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2011年5月26日 第2回水道水における放射性物質対策検討会議事録

健康局水道課

○日時

平成23年5月26日(木)9:30~12:30


○場所

厚生労働省省議室


○出席者

出席委員

浅見委員、大原委員、欅田委員、古米委員、眞柄委員、桝本委員、森口委員

○議事

○松田室長補佐
 それでは、定刻となりましたので、ただいまから「第2回水道水における放射性物質対策検討会」を開催いたします。
 本日は、御多忙のところ御参集いただきまして、厚く御礼申し上げます。
 議事に先立ちまして、大塚厚生労働副大臣よりごあいさつを申し上げます。

○大塚副大臣
 おはようございます。本日もお忙しいところお集まりいただきまして、ありがとうございます。
 原発事故がまだ収束いたしていない中で、当検討会の検討内容も一段と重要性を増しておりますので、本日も是非御指導のほどよろしくお願い申し上げます。

○松田室長補佐
 また、マスコミの方におかれましては、恐縮ですが、カメラ撮りは会議の冒頭のみとさせていただいておりますので、御協力お願いいたします。
 それでは、事務局の方から配付資料の確認をさせていただきます。
 「議事次第」をめくっていただきまして、後ろ側に配付資料のリストがございますので、読み上げさせていただきます。
 資料1-1「水道水中の放射性物質検査の結果について」。
 資料1-2「桝本構成員提出資料」。
 資料1-3「大原構成員提出資料」。
 資料1-4「古米構成員提出資料」。
 資料2-1「水道水中の放射性物質の低減対策実施状況調査」。
 資料2-2「浅見構成員提出資料」。
 資料2-3「粉末活性炭と前塩素処理の併用によるヨウ素の除去に関する調査について」。
 資料3-1「水道水中の放射性物質検査の実施について」。
 資料3-2「桝本構成員提出資料」。
 資料3-3「浅見構成員提出資料」。
 資料4「放射性物質の水道水への影響メカニズムと今後の取組について(未定稿)」。
 あと、参考資料を4つ付けております。
 以上、もし資料について不足等ございましたら、事務局の方にお申し付けいただければと思います。

○松本管理官
 本日は、7名の構成員の方に御出席いただいております。
 朝長構成員からは、御欠席ということで御連絡をいただいているところでございます。
 また、本日の議題の「水道水中の放射性物質の低減方策」に関しまして御説明いただくため、東京都水道局北澤水質センター所長に御出席いただいております。
 それでは、これ以降は眞柄座長に議事の進行をお願いいたします。よろしくお願いいたします。

○眞柄座長
 おはようございます。それでは、早速議事に入ります。
 最初は、「水道水への放射性物質の影響メカニズム」についてであります。
 それでは、これにつきまして資料1-1「放射性物質検査の結果について」、説明をいただきたいと思います。それでは、お願いいたします。

○松田室長補佐
 それでは、事務局から資料1-1「水道水中の放射性物質検査の結果について」、御説明申し上げます。
 前回の第1回検討会で、この水道水中の放射性物質検査の結果について御報告したところでございますが、今般、データが更に蓄積されてきた点を報告するとともに、福島県現地災害対策本部が行いました水道水の水源種別のモニタリング結果、また飲用井戸のモニタリング結果について御報告いたします。
 資料の1ページはおさらいになりますが、水道水中のモニタリングについては、福島県の現地対策本部、また文部科学省、あと地方公共団体及び水道事業者が実施しているということでございます。
 また、2ポツでございますが、原発事故発生以降、厚生労働省が乳児を含めて水道水の摂取制限及び広報の要請を実施した水道事業者につきまして、5ページと6ページに表1ということで摂取制限の実施状況をお示ししております。前回の検討会でもこの資料をお出ししたところですが、変更点は福島県の飯舘村におきまして飯舘簡易水道事業につきまして、5月10日に乳児の水道水の摂取制限を解除したということでございます。
 次に、1ページに戻りまして、3.水道水中の放射性物質検査の結果ですが、(1)は文部科学省のデータについての説明でございます。
 そこで、文部科学省は、7ページ、8ページ、9ページの放射性ヨウ素、放射性セシウムのデータを示しております。このデータについては、文部科学省が行った都道府県のデータのうち、検出された13都県を対象にしたもの。前回からデータを更に更新したものにつきましては、検出下限値未満、もしくは極めて低い濃度で推移しているということでございます。
 次に、2ページに戻りまして、3の(2)摂取制限が行われた水道事業者等における検査結果でございます。
 具体的な検査結果につきましては、10ページから39ページにかけて、図2-1から図2-4に示しております。
 この資料は、前回の検討会でも、水道水中の放射性ヨウ素、放射性セシウム、それとその地域の空間線量、放射線降下量、降雨量の関係を示したものでございます。また、前回からデータを更新してございますが、更新データの中で、それぞれの地域において降雨があったということでございますが、それにもかかわらず、放射性ヨウ素、放射性セシウムは検出下限値未満、もしくは極めて低い濃度で推移しているということでございます。
 例えば19ページを開いていただきまして、?栃木県宇都宮市の放射性セシウム、空間線量の関係でございます。
 降雨量について、4月23日、1日52?という強い雨があったわけですが、それでも非常に低い濃度で推移しているということでございます。ちなみに、このグラフの見方でございますが、日付の下に黒丸が付いているものについてはND、検出下限値未満ということでございます。こういったことで、摂取制限を行った水道事業者の検査結果を示しているということでございます。
 次に、2ページに戻りまして、(3)モニタリング重点区域の検査結果でございます。
 これまでモニタリングの重点区域につきましては、膨大なモニタリングデータが蓄積されてきたところでございます。このデータにつきまして事務局の方で整理いたしまして、41ページから46ページにかけて、11都県別に期間ごとの放射性ヨウ素、放射性セシウムのモニタリングデータについて、放射性ヨウ素に関しては100Bq/kg以上、または10Bq/kg以上のデータが、全データの中でどれだけ超過しているのか。また、最大値はどれくらいかというデータを41ページから44ページにかけてお示ししている。
 また、放射性セシウムに関しては、10Bq以上のデータがどれだけあったか。全データの中でどれぐらいの割合であったかというものについて、45ページ、46ページに資料としてお付けしております。
 それで、このデータについて、傾向としてどのようなことが言えるかにつきましては、2ページ目の(3)に示しております。
 放射性ヨウ素につきましては、全期間中、モニタリング件数が増加した3月21日から31日までにかけて100Bq/kg、10Bq/kgを超過した件数が最も多い。次に、4月1日から4月10日までにかけて10Bq/kgを超過した件数が約6%存在したということですが、4月11日以降は一部の地点で10Bq/kgを超過するのみということでございます。
 また、放射性セシウムにつきましては、全期間中、モニタリング件数が増加した3月21日から31日までにかけて10Bq/kgを超過した件数が最も多く、4月1日以降は一部の地点で10Bq/kgを超過するのみということでございました。
 次に、(4)水源種別のモニタリング結果でございます。これにつきましては、福島県現地災害対策本部が実施したモニタリング結果について、表流水と地下水のうち、表流水の影響を受けるもの、また地下水(表流水の影響を受けないもの)に3区分しまして、その検査結果を別添2、47ページに付けております。
 横表になっております。見ていただきますと、図1と表1が表流水のデータでございます。これについては、当初、比較的高い放射性物質濃度が見られたということでございますが、その後急速に低減化している。3~5週間後にはほとんど検出されない状況でございます。
 次に、48ページ、図2と表2が表流水の影響を受ける地下水を利用する水道事業でございますが、一部の事業で放射性物質濃度の上昇が見られますが、表流水に比較すると濃度が低い状況にあるということでございます。
 表3は、地下水を水源とする、表流水の影響を受けないと考えられる水道事業。これについては、放射性物質濃度は検出されていない状況でございます。
 次に、3ページに戻っていただきまして、(5)飲用井戸のモニタリング結果でございます。これは、福島県の現地災害対策本部が4月から5月に、福島第一原子力発電所から20?~30?離れた地域及びその周辺地域にある飲用井戸についてのモニタリングを実施しておりますので、その結果を49ページの別添3にお示ししております。
 この結果を見ていただければと思いますが、基本的に原発に近い地域においても、各採取地点の放射性ヨウ素、放射性セシウムはおおむね検出下限値未満という結果でした。一部、広野町の42番の地点で検出されているということですが、これについては試料採取時の汚染の可能性があり、再測定の結果、検出下限値未満でございました。
 この資料に関連して、参考資料1にモニタリング重点区域における農地用等土壌中の放射性ヨウ素、放射性セシウム濃度モニタリング結果ということで、これはそれぞれの重点区域の都道府県、または福島県については、現地災害対策本部が実施して公表している土壌中のデータを参考までにお示ししてございます。先ほどの飲用井戸のデータと、その地域に近い土壌のデータもこちらの方に示されているということでございます。
 事務局からは以上です。

○眞柄座長
 ありがとうございました。特にこの際、御質問ございましたら、どうぞお出しください。よろしいですか。
(「はい」と声あり)

○眞柄座長
 それでは、時間の関係もございますので、3名の先生方から御意見を伺って、それぞれの御説明に対する御質問や御意見をいただきたいと思います。
 まず、桝本先生、お願いいたします。

