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2010年6月23日 第3回化学物質の健康障害防止措置に係る検討会

厚生労働省

○日時

平成22年6月23日(水)14:00~


○場所

経済産業省別館1014号会議室(10階)


○議事

○寺島化学物質情報管理官 少し時間は早いのですが、皆様お揃いですので、はじめたいと思います。
本日は大変お忙しい中お集まりいただきまして、ありがとうございます。ただいまから、「第3回化学
物質の健康障害防止措置に係る検討会」を開催させていただきます。議事進行は座長にお願いいたし
ます。
○菅野座長 本日もよろしくお願いいたします。議事に入る前に、事務局から資料の確認をお願いい
たします。
○寺島化学物質情報管理官 資料の確認をお願いいたします。座席表の次に、本日の「議事次第」で
す。それをめくると資料一覧があります。資料1として前回の「議事概要」、1枚紙です。資料2-1か
ら資料2-4までが「健康障害防止措置の検討シート」ということで、物質ごとに4つ添付しております。
資料3として「指針予定8物質の指針(案)」、綴りが別になっておりますが、別添のオルトフェニレ
ンジアミンの分析法も、資料3の一部として付けております。資料4として、「がん原性試験から算定
した評価参考値(作業環境測定の指標値)について」。資料5として、「事業者の自主的な作業環境測
定における評価基準等(事業者への調査結果)」。資料6として「今後の予定」ということで、次回の
予定について資料を付けております。参考資料として、「健康障害防止措置の検討手順」ということ
で、前回ご検討いただいたものを事務局で修正したものをお付けしております。参考2-1から参考2-4
までが、本日ご検討いただく物質の「詳細リスク評価書」になります。参考資料3として「指針予定8
物質の一覧表」。参考資料4として「指針予定8物質の製造等事業場実態調査結果」。そして、昨年度
と一昨年度の特化則改正のパンフレットをお付けしております。以上です。落丁がありましたら、事
務局にお申し出いただければと思います。
○菅野座長 不足の資料はありませんでしょうか。続きまして、前回の議事録について、ご確認をお
願いいたします。
○寺島化学物質情報管理官 前回は議事録というものを作成しておりませんで、議事概要という形で
今回出させていただきます。これはご確認いただきました後、ホームページにアップしたいと考えて
おります。簡単に説明しますと、日時、場所、出席者ということで書いてありますが、議事概要の所
で(1)として「健康障害防止対策の検討手順(案)」について、ご審議をいただきました。その中で、
(3)のア(ア)の?@と?Aは、規制の措置をセットで考えるのか、それともバラバラに検討するのかとい
うところの議論でしたが、作業ごとに検討するといった弾力化はあり得るだろうということ。具体的
にイメージしないとわかりにくいということでしたが、今回は両論併記でまとめるということとされ
ています。
 下の○のほうは(3)ウ「規制化の要否に係る整理」については、アウトサイダーの書きぶりについて
修正をするということです。
 裏面ですが、(4)のア(ウ)については、関係事業者団体における自主的な取組みで対応するものと、
行政指導によって対応するもの。この比較についてご議論をいただいて、全体として規制の強度とい
いますか、規制の強さが逆ではなかろうかということで、(イ)「業界団体の自主的対策」と(ウ)
「行政指導による自主的管理の徹底」の部分を逆にするということで、ご意見をいただいております。
 (2)労働安全衛生法第28条第3項に基づく指針(がん原性指針)についてのご検討の部分です。作業
環境の指標となる数値の考え方についてということですが、作業環境の指標となる濃度の設定に当た
っては、定量下限、無毒性量、ユニットリスクといったものから算出する方法がある。ただ、実際に
設定するに当たっては、どのぐらいの濃度まで管理が行えるのか事業場に調査を行う必要がある。そ
れから、今回の物質の遺伝毒性については閾値がないものとして、発がんの観点から指標の検討を行
うべきである。分析が追い付かないと困るのではないかということで指摘がありました。作業環境管
理の指標が定められないという状況下で、制御風速で管理するという手法を取り入れる考え方があり
得るというご指摘。そして、作業環境の指標となる濃度、制御風速については、現在行われているあ
り方検討会の検討を踏まえて対応していくことが必要。?E?Gのここに掲げた物質については、より低
い濃度を設定するという着地点を設けるというのはある。許容濃度は、あくまでも個人ばく露に関す
る管理指標であることに留意すべきであるというご指摘がありました。保護具について、防毒マスク
に頼るというのは、装着の仕方によって漏れが生じうるので問題である。MSDSの作成支援についてご
指摘をいただいております。以上が議事概要です。
○菅野座長 ただいまのご説明について、ご意見・ご質問がおありでしたらお願いいたします。よろ
しいですか。それでは、ご了承いただいたこととします。
○寺島化学物質情報管理官 ありがとうございます。
○菅野座長 続きまして、本日の議題に移ります。平成21年度リスク評価対象物質の健康障害防止措
置の検討について、ご議論をいただきたいと思います。リスク評価検討会の報告を踏まえて、物質ご
とに検討をしてまいります。今回、4物質挙がっていますが、1つずつ検討していくことにします。事
務局からご説明をお願いいたします。
○寺島化学物質情報管理官 資料2-1「健康障害防止措置の検討シート(事務局案)」です。ご承知の
ように、6月11日にリスク評価検討会の報告書についてご議論いただいて、座長一任ということでほ
ぼ固まったということです。その資料については、参考資料に付けておりますので、必要に応じてご
覧いただければと思います。
 酸化プロピレンについてのリスク評価検討会での検討結果を踏まえて説明いたします。資料2-1です。
酸化プロピレンですが、昨年、初期リスク評価を行って、本年度詳細リスク評価を取りまとめたとい
うことです。(1)に物理化学的性質とありますが、この物質は沸点が34℃、蒸気圧が59kPaということ
で、蒸気圧が非常に高く、揮発性の高い、引火性の高い物質ということです。(2)の有害性評価結果は、
ばく露許容濃度等を示したものですが、1次評価値は0.057ppm、2次評価値2ppmということで設定さ
れました。この根拠ですが、1次評価値はユニットリスクを用いて算出したもの、閾値のない発がん性
が認められたということです。2次評価値については、ACGIHの時間加重平均、ばく露限界値、TWAを
使って2ppmということで設定されております。主要な毒性ですが、IARCでは2Bなのですが、発がん
性について、例えばマウスに吸入ばく露させた試験において、鼻腔の血管腫の発がん等がありました。
反復投与毒性においても、肺の出血、水腫等の障害が生じております。以上のように、評価書にまと
められております。
 ばく露実態調査の結果について、簡単にご説明申し上げます。有害物ばく露作業報告の事業場数が
全体で37でした。このうち、ばく露が高いと思われる所について、ばく露実態調査を行って、詳細リ
スク評価の2年度目についても、追加でばく露実態調査を行っております。その結果、個人ばく露濃度
の最大値は5.949ppmということで、2次評価値の2ppmのおよそ3倍となっております。この個人ばく
露測定を行ったスポットの測定から、区間推定上側限界値を算出すると、信頼率90%、上側5%、その
区間推定上側限界値によって推定したものが8.064ppmということで、2次評価値をかなり超えている
ということです。
 このようなばく露の高かったものがどのような作業で見られたのかというのが、右側に4つ書いてあ
る所です。これは簡単に整理したものなのですが、いちばん左がほかの物を製造するときに酸化プロ
ピレンを原料として使うもの。この作業で5.949ppmというのが見られています。その酸化プロピレン
を作る事業場において、純度等の分析作業において2.605ppmというのが見られています。
 酸化プロピレンを貯蔵して、ほかの事業場からタンクローリー等で受け入れて、それをボンベに充
填するという作業においては0.282ppmという、比較的低いほうのばく露濃度が見られています。いち
ばん右側、発泡助剤として使用というのは、ウレタンフォームの発泡助剤に使われていたものですが、
この作業においても4.6ppmという高い値が見られています。ということで、大方この3作業、ボンベ
の充填を除く3つの作業において高濃度ばく露が見られたというところです。
 その分布なのですが、下のグラフにありますように、1次評価値以下のものは32%、2次評価値以下
で1次評価値を超えているものが49%、2次評価値を超えているのが19%ということで2割程度見ら
れたということです。リスク評価書の中で、このような作業について、措置の検討について判定をい
ただいているわけですが、これについては他製剤製造におけるサンプリングと投入作業においては、
サンプリングのための反応生成物の汲出し、薬剤投入の際に反応釜を開けるといったときに高濃度ば
く露が見られるので、これは作業工程共通、ほかの事業場でも見られるだろうということで、判定結
果「要」。そして次の欄にありますように、ほかの物質ではなくて酸化プロピレンそのものを製造す
る事業場においてサンプリングをして分析をする。これも作業工程共通ということで、措置は「要」。
貯蔵タンクから耐圧容器への充填については、ばく露レベルが比較的低かったということで、措置の
要否については「否」ということで取りまとめています。いちばん下のウレタンフォームの製造なの
ですが、これは当該薬剤を開放系で使用ということです。それぞれどういう作業かというと、次の頁
の2、リスク作業の実態の(2)の作業概要、健康障害防止措置の採用状況の所です。対象物の製造にお
けるサンプリング、分析作業は、製造プラントがあって、そのバイパスラインからサンプリングして、
分析室にて分析を行っているというもの。このサンプリングのときには屋外で、しかも防毒マスクは
なし。手袋とメガネはありました。分析はドラフトチャンバー内で行われているということです。
 2つ目の作業ですが、作業の内容は反応釜を開けてということで、比較的大きい10~20m3ぐらいの反
応釜に反応生成物ができて、反応釜の蓋を開けてそれを柄杓で汲み出してバケツか何かに入れるので
すが、そのときにビシャビシャこぼして、そこからばく露している。同じように、分析が終わったあ
とでほかの薬剤を投入するときに反応釜をガバッと開けていると。そのような作業があって、この作
業で高濃度ばく露が見られています。
 3番目の発泡助剤は、酸化プロピレンを含んだ溶媒等を使って物質を作るわけですが、それをベルト
コンベアの上にウレタンフォームとして吐出して、それがファーッと膨らんでくるのだと思うのです
が、外に出してそういう反応をさせますので、そこからのばく露が見られます。この作業は、労働者
の方が何人かいらっしゃるのですが、防毒マスク、手袋。それから、局所排気装置、外付けのものと
プッシュプルのもの。いろいろ対策はとられているのですが、比較的高いばく露が見られているとい
うことです。
 (1)と(3)については、関係団体の取組みについての部分ですので、これについては関係団体、ある
