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2010年7月16日 第4回化学物質の健康障害防止措置に係る検討会

厚生労働省

○日時

平成22年7月16日(金)16:00~


○場所

経済産業省別館1020会議室


○議事

○寺島化学物質情報管理官 皆様方お集まりのようですので、これから始めたいと思います。本日は
お忙しい中、ご参集いただきましてありがとうございます。定刻になりましたので、ただいまから第4
回「化学物質の健康障害防止措置に係る検討会」を開催いたします。
 本日は岡部委員は所用のためにご欠席です。また、措置の検討に関しまして、事業者団体、あるい
は事業場の方からのヒアリング結果を含めてご議論いただくこととしておりますので、業界団体であ
る日本化学工業協会に所属され「リスク評価に係る企画検討会」の委員でもある山口委員にご出席を
お願いしておりますのでご紹介いたします。
 それでは以後の議事進行について、菅野先生にお願いいたします。
○菅野座長 本日もよろしくお願いします。議事に入る前に資料の確認をお願いします。
○寺島化学物質情報管理官 まず座席表の次に議事次第の1枚紙と、その裏面に資料の一覧があります
ので、ご覧いただきながらご確認ください。先ほどの資料を追加で配付させていただきました。それ
も含めてということになります。資料1-1として、検討シートの酸化プロピレン。資料1-2として検討
シートの1,4-ジクロロ-2-ブテン。資料1-3として、ジメチルヒドラジン。そして資料1-3の追加資料
として、保護具についての1枚紙が付いています。資料2-1として、「がん原性指針における作業環境
測定を実施する際の指標となる参考値の設定について(案)」ということで1枚。資料2-2として、
「指針対象物質において使用すべき保護具について(案)」。資料3として「指針予定8物質の指針
案」。資料4として、「今後の予定」の1枚紙が付いています。参考資料として、参考1「健康障害防
止措置の検討手順」。参考2はそれぞれのリスク評価書。参考3「指針予定8物質一覧表」です。落丁
等ございましたらお申し出ください。
○菅野座長 本日の議題に入ります。「平成21年度リスク評価対象物質の健康障害防止措置の検討に
ついて」、ご議論いただきたいと思います。前回の検討後、関係業界団体、関係事業者からのヒアリ
ング結果を踏まえ、物質ごとに検討してまいります。まず、事務局から資料1-1についてご説明をお願
いします。
○寺島化学物質情報管理官 まず検討シートの酸化プロピレンの資料1-1は、前回ご説明いたしました
が、そこも含めて若干説明させていただきます。酸化プロピレンは非常に沸点の低い蒸気圧の高い物
質で、これについて、サンプリングにおける作業ということで、次の頁の(2)のような対象物製造にお
けるサンプリング作業、あるいは他製剤におけるサンプリング作業、反応釜を開け柄杓でそれを取り
出して、そのサンプリングをするような作業において、高いばく露が認められたということでした。
これについて、関係事業者団体、関係事業者のほうにヒアリング調査を行い、具体的には簡単な調査
票を配付し、記入していただき、ご意見も含めて回収しております。(1)にありますが、業界団体とし
て、社団法人日本化学工業協会様、こちらは酸化プロピレンに特定の団体ということではなく、化学
業界の代表的な団体ということでご紹介させていただきました。それから日化協様にご紹介いただき
ました日本界面活性剤工業会様、こちらは会員企業の多くのところで非イオン界面活性剤の原料とし
て酸化プロピレンをご利用されているということで、調査対象とさせていただいております。(3)に取
組みとして、この物質についての特別な業界団体としてのまとまった取組みというのは確認できませ
んでしたけれども、一般的なレスポンシブルケアとしての取組みが行われています。リスクアシスメ
ントとかセーフティアセスメントについて、率先して取り組んでいただいているところです。
 それから(4)の特殊な作業ということで、ヒアリングにおいて把握した結果を書いてありますが、貯
蔵タンクからボンベへの充填作業という実際に測定を行った作業のほかに、タンクローリーから貯蔵
タンクへの受け入れ、メーカーからユーザーへの受け入れというような形の作業がありました。ヒア
リングを調査した21事業場のうち16の事業場でそういった作業があるということです。すべて屋外に
おける作業です。呼吸用保護具はあまり使われていませんでした。事業者によるリスクの見積りは、
取り外し、受け入れのときに、そのホースを脱着する際の取り外し時に微量、又はばく露はないとい
うような評価が多数でした。
 そのような状況ですが、合わせてこの健康障害防止措置を検討するにあたり、考慮が必要な事項は
ありますかということでお聞きしたことをここに書いております。(5)の措置の義務化による負担増と
いうことで、発散抑制措置の設備を新設する場合、やはりコスト高になり他国との競争に不利である
というご意見がありました。それからサンプリング作業での密閉化などの特別な措置についても、費
用がかかると。サンプリング作業について、一部の事業場から、もう密閉化していると。屋外での作
業でしたが、サンプリングの特別な装置を使って密閉化しているので、そういった作業については、
法的な緩和措置を求める意見がありました。
 次の4頁は技術的課題及び措置導入の可能性ということで、例えば発散抑制措置を導入するとした場
合、その措置に対して技術的に課題があるかどうかについて聞いたものです。基本的には4番目のカラ
ムにあるように、サンプリング作業の密閉化については、密閉シリンジ等のコストが高いとかいうコ
ンタミの課題、サンプリングの密閉化装置そのものの洗浄性が悪くなるとか、作業性が悪くなるとい
ったことについて、技術的に困難であるというものがありましたが、それ以外について、事務局の判
断としては対応が可能であろうということで記載しております。それと(3)の規制化の必要性として事
務局の提案ですが、関係事業者、関係事業者の取組みについてヒアリングした結果も含めてここに書
いております。
 自主的改善の進捗状況といういちばん左の列ですが、ここは前回は記載していませんが、今回のヒ
アリング調査の結果によりどれぐらいの事業場で措置を自主的に講じているかというところを調査し
たものです。情報提供の部分が、掲示について、有害物質をここで取り扱っていますという労働者に
有害性を喚起するものですが、これの掲示については7割。労働衛生教育は全数実施済。発散抑制装置
密閉化とか、局排についてはほとんど実施済です。作業管理の、作業主任者、作業記録の部分は全数
が実施済です。呼吸用保護具については、あまり実施がなく6割程度でした。健診について、特殊検診、
現在定めがありませんので独自にということですが、3割で実施でした。
 それと行政指導により効果が上がるのかどうか、比較的費用がかからないものについては行政指導
の効果が上がりやすいだろうということで、その自主的な改善と行政指導の効果を比較して、総合的
に自分たちですでにやっているものについては、自主的対策が可能、あまり措置が進んでいないもの
については何らかの規制が必要ということで評価を入れております。情報提供、あるいは発散抑制措
置とか呼吸用保護具、特殊検診というものについては、措置が必要ということで総合評価を書いてお
ります。措置の進んでいる労働衛生教育、作業主任者、この辺りは自主的な対応で可能であろう、既
にやっていただいているということでここには記載しております。ここまではそういった評価となっ
ております。
 次に対策オプションで、評価の手順のところに出てきます。考慮事項として、効率性、技術的な実
現可能性、産業活動への影響というところでオプション1、2、3を比較することとされております。オ
プション1として、原則すべて規制化する場合。オプション2として、既に関係事業者による自主的対
策が進んでいる労働衛生教育、作業主任者の配置についてはその対策を維持し、それ以外について、
規制措置を導入するというもの。オプション3として、基本的にすべて行政指導によって自主的改善を
促していこうというもの。これについてそれぞれ考慮事項について検討したのが下の表です。健康障
害防止の効率性については、オプション2のところであれば、作業主任者が不在の場合は効率性が一部
低下してしまうだろうということ。作業主任者の作業管理とか保護具の着用といった主導的な役割が
なくなってしまうので、多少低下する部分があるだろうということ。措置の継続性の確保のところで
あれば、規制化した場合には義務化により確保されると。ただし、自主的な改善で通知のみの場合は、
新規参入者でそれが措置されないとか、景気の動向によって継続的に措置されないとかいった可能性
があるのではないかということです。このような検討を踏まえて、(2)の最適な対策の最初に書いてあ
りますように、ヒアリングを行った事業場では相当程度自主的な改善が行われているということなの
ですが、改善は、例えば作業主任者であれば、本当に自主的な対策かというと、ほかの特定化学物質
を取り扱っているから作業主任者がいるのではないか、そして汎用性に鑑み、新規に事業者が参入し
てきた場合に適切な取扱いを徹底する必要があるのではないかということから、規制化の要否を判断
することとして、労働衛生教育、作業管理の作業主任者のところも合わせて規制化の必要は「要」と
いう判断とさせていただいております。事務局案としてそのように記載しております。ここの部分に
ついては、先生方に結論としてご意見をいただきたいということです。
 次に留意事項のところですが、リスクが低いとされた作業について規制から除外すべきかどうかと
いう部分です。貯蔵タンからボンベへの充填作業について測定を行っており、その測定結果ばく露が
低いことが認められておりましたので、保護具のみ推奨。すなわち、規制からは基本的に除外という
判定をしています。今回のヒアリングでたくさん作業があるということで出てきましたタンクローリ
ーから貯蔵タンクへの受け入れについて、基本的に作業形態とかばく露の程度が、ボンベへの充填と
同程度なのかもしれないと。ただし、同種で同程度なのかどうかは、実際に把握してみないとわから
ないということなので、これをもって減免を判定することは困難であり、実際に測定を行ってみて、
その結果に応じて規制の減免を判断することとしたいと考えております。
 それから留意事項等にあるように、酸化プロピレンについては非常に揮発性が高いということで、
サンプリング時に非常に高いばく露が見られると。製造設備、取扱い設備については基本は密閉化さ
れていますが、非常に高いばく露が見られるサンプリングの作業について、密閉型のサンプリング機
