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2011年2月16日 第10回社会保障審議会統計分科会生活機能分類専門委員会議事録

大臣官房統計情報部企画課国際分類情報管理室

○日時

平成23年2月16日(金)14:00~15:30


○場所

厚生労働省5階共用第7会議室


○出席者

大橋委員長、岩佐委員、大川委員、大日方委員、藤田委員

○議題

(1)第2回ICFシンポジウム 生活機能分類の活用に向けて
    ~共通言語としてのICFの教育・普及を目指して~
(2)WHO-FICトロント会議報告
(3)その他

○議事

○事務局
 予定の時刻になりましたので、第10回「社会保障審議会統計分科会生活機能分類専門委員会」を開催いたします。各委員の皆様方におかれましては、お忙しいところ御出席賜りまして誠にありがとうございます。
 それでは、お手元の資料の確認をさせていただきます。
 資料1-1が第2回ICFシンポジウムの配付資料。
 資料1-2がアンケート調査集計結果。
 資料1-3が第2回ICFシンポジウム報告書構成(案)。
 資料2-1「WHO-FICトロント会議報告」。
 資料2-2「ICF一部改正一覧」となっております。
 以上のお手元の資料につきまして、過不足がございましたらお知らせください。そろっておりますでしょうか。
 資料の確認は以上でございます。
 なお、本日御欠席の委員は安西委員、石川委員、河原委員、木村委員、齋藤委員、佐藤修一委員、佐藤久夫委員の7名の方々です。
 それでは、大橋委員長に議事進行をよろしくお願いいたします。

○大橋委員長
 こんにちは。年度末のお忙しいところありがとうございます。今日は欠席者が多くて残念ですが、審議会の規則にはのっとっているということでございますから、第10回「社会保障審議会統計分科会生活機能分類専門委員会」を始めさせていただきたいと思います。
 今日は大きな議題は2つでございますが、まず最初に過日行われました第2回のICFシンポジウムの結果につきまして、事務局から御報告をいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

○事務局
 資料1-1、資料1-2をごらんください。第1回の専門委員会ではシンポジウムの企画について御議論いただきまして、誠にありがとうございました。また、当日は大橋委員長からまとめのコメントをいただき、大川委員におかれましては御講演をいただきましたし、藤田委員には座長を務めていただきました。大日方委員、岩佐委員は当日御出席いただいておりまして、委員の皆様方の御協力に大変感謝いたしております。
 皆様御出席ですので、資料1-1につきましては説明を省略させていただきます。
 資料1-2についてごらんください。今回シンポジウムに御出席いただいたのは154名アンケートを回収いたしましたのが84枚、回収率54.5%となります。
 開催をどのように知ったかという質問ですが、今回の特徴としましては「その他」が30%とかなり多くなっておりまして、その他の詳細については記載を求めておりませんので推測にはなりますが、昨年度御参加いただいた方に今回の案内をしてよいかというお伺いのメールを直前に配信した影響もあるのではないかと思います。
 一方でホームページを見たという方々が昨年は28%今回は19%と減っておりまして、これは自由記載にもありましたが、案内期間が短かったことが影響しているのではないかと考えます。
 参加された理由でが、これは昨年と同じ傾向で「ICFに興味がある」という方が66%と一番多かったようです。
 全体の時間については「丁度良い」という方が77%で最も多く、大川委員、取出さん、岩上さん、大島さんの講演時間等について質問しておりますが、「丁度良い」という方が半数以上を占めております。
 内容、テーマにつきましても「理解できた」という方が52%と約半数、「大変よく理解できた」「普通」を含めますと95%、ほとんどの方が満足しておられたと言えるのではないかと思います。
 現在の活動または今後の活動や方向性に向けては、「大変参考になる」「少しは参考になる」が併せて9割程度でして、今後のシンポジウムの参加希望につきましては、昨年とほぼ同様の数字となっております。「希望する」が65%、「テーマによる」が35%でした。
 今後どのような形式の催し物に参加を希望しますかという問いに対しては、昨年は「少人数を対象としたセミナー」というのがほとんど出てこなかったのですが、今年は3割程度希望される方がいらっしゃいまして、個別のテーマを掘り下げた内容が今後期待されていると考えられます。
 参加者の年齢、性別、勤務先等については昨年と同様の傾向を示しておりまして、年齢は30代、40代、50代の方が多く、性別はほぼ男女同じぐらい。福祉・医療関係施設、教育関係にお勤めの方が多く、学生は5%程度でした。
 アンケート調査については以上です。自由記載を多少御紹介いたします。講演の内容につきましては大川委員の講演が非常に有意義だったという意見が多く、時間が短過ぎる、もっと聞きたいという意見が多く見られました。
 日常業務の振返りに役立ちそう、実際に活用してみたいという意見も多く見られました。
 後半に関しましては参考になったという意見もありましたし、もう少し具体的な話を聞きたかったという意見もありました。
 事務局に対しては、周知期間が短いという御指摘をいただいております。
 アンケート調査等については以上でございます。

○大橋委員長
 ありがとうございました。先日はお忙しい中御参加をいただき、ありがとうございました。周知の期間が少なかったので参加者がいかがかと思ったのですが、154名と前回よりは少なかったものの、大変熱心に聞いていただいて、反応はかえってよかったのかなというのが私の感想でございますが、実際に大川委員は講演をされていかがでしたか。随分最後まで、終わってからも質問攻めにあっていたみたいですけれども。

○大川委員
 非常に皆さん熱心に聞いていらしたというのが印象深く感じました。終わってからも、後日もいろいろと御連絡、お問い合わせをいただきました。有意義な会であったと思います。
 考えなければいけないのは、アンケートの自由記載欄の21番に、「専門職教育のテキストにおけるICFの記載の再チェックが必要かと思いました」と書いてあるように、実は結構間違ったことを書いてあるものが多く、それに関連した問い合わせが、去年もそうだったんですけれども、結構来ました。
 もう一つは現在、障害者施策の検討委員会などが行われていますが、そこでICFについて論じられている内容がおかしいのではという問い合わせが多く、目立ちました。2つともに、やはり正しい啓発の必要性を感じました。
 またお話した時間的は短かったんですが、ICFを使った大規模な調査を今回御紹介したんですけれども、それに対する反応は非常によくて、統計なんだから統計の話をして当然ですよねという御意見とか、具体的にそれをもっと深く知りたいという問い合わせが多かったのは、非常によかったなと思っています。
 大きいところはそういうところです。