いは関係事業者から、どのような形で取組みをされているのかをヒアリング等で聞き取ってから、こ
こに記載したいと考えております。
 (4)の特殊な作業ですが、少量等のリスクが低い作業の概要です。これは先ほど申し上げました
ように、耐圧容器への充填ということで、具体的にはその事業場にタンクからの充填用のホースがあ
って、それをボンベに接続して対象物を充填する。何本か連続して充填するということなのですが、
この作業は屋内で行われており、換気のみで、防毒マスクはありませんでした。そういう環境にもか
かわらず0.2ppmあったということです。
 (5)の導入にあたって考慮が必要な事項については、酸化プロピレンについては特に記載しておりま
せん。
 こういった状況を踏まえて、必要な健康障害防止措置ということで、これはちょっと抜けているの
で追加をいただきたいのですが、3の(1)「必要な健康障害防止措置」の横に、これは事務局提案です
ので、「事務局提案」とご記入いただければと思います。事務局の提案としては、酸化プロピレンは
非常に用途が広くて、いろいろな事業場で使われております。そして、ばく露についても6ppm近くと
いうことで、比較的高いばく露が見られております。それが作業工程共通で、おそらくほかの事業場
でもあるだろうと見られるものということですので、基本的に全体としての措置が必要だろうという
ことで、情報提供の部分については文書の交付、MSDS、表示であるとか掲示、教育。発散抑制措置と
して密閉化、局排、プッシュプル。作業環境の改善についても、休憩室の設置というような特化則で
定められているもの。作業管理についても、作業主任者の選任からぼろ等の処理、有効な保護具の使
用。そして作業環境の測定。健康診断。必要な措置ということで事務局として提案をしております。
健康診断については、ほかの物質も同じなのですが、健康診断の実施とその項目について、安全衛生
部の中に別途、検討会がありますので、そちらでの検討に委ねるという形になっております。
 事務局としてはこのような措置が必要ではないかということで提案させていただくわけですが、作
業の実態によっては、例えばサンプリング作業であるとか、ボンベへの充填作業についてはこういっ
たものは必要ないのではないかとか、あるいはこういった点に留意が必要ではないかということにつ
いて、忌憚のないご意見をいただければと思います。
 次の頁の(3)規制化の必要性の所に、事務局提案として書いております。「酸化プロピレンを製造し、
又は他製剤の原料として使用する事業場においては、当該物質を原則としてプラント等密閉化された
設備で取り扱っているが」ということで、酸化プロピレンは非常に揮発性が高いので、基本的に密閉
化されているのですが、サンプリング等においては開放系での作業が常態となっているので、規制化
を検討する必要があるということで書いております。
 その下の表は、それぞれの措置について、自主的改善であるとか、設備投資の必要性、行政指導の
効果について、行政指導をすれば効果が出るだろうと思われるものについては「高」、設備投資が必
要で、行政指導だけでは効果が出ないだろうと思われるものは「低」として入れております。有害性
の程度については、2ppmということなので「中程度」、用途の広がりについては「多岐にわたる」と
いうようにしております。
 次の頁に対策のオプションがあります。対策のオプションの1が特化則のフルセットでというのを念
頭に置いたもの。原則として、密閉化、作業管理、健診を導入。オプションの2は、関係事業者が自主
的に妥当な対策をやっている場合に、その部分については自主的対策を維持するというもの。オプシ
ョンの3については行政指導ということになっていますが、これについてはヒアリング等を踏まえて、
どの辺が論点なのかが明らかにならないと記入ができないということで、ここは以下空欄としており
ます。
 事務局のほうで1点追加で入れているのが、次の頁のいちばん上の留意事項、リスクが低いとされた
作業にかかる規制の考慮ということです。ボンベの充填作業については、ばく露が比較的低いという
ことで、保護具のみ義務化というのを減免してもよいのかなということで、事務局として提案してお
ります。酸化プロピレンについては以上です。
○菅野座長 ただいまのご説明について、ご意見・ご質問がおありでしたらお願いいたします。
○保利委員 この個人ばく露濃度は、8時間のTWAということでよろしいですね。
○寺島化学物質情報管理官 はい。
○保利委員 あと、スポット測定の所で563ppmというのがあるのですが、これはやはりばく露される
可能性があるような所で、それだけの濃度があったということでよろしいでしょうか。
○寺島化学物質情報管理官 スポット測定を行っているのも、反応釜を開いたり閉じたりして、薬品
を投入している作業のときに漏れ出ているということで、そこのところでスポット測定を実施してい
ます。
○保利委員 作業者が吸引するところということでよろしいですか。
○寺島化学物質情報管理官 そうだと思います。
○保利委員 スポット測定の時間はどのぐらいですか。563ppm、これはかなりの濃度なのでちょっと
気になるのですけれども。
○島田化学物質評価室長 棗田さん、スポット測定は20分でしたか。
○棗田(中災防) ここのデータは手元にないのですが、通常はスポットが短いときにスポット測定
をしているので、サンプリングとか薬剤投入なので、おそらく10分以内にその作業が終わるので、そ
のぐらいの時間で作業者のそばと、発生源4カ所を囲むような形でとっていますので、その中でいちば
ん高いデータということで、瞬間的にものすごい濃度が出てくるという形です。
○長山室長補佐 まだ最終版でない未定稿ですが、詳細リスク評価書の参考2-1が酸化プロピレンにな
っております。それの7頁のいちばん下のパラグラフです。「ばく露の高い作業の詳細」という所で、
スポット測定について書かれており、「薬剤を投入する作業(8分間)」、この辺の部分になります。
○菅野座長 ほかにはいかがでしょうか。
○唐沢委員 大変細かいことで恐縮ですが、事務局提案の3の健康障害防止措置で、労働衛生教育の所
にレ点が付いていて「雇い入時」となっていますが、正確にはこれは雇い入時、作業内容変更時両方
入ると思いますから、雇い入時だけだとちょっと誤解を招くので、両方表記していただくか、あるい
は「など」でも入れていただければ。全部に共通していますから、念のため。
○菅野座長 それはそのようにお願いします。よろしいですね。私から1つ質問があるのですが、発泡
助剤として使用するというのは、プロピレンオキサイドでなくてはいけない理由があるのでしょうか。
○棗田(中災防) 基本的にはそこのメーカーさんが使っていて、たぶん毒性が強いこともわかって
いるのですが、変えられない理由があってそれを使っていると思うのです。絶対それでなければ駄目
なのかというところまでは、うちのほうも測定上は確認はしていないですね。
○菅野座長 そうすると、もうちょっと弱いもので、可能ならそのようにしたほうがいいですね。
○島田化学物質評価室長 いまのご質問は、ほかの物質に代替したらよろしいのではないかという意
味でのお話でしょうか。
○菅野座長 ちょっと、これでなくてはいけない理由は存じませんでしたので。ほかに工程ごとの対
策とか、そういう点に関してどうですか。
○岡部委員 資料2-1の(3)の高ばく露作業の所で、他製剤製造におけるサンプリング、薬剤投入作業
という2つの作業を1つに書いてあるのですが、中身を見るとサンプリングと薬剤の投入作業というの
はたぶん違う作業だと思いますので、できればここのところを分けて、区別をして記載をしたほうが
わかりやすいかなという気がいたします。
○島田化学物質評価室長 個人ばく露測定だと、2つの作業をやっている作業者で高くなったというこ
となものですから、こういう表記をさせていただきました。もしスポット測定などでどちらの作業を
測っているかということが分かれば、少し工夫をするようにしたいと思います。
○小野委員 サンプリングなのですが、これは1日に何回とか、そういう頻度的なものについては記録
は残っているのでしょうか。
○棗田(中災防) はい、評価はしております。
○島田化学物質評価室長 サンプリング作業については、先ほど引用させていただいた参考資料2-1の
9頁にありますが、「リスクの高い作業と考えられる。このうちサンプリング作業については、おおむ
ね2~5分程度の比較的短時間の作業を1日数回程度行う」という形です。
○菅野座長 いまのご意見は、時間平均を考慮しろということでしょうか。
○小野委員 いいえ、TWAを出しているということは、たぶんそれも全部考慮の上の数値とは思うので
す。人によってかなりのばらつきがあるとか、それで対応の仕方をどのぐらい普遍的にするか、スポ
ットにするかということだけです。
○棗田(中災防) 測定自体は、基本的にはサンプリング作業をされている方が、例えば1日に2回し
かサンプリング作業をしないとしても、個人ばく露として1日とっているのです。もう1つ、そういう
短い作業の場合には、そこに合わせてスポットをとるという形です。一応、個人ばく露のデータにな
ると最大なので、正確にそれと合うかはわかりませんけれども、やはり5.9ぐらいまで下がってしまう。
その代わり、スポットだとやはり一瞬で。これはちょっと温度が高かったと思うので、瞬間的に気化
してガス体になってしまうので、そうするとスポットで捕ると一気に500だとか600だとか、そういう
濃度が出ているのではないかと思うのですけれども。
○菅野座長 濃度にもよるでしょうけれども、このぐらい蒸気圧の高いものですと、開放系で扱うの
は到底無理だと思いますので、通常は閉鎖されているのだと思いますけれども。ほかにはいかがでし
ょうか。
○岡部委員 1次評価値、2次評価値、ユニットリスク、ACGIHの値を参考にして見ているのですが、
例えばサンプリング作業のように、短時間だけれどもすごい高濃度だといったところにあったときに、
8時間のTWAで換算して見ている形なのですが、そういったところの整合性というのですか。たぶん
TWAにしても、倍も違うということはイメージしていなくて、ある程度の推移の中で変動するといった
ぐらいのイメージしか考えていないのかなという気がするのですね。どなたか知見のある方がいらっ
しゃれば、教えていただければと思います。
○菅野座長 大前先生、いかがですか。
○大前委員 おおむね1.5倍前後のところを想定してやっておりますので、おそらく500何十ppmとい
うところはもともと想定をしておりません。だから、それを8時間に延ばすのはあまり意味があるとは
思わない。
 有害性総合評価表などを見ますと、急性毒性、あるいは皮膚の腐食性/刺激性等々がありますが、
そういう場合はひょっとしたらこの辺の数字で評価値を作らなくてはいけないのかもしれませんが、
まだ現在はそういう形でやっておりませんので。
○菅野座長 酸化プロピレンについて、急性毒性があるということでしょうか。
○大前委員 例えばLD50とか、皮膚の刺激性とか、目に対する刺激性とか、一応数字としてあります
ので。だから、こちらのほうがメインの毒性物質ですと、やはりそういう短期のばく露による評価値
も考えなくてはいけないのかと思いますけれども、現在はそういう形では進んでおりませんので。い
まおっしゃったように8時間でやるのはあまり意味がないと思います。
