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2011年6月28日 薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会食中毒・乳肉水産食品合同部会議事録

○日時

平成23年6月28日(火)14:00~17:00


○場所

ホテルフロラシオン青山 芙蓉


○出席者

委員

山本委員(部会長)、阿南委員、今村委員、甲斐委員、木村委員、工藤委員、小西委員、白岩委員、鈴木委員、寺嶋委員、中村(好)委員、中村(政)委員、西渕委員、野田委員、林谷委員、益子委員、松田委員、山下委員

参考人

朝倉参考人、春日参考人、品川参考人、八幡参考人

事務局

木村大臣官房参事官、吉野企画情報課長、森口基準審査課長、加地監視安全課長、温泉川食中毒被害情報管理室長、佐久間課長補佐、横田課長補佐、松岡課長補佐、鶴身課長補佐、浦上専門官、松本専門官

○議事

○事務局 それでは、山下委員が遅れられているようでございますけれども、定刻となりましたので、ただいまから「薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会 食中毒・乳肉水産食品合同部会」を開催させて頂きます。
 本日は、お忙しい中をお集まり頂き、ありがとうございます。どうぞ、よろしくお願いいたします。
 本日は、石川委員、石田委員、賀来委員、小澤委員、塩崎委員、谷口委員、堀江委員、渡邊委員より御欠席なさる旨の御連絡を頂いておりますけれども、26名中18名の御出席を頂いており、部会委員総数の過半数に達しておりますので、本日の部会が成立しておりますことを御報告申し上げます。
 また、これまで食中毒部会委員として御尽力頂いておりました丹野委員が辞任され、新たに、川崎区役所保健福祉センターの益子まり所長が食中毒部会委員に就任されましたので、御紹介させて頂きます。
○益子委員 益子でございます。全国保健所長会の推薦を得て参りました。私は、保健所の現場に携わって参りましたけれども、この度、食肉の生食については、規格基準が定まるというので、現場において今後は有効な監視指導ができるのではないかと期待しているところです。どうぞ、よろしくお願い申し上げます。
○事務局 では、報道の方々の頭撮りは、ここまでとさせていただければと思います。
(報道関係者退室)
○事務局 次に、本日の議題に関連しまして、4人の専門家に参考人として御出席頂いておりますので、御紹介させて頂きます。
 国立医薬品食品衛生研究所の朝倉主任研究官でございます。
○朝倉参考人 朝倉でございます。どうぞ、よろしくお願いいたします。
○事務局 朝倉先生には、今回の規格基準設定の検討に当たりまして、必要な試験検査の実施をお願いしているところであり、その結果については、次回合同部会において御説明頂きたいと考えております。
 続きまして、同じく国立医薬品食品衛生研究所の春日室長でございます。
○春日参考人 春日でございます。よろしくお願いいたします。
○事務局 春日先生におかれましては、本審議会の食品規格部会の臨時委員をお務め頂いておりますが、本日は、参考人として御出席頂いております。
 国際食品微生物規格委員会(ICMSF)に参加されており、国際的な微生物規格の設定についてもお詳しいということから、今回の規格基準の設定の考え方について整理をお願いしており、こちらにつきましても、次回の合同部会において御説明頂きたいと考えております。
 続きまして、岩手大学農学部、品川教授でございます。
○品川参考人 品川です。どうぞよろしくお願いします。
○事務局 品川先生におかれましては、平成10年の衛生基準の設定の際に御尽力頂きました。本日は、当時の衛生基準設定の考え方や、今回の規格基準設定に当たって、危害評価について御助言頂きたいと考えております。
 最後に、国立感染症研究所の八幡主任研究官です。
○八幡参考人 国立感染症研究所の八幡と申します。どうぞ、よろしくお願いいたします。
○事務局 八幡先生には、今回、飲食チェーン店での腸管出血性大腸菌、食中毒の原因究明調査において現地疫学専門チームのメンバーとして富山県において活動頂いておりますので、その調査の状況について、本日は御説明頂きたいと考えております。
○山本部会長 それでは、議事に入らせて頂きたいと思います。
 初めに、事務局から配付資料の確認をお願いします。
○事務局 では、資料の確認をさせて頂きます。
 本日、お配りいたしました資料は、まず、議事次第が1枚、その裏に配付資料の一覧がございます。
 次に、委員名簿と参考人の方々の名簿を付けてございます。
 その後に座席表がございまして、その後から資料1、資料2、資料3-1と資料3-2がございます。
 更にその後に、参考資料としまして、関連する通知等の参考資料1のシリーズとしまして、1-1から1-5、その後に、その他の参考資料としまして、2から7がございます。
 不足等ございましたら、事務局までお願いいたします。
○山本部会長 過不足等ございませんでしょうか。
 それでは、議題1、生食用食肉に係る安全性確保対策についてですが、まず、本年4月に発生した飲食チェーン店での腸管出血性大腸菌の食中毒事故についての報告と、これを受けた対応について御説明頂きまして、その後、生食用食肉の規格基準設定の議論に移っていきたいと思います。
 それでは、まず、飲食チェーン店での腸管出血性大腸菌食中毒事故について、事務局から説明をお願いします。その後、参考人の八幡先生から現地調査の結果について説明をお願いいたします。
 それでは、事務局、よろしくお願いいたします。
○事務局 座ったままで説明させて頂きます。資料の1でございます。
 「飲食チェーン店での腸管出血性大腸菌食中毒の発生について」ということでございまして、これは5月15日までは、厚生労働省のホームページで、その日の状態について公開しておりましたが、今は、ホームページの公開はやめております。ただ、6月15日以降は、人数の変化はないということで、今の最新の状況でございます。
 1の有症者の発生状況でございますけれども、4月27日、富山県の焼肉えびすで発生以降、富山県、福井県等の3県と2市から発生の報告のあった食中毒の概要ということで、有症者については累計ということで、延べという数でございます。169名ということでございます。
 あと、入院者については、現在における入院者ということで、6月15日現在でも11名の方が入院されているということでございます。
 このお店は、4県に20店舗を持っているということでございまして、実際、食中毒の発生があったのは富山県内の2店舗、富山市の1店舗、石川県の1店舗、福井県の1店舗、横浜市の1店舗の合計6のお店から食中毒の発生があったということでございます。
 2ページ目に参りますけれども、今の対応ということでございます。
 まず、富山県が焼肉酒家えびすの砺波店でここにはO111と書いていますけれども、O157、O111を病原菌として疑い、その当時は共通食として焼肉のカルビと、患者の方が皆さん食べたのがロース、カルビというのと、ユッケがあったということで、それでプレスをしております。
 その後、関係自治体において原因究明の調査、被害拡大の防止の対策をとっているということでございます。
 その後、引き続きまして、同じ富山県内の高岡駅南店、福井県の福井渕店、富山市の富山山室店、横浜市の横浜上白根店でございます。石川県の小松店、こちらについても食中毒の発生を自治体が公表しております。
 次が、自治体が取っている措置でございますけれども、厳しいところについては営業停止以降、営業禁止までの措置を取っておりますが、基本的には3日間の営業停止を取っているということでございます。
 お店側の対応でございますけれども、焼肉酒家えびすは、4月27日より、生食用食肉ユッケの販売を自粛しております。29日からは全店舗、これは先ほど言いましたが、20店舗でございますが、全店舗の営業を自粛ということでございます。
 こういう中で、1ページ目の最後に書いておりますが、5月6日以降の新たな発症者はいないということでございます。
 厚生労働省の対応でございますが、関係情報、かなり多くの自治体にまたがるということもありまして、関係情報の集約並びに富山県からの依頼によって国立感染症研究所の疫学専門家を現地に派遣するなどの原因究明の調査の支援を行っております。
 また、後ほど説明いたしますけれども、都道府県における生食用食肉を扱う営業施設への緊急監視も行ったところでございます。
 今までの中で公表されているものといたしましては、5月24日に富山県が中間とりまとめのプレスを出しておりまして、ホームページにも公開されております。
 その中で、今までの経緯並びに患者数で検出された菌について、数ページにわたって公表しているところでございます。
 昨日、一部の新聞で感染研の方での、FETPでの中間報告があったということでございますけれども、これについては、そういう事実はないということでございまして、あくまでもベースは5月24日の富山県が公表しているものが公表されているものでございます。各県並びに感染研のFETPチームが、今も調査を続けているということでございます。
 一応、今の段階での概要についての説明をこれで終わらせて頂きます。
○山本部会長 ありがとうございました。それでは、続きまして八幡先生からパワーポイントをお使いになりますか、では、御説明をよろしくお願いします。
 春日参考人、品川参考人は見やすいところに移って頂いて結構だと思いますので、お願いします。
○八幡参考人 それでは、私、国立感染症研究所感染症情報センターの八幡から御説明させて頂きたいと思います。
 まず、先に松岡補佐から先ほどありましたとおり、まだ、調査中の案件でありまして、内容につきましては、日々更新があったりしますので、現時点での情報ということになりますので、資料として、今回、ハンドアウトを出しておりませんので、そういった都合があるために、途中段階であるということでプレゼンテーションのみというふうにさせて頂きたいと思います。
 また、このプレゼンテーションを出すに当たって、関係自治体の方とのやりとりをしたり、富山県の方には出していいかどうかの許可を得たりというようなプロセスを踏んでやっておりますことを念のためにお伝えしておきます。
 それでは、私どもの調査についての御説明をさせて頂きたいと思います。
(PP)
 本日は、6つの内容についてお話をさせて頂きます。
(PP)
 まず、最初に、アウトブレイクの探知、それから調査目的、調査方法ということで、まず、アウトブレイクの探知としましては、4月26日に富山県の高岡厚生センターの方に砺波店利用の方が発症疑いというようなことで連絡がありました。
 続いて、翌日にユッケとレバーの提供中止を要請し、自主的にすべての店舗で販売中止を行いました。
 それから、4月28日になりまして、福井県の方で患者が発生し、富山県の高岡厚生センターで高岡駅南店の利用者が複数発生という連絡がありました。
 翌日になりますと、更に死亡者の報告と、それから検便からO157、111の検出で、えびす全店自粛というようなことをしております。
 続きまして、5月2日になりまして、富山市内の山室店からも患者さんが発生し、HUSの発症に至っております。富山県、それから福井県の方の遺伝子型も一致ということから、広域なアウトブレイクということで、感染拡大のおそれがあるというようなことから、5月4日に我々の方が富山県の依頼を受けまして、FETPの調査を開始した次第です。
(PP)
 えびすの店舗に関しましては、先ほど20店舗というふうに御説明がありましたけれども、北陸に16店舗、関東、結局は神奈川県なのですけれども、4店舗というような構成になっております。
(PP)
 こちらが富山県の方が5月24日に発表されました資料に基づく喫食者の発症者数ということになります。砺波店が一番多く、高岡、山室というような順番で、合計163名の発症者がおりました。
(PP)
 こういったような状況で、まず、我々の調査としましては、目的として積極的症例探査ということで、患者がこれ以上いるかどうかをまず見るということ、それから拡大を防止するというようなことを目的に調査を始めました。
 それから、このアウトブレイクがどのような全体像をしているのかといったような把握、あと、既に現地に行った段階でたくさんHUSの患者さんがいらっしゃる。それから、着いた日、翌日に1人ずつお亡くなりになっていくというような状況で、死亡者が増えていくような状況で、臨床像がどのような状況なのかということを把握する。
 それから、やはり今回のえびすで喫食での汚染源は何なのか、感染源は何なのかといったような調査をさかのぼり調査ということでしていくということ。
 最終的に、今後の再発防止のために提言をしていくというようなことを目的に調査に当たりました。
(PP)
 方法としましては、今回、えびすというチェーン店で喫食した方のみからの報告であるということで、ユニバースをえびすで喫食した人ということをまず、徹底しました。
 方法としましては、患者情報に関しては、ほとんどまだ見られていない状況ですけれども、病院のカルテ、それから保健所、県庁でお持ちになっている情報を利用しました。それから、喫食調査に関しましては、保健所の結果を利用させて頂いております。
 それから、病原体検索に関しましては、地方衛生研究所からの情報を県庁経由で頂いております。
 それから、さかのぼり調査に関しましては、店舗であったり、自治体であったりというようなところからの情報収集をしております。
(PP)
 積極的症例探索に当たってなんですけれども、症例定義を定めました。この症例定義がかなり広く取れるようにしております。患者さんの取りこぼしのないようにという意味で広く取りました。
 それで、喫食時期を4月10日から4月29日ということで、潜伏期の2倍、大体換算して取りました。それから、場所としてはえびすで喫食している。症状としましては、消化器症状及び発熱のいずれか1つを呈したものということで定義を付けました。
(PP)
 続きまして、全体像の把握を御説明します。全体像の把握として、まず、症例定義を、現段階では確定例のみということで定義しております。
 確定例に関しましては、消化器症状ということで、下痢、血便、腹痛、嘔吐がある、またはHUSと診断されたもので、かつ、検査の結果でO111かO157、両方出ている方もいらっしゃいますけれども、どちらかが分離または検出されている方、両方とも分離または検出されている方というふうに定めました。
(PP)
 その中での確定例の症状ですけれども、下痢が一番多く、続いて腹痛というような順番になっております。
(PP)
 確定例の年齢分布ですけれども、15歳から19歳代が一番多く、続いて20代、30代というような順になっております。
 男女を見てみますと、全体で見ますと、53%ぐらいが女性で、残りが男性ということで、ほぼイーブンですけれども、年齢階級別に見ますと、15歳から19歳、20代、あと40代が60%、女性の方が多いような分布をしておりました。
(PP)
 潜伏期間に関しましては、中央値が3日間で、ピークというようなことにもなっておりますけれども、過去の報告と余り大きな差はないような分布をしておりますが、0日とか12日というような情報もありますので、情報の精査をまだまだしなければいけないような状況です。
