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2011年7月6日 薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会食中毒・乳肉水産食品合同部会議事録

○日時

平成23年7月6日(水)10:00~12:00


○場所

三田共用会議所 大会議室


○出席者

委員

山本委員(部会長)、阿南委員、今村委員、甲斐委員、木村委員、工藤委員、小西委員、鈴木委員、谷口委員、寺嶋委員、中村(好)委員、中村(政)委員、野田委員、林谷委員、堀江委員、益子委員、山下委員

参考人

朝倉参考人、春日参考人

事務局

梅田食品安全部長、吉野企画情報課長、森口基準審査課長、加地監視安全課長、道野輸入食品安全対策室長、温泉川食中毒被害情報管理室長、佐久間課長補佐、横田課長補佐、松岡課長補佐、鶴身課長補佐、浦上専門官他

○議事

○事務局 それでは、定刻となりましたので、ただいまから「薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会食中毒・乳肉水産食品合同部会」を開催させて頂きます。
 本日は、お忙しい中お集まり頂き、ありがとうございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 本日は、石川委員、石田委員、賀来委員、小澤委員、塩崎委員、白岩委員、西渕委員、松田委員、渡邊委員より御欠席なさる旨、御連絡を頂いております。
 また、林谷委員より、遅れて御出席との御連絡を頂いておりますが、現時点において26名中16名の御出席を頂いており、部会委員総数の過半数に達しておりますので、本日の部会が成立しておりますことを報告いたします。
 次に、本日の議題に関連しまして、前回に引き続き朝倉先生と春日先生に参考人として御出席頂いております。
 朝倉先生におかれましては、今回の規格基準設定の検討に当たりまして、試験法の整理、加熱による食肉の微生物汚染の低減に関する試験検査の実施をお願いしているところでございます。本日は、その概要等につきまして御説明頂くこととしております。
 また、春日先生におかれましては、国際的な原則を踏まえた微生物規格基準の設定の考え方について整理をお願いしており、これについて御説明頂くことにしております。
 それでは、山本部会長に議事の進行をお願いしたいと思います。
 なお、報道の方の冒頭の頭撮りはここまでとさせて頂きます。どうぞよろしくお願いいたします。
○山本部会長 おはようございます。それでは、議事に入らせて頂きたいと思います。初めに、事務局から配付資料の確認をお願いします。
○事務局 資料の確認をさせて頂きます。
 本日お配りしました資料は、まず、議事次第が1枚と、その裏に配付資料の一覧がございます。その次に、委員名簿と参考人の方の名簿を付けております。その後に座席表がございまして、資料につきましては1~6。更に、参考資料としまして1~10がございます。
 また、委員の先生方、事務局のみにお配りしております資料としまして、横長の1枚の規格基準のフローチャートがございます。これに関しましては、資料2に入っております資料の一部を拡大したものでございます。
 不足している資料等がございましたら、事務局までお願いいたします。
 また、資料の送付が会議直前になってしまったことにつきまして、この場をお借りしてお詫び申し上げます。
○山本部会長 ありがとうございました。
 資料の不足等ございませんでしょうか。
 それでは、議題1「生食用食肉に係る規格基準設定について」を議論していきたいと思います。
 本件につきましては、先日、6月28日の合同部会におきまして一度御議論頂いているところです。そのときの検討内容について確認をしておきたいと思います。事務局から御説明をお願いできますでしょうか。
○事務局 では、簡単ではございますけれども、説明させて頂きます。参考資料1を御覧ください。
 前回お配りしました資料1をそのまま参考資料とさせていただいたものでございます。前回、1で経緯を説明させて頂きまして、2で食肉の生食に関して説明をさせて頂きました。それに引き続きまして、3において「規格基準の検討について」ということで、検討に必要な事項を4点、(1)~(4)につきまして、事務局より提示をさせて頂きました。
 そのうちの「(1)規格基準の対象となる動物・部位について」と「(2)規格基準の対象となる微生物について」の2点について、議論をお願いしたところでございます。その結果、規格基準の対象となる動物・部位につきましては、生食用の牛肉について議論を進める。また、規格基準の対象となる微生物につきましては、腸管出血性大腸菌及びサルモネラ属菌を対象として検討を進めることが適当とされたと認識しております。
 本日は、それ以降の「(3)規格基準設定の考え方について」と「(4)規格基準として規定する事項について」、参考人の先生方から御説明いただいた後に、規格基準案及び3ページ目にございます「その他」に書かれております関連の事項について、御議論頂ければと考えております。
 また、先生方より、生食用の牛のレバーについても検討を併せて行うべきとの御意見を頂いておりましたので、このことについても、本日、資料6において御検討をお願いできればと考えております。
 以上でございます。
○山本部会長 ありがとうございました。
 ただいま事務局より説明がありましたように、今般の規格基準の設定につきましては、生食用の牛肉について、腸管出血性大腸菌とサルモネラ属菌を対象として検討することが了承されています。本日は、これを踏まえて、どのような規格基準を策定するか御議論頂きたいと思いますが、それでよろしいでしょうか。
 特段ないようでしたら、まず、春日先生から「生食用食肉に係る微生物規格基準案の考え方」について御説明頂きたいと思います。
○春日参考人 おはようございます。参考人の国立医薬品食品衛生研究所の春日と申します。
 本日は、この後、資料5をもちまして事務局より生食用食肉に係る規格基準案について御説明ありますが、私からは、御覧の資料2を使いまして、資料5の意味するところ、また、それの科学的根拠として用いた知見を、次の朝倉参考人にとともに、私は特に国際的な考え方について御説明したいと思います。パワーポイントを操作する都合上、申し訳ありませんが、座って御説明させて頂きます。
(PP)
 まず、生食用食肉に係る微生物規格基準を設定する際の基本的な考え方のポイントとして、御覧の3つを押さえておきました。まず、生食用牛肉に微生物規格基準を設定するということの意味です。2番目としまして、新たな規格基準を設定する際に考慮しなければならない国際的なルール、原則です。最後に、緊急性とそれによる制約です。
(PP)
 まず、1番目の点ですけれども、生食用牛肉に規格基準をつくるということは、厚生労働省として決して牛肉の生食を推奨するわけでも、また、100%の安全を担保するものでもないという点です。牛肉の生食は基本的に避けるべきと啓発することが引き続き厚生労働省としてのスタンスです。従って、流通している牛肉から、特に高い汚染を持つ製品を排除するための規格ではなくて、特に汚染の低い牛肉を生食用として提供する場合の規格基準であって、そのため、自ずと厳しい性格を備えるものになります。
 また、その他の食肉等につきましては、先週の部会で危害評価として御議論頂きましたように、牛のレバーを初めとする内臓肉や鶏肉、豚肉の生食は大きなリスクを持つことが推測されています。それらにつきましては、今後詳細に検討する予定ですので、今回の規格基準の設定の対象としないということは、決してそれらの生食が安全という意味ではありません。
(PP)
 次に、国際的な原則です。今回の規格基準が設定されますと、世界貿易機関(WTO)に通報することになります。WTOでは、1996年にSPS協定というものが結ばれまして、食品安全に関わる施策を新たに実行しようとするときは、国際的にオーソライズされた機関によって開発された手法に基づいてリスク評価を行うことと規定されています。
 食品安全に関して「国際的にオーソライズされた機関」というのは、コーデックス委員会になります。コーデックス委員会では、微生物学的リスク評価についても、それを定義し、またFAO/WHO等とともに具体的なリスク評価の例や、評価のためのガイドラインを作成しているところです。先週の部会におきまして委員の先生から御質問がありましたように、本来、このリスク評価は食品安全委員会において行われるものです。けれども、次のスライドにお示しする理由によって、ある程度のところまでは厚生労働省リスク管理機関側でそこをカバーする必要があります。
 コーデックス委員会が出てきましたけれども、コーデックス委員会では、微生物の規格基準に関する文書を幾つか出しております。その1つが、1997年に出されました微生物規格(Microbiological Criterion)に関する一般原則になります。今回の規格基準設定におきましては、この原則を重視いたしました。
 更に、もっと最近ですけれども、2007年になりまして、微生物学リスク管理のための「数的指標(Metrics)の導入に関する文書が発出されました。ここにおいて規定されましたMetricsについても、今回、考えに入れております。
(PP)
 基本的考え方の3点目です。リスク分析に関する今回の事情と、それに伴う制約です。先ほど申し上げましたように、本来、リスク管理措置案の効果はリスク評価によって評価されるべきものです。
 しかし、今回は、重篤な健康被害、特に亡くなった方がいるという現状を踏まえ、世論を鑑みても、極めて迅速に規格基準を設定する必要があることから、厚生労働省において、非常に簡略なリスクの推定に基づいて、規格基準の具体的な案を提案する必要がありました。
(PP)
 では、具体的な設定の考え方に進んでいきたいと思います。まず、コーデックス委員会によって2007年に導入されました新たな「数的指標(Metrics)」についてです。これにつきましては、乳肉水産食品の部会の先生方には、今年の2月、豊福参考人から御説明があったと伺っています。
 まず、Metricsの1つですけれども、FSO(Food Safety Objectives)は、食品安全委員会の用語集によって「摂食時安全目標値」という日本語訳が定められております。これは、食品を食べる時点での微生物学的な目標値になります。そして、食べる時点でこのFSOを満たすことによって、公衆衛生上の疾病低減の目標値が満たされることを期待しているものです。
 次のMetricsがPO(Performance Objectives)となります。これは「達成目標値」と訳されています。フードチェーンが、生産から加工、流通、そして調理、最終的に消費されるところまであるわけですけれども、FSOが最後の消費時点、摂食時点での微生物学的な目標値であるのに対して、フードチェーンのより上流に定められる微生物学的な目標値がPOになります。
 3つ目のMetricsはPC(Performance Criteria)です。「達成基準」と言いますが、これは、POをある段階で満たすために、例えば、何対数個ぐらい、その段階で微生物のレベルを抑えるか、あるいは何対数個以下の増殖に抑えるか、そういうことを意味する用語になります。
 時間的に、また諸事情が許せば、微生物学的なリスク評価、特に定量的なリスク評価を用いて、食品中の数的指標と公衆衛生上の指標、すなわちWTOのSPS協定では「ALOP」という用語が規定されておりますが、そのような目標値との関連づけが望ましいとされています。
(PP)
 今お話ししたことを図示いたします。食品はこのようにフードチェーンをたどって、最終的に消費され、たまたま病原体が残ってしまって、それを口にしたときに病気が起きてしまうわけです。その病気の発生率、あるいは死亡率を一定以下に抑えようという目標値が、例えばALOPになります。
 一方、食べる時点での目標値、Food Safety Objectivesは、それを満たすことによって、この公衆衛生上の目標値が満たせるように、ここを関係づけるために設定されます。
 それに対して、フードチェーンの上流、例えばですけれども、小売店段階、あるいは食品工場を出る段階に微生物学的な目標値として設定されるのがPerformance Objectiveになります。これらのPerformance Objective(達成目標値)は、先ほど申し上げたようなPerformance Criterion(達成基準)によって担保されるべきものです。けれども、この達成基準が定まらない場合、あるいはまだ不確定な要素がある場合、あるいは全くこの条件が不明な、製造履歴の不明なものを前にしたとき、このPO、特殊な場合、FSOが満たされているかどうかは、検査によって確認しなければなりません。その検査の要件を規定するものがMC(Microbiological Criterion)になります。また、このMCは、Performance Criterion(達成基準)を確認するためにも使われます。これらの考え方が本日の規格基準の基本となっております。ここに反映されております。
(PP)
 では、最初のFSOの設定から御説明したいと思います。腸管出血性大腸菌による死者数は、人口動態統計、あるいは食中毒統計に把握されているとおりです。1999年から10年間の死者数を見てみますと、どちらの統計におきましても、その年によって1~9人の範囲で発生していることが認められました。勿論、これらの死者の多くは、恐らく牛肉以外の原因によって起きているものと推察されます。ですけれども、例えば、今年については、既にユッケで亡くなっているわけですので、全く牛肉の生食が原因である方が含まれないとは限りません。
 一方、牛肉における腸管出血性大腸菌の汚染の濃度ですけれども、私たちは文献並びにいろいろな報告を調べました。けれども、残念ながら、我が国において牛肉中の腸管出血性大腸菌の汚染の濃度を調べた報告は見つかりませんでした。汚染率の報告はたくさんありましたけれども、非常に汚染の濃度が低いことから、また汚染の率も低いことから、汚染の濃度をはっきりと示した文献はありませんでした。
 世界的にも、実は、1個だけしか見つかりませんでした。それがここにお示ししたアイルランドの報告です。2006年に報告されていて、かなりの検体数を調べた文献になっています。ここでは、O157としてグラム当たり5~40cfu、幾何平均を取りますと、グラム当たり14cfuという結果が示されていました。
