ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 独立行政法人評価委員会(独立行政法人評価委員会労働部会)> 独立行政法人評価委員会労働部会(第59回)議事録




2010年7月6日 独立行政法人評価委員会労働部会(第59回)議事録

○日時

平成22年7月6日(火)13:00~19:00


○場所

経済産業省別館827会議室


○出席者

   井原部会長、篠原部会長代理、堺委員、宮本委員、小畑委員、本寺委員、松田委員、川端委員


○議事

(以下、議事録)
 
○井原部会長
 ただいまから「独立行政法人評価委員会労働部会(第59回)」を開催します。委員の皆様におかれましては、お忙しい中お集まりいただき、ありがとうございます。本日を含めまして、8月17日まで計5回の部会の開催を予定しております。例年暑い中の開催となりますが、国民の皆様にとって独立行政法人が信頼される評価となるよう、ご審議をお願いいたします。本日は、今村委員、寺山委員、中村委員が欠席となっております。本寺委員は、30分程度遅れて出席の予定です。堺委員は、15時に所用のため、ご退席と伺っております。
 本日の議題は、お手元の議事次第のとおり、労働政策研究・研修機構と勤労者退職金共済機構の「平成21年度業務実績に関する個別評価」を行います。それでは、事務局から評価の進め方について説明をお願いします。

○政策評価官室長補佐
 今年の夏も、どうぞよろしくお願いします。例年と特に大きく変わるところはありませんが、今年度の評価を始めるに先立ちまして、評価の進め方をおさらい的にご紹介します。
 資料1-1-?@にまとめてありますが、本日行っていただきます個別評価の進め方は昨年と変わりありません。まず最初に、理事長から法人全体の業務実績を説明していただきまして、そのあと各個別項目を4つ程度のパートに分けまして、法人から実績と自己評価を説明していただきます。そのあと、各パートごとに質疑応答を行いまして、委員の皆様にはS~Dの評定と、その評定理由を評定記入用紙に記入いただければと思います。こちらの評定記入用紙は昨年から始めていますが、A3版の業務実績評価シートですと、皆様にご記入いただくのも大変かと思っていますので、資料2-5として評定記入用紙を別にご用意していますので、こちらにお書きいただければと思います。S、A、B、C、Dの評価の件ですが、当然ご承知かと思いますが、真ん中のBは100点で、Aは中期計画以上のもの、さらに大幅に上回っているものがSとなっていますので、その点ご留意の上、評定を付けていただければと思っています。
 評定に当たっての視点ですが、本年度から1つ追加があります。昨年の12月16日の独立行政法人評価委員会総会において、長妻大臣から業務経費に冗費が生じていないか。法人の諸手当や法定外福利費が適切か。サービスの質を高める努力をしているかといった点について、厳正な評価を行っていただきたいという要請を申し上げています。資料1-1-?@下の太い点線の部分に書いてありますが、こうした点についても評価に当たっては留意いただきたいと思っています。具体的に大臣から要請があった評価の際のポイントについては、資料1-1-?Aにチェックポイントとしてまとめています。
 法人で作っていただいている別添の資料があります。例えば、JILPTについては資料2-3になっています。例年、こちらは政・独委の評価の視点への対応状況の説明資料になっていますが、類似する分野が多々ありますので、大臣要請事項についてもこちらの資料の中に取り込んだ形で記入いただいていますので、評価の際に参考にしていただければと思っています。
 長妻大臣から指摘のあった事項等が、実際の評価項目のどこに当たるのかという点でご疑問があるかと思いますが、例えば先ほどご紹介しました資料2-5の評定記入用紙でいきますと、表から6枚目の評価項目1「業務運営の効率化」、評価項目2「業績評価制度」の運用、評価項目15「予算、収支計画及び資金計画」といったところが関連する部分になっています。
 個別評価が終わりましたあとのことについて、ご説明します。資料1-1-?@の裏面の2.にまとめていますが、個別評価が終わりましたら、各委員のご評価を踏まえた評価書の案を起草委員に作成いただきます。各委員の起草担当の法人については、資料1-2に起草委員一覧を付けています。例年と変わりはありませんが、ご確認いただければと思います。
 なお、JILPTの個別評価については、現時点において4月19日に行われた省内の事業仕分けと、4月23日に行われた行政刷新会議の事業仕分けでの審議の結果等を踏まえた最終的な改革案が検討されている段階でありますので、お配りした資料には事業仕分けと省内事業仕分けがありましたが、そこでの改革案というのはまだ反映されていません。このため、今後改革案が取りまとめられ、公表されましたら、速やかに各委員の皆様に改革の案をご紹介する資料を送らせていただきたいと思っています。また、その評価書案をご審議いただく段階で、JILPTの改革案がまとまっていましたら、そちらの検証もお願いすることもあるかと思いますので、予めご承知おきいただければと思います。
 評価書案の作成については、各法人と所管課室と起草委員とで調整しながら、案文の作成を行っていただきます。起草委員において作成いただいた評価書案は、勤労者退職金共済機構(勤退機構)については8月19日、JILPTについては8月24日にそれぞれ予定をしている総合評価の部会で、各委員にご審議いただきます。
 評価の流れの最後ですが、ご欠席された場合の取扱いについてご紹介いたします。本日は皆様ご出席いただいていますが、今後個別評価の部会で欠席される方もいらっしゃるかと思いますので、ご紹介します。資料1-1-?@の3.の起草担当の法人の評価をご欠席の場合は、個別にレクを行いますので、そのレクを参照に評価をいただければと思っております。本日は今村委員がご欠席ですので、今村委員起草担当の勤退機構については、先日29日に別途評価を行っていただいています。起草担当以外の法人の評価についてご欠席の場合には、評価をしていただく必要はないと当方では思っていますが、ご自宅には資料を事前に送付等をしていますので、そちらをご覧いただいて評価をしていただいた場合には、欠席された部会の開催日から概ね3日後までに、政策評価官室までご連絡いただきましたら、評価として反映したいと思っていますので、よろしくお願いします。
 資料1-1-?@の後ろのほうですが、資料1-3、資料1-4を付けています。これは今年初めて付けるものです。例えば資料1-3は、労働部会で評価する5法人について、予め法人の大体の実績を踏まえた上でご評価いただいたほうが、評価のばらつきが少なくなると考えまして、自己評定の一覧表と昨年評価いただいたときの評価結果を対比できるような形で用意しています。資料1-4は、過去3年間の評価結果をグラフ化したものを付けています。各法人や他部会での評価の実情が、多少なりともイメージ的にわかると思いますので、ご参考に評価いただければと思っています。
 省内事業仕分けと行政刷新会議については、個別の法人ごとの評価の際に補足的に説明をします。事務局からは以上です。

○井原部会長
 労働政策研究・研修機構の個別評価に入りたいと思います。最初に理事長からのご挨拶と、平成21年度における業務の実績概要の説明をお願いします。

○労働政策研究・研修機構理事長
 本日は、私ども労働政策研究・研修機構の平成21年度の業務実績について評価をしていただくことになっていますが、どうぞよろしくお願い申し上げます。
 最初に、事業概要のお話を少ししたいと思いますが、実績に先立ちまして私どもの事業の全体像について、お手元の資料2-1の3頁に「事業体系図」が出ているかと思います。先生方はよくご承知かと思いますが、簡単に触れたいと思います。私どもの基本的ミッションは申し上げるまでもないことですが、我が国の労働政策の企画・立案や、その効果的・効率的な推進に寄与することであると考えています。そのために海外を含めまして、労働問題あるいは労働政策に関わる調査、情報収集を行っています。それとともに、その成果を生かしまして労働行政職員の研修を行っています。
 具体的な事業の柱は、この事業体系図のいちばん左にある「適切な業務運営のための組織・予算」を除きまして、上の「労働政策研究」「情報の収集・整理」「成果普及・政策提言」「労働行政職員への研修」、少し飛びますが、「労働政策研究に資する研究者等の招へい・派遣」という5つの事業から成り立っています。裏に(参考)と掲げていますが、それぞれの事業内容の細目を掲げています。ご参考にしていただければと存じます。
 言うまでもありませんが、いま申しますこれらの5つの事業は、互いに有機的な連携を持って実施しています。例えば1、2ご紹介申し上げますと、研究者の招へいと触れましたが、労働政策研究の研究者であれば、どなたでも構わないということではありませんで、私どもがいま取り組んでいる労働政策の研究に、直接貢献していただけるかどうかという観点から、厳選して実施しているものです。研修についても、研究と研修を連携させて、互いにメリットになるようなやり方をいろいろと工夫してきています。さらに、労働政策研究あるいは情報の収集・整理といったものの成果ですが、厚生労働省にお示しすることはもちろんですが、ホームページ、メールマガジン、その他各種の印刷物などを通じまして、広く国民一般に開示をしまして、労働政策研究及び労働関係情報収集・整理と、成果普及事業のより効率的な連携を図っていると考えています。
 平成21年度の業務実績について、簡潔にご説明したいと思います。平成21年度も予算と人員が削減される中で、私どもとしては業務のバランスについて配慮し、業務の重点化を図りながら、とりわけ昨年この場でも、業務間の連携を密にしながら事業に取り組むようにというご指摘がありましたので、それについても心がけてまいりました。1、2の具体例を紹介したいと思います。私どもの労働政策研究の中核を成しているのは、5年を単位とします、いまは6つの柱になっていますが、プロジェクト研究というものがあります。それは雇用戦略やワーク・ライフ・バランスや、人材育成や労使コミュニケーションという6つの部門から成り立っていますが、それら6つの研究部門だけではありませんで、国際研究部あるいは調査・解析部も含み込む形で、私がトップになりまして非正規雇用に関わる研究の連絡会議というものを新たに立ち上げまして、互いに密接に連携し合う形で、新しい研究組織の在り方を構築してきています。いま、次第にその成果が実りつつあると実感しています。
 また、研究部門と成果普及部門が協力し合いまして、仮綴じですが、「JILPT調査研究成果の概要 平成21年度」が、お手元にあろうかと思います。いくつか頁を見ていただきますと、すぐにおわかりになろうかと思いますが、一つひとつの研究が、どういう問題意識とどういう方法によって、どういうことを調べて何がわかって、その事実発見がどういう政策的なインプリケーションを持っているかを1頁にそれぞれまとめています。
 私どもの平成21年度の事業運営で、特徴的なことをいくつかお話をしたいと思います。1番目は、若手の任期付研究員は規則によって任期3年としていますが、新たに3名採用しました。この若手研究者を大切に育てていくために、研究所長がリーダーになりまして、毎月「研究成果学習会」という勉強会を開いてきています。2番目は、私どもが行っているアンケート調査に関して、データ・アーカイブ事業を平成21年度から始めています。3番目は、日経テレコン21から依頼がありまして、毎月刊行しているものに多くの読者から好評をいただいているビジネス・レーバー・トレンドという、説明資料の中ではニュースレターと呼んでいる月刊の雑誌のデータ提供を始めました。4番目は懸案でしたが、数年ぶりにホームページの大幅な見直しを行いまして、かなり見やすく、使い勝手もよくなっているのではないかと考えています。
 次に、私どもに課されております数値目標がいくつかありますが、その達成状況を中心に、平成21年度の業務実績についてご説明したいと思います。詳しくは総務部長から説明をしますが、まず全体について申しますと、前年度を上回る成果を上げることができたのではないかと考えています。年度計画で設定されている目標数値は3年連続になりますが、すべて達成することができました。
 労働政策研究について申しますと、私どもの外部評価委員会の総合評価諮問会議の中に、リサーチ・アドバイザー部会があります。これは、各学問分野の第一線を担っている大学教授17名によって構成されていますが、そのリサーチ・アドバイザー部会においてA以上の評価を受けた研究が、平成21年度は全体の90.0%に達しまして、昨年度の75.0%を大幅に上回ることができました。この90.0%という数字は、これまで達成したことのないもので、私どもに与えられている数値目標はA以上を全体の3分の2以上、66.7%とすることですが、それを大幅に上回っています。中でも、最優秀のS評価を受けたものが4点ありました。こうしたことを踏まえまして、私どもの達成すべき具体的な目標、後の評価シート6についての自己評価を今年はSとしています。
 2番目の成果普及事業についても、すべての数値目標を高い水準で達成することができています。特にメールマガジンの読者数でも、またホームページのページビューの件数も、前年度実績を大きく上回ることができました。したがいまして、この自己評価もSとしています。このように目標値を大きく上回ることができましたのは、外部の各方面の多くの方々からのご支援をいただいていることに加えまして、厳しい環境の中で私どもの職員、研究員が、機構の果たすべき社会的ミッションをよりよく理解し、懸命に努力してくれたおかげであると思っております。
 しかし、他方では今後さらに努力していくべき事業もあると考えています。1つ例を申し上げますと、評価シート8の国内、海外の労働情報に関する情報収集と整理については、自己評価をあえてBとしています。成果が白書等で引用される件数が、目標では年間100件を上回るようにとなっています。しかし、一昨年が182件、昨年が184件、今年はその数字がだいぶ小さくなっているということもあります。その理由はなかなか判然といたしませんが、社会的に大きな関心を集めたテーマだと、私どもの調査研究あるいは情報収集・整理との間に、多少微妙な時間のずれがあると、年度単位の引用件数に大きな影響が出てきたりすることもありますが、これから私どもとしては一層努力していきたいという意味を込めましてBという評価にしています。
 行政職員の研修については、有意義との評価が目標値85%となっています。アンケート調査の結果は97.0%と高い評価を得ていますが、これについても今後研修コースや研修課目の見直しなど、いろいろ努力していくことがあるというふうに理解をしていまして、これについてはA評価としました。私からはここまでにしまして、詳しくは後ほど総務部長から説明をさせていただきたいと存じます。
 なお、最後になりますが、この4月に先ほど来お話がありますように、厚生労働省省内及び内閣府の行政刷新会議により、2回の事業仕分けがありました。これについては、後ほど評価官室から多少お話があるかと伺っていますが、その評価結果も踏まえまして、私ども機構の業務改革の在り方について、実はその後現在まで2カ月ほど経ちますが、内部でも種々検討を重ねてきています。最終結論が出ましたならば、それを踏まえまして、これからも機構の社会的ミッションをより効果的・効率的に果たすことができますよう、役職員一同努力してまいりたいと考えています。以上です。どうぞ、よろしくお願い申し上げます。

○井原部会長
 どうもありがとうございました。続きまして評価の参考に資するため、4月19日に行われた省内事業仕分け、4月23日に行われた行政刷新会議事業仕分けについてのJILPTに関する審議の概要と結果を、事務局から説明をお願いします。

○政策評価官室長補佐
 省内事業仕分けと行政刷新会議による事業仕分けの結果について、ご紹介いたします。資料は参考資料1-1、1-2、関連して参考資料3、参考資料4をご用意しています。大量になっている参考資料3と参考資料4は、厚生労働省所管部のそれぞれ省内事業仕分け結果の一式と、行政刷新会議の事業仕分け結果の一式となっていまして、本日いまから議論いただくJILPTについて抜き出したのが、参考資料1-1、1-2となっています。
 参考資料1-1を使いながら、省内の事業仕分けについてご紹介いたします。そもそも省内の事業仕分けですが、事業仕分けといえば昨年秋に行政刷新会議をやりましたが、長妻厚生労働大臣から省内でも事業仕分けをやったらいいという指示がありまして、4月から始まりまして7月1日が最終回で、4月、5月、6月に週2回の月・木を定例として開催をする形で進めてまいりました。対象になりましたのは、独立行政法人のほか、特別民間法人や厚生労働省が持っている予算事業という3つの類型について、仕分けが実施されました。行政刷新会議の事業仕分けと大きく違っているのが、行政刷新会議の場合はその場で仕分け人が意見を表明をして、取りまとめの方が「それでは、この法人についてはこうですね」という結論を言う形を取っていましたが、省内の事業仕分けについては仕分け人の方々はご自身のご意見を発表されますが、それをその場でどなたかがまとめて結論を出すのではなく、そこで出た意見を政務三役が持ち帰りまして、改めて改革案を検討して決定をする形になっています。独法が対象となりましたので、委員の皆様にも情報提供をと思っていたのですが、改革案がまとまったあとのほうがいろいろありますので、わかりがいいかと思っていましたが、今回の部会に間に合わず、まだ改革案の最終的な形は見えていない状況ですので、本日は最終的なものではありませんが、当日行われた仕分けの場でどのようなご意見があったかというのを、かいつまんでご紹介させていただきたいと思っています。
 参考資料1-1をご覧ください。省内事業仕分けにおいては、JILPTに関しては労働政策研究と労働大学校の労働行政担当職員研修と、組織・運営体制の3つの点について分かれて議論をいただく形になりました。これはJILPTに限らず、すべてですが、まず改革案を法人側から出しまして、その改革案を基に議論いただいています。改革案については、参考資料1-1の後ろに付けていますので、ご参照いただければと思います。
 当日の結果ですが、労働政策研究については「改革案が妥当」が3名、「改革案では不十分」が6名。不十分とする意見はさらに分かれていまして、「法人で事業は継続するが、更なる見直しが必要」とする方が2名で、全体として事業を継続するべきという意見は過半数にはなっております。具体的なコメントとして挙がっていたのが、労使から中立性を保つJILPTのような、シンクタンクの存在は高く評価する。研究内容の充実や国際比較も積極的に行ってほしいという声もありました。一方で、大学教員等への委託や既存の統計データベースとの調整、他の研究機関との統合やネットワーク形成等を検討してはどうかといった意見も寄せられております。
 続きまして、労働大学校で実施している労働行政担当職員研修について、「改革案が妥当」が3名、「改革案では不十分」が6名。不十分とする意見のうち、「法人で事業を継続するが、更なる見直しが必要」とする方が2名となっていまして、全体としては法人において事業を継続するべきとされた方が過半数で、9人中5人となっています。具体的なコメントとしてありましたのが、教育の質と量を十分に考慮してほしいという意見がありました。一方で、宿泊施設の効率的運用をより強化すべきではないかといったご意見もありました。
 JILPTの組織・運営体制については、「改革案が妥当」が2名、「改革案では不十分」が7名でした。廃止を求める方はいらっしゃいませんでしたが、管理部門のスリム化や他の政策研究機関等との一層の連携を求める声などがありました。省内事業仕分けについては以上です。
 続きまして、行政刷新会議が行いました事業仕分けについてもご紹介します。こちらは参考資料1-2をご覧ください。行政刷新会議の事業仕分けは、第1段が昨年の秋に、第2段がこの春に行われましたが、第2段の前半戦が独立行政法人を対象にしていまして、4月23日から28日までの4日間開催されました。そのうち、厚生労働省関係はWGに分かれたBグループで議論をされていまして、JILPTについては4月23日に議論されました。行政刷新会議における事業仕分けについては、項目は参考資料1-2に書いてありますが、先ほども出てきました労働大学校の話と職業情報・キャリアガイダンスツールの研究開発、成果普及等の3点を議論いただきましたが、評決結果は労働大学校とその他をまとめて出されました。軽くご紹介いたします。労働大学校の関係の労働行政担当職員研修について、研修内容の見直しで中央・地方、特に地方でできるものがもっとないかといった観点も、是非検討していただきたい。また、建物がありきで研修内容が決まっているのではないかということも言われているので、是非効率的な運営に努めていただきたいといったご意見がありまして、WGのBとしての結論は国が実施、事業規模は縮減といった内容になっています。
 労働政策研究のうち、職業情報・キャリアガイダンスツールの研究開発についてです。職業情報・キャリアガイダンスツールのうち、主として総合的職業情報データベースであるキャリアマトリクスについて議論がなされまして、その結果のコメントは、民間のほうが総じて優れたノウハウを持っており、一定の役割を終えたのではないかといったご意見がありまして、WGのBの結論は廃止でした。このほかのコメントとしては、労働関係図書表彰について、税金を使って賞金を出すことは必要ないのではないかといったご意見がありました。長くなりましたが、以上です。

○井原部会長
 これからの進め方ですが、労働政策研究・研修機構の個別評価については、評価シートの個別項目を4つのグループに分けまして、グループごとに評価を行っていきます。グループ1は、労働政策研究及び労働行政職員研修の項目について評価を行います。所要時間は法人からの説明25分、委員の評定と質疑20分の合計45分となっています。それでは、法人から説明をお願いいたします。