○大橋委員長
 ありがとうございました。確かに統計の部分は最終的に報告が出た段階で、また何か機会があってもいいかもしれないですね。統計の内容は統計の内容として、ICFの視点から見たときにどうなのか、すごく私も関心があるところだったように思います。
 藤田委員、どうですか。

○藤田委員
 全般的に言えば人数のことは別にして、非常に有意義な会ができたのではないかと思いますし、特に大川委員が御紹介になった統計は個人的にも非常におもしろかったというのは、大橋委員長と同じ感想です。
 いろいろな御意見が寄せられていますけれども、どこまでをこの会議としてサポートできるのかというのは難しい御要望もあるようですが、より一層努力しなければいけないなというのが現在の感想です。

○大橋委員長
 確かに審議会の性格に関わるようなことなんですね。本当ならもう少し踏み込んで、テキストのチェックなども含めていろいろ共通理解を深めていくというのがあり得るんだろうけれども、そこまで果たして権限があるのか、役割があるのかということもあるし、だけれども、普及啓発という立場から言えば余り間違ったことをされてもいかがかということもあるし、何とも悩ましいところがありますが、その辺をどうするかということでしょう。後ほど少しまた時間をとっていただければと思います。
 岩佐委員も大日方委員も、御参加いただいた感想はいかがでしょう。

○岩佐委員
 当日参加させていただきまして、大変勉強になりました。講義を伺ったり後半のお話も伺った中で、あのICFの図が自分の中でダイナミックに動き出したところがあって、割と頭の中で整理されたなという感触を得ることができました。出席された方はそれぞれ学ぶところが大きかったのではないかと思います。
 また、委員の立場としては、前回このシンポジウムの骨子を皆さんで話し合いましたが、それに基づいた構成だったと思いました。普及という目的を達成することはできたかなと思います。確かにいろいろなことをねらえるわけですが、シンプルに普及ということはできたと思うし、今後も普及ということだけとってもシンポジウムを続けていく意義はあるかなと、再確認をいたしました。

○大橋委員長
 大日方委員、お願いします。

○大日方委員
 私自身は大川先生の前半の話は何度か聞かせていただいている話なので、そうは言いながらも新たな発見があるというか、自分の中に落ちていくということで、個人的には難しい概念ではないんだけれども、自分の中に落とし込むことが恐らく一般の方々にとってはかなりハードルが高いものなんだろうなと、自分が何度も繰り返し聞くことで理解できていく部分というのが多いので、その辺りのところを感じました。
 大川先生の調査のところに関しては、私自身も障害当事者としてはっとさせられるような部分、自分が何となく漠然と感じていたところがICF的な視点で見ると、こういうふうにとらえられるんだなというのを自分の中で当てはめて考えていくところがあって、非常に興味深く、こういう調査というのは必要なんだなと認識をいたしました。
 委員といたしましては岩佐先生もおっしゃったとおり、前回いろいろ喧々諤々議論いたしましたけれども、それに沿った形でできたと思っております。関係者はどういう方がいらっしゃったんだろうと見ますと、福祉・医療関係の方が圧倒的に多いということで、その意味ではそういう方々に求めているものを提供できたのではないかと思う一方で、今回は周知期間も短かったこともありますので、余り一般参加者というか、初めて聞くという方はいなかったと思いますが、ちらちらと一般回答を見ると難しいという話もあったので、その辺りの普及を考えていったときにICFの考え方として共通言語というところがありますので、小学生にもわかると言ったらちょっと言い過ぎかもしれませんけれども、当然子どもさんも患者さんの中にいらっしゃるわけですので、極端な話、そういう子どもでもわかる、あるいは高齢者でも理解ができる考え方を正しく普及させていくことは、一方では必要なのではないかというように、二極化しているのかなという印象を受けました。
 以上です。

○大橋委員長
 ありがとうございました。これは今年の総括をしながら、来年度以降どうするかということを含めて論議をしていただいたらよろしいかと思うんですが、来年度的に全く手弁当ですね。委員の旅費なんかは出ていましたか。例えば普及ということでいけば地方でやるというのも1つあり得るわけでしょう。大阪、仙台、福岡、札幌など、東京だけというのはどうなんだろうかというのが1つ頭をよぎったんですけれども、そういうことがどうかということが1つあるし、アンケートの結果を見るとシンポジウム、講演ということで必ずしもワークショップではないんです。だけれども、いつまでも講演、シンポジウムだけでいいんだろうかというのがあって、今、大日方さんが言われたように、啓発的な意味だったら講演、シンポジウムで地方というのがあるけれども、共通言語として専門職が使いこなしていくという意味では、ワークショップ的なものがあった方がいいのではないか。2本立てでやるのかということも少し考えないといけない。ある意味で同時並行的にやるというのもあり得るのではないか。2日間というのは自分で言っていて自分で仕事を増やすのは嫌だからいけませんが、そういうことも本当に考えないといけないところに来ているのかもしれないなという気はするんです。
 NHKなど、私どもがいろんなテレビとかラジオで言うときには、必ず中学校卒業の人がわかる内容にしてください。だけれども、これが一番難しいんです。一番難しいんだけれども、そういう発想を常にしてくださいと言われるので、普及だとすればそういうことが必要かもしれない。特に高齢者などがこういうことを理解していただけるというか、高齢者にわかるように介護支援専門員の方々がわかってくれるということもあるのかもしれないし、そんなことを考えたりして、継続するかどうかということについてはどうでしょうか。継続する方向で考えていくのは予算の絡みでは。

○事務局
 予算という面で言うと、なかなか国全体の予算状況が大変厳しいものですから、今後新しい予算を増やすのは難しい状況にございます。ただ、そこはいろんな部局と協力し合いながら、何とか予算の充実ということも当然私どもとしても検討をしなければいけないと思っているところでございます。
 また、ただいまお話がございましたように、普及機会の多様化といいますか、そういうシンポジウムでございますとか、ワークショップを開くとか、日常的に勉強できるような研修教材を充実するといったことも重要だと思っておりまして、そういったことで予算は予算として努力しながら、ただ、実行上できることもやっていくというスタンスでいろいろと取り組んでまいりたいと思っているところでございまして、日常的、継続的に委員の皆様には御意見をお伺いしながら、充実を図っていきたいと思っております。

○大橋委員長
 これはどうなんですか。例えば今回も主催、協賛、協力となっているけれども、実行委員会みたいなものをつくってやることは可能なんですか。それとも専門委員会の名前を出さないとまずいんですか。

○事務局
 これだけ多様な方が関係していらっしゃるものですから、いろんな団体からお金を出していただいて実行委員会をつくって、充実したシンポジウム、ワークショップをつくっていくことが理想的ではないかと思っております。ただ、そのためにはいろいろと行政の方でも働きかけをしていくことも必要だと思います。

