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2011年6月30日 第4回児童養護施設等の社会的養護の課題に関する検討委員会 議事録

雇用均等・児童家庭局家庭福祉課

○日時

平成23年6月30日(木)17:30~20:00


○場所

中央合同庁舎第5号館 厚生労働省共用第7会議室(5階)


○出席者

委員

柏女委員長
相澤委員
大塩委員
大島委員
木ノ内委員
高田委員
伊達委員
平田委員
藤井委員
武藤委員
渡井委員

事務局

小宮山厚生労働副大臣
高橋家庭福祉課長
竹林母子家庭等自立支援室長

○議題

・社会的養護の課題と将来像について

○配布資料

資料1社会的養護の課題と将来像とりまとめ(案)
資料2社会的養護の課題と将来像(概要)(案)
資料3社会的養護の課題と将来像(要点)(案)
資料4当面の省令改正の検討事項について
資料5社会的養護の現状について(参考資料)

○議事

○高橋家庭福祉課長
 定刻となりましたので、ただ今から「第4回児童養護施設等の社会的養護の課題に関する検討委員会」を開催させていただきます。家庭福祉課長の高橋でございます。
 本日は委員11名皆さまにご出席いただいております。厚く御礼申し上げます。
 また、本日は小宮山厚生労働副大臣にご出席をいただいておりますので、開会に当たりまして、一言ご挨拶をお願い申し上げます。

○小宮山厚生労働副大臣
 皆さま、お忙しい中を毎回この検討会のためにお集まりいただいて現場からの声を上げていただきまして、ありがとうございます。
 この検討会、初回は今年1月に「タイガーマスクの善意」ということで日ごろ皆さまが一生懸命やっていらしても、なかなか光が当たらない養護施設に皆さまの関心が向いたところで、これは厚生労働省としても政府としても責任をもってもっとしっかり取り組めることがあるのではないか。スピード感を持ってできるところからやりましょうということで、この検討会を、現場の方を中心に設置してもらいました。
 その後、検討していただいた結果を既に4月から、実施要綱の改正や里親ガイドラインの改正あるいは最低基準の当面の見直しなど、できることはやらせていただきましたし、今日とりまとめいただいて、今年度中にできることはすぐにやる。次の予算に向けてやることは、またやっていく。また、長期的な課題についてはしっかりと検討できるように整えていくというように、きちんと工程表を「すぐにできること」「中期的なこと」「長期的なこと」と、しっかりと皆さまにご議論いただきましたので、その成果をいただいて、責任をもって進めていきたいと思いますので、今日は最終のとりまとめの議論ですけれども、忌憚のないご意見を伺わせていただければと思っております。どうぞよろしくお願い申し上げます。

○柏女委員長
 あらためて、皆さま、こんばんは。暑い中をお集まりいただきまして、ありがとうございました。本学でも早いところでは既に実習が始まっておりまして、児童養護施設や母子生活支援施設あるいは児童相談所などに学生たちが伺っております。いろいろとまたお世話になるでしょうし、また皆さまの所へも既に学生たちが伺っているのではないかと思いますが、どうぞよろしくお願いします。
 今、小宮山厚生労働副大臣のご挨拶にもありましたように、この「社会的養護の課題と将来像について」、できれば今日とりまとめをさせていただきたいと思っておりますので、ご協力をよろしくお願いいたします。
 まず事務局から、お手元にお配りしております資料の確認をお願いしたいと思います。

○高橋家庭福祉課長
 お手元の資料でございますが、表紙以降でございます。資料1が本日ご議論いただきます「社会的養護の課題と将来像とりまとめ(案)」でございます。資料2は、パワーポイントの資料ですが、とりまとめ(案)を図解した概要でございます。資料3は、その概要をさらに要点のみダイジェストにしたものでございます。資料4は「当面の省令改正の検討事項について」でございます。資料5は「社会的養護の現状について」の参考資料でございます。資料の確認は以上でございます。

○柏女委員長
 ありがとうございます。今日は20時まで時間を頂戴しておりますので、とりまとめ案を中心に議論を進めていきたいと思います。とりまとめ案については、五つの項目がございます。前回は1の「基本的考え方」、2の「施設種別ごとの課題と将来像」、3の「共通事項の課題と将来像」について、ご議論いただきました。その議論を踏まえて、既にメールでもお送りしているかと思いますが、修正させていただいた「1」~「3」の部分を見ていただいているかと思います。それに加えて、4の「施設の人員配置の課題と将来像」、そして5の「社会的養護の整備量の将来像」についてご議論いただき、全体をとりまとめたいと思っています。
 それから、今回はもう一つ「当面の省令改正の検討事項について」も資料が出ておりますので、これも一括してご議論いただく予定です。2時間半という長いようで短い限られた時間でございますので、効率よく進めていきたいと思います。
 ここで提案ですけれども、全体を三つのパーツに区切って議論してはどうかと思っています。一つは、「はじめに」から前回議論した「3」までと「省令改正の検討事項について」を前半の30分間でやって、その後、後半の「4」と「5」について、これは初めてですので40分間ほどご議論いただいて、最後に30分間ほどで全体を通じての議論をする。このような流れで、いわば三つの山をつくって議論を進めていきたいと思いますが、そのような形で、よろしいでしょうか。
 ありがとうございます。では、そのように進めさせていただきます。大体この三つを1時間、1時間、30分というような感じで進めていきたいと思っています。
 それでは最初に、とりまとめ案の「はじめに」から「3」まで、事務局より前回からの修正点を含めてご報告いただいて、その上でご意見を頂戴したいと思います。それでは、どうぞよろしくお願いいたします。

○高橋家庭福祉課長
 ただ今、追加で資料をお配りしましたのは、柏女委員長からのご案内の資料です。

○柏女委員長
 ありがとうございます。後ほど、ご報告させていただきたいと思います。

○高橋家庭福祉課長
 それでは、資料1に沿いまして説明させていただきます。前回のご意見を踏まえた修正ポイントのみを説明いたします。表紙をめくりまして2ページに「はじめに」を加えさせていただきました。「社会的養護は、かつては、親が無い、親に育てられない子どもへの施策であったが、虐待を受けて心に傷をもつ子どもなどへの支援を行う施策へと役割が変化し、その役割・機能の変化に、ハード・ソフトの変革が遅れている」というところや、これまでの経緯などを紹介しております。
 3ページからは「基本的考え方」でございますが、社会的養護の理念と機能というところで「社会的養護は」という一つ目の書き出しのところにつきまして、「保護者のない児童や保護者に監護させることが適当でない児童を、公的責任で社会的に養育し、保護する」というところに「養育に大きな困難を抱える家庭ヘの支援を行うことである」を加えております。
 1枚めくっていただきまして4ページです。これは前回ご議論が出ましたけれども、?の「ソーシャルインクルージョン(社会的包摂)のために」というのを加えています。なお、恐縮ですが1点、4ページの上の方に誤字があります。?の二つ目のポツの2行目に「他人認知」とありますが、これは「対人認知」のワープロミスです。失礼いたしました。
 それから、次の5ページは「社会的養護の基本的方向」、6ページの市町村の役割のところを大分書き直しております。「児童家庭相談における市町村の役割の強化」ということで、児童相談所での相談件数が非常に増えているという観点で、市町村がまず第一義的な相談をする。その中で難しいもの、施設などへの措置等の対応の必要なものを児童相談所につなぐということが平成16年の児童福祉法改正などで整理され、その後、市町村の取組が強化されてきておりますので、その辺りの記述を増やしております。
 次に、7ページの「各施設等種別ごとの課題と将来像」に入りまして、児童養護施設についての記述で8ページの上から四つ目のポツですが、今後の児童養護施設の新築・改築に当たりましては、施設の小規模化を推進していくというようなことで、前回の議論の中でも、大規模施設を分割するというような話もありましたので、そのような記述を加えております。また、グループホームなどを行う場合の町の中の住宅を賃借する場合の家賃を事務費の中で支払うような仕組み、算定する仕組みが必要であるという点を入れております。
 それから、9ページは小規模ケア、グループホームなどでございますが、小規模グループケアでは、本体施設から離れたグループホーム型の形態でもできるということを明記しております。
 それから、13ページの情緒障害児短期治療施設につきましては、名称の見直し問題について、今後の課題として記載した方が良いというご指摘がありましたので、?に「情緒障害」という言葉に子どもや保護者が感じる気持ちを考慮し、変更した方が良いという意見もかねてからあり、検討課題であるということを記載しています。
 それから、「児童自立支援施設の課題と将来像」でございますが、14ページの?「年長児童への対応」という点です。この児童自立支援施設の入所児童は中学生が74%ということで、施設によっては中卒・高校生に対応していない施設もあります。そのような年長の児童につきましては、他の児童養護施設や自立援助ホーム等で対応されているわけですが、児童自立支援施設での対応が重要であるという点。また、「学校教育の実施」ということで、平成9年の児童福祉法改正で、児童自立支援施設についても学校教育への就学義務が課され、施設内の分校・分教室の設置等が推進されておりますけれども、まだ未設置の施設もありますので、そこのところの推進が必要であるという点を記載しております。
 それから、15~17ページは母子生活支援施設でございますが、16ページでは人員体制の強化につきましての記述を増やしております。母子生活支援施設では保育に準じる設備を設けて保育機能も併せてもっている施設もあるわけでございますが、これにつきまして今は保育所よりも低い人員配置になっております。これを今後は保育所並みの人員配置にする必要があるという課題を記載しております。
 それから、下の方の?ですけれども、母子生活支援施設の積極的な活用という点、次の17ページの?は公立施設における課題、公設民営での問題などの記載を増やしております。
 次の18、19ページでは里親につきまして新生児里親や親族里親などを、それぞれ項目を分けてしっかりと記述した方が良いというご指摘がありましたので、そのように???を立てて記載しております。
 次の22ページですけれども、自立援助ホームの課題として、前回「子どもシェルター」ということで弁護士を中心とした子どもの緊急の避難先という取組がありまして、それをどこかに位置付けた方がよいというご指摘がありまして、これは今、自立援助ホームの中の一類型として公費の負担が出るような仕組みにしようという検討をしておりまして、その点につきまして記述しております。
 24ページからは共通事項でございます。25ページの第三者評価の義務付けにつきまして3年に1回以上という点につきましては、もう少し頻度を多くという議論もありましたので、3年に1回以上ではありますが、第三者評価を行わない年には自己評価を行うこととし、第三者評価が低かった施設が翌年に再度第三者評価を受けることも望ましいという記述をしています。
 それから、26ページの「施設の組織力の向上」のところで、心理職の複数配置などの重要性の記載がございます。
 29ページは自立支援ということで、奨学金制度が使いにくい部分があるということで、これは先般、日本学生支援機構の奨学金の貸与につきまして、これまでは親権者の同意が必要であったわけですけれども施設長の同意があればできるように改善されましたので、その辺りの記載もしています。
 30ページの「子どもの権利擁護」の記述は大幅に増やしております。「子どもの権利擁護の推進」や「子どもの意見をくみ上げる仕組み」などの記述を増やしております。
 32ページからは(7)として「社会的養護の地域化と市町村との連携」ということで、地域化の必要性という辺りを33ページもそうですが記載を増やしております。このようなところが、前回のご議論を踏まえて直した部分でございます。
 併せて、資料4をご覧ください。これに関連しまして、「当面の省令改正の検討事項」でございます。「社会的養護の施設長の研修義務化と資格要件の省令化」をはじめ、4項目の当面の省令改正事項があります。先般、最低基準の当面の見直しを行ったわけですが、その後の議論の中で出てまいりました点の省令改正を今年の夏に行おうという点でございます。
 一つ目は「社会的養護の施設長の研修義務化と資格要件の省令化」、最低基準の改正になります。これは前回もご紹介したものですが、3ページに省令の具体的な最低基準改正のイメージなども掲載しております。
 次の5ページに「社会的養護の施設の第三者評価の義務化」という点がございます。これは前回義務化をどこで義務化するのかということが明確でなかったのですが、最低基準に位置付けるということで今回は整理しております。これにつきましては、これまで任意の仕組みとしてあったために、あまり普及しておりませんでしたけれども、子どもが施設を選べない、また親権代行のようなものもあるということで、社会的養護の施設につきましては義務化しようということであります。「定期的に外部の者による評価を受けて、その結果を公表し、常にその改善を図るよう努めなければならない」という規定を最低基準に盛り込みたいということで、次の6ページに具体的な条文案のイメージを掲載しております。
 それから、次の7ページでございますが「親族里親等の要件の見直し」ということで、これまでは民法の扶養義務との関係を考慮いたしまして、3親等以内の親族には親族里親ということで子どもの養育費(月額47,600円)は支給しますが、里親手当(月額72,000円)は支給しないという扱いでした。しかしながら、3親等内の親族のうち、おじ・おばにつきましては家庭裁判所が扶養義務を課すことはできるという民法上の条文がありますけれども、実質的には義務が課されることは非常に少ないわけでございまして、そういう意味で、扶養義務者でないおじ・おばにつきましては、親族里親ではなく通常の養育里親制度を適用できるように条文改正をすることによりまして、里親手当の支給が可能になるというものでございます。定義の変更をする。これは児童福祉法施行規則でございます。
 次の9ページでございますが、四つ目の「自立援助ホーム及び母子生活支援施設の位置情報の提供方法の見直し」でございます。これは児童養護施設などの措置施設と違いまして、自立援助ホームなどは子どもが、また、母子生活支援施設は母親が利用を申し込む仕組みになっておりますので、どこにどういう施設があるのかという情報を誰でも自由に利用できるような方法で、例えばホームページ上などで情報を提供するという規定が省令にございます。今般、自立援助ホームの制度を子どもシェルターに適用する関係上、子どもシェルターは虐待を受けた子どもなどの避難先ということで、所在地をオープンにしない運用が必要であるということで、この辺りを利用者の安全確保のために、必要があるときは自由に利用できるような情報提供の方法ではなくて希望者に直接提供する方法によることとするような省令の見直し。この4項目につきまして、議論をいただいた後に、早急に省令改正の手当をしたいと思っております。資料の説明は以上でございます。

