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2011年2月17日 平成22年度第2回水道における微生物問題検討会議事録

健康局水道課

○日時

平成23年2月17日(木)14:00~17:00


○場所

経済産業省別館1111会議室


○出席者

出席委員

遠藤座長 泉山委員 片山和彦委員 片山浩之委員 勝山委員
国包委員 黒木委員 西村委員 福井委員 船坂委員

出席説明員

川口説明員 佐々木説明員 高藤説明員 水野説明員 渡邉説明員

○議題

(1) 粉体ろ過法のバリデーションの進捗について
(2) 嫌気性芽胞菌の検査方法について
(3) その他

○議事

○松田室長補佐
 それでは、若干定刻より早いですが、ただいまから平成22年度第2回水道における微生物問題検討会を開催いたします。
 委員の皆様方には、御多忙中にもかかわらず御出席いただきまして、ありがとうございます。
 本日の出席状況ですけれども、現時点で10名の委員の方に出席いただいております。なお、国立保健医療科学院の秋葉委員は御欠席ということでございます。
 また、本日の検討会では、委員の方以外に粉体ろ過法のバリデーションについて協力いただいた検査機関の研究者の方に出席いただいておりますので御紹介いたします。
 まず、1人目が、浜松市上下水道部の高藤さんでございます。
 宮城県仙南・仙塩広域水道事務所の佐々木さんでございます。
 桐生市水道局水質センターの川口さんでございます。
 神奈川県企業庁水道水質センターの渡邉さんでございます。
 新潟市水道局水質課の水野さんでございます。
 また、厚生労働省健康局水道課長に異動がございまして、1月7日付で着任いたしました石飛課長でございます。
 次に、お手元の配付資料でございますけれども、議事次第に配付資料一覧を記載してございます。読み上げたいと思います。
 まず、資料1「粉体ろ過法のバリデーション進捗について」。
 資料2「粉体ろ過法検討の詳細について」。
 資料3「粉体ろ過法の全体的評価及び今後の取組について」。
 資料4「『水道における指標菌及びクリプトスポリジウム等の検査方法』における指標菌検査方法の見直しについて」。これについては別添資料も4つほどついております。
 また、参考資料については4つございます。
 また、資料2につきましては、粉体ろ過法のバリデーションに協力いただいた検査機関の方が作成した資料を基に泉山委員に編集いただいたものであるとともに、資料3は泉山委員からの提出資料でございます。
 資料の不足等ございましたら、事務局にお申しつけいただくようお願いいたします。
 また、マスコミの方におかれましては、カメラ撮りは恐縮ですが、会議冒頭のみとさせていただいておりますので、御協力をお願いいたします。
 それでは、これ以降の議事進行は、座長の遠藤先生にお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

○遠藤座長
 遠藤でございます。本日一日よろしくお願いいたします。また、年度末のお忙しい中にお集まりいただき、大変ありがとうございました。時間に限りがありますので、早速、議事に入りたいと思います。
 最初の議題は、粉体ろ過法のバリデーションの進捗についてでございます。昨年3月23日に開催されました本検討会におきまして、クリプトスポリジウムの検査方法に関して、検査機関の方々に御協力いただき、遺伝子検出法とともに本日の議題であります粉体ろ過のバリデーションを進めていくという方針を御了承いただいたと思います。それから、少し日が経っておりますので、事務局から当時確認された方針を検討会資料を用いて御紹介いただくと同時に、粉体ろ過法のバリデーションの進捗状況について御説明をいただきたいと思います。

○松田室長補佐
 それでは、事務局から資料1と参考資料3を用いまして、経緯等について御説明したいと思います。
 まず、平成22年3月23日に開催された本検討会におきまして、遺伝子検出法、粉体ろ過法が検査方法として妥当か検証するため、複数の協力機関において試料の検査を実施し、その結果を本検討会で評価していくことが適当とされております。
 昨年3月23日に提出した資料として、参考資料3に「検討の進め方」ということで、粉体ろ過法に関してはサンプリング装置や粉体ろ過カートリッジの入手可能性、オーシスト等の粒子の捕捉効率、粉体ろ過サンプルの保存性、適切なケーキ厚、ろ過圧、ろ過水量といったものについて、適当かどうか評価することとされております。
 この検討を受けて本検討会に参加する委員が所属する機関及びその他の機関に協力を依頼して、河川水または浄水を用いまして、遺伝子検出法及び粉体ろ過法に関する検査を実施し、バリデーション結果の検証作業を進めて、前回の検討会では遺伝子検出法の各機関の検証結果が示されたと。また、現時点での評価についても議論いただいたところでございます。
 今般、粉体ろ過法のバリデーションについて、各機関からろ過水量、回収率、再現性など検査結果に関する評価書を作成いただいております。その結果についてお示ししております。
 また、「2.バリデーションの進捗」ということですが、本日協力いただいた機関の方から実際にこの作業に取りかかっていただいた方に出席していただいておりますけれども、ろ過水量の確認作業から開始し、試験環境の整備を図るとともに、クリプトスポリジウムあるいは代替粒子としての蛍光ビーズを用いた河川水や浄水への添加回収試験を行っております。
 協力機関のバリデーションの進捗の一覧表として、浜松市上下水道部から新潟市の水道局水質課まで、それらについての原水ろ過水量、原水ろ過回収率、浄水ろ過水量、浄水ろ過回収率をそれぞれお示ししております。
 また、原水ろ過回収率と浄水ろ過回収率の「1,2,3」という部分につきましては、下の注意書きに対応しているということで、それぞれの協力機関によって確認内容が異なるということがございます。
 まず、資料1については以上でございます。

○遠藤座長
 ありがとうございました。
 次に、今回御協力いただいた機関の方々に、粉体ろ過法に関するバリデーションの検証結果、およびその評価について御説明いただきたいと思います。バリデーションの評価に当たって、各機関から御提出いただいた資料をあらかじめ編集していただいた泉山委員に、検証に際して提供した機材や実験条件等について御説明いただきたいと思います。その後に、各機関の方々から御説明を賜りたいと思います。
 では、泉山委員お願いいたします。

○泉山委員
 泉山です。よろしくお願いします。お手元の資料2「粉体ろ過法検討の詳細について」を使って順に御説明します。
 まず、「1.提供した消耗品」ですが、こちらは粉体ろ過法の試薬等一式をお送りしております。37mmの粉体ろ過用のプラスチック容器、ハイドロキシアパタイトの粉体、原水用に90mm支持フィルター等々でございます。
 標準試料としましては、ホルマリン固定したクリプトスポリジウムオーシスト、(補足:オーシストの代替粒子としての)模擬粒子として3μmの蛍光ビーズを使用いたしました。これらを使用して回収率を評価したわけです。
 そのほかの消耗品としましては、粉体ろ過用の試薬の一部として、0.5M EDTA、Tris-HCL緩衝液、精製に使用する免疫磁気ビーズやショ糖、観察用の蛍光抗体や封入剤、観察用フィルター、スライドグラス等々です。
 「2.実験条件」です。粉体ろ過法では、原水あるいは浄水におけるろ過水量と回収率を検討しました。昨年3月の検討会でお示ししたとおり、標準試料を添加した添加回収実験を行い、粉体を酸溶解した直後に直接の捕捉回収率(粉体ろ過法単独の性能評価)を求めています。あるいは免疫磁気ビーズ法あるいはショ糖浮遊法による精製後に、総合の回収率(濃縮・精製・観察からなる、通常の回収率)を求めています。ろ過濃縮した試料の一部を用いて顕微鏡下での計数を行って回収率を求めています。
 検証方法に関しては若干の変更を行っています。(浄水の濃縮保存を目的とするだけでなく、)原水のろ過濃縮法として使用可能であることも期待されました。そこで、浄水だけではなくて原水のろ過水量と回収率の評価を併せて実施いたしました。粉体ろ過のみの捕捉回収率の評価だけではなくて、免疫磁気ビーズ等の精製を含む総合的な回収率を評価いたしました。ポリタンク保存との比較やクリプトよりもサイズの大きいジアルジアあるいは保存期間、ろ過圧やケーキ厚等々の検討は行いませんでした。
 添加回収試験の結果は、5機関の結果が出そろいまして、うち3機関は免疫磁気ビーズ法を含む評価、1機関はショ糖浮遊法による精製を含む評価を行ってくださいました。
 次に、フローを御説明いたします。ろ過水量の検討は上水あるいは原水を試料として、連続的に濃縮します。時間とろ過水量をグラフ化しています。
 回収率の検討は、これは浄水の場合ですが、ホルマリン固定クリプトスポリジウムあるいは(オーシストの代替粒子としての)蛍光ビーズを数百ミリリットルの浄水等に添加し、ろ過濃縮をし、続けて100L程度の浄水をろ過濃縮しました。粉体の一部を取り出しまして溶解処理をし、顕微鏡下で計数しました。これによって、直接の捕捉回収率、粉体ろ過単独での捕捉回収率の評価を行うことができています。次に、免疫磁気ビーズ法あるいはショ糖浮遊法による精製を行いまして、顕微鏡下で計数します。この場合は、精製工程も含む総合的な回収率の評価となります。
 原水の場合の回収率の検討もほぼ同様です。ホルマリン固定クリプトスポリジウムあるいは蛍光ビーズを数百ミリリットルの原水等に添加し、ろ過濃縮して、続けて20L程度、可能な範囲で原水をろ過濃縮します。以下、浄水と同様に粉体の一部を取り出しまして溶解処理をし、顕微鏡下で計数します。直ちに計数した場合は、直接の捕捉回収率の評価となります。続きまして、免疫磁気ビーズ法あるいはショ糖浮遊法による精製を行った場合は、総合的な回収率の評価となります。
 以上のとおり検証を行っていただきまして、「3.資料の編集方針」ということで、資料を編集・作成するという作業に入りますけれども、協力機関の検証作業の経過は電子メール等で泉山までに御連絡をいただきました。必要によって技術的な助言を行うことで検証が適切に行われるように努めています。各機関において検証を行う際の労力や方法選択などの都合がありまして、方法と結果は必ずしもすべての機関において一律というわけではなくなりましたけれども、検証シートの書式に御記入いただくことで表記の統一を図ってあります。
 各施設が作成した検証シートは、事前に泉山までに送付いただいて、必要に応じて表記の改善・修正等の助言は行っておりますけれども、内容の最終的な判断は各機関においてなされています。協力5機関の検証シートを資料に別添ということで列挙してありますので、これを用いて結果について御討議いただければと思います。よろしくお願いいたします。

○遠藤座長
 ありがとうございました。
 それでは、各検査機関の方々から御説明をお願いしたいと思いますが、先ほど事務局から御紹介いただいた順番で高藤さんからお願いしたいと思います。なお、時間の都合もございますので、説明時間7分、討議時間6分でお話をまとめていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

