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2010年11月25日 第3回レセプト情報等の提供に関する有識者会議事録

○日時

平成22年11月25日(木)10:00~12:00


○場所

厚生労働省6階共用第8会議室


○議題

1.統計法における匿名データの提供について
2.データ提供にあたってのポイント
3.ガイドラインのポイント(個票情報・集計表情報)

○議事

○城室長 おそろいでない委員もおられるんですけれども、お時間ですから、よろしゅうございますか。宮島委員については遅れるという御連絡をいただいていまして、ほかのお二方はまだお見えでないんですが、もうすぐ来られると思います。
 それでは、お願いします。
○開原座長 それでは、ただいまから第3回「レセプト情報等の提供に関する有識者会議」を開催いたしたいと思います。委員の皆様には、本日は御多忙の折、お集まりいただきまして、大変ありがとうございました。
 今、ちょっとお話がありましたけれども、本日の委員の出欠状況について、事務局の方から確認をよろしくお願いいたします。
○城室長 本日は、大久保委員、新保委員、田中委員、濱島委員が御欠席。
宮島委員からは遅れるという御連絡をいただいています。ほかのお二方は、もうじき見えられると思います。
 代理の方は、今日はございません。
 ほかの委員の方は御出席でございます。
○開原座長 どうもありがとうございました。
 最初に御紹介をした方がいいかもしれませんが、今日は総務省の方から高田調査官に御出席をいただいております。これは後で議事の中で改めて出てまいりますけれども、総務省のことをいろいろお教えいただこうということで、特に今日は来ていただいたわけでございます。
 御紹介をいたします。高田さんです。
○高田調査官 総務省の高田でございます。本日はよろしくお願いいたします。
○開原座長 それでは、早速でございますが、議事に入らせていただきたいと思います。
 まず、今、御紹介をいたしましたけれども、資料1に基づきまして、総務省統計局の方から、匿名データの提供について具体的にどういうふうにしておられるかということを御説明いただきたいと思います。匿名の問題というのは、この有識者会議でも大変重要な問題でありますので、ほかのところでどのようにしておられるかということは、我々にとっても大変参考になるということでお願いをしたわけでございます。
 それでは、どうぞよろしくお願いいたします。
○高田調査官 御紹介いただきました総務省統計局で調査官を務めております高田と申します。
 先ほど、座長からお話がございましたけれども、私もレセプト情報の提供に関する有識者会議の会議資料などを拝見させていただきましたが、なかなか大変かつ重要な課題を御研究なさっているなと思いました。
 私ども総務省統計局では、実は昨年4月から、匿名データの提供を始めたところでございまして、まだまだ経験が少ないところもございますけれども、皆様方の御研究の何かのお役に立てればと思いまして、参上つかまつった次第でございます。
 それでは、お手元の資料1「総務省統計局における匿名データの提供について」に従いまして、私の方から簡単に御説明させていただきます。
 2ページです。私どもの統計調査を規定しております法律は統計法でございますけれども、そこで匿名データがどのように位置づけられているかというところから御説明したいと思います。
 この統計法における匿名データというものは、先ほども申し上げましたけれども、ごく最近導入されたものでございまして、統計法自体、昨年4月に抜本的に改正いたしました。もともと戦後すぐに統計法は制定されまして、それまではどちらかというと政府が情報を抱えていたものを、国民の皆様に統計をきちんと利用していただこうということで、重要な統計については回答の義務をかけて、きちんと回答していただく。ただ、それについては政府の方で抱えることなく、きちんと公開していきましょうという形で統計法は始まったわけですけれども、時代が経つに従って、いろいろ世の中のニーズも変わってきた。
特にそれまでは、行政の方で統計をつくって、いろいろ行政目的に活用してきたんですが、それだけではなく、社会の皆様にもっと統計を使っていただこうと。それまでは行政のための統計というところが大きかったんですけれども、社会全体のために統計を役立てていただこうということで、60年ぶりの大改正ということで統計法を改正いたしました。その中で、社会のための統計ということで導入された大きな柱が、この匿名データであったわけでございます。
統計法の初めに規定がございまして、匿名データをどのように定義しているかと申しますと「一般の利用に供することを目的として調査票情報を特定の個人又は法人その他の団体の識別(他の情報との照合による識別を含む)ができないように加工したもの」としてございます。
 先ほども申し上げましたように、私どもはいろんな統計データを集めてくるわけでございますけれども、それをそのまま世の中に出してしまいますと、どういう方がどういう回答をしたかということがわかってしまう。それは回答される側にとっては非常に心理的な抵抗がございますし、きちんと秘密は守るから正直に答えてくださいねと私どもは皆さんにお願いして、回答をいただいているわけですから、それをそのまま出すわけにはいかない。ただ、世の中で使っていただくためには、我々がつくっている集計表だけでは、なかなかニーズに対応できないところもございますので、そこの折り合いとして、統計的に処理するところは残しましょう。ただ、その調査票情報を見て、特定の個人、これはこの人が答えたんだとはわからないように加工しましょうということで、そういう特定の個人が特定できないように厳格にしてございまして、その調査票を見ただけでわかるというものではなく、ほかの情報と照合しても、いろんなことをやってもだれが答えたのかわからないようにきちんと処理をした上で、いろんな方に使っていただこうという制度でございます。
 3つ目の○に書いてございますけれども、そういう匿名化の加工のためにはどういうことをする必要があるかと申しますと、直接的な識別情報というテクニカルタームを書いてございますが、それだけを見て、どの人がこの回答をしたというのがわかるような情報、例えばお名前や住所などを見れば、このデータはこの人が答えたとわかってしまう。それは絶対に消さなければいけない。これは最低限の処置でございます。
 ただ、それだけでは不十分でございまして、ぱっと見て、ほかの個体と識別が簡単にできてしまうような情報、例えば私どもですと、世帯対象の調査をやってございますので、調査票の中には家族が何人いらっしゃいますかということを書いていただくわけですけれども、10人や20人という大家族でございますと、多分あそこのおうちではないかということがわかってしまう。あるいは百何十歳という方でございますと、それだけでわかってしまう場合もありますし、どこかの市に住んでいる百何十歳の方というと、あの人しかいないなとわかってしまうとか、ほかのいろんな情報と組み合わせることによって、あの人ではないかとわかってしまうような情報がございます。ここには家族の大きさですとか年齢、あるいは私どもは個人の方の所得を聞く場合もございますが、ある程度所得が高い方ですと、きっとこれは週刊誌のあそこに出ていたこの人に違いないとかわかってしまうこともございますので、そういうことについても、やはり我々としては、匿名データとしてはきちんとそれがわからないようにしなければいけないということで、データを削除するなり、後で御説明いたしますが、いろいろわからないような加工を施す必要があります。これを一般的に私どもは「秘匿処理」と申してございますが、そのような加工を行った上で一般の方に御利用いただいているという状況でございます。
 このようなデータをどのように御利用いただいているかと申しますと、法律の上では、学術研究の発展に資すると認められる場合などに、一般からの求めに応じ、匿名データを提供することにしてございます。
今の制度でございますと、何でもかんでも使っていただくというところまでは、我々は踏み込んでございません。国民の皆様にきちんと回答していただいた貴重な統計データでございますから、たとえそれは個人がわからないように加工してありますよといっても、何でもかんでも使うわけにはいかないだろうということで、世のため、人のためと申しますか、学術研究の発展というところをキーワードにいたしまして、そういう場合には、一般からのお求めに応じてデータを使っていただこうということで、制度をスタートしたわけでございます。
 3ページです。現在、この匿名データはどういうものがあるかといいますと、実はまだ全体の統計から見ると、ごく一部にとどまってございます。
私ども統計局も含めまして、政府全体では「統計」と名前が付くものは200か300ぐらいあると思いますけれども、その中には不定期にしかやらない統計などもございますので、それは除外いたしまして、我々が基幹統計調査と呼んでいる重要な調査に絞って申し上げますと、今、52個ございます。この中には、先日やりました国勢調査や我々が毎月やっている労働力調査や家計調査、そのような統計が幾つかございますが、そういう主なものが52個ございます。そのうち、今、匿名データということで世の中の人に提供しているのは、私ども統計局でやっている4調査だけにとどまってございます。
 4調査しかございませんので、名前を列挙いたしました。
全国消費実態調査。家計調査をもっと詳しくして、各家庭がどういう消費をしているかとか、どういう耐久消費財をお持ちであるかという家計のデータを集めたもの。これは5年周期で調査しているものでございまして、約6万世帯にお聞きしているデータでございます。
2番目が社会生活基本調査。ちょっとなじみがない方もいらっしゃるかもしれませんけれども、皆さんが1日の生活の中で何時間寝て、何時間働いて、何時間レジャーをやってという社会生活の中でどういう時間を生活に割り当てているかという調査でございます。これも5年周期でございまして、標本サイズは先ほどとほぼ同じ8万世帯にお聞きしています。
3番目が就業構造基本調査。これは皆様が一体どういう仕事に就いておられるか、あるいは仕事を持っていない方ですと、どういう理由で仕事をしていないのか。仕事をしている人については、どういう職業やどういう産業のところで働いていらっしゃるかということお聞きしている調査でございます。
最後4番目は、住宅・土地統計調査と申しまして、それぞれの方がどういうおうちに住んでいらっしゃるかとか、家の構造ですね。部屋が幾つあってとか、水洗トイレがちゃんとあるかとか、家の設備などを聞いているものでございます。こちらの調査は標本サイズが大きゅうございまして、350万世帯にお聞きしているものでございます。
 以上、この4調査についてのみ、今、匿名データの提供を行っている状況でございます。
この4つで終わるかといいますと、我々も制度が始まってまだ1年しか経っていないところでございますので、今後広げていこうと思ってございます。ただ、その中で幾つか無理だなと思われるところがございまして、2つ書いておきました。
 まず、先ほど申し上げましたものは、私どもが世帯の方を対象に調査しているものでございますけれども、一方、それ以外にも企業を対象とした調査というものも世の中には幾つかございます。経済産業省さんがやっている工業統計調査などが代表的なものになりますが、企業を対象にした統計調査といいますのは、なかなか世界的に見ても匿名化して世の中に提供するのは非常に難しいと言われております。