 これら統計にあらわれている死者数が、非常に安全を見た考え方ですが、すべて牛肉の生食によって発生していると仮定し、更に、この死亡率というのは、口に入る時点での平均汚染濃度の対数値と比例すると仮定しますと、少なくとも死者数を年間1人未満に抑えたい。それを目標値として、更に安全係数100を取りますと、幾何平均14を10で割って、というのは、1~9人の死者が発生していますので、それを1年間当たりゼロにするためには、安全を見て10で割ります。更に安全係数100で割ります。そうしますと、グラム当たり0.014cfu、牛肉70グラム当たり1個という値が得られます。それを今回、牛肉における腸管出血性大腸菌のFSOといたしました。
 独自のデータがないため、サルモネラ属菌についても同じと仮定しました。
(PP)
 次に、フードチェーンのより上流に設定されるPOです。飲食店で生食用に牛肉をスライスする際、過去の衛生管理の指導によって、手順の衛生的な取扱いが重々指導されているところではありますが、それでも飲食店の手順のばらつきを考えますと、飲食店の中で二次汚染や、また温度管理の不備による増殖を完全に防ぐことは無理かもしれないと想定いたしました。
 そのため、むしろ飲食店では、菌数の減少よりも、二次汚染等による菌数の増加が起こることを考えなければいけないと思いました。
 そのため、FSOよりもより厳しい値をPOとして設定いたしました。その関係は、ざっくりしたものですけれども、10分の1としました。
 そうしますと、FSOが0.014cfu/gですので、それの更に10分の1ということで、0.0014cfu/gを腸管出血性大腸菌並びにサルモネラ属菌のPOとして、次にお示ししますフローチャートの加熱工程終了後の段階に適用するものとしました。
 牛肉における当初の汚染の濃度がグラム当たり14cfuでしたので、このPOは、そこから4対数個低い濃度となります。すなわち、達成基準PCは4対数個減少させることとなります。
(PP)
 これが資料5の規格基準案を図式したものです。委員の皆様にはこれだけを拡大したものが配布されています。今回の規格基準案におきましては、と畜場から出された枝肉を温度管理したまま搬出した後の食肉処理業者におきまして、枝肉の段階から衛生的に生食用のブロックを切り出し、速やかに適切に密封包装します。それができなかった牛肉につきましては、通常どおりの流通をして、通常どおり加熱調理して召し上がって頂くということになります。
 生食用ブロックを衛生的に切り出して密封包装したものは、直ちに適切な加熱によって除菌を行います。この除菌の効果の目標ですけれども、表面から10?、つまり1?深いところにおいて、60℃、2分相当の熱がかかるような加熱と考えております。
 これを行わない場合、同等以上の効力を有する加熱殺菌を行うことも可能です。けれども、それが更に行わなかった場合には、通常どおり加熱して召し上がって頂きます。
 そして、どういう加熱が行われたか、これは消費者庁の所管になりますけれども、ここで表示して頂くことになります。このいずれかの表面の加熱が行われたものについてのPOを、先ほどお示ししたとおりに設定いたしました。この2つですね。枝肉からの衛生的な切り出し、包装と、表面の加熱、この条件につきましては、次に朝倉参考人より詳しく御説明いたします。
 この切り出しと表面加熱の効果ですが、ここ1か月ほどの期間では十分な実験例を重ねることができませんでした。また、そもそも牛肉の筋肉には、牛の年齢、筋肉の物理学的な組成、形状、そしてブロックの切り出しの取扱法、これによってさまざまな汚染が起こり得ます。それらすべてをこの1か月間で担保するような実験をすることはできませんでした。また、今後、この手順が行われるはずの食肉処理業者におきましても、自身の取り扱う牛肉のブロックにおいて、自分のところの加熱条件がきちんとPOを満たすかどうか、これは一からやってみないとわからないわけです。
 従いまして、この効果を検査によって確認する必要があります。この検査は、業者が自身のところの手順でPOを満たすことを確認できるまでは、全ロットについて行って頂く必要があります。また、行政による監視も同じ手順で検査をしていくことになります。ただし、この手順が十分に確認された以降は、これは定期的な検証、モニタリングでいいことになりますので、検査の頻度も、それから、検体の数も減らしていくことは可能となります。
 最後に、飲食店では、調理基準を満たした調理をして頂いて、当然そこに関わるいずれの段階でも保存基準に合う冷蔵、あるいは冷凍保存して頂く。そして、最終的に生食用として提供するときには、先ほど設定したFSOを満たすような形を目指す、こういうことになります。これが資料5に書かれている内容になります。
 この手順、また、この検査で用いる指標とする細菌の詳細につきましては、朝倉参考人が御説明しますが、検査の科学的根拠について、これから少し詳しく御説明したいと思います。
(PP)
 この検査の要件を決めていきました根拠として使ったのが、コーデックス委員会が1990年に出したMicrobiological Criterionに関する一般原則と適用の文書です。このMCの文書ですけれども、実は現在進行形で改訂作業が行われており、その改訂作業のワーキンググループで日本は共同議長国並びに事務局を引き受けております。ですので、国際的な責任におきましても、この文書を十分に認識する必要があったわけです。MCというのは原則的に食品の製品、あるいはあるロットの合格、不合格を規定するもので、特定の規定された試験法と、サンプリングプランの使用の条件の下で認められる微生物の濃度と汚染の頻度となります。
 以下の要素をセットとして規定するものです。まず、対象とする微生物、あるいは毒素。それから、サンプリングプラン。サンプリングプランにつきましては、二階級法、あるいは三階級法で規定されます。いずれにしましても、1つのロット当たりの取るべき検体数、それから、基準となる値、そのロットの中で取った検体数の中から基準の値を超えた場合であっても、そのロット全体は合格とできる検体の数、これを組にしているのがサンプリングプランになっておりまして、次に図示して御説明いたします。それから、一検体当たりの重量、あるいは容量として示される検査の単位、そして試験法、更にフードチェーンのどこに適用されるかという規定、これらがすべて組みにならないとMCを満たすことにはなりません。
(PP)
 二階級法のサンプリングプランというのは、1つのロットからランダムに取り出される検体の個数n、それから、基準値m、そして、n個の検体のうち、基準値mを超えても、そのロットを合格としてもよいという検体個数c、この3つから成り立っています。
 この3つに加えて、そのレベルを超す検体が1個でもあったらロットは不合格にするという限界値の基準値Mを加えたものが三階級法のサンプリングプランになります。
(PP)
 食品は非常にばらつきの多いものですので、微生物の汚染についても、1つのロットの中で全く均一に存在するということはありません。ばらついて存在するものです。そして、その微生物の分布のばらつきというのは、ロットを非常に細かく分けていった場合に、汚染の濃度が対数値に換算した場合に正規分布を持つと仮定されます。正規分布ですので、平均値と標準偏差を用います。液体のように非常に均一性の高い食品であれば、標準偏差は小さくなりますし、ばらつきの多い食品であれば、標準偏差は大きくなります。今回、牛肉はばらつきの多い食品だと考えました。
(PP)
 そのように正規分布をしているロットに、ある基準値、mを適用しますと、このロットの中でmを超している不良品、あるいは汚染された部分と、そうでない部分に分けられます。1つのロットからランダムにn個の検体を採取したうち、c個まではこちら側としてあったとしても、このロットとしては合格になります。ただし、c=0と規定した場合には、n個のうち1個でもこちら側から取られてしまった場合は、そのロットは不合格となります。
(PP)
 更に、1個でもこちら側、つまりMを超すような濃度を持っている検体が見つかった場合には、三階級サンプリングプランにおいて、このロットは全体として不合格となります。
(PP)
 検査の結果が意味することを考えてみたいと思います。食品中で微生物がばらついて存在するということは、検体をたくさん取ったときに、病原体のある検体と、ない検体が存在するということです。仮に、たまたま1個の検体を取って、この検体に当たったとしますと、n=1であっても、このロットには汚染があると認識されますが、こちらから検体が取られたときには、そのロットは陰性と考えられてしまいます。つまり、本当は微生物の汚染があるのに、そのロットは見逃されてしまうことになります。
(PP)
 「25gあたり陰性」という基準値があったとして、1ロットから取る検体の数が変わるということがどういう意味を持つのか、図示したものになります。このグラフで下の方、赤い線で5%合格率、つまりは95%不合格率の線を示しております。95%不合格率ということは、ほぼ確実にそのロットを不合格にすると考えられます。そのときのロットの汚染の平均値を横軸で読み取ることができます。ほぼ確実に不合格になるというラインは、消費者保護の観点から非常に重要な意味を持ってきます。なぜなら、そのレベルまで汚染していないとロットを確実に排除することができないからです。
 例えば、1つのロットから1検体しか取らない場合、n=1の場合、95%不合格率を持つのは、そのロットの平均汚染濃度がグラム当たり0.5対数個、すなわちグラム当たり3個、25g取ったときには、この中に75個菌がないと、確実には不合格にできないことを意味します。当然、n数を増やしていけば、ここで担保される汚染の平均の濃度は低くなっていきます。つまり、nが小さいと、汚染が高くないと見つけにくいことになります。
 このことを踏まえた上で、今回の規格基準で規定するMCは検体数を幾つと選べばいいのか、これを考えていくことになるわけです。
(PP)
 MCの設計をいたしました。この後、朝倉参考人が御説明しますが、MC確認の検査のための指標菌としてEnterobacteriaceaeを考えました。ここではどうしてもEnterobacteriaceae対腸管出血性大腸菌の存在比率を仮定しなければなりません。いろいろな文献から100対1と仮定いたしました。そうしますと、MCによって確認されるPOは、もともと腸管出血性大腸菌として0.0014cfu/gだったわけなので、Enterobacteriaceaeに直すと、それに100を掛けることになります。つまり、0.14cfu/gを対数に直しますと、-0.85対数個/gになります。ここから後は次の図で御説明したいと思います。
(PP)
 EnterobacteriaceaeとしてのPOを、今、お話ししましたように、対数個で-0.85と設定しました。POというのは、これ以下に抑えておけば、最終的にはFSO、そして公衆衛生上の目標値が満たされるというものです。ですので、すべてのロットのすべてのサンプルがPO以下に入ってくることが望ましいということになります。けれども、論理的には、対数正規分布というのは終わりがありません。その正規分布のテールは延々と伸びていってしまいます。ですので、あるところで区切りをつけないと、このラインを満たすことができないわけです。
 そこで、1つの考え方として、簡単に考えて、最大の汚染を持つロットの平均の濃度が、この目標値POよりも、標準偏差の2倍低いところと設定しました。そうすると、最終的な終わりのところが、そのロットの97.7%を確保することになります。このときの汚染の平均値ですけれども、-0.85から標準偏差の2倍低いところ。このときの標準偏差をばらつきの多い食品に普遍的に当てはめられる1.2対数個と考えましたので、1.2の2倍を引きますと、-3.25対数個/gになります。最大の汚染を持つようなロットでも、このような平均値を満たすようにすれば、97.7%が目標値であるPO以下になるという考え方です。
 では、このような汚染の高いロットをほぼ確実に排除するためには、検体数を幾つにすればいいかというふうに考えていきました。このために、基準値として持ち込まれるのは25g陰性ですので、それはどういうことかというと、25g中1個未満、25分の1、これを対数に直したとき、-1.40になりますけれども、それがサンプリングプランの基準値mになります。病原体を想定しているものですから、指標菌としてはEnterobacteriaceaeを使いますけれども、病原体を想定する二階級のサンプリングプランなので、これは通常、国際的にもcはゼロになります。ですので、最後に残ったのはmということになります。ロット内の汚染の標準偏差を1.2対数個と仮定して、-3.25の汚染の平均値を持つロットを95%の確率で不合格とさせるサンプリングプランを設計すればいいわけです。
 ちなみに、nを1~60と振ってみたときに、95%の確率で不合格となるロットの平均汚染濃度は、御覧のように計算することができました。この中で、ちょうど-3.25対数個になるのが検体数25ということになったわけです。従いまして、確認のための検査のサンプリングプランとしましては、Enterobacteriaceaeを指標として、n=25、c=0、mは25g当たり陰性、そして二階級の方ですので、Mは適用されないということになりました。
(PP)
 続きまして、朝倉参考人から、Enterobacteriaceaeを検査の指標菌として選択した理由、それから、PO、すなわちMCで担保されるレベル、同時に初期の汚染の濃度からいきますと、先ほど申し上げましたように、4対数個低い濃度になりますけれども、それを満たすことが期待される加工基準の具体案について御説明いたします。
 最後に、参考人の私見として一言だけ加えさせて頂けるでしょうか。私は、日本人は、牛肉を生食することについて、文化と呼べるほど長い経験を持っていないと考えております。牛肉の生食は食文化ではなくて、流行、ブームだと思っております。
 ありがとうございました。
○山本部会長 どうもありがとうございました。
 朝倉参考人からご説明頂く前に、今の春日参考人からの御説明、規格基準を設定する際の考え方と、微生物規格として、これだけのものを満たさないとだめだということになりますと、それを確認するサンプリングの数は、今の段階では、25gというサンプリングの量を考えると25検体となる。これがなかなか難しい部分もあります。実際の検査としてやっていくには大変な数だということもありますが、生の牛肉を食べていく上で、ここまでやっておかないと、恐らくは許していくのは難しいだろうという考え方もありまして、このような規格設定になってきたということであります。