○高藤説明員
 浜松市の高藤です。
 では、「2.検証結果概要」からいきたいと思います。原水の概要ですが、原水の水系は天竜川表流水で、採水地点は大原浄水場の検水台で行いました。その際、試験日がまちまちだったので濁度7~126度のものを用いました。通常時のクリプトの検出オーダーは0個です。
 次に、原水のろ過水量ですが、原水に対するろ過等の処理操作で、原水のろ過水量は大体3~13Lでした。
 浄水の概要です。うちの施設では凝集沈殿急速ろ過、塩素消毒で、濁度は0.05度未満の浄水です。
 浄水のろ過水量ですが、340~510Lでした。
 捕捉回収率ですが、原水においては蛍光ビーズ、固定クリプトスポリジウムを使用した場合は102.2±9.0%の標準偏差でした。浄水は、蛍光ビーズ、固定クリプトスポリジウムを使用した場合102.6±6.3%でした。
 次に、総合回収率ですが、原水において固定クリプトスポリジウムと磁気ビーズ法を用いた場合は60.2±4.8%。浄水では、固定クリプトスポリジウムで磁気ビーズを用いた場合は59.2±17.5%でした。
 「3.1 ろ過濃縮操作詳細」にいきたいと思います。使用したろ材のカートリッジ名称ですが、サンプリングユニット、FSC用アパタイト、メンブレンフィルター、FSC用ホルダーを用いました。
 使用したろ過装置の名称ですが、クリプトスポリジウムサンプリングシステムを用いました。
 添加に用いた試料ですが、蛍光ビーズ、ホルマリン固定クリプトスポリジウムオーシスト、ColorSeedを用いました。
 観察用フィルターとしてはPTFE膜を用いました。
 染色用試薬は2つ用いて、EasyStainもしくはMerifluorを用いました。
 「3.2 原水結果」です。原水は、先ほど説明したように天竜川水系の大原浄水場原水を用いました。
 粉体使用量は2パターンありまして、初期粉体を1gで、追加粉体を2gにした場合、もう一パターンが初期粉体を0gにして追加粉体を3gにするパターンで行いました。
 この際の流速ですが、最高で0.9からどんどん閉塞していきますので0ぐらいまで、0.0~0.9L/minになりました。
 その際のろ過圧は、30もしくは50で行い、閉塞するに当たり減少していくのですが、うまく調整してその範囲に収まるようにしました。
 ろ過水量としましては、3~13Lです。下のグラフの左上ですが、うちではいろいろな濁度に応じて積算ろ過量を求めました。濁度16度の場合は、試験に必要な10Lをろ過できましたが、それ以上、43度、67度、126度だと、10Lに届かなかったという結果になりました。
 粉体ろ過後の精製方法ですが、免疫磁気ビーズ法を用いて精製後の総合回収率等を出しました。
 単純捕捉回収率ですが98.2±7.0%、これは6回測定の平均値と標準偏差を用いて出しています。クリプトスポリジウムオーシストを用いた場合は112.5%、これは2回測定で計算しています。
 次に、精製後の回収率ですが、クリプトスポリジウムオーシストを用いた場合は62.9%、これは2回測定で出しています。クリプトスポリジウムオーシストのColorSeedを用いて測定した場合は55.0%、これは1回測定です。ColorSeedのジアルジアシストを用いた場合は21.3%という結果でした。
 3ページの表は、今説明したものの詳細なデータです。濁度や測定回数が載っていまして、基本的には今、説明したものと一緒ですので割愛します。
 「3.3 浄水結果」を説明したいと思います。浄水ですが、大原浄水場の浄水を用いました。
 粉体使用量は初期が0.5g、追加分が1gです。
 流速は0.1~0.7L/minになりました。
 ろ過圧は30~50kPaになりました。
 送水はポンプを使用しました。
 ろ過水量としましては340~510Lです。下のグラフを見ていただきまして、大体24時間ろ過して、その際どれくらい積算ろ過できるのか測定しまして、大体340~510Lの範囲に入る値になりました。
 粉体ろ過後の精製方法ですが、免疫磁気ビーズ法を用いました。
 単純捕捉回収率は104.0±7.1%、これは蛍光ビーズで3回測定で出しました。クリプトスポリジウムオーシストを用いて3回測定で行った場合の回収率は101.2±6.5%でした。
 精製後の回収率ですが、クリプトスポリジウムオーシストを用いて3回測定で算出したのが63.5±18.6%でした。次に、クリプトスポリジウムオーシストのColorSeedを用いて1回測定で行った回収率は46.3%でした。次に、ColorSeedのジアルジアシストを用いて1回測定で出した回収率は29.3%という結果でした。
 また、原水と同様にグラフの下の表は、そのときの濁度と回収率と測定結果を詳細にした表です。
 「4.検証結果に基づいた粉体ろ過濃縮法の評価」に移りたいと思います。
 まず、ケーキ厚。原水は粉体量3g、直径90mmでろ過を行いました。ろ過後のケーキ厚は約1mmでした。浄水は粉体量1.5g、直径37mmでろ過を行い、ろ過後のケーキ厚は約2mmでした。両方とも粉体の漏出は見られず問題なくろ過できました。
 ろ過水量です。原水は高濁度の場合は1回では10Lに達しませんでしたが、複数回に分けて濃縮することで対応可能と考えられます。
 浄水は一度に20L以上ろ過することが可能であり、現行の20Lに対して複数回分を濃縮可能でした。
 うちは元はカートリッジフィルターを使っていたんですが、それとの比較です。ろ過速度がカートリッジフィルター法に比べて遅いため、ろ過には時間がかかりました。浄水20Lをろ過する場合、カートリッジフィルター法では2L/minでろ過でき、1検体当たり大体10分ぐらいで終了しますが、粉体ろ過法でフィルター径37mmでは大体40分ぐらい、洗浄操作も含めると1時間ぐらいかかりました。このため、浄水であっても検査の際は20Lを大体20分ぐらいでろ過できるフィルター径90mmを使用した方がいいかもしれないと思いました。グラフには載せなかったんですが、低濁度、8度ぐらいの原水を粉体量2gで初期0g、追加2gの条件でろ過したことがありまして、その際は13L以上のろ過水量が大体17Lに達したこともあったことを付け加えさせていただきます。
 ろ過圧ですが、ポンプと内蔵レギュレーター使用により、ろ過圧は一定に保つことができました。30kPaと50kPaを比較した場合、50kPaの方がろ過速度が速かったんですが、最終的なろ過水量等に大きな違いは感じられませんでした。浄水で行った長時間の連続運転でも問題はありませんでした。
 次に、回収率です。捕捉回収率は大体100%であり、粉体ろ過での蛍光ビーズやクリプトの漏出等は確認できませんでした。
 総合回収率は原水及び浄水とともにホルマリン固定クリプトスポリジウムではおおむね60%近くであり、回収率が極端に低いといった問題はありませんでした。
 ジアルジアの総合回収率がクリプトに比べて低かったんですが、それは染色にEasyStainを用いたため検出しづらかったことが理由として考えられます。
 次に、再現性です。原水は同程度の濁度では、同じろ過条件であれば、ろ過水量に差は余り見られませんでした。浄水にて4回繰り返し実施した濃縮操作で、ろ過水量は300~500Lであり、おおむね安定していました。原水及び浄水ともに複数回の回収率試験で総合回収率もおおむね安定していました。
 実用性評価です。カートリッジフィルター法では、ろ過後、ろ過濃縮率の容量は濁度に関係なく1検体当たり200~250mLになります。粉体ろ過の場合は粉体1.5gに当たり45mLを目安にまとめるため、検体が浄水や低濁度の原水の場合であっても、ろ過濃縮物を50mL以下でまとめることができ、カートリッジフィルター法に比べるとその分手間が軽減できていると思われました。あと、原水が高濁度の水系、うちのようなところですが、年間平均濁度が30度ぐらい、高いときは100度ぐらいいくのですが、そのせいか通常はカートリッジフィルター法で検査を行っていましたが、高コストであるといった問題点がありました。粉体ろ過法はメンブレンフィルターを使った方法並みの低コストであるにもかかわらず、ろ過量がかなり多いといった点でメリットを感じました。
 精度管理上の留意事項です。粉体ろ過では検体ごとのチューブ交換ができないため、界面活性剤を含んだ浄水で洗浄を念入りに行う必要があるということと、検体の順番に注意する必要があるかと思いました。
 その他特記事項です。37mmカートリッジを用いたろ過で、最初の底面からの水を充てんする際に、底面フィルター部が浮いて、ろ過が正常に行われないことが3回連続ぐらいであったことがありました。フィルターがずれてしまう条件はわからなかったんですが、いきなり原水をするのではなく、最初に精製水をろ過して正常にろ過されているのを確認した後、取水口を検体に切り替えた方がいいのかなと個人的には思いました。濁度10度程度の原水を検査した際ですが、濃縮物を50mLチューブより15mLチューブに移してバッファー交換のため遠心した際、ペレットが物すごく固くて、1本当たり40分ぐらいボステックスしないとかなりほぐれなかったことがあったんですが、そういった対策に界面活性剤の濃度を上げて、ほぐれやすい状態にした方が時間短縮が図れるかなと思いました。
 以上です。

○遠藤座長
 ありがとうございました。
 それでは、委員の方々からコメントあるいは質問等ございましたら御発言いただきたいと思います。どなたかございませんか。
 今回のものとは直接的には関係ないですけれども、カートリッジフィルターを使っているところは非常に珍しいので、併せて聞きますが、カートリッジフィルターを使うのは何か特別な理由があるのですか。

○高藤説明員
 高濁度なのでメンブレンフィルターだと、やはり詰まりやすくて枚数が多くなってしまうので手間がかかるというので、高くてもカートリッジフィルターを使い始めたということだそうです。

○遠藤座長
 カートリッジフィルターの場合に、そこからの回収にはどのくらい時間がかかるものですか。

○高藤説明員
 2日ぐらいは多分かかるんですけれども、多ければ多いほど全然本数が増えていくので。

○遠藤座長
 カートリッジフィルターからろ過捕捉したものを回収するときには、それなりに時間がかかると言う事ですか。

○高藤説明員
 はい、かかります。

○遠藤座長
 わかりました、ありがとうございました。直接関係があったわけではないですが、当初よりカートリッジフィルターは使って差し支えなかったわけですが、余り普及してこなかった事実があったものですから、お伺いいたしました。
 ほかにございませんか。それでは、とりあえず先に進めさせていただいて、また改めて御討議していただけたらと思います。
 次に、佐々木さん、お願いいたします。

