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2012年4月27日 平成24年度第1回生活衛生関係営業等衛生問題検討会議事録

健康局生活衛生課

○日時

平成24年4月27日(金)16:30~18:30


○場所

全国生衛会館 大研修室(4階)


○出席者

構成員

秋山 茂 (元北里大学医療衛生学部)
野口 かほる (東京都健康福祉局健康安全部環境保健衛生課長)
大井田 隆 (日本大学医学部教授)
長見 萬里野 (財団法人日本消費者協会会長)
倉田 毅 (国際医療福祉大学塩谷病院教授)

臨時構成員

福下 公子 (社団法人日本眼科医会副会長)
枝折 繁 (東京都美容生活衛生同業組合組合員)
鈴木 泰子 (仙台理容美容専門学校代表理事)
三浦 佳子 (消費生活コンサルタント)

オブザーバー

黒田 岳士 (消費者庁消費者政策課長)

意見聴取人

井上 和彦 (早稲田美容専門学校教務部長)
小谷野 圭子 (ケサランパサラン表参道店店長)
原 三耶子 (NA BEAUTY SALON 心斎橋店店長)
中村 孝之 (公益社団法人全国ビルメンテナンス協会事業部長)

○議題

(1)まつ毛エクステンションについて
(2)建築物衛生法に基づく資格について

○議事

○伊藤課長補佐 それでは、定刻となりましたので、ただいまから「平成24年度第1回生活衛生関係営業等衛生問題検討会」を開催させていただきます。
 まず、新年度になりまして、構成員に変更がありましたので、御紹介させていただきます。
 東京都福祉保健局健康安全部環境衛生課長池田誠構成員に代わり、新たに就任されました野口かほる構成員です。
○野口構成員 野口と申します。よろしくお願いいたします。
○伊藤課長補佐 また、本日は御都合により欠席されておりますが、千葉市健康部生活衛生課長本橋忠構成員に代わり、川崎市健康福祉局健康安全室生活衛生担当課長松浦和子構成員が新たに就任されております。
 なお、本日は、松浦和子構成員のほかに、渡辺晋一構成員が御都合により欠席されております。
 次に、事務局の異動につき紹介させていただきます。この4月に大重の後任として生活衛生課に着任いたしました総括補佐の堀川です。
○堀川課長補佐 堀川でございます。よろしくお願いいたします。
○伊藤課長補佐 同じく、この4月に主査の中西の後任として、生活衛生課に着任いたしました課長補佐の奥野です。
○奥野課長補佐 奥野と申します。よろしくお願いいたします。
○伊藤課長補佐 最後に、申し遅れましたが、私は奥田の後任として、この4月に生活衛生課に着任いたしました伊藤と申します。どうぞよろしくお願い申し上げます。
 続きまして、配付資料の確認をさせていただきます。
 まず、本日の会議の次第がございます。次に、座席表、構成員の名簿、本日意見聴取をいただく方のリストを掲載しております。
 次からが配付資料となります。
 「資料1 まつ毛エクステカリキュラム」。
 「資料2 教科書の抜粋」。
 「資料3 ケサランパサラン表参道店」。
 「資料4 日本と韓国における美容師とまつ毛エクステンションの法規制等の比較」。
 「資料5 パワーポイントの登録制度の表」。
 「資料6 建築物衛生法事業登録基準における従事者研修について」。
 次に、「参考資料1 第6回検討会の議事録」。
 「参考資料2 検討経緯等について」。
 「参考資料3 まつ毛エクステンション協会連合会加盟協会名」。
 「参考資料4 通知の写し」。
 「参考資料5 通知の写し」。
 「参考資料6 検討事項の一覧表」。
 以上でございますが、不足等がございましたら、事務局までお申しつけいただきますよう、お願いいたします。
 なお、本日、検討を予定しておりました「旅館業における規制緩和」については、次回以降に検討することとなりましたので、御報告いたします。
 本日の検討会は公開で行われていますので、念のため申し上げます。カメラ撮りはここで終了させていただきますので、取材の方は御協力をよろしくお願いいたします。
(報道関係者退室)
○伊藤課長補佐 あらかじめホームページでも御案内しておりますが、本日の検討会につきましては、ビデオカメラ、テープレコーダー等の使用は御遠慮いただきますようお願いいたします。また、静粛を旨とし、会議の妨害となるような行為は慎んでいただくようにお願いいたします。
 それでは、倉田座長、議事の進行をよろしくお願いいたします。
○倉田座長 それでは、ただいまから議事に入りたいと思います。
 お忙しいところ、また、雨の中お集まりいただき、ありがとうございました。
 本日は、「まつ毛エクステンションについて」と「建築物衛生法に基づく資格について」の2つの議題について検討をいただきます。臨時構成員の方々は、議題の内容が違いますので、議題ごとに入れかえを行いますので、その旨、よろしくお願いします。
 それでは、初めに、まつ毛エクステンションについて、本日は関係者からお話を伺うということにしておりますので、よろしくお願いします。事務局から出席者の紹介をしてください。
○伊藤課長補佐 それでは、出席者の御紹介をいたします。
 本日は、オブザーバーといたしまして、消費者庁から黒田消費者政策課長にお越しいただいております。意見聴取といたしまして、まつ毛エクステンションを学校で教えていらっしゃる、早稲田美容専門学校教務部長の井上和彦様。
○井上(早稲田美容専門学校教務部長) よろしくお願いいたします。
○伊藤課長補佐 実際に店舗でまつ毛エクステンションの施術を行っていらっしゃる、ケサランパサラン表参道店店長の小谷野圭子様。
○小谷野(ケサランパサラン表参道店店長) よろしくお願いいたします。
○伊藤課長補佐 NA BEAUTY SALON心斎橋店店長の原三耶子様。
○原(NA BEAUTY SALON心斎橋店店長) よろしくお願いいたします。
○伊藤課長補佐 以上の方に御出席をいただいております。
○倉田座長 それでは、これから御説明をいただきますが、御意見、質問につきましては、まず井上さんの説明が終了してから、そして小谷野さん、原さんの説明が終わった後にそれぞれ行いたいと思いますので、まず、一人ずつお願いします。
○井上(早稲田美容専門学校教務部長) よろしくお願いいたします。
 まつ毛エクステの授業ということですが、まず、必修授業でとり入れているわけではございません。希望者対象で放課後の時間を使って、学生が受けやすい受講料を設定して、開講させていただいております。カリキュラムは、まさかこのようなそうそうたる先生方の前で配付されるとは思いませんで、学生に配っているままの、マンガチックな字体のものですが、6回コースで初級コース、同じく6回コースで中級コースということで実施させていただいております。
 まず、本校でまつ毛エクステの選択授業を開講するに当たって、本校の教員は美容師ばかりですので、最新のまつ毛エクステという技術を取得している者は全くおりませんので、私の真向かいにいらっしゃいます枝折先生に、わざわざ学校にお越しいただいて教員研修をしていただいて、研修を受けた教員の中から何名か担当して実施させていただいております。
 持ち物等書いておりますが、これは枝折先生が新美容出版から出されているテキストを、学生全員に買ってもらい、教科書としてはこのテキストを使わせていただいております。一部、目次の部分がコピーで配られていると思います。
 初級、中級を、私も受けましたが、下手だったので担当教員にはなれませんでしたが、本当に細かい作業なので、最初に紙コップにつけまつ毛をつけて、その上に1本1本、まつ毛をツイザーで乗せてつけていくという作業です。細かい手作業の訓練から入っていきます。初級コースは、まずそれが大半です。
 中級になってくると、テキストの方にも書かれているバリエーション、キュートなタイプ、クールなタイプ、ゴージャスなタイプというデザイン、これは実際にアイモデルで練習していくという内容で実施させていただいております。
 何か御質問がありましたら。
○倉田座長 説明は終わりですか。
○井上 はい。
○倉田座長 それでは、ただいまの井上さんの説明につきまして、何か質問、あるいは御意見がありましたら、どうぞ。
○大井田構成員 質問です。ここの検討会は、衛生的な問題かと思いますので、その対策はどうしているか。
 2つ目は、まつ毛はとれるわけでしょう。これが角膜に刺さって障害を起こすということを消費者から聞いていますが、それに対する対策というのは何かあるのでしょうか。
○井上 衛生面においては、エタノールを使っての手指消毒は、基本的な美容のその他の技術と同様に行っております。器具に関しても、必ずその都度消毒したものを使うということです。角膜云々という問題の部分までは、正直言いまして、まだ私どもも勉強不足で、研究して授業の中で学生に伝える域には達しておりません。
○堀江課長 井上さんに、スタートのところがちょっとわかりづらくなっているかと思いますので、確認です。本日、来ていただいています早稲田美容専門学校の方でやっていただいているのは、美容師養成コースの選択科目の中で教えていただいていることの御説明をいただいたということでございましょうか。それとも、それだけではなく、美容師コースではない人も対象にしていらっしゃるのか、そこを説明してください。
○井上 実際に就職は、美容師免許を持っていなければ、ケサランパサランさんなどのサロンさんに入ることはできませんので、うちでは美容師免許を取得する学生対象で行っております。もう1科、トータルビューティ課程という免許を取らない学科もありますが、そちらの学科の学生は対象外にさせていただいております。
 それと、選択授業という言い方が誤解されるかもしれませんが、通常の日中の1日6時限で組んでいる2,010時間の中ではなく、という意味です。
○鈴木臨時構成員 そうすると、課外授業的なことですか。
○井上 はい。課外授業と言った方がいいと思います。誤解を受けたかもしれません。そういう設定でさせていただいております。
○倉田座長 ほかに質問はよろしいですか。
○秋山構成員 課外授業ということでしたが、履修者は何名ぐらいですか。
○井上 昨年春に開講していますが、応募数は多いです。といっても、一度に対応できる数は1クラス20人ぐらいということでやっておりますので、定員いっぱいです。
○秋山構成員 ということは、1回のグループで20名、それを年間何グループぐらいするのですか。
○井上 1クールしか組んでおりません。
○秋山構成員 そうすると、20名ですか。
○井上 はい。
○秋山構成員 ありがとうございます。
○鈴木臨時構成員 6回コースとおっしゃいましたが、1回が何時間ですか。
○井上 2時間です。
○鈴木臨時構成員 そうすると、12時間で初級コースが終わるということになるわけですか。
○井上 はい。あくまで、うちで言う初級コースということです。