なぜかといいますと、企業を対象とした調査を少なくとも研究者の方に使っていただくためは、その企業はどういう業種であって、どれぐらいの規模、例えば売上高が幾らであるとか、従業員が何人いらっしゃいますかということは、ある程度わからなければ全く役に立たないデータでございますけれども、その2つぐらいのデータ、あるいはもうちょっと幾つかあってもいいですが、有用なデータを入れようとすれば、すぐ会社の名前がわかってしまう。例えば愛知県にある自動車会社でとても規模が大きいというと、大体あそこだなとわかってしまうということがございまして、企業データの匿名化というのは、非常に技術的にも難しいと世界的にも言われていまして、私が知る限り、余り世界でも企業対象の匿名データというものを提供している国はないのではないかと思います。
2番目。それは無理だとすると、世帯対象の統計調査でどうだろうということになりますけれども、これにつきましても、後で御説明いたしますが、いろんな処理をしなければ個人がばれる恐れというのはかなりございます。どういう処理を行うかというと、最終的にはそれぞれのデータを見て個体がばれる危険があるから処置しなければいけないということで、結構最後は1個1個処理をするようなところがございます。匿名化コンピュータソフトみたいなものがあって、ぽんとデータを入れるとたちどころに匿名データができるというものではございませんで、最終的にはそれぞれの統計調査、本当に最後はそれぞれのレコードを見て、これは危ないから削除しようとか、加工しようという判断をしなければいけない部分がございます。
 そういうこともございまして、今のところは4調査にとどまっているところがございます。私どもも来年度はもう少し増やそうとは思いますけれども、そういう事情がありまして、多分すべての統計調査を匿名化するわけにはなかなかまいらないのかなと考えてございます。
 3番目の○に書きましたけれども、匿名データの作成に当たりましては、私ども統計局でつくるだけではございませんで、統計委員会という私どもの審議会への諮問が法律上定められております。統計委員会に諮問する目的といたしましては、先ほど申し上げましたように、匿名データは個人が特定化できないようにきちんと処理しなければいけないということなので、統計局が処理したものがきちんとその目的に合致しているか、ちゃんと個人がばれないように処理しているかというところを審議していただくわけでございますけれども、統計委員会の中には経済学者の先生ですとか、そういう潜在的な匿名データのユーザーもいらっしゃいますので、そういうふうにつくられた匿名データがちゃんと研究の役に立つかという観点からもいろいろ御審議いただいているところがございます。
 4ページです。匿名データをどのようにつくるかということについて、簡単に御説明したいと思います。
先ほど、匿名データというのは個人が特定できないようにさまざまな処理をしなければいけないと申し上げましたけれども、どういう処理をしているかということにつきまして、私どもが今やっている処理、あるいは私どもは採用してございませんが、世界的に見てやっている処理を御紹介いたします。
 マル1といたしまして、先ほどもこれは絶対やりますと申し上げましたが、それだけを見て個人がわかってしまいます直接的な識別情報と私どもは申しておりますが、それはレコードから削除してしまうということでございまして、特にお名前や住所などについては、データから消しておくということがございます。
 マル2といたしまして、リサンプリングと申す手法がございます。これはもともとの統計調査のデータすべてを匿名データ作成に用いるのではなくて、再抽出というか、ある程度間引きして、それから匿名データをつくろうということでございます。ある意味、統計調査に当たったかどうかというのは、一応名簿はきちんと秘密の保護ということで守っていることにはなりますが、仮に統計調査員をやった人が匿名データを借りると、どこの家庭が統計調査に当たったかというのがわかる部分がございますし、あるいは外見から、あそこには調査が行っているなというのがわかる場合もあるかもしれないということで、すべての統計調査を使ったら、この中にあの家庭は絶対入っているなというのがわかるんですが、ある程度間引きした状態でございましたら、似たようなレコードがこの匿名データにあって、これは抽出した結果で、ほかのところの家庭かもしれないという心理的な安心感もございますし、こういうリサンプリングという方法は、日本だけに限らず、世界的にも結構使われている手法でございます。
 私どものデータでは、先ほど申し上げた4つの統計調査のうち3つ、済みません「全消」と略語を書いてしまいましたが、全国消費実態調査でありますとか、社会生活基本調査、就業構造基本調査など、もともとサンプル数が少ないデータにつきましては、80%という高いリサンプリング率を使ってございます。ですから、全国消費実態調査ですと、もともとのサンプル数が6万世帯ございますので、それの8割を抽出して使うということで、4万8,000ぐらいの世帯でデータをつくっている。
 最後の住宅・土地統計調査につきましては、もともとのサンプル数が多いこともございまして、こちらは安全面といいますか、間引き率をかなり低くしておりまして、10%抽出したものを匿名データに使ってございます。
 マル3といたしまして、裾切りと書きましたけれども、特徴的なデータを持っているものでございますと、その数字を見ただけで個体がかなりわかってしまうリスクがございますので、そういうものについても加工しなければいけない。先ほど、大家族は外から見て結構ばれてしまうリスクが高いと申し上げましたけれども、我々も実際そのように考えてございまして、今、我々のデータでは、世帯員数が8人以上の御家庭についてはばれてしまう可能性があるということで、これを加工してございます。
 加工の方法といたしましては、例えば世帯員数10人のものを8人ということに塗り替えてしまうという方法もございますが、そうしますと世帯の中で個人の方のそれぞれの収入が幾らあってというデータも使うことがございますので、世帯員数だけを直してしまうと、データとして意味をなさなくなってしまいます。そういうこともございまして、ここはデータに偏りが出てしまうことはございますが、8人以上の世帯については、そのレコード自体を削除してしまうという方法をとってございます。
 なぜ8人以上という基準を設けたかといいますのは、外国の例とかをいろいろ調べたんですが、アメリカで統計をつくっている商務省のセンサス局というところがございまして、そちらの文献などを調べると、そういう偏りのあるデータについては、上の方、下の方、端っこの方、0.5%ぐらいは切るというガイドラインを採用しているところがございますので、私どももそれに従って8人以上については切ってしまうということにいたしました。
 マル4といたしまして、マル3と似ているところがございますけれども、トップコーディングあるいはボトムコーディングと呼ばれている手法がございます。極端に大きい値、小さい値は、それだけで個体がわかってしまう場合がございますので、それは上限値あるいは下限値を設けてそこで切ってしまうということでございます。具体例で申し上げますと、超高齢者。先ほどもちょっと申し上げましたけれども、それについてはばれてしまう可能性があるということで、こちらにつきましても0.5%のところで切ろうということで、年齢については85歳のところで切ってございます。
 こちらについては、データをそのまま削除するということではございませんで、できるだけ元のデータを生かそうということで、85歳以上のところについては、85歳以上という1つのカテゴリーにまとめまして、90歳の人についても、100歳の人についても85歳以上というグルーピングをして、そういうコードの付け替えをしているという処置をしてございます。
 マル5といたしまして、リコーディングです。これも先ほどの年齢と似たところがございますけれども、細かい数字につきましては、それだけでばれてしまうリスクがかなりございますので、そういうところについてはまとめてしまって、粗くくくってしまうとか、金額のような連続値についてもまとめてしまうという処置でございまして、例えば年齢につきましては、85歳以上はまとめて1個のグルーピングにすると申し上げましたが、その下の年齢についても、5歳階級でまとめて表示として、新たなコードを付け直しているところでございます。あるいは地域区分についても、何々県何々市まで出すとわかってしまうところがございますので、そちらについても統合して、粗く分類しているところがございます。
 今の私どものデータですと、先ほど申し上げた4つのうち、データ数の少ない3つにつきましては、地域区分を2つにまとめてございます。3大都市圏とそれ以外ということで、非常に粗いくくりになってございますが、2区分。住宅・土地統計調査につきましては、もうちょっと細かいデータが出せるということで、都道府県までコードを付けてございますけれども、いずれにせよ、かなり地域状況については、外から見ると簡単にわかってしまうデータでございますので、かなり粗い区分にしているというところがございます。あるいは連続値ということでございますと、例えば世帯の収入金額を聞いているものもございますが、それについても実額を入れるのではなく、100万円区切りのような階級値で示してございます。
 我々はこのような処理を行ってございますけれども、諸外国で幾つか採用されているが、我々が採用していないものとして、2つ御紹介しておきます。
 スワッピングという手法がございまして、ここで書いてある言葉ですとなかなかわかりにくいかもしれませんが、2つのレコード間で一部の調査事項を入れ替えるということでございます。ここは医療関係者の方が多いので、適切な例かどうかわかりませんが、男性の看護師の方というのは、まだまだ日本には少ないところがございます。そういうデータが含まれていて、男性で職業が看護師の方、あとは年齢が幾つかというのがございますと、結構それだけであの人ではないかと絞られてしまうところがございます。それをどうやって防ぐかということで、アメリカなどでは結構行われているものでございますが、似たようなデータで、例えば女性で会社員で年齢も似たようなところでというデータを持ってきまして、職業のところだけ取り換えてしまうんです。そうすると、全体の平均値ですとか、そういうものを見ると、あたかも元のデータと同じなんだけれども、細かいところを見るとちょっと違うということで、男性で会社員ならかなりいらっしゃるだろうということで、その個人は特定できないという形で、個人がばれないような処理をしているというものがございます。
 ただ、これはお聞きになって、こんなことをやっていいのだろうかと思う先生方はいらっしゃるかと思いますけれども、平均値などではそういう偏りは出ないんですが、例えば多変量解析とかをすると元とは違う結果が出るんですね。ただ、そうなんだけれども、そういう処理をするデータというものは、全体のうちごくごく一部だということがあるので、そういう処置を一部認めているという国もございます。勿論、そういう処置をしているということは、研究者の皆さんに個別にどのデータをひっくり返したかということは言いませんけれども、こういう処置は一部のデータについて施していますよという御理解をいただいた上でやっているものもございます。
 あるいは誤差の導入ということで、私どもの調査では、例えば年間収入とかを聞いているのでございますが、それについてなかなか収入金額というのは人にも知られたくないデータでございますし、いろいろ隠す方法を考えなければいけない。先ほど、階級値にして、100万円刻みでどこそこに入っているという形でリコーディングする方法をお話しましたけれども、それ以外にも、誤差項を導入するというものがございまして、例えば年間収入630万円だよというお答えをした人に対して、統計で言うホワイトノイズですね。乱数で発生させたノイズを加えまして、例えば630万と答えた方に対して、誤差5万円足して、635万円ですよという形で加工して、データを出している。そうなったら、仮に何かの拍子のその人の年収を知っている人がいて、あの人の収入はこれとちょうど一致しているから、この人に違いないとばれてしまう恐れもありませんし、あるいはほかのデータからその人だろうなと思ったものに対して年収がわかってしまうということも防げるわけでございます。