○佐々木説明員
 宮城県仙南・仙塩広域水道事務所の佐々木です。資料は9ページからになります。
 「2.検証結果概要」ですが、当浄水場では、水道原水と浄水を対象に粉体ろ過法を行いました。
 水道原水は浄水場内の着水井を採水いたしました。このときの濁度は1.0~5.7度。着水井の濁度は年間を通してみても10度を超えることはございません。
 また、通常クリプトスポリジウムは検出されておりません。
 ろ過水量についてですが、90mmのフィルターを利用してろ過圧を30kPaに設定いたしまして、60分間のろ過で30.5~37.4Lろ過することができました。
 次に浄水ですけれども、PACを使用した急速沈殿ろ過の処理をいたしております。検討を行いましたときの濁度は0.001~0.005度で、24時間のろ過をいたしまして、366~463.9Lのろ過をすることができました。
 次に、捕捉回収率につきまして、原水に蛍光ビーズを添加しましたときには83~105%、浄水に蛍光ビーズを添加したときには80~99%、固定クリプトスポリジウムオーシストを添加したときには82~100%と、すべてにおいて100%近い回収率になりました。
 また、総合回収率につきまして、固定クリプトスポリジウムオーシストを添加してろ過濃縮後、精製操作を行いまして23~57%という結果になりました。
 次に「3.1 ろ過濃縮操作詳細」です。
 使用したろ過カートリッジ自体は原水では37mm、浄水では90mmのフィルターを利用しまして、ケーキろ過フィルターを利用しました。
 機器等につきましては、高藤さんのところと同じなので説明は省かせていただきます。
 「3.2 原水結果」について説明いたします。
 原水詳細について少しお話しさせていただきます。当浄水場は、ダムの水質を確認しながらダム水面下19~20mの付近を選択取水という形で採水しております。場内へはダムの取水口から約11.7kmの管を通って着水井まで導水しております。この着水井の水は、水質検査室の給水栓へも導水しておりますので、給水栓から採水した水を原水といたしました。
 粉体の使用量は、初期分として1g、追加分として2g。
 流速は0.22~0.72L/minです。
 ろ過圧につきましては、30~47kPa。
 ろ過水量につきましては、1時間当たり30.5~37.4Lとなりました。下にグラフがありますが、縦軸に積算ろ過水量、横軸に時間。右側のグラフは、縦軸に速度、横軸に時間という形で示しております。こちらのグラフを見ましても、60分を超えてまだまだ採水できるという形が見られると思います。
 続きまして、粉体ろ過の精製方法ですが、ショ糖浮遊法で行いました。
 単純捕捉回収率は、蛍光ビーズを用いまして83~105%。
 精製後の回収率は、23~57%となりました。
 その他特記事項ですけれども、今回行いました精製方法はショ糖浮遊法ですが、この方法自体の回収率を求めるために実験を行いましたところ86~96%となりましたので、この回収率から考えると、精製後の回収率が23~57%と低くなったのは精製方法によるものではないのではないかと考えました。
 次に「3.3 浄水結果」について説明させていただきます。
 浄水も浄水池から水質検査室内の給水栓へ導水しておりますので、給水栓から採水いたしました。塩素濃度は0.5~0.6に調整しております。浄水池の容量は4万6,200m3、給水量は計画水量が一日当たり55万m3ということでしたが、現在は一日辺り22万m3の送水をいたしております。
 粉体使用量は、初期分として0.5g、追加分として1g。
 流速は0.23~0.46L/min。
 ろ過圧は45~57kPa。
 ポンプを使用して送水しました。
 24時間のろ過水量は366~463.9L。
 単純捕捉回収率といたしましては、蛍光ビーズを用いまして80~99%。固定クリプトスポリジウムオーシストを用いまして82~100%という結果になりました。
 次に「4.検証結果に基づいた粉体ろ過濃縮法の評価」に移りたいと思います。
 ケーキ厚につきましては、目視で1~2mmで、特に抜けるなどの異常は認められませんでした。
 ろ過水量ですが、原水は1時間に30.5~37.4L、浄水は24時間で366~463.9Lと十分量をろ過することができました。
 原水につきましては、一度に現行の約10Lに対して3回分以上を濃縮可能でした。
 ろ過圧は、ポンプと内蔵のレギュレーターの使用により一定に保つことができましたので、長時間の連続運転にも問題はない様子でした。
 回収率ですが、浄水の捕捉回収率は82~100%と高く、ろ過濃縮物の酸処理後に蛍光顕微鏡で計数する方法が大変有利と考えられました。
 また、原水の単純捕捉回収率は83~105%と浄水と同様に高い回収率でしたが、精製後の捕捉回収率は23~57%と低く、今後の検討が必要かと思われました。
 再現性といたしまして、複数回の回収率試験を行いましたところ、回収率はおおむね安定しておりました。
 次に、実用性評価ですが、濃縮物はコンパクトで冷蔵保存も容易な大きさでしたので、浄水・原水のいずれにおいても実用性は十分であると考えられました。
 現行の浄水20Lは重かったので、なかなか保管が難しかったんですが、この方法では浄水数百リットルが濃縮可能でしたので、容易に14日間の保管もできると考えております。
 更に、20Lの10倍以上の濃縮をすることができますので、濃縮試料の一部を試験することで従来と同等の試験水量に達しますので、浄水であれば精製なしでも短い時間で試験できると思われますので、緊急対応に適しているとも考えられました。
 また、この方法は濃縮操作が簡単なので、操作手順のポイントを説明することで誰でも操作ができると考えております。
 精度管理上の注意事項につきましては、ろ過面が適正に保たれていれば高い回収率が保証されると考えられました。また、実際の検査でも界面活性剤を使用することが重要ではないかと考えられました。
 その他特記事項といたしまして、ろ過ユニットは利便性は高いのですが、プラスチックが大量に廃棄されることになるかもしれませんので、環境に配慮することが好ましいと思われました。
 以上でございます。

○遠藤座長
 ありがとうございました。
 それでは、コメントあるいは質問等ございませんでしょうか。

○黒木委員
 お二人の説明が終わったところでちょっと確認させていただきたいので、これは泉山委員から説明をしていただきたいのですが、単純捕捉回収率と総合捕捉率の違いがちょっとわかりにくいので、そこを御説明していただけますか。

○泉山委員
 単純捕捉というのは、粉体ろ過法単独での回収率を評価した場合になります。粉体ろ過法は、粉体を積層してケーキ層をつくって、そのケーキ層がフィルター面となって濃縮することになるのですけれども、そのケーキ層にトラップされたかどうか、単純にちゃんと引っかかって物理的に濃縮できたかどうかという結果を評価したものになります。
 具体的には、塩酸で溶解処理をするのですが、その直後にサンプルの一部だけをとってすぐに顕微鏡下で数えてみるという操作を行って、余計な操作は一切入れていない評価になります。それで粉体ろ過法単独での評価ということになります。
 総合的な回収率という表現については、クリプト検査法は濃縮が終わりますと精製工程を経て、その後に蛍光顕微鏡で数えるという操作が通常行われておりますが、そういう精製操作を行った場合に何が起こるかも含めて、総合的に結果を見たいという意味において、総合回収率とここでは便宜的に呼んでいます。

○黒木委員
 そうしますと、両方とも一応、塩酸で全部溶かしているのですか。

○泉山委員
 はい、そうなります。

○黒木委員
 そうすると、まず、(免疫磁気)ビーズでやるときは塩酸で溶かした後、遠心をかけて、それを(免疫磁気)ビーズにかけるのですか。

○泉山委員
 いえ、違います。塩酸で溶かしましたら、その一部をすぐにPTFEのメンブレンフィルターに(蛍光ビーズを)ろ過して数えるという操作をしています。
(補足:以上はビーズの種類に関する誤解があり、ここでは「はい、そうです」が正しい回答であることを会議終了後に確認した。)

○黒木委員
 それは単純の方ですね。一部というのが気になったのですが、全部ではなくて一部ですか。

○泉山先生
 一部です。25mmの小さなフィルターに全量を通すのはとても難しいですので、一部を使って評価をしています。

○黒木委員
 それで捕捉率が出るというのは。

○泉山委員
 それは、最初に投入する蛍光ビーズの量あるいはクリプトの量をある程度多めに入れておいて、後で数えるときに少なくとも100個以上が検出できるというような条件をつくっています。

○黒木委員
 100個加えて、そこで100個出れば100%ですよね、単純な話。その一部をとってきて捕捉率を見るというのがわかりにくいのですが。

○泉山委員
 例えば、粉体ろ過が終わった後に塩酸で溶解して、例えば50mLの溶液ができるとしますが、そこから1mLだけを評価するか、あるいは5mLだけを評価するかという操作をしています。1~5mLの中に100個とか200個という数の粒子が含まれるように最初に添加しているわけです。

○黒木委員
 なるほど、そういうことですね。添加量が100個ではなくて、もっと多く入れると。

○泉山委員
 はい。10倍とか50倍とか少したくさん入れてあって、それを評価するという流れになります。

○黒木委員
 そうすると、実際の検査のときに、やはり(免疫磁気)ビーズをかけないと検査はできないのですか。特に浄水の場合は。

○泉山委員
 例えば、400L濃縮した分の20L分だけを評価したいということであれば、ごく一部だけの評価になりますので、夾雑物が少なくて、観察用の25mmのPTFEフィルターに直接ろ過してすぐ見られるかもしれませんし、1枚で全部ろ過し切れなければ、1枚ではなくて3枚とか4枚とか少し枚数を増やしてあげることによって、ろ過して観察がすぐにできるかもしれません。

○黒木委員
 その辺については、お二人にお聞きしたいのですけれども、実用面で浄水をろ過したときに、(免疫磁気)ビーズをかけずに観察が可能でしょうか。

○高藤説明員
 今やっているのは400Lのうちの一部とかだけだったら、多分、夾雑物があっても見られると思いますが、遠心をかけて(数百L分)すべて濃縮すると結構、夾雑物が多くて見づらいんじゃないかという気がしています。

○佐々木説明員
 同じように浄水に関しては、特に見えにくいということはなかったです。原水に関しては、やはりショ糖浮遊とか(免疫磁気)ビーズ(等の精製操作)をしないと見えないと思います。

○遠藤座長
 ちょっと私の方から質問していいですか。お二人ともにクリプトスポリジウム等の精製後の回収率も見ていますね。ケーキフィルターでの捕捉率と全行程を行った後の回収率を比較すると、後者の回収率が少し下がっていますね。悪く解釈すると、このケーキろ過方法で集めたクリプトと、その後のショ糖浮遊法なり(免疫磁気)ビーズ法とのマッチングに問題があるのではとの不安が生じますが、その辺についてコメントはありませんか。

○高藤説明員
 精製後のうちの回収率も原水・浄水で大体60%ぐらいですが、カートリッジフィルター法のときも大体60%ぐらいだったので、ケーキろ過だからといって下がっているという気はしないです。

○佐々木説明員
 ケーキろ過ですが、90mmのフィルターの4分の1を使用して回収率を求めています。操作時のロスなどが回収率に影響したと考えられましたので、特に精製方法との兼ね合いが悪いとは考えておりません。

○遠藤座長
 ありがとうございました。
 ほかに追加で何かありますか。

○泉山委員
 現時点では、ショ糖浮遊だから、あるいは磁気ビーズ法だからマッチングがうまくないというような問題点は見つかっていませんで、たまたま今回評価した範囲ではこういう結果が得られたということになっています。今後、こういうことをもっと蓄積していけば問題がないということになるかもしれませんし、あるいは少し工夫をした方がいいということになるかもしれませんが、それは研究レベルで追求したいとは思っております。実用性については、問題となる、あるいは疑われるということについては特に見つけていません。

○遠藤座長
 ありがとうございました。
 ほかにございませんか。

○西村委員
 12ページの「精度管理上の留意事項」のところで、捕捉回収率の評価の際は界面活性剤を使用して行ったことは望ましいというコメントをなさっていますけれども、これは先ほどの御説明と同じことですか。その辺のところがよくわからなかったので。

○遠藤座長
 具体的に、どこで界面活性剤を使うか、あるいは使うとよさそうかということをお話しいただけますか。

○佐々木説明員
 添加回収を行ったときに、ビーズでも固定クリプトのオーシストでも、添加したときに攪拌槽に活性剤を幾らか入れております。それをした方が、その後の回収効率が良くなると思いましたので、そのように書きました。

○遠藤座長
 ということは、添加した段階で添加試料自体が凝集塊をつくりやすいので、それをなるべく分散させるべきだと理解していいですか。

○佐々木説明員
 はい。

○遠藤座長
 西村委員、よろしゅうございますか。

○西村委員
 総合的な回収率ということですね。

○佐々木説明員
 単純でも総合でも同じになります。

○遠藤座長
 よろしゅうございますか。ほかにございませんか。

○泉山委員
 今の佐々木さんの御説明に追加させていただくとすると、流路にも付着するといったおそれが考えられますので、きちんと回収率を維持するには、流路への付着を防ぐという意味において界面活性剤を使った方がいいだろうと考えております。今回使用していただいている装置ですが、粉体ろ過法を補助してくれるようないろいろな部品がついております。例えば、圧力を調整してくれるレギュレーターがついているとか、あるいは流量を見るための流量計とか、いろいろなところを通るような構成になっております。そうすると、当然表面積に付着してしまうようなおそれのあるところはたくさん出てきまして、そういう装置に付着して回収率が落ちてしまうということを防ぐために、界面活性剤をきちんと使った方がいいということを言っております。

○西村委員
 どうもありがとうございました。

○遠藤座長
 先ほどの黒木先生の質問に戻ってしまうんですけれども、そもそも論みたいなものですが、このフィルターで一部をとって回収率を見ているのですが、逆に、このフィルターからは全く漏出は起こらないということはどこかで確認しているのですか。

○泉山委員
 これは、かなり前の話になりますが、基礎検討としてろ液の方に漏出がないということは確認しております。あとは、今回の実験の内容から見まして、捕捉回収率が比較的高くて、漏出を疑わせる数字ではなかったという意味で漏出がないと書いてくださっているのだと思います。
(補足:以上は、珪藻土ろ過実験の結果との誤解があり、基礎検討と報告書への記載がなかったことを会議終了後に確認した。)

○遠藤座長
 それは、何かの報告に出ているんですか。

○泉山委員
 具体的にどこに書いてあるかは記憶にないのですけれども、すみません。

○遠藤座長
 わかりました。では、それは後で確認してください。
 まだ、御意見あるかもしれませんけれども、先に進めさせていただきたいと思います。では、お待たせしました、川口さんお願いいたします。