○大橋委員長
 そういうこともあり得るわけですね。

○企画課長
 あり得ます。

○大橋委員長
 もう少し柔軟にやってもよければ、いろいろやり方もあるなと個人的には思っているんだけれども。

○事務局
 いろいろ私どもとしても柔軟なやり方を考えたいと思っておりまして、先ほども申し上げましたように今の予算状況は非常に厳しいものですから、新しくイベントを立ち上げるというのは予算が取りにくい状況にございます。そういった面から言うと柔軟に考えていって、国の予算というよりはいろんな民間からお金を出していただいて、より拡充したイベントをやっていくことも十分に検討していきたいと思います。

○大橋委員長
 その辺についてはどうですか。

○藤田委員
 実は年末から今日までに5つシンポジウムをやったんですけれども、一番安くついたのは千葉県のがんのシンポジウムで、これは文化会館をお借りして総費用が20万円です。一番高くついたのは幕張メッセで先日行われた脳卒中パスのシンポジウムで、これは250万ぐらいかかりました。
 どういうターゲットでどこの会場、いつおさえにかかるかということで物すごく変わりますので、本当に安いところは人気が高くていい日をおさえにくいので、今からでも遅いぐらいのタイミングだということを認識して動くことができれば、今回の予算でも十分間に合うところをおさえられると思うんですけれども、出遅れるととんでもないことが起こるというのははっきりしていると思います。

○大橋委員長
 継続することを委員会のメンバーが責任を持ってやるのかということについて、何か意見はありますか。

○大川委員
  ICFについて正しい啓発をすることがこの委員会の最初の目的であったように、正しくないことが書かれたり話されているという問題意識から、この委員会は始まりました。もう一つは統計的な活用をきちんとしようという、2つが基本だったわけです。
 ICFの活用には大日方委員の前にあるICFの本にも書いてあるように、きちんとしたトレーニングコースがあって使うべきだと思いまです。トレーニングコースや、先ほど課長からもおっしゃっていただいたような、それなりの教材なりできちんとICFを理解する必要がある。
少なくともシンポジウムなどで語るにはそれだけの基本的な知識というのは絶対に必要だと思います。
その基礎があった上でICFに関して論じるシンポジウムであるべきです。しかしながら、論じ自分たちのこれまでの考え方に何となくICF的な用語であるとか、ICFの項目を入れただけで論じられているなどを、現実的な問題意識、反省点として持つべきことであって、それを前提として今後どうすべきかを考える必要があると思います。
 結論から言うと、私は以前から強調しているところなんですが、まずはきちんとしたトレーニングコースを考える必要があると思っています。ただし、その場合には初級コース、中級コース、研究者コース、統計コースなど、対象に合わせて考える必要性はあると思います。私は最低2日はかかると思っています。そういうことをお考えいただければありがたいなと思います。
 なお、先ほど子どもにでもわかるようにと大日方さんがおっしゃいましたが、そういう考え方は勿論非常に大事なことですが、ICFでは専門家の方が難しいんです。私は小学校などで教えたことがあるんですけれども、子どもの方が非常に素直に人間を見て、素直にわかってくれるんです。当事者も、私は実際に臨床でICFの前からICIDHにプラス面や環境因子まで含めて患者さんと一緒に目標など立ててきましたけれども、きちんと説明していくと非常によくわかっていただけます。
しかし、専門職であるとか、ある程度それらの文化になじんだ人たちというのは、その文化から違う考え方に持っていくのは難しいところもあり、工夫をしながらやっていく必要があると思います。

○大橋委員長
 先ほど委員会の性格、役割と委員会を構成するメンバーの個々の思いとのずれみたいなものが前回からどうもあるのですが、しかし、全体的にICFの考え方というのは統計的な意味もあるけれども、本当に人間のとらえ方だとか福祉、医療のとらえ方の哲学、見方を変えていくわけですから、正直なところ大変なことなんです。
そういう意味では余りべき論で言う気はないが、この専門委員会の性格、役割があるにしても、私の思いとしてはできるだけ機会をつくって、多くの人に正しく理解してほしいというのが正直なところあるわけなんです。その辺は事務局で逸脱しているというところがあれば言っていただくんだけれども、柔軟に実行委員会などはやってもいいということであるならば、正直なところ講演、シンポジウムの部分とトレーニングコースの部分とワークショップ的なものを、並行的にやるということもあり得るのかもしれない気がするんです。

○藤田委員
 トレーニングというか、理解と普及を進めることは世界的に困難に直面しているのは事実だろうと思うんです。それを打開する策としてWHOにICFのトレーニングコースというe-learningツールが挙げられたりもしているわけなんですけれども、そういう電子的なやり方、それから、講演会、セミナーをやっていくやり方あるいは幾つかの学校に出かけて行ったりして介入していくやり方、大きく分けてこの3通りかと思うんですけれども、それのどれだったら私たちが第一歩として取り組めるのかということが、一番答えとしては早いような気がするんです。

○大橋委員長
 自分の主に関わっている分野で言えば、一度、福祉系の大学の教員なり、あるいは養成施設の教員が集まる機会があるので、そこには大川先生にでも来ていただいて講義をしてもらおうかなという思いは持っているんです。そういう個々のことは幾らでもアイデアが出てくるんだけれども、この委員会というのは一体どういう看板なんだろうかといつも気になっていて、私としては委員会がオーソライズしながらやっているというのがとれれば、それに越したことはないと思っているわけなので、そういう委員会でそれなりに事務局と相談して、いろんなチャンスがあれば委員会の名前も活用しながらやっていただくということでいいということであれば、年1回のシンポジウムではなくて、いろんな各分野ごとのセミナー等に各委員が、ここの委員会の代表という側面を持ちながら参加していただいて、意見を述べていただいても私はよろしいのではないか。その辺が確認できれば後はとても楽になるんですけれども、その辺はどうなんですか。

○事務局
 それは個々具体的な事案を見てみないと、ふさわしいかどうかというのは判断できないところでございまして、委員の立場で出席される場合と個人の立場で出席される場合双方あると思いまして、いずれもすべて委員の立場で出席するようにすべきだということであれば、それはやはり個々具体的なケースに応じて対応を図るべきではないかと思います。
 この委員会の役割なんですが、政府の審議会の中で唯一ICFを専門で審議する場でございまして、任務としてもICFの普及ということがございますので、やはり幅広くいろんな関係者に対して、特に行政分野もそうなんでございますけれども、用語の適切な使用がなされていないということも含めて指摘をしていくことも必要ではないかと思います。とにかくこの委員会というのは政府の審議会の中で唯一ICFを専門に担っていて、ICFの普及を担っているところなので、そこはしっかりと活動していただきたいと思います。

