民の皆様に情報開示をして、喚起を促して、そのことをもって事業体関係者も地域住民の皆様も、例えばきょうお越しのNPO、NGOの皆さんや地域の自治会の関係者とか、やはり総出で、さあどうしようかということを相談していかなければいけないところへ来ているのではないかと思います。しかし、そういったからといって、国や県や当該自治体や事業体の責任が回避されるというものではなくて、それはシビアに追及されるべきだと思います。それから、責任は問われるべきだと思います。しかし、そのことを通しながら、なおかつ地域住民の皆さんと水関係者が協働してどう克服していくのかということについて、本格的に全国の中小規模事業体のもとで、水に接しておられる人たちとの克服の道筋をつけていかなければ、危ないところにいるなと。この新水道ビジョン検討会は、座長が先ほど指摘されたわけですから、そういったところについてちゃんと指摘をし、内容に網羅していくということはぜひお願いしたいなと思います。分析をし、指摘をし合って終わりということは、お互いやるべきことではないでしょうから、ぜひお願いしたいと思います。
安全な水の確保のきょうの切り口のみならず、前回、水道課の皆さんが大変ご苦労されて、日水コンの皆さんもご苦労されて、各団体の皆さんの聞き取り調査をしていただいて、そうした皆さんも相当な危機、懸念、危惧を指摘されているわけですから、前回を含めてきょうの安全な水の確保の側面からも、中小規模事業体の行く末についてどうするのかというのを、お互いの共同責任を含めて、あいまいにしてはまずいなというところが私の意見です。

○ 滝沢座長
ありがとうございます。
ほかにご意見ございますか。よろしいですか。
そうしましたら、もう1件、NPO法人水道千葉さんのご発表がございます。活動内容をご紹介いただきましたけれども、これに対してご質問、あるいはご意見ございますでしょうか。
私から1つお聞きしてもよろしいでしょうか。現在、NPO法人水道千葉で登録されている方、参加されている方というのはどこかに書いてありましたか。何人ぐらいいらっしゃるのですか。

○ 富田理事長(NPO法人水道千葉)
平成24年4月現在で61名の会員。それから、賛助会員が3つあります。

○ 滝沢座長
それは企業さんということですか。

○ 富田理事長(NPO法人水道千葉)
はい。

○ 滝沢座長
ありがとうございます。千葉県水道局の統計データをみますと、データが平成12年度のものになっていまして、そこから10年後、平成22年で技術職の45%が退職するということになって、今現在、もう平成24年になっていますけれども、実際こういう状況になっているのですか。

○ 富田理事長(NPO法人水道千葉)
当時、平成22年までには384名の退職ということで、これは60歳になりますので、退職になります。再任用という形で、それから以降5年間ぐらい勤めております。それがありますので、我々が想定したよりはまだ人は多いということであります。

○ 滝沢座長
ありがとうございます。
ほかに何かご質問。長岡先生、どうぞ。

○ 長岡構成員
こういうNPO法人として活動されているというのは、非常に興味深く拝聴させていただきました。水道でNPO法人と連携するというのは珍しいような気がして、どちらかというと環境行政とか河川の環境とか、そういうものでは非常に多いような気がするのですが、こういうNPOの活動を今後、全国的に展開するとしたら、どういうところに難しさがあるか、あるいはどういう問題を解決したらいいかとか、その辺、ご意見があったら聞かせていただきたいのですが。

○ 名雪副理事長(NPO法人水道千葉)
現状と今後の活動の難しさという点だと思いますけれども、総括的に理事会のほうでも共有の情報になっているのですが、現在は業務活動、それから財政的にかなり良好で推移しております。ただ、今後の問題は、事業活動をどう拡大し、展開していくか、それとあわせて会員の数と分野別のバランスをどうしていくか、この点が共有課題になっております。要は、もっと強く進めて拡大化していこうというときに、会員の数が足りないかなとか、過去の水道事業体でやってきた技術の専門的なもののバランス、その辺を今後どうしようかということがあります。