 あるいはユーザーの方からいたしましても、完全に乱数で発生させた誤差項でございますと、例えば回帰分析をするときも、回帰分析の係数の有意性がちょっと落ちるけれども、統計学で言ういわゆる一致推定量にはなる。統計学的にはある程度誤差があっても、それほど有用性は落ちないということで、こういう方法も取られている国がございます。ただ、日本ではといいますか、我々が匿名データ提供に当たっては、こういう方法も外国等であるんですがどうでしょうと、いろんな研究者の方にお聞きしたんですけれども、スワッピングですとか誤差の導入というのは、データをいじるのは勘弁してほしいなという声もございましたので、私どもでは取り入れていないということでございます。
 簡単に幾つか匿名データの作成方法をお話いたしましたけれども、それぞれにつきまして、これをやれば大丈夫だということが決まっているわけではございません。どちらかというと、最初に申し上げましたように、個々のデータについてそれぞれどういう手法をとればいいか。1個の手法ではなく、我々は先ほど申し上げた手法を全部組み合わせて使っているわけでございますが、そういうものを組み合わせた上で危ないデータはないか。危ないデータがあればどういう加工をするか、あるいはそのレコード自体削除してしまうということで、かなり1個1個のデータを確認するような作業を積み重ねていって、何とか匿名データということで提供しているというところがございます。
 5ページです。そういう匿名データをどのような形で提供しているかという、私どもの体制について、簡単に御紹介したいと思います。
 これは入り組んでございますけれども、実はこの匿名データ提供に当たりましては、私ども総務省統計局だけではございませんで、我々の所管になります独立行政法人統計センターというところにも御協力をいただいてやってございます。大きな枠組みといたしましては、私ども総務省統計局で全体の仕組みでございますね。どういう匿名データを提供しましょうとか、あるいはどういう審査をしましょうという制度といった、全体の仕組みのような検討を統計局でやってございます。私がいる調査企画課でやってございまして、人員的には2人おるんですが、実はこの匿名データだけに関わっているわけでございませんで、ほかの業務がかなりございます。そういうこともございまして、統計局では、余り人的配置ができていないところがございます。
 では、実際の提供の実務はどこがやっているかといいますと、先ほどお話しいたしました独立行政法人に事務を全部委託するような形になってございます。委託された統計センターにおきまして、提供に関する具体的な実務、利用者の皆さんから連絡をいただいて、こういうデータを使いたいんですけれども、そういう分析はできますかというところから始まって、できるとなったら、どういうふうに手続をとればいいのか、どういう申請書を書けばいいのかという相談。実際に申請書を受け付けて、それがきちんと目的にかなっているかという審査をして、審査でOKということになったら、実際にデータを複製してさし上げるわけでございますが、そういう一連の流れを統計センターでやっております。
 統計センターの中に統計データ高度利用推進室という部屋がございまして、部屋全体としては9名配置しておりますが、そのうち提供の実務に関わっているのは2名程度でございます。この2名も実は匿名データ提供だけに関わっているわけではございませんで、私どもは匿名データ以外にオーダーメード集計という制度を持ってございまして、それも併せて提供ということでやっているという状況でございます。
 実際どれぐらい利用件数があるか、こちらには書いていないんですけれども、簡単に御紹介いたしますと、最初の年21年度は、まだ制度がスタートしたばかりでございましたので、利用件数は余りございませんでした。匿名データで提供したのは年間で20件、オーダーメード集計で4件ということでございました。ただ、制度がだんだん世の中に知れていくに従い件数が増えてきまして、本年度で申し上げますと、4~9月の状況だけで20件ございました。だから、大体倍になっているという状況でございます。上半期で20件ですから、月に直すと大体3、4件でございます。そのような審査をやっていることになりますけれども、それだけではなくて、実は結構こういうことができるかという相談が来るわけでございます。
 後で厚生労働省の方からもお話がございますけれども、結構問い合わせの件数がございまして、月20件ぐらいある勘定になります。そういう照会への対応も含めまして、今、この2名でこなしているという状況でございます。
 あとは技術的研究と申しますか、先ほど申し上げました将来的にもっといろんなデータを匿名化して提供しようという動きがございますので、その研究をやらなければいけない。その研究については、我々統計局とか、先ほど御紹介した統計センターのところにも研究部門がございます。そういうところと力を合わせてやっているという状況がございます。こちらについては、なかなか何名が実際にその研究に携わっているのかということが難しいので、人数は特に書いてございません。
 最後に書いておきましたけれども、この匿名データ制度につきましては、連携協力機関というものをつくってございます。この匿名データ提供は、実際は統計センター。場所は東京都新宿区にございますが、そちらにいろいろメールや電話で問い合わせをいただくんですが、なかなか物理的に離れている遠くの先生ですと、メールではまどろっこしいところがある。もっと身近に相談できるところがないかということで、私どもはいろんな大学と連携いたしまして、大学の方でそういう相談のようなことをやっていただければということで、協力の締結をしているところがございます。
 現在、ここに書いてございます一橋大学、神戸大学、法政大学、情報・システム研究機構というのは、立川にございます統計数理研究所という組織の上部機関でございますが、こういうところが、今、実際研究者からの相談を受け付けて、いろいろ相談に乗っていただいている。ただ、実際の提供の審査をやるのは統計センターになりますが、その入口業務のところでお手伝いいただいているという状況がございます。こういう形で匿名データ提供をしているわけでございます。
 結構時間を食ってしまいましたので、最後さっとお話しいたしますけれども、匿名データは、先ほども申し上げましたように、昨年4月から始まったのでございますが、いきなり一朝一夕にできたというわけではございませんで、いろいろ準備期間がございました。
 統計法が抜本改正される前は、以前この研究会でも御紹介があったと思いますが、統計調査の調査票情報は全く使えなかったというわけではございませんで、一定の手続をとれば、例外的に使用することはできました。私どもは目的外使用制度と申しておりましたが、厳格な手続を経た上で利用することは、実は可能であったわけです。ただ、それが非常に厳格でございまして、例えば行政機関で白書を書くときにデータを使わなければいけないとか、あるいは役所の研究プロジェクトというものでお使いいただく場合もございました。一般の研究者にもいろいろ手続を踏んでいただければ、公的研究でこのような社会の役に立つと証明でもいただければ、我々はデータをお貸ししていたわけですが、なかなかその手続が煩雑であるとか、審査に時間がかかって面倒くさいという不評が多うございました。私どもはそんなつもりはないんですが、なかなか不便で使いにくいというお声がございました。
 そういうこともございまして、実は1995年ぐらいから、世の中でもっと手軽に使っていただこうという動きはございました。そのころ統計審議会というものがございましたけれども、こちらの答申の中で、標本データという言葉を使ってございましたが、今でいう匿名データでございます。こちらについて、おおむね2~3年を目途にいろいろ研究をしてくださいという答申をいただきまして、これを受けて、私ども統計局でいろいろ研究を行うとともに、いろんな大学を巻き込んで、研究者の方とも研究を行ってきたわけです。
 次の年、1996~1998年におきましては、一橋大学と協力して研究をいたしました。法律上どういうことをクリアーすればそういうデータが提供できるかとか、どのように処理をすれば個人の秘密がばれないかという技術的な問題を研究いたしました。
 2000~2004年にかけましても、私ども所管の財団法人で幾つか研究をいたしまして、こちらはデータの秘匿処理、先ほど申し上げましたが、いろいろ加工して、個人の情報が漏れないようにしたものでございますけれども、それが厳格過ぎますと世の中の研究に余り役立たないデータになってしまう。そこの兼ね合いですね。どこまで秘匿をすると使えるデータにきちんとなっているかとか、使い勝手の研究をいろいろいたしたものがございます。
 そういうものも含めまして、最後、一橋大学で2004年度から研究したものがございまして、これは試行的な提供と申してございますが、ある程度こういう秘匿処理ならばデータ提供できるだろうというものを踏まえまして、実際の研究者を公募いたしまして、幾つか使っていただく。手続面も含めまして、いろいろ検討したというものがございまして、132件と書いてございますが、いろんな方から、これならば制度的にもやっていけるだろうというお話をいただいております。そういうものも含めまして、いろんな委員会で統計法の改正の御提言をいただき、統計法を実際に改正し、昨年4月から、実際制度として匿名データの提供を開始したところでございます。
 ちょっと予定時間を過ぎてしまったかもしれませんけれども、以上でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
○開原座長 どうもありがとうございました。せっかくの機会でございますので、もし御質問等があれば、高田調査官の方にお願いしたいと思いますが、いかがでございましょうか。
 私から1つ伺ってもよろしいですか。この考え方の基本的なことなのですが、まずはデータの方を匿名化したり、それを例えば集積したりと、データの方から考えていくという考え方だと思うんですが、一方で利用者の方から考えていくという考え方もあるのではないかと思うのです。利用者の方を言わば分類するというと言葉が悪いかもしれませんが、こういう人ならばここまで使っていいよと。こういう人ならば集積されたデータしか使ってはいけないよとか、そういう考え方は統計法はとっていないわけですか。
○高田調査官 今の統計法でございますと、調査票情報の提供という、以前からあった制度を引き継いだものがございまして、先ほどちょっとお話しいたしましたけれども、厳格な手続を経て、こういう人にこういう目的でしか使わせないよという形で、先ほど申し上げた行政機関、あるいは行政機関との共同研究、または政府から補助金を得た、文部科学省の科研費のようなものを得て、きちんと公益に資すると認められた研究に対してデータをお出しするという制度はございます。
 また、外国におきましても、先生がおっしゃったような形で研究者を限定して、匿名データではなく、もっと詳しいデータをお出しするという制度はございます。
○開原座長 ありがとうございました。
 稲垣委員、どうぞ。
○稲垣(明)委員 ありがとうございました。1つお聞きしたいんですけれども、52のこういう基幹統計調査があるということなんですが、これらの調査をするに当たって、調査の対象者からあらかじめこれとは目的が違う調査に対して、このように匿名化をした上で利用することがいいということの許諾は得ているのでしょうか。
○高田調査官 結局、統計法という法律でこういう目的で使いますよという形で、国会でもお認めいただきましたので、それをもってということになります。