○桝本構成員
 高エネルギー加速器研究機構の桝本と申します。よろしくお願いいたします。パソコンとの相性がちょっと悪くて色合いが悪いところがありますが、そこは印刷物の方を見ていただければと思います。大変申しわけございません。
 それでは、放射性物質の種類と特徴ということで御報告させていただきたいと思います。前回、欅田先生の方から詳しい御説明がございましたので、私の方からは更に付け加えてということは余りありませんが、一応復習の意味でお話させていただきます。
 今回、原子力施設から放出されている放射性同位元素等々についての情報ですけれども、基本的には最初に飛来しておりますのが放射性気体、希ガスというものでございまして、クリプトンとかゼノン。そういったものは風向きによって来ておりますが、直ちに拡散して水へ移行するという状況は起こっていないと思っています。
 次に、エアロゾルというものが来ておりますが、その中にはヨウ素とかテルル、セシウムがございます。一部、ヨウ素については気体状のものもあるということでして、実際、風向きによって飛んできておりまして、更に前回も説明がありましたように、雨によって沈積している状況が生まれております。
 次に、核燃料そのものの燃料粒子または被覆管について、これはウランとか超ウラン元素、プルトニウム等々がございますけれども、基本的にもしあったとしても、飛び出したとしても、これはホットスポットが施設周辺にできるような状況が生まれる可能性はある。ただ、現時点において、きちんとこれが検出されたという情報は、私の方ではまだつかまえておりません。そういう意味では、福島第一内部にほとんどのものはまだとどまっていると思っております。
 次に、主な放射性核種の性質ですけれども、まずヨウ素-131というのが今回、飲料水等でも非常に騒がれましたけれども、基本的にこれは半減期8日で、β線とγ線を出すものでして、特に体の甲状腺等に濃縮するということで御心配させてしまったものでございます。ただ、現時点におきまして、半減期が8日ということで、かなり減衰している状況になっています。
 引き続きまして、新聞等で話題になっておりますのがセシウムというものでございまして、これは半減期30年の137、半減期2年の134がほとんど同比率で来ております。これはチェルノブイリのときには134が少なかったんですが、今回の福島の事例では、ほぼ同等の放射能で、1対1程度であるということであります。
 そうしますと、γ線としましては、セシウム-134の方が、ここに書いておりますように605keV、796keVと、多くのγ線を出すために、外部的な被曝につきましては、セシウム-137に比べますと効果が大きいということで、外の今の線量については、134の方がきいている状況になっているかと思います。
 また、ストロンチウム-90というのもしばしば話に出てきておりますが、これも半減期が30年ぐらいのものでございます。ただ、これはγ線を出しませんので、外部的な被曝としては問題にならないと思っております。ただ、実際にこれが大量に体内に入ることが起これば、それは骨への集積とかも考慮しなければならないですが、現時点での濃度分析の結果からすると、特に問題にはなっていない。
 次に、私どもと国立環境研究所の方と共同で、空気中に飛来する放射性粒子の捕捉を、月曜日にうちも復電を始めまして、夕方から1台のモニタリングポストが動く。それから、検出器に通電を月曜日夕方ぐらいからできるようになった。それで環境研の方にお願いしまして、火曜日ぐらいからエアーのサンプリングを始めたという状況で震災後立ち上がったところでございます。
 これは環境研の捕集の様子を示しておりますが、エアーサンプラーというものでハイボリュームで空気を吸い込む。掃除機の大型のようなものでございまして、それに四角いものが左にありますが、これが石英繊維のフィルターでございます。その下に筒状のところに間に挟むようにして活性炭のフィルターを2枚加えて、それでヨウ素を捕集するシステムをつくりまして、屋外において捕集を始めたということでございます。
 私どもの方も、これを非常用電源的なところで立ち上げるしかなくて、100Vもらって小型のポータブル検出器を立ち上げたということで、現在までそれを使って放射能の検出を進めてきたという経緯がございます。
 それについて若干報告させていただきますが、まず左上に棒グラフが幾つか見えると思います。3月15日3時ぐらいから捕集を開始しておりますので、関東地区に飛来しましたのが15日午前中、朝からであります。ですから、完全にピークを挟んでおりません。ピークが抜けたところからの捕集になっております。ですが、この時点におきましても、トータルの放射能濃度として10-5 Bq/cm3という濃度が検出されたということであります。
 それは、16日ぐらいまで2日にわたって2回飛来しております。これについては、ガス状というか、気相で、乾いた空気の中で送られてきておりますので、そのまま関東地区にはほとんど析出しませんでした。最終的には、福島中通り地区で雨と雪が降りまして、その中にかなり含まれるということで、中通りの方での沈着が発生しております。
 次に、3月21日におきましては降雨がありました。21日朝ぐらいはミスト状態で北から気流が流れてきておりまして、それがコンデンスして雨となって、昼ごろには関東地区は結構雨が降りました。つくばでは霧状態が続いたんですが、降雨のために、ある程度ガスに入っていたものが雨となって沈着していったということが21日に起こったということであります。
 大きなイベントは、この2つでございます。
 次に、下に示しておりますが、3月末になりますと、もう既に100分の1まで落ちているんですけれども、それを右下の図は100倍ぐらいに拡大したものでございます。そうしますと、ここでも空気中に放射性粒子が漂っている状況が100倍拡大すると見えているということで、まだ更に飛来しているということでございます。
 これは、福島のイベントが直ちに関東地区に来たのか、それともチェルノブイリのときに観測しておりますが、大体2週間で地球を1周いたします。ですから、そういったことで地球を1周したものが来たのか。その辺は判明しておりませんが、基本的に同じようなパターンのものが3月末に見えております。そういった中で、2周目が4月半ばぐらいに起こっている可能性があると考えております。
 ですから、福島のイベントとしてはかなり収束して、そこからの放出はかなり抑えられていった状況ではないか。ただ、100倍ぐらいにこのように拡大してみますと、そういうパターンが見えているということであります。これは、線量で見ますとほとんどこういう変化は見えないのですが、空気中に漂っております粒子を見ますと何が来ているかということが明確にわかるという意味で、こういう粒子の測定が非常に重要になってくるかと思っております。
 特に、偏西風に乗って、4月末からかなりの風があってほこりが舞い上がるという事態が関東地区に起こっておりました。黄砂現象もありました。その中で、風とか粉じん量と放射能の関係を見ましたが、ほとんど相関はございませんでした。
 これが非常に色が悪くて、配付資料の方を見ていただきますとわかりますので、そちらをごらんいただければと思います。
 まず最初に、放射性核種がどういう中身なのかということを示したものでございまして、15日にはヨウ素が半分ぐらい、それからテルルが赤い色です。そういったものがかなりの割合を示している。それが翌日になりますと、ヨウ素が8割ぐらいまでになっている。更にその翌日、18日ぐらいになりますと、98%ぐらいがヨウ素になっています。ただ、この2日間で、線量的には変わらないんですが、放射能としては2けた落ちたという状況になっています。
 3月21日に再飛来がありました。この時点におきましては、ヨウ素が半分ぐらいになって、ほかの核種が見えるようなっています。ただ、テルルは半減期が3日ですので、減って、目立ったのがセシウムになっています。そういう変化が起こってきたということであります。
 この後も、こういうイベントがなくなりますと、ヨウ素がメインという状況が続いています。最近はヨウ素もなくなってきています。
 下が、私どものモニタリングポストを1台立ち上げて、インターネットで公開していたのですが、こういう線量の変動が見えているということでございます。浮遊粒子の変動幅に比べますと、線量というのは非常に緩やかでして、21日以降は主に地面に付いた放射線をはかっている状況が続いているために、空気中に飛来しているものは見えなくなってきているということかと思っております。
 まとめますと、関東地区に限って申しわけないですけれども、関東地区におきまして私どもの測定結果からしますと、3月15日、16日の一過性の線量が見られて、気体状のものが運ばれたということでございます。そこの時点での沈着というのは起こらなくて、線量が急激に下がっております。
 次に、3月20日から23日にかけては霧と雨によって運ばれました結果、雨が非常に降ったところにおきましては、浄水場等への影響が出ております。この後も3月28日とか4月17日にも小さなピークが見えているということであります。5月以降も継続して測定しておりますが、非常に放射能は少なくなって、10-10ぐらいまで落ちてきているかと思っております。
 そういう状況で、今後、原子炉内の温度と圧力が低下しているということを考えますと、大気への放出という事態は減ってきていると見ていいのではないかと思っております。確かに、映像等で見ますと水蒸気等が出ておりますが、あの程度でばんと飛来する粒子がそこから出てくる状況にはなっていないということでありまして、あくまでもベント作業とかで放出されたものが特に遠くまで飛んだということだと思っています。
 まとめますと、放射性核種別の調査結果となりますが、粒子をはかりますと、放射線量の変化というモニター値がいろいろなところで出ておりますが、それに比べますと変動状況が顕著にわかってきている。新たな放射性物質の飛来が検出できているということであります。ピークになりますと、いろいろな核種が同時に飛来することもわかったということかと思います。
 ヨウ素というのは、常に漂っている状況になっておりました。ただ、現時点においては半減期になって減っているかと思います。ヨウ素がいつまでも漂う。逆にセシウムはすぐ沈着することになっているのではないかと思います。粉じん量が多い日に放射能が増えるかといいますと、それは増えていない。ですから、再巻き上げというのは、この時点の観測からは余り考えなくていいような気がしております。
 核種のことについて、若干説明させていただきます。最終的に、これは浅見先生の方から御報告があると思いますので、私は概要的なことを御報告いたします。
 まず、私どもが今回、飲料水制限でヨウ素が何Bqという値を示しております。セシウムも100Bq/L。そういったものが、実際どのくらいの重さかといますと、1gの水の中で10-17とか10-14ぐらいの重さでございます。ですから、通常の分析機器では検出できないぐらいの、ごく微量の重さのものにしかすぎないということを御理解いただきたいと思います。
 ですから、通常、こういった粒子につきましては、化学平衡というものがきちんと成り立つということ。それから、マクロのイオンの挙動と同じ挙動を示すかというと、そういうことにもなかなかならない、非常に難しいものである。逆に言えば、ラジオコロイドとして知られておりますけれども、割と粒子状のほかのものにくっついて挙動するということであります。
 これは空気中に浮遊しておりました粒子を粒形別に分別したものであります。これは環境研の田中さんからデータをいただいたものでございます。
 まず、破線がヨウ素ですけれども、ACFが活性炭素繊維で集めるところで、いわゆるガス状のヨウ素と言っているものですが、こういったものがかなり来ている。それから1μ以下にもヨウ素の場合は粒子として検出している。フィルターで粒子が見つかっているものでございまして、非常に細かい粒子になっている。
 一方、セシウムも見えておりますが、これについては1μから数μの粒子の大きさになっています。ですから、大きさから言えば、私どもの感覚からすれば小さいんですが、大きい方の粒子に当たっている。これは、チェルノブイリに比べますと、もうちょっと大きいということでございます。
 次に、ヨウ素が例えば土壌に飛んできたときにどういう振舞いをするかという例でございます。これは、東海村で再処理由来の129、1,450万年という非常に長い半減期のものでして、γ線も出さないものですが、試料分析等によって分析できる核種でございます。こういうヨウ素と自然界にあるヨウ素の比率をとったものでございます。これは、放医研の吉田先生にいただいたものですが、基本的に天然のヨウ素は、土の深さにかかわらず、ずっと入っているわけです。
 ところが、こういう放射性核種として飛んできたものはどういう挙動をするかといいますと、意外にそういったものと同じ挙動をするということではなくて、かなりの時間かかっていくような話でありまして、基本的にはしばらくはこういった形で表層にとどまっているということかと思います。
 同様に、6か所の森をはかって、これは再処理をやっていない時点ですので、この時点を見ますと、天然のヨウ素とほぼ同じような感じで、奥まで見えるということになっているかと思います。
 次に、これはセシウムが降下物として落ちたときにどういうふうになっているか。これも東海村の例でございますが、かなり表土に集積しておりまして、地下深くにまで到達していない。これはグローバルフォールアウトと言いまして、核実験で九州地方にも随分セシウムが落ちたんですが、そういう火山灰土みたいなところでもほとんど表層でとどまっておりまして、地下深くまでセシウムが流れていくことはないという状況でございます。
 次の例はチェルノブイリのデータでございますが、1987年にセシウムとストロンチウムの深さ分布を調べたものでございます。これにつきましても、ほとんどのものが10cmぐらいまでにとどまっている。かなりの部分は5cm以内です。これは、ストロンチウムもセシウムもそうですが、かなりの年数がたってくると、一部下の方にも入っていくという状況がある。ただ、速やかに自然界にあるストロンチウムとかセシウムと、同位体交換等を起こしながら同じような挙動をするまでには、かなりの年月がかかる状況になっているかと思います。
 もう一つ、チェルノブイリフォーラムで、興味あるデータとしましてこういうものがございました。例えば農作物中にどの程度セシウムが入っていくかという話でございますが、土壌中に放射能がありまして、最初、1~2年は作物の方に濃度上昇が確かに見られております。ですが、セシウムは非常に土壌に固定されやすいという状況が生まれておりまして、最終的には3年以降は取り込まれる量は減ってくるという状況が見えております。
 そういう意味で、セシウムというのはアルカリでイオンですから、よく溶けてというお話があるんですが、実際こういったもので飛来したものについては、なかなかそういうことではなくて、意外に固定しやすいものだと思っていただければと思います。
 次に、これは福島でのストロンチウムとセシウムの分析結果が報告されておりまして、いただいたものですが、ストロンチウムというのが大体どのくらい入っているかといいますと、セシウムの量と比べまして、けた違いに少ないという状況が生まれておりますので、これが更に飲料水等で濃度が問題になるレベルになるということは、今のところ想定しなくてもいいのではないかと思っているところでございます。
 次に、これはつくば市周辺のヨウ素-131の濃度変化を環境研の田中さんからいただいたものでございます。霞ヶ浦の水とか水道水の水。これも皆すべて、3月以降、次第に減衰しまして、4月後半では非検出という状況まで来ているということがよくわかるかと思います。水道水にしても、湖沼水にしてもこういう状況で、ヨウ素についてはほとんど問題がなくなってきている。
 今後の飲料水の影響の考察でございますけれども、何度も申しますように、ヨウ素については半減期が短いこともありまして、長期の影響は考慮しなくていいのではないかと思っています。また、セシウムというのは、沈積物中に固着されて余り移動しないという状況が見えてきていますので、水への移行という観点からしますと影響は少ないということが言えるのではないかと思っています。
 次に、ストロンチウムにつきましては、セシウムに比べて濃度が低いということが先ほどの表からもわかりますので、特に水まで溶け出して問題になるという事態は発生しないだろう。
 もう一つ、超ウラン元素等の問題もありますが、これについては核燃料が直接外に飛び出したという分析結果は、今のところ、まだ観測しておりませんので、現時点におきましては、発電所サイト内の課題ではあるかもしれないが、私どもの生活範囲でこれを考慮する必要はないのではないかと思っています。ですから、今後収束に向かうということで頑張っておられますので、そういった中では、この飲料水への影響というのはそれほど心配することはなくなってきているのではないかと思っている次第でございます。
 以上でございます。

○眞柄座長
 ありがとうございました。後ほど皆さん方から御質問や御意見をいただきたいと思います。
 それでは、続きまして、大原先生、お願いいたします。

○大原構成員
 国立環境研究所の大原でございます。
 前回の検討会で大気シミュレーションの予備的な解析結果をお示ししたと思いますが、その後、同じくシミュレーションモデルを使いまして、大気中から地表面にどのくらい落ちたのか、どのように落ちたのか、いつ落ちたのかという解析が進みましたので、その点につきまして御報告したいと思います。
 モデルは前回御報告したとおりでございますので、省略させていただきます。水平分解能が6kmのモデルです。また、計算条件も前回御報告したものと基本的に同じですけれども、前回御報告したときには、ヨウ素-131についてだけの結果及び計算条件をお示ししました。その後、セシウム-137につきましても、このような条件で計算しておりますので、その結果についても御報告したいと思います。
 モデルの不確実性があるということは、前回も御報告したとおりでございますけれども、その点につきましては大きな改善があったわけではございません。不確実性のファクターとしましては、どれだけ出たのか、どのように出たのか、気流と拡散の状況における不確実性、降雨の再現性の問題、沈着パラメータ。
 特に、先ほど桝本先生からお話がございましたけれども、粒子で存在するのか、ガスで存在するのかというのは計算結果に結構影響しまして、その設定によって計算結果がかなり動くこともございますので、その点につきましても大きな不確実性を持っていると御理解いただければと思います。
 まず、ヨウ素-131の積算沈着量のマップをお示しします。左側の方が3月11日~23日、事故の比較的直近の期間、右側の方が3月24日~29日、新たな大きな放出がなかった期間における沈着量を示します。このように、かなりコントラストがはっきりしているということで、沈着量の多くは事故直後の10日間ぐらいで放射性物質が落ちていることを示しています。
 ヨウ素-131は、この計算ではガスとして計算しております。その場合には、乾いた状態で落ちるのを乾性沈着、それから雨に取り込まれて落ちるのを湿性沈着と申しますが、計算上は乾性沈着が起きて湿性沈着が少なくなります。なので、沈着量は大気中濃度に強く依存することになりますので、このような分布になっております。原発周辺だけではなくて、風によって放射性物質が輸送された福島県東部とか茨城県などの関東地方で沈着量が多いという様子が、左側の図で示されております。
 一方で、セシウム-137も同様の図を示します。先ほどのヨウ素-131に比べますと、かなり様子が違うということにまずお気付きになられるのではないでしょうか。セシウム-137につきましては、これも先ほど桝本先生、御報告ありましたけれども、こちらの方はほとんど粒子で存在していると言ってよろしいかと思います。ただ、粒径分布を持っておりますので、どの粒径で計算するのかによって結果が結構違います。これは、粒子がすべて1μであるといった設定のもとでの計算結果です。
 その場合の結果ですけれども、粒子ですので乾性沈着が少なくて、湿性沈着が多い。そのために、沈着量は大気中の濃度と降水量の両方に依存します。したがって、先ほどのヨウ素-131の空間分布とはかなり異なることになるということです。原発周辺だけでなくて、風によって放射性物質が輸送され、かつ降雨があった福島県東部、宮城県、関東北部で沈着量が多いと考えられます。
 それをまとめた図がこの図です。3月11~29日の期間における沈着量の割合を示しておりまして、左側の方の図がモデルで計算された領域内の沈着量の比率を示しています。左側の棒がヨウ素-131、右側の棒がセシウム-137で、色の違いが、グリーン系が乾性沈着で落ちたもので、海に落ちたのか、陸に落ちたのかで区別しています。それから、ブルーの方が湿性沈着で落ちたもので、これも海・陸別に示しておりまして、ヨウ素-131のほとんどは乾性沈着で落ちている。一方、セシウム-137は湿性沈着によって地表面に落ちていることがわかると思います。
 また、縦軸は放出量に対する割合という形であらわしておりますので、ヨウ素-131の場合には、大体35%に棒の高さがあると思います。セシウム-137の方は27~28%ぐらいに高さがありますけれども、その数字が、それぞれ放出されたうちの何%がモデルの領域内に落ちたのかということを示している数字になりますので、大ざっぱに見積もって3分の1ぐらいが、このシミュレーションモデルのモデル領域内の地表面に落ちたことを示しております。
 一方、右側の図は、沈着量がどの県に落ちたのかを色別で示しております。ヨウ素-131、セシウム-137、両方においてグリーンで示しております福島県で多い。これは、ある意味で当たり前だと思います。一方、ヨウ素-131の場合には、福島県、茨城県辺りで沈着量が多い。一方、セシウム-137の場合には、福島県の次は宮城県、群馬県といったぐあいに、先ほどの水平分布の違いで既に御説明しましたけれども、どこに落ちたのかということも、ヨウ素-131とセシウム-137でかなり違うことがわかるかと思います。
 次に、3枚ほど同じような図を示しましたけれども、都県別の沈着量、大気濃度の経日変化を示します。いずれもシミュレーション結果です。上から福島県、宮城県、山形県、新潟県で、左側がヨウ素-131、右側がセシウム-137です。横軸が日にちをあらわしておりまして、ある日にどれだけ地表面に大気から沈着したのかを示している図です。それぞれの図の中でグリーンが乾性沈着、青色が湿性沈着、赤色が地上の大気濃度を示しています。いずれもシミュレーションの結果です。
 ヨウ素-131の方は、3月15、16、それから22~26日辺りに多くて、セシウム-137は、3月16、21、26日辺りに多い。風向と降雨が影響していますので、県によって沈着が多い日はかなり異なることがわかるかと思います。
 同じような図ですけれども、北関東についてお示ししたのが、この図です。茨城県、栃木県、群馬県です。
 それから、3枚目は南関東で、千葉、埼玉、東京、神奈川という図です。南関東におきましても、先ほど桝本先生からお話がございましたけれども、福島の方からの放射性物質の輸送が多かった3月15、16日、それから21日ですね。特に21~22日辺りは降雨があっということで、関東地方ではこの3つのイベントで沈着、どれだけ大気から地面に落ちたかが決まっている。15、16、21日辺り。ということがモデルの結果、示されています。
 まとめですけれども、事故発生から3月23日までの間に、大気中に放出された放射性物質が、乾性・湿性沈着によって地表面に落ちました。3月24日以降は、新たな放出がありませんし、また大気中の放射性物質も減少しておりますので、沈着量は大幅に減少しています。
 ヨウ素-131はガス状物質なので、乾性沈着が湿性沈着より大きくて、風の影響が降水の影響よりもかなり大きい。一方、セシウム-137の方は粒子状物質として計算していますので、乾性沈着よりも湿性沈着の方が大きくなって、風にも降水にも影響を受ける。このために、ヨウ素-131とセシウム-137の沈着量分布はかなり違う。
 ヨウ素-131は原発周辺だけではなくて、風によって放射性物質が輸送された福島県東部、茨城県などの関東地方で沈着量が多い。一方、セシウム-137については、原発周辺だけではなくて、風によって放射性物質が輸送され、かつ雨が降った福島県と宮城県、関東北部で沈着量が多い。
 一方、日本海側地域とか中部地方西部以西、岩手県以北では沈着量が少ないという結果によって示されたということでございます。
 以上で御報告を終わりたいと思います。