 何か御不明な点がございますか。どうぞ。
○寺嶋委員 春日先生に御質問ですけれども、例えば、ヨーロッパであると、タルタルステーキのような生食のお肉があるかと思うのですけれども、ああいう食品について、ヨーロッパでコーデックス委員会等の規格はある程度クリアされていると考えてよろしいのですか。
○春日参考人 コーデックス委員会には生食用の牛肉に関する規格はありません。EUにはあることはあります。
○寺嶋委員 そうすると、今、お示しになった、こういうデータに基づいた規格というのは、生食というよりは、いわゆる食肉としての規格ということで、ヨーロッパの規格も、あくまでも食肉ということで、生で食べるということを念頭に置いてつくられた規格ではないと理解してよろしいですか。
○春日参考人 ヨーロッパにつきましては、実は、生と読み込むことができる規格はあります。ただし、しばらく前につくられたもののようで、このような昨今のMetrics等に基づいてはつくられてはいないとお聞きしています。
○寺嶋委員 ありがとうございます。
○山本部会長 ちなみに、対象の菌というのは何を設定しているというのは覚えておられますか。
○春日参考人 全部は覚えていないのですが、サルモネラが対象になっていたと思います。
○山本部会長 私の記憶でも、確かサルモネラ属菌を対象にされていたと思っています。
 どうぞ。
○益子委員 一旦FSOが設定された後の定時のサンプリングの検査というのは、どのくらいの頻度で行うのがいいのでしょうか。
○春日参考人 そこは大変難しい御質問なので、食品の種類によっても、また加工基準によっても変わってくると思います。ですので、短期間ではそこまで具体的に詰めることはできませんでした。ただし、告示が出されるまでにはある程度の指針をお示しすることは必要かと思いますので、厚生労働省内で引き続き検討を重ねたいと思います。
 事務局から何か追加頂けますか。
○事務局 特に現時点ではございません。
○益子委員 済みません、変なことを聞きましたが、現場でこういうのが設定された後に、私どもが今度は保健所として指導・監視を行うに当たって、そういうところがやはり気になるものですから、お聞きしました。
○山本部会長 小西先生。
○小西委員 非常にわかりやすい御説明、どうもありがとうございました。
 2点教えて頂きたいのですが、春日先生からお示しして頂きました数的指標の5番目ぐらいのスライドで、生産、加工、流通、小売、調理、消費という流れがございますね。そこで、加工の時点と小売の時点でPOをやるということになっていますが、この加工というのはどの範囲を示しているのかを教えて頂きたいのです。例えば、今回の場合、食肉処理業者が加熱を行ったというところが加工に当たるのか、枝肉をつくったというところが加工に当たるのかというところを1つ教えて頂きたい。
○春日参考人 御質問いただいた図につきましては、コーデックスの2007年の文章を一般的に模式化したものですので、Performance Objectiveを適用している加工段階の後とか、小売店段階の後というのは、これは例示に過ぎないわけです。その点は御理解頂きたいと思いまして、必ずしも、この図そのものが今回の規格基準の適用場所を示しているものではありません。
 ただし、2番目の御質問で、今回、加工というのがどこを意味しているかということになりますが、全体のフローチャートの方を御覧頂きたいと思います。
○山本部会長 委員の皆さん、この大きな図を見て頂ければと思います。フローチャートがございます。
○春日参考人 このラインの左側で下向きの矢印があるところに1か所だけPOを置いております。これは、枝肉からブロックを切り出して、包装した後で何らかの加熱除菌を行う、その一連の操作が終わった段階、その出口に当たります。この一連の操作をPOの適用される加工と考えてよろしいと思います。
○小西委員 そうしますと、枝肉のときにPOを持っていくというのは不都合があると考えてよろしいですか。枝肉の時点で既に表面に糞便系大腸菌がついているかどうかを調べることはしないわけですね。
○春日参考人 今の段階では、そこまでの基準は考えませんでした。
○小西委員 ありがとうございました。
○春日参考人 今後、この規格基準が運用されていった場合に、例えば、これも業者の選択によるわけですけれども、業者の効率的な運用の観点からいけば、最初に枝肉を拭き取りして、これは生肉ブロックを切り出すのに使えそうだ、これは無理だろうとかいうのを早いうちにスクリーニングにかけられれば、それは後の手順の無駄を省きますので、そういう工夫がされていくことは可能かと思います。ただし、それはあくまでも業者の運用ということになりますので、規格基準で規定するものではないと考えております。
○山本部会長 どうぞ。
○谷口委員 とてもわかりやすい、納得しやすい御説明をありがとうございました。
 1つ、本当に素人の素朴な質問で恐縮ですが、nが25ということを御提案頂きましたが、先ほどのフローチャートの枝肉からの分割時にブロックを切り出すというのがありまして、このブロックの大きさによって、25個というのは考え方が変わってくるのかなと思うのですが、一般的に切り出す大きさというのは、コンセンサスとしてあると考えてn=25が出てきたのかどうかをお教え頂ければと思います。
○春日参考人 大変重要な点を御質問頂き、ありがとうございます。
 御質問の点は、1ロットを何と考えるかということにも通じます。私たちは厚生労働省内で、業界の方にもアドバイス頂きながら考えてきましたけれども、片側の枝肉から、なるべく衛生的にというのは、表面に出ている筋肉を避けて、深い方の筋肉を取り出した場合に、大体10?、おおよその目安ですけれども、そのくらいのブロックが切り出せるそうです。あとは、加熱の手順を現実的に、効率的にすることを考えますと、そこまで枝肉というのは冷やされてきているわけです。余り大きな、例えば、10?という丸のまま密封してボイルしますと、元々が冷たいものですので、1?の深さまで、なかなか温度がかからないんです。それについては朝倉さんから具体的に御説明します。ですので、その辺の兼ね合いはおのずと業界の方で工夫されるものだと思います。
 今度は、ものすごく小さくなった場合、加熱の効率はいいですが、その後、生肉として提供するわけですから、当然、温度がかかって変色してしまった部分は生肉ではありません。そこは捨てられるか、あるいは何か別の加工調理品として使われることになりますので、歩留まりが非常に悪くなるわけです。ですので、そういう点からも、おのずとバランスが取られていくと思います。
 疑問に思われる点は、25gを25検体取るということは、625gが検査に消えるということだと思われます。ですので、625gよりも少なかったら、当然、全量を検査しなくてはいけないわけで、こんなにはっきりしたことはありません。絶対なかったと言えますので。ですけれども、売るものは残らないということで、その点も決まってきます。
 もう一つ、ものすごく細かい話ですが、ロットの大きさと、そこからサンプルとして取る検体の総重量との関係によっては、別の確率分布を考えなくてはいけないということは承知しています。超幾何分布ですけれども。いずれはそういうところをもう少し厳密に考えていくことも、研究の面ですけれども、必要かと思います。
○山本部会長 よろしいですか。どうぞ。
○今村委員 非常にわかりやすい説明で、最終的に25個をやらなくてはいけないというところはそのとおりだなと思いますけれども、今まで余りFSOの設定がされていないので、これがスタンダードになっていくのであれば、確認をさせて頂きたいことが幾つかあって、FSOを設定する際に、死亡者数を年1人未満とするというところで、10で割っていますけれども、かなり苦しいのかなと。ALOPと考えてFSOを設定するのであれば、10で割る意味はほとんどないのかなと思うのが1点目です。
 今回、O157とサルモネラを対象にしているから、これですんなり通りますけれども、例えば、生食を対象にしたFSOの設定でしたら、ビブリオを考えたら、アマエビみたいなものを食べて10年に1人亡くなられたとしたら、同じ時期に適用すると、アマエビは無くなってしまう可能性があるのではないかと思います。これは肉に限定した考え方とするのか、それから、今後、生食に対して考えていくのであれば、他の生食で起こり得るようなもの、ビブリオとかだと、元々かなりの数が必要ですね。必要だけれども、ここで安全係数10分の1ということで、10を掛けたら3対数下がると思います。そうしたら、普通、エビにいるビブリオの量になってしまうような気がしますけれども、この辺はいかがでしょうか。
○春日参考人 本来は、FSO設定に至るまでに十分な時間をかけて、リスク管理機関とリスク評価機関でやりとりをして、リスク評価の結果を受けながらFSOを設定していかないといけないものです。ですけれども、今回はとにかく10月1日施行ということが厳命されていたわけなので、また、そもそも定量的な情報もほとんどありませんでしたので、えいやっとやるしかなかったのです、はっきり言いますと。
 死者数を取るということは、これもまたFSO設定の常識では全くありません。患者数で考えるのがコーデックスでは言われていることになります。ですけれども、先生方御存じのように、患者さんの把握ということ自体、正確な推定をすることは非常に難しい点があります。現時点でどの推定値を採用したらいいかについても、検討はしましたが、なかなか決められませんでした。
 また、患者発生の目標値をどう考えるかですけれども、現時点で非常に正確な推定値があれば、その5分の1とか10分の1を目指そうという説明は可能ですが、推定値そのものがぐらつくということと、ぐらついた結果において、何人を目指すということは、何人までの発生を認めてしまうということにも受け取られかねないわけです。そういう表現の仕方が、最初にFSOを設定するエクササイズとしては困難でした。ですので、最初の緊急の事例として納得して頂きやすい考え方としては、とにかく死者数はゼロにしましょう、それが基本でした。
 最初の10分の1というのは、1~9人、現時点で統計に把握されている死者数を1人未満にするためということで御理解頂けると思いますが、次の100という安全係数についても議論しました。10年間に1人未満にするのか、100年間に1人未満にするのかということに置き換わるわけですが、最初、100年に1人というのはちょっときつい目標かなと考えて、10年に1人と考えてみました。
 そうしますと、7g当たり1個となりまして、ユッケ一皿が50~100gぐらいあると思いますが、そのくらい食べると、10何個食べてしまうことになる。そうすると、そのくらいの個数の腸管出血性大腸菌で病気は起きるという報告があるわけです。それをFSOとしてしまうのも問題かなと。現実的な中で考えますと、こういう検査に落ち着いたと、これが実情です。決して、これはゴールデンスタンダードでも何でもありません。
○今村委員 O157を考えるときに、このFSOというのは、私はリーズナブルだとは思いますけれども、他の生食に同じ式を当てはめていくと、なかなか悲惨なことが起こるのではないかと思うので、本来、マネージメント機関が行うアセスメントというのはプライマリな対策として行うものなので、今後、安全委員会などで恒久的な式ができれば、できないと思いますけれども、できればすばらしいことではないかと思います。少なくともビブリオとかとは別の式と考えてよろしいですね。
○山本部会長 今回のものがすべて普遍的に当てはまるというわけではなくて、一番初めには腸管出血性大腸菌を考えている。サルモネラについてはデータがないので、同等という形で扱っていったということでありまして、腸炎ビブリオにつきましては、また考え方を変えないといけないと思いますし、今回の推定でも、Enterobacteriaceaeの試験をやるときの100対1というのもありますし、腸炎ビブリオを考えるときにも、そういう病原性の因子を持っているもの、持っていないもので、1万対1になるのか、その辺もありますし、それから、腸炎ビブリオの発症菌数として、もっと高い菌数が必要なのか、低くても発症するのかについては議論が必要なところなので、今のところ、腸炎ビブリオの基準としては、腸炎ビブリオ100cfu/gというのがありますけれども、これで結構減ってきているという状況もあって、それが結果的に妥当だったのかどうかというのは、検証が必要になってくるとは思います。それはそれとして、今回の生食肉、特に牛肉の生ということを考えた場合の規格としては、こういうことを取っていきたいということでございます。
 どうぞ。
○中村(好)委員 やはりFSOのところですけれども、スライドの下から4行目の数字、14÷10÷100という式が出ていますけれども、この14というのは、2つ上のポツの幾何平均14ですね。その次の10は、上の食中毒統計の2002年の9人というのがありますので、これを切りのいいところで10にして、10で割ったということですね。食中毒統計の死亡者の数字は、生肉の摂取によるということではなくて、腸管出血性大腸菌の死亡数ですね。そうすると、2002年の9人というのは、宇都宮病院でのO157の死亡者数がそのまま出ていて、そこでは生食は全く関係ない。そういう意味ではちょっと厳し過ぎるのかなという感じがしましたけれども、いかがですか。
○春日参考人 先ほどもお話ししましたように、この統計に出ている死者数ですが、亡くなった方の死亡原因は、恐らく牛肉の生食以外がほとんどだと思います。それから、病院内での感染のように、人-人感染が起こった場合も、もしかすると人口動態統計には出ているかもしれないわけです。勿論、そういうことは踏まえていますけれども、安全を見てということで、今回はこの考え方を採用した次第です。
○中村(好)委員 勿論、何らかの根拠が必要だし、安全を見てということで、やり直せとか、そういうことを言っているわけではありません。わかりました、ありがとうございます。
○山本部会長 一旦こういう形で議論が進んで行きますと、どうしても安全の方に議論が行きますので、緩める方向で議論するというのはなかなか難しいところだと思いますが、中村先生からの御指摘は科学的には非常に大事な御指摘を頂いていると思いますので、今後、検証作業を食品安全委員会でもリスク評価の段階できちっとして頂ければとは思います。とりあえず、安全を見越した方の話で、今のところ、議論が進んでいると思います。
 他にございますか。どうぞ。