○労働政策研究・研修機構総務部長
 私からご説明をさせていただきます。グループ1は、労働政策研究と労働行政職員への研修についてですが、資料2-1の2頁の目次をご覧ください。1が労働政策研究で5つのシートを入れています。2が労働行政担当職員等に対する研修で1つのシートです。この部分について、ご説明します。
 7頁は、労働政策研究の種類及び実施体制です。JILPTでは、平成21年度は6つのプロジェクト研究で24サブテーマを設定して実施しています。また、これは厚生労働省からの要請に基づいた研究ですが、課題研究について8件実施をしています。プロジェクト研究は、昨年度までテーマ数が7つでしたが、平成19年12月に整理合理化計画のご指摘等がありまして、平成21年度より重点化を図るということで6つのプロジェクト研究になっています。8頁に、具体的なプロジェクト研究、課題研究のテーマが記載してあります。いちばん上の人口減少下における全員参加型の社会の在り方についての調査研究でご覧いただきますと、大きなプロジェクトのもとに高齢者、派遣労働者、母子家庭、個人請負といったような4つのサブテーマが入っています。3番目の多様な働き方への対応、仕事と生活の調和の実現に向けた就業環境の整備の在り方に関する調査研究については、7つのサブテーマを設定して研究を進めています。また、8本の課題研究のうち、いちばん最後の2つの、ものづくり産業においてグローバル競争に耐え得る技能の高度化のための人材の育成に関する調査研究と、今後の産業の動向の雇用の在り方に関する調査研究につきましては厚生労働省から強いご要望がありまして、年度途中から実施しています。このように年度途中のものにつきましても、できる限り積極的に対応しています。
 7頁の2つ目の○にありますとおり、研究テーマの策定に当たりましては、厚生労働省の要請の内容と私どもの研究者等の問題意識もありますので、そうしたものを踏まえまして、幹部同士の意見交換会の場であるハイレベル会合や、労使懇談会といったものも開催しています。また、労使それぞれ別に懇談会を開きまして、行政、労使のニーズや意向等をお聞きして、そうしたニーズや意向等を十分踏まえた上で、テーマについては決定をしています。
 研究の実施体制は、左側に書いてあります。機構においては、6つのプロジェクト研究に対応して研究部門を設けています。それぞれの専門分野の下、統括研究員がリーダーとなりまして、研究を推進しています。それと同時に、先ほど理事長からもお話申し上げましたが、昨年度の評価委員会で専門性を活かしつつ、組織を柔軟な体制として、それぞれの部門が有機的に連携して研究を進めていくべきだといったご指摘もいただいています。そうしたこともありまして、新規取組事項の1番目の○に書いてありますとおり、平成21年度から部門間の相互連携の強化のために、理事長をトップとします部門間横断の組織として「非正規関連研究連絡会議」を設置しています。非正規関連の研究については8頁にありましたとおり、各部門でいろいろな角度から研究を実施しています。そうした研究が連携を図られ、各研究での意思疎通の強化を図ることが設置の趣旨の目的です。昨年7回ほど開催をして、意思疎通を十分図って研究を進めてまいりました。
 下の○にありますとおり、テーマの策定や研究の実施に当たりまして、さらに機動的な対応が可能となるような仕組みを構築しています。具体的にはそこにありますとおり、厚生労働省の各部局の調査ニーズの把握を年1回から四半期ごとに行うように改めた上で、理事長と政策統括官が意見交換を行いまして、平成22年度からこうした制度に基づきまして、緊急調査を実施しています。こうした体制の下、調査研究を実施してきていますが、成果については右に記載しています。白書あるいはさまざまな国会の審議会報告書、専門図書等への引用件数ですが、そこにありますとおり540件になっています。前年も540件で、前年と同様過去最高の水準となっています。審議会・研究会での活用ですが、吹き出しで若干記載しています。いちばん多いのは労働政策審議会で、そのほか中央教育審議会、男女共同参画会議、厚生労働省の雇用政策研究会等々で活用されています。
 9頁に、540件の内訳とともに、白書への引用の内訳を記載しています。540件の引用件数ですが、白書等への引用件数が29件、審議会・研究会等への引用件数が54件、専門図書等各媒体への引用件数が457件になっています。白書への引用の29件ですが、いちばん多いのが何と申しましても労働経済白書への引用で、7件になっています。そのほか、中小企業や白書への引用が7件になっています。
 また、私どもの調査研究の成果ですが、研究成果の引用のほかに、私ども研究員が国の審議会や研究会に参画する形で、政策の企画立案に貢献をさせていただいています。右側に書いてありますが、法制審議会あるいは社会保障審議会等々に参画をしています。そういった審議会・研究会への参画が62件です。そのほか、そこにありますとおり昨年度は国会に参考人として呼ばれまして、日頃の研究成果等のお話をする機会もありました。政権交替後、特に「新成長戦略の基本方針」を策定するということがありまして、それに関するヒアリング等もありました。国の重要政策を決める過程におきましても、当機構の研究員の貢献があったというところです。以上の中身を踏まえまして、このシートの自己評価についてはA評価としています。
 11頁は、厚生労働省との連携等についてです。平成22年度の研究テーマ、意見交換調整について、従来より2カ月前倒しで実施をしています。継続的な意見調整を通じて、政策のニーズ等の把握に努めてまいりました。具体的には(1)から(3)に記載していますが、ハイレベル会合、理事長をはじめとする機構幹部と、政策統括官をはじめとする厚生労働省の幹部を参加メンバーとするものですが、そこにおいて今後の政策課題等について意見交換を十分に行っています。昨年度も、1回開催しました。そのほか、政策研究会という政策担当者を機構にお招きしまして、その時々のトピックスである政策課題について解説をしていただきまして、その課題についていろいろ意見交換を実施するものですが、8回開催しています。(3)は、厚生労働省の政策担当者との勉強会ということで、研究員が私どもの調査研究成果を報告しまして、それについて厚生労働省の政策担当者を交えて意見交換を実施するというもので10回開催しました。研究の実施に参加した行政担当者の人数についてもそこに記載がありますとおり、前年度より大幅に増加しまして69人のご参加をいただいています。以上のように、厚生労働省との連携ですが、非常に密接な形で連携を進めてまいりました。
 研究機関との連携ですが、特に海外の研究機関との連携についても、昨年度計画どおり実施をしてまいりました。下にありますとおり、昨年度、日韓のワークショップという形で実施しているものと、国際比較労働法セミナーを実施しています。国際比較労働法セミナーは、プロジェクト研究で活用することを目的としまして、イギリス、ドイツ、フランス、スウェーデン等の研究機関と連携をしまして、研究者をお招きして、「有期労働契約に関する労働政策」をテーマに、共同研究セミナーを開催しました。その成果につきましてはそこに記載がありますとおり、有期契約労働研究会で活用されました。以上のように、厚生労働省との連携を一層強化し、研究テーマ、研究実施に行政ニーズを反映させています。また、海外との研究機関との連携を十分やっているということで、このシートの自己評価はA評価としています。
 13頁の評価シート5です。政策研究の成果の取りまとめと評価についてです。平成21年度は、47件の成果物を取りまとめました。研究員の1人当たりに換算しますと、1.68になります。第1期の平均が1.47ですので、それを大きく上回る、また量的にも高い水準の成果を出したところです。研究の評価につきましても、しっかり行っていまして、右に記載していますがピアレビュー、内部評価、外部評価の3段階で評価を実施しています。14頁に、かなり細かく研究調査の事業の評価体制をまとめてありますので、こちらもご参考にしていただければと思います。
 13頁のピアレビューにつきましては、より高い成果を確保する措置として実施していまして、赤字で書いてありますとおり、平成21年度から調査シリーズ、資料シリーズとしてまとめられた成果につきましても、内部研究者等による査読を導入しています。また、その内部評価につきましては、内部評価者2名の評価票と研究担当者のリプライを考慮しまして、内部評価委員会において5段階の評価を行っています。
 外部評価につきましては、外部の有識者の先生方で構成しております総合評価諮問会議のリサーチ・アドバイザー部会においてご審議をいただいていて、こちらも5段階で評価をいただいています。事前に各研究については2名の先生方にその研究成果を読んでいただいた上で、厳密な評定をお願いしています。評価項目につきましては、そこに書いてあります5つの視点を設けまして、特に政策、政策論議の活性化への貢献度といったようなものを当然入れて見ていただいています。こうした実績を踏まえまして、評価シート5については自己評価をAとしています。
 16頁は、評価シート6の関係です。私ども研究成果については外部評価、先ほど申し上げましたとおり17名の学識経験者で構成されるリサーチ・アドバイザー部会で、3分の2以上の高い評価を受けることが1つの数値目標となっています。16頁の左側に、数値目標:3分の2以上と書いてあります。この数値目標に対して、平成21年度においては外部評価20件をかけていますが、そのうちSが4件、Aが14件になっています。A以上を獲得した件数が全部で18件の90.0%で、3分の2以上の高い評価を受けるといった数値目標を大幅に上回っています。平成20年度が75%ですので、そうしたものを超えて、過去最高の結果となっています。また、S評価の件数も4件となっていまして、これも第2期中期計画期間中において最高の実績となっています。
 2つ目の有識者アンケートの結果ですが、有識者アンケートにおいても数値目標が3分の2以上の方から、「有益である」との評価を得ることが目標となっています。これにつきましても96.8%と、年度目標である3分の2を大きく上回る高い評価を得ています。さらに、私どもの研究成果について、厚生労働省の労働政策にいちばん関連の深い担当部局から、その政策に役立っているかどうかの視点から評価もいただいています。これについても数値目標がありまして、具体的にはプロジェクト研究については、80%以上の高い評価を受ける、課題研究については、90%以上の高い評価を受けることが目標になっています。結果につきましては、そこに100.0%と書いてありますが、プロジェクト研究、課題研究とも、すべて政策に役立っているという評価をいただいています。
 17頁に、主な研究成果の概要と行政での活用状況を載せています。例えば、一番上の雇用の多様化の変遷についてですが、平成15年と平成19年の厚生労働省の調査結果の特別集計を実施して分析したもので、非正規雇用の動向を捉えて、政策的示唆を導出したものです。リサーチ・アドバイザー部会でも、非常に現代的なテーマで、労働弱者への支援という視点からも貢献度は高いというコメントをいただいています。実際右側にありますとおり、『新成長戦略』に盛り込まれた『雇用・人材戦略』の検討の際にも、十分活用されたということです。ほかにもいろいろありますが、それぞれ活用されている状況です。そうした数値目標の達成状況、とりわけ外部評価においてA以上の評価を受けた研究が全体の9割に達しているということで、昨年度の75.0%を大幅に上回って、過去最高の水準に達しています。そうしたことを踏まえまして、評価シート6については自己評価をSとしています。

○井原部会長
 全体の説明時間が25分になっておりますので、もう少し要領よくお願いします。

○労働政策研究・研修機構総務部長
 評価シート7です。優秀な研究者の確保と研究水準の向上です。これにつきましては、そこに書いてありますとおり、新たに任期付き研究員の採用を3名実施しています。学会への参加は研究者の能力開発にも留意していまして、学会の加入件数も40件と伸びています。そのほか、理事長からご説明がありましたとおり、「研究成果の学習会(新人学習会)」も開催しまして、研究業務の一層のコミットメントを促すようにしています。
 外部人材の活用ということでは、前年度を上回る67人の外部研究者に研究に参加していただいています。研究員の業績評価制度は、そこに書いてあります評価項目の見直し・改善、あるいはそのモチベーションを的確に把握するような方法を講じまして、そこにありますとおりモチベーションも上がったということもありまして、学会誌・専門誌への論文掲載数も32件と、年々増加をしてきています。こうした取組を考慮しまして、評価シート7については、自己評価Aとしています。
 21頁は評価シート14で、研修の評価シートです。右下に、平成21年度の研修実績が記載してあります。77コースで、参加延べ人数3,219名になっています。研修生からの「有意義である」という評価につきましても、赤字で書いてありますとおり97.0%になっています。年度計画は、私どもの数値目標である85%以上で、これを12ポイントを上回る高い水準を維持することができました。こうした高い有意義度を得られましたのは、そこに書いてありますとおり研修内容の充実ということで、コースの新設や科目の見直し、研修手法や教材の改善にも工夫をこらしたことによるものです。
 そのほか、研修と研究の連携ですが、延べ88名の研究員に研修にも参画をしていただいています。あるいは、研究成果の紹介や研究開発の試作品のモニター等を行いまして、研修生に感想・意見等をお聞きして、そういうものを吸い上げて研究に生かすといったイブニングセッションも13回開催しています。そのほか、職業指導・キャリアガイダンスツールの講習会等も開催しています。こうした研修と研究の連携も、研修生の高い評価につながっていると考えています。そうした状況を踏まえまして、研修の評価シートの自己評価はA評価としています。以上です。

○井原部会長
 ありがとうございました。それでは、委員の皆様には評価シートに評定等の記入をお願いします。ご質問がありましたら、ご発言をお願いします。

○松田委員
 参考資料1-2の裏側に「厚生労働省の指示で研究しているのでは発展性がない。自主性を高めるべきだ。厚生労働省の指示に基づき、下請機関として存在している」。ですから皆さん、点数がいいのは緊急の課題だからですよ。いま差し迫っているから、皆さんが関心があるから点数が高いのです。これは、どう思いますか。しょうがないけれども。それで研究者は、これで満足していますか。だから、無記名でいいから、研究者全職員から、いまのやり方がどうなのかを調査をしたらどうなのでしょうか。全く違った意見が出るかもしれません。

○労働政策研究・研修機構総務部長
 厚生労働省の指示で研究しているということですが、私どもの使命は研究の成果を労働政策に生かしていくということにあり、研究テーマについては中期的観点から、政策の方向性もみながら、厚生労働省と十分協議をさせていただきながら考えていくことが必要になってきます。研究のテーマについては、先ほどご覧いただいた資料の8頁にある大きな括りでは、そうした方向性が与えられていますが、それについては、十分私どもJILPTと相談した上で、大きな柱を立てております。右側にあるサブテーマと言われている個々のテーマにつきましては、当然私たち研究員の発案などを踏まえて、JILPTの中で打ち出して研究をさせていただいているということです。ですから、全く下請機関のように実施をさせていただいているということではないと私どもは理解をしております。

○松田委員
 それから、外部の研究者67名は大学の先生などを活用していますね。必要がないのではないですか。いまのやり方だったら、外部の先生などを入れる必要は1つもない。皆さん専門職でしょう。専門職で十分通用するではないですか。なぜ外部の先生を入れているのですか。

○労働政策研究・研修機構総務部長
 その辺も私どもの研究者がおりますが、30数名ということがあります。研究が多岐にわたるということがありますし、また第一線級の先生からいろいろアドバイスをいただくことは、非常に有益なこともあります。そうしたこともありますので、外部の先生方、特に民間関係をよくご存じの方も含めて、実務家も入れながら研究をしています。ですから、大学の先生が44名で、民間の実務家が20名となっております。研究をしていく上で間違わないようにしていくためには、いろいろな方のご意見を聞いていくことも非常に重要かと思っておりまして、こういう体制をとっています。

○松田委員
 いまのようなやり方だったら、その必要はないと思います。外部はやめたらどうですか。こちらに出ていますよ。外部の先生に国から直接委託すべきだと。

○労働政策研究・研修機構理事長
 いまご説明したとおりです。例えば、いろいろな種類のテーマがありまして、研究員の中には必ずしもそのことを専門にしていない人がいたりします。ですから、それをお受けしない。例えば、課題研究のときに「そういうことはできません」となかなかお答えしにくいことで、できるだけ中で関心のある人に、例えばその研究会全体を担っていただきながら、もちろん本人は調査にかかわり、執筆もしますが、専門的な知識を特に、1例を挙げますと、高齢者雇用についても、私どもの中にそのことを専門にずっとやっている人もおりますが、その人が自分のテーマで本来の仕事としてやっているほかに高齢者のことについても関心があるということで、その人にお願いしておりますが、同時に大学の先生方の中から、社会保障と高齢者雇用の在り方について、専らずっと専門的に研究しておられる方たちのご意見も聞きたいと思いますし、議論にも参加していただいたり、集計にもかかわっていただいてということもあります。
 例えば職業訓練で申しますと、職業訓練の専門家がうちにいるだろうかというと、関心を持ってくれている者はおりますが、特に国際比較の研究などになりますと、そういう領域で専門の先生が外部におられますので、是非加わっていただきたいという形のものの累積だとご理解いただければありがたいと思います。

○松田委員
 厚生労働省の連携ですが、これは当たり前のことでしょう。従来より2カ月前倒しだ、こんなことは何も評価する必要はないのです。これは厚生労働省と意見を調整してやっているのですから、こんなものにA評価などというのはあり得ない。当然のことではないですか。概して自己評価が甘いですよ。全然甘い。

○労働政策研究・研修機構理事長
 いまの点ですが、これは評価シートの4として評価するようにということになっておりますので、私どもとしては、これまでの実績を踏まえて、それと比較をして、目立って実績が上がっていないということであれば、また考えなければと思っております。
 例えば、ハイレベル会合は1回と書いてありますが、実際にはしょっちゅういろいろな形で私自身も政策統括官と連絡したり、議論をすることもありまして、そういうのを含めますと、非常にたくさんあります。ですから、評価シート4というのは、私どもにとっては課されていることですので、それについてどのような連携をしてきているかということを書いているものだとご理解いただきたいと存じます。

○篠原部会長代理
 いまの松田委員のをまた違った面から。私はこういう労働政策の専門家ではないのですが、事業仕分けを傍聴して感じていることは、独法が独自でやる理由があるのですかと。それを松田委員との関係で言いますと、非常に成果の高いものよりは、実は民間ではやらないものを着実にやるという使命があると思います。ここで「成果いいぞ、いいぞ」というのもいいなと思うのですが、やはりこういうものをやっていないのに、やっているのだぞという、そこの部分をもう少し言ってもらわないと、我々の評価としては。民間と同じ評価という部分も要るのですが、その辺はどうでしょうか。そうしないと存在価値があまりないのではないかと思います。

○労働政策研究・研修機構理事長
 事業仕分けのときにはそういうご指摘をいろいろいただきました。そのときに民間というふうに、いま先生がお触れになることで言いますと、主に民間シンクタンクのようなものをお考えでした。ですから、私立大学の先生というのは先ほどお答えしたようなことですが、民間シンクタンクは私が理解している限りでは、労働調査に関するマーケットは率直に言って、大変小さなものだと思っています。
 そういう方たちがフルタイムでシンクタンクに勤めて、そこで専ら自律的に調査・研究をするというケースは決して多くないと思っております。要するに、マーケットが小さくて、例えば労働法の専門家、労働経済の専門家をたくさん雇って、民間シンクタンクで仕事ができるかというと、例外はありますが、なかなかそういう実態になっていない。
 私どもがやっている仕事の性格を最も基本的なことで申しますと、政府の考えている政策に一方では大変協力しますが、片方では政労使からの距離をきちんと置き、中立性・公平さというのは労働政策では大変大事なことですので、そういうことをいちばんの基本に置いた上で継続的に、特に非常に長い時間をかけて労働現場の実態を洗います。そういうことがありませんとうまく行きません。代表的なものはニート、フリーターにかかわるような若年キャリア形成、弱者に関するような研究が典型的です。
 今の状況で申しますと、派遣労働に関するキャリア形成がどのようになっているか、正社員化はどのように可能であるのか、均衡待遇はどうやったら可能だろうかということを、詳細にわたってヒアリング調査をしてきております。いろいろな形で議論しておりますが、私が知っている限り、大学でも民間調査研究機関でも、なかなかできていない。タイトルだけを見ますと、大変似たようなことがありますが、私どもが時間をかけてやっている固有の業績として評価していただいてよろしいものだと考えております。

○篠原部会長代理
 政策評価や省内仕分けを聞いていると、仕分け人の勉強不足か、いま言ったようなことを十分認識していないで、単純にシンクタンクと同じようにできるではないかという発想で聞いていたと思います。ということは逆にいうと、今日、私が聞いていても、その部分を強調されて、そういうことを広報しないと、これから厳しい立場になるのではないのという気を持っているのです。

○労働政策研究・研修機構理事長
 その点はおっしゃるとおりですが、そうしたことは聞かれておりません。実態はお尋ねがあの場でもありましたら、いま申します1、2の例をお話しようと思っていましたが、いま先生が触れたように正確にどういうお考えと、どういう情報を持って判断をしているか、私のほうではよくわかりませんので、お尋ねにあったことだけを申し上げていたということです。

○川端委員
 研究者のモチベーションですが、非常に優秀な研究者を採用して育成する。しかし、例えば大学の研究者のように、成果が学会と社会でいろいろ認められて評価される。自分の好きな研究、やりたい研究をやるというのと違って、テーマが政策に役に立つ。そして、それをさまざまな形で、ものすごい量をこなす。研究者というよりも、かなり行政官に近い立場にあるのではないかという気がしますが、そういう人の行政官のモラルならわかるのですが、研究者としてのモラルというのは、一体どこにあるのか。それは機構として、どういうところでやる気を、より高めるような工夫をされているのかということを伺いたいのです。

○労働政策研究・研修機構総務部長
 その点につきましては、研究員の方にはこういった形のプロジェクト研究は1、2本抱えていただきます。そのほか、自由に研究をしていただくという形で、先般、萌芽的研究の実施という形で、これは研究員が、労働市場に現れる今後の大きな変化の前兆を、早い段階で的確に捉えて、こういうのをやってみたいということがあれば、申請書を出していただいて、2年間という期間の中で研究をしていただくという制度を、新たに設けております。
 それから、研究叢書というものを作ります。これは私どもが行った研究業務でとりまとめた成果を中心に本を出すという形で、広くアピールするような場を作ってあげて、研究員の意識の向上を図る取組をしております。

○井原部会長
 いままでの話の中に出てきたのですが、当機構は、1つは民間との棲み分けをせよと。もう1つ、意見が出てきているのは、役所の下請けにはなるなという意見もあります。それをこちらで質問させていただきたいのですが、この中で、例えば「テーマの決定は、厚生労働省との話合いの下に決めています」と書いてあるわけです。そうすると、それを決める前の段階で、JILPTとしてはどういう基準を重視して、どのように決めたものを持っていって、厚労省との間のネゴシエーションの結果として決めるわけですか。

○労働政策研究・研修機構理事長
 先生のご質問は2つの側面があって、1つは、5年を単位とする6つの大きな柱があります。これは厚生労働省の中期計画として、こういうことをやりなさいということで、それがどの時点で決まっていたかと言いますと、第2期の最初の場面で決まっております。
 その中身は、1年1年を輪切りにしてサブテーマにしてまいります。いまは実際にその研究を担っているグループがあります。その人たちが内発的に、次にこれをやりたい、次にこういうことが必要だということです。それについては、かなり私どもが提案をする。内在的にその研究をあるグループが担っておりますので、プロジェクト研究の場合は、その大きなテーマに見合った研究グループがあります。それは5年という形になりますが、5年間で1つの大きなテーマになっております。それを誰が担っているかは固定しておりますので、毎年輪切りにしてサブテーマを作っていきますから、当然研究にこれをやっている以上、次に企業・事業所のアンケートあるいはヒアリングをしたが、従業員のほうがわからないということで、これはこれをやりたいとなって、私どもの中で当初ヒアリングを年度初めにして、それを持ってきて、こういうことをやりたいのだということで、かなりの程度私どもの意思が反映されていると一方で思っています。
 片方では先生が懸念されるような課題研究というのは、建前からしますと、特に最近では緊急調査でこういうことを政務三役からやってほしい、あるいはある局から、こういうテーマで急いで10カ月ぐらいでこういうデータを出してほしいという要望があります。それは私どもの研究員の中で対応できる人がいれば、あるいは調査員で対応できる人がいれば、なるべく受けるようにします。ただ、野放図に下請けの意識を持たれると困りますし、実際には人もお金も数に制限がありますので、それは文字通り相談です。ですから、文字通り出てきたら、そのまま受けることはありません。
 例えば、いまでも出てきておりますが、派遣労働に関する国際比較調査で、国会審議を念頭に置いて11カ国について調べてくれということで、こういうことを調べてほしいと、非常に具体的な内容が出てきております。それについては、どうして11カ国なのか、できれば4カ国に絞りたい、これについてはむしろこういう国を入れないと良くないのではないかという中身を個別に詰めているのが実態です。

○井原部会長
 要請研究は、それをしなければいけないというのはわかるのです。そうではなくて、理事長がおっしゃったように、サブテーマは、いまお聞きしますと、研究員が、これをやりたいという形で決まるのですか。

○労働政策研究・研修機構理事長
 そうです。5年間でこういう結論を出さなければいけないということで、毎年継続になってきますので、このテーマは私がやっている、このチームではこういう大きな5年間の柱の中でやっているということですから、これは研究員たちが、誰から押し付けられるということはなく、自分たちがやっている延長線上で当然しなければいけない。こういうテーマが次に残っているから、これをやりたいとなって出てきます。