○柏女委員長
 ありがとうございます。簡潔に資料説明をいただいたこともあって、議論の時間をかなり取ることができました。1時間ということでいえば18時30分ぐらいまでを目途にたくさんのご意見を頂戴できるのではないかと思います。省令改正についても報告書の中に入っておりますので、一括して「はじめに」それから「1」~「3」までを一括して、省令も含めてご意見を頂戴できればと思います。どうぞ、どなたからでもお願いいたします。
 特に、今回の報告書は社会的養護の充実とともに、それを果たす施設や里親、ファミリーホームの社会的責任を意識して、いわば自らを律するといいましょうか、施設長などの資格や第三者評価、研修等で自らを律するというところが入りながら、それと充実をセットで目指していくという点が大きな特徴になるのではないかと思いますが、いかがでしょうか。いわば、自分たちにとって厳しいことも提言しているということはいえると思います。
 どなたからでも結構です。

○木ノ内委員
 省令の方で、親族里親について、一歩踏み込んだ評価をしていただきまして、ありがとうございます。
 ただ、ちょっと思うのは、やはり扶養義務の論点からのみ親族里親の議論がされているので、他の国等を見ますと、養育里親が担えない部分で、なおかつ、家庭的養護に力を入れていこうという国では、親族里親を非常に積極的に取り組んでいるのです。そういう意味では、施設養護ではなくて家庭的養護を強化する意味では親族里親に極力、もう少し軸足を置いて重点的な課題にしていただけないかと思っています。総論的な話ですけれど一つ、それはお願いしたいと思います。

○柏女委員長
 ありがとうございます。ご意見として承っておきたいと思います。
 他には、いかがでしょうか。

○大塩委員
 失礼いたします。まず課題と将来像の中で、社会的養護の中に母子生活支援施設をこんなにもたくさん位置付けていただいて、本当にありがとうございます。
 母子生活支援施設は14ページからですけれども、このとりまとめの中で14ページの?で利用されている母子家庭の像が大きく変化してきているということをきちんと書き込んでいただいたことと、?の「入所者支援の充実」のところで(a)~(e)まで母子生活支援施設が果たさなければいけない役割をきちんと明確にしていただいたことは、社会的養護を担っていく施設としての位置付けとしてとても画期的なことでしたので、心から感謝申し上げたいと思います。ありがとうございます。
 その中で、まず文言のことですけれども、15ページの上から二つ目のポツで「利用者の就労収入は」で始まる文章で、最後に「貧困母子世帯への支援になっている」を「貧困母子世帯への支援も行っている」と書き直していただきたいということが1点です。
 それから、16ページの上から二つ目のポツですが、「個別対応職員については、児童養護施設等については本年の最低基準改正で、全施設への配置が義務化されたが、母子生活支援施設では配置実績が46%にとどまるため義務化ができなかった」ということで「早期に義務化を図る必要がある」と書いていただきました。小宮山副大臣が「スピード感を持って」とおっしゃった改正の部分では、母子生活支援施設での被虐待児個別対応職員をはじめとして加算職員の配置率が低かったので最低基準の中に入れ込んでいただくことができませんでした。母子生活支援施設にも被虐待児が半数以上おりますので、ぜひこれは早期に実施していただきたいというお願いです。
 そして、3点目は、17ページの上から一つ目のポツで「利用が少ない施設では、自治体の母子福祉施策における母子生活支援施設の位置付けを見直し、積極的な活用を図る必要がある」と書いていただいています。まさに、そのとおりだと思いますけれども、母子生活支援施設は社会的養護の分野にも属し、母子福祉にも属しています。ここは社会的養護の検討の場ですけれども、国の母子福祉政策の中でもきちんと母子生活支援施設のことを明記していただき、今以上に利用が促進されるような政策の推進をお願いしたいと思います。以上です。

○柏女委員長
 ありがとうございました。今後に向けての、とても大切な当面、緊急にやってほしいことと、それから母子福祉政策・ひとり親家庭政策を見直す際において、母子生活支援施設をしっかりと位置付けていくことの大切さをご指摘いただいたかと思います。ありがとうございました。
 他には。

○藤井委員
 児童家庭支援センターからの話でございます。前回以降、児童家庭支援センターも今後の将来像も含めてどういう位置付けでいくのかというところが少し見えてきたのではないかということを感じております。大変ご苦労があったのではないかと思っておりますが、児童家庭支援センターは地域に身近で一般家庭から直接相談を受ける仕事もやっておりますので、施設の中にとどまらず、広く地域あるいは社会全般の社会的養護という枠組みの中での判断をしなければならない立場でございます。
 今回は課題と将来像のとりまとめということで、「はじめに」を加えていただいて、経過を含め大枠のいきさつなどがもう少し広い枠といいますか、前から議論としては出ていた「子ども・子育て新システム」の中での社会的養護の位置付けの部分は明確にしていただきたいとお願いしておりましたので、子ども・子育て新システムの中では名称もきちんと出て、どこに位置付けられるかという位置付けの部分まで、ある程度イメージができるところまできていると思います。
 しかし、もう一つの視点では地方分権・地方主権の関係との絡みで最低基準が各地方自治体で条例化する、移譲されていく予定になっていますよね。そうすると、将来像と課題との兼ね合いでこの辺はずっと課題として残っているし、今後も心配されるところだと思いますが、いわゆる社会的養護に関する国の立ち位置といいますか、責任をどこで明確にできるのかというところが議論されていなかったのです。今回は、社会的養護の現段階でのとりまとめというところでございますので、その意味では将来像を、今後、最低基準が移譲されていくというところを含め、子ども・子育て新システムとの関係で、どこにどのように盛り込んで表現すればよいのかという議論が必要だと思います。そこの関係や流れ、今後につなぐという意味での記述がどこかにあった方が良いのではないかと思っています。

○柏女委員長
 わかりました。そこは事務局にもお伺いしたいのですが、子ども・子育て新システムでは中間とりまとめと言いましょうか、議論のまとめが今作成されていると伺っておりますが、その中には社会的養護や障害児支援の関係が入るのだろうと思いますが、それをこちらの方にも少し入れておいた方が良いのではないかということと、もう一つは最低基準の地方移譲の中で、今後最低基準の引き上げとなっているけれども、それをどのように考えていったらよいのかという点だと思います。ご意見を伺えればと思います。

○高橋家庭福祉課長
 子ども・子育て新システムにつきましては、昨年からワーキングで精力的に議論が行われて、そこの中に社会的養護をしっかりと位置付けるということをやってまいりました。子ども・子育て新システムの計画に都道府県計画、市町村計画にもしっかり書いて、密接な連携を図っていくという方向になっています。ただ、そのとりまとめが少し延びておりまして、最終的なとりまとめがまだ固まる前にこちらに書くのはどうかなということがありまして、今回この文の中には子ども・子育て新システムは実は一言も出てこないのはそのようなことで、順序が逆になってはいけないということがあります。議論としては基本制度ワーキングで社会的養護の充実も重要であるということが議論されております。その中身がここで議論している内容という位置付け、関係だと思っています。
 最低基準の条令委任につきましては、先般、法律が成立しましたので、来年4月から施行されるころに向けて条令準則をつくる作業が夏にございます。「従うべき基準」と「参酌基準」ということで、人員配置ですとか、そこの中心的な部分、重要な部分は従うべき基準で厚生労働省の省令で基準を定めて、それと同じように定めてもらうのが従うべき基準。その他いろいろな記載の表現につきましては参酌基準で、より踏み込んで書いていただくのも構わないということでございます。そのような意味で、基本的なところは公的責任で行う措置制度ですので、そこは国の責任としてしっかりやっていく。そのような意味で条令準則化などをしても、しっかりと国としてやっていくということは、書くとしたら「むすび」ですとか。そこは委員長ともご相談したいと思います。検討したいと思います。

○小宮山厚生労働副大臣
 高橋課長がまとめてくださったのに、私が一言踏み込んではいけないのですが、子ども・子育て新システムのとりまとめの厚生労働省の責任者でございますので、3.11以降いろいろあって、とりまとめが当初よりは遅れていますが、ワーキングチームの中間とりまとめは7月6日に行います。中身についてはほぼ合意していますので、子ども・子育て新システムの中の大切な4本柱の一つの中に社会的養護を入れていますので、そうしたことくらいは書いていただいて結構です。責任を持って、きちんといたします。

○高橋家庭福祉課長
 では、そのように。いずれにしましても、この課題と将来像のとりまとめも、今日の議論を踏まえた議論で、また後で事後修正をしてとなりますので、そうすると7月6日の新システムの中間とりまとめ後くらいにちょうどなりますので、その中身を取り込むことにしたいと思います。

○小宮山厚生労働副大臣
 政府決定も今いろいろとやっていますけれども、政府の全閣僚での決定を7月の中ごろまでには何とかするべく今、努力をしておりますので、政治の状況が不安定でご心配かと思いますが、この政権としてきちんとやってきたことの大きな柱ですので、そこはきちんとしたとりまとめを今の段階として中間とりまとめはこういうことですということをきちんと出したいと思っています。そこはまだ努力途中でございますけれども、少なくともワーキングチームでまとめた文言については来週まとまる予定ですので、その辺はすり合わせをしながら、なるべくご意向も受けてしっかりと位置付けができるようにしたいと思います。

○柏女委員長
 ありがとうございました。ぜひ、平仄を合わせながら、子ども・子育て新システムのとりまとめとこちらのとりまとめをよろしくお願いしたいと思います。条例準則についての議論は、「4」「5」のところでまた出てくるのではないかと思います。ありがとうございました。

○大島委員
 子ども・子育て新システムにかかわることかもしれませんけれども、昨日の新聞の一部報道によりますと、養護施設の入所児童を、現在3万人程度入っているわけですが、それを1万人にするということで、今、施設は小規模化を進めておりますし、里親ガイドラインをつくって里親を拡大していこうということですけれども、2万人もの子どもを養護施設から減らしていこうということになりますと、「国の方針として」ということが書かれていたと思いますけれども、どのような報道であったかをお聞きしたいのです。施設の運営、施設自体が大きな変革をしなければならないということになりますので、その辺の真意を教えていただければと思います。

○柏女委員長
 それでは、高橋家庭福祉課長からお願いします。

○高橋家庭福祉課長
 それは後半のところの今後の施設の地域分散化ですとか、そのようなことになります。今、日本では施設が9割、里親1割。これをもう少し里親寄りに移していこうということでありますし、施設そのものも大きな施設だけではなくて、できるだけ分散化してグループホーム化を図っていくということでございます。これは短期的にできることではなくて、かなりの時間をかけて準備をしながらやっていくことだろうと思っております。そこのところの考えにつきましては、この中の「4」「5」のところでの記載でございます。また後ほどあらためてご説明した上で、ご議論いただければと思います。

