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2012年2月29日 第1回治療と職業生活の両立等の支援に関する検討会議事録

労働基準局労災補償部労災管理課

○日時

平成24年2月29日(水)16時00分から


○場所

労働委員会会館 講堂(7階)
(東京都港区芝公園1-5-32)


○出席者

委員<五十音順、敬称略>

井伊 久美子 (社団法人日本看護協会 常任理事)
今野 浩一郎 (学習院大学経済学部経営学科 教授)
今村 聡 (社団法人日本医師会 常任理事)
岩崎 明夫 (ソニー株式会社人事部門産業保健部 産業医)
門山 茂 (東京労災病院勤労者予防医療センター 副部長)
塩山 あけみ (日立製作所労働組合日立支部 執行委員)
砂原 和仁 (東京海上日動メディカルサービス株式会社健康プロモーショ事業部 部長)
本田 麻由美 (読売新聞東京本社社会保障部 記者)

事務局

鈴木 幸雄 (労災補償部長)
木暮 康二 (労災管理課長)
小澤 龍二 (調査官)
松本 篤人 (労災管理課企画調整係長)
改田 良秋 (労働条件政策課課長補佐)
木内 哲平 (安全衛生部労働衛生課中央労働衛生専門官)

○議題

(1)検討会の趣旨及びスケジュールについて
(2)治療と職業生活の両立等の支援の現状について
(3)その他

○議事

○調査官 ただいまから第1回治療と職業生活の両立等の支援に関する検討会を開催いたします。委員の皆様におかれましては、お足下の悪い中、また大変お忙しい中お集まりいただきまして、誠にありがとうございます。私は、事務局労災管理課の小澤と申します。座長の選出までの間、進行を勤めさせていただきますので、よろしくお願いいたします。なお、写真撮影は以上とさせていただきますので、以後の写真撮影はご遠慮くださいますよう、よろしくお願いいたします。また、本検討会では、会議の写真撮影、ビデオ撮影、録音につきましては、ご遠慮いただいておりますので、併せてよろしくお願いいたします。マスコミの方はご退室をお願いいたします。
 議事に入る前に、検討会の委員を五十音順でご紹介いたします。社団法人日本看護協会常任理事の井伊委員です。学習院大学経済学部経営学科教授の今野委員です。社団法人日本医師会常任理事の今村委員です。ソニー株式会社人事部門産業保健部産業医の岩崎委員です。東京労災病院勤労者予防医療センター副部長の門山委員です。日立製作所労働組合日立支部執行委員の塩山委員です。東京海上日動メディカルサービス株式会社健康プロモーション事業部部長の砂原委員です。なお、読売新聞社東京本社社会保障部記者の本田委員におかれましては、遅れているところです。以上、本田委員を含めて、8名の方々にご参集をいただいております。どうぞよろしくお願い申し上げます。
 開催に当たりまして、事務局を代表しまして、労災補償部長の鈴木より挨拶を申し上げます。
○労災補償部長 労災補償部長の鈴木でございます。本検討会に各分野の専門家あるいは有識者としてご参集いただいた皆様に、まず御礼申し上げます。また、本日は足下の悪い中ご出席いただきまして、重ねて御礼申し上げます。
 この治療と職業生活の両立等の支援に関する検討会につきましては、その趣旨はまた後ほど要綱などでご説明いたしますけれども、医療技術の進歩により、これまで治らないとされていた病気が治るようになってきたことで、仕事を続けることができるようになるという側面がございます。それから、労働環境の変化などにより、職業病だけではなくて精神疾患などの、いわゆる作業関連疾患といったものも増加してきております。
 こうしたことから、職場復帰を目指して治療を受ける労働者や治療を受けながら就労する労働者が増加しておりまして、この両立に対する支援というもののニーズが非常に高まっていると考えられます。また、少子高齢化の進展によりまして、今後の労働者人口の減少が見込まれる中、労働者が自分の病気を抱えながらも生き生きと就労を継続し、企業活動を支えることが、より一層望まれるという状況にございます。
 職業病に関しましては、労働安全衛生法の体系の中で、予防あるいは健康診断、それに基づく就業上の措置など、一定の体系づけができておりますけれども、作業関連疾患あるいは純粋な私病、業務上の要因が影響しないような病気に関しましては、そもそも診療自体あるいは受診行動自体が、民と民の契約に基づくもの、それから職場に知られたくないというような病気もございますので、なかなか医療機関と職場との連携が取りにくいというような事情もございまして、それに加えて、医療機関と企業とのそもそものシステムがないというようなことからも、治療と職業生活の両立は必ずしも容易ではないという状況にございます。
 また、実際には医療機関を充実させていくという面では、医療提供体制も関係しますし、また疾病ごとのそれぞれ特色をもった対策が異なるということもありますので、非常に課題の多い分野かと思っております。
 こうした背景の中でこれまでの経緯としましては、労災病院を所管しています労働者健康福祉機構において、業務上疾病あるいは作業関連疾病の予防、治療、研究に取り組んでまいりました。そして、平成16年度からは、労災疾病等13分野研究の中で、独自に両立支援に関する研究を進めてきているところでございます。
 そもそも労災病院は、そういった職業病を扱ってきたということから、診療の現場と職場をつなげるということについて経験があるということで、この経験を活かした研究を独自に進めてきたという状況がございます。
 また、厚生労働省としましても、平成22年度から委託事業の形で、がんや脳・心臓疾患、あるいはメンタルヘルス、腰痛の4疾患について、関係者間の連携を深める方策の1つとして、コーディネーターによる支援について、調査・研究を行ってきました。
 こうした経緯もございますので、この度、労災補償部におきまして事務局となって、この両立支援に関する検討会を立ち上げたところでございますが、先ほど申し上げましたように、医療あるいは職場の関係の多くの分野の関係者の連携が必要でございますので、適宜ヒアリングなどを行いながら、視野を広げて、先ほど申し上げましたような課題に関しまして、行政として何ができるか、こういったことについての現状分析、今後の方向性について、整理していければと考えておりますので、参集者の皆様方の忌憚のないご意見などをお願い申し上げまして、簡単でございますがご挨拶とさせていただきます。よろしくお願いいたします。
○調査官 続きまして、本検討会の事務局を紹介させていただきます。労災補償部長の鈴木です。労災管理課長の木暮です。労災管理課企画調整係長の松本です。労働条件政策課課長補佐の改田です。安全衛生部労働衛生課中央労働衛生専門官の木内です。また、本日は労働者健康福祉機構医療事業部勤労者医療課長の柘植様にもご出席いただいております。
 検討に入る前に、開催要綱に基づき、本検討会の座長の選出をお願いいたします。事務局において、事前に皆様方のご意見を伺ったところ、今野先生にお願いしたいとのご意見をいただいておりますが、委員の皆様方、いかがでございましょうか。
(異議なし)
○調査官 ご異論がないようですので、本検討会の座長を今野委員にお願いしたいと思います。今野委員、どうぞよろしくお願いいたします。
○今野座長 ご指名いただきまして、議事進行役を担当させていただきます。部長も言われたように、忌憚のない意見を言っていいそうですので、どんどん言っていただいて、混乱のうちに終わってもいいと思います。あとは事務局がどうにかしてくれると思っていますので、皆さん、どんどん意見を言っていただいて、活発な場にしたいと思っていますので、よろしくお願いいたします。
○調査官 これからの議事進行つきましては、座長にお願いいたします。
○今野座長 議事次第に従っていきます。最初は「検討会の趣旨及びスケジュール」についてです。事務局から説明をお願いします。
○調査官 議題(1)について、事務局より説明を申し上げます。最初に検討会を開催する趣旨です。お手元の資料1「開催要綱」をご覧ください。主に3点ございます。ただいまの部長の挨拶にもありましたとおり、1点目として、近年の医療技術の進歩によりまして、これまで不治の病と言われてきた疾病が治るようになったことであり、これは主としてがんを想定しているわけですが、例えば、がんの5年生存率が5割を超えるレベルにまで向上しておりまして、またさらには、がんの種類によりましては、8割を超えるものもありまして、職業生活を継続することが可能になったということです。
 2点目としては、労働環境の変化等によりまして、精神疾患等の作業関連疾患が増加をしているところでして、社会的にも関心が高く、メンタルヘルス不調の労働者が年々増加をしているところです。
 3点目です。少子高齢化が急速に進展をし、労働力人口の減少が見込まれるところです。ご案内のとおり、年金の支給開始年齢の引上げに伴いまして、定年の引上げなどの議論もなされているところでして、今後はこれまで以上に高齢者の方々が働く機会が増えてくることが予想されるわけです。高齢化に伴いまして、体に何らかの不調を有する方々も増えることが避けられないと考えているところです。このように、「治療と職業生活の両立の支援」という問題を有する労働者が増加をしてきておりまして、自病を抱えながらも、生き生きと就労を継続して、職業生活を送ることができる環境を整備していくことが望まれるところです。
 しかしながら現状におきましては、医療機関においては、労災病院に先行的な事例があるものの、急性期の医療に追われ、職場復帰を念頭にした取組は充分に行われていないのではないかと考えております。労災病院の事例については、後ほどご説明いたします。
 また、主治医は労働者の傷病の状況を把握はしていますが、職場での雇用形態、職場環境を把握しておらず、また、一方で事業主は労働者の療養内容、あるいは職場復帰の見通しなどを把握できていない状況にあります。
 また、労働者は自分の職場の就業規則等について、十分な認識がないなど、関係者間の結び付きが十分でなく、連携が取れていない状況にあるわけです。
 そこで、労働者の円滑な職場復帰や治療と職業生活の両立を図るためには関係者である企業、医療機関、労働者などが、それぞれどのように対応し、連携を図るべきか。また、それらを促進するための支援策の在り方について、それぞれの治療の段階に応じた、すなわち重症化、予防、早期の職場復帰後の支援に留意しつつ、検討を行うこととしたところです。趣旨の資料については以上です。

