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2010年10月1日 平成22年度 第1回化学物質の健康障害防止措置に係る検討会

○日時

平成22年10月1日(金)16:00~18:00


○場所

経済産業省別館 8階 827号会議室


○議事

○寺島化学物質情報管理官 本日は大変お忙しい中お集まりいただきましてありがとうございます。ただいまから「第1回化学物質による労働者の健康障害防止措置に係る検討会」を開催させていただきます。本日は平成22年の第1回ということですので、出席者の皆様方のご紹介をさせていただきます。資料1に開催要綱を付けておりまして、その中に名簿がありますので、合わせてご覧ください。
 慶應義塾大学医学部教授の大前和幸先生。旭硝子株式会社CSR室MS統括グループ主幹の岡部委員。労働安全衛生総合研究所環境計測管理研究グループ上席研究員の小野先生。労働衛生コンサルタントの唐沢委員。労働安全衛生総合研究所環境計測管理研究グループ部長の菅野委員です。十文字学園女子大学の田中先生は今日はご都合のためご欠席です。早稲田大学理工学術院教授の名古屋先生。産業医科大学教授の保利先生もご欠席です。それから、リスク評価の企画検討会の座長をお願いしております櫻井先生をお呼びしております。
 事務局もご紹介させていただきたいと思います。化学物質対策課長の半田、化学物質評価室長の島田、調査官の柳川、評価室長補佐の長山、有害性調査機関査察官の須藤です。私は化学物質評価室の寺島です。労働衛生課の古田職業性疾病分析官、労働衛生課の廣瀬主査です。
 それから本日、日本バイオアッセイ研究センター副所長の長野様、それから松本様。中央労働災害防止協会の細田様、後で30分ほど遅れて棗田様がいらっしゃることになっています。以上です。
 次に、今回は初回ということですので座長の選出をさせていただきます。どなたかご推薦いただける方がいらっしゃいましたらご発言ください。特段のご推薦がないようでしたら、事務局からご提案させていただきます。労働安全衛生総合研究所の菅野先生に引き続きお引き受けいただければと思いますが、いかがでしょうか。
(異議なし)
○寺島化学物質情報管理官 ありがとうございます。それでは菅野委員に座長をお願いすることといたしまして、以後の議事進行をお願いいたします。
○菅野座長 それでは、ご指名いただきましたので座長を務めさせていただきます。よろしくお願いいたします。
 本日は、化学物質による健康障害防止措置に係る検討会の第1回目です。インジウムによる健康障害の防止に関する技術指針(案)の検討など、2つの議題を予定しております。議事に入る前に事務局から資料の確認をお願いいたします。
○寺島化学物質情報管理官 資料ですが、議事次第の裏側に資料一覧があります。資料1は「検討会開催要綱」。資料2は「インジウム・スズ酸化物取扱い作業による健康障害防止に関する技術指針(案)」。資料3は「同指針に基づき対策を推進する上での留意点」、資料4は「インジウム・スズ酸化物等の健康障害に関する対応について」という1枚の紙を付けております。資料5は「1,3-プロパンスルトン分析法検討に関する報告書」。資料6は「今後の予定」。その後ろに1枚でリスクコミュニケーションのチラシが入っております。それから、参考1に「インジウム・スズ酸化物等取扱い作業におけるばく露防止対策」ということで平成16年の通知をお付けしています。以上です。
○菅野座長 それでは本日の議題に移らせていただきます。本日は最初の回ですので、本検討会の開催要綱のご説明を事務局からお願いいたします。
○寺島化学物質情報管理官 資料1をご覧ください。初回ですので開催要綱の説明をさせていただきます。「趣旨」として書いてありますが、平成18年から、国では労働者の重篤な健康障害のおそれのある有害化学物質についてばく露状況等の関係情報に基づいてリスク評価を行ってきており、そのリスクの程度に応じまして特別規則による規制を行う等のリスク管理を講じているところです。このリスク評価は、科学的・中立的に行う必要がありますが、一方、特別規則による規制については対策の実現可能性も考慮して導入する必要があるため、この学識経験者、健康障害防止措置の関係者から成る検討会を開催する。その中で、リスク評価においてリスクが高いと認められた化学物質に関して措置の具体的な検討をするということで設置されたものです。
 検討事項はここにあるとおりです。構成としまして、(1)にありますように、別紙の参集者により構成するとしており、その検討会の下に必要に応じて小検討会を開催することができるものとしております。(2)として、座長を置くこと。(3)として、参集者以外の有識者の参集を依頼できるものとすること。(4)として、関係者からのヒアリングを行うことができるとすること、としています。また、(4)にありますように、原則として公開としております。個別企業に係る情報を取り扱うときは非公開としています。この検討会ですが、平成22年度のリスク評価に係る措置の検討事項に関する報告書を取りまとめた時点で終了することとしています。以上でございます。
○菅野座長 ありがとうございました。ただいまのご説明につきまして、ご質問、ご意見がありますか。それでは開催要綱はこれでよろしいということにさせていただきます。
 続きまして、議題(1)の「インジウムによる健康障害の防止に関する技術指針(案)の検討」の検討に移ります。先ほどの資料1の開催要綱に記載されていますインジウムの健康障害防止に係る小検討会において8月から9月の間に4回の検討会を開催され、小検討会として取りまとめられたところです。それでは、小検討会におきまして取りまとめられた内容につきまして、小検討会の座長を務められました大前委員からご説明をお願いいたします。
