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2014年6月20日 薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会乳肉水産食品部会食肉等の生食に関する調査会議事録

厚生労働省医薬食品局食品安全部基準審査課

○日時

平成26年6月20日(金)
16:00~18:00


○場所

厚生労働省 専用第23会議室 
(東京都千代田区霞が関1-2-2 中央合同庁舎第5号館6階)


○出席者

委員

朝倉委員 五十君委員 石川委員 加藤委員 小林委員
田崎委員 戸部委員 野田富雄委員 野田衛委員 松永委員
山本委員(座長)

事務局

新村食品安全部長 國分企画情報課長 長谷部基準審査課長 滝本監視安全課長 西村食中毒被害情報管理室長
横田補佐 梅田補佐 先崎補佐 黒羽補佐 仲川専門官
小西専門官 井河係員

○議題

(1) 食肉等の生食について
(2) その他

○議事

○事務局 それでは、定刻になりましたので「薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会乳肉水産食品部会 食肉等の生食に関する調査会」を開催させていただきます。

 本日は、御多忙のところ御参集いただき、誠にありがとうございます。

 本日は、高橋委員及び西内委員より、御欠席される旨の連絡を受けております。また、戸部委員については、遅れて出席されるとの連絡を受けております。

 現時点で本調査会の委員13名中10名の先生方に御出席いただいておりますので、本日の調査会が成立することを御報告いたします。

 なお、報道の方の冒頭の頭撮りについては、ここまでとさせていただきます。よろしくお願いします。

(報道関係者退室)

○事務局 それでは、山本座長に議事の進行をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。

○山本座長 お忙しいところをお集まりいただきまして、ありがとうございます。

 最初に、配付資料の確認を事務局よりお願いします。

○事務局 本日お配りしている資料について御説明します。

 最初に議事次第、委員名簿、座席表。

 ホチキスどめのものが資料1

 その対応についての概要を資料2とさせていただいております。

 資料3については、野生鳥獣の病原体保有状況の調査の結果について。

 資料4は放射線照射の研究状況。

 参考として、参考1は検討の進め方。これは第1回で配付している資料になります。

 参考資料2として、第3回の調査会での発言の要旨になっております。

 参考資料3としては、畜種別の食中毒発生状況について、資料を作成しております。

 また、小林委員、加藤委員から資料の提示がございましたので、委員の皆様にはお配りしております。

 本日お手元にお配りしております資料については、以上でございます。

 不足や落丁等ございましたら、お気づきの際に事務局までお申し出いただきますよう、よろしくお願いします。

○山本座長 どうもありがとうございました。

 よろしいでしょうか。

 それでは、審議に入りたいと思います。

 議題1「食肉等の生食について」ですけれども、これまで3回にわたって議論をしてきたところです。食肉ごとの危害要因の性質、流通実態やリスク低減策に関する研究、また、それらを踏まえた公衆衛生上のリスクの大きさ、優先順位や対応案等について御議論をいただきました。

 前回、基本的に食肉等の生食は食中毒の危険性が高く、特に豚の肉・内臓は生で食べるべきではないという考えは共有できたと思います。

 一方、その規制のあり方ということについては、いろいろ御意見があったところです。

 それらを踏まえ、食肉等の生食に関する対応について、事務局に準備していただいたので、資料について事務局から説明をお願いいたします。

○事務局 それでは、資料1、資料2につきまして御説明させていただきます。

 まず、資料1「食肉等の生食に関する対応について(案)」でございますが、これまで3回にわたりまして調査会で御議論いただいた内容について、文章の形で取りまとめさせていただいたものでございます。

 資料2につきましては、その概要をまとめたものでございます。

 資料1について御説明したいと思いますが、第3回の調査会におきまして事務局から提出させていただきました、これまでの検討の整理の資料、また、食肉等の種別ごとの対応方針に関する資料をもとに、前回いただいた御意見等を加筆する形でまとめております。

 追記等を行った箇所を中心に御説明させていただきます。

 資料1の「1.経緯」でございますけれども、厚生労働省は、食肉等の生食は食中毒の危険性が高いことから、基本的に避けるべきであると普及啓発に取り組んできたところでございますが、今まで生食用として提供されていなかった食肉等が提供されるようになった実態がございます。

 このため、現在、食品衛生法に基づく規格基準やガイドラインの対象となっていない食肉等について、公衆衛生上のリスクの大きさに応じた規制のあり方等について、本調査会を設置し、検討を行ってきていただいたところでございます。

 「2.基本的な考え方」の「(1)検討趣旨」でございます。

 これまでに既に検討がなされたもの以外の食肉等について、公衆衛生上のリスクの大きさを考慮しつつ検討を行うということで議論をいただいてきたところでございます。「なお」以下のところを追記しておりますが「なお、調査会においては、食肉等の種別ごとに公衆衛生上のリスクの大きさに応じた規制のあり方等について検討するが、一般的に食肉等の生食は食中毒の危険性が高いため、食肉等の種別にかかわらず控えるべきことについて引き続き周知することが必要である」という記載をしております。

 続きまして「(2)公衆衛生上のリスクの大きさに応じた規制の必要性」でございますが、1つ目の○につきましては、食品の安全性確保のためには、その提供者である食品等事業者による自主的な取り組みが第一義的に重要であるという旨を記載しております。

 続きまして、2ページ目でございますが、併せて消費者である国民の理解の向上も重要であるということで記載をしておりまして、2行目のあたりで追記しております。「食品安全基本法においては、消費者は食品の安全性の確保に関する知識と理解を深める等、食品の安全性の確保のための役割を果たすとされている」ということで、その○の段落の下に、食品安全基本法についても、抜粋したものを追記させていただいております。

 その次の○でございますが、一方、行政の関与としましては、食品衛生法に基づきまして規格基準の設定をすることができることとされておりまして、牛の生食用食肉あるいは牛肝臓につきまして、規格基準が設定されている旨を御説明しております。

3ページ目でございますけれども、以上を踏まえれば、食肉等の生食につきましては、一般的に食中毒のリスクを伴うものであり、推奨されるものではございませんが、食の安全は、食品等事業者における自主的な取り組みによることが基本であり、また、消費者がリスクを認識することや、事業者がリスクに対処する取り組みを進めることが食中毒の発生の防止に有効であるということに鑑みますと、リスクがあるということをもって直ちに一律に法的な規制をするということではなく、そのリスクの大きさに応じてさまざまな対応を検討することが必要であるという旨を記載しております。

 これらを踏まえれば、食の選択は基本的には消費者による食品の栄養面でのメリットも踏まえた選択の自由が認められるべきものであるという旨を記載しております。

 その次の○でございますが「一方で」ということで、本調査会においても御指摘がありましたけれども、自治体においては生食に関する監視指導等を行ってございますが、規格基準がないものについては、その効果にも限定があるという指摘もなされております。

 「また、消費者にとっては、飲食店で提供されるものは安全という認識もあり」の後ろに、牛肝臓の生食用としての提供が禁止となる直前に駆け込み需要が増えたとの指摘もあり、消費者が食肉等の生食によるリスクについて、必ずしも正しく認識しているとは言えないという旨を追記させていただいております。

 その上で、生命にかかわるリスクが高いと評価されるものについては、一定の加熱義務等についても策定を検討する必要があるということで記載をしております。

 「(3)公衆衛生上のリスクの大きさの考え方」でございますが、本調査会におきまして、まず「1危害要因の性質等」について整理をいただきました。

 追記をしておりますのが後段の「一方で」というところでございますが、自ら選択して飲食したいという消費者がいることを踏まえて検討すべきであるということでございますけれども、一方で、消費者には飲食店で提供されているものは基本的に安全であるとの認識や、食肉等の生食によるリスクについて、必ずしも正しく認識しているとは限らないこと、さらには、食品事業者の中には、例えば、新鮮だから生食しても問題ないといった情報を提供している場合もあるとの指摘があること等の実態を踏まえれば、飲食することで生命にかかわる重篤な症状を起こすものについて、その全てを消費者の選択に委ねるということは適切ではないと考えられるという旨を追記しております。

 続きまして「2流通量」「3リスク低減策」とございますが、本調査会におきまして、実態調査、あるいはその研究内容等について御発表、御報告いただいたところでございます。

 「3リスク低減策」のところでございますが、危害要因を低減させる加工処理方法等があれば公衆衛生上のリスクは低減されることになりますので、そういったものが見出せるものについては、そういった方法を規格基準あるいはガイドラインに規定するということを検討すべきであるということで、その検討に当たっては、と畜段階、食肉処理、飲食店等に提供されるまでのフードチェーン全体で、HACCP等の取り組みも含め、必要な対策を考えていくことが重要であるという旨を追記しております。

 (4)につきましては、特に大きな修正・変更はしておりません。

 続きまして、5ページの「3.食肉等の種別ごとの公衆衛生上のリスクの大きさの分析」でございます。この箇所につきましては、第2回の調査会におきまして各委員の方から御発表いただいた内容を整理する形で取りまとめております。文言レベルの修正はございますが、5ページにつきましては大きな修正はございません。