○工藤委員 済みません、聞き漏らしたのかもしれませんので教えて頂きたいのですが、同じくPOの設定ですが、加熱工程終了後のPOの設定を10分の1と規定されました。数字から見て、私たちはこれが安全なのかどうなのかというのはよくわかりませんが、その根拠なり、10分の1で果たして妥当なのかというところを教えて頂けますでしょうか。
○春日参考人 この10分の1というのは、食べる時点でのFSOと比べて10分の1ということです。その間には何があるかというと、飲食店でのスライス、その前には加熱して変色した部分の取り外し、そういう作業があるわけです。表面加熱してしまった部分を除くので、そのこと自体によって菌数が減るということはまずないと思うんですが、逆に飲食店の手順、衛生管理状態のばらつきを見ますと、増えることが想定されるだろうと考えるわけです。
 では、増え方が10倍と置いていいのか、また、その根拠になりますが、余りはっきりしたものはありませんが、放置しておいて増えるということ、あるいは環境から、またはすぐそばにある別の加熱用の肉からの二次汚染がどの程度あるかというのは、これも本当は詳細な飲食店での行動調査等に基づいて決めるべきでしょうけれども、そういう時間も、当面使える情報もありませんでしたので、10倍になるということを想定すればいいのかなと考えたわけです。
○山本部会長 確かにそこの設定は仮説に基づいて設定していますので、実際に非常に汚染した肉を扱ったナイフで切ってしまったみたいなことが起こったときにはどうなるかというのはありますけれども、そこのところは一応、衛生基準といいますか、店舗内での衛生管理の基準を遵守するように、保健所の指導でやっていくという形を考えているということで、もう一つは、室温等に放置して増えていくということを考えたときにも、1時間以内であれば10倍以下に抑えられるんではないかということも考えているということです。
 他にございますか。ないようでしたら、時間も押してきましたので、次に、試験法と加熱条件ということで、どういうふうにやっていったかというデータにつきまして、朝倉参考人から御説明頂きたいと思います。よろしくお願いします。
○朝倉参考人 国立医薬品食品衛生研究所の朝倉と申します。よろしくお願いいたします。
(PP)
 まず、試験法の概略についてお話しさせて頂きたいと思いますが、先ほどの春日参考人に同様にスライドの操作がありますので、座らせて頂きます。
(PP)
 前回の部会での議論の結論としまして、牛肉における検査対象として、サルモネラ属菌と腸管出血性大腸菌の2つを取り上げるという結論を得ています。それぞれについての試験法について、まず概略を説明いたしますと、サルモネラ属菌に対する試験法というものは国際標準化機構(ISO)によって、国際標準化されております。一方で腸管出血性大腸菌につきましては、国内において、O157、O111、O26、O104、それぞれ血清型ごとに通知法としてなされており、ISOの試験法が十分に浸透していないのが現状です。
 今回、この2つの異なる菌を対象とした検査が必要ということですが、汚染微生物の中でこれらが含まれる割合は先ほどの春日参考人のお話にもありましたように、ごく一部であるということが想定されます。したがって、その検査法の精度は非常に高いものが要求される、そして通常の衛生検査に比べて、その検体数を十分に大きくしていかなければならないということになります。
(PP)
 衛生指標菌の試験法の概要については、次の表にまとめております。今回、ここで御提案したいのは、Enterobacteriaceae(腸内細菌科菌群)についての試験法です。これはISOにおいて既に確立されている試験法であり、国内においても、NIHSJ-15としてバリデーションを行っています。このEnterobacteriaceaeというのは、腸内細菌科に属する菌種を検出していく試験法です。一方、腸内細菌科属菌の試験法として国内での食品検査では告示、あるいは通知法で示されている方法、すなわち大腸菌群の試験法が用いられています。また、これに関連する試験法として糞便系大腸菌群の試験法もしばしば用いられています。このほか、推定大腸菌の試験法も用いられています。今回検出対象となっている腸管出血性大腸菌は、この推定大腸菌、あるいは糞便系大腸菌群の中にある大腸菌の更に一部という位置づけとなっています。
 和名では、coliformsも大腸菌群とみなされてしますが、ISO法で定義されるcoliformsと、告示や通知法における大腸菌群は試験法が異なっています。これら全体を見たときに、今回検査対象とすべきサルモネラ属菌と腸管出血性大腸菌の両者を検出できる方法は、Enterobacteriaceaeの試験法しかないという結論に至ります。
 加えて、糞便系大腸菌群、推定大腸菌、大腸菌の試験法は、培養温度が比較的高いものを用いているということで、腸管出血性大腸菌の一部は増殖しない可能性があるということも食品衛生検査指針に記載されております。
(PP)
 それぞれの長所と短所についてのまとめとしまして、Enterobacteriaceaeについては、分類学的な根拠があること、それから、国際標準としてコーデックス委員会においても微生物基準として既に採用されていることが長所といえます。一方、短所としては、国内では余り用いられておらず、その普及には経験が必要となると思われます。
 coliformsは海外では汚染指標として用いられていますが、国内でよく用いられる大腸菌群とは方法が若干異なるということで、そのまま同一であるというふうには担保できません。
 また、国内で使用実績がある糞便系大腸菌群については、海外に同等の試験法はないということで、これも互換性に欠けると考えられます。
 その他、推定大腸菌については、海外では汚染指標として用いられていますが、国内では用いられていない。
 大腸菌については、分類学的な根拠があり、遺伝子学的な試験法への移行も可能でありますが、IMViC試験は非常に煩雑になっていきますので、時間も要すること等々、デメリットもあります。加えて、後3者については、サルモネラの検出には不適であることも挙げられます。
(PP)
 Enterobacteriaceaeの試験法についてまとめますと、ISOの試験法として国際的にも実績があり、既にコーデックスの乳児用調製粉乳の微生物基準に採用されています。当然、Enterobacteriaceae全体を取っていきますので、植物常在菌も含まれる可能性がありますが、今回の検査対象は食肉ですので、相対的に余り問題とはならない、すなわち。直接的な糞便汚染として利用可能であると考えられます。また、糞便汚染の指標に加え、今回の試験対象となるべき病原体、腸管出血性大腸菌とサルモネラ双方の検証も可能となっており、加えて将来的には遺伝学的な試験法にも対応可能であると考えられます。
 ただ、先ほど申しましたように、国内での試験実績は少ないということで、この普及のためには研修会等が今後必要となると思われます。
 ここまで、試験法について簡単に御説明いたしました。
○山本部会長 続けてお願いしてよろしいですか。
○朝倉参考人 続きまして、資料4を御覧ください。先ほどの春日参考人の話で、POの設定で104のリダクションが必要だというお話がありましたけれども、果たしてそれを満たすにはどういった条件が必要になってくるか、微生物学的な観点から検討を行いましたので、御報告いたします。
(PP)
 基本的には、まずO157が肉の表面を汚染した場合に、どの程度まで内部に浸潤していくのだろうかというのを、検体の違い、接種菌数の違い等々で検証いたしました。また、実際、どの程度まで浸潤しているのかというのを、培養法と、顕微鏡観察により確認を行いました。更に、
 これを受けて、1つの例として、温浴加熱を用いた殺菌条件の検討を行いました。
(PP)
 ここでは、牛肉検体内へのO157浸潤性に関する検討としまして、O157の菌体をメンブレンフィルター上にトラップし、肉表面に付着させた後、包装・4℃で保存しました。保存時間についても、一定の比較しております。その後、1時間の保存を経た後に温浴加熱を行いまして、フィルターから3?近くの部分をできる限り無菌的に裁断しまして、これが横になった形になりますけれども、深部から5?の幅で裁断し、それぞれの検体について、MPNを用いた培養法によりO157の検出を行いました。また、検体としましては、解体後4日目という、通常は出回らないような解体後間もない食肉ブロック及び、これぐらいからは出回ることもあるようですけれども、2週目、あるいは4週目といった検体を用いて、いわゆる熟成度合いの違いによってどの程度の違いがあるだろうかという検討も行っています。
(PP)
 まず、浸潤性について、非加熱の検体表面にO157を接種し、1時間置いた後、表面5?まで、10?まで、15?まで、20?まで、それぞれの肉組織において、どこまでO157が回収されるかを検討した結果をお示ししております。
 接種菌数は、こちらでは約104個、そして、こちらでは約106個のオーダーです。104オーダーでの接種菌数の検体については、解体後4日目、2週間目、4週間目といったところで、いずれも10?以下に菌が検出されることはありませんでした。しかしながら、106オーダーまで接種していきますと、若い、熟成の進んでいない検体では、10?にとどまっていましたが、解体4週間を経た肉検体においては2?のところまで菌が検出されました。
(PP)
 また、顕微鏡観察により、表面に接種したO157が肉片のどの部分に多く集積しているだろうかというような検討を行っています。同じ菌体、ここではGFP発現O157検体を用いています。先ほどと同様に、メンブレンフィルター上にトラップし、肉検体表面に付着させた後、包装を行い、1時間冷蔵保存した後、裁断しました。割面として接種した部位を中心にGFP蛍光の分析を観察しました。
(PP)
 緑色に蛍光を発しているのがこの菌体になります。このバーが約500マイクロです。こちらはx40倍の画像ですので、若干大きくなっていますが、こちらで200マイクロです。上の画像では、比較的菌の浸潤は少なく、数百マイクロ程度深部までのみ浸潤は見られないようにも考えられますが、下の画像を見て頂くとおわかりのように、いわゆる断裂といいますか、筋繊維間の間隙等があればこれを介しまして、O157菌体は相当の浸潤性を示すものであることがわかりました。
(PP)
 これら結果から、解体後、熟成の進んだ牛肉検体では、解体直後の検体に比べて、より深部に浸潤しやすいことが想定されました。したがって、解体後比較的速やかな検体を生食用に用いることが内部への浸潤を防ぐ1つの手だてであることが示唆されました。
 また、約104オーダーのO157菌体を牛肉検体に接種した場合において、接種菌は表面から約10?下まで検出されました。この結果から、先ほどのお話につながりますけれども、約104のリダクションが必要だということは、104オーダー接種した検体からは検出されないという条件が必要ということになります。これを受けて、試験としましては、少なくとも表面10?までのモニターが必要であるという結論に至りました。
 その他、顕微鏡観察から部分的には一定の深部浸潤を示しますが、多くは表面に滞留することを踏まえ、表面加熱による殺菌方法の検証が必要という考えに至りました。
 これらの点を踏まえ、表面下10?までの加熱殺菌条件を検証することといたしました。
(PP)
 殺菌条件としまして何を検討したかというと、温浴加熱の方法です。できる限り成形した肉ブロック250~300gを採取し、脱気密封した後、温浴加熱をいたしました。この条件は後ほどお示しします。加熱後、速やかに冷却を行いまして、割断面を観察・そして菌数測定というプロセスで検討を行いました。
(PP)
 これは異なる温度帯で1分加熱した際の検体断面画像です。設定温度としては、75℃、80℃、85℃の3点を取りました。1分間加熱後、冷却を行い、少し余熱はありますので、更に若干火が通ると想定されますけれども、85℃加熱検体に比べて、これは当然ですけれども、75℃加熱検体では、まだ表面にすら熱変性のかかっていない部分が多く認められました。
(PP)
 そこで、85℃を温度として設定し、次に時間の検討を行いました。1分、3分、5分、10分の時間設定で、それぞれの割断面をお示ししています。
(PP)
 先ほどの話の中で、10?までは殺菌する必要があるということでしたけれども、先ほどの結果においては、10?下から検出されたO157の菌数は、解体直後の検体では1.58CFU、解体後2周目では7.79CFU、4週目では8.67CFUと、いずれも10CFU以下でありました。
 O157、サルモネラを含めてですが、こうした加熱殺菌による菌の消長を検討するにあたり、D値を参照することといたしました。すなわち、こちらのD値の表にあるような温度を指定の時間、10?下で保持できれば、今回の対象菌は少なくとも10分の1以下に減るということになります。
(PP)
 先ほどの250g程度の肉検体において、表面から10?下の部分の温度変化を30秒ごとに測定した結果をここでは赤で表示いたしました。60℃という温度帯をひとつの目安として見た場合、サルモネラでは103秒、O157では100秒が1/10減少に必要ということになっていますが、この温度測定結果から加熱開始8.5分後から、およそ2分間必要だということがわかりました。
 また、ここでお示しした検体は、加熱10分の時点で氷水で冷却を行っております。氷水温度は約3℃ないし4℃程度です。ただ、これを行ったとしても、表面下10?の地点での60℃以上の温度は約1分近く保たれておりましたので、我々は、この85℃の温浴で10分加熱、そして、その後、冷却するという過程を通じてで、表面下10?の地点を60℃で2分加熱できる条件と設定することができたわけです。
 そこで、実際にO157を同等の牛肉検体に接種しまして、85℃、10分の温浴加熱によって、10?下では菌が検出されないか、検討を行いました。任せて、0分、3分、5分加熱後の菌数測定も併せて行いました。
(PP)
 試験の方法としては、先ほどと同じ、5?ごとに肉片を切っていくという方法です。加熱0分の時点では先にお示ししたように、10?地点までは菌が検出されました。加熱3分後では5?程度まで、加熱5分後でもまだ若干検出されていました。しかしながら、加熱10分、その後、氷水冷却という我々の設定した条件を経た肉検体では、10mmの深部において接種菌は検出されないことが明らかとなりました。
(PP)