○大橋委員長
 例えばどうなんですか。しょっちゅう審議会をやっているわけではないから、何らか形式的に要件として、例えば事務局と相談して委員長と当事者がよろしいということであれば、委員会を代表した立場で行ってくださいとか、私としては今、課長さんが言われたように唯一ICFのことについて関われる審議会だから、そういう審議会があって普及啓発をしているということを幅広く伝えたいと思っているわけです。
 内容的にも当然ちゃんとしたものを伝えなければいけないということなので、その2つの側面がきちんとしていれば、できるだけこの委員会の名前を使っていただくことは大事だろうと思うんです。

○事務局
 ケース・バイ・ケースでございまして、やはり委員会の活動として行うことについて、委員会の組織としての意識を表示するのであれば、委員会の組織としての合意がないと委員会の活動として行うことはできないので、そこは交通整理をして、委員会の代表として行くことは皆さんの合意が必要ではないかと思います。

○大橋委員長
 わかりました。その手続的なことはまた少し相談をさせていただくことにして、できるだけ委員会の使命というのは普及だから、委員会としてそういうことに積極的に関与していくということで、しかもそれは委員会主催だけではなくて、状況によっては実行委員会等も含めて柔軟にやれるところはやっていく。ときには個人で委員会を代表して出て行ってやってもらうこともあり得る。それはケース・バイ・ケースで少し皆さんと相談をする。そんなとりまとめでよろしゅうございましょうか。要は思いとしてはできるだけチャンスをつくって理解いただくことにするということで、よろしゅうございましょうか。

○大日方委員
 先ほど大川先生が必要だとおっしゃったトレーニングコース、ICFに対する正しい普及のコースをつくるべきというのは、再三お話もあるかと思うんです。この辺の実現可能性というのはどういうふうに考えておけばよいでしょうか。ICFの専門委員会として、先ほどの初級、中級、研究者コースみたいに、それがある種一番手っ取り早いのかなと私自身は思ったのですが、できるのであれば是非やった方がいいと思うんですけれども、どうでしょうか。

○事務局
 今多様な様式、形式で普及活動をしていくという御提案をいただいたばかりですので、どの辺が国の活動としてやるべきなのか。また、既にこういった基礎的な講演会を行っている団体もあると聞いておりますので、役割分担をどうするのか等々、検討させていただければと思います。

○大橋委員長
 審議をしているだけと言ったら語弊がありますが、文字どおり審議会ならば年に何回もやらなくても済むのかもしれませんけれども、普及啓発というやや事業推進的なことになると、回数が年に2~3回ではとてももたないことも事実なので、その辺の手続をどうするかというのを少し検討しておかないといけないかなという感じはします。そうでないと事務局に負担があって、事務局がオーバーワークになるというのもいけないことなので、そこは少し考えたいなと思います。
 先ほどからこだわっていますけれども、本当に東京だけでいいのだろうか。その辺のことはどうなんですか。思い切って大阪とか京都に出ていくという経験は余りないんですか。国会だって公聴会というのを全国何か所かでやるわけでしょう。

○事務局
 申し訳ないですけれども、そういう話はなかなか予算との関連がございまして、ケース・バイ・ケースで実現可能性を見ながらということだと思います。

○大橋委員長
 手弁当でも行くぞと言ったらいいのですか。そういうわけにもいかないんですか。なかなか難しいですね。厚労省がかむと、きちんとした手続をしなければいけないということで、旅費は要らないと言ってもそういうわけにはいけませんとか、いろいろあるだろうし。
それでは、事務局で厚労省の専門委員会が名前を出すにしても、実行委員会で少しお金を集めて自由にやってもいいよということであれば、それは地方というのはある。というのは、どうしても東京にいる人間にとっては東京でやって当たり前だと思っているけれども、全国的に見るとなかなか聞く機会がないというのが実際です。e-learningと言っても臨場感が違うし、生で大川先生の話を聞いたというのと、追っかけがいるように来てくれるわけだから、地方に行ってもらうというのもすごく大事なことかもしれないので、少しその辺を考えたいなと思います。ありがとうございました。
 それから、次回やるとすればテーマをもう少し絞り込むのか、その辺についての意見はどうでしょうか。何かありますか。1回目が精神医療分野と理学療法の分野と介護支援専門員の分野ですね。勿論ソーシャルワーカーの部分もありました。2回目は病院のソーシャルワーカーなり精神保健分野のソーシャルワーカーに、少しウェートをかけてやったということになるんですが、テーマによって参加するというのはどういうテーマを期待しているのでしょうか。何か資料的にわかりますか。

○事務局
 そこまでの自由記載を求めておりません。

○大橋委員長
 なるほど。ああいう大川先生がやってくれた調査の活用の仕方などは、どういう分野の人たちが関心を持ってくれるんですか。

○大川委員
 あの調査は、昨年12月の内閣府の障害者週間連続セミナーでお話をさせていただきました。そのときの出席者は研究者でも工学、法学、建築分野、また企業の方なども多くみられ、統計というものを単なる統計のための統計ではなくて、具体的にどう使うのかという観点での関心をお持ちの方たちが多い。今は企業にしましても研究分野だけではなく企業でもエビデンスを求められるものですから、そういう方々からの御意見をいただきますと、かなりユニークな視点での活用方法がわかってきまして、非常に勉強になりました。
 先ほどでたテーマということにも関係するんですが、やはり正しい普及と統計上の活用でいくと、統計をテーマにしたシンポジウムといいますか、もっと深くディスカッションをする機会があってもいいのではないかと思います。ただ、参加する人数は少し少なめになるのかもしれませんが、先ほど申し上げたようにいろんな範囲の方が来ていただく可能性も逆にあると思います。

○大橋委員長
 ありがとうございました。時期的な問題はどうなんでしょうか。いろんな学会とかあって、結果的にはやはり1月しかないというところで落ち着いたんですけれども、時期をもっと早めていい季節にやるというのもあるんですが、そうするといろんな学会、会場の問題で難しかったんです。1月20日前後ということで落ち着いたんですけれども、これで絶対にだめだということはないですか。