6ページの「(2)食肉等の生食用としての流通実態調査」でございますが、前回の調査会の中でも、第2回の調査会で発表をいただいた、自治体の監視指導の中で把握している飲食店の提供実態等々について御議論をいただきましたが、あくまでそれは行政が積極的に関与する必要性があるかどうかということを検討いただくために、そのボリュームを把握するためのもので、全ての飲食店に網羅的に調査をしたものではないという御指摘もありましたので、その旨が明らかになるように記載を追記しております。

 食肉等の種別ごとの生食に係るリスクの大きさに関して、行政が積極的に関与する必要性が認められる程度の流通量があるかどうかを検討するため、自治体が把握している飲食店における提供実態に関する調査、あるいは関係業界からのヒアリング等を行わせていただいたところでございます。

6ページにつきましては、以上でございます。

6ページの終わりから7ページにかけて、御発表いただいた研究内容等についてまとめております。

 「5野生鳥獣食肉の汚染実態調査」でございますが、前回の調査会までの段階では調査中であるということで記載しておりましたが、今般、調査がまとまっておりますので、その記載を追記しております。

 平成2325年度の厚生労働科学研究において実施された研究内容につきまして整理をしておりますが、これについては資料3で後ほど詳しく御説明をさせていただきます。

 結論としましては、野生鳥獣肉の加熱不十分な喫食によって、E型肝炎あるいは寄生虫感染の危険性が改めて明らかになったという形で整理をさせていただいております。

4.から食肉の種別ごとの対応方針についてまとめておりますが、8ページの(2)でございます。危害要因の性質、流通実態、リスク低減策の有無等を踏まえまして、公衆衛生上のリスクの高さ、あるいはそれを踏まえた検討の優先順位について御議論をいただいてきたところでございますが、8ページの(2)の「1生食による公衆衛生上のリスクが高く、検討の優先順位が高いもの」としまして、豚の食肉・内臓、牛の内臓(肝臓を除く。)、羊・山羊の食肉・内臓、野生鳥獣の食肉・内臓ということで、方向性について整理をさせていただいております。

 まず、豚の食肉・内臓につきましては、危害要因がE型肝炎ウイルスであり、危害要因による健康被害の重篤性が大きく、E型肝炎ウイルスが血液や筋肉から検出されており、内部汚染であること。

2つ目のポツでございますが、これまでは社会的通念として生食すべきではないことが認識されておりましたが、現在、飲食店等においては提供実態があるということ。

3つ目のポツでございますが、豚は、E型肝炎ウイルスに加えて寄生虫による危害も考えられるが、内部までの加熱以外のリスク低減策が考えられないことを踏まえまして、法的に生食用としての提供を禁止する。具体的には、豚の食肉・内臓は中心部加熱が必要である旨の規格基準を策定するということで、記載を分かりやすくすべきだという御指摘を踏まえて、法的に生食用としての提供を禁止するという記載にさせていただいております。

 続いて、牛の内臓(肝臓を除く。)につきましては、危害要因が腸管出血性大腸菌でありまして、健康被害の重篤性は高いわけでございますが、表面汚染であること。

 飲食店等において提供実態があるわけでございますけれども、胃や腸などがいわゆる生食用として提供されている場合には、一般的には湯引き処理等がされておりまして、必ずしも完全な生の状態ではないということを指摘しております。一方で、いわゆるハラミなどがユッケとして提供されている実態があるということでございます。

3つ目のポツでございますが、現時点では、生食できるほど安全なレベルまでリスク低減する手法が認められないということ。

 こういったことを踏まえまして、前回お示しした資料にも記載をさせていただいておりますが、内臓表面からの腸管出血性大腸菌の内部浸潤に係る研究を行った上で、十分にリスクが低減されるという手法が明らかになれば、部位ごとのリスクに応じた衛生管理方法を、ガイドラインという形も念頭に置きまして検討するということで書いております。

 追記をしておりますが、先ほどいわゆるハラミがユッケとして提供されている実態があると言う御指摘がありまして「なお、組織学的には枝肉と同様のもの(ハラミなど)が、いわゆるユッケとして提供されている実態があることから、研究結果を踏まえ、これらについて生食用食肉(牛肉)の規格基準の対象となることを明確にすることを検討する」ということで追記をさせていただいております。

 続いて、羊・山羊あるいは野生鳥獣の食肉・内臓につきましては、流通が限定的でございますが、危険性が高いという整理をさせていただいております。

 このため、9ページで追記はしておりますが「特に、野生鳥獣は、狩猟前にどのような病原体等に汚染されているか不明であること等から生食はするべきではない」ということを明確に記載させていただいております。現時点においては流通量が限定的であるということも踏まえまして「このため、これらの食肉等については、食品等事業者に対して監視指導するとともに、生食するべきではない旨を改めて周知徹底するべきである」という形でまとめております。

 「2引き続き、リスク低減策について検討を行うもの」のところでございますが、本調査会におきまして、鶏、馬につきましては、危害要因の性質等、あるいはリスク低減策の有無などを踏まえまして、相対的に見れば必ずしもリスクが高いというわけではないという整理をいただいておりますが、1つ目の○のところに追記をしておりますが、改めて「食肉等の生食は食中毒の危険性があり推奨されるものではない」ということを明確に記載させていただいております。その上で、今後、検討の優先順位が低~中程度と整理された鶏と馬については、引き続き、現在行われている研究結果等を踏まえまして、具体的な対応策を検討するということで方向性を出させていただいております。

 最後に「5.今後行うべきリスクコミュニケーション、その他留意すべき事項」ということで、本調査会で御指摘をいただいた内容について記載をさせていただいております。

 まず「食肉等の生食については、食中毒を起こす危険性が高いため、生食を避けるようこれまでも注意喚起を行ってきたところである。今後とも、本調査会で整理した食肉等の種別ごとの危害要因等の情報を含め、食肉等の生食は基本的に避けるべきであることを周知していくべきである。特に、子供や高齢者、免疫の低下している方は生食を避けるべきであることについて、引き続き広く周知徹底が必要である」ということで記載をしております。

 その次に「また」とございますが「一部の食肉等に関する法的規制の導入により、逆に規制されていないものはリスクが小さいとのメッセージを与えてしまわないように注意が必要である」ということで、この調査会においての御指摘をいただいた内容でございますが、記載をしております。

 「なお」ということで「既に規格基準の設定されている牛肝臓については、現在実施されている牛肝臓に対する放射線照射に関する研究を実施し、有効性及び安全性の検討を引き続き実施することが重要である」ということで記載をしております。この点につきましては、関連情報といたしまして、資料4で研究の状況について御報告をいただくことをこの後に考えております。

 「また」ということで、食肉等の生食に係る対応に加えてということで、肉そのものに対する取り扱いということが前提にあるわけですけれども、その前提であったとしても、調理の段階で人や調理器具を介して食品や食器などが汚染され、食中毒が発生することがないように、引き続き、取り組みが必要であるということで記載をさせていただいております。

 「さらに」ということで、食肉等の生食による食中毒の発生防止のためには、飲食店等の食品等事業者及び消費者がそのリスクについて十分理解することが重要であることから、本調査会において取りまとめた生食に係る食肉等の危害要因の性質等に関して、行政としても厚生労働省のホームぺージにおける周知を図る他、食品等事業者だけでなく一般消費者にも分かりやすいリーフレットを作成するなど、自治体や関係団体等とともに、幅広くリスクコミュニケーションを推進することが重要であると記載をさせていただいております。

 後ろには、第1回から整理としてまとめていただいた危害要因の性質等、あるいはリスクの大きさについての表をつけさせていただいております。

 一番後ろの「表4 食肉等の生食の公衆衛生上のリスクの大きさについて」でございますが、記載ぶりを分かりやすくするという御指摘を受けまして、表の上のところで「食肉等」とある右側でございますが「危害要因の性質等」と書いていたところを、一般の方にもできる限り分かりやすくするということで「主な食中毒原因微生物とその影響の大きさ」という形で記載をしております。また「流通実態」と書いてあったところにつきましても「飲食店等における流通」ということで、2ということで表の下にも書いてありますが、自治体による流通調査の結果を示しているものでございますということで整理をしております。

 また、ABCDという記載をさせていただいておりますが、その簡単な御説明といたしまして、表の下の1でございますが「特に注意を要するものから順にADに分類している。(例:Aは生命に関わる重篤な症状を引き起こす危険性が高いもの」ということで説明を追記させていただいております。

 資料1の説明は以上でございます。

 資料2につきましては、御説明いたしました資料1の内容を概要ということでまとめさせていただいたものでございます。説明内容といたしましては、重複いたしますので省略させていただきます。

 資料1、資料2の御説明は以上でございます。

 

○山本座長 ありがとうございました。

 質問に入る前に、関連する資料として、野生鳥獣については、現時点では流通量が家畜と比べると少ないということですけれども、食中毒の危険性があるということで、生食しないように周知徹底すべきという御意見をこの調査会でもいただいたところです。