○柏女委員長
 大島委員、よろしいでしょうか。それでは伊達委員、お願いいたします。

○伊達委員
 今のところに関係しますけれども、大事な部分ですので、あとの「4」「5」で取り上げていただくということでよろしいですか。

○柏女委員長
 そうですね。それはそのようにしたいと思います。他のところは、いかがでしょう。もしこの部分がそんなになければ「4」「5」のところで。
 木ノ内委員、お願いいたします。まだ時間はたっぷりありますから、大丈夫です。

○木ノ内委員
 家庭的養護に関する部分で、養子縁組が近年の里親制度の変更で遠ざけられた感じがするのです。養子縁組については基本的に私的養護だという認識が強いのでしょうけれど、子どもにとっての安心・安定ということからは、とても社会的養護の要素が強いと思います。遠ざけられている関係から民間斡旋会社がかなり動いている。それから、児童相談所が養子縁組について消極的な取組をしているという感じがしますので、できるだけ推進していただきたい。もう一つは、養子縁組の監視の仕組みをきちんとしていただきたい。今回の震災絡みでも大変心配になっているところですので、ぜひよろしくお願いしたいと思います。

○柏女委員長
 前者の特別養子縁組等を斡旋していくことについては里親委託ガイドラインの中でかなり触れたと思いますが、後者の養子縁組斡旋事業そのものの監視システムをどのようにしていくか。届出システムが今もありますけれども、そこをどうしていくかは、この中では議論されていなかったと思います。その扱いをどのようにしましょうか。ここですぐに議論するわけにもいかないので、今の木ノ内委員のご発言について、どのように考えたらよろしいでしょうか。
 平田委員は縁組にもかかわっていらっしゃると思いますけれども、それについてこの中でどう触れたらよいか、ご意見がございますか。

○平田委員
 非常に難しい問題だと思います。子どもを主体として考えるならば、アセスメントの話も何度も出ますけれども、子どもにとってどの支援が一番良いのかがまず図られる制度であること、そういう養子縁組や里親、または母子での生活を10年20年の歩みの中で連続性をもって支援ができるように、縦のみではなくて横で繋げる支援の手を検討することが先だと思います。

○柏女委員長
 わかりました。この扱いについては私と事務局で検討させていただいてもよろしいでしょうか。可能であれば課題として次に送るというやり方もあると思います。ありがとうございました。とても大切なご指摘ではないかと思います。
 では相澤委員、お願いいたします

○相澤委員
 今後、ケアの単位を小規模化した新しいケアの実践が行われるわけでございますが、そのような意味では科学的な評価に基づく新しい支援の方法論の確立が課題になってくると思います。したがいまして、継続的な研究ができるような仕組みや研究助成のあり方についても触れていただけるとありがたいと思います。

○柏女委員長
 これも大切なご指摘です。研究の積み重ねができていかないと回っていかないということですので、それもとても大切なご指摘だと思います。どこに入れるかはともかく、少し検討させていただければと思います。ありがとうございます。武藤委員、お願いいたします。

○武藤委員
 相澤委員と同じような意見になってくるのですけれども、7ページで今後の児童養護施設のあり方ということで、小規模化する、分散化する。家庭的養護という形に大幅に舵を切っていきますという流れとしては必要ですけれども、現実的には大舎制を採っている所が児童養護施設でいくと7割で、方向性としては必要ですが、子ども本位で考えたときに、急激にそちらに舵を切っていたときに施設や都道府県によっては混乱が生じる可能性があるものですから、そのような点でいくと研究の場やどのように進めようかということで、実際子どもたちにとってどうなのかという視点を置きながら、都道府県の実態や各施設の実態を十分加味しながらそのような方向に行かないと、上からこのような形でこういくのだということでやること自体は、大きな混乱が生じる可能性もあると思います。このような方向性は必要だと思いますけれども、どうやって進めるかという内容について、中身についての方法論については、研究しながら今後とも進めていったらどうかと思っています。
 分散化するという点において、当二葉学園も地域分散化で進めているのですが、ややもすると働く職員が疲弊してしまったり孤立化したりという部分が出てきて、これは前回も言わせていただいたのですが、そのようなことをまとめていくことが必要ではないかと思っています。
 9ページは前回私も言わせていただいたところで、スーパーバイザー(基幹的職員)の配置が必要だろう。とりまとめていくことが必要だろう。基幹的職員は加算方式で数十万円措置費の中に上乗せしているだけということで、実態的にはしっかり配置ができていないのです。スーパーバイザー(基幹的職員)を置くのであれば、しっかり常勤職員で置きながら、分散化したりする中をコーディネートする役割をしっかり保障しないと、分散化したことがかえって職員に大幅な負担を強いたり、子どもたちに大きく混乱を生じたりする可能性もありますので、ぜひそういう基盤整備を、職員の体制整備も兼ねて同時にやらないといけないのではないかと思っています。
 1点は先ほどの第三者評価ですが、これは参酌というか、こういう最低基準の中に位置付けるけれども、実態的には各都道府県で参酌基準のような形になるのですか。それとも、従うべき基準のような形で義務付けするのかどうか。その辺りを先ほども課長が言っておられましたけれども、実態としては厚生労働省令を都道府県条例という形で、4月1日を目途にしながらそのような方向で進めているわけですから、私の個人的な意見としては最低基準でしっかり位置付けることが必要ですが、条例になったら本当に第三者評価をやるところとやらないところが出てくるのではないかという不安があるのです。その辺りはどう考えていらっしゃるのかというのが1点です。
 最後にもう1点、施設長の資格要件です。ここのところで意見出しをしたのですが、社会福祉士の資格があれば経験がなくてもすぐに施設長になれるということになると思います。経験を持つことが施設長には必要だし、社会福祉士の資格だけ持っていればよいということにはならないので、社会福祉士の資格を持って一定の経験を持つということを入れないと良くないのではないかということは実態的なところで感じています。ここで2年とか3年ということを言っているのですが、できれば最低5年ぐらい。ファミリーソーシャルワーカーを少なくとも5年ということを位置付けたわけですから、施設長は一定の経験や専門的な知識や力量を兼ね備えていかないといけないのではないかと思っていますので、その点もぜひご検討いただければと思います。以上です。

○柏女委員長
 ありがとうございます。今、幾つかご質問も出ておりますので、高橋課長からお願いしたいと思います。

○高橋家庭福祉課長
 一つは第三者評価の問題です。これにつきましては最低基準では従うべき基準になるものは人員配置や居室面積等の問題や人権にかかわることになっておりますので、基本的には参酌基準だと思っています。ただ、参酌基準ではありますが、第三者評価をしなければいけないという参酌基準で、ではこれを外そうという自治体はないと思います。また、今度は第三者評価の実施を担保するためにそのための経費、事務費の算定の課題という点でも、推進方策を国としてやっていくことはあると思います。また、現状の第三者評価の仕組みをそのまま使って義務化できるかといいますと、そうではなかろうと。社会的養護の評価がしっかりできるように既存の第三者評価の仕組みではなくて、評価基準もしっかりともう一度見直す。また、評価機関ですが、今行われているのは老人の施設や保育所の評価には経験が多い評価機関が多いのですが、社会的養護の施設の経験がほとんどないところですと評価に来てもよくわからないということになると思います。社会的養護の施設の評価ができるような評価機関の新しい評価機関研修などの準備をしていく必要があると思っています。そういうことをやりながら、しっかりと実施できるような体制づくりには若干準備に時間がかかると思いますが、そこを来年にかけてやっていく必要があると思っております。
 施設長の資格要件につきましては前向きなご指摘もいただいて、いろいろな意見がありますので今回はこういうご提案をさせていただいております。資料4の2ページにありますように、今の児童自立支援施設の施設長の資格要件が最低基準の81条に入っております。それとの対比のイメージを書いております。今の資格では医師や社会福祉士は児童自立支援施設を実務経験なしでとなっています。そういうこととのバランスから言いまして、児童養護施設などでも同じように医師、社会福祉士などは実務経験なしでという記載にせざるを得ないと思います。基本的にここは良い人材、多様な優れた人材に入っていただけるように、間口を狭くするか広くするかという点は非常に兼ね合いがあると思います。そのような意味で、児童自立支援施設よりも少し緩くしながら、その代わりに定期的な施設長研修を導入して質を高めていく。また、意見交換する場をきちんと設けるようなことが良いのではないかという提案でございます。

○柏女委員長
 武藤委員、よろしいでしょうか。恐らく国家資格を持ちながら実務経験を課しているものはそんなにないと思います。例えば病院長になるのに、医師であって何年間勤務医を経験したものとかはあまりないと思います。ですから、社会福祉士という国家資格であれば、そうなったとしてもすぐに施設長になれないことはわかりきっていますので、副施設長として何年か経験した上でやっていく。実際上はそうなるのではないかと思います。

○武藤委員
 実際にそうなるのであれば、それはきちんと位置付けることが必要ではないかと思います。それでいくと、例えば22歳で大学を出て資格を持ってすぐに施設長ということがあり得るわけです。社会福祉士の資格は専門性を担保してそういう資格を取るのでしょうけれど、現場は経験が必要ではないかという意味で、ぜひ経験性という部分をこの中に担保させる。今、児童養護施設には非常にさまざまな障害を抱えた子どもたちがいて、職員も多様な職種が参入してきているので、それをしっかり束ねる能力を持たなければいけないということでは経験がないと難しいのではないかという思いがあるので、そういうことが必要だということで主張させていただきました。

○柏女委員長
 わかりました。大島委員、関連してですか。

○大島委員
 先日、全国の養護問題研究会が東京で開かれたのですが、そのときのシンポジウムで村井美紀先生が自立援助ホームがこれからどんどん増えていくことに触れまして、第二種社会福祉事業、それから私どもも今、全国で半数がNPO法人になっている。社会福祉法人という基盤のないものがやっている。これからどんどん増えてくると思います。そうすると、ホーム長の資格要件は特にありません。それから認可するのも各都道府県・政令指定市あるいは児童相談所設置市が認可するのだと思います。基準が誰でも手を挙げればできるような形に今はなっています。チェック機能をどこかで持たせていただけないでしょうか。例えば協議会、あるいは全体を俯瞰したところで何か別の委員会の承認が必要などがないと、今いろいろな形で手が挙がってきているのです。地域で設立の反対運動があるところもあるので、協議会としては設立に協力していきたいと思いますが、チェックがない中で設立されますと、逆に自立援助ホームのレベルが維持できないのではないかという不安もあります。学者の先生は極端な話、貧困産業のような形で施設づくりが行われる可能性があってはいけないことから言われたのですが、そのようなことを考えています。

○高橋家庭福祉課長
 今の自立援助ホームは、おっしゃるように第二種社会福祉事業で設置認可ではなくて届け出ればよい仕組みになっています。そのような点でご指摘はいろいろあります。ファミリーホームなどに共通した課題だという指摘はよくあります。そのような意味で、これは措置費を払う仕組みでございまして、届出で作ることはできるのですが、利用決定は児童相談所がする仕組みになっております。措置費が流れるのも利用決定がされたときからということであります。そのような意味で行政のチェックの仕組みです。法律上の定めは第二種社会福祉事業になっているのですけれども、実質的には措置制度の中でのものとしてしっかりとご指摘のようなことが大事ではないかと思っています。

○柏女委員長
 大島委員、その件はよろしいでしょうか。ご意見としては、とても大切なことだと思います。

○大島委員
 そうですね。協議会がもっと力を持つような形でやっていきたいと私たちは思っています。それから研修です。そのような機能をもっと持たせていただければと思っています。

○柏女委員長
 ありがとうございます。資格プラス経験の話にけりをつけてから、次にいきたいと思います。それでは、高橋課長。

○高橋家庭福祉課長
 資格の経験年数の点ですけれども、乳児院ですと医療機関が併設している乳児院に例えば病院の小児科部長が来る。ドクターが施設長をやっているところもあります。そういうところですと、その方は小児科の経験が大いにあって小児科部長であるけれども、乳児院は初めてで回って来るということがあったりします。けれども、最近は乳児院でも病気の子どもやいろいろな子どもがいるから、そういうリーダーシップが必要だということもあります。一人一人施設長が任用されるときの人物。要はこれに尽きることだと思います。そういう意味での客観的要件での枠組みをどの程度にしたらよいものかという要件で、ある程度の、あまりがんじがらめにしないところも必要ではないか。冒頭で委員長からありましたような社会福祉士や医師につきましては、通常は実務経験が関係ないスタイルが多いということも既存の体験の中でも考慮しながら、一方で武藤委員の経験のある者、識見のある者がリーダーになるべきであるという点も大事にしながら、そこのところが運用されていくことが必要であるという点を今後ともはっきりして、資格はこれだけでよいということではないということの念押しが大事ではないかと理解する必要があると思っています。