 続いて資料2「今後のスケジュール(案)」をご覧ください。この検討会は夏までの間に、6回程度開催することを予定しています。本日、第1回目を立ち上げたわけですが、3月に第2回、その後は毎月1回程度開催することを考えております。
 なお、この両立支援の分野ですが、まだまだ手付かずの分野です。そこで、第2回から第4回にかけまして、有識者の方々からヒアリングを3回ほど行うこととしておりまして、別紙2の下段に掲げられている方々にお願いしたいと考えているところです。
 次に資料3「検討すべきポイント(案)」です。両立支援につきましては大変幅も広く、検討すべき点も多々あるかと思っております。そこで、この資料は考えられるポイントを事務局が整理し、作成したものです。今後の検討会でも参考にしていただければと考えておりまして、簡単に説明をさせていただきます。
 まず、「両立支援をとりまく現状と課題」です。最初に「働く世代と病気の関係」です。具体的には、先ほど検討会開催の趣旨の中でも説明させていただきましたが、労働環境の変化や医療技術の進歩等をイメージしております。次に、「治療と職業生活の両立が困難な要因」です。これも、先ほど1つの要因として、企業や医療機関、または労働者など、関係者間の連携が不足していると説明させていただきましたが、そのほかにも両立を阻むさまざまな困難な要因があると思います。その困難な要因とは何かということについてです。また、企業や医療機関、行政の「現在の取組」ですが、これはこのあと議題(2)において説明させていただきます。
 次に、「両立支援の在り方」です。まず、「支援の必要性、支援による効果」です。支援は労働者にとって、当然必要性、メリットがあると考えられますが、実際に企業や医療機関、あるいは行政が支援を行うこととしますと、当然にコストがかかるわけです。このコストを踏まえた上で、そもそも支援を行う必要性があるのか、支援により社会的にどのようなメリットがあるのかということです。
 次に、「関係者が取るべき対応や連携の在り方」です。治療と職業生活の両立が困難な要因がある中で、企業、医療機関、労働者などの関係者が、具体的に何を行うべきか、また具体的にどのような連携を心掛けていくかということです。
 また、「病気の性質や治療の段階の相違に基づく留意点」としては、支援の在り方が病気の性質や治療の段階に応じて異なると考えられているわけでして、それらに留意をする必要があるのではないかということです。
 最後に、「行政の役割」として、関係者の対応に加えて、それらを補い促進するために、行政としてどのような支援が考えられるかということです。検討すべきポイント案については、簡単ではございますが以上です。
 なお、障害者には障害者雇用対策があります。各種の支援策があるわけですが、そうした支援策の対象にならない方、すなわち健康な労働者と障害者は、谷間で治療を続けながら、職業生活を送る労働者を主に念頭に置きまして、この検討会においては、議論をさせていただきたいと考えています。もちろん、明確な線引きは難しいのですが、どうしても重なる部分、共通する部分はあるかと思います。その点につきましては、何卒ご理解のほどよろしくお願いします。事務局からは以上です。よろしくお願いいたします。
○今野座長 いま本田委員がいらっしゃいました。よろしくお願いいたします。
○本田委員 よろしくお願いいたします。
○今野座長 ただいまの「趣旨とスケジュール」の説明について、ご意見がございましたら、どうぞ。よろしいですか。特に、最後にあったポイントについては、これで受け取って、あとはここでまた議論しながら、必要なことがあったら追加していくということでいいと思います。第1番目の議題はこれで終わりとさせていただいて、2番目に入ります。
 (2)治療と職業生活の両立の支援の現状についてということで、事務局から説明をしていただいて、議論をしたいと思います。よろしくお願いいたします。
○調査官 議題(2)両立支援の現状についてです。資料4です。まず、1頁は両立等の支援について、両立支援の考え方等について、改めて整理をしております。
 2頁は、主な職業関連疾患に罹患している労働者の総患者数です。これは本検討会の議論の対象となり得る労働者について推計をしたもので、総患者数に労働力人口の比率を掛けたもので、これを足しますと、おおよそ714万人が検討会の対象ではないかと考えております。その内訳としましては、ストレス性の疾患がいちばん多く、次いで循環器系疾患あるいは糖尿病となっているところです。
 また、最近の労働災害の発生状況ですが、3頁をご覧いただきますと、これまで減少を続けてきたところですが、4頁の脳・心臓疾患の労災保険の支給決定件数が285件と、高い水準で推移をしているところで、さらには精神障害等の労災支給決定も、年々増加をしておりまして、10年前のおおよそ10倍近くになっているところです。
 また、5頁ですが、定期健康診断の有所見率ですが、これも年々増加をしておりまして、平成20年には5割を超えたところでして、平成21年度には52.3%となったところでして、これらを踏まえますと、労働環境の変化といったものが伺えるものと考えているところです。
 このような中で、6頁です。調査の結果が掲げられていまして、これは労働政策研究・研修機構が行った、労働条件の設定・変更と人事処遇に関する調査です。これは、何らかの疾患により休業を余儀なくされた病気休職者が職場復帰したあとの状況を調べたものです。
 ?は、職場復帰した従業員がこれまで同様仕事をすることが困難であったかどうか。困難であったとする事例は16.9%でした。その内、?結果的に退職したものは43.8%で、これがいちばん比率的には高かったというところです。
 結果的に退職した者がいちばん多かったのは、50~99人の規模で、いわゆる小規模事業場でした。片や大企業においては14.2%となっていまして、少ない状況になっています。すなわち、大企業のほうが退職に至らない傾向が大きいということが言えます。また、下のほうですが、労働組合があるほうが退職に至らない傾向が大きいということが言えると思っております。
 続いて7頁です。職場復帰する前に、休職期間の上限が経過した場合の措置です。いちばん多いのが、ケースにより異なり一概に言えないが39.8%でした。次いで、休職期間の満了をもって自動的に退職となるとしたのが24.1%でした。ケースにより異なり一概には言えないというのは、規模が小さいところほど大きいわけですが、逆に自動的に退職となるのは、大企業ほど多かったということが言えるかと思っています。
 続いて8頁です。これは厚生労働省が実施している「中高年縦断調査」というものがありまして、ご存じの方もいらっしゃるかと思いますが、この調査は平成17年に調査を開始いたしまして、その後、同一人物の追跡調査を行っているものです。
 この調査によりますと、8頁の?ですが、離職の状況です。平成17年度以降に離職をした場合、最後の離職理由について聞いたもので、その中で健康がすぐれなかったとしたのが10.4%で、健康問題が上位にきているところです。
 続いて9頁の離職の状況です。今回の調査で仕事をしていないとした者を対象に、仕事の希望の有無について尋ねたものです。そのうちの37.2%が「仕事をしたい」という回答をしておりますが、下段に、仕事をしたいが就職活動など「何もしていない」人の割合は、全体で20.4%でした。
 その理由は10頁、「病気・けがのため」とするのがいちばん多く、これも先ほどと同様に、健康問題がいちばん多かったということがいえるのかと思っております。
 この調査は、先ほどお話をしたとおり、54歳~63歳までの方が対象となっておりまして、少子高齢化が進む中で、貴重な労働力となる年代でありまして、こうした方への支援も、今後は必要になるものと考えているところです。