○大前委員 小検討会の座長を務めましたので、今日の指針(案)の概要といいますか、主な点をご説明させていただきます。資料2、資料3と参考資料1を使います。
 まず、資料2の1頁をご覧ください。今回の技術指針というのは、参考1の、平成16年に出されました「インジウム・スズ酸化物取扱い作業における当面のばく露防止対策」という指針をできるだけ早い時期に改訂をして出そうということで、今回の技術指針につきましてはITOの製造、回収の過程で使用されるインジウム化合物という限定になっております。インジウムを使うところは、別にITOだけではなくてほかにもたくさんありますけれども、そこに関しては今回のこの指針の対象にはしておりません。それが第1点です。
 1頁の「趣旨」「対象物質」等順番にありますが、3頁の「作業管理」のところの34行目のカ「作業記録の保存」ということで30年間の保存を謳っています。後の健康診断とも同じように30年間ですけれども、これはITOによる動物発がん実験で肺がんが出たということを考慮しまして、長期に渡って記録を残しておくという意味で30年間という保存期間になっています。
 4頁の「作業環境測定等」のところですが、今回、作業環境測定につきましてはイにありますが、1つは「目標濃度」という考え方で数値を提出しています。もう1つは吸入性粉じん、トータルダストではなくて、吸入性粉じんで数値を出しています。目標濃度という考え方にしたいちばん大きな理由は、先ほどの動物実験の結果から計算いたします許容されるべき濃度というものが非常に低く、実際この4回の小検討会の中でも何回かヒアリングなどをしておりますけれども、とても現状とは合っていないというのが現実であるということで、まず、目標濃度を設定しようという考え方になっています。
 ここで使っております吸入性粉じん0.01mg/㎥というのは今回の案です。参考資料1には0.1mg/㎥という数字が管理すべき濃度として出ておりますが、これは平成16年当時に世界中見渡してみましても、インジウムのいわゆる許容基準のようなものが提案されているものがACGIHだけで、そこで出ているのが0.1mg/㎥である。ただし、この0.1mg/㎥というのは、この指針が出た大きな原因でありますインジウムによる肺障害等の情報がない時点のデータで随分古いもので、高過ぎることは明らかですけれども、当時それしかなかったものですからそのまま使ってあるということ。ただし、平成16年の指針には、0.1mg/㎥では駄目かもしれない、もっと低くしなさいという注意書きもしっかり書いてあるものになっています。今回はそれを1桁下げまして0.01mg/㎥ということで、しかも吸入性粉じんとして0.01mg/㎥となっています。この0.01mg/㎥をいわば管理濃度のような感覚で使いまして、A測定によって得られた第1評価値、もしくはB測定に準じて得られた測定値を用いて作業環境を評価する。その評価した結果によって作業環境の改善等のことを謳っています。
 次は呼吸用の保護具ですが、これは先ほど申し上げましたように肺がんのことがありますので、まだ、目標濃度を用いた評価で十分な数字であったとしても、やはり許容すべき濃度よりも高ければ呼吸用保護具は継続的に使用すべきであろうということで、どんな呼吸用保護具を使うかということについて5頁の上のフローチャートに載っています。
 6頁が健康診断のこと、健康管理のことです。健康管理に関しましては、いわば特化則と同じような形で定期健診は6か月以内ごとに1回、医師による健診を行う。それから、ITO取扱い作業の雇い入れ時あるいは配置替え時にも同じように6か月以内に1回ということで、後は詳しく述べませんけれども、6頁にありますような項目を半年に1回やっていただく。その事後措置に関しましても、7頁、8頁に書いてあります。
 それから、労働衛生教育につきましては、一般的なお話と同時に、(6)の括弧の中に書いてあります、禁煙指導を含むということです。今回のITOは肺がターゲットで、しかも動物実験では肺がんが出ており、肺がん、あるいは肺気腫が人間では出ているため、肺気腫あるいは肺がんの大きな要因であります喫煙に関しては十分指導していただきたいということで、禁煙指導という言葉がここに入っております。
 9頁以降は別紙で、これは後ほど事務局から詳しく説明があると思います。
 資料3をご覧ください。留意点を4点挙げてあります。1点目が対象物質の粒径です。先ほど、吸入性粉じんという話をしましたけれども、実際の現場で吸入性粉じんと吸入性粉じん以外の粉じんがどの程度の割合で含まれているのかというデータがありませんので、これに関しましては、平成22年度に詳細評価で吸入性粉じんが取れるサンプラーを使いまして測定することになっていますので、その結果を見て、吸入性粉じんの妥当性を検証する必要があるだろうというのが留意点の1点です。
 2点目は、目標濃度として0.01mg/㎥にしましたけれども、これも実態に合っているかということは、いま言いました平成22年度に実施される詳細評価の結果を見て、0.01mg/㎥を下げるかどうかということも含めて検討する必要があるというのが第2点の留意点です。
 保護具の選定につきましては、防じんフィルターがITOの吸入性粉じんが保証された捕集率どおりに捕集されるかどうかということに関しては、あまりまだ証拠がありませんので、今後の性能についての検証を行う必要があるであろうというのが第3点目の留意点です。
 4点目の留意点、ばく露が許容される濃度ですが、これは先ほどの発がん実験から計算しますと随分低い濃度になります。こういうことも含めまして、この濃度の妥当性というものは今後検証していく必要があるだろうということが留意点の4番です。
 以上がポイントで、以降詳しい内容については事務局から説明があると思いますので、よろしくお願いいたします。
○寺島化学物質情報管理官 それでは引き続き、資料2、指針の詳細の部分につきましてご説明したいと思います。