○ 竹形顧問(NPO法人水道千葉)
水道のOBである、団塊の世代がほぼ再任用も終えて退職する時期に来ています。しかし、最近よくいわれますように、人生は平均的に80歳まで延びたような状況がありますので、元気なうちはまだまだ仕事があれば働きたい、あるいは人の役に立ちたいという、生きがいみたいなものをもっている方はまだ過半数はいるのではないかという考えをもっています。その辺をうまくPRしまして、NPOの活動に参加しませんかという、参加意欲を引き出すPRが必要だと思います。
もう1つは、やはり財政的にしっかりしないと、年金だけで生活する者は、交通費や弁当代が自前はとても続きません。したがって、我々が考えたのは、財政的に有料でやろうということが重要だと思います。
それともう1つ、水道事業体の職員がどんどん減っていくといいますか、団塊の世代のときにたくさん採用した結果、その後、定数の維持ということで採用を控えています。これは大規模水道事業体には共通点があると思います。そこで、年齢層のアンバランスをどうしようかというのは、千葉県は非常に大きな問題があったのですけれども、その状況が多くの事業体にあるとするならば、人材を活用しようということで、水道事業体みずから、こういうことをやってくれないかというように投げかけてもらえるのが、そこに要求と供給がマッチすると思います。これは千葉県の状況がまさにそうだった。水道事業体とNPOが両方で人材の活用をしようという、そこに焦点を当てればいいのではないでしょうか。
有料の考えにつきまして、我々もいろいろ検討しましたが、これは社会貢献活動という位置づけが一番大切ですから、パートの料金ぐらいでやれば、NPOとして何ら社会貢献活動という大義名分を逸脱していないと思います。

○ 滝沢座長
ありがとうございます。
ほかに何かご質問。どうぞ、吉岡さん。

○ 吉岡構成員
大変興味深い活動をなさっていて、こういうものはこれからすごく広がっていく可能性もあるのではないかなと思う反面、仕組み的に教えていただきたいことがあるのですけれども、提示していただいた資料からいうと、基本的に年齢構成がありまして、若い世代は技術者が少ないということです。賛助会員もいらっしゃるということなのですけれども、千葉県水道局のOB、技術者が母体になっているということは、このNPO自体が、将来ずっと続けていくと、そこでも技術者が少なくなってくるのではないかなと思うのです。そういう中で、水道技術支援事業という形で千葉県の水道、それと社会貢献、そういう大義がある中で、NPOが活躍すれば活躍するほど、事業体内部のほうも弱くなっていくのではないかなと考えてしまうところもあるのです。要はそちらに頼ってしまうというところですよね。そういった中で、仕組み的に両輪のごとく今後も活動を続けて、どんどん発展して事業展開していくためには、どんな構想をおもちなのかなというところをぜひ教えていただきたいと思います。

○ 富田理事長(NPO法人水道千葉)
今、私どもは設立しまして6年、7年で、いろいろ問題点がだんだん明らかになってきているところがございまして、それはなぜかといいますと、なかなかNPO法人のほうに会員として入ってくれないという問題があります。もう65歳まで勤めたのだから、水道はおさらばしたいよというようなところがございまして、今、社会において水道の安全、安定を確保するために、また住民にいろいろ理解してもらうために必要なんだよということをアピールしながら、何とかその辺を理解してもらいたい。そういう意味で、今年、事業案内もこしらえまして、水道事業体を初めとしまして、そこに勤めておられる方も退職されましたら参加してくださいと。そのような形で確保していければというようなことで考えております。それが1つです。
もう1つは、今、NPOという精神的なことが社会において必要ではないかなと。それをもう少し具体的に申し上げますと、悩んでいる人だとか困っている人たちの隣人になるといいますか、そのようなことが必要で、そこから初めて発展が出てくるのではないかなと考えております。答えになっているかどうかわかりませんが、その2点だけ申し上げたいと思います。

○ 滝沢座長
ありがとうございます。

○ 尾?構成員
なかなか良い活動をされていると思います。その中で多分、現役のときにはみえなかったことが、この活動によってみえてくるのではないかなと思います。千葉県水道とのコミュニケーションをどのようにやって、それをどのように生かしているのか、お聞きしたいと思います。

