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2012年3月26日 第3回新水道ビジョン策定検討会議事録

健康局水道課

○日時

平成24年3月26日(月)14:00~17:00


○場所

厚生労働省 専用第21会議室


○出席者

出席構成員

滝沢座長 浅見構成員 岡崎構成員 岡部構成員 尾崎構成員
木暮構成員 佐藤構成員 長岡構成員 服部構成員 平田構成員
吉岡構成員

○議題

(1) 第2回検討会議事録(案)について
(2) 関係団体との懇談会報告について
(3) 追加調査報告について
(4) 特定テーマ1(将来の事業環境)
(4)-1 事務局からの報告
(5) 特定テーマ2(住民等との連携)
(5)-1 事務局からの報告
(5)-2 横浜市の取組事例
(5)-3 矢巾町の取組事例
(6) その他

○議事


○ 名倉課長補佐
では、定刻となりましたので、ただいまから新水道ビジョン策定検討会を開催させていただきます。構成員の皆様には年度末のご多忙中にもかかわらず、ご参集いただきまして、まことにありがとうございます。まず構成員の出席状況でございますけれども、本日11名すべての構成員にご出席いただいております。
また、本日の議事において、横浜市における取り組みを発表いただくために、横浜市水道局浄水部の清塚部長に特別に参加いただいております。
それでは、開会に当たりまして、厚生労働省・外山健康局長よりごあいさつ申し上げます。

○ 外山健康局長
健康局長の外山でございます。構成員の皆様におかれましては、本日はご多忙のところ、本検討会にご参集いただきまして、まことにありがとうございます。本日は第3回目の検討会となります。前回の検討会では、現行水道ビジョンのレビューと今後の論点に加えまして、関係団体との懇談会の内容や追加調査についてご議論いただきました。今回の検討会の前半では追加調査の結果を示して、皆様のご意見をいただくとともに、今後の議論の土台となる水道の置かれた事業環境について、事務局より資料をお示しいたします。また後半は個別テーマの議論に入ります。住民等との連携というテーマを使い、横浜市、矢巾町の事例も参考にしつつ、今後のあり方をご議論いただきたいと存じます。前回に引き続きまして、どうか闊達なご議論をよろしくお願い申し上げます。

○ 泉技術係員
続きまして、議事に入る前に事務局より配付資料の確認をさせていただきます。まず議事次第がございます。1枚めくっていただきまして添付—1が検討会名簿、もう1枚めくっていただきまして添付—2が座席表です。その下に第2回新水道ビジョン策定検討会議事録(案)がございます。こちらは資料—1となっております。次が資料—2、関係団体との懇談会報告です。次が資料—3、追加調査報告です。次が資料—4、将来の事業環境(事務局からの報告)です。次が資料—5、住民等との連携(事務局からの報告)、次が資料—6、住民等との連携(横浜市の取組事例)、最後、資料—7、住民等との連携(矢巾町の取組事例)となります。あと参考資料—1として、平成24年度予算概要、こちらが横浜市水道局のものです。また参考資料—2で、矢巾町水道ビジョンがございます。また、一番下に一枚紙の土砂生産量の変化による上水道事業への影響(2090年代)という資料がございます。こちらは資料—4の追加資料となります。
 資料は以上でございます。もし足りないものがございましたら、事務局にお申しつけいただければと思います。よろしいでしょうか。

○ 滝沢座長
それでは、今年度もいよいよ押し迫ってまいりましたけれども、構成員の皆様には全員出席ということで、本日もご出席いただきましてまことにありがとうございます。
早速でございますが、議事を進めさせていただきたいと思います。第2回の議事録ですが、これにつきましては事前に構成員の皆様にお送りし、お気づきの点、ご指摘をいただいているということでございますので、もし追加で何かお気づきの点があればご指摘いただきたいと思いますが、いかがでございましょうか。よろしゅうございますか。
それでは、ご承認いただいたということで、次にまいりたいと思います。
本日もたくさんの議題がございますが、まず最初に、関係団体との懇談会の報告について、事務局からご報告をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。

○ 名倉課長補佐
では、資料2に従いましてご報告させていただきます。関係団体との懇談会報告につきましては、前回ご報告させていただきましたけれども、そのとき、2団体につきまして、まだ懇談会をしていないところがございましたので、その2団体について今回はご報告させていただきます。なお、前回ご報告させていただいた分も含めて資料—2としております。
今回ご報告させていただきますのは、資料—2の2ページにございます一般社団法人全国給水衛生検査協会、11ページの日本ダクタイル鉄管協会でございます。
まず2ページをお開きください。全国給水衛生検査協会につきましては、水道とか貯水槽水道の検査を行いますところで、登録検査機関というのがございますけれども、その集まりでございます。3月13日に懇談会を行いまして、事務局長代行にご出席いただいてお話を伺ったということになっております。
かいつまんでご説明させていただきますと、まず1つ目のところで、水道事業の状況と水質検査を取り巻く状況ということでございますけれども、?では、老朽管の布設がえですとか、鉛給水管の対策について、正確に状況を把握できていない水道事業があるのではないか。?では、市町村で技術者が少なくなってきておりまして、そのことで直営の水質検査が減少したりとか、外部委託が増加しておりますけれども、それがまた逆に市町村の技術者の減少につながっているのではないかというご指摘がありました。そういう技術者減少については、水質事故のときに何らかの対応もできないといった状況につながるのではないか。?では、外部委託につきましても、一般競争入札で委託費が低下しているということで、それが水質検査の質の低下につながっているのではないか。それから、委託の中で検査機関の技術というか、質が評価されていないというのがあるのではないかというご指摘がございました。?ですけれども、そういった状況を踏まえて、平成23年に水道法施行規則の改正が行われまして、それ自体は信頼性の確保において喜ばしいことだとしながらも、現状では登録抹消等の厳しい措置はとられていないため、改善すべき点があるのではないかといった指摘がございました。また、水質検査の面からは、水道事業の民営化を懸念しているということで、民営化が進むと水質検査費用がさらに圧縮されるという心配があるのではないかということで、協会の会員を中心に水処理企業でJVを組んだということもあったようなのですが、懸念したほどは進んでいないため、実際には仕組みはあるけれども、実施はしていない状況だといったようなことでございます。
2番目のところで、協会の現状と課題ですけれども、協会では独自に倫理規範を設けて、逸脱したようなところには改善命令とか除名等、厳しく対応していきたいというお話がございました。また、技術水準を維持するために、立入検査のためのチェックリストを作成中と聞いているけれども、厳しく対処していただきたいという話がございました。また、貯水槽水道につきましては、ランキング表示制度というのを導入しておられるということで、第三者の委員会を設けて、そこの委員会の名前で認定書を発行したりしているといった事例の紹介がございました。また、簡易専用水道とかの水質検査受検率が下がってきているので、こういうランキング制度等で向上させたいといった話がございました。
また、新水道ビジョンへの要望ですけれども、需要者にとっては一番身近なものがそれぞれの地域のビジョンであるというお話がございました。平成25年度から法改正がございまして、専用水道とか簡易専用水道に係る権限というのがすべての市に委譲されるのですけれども、水質の信頼性確保の観点から懸念しているという話がございました。また、登録検査機関が近くにないような地域については、都道府県の衛生部局として対応する必要があるのではないかといった指摘。それから、検査機関の登録制度において、登録規定をもっと厳しくしてほしいとか、距離とか不測の事態も考慮したような考え方を入れてもらえないかといったような話がございました。
もう1つにつきましては11ページ目でございますけれども、日本ダクタイル鉄管協会というところでございまして、これはダクタイル鉄管をつくっているメーカーの集まりでございます。この協会について、理事長以下からお話を伺いました。
協会としましては、ことしで創立65周年でございます。技術説明会とか講習会等も行っていまして、公的な存在として活動しているとか、水道管で耐震性のあるGX形というのがあるのですけれども、それが歩掛とか補助の対象になったということもあって、急速に普及が進んでいる。協会としては、官民連携については実務の実質的な支援を行う立場ではないかと考えているというものでございます。
2番で東日本大震災のときの対応と教訓ということで、ダクタイル鉄管の耐震管については地震による被害はなかったということ。それから、応急給水のときには、水道協会と各団体とか企業との間をつなぐハブとしての働きをしたという話がございました。また、直管と異形管をセットで調達するということが重要だという認識をもったということでございますし、備蓄についてデータベース化が必要だという認識をもったということ。?ではバックアップ、常時給水を担保する上では、多重化とか複線化が重要だというお話がございました。
また、新水道ビジョンの方向性については、水道事業体の規模等を踏まえためり張りが必要ではないかというお話。?としまして、水道事業が目指すべき方向性として、だれもがイメージできる「あるべき姿」のような姿を示して、そこに至るまでのステップを設けるのがいいのではないかというお話もされました。また、施設についても、望ましい施設のあり方を示しまして、そこに誘導できるような内部留保などの制度があるといいのではないかといった話がございました。更新のときにはアセットマネジメントが重要であるし、ライフサイクルコストの低減を念頭に置く必要があるという話がございました。?ですけれども、老朽化の進行とか耐震化の低迷といった課題について、利用者に周知することが重要だということで、厚生労働省からPRするというのもいいのではないかというお話がございました。また、断水について、断水マップのようなものを提示することで、住民の理解が得られるのではないかという話もございましたし、技術力の維持・向上について、地域ブロックの中で高めることが大切だということで、新潟市が研修所をつくって県下の水道事業体に講習している例があるというお話がございました。また、官民連携と広域化というのはセットで考える必要があるということで、広域化しながら官民連携を進めるのが効果的であろうというお話がございました。また、?でございますけれども、水道事業について、厚生労働省では認可をしているのですけれども、その認可権を強力に行使して、国の考える水道の目的を推進させることが必要ではないかとか、あと水道法にあります市町村の経営原則について、広域化の推進と若干矛盾があると思われるので、この機会に見直したらいいのではないかとか、事業認可についても、これまでの施設建設を主体としたものから、経営面を主体とした認可に移行するのが必要な時代になっているのではないかといったようなご指摘がございました。
この2団体について、以上でございます。

○ 滝沢座長
続きまして、追加調査の報告もございますので、この2つ、ただいまご報告いただきました関係団体の懇談会報告と追加調査の報告の結果をご報告いただきまして、まとめて質疑に入りたいと思います。続きまして追加調査報告をお願いいたします。

○ 日水コン(辻)
追加調査は資料—3からなのですけれども、報告としては前回ご説明したとおり、追加調査1、PFIの効果と、追加調査2の情報提供の効果を把握するための取り組みについて、集計結果がまとまりましたので、簡単にご報告させていただきます。
PFIのほうについては、これから続く運営基盤のほうで情報として活用させていただきますので、今回は基本的に報告という形でご報告させていただきます。
まず1ページのPFIの効果の集計結果というところなのですけれども、PFIを実施している事業体へのアンケート調査の回収状況ということで、対象が11事業、14ヵ所なのですが、すべての事業者から回答をいただきまして、100%ということになりました。
2ページがPFI事業の概要ということで、前回、スライドで提示していたものを一覧表に整理しております。
3ページがPFI事業の運用に至るまでの計画準備期間なのですけれども、2~3年が半分ぐらい、5年が2件、6年が3件、7年が2件、大体2~7年かかるという結果になっております。
次に専門部署の設置についてなのですけれども、設けているのは横浜市水道局の1件のみで、その他の事業では特に設けていないという回答でございました。
次に4ページ、バリュー・フォー・マネーのPSC総額ということで、官がみずから事業を実施する場合の事業計画全体を通じた公的財政負担の見込み額と、PFIのLCC総額ということで、これはPFI事業として実施する場合の事業期間全体を通じた公的財政負担の見込み額をそれぞれ各事業体に入れていただきまして、VFM総額、VFM率を算出したものでございます。場所によっては、公開されていない指標なので提示できませんというところもございましたが、可能性調査、特定事業選定段階、民間事業者選定段階については記入していただけました。ただ、モニタリングについては、すべて回答なしという状況でございます。
これを参考にいたしまして、VFM率の平均値を出したのが図3になるのですけれども、可能性調査段階では7.7%、特定事業選定段階では9.5%、民間事業者選定段階では20.2%ということで、民間事業者選定段階で値が高くなるという傾向がみられました。図4についてなのですけれども、同じような調査を総務省も行っておりまして、そのときの調査結果をみますと、大体似たような傾向であるということが把握できます。
6ページがモニタリングの実施頻度ということでございまして、実施頻度としては、大体日常、定期的に行うという回答が多かったということで、7ページがリスクの分担ということで、どの項目をみても、官民双方がリスク負担を負うというようなことが多いという状況が把握できます。
8ページになりますが、PFIの導入効果ということなのですけれども、効果が高いというのは、?の財政資金の効率的利用とか、住民に対する安価で質の高いサービスを提供というところで比較的効果があると回答しています。?官民の適切なパートナーシップの形成が次に高いというような傾向がみられます。
問題点が9ページの(7)なのですけれども、すべての事業者で?準備にかかる事務量が多いと回答しておりました。次いで?民間の破綻リスクが心配、?VFMが思ったより高くならないというような順番で高い傾向がみられます。
今後のPFI事業の計画についてですが、ほとんどの事業体では新たなPFI事業の実施の予定はないと回答していまして、その他というのが次に多いのですけれども、これも2件程度で、内容としてはPFI化の検討を凍結している事業があるとか、平成24年度より新規事業がスタートするから今後検討していくというような回答を行っております。
10ページが、PFI事業を行う上での現況の課題があれば具体的に記入してくださいということで、1事例あったのですけれども、平成24年度から7年間の受託事業者を決定した現在、この契約終了後の委託をどのような形で再委託するかが課題となる。今から検討していくことによって、このDBOにかかわるノウハウを次の世代に引き継ぐことができるというようなご回答がございました。
11ページが、今度はまだPFIを実施していない事業体のアンケート調査の結果なのですけれども、対象事業体が68事業体で、そのうち57の事業体から回答がございまして、回収率としては83.8%となっております。その中でPFI事業の検討または今後実施する予定がありますかという設問なのですけれども、ほとんどの事業体で特に検討していないというような回答状況でございました。PFI事業を行わない方針であるというところが2件ございまして、12ページに具体的な理由を記述してありまして、本市の場合は、中央管理室から遠隔操作で運転をしている送水場、配水池のみであり、現在のところPFI事業を導入するメリットがない。もう1つは、PFI事業について、施設建設から、運用に至る一連の事案を検討したが、特に新たな事業化するものがなかったため、また、既設の浄水場や排水処理場の運転管理については、引き続き職員とOB等の嘱託と連携して業務に携わることでコストの縮減と技術の継承を図る方針としたというように具体的に書いていただいたところもございます。
PFI事業を特に検討していないというところについては54事業あったのですけれども、その具体的な理由をお聞きしまして、その回答状況が(4)なのですが、ほとんどが?PFIに当てはまる具体的な事業がないとか、?将来の方向性が決まっていないため導入の検討段階まで至っていないというような理由で回答していただいたという状況でございます。
最後に、PFIの導入の効果はどのようなものと考えられますかということで、全般的な考えをお聞きしたのですけれども、やっていない事業については、比較的効果があるというものについては、?財政資金の効率的利用とか、?民間の新たな事業機会の創出ということで、先ほど実際に実施している事業体の回答状況との比較としては効果が低目に評価されているというような回答になっています。
最後に14ページがPFIの問題点ということなのですけれども、PFIを実施していないところについては、?民間の破綻リスクが心配というところが一番問題だと思っているところで回答状況が高いということでございまして、次に?準備に係る事務量が多いというようなご回答でございました。
?その他、PFIに関係することで課題や問題等があれば、以下に記入してくださいということで、5件ぐらいご回答されているところがございました。PFI事業を導入しようとした場合、地方自治法上の問題、財政上の問題、民間事業者選定制度の問題等、さまざまな問題や課題があるため、今後の政府の動向を視野に入れつつ、またアドバイザー等の意見を参考にしながら慎重に行う必要があるとか、あと、VFMやリスクマネジメントを管理できる職員がいないと的確な効果が測定できないとか、水道事業の経営の効率化と健全化を図る上で、民間的経営手法の有効な活用が図れる事業の選定、導入に当たっては、PFI事業者の選定基準を初め、責任・リスク分担のあり方など、非常に難しい問題等が存在するとか、実際の業務は民間事業者が行うことにより、局職員の技術力低下が懸念されるとか、長期的な契約期間が想定されるため、採算性が見込めない事業の打ち切りが困難といった生の意見がここに掲載されているという状況でございます。
追加調査2の集計結果については、情報提供の効果を把握するための取り組みということでアンケートを行ったのですけれども、アンケート対象事業体については、64事業体のうち55事業体から回答がございまして、回収率は85.9%となっています。今回、これは特定テーマに通じるものですので、特定テーマ2の住民等の連携の資料—5で、内容がパワーポイントで掲載されています。そこで改めて説明させていただければと思いますので、ここでご説明は終わらせていただきたいと思います。