器が導入できないかどうかと。一部事業場にはそういうものを使っているところもありましたので、
そのようなところについて今後研究していく必要があるだろうということで記載しております。これ
は規制化についての要望があった論点でもあります。
 そういった全体の状況を踏まえ、選択肢1、3として設けております。特化則により作業主任者、局
排、発散抑制措置、作業環境測定、健診等の規制をフルセットで導入するというのが選択肢1、最適の
対策です。選択肢3は、現行対策の維持で、以上のような対策を行政指導で行うというものです。
 期待される効果として、労働者の便益、社会的便益、それと事業者の便益というところで記載して
おります、選択肢1のほうが便益が増加するだろうということです。
 次に7頁、想定される負担、望ましくない影響として、実施による事業者側の負担、選択肢1であれ
ば、負担は大きくなるだろうということ。選択肢3であれば、取り組む事業者にあっては負担が生じる
と。裏を返すと取り組まない事業者においては費用負担は生じないということになります。社会的な
コストとしては、全体として見れば労災保険とか、全体として傷病を被る労働者が減るわけですので、
費用分類Aと記載しています。
 分析結果として選択肢1のところ、フルセットで規制をかけるというものについては、労働者の保護
のため、今般の酸化プロピレンについても、その用途が多岐にわたり放置した場合に、多数の労働者
を健康障害のリスクにさらすことになるため、これまでと同様の規制を課すことによって、事業者に
費用負担の増を考慮しても本規則の実施は必要なものと判断すると分析しています。
 それから選択肢3のところに行政指導のみの場合が書いてありますが、同様の理由ですが、通達によ
る行政指導では、中小企業等では対策が普及しないであろうと。あるいはそれを把握することは難し
くて改善効果は限定されるだろうということから、選択肢としては望ましくない効果のほうが大きい
と書いております。
 次頁に結論として、措置の導入方針です。酸化プロピレンについては、用途が多岐にわたると。事
業場数、労働者数も多いことから、特化則の対象として特定第2類化学物質に指定するということが妥
当である。ボンベへの充填作業及びローリーからの受け入れ作業については、測定の結果により判断
するとしますけれども、この2つの作業、ないしはボンベへの充填のみかもわかりませんが、その作業
については行政指導のみ、自主的改善を指導することとするとしております。規制導入のスケジュー
ルですが、仮に規制をするとした場合に、これはどれにも共通のスケジュールとなりますが、規制の
改正案を事務局のほうで取りまとめ、パブリックコメントを10月から11月にかけて実施し、労働政策
審議会の安全衛生分科会に諮問し、その結果、妥当であるという答申が出た場合にはそれを政令、規
則として公布するという手続きに入り、基本的には23年4月施行を目指すことになります。以上です。
○菅野座長 ありがとうございました。酸化プロピレンについてご意見、ご質問、あるいはご提案が
ありましたらお願いいたします。
○田中委員 欠席していたものですから理解していないところがあるかと思いますが、酸化プロピレ
ンの沸点が34度ということで、大変気化しやすい。逆に防毒マスクというのは有機ガス用吸収缶を示
していると理解しますと、破過時間が大変短い物質であるということが予想されるのではないかと思
います。実は文化財の燻蒸ということでこの酸化プロピレンが使用されております。そこでは隔離式
の有機ガス用の吸収缶を使用しているのですが、使い捨ての発想で吸収缶を1回使うと廃棄するという
形で、いま管理を進めているというのが1例ですが実情です。そういう意味では防毒マスクの使用、保
護具の使用ということを進めていく上では、少し破過時間を確認しておく必要があるのではないかと
思うわけです。
○寺島化学物質情報管理官 基本的には適切な保護具については法令上、明確なこの物質については
こうというような定めではないものですから、行政指導でその辺りは細かく対応していく必要がある
というご指摘かと思います。
○菅野座長 ほかにいかがですか。それではこれは規制は全面的に行うということです。1点、タンク
ローリーからの受入という作業に関しては、今後実測を行う予定だそうですので、その実測値に基づ
きまして、規制の対象に加えるか、あるいは除外するかを事務局が判定していただくということで、
ご了解いただけますでしょうか。
○島田化学物質評価室長 いま私どもで評価基準値を作っていただいていますので、そのレベル以下
ということで、あるいは貯蔵タンクからのボンベへの充填の部分と大差がなければ、基本的にはそこ
はそのリスクが低いという判断をさせていただいてよろしいでしょうか。
○菅野座長 どうでしょうか。現時点ではppmと比較してということになるかと思いますが。
○山口氏 これはPRTRの第1種ということでもありますし、企業も当然排出をこういった充填の際も
含めて排出は極力しないようにやっていますので、測定に基づいて対応していただければよろしいか
と思いますが、基本的にはほとんど排出がないものと想像ができますが、同じような技術が、ほかの
化学物質に関しても充填の際に気圧でもとに返すようにしたりとか、いろいろなことを対応していま
すので問題ないものと思われますし、第一、ほとんどが屋外で行われる作業ですので、対応をすると
いうか、どういった対応ができるのかというのは非常に難しい点が多いかと思いますので、現実の作
業に基づいて実態を見て対応いただければと思います。
○菅野座長 それでは、この点については実測値が出るのを待って判断していただくということで、
ご了解いただけますでしょうか。
                  (了承)
○菅野座長 では、そのようにすることにいたします。続きまして、1,4-ジクロロ-2-ブテンについて
ご説明をお願いします。
○寺島化学物質情報管理官 次の物質、資料1-2のジクロロブテンのご説明をさせていただきます。こ
の物質は前回にもご説明させていただきましたが、事業場数が2ということで、両方の事業場で同種の
作業をしているということです。
 1頁めくっていただき、作業概要及び健康障害防止措置の採用状況、(2)をご覧いただきますと、合
成ゴムを作るプラントの配管から、その中間体ですので、そこからのサンプリングと分析の作業とい
うことで、一方の事業場ではバイパスラインからはバケツと三角フラスコによりサンプリングを行っ
ている。この作業でばく露が高かったということです。
 この2事業場のほかに事業場がないのかどうかということを含めまして、ヒアリングを行いました。
関係団体としては日化協様と化成協さんのほうにも打診しておりますが、ほかにそういった取扱い事
業場がないかどうかということで聞いています。
 そのほかにいちばん下にあるように、取扱い事業場が少ないということで、この物質がクロロプレ
ンゴムの合成原料であるということですので、そのクロロプレンゴムを取り扱っている業界団体、ゴ
ム工業会がありますが、そちらのほうに聞いたところ、この物質を経由して作っている事業場はもう2
つだけということでした。そういった事業場が少ないという状況です。特にこの対象物について特定
の業界団体、あるいは特定の取組みというのは確認ができませんでした。
 特殊な作業としてラインの清掃がありますということで、ヒアリング結果が上がってきていまして、
(4)にあるように、蒸留塔、全体のプラントの一部についてのラインの清掃が年に2回程度あるという
ことでした。
 次頁の(1)のところですが、ここは事務局提案前回どおりで、基本的に必要な部分だけ措置でよい
のではないかということで、前回はこのようにしてお出ししております。
 頁をめくっていただき(2)のところにありますように、何か措置を課すといった場合に問題がありま
すかということでお聞きしたところ、必要に応じてやっているということで、措置の導入に支障はな
いとまとめています。
 規制化の必要性の事務局提案のところの先ほどと同様の自主的改善の進捗状況についてですが、こ
こは2つの事業場しかありませんので、そこの2つにお聞きしましたところ、情報の提供については掲
示を片方はやっていないということでした。そのほかの発散抑制措置については密閉化も、それから
屋内分析室ですがドラフトの設置、休憩室については聞いていませんが、そういった通常の措置はも
う措置済みであると。作業管理についての作業主任者についても措置済みということでしたが、作業
記録の部分のみ、ここはやっていませんという事業場がありました。マスクですが、有機ガス用を使
っている。保護手袋も使っていますと。片方の事業場は全面形だったかと思いますが、一応措置はそ
のようにきちんとしていました。サンプリング作業は両方とも屋外でしたので、作業環境測定は必要
ないということになります。こういった状況を踏まえて、総合評価として、情報提供と作業管理の作
業記録の部分が一部未了であったということですので、規制が望ましいとさせていただきました。局
所排気装置のところですが、局排の設置のところは自主的対策ということでしております。
 そういった状況を踏まえまして、対策オプションとして3つ掲げていますが、オプション1はフルセ
ットで原則全部規制をつける。オプション2として、サンプリング作業の掲示と作業記録、調査した結
果できていないところだけ規制化して、そのほかは自主的に改善してもらえばよいのではないかとい
うことです。オプション3は、既に関係事業者によって局排の設置とか密閉化とかされているので、さ
らにきめ細かな健康障害防止対策を指導によって行うというのを挙げさせていただいています。
 それぞれについて考慮事項を検討した結果、健康障害防止措置の効率性の部分なのですが、オプシ
ョン1は効率性がやや高い。やや高いと言いますのは、現在もうほとんどされているので、少し規制を
かけたとしても、効率性はやや高いぐらいだろうと。オプション2として行政指導ということなのです
が、結論は一緒なのですが、行政指導部分の効率性は高いだろうと。自主的な対策にした場合は効率
性はやや劣るのではないか。やはり自主的にやるということですので、そこのところは少し劣るとこ
ろが出てくるのではないか。措置の継続性の確保のところも、それぞれオプションに応じて記載して
います。事業場数が限定されるので指導が行き届くのではないかというのがベースにあります。
 こういった状況を踏まえてなのですが、基本としては、オプションの比較では規制を課す対策オプ
ション2が適当と考えられる。その理由としては現在屋外でのサンプリング作業でばく露が高かったわ
けですが、密閉化とか、局所排気装置の設置が、基本的にはすべて済んでいるのですが、それによっ
て発散抑制措置等で、一層の発散抑制をしてもらうということを義務付けるとともに、掲示と作業記