 続いて11頁です。厚生労働省の委託事業で、病気等のブランクを克服できる人事制度のための調査研究です。これは、実は今野座長が座長となりまして、おまとめをいただいたものでして、企業における私傷病の発生と、その対応のための病気等休暇・休業制度の整備状況ということで、アンケート調査を実施したものです。
 まず、私傷病による休業者の支援の状況について見させてもらいますと、?で、「私傷病に関する病気等休暇・休業制度」の有無について、「有」と答えたのは、全体で58.6%でしたが、企業が大きいほど、制度がある比率が高いわけです。1,000人以上については85.3%、また50人未満については38.3%でして、企業規模格差が顕著になっていると考えられるところです。
 また、?ですが、「休暇・休業制度」における「制度上の最長休業期間」です。全体で2.3年でして、企業が大きいほど、最長休業期間は長いわけですが、そうは言いましても、小規模企業との著しい格差は見えなかったと感じております。
 続いて12頁です。「私傷病に関する病気休業」期間中に「月例賃金が支給されているか」という問いで、支給されているのが全体で41.4%でした。また、月例賃金が支給されている最長期間ですが、企業の規模による大きな格差はなく、おおむね2年程度となっているところです。
 続いて13頁です。月例賃金の支給率が支給期間中に変わるのかという問いがありますが、支給率が変わるとした企業は37%でして、また、下段の?で、休業前とどのぐらい変わるのか、下がるのかにつきまして調査をしたところ、最初は93.6%から変更後は54.1%となったところです。
 一方、支給率が変わらない企業の場合ですが、全体の平均で休業前の85.8%となったところです。
 続いて14頁です。NPO法人キャンサーリボンズの就労支援プロジェクトです。これは全国375ケ所のがん拠点病院の相談支援センターにおいて行われている相談内容についての調査です。
 相談支援センターで、がん患者から看護師等が受けている相談内容ですが、「働くこと」に関する相談と回答したのが34.6%でした。また、その内訳ですが、その第2位が仕事と治療の両立の仕方の相談が39%でした。
 続いて15頁です。一方で、「働くこと」に関する支援をする上での苦労について、看護師等が回答した内容です。「がん患者さんの職場に関する情報がない」とか「『がん患者さんが働くこと』の大切さが社会的に認識されていない」などの回答があったところです。
 各相談センターでは、医療に関する知識があるわけですが、労働に関する知識や資料が不足しておりまして、社会的な認識不足により、大変ご苦労されているものと考えているところです。
 続いて16頁です。これは労働者健康福祉機構が、平成21年度から平成22年度にかけて、企業に対して実施した、がん罹患勤労者の就労支援に関するアンケート調査です。その中身としては、がん患者が相談できる窓口を設置しているかどうかで、設置しているのは18%です。また、マネージャー教育等を行っている企業は、わずかに1%です。
 ?です。主治医と産業医の連携が不十分であることの理由としまして挙げられているのは、個人情報の保護を含めて、企業側の処理能力の問題です。ちょっと気になったのは、そもそも職場復帰支援という認識がないというものが14%もございまして、がんに対する認識が低いのではないかと心配をしているところです。
 17頁です。職場復帰についての企業内の配慮の指導ですが、全体でわずかに15%でした。これを見ますと、多くの企業で、がん患者に対する窓口相談、マネージャー教育、柔軟な雇用など、対応がなかなか十分行われてはいないのではないかと感じたところです。
 次に18頁です。「専門医の意識や行動と、医療機関体の体制」です。この調査は先日、北里大学の和田耕治先生が、専門医の意識で行動をとる、医療機関の体制について取りまとめを行ったもので、がんの専門医668人に、がん患者への就労の配慮について、アンケート調査を実施したものです。
 その内容ですが、設問に対して、「あてはまる」「まあ、あてはまる」「あまりあてはまらない」「あてはまらない」という種類で、回答をお願いしたものです。18頁と19頁の右左の見開きでご覧ください。
 専門医の意識や行動に関する設問です。設問としては7問ありまして、この設問に「あてはまる」「まあ、あてはまる」と回答した医師が多かった項目は、「就労支援に医療ソーシャルワーカーが関わることが望ましい」が「あてはまる」が65%、「まあ、あてはまる」が30.2%、合計で95.2%になっています。「治療による仕事への影響を説明する」これも併せて93%でして、それぞれ9割を超えているところで、専門医の意識は非常に高いことが伺えるのではないかと考えております。
 また、所属する医療機関についての設問ですが、6問挙げられています。これに対して「あてはまる」「まあ、あてはまる」と回答した医師が多かった項目は、「医療ソーシャルワーカーによる就労に関する相談体制」が合わせて62.2%、「問診表で患者の仕事に関する情報の記載を求めている」が、合わせて60.0%でして、それぞれ60%程度で、先ほどの専門医の意識や行動と比べますと、医療機関がなかなか追い付いていない状況が見られるのではないかと考えているところです。和田先生も、今後改善の余地がありとしまして、専門医の立場から医療機関への働きかけを望むということをおっしゃっているところです。
 続いて20頁です。NPO法人がん患者団体支援機構ほかが実施したアンケート調査です。「がんと診断されたあとの収入と職業の変化」です。診断後の職業は、無職になったのが29%、他の仕事に転職したのは10%でした。また「平均年収の変化」は、診断前が約395万円ありましたが、診断後は約167万円と、診断前の半分以下の4割程度までに悪化しているところです。
 次に21頁です。「脳血管障害発症者の復職等の状況」です。これは九州労災病院が平成18年から平成19年にかけて実施した、労災病院を利用したおおよそ300人を対象にした調査です。復職後1年半に調査した結果です。復職が継続している者は、再就職を含めて5割です。残りの5割は、無職、休職等になっていたということです。この調査は脳血管障害発症者を対象としておりまして、結果として障害者になってしまうおそれがあるわけですが、両立支援のアンケートということで、ご紹介をさせていただいたものです。
 そこで、「医療機関に行って欲しかった支援」として求められたものですが、職リハの話、障害者雇用の啓蒙の話を除きますと、産業医との連携、職場訪問、事業所連携など、いわゆる企業サイドの連携を求める声が強かったということで、合わせますと42%になったということです。
 続いて22頁です。ウイルス性肝炎です。これは厚生労働省の委託事業で、ウイルス性肝炎治療のための病気休暇等に関するアンケートによりますと、ウイルス性肝炎の早期発見の啓発活動を社内で行っているのは、わずか5%でした。また、治療が必要な職員への配慮を「あり」としたのは19.8%でして、治療のための休暇制度が「あり」は11.4%でした。多くの企業で、罹患した肝炎患者への取組、あるいは配慮というものが、これを見る限りにおいては決して十分とは言えない状況にあるのではないかと考えているところです。