 野生鳥獣がどのような病原体に汚染されているか、厚生労働科学研究で行われた結果がありますので、その結果につきまして事務局から説明をお願いします。

○事務局 それでは、野生鳥獣の病原体保有状況調査の結果について説明します。

 資料3を御覧ください。

 平成23年度から3年間「野生鳥獣由来食肉の安全性確保に関する研究」ということで厚生労働科学研究を実施してまいりました。その中の病原体保有状況調査の結果について、簡単ですが御説明いたします。

 まず、イノシシとシカについて、1つ目として「細菌」について検査を実施しております。計295検体の糞便を検査したところ、サルモネラにつきましては、中国地方のシカ、九州地方のイノシシでそれぞれ1例陽性となっております。赤痢菌、カンピロバクターについても検査を実施しておりますが、こちらについては検出されませんでした。

 また、抗病原大腸菌O群型血清による凝集試験で陽性となった菌株に対してPCRを実施しましたところ、VT遺伝子陽性の病原性大腸菌が3.6%検出されております。

 また、これは食中毒という観点よりは感染症という観点からの問題になるとは思いますけれども、イノシシ52頭中の23%、シカ61頭の3%の腎臓からレプトスピラ遺伝子が検出されております。

2つ目としまして「寄生虫」に関する検査を実施しています。ふん便からの寄生虫卵の検出率は11100%と高率でありまして、鞭虫卵、回虫卵、鉤虫卵等が見られております。病理学的な検査におきましても、全身の筋肉内に住肉胞子虫、肺気管支内に線虫、肝臓から肝蛭を検出しております。寄生虫体が認められない場合にあっても、好酸球浸潤を伴う寄生虫に特有の病変が見られたということでございます。

3つ目といたしまして「E型肝炎ウイルス」、こちらについてはELISAによる抗体保有調査と遺伝子検出について検査を実施しています。

近畿地方のイノシシ71頭全て抗体陰性であった一方、中国地方のイノシシ113頭の42%で抗体陽性となり、4%から遺伝子が検出されております。この検出されたウイルス遺伝子につきましては、2011年の人の患者から検出された遺伝子と非常に似ていたということでございます。

 今、御説明しましたELISAとは別の抗原を使用したELISAによる抗体保有状況の調査ですけれども、関東地方のイノシシ152頭のうち8%、中国地方のイノシシ76頭のうち30%、九州地方のイノシシ46頭のうち22%で抗体陽性となっております。

 また、中国地方のイノシシ167頭の血清からは3.6%、6頭から遺伝子が検出されております。一方、九州地方や関東地方の検体からは、遺伝子については検出されませんでした。

 シカについて、中国地方の201頭の血清の中から0.5%、これは1頭だけですけれども、遺伝子陽性となった事例がございました。

 イノシシ及びシカから検出された遺伝子は、いずれも人の患者から検出された遺伝子に類似しておりました。

 最後、野性鳥類の病原体の保有状況調査ですけれども、こちらにつきましては、北海道内で狩猟された野生カモ類758羽、インターネットによる食肉販売を通じてカモ類341羽を対象に検査を実施しております。

 カンピロバクター陽性は、狩猟鳥で1.7%、市販鳥で7.3%でございました。サルモネラについては、全て陰性でございました。トキソプラズマ原虫の遺伝子につきましては、狩猟鳥は陰性でしたけれども、市販鳥は10.5%で陽性となっております。

 説明は以上になります。

 

○山本座長 ありがとうございました。

 資料123と説明していただきましたけれども、資料1の議論に入る前に、資料3で質問のある方はおられますか。特にありませんか。

 それでは、順番に資料1について御意見をいただきたいと思います。

 これは前回までに御意見、御議論をいただいたところでございますが、まず「1.経緯」「2.基本的な考え方」「3.食肉等の種別ごとの公衆衛生上のリスクの大きさの分析」の点につきまして御意見はございますでしょうか。特にございませんか。

 次に、今後の対応方針です。また、留意事項について整理をしております。ページでいきますと7ページの下の方「4.生食に係る食肉等の種別ごとの対応方針」ということでございます。御意見ございますか。

 五十君委員。

○五十君委員 少し戻りますが、4ページで「3リスク低減策」という項目があるのですが、こちらに関して発言してもよろしいでしょうか。

○山本座長 どうぞお願いします。

○五十君委員 これを見てまいりますと、下から4行目に「フードチェーン全体で」という表現があるのですが、その文章の上をさかのぼってまいりますと「その検討にあたっては、と畜段階から」という表現になっていて、これは余り好ましくないと思います。フードチェーン全体ということは生産の場からということなので、ここは少し書き分ける必要があると思います。と畜場から後に関してはHACCPなどの工程管理になると思うのですが、フードチェーン全体で必要な対策を考えていくということは、もう少し上流の飼育の段階からのことも必要になってくるので、ここの言い回しは修正が必要なのではないかと思います。よろしくお願いします。

○山本座長 分かりました。

そうすると「その検討にあたっては、フードチェーン全体で必要な対策を考えていくことが重要である」としておきまして、その後、と畜段階からは、農家の生産段階もこれからは農場HACCPをやっていっていただかなければいけないかなとは思いますけれども、どうでしょうか。

○小林委員 よろしいですか。

○山本座長 どうぞ。

○小林委員 これは厚生労働省に答えてもらったらいいと思うのですが、今、と畜場のHACCPについて検討しているわけです。だから、まさにフードチェーンもそうですし、と畜場におけるHACCPの取り組みもありますから、2つに分けて、両方ともHACCPをやっているという前提に立っていただいていいと思うのです。

○山本座長 事務局、何か。

○事務局 今、御指摘ございましたように、私どもといたしましても、一般食肉、あるいはと畜場、食鳥処理場においてHACCPの推進に取り組んでいるところでございますので、そういったことも含めた形でこの記述をしていきたいと思っております。

HACCPを進めるに当たっても、フードチェーン全体でその取り組みを広げていくということも食品安全の考えにおいては重要だということでございますので、農場段階でもそういった取り組みを普及拡大していけるように、生産段階の取り組みと連携して取り組んでいきたいと思っております。

○山本座長 ありがとうございました。

 文章のつながりからいくと、リスク低減策ということで、厚生労働省サイドでとるべきリスク低減策ということですので「その検討にあたっては、と畜場から」というのがずっと続いてきて「フードチェーン全体で」を1つ後ろにずらして「HACCPの取組等も含め、フードチェーン全体で必要な」というような流れにしておけばいかがかと思いますので、よろしいでしょうか。

○五十君委員 そのようにしていただければ、よろしいと思います。

○山本座長 他に。少し早く進め過ぎましたが、123の中で何か御意見がございましたらどうぞ。

 特にないようでしたら、また思いつかれたところで御発言いただいても結構ですけれども、7ページの下の4.につきまして、対応方針ということですので、リスクの大きさを踏まえた上でということですね。何かございますか。

 ○からいくと、危害要因のことが書いてあって、対応の方向性としては、リスクごとにということと、(2)で「食肉等の種別ごとの対応方針」ということが書き分けられています。豚の食肉・内臓、牛の内臓、これは肝臓を除いた部分、羊・山羊、野生鳥獣肉というところで対応方針を出して、その後は「2引き続き、リスク低減策について検討を行うもの」という形で書いております。

 特に御意見ございませんか。この生食の検討会としては、この方針で取りまとめるということでよろしいでしょうか。

 どうぞ。

○野田(富)委員 表4の中ほどの列の「飲食店等における流通」の区分が何段階かに分かれておりますが、これは「稀」と「ほぼない」とどちらが少ないのだかよく分からないと思うのですけれども、どちらが多い、少ないと言えるのですか。

○山本座長 事務局としてはどうですか。印象的には「ほぼない」の方がなさそうなのですが。

○事務局 「ほぼない」は、ないということで「稀」の方が多いということです。

○山本座長 これはたしか自治体での取りまとめのときに、何件の報告が上がってきていたかということで分類がされていたものですので、どうですか、何件から何件はと、分かりやすいようにこの中にもう一回注で加えておきますか。

 石川先生。

○石川委員 病気だとか、そういうものの発生のときにもよく言うのですけれども「稀」というのは「ある」というのに続くのです。ですから、あることなのです。「ほぼない」というのは「ない」ことなのです。ですから「ほぼない」というのは、ほとんどないという、まずあることはないということです。そういうことだと思います。病気のときもそう言います。

○山本座長 ありがとうございます。

 まれにあるということで。書きぶりを「稀にある」に変更しておきますか。

○五十君委員 すみません。「稀にある」というのは語弊があるので「稀にあった」の方がいいのではないかと思うのです。調査であったから「稀」としているのですね。違いますか。

○石川委員 流通があったけれどもと。

○五十君委員 流通があったけれども、掌握したという意味ですね。

○事務局 ありなしという意味で「稀にあり」ということで、定性的な言い方にさせていただきます。

○山本座長 前に、調査の表のときの何件から何件がどうというのがありましたよね。あれをこの脚注につけるというのはどうなのですか。それは変ですか。表3に書いてある。違うな。これは分離の程度ですね。