○井原部会長
 それは理事長の価値判断で、いまの世の中を見回すと、こういうことがすごく重要だから、これを今年はやりましょうということはあまり言わないのですか。

○労働政策研究・研修機構理事長
 それは先ほど触れた例で申しますと、非正規雇用のバーチャルプロジェクトを実際には平成21年度に立ち上げております。これは契約労働研究会が動き、派遣法の見直しが行れるということもありますし、社会的に強い関心があります。これは集中的にやりましょうというので、私がいろいろなセクションの方たちを横断して、私どものほうで自発的に考えて、情報提供なり調査なりを厚労省にしてきているというものです。

○井原部会長
 そうですか。私が最初に言いたかったのは、当機構の存在価値からいうと、厚労省とは違った基準で、いまの世の中を見たら、こういう研究が重要だという1つの価値判断があると思います。それが世の中に向かって非常に説得的で、そういうものを固めた上でテーマのようなものを決めて、それを厚労省へ持っていき「どうですか、あなたの所の要請と比較して」と。そういう形だと、すごく事実性というものが感じられるのです。だから、研究者が、これをやりたい、あれをやりたいという話だと、何となく説得力がないような感じで、研究者というのはそういうものなのですが。それはよくわかっていますね。

○労働政策研究・研修機構理事長
 はい。先生のお話のとおりですが、2つ申し上げますと、1つは、私がリーダーシップを取って実際にやってもらっているものがもう1つあります。それはS評価をいただきました。どういうテーマだったかというと「職業資格と免許」です。中小・零細企業の世界で見ますと、1人の人が一生のうちに2.7回ぐらい転職をしています。本人にとっても会社にとっても、どのような転職が最もいいのかというときの1つの手掛かりは、長期勤続ではなくて、外部労働市場を動くというときに、職務資格がどういう性格、役割を担っているのか。これはキャリアガイダンス部門でそういう研究をしていただき、日本で初めてだと思いますが、職業資格ダイレクトリーを、1,037ぐらいの職種について作ることができました。これは解雇という形ではなく、失業なき労働移動というのはどのように可能であるかの1つの視点だと私は思っておりまして、これをやってきております。
 いま先生がご懸念になるようなとても大事なことは、第2期から第3期に変わるときに、先生がお話になったことはよく念頭に置き、私どもの中で十分に煮詰めます。いまのような形式ですと、5年間拘束されてしまい、簡単に変えられませんので、十分注意してまいりたいと考えています。

○宮本委員
 2点伺います。1つは9頁で「質の高い成果の確保」の例で、審議会等への参画というのが、右半分に書いてありますが、(主なもの)というところで例示されているのを見ますと、かなり1人の名前に集中していて、これを見ると、実際のところは参画の実績のあるテーマが偏っているのではないかと見えます。かなり多くの所に引用されたり、参画の件数が出ているにもかかわらず、こういう形で偏っているのかなと思うのですが、その辺りはどのように評価しておられるのかを伺えればと思います。
 もう1つは、21頁の研修の件です。国の評価でも、研修に関しては国の責任ではないかということで、機構が従来どおり大学校をやることに対して、いくつかの疑念が出ていると見えますが、その辺りはどのように考えておられるのか伺いたいと思います。

○労働政策研究・研修機構理事長
 前者について申しますと、ちょうどここに書いているのが、固有名詞という表示をして、先生がご指摘になるような側面が率直にいってあります。私はいま手元に持っておりませんが、審議会にかかわっている人ということになりますと、メンバーが相当膨らんでくると思います。これは国会の参考人招致の例が出ているのだと思います。しかし、満遍なくすべての人が、さまざまな審議会にかかわっていると言えるわけではなく、ある偏りがあるのが実態です。
 研修については、確かに白紙状態から議論するとなると、いま先生が触れられたようなことは当然あり得ることだと思っています。そういう議論を進めるとどういうことが起きるかというと、申し上げるまでもないのですが、国家公務員が、相当それを担っている方たちが増えざるを得ないということで、現状から出発したときに、どのぐらい大きな問題点があるか。私どもとしてはその問題点はまだまだ改善すべき点がありますし、事業仕分けの中で出てきた朝霞の労働大学校でやっている中央の研修ですべてをやる必要はなくて、事柄によっては地方研修を繰り込んでいけばいいと思いますし、将来的に考えられることで余裕があったら、NPOとか、国家公務員の研修だけではなく、独法であることによってできるということもあろうかと思っております。いままではそのことに必ずしも積極的に取り組んではおりませんが、いま事業仕分けの中で議論している中でも議論していることの1つとしては、そのように対象を広げていけないだろうかということを考えております。

○井原部会長
 はい、よろしいでしょうか。では、ご記入をお願いいたしまして、その先に進んでよろしいでしょうか。それでは、時間も押しておりますので、グループ2に移りたいと思います。グループ2は、「労働事情・労働政策に関する情報収集」の項目についての評価です。所要時間は法人からの説明に20分、委員の評定と質疑15分の合計35分となっております。それでは、法人からの説明をお願いします。

○労働政策研究・研修機構総務部長
 評価シート8、23頁をお開きいただきたいと思います。国内事情及び海外情報の収集・整理です。23頁は国内の分をまとめてあります。調査等の実績ですが、調査等が21件、事例収集が8件ということで、個人を対象とした調査を1回、企業を対象とした調査を1回、テーマ別を6回、モニター調査を8回といった状況になっています。
 テーマ別調査については、評価シートには記載があって、こちらには添付してありませんが、企業における望ましい無期契約・有期契約に関する調査、高齢者・障害者の雇用状況に関する調査、今後の雇用ポートフォリオと人材戦略に関する調査等、当面重要な政策課題についての調査を実施しております。
 また、企業の人事労務管理に関する制度や労組の取組等、現場の実態把握のための事例収集にも積極的に取り組んでおり、パート等有期契約組合員に対する雇用維持方策、農林業における雇用の受皿づくり、あるいは金融危機が直撃した地域の動向と課題、労働相談の実情と課題といったテーマで情報収集を実施して、ビジネス・レーバー・トレンドの誌上で公表をしています。
 成果の活用状況ですが、年度計画100件を上回る117件になっており、政策立案に貢献をしていると考えております。内訳としては、白書・審議会での活用状況が26件、新聞・雑誌での引用が91件、その他WEBでの引用が41件という状況になっています。
 活用状況の具体例は右側に記載しています。「副業者」の就労に関する調査が雇用保険部会に活用されたとか、いくつか書いてあります。成果の引用件数は大幅に減少というか、184件から117件に減少しているわけですが、平成21年度は派遣労働者のヒアリング調査など、企業・労働の現場で起きていることを丹念に収集するという性格の調査が非常に多く、個別実態ということで、特にマスコミから報道をする際に、あまり適さない調査が多かったことも影響しているのかと考えています。いずれにしても情報提供の在り方を含め、今後一層努力していかなければならないと考えているところです。
 次の頁は海外の労働事情の収集・整理についてです。海外の労働事情の収集・整理については、主要国別の労働事情の収集、課題別の情報収集の二本立てになっています。国別の労働事情の収集ですが、英、米、独、仏など主要国と主要な国際機関であるEU、OECD、ILOなどに絞って、プロジェクト研究とも関連する政策課題を重点に情報収集を行っています。ホームページで提供した情報件数が95件、ニュースレターであるビジネス・レーバー・トレンドで情報提供したのが85件となっています。
 課題別の情報収集についてですが、こちらについては数値目標として年間4テーマ実施をすることになっています。「ポジティブ・アクションに関する諸外国の取組事例調査」とか4テーマを実施しております。うち企業のポジティブ・アクション、3番目の「マクロ的な労使合意および政労使三者構成の政策検討の係わる制度・慣行に関する調査」、「諸外国における失業扶助制度についての調査」は厚生労働省からの要請を受けて実施しています。
 海外情報を収集した成果については、下に記載してありますが、一般の新聞・雑誌等の引用件数は25件、マスコミ等からの訪問取材、行政関係者への説明は9件で、合計34件の提供をしています。また行政官アンケートの結果については、政策立案の参考資料として20件活用されていることを確認し、一定の成果を得られたと考えています。活用事例の具体例は右側に記載していますが、「諸外国における失業扶助制度についての調査」結果については、雇用保険部会で検討に活用されているところです。
 こうした成果の状況を踏まえて、冒頭の理事長の挨拶にもありましたが、労働市場、労働政策の情報収集・整理については、時間的なずれで年度単位での引用件数が大きく影響したこともありますが、引用件数が年間100件を超えています。平成19年182件、平成20年184件と比べるとかなり少なくなっていることを考慮して、一層努力していくという意味を込めまして、自己評価をBといたしました。
 26頁の評価シート9の「各種統計データ、図書資料等の収集・整理」です。そこにありますとおり、さまざまな形で私どもは統計データ等の収集・整理を行っております。具体的には?@にありますとおり、海外関係については「データブック国際労働比較2010」を作り、公表しています。
 それから?Aにありますとおり、国内の労働統計加工指標としては、「ユースフル労働統計2010」を作って公表しています。統計の加工情報である「データブック国際労働比較」「ユースフル労働統計2010」の利用者のうち、評価として右側に書いてありますが、93.7%の方から「有益であった」という評価をいただいています。
 左側に戻り、?Cにありますとおり、労働統計データベースについては、内容を充実させた上で、情報の更新・運用を実施しております。
 ?Dは、そのほか平成21年度より新たに当JILPTで実施したアンケート調査の個票データを、研究者等に提供するデータ・アーカイブ事業を開始しております。平成21年度中に合計7本のデータを公開しております。今後とも順次その数を増やしていくこととしております。
 ?Eにありますとおり、厚生労働省の要請を受けて、労働力需給の推計も私どもで行っております。平成21年度に研究会2回、作業部会15回開催しまして、産業別就職者数の中長期的な将来推計の検討作業を実施しております。
 活用状況ですが、ホームページビューについては74万件ということで、前年度の61万件から大幅に増加しており、20%の増加という状況になっています。審議会や各種白書での活用はそこに記載のあるとおり、さまざまな所で活用されております。特に労働力需給の推計結果については、政策を立案する上での基礎データとして活用されております。
 右下の図書資料の収集・整理ですが、私どもは労働政策の研究に役立つ図書資料の収集を行っており、収集した図書については労働図書館という形で一般の研究者への公開も行っております。平成21年度は外部の来館者数が1,530名で、外部への貸出冊数は2,228冊となっています。またその複写枚数は4万8,010枚になっています。労働図書館の活用状況については、来館者数、貸出数も若干減少しているわけですが、もともと労働政策の研究に資する資料の収集・整理を行っているということで、内部利用が主であるということもありますが、インターネットによる情報提供も進んでおりまして、来館者数が減少する傾向にあると考えております。
 特に平成21年度、数年に1度実施する蔵書の点検と電動書庫の改修を今回初めて実施したわけですが、そういったものが重なって、開館日数が前年度より1カ月ほど短くなったということもあります。そうした特殊要因もあって、若干人数が減ったと勘案しているところです。平成22年度については、おそらく平成20年並みの数字は確保できるものと考えているところです。以上のような実績を踏まえて、この評価シートの自己評価についてはA評価としているところです。
 続きまして、28頁、評価シート10の海外からの招へい・派遣についてです。まず招へいについては、内容的に政策研究に直接効果があるものに限定するよう、人数も極力縮減するといった閣議決定がなされています。平成21年度からは中期目標・中期計画も改正されており、年度目標・年度計画においても、招へいについては2名以下、派遣についても4名以下とすることが数値目標となっています。
 そうした計画を踏まえて、まず招へいですが、1名ということで、ドイツハンスベックラー財団のハルトムート・ザイフェルトという方を招へいしております。テーマは「日本とドイツにおける非典型雇用の比較研究」で、当機構の研究への効果を一言で申しますと、欧州における非正規雇用の実態に関する知見を提供していただいたということになります。先ほど申しましたとおり、平成21年度は非正規関連の研究について、理事長をトップとする連絡会議を設けて、各部門の連携をとりつつ、実施をしているところですが、この招へい者につきましても、3回ほど内部の研究会を通じて、非正規関連の研究活動に寄与していただいたところです。
 そのほか、ドイツでの失業対策についての最新の情報を提供していただき、ビジネス・レーバー・トレンドで公表しましたし、厚生労働省、日本労働法学会、労働組合等においても研究発表を実施していただいたところです。
 研究者の派遣ですが、ミシガン大学への派遣も含めて3名の派遣者を厳選して派遣しております。ミシガン大学へ派遣した研究員は、前年度からの年度を跨ぐ長期派遣です。現地では個人請負型という働き方の可能性ということで研究をされ、その成果については厚生労働省に設けられた「個人請負型就業者に関する研究会」の資料の1つとして活用されたところです。
 海外との情報、研究機関とのネットワークの形成は、我が国の労働問題についても、ほかの国々と共通する課題もかなり多くなってきております。こうした状況を踏まえますと、海外の研究機関とのネットワークも非常に大事であると考えており、○にあるような取組を実施しております。
 1つは、EU財団の国際ワークショップへの参加です。そのほかILOのアジア太平洋総局との協力による、アジア地域15カ国の研究機関とのプロジェクト。外国人研究者の受入れですが、滞在費等は本人の負担になるわけですが、そうした者の受入れもしております。ほかに海外からの日本の労働政策についての資料要求、問合せについても的確に対応しております。平成21年度は195件という状況になっています。
 英文情報の情報整備ですが、私どもの研究成果を広く海外に発信していくことも、海外の研究機関とのネットワークづくりの観点から、非常に重要であると考えております。具体的には、研究報告書の「要約」を10点ほど英訳をして、ホームページで公開しておりますし、「日本の労働事情と分析」といったものも英文で作成して、ホームページ等で公表しております。そのほか、日本の労働政策研究に関する情報の提供を目的とした季刊の英文雑誌も発行しております。これに季刊である「Japan Labor Review」については、学術論文データベースを運営する米国のゲイル社から掲載論文を収録したいというオファーがあります。この取扱いについては現在協議中ですが、当機構の発信している情報の質の高さを高く評価したものと受け止めているところです。
 こうした点を踏まえて、評価シートについては、自己評価Aとさせていただいたところです。以上です。

○井原部会長
 それでは、委員の皆様、評価シートの評点の記入をお願いします。ご質問がありましたらご発言をお願いします。

○篠原部会長代理
 海外の情報の収集について質問したいのですが、大体私も、そちらでも先進欧米国になると思いますが、実はうちの娘がワーキングホリデーでオーストラリアへ行ったのです。韓国、台湾、中国の人たちと混じり合うと、日本人の甘さというか、非常に逞しくなって帰ってきたのです。それを感ずると、日本の雇用政策は非常に甘ったれた政策だなと。将来の日本を担う逞しい人を育てるという意味の観点というのが何となく欠けているような気がするのです。というより我々が伸びていくときの失ったバイタリティみたいなものがなくなって、将来のほうばかり見ているのではないかなという気がするのです。いわゆる近辺の若者の状況を調べているのですかということです。あまり参考にならないのですが、実は政策を作るときの1つの参考になるのではないかなという気がするのです。

○労働政策研究・研修機構理事長
 いま先生がお触れになったので、私どもが主として手掛けているのは、どちらかというと、若年のキャリア形成において問題を抱える人たちに対して、公共政策としてどう対応していったらいいかということの実態を調べて、厚生労働省の政策立案に貢献する、アドバイスもするというのが主です。
 よく出てくる言葉で、私はあまり好きではないのですが、高度人材という言葉があります。そういう方たちに対して何をしたらいいかということを、私どもの調査研究のテーマにしていないのかと言われますと、外国人については、外国の大学を出た人が、なぜ日本の企業になかなか就職しないのだろうかとか、日本の大学に留学していた人が、なぜ日本の企業に思うように就職してくれないのかということは調査しています。
 先生のおっしゃる文脈が、元気よく日本の成長を支えてくれるとか、そういうことのためにどうしたらいいかという研究は、私の所では、いま現在はなかなかできていません。ただ、これはどこかがやらなければいけないと思っておりますが、私個人の意見で言えば、それは文部科学省や経済産業省の方たちが主として考えやすいことで、私どもは若年と言いますと、いろいろな資源が制約されていることもありますが、キャリア形成上、問題を抱えがちだった方たちをどうしたらいいか、というところに焦点が当たっているのが実態です。

○本寺委員
 質問というか、海外とのネットワークみたいなところですが、私は実務柄、例えば他の国の視点から、日本の人選はどうなっているのかということで、結構、説明するのに苦労をしたりもするのです。そういう意味で英文情報の整備というのは、そういうことを意図としてやっておられるのだと思います。日本社会は今後はグローバル化されていこうとしていて、1つの国の政策の柱として、海外からの投資ももっと増やそうと言っている。そのために日本はどうなっているのだということを周知することは重要かなと思っていますので、この点は評価していい取り組みをされているのだなと思っています。
 質問は、研究成果にも絡むと思いますが、例えば日本でいくと、組織学会とか、その分野で重要な学会があって、そこに論文を出すというのが1つの成果の目覚めとなるところがあると思います。そういう意味で意図として、例えばあの国だったら、この学会にうちの研究員が論文を出そうとか、ターゲットにしているようなのはあるのですか。

○労働政策研究・研修機構理事長
 おっしゃいますのは特定の学会、例えば組織学会とか日本労務学会とか、労使関係の学会とかいろいろありますが、一般的にはなるべく調査研究できたものを一方で英文にして、私どもの雑誌に特集号を四半期ごとに組んで、そこの中で議論をして、私もかかわっていますが、この論文を是非外国に発信したいということをやっております。
 もう1つ、いまお触れになったことで申しますと、特に海外からの投資を呼び寄せるということになりますと、日本の労働法がどういう内容のものかということで、基本法については長期にわたって法律の翻訳をしているということもあります。
 いまお話のあった研究員に対しては、海外を含めて学会に行って、成果をちゃんと報告できるようにというインカレッジはしておりますが、義務づけたり、特定の学会に行ってやりなさいというところまでは特にやってはおりません。

○井原部会長
 あとは何かございますか。評価シートの記入はよろしいですか。それではグループ3の研究等の成果の普及政策提言の項目についての評価を行います。法人からの説明20分、委員の評定と質疑15分の合計35分となっております。それでは法人から説明をお願いします。