録、できていないところを求める。
 現在も足りない措置としては、おそらくサンプリング行為自体が密閉化、適切な保護具を着用する
というようなところがいちばん大切なのだと思うのですが、そこのところについては、行政指導によ
って、きめ細かく対応していくことが適切であろうということで、そういった考えの下に、下の表に
規制化の要否として、情報提供、掲示の部分、作業管理の下のほうの作業記録の部分が「要」。それ
から発散抑制措置は、一応皆さんやっていただいてはいるのですが、ここがいちばん重要な部分です
ので、サンプリングの機器等の密閉化について自主的な改善を図るという付記を添えて、規制化が
「要」ということでまとめています。
 ということで、ここは両方の事業場で発散抑制措置といいますか、密閉化も、それから屋外でのサ
ンプリングですので、局排は必要ないですし、作業環境測定も必要ないと。ですので、きちんとされ
ていると。なのだけれども、そのばく露が非常に高いのが出てしまった。それをどうするのかといっ
たときに、密閉化のサンプリングの作業そのものを改善する必要があるのだろうと。それで改善でき
ない部分については送気マスクであるとか、全面形の陽圧式のマスクを使うとか、そういったマスク
での対応というような現実的な対応が望まれるところであろうという理解の下に、事務局案としてお
示しさせていただいています。
 次の頁に規制化の留意事項ということで、ラインの清掃についてのヒアリング結果でそういったも
のがありましたので、これについては基本的に屋外であるということと、年に2回程度であるというこ
とから、自主的な措置、屋外のサンプリングと同様に必要なものはやっていただくのですが、基本的
には減免の判定としては自主的措置という形で書かせていただいています。
 (4)のところに規制の影響分析とありますが、選択肢の1としては、先ほどご説明申し上げた考えに
よりまして、サンプリング作業については設備のみというか、局所排気装置、掲示、作業記録につい
て規制を導入する。その他については自主的な対策。選択肢の2は全部規制するフルセットというもの。
選択肢の3が行政指導による対応と、それぞれ比較して、労働者の便益としてはサンプリングの措置で
最適な対策を取れば、労働者の便益、事業者の便益、社会的便益も現状よりは増すであろうという結
論にしています。
 次頁の想定される負担の部分ですが、確かに選択肢の1番、遵守コストの部分ですが、選択肢の2の
フルセットに比べると、選択肢の1のほうが遵守コストのほうが少し下がる。局排と掲示、作業記録の
部分のみということで、測定とか健診が入ってきませんので、そこのところは下がるであろうと。そ
れから行政コストであるとか、社会的コストについては選択肢1と2ではさほど差がないのではないか
ということで記載しています。
 便益と費用の分析の結果ですが、選択肢1のサンプリングのみ、必要な対策のみ講じるというところ
については、労働者の保護のため、今般のジクロロブテンについてはサンプリング作業における必要
な措置に限定した規制を課すと。そして事業者に履行の確保を図ることが適当と判断するとしていま
す。
 選択肢の2については費用負担を強いる必要性は薄いのではないかと。既に対策が講じられている部
分も多いためということで書いています。選択肢の3は行政指導のみでは担保されないのではないかと
いうことが書いてあります。
 次頁、いちばん最後の頁に結論としてサンプリング作業における発散抑制措置、掲示、作業記録に
ついて規制化するとともに、本当に必要な上乗せといいますか、より一層の対策の部分については、
行政指導によってサンプリング作業の密閉化であるとか、送気マスクの利用であるとか、そういった
ところをきめ細かく対応していくということで記載しています。資料1-2の説明は以上です。
○菅野座長 ありがとうございました。
○半田化学物質対策課長 足りないところを行政指導にというよりも、法令の中で、法令条文の中で
はあまり細かく書き切れない部分があるので、例えば、「必要ならば措置を講じなさい」と規定して
おいて、もう少し具体的には指導通達というところで書くと。こういったマスクをこういう具合いに
使って、こうこうというのも条文の中では書き切れないということでの通達にということで考えてお
ります。
○菅野座長 というと、規制はしますが、詳細は通達でということですか。
○半田化学物質対策課長 はい。
○菅野座長 規制対象として入れて詳細は通達でと。
○半田化学物質対策課長 いま寺島からの説明で、規制したものの上乗せ部分を通達でと申しました
ので、その上乗せ部分という意味が誤解があってはいけないと思いまして、細目を、具体的な事項を
通達の中でお示ししたい。法令の中では書き切れないので、通達のほうでお示ししたいという意味で
の通達、上乗せ部分と申し上げておりますという補足の説明でございます。
○菅野座長 いかがでしょうか。現在取り扱っている企業は2社しかないということですが。
○唐沢委員 よろしいですか。頁数を振っていないので、資料の3枚目のところの労働衛生教育のとこ
ろですが、これは先ほどの酸化プロピレンと同じ表現にしておいたほうがいいと思います。雇入れ時、
作業内容変更時というふうに酸化プロピレンでは書いてありますので、そこのところはおそらく訂正
し忘れだと思いますが。
 それから後ろから2枚目のところです。?B便益と費用の関係の分析結果で選択肢2のご説明があった
のですが、ちょっとここがよくわからなかったので、聞き漏らしがあったのかもしれませんが、「今
般の1,4-ジクロロ-2-ブテンについては、その用途が限定的であり、既に対策が講じられている部分に
ついては、法規制をもって事業者に費用負担を強いる必要性は薄いと判断する」という、この後段の
「法規制をもって事業者に費用負担を強いる必要性は薄いと判断する」というのがよくわからなかっ
たのです。要するにもう事業者においては十分自主的な対応が取られているから、あえて法規制をす
る必要はないということなのですね。そういうふうに受け取っていいのですか。
○寺島化学物質情報管理官 そうですね。
○唐沢委員 わかりました。結論的にはオプションのいちばん最後の頁の(1)のオプションだというこ
とで、これは私は適切だと思いました。
○名古屋委員 これって、確かに抑制措置と書いてあるのですが、究極的にはたぶんマスクで防げる
のではないかと思うのです。適正とは書いてあるけれども、間違ってしまうと防毒マスクを使う可能
性があると。例えば評価値が0.005ですから、それはやめてしまって、エアラインときちんと決めてし
まったほうが、事業場は2つしかないし、短い時間だから、そうすれば間違いなく防げると。先ほど陽
圧と言われましたが、そういうふうに逆に決めてしまって、有効な保護具というのではなくて、マス
クを決めたほうがいいと思うのですが。
○半田化学物質対策課長 まさにそこのところを通達でと申し上げたのですが、法令の中で通常有効
な呼吸用保護具というのを法令の中で使っており、一部限定的には明確にはエアラインだとか、電動
ファン付き呼吸保護具と書いてある場合もありますが、基本的には有効な呼吸保護具と書いています。
そういう体系の中で、どの程度まで詳しく書くかというのがありまして、いまの部分は通達の中で送
気エアラインマスクなどが適当であるということをお示しするのがいいのかと考えております。
○名古屋委員 というのは、ばく露でもスポットも0.119、0.074ですね。これは10分の1にしても評
価値を超えているわけですね。ということは、要するにトンネルで電動ファン付きを固定しているの
と同じことにしておかないと、間違ってしまうよということだと思います。
○田中委員 エアラインということになってしまうのでしょうか、どうでしょうか。
○半田化学物質対策課長 はい、エアラインあるいは送気マスク。
○名古屋委員 2社だから。
○田中委員 有効な呼吸用保護具という記載ですね。現場が困っているぞということをよくお聞きす
る。何をどのマスクを選定したらいいのかということで困っているということでありますので、これ
だけ詳細なデータがあるとすれば、より適切な保護具を選定できる、いまの名古屋先生のおっしゃっ
たエアラインマスクを、ここでは提示してもいいのではないか。
○半田化学物質対策課長 通達の中でそこを明確にしたいと思っていますが、その際に、これはエア
ラインマスクしかないのかなと、ちょっとそこが通達を出すまでにまだ時間がありますので、検討す
る時間はあるのですが、ご案内のようにサンプリングなどのときですね、そのためにだけエアライン
を設置しなさいというのもなかなかのものだなという感じが正直言っていたしまして、かと言って、
やはりばく露があるのならやらなければならない。だから、そのほかに何か例えば粉じんの場合でし
たらエアラインでなくても電動ファンだとかが考えられますが、もう少し簡便なものがないものかな
というところです。
○田中委員 あと空気呼吸器ですよね。
○名古屋委員 そうすると、ボンベを背負うとか。
○田中委員 また、もっと作業員の負担も。
○半田化学物質対策課長 リスクも高いと思いますので。
○名古屋委員 そうなんですよね。
○田中委員 いまエアラインでもコンプレッサーを用意して、新鮮な空気を圧縮して送り込むという
方法、あるいは配管してカップラー等で作業場に行ったら接続して呼吸に使うという形で使用がされ
ていますので、難しいというか、大変かもしれませんが、できないということではないと理解してい
ます。
○寺島化学物質対策管理官 片方の非常に高いばく露が出たほうでは、三角フラスコに受けているの
ですが、片方の事業場では見ていないのでわかりませんが、受け口のところにガチャとはめて密閉化
しているサンプリング装置があるらしく、そういったものを使っているのですが、そこでも0.015とい
うのが、そのときたまたまというか出てきてはいるのです。なので、ワンステップとしてはサンプリ
ング作業をもっと密閉化するものを使っていただく。それで、きちんとできているのかどうかという
のは、屋外事業場における作業環境測定のガイドラインがあるので、そういったもので把握していた
だくというオプションもあり得るのかと。その上で個人ばく露測定でモニタリングをしてもらって、
やはり駄目だったら送気マスクとか、大丈夫だったら防毒マスクという自主的な改善というか、現実
に即した対応が可能なような、そういうアドバイス的な行政指導を書ければと思っています。
○名古屋委員 それはかなりいいと思うのです。ただ、1つあるのは密閉化していても、密閉化するリ
スクと。要するにリスク時間が短いではないですか。そこで密閉化されたことを確認するよりは、確
実にマスクをしたほうが間違いないわけではないですか。ですから、やはり両方併記なのだけれども、
どちらが重たいかなといったら、この濃度を考えると、マスクのほうが重たいのかな、ちゃんとして