○眞柄座長
 ありがとうございました。
 それでは、続いて古米先生、お願いいたします。

○古米構成員
 東京大学の古米です。前回、雨水の流出モデルの構造についてお話しましたけれども、今回は簡単なモデルですけれども、流域内の汚染物質としての放射性物質がどう流出するのかという具体的な計算をした結果を御紹介したいと考えております。これが目次でございますけれども、まずは基本的なモデルの構造、そして具体的な結果で、最終的には水道水の検出状況との関連という整理をさせていただきます。
 まず、モデルをつくる際には、大気のモデルと同じですけれども、どういうことを着目してつくるのかということで、5つ掲げさせていただきました。
 1点目は、雨天時にどう出たのかというのが、今回、表現できないとまずいだろうということ。
 流域という場合には森林とか農地とか市街地というように、たまっている地表面の状況が違いますので、それを考慮しよう。
 同時に、先ほどガス態とか粒子態という言葉があったように、放射性物質の形態をどう取り扱うのか。特に、水道の場合には懸濁態のものは除去できるということですので、溶存態がどれだけ出てくるのかということが重要。
 更に、一たんたまったものが土壌に吸着することをどこまで押さえるかということと、長い目で見たときに、半減期あるいは地下に浸透するというメカニズムもモデルの中で扱えることをポイントにいたしました。
 これは前回もお示ししましたけれども、大気からどれだけの雨が降り、降下物があり、それを地表面の雨がどう押し流して、最終的に河川に入って、どう取水点まで輸送されるのか。これが全体のモデルになりますが、今回は特に真ん中の雨水の流出と物質流出モデル。要は、雨が降ったときにどう出て川に至るのか。その量が大きければ、当然、取水側でも大きくなりますので、その点について御説明したいと思います。
 というのは、川の中でどう挙動するかというモデルはなかなか表現しにくい部分もございますので、まずは出るところを押さえるということで解析結果を御紹介したいと思います。
 これは最終的なモデルの成果です。飛ばさせていただきますが、お手元の方にはございませんけれども、付録に付けさせていただいたものです。物質の輸送のモデルを、表層を流出するタンクと地下に浸透していくタンク、2つを用意して、そこに雨が降り、溶存態と懸濁態の放射性物質が降下してくる。そして、雨とともに流出したり地下に浸透し、地下に浸透したものは、勿論懸濁態ではなくて溶存態である。なおかつ、その移動の際にどれだけ流出するのか、あるいは蓄積するのかといった係数をそれぞれ与えます。
 今回の場合には、ヨウ素は比較的、懸濁態よりも溶存態として存在しているだろうという、まさに仮の1対9という関係と、セシウムは比較的懸濁態、吸着しやすいということで、逆に9対1という関係で与えました。要は、沈下したものというよりは、沈下して雨が降ったときにどういう形で動くのかというものを非常に簡素化した形で、およそ1対9、およそ1対10という関係です。
 なおかつ、流出するときに吸着しやすいのかどうかという係数、ここにα1、α2と書いてありますけれども、それを与えることによって吸着しやすさを考えたということです。細かいことは後ろに載っていますので、具体的に計算結果をお示ししたいと思います。
 先ほど大原先生からお話があったように、3月に降った雨を解析の対象にいたしました。今回は、3月21日~23日の21?の雨、そして26日の3?、31日の13?の3つの雨でございます。まず、山林を選ばさせていただきました。次に農地が出てきます。そして、市街地です。今回は、まずヨウ素です。
 見ていただくと、沈下量として、降雨量37?に対して、総降下量をkm2単位で表示してしまいましたけれども、これは対象流域が100km2なので、申しわけございませんけれども、km2ではなくて100km2辺りに2.1×104GBq降ってきたという値を与えております。
 そうしますと、下の図を見ていただくと、グリーンのラインが雨の流出量です。山林の場合、このぐらいの雨ですと、表面を流出するのではなくて、一たん地下に入ったものが出てきて、地下の流出量として出てくる。この地下の流出量というのは、地下水の水ではなくて、地下に一たん入ったものが川に出てきた水の量です。黄色の部分が、それに伴ってヨウ素が出てくるだろうということです。
 この結果で、右の軸と左の軸で濃度換算しておりませんけれども、この計算でやると、ヨウ素の濃度としてはおよそ1万Bq程度の値が出ています。これを注意していただきたいのは、あくまでも溶存態で9割、なおかつ吸着しにくいという条件で解いていますので、それを10倍、10倍にすると、あっという間に100分の1ぐらいまで落ちてまいります。したがって、あくまでも危険側の計算結果を今回、示させていただきました。
 しかしながら、最初の21?の雨の次の3mmでは、もう出てまいりません。更には、13?という強い雨が降っても出てこない。こういうふうに先ほどのように一たん出てしまいますけれども、半減期もあり、なおかつなかなかとどまらないという形なので、後半出てこない。
 農地の地表面も、山林とほぼ同じ動きをしていることを御理解ください。右の方の表示が市街地になっていますので、これは間違いです。農地でございます。
 次が特徴的な市街地です。市街地は、農地、森林と比べて、雨が降ったときに地表面をさっと流れていきます。したがって、下のグラフを見ていただくと、赤い線が川にさっと入ってくる流出量、グリーンのラインが地下を通って出ていくライン。このように赤いラインがたくさん出てくる。要は、地下に行くよりは地表面をさっと流れて出てくる。それに伴ってヨウ素もたくさん出てくるという結果です。ピンク色の表示が出ているところが、同じようにヨウ素です。
 特徴的なのは、3月31日の13?の雨のときには、実は懸濁態のものが出てくると、モデル上は予測されました。強い雨が降ると、溶存態ではなくて懸濁態が出やすいというモデル計算結果です。この流量と放射能を相対比較すると、これも大体1万Bqの形ですが、先ほど申し上げたように吸着しにくいという前提のもとで、10倍、10倍を考えていただくと、あっという間に100ぐらいになるということでございます。
 ただ、市街地からはさっと出てくるということと、強い雨が降ると地表面から懸濁態のものもヨウ素の場合も出るだろうということです。
 次に、セシウムの山林、農地、市街地に移ります。
 セシウムの場合には、右上に書いてありますように、総降下量は2.8×103GBq。先ほどのヨウ素に比べて1けた低い状態です。これも同じように100km2当たりに与えた総降下量です。繰り返しになりますけれども、セシウムは懸濁態がほとんど。更に、土壌の中で吸着しやすいという係数を、ヨウ素に比べて10倍与えております。
 したがって、出てくる水の形は、先ほどのグリーンと同じように青いラインで示しておりますが、ほとんど出てまいりません。もともとヨウ素と比べてセシウムは溶存態が少ないということと、地下に浸透する際に除去されるという表現をすることによって、ほとんど出てまいりません。見掛け上、この絵として表示されませんけれども、具体的な数値を申し上げると100も出てこないということです。これも非常に出やすい係数を与えて100しか出てきませんので、実質上は限りなく1を切るような値しか出てこない。先ほど申し上げたように、更に吸着しやすいという条件を入れると下がってくる。
 同じように、農地についてもほとんど出てまいりません。
 そして、市街地です。市街地の場合も、同じように溶存態のものはほとんど出てきませんが、一番最初の雨にわずかに懸濁態のピークがちょっとあります。しかし、31日の13?の、量的には少ないんですが、非常に強い、短い時間帯に雨が降る、降雨強度の強いものが降ると懸濁態が出てくる。強い雨のときには土砂のようなものも一緒に出てくるように、私の方で調整したモデル化をしていますので、こういう結果が出るのは当たり前だということですけれども、言い換えればそういった現象が起き得るという事例です。
 これは、あくまでも各地表面からどれだけ出てくるかという議論ですので、更に取水点、水道の浄水場が取水している地点が、例えば河川の場合には、上流の森林に降ったものがどう流出し、中流域の農地とか市街地、下流の市街地、いろいろございます。ここはあくまでも非常に簡素化しました。上流に800km2の山林があり、農地が500あり、下流に市街地、合わせて1,500km2の流域です。オーダーとしてはイメージしていただければ、久慈川ぐらいのサイズの川をイメージしていただければと思います。およそ100数十kmの流下距離がある。
 そうしますと、山林に降った雨は流出して、最終的に取水点、流下最下点まで到達するまでには流下する時間がございますので、流速を仮定すると、およそ10何時間ずれると考えられます。農地も、同じように遅れて到達する。そうすると、雨が降ったものかどう出てくるのかというのを単純に時間遅れを考えて、重ね合わせることによって、流量あるいはその汚染物質がどう合わさって到達するのかということを計算することができます。
 非常に簡素化したモデルで具体的に申し上げると、3月21日~23日、3月25~26日の22mmと3mmの雨を、市街地、農地、山林をあわせた形で合計すると、ブルーのラインが流量としては最下点でおよそ予測できる。非常に大まかな計算ですが、ポイントは雨が降って約1日、到達するのに時間がかかるということですので、非常に長い河川の上流域に降下したものが取水点に到達するまでには流下時間がありますので、それを考慮した形でのモニタリング等が必要である場合には、このモデルで各取水点においての予測をすることによって計算できるだろうということです。
 これはヨウ素の動きですので、次に飛ばさせていただいて、最終的に今回、簡素化したモデルで解析いたしましたけれども、水道水の検出状況との比較でどう理解すればいいのかということをまとめさせていただきました5つです。
 まず最初に、雨天時の流出に対しては、3月21~23日の降雨によって多くの放射性ヨウ素は流出していただろう。しかしながら、セシウムは土壌に保持された、あるいはそこにトラップされたもので、同時に流出しにくい状態であっただろうということです。具体的に検出されていないというのは、そういうことです。
 2番目は、土地利用あるいは地表面の状態ですけれども、市街地をたくさん抱えているところを水源にすることはございませんけれども、そこの影響はある。比較的出やすい。それも短期間。しかしながら、上流域の山林、農地というのは、浸透能がございますので、そこでの沈着力あるいは吸着力によって保持されていたり、あるいはじわじわ出てくることを理解する。言い換えれば、水源の流域の特徴を整理しないと、一律的にこうなるということは予測できないと御理解いただきたいと思います。
 3番目は、形態です。溶存態と懸濁態を考えましたが、強い降雨が降った場合には懸濁態が出てくる可能性を想定する必要がある。しかしながら、ヨウ素はほとんど出きっておりますので、基本的には出てこない。ただ、セシウムが気になるところでありますけれども、懸濁態の場合、水道水の場合は除去できる技術がございますので、最終的な水道水としての検出濃度は更に下がっていくだろうと考えられます。
 4番目は、土壌への吸着性です。今回は非常に吸着しにくい係数を与えましたが、それでもセシウムは十分に出てこないということがわかりますので、流出しにくい形で保持される。要は、地下に入る。地下水には至らないで、土壌の表面でトラップされているという結果があるとするならば、そういった数値を入れて予測することによって、その土壌吸着を理解する。
 しかしながら、強い雨が降ったときに、その土壌の表面が流亡するということのモデルは、残念ながらここでは扱っておりませんけれども、その地点については留意する必要があるということを申し添えたいと思います。
 最後の長期的な流出挙動ということでございますが、ヨウ素については、地下に浸透したということも含めて考えるべきだろうと私は考えておりますが、今回の場合、既に半減期8日で、それ自身もほとんどなくなっているだろうということで、ヨウ素については水道水のリスクは限りなく下がってきている。
 残っているのは、セシウムが表層にどれだけたまっていて、長い半減期のものが強い雨で流亡したときにどうなるのかというのが一つの懸念でございますが、個人的な見解としては、その濁質というものがほとんど濁度として供給されるのであれば、今の浄水技術ではほとんど除去されてしまいますので、相当濃度の高いものが出てくるとは考えられませんので、水道水の最終的な供給される飲料水としては問題ないだろうと考えております。
 以上で私からの説明を終わらさせていただきます。

○眞柄座長
 ありがとうございました。
 それでは、3人の先生方から御説明をいただきました。その内容について御質問がございましたら、どうぞお出しください。お願いいたします。どうぞ。

○大塚副大臣
 ありがとうございました。多分、私が一番素人だと思いますので、基本的なことを質問させてほしいんですけれども、桝本先生の資料で放射性物質でテルルというのが出てくるんですけれども、テルルとは何かということをひとつ教えていただきたいのと。
 それから、古米先生の御説明の中で、溶存態と懸濁態。何となくイメージできるんですが、どういうものであるかというのをちょっと御説明いただければ助かります。お願いします。

○眞柄座長
 どうぞ。

○桝本構成員
 それでは、先にテルルについて御説明いたしますが、これも核分裂生成物の一つでございまして、量としてはヨウ素と同じように入っています。化学的性質といいますか、その飛びやすさという意味でも、ヨウ素と同時に今回は放出されております。
 ただ、沈着はテルルの方が早く沈着しやすいようであるということで、残念ながらこの時点において粒子形等々がまだ立ち上がっておりませんので、情報はわかりませんが、いろいろなところでの付着度合いを見ますと、早く沈着してしまうような性質のものであると思います。ただ、飛びやすかったのだと思います。