○柏女委員長
 この問題は質の確保と施設長の人材確保をどうバランスを図るかの点に深くかかわってくると思います。いわば複数施設を持っている法人等の場合に、児童養護施設で経験のある人が人事異動で施設長が乳児院長になることもあるわけです。そうなると、その人は乳児院で格下げになって副院長になって、数年やってからまた院長になるということも起こり得ると思います。そのような意味では、公的な資格を持っている方にどの程度実務経験を入れているか。他も検討させていただいた上で、ここの結論を出させていただく形にしてよろしいでしょうか。

○武藤委員
 私は社会福祉士のところで言っているのです。医師のことは言っていません。要するに社会福祉士の資格を持っていればよいのかということを言っていて、社会福祉士の資格を持っていても実務経験をここのところには入れた方がよいのではないかということです。

○柏女委員長
 そうすると、今申し上げたように、例えば高齢者施設の施設長や乳児院の施設長で社会福祉士の資格を持っている人が、児童養護施設の施設長に、例えば大きな法人で人事異動するときには施設長にはなれない形になるのです。

○武藤委員
 それは救うところが要件として幾つかあるではないですか。

○柏女委員長
 ありますか。公的な資格を持っている方で、そこに実務経験を入れなければならないというのは他にあまり例がないのではないかと思っています。例えば児童相談所長もそうです。医師と社会福祉士はなれます。その他は実務経験などが必要です。そのようになっていて、例えば保育所長も資格はありませんけれども、保育士何年経験ということにはなっていないので。公的な資格、国家資格を持っている方について、それに実務経験を課している要件はあまり見当たらないのではないかと思います。それを役所の方で調べていただいて、その上で検討する形で、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。

○伊達委員
 今のに追加させていただきたい。児童養護施設の場合には子どもたちの生活の場所であるという趣旨で、どうしても実務経験ということを考えているということをどれだけくみ取っていただいているのかというニュアンスで発言させていただいています。そのような検討で結構かと思います。

○柏女委員長
 わかりました。これについては少し時間を頂戴したいと思います。ありがとうございます。
 他にはいかがでしょうか。では渡井委員、平田委員、伊達委員、お願いいたします。

○渡井委員
 社会的養護を経験した立場からお話しさせていただきます。4点ほどあります。最初に先ほど地方主権の話があったのですけれども、よく何が参酌基準で、何が従うべき基準かということが議論に上がっていると思います。この「社会的養護の課題と将来像」の資料は、社会的養護にかかわる人たちが今後の指標としてよく見ると思いますので、可能であればこの中に、これらの項目は従うべき基準として想定しているし、これらは参酌基準となることが想定されているということが入れば、関係者の人たちの困惑や変な猜疑心が緩和されて良いと考えます。
 2点目は、先ほど相澤委員から研究や検証のために書き足すことが必要とあったのですが、それと同じような感じで、今制度が変わっていく中で、その効果測定というかこういった部分は良かったし、こういった部分は、先ほど武藤委員のお話の中で急激な変化によりということで、急激過ぎてこういう部分は困っているというものがきちんと挙げられて改善されるような、スピードを緩める必要があれば緩めるということがわかるような仕組みが必要ではないかと思います。そのためには、ケアを受けた子どもがその後どうなっているかを必要があれば追跡調査などをすることが求められていると思います。
 次に、これは大したことではないのですが、既にメールでも意見したことをくんでいただいて、事務局には感謝しています。ただ、小さい文字は見落とされていたようで、14ページの?の「相談、通所、アフターケア機能」の二つ目のポツで「地域社会おける」となっているところがあるのですが、「に」を入れていただきますようにお願いします。
 最後に、「当面の省令改正の検討事項について」の第三者評価の義務化に関してですが、「ファミリーホーム及び自立援助ホームは小規模であること等から、現行の努力義務規定のとおりとする」ということは、小規模で入れにくいということがあると思いますが、そのことはとりまとめ案には記載されていないので、とりまとめ案の第三者評価の25ページに、「自立援助ホームやファミリーホームは努力義務であることから、現行の努力義務規定のとおりとする。ただし、子どもの声を上げる仕組みをきちんと担保する」という文章が入る必要があると感じました。以上です。
○柏女委員長
 ありがとうございます。今のご意見で、省令改正と報告書の整合性をとってくださいという話が1点あったと思います。もう1点はわかりにくいところは「注」を入れた方が良いという感じですね。今のお話だと最低基準のことやそれ以外のことも含め「注」を入れた方が良いかもしれないと思います。
 もう一つは、PDCAサイクルのことをしっかりと書いておくことが必要ではないかということで、とても大事なご指摘だと思います。ありがとうございました。
 では平田委員、お願いいたします。

○平田委員
 2点あります。一つは3ページの「基本的考え方」の(1)のポツの四つ目に書いていただいているのですが、社会的養護と一般子育て支援施策は、一連の連続性を持った包括的支援だという位置付けを明確にしてくださったこと。今回このとりまとめ(案)全体を通して特別な子どもの手当ではなくて、現在日本の子育ての中にこういう問題が存在しているからこそ子育ての社会化なのであり、現在さまざまな機関が役割を担っているということで、現場の人間としてはありがたく思っております。
 もう1点、32ページの?「障害児と社会的養護」で、どうしても障害児となると診断がついた子どもが課題となります。乳児院における障害児の問題は、昭和初期からずっと問われているところです。診断がつかない月齢で、おそらく将来、障害児施設へ、または重度心身障害児施設へ行くだろうと見立てられる子どもが在籍しています。行き場のない子どもが「とりあえず乳児院へ」というまま放置されてきました。今回、今まで制度のはざまの中で救われてこなかった子どもたちの課題をどうするのか、将来像の中では明確にしていただきたいと思います。前回、乳児院の一時保護機能、一時保護所機能と言った方が良いかもしれませんが、乳児期のアセスメント機能を含めて課題を少し明らかにしていただきたいと思います。以上です。

○柏女委員長
 関連して高田委員、お願いいたします。

○高田委員
 とりまとめ案では支援の機能ということがたくさん書いてありますが、支援の基になるアセスメントの部分がほとんど書かれていません。それは児童相談所がかなりを担っている。けれども、不十分だと言われている。施設、特に情緒障害児短期治療施設は完全に専門施設ですから、その辺りに寄与できると思います。平田委員がおっしゃったように、乳児から大人になるまでの長い支援に対するアセスメントを、どこかに盛り込んでいただいた方がいいと思いました。

○柏女委員長
 わかりました。アセスメント機能や、前回も出ておりましたが児童相談所の機能をどうするかといった問題については、今回この中では議論が十分できませんでした。そこのところは、例えば児童部会がどうなっているかという話も前回出ましたけれども、こういうことでこれ以降その部分についても検討していただきたいという形で、この検討会から申し送るという形で収めたいと思いますが、いかがでしょうか。とても大切な視点だと思いますし、社会的養護の中身の部分だけを議論していても限界があるということだと思います。そこはよろしくお願いいたします。ありがとうございました。
 今の乳児院のアセスメント機能うんぬんのところ、あるいは障害の問題については、今障害児と社会的養護のところに1項目入れていくということは、高田委員のご発言を含めて考えていただければと思います。ありがとうございます。
 では伊達委員、お願いいたします。

○伊達委員
 二つほど申し上げたいと思います。まず一つは今出ていた話と重なりますけれども、7ページに「各施設等種別ごとの課題と将来像」の上のところに「トータルなプロセスを保障」と書いていただいて、社会的養護のプロセスの意味合いをかなり色濃く出していただけたことについては大変ありがたいと思っております。実はこの視点は大変大事で、今出ていたアセスメントを児童相談所でどうできるのか。そのアセスメントに基づいてどうプロセスがトータルに保障されるのかということがなければ、容れ物の形をどう変えてみても意味がないものですから、これがあって初めて社会的養護の形態の話もしっかりと変革できる基になるだろうと考えますので、このところをできればもう少し書き加えていただけると大変ありがたいと思います。特に、トータルプロセスでいえば、この検討委員会の中で出てきた課題の一つとして、入所した人たちが次のステージでフェアスタートをどう切れていくのかという問題とつながっていくだろうと思います。むしろ、社会的養護はある意味どうフェアスタートを切らせていくことができる体制になっているのかというところから組み直してもよいくらいの大きな課題を抱えていると認識しているものですから、その部分をぜひしっかりと入れていきたいと思います。
 児童養護施設の課題ですが、7ページにありますように、大きく分けるとオールユニット化と45人以下の小規模施設、それから地域の社会的養護の拠点にしていくという三つに整理できると思います。この中で45人以下の上限設定ということですが、これは最低基準の地方移管に伴う従うべき基準として入れ込むことができるのか。あるいは参酌すべき基準ということで入れ込むことができるのかを少し考えておいた方が良いと思います。といいますのは、施設が大きい理由の一つに、施設をやっている法人の意図というよりも、実は自治体が大きい施設を従来からやっていますので、そのまま手を付けないで定員数を確保しておけばよいではないかということできてしまっているところがあるのです。そうすると、これを契機に法人の意思を尊重するのであれば本当に小規模化するために施設を分割できるのか。あるいは施設を小規模化して例えば100人あったところを45人まで下げて、そうすると55人要らなくなりますから、その部分をお返しすることが可能かどうか。その辺の見解についても少し触れておくことが必要ではないかと思っております。以上です。

○柏女委員長
 ありがとうございました。ここも先ほどのものと併せてという形になりますでしょうか。

○高橋家庭福祉課長
 45人以下にしていくのは、現状で100人を超えるような大きな施設もある中で、かつ、子どもの養育もしっかりと確保しながらと、先ほど長い視野を持ちながら地域分散といっても急にはできません。それなりの体制、人、物、いろいろな準備が要ります。そのような意味で最低基準化は相当先の、それらがほぼ完成した段階で基準化するということはあるかもしれません。まずはこういう方向を目指して今後十数年かけてやっていく。建物を改築していくときにはできるだけ。ただ、その場合も絶対にそうでなければいけないというか、きちんとはめるとそれぞれの地域で困ると思います。そのような意味で、原則としてそういう方向であるという中で、それぞれの地域での需要も考えながらこういう方向に向かってやっていくということではなかろうかと思っております。

○伊達委員
 そうしますと、それは37ページに書いてありますように「社会的養護の高度化の計画的推進」で、要するに小規模化を進めていったり、あるいはオールユニット化を進めていったり、地域の社会的養護の拠点化を進めていく施設に対してインセンティブを与えていくという形で進めていくというお考えだと理解して、よろしいでしょうか。

○高橋家庭福祉課長
 これは達成、こういう方向に向けていく手法、いろいろなインセンティブなどは必要だと思います。施設整備費を出すときの出し方の問題あるいは地域分散をして建物を借りてやる場合、今までは借りる場合についての措置費の支援がなかったわけですが、そちらについてそういう誘導的な措置費を設ける。それから、措置費の6:1のベースを上げるようなときには、将来そういう地域分散化をしていくための計画くらいはつくってみてください。すぐにやれというわけではなくて計画をまずつくってステップを一歩踏み出すことを考えてください等のいろいろな仕掛け。また、地域分散化した場合の運営ノウハウのようなものも先ほど出ていましたように研究して、このような形態でやると良いとか。例えば職員研修やいろいろな仕掛けがないと簡単には進まないと思っていまして、総合的に進めていく必要があると思っています。

○柏女委員長
 よろしいでしょうか。一気に進めていくという形ではないということだと思います。大塩委員、どうぞ。

○大塩委員
 1点、お願いです。17ページの最後のポツの母子生活支援施設の入所手続きについてです。「児童虐待防止の観点から児童相談所が、婦人保護の観点から婦人相談所が直接に行えるようにしてはどうかという意見もあるが」と書いていただき、最後に「実施責任があいまいにならないかという論点や、措置費の費用負担等との関係も含め、将来的な検討課題として検討していく」と載せていただいております。子どもの福祉を中心に据えて、書いていただいただけではなくて、将来に向けて検討していただきたいということを切にお願いしたいと思います。以上です。