 まず、資料2の1頁の上のところですが、これはこの指針の趣旨を記載しております。健康障害防止の徹底については、平成16年の通知によりその徹底を求めてきたところでありますが、今年6月、日本バイオアッセイ研究センターが実施したがん原性ITO研削粉のがん原性試験の結果において、吸入ばく露によりましてラット及びマウスで発がんを含む肺疾患を起こすことが確認されたところである、ということです。正確には、ラットで発がん、マウスではなかったということです。このため、事業場において適切な健康障害防止対策の導入が推進されるよう加速するため、別添のとおりこの指針を定めたので推進を図られたい、という趣旨です。古い通達は「廃止する」としています。
 指針に移りまして、第1「趣旨」は今申し上げたとおりですが、第2は、先ほど大前先生からありましたように、ITOの製造過程に限られています。その具体的な物理化学的性質、有害性、用途等は参考1のとおりということです。16頁の参考1をご覧ください。「対象物質の概要」で、基本的な物理化学的性状は現在行っておりますインジウム及びその化合物のリスク評価の内容と同様ですけれども、インジウム・スズ酸化物の部分は、例えば(2)「物理的化学的性状」をご覧いただきますと、外観としては黒みがかった灰色からの固体、水への溶解性は不溶というものです。
 17頁の(4)「用途」のところです。インジウム・スズ酸化物はパソコン、テレビ、携帯電話端末等の薄型のディスプレイ、タッチパネル、太陽電池等の透明電極原料として使われている物質ということです。その下にありますように、メタルのインジウムはハンダ的なもので、銀ロウその他のボンディング材料として使われている。その他のいろいろな用途に使われているということです。
 18頁以降が有害性の部分です。ここについては、発がん性の部分にバイオアッセイ研究センターの試験結果を追加しております。
 参考2に、ITOの取扱い作業として図示を入れています。どういった工程を経てどのような作業があるのかということが分かる形になっていまして、インジウム金属から酸化物粉末化をし、成型・焼結してITOの焼結体、これがITOターゲットですが、これを平面研削して寸法調整してボンディング、仕上げする。この過程におきましてITOの研削粉じん、あるいは切れ端のようなリサイクル対象となるものが発生してくるということです。このITOターゲットがさらにスパッタリングという、ガラスへの蒸着ではないのですが、スパッタリングをしまして、ガラスの表面に薄膜を形成する。その装置の清掃等の作業においてもITOの粉じんが発生するということで、それを吸入するばく露がある。これら全体の作業工程の中で、インジウムはレアメタルということもありますので、その粉じんを回収して、またインジウムに戻すリサイクルの工程がありまして、その中でもばく露が見られているということです。
 指針の1頁の第3「作業環境管理及び作業管理」の部分です。ここにつきましては、以前の通知では、設備に係る措置の内容としてア・イ・ウ・エと各項目のみ記載しておりましたが、今回、事業場の皆様方が実際にどのような作業が行われているのか、どのようなばく露防止対策が取られているのかということのヒアリングを行いました。実際の、例えばターゲットの研削板の湿潤化その他の、基本的には局所排気装置をどういった形で付けているのか、その他の飛散防止対策をどういう形でしているのかということをヒアリングしまして、それを反映させた形で例示をいくつか入れています。これによりまして、ヒアリングを行った事業場以外の事業場でまだ措置がされていない所に対して、これを参考として取り組んで欲しいというものです。
 具体的には、イの14行目にありますように、例えば、研削の装置全体をカバーで覆うであるとか、あるいは19行目にありますように、発散源の周りにビニールカーテンを設置する。22行目にあるように、別室に区分して必要時のみ立ち入る。それからウにありますのは局所排気装置の有効な運転というものです。それから次の頁、オの4行目にありますのは、治具、ぼろ等、清掃に使ったものを湿潤化して使うわけですが、それが蒸発してしまうとやはり粉じんが発生してくるのでそれに蓋を付けるとか、あるいは各種の事業場でありましたのは、作業場の出入口に粘着性のマットを設置するというような、粉じんが作業場以外の場所に広がらないような工夫がされておりましたので、そういったものを盛り込んでいます。
 (2)「作業管理」の部分も、前回の指針では明確に記載したところがなかったので、これは新しく作った項目になります。作業管理をきちんと事業場で指揮するようにして、選任した上で、このような、一般的な作業管理ですが、「作業手順を守る」や「ばく露時間の短縮のための作業方法の改善」をやってくださいと。清掃作業における粉じんの舞い上がりが無視できないということですので、その辺の工夫も記載しています。
 それから、常識的なことですが、32行目に「作業着は事業場内で洗濯すること」、「ロッカーは別々にすること」というような基本的な情報も盛り込んでいます。作業記録については大前先生のご指摘のとおりです。
 4頁の作業環境測定ですが、測定は6か月以内ごとに1回ということで、一般的な作業環境測定と同様で、「別紙1に示す方法により測定する」としています。別紙1は9頁をご覧ください。測定の方法は従来と同様で、(1)アにありますように、6メートル以下の間隔で引いた交点ということで、「A測定に準じた測定」となっています。イにありますように、最も高くなると思われる時間に、当該作業が行われる位置においてということで、「B測定に準じた測定」、この2つをするようにということで、作業環境測定とほぼ同様となっています。