○ 滝沢座長
ありがとうございます。それでは、関係団体との懇談会報告、今、ご説明いただきました追加調査について、何かお気づきの点があればご指摘いただきたいと思います。順不同でまいりますので、お気づきの方がいらっしゃいましたら挙手をお願いします。岡?さん、どうぞ。

○ 岡?構成員
関係団体の皆さんの報告を事前にいただいて、率直にいって、事業体の側の一員として極めて厳しく受けとめております。かねて、いわゆる中小規模事業体の実態について、お互いがさまざま問題・課題があるねというのは共通認識にしてきておりますけれども、各団体からの皆さんからのご指摘をつぶさに改めてみていますと、単なる脆弱さというレベルを超えて、いたずらに不安をあおるつもりはありませんが、極めて危うい状態にあるということが指摘されていると思います。このことは、このビジョン策定検討会としてどのように受けとめ、さび分け、今後にどうつなげていくかということが大きく問われるだろうと思います。
具体論をいいますと、例えば各団体というように一口にいってしまいましたけれども、全国の水道事業体のみならず、関係の各団体の皆様が大変なご苦労をなさって支えてくれていると思うのです。その実態がつぶさに出てきていると思うのです。ところが、事業体側の人的・政策的・制度的・財政的手だて、対応が決定的に抜かってきているがゆえに、各パートナーの皆さんに大変心配・不安をおかけしているということがつぶさに出てきている。事業体側は痛苦に受けとめ、反省、教訓化しなければいかんと思います。
具体論をいいますけれども、例えば2ページの全国給水衛生検査協会の皆さんは、協会独自の倫理規範を設けられて努力をされているということが明らかになっていますが、ご指摘の点は、水道事業体や自治体の責任、範疇で、しっかり基本的な整理をすべきところはしてくれやと指摘をされていると思うのです。
3ページの全国上下水道コンサルタント協会の皆さんの指摘は、やはり関連して、都道府県の役割が重要になるという配慮された表現を使われておりますけれども、実は事業認可の都道府県の責任を含めて、中小事業体系のありようについて警鐘をされていると真摯に受けとめるべきだと思います。
4ページの塩化ビニル管・継手協会の皆さんのご指摘も同様で、技術力、環境負荷等々、協会の皆さんとして独自の努力をされているということを前提に、結局のところ、材料等の使用については、適材適所で使用をなし得る事業体なのかどうなのかということを、技術力、現場力等々を含めて不安視されていると思います。
端的に具体論をいいますけれども、5ページの給水工事技術振興財団の皆さんについても、事業体の技術力チェック機能状態それ自身をも低下しているのではないかというご指摘。そういうものがずっと出されております。
さらに8ページ、簡易水道協議会の皆さんについては、水質検査、非常時対応等々を含めて、事業体自身の点検の能力、その体制のありようといったことについて疑問視されている、不安視されている。これについては、やはり認可責任を含めて、実は鋭く指摘をされているのだと受けとめるべきだと思います。
最後になりますが、9ページの全国管工事協同組合連合会の皆さんも、いってみれば事業体のパートナーとして、日々の業務を進める上でも、事業体の管理運営実態それ自身の内容について不安視される、あるいは疑問視されるという指摘がなされている。
こういうことからすると、これは各業界の皆さんのご意見を伺ったということで済ますことはできないのではないかと思います。そこで、水道課にもお聞きしますけれども、そもそもこういう中小事業体の実態にあるということはお互い共有化してきたはずです。そのことが課題になっているということについては、結論からいいますけれども、厚労省、都道府県、地方自治体、事業体、その一連の関係者の皆さんの指導の体制、管理の体制、ありよう、このことがかねて課題になってきているということであると思うのです。このことは、このビジョンの策定検討会で受けとめ、検討素材に入れて、克服方について活用せしめていくという性格と、ビジョン策定以前に、国から事業体に至るまで、しっかりその資格責任においてちゃんと整理をしてきてもらわなければ困るという課題だってあると思うのです。そこのところの基本的な整理の仕方について、厚労省はどう考えておられるのか。それは今後のビジョン策定の整理の仕方にもかかわることですから、ひとつ言及はしておいてほしいと思います。

○ 滝沢座長
ありがとうございます。国と県と事業体、自治体の果たすことになっている役割が十分果たせていないところがあるというご指摘だと思います。何かコメントございますか。

○ 名倉課長補佐
まさにおっしゃるとおりで、だからこそというか、こういう機会をとらえてというか、現状をもう一度つぶさにみていって、何ができるのかというのをそれぞれの役割分担のもとで考えていかないといけないのだろうと思っております。新しく水道ビジョンをつくるからそこに入れていきましょうというようなとらえ方ができるものもあるでしょうし、別にそれを待たずしてもできることはあるでしょうし、それぞれ現況をみてきて、どういう状況であるかというのをみてきているわけですから、どの段階でだれが何をするのかというのを整理していくとか、きれいに整理をしようということでは、新水道ビジョンというのがツールとしてあるわけですけれども、別にそれがなくたってできることはやっていくということは重要だと思いますので、せっかくこうやって状況がわかっているわけですから、それぞれの中で気づいたことは、別に来年度の新水道ビジョンの策定を待たずして始めないといけないと思っております。

○ 滝沢座長
ありがとうございます。ほかにお気づきの点ございますでしょうか。岡部さん、どうぞ。

○ 岡部構成員
水団連としても、水道事業体が健全で元気であることがいいことですし、今回、水道関係団体の調査をしていただき、先ほど岡?構成員から出ましたけれども、いろいろ問題点が出ています。新水道ビジョンを策定するに当り、新水道ビジョンというのは、ある意味では水道事業体の将来ビジョンをつくるわけですから、水道事業体がなぜこういう問題を抱えているのか、何で今までの水道ビジョンに対してもそれが解決できなかったのかなど、そのあたりの問題点みたいなものをもっと掘り起こして、その解決策を示すのが新水道ビジョンではないかと思います。そのためにも、水道関係団体のヒアリングもしていただき、統計的データで前回、水道事業体の実態を示してくださいましたが、やはり問題だと思われている中小事業体の個別ヒアリングみたいなものもされて、本当に何が問題で、何が困っているのかというようなところをもっと整理したほうが、ビジョンをつくる上でいいのではないか、次のステップに進めるのではないかと思いますので、そのあたり、可能であればよろしくお願いしたいと思います。

○ 滝沢座長
ありがとうございます。理想的ではあっても、すべての事業体が達成がなかなか困難であるということが、これまでの振り返りでわかっているようなことについても、これからも掲げていくのか、あるいは、より現実的で対応が可能なもの、だけど、しっかりすべての事業体にやってほしいこと、そこら辺の色分けといいますか、強弱を分けるということもありますし、今ご指摘の点、これからの議論の中でもぜひとも参考にしていただきたいと思います。また、今、岡部さんがご指摘のように、統計的なデータ、全体的な平均を示したり、分布を示したりするのもいいですけれども、その原因がどこにあるのかということを考えるような、少し解析的な取り組みもお願いしたいということだと思います。
ほかにご指摘は。どうぞ、吉岡さん。

○ 吉岡構成員
私も関係団体の懇談会の報告をみて、内容を真摯に受けとめなければいけないなと感じている一人なのですが、先ほど岡?構成員から指摘がありましたけれども、それぞれの責任においてという話で、私は自治体職員ですから、自治体の責任について話をすれば、水道ビジョンの中で、経営基盤の強化をするという意味で、広域化も民間化も非常に重要なことだと思います。ただ、余りにそれだけになってしまうと、それ自体が目的となってしまいます。事実、私どもで開催している研究会に参加する自治体に、「今、課題は何ですか」とたずねると「広域化」「民間化」と普通に言うところが多くなってきています。それは本来、経営基盤の強化を図るための手段であるはずなのに、自治体の中でそれが目的になってしまうことで、それさえすれば、いつか誰かが何とかしてくれるといった人任せ的になっている状況があると思います。特に中小規模水道事業の場合、目先の厳しさを回避するため、そうした手段に頼りがちになりますが、本来、中長期の視点でわが町の水道をどうするかという視点が重要なはずです。今回のビジョンでは、そうではなく、こうあるべきだというところを目指した形でのビジョンをつくって、あくまで広域化であるとか民間化というのは手段であって、我が国の目指す水道はこうなんだというところを出していければ、自治体もそれに向かって主体的に何らかの取り組みができるはずですし、それが自治体の責任につながると感じております。

○ 滝沢座長
ありがとうございます。みずからを振り返ってということかもしれません。大変厳しいご指摘でございました。
それでは、まだご意見があるかと思いますが、本日、たくさん議題がございますので、次の議題に進めさせていただきたいと思います。最後に少しお時間をいただきまして、もし途中でご発言いただけないところがありましたら、まとめてご発言をいただきたいと思います。
次は特定テーマの1で、将来の事業環境について、事務局からご説明ください。

○ 日水コン(福原)
続きまして、資料—4の将来の事業環境についてご説明します。本資料では、1ページに目次をつけていますが、今回のこの資料では、人口構造の変化による水道事業への影響といった内容と、気候変動が水道事業に及ぼす影響という2点をご報告させていただきます。このご報告の目的としましては、これから特定のテーマごとに議論していただくことになるのですが、その前に全国レベルでの話ですが、水道事業が置かれている環境の変化について、将来を見据えたところの概略をご説明するというのが目的でございます。
2ページですが、人口構造の変化による水道事業への影響については、少子高齢化に伴う人口減少、節水機器の普及、大口需要者における地下水利用の増加といったような項目が、給水量の減少とか給水収益の減少といった項目を踏まえて、どのようなところに影響するかを整理したものです。
3ページ以降は、前回お示ししたもので、社人研による日本の将来人口推計の結果を載せています。全国レベルとしては、3ページに示す推移の見込みですが、これが各地方ごとにどのように偏在しているかといったところを5ページに、それぞれを拡大したものを6ページから8ページにつけてございます。色が青く濃くなってくるところほど人口減少の大きい市町村でございます。かなり地域の偏在性があるというところがみていただけるかと思います。
9ページは、この関係をグラフにプロットしたものでございます。左側が、市区町村別の平成17年人口と平成47年の時点での人口指数の比較をしたもの、右側が、横軸に財政力指数をとったものでございます。人口ないしは財政力が弱い事業体ほど人口減少が大きくなっており、中小規模の事業体の経営環境はますます厳しくなっていくというところが読み取れると思います。
続きまして11ページをみていただきたいのですが、こちらのグラフは有収水量の推移を示したものでございます。これは水道統計のデータですので、上水道のみを対象としております。有収水量でみますと、2000年ごろをピークに減少しておりまして、原単位でみましても、生活用原単位は1998年をピークに減少傾向にございます。家庭における使用ます水量の減少傾向はといったところの説明としまして、12ページから、13ページ、14ページに資料をつけてございますが、節水意識が高まってきていること、といったところと、節水機器が普及してきたことが影響しています。例えば、洗濯機やトイレの1回当たりの使用回数がかなり減ってきているという状況がございます。
15ページに移りますが、日本水道協会による地下水利用専用水道への転換件数、どういう業態が転換しているかといったところは、日水協の調査結果をこちらに示してございます。大口需要者につきましても、地下水利用の専用水道への転換が進んでいるということで、使用水量が減少しているというところがございます。
16ページは、先ほどおみせしましたような節水機器等の普及が進むことで、今後どのような形で生活用原単位が推移していくかといったものをシミュレーションしたものでございます。この結果は、節水型機器の普及が進んでいくという前提で推計したものでございます。どちらかというと下限値に近いようなイメージで、進んでいった場合、これぐらい減りますよといった推計結果になります。
17ページは、こちらの原単位を踏まえて、社人研の人口推計結果とあわせて、将来の有収水量ベースでの推計結果を示したものとなります。
18ページをごらんください。こちらの図は有形固定資産減価償却率ということで、有形固定資産のうち帳簿原価に対しまして、減価償却済みの割合を示したものでございます。このグラフをみていただきますと、1992年から2004年、2009年と3断面でとっているのですが、率が高くなってきています。帳簿原価に対して原価償却が終わった資産の割合ですので、設置から経過年数がたちますと、この割合はどんどん上がっていきますので、ですので、全体の資産として老朽化が進んでいることがわかるかと思います。
続きまして22ページになります。前回もおみせしたのですが、今後の更新需要の推計における前提条件を、まず整理しております。平成22年度厚生労働省が実施しましたの水道におけるアセットマネジメント取り組み促進等調査のといった中で、大臣認可の事業体を中心に、アセットの手引き書に沿った形の様式でデータの提供をお願いしております。固定資産台帳ベースのデータをこの調査の中で入手して、将来の更新需要を推計したましたといったのが前回ご報告した内容になります。補正係数のというところをみていただきたいのですが、大臣認可を対象としておりますので、給水人口ないしは給水量ベースで、末端で65%程度、用水供給で7割強のデータがもともと集まっておりいて、この係数でで割った形で全国推計ベースに換算しています。その結果は23ページから26ページまでにお示ししたとおりで、前回ご説明したような内容でございます。
27ページは、法定耐用年数の1.5倍で更新した場合の健全度の評価、28ページは、1人当たりに換算した場合の更新需要になります。この部分の補足説明として、29ページ、30ページの資料を追加しております。
29ページは水道技術研究センターのe-Pipeプロジェクトによる管路の機能劣化予測式ですが、一定の年数がたちますと事故率が上がっていくというところがみていただけるかと思います。
30ページは、関水研が行った調査事例のシミュレーション結果の一例を示しているのですが、管路の更新を実施しない場合、漏水件数と復旧費がどのぐらい増加するかシミュレーションしたもので、更新しなければ40年後には漏水事故の回数は4.5倍、復旧費用は4倍に増えるといったものでございます。
これを踏まえまして、28ページに戻っていただきたいのですが、法定耐用年数で更新した場合に比べまして、法定耐用年数の1.5倍のペースで更新すると、1人当たりの費用の負担は少なくなっていくのですが、先ほどお示ししたように、逆に事故のリスクのほうはふえていきますよというところ高くなることがわかるかと思います。また、水道施設の健全度自体は、その前の27ページでみていただいたように、かなり低下していくということで、更新事業をの先送りすることは自体は施設の健全度の低下を招くとともに、世代間の負担の格差を大きくしていくというところが課題と考えております。施設の健全度を確保しつつ、更新需要の平準化、財源の確保を図るため、行っていく、めり張りをつけた形で、事業運営を行なうことが必要であると、28ページを整理いたしました。
31ページ以降はこれまでにお示ししたもので、34ページに東京都における水道施設の再構築の事例として、水道施設の再構築基本構想の素案をつけております。
以上が人口構造の変化による水道事業への影響の部分の説明になります。