いたほうがいいのかなと。変に密閉化されて、本当に作業性が悪いところまで密閉化していって、作
業性が悪いとやるよりは、ある程度普通にしておいて、マスクをして、要するに時間が短いわけだか
ら、それで年間2回なのだから。だったら、逆にマスクのほうが。
○寺島化学物質情報管理官 年間2回なのは全体の洗浄で、サンプリングは毎日ですね。
○菅野座長 これ個人ばく露の測定ですが、最大値が0.074で、上側限界値が1.42というのは異様に
高いような気がするのだけれども、測定値は何個ぐらいあるのですか。
○山口氏 計算値ですね、もしも事業場が、さらにたくさんあったとしたら、計算上。
○菅野座長 では95パーセンタイル値あるということではないのですか。
○山口氏 実際は2事業場しかないのですが、もしも事業場がたくさんあったときに、この測定したと
ころから分布を考えると、高い値としてこういうものもあり得ると。
○名古屋委員 その場合は統計的にとるというわけですか。母数が少ないから。
○山口氏 そうです。
○名古屋委員 母数が少ないから、本来的には母数が多いとその参考値は使いましょうとなったのだ
けれども。
○菅野座長 いや、実際に何件ぐらい測定されたのですか。
○寺島化学物質情報管理官 4人です。2事業場4人です。
○名古屋委員 4人だから無理なのでしょう。
○保利委員 あまり意味がない。
○名古屋委員 一応参考値として出しているという形なのでしょう。
○菅野座長 先ほどマスクの話が出ましたが、0.074が最大値で、これを目安に2次評価値と比較する
ならば、1桁上ということですから、全面形のマスクでもある程度対応可能かなと。これと比較するの
でしたら。ただ、1.42ppmというのを比較の対象にするのですと、吸気式でないマスクではちょっと無
理だと思います。
○名古屋委員 でも防毒マスクは駄目みたいなのですが、10%は漏れてもオーケーなわけでしょう。
ということはやっぱり。
○菅野座長 いえ、それは考え方です。
○名古屋委員 半面にしてもやっぱり。
○菅野座長 全面が50ぐらい。
○名古屋委員 2%もいかないんでしょう。
○菅野座長 いや、そんなことはないでしょう。
○田中委員 合計したら50なんですよ。だから2%漏れるという。
○菅野座長 だから、それだと50分の1なので、7・4だったら大丈夫という。
○名古屋委員 たまたまそれを測ったときが0.074かもしれないし、もうちょっと高いかもしれないで
すよっていうことがあるから、やはりそこは普通のマスクはいやだなと思います。2次評価値があまり
にも低すぎるから。
○菅野座長 いや、安全を考えればもちろんご指摘のとおり、送気マスクがいちばんなのですが。
○山口氏 最大値ですけども、ばく露時間、微妙に短いわけですよね。3分以下なので。
○半田化学物質対策課長 これは時間にしていますので。もっと高いのですね。
○名古屋委員 だから個人ばく露8時間と直していますから、8時間の平均値が0.074と。スポットは
0.119になっていますから。
○委員 あまり濃度変動がなくて、スポットとも大きく違っていないので、やはり高いのですね。
○菅野座長 これ8時間の平均値なんですか。
○名古屋委員 これは8時間は出さないです。
○菅野座長 個人ばく露。
○名古屋委員 個人ばく露は8時間ということで評価していますので。
○保利委員 特にスポットとそんなに変わってないですね。これ、ほかに何かあるのですかね。取り
扱っている時間内で。
○寺島化学物質情報管理官 そういうようなものは。
○保利委員 それだけなのですね、それだけで考えればいいのですね。
○菅野座長 ほかにいかがでしょうか。それではこの物質についてはこちらの。
○島田化学物質評価室長 座長、ご議論いただきたいことがございます。それは3枚目の裏面に「リス
クが低いとされた作業にかかる規制の考慮」という(3)の?@ですが、4番の対策オプションの(3)の?@で
す。ラインの清掃ということで、頻度が低いのでリスクが低いということで、自主的な措置が妥当で
はないかと事務局では考えていますが、最初の頁を見ていただきますと、「作業名」として同じく1の
「リスク評価の概要」の(3)のところに、「対象物合成プラントのストレーナー(フィルター)の洗
浄」、いわゆる常に行われている作業ではないものですから、測定ができなかったという状況です。
 おっしゃるとおり、頻度は非常に低いものではあると思いますが、こういう自主的な対策を求める
ということでよろしいかどうかということで、ご確認をお願いしたいということです。
○菅野座長 それではただいまの件についてはいかがでしょうか。
○唐沢委員 ラインの掃除でストレーナーの掃除は、私も現場を見たこともありますが、かなりばく
露されることは確かだろうと思うのです。だから、年2回にしても、高濃度ばく露がある作業がある程
度わかるわけだから、それなりの特別の措置を規制として導入するというオプションもあり得るだろ
うとは思いますね。ただ、そういうニーズがあるからといって、全部規制するという考え方には、お
そらく最近のやり方としては、あまり馴染まないということはあるでしょうから、その場合に年2回程
度のストレーナーの清掃作業ということであっても、ばく露の可能性を十分に見て、かなり厳重な化
学物質の全身防護具とか、エアラインマスク、あるいは空気呼吸器を必ず使えとか、厳密な意味での
行政指導をする必要は少なくともあるだろうと思います。
○島田化学物質評価室長 合わせて1頁目の(2)のところに、2次評価値の部分のいちばん最後のとこ
ろに、「なお、経皮吸収に注意喚起がなされている」ということで、これは世界的に見ても経皮吸収
というものが指摘されているものです。これは一般的にいう保護具の対応で、厳重にやれということ
でよろしいでしょうか。
○田中委員 そうですね、化学防護服の使用ということを示しているというふうに理解できますね。
○島田化学物質評価室長 では、そういうことも併せて行政指導の範疇で適切にやっていただくよう
にご指導させていただくようにいたします。
○半田化学物質対策課長 ちょっとその方向でやらせていただきますが、どういう作業なのか、どう
いうばく露なのかというのが全然わかっておりません。いま唐沢委員からご指摘のあった、かなりば
く露の高い作業であるというお話をいただきましたので、ちょっとここは、基本的にはいまのライン
を受け止めながらも、実態調査が可能かどうかということも勘案しながら、少し検討させていただき
たいと思います。
○名古屋委員 例えば歯科医療の現場でホルムアルデヒドを取り扱う頻度は多かったのだけれども、
使用時間が10秒ぐらいと短く、測ってみると著しく濃度が低かったので、だからリスク評価から外し
ましょうという話ができた。データが出てきて、それで評価したのですが、ここは測定していないの
で、やはりそれはきちんとやったときに出てこないと、短いからオーケーという話ではないと思うの
です。
○島田化学物質評価室長 幸い事業場も特定されておりますので、ご協力をいただくなりしてみたい
と思います。ただ、ご参考までに特化則の22条、22条の2辺りで、清掃とこういった場合の規定があ
るのですが、これは特化物の指定になっていないと規定がかかってこないのは確かです。だから、そ
ういう意味でもこのままだと擦り抜ける可能性がありますので、いま一度こちらで検討させていただ
きたいと思います。
○寺島化学物質情報管理官 追加でちょっと気になる点なのですが、頻度というのが年に何回という
形なのですが、その作業時間と濃度の積というようなことで考えると、本当に頻度が低いというか、
ばく露する時間が本当に少ないという判断でいいのかどうかというところが、ちょっと気になります。
たぶんストレーナーの清掃とかのほうがきちんと防護する形になると思いますので、ばく露する量は
トータルで同じように防護する形にはなるとは思うのですが、このリスク評価の段階で回数だけでの
評価でいいのかどうかというのがちょっと疑問に思いました。
○名古屋委員 前のホルムアルデヒドのときは回数と時間と濃度と3つのファクターでやっていました。
ここは2回だけど、長かったら危ないので、きちんとしたほうが、データが出てこないからしたほうが
いいですねということだと思います。
○菅野座長 時間については調査すればすぐできると思うのですが、濃度の測定もされるということ
ですか。
○島田化学物質評価室長 今回は用意していなかったのですが、前回の会議でご説明を申し上げまし
た評価書のほうにストレーナーの部分について載っておりまして、この事業場の場合、4時間から5時
間ということでした。
○棗田氏 もう少し詳しいところですと、先にトルエンで中を配管洗浄して、その後、エレメントを
取り出すのです。ですから、対象物質がどれぐらい残っているかというのは、ちょっとはっきりわか
らないということです。うちの測定のほうでもそういう作業をしているのであれば、ばく露が低いだ
ろうということと、最初の事前調査では月1回というように答えているみたいなのですが、タイミング
が合わないということで特定をしていないのですけれども。
○菅野座長 それはストレーナーですか。
○棗田氏 ストレーナーです。
○島田化学物質評価室長 いずれにしても、ちょっと事実関係を集めて、もう一度精査させていただ
きたいと思います。それで、次回また改めてご報告をさせていただくことにいたします。
○菅野座長 これについては、次回までにデータを付け加えていただくことをお願いしたいと思いま
す。
○島田化学物質評価室長 測定データまで取るのはちょっと難しいかと思いますが、作業の概要もち
ょっと工夫させていただきたいと思います。
○菅野座長 それでは、そのようにお願いいたします。続きまして、ジメチルヒドラジンについて、
ご説明をお願いいたします。
○寺島化学物質情報管理官 資料1-3、ジメチルヒドラジンです。ヒドラジンについては、ここも事業
場の数が少なくて、1枚目の(3)の事業場数をご覧いただくと、ユーザー別ばく露作業報告があったの
が3事業場、実態調査をしたのが2事業場ということでした。どんな作業でということなのですが、次
の頁の(2)にありますように、ドラム缶への充填作業、ドラム缶からの仕込み作業ということで、メー
カーおよびユーザーの部分で同様のドラム缶を開放しての作業でばく露が高かったということがあり
ます。
 それを踏まえてですが、関係業界団体というのは特にありません。いちばん下の業界団体、事業場
が限定的という所なのですが、事業場については国内のメーカーは独占1社状態。輸入している所はあ
るらしいという話はありますが、独占1社。それから、ユーザーは数社ある模様だけれどもということ
で、ユーザー数を聞いたのですが、それとユーザー別ばく露作業報告での把握数が合致せず、全数把
握できていないということです。