○ 滝沢座長
立場が変わると、同じ水道でも少し違った見方があるかもしれませんね。そんなことがございましたら、ご紹介いただけますか。

○ 富田理事長(NPO法人水道千葉)
2つの事例からそのところをお話ししたいと思いますが、例えば浄水場見学の件でございます。先ほどもお話ししましたけれども、私どもに移すことによりまして、職員の労務的なことが本当に楽になって、仕事に集中できるということが、水道局として本当にうれしいことであるということと、私どもが熱心にやることによって、学校側の評価、また団体や来た人たちの評価も高くなっていくことによって、千葉県水道局も一生懸命やられているのだなということが再認識、再確認できたことがよかったのかなということが1つ。
おいしい水教室においても、その都度、行った結果については報告しております。報告した中で、今までは水道は配ればいいというようなものが、私どもが入った時の考え方だったのですが、そうではなくて、お客様の理解があってこそ、水道事業というのが出来るのだなということを常に水道局に対してアピールしていく。それがあると思います。

○ 滝沢座長
ありがとうございます。どちらかというと、お客様により近い視点でいろいろなものがみえてくる、そういうことですかね。
ほかに何かご質問ございますか。よろしいですか。
それでは、それぞれの個別の発表に対する質疑はこれまでにいたしまして、残りの時間を少し使わせていただいて、安全な水の確保という今回のテーマ全般にわたって、皆様方のご意見をいただくという時間を設けたいと思います。特定のご発表ではなくて、全般的なことについてご質問をいただきたいと思います。どなたかご自由なご意見がもしあればちょうだいしたいと思いますが、私のほうで皆様のご発言の中から幾つかピックアップした項目がございます。
1つは、木暮さんから都道府県の役割が重要になってくるだろうというようなことをご発言いただいております。
それから、名雪さんから幾つかご指摘がございましたけれども、広域化等が進まない理由として人事異動の問題がある。人事異動は結局は市長部局等が全部押さえていて、コロコロ人が変わってしまうためにやるべきことがちゃんとできないような状況になっている。あるいは、違う言い方をすれば、水道事業の管理者の権限が、必要な仕事をやれるような十分強いものではないというようなことがございました。これに関してはビジョン全体が何を目指すかということなのですが、もちろん水道ビジョンですから、水道事業の担当者がやるべきことをしっかりと書き込むということは重要でございますけれども、その範囲を超えた部分というのがどこかにあるのではないかと思うのです。そういうことに対してどこまで言及するのか、私は言及すべきではないかなと、ご意見を伺っていて感じてきているのですけれども、これから皆さんのご意見もいただきながら議論していきたいと思います。
水道だから、水道担当者だけに発信するようなビジョンではなくて、それではもう物が進まない。岡?さんのご発言もありましたけれども、それだけではもう物が進まないところまで来ていて、水道ビジョンだけれども、水道としてしっかりやるべきはここ、だけど、外に対しても何らかの形の働きかけが必要なときに来ているのかなと感じました。そういう意味では、ビジョンの目指す方向性として何をやるというのは当然書かなければいけないのですけれども、だれがやるのかということも含めて、当然、水道事業の担当者がやらなければいけないというところが非常に大きいと思いますが、それだけではなくて、いろいろな方に水道のことを理解していただいて、参加していただくためにどういうことをやるかということが必要な時期になってきているのかなと感じました。
それから、これも名雪さんから、ビジョンをつくったときにチェック体制、あるいはビジョンのフォローアップなども必要ではないかというご発言もちょうだいしました。
佐藤さんから、未普及対策の手法として、多様な手法をそろそろ考えるべきときに来ているのではないかというようなご発言もいただいたところでございます。その中で多様な手法というのは具体的にどういうものなのかといったことを、少し時間がありますので、きょうのテーマは水道事業経営一般ではなくて、安全な水という視点でございますので、安全な水というテーマにちなんだような形でご意見をお聞きできればと感じているところです。
それでは、私からの能書きはこれぐらいにいたしまして、少し時間がございますので、自由な形でご発言をいただければと思います。課題と感じていること、あるいはその課題に対してこのような取り組みが必要ではないかと思われていること、何でも結構でございますので、ご発言をいただければと思います。いかがでしょうか。