○ 日水コン(榊原)
続きまして、35ページからですけれども、気候変動が水道事業に及ぼす影響についてご説明いたします。気候変動につきましては、主に気温と降水量と温室効果ガスの3点から整理をしてございます。
まず35ページですが、気温の経年変化ということで、1890年から2010年までの北半球と南半球の気温の平年差を出しておりますが、明らかに上昇傾向がみられるということで、100年当たり0.68度の割合で上昇しております。特に20世紀後半の北半球は、過去1,300年間のうちで最も高温であった可能性が高いということになっておりまして、温室効果ガスの増加がもたらしたということが指摘されております。
36ページは、猛暑日と熱帯夜と冬日の経年的な状況になっておりまして、猛暑日につきましても、熱帯夜につきましても、ここ10年、20年でかなりふえています。それから、冬日が少なくなってきているというような状況でございます。
以上の経年変化をもとに、37ページに気温の将来予測を載せております。左側の図は、黒が実績で、赤、黄緑、青が将来の推計になります。将来の推計、シミュレーションですので、さまざまなシナリオが考えられます。そのシナリオが、37ページの右に木の絵がありますけれども、経済成長の速度でA、B、それから、グローバル化の進展の度合いで1、2ということで、この2つを組み合わせたA2ですとか、A1ですとか、B1とかあるのですが、そのような組み合わせのもとでみてみますと、どういった組み合わせにおいても、将来、気温が上昇していくというような予測が出ております。
続きまして38ページは、降水量でございます。左側のグラフにございますように、ばらつきはありますが、ばらつきの変動幅が増大しているということがわかります。変動幅が増大するということは、渇水が起こるリスクと、逆に洪水が起こるリスクが同時に大きくなるということを示しております。特に38ページの右下のグラフをごらんいただきますと、大雨(日降水量100?以上)の日数が明らかにふえるという予測が出ております。
その予測結果ですが、下の39ページになっておりまして、今後、降水量が5%程度ふえるといわれておりまして、想定される水道への影響としましては、洪水の頻発による原水高濁度の頻度上昇、降水量の変動拡大に伴う洪水リスクと渇水リスクの上昇などが考えられます。
40ページは降水量の地域分布でございまして、特に地域的にみてみますと、北海道、東北の影響が大きいということです。これは温暖化によって、今までの寒冷地がだんだん暖かくなっていくということとも関係してくると思いますけれども、特に北のほうの影響が大きいということでございます。
ここで、別添の一枚紙の資料をごらんいただきたいので滝沢先生から直前にご提供いただきまして、タイトルが「土砂生産量の変化による上水道事業への影響(2090年代)」ということになっておりまして、このグラフは、大気循環モデルから降雨流出モデルによって求めた2090年の全国河川流域の土砂生産量の予測値を1990年と比較したということであります。黄色とオレンジが1990年代から増加する部分で、緑色が減少する部分ということです。円グラフがございますが、円グラフの大きさが各地方の需要者の人口になっておりまして、特に影響の大きい関東、近畿において、オレンジ色、あるいは黄色がかなりふえているということですので、土砂の生産量がふえてくるといったことの影響人口が今後、かなり出てくるだろうというような予測結果だということでご紹介をさせていただきます。
続きまして、戻っていただきまして、41ページ以降、温室効果ガスということで、41ページの下のグラフですけれども、年間の中で変動しながら次第に上がってきているということでございます。
温室効果ガスの将来の予測ですが、42ページにお示ししております。左側に将来の推計値がございまして、また同じように、シナリオごとに上昇する場合と、逆に下がる場合と、いろいろと考えられますが、シナリオによっては上昇する傾向があるというようなことになっております。
以上が気温と降水量と温室効果ガスです。
今度は、水のことで、43ページ以降が水質、水道との関係のことなのですが、まず43ページは原水水質の経年変化ということで、環境基準達成率の推移をお示ししております。上の緑色が河川、下の赤色が湖沼になっておりまして、直近の環境基準達成率は、河川が92.3%、湖沼が50%ということになっております。地下水につきましては一般に水質が良好でありますが、特に硝酸態窒素は毎年5%ぐらいは環境基準を超過しているというような状況になっております。
44ページですけれども、これは淀川の枚方大橋の窒素濃度の変遷を示したものでありまして、赤色がアンモニア態窒素です。かつて昭和30年代、40年代は、私たちの先輩の社員から聞くと、本当にアンモニアが高くて、10倍の塩素を入れますから、この場合、3?/リットルですので、30ppmの塩素を入れるというものすごい時代だったわけですけれども、その後、生活排水の処理が進んで、下水道の普及・整備が進んで、近年、淀川ではほとんどアンモニアは検出されないか、検出されたとしても、0.1とか0.2とか、そのようなところまで水質は確かに改善されていると思います。一方、その結果として、アンモニアが硝化された硝酸態窒素、硝酸は比較的安定していますので、その分、硝酸のほうに窒素が回っていったというような状況であります。
45ページは、想定される水道への影響ということで、一番上に地球温暖化というのがありまして、その下に3つございますけれども、降雨パターンの変化、気温上昇、水温上昇ということで、以下、さらに細分化された要素がぶら下がっているということです。
これを言葉でお示ししたのが46ページですけれども、これは科学院の浅見先生からご提供いただきまして、気候変動が水環境及び水道システムに及ぼす主な影響でございます。まず降水量ですと、降雪量の減少、雪解けの早期化、豪雨日数の増加、あとは渇水発生頻度の増大、濁水、病原微生物・有害化学物質の健康リスク、浄水場の冠水などといったキーワードが挙げられています。気温ですけれども、植物プランクトン、農薬散布量の増大、残留塩素、トリハロメタン、微生物の再増殖などといったキーワードが挙げられています。最後に、海面水位の上昇ということで、飲用井戸の塩水化などといったキーワードが挙げられております。
47ページは、資料として植物プランクトンの写真と簡単な説明を入れました。特に植物プランクトンは、水質基準でいきますと2-MIBとジェオスミンということで、10ng/リットルが水道水質基準として定められております。
一方、濁度ですけれども、48ページ、これは平成19年に北海道北見市で異常な高濁度が起こって断水を余儀なくされた事例でありまして、これぐらいの高濁度になりますと、なかなかほうっておいても沈殿しないような状況になるらしいのですが、1万5,000度ということで、通常をはるかに超えた高濁度が起きたということであります。
最後、49ページのスライドは、こうした気候変動に対して、国民と水道事業者がどういった意識をもっているかということで、気候変動が社会生活に及ぼす影響ということで、洪水、土砂災害、自然環境、生態系への影響などが挙げられていました。それから、水道事業体の方は、49ページの右側ですけれども、水道へ明らかに影響がある、あるいは水道へ影響があるかもしれないということで、合わせますと8割の事業体の方はそのように考えていらっしゃるということであります。
将来の事業環境ということで、ご説明は以上でございます。

○ 滝沢座長
ありがとうございました。人口、あるいは水事業と気候変動のことについてご説明いただきました。全国的な影響評価ということですので、個別の地域の影響評価ということにはまだなっておりませんけれども、何かお気づきの点はございますでしょうか。浅見さん。

○ 浅見構成員
いろいろな資料をまとめていただきましてありがとうございました。この間、要望させていただきましたように、人口の分布、地域ごとのものを出していただきまして、5ページから8ページにいろいろ図を塗っていただいたところなのですけれども、この図を拝見いたしまして、人口の変化というのが、急激に起こりそうなところとそうではないところで、地域によって非常に大きな差があるのを痛感いたしました。この色づけなのですけれども、これですと、人口が減るところが青い色になっているのですが、あと財政状況ですとか、今後の見通しを考えますと、逆に厳しいところのほうが赤くなっていくといいますか、全面がかなり厳しい状態になっていくのではないかなと思いますので、今後、いろいろ議論のもとにその辺がわかるような形にしていただけるといいなと思います。
9ページの下のところに市町村の財政力指数と地図に載っております人口指数の対比の図があるのですけれども、これを拝見いたしますと、指数で60以下のところに関しましては、財政力指数がほとんど0.5以下ということで、非常に厳しい状況のところは、さらに厳しい財政的な状況にあるということになると思います。人口のことと、財政のことと、水道事業の恐らく起債の残高ですとか、事業としての財政をあわせてみていくと、どういうところがどういう状況になるのかというのは全体的にみえてくるかなと思いますので、今後もそのような解析をしていただけるといいなと思います。
あと22ページ以降の更新需要の算定のところで試算をしていただいたのですけれども、私の理解が正しければなのですが、大臣認可のところの数値をもとにして全体を予測されたということだと伺いましたので、そうしますと、全体的にかなり楽観的になっている可能性があるのかなという気がいたします。大臣認可のところは、かなり状況がましなところが多いと思いますので、それをもって全体を予測してしまうと、ちょっと見落としてしまう点が出てくるのではないかという気もいたしますので、杞憂だったらいいのですけれども、教えていただければと思います。

○ 滝沢座長
後半のご質問の回答をお願いします。

○ 日水コン(福原)
データとしては、大臣認可を対象としています。ですので、確かにご指摘のとおり小規模な水道が含まれていませんので、施設の整備効率がいいところで積上げ、水量比で全国値に換算しましたので、そういう意味合いはあるかと思います。ただし、ご報告した内容とは別に、従来のBY法による建設投資額から推計方法と照らし合わせて、大きな差はないといったところもあわせて確認はしてございます。規模の影響がどの程度あるかについては、これからの検討課題で、次回以降の特定テーマの中で随時お出ししていきたいと考えております。その中であわせて今のご指摘も検証させていただきたいと思います。

○ 滝沢座長
ありがとうございます。平田さん、どうぞ。

○ 平田構成員
感想になってしまうのですけれども、この資料を拝見させていただいて、少子化が水道の収益の減少になっているということを知って、全くこういったことを考えたことがなかったので、非常に驚きました。今後、少子化で水道を利用する人口が減ってしまうということと、施設の老朽化で、これを直していくような費用ですとか、どんどん水道料金に影響するということを国民に示す必要があるのではないかなと思います。私の周りの人に水道料金のことを聞いてみたときも、単純に高いと思っている方が多いのですけれども、こういったことが原因にあるとか、あとは環境の変化も原因になるということも示していく必要があるのかなと思いました。

○ 滝沢座長
ありがとうございます。木暮さん、どうぞ。

○ 木暮構成員
今、事務局のほうで将来の事業環境ということで説明していただいたのですけれども、まさに、こういったことが日本の水道のこれからのすべてをあらわしていることであって、特に規模の小さいところとか、中くらいのところといってしまうと失礼なのですが、今、説明していただいたようなことを事業管理者なり議会なりに説明して、収益が下がる中で料金を決めていかなければならないのです。そういった中で、きょうの資料のどこかにありましたが、長期的な見通しを立てずに単純に料金を決定してしまうところが見受けられます。料金の変更は行政に対しては事後の届け出ということで、国に対しても都道府県に対しても改訂後に報告が出てきているのですが、その辺で、認可とか許可といったところは無理なことではあるかもしれませんが、ある程度意見を聞くとか、そういったことが事前に必要があるのかなと感じています。私も都道府県にいまして、決まってから、下げましたという届け出が出て、そんな事業運営状況で何で下げてしまうのかというようなことが多々あるようなところです。国からも大臣認可ではそういうところは少ないかもしれませんが、料金改定の実態を十分に把握していただければいいのかなと感じているところでございます。

○ 滝沢座長
よろしいでしょうか。ほかに。どうぞ。

○ 岡部構成員
更新のグラフ、ページでいいますと23ページ以降のところですけれども、左のグラフをみますと、今から40年前とかは、例えば1兆2,000億とか、高いところでは1兆8,000億ぐらい投資しているということですよね。その次に、法定耐用年数で更新した場合と、1.25倍と、1.5倍とあるのですけれども、これをみていますと、例えばずっと先送りしたとしても、26ページですと、1.5倍で先送りしても、将来的には1兆円ぐらいの投資で済むというグラフになっているのです。1つは、このあたりのアセットマネジメントの水道統計のデータからきているのかもしれませんが、どうなっているのか確認していただきたいなという話と、また、このシミュレーションが2050年までということなので、どうしても更新した効果がみえない形のグラフになっています。あと、1.5倍といいますけれども、例えば法定耐用年数40年であれば、塩ビ管等であれば60年もつと仮定していることになりますが、本当にもつのか疑問です。これから老朽管の更新とかが問題になるといっている割には、このグラフをみていると余り問題ないのではないか、先送りしたらいいのではないかと思えるので、もう少し実態に即した、何が問題かをもっと浮き彫りにしていただきたい。今後の議論にも大きく関係してくることなので、お願いしたいと思います。

○ 滝沢座長
今回は全国バージョンの集計ということですが、今後、より具体的な議論をする際に、ただいまのコメントも参考にしていただければと思います。ありがとうございます。
長岡先生、どうぞ。