○川口説明員
 桐生市の川口です。
 「2.検証結果概要」についてですが、原水の概要は、使用した原水は利根川水系の渡良瀬川の表流水で、通常クリプトは検出されません。
 原水のろ過水量は5.2~62.9Lでした。
 浄水の概要は、凝集沈殿ろ過と塩素消毒をしたものです。
 ろ過水量は278.7~552.5Lでした。
 捕捉回収率については、原水において蛍光ビーズを使用した場合81~90%。浄水においては蛍光ビーズで87~101%、固定クリプトスポリジウムで103~111%でした。
 総合回収率は、原水で精製は磁気ビーズ法を用いて67~83%でした。
 「3.1 ろ過濃縮操作詳細」については、高藤さんと佐々木さんに説明していただいたものと同じですので省略いたします。
 「3.2 原水結果」についてです。粉体使用量は図で示した原水??の場合、初期分は1g、追加分は2g。原水?に示した場合は、初期分1g、追加分0g。原水?の場合、初期分1g、追加分1gでした。
 流速範囲は0.02~0.85L/min。
 ろ過圧は40~74kPa。
 ろ過水量は5.2~62.9Lで、グラフの原水??に示した濁度1~2度程度の場合ですと、ろ過水量は30L、60Lと10Lを超え、十分な水量になりました。原水??に示した濁度が10度を超える場合については、ろ過水量は5~6L程度となり、10Lに達しませんでした。
 蛍光ビーズを用いた単純捕捉回収率は81~90%でした。
 磁気ビーズで精製後のオーシスト回収率は67~83%となりました。
 「3.3 浄水結果」です。使用粉体量は初期分0.5g、追加分1gです。
 流速は0.02~0.57L/min。
 ろ過圧は45~55kPaです。
 ろ過水量については、グラフの浄水?~?に示したとおり、いずれの場合も200L以上ろ過でき、十分なろ過水量でした。
 捕捉回収率は蛍光ビーズを用いた場合87~101%。オーシストを用いて粉体溶解後直接染色を行った場合は103~111%となり、高い回収率が得られました。
 「4.検証結果に基づいた粉体ろ過濃縮法の評価」に移ります。ケーキ厚については、追加層の粉体が少々残存することがありましたが、厚さは目測で1~2mmあり、異常は感じませんでした。
 ろ過水量については、原水が高濁度の場合1回では10Lに達しませんでしたが、複数回に分けて濃縮することで対応可能と考えます。浄水の場合は十分なろ過水量でした。
 ろ過圧については、原水の場合一定に保たれず、徐々に上昇しました。長時間の連続運転でも問題はありませんでした。使用中にろ過圧が出なくなるトラブルが一度発生しました。これはアドバンテックさんに見てもらいましたが、詳しい原因はわからず、何かが詰まった可能性が高いとのことでした。
 回収率については、捕捉回収率が81~111%と高く、精製せずに計数する方法が有利と考えられました。原水については、磁気ビーズ法を用いて精製を行いましたが、十分な回収率が得られました。
 再現性については、原水、浄水それぞれ4回実施した濃縮操作で、特に原水のろ過水量は濁度にしたがって変動しました。複数回の回収率試験で回収率はおおむね安定していました。
 実用性評価についてですが、精製操作以降は通常の検査と変わらないため、本法の操作になれれば従来どおりの試験が可能と考えます。浄水は20Lの10倍以上濃縮可能で、濃縮試料の一部分のみで従来と同等の検査水量が達成できます。桐生市では毎日ろ過水を20Lポリタンク保存していますが、粉体ろ過では圧倒的に多い水量を扱うことができるため、この保存の改善につながるものと考えます。また、浄水の場合、精製なしで最短時間での試験が可能と思われます。ですが、ろ過後のろ紙の分割や酸処理後の洗浄は手間だと感じました。
 精度管理上の留意事項としては、原水も浄水も回収率試験も同一の操作で行うため、装置の確実な洗浄方法が必要だと思いました。また、陽性試料検鏡の際、試料が集塊状になることがあり、この点についても考慮する必要があると思います。
 その他の特記事項としては、利便性は高いが、プラスチックの大量廃棄は避けることが望ましいことと、ろ過中の音や振動が大きいこと、原水ろ過終了後の排水に時間がかかること、攪拌槽が扱いづらいことなど気になったので、可能であれば装置の改良をお願いしたいと思います。
 以上です。

○遠藤座長
 ありがとうございました。
 それでは、コメント等をいただきたいと思いますが、ございませんか。
 お伺いしていいですか。原水のときに複数回ろ過をせざるを得なくなったと。つまり、途中で1回ろ過装置を新しいものに変えないと詰まってしまったということだと思うのですが、そのような場合、大まかに言って何回ぐらい変えなければいけなかったのですか。

○川口説明員
 私どもが使用した原水は濁度が通常1~2度程度なので、最高2回で10Lには達すると思います。

○遠藤座長
 ありがとうございました。
 もう一ついいですか。18ページの「精度管理上の留意事項」で、添加試料が集塊状になることがあったとありますが、これは検鏡の際に塊になっていたということですね。

○川口説明員
 そうです。

○遠藤座長
 では、先ほどの佐々木さんの御指摘のように、添加のときから固まっていた可能性もなくはないですね。そうすると、その添加回収実験は、ある意味では分散剤を入れた方がよかったのかもしれませんね。ありがとうございました。
 ほかにございませんか。

○片山(和)委員
 17ページの回収率のところで、精製後の回収率でそれなりの回収率というのは、どれくらいなんでしょうか。データで示されている大体67~80ぐらいということですか。

○川口説明員
 それなりというのは今まで検査で使用している方法と比べて、それほど低く出たということではなくて、同じような回収率が得られたということです。

○遠藤座長
 その回収率は、14ページに書いてある7~8割と理解してよろしいですか。

○川口説明員
 はい。

○片山(和)委員
 ありがとうございます。

○遠藤座長
 ほかにございませんか。

○福井委員
 先ほどの御質問に関連してですが、17ページの再現性で4回繰り返して実施した濃縮操作で、特に原水のろ過水量は濁度に従って変動したと。その複数の回収率試験で回収率はおおむね安定していたと出ていたんですけれども、多分原水の濁度が上がれば上がるほど回収率が低くなるということはなかったという理解でよろしいですか。

○川口説明員
 それはなかったと思います。

○福井委員
 濁度に関係なく回収率はほぼ。

○川口説明員
 はい、そうです。

○福井委員
 わかりました、ありがとうございます。

○遠藤座長
 ほかにございませんか。
 それでは、次の方にお願いしたいと思います。今度は渡邉さん、お願いいたします。

○渡邉説明員
 神奈川県企業庁の渡邉です。よろしくお願いします。
 まず、「2.検証結果概要」から御報告させていただきます。私どもの機関では、時間の都合により原水の検証は行っておりませんで、浄水の検証のみとさせていただきました。
 浄水の概要です。当センターの蛇口より採水しました水道水で塩素消毒されており、濁度は0.1度未満のものを使用しました。
 浄水のろ過水量ですが、24時間で220~340Lろ過することができました。
 単純捕捉回収率ですが、浄水において蛍光ビーズを使用したものにつきましては、ほぼ100%。浄水において固定クリプトスポリジウムを使ったものでは70~80%の回収率が得られました。
 総合回収率も今回は行っておりません。
 「3.1 ろ過濃縮操作詳細」です。使用したカートリッジとろ過装置は、ほかの事業体さんと同じアドバンテック製のものを用いました。
 添加試料ですか、添加ビーズとホルマリン固定クリプトスポリジウムオーシストを使用しました。
 観察用フィルターですけれども、親水性のPTFEフィルターを用いまして、染色用試薬はEasyStainを用いました。
 「3.2 浄水結果」です。浄水の詳細は、先ほどと同様で当センターの蛇口より採水しました水道水を使用しました。
 粉体使用量としまして、初期分が0.5g、追加分が1gとしました。
 流速は0.02~0.54L/min。これはグラフの浄水ろ過流速が流速の変化を表しております。3回試験で、このような流速の変化となりました。
 ろ過圧は50~62kPaでした。
 送水としまして、ポンプを使用しましてろ過を行いました。
 ろ過水量ですが、24時間で220~340Lろ過することができました。このページの一番下のグラフが、浄水の積算ろ過水量を表しております。
 単純捕捉回収率ですが、蛍光ビーズを使用した場合は、ほぼ100%となりました。21ページの上の表で回収率を表しました。3回実験を行いまして100Lの浄水をろ過したんですが、そこにビーズを105個添加しまして回収しまして、ビーズが約100個になるようにサンプリングして計測した結果です。平均の捕捉回収率が105%となりました。続きまして、固定クリプトスポリジウムを使用した場合の回収率ですが、先ほどの表の下になります。浄水を100Lろ過しまして、103個添加しまして、こちらも約100個程度になるようにサンプリングしまして計測した結果です。こちらも3回実験を行いまして、その平均した捕捉回収率は77%となりました。
 その他特記事項です。固定クリプトスポリジウムを使用してろ過した際に、粉体を保持するフィルターは薄いフィルターと厚いフィルターがあるんですけれども、2枚のフィルターのうちの薄い方の1枚の端が浮き上がるという問題が生じまして、粉体が2枚のフィルターの間に入ってしまいました。フィルターが不完全だっただめ、若干の回収率の低下が生じたと考えられました。この問題は3回実験を行った中で2回ほど生じました。先ほどの表の?2と?3の実験がフィルターが浮いてしまった結果です。フィルターの端が浮き上がった問題は、フィルターをプラスチック容器に内蔵する際の封入が不完全で生じたのではないかと考えられました。
 最後に「4.検証結果に基づいた粉体ろ過濃縮法の評価」に移ります。
 ケーキ厚ですけれども、カートリッジ内の1枚のフィルターの端が浮き上がり、フィルターの下にもハイドロキシアパタイトが入るという問題が起きました。ケーキ厚が薄くなりますと回収率が低下するおそれがありますので、カートリッジ製造工程でプラスチック容器へフィルターを内蔵する際の封入を丁寧に行うべきであると考えられました。
 ろ過水量ですが、浄水におきまして220~340Lのろ過水量は、浄水の試験を行うには十分でした。
 ろ過圧ですけれども、50~62kPaと、ろ過の後半の方に若干ろ過圧の上昇が見られましたが、こちらはろ過層が詰まってきたためと考えられ、フィルターの問題とは無関係と考えられました。
 回収率ですが、蛍光ビーズの単純捕捉回収率はほぼ100%でした。ハイドロキシアパタイトがカートリッジの内壁に付着することがありまして、若干ではありますが回収率の低下を来すことが心配されましたが、捕捉回収率を見る限り問題はないと考えました。固定クリプトスポリジウムの単純回収率は約80%と、蛍光ビーズと比較しますと下がっていましたが、このときフィルターの端が浮き上がる問題が生じたことが理由として考えられました。
 再現性ですが、繰り返し行った試験では、おおむね同様の結果となりました。
 実用性評価ですが、サンプリングシステムの取扱いは簡単で、使いやすいと感じました。また、カートリッジが小型なので冷蔵庫等の保存にも便利でした。回収率につきましても、ふだん私どもで試験している方法と比べましても、同等程度の回収率が得られたので比較的良好であると感じました。
 その他特記事項としまして、蛍光ビーズでろ過した後に固定クリプトスポリジウムの試験を行いましたが、蛍光ビーズが固定クリプトスポリジウムをろ過したフィルターでも若干ではありますが観察されました。洗浄してもサンプリングシステム内に蛍光ビーズが除去されず残留していた可能性があり、洗浄を徹底することが重要と考えられました。あるいは、サンプリング装置は少なくとも原水用と浄水用に分け、可能であればサンプリング地点ごとに用意することが必要であると考えられました。なお、回収率の評価は、フィルターへの封入をろ過から約2週間カートリッジを冷蔵庫に保存して実施しました。これは時間の都合により、そうさせていただきました。
 以上です。