 (2)の濃度測定ですが、ろ過捕集方法によって吸入性の粉じんを捕集する。これをICP-MSによって分析することにしています。ウにありますように、吸入性粉じんに特定しますので、吸入性粉じん用のサンプラーということでいくつか例示していますが、こういったものを使って捕集することとしています。サンプラーについては、11頁からにあります吸入性粉じんのサンプラーの利用法、それから分析法についてここで記載しています。
 元に戻って9頁、(3)の測定結果の算出です。A測定に準じた測定ということで、ここから、作業環境評価基準に準じて、第1評価値を算出し、これと比較する。第1評価値というのは、A測定の結果の測定点の数値を幾何平均、幾何標準偏差を取り、統計的処理を行いまして、正規分布の上から5%の値を推計したものになっています。この1次評価値を算出しまして目標濃度との比較を行うという構成にしています。
 4頁のイ「測定結果に基づく措置」というところですが、12行目からありますように、目標濃度として吸入性粉じんとして0.01mg/㎥としています。吸入性粉じんといいますのは「4μm 50%カットの分粒特性を有するサンプラーで捕集した粉じん」ということで、かなり細かいレスピラブルと言われている粒子径のものを対象とすることとしています。18行目からありますように、この第1評価値を用いまして、いずれかの値が目標濃度を超える濃度となった作業場は、速やかに改善のための措置を講じていただくよう、としています。目標濃度以下となった作業場も、やはりばく露が許容される濃度が「長期がん原性試験結果から算定されるものが3×10-4mg/㎥」が算定されており、これを超える場合には何らかの防護措置が必要ということで、ばく露の低減措置を講ずることが望ましいとしています。ですので、0.01mg/㎥までは速やかに対策をしてください、それ以下3×10-4mg/㎥まではできるだけ措置をするようにしてくださいという構成にしています。31行目にありますように、第1評価値又はB測定に準じた測定で得られた値がばく露が許容される濃度、3×10-4mg/㎥を超えている場合にあっては呼吸用保護具を選択する、としています。
 次の5頁、(4)「呼吸用保護具」のところです。ITO取扱い作業に従事する労働者は有効な呼吸用保護具を選択して必ず装着するものとする。イにありますように、22行目、別紙3の「呼吸用保護具の選択の方法」によって保護具を選定するとしています。
 13頁の別紙3をご覧ください。がん原性試験結果から導き出されましたばく露が許容される濃度、3×10-4mg/㎥に対応する保護具の選定の目安の表ということです。その濃度を基準としまして、指定防護係数が10レベル又はそれ以上の性能のものであれば、3×10-4mg/㎥の濃度から3×10-3mg/㎥、0.003mg/㎥のレベルまでは取替え式半面形の防じんマスク。許容される濃度から100倍のところまでが面体形(半面形)の電動ファン付呼吸用保護具又は全面形の防じんマスク。それ以上の部分については、指定防護係数が100~1,000又はそれ以上のもの、具体的には全面形の電動ファン付呼吸用保護具又は送気マスク又はプレッシャデマンド又はエアラインマスク。この3分類にしまして目安として示しています。目安ですが、こういった形を参考にして選定して欲しいということです。
 5頁に戻っていただきまして、(4)エ、30行目に、防じんマスクを使用するに際しては、フィットネスチェッカー又はフィルターを手で押さえる等、漏れの確認を随時行うと記載されています。
 6頁、健康管理の部分ですが、先ほど大前先生からご説明がありましたように、6か月以内ごとに1回、雇い入れ時、配置替え時、またその後定期に6か月以内ごとに1回健診を行う。
 健診の項目は14頁の別紙4のとおりということです。(1)雇い入れ時、配置替え時の健康診断は、通常の特化則の健診にありますように、業務歴、既往歴、その物質による自覚症状、その他、他覚症状の有無の検査といったものが含まれています。インジウムに特有のものとしましては、肺疾患による健診項目がいくつか入っていますが、それ以外に血清インジウム濃度の測定、KL-6という肺疾患の指標となるような値の測定、そして胸部CT検査、これが雇い入れ時定期健診にも含まれています。
 (2)の定期健康診断の一次健診ですが、これは従事される方全員に行われるべきとされるもので、6か月以内ごとに1回ということで、検査項目としましては、いろいろな調査、自覚症状、他覚症状のほかに、血清インジウム濃度測定、KL-6値の測定とされています。二次健診は、一次健診の結果、疑いがあると医師が認める場合に必要な検査として、作業条件の調査のほかに胸部エックス線検査、いわゆる一般定期健康診断における胸部間接撮影がそれに当たると思います。それから胸部CT検査、SP-D等の免疫学的検査、じん肺健診で行われている肺機能検査というものが、医師が必要と認める場合に行うということで記載しています。
 (3)にありますように、配置転換後の労働者にも、当該事業場に雇用されている間については健診を行うこと。必要でないと認めた場合には1年以内又は3年以内とすることができるという健診項目になっています。
 健診を行った結果は6頁の(2)「健診実施後の措置」ですが、何らかの異常がなければ通常の勤務でいいのですが、一般的健康診断における事後措置指針の考え方とほぼ同じように考えておりまして、次のいずれかに該当する場合ということで、「血液中のインジウムの量が3μg/L以上の場合であって医師が必要と認める場合」、あるいは「間質性肺炎又は気腫性変化に伴う呼吸器系の自他覚症状を呈し、KL-6の値が500以上、又は肺機能検査やCT検査によりインジウムによる異常の所見が認められ、医師が必要と認める場合」、こういった場合は医師が必要と認める場合ですけれども、就業時間の短縮や作業の転換をすることが妥当ということにしています。事業者は医師の意見に基づいて就業上の措置を決定する。その際、症状が出ていない方もいらっしゃいますので、予め労働者の意見を十分に聴いて了解が得られるようにすること、安易な解雇に繋がらないように留意すること等が記載されています。