(PP)
 それから、確定例の発症日ですけれども、4月19日から5月7日までの間に初発症状の分布があります。多くは赤っぽい色で出ております砺波店で、続いて高岡店というような順番になっています。
 4月25、26日に非常に大きなピークがありまして、患者さんが非常に多く出たために、医療機関がかなり逼迫した状況になったようなことが伺われるかと思います。
(PP)
 続きまして、確定例の喫食日の分布ですけれども、4月17日から25日までの間の喫食となっております。
 4月27日にユッケの販売を自粛しているのですが、その前に、喫食例での確定例が出るのが止まっているという状況です。
 それから、4月22、23日に砺波店で喫食した方がたくさん出ているという状況になっておりますので、この辺が特徴的かと考えられます。
(PP)
 ここまでの患者の発生のまとめですけれども、潜伏期間が3日間、中央値3日間ということ。それから、患者の発生が2週間にわたって発生しており、4月の25、26日にピークがあります。
 それから、特定の店舗からの患者の発生というような状況です。
 また、喫食日との関連ですけれども、各店舗の初発患者の発生にばらつきがあるということ。3日間から7日間にわたって発生している。あと、砺波店は大きなピークを形成していますけれども、高岡店は、少数で長期にわたっているというような特徴がありました。
(PP)
 続きまして、重症化についての調査ですけれども、今回、臨床経過が早いということで、通常ですと、HUSの定義をきつく3つ条件を満たすものとすると、かなり悪化した状態になってしまうということなので、少し緩めに取っております。
 日本小児腎臓学会のガイドラインの3つの基準があり、ここに示しているものですけれども、このうち少なくとも1つを満たしたものということで、今回、緩めにHUSの定義を取っておりますが、今後は、この定義を検討して変わっていく可能性があります。
(PP)
 この定義基準でHUSの分布を見ますと、15歳から19歳が一番多く、続いて、5歳から9歳と20代のところが続いている状況です。
(PP)
 これを年齢階級別にユッケの喫食者の中でのHUS発症割合を見てみたところ、5歳から9歳が一番多く、続いて0歳から4歳、それで15歳から19歳というような順になっておりますが、通常、年齢の低いところが高く、だんだん減少し、高齢で高くなるというような報告がありますが、そういった報告と少々違うような様子が見受けられるような状況でした。
(PP)
 店舗ごとのHUSの発症日を見てみたところですけれども、発症日は、5日目がピークで、続いて6日というようなことで、死亡例が4日目のところにありました。
 砺波店での発症率が30人いるうち19人ということで、砺波店の利用が63.3%と、3分の2くらいを占めておりました。
(PP)
 それから、HUS発症における起因菌ということで見てみたところですけれども、30例中27例からO111が分離されているか、抗体で検出されているというような状況で、多くのHUS患者さんは、O111の由来ということが考えられました。
(PP)
 ここまでのまとめですけれども、HUSの年齢階級の分布としては、15歳から19歳で最も多く、5歳から9歳、20歳から29歳という年齢階級。それから、ユッケの喫食者は、小さいグラフで示していましたが、20歳代で最も多く、続いて30代、15歳から19歳という状況でした。
 また、ユッケの喫食者のHUSの割合としては、0歳から4歳、5歳から9歳、15歳から19歳で25%前後というような状況でした。それから、砺波店で63%ほどいたという状況です。
(PP)
 続きまして、喫食調査についてですけれども、喫食調査は、ケースを確定例ということで、先に挙げた症例定義に合致したもの73例と、それから症状がなくて菌も分離、または検出されていない方という90名を対象群として行いました。
(PP)
 それぞれのケースとコントロールの分布ですけれども、ケースは、15歳から19歳が一番多く、続いて、20代という分布で、コントロールに関しましては、30代、40代の順番ということで、少し分布が異なっているというところがあります。
(PP)
 まだ、途中経過ということですので、先ほどの年齢の分布の違いは、まだ調整していないのですけれども、現段階でオッズ比を出してみたところですが、主だった食品に関して見てみますと、ユッケのオッズ比が52.1ということで、この算出に関しては、喫食なしでケースがゼロということなので、すべて1を足して計算しております。
 オッズ比が非常に高いということ、それから、他にも有意な食品が、焼きレバー、ハラミ、ポンジリといったようなものになっていますが、ユッケと比べますと、圧倒的にユッケが高いというような状況でした。
(PP)
 続きまして、さかのぼり調査ということで、さかのぼり調査に関しましては、えびすには、幾つかの食品会社から供給がされておりました。
 ここに○で示しております、A食品、B食品、D食品、E食品の4つの食品会社からは、北陸、それから神奈川県の店舗それぞれに共通した食品が届けられておりました。
 A食品からは、ユッケ用の肉、B食品は、和牛カルビ、D食品は、タン、和牛小腸といったようなもの、E食品はキムチ、サンチュ、焼肉のたれというようなものが共通して提供されておりました。
(PP)
 ユッケ肉の流通です。ここに示しているのは、肉からO111が取れたものの流通ですけれども、横浜の若草台店の肉からO111が検出されて、そのさかのぼりをしていくと、ある農場にたどり着くというような図です。この中で関連性を、まだまだ調査中ですので、どうなっているのかというのを見たいところですが、情報不足で、今のところ各店舗で患者が出ている日と、それから肉の加工日というようなところだけでの関連性、まだ、点でしかないのですが、大体4月17日くらいから患者が出ているということ。
 それから、肉の加工日が4月13日で、流通と何らかの関連があるのかもしれないというようなことで、今、調査を進めている最中なので、この辺の結論はまだまだ先になるかと思います。
(PP)
 あと、店舗に関する調査ということで、やはり砺波店の2日間で患者さんが多いということは、何らかの要素があるだろうと。まだまだ情報収集中ではありますけれども、患者発生の違いということで聞き取り、情報収集を行っております。
 ユッケ用の肉のカット、調理、提供までのプロセスの確認のため、保健所、それからえびすの店長というような方々にお伺いをしております。
 また、店舗での状況ということで、ユッケの販売量、客数、あと販売促進などのイベントによって、何らかの影響があるかどうかなどについても聞きとりをしております。
 それから、店舗での保管状況、使用状況などの記録などについて、情報収集なども行っており、あとロット管理、冷蔵庫の管理などの管理の面についても情報収集をしている最中です。
 それから、加工から流通の状況ということで、加工方法、箱詰め、保管方法、ロット管理などについても情報収集を行っています。
(PP)
 こちらは、その1つの例ですけれども、ある店舗での図ですけれども、キッチンの図ですが、大体どこの店舗も似ておりまして、ここの作業台というところがありますが、この作業台のピンクのところでユッケの肉を大体切ります。その後ろに、店舗によってちょっと違いますが、この辺りにユッケ用の肉をよく置いている店舗が多いです。そうじゃない店舗も、この下にあったりとか、あと、少し離れた冷蔵庫に入っていたりということですが、冷蔵庫の場所はまちまちのところがありますけれども、大体ユッケを切るところは、ここになっています。
 ここで切って、こちらの調理台のところで最終的にお客さんに出すというようなプロセスを取るということは、大体どこの店舗も同じようでした。
(PP)
 今後の予定ということで、最後になりますけれども、情報収集はまだまだ足りない部分が今のところありますので、協力の得られた医療機関から患者さんの情報収集をまずしております。
 それから、さかのぼり調査に関しましては、警察からの情報収集も含めていろいろとしたいと考えております。
 例えば個体識別番号の情報などは、全て押収されていたりしますので、協力を得たいと考えておりまして、昨日も富山県警の方にその話をしております。
 それから、菌の汚染度に関しても、こちらも警察の方にすべて参考品ということで提出されておりますので、こちらも警察の方から何らかの形で、情報提供頂けたらありがたいと考えております。
 それから、ユッケ以外の食品についても、何らかの汚染等があるかもしれないということで、その辺についても見逃さずに行っていきたいと考えております。
 あと、解析に関しましては、今回、多変量しかやっていないのですけれども、可変量解析等も行えたら行っていくというようなこと。
 それから、HUSに関しましては、症例定義を確定させて解析を進めていきたいと考えております。
 以上で御説明を終わらせて頂きたいと思います。
○山本部会長 ありがとうございました。ちょっと確認したいのですが、今回は、やはりユッケを原因というふうに確定してよろしいということでしょうか。
○八幡参考人 今回、出しておりませんが、砺波店だけでラフな解析をしてみると、O111だけに絞ってですけれども、ユッケのオッズ比が非常に高いということですので、ユッケとO111の関連は高いだろうということを考えております。
○山本部会長 ありがとうございました。それでは、ただいまの御説明と、それから事務局からの御説明も含めまして、御質問等ございましたら、お願いいたします。
 阿南先生、どうぞ。
○阿南委員 ありがとうございました。ちょっと確認させて頂きたいのですが、厚生労働省がこの事件を知ったのは、4月27日ということでしょうか。それで、先ほどの八幡先生の説明によりますと、発症は4月17日ということですが、この10日間は、その発症情報というのは全くどこにも寄せられていなかったということなのでしょうか。
 もう一点、厚生労働省は4月27日に情報をキャッチして、そのときには1店舗だけを営業停止にしましたね。その時になぜチェーン店全体に停止処分をしなかったのか。その後も死亡者が出たりしていますけれども、もっと早く対策が取られていれば、かなり防げた部分があるのではないかと思いますが、その辺について、お聞きしたいと思います。
 以上でございます。
○山本部会長 それでは、事務局から御説明をお願いします。
○事務局 それでは、監視安全課、松岡から説明させて頂きます。
 さっき少し省略しましたけれども、4月26日に富山県の保健所が探知をしております。それで県庁に上がったのが27日ということで、その日中に我々の食中毒被害情報管理室には来ております。
 こちらはすぐに関係している自治体とも情報共有をして、福井県でもそういう患者がいるという情報は取っていますし、その日中に20店舗を所管している自治体にはすべて情報は提供しているところでございます。
 特に初動で遅れたということはないと、私共では考えてございます。
 もう一点の御質問でございますけれども、営業停止等については、自治体が行う事務でございますので、こちらからはこういう情報が、今、富山県で出ていますよということはお流しして、自治体の調査なりを促すということはしておりますけれども、最終的には自治体の御判断というふうに考えております。
○山本部会長 よろしいでしょうか。
 どうぞ。
○阿南委員 発症が17日ということで、御説明がありましたが、保健所がキャッチしたのが26日。この間の情報キャッチの遅れというのは、どこに責任があるのでしょうか。
 それと、営業停止処分は各自治体が判断するということですが、それについて適切な情報発信、指示というのでしょうか、厚生労働省からもっとはっきりと指示すべきではなかったかと思いますが、いかがでしょうか。
○山本部会長 事務局、よろしいですか。
○事務局 もう少し御説明しますと、4月17日に発症があったというのは、砺波店ではなくて高岡南店の方でございまして、その情報は、後ほど自治体の調査によって発症日が4月17日ということで分かったということでございまして、まだ、4月27日の時点では、砺波店で発生があったという情報しか、行政の方には届いていなかったということでございます。
○阿南委員 では、自治体から報告がなかったということですね。
○監視安全課長 発症患者を診断したのは医療機関です。それで、医療機関から保健所に報告があったのが4月26日ということです。
○阿南委員 では、医療機関が報告しなかったということですか。
○監視安全課長 報告をしていなかったということです。
○阿南委員 そうですか。わかりました。
○山本部会長 よろしいですか。
○事務局 お店はすぐに自粛しております。行政というか、こちらから全部促すというか、お店に自粛のことは促しており、情報が入って、すぐに何かしていないということではございません。
○阿南委員 すぐ止めたのですか、お店は、チェーン店は。
○事務局 チェーン店は27日の時点で生食のユッケは販売を止めています。
○阿南委員 全てで。
○事務局 全店舗の営業を止めたのは29日の金曜日でございます。
○監視安全課長 ユッケの提供を止めたのが27日、これは全店舗です。それから、29日からは全店舗の営業自粛ということで、20店舗の営業自体を、店を閉めたというのが29日です。それは、いずれの指示も私共から県の方と調整というか、情報共有をしつつ、県の方から営業者に対して行政指導したということです。
○阿南委員 わかりました。
○山本部会長 阿南先生、よろしいですか。
○阿南委員 はい。
○山本部会長 その他にございますでしょうか。
○益子委員 八幡先生に伺いたいのですが、砺波店と他のところで患者さんの発症にかなり差があるようですけれども、ユッケの取扱いに他の店舗と違う、何か相違点はあったのでしょうか。
○八幡参考人 今、すべての店舗について、まだ情報収集はしていないので、結論ということは言えないですけれども、例えば切るときの手袋を使っているか、使っていないかとか、そういったことについては、聞いたりとか、それから温度管理であったりとか、先入れ、先出しをしているかどうかとか、そういったものについて、今、情報収集をしていて、その結論というのはまだ出ておりません。この段階でどうだと言ってしまうと、その情報だけが先走ってしまうかもしれないので、今はちょっと差し控えさせて頂きたいと思います。
○山本部会長 先ほど見させて頂いた図面は、砺波店の図面でしたか。
○八幡参考人 砺波点ではありません。魚津店という店舗ですけれども、砺波店とほとんど変わらないです。面積が変わるぐらいだと思います。あとは、冷蔵庫のどこに何が入っているかが、若干違うとか、そういったものはあると思いますが、ユッケを切る作業台、それからユッケをお客さんに出す前の調理台というところの位置づけは、ほとんど変わりありません。これは魚津店ですけれども、砺波店に関しましても、同じようなつくりをしていて、かなりこういった業態の中では広いキッチンであるというのは、砺波店でも感じられました。
○山本部会長 この場合ですけれども、ユッケの保管と作業、調理という、そういうところは全部専用になっているのですか、それとも他のものと一緒に扱われているのですか。