○大日方委員
 時期よりも今回は場所が気になったんです。かなり階段がいっぱいあったりとか、決して使い勝手のいい場所ではなくて、ICFをここでやっていいのかなというのは気になったんです。時期的におさえられる場所とか、先ほど岩佐先生もおっしゃったけれども、それを早く決めていい場所をおさえることが重要になるのかなと思いましたので、そこの辺りを来年以降やるのであれば、ICF専門委員会があの場所というのは、主催ではないにしろ、ちょっと何だろうなと感じました。

○大橋委員長
 それはそのとおりですね。
 それでは、議題1に関しては基本的には継続してやる。時期も1月ということで、時期は変えた方がいいですか。

○事務局
 この委員会というのは統計分科会の下の委員会なので、ICFはまだ統計分類になっていないものです。少なくとも統計として議論していただくターゲットはあると思います。ICFの概念だけの普及ということでのシンポジウムというのは、少しこの委員会では荷が重いと思っています。

○大橋委員長
 いつもその辺が悩みですね。今のことでいくと本来の委員会に戻ってもう一度整理するとなると、3回目をやるということではなくて、まだペンディングしておいた方がいいですか。

○事務局
 3回目については予算的な面などいろんなことがございますので、私どもとしてはやることを前提にいろいろ準備をしていきたいと思いますが、ただ、今の段階で来年1月に実施するということまでの結論については、なかなか難しいのではないかと思います。

○大橋委員長
 なかなか難しいということですが。

○大川委員
 大橋先生が非常に普及啓発に御熱心でいらっしゃるのはありがたいことだと思います。それでどのような組織や形態でやるかということの問題なのかなという気もいたします。先ほど室長からもお話がありましたが、今まで日本障害者リハビリテーション協会がICIDHからICFへの改定作業時の協力、またICFについても普及啓発をずっとやってきていまして、協会の活動方針の中にもそれが入っています。そこでやるということはかなり現実的な路線だと思います。3月にもICFの連携ツールの活用にターゲットを絞った講演会等もやります。そういう組織も含めて検討していただいてもいいのではと思います。

○大橋委員長
 わかりました。とりあえず普及啓発だけがすべてではないにしても、それは重要な機能としてあるということですから、できるだけシンポジウム等を含めてやるということを考えて、今日のところは総括をしておくことにしましょう。事務局だとか本来のねらいなどがありますから、それについては来年度以降、詰めさせていただくことにしたいと思います。やるとすれば先ほど来いろいろ意見が出ていましたので、その辺を参考にさせていただくことになるかと思います。
 それから、来月に日本障害者リハビリテーション協会の理事会、評議員会がございますから、そういう席上で1つ実行委員会などをもしつくる可能性があるとすれば、かなり中核になっていただける組織であると考えられますので、折りを見て私も発言させていただきたいなと思っています。そこまでを今日は確認したことにさせていただきます。ありがとうございました。

○事務局
 報告書の件ですが、資料1-3のとおり、ほとんど当日の配付資料と同一でございますが、開催趣旨、WHOからのメッセージ、プログラム、講演者プロフィール、講演概要は大川委員の講義につきましては講演要旨より原稿作成、後半の講演者の分につきましては資料、パワーポイント、講演速記録から資料を作成しまして、報告書を構成する予定としております。

○大橋委員長
 これは前回と同じように各登壇者に目を通していただいて、整理をするということで報告書をつくることでよろしいですか。大変でも是非お願いをしたいと思います。前回と同じように、厚生統計協会の特集などで出していただけるとありがたいなという思いもいたします。
 それでは、報告書をつくるということについてはよろしゅうございますね。
(「はい」と声あり)

○大橋委員長
 ありがとうございました。
 それでは、大きな議題の2番目でございますが、トロント会議の報告についてよろしくお願いいたします。

○事務局
 WHO-FICのネットワーク会議が今年度は10月16日から22日、カナダのトロントで開催されましたので御報告をいたします。資料2-1と資料2-2をごらんください。
 各種委員会報告です。これまでWHO-FICネットワークの中に死因分類改正グループ(MRG)、疾病分類グループ(MbRG)、生活機能分類グループ(FDRG)が設置されておりますが、ICD-11への改訂作業のために各グループに対応する形でmTAG、MbTAG、fTAGが形成されております。mTAGというのは死因分類改正グループのメンバーが半数、外部から半数加わっているものでありまして、同様にMbTAGも、従来のグループから約半数、外部から半数、fTAGがFDRGの生活機能分類グループから半数、外部から半数で構成されているICD-11の改訂作業のためのグループとなっております。
 まず死因分類改正グループに関しましては、これまでのグループによるディスカッションを1時間程度で終了いたしまして、その後mTAGのディスカッションに移っております。
 MbRGにつきましては2015年のICD-11採択まで活動を休止することにいたしまして、MbRGのメンバーから6人MbTAGに移行し、そのほかのメンバーはオブザーバーとして参加することが決定しております。
 この委員会に深く関係する生活機能分類グループに関してですが、ICFの使用に関する倫理的ガイドラインの改正案が提示されております。これに関しましては今後メンバーに回覧して意見を求め、集約後、改正手続に乗せる予定です。
 2点目といたしましてはURCという国際分類の改正改訂に関する委員会があるのですが、ICFに関する改正を今回FDRGから提案することになっておりまして、その検討を事前にグループで行っております。ICF-CYを作成したときに修正されましたICFとの共通部分に関する改正の提案が15提案に絞られておりまして、それをURCに提案するための検討を行っております。
 途中、議長から突然、ICDとICFの連結を行うTAGと従来のFDRGが分かれて議論をしようという指示がありまして、いろいろ議論もありましたが、FDRGのメンバーもfTAGの方に参加してもいいという条件でメンバーが承諾いたしまして、ここから2つに分かれて議論が行われております。
 従来のFDRGにおいてICFユーザーガイドのドラフトが提案されましたので、それに対して見直しのためのグループを組織することが決まっております。ユーザーガイドが完成した後には、コーディングガイドラインに着手する予定だとの説明を受けております。
 また、ICFのe-learningツール等の教育用ツールの作成が進捗しているという報告があり、そのほかICFとISO9999との整合性のタスクグループからの報告がありました。
 分類改正改訂委員会ですけれども、ICF分野につきましてはFDRGから提案された15の改正提案について議論いたしまして、これについて了承をいたしました。
 教育普及委員会ではICFのe-learningツールの進捗状況の紹介、ICF普及データベースをつくるという説明がありまして、協力センターに質問票を配付し、結果を1月に発表するということなのですが、当方には質問票は来ておりません。
 全体会議ですけれども、こちらは簡単に御説明いたします。
 諮問会議におきましてはRSGというICD-11の改訂作業の検討グループの議長から、ICDの改訂の状況等について報告がありました。
 WHOとIHTSDOが正式に合意をしたという報告がありました。IHTSDOはSNOMED-CTという国際的な医学用語管理機関でありICDとSNOMED-CTをリンクさせて、WHOの活動に関した研究目的に限りICDとリンクした形のSNOMED-CTに無料でアクセスできるという合意事項に至ったという報告がありました。
 全体会議の中では主催国のカナダからCIHIという組織活動についての紹介があり、10月20日世界統計の日の記念式典の報告がありました。
 今回、WHOの各地域事務局より統計担当のリージョナルアドバイザーが参加いたしまして、それぞれの地域におけるデータの収集、活用の現状、課題などについて報告がありました。
 全体会議のもう一つのポイントは、ICD改訂についての報告です。昨年9月15日現在、約7割が変更なしという状況で、Textual Definitionという各ICDのコードに関する定義づけは10%が入力を完了したということです。今年3月までに構造の変更、Textual Definitionの完成、最低限のコンテントモデル、コードの定義に関する部分の入力終了を目指しているということですが、非常に実際は遅れておりまして、2011年5月にβ版の公開を予定しておりますけれども、完成されたものでない可能性もあるという報告でございました。
 ポスターセッションでは藤田委員から発表をいただいております。
 資料2-2につきましては、今回の改正改訂委員会で了承されましたICFの改正の一覧を掲載しております。
 以上でございます。