○事務局 必ずしも自治体で調べていただいた範囲が網羅的な調査ではないということで、定性的な書きぶりにならざるを得ないかなとは考えております。

○山本座長 そうすると、順番的には「多い」「あり」「稀」「ほぼない」の4段階ぐらいに分かれる。多いほうからいくと、そういうことだということで御理解いただけるでしょうか。

 では、そこはそう理解していただくことにして、このまま変更なしでいきたいと思います。

 食肉の種別ごとの対応は、特に意見がなければこのまま行きたいと思うのですけれども、よろしいですか。

○石川委員 よろしいですか。

○山本座長 石川委員。

○石川委員 今回、表4のところだとか、その前の表もそうなのですけれども、危害要因の影響の大きさということでランクづけをしていただいたわけです。これはやはりリスクコミュニケーションをするときだとか、それから、いろいろと教育的なところで子供たちに分かりやすく説明するときに、こういうものがあったほうが便利なのですが、先ほどAのところでは御説明があったのですけれども、できればBCDについても、若干その考え方の基本みたいな、参考になるような注釈があれば分かりやすいと思うのですけれども、恐らくこれをもって教育をしている人たち、それから、実際に子供たちを預かっている人たちも全部これを参考にすると思いますので、よろしくお願いしたいと思います。

○山本座長 事務局、よろしいですか。

○事務局 リスコミの際も、分かりやすいようにこういった表を使いたいと思いますので、御意見どおり修正させていただきたいと思います。

○山本座長 では、残りのBCDについても、どういうことなのかというのを少し説明していただくということでいきたいと思います。

4番のところでは特にございませんでしょうか。

 現在、資料1に基づいて議論を進めていまして、大きな項目の3.までやって、今、4.に入ったところです。

 豚の食肉・内臓については、生食用としての提供を禁止する方向で考えていくことになろうかと思います。

 牛の内臓について、これは肝臓を除く部分ですけれども、胃や腸の部分と、いわゆるハラミなどの他の筋肉組織が似ている部分とのあり方については、今までのユッケの規制に合うような形に、ハラミの部分とかそれに近いものについては、考えていかないとまずいのかなということでございます。

 あとは羊・山羊、野生鳥獣です。これは実際の流通量という意味では少ないわけですけれども、やはり生食はすべきものではないということが周知徹底されるということが重要かなということです。

 よろしいでしょうか。特に御発言はございませんか。

○石川委員 よろしいですか。

○山本座長 どうぞ。

○石川委員 強いて言えば、今、先生が8ページのハラミのところでおっしゃったのですが、「組織学的には枝肉と同様のもの(ハラミなど)」と書いてあるのですけれども、組織学的にはハラミも筋肉なので、少し分からないのですが、枝肉と同様のものとされるとか、ここは素人の人が読むと分かりにくいのではないかと思うのです。肉のことをよく御存じないと、要するに、ハラミというのが内臓に分類されているということですよね。その辺りはよく分からないのですけれども、そういうことですよね。それが分からないと、この文章は理解できないのではないかと思うのです。そういう説明は前にはなかったと思うので、もう少し親切に書くのだったら、ここのところは少し書きようがあるかなと思うのですけれども、いかがでしょうか。

○山本座長 事務局、いかがですか。

○事務局 牛の内臓についての御指摘でございますが、2つ目のポツの2行目で「いわゆるハラミなどがユッケとして」とございますので「いわゆるハラミなどの内臓に分類されるものが」という書き方で注記をしてはいかがかなと思います。

○石川委員 分かりました。

○山本座長 他にございますか。

 小林委員。

○野田(衛)委員 細かな文言の話で申しわけないのですが、9ページの一番上の「特に、野生鳥獣は、狩猟前にどのような病原体等に汚染されているか」というところですけれども、生きている間に「汚染」という言葉がなじまないかなと思います。「保有」とか「感染」とか、そういうことがメインになると思いますので、そこは「保有」あたりが適切かなと思います。

○山本座長 ありがとうございました。

 そうですね。「保有」にしていただいたほうがいいかと思います。

○小林委員 よろしいですか。

○山本座長 どうぞ。

○小林委員 以前、申し上げたと思いますが、野生鳥獣・ジビエについては、寄生虫や細菌の危険以外に、牛・豚・鶏はきちんと飼養管理されています。水も飼養管理されて、餌も飼養管理されている。だから、安心して食べられます、セシウムの基準値を超えていませんということで皆さんに言っているわけです。野生動物については、寄生虫、細菌についてはこういうことでしょうけれども、セシウムの汚染があるはずです。だから、そういうことを言っているのだろうと私は読んでいたから、これはそのまま生かしてほしい。

 もっと言うならば、私、全体的な意見書をつくって持ってきていますので、御覧いただいてよろしいでしょうか。全体的なことなのですけれども、ペーパーがございます。

○山本座長 その前に、今の文言でセシウムのことをおっしゃったと思うのですけれども、放射性物質の検査について、事務局はどの程度把握していらっしゃいますか

○事務局 今まで検査して基準値を超過したものについては、出荷制限がかけられておりますので、流通はしないような仕組みにはなっています。

○山本座長 そちらは一応食品衛生法の範疇に入るものですので、肉として流通する段階で放射性物質の規制がかかっている。

○小林委員 規制がかかっているといっても、検査していないではないですか。きちんとその基準値を超えているか、超えていないか、1頭ずつ調査をしているのでしょうか。

○事務局 これまでに検査をして基準値を超過した自治体全てから、出荷制限という形で出荷できないような形に今はなっております。

○山本座長 肉として流通する段階でその検査はされていると私は理解していますが。

○小林委員 全頭されているのですか。はっきり言えますか。

○事務局 基準超過が確認された自治体からは、出荷されないということです。

○小林委員 では、どこで検査していますか。と畜する現場で検査する以外にないでしょう。そこには現実にそんな検査装置はありませんよ。

○事務局 自治体がサンプリングして検査を実施して。

○小林委員 サンプリングでしょう。飼養管理されていないのだから、きちんと悉皆調査をするなり何なりしないと危険ですよということを言っているわけです。だから、ジビエについては、基本的には流通すべきでないし、生食なんてとんでもないですよ。

○山本座長 では、戸部委員から。

○戸部委員 済みません。私の認識が合っているかどうか余り自信がないのですが、ここでの議論は生食だから、セシウム汚染という話は直接関係ないと思っています。ここは病原体の話でよろしいのではないかと思ったのですが。

○山本座長 基本的には生食だけでもなくて、食べること自体にもかかわってくる話ではあるのですが、この検査に関して、監視安全課長、何かありますか。

○監視安全課長 先ほどのセシウムの検査の話なのですが、これは野生鳥獣肉だけに限らず、その他の農産物も含めて、基本的に出荷段階で国の通知に基づいて自治体でモニタリング検査が行われている。その中で、基準値を超えるようなもの、あるいはそういったものが地域的に広がるようなものについては、これは食品衛生法ではないのですが、原発の関係で出荷制限というのが総理大臣から知事に行くという形になります。したがって、野生鳥獣肉については、県単位で出荷制限がかけられておりますけれども、基本的に食用として出荷されないという枠組みになります。出荷されているものについても、一定のモニタリングが行われているということでございます。

 それから、出荷制限がかかった県についても、11頭検査をして検査結果が基準値を下回るということが確認されたものについては、出荷してもいいですよという枠組みになっていますので、基本的に流通しているものについては、セシウムについては問題ないのかなと考えております。

 それから、戸部委員おっしゃったように、ここはあくまで生食に関するリスクについての御議論をいただいているところでございますので、我々もセシウムの問題はこれとは少し違うのかなと考えております。

○山本座長 ですから、ベースにあるそういうリスクは、一応、モニタリングを含め、出荷制限等で違反がないようにしていくという上で、さらに、生食をするときのリスクということを考えるという話です。

 ここまでのところで特に御議論がなければ。御発言はありますか。

○小林委員 よろしいですか。ペーパーをお配りしてございますので、一応御覧いただきたいのですが、これは私の個人的な意見でもあり、業界の関係者の意見でもあるということでお聞き願いたいのです。

○山本座長 少しお待ちください。机上配付の「食肉の生食に係わる見解」ですね。

○小林委員 はい。ここに書いてありますように、本来、肉というのは加熱調理して食べるものですよということで、そのような情報提供をしている。生で食べると危険ですよという情報提供もしている。そして、肉に表示をして、これは加熱調理用ですよと書いて流通させることが基本です。全て加熱調理用という頭で流通しているというのが実態であります。ですから、そういうものを徹底していただければよろしいのではないかというのが私どもの基本的な姿勢なのです。

 今回、豚肉のレバー、生肉について規制する、あるいは提供を禁止するということには基本的には反対ではないのですけれども、それをすることによって、先ほど来、私が言っているように、では、イノシシの肉はいいのですか、シカの肉は大丈夫なのですか、熊の肉は大丈夫なのですか。現にこの中で、肝炎ウイルスに汚染されているとジビエのことを書いてあるわけですよね。にもかかわらず、豚の生食、肝臓の提供を禁止する。