○八幡参考人 ユッケは、まず、オープン前に最初に加工するということで、ユッケが最初、その後、他の肉ということで、作業台自体はユッケ専用が1つあるわけではありませんが、まな板に関しましては、どの店舗も必ずユッケ専用のまな板を使っております。まな板には青のピンが入っていまして、その青のピンが右の方に来るように置くということで、裏表が必ずわかるようにするというようなことは決まりでありましたので、まな板に関して、例えば交差汚染みたいなところはないようです。
 それから、最初にユッケを切るということですので、その段階でも交差汚染は、マニュアル上ではないというようなことを考えています。
○山本部会長 ありがとうございました。他にございますか。
 どうぞ。
○工藤委員 八幡先生のお話で、トレースで農場までお調べになるということですが、考えとして、その農場までさかのぼることというのは、あり得るのでしょうか。今、お話の中心は、加工場だとか、お店でということが中心ですが。
○八幡参考人 できたらしたいと考えておりますけれども、ただ、所管する官庁が農場になりますと、農林水産省になりますので、その辺でうまくいくかどうかというのは分かりません。ただ1つ望みとして思っているのは、警察の方が入られている可能性があるので、もし、警察でお持ちであれば、その辺を情報提供頂きたいということは考えております。
○工藤委員 先ほどおっしゃいました個体識別番号とか、そういうことの意味ですか、警察が持っていらっしゃるというのは、それではなくて、何か警察が疑いありということで、何か情報を持っていらっしゃるという可能性でしょうか。
○八幡参考人 そうです。識別番号ではなく、農場の中での何らかの、例えば検査をされているかもしれないということがあればという仮定の話ですので、もし、していなければ情報自体ないと思いますので、また、農林水産省の方のルートとかということになると思います。
○工藤委員 ありがとうございました。
○山本部会長 今の御質問は、検査をされているかとか、そういうことですか、それとも個体識別番号がありますので、農場の特定までは、通常はできるのですが、その中での状況ということですか。
○工藤委員 今回の汚染状況が、今、大体施設だとか、クローズアップされていますけれども、八幡先生のお話では、農場までのことがラインで書いてありましたので、そこまで視野を広げているのかということです。
 警察にお持ちの情報をということで、その中の1つに個体識別番号なども警察がお持ちというようなこともおっしゃったかと存じますけれども。
○八幡参考人 上から下までの中では、個体識別番号というのは、1つの重要な要素でして、それを基に農場というのもいけますので、その中で農場の検査などもされていたらということなので、両面という部分もあるかと思います。
○山本部会長 甲斐先生。
○甲斐委員 2点教えてください。1点は、今回、HUSの患者さんが非常に多かったわけですが、O111が検出された、あるいは抗体価の上昇が見られたのが30人中の27人、90%ということでしたが、O157の方はどうだったのでしょうか?HUSの患者さんからは検出されていないのですか、あるいは抗体価の上昇等は。
○八幡参考人 抗体価の上昇の情報は、O157に関しては、我々は持ち合わせていないので、もしかするとしているのかもしれませんが、警察の方でされてしまっている可能性があって、それで情報が来ない可能性というのもあるので、多分ですけれども、最初にやったのはO111の方のLPS抗体を測定したということで進んでいるので、それだけしか入ってきていないという状況です。
○甲斐委員 富山県が発表しました中間報告を見ますと、O111だけではなくて、O157も患者さんからかなり出ています。O111の方の情報ばかりが出てきていますが、O157がどうだったかということです。
○八幡参考人 数字的に、今、どれくらいというのは、言えませんが、O157も3分の1ぐらいはいらっしゃったと思います。
○甲斐委員 HUSの患者さんについてです。
○八幡参考人 HUSですと、157のみですと3名です。O111との両方で重感染している方ですと、3名ずつぐらいいたので。
○甲斐委員 O157オンリーが3名、O157とO111が3名、O111だけが引き算すると24名と考えたらよろしいでしょうか。
○八幡参考人 多分そうです。
○甲斐委員 どうもありがとうございます。それと、もう一点、今回の場合、非常に症状が重いというような特徴があると思うのですが、ユッケの中で菌を増やすような状況、店舗の中で、そのような状況というのはあったのでしょうか。
○八幡参考人 少なくともお話を聞いた中では、例えば1時間とか2時間とか放置されているというような内容のものではなく、数分の作業の中で切ったり、加工したりして冷蔵庫へ入れて、また、何らかの形で出す前に冷蔵庫から出てというようなことですので、例えば放置されて増菌作用があるというようなことではないと思います。
 あと、ユッケの肉を切るのに関しても、1日分大体30分以内ぐらいで終わるということで、それをお客さんとか、オーダーの量で違いますが、多いところは何回かに分けて作業するというようなことですので、増菌作用が加工の段階で頻繁に起きていたということは、余り考えられないのではないのかなという印象は持っております。
○甲斐委員 朝、ユッケを切るということですが、その器や何かは毎日あるいはその都度洗って新しいものが使われていたのですか、同じ器が繰り返し使われていたとか、そういうことはないのですか。
○八幡参考人 それは、お客さんに出す前か、それとも。
○甲斐委員 お店の中で肉を切って、ボールか何かに入れて、冷蔵庫に入れて、また次のお客さんが来たら、そこから取って提供していたのではないかなと思いますが。
○八幡参考人 具体的には、まず、切ったときにボールの中に入れるか、そうでなければ、長いトレーに入れて、それで一旦切り終わった段階で、今度は12食分にホテルパンの中に入れるというような作業をするというようなプロセスで行われています。
 そのときに、ホテルパンの上にしてもそうですけれども、それからボールにしても、アルコールをかけてラップを引いて、それで作業するというようなことですので、直接器との接触での汚染というのは、余りないような作業工程であるということと、あと、お客さんに出す前の段階での作業であれば、店舗によって若干ルールとか、あとオーダーによって若干ルールが違います。お客さんに出す前の混ぜ合わせる器具ですけれども、それは、3食分まで使っていいというふうにしている店舗もあります。
 例えばユッケのオーダーが4つ来た場合ですけれども、そのときには2、2に分けて使うと。それで使った後、洗浄するというようなルールでやっているところもあります。それから、1回、1回洗っているというようなところも、大体、総じてなんですけれども、オーダー数が多いところは複数回使っている、最大3回までですけれども、そういったようなことをしているような状況です。
○甲斐委員 ということは、お店そのもので菌を増やしたあるいはクロスコンタミネーションをしたというようなことは余り考えられない。むしろ、やはり元の肉が汚染されていた、あるいはそこでかなりの菌数に増えていたというように考えてよろしいのですか。
○八幡参考人 菌量が測定できていないので、実際、例えば店舗に来る前の加工施設で菌が多かったのかどうかというのは、ちょっとわからないので、その辺、何とも言い難いのですが、加工するプロセスの中では、菌は余り増えそうではないという印象は持っています。
○甲斐委員 ありがとうございます。
○山本部会長 小西先生、よろしいですか。
○小西委員 1つだけ確認ですけれども、先ほど、前処理を最初にしてしまう、そのときの時間と、それから、閉店までの時間は大体何時間ぐらいおありになって、その間は全部冷蔵庫に入っていると考えていいかどうかということを教えてください。
○八幡参考人 まず、平日ですけれども、平日に限って言いますと、大体3時にユッケの肉を切り始めて、それで30分ぐらいで終わって、開店時刻が5時か5時半辺りで、それで、閉店が多分12時だったと思います。ただ、賞味期限2日というルールがありますので、2日間は提供してもいいということで、切った日から翌日まで提供可能ということですので、それを考えると、35時間ぐらいは最大提供されていたような可能性はあるかと思います。
 土日に関しては、11時半にオープンというようなことで、ユッケの仕込み自体が店舗によって随分違う、聞いている店舗だけですが、9時から始めるところもあれば、11時ぐらいからというところもあるので、その辺はまちまちになります。
○山本部会長 よろしいでしょうか。それでは、ただいまの状況の御説明、それから調査の途中経過ということでしたが、続いて、食中毒事例を受けた行政側の対応ということで、事務局から御説明を頂きたいと思います。よろしくお願いいたします。
○事務局 座らせて頂いて御説明をさせて頂きます。
 先ほどお手元の資料1の2枚目にもございますように、食中毒の報告を受けまして、関係情報の集約、公表、それから八幡先生等の専門家の派遣等も進めてきたわけですが、併せて、(2)のところにもございましたように、緊急の監視、生食用食肉を取り扱う営業施設に対して、全国の施設に対して緊急の監視を行っております。
 それから「また」のところにございますが、1つ目のポツで、生食用の適切な加工を行っている施設については、店内に掲示をすること。
 2つ目のポツになりますけれども、業者間の取引で生食用の加工をどちらが行ったのか、もしくは行っていないものなのかということが明らかにわかるように文書で確認をするように通知を出しまして、自治体での指導をお願いしたというところでございます。
 お手元の参考資料の1-2が5月5日に通知をしております緊急監視の実施。それから、参考資料の1-3が店内掲示と文書による確認ということで、自治体に指導をお願いしたというものでございます。
 その結果についてですが、資料2を御覧ください。6月14日にとりまとめまして、その結果を公表しております。
 生食用食肉を取り扱う施設に対する緊急監視の結果についてというものでございます。1、2番のところから御説明させて頂きますが、生食用食肉を取り扱っている施設については、1万9,856施設あったということです。
 2番に参りまして、このうち、衛生基準通知に適合している施設というものが1万405施設、約52%であった。
業種別に見ますと、飲食店営業で約48%。それから、食肉処理業で65%、食肉販売業で64%であったということです。
 3番に参りまして、衛生基準通知に適合していなかった施設についてですが、どういう点が適合していなかったかという点を項目別に見ますと、自主検査が実施されていないという施設が最も多くて85%。それから、器具の洗浄消毒に83℃以上の温湯が用いられていないという施設が51%。トリミングが適正に行われていないという施設が約33%あったということでございます。
 4番に参りまして、指導でお願いをしている店内の掲示を行っている施設、これは飲食店営業のうちということになりますけれども、掲示をしていた施設が62%、それから業者間の取引において、文書による確認をしていた施設が約70%であったということでございます。
 次のページを御覧ください。これらの結果を踏まえまして、記載の点につきまして、各自治体に要請をしております。
 1番の(1)になりますけれども、衛生基準通知に適合していなかった施設については、取扱いを中止するように指導しておりまして、そういった施設については、きちんと衛生基準に適合していることを確認した上で、再開をすると。
 (2)番になりますけれども、生食用食肉を取り扱っている施設については、引き続き夏期の一斉取締り等において徹底されるように指導をすると。
 (3)になりますけれども、店内の掲示であるとか、文書による確認ですとか、これらについても引き続き指導をしていくと。
 2番になりますけれども、従前から厚生労働省といたしましても、政府広報等を通じて行ってきたところですが、この衛生基準に適合した食肉であっても、子どもや高齢者、抵抗力の弱い方々が生の肉を食べないように、周知を引き続き行っていくということをいたしております。
 3ページ以降は、それぞれの結果の詳細になっております。
 先ほど申し上げました、緊急監視の結果を受けました通知が、参考資料の1-4に添付をいたしております。
 説明は、以上でございます。
○山本部会長 ありがとうございました。ただいまの御説明に関しまして、何か御質問、御意見等ございますでしょうか。
 どうぞ。
○寺嶋委員 この食肉処理業と食肉販売業というのは、いわゆる一般の生肉店みたいなところというのは、食肉販売業になるわけですね。
○事務局 はい。
○寺嶋委員 それで、1ページ目の3番にありますように、自主検査が実施されていない施設が最も多く85%というふうになっていますけれども、この自主検査というのは、規格基準の、大腸菌とかサルモネラを調べるという、そういう検査ということですね。
○事務局 そうです。
○寺嶋委員 そうすると、それはお肉屋さんでは、そういう検査は普通やらないと思いますが、そういうのを含めて85%ということでしょうか。
○事務局 はい、そうです。確かに御指摘のとおり、お肉屋さんも難しいでしょうけれども、飲食店もなかなか難しい点も多々あろうかと思いますが、そういった点も全部含めて85という数字になっております。
○山本部会長 この調査では、生食用の食肉を扱うのが1万9,000施設程度あって、その中には、食肉販売業である、いわゆるお肉屋さんも生食用肉を扱っているという範疇に入っているのですか。
○事務局 はい、そうです。
○山本部会長 そこから買って生食するということを一般の人がやる可能性があると、そういう考え方でしょうか。
○事務局 参考資料の1-1に平成10年のときの生食用食肉の通知がございますが、ここの3ページに食肉処理場といたしまして、食肉処理業であるとか、食肉販売業について生食用食肉の取扱いの規定がされています。
 一番下に(3)として飲食店営業についても、次ページになりますけれども、その取扱いについて規定がされていて、これらの処理をしていると、勿論、していなかったところがだめというふうに挙がってきているわけですが、しているという施設が、まず、数として挙がってきているということです。
○山本部会長 今村先生、どうぞ。
○今村委員 1つ教えてもらいたいのですが、今回、飲食店と食肉処理業を調べていますけれども、もう一つ、と場もこれの対策の中に入っていたと思いますが、と場、確かに通知で見たら、現在のと畜場法は守られていることという規定だと思うのですけれども、その守られているかどうかという観点から見たときに、守られている実態がどれぐらいあるかというのは、調べられているのでしょうか。
○事務局 今回の調査では、特にその点については調査をしていません。と場法もしくは施行規則に基づいて当然、規定をされているわけですから、それぞれの食肉検査場の職員等が取り締まり、監視を行っております。今回は、特に平成10年のものが指導通知であったという点、御指摘も頂いておりまして、それらが十分に行き渡っているかどうか、また、逆に徹底をさせることも含めまして、調査、それから指導を行ったということでございます。

