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2011年6月20日 第53回労働政策審議会安全衛生分科会議事録

労働基準局安全衛生部計画課

○日時

平成23年6月20日(月)16:00~18:00


○場所

厚生労働省労働基準局第1・2会議室(16階)


○出席者

委員:五十音順、敬称略

相澤好治、明石祐二、浅井紀子、市川佳子、犬飼米男、小野真理子、日下部治、瀬戸実、高橋孝行、高橋信雄、角田透、中田三郎、中村聡子、古市良洋、眞部行雄、三浦武男、三柴丈典

事務局

金子順一 (労働基準局長)
平野良雄 (安全衛生部長)
田中正晴 (安全課長)
半田有通 (化学物質対策課長)
亀澤典子 (環境改善室長)

○議題

(1)分科会長の選出および分科会長代理の指名について
(2)東日本大震災に係る対応について(労働安全衛生関係)
(3)2011年度の年度目標の設定について
(4)「石綿障害予防規則の一部を改正する省令案要綱」について(諮問)
(5)「陸上貨物運送事業労働災害防止規程変更案要綱」について(諮問)
(6)「安全から元気を起こす戦略」等について(報告)
(7)その他

○議事

○事務局 それでは、定刻となりましたので、「第53回労働政策審議会安全衛
生分科会」を開催いたします。本日は委員改選後初めての分科会になります。
分科会長選出までの間は、事務局の安全衛生部計画課が議事進行を務めさせて
いただきます。本日は土橋委員、谷口委員、冨高委員、大山委員が所要のため
ご欠席との報告を受けております。また、三柴委員におかれましては、少し遅
れるとのご連絡がありました。まず、最初に資料の確認ですが、資料はダブル
クリップで止められておりまして、議事次第、資料1、2、3-1、3-2、3-3、4、5、
6という形で、それぞれ資料ごとにホチキスで止めております。また、資料ごと
に頁数を印刷しておりますので、見にくいかと思いますので、ダブルクリップ
を外していただいて、見やすいような形でお手元にご用意いただければと思い
ます。よろしくお願いいたします。
 まず、議事に入る前に委員に就任されました皆様方をご紹介させていただき
ます。資料1をご覧ください。資料1に委員名簿を付けております。順にご紹
介させていただきます。公益代表の相澤委員です。浅井委員です。小野委員で
す。日下部委員です。角田委員です。土橋委員です。三柴委員です。続きまし
て労働者代表の市川委員です。犬飼委員です。高橋委員です。谷口委員です。
古市委員です。眞部委員です。冨高委員です。続きまして、使用者代表の明石
委員です。大山委員です。瀬戸委員です。高橋委員です。中田委員です。中村
委員です。三浦委員です。よろしくお願いいたします。
 それでは、1つ目の議題である分科会長の選出に移らせていただきます。労働
政策審議会令第6条第6項の規定に基づきまして、分科会長は、分科会に所属
する公益を代表する委員であって、親審議会である労働政策審議会委員である
方から選挙して選出することとなっています。当分科会におきましては、公益
を代表する労働政策審議会の委員でいらっしゃいますのは、相澤委員お一人で
ございます。したがいまして、相澤委員に分科会長にご就任いただきたいと思
います。以降の議事進行につきましては、分科会長にお願いしたいと思います。
よろしくお願いいたします。

○相澤分科会長 ご指名いただきました相澤でございます。よろしくお願いい
たします。適切にこの分科会が進行されますように、委員の皆様方のご協力を
お願いいたします。それでは、これより私が議事進行を務めさせていただきま
す。
 最初に、分科会長代理についてです。これは、労働政策審議会令第6条第8
項において、分科会に属する公益を代表する委員又は臨時委員のうちから、分
科会長が指名するということになっております。私といたしましては、土橋委
員に分科会長代理をお願いしたいと思いますが、よろしいでしょうか。

(異議なし)

○相澤分科会長 ありがとうございます。土橋委員が今日はご欠席ですが、前
もってご了解を得ています。
 もう1つ、当分科会におかれております「じん肺部会」の委員についても分
科会長が指名するということになっております。2頁にその(案)が用意され
ています。こちらに書かれている委員の方々をご指名したいと思いますが、よ
ろしいでしょうか。
(異議なし)

○相澤分科会長 ありがとうございます。それでは、そのようにさせていただ
きます。
 本日の2つ目の議題に入りたいと思います。労働安全衛生関係の「東日本大
震災に係る対応について」です。事務局からご説明をお願いいたします。

○平野安全衛生部長 労働安全衛生関係の東日本大震災に係る対応についてご
説明をさせていただきます。資料2です。震災対応につきましては、復旧工事
における災害防止対策、健康確保対策、原子力発電所の事故への対応という3
つの大きな柱で進めていますが、それぞれ担当のほうから説明させていただき
ます。

○田中安全課長 まず復旧工事における災害防止対策について説明させていた
だきます。1頁です。まず最初の○ですが、建築物等の解体、改修工事、がれき
処理等、喫緊に予定されるということがありましたので、災害復旧工事等にお
ける労働災害の総括的な対策につきまして、建築業団体に要望したのが3月18
日です。それとともに、がれき等からの粉じんのばく露防止のために、マスク
製造企業から提供を受けました防塵用マスクの配付も行っています。配付の状
況につきましては、その下に書いていますが、第1次が2万枚、第2次が7万
枚、第3次で10万枚配っているという状況です。2つ目はマスク不足を解消す
るために、同等の米国規格のものを暫定的に認めたということです。
 3つ目のがれきにおけるアスベストの問題につきましては、第一次補正予算で
措置しておりまして、防じんマスクの配付や電動ファン付きの呼吸用保護具を
無償貸与すること、もう1つは気中濃度のモニタリング等を今後実施するとい
うことです。環境省との連携して、復旧工事に係るアスベスト対策の検証委員
会が設置されておりまして、5月11日、5月30日に開催されています。
 4つ目の○ですが、がれき処理の作業を行う事業者、労働者、ボランティアを
対象として、作業を安全に進めるための注意点をまとめたリーフレットを作成
いたしました。ゴールデンウィークの直前に被災地の労働基準監督署等で配付
しました。さらに、がれき処理作業の開始に併せまして、被災地の労働局・基
準監督署、さらに当建災防等で安全衛生パトロールを実施しました。27日が初
めです。
 次に、第一次補整予算の措置で、復旧工事は短期間で輻輳するということ、
多業種からの労働者等の参入があろうということで、岩手、宮城、福島を拠点
として、専門家による工事現場の巡回指導、安全衛生相談、安全衛生教育の技
術的支援等も実施することを予定しています。
 2頁の最初の○です。津波で打ち上げられた船舶の解体作業の増加等が見込ま
れるということから、その作業における高所での作業、重機等を用いた作業、
さらには石綿関連に係る総合的な災防対策につきまして、関係の団体への施策、
これは5月10日です。
 2つ目の○ですが、梅雨入りということがありまして、低層住宅の屋根等の改
修工事における転落・墜落等の対策と、道路工事や上下水道工事における土砂
災害を防止することからも対策を建設業実施団体に5月27日に要請したという
ことです。
 3つ目の○ですが、震災復旧・復興工事における災防対策です。官民が一体と
なって徹底しようということから、厚生労働省の要請により、建設業協会に「東
日本大震災復旧・復興工事安全推進本部」を設置いたしまして、6月3日に初会
合を開催し、今後、エリア別の安全衛生協議体制の構築等々の対策を進めてい
こうということで、作業を進めている状況です。復旧工事における災害防止対
策のご説明は以上でございます。
○事務局 それでは、健康確保対策につきましてご説明をさせていただきます。
被災された方につきましては、メンタルヘルスを含んだ健康問題につきまして、
電話での相談をフリーダイヤルで受け付けるということを始めております。4月
13日、前回以降の動きとしましては、メンタルヘルス対策支援センターにつき
まして、一次補整予算で拡充を行いまして、岩手、宮城、福島の3県につきま
しては、相談を充実させていくということです。
 次に原子力発電所の事故への対応ですが、5つ目から下が4月13日以降の動
きということになります。緊急作業に従事される方の臨時の健康診断の実施に
つきまして、福島労働局から東京電力等に対しまして指示をしているというこ
とです。その対象者を実効線量が100ミリシーベルトを超えた方、作業従事期
間が1か月を超えた方としています。
 女性労働者が被ばく限度を越えたということにつきましては、通常であれば
250ミリシーベルトが男性について適用されますが、女性につきましてはこれが
5ミリシーベルトということになっておりまして、これを越えたということが4
月27日に明らかになりまして、被ばく限度の管理を徹底するよう指導したとこ
ろです。
 4月28日につきましては、緊急作業に従事した方が、その後ほかの原子力発
電所などに行きまして、定期改修工事などに従事される場合の扱いについて、
被ばく限度の徹底を指導したというものです。併せて就業上の措置につきまし
て、不利益な取扱いがないように要請をしています。
 3頁です。線量管理の関係が続いておりますが、内部被ばくの実施につきまし
て、繰り返し指導しているところです。5月2日に労働局監督署がJヴィレッジ
に立入調査を行いまして、その実施、あるいは熱中症の予防対策の徹底を図る
ように要請を行ったところです。
 3つ目から後ろは少し取組を強化したという内容になるわけですが、いわゆる
政府の取組方針、5月17日の中に、緊急作業従事者の健康管理対策につきまし
て、強力に推進していくという記述が盛り込まれました。それを受けて厚生労
働省では東電福島第一原発作業員健康対策室というものを設けまして、これ以
降取り組んでいるということです。
 4つ目につきましては、そうした安全衛生管理体制の確立、あるいは一定の作
業以上のものにつきましては事前の届け出を求めるという内容を、5月23日に
東京電力に対して文書で指導したということです。
 5つ目は、第一原発の健康管理体制につきまして、それまでは日中だけ医師が
駐在していたわけですが、5月29日から労災病院からの医師も加え、24時間の
医療体制の整備をしたということです。東電からの要請を受けて、そのような
体制を整備したということです。
 (3)についてですが、原子力安全保安院に申入れを行いまして、原子力発電所
の緊急作業の従事者、技術者につきまして、養成をきちんとして特定の方の線
量が高まらないようにしていただきたいということで、そうした特殊・高度技
能者の養成を進めていただきたいという申し入れを行いました。
 次に、5月27日に原子力発電所に立ち入り調査を実施しまして、以前発覚を
いたしました3人が大量に被ばくをしたということについての違反について、
是正勧告をしたということです。
 3番目から7番目までは同じ内容に係る推移です。爆発当時、中央操作室に勤
務をしておられた労働者2名の方が250ミリシーベルトを超えるという事案が
発生をしたところです。被ばく限度を超えたということですので、これは法令
上の問題ということもありますので、立入りも行った上で厳しく指導をしてい
ます。
 4頁です。熱中症の予防対策につきまして強化をする必要がありまして、7月
~8月の14時から17時の炎天下では、事故の収束に向けた工程に考慮しつつ
も、原則として作業を行わないというように、6月10日に東電に対して指導を
行いました。
 3番目につきましては、マスクを着けていただく必要があるわけですが、肝心
のフィルターを着け忘れていたというような事案が6月13日にございまして、
マスクの適切な使用の徹底を指導したということです。
 いちばん下ですが、緊急作業従事者の長期的な健康管理につきまして、全員
を把握した上で、線量の状況、あるいは健康管理の状況を一括してデータベー
スを構築するというようなことを検討しております。これを6月27日から専門
家による検討会を開催いたしまして、具体的な検討を行うこととしています。
以上です。