○大塚副大臣
 補足で先に追加の質問をさせていただきたいんですが、そうすると4ページで御説明いただいたときに、私の聞き間違いかもしれませんが、新たな放出はない中で、この15~16、18、21という流れを説明していただいたんですが、21日にテルルとかはまた出てきている。これはどういうふうに理解したらいいんですか。

○桝本構成員
 これは、確実に福島第一でイベントがあって、それが来たものですので、このときにはそれは東電側としてはきちんと発表されていないと思います。圧力が上がった、ベントをしますという報道はありましたが、最終的には圧力が下がったためにベントはしませんでしたという報告になっております。ですから、この時点での放出ということは通常想定されないんですが、たまたま関東地区に来たのを見ますと、これは発生源としては原子力発電所から届いたものとみなすことになるかと思っています。だから、ここは後で事故解析の中で進めていただければと思っているところです。

○大塚副大臣
 ありがとうございました。

○古米構成員
 それでは、溶存態と懸濁態、モデル上の言葉としてわかりやすく使ったつもりでございますけれども、溶存態というのは、単純にいえば水の流れとともに、同じように動く状態と考えていただければ結構だと思います。懸濁態というのは非常に難しゅうございます。先ほど強い雨が降ったときに出てくるというときに、土砂の流亡という話と、数μとか100μという細かい粒子に放射性物質が付いているときには、比較的水と同じような動きをするんですが、ある程度の流れがないと動かないようなものを懸濁態という形で、ここで整理させていただきました。
 言い換えると、土壌があるようなところで更に強い雨が降って濁水ができてしまうというのは、このモデルの中では十分表現できておりませんので、それとは区別していただければと思います。しかしながら、そのモデルを組み込むことによって、同じように懸濁態と輸送されて、最終的に河川に入っていくという懸濁態というものを予測することも可能だと考えております。

○大塚副大臣
 ありがとうございます。

○眞柄座長
 ほかに。森口さん、どうぞ。

○森口構成員
 ありがとうございます。特定の質問と言いますよりは、3人の先生方のプレゼンテーションと、その前に事務局からお示しいただいた、非常に包括的な資料で大変貴重な資料だと思うんですが、これらを横断的にこういうふうに解釈することでいいかということを意識共有できればなと思っております。
 先ほど副大臣からのお尋ねに対して、桝本先生の方から御回答のあった点、私もそのように感じておりまして、当初、21日は雨が降ったので放射線量が上がったのではないかと単純に考えていたんですが、少なくともつくばなど茨城県内の飛来に関しては、雨が降るだけではなくて、風で新たに運ばれてきたと解釈する方が妥当だろうと私も思っております。
 と申しますのは、資料1-1で事務局の方からお示しいただいた資料の19ページに、水道水中のセシウムと空間線量の推移というのがあるんですが、空間線量の推移、特に私、地元であったということも含めて茨城県をずっと見ていたんですが、宇都宮の空間線量は21日に上がっていないですね。したがって、直接新たなイベントで放出されたものが来たかどうかということは、非常に大きく影響していると思います。
 この辺り、大原委員、今日は積算でお示しになったんですが、日ごとのデータを恐らくお持ちだと思いますので、こういったものを見ていくことよって、セシウムとヨウ素をそれぞれ分けて見ることによって、どのような放出があったかに関しても、かなりわかってくるのではないかと思います。
 それから、15日と16日に関しても、15日に一旦北北東風で関東の方にも来て、その後東風に変わって飯舘村などと内陸部の方に運ばれ、また16日の未明から北北東風で関東の方に来たということかと思います。最近数日、いろいろ報道されている、この間の原子炉でのイベントを考えると、15日の朝から午後にかけて関東地方に飛来したものと、午後以降、あるいは16日にかけて起きたこと、これも放出源がかなり違っていた可能性があるのではないか。この辺りが、いろいろお示しいただいているヨウ素とセシウムとの比率にも関係しているのではないかと感じました。
 そこまで申し上げた上で、これは言わずもがなでございますけれども、非常に貴重なデータをお示ししていただいている中で、何々県のデータという示し方になっているんですが、恐らくそれは県の中のどこのデータかということによって、相当解釈が変わってくる可能性があるのではないかと思います。
 資料1-1の中で文部科学省のデータが出ているかと思います。もとの資料にはどこの市のデータということが出ていたかと思いますので、後々の比較のためには、どこのデータであるということを明記いただけると大変ありがたいと思います。
 その上で、これは最後、質問的なことでいえば、古米先生にお尋ねするのが適切かと思うんですが、資料1-1の7ページに水道水中の検査結果のデータが出ております。これ、私の理解が正しければ、文科省さんのこのデータは蛇口水であったかと思いますので、浄水プロセスの中での時間遅れ等も若干あるかもしれません。例えば7ページの図1ですと、埼玉県で比較的遅い時期といいますか、3月24日、25日辺りにピークがあり、下のセシウムの方ですと、栃木県でかなり長い期間にわたってじわじわ出ているデータが出ております。
 それは、古米先生の方でお示しになったところでいえば、市街地であれば比較的すぐ出るけれども、山林であれば多少時間がかかるところがあると思います。こういうことと、それぞれのこの地域の水源との関係をあらわしているということで考えてよろしいかどうか。これも、どこのデータかということによると思いますが、大まかにそのように解釈してよろしいかどうか、お教えいただければと思います。

○眞柄座長
 どうぞ。

○古米構成員
 今回、非常に簡素化モデルでわかりやすい部分だけお話しましたけれども、具体的なデータを解釈する場合には、例えば埼玉県とか東京の場合、遅れて出てくるというのは、どの流域の水が入り込んで最終的に取水しているかという取水点と、その流域全体の面積と土地利用によって大きく変わる。それを今日の基本的なわかりやすいもので説明したので。
 日本の場合には、土地利用の電子データあるいは河川の情報というものが非常に整備されて、前回紹介させていただきましたし、今回の付録の方にもCommonMPの概要について2枚付けさせていただきました。そういった形の土地利用あるいは河川の情報がありますと、特定した流域を設定すれば、その状況というものは理解できる。
 まさに埼玉あるいは東京の場合には、利根川とか荒川あるいは鬼怒川といった、いろいろな河川から入り込んで最終的に取水している地点がかなり外れております。今日は約100何十kmということですけれども、300kmになれば必然的に1日半とか、長い間かかって到達すると御理解いただければと思います。

○眞柄座長
 今のことは、この検討会の最終的な結論の段階で議論しなければならない問題。つまり、どこで測定するかということが非常に重要なポイントになると思います。古米先生の御回答もありましたけれども、例えばこの厚生本省の蛇口ではかっていれば、厚生本省の中に大きなタンクがあるわけですから、そのタンクに入った放射性物質が減っていくまで、蛇口からはいつまでも検出されるということになるわけです。
 そういう意味で、どこで測定するかということをきちっと決めておかないと、測定された結果の解釈があいまいになってしまいますので、その点は検討会の結論としてきっちりしておくべきことだと認識しております。
 私から大原先生に質問があるんですが、このシミュレーションの計算領域の中で、結論としては、多いもので30%ぐらい、少ないものでは10%ぐらいしか降下しなかった。それ以外のものは計算領域外に行くわけですね。先ほど桝本先生も、チェルノブイリのときに大体2週間ぐらいで地球1周して帰った。そうすると、90%ぐらいのものがぐるっと回ってきて、現にアメリカのEPAで水道水のモニタリングをしていて、福島由来のものだというのが検出されているわけですが。
 戻ってくるときに、資料1-1の10ページに、例えば一番上の飯舘のところで4月25日に、若干ですが、小さなピークがあるわけですね。これは、地球を1周して戻ってきて、飯舘にまた落ちるわけはないですから、質問の1つは、大原先生、今後、これは実務的ではなくて、ある種の研究対象ですが、全球モデルでやったらどうなるだろう。
 それから、1-1の一番上の飯舘のようなぽっと出ているのは、先ほどの3月の終わりのときと同じように、4月25日で、ここでも小さなイベントがあったと見た方がいいのではないか。とすると、いわゆるシミュレーションモデルで予測してモニタリングするのが一つの方法だろう。
 それは、古米先生おっしゃったように、関東周辺のようなかなり離れたところでは、モデルを使って予測してモニタリングを立てるということはできるんだけれども、近いところはイベントがあったか、ないかという情報がないと、的確にモニタリングできない可能性があるんじゃないかなという印象を受けたのですが、大原先生、この辺はいかがでしょうか。

○大原構成員
 お答えしたいと思います。
 まず、全球モデルですけれども、これは私どもが計算しているわけではないんですけれども、日本の全球モデルグループの幾つかで全球モデルを使った計算結果を出し始めていまして、学会等のレベルでは、その結果が出てきているということです。今後、多分いろいろな形で出てくるだろうと思います。
 もう一点の4月25日前後のお話ですけれども、要は放出条件がわからないといかんともしがたい。モニタリングと同様にモデリングも放出条件を与えて計算しますので、それによって結果がすごく動く。ですので、多分、モニタリングとモデリング、両方見て、モニタリングでちょっとでも変化が起きたら、それをモデルを使って解釈する。それで、放出条件の情報がなければ逆推計するというセンスでの解析というのは、でき得るだろう、あるいはやる必要があるのかなと考えております。
 以上です。

○眞柄座長
 ありがとうございます。ほかにございませんか。それでは、時間の関係もありますので、次の話題に移りたいと思います。このことについては、また最後で御意見をいただいても結構です。
 次に、「水道水中の放射性物質の低減方策」についてということで、浅見委員と東京都から説明をいただきたいと思います。それで、資料がございますので、まず資料2-1に沿って事務局から御説明をお願いします。

○熊谷室長
 資料2-1について、水道事業者の取組み状況を簡単に御説明させていただきたいと思います。
 モニタリングの重点地域にあります11都県の中で、厚生大臣認可とします比較的大きな水道事業所の対象事業者、164事業者ございますけれども、ここに対してどのような対策を行っているか。当初、情報量が非常に少なかった状況ですけれども、降雨の影響などが見てとれた関係で、覆蓋とか一部活性炭の処理といったものを推奨した時期がございまして、その後に対応の状況を調べたものでございます。
 調査結果は、164事業者のうち120事業者から回答をいただきまして、対応の状況は資料2-1の中段にあります。日本の水道事業、皆さん御存じのとおり、間の貯水容量、浄水容量等が小さい事業者が多くて、取水量の減少というのは原理的にはあり得るんですけれども、なかなか対応ができない状況が見て取れようかと思います。
 その中でも、回答いただいた120事業者のうち、幾つかの水源の中で河川水量の抑制であるとか、そういう工夫をされたところが25事業者、浄水施設の覆蓋等を行ったのが27、また活性炭の利用などをされたのが39という回答結果をいただいております。
 1ページ目の下段から裏面の上段にかけて、具体的な回答をいただいた内容をサンプル的にお示ししていますので、見ていただければと思います。
 裏面ですけれども、参考としまして、覆蓋をどう具体的にやられているかというイメージのために写真の提供をいただいたところをお示ししております。よく言うブルーシートみたいなもので、浄水場の着水井とかろ過池を覆蓋している状況が見て取れるかと思います。
 以上です。