○枝折臨時構成員 枝折と申します。私は、東京では早稲田美容専門学校で講師として、専科で実際やらせていただいております。美容学校というのは、基本的なものを、カットでも何でもそうですけれども、それを指導するところです。各美容サロンでとり入れる技術はそれぞれ修業をしています。そういうところでは、学校はそういうものを教えるところだと思います。衛生面では、国家試験にも出てくるように、消毒とか、そういうものは2年間指導されますから、問題ないのではないでしょうか。
○倉田座長 ほかには、いかがでしょうか。
○福下臨時構成員 福下と申します。眼科医でございます。
 今のお話で、美容免許を取ることを前提とした方へのことと聞いておりますが、美容師学校では、まつ毛エクステについての基本的な講義はないということを聞いております。一般的な衛生面はあると思いますけれども、目の周りに関しての衛生とか、その辺りを施術することによる、いろいろな障害の発生の危険性といったものが、ここを見たところでは、余りそれが入っていないのですが、その辺は、どういう立場の方がどのような講義をしているのか、教えていただければと思います。それとも、そういうものがないのかどうか。
○井上 ちょっと難しくてよく理解しきれないのですけれども、あくまでもうちの教員です。美容師免許を持って教員資格を持っている教員が、今、枝折先生が言われたように、初級・中級を習ったから現場でできるとは、我々も思っておりませんので、テクニックを知ってもらう。実際に就職されたら、もっと厳しい研修を受けなければ入客はできないものだと、我々も承知した上で、学生に、まつ毛エクステというのはどういうことをやるのか、そこを知ってもらうところからで、目の周りの衛生は、消毒などはアイモデルに入ったときには勿論やっております。つけまつ毛を使ってのトレーニングとか、その前の段階の時間が長いのですけれども。
○福下臨時構成員 そうしますと、このカリキュラムは実際上の技術的なことだけと解釈してよろしいわけですね。
○井上 そちらが中心です。
○福下臨時構成員 そして、講師の方は美容師で、特に医療関係の方は入っていらっしゃらないと考えてよろしいわけですね。
○井上 はい。入っておりません。
○倉田座長 この会議が開かれている理由は、まつ毛エクステの技術的な話ではないんですね。いかにうまくやるか、それはそれで結構ですが、衛生の問題がどこにあるかということで、こういう会議を開かれなければならないような事例があったということで開かれているわけです。そういう面の教育がどうなっているかということを、今、福下先生が質問されたわけで、井上さんの経験の中で、目に関して、衛生上からきたトラブル、あるいは技術的なことでそういう問題というのは発生したことはないですか。
○井上 現時点では、学生間で起こっておりません。
○倉田座長 学生だけではなくて、現場ではどうですか。
○井上 我々は教育だけですので。
○倉田座長 卒業生などで、後でお聞かせいただければいいですが。
 ほかに何かございますか。
○三浦臨時構成員 直接、衛生の話に結びつくかどうかはわかりませんが、気になりますのは、私もいろんなサロンに行っていて思うのですけれども、例えば、接着剤の成分について化学的なお話をどのような方が教えてくださっているのか。例えば、私は花粉症なので、こんなところに花粉がついたらかゆくなるに違いないと思って、つけるのをやめていたのですが、そういうことを施術している方に相談したいときに、果たしてそういう知識がどこまであるのかというのは、受ける消費者側は全くわからないわけです。どの人がどんな勉強をしていらっしゃるのか、美容師資格は持っているということはわかっていても、このカリキュラムは技術的なことなのですが、「えっ、これだけ?」と、正直、思いました。枝折先生が書かれておられるケーススタディで、まつ毛専門のことが別教科書としてあるようなので、本当はそこを見た方がもしかしたらよかったのかもしれませんが、受ける側からするとやはり心配だなというのが、非常に単純な感想として思いました。
○井上 まず、今日ここに出席させていただくに当たって、十分に趣旨を理解していなかったということを反省しております。お電話でお話しした限りでは、実施しているカリキュラムを中心に説明できればということで伺っておりましたので、衛生の部分で十分な回答ができず、資料も私が書いたものではなく、実際に担当している教員が学生向けで書いたものをそのままお配りしてしまったということで、誤解がある部分もあるかと思います。
○倉田座長 わかりました。もし、今日の討論が終わって、更にこういうものを出していただいて議論する必要があるということになれば、どんな衛生教育をしているかという点に絞って出していただくということで、あとお二人のお話を聞いて、その上でまた判断したいと思います。
 ほかに何かありますか。
 なければ、次にいきましょう。先に小谷野さん、次に原さんの順に説明をしていただきます。よろしくお願いします。
○小谷野(ケサランパサラン表参道店店長) ケサランパサラン表参道店で店長をさせていただいております小谷野圭子と申します。よろしくお願いいたします。
 職歴を簡単に御説明させていただきます。2004年に日本美容専門学校を卒業いたしまして、その後、エクステンションに興味を持ち、2007年にケサランパサランに入社いたしまして、現在に至っております。
 私たちの仲間の中にも美容師免許の資格がない方もいますが、実際に店頭でお客様に施術をしている中で、本当に信頼されているスタッフはたくさんいます。特に、みんなすごくやりがいを持ってやっていますし、技術に自信を持ってやっているスタッフもたくさんいますので、美容師資格を持たないということだけで、長年にわたって培ってきた技術を切り捨てるというのはとても残念に思います。私としては、よい方向にお導きいただければと切に思っております。よろしくお願いいたします。
○倉田座長 資料について、もう少し説明はございますか。かいつまんで、大事なところだけお話しいただければいいのですが。
○小谷野 ケサランパサランは主に百貨店の方で展開させていただいていますけれども、表参道店は直営店として営業させていただいております。先ほど花粉というお話もありましたが、衛生面や技術の安全性に関して、十分に教育を受けて、合格した者でないとお客様には入れないということでさせていただいております。勿論、お客様から御予約をいただく段階でも、お電話で花粉のお話ですとか、のりのアレルギーの話、すべて確認させていただいて、まず第一段階で、施術を受けても大丈夫か、大丈夫ではないかを確認させていただいております。その段階で、大丈夫という方に関しては、まず、カウンセリングの時点で御来店いただいた際にも再度すべて確認をさせていただいて、その上でお客様と御相談して施術に入らせていただいております。
○倉田座長 ありがとうございました。
 何か質問はございますか。
 ちょっと余計なことを聞いていいですか。ケサランパサランは何語ですか。
○小谷野 造語です。
○倉田座長 原さん、続いてお願いします。
○原(NA BEAUTY SALON心斎橋店店長) NA BEAUTY SALON心斎橋店で店長をしております原三耶子と申します。
 簡単な経歴をお話しさせていただきます。1998年に美容学校を卒業した後、メイクアップ専門学校に進みまして、その後、エステティックサロンに就職いたしました。その後、まつ毛エクステに興味を持ち、2007年に今の会社に入社し現在に至っております。
 私自身、美容師免許の国家試験の技術を取ったわけですけれども、美容師の試験自体の実技はとても難しく苦労はしましたが、まつ毛エクステの技術も同様にとても集中力が必要で、新人教育をスタートしていますけれども、スタッフの中には、余りにも集中するため息を止めながら施術をしてしまう癖がつく者がいるほど、難しく繊細な作業になっております。
 美容師の実技試験と比べて、どちらがいい悪い、すぐれている、すぐれていないという問題ではなく、エクステの技術と美容師の国家試験で実際にやる技術は全く別物だと感じております。
 理論面に関しましても、美容学校のカリキュラムには含まれていない内容もエクステに関しては必要とされてきます。まつ毛エクステは、安全に施術するために欠かせない知識というものがたくさんありますので、美容師の国家試験に合格しただけでは、まつ毛エクステの施術をするべきではございませんし、そのような状況はお客様にとってとても危険なことだと思っております。
 私の場合は、美容学校在学中に、パーマ液などの薬剤によってアトピーが悪化したり、身体的な理由で美容室への就職はあきらめまして、エステティックサロンに就職しましたが、私のような例はとても少ないです。実際に美容学校に行かれている生徒さんは、美容室で働きたくて美容学校に行かれている方がほとんどですので、私の周りの美容師さんでも、まつ毛エクステ業に転職するという方は少ないです。実際に話をさせていただいていても、どうして美容師がまつ毛エクステをしなくてはいけないのかという声を聞くこともございます。
 最近では、2008年の通達によりまして、まつ毛エクステをメニューに取り入れている美容室もすごく増えてきていると思いますが、カットの技術とか、実際に美容室での業務をやりたいのに、まつ毛エクステも習得しなくてはならないのは大変だという声も中には聞いております。
 実際に今、まつ毛エクステのサロンで業務させていただいていますが、2008年の通達以降、求人の応募も激減しております。募集しても、美容師免許を持っていらっしゃる方の応募はほとんど来ない状況です。それとは逆に、美容師免許を持っていないけれども、まつ毛エクステのお仕事がしたいという相談の方が実際には多いです。そのような方に就職をあきらめてもらうのは心苦しいと思っておりますし、慢性的な人員不足で、店舗の経営も厳しい状態になっているサロンさんもたくさんあると思います。
 まつ毛エクステをするに当たって、美容学校のすべてのカリキュラムと免許の取得の必要性について疑問がある点もございますので、その部分について、今回、この場で検討していただけたらと思っております。
 私からは以上です。
○倉田座長 ありがとうございました。
 原さんの資料はございますか。
○原 手元の資料はございません。
○堀江課長 委員限りでお願いしますということで、ケサランパサラン様からは、新入社員教育プログラムを委員の机上に置かせていただいています。
○倉田座長 それでは、小谷野さん、原さんの御説明で、何か質問あるいは御意見がありましたら、どうぞ。
○福下臨時構成員 この委員会でなぜこれが検討されているかというのは、先ほど座長がおっしゃったように、病気と異なって、適当な表現がないのですが、しなくてもいいことをするわけです。それによって身体に障害が出てくる。それは何%出るからいいとか悪いではなくて、一人でも出るということがあればやはり注意喚起すべきものだと思います。