○相澤分科会長 ありがとうございました。東日本大震災に係る対応について
ご説明いただきましたが、何かご質問、コメントがありましたらどうぞ。

○市川委員 原子力発電所事故の対応についてですけれども、これまで連合と
してもいろいろな場で安全衛生対策の強化の要請をしていたわけですが、特段
のさらなる強力な体制をお願いしたい。それに関連いたしまして、1か月緊急作
業で200シーベルトを超える恐れのある方が出てきたということで、超えてし
まって是正勧告をしても遅いのですよね。超える前に、これは取り戻せないで
すから、違法な残業をしてあとで残業代を払って済ませるというものと質が違
いますので、250を超える被ばくをしてしまったら、そこを引くというわけには
いかないのです。ですからこれを超える前に、きちんと対応をして、超える人
が出てはならないということが大事だと思いますので、そういうところをきち
んと前もって指導いただきたい。200を超えたとかそんなところでやったのでは
遅いので、そういう意味での指導をさらに強化していただきたいというのが1
点です。
 もう1つは(4)のところで、データベースの構築というようなことが検討され
ていますが、新聞報道によりますと、東電の協力会社の作業員の方で、3月当時
作業に携わっていた方で連絡が取れない方が何人かいらっしゃるということが
判明したというようなことも報道されております。そういう方々がいま外れて
いたとしても、違う原発で働かれるかもしれませんし、そういったことが協力
会社の従業員に対して東電の責任、例えば建設業ですと、統括責任者というの
がいて、その場における安全衛生の管理というのがある程度課されるのですが、
原子力発電所の場合、東京電力の事業者が、そこで働いておられる協力会社の
従業員の安全衛生に対してどこまで法的な責任が課せられているかというと、
たぶんないのだと思います。でも、そういう方たちに対して東電は全く責任が
ないのかというのは、法律的にどうであれ、これは社会一般では誰も認めない
と思うわけです。この資料を読ませていただくと、東京電力に対して指導、あ
るいは是正勧告という言葉が出てきますが、実際に危ない作業に就かれている
のは協力会社、下請け、孫請けそういう構造の方々が多いと思うのですけれど
も、そういう方たちの安全管理を、本来は東電が責任を持って法律の決めはと
もかくやるべきだとは思いますが、この際、建設業と同じように、法的にもそ
ういう義務を課すということも検討すべきでしょうし、厚労省としての指導も
そういうところまで行き渡るように、是非強くお願いしておきたいと思います。
以上です。

○相澤分科会長 ご要望でございますが、何か、いかがでしょうか。

○平野安全衛生部長 まず市川委員のお話のありました、1点目の250ミリシ
ーベルトを超えた方が出てきたということを、私どもとしても非常に残念、遺
憾に思っております。現時点で、私どもの調査では、そういう方につきまして
は3月12日に水素爆発があったわけですが、それをはさむ期間、3月11日か
ら14日の間に、中央操作室というところで作業されていた。そのときにマスク
の着用等が徹底されていなかった、十分でなかったというような事実があった
ということは把握をしております。いずれにしても言われましたように、事前
に250ミリシーベルトよりもっと低く被ばく線量を押さえていくということは
基本ですので、その徹底を図っていきたいと考えております。
 2点目の管理責任の関係では、東電がまさに発注者というような場合と、東電
が自ら下請けの人と一緒に作業しているという両方のケースの2つがあります。
後者については東電はたぶん法律的に言いますと、統括管理責任者、一方、前
者の場合ですと、いわゆる発注者ということになるわけですが、いずれにいた
しましても東電のほうで今回の事故に関しましては、データベースを構築しま
しても、下請けの労働者が抜け落ちているとか、そういう漏れがあってはデー
タベースの意味がありませんので、そういうこともきちんとフォローして、き
ちんとしたデータベースを作って長期的に健康管理が可能になるように必要な
指導もきちんとやっていきたいと思っています。

○相澤分科会長 ありがとうございました。ほかにはありますか。

○日下部委員 資料の2枚目のいちばん下のところですが、おそらく厚労省の
ほうでは緊急作業に従事した労働者がどういう業種でどういう人たちかという
のは把握されていると思いますが、この中に外国籍の方が孫請けとか下の段階
まで含まれているかどうか、その辺は把握されているのですか。

○事務局 6月の末を一応報告の期限といたしまして、3月の末までに従事した
方につきまして、個人名なりの情報をいただくということにしております。で
すので、現時点ではまだその情報は入手しておりませんので、残念ながら把握
をしておりません。

○日下部委員 その場合、日本の法律というのは、すべての外国籍の方も均等
にやるということでしょうか。

○平野安全衛生部長 日本人と同じように適応されます。

○日下部委員 外国籍の方がこういった問題を受けると、かなり国際的にもい
ろいろ問題が起きようかと思いますので、その辺を十分に精査して、情報を集
めていただきたいと思います。

○相澤分科会長 大変大事なご指摘ありがとうございました。ほかにいかがで
しょうか。

○犬飼委員 2頁の復旧工事にかかる災害防止対策ですが、6月3日には初会合
安全推進報告がなされていますが、実際復旧工事に当たって高所とか重機とか
石綿等々、具体的にどのぐらい災害が発生しているかはわかりますか。

○田中安全課長 4月末の段階の死亡災害の発生状況ですが、災害発生事故の
120名の死傷者のうちで、7名の方が亡くなっているということです。5月分に
ついては、いま鋭意急いでまとめています。まだ出ていません。念のために申
し上げますが、これは被災3県ということではなくて復旧工事ですので、その
周囲の茨城とか栃木を含めて120という数字です。

○相澤分科会長 よろしいですか。追加はございませんか。

○角田委員 原子力発電所の事故の対応の(4)の最後にデータベースということ
が書いてありますね。市川委員からもご指摘があったと思います。それから2
頁の健康確保対策ということで、メンタルヘルスのことについて触れています
が、こういう災害の復旧工事への従事で、すぐに頭に浮かぶのは粉じん、じん
肺のようなイメージ、あるいは放射能のばく露でかなりの時間が経ってからの
健康影響、そうしたものを把握する。例えば、国の従来の施策では、健康管理
手帳のようなものがイメージとして浮かぶわけですが、データベース、それか
ら将来にわたって誰が責任を持って負うかどうかは難しくなって、結局は国が
ということになりかねないと思いますが、そこら辺については政策の施策の方
針として、どんなふうなお考えでいらっしゃるのでしょうか。

○平野安全衛生部長 長期的健康管理に関しては、いま角田委員がおっしゃい
ましたように、今回緊急作業に従事した労働者に関して、長期的にそういうフ
ォロー、健康管理を行っていく必要がある。そのためにデータベースを構築し
てやっていこうという趣旨です。

