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2010年9月27日 第2回厚生労働統計の整備に関する検討会議事録

大臣官房統計情報部企画課統計企画調整室

○日時

平成22年9月27日(月)16:50~18:00



○場所

中央合同庁舎5号館 厚生労働省6階 共用第8会議室(608)


○出席者

委員(五十音順、敬称略、◎:座長)

阿藤誠
阿部正浩
石川広己
今田幸子
岩田正美
大江和彦
大沢真知子
柏女霊峰
玄田有史
西郷浩
齋藤英彦
土屋了介
津谷典子
永瀬伸子
◎廣松毅

事務局

高原統計情報部長
岩崎企画課長
早川統計企画調整室長
中島審査解析室長
小野人口動態・保健統計課長
武田保健統計室長
青木社会統計課長
市川縦断調査室長
上田国民生活基礎調査室長
南雇用統計課長
木塚賃金福祉統計課長

オブザーバー

佐藤主任研究官(総務省)

○議題

1.「公的統計の整備に関する基本的な計画」の別表における検討状況等について
2.その他

○議事

○岩崎企画課長 御出席予定の委員の方で、まだお見えになっていらっしゃらない方もいらっしゃいますが、定刻になりましたので、ただいまから第2回「厚生労働統計の整備に関する検討会」を開会させていただきます。
 委員の皆様方におかれましては、お忙しい中を御出席いただきまして誠にありがとうございます。
 審議に入ります前に本日の出席状況でございますが、全委員御出席予定という話を承っております。大沢委員、玄田委員、西郷委員におかれましては、御出席予定あるいは遅れて御出席されるとの御連絡をいただいております。
 また、統計委員会から基本計画の課題への対応について当省と総務省との連携の御指摘があったことを踏まえまして、本日はオブザーバーとして総務省より、佐藤主任研究官に御出席いただいております。
 それでは、以後の進行につきましては、廣松座長にお願いいたします。

○廣松座長 皆様、本日はお忙しい中お集まりいただきまして、ありがとうございます。分科会から続けて御出席いただきました方は長時間にわたりますが、よろしくお願い申し上げます。
 具体的に議事を始めます前に、前回からの宿題でございますが、前回の会議で座長預かりとさせていただきました座長代理の件でございます。座長代理につきましては、検討会の開催要綱で座長が構成員の中から指名することとされております。これにつきまして事務局および委員の何人かの方と御相談いたしまして、御本人がまだお見えにはなっていないのですが、御内諾をいただいておりますので西郷委員にお願いしたいと考えますが、いかがでしょうか。
(「異議なし」と声あり)

○廣松座長 どうもありがとうございます。それでは、西郷委員にこの検討会の座長代理をお願いすることにしたいと思います。
 では、議事に入りますが、お手元の議事次第にございますとおり、本日の議事は「公的統計の整備に関する基本的な計画」の別表における検討状況等についてということでございます。その他もございますが、メーンの議題はこの検討状況等についてということでございます。
 それでは「公的統計の整備に関する基本的な計画」の別表の検討状況につきまして、事務局から説明をお願いいたします。