○労働政策研究・研修機構総務部長
 それでは、評価シート30頁の「労働政策の研究等の成果の普及」についてです。私どもは成果の普及については、ホームページ、ニュースレータ、メールマガジン等、多様な媒体を通じて実施しております。まずホームページですが、成果の提供をする媒体の柱です。次の31頁に具体的に記載しておりますが、いわゆるホームページのトップページが右側に載せてあります。これはリニューアルのあとのもので、周りでcontents1とかcontents2とか、いろいろ記載して注釈を入れているものですが、ホームページ自体は四角の真ん中の部分になります。
 contents1にもありますとおり、研究成果についてPDF全文掲載と書いてありますが、PDFファイルで研究成果については全文を掲載しております。その他にもcontents2にありますとおり、労働情報についてもダウンロードが可能なようにしてあります。contents3にありますとおり、海外労働情報あるいはcontentsの4にありますデータベースといったようなものも見やすく載せております。
 さらにメールマガジン、ビジネス・レーバー・トレンド、日本労働研究雑誌の情報など、機構のありとあらゆる情報を見やすい形で掲載しております。前年度に引き続いて内容の更新・拡充にも実施をしており、左側にありますとおり、主に3点ほどの取組をしております。1つは、先ほどのcontents1に該当しますが、最新の研究成果を一覧できるコーナーをトップページに新設しております。そこをクリックしていただくと、パッと最新の研究成果にたどり着ける形にして、タイムリーな情報提供に努めております。
 2つ目は、公表している研究成果の概要についても大幅に充実をし、ホームページを見た方にとってわかりやすいようにしました。具体的には冊子になっており、これが載っている形になりますが、いわゆる研究の概要を研究の目的、方法、主な事実発見、政策的含意、提言というように分けて記載するという形にしてあります。そうした形で研究の意味するところがホームページを見た方に端的に伝わるように改善を図っております。
 3つ目の○にありますとおり、ホームページ内の検索機能の強化も実施しております。グーグルカスタム検索という新たな検索機能を導入して、これまでより的確に絞った形での検索結果が出るようになっています。これまでの検索方式ですと、ビズサーチというもので実施をしていましたが、重要度の高い検索結果がグーグルカスタム検索の場合は表示される形になっており、PDFについても検索の対象になるということで、検索の精度が向上しています。
 お手元のパワーポイントの資料には入れておりませんが、評価シートには入っています、労働問題のQ&Aというコーナーをホームページに設けております。その内容のリニューアルを平成21年度に実施しており、平成22年3月から提供を開始しております。これによってページビューも35%ほど伸びている状況です。
 こうした取組を行っているホームページですが、利用状況については31頁の下のほうにあります。平成19年度が3,409万件、平成20年度が4,006万件、平成21年度が4,296万件ということで、毎年増加しております。特に平成21年度については、前年度から300万件のページビューの増加となっています。改善による効果もありますし、内訳を見ますと、キャリアマトリックスのページビューの増加も寄与しております。
 キャリアマトリックスは500ぐらいの日本の代表的な職業について、その詳しい内容、職業に就くためにどうしたらいいかといったものを、ネット上で情報提供を行う総合的職業情報データベースです。そうしたものについて実証をしているわけですが、このキャリアマトリックスについては、事業仕分けで廃止等の評価判定を受けておりますが、キャリア教育の重要性、ニーズが高まる中で、利用者が増加してきたというところです。
 30頁にお戻りください。右側の?Aのニュースレターです。「ビジネス・レーバー・トレンド」なる名称で月1回発行させていただいております。このビジネス・レーバー・トレンドですが、調査研究の成果と連携した特集のテーマを設定し、研究成果に基づくわかりやすい解説論文に加え、関連する国内外の動向に関する情報や事例報告を一体として企画、提供するものです。
 例えば2009年12月では「高齢者雇用を考える。現状と今後の課題とは何か」をテーマ特集とし、労働政策フォーラム、高齢者の本格的雇用に向けてへの議論を提供し、併せて継続雇用等を巡る高齢者雇用の現状と課題の研究報告書の解説論文、それから今後の雇用についてどう考えるべきかの有識者のアンケート、高齢者雇用に対する景気後退の影響などのアンケート調査などをとりまとめて、提供しています。
 そうしたニュースレターであるビジネス・レーバー・トレンドについては、年12回発行するとともに、読者アンケートによる有益度について、80%を得ることが数値目標となっています。これについては、94.0%ということで、目標の80%を大きく上回る結果となっています。
 また、平成21年8月ですが、評価シートには入れていますが、こちらの方には記載はありませんが、ニュースレターのビジネス・レーバー・トレンドについては、日経テレコム21からの依頼を受けて、データ提供を開始しているところです。
 利用件数については、平成22年3月で4万2,000件になっています。日経テレコムの利用件数は、平成22年3月末で4万2,000件となっていまして、収入金額は38万円となっています。実効収入の面でも貢献するとともに、調査研究成果の普及の有力ツールとして機能しています。
 続いて?Bのメールマガジンです。これについては、週2回調査研究等の成果や、収集した内外の労働関係情報を迅速に提供する手段として、位置づけています。こちらの情報提供の内容の充実、提供方法の工夫も行っているところです。2つ目の・にあるとおり、読者アンケートにおける指摘、有識者の意見・要望等も踏まえ、「記事見出しの一覧」ページを新設しています。そうした形で、読者の一層の利便性の向上を図っています。また、他機関との連携による情報提供の充実とありますが、これは雇用にかかわる諸課題について、できるだけ広範囲の情報を提供したいということもありまして、日本生産性本部、あるいはILO駐日事務所、東京都の労働相談情報センター等の担当者から、直接記事の提供を受けるなど、他の機関との連携を図りつつ、情報提供に努めてきているということです。
 その他にも、法改正の情報については、単にホームページにリンクを張るだけではなくて、衆参議院の厚生労働担当から、附帯決議や新旧対照表を入手し、データ化したものを提供しています。過去のメールマガジンも参照していただきやすくするようにしまして、ホームページのバックナンバー検索についても、グーグルカスタム検索に変更し、検索精度の向上を図っています。
 このメールマガジンについては、週2回発行するとともに、読者アンケートの有益度については80%以上の評価を得ることが目標になっていて、併せて読者数が2万4,500人となることが、数値目標となっています。これについては、読者数は平成19年度は2万5,234人、平成20年度は2万6,611人、平成21年度が2万7,610人と、着実に増加していまして、目標の2万4,500人を上回る2万7,610人となっています。読者アンケートの評価でも、目標の80%を大きく上回る97.0%から「役立っている」という評価を得ることができています。
 なお、その下に補足で入れていますが、このメールマガジンの読者数、メールマガジンのポータルサイト「まぐまぐ」の読者数と比較しますと、「行政・政治・地域」のジャンルの第1位、「ニュース」ジャンルで第3位に相当する規模になっています。?C「日本労働研究雑誌」です。これもレフリー付きの研究専門雑誌です。これについても、有識者アンケートでも、94.3%の高い評価を得ているところです。
 以上のような成果、実績を踏まえまして、評価シートの自己評価ですが、Sとしています。
 続いて33頁、評価シートの12です。労働政策フォーラムについての評価シートです。労働政策フォーラムについては、労働に関する最近の重要なテーマについて報告を行い、労使実務家の方々など、国民各層における政策論議を活性化しようということで、毎年6回開催することと、フォーラムに参加された方を対象としたアンケート調査で、有益であったと回答した者の割合を80%以上とすることが目標値となっています。
 昨年度は、年度計画より1回多い7回開催していまして、有益度は平均で91.4%となっていまして、目標を大きく上回っています。また、開催したすべてのフォーラムで、85%有益度を獲得することができています。
 下のほうに、各回のテーマと参加人数、参加者のアンケートに有益度を表にして載せています。若年者の雇用問題、キャリア教育、高齢者雇用問題、高度外国人材の活用など、従来からの政策課題については、行政等からの要請にも対応し、十分連携を図りつつ、積極的な企画に取り組みました。また、雇用労働面から見た産業施策の在り方、あるいは地域貢献活動分野においての雇用拡大の可能性といった、新たな視点からのフォーラムの企画にも取り組んだところです。
 毎回多数の参加者を得ることができまして、平均すると約180人の参加者を得ることができています。また、述べましたとおり、開催内容、企画内容もさまざまな創意工夫を凝らすことにより、7回を平均して、数値目標の80%を上回る91.4%の方から、高い評価を得たと考えています。
 具体的な中身については、34頁に記載しています。日本とアメリカの教育最前線については、アメリカの現状の報告、日本におけるキャリア教育の最新事例などを取り上げ、今後のキャリア教育に向けての、学校、地域、産業界を、いかにつなぐかを議論していただきました。168名の参加で、94.1%の満足度になっています。これについては、フォローアップのアンケートも実施していまして、その結果から、学校等の職場において議論の内容が活用されていることがわかっています。
 こうした実績を踏まえ、労働政策フォーラムの評価シートについては、Aとさせていただいています。
 続いて評価シート13、36頁ですが労働教育講座事業についてです。私どもは、広く労使実務家等を対象にして、教育講座事業を実施しています。これは適正な対価を得ながら実施しているものですが、具体的には、総合講座と専門講座の2つを実施しています。
 総合講座は、404名の受講者でして、前年度同様、高い水準の受講者を得ています。また、受講者の満足度は85.0%ということで、依然として高い水準にあります。平成21年度からは、運営委員会での議論、受講者のアンケート調査の結果を参考に、人事管理部門と労働経済部門の統合を図り、再編成をした上で実施しています。また、選択受講制度の導入といった改善を図っています。
 専門講座は、「労働法コース」と、「人事管理・労働経済コース」の2つのコースがあります。それぞれ50人ずつといった少数精鋭での講座となっています。こちらは講義形式というよりゼミナール形式で実施していまして、受講者の満足度も100%で、非常に高い評価をいただいています。
 なお、総合講座の受講者を対象に、講義終了から半年後にフォローアップアンケート調査を実施しています。その中では、「外部の労働組合との交渉の際に参考になった」等の意見が寄せられていまして、講義修了後の受講生の実技にも貢献していることが確認できております。
 こうした実績を踏まえまして、自己評価はAとしています。以上です。

○井原部会長
 委員の皆様、評価シートの記入をお願いします。ご質問等がありましたら、ご発言をお願いします。

○川端委員
 キャリアマトリックスは大変使い勝手がいいし、就職適性を見るのに非常にいいと思いますが、「民間でもっと優れたものがあるから廃止」という意見がありますが、例えば民間でどのようなところが作られているのでしょうか。

○労働政策研究・研修機構総務部長
 私どもが承知している限りでは、民間で全く同じものがあるとは考えてはいませんが、刷新会議で考えられているのは、リクナビに簡単な職業の解説が載っている、それをもって同じものだというようなご評価をいただいたということです。
 これについて、刷新会議で廃止ということで、新聞報道されたことで、実際に活用されている高校から、これは困るという話がありまして、リクナビなどになると広告が入って学校では使えないといったようなご不満などを頂戴しています。そういうことも踏まえまして、刷新会議の判定では廃止とはなっていますが、具体的な事業の在り方について、実際に使われている高校、大学でのご意見等も踏まえながら、今後の在り方について考えて、最終的には次回ぐらいまでには改革案を出せるのではないかと考えています。

○川端委員
 キャリア・コンサルティングの現場でも大変重宝していますよね。廃止するのですか、ものだけは残るのですか。もし廃止した場合は、検索しても出てこなくなるのですか。

○労働政策研究・研修機構総務部長
 JILPTとしての事業の廃止ということですので、例えば国に移管して事業を実施することも、1つの選択肢ではあろうかと思いますが、そこについてはまだ決まっていませんので、次回にはある程度の方向性はお示しできるかと考えています。

○川端委員
 残してほしいと思います。
 もう1つ質問です。政策論議の場で労働政策フォーラムを実施していますが、フォーラムは価値があると思いますが、現場へ行かなくてはいけません。いまの時代だから、ネット上で議論をするような場はあるのですか。

○労働政策研究・研修機構研究調整部長
 ございません。ネット上の議論ということではなくて、フォーラムの開催結果を、動画、音声を含めて、ホームページ上で公開していました。ただ、それは議論という機能は持っていませんので、遠隔地の方に開催の状況をご覧いただけるようなサービスということです。

○川端委員
 いま労働問題、就職難、失業等も含めて、さまざまな面でみんな関心を持っていますから、そういうところでさまざまな議論が展開されて、そういう中から新しい研究の種を見出す、政策に活かす方向性が出るとか、是非そのようなことを考えていただければいいのではないかと思います。

○労働政策研究・研修機構理事長
 1つだけ補足します。ビジネス・レーバー・トレンドというニュースレターに、基本的な内容は載っています。ですから、1回大体200人前後と東京に限られてしまうのは、先生のおっしゃるとおりで、全国的にはどうするのかということは、研究調整部長が申しましたように、かつては動画の配信をしていたのですが、これはなかなかお金のかかることで、いまは何をしているのかというと、毎回のものはニュースレターの中に収め、発表しています。

○篠原部会長代理
 ツイッターの活用ということですが、私はときどき見ているのですが、ある種の連絡のようなものが引っ掛かってきて、「それでは行くか」となるのです。そうすると、研修とかシンポジウムがあるといったら、ツイッターで呟くと引っ掛かる場合があるのです。ですから、企業、政府機関などでも公式にやっているところもあるのです。研究成果などでも、一般に読みやすいものであれば、そこに書くと一般の人が読みやすいのです。
 というのは、おそらく研究者はホームページを見にいくけれども、通常の人も興味を持っています。ツイッターを見ていると、リンクされているから、興味があればだんだん深いところへいくのです。ツイッターはただですので、活用すれば普及の1つにはなると思います。ただ、内容が一般の人でも読めるものでないと、無理かなという気もしますが、その辺を考えていただくと、もう少し普及するのではないかと思います。どうでしょうか。

○労働政策研究・研修機構研究調整部長
 ツイッターが広がっているのは承知していますが、ツイッターで提供できる情報量が限られていて、文字どおり呟くという範囲のことになってしまっているので、私どもの研究成果の広報上、適切に活用できるかどうかは、さらに検討させていただければと思っています。

○篠原部会長代理
 ちょっと違うのは、読んでみると140文字というのは、文書を集約すると結構な中身が書かれているのです。だから、日本の短歌などを訓練すれば、ある種の考えをグッと集約してと。いまの若い人はズラズラ書きますが、短い部分でいかにという部分と。先ほど言いましたように、リンクされていまして、よりちゃんとした情報というのは、そちらに飛べるのです。だから、ツイッターを使わない人は、140文字とあるのですが、あれを見てみると、全然違う世界があるのです。自分が興味のあるものはどんどん追いかけていけば、テーマでかなり議論になっている情報は集まります。だから、そういう意味では、こういうものも、興味のあると思われるものは、呟くと引っ掛かってきて、見るのではないかなという気はするのです。

○労働政策研究・研修機構研究調整部長
 現在はメールマガジンといった形で、簡潔な形での情報の提供、研究成果の提供をやっていますが、今後ツイッター等の検討も平行して進めさせていただきます。

○井原部会長
 労働政策フォーラムのテーマとして魅力的なものが並んでいるのですが、テーマの選択は当機構の研究テーマ、または研究の蓄積と連携しているのですか。

○労働政策研究・研修機構研究調整部長
 まさにご指摘のとおりで、例えば若者問題への接近でしたら、私どもにとって非常に長い蓄積のあるテーマです。そうしたこともあって、このテーマ自体は、日本学術会議との連携で開催させていただくというのは、当機構の成果に対するご評価もいただいた上での設定でした。その他のものも、基本的には私どもの研究員たちが、その直近の研究成果を基に発表したり、コーディネートしています。

○井原部会長
 そうすると、目的は社会に対する研究成果の発表にあると。

○労働政策研究・研修機構研究調整部長
 研究成果の発表と申しますと、例えば学会などでの発表というイメージが強うございますが、これはむしろよりわかりやすい形で研究成果に基づいた論点を提示させていただき、ほかの労使の実務家の方、研究者の方も混じえて、聴衆の方々に、政策課題のポイントを広くご理解いただくようなことに力を入れています。研究成果発表会というよりはもうちょっと。

○井原部会長
 わかりました。ご理解をいただくということですね。私はほかのことを考えていたものですから。
 ほかのことというのは、研究成果をそこで公表するのですが、ほかのいろいろな方を参加させていただいて、それに対するいろいろな意見を聞いて、さらにその研究成果を充実させるところに目的があるのかなと思っていたのです。

○労働政策研究・研修機構研究調整部長
 失礼いたしました。毎年やっているものではありませんが、例えば第1期終了後に、ご指摘のような研究成果発表大会を開かせていただいております。また、今年度の平成22年度ですが、直近の研究成果の中から選んで、7、8名の研究員が発表し、それぞれにご指摘をいただくという、やや学会発表に近いようなものも計画しています。

○労働政策研究・研修機構理事長
 いま先生がお触れになったことは、7月28日、29日に、私どもの研究員が、フォーラムの場を使いまして、発表会を企画しています。

○井原部会長
 あとはございますか。よろしゅうございますか。
 次にグループ4「効率的な業務運営」についての評価を行います。法人からの説明は25分、委員の評定と質疑に20分、合計45分です。法人からの説明をお願いします。

○労働政策研究・研修機構総務部長
 38頁、評価シート1の関係で、「業務運営の効率化」です。左側の省資源・省エネルギーの推進です。私どもの主な節水対策として、囲み枠の中にいくつか記載しています。そうしたさまざまな取組を行い省資源・省エネルギーを推進しています。その結果、電気、水道、ガス料金といった、いわゆる光熱水料は前年度比15.1%という、大幅な削減です。金額としては、650万円の節減を果たしています。これは法人発足から7年連続で、対前年度マイナスという状況になっています。
 その右側で、一般競争入札の積極的な導入です。件数ベースで見ると、平成19年度が55.5%、平成20年度が67.9%、平成21年度が73.9%ということで、契約件数に占める一般競争入札の割合は毎年度着実に増加しています。金額ベースで見ると、平成21年度は86.4%の契約が、一般競争入札等によるものとなっています。随意契約の件数もいちばん下にありますが、大幅に減少していまして、平成21年度には23件にまで減少しています。
 契約に関しては、従来から機構内部に設置している随意契約審査委員会での審査を実施していましたが、平成21年度からは、監事2名、外部有識者3名からなる契約監視委員会を新たに設置しまして、より契約内容の透明性、競争性の確保を図る体制を拡充しています。
 契約監視委員会においては、平成20年度の随意契約35件、一者応札、一者応募となった契約20件について点検を実施していただきました。いずれも特段の指摘事項はありませんでしたが、公告期間の見直し、あるいは参加要件の変更といった、点検前の改善方策によって競争性が高まっているとの評価をいただいたところです。
 なお、従来の随意契約の見直し計画によりますと、平成18年で69件の随意契約について、平成22年度までに20件に減少させることを目標としていましたが、すでに平成21年度の状況で、18件になっています。この目標についてはすでに達成されています。
 次に総人件費改革です。給与構造改革については、国家公務員の給与構造改革を踏まえ、毎年度見直しをしっかりと実施しています。そこには記載はありませんが、私どもは平成16年度から平成18年度にかけて、大幅な給与制度の独自の見直しを実施しています。それについて、現在も続けている状況にあります。
 それに加えて、平成21年度は、国と異なる諸手当の見直しを行っています。例えば職務手当の定額化、深夜超過勤務割増手当の変更、それから法定外福利費の見直しです。
 その他、ラスパイレス指数の是正等の取組として。?Bにありますが、管理職のうち、事務職を対象とした賞与カットで、部長級で10%、課長級で5%といった内容の決定をしています。
 ほかに、国と異なる諸手当の見直しについては、先ほど申し上げた定額化と、勤勉手当に関する成績率の見直しです。国は4段階ということですが、私どもは3段階ということで、刻みが少ないことがありましたので、これは4段階に修正しました。
 法定外福利費の見直しですが、自己啓発援助金の支給をしていましたが、これは廃止です。永年勤続表彰の金品も廃止にしています。互助組織への法人負担分の引き下げについても、平成22年度から実施していまして、平成23年度から互助組織への法人負担分はゼロとする予定です。そのほか、管理職を対象とした賞与カットですが、管理職について平均して1.6%の給与削減を行っています。
 ほかに国家公務員の再就職ポストの見直しも実施しています。具体的には、内閣府のOBの方に、緊急の助言、ご指導をいただくという形で、常任参与として1名お越しいただいていましたが、そういったポストの見直しをし、削減しています。再任用職員の給与水準も見直し、引き下げを行っています。
 こうした取組の結果、総人件費改革については、左側の下の表のとおりですが、目標をほぼ達成する状況にあります。ラスパイレス指数についても102.7で、2.1ポイントの減少となっています。研究職については98.2ポイントで、こちらについては国家公務員を下回る水準になっています。
 先ほど述べましたとおり、管理職の給与については、平成22年度から引き下げ、あるいは賞与カットを行うことにしていますので、事務職についても、現在は102.7ポイントですが、平成22年度には概ね100になるような改善が図れると考えています。
 39頁です。さまざまな予算節減策もありまして、一般管理費、業務経費についても、中期計画で定めた業務運営の効率化に関する数値目標、一般管理費については15%以上の削減、業務経費については25%以上の削減となっていますが、こうした数値目標を確実に達成できる状況にあります。
 こうした実績を踏まえまして、業務運営の効率化のシートの自己評価についてはAとさせていただいています。
 続いて評価シート2で、業績評価制度の運用についてです。業績評価制度については、外部評価を取り入れたオープンな評価制度を適切に運用させていただいています。評価の目標については、中期目標・中期計画がありまして、それに基づいて年度計画を策定する形になっています。組織の目標、個人の目標、評価が有機的に連携するように、そういった措置をしています。
 その上で、内部統制の維持・強化、PDCAサイクルを図る観点から、毎月経営会議等において業務の進捗状況の確認を行い、業績評価規程に基づき、内部評価、外部評価の2つの実施をしているところです。
 内部評価は、事前評価、中間評価、事後評価という形で、3段階で評価をしています。中間評価は、7、10、1月の3回実施します。そういった3つの場面での評価を実施しています。
 外部評価については、総合評価諮問会議という外部委員会を設置しまして、外部の各界の有識者の方々にメンバーになっていただき、年2回、評価をしていただいています。3月に平成22年度の事前評価を実施していただき、6月に事後評価を行っていただいております。ですから、平成21年度の業務実績報告の事後評価についても、先月6月に総合評価諮問会議で行っていただきまして、今回の自己評価についても、総合評価諮問会議の中で了承いただいたものです。これらの評価システムについては、透明性の確保を図る観点から、評価基準、評価結果等を、ホームページでも公表させていただいています。
 また、外部への意見把握ということで、有識者を対象としたアンケートも実施しています。そのアンケート結果ですが、有識者アンケートにおいて、機構の業務活動全般についての評価を伺ったところ、95.6%の方から、高い評価をいただいています。
 その業務運営の改善のための取組として、ホームページを通じた意見の把握、有識者アンケート、行政官アンケートの実施、無駄削減に向けた取組、冗費の点検、理事長による事業ヒアリングといったことにも取り組んできているところです。評価結果や外部の意見等については、経営会議その他の機会を利用し、適切に各部門にフィードバックして、業務の改善に役立てていくこととしています。
 そうした実績を踏まえまして、この評価シートについての自己評価はAとさせていただいています。
 続いて評価シート15で、予算、収支計画、資金計画です。運営費交付金の収入については、前年度より減少して28億9,200万円となっています。また、一方、交付金債務については、昨年度より4億400万円が積み上がっています。これはどのようなことかと申しますと、交付金としていただいたけれども、いろいろな節約をして、余った金額と考えていただければと思っています。さまざまな努力、一般競争入札の推進、人件費の見直しの継続、業務の効率化等の結果として、昨年度の予算比で、約14%の交付金債務となったということです。
 また、財務諸表に詳しく記載していますが、平成21年度の損益が前年度から大幅に改善し、約600万円の利益を生み出しています。これは下に灰色で書いていますが、篠原委員からご指摘いただいたことですが、運営費交付金の収益化基準の見直しによって生じたものです。一般管理費の一部で、具体的にそこに書いてあるとおりで、事務所の賃貸借あるいはパソコン・サーバー等のリースについて、期間進行基準を採用しました。そういったこともありまして、当期総利益が生じまして、繰越欠損金の解消を図ることができました。業務運営の成果を、より適切に財務諸表に反映することができたのではないかと考えています。
 「その他業務運営に関する重要事項」とあります。具体的には、内部統制の徹底、決算情報の公表の充実、一般競争入札等の積極的な実施、福利厚生費の見直し、関連公益法人との関係という項目で挙がっています。そのうち内部統制の徹底についてです。理事長のリーダーシップの下に、経営会議を設け、職員の服務規律やコンプライアンスの厳格化、役員選任の適正化など、内部統制の強化に取り組んで、引き続きガバナンスの強化に努めていくことにしています。
 一般競争入札については、労働大学校の施設の管理・運営について、民間競争入札による市場化テストを実施させていただいています。福利厚生費の見直しは先ほど申し上げたとおりです。
 このシートは固定資産についての効果的な活用が図られているかどうかの評価の視点が設定されていますが、それについては資料2-3の3頁です。ここに機構の保有する資産の活用状況を記載していますが、建物については、法人設立時から保有すべき財産的基礎として、国から支出されておりまして、中期計画を着実に実行し、目標を上回る成果を上げていることからも、本部、労働大学校について有効に活用できていると考えています。大学校については、いろいろと事業仕分けでご指摘を受けていますが、改革案については厚生労働省とも協議を重ねて、検討を進めているところです。
 そうしたことも踏まえまして、評価シートは自己評価はAとさせていただいています。
 評価シート16、人事に関しての評価シートです。人員の抑制については、平成21年度は退職者の不補充等により4名の削減を実施しています。全体で121名になっています。平成23年度末、常勤職員数を115名にするという計画の達成に向け、順調に推移していると考えています。
 理事ポストについては、1名削減しまして2名にしています。それから、先ほど申しましたとおり、常任参与のポストについても、12月末で廃止させてていただいています。
 総人件費改革については、先ほども触れましたが、人員削減を進めたということで、10億3,300万円程度となっています。平成17年度に比べて、12.3%の削減、平成18年度と比べて14%の削減となっています。定員削減という非常に厳しい中で、職員の能力開発にも力を入れる必要があります。そうしたこともありまして、そこに「資質の向上」と書いていますが、私ども大学院への就学支援制度に基づいて、職員の派遣をしています。成果として、1名が経営学の博士号を取得しまして、事務職で初めてのことです。
 人事評価制度については、業績評価と能力評価の2本立てで運用していまして、しっかりと実施させていただいています。給与の見直しについては、先ほど縷々ご説明したところで、あえて細かく申し上げませんが、ラスパイレス指数については104.8%から102.7%と、2.1ポイント減少となっていますし、そこに書いてありますとおり、種々の取組を平成22年度に実施しまして、平成22年度は概ね100になるように改善を図っているところです。
 そうしたこともありまして、実績を踏まえて自己評価はAとさせていただいているところです。
 続いて評価シート17で、47頁でございます。施設・設備の整備状況についてのものです。法人本部については、給排水管の設備更新、労働大学校においては、食堂・厨房の設備更新等を実施し、一般競争入札を実施することで、予算額より経費を削減した上、施設・設備の改修を実施しています。これも計画どおりに実施したということで、この評価については自己評価はBさせていただいています。
 以上が評価シートの説明ですが、併せて「監事の取組」ということで、監事による業務監査について、一言ご報告申し上げます。先ほどの資料2-3「業務実績評価別添資料」ですが、その67頁に記載があります。平成22年6月18日付で、監事から理事長宛てに通知されています。具体的には68頁から、業務監査の結果が添付されています。
 具体的な内容のポイントとして、72頁に「監査結果に基づく所見」をご覧ください。平成21年度の計画については、「計画業務を着実に実施し、年度計画に盛り込まれた数値目標等は、ほぼ達成したと認められる」とあります。(1)にありますとおり、「今後も引き続き、効果的かつ柔軟な研究業務の運営、具体的には(関係研究部門・研究員による横断的な連携等)について、一層工夫を加え、的確かつ機動的な調査研究を推進していただきたい」。(2)として、「業務の効率化・簡素化を含め、業務の更なる工夫・改善を図るなど、実効ある成果に結びつく諸対策を推進していただきたい。なかでも、一層のコストダウンを図るために、さらなる部門横断的な経費削減への取組もお願いしたい」。(3)として、「効果的な個人情報保護対策の推進に努め、漏えい事案発生ゼロを目指していただきたい」。この3点をいただいています。
 なお、付言しますと、(3)について、個人情報の漏えい事案というのは、現在のところはございません。1度そういったことが起こると、機構に与える影響が甚大であることから、あえて(3)を入れたと監事からお伺いしています。以上です。