○金子労働基準局長 これは、非常に長期にわたって健康状態を把握していく
必要があります。したがって、企業の中に引き続きお勤めの場合には、その企
業でまず一義的にはやっていただくわけですが、10年、20年というタームで、
きちんとチェックをしていかなければいけない。そうなると、健康管理手帳の
ような制度もありますが、それと同じような形で、これからも被ばく作業に別
の所で従事させる可能性もあるわけで、そういった長期間にわたって国の責任
できちんとやっていく必要があるのではないかということで、データベースを
構築して、この緊急作業に従事した方々すべてについて把握、管理をしていく。
その間、企業の中で健康チェックをやっていただく。加えて、企業を退職した
あとには健康管理手帳で健診をやっていただいていますが、それと同じような
仕組みを併せて導入することによって、長期的な影響についてしっかり押さえ
て対応していきたいと考えています。

○相澤分科会長 ほかにはありませんか。

○市川委員 先ほど言い落としましたが、3頁の原発の(2)の3つ目の○で、東
電福島第一健康対策室というのを設置されたということですが、具体的にこの
対策室というのはどのような中身というか活動をされているのかを、もう少し
詳しくご説明いただけないでしょうか。

○平野安全衛生部長 実は、私が健康対策室を拝任していまして、結局この原
発対応に関して地方局に対する、福島のほうにも室の支部は出ていますが、特
に5月20日ぐらいから復旧作業等の事前のいろいろな作業が原発で行われます。
それに関して、作業の届出を提出していただくことにしまして、それに対して
の事前のチェックを行って被ばく線量を低下させるとか、これからの時期です
と熱中症の問題があります。そういう対策がきちんと取られているか。そうい
う事前のチェックを特に支部の福島の現地のほうで行っています。それと、い
ろいろな全体的な東電に対する指導とか、そういうことの各立案とか諸々原発
対応に関して、私は併任ですが専従の人間も置きまして、集中的に対処してい
くという組織です。

○相澤分科会長 ほかにありませんか。

○小野委員 地震直後からマスクを一次補正予算等で対応していただいて、お
配りいただいていることについては大変良いことだと思いますが、先ほどから
着用がまずかったとかフィルターを忘れていたといったようなことが指摘され
ていますが、マスクはそこにあるということが重要ではなくて、いかに着用す
るか。それから、適切な時期にフィルター、ろ過剤を交換することが重要です。
その辺は、厚生労働省さんのほうで現場のパトロール等を行ってご指導なさっ
ていると伺っていますが、それを今後さらに復旧工事等が進む段階で、どのよ
うにシステム化していくか。教育システムというか、そういったものをどうい
うふうになさっていくかについてお聞きしたいのが1点。
 もう1点は熱中症について、4頁の上に7月から8月の14~17時には原則と
して作業を行わないという書きぶりになっています。熱中症に関しては気温、
湿度が特に重要になっていますので、閉所での作業でそういった決まり事を作
るのも難しいかと思いますが、その辺の実効性について、どのようにお考えか
をお聞かせいただければと思います。

○半田化学物質対策課長 まずマスクのほうからお答えいたします。マスクに
関してはお話のとおり、パトロール時に保安要員協会の保護アドバイザーとい
った方々にもご協力をいただきまして指導をしていますが、今後は同じように
ご協力いただきながらやっていくとともに、こういった復旧・復興工事の支援
を行うために、先ほど建設業労働災害防止協会にということでお話がありまし
たが、こういう支援の枠組共通プラットホームを作ろうとしていますので、そ
ういった中でマスクの着用の適正着用、選択といったことについても指導をし
ていきたいと考えています。
 一部申し添えますが、これまでにお配りしているマスクは一次補正で手当し
たものではなくて、マスクメーカーからの無償提供をいただいているものです
ので、ご承知おきください。

○平野安全衛生部長 熱中症に関して、ここに資料としてお示していますよう
に、7月~8月の14時から17時まで、原則として作業をやらないようにと指導
をしていますが、それだけではなくて当然のことながら湿度、温度、ダブル何々
値を十分に活用しながら、まず休憩場所をきちんと確保するように東電のほう
に要請をしています。東電のほうでも冷房がきちんと効いて、その中でマスク
を外して水分、塩分の補給ができるような休憩施設の整備をすると聞いていま
す。そういうことも併せて、結局きちんと休憩を取って水分、塩分を補給をし
て、またそれを労働者がきちんと行っているかどうかもチェックをさせるよう
にしていますので、きめ細かく対策を打ちながら熱中症対策を進めていくこと
としています。

○相澤分科会長 ほかにはありませんか。よろしいですか。大変熱心なご質問
をありがとうございました。
 続きまして、2011年度の年度目標の設定について、ご説明をお願いします。

○平野安全衛生部長 資料3-1です。この趣旨のところにも書いてありますよう
に、平成21年12月に「新成長戦略(基本方針)」において閣議決定されたわけ
ですが、「雇用・人材戦略」において2020年までの具体的な目標を定めること
とされたわけです。これを踏まえて、平成22年6月の「第4回雇用戦略対話」
において、具体的な目標について合意がなされて、それらの目標は「新成長戦
略」のほうに盛り込まれたわけです。この目標を達成するために年次ごとの数
値目標を設定しまして、それを実現するための具体策を明記して、PDCAサイ
クルに則って整合性の取れた制度政策を設計して、その運用実態を検証し、実
施していくことが決まったわけです。
 具体的には、資料3-1の2頁をご覧ください。労働政策の運用実績を検証改
善するPDCAサイクルの中で、単年度ごとに目標を設定いたしまして、その目
標についての検証を行っていくというものです。今回の分科会では、この図の
Planの部分に当たる目標案を設定するため、前年度の目標についての報告と今
年度の目標設定についてご議論をいただきたいと思っています。当分科会では、
資料3-2にありますように、新成長戦略の工程表に盛り込まれた労働災害防止対
策、職場のメンタルヘルス対策、職場の受動喫煙防止対策の3項目について目
標を設定しまして検証を行うこととしていますので、ご議論をいただきたいと
思っています。よろしくお願いします。

○田中安全課長 具体的な資料を資料3-3で説明します。1頁は、私から労働災
害発生件数の部分を説明します。この表にありますように、2010年の目標は3%
減、2011年の目標は前年比5%減です。これは※にありますように、震災を直
接の原因とした災害を除くという形で評価させていただきたいと思っています。
詳細は2頁で説明します。
 2頁です。2010年の目標は3%減でしたが、残念ながら実績としては1.9%の
増となっています。もう少し詳細に申し上げますと、労働災害発生状況で、上
の四角の3つが休養4日以上の状況です。まず発生件数の総数が10万7,759人
で2,041人、1.9%の増です。基準年は2008年ですから、これと比較すれば9.7%
の減ですが、対前年比では1.9%の増となっています。中身は、従来から災害多
発業種として重点的に指導してきていた製造業、建設業については右上の表に
ありますように微減ではあります。しかしながら、小売業、社会福祉・介護、
ここでは医療保健業と書いていますが、その部分では増加していますし、貨物
トラックの荷物の積み卸し作業時の墜落や転倒等の労働災害も増加していると
いうことで、陸上貨物運送事業も増加している状況です。
 次に、下の2つです。まず右の表の下の死亡災害が1,195人で120人の増、
残念ながら11.2%増です。この増加の要因は、1つは猛暑もありまして、熱中症
で39人の増。貨物トラックの交通事故で22人の増、建設現場における墜落・
転落で12人の増、林業作業時の事故で16人の増です。この災害が増加した背
景は、1つには作業活動の回復というのがありますが、2つ目は記録的な猛暑に
よりまして熱中症だけではなくて、暑さによりますふらつきや疲労の蓄積等に
よりまして、特に夏期において労働災害が大幅に増加したということがありま
した。下のほうの新たに講じた対策です。昨年講じた対策は、そういう増加を
踏まえて、昨年の9月において「死亡災害の増加に対応した労働災害防止緊急
対策」を実施して、建設現場における墜落・転落災害、貨物トラックの交通事
故の防止対策の徹底等を重点に、関係事業者に指導を強化しました。さらには、
企業における安全文化の熟成を図るために、「安全から元気を起こす戦略」を検
討したということです。
 3頁は、2011年の目標です。5%の減ということで、震災を直接の原因とする
災害を除くということです。一応、毎年3%減という目標がありましたが、昨年
未達成分の1.9%を加えまして、5%の削減を目標として設定したということで
す。具体的に何をするのかということですが、建設業における足場等からの墜
落・転落災害の防止対策、陸上貨物運送事業における交通労働災害防止対策、
熱中症対策など、昨年増加した死亡災害を確実に減少するための対策を推進す
ることがあります。さらに、陸上貨物運送事業について先ほど申しましたよう
に交通事故の防止に加えまして、荷主先における荷の積み卸し中の災害を防止
することも課題であることから、荷主が積み卸しの際の災害防止対策に積極的
に関与することも含めた対策も推進することを考えています。次に、第3次産
業においては、多店舗の小売店や新設される介護施設等を重点的に指導を行う
ことによりまして、災害の減少を図っていきたいと考えています。
 3つ目は、安全活動、安全文化の熟成を図るために、本年4月に取りまとめた
「安全から元気を起こす戦略」を実行しまして、安全活動に意欲のある企業や
国民や調達の取引先に注目され評価されるような仕組みを作りまして、安全を
さらに底上げを図っていこうということで、努めていきたいと考えています。
以上です。