 今、お話を聞いていますと、施術者の立場ということでお話しされていますが、それを受ける国民に対しての安全性の確保ということは、ちょっとお話の中から抜けているのかなと思います。安全性の確保としては、技術的な教育と、体にのりをつけたり異物をつけたりするわけですから、医学的な知識が必要だと思います。それが必要なのは、最初にお話しした国民に対しての安全性の保証です。その辺についてはどのように考え、技術者としてやりたい人がいるから、何とかこれをということなのか。現実に、国民生活センターにいろいろな訴えが出ている、それに対して、どのように安全性を確保する対策をとっているのか。そして、それにはどういうふうにしたらいいか、例えば資格の問題、カリキュラムの問題について、どのように考えているのか。私はそういうところに入っていないのでわからないのですけれども、長年やっていらして、その辺はどういうふうに考えていらっしゃるのか、お聞かせいただきたいのですが。
○倉田座長 いかがでしょうか。
○原 まず、お客様の安全を確保することが第一だと思っておりますので、当店のスタッフの教育、技術の習得、必要な知識など、簡単に研修について御説明させていただきます。
 当店では、新人社員に対して研修期間を最低で3か月設けさせていただいております。その3か月の中でも、まつ毛エクステに関する専門の知識と消毒法や安全衛生に関する知識に関して、最低で100時間の教育を設けております。実技に関しては、実際にお客様に入るではなく、エクステの技術をやるという意味での技術指導を150時間ほど設けております。プラス、それらをクリアーした時点で、実際にお客様に入るときのロールプレーイングの時間で150時間ほど設けております。実際に、スタッフによっても、手が器用な方、不器用な方によって時間は変わってきますが、そういった中で、合計すると250時間~350時間ほど教育の時間を設けております。そして、最終試験をクリアーした者のみがお客様の施術に入れるというふうにしております。
○福下臨時構成員 何%ぐらいの方が最終試験をクリアーされていますか。
○原 今までのスタッフ教育で大体8割ぐらいです。それ以上の時間を費やしても、やりたくてもどうしてもできない、手がついていかないということであきらめた技術者もいます。
 お客様の安全を確保するために、衛生面で具体的に当店がとっていることですが、お客様の施術前後には必ず衛生手洗いをさせていただいております。実際に皮膚に触れるものですので、オスバンウォッシュなどを使いまして衛生手洗いをさせていただいております。あとは、スタッフの衛生状態は、清潔な白衣を着用いたしまして、施術時は必ずマスクの着用という形をとっております。実際にお客様に触れるツイザーなどの器具は、お客様ごとに消毒済みのものを必ず使用させていただいております。使い捨てにできるものはお客様一人ごとに使い捨てるという形です。
 また、目の根元の0.1ミリぐらいの細かな作業をしていきますので、大事な部分になりますので、施術時の目元の照明の確保、必ず明るい場所で作業をするのがきっちり見えるような状態で行うということと、空気清浄機や加湿器の設置などの換気を十分に行うということを気をつけながら、サロンでは指導をしております。
○倉田座長 一つ、意地悪い質問をしますが、何年ずつ経験がおありだと言いましたか。
○原 2007年からです。
○小谷野 5年やっております。
○倉田座長 やっていることはわかりましたが、先ほど福下先生が痛いところをポンと言いましたが、何かトラブったことはございませんか。衛生上のこと、あるいは技術的に目に傷がつくとか、医学的なことになりますが、そういうことはありませんか。あなたのグループを含めて。
○小谷野 先ほどお話しさせていただきましたが、お客様の中で、どうしてもやりたいがために、カウンセリングやお電話の時点でかいくぐってきてしまう方も中にはいらっしゃるんですね。技術的以外なところで、お客様からの御申告の上ですべて安全性を確保してやっていますので、そういった方で中には何か症状が出るという方はいらっしゃいますけれども、基本的に、クレームというか、当店の方でお客様から上がる声としては、デザインクレームですとか、こういうふうに仕上げたかったけれども違ったとか、技術的な面で取れるのが早かったということが大半になっています。
○倉田座長 どうぞ。
○三浦臨時構成員 確認させていただきたいのですけれども、新入社員の教育プログラムを受ける人は、美容師資格があるなしにかかわらず、全員がどちらか、もしくは両方を受けるという解釈でよろしいですか。
○小谷野 今は、当社に入社してくる者はすべて美容師免許を持っています。ただ、ケサランパサラン自体が化粧品会社になっておりますので、両方のカリキュラムをすべてクリアーしないと店頭には出られないようになっております。
○三浦臨時構成員 1日目の1時から3時という2時間授業で、消毒方法についてとか、揮発物の取扱いとか、廃棄方法についてという2時間というのがありますが、ここで、薬剤のこととか、エクステに関する消毒のお勉強をここでするということですか。ここだけですか。このスケジュールを見ると、実習がほとんどです。勿論実習が一番大変だと思いますけれども、例えば眼科医のお話を聞くとか、4日目にやっているクレーム対応のことなどを学ぶのであるならば、どんなトラブルが現実に起きているかとか、衛生上の問題を誤るとこういうことが起こってしまうとか、それは脅かすという意味ではなく、現実的な問題をどこまで新人さんにお知らせしているのか、すごく疑問です。
 私も何回もエクスをやっていて、全くトラブルはない体質ですけれども、一発で腫れた人もいるわけです。1回したけれども合わなくてできなかったとか、しているそばからチクチクしてだめだったとか、いろんな声を現実に消費者から聞いているので、ここの2時間がどうなのかというのをちょっとお聞きしたいと思います。
○小谷野 私は今、表参道店の店長としてやらせていただいているので、実際に私が教育に立っているという立場ではないのですけれども、勿論お手伝いはさせていただいていますが、私が入社した当時も、同じカリキュラムでしっかりと教育を受けていて、消毒方法に関しては、使う器具すべて使い終わったらステアライザーに一度入れて、すべて紫外線消毒をするように、まず、基本的にやらなければいけないことを学びました。
 揮発物に関しても、グルーの成分について学びました。お客様に対して、クレーム対応についてというところでも学びますが、実際にお客様からどういうお声があって、こういうことになりました、その原因はこういうことが原因です。だから、こういうことをしてはいけません、ではないですが、技術的なところで出てしまったりすることもありますので、すべてそれにつなげて私は学びました。
○福下臨時構成員 材料のことについてお聞きしたいのですが、今、日本においては材料についての国家基準がないのですけれども、材料を選ぶに当たって、その材料の安全性ということについては、何を基準に選ばれていらっしゃるのかを教えていただきたいのですが。この材料が、目につけることにとって、アレルギーが出やすい材料なのか、皮膚の障害が出やすいのか、材料の安全性というのは、何から安全と解釈してお使いになっているのか。いろんな材料が幾つかあると思いますが、それはどうなっていますか。
○原 実際、店舗で施術させていただいていますが、私が製品を選んでいるわけではありません。供給されたものを使っている形になります。
○福下臨時構成員 お店でこれを使いましょうというのは、どこが決めているのですか。
○原 店舗にいるスタッフ同士で、グルーでしたら使い心地、揮発性の高いものか、速乾性が高いものか、鼻にツンとくるにおいがないのか、そういう形で、通常に正確な施術をして異常がないかどうかというのは、スタッフ同士で確認はさせていただいております。
○福下臨時構成員 そうしますと、実際に使われている皆さん方は、何か安全がきちっと認められたようなものを使いたいというお気持ちはあるでしょうね。
○原 はい。
○小谷野 ケサランパサランの大もとがピアスという会社ですけれども、ピアスの方で研究所がございます。私も選んだ立場ではないので聞いている話ですけれども、使用する器具も、ワゴンの上に乗っているものすべて、安全性が高いものなのか、一つひとつグルーから精製水から、細かいところまですべて研究所の方で検査をします。安全性に引っかかったものに関しては、例えばグルーを落とすリムーバーですとか、そういったものも、安全性の基準を考えたものを、ケサランパサランでつくったものを私たち技術者は使用しているので、お客様には安全性の高いものだと信じてやっております。
○鈴木臨時構成員 カラーリングをやるときでもパッチテストというのをやるわけです。いつも使っているカラーリング剤だから大丈夫というわけにはいかなくて、人間の体は、睡眠不足だったり、疲れがたまったときとか、体調が悪いときだったりすると、同じカラー剤でも反応を起こしてかぶれたりすることがあるわけです。ですから、必ずそういうものを使うときは、パッチテストをすることと美容師法で決まっていて、やっているわけです。ですから、細かい目の周りというのも、会社の方でこれは安全だということで、私が選んだのではなくて使っているとおっしゃいましたけれども、万人に合うようなものということで解釈してやっていらっしゃるということで、そういう意味でのトラブルはないとおっしゃるのでしょうか。
○小谷野 万人とは勿論いかないと思います。当店の方でも、のりの種類が2個ありますけれども、エクステンションで主にかぶれの原因として出てしまうのがゴムの成分になりますので、それを除去して接着ができるものというのを、ケサランパサランの方でつくっていただいて、それを使用する場合もあります。パッチテストでのりを皮膚につけるということはできませんので、お客様の最初の事前の確認の時点で、つけまつ毛をつけたことがあるのか、のり類でかぶれはないのかということは、勿論、確認させていただきます。ただ、つけたことがない方も中にはいらっしゃいますので、何もやったことがないという方の場合には、御心配なようであれば、例えば目尻に1本だけとか、2本だけ、一度簡単につけさせていただいて、反応がない場合にはおつけしますという形で、パッチテストではないですが、そういったテストはお客様にさせていただいております。
 体調ですとか、ゴムの成分だけでかぶれるのではなく、それ以外のものでかぶれる方もいらっしゃいますので、成分は何かというのはお客様もおわかりにならないと思いますので、考えられることはすべて、お客様にお話しします。カウンセリングの時点でも、のりアレルギーというのがありますという形でお話を伺って、大丈夫だと思いますが、万が一のことも必ずお伝えして施術させていただいています。100%絶対大丈夫ですという形ではさせてはいただいていないので、あくまでも、ふるいに落とすではないですけれども、お客様の方にも確認を取りますし、できない方はできないで、申し訳ないのですけれども、きっちりお断りさせていただいております。
○鈴木臨時構成員 お断りをする方がどれぐらいのパーセンテージでいらっしゃいますか。
○小谷野 当店の場合は、妊娠中の方も念のため、それはグルーではなくて、ベッドに長時間お休みいただくのが体の負担になりますので、まず妊娠がわかった時点で、元気なお子さんを産んでからという形で御案内をさせていただいています。