 続いて23頁の?糖尿病の関係です。これは中部労災病院が、産業医に役立つ最新の研究報告として、糖尿病患者へのアンケート調査を実施したものです。その調査によりますと、職場にいる医療スタッフが患者の糖尿病の治療内容を知っているかという問いですが、その約半数の48.1%が治療内容を知らなかったと答えています。一方、24頁は企業へのアンケートを行ったものですが、企業は労働者の糖尿病の治療状況について、(1)68.6%が把握しているとしているわけですが、その把握の方法については、本人からの申告によるものが77.1%で、医療スタッフが企業内にいる所でも、必ずしも糖尿病の治療状況を把握しているとは限らないわけです。また、把握している場合でも、本人の申告によるものが多いということになりまして、主治医と企業との連携が十分とはいえないのではないかと考えているところです。
 続いて25頁のメンタルヘルスです。これは労働安全衛生基本調査によるもので、?過去1年間にメンタル不調を理由として、連続1ケ月以上を休業対象とした労働者のいる事業場ですが、全体で7.3%でした。また、労働政策研究・研修機構の実施した職場におけるメンタルヘルス対策の調査ですが、復職に関する事業場のルールについてですが、復職に関する手続き、ルールが定められているものは32.9%で、また、いちばん多いのは人事担当者がその都度相談をしてやり方を決めるというのが43.1%でした。また、復職はそれぞれの職場の上司に任せているというものが17.4%もありまして、対象となる労働者が出てくる度に対応方針を考えているというものであったということです。
 続いて26頁で、健康状況調査の結果です。?メンタルヘルス対策の取組状況です。取り組んでいる事業所の割合は33.6%で、10年前の平成14年が24%ですので、それよりも10%ほど増加をしているわけですが、そうは言いましても、まだ残り66.4%が取り組んでいない状況です。一般的にメンタルヘルスについては、ほかの疾病に比べて進んでいると言われているところですが、そういうメンタルヘルスにおいても、このような状況にあるのではないかと考えております。
 以上、各疾病についてのアンケート調査等の結果でしたが、総じて、どの疾病も取組が十分とは言えない状況にあるのではないかと考えているところです。
 続きまして、疾病別の取組状況です。28頁をご覧ください。?がん対策です。がん対策については、がん対策基本法及びがん対策推進基本計画により、個別に目標設定をしながら、総合的かつ計画的に推進をしているところです。この計画は5年ごとに見直しを行うこととされておりまして、現在推進協議会の意見を聞きながら、見直しの作業を進めているところです。
 次の基本計画におきましては、これまでの「がん医療」等に加えて、「がん患者の就労を含めた社会的な問題」を新たな分野別施策として盛り込まれると聞いているところです。
 関連する主な取組としては、下段の2.のとおりですが、がん検診の受診率向上のための取組やがん相談支援センターの整備のほか、臨床研究事業として、治療法等の開発のほかに、「働くがん患者と家族に向けた包括的就業支援システムの構築に関する研究」というものが入っておりまして、現在行われているところです。
 続いて32頁で、?肝炎対策です。肝炎対策については、肝炎対策基本法及び肝炎対策基本指針に基づき、推進されていまして、肝炎治療推進のための環境整備など、5本柱により実施されているところです。
 また、平成23年5月に改定された指針において、今後取組が必要な事項として、「職域における患者への配慮や就労を維持しながら治療を受けることのできる環境整備」といった事項も盛り込まれたところです。
 それを受けまして、行政的な研究としましては、下段ですが、これもまた「職域における肝炎患者等に対する望ましい配慮の在り方に関する研究」が、現在行われているところです。
 また、33頁ですが、これは平成23年7月に、職域におけるウイルス性肝炎対策に関する協力の要請としまして、健康局長・労働基準局長・安定局長の3局長連名で、労働者の検査の受診の呼掛け、休暇の付与など、特別な配慮等を事業主団体等に要請したところです。
 続いて35頁、?生活習慣病対策です。生活習慣病についてはご案内のとおり、「健康日本21」に基づき生活習慣を改善し健康を増進し、生活習慣病の予防に重点を置きまして、推進しているところでして、昨年10月に「健康日本21」の最終評価が報告され、現在、次期国民健康づくり運動プランの策定作業を行っているところです。糖尿病については、健康づくりの観点から、予防を中心とした取組が行われているところです。
 続いて37頁以降で、メンタルヘルス対策です。職場におけるメンタルヘルス対策については、労働安全衛生法に基づいて策定された指針に基づいて、例えば4つのメンタルヘルスケアの推進など、事業所における基本的な取組事項が定められておりまして、また41頁ですが、都道府県労働局において、事業場への指導等を行っているところです。
 40頁に戻りますが、「心の健康問題で、休業した労働者の職場復帰支援の手引き」が作成されております。事業主向けのマニュアルとして作成されておりまして、さらには企業への外部支援機関としては、全国47都道府県に「メンタルヘルス対策支援センター」が設置されておりまして、事業主からの相談の受付、個別事業場に対する訪問を通じ、メンタルヘルス不調の予防から休職者の職場復帰に至るまで、総合的な支援を行っているところです。また、職場のメンタルヘルス・ポータルサイトとしまして、「こころの耳」を開設しているところで、さまざまな情報の提供をしているところです。
 なお、45頁で、今後のメンタルヘルス対策として、対策のさらなる充実・強化を図る必要がありまして、医師等による労働者のストレスチェックを事業主に義務づける内容の労働安全衛生法の改正法律案を、昨年12月に国会に提出しておりまして、現在、継続審議となっているところです。以上が、各疾病別の主な取組状況です。
 続いて47頁以降です。48頁が、産業保健活動の推進です。ご案内のとおり、企業における産業保健活動の取組ですが、労働安全衛生法に基づきまして、事業場の衛生管理体制を確保するために、その規模に応じて50人以上規模の事業場に対して、労働者の健康相談等を行う産業医や衛生管理者等を選任、配置をいたしまして、労働者の健康確保等の取組を行っているところです。
 しかし、50人未満の事業場については、産業医の選任が義務づけられていないわけです。そこで、外部の支援機関として、52頁ですが、地域産業保健センターが設置されておりまして、労働者の特定健康相談や長時間労働者に対する面接指導等を行っているところです。
 また、各都道府県には、事業場における産業保健活動の支援を行う機関として、産業医あるいは人事労務担当者等に対する専門的、あるいは実践的な研修や相談を行う産業保健推進センターが設置されているところです。
 また、企業は労働者の健康管理のために、安全衛生法に基づいて定期的に一般定期健康診断を実施しておりますが、有所見率が先ほど申し上げましたとおり、5割を超えるなど、高い水準を示しているわけでして、53頁ですが、その改善に向けた取組を行っているところです。
 続いて55頁です。企業における労働時間や休暇についての取組ですが、労働時間等見直しのガイドラインに基づきまして、労使間の自主的な話合いの機会を設定し、労働者の健康と生活への配慮を行うとされているところです。特に55頁の2の(4)ですが、特に健康の保持に努める必要があると認められる労働者に対しましては、休暇の付与やその他の必要な措置を講ずるよう努めることとされているところです。
 次の56頁をご覧ください。平成23年4月に厚生労働省が実施したアンケートです。特別休暇を導入している企業の割合は51.0%で、約半数の企業で何らかの休暇制度を導入しているところです。企業の取組は以上です。