 特殊な作業についてヒアリングを行ったところ、分析のためのサンプリングがありますということ。
それから、中和工程、溶解工程で導入の作業がありますということだったのですが、ここについては
事業者によって、基本的にはばく露レベル2であるとか、リスクレベルという自主的なリスクアセスメ
ントを行った結果、このように見積られているということです。
 次の頁の3で、健康障害防止措置については、前回お出ししたとおり全部印を付けておりますが、ヒ
アリングの結果、そのような措置についてどの程度されているのかということで、次頁の(2)技術的課
題とか(3)規制化の必要性の部分に出てくるところです。措置を行う上での技術的課題について聞きま
したところ、前回のご議論のときに、ドラム缶にノズル等を直結してやれば、ばく露は防げるのでは
ないか。そのような機器があるのではないかということがありましたので、そういったものの導入の
可否について技術的にどうでしょうかということで聞いてみたところ、ドラム缶の作業自体の密閉化
については、ドラム缶にホースを直結することによって、正確な秤量が困難になるということで、難
しいというご意見がありました。これに対しては、例えば定量型とか、流量計付きのポンプであると
か、ちょっと高価になるかとは思いますが、現場に応じた工夫が可能ではないかと。当面は、技術的
課題と言っても局所排気装置で規制化することは可能ではないかということで書いてあります。
 プッシュプル式についても、ドラム缶を秤量する場面において、風量によっては秤量に影響してし
まうというご意見がありました。そういった所では囲い式の局排にするなどといったものが可能であ
ろうということで、記載しています。
 規制化の必要性の部分ですが、自主的改善の所をご覧いただくと、製造取扱いの2事業場について調
査を行っております。自主的改善の状況ですが、掲示については行っていない。発散抑制装置の密閉
化は、ドラム缶ということでされていない。一応、局排については措置済みだけれども、若干、有効
でないところが見られる。保護具については、防毒マスクはやっているのだけれども、実際に有効な
のかどうかという部分があります。保護衣ですが、一部、軍手を使っている所があったりして、有効
でないのではないかという実施状況です。作業環境測定はしていないということでした。
 総合評価としては、「必要」「それに応じて必要」「不必要」「望ましい」「自主的な対策」とい
うことで入れております。対策オプションとして、オプションの1としてフルセット、オプションの2
として自主的対策が進んでいる作業主任者、労働衛生教育は維持するというような、一部規制除外も
出しておりますが、下のオプション1、2、3の比較の所によると、効率性が高かったり、あるいは義務
化によって措置の継続性が確保されるということから、(2)の最適な対策にありますように、ヒアリン
グを行った事業場では、一定程度自主的改善が行われていたというものの、有害物ばく露作業報告未
提出の所があるとか、ドラム缶の荷姿で流通しているということ。それから、ジクロロブテンなどと
比べると、少し用途の広がりがあるだろうということで、適切な取扱いを徹底する必要があることか
ら規制化の要否を判断するとして、事務局案としては規制化の要否の所に「要」と記載しております。
前回もご指摘がありましたように、作業管理の所で保護具について検討が必要であろうということで、
記載しています。
 次の頁の(3)ですが、リスクが低いとされた作業については、検討の結果ここに記載しているとおり、
減免は不可であるということです。サンプリングについては、通常のばく露防止措置が必要であろう、
特に低いというわけではないということ。中和工程、製品製造工程は通常の作業ですので、減免不可
ということです。
 留意事項として、保護具についての適切な指導が必要であろうということです。規制の影響の分析
として、選択肢1、2、3ということですが、1は最適な対策としてはフルセットの規制の導入というこ
とで記載しています。選択肢3として現行の対策を維持するということで、行政指導。これを比較した
結果がずっと書いてあり、規制をフルセットでかけたほうが労働者の便益も守られるし、費用の負担
はかなり生じてしまうけれども、そこの部分は社会的コストも考えると、やはりこれが望ましいであ
ろうという結論を導いております。
 いちばん最後の頁の措置の導入方針ですが、ジメチルヒドラジンについては作業工程共通のばく露
が認められる。有害性が高く、事業場数等は少ないというものの、ほかのものと違ってドラム缶で流
通している。流通先の把握も困難であることから、規制の対象として特定第2類化学物質に指定するこ
とが妥当ということでまとめております。
 呼吸用保護具についてのヒアリング結果なのですが、かねてからジメチルヒドラジンについてはア
ンモニア用吸収缶がいいのか、有機ガス用の防毒マスクがいいのかというところがありました。実際
に使用状況がばらばらであったということもあります。何がいいのかということで、マスクのメーカ
ーに聞いております。その結果、片方ではアンモニア用の吸収缶でヒドラジンが吸収できるというこ
となのですが、ばく露限界値が非常に低いので、送気マスクを推奨。片方では、TWAの10倍まではア
ンモニア用吸収缶を推奨している。
 米国の3M社では、有効な呼吸用保護具の吸収剤がわかっていないことから、Respirator
Recommendedの所にありますように、送気マスク、しかも全面形を推奨ということで、3M社のガイドラ
インには出てきております。他方、事業場のほうから情報提供があったのですが、4にありますように、
日本中毒情報センターの提供資料の中に、中毒被害者の治療に従事する医療関係者を想定した予防対
策として、アンモニア用の吸収缶で30分1%濃度に対して保護されるという記載がある。出典を辿っ
たのですが、米国国立医学図書館というところまで。そこから先はアクセスの問題などもありまして
辿れていませんが、アンモニア用の吸収缶である程度は対応が可能という情報があります。
 こういったことを踏まえて、吸収缶としては、田中先生に事前にご意見をお伺いして、このように
まとめております。有機ガス用の吸収缶は破過時間が短いこともあるということで、上のアンモニア
用吸収缶を推奨する意見が多数であるということから、アンモニア用がいいだろうと。TWAのばく露限
界値が低いということなので、原則としてはやはりエアラインマスクであろうと。しかしながら、作
業場内の作業性の問題から、アンモニア用吸収缶の防毒マスクを使う場合には10倍程度までは半面形、
50倍程度までは全面形、それより大きければ送気マスクということで指導をしていってはどうかとい
うことです。その際には、防毒マスクを使う場合にはフィットネスの教育を行うことを条件とすると
いうことで記載をしております。こういった内容については、仮に規制するという場合には、先ほど
課長からもありましたように通達で示していくということになろうかと思います。以上です。
○菅野座長 この物質についてはいかがでしょうか。ドラム缶の荷姿で流通しているというのは、ど
ういう意味合いを持つのでしょうか。
○寺島化学物質情報管理官 化学工業ユニット社から出ている10万何々の化学物質という本があるの
ですが、あれにドラム缶の荷姿というように書いてあるのです。それに加えて、国内製造メーカーが
出荷するときに、ドラム缶に充填して、それを出荷すると。自分の工場の中でも使っているのですが、
1回ドラム缶に入れて、別の建屋に運んでいるという状況で、ドラム缶で流通していると考えられると
いうことです。
○菅野座長 つまり、自社消費していなくてということですか。
○寺島化学物質情報管理官 自社での消費もかなりあると。それとドラム缶での流通はやはり危険で
あるとか。
○長山室長補佐 先ほどのブテンのように、中間体で事業場の内で終わってしまうという流通でなく
て、そういったドラム缶で他の事業場に移るという形になります。そういった意味では、事業場数と
してはある程度見込まれるのではないかというように考えております。
○菅野座長 わかりました。
○唐沢委員 つまり、ほかの事業場で、ほかの化学物質を製造する中間体みたいな用途があるわけで
すね。そういう意味ですね。
○名古屋委員 ちょっと違うのではないかな。直接するときはそういうことなのです。
○島田化学物質評価室長 補足しますと、有害物ばく露作業報告で我々は調査をしているわけですの
で、500?s以上の使用に関しての把握はできますが、ドラム缶1本だとそこまで達しません。そういう
ようなものを使っているものはたくさんあって、ただ報告には上がらない可能性があるということで
す。
○名古屋委員 あと1点、技術的なことの中で、ドラム缶への充填作業のホースをドラム缶に直結する
というのですが、これは直結させないでもできる方法はいくらでもあるのに、あえて直結させる。た
ぶん乗せると秤量できないのだけれども、浮かしておいても別段できる。入れて出てきたものを抜く
だけだからできるのに、直結するからできないので、直結しない方法はいくらでもあると思うのです
が、そこはどうなのですか。
○寺島化学物質情報管理官 それは、こちらからのヒアリングの仕方の問題ではあるのですが、前回
ドラム缶の入口の所にノズルを入れて、そこの縁から出てくるというので、そこから空気をそのまま
抜けばいいのではないかという議論があったと思うので、それを踏まえて直結式という。
○名古屋委員 たぶんこういうのを置けば直結しないから、浮いているから。
○寺島化学物質情報管理官 浮いた状態。
○名古屋委員 そうそう。こういうのを直結するのに、普通浮いている状態にしてここから抜くから、
秤量には全然影響ないと普通は思うのですけれども。設置の仕方によるだけだと思う。要するにドラ
ム缶より少し多めに、大きくしておけば、そこから空気を抜けばいいだけだから、十分対応できると。
あえて流量をやるよりはそちらのほうが簡単で、効率はいいのかなと思う。
○棗田氏 測定の結果を今日持ってきて見ているのですが、2カ所、充填作業場所があるのです。1カ
所は、先生がおっしゃっているタイプの充填ノズルの横側に排気装置が付いているタイプで、ここを
上下するというタイプです。もう1つのほうが上に付いていて、だいぶ離れているみたいで、そっちは
全く効果がないみたいなのですが、片方は風速面の所の吸引風速が9.0とか、随分出ているので、そち
らがたぶん効果があるはずなのですが、なぜか測定値が高いのです。
○名古屋委員 作業性が下手なのではないですか。風度と合っていないのではないですか。
○山口氏 ドラム缶レベルでパッと入れる作業が多いので、雑に扱っている可能性がありますね。
○棗田氏 そうですね。あとちょっと気になるのが、実はA測定の結果などを見てみると、充填作業の
周辺が高いのではなくて、ちょっと離れた場所が高いのですね。ですから、ドラム缶の中に残ってい