 アレルギーに関しては、アトピー体質の方はやはり反応が出やすいですので、基本的には必ず電話でもお伝えしますが、私たちが見た状態で、あからさまにアトピーがあるとか、お目元が今日の体調で赤いだけかもしれないのですけれども、そういう方は、当日、お目元の状態を見せていただいて、お断りする場合もございますというのは必ずお伝えしています。
○倉田座長 今日の方はきちっとしたお答えが出てきて、何のためにこの会議をやっているかわからなくなってしまいますが、原さんと小谷野さんのところには何もないにしても、この業界の幾つかリストが出ていまして、こういうことがあったというのは、先ほどまとめたお話は福下先生がおっしゃいましたけれども、そういうことが情報として業者間で流れていますか。そういう情報というのはありますか。
○小谷野 お客様から、以前、エクステンションの経験があってこういうふうになってしまったというお声は、私は一技術者でやっているので、お客様からこういう事例があったというのと、あとは、ケサランパサラン自体が西にも東にもたくさん店舗がありますので、毎月必ず、クレーム報告書みたいなものをすべて上げて、会社に提出して、月末に、どういう内容のクレームがあったのかというのは全部書面で私たちもいただいています。ケサランパサラン以外のところだと私はわかりませんが、ほかの店舗では、こういうお客様のお声があって、こういうことがありましたというのは、すべてケサランパサランで共有はしています。
○倉田座長 その中に、事例が起きるとすれば眼科の先生のところに行くとか、皮膚科の先生のところに行くという話だと思いますが、具体的にこういうことがあったというようなところまで突っ込んだ情報というのは回っているわけですか。
○小谷野 すべて来ております。皮膚クレームではないですけれども、お客様のお目元が赤くなってしまったとか、そういったことはありますが、どういうことが考えられる原因かというのもすべて上がってきます。
○福下臨時構成員 眼科とか、国民生活センターに上がってくるものでは、角膜に傷がついたとか、まぶたが腫れたとか、まつ毛の根元が脱落してはげたとかというものが入ってきますが、そういう形で入ってくるわけですか。赤くなった、そして眼科へ行ったら角膜炎を起こしていた例があったと。私どもで調べたときに、まつ毛エクステを受けた人の対応を聞いた中では、「目がゴロゴロする、痛い」と言ったら、「痛いの?」で終わってしまったという話が入ってくるわけです。その辺は、単に赤くなったのではなくて、目の病気としてきちっと把握されているのかどうかということです。
○小谷野 こういうことがありますというのは何となくわかってはいますが、何が原因でというのは、医師ではないので、100%の答えは、例えばお客様のカウンセリング上でお断りするところはしていますが。
○福下臨時構成員 実際にやって具合が悪いといったときに、その場で眼科に紹介されるような事例があったかどうか。あなたのところではなくても、業界全体でそういうことを把握されているのかどうか。
○原 業界になると、ちょっとわかりかねます。今回、実際に店舗で施術している技術者という形で来ていますので、自分たちの店舗のことに関してはきっちり把握はしておりますが、業界になるとたくさん店舗さんもいらっしゃるので。当店の方では、お客様からクレームというか、御意見をいただいたという形では、例えば眼球に傷がついたという事例は今まで上がってきていません。技術的に、2、3日ですぐとれてしまったとか、技術的な不備な部分のクレームであったり、先ほどお話しされたグルーのアレルギーで、まぶたがかゆくなってしまったり、まぶたが赤くなりましたというお話は上がってきております。
○大井田構成員 尋問みたいで申し訳ないけれども、原さんは、国民生活センターのこういう事故があることは御存じでしたか。
○原 はい。私は、結構調べ物が好きで、インターネットで「まつ毛エクステのトラブル被害」とかで検索して、実際にブログであったり書き込みであったり、チェックはしております。
○大井田構成員 それならば、トラブルがあったときにどうしようとしていますか。マニュアルは何かありますか。簡単に言えば、眼科医に行ってくださいということだと思いますが、それを言っているのかということです。
○原 当店では申しております。万が一、目に異常があったときは、すぐ専門医への診察をお勧めしますということは申し上げておりますし、例えばグルーアレルギーでしたら、すぐにリムーブすることが必要になりますので、お客様に万が一そういう症状があらわれましたときは、すぐに当店に御連絡くださいと説明しております。
○大井田構成員 わかりました。3つ目、最初にやるお客様に、事故がありますと。要するに炎症が起きたり、角膜に傷がついたりしますということは、最初に言っているのでしょうか。
○原 角膜に傷がつきますということは言っていないです。安全な的確な施術をしていれば、角膜に傷がつくことはほとんどあり得ないです。例えば、アフターケアで目をかいてしまって、それで傷がついたということはあり得るかもしれませんが、施術をした上で角膜に傷がつくということは、今まで事例として私の店舗では上がっていないです。ですから、そういうことについてはお伝えしておりませんが、アフターケアの重要性についてはお伝えしております。
○大井田構成員 アフターケアの重要性については伝えているけれども、必ず、ほんのわずかだけれども、そういう例はあるということは伝えていないわけですね。
○原 それは伝えていません。
○大井田構成員 わかりました。
○倉田座長 日本の国民というのは非常に群れでやるけれども、個人で何かという判断がほとんどできない国民ですね。どういうことかというと、海外旅行に、あの地区にはこういう蚊がいます、こういうダニがいます、これは十何年前から厚生労働省が毎年出しています。ところが、それを何のために使うかというと、それを旅行会社に全部渡して、行く人ごとにルーズリーフでコピーして、こういうことに気をつけてくださいと。そうしたら、大きな旅行会社から猛烈なクレームが来た。何だと思いますか。みんな団体旅行がキャンセルになった。蚊に刺されるのなら行かないと。でも、そういう情報がなければ行くわけです。日本の国民というのは自分で判断が全くできないですね。
 成田でも羽田でもそうですが、検疫所は実にすばらしい海外感染症情報を出しています。十何年前とは違ってきれい。世界の各地域にはこういうリスクがありますといっても、誰も持っていかないですね。私はいつも、そこで30分ぐらいぼやっと誰が持っていくか見ていますが、誰も持っていかないです。こういうことに気をつけろ、それはごく当たり前に気をつけられる話なのです。例えば説明で、絶対ゼロ、リスクはゼロでないですよといったら、多分客は逃げていくと思います。だけど、車は毎年6,000人死んでいます。3万の人はもとに戻らないケガをしていますが、そういうことに関しては誰も問わないですね。非常におかしな国民だと思っています。
 でも、今はどういうふうにしてリスクをちゃんと伝えるかということが非常に問われる時代で、何か起きた途端にもう襲いかかってきます。誰が襲いかかるか、メディアです。今日は大勢来られているから、是非そういうところを、何が問題かということを認識していただく必要があると思いますが、まさにそうなんですよ。
 こういう問題は医療にかかわりますね。そうしたら、大記事が出るけれども、車で6,000人死にましたというのは、毎年、年度末が終わった途端に出ますが、ちっぽけな囲い記事です。認識が随分違う。車で事故はそんなに問われない。ただ、病気だった人、こういうのは問われますが、一般の人の事故で人を傷つけても、あるいは死に追いやっても、そう大騒ぎしません。そこが違うと思うのです。そういう意味では医療に関係したことは非常にうるさく問われる。これも、起きた事故が医療になるのです。やっていることは一般の医療と直接関係ないかもしれないけれども、人間の体をいじるという意味では医療の一環とみるべきです。
 そういう意味で、今、大井田構成員が言ったように、医療のリスクという問題は、きちっと、こういうことが起きますと。おっしゃっていた話は、今までの答えと違って非常にまともな答えなので、まさにこの会議が何のために行われているかというぐらいに、教育の現場をちゃんとすることだろうと思いますが、もう一つ余計なことを聞きますが、使った器具の問題ですが、リユース、再び使うというのはどのぐらいありますか。例えば20個ぐらいの器具を使うとして、再びそれを消毒して次の人に使うというものは、ないですか。全部使い捨てですか。
○原 当店では、施術に使う消毒するもので再び使うものはツイザー(ピンセット)のみです。ほかに使っているのは、マイクロスティックなり、まつ毛を拭き取る道具は、すべて使い捨てにしております。
○倉田座長 そのピンセットはどういう消毒をしていますか。
○原 当店で使用しておりますのは、塩化ベンザルコニウムの0.1%水溶液に10分間浸漬消毒をした後、洗浄して乾燥させたものを使っております。
○倉田座長 わかりました。
 ほかに何か御質問ありますか。あるいは、もし次回やるとすればこういうデータが欲しいとか。
○三浦臨時構成員 座長がおっしゃったとおり、今までとは違ってきちんとしたお答えが返ってきて、私はちょっと安心した部分もあります。さはさりながら、こういうお店の方が少ないと思います。こんなにきちんとやっていらっしゃるところは多分少ない。パッチテスト的なことをやるとか、すごく時間をかけてカウンセリングをしているお店が果たして何%あるのか。最初に私が持ってきたと思いますが、たくさん資格を持っている人間がいますとバーッと出ているフリーペーパーにある店の中で、化学的云々ではないですが、それだけのことをやっているだけのお値段はあるなと。私が普段行く店舗の倍です。この半額ぐらいのお店に行ったりしているので、やはりきちんとしたところに行かなくてはいけないのだと一消費者としても単純に思いました。
 そういう意味では現場は余りにも差がある。お店の中には、2,980円とか、技術者は2人で、どこまで本当に消毒しているのだろうというようなところもないとは言えない。前にも言ったとおり、よくわからないようなビルの中に何軒も何軒も入っていて、コソッと、と言っては失礼ですが、営業しているお店も現実にはある。そういう現場に消費者が行ってしまうという現実をどうするか、ということがすごく気になるのです。立派なお店がきちんとやっていらっしゃるというのは、それはそれでいいと思うし、安心ですけれども、そういう選び方がわからないから、資格を取っている人間がやるべきではないでしょうかという、一つの選択基準という見方をする人たちもいるということです。お店ごとにすごく差があるので。
○倉田座長 どのようにお考えですか。
○原 正直、差があると思います。ですから、一定の基準のような許認可制度であったり、つくっていただきたいなとは思っています。本当にいろんな店舗さんがございまして、美容師さんが施術をやっていても、技術を2、3時間勉強しただけで知識は何も持たずにやっていらっしゃったり、美容師さんが施術していてもトラブルは起きるわけですので、やはり大きな差はあると思っております。