 続いて57頁以降です。労働者福祉健康機構の取組です。労働者健康福祉機構については、これまで労災疾病に係る予防から治療、リハビリテーション、職場復帰に至る専門的な医療を労災病院のネットワークを活用しながら、推進をしているところです。そのような中で、産業構造あるいは職場環境等の変化に伴い、アスベストの関連疾患やメンタルヘルスなど、労働者の新たな健康問題としまして、社会問題化している疾病を労災疾病等13分野としまして、労働福祉機構が平成16年度より、重点的に取り組んでいるものです。
 60頁です。例えば「感覚器障害」というのがあるわけですが、これも13分野の1つで、糖尿病網膜症患者は血糖値のコントロールが悪く視力が悪化し、退職を余儀なくされる労働者が多いと言われています。その原因を調査しますと、内科と眼科の通院歴が悪く、仕事が理由で通院治療が受け続けられず、視力障害が進行し、失職してしまうケースが多いと言われておりまして、62頁ですが、このことを治療と職業生活のジレンマと呼んでいるところで、明らかにしてきたところです。先ほどは平成16年度からの1期の13疾病の研究が行われたわけですが、平成21年度からは2期目の13分野の研究が始まったところです。また、併せまして平成21年度の健康福祉機構の中期目標にも、引き続き両立支援に取り組むことを掲げてございます。がんや糖尿病など、労働者の罹患率の高い疾病について、就労と治療の両立支援の研究等に取り組んでいるところでございます。
 なお、65頁以降をご覧ください。労災病院については勤労者の視点に立った医療に取り組んでいるところで、その中で例えば、職場訪問等の職場復帰支援の実施、66頁ですと、外来診療の土曜日実施で、これは労災病院に限った取組ではないと思いますが、こういったこともやっております。67頁ですが、産業医のいない事業場への嘱託産業医の派遣など、機構として自前の取組を実施しているところです。
 続いて、治療と職業生活の両立等の支援手法の開発委託事業の概要です。これまで説明してきました状況を踏まえまして、平成22年度より委託事業により支援手法について、調査研究を行っているところです。その概要は70頁をご覧ください。医療機関、企業、労働者の関係者間の連携が不足しているということが言われていたわけですが、この点に着目し、医師、看護師、MSW等からなる支援チーム(コーディネーター)が、関係者間で共有すべき事項を取りまとめ、これを「両立プラン」というものに盛り込んで、これを作成するわけです。盛り込まれた両立支援により、随時関係者と連絡を取り、その進捗状況の管理を行うというスキームで実施しているところです。この委託事業については国の予算ですので、単年度の事業であります。そういうことで、復職支援の段階での調査研究が多いわけですが、今後行政として、両立支援を行う場合の1つの形として、例えばコーディネーターの養成、配置、あるいは両立プランの利用促進といったものが有効ではないかと考えているところです。両立支援の現状につきましては以上です。どうぞよろしくお願いいたします。
○今野座長 今日はフリートーキングですので、以上の資料について、あるいはそれとかかわる点で、ご意見・ご質問がありましたらよろしくお願いします。
○今村委員 3点ばかりあります。まず、9頁の離職の状況で、年齢階級別というところで、年齢を54歳以上のデータということで、当然こういう方は疾病を持っていることが多いということだと思うのですが、それ以下の若い方でがん等を罹患されて、治療されたあとに復職ができないというケースは、データ上ほとんど上げるほどではないから書かれていないのか、そもそも調査していないのか。もしあれば、また教えていただきたいと思うのです。
○労災管理課企画調整係長 この調査は縦断調査といいまして、平成17年時点で50歳代だった方を5年間追いかけるという調査でしたので、この趣旨と同じ趣旨のデータで若い世代の方というものはないのですが、似たようなものがありましたら、次回までに見つけて持ってきたいと思います。
○今村委員 お願いします。それから、23頁の?の就労糖尿病患者さんへのアンケートで、職場が糖尿病であることを知っているかというのが35.5%なのですが、治療状況を知っているというのは結構多くて、同じnを対象としているのに、どうしてこういう結果になっているのか、ちょっとよくわからなかったのです。もしわかれば結構なのですけれども。
○労災管理課企画調整係長 こちらの資料は修正漏れがありました。申し訳ございません。35.5%の青い部分が「知らない」というほうになって、赤い部分が「知っている」というものになりますので、糖尿病であることを知っている。
○今村委員 そういう方は64.5%、了解しました。
○労災管理課企画調整係長 逆になっておりました。申し訳ございません。
○今村委員 それから、いちばん最後の委託事業はとても良い試みだとは思うのですが、これだけの多くの関係者の方が相当の時間をかけて取り組まれているということだと思うのです。要するに、あまりコストの話ばかりしてもしょうがないのですが、いったいどのぐらいの予算でこういうことをやられて、お一人の方を復帰させるのにどの程度の費用がかかっているかというのはわかるのでしょうか。
○労災管理課企画調整係長 いま一つひとつの細かい数字を持ち合わせておりません。また次回、予算額等、ご提示させていただきたいと思います。基本的に単年度の予算で、1年間の部分だけで確実に就労支援につながったかどうかというのは難しいのですが、予算額としては基本的にはコーディネーターといいますか、間をつないでいただく方の旅費とか日当や、企業を訪問するための職場への交通費などといったものを掛け合わせて、一人ひとりの額は出せますので、また次回そちらの詳しい資料を出させていただきたいと思います。
○今村委員 よろしくお願いします。
○今野座長 最後のご質問のの趣旨は、この委託事業にいくらお金がかかったかということですか、もしこの支援システムが動いたとしたら、1人復帰させるのにどのぐらいの程度のコストがかかるのかですか。どちらですか。
○今村委員 両方を含んでいます。つまり、委託事業で、まずやられた結果が、このぐらいの人と時間をかければこういう成果が得られる。それを将来的には本当に多くの取組として実施していくということであれば、それが1つの基準になるかなと思ったので、それでちょっと伺いました。
○今野座長 ほかにいかがでしょうか。資料は膨大なので、いろいろわからないところがあると思うのです。
○岩崎委員 1つ資料の確認ですが、2頁の患者調査と労働力調査から出されたグラフの点です。4頁に労災補償状況のデータもありますが、循環器疾患が2位で、ストレス疾患が1位というのはよくわかる感じがいたしますが、循環器疾患が2番目に1,985という形で入っております。これはおそらく、いわゆる虚血性心疾患等の心臓疾患と、高血圧等の循環器疾患ではありますが、それが一緒のデータなのですかね。もしそれを分けることができれば、データとしてはそのほうが。両立支援という形になると、おそらく虚血性心疾患等の部分がクローズアップされるかと思いますので、どのぐらいのデータなのかをちょっと見たいと思いましたので、もし可能でしたら。
○労災管理課企画調整係長 2頁目の患者調査なのですが、循環器系の疾患としては、虚血性心疾患と高血圧のほかにも、狭心症とか急性心筋梗塞とか、ほかのデータが多く入っておりますので、おそらく労災の補償状況では完全に病気の状況が対応してはいないと思います。病気の種類が多くなっていると思いますので、ちょっとリンクはしないのですが、心臓疾患の労災補償法の状況のほうのデータに何が含まれているかわかりましたら、次回また説明させていただきたいと思います。
○今野座長 先ほどのご説明では、これを全部合わせると710万人ですか。
○調査官 714万人です。
○今野座長 そうすると、雇用労働者6,000万人として、1割ちょっとということになりますか。