○ 長岡構成員
非常にいろいろな資料をありがとうございました。まず15ページ、地下水専用水道なのですが、件数がふえているというのはわかるのですが、水量とか、実際の減少した料金収入とか、全国的なデータもしあるのであれば、その影響度というのが明確にわかるので、そういう資料があればありがたいかなと思います。
それから、浅見先生がご用意いただいたというので恐縮なのですが、46ページなのですけれども、気候変動がいろいろ影響を及ぼすというのは非常によく理解できるのですが、どうも項目が多過ぎて、どれが影響が大きいのか、どれがそうでもないのかというのがちょっとわからないような気がします。別のところでそういう資料があるかもしれませんが、めり張りをつけて、何が本当に重要なのかというところがわかるような形の資料があると、今後の議論の参考になるかなと思いました。

○ 滝沢座長
ありがとうございます。どうぞ。

○ 木暮構成員
今のに関連して、43ページの原水水質の経年変化ということで、確かに水循環が健全化したことによって、公共水域の水質も改善されておりますし、地下水の水質も一部にはいろいろ問題があるところもありますが、一般的に良好だという概念があります。一般的に環境基準を達成しているから水がきれいになって、水道も楽になったという見方をされる場合が多いかと思うのですけれども、水道原水としてみた場合にはそうでもない物質もあるわけで、そういったところも主張しておかないと、一般的に水がきれいになっているから浄水処理も楽になったよね、というようにとらえられてしまうのかなというのが1つ感じるところではございます。

○ 滝沢座長
ありがとうございます。ほかにお気づきの点はございますか。よろしいですか。
それでは、次の項目に進みたいと思います。特定テーマ1につきまして、今、ご説明並びにご意見をいただきましたけれども、次の特定テーマ2、住民等との連携という項目に進みたいと思います。まず事務局からご説明をお願いいたします。

○ 日水コン(榊原)
それでは、資料—5、住民等との連携についてご説明をいたします。サブタイトルがついておりまして、1ページの目次のところにありますが、「住民参加型による水道事業運営のあり方について議論するための情報」でございます。
まず2ページ目をごらんいただきたいと思います。連携の必要性、目的ということで、今回、この資料を事務局としてつくるに当たりまして考えましたのが、連携とは一体何なのだろうか、それから、連携をして一体何をするのかなということをいろいろ考えまして、とりあえずは今やっていることを整理していこうと考えました。これは事務局としての全般的なご説明の資料になっておりまして、この後、横浜市さんと矢巾町さんから、その答えの1つをお聞かせいただけるのかなと考えております。
まず箇条書きですけれども、水道事業を取り巻く将来の事業環境を踏まえると、水道事業の現状や課題を住民等へ正しく伝えることで、認識の共有化を図る必要があるのではないか。また、水道事業が抱える問題に対処していく上で、「住民等との連携」が1つのキーワードになるのではないかということであります。
3ページにステークホルダーということで、特に水道事業者を中心として、どういった方々が関係者としているのかということで、一番上に住民を示しておりますけれども、そこから左回りで、学校、首長・議会、用水供給、国・都道府県、研究機関・協会、民間企業、給水装置工事業者、専用水道設置者、貯水槽水道設置者などとなっております。
それぞれのつながりの中で、一体どういったやりとりがあるのかということで、4ページの表にお示ししておりますが、一番左の列に、住民、学校、首長・議会などステークホルダーが並んでおりまして、そのかかわりということで、水道事業者から各関係者へのかかわり、逆に各関係者から水道事業者へのかかわり、双方向のかかわりということで整理をしております。特に今回は、水道事業者と住民を中心に情報を整理いたしました。
5ページに水道法の第24条の2と施行規則第17条の2を示しておりますが、まず上のほうですけれども、水道事業者は、水道の需要者に対し、水質検査の結果その他水道事業に関する情報を提供しなければならないということで、水道法の中でも情報提供というものがうたわれております。それから、施行規則のほうですと、情報提供の中身ですが、一番が水質検査の結果、2番が水道事業の実施体制、3番が水道施設の整備その他水道事業に要する費用、4番が、水道料金その他需要者の負担に関する事項などとなっております。
6ページをごらんいただきたいと思います。これは連携ということを考えていく上で、まずは水道事業というものを住民の方によく知っていただく必要があるのではないかということから発想しまして、水道といったものがどういった役割を果たしてきたかということを正確に伝える必要があるのかなということで、たたき台ですけれども、1940~1950年代からずっと水道が普及してきたころは、当初は水系の消化器系伝染病患者数を抑えるという公衆衛生の向上ということから始まりまして、水道普及がずっと進んでまいりました。水道もかなり普及してきたところで、渇水というのもありましたし、あるいは水源の汚濁などもあって、水道水に対するにおいとかが生じて、飲まなくなってきました。そのあたりから高度浄水処理が入ってきたりですとか、需要者の方々は独自に水道の水を飲まないで、浄水器ですとかミネラルウォーターを飲まれるようになったといったような流れがございます。
7ページですけれども、これはよく出てくるグラフですが、水道の整備率と水系伝染病患者数の推移ということで、水道の普及率の上昇と、コレラですとか腸チフスといった消化器系伝染病患者の数というのは、明らかに水道の普及によって、こういったものが抑えられてきたということで、公衆衛生の向上に果たす水道の役割は非常に大きいということであります。やはりこういったことも、住民の方へ正確にお伝えする必要があるのではないかと考えます。
関連しますが、8ページに世界の水道水の現状を示しておりますが、日本は水道の水をそのまま飲める数少ない国の1つであるということも、日本の水道技術をPRしていく必要があるのかなと考えます。
今まで水質の話でしたけれども、安全性ということから見てみますと、鉛管も依然として問題になっているということで、9ページですが、日本全国でまだ7,500kmの鉛製給水管が残存しているということで、その把握状況ですとか、まだ設置している方たちに対して、鉛管の布設がえに対して広報を実施しているかとか、10ページですけれども、布設がえの計画ですとか起債制度、あるいは助成制度、融資などを行っているかといった取り組みについてお示ししております。こういったこともPRすべき情報の1つとして、情報の1つとして挙げられるということです。
ここまでが水道が果たしてきたことですが、水道に対して一般の方がどういったニーズを持っているかということで、12ページのニーズの多様化ということで、水とかかわる豊かな暮らしに関する意識、ふだんの水の飲み方お示ししております。左のほうですと、安心して水が飲める暮らし80%、おいしい水が飲める暮らし47.2%など、安全でおいしい水に対する国民の関心は高いということがいえます。それから、特に措置を講じずに水道水をそのまま飲んでいる37.5%、浄水器を設置して水道水を飲んでいる32%、ミネラルウォーター29.6%ということで、蛇口の水をちゃんと飲んでいる方もいますけれども、浄水器、ミネラルウォーターもそれに近いぐらいで飲んでいるような状況です。
13ページはよくみるグラフですけれども、ミネラルウォーターとカートリッジの出荷台数の推移をお示ししております。
水道が果たしてきた役割ということで、公衆衛生の向上から人々の水道に対するニーズが変わってきて、それに対して水道はどのように受けとめてやってきたかということを14ページにお示ししております。1970年以降、活性炭、オゾン、生物処理といった高度浄水を導入して、14ページのように異臭味被害の減少にも相当程度寄与してきたということであります。
あるいは15ページにありますけれども、日本の水道水質基準よりも厳しい基準ではないのですが、目標値を独自に定めて、日々取り組んでいらっしゃる東京都、千葉県、横浜市、大阪市、福岡市、これはほんの一例ですけれども、独自にやられています。
あるいは16ページ、お客様と協働した取り組みということで、モニター制度を設けまして、毎日、残留塩素ですとか水温、濁り、色、においなどといったものをお客様にはかっていただいて、それをまとめて日々の水質管理に生かしているといったような取り組み、ウォーターメイトということで、16ページ、17ページにお示ししております。
18ページ、安全でおいしい水プロジェクトということで、これは東京都水道局ですけれども、キャラバン隊ということで、この後、アンケート結果のほうでも出てきますが、水道水に対する満足度というのは、やはり若い世代のほうが満足度は余り高くない状況にあります。ということは、ポイントとしては、子供たちに対して水道水をもっとアピールしていくということが必要になると思われます。小学4~6年生に対して、水道局が出かけていって、水道のことを伝えているといった取り組みがあります。
それから、水質だけではなく、災害時の対応ということで、19ページの応急給水の訓練を一緒にやったりですとか、20ページにも書いてありますけれども、こういったことも水道はやってきているということであります。
21ページは、事業運営や経営状況等に対するPRということで、柏市の水道の広報紙を載せております。老朽管の更新をしていますということです。老朽管の更新については意外と水道からPRをしていないという結果が、もうちょっと後で出てくるのですが、耐震化もやはりお金がかかる事業ですので、需要者の方の理解を得るためには、こういったこともしていく必要があるのではないかということであります。
22ページはパンフレットの一例ということで、環境報告書を載せております。水道事業体のホームページは最近すごくきれいに、キャラクターなども出して、読みやすく、親しみやすくなっていますけれども、その一例でございます。
23ページ、データ放送や携帯電話による情報発信ということで、1回目の検討会のときに木暮構成員から、データ通信のようなお話がございましたけれども、ちょっと調べさせていただきまして、埼玉県のテレビを使ったデータ放送の話と、千葉県水道局さんの携帯による災害情報、あと横浜市さんの情報を載せておりまして、水道事業体や行政による広報手段としては、広報紙やウエブサイトのほか、携帯電話やテレビのデータ放送など、多様化が進みつつあるということであります。
あとは24ページ、学校での出前講座といったこともやられているということです。
こういったさまざまなことをやっていく上で、財源の確保ということがどうしてもかかわってくるということで、先ほど平田構成員から、こういったことをもっとPRするべきではないかというお話をいただきましたけれども、25ページの新聞記事は、料金改定をこの1年間に行った133事業体のうち、約4割に当たります54事業体が料金の値下げを行ったということです。これにつきましては、更新財源の確保が懸念されるということでありまして、単に下げるということではなくて、水道の問題、今後生じるであろう課題を説明した上で、もう少し考えていくべきではないかといったようなことであります。
このようなことを踏まえて26ページにもう一度、この絵をもってきております。先ほどと違うのは、将来というのが一番右側に入っているのですけれども、一般の方は水道料金は安いにこしたことはないと。ですけれども、多様化するニーズにこたえるため、あるいは将来の事業環境がこれだけ悪化することが目にみえているということを想定しますと、財源の確保といったことを伝えていく必要があるのかなということで、的確に住民等のニーズを把握するとともに、必要な財源を確保するためにも、住民等との連携が必要不可欠ということでまとめさせていただきました。
27ページ以降は、水道事業者による情報提供と需要者ニーズの現状ということで、ニーズに関する既往の調査のとりまとめと、先ほど辻からご説明いたしましたが、追加調査の中身になっております。ざっと報告させていただきます。27ページは需要者ニーズを把握する取り組みということで、?の審議会、検討会、あるいは?のイベント、討論会、浄水場見学などが挙がっております。
28ページですけれども、需要者への情報提供の有無ということで、緑色の濃いほうが情報提供をやっているということで、?水質検査計画、?水道料金、このあたりは割とやっているのですが、?災害、水質事故の危機管理、?耐震性能、耐震化、?断水発生時の応急給水など、こういった一連の危機管理については情報提供が少ないということが明らかになっております。続きまして、28ページの横は情報提供の方法ということで、ホームページによる提供が多いということです。
29ページですけれども、広報の組織体制ということで、日水協の調査結果を引用させていただいておりますが、広報の専門部署をもっている事業体は全体の7.4%ということで、給水人口50万人以上でみた場合でも32%程度になっております。広報のメディアとしましてはホームページ、広報紙が多く、あとは検針票、水道広報紙となっております。
30ページ、広報の予算についてですけれども、46.7%の事業体で予算がないという回答をされております。規模別にみると、人口規模が小さいほど予算がないということです。
31ページ、広報の効果ですけれども、日水協の調査報告によるものですが、測定効果を行っている事業体は少ないということが明らかであります。
32ページ以降が先ほどご説明いたしました追加調査の結果になっております。まず32ページは、情報提供を実施している事業体は、水道モニター制度、満足度調査、イベント等によるヒアリングを行っているということです。アンケートを実施している事業体の約8割は水道水の安全性、おいしさに関する満足度を調査しております。
33ページ、情報提供の効果の把握については、お客様サービス(?)の改善への活用が最も多いということです。あと専門部署については、専門部署を設置している事業体は少ないということです。あとは、より効果的な情報提供を実施するために必要なものということで、事例等の知見、あるいは職員の確保といったことが挙げられていました。
34ページは満足度調査ということで、東京都、京都市の事例ですけれども、年齢別、男女別に色分けをしております。まず男性と女性で比較しますと、女性のほうが安全性に対する評価は低い。年齢別にみますと、年齢が低いほど安全性に対する評価が低いということですので、女性や若い世代への水道に関する教育が重要ということであります。
35ページの満足度調査、これは水道水のおいしさについてですけれども、同様の傾向がみられております。
36ページは東京都さんですけれども、満足度と期待度をこのような散布図で示して、両者に相関関係がみられるということですので、満足度を高めるために期待度を上げることができるのではないかといったような解析、検討がされているということです。
37ページは満足度調査の事例ということで、どういったことを知りたいかということですけれども、水質検査結果、断水・渇水の情報、安全でおいしい水への取り組み、災害対策への取り組みなどとなっております。
38ページは、また水道について知りたい情報ということで、水質、災害対策、水源などです。これは横浜市さんです。北九州市さんでは、水道の水質、水道料金などとなっております。
最後、39ページは、情報の入手方法ということで、新聞、お知らせの裏面を使ったもの、仙台市さんですと市政だより、広報紙などになっておりまして、やはりこういった紙の媒体によるニーズが高いということがわかりました。
40ページは、以上のことを文章でまとめております。
住民等との連携につきましては、事務局からは以上でございます。

○ 滝沢座長
この後、続いて2つのご報告をお伺いした後にまとめて討議をしたいと思います。まず第1番目の事例につきまして、横浜市から清塚さんにお越しいただいておりますので、パワーポイントを使ってご説明をいただきたいと思います。よろしくお願いします。