るのを窒素でパージしたりとかしているので、そうすると実際の作業ではない所が出ている可能性が
あるのかなと。山口先生が言われているとおりなのではないかと思うのですけれども。
○名古屋委員 だから、A測定が意外と高い。
○棗田氏 そうですね。ですから、個人ばく露はやはり比較的高めではあると思います。
○名古屋委員 A測定だって、評価値を超えている。
○菅野座長 ご指摘の点は、ここに列挙されているばく露作業以外にも、ばく露作業があり得るとい
うことですか。
○棗田氏 いいえ、書いてあるとおりで別にあれなのですが、先ほど局排が付けられないという話は
たぶん誤解で、そのまま我々が前回話していたような局排も既に設置されているという。ただ、2カ所
あって、1カ所だけがそういう局排で、もう1個はそういう局排でないという。効きが悪い局排のほう
がばく露が高いというのは当然なのですけれども。
○名古屋委員 発生源と上があって、ここに顔があるのだから、ばく露は高くなるよね。
○菅野座長 お話では、ちょっと問題があり得るということですが、全面的に規制をするということ
で。
○保利委員 保護具で質問なのですが、3Mのほう、資料追加のほうですと、Odor Thresholdが
8.79ppmですね。ということは、ほとんどにおいを感じない。この濃度ぐらいですと感じない条件だと
思うのですね。そうすると、マスクをしても,破過したかどうかというのがわからないまま、ばく露
されている可能性が、どうしてもあるかなという気がするのです。使い捨てにするのであればそんな
に破過を考えなくてもよいのかもしれませんけれども、私は若干そういう気がしました。
○田中委員 やはり送気マスク、エアラインマスク、でもこれのみだと現場の作業場ではきっと動き
や、作業性の問題でホースがくっついた形でしにくいぞと。そうすると、いまこの情報の中でも、1、
2と4でアンモニア用の吸収缶であれば、ある範囲で使えるぞというところで、それを少し現場に紹介
すると。もし可能ならば、破過時間を工具メーカーのほうでチェックしてもらって、それを根拠に少
し説明して。ただ、いまの段階でということで、1回使い捨てとか、1日使い捨て程度でないと、先生
がおっしゃるように臭気で破過を検知する、確認するのができないことを含めて、それで記載をしま
したというのはどうでしょうか。
○名古屋委員 わからないものは使い捨てですよね。ガスは怖いもん。
○田中委員 そうですね。
○名古屋委員 濃度が低いものはやはり使い捨てのほうが。もし使うのだったら、ちょっと多めの活
性炭を入れておいて、それで使い捨てというほうが安全ですね。
○菅野座長 これも個人ばく露濃度の値は、8時間平均なのですか。
○名古屋委員 ここはみんなそうです。
○菅野座長 A測定が1桁小さいですよね。A測定値は8時間平均でないですよね。
○名古屋委員 違います。スポットが作業しているとき、B測定にちょっと近い測定。
○菅野座長 いや、この個人ばく露濃度の値が8時間平均だとすると、実際は8時間作業していないで
しょうから、もうちょっと高い値なので。
○名古屋委員 そのときは、やらない時間帯を0として8時間で。
○菅野座長 いやいや、それはいいのですが、ですからこの濃度よりも高いわけですよね。
○名古屋委員 そうです。
○菅野座長 ということは、先ほどの話で送気でないマスクは使えないと。この濃度が8時間平均にな
っていると、使えるか、使えないかが、時間を示していないとすぐにはわからない。
○保利委員 時間が関係すると思いますね。
○名古屋委員 確かに0.5の。
○菅野座長 ですので、実際にはデータがあるわけですよね。
○田中委員 ただ、上の作業もあるという。作業がいろいろあるのだろうと思うので、この作業は送
気マスクだけですよと。その辺が50倍を超えたら云々という記載で。
○菅野座長 それは、この判定基準に従って、実際に濃度がいくつなのかというのを考慮して判定し
ていただかないといけないということになるかと思います。
○保利委員 上のほうでスポットを測定していないのは、そんなに高いというところが想定されない
ということですかね。その作業の間に、特別高いようなところがもしあればスポット測定でという話
ですよね。
○島田化学物質評価室長 現場では、高いと思う作業について、スポットをやってはいただいている
のですが。
○保利委員 スポット測定がないというのはそんなに特に高濃度の作業はないということで、よろし
いのでしょうか。
○名古屋委員 棗田さんに聞けばわかる。
○棗田氏 基本的には個人ばく露を中心にとっていて、よほど屋内で高そうだとか、A測定をとってい
る場合と、スポットは外が中心が多いですね。あと短時間作業という形でとっていますので、いまA測
定はたぶん幾何平均値を書いているのだと思うのですけれども。一応見ると、A測定の単ポイントだけ
の点数、一部分だけを見ると、やはり1.いくつなどの値が出ているので、瞬間的には高いのがあるの
かなという形ですけれども。どうしても幾何平均すると、ぐっと低くなるのです。0.065ぐらいなので
すが、最大が1.5と1.4というのがA測定では出ていますので、ほかのポイントが0.004とか5とかな
ので、幾何平均すると低くなると。ちなみに、標準偏差が12.96なので。
○名古屋委員 すごい。
○保利委員 1ppmに対して標準偏差が12。
○菅野座長 それにしては、今回は最大値と上限値の比が大して大きくないのですけれどもね。
○名古屋委員 これはデータ数が多いからでしょう。
○菅野座長 でも、2、3人は。
○名古屋委員 もともと最大値としていたのは、第2次評価値を超えていなかったとしても、もしかし
たらその中に第2評価値があるからいけないのに、イレギュラーするの嫌なので、統計的な手法を使っ
て計算しましょうという形で、それが超えていたら、そちらを最大値にしましょうとしているから、
これはたぶんこちらの計算値は合っていると思います。
○菅野座長 マスクの選定については、実際の濃度と比較してやっていただくということでお願いす
れば、よろしいですよね。ちょっと時間の都合もありますので、これは。
○寺島化学物質情報管理官 どこを。
○菅野座長 これは規制をするということで、推奨するマスクについては幾何平均とか個人ばく露で
はなくて、実際の濃度を考慮してやっていただくというほうがいいと思うのですけれども。
○寺島化学物質情報管理官 その選定に当たっては。
○菅野座長 はい。例えば0.577ppmとありますが、それだと57倍ということですよね。ですけれども、
実際はもっと濃度が高い。つまり、これは8時間に直しているので、もっと濃度が高いということです
から、その0.17のほうは、これも濃度が高いとするとマスクが使えないかもしれませんので、その辺
を考慮していただくということでお願いしたいと思います。
○田中委員 そういうことではなくて、一応、作業時間とか、作業時間とそのときの濃度、それを少
し見なさいというご指示ですね。
○島田化学物質評価室長 その濃度によって、エアラインにするとか、アンモニア吸収缶によってで
きるとか、その辺りはその場合分けをして現場で使っていただけるように指導させていただくという
ことで、よろしいですね。
○菅野座長 そうするほうがよろしいと思うのですけれども。2番目、3番目の物質については検討事
項も出ましたが、次回までにそれを取り入れて、次回に報告していただくということでお願いしたい
と思います。次回には、もう1つ、1物質の検討をお願いするということです。
 それでは、続きまして労働安全衛生法28条第3項に基づく指針にかかる検討をお願いします。
○平川査察官 資料に基づいて説明させていただきます。本日の配付資料については、資料2-1、資料
2-2、資料3、参考3ということで付けております。前回の検討会の中でも問題となりましたのが、作
業環境測定を実施する際の指標となる参考値をどういった形で持っていくかということ。あと、その
前の検討会で話があったかと思います保護具の関係です。この2点が指針の策定に当たり大きな問題点
で、課題になっておりましたので、中身についてまとめさせていただこうかということで、資料2-1、
資料2-2から説明いたします。
 資料2-1です。「がん原性指針における作業環境測定を実施する際の指標となる参考値の設定につい
て(案)」です。今後、がん原性指針について作業環境測定を実施する際に、やはり作業環境を評価
する場合の指標があるのが望ましいのではないかということで考えております。よって、それぞれの
物質ごとに指標となる参考値を示すことが望ましいのではないかということです。ただし、現段階に
おいては、「それぞれの作業における労働衛生管理の実現可能性」とか、「分析機関ごとの各物質の
定量下限」が一律ではないということですので、1つの参考値に限定して設定することは困難だろうと
考えております。そういった背景がありますので、今般、下記の考え方により算出された複数の参考
値を示すことをしたいと考えています。
 その参考値については、資料2-1の裏面に具体的な数値が書かれております。考え方について3つあ
ります。1つ目が許容濃度または構造類似物質の許容濃度等ということです。この許容濃度等について
は、日本産業衛生学会許容濃度、米国産業衛生専門家会議、ACGIHのTLV-TWAが設定されている物質に
ついては、その値を示すと。これらが設定されていない物質については、構造が類似している物質の
許容濃度等の値を示すという形にしております。
 したがって、裏の資料?@ですが、?@?A?D?Eについては、ACGIHのTWAなり、日本産業衛生学会許容濃
度が示されておりますので、これを参考として示しております。?B?C?F?Gについては、1-クロロ-2-ニ
トロベンゼン、2,4-ジクロロ-1-ニトロベンゼンについては、その類似物質ということでパラニトロク
ロロベンゼンの管理濃度が出ておりますので、それを参考値ということで示させていただきたいとい
うことです。また、?F?Gについては、パラ-ニトロアニソール、1-ブロモ-3-クロロプロパンですが、
類似物質でいうとパラアニシジンの許容濃度が日本産業衛生学会なり、ACGIH-TWAで示されております。
また、ジニトロトルエン(混合物)のACGIHでのTWAが示されておりますので、その2つの値を示しま
した。
 ?G1-ブロモ-3-クロロプロパンについては、1,2-ジクロロエタンの管理濃度、炭素数は違いますが、
こちらの管理濃度がありましたので、こちらの管理濃度を参考値として示しているということです。
?@についてはそういった形です。
 ?A?Bです。この?A?Bについては、前回の検討会において、今回、日本バイオアッセイ研究センター
で行ったがん原性試験をベースにして、生涯過剰発がんレベルの算定を行いました。前回は10-4とい