○調査官 生産年齢ですから、失業者も入っておりますし、さまざまな者が入っているわけです。
○労災管理課企画調整係長 病気の一つひとつの状況までが把握できておりませんので、それが支援すれば治る程度の病気なのか、そもそもその方々に働く意欲があるのかどうかというところまではなかなか踏み込めなくて、実際に支援の対象となる方よりは大きくなっているとは思いますが、できる限り今回の支援の対象となるようなものを出せるかという形で、推計値として出させていただきました。
○今野座長 労働力人口でいくと約6,000万人ぐらいだと思いますので、そうすると10%ちょっと、10人に1人。要するに10人に1人、病気ということですか。これはそういうことですか。よくわからないのですが、そんなものですか。
○岩崎委員 年齢階層によるのだとは思いますけれども。
○今野座長 これはそれをトータルしているのです。だから、サイズとしてそんなものなのか。メンタルの場合は100人に1人と、よく言われるではないですか。それが一種のサイズ観なのですけれども。これはメンタルも入っているわけですね。全部含めて、大体10人に1人、そんなものですかね。細かいことは別にして、政策を打つときに、大体対象者がどのぐらいのサイズなのかという、何となくそういう感覚があったほうがいいではないですか。これでいいのですね。
○労災管理課企画調整係長 多少大きくなっているとは思いますが、そういう捉え方になると思います。50人に1人は何らかの不具合を抱えていらっしゃる労働者、労働世代の方がいらっしゃるという形になると思います。
○今野座長 私はこういう調査は初めてなのですが、患者調査の患者という定義はどうなっているのですか。つまり、病院に行って病院で数える。
○労災管理課企画調整係長 そうです。病院のほうで数えています。入院と通院と両方含めて。
○今野座長 入院と通院と。
○労災管理課企画調整係長 主な疾病のほうでカウントしている調査になります。
○今野座長 そういうことですか。そうすると、非常に短期で治ってしまうようなものもあるし、非常に長期のものもあるし、全部込みということですか。
○労災管理課企画調整係長 そうなると思います。
○今野座長 通院で、例えば2、3回行けば治ってしまうというのかが、わからないですね。
○労災管理課企画調整係長 調査の期間内に、その対象であった疾患がいたかどうかによります。
○今野座長 そうすると、結局この714万人の何割がここで想定するような人たちかということですね。それはわからないか。
○労災管理課企画調整係長 ある程度疾病の種類を限定すればわかるのかもしれないですが、この掲げている中ので、どれが短くて治るか、ちょっと長くかかるかというのは。
○今野座長 それはわからないですものね。そうすると、今回のテーマの対象層のサイズというのは、これが最大限ですが、もう少し正確に把握しようとすると、事業主に聞くか、個人に聞くか、何かそういう調査データを見つけてくる以外ないですかね。
○労災管理課企画調整係長 後ろに掲げたような、ちょっと母数が小さいですが、アンケート調査のようなものから、ちょっと推計になってしまうとは思いますけれども。
○今野座長 それを積み重ねていく以外ないと。
○労災管理課企画調整係長 いまの段階では、あまり真っ正面から捉えたデータはないと思いますので。
○今村委員 いま座長から疾病としてレセプトであるとか、診断名が付いて治療を受けている方ということで、それが今回の対象というお話もあったのです。厚生労働省の最初のご説明で、1頁で今回の両立の支援は3段階で説明されていて、予防の段階も含んでおられるのです。私はあとで確認しようと思ったのですが、ここを入れると、いわゆる医療を受けていない人たちも対象になるという考え方で、これを設けられていると見えてしまうのですが、その辺を明確にしておかないと、予防ということになると既存のさまざまな施策がありますよね。そことの兼合いという話も出てくるので、その辺はどうなのか教えていただければと思います。
○労災管理課長 ここは予防といいましても、重症化防止というように正確には書いているのですが、例えば肝炎についても、治療の機会を逃さないで治療を受けるということもありますし、糖尿病の場合にも網膜症になる前に、きちんと治療を受けるというものも含めて考えているのです。そこもどういう捉え方をするかはあると思いますが、一般的な病気にかからないという意味での予防ではなくて、ここでは何らかの病気があることを前提として、重症化しないということで捉えてはどうかという1つのアイディアで書いているということです。
○今村委員 例えば、いま糖尿病を例に挙げられたのですが、とても大事だと思うのは、本来、要医療でありながら、医療を受けていない人がいると。その人をきちんと医療につなげるとか、1回、治療を受けたけれども、治療が中断している人たちがいると。それをきちんと医療にまた戻すということを前提にした予防という、そういう概念でいいですか。
○労災管理課長 私どもが想定しているのは、そういうイメージです。
○井伊委員 2点お尋ねしたいのですが、6頁と7頁の見方がよくわからなくて、先ほどはやはり規模の大きい企業のほうが就業困難だった従業員への対応はしているようなご説明だったかと思うのです。nが6頁の?は2,373で、?がnは768で、7頁のnは2,373なのです。しかし、7頁のほうは病気休職から休職期間満了をもって自動的退職になるのは規模の大きい事業所のほうが多いということなのです。それは、要は規模の大きいほうが許容量があるわけではなくて、制度がしっかりしているから自動的に退職になると。それはどういう意味に受け止めればいいのか、ちょっとわからなかったのが1つです。
 それと例えば32頁・33頁に肝炎対策関係ということで、「肝炎治療のための入院・通院や副作用等で就業できない方に対する休暇の付与、特段の配慮」とあるのですが、これの具体的にどのようにされているかという実態は、現時点ではわからないということなのでしょうか。
○労災管理課企画調整係長 お答えさせていただきます。P6と7の資料の見方ですが、6頁の就業困難だった事例があった場合どうしましたかということです。大規模な企業ほど、「ほかの仕事に変えた」や配置転換等、「業務の軽減」により、結果的に退職した方が少ないと。企業の中で、もともといた仕事に戻られるのが大変だったとしても、何らかの措置をとって、結果的に辞める方は少ない。中小企業のほうが結果的にその辺の融通が効かなくて辞めてしまう方のほうが多いのではないかという傾向があると思われます。
 7頁ですが、こちらは困難かどうかではなく、休職期間の上限が過ぎてしまった場合の対応について、大規模な企業であるほど、システムといいますか、労働条件が画一されていて、もともと定めてあった休職期間が過ぎた場合にはシステム的に退職になってしまうと。逆に中小、規模が小さい所のほうが、その辺が就業規模があって、おそらく一人ひとりの労働者の需要といいますか、重みが大きいと思いますので、その場その場での対応という形になるのかと。逆に労働条件という形では、しっかり大企業ほど、システム的には決まっていないのではないかという傾向があるかと、そういう意味での仕様かと思っております。
○井伊委員 復帰さえすれば、大企業のほうがいろいろな配慮があるけれども、復帰できなければ復帰の支援は。
○労災管理課企画調整係長 休みの期間が過ぎる前に戻ってこられれば、もともとの仕事に就くのは難しくても何らかの配置転換等で、大企業ほど対応はできるかもしれないのですが、もともと定めた休職期間まで過ぎてしまった場合には、大企業ほどシステム的に退職という形になるのかと。
○今野座長 ということは、病気になったときに、辞めるか休職をとるかはわからない。