○井原部会長
 委員の皆様には評価シートへのご記入をお願いします。ご質問がありましたらお願いします。

○松田委員
 随意契約についてご質問します。件数で18件、金額で1億3,000万円です。金額は4億2,000万円のうちの3分の1で、件数が18件ですから、4分の1です。これは多すぎませんか。契約監視委員会を設けているそうですが、甘すぎませんか。もう3年経ちますよ。これは一者応札ですか、それが多いのですか。あるいは総合評価方式をやっているのですか。18件全部のリストを挙げてください。

○労働政策研究・研修機構経理部長
 今日全部は持ってきていませんが。

○松田委員
 18件全部出してください。

○労働政策研究・研修機構経理部長
 わかりました。

○松田委員
 これは多すぎますよ。何も努力をしていないのではないですか。

○労働政策研究・研修機構総務部長
 いいえ。そんなことはないです。これは水道なども入っていまして、随意契約が絶対にできないものもありますので、そういうものも。

○松田委員
 なぜできないのか。

○労働政策研究・研修機構経理部長
 水道、ガスです。そのようなものだけで18件だと理解しています。あとで資料を出した上でご説明します。

○松田委員
 そうではないですよ。ここに書いているではないですか。備品継続とか、複写機とか。全部書いていますよ。こういうものを監視委員会でやっているんでしょ、全部。駄目ですよ、こんないい加減なことでは。随意契約は、少なくとも4、5%しか残さないのですよ。誰が30%や24%持っているんですか。あとで全部リストを挙げてください。

○労働政策研究・研修機構経理部長
 わかりました。

○篠原部会長代理
 業務の効率化に関係することで質問します。いわゆる会計監査人の監査より、実施結果のアウトプットというのは、監査報告書とマネジメントレターを提出するという、世界的には必要だと言われています。私もこの5、6年、労働部会の各独法にマネジメントレターを提出してくださいということでやっています。当法人はまだ提出していないと思うのですが、マネジメントレターというのは、実施過程で発見したいろいろな問題点、効率化すべきとか、有効とか、いろいろな部分をやって、改善提案も書くというものなのです。
 特に独法の場合、みんな提出しないのは、情報公開の対象になってしまっているということで、民間の場合は外へは発表しません。かなり問題点を事細かに書いているので、みんな出したがらないです。ただ、情報公開の時代で、適切なマネジメントレターの書き方はあると。だから、いつまでも出さないというのは、ある意味で監査料が高すぎるのではないか。
 内部的に言えば、財務諸表での信頼性担保というのも重要なのですが、マネジメントレターで指摘された事項がものすごく重要だと思っているのです。いま当法人の場合には、どのような状況ですか。

○労働政策研究・研修機構経理部長
 監査は適切に監査法人からしてもらっていますが、特にマネジメントレターということではなくて、どのような監査をしたかという報告は必ず出していただいております。
 先生がおっしゃっているマネジメントレターという中身がどのようなものかはよくわかりませんが、監査法人から、このような監査をして、問題はありませんというペーパーをもらっていますので、先生がおっしゃるような、この点がまずかったとか、改善しろというペーパーで残すほどの指摘事項はないと報告を受けています。

○篠原部会長代理
 いま松田委員が質問したような、契約に関することも監査でも多少かかわるから、何らかのことを言うのではないかという気がします。監査の面からも言い得るのです。だから、先ほどの運営費交付金の収益化については、今度入れてくれたのですが、あれ自体、制度にいろいろな問題があることは私も承知しているのですが、予算管理という意味では必要だということで、私もしつこくずっと言っていて、そのような部分も、過去にもし入れていなかったら、当然会計監査人はマネジメントレターで指摘すべき事項だと思っているのです。
 指摘しなかったら、会計監査人の監査の仕方はおかしいというぐらいの疑問を持って、しつこくどうですかと。私は実は有効なツールだと思っているのです。これは先ほど言ったように、世界的に義務化されているはずなのです。だから、私はここの会計監査人のところも、必ず言うのは、義務化されているはずですと。監査した場合は必ずマネジメントレターを提出すると。
 これは独法側から見たら、非常に有効なツールだと私は思っているのです。先ほど言ったように、指摘事項がないということは、私はあり得ないと思っています。いろいろな問題があるのだから。民間では私たちはやってきたし、出さないような会計監査人は首になってしまうかもしれません。そのくらい、ものすごく有効なツールなのだという認識が、会計監査人も、独法も、ないのではないかという気がします。
 次の質問です。ラスパイレス指数を見ると、研究職がすごく低くなっています。これで質を確保できるのかということですが、先ほどのツイッターで事業仕分けということで見ていると、本当かなという疑問はあるのですが、いわゆる弱者、講師とか非常勤が、事業仕分けの影響で首になっていると書かれているのです。それを信用していいかどうかはわからないのですが、これを見ていると、当法人かどこかが、省内事業仕分けでも言っていましたが、弱者に対する給料を下げているのではないか。事務職のほうが権力を持っているから、下げていないのではないかという疑問が、どこかから出ていたのではないかと思うのです。
 同時に下がっていくならいいけれども、研究者が少なくなるというのは、私のような技術屋だと、ちょっとまずいのではないかと思うのですが、どのようなものなのでしょうか。

○労働政策研究・研修機構総務部長
 ラスパイレス指数で見ると差が出ていますが、実際にもらう給与になりますと、研究職のほうが高い金額をもらっています。ですから、ほかの研究職、他の国立の研究機関と比べると、私ども研究職のほうが低めに出ていると。これは若干年齢が若いということもありまして、上が抜けたこともあります。
 事務職のほうも、上のほうに定年間近の方が相当滞留していることもありまして、50代後半の方が比較的多いことがありまして、そこが抜けると下がってくることがあります。そのような点で、若干差が出ているという認識です。

○篠原部会長代理
 ラスパイレス指数をそのまま感じたら問題があるのですが、その辺を説明しておかないと誤解を与えてしまうかもしれませんね。

○松田委員
 ラスパイレス指数のことですが、資料2-3の19、20頁を見ますと、19頁は事務・技術職員で118.4、研究職は100.4です。確かに研究職の給料は高いです。これを見ると、ここがちょっと紛い物です。だから、ラスパイレス指数で国家公務員を100として何とかかんとかというよりも、皆さんの機構は、どのような職種の人がどのくらいいて、それは大卒なのかどうなのか、それを全部当てはめて作り直したらどうですか。

○労働政策研究・研修機構総務部長
 そのように当てはめて、地域、学歴など、全部勘案したものが、その下にあります。

○松田委員
 これではさっぱりわからないんですよ。

○労働政策研究・研修機構総務部長
 ただ、これは私ども法人だけではございませんで、すべての独立行政法人が同じような指標で、このように表にして、すべての独立行政法人で、事務職と研究職に分けて、評価を受けているということですので、これ自体がおかしいということではないと考えております。

○松田委員
 では、皆さんの機構はどのような人員構成になって、それは年齢別、学歴別、それを全部調べて、それに合わせて厚生労働省が作り直せばいいのではないですか。

○労働政策研究・研修機構総務部長
 そういうものを評価してお出しするのですが、やはり年齢が高い人がいますとラスパイレス指数は高くなる傾向が出ています。それはなかなか言い難いものがあるのですが、結果を見ますと、高めに出るという状況になっています。
 ただ、当然年齢、学歴、地域というのは、すべて考慮して計算しますと、事務職でいうと102.7、研究職でいうと98.2という形になっています。

○篠原部会長代理
 財務諸表でも会計規程とかがあって、我々評価から見ると説明がわかりづらいとか、いろいろな部分があるのです。ですから、いま松田委員が言ったように、規格に対して、各法人がよりわかりやすくという努力はしていいのではないかと思います。言われたとおりにやるという時代ではないのではないかなと思います。

○労働政策研究・研修機構総務部長
 わかりやすいかどうかはありますが、11頁からずっと始まりまして、年齢構成については15、16頁に入れさせていただいていまして、そういうのをご覧いただく形になろうかと思います。

○篠原部会長代理
 日本には会計検査院というのがありまして、アメリカはGAOというのですが、名称は変わったというのです。Goverment accounting officeが、Goverment accountability officeになったのです。説明責任をきちんと果たすところですと。いま世界的な傾向でより国民にわかりやすくというのがあるから、いままでの官は言われた調子で発表すればいいということでしたが、よりわかりやすくと。作っていても、こんなのはわからないなというのはあるはずです。私は財務諸表で、過去10年間いろいろ指摘しても直らないのです。これは規定どおりやっていると。それプラスやっても、文句を言われるわけではないからいいのだと言っているのに、やってくれません。いまの日本の文化というのは、まだまだ規格どおりやっていればいいと。それぞれの現場がプラスアルファのことをやってくれないと、わかりやすくならないのではないかという気がします。
 より負担がかかるとは思うのですが、そういう必要があるのではないかと思います。それは誤解を与えないとか、より国民に興味を持って見ていただくという。財務諸表というのは、見ると嫌になってしまうような書き方なのです。欧米の場合は非常に文章が多いのですが、日本の場合は明細表が多いから、見ていて嫌になってしまうのです。関係する人間が言ってはいけないのですが、「ただ数字を出せばいいでしょう」という時代ではなくなってきたと思うのです。

○労働政策研究・研修機構経理部長
 いろいろと経緯を聞かせていただければ、我々もできるだけわかりやすく作ってきているつもりなのですが、まだまだ足りないと思いますので、またご指摘いただければ、そこは改善したいと思います。

○井原部会長
 情報というのは情報の提供者に責任があります。昔は情報の受け手に責任があったのです。大学で難しいことを言っても、わからない人の責任だというのは昔の言い方です。いまそのようなことをしたら、すぐに怒られてしまうのです。そういう話ですね。

○篠原部会長代理
 そうです。今後より好まれるというか、理解される情報提供は要るのかと思います。

○井原部会長
 あとはございますか。

○川端委員
 先ほどの資料2-3の15頁を見ていますと、事務、技術職員の分布状況があって、課長補佐が25人で、係員が3人なのですが、最近は若い人は全然採用していないのですか。「課長補佐」という名前は本当にこれでいいのか、別の名前を付ければいいのか。これは通常の組織の体を成していないですね。やむを得ないのでしょうか、それとも工夫の仕様があるのではないかと思うのですが。

○労働政策研究・研修機構総務部長
 これは新規採用したいと考えているのですが、まだ実現できていないということで、昨今やめられる方もいらっしゃいまして、少し補充はしなくてはいけないと考えているところです。ちょっとバランスも悪いですし、定員削減もずっと続けてきていますので、第2期の中期計画でも、相当人数を落とすということがありますので、こういった結果になっているということです。なるべく若い人も採って、人員構成を少し変えていきたいと考えています。

○川端委員
 実質はほとんど係員の仕事をみんなやっているという感じですよね。それとも非常勤の人が入るわけですか。

○労働政策研究・研修機構総務部長
 非常勤の人も当然入れております。結局、課長補佐の仕事をしながらオールラウンドな仕事をしております。、私ども部長職もすべてそうですが、人数も私どもは100数名ということで、非常に少のうございますので、結構テリトリーが広くなっているというのが実情です。

○川端委員
 むしろ課長補佐というより、何か専門職的な名称、片仮名でもいいのですが、何か付けたほうがすっきりするような気がするのですが。

○労働政策研究・研修機構総務部長
 そこは検討の余地がありまして、あまり専門職にするとテリトリーが狭くなって、その分野しかしなくなる恐れもあります。

○川端委員
 いや、中身は変わらないけれども、専門的な名称ということです。

○労働政策研究・研修機構総務部長
 その辺はまた併せて検討させていただきたいと思います。

○川端委員
 企業などは、何とかリーダーとか付けていますが、参考になるのではないですか。感想です。

○井原部会長
 とにかく当機構にとっての第一の使命というのは研究でしょう。だから、今後当機構の存在価値を持続していくためには、テーマとか、その内容の必然性、当機構が行う必然性を、常に外部に対して説得力をもって説明できるようにしておくというのが、重要なような感じを受けました。それだけです。
 以上ですべての項目の評価が終わりましたので、事務局からこのあとの取扱いについての説明をお願いします。

○政策評価官室室長補佐
 本日お配りしている資料の送付をご希望される場合は、部会終了後に事務局にお申し付けださい。また、評価の記入が終わっていない委員の方につきましては、これから休憩を取らせていただきますが、その間に書いていただいても結構ですし、全体の部会が終わりましたあとに会場にお残りいただいて、記入いただいても結構でございます。
 さらに、ご自宅にお持ち帰りになって記入いただくことも可能でございますので、その場合は事務局にお申し付けいただければと思います。お持ち帰りいただく場合には、13日(火)までに、事務局まで評定記入用紙をお送りいただければと思っています。

○井原部会長
 それでは次の法人の審議がありますので、労働政策研究・研修機構の評価はここまでとします。ここで10分間の休憩を取ります。
(法人及び所管課入替)

○井原部会長
 では、勤労者退職金共済機構の個別評価に入りたいと思います。今日は樋爪理事長がご都合によりご欠席とのことですので、東理事からご挨拶と、平成21年度における業務実績概要の説明をよろしくお願いいたします。

○勤労者退職金共済機構理事
 総務担当の東でございます。よろしくお願い申し上げます。本日は、理事長の樋爪が体調不良により欠席させていただいております。したがって、僭越ではありますが、評価委員の皆様方に日ごろのご指導につき私より御礼を申し上げるとともに、平成21年度の個別評価をいただくに当たり、私どもが重点的に取り組みました事項を中心に、業務実績概要についてご説明申し上げます。
 まずお手元に配付させていただいております、カラーの資料3-1という横書きのものですが、その表紙の裏1頁及びその下の2頁をご覧ください。1頁のいちばん上の表題が「勤労者退職金共済機構の事業体系図」となっています。皆様ご承知のとおり、私ども機構は、勤労者のための安全・確実な退職金制度の運営を実質的に唯一の事業とする独立行政法人です。平成21年度は私どもの第2期事業計画の2年目に当たりますが、昨年秋に行われました行政刷新会議による事業仕分けの結果、平成22年度予算から、一般会計からの運営費交付金の廃止が決定されるなど大きな変化がありました。したがって、平成21年度においても、そのような大きな変化への対処を見据えながら、1頁にあります3つの取組、即ち、1つ目が頁の左側にあります「将来にわたる確実な退職金支給」のための取組、2つ目が右側にあります「退職制度への確実な加入」のための取組、3つ目としましてその2つの取組を支えます「適切な業務運営のための組織・予算」についての取組、この3つを重点項目として事業運営を行ったところです。
 2頁は、後ほど事務局より詳しくご説明いたします16の個別評価項目及び自己評価を枠で囲んで表示しております。それぞれの評価項目は、先ほどの3つの重点項目のいずれかに関わる個別的措置となっています。
 それではまず、「将来にわたる確実な退職金支給」のための取組についてご説明申し上げます。安全・確実な退職金制度の運営には、私ども機構の資産内容が健全でなければならないことは言うまでもありません。したがって、中退共及び林退共の累積欠損金の解消は、私どもにとり最重要の課題です。この点につきまして平成21年度は、平成20年度の金融危機の後、内外株式市場が堅調に推移するなどの良好な市場環境から、機構の4事業すべてにおいて当期利益を計上することができ、中退共につきましては1,536億円、林退共につきましては9,400万円の当期利益となっています。この結果、累積欠損金は、中退共については1,957億円、林退共については14億円に減少させることができました。
 一方、資料の?Aですが、長期にわたり退職金を請求されていない方々に対して退職金請求を要請する取組、いわゆる未請求者対策ですが、こちらは、退職後2年経過した時点での未請求率が退職者の2%から1.8%にさらに縮減しているところです。また、共済手帳の長期未更新者対策につきましても従前より行っているところですが、平成21年度も、建退共において新たに対象者約3万4,000人に対し調査を実施したことなどにより、手帳更新、退職金請求を着実に進めることができています。
 続きまして、2つ目の「退職金制度への確実な加入」のための取組についてご説明申し上げます。安全・確実な退職金制度の運営には、効率的かつ着実に共済加入者を獲得することが不可欠です。しかしながら、中小・零細企業は、引き続き厳しい経営環境に置かれており、また、特定業種におきましても、公共工事の減少など、厳しい状況が続いています。そのような厳しい環境下におきまして、機構として平成21年度は、委託事業主団体との連携など、効果的な加入促進対策の強化により、機構全体として55万2,463名の新たな被共済者を得ることができました。また、中期計画で定めた加入目標数対比の達成率につきましても103.4%と、加入目標を上回ることができています。
 最後に「適切な業務運営のための組織・予算」の取組についてご説明申し上げます。この取組については5つの項目にまとめております。
 まず、?@の経費・人件費の削減です。経費につきましては、競争入札を可能な限り導入し、コスト削減を図ったことなどにより、中期計画におきまして基準額対比で、平成24年度において18%以上の削減というところが目標としているところですが、中期計画2年目の平成21年度において17.5%まで削減が進展しています。また、人件費につきましても、超過勤務の徹底した削減及び退職者の増加により、基準額対比で4%の削減が目標であるところ、12.4%の削減を達成したところです。また、ラスパイレス指数においても、学歴・地域換算で99.2から98.8へと減少しています。
 ?Aの効率的組織体制の確立です。この点につきましては、中期計画において4事業本部横断的な業務でありますシステム管理業務、及び資産運用業務の一元化を掲げております。平成21年度はいずれについても、業務の一元化に向けプロジェクトチームを立ち上げ、具体的検討を進めたところです。また、業務実施体制の見直しについては、平成22年度においてですが、人員再配置などにより2名の人員削減を行うこととしております。
 ?Bの随意契約の見直しです。この点につきましては「随意契約等の見直し計画」において、随意契約によらざるを得ないとしていた契約をさらに見直しまして、競争入札に移行したほか、取組状況の公表を積極的に行っております。
 ?C内部統制の強化による、事業の適切な運営です。この点につきましては、被共済者約590万人の退職金制度を運営しているという私ども機構の性格上、内部統制の最重要項目は個人情報管理を含めた法令遵守(コンプライアンス)であるという方向性を定め、理事長を委員長としました「コンプライアンス推進委員会」の設置を行ったところです。平成22年度におきましては、委員会にてさらに検討を進めることとしております。
 最後ですが、?D外部有識者の積極的活用による適切な事業運営の確保です。この点につきましては、中退共、特退共、ともに参与会を開催し、業務運営についての評価を得たほか、資産運用の結果につきましては「資産運用評価委員会」、契約の適正化につきましては「契約監視委員会」の評価を得まして、それぞれ、私どもの事業運営に適切に反映させていただいているところです。
 以上、駆け足ですが、平成21年度における3つの重点的取組についてご説明申し上げました。冒頭にも申し上げましたが、運営費交付金が廃止されるなど、私どもにとり厳しい環境が今後とも継続します。しかしながら、安全・確実な退職金制度の運営という私ども機構の使命を引き続き達成するため、平成21年度は十分な取組を行うことができたと考えております。何卒よろしくご審議いただきますようお願い申し上げます。私からは以上でございます。

○井原部会長
 どうもありがとうございました。続きまして、評価の参考に資するため、5月10日に行われました省内事業仕分けでの勤退機構に関する審議の概要、その結果につきまして、事務局から説明をお願いいたします。

○政策評価官室長補佐
 参考資料2というものを付けておりますので、そちらをご覧いただければと思います。先ほどのJILPTにつきましては、省内事業仕分けと併せて行政刷新会議が実施した、春に行いました事業仕分けも2つ対象になりましたが、勤退機構に関しては、省内事業仕分けがこの春には実施されました。その結果を参考資料2にまとめておりますので、ご紹介させていただきます。
 勤退機構につきましては、中小企業退職金共済事業という事業内容に関する部分と、組織・運営体制に関する部分と、2つについての議論をしていただきました。
 「中小企業退職金共済事業」についてです。こちらについては、改革案では不十分という方が5名いらっしゃいますが、事業そのものを廃止という方はいらっしゃいません。5名の方すべてが、「法人で事業継続をするが、更なる見直しが必要」としています。「改革案が妥当」とされた方は1名いらっしゃいます。具体的な意見として上がっていましたものを一部ご紹介いたしますと、建設業、清酒製造業、林業の一体的な業務運営の見直しが必要なのではないかという意見、また、法人の改革案に示す住基ネットの活用等によりコスト削減にさらに取り組むべきといった意見がございました。
 続いて「組織・運営体制」についてです。こちらは、「改革案が妥当」という人がゼロ、「改革案では不十分」という方が6名となっています。6名の方のうちお一人が、他の独法との統合・移管がよいと、残り5名の方が、さらなる見直しが必要という形になっています。具体的な意見としましては、管理部門コストの削減を図るため一層の組織のスリム化を進めるべきといったご意見や、資産運用について運用リスクの軽減、運用状況のモニタリングをさらに図るべきといった意見がありました。以上でございます。