○倉田座長 ほかにどなたか。
○枝折臨時構成員 私は美容師で、技術者でありまして、約10年やっております。私が最初にお答えしているように、技術に1年かかっています、私は特に男性でしたので。おでこに技術者がさわりますね。さわっていますか、宙に浮いていますか。
○原 浮いています。
○枝折臨時構成員 私と同じですね。そのくらいすごく難しいし、私は実際にカットもしていて、カットの講師で、ロングの講師で、美容師がこの道で来てすばらしいと。うちはシャンプーも特別なものを使って、今の子は、シャンプーだけでなく水でも荒れてしまうのです。そういう点でまつ毛エクステというのは、美容学校と、美容師はできなくても、そういう道があるということで、私は6年ぐらい前から学校でも指導しているわけです。確かに会議などに行って、いろんな大会がありますが、いろんな協会がありまして、統一がないというのがいろいろ問題が出てきたのではないでしょうか。私はそう感じております。
○倉田座長 ありがとうございました。
 それでは、次の韓国の参考資料がありますので、それを説明していただけますか。
○鶏内課長補佐 資料4でございます。韓国との法規制についての比較を説明させていただきます。
 まず、韓国と比較させていただきましたのは、この検討会の中でも今までに、韓国の法制度が極めて日本と近いということで、参考になるという御意見があったこと。それから、まつ毛エクステンションに関しましては、韓国でのブームが日本に入ってきたということもございますので、その点から、美容先進国と言われております韓国と比較させていただいております。
 法規制に関して、美容師とまつ毛エクステンションという欄を設けまして、日本と韓国の比較を行っております。まつ毛エクステンションに関しましては、日本と同様、美容師の資格が要るということでございます。それ以外に、まつ毛エクステンション、あるいは美容師に関しての定義といたしましては、韓国の方では、顧客の顔、頭、皮膚などを手入れして顧客の外観を美しくするということで、美容の範囲は、日本は原則、首から上ということでございますけれども、韓国は体の部位による区別はありません。また、衛生管理の責任者に関しましては、日本は管理美容師というところがございますけれども、韓国は、営業者に毎年3時間の衛生教育を受講してもらうというところでございます。
 資格の取得に関しましては、韓国では、短大や大学など、美容関係の学校を卒業いたしますと、卒業と同時に国家試験はなく美容師の資格が取得できるということでございます。短大や大学以外ではアカデミーというところがございまして、こちらでは通常6か月から1年、教育を受けまして、卒業した後に国家試験を受けて美容師の資格を取得できるということでございます。
 教育時間に関しましては、日本では2,010時間以上というところで規定されておりますけれども、韓国では特段時間の規定はございませんけれども、通常、短大では1,100時間、大学では2,200時間という養成の課程があるということでございます。
 2ページ目、こちらは実際に生活衛生課等から韓国へ3月に調査に行ってまいりました。訪問先といたしましては、日本の厚生労働省に当たります保健福祉部の方に行っております。また、日本の国民生活センター、あるいは消費者庁に近いところになりますけれども、韓国消費者院の方にも訪問させていただきました。そのほか、まつ毛エクステンションを行っているサロンや団体の方にも訪問させていただいております。
 調査のまとめといたしましては、まつ毛エクステンションは美容師が行う施術であるということは、日本と同じであるというところでございます。
 次に、保健福祉部によりますと、施術は美容師により実施されているという説明がある一方、無資格者による施術については、行政機関による実態把握や監視・指導にかかる情報などは、把握されていないというところでございました。
 つけまつ毛、これはまつ毛エクステンション用も含むつけまつ毛になりますけれども、つけまつ毛自体と接着剤に関しては、韓国では安全要件、試験方法及び表示事項などを規定している安全基準認証という制度があるということでございました。先ほど福下先生からもお話がございましたけれども、日本では、まつ毛エクステンション用接着剤に関しては特段使用を義務づけるというところがございません。
 ただ、つけまつ毛に関する接着剤に関しては、注釈に記載させていただいておりますけれども、「有害物質を含有する家庭用品の規制に関する法律」というものがございます。この中で、接着剤に含まれておりますホルムアルデヒドについては規制がされていますが、こちらは家庭用品にかかわるというところでございますので、つけまつ毛というところの規制でございます。まつ毛エクステンション用に関しましては、美容師が行う資格、施術であるというところでございますので、いわゆる業務用の接着剤という位置づけになりますので、この枠では現状では規制するのが難しいというところでございます。
 次に、まつ毛エクステンションに関する健康被害の相談件数でございます。韓国では2010年以降4件と、日本と比べて少ないということでございます。日本では、昨日までの集計でございますけれども、2004年度以降、387件の相談件数があるということでございます。こちらに関しましても、すべてがまつ毛エクステンションによる健康被害であるのかどうか、精査までは現段階ではできていないところでありますけれども、まつ毛エクステンションに関する危害ということでは、昨日までの登録としまして387件ということでございます。
 以上です。
○倉田座長 ありがとうございました。
 今の御説明で質問等ありますか。
○原 韓国のまつ毛エクステンションに関して、資格のところに美容師資格と書いてございます。2年ほど前に韓国に行きまして、そこでお伺いした話によると、韓国ではまつ毛エクステの別の資格といいますか、政府が公認した民間企業に、政府が委託した資格制度というものがあって、それを取得した者でないとまつ毛エクステができないですとお伺いしました。それで、私もそこの1級を取りました。美容師以外の方も受験されていたのですけれども、どうなのでしょうか。
○鶏内課長補佐 訪問先はどちらに御確認されていらっしゃいますか。
○原 委託された協会さんです。
○鶏内課長補佐 私どもが調査させていただきましたのが、いわゆる厚生労働省に当たります保健福祉部に直接確認をさせていただきました。この中で、法制度といたしましては「公衆衛生管理法」というものがございまして、この中に美容業が特定されている。これに即して規制されている中では、まつ毛エクステンションの施術に関しましても、公衆衛生管理法の中の美容業にあたる施術ということで確認しております。
○原 わかりました。
○倉田座長 ほかに、どうぞ。
○三浦臨時構成員 2ページ目の、つけまつ毛、エクステンション用、接着剤の安全要件とか、表示事項を規定している安全基準認証は、第三者認証機関のようなものがあってやっていらっしゃるのでしょうか。それとも、韓国消費者院の方で認証制度のようなものをお持ちなのでしょうか。
○鶏内課長補佐 安全基準認証に関しましては、今回お伺いしたのが韓国消費者院ということで、いわゆる消費者からの相談を受け付けられるところであったので、直接、安全基準認証にかかわるところで確認させていただいてはいないのですが、政府によって委託されておられるところで基準にのっとって確認をされているというふうには聞いております。
○三浦臨時構成員 別機関か何かがあるということですか。
○堀江課長 JISマークみたいなマークで、KCマークというのがついているというような感じでございます。美容に限らずいろいろなものについて、そういうマークがついていると。
○倉田座長 ほかに、どなたか。
 御意見がなければ、課長。
○堀江課長 まだ日本の厚生労働省で検討するところまで話が進化していなくて、苦情件数なども日本と比べればずっと少ないところです。役所ベースで言うと、美容師さんがやっています。団体の方もそうだけれども、実際には美容師資格を持っていない人がいるというところで、実態が十分に解明されていない部分もあるようにお聞きしたところです。
 もう一つは、こちらにもございますが、美容師の資格が日本と比べると取得しやすいところがあって、一般には美容師の人がやっていますというような説明が、日本と比べると成り立ちやすい状況があるだろうというふうに私は理解しました。
○倉田座長 全般を通しまして、まつ毛エクステンションについて。
○秋山構成員 ケサランパサランの方にお伺いしたいのですが、新人教育のプログラムの第1日目の10時30分から16時までのカリキュラムは、どなたが担当していますか。
○小谷野 うちトレーナーです。
○秋山構成員 トレーナーというのはどういう方ですか。
○小谷野 以前、美容皮膚科に勤めていらっしゃった方です。私もその方の経歴までは詳しくは知りませんが、医療関係のことをしっかりと学ばれた方ということです。
○秋山構成員 皮膚科のお医者さんですか。
○小谷野 お医者様ではないです。お医者様から講義などもいっぱい受けていらっしゃるようでしたが、そういう方が衛生管理ですとか、アシスタントとはまた違うかと思いますけれども、お医者様についてやられていた方でした。
○秋山構成員 お医者様について学んだ方というのは、日本ですと、看護師さんだとか、ほかの医療技術者だとか、そういうような系統の人ですか。
○小谷野 美容クリニックでアシスタントをされていた方で、医療系の衛生管理教育とかも、お医者様から直接指導を受けた方ということで伺っています。
○秋山構成員 そうすると、医療に関する何らかの資格を持たれている方ではないのですね。
○小谷野 ではないと認識しています。
○秋山構成員 わかりました。
○倉田座長 ほかに何か。
 最後の話は非常に大事な話で、実験室でもいろいろいじる場合に、資格というのは、求める場合と求めない場合があって、見よう見まねで、資格を持っている人より上手な人はいくらでもいるわけです。それでもキーになることに関しては、誰がやったかということを問われるわけですね。調理師の免許を持っていれば、その調理店で働いていれば、免許がなくても誰がやってもいいし、料理長よりはよっぽどうまい人がいくらでもいるわけです。ですが、この話はそういうレベルの話ではなく、片方は胃に行く話で、片方は目に来る話で、状況も全然違う。胃のアレルギーというのは、ないわけではないけれども、下痢するぐらいの話だから、はっきり言うとどうでもいい話です。でも、目とか皮膚のアレルギーというのはまたちょっと違ってくる。
 そういうところで、今までの何回かのお話を伺っていて、きちっとした体系がないのではないかと。今日は説明をきちっとされたので、そのようにみんなが動いていれば、それほど問題になることは極めて少なかったのではないかと思いますけれども、課長はどういうふうにお考えですか。
○堀江課長 参考資料2をごらんいただきたいと思います。「生活衛生関係営業等衛生問題検討会の検討経緯等について」です。
 