○早川統計企画調整室長 それでは、資料の御説明をいたします。資料2をお開きください。こちらの資料は表形式になってございまして、「公的統計の整備に関する基本的な計画」の中の別表にございます、今後5年間に講ずべき具体的施策につきまして、現在の検討状況についてまとめたものでございます。つくりは左に項目がございまして、その脇に具体的な措置、方策等、担当府省、実施時期と白抜きのところでございますけれども、こちらは基本計画の別表に掲載されている内容でございます。検討状況と現在の取り組み状況につきましては、青地のところに掲載しております。右側の橙色のところでございますけれども、統計法第55条に基づく報告の内容と前回の当検討会における報告内容について記載してございます。
 本資料の位置付けでございますが、基本計画の別表に関しましては、その後の統計委員会の基本計画部会などにおきまして種々の御指摘をいただいておりますけれども、そちらに関しましては別整理ということで、あくまでも閣議決定されました基本計画の中の別表についての取り組み状況について整理させていただいておりますので、御了承願いたいと思います。
 では、順に御説明申し上げます。
 まず最初ですが、四半期推計に関する諸課題ということで、毎月勤労統計について(1)常用労働者が5~29人の事業所の調査における標本替えの工夫による所定内給与等の断層の解消。(2)離職事由を「解雇、退職」、「転勤」等に分離すること等による企業の退職者比率の把握。(3)退職金の調査を検討するということで、担当府省は厚労省となっておりまして、平成25年度までに結論を得るということになっております。
 こちらにつきまして現在の状況ですが、検討中ということでございます。
 具体的な検討の取り組み状況でございますけれども、標本替えに関しましては、標本替えを工夫するためには交代の頻度を増すか、継続調査期間を延長する必要がございますが、その場合には調査対象者や経由機関の都道府県に負担を強いることとなります。このため、推計方法の工夫、ARIMAモデルを用いたデータ補正など、調査対象者や都道府県に極力負担をかけずに改善が図れる方法について検討しているところでございます。
 (2)につきましては、現在調査しております雇用動向調査と労働経済動向調査を統合することにより、四半期ごとに転勤・離職別の労働者数を把握する方向で現在検討しているという状況でございます。
 (3)退職金の調査でございますが、毎勤において退職金を調査することについては、退職金の支払い額が事業所単位で必ずしも把握していないケースが想定されます。また、最近の退職金に関しましては、外部積立てをすることが主流になってきているということもございまして、事業所から直接支払われる可能性が必ずしもないという状況でございますので、現在の毎月調査するという速報性を維持したままでの対応が困難であろうということです。この退職金の調査がなぜ基本計画に出てきているかということでございますが、GDPの四半期推計において退職金がどのくらい出ているかということを推定したいということでございますので、少なくとも四半期毎に退職者の数がわかるようにするということで、四半期毎のGDP推計に対応でき得るというようなお話も聞いておりますので、こちらは退職金調査そのものではなく、退職者の把握の方向で取り組んでいく方向で今、検討している状況でございます。
 次は、(4)医療費に関する統計の国際比較可能性の向上ということで、医療費に関する統計の体系的整備、国際比較可能性の向上の観点から、保健医療等の分野全体の医療費をマクロでとらえる推計(OECDのSHA手法に基づく保健医療支出推計)を公的総計と位置付けることについて、できるだけ早期に結論を得られるよう学識経験者や利用者を含めて検討するということで、担当省は厚労省となっております。
 実施時期は平成21年度から検討を開始し、できるだけ早い時期に結論を得るということで、こちらの状況も検討中でございます。
 具体的には、医療費に関する統計の体系的整備、国際比較可能性の向上の観点から、保健医療等の分野全体の医療費をマクロでとらえる統計を公的統計として位置付けることを検討するために、有識者を構成員とした「医療費統計の整備に関する検討会」を設置し、本年4月26日に第1回検討会を開催し、検討を開始したところでございます。参考資料にその議事次第がついております。
 国民医療費及びSHA手法の現状を踏まえて課題を抽出し、今後は推計手法、推計に当たっての課題などについて検討を進め、その結果を基に公的統計として位置付けることについて、平成22年度中に検討会としての結論を得る予定にしているところでございます。
 続いて、(2)少子高齢化等の進展やワークライフバランス等に対応した統計の整備ということで、就業(就職及び離職の状況、就業抑制要因など)と結婚、出産、子育て、介護などとの関係をより詳しく分析する観点から、関係する統計調査において必要な事項の追加などについて検討するということで、これは平成21年度中に結論を得ることになってございます。
 右側の第55条報告を御覧いただきますと、雇用動向調査あるいは縦断調査におきまして必要な選択肢を増やすという検討結果が出ておりまして、一応、平成21年度中に検討の結果が出ているという整理になってございます。
 天地が逆転して恐縮ですけれども裏面でございます。同じようにワークライフバランスの項目ですが、世代による違いの検証などのため、21世紀出生児縦断調査及び21世紀成年者縦断調査について、新たな標本の追加などを検討するということで、実施時期でございますが、平成21年度中に結論を得るということでございます。
 検討状況は、検討済みということでございまして、結論といたしましては、新たな標本の追加をするという検討結果を出しておりますけれども、出生児縦断調査につきましては今年度に新たなコーホートの予算を確保しまして、12月に実施を予定しております。一方、成年者縦断調査における新たなコーホートの追加につきましては、財政事情によりまして平成23年度の概算要求に盛り込まれなかったということで、平成23年の実施はちょっと難しいということで、平成24年度以降、概算要求することを検討しているということでございます。一応、検討の結果は追加するという結論で、あとは予算がついてくるかどうかという状況になっているということでございます。
 次に、人口動態調査における集計の充実について検討するということで、こちらも平成21年度中に結論を得るということでございます。これも右の第55条報告に出ておりますが、具体的な追加統計表案が出ておりまして、こちらに基づきまして集計の充実について基幹統計調査の変更申請を行いまして、8月20日に総務大臣の承認を得て既に実施済みという状況になっております。
 次に、(3)暮らし方の変化に対応した統計の整備ということでございます。2点ございまして、1点目が、国民生活基礎調査の所得票及び貯蓄票を用いた調査結果の都道府県別表章が可能になるよう、調査票の標本規模を拡大することについて検討するということで、平成25年が大規模調査年になっておりまして、その企画時期までに結論を得るということでございます。こちらにつきましては第55条報告にも出てまいりますが、試験調査を行った上で、その結果を踏まえ平成25年の大規模調査に向けて実施を検討するというスケジュールを組んでおりましたけれども、平成23年に実施を検討していた試験調査につきましては、今般の財政事情によりまして概算要求に盛り込まれませんでした。このため平成25年調査の企画時期までに試験調査を行って結論を得るというのが非常に困難な状況になっているということで、検討の状況としましては、一度試験調査を行った上で実施するという結論は出ておりますけれども、予算的な裏付けが得られていない状況ということでございます。
 同じく国民生活基礎調査の件でございますが、世帯票、健康票、介護表、所得票及び貯蓄票について、相互のクロス分析を充実させるということでございます。こちらは、具体的な統計表の追加の案が出ておりまして、こちらで対応するということで検討済みという状況でございます。
 続いて、(4)教育をめぐる状況変化等に対応した統計の整備ということで、社会生活や雇用・労働等の教育との関係を分析できるようにする観点から、関係統計調査において学歴などの教育関連項目を追加することについて検討するということで、これは各調査の実施府省ということになっておりますけれども、原則として平成21年度中に結論を得るということで、厚労省といたしましては検討済みという整理にしております。具体的には右の第55条報告にございますが、国民生活基礎調査は教育の項目を追加し、学歴6区分を把握することとしているということと、前回報告しておりますけれども、21世紀出生児縦断調査や賃金構造統計調査、雇用動向調査で既に学歴を把握しているということでございます。
 1枚めくっていただきまして、項目番号9番でございます。(7)グローバル化の進展に対応した統計整備ということで、人口動態調査における外国人についての集計の充実、特に年齢別について検討するということで、こちらも平成21年度中に結論を得るということになっております。具体的には右に追加の統計表の案が出ております。外国人集計の充実について、基幹統計調査の変更申請を行いまして、8月20日に総務大臣の承認を得て既に表章を開始しております。
 続いて(8)企業活動の変化や働き方の多様化等に対応した労働統計の整備でございます。まず1点目、実労働時間のより適切な把握の観点から、世帯に対する雇用・労働関係の統計調査において、ILOの国際基準も踏まえた上で調査事項の見直しについて検討するということで、こちらの担当府省は総務省、厚労省となっておりまして、平成21年度中に結論を得ることになっておりますが、現在の状況としましては検討中ということでございます。
 こちらの実労働時間の適切な把握につきましては、総務省の雇用失業統計研究会において精緻な検討がなされていると聞いておりまして、統計委員会における御指摘に、雇用失業統計研究会と本検討会の連携の要望がございまして、総務省と緊密な情報交換を行い、総務省における取り組みを参考に、関係する統計調査における必要な対応について検討するという状況になっております。
 労働統計につきましては、世帯調査の経験が非常に乏しいということで、実際には総務省さんの方で労働力調査ということで世帯調査が行われていて、厚労省はどちらかというと事業所調査がメーンになっている形ですので、まず、こちらは世帯に対する調査という御指摘が出ておりますので、そちらの方でどれだけできるのかの検討結果を踏まえた上で、厚労省でも何ができるか検討していきたいという状況でございます。
 続いて、11番、雇用動向調査等を基にして雇用創出・消失指数を推計し、公表するということで、これは平成24年度末までに実施することになっております。こちらにつきましては現在、検討中でございまして、具体的には労働政策研究・研修機構において、こういった指標の推計方法を研究中でございます。具体的には本年8月4日、当該指標に関する雇用創出・消失指標推計研究会が開催されているところでございます。
 続いて12番は、経済産業省と協力してビジネスレジスターの整備を待って、毎月勤労統計調査や賃金構造統計調査と工業統計表等との結合を図るため、共通符号を持たせることなどの措置を講ずるということで、こちらはビジネスレジスターの整備状況を踏まえ、速やかに実施することになっております。現在の状況は検討中ということで、具体的に何を検討しているかでございますが、今後、新データベースを活用した効率的な統計の作成や統計結果データの有効活用などの観点から、共通コードの維持管理方法などについて検討を進めていくことにしております。
 最後のページになります。13番ですが、非正規雇用の実情を継続的に毎年把握する統計調査について、遅くとも平成24年度までの調査開始に向けて、調査の内容や実施時期などについて検討するということでございます。こちらは平成21年度から検討を開始し、平成22年度までに結論を得るということで、統計委員会の基本計画部会の指摘もございましたし、総務省と共同で具体的課題の整理を行って対応を検討していくという状況になってございます。
 続いて、14番、関係府省などと協力してハローワークを通じた求人・求職活動のみではなく、他のルートによる求人・求職活動を含めた総合的な労働の需給動向を示す指標について、ハローワーク以外の求人数の把握方法、世帯調査を通じた求職状況に関する統計の利用可能性や費用対効果などを含め、その実現可能性について検討することになっております。こちらは平成21年度から検討することになっておりまして、現在、検討中でございます。
 具体的には、諸外国が行っている求人・欠員に関する調査と、雇用動向調査における未充足求人が類似しているということで、現在、年1回の雇用動向調査でございますが、これを四半期化するなどの方法により、未充足求人を四半期ごとに把握する方向で検討しているところでございます。
 需給動向を示す指標については、総務省の世帯調査を通じた求職状況に関する統計の利用可能性などについて検討することとしまして、総務省との連絡調整を行うこととしております。
 なお、公務部門での求人把握ですけれども、いわゆる非常勤職員の求人状況に関しましては、調査するまでもなく関係府省に確認すれば一発で答えが出てくるのかもしれないということで、その状況を踏まえた上で検討を行いたいと考えております。なぜ公務の話が出ているか御説明いたしますと、実際の雇用動向調査に対しまして、公務部署は基本的には調査の対象にしない整理でずっときておりますので、公務は別扱いにせざるを得ないということでございます。
 最後でございますが、医療施設調査及び患者調査について、記入者負担の軽減及び統計調査の効率化の観点から、医療機能情報提供制度やレセプトの電子化などの進捗状況を踏まえ、平成23年調査以降への行政記録情報等の活用可能性について検討するということで、平成23年調査の企画時期までに結論を得るということになっております。こちらにつきましては、平成23年調査の企画を行い、医療施設調査において施設基準の届出などに基づく情報を行政記録情報として活用することとしております。
 具体的には、できるものについては平成23年調査については既に活用すると決めましたということで、検討済みという形になってございます。
 資料につきましては、以上でございます。