 また、調査にあたって、この調査票の情報は統計法で定められた目的以外には使用いたしませんとお知らせしてございますので、それを読んでいただければというのが我々の理解でございます。
○稲垣(明)委員 根拠は、統計法という法律だということですね。
○高田調査官 そうでございます。
○開原座長 府川委員、どうぞ。
○府川委員 大変詳しいお話をありがとうございました。最後のページにありました2004~2008年度の試行的提供というところで、132件利用実績があるというお話ですが、もう結果が出ていて、それぞれの研究はどこにでも自由に発表されたのかどうか。結果について、統計局ではそれをどのように見ているのかというか、結果を集めているかどうかも含めて、研究が終わった後の状況についてお伺いしたいです。
○高田調査官 先ほど説明を省略してしまったところがあったかもしれませんけれども、統計情報というのは、世の中の皆様からせっかくいただいた情報でございますから、それをどこかの企業なり研究者が抱え込むのではなく、きちんと結果は世の中に還元してくださいということを義務づけてございます。
 そういうことで申し上げますと、一橋大学でやったものにつきましても試行的な研究ではございますが、きちんと学会誌なり、学会なりということで、世の中に公表してくださいということにしてございます。
それをまとめているかということにつきましては、私ども統計局でそういう制度的な仕組みを持っているわけでございませんけれども、このときにつきましては、一橋大学の社会科学統計情報研究センターの方でウェブサイトをおつくりになりまして、そこで実際の研究例一覧を列挙して、それぞれの論文、発表された場所、著作権法の問題をクリアーされたものについては、その論文自体をPDFファイルの形でリンクを張るということで、基本的に研究成果を皆様に見ていただける形にしてございます。
○開原座長 宮島委員、どうぞ。
○宮島委員 今のことと似たようなことですけれども、公表してくださいとお願いしているということですが、逆に言うと、公表が全くされなかったり、その後がフォローできないようなものがあるかどうかということが1つ。
 あと、件数を見ますと、試行的な提供のときが大体年平均30件でしょうか。今がおっしゃるように月がそのぐらいだというと、増えたと言えば増えたんですけれども、そんなに劇的に増えているわけではないと。御相談は月に20件ぐらいあるということなんですが、その数が当初できれば広がった方がいいと進めたのであれば、この進み方をどう評価されているかということと、相談はあるけれども、なかなかそれが実際の件数に結びついていないのだとすればですが、それはどの辺りにネックがあると思われるかということをお願いします。
○高田調査官 最初の公表していないものがあるかどうかということにつきましては、公表が前提ということでございまして、申請のときにどういう形でいつごろ公表するかというのもきちんと申請していただく。公表しないものは提供しないということにしてございます。
 ただ、制度を発足したのが1年前でございますし、研究というのもなかなか1年では終わらない場合、あるいはそこから学会誌に出しても却下されてしまったりというものが結構あるようでございまして、まだ結果が出ていないものはございますけれども、最終的には全部出していただく。どうしてもどこの雑誌からも却下されてしまいましたということでございましたら、例えばどこかのホームページに出してくださいとか、最終的には私ども統計局の方で引き取って公表しますよという形があり得るのかもしれませんが、何らかの形でこれはちゃんと世の中に還元してください。そのために統計データをお貸ししたのですからということでございます。
 件数につきましては、いろんな先生から、もうちょっと伸びてほしいなという声はいただいてございますし、我々も将来的にはもうちょっと伸びてほしいなというところはございます。
 ただ、これは日本におきましても、東京大学さんでございますと、いろいろデータのアーカイブと申しますデータを集めている機関もございますし、外国にもミシガン大学のようなデータを集めているところがございます。そういうところの話を聞きますと、やはり最初の年は10件ぐらいだった。それがその研究を学会で発表されるのを見て、このデータを使うとこういう研究ができるのかというものを皆さんが見ると、是非私も使ってみようという人が増えてくるらしいです。私どもが利用者の方から聞いても、統計局や統計センターからの周知で知ったという人よりは、研究仲間からこういう制度があるよと聞いたという方が結構多いんです。そういうことで、我々は将来的に口コミで件数が増えていくことを期待していまして、今の件数自体に満足しているわけではございません。今後もっと増えていくことを期待してございます。いろんな場を使いまして、周知に努めていくということになりますが、先ほど府川先生からお話しがございましたが、私どもも今、匿名データを使った研究例につきましては、研究者の方にこれを出していいですかという了解を得た上で、統計センターのホームページにどんどん結果を出していこうと思っています。まだ2つ、3つしか結果は出てございませんけれども、タイトルだけでも載せていただいているものが数十件ございます。そういうものを見て、いろんな方に今後使っていただけるかなと思っております。
○開原座長 ありがとうございました。
 石川委員、どうぞ。
○石川委員 私たちがやりますレセプト情報ということについては、もっとセンシティブといいますか、ナイーブな問題があると思うんですね。特に私たちレセプトを発出する者がこういう場に来ているということについては、実は私たちの個人情報はありますが、もっと裏側に、レセプトの内容の患者さん自身の個人情報ということがありまして、要するに統計法というものの中でこういうものをきちんと運用しているから、患者さんも医療従事者もそこでの情報の利活用については、統計法の中でとか、そういう感じになると思うんです。しかし、患者さんや私たち医療従事者にとっては、そういう根拠法があったとしても、どういう使われ方をするかということについては、そこでの運用といいますか、そこに大変懸念するものがあるわけなんですね。そのときに、例えば今まで一橋大学でおやりになった研究の中で、要するにどういう方たちのこのデータを使わせるのかというところで、現場の人といいますか、患者さん、そういったものをどうやって意見を利活用のところで入れたかどうかということについて知りたいんですが、いかがでしょうか。
○高田調査官 一橋大学のときの研究は、どちらかというとこのデータを利用される方を対象にいろいろ聞いていたという形でございますので、世の中に広く調査票に答えていただいた方の意見を吸い上げるというシステムがあったわけではございません。
 そういうことでいいますと、今、我々は統計法に基づいてやっているわけでございますが、統計委員会の方で1年まとめまして、私どもの匿名データの提供も含めまして、そういう統計制度をどのように運営されたかということで、統計委員会の方で1年経ったところでレビューをするという制度がございます。その中で統計委員会のいろんな先生がいらっしゃいますので、そこで反省も含めまして、レビューがなされていると考えてございます。
○開原座長 それでは、まだいろいろ御意見もあろうかとは思うんですが、既に大分時間が過ぎておりますので、今日の本題の議事もございますので、高田調査官からのお話を伺うのはこれで終わりにさせていただきたいと思います。本当にどうもありがとうございました。大変参考になりました。
 それでは、本来の議事に移らせていただきたいと思います。
 前回までいろいろと議論をしていただいたことの続きを今日はやっていただくわけでございますが、前回いろいろと御意見を伺ったところを、厚労省の方でまとめたというか、改定していただいた資料が今日ございます。今日完全にこれを固めてしまうところまでは行かなくても、まだ時間的には大丈夫だそうでございますので、もうかなり完成形に近いようなことにはなっておりますが、今日はそれをまず御説明いただいて、その上でまた更に御意見を伺うことにいたしたいと思います。
 それでは、事務局の方から御説明をよろしくお願いします。
○城室長 私の方から御説明をいたします。
 資料2「データ提供にあたってのポイント」ということで説明します。引き続き、資料3ガイドラインの骨子ポイントについて直したものがございますので、その御説明をさせていただきます。
 まず、資料2です。
 いろんなものがありますので、目次で整理をいたしました。
 まず、前回の主な御議論は、確認として記載いたしております。これは2ページをごらんいただきますと幾つかございます。
 医療機関コードについてどうかというのは、相当御議論がございましたので、ここは1つの論点として記載をいたしました。
 ガイドラインの性格ということで、どのぐらいの期間を対象とするかといったこと。
 受付件数、事務局の処理能力も含めてどうかということがございました。
 データの提供類型で、個票か集計表かということで、対象範囲や基準が変わってもいいのではないかという御議論がございました。
 成果物について、そのまま出しっぱなしということではないだろうというお話がございました。
 提供先について、一般社団・財団法人を含めるかどうかというお話。
 データ提供事務について、諸外国にもあるように、外部の協力機関を委託することができるのではないか。
 もう一つ、データ処理を行う場合に、もらった研究者なり、行政機関なりが更にそれを外に委託してやるものについてはどうかというお話がございました。これについて資料を用意いたしております。
 3ページは、データの提供類型に応じて個票情報と集計表情報で出していくことになりますので、それに応じた審査基準とか準備手続があってもいいのではないかということで、そういったことの頭紙でございます。統計法のデータ提供類型というのは、参考までに調査票情報の細かいもの、オーダーメード集計、匿名データに応じて、それぞれ少し違うものが用意されているということでございましたので、それを参考に書いてございます。
 4ページから、個票情報についてしばらく資料を付けております。
 5ページからごらんいただきますと、個票情報の匿名データだと思いますが、これについてどうかということであります。統計法の方では、匿名データについては、個人、法人、その他の法人の識別ができないように加工したもの、ほかの情報との照合も含むということでありました。
 先ほどのお話にもありましたけれども、下の箱に書いておりますが、統計表をつくるときもでもそうなんですが、全国レベルの集計では、属性、地域の規模が大きいときには数も多くなりますし、細かく見てもなかなか個別の識別が難易だろうということだと思いますが、全国レベルの集計では、属性を細かく分けていて、地域別だと粗くなってということがあるようだということであります。
 下の方にありますけれども、それによって地域と属性の両方で詳細に集計し過ぎることがないようにということであります。
 今、お話がありましたように、下の矢印のところですが、住宅・土地統計調査は10%リサンプリングをやっているということですので都道府県単位で、そのほかの3統計については、全国を3大都市圏かそれ以外かという地域をその2つに分けてということでやっていると聞いております。
 6ページに、我々のデータベースとの兼ね合いでどうかということで、比較をしてみました。
 上は匿名データの提供ということですが、地域性については、とにかくわからないように匿名化の処理をしているというかわりにということではないと思いますけれども、提供先との関連を見ますと、匿名データの方では学術研究、学生国際機関も一定の条件の下で提供されるというものだということであります。
 下のレセプト・特定健診等情報データベース、私どものデータベースについては、この間からの御議論でいきますと、やはり地域特性のようなものを見る必要があるということが物によってありましたので、必ずしもいつも必要かということではないということだと思います。