 7頁、健康診断結果を検討する上での留意点です。インジウムに関する健診ということで、一般の産業医の先生方にとってはなかなかご存知ない部分もありますので、臨床的に参考になるような部分を医学的見地から記載していただいているものです。ITOによる肺障害については、発症後、作業継続の如何にかかわらず病状が進行する例がある。それから、気腫性変化については経年的に増悪することが指摘されているということで、注意が必要ということ。KL-6やインジウム濃度の医学的所見との関連について、あるいはそれらの値が下がったからといって単に障害がないということではなくて、活動性でないだけのことであって実は障害があったりするという医学的なことが記載されています。
 ?Aが胸部CT検査の部分ですが、これもCT検査について十分な検討。雇い入れ時、配置替え時の基礎データと比較して喫煙、ITO等によらない所見を除外するということで、胸部CT検査が重要であることを記載しています。
 それから、健診結果の保存については、先ほどの作業環境測定やその他の記録と同様に30年間保管。通知や保存については通常の特化則の健診と同様となっています。
 8頁の13行目、第5「労働衛生教育」部分ですけれども、ここは前回までの指針とさして変わりはありません。先ほど大前先生からご指摘があったように、喫煙の部分。最後の(6)の下、24行目ですが、やはり製造事業場に請負の事業者が入ること、あるいはリサイクルや装置の清掃等のために自社労働でない方が事業場に行って作業することが見受けられるということで、事業者が特定の業務を他の事業者に請け負わせる場合に、その事業者に対して予め上記にあるような情報を提供して健康障害の防止の措置を確実に講じられるように要請あるいは指示を行うようにということを付け加えています。
 資料3は、先ほど大前先生にご説明いただいたとおりですので、事務局からの説明は特にございません。長くなりましたが、以上です。
○菅野座長 ありがとうございました。ただいまのご説明について、ご意見、ご質問がおありの方はお願いいたします。
○唐沢委員 指針案の4頁、(3)「作業環境測定等」のところの「なお」書きに、ばく露濃度が許容される濃度は3×10-4mg/㎥ということでした。これはヒアリングなどをなさった段階で、こういう作業環境濃度が3×10-4mg/㎥、これの実現可能性、フィジビリティーみたいなものはヒアリングで出されていますでしょうか。
○島田化学物質評価室長 事業者のほうで、合計4社の方にお話を伺いました。ほとんどの事業場は平成16年7月の0.1を守るということで対応してきていて、それよりもさらに低いレベルで管理をしている事業場もあるということです。ただ、やはり0.01という、今回決まりましたレベルを守るのは結構きついという状況です。そのレベルでいまのところ管理はしているという状況でした。
○名古屋委員 ただ、そのときは粒子が大きいものであって、吸入性粉じんでやっているわけではないから、例えば大きな粒子の中で吸入性粉じんでが10あるとクリアできる。そこは実態的にわかっていないので、そこからもう少し考えましょうということで、とりあえず生体域を考えて高濃度レベルですねということだと思いました。
○唐沢委員 次の点、1頁に戻って第2の「対象物質」の3行目に「塩化インジウム等ITOの製造、回収等の過程で使用されるものとする」とあります。この「等」の読み方なのですが、文理上はITOの製造、回収等の過程で使用される化合物であれば、インジウム化合物すべて「等」で読むつもりであるという意味でしょうか。
○寺島化学物質情報管理官 そうです。塩化インジウムのほかに、たしか、ほかのインジウム化合物も入っていたケースがあったと思います。
○唐沢委員 ならば、ほとんどすべて、このような工程で使用されるものは、という意味ですね。
 それから、もう1点、また4頁に戻っていただいて、(3)のイ、これは表現だけの話ですので恐縮です。4行目に「注」と書いてあり、「吸入性粉じん」の定義が書いてあります。意味や内容はこれでわからなくはないのですが、指針できちんと書くとすれば、例えば「作業環境測定基準第2条第2項前段に規定する透過率の特性を有する分粒装置又は当該分粒装置を用いて得られる測定値と等しい値が得られる透過率の特性を有する分粒装置で捕集された粉じんをいうこと。」とか、指針の中であればきちんと正確に書いていただいたほうがベターだと思います。大前委員の別添3はあれで技術的にはそのとおり、正しいのですが、指針ということになると、もっと厳密に書いたほうがよろしいかと思います。
○小野委員 いくつか、確認させていただきたいところがあります。まず、1頁の32行目あたり、先ほどの「製造、回収等の過程で使用されるものとする」、「使用」という書き方になっています。要するに清掃業者の場合も先ほど含めるというようにおっしゃっていましたけれども、「使用されるもの」という書き方でそれも全部含まれると解釈してよろしいわけですね。
○寺島化学物質情報管理官 そういうつもりで入れております。
○小野委員 一般的にはそういう読み方でかまいませんね。
○寺島化学物質情報管理官 確かに「製造または取扱い」という言い方がメジャーだったかなという気がしますが。
○小野委員 それで大丈夫でしたら大丈夫でよろしいのでしょうけれど。あと、2頁目に「局排、HEPAフィルターを使うこと」と書かれています。それはいいのですが、それも含め、3頁目の上で「ぼろ等を湿潤化し」というのは、これは使う時点でもう濡れているということなのか、使ってから濡らすということなのか。それは置いておきますけれども、そういう所でごみが出ます。作業着は洗濯するのですが、28行目、「掃除機からの粉じんの舞い上がりを防ぐために、セントラルクリーナー式云々の大型集塵機を整備する」とあります。