○眞柄座長
 ありがとうございました。
 続いて、浅見委員からお願いいたします。

○浅見構成員
 国立保健医療科学院の浅見でございます。浄水処理性について考察させていただきたいと思います。
 最初に、日本の浄水処理の現状について簡単に御紹介させていただきたいのですが、大まかに言いますと、8割方は急速ろ過と申しまして、河川水が多いと思うんですけれども、凝集剤を入れて、フロックと言いまして、濁度を固めて沈めてろ過して、最後に塩素を入れて配水池から供給するという形態がほとんどになっております。そのほかに、主に水源のきれいなところですけれども、消毒のみで送っているところ。
 それから、昔から使われている技術の一つで、生物的にじっくりとろ過する緩速ろ過という方法を使っているところもありますが、今回、調査の対象になっているようなところは、どちらかというと大きい浄水場で急速ろ過を使っているところが多い状態でございます。
 あと、今回の件もそうですが、異臭味対策とか消毒副生成物対策ということで、粉末活性炭という技術がございまして、粉末状になっております活性炭をなるべく早い時点で入れて、その中で吸着させてからその後の浄水処理をするという方法と、それから東京ですとか大きなところで使われている処理方法で、高度浄水処理というプロセスがございます。特に、においの対策等で導入が進んでおりまして、オゾンをかけて異臭味物質等を分解しまして、その後に活性炭といって、こちらの方はろ過池の中に割と大きな粒の活性炭を入れてろ過させて入れるという浄水処理方法が高度処理と言われております。このオゾンと活性炭がどこのプロセスに入るかというのは、浄水場によっても異なりますし、今回の調査の中でも東京都さんのものが入っておりますけれども、余り多くはないんですが、大きなところではそういうものがある状況でございます。
 次に、浄水プロセスにおきまして放射性の除去性の概要というのを示させていただきました。これは、3月にいろいろなところから浄水処理でどのくらい取れるのかという御質問をいただいたこともありまして、科学院のホームページの方に掲載させていただいておりますので、詳細な条件とか、もとの文献の原典につきましては、その中を見ていただきたいと思います。
 あと、水道協会雑誌の方にも掲載させていただいておりまして、レビューの更に抜粋ということで、非常に限られた情報ではあるんですが、イメージを見ていただくためにお示ししたいと思います。
 今回の対象と、水道で主に問題となりますヨウ素とセシウムについて抜粋しております。放射性ヨウ素を使って実験したもののレビューですけれども、この中で注意していただきたいのが、ヨウ素、セシウムの放射性物質を使っているんですが、先ほどから桝本先生等の御指摘もありますように、環境中での元素の形態というものが非常に重要になりまして、本当に濁質に付いているかどうか、溶存しているかどうか。
 しかも、イオンの形で存在するかとか、後で示しますような、次亜ヨウ素酸といった形になっている場合もありますので、その辺が原典の論文、いろいろなものを混ぜたものがレビューされており、条件によって非常に異なりますので、このままこの表を使って、この処理だといいけれども、この処理だと悪いというのをすぐに判断するものではないということを御注意いただきたいと思います。
 ただ、この中でユニット、それぞれの単位でやると、どのぐらい取れるかというのを大まかに示させていただきますと、凝集沈殿、砂ろ過等では10%~40%程度取れるという報告もあるんですけれども、通常の浄水処理では完全に取るのはなかなか難しいという考察がされておりました。
 浄水処理で取れる対策としまして活性炭というのがございまして、その活性炭を注入しますと取れるという文献もあったので、水道課の方からも通知が出されたところではあるんですけれども、多くの場合は実験上はろ過も含みますので、まとまってある程度取れるようになる場合があるということでございます。
 あと、マスコミ等でよく出るような、特に原発での廃水の処理で使われるということがあって取り上げられておりますものに、ゼオライトとかイオン交換、ナノろ過、逆浸透といった技術があります。
 この辺につきましては、通常の浄水処理で入れることはなかなか難しくて、今まで特定の限定的な条件で入れられている場合もありますけれども、一般的に非常に費用がかかったり、場所が足りなかったり、すぐに入れられるようなものではないものではあります。けれども、原理的にイオン交換とか逆浸透、非常に小さな粒子とかイオンが取れるものについては、除去性がいいのではないかという指摘がなされております。
 あと、こちらで付け加えさせていただいた技術としましては、浄水場で取り上げられております精密ろ過とか膜ろ過と言いまして、マカロニを細く延ばしたみたいなものを組み合わせたろ過膜とか、あとセラミックのものも最近あります。そういうろ過技術を使って除去するという方法もあります。それに関しましては、原理的に濁質に付いているものについてはかなりの除去が期待できるのではないかと思われますが、イオンについては難しいのではないかという考察をさせていただいております。
 ここにヨウ素の挙動について概念的に示させていただいておりますが、主に粒子状のヨウ素と、それから反応して有機体のヨウ素、ヨードメタンというものに割となりやすいと言われているんですけれども、そのようなものに似たような有機体のヨウ素、それから気体のヨウ素で存在するものが大気中に存在していると考えられますが、この比率が一番重要になってまいります。
 粒子状のヨウ素が多ければほとんどが取れるのではないかと思うんですけれども、現状のデータからも、主に気体とか、もうちょっと反応しにくい、除去されにくい形態で存在している割合が高いと思われますので、主に下の方の反応をたどると思われます。これが浄水処理のプロセスに入りますと、どこかで酸化というプロセスが入りますので、次亜塩素酸等で酸化します。
 そうしますと、形態が次亜ヨウ素酸と言いまして、H、O、Iという3つ、真ん中のところにあるような形になったり、それが更に酸化されますと、ヨウ素酸イオンという形になります。この形になってしまいますと、余り取れないといいますか、反応しにくくなり、かつイオンとしても取りにくい形態になってしまいます。いろいろなデータが出されておるんですけれども、放射性であっても水道水を使って除去実験をされますと、ヨウ素酸イオンになってしまった形態のものの除去になりますので、除去率としてはかなり厳しい、余り取れなくなってしまうような状況になります。
 どのような原水を使って実験したかということが、データを見るときにも重要になってまいりますし、家庭の中で何かできることはないかという御質問もいただくんですけれども、浄水処理である程度取って、後のヨウ素酸のイオンになってしまいますと、取るのがなかなか難しいのではないかという状況でございます。次亜ヨウ素酸になっている間に活性炭と反応させますと、少し取れるということがありまして、その辺は後で東京都さんの方から御紹介いただけると思います。
 あと、平衡等もありまして、反応速度とかpKaという平衡の数値もありますので、こういう平衡状態をとる部分もあるんですが、時間の関係もありますので、飛ばさせていただきたいと思います。
 また、過去のチェルノブイリの事故のときに浄水で実験されたデータといたしましては、新潟で実験されたようなデータがございまして、それでいきますと、活性炭の注入率が高ければある程度取れる。それから、コロイド状になっているものも、先ほど御指摘がありましたように、濁質とか懸濁態と呼ばれているものですけれども、そういう形になっているものについても、ある程度捕捉されるために取れるのではないかという考察がなされております。
 これは、今回、水道原水の御提供をいただきまして、実際に水道原水になっているところの水の除去実験をさせていただいたものですけれども、活性炭を入れますと、活性炭にもいろいろ種類があります。石炭系とか木質系とか幾つかございますけれども、4割取れるとか。あと、塩素と反応させると6割程度取れた場合もありますが、結構高目の注入率でして、浄水処理で入れるのはなかなか大変な注入率ですので、頑張って、これぐらいです。
 また、活性炭の種類について、何種類かやっています。ただ、一般化できるほどの種類をさせていただいているわけではないので、たまたまの例ということで御了解いただきたいんですが、塩素を入れますと、矢印にありますように、10%~20%、除去率が上がるというところでございます。
 もう一つのセシウムについては、恐らく先ほどからお話がありますように、水道の浄水処理に入ってくる時点では、かなり懸濁した状態といいますか、ちりにくっついたり、取りやすい状態になって入ってくるんではないかと考えられております。凝集というプロセスで凝集剤を入れるんですけれども、もともとマイナスに電化があるような濁質が土の中とか砂とか粘土質のものというのは、どちらかというとそういう性質がありますので、凝集剤を添加して凝集して沈めるというプロセスがあります。
 こういう性質がありますので、活性炭に関しましても割とくっついて、活性炭の除去率を試験いたしましたところ、先ほどと同じ図なんですけれども、緑の方を見ていただきますと80%~90%取れているという状況です。これは、環境水とか水道の原水とかを使っておりますので、そういう形態の限定条件の上でされた実験ということで御了解いただきたいと思います。活性炭の種類によっても、ある程度差があるということになります。
 これは、福島県とか何県かの浄水場の方に御協力いただきまして、浄水場のそれぞれのプロセスにおきまして、どのぐらい取れているかというところを測定させていただいたものです。実は、実験をここまでいろいろできるようになりましたのが4月中旬以降だったこともありまして、大分濃度も減ってきていたので、挙動がはっきり見えるところが少ないこともあった。
 あと、緩速ろ過等は、本当はプロセスの時間を考慮して、その時間をあけて採水しないといけないんですけれども、そこまではできなかったということもありまして、かなり限定的な条件ではあるんですが、浄水処理で40%とか30%とか、少し減っている場合があるというのを見ていただけると思います。
 また、赤いところは再度お水をいただいて実験したんですが、そうしますと除去率が凝集沈殿、緩速ろ過でも、最初はよかったんですけれども、後は変わらないということもありました。恐らく元の水の性質とか採水時間によって結構変動があるものではないかと思っております。
 もう片方のセシウムですけれども、こちらはたまたまセシウムが検出された浄水場に関しましては、原水で検出されたんですけれども、ろ過水ではほとんど検出されない状態になっておりまして、懸濁態で存在している割合が高いのではないかと考えております。
 もう一つ、御指摘をいただいて試したものなんですけれども、水田がちょうど田植えの時期になっておりまして、これを起こして水を落としますと濁質を含んだ水が水源に入る場合があるので、その影響はどうかと御質問をいただいたこともありまして、ある方に御協力をいただきました。水田での泥と落とし水をいただいてはかりましたところ、セシウムとかヨウ素が若干表面水の方にも行っているんですけれども、見ていただくとわかるんですが、どろどろの感じの水であっても合わせて16Bq程度でございました。
 これをガラスろ紙でろ過しますと、ほとんど定量下限値未満になるということがありますので、これだけ見えていてもこのぐらいの濃度という状況ですので、濁質で制御ができるような範囲なのではないかと、限定的なデータながら考えております。
 このように、浄水処理に関しましては、5月以降、ヨウ素もほとんど検出されていないということがありまして、活性炭と塩素処理の併用で、ある程度は低減可能ではあるんですけれども、片や活性炭に関しましては、夏には異臭味とか消毒副生成物対策で入れる活性炭が必要なんですが、供給量が限られておりまして、大分枯渇しそうだというお話もありますので、そろそろこういう原発の方の状況がこのように推移すれば、今のところ活性炭を入れる必要性はかなり低くなっているのではないかと考えております。
 あと、雨天時についても同様のデータが出てきておりますので、そのような状況ではないかと思っております。
 あと、セシウムについては、濁質が入っていると、ひょっとして出る場合もあるかもしれないですけれども、既存の浄水処理技術で濁度の管理をしっかりすれば、かなり対応が可能ではないかと考えております。
 この場をおかりしまして、実験・採水に御協力をいろいろな方にいただきまして、お礼を申し上げます。ありがとうございました。

○眞柄座長
 ありがとうございました。
 本日は、東京都水道局水質センターの北澤所長さんに、東京都で調査された結果をお話していただくことになっております。よろしくお願いいたします。

○北澤所長
 東京都水道局の北澤でございます。粉末活性炭と前塩素処理を併用した場合に、ヨウ素がある程度除去できるということで、その結果を御報告させていただきます。
 こういう放射性ヨウ素の浄水処理条件というのは、ほとんど治験がないということで、今回、三郷浄水場の原水を使って実験を行って、最適な浄水処理条件の検討を試みました。その結果、塩素を最初に少し注入して粉末活性炭処理を行うと、ある程度ヨウ素が除去できるということがわかりました。
 実験は、放射性物質がすぐなくなってしまったので、なかなか実験できないということで、三郷浄水場の原水にヨウ化カリウムまたはヨウ素酸カリウムを約1mg/L添加しまして実験を行っております。分析は、イオンクロマトグラフで行っております。
 この図は、ヨウ化物イオンとヨウ素酸イオンの粉末活性炭での除去性を見たものです。ヨウ化物イオン、ヨウ素酸イオン、どちらも粉末活性炭を入れたのみでは40mg/Lと、かなり大量に粉末活性炭を入れても余り除去率は上がりませんで、6%程度ということでございました。
 この図は、粉末活性炭と前弱塩素処理、最初に塩素を少し入れるという処理で、ヨウ化物イオンがどういうふうに変化するかを見たものでございます。一番左の棒がヨウ化物イオンを原水に添加したものでございます。2番目の棒が粉末活性炭を15mg/L添加して、塩素は入れていないものでございます。3番目が前塩素1.0mg/Lで、活性炭が15mg/Lのもの。一番右が前塩素10mg/Lと、かなり高く入れて活性炭も入れたものでございます。
 この図から、前塩素を弱く、1mg/L程度入れた場合にはヨウ化物イオンが減っておりまして、その分、少しヨウ素酸イオンが検出されている状況です。大量に塩素を入れますとヨウ化物イオンの方がなくなりまして、一番右の黒い棒ですけれども、ほとんどすべてがヨウ素酸イオンに変化してしまう感じになっております。
 この図は、ヨウ酸イオンを添加して、そこに粉末活性炭と塩素の併用処理で除去できるかどうかを見たものです。この場合ですと、ヨウ素酸イオンは塩素を入れたり、活性炭を入れたりしても全く除去できないことがわかります。弱く塩素処理して粉末活性炭を入れると、ヨウ化物イオンが減少するということでしたので、今度、塩素の注入率を少し細かく変化させて実験を行ったのが、この図でございます。
 横軸に塩素の注入率で縦軸が除去率になっておりますけれども、粉末活性炭を15mg/Lで一律にして入れた場合に、0.5mg/Lあるいは1.0mg/L程度の前塩素注入率ですと、ヨウ化物イオンが20%~30%程度除去されることがわかりました。
 これは、粉末活性炭と前弱塩素併用処理におきます活性炭注入率とヨウ化物イオン除去率との関係を見たものでございます。前塩素注入率は0.5mg/Lにしております。ヨウ化カリウム1mg/Lを添加した水が、2本ある線の下の点線の方でございますけれども、これで粉末活性炭、前弱塩素併用処理を行いますと、活性炭の注入率15mg/L当たりで30%の除去率、30mg/Lで約50%の除去が可能となることがわかりました。
 実際の放射性ヨウ素というのは、濃度的には非常に低いので、1mg/Lというのは非常に高過ぎるということもありまして、何とか分析可能な、ヨウ素、ヨウ化カリウム添加量を半分ぐらいの0.5mg/Lにしてやりましたところ、2本ある線の上の実線の方ですけれども、除去率は同じように実験しましたところ、ヨウ素の濃度が下がってくると除去率の方は上がってくるという結果でございました。
 実験の方は、放射性のないヨウ素を添加してやりましたので、実際の放射性ヨウ素と挙動は違うんだというお話もあって、何とか実際の放射性ヨウ素の除去率を見たいということで、これは三郷浄水場の原水に放射性ヨウ素を含んだ雨水を混合して、粉末活性炭と前弱塩素の併用処理で実験を行ったものでございます。これは放射能を実際測定して、除去率を求めております。放射性ヨウ素の初期値は57Bqでございました。その除去率は、粉末活性炭注入率30mg/Lで約50%程度ということで、非放射性ヨウ素での実験とおおむね同程度の除去率になっておりました。
 この図は、保健医療科学院さんのレビューなどを見させていただいて、推定した粉末活性炭によるヨウ素の除去経路、吸着経路ですが、真ん中のところ、次亜ヨウ素酸あるいは次亜ヨウ素酸イオンが塩素処理でできまして、それが有機物と反応した結果、有機態ヨウ素ができまして、その有機態のヨウ素が活性炭に吸着されると推定しております。この図の?、?、?の経路になります。
 以上、まとめますと、ヨウ化物イオン、ヨウ素酸イオン、粉末活性炭のみですと、ほとんど除去できない。それから、ヨウ化物イオンは過剰な塩素が存在すると、すべてヨウ素酸イオンになりまして、粉末活性炭では余り除去できません。ヨウ化物イオンに対して、粉末活性炭と弱い塩素を少し入れてやる前弱塩素処理を行うと、粉末活性炭注入率15mg/Lで約30%、30mg/Lで約50%の除去が可能になりました。ヨウ化物イオンの除去経路については、有機物と反応した有機態ヨウ素を経由していると推定いたしました。
 あと2つ、図をお手元に用意してありますが、画面を見るよりお手元の図を見ていただいた方がよくわかると思います。
 最初の表は、降雨時における水源河川での全β放射能測定結果でございます。東京都では、γ線の測定が私どものところはできないもので、α線、β線は測定できる機械がありましたので、全β線を測定しています。この表の左側が利根川、荒川系の河川での測定結果、表の右側の半分が渡良瀬川、江戸川の測定結果でございます。
 β放射能を一生懸命はかったんですが、γ線とβ放射能というのは、片方が高ければもう片方も高いという大ざっぱな相関はあるんですが、きちんとした相関がなくて、しかもβ放射能の測定は結構時間がかかる。6時間程度かかってしまうということで、余り簡便な方法とも言えない。それから、どんなところでもはかれるものでもないということで、β線をはかっても余り意味がないのかなという感じが、実際、はかった結果からしております。
 もし測定器さえあれば、放射性核種のγ線を直接はかる方が簡便である。簡単な分析計、モニターですと持ち運びができるものもありますし、それほど高くない、しかも5~6分で測定結果が出せるものもありますので、そういうものを使った方がモニタリングにはいいのかなと思っております。
 最後にある図は、実際の水源での測定した場所の地図でございます。
 以上でございます。