 しかしながら、同等の検証を行おうと、大きさの異なる500g程度の牛肉検体を用いて、その温度変化をまず観察してみたところ、深部における温度上昇は極めて緩慢でありました。85℃温浴加熱により、この検体を表面下10?の地点において60℃担保できるような条件を検討したところ、約22分必要だということがわかりました。すなわち、温浴加熱による条件設定には検体の要素が大きく影響するということがわかりました。
(PP)
 また、先ほどのEnterobacteriaceaeの試験法を用いて、温浴加熱による自然汚染菌の低減効果を図るため、250~300gの非接種牛肉検体を対象に、85℃、10分の温浴効果を行い、検体内部における、Enterobacteriaceaeと一般細菌数を測定しました。
(PP)
 検体の種別としては、シンタマと呼ばれる部分と、内モモと言われる部分を用いています。それぞれ8検体を検査対象とし、そのうちの半分、4検体ずつを加熱し、残り半分は非加熱の状態としました。その結果、加熱を行った検体については、シンタマ・内モモを問わず、いずれもEnterobacteriaceaeは陰性となりました。一方、非加熱のシンタマはいずれも菌が検出されており、内モモについても、4検体中1件で陽性となりました。
(PP)
 以上のまとめとしまして、約250~300g程度の肉ブロックの検体において、表面から10?下の地点で60℃、2分間の温度条件を満たす加熱条件を85℃の温浴により検証いたしました。我々の検討では、85℃、10分をこの要件を満たす一つの条件として設定することができました。
 ただし、これは牛肉検体のサイズ等々により大きく変動する可能性があるということで、実際の加工基準等々の設定に当たっては、各施設における条件設定が必要となってくると考えられました。
 また、ここではお示ししていないデータとしまして、同等のサイズの肉ブロック中にO157、あるいはサルモネラ属菌を接種した場合の85℃、10分加熱による殺菌効果の検証を現在行っております。ここでは同時にEnterobacteriaceaeも併用して、その検証を併せて行っていく予定です。
 また、85℃、10分間の加熱条件を適用した場合において、先ほど8検体、8検体、合計16検体で示しましたけれども、ナチュラルコンタミネーションが起こっている検体が果たしてこういった加熱条件によってEnterobacteriaceae陰性になるかどうかという点について、よりn数を増やし、約90検体程度の検証を行っているところです。(PP)
 この他、先ほどまでは温浴加熱による殺菌法を行っていましたけれども、一応、別の加工法も何かできないかということで、表面が約250~260℃の温度を保持する家庭用のホットプレートを用いまして、O157を接種した肉ブロックの各表面を30秒ずつ焼きました。その後、各面について表面から1?トリミングを行い、内部表面についてふきとり検査により接種菌の回収を試みました。その後、再度各表面を焼き、表面から1?ずつトリミングした後、最終的に検体内部におけるO157の検出を試みました。
 この方法による温度変化については、鉄板表面が、250~260℃、各表面を30秒間加熱したときの10?下の温度は22~26℃程度でした。1回の焼き工程とトリミングを行った後、内部表面からはO157の回収を試みた結果として、3検体のうち1検体が陽性となりました。しかしながら、2回の加熱とトリミングを経た後の内部、すなわち表面から2?下の部分からはO157は検出されませんでした。
(PP)
 まとめとしまして、生食用として提供する牛肉は、解体後速やかに、そして適切な工程管理を通じて、表面及び深部への汚染を低減できると思われます。
 加熱殺菌条件による検証の結果から、牛肉表面10?以下における60℃、2分の加温保持によって、腸管出血性大腸菌及びサルモネラ属菌の危険性を想定レベル以下に抑えると思われます。
 また、上記と同等以上の効果の得られるような方法、先ほどお示しした表面を焼く等の方法を行うことも可能であると考えられます。
 こうした加熱殺菌処理の条件は、牛肉検体、そして使用する加温機器・設備等により異なることが予想されますので、各機関においては、その実効性を検証し用いることが必要だと思われます。
 以上です。
○山本部会長 朝倉先生、どうもありがとうございました。
 それでは、ただいまの御説明に関しまして、御質問、また御意見等ございましたら、お願いいたします。どなたかございませんか。甲斐先生。
○甲斐委員 衛生試験法としてEnterobacteriaceaeを採用したいということで、これを採用することに対して、大きな部分では私も賛成ですが、何しろ今まで余り実績がないということで、どんなものなのかということを教えて頂きたい、あるいは検証しないといけないんではないかという意見です。
 まず1つは、実際にEHEC、今、挙げられているのもO157、O26、O111、O104で、特にO111などは発育の悪いような菌もありますが、この辺の菌もみんな、このEnterobacteriaceaeの検査法で引っかかってくるというか、陽性になるのかどうかというところはいかがなものでしょうか。
○朝倉参考人 適切なコメントありがとうございます。
 確かにおっしゃるように、そこは検証しなければいけないと思いますが、今回については、あくまでも対象供試菌はO157だけです。
○甲斐委員 その辺のところを少し見ておかないといけないのではないかという点が1点と、もう一つは、今、朝倉先生も御指摘されましたけれども、国内での試験実績がほとんどない。実際にはどういう状況なのかがよくわからないような状況なので、試験法の普及のための研修、あるいはやってみて、もう少し考えてみるというか、先ほどのEHECはちゃんと検出できるのかということも含めて、少し検討する必要があるのではないかと思います。
○山本部会長 貴重な御意見ありがとうございました。
 10月1日で施行するということになりますと、それまでにそういった研修であるとか、確認作業をもう少しやっていかなくてはいけないとは思っております。益子委員からも御指摘ありましたので、実際に保健所でどういうふうにするのかとか、地衛研での検出もちゃんとトレーニングしておかないと、行政側の処分を伴った検査ということになりますので、きちっとしていきたいとは思っております。
 他にございませんか。どうぞ。
○小西委員 1つ教えて頂きたいのですが、今回、非常にタイトなスケジュールで実験をされたということで、データはきっとお持ちではないと思いますが、速やかに枝肉からブロックに切り分けて、この加工をするわけですね。この加工をした後に、規格基準を定めた検出法で菌が検出されるかどうかを見るという流れになると思いますが、本来、肉は熟成過程を置くことになっていますので、速やかに枝肉から持ってきて加工した後、熟成期間を置くのではないかと私は素人判断したんですけれども、その熟成の期間の間にPOを満たしたとしても、その後、菌が増えるとか、何か違う要因が出てくるとか、O157に関して以外にも違う菌が増えてしまうとか、そういう恐れは今後検討されていく御予定と考えてよろしいでしょうか。
○朝倉参考人 貴重なコメントありがとうございます。
 そういったところも含めまして、今後の検討課題としていきたいと思っています。
○山本部会長 今村先生。
○今村委員 ちょっとコメントのかかるところなのですけれども、これでPOを設定すると、10分煮込まないとPOは出ないというのはよくわかりますが、10分煮込んだ肉の真ん中をやはりユッケと呼ぶのでしょうか。これをユッケと呼んでいいものかどうかというのは、本質的にそういうものを流通されないという話なのか、そういう形のユッケでしか食べてはいけないのかという形になると思うので、その辺のところは、考え方としてはいかがなものでしょうか。
○山本部会長 なかなか難しいところだと思いますけれども、取ってくる部位によっての汚染の違いというのはかなりあるのだろうということと、いろんな筋肉が混ざっているといいますか、そういう状態になると、非常にコントロールが難しい。先ほど春日参考人から、1つの固まりは10?ぐらいだということだったので、それを単位としたときに、切ったものをゆでるのか、それ以外の加熱方法、先ほどプレートで加熱するようなことをやられていましたけれども、あれを見ますと、プレートだと、2回やるにしても、中の温度が上がっていない。余り大きな肉になりますと、10?を担保しようとするときには、相当中まで熱がかかってしまって、生肉でということになりますと、よっぽど中の、非常に少ない部分しか取れないかもしれない。その辺は加工の条件もいろいろ検討は必要かと思いますけれども、そこまでは基準に示すというのはなかなか難しいので、とりあえず今のところ、先ほどの考え方からいった104個を下げることと、10?の地点でというところで考えていかないと、基準としては難しいのだろうと思います。ですから、加工については、今後いろいろ工夫する必要があると思います。
 他に何か意見がありますか。今の実験条件から行くと、そういう形で、中の方まで行かない、熱のかけ方としては、そのぐらいのやり方かなと。だから、湯づけして、余り大きいと、なかなか上がっていかないので。
○朝倉参考人 そのとおりだと思います。
○山本部会長 どうぞ。
○今村委員 安全に食べるためにはこうしないといけないというのはよくわかるんですけれども、通常、周りを火で焼いたお肉は「たたき」という名前に変わります。ステーキならば、周りを焼いた肉は「レアステーキ」という名前に変わりますので、「生肉」という名前の概念ではなくなると思います。そこら辺は、周りを取り除けば生肉として扱うということでしょうか。
○山本部会長 そのことに関してなんですけれども、1つは、たたきの場合には、63℃で30分の加熱が加わって、中まで熱が加わっているだろうということでやっていて、しかも変成がかかっているということはわかっています。もう一つのレアステーキの話になると、それは恐らく厚さの問題があって、外側から熱がかかったときには、完全な生ではないのではないか。どの程度の生という概念は難しいですけれども、そこのところでは今のところ、ステーキの切り方と焼き方によって、内部も表面は加熱された状態で提供されているという考え方と、加熱したとしても、それを取ってしまった中というのは生という考え方を、今のところは取っているということです。
 どうぞ。
○谷口委員 今の議論をお伺いしていて、20年ぐらい前にアフリカで過ごしていまして、ときどき刺身が食べたくなる。アフリカで刺身はめちゃくちゃ危険ですし、わざわざアフリカで食わなくてもいいだろう、そういうときにやった方法が、今、お示しになった方法で、刺身にして食べていました。だから、今の方法も、食わなくていいものをどうやって食うかという方法ですから、私はこれでいいと思いますし、それでだめならもう食えないということだろうと思います。そういうことで、生と言って、思って食べればいいのではないかと思います。
○山本部会長 どうもありがとうございました。
 他にございますか。どうぞ。
○寺嶋委員 事務局への質問になるかもしれませんけれども、こういう規格を設定するときに、検査法も含めてですけれども、例えば、先ほどのスライドでも、熟成させる以前の非常に短い時間で下ろしていけば汚染度が低く抑えられるということから、そういうのも含めて、と畜場なり、そういう段階で生食用の食肉は熟成をさせずに進めていくというような規約というか、そういうことを設定するのは可能なのでしょうか。
○事務局 今の食肉製品の規格においても、と殺後24時間以内に4℃以下にするとか、そういった規定がございますので、そういった形の規定は可能かと思います。
○寺嶋委員 そうすると、食肉用の規定という形で、下流へのというか、全体のお肉とは別に、例えば、ある特定の時間を設定して、この時間内に処理を進めていくというような規格を設定することはできるということですね。
○事務局 それに至るデータ等があれば、そういったことは可能だと思います。
○寺嶋委員 ありがとうございます。
○山本部会長 今の御質問は、衛生基準として今までありますね。それは平成10年の時点で出てきたものも含めてやっていますけれども、更に、そこの部分も規格基準として11条に上げていくという考え方ですか。
○寺嶋委員 上積みという形ですね。
○山本部会長 可能ではありますけれども、そこをどう保証させるのかという、試験法を含めた問題というのは、なかなか解決するのに難しいかなというところはあると思いますが。
 他に御質問等ございませんか。どうぞ。
○益子委員 牛のたたきなどは、HACCPの手法で提供していますね。今日は、焼いたり、ボイルしたり、いろいろ出して頂きましたけれども、業者によってそれぞれ工夫されて、POなり、FSOをクリアしましたというふうにやられてしまうと、現場の指導といいますか、監視が非常に複雑になりますので、一定の管理基準なりを設けて頂きたいと思いますがいかがでしょうか。
○山本部会長 春日参考人の御説明からいきますと、FSOというのは設定されるべき形で、ある値が決まる。それをフードチェーンの上流で、POという形で決める。それを達成するための成分規格みたいなものがMCとしてあったわけです。それと、PCと言いまして、POを達成するためにやるやり方が加熱になると思うので、加熱の部分をどう工夫するかというのは業者によって決まってきますが、POは達成してもらわなければ困る値になります。だから、いろんなやり方があったとしても、POは達成目標値なので、そこはやって頂きたいのです。
○益子委員 そうですけれども、達成する方法が何通りもあって、しかも業者によってやり方が違っていた場合、私ども、監視・指導するに当たっては、それぞれの方法について、例えば、ボイルだったらこうしなさい、この大きさの肉を切り出してと、それぞれにきちんと決めていただかないと、具体的に指導に入っていくときにどこをチェックしたらいいのか、是非出してほしいと思います。
○山本部会長 実際にどう見ていけばいいかというのはなかなか難しいところがあるとは思います。ただ、基準として書くときにどうなるかというのは、この後、議論していかなければいけないところですけれども、その形を達成するための方法論については、通知で出すのか、どういう形になるかわかりませんけれども、それが達成されていることを証明するのは業者側になりますので、それをきちっと証明してもらわなければ困るということにはなりますね。
 もう12時を過ぎてしまって、大変申し訳ありませんけれども、この後、規格基準の御説明と、まだ第2の議題が残っておりますので、延長は大丈夫でしょうか。委員の先生方には申し訳ありませんけれども、少し延長していかなければいけないと思っております。5分ほど休憩を取って、10分再開でいきたいと思いますので、よろしくお願いします。