○井伊委員 それは大きかろうが小さかろうが、復帰への支援がどうなっているのか、この数ではちょっとわからないです。
○今野座長 これではわからない。もう1つありましたね。2つ目のご質問。
○労災管理課企画調整係長 肝炎の休暇の制度について、どのぐらい数字として、全体データとしてあるかというのは、いまこちらで全体のデータは持っておりません。あるかどうかも含めて、確認させていただきたいと思います。アンケート調査で前のほうで付けさせていただいたのが一部ありますが、これよりももっと大きな規模で、全体で配慮しているところがあるかないかというのは、確認してまた次回説明させていただきたいとは思います。
○今野座長 ほかにいかがですか。
○本田委員 遅れてきたので、もうそういう議論があったのかと思うのですが、この議論の対象というか、そもそも論として、私は2つ疑問がある。それも含めてなのかもしれませんが、1つは何らかの疾患を持っていて、働き続けたいという人を支援するためのものなのか、全体を支援していって働いてもらおうという、全体として考えるものなのかということです。
 もう1つは、職業生活とあるのですが、正規雇用のような方と非正規雇用の形で働いていらっしゃる方とはどのように考えて、全体を対象として考えていくのかとか、そういうことの目標としては、どのように捉えたらいいのかという議論の前提として知りたいのですけれども。
○今野座長 何かありますか。私が答えてもいいのですが、どうぞ。
○労災管理課長 この研究会そのものを両立支援という名前で皆様方にお願いしていますが、実は法律上、がっちり決まった概念があるわけではないわけです。先ほど議論がありましたように、どの分野にどれだけというアンケート調査も、網羅的なかっちりしたものがないという状況で、むしろそういう状況であるからこそ手を付けなければいけないということで、検討をお願いしているということです。したがって、例えば正規・非正規の問題で言えば、正規の方については、実際上はかなり企業が対応されていて、非正規のほうが問題であるということであれば、まさにそういうことでこの研究会で、むしろ光を当てていただくということもあり得ると思いますし、その辺も含めてご議論いただければいいと思います。そして、こういうデータが足りないということも、宿題として出していただければ、すぐ対応できるかどうかは別として今後の行政の取組として、定期的にデータを取ることも含めて対応していくというご提言があれば、それはそれで受け止めていきたいとは考えているところです。
○今野座長 第1点目については、働き続けたい人かどうか。別に働き続けたくなければ、この対象外ですよ。だって、両立なのですから、何らかの障害があって働きたくないということになってしまったらそれは対象外だと思いますし、正規・非正規については別に気にしない、両方だということだと思います。
 それで、私がちょっと気になっているのは、先ほど今村さんがおっしゃられたことなのですが、予防のほうを対象に入れるのですか。つまり、医療行為のほうは対象外にしておいて、ある病気とある治療をしている人が、職業生活とどう両立するのかの場合は対象にするというように切り分けたほうが、議論はしやすいのではないかと思うのです。先ほど木暮さんがおっしゃられた、ある病気で重症化したときに、どう予防するかという問題は治療のほうの行為に当たるので、私としては外したいなという気なのですが。
○今村委員 いや、言葉の定義なのだと思うのです。重症化予防という意味の概念でたぶんご説明されて、私はそれで理解したのです。いわゆる通常の予防というものではなくて、言葉がここに書かれているのは、ちょっと誤解を招くのだろうなというように思いました。先生のおっしゃることは、そのとおりだと思います。
○今野座長 私はその重症化予防も外したいと思っているのです。
○今村委員 ただし、私は糖尿病も医師会で担当しているのですが、やはり問題は、本来、医療を行わなければいけない人が行っていないために、どんどん重症化している。これは網膜症だけではなくて、腎症もそうですし、そのことが大変ご本人にとっても大きな影響を与えるし、国の医療費増につながっている。そこはやはりしっかりとやらないといけない。そもそもそこで産業保健と地域の保健が連携をしていないから、今度かえって完全に病気になった人の職場復帰に対する連携も十分いっていない。ですから、いきなり職場復帰で何か連携というより前に、もう少し手前のところで、きちんと産業医なり地域の医療機関の連携というものが出来上がっていないといけないのではないかと思っているので、私は言葉の説明の仕方だと思いますが、そこまで考えていただいたほうがいいのではないかと個人的には思っています。
○今野座長 就業を続けることが重症化を招いてしまうというのだったら対象範囲ですが、私も専門的にはわからないのですが、重症化するファクターというのはいっぱいあると思うのです。それを全部扱えということになると、ここの範囲を超えてしまうのではないかというか、非常に議論が拡散してしまうのではないかと心配しているのですが、どうですか。
○労災管理課長 それはまさに座長がおっしゃったように、我々が勤労者医療という名前で労災病院でやってきたものが、まさに仕事を続けることによって重症化するという概念を中心にやってきたということですので、あくまでもそれは仕事との関連でものを見ていることは間違いないということです。全く別の原因で重症化するということを、たまたま拾えてしまうこともあるかもしれませんが、概念としてはwork relatedで捉えるということだと思っております。
○砂原委員 いまの話で今村先生がおっしゃられたように、治療を受けに行きたいのに仕事で行けないとかいうことによって、それが悪化するというケースがたぶん考えられて、そういうものはこの対象ということをおっしゃっているということで、そういう部分がいまおっしゃったように2次予防であったり3次予防であったりというところの、ここに書いている予防という意味で捉えるということですね。
○今村委員 はい。
○今野座長 それだったら私もわかります。でも、それは言い方を換えると両立ができていないということですからね。
○岩崎委員 途中の例で、肝炎のウイルスの予防の話もちらっと出たのですが、やはり疾病によって違う側面もあるのかなと。仕事が忙しくて治療が継続できなくてという側面と、肝炎ウイルスの場合には、いま国の段階としては、ウイルスチェックをして、最初の段階を啓発していきましょうという段階もあるかと思いますが、そこは治療というか、より予防的な側面もちょっと入ってしまうニュアンスもあるかと思います。そういう意味で言うと、いま議論にありましたように、治療を中断なり、治療にうまくつながらない背景に就労要因があって、そこをどう両立するかというのが中心なのかという印象は同じように持っております。
○今野座長 どんな場合でも、予防といっても、就労要因が入っていることね。
○労災補償部長 これは既に、ある程度これまでの取組として使われてきたので、あえて書いてあると思うのですが、一般的に公衆衛生で予防と言えば、1次予防、2次予防、3次予防があって、発症予防、早期発見、それから職場復帰という段階があると思うのですが、そういう意味からするとちょっと誤った使い方になると思うのですが、広い意味で重症化防止ということで、これは使っているので、この使い方はもう1回、精査して事務局としては考えなければいけないと思います。
 重症化する要因としては、いわゆる疾病に関する社会的なというか、幅広く情報なり、病気の知識が周知されていないがために、途中で治療を中断してしまうのがあります。これは職場の要因は全く関係ない。それまで入れますと、確かに混乱してしまいますので、いま座長が言われたように、何らかの職場の要因が影響して治療が続けられない。それによって重症化するというような辺りで、1つ線引きするのがいいのかと思いますが、そこも今後また議論いただいて、むしろその境目をある程度はっきりさせることが今後の方針を決めるときに有益であれば、そういうご議論をいただくのもいいのかと思います。