○事務局 2番目メンタルヘルスに関する措置、3番目受動喫煙のない職場につ
いて説明します。資料3-3、4頁になります。2010年度の目標については、メ
ンタルヘルス、受動喫煙防止対策それぞれについて検討会報告書を取りまとめ、
その報告書を受けて労働政策審議会での議論を行うことになっていました。真
ん中の欄、おかげさまをもちまして労働政策審議会で議論をいただいて、建議
をいただいたということで、これが実績です。2011年度の目標については、こ
こには2つ挙げています。まず、所要の見直し措置をするということで、メン
タルヘルス対策、受動喫煙防止対策について労働安全衛生法改正案を提出する
こと。このほか、職場のメンタルヘルス対策、受動喫煙防止対策を推進する取
組、施策を実施することを挙げています。
 後段のものについて、5頁に記載をしています。メンタルヘルス対策支援セン
ター事業というものについて、47都道府県にこれを設置して取組を行う職場、
事業場を総合的に支援するというものです。これについて予算を大幅増しまし
て、今年度取組をしているということです。取組の内容は、個別の事業場に対
して専門家が訪問指導、支援をする。管理職に対する教育を実施する。それか
ら、残念ながらそういった問題を抱えられた方について、職場復帰プログラム
を作成支援することにより、職場復帰を促すことをやっています。2番目は地域
産業保健事業と書いていますが、地域産業保健センターを設けまして、労働者
50人未満の小規模事業場について産業保健活動を支援するものです。その中で、
メンタルヘルス不調の労働者に対しても、相談指導を行っていること。あるい
は健康診断結果の対応や長時間労働者に対する面接指導も、メンタルヘルスの
対策に資するものと考えています。
 受動喫煙防止対策の取組については、そこに3点挙げています。喫煙室設置
のための助成は、飲食店、宿泊業等で喫煙室を設置する事業場に対して、設置
に係る費用の1/4を助成するということで、予算を確保して秋から取り組むこと
にしています。相談支援業務は、喫煙室設置等について技術的な問合せにきち
んと対応していく必要があるということで、労働衛生コンサルタント等の専門
家を動員して、事業場に対して指導あるいは相談対応を行うことにしています。
最後のものについては、飲食店、宿泊業等の事業場が現状を把握することのた
めに、デジタル粉じん計等を貸し出すことにしています。そうした形で支援を
していく取組を行っています。以上です。

○相澤分科会長 ありがとうございます。本年度の年度目標の設定についてご
説明いただきましたが、これについてご意見がありましたらお願いします。

○日下部委員 資料3-3の頁はわかりませんが、昨年度の目標は3%で、実績が
1.9%で、達成できなかった理由は経済の回復と猛暑ということで、施策上の問
題点はどう評価されたのでしょうか。

○田中安全課長 我々としては3%の減を目標にして動いてきたわけですが、基
本的に平成18年の安全衛生法の施行時からリスクアセスメントで、危険の先取
りというか、危険の芽をつぶすといいますか、そういう形で進んできたわけで
すが、それをさらに徹底していくということで以来続けてきたわけで、それが
まだまだ十分定着していなかったということもある。これは今年度、来年度以
降もさらに進めていこうと思ったわけです。ただ、その中でリスクアセスメン
トを中心とした先取りの安全ということで進めてきたいと思っていたわけです。
その方向を私どもは継続したいと思っていたわけですが、予想を越える猛暑が
あったというのがありまして、これは反省点ですが、その分については対応が
若干後手に回ったというところはあろうかと思っています。それについては、
今年度は早め早めの手を打ちまして、対応していきたいと思っています。

○日下部委員 もう1点、追加でよろしいですか。目標5%のところで、震災を
直接の原因の「直接」はなかなか難しい判断だろうと思いますが、何かある程
度具体的な基準をお持ちですか。

○田中安全課長 逆に、こういう説明をさせていただきますと、復旧・復興工
事については、入りますと。まさに津波や地震、震災によりまして直接倒壊、
下敷きになったり、そういう事案については自然災害ということもありまして、
それは除外させていただきたいという形で整理しています。

○日下部委員 例えば、高速道路は完全に復旧していなくて、いまは応急のと
ころで実際は運用されていますよね。完全な形ではなくて、あれも間接的なの
か、あれが直接的なのか、大変微妙なところがあろうかと思います。ですから、
こういう数値で評価をするときに、ある程度明確な定義が必要ではないかなと
いう気がします。その辺は、十分ご検討いただければと思います。

○相澤分科会長 ありがとうございます。ほかにはどうでしょうか。

○瀬戸委員 資料3-3の5頁の職場の受動喫煙防止対策の1番目に、喫煙室設
置に係る費用の1/4助成と書いてありますが、これの助成金の下限上限というの
はお考えになっていますか。

○亀澤環境改善室長 上限200万円と考えています。

○瀬戸委員 下限のほうは特にないと。

○亀澤環境改善室長 はい。

○市川委員 資料3-3の目標のことですが、3%減で取り組んだけれどもプラス
約2%なので、来年は5%という考え方はわからなくもないですが、こういう積
算でというか、果たしてこういう目標が本当に妥当なのかどうかというところ
が疑問にありますし、これは点検評価部会ができたときからのあれで、しかも
この分科会だけに限りませんが、こういう目標を立てた達成責任はどこになる
のかなと。審議会でこの目標でいいですねといったからといって、この達成目
標は別に審議会が責任を負うわけではないという話ではありましたが、とはい
え、この目標をこの審議会で妥当とするならば、もう少し具体的な措置を図っ
ていって、少しでも減らしていくのだというメニューというか、その対応策の
ようなものが見えないと、この5%減というのは非常に厳しいのではと考えてお
り、具体的にどのように取り組まれるのか、もう少し示すことで理解が高くな
るのではないかというのが1点。
 この労災の要因の分析の中で、伝統的に危険が多いと言われている製造業、
建設業のほうはある程度微減と言っているけれども、小売や医療保健が増えて
いる。こういうところで、ここへの対策が非常に重要だというのは全くそのと
おりだと思いますが、2011年の1月、3月の安全衛生調査の速報値でも、例え
ば安全衛生委員会が設置されている割合が製造業では96%だけれども、商業、
流通は86%とか、サービス、一般は72%と低いわけですね。あと、安全衛生教
育も法定以上の教育は実施していない比率が第3次産業では高い。そういう中
で、重点的に厚労省が指導するということであっても、それは重要ですが、む
しろそれぞれの企業ないし事業者がどういう取組をしていくのかということを、
自らの啓発をして自主的な取組を促進するようにしていかないと、厚労省の指
導といっても手が回るわけではないですし、こうした業界での安全意識をもっ
と高めてもらうとか、そういったようなことの取組ももっと分析をして、どう
いう業種にはどういう事故が多いとか、それに従ってこういう対応を取っても
らうとか、掘り下げた対応をしないとなかなか減っていかないのではないかと
考えていますので、その辺をどのようなことをお考えなのかをお話をいただき
たいです。
 ついでにもう1点ですが、メンタルヘルスと受動喫煙については、前回のこ
の分科会で建議を取りまとめたので、一応の手立てが出ているのでこれを踏ま
えて法律の改正を目指すということですが、受動喫煙対策については安衛法の
改正で全く十分とは言えないなりも、それなりの対応ができるだろうと思いま
す。メンタルヘルス対策の書き方も微妙ではありますが、メンタルヘルスに関
する措置を受けられる職場の割合を2020年は100%。この措置を受けられる中
身の問題で、前回の安衛法の改正は健康診断時にストレス問診票を加えること
が加わった。これを法律で措置したから、メンタルヘルス対策についての目標
は、これでいいのだということになるのかどうかが極めて疑問で、もう少しプ
ラスアルファの取組が必要ではないかと思います。以上、長くなりましたが宜
しくお願いします。

○相澤分科会長 3点ご指摘がありましたが、安全課長お願いします。

○田中安全課長 まず、第3次産業の対策、5%を達成するためのものですが、
1つは第3次産業の部分が非常に多い。先ほどのご指摘のとおりで、特に卸小売
の部分が多ございます。要するに死亡災害に至りませんが、休養4日以上の数
が非常に多い。これはなぜかですが、転倒災害の形で、そのまま危険度といい
ますか、傷害の程度としては小さいですが、それなりにカウントされるような
災害が多いということです。それに対して、どうすればいいのかということが1
つと、例えば第3次産業全体を見回しても、第3次産業の労働者数の約7割近
くある中で、その業界の発生率が非常に低い。要するに一人ひとり、1つひとつ
の事業場から見れば、発生した事案というのは経験しないことも多い。しかし、
7割近くになる労働者数ということからすれば、ちょっと言葉が悪いかもしれま
せんが、塵も積れば山となるという世界がありまして、その数としては大きく
なってくるということがあります。
 従来から第3次産業については、ガイドラインなりリスクアセスメントマニ
ュアルを作りまして対応してきたわけですが、どちらかというとバックヤード
の危険度の高いようなところをある程度念頭に置いたような形で取り組んでい
まして、転倒とかそういうレベルではなくて、もう少し軽めではありますが、
それに比べれば頻繁に起こるようなものですので、そういうことに対して労働
者なり事業者にどういう意識づけをしていくかが大事だと思って、最近分析な
り、そういう我々の活動に対して何をこれからしようと思っているかと申しま
すと、品質管理にも効果的である4S活動のようなものです。要するに運動量で
すが、そういうことによりまして事業者、労働者のそれぞれの立場の意識づけ
を行うことによりまして、特に第3次産業の大きなウェイトを占める卸小売等
については、災害の減少に向かって5%となっています。そんなことが特に卸小
売業の第3次産業であると思いますので、その部分については運動論的なもの
を今回は挑戦しまして、災害の減少に向けてまた新たな方向で頑張っていきた
いと思っています。
 もう1つは社会福祉・介護事業で、高齢化の進む中で介護事業というのはさ
らに増えてくるということもあります。これについては安全対策マニュアルも
既にあるわけですが、特に新設部分について、安全衛生管理が弱いのではなか
ろうかというのがある程度想定の下に、新設される介護施設を中心に安全管理
等の徹底を現場レベルで図っていきたいという形で、この部分の対策を進めて
いきたいと考えているわけです。
 もう1つは先ほども説明しましたように、陸上貨物運送事業については交通
事故が多いのはまた特徴的なものですが、それに加えて荷役時における積み卸
しの際の墜落・転落が結構多いことがわかってきましたので、そこについては
墜落・転落をしないように足場的なものをきちんと確保して、そのために現場
において卸すために荷主の協力も要るだろうということもありますので、荷主
の協力を求めるような対策もお願いしまして、陸上貨物におきましても、荷役
時の墜落・転落等を防いでいきたいことから、第3次産業系の労災の削減を目
指していきたい。こちらも陸上貨物運送事業については、交通事故対策につい
ても引き続き進めていきたいと考えています。私からは以上です。