 2つ目の○に書いてございますように、地域性に関わる情報として、あのデータベースに持っていますものは、都道府県のコード、医療機関とか薬局の機関のコード、保険者番号、特定健診機関のコード、健診と保健指導については、受けた方の郵便番号を中に格納されております。こういったものが地域なり、ある程度場所を限定して、相当詳細になってくるものとしてございます。ですので、こういったものをどう扱うかということ。
 それから、前回お示ししたガイドラインでは、こういった個票情報につきましては、提供対象先としては、学生とか営利企業、国際機関というのは含めないということはどうかということをお示ししましたが、そこについてはやるべきだということではなかったと思っておりますが、そういった意味では、範囲としては狭いということかなと思います。
 7ページは、特に医療機関コード、薬局コード、保険者番号の取扱いについてということで、資料にしてみました。
 前も御説明したときがありましたが、上から2つ目の点線の箱で、例えば目的が統計の作成や学術研究であっても、特定個人を識別するような方向性で研究するものは抑制的に考えるべきではないかということで申し上げたと思いますが、そういう意味では、前回御議論がありましたように、個別の医療機関コードを提供することで、患者個人の特定につながるような場合があるということもありましたので、そういった事態は回避する必要があるのではないかということであります。それから、小規模な保険者さんなどの場合でも同じようなことが起きるのではないかということがございます。
 そういったことを考えますと、下の箱の中に書きましたが、原則として、まずは何にでもおまけで付いてくることがないように、医療機関コード、薬局コード、保険者番号については、原則は行わないということでどうだろうか。勿論、新たな通し番号を付して、どこかわからないけれども、同じデータセットの中ではアイデンティファイできるというやり方で提供することはあると思います。そういったことで、ユニークな番号を付すことはできると思います。
 ただ、その地域について着目して、その保険者番号とか医療機関コードがなければ分析できないというものがあるとするならば、そういった場合には提供できるという形にしておいて、ただ、それが本当にそうなのかどうかというのは、もう個別に見るしかないだろうということで、個別に審査をして、提供できる場合を定めてはどうだろうかということであります。
 「地域性の分析・調査にのみ用いる」とありますが、この間、そういう御議論でしたので、ほかに例が思いつかなかったので「のみ」と書きました。これについては、事前に御説明した際に「のみ」なのか、ほかにもあるのではないかという御議論もありましたので、ここは御議論いただければと思います。
 その場合でも、基本的には分析のために必要であっても、その名前を研究結果として全部公表するのかということであれば、分析には使うけれども、それは公表しないということがまず原則だろうと。どこそこ病院はとかいう形で出てくるのはどうだろうかということであります。
 分析のために必要であるけれども、公表のときにはA病院、B病院でいいということで考えますと、まず公表はしない。ただ、どこそこ病院と何とか病院の比較で患者増がとか、本当にそういう研究をするということで必要な場合、しかもそれは医療機関とか患者さんの同意もとっているということであれば、多分病院から本当はデータをもらえると思うんですが、そういうことが本当に個別に同意があって、これが必要だということであれば、それは公表ができるという道はあるだろうと思います。ですので、そこは個別に判断するしかないので、有識者会議等でそういったことを確認した上で認める場合はあるけれども、そうでない場合は、公表は個別名とかはしないということでどうだろうか。
違反した場合には、普通に取扱いが不適切だったというものとは違って、個別の個人情報が出て行ってしまうのと同じことになりますので、罰則規定というか、こういうものに反したら、即機関氏名の公表ということになりますよということを提供契約に位置づけておくのはどうだろうかというのが、事務局としての案でございます。
 8ページには、それについてどうかということで、アメリカでの識別情報はどうなっているかということの例でございます。
 簡単に申し上げると、Limited Data Setでは、こういった形でSAFsとMEDPARというのがあるようですが、そこで個別の医療機関情報として、NPI(National Provider Identifier)というのが、これは決済などに使われるIDということのようですが、こういったものが提供はされるということのようでございます。
 下の方の表で見ていただきますと、地域の識別情報はSAFsだと群単位、MEDPARだと州単位ということですが、医療機関情報としては、州単位であるけれども、細かくアルコール何たら病院とか、Short Stayとか、キリスト教の関係でベッドとか、そういった細かい識別情報が出ているものがありまして、一律に何か切るやり方が世界的に共通であるということではないように思います。
 9ページは、今のコード表の部分で、NPIというのが提供されるものとして、上からありますが、Organization NPI Numberというのも出てくるものとして記載をされています。これは参考としてお示しをいたしました。
 今、出ました属性情報につきまして、10ページに整理をいたしました。10ページには、幾つかその属性情報としてあり得るものを挙げておりますが、医療機関であれば都道府県コード、医療機関コード、診療科コード、病棟区分、病床数、薬局の場合は薬局コードなどがございます。保険者については、保険者番号がございます。
 医療機関名が直接識別できる医療機関コードを削除しても、今、御議論が既に何度か出ておりましたが、病床数とか病棟区分を見ればあそこだなというのがわかる可能性も結構あるということで、例えば下の箱の中に例として挙げましたが、結核病棟が極めて少ない県で結核病棟を持っている。何床持っている。それから、病床数が全体であっても何床と具体的な数が出ている場合はわかりますので、こういったものはある程度丸めて出すとか、そういうこともあるわけですが、ガイドライン上もほかの情報とのリンケージをしてはいけないということを明記しておいてはどうだろうかということであります。勿論、数字を丸めて出すということも当然あるだろうということであります。
 11ページに参考例として記載いたしましたが、統計法でも「取扱の概要」に記載いたしましたが、その他の匿名データ、その他の個体識別が可能となる可能性があるデータとのリンケージを行わないことというガイドラインでありますとか、メディケア・メディケードの場合でも、これはCMSからの許可なくということが付いていますが、その他の受益者固有の情報と照合してはならないということがございますので、こういった例はあるようだということであります。
12ページにつきましては、先ほどちょっと触れましたが、情報の細かさに対して、提供先との関係として見たらどうだろうかということであります。
調査票情報という極めて識別性が高いものについては、先ほど統計局からお話がありましたように、行政機関か行政機関の研究、科研費の研究に限るというお話だったと思います。
 匿名データについては、先ほどありましたように、個人の特定性は本当になくなっていますが、その分、一般から広くお求めがあれば出せるということだと思います。
 今、私どものガイドラインで出しているのは、ある程度個別性をわからないようにしているが、その半面、研究者の方で補助金をもらっていなくてもとれるような形まで見てございます。
 13ページにその関係を私どもの整理で図にしてみました。
 左は、個別情報の識別可能性が極めて高い。生でデータが入っているような調査票情報がありますが、これは提供はされるんだけれども、極めて狭い範囲に限定して提供されている。
 逆に匿名データについては、個別情報の識別可能性は相当低いと思われますが、そういった形にした上で、広く学生とかも含めてお求めがあれば出せるという体制になっているということがあります。
 そこまで匿名化してしまうと、研究するときのものとして、私どものデータベースとしてどうかということもありますので、ある程度範囲を絞る形で担保しつつ、多少完全な都道府県がわからないということではなくて、少し細かめのデータをきちんと我々の方で用意できればということで、この真ん中辺りに続けるものとしてどうだろうかというイメージでございます。
 以上が個票関係でございます。
 14ページ以降は、集計表について、これは私どもの方でオーダーメード集計をして出していくときの考え方を整理しております。
 15ページは、集計情報の提供イメージということで、箱にして表形式で例を示しております。データベースに載っているものは、地域的にどこまで切っていけるかというと、都道府県単位のものはわかりますが、その次の単位としては、医療機関単位になってしまうということがあり、市町村ごとにわかるとかいうことはありませんので、また医療圏単位とか、二次医療圏単位とかいうのもあるといいのかもしれませんが、今、直接そういう形では入っていないということであります。
 ですので、まず、単純集計として出していくとするならば都道府県単位で、医療機関については規模別であれば、例えばある程度のくくりで400床とか、もう少し細かいくくりでもいいのかもしれませんが、こういったくくりで出していくことがあるのではないか。
 逆に言いますと、相関とか、そういった分析をしてくれと言われても、それはしない。単純集計、クロスで出すが限度だろうということでどうだろうかということであります。
 表の下に書いていますが、都道府県ベースで見ても、数が非常に少ない。箱にはまる数が、ほかの例で10以下というのがありましたが、そういった場合については、そこは消すという扱い。幾つにするかということはあると思いますが、そういったものはどうだろうかということであります。
 16ページは、既存の病院報告という統計で集計したものが公表されているものでありますが、これは病院の施設数を見ていただきますと、900床以上というのは全国で大体六十幾つございます。これ都道府県単位に割ると、やはり1個とか2個とかに多分なるであろうということがありますので、全国であれば確かにこのぐらいのくくりでいいんでしょうが、都道府県単位になってくるともう少し粗いくくりになってくるのではないかという話でございます。
 以上までが提供の関係であります。
 17ページ以降で、18ページをごらんいただきますと、ほかの論点について記載をいたしております。
 まず、試行期間をどうするか。スケジュールとざっくり見ましたが、前もこの1年ぐらいは、まず試行期間というのはどうでしょうかということで申し上げたんですけれども、我々の方で整理をしますと、少なくとも今この関係で法規定を設けるとして、最速でも25年試行だろうと。そのめどが立っているわけではないんですが、24年度までは法律上の根拠を持ち得ないだろうということがございまして、その関係からいくと、まずこの2年間を試行期間と位置づけてはどうだろうかということでございます。
 その上で「試行期間における検討」という箱に書きましたが、実際に審査状況とかを見て、対象者、審査基準、手続等を随時見直す。2年間固定ということではなくて、2年間試行ということで、随時見直すという形でいろいろ検討するということを動きながらやっていくというのでいかがでしょうかということでございます。
 それから、具体的なニーズとか、そういったものもその間にわかるでしょうし、事務局の体制としても、今なかなか厳しゅうございますので、そこを整備するという方向も我々の中であるだろうということであります。