○島田化学物質評価室長 大前先生のお話を総合評価表の別添1という所では、吸入毒性はLC50が大
体マウスで1,740ppm、これは4時間の値です。それから、ラットで4,000ppmというのが出ております。
そういう意味では、先ほど参考にしていただいたスポットの500ppmというのは、短時間で500ppmとい
うことで非常に高い。もちろん現場では保護具を使っておりますので、実際にはこんなに吸入はして
いないと思いますけれども。
○菅野座長 そうしますと、一般的に急性毒性に対する対処が必要か必要でないかも、個別に確認す
るということでしょうか。現実ですと、健康障害防止措置の中で、保護具の使用以外に短時間の高濃
度ばく露に対する対策は挙げられていないですよね。
○島田化学物質評価室長 岡部先生のお話などを伺いますと、良好な作業環境を保つということと、
併せて保護具みたいなものをうまく使わなければいけないというご指摘ということでしょうか。
○岡部委員 我々はいま発がん物質について、要否を含めて検討しているのですが、たぶんサンプリ
ングのときに出てくるような非常に高濃度というのは、発がん性物質であるからというところを別に
しても、これはどこでやるかは別にしても検討しなければいけない。その値をもって、発がん性の物
質の対策の要否を決めていくことになると、ちょっと数字の扱い方が違ってくるのかなというところ
を区別をするべきかな、という形での発言です。
○菅野座長 非常に短時間ですので、呼吸保護具による対策というのも考えられなくはないというか、
ある程度有効なのではないかと思われますね。この物質については、このぐらいでよろしいでしょう
か。まだこの空欄の調査をしていただくことになっておりますので。
○寺島化学物質情報管理官 いまご指摘のあったようなサンプリング作業において、事業場のほうで
どのようなばく露防止措置をとっているのかという部分について、ヒアリングをさせていただいて、
その結果も踏まえて、再度ご提案したいと思います。場合によっては、この検討会に事業者団体の方、
あるいは事業者の方にご出席いただく。あるいは、こちらでヒアリングを行って、その結果を報告す
るという形にしたいと思います。
○島田化学物質評価室長 1点だけご議論をいただきたい点があります。いま対策の中で、特殊な作業
として貯蔵タンクから耐圧容器、いわゆるボンベへの充填ですね。そういったものについて、あまり
リスクが高くないのではないだろうかという点が示唆されております。それに関してご議論をいただ
いて、こういう作業については必要がないということであれば、ここにあるような対策はとらないと
いう方法もあるわけですが、その辺りはどう考えたらよろしいでしょうか。
○菅野座長 わかりました。この点について、ご意見を伺いたいと思います。
○島田化学物質評価室長 具体的には、2のリスク作業の実態の(4)に特殊な作業という形で、これは
リスクが低いのではないかということで、ここは十分検討いただきたいということで、業界のほうか
らもお話を伺っているものです。
○名古屋委員 時間と回数。どのぐらいの時間作業しているのか、その作業を1日何回やるのかという
形で決まってくるのかな。この時の濃度は測っていなかったですか。
○棗田(中災防) 濃度が低かったと思いますね。
○島田化学物質評価室長 数はそんなに多くはないのですが、測定点数として評価書の9頁の(2)判定
結果に書いてありますように、当該物質のボンベへの充填ということで、大体1次評価値と2次評価値
の間ぐらいのところ、TWAの最大値としては0.28ぐらいの濃度で出ているということです。
○岡部委員 耐圧容器なので、基本的には接続したあとには漏れることはないということなので、外
したときの瞬間的にちょっと残液があるので、その部分が少しばく露するという形ですね。あとは事
故的なことが起きない限りは、通常の作業ではそんなにばく露が高くなるということはないかと思う
のですけれども。耐圧容器なので、通常の充填よりは、はるかにそういったばく露の可能性は低いか
と思います。
○菅野座長 これは輸送は何か別のものを開発しているのですか、それともポンプで輸送するのです
か。
○棗田(中災防) ポンプで。
○保利委員 そこも随分。
○棗田(中災防) そうです。ですから、事故的なあれですね。基本的にはかっちり閉まらないと圧
力が上がらないので、できないような形にはなっているようなのですけれども。
○名古屋委員 2次評価値がもう少し低いと、短時間ばく露でも危ないということになるけれども、2
次評価値が2ppmだから、時間的なものと回数を考えたらいいのかなという気はしますよね。
○寺島化学物質情報管理官 回数は年間30~40回で、実際に測定したときは90分間で10本、充填を
しています。なので、月に3回ぐらいでしょうか。
○菅野座長 ボンベというのは、普通のボンベですか。普通に150気圧まで耐えられるようなボンベな
のでしょうか。そういうのではなくて。
○棗田(中災防) そこまでというのはないのですけれども。
○保利委員 酸化プロピレンを充填するのでしょう。
○棗田(中災防) そうです。
○保利委員 沸点35℃ぐらいですよね。だから、ほとんど液体というか、常圧に近いということです
ね。
○棗田(中災防) そうですね。LPに近いような、液化のあれにちょっと近いけれども、あそこまで
ではないのですね。
○名古屋委員 高いと出てくるけど、平均的なものを考えるとそれほどでもないですね。
○委員 実際、われわれもばく露実験をやったことがあるのですが、普通のガラスの試薬瓶で市販さ
れているものですから、そんなに圧はかからないと思うのですけれども。
○菅野座長 要するにボンベにバルブが付いているかどうか知りませんが、そのバルブからボンベま
での本数の内容積ですよね。それがどのぐらいあるかというのだと思うのですけれども。屋内で0.何
ppmということだったら、それほどたくさん漏れてはいないというように判断してよろしいでしょうか。
○名古屋委員 注意喚起は必要なのだけれども、規制をかけるほどのことはないと思う。ほかの濃度
とか作業に比べるとですよ。比較的、少量取扱いリスクの考え方からすると大丈夫なのかなと思いま
す。
○菅野座長 留意事項によりますと、「保護具のみ義務化」ということで、規制をかけないというこ
とでよろしいでしょうか。決定するのですよね。
○島田化学物質評価室長 それは今後、業者の方などの話を聞いた上で、最終的に判断していただく
ようにしますが、基本的にはリスク評価のほうで不要という形で書いてあるものについては、このま
ま対応させていただくようにいたします。
○菅野座長 はい、よろしくお願いします。
○名古屋委員 もしヒアリングするとしたら、この前のホルムアルデヒドのように、業者として考え
たときに、今回のところの時間は確かに短かったのですが、同じような作業をしている所で、作業頻
度とか、作業をしている時間がどのぐらいなのか。いま言われたぐらいの範囲だったら許容範囲です
ね。それがもうちょっと多いのだとしたら、それはばく露が高くなる可能性があるから、ちょっと注
意したほうがいい。だから、ヒアリングのときに、いまやっている調査したものとどのぐらい振れ幅
があるのかということで、それより小さかったらたぶん大丈夫ですが、大きかったらちょっと考えた
ほうがいいということではないかな。だから、ヒアリングのときにそこをちょっと聞いてもらえれば
いいのかなと思います。
○島田化学物質評価室長 次回あるいは次々回までの間に、私どもでその辺りをヒアリングさせてい
ただいて、ご報告をするようにいたします。
○菅野座長 これについては、ヒアリングの結果を待って決めることにします。次の物質、1,4-ジク
ロロ-2-ブテンのご説明をお願いします。
○寺島化学物質情報管理官 簡単に説明いたします。資料2-2のジクロロ-2-ブテンです。この物質は
液体で、沸点が156℃とさほど高くはなく、1次評価値が0.000063ppmということで、非常に低く設定
されています。2次評価値についても0.005ppmということで、かなり低い濃度になっています。発が
ん性は鼻腔腫瘍ということです。ばく露評価の結果ですが、(3)有害物ばく露作業報告のあった事業場
数は1事業場でした。初年度はその1事業場にばく露実態調査を行って、次年度は業界団体の協力を得
て追加で1事業場を調査しております。どちらの事業場においても、ほぼ同様の作業を行っており、個
人ばく露測定を行った結果、最大値が0.074ppmということで、低いのですが2次評価値を超えている
ということです。
 作業なのですが、このジクロロブテンは合成ゴムの中間体で、原料から反応生成物としてジクロロ
ブテンを作り、そこからクロロプレンを作るという工程の一連の流れにおいて、中間体として発生し
てくるもの。2つの事業場どちらにおいても、そのような作業で、中間体の純度、生成の具合を見るた
めにサンプリングをしている。合成プラントの配管からサンプリングをして、分析をしているという
ものです。2つの事業場を測定しておりますが、高ばく露作業については0.074、A測定は0.0089、ス
ポット測定で0.119ということでした。4人の方の個人ばく露測定を行っていて、その結果2次評価値
を超えた方が75%、3人でした。リスク評価書での検討結果なのですが、この作業については作業工程
共通ということで、措置は必要と判定をされています。
 次の頁で、どのような作業をしているのかということですが、(2)の作業の概要です。製造プラント
のバイパスラインからバケツに端切りをして、三角フラスコにサンプリングする。それを分析室にて
分析するという作業です。分析を別の方がやっている場合もあれば、サンプリングした人がやってい
る場合もあるということでした。業界団体の取組みについてはヒアリング予定ということです。
 次の頁で、事務局提案の措置ということです。ここの所は飛ばさせていただいて、なぜそのように
したかというところが次の頁にありますので、(3)の規制化の必要性の事務局提案です。このジクロロ
ブテンを製造・消費する事業場においては、その物質を原則としてはプラント等密閉化・自動化され
た設備で取り扱っております。サンプリングにおいては、開放系での作業が必要になっている。この
ため、ばく露対策が必要なのですが、どちらのサンプリングも屋外で防毒マスクを着用の上行われて
いるということで、今後もこのような作業管理を適切に行っていただくことで対応可能であろうとい
うことで、結論をつけております。
 前の頁に戻って、そのようなサンプリング作業において、屋外でもあり、しかも既に保護具等で対
応いただいているということもありますので、それらを踏まえて、文書の交付については既にMSDSの
対象物質になっておりますので、そこのところはチェックを付けておりますが、それと掲示。労働衛
生教育については、当然、化学工場であればやるだろうということで、チェックを付けております。
発散抑制措置については、屋外でのサンプリングにおける措置ということで、通常、屋外では局排を
使わないということもありますので、ここはチェックを付けておりません。作業環境改善の所で、休
憩室や洗浄設備については、少量、短時間のサンプリングの作業であるということも踏まえて、もと
もと休憩室というのはずっと有害なばく露、有害な作業場にいる人がきれいな所で休むということ。
それから、洗浄設備についても、全身にバシャッとすごく浴びてしまうものをシャワーで落とすよう
なことを想定していますので、ここについては不要であろうということで落としています。