○廣松座長 ありがとうございました。
 少し補足いたしますと、今、御説明いただいた1~15項目でございますが、そこにございますとおり公的統計の整備に関する基本計画、通常「基本計画」と略しておりますが、その中で担当府省の中に厚生労働省と出ているものを一覧表にしていただいたものでございます。その別表の中では実施時期というのがございまして、平成25年度までとか、あるいは平成21年度中に云々と書かれています。この基本計画は昨年3月に閣議決定され、ほぼ1年半経ったわけですけれども、資料2の右にございます統計法第55条第1項といいますのは、施行状況に関して各府省が総務大臣に報告することを義務付けた規定です。それに基づき、右にありますような形で厚生労働省から総務大臣に報告が出されました。そして統計委員会が総務大臣がまとめた施行状況報告に基づき、主として平成21年度あるいは平成22年度という実施時期が明記されているものに関して、進捗状況についてフォローアップといいましょうか、評価を行いました。大きく3つのワーキンググループに分かれて作業を行ったわけですが、今の予定では30日に統計委員会としての意見書を取りまとめて、必要な場合に担当大臣に手渡すことになっております。
 まだ最終決定したわけではございませんが、今のところ意見書として担当大臣に出すのは2件、1つがSNAの関係、これは内閣総理大臣あてです。もう一つが後に話題になるかもしれませんが、ビジネスレジスターの関係です。総務大臣あてです。今年度の施行状況の検討の結果、一応そういう形に落ち着きそうです。
 特に、厚生労働省が関係する部分に関しては、ワーキンググループ2で検討されました。本日御出席の阿藤委員に座長をお務めいただきました。さて、資料にありますとおり、検討状況と書いてあるところに「検討済」と書かれているものが1ページの一番下、項目番号では3~9番まであります。それから、最後の15番にもあります。これらに関しましては、ある意味で既に終わったと言えば終わったわけです。ただ、先ほど説明がありましたとおり、財政事情により最初に計画していた措置に関して予算的な裏付けがとれなかったものもありますが、とりあえず基本計画の中で検討すべき事項として指摘されたものに関しては、一応結論を出したということです。
 その意味で言いますと、勿論この検討済みに関しても御意見いただければと思いますが、主として今日は「検討中」と書いてあるそれ以外のものに関して、いろいろ御意見をいただければということでございます。
 もう一つだけ補足をいたしますと、この直前に開きました社会保障審議会統計分科会の所掌範囲は、厚生統計の分野に限られておりまして、労働統計の方はカバーしておりません。したがって、今回は厚生労働統計の整備に関する検討会という形で別の組織にした上で、労働統計に関しても基本計画の中で対応が求められているものですから、この場で労働関係の統計も含めて議論することにしました。したがいまして、必ずしも厚生統計関係だけではなくて労働関係に関しても、いろいろ御意見をいただければと考えております。
 それでは、まず「検討済」と書いてある項目、3~9番及び15番に関しまして、何か御質問はございますか。

○永瀬委員 3番目の(2)少子高齢化等の進展やワークライフバランス等に対応した統計の整備で教えていただきたいんですけれども、雇用動向調査の中で離職事由において結婚、出産、育児、介護に関する選択肢ということなんですが、これは子ども年齢ですとか、結婚年齢などは聞いているかどうかを教えてください。と申しますのは、就業構造基本統計調査でも結婚年齢は余り聞かれていないので、結婚事由の離職とか育児事由の離職は意外と低く出るんですね。例えば、女性の人生を90年だとしますと、結婚というのはすごく短い時期に起きますし、また、出産も短い時期に起きますので、年齢階級別で出したとしても、例えば20代後半、30代前半とやったとしても、その間に転職を何度もしてしまいますと結婚事由や出産事由は意外と出てこなくて、それがすごく違うなと思ったのが社会保障・人口問題研究所の出生動向基本調査などですと、結婚のときどうでしたか、第1子が1歳のときどうでたかと聞いていまして、そこでは就業構造基本統計調査から見られる姿とは全然違う姿が見られるんです。ですので、せっかく雇用動向でもこれから離職あるいは入職ということで統計を整備しようということであれば、それから、目的が結婚、出産、子育て等の関係ということであれば、子どもの年齢や結婚年齢まで聞いていただけるかどうかわかりませんけれども、あるいは介護などの情報がないとわかりにくいのかなと思ったので、その辺がどうなっているか教えていただければと思います。