 施設の大きさがわからないのですが、拭き取りで掃除をすることがあるのかどうか。あと、そういうことも含めて、先ほどから言っていますフィルターやぼろ、あとはクリーナーのフィルターの付け換え、そういった廃棄されたものについてどうするという記載が、
私が見落としているのかもしれないのですがないのです。密閉して廃棄しなければいけないとか、それを付け加える必要があるかどうか。作業や管理の仕方については記載があるのです。例えばナノの通達ですと、「必ず密閉して廃棄してください」という書き方になっているのですが、そこまで厳しくする必要があるのかどうかということがちょっと気になりました。
○島田化学物質評価室長 まず、ぼろについては、まさに清掃等で使われたものということです。これについては、いわゆる廃棄をするという趣旨のもので書いてございます。それから、ちょっと言葉足らずになりますが、先ほどのセントラルクリーナーのところで集塵機から集められた、いわゆる塵をどうするかということですが、事業者からヒアリングをさせていただいたところ、インジウムというものがレアメタルとして非常に有用なものですから、それを捨てずに回収するということでした。ですので、ここではたぶん捨てるというよりは、回収する際の行為ということで、場合によっては少し加筆をしたほうがいいかもしれません。
○小野委員 ということは、これは「別の業者の方に下請などで依頼するときは」というところにつながっていくのですか。ここに関しては、そういうつながりになるというように考えてよろしいのですか。
○島田化学物質評価室長 そうですね。あるいは、自社でそのまま回収していく場合もあると思います。
○名古屋委員 先ほどのヘパの時もそうでしたね。HEPAフィルターもなるべく集めて、リサイクルしたいので、良いフィルターを使って、それで捕集してリサイクルしますというという形でした。
○菅野座長 ほかにはいかがでしょうか。
○岡部委員 案の6頁に、4「健康管理」があって、(1)で健康診断の実施が謳われています。一方、平成16年の通知のほうには健康診断の項目がその中では見受けられないのですが、この健康診断については今回の指針で新たに追加されたという認識でよろしいでしょうか。
 その場合には6か月に1回という形で、例えば年に1回とかいろいろ考え方があると思います。この場合の6か月に1回ということを決めた理由というか、ほかの物質と比べて6か月に1回というのは、何か根拠があればご説明いただければと思います。
○大前委員 6か月に1回にした理由というのは、ほかの特化物がさまざまあります。例えば、金属で言うとカドミウムなどは特化則に入っています。鉛は鉛則です。そのようなものに比べると、インジウムのほうは短い期間で低い濃度で障害を起こしている。相対的に考えても、そういう金属の毒性が強いだろうということで、1年ではなくて6か月がいいだろうというのが主な根拠になります。
○岡部委員 その場合、例えば目標濃度と比較をして、目標濃度が達成できなければ短くするとか、逆に目標濃度を達成していればその期間をもう少し長くするという形はあまり考えられなかったのでしょうか。
○大前委員 そういう議論は実際しなかったのが現状です。というのは、目標濃度自体が実はそれほど安全と思われる濃度ではないということがありますので、そこの議論には至らなかったということでございます。
○菅野座長 3頁の4行目、「出入口にエアシャワーを設置する」とあります。出入口を出るときは防じんマスクをしているということは確実でしょうか。
○寺島化学物質情報管理官 しています。
○菅野座長 しているのですね。それから、挙げられている物質のうち、三塩化インジウムというのが水に溶解するもののようですが、三塩化インジウムでもやはり肺がんになるのでしょうか。
○大前委員 肺がんのデータがあるのはITOとインジウム・リンだけでございます。三塩化インジウムにそういう発がん性があるかどうかはまだ不明でございます。
○櫻井委員 あまり大きな問題ではないのですが、2頁の28行目と30行目に書いてあることは同じことではないかなと思うのですが。「集塵機の風力アップ」という表現があまり正確ではないかなと思います。要するに、吸引風速を確保するということであるならば同じことになると思います。
○寺島化学物質情報管理官 「集塵機の風力アップのため」というのは、確かに表現がいまひとつ良くなかったかもわかりませんので、改めさせていただきたいと思います。趣旨としては、必要以上に開口面を広くしておくと、やはり制御風速が下がってしまうのでということで、そういう工夫をしていますという事業者がいらっしゃったのでそういう形で書かせていただきました。30行目のほうは、きちんと点検して風速が出ていることをチェックしているということなので、そこの部分を記載したものという趣旨であります。
○菅野座長 「チェックする」というのは31行目にありますよね。ですから、30行目は吸引風速を確保するという目的だったら、いろいろやることはあるけれども、そもそも集塵機のパワーアップも必要でしょうし、吸入口の開口面積は必要最小限にすることも必要だということになります。同じことが書いてあるかなと思ったものですから。後で整理してください。
○寺島化学物質情報管理官 わかりました。
○菅野座長 もう1つ、5頁の31行目、防じんマスクの漏れをチェックする際にフィルターを手で押さえるというのは、実際はあまりうまくいかないと思うのです。表面に出ているものを押さえると圧力が上がってしまいますから。ですから、指導するときなどは粘着テープなどで貼ってしまうのです。そうすると、はっきりわかります。そういうことも考えますと、この表現はどうかと思います。
○櫻井委員 「粘着テープと集塵面を封鎖するなどして」などと書いていただいたほうが。
○菅野座長 田中さんが今日いたら多分賛成してくれると思います。
○名古屋委員 使いたいですね。