○監視安全課長 と畜場については、と畜検査員、これは県、市の職員ですけれども、これは毎日検査に行っております。そこで施設がおかしければ、今日は検査できませんよという話になりますので、そこはと畜場法施行令、施行規則に則って間違いなくやっているということです。他の飲食店とかというのは、毎日行っているわけではないので、そこが違うと思います。
○今村委員 と畜場の検査場、私、自分自身が持っていたことがあって、平成12年の改正の際に、なかなか難しい改正を行って、非常に実施が困難だなという印象があって、では、実際にあの改正がどれだけ現場で施行されているのかということを確認ができるのかなと思っております。
○監視安全課長 12年の3月31日がその牛、馬の経過期間でしたが、その直前までなかなかやっていなかったところも確かにございました。しかし、3月31日に完備していないと、4月1日からは使えませんよということで、強力に指導した結果、4月1日には何とか間に合わせたという現状です。
○今村委員 できているということ。
○監視安全課長 できています。
○山本部会長 よろしいですか。では、どうぞ。
○白岩委員 現場の方も担当しています。それで生食用食肉を取り扱う緊急監視の結果の最後に、子どもや高齢者とか抵抗力の弱い方々について書いておりますが、現実的には、こういった方々でなく、30代とかそういった方々も今回のO111とかを発症しているわけですので、そこら辺をこれから、国もそうですし、私たちもですが、要は生食というのは、生で肉は食べるものでないということを消費者の方にも理解してもらうような形に進めていけるような、そういった文言にしてもらえばいいなと思っております。
 そこら辺について、いかがでしょうか。
○山本部会長 そういう御意見ということで承っておきたいと思います。今後どういう形の規格基準にしていくのかというときにも関わってきますので、それは一緒に御検討して頂くということにしたいと思いますけれども、何か事務局、特にありますか。検討するということで、よろしいですね。
 では、どうぞ。
○阿南委員 確認したいのですが、再開する際には、基準に適合していることとありますが、この基準というのは、新しくできる基準ととらえていいのでしょうか。
○事務局 現在は、平成10年のものということになります。当然新しいものができれば、もしくはその検討段階でそれらのものについて大筋のものができてれば、徐々にそれはシフトしていくということもございますし、ただ、今の時点で申し上げれば、衛生基準の通知しかございませんので、それに沿ったということになります。
○阿南委員 では、経過期間という形になるのですね。基準を新しく作っても、どれくらいかかるかちょっとわかりませんけれども、それまでの間は、今までの基準に合致していれば再開できるということになるのですね。
○事務局 新しい基準ができた後ということですか。施行期間の間ということですか。
○阿南委員 新しい基準ができるまでは、前の基準でやるということですね。
○事務局 現時点においては、10年の通知しかございませんので、それに沿った形ということになりますが、何らかの基準の案とかがある程度固まってきた段階では、徐々にそれにシフトしていく、その内容によっても、それはもともと指導通知ですので、それらについては、検討していかないといけないと思っています。当然その中身に応じて、そちらの方に徐々にシフトする必要があれば、それはしていかないといけないと思います。
○山本部会長 よろしいですか、ちょっとわかりにくいかもしれませんが、できるまでの間で、ある程度固まってくるものがあれば、通知を出してでも早急にやらせるべきことはやらせると、そういう趣旨だと私は理解していますが、よろしいですか。
○阿南委員 では、先ほど消費者への周知ということについてですが、2番に出ております。ここはこういう周知も必要ですけれども、やはりもともとそのリスクがあるということをちゃんと知らせるということと、扱い方ですね。つまり、飲食店なんかに行ったときの食べ方などについてもしっかりと掲示をするように指導をした方がいいと思います。
○山本部会長 その辺も含めて、議論をして、どういうリスコミをしていくのかというのは大事だと思いますので、しっかりと部会で議論していただければと思いますが。とにかくこれから生肉というか、肉における危害の話も今日の間にちょっと議論して頂きたいので、その辺を考えていただければと思います。
 他にございますでしょうか。では、現状とそういう食中毒事故に対応した行政の対応ということで御説明頂きました。
 続きまして、議論を規格基準の検討に移っていきたいと思います。
 まず、事務局から御説明をお願いいたします。
○事務局 それでは、資料3-1に基づきまして御説明をさせて頂きたいと思います。
 「生食用食肉に係る安全性確保対策について(案)」でございます。
 まず、1の経緯から説明をさせて頂きます。
 生食用食肉等の安全確保でございますが、既にお話に出ておりますとおり、衛生基準が平成10年9月、当時の食品衛生調査会、今の薬事・食品衛生審議会でございますけれども、こちらの答申を受けまして、事業者における適切な衛生管理を都道府県等を通じて指導してきたということでございます。
 それで、本年4月に発生いたしました食中毒の発生事例を受けまして、この衛生基準につきまして罰則を伴う、強制力のある規制が必要と判断いたしまして、10月の施行を目標に規格基準の設定について検討を進めることとさせて頂いております。
 それに当たりまして厚生労働大臣から薬事・食品衛生審議会の会長あてに、6月24日付で諮問をさせて頂いたという経緯でございます。
 それでは、この衛生基準の内容につきまして、簡単に御説明をさせて頂きたいと思います。
 参考資料の1-1と2を併せて御覧いただければと思います。
 まず、参考資料の1-1でございますが、衛生基準検討の経緯、これが衛生基準の通知でございますけれども、これに記載されてございまして、平成8年にレバーの生食による腸管出血性大腸菌O157による食中毒が発生したということで、レバー等食肉の生食を避けるように消費者と関係事業者に対しまして指導をお願いしてきたところでございます。
 その後でございますけれども、レバー等を生食することが国民の食生活の一部に定着しているということもございまして、消費者が安心してこれらを食することができるよう、平成9年6月に厚生労働大臣から食品衛生調査会に規格基準の設定について諮問をいたしまして、平成10年9月に答申があったということでございます。
 その内容でございますが、2ページ「生食用食肉の衛生基準」ということでございます。
 まず、1つ目、生食用食肉の成分規格の目標でございますけれども、牛又は馬の肝臓または肉であって生食用食肉として販売するものを対象としまして、糞便系大腸菌群とサルモネラ属菌が陰性でなければならないという成分規格目標を設定してございます。
 根拠といたしまして、参考資料の2の3ページを御覧いただければと思います。
 右上に資料1と資料番号が入っているのがございますけれども、こちらが平成10年の8月の食品衛生調査会の乳肉水産食品部会で御審議を頂いた際の資料でございます。
 こちらが19ページまでございまして、まず、危害評価を行って頂いているところでございます。
 この危害評価に当たりましては、食中毒の発生頻度とか、重篤性を考慮いたしまして、問題となる微生物の評価が行われているところでございまして、危害として、牛肝臓、牛刺しについては、腸管出血性大腸菌他3つの微生物、当時評価された際には、これ以外の微生物についても検討が行われたと承知しておりますけれども、結果として、例えば牛の肝臓、牛刺しについて検討いたしました結果、この4つが残っておりまして、一番右側の検査法でございますけれども、E.coli、糞便系大腸菌群でございますが、こちらとサルモネラ属菌で管理をすれば、カンピロバクター、それからリステリアも含めてコントロールをできるのではないかという評価がされたということでございます。
 資料を2つ並べて説明させて頂きますので、また、資料1-1の2、衛生基準の生食用食肉の加工等基準目標というのが2ページにございますけれども、こちらについて御説明させて頂きます。
 まず、と畜場における加工でございますが、先ほどもお話が出ておりましたが、まず、一般的事項といたしまして、生食用食肉を出荷すると畜場については、と畜場法の規定に合ったものでないといけない。これは、生食用食肉だけでなくて、食肉を出荷すると畜場についてはこのと畜場法施行令第1条、これはと畜場の構造設備の基準でございます。それから、と畜場法施行規則の第2条の2というのは、今の3条でございまして、と畜場の衛生管理、それから第2条の3は、今の7条でと畜業者等の講ずべき衛生措置ということで、これに適合していなければいけないということでございます。
 続きまして、イの肝臓の処理のところでございますが、参考資料2の5ページから9ページまでにレバーの加工、それから保存の方法について検討が行われておりまして、これに基づきまして、この肝臓の処理の規定について設けられているということでございます。
 ただ、これは平成10年に衛生基準の通知ができていますけれども、その後、平成17年にカンピロバクターが肝臓の内部を汚染するという知見が得られていますので、後ほど改めて御説明させて頂きますけれども、この処理をしたとしても、生食をすることは難しくなってきているという状況でございます。
 続きまして、3ページの(2)食肉処理場、それから参考資料1-1の衛生基準の食肉処理場と、その下の方の飲食店営業の営業許可を受けている施設における調理の部分でございます。
 こちらにつきましては、参考資料の2の11ページでございますけれども、右肩に資料4-1というところがございますが、こちらにおきまして、トリミングの効果や調理器具の消毒方法等について検討が行われてございます。
○山本部会長 根拠資料がちょっと、皆さんフォローできていないみたいです。
○事務局 済みません、参考資料2の11ページでございます。
○山本部会長 右肩に資料4-1と書いてあるものですね。参考資料の2の11ページ、よろしいですか。
○事務局 馬刺しの衛生処理の検討というものでございます。馬肉を用いまして、トリミングの効果についての検討が行われたとものでございます。
 調査対象といたしまして、食肉としましては、大ブロック肉、枝肉から外したままの大きな肉塊、それから中ブロック肉、大ブロック肉を分割したもので、筋膜やスジが付いている状態、さらに小ブロック肉で、中ブロック肉の筋膜やスジ等を取り除いて処理し、生食に加工した製品、200から300gのブロック、マグロでいえば、冊の状態のようなものということで検討をしてございます。
 その調査結果は、2のところにございますけれども、2つの処理場におきまして、処理場の例えばAでございますと、大、中、小と処理していくにつれて、E.coliが陰性になっていっていると、処理が進むにつれて少なくなっている。O157はすべてについて陰性であったと。
 一方、処理場Eにおきましては、大、中、小ということで、大より中ブロックの汚染が高いとか、小ブロックでも1検体E.coliが陽性だったというような結果もございます。O157につきましては、こちらも陰性だったということでございまして、この考察が?にございますけれども、大ブロック肉については、表面は枝肉と同様に皮下脂肪が付いている状態なので、その表面はと畜解体時の汚染が残存している状態であろうと。
 イとしましては、馬刺しの衛生を確保するには、大ブロック表面汚染が中ブロック、それから小ブロック肉を二次汚染することを確実に防止しなければならない。
 ウといたしまして、作業台、包丁等の調理器具、作業台ブロック肉の処理工程ごとに区分し、調理器具や手指の洗浄、消毒を徹底することが必要だということでございます。
 12ページに参りまして、右肩に4-2と書いてある資料でございますが、中ブロック肉の大腸菌、E.coliの汚染状況について検討が行われているのが、この結果でございます。
 結果と考察を併せて御覧いただければと思いますけれども、こちらは1回目、2回目というふうに検査をしておりまして、1回目、2回目でE.coliが検出された4処理場に対し、手指や調理器具の洗浄、消毒、調理器具の使い分けの徹底を指導したところ、3回目ではかなり改善が認められておりまして、4処理場中の3処理場で、すべての検体が陰性という結果になってございます。
 Eの処理場についても指導を行ったところ、効果は出ているという結果でございますが、更に徹底しないといけないということでございます。
 ウでございますが、Cの処理場はすべての結果が陰性であったということで、こちらの方は他の処理場と比べて剥皮作業時に水をかけないとか、熟練した作業員による丁寧な仕事ぶりには定評があるところで、結果としてもよかったということでございます。
 (3)につきましては、まな板、それから包丁の拭き取り検査の結果でございますが、2つの処理場で、まな板、包丁の拭き取り検査を作業前、作業中、作業後に実施をした結果が、13ページにございます。
 結果につきましては、表に記載がございますが、包丁につきましては、汚染は大きな増加はなかったということで、大腸菌群やE.coliの汚染もなかった。
 まな板は、100倍程度増加しているような結果もございますし、大腸菌群とかE.coliの汚染も見られたということでございます。
 続いて14ページでございますが、馬刺しの汚染原因としましては、特にまな板の衛生状態が大きな要因を占めていたということ、それから従事者の手指についても同様と考えられたということでございます。
 (4)につきましては、器具の消毒方法の効果の比較でございます。こちら、熱湯、温湯につきましては、消毒がかなり達成できている、効果が確認できているということですけれども、アルコール噴霧のみでは十分な効果が期待できない。次亜塩素酸ナトリウムの噴霧でも効果が出なかったということでございます。
 (5)でございますが、先ほどの(2)で改善が余り見られていなかったというE業者がございましたけれども、こちらについて、アからウに関する3点の改善を指導したということでございまして、そうしましたところ、15ページに参りまして、小ブロック肉、検体数が1つしかございませんが、陽性検体数がなくなったという結果です。結論といたしまして、3の結論でございますけれども、適正で確実な消毒を徹底する。それから、調理器具と作業台を工程ごとに分けるとか、それから衛生的なトリミングを行う、これらのことを確実に行えば、衛生的な馬刺しが提供できるということで結論づけられてございます。
これを踏まえまして、先ほどの資料1-1の3ページに規定がございます、衛生基準が設定されたということだと承知をしております。
 続きまして、参考資料2の21ページでございますが、こちらが当時の食品衛生調査会から厚生労働大臣への答申書、今、御説明させて頂いた議論を踏まえた答申書でございまして、記に記載されておりますけれども、生食用食肉の衛生基準、先ほどの参考資料の1-1ですけれども、こちらが諮問としては規格基準の設定について諮問をしたということでございますが、答申としましては衛生基準に基づいて安全性を確保することが適当であり、加工等の方法については、今後も科学的な知見の集積を図り、その他の方法についても検討すべきであるとされております。これが強制力のある規格基準でないということで、先程の参考資料1の規定に適合していないからといって、規格基準違反にならない状況のものを、これをベースにこれから規格基準の設定について御検討をお願いしたいということでございます。