○南雇用統計課長 雇用動向を担当しております雇用統計課長の南でございます。離職者票は1枚の調査票になっていまして、離職者は離れておりますので、その事業所で聞く場合は事業主に書いていただくことになっておりますので、結婚年齢や子どもの出産年齢というのは調査項目上は入れておらないという状況でございまして、ちょっとわからないというのが現状です。

○永瀬委員 家族の状況も勿論わからないということですね。

○南雇用統計課長 そうですね。そこまでは調査しておりません。大まかな形で離職の理由として結婚、出産、育児、介護であるのかどうか、それに該当すれば「○」をしていただくという形です。

○永瀬委員 それは事業主が判断して「○」をつけるということですか。

○南雇用統計課長 離職理由としてそういったものが挙げられたら、そこに書いていただくという調査票の構成になっていますので、それ以上については現状の調査ではやっておりません。

○永瀬委員 例えば、実態はどうであれ結婚しますと言って辞めた場合は結婚に「○」がつくし、実態はどうであれ転職しますと言った場合にはそういう「○」がついてしまうということですね。

○南雇用統計課長 家庭の事情ということであれば、そこに「○」がされて回答いただくという形になります。

○永瀬委員 わかりました。事業主が記入するということであれば、その調査票の限界としてとらえられているということですね。

○南雇用統計課長 そうですね。事業主が書かれますので、個人の情報を聞く形になりますので、そこまで事業主に求めることは難しいのかなと思っております。

○永瀬委員 わかりました、ありがとうございました。

○廣松座長 どうぞ。

○土屋委員 検討済みのところで教えていただきたいんですが、4番と6番が先ほどの御説明で平成23年度の概算要求に盛り込まれなかったということは、厚労省から出るときに既に消されていたということですか。財務省には要求していないということですか。

○早川統計企画調整室長 実際にそういう状況でございます。

○土屋委員 これは是非、政務三役にお伝え願いたいんですけれども、政治主導というのはデータなしに政策をつくることではないだろうと思うんです。政策立案のために必要だと思うから、これを予算請求するのであって、是非これは特別枠ででも改めてやっていただきたいと。何のデータもないところで考えろという方が無理だと思います。

○津谷委員 その関連で、特に6番の国民生活基礎調査の所得票と貯蓄票の標本規模を拡大して都道府県別の表章を可能にするという部分で、平成23年度実施予定だった試験調査ができないと、これは全部ずれ込むということで、平成25年調査の企画時期までに結論を得ることは困難な状況と書いてありますが、要は実施できないということですか。ということは、平成25年の大規模調査、本調査は、要は、この2つの所得票と貯蓄票については標本の規模拡大はあきらめるということなんでしょうか。そうではなくて、とにかくプッシュをして、ずれ込んでもいいから試験調査をやって何とか間に合わせようというのでしょうか。ギブアップしてしまってこれでおしまい、もう平成25年はだめなら、その次の大規模調査は平成28年にあるわけですが、そのときまでにもう一回新規巻き直しをやろうということなのか、「困難な状況」と言って「検討済」と言われてしまうと、これは検討済みではないように私は思います。
 なぜかというと、私は2つの意味で大変大事だと思うんです。1つは、地方分権ということが非常に政治的にも言われているわけで、都道府県別の表章をするということはいろいろな各種調査で都道府県、もっと言うと市町村の協力を得ているわけでして、そういう意味でも利益を還元するという意味で大事だろうと。そして、また、住民にとっても都道府県別の表章というのは大変有用になるんじゃないかと思います。
 もう一つは、国民生活基礎調査というのは厚生労働省が実施している多様な調査の名簿になるものですので、そういう意味での充実を図ることについても、確かに負担ということはあるかと思うんですが、特にこれはサンプル調査ですので、調査の規模、回答者数というものが、統計的な安定、統計的な信頼性を考えたときにも必要になるのではないかと思います。先ほど今の政権、Evidence Based Policy Makingということでエビデンスを得ていただいて、全国を対象にした統計の分析及び集計の結果だけではなくて広げていく、特にこれについては大変大事だと思いますので、お伺いしたいと思います。

○岩田委員 関連なんですけれども、例えば、縦断調査ですが、項目を増やすのもいいんですが、結局データ公開をもっと進めないともったいないわけですよ。この調査の意味が出てこないので、先ほどの女性の就業と出産の関係とかは、こういう縦断調査でやれば非常にビビットに出てくるわけですけれども、それを十分に使いこなしていないんですよね。だから、いろいろな政策の基礎資料としてすぐ出てこないわけです。勿論、コーホートを追加するとか、項目について精査していくというのはとても大事なんですけれども、その前に、調査が十分利用されていないということがあるのではないでしょうか。こういう調査手法も調査についても日本ではほとんど知られていないから、厚生労働省の中でさえ多分余りよく知られていないんじゃないかと思うんですけれども。国民生活基礎調査の場合は更にそれを都道府県レベルでも使うというか、さまざまな政策の基礎になるようなものであるというのは、お題目ではなくて使わなくては意味がないので、使うというのは役所の中で使うというだけではなくて、公開することによっていろいろな人がそこに参入して、多様な加工が当然できてくるわけです。だから、私は、先ほどの公開のお話を伺っていてすごく遅いなと思いました。平成16年の国民生活基礎調査が平成23年ですよね。その間に生活はガラっと変わっていますよね。だから、誰も使いたがらないというか、むろんその後のと比較できれば使いますけれども。
 やはり統計整備というのは、統計自体の整備もあるんですけれども、利用の改革をもうちょっと大胆にというかスピードを上げて進めないと、なかなか理解を得られないのではないかと思うんです。ですから是非、その辺の工夫も一緒にやりながら大事だと言わないと、なかなかわかってもらえないと思います。