○眞柄座長
 ありがとうございました。
 それでは、御質問や御意見をいただきたいと思います。どうぞお出しください。

○大塚副大臣
 ありがとうございました。私、11時半で中座をさせていただきますので、東京都にちょっとお伺いしたいんですけれども、まとめのところで、先生方にとっては常識かもしれないですけれども、私、ちょっと不案内なものですから。
 まとめで、粉末活性炭のみではほとんど除去できない。塩素が存在すればいいということです。ごめんなさい、粉末活性炭と前弱塩素併用処理だといいということですね。これは、実証的にそうだったということなんですけれども、論理的にはどういうことなのかというのをちょっと御説明いただきたいという点だけお伺いして、ちょっと失礼させていただきたいと思います。

○北澤所長
 まとめの一番最後に書いてあるんですが、有機物と反応した有機態ヨウ素を経由して除去できると推定しているんですが、活性炭で吸着されるものというのは有機物が主なんです。私ども、活性炭を使っておりますのは、かびくさいにおいを出す、水の中に含まれているかび臭物質を除去するために一生懸命活性炭を入れて、水をつくっています。有機物の形になると、非常に吸着しやすい形ということですので、塩素とヨウ素と、それから水の中に含まれている有機物と反応した結果、ヨウ素がくっついた有機物が新たにでき上がって、それが活性炭に吸着されたんだろうと推定しております。

○眞柄座長
 どうぞ。

○大塚副大臣
 この情報は、今回やっていただいてわかったということなのか、それとも例えば原子力発電所により近い水道事業体にもほぼ共有されている情報なのかという点だけ、最後、確認させてください。

○北澤所長
 この情報につきましては、まとめた時点で厚労省さんにもお示ししていますし、近隣の事業体にもお渡しして共有しております。

○大塚副大臣
 どうもありがとうございました。
(大塚副大臣退席)

○眞柄座長
 それでは、ほかの先生方。森口先生、どうぞ。

○森口構成員
 場合によっては、これは資料3のシリーズを伺った後にお尋ねした方がいいのかもしれないんですが、セシウムの方について、浅見先生の方からの資料等を拝見しますと、かなり取れている。14枚目のスライドですが、こういったデータも出ているかと思うんです。
 先ほど古米先生のところで質問したことと、ちょっと繰り返しになってしまう部分があるかと思うんですが、資料1-1で御説明いただいた中で、一部の地域においては蛇口水にセシウムがある程度出ているという数字も出ているわけですね。これが原水が非常に高かったのか、あるいは浄水プロセスの方で、場合によってはこういうことが起きてしまうのか、ここの検証はできればもう少し詰めておいた方がいいかなと思うんですけれども、この辺りに関して、何か浅見先生の方で御検討されていることがあるかどうか、あるいはデータがあるのかどうかということ。
 それから、座長がさっきおっしゃったことと関係するんですが、あるいは前回も実はそういう発言をしたんですけれども、同じ事業体の中で原水と蛇口水と、最近は両方をはかっておられるケースがあると思いますけれども、そういうことの中で、セシウムに関して、中でつじつまの合うようなデータになっているのかどうか。その辺り、どの程度データが蓄積されているのか、状況をお教えいただければありがたいです。

○浅見構成員
 ありがとうございます。私も資料1-1の9ページで、まだ時々蛇口水で出ているのがあるなというのを拝見しているんですけれども、恐らくこの栃木県さんとか埼玉県さんは、かなり時間をかけてじっくりはかっていらっしゃると思われまして、うちではこれは多分、定量下限値以下という形になります。かなり時間をかけてはからないと、ここまでの値は出ないのと、この数値自体はかなり低い値ですので、水道的な心配からいくと、かなり低いかなと。実質的にはほとんど検出されていないのと同じぐらいの、すごく低いレベルかなと水道としては思います。
 あと、プロセスの検証としましては、今、原水中に検出される事例は非常に少なくなっておりますので、もしその辺を検証しようとすると、原水で出そうなところで、かつすごく時間をかけて、6時間とか、それこそ1サンプルに時間をかけてはかっていかないと、その辺がちょっと見えないなと思っております。
 たまたまこちらの方でいただいた中では、数値としてちゃんと出たものはお示ししたものぐらいでして、あとちょっとあるんですけれども、そんなに明確に数値として出たところはないという状況でございます。

○眞柄座長
 今のことを別の表現をしますと、セシウムと同じような挙動をするのがダイオキシンなんですね。土壌や、あるいは先ほど浅見委員からお示しになられた水田の土には、ダイオキシン、農薬由来のものが残留しているわけです。原水にはある。浄水処理をすると、ダイオキシンは検出限界以下になる。ところが、精度を上げてはかればダイオキシンは残っているわけですね。勿論、ヘルスリスクはないわけです。
 そこで問題になるのは、浄水処理のパフォーマンスがどの程度であったかというデータがあれば、この程度はあるだろう、この程度以下になるだろうということになるわけですので、一般的にはお二人の先生、あるいは桝本先生からもお話がありましたように、セシウムについて言えば、我々が日本あるいは世界的に汎用している浄水処理で除去できると考えていい。
 ただし、浄水処理が的確に行われていなくて、濁質が漏えいするようなことがあった場合にはセシウムが出てくることがありますので、モニタリングするときに放射性の線量だけをはかるのではなくて、ほかの水質もどういう浄水処理が行われていたかを知る上で測定しておく必要があるだろうと思います。ヨウ素については、結論的に言えば原水に高いところは活性炭を入れて対応しなければならないということになろうかと思います。
 それでは、次の議題3に移りたいと思います。「モニタリング結果を踏まえた中長期的な取組」についてということでございます。まず、事務局から説明をお願いしたいと思います。

○松田室長補佐
 それでは、資料3-1「水道水中の放射性物質検査の実施について」、御説明したいと思います。
 まず1.の(1)でございますが、モニタリング方針に関しては、前回の検討会でもお示ししたところですので、おさらいということでございます。
 この方針は、4月4日にお示ししている。こちらにも書いていますとおり、福島県及び近隣10都県を重点として、1週間に1回以上を目途に検査を行う。ただ、検査結果が指標等を超過し、または超過しそうな場合は、原則毎日、実施することなどを定めております。詳しくは、別添1、3ページ目以降にお付けしております。
 また、(2)関係都県のモニタリング実施状況。モニタリング方針を発表した後、関係都県にモニタリングの要請を行ってきたところでございます。また、検査計画の実施についても、策定についてもお願いしてきた。その結果を別添2に付けております。
 別添2は、9ページにお付けしております。これについては、水道水と食品についての検査計画、あと検査の実施状況について、この日に同時に公表したということですので、水道課と食品安全部監視安全課の方から関係都県の関係部局あてに、検査計画の状況、あとは検査の実施状況について公表したという旨、通知したというものについてお付けしております。
 それで、水道水に関するもののみ付けておりまして、11ページに関係都県の水道水中の放射性物質に関する検査結果の策定状況です。福島県については、現地災害対策本部が検査を実施することとしておりますので、福島県以外の10都県についての検査の実施状況を付けています。この計画の中で、市町村別、また市町村でどのような水道水を測定するのかの日程、こういったものをお示ししていただいている。
 次の12ページは、4月28日時点で水道水中のモニタリングが行われているかどうかについて調べたところ、福島原発の避難区域、あとは被災で検査を実施することが困難な南三陸町、この6町を除いたすべての市町村で11都県において検査を実施しているということを、4月28日にお示ししているということでございます。
 また1ページに戻りまして、今後のモニタリング計画。先ほどお示ししたのは、4月28日に公表した部分ですので、それが現時点ではどうなっているのかということを、再度、調査を行ったもの。
 これについて、13ページに資料をお付けしております。別添3でございます。福島県については、原子力災害対策本部が検査を実施していますので、それ以外の10都県も、区市町村数419。その中の約9割が週1回以上の検査の実施計画を策定しているということでございます。特徴として、今回、用水供給事業からの受水区域や広域水道事業の給水区域では、多くの区市町村が用水供給事業者や広域水道事業者の検査結果を活用している。また、河川の水系別に地域を分けてモニタリングを行う県もあったということでございます。
 その一方で、週1回以上の実施計画がない市町村、48、全体の11%ほどあったということでございます。これについては、主な理由として、中小事業体で財政・人材に乏しい。また、計画はないけれども、ほかの同じ水系の近隣市町村の結果を参考にしている。あと、離島等、遠隔地にあるため検査実施が困難。また、宮城県を中心にして、震災の被害が甚大で定期的な検査を実施するのは難しいといった理由で、難しい部分があるということがわかっております。
 また、それについて、検査機関数、水道水についてどういった機関に検査をお願いしているか、また自分で実施している場合もあるかと思いますが、地方自治体、社団法人、財団法人といった34か所に水道事業体等が検査をお願いしている状況がわかってございます。
 14ページ目以降に、10都県それぞれの内訳をお示ししております。
 次に、25ページに放射性物質の検査機関の検査体制をお示ししております。これは、前回の検討会でも検査機関の検査体制がどうなっているのかという御指摘がございましたので、今回、福島県やその近隣10都県で水道水中の放射性物質の検査を受託している機関、またゲルマニウム半導体検出器を所有している機関に対して電話等で聞き取り調査を行った結果を、25ページ、26ページにまとめたものでございます。
 1番目から13番目までは民間の検査機関、また14番目から27番目までは地方公共団体等の公的な検査機関、28番目から32番目は、水質検査がなかなか困難という水道事業体に対して、厚生労働省が紹介している検査機関。この中には、桝本構成員が所属している高エネルギー加速器研究機構、浅見委員、欅田委員も入っている国立保健医療科学院も入ってございます。
 それぞれの機関の所有台数、所在地、その他、ゲルマニウム半導体検出器以外の水道水の放射性物質検査ができる機器、ゲルマニウム半導体検出器の購入予定を、この表の一番右にお示ししているところでございます。
 資料3-1については、以上でございます。

○眞柄座長
 ありがとうございました。
 それでは、引き続いて桝本先生、お願いいたします。

○桝本構成員
 それでは、今後のモニタリングということでプレゼンさせていただきます。写りがちょっと悪いものですから、資料でさせていただきたいと思います。
 状況については、既にいろいろな先生からお話がありましたので、いいかと思います。また、今後の水道水への影響の見込みというのを書いておりますが、これは私が先ほどの最後のプレゼンに使ったものとほとんど同じでございますので、特段ありません。
 最後に書いておりますように、おさまっている現状からしますと、当面はセシウムを中心にモニタリングを行うという考え方でモニタリング体制を考えていけばいいのではないかということでございます。
 次のページに移りますが、基本的にサーベイメーターによるモニタリングというのが緊急時マニュアル等にも書かれております。確かに半導体検出器が少ない割にはサーベイメーターがあるということで、何とかやれないだろうかという問い合わせ等も非常にございます。現在、私どももいろいろ調査しておりますが、今のレベルの水試料を評価することを条件にした場合については結構難しいということで、きちんとした緊急時マニュアル以上の整備をする必要があるのではないかと思っております。
 特に、サーベイメーターですと現場でやりたいということになります。そうしますと、例えばダムとかいろいろな建物がある、そこにも降下物がある状況の中で、水を何リットルかくんでサーベイメーターではかるという状況で、その線量が有意なものかという判定は非常に難しいところが出てくるのではないかと思います。確かに鉛で囲めばけたで落ちますので、そういうやり方はありますけれども、そういった考慮が必要だということをきちんと述べるべきと思っております。
 次に、線量評価法ですけれども、私ども経験上、PET施設などで511keVのγ線を出す核種がいくつかございまして、そういったものが例えば石油の20Lのポリタンに入っていたものを、今までずっとキャリブレーションをやっていますが、そういったものと、今回、事象でセシウム-134と137を合わせたものが100Bq入ったというのは、同じような実効線量率定数を持つことになりますので、推定が可能かということでやっております。
 例えば1L当たり100Bqのものが、20の灯油のポリタンクに入っているものをはかろうとした場合には、線量的には0.01μSv/h程度になるのではないかと思われます。そうしますと、実際、サーベイメーターの標準偏差の3倍ですと、0.03から0.04でございます。その中で埋もれてしまう可能性があるので、この線量評価でやるというのは、私自身はかなり苦しいのではないかと思います。
 緊急時マニュアルにありますように、カウント数をためるやり方は確かにある。ですから、一定時間のカウントをためて、それをバックグラウンドとの差を見るというやり方でやれば、ある程度可能である。そのときの測定時間とかについては、マニュアル化する必要がある。
 それから、スペクトルを解析する。これは、ゲルマニウムの半導体検出と同じ操作になります。基本的にスペクトルがとれるようなものも、今、市販されておりますので、そういったものを使えば、一定時間測定してピークが見えますので、そこでやればいいということでありますが、そのときにも検出の効率というものを定める必要があります。いろいろな形状の容器について、Bqに換算するための効率を求めておく必要があると言えるかと思っております。
 ただ、半導体検出器に比べますと分解能が悪いですので、そういう意味では134、137を合わせたものを出せばいいわけですから、どちらかの代表的ピークを主に使う。私自身は、134の高いエネルギーのγ線ピークの方が分離がいいので、そういったものを使えば全体の濃度がわかるという方法をつくっておく必要があると思っています。こういったものは、学会等で必要があれば検討を続けることになるかと思っております。
 次に、半導体検出器によるモニタリングの課題ですけれども、これは皆様も御承知のように施設に限りがあり、台数が少ないとよく言われております。実際、そういう状況にあります。
 もう一つは、シンチレーション検出器というのは、工業生産で何インチというものは非常に均質な結晶ができます。ところが、半導体というものは、すべてその機器によって違います。個体差が非常にある。そうしますと、それぞれの検出器による検出効率を評価しておくことをきちんとやらなければいけないことになります。
 それから、先ほどのピークで効率を出すのと同じように、測定試料の形状をきちんと合わせるといったことをしなければならない。その上で効率を出すトレーニングが要るということになります。今、検出下限で、私どものところでは2Bq/L以下は保障しません。これは、私どもの現状としてそうなっている。つまり、環境水をはかるところに、今回のイベントで室内が汚染された状況が生まれておりますので、そこ以上はなかなかやれないということが起こっているということであります。
 それから、その中で10Bqをはかりたいのか、どうするのかといったものを定めるということで、測定時間、試料量をやる。試料量が多ければ測定時間が短くて済むということになりますので、どのくらいの検体数が出てくるかということで、その測定設計を進める必要があるのかなと思います。
 それから、もう被災地ではなくなっていますので、輸送手段は大分確保されてきましたけれども、早く届くという体制を整えなければいけない。だから、測定できる場所までの輸送をきちんと確保することが重要かと思っております。
 実際に今後のモニタリング方針ですけれども、外部への放出がおさまっている現状については、継続的にモニタリングすることが必要ではないかと思います。水中濃度は低下していっておりますし、今後、セシウム等の長半減期の核種になっていく状況があります。
 ただ、台風とか降雨の問題、それから雪が降るという1年間の季節変動を見たわけではございませんので、そういう意味では納得いく、皆さんに安心していただくためには、そういう季節変動も踏まえた、それから地域的、流域的に違うというお話が先ほどございました。そういったことも踏まえた、理屈の通ったモニタリング地点を確認してやるということで、皆さんに御安心いただけるような情報を提供するという体制をとる必要があるのかなと思っております。
 監視体制の重点化としましては、先ほどのシミュレーション等もございましたので、降下物データとか土壌汚染の状況も考慮しまして、検出可能性のあるところを重点検査箇所として選定すること。
 もう一つは、地域ごとに大きな水源があるといったことを考えながら、流域単位で代表性を持たせてモニタリング箇所を決める必要があるのではないか。だんだん検出されなくなっていくと思いますので、そういう意味では測定頻度は1週間という話もありましたが、月に1回とか3か月。それは状況、推移を見ながら判断していくことにすればいいのではないかと思います。
 それから、モニタリングの方針のもう一つですけれども、万一の事態には備えておく必要があると思っております。今回、こういう事象が起こって非常に残念に思われましたのは、先ほどの研究体制にしてもそうなんですけれども、私どもも学会でやっておりますが、お互いの情報共有が非常に少なかったということがありますので、この機会にモニタリングネットワークを整備する必要がある。
 先ほど、検出器が足りないということがありましたが、今回、福島県内の土壌調査で、私どもの学会も含めまして半導体検出器を50~60台確保しております。そういう意味で、ネットワークさえ組めば測定体制は組めると思っておりますので、あくまでもそういう全体的な流れの中で情報交換網をつくっておく必要があるのかなと思います。
 それから、適切な水源とか流域、浄水場などのサンプリングの体制を常に準備しておくことも必要かと思っています。
 測定については、今、言いましたように、やる、やりたいというところは、私どもの学会にもいろいろなメールで来ております。だから、体制は整っているということですので、要請があれば動けるところはいっぱいあると思っております。
 是非とも学会等を活用していただきたいのは、データの品質管理です。生活に関わるもののデータを出すわけですから、いいかげんなものを出せないということがあると思います。確かにいろいろな業者さんが参加されて分析値を今後出していくと思います。そういう意味でも、品質管理をきちんとやっていく必要があると思っています。そのための校正線源の準備とか測定容器の確保、測定の講習は、学会を通じて今後とも進めてまいりたい。これは私どもも今、考えているところでございます。
 もう一つは、いろいろなメーリングリストがございます。情報伝達システムの活用ということが重要かと思っています。それから、私どももどこに、どういう検出器があるというのは常時把握しておりますので、そういう意味でオーガナイザーとして御協力することは可能かと思っております。ほかの学会もあります。そういうネットワークは組める。この際に文部科学省とも連携した上で、そういうネットワークづくりというのを是非とも御検討いただければと思います。
 以上でございます。