○遠藤座長
 ありがとうございました。
 コメント等ございませんでしょうか。

○片山(浩)委員
 ハイドロキシアパタイトがフィルターの裏側に入るようなことが生じたのかなと想像しておりますけれども、まず、水は加圧ろ過ですか、それとも吸引ろ過をされたんですか。

○渡邉説明員
 ポンプを使いまして浄水を流して、ポンプを使いましてろ過いたしました。加圧になります。

○片山(浩)委員
 加圧のときにフィルターユニットが外れるようなことはなくて、フィルターの下に潜り込んむようなことですか。その場合、加圧だと水の流れがショートしてどっと流れてしまうような現象が起きるのかなと考えたんですが、状況としてはどんな感じだったんでしょうか。

○渡邉説明員
 フィルターが外れるということは起きませんで、恐らく高藤さんがおっしゃっていたとおり、水を充てんするときに多分めくれ上がったのではないかと考えられました。

○泉山委員
 ちょっと補足させてください。今回使用した浄水用のフィルターユニットなんですが、直径37mm程度のプラスチック製の容器になりまして、そこに加圧でろ過をします。容器は小さいものですから、中に空気が入っているとろ過がうまくいきませんで、最初に空気抜きの操作があります。そのときに出口側から水を逆に流すという操作がありまして、そのときの勢いが強いとフィルターが浮き上がってしまうのではないかというような問題がありまして、それについては、フィルターの締めつけが悪いと。これはどちらかというと粉体ろ過法の評価というよりも、ろ過ユニットの性能あるいは製品としての管理の問題になってくるんですけれども、きちんとフィルターを押さえていないと外れてしまうのではないかということがわかってきまして、具体的には例えば、ろ過を開始する前にプラスチックが斜めに入っていないかを確認するとか、あるいは締め方の圧力が足りないのであれば、製造時に一定以上の圧をかけて、それを保証してフィルターが外れないようにしていくとか、あるいは、輸送中に振動で揺れて緩んでしまうということが考えられるのであれば、使用直前に自分の手で上からプラスチックを押さえて、そのかしめをしっかりさせることによってフィルターが外れるのを防ぐというような対策が考えられると思っています。そういうことをすることによって、こういうトラブルは避けられるだろうと。あるいは、これをきちんとやらないと懸念されるのは、回収率が低下してしまうということがあって、回収率を維持するために、ろ過を回収するときは丁寧に操作を行う必要があると考えています。

○遠藤座長
 片山委員おわかりですか。要するに、ケーキ層を保持するためにメンブレンフィルターでケーキろ過が壊れないようにしてあるわけですね。本来、水は上から下に一方通行で流れるはずなのに、空気抜きをするために下から水を入れているものだから、こういうような問題が生ずるのだろうと思います。これは、むしろケーキろ過の問題ではなくて、製品管理の問題だと思われ、本来こんなことがあってはいけないような構造でなければならないはずだとは思います。

○片山(浩)委員
 フィールドの大腸菌検査とかでも使うエヌコリブルーなどを使った場合も、多分使うユニットは同じだと思うんですけれども、そのときはフィルターは親水性フィルターなんですが、最初は空気でも通って、その後濡れると空気が通らなくなるんですね。だから、50mmのシリンジでギュッと押していって、最後押し切ってしまうとパカッと、それごとユニットごと外れてしまうので、加圧の場合は外れることを心配したんですが、できれば後ろから通す操作がなくなるような、あるいはなくせるような。でも、充てんした後に1回とめてから試料を流し始めるから、フィルターがその時点で1回濡れて、なおかつ空気が残るから問題なんですね、なるほど、わかりました。

○遠藤座長
 製品自体には一切水が入っていないわけで、そこからどうやって中の空気を抜くかが課題なのですね、恐らく。

○片山(浩)委員
 それは多分ハイドロキシアパタイトを充てんしてからサンプルに変えるタイミングで問題になるんじゃないですか。最初は多分、水がなくても大丈夫だと思うんです。フィルターの特性からして、上から水が入ってきたときに空気はフィルターの方から抜けていると思うんですね。だけれども、1回濡れてしまうとそれができなくて、ハウジングの中身の空気が下のフィルターを通らずに、上から抜けないといけないんだけれども、上は試料の液体が入ってくるということで、そこでバッティングが起こるということだと思います。

○遠藤座長
 いずれにしろ、そこのところはケーキろ過法の性能というよりもむしろ製品の良し悪しの話だと思うので、それはまた改良していただかなければいけない問題があるのかもしれません。御指摘のとおりだと思います。ありがとうございました。
 ほかにございませんでしょうか。それでは、先に進めさせていただきたいと思います。最後の方で、水野さん、お願いいたします。

○水野説明員
 新潟市水道局水質課の水野と申します。これより粉体ろ過濃縮法の検証結果の説明をさせていただきます。
 まず、原水の概要ですけれども、信濃川の表流水を青山浄水場に送りまして、その原水について検証を行いました。浄水場での原水濁度は平時で5~20度。通常時のクリプト検出オーダーは、原水10L中0~3個となっております。これは取水塔における信濃川河川水の検査結果になっております。特に、冬場に検出される傾向が見られるという状況です。
 原水のろ過水量は、流水のままサンプリング装置ポンプで連続ろ過を行いました。その結果、6~10Lのろ過ができたという状況です。
 浄水についてですけれども、まず、浄水場の処理方法としては横流式の沈殿池の後、砂ろ過を行っておりまして、中間塩素処理を行っております。ろ過水の濁度ですけれども、0.01~0.03の範囲内で管理しております。
 浄水のろ過水量については、24時間をかけまして420~480Lと十分な量がろ過できたという状況です。
 捕捉回収率については、原水において70~92%、磁気ビーズを使用した場合です。同じく磁気ビーズを使用して浄水においては81~100%の回収率となりました。
 総合回収率については、浄水において21~53%、固定クリプトスポリジウムを使用しまして磁気ビーズで処理を行っております。
 原水については時間の関係で行っておりません。
 続きまして、「3.1 ろ過濃縮操作詳細」です。使用したろ過材カートリッジ名はFSC用原水ろ過ホルダー及び浄水用のサンプリングユニットです。
 使用装置については、クリプトスポリジウムサンプリングシステムということです。
 添加試料については、蛍光ビーズ、ホルマリン固定のクリプトスポリジウムオーシストを添加して調査いたしました。
 観察用フィルターは、私どもの方では平時にウェルスライド法を使用しておりまして、今回の調査でもウェルスライドで観察いたしました。
 染色用試薬といたしましては、Merifluor、EasyStainを使用いたしました。
 「3.2 原水結果」です。調査時の原水濁度は5.2~15.4度。
 粉体使用量は初期分0g、追加分で全量の3gを入れました。
 流速については、スタート時が0.78であったものが、終了時には0.06L/minまで落ちたという状況です。
 ろ過圧については、同じくスタート時は45kPaのものが、終了時には69kPaに上がったという状況です。
 ろ過水量については、グラフにあるように6~10Lを若干超えるような状況であったということで、10Lを超えたのは8月3日の調査分、原水濁度が5.2度であった一番原水濁度が低かったときのものが10Lを超えることができたと。その他の濁度については10Lを超えることはできなかったという状況です。
 「3.3 浄水結果」に移ります。ろ過水濁度が調査時0.022~0.034mg/L程度。または、同じ構内にあります水質試験室の水道水を処理いたしました。
 粉体使用量は、初期にカートリッジに入っています0.5gに加えて1gを追加したということです。
 流速については、0.55でスタートしまして0.22L/minまで落ちたという状況でした。
 ろ過圧については、同じく58kPaでスタートしたものが、62kPaまで上昇いたしました。
 送水についてはポンプを使用しました。
 ろ過水量ですが、24時間かけまして420~480Lと十分な量をろ過することができました。
 精製方法については免疫磁気ビーズ法で精製いたしました。
 蛍光ビーズを使った単純捕捉回収率は81~100%。
 クリプトスポリジウムオーシストを使った総合回収率については21~53%と、若干低い数値となっております。
 「4.検証結果に基づいた粉体ろ過濃縮法の評価」を説明させていただきます。
 ケーキ厚については、原水、浄水とも1mm程度の適切な厚さの粉体ろ過膜が形成され、その処理についても特段の困難はありませんでした。
 ろ過水量については、原水について通常の濁度であれば2回のろ過で10Lのろ過が可能でした。浄水については24時間で400L以上のろ過が可能となりました。いずれも十分なろ過水量が得られたと考えております。
 回収率についてですが、浄水について固定クリプトスポリジウム使用による免疫磁気ビーズ精製後の回収率が、3回の平均が38±16%という数字でした。この数字については、平時のPTFEフィルター濃縮法使用の精度管理50%と比べて若干低い傾向がありました。一方、浄水に磁気ビーズを使用しての捕捉率は91±9%と高く、精製工程以降に損失があったのではないかと考えられました。
 本検証では、平時に使用しているウェルスライド法で行いましたが、染色前の乾燥操作で塩類の析出等が見られました。そのため、粉体の溶解後には徹底して洗浄する必要があったという状況です。本検証では使用しませんでしたが、観察用フィルター(PTFEあるいはセルロースアセテート)を使うことでフィルター上での洗浄が可能になりますので、回収率維持に有利と考えられました。
(補足:上記は誤解があり、塩類の析出は粉体ろ過法由来ではなく、免疫磁気ビーズ法由来が正しいことを会議後に確認した。)
 再現性については、上記のとおり免疫磁気ビーズ精製後の再現性を維持するための注意が必要と考えられました。
 実用性評価についてですが、余り書いてありませんが、他の事業体の説明員の方々が説明した内容とほぼ同じことが感じられておりますし、特に、粉体ろ過法ですと保存性があるというところは特に評価できるのではないかと感じております。
 精度管理上の留意点についてですが、酸アルカリ洗浄を確実に実施すること。界面活性剤濃度を適切に管理すること。ブロッキング試薬を適時使用すること等が精度の確保に重要と思われました。中でも界面活性剤の濃度の適切な管理が特に注意しなければならないことかなと感じております。
 以上です。

○遠藤座長
 ありがとうございました。コメント等ございますか。
 ウェルスライド法は厚生労働省が推奨している方法ではないのですが、行った際に試料の洗浄が悪い場合、ハイドロキシアパタイト由来の例えばカルシウムなどが析出してくる可能性があるということで、重要なポイントが指摘されたのだろうと思っております。こういう問題も当然出てくるのだろうと思いました。
(補足:上記の塩類の析出は粉体ろ過法由来ではなく、免疫磁気ビーズ法由来が正しいことを会議後に確認した。)
 ほかにございませんか。ありがとうございました。それでは、以上の検証内容を踏まえて、泉山委員にあらかじめ現時点における評価及び今後の取り組みについてまとめていただくようにお願いしてございます。その資料について、泉山委員より説明をいただきたいと思います。その後、総合的に改めて御議論をいただきたいと思います。お願いいたします。