○柏女委員長
 この部分は先ほどもありました児童相談所やアセスメントのあり方等と共に、次のステップに向けての検討ということで送らせていただきたいと思います。ありがとうございます。
 よろしければ、次のステップの「4」「5」のところがまだ議論できておりませんので、そちらに移りたいと思います。よろしいでしょうか。ありがとうございます。
 それでは、「4」「5」について事務局から説明をお願いし、それについてのディスカッションを進めていきたいと思います。よろしくお願いいたします。

○高橋家庭福祉課長
 それでは34ページからです。人員配置の引上げについてというところです。(1)「直接職員の基本配置の引上げ」の?「人員配置の不足と引上げの必要性」ということで、社会的養護の施設では、虐待を受けた児童、障害児等あるいはDVを受けた母子が増えている。現状の人員配置の基本部分は、そのような変化が現れる前の昭和51年、児童自立支援施設は昭和55年、母子生活支援施設は昭和57年に定められたままになっております。その後、ここに記載のように児童虐待、障害あるいはDV等が非常に増えてきたわけで、それに対応する必要なケアができるような体制にする必要があるという点を記載しております。また、平成20年度にタイムスタディ調査などを行いましたけれども、情緒・行動上の課題の多い子どもにつきましてはケア時間が長いというようなこと。
 また、その次に職員の勤務ローテーションを踏まえた配置ということで、施設を小規模化すればするほど勤務ローテーションが成り立つような人員配置、早番・遅番、週休2日を回しますと6:1といいましても実際は3倍くらいに薄まってしまいます。18人の子どもをみる体制では心に傷を持つ子どもへのケアが十分できないという点。また、地域分散化によりまして施設に一層難しい子どもの割合が増えてくるわけでございまして、そこのところの体制が必要である点。また、乳児院などにつきましても障害・疾病・疾患を持つ子どもが増えている点。情緒障害児短期治療施設などでもかかわりの難しい子どもが増えている点。母子生活支援施設でもDVへの個別の支援が必要であるということ。
 そのような現状を抱えまして、35ページの二つ目のポツですけれども「当面、各施設ごとに以下のような人員配置の引上げの目標水準を念頭に置きながら、段階的な取組みを含めて、人員配置の引上げを検討していく必要がある」と記載しております。
 それにつきましては一覧表の方が見やすいと思いまして、資料2の24ページです。報告書本文に記載しているものは一覧表のスタイルで、児童養護施設は年齢別に0歳児1.7:1、1・2歳児2:1、3歳以上幼児4:1、小学校以上6:1とありますけれども、これにつきましての当面の目標水準を小学校以上6:1を4:1に。これにつきましては本検討委員会での当初からの委員の提案は3:1へということでございましたが、本来6:1を3:1に倍増くらいのことができればよいと思いつつも、全体的な枠組みの中で、まずは目指すべき当面の目標水準として4:1。4:1プラス小規模ケア化することによりまして、小規模ケアですと1グループ1人加算するということでございまして、実質3:1以上にはなるということでいかがか。乳児院につきましても1.7:1を1.3:1ということでありまして、これも1:1というご提案もいただいておりますが、そこまでいきますと、スーパー里親が1:1で引受ける方が良いという域に達します。施設としてのあり方として1.3:1という提案をさせていただいています。また、情緒障害児短期治療施設の5:1を児童養護施設が4:1でありますので、1段高い3:1へ。また、心理職員につきましても1段上げる。児童自立支援施設につきましても5:1を同じく3:1へ。児童自立支援施設につきましては、従来の暴力・非行系統よりもだんだん行動の問題や心理的ケアの課題が大きい子どもが増えているということで、心理療法担当職員を人員比例での配置10:1。このところが大きいと思っています。また、母子生活支援施設につきましては、これまで非常に手薄い体制でしたが、そこにつきましての充実などを盛り込んでいます。
 概要編の25ページには「加算職員の配置の充実」ということで里親支援担当職員、自立支援担当職員、心理療法担当職員という新しい二つの担当職員、加算職員を増やしてはどうか。また、心理療法担当職員につきましては全施設化を図ってはどうか。その下に、これまでの基本配置以外の専門職員として、いろいろな加算職員がございます。それも含めた一覧として掲載しています。それが人員配置の基本配置の引上げです。
 それから、今後の量的な問題につきましては、この概要編の資料では29ページからの記載です。概要でご覧いただきますと「社会的養護の児童の全体数」でございます。平成11年度末で3万7,000人でしたが平成21年度末は4万600人になっています。これにつきまして、平成26年度末まで子ども・子育てビジョンでは4万7,000人ほどと見込んだ想定をしております。現在は4万人ですからさらに1割以上の増を見込んではいますが、その後どうなるかという点です。児童人口当たりということですと18歳未満人口がその後の10年で1割減るわけですが、それに沿って減るという想定も一つはあると思いますが、さらに潜在事例の掘り起こしや家庭の複雑さの進展などもありますので、減らないのではないかということも含めた設定でございます。見通しは難しい中でのこのような記述をしております。
 次の30ページは「施設数等」です。施設数につきましては児童養護施設は610か所という子ども・子育てビジョンの目標値があります。施設の地域分散化ということで数については概ねこれでよろしいのではないか。しかし、児童養護施設から情緒障害児短期治療施設などへの移行も一定数見込めるのではないかということで、これはいつまでということではありませんが、想定される将来像では10施設くらいは児童養護施設から情緒障害児短期治療施設に移る。情緒障害児短期治療施設は47か所が子ども・子育てビジョンの目標ですけれども、大都市部では複数設置がありますので47都道府県分の47ではないのではないかということで、10か所くらい移るのではないか。これは想定される将来像のイメージということで掲載しております。その他の乳児院、児童自立支援施設、母子生活支援施設などは概ね現行が維持されるのではないか。一方で、ファミリーホームにつきましては、家庭的養護の推進ということで大幅な増を見込むのではないかと思っております。
 概要編で次の31ページは「里親等委託率」を引き上げていくということでございます。平成14年度の里親委託率7.4%から平成21年度10.8%まで7年間で1.46倍に増やしましたが、子ども・子育てビジョンでは16%という目標を設定しています。しかし、ヨーロッパ・欧米などの主要先進国でも3割あるいは7割という里親委託率でありますので、これをもっと引き上げていく必要があるという点で、少なくとも3割以上の引上げが必要ではないか。仮に3割以上に引上げるとどういうことが必要かというのが下のシミュレーションです。そこで出てくるわけですが、全体の子どもの数のキャパシティによりまして幅があると思います。児童養護施設3万人というのが平成26年度にあります。ファミリーホームや里親推進ということを里親委託率3割くらいにするとしますと、例えば1万人ほどはシフトしていく。児童養護施設は2万人ほどに抑えてファミリーホームは1,000か所くらい。そうすると5,000人程度ということは一つ一定の条件下での試算ですが想定されるのではないか。また、里親の数も3割4割ということになりますと相当増やしていくということがございます。これは具体的なイメージを描けばということでありまして、かなりハードルの高い目標ですが、そこのところは将来的にはそちらの方向に向けていくということが必要ではないかということです。
 それから、次の32ページの図にありますように、3割以上を里親委託、家庭的養護にするということですが、では7割が本体施設のままでよいのかということであります。そのような意味で本体施設も半分くらいはグループホーム化できないか。そのような方向に向かって努力すべきではないかという点で32ページにありますような概ね3分の1が里親・ファミリーホーム、3分の1がグループホーム、3分の1が本体施設という姿に変えていくことを目標として掲げるべきではないかということです。これは実際に数に落としてみるとという一定の条件下での試算が下の図でございます。児童養護施設などの本体施設は先ほど2万人とありましたが、半分を本体施設に半分をグループホームにとしますと、そういう意味で本体施設が1万人強ということで、3万人の施設を1万人にするのは大胆な変革になるわけです。これはそういう意味でそういう方向性を向いていろいろな手段で準備を進めながらやっていく必要があるという目標像でございます。
 この概要編の資料のイメージ図で4ページをお開きいただきますと、大舎制の大きな本体施設を小さな本体施設に。さらにその中の小規模なグループケアにしていく。またグループホームと家庭的養護にしていくということで、これを3分の1、3分の1、3分の1くらいのイメージにしていくとという図柄です。しかしながら、施設全体、本体施設とグループホーム、ファミリーホーム、家庭的養護、全体を含めて一つの施設が地域分散化したというような、これを一つの大きな地域での単位として見ながらやっていくという理念ではなかろうかということで図解をしています。
 このような内容のことにつきまして、元に戻りまして資料1でございます。35、36ページは人員配置のところ。それから37ページは、そのための高度化の計画的推進が必要だという点。37ページは整備量の全体数、それから施設数等。38ページは里親等委託率の記載。また39ページの施設機能の地域分散化の姿では3分の1ずつといった方向に向けて変革していくべきではないかという点。そのような記載をしております。
 あとは「むすび」のところですけれども、これらの具体的施策について、できるものから取り組むということです。人員配置の引上げにつきましては相当額の予算が必要です。そういう意味で、本格的なものは財源が確保できるような時期に行うとしても、段階的な取組を含めて、できるところから予算確保してやっていく必要があるということです。「むすび」の最後のところですけれども、「社会的養護を必要とする子どもたちが、希望や自信、信頼感を持って健やかに育つことができるよう、充実を図っていくことが必要である」としております。以上です。

○柏女委員長
 ありがとうございます。「4」と「5」についてご報告いただきました。人員配置の引上げ等については当面の目標水準というもので設定し、そこに向けて順次やっていく。今、これはかなり現実的な案として提示しながら、そこに向かっていく形になります。さはさりながら、将来的な目標というか、将来的な社会的養護のイメージはしっかりと出しておく必要があるということで、後半のところはかなり大胆にハードルも高いという課長のお話もありましたけれども、将来的な像はしっかりと示しておく必要があるという形でこの報告書をつくりたいということです。
 どなたからでも、ご意見を頂戴できればと思います。19時30分ぐらいまでを目途に30分間ほどご意見を頂戴できればと思います。いかがでしょうか。木ノ内委員、大塩委員、お願いいたします。

○木ノ内委員
 大変具体的な目標が設定されつつあるので、よいと思っておりますけれども、気が早いというのか、するわけではないのですけれども、この目標をより具体化していくには例えば地域にどのように振り分けるか、あるいは時間的に2年ごとに見直すなど、そのようなことがあると思います。やはり一つ内容面でいうと、乳児について家庭的養護にぜひ振り向けていただきたいと思っております。今、乳児院で0~1歳で1.3人:1人で、職員の数が1.3人ということですけれども、里親や家庭でみると、夜中などは父親もみたりしますから基本的に2人でみることもあるわけです。そういうことでいいますと、0.5人対1人になりますか。そのようなこともある。これは一つ良案だとしても、乳児院で十数年後にまだ3,000人の乳児が暮らしているというのは、どうも家庭的養護を推進する者、里親としてはどうも落ち着かない気持ちです。どのようなことでもよいですが、一番前の方では新生児里親などという書き込みがあるのですけれども、この乳児院の部分で新生児についてはできるだけ家庭的な養護に振り分けてもらえないかと思っております。

○柏女委員長
 ありがとうございます。この辺のところは乳児院の機能拡大と里親支援をセットで進めていかなければならないところではないかと思います。
 大塩委員、よろしくお願いいたします。

○大塩委員
 母子生活支援施設ですけれども、最初の課題と将来像のところでは、きちんと母子生活支援施設の機能を挙げていただいて感謝申し上げましたが、この施設の人員配置になってくると、果たして15ページに書き込んでいただいた(a)~(e)の機能を果たし得る最低基準の配置になっているかどうかということが本当に残念でなりません。3段ロケットということで、この委員会では1段目のロケットではスピード感を持ってできることは早くやる、そして2段目のロケットでは中期的な目標を持ってやる、そして3段目のロケットがこの将来像になっていると思いますけれども、母子生活支援施設の人員配置に至っては、最初の1段目のロケットには何も乗りませんでした。2段目のロケットには乗せてくださいと先ほどお願いいたしましたが、ぜひ乗せてください。3段目のロケットでは、34ページの「人員配置の不足と引上げの必要性」のところに、母子生活支援施設は昭和57年に定められた水準とありますけれども、この昭和57年に挙がったのは少年指導員兼事務員1人だけです。そして今度、将来像で挙げられている職員は、この20世帯で現在の4人の最低基準にプラス2人だけです。将来的にも(a)~(e)の機能を6人では果たしていけません。本当に残念でなりません。
 ですから、35ページの上から二つ目のポツに、「このため、当面、各施設ごとに以下のような人員配置の引上げの目標水準を念頭に置きながら」というように、当面の目標と書いていただいておりますが、できましたら、ぜひこの「むすび」のところに、将来像は当面であり、今後社会の変化、それから子どもの変化、家庭の変化に応じて検討を重ねていくということをぜひ記入していただきたいということを切にお願いしたいと思います。以上です。