○井原部会長
 これからの進め方ですが、勤労者退職金共済機構の個別評価につきましては、評価シートの個別項目を4つのグループに分けまして、グループごとに評価を行っていきたいと思います。まずグループ1です。これは「効率的な業務実施体制の確立」から「業務運営の効率化に伴う経費節減」までの項目評価を行います。所要時間は、法人からの説明が20分、委員の評定と質疑が15分、合計35分となっています。それでは法人から説明をお願いいたします。

○勤労者退職金共済機構総務部長
 総務部長の清川でございます。それでは、私から評価項目に沿いましてご説明させていただきます。お手元の資料3-1のポンチ絵を基にご説明させていただきます。
 まず、評価項目1です。「業務運営の効率化に関する目標を達成するためとるべき措置」としまして、まず1「効率的な業務実施体制の確立」が挙げられています。評価の視点としましては、資産運用業務及びシステム管理業務の一元化に向けた取組が行われているか。業務実施体制の効率化及び人員・経費の削減が図られているか。各種業務の電子化、機械処理化の推進に向けた取組が進められているか、等が視点として挙がっています。
 下のほうですが、まず3つ大きな柱がありまして、いちばん上、「業務・システム最適化計画の円滑な実施体制の確立」です。これは、平成20年3月に策定した計画の下に現在最適化を進めており、平成22年、即ち今年の10月に、第1フェーズとしましてハード面でのシステム見直しが終わるということを計画しております。この最適化計画に基づきまして、次期システムの設計・開発を予定どおり実施したところです。
 その下ですが、左側、緑のところが機構内部の実施体制、そして、右側の黄色、オレンジのところが外部の有識者、外部の専門家による助力をいただいている部分です。まず左、緑の部分ですが、この共済システムの最適化を進めるに当たり、最適化推進室と各本部業務・システムの関係部課長が連絡会議を持ちまして、緊密に連絡をとってやっております。この内容としまして、左側に「中退共マイグレーション分科会」、右側に「特退共再構築分科会」、下のほうに「次期システムにおける共通基盤会議」とありますが、ここに書いておりますように、3つの柱が、大きな柱として最適化があります。
 まず中退共のマイグレーションです。現在のシステムが特定のメーカーに依存した技術で構築されているため、保守ですとか運用、あるいはプログラム開発、修正等、すべて委託先が限定されてしまうということもありますので、調達の透明性あるいは経費の削減を目指して、すべて汎用言語で現行システムを読み替えるとともに、オープンなソフトウェアを活用して組み替えるというマイグレーションを実施しております。一方、特退共、これは建設、清酒、林業ですが、このシステムにつきましては、現行はそれぞれごとにばらばらに出来ていますが、この特退共制度におきましては、働いた日数だけ証紙を貼付し、手帳を更新するというような同じ業務運営方式を行っておりますので、この特退共につきましては、システムを統合しまして再構築をしております。
 なお、下に「次期システムにおける共通基盤の構築」とありますが、中退共、特退共、それぞれのハード部分につきまして共通基盤として使えるものは一本化する、それによりましてCPU資源の有効活用を図る、この3つが大きな柱です。
 右側にありますように、「CIO補佐官」あるいは「最適化工程管理事業者」という外部の専門家の方々の助力を得ながら、次期システムの設計・開発事業者とともにこのシステムの最適化を計画どおり進めているところです。
 続きまして中段以下の「資産運用業務、システム管理業務の一元化に向けた取組」です。この一元化につきましては、現在、事業本部で行ってきているそれぞれの業務につきまして、いわゆる横断的な横串を入れていくということが目的です。この一元化につきまして、平成21年度に「庶務課長会議」を開催いたしまして、今後どういう形で進めていくかということを決定するとともに、課長クラスによるプロジェクトチームを開催しているところです。
 資産運用の一元化につきましては、法律上、事業ごとに区分経理があるという制約の下で、そういった区分経理の制約の下でも、具体的な資産運用業務の中でどのような業務を一元化していくことができるのかということについて、かなり詳細に検討を開始しております。
 書いておりませんが、システムにつきましては、上に書いております最適化のハード部分の第1フェーズが今年度10月で完了しますので、その新システムの稼動に合わせまして、現在、システム管理業務と担当する組織の一元化に向けて取り組んでいるところです。
 いちばん下の「組織体制の整備」です。そういった中で機構全体の業務実施体制を見直し、人員の再配置の検討を行ったところです。具体的には、大きな課題であります未請求者及び長期未更新者対策のために、それぞれの担当部署を増員するのと併せまして、一方、中退共本部の契約業務、あるいは清退共・林退共本部の人員を削減することにより、総体として機構全体で2名の削減を図ったところです。これは平成22年の4月より実施いたしているところです。
 続きまして、次の頁ですが、2「中期計画の定期的な進行管理」です。評価の視点としましては、業務の遂行状況を管理するための会議が適切に開催されているか。会議における進捗状況の把握により、一体的な業務運営を行い、必要な措置を講じているか、ということが評価の視点として挙がっています。
 まず進行管理としまして、上段に書いております「職員の意識の向上」を大きな目標として挙げております。即ち、当評価委員会の評価結果や年度計画の進捗状況を、職員一人ひとりに周知を行う。下の○ですが、職員の人事評価と連動させまして、年度初めに課長、室長が中期計画、年度計画等に基づきそれぞれの課・室の目標管理表というものを作成いたしまして、それに基づき各職員が自らの業績目標、業績評価シートを作成し、目標項目、達成目標等を作成すると。これは、期初において各課室長と各課室員、職員との面接を実施しております。そして、年度の終わりにこの業績評価シートによりやはり面接を実施し、達成度の評価を実施するというようにしております。なお、この評価については勤勉手当等へ反映させているところです。
 一方、下のほうで「機構の進行管理」です。これは例年と同じですが、業務推進委員会を四半期ごとに開催させていただきまして、業務の進捗状況を把握検証し、業務運営の方針を理事長より指示しております。それから、下のほうですが、毎月理事会を開催し、業務運営全般の遂行状況の把握、あるいは重要事項の決定等を行っているところです。
 「各本部の進行管理」です。「加入促進対策委員会」ということで、これは理事長等も出席されるわけですが、中退共事業、建退共事業において、加入促進対策について四半期に一度進行状況の審議を行っているところです。なお、主な対策につきましては後ほど加入促進対策のところで出てきますので、ここでは割愛させていただきます。それから「各本部内会議」、それぞれの本部内でも必要な会議を実施しているところです。
 次の頁ですが、評価項目3「内部統制の強化」です。視点としましては、職員の意識改革を図るための取組が着実になされているか。内部統制を強化するための取組が着実に実施されているか。あるいは、業務改善のためのイニシアティブ等を行っているかというようなことであろうかと思います。
 上のほうですが、いわゆるPDCAサイクルに則って業務の確実な実施、内部統制を実施しているところです。これにつきましては従来から説明しているとおりですので、詳しくは割愛させていただきますが、特にCheckのところで、例えば外部の専門家で構成します「資産運用評価委員会」あるいは「契約監視委員会」を設置することによって、まさに外部の方等の公平な目でもってCheck(評価・検証)を行い、それをAction(改善)につなげていくというようなサイクルを実施しているところです。
 下に「内部統制の強化に向けた方策の検討」とありますが、内部統制を図っていくために、まず「独法にとってのコンプライアンスの進め方」というようなセミナーに担当職員を参加させる。あるいは、先進的に取組を行っている他の独法を訪問いたしまして、取組状況等の調査を行った。これらを基にして、機構の中における今後の内部統制のあり方について、役員及び機構幹部で議論を行い、方向性を決定したところです。内容につきましては、先ほど理事からも話がありましたが、機構の業務の特性に鑑み、個人情報の保護あるいは金銭取扱いに伴うリスク等に対するチェック体制を整備していくということが基本であろうかと思っており、平成22年度以降、基本方針の策定、あるいはこのコンプライアンス推進委員会におけるチェック体制の確立というものを進めていきたいと思っております。
 次の頁ですが、評価項目4「業務運営の効率化に伴う経費節減」です。大きな項目としまして「一般管理費及び退職金共済事業経費」、即ち、一般的な事業経費と人件費の2つに分かれています。数値目標としましては、運営費交付金を充当する一般管理費及び退職金共済事業経費について、中期目標の最終年度、これは平成24年度ですが、平成24年度までに平成19年度予算額に比べて18%以上の削減を行うこと。即ち、5年間で18%以上の削減を行うことが1つの目標として挙がっています。一方、人件費につきましては政府全体の総人件費改革と連動しており、平成17年度を基準として毎年1%ずつ削減を行うということで、平成21年度においては、平成17年度基準で4%以上の削減を行うという数字が上がっているところです。
 その具体的な取組の成果としまして、下のほうの頁を見ていただきますと、まず「一般管理費及び退職金共済事業費の節減」です。平成19年度(基準額)34億1,626万円に対しまして、平成21年度の削減対象経費予算額29億7,499万円、そして、削減対象経費決算額としまして、28億1,956万円ということで、平成21年度決算額が平成19年度の基準額に対しまして17.5%の削減ということで、2年において目標に相当近く達成が図られているということです。
 一方、下の「人件費」につきましても、平成17年度比4%減という目標に対して、12.4%の削減がなされています。要因としまして、まず超過勤務時間の削減に向けた取組を徹底したことで、職員の健康対策もありますが、毎月超過勤務時間が一定(45時間)を超える職員について所属部課長に注意をいたしまして、業務分担の見直し等を指示しているところです。この結果、対前年度比で24%の超過勤務時間が削減できています。併せて、中途退職者等が出てきたことがこの人件費削減の要因であろうかと思っております。
 右側ですが、この人件費につきましては、「給与水準の検証」も行っております。対国家公務員指数、いわゆるラスパイレス指数ですが、地域勘案指数で97.3、学歴・地域勘案指数で98.8ということで、いずれも100を下回っているところです。なお、下に書いておりますが、私どもと類似の業務を行っている民間の事業者である保険・金融業との比較においては、賃金構造調査によりますと93.3ということで、民間の類似事業よりも低い数値ということになっているところです。
 次の頁ですが、評価項目5の「業務運営の効率化に伴う経費削減」の「随意契約の見直しについて」があります。評価の視点としましては、「随意契約見直し計画」に基づく取組が着実に実施されているか。契約事務手続に係る執行体制や審査体制について、必要な評価が行われているか。監事及び会計監査人による徹底的なチェックが行われているか、等が評価の視点に挙がっています。
 「随意契約の適正化を推進」ですが、下のほうの頁です。まず平成19年に策定いたしました随契の見直し計画を着実に実施したところですが、これに加えまして、その計画においては随意契約によらざるを得ないとしていたものにつきましても見直しを行い、一般競争入札2件、企画競争5件、公募2件に移行したところです。その中身につきましてはその下に書いてあるとおりです。例えば3つ目の○で、タクシーの供給に関する請負契約の公募、あるいは福岡退職金相談コーナーは平成21年度に移転することになりましたので、その移転に対しての公募の実施、あるいは宅配便運送業務。これは、従来、料金後納郵便ということで日本郵政と随意契約を結んでおりましたが、その小包部分が民間開放されていますので、一般競争に替えたというようなことを実施しております。
 併せて、平成22年4月の契約に向けて点検・見直しにより競争入札を実施しております。例えば電気利用サービスなどにつきましても、特定電気事業者等も含めた一般競争入札を行い、その事業者と新たな契約を結んだところです。こういったものについての取組状況については、右側にありますように、適宜ホームページに公表しているところです。
 「随意契約以外の契約も含めた競争性・透明性の確保」ということです。企画競争や公募を行う場合には競争性・透明性が十分確保される方法により実施するということ。また、「1者応札・1者応募」につきましての改善方策を取りまとめまして、ホームページに公表したところです。
 チェック体制ですが、監査を実施いたしまして、監事監査を四半期ごとに実施、あるいは会計監査人による財務諸表監査を実施しているところです。「契約監視委員会」を設置いたしまして、平成21年度、2回にわたりまして平成20年度契約の点検・見直しについてご審議いただいたところです。
 これらの取組を含めまして、いちばん右側ですが、新たな「随意契約見直し計画」を策定いたしました。これにつきましては、平成20年度契約で随契を行ったものについてすべて見直しを行い、その結果、最適化以後につきまして、随契は全体で5件、3億円余りが残るのみというような計画を立てて取り組んでいきたいと考えているところです。以上、駆け足ですが、私からの説明を終わらせていただきます。

○井原部会長
 ありがとうございました。それでは委員の皆様方、この評定記入用紙に評定等を記入いただきまして、質問等がありましたらご発言をお願いしたいと思います。

○松田委員
 5頁のところ、中退共は101%、清退共だけがマイナスですね。市場では、この確定給付年金は2桁の伸びを示していますよね。それにつれて当機構は101%、非常に少ない。あと2年でもう適格退職年金はなくなりますよ。これはどのようなやり方をしているのですか。

○勤労者退職金共済機構総務部長
 加入促進の話に入るわけですが、まず適格退職年金からの移行につきましては、私どもの機構で移行が決まって以来、2万件の移行を得ております。これは解約された者のうちの33%、ほぼ3分の1を占めておりまして、私どもの対象は中小企業だけであるということを考えると、例えば適格退職年金の受け皿としては、相当大きな役割を示しているのではないかと思っております。
 なお、先ほどお話に出ました確定給付企業年金ですが、数字を見せていただきますと、平成20年度は3,000件余りであったものが平成21年度は5,000件になったということで、基のベースの数字がかなり違うということもあるのかなと思っております。いわゆる適格退職年金からの移行においては、全体の中で解約をしたものを除いた移行というもので見れば、私ども中退共が相当の比率で伸びていると思っておりますし、移行期限が迫った中で平成21年度は、平成20年度に比べまして2割の伸びを示しておりますので、私ども、相当力を入れてやっているというところです。

○松田委員
 しかし、市場では、この確定給付はものすごい勢いで伸びていますよね。新聞にそういうデータが全部出ていますね。

○勤労者退職金共済機構総務部長
 それは、先ほども申しましたように、確定給付企業年金につきましては、平成20年まで3,000件だったものが平成21年度で5,000件になったということで、2,000件の伸びであろうと思っております。私どもは毎年3,000件近くの給付数が増えておりますので、基になるのが私ども中小企業だけということを考えますと、移行している企業数におきましては、私どものほうが上回っていると思っております。

○松田委員
 本当にそうなのですか。

○勤労者退職金共済機構総務部長
 はい。

○松田委員
 間違いないですね。

○勤労者退職金共済機構総務部長
 間違いないです。数字を確認していただければ結構です。

○松田委員
 はい。次に随意契約ですが、16頁。見直しをやったのが、一般競争入札、企画競争、公募、15件。ところが、資料3-3、全体ではまだ29件残っていますね。ということは、44件のうち15件をやったと、あとの29件はまだ残っていると、しかも6億円、大した数ではないですが。契約監視委員会は、これをどのような評価をしているのですか。

○勤労者退職金共済機構総務部長
 31頁の数字ですね。

○松田委員
 はい。

○勤労者退職金共済機構総務部長
 まず31頁で競争性のない随意契約が35件残っていますが、このうちの12件は毎月結んでおります電気料金の契約です。これは平成22年4月、今年度より一般競争入札に移行させていただきましたので、この35件の中から12件は平成22年4月の段階で一般競争入札になっています。
 なお、併せまして、先ほど最適化のところで申しましたように、いわゆるシステム関係の契約につきましては、最適化計画に基づきまして、本年の10月をもちまして、すべて一般競争入札に替わるということです。残るものにつきましては、先ほども申しましたように、5件程度となっています。なお、5件で3億2,000万円程度ですが、そのうちの3億円はいわゆる日本郵政における料金後納郵便です。私ども、共済契約者あるいは被共済契約者との関係でいわゆる文書、特に個人情報が入った文書をやりとりいたしますので、現在、信書を取り扱うことができるのがいわゆるJPだけですので、そのためにどうしようもなく随契になっているということです。ほかにも例えば残るのがいわゆる官報の掲載業務、あるいは新聞購読。新聞は公定料金ですので、販売店、料金における競争がないのでそこから取るとか、そういった事情を説明させていただきまして、契約監視委員会のほうでも問題はないと、適正にやられているというようなご評価を受けているところです。

○松田委員
 日本郵政がお中元が遅配でしょう。それはどのように捉えるのですか。

○勤労者退職金共済機構総務部長
 それは私どもに言われてもあれなのですが、現在、いわゆる信書便を取り扱っているのが日本郵政だけですので、そこと料金後納郵便としての契約を結ぶ以外に、私どもの業務を遂行していく上で現時点ではほかに選択肢はないのだろうと思っております。

○松田委員
 いや、そういうことではないですよね。日本郵政に代わるところだってあるはずですよ。

○勤労者退職金共済機構総務部長
 信書ですか。

○松田委員
 そうですよ。

○勤労者退職金共済機構総務部長
 例えばどういったところでしょうか。

○松田委員
 だから、1社応札ですね、日本郵政でやると。

○勤労者退職金共済機構総務部長
 つまり、現在、信書便に関してその事業に参入しているのが日本郵政だけである以上、そこはもう随意契約にならざるを得ないと考えております。

○松田委員
 いや、そのように割り切ってやるということ自体が間違いですよ。だから。

○勤労者退職金共済機構理事
 委員がおっしゃっているヤマト運輸等が扱っているのは印刷物ですね。ですので、信書ですと、今はJPしか許されていないと理解しておりますが。

○松田委員
 1社応札はあるのですか。

○勤労者退職金共済機構総務部長
 現在、1社応札の契約もございます。それにつきましては、契約監視委員会等においても1社応札でないような形にするようにいろいろな見直し、いくつかの見直し点は指摘されているところです。

○松田委員
 では、来年度からは、この29件というのは5件になるのですね。

○勤労者退職金共済機構総務部長
 はい、基本的には5件になるような形で進めていきたと思っております。

○松田委員
 はい、わかりました。

○井原部会長
 何かほかにございますか。いいですか。では、次に進めさせていただきます。次がグループ2、「確実な退職金支給のための取組」についての評価です。所要時間は、法人からの説明が20分、委員の評定と質疑が15分、合計35分となっています。それでは法人から説明をお願いいたします。