○廣松座長 まず、国民生活基礎調査について、お答えをよろしくお願いします。

○上田国民生活基礎調査室長 国生室でございます。津谷先生からのお尋ねでございますが、平成25年に所得票を拡充してやるために試験調査を仕込もうと思っていたわけですけれども、予算額が5,500万円だったんですが、省内全部局一律10%カットだということで要求できなかったということでございます。右側のスケジュールにございますとおり、平成23年に試験調査をやりまして、その結果をもって平成24年に諮問をさせていただきたいと。答申をいただいて平成25年に所得票のサンプル数を拡充してやりたいと思っておりました。私どもの調査は、都道府県に委任している調査でございますし、もう一方では調査員調査でございます。この拡充するというのはどのくらいの数になるかと申しますと、誤差率を計算して、例えば、世帯の所得額を都道府県別で出しましょうといった場合は、今やっている所得票の世帯数の大体6~8倍ぐらい必要になるわけでございます。6~8倍と申しましても世帯票と同じサンプルサイズまで拡充する必要があるという計算が出ておりましたので、世帯票と所得票も併せてやってしまうと。大規模年ですから健康票や介護票や貯蓄票の調査票がありますので、併せてやってしまいましょうということです。ただ、先ほど申し上げましたように、県や調査員の方々に余りにも負担が大きくなっては困りますということで調査票も見直しをしましょうとか、どういうふうにやれば調査員の方々が楽に調査できるようになるでしょうかと。今は、世帯票は6月に調査しておりまして、所得票は7月に調査しております。それに関して都道府県の方々の御意見を聞きますと、それは一括でやるんでしょうと、同時にやるんでしょうということでございますので、同時にやると。そういう諸々の意見をこうやったらうまくいくかなと、都道府県の方に迷惑がかからないように、調査員の方々ができるだけ楽にできるように、あるいは世帯の方々に負担がかからないような調査票をつくってという試験をやろうと思っていたんですが、残念ながらできなかったということなので、どんなに頑張っても平成23年に要求して、平成24年に試験調査をやるということでは、先ほど申し上げた諮問・答申に間に合わないということなので、残念ながら平成28年ということで仕切り直しをやらざるを得ないかと思っております。
 それから、岩田先生御指摘の君たち遅いんじゃないかと、平成16年調査の結果を匿名データとして使うのは遅いとおっしゃられた件でございますけれども、匿名化をするに当たっては、先行の総務省の世帯調査等でも調査後たしか5年ぐらい経ったもの、要するに、できるだけ個人が特定されない、世帯が特定されないように、できるだけ時間を空けましょうと、5年ぐらい経ったものからやっていきましょうということでやったと思うんです。それで私どもは、まず平成16年からを検討したという事情がございます。
 その次は、状況を見た上で平成19年になるか平成13年になるかわかりませんけれども、匿名化の公開範囲を拡充していきたいとは思っております。そこは、できるだけスムーズに出したいと思っておりますので、御容赦いただければと思います。
 私からは以上でございます。

○廣松座長 岩田委員は今のことに関してコメントはございますか。

○岩田委員 よその国などで税金でやっている統計が一番評価されるのは、それをどのくらい国民が利用したかということなんですね。ですから、こういう予算要求のときも、さっきのように公開したけれどもゼロというようなことですと、ますます統計の価値というのが疑われていくわけです。勿論、匿名化や何かで非常に大変だというのはわかるんですけれども、つまりタイムリーに使わないと、今のような変化の早い時代に意味がなくなってしまう。ですから、そこは何か工夫をして、全部一度にとは言いませんが、目玉をつくって是非うまいことやっていただいて、予算をきちんと獲得できるような素地をつくらないと、なかなか難しいんじゃないかと思います。

○中島審査解析室長 先ほどの統計分科会でのお話の続きになってしまうんですが、まず、先ほどの賃金構造基本統計調査の利用がゼロ件だということですけれども、あれにつきましては、今までの第33条の利用を見ますと、1年だけで利用する人の例は割と少なくて、数年まとめて分析するという例もありましたので、もしかすると今後、数年分出していけば利用されるかもしれない。ただし、先ほどおっしゃられましたように、匿名と違いましてオーダーの方は全体的に利用が芳しくないということがありますので、これは必ずしもわかりません。
 それから、今話題になっております国民生活基礎調査なんですけれども、確かに総務省の4調査の匿名データの部会審議で、5年以上経過したものについて提供するということにしておりました。ただ、それは将来短くなることもあるとは思いますけれども、この国民生活基礎調査というのは総務省の調査と違いまして、抽出方法が集落抽出を用いておりますので、例えば、自分が調査対象であった人にとっては隣も調査対象だったということがわかるんですね。そういう特徴もありますので、より慎重に判断して、特に総務省の場合と違って試験的な利用を全くやっていない初めての提供でございますので、今のところ慎重に5年空けたものということでスタートしていきたいと考えております。

○土屋委員 ちょっと聞き違いかどうか確認したいんですけれども、6番の試験調査の予算は5,500万円ですか。少なくとも今年度はそれでスタートできたはずなわけですね。

○上田国民生活基礎調査室長 5,500万円の要求をしようと思っていたところできなかったと。

○土屋委員 4番の方は、今年度の概算要求はどのくらいなんですか。

○市川縦断調査室長 成年者縦断調査の予算要求は約2億円強必要かなということで要求させていただきましたが、諸般の事情ということで今回は見送っております。

○土屋委員 余計なことを言って申し訳ないですが、統計の整備ということでやったりすると、全くお金がつかないのでは整備の話にも何もならないんですね。私が今日遅刻してきたのは省内事業仕分けで遅れてきたのですが、是非これは省内事業仕分けに立候補してほしいと思います。こんな一番基盤的なことが2億円とかそこらで削られていたのでは整備なんかできっこないわけです。ほかの仕分けをしていると、もっとむだ遣いはいっぱいあるわけで、是非その俎上に上げていただかないと、幾らこの場で専門家が知恵を出しても何もならないんじゃないかという気がします。よろしくお願いします。

○廣松座長 では、津谷委員、お願いいたします。

○津谷委員 土屋先生にまたセコンド。まずは、国民生活基礎調査の所得票と貯蓄票ですけれども、この間テレビのニュースなどで大分騒がれました貧困世帯の割合。統計委員会委員長の樋口先生も、あんなに高い、アメリカとほとんど同じ十五・何パーセントとお話しになりました、本当かいなと。これは国民生活基礎調査のデータから推計されているわけで、やはりこういうものの精度も上げていかなければならないと。国際比較上、日本は我が国も外交何とかと言っているわけですけれども、これは非常に大切なデータだと思うんです。
 もう一つは、ここのところニュースになっておりますが生活保護世帯が急増していると。これは確かにタイムリーな、ニュース性のあるものですから後付けでということはあるわけですが、市町村その他で場所にもよるんですが、大きな市などでは生活保護のための予算が本当に大きくて、これは削る、削らない以前の問題で、どれくらいのニーズがあるのかということなどを全国でやっていても余り意味がないと。
 ですから、何が言いたいかといいますと、やはり政治的・行政的な意味は大変大きいということをアピールして、5,500万円かと大変私は残念に思いました。また3年後に新規巻き直しで絶対にやるべきだと思うんですけれども、今押し返してひっくり返させないかなと。私が出張っていくわけにはいかないわけですが、そう思いまして、研究者としても恐らく国民としてもニーズがあるということを申し上げたかったんです。