 試行期間の審査方法として、私どもの方で事前に聞きましたところ、匿名データの試行的提供のときには、年に何回かの募集期間を切りまして、24時間365日メールで受け付けますということではなく、期間を区切って受け付けるということをしておられたやに聞きましたので、私どもはそれを参考にして、例えば年4回、10日間ほど期間を設けるということでどうだろうかということで考えております。それに伴いまして、ここで御審査いただくのもそれに合わせた形かと思います。
 集計情報についても、同じような募集をして、同じように提供していくことになりますので、審査のデータの取扱いとかは多少緩くなると思いますが、提供先については、まだ試行期間なので、どれぐらい個人の識別性というのがあるかというのもなかなか見えないところもありますので、提供先については、当面個票で提供するときと同じ範囲とさせていただいたらどうだろうかということで考えております。
 19ページについては、今、御説明したものを矢印で図示したものでございます。一番早ければ25年に法規定などができるのではないかという趣旨でございます。
 20ページをごらんいただきますと、参考として、私どもの方の体制を御紹介させていただきました。左側は先ほど御説明のあった統計の体制でございます。右側の方で、私どもは2室ございますが、その中で専任として担当していると言えるのが1名。その他関連業務ということで、私や佐原とか、この辺に並んでいる者みんな含めまして、大体11名が関連業務に携わっているということが言えるだろうと。
 局内で医療課、調査課といった関連データを扱うのに慣れている部局で、技術的な補助をしていただくという体制になっております。
 それから、1名増員要求中でございます。
 こういった体制ですので、これも踏まえて、試行期間という形の位置づけにさせていただければという趣旨でございます。
 最後の21ページに、ガイドラインの修正点のポイントを示しております。これは前回の御議論等を踏まえて用意しておりまして、これは次の資料3を並べていただくとわかりやすいかもしれません。
 資料3については、資料3-1がガイドラインのポイントを修正したもので、資料3-2として、横長の対比表を設けました。これをごらんいただくのがわかりやすいかと思います。
 これは個票で提供するときのガイドラインでございます。集計表のときについては、別にもう一枚用意いたしております。
 ガイドラインのポイントとしては、これを2つつくるということで、1つが個票分でございます。
 資料3-2の御説明に入らせていただきますが、1ページ目につきましては、試行期間ということで、23年度~24年度を試行期間とするという関連の規定を修正しています。
 1ページ目の一番下ですが、提供先について、この間、終わりがけに委員から御指摘があったりしたので、私どもとしても悩みつつではあるのですが、公益・一般社団・財団まで入れると相当広いということもある。それから、いろんな関係があるもの、ないものが含まれ得るということもあって、公益社団・財団までに限定してはどうかということで、今回は案をつくらせていただきました。これについては御意見をいただければと思っておりますが、こういう案にしております。
 2ページ目をごらんいただきますと、利用目的等は変えておりませんが、事務の手続として、1つには、募集期間を設けて、この間お示ししたのは月10件と言っていましたが、募集期間はちょっと頑張って年4回やってみようということであります。それで各10日間程度の募集期間を設けて、そこに来たものについて四半期に1回御審査をいただくということでどうだろうか。ですので、一番下のところで、開催も四半期に1回、3月に1回程度の開催ということで考えております。
 それともう一つ、事前相談を受け付ける機関として、今は想定するものはないんですが、大学等どこかお手伝いいただける機関を入れられるような余地を残しておくということで、そういった項目を入れております。
 3ページ目をごらんいただきますと、上の方はデータベースの個別のほかの情報との照合を、個人を特定するような研究をしないという趣旨で、ほかの情報との照合を認めないとはっきり明記する。前回のものも、そういった研究はしてはだめですよということは書いてあるのですが、照合はだめですとはっきり書いて、その他個人が識別されるような分析手法はだめよと、ちょっと強めに書いております。
 下の方に、新たに幾つか加えております。これは前に御議論がありましたが、このデータベースを使わなければ、その研究ができないというものに限って提供すべきだろうということがありましたので、具体的に提供するのはなかなか難しゅうございますけれども、そういった審査基準を入れております。データベースの情報の性格にかんがみて情報の利用に合理性があり、ほかの情報では研究目的が達成できないという条件を入れております。
 医療機関とは薬局コード、保険者番号を利用しないということを原則にしております。ただ、以下の場合はこの限りではないということで開けておりますが、そのデータが地域性の分析・調査にのみ用いる目的であり、これで必要最小限というのがあります。
 それから、もって回った言い方を2つ目の方はしておりますが、医療機関の個別の同意がある場合と特に認める場合を除いて、公表される成果物の中に医療機関、薬局、保険者を識別できる資料、データを盛り込まないこと。要するに、個別の同意をとったなど、有識者会議で認めればいいけれども、そうでない限りは公表する中に識別情報は入れない。識別できるというところについて、ほかのものと突き合わせて判断できるということまで入れるのか、入れないのかということがあって、この表現だとあいまいだという御指摘が資料の説明をしたときにございましたので、ここは考えたいと思いますが、基本的にはそのデータとか機関の名前とかを公表しないという趣旨で私どもは書いたつもりでございます。
 この2点に反した場合には、利用者の氏名と所属機関名はそのまま即罰といいますか、違反すれば公表。こういった方たちがこういったデータをこの規定に反して公表しましたということを我々の方で公開することを条件にするということでどうだろうかということであります。
 4ページにもわたっておりますが、データの関係で保管とか管理についてであります。コンピュータがインターネットで確立されているとかいうことは前ございましたが、それに加えて、実際の作業に従事する人というのは、すべてあらかじめ申請してくださいということにしております。登録されていない第三者に対して委託してはいけない。逆に言うと、外部委託とかいうことをするのであれば、委託先が決まっていればここに委託しますということであらかじめ登録をいただく。決まっていなくて、これから入札しますというものであれば、そういう旨を登録いただいて、決まり次第、即追加登録をいただくということかなと思っております。
 最後、データ利用後の措置として、これは御議論として出しっぱなしではなくて、ちゃんと確認すべきだろうということがありましたので、5ページにわたりますが、1年を目途に提供した研究者の方たちから御報告をいただくということはどうだろうか。それは中身のよしあしということではなくて、事前申請と整合的であるかどうかということを確認するという趣旨でございます。勿論、公表されないというのであれば、そういったこともあり得ると思いますが、それはなぜか。単にダミーで研究を出してデータが欲しかったということではなく、ちゃんと研究をしたんだということはやはり確認をする必要があるだろうということでございます。
 データの廃棄は、利用機関が終了した場合には速やかに廃棄するという規定を設けております。必要があれば、その都度また追加で申請をしていただくということになります。
 不適切利用の場合の措置として、データ提供の禁止に加えて、成果物の公表禁止という条項を入れてはどうかということであります。
 ということで、ガイドラインについては以上であります。
 なお、最後の資料3-3をごらんいただきますと、これは集計表情報、オーダーメード集計をした場合の集計表を出す場合ということで、別に違う基準が必要になるというよりは、先ほどの個票で出す場合の基準の緩める点ということかと思いますので、そういう整理をしております。
 出すものというのは、国で一定の集計、単純集計をします。
 地域性については、都道府県ベースまでで、単純集計をします。
 試行期間中は、少なくとも相手先としては個票情報と同じ相手先ということでどうだろうか。
 利用目的も同じにしてはどうだろうか。
 データの利用・保管・管理については、物の性質上、そういった必要性は生じないので、先ほどの個票よりは緩くするということ。そういった規定は設けない。
 不適切利用に対する措置としては、やはり一定期間の利用禁止とか成果物の個票禁止といったものを提供契約上設けるということでどうだろうかということでございます。
 以上でございます。
○開原座長 どうもありがとうございました。今日はある程度意見を集約するところまで行けるといいなと思っておりますので、是非いろいろ更に御意見をいただきたいと思います。
 要するに、資料3-1にあるものと資料3-3にあるものをもっとガイドライン風に書き連ねたものが最終的な成果物になると思います。非常に分厚い資料をいただいていますが、これを余り議論していては本来の目的に反しますので、これは御参考にしていただくような形で、主に資料3-2を踏まえて、今回の対象表みたいなところについて御意見をいただくのが一番能率的かとも思いますので、少し説明が複雑ではありますが、資料3-2を中心に議論をお願いできればありがたいと思っております。いかがでございましょうか。
 山本先生、どうぞ。
○山本委員 何点かあるんですけれども、資料3-2の1ページ目で、一般社団法人・財団法人を含めないというのは、原則的にいいとは思うんですが、例えば最近は医学会の分科会である学術団体、学会がほとんど一般社団法人として法人化している例が多いので、そういう意味では、若干例外を含む余地を残しておいた方がいいのではないか。例えばあらかじめ有識者会議で認められたものを除くとか、何とかという記載があった方が合理的かなという気がしています。今のが1点。
 それから、3枚目です。他の情報と照合することは認めないというくだりがあるんですけれども、この下に、勿論医療機関コードや薬局コード、保険者番号は原則的には提供しなくて、特に利用目的が地域性の分析であって、それが合理的な場合だけ認めるとあるんですが、医療機関番号や薬局コードを地域分析に用いようと思うと、各地方厚生局の出している医療保険機関リストを見ないと、実際には場所がわからないんですよ。ですから、ここは全く認めないとすると、そもそも下段の研究はできなくなるという矛盾があると思うんです。
 したがって、ここはあらかじめ研究目的に含まれた照合以外は認めないと書いておかないと、実質的にできない可能性があると思うんです。
 あとは次の議論でもいいのかもしれませんけれども、その次のページのデータの保管場所については、私がこれを専門にしているからかもしれませんが、ちょっと記載が甘いと思います。厚生労働省には医療情報の安全管理に関するガイドラインというよくできたガイドラインがあるので、あのガイドラインの部分的にポイントして、ここのそういう基準を満たすことみたいな形にすると、もう少し簡潔で、かつ効率的に書けるのではないかと思います。
 以上です。
○開原座長 どうもありがとうございました。特に社団・財団の問題なんですけれども、日本医師会が使えなくなってしまうと困るのではないかという気がするのでございますが、石川先生、この辺はどうなんですか。
○石川委員 私の場合には、これから質問したかったんですけれども、有識者会議というのは、かなり一定の使用に対しての権限を持っているということであれば、先ほど先生がおっしゃいましたように、最初からあらかじめ決めておくのではなくて、申請の都度に少し我々で判断できるような余裕があればいいのではないかと思っております。ですから、その辺で判断するということですね。