○相澤分科会長 メンタルヘルスのプラスアルファというのはどうですか。

○事務局 現状では、メンタルヘルス指針ということで事業場に望ましい対策
というものを示しているに過ぎないわけですが、これが法令の中に取り込まれ
ることになりますと、ストレスの症状を把握するためのチェックを受けまして、
医師による面接指導を受けられるということです。肝心なのはそのあとで、就
業上の措置まで行くことが重要であると考えています。確かに面接を受けるな
りチェックを受けるだけでは不十分ですが、就業上の措置をきちんとやること
が重要であると考えています。

○平野安全衛生部長 まず、第3次産業の災害防止対策に関してですが、いま
も安全課長から説明しましたように、ここの目標の中では多店舗の小売店や介
護施設等に重点的に指導を行うと書いてあるわけですが、単に災害防止を頑張
れと指導を行うのではなくて、災害発生状況を踏まえて具体的にどういうこと
をやってほしいかとか、そういうメニューをきちんと示しながら事業主に指導
もするし、ただ単に個別の事業場の指導だけではなくて、非常にたくさんあり
ますから、うちの監督官だけでは到底カバーしきれないので、業界団体などの
協力を求めつつ、幅広く事業主の理解を得て、こういうところで災害防止が進
むようにやっていきたいと考えています。
 メンタルヘルスに関しては衛生課から説明がありましたように、今年度の目
標は安衛法を改正して、メンタルヘルスの提供の体制の整備を図ることがある
わけですが、最終の2020年の目標の100%の職場でそういう組織がやるように
するためには、法改正をして放っておけば自然になるかといえば全然そういう
わけではないので、法改正をしたあと、きちんとして事業場のメンタルヘルス
対策が進むように、いろいろな手立てを考えていきたいと思っています。

○相澤分科会長 ありがとうございます。ほかにはよろしいですか。

○犬飼委員 1点教えてください。労政審の点検評価部会の中の部会の事務の中
には、年度途中に中間評価を行う。PDCAサイクル、まさにチェックのことだ
と思いますが、この時期と中間評価したあとに対策はおそらくやられるのでし
ょうが、その辺の運営の仕方を教えてほしいということ。まさに厚労省さんが
やられたように、去年死亡災害が増加していて、夏場に緊急対策が行われた。
これがPDAサイクルそのものだと思います。そのような方策が取られなかった
ら、市川委員が言われたようにただ目標設定するだけで、1年経ったら増えたよ、
減ったよという話だけでは対策にならないので、その辺のことを教えてほしい。
 もう1点は、第11次労働災害防止計画がありますね。これとの関連性という
か整合性といいますか。第11次は平成20年度から平成24年度です。これは平
成19年比で死亡者は20%減、死傷者は15%以上減少させるという目標になっ
ています。もう平成22年度まで終わっているわけですから、あと2年を残すだ
けです。私は林業関係ですので、ちなみに林業関係で言いますと、平成19年度
の死亡が50人で、去年が59人ですから、残念ながら18%増えてしまったので
す。死傷に関しても、2,080人と2,149人ですから、こちらも3.3%増えていま
す。これで果たしてあと2年間で、ここへ届くかどうかは非常に危惧していま
す。
 ただ特定業種にも指定されていますし、それなりにご努力願っていることは
ありがたく思っていますが、その反面、事業仕分けで、私たちの災害防止を担
っている林災防の予算も削られまして、かなり彼らも運営に苦慮しています。
それから、労災防止指導員制度も廃止をされました。これは連合さんの強い要
望があって、県の段階で専門者会議を作って一応やろうという方式にはなった
のですが、まさに安全管理は先ほど言われたように、法律を作ったらできる云々
ではなくて、現場サイドでいかにできるかという話なので、連合がなぜそうい
うことを言ったかというと、労災防止教育の現場へ出向いていって、実際に現
場指導できることになっていったということですから、2,000数百万円の予算を
これが無駄だといって削られて、一気に廃止されてしまったというのは逆行し
ているのではないかと思っているわけです。だから、是非PDCAサイクルを利
用して目標値を立てたなら、運営できるような予算も手当していただいて、事
業としてしっかり運営していただきたいということです。以上です。

○相澤分科会長 ありがとうございます。いかがでしょうか。

○事務局 事務局から点検評価部会について説明します。今日の資料の資料3-1
の3頁以降に、2010年度(平成22年度)の中間評価(抄)という形で抜粋が
載っています。それの6頁の真ん中あたりのディーセントワークの中に災害発
生件数の記載がありますとともに、8、9頁に個別の表がありますが、こちらの
ほうが労働災害発生件数及びメンタルヘルス及び受動喫煙に関する3つの目標
に対する中間評価となりまして、これについては平成22年10月までの実績に
基づいて、平成23年2月に中間評価ということで終わっています。今後、来月
の平成23年7月に予定していますが、平成22年度の目標を全体を通してやる
形で予定しています。

○相澤分科会長 よろしいですか。いろいろな事業仕分けが行われて、そうい
う活動を落とさないように是非やっていただければありがたいと思います。

○平野安全衛生部長 この雇用戦略は10年間で3割減らそう。年間、大体3%
ごとという目標でやっていますが、それと災防計画の目標には、基本的には整
合的だろうと考えています。ギチギチではなくて、ベクトルとしては整合的な
それぞれの目標があろうと考えます。だから、例えば3%でいけば、災防計画の
目標も基本的には大体クリアできるような形になると考えています。

○相澤分科会長 ほかにはいかがですか。

○高橋(信)委員 資料3-3の4頁、そこに職場におけるメンタルヘルス対策
と受動喫煙防止対策があります。足元の状況を見ますと、確かにこれは大事な
項目でして、それで建議させていただいたという経過があるわけですが、これ
を法制化するにあたりまして、十分な周知期間と施行までの期間を設けていた
だきたいと思います。というのは、普通の製造業の事業場と違いましてかなり
裾野が広く、いままでの周知の手段といいますかやり方では、なかなか徹底が
難しい部分が出てくるのではなかろうかと、危惧します。その辺の工夫をお願
いしたいと思います。
 もう1点は全くの総論ですが、同じ資料の3頁下のほうに、これはおそらく
資料6で説明があると思うのですが、安全活動に意欲のある企業が国民や取引
先に注目され評価される仕組みづくりという大変いい言葉が並んでおり、どう
しても施策とか規制といいますと、してはならないという消極的な対応が多い
のですが、民間では確かにいろいろな工夫をして実質的に効果を上げているケ
ースはいろいろありますので、それがこういう形で評価されるということにな
るといいと思うのです。もし具体案があれば、資料6のときでも結構ですしい
までも結構ですが、このようなことを考えているということをお示しいただけ
たらと思います。

○田中安全課長 高橋委員のご質問の件は、後に詳細に説明しますので、お待
ちください。あとで用意します。

○相澤分科会長 メンタルヘルスの周知期間を十分に取っていただきたいとい
う要望です。お願いします。ほかにはいかがですか。まだだいぶ議題が残って
いまして、あと3つありますので、そろそろよろしいですか。いまお示しいた
だきました目標を2011年度の目標として点検評価部会に報告したいと思います。
 次の議題ですが、石綿障害予防規則の一部を改正する省令案について、今回
厚生労働大臣から労働政策審議会会長あてに正式に諮問の手続がありましたの
で、当分科会において審査を行うこととします。事務局からお願いします。