○廣松座長 ありがとうございました。

○阿藤委員 ちょっと話が変わっていいですか。15番の医療施設・患者調査の行政記録情報の活用について検討済みと書かれています。先ほど座長から御紹介のあった統計委員会の第2ワーキンググループでこの問題は随分議論して、大変ホットなイシューになっていました。特に第2ワーキンググループで強い勧告は出しませんでした。ただし、行政記録情報全般の問題として、第3ワーキンググループでも、もっと広いベースで行政記録情報等の活用を議論したという経緯があります。第2ワーキンググループではこの問題はいろいろな方から強い意見が出まして、なかなか今回まとめ切れませんでしたが、「検討済」とここで書かれてしまうと、それでいいのかと思います。これは来年も恐らく大変議論になると思います。勿論ここには施設基準については、何か工夫をされているように書かれているのですが、特にレセプトの電子化等の問題です。これが大変大きな議論になったということなので、ここで誰かに御質問ということではなくて、この問題について、この場で議論するのか、あるいは厚生労働省として引き続きレセプトの電子化等を含めた情報の活用可能性をまだまだ検討する余地があるといいますか、そういうふうに理解しておいていただいた方がいいのではないかと思う次第です。

○廣松座長 その点に関して担当室の方から何かコメントはございますか。

○武田保健統計室長 保健統計室でございます。医療施設調査、患者調査でございます。今ほど御意見がございました、例えば、電子レセのデータベースの利活用に関しましても、参考資料7で現状について記載させていただいておりますが、例えば(3)電子化されたレセプト情報につきまして、現時点の状況といたしましては、電子レセプト情報をデータベース化し、それを利活用する、二次利用するルールづくり等につきましても別途検討していると伺っております。ですので、そういうものを踏まえた上で、今後また活用の可能性について検討が可能になってくるのではないかと。今現在お伺いしていますが、ここで書いてございますように、平成22年度中ぐらいに有識者から成る検討体制を構築して、データ活用のためのルール等について結論を得るということをやっていると聞いておりますので、まずはその上で、そのようなものも踏まえまして利活用できるものについては利活用できるのかということを改めて検討すると。ここで「検討済」としております平成23年度、来年調査するものにつきましては、時期的なものも踏まえまして、できるものに関しては利活用させていただきましたけれども、御指摘のデータベース等も含めては、タイミング的なものもございますので難しいということで、このようにまとめさせていただいているものでございます。

○廣松座長 よろしいでしょうか。

○今田委員 一般的な話になって恐縮ですけれども、統計を整備すべきという閣議決定がされて、各省庁に課題のような形で下ろされてきた。各省庁ではたとえば厚生労働省では我々専門家が返答して、このような整備が必要でという案を出している。その結果に関して、省内事業仕分けで要りませんというような結論が出るのは、そこの議論はきちんとされているんでしょうか。勿論、法外な費用を要求した場合には、税金を有効に使うという観点から精査されるのはいいわけです、当然の姿勢だとは思うのですけれども。閣議決定され、各省庁に下ろされ、その中でまた省庁の中で検討され、十分精査された案を省内仕分けで事もなげにとは言いませんけれども、簡単にカットという作業の流れはどのように考えていいのか、私など関わった人間としてなかなか理解しづらいので、それについてお返事をいただきたいと思います。

○岩崎企画課長 予算の問題でございますが、省内事業仕分けで削られたというものではございませんで、予算要求の要求基準というものがございまして、要求基準が先ほど国生室長からも申し上げましたように、10%マイナスだという中でその枠に入らなかったということでございます。勿論、省全体の判断としていろいろな判断があったのだと思いますけれども、結果的には省全体の判断として、私どもの閣議決定いただいた基本計画の一部分については予算要求の中には盛り込めなかったということでございます。

○廣松座長 その辺は大変難しいというか、だからといって、我々に何ができるかということについては大変頭の痛いところですが、先ほどの岩田委員の御指摘に関して補足いたしますと、最初に申し上げましたとおり、資料2にございます担当府省で「厚生労働省」と明記されているものがここに挙がっている訳ですが、それ以外に別表の項目の中には「各府省」という書き方をしているものもあります。先ほど御指摘の二次的利用に関しては「各府省」という書き方になっておりまして、当然その中には厚生労働省も含まれているという整理です。
 とは言いつつ、特に二次的利用の問題に関してはまだ始まったばかりというのが現状です。一応、総務省の政策統統括官室の方で二次的利用のガイドラインをつくっております。それは、始まったばかりということもあり、どういうことが起こり得るかわからないという懸念から、かなり慎重なガイドラインになっていることは事実です。先ほど説明がありましたけれども、例えば5年経過した調査結果に関して提供するとなっています。では、それをもっと3年とか2年とかに短くしたらどうなるかとかということについては、その辺はまだ具体的にそういうケースがないものですから、まだそこまで検討は進んでおりません。それから、範囲に関してもかなり手探りな状況であることも事実だと思います。その意味で、今回、最初に御紹介しましたとおり、施行状況の報告の中で当然のことながら二次的利用に関する内容も含まれておりますが、今回はそれを具体的に取り上げていません。多分来年度以降は、そのときの状況を前提とした上で、どういう形で推進すべきかに関して議論をすることになるのではないかと思います。

○津谷委員 今先生がおっしゃった統計の二次的利用のお話で、確かにオーダーメード集計のニーズが少ないというのは、この調査だけではなくてほとんどすべてそのようで、とても悲しいほど少ないと。ただ、もう既に公開されてある程度時間が経過している総務省がやっている4つの調査と違って、この国民生活基礎調査は確かに御指摘のとおりサンプリングの仕方が違いますので、総務省のあの調査でも、いかにして個人を特定できないようにするか、私の個人的な意見はそこまで慎重になる必要はないんじゃないかと思うくらい、皆様の責任もおありになると思うんですけれども、石橋をたたいて渡るぐらい、できる限りの匿名性を最大限に担保して、逆に本当に特定できないのかをやってみるということがあったわけです。
 あと、一橋大学だったと思うんですけれども、科研費その他でテスト使用をおやりになったと。国民生活基礎調査は大変大事な調査で、サンプリングも特定がもっと簡単になってきますので、これは余計なお世話かもしれないんですけれども、厚生労働科学研究費などをお使いになってテスト使用をして、実際にミクロデータを研究者たちに出して、どこかの大学、研究所をかませて実績をつくり上げて、一体どういうニーズがあって、どういう問題が発生する可能性があるのかということをまず調査してみることが必要ではないかと思います。そして、それをやることによって実は先ほど学会などとも連携してというお話があったんですが、要は、府省に直接データを出してくれと言うのは何となく、特に若い研究者、大学院生などは大変敷居が高いようで、そこに大学や研究所が入ってきまして、そこでこの間の一橋大学の場合も、一橋に言えば例えば、社会生活基本調査のデータがもらえるらしいよということが出回りますと、実際に一次データが提供できるようになったときに、それなりの知識や情報が伝わっているという効果もあるようですので、これは厚生労働科学研究費を活用なさっておやりになることを考えられるのもよろしいのではないかと思います。