う数字を示させていただきました。10-3に対応する値は、その10倍緩い値ということで、書かせてい
ただいております。その数値が裏の?A?Bに当たるものです。
 10-4に当たるものについては、前回の検討会で数値を示しているところです。がん原性試験において
は、生涯過剰発がんレベルの10-3、10-4を示した経緯ですが、日本産業衛生学会において、発がん物質
については生涯過剰発がんレベル10-3、10-4に対応する濃度レベルの評価値を示していると。これは労
働者が受容し得るリスクとして勧告するものではなく、発がん物質の衛生管理を熟練者が行うための
値として示していることがありましたので、これを参考にして参考値として示したということです。
 また、一応、参考値として示しているのですが、この参考値を選択する際の留意点として、指針か
通達かの中で次の事項を示すということで、労働衛生管理は測定が可能であることが前提となる。こ
れが前提条件ですので、参考値の選定に当たっては、依頼する分析機関の定量下限をあらかじめ確認
することが必要だろうと。事業場が参考値を選択する際には、当該濃度の1/10まで測定が可能である
ことが望ましいということです。
 もう1点が、事業場が参考値を選択する際には、当該物質が動物実験において発がん性が確認された
物質であるということを考慮して、可能な限り低い参考値を選択していただきたいというところで留
意点を示したいというところです。資料2-1については、そういった考え方で参考値を設定したいとい
うことでの案です。
 続きまして、資料2-2です。「指針対象物質において使用すべき保護具について(案)」。先ほど保
護具については、いろいろ議論がありました。作業管理においては、やはり保護具が重要な要素を示
しておりますので、それについて今般、指針、通達の中身の中で、できる限り現指針のレベルの中で
も示せるものは示してまいりたいということです。まず、使用すべき保護具については、労働者に化
学物質をばく露させないように、一定の基準をクリアした、適合したものを使用していただくのが望
ましいかと思います。防じんマスク、防毒マスクについては、型式検定に合格した型式検定合格標章
の付いたものを使用していただく。それ以外の保護具については、JIS規格適合品を使用する必要があ
ると考えております。今般、対象としておりますのが呼吸用保護具、化学防護服、化学防護手袋、化
学防護長靴、保護めがねです。それらについて、1つずつ詳細についてまとめましたので、それを説明
いたします。
 呼吸用保護具についてですが、当然のごとくJIS規格適合品を使用する必要があると考えております。
安全性の面から言っても、送気マスクがいちばん望ましいかと思いますが、ホースなどをつなぐとい
う形で、物理的な制約等もありますので、さらに以下の表にあるマスクを推奨したいと考えておりま
す。なお、?B?C?Fについては、許容濃度等がまだ示されていないということでもありますので、そう
いったものが決定され次第、見直していくことが望ましいのではないかと考えております。
 ?@塩化アリルについては、推奨されるマスクとしては送気マスク以外には有機ガス用防毒マスクと
いうことです。留意事項については、この物質が沸点が非常に低い物質であり、破過時間が短いとい
うこと。酸化剤と反応させると、CO、Cl2、HClが発生する、有毒ガスが発生するので、通常の使用で
は有機ガス用の防毒マスクでもいいかと思うのですが、酸化剤と反応させる場合には有毒ガスが出ま
すので、有機ガス用防毒マスクは使用しないことということで書かせていただきました。
 ?Aオルトフェニレンジアミン及びその塩ということです。加熱作業等が出てまいるのと出てまいら
ない場合での場合分けはさせていただきましたが、実際のところを申し上げれば、固体でもある程度
の蒸気圧があるということですので、そこのところは考慮を要する部分かと思いますが、現段階では
このような書き方をしております。加熱作業がない場合は防じんマスク、防じん機能付き防毒マスク、
加熱作業がある場合は防じんマスクは使わず、防じん機能付き防毒マスクという形で書かせていただ
いております。許容濃度が0.1?r/m3という数値ですので、等級でいうと2と3の等級のものでよいの
ではないかと考えました。留意事項ですが、固体で若干の蒸気圧を有するというところをまず書かせ
ていただいて、酸と混ぜると問題点があるということで、通常の使用では左に書いているものでもい
いのですが、酸と反応させる工程に使う場合には防じんマスクは使用しないという形で書かせていた
だきました。
 ?B1-クロロ-2-ニトロベンゼンです。これは濃度等から考えた場合に、2と3の等級でよいのではな
いかと考えております。これも固体で若干の蒸気圧を有するということなので、それを基にして考え
なければいけないということです。さらに、1-クロロ-2-ニトロベンゼンを酸化剤と反応させると、ま
たこれも有毒ガスが出ますので、酸化剤と反応させる工程では防じんマスクは使用できないというこ
とです。
 ?C2,4-ジクロロ-1-ニトロベンゼンについても、加熱作業がない場合、ある場合との場合分けで、等
級としては2と3でよいだろう。物質については、固体で若干の蒸気圧を有するということ。酸化剤と
反応させると、これも有毒ガスが出ますので、それを反応させる工程で使う場合には、防じんマスク
は使用できないということです。
 ?D?Eについては液体物質ということなので、有機ガス用の防毒マスクになります。これも酸化剤な
り酸・アルカリと反応させると有毒ガスが出ますので、そういった工程で使う場合には、有機ガス用
防毒マスクは使えないということになります。
 ?Fパラ-ニトロアニソールについては、等級については2、3の等級ですが、これも固体で若干の蒸気
圧を有するということなので、左の内容でいいかどうか、それを含めてご検討いただきたいと思いま
す。また、パラ-ニトロアニソールに酸化剤を接触させる場合には、具体的にこのガスが出るという知
見が得られていないので、ほかのところと比べると、はっきりとしたことは申し上げられないのです
が、一応「注意すること」ということでの注意喚起を書かせていただきました。
 ?G1-ブロモ-3-クロロプロパンについては、有機ガス用の防毒マスクということです。
 次に、化学防護服、化学防護手袋、化学防護長靴ですが、これもJIS規格適合品を選定していただく
ということになります。とりわけ耐透過性、耐浸透性、反発性については、JIST8115に定める試験の
結果から得られた等級を踏まえて、各等級ごとに示されている透過時間等を考慮した対応、例えば使
用時間を記録し、作業時間を経過する前に保護服等を交換するといった対応が望ましいと考えられま
す。なお、今般の8物質については、透過性試験、浸透性試験に関しては、同等の標準試験液がないと
いうことから、改めてJIST8115に定める試験を行っていただければと思います。また、いちばん保護
服として化学物質をばく露しづらい形態としては、気密形・密閉型というのがあるのですが、それに
ついては、例えばいまの暑い時期のような状況であれば、熱中症などにもなりかねませんので、暑熱
環境などの物理的要因を考慮した上での適切な対応をとっていただきたいということです。
 実際使える素材ということで、下の1から8の中で例示を書いてありますが、?A?C?E?F?Gについては、
現在のところ、そういったもののデータがないということなので、そういったものを使う場合には、
試験を行って問題ないということを確認した上で使ってほしいということになります。使用可能な素
材については、上記に列挙したものの他、以下も参照可能であるということです。
 3、保護めがねです。JIS規格品を選定するということで、スペクタクル形ゴグル形の使用が望まし
い。作業形態に応じて、防災面を併用しても構わないと考えております。また、一度破損又は汚染し
た規格品は使用しないことが望ましいというところで、保護具について現段階での指針レベルではこ
こまでの対応でということで、まとめさせていただきました。まず、資料2-1、資料2-2について、ご
意見を承れればと思います。
○菅野座長 それでは、お願いします。
○田中委員 資料2-1の裏側、「作業環境測定の指標となる参考値について」という一覧があります。
実は気になったのは、保護具と測定のところがどうもうまく合っていないような気がするものですか
ら、委員の先生方にご意見をいただきたいと思うのです。このうち?A?B?C?Fの物質に関しては、ACGIH
の許容濃度も、あるものは?r/m3で記載されているということ。保護具のほうを考えたときに、固体で
あって蒸気圧があるものですから、気体状物質が発生する。そのために、防じん機能付き防毒マスク
が望ましいという考え方で、固体と気体を除去するという、その選び方を作成したわけです。?Aのほ
うは、サンプリングの所、作業環境測定のところが硫酸含浸ガラス繊維ろ紙であるということで、粒
子プラス蒸気、気体が捕れるのか。?B?C?FがTenax管と書いてあるとすると、粒子で浮遊しているとき
に捕集が可能かというのがちょっと気になる。そこの違いが、作業環境測定のほうのサンプリングと
マスクのろ過剤、捕集剤、考え方がちょっと違っているというところで、少し確認が必要ではないか。
あるいは、現場での浮遊状態がわかれば、その辺を調製できるのではないかと思うのですけれども、
その辺ご意見をいただければと思います。
○菅野座長 それについては私からお答えします。このTenax管には、グラスファイバーフィルターを
前置しております。前置といいますか、中に入れております。したがって、もし粒子状のものが存在
すれば、捕れると。それで、蒸発したものはTenaxで吸収すると。
○田中委員 ありがとうございます。
○名古屋委員 構造で言っていますよね。そのときに、前の櫻井先生の委員会のときに、構造相関が
専門の方がいらっしゃいましたよね。あのときに、構造相関が確かに同じだけれども、濃度を同じに
しようと思ったら、代謝のときに切れる位置が違うと、構造が合っていても違うのだという話を聞い
た覚えがあるのです。そうすると、本当にここのところが構造相関のところでオーケーなのかどうか。
やはりその専門の方に聞かれて、切れる位置によってセイタイイキが違ったらまずいので、それを持
ってきたらいいかどうかというのはあるのではないかと思います。そこのところの確認はされておい
たほうがいいのかなと、ちょっと思うのです。
○平川査察官 構造類似物質のどういったものがあるかということについては、有害性評価の小検討
会の池田先生がいらっしゃいまして、その先生にどういったものが類似物質としてよろしいでしょう
かといったことは、お伺いさせていただきました。1-クロロ-2-ニトロベンゼン、2,4-ジクロロ-1-ニ