○開原座長 猪口委員、どうぞ。
○猪口委員 全日病の猪口ですけれども、今の一般と公益の話ですが、これは25年の11月までに届出なんですね。こちらの方が先に始まってしまうのでどうかなという点が1つ。
 あと、私の聞いている範囲では、公益か一般かというのを今の特例民法法人は選ばなければいけないわけですけれども、それを選ぶ際に、このような差別がされないことが前提で、それぞれの現行の公益法人が選んでいくということが前提になっていますので、ここで差別してしまうこと自体がやはり問題があるんだろうと思うんです。
 ですから、まだ過渡期ですから、今のようなこういう会議で一定のルールか何かを設けた上で審議するということにしておかないと、まだまだ先が見えない一般と公益のところでは問題が出てくるのではないかという気がいたします。
○開原座長 石川委員、どうぞ。
○石川委員 ですから、この法人の問題というのは、法人会計上の問題であって、要するに我々が今、扱っているレセプトからのデータベースの利活用という点とは大きく離れているので、そこで枠を着せるのはなかなか難しいと思うんですよ。ですから、有識者会議はちゃんと個人情報も守っているという地点から考えれば、そこが最終決定のように書いていただくとありがたいというのが私の意見です。
○開原座長 この辺は皆様の御意見が非常に一致しているような感じもいたしますので、その辺はどうぞ事務局の方でよろしくお願いします。
○城室長 はい。
○開原座長 稲垣委員、どうぞ。
○稲垣(明)委員 全体のことなので、最初がそうなんですけれども、今回我々が検討しているレセプト情報のデータというのは、今日総務省様から御説明があったんですが、基本的に違うのは、総務省の統計というのは、最初からその目的で調整が設計されているということなんです。つまり、レセプトの個票の情報というのは、それ用にはできていないわけなんですね。それが大きく違うんです。
 ですから、今日だと同じようになっていますので、その中間に位置づけで、今回のレセプト情報は個票が位置づけられているのですが、ちょっとそれが違うところが一番大きい点で、それの端的なものが多分医療機関番号だと思うんです。医療機関番号というのは、恐らくこれを調査票上に設計するには、ああいうコーティングはしていないんですよ。医療機関コードというのは、それだけでは属性の判断ができないようになっています。ですから、今日のような書き方で、地域の分析に当たって医療機関コードをと書いてあっても、結局他の情報との間の照合をしないと、そこの医療機関のあれができなくなってしまうんですね。ですから、これでは無理だと思います。
 ですから、もう少しこの辺の医療機関コードについてどのように取り扱っていくか。それはもう少しこの辺をきちんと検討しないと、このとおり行くと、逆に言うとうまくできないと思います。山本先生のおっしゃったこととは近いとは思うんですけれども、この医療機関コードをそのまま使うのではなくて、医療機関の属性というものをきちんとコーディングして、それが恐らく研究者の方は使いたいと思うので、別に個別の医療機関を特定することが目的ではないと思いますので、ここのところはもう少しよく協議する必要があると思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
○開原座長 山本先生と今の稲垣先生の御意見は、大変そのとおりだと思いますが、これは事務局の方でサービスをして地域コードを付けますか。それは技術的にはできると思うんですけれどもね。
○城室長 端的に、例えば今のレセプトデータベースに入っている情報に加えて、うちの方で突き合わせをして、それでここにあるという都道府県別にそれを突き合わせたデータをつくった上に、そこのところの医療機関、A、Bでは数が足りませんけれども、A医療機関、B医療機関とざっと連番を振って、全くこのデータセットの中ではわかるが、ほかとの突き合わせができないようなデータセットをつくってお渡しするという道もあります。ただ、手間と正確性の問題というのがちょっとありますが、そういった加工もできますし、逆に基本的には、属性もわかる範囲の属性の中でやっていただくという感じで削ぎ落して、ただ単に今のデータから削ぎ落して出していくという形もあるとは思います。
 いずれにしても、加工しないと出ないので、そこは技術的にどうするかという話と、必要性だと思います。
○開原座長 そこは技術的な問題ですので、少し事務局で稲垣先生、山本先生と御相談いただいて、うまい解決法を見つけていただくのがいいのかもしれませんね。
 ですから、いずれにしても、何らかの加工をして提供するわけですから、その加工の中に削る方ではなくて、追加するという加工もあり得るんだと考えればいいわけです。そこまで事務局ができるかどうかは別でしょうけれども、コンピュータにやらせればすぐできる話ではあるので、その辺は技術的に検討してみていただけますか。
 印南委員、どうぞ。
○印南委員 今のことに関連してなんですけれども、識別するというのは2つぐらい意味があって、1つは、非常に具体的な個別の医療機関名がわかるということです。研究者は、現実にはそういうものには余り関心がないと思うんです。そうではなくて、特定のAという抽象化された医療機関、そこのレベルでは特定されている。それは具体的にどこの病院かはどうでもいいというのが研究者だと思うんですけれども、そこら辺を配慮していただきたい。それが議論をややゆがめているような気がします。
○開原座長 同じ問題だと思います。
 三浦委員、どうぞ。
○三浦委員 今のことに関連して、研究者の立場からですけれども、研究者の方でも、今、話がありました医療機関、保険者、個人でもありますが、地域に関する属性とか、保険者であれば保険者の種類、国保か健保か協会けんぽかとか、そういう分類など、基本的な属性に関しては、分析するときは必ず必要になってくると思うので、そういった大ざっぱな属性はあらかじめデータに入っているような形にならないかなとは思います。
 あと、その分析の際に1つ追加しますと、結局公表するときに、個人であれば一分析単位に10人以下のものはしないというルールなどがアメリカでもありましたが、医療機関や保険者に関しても分析単位が10以下になるような公表の仕方をしないとか、そういったルールもつくればいいのではないかと思います。
○開原座長 それでは、今は医療機関の話をずっとしていたので、医療機関コードだけではなくて、ほかにも同じような問題があり得るかもしれませんね。ですから、そこも含めて技術的に詰めてみたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 印南委員、どうぞ。
○印南委員 データの照合に関してなんですけれども、ここに記述されてある照合することは認めないというのは、データの個票のレベルで照合するということの意味で解釈してよろしいのでしょうか。というのは、研究者はここで出てきた一定の成果と別の成果と突き合わせて何か物を言ったりするというケースは今後考えられるのに、研究成果上は一切他のデータと照合できないとなったら、ほとんど内部でしか研究できなくなって、非常に価値を下げてしまうと思うんです。ですから、極めてここの表現が強過ぎるといいますか、そういう感じがするので、そこの点です。
○開原座長 どうぞ。
○城室長 ここに書いたときに意図したものというのは、基本的には個人を特定する方向での研究はよろしくないですねという議論を受けて書いていますので、そういう意味で、ほかのデータと個票レベルで突き合わせをして、そしてここがだれで、どこの医療機関でとかいうことを、このデータベースでないものを個別に特定しようとする方向での照合というのを防ぎたいという趣旨です。
 ですので、これはおおむねあの病院だというのがわかってしまうという、内心照合されてしまったというのも多分別に規制するということではないだろうと思っていますし、個別のデータベースとほかの何かとの情報等を個別に照合するということを勝手にやるのを避けてほしいという趣旨です。
○開原座長 これは文章の問題かと思いますので、最終的にはいろいろと工夫が必要かとは思います。ほかにございますか。
 石川さん、どうぞ。
○石川委員 資料3-2の3枚目のところですけれども、データベースの情報の性格にかんがみて情報の利用に合理性があり云々かんぬんの線が引いてあるところです。この2つ目のポツで、医療機関等の個別の同意がある場合というくだりがあります。これは確認なんですが、医療機関から個別の同意があっても、有識者会議で最後に確認してということの読み方でよろしいですね。
○城室長 例示として挙げていますが、基本的には、最後は有識者会議で判断するという趣旨です。
○開原座長 よろしいですか。
 稲垣委員、どうぞ。
○稲垣(明)委員 よろしいですか。もう一つ、レセプト上、病名と処方の薬剤名等があるんですけれども、病名も非常に遺伝的に希少な病名、秘匿性をするべきものがあると思いますし、薬にしても使用頻度が非常に少ないものがあると思いますので、それもある程度特定化という形になりますので、やはりどういうものを情報から排除するかということは、病名についても、薬剤名についても、やはり一定のガイドラインをつくっておく必要があると思うんですが、その辺はいかがでしょうか。
○開原座長 どうぞ。
○山本委員 非常にごもっともな意見だと思いますし、それぞれの組み合わせの問題も出てくるので、何々を除くというよりは、メディケア・メディケードの利用がアグリーメントにあるように、最終的に一定の数以下になるようなものは使ってはいけないと決める方が、多分妥当ではないかと思うんです。それがアメリカで10だったら、日本で幾つでいいのか。これは議論が要るところだと思います。
○開原座長 どうぞ。
○城室長 わかりましたというか、それはあるんですが、どうすればいいかというのがわからないので、試行期間中で出てきたものを個別に見るという形で、基準をあらかじめつくっておいたとしても、それを随時こんなものが来てしまつたけれどもどうしますかということを正直に我々も御相談をしたいと思いますし、そんな運用というのはいかがでございましょうか。
○開原座長 いずれにしても、最初から絶対的に守らなければいけない憲法のようなガイドラインというのはできるはずがないので、走りながら考えるということにはならざるを得ない。そのためにこそ、この有識者会議があるのかもしれないと思いますので、そういう意味で、前回松田委員から、少し試行をしてみたらどうだというご提案もございました。その点を事務局の方も真剣に検討していただいたようでございますので、試行の問題は今の話と非常に関係しておりますので、その辺についてお話いただけませんでしょうか。
○城室長 概略を申し上げますと、先日、松田委員からモデル的な申請と模擬審査というか、モデル的な審査をやってみてはどうか。それは時期的には、多分このガイドラインで実際の提供が発動される前、年度内に一度という御趣旨だったと思いまして、そういったものはどうかということで考えてみました。
 まず、ガイドラインについては、先走った話で恐縮ですが、本日御意見をいただいて、それを踏まえて1月までに個別にメールなり何なりで委員の皆さんに御相談させていただきながら、できるだけ文案を詰めていこうと思っています。
 そういったものと並行して、外から募集というのはさすがにちょっとどうかと思いますので、例えばこの有識者会議のメンバーの中で研究者の方とかおられますが、ここでやってもいいよという方がおられたら、そういった先生方に御準備いただいて、実際にこういう形の申請をして、どういうふうに判断するか。どういう手続で回していくかとか、こういうデータを申請してとれるかどうかやってみたい。それで実際にデータを引き出してみて、そのデータをお渡しして、回してみたら、これでは全然だめではないかというものになるのか、いけるねとなるのか。私どももこの15億件のデータがちゃんと引き出してこられるのかというところは、正直いろんなパターンでやってみないとわからない部分がございますので、あらかじめそういった模擬的な申請をしていただいて、模擬的な審査をしていただいて、模擬的なデータ提供、データセットの引き出しとかいうものをやってみるということで、年度内に何らかそういったことができると、確実性というか、安全性が上がるのではないかと思っております。