 実は結構な回数も進んできていまして、大まかに申し上げますと、問題提起の後、(3)から関係者のヒアリングが始まって、参考資料3にもつけましたが、いろいろな団体の関係の代表の方にお話をお聞きすることを、(3)、(4)と行いました。(5)が、美容師の教育課程のテキストに収載いたしましたので、その話をお聞きし、また、もうお一方、関係の団体の方に話をお聞きして、その方はまつ毛エクステンションの教育も実施されている方という御説明でございました。
 今回が(6)というところでして、美容学校でどう教えているのかという観点と、これまで、実際にまつ毛エクステンションの施術を行っていただいている方にお話をお聞きする機会がなかったもので、今日、小谷野さんと原さんに来ていただいて御説明をいただきました。
 前々から言っている話でいくと、まつ毛エクステンションのそれぞれの団体で、医療の安全性のアドバイスをされている医師の方がお見えになるという話で、実はそこの部分でいろいろと調整していますけれども、なかなか見つかりにくい状況がございます。それを是非、関係団体の方にもお願いしながら、ここまで来て、前回の御説明ですとか、今回の御説明ですとか、具体的な御説明になってきています。
 先ほど三浦さんがおっしゃっていただいたように、行ってみたい、安心度合いが高まるような体制のお店の話をお聞きいただいているのだと思いますけれども、安全性、衛生面からの方法論というところがどうなのかというところについて、もう一つお話をお聞きしたいというところがございます。福下先生からも以前にお話がございましたけれども、二次的な研修になっていくとどんどん本質の部分が薄まってしまうのではないかという懸念があります、ということがあったのが気になっていまして、私ども一生懸命探して、そこから先のことを、次回は是非そういうところをお願いしたいと思っております。
 当初からお話しいたしておりますように、消費者に対しての安全性あるいは危険性についての情報提供をどういうふうにしていくか。消費者の方の安全が第一ですということについては異論がないところでございまして、施術をする方のこと、施術をする場合の使われる用具、グルーなどについての考え方というところに話が行くのかなと考えております。
○倉田座長 それでは、ひとこと言って終わりにしたいと思いますが、協会のリストが参考資料3に9つありますが、この協会を束ねるような事務局とかはありますか。
○堀江課長 参考資料3を注意深く見ていただきたいと思います。表面と裏面がございまして、私が知る限りですけれども、第3回にヒアリングをした際に、今日もお見えですけれども、安藤さんからお出しいただいたものをベースにしていますが、裏面に13の団体がございまして、どこから話をしていいのか、私もよくわからないということがあったわけでございます。
 表面を見ていただきますと、特に法人格ということもないと思いますが、まつ毛エクステンション協会連合会というものにグループを組んでいただいているということで、先ほどの13のうちの9が、いわば今回の問題に際しまして、一緒にやりましょうということで緩い連合を組んでいただいている感じになっています。ある意味こういうふうに13のうちの9つが、一緒に協議をしていただけるような感じになっているというふうに理解しております。今回、小谷野さん、原さんに来ていただきましたけれども、こちらのまつ毛エクステンション協会連合会というところにお問い合わせをして、適当な方のご推薦をお願いして、本日、お願いをしているという状況でございます。
○倉田座長 わかりました。私が今、課長に聞いたのは、こういうのはいくら続けていっても、少しずつ理解深まるというのはいいのですが、先ほどの387件出てきた、そういう問題に関して、どうしたらそういう問題が起きないようにできるかということ。あるいは、何か起きたときに対応をどのように仕組めばいいかとか、そういうことはありますが、資格の問題に関して美容師がということになってきて、そうでなくてもできるという話も今まで何回もお聞きしました。そこのところをどういうふうに整理するのか。美容師というのを、法律的な意味で義務づけるか、つけないか。あるいは、そこでヘルパー的な仕事という格好で何年か技術的なことをしっかりして、衛生面に関する配慮もできるようになったら、例えばまつ毛だけのコースをつくるのかどうか、それはわかりませんけれども、何かそういう配慮をするのか、しないのか。美容師一本で行くのか、いろいろ考え方はあると思います。
 もう一つは、手近な例でいけば、必ず眼科とか皮膚科の顧問をつけて、何かのときに対応すればいいというようなことをルーチンにやれるシステムをつくるとか、何か考えないと、この問題はいくら聞いても、はい、それで終わり、になるとまずいかなと私は思っています。そういう点で、課長、考えていただけませんか。
 今日は、この問題に関しては、時間も来ましたので、これで終わりにしたいと思います。どうもありがとうございました。今後、またいろいろなことがあると思いますが、よろしくお願いします。
 委員のメンバーが次の回と代わりますので、今までのことで出られていた委員の方は、ご苦労さまでした。ありがとうございました。
 それでは、「建築物衛生法に基づく資格について」ということで、本日、関係者からお話を伺おうと思います。
 初めに、事務局から出席者の紹介をお願いします。
○伊藤課長補佐 それでは、出席者の御紹介をいたします。
 本日は、意見聴取といたしまして、公益社団法人全国ビルメンテナンス協会の専務理事の興膳慶三様に御出席いただく予定でございましたが、御都合によりまして、同じく全国ビルメンテナンス協会事業部部長の中村孝之様に御出席をいただいております。
○倉田座長 事務局から資料の説明をお願いします。
○奥野課長補佐 お手元の資料5を御用意いただければと思います。
 「行政機関が行う政策の評価に関する法律に基づく総務省からの勧告への対応」ということで、建築物衛生法における登録制度等について、御検討をお願いできればと思います。
 まず、建築物衛生法により、措置が求められているものがございます。これは3,000?以上の建築物に対するものですが、空気環境の調整、給排水の管理、清掃、ねずみ等の防除とございます。こういった法令の中で、「建築物における清掃を行う事業を営んでいる者は、都道府県知事の登録を受けることができる(登録を受けなくても事業を営むことは可能)」というものがございます。
 この登録制度の趣旨でございますが、一定の物的基準、人的基準などを満たす営業所が申請を行いまして、都道府県知事の登録を受けるものとしております。物的基準の例として、真空掃除機、床みがき機を有すること。人的基準の例といたしましては、監督者、従事者について、それぞれ必要な講習、研修を受けるというものがございます。
 今回、主に御検討をお願いしたいのは、「従事者は、研修を修了したものであること」、ここの研修についてでございます。
 登録制度の趣旨でございますが、2つ目のマルにございますように、「登録業者は、登録の表示を行うことができる」というものがございます。この登録制度によって、「登録を受けた者について、一定の水準を担保する。また、監督者・従事者が定期的に研修を修了することにより、登録業者の能力向上に資する」、そういった趣旨で進めているものでございます。下の数字は御参考にしていただければと思います。
 2ページは、総務省の勧告の内容について書かれております。指摘の内容ということで、登録を受ける場合に、従事者・監督者を置かなければいけないとされておりまして、清掃作業従事者の資格を取得しようとする場合に必要な研修を修了することが要件とされていて、この資格には1年間の有効期間が設けられ、更新するために、毎年、研修を修了することが必要とされております。
 しかし、この資格の更新にかかる研修の内容は、作業従事者としてのマナーなどを内容とする作業従事者の心得、清掃用機械器具の使用方法、そういった基本的な事項となっており、資格の取得にかかる研修と内容はほとんど同じものとなっている、と書かれております。また、清掃作業監督者については、有効期間が6年間に設定されていて、更新については6年ごとに受講すればよい。これらのことから、清掃作業従事者については、講習の実施頻度や、その在り方について見直す余地があると考えられる、とされております。
 ここまでは清掃について申し上げましたが、それ以外に、ダクト清掃作業、貯水槽清掃作業、排水管清掃作業、防除作業についても、同じく見直す余地があると考えられる、といった御指摘の内容でございます。
 その下に、「講習の実施頻度やその在り方について検討が必要」としておりまして、実施頻度、内容の根拠を示しております。有効期間は1年に1回以上としておりますのは、平成14年3月26日付の通知に基づいております。また、内容については、建築物衛生法の施行規則第25条第3号ハの中で、「清掃用機械器具等及び清掃作業に用いる資材の使用方法、並びに清掃作業の安全及び衛生に関するものであること」といった内容が示されております。
 3ページは、論点の案といたしまして、まず論点1、都道府県知事の登録を受けるに当たっての従事者研修の必要性について、御検討をお願いしたいと考えております。四角にございますように、対象者はパートタイマーであっても研修の対象となる。また、パートタイマーの占める割合は約60%となっております。
 2つ目の四角は、ビルメンテナンス業における労働災害の発生状況です。全国で2,927人が労働災害に遭われている。また、ビルメンテナンス業の度数率、これは100万延べ実労働時間当たりの労働災害による死傷者数ということで、労働災害の頻度を示すものでございますが、これが多い方が労働災害がよく起きるということになるわけでございます。ビルメンテナンス業においては2.97でございまして、他の業種と比較して高い傾向にございます。
 論点2は、従事者研修を必要とする場合の内容につきまして、有効期間、具体的な研修内容につきまして、御議論をお願いできればと思っております。
 参考資料6は、過去にも出させていただいた参考資料でございます。建築物衛生法に基づく資格に関する検討事項がございますけれども、今回、御検討をお願いしたいのは、右下の方にございますように、実施頻度やその在り方について見直すこととしているところでございます。
 以上で事務局からの説明を終えさせていただきます。
○倉田座長 ありがとうございました。
 ただいま、事務局からの説明がございましたが、これにつきまして、更に詳しくいろいろ御意見等、資料6を中村さんの方からお願いいたします。
○中村(公益社団法人全国ビルメンテナンス協会事業部部長) お手元にございます資料6に基づきまして、御議論いただきます前に、従事者研修の実態について御説明をさせていただきたいと存じます。
 資料6の下段のスライドナンバー2は、登録制度の趣旨ということで、今の施行通知の中にございますように、そもそも登録制度というのが、事業者の資質の向上と事業に従事する者の技術・技能の向上を図ることによって、建築物の衛生的環境を確保するといったようなことを目的として定められた制度です。