(休  憩)

○山本部会長 少し時間を過ぎてしまいましたけれども、再開したいと思います。
 それでは、両先生から微生物の規格基準設定における考え方と、食肉の外側を加熱したら、10?程度のところまでで菌が死んでいることがわかったと、低減効果の一例ですけれども、示していただいたということから、規格基準の案ということで、事務局から御説明頂けますでしょうか。
○事務局 そうしましたら、6月28日と本日、御検討いただいた内容、それから、現行の衛生基準を踏まえまして、資料5でございますけれども、規格基準の現時点の案をお示し頂いておりますので、これにつきまして御説明をさせて頂きたいと思います。
 まず、これから説明させて頂く今日お諮りしている案でございますけれども、これから食品安全委員会に評価を求めるに当たりまして、リスク管理機関である厚生労働省といたしまして、リスク管理の手法につきましての考えを示した上で評価を求める必要があるということで、この前提となる部分につきましても、考え方を示した上で御議論頂いているものでございます。
 今後、食品安全委員会において検討をお願いする過程で、本日御議論頂きましたFSOの設定の部分ですとか、分析方法等につきましても、評価の対象となり得ることから再検討する必要があると考えているところでございます。
 従いまして、今後、食品安全委員会の評価がなされました時点で、これから御説明させて頂く内容のどの範囲を告示に載せていくか、規格基準とするかにつきましても含めてお諮りをさせて頂きたいと考えているところでございます。
 そういった状況を御理解頂いた上で、この御審議、御検討をお願いしたいと考えております。では、内容につきまして説明をさせて頂きます。
 まず、成分規格でございますけれども、生食用食肉ということでございますが、先日の御議論を踏まえまして、今回は、牛の肉であって生食用のものに限るということで規格基準を設定したいと考えてございます。
 成分規格の内容といたしましては、先ほどいろいろ課題等も示されておりますけれども、現時点におきましては、腸内細菌科のEnterobacteriaceaeが陰性であるという規格がよろしいのではないかと思っております。ただ、今、御説明させて頂きましたように、サンプリングの方法とか、検体数等につきましては、今後検討が必要と考えております。
 それから、検査をした場合の陰性確認に係る記録ということで、1年間保存することという規定を定めてはどうかと考えております。こちらにつきましては、緊急監視で自主検査の実施率が低かったということもございます。そういったことも踏まえて、1年間保存して頂いておいて、その間に自治体の方に立入りをして頂いて確認をして頂くには適当な期間ではないかと考えているところでございます。
 加工基準に参りますけれども、まず、現時点のものをお示しいただいた前提といたしまして、考え方を最初に記載させて頂いております。現時点におきまして、摂食時の安全目標である0.014cfu/gを担保するために、以下の加工基準を満たすことが必要ではないかということで御提示をさせて頂いているものでございます。
 一般規定といたしまして、まず、全体的なフローがございますが、春日先生から御紹介いただいたフロー、一枚紙も併せて御検討頂ければと思います。今から説明をさせて頂く部分は、加工基準というふうに二重線で書かれてございます部分を中心に御説明させて頂きたいと思っています。それから、保存基準、調理基準等も併せて設定をしてはどうかと考えてございまして、こういった内容についてお示しをさせて頂くことにさせて頂いております。
 それで、1つ補足させて頂きますと、このフローの中ほどに確認検査というのがございますけれども、こちらにつきましては、検証の目的で行う位置づけと御理解頂ければと思います。検証の位置づけで、自主検査として加工者の方がやって頂くものということで、例えば、初めて製品をつくろうとして、設定する規格を担保できるかとか、それから、加工時のモニタリングとか、そういった検証の目的で使って頂くというものだと理解をしているところでございます。
 また資料5に戻りますけれども、一般的な規定の内容を最初に御説明をさせて頂きます。まず、設備の衛生というところでございますが、こちらは現行の衛生基準にも規定がございますけれども、加工に当たっては、他の設備と明確に区分されるとか、洗浄、消毒に必要な専用設備を有した衛生的な場所で行うといったことを規定してございます。
 それから、2つ目は、器具の衛生の規定でございます。包丁とかまな板の衛生に関する規定でございまして、こちらも衛生基準に規定があるものでございます。内容としましては、器具は洗浄消毒が容易な不浸透性の材質で、専用のものを用いる。それから、1つの肉塊の加工ごとに洗浄した上で、83℃以上の温湯を用いて消毒する必要があるということでございます。
 続きまして、一般規定の食品取扱者の規定でございます。こちらにつきましては、今回の規格基準は衛生基準にない規定でございますけれども、生食用食肉を取り扱うに当たっては、腸管出血性大腸菌等のリスクとか、交差汚染の防止に関する十分な知識が必要ではないかと考えているところでございまして、そういった一定の技術、知識を有した方、中身につきましては、詳細は検討が必要だと思いますけれども、大学の一定の課程を卒業されたとか、講習会を受講されたような方に取り扱って頂く、もしくはその方の監督の下で加工等を行って頂くことが必要ではないかということで御提案をさせて頂いております。
 続きまして、衛生的取扱いとか、食肉の温度の規定でございますけれども、当然、肉塊が汚染されないよう、特に加熱工程という規定が後にございますけれども、加熱が終わったものについては、再汚染等がされないように扱うことが重要だと考えております。また、現行の衛生基準にもございますけれども、肉塊の温度が10℃を超えないように低温で管理することが必要だということで、規定に盛り込ませて頂いております。
 それから、汚染の内部拡大防止というところでございますけれども、こちらは、表面の汚染が内部に浸透するような調味等を禁止するという規定で、平成13年に衛生基準に盛り込まれた規定でございます。内容といたしましては、今、申し上げた調味料が内部に入るような処理、ここではテンダライズ処理とか、タンブリング処理とか、結着処理等も入ると思いますので、そういった内部に汚染が入るようなことはしないで頂くという規定でございます。
 続きまして、6番の加工基準の原料肉の取扱いでございます。こちらは、先ほどのフロー図の加工基準の一番上の◇の規定でございます。現時点で得られている知見等からしますと、加工に使用する肉塊は凍結させていないものであって、衛生的に切り出したものを使うことが必要だということで、こういった規定を設けているところでございます。
 裏に参りまして、加工基準、加熱または同等の措置というところでございます。これも朝倉先生から御説明をして頂きました、現時点で殺菌が担保できるということで、条件につきましては、今後またいろんな追加の知見等がございますけれども、そういったもので条件設定を変えることを追加する場合、その他有効な方法、例えば、最後に表面を焼くといった方法も御参考として出して頂きましたけれども、そういったことで、更にn数を増やして検証していく必要もございますので、斜線で書かせて頂いているところもございますけれども、こういった加熱措置、または同等の方法による加熱殺菌が必要だということで、こういった規定を設けさせて頂いております。
 更に、殺菌をした場合に、殺菌温度、時間の記録を1年間保存することで、監視指導において確認をして頂くことができるようになると考えております。
 続きまして、調理基準でございますけれども、基本的な要件につきましては、加工基準と同じと考えてございます。加工基準の6~8番、今、御説明させて頂きました、枝肉から衛生的にブロックを切り出して、表面加熱殺菌をするということにつきましては、加工の範疇に入ろうかと思いますので、それについては除く。それから、調理に当たっては、加熱が終わったものを使って頂くということで、そういった規定を設けさせて頂いています。
 それから、保存基準でございますけれども、冷蔵の場合は4℃以下、凍結の場合は数10度以下で保存する。それから、容器包装に関する規定も設けているということでございます。
 現行の表示基準目標については、消費者庁所管でございまして、今日の食品表示部会でも議論がされていると理解をしています。
 続きまして、資料1を御覧ください。4ページでございます。まず「(4)規格基準(案)」とございますが、こちらにつきましては、衛生基準にはなかったような規定、御説明をさせていただいた内容について、???と記載をさせて頂きました。これは御説明をさせていただいたところでございます。
 それから、なお書きにございますけれども、生食用馬肉につきましては、先日、6月28日に御議論頂きましたけれども、現行の衛生基準が有効に機能しているということでございますので、こちらで引き続き管理を頂くということでよろしいかと存じます。
 続きまして「(5)その他」でございますけれども、今回の規格基準の設定の内容は、ただいま現時点のものをお示しさせていただいたわけでございますけれども、安全性をより確保するということで、監視指導の充実等も必要と考えているところでございまして、ここに記載の措置についても検討していきたいと考えてございます。
 まず1つ目といたしましては、生食用牛肉を取り扱う施設に係ります営業施設要件を追加するということでございます。こちらにつきましては、先ほど御説明をさせていただいた規格基準案として規定しようとしている事項のうち、施設・設備に関係するもの。ここに記載のア~オの事項につきまして、要件として追加をするということで検討してはどうかと思っております。これによりまして、当然、営業施設が把握できるということでございますので、監視・指導が行き届くというのが期待できるのではないかと考えております。
 それから、5ページ目に参りまして、先ほど御説明を差し上げました?でございますけれども、今の営業施設要件に加えまして、規格基準に記録等の規定を設けるということで、こういった検査記録の確認が監視においてもできるようになるということで考えてございます。
 ?といたしましては、生食用牛肉を取り扱う施設に係る消費者への情報提供も必要と考えてございまして、具体的には、?の営業許可を受けて、取扱者がいらっしゃる施設であるということが、消費者の方が飲食店に入って容易にわかるような情報提供の仕組みについても検討していきたいと考えてございます。
 ?につきましては若干異なりますけれども、HACCPシステムの導入という観点でございます。これは、高度な衛生管理を推進するということで、食品衛生法第13条第1項に総合衛生管理製造過程の制度がございます。生食用牛肉についても規格基準、加工基準が設定されますので、承認の対象といたしまして、所要の手続を進めていきたいと考えてございます。こちらの総合衛生管理製造過程の承認を取得した場合には、今、御検討頂いております規格基準の加工の基準に適合した方法による加工とみなされる。つまり、規格基準として設定とされている加工基準以外の方法による加工が可能になるということでございます。
 なお、手続につきましては、ここに記載の施行令、政令の改正等もございますので、10月には間に合わないことから、それ以降の施行になるという方向で進めていきたいと思っております。
 最後に、リスクコミュニケーションでございますけれども、こちらにつきましては、引き続き抵抗力が弱い方には食べさせないように、販売者、消費者に更なる周知を行っていく必要があると考えてございます。
 説明は以上でございます。
○山本部会長 どうもありがとうございました。
 今回、規格基準の案ということで出てきておりますけれども、これは、食品安全委員会のリスク評価がまだ終わっていない段階の案ですので、通常の在り方、今までやってきたやり方とちょっと違います。というのは、先にこういう形の案を出してから、それに向けて評価を受けて、また分科会できちっとした11条の規格基準になるものを検討して、最終的に審議会で決めるというのが今までの流れでしたけれども、これは先に基準案を出しております。これがこのまま確定するという案ではないということを踏まえた上で議論を進めていかなければいけないというのが、今回、難しい部分があります。