○柏女委員長
 ありがとうございました。高橋家庭福祉課長、何かありますか。

○高橋家庭福祉課長
 今回、この「4」のところに書いてありますのが基本配置の部分で、それ以外に加算がいろいろと付いているわけです。母子生活支援施設につきましては非常に支援を一生懸命にやる施設と、どちらかというとできるだけ人員配置が最低基準ぎりぎりでやるという両極に分かれております。そういう意味で、大塩委員がおっしゃっているように、すべての施設をレベルの高いところに一気に最低基準で持っていくのが本来は望ましいのですが、なかなかそうはいかないだろうということで、最低基準も一定程度上げながら、加算職員もさらに上げて、より高いところがより高くなるようにしましょうということです。
 先ほどのページ数で言えば、16ページの記載です。保育所に準ずる設備を設ける場合の配置、あるいは処遇困難な心身に障害等を有するような母子が入っている場合の加算をもっと複数化していくなど、そちらの方での記述を充実しております。そのようなことで、より底上げ等をできるところをさらに高めていきながら、先ほどご指摘いただいたように、将来はさらに状況変化を見て、さらにというご指摘だったと思います。一歩一歩進めていきながら、さらにその次をより一層という形だろうと思っております。

○柏女委員長
 よろしいでしょうか。恐らく今回のものは子ども・子育て新システムを睨んで現実的に絶対に実現できる提案と、それから将来的な方向はここへいくというものをいわば書き分けているではないかと思います。そうなると、将来的な目標の方にいったときには、また新たな人数の試算やそれらが必要になってくるのだろうと思いますので、そこは次のステップという形で、それを最後のところに書いておくという形でいければと思っております。ありがとうございます。
 大島委員、お願いいたします。

○大島委員
 課題検討委員会で委員の皆さまが積極的にいろいろと現状の話と課題を出していただいて、自立援助ホームとしては今までの現員払いが定数払いになったということで、1月に発足したこの会議も今日の4回目で最後だということのようです。本当に委員の皆さまのご意見や、特に4月1日実施ということで事務方の方たちのご苦労は大変だったと思いますが、効果を出していただけたということで、とりあえず第1段ロケットということでいろいろと具体的にガイドライン作りやいろいろなことができたわけですけれども、私は社会的養護の検討委員会にも委員として出させていただいておりますが、ここに集まっている方は本当に毎日子どもと直接接している方たちの集まりなのです。できれば今日が最後ではなく、長期に目標を掲げるわけですから、継続的に年1回でも集まる機会をつくっていただけたらと思います。

○柏女委員長
 わかりました。ありがとうございます。また専門委員会も開かれていきますので、その専門委員会の中でも今後どう継続するステップを考えていくのか議論していきたいと思います。ありがとうございました。
 では相澤委員、お願いいたします。

○相澤委員
 職員の基本配置の引上げということですけれども、特に夜間の職員の体制をできるだけ手厚くするのがやはり子どもの支援ニーズに応えるということになろうかと思います。基本的な配置が上がることによって、夜間の体制が手厚くなることになろうかと思いますが、この体制だけではなかなか不十分ではないかと思います。ですから、その配慮が必要など、そのようなことも書いていただきたいと思います。もし可能であれば、夜間の支援、対応する職員を加算職員の配置として何人か置けるようなことができれば、子どものニーズに応えることができるかと思います。

○柏女委員長
 夜間体制の充実ということですね。わかりました。ありがとうございます。
 他は、いかがでしょうか。平田委員、伊達委員、武藤委員でお願いいたします。

○平田委員
 乳児院の記述で34ページの4の(1)の?のところの乳児院の新規入所理由が虐待や障害などという数字が前回と変わっています。今回は厚生労働省の調査のデータで、前回は全国乳児院協議会の独自の調査のデータです。見比べていただけるとわかると思いますが、全国乳児院協議会の独自のデータの方が高く出ております。それは、乳児院は入所時のみでなく入所後に判明した虐待や障害の数値も加えているからです。数値を比較していただけるとありがたいと思います。
 次に、職員配置に関しまして、35ページの二つ目のポツの「当面」に注目しています。、予算上可能な、今回とても頭を絞っていただいて、これならば実行できるだろうという数値を出していただいたと理解しています。つきましては、資料2の24ページに現状と目標水準が記載されています。ここに各種別が希望した職員配置の数値を載せていただきたいのです。各種別とも将来像での役割・機能を果たしていくために必要な職員配置数を出したと思います。各種別の要望もわかりますし、大塩委員がおっしゃったように、私も他の種別の数値の変化が見えていませんので、ぜひよろしくお願いします。
 先ほど、乳児院の夜勤体制の話がありました。今回の目標水準は夜間子ども10人を1人の職員がみる試算ですが、この配置では今回のような震災があったときに多分アウトだと思います。乳児院は職員配置1:1、夜勤体制は子ども7.4人:職員1人で出しています。これは全国調査でSIDS予防として15分ごとに子どもが呼吸をしているかどうかの見回りと、赤ちゃんの3時間おきの授乳などができる体制として出したもので、災害時の対応は含まれていなくて7人なのです。本来なら夜も含めて1:1で、24時間1人の子どもに3人の職員が必要だという大きな希望も持ちながらです。
先ほど、乳児は里親へとおっしゃっておられました。本当に家庭的養育が必要な子どもは里親でと思います。しかし、前回もお話ししたように、乳児院は平成21年度でも56.6%、1,661名の子どもはご家庭に帰ります。これは家族に問題がなくて、母親が入院したので1週間お預かりするなどの家族支援の必要な子どもたちです。単純に3,000名の子どもが乳児院ではなく里親という右か左かではなく、子どものために何が必要かという目線で検討していただければと思います。
 もう1点、職員、マンパワーの確保という点です。現在の職員の定着率がどれぐらいあるのでしょうか。とてもハードな職場でもあると思います。老人界では職員確保のための手だての施策も行われていますが、児童も懸念されます。子どもが好きで一生懸命働いている職員の定着のためにも検討していただきたいことです。。
 最後に今後具体的にどのような手順で進んでいくのか、明確にしていただきたいと思います。以上です。

○柏女委員長
 ありがとうございました。施設の方の会の方でのこの基準が望ましいというものは、例えば参考資料として提出することは可能ですね。

○高橋家庭福祉課長
 そうですね。参考資料の方には比較表なり。

○柏女委員長
 ぜひそれをお願いいたします。

○平田委員
 最近見ていないので、すみませんがよろしくお願いいたします。

○柏女委員長
 それからやはり今回はもう一つ宿題になっているのがマンパワーの確保と待遇向上の問題ですが、ここは十分議論が詰めきれなかったというところで、子ども・子育て新システムの方でもそこが議論にはなっておりますけれども、これも残された課題ということで明記しておくことが必要かと思いました。ありがとうございました。
 他は。伊達委員、お願いいたします。

○伊達委員
 先ほど資料で出していただきましたニュースの部分についてですが、このニュースの内容を見ますと、児童養護施設の定員が現在3万人から段階的に3分の1近くまで縮小するとの最終案をとりまとめたという話になっております。若干引っ掛かりがあります。基本的に言いますと、これは何回か課長ともお話しさせていただきましたけれども、私どももそれほど数の話に強いわけではありませんけれども、いわゆる出ているOECDの資料で、社会的養護を受けている子どもが児童人口比の中にどれぐらいいるかという数を当たってみると、やはりわが国の4倍ぐらいいるのです。そうすると、潜在的ニーズというのはかなりあるのだろうと思います。決して社会的養護の子どもが増えればよいという言い方をしたいがためにやっているわけではなく、つまり放置されたままの状態で苦しんでいる。そこにどう我々が手を向けていくか。それをやっていくときに里親を中心にしてやっていければよいということに関して私どもが異議があるということでは全然ありません。ただ、非常に母数を少なくしてやってしまうと、里親がきつくなりはしないかというのは、これは私の学園の経験を通していえることです。やはり最後まで関係が壊れないようにフォローしながら、ぜひ子どもたちが育ち上がってほしいと思います。里親がせっかくやってくださるのであれば、そのようなプロセスを踏んでいただきたいと思いますが、それを保障する機関が本当の意味でまだつくられていないのではないでしょうか。結局、養護施設がそれをやるということになっていますけれども、それは努力すべきだと考えておりますが、里親が見切り発車で、その支援の部分がつくられないまま、数をこなしていく。もしもそのような情勢になったとすると、これはきついと思います。子どももきついと思います。そこの部分をよく捉えながらやっていくことを考えると、やはり母数についてもう一度考え直すことがどこかで必要ではないか。先ほど委員長の方で数については見直しがあるかもしれないというようなお話がされましたので、そのことはよくわかりましたけれども、恐らくもう少しここの数の部分については押さえながらトータルな社会的養護の改革を進めていく一翼を担ってくれればよいと思っております。
 子どもたちにとってみれば、どのような状況で育ったとしても、例えば5ページの「自立支援の充実」に書いてありますように、社会的養護の下で育った子どもも、他の子どもたちとともに、社会への公平なスタートを切れればよいのだと。そしてこれが遜色なくできるような体制づくりが必要なのだろうと思いますので、このときに社会的養護の形態論だけではなく、ここまで本当の意味で引き上げていく、先ほど申し上げましたようなアセスメント、それからトータルなプロセスをどう保障していくかということも含めての課題が大きいのではないかと思います。以上です。

○柏女委員長
 ありがとうございます。社会的養護の推計方法については本当に幾つもあって、まだ確定した手法が出ていないと思います。それこそ伊達委員も以前イギリスの例を参考にされながら日本の数を推計されていましたけれども、この社会的養護専門委員会の前の検討会でも、今の日本の上位10県の児童人口分の社会的養護率が全国に広がった場合にどれぐらいになるかという推計方法をしてみたこともあるのです。そうしますと、あと1万数千人が増えてくる可能性があるという推計も、確か厚生労働省に出した報告書で出されていますけれども、いろいろな推計方法があって確定したことがいえないということがありますので、ここは事態の推移を見ながら、推計方法についての研究も必要ですけれども見直していくということは大切ではないかと思います。
 それから、もう一つは全県実施になるのでしょうか里親支援機関事業をもっと充実させていくこととセットで里親委託を考えていくことはとても大事なことだと思います。ありがとうございました。
 では武藤委員、お願いいたします。