○勤労者退職金共済機構総務部長
 それでは評価項目の6の「確実な退職金支給のための取組」について説明させていただきます。
 まず、「一般の中小企業退職金共済事業における退職金未請求者に対する取組」です。こちらは数値目標としまして、請求権が発生した年度における退職者数に対する当該年度から2年経過後の未請求者数の比率を中期目標期間の最終年度、即ち、平成24年度までに1%程度とすることという目標が定められているところです。評価の視点ですが、未請求の縮減に向けた取組に進捗が見られるか。新たな未請求退職金の発生防止について、取組を着実に実施しているか等々が挙げられているところです。
 まず、下のほうの頁ですが「21年度退職金未請求者に対する主な取組結果」です。2年経過後の未請求率は、取組前の17・18・19年度におきましては大体3%から2%台後半であったわけですが、平成20年度は2.0%、平成21年度、昨年度は1.8%ということで、縮減を図っているところです。なお、受給権者は大体年間30万人程度ですので、1%で3,000人ぐらいの効果があるとお考えいただければいいのではないかと思っております。
 取組ですが、大きく分けて、左側の「新たな未請求退職金の発生を防止するための対策」と右側の「累積した未請求退職者に対する取組」の2つに分かれるところです。まず「新たな未請求退職金の発生を防止するための対策」としまして「制度加入周知の向上」が大きなものであろうかと思っております。これは、未請求者で請求があった方に聞きますと、大きな原因としまして、加入していたという事実を知らなかった、あるいは加入期間が少ない等により自分が退職金をもらえるとは思っていなかったということが、未請求であったことの非常に大きな要因でした。この制度加入というものを従業員の方にわかっていただくことがいちばん大きな課題であろうと思いまして、そこに書いておりますような周知の向上策が挙がっております。
 まず新規及び追加です。新たに入られた被共済者に対しまして、事業主を通じて「加入通知書」を配布するようにしております。また、既に入っておられる方につきましても、いままでも各事業主の方々には、それぞれの被共済者ごとに掛金の納付状況と、いま辞めると退職金がどれぐらいになるかという試算票を送付させていただいたところですが、掛金の納付状況につきまして、それぞれ各共済者、従業員ごとに切り離せるようにミシン目を入れて送付いたしまして、それを事業主の方に1枚1枚破って被共済者の方、従業員の方にお渡しいただくようお願いしているところです。退職後3カ月経過してもまだ請求していただいていない方がおられる事業主に対しまして、退職金請求をお願いするよう文書を送付するとともに、平成21年度からは、この依頼をしてからさらに3カ月経過してもまだ未請求である場合には、その事業主からその方のご住所を教えていただきまして、機構が直接請求を促すようにしたところです。
 それから右側ですが、「累積した未請求退職者に対する取組」としまして、未請求者の住所等の把握に計画的に取り組んでいるところです。これは、未請求者のいる事業所に対して住所につきまして情報提供を依頼いたしまして、それで得られた住所を基に請求手続をお願いしているわけですが、平成24年度末までに全未請求者を対象に行えるよう計画的に実施しているところです。平成21年度は、平成21年度に計画していた分に合わせまして、平成22年度計画対象分も一部前倒し実施いたしまして、計3万4,805の事業所、対象6万9,000人に対しまして、住所情報を把握するよう事業主にお願いいたしました。住所が得られた方々につきましては、直接、請求をお願いいたしまして、平成21年度中に9,355人ということで、ほぼ1万人に近い方のご請求をいただいているところです。
 中段ですが、「未請求者縮減のための周知の効果的な実施」としまして、ホームページに中退共制度に加入している事業所を検索することができるようなシステムを平成21年7月より新たに設けまして、ホームページに掲載させていただいているところです。このシステムのアクセス件数は、7月からの9カ月間で3万件余りとなっておりまして、相当多くの方々が、これは在職中の方も含めてだと思っておりますが、その事業所が制度に加入しているかどうかということにつきましてアクセスいただいているところです。また、利用者の利便性を図るための検索システムのタブを、トップページに移動するなど、できる限り見やすいような形での配慮を行っているところです。ホームページ、あるいは、毎年1回、加入事業所に送っております「中退共だより」等において引き続きお願いを行っているところです。
 「調査・分析」としまして、平成20年度までの未請求対策効果を検証し、脱退後できるだけ早くアクセスしたほうが効果が高いという傾向がありますので、事業所に対する未請求の方の情報依頼、住所情報を教えていただくのを、平成21年度までは3カ月後に事業主に頼み、それからまた3カ月、計6カ月後に住所情報を取ることとしていたのですが、これを、3カ月の時点で住所情報をいただいて、直接アクセスするという方式にしたいと考えております。
 それから、中退共制度への加入経路及び加入の周知状況などの調査を実施いたしまして、今後の未請求対策に反映すべく、調査結果の集計を行っております。未請求であった方が請求要請をした際に、なぜ未請求であったかというアンケートを行いました。これは先ほども申しましたように「加入を知らなかった」あるいは「もらえると思っていなかった」というのが大多数ですが、そういったアンケートを引き続き実施しているところです。
 評価項目7の「確実な退職金支給のための取組」の「特定業種退職金共済事業」です。数値目標としまして、共済証紙の販売額の累計と貼付確認額の累計の差額を前中期目標期間の終了時から130億円程度減少させること。併せて、共済証紙の貼付状況等に関して把握、取組の充実を図ること。評価の視点としましては、共済手帳の長期未更新者への個別の要請等の取組を着実に実施しているか。周知等が効果的に実施されているか。また共済証紙の適切な貼付を行うための取組が実施されているか、というようなことが挙げられています。
 対策としましては「長期未更新者調査」ですが、これは手帳の更新手続が3年間行われていない方を対象としております。この手帳は働いた日の分、証紙を貼ってきまして1年分貯まれば手帳を更新するというシステムです。例えば3年間更新されていない方の中にも、出稼ぎ労働者の方のように断続的に就労されるような方、あるいは現在は建設業などを離れているけれども将来その業界で働く意志のある方などにつきましては、手帳を保持しているという状態ですので、必ずしもすべてが未請求者であるということではありません。そういった3年間更新なされていない方については、既に引退している方等も含まれるという可能性が強いことから、こういった取組を継続的に実施しているところです。
 「建退共事業」につきましては、過去3年間手帳更新のない被共済者につきまして毎年実施しているところですが、手帳更新あるいは退職金請求等の手続をとるよう要請し、また、回答のなかった事業主につきましては電話による再調査を実施したということです。未更新者3万3,690人を対象に調査を実施し、手帳を更新した方4,053人、退職金請求に至った方1,134人という取組の成果が出ているところです。
 下のほうに書いておりますが、これまでの長期未更新者調査において対象とならなかった被共済者の方々、この未更新者に対する調査は平成9年から実施しているところですが、当初、平成14年まではすべての方が対象ではなくて、一定の退職金額以上の方を対象に実施しておりましたので、それ未満の方々は対策に含まれていなかったために、この長期未更新者の中でもこの調査の穴があったということです。平成20年度及び平成21年度におきまして、これまでの長期未更新者調査において対象にならなかった被共済者5万2,000人余りを対象に調査を実施し、退職金の請求等の手続をとるよう要請したところです。これにより、1,710名の方の退職金請求を受けているところです。これにより、すべての長期未更新者に対しましての現況把握の取組がこれまでのところは完了しているところです。今後、新たにまた参入になった方々につきまして引き続き実施していくと考えているところです。
 「清退共事業」「林退共事業」につきましては、過去の累積の人すべてという形になっていますが、3年以上共済手帳の更新がなく、かつ24月以上の掛金納付実績を有する方々に対する調査を実施いたしました。
 「清退共事業」では、長期未更新者7,304人に対しまして、退職金請求が2,691人、手帳更新が55人という形になっているところです。なお、清退共におきまして最終契約者が不明なため長期未更新者調査ができずにいた被共済者につきまして、清退共は加入申込書を取っておりまして被共済者の住所を把握しておりましたので、これによりまして住所整備・データ化を図りまして、3,443人に対しまして平成21年度、この更新手続及び退職金の請求依頼が実施できたところです。また、24月未満の方々につきましても、加入時の住所を持っているということから、住所情報の整備・データベース化を行ったところです。
 「林退共事業」におきましても、そこの表にありますように、5,942人の長期未更新者に対しまして、退職金請求、累積で2,601人という効果が出ているところです。なお、下に書いてありますが、長期未更新者への取組の一環としまして、国有林野事業受託事業体及び認定事業体に対しまして移行状況を把握し、証紙未購入あるいは更新が行われていないような事業体に対して実態調査を行って、指導、お願いを行うとともに、その名簿を林野庁に提供させていただきまして、林野庁からも加入促進あるいは履行確保という形でのご指導をいただくよう協力をお願いしたところです。
 次の頁ですが、「新たな長期未更新者の発生を防止するための対策」としまして、左側、まず「加入通知書の発行」ですが、建退、清退、林退、それぞれに直接、被共済者に対して共済制度に加入したことを通知しているところです。また、被共済者の住所につきまして、特に特退制度におきましては事業所を転々として働くということから、この被共済者の住所のデータベース化は極めて重要であろうと、効果的であろうと思っております。建退共事業におきましては、平成21年度新規加入被共済者からデータベース化を行うと。また清退共事業につきましては、加入時の住所を併せ持っていたということもありまして、これも併せてデータベース化を行っているということです。なお、林退共におきましても、新規加入被共済者についてのデータベース化を行っているところです。
 それから中段、「長期未更新者を縮減するための対策」としまして、各種の注意喚起。そこにありますようにホームページでの注意喚起、あるいはポスター、被共済者用のパンフレット等の作成・配布を行っているところです。なお共済契約者に対しましても、従業員の方が退職されるときに「業界からもう引退するのかどうか」という意思を確認していただきまして、もし辞められるという方につきましては、退職金の請求をしていただくよう指導してください、という形でお願いを行っております。
 いちばん下段ですが、「建退共事業の共済証紙の適正な貼付に向けた取組」としまして、2年間手帳更新の手続をしていない共済契約者に対しまして、2万1,507件ですが、手帳更新など適切な措置をとるよう要請しております。なお、これは毎年フォローアップを行っておりまして、平成19年度に実施した要請で「履行の意思あり」と回答した方につきまして、2年間経ってもまだ履行の改善が見られていない方々につきましては、これは2,860件ですが、再度適切な措置をとるよう要請しております。
 それから、公共事業等の入札参加の場合に加入履行証明書などを取る事業体もありますが、そういった場合に私どもは加入履行証明書を発行するわけです。その際には、共済手帳あるいは共済証紙というものを適切に管理し、適切に貼付しているかどうかというようなことを厳格に見させていただくということを通じまして、就労日数に応じた共済証紙の適正な貼付をするようお願いをしているところです。また、建退共事業に係ります履行状況把握のための実態調査を実施し、調査結果を取りまとめたところです。
 なお、平成21年度末においてこの共済証紙の販売額と貼付確認額というものについては、平成19年度と比較して、21億円の減少という形になっているところです。以上、私からの説明を終わらせていただきます。

○井原部会長
 ありがとうございました。それでは委員の皆様、評定結果を評定用紙に記入いただきたいと思いますが、質問等がありましたらお願いします。

○篠原部会長代理
 今のデータベースのデータで年金番号は入っているのでしょうか。関係ないと入れないのですか。比較的年金番号は一生同じ番号ですよね。

○勤労者退職金共済機構総務部長
 すみません、年金番号は取っておりません。

○篠原部会長代理
 それと、事業所を転々とするとダブッているのではないかと、同じ人が。そういうもののダブりを名寄せするようなことはやられていないですか。

○勤労者退職金共済機構総務部長
 そこは重複排除のためのシステムというものを整備させていただきまして、1つは、新規に加入するとき。即ち、新たに手帳を発給するときに、これまで手帳を別の所で発給しているかどうかということを、重複のないようにチェックするシステムのようなものを作っております。併せて、退職金を支給する際にも、ほかの手帳で更新し、確認している証紙があるかどうかということを確認させていただきまして、退職金請求時にもチェックを行いまして、仮にそれが見つかった場合には追加して支給するという、入るところと出るところの両方で重複防止のためのシステム、チェックを行っているところです。

○篠原部会長代理
 それと、こういう言い方は変だと思いますが、この人たちがホームページを見るチャンスはあまりないのではないかと。ではなくせ、というわけでもないのですが、あまり見ないのではないかという気も、だから無駄ですよとは言わないのですが。というのは、ほかの対策を立てないとという気持で。

○勤労者退職金共済機構総務部長
 先ほど3万件のアクセスがあったと申しましたが、そのうちの何件がそういう未請求の方が請求に結びついたかというのは、現在のところは把握していないというところではあります。ただ、私どもにもフリーコールで、私はそういった退職金制度に加入していたかどうかというような問合せがあることもかなりありますので、そういった方々については、例えばホームページを見て確認するというような事例も相当あるのではないかとは思っております

○篠原部会長代理
 この未請求で複数の事業をボンボン行きますよね。個人からすると、いろいろと転々とした事業所のデータベースというのは入っているのですか。データベースというか、記録は残るのですか。

○勤労者退職金共済機構総務部長
 それは中退制度でしょうか。

○篠原部会長代理
 どれでも全部そうなのですが。

○勤労者退職金共済機構総務部長
 まず中小企業退職金共済制度の場合には、基本的には1つの事業所を退職したところで退職金が出るわけですが、通算することもできるということになっています。退職後2年までの間であれば、新たに入職した所で手続をしていただければ、前の事業所におきますそういう加入期間と新たな所での期間を合算して、合算したほうが、長期のほうが有利に退職金を受け取ることができますので、そういうことができるようなシステムにはなっています。また、建設につきましては、手帳を毎年更新する度にデータに入っていますので、それらを累積して記録としては残っているということです。

○篠原部会長代理
 なんで聞いたかというと、事業主に聞くよりは、建退共や林業の場合、友だちに聞いたほうが退職してどうなったかとか。意外とそのほうがわかるのではないか。事業主のほうがわからないのではないかという気があるので、案外、働いているその人たちに、意外と彼らは狭い世界ではないのかなという気がするのです。

○勤労者退職金共済機構総務部長
 たぶん、各事業によりまして、いろいろ特色があるのではないかと思っております。例えば林業ですとか、清酒等ですと、たぶん比較的退職金支給に結び付いているケースが多いというのは、各事業所と労働者の方、あるいは問合せする人間関係等がある程度とれていて、事業所は知らなくてもほかの従業員の方に聞いてというような形でつながるケースがあるのかなというふうには思っております。建設の場合には、なかなかもしかすると難しいのかなというふうには思っております。

○井原部会長
 はい、よろしいですか。それでは次がグループ3で、これが「サービスの向上」から「加入促進対策の効果的実施」までの項目です。その評価を行う所要時間は、法人からの説明20分、委員の評定と質疑に15分と合計35分となっております。まず、法人から説明をお願いいたします。

○勤労者退職金共済機構総務部長
 それでは評価項目の8「サービスの向上」ということで「業務処理の簡素化・迅速化」です。数値目標としては、中退共事業においては受付から25日以内、建退共事業においては受付から30日以内、清退共及び林退共事業においては受付から39日以内と目標が定まっています。評価の視点としては、事務処理の簡素化・迅速化を図る観点から、諸手続及び事務処理等の再点検を行い、必要な措置を講じているか。業務改善の取組を適切に講じているか。「業務・システム最適化計画」の実施に併せて、退職金支給に係る処理期間の短縮が行われているか等が挙げられているところです。
 まず、1枚めくっていただき、「事務処理改善」です。21年度においては、機構内事務処理の簡素化・迅速化を図る観点から、諸手続及び事務処理等の点検を行い、「事務処理改善計画」を取りまとめているところです。
 上から「機構内事務処理に関すること」です。先ほど申しましたように、ホームページに企業掲載を行ったこと。ホームページのリニューアル、これは後ほどホームページのところで説明しますが、見やすいような形のタブの設定を行ったということ。委託金融機関一覧のデータ回覧。被共済者の住所データベース化等を行ったところです。
 「加入者が行う手続に関すること」ということで、こちらにあるように、加入証明書様式に連絡先を追加したこと、退職金試算依頼書様式にファックス番号を追加したことなどを行っているところです。
 「その他」です。迅速な電話対応ができるよう、電話交換業務と相談業務を統合する検討を行ったということです。これは現在機構において簡易な相談、個別の相談にわたるものではなく、簡易なものについては相談業務についても委託して実施しているわけです。その委託している電話交換業務と相談業務を一体化することにより、従来までは簡易な相談をする場合においても、一旦電話交換を通ってから相談する方が行い、それで難しければまた職員にいくということで、電話の転送を繰り返す形で、私どもに相談をいただいた方にご不便をいただいているかと思いますので、これを一体化して、簡易な相談については受けた電話でそのままお答えすることができる。仮にそれでは難しい個別案件にかかるようなものにおいても、よく事情を相談して、確実に対応できる職員に回すことによって、転送を1回で済ませるというような形での検討準備を行い、本年平成22年4月からこの両業務の一体化を図ったところです。
 併せて職員からの提案を受け付ける「業務改善目安箱」を設置したところです。
 「処理期間の短縮」ですが、中退共事業においては、受付から支払いまで25日以内ということを維持しています。また特退共においては、退職金の請求については支部で受け付けて書類確認の上、それを本部に送付するということ。また、手帳に貼付している証紙を手作業でカウントすることもあって、中退よりは少しかかりますが、建退共においては30日以内に支払っているところです。清退共、林退共においても30日程度で実質的に支払っているところです。
 なお、清退、林退においては事業規模が小さいということもあり、システム化が遅れており、これまでも39日かかるということで、この委員会でもたびたびお叱りを受けてきたところですが、これについては現在実施しているシステムの最適化が本年10月に完成し、特退事業のシステム機能の統一がなされた時点で、確実に30日以内に支払うことができることになる予定です。
 次に評価項目9の「情報提供の充実、加入者の照会・要望等への適切な対応等」です。数値目標として、第1期中期目標の最終年度、即ち、19年度と比べてホームページのアクセス件数が10%以上増加しているかというのが挙げられています。また、評価の視点としては、ホームページの活用による情報提供の充実に向けた取組が実施されているか。共済契約者等からの要望苦情に対して分析対応など業務改善に向けた取組を適切に講じているか、ということが挙げられています。
 1枚めくっていただきまして、「情報提供のあり方についての見直し」です。まずホームページの中退共の分において、利用者のニーズに沿った誘導ができるようタブを新設した。これは開いたところで制度全般について、あるいはQ&A、加入の際の手続についてといういくつかの項目をタブで挙げまして、そこからすぐに必要なところに飛べるようにということで、見やすくするようなリニューアルを行ったところです。また、個別の相談については引き続き電話等で行う等、サービスの向上を行っています。また、ホームページからの「ご意見・ご質問」等を参考に、利用者のニーズを反映すべく見直しを行った。先に上げたタブの設置等もこれに当たりますが、そういった取組を行っているところです。
 「情報提供の充実」という部分では、先ほど来申し上げております未請求対策の一環として、加入企業名を検索することができるようにしたことのほか、建退共の制度紹介動画の配信、あるいは「中退共設立の50周年」を元にテレビCM用に作成した動画の配信などを行ったところです。併せて「加入状況のお知らせ」ということで、従業員へ制度周知、加入周知の向上を図ったところです。右側の主な更新情報については、そこに書いてあるとおりです。
 「照会・要望等への適切な対応」ということです。このホームページからの「ご意見・ご質問」「ご利用者の声のハガキ」等を基に、相談業務の満足度を集計したところで、Q&Aについては参考になったというものが85%、相談窓口に設置したアンケート葉書においては相談が役に立ったというところが98%ということで、相当高いわけですが、中には苦情等もありますので、苦情については即日、あるいは翌日に本部の担当部署からお答えするというような形をとるとともに、組織的に職員に注意喚起を行っているところです。
 真ん中の右側で数値目標として挙げられていましたホームページのアクセス件数ですが、平成19年の19万4,000件から、平成21年度は26万6,000件余りということで、アクセス件数37.3%の増加ということで、数値目標は大幅にクリアしたというところです。
 評価項目の10「積極的な情報の収集及び活用」です。これは評価の視点として、関係団体の有識者から、機構の業務運営に対する意見・要望の聴取をし、ニーズに即した業務運営を行っているか。各退職金共済事業に関する統計・調査の結果を事業運営に反映させているかということです。
 1枚めくっていただきまして、裏の頁ですが「参与会」です。これは外部有識者により中退共・特退共それぞれごとに1回、合同で1回、計3回開催させていただいています。そこで事業概要ですとか、独法評価委員会の評価結果等々、退職金の未請求、未更新者対策の取組報告などをご報告し、ご意見を賜っているところです。
 そこでの「主な要望等」として、例えば未請求の原因として「知らなかった」というものがかなり多いので、従業員に周知を図る方法はないのかという問題、あるいは未請求問題について引き続き調査して、退職金の支払いに万全を期してほしいというようなご意見、ご要望が出ております。
 もう1つは、「退職金制度の実態調査」です。退職金制度の実態調査を、中退共において毎年実施しているわけですが、平成21年度は中退共に平成20年度に新たに加入していただいた企業8,021社に対して実施しています。「主な調査結果等」として、中退共制度への加入経路として、初めてこの制度を知って入ることにしたということに対しては、社労士・税理士・会計士と、各事業所に非常に密接してアドバイスしてくれるような方々が非常に高いということがわかっておりますので、私どもはさらにこういった社労士・税理士等の団体への加入促進の委託等を今後とも強化していきたいというような結果が出ています。
 従業員への加入周知ということで、平成21年度から配布させていただきました「加入通知書」「加入状況のお知らせ」をきちんと従業員の方にお渡し願っているかということを確認のために調査したわけですが、これは「加入通知書」においては渡した企業が81%、逆に渡していない企業も2割近くある。また「加入状況のお知らせ」も渡した企業が71%に対して渡していない企業が26.9%ということで、かなり高い数字となっておりまして、私どもは任意の制度ですので、なかなか事業主の皆様にはお願いするということで、強制力はないわけですが、こういった数値を基に、制度周知のためにどのようにしていくのかということについて、さらなる大きな課題なのではないかと認識しているところです。
 「履行状況等の把握」の建退共事業における履行状況の把握です。こちらについては新たに、手帳への証紙貼付状況はどうなっているのかというような項目も含んだ調査を実施し、その結果、履行状況を把握でき、現状の適正な貼付に向けた取組が、着実に成果を上げてきているということについての確認を行ったところです。
 統計資料等についてはホームページに掲載させていただいています。
 評価項目11「加入促進対策の効果的実施」です。これは数値目標として、中退共事業においては40万600人、建退共事業においては13万1,000人、清退共事業においては160人、林退共事業においては2,300人、合計53万4,060人。これらの目標は中期計画を策定した時点において、第1期中期計画期間中の実績、あるいは増減の傾向というものを踏まえ、それに努力目標を加算して設定した目標です。評価の視点としては、この加入目標数の達成に向けて着実に進展しているか、加入促進対策を効果的に実施しているか、という2点が挙げられています。
 1枚めくっていただき、上段の「とりまく環境」です。これは言うに待たないのですが、やはり中小企業の経営環境は平成21年度も厳しい状況にあったと。建設、清酒、林業においても各業界それぞれ厳しかった。林業においては森林吸収源対策、いわゆるCO2対策により若干明るい兆しというものはもらえるものの、やはり厳しさというものは残っている状況にあるというような環境の中で、加入促進対策を効果的、重点的に的を絞って取り組んだところです。
 中段ですが、「中退共」においては、まずは先ほどもお話に出ましたが、残り2年強と迫った適格退職年金からの移行の促進のために、過去、私どもの制度説明会に参加していただいたり、あるいは資料請求があった事業所に対してアプローチし、まだ移行先が決まっていない事業所に対しては、個別企業訪問等を実施して、移行の促進を図ったところです。また、機構主催の制度説明会、あるいは職員等による個別事業主に対する加入勧奨等を行ったほか、業務委託事業主団体との連携による加入促進ということで、先ほども話が出ました社労士会との連携の強化とか、税理士を会員とするTKC企業厚生共済会との委託契約を結び、平成21年度より本格的に業務実施をいただくというような取組を進めたところです。
 「建退共」においては、未加入の事業主に対するダイレクトメール約1万5,000件ですが、加入促進を、加入勧奨を行ったということ。マスメディア、特に業態等を考えてラジオで実施したわけですが、それによる広報。「建退共現場標識」等による現場の方々への制度の認識、普及を図ったものです。
 「清退共」はほとんどの免許を持っておられる事業所は入っており、非常に新規の参入も少ないというようなことで、事業所ベースでいけばほぼ100%に近く清退共に入っているという実態もある中で、そういった会社に対して、新たに雇用労働者を、しかも期間労働者を雇った場合には、確実に入っていただくようにというような文書による加入勧奨を実施したところです。
 「林退共」においては、緑の雇用対策事業との連携。国有林野事業を受託した事業体、あるいは都道府県の認定事業体等について、私どもの加入名簿とシステムとを合わせて、未加入事業所リストを作成し、加入勧奨を実施したほか、未加入事業体名簿を林野庁に提供して、加入指導をお願いする等の取組を行ったところです。
 こういった取組の結果として、中退共においては40万4,586人ということで、101.0%の達成がなされたということ。建退共においては厳しい状況の中で、14万5,000人弱ということで、10%を上回っています。清退共においては、非常にお酒の製造量自体がかなり少なくなっているという厳しい業界の中で155人ということで、こちらは目標を5人下回っていますが、林退共においては2,778人ということで、達成率120%、全体では55万2,400人余りということで、目標を上回る達成、加入者を得ることができました。

○井原部会長
 はい、ありがとうございました。それでは委員の皆様方、評定記入用紙への評定等の記入をお願いいたします。質問等がございましたらお尋ねいただきたいと思います。

○篠原部会長代理
 たまには褒めなければという気がしますが、今年2度ほど本部に財務の打合せで行って、早めに行くと1階のサービスの窓口の所で腰掛けて、つい商売柄、観察しているのですが、やはり応対を見ていると非常にいいです。そして、必ず入ってくると声をかけたりするし、ただ、あれが本部だけなのか、全国的にああいうレベルなのか、それはどんなものでしょうか。

○勤労者退職金共済機構総務部長
 そのように言っていただけると非常にありがたく、心強く思っているところです。本部はもちろん非常に我々は注意を配っているところですが、支部、あるいは中退における相談コーナー等においても、そういった応接、接遇についてはきっちりしていただくように、常日ごろ呼びかけているところですし、そういったところでの苦情等がきた場合には、必ず本部から注意指導をさせていただき、改善に向けて取り組むようにということで、お願いをしているところです。