 少量、短時間ということですので、作業主任者の選任、立入禁止等は除外して、他方、発がん性が
疑われるということですので、作業記録の保存、有効な保護具の使用について課しております。実は
この取扱いは、1,3-ブタジエンについての昨年の取扱いで特化則に設けられた特殊な取扱いについて
のものを援用したものです。事務局としては、そのような形のものを行政指導で徹底させていけばよ
いのではないかということで、そのように提案をしております。以上です。
○菅野座長 ご意見・ご質問がありましたら、お願いいたします。この物質は日本で2つの企業しかお
作りになっていないというか、お使いになっていないということですか。
○寺島化学物質情報管理官 ヒアリングで確認する必要があるだろうと考えていて、当初ばく露作業
報告が1カ所、そして業界団体からの推薦で1カ所ということだったのですが、それ以外にないかどう
かというのはヒアリング等で確認はしたいと考えています。
○菅野座長 バケツというのは、どういうものなのでしょうか。
○寺島化学物質情報管理官 屋外でしたので、本当に普通のバケツに。
○菅野座長 三角フラスコを入れるためのバケツですか。
○寺島化学物質情報管理官 端切りをしているということなので、まず最初にコックから出したのを
バケツにジャーッと受けて、三角フラスコにきれいなのをとったということだと思いますが。
○菅野座長 それから、使用されている呼吸用保護具ですが、これは全面型でしょうか。
○名古屋委員 棗田さん、分析のときに2次はいいのだけれども、1次評価値は定量下限より下ですが、
これは時間を延ばせばOKになるのですか。この辺はこれからどうするのですか。参考資料2-2と1桁
違うのではないですか。リスク評価だからユニットリスクはしょうがないのだけれども。
○棗田(中災防) そうですね。でも、一応2分の1ぐらいはいっているのではないかと思います。
48L大気で、たぶん2分の1ぐらいですか。ですから、そこぐらいまでか、もうちょっと量を増やせば
いけるのかもしれないのですけれども。
○名古屋委員 詳細リスクにいくときに、2次評価値の所で問題にすれば1次はOKなのですが、でも
何かちょっと。
○棗田(中災防) そうですね。マスでこのレベルなので、ちょっとこれ以上となると。
○名古屋委員 厳しいよね。
○棗田(中災防) 例えば通気流量を0.2に増やすとかいうのをやっていないので、何とも言えないの
ですが、あまり流量を増やすと、今度抜ける可能性もあるので。そこは再度、流量を増やして検討し
てみるということをやってみてもいいのかもしれない。
○島田化学物質評価室長 座長からご質問をいただいた部分については、先ほどの参考資料2-2の7頁
に、簡単ですが書いてあります。この作業については、すべて有機ガス用の防毒マスク、保護メガネ、
保護手袋等の保護具を使用しており、一部労働者は保護衣も使用しているという形です。形とか性能
までは書いておりませんが、そんな状況です。
○寺島化学物質情報管理官 片方の事業場の方は、全面型という表記がありましたので、全面型を使
っているということです。
○菅野座長 保護メガネも一緒にしているか、半面型しか使っていないか。保護メガネも一緒にして
いれば半面型しか使えないと思うのですが、半面型ですとたぶん濃度が10分の1になるぐらいですの
で、実際的には。
○名古屋委員 これは防毒マスクかエアラインではないのですか。
○島田化学物質評価室長 有機ガス用防毒マスクですね。
○名古屋委員 メーカーさんに聞いて、本当にこれで捕集できると。担保しているのかな。こんな低
い濃度の実験はしていないのではないですか。
○島田化学物質評価室長 やっていないと思います。
○名古屋委員 この手のものは、やはりエアラインとかにしないとまずいのではないでしょうか。こ
れだけ濃度が低いと、防毒マスクで本当に効いているかどうかというのはちゃんと確認が必要ですよ
ね。こんな低いのは、普通実験しませんよね。どうなのですか。しないと思うのですが。マスク屋さ
んで、たぶん分析ができないのでしょう。そうすると、本当にマスクはつけているのだけれども、効
いているかどうかはちょっと別な話ですよね。漏れているかもしれないですね。
○棗田(中災防) たしか欧州などですと、0.01以下のものは全部エアラインというようにしている
ので、それと同じ扱いにしたほうがいいのかなとは思うのですけれども。
○保利委員 フィットテストをやると必ず漏れるのです。
○名古屋委員 エアラインだったらボンベでもいいですが、やはり何か、要するに普通の防毒では捕
れないと思うし、もし捕れるのだったら、メーカーさんがちゃんとしたデータを持っていて、本当に
捕れるかどうかを検証しておかないと、濃度が低い分だけつらいかなと思いますよね。
○島田化学物質評価室長 今日田中先生はお休みではあるのですが、次回以降保護具のメーカーから
もヒアリングをして、性能としてこういうものをちゃんと吸収できるものがあるか確認するようにい
たします。
○名古屋委員 特に濃度の低いものに効く形にしておいたほうがいいですね。
○島田化学物質評価室長 はい。
○小野委員 ばく露濃度が高いところを想定したサンプリングの測定値が出ているのです。参考資料
の7頁ですと、ストレーナーの洗浄とか、こういうところも作業時間がサンプリングよりは長いような
気もします。そうなると、平均値で濃度が下がるのかもしれないのですが、この辺のところはサンプ
リングはできなかったのか。それとも、よりサンプリングのほうが濃度が高いという根拠のようなも
のが何かあったということでしょうか。
○棗田(中災防) ストレーナーの洗浄が月に1回で、協力していただける場合もあるのですが、その
時期に合ってなかったので、これに関しては協力していただけなかったのですが、こちらのほうが高
い可能性は十分あると思います。一般的に、我々の調査でも、ストレーナーの洗浄は必ず捕らせてほ
しいとお願いはしているのですが、やっていただける場合もあるのですが、配管の都合上、そういっ
た時期でないと。ここの場合は厳しいという話でしたので捕れなかったという形です。
○島田化学物質評価室長 リスク評価のほうでも書かせていただいていますが、7頁の「なお」という
文章がございます。結論としては、この部分の作業については長時間ばく露であり、ばく露リスクは
高いことが予想されるという形にしております。不幸なことに、そこの部分のサンプリングはできな
かったという状況です。
○菅野座長 蛇足ですが、サンプリング等で、屋外なので局排は通常使われないとは思うのですが、
会社によっては、サンプリングポートの所に局所排気操置が付いている会社もありました。
○島田化学物質評価室長 一応、製造取扱い事業すべての屋内事業場において、局所排気装置は設置
されているという表記になっておりますので、それに関する作業環境の改善はされていると思います。
○菅野座長 ストレーナーの掃除についても、インタビューのときにお聞きいただければと思います。
○島田化学物質評価室長 その辺りの実態を事業者から確認した上で、どのぐらいの頻度、あるいは
どういう作業をしているのかを再度聞いていただくようにいたします。
○菅野座長 あまりにも危険性が高いので、ストレーナーの掃除も洗浄してからやっているかもしれ
ないとは思いますが。それでは次の物質に移らせていただきたいと思います。ジメチルヒドラジンに
ついて、お願いいたします。
○寺島化学物質情報管理官 資料2-3、ジメチルヒドラジンをご覧ください。この物質は、沸点が63℃、
蒸気圧が16.4と、やや高い物質です。1次評価値は設定せず、2次評価値が0.01ppmとなっています。
ばく露、発がん性なのですが、肺腫瘍、扁平上皮がんの発がんがあるということです。有害物ばく露
作業報告による事業場数は3つ、ばく露実態調査を行った事業場は2つとなっています。その事業場の
調査によりまして、個人ばく露測定の最大値は0.577ppm。区間推定上側限界値は0.669ppmとなってい
ます。
 この作業なのですが、右側にありますように、作ったものが自動的に貯蔵タンクにフィードされる
のですが、そこからドラム缶への充填作業において0.1730ppm、当該物質を仕入れて、それを反応槽へ
仕込む作業をしている事業場で0.577ppmという最大値が見られています。
 (4)リスク評価の結果、個人ばく露測定を8人の方でやっていまして、8人のうち6人、75%で2次評
価値を超えたという結果になっています。その結果として、リスク評価書での措置ですが貯蔵タンク
からドラム缶への充填作業において必要。それから、反応槽への仕込み作業において措置が必要とい
うことで判定を得ています。
 具体的にどのような作業かというのが次の頁の(2)にございます。貯蔵タンクからドラム缶への充填
というのは、ドラム缶を準備してくるのですが、そのドラム缶は使い回しているということで、品質
保持のため充填の前に気層を窒素ガスでパージする、置換しています。このときにジメチルヒドラジ
ンの残りが気化して出てくる。それから、ドラム缶へ充填する際に気層になったものが別の穴から出
てくるということで、このときにもばく露が見られるということです。この事業場においては、囲い
式の局排、アンモニア用の防毒マスク・保護手袋・保護メガネが着用されていました。次の段にある
他製剤製造における仕込み作業ですが、これは、製造事業場においても一旦ドラム缶に移しまして、
そのドラム缶で別の建屋に行ってほかのものを作るという工程があります。それから、製造事業場か
らドラム缶で出荷されて、そこから仕入れたものを別の事業場で仕込みしていたりというのがあるの
ですが、そのいずれにおいても、ドラム缶から反応槽への仕込み作業において、吸引ノズルをドラム
缶に入れて、ポンプで吸い上げて反応槽に投入するという作業でした。その際に、ノズルに付いたり、
窒素をパージしたときに蒸気にばく露するということが見られました。これらの作業における局排は、
一部有効でないと見られたものもありましたが、一応設置されておりました。一方の事業場では有機
ガス用、一方の事業場ではアンモニア用の防毒マスクが使われており、軍手又は保護手袋、そして保
護メガネが着用されていたという状況です。
 こういった状況を踏まえて、事業場数は非常に少ないのですが、事務局提案として、措置の検討と
いうことで3の(1)に点をつけております。基本的には酸化プロピレンのときと同様に、特化則に定め
ているような項目にすべて点をつけているという状況です。
 次の頁の(3)規制化の必要性についての事務局提案のところをご覧いただければと思います。ジメチ
ルヒドラジンについては、いま説明したとおり、事業場数はそんなに多くはありません。少ないと言
ってもいいかと思います。有害物ばく露作業報告が出てきている事業場のほかにも、おそらくは仕入
れて作業をしている事業場が複数社はあると思われますが、ドラム缶の荷姿で流通しているというこ
ともありまして、ドラム缶への流通作業、それから、ドラム缶から反応槽への仕込み作業において、
開放系での作業が必要となります。そして、ばく露を避けるために、基本的に特化則での規制化を検
討する必要があるということでまとめています。
 上の(2)にその際の技術的課題ということで、有効な呼吸用保護具について記載していますが、有機
ガス用及びアンモニア用のいずれも有効でない可能性があるということです。マスクの会社に照会し
たところ、アンモニア用でも多少通過してしまっているようなのでエアラインマスクを推奨している