○武藤委員
 幾つか指摘させていただきたいと思います。まず1点は、34ページの人員配置のところです。真ん中のところに現行の児童養護施設で学童について6:1の人員配置は職員1人で実質的には18人の子どもをみる体制に今ありますということで、これは勤務時間で、先ほど相澤委員がおっしゃったように夜もしっかりとした体制を組むということであれば、やはり実質的には単純計算で子どもをみる数は3倍になります。今回6:1を学童につき4:1ということにするということなのですけれども、4:1も実質的にはこの3を掛けると12人ということになります。単純に計算してみても、12人の子どもを1人でみるということになるわけです。これも当面の方向性ということでは、予算的な問題や制度的な問題で一気にということは難しいとは思いますけれども、理想からすると、私自身それから現場の感覚からすると、今の虐待を受けている子どもたち、それから発達に障害のある子どもたちを含めて児童養護施設に入ってきている子どもたちをみられるという点でいくと、やはり実質的には1:1ぐらいでみる。そうすると、現実的には3人の子どもを1人の職員でみることになるわけです。実際的にはそれぐらいの余裕を持って、子どもたち一人一人のケアのニーズに対応するというようなわが国の社会的養護の水準の部分を、遠い将来になってしまうかもしれませんけれども、やはり目指すべきなのではないかということがまず1点です。
 そのために、当面は本当は1:1ぐらいにしてほしいという現場の感覚はあるのですけれども、そこまで一気には難しいだろうと思います。先ほど業界でどのような試算をしているのかというような話がありましたので、ちょうど全国児童養護施設協議会では1年半前に検討しまして、一度この冊子は出したことがあると思いますけれども、子どもの権利を擁護し、養育条件を高めるためにということで内部にはプロジェクトをつくりまして、それから勤務時間を引きまして、大体60人定員ということがあって、それから法定労働時間や労働基準法等を守りながら、子どもの養育を保障するためには、今日はこれを説明していると時間がかかるので細かくは説明しませんけれども、これでいきますと学童については最低3:1は必要だろう、それから年少児童については2:1は必要だろう、それから3歳未満の子どもたちの部分についてはやはり1:1という部分は必要だろうというような試算が出たのです。そのような水準から見ると、やはり私からすると、この4:1、3:1、2:1それから0歳のところも1.3:1という基準になっているのですけれども、これも現状からすると低いのではないかという思いです。
 1週間ぐらいに前に全国児童養護問題研究会を開いて、全国各地から職員が来て話をすると、特に乳児院からすると15人の赤ちゃんを1人の職員で夜勤で見ているという実態も一つの県だけでなく、いろいろな県からそのような水準が報告されております。それは下手をすると施設内虐待をしていることになるのではないかということを言っている職員もいて、本当に大幅に改善しないと本当に子どもたちの権利、そして養育を保障できないということになると思います。当面はいずれにしろ、この基準の部分については本当は4:1ではなく、課長にも何度もお話ししていたのですけれども、3:1ということはぜひ確保していただきたいということを全国児童養護施設協議会としても申し入れをして進めたところなので、ぜひ今後の検討の中身にしていただきたいと思っております。
 それから、36ページの職員の加算の配置のところで、里親支援の担当職員を配置するという計画があります。これはとても必要ではないかと思っておりますけれども、里親だけでなく、私の今の児童養護施設の役割ということであれば、もう少し地域にしっかりと根付いた養護をしていく。それから虐待の予防等にも児童養護施設や乳児院がどんどん地域に入っていくという視点からすると、コミュニティソーシャルワーカーというか、コミュニティケアワーカーというのでしょうか、名称はどのようにするのかわからないのですけれども、そういう形でもう少し地域にしっかりと密着するような専門のワーカーを置きながら、やはり虐待の予防等に児童養護施設等の社会的養護の施設が参画する。制度的には先ほどから出ているように、児童養護施設等は都道府県の管轄で、子育て支援のところは区市町村ということで、多少隔たりがある中で結び付ける役割の部分を置かないと、実質的には必要だと言いながら、子育て支援のところに各施設がどんどん入り切れていない部分もある。今、児童家庭支援センター等を持ちながら、大いに参画しているという施設もありますけれども、ここの所についても、どの施設もできるような人員配置の部分が必要なのではないかということを思っております。
 あと37ページの(3)の高度化計画のところです。これについても読み方によってはいろいろな基準ができてしまう可能性があって、最低基準で人員の配置という部分をどの施設も担保するということで、社会的養護とりわけ児童養護施設等は措置制度という形でやっていって、そこで高度化をしたところだけ措置費を払う手法も考えられるという点で書いていて、これについても私としてはこの高度化という部分についてはどの施設もやはりやっていくべきではないかという考え方なので、ぜひこの措置制度を堅持しつつ、配置という部分をどの施設にも上げていくような考え方を今後とも取っていただけるとよいと思っております。
 それから最後に、最後の「むすび」というところで、また人員配置の引上げは相当額の予算の増額が必要であるということで、これまでいろいろな検討会や審議会等でこうあるべきということで、随分いろいろなビジョンを出しながら現実的には配置基準などが改定されていなかったということで、段階的な取組も含めてと書いてありますが、今日小宮山厚生労働副大臣がおみえのところで、ぜひこれを実現するための、先ほど意見も出ていたように現実化するための予算取りを実現することも計画的に盛り込まないと、いつもこういうことを書いて実態的にはちょっとした改善であって抜本的な改善につながっていなかったという状況がありますので、ぜひ小宮山厚生労働副大臣も含めて、実現のための手立ての部分について予算取りの計画なりをぜひ盛り込みながら、ここに盛り込むということは実際的には難しいかもしれませんが、その実現に努力、私たちも努力しないといけませんが、国会としてもぜひそういうバックアップをしていただきたいという思いです。以上です。

○柏女委員長
 ありがとうございました。小宮山厚生労働副大臣には最後に決意表明をしていただきますが、よろしいですか。どうぞ。

○小宮山厚生労働副大臣
 では、一言だけ。おっしゃるとおりですが、結局子ども・子育て新システム全体を進めるためにはどうしても財源が要ります。ところが今、政治の中でも増税はいけないというのが一方で出てきています。もちろん無駄は省きますが、いろいろ子どものために改善するには財源がどうしても要るので、そういう意味では目的をこのようなことに使うということでの皆さまの負担が必要だということは、ぜひ皆さまの立場からも言っていただきたいと思います。今は震災で疲弊したから増税などとんでもないという、それは一種ポピュリズムというと言い過ぎかもしれませんが、そういう傾向が非常に強い中で、震災のことを何十年やっていくためにも子どもたちを支援するということはどうしても必要だし、これだけ子どもの支援ということを政権で言っておきながら今、増税はできないとしてしまうと、もちろん少しずつは改善するに来年度予算もしっかり取っていきたいと思いますが、抜本的にやるにはきちんとした税制の改正をして子どもに振り向ける。今回、社会保障の改革の中の一つの柱として高齢者3経費に加えて「子ども」を入れたというのは、私はここはきちんとこの政権の中で位置付けておかないといけないと思っています。そういう意味では私も必死で頑張りますが、皆さま方も子どもたちのためにそれは必要なことだということをそれぞれの立場で応援していただくようにお願いしたいと思います。

○柏女委員長
 ありがとうございました。それでは藤井委員、次に大塩委員、お願いします。

○藤井委員
 34ページ以降の説明をいただいたのですが、残念ながら児童家庭支援センターの話が一向に伺えないのです。ですから、本当に申し訳ないのですが少し発言させていただきます。児童養護施設に関しては相当注目されているなということは感じるのですが、まずは高度化していくということと地域分散化というキーワードになっている言葉があるのですが、中身のイメージが今ひとつつかみづらいところがあります。それを今回言いたいのではなくて、将来的に人員配置や整備量の問題を具体的にどうしますかというところでの計画の中に、児童家庭支援センターの部分をぜひ入れていただきたいとお願いします。
 特に、片方で児童家庭支援センターの課題と将来像では、児童養護施設や乳児院に標準装備していくことも考えられるという文言があります。いわゆる児童福祉施設、入所型に児童家庭支援センターを全部付けるとなると、今出されている計画でいくと、児童家庭支援センターも全国に1,000か所ぐらいあってもよいという数が出てくるのです。実は保育所の問題が社会的養護の問題の中であまり扱われないのです。保育所には子育て支援センターを併設するということで1,000か所を優に超える数が既にあるわけです。保育所は地域とのかかわりが強いところですから、その有用性はよくわかるのですけれども、実は地域化・社会化という観点からすると、むしろ入所施設の方が児童家庭支援センターのような地域と施設をつなぐ中間部門が必要ではないかと私は思っています。ただ施設の中に取り込んだ形でやる方がよいのか。単独児童家庭支援センターとして存続させた方がよいのかという前回も言いましたが、そこの検討は十分必要な話だと思います。各施設、先ほど武藤委員がおっしゃったように地域に返していく部分、支援していく部分、虐待を予防していく機能を果たしていきたい。これが児童養護施設の考えであるとしたら、児童家庭支援センターもその役割を担っていくことは十分に可能だと思っております。ですから、その構想を将来像として今回ここに入れ込んでいただいた方がよいのかわからないのですが、どこかに児童家庭支援センターの数を増やしていく方向性を出していただけるとありがたいと思います。
 資料2の一覧表の30ページに数値目標があるのですが、ここにも児童家庭支援センターがなくて残念な感じだったのです。ぜひ、載せていただけるとセンターの将来像も見やすくなってくると感じます。特に児童福祉施設全般に地域と施設をつなぐ窓口・役割・パイプが必要だということは訴えておきたいと思います。よろしくお願いします。

○柏女委員長
 ありがとうございました。実は児童家庭支援センターについては、先週ですけれども障害児施設の在り方についての見直しの報告書を出しました。その中でも障害児施設に児童家庭支援センターを併設していって、そこが例えば障害を持った子どもたちがファミリーホームや里親に委託されていった場合にそこを支援していくシステムを考えるべきではないかという提言もしていますので、そういう意味では児童家庭支援センターは先ほど高橋課長がおっしゃったように標準装備という形でいけば、障害関係のところにも考えていく必要があるのではないかと思います。今数字を既定してしまうよりはさらに可能性があるのではないかと思っております。ありがとうございます。

○藤井委員
 前向きに捉えてよろしいですか。

○柏女委員長
 前向きに捉えていただけるのではないかと思います。ありがとうございます。全体についてのご意見をいただいていますので、全体についてのご意見も併せて頂戴できればと思います。お願いいたします。

○大塩委員
 失礼いたします。2点です。先ほど藤井委員からもありましたけれども、資料2の30ページに施設数のところがあります。母子生活支援施設は平成26年度が262か所で、想定される将来像も262か所程度ということで現在の数そのままということですが、実は母子生活支援施設はとりまとめ案にも書いてありますが、数が減ってきております。今年度4月1日現在では270の施設の名前はありますけれども休止中の所もありますので、263か所しか残っていません。それは公設公営施設の課題などさまざまな理由がありますが、ぜひ協議会としても今ある施設を活性化してもらって、地域のニーズに応えていきたいと思っております。そのためには、最低基準で必要な職員を配置して母子世帯のニーズを拾い上げ、支援がきちんとできるような母子生活支援施設でありたいと思っています。ここに書き込んであります将来像を具体的に実施していただきたいというのが一つのお願いです。
 もう一つは皆さま、どの委員からも、将来的な人員配置はこの数字では足りないということをおっしゃっています。私どももそうです。それは当たり前のことですけれども、社会的養護を受けている一人一人の子どもたち、それから一つ一つの母子世帯に対してきちんとした支援をして社会に自立していってほしい。そのためには、今の職員配置では足りないということを皆が同じ立場に立って言っていると思います。それは先ほども申しあげましたので、結びでも書きこんでいただきたいこと、そしてもうひとつ「むすび」の最後のポツに「社会的養護を必要とする子どもたちが、希望や自信、信頼感をもって健やかに育つことができるよう」その次に最初にも出てきていましたけれども「社会への公平なスタートが切れるよう社会的養護の充実を図っていく必要がある」ということを、これは社会へ公平なスタートが切れるために私たちは支援しているのですということをぜひ載せていただきたいと思います。以上です。

○柏女委員長
 ありがとうございます。それはぜひ入れていきたいと思います。
 では渡井委員、お願いします。

○渡井委員
 大塩委員と同じことを考えていたので、社会的養護を経験した立場からその重要性というか先ほど伊達委員がおっしゃっていたように、社会的養護の使命は、一般的な家庭で暮らしている子どもと、社会的養護が子どものせいではなく必要となった子どもたちが公平なスタートを切れるようにすることが使命ということを、あらためてこのとりまとめの中で打ち出すことによって、各現場にも落とし込んでいく必要性があると思います。私たちは自分のせいではなく、けれどもハンディを背負ってしまった。自分のせいではないハンディを背負ったまま生きていくことがまず大変ですが、そのことを例えば親がいないことであったり親から虐げられたことであったり、それから大体の一般家庭で暮らしている多くの子どもたちは大学卒業くらいまで援助してもらっているけれども、それがないということであったり。その引上げの必要性は私はわからないのですが、18歳で退所してもそういった一般的な家庭で暮らしている18歳くらいの子どもたちと変わらないような暮らしができることを見据えた今後の改善・充実が必要だと思います。それを社会的養護を担う種別であったり里親家庭がぶれなく忘れないようにしていくのが大切だと思いますので、「むすび」に「フェアなスタートが切れるように」というのは、太字にしてもよいくらい載せていただきたいと思っています。以上です。

○柏女委員長
 ありがとうございます。もう一つ言えば、今、渡井委員がおっしゃったように公平なスタートと同時に、再スタートが切れることも大事かもしれません。失敗しても、もう一度施設や里親の元で羽を休めることができて、またスタートできるという再スタートと公平なスタート、フェアスタートという言葉も出ましたが、そこがとても大事だと思いました。ありがとうございます。
 他はよろしいでしょうか。平田委員、武藤委員。