 こういった形での目的を達成するための登録の基準といたしまして、3点ほどございます。一つには、機械器具等に関しての基準、いわゆる物的基準です。それから、事業に従事する者の資格に関する基準ということで、人的基準。その他の事項に関する基準で、その他の要件。この3点の要件がございますけれども、特に今回、対象となっております人的要件のところに関しましては、当然、従事者の方の技術・技能の向上を図るために不可欠な要件であると考えているところでございます。
 1枚めくっていただいて、スライドナンバー3。これは、また別の調査の結果です。実際にビルの所有者の方々が、環境衛生管理業務を外部委託する際の業者の選定基準です。私どもの協会で平成17年にユーザー調査を実施して、回答数としては304で、必ずしも高くはないのですけれども、そちらから見てみますと、ビルの所有者側が環境衛生管理業務を外部委託する際に、どういった観点から業者を選ばれているか。サービスの質がよい、あるいは、技術水準が高いというところが、選定の際の大きな要因になっているというところでございます。
 具体的に、先ほどの人的基準の中にございます従事者研修の実態がどうなのかというところが、スライドナンバー4でございます。人的要件には大きく2点ございまして、監督者等の専任と作業に従事する従事者の研修というところです。今回、検討の対象になっておりますのが従事者の研修でございます。こちらは登録基準の中では大きく2点ございまして、登録を受けようとする者(事業者)が実施する研修、もしくは、厚生労働大臣の登録を受けた者が実施する研修、このいずれかの研修をしなければいけないというのが現状の登録制度です。
 この1と2の研修の実施比率がどのくらいかというところですが、これは推計値になりますけれども、平成21年度の清掃作業従事者の研修の場合を見てみますと、清掃業務に従事する従事者総数が約64万2,600人と推計できます。根拠といたしましては、平成21年度の労災保険収支総計で示されております総従事数が105万人。これに対して、私どもが平成21年に実施した協会の実態調査、私どもの協会会員数、約2,900事業所に対して調査を行っていますけれども、その中で、各事業所の清掃作業従事者の方の占める割合が61.2%です。そうしますと、清掃作業従事者約105万人に対して64万2,600人いるだろうということです。
 これに対して、登録の従事者の研修対象となる人数はどれぐらいかというと、推定で約17万7,357人です。根拠といたしましては、先ほどの労災保険収支総計のところで、対象となる事業場の数が、約2万1,400でございます。これに対して清掃作業従事者研修が必要になる1号登録あるいは8号登録をしております事業場の数が、平成21年当時、5,905でございました。ビルメンテナンス総事業場数に占める登録事業場数の割合は27.6%です。したがって、先ほどの64万2,600人のうちの27.6%に当たる方々が、少なくとも従事者研修の対象者になるのではないかということで、17万7,357人という数字を算出してございます。
 私ども協会をはじめとして、22機関、今、厚生労働大臣の登録をいただいて従事者研修を実施してございますけれども、平成21年に受けた従事者研修参加者は6,529人です。先ほどの従事者研修の実施方法として、社内研修で研修を実施しているものが約17万人(96.3%)、それに対して、私どもの団体等が実施する集合研修を受講された者が約6,500人(3.7%)で、ほとんどが社内研修で実施をされているというところです。
 では、そういった従事者の方々に、どんなスキル、能力が求められるのかというところで、参考資料として御用意させていただいたのがスライドナンバー5、6です。これは、厚生労働省が作成されました「職業能力評価基準」というものがございまして、上段の方が、清掃管理に従事する従業員の方が共通的に持っていなければならない能力。下段の方が、それぞれの技術・技能に関しての個別の能力というふうに御理解いただければと思います。
 このような形で、初級の作業員から中級、上級、その上の班長という形の職責に分けられてございますけれども、通常の掃き、拭きというだけではなくて、やはり定期的な清掃であったり、ときには新築、退去時の清掃、あるいは用途別にホテル、病院、事務所ビル等、用途によっても清掃の内容・方法が変わってまいりますので、そういった部分についての知識も求められているというところでございます。
 こういった教育をする際の対象の従事者がどんな方かといったところを、取りまとめさせていただいたものがスライドナンバー7でございます。私どもの協会が実施しました実態調査の中から幾つかデータとして抽出してございますけれども、表-2の業務別の従事者数をごらんいただきますと、左側が清掃業務に従事する従業員の方で、1社当たりの平均数と御理解いただければと思います。常勤従業員の方が39.6名(21.6%)、パートタイマーの方が143.6人(78.4%)という雇用形態になっています。
 表-3は、実際に従事されている方の年齢構成です。常勤従業員では、一番多いのが35歳~64歳でございますけれども、パートタイマーの方を見てみますと、55歳以上が全体の41.8%、65歳以上が29.0%で、約7割が55歳以上の御高齢の方々という形でございます。
 もう一つ、パートタイマーの方が非常に多いということもありますが、離職率といいますか、1年間の採用者数と退職者数を示しておりますのが表-4です。こちらは若干データが古くて平成20年の調査です。それ以降、継続的にこのデータをとっていませんので、平成20年のデータで御説明させていただきますと、平成20年当時、1年間の採用者数としては92.5人、それに対して退職者数が77.6人です。この年の1社当たりの平均従業員数が197人ということで、約4割の従業員の方が入れかわっているのが実態です。
 表-5は、各業務の男女比を示したものです。特に清掃の場合は、やはり女性の方に作業をしていただいているのが非常に高い比率になっています。
 スライドナンバー8は、先ほどの96.3%が実施しております社内の研修について、データを取りまとめたものでございます。そもそも社内研修を96.3%で実施しているという形になっていますが、その中で、社内に研修体制を持っているかいうところで、雇い入れ時の研修体制の有無に関してのデータが上段、雇用後の継続的な研修体制を持っているかというのが下段になります。約6割がOJTあるいはoff-JTによる教育体制を持っていますけれども、特に社内に研修体制を持っていないというものも、37.1%あるという形でございます。
 スライドナンバー9は、それぞれの事業所が社内研修に対して、今、どのような形の問題を抱えているかという部分です。「大いに悩んでいる」「多少悩んでいる」というところが全体の7割で、具体的にはどんな悩みを抱えているかというところを見てみますと、「研修のための時間が十分にとれない」が83.8%、「研修コストが割高になる」が41.2%、「研修のための指導者が確保できない」が30.9%といったようなところが、社内研修の中での悩みとして抱えられているという実態でございます。
 こういった中で、事業者さんが私どもの協会活動にどんなことを期待しているかといったデータが、スライドナンバー10でございます。一番高いのが、技術教育・研修機会の提供で全体の約5割、半数近くの事業者さんがそのような期待を持たれています。管理教育・研修機会の提供というところも35.3%という高い数字です。
 次の表は、私どもが実際に実施しております従事者研修に関してのカリキュラムでございます。必ずしもワンパターンの教育という形ではなく、およそ実務経験年数3年未満と3年以上に対しまして、表にございますような形でのカリキュラムを御用意して、それぞれ教育ができる体制はとらせていただいているという形でございます。特に選択科目にございますように、時々の対象によってカリキュラムの方も組みかえながら実施する体制をとっております。
 スライドナンバー13は、また別の視点から見たときのデータでございます。労働災害の発生状況で見たときの清掃従事者の方々の状況でございます。特にビルメンテナンスの特殊な事例として見てみますと、スライドナンバー14にございますように、転倒、墜落・転落といった事故例が高いというところでございます。
 そういった事故に遭われる方々の構成がスライドナンバー15でございます。50歳~60歳の従事者の方が多いということもありますけれども、やはりこの辺の方々の事故例が非常に多いという形です。
 まとめさせていただきますと、スライドナンバー16にございますように、建築物の環境衛生の確保を図るために、事業者の資質の向上、ひいては、それを達成するためには従事者に関する技術・技能の向上も非常に重要であるという部分に対して、実際に従事している方々がどんな特徴があるかというと、パート従業員の方が78.4%、加えて55歳以上の高齢者の方が70.8%と、非常に高齢者の方が多いというところで、適切な作業をやっていただくためには反復教育が重要なのではないか。同時に、労働災害の防止という観点から見てみますと、やはり高齢者の方の労災事故が多いところから、それをなくすためには、まめな労災防止のための教育が必要になってくるのではないか。
 具体的に従事者研修の実施状況を見てみますと、先ほど御報告いたしましたように、集合教育、私どもの団体のようなところで教育を受けさせるのが3.7%、登録を受けようとする事業者の方がやっている社内研修が96.3%。その社内教育に関しても、研修体制がとれない、あるいは、とれてもさまざまな悩みを抱えられている中で、今、私どもでやっております集合研修というのは、あくまでも社内研修を補完する形での研修の位置づけになっています。
 先ほど御報告いたしましたように、協会といたしましては、さまざまなカリキュラムを対象に応じて準備してございますけれども、やはり企業の方から要望として需要が高いのが基礎コースです。離職率が非常に高いということもあって、新人の研修をしてほしいという要望が高いために、総務省勧告にございますような、毎年、同じような研修を実施しているという実態でございますけれども、受ける側の方々は毎年同じ方が受けに来ているということではなくて、常にかわった方が受けに来られて、その方が、基礎の上に社内研修の方でスキルアップを図っていただいているというのが、今の従事者研修の実態であると御理解をいただければと考えております。
 以上でございます。
○倉田座長 ありがとうございました。
 課長、総務省のこの判じ物みたいな文章は何を言いたいのですか。意地悪く言えば、研修なんかやめてしまえ、勝手にやったらいいだろうというふうにもとれる。なぜヨーロッパの街の建物がきれいに維持されているか、そういうことを全く勉強していない人のやっていることですね。これは、同じことをきちっと毎年毎年、一定のときにやっているから、街やビルそのものがきれいなのです。日本も恒久的なビルをつくればつくるほどちゃんとやらないと。そういうことを全く勉強したことがない人が書いているのではないですか。