○ 尾?構成員
今回の水質の安全性という観点でみても、座長もおっしゃったように、水道事業体がどこまでやって、その背景にあるところにどこまでお願いするのか、ということがあるのではないかなと思っています。浅見さんの資料の最後のところに、管理が重要であると書かれてありますが、「水道事業体の管理の重要性」という言葉だけでは、なかなか対応できないこともあります。例えば、地下水などは井戸の本数が多い中で、全部の水質項目をどの程度まで検査するのかというのは、大きな課題だと思うのです。そうした状況の中でみると、その井戸の周辺は水質保全されている、つまり地下水を活用する地域になっているとすれば、こうした毒物はもう井戸に入ってこないので、検査項目などであってもある程度カットできます。今、東京水道では、近くにどんな工場があるのか、どういう汚染物質があるのか、そういうものをチェックしています。あるいは、水質基準項目でなくても検査をして、10分の1以下の数値まで、年度ごとの動向がどうかを確認するなどの対応を、いろいろ検討してやっています。こうしたことは、すごく手間がかかるというか、大変な作業だと思いますので、本当に中小事業体が対応できるのかは、非常に難しい問題です。今、座長がおっしゃったように、保全の体制をどうしていくのか。私が東京水道局長のときの議会答弁で、地下水は水質が安定しているといえず、まさにそうした体制ができてこないと、将来、本当に使っていけるかどうか不安がある、という答弁をしたことがありましたが、浅見さんのお話をお聞きして、こうした問題が顕在化してきている状況だなと思いました。全体の中で、「どのようにやれば地下水も活用できる体制になるのか、どうすればチェックもある程度安定したものになるのか」という事も、皆さんで考えてもらいたいなと思います。

○ 滝沢座長
ありがとうございます。水源保全という視点から、一本一本の井戸の検査というだけではなくて、水源全体の保全という視点から安全性を確保していくことも重要だということと、それから、どこまでを水道事業体がやって、先ほど私がいった「だれが」ということですが、水道事業体の果たすべき責任と、それ以外の部局とどう連携していくのか、そこが重要だというご指摘だと思います。
ほかにご意見いかがでしょうか。どうぞ。

○ 名雪副理事長(NPO法人水道千葉)
NPOの立場から改善策の1つを我々は考えながら進めているのですが、特に河川ですと、被害者が加害者であるというような構図があります。ちょっとにおいの出る水が出ると、あくまでも水道事業体が悪いように受け取られやすいような風潮が過去ありました。これを埋めるには、住民へのPR、先ほどから大分出ておりますけれども、水道をPRして、みんなできれいにしようという啓蒙ですね。要は、被害者が加害者であるという構図を認識していただく。水道料金はなぜ高くなるのだろうか、浄水場はなぜ必要なのだろうかということについて、見学者、子供の教育もしかりですけれども、水環境を住民の視点に立って、水道事業体と住民の間に我々NPOが存在する認識で、我々はボランティア半分、でもボランティアのポケットマネーだけではやっていけないからということで、受託事業をどのように請け負って永遠に長く続けていこうか。そのような考え方で、PRが必要ではないだろうかと思っております。そういう役目を我々NPOはやりたいし、機会があれば新水道ビジョンの中に、そういった活動をほかでも展開できるようなまとめ方が最終的に出れば、それがまたいいのではないかなという感じがいたします。

○ 滝沢座長
ありがとうございます。
ほかにご意見いかがでしょうか。浅見先生。

○ 浅見構成員
きょうはいろいろいわせていただいてしまったのですが、飲用井戸の把握というのが自治体によって非常に違いがあると感じております。東京都さんの場合はかなり密に把握されていると思うのですけれども、都道府県によっては全く井戸台帳がない、だれがどのように使っているのかわからない。保健所設置市は辛うじてわかるけれども、それ以外の市についてはわからないというような県もあるように伺っております。まず台帳がなければ、だれがどのように飲んでいるかもわからず、検査をされているかどうかもわからずというようなことを何とか解消しないといけないというのは、まず飲用で人が使うもの、施設が使うものに関しては、非常に重要なポイントではないかというのが1つあります。
もう1つは簡易水道なのですけれども、今までも簡易水道というのは割と小規模だというのと、名前が簡易だから簡易のように聞こえますが、結構難しいわけです。人数が少ないところでちゃんとした水質を、普通の上水道と同じように送らなければいけないところなのだけれども、何か簡易でいいようなイメージで、例えば水道統計等でも同様の扱いはなかなかされないということもあって、今後、そういうものが統合していくとか、ちゃんと把握をして、項目が全部同じでなければいけないということではないのですが、どこにどういうことが起こりそうかというのをちゃんと把握できるぐらいの精度のデータは集めるような体制を整備していただければと思います。よろしくお願いします。