 以上でございます。
○山本部会長 ありがとうございました。それでは、ただいまの御説明につきまして、御質問、御意見はございますでしょうか。資料が膨大でしたので、ちょっとフォローしにくい部分もあったかと思いますけれども、現在の衛生基準ができ上がった経緯ということで御説明頂きました。
 どうぞ。
○阿南委員 このときに、必ずしも衛生基準に強制力を持たせたものにはしなかったということですね。でも、先ほどの事業者の調査によりますと、かなりの数のところが徹底されていなかったということでした。それは、強制力を持たなかったから徹底されなかったのか、どのように考えているのかお伺いしたいのですが。
○山本部会長 これは、監視安全課になるのでしょうか。考え方として。
○監視安全課長 その分析は、我々としては正式な分析はできておりません。いろいろとマスコミ等あるいは報道等で焼肉のチェーン店の人たちも知らなかったというような、実際にこの衛生基準があったこと自体が知らなかったというような御回答がありますけれども、果たして強制規格というか、11条に基づく基準でなかったから徹底されなかったのか、それともこの衛生基準であっても、もう少しやり方があったのか、そこのところは実験ができませんので、何とも言えないところです。
 ただ、1つ私の経験から言わせていただければ、平成10年の衛生基準を設定した当時は、かなり守られていたというふうに記憶をしています。
 というのは、それまでが全面的に禁止という、これも行政指導ですが、一切の生食を禁止というような行政指導をしておりました。この衛生基準ができて初めて解除されたというような状況だったので、その当時としては守られていたと。その後、10年以上経ってきたところで、先ほどの御報告のような、半分というような状況になったのかなと思っております。
○山本部会長 阿南先生、どうぞ。
○阿南委員 そうしますと、この衛生基準を審議して決めた時には、それが守っていけるだろうと判断されたということなのですね。要するにそれまでは禁止していたけれど、ちゃんと科学的な基準を設定して、それを守りながらやっていれば食べられるという判断をしたと捉えていいのですね。
○監視安全課長 はい。
○阿南委員 わかりました。
○山本部会長 他にございますか。どうぞ。
○松田委員 参考資料2の21ページから前回の答申書があって、今、最後におっしゃっていましたが、諮問は設定についてだけれど、答申は必ずしも基準の設定はしていないというお話かと思ったのですが、次の22ページのところで、1番に生食用食肉の成分規格目標というのがあります。この目標という言葉の理解は、どのように、要するに規格基準ではないということでしょうか。できれば、こうしなさいという形ですか。
○事務局 この結果が参考資料1-1でございますので、こちらはガイドラインというか、指導という形になります。規格基準ではございません。
○松田委員 あくまで目標ですか。
○事務局 目標です。
○山本部会長 他によろしいですか。では、これまでの経緯という形で御説明を頂いたわけですけれども、更に資料3-1について説明はございますか。
○事務局 そうしましたら、資料3-1につきまして、続けて御説明をさせて頂きたいと思います。
 「2.食肉の生食について」でございます。こちらにつきましては、先ほどから、議論を頂いているところでございますけれども、1パラ目につきましては、従前から政府広報等を通じて若齢者、高齢者の他、抵抗力が弱い方に生食をさせないようという注意喚起をしてきたということでございます。
 それで、これから規格基準の検討をして頂くに当たりまして、なお書きのところでございますけれども、腸管出血性大腸菌やサルモネラ属菌は、もともと家畜の腸内に存在するということで、食肉の加工や調理におきまして、これらの微生物を完全に除去することは困難であると。現行のトリミング等についても困難ということでございます。
 すなわち、リスクをゼロにするということは難しいであろうということでございますので、規格基準を設定するということではございますけれども、それに関わらず、引き続き生肉を食べさせないよう、若齢者、高齢者などの抵抗力の弱い方、ここは先ほどから御指摘を頂いていますけれども、こういった前提で規格基準の御検討を頂くことになると考えているところでございます。
 続きまして、3の規格基準の検討でございますけれども、今回、規格基準の設定の検討に当たりまして、検討が必要と考えられる事項を整理させて頂いているところでございます。
 1つ目でございますが、規格基準の対象となる動物・部位でございます。
 衛生基準におきましては、牛及び馬の食肉と肝臓、レバーを対象としてございますけれども、先ほど御説明させて頂きましたように、健康な牛のレバーと胆汁中のカンピロバクター汚染、2ページ目に参りますが、それに関する知見が得られているという状況でございます。
 また、牛レバーを原因とする腸管出血性大腸菌の食中毒が多く発生しているということでございまして、衛生基準に適合するものであっても、生食用としての提供は控えるよう、飲食店、特に焼肉店に対して指導をしているところでございます。
 このため、今般の規格基準設定の検討につきましては、衛生基準が設定されているものの中で、牛と馬の食肉を対象とするということでいかがかと考えております。
 牛のレバーにつきましては、少々関係資料を整理する必要がございまして、それをして速やかに検討を開始したいと考えてございまして、それまでの間につきましては、できるだけ牛レバーの生食を控えるように周知徹底に努めていきたいと考えております。
 また、馬のレバー、鶏肉についても順次検討をしていきたいと考えてございます。
 なお書きですが、豚の食肉及びレバーや内臓、生食が一般化していないようなものについては、生食をやめてもらうように広報に努める必要があると考えてございます。
 (2)番に参りまして、規格基準の対象となる微生物でございます。
 衛生基準におきましては、成分規格目標として糞便系大腸菌群とサルモネラ属菌を陰性としてございますが、今回の規格基準設定の検討に当たりまして、枝肉や食肉の汚染実態、それから過去の食中毒事例等を踏まえて、改めて整理を行う必要があると考えてございまして、本日、この後に御議論を頂きたいと考えてございます。
 3番目、4番目につきましては、次回の合同部会で御議論をお願いしたいと考えてございますけれども、微生物に係る規格基準の設定の検討に当たりましては、コーデックス委員会、国際基準を策定しているところでございますけれども、こちらから2つのガイドライン、食品中の微生物規準の設定と運用に関する原則、それから微生物学的リスク管理の実施に関する原則及びガイドラインというものが出されておりまして、微生物学的なリスク評価の利用、それから食品中の数的指標と公衆衛生の指標を関連づけることが必要になってくるというようなことでございますけれども、この辺りについても検討していかないといけないということでございます。
 これにつきましては、次回の合同部会で御議論頂くこととしておりまして、今日、出席を頂いております春日先生に整理をお願いさせて頂いているところでございます。
 (4)に参りまして、規格基準として規定する事項でございますけれども、腸管出血性大腸菌につきましては、1人当たり2~9個の菌の摂取でも食中毒が発生した事例があることが示されておりまして、先ほども衛生基準検討の際の資料につきまして御説明させて頂きましたけれども、トリミングとかいろいろ衛生を徹底しない限り、なかなか微生物汚染を完全に除去することは困難であるという状況を踏まえまして、食肉の微生物汚染を、食肉の表面を加熱することによる低減効果についての試験を現在実施して頂いているところでございます。本日御出席の朝倉先生を中心に御検討をお願いしているところでございまして、こちらの結果を踏まえまして、規格基準として規定する内容について、次回の合同部会で御議論いただければと考えているところでございます。
 説明は、以上でございます。
○山本部会長 ありがとうございました。今回の対象ということで、御説明がありまして、生食用としては検討するのは、牛、馬の食肉を検討しようということ。もしくは、レバーについては、牛のレバーは内部汚染の問題を検討しなければいけないということもありますし、緊急の対策という観点から規格基準を設定するというところではなくて、もう少しレバーの生食を控えるような通知で、まずは緊急に対応を求めていくと。
 その他のレバー、鶏肉等については、順次、これから検討していきますが、豚肉とレバーについては食べないようにということを徹底していくような方向で持っていくのがどうかということですね。
 それで、衛生基準において、糞便系大腸菌群及びサルモネラ属菌を対象ということで、微生物については、この2つを陰性という規格を設けるわけですけれども、今回、新たに何か加えることがないのか、それとも対象とするものをどう考えたらいいのかというのは、本日、御検討頂きたいということでございます。
 それが決まりますと、規格の話と、それから衛生管理基準というんですか、そういうものについては、次回議論を行いたいということになっております。
 ということで、何か今の御説明に関しまして、追加することがございましたら、御発言はありますか。御意見、御質問等ございますか。
 どうぞ。
○阿南委員 3番の(1)の牛レバーの取扱いですけれども、追って検討していくということで、当面は食べないように、控えるようにということで努めるということですが、私は、ここは、牛生レバーの販売を当面禁止というふうにはっきりと言うべきだと思います。
 その上の、1行目から、衛生基準に適合するものであっても提供は控えるよう、飲食店に対して指導していると述べているのですから、販売してはいけないとはっきりと言うべきだと思います。
○山本部会長 では、事務局で、次回までにまたその件につきましても、とりまとめて頂いて、議論の対象ということでよろしいですか。どういうふうな扱いができるのかというのも、行政上の問題がありますので、それは、事務局で次回までに検討して頂くということにしたいと思います。
 他にございますか。どうぞ。
○林谷委員 3番の規格基準の検討の(1)番で、今回の規格基準の検討については牛及び馬の食肉のみを検討対象にすると書いてありますけれども、最後のところに、馬のレバー及び鶏肉もあります。この鶏肉の扱いは、ここでは検討するのでしょうか。それとも今回は検討しないのですか。
○山本部会長 今回の対象としては扱わないで、検討は当然しなければいけないので、順次検討していきますけれども、今回、緊急に規格基準をつくるという対象としては、今のところ考えているのは、牛、馬を対象としたらどうかということを考えている。牛、馬の、これから危害の評価の話になってきますので、それを見た上で、また、中身についてもう少し議論をしていただければと思います。
○林谷委員 牛のレバーについては検討するのですか。
○山本部会長 牛のレバーについては、今回の検討対象からは外しておりました。
○林谷委員 わかりました。
○山本部会長 ただ、今、阿南委員から、そうであれば禁止にしたらどうかという行政上の扱いの話が出ましたので、それについては事務局で考えて、次回まででよろしいですか、それとも、この中で、そういう意見が出たということで。
○監視安全課長 答申の最終的な結論の中に、そういうものをどんどん附帯決議というか、そういう形で入れていただければと思っています。
 ですから、ここで議論して、そして合同部会としてこういう意見だということで頂ければ、我々としてはそれを受けてアクションを起こすということになろうかと思いますが、1つだけ確認で、阿南先生のお話のレバー禁止というのは、生食用ということですね。
○阿南委員 そうです。
○山本部会長 それでは、部会の意見として、附帯事項といいますか、そういう答申の形にしたいと思いますが、よろしくお願いいたします。
 他にございますか。それでは、ちょっと時間も過ぎておりますので、今回、そういうことであれば、今のところ牛、馬の食肉についてということで検討を考えるわけですけれども、次に危害評価の議論をしていきたいと思います。
 事務局から資料3-2に基づいて御説明をお願いしたいと思います。
○事務局 資料3-2を御説明させて頂きます。
 生食用食肉で、今、牛と馬ということで御紹介頂きましたが、牛、馬における危害評価の(案)でございます。
 平成10年の生食用食肉の衛生基準策定については、先ほど御説明させて頂きましたが、糞便系大腸菌群及びサルモネラ属菌を指標として管理することが適当であると評価されてございます。
 今般の規格基準の検討に当たっては、牛及び馬における危害要因、枝肉、市販の食肉等における汚染実態及び生食用食肉に由来する食中毒事例について整理を行いました。
 まず、危害となり得る病原体でございます。食肉の危害となり得る病原体は、食品衛生法第13条に基づく総合衛生管理過程の承認基準における食肉製品の食品衛生上の危害の原因となる物質、国際食品微生物規格委員会(ICMSF)が刊行した「MICROORGANISMS IN FOODS 6 SECOND EDITION」の食肉を汚染する病原体及び文献、参考資料4になりますが、こちらから抽出を行いました。
 牛と馬に分けて記載させて頂いておりますが、腸管出血性大腸菌、サルモネラ属菌、カンピロバクター・ジェジュニ/コリ、リステリア、黄色ブドウ球菌、クロストリジウム属菌、セレウス菌、寄生虫と記載しております。
 牛と馬の違いにつきましては、馬にエルシニア・エンテロコリチカを追加しているというところが大きな違いで、更に寄生虫については、牛と馬で若干異なっております。牛については、ザルコシスティス・ホミニス、無鉤条虫、トキソプラズマ、馬についてはトリヒナ、ザルコシスティス属、こちらが危害要因となり得る病原体ということでございます。
 続きまして、2番の食肉及びその加工品による食中毒事件の発生状況でございます。
 平成18年から平成22年における細菌性食中毒の発生状況は、次のページになりますが、表1に示すとおりでございます。
患者数が多い順にカンピロバクター・ジェジュニ/コリ、ウエルシュ菌、腸管出血性大腸菌となっております。
 生食用食肉、牛と馬ですが、それによる食中毒事件は平成10年から平成22年において原因食品、これは推定も含みますけれども、原因食品が判明しているものは9件でございます。
 牛肉についてはサルモネラ、馬肉では不明が最も多くなっております。
 畜種不明のものでありますけれども、ユッケでは腸管出血性大腸菌によるものが最も多くなっております。
 この平成10年から22年における期間においては、生食用食肉ではブドウ球菌ですとか、ウエルシュ菌による食中毒事件は発生していない状況でございます。
 こちらについては、表2にまとめさせて頂いております。表2を御覧頂きますと、生食用牛肉について、カンピロバクターの事例が出ておりますけれども、この原因食品は複合食品となっておりまして、ユッケと牛刺しということになっております。
 ユッケにつきましては、畜種が明確ではなく、牛のユッケがどうかというのはわからない状況でございます。