○川端委員
 中退共40万とか数値目標がありますね。これはどこから出てきたのですか。目標はクリアしているとしても、実際の対象者数に比べて加入した人はどうなのか、そのところがわからないと。一体この40万というのがどこから出てきた数字なのかということなのです。要するに従来それぐらいだったから今年もということですか。

○勤労者退職金共済機構総務部長
 これは加入目標を定めるに当たっては、平成19年の末に、平成20年から平成24年度の第2期中期計画を定める際に、ご議論していただきまして設定した目標です。数字の基本的なベースとしては、先ほど委員がご指摘のように、基本的には第1期中期計画期間中の実績をベースとして、例えば清退共等においては、毎年業態が悪くなっているので減っているという、低くなっていくというような傾向を見ると。ただし、それだけの実績ベースだけではなく、毎年の努力目標を上乗せして、5年間分の数値目標を定めて、第2期の中期期間中の毎年ごとの目標を、平成20年度から始まる中期計画を定める段階で目標設定をしています。

○川端委員
 それはいいのです。本来の対象者はどれくらいいるのかはきちんとお調べになって、それに対して。そのときの計画、目標を決めたときではなくても、対象者がどれくらいに対してこの目標値がどれぐらいの意味を持っているのかということは、お調べになったのですか。

○勤労者退職金共済機構総務部長
 対象者がどれぐらいかというのは、なかなか統計的に正確に把握することは難しいわけですが、1つの指標として、まず中退共制度においては従業員10人未満の零細企業のうちで、退職給付制度があると答えたところが62.5%で6割強ですが、その62.5%のうちの62.8%、すなわち6割強が中退共制度を活用していただいているというところです。ですので、私どもは今後ターゲットにしていくとすれば、まだ10人未満で零細企業で退職金制度を持っていないこの34.8%等に強力に働きかけていくということなのではないかと思っています。
 一方、建設、清酒、林業等においても、各それぞれの職業についての事業所センサス、あるいは就業構造基本調査等で比較するしかないわけですが、建設においても6割ぐらいですか。清酒、林業においては相当の比率で入っていると考えているところです。

○井原部会長
 そのほかに何かございますでしょうか。

○宮本委員
 理解できなかったので確認させていただきたいのですが、評価項目7、19、20頁のところです。確実に退職金支給のための取組というので、昨年、その前と伺っているよりもかなり具体的にやっていらっしゃるということが感じられるのですが、自己評価がBになったというのは、どうなるとAになるのですか。

○勤労者退職金共済機構総務部長
 基本的に私どもは自己評価をするにあたりまして、中期計画、あるいは年度計画に定めた事業を、そのまま的確に実施していると判断できる場合はB。さらに計画を超えて何らかの取組を行った、つまり来年度分を前倒しに行ったとか、あるいは計画に定めていなかった事業を行ったというような、プラスアルファがあるものについてはAと自己評価をしております。そういう意味では、特定業種退職金共済事業の長期の更新調査については、そもそも計画が相当盛りだくさんにやることになっていたことを、着実に進展することができたということで、自己評価としてはBとさせていただいています。

○宮本委員
 例えば数値目標のところに、中期目標期間の終了時から130億円程度減少させることとありますね。

○勤労者退職金共済機構総務部長
 はい。

○宮本委員
 これをやったのでBというようなことになりますか。

○勤労者退職金共済機構総務部長
 例えば5年間130億円ということですが、19年度比較で19億円ということでBという形にさせていただいています。

○宮本委員
 つまり、130億円減少を上回るような金額までは、いまはまだ達していないということですよね。結構いろいろと努力されているようですが、それには達しないということですよね。

○勤労者退職金共済機構総務部長
 そういったことを含めてです。

○井原部会長
 いかがでしょうか。よろしゅうございますか。それでは第4グループ、「財務内容の改善に関する事項」から「積立金の処分に関する事項」まで、これの評価を行います。所要時間は法人からの説明15分、委員の評定と質疑10分の合計25分となっています。では、まず法人からの説明をお願いいたします。

○勤労者退職金共済機構総務部長
 それでは評価項目12「財務内容の改善に関する事項」の1「累積欠損金の処理」についてご説明させていただきます。数値目標としては、累損解消計画に基づき、年度ごとの解消目安額、中退共では各年度180億円、林退共においては9,200万円を達成しているかという数値目標があります。評価の視点としては、健全な資産運用及び積極的な加入促進により、収益の改善が図られているか。事務の効率化による経費節減が着実に実施されているかというものが挙げられています。
 1枚めくっていただき、「中退共給付経理」及び「林退共給付経理」について、それぞれグラフを挙げさせていただいています。このグラフについては、毎年の解消額について棒グラフで表しています。累損が解消できたものについては、この棒グラフがゼロより上にいく。昨年のように累損が逆に膨らんだような場合にはマイナス、下に延びるというような形でのグラフになっております。累積欠損金の残額を折れ線グラフで表しています。平成21年度で見ますと、非常に市場環境がよかったということが最大の要因だろうかと思いますが、平成21年度で当期利益1,536億円を上げることができ、累積欠損金については昨年度3,500億円までのぼっていたものが、1,957億円まで減らすことができたということです。
 下のほうの表にありますが、当期利益金1,536億円ですが、その中には掛金収入が4,290億円強ということで、前年を上回ることができたということ。また、運用等収入が1,870億円、このうち金銭信託の評価益が1,500億円ぐらいあるわけですが、そういったものがかなりプラスの要因に働いたということです。
 下のほうで「林退共給付経理」を挙げています。こちらは額としてはかなり少なくなっているわけですが、平成21年度はやはり9,400万円ということで、解消目安額の9,200万円を超えて解消ができたというところです。当期利益金9,400万円ということですが、掛金等収入が16億2,900万円ということで、例年よりかなり上回ることができたということ。また、運用等収入も2億9,200万円という形で、市場環境等もありまして運用益を上げることができたというようなことから、累積欠損金を14億円近くというところまで縮減したところです。
 評価項目13「健全な資産運用等」です。これは数値目標として、各事業本部の委託運用について概ねベンチマークと同等以上のパフォーマンスが達成されたか、ということが挙がっています。評価の視点のところに書いておりますが、例えばいちばん上のポツですと、資金運用の実績とか基本的方針等が明らかにされているか。3番目のポツ、「資金運用の基本方針」に基づいた安全かつ効率的な資産運用が実施されているか。外部の専門家からの運用実績の評価結果を事後の資産運用に反映させているか、ということが挙がっています。
 下のところに「21年度運用実績に対する運用目標等の部分に関する評価結果概要」を載せさせていただいています。これは当委員会に間に合わせるために、外部の専門家からなる「資産運用評価委員会」でご審議いただきまして、今月7月2日に部分的な報告書、運用目標等の部分に関する報告書をおまとめいただいたものです。それについて概要というか、必要な部分を載せていますが、ご紹介させていただきま。まず「評価に当たって」は、資産運用の基本方針に沿った運用がなされているかどうかを中心として評価することとした。
 「運用目標の達成状況」としては、いちばん上の○では、関係法令について遵守するとともに、制度の安定的な運営又は健全性の向上に必要な運用収益の確保を達成するため、最適な資産の組み合わせである基本ポートフォーリオに沿った資産配分を行っている。また、基本ポートフォーリオに定める資産配分割合の乖離許容幅に収まるよう、月次データ管理を行い、これを維持するよう適切に対応している。
 3番目の○ですが、収益の状況等について、全体で見ればベンチマーク等とほぼ同等のパフォーマンスとなっているということで、自家運用については長期・安定的な債券投資を行うという観点からバイ・アンド・ホールドを原則として確実な資産運用を実施しているということ。
 2行飛んで、委託運用については、中にはベンチマークを下回っている経理を所掌する事業本部においては、パフォーマンスの改善に向けた取組を行う必要があるとした上で、建設特別給付経理、あるいは清酒の給付経理においては、外国株式において、信用懸念が高い、若干信用性の薄いものについては私どもの委託運用機関ではあまり持っていないために、平成20年度はそのことによりまして、かなり市場の急落化の中でベンチマークを上回ることができたわけですが、21年度はその反動でそういった株式が非常に暴騰し、それには付いて行けなかったということで、21年度はこの反動もあって、ベンチマークを下回ったということが少なからず作用したことに、留意する必要があるとされています。
 なお、平成21年度は各共済事業とも当期総利益を計上し、累積欠損金の減少によって財務状況が改善されているとされています。
 「基本方針の遵守状況」ですが、各共済事業とも、全般として運用の基本方針に沿った運営に努めていると評価できるとされています。
 1枚めくっていただきまして、具体的な資産運用に係るパフォーマンス状況です。中退共事業においてはいちばん左の上、期末運用資産残高3兆4,890億円ですが、これの運用等収入として1,870億円、運用で決算運用利回りが5.67%ということで高く上げることができています。なお、委託運用については、時間加重収益率14.08%ということで、ベンチマークよりは若干劣後していますが、高い収益を上げることができています。
 一方、右側、建退共事業においては、期末運用資産残高8,335億円のうちでしたが、運用等収入で328億円強ということで、決算運用利回り4.08%となっておりまして、このうち委託運用においては時間加重収益率10.9%、超過収益率0.27%となっております。
 なお、その下の建退共事業・特別給付経理、あるいは清退共事業、あるいは清退の特別給付、林退の給付それぞれ運用残高、資産量自体は上の2つに比べると相当少ないわけですが、それぞれ昨年度の市場がかなり好況であったということもあり、運用収入、あるいは決算運用利回りが高い数字を上げているところです。
 次頁は「20年度運用実績に対する評価結果概要」を参考に挙げさせていただいていますので、後ほどご覧いただければと思っております。
 評価項目14「その他業務運営に関する事項」です。評価の視点として、退職金機構ビル及び同別館について、早急な検討が実施されているか。松戸宿舎及び越谷宿舎について、検討が実施されているか、というのが視点として挙がっています。
 1枚めくっていただき、「保有する資産についての措置」ということです。まず「退職金機構ビル及び同別館」については、有識者よりなります「退職金機構ビルのあり方に関する検討会」を4回開催し、その報告書をいただいたところです。そこに書いてありますように、機構ビル別館が現在地に所在することが必要不可欠かどうかについて、十分吟味することが目的だったわけですが、「退職金機構ビルのあり方に関する検討会」の報告書のまとめとしては、建物の耐用年数はあと10年程度ですが、その10年程度が経過するまでは、いまの築40年とかなり古い形になっていますが、そのビルを使い続けるほうがよいのではないか。そして、耐用年数が終了した時点で、その土地を売却し他の地へ移転することが合理的ではないか。ただし、それ以前であっても、土地を売却し、移転が合理的になれば、その時点で土地の売却、移転を考えることとするというようなまとめになっています。
 なお、このまとめを引き出すにあたり、いくつかの選択肢を提示し、その中でそれぞれのシチュエーションの下に試算していただいたわけですが、例えばもう既に現時点で土地を売却し、別の場所に移転するというような選択肢については、いまの土地を売却すると不動産地価を考えると約38億円程度のキャッシュが入るであろう。ただ、移転すると移転した所で賃料が発生するわけですが、それを東京から埼玉、あるいは千葉等に離れたとしても、2億円近い賃料が毎年必要となってくるので、38億円のキャッシュで現在の運用環境を見ると、2億円を毎年捻出するのは難しいだろうというようなこと。
 あるいはそれでは建物を取り壊して、新たなもう少し便利なビルを建築して、一部賃貸するようなことはどうかというようなものも選択肢に上げておいたのですが、それであると新規のビルの建築に50億円程度の新たな投資が必要となってくる。これは12階建てのビルを想定したのですが、50億円程度の投資が必要であり、かつそれを他の機関に貸し出すというようなことになりますと、私どもが建物のビルの賃貸業に本格的に乗り出すということになってしまいますので、それは機構のような公的な団体の性格からいって相応しくないのではないか。また、やはり初期投資の50億円は、共済契約者のことを考えた場合にリスクとして大きいのではないかというようなこと等があり、他にも選択肢をいくつか上げたわけですが、やはり結論としてはそこに書いてあるようなまとめのところの結論をいただいたということです。
 松戸と越谷という2つの宿舎が私どもには残っていたわけですが、これについては平成21年度末にこの両宿舎を廃止させていただきました。既に入居者についても退去を完了しております。なお、廃止後の処分ですが、松戸の宿舎については国と合築になっています。また、越谷の宿舎についても土地及び建物を雇用・能力開発機構と持ち合いという形になっています。そのため、宿舎の廃止後の処分、売却をできるだけ早くしたいと私どもも思っておりますが、それに向けて厚生労働省及び雇用・能力開発機構と協議を行っているところです。
 次に評価項目の15です。「予算・収支計画及び資金計画」等で、中期計画の予算の範囲内で適正に予算を執行しているか。運営費交付金について、収益化基準に従って適正に執行しているかということですが、予算の収支についてはその表に書いてあるとおりです。
 なお、平成21年度が平成20年度に比べて予算において6億円多くなっているのは、いわゆるシステムの最適化により、平成21年度は8億円程度費用がかかっているということもあり、平成20年度よりも7億円弱システム最適化の経費が余分にかかっているということから、予算上は多くなっています。決算においては下のところにあるように、システム最適化の調達、すべて競争入札とすること。随意契約の適正化の推進を図るということ。また、四半期ごとに予算の執行状況を把握して、各事業へ経費節減を指示したということ。特に人件費が相当の減をすることができたということ等から、21年度決算は予算に対して5億円減となっているところです。
 最後に「職員の人事に関する計画」です。評価の視点としては、職員の採用、研修、人事異動等について、適切に実施しているかということです。最後の頁ですが、職員の人事に関する計画としては「研修の充実」ということで、「独法におけるコンプライアンスの進め方」等について、セミナーに総務部職員を派遣して受講したということのほか、職員からの要望等も踏まえまして、先ほどもちょっとお話に出ましたが、電話対応その他接遇のスキルを磨くための研修を新たに実施して、職員を派遣したところです。
 「21年度研修実績」が右の表に書いてありますが、基礎研修、実務研修、それぞれ各階層ごとのものと、業務に必要な研修を実施したところです。
 「職員の採用」ですが、21年度は13名採用ということで、非常に就職が厳しいということを反映してか、昨年度は前年の7割増の200人余りが私どもの機構にも応募していただきました。その200人に対して、従来の筆記及び面接試験に加えまして、集団討論を実施し、コミュニケーション能力、あるいは調整能力等に優れた人材の確保を図ったところです。併せて重度の障害者の方1名を採用し、求められている雇用率を相当大幅に上回った率を達成しているということです。

○井原部会長
 ありがとうございました。それでは委員の皆様は評定記入用紙に評定等を記入してください。ご質問等がございましたらどうぞ。

○篠原部会長代理
 評価項目13「健全な資産運用等」で、2件質問をさせていただきたいと思います。まず、35、36頁を見ると、資金額とパフォーマンスと大体一致しているのですが、清退共が9.07%で54億円、林退共が134億円で4.48%と引っ繰り返っているのですが、これはどういう原因なのですか。資金量の少ないほうが、運用益が多いのですが。

○勤労者退職金共済機構総務部長
 それは各事業ごとにその事業の目的とした期待収益率等を勘案して、ポートフォーリオを組んでいるわけですが、特に林退共においては、累積欠損金を抱えているということから、できるだけリスクを絞った運用をしているという実情があります。例えば林退共においては国内債券、これは国債等の国内債券ですが、その資産配分が95.6%ということで、ほとんどを国内債券で運用していると。一方、清退共の場合は剰余金があるところですので、もう少しリスクを取れるということで、国内債券が91%、株式が4%、外国株式も2%というような比較的自由度の高いリスクを取れた運用ができているために、清退共のほうが資産量は低いのだけれども、取れているという状況にあるということです。

○篠原部会長代理
 2点目の質問なのですが、省内事業仕分けで、一緒にしてしまえという話で、運用は1つの袋でやったほうが運用益がいいのではないか。いまの話を聞くと難しいという面と、より規模を大きくしたほうが運用益はいいのではないかという部分と、相対する部分があるのですが、これは絶対駄目なのですか。それとも何か手当てをすれば可能なのですか。

○勤労者退職金共済機構総務部長
 それらの点についても、私どもの外部の委員からなります資産運用評価委員会ですとか、あるいはALM研究会でも議論するところではあるのですが、1つは先ほどの各事業本部ごとに累積欠損金を抱えているところと、剰余金があるところの資産運用のリスクをどこまで取れるかという問題。もう1つは事業によりまして、例えば非常に掛金収入よりも退職金支出のほうが多くなっているところがありますので、そういったところはキャッシュフローを相当確保しておかなければいけないというような実情もあり、それぞれ事業本部ごとに必要とする期待収益率とか、そういったものを勘案した上で基本ポートフォーリオを定めているということがあります。1つは区分経理というものの制約がありますが、併せてそれぞれの事業ごとの運用に当たっての基本的な姿勢といいますか、目標が違っていますので、なかなか一緒にした上で比例配分するのも難しいのではないかというようなご意見もいただいているところではあります。

○篠原部会長代理
 財務諸表の統括という総合で見ると、現金及び預金が約400億円あるのですが、いま言った手元資金でおそらく検討された結果の累積が400億円か、あるいは多少の余裕を見ていて、もう少し何かほかで運用できないのかなという気があるのですが、その辺のことは。

○勤労者退職金共済機構総務部長
 各事業本部ごとに毎月資産運用の計画は立てているわけですが、そこで掛金収入がどれぐらい入ってくるか、あるいは退職金支給がどれぐらいあるのかというものを推計して、かつ、資金がショートしてしまうということは絶対に避けなければいけませんので、一定の安全率というものを掛けた上で、そういう資産運用を例えば国債をするとか、どういった形で資産運用をするかを決めていますので、そういった意味で一定の安定係数という意味で現金を確保していると。これはキャッシュフローの確保のために必要なものだと考えておりまして、それは毎月資産運用計画を立てる上で計算をし直しています。

○篠原部会長代理
 最後の43頁で、研修実績を見ると、役員と部長、次長がほとんどないと。私ども会計士だと全員がいろいろなものを受けなくてはいけないように制度化されているのですが、内部統制とか、新しい分野もあるし、もう少し研修テーマがあるのではないかという気もするのですが。いないほうがいいではないかという部分もあるかもしれないのですが、研修で行ってしまったほうが。いろいろと考えると、もう少し何か研修を考えたほうがいいのではないかという気もするのですが、どんなものでしょうか。

○勤労者退職金共済機構総務部長
 ここには載っていないのですが、各役員の方々については、それぞれアドホックにいろいろなセミナーのようなものを必要に応じて受講しております。これは当初の研修計画に書いているので、必ずしもないのではないかと思いますが、そういった必要な研修は受講していただいています。平成20年度ですと、コンプライアンスのための研修、本年度はセクシャルハラスメントに関する研修を、役員、管理職全員で受けたわけですが、そういった事柄についての研修は実施しているところです。

○井原部会長
 先ほどのところで教えていただきたいのですが、公的機関だから不動産運用はちょっとまずいのではないかとおっしゃったでしょう。

○勤労者退職金共済機構総務部長
 はい。

○井原部会長
 それは公的機関だからという話はちょっと除いておきますと、やはり株式運用はよくて、不動産運用はちょっとまずいというのは、流動性の問題があるのですかね。

○勤労者退職金共済機構総務部長
 不動産としての運用というよりも、まさに不動産の管理という面では、私どもは基本的にノウハウがないというようなことで。かなり大きなビル経営をするということになりますと、実際に入居者を集めて、ビルの管理をして、適切な入居者管理を行うということについては、たぶんいまの陣容では難しいのだろうということを考えると、一定、外部にその業務を委託しなければいけないだろうというようなこと。もう1つは、いま都心においてはご案内のように非常にビルの入居率が下がっている。特に新しいビルにおいてはさらにそれが著しいという傾向もあるので、そういった状況の中で、私どもが共済契約者の方の資金について、例えば数十億円単位で投資をして、うまくリターンが出なかったときの責任というようなことも考えたときに、やはりどうかなというご議論だったと記憶しています。

○井原部会長
 公的機関だからという話は弱い話なのですね。

○勤労者退職金共済機構総務部長
 それは付け足しという。

○井原部会長
 付け足しなのですね。

○勤労者退職金共済機構総務部長
 はい。

○井原部会長
 そうするとわかります。

○勤労者退職金共済機構総務部長
 いまの不動産市場を考えるというのを前提においてということです。

○井原部会長
 はい。後はよろしゅうございますか。それでは以上ですべての項目の評価は終わりました。事務局からこの後の取扱いについて説明をお願いいたします。

○政策評価官室長補佐
 本日お配りしております資料については、ご希望をいただきましたら送付させていただきますので、事務局にお申し付けください。また、評価の記入をいましていただいていると思いますが、記入が終わっていない委員の方におかれましては、このあと、この会場にお残りいただいて記入いただいても結構ですし、評価シート、評定記入用紙等をお持ち帰りいただいて、ご自宅で記入いただくことも可能です。お持ち帰りいただく場合には、来週の13日火曜日までに事務局まで評定記入用紙をお送りいただければと思います。また、一声、その旨をお掛けいただければと思います。

○井原部会長
 それでは本日の議事は以上なのですが、次回の開催等について、事務局から説明をお願いします。

○政策評価官室長補佐
 次回は7月12日(月)午後2時からとなっています。場所は厚生労働省本省の専用21会議室です。また、次々回は続いて同じ週になりますが15日(木)午後1時から、厚生労働省17階の専用21会議室となっています。
 最後に冒頭にご紹介しました参考資料の3と4、省内事業仕分けと行政刷新会議の全法人分の結果の資料ですが、今後、毎回部会を開催する際には、担当のご議論いただく法人についての個別の資料を出す形にいたしまして、特別に配付するのは今日だけとしています。今後、毎回必要な資料は配られますので、もしご不用ということでしたら、置いて帰っていただいてもいいですし、お持ち帰りいただいても、どちらでもご自由にしていただければと思います。

○井原部会長
 それでは本日は以上とさせていただきます。長時間にわたり熱心なご審議をどうもありがとうございました。





(了)
<照会先>

政策統括官付政策評価官室

独立行政法人評価係: 03-5253-1111(内線7790)

ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 独立行政法人評価委員会(独立行政法人評価委員会労働部会)> 独立行政法人評価委員会労働部会(第59回)議事録

ページの先頭へ戻る