○泉山委員
 資料3「粉体ろ過法の全般的評価及び今後の取組について」をごらんください。
 「1.各協力機関における評価について」から順に御説明します。お陰様をもちまして、協力してくださった機関の皆様ありがとうございました。クリプトスポリジウム等粉体ろ過法の評価結果を、このとおり評価シートとして御提出いただきまして、いずれの機関においても使用可能であるということを示す内容だったと理解しております。各機関における評価概要について、ざっとこちらでもう一度まとめ直してあります。
 浜松市の上下水道部では、水道原水、浄水を対象にろ過の評価を行いまして、こちらの施設では原水が非常に高濁度になることがたびたびありまして、メンブレンフィルターでは閉塞して水量が得られないということですので、通常はカートリッジフィルターを使っていたと御紹介いただきました。そのような高い濁度のところであっても、1時間に3~13Lのろ過が可能でした。濁度が0.05度未満の浄水であれば、24時間に340~510Lと多量のろ過が可能でした。回収率についても、単独では100%、磁気ビーズ精製しても60%という結果でした。
 続きまして、宮城県仙南・仙塩広域水道事務所では、水道原水及び浄水を対象に評価を進めてくださいました。原水は1~6度と低濁度でして、1時間に30~40Lの原水のろ過が可能でした。濁度は0.005度以下という浄水ですが、これは24時間に370~460Lのろ過が可能でした。蛍光ビーズ及び固定オーシストを使った回収率は、単独では80~100%と理論どおりという結果です。濃縮物については、ショ糖浮遊法の精製を行って20~60%の回収率が得られていました。
 桐生市水道局では、水道原水及び浄水を対象に粉体ろ過法の評価を進めてくださいました。原水の河川水濁度は天候によって変動しましたけれども、1時間に原水5~63Lのろ過濃縮が可能でした。濁度が低い浄水の場合は24時間に280~550Lのろ過が可能でした。固定オーシストと蛍光ビーズを使った粉体ろ過法単独の回収率は80~110%、濃縮物から磁気ビーズ法によって精製した場合は70~80%の回収率が得られました。
 神奈川県企業庁水道水質センターが示してくださったのは、浄水を対象に濁度が0.1度未満の条件では、ろ過濃縮で24時間に220~340Lのろ過が可能でした。粉体ろ過法単独の回収率は70~100%でした。
 新潟市水道局の結果ですが、水道原水、浄水を対象に評価を進めてくださって、5~15度と余り高濁度ではないのですけれども、30分間に原水が6~10Lのろ過水量に留まっていまして、フィルターに生物が閉塞したのかもしれないという結果になっております。濁度が0.1度未満の浄水のろ過濃縮については400L以上ということでした。蛍光ビーズを使用した粉体ろ過法単独の回収率は70~100%、磁気ビーズ法で精製した場合でも20~50%の回収率が得られました。
 以上のとおり、原水のろ過濃縮水量は3~63L、浄水では220~550Lでした。蛍光ビーズ及び固定オーシストを使用した粉体ろ過法単独の回収率は7~10割程度、これは5機関で結果が得られました。濃縮物から固定オーシストを精製した場合、これは磁気ビーズ法を使った3機関で2~8割低度、ショ糖浮遊法を使った1機関で2~6割程度の回収率が得られました。
 「2.検証で得られた成果について」。以上のとおり、浄水のろ過濃縮には問題がなく、原水にも応用可能であり、クリプトスポリジウム等のろ過濃縮方法の一つとして使用可能であるということを示してくださったと考えております。
 当初、浄水の濃縮保存法として開発してきた粉体ろ過法の経緯がありました。原水からの濃縮も可能であることが示されました。高濁度原水であっても捕捉には問題なく、フィルター交換やその後のサンプル処理に多少の労力を要することがあったとしても、ろ過水量については複数回のろ過を行うことで確保可能と考えております。
 浄水の濃縮には、37mmの小さなフィルターでも対応が可能でした。この濃縮物を密栓して冷蔵保存することが可能であり、従前の10Lのポリタンクによる保存方法よりも扱いは容易になります。夾雑物が少ないことから、精製なしでの顕微鏡観察も期待できました。また、ろ過濃縮方法の中では多量にろ過濃縮できるプロトコルであることが確認されました。
 粉体ろ過法単独の評価として、単純捕捉回収率については問題がなかったと。ショ糖浮遊法と組み合わせた総合回収率は、今回の結果では若干低い傾向にあったのですけれども、他の施設を考慮して、ショ糖浮遊法よりも磁気ビーズ法との組み合わせの精製がよりよい状況になっております。特に理論的にどっちがいいとか悪いという話ではないと考えております。
 「3.今後の取組について」。各機関における粉体ろ過法の評価結果はおおむね良好でしたが、検証過程において若干の改善点が示されました。この点を踏まえて粉体ろ過法の検査マニュアルをつくっていくことが必要と考えております。
 具体的な話になりますと、粉体ろ過法はろ過層が最大の捕捉効率を発揮できるように、きちんとケーキ層を形成する必要があります。支持体の下に粉体が入ったり、そういう問題が生じないように、フィルターが適切に設置されなければなりません。ろ過の丁寧な開始を注意点としてマニュアルに反映したいと考えております。
 ここから先は検証ではなくて研究の話になりますが、捕捉回収率は十分にありましたので、例えば、粉体の溶解に塩酸を現在使用しているわけですが、これを少しでも減らすために、粉体量を減らすことによって利便性向上の検討を進めたいと考えております。現在、浄水用では粉体層の厚みが目視でおよそ2mmあり、原水用では1mmあるのですけれども、そうするとまだ浄水用には余裕があって減らす余地があるだろうと考えられました。原水においてもろ過濃縮物がろ過濃縮層を形成していきますので、なお若干減らすことは可能かと考えております。
 それから、精製方法を改善することが必要かと考えております。現時点では例数が少ないですから、とにかく経験を蓄積して情報の収集に努めたいと考えております。磁気ビーズ法あるいはショ糖浮遊法といった精製方法を使って、いずれにしてもきちんと回収ができるということは達成したいと考えております。
 平成19年の「水道におけるクリプトスポリジウム等対策指針」におきましては、浄水の保存が望ましいとされており、その目的に粉体ろ過法は適していると考えております。
 以上です。

○遠藤座長
 ありがとうございました。
 それでは、各委員からの質問・御意見等を改めてお伺いしたいと思います。また、本日御参加いただきました説明員に関しましても、御質問等がございましたらお願いいたします。

○国包委員
 幾つかあるんですが、時間の関係もあると思うので、まとめてお話ししてしまってよろしいですか。
 まず1つは、当初の黒木先生からの御質問とも関連するんですが、資料2に実験条件やフローが書いてあるんですけれども、特にフローに関しては要点だけ書いてあるものですから、詳細な操作とここで使われている用語、つまり回収率に関して2つの用語がありますけれども、こういった用語との関連も非常にわかりにくくなっているんじゃないかと思うんです。私自身も大分戸惑ったりしたので、その辺りを後々記録に残すためにも詳細なものを何か書いておいていただければ、誤解がなくて済むのではないかと思いました。これはお願いです。
 続けさせていただきますが、順序は前後するかもしれませんけれども、いろいろ詳しく御検討いただいた結果を踏まえて、従来法と比べてどうなのかという比較表みたいなものがあると非常にわかりやすいなと思いました。勿論、回収率や安定性、再現性といったことがメーンの評価尺度だと思いますけれども、それだけではなくて、例えば操作の時間や手間、あるいはコスト、いろいろな評価尺度があると思うんですよね。そういったものについてわかりやすく整理されていれば、非常に参考になるなと思いました。
 何でそういうことを考えるかといいますと、今、資料3について御説明いただきましたが、もしかしたら、この結果を踏まえてマニュアルを作成ということになるだろうと思いますけれども、そういったときに行政上の検査として採用することになれば、今までの方法と比べてどうなのかというのがまず問題になると思うんです。非常に単純化して言えば、同等かあるいは今まで以上にすぐれているからとか、少なくともそのどちらかだと思いますけれども。いずれにしても、公定法のような扱いで採用されるとなれば、それなりのこういう方法ですというのがはっきりわかるものがあるとわかりやすいと思った次第です。
 それから、もう一点、これは技術的なことで私もよくわからないのですが、精製に関していろいろとデータや最後の泉山委員の取りまとめのお話もありましたけれども、これについてはまだよく理解できていません。というのは、精製の操作が1つ入ったことによって、回収率がかなり低くなっている場合がありますよね。そのことに関して免疫磁気ビーズの方がいいんだ、ショ糖浮遊法の方がよくないんだというような総括もありましたが、丁寧に見てみると、両者を並行して比較したようなデータはこの中にはないと思いますし、果たしてそのようにこの中で片付けていいのかどうかと思います。粉体ろ過法ではなくて、従来法なりでの比較でそういったことが言えるということであればいいんですけれども、その議論をそのままここへ持ってきて果たしていいのかどうかというのは、私自身よくわかりません。その辺は少し慎重に考えた方がいいと思います。
 もう一つ続けて言いますと、少なくとも浄水に関しては、もしかしたら精製の操作は要らないんじゃないかということも考えながらお話を聞いていたんですけれども、原水についても場合によってはない方がいいかもしれない。そういう話になると、今検討されている粉体ろ過法だけの話にはとどまらないと思いますが、そういったことも少し頭に入れながら、どういう操作をするといいのかということを考えていくべきかなと思いました。
 ちょっと長くなりましたが、以上です。

○遠藤座長
 ありがとうございました。
 今の御指摘では、特に今回の実験のフローチャートについて詳細なものが求められました。これにつきましては事務局と御相談して、泉山委員にまとめをしていただき、委員にお回しするなりという作業をさせていただきたいと思います。併せて従来法との比較表のようなものができれば、それも御提出させていただきたいと思います。
 泉山委員、それでよろしゅうございますか。

○泉山委員
 コメントありがとうございました。詳細な方法につきましては、きちんと用意してお示しできるように準備したいと思います。
 それから、今回ちょっとわかりにくくなってしまった理由の一つが、粉体ろ過法の単独での評価だけではなくて、総合的な精製の操作を含めた評価を含めてしまって、それがわかりにくくさせてしまったのかなという気もしております。できましたら、単独での評価をしたかったというのがあるのですけれども、クリプトスポリジウム試験は精製、顕微鏡で見るという後段の処理も勿論あるわけで、そういうことも含めて評価が求められていることも勘案して、総合的な回収率も今回つけ加えさせていただいておりました。いずれにしてもわかりにくいということで、それについては解消したいと思います。
 以上です。ありがとうございます。

○遠藤座長
 ほかにございませんでしょうか。よろしゅうございますか。

○石飛課長
 事務局側から言うのは変なんですけれども、今の国包先生の御指摘とも関係するんですが、最終的にマニュアルなどをつくるときに用語というのはすごく大事だと思うんですけれども、今回は検証なので「単純捕捉回収率」とか「総合的な回収率」という言葉を使ったのは理解するんですが、最終的なマニュアルで各事業体が使うときに、「総合的」と言うと、やはり単純に比べて全体を見て、それが最終的な結論だと皆さん感じ取って、いろいろなデータも外に出るときには最終的な回収率が出てくるということになりますので、そこの詳細な説明をすることと、用語を最終的に精製方法も更に検討された上で、この方法が一番いいということであれば、それが最終の回収率であって、そこには単純と総合が2つあって、数字を見ると単純の方が高いということになると、やはり誤解を与えかねないので、最終的な用語の使い方も現場での使いやすさと混乱を招かないようにということを御検討していただけるとありがたいなと思った次第です。
 それから、もう一つ、先ほどの御説明の中で、お二方からフィルターが使えなくてプラスチックの大量廃棄になっているので、それはしない方が好ましいという御指摘があったんですが、これは検査方法と直接関係することではないんですけれども、いろいろ環境配慮という面から昨今はいろいろと厳しい目で見られているので、この点は検査方法の付随的なことではあるんですが、改善の余地はあるものなのかどうなのかちょっと教えていただければと思います。

○遠藤座長
 基本的には、プラスチックのウエアハウスがあって、その中に必要なメンブレンフィルターであるとか、アパタイトビーズを入れておくだけなので、コンテナの容器自体は回収・再利用は不可能ではないと思います。ただ、そのために洗浄等々の労力を考えると場合によってはコストパフォーマンスが悪くなるという問題はあろうかと思います。ただ、実際問題としてはかなり小さいものではありますが、毎日それを使用するとなるとそれなりの量が出る可能性はなくはありませんので、これは企業の努力として回収・再利用が可能であれば、その方向で御尽力いただくことは可能であろうとは思っております。
 それから、課長の御指摘で用語の使い方に関して、事務局と細かく相談させていただいて、誤解のないような言葉遣いをさせていただきたいと思います。ありがとうございました。
 ほかにございませんか。