○ 清塚浄水部長(横浜市水道局)
横浜市の清塚でございます。どうぞよろしくお願いいたします。本日はこういう機会を与えていただいてありがとうございます。
今、パソコンの調子が悪いので、スクリーンに映写出来そうでないので、お手元の資料をごらんいただけますでしょうか。資料—6、それと参考資料—1がついてございます。これから画面に出す予定であったものはその資料がほとんどでございます。ただ一部、個人の顔とかが映っているのがありプライバシーの問題がありますので、印刷はしておりませんことをご承知おきいただければと思います。
先ほど事務局からもありましたけれども、横浜市では住民のアンケートをやったりとか、そういうものが主なのでございますけれども、いろいろやっております。本日は主に24年度の横浜市の水道局の予算の概要の中から、住民とのかかわり合いが強いもの、お客様に対して行っているもの、こういったものを中心にご説明をしていきたいと思います。
資料—6の2をごらんください。こちらにありますように、横浜市の施策の体系といたしましては、3本の柱をつくってございます。安全・安心な水、信頼のサービス、環境への貢献、簡単に表現いたしますと「あん・しん・かん」という語呂を使って、こういったところで親しみをもっていただければと思っています。
本日話す中身がその下次のスライドでございまして、まず安全・安心な水としては、トップレベルの安全でおいしい水、これは水源林の話とか、塩素の注入量とか、独自の水質目標、こういったものが含まれます。あと、蛇口にいつでも新鮮な水という項目では、直結給水の拡大とか、子供たちへの水道水を直接飲む文化をはぐくむ事業なども行っております。3番目の、災害に強い信頼のライフラインとしては、老朽管の更新等もありますし、災害対策の関係の説明もあります。
次のスライドですが、環境にやさしい水道システムということで、市民ボランティアとの協働とか、エコプロジェクトなども行ってございます。環境教育もやっています。
そして、信頼のサービスといたしましては、お客様の満足度を高めるというところで、応急給水対策の強化とか、おいしい水検定、水のマイスター制度、出前水道教室などを行ってございます。
1ページおめくりください。横浜市の水源の状況でございますが、横浜市では市内に水源がございません。ですので、市外にも水源林というのをもっております。一番左の上のところに道志川系統というのが四角く囲ってございますが、山梨県の道志村に横浜市は水源林をもっております。下の絵をみていただきますと、涵養林の状況でございます。黄色ではなくて、緑と濃い緑のところ、ここが横浜市が道志村にもっている水源林でございまして、濃いほうが人工林、薄いほうが天然林です。実はこれは道志村の36%になるというようなところでございます。上の絵に戻っていただきたいのですけれども、道志川水系の水が流れてきて、鮑子取水堰というのがあるのですが、こちらでとった水が川井浄水場、西谷浄水場、市内の3浄水場のうちの2つの浄水場に流れてきます。あと、相模湖の水も西谷浄水場に流れてくる。自然流下でこのようになるわけでございまして、上流にある水源林がかなり重要ということになります。
次の6—8をみていただきますと、水源林の整備体系というのがございます。実は道志村の水源林全体を自分たちだけでやると、非常にお金もかかります。水源林を3つに分けてございます。横浜市の保有と民有林、その他の公有林ということで、この中で横浜市の保有林につきましては、計画的な整備も大正8年からやっております。そのほかに水源エコプロジェクト、これは後で説明いたします。あと、民有林につきましてはボランティア事業ですとか、ふるさと道志の森基金、こういったものを使って整備を進めているところでございます。民有林とその他の公有林につきましては、道志村が直接やっているという内容でございます。
1枚めくっていただいて6—10でございます。まず市有林の整備につきましては、ちゃんと10年ごとに管理計画をつくりまして整備してございます。水源涵養林をちゃんと管理していくということで、複層林化とか、針葉樹と広葉樹をまぜていく混交林、というようなこともやってございます。あと、できるだけ水源林の機能を充実するということで、自然の推移に任せて、余り手を入れないという整備を行っております。
この中で、次の水源エコプロジェクトにつきましては、水道局だけで整備を行うのではなく、企業とか団体の皆様と協働で横浜市の水源林の涵養林を整備していこうというところで、PRをやっているものでございます。3年以上で整備する費用を寄附していただいて、その森を使っていただいて、職員・社員の研修などを整備を行っていただくというようなところが主なものでございます。
次のページの6—12をごらんください。ここにありますように、それなりの有名な企業もあると思います。こういったところの企業の方々に3~5年程度の整備期間のお金を払っていただいて整備を進めているということで、72.4ヘクタールの整備行っております。下の図でございますけれども、大体このような状況で作業を行っておりますという写真でございます。
続きまして、民有林の整備でございます。これは村民の方がもっている林でございますけれども、結局はそこに降った雨も横浜市の水源として入ってくるというところで、我々も何かしなければいけないと考えてございます。
次をみていただくとわかるのですけれども、水のふるさと道志の森基金というのをつくりまして、市民・企業からの寄附を受けています。これが5年間で2,000万円ほどになります。あと、ペットボトル「はまっ子どうし」というのを売っておりますけれども、こちらの売り上げの一部を基金のほうに入れているということで、これも5年間で約1,600万円。この資金を使いまして、道志水源林ボランティア事業というのをやってございます。延べ9,751人で42.6ヘクタールになってございます。今ですと、年15回程度、現地に行っていただいて、延べ約1,000名の方で整備していただいております。これらの活動には、場所が山梨県の道志村ということで交通費の補助が必要ですし、道具の補助などに費用が、必要でございますので、そういったところに今言ったお金を使っているというところになります。
次に6—16でございます。話は変わりますが、貯水槽水道の点検でございます。もう皆様ご存じと思いますので、余り細かくいう必要はないのかもしれませんが、小規模の受水槽の整備がうまくいっていないケースがあるというところがございます。我々が心配していたのは、8立米以下のところにつきましては、特に今まで明確に検査をしなさいというようなところがなかったものですから、この辺のところをチェックしなければいけないと思っておりました。
22年度末の施設でございますけれども、横浜市の1つの例として、専用水道、小規模受水槽を合わせまして1万8,000弱ぐらいの数がございます。
こういったものを何とかしなければいけないというので、次のページの6—18でございますように、衛生行政と水の供給者である水道事業者がタッグを組んでやらなければいけないと考えておりまして、水道事業者と連携した取り組みの強化を衛生行政にお願いして、地域の実情に応じた積極的な関与を行うということでございます。
その下に条文がありまして、我々水道事業者は指導、助言を行って、水質検査を行って、その結果を通知していくということで、設置者はしっかりと管理をしてくださいという中身になってございます。
6—20でございます。実際、この件は専任の職員をおきましてチェックしてまいりました。18年度から22年度末で一応、全部で2万ヵ所を超える数をチェックしてございます。これは2回行くところもありますので、やはり数が多くなるというところもございます。あと、最初は受水槽でしたけれども、今度は直結に変えたみたいなものもありますので、このような数字になっています。
巡回点検の結果からいきますと、図の下にありますように、20年度800ヵ所ぐらいだったのが、22年度は少しずつ減ってきている。これは前の年度で悪かったところをもう一回行ったりしてきました、ので、少しずつ改善していくという成果でございます。
あと、先ほど給水装置の関係もございましたけれども、横浜市では表彰制度というのを行ってございます。6—22をごらんください。こちらにつきましては、実際、工事等を実施していただきまして、優秀な方を表彰しようという中身でございます。具体的にいきますと、継続して5年以上の工事を実績としてもっていること、あと、施工内容が一定の標準を超えているというところを表彰しております。過去から実施しておりますので、累計としては468事業者、これは複数回表彰を受けるところもございますので、このような数字になってございます。
次に老朽管更新の話に移りたいと思います。横浜市は今年で125年という歴史をもっておりまして、過去のいろいろな経験とかデータがございます。今までも平成12年から10年間かけまして、老朽管の改良を行ってまいりました。821キロはほぼ終わっておりますので、23年から新しい計画をスタートしております。これは対象1,100キロを年間110キロで更新していこうという中身でございます。
先ほど法定耐用年数という話が出ていたと思います。長い経験がございますので、かなり法定耐用年数を超えて使用できる管があることを承知しております。6—24をみていただきますと、法定耐用年数を超える耐用年数を使ってございます。一般的な昔の古い鋳鉄管でいきますと50年とか40年、こういった年数でございますけれども、例えば鋼管でしたら60年ぐらいは使えるであろう。あと、ダクタイル鋳鉄管につきましては、ポリエチレンスリーブがないものについては70年、ポリエチレンスリーブがあるものについては80年ぐらいもつのではないかなと考えてございます。
想定耐用年数と呼んでいるのです。……ようやくパソコンが動きましたので、こちらを使いまして話を続けたいと思います。
(パワーポイント)
 想定耐用年数につきまして、60年とか70年、80年、これを入れていきますと、このような形になります。これですと、今、私がいった毎年の更新が110キロではどうにも間に合わなくなります。
(パワーポイント)
 そこで考えたのがこちらでございます。横浜市は腐食性土壌というのがありまして、管をポリエチレンスリーブなしに布設すると、管が腐食して穴があいて水を噴き上げる。このような現象がありますので、腐食性土壌に埋設された管につきましては少し前倒しいたしましょうとか、管路診断をやって、健全度を判断しながら、少し前倒しをするものとか、後に送るもの、こういったことを行うことで平準化が図れるのではないかと考えました。
(パワーポイント)
 、以上の考え方を適用しますと実はこのようなグラフになりまして、結局、年間110キロメートル更新すれば問題無いということになりました。これで平準化ができていって、さらに耐用年数が長い管ができてきたら、また耐用年数が延びてくるということを考えておりますので、我々としてはこれで平準化が十分できるのではと考えてございます。
(パワーポイント)
 次に住民との関係をご説明します多分どこの事業体も小学校4年生をターゲットに水道事業の説明を行っていると思うのですが、我々は形を変えてみまして、中学生をターゲットにして事業を行いました。これは市内に自然科学系の部活動を実施しいる中学校がございますので、そこの2校の生徒さんに「水を学ぶ」ということを昨年度実施したものです。
(パワーポイント)
水を学ぶ機会を与えて、小学生よりも中学校だったらもっとよく覚えていていただけるのかなというところが着目点です。
(パワーポイント)
 実はこれは水道局だけで実施したものではございません。一緒に水を考えるというところで、ファンケルさんにリーダーになっていただいて、株式会社スタジオゲンクマガイさんがデザインを、資料の印刷は富士ゼロックスさんが。あと、我々だけではなくて、実践女子大の学生さんにもお手伝いいただいて、産・学・公の連携といったようなプログラムで、実施してまいりました。
(パワーポイント)
 ここにありますように、水道の歴史から水源林の役割、技術、世界の水事情について、6回勉強いたしました。最終回となる12月16日に水道局の業務改善大会通称「はまピョンカップ」というものなのですけれども、こちらで活動報告を行って、修了証の授与を行っております。
(パワーポイント)
 お手元の資料には含まれておりませんが、実際の活動内容の写真がこのスライドです。このような感じで、いろいろなところに行って、実験をする、話をする、水道局の施設とか、なかなか普段ではみられないようなことも実施しました。最後の写真は「はまピョンカップ」での修了証授与式の模様ですが、、このように中学生の方々に水道を勉強していただくというようなことも行っております。
(パワーポイント)
 「よこはまのおいしい水検定」も実施してございます。小学生を中心とした対象でまずスタートしました。これは単に施設見学で水道施設を見学に来られる小学生は4年生が中心ですが、その方々にもう少し調べていただくと回答できる問題で構成されております。実はほとんどホームページ、またはパンフレットに出ている問題が中心でございます。一昨年から3級でスタートしています。3級は、22年度が約2,000人、23年度が4,500人ほど受けていただいています。
(パワーポイント)
 あわせて、昨年は2級をやりました。これはもう少し幅広い知識を知っていただくということで、実施してございます。あと、24年度は1級を実施するということを考えておりまして、小学生がだんだん成長していく中で、最後には1級まで受けていただければと思っています。
(パワーポイント)
 これが会場の写真です。横浜市立大学の教室をお借りして実施しました。受験者には抽選で各種のグッズなどが当たります。これはサッカーJ2横浜FCの奥寺さんなのですけれども、抽選をお手伝いいただいている写真です。このような方法でちょっと魅力をつくってございます。
(パワーポイント)
 次に大体どこでもやっているのかなと思いますが、出前水道教室もやっております。これは小学校4年生が水道を学ぶ、そして浄水場をみていただくことを実施しております。そのほかに、こちらに写真があるように、水道局の職員が学校に伺い水道の実験を行ったり、水道施設の説明を行ったり、することで水道をPRしているというものでございます。
(パワーポイント)
 実際の講座の内容ですけれども、授業の一部をお借りしておりますので、いただける時間とかが限りがあります。具体的には、水道の講座ということで、水道水が蛇口まで届く仕組みとか、ろ過実験を通して実際に水がきれいになる過程を見ていただく、きき水、こういったものでございます。
(パワーポイント)
 次に実績でございます。出前水道教室が小学生対象でございまして、1万5,000~6,000ぐらい。出前水道講座は一般の方も一緒に参加いただいておりますけれども、1,000~2,000の間ぐらい。トータルとして1万7,000人ぐらいの人々に聞いていただいてございます。
(パワーポイント)
 幅広い知識も重要ですけれども、我々としてはもう少し具体的に深く水道を知っていただこうということで、本委員会の委員の平田さんにもご協力いただいている水のマイスターがございます。実は、いろいろアンケートを取ってみますともっと水道を知りたいという方がいらっしゃるのです。そういった方により深く水道についていろいろ知っていただこうという趣旨でやっておりまして、市民の立場から水と水道についてのメッセージを発信していただきたいという中身でございます。
(パワーポイント)
 実はこれはポイント制になっておりまして、講義等を3回受けていただき1ポイント差し上げます。1年間活動いただいて5ポイントとっていただくと、星を1つ差し上げるという形で、毎年1個ずつ星がふえていって、最短5年間で五つ星のマイスターになっていただくというような中身でございます。
(パワーポイント)
 マイスターの活動には3種類ございます。まず第1が講座などに参加していただいて、知っていただくということで、水道に関する講習会もありますけれども、JICAに関係した横浜市の講演会を聞いていただく、あと水回りのお手入れのセミナーをやる、または横浜市の研究発表会を聞いていただく、こういった中身がございます。
(パワーポイント)
 その次はイベント活動などに参加していただいて、子供たちを対象にろ過実験やきき水などを通して水の大切さを教えていただくとか、職員が行うのではなく市民の目線で、お客様の目線でみて、水道事業のこのような部分がおもしろいというようなところを発信していただくような活動を実施していただいております。
(パワーポイント)
 最終的には活動レポートを執筆していただいて、いろいろなところに発信するものでございます。
(パワーポイント)
 先ほど話がございましたが、市民との協働による応急給水訓練も実施してございます。東日本大震災を経験して、我々が、もっとちゃんとPRしなければいけないなと思っているのがこちらでございます。震災時には水道局が水を運搬してきてくれるだろうというところがあると思います。東日本大震災の経験からいくと、横浜市でも給水車が19台しかありませんので、なかなか水道局単独での運搬給水は難しいと考えております。市内134カ所に地下タンクを設置しておりますが、市民の皆様に協力いただいて水を出すことが必要であると考えています。水道局の職員はとてもではないけれども、134ヵ所全部行くわけにいきません。そうしますと訓練によりすぐ近くにお住まいの方に作業を覚えていただくことが必要になります。そこで、お客様に訓練をしていただいて、震災時には水を出す訓練を実施してございます。
(パワーポイント)
 実際の、訓練の内容でございますけれども、ここにありますように、毎年178回とか184回、200回弱やっておりまして、参加者も2万8,000人ぐらいです。具体的には応急給水機材の組み立てを実施していただき、自分たちで水を出す経験をしていただいております。ですから、いざとなったときには訓練を思い出し対応していただきたいと思っております。
(パワーポイント)
 資料には添付してございませんが、この写真をご覧ください。小学生とか幼稚園児、ボランティアの方々に実際に施設に来ていただいて、学校などの防災の運営委員会の方々に給水していただくという訓練をやってございます。
 雑駁になってしまいましたけれども、以上で発表を終わります。どうもありがとうございました。