○櫻井委員 そうですか、絶対うまくいかないです。
○名古屋委員 いま、セットチェックが付いているものが結構売っていますので、セットして押さえればもう大丈夫でしょう。
○菅野座長 もう1つ、確認ですけれども、6頁、四角の枠の中の右側の下から2行目、「インジウムによる異常」というのは、先ほどご説明あった就業前からの事情を特別視してわかるということなのでしょうか、それともインジウムによる特別な異常所見が決められていてわかるということなのでしょうか。
○大前委員 インジウムの場合、一旦肺に吸入されますとなかなか出ていかない。排出されないということで、血清中のインジウムが3を超えた状態が長い間続く。あるいはKL-6が長い間続くということがあります。そういう方々を全部配置転換等するのかというと、経時的に見ていましてインジウムが下がっている、あるいはKL-6が下がっているということがあれば最近の吸入はほとんどないということになります。それを見極めて、異常所見が多少はあっても、ドクターの判断で就業制限をかけるかどうかを決めたらどうかというのがここの趣旨になります。
○菅野座長 ほかにはいかがでしょうか。
○岡部委員 確認なのですが、13頁の別紙の3、いわゆるインジウム取扱い作業に対する呼吸用保護具の選定とあります。その下のほうに小さい字で「許容される濃度3×10-4/㎥」としたときの選定目安表という記述がある。もともと、目標濃度としては0.01という数字が挙がっていて、この0.01という目標濃度と3×10-4に調節したときの目安というのが何となく、作業者にとっては、自分のところがこの0.01がもし満足しているのだったらさらにやりましょうということになると思います。これは何か整合性が取りにくいのではないか。パッと見たときに、3×10-4は難しいので目標濃度は0.01とした。だけど、さらに良くしようとすればこれを使いなさいということであれば、逆に常時作業するのであれば「これをすることを推奨する」みたいな形にこのイメージを変えたほうが実際としてはわかりやすいのかなという気がします。
○名古屋委員 たぶん、5頁のフローに従って選ぶようになっていますから、そのときの参考値として考えてもらえればいいのではないでしょうか。いちばん最初のところで環境管理します。そのとき、危なかったら上を選びなさい。下まで来て3×10-4以下だとしたら、これは安全率がわからないから「マスクしなくていい」とは言えないので、やはり「こうするのが望ましい」としておく必要がある。これに連動して作ってあるから。
○岡部委員 なるほど。
○名古屋委員 だから、たぶん大丈夫だと思います。
○岡部委員 ここに戻ればいいわけですね。
○名古屋委員 はい、そこに戻ればいい。
○岡部委員 わかりました。
○菅野座長 ほかにありますでしょうか。いくつかのご指摘がありましたけれども、それを取り入れていただいて、ここで技術指針(案)についてご了解いただけたということでよろしいでしょうか。
(了承)
○菅野座長 それでは、そのようにお願いいたします。
○島田化学物質評価室長 いまご指摘いただいて、誤解が生じやすいようなところは改めて直した上で提出するようにいたします。あとは座長とご相談をさせていただくことでよろしゅうございましょうか。
(了承)
○菅野座長 それでは、そのようにお願いします。続いて、資料4の「インジウム・スズ酸化物等の健康障害に関する対応について」、同じく大前委員からご説明いただきます。
○大前委員 資料4でございます。これはいわゆる風評被害にかかわる部分です。いままでインジウム・スズ酸化物にかかわる、あるいはインジウムによる肺障害というのは、主としてITOの製造現場でしか観察されておりません。一旦、薄型ディスプレイができてしまい、それを組み立てる工程、あるいはそれを廃棄する工程では全然観察されておりません。それから、その段階ではインジウム濃度が出てきたとしても非常に薄い濃度で、健康に影響を及ぼす濃度ではないということが想定できますので、そういう場所ではインジウムを使っているからというだけで、あるいはその他のディスプレイを扱っているからというだけで健康に関する心配をすることはないだろうというのがこの資料4でございます。これは事務局から少し詳しくお伝えいただいたほうがいいのではないかと思います。
○菅野座長 よろしくお願いします。
○寺島化学物質情報管理官 資料4ですが、いわゆる風評被害への対応ということで、全体的なことをこれだけご覧いただければ簡単にわかるような形でのペーパーとなっています。ITOというのは1990年代半ばから使われていて、世界シェアの8割を占めていること。しかし、ITOを製造する所におけるインジウムによる肺疾患というものが、一定期間吸入したことにより発症するものである。平成15年に最初の症例が報告されております。現在まで、症例として報告されたものが10件ということであります。ヒトでの疾患及び症状は、間質性肺炎、肺気腫、気胸、肺胞蛋白症、ばち状指等であり、現在のところ肺がんは確認されておりません。
 国としての取組みですが、「平成16年7月に指導通知を発出し、推進してまいりましたけれども」と記載しています。本検討会のことが書いてありますが、都合4回開催し、9月28日に技術指針を取りまとめたものであるということです。
 ITOを製造し、取り扱う事業者は本指針に従って速やかに措置を講じられるように要請するとともに、これを取り扱うことによっての健康被害ということについて、単にITOの電子機器等に組み込まれるところの組立て等の事業場におきましては、健康障害は確認されていないということですので、電子機器等の製造に係る事業者はこの情報の周知徹底を通じ、不安の払拭に努められたいということ。
 電子機器等の通常の使用、薄型ディスプレイ等が破損した場合の片付け等も含みますけれども、こういった場合に一般消費者が健康障害を起こす危険性はないので、そういったところも踏まえ、冷静な対応を取っていただきたいということでまとめています。以上です。