○大橋委員長
 ありがとうございました。藤田先生から補足はありますか。

○藤田委員
 今回の会議では倫理のところが強く取り上げられました。倫理のところで何を倫理と言っていたのかというと、大川先生の主張に非常に近いところと言ったらここではわかりやすいかと思うんですけれども、本来の理念どおりの使い方をしてほしい。その中の一部分だけを取り上げてICFを使っているという表現は、まずいのではないかという話が強く話し合われましたので、私たちとしてもICF全体像を崩さないような使い方あるいは誤解を生むような使い方を、できるだけ避けていくような活動が今後必要だろうという印象でした。

○大橋委員長
 ありがとうございました。それでは、御質問なり御意見はありますか。
 1枚目の一番下でガイドラインの改正案が提示されたということですが、これは活用は日本的にはどういうふうにするのですか。

○事務局
 まだグループ内での検討ですので、WHOで承認したというものではないです。

○大橋委員長
 逆に何らかのコメントが求められるとか、そういうことも今のところはないんですね。

○事務局
 今後メンバーに回覧して意見を求めると聞いております。

○大橋委員長
 日本からどなたか入っているんですか。藤田先生が委員で入っているんですね。
 ほかにはいかがですか。

○大日方委員
 最終ページの全体会議の「データが影響を及ぼす」というところで、WHOの各地域事務局、リージョナルアドバイザーの方が現状の課題などについて報告とありましたけれども、その辺の具体的な中身というのはこちらで教えていただくことはできるんでしょうか。何が世界的に課題になっているのかわからないので、もしあればと思っております。

○事務局
 手元にありませんので、後ほど資料をお渡しいたします。

○大日方委員
 お願いします。

○大橋委員長
 ほかにはいかがですか。
 後ろから2枚目で先ほど報告がなかったのかなと思うんだけれども、国際分類ファミリー拡張委員会のICHI(医療行為の分類)の開発報告というのは、医療範囲をどの範囲まで考えるかということに関することですか。

○事務局
 診断法、治療法の分類をつくろうという計画がもともとありまして、それをどうやって進めようかという報告です。

○大橋委員長
 例えば今、吸たんがいろんなところで問題になっているわけでしょう。それが医療行為なのか、医療行為であったとしてもある一定の研修を受けた人はできるようにしようというふうに、かつて医療行為とみなされたものが医療機器の開発によって、相当なトレーニングをされなくてもある程度汎用性が広がってくると、医療行為の分類というものが日本でもかなり影響を持つのかどいうというのが聞きたかったんです。

○事務局
 実はいまだかつて完成したことがありません。資金的理由もあって現在、開発が止まっている状態ですので、多分各国に普及するのはまだまだ先の話だと思います。

○大橋委員長
 そういう報告があったと聞いていればよろしいですね。わかりました。
 いつも思うんですけれども、国際的な動向をお聞きしたときに、どこか事務局をきちんと支援するような審議会とか専門委員会というのはあるんですか。ここだけですか。

○事務局
 まさに統計分科会の下のICD専門委員会、ICF専門委員会であると認識しております。

○大橋委員長
 そうすると細かくやり始めると、論議としてはかなり細かいことが必要なんでしょう。

○藤田委員
 そうですね。お手元の資料2-2を見ていただいたら多少載っているかと思うんですけれども、ICFに関しては結構細かいところの要望が正しいのかどうか、例示をもう少し加えるかどうかということを中心に議論しておりますので、今回の改正についても御意見をいただければ反映していきたいと思いますし、国内での報告を待たずにこういう情報がほしいということでしたら、現在ホームページ上に公開されております。今後話し合う予定のものについてのコメントを出せるページがございますので、そういうものを使って日本からの意見を反映していくことは可能です。

○大橋委員長
 かつては先ほど大川先生が言ってくださったけれども、上田先生、大川先生、佐藤久夫先生など、障害者リハビリテーション協会のメンバーが非常に熱心にウォッチングして、対応してくれたグループがあったわけでしょう。厚労省は当然としてあるわけではないですか。今回のいろんな改訂のときに、そういうグループというのは存在するんですか。ホームページに出たりしていてアクセス数がどのぐらいあって、どういう人たちがアクセスしてくれてコメントをくれているのかなんていうのは、ICFをつくるときほどの動きではないんですか。

○藤田委員
 そうですね。どちらかというとアクティビティの高い方が限定的に参加しているという感じは否めないです。現在ホームページ上で発言しているのは、世界各国で50名に満たないと思います。

○事務局
 今回のICFの改正に関しましては、もともとICF-CYに掲載されているものをICFに反映させるということでしたので、タスクグループが8つあり、そこから代表が出て、限定的に検討し、15個の提案にまとめて出しているという状況です。

○大橋委員長
 問題はここの専門委員会がどの程度コミットしなければいけないのかという、その立ち位置がどうもよくわからなくて、踏み込むなら踏み込むし、踏み込まないんだったら報告を聞いて御苦労様でしたという話になってしまっていたもので。

○事務局
 今回初めてICFの改正プラットフォームが形になって軌道に乗りましたので、今後はICF-CYに掲載されているもの以外のものでも提案を幅広く受け付けて、それを集約していくという形になっていくと推察されます。その際には専門委員会の御意見を伺うことになると思います。