○ 滝沢座長
清塚さん、ありがとうございました。質疑はまとめて後ほどお願いしたいと思います。
続きまして、矢巾町の吉岡さん、お願いいたします。

○ 吉岡構成員
改めまして、矢巾町上下水道課の吉岡と申します。
(パワーポイント)
 きょうは特定テーマ2、住民との連携ということですが、私は「矢巾町水道事業の住民参加—地域で支える水道事業の構築を目指して—」という題で発表させていただきます。私ども、住民参加で地域水道ビジョンの改訂を進めてまいりました。その中ではすべてが手探りの状態での取り組みだったわけですけれども、どんな経験をして、どのように考えて、住民との連携がどのようなものだったのかということについて、きょうは発表したいと思います。
(パワーポイント)
 まず、これまでの関係、水道事業の現場のプレイヤーを、技術系職員、事務系職員、そして住民ということで考えてみたいと思います。技術系職員は納得いく水道システムを構築したいという思いで、改良計画であるとか、拡張事業計画、維持管理計画、修繕計画というものについて取り組んできています。対しまして事務系職員は、厳しさを増す水道財政状況から、先立つ財源がないわけですから、経営計画であるとか、財政計画、そして集中改革プランに取り組んできました。どちらかというと、やりたいことがある技術系職員の仕事、そして、厳しい財政状態でそれを許すことができない事務系職員という、目にみえない対立があったと思います。ただ、これは水道ビジョンとか地域水道ビジョンが策定されて、組織内であるべき姿が共有されて、大分解消されてきたのではないかなと思います。ではどうでしょう。もう1つのプレイヤーである住民、ここは相変わらず蛇口をひねれば水道は普通に出てきます。そうすると、役所の中でどんなことが起きているかということには全くお構いなしで、意識しないでそのまま使っているという現状があります。
(パワーポイント)
 矢巾町では平成18年に水道ビジョンを策定しました。それ以降、これまでこのような認識をもっていました。水道はあって当たり前のインフラです。通常時、余り意識される存在ではありません。まして耐震化や更新のように、効果が目にみえにくい政策については、なかなか理解されにくいという現状があります。当然、耐震化や更新には多くの財源が必要になってきますので、水道料金の値上げが必要になる場面も出てくる。ところが、水道料金の値上げも理解を得るのが難しい。結局のところ、役所だけでやることを決めても、その思いはなかなか達成することができない。まして、水道政策を実効的に展開するためには住民の理解が不可欠ではないかなという認識をもっていました。そこで、矢巾町では住民を巻き込んだ地域水道ビジョンの策定ということに取り組んできたわけです。
(パワーポイント)
 これが、そうしてでき上がった矢巾町の地域水道ビジョンの概要と目指すべき姿、アウトカムとしての「大好き!水」という構成です。従来、地域水道ビジョンというのは、おそらくここで言う役場の水道ビジョンをつくる作業だったと思うのですけれども、先ほど申し上げましたように、住民の理解が不可欠であるという考えのもと、私たちは住民の水道ビジョンというところも考え方に加えました。そして、それらの2つのアウトプットによって、どのような社会になっていくのか、そのアウトカムを「大好き!水」ということにして、今後10年先に、子供たちがガブガブ水を飲みながら「大好き!水」といってくれるような姿を想像してビジョンをつくったという形になります。
 もう1つ特徴があるのですが、ビジョンの進捗状況を住民と一緒に「めざそう値」という数値を設けまして、これも住民参加で評価をしていこう、こういう形でビジョンを展開していこうと考えています。
(パワーポイント)
 矢巾町の話をちょっと離れてみたいと思うので、もう一度、住民との連携ということについて考えてみたいと思います。今回は改めてこういう席で住民との連携ということについて考えていましたけれども、これまでは、住民との連携というものが大きく取りざたされることはなかったのでしょうか。多分あったと思うのですけれども、今以上にそう大きなことにはなっていなかったと思います。
右肩上がりの時代が普及拡大の時代だとして、その後からは維持管理・再構築の時代だとします。そうすると、右肩上がりのときの住民のニーズというのは、当然、水を使いたい、水道にアクセスしたいというものだったと思います。役所も当然、それに向けて普及拡大を図ってきたわけですから、そういった意味では仕事に正解があった。改めて住民との連携を模索しなくても、住民のニーズと役所の仕事の方向性が一致していた時代だと思います。
(パワーポイント)
 ところが、水道の持続可能性が課題だといわれるような時代になった今日なのですけれども、改めて持続可能性が問題だといわれても、もう水道は当たり前に使えるようになっている。住民は余り関心がない。そんな中で水道料金の改定をさせてくださいというお願いをしても、当然、理解は得られない。そこで、改めて今、自分たちのビジョンを設定して、課題を明確化して、それをなおかつ住民に理解してもらう。今は仕事に納得解が必要な時代になっていると思います。だれに納得してもらうかというと、当然、住民ですから、住民との連携がビジョンをつくる上で非常に重要になってくるということだと思います。
(パワーポイント)
 これは改めてつくることもなかったかもしれませんが、インプット、アウトプット、アウトカムというところを図にしてみました。どれだけ予算をつぎ込んだかというインプット、それをもとにしてどんな施設をつくったのか、どんなサービスを提供したか、これをアウトプットだとすると、水道界というより矢巾町の場合は、今まではアウトプットのところだったと思っています。ここだけだったら役所の中だけで完結してつくることができたのですけれども、これから先というのは、住民にとっては改めてサービスの質的向上というものがみえない部分になります。そうした中で更新とか耐震化を図っていかなければいけない。そこで、成果や効果、影響をアウトカムとして共有していかなければ、今後、事業を実効的に展開していくことはできない。そういった意味で、住民の関与も必要だということになります。
(パワーポイント)
 ところが、住民の意識というところが非常に大きな障害になりました。アウトカムを共有して、それぞれ住民参加で順調にビジョンがつくれたわけではありませんでした。この住民意識、水道がなかったころというのは、当然、水道のありがたさを知っている時代だと思います。
(パワーポイント)
 そういった時代の方々というのは、水くみであったりとか、コミュニティ水道であれば、刈り払いや管の埋設といったことを住民が協働してやっていた。そういった中では、地域で支える水道事業が自然にできていたのだと思います。
 ところが、今は水道があって当たり前の時代ですから、水道に対して理解を深めてください、水道の恩恵を実感してくださいといっても、それは無理な話であって、なかなかうまくいかなかったということがあります。
(パワーポイント)
 そこで、矢巾町はこのような考え方のもと、周知目的の広報と合意形成を図る取り組み、これを区別して、戦略的というと格好いいのですけれども、工夫しながらそれぞれを取り組んでいこうということになりました。今日、これから説明するのは、合意形成を住民とどのように図っていったかというプロセスを皆さんにご紹介したいと思います。
(パワーポイント)
 合意形成を図るためにつくったものが、重層的な住民参加という方法です。一般的な住民参加の手法というのは、関心のある少数派の意見が反映されやすくて、声なき多数派の意見が反映されにくい構造になっています。水道のことを考えてみますと、恐らく声なき住民が多数派だと思います。例えば住民参加で参加してきても、特定の意見があるためにそこに参加してきた人の意見というのは、必ずしも全体の意見を代表していない可能性があります。そこで、さまざまな手法を組み合わせて、声なき多数の人の意見をビジョンに反映させる取り組みを考えてみました。
(パワーポイント)
 簡単に説明したいと思います。パブコメを説明する必要はないかもしれませんが、一応、地方分権時代の標準装備などといわれております。矢巾町の場合、水道専用のパブコメ手続要綱があります。これは、だれでも水道事業に参加する仕組みを担保するということが重要で、よくパブコメ何件あったとか、ゼロだったとかという議論をしますけれども、矢巾町では、その数も重要だとは考えていますが、住民参加を担保しているというところで、このパブコメを重要だと考えています。
(パワーポイント)
 次にアウトリーチです。先ほどのパブコメが標準装備だったら、こちらはディーラーオプションみたいなものです。アウトリーチなのですけれども、このおかげで住民との双方向コミュニケーションをとることができました。どんな方法かというのは後で説明したいと思いますけれども、当初、矢巾町ではアンケート調査を実施して、住民のニーズを把握して、ビジョンに反映させようと考えていました。ところが、職員がいざ集まって、アンケートの項目をつくろうとしたのですが、集まってもなかなかいい項目出しができず、アンケートを実施するための作業仮説すらつくることができなかった。私たちは水道事業を仕事にしていますから、たくさんの情報に触れています。そこで改めて住民のニーズといったところに立ち返ることができなかった、住民目線になることができなかったということで、直接触れ合うアウトリーチというのは、私たちにとって非常に大きな効果があったと考えています。後で説明しますけれども、この方法がなければ、社会的ジレンマという存在にも気づかなかったのではないかなと思っています。
(パワーポイント)
 アウトリーチのイメージなのですけれども、当然、参加をしてくださいと待っていても、参加は余り期待できません。そこで、ショッピングセンターや駅にこちらから行って聞き取り調査を行いました。この聞き取り調査を矢巾町では1,000件行いました。そのうち954件の方が好意的に回答していただけまして、そのほとんどの方が、何のちゅうちょもなく即時的なニーズを私たちに伝えてくれました。このことから、住民は水道に関心がないのではなくて、関心があるのだけれども、ふだん、意識していないというのが実情だということがよくわかりまして、私どものその後の広報展開にいろいろ生かしているということになります。
 あと、このアウトリーチなのですが、サイレントマジョリティーの意見を集約したということで非常に効果が大きかったのですけれども、実はきょうのテーマ、住民等、この「等」はだれかというと、矢巾町の場合、アウトリーチという手法を使いまして、給水工事の指定工事店さんなどの意見の集約をしています。ステークホルダーですから、利害関係が強過ぎて意見がいいづらい。意見がいいづらいというところにも私どものほうから出かけていって、何か意見をいってくださいとお願いをしました。それを無記名で記載箱に入れてもらう形で、意見を集約して、ビジョンの参考にしたということになります。
(パワーポイント)
 もう1つが、この頂点ですが、一般公募による直接参加の仕組み、水道サポーターということになります。矢巾町では水道モニターもいるのですけれども、モニターはただみているだけの人です。サポーターは一緒になって町づくりに参加していただくということになるのですけれども、20年1月からスタートした当初、8名しかいなかったのですが、現在は21名で活動しておりまして、毎月1回のペースでワークショップをしています。
(パワーポイント)
 こちらがワークショップの様子です。こうしてみていただいてもわかるとおり、テーブルの上に乗っかる子供もいれば、一緒に落書きをしている子供たちもいる。全く自由な雰囲気の中でワークショップが開かれておりまして、毎回、住民の方々が感想文だとか、いろいろな意見を提出してくださって、非常にいい感じで会が進んでいきました。
(パワーポイント)
 このような形で議論を可視化しながら進めていきました。
(パワーポイント)
 実験とかもしています。
(パワーポイント)
 うまいぐあいにワークショップが展開したのかということなのですが、実はそうではなくて、ここからが話の本題みたいなところになるのですが、ワークショップの議論の深化というのは、このような流れで行きました。一番最初はフリートークを実施しました。
(パワーポイント)
 資料提供も何もなしでワークショップを開催したのですが、実はアウトリーチで行った954件のニーズとワークショップで行った最初のブレーンストーミング、共通点があったのです。
(パワーポイント)
 それが、水道料金の値下げを主張する一方で、水道の安全性やおいしさを求める。私たちが事業展開をする上で社会的ジレンマになり得る二律背反の関係のものがここにありました。さらにここを詳しく進めていくと、安全性というのはそもそも当たり前だと思っているので、最後、表面上残るニーズというのが水道料金を下げてほしい、あと、おいしい水道にしてほしいということです。
(パワーポイント)
 社会的ジレンマとは、長期的には公共的な利益を低下させてしまうものの、短期的には私的な利益を増進する行為、その逆で、長期的には公共的な利益を増進・寄与するのですが、短期的には自分の利益を損ねる。どちらかを選択しなければならない社会の状況が社会的ジレンマという状況です。水道の場合は、短期的には自分の利益を優先する、すなわち水道料金が安いほうがいいと思っている。しかし、その結果、長期的には水道施設が更新できないと、最後には水道にリスクを抱えて再構築に大きな負担がかかってしまうというような状況を自然に選択しているという状況にあります。実はこのような状況を放置したままでいれば、幾らビジョンをつくっても、一番最初にいったように、住民の理解がそもそも得られない。
(パワーポイント)
 この状況を放置したままビジョンを作成しても、住民との連携は図れないということになります。
(パワーポイント)
 水道料金を上げさせてほしいということをいっても理解が得られないというのは、まさしく社会的ジレンマを放置している状況があります。「こんな状態に放置するなんて、だから役所は信用できない」と怒られる。「改善するための経費の削減をするほうが先じゃないの」、「突然こんなことをいわれても料金が高くなるのは絶対反対、まず役所のリストラが最初でしょう」なんて怒られるのが関の山で、本質からかなり外れた議論になってしまうというところがあります。
(パワーポイント)
 そこで矢巾町では、それを解決するために、最初、施設見学というところから始めました。実はフリートークの課題を解決していくという流れは、百聞は一見にしかずで、いろいろ体験してもらうということが一番だと考えたからです。
(パワーポイント)
 自分たちの飲んでいる水道がどんなものかをよくわかってもらうために実施したのですが、うちの水道サポーターさんに聞いたら、蛇口をひねって出てくる水は興味があるのですけれども、それより手前のことについては一切関心がなかった。左下の写真は井戸なのですけれども、自分たちの飲んでいる水はどこから来て、どのようにつくられて、どのように流れていくのかという一連のプロセスをみていただきました。この施設見学で何よりも皆さんにわかってもらいたかったのは、自分の家で使っている電化製品のように、水道施設にも寿命があるのですよということをまず理解してもらいました。
(パワーポイント)
 その次に行ったのが、きき水です。
(パワーポイント)
 おいしい水が飲みたいということですけれども、当然、ワークショップに参加してきているサポーターも同じことをいっていました。「私は水道水は飲まないんです、おいしくないから」といっていた方が、実はやってみたら水道水が一番おいしいというのを選択したりだとか、自分の感覚が当てにならないということを、きき水を通して理解してもらいました。おいしさというのが自分の主観によるところで、客観的なものではないというところを住民の方に理解してもらいました。この水道施設見学ときき水を体験した以降は、議論が大きく進んでいったということになります。
(パワーポイント)
 ワークショップの中でさまざま議論するのですけれども、その次に行ったのが、個人の考えをまず発散させてもらうという作業です。
(パワーポイント)
 この段階はどちらかというと、自分がただひたすら書いていろいろな意見を出していくというところなのですけれども、なぜいきなり全体の議論にしなかったかというと、どうしてもここにいる人たちは自信がない、余り水道のことを知らないから恥ずかしいというようなところがあったので、まず自分たちの考えをまとめてもらうためにこのような作業をしました。そして、私たちのほうから提供する資料のほかに、今までの議論を細かくまとめて、自分で振り返りができるようにして、資料提供をして、ワークショップを進めていったということがあります。職員も参加するのですけれども、住民の方と全く同じように扱われます。この職員は新人だったのですが、このワークショップに参加することで、ともに学び、ともに成長できたなということを本人がいっていました。
(パワーポイント)
 次が集団の中の議論に入ってきます。
(パワーポイント)
 矢巾町ではファシリテーショングラフィックという手法を活用して、議論を可視化しながら話を進めていきました。付せん用紙に書き入れて、それをまとめる作業と違って、瞬時に自分の意見を体系的に把握できるということで非常によかったなと考えています。あと矢巾町は、例えばリスクに対する考え方、「こんな感じで考えたいと思っています」という素案段階から水道サポーターさんに意見を諮って、それを取り込むようにしたということで、自分たちがつくった意見なのだということで住民の方々は思い入れが強くなっていった。決めたものを提示するのではなくて、素案段階から計画に携わっていただいたということになります。
(パワーポイント)
 そのときにさまざまなシナリオをもって議論したのですけれども、一番最初に提供したのは最悪のシナリオです。財政問題だけを重視して、一切更新を行わなければどのようになってしまうのかというストーリーをつくって、シナリオをつくりました。
(パワーポイント)
 これだと、ただ古くなってしまうことが分かるだけなので、矢巾町ではたまたま国立保健医療科学院の水道工学研修に職員が出ていって、そこでアセットの研究をしてきました。そのときに、古くなった施設ではどんな影響水量が出てくるのかという研究をしてきたので、それらも含めて、このようになってしまうんだよというのを住民にあわせて提示をしていきました。
(パワーポイント)
 住民からの要望では、そういった中でさまざまなバリエーションでシナリオをつくりながら、自分たちの水道はどのようにやるべきなのかというところを議論してきました。
(パワーポイント)
 これまで27回の議論を行ってきたのですけれども、今は水道サポーターさんはかなり水道に対して意識が高くなっております。
(パワーポイント)
 どんな変化があったかというと、このサポーターさんたちみずから水道料金の値上げを提案してきました。住民は「こういう形だったら理解してくれますよ」という料金改定の提案をしてきてくれた。私たちは非常にびっくりしたのですけれども、すごくうれしかったということがあります。いろいろ調べたら、どうやらその方法はとれないらしいということがわかったのですけれども、住民はこのような経験を通して料金の値上げを提案するまでになった。どうしてそんなことになったのかというと、このワークショップの中では事実の情報をさまざま提供してきています。あと、浄水場の見学やきき水という体験をしています。そして、何より双方向のコミュニケーションが図れていたということなのです。
(パワーポイント)
 社会心理学の先行研究でドウズという方が、協力的になる行動には知識と信頼と道徳意識が必要だということをいっています。
(パワーポイント)
 矢巾町のワークショップで考えてみると、知識というのは、ワークショップで得られた知識、信頼というのは、双方向のコミュニケーションが図られたから得られたもの、道徳意識は、水道ビジョンをつくって、これがあるべき姿なんだというところを正しいものと判断して、いろいろな判断をしていってくれたおかげで、料金改定を提案するまでに住民がなってくれたということがあります。
(パワーポイント)
 参考までなのですが、こちらは資料にないのですけれども、矢巾町はこのように自分たちの仕事を樹木構造にして、すべてが目的と手段の関係になっています。
(パワーポイント)
 色に注目していただきたいのですが、実は住民の方々、何が何でも全部合意形成をしたいということではなくて、施策と政策、大きなくくりのところだけを合意形成すればいいですよということを教えてくれました。願わくば何をやっているのかがいつもみえる状態になっているとうれしいねということをいわれてきました。私どもはこういうことで合意形成が必要な分野がわかってきたのですけれども、今後やるときには、その点を踏まえてやっていけばいいのかなという気がしております。
(パワーポイント)
 これまで合意形成に関係するところのお話をしてきたのですが、今度は周知目的の広報ということを簡単にご説明したいと思います。
(パワーポイント)
 皆さんのところにお配りしているマンガ水道ビジョン、参考資料—2ですけれども、実はまだ公表していないのですが、特別に皆さんにお配りしたものです。4月になったら多分印刷したものができ上がってくるのかなと思うのですが、矢巾町全世帯にこのマンガビジョンを配布することにしています。住民の方に水道ビジョン知っていますかといったって、ほとんどの人が知らないというのです。それでいて、私たちはこのように取り組んでいますと役所だけ格好いいことをいってもどうしようもないので、こういう形で、まず読んでもらう、知ってもらうというところから、思いを込めてマンガ水道ビジョンというものをつくりました。
(パワーポイント)
 あと、水道に関心がない人、意識をしていない人を巻き込むイベントとして、上下水道課で大人の社会科見学というものを企画しています。浄水場に来てさえもらえれば、何とか関心を高めることができるのですが、なかなかそのきっかけをつくれない。でも、例えば子供がつくっている給食を食べてみたりだとか、ごみ問題に関心があるという人たちを、一連の遠足なのですけれども、これに参加させることで、浄水場見学をさせて、水道に関心がある住民に仕立て上げていくというようなイベントも展開しています。こういった形でいろいろな方が水道に関心をもってきて、いろいろな意見をいってくれるようになっています。
(パワーポイント)
 最後に、こちらはお配りした資料にはないのですけれども、小規模水道事業体の持続可能性ということについて考えてみたいと思います。経営(自治体)のところに注目していただきたいと思います。水道のパラダイム、内部的要因を例えば技術と経営に分けたとします。外部的な要因を制度とか社会というところに求めたとします。さっきいったように、自治体が料金値上げをしようとしても、社会のところが住民だとするならば、なかなか理解が得られない。これが逆に民間化したらどうでしょう。でも、この構図は一向に変わらない。小規模水道事業は民間化もなかなか進まない現状があります。当面、私たちがなすべきことは、まず住民を巻き込んで、地域で支える水道事業をつくりつつ、このような連携を考えていく必要があるのではないのかなと思っています。
 また、同じく自治体でも、これが大きくなって広域化しても、この構図は全く変わりません。やはり大きくなっても住民との連携というのは必要になってくるのだと思います。先ほど申し上げましたように、社会を取り込む、要は住民との連携を強めながら、自分たちも同じような色になるとはいいませんが、同じ仲間になっていただいて、水道を支えていかなければならないのではないのかなと考えております。
(パワーポイント)
 一番最初に示したこれまでの関係を、矢巾町では体系的に、技術系職員も事務系職員も住民も1つのラインとしてあるべき姿を達成する、このような関係を築いていきたいと思っています。そのためにはまずアセットマネジメントをきちんとやるということもそうですし、リスクコミュニケーションもきちんとやらなければいけません。継続的に住民にかかわってもらうために、住民参加型の評価というものも入れていきながら、私たちの目指すべき水道事業のガバナンスという形で取り組んでいきたいと考えております。
 ご清聴ありがとうございました。