 併せて馬刺しのカンピロバクターにつきましても、複合食品が原因となっておりまして、ユッケと牛生レバーと馬刺しという組み合わせですので、馬刺しそのものが原因食品かというところは明確にはなっておりません。
 続きまして、3番の市販食肉等の汚染実態でございます。
 平成11年度から平成22年度、厚生労働省が実施した調査の結果を表3に示しております。
 表3を御覧頂きますと、大腸菌及びサルモネラは牛肉及び馬肉ともに検出されていますけれども、サルモネラの検出頻度は、いずれも非常に低くなっております。
 表3を御覧頂きますと、サルモネラについては、馬肉は2件、牛肉につきましては、生食用と思われるものと加熱加工用と思われるものを分けてみましたが、牛刺し、牛たたき等でサルモネラが若干出ているのですが、それは加熱加工用、下の方にあるものと比較すると、かなり検出頻度は低いのではないかと考えられます。
 戻りますが、腸管出血性大腸菌O157、O26とカンピロバクターについては馬肉では検出されていない状況です。牛肉につきましては、カンピロバクターがミンチ肉、こちらで1件検出されております。
 続きまして、平成18年から平成22年の5月における輸入時の検査結果ですけれども、こちらは表4になりますが、生食用の馬肉は、糞便系大腸菌群、腸管出血性大腸菌及びサルモネラ属菌が検出された事例はございません。
 この期間においては、牛肉の生食用については輸入実績はありませんでした。また、腸管出血性大腸菌、サルモネラ属菌及びカンピロバクター・ジェジュニ/コリについては、表5から表7-2及び表11から表11-4に牛肉と馬肉、それぞれ示しております。牛肉については、いずれの病原体も検出されておりますけれども、馬肉からはいずれも検出されていない状況でございます。
 表がかなりたくさんになっておりまして、若干見にくいところは申し訳ございません。
 それ以外、今、掲げました腸管出血性大腸菌、サルモネラ属菌、カンピロバクター・ジェジュニ/コリ以外の細菌の汚染実態については、牛肉については表8-1から表10に示しております。これは、4ページ、5ページになってございます。非常にデータが少ないという状況でございます。
 続きまして、6ページになります。牛の生体と枝肉等の汚染実態でございます。牛の生体、糞便になりますけれども、それにおける腸管出血性大腸菌、サルモネラ属菌及びカンピロバクター・ジェジュニ/コリの保菌と枝肉の汚染状況については、表12から表15-4及び表16から表18にございます。いずれについても保菌ですとか汚染が認められております。また、他の細菌の汚染実態につきましても、表15-5及び表19に示しております。
 続きまして、10ページでございます。馬の生体と枝肉における汚染実態でございます。馬の生体における腸管出血性大腸菌、サルモネラ属菌及びカンピロバクター・ジェジュニ/コリの保菌と枝肉の汚染状況については、表20から表22のとおりでございます。
 我が国では、腸管出血性大腸菌の保菌は認められておりません。枝肉の腸管出血性大腸菌とサルモネラの汚染も認められておりません。カンピロバクター・ジェジュニ/コリにつきましては、枝肉に汚染が認められるという事例が表21に記載してございます。
 一方、海外の文献においてでございますけれども、馬については、エルシニア・エンテロコリチカやトリヒナについて、汚染が重要であるけれども、カンピロバクターや腸管出血性大腸菌の汚染はまれであるという報告がございます。こちらは、参考資料4として、文献をそのまま添付させて頂いております。
 更に、我が国では寄生虫の問題が馬刺しで発生しておりまして、原因不明食中毒に関与しているということが強く示唆されたところでございます。こちらにつきましては、今後も事例の収集に努めて、疫学的な全体像を明らかにすること、病因学的メカニズムの解明が重要であるとの提言が、本年6月に合同部会でとりまとめられたところでございます。こちらの提言につきましても、参考資料5として添付させて頂いております。
 次に、11ページになりますけれども、6番の危害評価のまとめでございます。
 2から5までのデータから生食用食肉、牛と馬の危害となり得る病原体についてまとめてございます。
 (1)ですが、牛について、腸管出血性大腸菌の保菌ですとか、食肉への汚染が認められてございます。生食用食肉による食中毒事件も平成10年から22年までに1件報告されています。
 サルモネラ属菌につきましては、保菌、食肉への汚染は腸管出血性大腸菌より少ないものの、生食用食肉の市販流通品の汚染が認められております。平成10年から平成22年までに食中毒事件も3件報告されています。
 カンピロバクターにつきましては、保菌実態はありますが、食肉の汚染率は低く、食中毒事件は、平成10年から22年までに1件報告されております。
 先ほども御説明いたしましたけれども、この1件につきましては、ユッケ、牛刺しの複合食品であり、明確にユッケが牛肉だという記載がありませんでしたので、明確に牛肉が原因かというところは明らかではないという状況でございます。
 (2)の馬についてでございます。腸管出血性大腸菌の保菌に関する国内のデータは認められておりません。馬刺しにおいても汚染は確認されていませんで、平成10年から22年までに食中毒事件も報告されておりません。
 サルモネラ属菌については、国内において保菌や枝肉への汚染に関するデータは見当たりません。平成11年度から22年度までに馬刺しにおいて汚染実態が2件報告されていますけれども、食中毒事件は平成10年から22年においては報告されておりません。
 カンピロバクターにつきましては、保菌実態はありますけれども、馬刺しでの汚染は認められていません。食中毒については、平成10年から22年においてカンピロバクターで1件の事例が報告されています。こちらも先ほど御説明いたしましたが、ユッケ、牛生レバー、馬刺しの複合食品であり、馬刺しが原因食品かというところは明確にはなっておりません。
 更に海外の文献においては、サルモネラ、エルシニア・エンテロコリチカやトリヒナの汚染が重要である一方、カンピロバクターや腸管出血性大腸菌については、汚染はまれであるという報告事例があるということも御紹介させて頂いております。
 寄生虫につきましても、本年6月に当部会での提言がとりまとめられたというところで、寄生虫の原因不明食中毒の関与が強く示唆されているところでございます。
 牛、馬併せて両方に言えることですけれども、リステリア、黄色ブドウ球菌、ボツリヌス菌、ウエルシュ菌、セレウス菌、エルシニア・エンテロコリチカについては、平成10年から22年までに生食用食肉での食中毒事件は報告されておりません。
 生食用牛肉では、寄生虫による食中毒事件は報告されていないところです。
 7番の危害評価結果の(案)でございます。今、御説明させて頂きました6のとりまとめと、病原体の性質等について別添に整理をさせて頂いております。表になっておりますけれども、今般の生食用食肉の規格基準設定の対象とする病原体について、こちらの別添も参考にしながら御覧頂きたいのですが、これらを踏まえて検討を行いました。
 生食用牛肉につきましては、腸管出血性大腸菌及びサルモネラ属菌による危害が大きいと、まず考えられると思います。
 他の病原体につきましては、腸管出血性大腸菌やサルモネラ属菌ほど危害が高いものは認められないと考えられるというところでございます。
 一方、生食用の馬肉につきましては、腸管出血性大腸菌及びサルモネラ属菌の危害は高くないと考えられます。
 他の病原体については、調査研究途上の寄生虫を除き、危害が高いものは認められないと考えられるとしております。
 以上より、今般の生食用食肉の規格基準設定については、牛肉について腸管出血性大腸菌とサルモネラ属菌を対象として検討を進めることが適当であるということで、危害評価の結果の(案)としてまとめさせて頂いております。
 以上でございます。
○山本部会長 ありがとうございました。本日、品川先生に参考人として来て頂いております。ただいまの危害評価とか、それから全体のこれまでの衛生基準を作ってきたときの経緯なども踏まえた上での何か御意見を頂きたいと思いますけれども、よろしくお願いします。
○品川参考人 品川です。前回のときに、やはり大事なのは腸管出血性大腸菌、サルモネラ、カンピロバクターはどうしても残ると。その中で、ある程度これを検査することにということは、腸管出血性大腸菌だったら大腸菌でという形で、大腸菌陰性、それでサルモネラは一応残して、カンピロバクターは今回も一応、こういう形で事件としては起きている。しかし、実際の市販食品とか、そういうことであると、ほとんど出ていない。先ほどの成績の、今、説明された市販食品のところも、だからカンピロバクターというのは、御存じのように、ある程度自然界に出れば死滅しやすいし、むしろ食中毒も二次汚染ではないかということで、この辺が最終的には腸管出血性大腸菌とサルモネラというのを論議していく。
 あとは、食中毒としてはウエルシュもここにありますように、ブドウ球菌もあるけれども、生で起こるということはない。だけれども、食肉の汚染としては、そういうのはありますけれども、直接生で起こるのではなくて、加工するときの二次汚染で起こっているという形からすれば、この辺が外せるのではないかと思います。
 1点、先ほどから次の会にもと、レバーのところのカンピロバクターが存在すると、確かに存在する。O157に関しては、どういう形で存在するのか分からない。だから今、全部販売禁止というのは、本当にいいのかなという感じはちょっと思っております。もし、カンピロバクターが存在するということで、いずれそれは検討して、鳥刺しとかそういうのも検討を抱き合わせでやっていかなければいけない問題が残っていますが、レバーをすぐ端的にここで、それは一度きちんと整理していって、今、短絡的に生レバーは禁止という形になっていくと、本当にそれだけでO157が一番中心になるときに、こっちのユッケもやっていますし、それは一度整理した後でどういう形になるかということは結論出していただければと思います。この会の中で、どういう形が論議されてくるか。だから、やはり短絡的にすぐ禁止とか、禁止でないとかというのは、やはり論議した後、科学的なデータなり、社会的な、やはり食べ物というのは、禁止することはやさしいです。全部食べるなというのが一番やさしい結論だけれども、やはりその中でどういう形があるかということも、やはり必要ではないかなと感じましたので、余分なことかもしれませんけれども、意見としては、そういうことです。
 以上です。
○山本部会長 ありがとうございます。あと1つ、牛と馬の危害が大分違うようにデータとしてはありますけれども、先生の御意見としては、どういうふうに。
○品川参考人 そうですね。馬は御存じのように、そんなに病原菌保有ということも少ないし、それで実際に事件も、むしろ今、事件としては先ほど寄生虫なりの問題が大きくなっているし、それで、実態調査をしたとしても、その病原菌自体、サルモネラのところは、少しそういう問題が残るのかなというところぐらいですね。あとの腸管出血性大腸菌にしてもカンピロバクターでもほとんど出てこない。実態調査の中では、特に牛に関しては腸管出血性大腸菌が非常にある。今回もやはり論議としては腸管出血性大腸菌を中心に論議するということになれば、やはり牛というところになるのかなと思います。
○山本部会長 ありがとうございます。衛生基準というのは、これまでもあったわけですね。それで管理された牛と馬の生肉、生レバーということでやってきたわけですけれども、今回、検討して頂くのは、規格と基準ということになりますので、更に一歩踏み込んだ、厳密な話をしていかなければいけないかと思います。
 ですから、牛と馬について、一律にその生食ということで、規格基準を設定して罰則規定を設けていくのかということも含めての御議論を十分お願いしたいと思います。ですから、その辺のことに関しましても御意見を伺いたいということと、今の危害評価から見た危害について皆さん方でどういうふうに考えるかということで御意見を頂きたいと思います。
 それでは、いかがでしょうか。
 どうぞ。
○小西委員 馬と牛の生肉に対して規格基準を同等に設けるかということに関しての意見を述べさせて頂きたいと思いますが、先ほどからのお話によりますと、馬と牛では危害病原菌が違うと。馬の場合には、牛に比べて腸管出血性大腸菌に汚染する危害は非常に低いし、出るとしたらサルモネラ菌であると。サルモネラ属菌の場合は、もう既に衛生基準通知においてしっかりと制御されているはずであるということを踏まえますと、私、先ほどちょっと質問すればよかったのですが、資料2のところで、衛生基準通知に適合しない施設が何%あるかというお話を伺いましたけれども、そのときには、これは牛に限っているのか、馬も一緒になっているのかというところがちょっとわからないのですが、マスコミ等の報道によりますと、随分馬の場合は数も少ないですし、この衛生基準は馬刺しに関しては非常に守られていると聞いております。そこのところは、ちょっと事務局に確認して頂きたいと思いますが、そのことを踏まえますと、今回の規格基準というのは、馬は既に衛生基準通知が守られている確率が高いというふうに、私は思っております。
○山本部会長 どうもありがとうございました。その点、事務局からの確認をしたいと思いますが。
○監視安全課長 資料2、これは馬と牛両方入っています。それで、本来であれば、馬と牛を分けて集計すれば、そこのところが明確になろうかと思いますが、ただ、このページで行きますと、7ページを見て頂きますと、ここに熊本県と熊本市がございますが、そこでの飲食店も含めた適合していない施設の数が非常に少なくなってございます。そういうのは、やはり馬刺しが多かったということの反映だと思っております。推測されます。
○山本部会長 では、品川先生、追加の御意見をお願いします。
○品川参考人 牛はと畜場で全部解体まで行きますけれども、特に馬刺しにすると、熊本とか熊本市、他のところでも少ない量でやっております。ないということはないんですけれども、メインはやはり熊本と熊本市が圧倒的に多くて、そこは1頭ずつ購入して、そこでと殺だけすると、自分の家に持って帰って、それで業者のところで全部それをしていくという、スタイルになっています。とにかく牛の処理と馬の処理は全然違うし、先ほどから施設といっているのは、と畜場でと殺して、枝肉から全部持って帰るのです。そこで自分たちで処理していく。その施設としては結構衛生的にやられている。と畜場は、何頭も続けてどんどん処理していく、それこそ何十頭も多いときには100頭を超える牛の処理をするとか、だから牛と馬の処理の仕方からも全然違うということです。
○山本部会長 ありがとうございました。そうすると、馬は衛生基準を確実に守りやすいというような状況にはあるということで、確かに現在の食中毒の状況を見ても、原因不明の食中毒が起こっておりますので、この前、そういうことで提言はいたしました。
 ただ、その場合も寄生虫であろうということで、少し対策の取り方が違うのではないかということですね。
 他に御意見はございませんでしょうか。
 どうぞ。
○阿南委員 アメリカのFDAなどのデータを見ていますと、アメリカは牛肉に関連してリステリア菌による食中毒というのが物すごく多いですね。過去の件数ですと、O157と前後するくらいに食中毒が発生していますけれども、このリステリアのデータは、今回は、それほど気にする問題ではないというようなデータになっていますが、それは生だから関係ないということでしょうか。