○ 滝沢座長
ありがとうございます。
ほかに全般的なことでご意見ございますでしょうか。

○ 竹形顧問(NPO法人水道千葉)
水道に関するNPOは今後、どのように活躍できるかという点から考えますと、小規模水道事業体は今後ますます第三者委託へ移行していくということがあると思います。私どもも小規模な1件ではございますが、委託された業者に対する技術的なアドバイス、研修、指導をやっております。月2回ほど浄水場へ行って、ジャーテストだとか、薬品注入の管理の指導だとか、安全衛生管理の研修だとか、そういうことをやっているわけですが、大規模水道事業体はNPOを立ち上げるような人材は当分はあると思います。そこで、大規模事業体のOBがつくったNPOは、小規模事業体が委託した業務に関して、事業体に代わって、受託業者を指導することが良いと思います。受託する業者は価格の競争で受託しているのが現実だと思うのです。そこで、どういう人が従事するかというと、現地域から浄水場の運転管理、水質管理に従事する人を雇うわけです。それで受託業者は若干の技術者が指導している。しかし、第三者の受託した会社も、浄水場の運転管理、あるいは水質管理の実務経験が少ない人が従事する場合があると思われます。ですから、実際に私も従事してみまして、全くその辺は危なっかしい。こんなことで第三者委託は大丈夫なのかというのが実感でございます。したがって、経験の豊富なNPOの会員が小規模事業体と業務契約をして、第三者委託に対する評価とか、指導とか、そういう面に活路を見出せれば、大変役に立つのではないかと思っております。

○ 滝沢座長
ありがとうございます。NPOに限らないかもしれませんけれども、そういった知識と経験をもった人材の方にぜひ活躍していただきたいという気がする反面、先ほど吉岡さんのご指摘もありましたが、本体といいますか、本来責任を負うべき水道事業体、特に小さいところでほとんど人がいない、人がコロコロ変わるところは、お願いしたらやってくれるのだから、ずっとお願いしてしまおうということにならないかというところが若干気になるところなのですが、吉岡さん、どうですか。何かそうならないための方策というのはあり得ますか。

○ 吉岡構成員
今回、第4回の検討会になりますが、1回目からずっと思っていることがあります。顕在化している問題については、当然のことですが皆さんは指摘しますけれども、ではどうしたらよいかという改善策については今のところ何も出ていません。今回も指摘がありましたが、それらの問題は中小からいわせると、それはわかっていますというところだと思うのです。ただ、声を大にしていう方も少ないですし、自分のところで黙々と目の前のことをやっているというのが現実だと思います。正直なところ、頑張ろうと思っている人と、もう任せるところがあったら任せてしまえというようなところが半分半分ぐらいなのではないかなという気がしていますが、よく聞くと、任せてしまえというところも、実は本当はそう思っていなくて、どうにかしたいと思っているのです。そのどうにかしたいというところを何とか救えるような改善策がないのかなと、私も今、一生懸命考えているし、悩んでいるし、そんな現状です。

○ 滝沢座長
ありがとうございます。
ほかに何かご意見。長岡先生。

○ 長岡構成員
水道水質は水源の問題が大きいですけれども、浅見先生のご発表などを聞いて、やはり水道は受け身だなというのが非常に印象が強くなって、先ほどの畜産の問題でも水源二法とかあるとは思うのですが、いま一つ、水道側が水源を確保するとか、排水の規制とか、そういうほうにいま一つ入り込めていないような気がしてならないのです。そういう意味では、貯水槽の保健衛生行政との連携もありますし、地下水の環境保全行政との連携とか、河川でしたら下水道とか、いろいろな部局・部門があるのですけれども、そういうところとの連携とか、そういうところに水道側がもっと強く出ていくとか、そういうことが求められるのではないかという気が非常に強くしました。
NPOとの関係ですと、先ほど河川環境ではNPOが活動しているという話をしたのですけれども、そういうところではOBというよりも一般の方が活動されていますし、普通の方ですね。普通のといったら失礼なのですけれども。あるいは、学校のクラブ活動と連携をして河川環境をよくしようという活動をしたりということがあるのですけれども、水道を自分のものとして意識してもらうためには、そういうNPO活動などを通じて住民と一体となるということも必要なのではないかと思います。ただ、そう簡単ではないのですけれども、NPO活動のようなもの、OBの方の活躍も重要なのでしょうが、やはり住民を巻き込むような形にできたらいいのかなという気がいたしました。
それから、安全性の話をずっと伺っていて、飲用として使うというものが前提なわけで、水道の安全性について検討すると同時に、飲用として水道水を飲んでいただく、それがやはり欠かせないという気がいたしました。そういう意味で、座長からいわれたように、情報を正確に住民の方に伝えるとか、そういうことを通じて、飲用率を高めるという努力と一体となって水の安全性を考えることが重要ではないかと思いました。