○ 滝沢座長
ありがとうございました。それでは、残り時間30分ほどになりましたけれども、お時間をいただきまして、以上3件、特定テーマの2、住民等との連携について、皆様からご質問、あるいはご意見を伺いたいと思います。佐藤さん、どうぞ。

○ 佐藤構成員
資料—5の住民等との連携について、今後の議論を深めたいと思いますので、私の意見を少し述べさせていただきたいと思います。資料—5の3ページ、1—2)水道事業者をとりまく関係者として利害関係者が整理されたこと、この点は今後の展開について重要な示唆があるのではなかろうかと思っております。
そこで、私は利害関係者の中に、特に首長・議会とともに一般会計を追加して位置づける必要があるのではなかろうかということをここで提案してみたいと思います。一般会計自体は、水道に対しては経費負担区分の原則、あるいは運営基盤の充実・強化として、出資というような形でかかわってくるということになっております。この点で特に水道事業の独立採算制との関係から、非常に重要な役割を演じているのが一般会計ではなかろうかと思います。最近、地方公営企業会計制度が改正されて、減資の制度が今回導入されました。減資をして手元の現金預金を一般会計に戻すというような取引についても、既に複数の水道事業体が実施しそうだ、ということも耳にしています。こうしたことを考えると、水道事業の運営基盤を損なうという観点からは、やはり一般会計も水道事業に非常に大きな影響を与えるという点で、一般会計との関係のあり方を含めて考えてはいかがかということです。
さらに追加していうならば、首長・議会も利害関係者として示されておりますけれども、これ自体は水道のガバナンス、企業統治という観点から、直接経営に大きな影響を及ぼすということもあって、他のステークホルダーと立場というか、レベルが違うのではないかということもここで述べておきたいと思います。
実は、首長・議会、あるいは一般会計との問題を示すような資料として、同じく25ページで示されております水道料金改定に関する近年の動向(料金改定のうち値下げが4割)、ここも特に問題提起をしておきたいと思います。何年か前に財政健全化法が施行されました。水道事業については資金不足比率20%という法定基準を超えた団体が幾つかあります。この中で私自身は、財政健全化法、および地方自治法に基づく法定の外部監査を担当しました。そのときの経験を紹介します。もともと当年度純利益を計上するなど、比較的、外部からみても健全経営を営んでいた団体ではありましたけれども、首長や議会が水道事業経営に対して必要以上に関係したこともあって、最終的には料金値下げに至った。その結果、財政健全化法に抵触するという事態に至った水道事業体が既に存在しております。このようなことを考えると、もともと水道事業として一定の独立性があるにもかかわらず、議会、あるいは首長、一般会計の関与というものが多大な影響を与えているという事実は見逃すことはできないのではなかろうかと思います。
こうした観点から、今後の新水道ビジョンの議論を深めていくために、問題提起として事例を紹介させていただきましたけれども、こうした問題は、今回の住民等との連携の「等」の関係、あるいは、さらに今後予定されている水道の運営基盤の強化の観点からも、あわせて検討しておきたいということを、意見・提案として述べておきたいと思います。

○ 滝沢座長
ありがとうございます。ご意見として伺いました。ほかに。長岡さん。

○ 長岡構成員
まず横浜市からの情報提供で1つ印象に残ったのは、市民との協働による応急給水訓練、実際にこういう訓練をするというところが非常に感心しました。私、横浜市民なのですけれども、まだ参加していないのですが、みずから水が出ないときに行動するという経験をすることは非常に重要なのではないかと思いました。
事務局からいただいた資料—5の34とか35、ニーズ状況、満足度調査のグラフがあるのですが、年齢が高い方ほど満足度が高いというグラフが明確に出ていると思います。これはやはり水道のない時代を知っているということが非常に大きいのではないかなと思います。吉岡さんの資料で、コミュニティ水道の古い写真があって、このときには戻れないというのがあったのですが、確かに戻れないのですけれども、みずから経験をするということが非常に重要ではないかなと思います。ですから、住民との協働、あるいはPRでも、みずから行動していただくという仕組みが何とかつくれないかということは私も常々思っているところです。
先ほどの例えば応急給水訓練でも、訓練も重要なのですけれども、難しいかもしれないのですが、実際に水が出ないような断水という状況の中でそういう訓練を——訓練ではなくて、実際にそうしなければいけないということだと思うのですけれども、断水という状況をつくるのは難しいかもしれませんが、実際に応急給水が必要だという状況をつくることも考えてもいいのではないかと思います。ですから、一言でいうと、住民の方がみずから行動する、実感をしていただくというような取り組みを今後検討しなければいけないと考えております。

○ 滝沢座長
ありがとうございます。横浜市の清塚さんからご説明いただきましたけれども、平田さんはマイスターに参加されて、五つ星なのでしょうか。市民のほうからこういった活動に参加して、どのような感覚でごらんになっているか、一言ご発言いただけますか。

○ 平田構成員
ありがとうございます。現在、私は三つ星マイスターなのですけれども、水のマイスターに関しましては、興味をもって活動しており講座ですとか、検定ですとか、幅広くやらせていただいております。非常に楽しく水に対して勉強でき、水について安心できるというところが活動の一番の魅力です。。
ちょっと話が変わってしまうのですが、実は検討会が始まってから、独自なのですが、水のマイスターと一般の方、20名ほどそれぞれアンケート調査をしたのです。水道水を飲用として直接蛇口から飲んでいるかどうかというところを聞いてみたのですが、水のマイスターの方は70%が直接蛇口から飲んでいて、一般の方は9%という非常に低い数字が出ました。これは先ほど吉岡さんの発表にあったと思うのですけれども、知識を得て、信頼して、道徳意識をもてば、意識は非常に変わってくるというところが明確に出たのではないかなと思っております。興味をもっている方だけではなく、広く一般の方に水道の情報を発信できるような仕組みをつくっていただければなと思います。

○ 滝沢座長
ありがとうございます。ほかにご意見、いかがでしょうか。どうぞ。

○ 吉岡構成員
先ほど言い忘れたのですけれども、東日本大震災を経験して、住民の方々は水道に対する意識が大きく変わったといわれています。500件を対象にしてアンケートを実施したのですけれども、変わったか変わらないかということでいえば、500件のうち、「変わった」「どちらかといえば変わった」が442件でした。この方々に、地震を経験して耐震化の必要性があるかどうかと聞いたら、500のうち458の人が必要だといっています。同じく、これに対して、それを財源にして料金改定をすることに賛成ですかといったら、賛成はたったの56でした。意識が変わって、耐震化が必要だといっていても、相変わらず料金は安いほうがいいといっているのが住民のニーズであって、先ほど平田さんもいっていましたけれども、きちんと情報提供することで、本当の姿、どうしたいんだというところを明確にしていかないと、住民との連携というものは意味のないものになってしまうのではないかなと思います。

○ 滝沢座長
ありがとうございます。先ほども清塚さんのご説明で、横浜市では住民だけではなくて、いろいろな企業を巻き込んだ活動をされているということなのですが、民の立場からこういった活動について、感想でも結構ですけれども、どのようなお考えをおもちか、服部さんにお聞きしたいと思います。

○ 服部構成員
横浜市さん、矢巾町の説明を受けて、資料—5の3ページのステークホルダーの一番上に住民が出てくるところが一番のキーかなと、我々も民間の立場から思っています。きょうの資料—2に各団体のいろいろな話が出ているのですけれども、やはり住民からみてどうなのかという視点が必要かなと思いました。例えば技術者の不足の話とか、どのように住民にわかりやすく説明するのかという立場で物事を考えたときに、東京都さんみたいな非常に専門的な技術員もいるわけで、あるいは矢巾町の方たちみたいに幅広く何でもできる技術員もいて、技術員って一体何なのかということをみた場合に、住民にとって一番説明できるのは、例えば資格だとか、そういった公的なものなのではないのかなというところが1つ大きく感じたところでございます。