○廣松座長 ありがとうございました。何かコメントはございますか。

○中島審査解析室長 先ほどの分科会でも申し上げましたように、去年12月から今年8月まで6回にわたって、一橋大学の先生を中心にして匿名データ化の検討を行ってまいりました。一応、匿名化の方針が案として出てございます。総務省さんの場合もそうだったんですが、本当はここで更にテスト利用すれば確実になるんですけれども、それをやりますと、ますます提供が遅くなってしまいますので、私どもとしてはこの案をもって統計委員会へ諮問をしていこうということになってございます。

○廣松座長 時間が押してまいりましたが、どうぞ。

○石川委員 実は、レセプトデータについて来週から利活用の検討が始まると思うんです。幾つか争点になりそうな問題を抱えておりますので言いますと、レセプトは今年4月ぐらいからかなりの部分が電子データになりまして、診療報酬改定後、約3万件だとか8万件のデータが前年度比較で一気に出るということを見せられてびっくりしたんです。これは土屋先生や齋藤先生はよく御存じだと思うんですけれども、あれは我々医療機関が保険に対して請求する請求書なわけですよね。必ずしもその病名や内容については、本当に科学的に適切なものが書いてあるとは限らないわけです。例えば、皮膚科の先生に言わせますと、皮膚科のお薬というのは接触性皮膚炎という病名で全部通ってしまうんです。そうすると、それだけ書いて湿疹だと書かなくても、要するにレセプトデータになるという大変な問題があります。そうしますと、発出する医療機関側に相当のルールを求めないと何のデータにもならないという大きな問題があるというのが一つです。ですから、検討済みというところで先ほど御説明がありましたけれども、まだまだこの敷居は高いと認識していただいた方がいいと思います。
 先ほどちょっと言い忘れたことで、どうしても言いたかったんですが、国のデータであれば医療機関の受療ニーズについてもっとわかった方がいいんですけれども、先ほどどなたかからお話がありましたように、今の日本の中で生活の格差があって受療できないで医療のニーズを持っている方はいるんですよね。ところが、先ほどやったデータではそれが全然把握できないというのが大変残念です。国のデータとしては、厚生労働統計であればそこを狙った調査もあった方がいいんじゃないかというのを感想として申し上げます。
 以上です。

○廣松座長 今のお答えですね。

○武田保健統計室長 保健統計室でございます。最後に先生がおっしゃられました受療行動に関してでございますけれども、実は基幹統計ではございませんが、受療行動調査がございます。それは患者調査の中で、ある意味でカップリング調査のような形でございまして、そこから抽出しまして個人の受療行動について把握するというものがございますので、それにつきましても今後また企画等をしていくというところでございます。

○石川委員 ごめんなさい、医療機関には来ていないんですよ。だから、医療機関の調査ではわからないんです。例えば、国保でいろいろ資格証明書とか出しますよね。その人たちは医療機関に来ないんです。ですから、わからないんです。それが現状だと思うんですよね。

○廣松座長 では、まず阿部さん、その次に永瀬さん。

○阿部委員 検討中の項目でもよろしいですか。

○廣松座長 どうぞ御自由に御発言いただければと思います。

○阿部委員 1番と8番にかかわるものですが、参考資料1「雇用動向調査と労働経済動向調査の見直し(案)」を御覧いただくといいと思うんですけれども、雇用動向調査は四半期ごとに実施するということで、新たな情報がこれでとられることになると思うんですが、一方で、廃止というところに職業別の労働者数と職業別の未充足求人数が入っていると思うんです。この職業別というのを今後とらないというのは、ちょっと大きな問題をはらんでいるのではないかと思います。未充足求人数を把握するということで雇用動向調査を生かすことは非常にいいと思うんですが、やはり何のために未充足求人数を把握するかというと、1つは、実際にどれくらい需給バランスがあるのかということもあると思うんですが、と同時に、未充足求人数の把握をすることによって職業訓練のニーズはどういうところにあるのかまで把握できると思うんですが、その場合、一般的に産業訓練と言わずに職業訓練というように、職業と訓練というのはかなり密接な関係があると思うんです。にもかかわらず、今後もし職業別未充足求人数が把握できないということになると、つまり、今後訓練のニーズがどういうところにあるかというのが、なかなか見づらくなるのではないかという懸念を覚えましたので、今ここで案ということで廃止になっていますが、これについてはもう少し検討を必要とするのではないかと個人的には思いました。
 以上です。

○廣松座長 ありがとうございます。
 今の御意見に関して雇用統計課から。

○南雇用統計課長 雇用統計課ですが、今まさに中身を検討中でございまして、どこを削るか、削らないかということでやってやります。どこかを増やすとどこかを削らないといけないということをやっていかないといけないものですから。それから、記入負担のことも考えると、職種別というのはかなり記入負担の大きい項目ではないかと思っておりますので候補として挙がっているんですが、中身はもう少し検討していきたいと思います。