 これは逆のメッセージで、おととしの7月、牛のレバーを禁止したときに、それ以前に駆け込み需要があった。これはまさに、それを食べたい人がいたから食べたのです。ここに二点、変なことが書いてあるのですよね。そういう駆け込み需要が生まれているから、よく情報が伝わっていなかったのではないかと。これは逆でして、情報がよく伝わっていたから、皆さん6月に食べに行ったのです。私も7月から食べられないと思って食べました。その辺りのことで、情報をきちんと提供すれば分かることではないでしょうかというのが1つ。

 それから、それを禁止したことによって、他の肉は大丈夫なのだよというメッセージになるのです。牛のレバーがだめだから豚にいったわけです。以前は豚なんかそんなに食べていません。我々自身も、寄生虫もいるからそんなものは絶対に販売してはいけないよ、生で食べてもらうようなことを言ってはだめだよと、それをきちんと徹底しているのです。ですから、物販のところでは、決してそういう生食用の豚レバー、豚の肉は売っていません。

 以前から野田専務あたりも言っていましたように、生食とか何とかは嗜好品なのです。たばこは害があって、そのリスクをきちんと伝える。それによって販売もされ、喫煙は区分されて喫煙されている。こういうことで基本的にはいいのではないですかということで、危害の伝達を正しく行う。あとは個人の責任に委ねる。これでいいのではないのですかと、これは正論だと私は今でも思っています。

 生食の加工マニュアルとか、今回のたたきのマニュアルとかをきちんとつくって、衛生的に皆さんに提供しなければいけない。これは業界できちんとやっています。同時に、豚の生のもの、特にレバーなんてとんでもないという情報はきちんと流しています。だけれども、情報として豚の喫食があるというのですね。これは牛を禁止したからそういうことになっているのだと思うのですけれども、その喫食のところでのコントロールというのは、残念ながら私どもの業界ではでき得ないのです。

 今日もJSさんとか焼肉協会さんもそうなのですけれども、団体はあるのですが、必ずしも組織率というか、アウトサイダーが多いのです。アウトサイダーが悪さをしているわけです。だから、そういうものが豚のレバー、生食を提供しないように徹底できないならば、皆さんの意見と同じように、生食を提供していただいてもいいですよ。それから、基準を設けてやっていただいてもいいですよ。業界が皆さんの意見に抗して反論しているようなことではございませんので、皆様の意見は総じて結論としては尊重していきたい。

 ただし、言ったように、悪いメッセージにならないように、その辺りは気をつけていただく。それから、でき得れば、さっき言ったジビエ類については、豚なんかよりも危険だと思います。まだ全くわかっていない部分が多くあるのです。それから、セシウムとかの汚染は別だと言うけれども、何遍も言うように、基本的には牛・豚・鶏など飼養管理ができる、水のきちんとした管理ができているものと、野方図に野生のものを食べて生きているジビエについて、それはリスクから言ったら10倍も100倍も多いと思っています。ですから、本当は同時に禁止してほしいぐらいのものであります。

 あともう一つ、この後のところであるのですけれども、他の牛の内臓も規制しよう、コントロールしようということでお考えのようですけれども、これは基本的に、ここに書いてありますように、洗浄とか殺菌とかいう形、あるいは熱湯で湯通しすることによって、あるいは食べるときに酢じょうゆで食べたりということで、酢酸で殺菌されるということもあり得るわけで、その辺りはこれから主に衛生的にどう加工し、調理していけばいいかということを厚生労働省も私どもも考えていったらいいのではないかということで、即、提供禁止にすべきではない。

 それから、豚の加工基準をつくろうとしているのですけれども、前に、牛のレバーで30分加熱しなさい、それならやっていいですと。それはもう生の状態ではありませんから、そんなことは、まさに料理人なり何なり常識のある人がきちんとすることなので、そんな変な基準をつくること自体がおこがましいので、それはやめていただきたい。ただもう禁止するなら禁止する。殺菌して中まできちんと火を入れて食べなさいという徹底をすればいいのではないかと思います。

 以上でございます。

○山本座長 ありがとうございます。

 嗜好の問題を議論するのはなかなか難しいところはあるのですけれども、基本的には生食をしないのがいい。それはもちろん小林委員も御賛成なので、その上で行政的なそういう規制をかけるか、かけないかという話になってくるとは思うのですが、そこで、結局、公衆衛生上のリスクという問題を取り上げて議論をしてきたわけです。

 ということから、ジビエは、当然、それぞれのリスクは高いということなのですけれども、公衆衛生上として拡大したときに、リスクが広がっているのかということを考えたときのリスクということでいけば、豚に比べれば若干低いのではないかということは同意していただけるのではないかと思っているところです。

 もう一つ、牛の内臓についてということで書きぶりを分けて書いてあると考えているのですけれども、1つは、ユッケの規格をつくったときに「内臓肉を除く」としてあったのですね。そのときに、内臓肉の中でも横隔膜についているものとか、頭部の肉とか、その辺が内臓肉として分類されているということから、それをユッケの規格を適用しない形で使われてしまうと非常に問題が生ずるのではないかということを考えているわけです。そういうことから、その辺りは十分に注意しなければいけない。規格基準に合うような形で処理していただこうということだと思います。

 それから、その他の内臓ですね。食べ方というのはいろいろあると思うのですが、完全に生で食べるということはなかなか考えにくいのではないかなとは思うのですけれども、食べ方としてどういう提供実態があるのか、この辺はもう少し検討を加えた上での規制のあり方を考えなければいけないだろうということで、今、データを蓄積しているところでもありますので、この書きぶり以上のことは書けないのですけれども、逆に言うと、それを規制しないという書き方ができるのか、できないのか。恐らくそれはなかなか難しいところだろうなと思いますが、事務局、これについて何か付加的に意見がございますか。

○事務局 牛の内臓、肝臓を除く部分につきましては、資料の8ページのところになりますけれども、豚の場合と違って、表面にO157の汚染があるということを踏まえまして、内部浸潤がどこまで進むものなのかということにつきまして研究を行った上で、必要な対応を検討するということで考えておりまして、その検討内容、研究結果を踏まえまして、ガイドライン等でリスク低減策を規定できるということであれば、そういった方向での検討も可能であるとは考えておりますので、まずは研究をということだと考えております。

○山本座長 石川委員。

○石川委員 この会で食肉をつくっている方たちがいろいろな御意見を持っているというのはよくわかったわけですけれども、今日のも非常にまとめていただきまして、より鮮明になったと思います。

 最初にある3つのポイントは、私、このとおりだと思うのです。これは全く異存はないと思うのです。4つ目の生食は、要するに、嗜好の問題であるというところについての議論というのはこの前もあったと思うのですけれども、たばこと食肉というのは、嗜好といってもカテゴリーが全然違うわけで、たばこは食卓には出ないのですよね。肉はやはり食卓に出て、子供たちもお父さんのものを分けてもらうとか、そういうこともあるだろうと思いますし、やはりもっとたばこよりも人口的、年齢的にも広がりがあるものだと私は思っていますので、全然比べ物にならないと思っております。

 そういう観点で、やはり公衆衛生的に、我々は子供たちだとか、実際に食中毒になっている方たちを見ていますので、4番目の点については危険性がはるかに上回るということで、私たちが嗜好と認めたとして、きちんと規制をする必要があるのではないか、信号を発する必要があるのではないかと思います。

5番目、6番目については、実際は検証がやはり十分でないと思うのです。特に一番下の調味とか洗浄液の工夫で十分に食中毒菌がやっつけられるとは思えないので、やはりこれはもっと十分なデータを出さないとなかなか云々できないことであるので、ここはまだ不明だと思います。

 いずれにしましても、途中で悪いメッセージにならないようにというお言葉がありましたけれども、悪いメッセージにならないようにということでこの会議でいろいろと結論を議論しているのだと思いますので、ぜひ食肉の関係の方たちも一緒になって、国民に悪いメッセージにならないようなメッセージをつくればいいと思います。

 以上です。

○山本座長 ありがとうございました。

 戸部委員。

○戸部委員 私も消費者として思うところがありまして、基本、生食がいけませんということはきちんと伝えていかないといけないことだと思いますが、その上で、ここの報告書の4.のところに書かれている肉の種別ごとの対応の違いが、先ほど公衆衛生上のリスクの大きさによってという御説明がありましたので、そのことをわかりやすく説明する必要があると思います。説明を聞くと分かるのですが、なかなか消費者にとっては、原則禁止なのか、今後、具体的な対応策を検討するものとのグレードの違いがあるのはなぜなのだろうというところが、理解しにくいと思うので、やはりそこのところはきちんと説明する必要があると思います。今、科学的なリスク分析が終わった時点だと思うのですが、リスクの大きさだけではなくて、公衆衛生上の意義というか、そこのところをきちんと伝えていく必要があると思います。

 今回の豚のことについては、私も感覚的に公衆衛生上のリスクが高いというのは分かります。実際に提供されているお店もあったりして、そこに居合わせたこともありますが、たばこなどの嗜好品とは違って、消費者は見た目では汚染されているかどうかが分からなくて判断できないというところが生食の特徴だと思うのです。なので、消費者が正しい選択をと言われても、今、持ち得る知識ではなかなか難しいというところがあります。