トロベンゼンについても、トキシコフォアというのでしょうか。「これについてはニトロ基であると
考えられます」ということで、「化学的に性質の似たパラニトロクロロベンゼンの値を引用すること
は妥当だと考えます」というコメントをいただいておりましたので、そうしたことで参考といたしま
した。パラ-ニトロアニソールについても、アミノ基とニトロ基が毒性学的にほぼ透過だというご指摘
がありましたので、今回、類似物質とさせていただいております。1-ブロモ-3-クロロプロパンについ
ても、類似の物質ということで、1,3-ジクロロプロパンと1,3-ジブロモプロパンの値を調べようとし
たり、先ほどの1,2-ジクロロエタン、1-クロロ-2-ブロモエタン、1,2-ジブロモエタンといったものを
調べたところ、ありましたのが1,2-ジクロロエタンだけだということでしたので、今回この数値を引
用させていただいたということです。
○名古屋委員 安心しました。それがちょっと頭にあったので、お聞きしました。
○大前委員 平川さんのほうから問合せがありました表現の仕方でいいかということですが、今朝こ
れを見ましていいと思ったのですが、よくよく考えてみますと、今回出ている生涯過剰発がんレベル
の話なのですが、この値というのは基が動物実験の値ですよね。産衛の生涯過剰発がんレベルを計算
するときは、人のデータを使って、過剰分を引いてやっているのです。動物実験のデータとちょっと
計算の仕方が違うので、動物実験から持ってきたのは過剰発がんにはならない。絶対数値になってい
て、過剰発がんリスクになっていないということに、いま気が付きました。
 それで、表現の仕方としては、動物の場合は過剰発がんではなくて、通常の発がんリスクレベルと
いう形だけでよろしいのではないか。産衛の場合は確かに過剰発がんで、ベースも一応引いています
ので過剰発がんが出ているのですが、そこの考え方、計算の仕方が違うかな。たぶん動物の場合は通
常のステージモデルで、いろいろなモデルを使ってパッとやって、それに対する10-3とか10-4という
数値を持ってきているはずなのです。そこだけ、あとでまたどういうように表現したらいいか、もう
少し考えて連絡したいと思います。ちょっと過剰発がんではまずいかなというように、いま見て思い
ました。
○菅野座長 具体的には、数値は大きくなるのでしょうか、小さくなるのでしょうか。過剰発がんと
いうと。
○大前委員 過剰発がんになりますと、ベースラインを引きますから大きくなると。動物の場合はベ
ースラインを引かなくて、単純に値でやっていますから、ベースラインを引いていないと思うのです。
○菅野座長 この値よりはちょっと大きめになる。過剰発がんというのが求めたですね。
○大前委員 動物でやれば、そういうことになります。動物はそういうことがよくある。
○菅野座長 ほかにはいかがでしょうか。
○島田化学物質評価室長 事務局から質問させていただければと思います。いまの資料2-2ですが、後
段のほうに2ということで化学防護服、あるいは化学防護手袋、これらについての規格が書いてありま
す。その中に、特にJIST8115に定める試験を行うことが望ましいという表現をいただいておりますが、
これは各事業場で実施することが可能なようなものなのでしょうか。
○田中委員 できません。
○島田化学物質評価室長 そうすると、「望ましい」というのは、あくまでも我々が何らかの対応を
とらなければいけないという意味でしょうか。
○田中委員 行政にとっていただいて、その数値を公表する。これも1つの方法だと思うのですが、事
業場でどうしても手袋、服を選定したい。事業場から検査機関、あるいはメーカーに依頼をするとい
うのでしょうか。そういう方法も2番目にあるのではないかなということで、そのデータを把握した上
で選定する。これが望ましいという形で書かせていただいた。やり方としては、行政か事業場という
ように考えて、できたら行政が、穴があいている、データなしというところ。とりわけ、これでいい
のかどうかというところを何かご検討いただければと思うわけです。
○島田化学物質評価室長 どういう形でできるか、また次回までに田中先生にもご相談に乗っていた
だいて、進めていきたいと思います。
○菅野座長 私からも質問していいですか。このT8115というのは、例えば物質Aで浸透性を調べると
いう場合、どのような濃度の。
○田中委員 通常、透過試験を行うときはガラスセルが2つありまして、その間に手袋、あるいは服の
素材を挟み込む。一方のほうに液、試験対象物質を入れて接触させる。それからが実験開始というこ
とで、一定の温度の中で放置しまして。
○菅野座長 純品ですか。
○田中委員 純品です。純品で試験をして、そして接触をさせて透過という形で、反対側のセルのほ
うに一定流量で空気を通気して、出口側でそれの高感度分析ができる装置と。ここではガスクロマト
グラフ等を設置して、そして透過濃度の基準値に達するまでの時間ということで求めるという方法で
あります。
○菅野座長 ありがとうございます。もう1点、?A?B?C?Fについて防じんマスクと書いてあるのですが、
これを蒸気圧が許容濃度等に相当する濃度ではありますので、除外したほうがよろしいのではないか
と思うのですけれども、いかがでしょうか。
○田中委員 欠席した前回の検討会で、防じんマスクか防毒マスクか、どちらを使用が可能なのだと
いうことをコメントしろということが意見として出たということを、事務局のほうから言われました。
そういう意味では十分ではないのですが、防じんか防毒か、どちらを選ぶと言ったら、防じんマスク
のほうで、そういう意味では、呼吸用保護具で二重丸は送気マスクである。一重丸が防じん機能付き
の防毒マスク。三角が防じんマスクであるというところであります。いま座長のご指摘の三角の部分、
すなわち蒸気圧があって、それが無視できないという、ばく露に影響を少なからず与えるぞというこ
とであれば、その三角の防じんマスクを外すということも1つの考え方だろうというわけです。
○保利委員 いまの話だと作業環境測定でグラスファイバーフィルターを通してTenaxで捕集するとい
うことを言われましたけれども、であればこれはガス成分だけを測定するという形ですか。
○菅野座長 いや、全部蒸発しますので。
○保利委員 全部蒸発させる。それで、加熱脱着でやると。
○菅野座長 いや、加熱脱着した時点で、全部蒸発しますので、全く問題はないと思います。
○田中委員 先生、それは捕集管のTenaxを押さえるところのグラスファイバー、普通そうですよね。
押さえるだけだとすると、十分に粒子状物質が捕集できるのかというところはどうでしょう。
○菅野座長 いや、できると思います。
○田中委員 先生、マスクのところをもう1回いいですか。送気マスクは、先ほど平川さんからホース
があって、作業性の範囲、行動範囲に支障があるという問題点がある。それがクリアできる作業であ
れば選択できる。防じん機能付き防毒マスクは、各メーカーこういう製品は種類も多く用意されては
いるわけですが、どうしても吸収缶にフィルターが付くという形ですから、作業者が装着したとき若
干苦しいと。苦しくて装着できないというレベルではないのですが、やはり防じんマスクに比べれば
苦しい。ということは、例えば顔面との接触面がフィットしていなければ、漏れが生じやすいという
ことが問題点としてはある。防じんマスクは、気体状物質が除去できないという問題点がある。そう
いう問題点を踏まえつつ、どのマスクを選択するか。これが現場での考え方があるのではないかとい
うところ。それで、3種類書いておいて、その問題点を指摘した上で事業場での使用条件で選ぶという
のはどうかと。ただ、どうしても、いま座長のほうからppmレベルで問題だぞということであれば、防
じんマスクは外すというのも、1つの選択肢だと思うのですけれども。
○菅野座長 私は、入れておくこと自体まずいと思います。
○名古屋委員 確かに捕集されていて揮発性だったら、ここから出る可能性があるでしょう。だから、
それは嫌だねというのが確かにある。防じんだけだと危ないねということは確かだと思います。
○田中委員 実は電動ファン付き呼吸用保護具を入れなかったというのは、そこなのですね。通常の
標準が135L/minで空気を流しますので、粒子状から余計、揮発してくる。ばく露があるから、電動フ
ァンはやめたほうがいいと。ただ、防じんか防毒か、前回意見があったというご指摘があったもので
すから、防じんを入れたのですが、いま先生方のコメントに従えば、やはり防じんマスクを外すとい
うのがよろしいかと思います。
○菅野座長 かなりたくさん意見が出ましたが、マスクの選定については別途、何か選定法みたいな
解説等を入れるわけですよね。
○平川査察官 そうです。次に資料3に指針案という形で、今回入れた内容等を含めて、指針の定める
事項、具体的内容をこういった形で書かせていただきたいというのを書いております。そこを説明さ
せていただければよろしいでしょうか。
○島田化学物質評価室長 いや、今まとめでご説明をしていただきまして、それを改めてご修正をい
ただいておりますので、直した上で次回ご説明をするような形にさせていただいたほうが効率的かと
思います。そろそろ時間もきておりますので。
○菅野座長 確認ですが、この「指針予定8物質の指針案」については、次回を最終の検討にしたいと
いうことだそうです。次回というのもだいぶ迫っていますので、追加のご意見等がある方は、できる
だけ早めにメール等でお送りいただきたいと思います。
○平川査察官 最後のまとめになりますので、資料3に案を付けております。今回、資料2-1、資料2-
2以外にもまたほかにありましたら、ご意見等をいただければと思いますので、よろしくお願いいたし
ます。
○菅野座長 次回は7月29日、10時からということです。それでは、今日は長い間ありがとうござい
ました。以上で、第4回の検討会を終わりにしたいと思います。
○唐沢委員 ファイルを送っていただいていましたか。
○平川査察官 ファイルはあります。
○唐沢委員 ファイルは送っていただくとありがたいです。
○平川査察官 わかりました。
○寺島化学物質情報管理官 次回は7月29日ということでご予定いただいているのですが、もうちょ
っと検討が必要という事項が出てくるといけませんので、日程調整だけさせていただければと思って
おります。8月、9月についても、またメール等で各委員にお伺いさせていただきます。よろしくお願
いします。


(了)
<担当>

厚生労働省労働基準局安全衛生部
   化学物質対策課化学物質評価室 寺島

〒100-8916 東京都千代田区霞が関1-2-2

TEL: 03-5253-1111(内線5518)
FAX: 03-3502-1598

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