 春日参考人と朝倉参考人から、この中に盛り込んであるものについての基本的なアイデアは御説明がありましたので、そこは参考にして頂いて、数値のことについては余り細かい議論は今できないという状況でございます。ただ、陰性であることとか、それは当然あると思いますので、そういった前提を踏まえた上での皆様方の御意見、こういうところが足りないんではないかとか、もう少し考えておく必要があるということを盛り込んでいくようなことがありましたら、御意見頂ければと思います。いかがでしょうか。どうぞ。
○益子委員 食品取扱者の資格要件などは明記して頂けるのでしょうか。また、その資格については、何か特別なものを設けるのでしょうか。
○山本部会長 これは事務局に聞いた方がよろしいでしょうか。
○事務局 詳細につきましては検討させて頂きたいと思いますが、通知等でお示しをさせて頂くことになろうかと思います。その際には、既にある食品衛生管理者とか、食品衛生責任者の制度も参考にさせて頂きたいと思っております。
○益子委員 是非明記して頂きたいと思います。
○山本部会長 わかりました。
 阿南委員。
○阿南委員 今のことで確認させて頂きたいと思います。食肉の販売店においては、今度の基準に合致したものであれば生食として販売は可能なわけです。そうしたときに、生食用の肉を販売できる事業者ですよということは、今、御質問があったように、資格がちゃんと見えるようにするということでしょうか。
○事務局 それにつきましては、例えば、営業許可の要件にするということにすれば、飲食店等において、生食用食肉を取り扱う施設であるということがわかるようになります。それに加えて、資料1の?で、営業許可を受けている施設であって、取扱者もいらっしゃるという施設については、何らか、分かるような形でお示しできるように検討していきたいと考えております。
○阿南委員 分かりました。飲食店も販売店もそうなるのですね。
○事務局 基本的にはそういう形になります。
○山本部会長 どうぞ。
○工藤委員 加工基準、加熱のところですが、チャートの方では除菌としておりますが、「殺菌」という言葉の使い方というのでしょうか、殺菌というのは完全に殺菌されたものではないわけですね。陰性ということは、ある程度の数字以下と考えてよろしいのでしょうか。そこら辺、教えてください。
○事務局 勿論、これから考える試験法についても検出限界というのはありますので、全くゼロということはございませんけれども、今日、朝倉先生から御説明をいただいた範囲で、今時点で1?のところで60℃、2分を確保すれば殺菌ができるということでございますので、加熱殺菌ということで記載をさせて頂いているところでございます。
○工藤委員 「加熱殺菌」という言葉で統一ということですね。
○事務局 他の食品に規定されている規格基準の並びと考えて、例えば、牛乳とか、これは省令でございますけれども、そういったものも加熱殺菌と書いてございますので、殺菌ということで規定をしたいと思っています。
○山本部会長 益子先生。
○益子委員 今後はこの加工基準に基づいた生食用のお肉が提供されるわけですけれども、そうすると、調理基準で調理されたものが、もしかするとお惣菜になるのでしょうか。一般スーパー等で取り扱われる可能性があると思いますけれども、そうすると、表示等々、どうなるのでしょうか。ちょっと教えてください。
○山本部会長 生食用として加工がされた場合に、そのままスーパーに来るかということですね。
○益子委員 そうです。そして、調理基準に基づいてスライスしたものはお惣菜になるのですか。それで、その表示になるのですか。
○事務局 スライスしたものであれば、生食用の食肉ということになろうかと思います。表示につきましては、消費者庁で検討して頂けると理解をしております。
○山本部会長 お惣菜としてパックされてユッケが販売されるかということを考えておられますか。
○益子委員 ええ。ちょっと心配ですけれども、生食用として加工用のお肉が出てくると、調理基準をもって調理したものを出すということはあり得るのではないかと思って。
○阿南委員 今の件について考えるところですけれども、そういう場合も、例えば、スーパーがそれを販売するとなったときには、販売するための許可条件は、仕入れから全部セットになって許可されるはずでしょうか。それを販売できるという基準、許可条件の中に入っているということは、それに合わないスーパーは販売できないということになるのではないですか。
○山本部会長 事務局から答えられますか。
○事務局 現時点で明確にお答えすることは難しいので、詳細要件等は今日の御意見も踏まえて検討させて頂きます。
○企画情報課長 ただ、現時点で、この案で考えていますのは、流通するものは密封した段階で流通することを前提に置いていますので、そういう観点も含めて、生食のユッケが流通するのかどうかという辺りについては考えてみたいと思います。これまで考えていましたのは、ブロック単位で密封して流通することしか考えていませんでしたので。
○山本部会長 益子委員の懸念されているのは、そういう形で流通してきたものが、最終調理段階において、当然飲食店で提供されるわけですね。だけれども、それが飲食店ではなくてスーパーだった場合にどうなのかということですよね。その辺は提供する時間とかの問題もあると思いますし、あとは表示の関係で縛っていくようなことも消費者庁には考えて頂かなければいけないと思います。この時点で規格基準にそれを盛り込むというのはちょっと無理があると思いますので、表示の方で考えるか、通知として運用基準をもう少し示していくのかというのは、安全委員会での評価が終わった後、更に検討を我々の方でもしなければいけませんので、そうしたいと思います。よろしくお願いします。
 林谷先生。
○林谷委員 確認したいのですが、加工基準で原料肉の取扱いについては、凍結させていないものということで、冷蔵のものですね。基本的には冷凍の肉は使えないけれども、保存基準では、加工した後では、凍結させれば、-15℃以下で流通することはできる。日本の国内ではこういうチャートで理解できますが、外国例えば、アメリカで、これに則って加工して持ってきたものは流通できるのでしょうか。それとも、一般規定の食肉取扱者の規定に外国人が合わないと、そういう肉を輸入することはできないのでしょうか。その辺はどうなりますか。
○輸入食品安全対策室長 別に答えを用意してきているわけではないので、一般論でお答えいたしますと、こういった基準は内外無差別でございますから、米国というか、外国で同等の管理がされている、要するに、このルールに従って管理をされていると、勿論、確認の仕方とか検証の仕方は別途考えなければいけないですけれども、そういったものであれば、輸入拒否することはできません。
○林谷委員 そうすると、今後は、こういう規格基準ができた場合には、向こうで生食用として加工されたものが輸入されてくる可能性があるということですね。
○輸入食品安全対策室長 それは勿論、ゼロとは言えないということですね。あとは経済的な面もありますでしょうし。ただ、ルール上は今、お答えしたとおりです。
○林谷委員 わかりました。ありがとうございます。
○山本部会長 他にございますか。山下委員。
○山下委員 私は水産加工が専門で、イメージがつきにくいのですが、加工基準のところで、気密性のある、密封した状態で、容器包装で肉を加熱する、しかも60℃で2分間という条件ですけれども、このような条件で60℃、2分加熱したことが保証できるのかどうか、文章の表現も含めて検討する必要がある。つまり、気層がある状態で密封して加熱すると、多分、火の通りが悪いと思います。どぼんとつけるのとは違う条件になってしまう。しかも、密封してしまうと温度計を突っ込むようなことができないわけです。そうすると、実際はどのようになるのか教えて頂ければと思います。
○山本部会長 事務局、よろしいですか。密封した後の脱気というのが必要だという御意見だと思います。実験上は脱気しているのでしょうか。
○朝倉参考人 実験上では、やはり脱気しない検体については火の通りが悪いというのは情報として得ています。
○事務局 通常、食肉加工場において、パックに入れてお湯に入れれば密封されるような装置がございまして、バキュームバックというものがありまして、そういった形でブロック肉が密封されるようなことは可能でございますので、そのような状態のものを規定の条件を満たすように加熱をして頂く。それで、毎回温度を測るというのはやはり難しいと思いますので、始める前に内部の温度の上がる状況、使用される設備の水の量とか、肉の大きさとか、そういったものによって条件は変わると思いますので、条件設定をしていただいた上で、まだこの条件はまだ仮のものですけれども、条件をクリアできるように確認して頂いてから製造して頂くということになろうかと思います。
○山本部会長 とすると、基準に書き込んでなくても、当然そういう温度を上げようとすると脱気するものだと理解してよろしいですね。
○事務局 はい。
○山本部会長 他にございますか。どうぞ。
○阿南委員 保存基準なのか、調理基準になるのか、分かりませんが、いつまで食べられるのかというところをはっきりしないと、取っておいて、次の日もという例もありましたので、はっきりと基準として設定した方がいいのではないかと思います。
○事務局 当然、製造される際に、期限設定についてもして頂いて、適切に表示をして頂くということは必要だと思います。
○阿南委員 期限セットされるということですね。
○山本部会長 これは表示の話になりますので、消費者庁には要望として出さなければいけないだろうとは思います。そういうことも含めて表示させてほしいということは、我々の部会の附帯事項として書いてもいいと思います。ただ、表示のことは消費者庁が決めることになりますので。
 他にございますか。どうぞ。
○工藤委員 表示に関わることかとは思いますが、例えば、生食の規格ができたとしても、必ずしも安全ではない、体の弱い人は云々というのがつくということですが、その言葉とは対でずっと流通されていくものでしょうか。
○事務局 先生がおっしゃっていますのは、生食食肉とともに警告表示みたいなものをつけるかという。
○工藤委員 警告かどうかわかりませんけれども、飲食店ではそういったことは注意喚起があるわけですから。
○事務局 表示するか、しないか、そういったことについては、消費者庁で検討頂けると理解しています。
○山本部会長 どうぞ。
○阿南委員 消費者への販売について表示で情報提供するというのはいいのですが、事業者の管理として、何時間以上過ぎたら生では出してはいけないとか、そういうことをちゃんと言わないといけないという話です。
○事務局 飲食店で調理の場合は、表示の規定はかからないということになりますけれども、それは速やかにお客さんに提供頂くという前提で出して頂くということになります。その辺りも、速やかに提供するとか、そういったことを規定に盛り込ませて頂きます。
○阿南委員 超えたものは使ってはならないということもそれで分かるのですね。速やかにとはどのくらいでしょうか。
○基準審査課長 告示で何時間以内というふうに、そこまで書けるかはちょっと難しいと思いますけれども、速やかに提供することという規定を置いて、速やかとは大体どのぐらいだと、また、注文ごとに調理していると、かえって交差汚染の恐れも高くなる可能性もありますし、一日分まとめて調理なり、昼の分、夜の分をまとめてそれぞれ調理するなり、どういうやり方が一番リスクが少なくなるか考えた上で、通知で、こういうやり方がいいのではないか、こういうふうにしなさいということを指導するというのはできると思っておりますので、考えたいと思います。
○山本部会長 通常、イメージとしては、つくったらすぐ出すというイメージですけれども、1食1食、オーダーごとにつくっていくと、逆に交差汚染の危険を何回も増やしているということにもなりますので、その辺については、「速やかに」を入れていただいた上で検討するということでよろしいかと思います。
 甲斐委員。