○ 滝沢座長
ありがとうございます。先ほどの吉岡さんのご発言でも、課題はたくさん出したけれども、それに対する解決策が出てこないというところがありました。ただ、きょう、お話を伺うと、例えばNPO法人さんの活動もありますし、まだまだすべての課題に対する回答というレベルではありませんけれども、回答に近づくようなご発言は少しずつ出てきていると思います。まだこの検討会は続きますので、後半に行くに従って、解決策をより多く提示していきたいと考えております。
予定時間に近づいてまいりましたけれども、あと全体的なことでご発言がもしございましたらお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。どうぞ。

○ 木暮構成員
きょうの安全な水の確保ということで、浄水処理ということであれば、従前からそれなりの技術がありまして、管理もそれなりにしていると思いますけれども、未規制の化学物質ですとか、未知の物質に対しては水源の監視が大切だと感じています。特に大規模事業体では、都県を飛び越えて水源監視をして、排出事業所に対して、水質汚濁防止法の範囲外であってもお願いをしに行くとか、そういった取り組みが必要なのかなと思います。
一方、未規制の部分につきましては、当然、過去からすればモニタリングのほうも環境衛生部局との連携もかなり進んでいますから、井戸等のモニタリングも過去からすればかなり緻密なものになっていると思いますので、結果的にそこから出てきたデータに対して、行政がどうやってこれから対策をしていくかというところで、地方の市なり県なりが問われているのかなと思います。また、そこで人材という話になりますと、水道の知見をもっている人が、市も含めて行政のところに配属するというのはなかなか難しいと思っています。これから水道部局と環境衛生部局との人事交流ですとか、そういったものが求められてくると思いますし、必要とされているのではないのかなと思うところでございます。

○ 滝沢座長
ありがとうございます。
全般的なことで、ほかにございますでしょうか。尾?さん。

○ 尾?構成員
吉岡さんから、悩んでいるとの発言がありました。これは資料のつくり方にもよるので、事務局にもお願いなのですが、例えば、今、木暮さんがおっしゃったように、利根川水系、荒川水系は、水道事業者連絡協議会というのを組織していまして、それぞれの事業体が水質データを公表し合って共有化し、問題が起きれば協力して対応しています。もちろん、浅見さんの国立保健医療科学院にも協力してもらっています。そうした状況の中で問題が出たら、どういう形で対応していくのかと言いますと、まずはどこが発生源かを突きとめます。それは東京だけではなくて、埼玉、群馬とか、いろいろなところが協力してやっています。発生源がわかったら、企業に直接お願いしたり、県の行政部からお願いして、それが規制物質ではなければ、規制するような方向を検討してもらいます。もちろん水道課にも協力いただいています。私どものほうでは広域連携と言っていますが、そうした取り組みが他でも必要だろうと言うことと、こうした取り組みで事故を未然に防いできた事例を、記載したらいいのかなと思います。今、吉岡さんの言われた、中小事業体の悩みに対応する面からも、そうした記載を加えたらどうかと、提案しておきます。