○半田化学物質対策課長 今般、石綿障害予防規則の改正をお願いしたいと考
えていますのは、船舶に使われております石綿の除去等に関して、少し強化を
させていただきたいということです。
 資料4をご覧ください。2、3頁にこの要綱を付けていますが、見づらいと思
いますので4、5頁で説明をします。趣旨です。石綿障害予防規則は、平成17
年に制定されていますが、当時、それ以前には特定化学物質障害予防規則の中
でのさまざまな規制を掛けていました。この中で石綿の製造取扱い作業に関す
る諸規制があったわけですが、平成17年の石綿障害予防規則の制定に関して、
それを引き継いでいます。さらに、その際建築物解体に関しては、さまざまな
措置を追加・充実させていたところです。
 制定当時より全ての取扱い作業に関しては、作業主任者の選任、保護具の備
え付け等の義務を課していました。また、石綿の切断等の業務が行われる場合
には、湿潤化、保護具の着用の義務と、こういうことを明確に定めていました。
当然、船舶の解体に伴います作業に関しても、この規定は掛かっているわけで
す。
 その後、平成21年に石綿則を改正しています。このときには建築物解体にお
いて、電動ファン付き呼吸用保護具の使用とか石綿事業作業における確立とい
ったことを建築物について義務づけたわけですが、このときに鋼製の船舶に関
しても、同様の措置が必要であるかどうかということでご議論いただいていま
す。
 このときのご議論としては、当時、国際標準化機構(ISO)がありますが、ここ
において船舶の解体等における石綿ばく露防止対策の規格化ということで検討
が開始されていました。そういったことから先ほど申しました建築物で義務づ
けました隔離、電動ファン付き呼吸用保護具、このあたりについてはISOの結
論を待ってから整備しようということで、この時期においては事前調査・作業
計画・特別教育、こういったものについて義務化をしたところです。
 こういったところでしたが、平成22年12月に件のISOにおける基準が
ISO30007として定められています。こういったことを踏まえ石綿則への反映を
させるべく規則改正の準備をしていたところですが、ご案内のように平成23年
3月11日の東日本大震災、これにより津波により陸上に打ち上げられた船舶が
多数出てきています。こういった船舶の解体が今後行われるであろうというこ
とで、これに合わせるべく少しでも早く整備していく必要があるだろう、とい
うことでこの改正を行おうというものです。
 2番目です。具体的な改正の内容としては、石綿等を除去する際の隔離という
ことで、第6条に定められている規定ですが、船舶の壁などに石綿が吹きつけ
られている場合、こういったものの除去作業を行うにあたりましては、その場
所を隔離します。集じん・排気装置を設置していただく。そういうことにより
まして負圧化をする。作業場所の外に石綿粉じんが出ていかないようにすると
いうことです。そういった作業所への出入りのために前室というものを設置し
ていただくと、こういったことを義務づけたいということです。これは建築物
に定められているのと同じものをここに定めようということです。
 (2)です。電動ファン付き呼吸用保護具の使用をお願いしようということでし
て、(1)で定めました吹きつけられた石綿、こういったものがあるときには電動
ファン付き呼吸用保護具を着けていただくと。あるいは、それ以上の送気マス
クといったものにしていただくということを義務づけたいと考えています。
 (3)その他です。その他の整備事項としてアです。こういった除去作業を行う
にあたりましては、あらかじめ監督署長にこの作業を届け出ていただくと。現
在、作業届というのがありますが、そういったものをお願いしたいと考えてい
ます。イです。石綿等を接断する作業に関しては、そういった作業に従事しな
い方、直接関係しない方々の立入禁止をやっていただくことをお願いしたいと
考えています。ウです。吹付け石綿があって、それが損傷している場合、直ち
に除去する必要がない場合、そういった場合には封じ込めを行うなどしまして、
そこで作業する労働者の方がばく露されないようにしていくことをきちんとや
っていただくと。就業する場合には、呼吸用保護具などを使用させると、こう
いったことを義務づけたいと考えています。
 以上が主な改正内容ですが、施行期日です。公布日としては、できるだけ早
くやっていきたいと思い、7月にもこれを公布して、できれば8月1日から施行
したいと考えています。
 ただいま申しました内容は、最後の6頁でごく簡単にポンチ絵で描いてあり
ますので、再度説明します。ポンチ絵ではどうしても描ききれない部分があり
ますが、いちばん下のところに、鋼製への船舶の解体についてどういうものが
これまで定められていたかということですが、平成17年石綿則制定以前ですと、
鋼製の船舶解体に関しても、石綿等取扱い作業と、この中で一括りに入ってお
り、先ほど申し上げましたように、作業主任者の選任、保護具の備えつけ、関
係者以外の立入り禁止などが義務づけられています。
 石綿等の切断などがある場合には、保護具の着用・湿潤化、こういったもの
も義務づけられていたわけです。
 船舶に関しては、先ほど申し上げましたように平成21年の改正で、下から2
番目ですが、事前調査・作業計画・特別教育などを義務づけたところですが、
作業届、電動ファン付き呼吸用保護具、これはまだ定めていませんでした。こ
の部分を今回の改正で通過させたいと、こういうことです。

○相澤分科会長 石綿障害予防則の一部を改正する案件です。いまのご説明に
対して、ご意見、ご質問、よろしくお願いします。

○市川委員 いま一度異存があるものではありませんが、すでに被災地では解
体が始まっているのではないかという気がするのですが、これの施行はできる
だけ早く、今日にでも、という思いはあるのですが、施行前からもこの内容で
の指導に沿った解体作業ができるように、是非お願いをしておきたいと思いま
す。

○半田化学物質対策課長 ご指摘のとおりです。その点に関して、すでに5月
10日付で安全衛生部長通達を出していまして、関係局を通じてこの指導を強化
するような指示をしているところです。関係団体にも併せてお願いを申し上げ
ています。

○古市委員 船舶の解体は、いままでは日本ではどちらかというと外国に行っ
て解体の仕事をしてもらっていて、国内では船舶の解体の産業が十分に育って
いないといいますか、ないといいますか、そういうことが非常に懸念されるわ
けです。
 いまご説明をいただいた内容は、石綿の管理をしっかり厳しくやって健康被
害をなくそうというご提案ですので、大変結構な提案だと思うのですが、実際、
いままであまり経験をしたことがない仕事をこれから始めるという場合に、こ
ういう規則をつくったことをしっかり実行できるかどうかが非常に大切でして、
そこを併せて手当てをしないと、いい決めをつくったけれども、現場ではなか
なか実行ができないと、こういうことにならないように是非していただきたい。
 そういったことで、建設業の実情について若干ご報告を申し上げたいと思い
ます。どちらかというと建設業も非常にいいルールが決められても、実情は厳
しい状態なのですという話を少しさせていただいて、船舶のところで落ちがな
いようにしっかり指導していただきたい。
 石綿は、建設業の廃棄物、再利用することになっているのですが、石綿の含
有建材は再利用してはいけないということになっています。ところが、昨年、
再利用した再生砕石にアスベストが混入しているという事例が40カ所、40の
サンプル。これは埼玉県、東京の荒川区、杉並区、川崎市川崎区などのサンプ
ルを使って40カ所のサンプルを調べたところ、全部から石綿が出たと、こうい
うことがかなり大きく報道されました。
 建設業ではどうなっているかといいますと、石綿則で一応アスベストの危険
の度合に応じて3つのレベルに分けてルールが決まっているわけですが、再生
砕石の問題はどちらかというといちばん軽い、石綿含有建材のうちでは、成形
板でいちばん飛散しない軽いレベルのものですが、それにもかかわらず石綿則
で決まっている事前の調査とか、分別の解体とか、作業計画の作成とか、石綿
作業主任者の選任とか、作業員の特別教育とか、そういったことを決められて
いるわけですが、これが必ずしも十分行ってないと、そういうことがあるので
す。
 石綿の解体および処理に関しては、そういうことを事前にやっていかなくて
はいけないのですが、いずれにしろ建設業はみんな入札ですので、そういうこ
とを法律に基づいて厳格にやると、当然見積価格が大きく上がってしまい、入
札で負けてしまうことが日常的にあり、どうしても仕事を取るためにそこを甘
めに積算することが行われており、この事例で申しますと、要するに事前調査
が行われてないか、事前調査は行ったけれども、アスベスト含有建材は、アス
ベストは含まれてないものとして取り扱ったか、どちらかなわけです。
 そういう実態が非常にたくさんありますので、廃棄物の問題というよりも分
別解体、分別排出の問題、これが適正に行われていないという実態が非常に建
設業ではたくさんあるという1つの事例を申し上げました。
 あまりたくさん言うと時間がありませんので、このようなことが建設業でも
非常に行われていますので、新たに船舶の解体が始まるわけですので、そこは
いい基準をつくって、それがしっかり執行できるようにさ監督の面も併せて両
方手当てをしていただくことが必要だと思います。是非よろしくお願いします。

○半田化学物質対策課長 船舶の解体について、端的にいえば不慣れな業者が
入ってくるのではないかというご指摘かと思いますが、私どもはその点懸念し
ており、国土交通省などとの意見交換をしていますが、そのお話によりますと、
船は特殊なものですので、全くの素人が、建設業許可だけの方がやってできる
ものではなかろうということです。だから、基本的には造船関係者が関与する
であろうということです。造船関係者は、解体こそ少ないですが、船を扱って
いますので解体については専門性を持っているのだということでしたので、私
どもも今回のこれを施行するに当たりましては、関係業界と再度しっかりと連
携しながら養成も重ねていきたいと思っています。
 再生砕石の問題は私どもの頭の痛いところですが、昨年、この問題に出くわ
しまして、直ちに国土交通省、環境省とも合同の検討会を事務レベルですが設
けてやっています。そして、以来の合同パトロールをやったり、合同でのリー
フレットを作って周知を行っていくこともやっています。これは重要な課題だ
と考えていますので、私どももいわゆるレベル線レベルの解体についてどう対
応して、実態はどのような形で、実態はどのような形で、再度チェックして対
策を検討していくということを今年度の事業でも予定していますので、そうい
ったことを取り組んでいきたいと考えています。