○眞柄座長
 ありがとうございました。
 それでは、続いて浅見委員、お願いします。

○浅見構成員
 ありがとうございます。モニタリングと中長期的な取組みについて、若干御提案させていただきたいと思います。
 現状、まとまっておりますデータは、先ほどからも御指摘ありますように、浄水場出口または給水栓のデータになっておりまして、場合によっては貯水槽を経た水ということもあり得るので、プロアクティブなといいますか、もうちょっと早くデータをとることができないかという御指摘もあるところです。
 モニタリングポイントとしましては、線量を見る方法もありますし、流出して水に来たもの、浄水場の取水口、浄水場の出口。あと、浄水工程に関しましては、研究的といいますか、むしろプロセス管理としての部分が多いと思いますけれども、そういうモニタリングをする場所があると思います。
 この中でも線量については、水道事業体がもともととっているものではないですが、たくさん公開データもございますので、その辺の見方を教えておいていただけると、浄水場の方でも、この辺の線量が上がるとひょっとして上がるかもということを前もって見ておくことができれば、今後、もし何かもう一回あった場合にも対応ができるのではないかと期待しているところです。
 あと、水に入った後ですけれども、なるべく上流で、かつ余り下ですと途中での影響がわからないので、どういう地点を選ぶかは考慮する必要があると思いますが、もう少し上流でモニタリングのポイントを決めまして、雨の後とか何か影響がありそうなときには、そこをまずはかると、そこから下の浄水場に関係する水については、ある程度の予測ができるポイントを選定しておけるといいのではないかと思っております。
 3枚目にいろいろな検出の方法と特徴を、非常に概要で恐縮ですけれども、案として入れさせていただきました。ほとんどのデータは、ゲルマニウム半導体γ線検出器でとられているんですけれども、一部のデータにつきましては、ヨウ化ナトリウムスペクトロメトリー、もくしはシンチレーションのもので、スペクトロメトリーとあります方は、シンチレーションのものをスペクトルで分けて、ある程度の核種も同定できるということです。
 いずれにしても、ゲルマニウム以外のものについては、定量下限、検出下限がちょっと高目ということで、ほかのもの、似たようなところにある天然物と混ざってしまっているケースもありまして、その辺の注意が必要だと思います。
 あと、ICP-MSという誘導結合プラズマ質量分析計というのが事業体の方には配備されています。これは濃いものであればかることができるんですが、持っているんだけれども、これは今回の目的ではかなり厳しいという状況です。
 先ほど東京都さんから御紹介のありました総α、総βの放射能検出器につきましては、6時間というお話を聞いて、これもちょっと厳しいかなと思ってしまったんです。分離はできないけれども、全体の総量はわかるということで、参考になるのではないかと思います。
 御提案の中では、緊急時には、定量下限が高くても短くて早くはかれる方法で、平常時には、時間をかけて少しいいデータを必要な場所でとることが必要なのではないかと思います。
 この推移を見ていきますと、半減期のデータを水色の線にさせていただいたんですが、一番高いところでも半減期よりもはるかに早く、すっと濃度が落ちています。この特徴をいろいろな地点で見てみましても、やはり半減期よりも早い減少が見られておりますので、その辺も見ていく必要があるのと。水道に関しましては、全体から見ると非常に低いレベルになっておりますので、その辺の重点としても、ある程度のポイントを選んでとっていけばいいのではないかと思います。
 こちらの方でいただいているサンプル等でも、原水でも浄水でもほとんど検出されない状況になってきておりまして、今後の想定としましては、1つは大規模な放出、万が一の際に備えるということでは、先ほど桝本先生から御提案いただきましたような緊急モニタリングの体制。特に、ヨウ素も重要だと思われますが、役割分担とか。もう一つ、水道事業体の方で、あったらすぐに水の保存をしていただくような広報の用意とか心の準備を一応しておくということ。
 また、特に大規模な放出がなければ、土壌調査によって、どこかスポット的に高いところがあるようであれば、それはちょっと別なんですけれども、そのほかに関しましては、現状では水道への影響はほとんどないのではないかということがありますので、濁度管理をしっかりしておけばいいのではないかと思っております。
 あと、モニタリングに関しましては、先ほどからあるような線量の見分け方とか、あと緊急対応をしなければいけない場合に、どこで、どういうふうにはかるのか。それから、特に放出がない場合には、1か月とか3か月とかに1回、どういう水系でどういうふうにはかるのか。
 あと、測定方法につきましても、検出下限が今、ちょっと混在しているようなところですので、どういう状況ではかるのがいいのかということを示す必要があるのではないかと思います。
 あと、核種ごとに測定できる機器は、一定以上は整備というのと、あと先生方からの御協力があるようであれば、その辺の体制も組んでいければいいのかなと思います。
 収束後に関しましては、もうちょっと低いレベルをターゲットに制御していくことも、目標として設定されることもあり得るのかなとは思っておりますが、現状では外注で出される場合には測定に大体3万円かけてはかるところもありまして、これだけ減ってしまってNDばかりであれば、もう少し頻度を落としていいのではないかなと考えているところです。
 以上です。

○眞柄座長
 ありがとうございました。
 それでは、両先生、また事務局からの説明について、御質問ございましたら、どうぞお出しください。はい。

○大原構成員
 モニタリングの基本的な方針につきましては、お二人の御説明に賛成なんですけれども、1点、大気中の濃度のモニタリングというのは重要だろう。負荷量を把握する意味においても、それから先ほど浅見先生の資料にもございましたけれども、粒子で存在するのか、ガスで存在するのかというのが、非常にクリティカルにその後に移行、それから除去に関してもなるということから、こういったモニタリングにも大気側の濃度、それからできればガスと粒子の存在がわかるような測定を是非する必要があるのではないだろうかと考えております。
 以上です。

○眞柄座長
 では、森口委員。

○森口構成員
 若干関連するかと思いますけれども、桝本構成員の方から御提案のあったマニュアル整備、測定法の標準化という話は、恐らく水道水に限らず、大原構成員のお話のあった大気中のモニタリングとか土壌、あらゆるところに言える話だと思います。我々、測定値が出てくると、すぐ比べられるものとして見ているところがありますが、実は必ずしもそうではないところがかなりあると思います。サンプルのとり方の違いとか、空間線量についても測定高さ等の問題、これは既に再三指摘されているところかと思います。
 そういったところの横断的な連携なり標準化ということを、是非強力に進めていく必要があるのではないかと思っております。
 それに関連して、もう一点だけ申し上げると、測定下限の話、先ほど来いろいろ出ているわけですけれども、測定下限の設定方法がゆえに、先ほどの資料1-1の7ページの脚注には書いていただいているんですが、便宜的にゼロにしているということで、本来、何らかの形で出ているんだけれども、測定下限が不統一であるがゆえに、結果的に出ていないと判断してしまっている。やや危険側に判断していることがないかどうか、見ておく必要があるかと思いますので、標準化といいますか、測定法を統一していくことの中で、測定下限についても十分慎重に御議論いただければと思います。

○眞柄座長
 ありがとうございました。
 それでは、時間の都合がありますので、資料4の「放射性物質の水道水への影響メカニズムと今後の取組について(未定稿)」ですが、事務局で先回、今回、いろいろと議論になったところをそれなりにまとめていただきましたので、今日はこれの御紹介をいただいて、その上で先ほどのモニタリングの標準化等についても御一緒に御議論いただきたいと思います。それでは、事務局から説明してください。

○松田室長補佐
 それでは、資料4の「放射性物質の水道水への影響メカニズムと今後の取組について」の資料について説明いたします。
 まず、一番最初のパラグラフにもありますけれども、前回の検討会でもお示しした、福島第一原子力発電所の事故発生以降の空間線量や降下物量、あとは今回の検討会でも説明した水道水等の放射性物質の検査結果、気象状況などを踏まえまして、原発の事故発生直後及び放射性物質の放出量の低下以降の放射性物質の水道水への影響メカニズムについて、整理をいたしました。
 また、今後の放射性物質の水道水への影響見通しやモニタリングなどの取組みの論点について議論をお願いしたいということで、この資料を作成しております。
 それでは、資料を読み上げます。
1.放射性物質の水道水への影響メカニズムについて
 (1)原発の事故発生直後の影響メカニズム
 ? 事故発生後約1週間の比較的短期間に、原発から大量の放射性物質が大気中に放出された。
 ? 揮発性の高い放射性物質を中心に、風によって移流・拡散し、福島県内や関東地方にも飛来し、また、その一部は地表面に降下(乾性沈着)して、モニタリングポストの空間線量が上昇した。
 ? さらに、事故発生直後の最初の降雨後に、モニタリングポストの空間線量や降下物量が急増していることから、大気中に存在していた放射性物質が、降雨によって地表面に大量に降下(湿性沈着)したことが推察される。
 ? 摂取制限が行われた水道事業者等における水道水中の放射性物質(放射性ヨウ素)の検査結果を見ると、福島県内では3月17日から24日まで、関東地方では3月22日から23日付近に水道水中の濃度ピークがみられている。
 ? ?の現象は、降雨前の乾性沈着及び降雨時の湿性沈着によって地表面に降下した放射性ヨウ素が、雨水とともに短期間で河川に流入し、河川水中に放射性ヨウ素を含む水塊が発生し、水道施設の取水口にその水塊が到達したことに起因すると推察される。
 ? 水道の通常の浄水処理では放射性ヨウ素の除去は困難なため、浄水場や蛇口の水道水から飲用摂取制限に関する指標等を上回る放射性ヨウ素が検出されたと考えられる。
 ? 一方、水道水中の放射性セシウムは、摂取制限が行われた福島県下の一部市町村において一時的に検出されているが、放射性ヨウ素と比較してその濃度は概ね低い。
(2)原発からの放射性物質放出量の低下以降の影響メカニズム
 ? 事故発生後約1週間以降、現時点に至るまで、原発からの放射性物質の放出量は事故発生直後と比較して大幅に低下した状況で推移していると考えられる。
 ? 原発からの放射性物質の放出量が低下して以降、全般的に空間線量や降下物量は低減傾向である。福島県や近隣県の一部地域では、過去の平常時の範囲を超過する空間線量が確認されているが、その他の地域では空間線量は平常時の範囲にまで低下している。
 ? この期間の降雨において、一部の測定点では降下物量に若干の上昇はみられたものの、原発事故発生後の最初の降雨時のような空間線量や降下物量の顕著な上昇はみられなかった。水道水中の放射性ヨウ素は減少傾向を示し、4月以降は不検出又は微量濃度が検出される状況である。
 ? 放射性セシウムは、福島県下の一部市町村において水道水中に一時的な濃度検出がみられるが、放射性ヨウ素と比較してその濃度は概ね低く、4月以降は不検出又は微量濃度が検出される状況である。
 ? この現象は、原発事故発生直後に大気中に放出された多量の放射性物質が乾性沈着及び原発事故発生直後の最初の降雨により地表に落下し、大気中の放射性物質が減少したことによって、その後の降雨による影響が小さくなったことに起因すると推察される。