という話もございました。その辺について、ヒアリングによって把握していかなければならないかな
と思っております。
○菅野座長 ドラム缶への充填作業というのは両方とも局排があると書いてあるわけです。A測定で
0.06ですから有効な局排だということになるのでしょうか。先ほど、無効の可能性もあるというよう
なことでしたが。
○寺島化学物質情報管理官 そうですね、作業環境としてはよかったのかもしれませんが、ちょっと
待ってください。
○菅野座長 常に窒素パージをしているのでしたら、そのときのパージのガスを十分吸い取れるぐら
いの局排がないと、ちょっとまずいかなという感じもしますけれども。
○棗田(中災防) 局排の性能ではないのですが、そういったものも測定時にチェックしていて、こ
こにこういう記載があるということは、スモークテスター、あとは吸引風速を測ったときにほとんど
出ていないような形の報告があったので、こう記載されているのだと思うのです。
○菅野座長 パージしているときに吸われていたということですか。
○棗田(中災防) パージしているときも吸っているのですが、たぶん距離が遠すぎて風速的には出
ていないので、効果がないという書き方をしているのだと思います。
○寺島化学物質情報管理官 参考2-3の7頁の上から3行目辺りにあるように、局所排気装置はあった
のだけれども、遠かったりして十分に有効でないと記載してあります。
○保利委員 いずれにしても揮発性は高いのです。2次評価値の0.01というのはそれに比べて非常に
低いので、局排でしっかりコントロールするのは難しいと思うのです。
○名古屋委員 囲いをしなければ、どうしようもない。作業環境の濃度がばく露値よりも高いと辻褄
が合わない。
○保利委員 外付けだと厳しいと思います。だから囲いにしないと。
○島田化学物質評価室長 窒素での置換作業に対してやるような器具というのか、局所排気装置のよ
うなものはあるのでしょうか。
○名古屋委員 プッシュだったら大丈夫です。単位作業場のA測定に比べて個人ばく露が高いのは、囲
い式の中で作業をしているからではないか。だったらプッシュプルでやれば、問題なく捕れるという
ことだと思います。そうでないと、個人ばく露濃度とA測定の値があまりにも違いすぎる。本来的に、
長い間捕っていれば低くなるはずなのに、A測定に比べてばく露濃度が高い。それは囲いの中にいて、
外付けだったら抜けてくるから低いのだけれども、比較的高いのかなと思っている部分が無きにしも
あらずです。
○菅野座長 ドラム缶の置換でしたら、それ専用の、もっとコンパクトな局排みたいなものがあると
思うのです。つまり、口の所で広がらないように吸引するものがあればいいと思うのです。
○名古屋委員 いくらでもあります。
○島田化学物質評価室長 いわゆる局排の吸入口の部分が可動的に動くような仕組みのものですか。
○菅野座長 何か円形の溝で小さなものを。
○棗田(中災防) ノズルと一緒に付いてきて動くスタイルのものですね。
○名古屋委員 出た空気を吸えるみたいな二重層になっているもの、それはいくらでもあります。
○菅野座長 置換でなくても、充填するとその上の空気が出ますので、それを吸引するようになって
いるのが普通だと思うのですが、そういうものを利用すれば、もう少しよく抑えられるのではないか
と思うのです。
○島田化学物質評価室長 次回その辺りの情報も含めて紹介するようにいたします。
○名古屋委員 これはメーカーに言うのか、よく分からないのですが、濃度が低いときのマスクの選
定のところが誤っています。それは教育なのか、メーカーなのか分からないのですが、そこを注意し
ないとまずいのかなということがあるのです。
 昔オウム真理教のときに、サティアンに入るときに、サリンに効く防毒マスクをくれと言ってメー
カーに来たけれども、メーカーは、サリンの実験はできないから分からないと答えたわけです。だか
ら、そのときメーカーは、以前オウム真理教にマスクを売ったことがあり、その時のマスクを提供す
れば、まず間違いないだろうという話を聞いたことがあるのです。それと同じで、実験できないもの
に対してはある程度メーカーがきちんとしないといけないと思います。
 COのマスクのときもそうなのです。防塵マスクでCOは捕れると思っている作業者は結構たくさんい
るのです。それで、ガス溶接などの作業をしているとCOが発生して、防塵マスクでは捕集できない等、
メーカーがどの試料に対してどのぐらい捕れるのかといった情報を提供する必要があると思います。
あるいは今棗田さんが言ったように、0.1以下のときは危ないから、それなら呼吸保護具にして、防毒
マスクにしないほうがいいよというような形の決め方をしていかないと、知らないものに対して困る
かなという気がします。
○菅野座長 化学反応を使っている場合は、低濃度になると性能が劣化するというのはあると思うの
ですが、ただの吸着の場合でしたら、何分の1にするという意味ではパラレルにいく可能性もあります
ね。
○保利委員 それについての問題は、面体と顔面のフィットの問題なのです。普通の半面マスクの場
合、吸収缶の捕集効率が10割であっても、顔面の隙間から1割は漏れるのです。だから、それを前提
で考えなければいけないのです。
○菅野座長 周りの濃度が0.1ぐらいでしたらその10分の1になる、それは間違いないと思うのです。
○保利委員 10分の1は漏れるおそれがあると考えておかないと。
○菅野座長 はい。これはメーカーに確認しなくてはいけないのですが、たぶん、メーカーの側から
は、それは有効であるとは言えないのです。
○保利委員 少なくとも、この物質では実験をやっていないと思いますので、破過時間がどのくらい
かというのも分からない。
○寺島化学物質情報管理官 非公式のペーパーなのですが、3Mのデータブックにも、捕れるものはな
いと。“Unknown”と書いてあったと思います。それで送気マスク、エアラインマスク推奨というよう
なことが書いてありました。
○菅野座長 この場合は長時間作業でしょうから、エアラインマスクもそれほど大げさというわけで
はないですね。この物質についても、もう少し検討していただいてということになると思います。ほ
かにはいかがですか。なければ次の物質に移らせていただきます。
 次の物質は1,3-プロパンスルトンです。説明をお願いいたします。
○寺島化学物質情報管理官 資料2-4、1,3-プロパンスルトンです。この物質は基本的には固体なので
すが、融点が31℃、沸点が112℃です。ですので、室温では固体ですが、すぐに温めると液体になると
いう物質です。1次評価値が0.0007mg/m3、2次評価値が0.005mg/m3と非常に低い値になっています。
これは非常に発がん性が高い物質です。リスク評価書に詳細が書いてありますので、そちらに委ねま
すが、ラットに単回皮膚投与しただけという試験において、局所の肉腫が高率で発生するという動物
実験での結果が出ておりまして、発がん性がある。もちろん、反復の皮膚投与においても同様の報告
が多数あります。
 このばく露評価の結果ですが、有害物ばく露作業報告があった事業場が2つ、ばく露の実態調査をし
た事業場が4つであり、当初2つ行い、次年度に2つということです。最大値は定量下限値未満となっ
ておりまして、吸入ばく露するようなばく露濃度のものは定量下限値未満のデータです。高ばく露作
業ということで2つ書いてあります。対象物を輸入してきてそれを減圧蒸留して精製するという工程、
サンプリング、小分け、器具を洗浄するという工程において作業を行っております。もう1つは、他製
剤製造において1,3-プロパンスルトンを小分けして反応槽への投入作業が見られております。
 リスク評価の結果としましては、個人ばく露濃度がすべて1次値以下、となっているのは間違いで、
2次値以下、100%ということになります。リスク評価の判定結果としましては、対象物質の取扱い時に
飛沫の飛散によるばく露のおそれがあるということで、どの作業においても吸入ばく露の値は非常に
低かったが、措置は必要と判定されています。
 実際の作業ですが、次頁の(2)にあるように、溶融した対象物をサンプリングする。それから、蒸留
精製して高純度のものをサンプリングして確認し、それを手動ポンプによって小分けする。手動ポン
プというのは、いわゆる家庭用に用いられている灯油用のポンプ、それを使っています。それと、精
製に使った使用器具の洗浄を行っています。これらの作業において、局排はなし。ただし、分析にお
いては囲い式の局排があります。それから、有機ガス用の防毒マスクを着用しているということです。
それから、他製剤製造における小分け、反応槽への投入作業において対象物の小分け、秤量、反応槽
への投入ということです。局排はあり、有機ガス用又はアンモニア用の防毒マスクが使用されている
となっていますが、これは間違いかもしれませんので、あとで確認いたします。
 以上を踏まえて、必要な措置ということで事務局の提案を3に書きましたが、次頁の(3)規制化の必
要性からご覧いただければと思います。1,3-プロパンスルトンを製造・消費する事業場においては、
蒸留や仕込みの際に手作業での小分け、秤量、サンプリングが行われているということですが、単回
の皮膚ばく露でも腫瘍を生じるおそれがあるということですので、これを防止する観点から規制化が
必要と考えております。ただし、通常の特化則に定めているような発散抑制措置、局排の設置等によ
ってはその目的に合致しないので、代替手段を考える必要があるということです。
 少し戻って、健康障害防止措置としましては、情報提供、それから教育については当然のことなが
ら重要になりますが、発散抑制措置の局排については、ばく露濃度が非常に低かったということから
考えて、ここは外しております。作業環境改善、漏洩の防止、フィジカルリスクの回避の点について
は、しるしをそのまま付けております。有効な保護具の使用、誤って触れた場合の措置も必要という
ことで点を付けております。作業環境の測定は必要ないということで点を外しました。事務局提案は
以上です。
○菅野座長 この物質についてのご意見をお願いいたします。
○保利委員 ばく露評価結果で「定量下限未満」となっているのですが、この定量下限というのは、
リスク評価書の別添4に書かれているものと同じと考えてよろしいのですか。
○棗田(中災防) それは排気量がどのくらいかによるのですが、排気量は6Lですね。
○保利委員 そうすると0.08mg/m3ですね。
○棗田(中災防) すみません、6Lでここに記載されているので、480分計算で0.005か0.007になる
のだと思うのですが。
○保利委員 なるほど、2次値だということですか。
○棗田(中災防) そうです。
○保利委員 ここに1次以下が100%と書いてありますが、1次までは、どうなのですか。
○棗田(中災防) 1次までは出ないです。
○保利委員 そうしたら、リスク評価の結果が1次以下というのは、もしかすると違うかもしれないの
ですが。
○寺島化学物質情報管理官 申し訳ございません、記載誤りです。
○菅野座長 先ほど2次値以下というお話があったと思うのですが、これはサンプリング時間が480分
ですか。
○棗田(中災防) そうです。ただ、作業によっては違うので、480分だと0.005になるのではないか
と思うのです。単純に計算すればわかると思いますが、それぐらいの濃度になるのではないかと思う
のです。
○島田化学物質評価室長 評価書のほうは2次以下という表記になっております。