 科学的なリスクがあるのであれば原則禁止で、それ以降、先ほどいろいろ管理の方法はこんなのがありますという御提案もあるようですけれども、そのあたりについて、その効果等をきちんと説明していただくと、逆に、今、心配で食べられないと思っている人が、科学的に安全性が確保された、確認されたという状況になって、食べていいのだと思えるようになれば、それはそれでまた前進かなと思います。まずは、生食というのは種類にかかわらずリスクが高いものだというところをきちんと伝えることと、あと、肉の種類によって対応が違うところの説明を丁寧にしていかないと、なかなか消費者には分かりづらいと思っています。

○山本座長 ありがとうございました。

 松永委員、何か御意見ありますか。

○松永委員 小林委員のおっしゃるとおりで、食肉は焼いたり、煮たり、加熱して食べることが原則だと、それはもう本当にそのとおりなのです。昔は常識としてあったのですが、常識が少しずれてきているというか、一般の方たちがそういうことを余り当たり前の感覚として受けとめることができないようになってきているというのが厳然たる事実であろうと思います。

 その中で、先ほど戸部委員がおっしゃったように、消費者はなかなか判断の根拠がない。情報もない。その中でどうやって選ぶかというときに、実は一番頼りになるのはお店の方、業者の方で、その業者の方たちが適切に安全なものを提供してくださっているだろうと信じて食べているというのが実態です。ところが、残念ながら業者の中にもいろいろな方がいらっしゃる。それも小林委員が書いておられるとおりなのです。ですので、消費者も学ばなければいけない。業者もきちっと学んで適正にリスク管理をして提供していかなくてはいけない。それが現状だと思います。

 肉別にリスクが違うのでやり方を変えていくというのは、確かに、今回、この調査会が初めてのアプローチです。考えてみれば、ユッケとレバーのときにはこういう説明が全くなかったわけです。ですので、そういうものは禁止だというと、一気に豚に流れてしまったというような状況があったと思います。しかし、今回はそれに学んで、それを教訓として、まず全体を見ましょうよと、全体のリスクをきちっと検討して、切り分けて、その上で高いものは強く規制する。摂食量が少ないものは少し今後についていろいろ検討するというような切り分け方をする。これは初めてのことですが、これをきちっと消費者に情報提供することによって消費者も学べるのです。業者も学べると思います。

 ですから、書いておられるような、牛レバーを禁止したから豚レバーに行った。だから、今度もまた次のものに行くというふうにはならない。この情報をきちっと提供すれば、みんなが学んでいるわけですから、そういうことにはならないと思っていますので、御提案のような対応方針で整理していいのではないかと私は思っています。

○山本座長 どうもありがとうございました。

 五十君委員。

○五十君委員 今回、食肉を直接扱っている方々からこういった見解が発信されたのは重要で、根本で、食肉は煮たり、焼いたりして食べるのが前提だということをはっきり述べていただいている。これはまさに今回まとめている内容と一致しているということで、この文章に関しましては、非常に有意義な文章だと理解しております。

 ただ一部、科学的に見るとちょっと待てよというのが出てくるので、そこのところを修正していただければ、この文章を活用し情報発信していただくというのがよろしいのではないかと思います。

 検討の必要な箇所は、まず、一番最初の3行目の「生で食べる行為は」の後に「他の食べ物(魚等)と同様に表面が細菌で汚染されているのでリスクがある」という記載なのですが、これは、今回、いろいろな議論の中で、表面汚染のものについては基準で対応した。それから、内部に汚染が起こってしまう内臓とかレバーについては、これは手がつけられないので禁止にしたという流れがあります。したがって、一律に生食は表面汚染だけが危ないのだよ、リスクなのだよという表現は、科学的な表現としては余り好ましくないのではないかと思います。このあたりを検討して出していただけるとよろしいと思います。

 次に、3番目なのですが、最後の行は非常に説得力があると思います。「特にジビエ(野生動物)の生食は、豚よりもさらに危険である」というのは、これぐらい業界の方からはっきり言っていただくと、こちらの文章はまさにそれであると思います。ここを理解してもらいたいというところ、これは非常に重要なポイントではあると思います。

 その次へ行く前に、先ほど石川委員から出てきましたように、この間にたばこの話を持ち込むと、むしろ理路整然とした表現にはならないので、たばこの記載については削除していただいたほうが、よいと思います。ここにこういった表現が入ってきますと説得力がなくなると思いますので、ここは検討していただきたいと思います。

 その中の2番目の「しかし」の後で、アウトサイダーにより生食がコントロールできなくなっているというところは非常に重要なところだと思います。コントロールできなくなっている状況というのが公衆衛生上の問題でして、それで、今回の豚の肉に関しては、こういったものがコントロールできなくなっている状態で、ひとまず禁止にしていかざるを得ないということになったのではないかと思います。ですから、ここのところは非常に重要で、では、コントロールできなくなっているときにどうしたらいいのかという議論が、今、ここで行われていると思います。

 あとの最後の2つ目については、少し異論が出てくる部分があると思います。これはあくまでも基準を決めるときに、リスク評価によって科学的な根拠で微生物のコントロールレベルを決めたわけです。それをどうやって達成させるかという話ですので、この2つについては、もしそれが可能なものがあれば、検証データを提供していただければいいということです。この部分はまだかなり推測とか憶測の部分を含んでいると思われますので、もし見解として出される場合は、科学的根拠を示し、もう少し検討して出していただければ、説得力があると思います。

 以上です。

○山本座長 ありがとうございました。

 基本的にこの見解に書かれてあるベースのことは、今回の取りまとめた内容の中にほぼ入っているとは理解していますが、五十君委員御指摘のように、このままこれが出ていくと少し問題があるかなというような表現が見られるということなので、小林委員でこれをもしどこかで使われるときには、検討していただきたい。

 我々としては、今、資料1の取りまとめをしているところですので、基本的にこの内容でよろしいかどうかということを最終的には議論していきたいと思います。

 事務局、どうぞ。

○事務局 戸部委員、松永委員から、まさにこの調査会で御議論いただいた内容を丁寧に説明すべきだという御指摘もございまして、資料19ページのところにも書かせていただいていますが「今後行うべきリスクコミュニケーション」ということで、厚生労働省における周知あるいはリーフレットの作成とか、そういったところで、どういう議論があって、肉の種別ごとに対応にどういう差が出ているかということもできるだけ分かりやすく説明をしていけるように検討したいと思います。

○事務局 今、追加でジビエのリスクについて御議論いただいて、いろいろな先生方から御指摘いただいておりますけれども、ジビエについては、この調査会の中でも御紹介させていただきましたとおり、近年、農産物の野生鳥獣による被害が深刻化しているということもございまして、野生鳥獣の被害防止のために捕獲・管理をしていくという方針になっております。その中で、捕獲した野生鳥獣について、食肉への利活用ということも併せて推進していくという動きがございます。

 そういう中で、私どもとしては、衛生的な管理も重要だということで、その取り扱いについて検討していくということで考えておりますが、そのリスクから、決して生食では提供しないということが必要だと思っておりますので、この調査会の検討の中でも御指摘のあったジビエのリスクについては、メッセージとして発信していきたいと思っております。

○山本座長 ありがとうございました。

 生食の議論ですので、原則、生食禁止で、それ以外のベースのジビエの安全性については、今後、もっと検討していただいて、どういう形の扱い方があるのかについては、さらなる議論をしていきたいと思っております。

 それでは、5番目の「今後行うべきリスクコミュニケーション、その他留意すべき事項」のところはいかがでしょうか。

 少し関連した事項で放射線照射に関する研究がありますので、事務局からその研究について御説明いただけますでしょうか。

○事務局 5.のところに牛の肝臓の放射線照射の研究について述べられていますので、資料4をもとに現在の研究状況について御説明いたします。

 平成247月に牛肝臓の生食が禁止されましたが、本措置のパブリックコメントにおいて、牛の肝臓の生食について多くの意見をいただいていること、また、業界団体から要望書をいただいていることから、厚生労働省といたしましても、牛肝臓の生食の安全性を確保する知見を得るために、牛肝臓の放射線照射による殺菌効果の有効性、安全性についての研究を平成24年度から開始いたしまして、平成27年度までの計画で行う予定でございます。

 本研究では殺菌効果の有効性について確認する「照射条件の検討」、安全性を確認する「品質に与える影響」、放射線照射以外の殺菌方法として、「消毒薬による殺菌方法の検討」及び「圧力処理による殺菌方法の検討」の4つを研究しております。

 平成24年、25年の成果といたしまして、この資料の上の囲みにございます「照射条件の検討」におきましては、牛肝臓の冷蔵・冷凍及び包装条件における腸管出血性大腸菌やサルモネラ菌の殺菌効果が確認できる照射条件を検討しております。牛肝臓を真空パックで脱気包装した後、脱気しない場合に比べまして大きな線量が必要であったという結果が得られております。有効な照射条件が得られましたので、今後、この条件が的確かどうかという繰り返しの試験を行う予定でございます。