○大橋委員長
 ということは、今日の段階ではトロント会議の報告を一応お聞きしたということでよろしいわけですね。作業を見守るというレベルだということでしょうか。
 それでは、せっかくの機会ですから何か御質問なり御意見があればお願いいたします。

○藤田委員
 統計の普及というところ、ICFを使った統計が今後なされるのかどうかが1つ気がかりなところなんです。日本のいろいろな制度、例えば身体障害の申請書にしても、ICFに非常に近い項目が挙げられているもの、ちょっと中間的でどう扱えばいいのかわからないようなものとかありますし、同じような項目だろうと推測してもクラス分けというか、段階分けが違ったりして、他国と比較するのが難しいものが結構あるんですけれども、そういうものについて議論をしていく場がほしいなというのが私個人の感想です。

○大橋委員長
 最初のころに私もそういう感想を述べたんですけれども、統計的にやっていくというのは単に統計だけにとどまらない部分があるわけです。障害者問題の枠組みを根幹的に見直しすることにつながる部分です。つまり、統計的に分類をするということは、その基準で物事を見ていくことになるわけですから、そのことを見ていったら今の身障手帳等の診断基準等も含めて、あるいは要件も含めて見直しをすることになりますねということを最初のころに述べたことがあるんですが、問題はそこの政策決定がないままに作業を進めてできるものなのか、あるいは政策を推進するためにも、そういう作業はシャドーワーク的にでもやっておいた方がいいと考えるのか、その辺の判断が私にはつきかねているんです。その辺は皆さんどうなんですか。多分事務局が一番つらいんだろうと思うんですけれども、やっていったら今の障害者の見方を全部変えなければならないことになるわけです。先ほど哲学とか文化と言いましたけれども、要件それ自体が根本的に変わってしまうわけです。

○藤田委員
 すぐに全部を変える必要があるとは私は思わないんですけれども、例えば視力障害についてはこの部分はICFのこのコードです、ここは全然ずれていますという対照表があるということだけで、例えば今後統計をとりましょう、WHO自身もICFの統計を求めていませんが、そういう動きになったときに、日本から出せるデータはここまでですというのは言いやすいですね。ずれがあるところを今後修正するかどうかは、またそれぞれの部会の中で考えていただければいいかと思うんですけれども、世界の標準としてICFが動いている中で、日本とどこがずれているのかという対照表をつくるところまでは、やっておいた方がいいのではないかと私は思っています。

○大川委員
 例えば障害者関係とか高齢者関係、その他のいろんな評価、例えば障害等級、要介護度は、それを生かす何らかの施策やサービスとの関係で認定するわけですから、それは淡々と統計としてとっていくことと次元が違うと思います。勿論統計というのも目的があってやるわけですが、ほかの施策に利用するためのことまでは、ある程度の意見までは述べていいのかもしれませんけれども、そこの線引きはきちんと考える必要があるのではと思います。
 従来の厚生統計をみても、障害関係、国民生活基礎調査などを、ICF的な視点で見れば追加した方がいい項目があることは確かです。統計情報部でやっていらっしゃることに関しては、かなり積極的に意見を申し上げてもいいのかなと思いますし、ほかの部局やほかの省庁に関係することは、事務局でも御判断いただきながら、いい方向に持っていけるための基礎資料は、議論してもいいのかなとは思います。今日も何度も出てきていましたが、この委員会でどういう立ち位置で何を議論するのかというところにも、関係している話かと思いますが、この委員会の発足時統計への活用の検討が重視されたわけですが、どうも臨床的活用の方に比重が行き、それを、正しい活用の普及と統計という発足時の目的にそろそろ戻ろうかなという時期なのかもしれません。

○大橋委員長
 ありがとうございました。やはり2つあるんだと思います。統計的にどうするのかという側面と、普及啓発をしていくという部分があるわけで、統計的なものをどう使うかというのは事務局的にかなり整理し、限定したとしてどの範囲でやれるか、作業スケジュールみたいなものを少し考えていただくと、委員会としてはやりやすいかなという感じは正直なところするんです。その中に今、藤田委員が言われたように、どの部分を最初に重点的にやっていくかを入れてくださると、委員会としての性格も1つ明確に見えてくる。そちらの軸がきちんとしていて、一方で普及啓発ということになると、この専門委員会の持つ意味というのが、立ち位置も含めて見えてくるということかもしれません。そんなところでよろしゅうございますか。今すぐどうだというのは思い浮かばないのですけれども、何か藤田委員、ありますか。

○藤田委員
 これは非常に大きな問題なので、ここでそういう認識になって、今後も討論しようというふうになったことは、私はすごくいいことだと思います。

○大橋委員長
 それでは、そういうことも含めて事務局の方で少し整理をしていただくということでよろしゅうございましょうか。ありがとうございました。
 それでは、議題2のトロント会議報告を基にした御意見を、今のとりまとめで終わりにさせていただきまして、ほかに何かございますか。

○大川委員
 ICFに関する情報をなるべくみんなで共有した方がいいだろうという意見も今日出ましたのでご紹介ですが4月の医学会総会でICFをテーマにうたったパネルディスカッションがICFとリハビリテーションというテーマで開かれます。シンポジウムのときにはPTはICFを使っていないとの批判が演者2人から出ましたが、これはPT協会による設定です。私も演者です。
 また、先週、ちょっと意外に思われるかもしれませんが、集団災害医学会でスーパー広域災害でどう対応するのかというシンポジウムで新しいターゲットとして生活機能という観点で対応すべきだという話をさせていただく機会をちょうだいしましたらば、非常に賛同を得まして、会長講演のときにも、今後は生活機能という観点で災害医療ももっと人をとらえるべきだとお話いただき、生活機能をこのような領域でも、重要性を認識していただくようになったことはいいことかと思いました。
 以上です。

○大橋委員長
 今、出た医学会総会は日本保健医療福祉連携教育学会もセッションを持って、ICFに絡むことをやります。それはメインはないですけれども、やるということなので、医学会総会でもICFというものがかなり論議されるようになってきたということですね。
 ほかにはいかがですか。