○菅野座長 これは両方とも手作業といいますか、直接取扱いがあるのだと思いますが、そうすると、
経皮ばく露のほうが問題だという趣旨ですか。局所排気装置では防止策にならないというのは、経皮
ばく露のほうが主だということですか。
○島田化学物質評価室長 評価書のほうでも、問題は経皮あるいは皮膚に付くこと自体が問題である
ということです。
 この検討シートには書かれていない部分が多少ありますので、補足説明を申し上げたいのです。補
足資料の評価書の11頁を見てください。こちらに「結論(まとめ)」と書かれておりまして、この物
質については、基本的に蒸気圧も低いし、吸入によるばく露の危険性は低いということが前提になり
ます。ただし、発がん性が極めて高い物質であって、当該物質の飛沫等が一度でも皮膚に付く場合に
がんが発生する可能性が指摘されているということで、そういうことに対する対応をするべきではな
いかということです。
 その下の部分に書かれているものについても併せてご紹介いたします。1つは、飛沫の皮膚への付着、
それから飛散した当該物質に汚染された機器を取り扱うということで併せて皮膚に触れるということ
になりますので、そういったものに対する作業環境の改善措置、及び作業管理、健康管理の確保のた
めの対策が必要であるという指摘があります。
 12頁に併せて付記して特に重点を置いていただいた部分がありますが、対象物質の漏洩あるいは流
出事故ということで、自然災害も含めてのことです。部外者が入って漏洩したものに触るということ
も含めて、そういう事故が発生した場合にも同様のリスクが生じるということで、これら緊急時に備
えた対策が必要であるということと、単位作業場等において行われるその他の作業においても、誤っ
て対象物質に触れる可能性が否定できない。こういったこと、つまり当該作業に関わっていない他の
人が物質に触ってもがんが起きるということですので、その辺りの対応を併せてお願いしたいのです。
○唐沢委員 単回ばく露でも腫瘍が出来るという非常に毒性の強い物質なのですが、いままで実際に
こういう作業に従事された方がさらされたという被害の実例は何かないのですか。
○島田化学物質評価室長 中災防で調査していただいた合計4事業場の中ではそのような事例は起こっ
ていないということでした。
○唐沢委員 先ほど来出ている呼吸用保護具にしても、書いてあるのはあまり緊張感がないのです。
有毒ガス用とか、アンモニア用とかとなっているのです。その辺りはほかの先生方もおっしゃったの
で、これ以上申しませんが、その辺も注意していただく必要があると思います。ヒアリング等のとき
に聞いていただければと思いますが、よろしくお願いします。
○小野委員 2点あるのです。まず、必要な健康障害防止措置の所です。要するに、飛沫が付いたとき
にどうするかということを考えますと、あとの清掃とかそういうことがすごく重要になってくると思
うのですが、作業管理の用後処理にチェックマークが入っていないのですが、ほかに清掃とかという
項目がないとすれば、その辺で注意喚起する必要があるのかなという気がするのです。
 あとは、空気中の濃度で管理をする以外に、日本には管理の仕様がないのですが、飛沫を触るとか
そういうことですと、アメリカではサーフェスアナリシスで、表面を拭き取ってそこにないかどうか
を測定する、という手法が鉛などでは使われているのです。いままで、経皮ばく露を管理するという
ことは日本ではされていません。特に、今回のこの物質のように、特別に経皮に注目するということ
になると、いますぐは無理なのでしょうけれども、将来的に何か、こういう物質にはこういうことも
考えたほうがいいという別な評価手法も必要になるのかなという印象を持ちました。
○菅野座長 細かいことですが、2頁には、「溶融した対象物のサンプリング」と書いてあるのですが、
これは1頁目、「精製における、サンプリング」というのと同じですか。
○島田化学物質評価室長 リスク作業の実態の高ばく露作業で、サンプリングという部分ですね。こ
この部分について、具体的にはどういうご指摘でしたか。
○菅野座長 溶融したということは、たぶん温度が上がっていると思いますが、そうすると蒸気圧も
高くなります。蒸気圧が0.0013というのは、たぶん25℃のときですね。
○島田化学物質評価室長 はい、非常に低いレベルのときです。
○菅野座長 低いレベルなのです。これでも数十ppm以上になり得る蒸気圧ではあるのですが、温度が
上がると、もう少し高くなるかもしれないということですね。
○島田化学物質評価室長 はい。
○菅野座長 これは言う必要がないかもしれませんが、防止措置として軍手というのが入っているの
です。これはケガの防止には役に立つかもしれませんが、障害の防止には役に立ちません。いちいち
確認する必要はないかもしれませんが、ちょっと引っかかりました。この前の物質にも軍手というの
がありましたが、たぶん目的はケガの防止ではないかと思うのです。
○寺島化学物質情報管理官 すみません。たぶん前のままになっているのだと思われます。
○菅野座長 そうすると、これは前の物質のものですか。
○寺島化学物質情報管理官 はい。事業場によってはエアラインマスクを使っているところもあると
のことですので、確認して修正いたします。
○島田化学物質評価室長 いまの第1点目の部分は、温度が上がればということですが、一部蒸留作業
のときに加熱をしているようなものもありますので。
○菅野座長 測定はされているのですね。
○島田化学物質評価室長 はい。
○菅野座長 それなら結構です。
○島田化学物質評価室長 沸点が112℃ではありますが、その辺りは、気をつける必要がある部分があ
れば改めてご相談をするようにいたします。
○菅野座長 もしかして、常温でしか測っていなければと思って申し上げただけでして、測ってある
のでしたら、それで結構だと思います。ほかに、いかがでしょうか。
○岡部委員 この物質は、経皮のばく露で強い発がん性を現すということですが、例えば予防措置の
中で、作業をしたあとの手洗いや洗浄。物質の特性を見ると、かなり水溶性は高いような値を示して
いるのです。評価書では100mLで10g溶けるという形になっていますので、予防という形では、作業後
の手洗いとか、そういった形での記述も非常に有効かなと思うのですが、調査の中では、そこまでは
まだ確認されていないということでよろしいのですか。
○島田化学物質評価室長 もちろん、作業のあと手洗い等をするということは記述していると思いま
すが、果たしてそれがどのぐらい落ちているかというようなところまでは調査をしていません。
○菅野座長 保護手袋は必須ですね。そういうところをご確認いただければと思います。
○島田化学物質評価室長 事務局から確認なのですが、先ほど小野先生のところでサーフェスアナリ
シスのお話がありましたが、日本ではそういうものをどう考えたらよろしいのでしょうか。労安研の
ような研究機関でそういった手法を教えていただく、あるいは、そういうことを情報として提供して
いただいた上で、この措置の中でそれを反映させていく必要があるということなのでしょうか。
○小野委員 情報ということで言いますと、例えば鉛などでは、アメリカではこうしています、とい
うような形の情報提供はできると思うのです。ただ、この物質について、諸外国の対策がどうなって
いるか、測定法がどうなっているかということまでは今把握はしていないのです。
 これではなくて全く違うのですが、ナノ材料の所では、職場を拭いて、そこの場所にこういうもの
があるということを例示的にお示しするということはしております。実際に分析しての提供というと
ころまではできるかどうか分かりませんが、こういったようなことということで提案して、それで、
その物質になってからの測定法は、いま中災防でやっていることを応用することは可能かと思います。
○島田化学物質評価室長 普通は現場において、現場の作業管理者の方々にやっていただく措置、み
たいな形でまで反映できるということなのでしょうか
○小野委員 作業環境測定も難しい、現場の空気を測るということでも難しいところで、さらに追加
して再現性等々もまだわからないところでやってくださいとまでは言えないと思うのですが、どうし
ても、そこがきれいかどうか気になるというような場合には、こういう方法がありますということは
言えると思います。ただ、水拭きでわりときれいになりそうな物質ということであれば、最低限作業
後はきれいにしてください、と言うことがいま可能な、いちばん実質的な対応かなとは思います。
○菅野座長 経皮吸収の速度とかの測定例はあるのですか。
○大前委員 全然ないと思います。
○棗田(中災防) いま小野先生が言われていたようなことと同じことが。製薬会社とか病院で、い
ま発がん性の抗がん剤を使われている所が多いので、そういった所でサーフェステストという形で評
価するということがNIOSHなどでは言われていまして、確かにそういう方法があるにはあるみたいです。
ですから、そういったものも含めてできれば、是非今後国のほうで検討していただいて、こういうや
り方で管理するという処方もあっていいのではないかと思います。
○島田化学物質評価室長 おっしゃられたような部分を反映できるかどうかわかりませんが、3の健康
障害防止措置の所については、特別この物質については新たな項目を入れております。例えば(1)の必
要な健康障害防止措置の中の情報提供という部分については、作業マニュアルの常備という形で、場
合によってはいま言われたサーフェスアナリシス、あるいは現場においての確認をする。簡便な手法
があれば、こういったところに反映させていくようなこともあるかと思っております。
 併せて、その下の所に出てくる、誤って触れた場合の措置。こういったものは、岡部先生が先ほど
言われた、手洗い等極力付かない方法を反映させていくことが必要かなと思っておりますので、また
ご相談をさせていただこうと思っております。
○菅野座長 ほかにはいかがですか。
○名古屋委員 マスクだと、マスクの選び方という1つのラインがありました。しかし、経皮を中心に
した保護手袋、そういう形のラインがあると比較的いいですね。今手袋はマスク以上に注目されてい
ないのですが、これだけ毒性が高いものになると、そういう形のマニュアル的なものがあって、こう
いうものは危ないよと注意されたときに、ではどういう選定でいって、どういう材質を使った手袋を
すればいいのかという流れも教育の中に入れてもらえると少しいいかなという気がします。田中先生
などはやられていると思うのですが。ただ、一般的な中になかなか入ってこない。呼吸器系が多いの
で、これからそういうものが出たときに、そういうものが早いうちにできているといいかなという気
がします。
○菅野座長 それでは今後、関係団体からのヒアリングについて、ほかのご意見等も入れて出したい
と思います。また、ヒアリングの結果は次回以降報告をいただくことになっておりますので、よろし
くお願いいたします。
○島田化学物質評価室長 事務局からヒアリングをさせていただいた結果を報告する場合と、業界の
方に直接こちらに来ていただいて生の声を聞かせていただける場合とありますので、その辺りのアレ
ンジをさせていただくことにいたします。
○菅野座長 残り時間が少なくなってきましたが、労働安全衛生法第28条第3項の規定に基づく指針
(がん原性指針)に係る検討をお願いいたします。初めにご説明をお願いします。