○山本部会長 リステリアに関してですけれども、逆に生だと関係ないということではない話になります。前回の衛生基準のとりまとめのときに、表が出ておりまして、そのときに、腸管出血性大腸菌とサルモネラ属菌を代表としてリステリアも制御しようという考え方をもって、その2つを対象菌種ということにしてあったということですので、考え方の整理として、特別にリステリアが日本で多いとか、そういうことになってくれば考えなければいけませんが、今回の日本の状況というのは、全体的には、確かに欧米とそんなに変わらない患者数というのは出ています。ですけれども、それが肉由来かということに関しては、なかなかはっきりとした結論が得られない。
 一応、糞便汚染等の影響ということではなかなか言い切れない、リステリアの場合には、周りの環境との絡みもありまして、それから牛の直接の危害要因としてリステリアを挙げるのかといったときには難しい問題がありますね。
 ですから、対象菌種として腸管出血性大腸菌とサルモネラの衛生管理をまずは徹底させることによって、リステリアの環境からの汚染も徹底して排除するような方向で衛生基準というのを考えていくという方が合理的な考え方ではあると思います。それだけにターゲットを合わせるというのは、なかなか難しいと、今の時点では考えております。
 私の意見を述べてもあれですので、部会委員の御意見をお願いします。
○今村委員 議論の進め方の確認ですけれども、今、これをやっていることはハザード分析をやっているということですね。ハザード分析をして規格基準としてどうすればいいかという議論をしてから安全委員会に投げていくと、そうすると、この後で、次回にコーデックスのMRMと併せてやっていくという話がありましたけれども、あれだとリスク評価をしてからMRMを決めていくのが手順ではないかと思いますけれども、それは順番としては、入れ替わらないのですか。
○山本部会長 順番としては。
○今村委員 進め方としては、別にこれでは間違っていないと思いますけれども、コーデックスのものに合わせてやっていくというふうに言っていて、合っていないなと純粋に感じたので、そこら辺のところの確認だけを。
○山本部会長 では、今日は春日参考人が来ておられますので、少しだけ意見をお願いしたいと思います。
○春日参考人 参考人の春日です。おっしゃるとおり、本来であれば、ハザードを特定して、それによるリスクをリスク評価によって推定して、それを減らすための施策の効果をリスク評価の中で比較推定していくべきだと考えます。
 ただ、今回は、規格基準をつくらなければいけないという社会的背景が非常に緊急性を持つものでして、リスク管理機関である厚生労働省の中で、こちらの部会である程度ざっくりとしたリスク推定を行いまして、それに基づいて規格基準の案を煮詰めた上で食品安全委員会に投げないと、時間的に間に合わないという事情がございます。
 ですので、本日のこの部会でハザードを特定して頂きまして、危害を特定して頂きましたら、それに対応する規格基準の案を来週お示しするような形になるかと存じます。
○山本部会長 コーデックスに厳密にということになるとそうですけれども、若干の緊急性を持っているという意味で。
○今村委員 そういう基準を、今回は緊急性があるから変えてやっていくという認識の下にやっていくということですね。わかりました。
○山本部会長 そう理解していただければと思います。他にございませんでしょうか。
 どうぞ。
○山下委員 このデータにレバーというのは、調査が全くなされていないということですか。
○事務局 表3の食中毒菌の汚染実態調査にはレバーのデータもございますけれども、今回、特に牛と馬の食肉に限定してデータを記載させて頂いているということで、今回の表には盛り込んでおりません。集計することは可能です。
○山本部会長 レバーに関しては、先ほども申し上げましたように、提言としてどういうふうな扱いをするのが望ましいかというようなことを部会としてあるのであれば、それを書き込んで頂くということになると思います。
 今回は、今のところ、対象としては牛と馬の食肉を考えていたのですが、今の危害の状況を判断するのと、それから衛生管理の状況を見た場合に、緊急性のある話でもありまして、規格基準を設定する上で、対象とする肉、それを、1つは牛の生肉として考える。それから、危害の要因物質として、今のところ腸管出血性大腸菌とサルモネラ属菌をメインのものとして考えた場合に、規格基準を設定したらどうかという話で、危害評価のところは議論が進んでいると理解しております。
 どうぞ。
○品川参考人 多分規格基準といった場合には、1つは加工基準の方が重要になってくるんだろうなと、事件を起こさない、そのときの仕様として、こういう危害微生物をこうしますと、こういうことはやり方、提言、方法というのを抱き合わせという形で前回も加工処理基準というのは、衛生的なものをこうしなさい、トリミングはどうしなさいと、だからその辺がしっかり守られることによってこの食中毒というものが起こらないと。
 やはり、私自身もゼロにするということは不可能だと思っています。全てのものを食べている中で、ゼロにするということ、だけれども、それは今よりははるかに、危害は特に今回、多くの方が亡くなられましたから、そういうことが起こらないようにしていくということは非常に重要ですけれども、我々はどうしても食中毒が起こると、それをゼロに向けてということになりますがなかなか難しい。だけれども、そういう方向にはするということですけれども、今回は危害微生物だけではなくて、今回は規格基準を設定する場合の加工基準と、それで成分規格の中でどういう危害の微生物を、それをやったときにどういうので指標としてきちんと取っていきますかと、その2つが抱き合わせでやはり出てくるのだろうなと、とりあえず、そこまで緊急的に社会も要求しているのかなと思っています。
 以上です。
○山本部会長 ありがとうございます。確かにリスクゼロというのは理想ですけれども、腸管出血性大腸菌の感染を考えた場合には、食肉から100%来ているとは言えない部分があるとは思っております。ですから、そういうものも考えた上で、どの程度までリスクを減らすのかということだと思いますので、次回、その辺の議論は、春日参考人からも御説明も少し聞きながら、どういう考え方で設定していけばいいかということで議論をしたいと思いますが、今回は、とりあえず、危害微生物と対象となるもの、食肉をどう考えるのかということでフォーカスを当てていきたいと思います。
 甲斐先生、どうぞ。
○甲斐委員 先ほどからやはりどうしても引っかかってくるのは、腸管出血性大腸菌の食中毒、O157の食中毒の原因食品を考えたときに、今回のような生肉、ユッケを原因としたものが半分だとすると、もうあと半分はやはり生レバーの喫食というのがあるわけですね。今回、その生レバーの方を置いておいて、肉の方だけを対象としているというところで、どうしても引っかかってしまう。レバーをどういうふうに規制するかというのは、非常に難しい問題だと思いますし、それを10月までに出せるかというのを、先ほど品川先生の御意見もあったかと思いますけれども、このレバーの問題は、どうしても避けて通れないので、ここをどうするのか、少なくとも方向性だけでも出しておかないと、今回、肉だけやりましたというのでは、周りが納得してくれないのではないかと思います。
○山本部会長 ありがとうございます。阿南委員と甲斐委員からレバーに関しての御意見を頂いておりますので、その辺は部会としては考慮した形の提言をつくらざるを得ないかなということですね。わかりました。
 品川先生、どうぞ。
○品川参考人 やはり腸管出血性大腸菌で一番多いのは、やはり挙がってくるのは焼肉ですね。統計的には焼肉。
○甲斐委員 ただ、焼肉屋さんでレバーが。
○品川参考人 そうです。だから、その辺がどこまで出ているのかというのが、今、言われるのは、レバーをどうするかというのは非常に重要な問題で、やはりユッケ以上にレバーの方が起こっているのが事実です。今までの過去の食中毒、だけれども、一番多いのは、やはり本当にそれをなくしていこうと思ったら、焼肉の在り方の問題、トングとか、そういう使い方の問題、そういうもの全部含めないと、腸管出血性大腸菌をゼロにするというのは、なかなか難しいけれども、提言というのは、そういうのをすべて含んだ中にあるんだなと、焼肉店では、ユッケも食べる場合はあるし、レバーも食べて、トータルではわかないから焼肉という形で挙がっているというのも事実だと思いますけれども。
○甲斐委員 生レバーを食べるのが、焼肉屋さんで、焼肉と併せて生レバーを食べるという例もありますし、最近では、いわゆる飲み屋さんといいますか、一般の飲食店でもかなり生レバーを出すようになっているように思います。食中毒の発生状況等を見ていても、そういうデータが出てきているかと思います。
○品川参考人 もう一つ気になるのは、O157で腸管そのものをホルモンと称して焼肉を食べているけれども、そのところも、一番多いのは、やはりその辺、汚染ではなくて、そこに生息している、牛の腸管の中に生息している、そのもの自体を食べるときには十分注意しなければいけないというのは、やはりこれも1つの大きな原因になるのではないかという気がします。
○山本部会長 阿南先生、どうぞ。
○阿南委員 提案ですけれども、先ほど山下委員がおっしゃったように、やはりここのデータの中にちゃんとそのデータを加えるべきだと思います。調べているのでしたら、補足の資料ということでも全然構いませんので、付け加えてください。
○山本部会長 では、レバーの汚染についても次回までに整理して頂いて、危害をまとめるということでよろしいですか。大丈夫ですか、危害の方はそれで。
○事務局 1つ確認させて頂きたいのですが、表2の食中毒の発生事件数のところと、表3のところに関してレバーのデータを入れるという形で取り急ぎよろしいでしょうか。
○山本部会長 表2ですね。生食肉、もしくはレバーによる食中毒発生事件数ということになると思いますが、そういう形で、そのときの病因病原微生物がどういうふうになっているか、これを加えるということでよろしいですかね。
 どうぞ。
○甲斐委員 今の件ですが、表3の食品中の食中毒菌汚染実態調査結果について、いつも夏にやっております食中毒菌汚染実態調査、あの中にレバーという項目が確かあったと思いますので、そこから引っ張れるのではないかと思います。
○山本部会長 では、今の表2と表3につきましてレバーの項目を加えて頂いたものを次回には出して頂くということですかね。
○事務局 はい、承知いたしました。
○山本部会長 それで、そうすると、検討項目として、レバーについても対象として検討するということになるか、規格基準としてとりまとめるには、取り急ぎ馬の肉を外して、牛の生肉、ユッケを対象とした管理のやり方と、それから管理を確実にするための対象微生物がどの程度のものを調べるのかというようなこと、これを中心に考えていくということで、次回の検討を進める方針でよろしいでしょうか。レバーも加えて一緒にやると。レバーはどちらかというと、規格基準の対象とするには、なかなか難しいところがまだあります。先ほど阿南委員が言われていたような、リスコミを強化するということで、当面の対応をするということと、検討はもう少し時間をかけていくというやり方もあります。
○阿南委員 私の先ほどの意見は、最終的な結論、ちゃんと検証した結論まではレバーは禁止すべきであるという意見です。
○山本部会長 要するに検討が済むまでは、生レバーの喫食は禁止するような通達を出すべきだと。
○阿南委員 そうです。
○山本部会長 事務局、こちらとしてはそういう提言を出したときの話になりますけれども。
○監視安全課長 阿南先生にちょっと確認させて頂きたいのですが、阿南先生の御意見は法律に基づいて生レバーは禁止扱いにするという御意見でしょうか。それとも食べないようにという指導をしっかり指導するという御意見、どちらでしょうか。
○阿南委員 私は法律に基づいて禁止すべきだと思っています。
○山本部会長 中村先生。
○中村(好)委員 やはり緊急性ということを、私は考えなければいけないと思います。今週、来週と2回にわたって委員会というのは、これはやはり相当大変なことが起こっていて、確かに死亡者が出たということで、非常に世の中の大変であるという事態を考えたときに、差し当たって牛肉で2つの微生物だけということに絞って、それで、レバー等々については、これが落ち着いてからまた再度きちんと検証するという形が、何もレバーまで入れてばたばたとやるよりは、私自身はいいのではないかなと思っております。
 それから、法律によって禁止ということについては、これはやはりかなり難しい問題があるのではないか。相当の根拠がないと、法によって全面的に禁止しますというのは難しいと思います。
 やはり厚生労働省としては、行政指導というか、レバーはきちんと評価が出るまでは考えて皆さん召し上がってくださいと、考えてという言い方はちょっと変ですけれども、そんなところではないかなと、私自身は思っております。
 以上です。
○山本部会長 これまでも生レバーの喫食に関しての通知はいくつか出しているのですけれども、更に自治体等にもそういう働きかけを強化して頂くという方向の行政的な動き、指導でやって頂くようにしていくのが緊急的なところではいいのではないかという気はいたしますけれども、他の先生方、どうぞ。
○益子委員 この基準ですけれども、牛肉がと場から食肉処理場、そして末端の飲食店、それから消費者と来るわけですけれども、どこに当てはめるのでしょうか。要するに、焼肉屋さんで加工処理して、それでOKというのはちょっと困るというか、やはり元の食肉処理場の処理のところでちゃんと規格基準に合ったものを出した上で、飲食店なり焼肉屋さんで更に適正な対策を取って頂いたら出すという、そういう流れ、その辺りのこともきちんとして頂きたいと思います。
○山本部会長 全体の食肉の流れというのをよく考えた上で、規格基準の適用範囲をどういうふうにするかというのは、当然考えなければいけませんので、次回その議論はして頂くことになると思います。
 どうぞ。
○監視安全課長 先ほどの阿南先生の議論の中で、考え方を整理させて頂きますと、もし、生食用のレバーを禁止するということを基準ができるまで禁止するということになりますと、2つ方法がありまして、それは検査をして、例えば生レバーからO157とかO111が出たと、検出されたと、それはもう6条の第3号違反になりますから、それは禁止、今でもできます。
 それから、そうではなくて、検査をしないで禁止するとなれば、これはやはりちょっとトートロジーのような話ですが、11条の今、議論をしている食品等の規格基準で禁止をかける、つまり裏返して、レバーについては65℃とか70度以上で加熱しなければならないという規格基準をつくって、初めて生で売っていたらそれは禁止できますということになりますので、いずれにしても、ここの議論と諮問、答申という形でいただかないと、一般的に生レバーを規格基準ができるまで禁止するということをやろうと思ったら、検査をして6条の3号違反で止めるということにしかできません。だから、基準ができるまで基準をつくるということになってしまうわけです。でも、その議論をここでやっていただければと思いますし、次回はそのデータを出して頂いて、そういう禁止をするにしても基準をつくらなければいけないというふうに御理解いただければと思います。