 要するに、研修なんかやめたらどうだ、金を集めるのをやめろ、できればビルメンテナンスは国がやることはない、外郭がやることだ、そういうことを言っているのではないですか。これははっきり言うと、何とでもやれるわけです。同じことをやっているとか、いろいろ書いていますが、同じことをきちっとやるからビルのメンテナンスなので、毎年、新しいことをやったらビルのメンテはできるはずがないですね。これは実験室でやっている者はすぐわかる。これはどういう意図があるのでしょうか。どのようにお考えになっているのですか。
○堀江課長 総務省の勧告は、実態を見ていないという話はあったかもしれませんが、一つのベクトルから見て、ビルメンテナンス関係だけに向けているものでもないわけでございますから、この尺度から見ていって、一回見直しをした方がいいのではないかという、発想の角度がそこにはまって、これも対象になりましたということだと思います。
○倉田座長 そうすると、もっときちっとビルを管理しなさいという結論が出てきてもいいわけですね。この文章を見ていると、同じことをやっているのはけしからんというような書き方ですね。要するに恒久的なビルの意味というのが、よくおわかりになっていないのではないかと思って先ほどからこれを読んでいましたが、課長はどのようにお考えですか。
○堀江課長 私も、今日お聞きしていてよくわかった部分もあるわけですけれども、そもそも登録制度というのは、先ほどの美容のように業務独占の関係ではございません。登録があってもなくてもビルメンテナンスはやってもいい仕組みになっています。そういう意味で、例えば行政ですとか、ビルを持っている会社の人たちが契約をする際に、登録を持っているビルメンテナンス会社の方が信用度が高いというふうに思う場合があって、そう思っていただくには思っていただくだけの信用がおける体制をとっていましょうというのが、いろいろな登録制度の物的要件、人的要件だと考えています。
 中身が毎年、比較的似たことになっているのではないかということについては、今日お話しいただいたように、従事者さんが毎年入れかわるというようなビルメンテナンス業の特性があり、かつ、ビルメンテナンス業というのは、労災で見るのが適当かどうかは別としまして、事故率も比較的高い。これは私どもの資料の方で書いたわけでございますけれども、そういうことから、やっていただくにはきちっとした研修と。ただ、その業界に5年、10年勤めている人も中にはいると思いますが、そういう人のときに、「また同じか」という話になるところを、どういうふうにしていったらいいかというのは内容としてはあると思います。
○倉田座長 非常に大事だと思うのは、実験室をずっとやってきて思うのは、新人も古い人もトレーニングを毎年やる。だから維持できるというところがあるわけです。実験室と同じだと思って見ていたのですが、それをおろそかにしたら、どんどん実験室は汚くなるし、思わぬところでとんでもない事故が起きます。
 なぜヨーロッパが維持できているか。マイスター制で専門制なのです。だから、事業費が安いから、お年寄りのパートの比率が多くなる、そうすると事故が増えるのは当たり前のことで、やはりきちっとした制度をつくってビルを守るという格好になって、それなりのペイを払わなくてはいけないというふうになってきたら、まちはきれいになるし、ビルもきれいになって、事故は起こらなくなると思います、そういう世代の人が勤めるようになれば。こういう大事なところを、日本はみんなパートに任せればいいと。大体そういうことが多すぎる。だから、事故にもつながるのではないかと私は推察しています。
 この総務省の文章は非常にわかりにくくて、どうしたらいいかということがわかりません。推測でいいのでしょうけれども、今日は時間もありませんから、今日の中村さんの方から発表されたことについて、御質問がありましたら、どうぞ。
○堀江課長 私からお聞きして申し訳ございませんけれども、96%が社内研修で、3.7%が集合研修で、登録をされているビルメンテナンス業の会社さんはどちらかというと事業規模の大きなところが多いと思います。その中の3.7%が集合研修で、集合研修をやっているところは、その中では比較的小さなところが多いと思ったらよろしいのでしょうか。
○中村 先ほどの資料にございましたように、OJTあるいはoff-JTで社内研修体制を持たれているのは大手の会社さんで、事業所数としては非常に多いですけれども、ほとんどが中小零細企業というところで、そこの中でなかなか社内研修体制をつくりきれていないというのが4割近くあるという感じです。集合教育を受けに来てくださっている事業規模を見ると、やはり中小の事業規模が多いのではないかと考えています。
○倉田座長 ほかに何か質問はありますか。
○堀江課長 最後のまとめのところで、毎年、同じ内容になっているけれどもというのは、ビルメンテナンス協会が行っている研修の内容が毎年一緒になっているのかなというふうに見たのですけれども、初任研修はビルメンテナンス協会で受けて、ベテランの方は社内研修でやるというのもあるのでしょうか。
○中村 多分、課長がおっしゃられたような形だと思います。初任者研修については、まず知識教育を含めて基礎をやって、あとは現場などでのOJTで、それぞれの現場現場に合わせた教育という体制になっていると考えております。
○堀江課長 11ページ、12ページのところにある登録団体が実施する従事者研修カリキュラムは、ビルメンテナンス協会の行っている研修のカリキュラムのことを言っているのか、あるいは厚生労働省が示しているものなのか。要するに社内研修の場合には、御自分の会社で御随意に決めていいものか、そうでないのかというところが知りたいのです。
○中村 制度上は、省令の中では教育の内容については、清掃用機械器具及び清掃作業に用いる資材の使用方法と、作業の安全及び衛生に関する研修をしなければいけないというのが、登録基準の中で定められています。したがって、それぞれの項目の中で具体的に落とし込んでいるのが12ページにある研修内容です。ですから、少なくとも省令の中で定められている基準の内容に即したカリキュラムと考えております。
○堀江課長 質問しましたのは、ビルメンテナンス協会は少なくともこれでバシッとやっていただいているのでしょうけれども、例えば中村清掃という会社が社内研修でいこうというふうにしたときに、カリキュラムというのは厚生労働省基準準拠としておけば、ここまでカリキュラムがカチッとしていなくてもやっていけている、ということになるのでしょうか。
○中村 私どもの協会としては、直接的な従事者研修以外に、各企業の研修を指導する方々を対象にした研修も別途やっております。その中で、具体的にどんな研修をやらなければいけないのかというのは、法律に定められている説明から含めて、カリキュラムなども提供しながら、少なくともそういった形で社内研修をやってくださいという形で指導はさせていただいております。
○倉田座長 日本の水道水はどこへ行っても飲める。そういう国は世界に日本しかありません。ヨーロッパでもアメリカでも全く飲めません。それと同じで、日本ほどきれいにビルが維持されている国はないですね。勿論、ヨーロッパはそれなりにやっていますが、こういう基本的なことというのはどこでやっても同じだと思うのです。それを毎年同じことをやるというのが非常に大事なことで、ヒトが変わる、あるいは基準が変われば研修をやる必要があるのです。建物管理の意義というのは、同じことをきちっとやる、更にビルによって特徴的なことは、先ほど中村さんがおっしゃったように、そこに合った形でやればいいので、そういう意味で総務省の文章はどうしてもわからない。両方に解釈できる。もっとちゃんとやりなさいという話と、やめたらどうだという話と、2つにとれそうな文章ですが、ほかのところで起こってきたように、競争にして安かろう悪かろうという社会をつくっていくか、それに類するような、フリーにしたらどうかという言い方ではないか。どういう方がコメントを書いたか知りませんが、コメントや意見を出す方はやはり現場というものをよく見ておくべきではないかと思って私は見ています。
 何かほかにありますか。
○長見構成員 これもやはり行政改革の一種ですかね。研修を受ける方の負担を軽くし、というような感じに読めたのですが。ビル管理というのは衛生上の問題もたくさんありますし、物理的な安全性の問題もたくさんあるので、やはり基礎はしっかりやってほしいし、離職者が随分いるわけですから、必ず1年に一度は講習を受ける機会がある必要があると思います。
○倉田座長 日本人は非常に忘れっぽいと思いますが、シンドラーのエレベーターもそうでしょう。あれは管理をちゃんとやっていないからという話で、そういうことはすごく大事で、日本の企業のものでああいうことが起きるのは余りないのではないかと思います。自分の国はちゃんとやっているというのが多い。そういう意味では、こんなものはやめてしまえという意見があってもいいですが、これはまだ機会があるでしょうか。今日のこれで終わりですか。
○堀江課長 今日はこれでおしまいでございます。また、お話をお聞きして、それで終わりというわけにもいきませんので。
 それから、今のシンドラーの話で着想を得たのですが、ここのお話をお聞きしていますと、技術研修の意義を認められている委員も多いようです。清掃関係とか、空調関係でも、研修を受けていない、登録業を受けていないようなところでこんな事例が多い、あるいは登録を受けていないところの方が問題が多いというような、何か資料みたいなものがもしあれば、有益な公衆衛生情報になると思いますので、追加的に御準備いただけたらありがたいと思います。
○長見構成員 よく、雑居ビルで火災とかありますね。ああいうところはどういう状態だったのかとか、出していただければいいと思います。
○堀江課長 そもそも建築物衛生法の対象ビルが、3,000?以上の中型ビル以上になっていますので、小さなところは該当しないというのが今の制度でございます。
○倉田座長 そうすると、小さなところは誰が面倒を見ているのですか。放りっぱなしですか。
○堀江課長 建築物衛生法の規制対象にはなっていない。
○倉田座長 そうすると、そういうところの監督に関して誰が目を見張るのですか。
○長見構成員 消防署と保健所。
○秋山構成員 消防法の下での管轄ですね。
○堀江課長 いわゆる建築物清掃管理みたいなところでの規制は及んでいない。
○倉田座長 それが問題ですね。
○堀江課長 そこは、規制の折り合いのところだと思います。
○倉田座長 そこまでちゃんと目を届かせて、日本じゅうをきれいにするというのもあっていいのではないですかね。
 では、今日はこれだけにしておきます。これは非常に大事なことがあると思いますので、それなりにきちっとした検討事項の結果として出すべきだと思っています。今日は15分ほどオーバーしてしまいまして、済みませんでした。
 それでは、今日はこれで終わりにしたいと思います。ありがとうございました。


(了)

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