○平川査察官 それでは私から、資料3~5、参考3と参考4をベースにして説明させていただきます。
前回の議事概要におきまして作業環境測定というのがかなり大きなテーマになってまいりましたので、
時間は短いのですが、どういった形で作業環境についての指標を考えているか、作業環境管理をどの
ようにしていくかというようなところの中で、参考になるような指標値等を作成し、作業環境測定の
分析法を追加的な資料ということで前回と比べて資料に付記いたしました。
 今回は資料3の後ろに、「作業環境測定のための分析法」ということで菅野座長にまとめていただい
たものを付けました。こういったものを踏まえて、作業環境測定の参考に考えていただくような形に
今後なっていくのではないかと思います。そのための出発点として、菅野先生に作っていただいたも
のが別添の資料です。
 資料4ということで申しますと、この指標値は日本バイオアッセイ研究センターと菅野座長からいろ
いろと資料をいただきながら作成したものです。左側の部分、非腫瘍性病変から腫瘍性病変に至ると
ころの評価値A、B、Cというのを算出し、それと作業環境測定定量下限との比較を今回したいと思って
いるところです。
 資料4の2枚目に、「(参考)評価値の計算根拠」を付けております。評価値Aが、動物試験で得ら
れた腫瘍以外の変化をエンドポイントとしたNOAELにUFを乗じた値。評価値Bが動物試験で得られた
腫瘍をエンドポイントとしたNOAELにUFを乗じた値。評価値Cが、生涯過剰発がんレベル10の-4乗に
対応する生涯ばく露濃度ということでユニットリスクを求めた上で、生涯ばく露濃度を求めたもので
す。今回の物質は、がん原性があり、さらに変異原性もありということですので、基本的には閾値な
しの評価値Cと作業環境測定の定量下限の値を比較していただければということです。なお、作業環境
測定の定量下限と評価値Cにつきましては、一部指標値に違いがございます。ここについて、本当は換
算係数を入れた上で計算すべきところなのですが、オーソライズされている数値がすぐに出てこなか
ったものですから、今回は完全に比較できるような形での比較はしておりませんが、おおよその概況
について申し上げます。
 菅野先生から試験後にお出しいただいた6つのもの、?A?B?C?E?F?Gの状況について申し上げます。?A
については、作業環境測定の定量下限値と評価値Cはほぼ同じぐらいのオーダーである。?Bについては、
定量下限の値よりも評価値Cが非常に低い値になっている。?Cについては、定量下限と評価値Cを比べ
ると、評価値Cの値が非常に小さい。?Eについても、評価値Cのほうが非常に低い。?Fについては、ほ
ぼ同じオーダー。?Gについては、評価値Cのほうが大きいという状況になっております。したがって、
作業環境測定の中でうまく測れる可能性があるものとして、菅野先生から今回ご提供いただいた資料
でいいますと、?Gは使えるけれども、ほかのものについては、評価値Cを基準とすると難しい現状にあ
ります。
 続いて資料5です。これについては、前回の会議において、各事業場における作業環境の測定状況は
どんな状況かというのを調べるようにという話がございましたので、調べられる範囲の物質について
調査を行いました。?@?A?D?Gの4つの物質については、前回の参考4にある実態調査結果で作業環境測
定を行っているということでしたので、この4つの物質について調査を行いました。
 その結果で申し上げますと、?@は今後測定を行うということでしたが、?Aについては、評価基準
0.1mg/m3よりも実際の測定結果が大きくなっているという状況がございました。?Dについては、測定
の結果定量下限よりも低い値になっています。?Gについて、評価基準は社内で定量下限の10倍となる
ような値ということで、0.1ppmという値を定めました。その結果、定量下限よりも低い値が測定結果
で得られたという状況になっています。今回こういった状況になっているということで、4月以降の中
で調べてまいりました。いちばん大きなポイントとして、資料4で出てきた値を踏まえて、今後どうい
った形で作業環境管理について指針の中で書いていくかというところになるかと思いますので、ご意
見等をいただければと思います。
○菅野座長 ただいまのご説明につきまして、ご意見ご質問はございますか。特に、指標値の決め方
について、ご意見がありましたらお願いいたします。
○名古屋委員 作業環境なので確かに10分にこだわっていますが、10分にこだわらなければ下ろせま
す。本来、作業環境管理の管理濃度の考え方は定量下限が管理濃度の10分の1を10分間でとなってい
るのだけれど、別段あえてそこにこだわらなくても作業環境の測定士がその場の定量下限を考えて、
10分でなくても捕ればいいとしておけば出来ないこともないでしょうね。
 おそらく10分の20mLで引いたときの定量下限はできるということだから。例えば吸入量を増やして
イレギュラーするとこれは駄目かもしれませんが、あと時間ということを考えるともう少し定量下限
を下げられるかもしれないと思います。
○菅野座長 これは確かにご指摘のとおり30分とか40分程度の捕集が可能だと思います。ただそれで
も5分の1程度という。
○名古屋委員 まあ測定基準からいくとFIDなのですが、このままいくと大変なのでマスでやったらも
っと下がりますよね。
○菅野座長 はい、それはそのとおりです。
○名古屋委員 たぶんFIDでやるかぎりは、測定基準を変えなくても加熱脱着なのでOKですが、マス
にするといまのところ。同等でいっているしICPもいっているから多分いけると思います。そうすると
マスでいうと下がってくるので比較的。どの辺が下がるかはよくわかりません。
○菅野座長 ppbでレベル以下になりますと、妨害物とかいうことも結構問題になってくると思います。
○名古屋委員 やってみないとわかりません。確かに単品ではないので。
○菅野座長 2番目のオルト-フェニレンジアミンについては、もともとOSHAの方法ですが、これはた
しか240分か480分ぐらい捕集可能な方法ですので、これについては、時間を延ばすということが可能
であればクリアすることができるかもしれないです。
 ただ、問題となっている作業が、そんなに長時間行われるかどうかの問題はもちろんあるかと思い
ます。
○岡部委員 よろしいですか。評価値のB、Cについてもppmとかはアメリカのパー・立米ですから気
体中の濃度という観点で、この評価値を決めようとされていると思います。一方の参考の3の資料を見
ますと、いわゆるがん原性試験のほうでがん原性があったという根拠としては、例えば塩化アリルで
すと吸入試験の結果だとのことで、これはいわゆる気中濃度という形では非常に納得できると思いま
す。
 一方?Aのオルト-フェニレンジアミンですと、たぶん経口試験で発がん性があると。他の物質も以下
もそうですが、いわゆるがん原性が吸入試験であるといったものについては、こういったppmという数
字が非常に合理的だと納得性もあります。経口試験で求められた物質についても、推定をすればこう
いった形での数字が出せると思います。それを基準としていいかは少し議論をする余地があるかと思
います。
○菅野座長 その点について大前先生、ご意見いただけますか。
○大前委員 おっしゃるとおり経口をなおすときは安全性が結構たくさんかかわります。そういう意
味ではこの数字自体は小さな数字のほうになっているので、そこのところのギャップは間違いなくあ
ると思います。
 ただ、ないので仕方がないのです。当然のことに吸入試験があればもちろんそれがいい。人があれ
ば人を優先で、吸入があれば吸入が優先で、それがないときは仕方がないから経口というようなこと
でやっていますので、いまはこういう数字が出てしまいます。
○岡部委員 数字が出るのはやむを得ない。ただ、こういう根拠だからこういう低い数字になってい
ますとかという情報も一緒に出さないと。この数字だけだとやはり見るほうにとりましては、吸入試
験で出た数字なのか、それとも経口試験の数字を根拠としてこれだけUFがかかって出てきた数字なの
かというのは、何か区別して決めていかないといけないのかなという気はいたします。
○平川査察官 よろしいですか、評価値の計算根拠ということで、今回まさに10の-4乗に対応する生
涯ばく露濃度ということで、下のほうに詳しい説明ということで付けさせていただいております。米
国環境保護庁(US-EPA)のGuidelines for Carcinogen Risk Assessment(2005)を参照として、混餌、飲
水試験での摂取量をどれだけ化学物質を摂取したかというような量をベースにして動物試験でのユニ
ットリスクを求め、更に算出した値とのことですので、まさにここに書かれている数字というのは、
立米当たりの化学物質の量に相当するものであるということでご理解いただければと思います。
○島田化学物質評価室長 リスク評価本体のほうで大前先生のほうにやっていただいておりますが、
このCに当たるものは、いわゆるがんのユニットリスクから求めた1次評価値にあたると我々解釈させ
ていただいております。実際の規制の段階、あるいは守るべき水準というものを検討する場合には、
必ずしもこの評価値のCあるいは1次評価値というレベルで守っていただくことにはしておりませんで、
ACGIHなり日本産衛学会のほうでお作りいただいたものをベースにやっているということで、実際のリ
スク評価ではここまで厳しいレベルで守っていただくことはしていないということも一方ではござい
ます。併せてご紹介申し上げます。
○菅野座長 いまの話、評価値に相当するような値を規制値として用いた例は、日本ではまだないと
いうことでしょうか。
○島田化学物質評価室長 もちろん参照値としては出しております。
○名古屋委員 管理濃度の形になるとCではないので、比較的定量下限はクリアできるのではないです
か。
○菅野座長 指標の決め方として、こうしてほしいというご意見がおありでしたら。
○名古屋委員 大前先生の有害物質で決めていただいたので我々はばく露の評価をしているので、決
め方は大前先生のところで。2次評価値が管理濃度になるかどうか、これは管理濃度委員会で議論する
話ですよね。
○菅野座長 まあそうですね。
○名古屋委員 でも、使っているのがACGIHと共有のですから、たぶんその可能性は強いと思います。
2次評価値がそのまま管理濃度になる可能性は強いと思います。
○菅野座長 この物質については、管理濃度というよりは指標値ということで、とりあえずの目安な
のですけれども。
 先ほどのご指摘のとおり捕集時間を延ばして、多少は定量下限を。
○名古屋委員 C値に1次評価値だとそうなるけれども、たぶん先ほど来の基準値ぐらいだと2次評価
値だから、テナックスを使えればたぶん大丈夫ではないかなという気はします。
○菅野座長 何というかCを使わない理屈づけといいますか、そういうのが。
○名古屋委員 Cを使うと、この定量下限が厳しいから時間だとかそちらのほうでいかなくてはいけな
いかもしれないけれど。たぶん2次評価値は許容濃度とACGIHの値を使うケースが多いですから。そう
すればテナックスを使えば十分いけると思います。
○平川査察官 よろしいですか。今回8物質のうち3物質は右側にございます参考で許容濃度というの
がありますが、残り5つの物質については、いま現在許容濃度等がないという状況です。そこで非常に
取扱いが難しい部分もありますので、ご意見をお願いいたします。
○名古屋委員 言っていることは、2次評価値もないよということですか。