○阿南委員 よくわかりました。
○山本部会長 それでは、本日の議論としては、まずは牛肉について絞ったということが1つと、それから対象微生物として腸管出血性大腸菌とサルモネラ属菌、これを対象にしましょうと。
 それから、そういったものの衛生基準についての議論は、次回の部会で細かくやっていくことと、それからレバーについての病原微生物等の話についても次回やらせて頂くということで、そこで本当に基準設定、規格基準まで設定していくのかということについては、その場も含めて議論しなければいけないという話になるとは思います。取り急ぎ、食肉のことについては、それでよろしいですか。
○木村委員 レバーと食肉ですけれども、私は食肉の方は、やはり急いでいるので、少なくとも次回には結論を出すべきだと思うのです。ですから、それに対しては必ずやってもらいたい。それでプラスαで可能ならば、レバーは危ないですから、どれだけ踏み込んで言っていけるかということを議論していくという、そういう流れで進めて頂いたらどうかと考えます。
○山本部会長 では、食肉に関しては、とりあえず、食品安全委員会に投げられる形のものまではつくっていくというのが、次回の目標として挙げて、レバーとしては、議論はするけれども、その緊急性を考えると、もう少し待ってもいいかもしれないということで進めたいと思います。それでよろしいでしょうか。
(「はい」と声あり)
○山本部会長 それでは、以上のことで、次回の議論に移っていきたいと思います。
 事務局からは、次は資料3-1の5と6についてということで御説明があるということなのですけれども、よろしくお願いします。
○事務局 それでは、資料3-1の3ページ、5のその他と6の今後の対応につきまして、御説明をさせて頂きます。
 今、規格基準の設定の方向性につきまして御議論頂いたところでございますが、今般の食中毒事例、緊急監視の結果を受けまして、規格基準の検討、設定の検討だけではなくて、監視指導の方法等についての検討も必要だというふうに考えてございまして、今後の規格基準の検討の中で御議論頂くことになろうかと思いますが、考えられる対応案につきまして整理をさせて頂いておりますので、御意見をいただければと考えているところでございます。
 まず、1つ目、自治体による監視指導の徹底でございます。ソフト面の対応ということで、この規格基準ができた場合の自治体における遵守状況の把握について定期的な立入りや収去検査による監視強化や、営業時間内の立入りによる指導の徹底をお願いするというようなことが必要かと思います。
 2つ目として、管理運営基準、条例で、定期的な自主検査の励行とか、食品衛生責任者の設置・研修、作業手順書の作成、記録の指導等々、条例で規定をしているわけでございますが、これらの規定は、罰則がないということでございますので、こういったものについても、その必要性について御議論頂きまして、可能なもの、必要なものについては、規格基準の中に規定していくことも検討する必要があるのではないかと考えているところでございます。
 2番としまして、営業許可要件、ハード面での対応の要件の追加ということでございます。
 現行の衛生基準におきましても、生食用食肉を扱う場合には、施設を区分するというような規定がございますけれども、そういった規定を規格基準として設定するという場合には、営業許可要件、施設要件として生食用食肉を取り扱う営業施設の施設基準の準則に反映を頂くと。それで、これについて条例の改正を自治体に依頼していくというようなことが必要だと考えているところでございます。
 3番目につきましては、本日、いろいろ御議論頂いておりますけれども、リスクコミュニケーションの関係で引き続き、さらなる若齢者、高齢者など、それ以外に拡大すべきという御意見等もあったと思いますけれども、そういったことについて御議論を頂きたいというところでございます。
 引き続きまして、6番の今後の対応でございますけれども、次回、合同部会、来週また開催させて頂きたいと思っておりますが、そこで、この食肉、生食用の牛肉の規格基準案について、御了承いただければ、速やかに食品安全委員会に評価依頼をするということ。それから消費者庁への協議やパブリックコメントの手続を進めていきたいと考えているところでございます。
 以上でございます。
○山本部会長 ありがとうございました。それでは、5番、6番のことに関しまして、御質問、御意見等はございますか。
 どうぞ。
○小西委員 その他に関しましては、この審議会が審議する内容というのはございますか。
○事務局 規格基準の設定の内容として、例えば1番の中で、作業手順書の作成とか記録の指導というものがございますが、例えば記録についても加工基準に入れるべきとか、そういうことであれば、規格基準の中に規定をしていくということで、御検討をお願いしたいと考えております。
○小西委員 例えばなんですが、来週、このお話をされると思いますが、生肉を扱う調理者をフグの調理者と同じように、ある資格を与えて、適切な処理ができる人だけが調理できるというような免許を与えるとか、そういうのはここには入るのでしょうか、そういう案を出した場合。
○事務局 これは、規格基準の内容でございますが、例えば加工基準として、そういった教育を受けたとか、教育訓練を受けた方がトリミングをするとか、そういった規定をつくるとすれば、規定するということも検討できるのではないかと思っています。
○小西委員 それは、規格基準に入るわけですか。11条に入りますか。
○事務局 そこは、内容によると思いますので、今、案を御提示できておりませんので、また、来週御議論いただければと思います。
○監視安全課長 1つ、補足といいますか、御説明しますと、フグ調理師というのは、あれは法律で規定はしていません。あれは条例あるいは取扱い規則という県、自治体で条例で決めている、あるいは県規則で決めているもので、食品衛生法の中でそういう制度はありません。
○山本部会長 それと、追加しますと、フグの場合は、有毒部位というのが明らかになっていますので、そこのところを除去することという規定で十分対応できるということになりますが、食肉の場合には、どこが危ないのかというのは、なかなか難しいとは思います。
○監視安全課長 またちょっと説明不足でしたが、食品衛生法の中では、特定の業種、特定の食品をつくる場合には、資格を持った人を置かなければならないという条文はあります。これは食品衛生管理者ということで、乳製品を製造したりとか、あるいは添加物であるとか、言ってみれば、高度な技術を要するということで、食品衛生監視員と同じレベルの資格を持った人をその工場施設に置かなければならないという規定はございます。それが、これに適するかどうかというのも、また議論していただければと思いますけれども。
○山本部会長 何か追加の御議論ございますか。
 どうぞ。
○阿南委員 その他の部分は、今もお話に出ていましたけれども、全体的にはこれは生食用食肉に係る安全性確保対策ということになり、その中の大きなものが基準の設定であるということで、その他の部分は、結構いろいろ言えると思います。ですので、資格の厳しさだとかについても議論して盛り込むことはできると思います。
 私は、ここでは自治体の監視指導の徹底と述べられていますが、先ほども質問しましたけれども、医療機関からの報告のし方といいますか、スピードといいますか、自治体への届出が結構遅くなっていますね。そこは、その徹底を図るべきではないかと思いますので、何とか書けないかと思っています。どうでしょうか。
○監視安全課長 最初に阿南先生からお話があった4月17日に発症して26日、遅いじゃないかと、これは医療機関でまず発症しますね、患者さんが調子悪くなったと、その日かあるいは翌日に医療機関、お医者さんに行くわけですね。お医者さんでそれを調べて入院させるとか、あるいはいろいろ治療をしながら検査をやって、検便をして、そして検査結果が出て、O157だったということで初めて、これは食中毒の可能性があるということで保健所に通報するのが大体4月26日になったということなので、この辺の実態は益子先生なんかの方がお詳しいと思いますが、そこの部分でいかに短くさせるかということになると、これはいわゆる医療体制で医師会との、地域保健所と地域の医師会との間で、非常に食中毒の可能性がある、あるいは疑いがあったところでまず一報をくださいよと、それから検査結果が出てから正式に報告くださいよというところもありますけれども、実態上は、やはりちゃんと菌が分離されて、初めて、それもO157とかO111の場合は、感染症のまず報告を出すというようなことが実態としては大きいのではないかと思います。
○山本部会長 中村先生、どうぞ。
○中村(好)委員 阿南委員のおっしゃっていることもよく分かりますが、実態は、今、課長がおっしゃったとおりで、逆に消化器症状が出た患者を医療機関が、これは食中毒かもしれないとか、感染症かもしれないということで、みんな保健所に通報すると、保健所は間違いなくパニックになります。それと、医療機関もそういう意味では大変なことになるし、ある程度診断が確定してから保健所に届出をする。そういう意味では、今回の話というのは、そんなに遅れがあったと、私自身は認識していません。これについては、できるだけ早く届出をして頂くというようなことは、医療機関にお願いするにしても、この程度でも仕方がないのかなという印象を持っております。
○山本部会長 確かに一般的な感覚として、何で1週間もかかるのかなというのがあるというのは理解ができますけれども、なかなか現実問題として、確定させなければいけないという部分と、ですから、通報についても、できるだけ速やかにというような文章は入れることは可能だと思いますので、その辺をこの中に盛り込んで、今後も対応としてはできるだけ速やかな対応を促すようなことを行うというようなことで入れておいてもらうというのは可能かと思います。絶対すぐにというのは、なかなか。
○阿南委員 1日も早い方がいいですので、是非、そういうことは言わないといけないですね、医療機関もこれは大変かもしれないと思ったときに、通報するとかいう対応が必要だと思います。保健所がパニックになるとおっしゃっていましたが、人が死ぬかどうかなのですから、それはやり切らなければいけないのではないでしょうか。
○山本部会長 どうぞ。
○品川参考人 ちょっとだけ、前回、散発事例の食中毒の問題ですね。それは、本当は食中毒かどうかわからない、ヒト-ヒト感染、それは今度は感染症の方でやっているけれども、散発事例も一応届け出てやっていくと、それも全部届けて、先ほどのように保健所などで食中毒の対応が全部できるのかと、この問題というのは残ります。食中毒で取るのか、ヒト-ヒト感染を含めた、そういうところで起こっているのかというのがわからない段階で全部上げて、調査に入れるか。
 それで、今、実際には食中毒統計も集団で起こる2名以上のものと、患者1名の散発事例を分けてやっているし、これを実際、一時は届出させましょうといったけれども、なかなか医療機関の問題、また、行政の保健所なりの対応のところで、なかなか実際にこれはできてこないのが現実だと思います。
 ですから、必ずしも患者1名出たときに、集団でないと届けられないのはおかしいけれども、散発事例の1例のときに全部それが完全に上がれるかというと、なかなか難しいのではないかなと思いますけれども。
○山本部会長 死亡例が出ているということで、できるだけ速やかな対応というのは、当然必要ですけれども、O157の事例ということになったときの対応を可能な限り速やかに自治体にお願いするというようなことで、今後働きかけて頂くように一文加えていく、その他の中に入れていくというのは、仕方がないのかなと、これはケース・バイ・ケースでなかなか判断が難しい部分があるとは思いますけれどもね、その辺は、我々の提言の中に少し、先ほどのレバーの話も加えて考えていこうかなと思います。
 実際の緊急性を要する規格基準に関しましては、やはりこれまでの議論も踏まえて、牛の生食用肉、これに関して規格基準を設定していくということで緊急には対応していく。
 レバーについては、議論は今後続けていかなければいけないと思いますけれども、規格基準となるのか、それともどういうふうにするかというのは、もう少し議論を深めた上でやっていきたいと考えております。
 それでよろしいでしょうか。
 どうぞ。
○今村委員 阿南委員から、えびすの最初の症例の経過報告の消費者庁のデータを見させてもらっています。
○阿南委員 消費者委員会です。
○今村委員 消費者委員会ですか、21日に入院されていて、届出を出しているのが26日ということで、ちょっと確かに入院してから診断するまでに時間がかかっているので、その時間というのは、普通症状が強かったら3日目ぐらいには診断されるような気がするので、ちょっと時間がかかっているかなとは感じました。これは、もし可能だったら1例目、大分かかった理由というのは、調べてみる価値があるのではないかと感じます。
○山本部会長 21日に最初の入院があって、26日に通報があったという5日間のタイムラグというのは、どういう理由があったのかということについて少し調べて頂きたい、というようなことですけれども、事務局、いかがですか。
○監視安全課長 八幡先生の方で。
○八幡参考人 その理由は、調べてみたいと思いますけれども、ただ、どなたか、ちょっとエクセルを見ていてですけれども、どなたかわからないですが、協力が得られない可能性もあるので、その点もあるということだけは御承知頂けたらと思います。ですので、情報として出てこない可能性もあるというところはありますので、その辺、御承知頂けたらと思います。
○山本部会長 では、努力して頂くということで、お願いいたします。
○八幡参考人 実は、いろんな複雑な状況がありまして、簡単には言えませんが、調査拒否があったりとか、いろいろ人間関係の問題もありますもので、その辺が関わってくるような方ですと、少々骨を折るかもしれないですし、情報が取れないかもしれないというのもあるかもしれない。だれかは特定できていないのでわからないですけれども、そんな状況もあるということです。
○山本部会長 それでは、大分時間が過ぎてしまいましたけれども、議題の1ということでは、ここまでにしたいと思います。次回、中身についてもう少し詳しく御検討頂くということで、よろしくお願いいたします。
 その他のことに関しまして、何か事務局からございますか。
○事務局 議題2としてのその他については、特にございません。このまま次回の話をさせて頂いてよろしいでしょうか。
○山本部会長 お願いいたします。
○事務局 次回の合同部会の開催につきましては、詳細につきましては、別途御連絡差し上げますけれども、7月6日の10時から三田共用会議所での開催を予定しております。お忙しいところ、大変申し訳ございませんけれども、次回の合同部会につきましても、御協力のほど、よろしくお願いいたします。
○山本部会長 それでは、以上をもちまして、本日の部会を終了いたします。どうも長い間、ありがとうございました。


(了)
<照会先>

医薬食品局食品安全部基準審査課乳肉水産基準係
(03-5253-1111 内線2489)

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