○日下部委員 今回の規則の改正に伴ってISO30007に遵拠していると、こう
いう理解でよろしいですか。それが1点と、こういうのをJIS化するという動
きはあるのですか。

○半田化学物質対策課長 ただいまのところJIS化という話は聞いていません
が、通常はISOが定められますと、それを引き直してJISにやることが普通の
パターンになっていますので、そのような可能性はあります。確認してまた報
告します。

○相澤分科会長 ほかにはいかがですか。よろしいですか。それでは、石綿障
害予防規則の一部を改正する省令案要綱の諮問について、当分科会として妥当
と認めることとしてよろしいですか。

(異議なし)

○相澤分科会長 ありがとうございました。次の議題も諮問案件です。陸上貨
物運送事業労働災害防止規程変更案要綱について、事務局から説明をお願いし
ます。

○田中安全課長 陸上貨物運送事業労働災害防止規程の改正について、説明し
ます。お手元に資料5があります。陸上貨物運送事業労働災害防止規程変更案
要綱、その後ろに災防規程の改正についての説明資料、ポンチ絵があります。
主に資料5の5頁の説明資料、ポンチ絵において説明します。
 本件を諮問する経緯について説明します。労働災害防止規程は、労働災害防
止団体法第36条第1項の規定に基づいて、業種別の労働災害防止協会が会員事
業主の実施する事業の実態に即し、安全衛生等の関係法令をより使用者の守る
べき最低基準に加え、よりきめ細かく具体的に労働災害防止に必要な基準を定
めるものです。また、会員には、同法第41条第1項により、遵守義務が課せら
れているところです。したがいまして、この規定は、いわば協会と会員事業主
が自主的に設定する規範、ルールというべきものです。今般、陸上貨物運送事
業の労働災害防止規程の変更について、陸上貨物運送事業労働災害防止協会か
ら厚生労働大臣に対して変更認可申請の提出があったところです。
 この労働災害防止規程の変更を行うには、労働災害防止団体法第38条第4項
の規定により、労働政策審議会のご意見を伺うことになっており、本日、分科
会にお諮りするものです。なお、この変更案は、協会において関係労働者およ
び学識経験者を代表する者の意見を聞いた上で作成したものであり、いずれも
了解を得られているものと伺っています。
 今般の主な変更点について、先ほどのポンチ絵による説明をします。第1点
目です。いちばん下の枠に書いてありますが、災害発生頻度が高い作業に対す
る労働災害防止対策の追加等です。フォークリフトを従業員の昇降に使うこと
については、法令で危険を及ぼすこと、対策する場合に例外として用途外使用
が認められているものですが、それについて禁止することとするものです。こ
れは本業種の荷役作業時における墜落、転落事故の発生状況や本業種がこれら
の機械を使用する頻度の高いこと等を考慮し、当災防規程において自主的に使
用するものです。なお、この規定は、ショベルローダーやフォークローダーな
どの荷役運般機械についても適用されることとなります。
 2点目は、行政通達への対応に係る措置の追加等です。本業種における死亡災
害の7割を占める交通事故を防止するため、行政通達にある「交通労働災害防
止のためのガイドライン」の徹底を当規程に明示し、対策の徹底を努めていこ
うとするものです。
 3点目は、すでに申し上げました1と2の両方に関係するものですが、安全衛
生行政として最重点課題として取り組んでいますリスクアセスメントの実施お
よび長時間労働者に対する医師による面接指導等の実施等において当規程に明
示し、本事業種に従事する労働者の安全と健康の確保に努めていこうとするも
のです。内容は以上です。
 なお、本件は労働災害防止規程の変更案の内容については、本年5月に陸上
貨物運送事業労働災害防止協会の総代会において議決され、今回の変更認可申
請とされているものと伺っています。事務局においては、労働災害防止団体法
第38条に基づいて、内容が法令に違反していないこと、不当に差別的でないこ
と、労働者の不利益を不当に害する恐れがないこと、不当にないことについて、
内容審査を行い、いずれもそのような点で大丈夫であることを確認しています。
 なお、本規程の適用は、厚生労働大臣の認可の日の90日後からされており、
できるだけ早期の実施が期待されています。特段の問題がないようでしたら、
本日の答申をいただけたと考えていますので、審議のほどよろしくお願いしま
す。よろしくお願いします。

○相澤分科会長 ただいまのご説明に対して、ご意見、ご質問はありませんか。

○高橋(孝)委員 陸上貨物運送事業労働災害防止規程は、どういう位置づけ
でどういう権限を持っているか私はよく理解していないという前提で、要望意
見を1点申し上げたいと思います。ここにも危険性とか有害性などの問題が取
り上げられているのですが、実は物流はすでに国際的な物の流れが必然的で、
以前も申し上げたのですが、そのほとんどが海上コンテナということで運ばれ
ています。輸入がいちばん問題ですが、我々はトラックの運転の産業ですから、
これが運転手にコンテナの中にどういうものが入っているかが伝えられないで
運んでいるわけです。これはいろいろな所でいろいろな提起はしてきているの
ですが、いずれにせよ現実的にも過去にもコンテナが横転して、中にどういう
ものが入っているかが運転手はわからずに、対処がわからないという過去の事
例もありますので、荷主の了解をもらわないとできないことですが、荷主が必
ず運送を請け負う事業者に、そういう中身の情報を提供すると、今後指導でき
ないか、是非検討していただきたいと思っています。
 この問題については、昨年の通常国会に国際海陸一貫輸送コンテナの自動車
運送の安全確保に関する法律ということで、たぶん通常国会に出されるという
前提で法案もできているのですが、今日的な政治状態でできていませんので、
その辺のところを少し調査していただいて、過去の実績も調査していただいて、
是非今後の検討課題にしていただきたいと。
 我々組合としては、一応ILOの三者会議にも先般の2月に行って提案してい
ますので、最終的には別世界の標準をつくらないと駄目だという認識で取り組
んでいますが、是非、今後検討していただければと思います。

○半田化学物質対策課長 ただいまの高橋委員のご指摘は、例えば危険有害物
の輸送に関してということでよろしいのですか。

○高橋(孝)委員 コンテナの中身がわからないということが運転手にとって
は、もっと言うと、どういう荷物を運んでいるかによって運転の仕方も違いま
すし、過去にもいろいろな加害事故が多いわけです、引っくり返って。大惨事
になるのです。そういうことを言っている。運転手がわからないということで
す。

○半田化学物質対策課長 そうしますと、危険有害物輸送というところに少し
限定的にはなってまいりますが、そういった問題は十分認識しています。ご案
内と存じますが、1つには、自主的な業界団体の取組としてイエローカードとい
う制度があり、どういった危険有害物をお願いしていることを通知する仕組み
があります。その他、これは輸送に限らず全般的に危険有害物の譲渡提供に関
して国連勧告ですGHSに則った情報提供の仕組みをつくっていこうとしていま
す。こういったことでいま関係省庁連絡会議があり、年に3回ほど会議をやっ
ていますが、ここに国土交通省海事局、航空、陸上貨物、全部入っています。
ここでもこういった情報の提供の仕方を統一的にやっていこうと、そういう基
本的な認識は持って取り組んでいますので、そういった中でできるだけのこと
をやっていきたいと考えています。

○中田委員 いま、たまたま例を出していただいたイエローカードをやってい
る業界で化学部業界ですが、うちはご指摘のように国内はかなり普及していま
す。ただし、ご指摘のように中に何が入っているかではなくて、危険物とか化
学物質に関しては少なくとも相当指導が行っています。よきイエローカードと、
イエローカードをトラックの運転手は全部持ちなさいと。それには事故が起こ
ったときに最低限こういうことをしなさいと。最低限水をかけてはいけないと
か、もちろんそういうこともあるのですが、最低限どこに通報しなくてはいけ
ないかと。ものによってはそれの処置のできる会社は決まっていますから、こ
ういうところでしなくてはいけないということはかなり明確に書いてあります。
 イエローカード方式はかなり普及しているだけではなくて、ご指摘がありま
したように、日本だけでやってもしょうがないということでいまアジアにも普
及しています。アジアの研修会に私どもの協会から出かけていって、そういう
のを是非やりたいということで、ASEANのほうでもいま進めるようにしていま
す。ですから、またご一緒に協力させていただきながら広める方向にしたいと
思いますが、国内は課長がいまご紹介いただいたように、かなり進んでいます
ので、また機会があったら是非ご紹介したいと思っています。

○相澤分科会長 コンテナの上に貼ってあるのですか。

○中田委員 運転手が全部持つのです。

○相澤分科会長 運ぶ人がまた別の人だと。

○中田委員 車に必ず置いておかなくてはいけないのです。そういうことです。

○相澤分科会長 そういうことです。内容ももう少し検討していただきたいと
いうご要望になっています。よろしいですか。ほかにはいかがですか。よろし
いですか。それでは、陸上貨物運送業労働災害防止規則の変更について、当分
科会として妥当と認めるということでよろしいですか。

(異議なし)