○平川査察官 以前の第1回の検討会の中で大前先生からありましたように、この8物質については今
後リスク評価の中に入れてご検討いただくという話もありますので、その中で今後そういったところ
の内容等も詰まってくると思いますが、いま現在においては、指標といたしましては8物質中3つはあ
りますが、残り5つについてはそういう指標もいまのところまったくないという状況にあります。そう
いった状況でありますので、とりあえず評価値A、B、Cについては、前回ご紹介させていただいた日本
アッセイ研究センターの試験結果から、暫定的にA、B、Cという数字を算出させていただいて、それと
定量下限という数字も菅野先生からご提供いただいて、それの数字の状況を見ながら今後の作業環境
管理をどうやっていくかと。例えば定量下限ぎりぎりまでの管理をするのか、それ以外の方法はある
のか等についてご意見等をいただければというのが今回の趣旨です。
○名古屋委員 Cというのは1次評価値だから、これより低くなることはない。かなりこれより高くな
りますよね。Cのところの中で例えばいまテナックスの時間を長くすることで定量下限が下げられれば
クリアできる。ということは、Cの値が例えば10のマイナスで1桁上がってくれれば当然定量下限も
上がってくるわけだから、そういう操作でいくのではないかと思います。最終的に決められた1次評価
値があって、それに比べれば2次評価値はかなり上です。当然それに対する定量下限は上がってくるわ
けです。このCに対してどのくらいのファクターをかけたときに作業環境の定量下限が上がってくると。
1桁上げたときに可能なのか、2桁上げたときに可能なのかということで操作していけば、それほど苦
労しないでできるのではないかなと。参考になるのはCと作業環境の濃度で決めていくことではないか
なと思います。
○大前委員 いまのですと、既存の数値がないのは2次評価値が作れないのです。2次評価値が無しに
なっちゃうのです。こういう物質はこれからたくさん出てくると思うので、そのときに2次評価値をど
うやって作るかは、また別の問題で決めなくてはいけないと思います。
○名古屋委員 先生のところで議論されて。いつかは作らなくてはいけないですね。
○大前委員 どこかで、何かのときにルールを決めなくてはいけないのでしょうけど。
○名古屋委員 でも1次評価値が2次になることはないから。たぶんずっと上がりますよね。というこ
とは分析もそれに伴ってくれるから、きちっとこちらができていれば大丈夫かなという気はします。
○平川査察官 いま言った定量下限というのは、評価値Cと比べますと、かなり大きすぎるといいます
か、2倍、3倍のオーダーではなくても2桁、3桁のオーダーで違いますので、そこをどういった形で
調整するかという話も今後の話ではあるのです。化学物質の指針に関しては、既に前回の段階でも成
案というか案文を出していますので、今年のあと2回、3回の議論のうちに決めたいと思っている中で、
どういった形で作業環境管理をしていきましょうと。暫定的な作業環境管理という中で、どういった
形で扱っていきましょうかということについて先生方のご意見をいただければと思います。
○菅野座長 前にも申し上げたかもしれませんが、この評価値Cは10の-4乗になっていますが、従来
は-3乗も使われていたのではないかと思います。たぶんppbのオーダーで作業環境濃度を管理すると
いうのは、いままでやったこともありませんし、現実的にはかなり困難なことではないかと思います。
もちろん可能性は1万分の1のほうがいいに決まっています。これを1,000分の1にしてやることはで
きないのでしょうか。
○名古屋委員 測定するときに、例えば1時間以上の測定をするわけです。それを個別に測定するので
はなくて、各1点ごとの6点なら6点のところで1時間以上測定するとすれば、それだけで時間が6倍
延びるわけです。吸引量を倍にすれば12倍延びるわけです。そういう形の工夫はできると思います。
設定された濃度がわからないから、設定された濃度に対して分析法と測定法をどうしていくかという
ことであり、濃度が決まってから決まることではないのかなと思います。
○平川査察官 今回普通のレベルで、先生のおっしゃるところの時間を広げるとか、そうしたことま
で求めるのかという問題があります。
○名古屋委員 もし例えばそれを決めて、作業管理をしなくてはいけない測定しなくてはいけないと
なったら、そういう手法で、この物質についてはそういう測定をしなさいという指針を出すような形
になるのではないか。あくまでも2次評価値が出てきて初めて、どういう分析をし、かつ測定するかと
いうことではないかと思います。
○平川査察官 いまのところ、定量下限をできるだけ下げていくようなやり方を検討していくという
形になるのでしょうか。
○名古屋委員 2次評価値を作るほうが先だと思います。
○大前委員 2次評価値に併せて。
○名古屋委員 併せて定量下限をどうするかという話で、分析はそれについてくるのであって、分析
があって評価値が決まるわけではないから。そうだったら評価値は楽です。定量下限を第2評価値にす
ればいいだけの話ですから。そうではない。疾病のあるところの評価値が決まってきて、それに対し
て定量下限がどうついてくるかという話です。
○平川査察官 今年の、あと2回、3回のうちに指針案を出そうとしている中での作業環境測定の書き
方を、どういう形で書くべきかが非常に頭を悩ませる部分なのです。
○名古屋委員 2次評価値が決まって、評価基準ができないと分析はついてこないのです。そしたら逆
に2次評価値を決めて分析する。駄目だったら、要するに分析をしなくてはいけないのだとしたら、定
量下限を2次評価値で決めますよという決め方もひとつあるのだと思います。要するに、分析はそこし
かできないのだから、そこが最低基準ですと。それは疾病が起ころうが何しようが、それしか分析で
きないわけですから、動物実験をするにしても何にしても。そうだとしたら、そこのところは1つの2
次評価として管理をしてくださいという形ではないかと思います。それは皆さんが決めてくだされば
と。私はそう思います。
○平川査察官 資料の5を見せていただきますと、各事業場のほうで自主的な作業環境の測定をしてい
るものについては、測定実態として作業環境測定士の方にお願いしている場合もありますし、自社で
やっていただいている場合もあるということなのです。これは参照値として示すということで、今後
指針が出ますと、事業者の方にできるだけやっていただきたいという趣旨になりますので、あまり無
理のあるような測定はできないと思います。一般的な測定として大気量とかあるいは時間という面で、
無理のない時間を考えますと、あとどのぐらいアローワンスはあるものなのでしょうか。
○名古屋委員 逆に言うと、もともと管理濃度の考え方は、この資料5のデータがあり、そこで疾病が
起こっているかどうかです。そこで起こっていなかったとしたら、それは管理されている環境だから、
それを管理濃度で、要するに2次評価値でするという考え方がもともと管理濃度の考え方です。それが
なかなかできないので、要するにいまはACGIHとかの値を使っています。塩ビと同じ形になると、ここ
に第2評価値の値を持ってくる考え方だと思います。
 どちらが先かはよくわかりませんが、実際に運用されている中で疾病が起こっていなかった。本当
にちゃんと運用されて疾病が起こっていなかったと。これはひとつの意味で、本当の管理濃度の考え
方の基本的な考え方に戻るということです。要するに指導するための数値を決定するための基本的な
考え方、そのためにここにあるべきである。そうしないと、管理濃度はばく露濃度でやれといつも言
われる。いつも私が言われているのとは今回は違うよ、という形の指針がきちんと出てくるのかと思
います。
○菅野座長 そうしますと、?Aのところで最新の測定結果3.3?r/m3という数字が出ている事業所のと
ころで何もなければ、逆に言えば、管理濃度は3.3?r/m3でもいいということになるのですか。
○名古屋委員 それは最高にいいことです、管理濃度の考え方としては。ただそれが本当に管理され
て、疾病が出ていないかは分からないけれども、安全はかかると思います。もともとの考え方はそう
です。
○菅野座長 これは発がん性なので、何十年もかかりますから。
○名古屋委員 管理濃度は発がん性ではないからそうではないですが、発がん性になってくると全然
扱いが違ってきますので。普通の濃度ではそうですね。
○菅野座長 発がん性があることは明確になっているわけですので、それを何かの理由をつけて高く
することはできないと思います。1,000にするというくらいしか理由づけは。
○平川査察官 前回も指針の最初のものを出させていただいたときに、制御風速とかの考え方も出さ
せていただいたのですが、いまのところ非常に大きな数字の差も出ていますので、制御風速とかの考
え方も、もう一度考慮しなければいけないかというところもあります。そこの辺りのご意見をいただ
ければと思います。
○名古屋委員 今回あり方委員会でもそうですが、本来は制御風速とか抑制濃度というのは、測定が
ない時代に管理をするための数値だったのです。リスク評価をしてきたときに、本来リスク評価をし
ているのだから制御風速だとかは取っ払ってしまって、要するにリスクだけで評価すればいいのです。
リスクは危なくないと言っているにもかかわらず制御風速とそれがあるというのは二重規制になるか
ら、結果的にはリスクの評価をしてもあまり。意味がないわけではないのです。できたらリスクをし
てOKだとしたら、制御風速はやはり環境。作業管理測定は、そこで初めて個人サンプラーを作った形
の評価というものが入ってきて、評価すればいいと思います。それを制御風速だとかで置き換えるの
ではなく、作業環境管理がきちんとでき、かつ、ばく露濃度を測ったときにちゃんとしているという
形。そういう意味で担保するという形でいけばいいと思います。それを制御風速だとか物理的な量で
はなく、本当にばく露をしている量で評価していくリスクの考え方を入れていく時期に来ていると私
は思います。
○島田化学物質評価室長 いまご意見をいただいて、今日決めていただくつもりではありませんので、
改めて各先生方にご意見を伺って整理をさせていただき、次回また、検討させていただければと思い
ます。
○菅野座長 メールとかそういうもので、ご意見を寄せていただくということでよろしいのですか。
○島田化学物質評価室長 私のほうから個々の先生方に、ご連絡をさせていただくようにいたします。
○菅野座長 それではよろしくお願いします。私の不手際で時間が長引いてしまいました。これで会
議は終了いたしますが、別途追加の検討をいただいてということで、この件については次回までにま
とめていただくことにしたいと思います。明確な結論が出なかったのですが、本日はこの辺で終了さ
せていただきます。それではどうもありがとうございました。
○寺島化学物質情報管理官 次回は7月16日の夕方、同じビルの会議室になります。よろしくお願い
いたします。ありがとうございました。



(了)
<担当>

厚生労働省労働基準局安全衛生部
   化学物質対策課化学物質評価室 寺島

〒100-8916 東京都千代田区霞が関1-2-2

TEL: 03-5253-1111(内線5518)
FAX: 03-3502-1598

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