○船坂委員
 この方法の目的ですけれども、2つあるような気がするんですが、試料を保存するために20Lを保存していたと。しかしながら、スペースの問題とかいろいろあるから、このような形でろ過して濃縮したものをそのまま冷蔵庫に入れて保存しておけば、一つの保存方法として使える。もう一つは、そのままこの方法をクリプトの検鏡の前処理として使うという2つありますよね。したがって、その辺りのことを国包先生が言われたようなフローの中でこの方法の使用、取扱い方の位置付けみたいなものを明確にしていただいた方が、よりいいんじゃないかという気がします。

○遠藤座長
 わかりました。一応、簡単には泉山委員にお書きいただいたものがあるのですが、もう少し明確な形に修正させていただきたいと思います。
 ほかにございませんか。勝山委員にはこの方法の改良にご尽力いただいた経緯がございます。コメントございませんか。

○勝山委員
 ビーズの精製のお話ですか。

○遠藤座長
 それでも結構ですし、本方法全般にまつわることでコメントをいただければと思います。
○勝山委員
 ちょっと私、お話を聞いていて1点だけ気になったところがあるのですが、何人かの方から装置を繰り返し使っていて、装置の洗浄を十分しないと前のサンプルが残ってしまうようなことをおっしゃっていたと思うのですけれども、装置を使用した後の洗浄はどの程度やらなければいけないか。今回実験をやられて、どの程度やっても結局残ってしまったのかというのがちょっと気になったのですけれども。

○遠藤座長
 今回の説明員の方で、今の質問に対してコメント等お出しいただけますか。

○渡邉説明員
 マニュアル載っていたんですけれども、たしか界面活性剤を入れた精製水を10L流しまして、その後、界面活性剤の入っていない精製水で15L程度流して洗浄という形でした。

○勝山委員
 ありがとうございます。その操作をやっても、やはり残ってしまったということですね。そうすると、やはりかなり洗浄しないと、例えば、原水と浄水を実際に交互に使っていくとなると、もし、浄水で検出された場合、原水の影響なのか、浄水自身にいたのかの見極めが難しくなると思いますので、その辺はもう少し検討していただいた方がよろしいのではないかと思いました。

○遠藤座長
 ありがとうございました。ろ過フィルターそのものというよりも、それに附随したろ過装置全体の問題として今の問題が指摘されたと思いますので、これはこの検討会が主導で行うべきかということはありますけれども、検討しなければ実際的な導入は難しいかもしれません。この問題については改めて別の機会を得て検討しなければいけないのだろうと思います。
 ほかにございませんか。

○福井委員
 今回、お話を伺っていて、各地方自治体の検査の方々が通常の業務の中でこうした追加的な試験研究をやっていただいて非常に御努力なされたということで感謝している次第なんですけれども、最終的に二通りの回収率をここでは挙げていますけれども、今回の主目的は粉体ろ過法自体の有効性と精度を知るためのものと私は理解していて、回収率云々が独り歩きするものではなくて、この方法がどういう精度のものかということを見ようとしたと理解していいわけですね。最終的に例えば、国包先生がおっしゃったように、公定法なり検査マニュアルとして挙げていく場合には、この方法の精度として5割程度の回収率で検出できますよというような意味合いで使うのか、あるいは回収率を逆にかけて、真の値を出すのかというところがあると思うんですね。でも、後者はなかなか難しいし、いろいろな試料によって変動するので、この方法の精度はどの程度かということを知って、各検査機関の方がそういうことを認識しながら使いましょうというような意味合いだととらえていますが、それでよろしいですか。

○遠藤座長
 今の御指摘のとおりでして、今回の取りまとめとしては基本的には、捕捉回収率あるいは単純捕捉回収率として出された数値が問題であると理解しています。総合的な回収率という話では、本会議の初めの方で御指摘申しましたように、この方法で得られた濃縮回収物がその後の検査法に悪影響を及ぼすようなことがないことを研究レベルで御検討いただく必要があると思います。少なくとも、ケーキろ過装置の回収率は従来より用いられてきたメンブレンフィルターと差がないことが今回の結果で示されたと思います。そのことが分かるように、もう少し明瞭な取りまとめが求められます。次回にでもまとめたものをお出しいただくなり、資料として各委員にお回しするなり、事務局と相談の上でお示ししたいと思っております。ありがとうございました。
 ほかにございませんか。
 それでは、本日の議論を踏まえまして今後も作業を進めて、遺伝子法とともに粉体ろ過のマニュアル案の検討も併せて進めていきたいと思っております。この議題につきましては一応終わらせていただきます。ありがとうございました。
 時間も迫っておりますので、次の議題に移らせていただきます。水道における指標菌及びクリプトスポリジウム等の検査方法の見直しについてでございます。前回の検討会の最後にクリプト対策の一環として、原水検査として嫌気性芽胞菌検査を求めているわけですが、その検査法の一つのハンドフォード改良寒天培地法の培地の入手が困難になっているという状況がございまして、その嫌気性芽胞菌検査の取扱いについて議論する予定であることは管理官からお話がございました。このたび代替の培地が同等の性状を有するかどうかの試験結果がまとまったところですので、その結果について御報告いただきたいと思います。また、厚生労働省に別途設置されております水質基準逐次改正検討会の今年度の第1回の検討会におきまして、嫌気性芽胞と同じく原水の検査を求めている大腸菌の検査方法につきまして問題提起がなされております。それらを受けまして、クリプト対策の検査法の見直しについて御審議をいただきたいと思います。それでは、事務局から御説明をお願いいたします。

○松田室長補佐
 事務局から資料4について御説明したいと思います。資料4につきましては、本体の資料とそれに附随して別添の資料が4つついております。これについて組み合わせながら説明したいと思います。
 まず「1.はじめに」ということでございますが、クリプトスポリジウムの対策については、水道事業体ごとに「クリプトスポリジウム等対策指針」に基づく対策が講じられています。そこで、指針では、汚染のおそれに応じた予防対策として、原水の大腸菌、嫌気性芽胞菌、クリプトスポリジウムなどの検査を実施するとされておりまして、その検査方法が水道における指標菌及びクリプトスポリジウムなどの検査方法に示されております。
 嫌気性芽胞菌の検査方法につきましては、検査方法通知の中でハンドフォード改良寒天培地法、M-CP寒天培地法、DRC培地法が示されておりますが、ほかの方法より検査が容易だということで、水道水質検査機関のほとんどでハンドフォード法が採用されているということでございます。
 ところが、今年度当初、このハンドフォード法の組成培地を製造する会社、これは唯一の会社として栄研化学株式会社があるんですが、ここがそのO培地を組成する抗菌薬オレアンドマイシンが国内で入手困難になったと。これによってO培地の製造を中止するという情報提供があったということでございます。在庫については既に現在尽きているということでございます。ハンドフォード法以外での嫌気性芽胞菌の検査体制の構築は、先ほど申したとおり2つの方法があるんですけれども、なかなかこの方法が難しいという部分があるので、大規模水道事業体でも困難だという状況を聞いたところです。
 このような状況を受けて、平成22年7月12日、水質基準逐次改正検討会でこの状況を報告した上で、別添1の資料は、そのまま水質基準逐次改正検討会にお出ししたものですけれども、この要約を言うと、この資料は了承いただいたところなんですが、ハンドフォード法の嫌気性芽胞菌の検査が困難になった場合、ハンドフォード法以外の方法で嫌気性芽胞菌の検査を実施するか、またはクリプトスポリジウム等の検査体制を強化することで対応すると。また、ハンドフォード法以外の嫌気性芽胞菌の検査が困難な場合、対策指針における汚染のおそれの程度に応じた予防対策としての原水等の検査について、原水のクリプトスポリジウム等や大腸菌の検査回数を増やすことで対応するという点は了承いただきました。
 具体的には、どのような形で検査回数を増加するかという点については、別添1を見ていただければと思うんですけれども、最初に背景が書いてありまして、こちらに指標菌の検査を行って、それで原水か浄水かどうか、あとはこういった指標菌の検出状況と原水の状況によってレベル分けをしているというのが、クリプトスポリジウム汚染のおそれの判断の流れということで書いていますが、2ページ目の「2.今後の対応について」以下に、先ほど私から説明した内容が書いてありまして、3ページの「新たな検査法を採用するまでの暫定的な対応」というところで、ハンドフォード法の嫌気性芽胞菌の検査が困難になった場合で、かつ、ほかの嫌気性芽胞菌の検査が困難であると。この場合は、クリプトスポリジウムや大腸菌検査の頻度を上げると。従来であれば、原水等の検査についてレベル3とレベル4について、クリプトスポリジウム及び指標菌の検査の実施ということで、これらについて3か月に1回以上検査をすると。指標菌は月1回ということについて、クリプトスポリジウムと大腸菌は月1回以上の検査を行いなさいということでどうかと。またレベル2については、今までは3か月に1回以上指標菌の検査を行うということを、1か月に1回以上、原水の大腸菌の検査を実施することということで暫定的な対応としてはいかがかと。これについて了承をひとまずいただいたということが、1つ目のトピックとしてございます。
 また、資料4の1ページに戻っていただきまして、暫定的な対応については、本来であればこの検討会、また別途設置してある水質検査法の検討会においても審議をいただいて、水道事業体に周知することを予定しておりました。しかしながら、逐次改正検討会以後、培地の製造会社によってハンドフォード法の培地の製造に関する取り組みが進んできまして状況の変化が出てきたと。この状況の変化に柔軟に対応する必要があると我々は考えまして、状況としてどうかということですが、関東化学株式会社が国内でオレアンドマイシンを確保することができたと。これによって平成23年1月からO培地(以下、K・O培地)の製造を開始していると。また、栄研化学株式会社はオレアンドマイシンの代わりにエリスロマイシンを用いた培地(E培地)が、現行培地と同等の検出性能を示すとして、日本水道協会の協会誌に掲載されているところでございます。
 また、先ほど遠藤座長からもお話がありましたが、大腸菌の検査法について問題点が指摘されているということでございます。
 そこで、「2.検査方法通知の見直しについて」ということでございますが、2ページ目に「2.2」となっていますが、これは「2.1」の間違いでございますので、直していただければと思います。
 「2.1 嫌気性芽胞菌の検査方法(ハンドフォード法)」ですが、このK・O培地が組成においてO培地と同様であることは関東化学株式会社が保証するところであるが、検出性能において差異がないことが、別添2のとおり水質検査機関の確認試験で明らかとなっております。
 それについて別添2の資料でございますが、「ハンドフォード改良寒天培地の確認試験結果について」でございます。先ほど紹介した栄研化学株式会社のハンドフォード改良寒天培地、従来のE・O培地と、今回新たに販売が開始された関東化学株式会社のK・O培地の検出性能の差異について、地方公共団体2機関、また登録水質検査機関1機関の合計3機関で確認試験を実施しております。この実施については西村委員に御協力をいただいたところでございます。
 また、試料水につきましては、それぞれの検査機関が測定している実環境の水試料を使って、同一試料について5回試験を行って、平均値と標準偏差を求めております。
 下の表に結果が出ておりまして、試験機関ごとにA機関、B機関、C機関。C機関については、実環境の水試料と試験的に畜産排水を用いたということで2つ行っているということでございます。
 その下に、栄研化学株式会社の従来の培地と関東化学株式会社の今回確認をするという培地、この2つの比較をしたと。それぞれ形成コロニー数を5回はかって、平均がどうだったか。また、その相対標準偏差がどうなったかをそれぞれ出しております。その内容について、A機関、B機関、C機関それぞれの結果について数値がどれだけ違っていたかを一番下のB/Aということで関東化学株式会社の培地コロニー数を分子に、分母を栄研化学株式会社の培地として数値を出したところでございます。また、それぞれ機関によって方法が少し異なると。メンブレンフィルター法で、あと検出水が幾らか量が違うという点もありますので、それも別添2に書いております。
 こちらの表を見ていただくとおり、E・O培地に対してK・O培地の形成率というのは、わずかであるが高めの値を示すということですが、E・O培地における繰り返し試験の相対標準偏差は11.9~23.6%ということで大きいと。本結果が特段の差と認められるものではないのではないかと書いております。更に、E・O培地はロット違いの製品においてもばらつきは認められたということでございます。
 以上の結果から、関東化学株式会社のハンドフォード改良寒天培地は従来の培地と組成も同様であり、また、検出性能においても問題がないということではないかということを資料4の別添2の資料としてまとめているところでございます。この資料については、西村委員の御協力をいただいて作成したものでございます。
 また、資料4の2ページ目に戻りまして、E培地がO培地と同等の検出性能を示すことについては、別添3の日本水道協会の協会誌において示しております。別添3につきましては、水道協会雑誌に出されたものをそのまま示しております。資料の中で見ていただければわかる部分については、69ページの表-4、新処方ハンドフォード改良培地の評価結果ということで、E培地とO培地を比較した結果が出ております。この結果を比較して、培養操作方法は疎水格子フィルター法やメンブレンフィルター法、パウチ法、三重層法とありますが、それぞれの方法を見ていただいても、おおむね同じ結果であったと言えるということで日水協の雑誌でまとめられているところでございます。
 また、資料4に戻っていただきますが、こういった事実を受け、現行のO培地に加えてE培地も使用できるように検査方法通知を見直していきたいと思います。別添4は、後ほどの大腸菌の検査方法と併せて説明させていただきます。
 また、もし仮に、それぞれの会社が培地の製造を中止するというような事態が起きた場合は、冒頭に説明した別添1の対応でクリプトスポリジウムの検査頻度を上げるなどで対応していきたいと考えております。
 次に「2.2 大腸菌の検査方法(特定酵素基質培地法)」でございますが、大腸菌の検査方法は水質基準において大腸菌の項目が定められておりまして、検出されないこととなっているんですが、こちらは検出されないことですので定性試験法で行っております。これは検水量100mlと。一方、検査方法通知はクリプトスポリジウムの指標菌という意味ですが、原水の検査ということもあり定量試験法、検水量約60mlということで、検査方法告示と検査方法通知それぞれで違うということでございます。
 指針においては、クリプトなどの汚染のおそれを判断する上で、指標菌検査は検出菌数の把握ではなくて検出の有無が重要だということで、このクリプトの検査方法通知の大腸菌の検査方法について、検査方法告示に示された定性試験法を追加するとともに、定性試験法で大腸菌の検査を行うことを基本とするよう検査方法の通知を見直していきたいと考えております。なお、既に原水から大腸菌の検出実績がある施設、レベル3もしくはレベル4の施設ですが、これは大腸菌数の変化を把握することが水質管理の面から望ましいということで、定量試験法で検査を行ってもよいということで対応していきたいと考えております。
 それらの結果をまとめたものを別添4にお示ししておりまして、こちらは「水道における指標菌及びクリプトスポリジウム等検査方法について」、変更点だけを記載しております。
 この本体については本日、参考資料4に従来の通知をつけております。
 改正点でございますが、まず指標菌の検査方法。大腸菌の検査方法でございますが、従来は定量方法ということで書いてあったものについて検査方法として先ほど説明したとおり、定性試験を用いることを基本とすると。場合によっては、クリプトスポリジウム等の汚染のおそれがあるところは定量試験を用いてもよいとするということで記載しております。これが通知の本体です。
 その別添に具体的な大腸菌の検査方法が記載してあります。「1 培地」で、全部で(1)~(4)まであって、MMO-MUG培地から以下4つの培地があるんですが、従来は定量方法ということで試験容器に100分の1量ずつ分取したものとか、それぞれ試験容器に10mlずつ分取したものなど、それぞれの培地について記載していたんですが、この点について定性試験と定量試験があり得るということで、分子量をそれぞれ2つ書き分けています。そういうことで、この点追加しているところでございます。技術的な修正でございます。
 4ページ目「2 器具及び装置」の(2)試験容器で検水、これは定性試験と定量試験で100ml用もしくは10ml用検水ということで2つに分けています。従来は検水10mlだけだったものを2つに試験容器を分けていると。
 次に、「4 試験操作」の(1)定性試験について、水質基準の公定法で定めている方法を参考にして、その内容をこちらに記載しています。この方法であれば蛍光の有無を確認することで陽性・陰性がわかるということでございます。その内容は(1)に新たに記載しております。
 (2)については従来の定量試験をそのまま記載して、技術的な修正を行っているということでございます。
 6ページ目にいきまして、「別添2 嫌気性芽胞菌の検査方法」でございます。これについては、標準のハンドフォード改良寒天培地ということで培地の組成が書いてあったんですが、従来オレアンドマイシンだけだったんですけれども、今回日水協のデータでもありましたがエリスロマイシンも使えると。また、関東化学株式会社の培地でもオレアンドマイシンも使えるということで、その点については検査方法を見直す必要はないんですが、オレアンドマイシン0.48mgもしくはエリスロマイシン0.06mgということで、両方使える形にしております。この培地については、三重層法、先ほど書きましたメンブレンフィルター法、パウチ法など、4つの方法で使用可能ということでございます。
 こういう形で通知の見直しをしていきたいということでございます。
 以上です。