2番目の「品質に与える影響」の検討におきましては、冷凍及び冷蔵下で3キログレイと5キログレイを照射した場合、牛肝臓の栄養成分は、冷凍保存では変化は少なかったが、冷蔵保存ではビタミンB1の含有量が87%程度に減少するなど変化が比較的大きく、また、ビタミンB6の含有がわずかに減少いたしましたが、それ以外の一般栄養成分やビタミン含有量に変化は見られませんでした。

 照射による副生成物の指標となる脂質酸化指標につきましては、冷蔵照射でやや大きくなるなどの傾向は認められましたが、国際機関の推奨するトランス脂肪酸摂取量を考慮すると、大きな変化はないと判断されました。

 また、放射線照射により発生する副生成物(2-アルキルシクロブタノン類)につきまして、検査方法についての研究を行っております。

 また、官能検査によりまして、照射後に臭気が感じられたことから臭気成分に関する調査を行いました。この成分はベンジルメルカプタンが候補として挙げられております。

3つ目の「消毒薬による殺菌法の検討」でございますが、胆汁と肝臓内の細菌数について調べた結果、胆汁から細菌が検出されなかった検体でも肝臓内では検出されているものもありまして、細菌汚染は胆管からと門脈から類同を経て起こるものがあると推察されております。

 また、塩素系消毒薬と凍結融解処理によりまして、牛肝臓に接種したO157を目標とする104乗分の1まで減少させることができましたが、効果が十分でない検体もございました。

4つ目の「圧力処理による殺菌法の検討」ですが、牛肝臓の大腸菌に対する殺菌方法について検討を行い、500メガパスカルで有効な殺菌効果が認められましたが、色彩やかたさの変化が認められております。

 これらの24年、25年度の研究内容を踏まえまして、本年及び来年度におきましては「照射条件の検討」として、これまでの検討から導かれました線量で期待される程度の殺菌効果が認められるかの試験を繰り返し実施する予定です。

 品質についての研究といたしまして、2-アルキルシクロブタノンの生成量について検討する予定でございます。

また、臭気成分につきましても、検討する予定でございます。

 その他の殺菌方法といたしまして、塩素系消毒薬と凍結融解処理による殺菌につきましては、効果が十分でない検体もあったことから、さらに検体数を増やして消毒薬の注入速度、凍結温度、凍結条件などを検証する予定です。

 また、圧力処理による殺菌につきましても、腸管出血性大腸菌における有効性について確認する予定です。

 放射線照射等の研究については以上でございます。

○山本座長 ありがとうございました。

 さまざまな殺菌条件が検討されているわけですが、放射線のところの書きぶりが分かりにくいところがあるのですけれども、殺菌効果が確認できる照射条件を検討して、結果、照射の効果があるものが認められたということでよろしいのですか。

○事務局 そうです。どれぐらいの線量を照射すれば殺菌できるかという検討を今までしておりまして、必要な線量についてのデータが得られましたので、実際にその線量で繰り返し効果を確認するということを今後やる予定でございます。

○山本座長 この場合の線量というか、コーデックスの規格には当てはまっている線量と考えてよろしいのですか。

○事務局 コーデックスでは食品については10キログレイまでの照射が一応認められているということですが、今回につきましては7キログレイまでとなっております。

○山本座長 ありがとうございます。

○小林委員 質問よろしいでしょうか。

○山本座長 どうぞ。

○小林委員 この「消毒薬による殺菌法の検討」というところで「胆汁から細菌が検出されなかった検体でも肝臓内では検出されているものもあり」と書いてあるのです。肝臓の中に腸内細菌が入るためには、胆のうから出た胆汁の中、そして、それが行っている胆管の中を通って肝臓内に行くのではないのでしょうか。まず門脈があって、胆のうがあって、その間に胆管があるわけですよね。ですから、組織内にあって、胆汁、胆管の中にそのものがいないというのは考えられないと思うのですけれども、いかがでしょうか。

○山本座長 朝倉委員から説明してもらったほうがいいかと思うのですが。

○朝倉委員 御質問の件ですが、牛でのデータがどれぐらいあるかというのは、正直、数的なものは資料を手元に用意していないために分からないですが、胆管からのルート以外に、いわゆる腸管の上皮の間を通り抜けてしまって血中に入り、それが門脈を通じて肝臓に行くという報告は複数種の動物でございます。ですので、肝臓の実質のみに菌があって、胆管にないという現象というのは起こり得ると考えています。

○山本座長 小林委員。

○小林委員 ということは、門脈と胆のう、胆管を調べれば、どちらかにいるということですね。

○朝倉委員 おっしゃる箇所での菌の分布が一過性のものであるならば、その2つの箇所だけを調べて、肝臓には菌がいないとするには、科学的根拠が充分とはいえないと思います。

○小林委員 ありがとうございます。

○五十君委員 これは大学の先生の行ったデータで、先生自身が、胆汁中の菌数を測定すればある程度肝臓内の予測ができるということで、実際に胆汁中と肝臓の菌数を調べていただきました。しかし、胆汁中にほとんど検出されないにもかかわらず、実際に肝の実質に菌が出てきた例が観察されたということで、これはどのように理解したらいいかということになります。文献的にいろいろ調べますと、先ほどのルートが2つあるということと、それから、バクテリアのトランスロケーションというのがどうしても腸管から起こりまして、血中に菌が流れることがあるようです。そういったものが恐らく、今回、観察事例がそれほど多くないのにもかかわらず出てきたということで、それで、こういった記載というか、表現になっているのではないかと思います。ですので、決しておかしいことではないと思われます。

○山本座長 血液を介してとか、トランスロケーションという腸管上皮を直接通過してという考え方も一つあるのですけれども、牛の胆のうと総胆管の位置関係を単純に見ておいても、総胆管は直線的に走っているわけです。胆のうはそれと直角に位置しているので、いきなり実質に総胆管を通じても入っていけるというルートは十分考えられると思っています。ですから、必ず胆のうを通ってから行くという流れになっていないのではないかということを解剖学的には考えられます。

○小林委員 先生、それを言っているのではないです。胆管とか、そこから続く毛細の胆管を調べれば、少なくとも肝臓組織内にいるならば、いるのではないでしょうかということなのです。胆のうを経由しないで直線的に行くというのは分かります。

○山本座長 ただ、胆管内の胆汁だけを取り出すというのがなかなか難しいということになろうかと思います。それで、胆のう内の胆汁を調べて、そこに菌がいないのだけれども、実質を見ると菌がいるということから、単純に胆汁だけを調べて、いるか、いないかの判定に使えないという話ですよね。

 「今後行うべきリスクコミュニケーション、その他留意すべき事項」ということで、検討事項があるわけですが。

○加藤委員 その件でよろしいですか。

○山本座長 どうぞ。

○加藤委員 9ページの「5.今後行うべきリスクコミュニケーション、その他留意すべき事項」について、8行目の「なお、既に規格基準が設定されている牛肝臓については」の前に挿入文句として、お手元に私から修正案でメモ書きをお届けしていますので、読み上げますと「なお、既に制定されている生食用食肉(牛肉)等に関する規格基準についても、食肉等の関連事業者の取組や食肉の衛生管理に関する新たな知見に応じて必要な見直しを行うとともに、」という文言を追加して入れていただいて、その後、今、議論の「牛肝臓についても」という形で、つまり、牛肝臓及び生食肉のユッケ等に関する規格基準についても、今後、必要な見直しを行うということをお願いしたいということで、この委員会で再三要望として申し上げたことをこの中間取りまとめの段階にぜひお願いしたいということでございます。

 理由としましては、食肉等の生食に関する調査会の役割は、消費者の認識や食肉等の関連事業者の取り組み等も踏まえつつ、これは既に確認された視点でございますけれども、公衆衛生上のリスクの大きさに応じた規制のあり方について検討するものであり、新たな規制のあり方を検討するとともに、既にある規制についても必要なレビューを行うことが求められるということで、その視点でございます。

 この場合、実験的なリスクの再現ではなく、と畜から消費者に提供されるまで、食肉流通の各段階における衛生管理の実情を踏まえたリスクを客観的に評価する必要がある。前回、前々回、いわゆると畜から解体、流通に供される食肉の工程に沿った形で、衛生管理の実情を踏まえたリスクをぜひ客観的に捉えた規格基準の検討の中にお願いしたいということで、書かせていただきました。

 以上でございます。

○山本座長 ありがとうございました。

 ただ今加藤委員から一部修正の御意見がありましたけれども、委員の先生方、御意見はいかがでしょうか。

 五十君委員。

○五十君委員 ここに表現として挙げた内容については、それほど問題がないのではないかと思いますが、ここに提案された文をそのまま読みますと、取り組みや、そういったことが行われたら改善しようという内容にとられてしまうと思います。これはリスク評価によってコントロールレベルが決まっている話ですから、そういった取り組みによって新たな科学的知見が得られた場合は見直しましょうという表現の方が、私は問題ないと思います。