○菅野座長 ありがとうございました。この点について、ご質問、ご意見等がおありでしたらお願いします。これは指針と一緒に公表されるということですか。
○島田化学物質評価室長 このあとの指針としますと、国のほうからパブリック・コメントの募集という形になります。その段階で広く国民の方々にインジウムの有害性が周知されます。その際、問題性をきちんと理解していただかないと、パソコンやテレビというものが非常に普及消費財になっていますので、そういった方々が不安に思われる可能性がございますので、合わせてこういうものを使ってきちんと情報提供していきたいと思っています。
○菅野座長 いかがでしょうか。
(了承)
○菅野座長 それでは、この「健康障害に関する対応について」というのはこの形で国民に周知していただくということで了承されました。よろしくお願いします。
 次に、1,3-プロパンスルトンの測定方法に係る検討に移らせていただきます。まず、事務局から資料のご説明をお願いいたします。
○寺島化学物質情報管理官 資料5をご覧ください。これは1,3-プロパンスルトンの測定分析法について、中災防への委託事業の中で検討して、報告が上がってきているものがありますので、それをもとに中災防の棗田さんから報告いただきたいと思います。
○島田化学物質評価室長 補足をさせていただきます。これは前回、第6回検討会のところで、いわゆるプロパンスルトンの測定がほとんどされないということがあり、測定法の問題ではないかという指摘を座長からいただきました。その点、測定法がきちんとしているかどうかを検証してくださいということを事務局に指示いただきました。その関係で、今回、ご報告するということでございます。
○菅野座長 ありがとうございます。棗田さん、よろしくお願いします。
○棗田(中災防) こちらの資料に関しては、平成19年度に検討した結果なのですが、まず「捕集材の選択」というところを見ていただきたいと思います。こちら、活性炭、シリカゲル、クロモソルブ、Tenax、XAD-2、XAD-7という形で検討しています。この中で非常に良かった、TenaxとXAD-2というものをまず選択して検討している。
 こちらを見ていただくとわかるのですが、基本的には脱着試験、添加回収をしています。ただ、液状の物を入れたときには100%ぐらいの回収が出ていて、3個しかやっていないのですが、脱着試料の変動も1%ぐらいと非常に少ない。後ろのほうを見ていただきますと、検量線の直線性も基本的には直線性が高い。基本的にはこの分析条件で特に問題はないとは思われます。
 ご指摘があったのは採気をあまり、定量下限の算出のところを見ていただくとわかるのですが、10分採気と30分採気しか基本的にはやっていません。そこのところの部分で、もしかすると水分等と付いて分解するのではないかというお話がありました。これについては、本日、報告書はないのですが、分析を担当した大阪労働衛生総合センターのほうで追加の調査をしてもらい、基本的に4時間引いた時点では変わらないという結果をいただいています。そういった形で見ますと、基本的には採れていると思われます。特にこの方法で問題はないかと思います。
 ただ、先生方のご指摘のとおり、加水分解するという可能性は捨て切れません。本来であれば、今後、加水分解するものについても一緒に測定して、分析できるような手法を今後検討したほうが望ましいと思うのですが、現時点で測定方法に特に大きな問題があるとは思えないと思います。
○菅野座長 どうもありがとうございました。いま、ご説明がありましたが、前回私が疑問に思ったのは分析法の検討のところで、短時間の捕集だったのですが、実際に測定されるときに長時間でしたので、そこはあり得るということでした。ご検討いただいて4時間でも大丈夫ということでありますので、前にお送りいただいた検出下限というのは正しいだろうということで私はよろしいのではないかと思います。ご意見、ご質問がありましたらお願いいたします。それでは、プロパンスルトンについては正確に測定が行われたということでよろしいですか。
○島田化学物質評価室長 前回、第5回のとき、吸入というよりはむしろ皮膚接触の関係で問題があるということで、それに対する対策をお決めいただいています。予定どおり、それに関して規制の手続きを進めていきたいと思います。どうもありがとうございました。
○菅野座長 資料6については何か、ご説明があるのでしょうか。
○島田化学物質評価室長 資料6、「今後の予定」をご説明申し上げます。
○寺島化学物質情報管理官 資料6、「今後の予定」ですが、本健康障害防止措置検討会については年明けてから、また第2回、第3回ということで、リスク評価の結果のご検討をいただきたいと思っています。現在のところの予定はございません。
 インジウム、あるいは昨年度から引続きのリスク評価結果を踏まえての措置の部分について、上の○にありますように、第2回リスクコミュニケーション会合として10月8日、福岡での全国産業安全衛生大会の会場で午後に開催することにしています。テーマとしては、本日ご審議いただきました「インジウム・スズ酸化物の技術指針」のことについて、それから8月までご審議いただきました「酸化プロピレン等4物質の規制の方向性について」ということで予定しています。
 また、その下にありますように、インジウムの技術指針につきましては、10月から11月にかけてパブリック・コメントを実施する予定にしています。それが済み次第、通知として発出を予定しています。以上です。
○菅野座長 ありがとうございました。以上をもちまして、第1回の検討会を閉会させていただきます。ありがとうございました。


(了)

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