○ 滝沢座長
ご提案ありがとうございます。
本日、予定したお時間が来ておりますけれども、皆様のご発言を聞いておりまして、先ほど何をだれがやるのかを示すというような形で少し整理させていただきましたが、もう1つ、取り組みなり解決策なりをこれからだんだん集中して議論していくことになると思いますが、その中で現行の制度、あるいは法的な枠組みの中で、もっとしっかりやれば取り組める課題、しっかりやればできる取り組みというのは当然あると思います。それがもしかしたら大きいかもしれませんが、もう1つは、制度そのものを変えなければ根本的な解決に至らない問題というのももしかしたら出てくるかもしれません。そういう中で、「だれが」というところにもかかわりますけれども、水道ビジョンだからあくまでも水道事業者の間だけで何とか解決策を考えようということで進めていくのではなくて、水道事業者の立場から、あるいは水道という立場から、外部に向けても何らかの発信をしていってもいいのではないか。水道事業者がこれは責任としてやりますと。だけど、もっと仕組みや枠組み、制度、先ほど尾?さんがいわれた水源保全なども含めて、水道事業者も当然やらなければいけないところはあるけれども、水道事業者単独でやるのではなくて、もっといろいろな方に参加していただく、あるいは市民の方にも理解していただく、そういう取り組みも必要かもしれません。そうだとしたら、根本的に制度を少し変えていかなければいけないことも出てくるかもしれません。そこを少し明確に区分して、議論をこれから進めさせていただければなという気がしてまいりました。
ほかに特にご発言がなければ、予定のお時間が来ておりますので、最後の議題、今後の予定を事務局からご説明いただきたいと思います。

○ 名倉課長補佐
議事次第の固まりの裏側になりますけれども、添付—3とあります検討会の実施スケジュールについてご説明させていただきます。
本日、第4回目でございます。第5回目を6月にやりまして、そこで特定テーマ4—1、危機管理の徹底ということで、東日本大震災を踏まえてのことをやらせていただこうと思っております。その後、張りつけていきますと、毎月やらないといけないような形になっております。6回目に危機管理の徹底ということで、危機管理全般と書いておりますけれども、震災関係、放射性物質の話が先ほど出ておりましたが、この回でやらせていただこうかと考えております。あわせて国際展開の推進。それから、7回目、8回目で水道サービスの持続性の確保ということで、かなり盛りだくさんで絡み合う要素も多いので2回に分けてやらせていただくことを想定しております。それから中間とりまとめをしまして、そのあたりで被災事業体との意見交換会の開催とか、一般の方からご意見を伺うためのワークショップなりシンポジウムの開催を考えておりますけれども、事業体との意見交換会につきましては、少し前倒しするようなことも考えておりますが、どこかの時点で何らかの形でやることを考えております。10回目以降、新水道ビジョンの骨子なり素案、そして案と、まとめていくような形で進めさせていただきたいと考えております。

○ 滝沢座長
何かご質問、あるいはご意見ございますか。このような進め方でよろしいでしょうか。
今後の日程で予定日が決まっているのは6月までで、7月以降に関しては早急に日程調整をさせていただきたいと思います。おくれていまして申しわけございませんけれども、早急に進めたいと思います。
最後になりますけれども、本日、NHKで7時半から「特報首都圏」という番組で、地下水の水源保全の話ですが、30分間放送されます。私、コメンテーターとして、この後すぐにNHKに行くつもりですけれども、お話をさせていただく予定でございます。話題は、まさにきょうここで、浅見先生を初め皆さんに資料をご提供いただいたようなものでございまして、小規模な地下水を使った飲用水供給、宅配も含めて、それが非常にふえているというお話でございまして、特に水道事業、あるいは水とは全くかかわりのない業種から、ここしばらくすごく参入がふえているというようなお話でした。私自身も放送の内容をまだみていませんので、行ってみて初めてどんな放送かというのがわかるのですけれども、ただ、事前の打ち合わせでNHKのディレクターの方がおっしゃっていたのは、一般の市民の方の関心が高いのは放射能だと。ちょっとピークは過ぎたかなという感覚をもっていますけれども、やはり今でも放射能に対する心配、懸念というのが非常に大きいのですよということをおっしゃっていました。安全と安心というのは違うということで、どうしても安全ですよといっても、市民が安心してくれないといけないというところ、これはすごく難しいところだと思いますが、逆にそういった心理をうまく使って、宅配業者さん等がどんどんふえてきている。そのような状況にあるのだろうと思います。こういった状況の中で、我々はどういう取り組みをするのか、まさにNPO法人さん等もいろいろな活動をされているのだと思います。これから考えていかなければいけない話題だろうと思います。ちょっとご紹介させていただきました。もしお時間ありましたら、ごらんください。
それでは、本日、長時間にわたりましてご審議いただきましてありがとうございます。これにて閉会したいと思います。


(了)
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