○甲斐委員 私、よく分からないので教えて頂きたいのですが、ここに上がっているのは、肉の塊というか、加工のところは上がっていますが、元の肉が汚れていたらどうしようもないのではないかなと思います。枝肉とか、その辺のところは何も謳わなくてよろしいんでしょうか。
○山本部会長 ここの基準というのは、枝肉から、脱骨して、そこに出てきた肉からの基準ということになりますね。と畜場と、それから、枝肉の流通に関しては、これまでの衛生基準でいろいろなチェックの仕方がありますので、そこは再度強化して頂くということだと思っていますが、事業者によっては、今後、検証の段階で、どういうふうなものをやらなければいけないかというのは当然入ってこないと、使えない肉を一生懸命加工に回して、生食用として検査してみたらアウトだったということになると、それは事業者のリスクですから、普通はそうはならないだろうと思います。今後、例数を増やしていかないとわからない部分でもあります。
 他に盛り込んでおくべきこととかはありますか。大体御意見が出たようには思いますので、それでは、先ほどの御意見を踏まえた上で加筆修正をした段階で、私にその点は一任させて頂いてよろしいですか。では、それを確認した上で、食品安全委員会にリスク評価を依頼することにしたいと思います。
 事務局から、今後の手続について御説明をお願いします。
○事務局 一部修正等ございますけれども、御了承頂きました規格基準案につきましては、この規格基準を導入した場合のリスク評価を食品安全委員会に依頼をすることになります。また、これと併せまして表示のお話も出ていますけれども、こちらの規格基準をつくることにつきまして、消費者庁協議とか、パブリックコメント、WTO通報等、必要な手続を進めていく予定としております。
 また、この手続を行っていく過程の中で、食品安全委員会の評価が出てきた後になろうかと思いますけれども、こちらの部会報告書をとりまとめる必要がございます。本日御了承いただいた内容につきまして、大きな変更がなければ、部会長と御相談をさせて頂きながら、今日御提示させて頂いております資料等を踏まえてとりまとめをさせて頂きたいと考えております。
 以上でございます。
○山本部会長 ありがとうございました。
 それでは、今、事務局から今後の取扱いについて説明がありましたけれども、その方針でよろしいでしょうか。どうもありがとうございました。
 それでは、大分時間も延びてしまって申し訳ありませんが、議題2の「生食用牛レバーの取扱いについて」を御議論頂きたいと思います。
 本件につきましては、前回の部会におきまして、委員の先生方の一部から、検討すべきという御意見を頂いております。
 事務局に生食用牛レバーによる食中毒の発生状況、汚染実態について整理をお願いしておりましたので、これらについての説明をお願いいたします。
○事務局 それでは、資料6を御覧頂ければと思います。今、本件につきまして、部会長から御紹介頂きましたが、この経緯のようなことでございまして、先週の部会で規制について検討が必要だと御意見等をいただいたものでございます。
 2番といたしまして、本件に係る厚生労働省の対応を改めてまとめさせて頂いているところで、平成10年に衛生基準を設定しまして、と畜場における肝臓の衛生的な処理についての規定を定めております。
 平成11年に生食用のレバーから汚染実態調査を行った結果、腸管出血性大腸菌が検出されたということで、衛生管理等について周知徹底をした。
 その後、平成17年の2月でございますけれども、牛のレバー内部にカンピロバクター汚染があるという知見が得られたことを受けまして、抵抗力が弱い方等が生食等をしないように周知徹底をしたということでございます。
 更に、平成19年の5月でございますけれども、飲食店における腸管出血性大腸菌による食中毒事例が発生していたことを受けまして、牛レバーを生食用として提供することはなるべく控えるよう、飲食店に対して周知徹底を依頼しているところでございます。
 3番でございますけれども、生食用レバーを原因とする食中毒と、流通食品における汚染実態調査、これは先日の部会で整理するということで、本日お出しさせて頂くというものでございます。
 3ページを御覧頂ければと思います。先日、危害評価に当たりまして出させていただいた生食用牛肉、馬刺し等に生食用のレバーを追加したという表で、食中毒の発生時件数でございます。平成10年から平成22年におきまして、生食用の牛レバー、真ん中のカラムでございますが、サルモネラ、カンピロバクター、腸管出血性大腸菌がそれぞれ8、87、20件ということで、生食用牛肉、ユッケを含めましても、事件数としては多いということでございます。
 それから、表2が食品中の食中毒菌汚染実態調査の結果でございますが、牛のレバー、生食用のところ、下から3行目辺りにございますけれども、O157の検出事例がある、それから、カンピロバクターについても4~5%程度の検出があるということでございます。
 カンピロバクターにつきましては、先ほど17年2月のときの注意喚起のお話をさせて頂きましたが、このときの厚生労働省科学研究におきまして、11.4%程度汚染があるという報告もございます。
 それでは、2ページ目にお戻り頂きまして、本件に係る対応(案)でございます。今、御説明を差し上げました生食用の牛レバーを原因とする食中毒の発生状況等を踏まえますと、こちらにつきましても、食品衛生法に基づく規制も含めた対応についての検討が必要だと考えてございます。
 一方で、検討に当たっては、ここに記載の??の知見が不足していると考えてございます。具体的には、腸管出血性大腸菌のレバー内部の汚染があるかどうかの確認ができていないということでございます。従いまして、必要な調査研究を実施した上で御検討をお願いしたいと考えております。
 1つ目、下のフロー図も御覧頂きながら御確認頂ければと思いますけれども、まず、腸管出血性大腸菌内部の汚染の可能性の確認をして、汚染が見つかれば、それ以上の低減効果等の検討は難しいということでございますので、この秋にもその検討に着手したいと考えてございます。
 1の調査研究を行った上で、内部汚染が確認できなかった場合につきましては、今回の生食用食肉と同じように、例えば、外側を加熱するとかいった措置の可能性とか、これに当たっては、カンピロバクターの内部汚染についても検討が必要だと理解しておりますけれども、有効な低減対策があるかどうかを確認したいと考えております。こういった調査を行った上で、年内に報告をさせて頂きまして、議論に着手したいと考えてございます。
 3番といたしまして、こういった状況でございますので、検討するまでの間においても、今までなるべく提供しないようにということでございましたが、生食用の牛レバーを提供しないよう周知徹底をしていきたいと考えております。
 以上でございます。
○山本部会長 ありがとうございました。
 ただいまの御説明に関しまして、御質問、御意見ございましたら、お願いいたします。どうぞ。
○阿南委員 対応(案)でいいと思いました。私は、すごくリスクが高いので、何とか検討が行われるまでの間も禁止してもらいたいと思っていました。しかし、今の仕組みでは非常に難しいということでしたので、周知徹底をしてもらうということを重ねてお願い申し上げて、これで了解したいと思います。といいますのも、私、前回発言をした後、テレビ取材を受けて、それが放映されていましたけれども、そのとき同時に、お店で生レバーを提供している事業者もインタビューに出ていました。いともたやすくそうしたお店を見つけることができるわけです。事業者に対する、これまでの自治体からの提供しないようにという要請や指導は何だったのかと、またそのときにも思いました。ですから、是非そのところは手を抜かずに、働きかけは非常に大切だと思いますので、徹底してやって頂きたいと思います。
 以上でございます。
○山本部会長 貴重な御意見ありがとうございました。
 今回の周知徹底からは「なるべく」という言葉は抜くということですので。
 他に御意見ありませんか。どうぞ。
○谷口委員 前回欠席しておりますので教えて頂きたいのですが、カンピロバクターについてはどういう御議論であったのでしょうか。今回、カンピロは対象としないという結論であったのでしょうか。
○山本部会長 レバーにつきましての対象としてのカンピロは、そのときには大きな議論はしておりません。腸管出血性大腸菌とサルモネラが肉で対象になる。レバーについても、そこは当然考えなければいけないだろうということで、カンピロバクターを考えるときに、菌の面から見ると、牛のレバーだけではなくて、他のレバーにもいるかもしれないということで、対象のレバーももう少し考えなければいけないということから、一律の処置で対応できるのか、できないのかというのも含めて、もう少し検討が必要かなということで、今回の緊急の対応からは外しますし、調査の対象としては、まずはEHEC、腸管出血性大腸菌で、カンピロバクターは既に平成17年の調査がありますので、そこはいいということで、緊急には腸管出血性大腸菌の調査を行って、秋をめどに議論を進めていくということをしたいと思っております。
○寺嶋委員 これは生レバーが対象になっていますけれども、実際の焼肉屋さん等では、いわゆる内臓肉として生レバー以外の臓器が提供されて生で出ていたりしていると思うんですけれども、そういうものはこれには含めないというお考えでしょうか。そもそもそういうのは食べられているはずがないということでしょうか。
○山本部会長 いかがですか。この間は、どのぐらい食べられているのかというような、生肉の提供の状態を調査したわけです。そうすると、生内臓肉というのも調査をするのか、しないのかですけれども、事務局、いかがですか。
○事務局 今後、実態も含めて検討していく必要はあるかと思いますが、基本的に一般化していないようなもの、この前も豚肉等ございましたけれども、そういったものは、抵抗力の弱い方等については生食を控えて頂くと、そういったことで周知をしてきておりますので、引き続きそのような対応をしていくことになると思います。
○山本部会長 いずれにしても、調査するのか、しないのかについても検討させて頂きたいということでしょうか。その辺は事務局で少し今後の進め方を考えて頂くことにしたいと思っております。よろしいですか、先生。
○寺嶋委員 一応、それでいいかと思いますが、調査が年内ということで、内部汚染の確認となっていますけれども、内臓肉も含めるという形で調査となりますと、保菌というのは結構季節変動があるので、今から秋に向けてという形で、実施する時期が比較的気温の低い時期になると、多分、検出率はずっと下がってくると思います。そうすると、見逃しているときが出てくるかなと思いましたので、他の内臓肉も含めたということであると、もう少し十分な時間が必要になるのかなという気がしました。
 以上です。
○山本部会長 今のところ、他の内臓肉での食中毒の原因食品が上がってくることが少ないので、よく分からないところもあるのですが、データを基にした検討が必要かなと思いますので、その辺、事務局で御検討頂いて、また今後の進め方をもう少し提示して頂くということで、今回はここまでにしておきたいと思いますが、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。
 それでは、生レバーにつきましては、今後、どういう規制にしていったらいいかということも含めまして、検討するということです。ただ、それにつきましては、検討を始める前も含めて、生食は控えるようにということを周知徹底して頂くということで、この場は議論を終わりたいと思います。
 それでは、続いて、議題3「その他」ということですが、何か事務局からございますか。
○事務局 この他に議題はございません。
○山本部会長 それでは、ありがとうございました。大変延びてしまいまして申し訳ございませんでした。以上をもちまして本日の部会を終了いたします。ありがとうございました。


(了)
<照会先>

医薬食品局食品安全部基準審査課乳肉水産基準係
(03-5253-1111 内線2489)

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