 特に資料も用意せずに申し訳ございませんが、そういった形ではどうだろうかということでございます。
○開原座長 ただいまの話は、特に議題には乗せていないわけでございますけれども、今のような御議論と関連して、もしそれができるならば、かなり具体的ないろいろなことがわかってくるのではないかとも思いますので、そういうことをやってみること自体はどうかということについて、御意見を伺いたいと思います。
 これはあくまでもこの有識者会議の方にお願いをして、仮に申請をやってみていただくということでございまして、外に募集するということでは全くありません。ただ、それはやってもいいよということになっても、だれもそういうものを出してくださらなかったら、またこれも困るんですけれども、しかし、そういうことを呼びかけてみるということ自体について、特に御反対ということはありませんか。
そうであれば、ここでお手をお挙げいただくわけにもいかないと思いますので、少しお考えをいただいて、それならば自分が1つのモルモットになってもいいという方がおられれば、お申し出いただいて、それは次回にでも議論してみたいと思います。
 これは申請をするということだけではなくて、その後に実際に申請に基づいてフルのデータかどうかは別として、ちょっとやってみるということを伴ってもいいと私は城室長の御意見を理解しました。、そうすると、そのためには費用をどうするのかとか、そんな話も出てこないとも限らないんですが、これはあくまでもボランティアでやっていただくということでお願いをすることになろうかという気はいたします。
 宮島委員、どうぞ。
○宮島委員 委員みんなの気持ちとしては、せっかくやるからにはいいものにしたいということと、一方それが途中に何かトラブルとか、不適切な使用などで頓挫してはいけないということは、多分共通の気持ちであると思うんです。
 2点ありまして、1つは不適切利用に対する措置というところで確認なんですけれども、不適切利用に関しては、ほとんど厳罰というか、考え得る限りの最大の厳罰を置いておいた方がいいと思うんです。そういう意味では、一定期間のデータの提供を勿論しないのは当然だし、成果物の公表の禁止というのは、ある意味研究者の方から見ると結構重いものなのかどうなのかと思います。
 あと、将来的には、別に営利企業だけが営利に使おうとするわけではなく、悪意のある人がやろうと思えば幾らでも営利に使えますので、ちょっとぐらい課徵金を取られても、これは自分にとってすごくメリットがあると思ったら、そういった不適切利用をするというところの悪意も防がなければいけないと思います。今の段階、試行期間で考えるのがいいかどうかは別として、ルール上できるのであれば、ある程度ボリュームのある課徴金なり、やってしまった者勝ちだなと思われない程度のちゃんとした罰則というのは、やはり必要なのではないかと思っています。
 一方で逆の側面からなんですけれども、これをやるんだったらいいものができるなと、なるほどこういったデータを使うと国民の医療を考え直すのにいいデータができるなと思ってもらうこと、限られた関係者の中だけではなくて、国民にも思ってもらう必要があると思うんです。なので、今、もしこの委員の中で、今の試行みたいなことをやっていただけることが御了承いただけるならば、是非そういったいい1つのデータというか、こんなことができるんだということをお示しいただければありがたい。
 というのは、体制を見ましても、やはり今の人数にしても、事務局の体制としてもすごく大変だなと思うんですが、これはいいものが出るなということになったら、増員も予算もつくのかもしれないと思います。しかし物すごく利用が狭くて、何だやってみたけれども対して役に立たないなと国民に思ってしまわれると、今は簡単に仕分けられる時代ですので、せっかく話し合って仕分けられても意味がないと思うので、やはりこの試行期間の間に、厳しく、つまりトラブルがないようにはしながらも、ちゃんとこういったものがなるほどできるんだなということが示せるといいなと思います。そうすると、きっと体制ももうちょっと充実するのではないかと思います。
○開原座長 ありがとうございます。まさにそのとおりだと思います。そうすると、試行の試行をやるのもちょっと緊張しますね。
 武藤委員、どうぞ。
○武藤委員 東大の武藤といいます。私も宮島委員がおっしゃったように、テストランには大賛成です。実際にどのぐらいの情報が引き出せるのか、役に立つ利用ができるのかというところをまさに本当に国民の皆さんに知っていただく機会としても活用していただくべきだと思いますし、できれば、私自身は申請ができる立場ではないので、2つぐらい何か違ったタイプのテーマで申請があって、どういう問題があるのかを一応検証するという建前のテストランですけれども、そうなっていただけるとすごくいいのではないかと思いました。
 それと資料3-2に関して、少し追加として、4枚目にデータの保管、利用、管理のところがあるんですけれども、先ほど山本委員がおっしゃっていた医療情報システムの安全管理に関するガイドラインには、データの廃棄というのも一言ありまして、最後それをどういうふうに使い終わるのかというところも明記していただくということと、不適切利用に関連して、これはもしかしたらモニタリングという項を改めて立てた方がいいのかもしれないんですが、一応利用を許可した後に、どういうふうにお使いいただいて、最後どういうふうに廃棄していただくかをどう見届けるか。そこにどれだけのコストをかけるかというところが難しいところだと思うんですが、不適切利用の発見に余りエネルギーを注ぐことはないのかもしれませんが、一応モニタリングはするんですよということは立てて、全部含めて盛っていただいたらすっきりするのではないかと思います。
 以上です。
○開原座長 どうもありがとうございました。
今の御意見を伺っていてちょっと思ったんですけれども、後のテストランというか、実際のデータの分析まで伴う申請をしてくださいというと、かなりきついかもしれませんね。ですから、そこはなくてもいいから、こういうことを申請してみたいというデータの分析のないものももしよろしかったら、テスト的に申請してみていただくのもいいかもしれないですね。その後、本当にやってみたいという方は、やっていただいてもいいんだけれども、そこはかなり技術的な問題が伴いますから、自分がそういう技術を持っている人はできるかもしれませんが、持っていない方は無理かと思いますので、そういう方は、むしろこういう利用ができるはずだから、こういう申請をモデル的にしてみようというのでもいいのではないかと思いますが、いかがでしょうか。
 山本委員、どうぞ。
○山本委員 多分、この会議は当分公開でしょうから、実際に研究につながるものを先に計画を公開してしまってやるというのは、ある意味プライオリティーの問題とか出てくると思うんですよ。だから、テストランの間は、できればいろんなパターンの利用が出てくる方がいいので、そういう意味では、経験のある先生方に模擬的な申請を書いていただく方が効率的ではないかと思います。
○開原座長 ありがとうございます。
 どうぞ。
○城室長 今、お話がありましたように、本来の申請がちゃんと動き出してきた場合には、審査の段階は御相談しなければならないんですが、物によってなのか、原則なのかわかりませんが、個別の審査は非公開ということも、これからの御相談なんですが、審査の仕方としてあると思っております。
 いずれにしても、テストランで、今、お話のあった模擬的なものについては、公開の場で1月か2月ぐらいに、一度そういったものをやっていただく必要があるかなということですので、そういうことも踏まえますと、今のお話があったように、それでもいいよというお話かもしれませんし、だとするとちょっと躊躇するということもあるかもしれませんので、全く荒唐無稽では困りますけれども、後ろの分析まで基本的に全部済まさなくてもいい。その結果を公表するというのは、今のガイドラインのまま適用するとついてきますけれども、そこは外した形でどうかということでいいのかなと思っております。個別に更に御相談をしなければいけないかもしれません。
○開原座長 ありがとうございました。それでは、そういう了解で、今後もし御関心のある方は是非モデル申請をしてみていただきたいということをよろしくお願いいたします。
 次回辺りは、今度はガイドラインの本文的なものが出てくるんですか。
○城室長 本日の御意見も踏まえて、本文の書き下ろしの作業にそろそろ入ろうと思っております。これは個別の文章の文案の詰めも、言い回しもあるでしょうから、相当程度事前に各委員に個別にメールなり、御持参させていただくなりで御相談をさせていただいて、できれば、二順、三順は御意見をいただきながらやりたいと思っております。
 調整がつけば、次回の会には、大体これで皆さんの御了解をいただけた案ですというものをお示しできるでしょうし、そうでなければもう一度御議論くださいということでなるかと思います。
○開原座長 それでは、大体そんな予定だそうでございます。
 石川委員、どうぞ。
○石川委員 日本医師会ですけれども、私どもはシンクタンクもありますので、現行でやられて、もう少し経つと成果が出るものもありまして、そういうものも含めて、モデル案で幾つか出してみたいと思います。ただ、それを私たちが使えるかどうかということは未確認ですが、一応そういう提案をしたいと思います。
 それと確認ですけれども、先ほど途中でスケジュール案がありまして、24年4月から法的整備を含めた見直しということがあります。このことは、つまり23年か24年が大体試行期間ということにしていますから、今、言っているのは、もっともっと前の試行ということですね。その2年間の間にきちんと法的なものを考えて、25年から法的にやるということで確認でよろしいですね。
○開原座長 どうぞ。
○城室長 25年から法律に書きますという宣言をしたということですらなくて、早くても24年度までの間の法的整備というのはできないというところですので、まず24年までは試行期間と位置づけさせていただいて、その上で更にその段階で、今も実は法律になりそうなものとしては、高齢者医療確保法の改正が検討されていますが、まず一番最短でそれに乗るかどうかということもあります。
 ですので、早くてもその間は難しい。その時点で法的整備の体制にたどり着かなければ、試行期間の延長ということも我々の念頭に置いているという趣旨でございます。
○開原座長 それでは、今日のところはそのような議論で終わりまして、よろしゅうございますでしょうか。
 次回はもう決まっているんですか。
○城室長 1月20日の午前中にお時間が相当程度合うということで、難しい方については大変申し訳ございませんが、そこで一応会場確保とかのセットの準備を進めております。
○開原座長 それでは、御予定をいただいて、少し時間が開きますけれども、しかし、その間にやらなければいけないことはたくさんございます。恐らく事務局の方から個別にまた御相談もあろうかとも思いますが、その節はどうぞよろしくお願いをいたします。
 それでは、本日はお忙しい中、ありがとうございました。これで終わりにいたします。


(了)
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 TEL:03(5253)1111
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