○遠藤座長
 ありがとうございました。
 2つの技術的な改定がございます。初めに、嫌気性芽胞菌の培地についての話を進めたいと思います。御質問・御意見等ございませんでしょうか。まず、西村先生から検査検討委員会から何かコメントはございませんでしょうか。

○西村委員
 特にありません。

○国包委員
 よろしいですか。内容に関しては何も異存はありませんが、1つ確認させていただきたいんですけれども、資料4の別添2で、御説明があったものを聞き漏らしたかもしれませんが、「E・O培地」と書いてありますよね。このE・O培地というのは、資料4のO培地と同じ意味ですか。

○松田室長補佐
 そうですね。栄研化学株式会社のオレアンドマイシン培地ということですので、資料4で言うO培地と同じです。資料4の別添2は、O培地とK・O培地だとわかりにくいものですから、あえてE・O培地とK・O培地ということで書いたということでございます。

○国包委員
 わかりました。

○遠藤座長
 そのほかございませんか。

○黒木委員
 オレアンドマイシンをエリスロマイシンに変更するということで水道協会誌の参考文献の3に、ハンドフォードがこの培地を報告したときの原著論文がありますが、実はこの原著論文の中でもオレアンドマイシンとエリスロマイシンは性能に大きな差はないということが記載されておりますので、ここで改めて水道協会誌にありますように再評価をしたということで、ここでもまた特に差がないことが認められておりますので、エリスロマイシンに変更した培地を使うことについては、特に問題はないと考えております。

○遠藤座長
 ありがとうございました。ほかにございませんか。
 それでは、この問題については事務局からの御提案の方向で改定していきたいと思いますが、御異議等ございませんか。
 次いで大腸菌ですが、これまでは定量法が示されていたのですが、定性法が至当であろうということです。これに加え、状況に応じて定量法を用いることもできるという通知に変えるということでございましたが、これに対して御意見等ございましたら、どうぞ。特に御意見ございませんか。
 定性法だと100mlで実際の検水量は増えていますね。ですから、この方が精度も高まるという意味もあるかもしれません。技術的に問題がなければ微生物問題検討会としては異議がないという形でまとめさせていただきたいと思いますが、よろしゅうございますか。
 そのほかございませんか。

○黒木委員
 これは原水を100mlですよね。ちょっとだけ心配があるのですが、原水ですと夾雑菌が非常に多いので、場合によっては大腸菌の発育を抑制する可能性があるような気もします。その辺は現場の方に伺った方がよろしいかと思うので、勝山委員はどのようにお考えになりますか。

○勝山委員
 私どもの原水は大腸菌が出ることがわかっておりますので、試料を100mlで試験を行うとか、定性で原水をやったことがないので、実際に入れて夾雑菌が大腸菌の発育を抑制しているのか、それとも通常どおり検出されるのか、何ともお答えできません。

○黒木委員
 定量でやったときに、想定していたよりももっと多いはずなのに、何でこんなに少ないのだろうと思うようなことはありますか。

○勝山委員
 それは冬場などですと、たまにございます。本来でしたら、これくらい出ると思って希釈を行うのですけれども、かなり数が少なくてギリギリ出ているかなというきも、たまにはございます。

○黒木委員
 それは抑制をされていると考えていいのでしょうか。

○勝山委員
 原水なので、天候、特に降雨の後ですと菌数の変動が激しい場合もございます。最近は冬に大腸菌が全体的に少なくなってきているのかなということも考えられることはあるのですが、抑制がかかっているかどうかまでは考えたことがありませんでしたので、その辺はわからないです。

○遠藤座長
 よろしゅうございますか。その他ございませんでしょうか。
 ハンドフォード法に戻らせていただいて、資料4別添3の表-4を見てまいりますと、疎水格子フィルター法だと検水量が40~100ml、メンブレンフィルター法だと20~100ml、三重層法においては1mlという少ない量で検査をしています。検査水量についてこれまではどのような理解であったのでしょうか。勝山委員、この辺についてコメントございますか。

○勝山委員
 上水試験法に載っているハンドフォード改良培地で行う嫌気性芽胞菌では、ある程度通常検出される数がわかっていて皆さん検査をやっていらっしゃると思うのですね。ですので、濃度が高い場合ですと、三重層法で1mlをやっても十分出る量だとわかって行うと思います。その後、クリプト関係で原水の指標菌としてやるということになったと思うのですね。そのときには、上水試験法に載っている検査法をそのまま流用なさったのかなと私は思っているのですが、その影響でどの試験法でも、どんな水質でも事業体さんが自由に選べるという形になっていると思うのです。やはりメンブレンフィルターや疎水格子、パウチですと、それだけ材料費がかかってきますので、手軽にやりたいと思ったらやはり三重層法みたいな形で、菌が検出される、されないは関係なく、こういう方法を使っていらっしゃるところも今の上水試験法の記載の仕方では仕方がないのかなと思います。

○遠藤座長
 基本的に自分のところの水質がわかっていれば、例えば、100ml調べなくても1mlで十分検出できるから、この方法を選ぶんだという選び方は十分考えられると思うのですが、悪く解釈すると、作為的に100mlを検査すれば陽性となるので、あえて1mlを使って出ないようにするということも不可能ではなくなります。本来的には少なくともある程度は定量性を持たせる必要があるのでは無いでしょうか。西村委員、何かございませんでしょうか。

○西村委員
 今、遠藤先生がおっしゃった御指摘はよくわかるんですが、それを今どうするかは、御指摘があったということで考えさせていただければと私個人は思っております。特にその辺については、申し訳ないですがコメントは控えさせていただきたいと思います。

○遠藤座長
 わかりました。今後とも嫌気性芽胞菌をクリプトの指標菌として用いる場合、大腸菌と芽胞菌の検出率の数的相関性、あるいはそれらの腸管内での数的関係を含む存在様式とかいうことの検証を踏まえて、定量性を持たせていくことも考えられるようにも思われます。今後の検討課題にさせていただけたらと思います。また、検査委員会でも問題の整理等に向けて御検討いただきたいと思います。
 以上で、検査法の改良につきましては、事務局の御提案どおりの方向でまとめたいと思います。ありがとうございました。
 続いて、その他として事務局から何かございましたら、御説明をお願いいたします。

○松本管理官
 本日は、長時間にわたりまして御審議をどうもありがとうございました。本日の議事要旨、議事録につきましては、各委員に御確認をいただいた上で公開させていただきますので、よろしくお願いいたします。
 次回の検討会は、遺伝子検出法、本日御議論いただきました、粉体ろ過法のバリデーションの更なる進捗及びそれぞれの方法のマニュアル案につきましてを考えておりますので、引き続き御指導のほどよろしくお願いしたいと思っております。
 また、嫌気性芽胞菌の検査方法につきましては、本日の御審議を踏まえまして、年度内に周知を図っていくようにしたいと考えておりますので、よろしくお願いいたします。
 本日は、本当にどうもありがとうございました。

○遠藤座長
 以上で、本日の審議を終わりたいと思います。どうもありがとうございました。終わりになりましたが、特に説明員の方にお礼申します。ありがとうございました。


(了)
<照会先>

健康局水道課水道

水質管理室: (代 表) 03(5253)1111
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