○平田委員
 資料の訂正が1か所、他は修正していただいてますが、資料2の5ページの乳児院の数が、124か所のままになっています。乳児院は毎年増えていて、本来4月1日で129か所になっています。この数の訂正をお願いします。

○柏女委員長
 ありがとうございます。武藤委員、いかがでしょうか。

○武藤委員
 しつこくて申し訳ないのですが、一つだけ追加させていただければと思います。前段にも出ていたのですが、38ページに今後の社会的養護の方向性ということで、概ね3分の1が里親・ファミリーホーム、概ね3分の1がグループホーム、概ね3分の1が本体施設という将来像を描きましょうという中に、本体施設のところで児童養護施設はすべて小規模ケアということで書いて、この「すべて」というのが引っ掛かっている施設が結構あって、今、小規模ケアは6人が原則としながら8人まで今回は広げて4月1日から小規模グループケアは8人から6人という形で今進めています。私のところはそうですが、ほとんどグループホームで地域分散化してやるということでやっているのですが、ややもすればあまりに大きな集団は子どもたちにとっていかがなものかと思いますが、子どもたちの生活ニーズや自立支援の計画のニーズからすると、多少集団的な力学的なところを使いながら生活する部分も、グループホーム化する中でそういう集団的な部分も必要ではないかということを、子どもたちの状況を見て感じているところもあります。先ほど課長も話されたように、例えば施設整備への補助を、すべて小規模ケアをやらないとお金を出しませんということではなくて、本当に子どもたちが必要とする形態でこれでいけるのではないかという確認ができれば、施設整備は多少集団規模が大きくても出すということをしないと、すべて小規模グループケアということでないと補助金を出しませんとなると、地方の状況からするとそれではやれない部分も出てくると思います。多少は弾力性を持ちながら進めていただければと思っています。よろしくお願いします。

○柏女委員長
 ありがとうございます。高田委員、続いて相澤委員、お願いいたします。

○高田委員
 関連した話で、私も前から委員会で言っていますが、情緒障害児短期治療施設の立場から見ると小規模化の危険性が見えてきて仕方がないのです。一律に全部を小規模化していくのでは児童養護施設では立ちいかない部分があるだろうと思っています。高機能化というのであれば少し形態に差が付けられるような柔軟性を持った形にしておかないと大変だということは私の立場からも付け加えておきたいと思います。

○柏女委員長
 ありがとうございます。障害児の関係でも、いわば医療型の施設について小規模化していくことについての一定の懸念なども出ておりました。福祉型は小規模化していこうという形で出ていたのですが、医療型については懸念が出ていました。同じように高田委員がおっしゃったように治療的なケアを重点的にやらなければいけないところでは一定の配慮も必要だと思いました。ありがとうございます。
 相澤委員、お願いします。

○相澤委員
 情緒障害児短期治療施設の対象です。例えば虐待を受けて発達障害を受けている子どもが児童養護施設では増えてきているのです。できるだけ低年齢できちんとした支援をしていくことを考えると、幼児を対象にした体制整備が情緒障害児短期治療施設では必要になってくると思っています。その辺はいかがでしょうかということを、質問したいと思っていました。

○柏女委員長
 どうでしょう、高田委員。

○高田委員
 おっしゃるとおりだと思っています。ただ、今の情緒障害児短期治療施設の形ではハードの面で今すぐに幼児と中高生を一緒にやりましょうというのはしんどくて、今後の形としてうまく幼児寮をつくることができればということです。それは絶対に必要だと思っております。

○柏女委員長
 よろしいでしょうか。相澤委員、どうぞ。

○相澤委員
 児童養護施設ですけれども、地域分散化して地域の拠点機能を考えたときに、情緒障害児短期治療施設や児童自立支援施設は通所機能がありますが、そういう意味では児童養護や乳児院にも通所機能を付与した方が、地域の拠点になり得るのではないかと思います。その辺は、いかがでしょうか。

○柏女委員長
 それは今、トワイライトステイがありますよね。

○相澤委員
 やっていますけれども、退所した後、通所で親子で通ってくるとか、要するに家族再統合した後です。

○柏女委員長
 なるほど。家族再統合の一環としてということですね。そういうことも今後は考えていかなければいけない。わかりました。伊達委員、どうぞ。

○伊達委員
 今のことに関連しますけれども、実はこの検討委員会の中では家庭的養護の推進という形で走っていますが、家族再統合を考える場合に、本当であれば最初から切り離さないで社会的養護をやるということまで手掛けていくことが必要だと思います。そのことを積み重ねていく中で初めて本当の意味の再統合のプロセスが出てくるわけですから、切り離さないでやっていても社会的養護だと認めてくれて、それを手掛けていく。それをケース化していくアプローチをこの3分の1、3分の1、3分の1ではなくて、ここに組み込むぐらいの大胆な流れをつくっていったらいかがでしょうか。それは必要だと長年思っています。

○柏女委員長
 ありがとうございました。伊達委員のその論文を拝見したことがございます。
 さまざまなご意見が出ましたけれども、確か4回5回では実際に社会的養護のすべての問題を論じることはとても不可能だと思います。私からの提案ですけれども、今出た今後さらに深めていかなければならないことについては幾つか例示を挙げながら、ここにあることがすべてではない。すべて議論できていないところもあることも明示し、かつ、将来的にもこうした議論の場を絶やすべきではないといったことを最後に付け加えながら、幾つかの例示を入れて次のステップに持っていくという形で「むすび」をくくりたいと思いますが、よろしいでしょうか。
 まだまだご意見があることは重々承知しておりますが、概ね意見も出尽くしたのではないかと思います。これでとりまとめ案については、中身をもう少し踏み込むべきだということは重々承知しながらも、大筋のご了解がいただけたのではないかと思います。今日ご意見をいただいた部分について修正をさせていただきたいと思います。取扱いについては実は近日中に社会保障審議会の社会的養護専門委員会も開かれることになっておりまして、そこに重複している委員も大勢いらっしゃいます。できれば事務局と委員長にご一任いただいて、この検討委員会のとりまとめという形にさせていただければと思いますが、よろしゅうございますでしょうか。今日いただいた意見をできるだけ反映できるようにしていきたいと思います。ありがとうございます。よろしくお願いいたします。
 それでは、私からご紹介させていただいた上で、小宮山厚生労働副大臣からご挨拶を頂戴したいと思います。お手元に「今こそ、自立を考えるとき」というペーパーを用意させていただきました。これは家庭福祉課にもいろいろとご意見を頂戴したのですが、先ほどから出ていますように児童養護施設や里親を出た子どもたちが自立に向かってのフェアスタート、公平なスタートが切れないということで、児童養護施設の人たちが協同組合をつくって、そこに出資をし、かつ、企業からの支援もいただきながら、子どもたち一人一人に自立のための基金、金銭的な支援を行い、かつ、施設職員がその後も寄り添っていく、いわば寄り添い支援と金銭的な支援をセットとして進めていくようなことを全国初めての自立支援の試みとして開始することになりました。私もかかわりをもたせていただいているのですが、7月10日にこのような設立の記念シンポジウムを行うことになっておりますので、もしよろしければご参加いただければありがたいと思っています。
 もう1点、先ほど少し申し上げましたけれども、社会的養護を必要とする子どもたちはここにいる施設や里親さんの元にいる子どもたちだけではなく、知的障害の子どもたち、あるいは身体障害の子どもたち、盲・ろうの子どもたちが1万人以上も施設で生活しているということです。その入所している障害を持った子どもたちの生活についても里親やファミリーホーム、あるいは小規模ユニット、地域小規模といったような子どもとしての当たり前の生活が送れるように進めていかなければならないと思っています。従って、社会的養護の問題を考えるときに、障害を持った子どもたちの社会的養護とセットで考えていかなければならないと思っております。今、障害者総合福祉法の検討が行われておりますけれども、その中で障害児の問題を社会的養護はそのように進めていきたい。つまり、家庭的養護を中心にしながら子どもたちに当たり前の生活を保障していきたいという方向で議論を進めております。ぜひ、そこはセットで考えていければと思っております。
 小宮山厚生労働副大臣には、最後まで本当に熱心に毎回ご出席いただいております。本当にお忙しい中を、時間をとって参加していただいております。その小宮山厚生労働副大臣から最後に一言お言葉を頂戴したいと思います。よろしくお願いいたします。

○小宮山厚生労働副大臣
 本当に皆さま、ありがとうございます。1月からの短い期間で、今のお話を伺っていても、まだまだ伺わなければいけないことがあることは重々承知しているのですが、子ども・子育て新システムとの関係や一定の区切りをして、ここをまとめていただいて、先ほど冒頭でも申し上げましたように4月からできることはやりましたし、今年度もこの後予算、金目のところが肝であるということは皆さまよくおわかりだと思います。そこも党内、政府内でしっかりと税調にも私はメンバーとしておりますのでやってまいりますが、先ほどお願いしたように皆さまもそれぞれの立場から、これは世論がないとできないので、増税なんてとんでもないと言われてしまいますと、いくら今のような財政状況の中で、もちろん無駄遣いを省くということは約束どおりやっていきますけれども、それだけではとてもできない。特に、ご承知のように社会的養護のところはずっと大事だと言われながらいつも小さくされていたところを、冒頭でも申し上げた「タイガーマスクの機運」、それから震災の中で最も困っている子どもたち、孤児になってしまった子ども、あるいは片親になってしまった子ども。そのことも一生懸命フォローしながらやってはいますけれども、今のような震災も受けた日本の状況の中で、一番支援を必要としている子どもたちにもっと光を、もっと財源をということは、恐らくきちんと説明すれば多くの国民の皆さまにはわかっていただけると思っていますので、そのような意味では当然のことながら私どもや厚生労働省の事務方も最大限努力しますが、皆さま方にもぜひそこをやっていただければと思っています。予算を伴わずにできる省令改正、規則の改正あるいは指針をつくったり手引きを作成したりは今年度中にしっかりやりたいと思っています。また、税制改正をしてシステム全体として抜本的に動かしていく前にも、来年度予算で少なくとも今日まだまだ足りないと言われている施設の人員配置の基準も一歩ずつでも前に進めるように。それには本当に小さな予算しかなかったものを、少なくとも倍増ぐらいはしてやれるようにということを、実はこんなに大きな声で言ってはいけないかもしれませんが、課長とも打ち合わせておりまして、既に会計課長とも話をしておりまして、これは本当に皆さまの熱意と熱心なご議論をしっかりと前に進めていくように私どもも最大限努力したいと思っておりますので、引き続きのいろいろなご協力を子どもたちのためにお願いしまして、私からの御礼とさせていただきます。本当にありがとうございます。

○柏女委員長
 ありがとうございました。力強いお言葉をいただくとともに、また私たちの社会的な責務も再確認させていただきました。社会的養護を必要とする子どもたちは4万人強ということです。18歳未満の子どもたちの全体からいえば500人に1人の子どもたちだと思います。その500人に1人の子どもたちに対して社会がどうかかわっていくのか。それをしっかりと示していかなければいけないとの確認の気持ちを新たにさせていただきました。ありがとうございました。
 それでは、今後につきまして事務局から、お願いしたいと思います。

○高橋家庭福祉課長
 本日は、とりまとめをいただきまして、大変ありがとうございました。
本日のご意見によりまして、また字句修正を幾つかいただきましたので、その点につきまして委員長とご相談の上、また文案を作りまして、各委員にも確認をしていただき、7月上旬の社会的養護専門委員会でもご議論いただいて確定版にしていきたいと思っております。
 また、これらの内容のできるものは次々と進めていくということで、また施設ごとの指針を作っていくワーキングは施設種別ごとにまた作ります。そういうことにつきましても、このメンバーの先生方には、いろいろなところでお世話になりますし、いろいろな内容づくり、第三者評価の基準づくりですとか、いろいろな課題を次々と、一つ一つこなしていきたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。

○柏女委員長
 ありがとうございました。
各委員におかれましては、本当に短期間の集中的な議論にご協力いただき、ここで発言するだけではなく、それぞれの傘下の団体役員の中で詰めたりする作業が大変だったのではないかと思います。
 また、事務局の方も獅子奮迅の活躍で、夜中の1時2時にメールが届いたりすることも稀ではなく、本当に皆でつくり上げてきた報告書ではないかと思います。ご協力に心より感謝申し上げたいと思いますし、これをぜひ生かしていきたいと思っています。今日も本当にありがとうございました。


(了)
<照会先>

雇用均等・児童家庭局家庭福祉課

措置費係: 03(5253)1111内線7888

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