○ 滝沢座長
ありがとうございます。尾?さんにお聞きしたいのですけれども、日本水道協会もPRのポスターをつくったり、さまざまな形で住民との連携、あるいはPRに力を注いでいるところだと思いますが、一方、全国の事業体をみると、連携がうまく進んでいるところ、あるいはなかなかうまくいかないところ、いろいろな違いがあると思うのですけれども、住民との連携の状況をどうみるか、あるいは住民との連携はこうあるべきだというようなご意見がございましたらお伺いしたいと思います。いかがでしょうか。

○ 尾?構成員
非常に難しい問題ですよね。総論ではある程度理解されても、各論、先ほど吉岡さんがおっしゃったように、料金の値上げとかに直結する部分は、多分なかなか理解が得られない。ただ、水道局、あるいは水道事業を行っている者がいろいろなデータを出して、このようにやっていますよと、それはその部分は理解が得られると思っているのです。ただ、その先、どういうことをやれば真にわかってもらって、本当に困っている更新事業ができるかとか、耐震化が本当にできるかとか、そういうものに行き着くには、住民とのどういうコミュニケーションがいいのか、あるいは広報がいいのかというのが今、求められていて、これはここで皆さんと議論しながらつくっていくのが、この検討会の結構大きな仕事ではないかと思っています。それが新水道ビジョンにあらわすことができたらいいのかなと思います。

○ 滝沢座長
ありがとうございます。そういう意味では全国のいろいろな取り組みについてしっかりと調べていただくとか、その中でも成功事例のようなものがあれば、それをここで披露していただくとか、そういったことをお願いしたいと思います。
ほかに住民等との連携について、何かご意見ございますか。あるいは時間的に制限がありますので、全体的なことでも結構ですが。佐藤さん、どうぞ。

○ 佐藤構成員
今、住民との連携で議論が進んできたわけです。そうした中で、きょうは横浜市さん、あるいは矢巾町さんから貴重な事例をいただいて、この中から共通的な部分を新ビジョンに生かしたいという思いをもっております。一方で、小規模水道事業体からみた場合に、なかなかハードルが高いというような部分も正直、感じました。私は実は平成13年から今日まで、岩手紫波地区の水道事業協議会のアドバイザーとしてかかわっております。そうした関係から実は矢巾町にもかかわっているのですけれども、これまでの経験からすると、今日の報告にあったような自発的な情報提供活動ができるに至ったポイントはきっと「計画的・継続的な情報提供」、あるいは「需要者ニーズの発掘活動」というような形で、住民との連携活動がまとめられるのではなかろうかと思います。一方で、全国の水道事業体の今日の情報提供のあり方などをみていると、「場当たり的・散発的」といわざるを得ないような状況があります。今後、ビジョンとして各水道事業体が住民等との連携強化をする場合の1つの着眼点、キーワードとしては、計画的・継続的というような形を提案してみたいと思っております。

○ 滝沢座長
ありがとうございます。引き続きまして、尾?さん、どうぞ。

○ 尾?構成員
私は2点お聞きしたいと思うのですが、1点が資料—5の25ページ、改定の4割が値下げという資料なのですが、括弧の中で、54事業体と約4割を占めており、本格化する更新財源確保が懸念されると。値下げした事業体が54だと。そこから直接、更新財源が懸念されると至った経過は、何をもってこのように結論づけているのか。その辺をもう少し掘り下げてもらいたいなと。このとき、広報とかそういうものはどういう形でやっているかというのがわかると、もう少しみえてくるのかなという気がします。
もう1点は、冒頭、岡?さんの話にありましたように、アンケートをどのように活用していくのかというのがあります。この間の柱立ての項目ごとに、アンケートの中ではこういう意見があったというのをチェック項目としてやっていくのも1つの考えかなと思うのですが、私も非常にいい意見があったと思うので、アンケートをどう活用するのかお聞きしたいということです。

○ 滝沢座長
今後の取り組み方にもかかわると思うのですが、まず1つ目は、改定料金、4割が値下げということで、更新財源の確保が懸念されると四角囲みに書いてありますけれども、このように至った背景、あるいはそのときにどんな広報がされていたのか、少し突っ込んだ解析といいますか、情報、どういう状況にあったのかということをお調べいただけるかということだと思いますが、いかがでしょうか。経過としては新聞報道のとおりなのかもしれませんけれども。

○ 名倉課長補佐
現時点ではまだ詳細に分析をしていない状況になっておりますので、今後、何とか調べてまいりたいと考えております。

○ 滝沢座長
もう1点、アンケートですけれども、いろいろな形でアンケートをとられておりますけれども、1回まとめて報告して終わりということではなくて、今後、いろいろなところで関連する議論になったときに、ぜひその結果を活用していただきたいというご意見だと思いますが、お願いできますでしょうか。

○ 名倉課長補佐
アンケートにつきまして、今後、特定テーマの議論をしていくときに、アンケートで得られた結果、それから自由に記述していただいたものについても勘案していきたいと考えております。

○ 尾?構成員
我々が目にみえる形にしてほしいということです。

○ 外山健康局長
事務局にというか、僕も事務局だけれども、25ページの54事業体と約4割を占めており、更新財源の確保が懸念されるというのは、資料に出して恐縮ですが、マスコミがこういっているわけでしょう。だから、調査するにしても限界がありますよね。どうやって調査するのですか。

○ 名倉課長補佐
現時点ではこれだけのところが料金を下げている。一方で、更新需要がこれから伸びてくるというのは、全国的な傾向としてはございますので、下げたところについての更新需要なりがどれだけかということを調べた上で、本来、下げてもよかったのかどうなのかというのをみた上で、懸念すべき料金の値下げなのか、それとも、更新需要も十分見込んだ上で料金も実は下げているというところもひょっとしたらあるかもしれないのですけれども、全国的な傾向としてはそうでもないだろうということで、このように書かれていると思うのです。実際に下げたところと、そこの更新需要について、個々にどれだけみられるかというのはわからないのですけれども、幾つか経営状況を把握する上で、何らかの分類を分けていって、料金と更新需要との関係をみるとか、ピンポイントでどこかの事業体に焦点を当てて、その収支と更新需要のコストの関係をみるとか、そういうことも検討していきたいと考えております。

○ 滝沢座長
少なくともどこが下げたかということはわかるわけですね。

○ 名倉課長補佐
はい。

○ 滝沢座長
ありがとうございました。ほかにご意見ございますでしょうか。どうぞ。

○ 長岡構成員
資料—5の12ページなのですけれども、ふだんの水の飲み方についてアンケートがあって、直接飲用の37.5というのは、私の学生をみている雰囲気の実感とは随分違って高いなという気がするのですが、いずれにしても、直接飲用をするというのはこれからの水道の命だと思うのです。そういう意味でいうと、いろいろな事業体でこういうアンケートはしていると思うのですが、聞き方が微妙にバラバラだったりして、全国で統一して比べたりとか——比べるのがいいかどうかわからないのですけれども、そういうことができないようなことがあると思うのです。ですので、こういうアンケートは非常に重要で、達成目標を立てるということにもつながりますので、住民がどれだけ直接飲用しているかというアンケートはこれからもしなければいけないのですが、もう少し聞き方を統一するとか、標準化といったらいいのかどうかわからないのですけれども、そのようなことをして、本当に全国で水道の飲用の実態がどうか、それで目標を立てる、そういうことをぜひしていただきたいと思っております。

○ 滝沢座長
ありがとうございます。飲用が非常に重要だということですね。
ほかにご意見ございますか。いかがでしょうか。浅見さん。

○ 浅見構成員
今の長岡先生のに関連いたしまして、厚生労働科学研究で今年度、全国で1,800件程度、摂水量の調査を実施しております。直接飲用したものと浄水器を通して飲んだものと、あと加熱をして飲んだもの、そうではないもの、あとボトル水というのを集計しておりまして、我々のデータの途中集計なのですけれども、ボトル水は意外と少ないなという感じもしたりしております。これから集計いたしますので、間に合えば報告させていただきたいと思います。ただ、インターネット調査になっておりますので、モニターの方の偏りですとか、非常に小規模なところでも同様なことがあるかというのは、そこでは拾いかねるかもしれないので、その辺は考察をしてまいりたいと思っております。
もう1つは別件なのですけれども、アンケートの2ページの給水衛生検査協会さんのご指摘でもありましたように、水道の監督の委譲に関しまして、国・都道府県・市町村の大きな役割の変化が今後みられるという部分が非常に重要な指摘と思っております。委譲の関係で、特に専用水道ですとか、小規模の水道での監督ですとか、衛生状態の確保、それに伴っての安全性の確保の監督、指導・助言が市町村に移ります。今もわからないときは県の方とかにご質問される方は非常に多いと思うのですが、そういうことさえもできなくなってしまう恐れがあります。県のほうも今までだったらほかの経験からアドバイスできたけれども、市町村におりてしまった場合、非常に少ない件数の中から回答しないといけないということになりますと、行政のサポートの面でも体制が変わってしまうのではないかなという懸念を抱いております。
今日、ステークホルダーの表をいただいたのですけれども、市町村ですとか、保健所とか、衛生関係のところが全然入っていないのですが、安全の確保という点では非常に重要な点かと思いますので、入れていただければと思います。よろしくお願いいたします。

○ 滝沢座長
ありがとうございます。この中ですべてのデータを調査してご報告いただくことは難しいので、ぜひとも今、浅見さんのご報告いただいたような、他研究で関連するものがあれば積極的に活用していただきたいと思います。よろしくお願いします。
木暮さん、どうぞ。

○ 木暮構成員
今、浅見構成員がいわれたことに関連してなのですけれども、まさにこのビジョンが1年後にできる25年4月から、ステークホルダーの図のところにある専用水道・貯水槽水道については、各市が指導監督をするような形になります。今、都道府県がやっているというところで、一部、市に委譲している部分もありますけれども、各市の衛生行政が水道の指導監督をするということで、この辺についての役割分担についても新ビジョンの中では必要になってくるのかなと感じているところでございます。

○ 滝沢座長
ありがとうございます。制度や時代に合ったような役割分担をもう一度見直すということですね。よろしくお願いします。
ほかにご意見ございますか。平田さん、どうぞ。

○ 平田構成員
先ほどの長岡先生のご意見で、蛇口から直接お水を飲む人口というところのお話に絡んでくるのですけれども、友人の意見なのですが、今はミネラルウォーターをペットボトルで買うというのが習慣になっていますけれども、本音はペットボトルを買うということが、高いし、大変だし、できれば蛇口から飲みたいというような意見がありまして、やはりこういう意見の方が出てきているのではないかなと私は思います。今後、水質が信頼されて、安心を得られるのであれば、蛇口からの水を飲用する人口をふやすことがまだまだ可能かなと思いますので、その部分も今後、考えていければなと思います。

○ 滝沢座長
ありがとうございました。ご意見として承っておきます。
ほかにご意見ございますか。本日の議題全般で結構ですけれども。どうぞ。

○ 木暮構成員
途中で言い忘れてしまったのですが、追加調査報告のPFIのアンケートで、資料—3の4ページなのですが、埼玉県企業局のところで、すべて非公開になっているのですが、一部公開している部分があります。アンケートに答えた担当者に確認したところ、その辺、記入ミスというか、そういったことがございましたので、ここでお知らせしたいと思います。細かい数字は省略しますが、民間事業の選定段階でのVFM率をお知らせしたいと思います。大久保浄水場、これは排水処理なのですが、38.9%です。あとの統計処理で影響するかもしれませんので、細かい数字について必要でしたら事務局にご連絡したいと思います。以前から、VFMは38.9%ということで公開させていただいていますので、よろしくお願いしたいと思います。

○ 滝沢座長
ご訂正をお願いしたいと思います。
岡?さん、どうぞ。

○ 岡?構成員
要望です。きょうの審議検討内容とはちょっとずれますけれども、現在、超党派議員の立案で水循環基本法なるものが、大体成案ができて、聞いています限りでは、各党派、政党に持ち帰って整理をした上で、国会に上程されるという動きにあるとお聞きしています。ただ、理念法とはいえ、これにかかわって、もしこれが通るとなれば、水管理に関する関係省庁の制度とか扱い方が大きく変わっていく可能性もあるのかなとも思いますし、そういう意味でいえば、このビジョン検討との関係も、いわば5年、10年を見据えての策定となると、水管理の行政全般にかかわる動きにもし仮に変化が出てくると想定されるならば、やはりそれも一応加味をしなければいけないのかなと思っていますので、できれば、きょうではなくて構いません。次回とか、この法案の取り扱いの動向と、関係省庁の扱われ方、構え方、考え方といったものについても、把握できる限りでまた参考資料として提供してもらえればと思います。

○ 滝沢座長
どうぞ。

○ 外山健康局長
水循環基本法、議員立法で今やっているということは岡?構成員がいわれたとおりなのですけれども、まさに議員立法で今、各政党間で調整している事柄なので、局長の私的諮問機関たるこの検討会に、今の段階で、次回がいつかはあれですけれども、出すのは必ずしも適当ではないのです。ある程度固まった段階で、役所側としてもこの検討会で参照していただくということは考えたいと思いますので、時期については少し任せていただきたいと思います。

○ 岡?構成員
厚労省が妥当と考えているかどうかというのをお聞きしているのではなくて、恐縮ですけれども、そういう動きは動きで現実にあるのでしょうから、それに関する資料は、総務省もオブザーバーでいらっしゃるのだし、例えば関係省庁それぞれ、水管理行政についてはまたがっているわけですから、それにかかわって大きく何らかの動きがあり得る法案性格ですから、それについては客観的な動向、動きなり、成熟度合いを含めて、適宜出していただければいいということです。何も厚労省の判断と見解だけを求めているわけではないですから。

○ 外山健康局長
私のいっているのは、この検討会というのは局長の私的諮問機関、一方で、今の水に関する議員立法というのは政党間で調整している段階ですから、まだ云々というのは早い。だから、しかるべきときにはお出しいたします。

○ 滝沢座長
ありがとうございます。それでは、長時間にわたりご審議いただきましたけれども、特に追加のコメントがなければ、本日の審議はこれまでにしたいと思います。
最後、事務局に司会をお返ししたいと思います。今後の予定も含めてご説明いただけますでしょうか。

○ 名倉課長補佐
本日の議事録につきましては、皆様にご確認いただいた上で公開することとさせていただきます。
また、今後の検討会の開催日時ですけれども、先日ご案内をお送りいたしましたが、年度明けまして第4回目につきましては5月11日金曜日の13時から16時、第5回目につきましては6月12日火曜日の13時から15時半と予定しております。なお、場所につきましては、決まりましたら改めてご案内いたします。

○ 滝沢座長
それでは、どうもありがとうございました。これにて終了いたします。


(了)
<照会先>

健康局水道課

(代 表) 03(5253)1111 内線4028
(直 通) 03(3595)2368

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