○相澤分科会長 ありがとうございました。妥当と認めていただきました2件
の諮問案件については、労働政策審議会に報告します。事務局において手続等
をお願い申し上げます。
 最後の議題ですが、「安全から元気を起こす戦略」についてご説明をいただき
たいと思いますので、よろしくお願いします。

○田中安全課長 資料6で説明します。資料6の現状と課題のところに書いて
あります。1頁です。先ほどから話題になっていますように、昨年、労働災害が
増加したという背景を踏まえてこの会議を開いていこうということでした。
 2頁をご覧いただきたいのですが、安全から元気を起こす懇談会というものを、
小林厚生労働大臣政務官の主催により開催し、ここに参与者5名の方がありま
すが、この5人の方がお務めいただきまして検討したというものです。
 1頁に戻っていただきますが、2回検討した段階、その直後に大震災が起こっ
たものですので、その対策も考えなければならないということがあり、現状と
課題の3つ目にありますように、大震災からの復旧・復興を安全に成し遂げな
くてはならないということをもう1つ課題として掲げ、その3点の中で議論を
進めてまとめたものです。
 2つ目の上のほうの部分の2つ目の枠にありますように、企業における安全活
動の活性化ということ、言ってみれば、これは中長期的な流れの中で進めてい
くものですが、これはまさに戦略そのものですが、戦略1から4まであります。
あとでまた詳細も説明します。いずれにしても、これは働く方、労働者の方だ
けではなくて、企業、家族、また社会全体が関係者といいますか、ステークホ
ルダーとしての位置づけの中で安全を進めていこうではないかという発想の基
で議論されたものです。
 同じ枠の右のほうにあります死亡災害の増加等の緊急な課題への対応です。
これは先ほどから申しています昨年9月に緊急対策を行いましたが、いずれに
してもいろいろな形での労働災害の増加がありましたので、これに対しても対
応をすべきだろうということから議論をしました。
 3つ目が、その下にありますように震災の復旧・復興における労働災害防止対
策ということで、国のリーダーシップのもとに建設業界が個別企業の枠を超え
て提携して進めていこう、安全な復旧・復興工事を進めていこうということで
考えたものです。
 こういう中で詳細を説明します。1頁の下のほうです。戦略1です。安全活動
に意欲のある企業が評価される仕組みづくりということです。先ほど高橋委員
からのご質問にもありましたが、1つ?です。「安全プロジェクト」を立ち上げ
るということです。これは安全活動に熱心に取り組んでいる企業が国民や取引
先に注目されるための運動を展開ということで、具体的に申しますと、すでに
CSR報告等により、各企業においては環境問題だけではなくて、労働安全の対
策についてもいろいろな形でホームページ等にアップされているものもありま
すが、我々はこういうものを世間に公表しているぞということを我々に教えて
いただくとともに、我々はそのいただいたものを企業名リストをアップすると
ともに、その内容を我々のホームページの中で企業のホームページにリンクし
て、皆様に知ってもらおうということで、いま検討していると、そこでも話し
て。要するに、国民の皆様方に企業の安全活動をなるべく早く見ていただける
形にいけるような仕組みをつくっていきたいということは1つあります。
 同じ戦略の2つ目ですが、市場におけるインセンティブをつくるということ
がありますが、要するに安全が、消費者なり調達企業の選択行動の重要なファ
クターとなるべきではなかろうかということから、これはいますぐ対策は思い
つかないところでして、今年は調査研究を進めていきたいといま考えていると
ころです。
 戦略の2ですが、企業の安全活動の活性化の支援です。これについては1つ
が企業における安全文化を醸成ということでして、これについては、特に安全
文化の醸成には1つリスクアセスメントがあり、これをシステム化したマネジ
メントシステムが有効であろうということから、特にこの分科会でも議論され
ていましたが、中小企業におけるリスクアセスメントのマネジメントシステム
の対応を進めていくことにより、企業における安全文化の醸成を進めていきた
いということです。
 もう1つは、安全の現場力の維持・向上ということです。「見える」化、要す
るに安全活動を工場の中で、構内で何をしているかを目に見えて、ビジュアル
化して関係者にわかってもらい、活動をさらに活性化していこうということを1
つ考えていて、これはまだ検討段階ですがコンクール的なものを用意して進め
ていきたいと考えているところです。
 戦略の3の人材が活き活きと活躍できる職場づくりです。これについては1
つが、中小企業における若者の安全教育の支援ということです。若者における
危険感受性の低下が懸念される中で、特に大企業は十分それなりに対応できる
部分もありましょうが、中小企業においての若者の安全教育に対しての支援の
仕組みを考えていこうではないかということです。例えば、大企業において危
険感受性を高める訓練施設などがあるとすれば、それを中小企業の方々にオー
プンしていただき、それを共有して安全教育を進めていこうというイメージの
ものです。2つ目が、大学等における安全教育の実施です。大学等において安全
教育プログラムを用意していこうではないかと。これはいますぐにできるもの
ではありませんので、今年度あたりは調査研究ということで様子を見ていきた
いと考えているところです。3つ目が、将来の労働力を支える女性や高齢者が活
躍していくための職場づくりで、ハードでは便利で働きやすい、快適な職場と
いうのがありますが、ソフトの部分においても働きやすい職場づくりを考えて
いく措置をを検討していくべきではないかということから、検討を進めていき
たいというところです。
 戦略の4ですが、これは安全に対する意欲を呼び起こす公共工事の推進です。
まず、厚生労働省の公共工事において進めていきたいと思っているわけですが、
特に小規模な工事において安全衛生対策に関する計画書を提出することを条件
づけ、公共工事における安全対策の推進、促進を図っていきたいということで
す。もう1つが、公共工事の入札における労働安全マネジメントシステムの活
用、拡大について、行政的にいろいろな形で発注者に対して養成を進めていこ
うということを考えているところです。
 これが安全から元気を起こす戦略です。その資料6の3頁ですが、これが先
ほどから何度か説明していますが、東日本大震災復旧・復興工事安全プロジェ
クトということでして、復旧・復興工事を安全に、特に被災3県を中心に成し
遂げようということから進めていこうということです。
 ここの問題意識にありますように、岩手、宮城、福島を中心に広範にわたる
甚大な被害があったと。これを早期に復旧・復興させることが国家的な課題で
あると。その中で各種工事の錯綜があるであろうということ、さらには不慣れ
な労働者が就業することもあろうということから、労働災害の発生が懸念され
るということです。特に平成7年に発生した阪神・淡路大震災においても、平
成7年の1年間で復旧・復興工事における労働災害は、死亡者40名、死傷者
944名という形の数字も出ていますが、こういうことは避けていきたいというこ
とからこういうプロジェクトを進めていきたいということです。
 このためコンセプトですが、国のリーダーシップのもとに建設業界が個別事
業の枠組を超えて協力して、工事の進捗状況に合わせた対策を「すき間なく」
強力に推進していこうということです。
 その中でプロジェクトの概要ですが、国と民間と書いてありますが、業界と
現場がそれぞれ役割分担をして復旧・復興工事の安全を進めていこうというこ
とですが、その中心として民間の枠の中に太字で書いてありますが、震災復旧・
復興工事安推進本部を設置し、国の方針を踏まえて建設業界が企業の枠組を超
えて協力しあって検討していただこうではないかということです。
 構成メンバーとしては、大手・中小地場ゼネコンの会社の方、専門工事業の
代表の方、もう1つは建設労災防止協会、これをメンバーとして推進本部を立
ち上げ、6月3日に第1回を立ち上げましたが、それによって今後さらに検討し
ていこうということです。
 この枠の中のいちばん左に安全衛生教育の実施等に関する支援がありますが、
これは今日、先ほど申し上げました第1次補正において安全衛生教育の実施、
安全衛生診断、安全衛生パトロールという形での支援ツールとして第1次補正
予算で用意している支援もこれに併せて進めていこうということです。これに
プラットホームというのですか、拠点を置き、このツールでもっていろいろな
安全衛生教育活動等々を進めていきたいと考えているところです。
 どういうことを検討すべきか、という話です。もちろん、これは今後の議論
の種は増えていくわけですが、まず我々が想定しているのは、1つが、いろいろ
な工事が錯綜するであろうということから、エリアごとに「安全衛生協議体制」
をつくるべきではなかろうかと。もう1つは、先ほどもありましたが、異業種
間の労働者の参入が増加するであろうということからの安全衛生教育の徹底と。
3番目としては、いろいろな復旧・復興の工事のステージがありますが、ステー
ジごとの工事における安全対策の検討と、この辺がまずあるべきであろうと。
さらに、これ以外についても、今後の検討の中で課題を抽出して検討を進めて
いきたいということを考えているところです。私からの説明は以上です。

○相澤分科会長 ご報告で、あと午後6時まで7、8分ありますが、何かご質問
等がありましたらお願いします。よろしいですか。それでは、ご報告ですので、
これですべて議事は終了しました。事務局から連絡事項をお願いします。

○事務局 次回の日程については、また追って連絡することにしますので、よ
ろしくお願いします。本日はどうもありがとうございました。

○相澤分科会長 本日の分科会はこれで終了しますが、議事録の署名について
は、労働者代表は高橋孝行委員にお願いします。使用者側は高橋信雄委員にお
願いします。よろしくお願いします。今日は、大変暑い中、活発にご議論いた
だきまして、ありがとうございました。終了します。


(了)

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