2.今後の放射性物質に関する見通しと取組について
(1)今後の放射性物質の水道水への影響見通しに関する論点
 ? 現在は、原発の事故発生時と比較して、放射性物質の放出量が大幅に低下した状況で推移していると考えられること、降雨後においても放射性物質降下量の上昇が僅かであること、水道水中の放射性物質の濃度も定量下限値未満又は微量濃度が検出される状況にあることを踏まえれば、今後、原発からの大気中への大量の放射性物質の放出がない限り、摂取制限等の対応を必要とするような水道水への影響が現れる蓋然性は低いと考えて良いか。
 ? 原発からの放射性物質の放出量が大幅に低下して以降、水道水中の放射性ヨウ素の濃度は減少傾向にあり、放射性ヨウ素の半減期(8日間)を考慮すると、地表の土壌等に蓄積した放射性ヨウ素もさらに減衰が進み、水道水中に検出される放射性ヨウ素濃度はより低減されると考えて良いか。
 ? 放射性セシウムは広い範囲で土壌等から検出されており、半減期が長いことから、長期間にわり土壌等に存在し続けると考えられる。その物理的性質から大部分は土壌等の表層に残留し、河川に流出する可能性は低いと考えて良いか。ただし、大量の降雨により土壌等とともに河川に流出し、水道原水として取水することで放射性セシウムが今後水道水中に検出される可能性があるか。
 ? 水道水源となる地下水への影響は、原発から20~30km圏内及びその周辺地域の井戸においても放射性物質が検出されていないことから、放射性ヨウ素については、その半減期が8日間であることを考慮すると摂取制限等の対応が必要となるような地下水への影響が現れる蓋然性は低いと考えて良いか。また、放射性セシウムについては、その物理的特性から、土壌等の表層に残留し、地下水に溶出しないことから、摂取制限等の対応が必要となるような地下水への影響が現れる蓋然性は低いと考えて良いか。
 ? 万一、原発から大気中への大規模な放射性物質の放出があった場合には、水道水源に多量の放射性物質が流入し、水道水中に放射性物質の顕著な上昇が予想されるが、どのように水道水中の放射性物質の影響を予測すべきか。

(2)今後の取組みに関する論点
ケース1:今後、原発からの大気中への大量の放射性物質の放出がない場合
 ? 空間線量、降下物量や水道水等のモニタリング結果、放射性物質(放射性ヨウ素や放射性セシウム)の物性、現行のモニタリング体制や水道原水の種類等に応じて、モニタリングに今後どのように取組むべきか。
 ? 放射性ヨウ素については活性炭による吸着除去がある程度期待できるが、現在の状況が継続するのでれば降雨時も含めて、その必要性は低いと考えて良いか。また、放射性セシウムについてはその物理的特性から大雨等による高濁度時に流入する可能性があるが、浄水処理における濁度管理の徹底及び高濁度時の取水制限等により対応できる可能性が高いと考えて良いか。
 ? 現行の水道水の摂取制限の要請や解除に関する考え方を引き続き適用することは妥当か。

ケース2:万一、原発から大気中への大量の放射性物質の放出があった場合
 ? 放射性物質による水道水への顕著な影響が及ぶと考えられる地域において継続的なモニタリング実施を可能とする体制をどのように構築し、モニタリングを実施していくべきか。
 ? 原発からの放出状況、環境中の放射性物質の動向、気象条件等からの予測・監視に基づく対応は可能か。
 ? 取水停止の時期、活性炭投入の時期、投入量等の具体的な対応方法を示すことは可能か。
 ? 放射性物質濃度の急上昇が予測されるが、現行の水道水の摂取制限の要請や解除に関する考え方をそのまま適用することは妥当か。
 以上でございます。

○眞柄座長
 ありがとうございました。それでは、今、事務局から説明された資料4、それから先ほどのモニタリング体制方針もあわせて、順不同で結構でございますので、御意見をいただきたいと思います。それでは、浅見委員から順番にお願いします。

○浅見構成員
 ほぼこれまでの議論に沿ったものではないかなと思っております。
 2.の(1)の?で、セシウムに関しまして、物理的な性質から表層に残留し、流出する可能性は低いかというところは、その後の文章を見るとわからないでもないですけれども、この辺はまだこういうふうに解釈していいかどうか、若干不安がありますが、先生方の御意見を伺いたいと思っております。

○眞柄座長
 ありがとうございます。では、大原委員。

○大原構成員
 全体的にこのような基本認識に賛成ですが、2点ほどコメントしたいと思います。
 1つは、放射性セシウムの方なんですけれども、環境中への移行に関して、まだよくわからないことが多分幾つかある。例えば植生に付いたものが、水土壌に時間遅れをもって移行することがあり得ないのか。要するに、他媒体環境中の輸送ということを考慮する必要がないのかというのが1つ。
 もう一点は、一番最後の4ページ目、ケース2の?ですけれども、予測・監視に基づく対応は多分可能だと思うんですけれども、幾つかの前提条件が必要で、一番大事なのは放出条件がいかに的確な情報を得ることができるかどうかが、まさにキーになってくると思うので、この検討会の所掌外なのかもしれませんが、そこに関しては要注意と考えられるのではないでしょうか。
 以上です。

○眞柄座長
 欅田先生、お願いします。

○欅田構成員
 幸いにして、今、放出されている量は、今日も紹介がありましたように非常に下がってきていますので、ここにまとめられているような内容で進められていって問題ないんだと思いますけれども、先ほど来議論もありましたように、測定するときのモニタリング上の検出下限等の扱いについてです。
 非常に低いところまで求めていくのかどうかに関しては、それぞれのステージにおいてリスクをどこまで受け入れられるのかどうかということ。それと、そのリスクに対してどういうふうな対策をとっていくのかに関して考えておく必要があると思われますので、3月に非常に高い濃度が検出されたときには、当然のことながら、今回、低減処理をとるような方策をいろいろ紹介されましたけれども、そういうものを持っていく必要があると。
 更に、測定方法、現在の分析方法であれば、時間等をかければ非常に低い検出下限まで測定できるわけですけれども、そうやって数値を出したことに対して、更にそれを低減させる必要があるのかどうかに関しては、そういう対応をとることによって新たなリスクを生むこともありますので、そういった問題について考えながら進めていく必要があると思います。
 そのときには、この水の問題だけではなくて、当然食品の方とかと一緒に、対応するリスクがどのレベルに想定されているのかといったことを、両方コンセンサスを得たものとして進めていかないと、そこが乖離してしまうと、あっちで言っていること、こっちで言っていることという新たな問題も生じかねませんので、そういったことを含めて今後検討できればいいかなと思います。
 以上です。

○眞柄座長
 ありがとうございました。では、古米先生。

○古米構成員
 今回まとめていただいたメカニズムについては、このように考えていいかなと考えております。ただ、先ほど浅見委員から御指摘のあったように、3ページ目の?のセシウムに関する、表層にたまっているものが流出する可能性は低いと考えてよいかとか、あるいは強い雨が降ったときに出てくるのかどうかという表現は、ちょっと留意が必要かなと思います。
 どういう留意かというと、大雨が降ったときには、逆に非常に希釈される可能性もあって、量として出ることと、最終的に水道原水としてのセシウム濃度という問題と、最終的には懸濁態で入ったものが除去できるかどうかという観点から、見方としてセシウムの発生源とその挙動みたいなものを意識した形で書くことが重要で、水道水に検出されることと、もう一つは原水にあることと、その原水に含まれる総量と濃度というのがどこかにイメージとして出た方がいいのではなかろうかと思います。
 2点目は、モニタリングの観点で幾つかいろいろと検討事項があって、今日お話があったように、県別、市町村別でそういった体制をとることを指示されているのに対して、それぞれ事業体の方も工夫されて、同じ水系なので代用していると。今日、先ほどあったように、流域単位で考えていくということを、今回明確に打ち出した方が、こういったモニタリングに対しては非常に有効であろうと私は思っております。
 そういう意味においては、例を挙げさせていただくと、資料1-1の38ページは、原発を中心にどういうところで今、モニタリングをしているかというように、事業体のプロットがございますけれども、これが市町村別のマップの上に載っていますが、言い換えれば流域単位別にどんなところに水源があって、どう取水しているのかというマッピングをすることによって、その中で重要なところで重点的にはかろう。あるいは、万一の場合にはこことここは押さえようという形のマニュアルというか、体制づくりのシステマチックな考え方というのは、今回、考えるちょうど重要なタイミングなのかなと思います。
 そういう意味においては、モデル化みたいなものは、今回お示しできませんでしたけれども、流域単位でやる努力を今のうちにもう少ししっかりやっておくことが、各事業体にとってもメリットですし、モニタリングの体制づくりも非常に役に立つのではないかと考えております。
 以上です。

○眞柄座長
 ありがとうございました。それでは、桝本先生、お願いします。

○桝本構成員
 よくおまとめていただいていると思いますので、私の方からは、特に更にコメントするところはありません。

○眞柄座長
 森口先生。

○森口構成員
 既に各委員の方から御発言のあったことと、かなり重複するところもあるかと思いますけれども、私、全体としては非常によくまとめていただいているのではないかと思います。その上で、ケース1、ケース2、それぞれについてコメントさせていただきます。
 共通することとして、もう5月下旬になり、かなり経験を積み重ねてきたわけですが、季節がこれから変わっていくことについては、ケース1、ケース2、両方について注意が必要ではないか。豪雨がある可能性があること、それから風向きが変わるということをかなり注意しながら備えておく必要があるかなと思います。
 そういう意味で、特に雨の降り方に関しては、ケース1の方の、これは多くの先生方、御指摘になった3ページの?でありますけれども、この検討会の目的は水道水中、飲用水がどうなるかというところにあるわけですけれども、原水中には出てくる可能性もあり、また水道水中には行かずに取れるとしても、これもここの議論の範囲外かもしれませんが、浄水汚泥の方に蓄積されてきて、それの処理に関して水道事業体としては関わってくるわけですので、そういったことも含めて、この?についてはより踏み込んで検討しておく必要があるかなと思います。
 ケース2については、かなりいろいろなシミュレーションもできるようになってきたということで、基本的には万一のときにも、より迅速な対応がとれる体制はとられつつあると思いますけれども、これも多くの先生方が御指摘になっているように、放出状況が水源に行くまでにうまくディテクトできるのかどうか。
 これまでの風向きであれば、例えば関東地方に来る場合には、たまたま茨城県に原発もありますので、そこでいい測定のネットワークがあり、それがかなりよく機能していたんだと思います。10分間隔でとっていますので、非常にいいデータがとれていたと思いますが、風向きが変わったときに起きた場合に、同じようなデータがとれる体制になっているかどうかというところは、非常に重要なところかと思いますし、これまでにおいても、海に向かって風が吹いていたときに一体どのぐらい出ていたのかというのは、実は東京電力の方でも十分に把握されていないと私は理解しております。
 ですから、万一に備えるという必要性が現時点でどの程度あるのか、我々にはちょっとわかりませんけれども、備えるのであれば今後の気象条件の変化も十分に念頭に置いた上でしっかりと備える。これは必ずしも水道だけではなくて、政府全体として考えていただかなければいけない話ではないかと思うんですけれども、以上2点でございます。

○眞柄座長
 北澤さん、何か、せっかくですから、この機会にひとつ。

○北澤所長
 私がこれについて何か申し上げるような立場ではないんですが、私どもも自分で放射性核種の分析ができないというのが非常に残念でして、一番データが欲しいときにデータがとれなくて、いろいろなところにお願いしてやってもらっているので、お願いした内容と調整で行き違いがあったりして、思ったようにデータがとれなくて非常に苦労したことがありまして。
 これから、ちょっと遅くなったんですが、自前の分析体制を整えたい。機械を買うにしても、なかなかすぐ入れてもらえないので非常に苦しい状況なんですが、早い時期に分析体制を整備したいと考えております。
 あと、効率的な場所を決めてモニタリングをして、兆候があったら全面的に見ていくという体制を今、つくろうということで、今までのデータを整理しているところでございます。
 以上です。

○眞柄座長
 ありがとうございました。
 私から2点、確認をしておく必要があると思うんですが、もともとこの検討会は、福島第一原子力発電所の事故に伴って、水道水の放射性物質をどうするかということから始まったわけです。しかし、水道事業体は、これまで放射性物質が水道水質基準にも入っておりませんでしたし、あるいは自主的に測定する器具もなかったわけですから、先ほど浅見委員が言われているように、1検体、外部ではかると3万円。
 3万円というのは、実はすべて水道料金に付加されるわけでありまして、小規模な簡易水道ですと、給水人口が例えば500人の水道で1検体3万円かかると、1人当たりそれだけお金がかかるわけです。そういう意味で、検査体制あるいはモニタリングはだれの責任で行うのかということは、それなりに認識した上でマニュアル等の策定をして、それに沿って検査を行うということは、前提としてきちんと議論しておくべきではないだろうかと思います。
 それから、先ほど大原先生のシミュレーション、計算領域がここですね。これが資料3-1の今、測定しているところですね。全然違うんですよ。つまり、大原先生から計算していただいた、これで見ると山梨や静岡まで飛んできているわけです。こっちはこうなんですよ。
 そういう意味で、要するにモニタリングの体制を整えるときに、今、たまたま長野、山梨、静岡は外れているんだけれども、この検討会で先ほどのペーパーでどこを測定するかということについては、最初の段階ではこういう形でせざるを得なかったと思うんですが、この検討会で検討した上では、合理的なモニタリングの範囲はどこであるかということは明快にしておく必要があるのではないだろうかと思います。
 それから、これは私は水道事業の立場ではなくて、こういう放射性物質を放出した我が国の責任として、この影響範囲以外で日本全体でモニタリングステーションを決めて、これから継続的に測定しなければいけない。そのうちの一つとして、水道水も測定の対象にすべきだという観点からどうするかということも議論していただいて、ケース1のどこかにそのようなことも考えておく必要があるのではないだろうかと思います。
 それから、現在、確かに小康状態ではありますけれども、明らかに安定した状況にまで、まだ達していないわけですので、いつイベントがまた生じるかもしれない。そのイベントが生じたときのモニタリング体制というのは、違う形で議論しておくべき必要があるだろうということだと思います。
 そろそろ時間でございますが、最後に事務局の方で何かございましたらお願いします。

○松田室長補佐
 先ほど座長の方からお話がございましたモニタリングの重点区域の話でございますが、その考え方として、当初我々とすれば、福島県で原発の事故があった。それと、福島県に隣接している宮城県、山形県、新潟県、群馬県、栃木県、茨城県については、まずモニタリングの対象にすべきだと。それとあわせて、水道水の検出が見込まれた南関東地方を対象にしようということで、埼玉県、東京都、神奈川県、千葉県を入れたということでございます。
 そのほかの山梨や長野、静岡という部分については、放射線の空間線量の大きさなどから見て、平常時の値とそれほど変わりないという部分もございましたので、その点については対象にしなかったということでございます。それは、秋田と岩手についても同様のことが言えるかと思います。

○松本管理官
 いずれにしましても、本日いただいた課題をまた整理させていただきまして、次回までにまとまった形をとっていきたいと考えております。
 また、本日の議事録につきましては、皆様に御確認いただいた上で公開させていただくことにさせていただきます。
 次回の検討会でございますが、日程につきましては後日調整させていただきたいと考えておりますので、よろしくお願いいたします。

○眞柄座長
 ありがとうございました。ということでございますが、事務局、水道課の方で、更に今日御議論いただいたことを踏まえて、今後の取組みについてまとめていくということでございます。委員の方々、それまでの間、何か御意見ございましたら水道課の方に随時お寄せいただければと思います。よろしくお願いします。
 それでは、今日はこれで終わりたいと思います。どうもありがとうございました。


(了)
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代表: 03(5253)1111
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