○岩佐委員
 
私は発達障害を専門にしていますが、発達障害に関する障害の概念、つまり「障害とは何か」という命題の意味が今非常に問われていると認識しています。障害概念のパラダイム転換ともいえます。diseaseと考えられていた時代から、今はアメリカ精神医学会の方でDSM‐?に向けて今ドラフトというものがつくられているんですが、そのドラフトを見ますと、自閉症スペクトルでは自閉症の症状の定義があり、それが毎日の生活機能をリミットしているという項目が入りそうなんです。だから、ただ症状があるだけでは診断ならず、毎日の機能にリミットがある場合にはじめて診断がつくということになりそうで、DSM-?からDSM-?にかけてかなり大きな変化の一つであり、身内でもかなり議論しているところなんです。
 つまりICFの生活機能という観点が、精神科医が診断する際に1つのよりどころとしているDSMにも概念として入ってきている感じがして、そういう意味では精神科医はすべからく生活機能とは何かということをきちんと知らないと、本当の意味での診断が難しい。それぐらい発達障害のすそ野が広がってきていて、障害に関しての概念が広がってきている。そういう非常にスピードが速い中でコンセンサスを得ながらやっていく難しさを感じた次第です。

○大橋委員長
 ADHDだとかLDというレベルの部分というのは、まさに生活上どういう問題があるのかというところがよくわからないと診断しにくいんでしょうね。

○岩佐委員
 まさにそうですね。診察室の中だけでの症候では診断ができないというのは明らかになってきていて、そこら辺が本当にスピードが速い感じがします。

○大川委員
 非常に大事なことをおっしゃっていただいたと思います。symptomとimpairment、症候と機能障害を混同していることが非常に多いんです。我が国の先ほど出た認定でも症候と機能障害中心になり易く、また一見活動のようでも“できる活動(能力)”で実生活上の状況である(実行状況)は軽視されているので、今おっしゃったことは非常に重要な観点だと思いました。それが非常に格の高いところにきちんと明記されることは、大きな方向性を示すものではないかと思いました。


○大橋委員長
 今の問題は本当にきちんと整理していかないと、文部科学省の学校の先生方だって苦しんでいる。学校教育現場での発達障害の問題というのは、まさにそこです。

○岩佐委員
 私もそのように認識しております。先生だけではなくて親御さんもそうだと思います。私の経験で言えば、診察室での親御さんとの話はかなりの割合で「障害というのは何か」という話を親御さんとしております。その中で親御さんは悩んではおられる方が多い。診察室に来る人は、さてこれを障害と言っていいのか悩んでいることが多くみられます。これは一つには、障害という言葉が日本語としては非常に古くてスタティックで、変わらないというか、そういう印象が強過ぎることによると思います。診察ではそこをどのように親御さんと話していくかというのにかなり労力をとっております。
そういう私の経験をふまえ、この専門委員会の中で障害をどう扱っていくか。先ほど委員長もおっしゃったように統計の話は単に統計にとどまらず、障害って何というそこら辺の話を抜きにして語れないというのは、私も非常にそうだなと思いました。大事な話だけにどこから手をつけようかなというところが、これから皆さんと一緒に私も考えていきたいと思いました。

○大橋委員長
 ありがとうございました。大日方委員、どうぞ。

○大日方委員
 今の話を聞いていて、まさに私が言いたかったところを言っていただいたなというところで、障害って何というところに、私が普及とこだわって申し上げているところというのは、最近私は仕事柄、民間の企業ですのでほかの企業の話をすること、あるいは学術的な分野ではなく、新しい障害とか健康などをどうとらえていったらいいのかということに関する関心の強さというのは、すごく話をするたびにいろいろなシチュエーションで出てくるんです。何かICFというものがあるらしい、障害者とか健常者という考え方がどうも違うらしいという、そこまではわかるんだけれども、そこから先が大川先生がおっしゃるように必ずしも正しくない理解であったというところがあって、ただ、よかれと皆さん思って画期的なものだよねと考えて、肯定的にとらえている人が多いんです。その中で一番かぎになるのは障害者と呼ばれたくない。
 これはオフレコになると思いますけれども、昨日もたまたまある方と話していて、高齢者問題の話になって、日本は将来4分の1が高齢者になります。そういう状況になったときにという話になったときに、高齢者でも当然要は足が痛い、膝が曲がらないという機能障害は出るんですが、でも障害者とは呼ばれたくないとさらっと皆、言うんです。年をとっても障害者と呼ばれたくない。それだけ日本において障害者という言葉が悪い色というか、マイナスなイメージがつき過ぎている言葉なんだろうなと思っていて、私なんかはいろんなところで講演をさせていただくときにも、障害者と健常者との違いはとか、壁を越えてとか、そんなものないと言いたいんですけれども、それだけ差がある、見えない壁があるのは現実なんだと思うんです。
そういうところをICFの哲学というようなおっしゃり方であったりとか、障害者問題の枠組みを変えるというのがありましたが、そういうところも役割ではあると思いますし、そこがしっかりしていくと、それは決して対立するものではないと思うんです。統計上の活用をしっかりとしていくことによって、もしかしたら今まで障害者と認識していた人はそうでもない、あるいはもっと増えるのかもしれないとか、そういうアプローチの仕方もあるでしょうし、しっかりとICFの考え方を広く伝えていく。それはいろいろなレベルで先ほど大川先生がおっしゃったような初級、中級、研究者レベルみたいなものとも相容れるものでもあり、ただ、我々が迷っているのはどこまで手を出していいんだろうかということと、何ができるんだろうか、どこまでできるだろうか、多分そういうところかと思いますので、もう一度その辺りのところを整理していただくと、我々も動きやすいのではないかと感じました。
 以上です。

○大橋委員長
 ありがとうございました。とても大事な問題でございますね。
ICFというのは従来の見方を変える哲学、文化を持っていると私は思っているわけで、だから普及ということをすごく大事にしておきたい。だけれども、それを変えるということはなかなか大変なことなんです。今、言われたとおりでございます。特に発達障害の人たちをどう考えるかというと、発達障害という言葉を使うのかというのは私も法律ができたときから随分気になっていまして、いつまでも障害という言葉で言わなければいけないんだろうかと、そんなことを考えたこともあるので、人間一人ひとりの生活機能をどう考え、支援していくかというのは大事なことだと思います。
 さて、今日、議題で予定していたことは以上で終わりましたけれども、よろしゅうございますか。次回は大体いつごろの予定のなんですか。もし考えるとすれば早めにやらなければいけないし、ただ、事務局の全体のスケジュールもあるので、少し検討していただいて、やるなら早めにやりましょうということで、よろしくお願いいたします。
 課長から何かあいさつはありますか。

○事務局
 たくさん貴重な御指摘をいただきましたので、しっかりと検討をさせていだきたいと思います。

○大橋委員長
 それでは、これで今日はおしまいにいたします。どうもお疲れ様でした。ありがとうございました。


(了)
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統計情報部企画課国際分類情報管理室

疾病傷害死因分類係: 03-5253-1111 内線7493

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