○今野座長 私からさらに質問があるのですが、座長がどんどん勝手に質問していいですか。後ろに、例えばがんの場合はこうだとか、何々疾病の場合はこうで、そのときに企業が、がんの場合はこんな対応をしているとか、メンタルの場合はこんな対応をしていると、いろいろデータが症状別にあるのですが、企業からしてみると症状別の対応なんてあり得ないのです。人事の人にがんの専門家がいるとか、メンタルの専門家がいるなんてあり得ないので、もう少し企業の観点から見たらどういう状況かというデータはないのですかね。がんの専門家の人たちは、がんについての就労との関係を調査していますよね。違う疾患の専門の人たちは、その疾患で企業はどうしているか調査していますよね。A疾患の専門の人は、A疾患の専門の立場から両立がこうなっていて、企業はこうなっていますと、B疾患の人はこうなっていますとやっているのですが、受けているほうは1つですからね。だから、受け手のほうからして全体がどうなっているかという調査はないのですか。
○労災管理課企画調整係長 今回、資料を作るに当たっていろいろ探してみたところ、疾患の別なく聞いているものがなかなかなかったので、もう少し探して次回あれば、お示しできればなと思っております。
○今野座長 たぶんないと思いますが、一応もう一度調べていただきましょうか。
○労災管理課企画調整係長 休職制度といいますか、休暇の有無までは、最初のほうにご紹介、先生が座長をされている部分ではあるのですが、休暇制度の有無を超えた配慮とか、企業にとっても制度として定着しないようなものに対する調査は、まだできていないといいますか、ないのかと思っています。一応探してみて、あれば次回説明させていただきます。
○今野座長 ほかにいかがでしょうか。もしなかったら、今日は終わりにしてしまいます。今回のテーマで焦点を当てた体系的な研究とか調査はないはずなのです。だから、事務局としては関連する周辺情報を一生懸命集められたと思います。そういう意味で、今日は貴重なデータを整理していただいたとは思っております。
○本田委員 8頁の「最後にやめた仕事の離職理由」で、「健康が優れなかった」というのが多いという中で、女性が多いという点にとても注目しているのです。先ほど今村委員がご質問されていたときに、これは平成17年時50歳代の人を追いかけた調査だというお話でしたが、これは正規社員だけというわけではなくて、全体の数字という理解でよろしいのですか。正規の方も、いろいろな方も含んでいるということでしょうか。女性の場合、非正規の方とかパートの方とか、私は乳がん患者なのですが、乳がんなどで結構辞めさせられてしまうなどという話をよく聞きますので、それを反映しているのか。それとも正規の方も含めて、こういう感じなのかというのをちょっと知りたかったのです。
○今野座長 どうでしたか。
○労災管理課企画調整係長 おそらく仕事の面だけを数えたデータといいますか、調査ではなかったので、正規・非正規の別なく集めたものだと思いますが、念のため確認して、また次回説明させていただきます。就業の部分以外の家族の状況がどうだったとか、そういう話も含めたデータの中で、就業部分を今回とらしていただいたものなので、おそらく正規・非正規の別はないと思います。
○今村委員 いま本田委員がおっしゃった正規・非正規の話と、先ほど委員がおっしゃった従業員の数というか、企業別。これは産業保健でずっと前から課題になっている、小規模の事業場に対する産業保健と、比較的大きな企業で、経済的な問題も含めて取り組みが全く違うわけで、それを同じような土俵で議論すると、ちょっと混乱するかと思っているので、それはある程度切り分けて考えると。何もしないということではないのですが、ある程度取組としては違ってという議論でよろしいのかどうか。その辺はどういうお考えなのかということを教えていただければと思います。
○労災管理課長 もちろん事業主が何かをやるという、まさに産業保健のほうで見れば、いまおっしゃったような形になると思います。ただ、何か医療機関のほうが情報提供するという場面ですと、場合によって別に企業規模なり雇用形態なりが変わりなく情報提供できるような場面もあると思います。むしろ医療機関が何をするのか、事業主が何をするのかということを整理していく中で、これについては確かに企業の実情に合わせて、当然支援も変わってくるものもあれば、あまりそういうことに関係なく幅広く、何か支援なり情報提供を与えられるものもあるというように分かれていくと思っております。
○今村委員 次回以降、如何に医療機関からの情報提供するかという話は、また話題になると思うのですが、大企業の産業医と地域の医療機関の連携も、まだ十分にないと。制度的にもちゃんと担保されていない状況です。一方、50人から100人で、本来の産業医の選任義務があるような事業所ですら、まだ20%ぐらい産業医が選任されていないという状況がある中で、連携と言っても情報提供しようにも相手がいないという状況にあるわけで、そういったものを同じ仕組みで議論するのはちょっと難しいかなと思ったので、質問しました。それは一つひとつ課題がまた次回以降出てくれば、そのときにまたお話させていただきたいと思います。
○今野座長 乱暴に言ってしまえば、何でもありなのです。いまおっしゃられたように、それが重要だと言ったら、それも考えて、どうするかということだと思うのです。ほかにいかがでしょうか。それでは、よろしいでしょうか。少し早いのですが、今日は第1回目ですし、今日は膨大な資料を作っていただきましたので、お帰りになってゆっくり読んでいただいて、また何かあったら次回以降でも質問していただくということで結構です。今日はこの辺で終わりにさせていただきます。ご質問されていないお二人、いいですか。
○塩山委員 私が本日、検討会第1回ということで感じたことは、自分は臨床で20年ちょっと看護師をしておりました。私は循環器と呼吸器内科にいたのですが、肺がんで治療している患者さんが少し元気になって職場に戻られるというときに、看護師は看護計画というのを患者さん一人ひとりに作るのですが、それはあくまで社会復帰を見越してのものであって、職場復帰までは至っていないというところが、やはり自分でも気になっていたところなのです。お医者さんは外来で引き続き患者さんを診ますので、会社のほうでこの方は職場に復帰したらどんな仕事ができるでしょうかと、そういう問合せをしてくださる企業の方がいらっしゃれば、先生が対応されて、職場復帰に向けての取組はあったと思うのですが、看護師としてはそこまで踏み込んだことができていなかったというのが非常に気になっています。コーディネーターという役割が本当に作られて、医療が進んだ中、患者さんが少しでも職場復帰できて、また生きがい、やりがいを見出して働けるようになるといいなということを願って、この検討会に参加させていただきました。今日は発言できなかったのですが、引き続きどうぞよろしくお願いいたします。
○今野座長 それでは、今日はこれで終了したいと思います。次回以降について、事務局からお願いします。
○調査官 次回の日程ですが、皆様方のスケジュールを踏まえて、3月12日(月)の3時より開催させていただきたいと考えておりますので、何とぞよろしくお願いいたします。
○今野座長 今日は終わりにいたします。ありがとうございました。


(了)

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