○廣松座長 では、永瀬先生、お願いします。

○永瀬委員 検討中の13番で、非正規雇用の実情を継続的に毎年把握する統計調査について、遅くとも平成24年度までの調査開始に向けて調査の内容や実施時期等について検討するという件なんですけれども、今、日本で若い人がどのくらい就職できているかとか、非正規の人がどのくらい正規になっているかとか、あるいは非正規の人は意外と無職になりますので、どのくらい無職と非正規の間を行き来しているかとか、そういうことは非常に重要な情報です。それから、果たして雇用保険に加入しているのか、あるいは給付を受けているのか、受けているとしたら何か月なのか。それから、雇用保険に入らなくても給付される訓練の給付がありますけれども、あれは一体どういう人が受けていて、どういう効果があるのかといった統計が今はとても必要になっていると思うんですが、それについては世帯に聞かないとだめなんじゃないかなと。つまり、今まで日本で『若年者就業実態』みたいな統計がありまして企業に聞いていますけれども、それは仕事に就いている人について聞いているわけで、実際にいろいろな訓練を受けているか、受けていないかは、やはり無業者を含めた全体でどういう人が訓練を受けているかということを見る必要があるし、効果も見る必要があると思うんです。なので、13番の検討状況についてまず教えていただきたいというのが1つ。
 それから、例えば、『労働力調査』に附帯調査のような形でロングフォームで例えば2分の1ぐらいでつけて、そうしますと景気動向で毎年がわかる。今、『就調』ですと5年に一遍しかわかりませんので毎年がわかる『労働力調査』なら、毎月の調査で1か月当たりでずっとたまっていきますから、12か月になるとかなりの標本数になりますので、それを1年表示にするとかなりの調査がたまった上に、景気動向の状況にも応じて見ていくことができる。そして、今までの継続性ということがあるとすれば、今までと同じ調査標本のものとプラス半分くらいは少しロングにして、実際にどういう給付を受けたのか、受けていないのか、雇用保険の給付は何か月の権利があって、そのうち何か月を受給して就職したのかとか、あるいは訓練はどういったものを受けているのかとか、そういったものがわかるような統計があった方がよろしいのではないかと。
 『就調』で平成19年に訓練が初めて入りましたけれども、雇用保険の加入状況もわかりませんし、あれでわかるのはどういった自己啓発をしているのか、どういった訓練を受けているのかという程度はわかるんですけれども、それがもう少し継続的にわかるような世帯単位の調査を見ていかれる必要があるんじゃないかと思うんですが、その辺についてはどのようなことを考えておられるのか、13番について教えていただければと思います。

○南雇用統計課長 雇用統計課の方では既存の調査についてとりあえず整理したという状況でございまして、世帯調査については私どもやっていないところがありまして、それは総務省さんにお知恵を拝借しないといけないのかなと思っております。ちょっとお答えになっていないかもしれませんが。

○永瀬委員 多分、就職している人だけからとると、特に非正規ではなかなか難しい点が多いんじゃないかと私は思います。

○廣松座長 オブザーバーの佐藤さん。

○佐藤主任研究官(総務省) 永瀬先生から御意見をいただきましたけれども、皆さん御承知のことと思いますが、労働力調査につきましては、基礎調査票という調査票で毎月の就業状態並びに職業か産業といった状況をとらえております。それとともに、基礎調査票については4回調査を行うと。1年目に2回2か月続けて、2年目に2か月続けて調査を行いまして、2年2か月目と申し上げますけれども、そこの段階で特定調査票というロングフォームをお渡しして調査が終わります。このロングフォームの集計結果を見ますと、今、先生御指摘のどのような雇用形態にあるのかがわかりますとともに、非正規だった人がどのくらい1年間で正規に転換できているかというのも、大体人数で申し上げますと最近ですと40万人程度で、玄田先生などはよく論文等で書かれていますけれども、そういったことがわかるような仕組みになっています。
 こういった中に、先生のおっしゃるような雇用保険だとか職業訓練をもしつけ加えるとなると、先ほどの御説明の中にもありましたように、スクラップ・アンド・ビルドの中で考えていくということと、もう一つは予算の面がございます。総務省も厚生労働省とほぼ同様で、省内の概算要求の中で労働力調査については既に6,000万円ほど来年度は削ることになっておりますものですから、この辺についても御理解いただければと思っております。

○廣松座長 かなり時間がオーバーしてしまいましたが、とりあえず18時15分までお時間をいただくことにいたしまして、ほかに御発言ございませんか。

○岩田委員 ちょっとマイナーというか、私の個人的な関心ともかかわっているんですけれども、労働統計の中で特に事業所レベルで把握するときに、住宅といいますか、寮とか借り上げアパートとか、14番のいろいろなハローワーク等の調査などでもいいと思うんですけれども、住宅つきで求職しているようなところがどのくらいあって、そういう住宅がどのくらいあるかというのは日本のどの統計を見てもないんです。ところが、日本のワーキングプアとかホームレスの3分の1のルートはそこから出てくる。これは諸外国にない日本的特徴なんです。労働基準法の中にも労働寄宿舎という項目があるんですが、そういうものは把握されていないと伺ったことがあるんですが、つまりわからないんですよね。私は国勢調査のオーダーメード集計で推計はしたんですけれども、寮はわかるんですが、借り上げアパート等はわからないんです。つまり、求職するときにそういう附帯条件をつけている、特に住宅について、そういうものを1個でいいからやってもらえないかとかねがね思っているんです。つまり、増やしてしまう提案で非常に申し訳ないんですけれども、探してもどこからも出てこない。経団連や何かで、500人以上とか非常に大きいところの福利厚生的な調査はちょっとあるんですけれども、そうではなくて、零細な事業所などの実態がわかるといいなと。

○廣松座長 かなり具体的な問題でございますが、それは現状に関してどこかの担当課なり室から、今御返事いただけますでしょうか。

○玄田委員 一意見にしかすぎませんけれども、先ほどの永瀬さんの保険の受給もそうですし、住宅が唯一わかるとすれば雇用保険業務統計や職業安定業務統計とかをもう少し有効利用して、それに資することを何とか把握できるかどうかを検討するくらいしか現状の統計では無理であろうと思います。新統計法の精神の中には業務統計をより積極的に有効活用するということも含まれていますから、業務統計の中にそういう附帯条件として賃金と含めて住宅等についての求人案件の情報を記載されているものがどのくらいあるかとか、統計的に利用可能な情報であるかを検討するしか、今の段階では難しいのではないでしょうか。

○永瀬委員 でも、雇用保険統計ですと、例えば、1999年の非常に古い特別集計ですけれども、20代の男子ですと非正規の大体半数ぐらいしか雇用保険に入っていませんので、やはり世帯に対して行って、どういう効果があるかを見ることが日本で今とても必要なんじゃないかと考えております。

○廣松座長 ありがとうございました。お約束いたしました6時15分に迫ってまいりましたので、まだまだ御意見があろうかと思いますが、とりあえず今日の検討会はこれまでにさせていただきたいと思います。御発言のあった御意見等に関しましては事務局で整理していただいて、次回の検討会に提出していただき、それについて改めて皆さんの御意見を伺うということにしたいと思います。
 それでは、事務局にお返しいたします。

○岩崎企画課長 委員の皆様には長時間にわたりまして御審議いただきまして、ありがとうございました。基本計画の記載事項は非常に多様でございますので、私どもの方でもいろいろな機会をとらえまして委員の皆様の御意見をお伺いしたいと思っておりますので、引き続き御指導・御支援を賜りますように、よろしくお願い申し上げます。
 次回の検討会の開催につきましては、別途日程調整をさせていただきまして、改めて御案内させていただきますので、よろしくお願いいたします。
 それでは、これをもちまして本日の検討会は終了とさせていただきます。本日は、お忙しい中ありがとうございました。

○廣松座長 どうもありがとうございました。


(了)
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