○山本座長 ユッケの規格をつくるときも、リスク評価をきちっと行った上でやっているということがありますので、科学的データに基づいて、その根拠がある上で、変更しなければいけないということであれば変更していこうというお話だったかと思います。

○加藤委員 済みません。私のお願いは、科学的な評価をきちんとされたということも含めて、その当時の規格基準の定め方に、例えば、今回のこの調査会では表面の汚染と中に浸潤した汚染の2つに分けてちゃんと書いてあるというのは、先ほど松永委員がお話しされましたように、前回はそういうことはなかった。あるいはそういうことが情報提供されていないと私ども食肉を扱う者は感じているわけです。

 つまり、リスクの管理措置を決める場合に、流通工程にかかわっている関係者の意見等も踏まえて、そして、もちろん科学的なリスク評価は当然大事ですけれども、もともとO157というのは、今回の枝肉の生肉のユッケの場合、原料であります食肉は表面の汚染だというものでございますけれども、実際、表面の汚染を取り除く方法としての規格基準の制定について、時代が経ているわけですから、今後の検討の中にぜひもう一度入れていただきたいということで申し上げているということです。

○山本座長 議論を全くしないというわけではないのですが、科学的な知見ということでいえば、前回、規格をつくるときに、五十君委員から説明があったほうがいいかと思うのですけれども、内部への表面からの侵入というのが随分あったわけです。だから、そこをいかに防ぐかということであの基準ができているわけなので、単純に表面だけ汚染しているから、それをトリミングして除けばいいということでもなかったと記憶しております。

 松永委員。

○松永委員 誤解を招かないように申し上げますが、私は、前回ユッケについては、科学的なリスク評価に別に問題があったとは思っておりません。先ほど申し上げたのは、他の肉との比較の視点での検証はありませんでしたよねと、牛のことだけに集中してリスク評価がありましたし、情報提供がありましたよねという意味ですので、誤解のないように申し添えたいと思います。

 質問なのですけれども、加藤委員の修正案で「食肉等の関連事業者の取組や」という記述があります。ここがどういう意味合いを示しているのかということをお伺いしたいのです。

 というのは、先ほどから申し上げていますし、小林委員の見解にも書いてありましたとおり、事業者といってもさまざまなわけです。いろいろなところできちっと衛生管理、リスク管理に取り組んでおられる事業者もありますし、そうではない事業者がいらっしゃるということもはっきりしていると思います。ですので、一言で「食肉等の関連事業者の取組」と書かれたときに、何を具体的に指しているのか、誰を対象にして何をするのか、何をもってして取り組みがあったとみなすのかというのがとても大きなポイントであろうと思うのです。いい事業者の取り組みだけをもってして、これだけやっているのだから変えましょうというのは科学的ではない。消費者としては納得できないと思いますので、ここを具体的にどうお考えなのか。やはり入れるのでしたら、もう少し具体的にきちっと書いて、最終的にはきちっとした調査と科学的な知見をもとに見直しをというような、もう少し厳密な文章にしたほうがいいのではないかと思います。

○山本座長 加藤委員。

○加藤委員 ありがとうございます。

 先ほど私が松永委員の発言を捉えて申し上げたようで、済みません。前回のものがいわゆるリスク評価を踏まえて管理措置を決めたということを否定しているわけではありません。私が申し上げていますのは、この理由にも述べていますように「食肉等の関連事業者の取組」ということですけれども、私の当時の、今、既に制定された規格基準の内容は、通常、枝肉等の食肉の塊を購入して、それをユッケ等に加工・調理して提供するレストランの業者においては、既にその川上の流通に供される食肉の枝肉等、あるいはプライマルカットの加工の枝肉にするところの現場の衛生管理の状況については、多くの業者はほとんど確認をしてやっていますし、既に保健所にもそういう指導を受けていると私どもは思っています。また、保健所にもそういう通知がされていると思います。

 しかし、前回の非常に不幸な事態は、私どもからすると、食肉関連事業者の購買、加工、調理の工程から考えると、全く考えられない事故が発生したという認識を持っております。こういう場合には、リスクの評価をされたとしましても、ここに理由で書いてありますように「実験的なリスクの再現でなく」という大変ストレートな表現をして恐縮ですけれども、表面の汚染がある食肉の枝肉であっても、そういう表面上の汚染については、枝肉のと畜・解体からプライマルカット、そして、外食産業・レストランに販売するところのポーションカットまでの間、工程段階で殺菌剤の入った水やお湯や、圧力のある水で数度にわたって、幾度となく洗浄や取り除きが行われて流通してくるものがほとんどでございます。

 規格基準を決めるときに、実験室でスポイトでO157を表面上に塗布して、1時間後ぐらいに1センチメートルのところにO157の菌が浸潤したということをもとに、規格基準として、取り除く、あるいは加熱して除くというものが定められたことで、一挙に私どもの業界からユッケのメニューが消えてしまいました。

 私は、そのときは、やはりそこまで厳しい仕方は業界としては受け入れなければいけないと思いましたけれども、しかし、その他の食肉の生食肉に関する今後の対応についての調査会が設置されるに及んで、この委員会に参加させていただくというときに、2年前のこれの見直しも含めて、この委員会でぜひ発言をさせてほしいということです。

 そして、協会として会員社に、その後、このユッケのメニューはどうしたのか、取り除いたのか、あるいは今でもやっているのか、その場合はどういうやり方をしているのかという実態調査をしまして、その結果を第1回の委員会にも提出した。第2回にそれについての説明をさせていただいて、このような2年前の規格基準の方法によるリスクの管理措置について、と畜から消費者に提供されるまでの加工・流通・販売の中でどのような衛生管理が行われているかということを実際に踏まえた上で、そのリスクを取り除く方法について基準をつくっていただきたいということをお願いしたということです。その理由は、そのとき、そういう形で再三申し上げたと思いますけれども、それを取り組みということで言っています。

○山本座長 まだ取り組みの内容について、よく分からないところがあるのですけれども、以前の取り組みと同じことをやっていってよろしいということに戻していただきたいという話になってしまうような気がしたのですが、そうではないのですね。

○加藤委員 ですから、その取り組みを、そういう規格基準を決めるときに、リスクの科学的な評価はされたということについて、否定するものではないと申し上げましたが、その方法ですよね。もともと枝肉の表面にと畜時において汚染していた。それがポーションコントロールカットの肉の塊になる工程の中で、実際はかなり数度にわたって洗浄されているものが、ああいう事故が起こったということも含めて、実態を踏まえながら、リスクを取り除く方法はどうなのかという形で御検討いただきたいということを申し上げているわけです。

○山本座長 松永委員。

○松永委員 大変な御努力をしておられるということは、よく分かります。ですので、その大変な努力の結果、どうなりましたというのをやはりきちっと科学的に示していただきたいのです。こうしたら、こういうふうに菌が減ってなくなりますとか、そういうことを示していただかないと、やはりリスクベースのリスクアナリシスに基づく食の安全を守ることにならないと思います。本当に努力しておられるというのはよく分かりますので、やはりそれをきちっと示して議論の俎上に上げていただきたいと思います。

○山本座長 五十君委員。

○五十君委員 加熱方法について、何か誤解があるような気がしますので、説明させていただきたいと思います。可食部をどのレベルにしなさいというリスク評価の結果が出た場合、それを今の技術でその状態にできるものとして提案されたのがあの方法であって、方方は一つではないわけです。ですから、皆さん努力していただいて、今の洗浄の方法で十分常に均質のレベルにコントロールできるということ、科学的根拠で大丈夫ですよとはっきり示していただければ、そのような方法でも構わないわけです。例えば、生産段階から菌をコントロールして、菌自体がいないような育種をしていただいて、きれいなところでと畜をしていただいて、それを提供していただければ、生食が可能ですよとなります。微生物のコントロールレベルも達成していますよと言われれば、多分、消費者は安心してそれを食べていただけるのです。あの加熱方法にこだわるということではないので、ここで関連事業者の取り組みというのはぜひやっていただければと思います。

 あの加熱方法は、私自身もそんなにいい方法だと思ってはおりません。ただ、あの時点で非常に低い菌数に微生物をコントロールにするためには、理論的にどこまで菌が入っていくから、どこまで加熱したら菌がいない状態になる。そして評価は、あの25検体を調べて、常にあのレベルに保てるというのを提案しただけでありまして、それにかわる方法を科学的根拠で示していただければ、見直しするというのは十分に皆さん納得できるのではないかと思います。

○山本座長 よろしいでしょうか。

○加藤委員 質問ですが、そのときの規格基準の決め方のプロセスの中に大変業界の責任ということも感じていましたから、私どもは要求しませんでしたけれども、それを素直に受け入れて、今後、見直しについて要望していこうということを業界で決めたのですが、つまり、あの事故の前後に、食肉のそういう汚染によるユッケの食事提供であのような重篤な事故が起こったのか、O157の多くは、食肉のそういう生食ではなくて、サラダですとか漬物ですとか、多くの他のそういうもので発生したという認識があります。

 しかしながら、余りにも衝撃的な事故であるので、そういうことに対するリスクヘッジということで規格基準をつくられたということについては、意見は申し上げましたけれども、このような状況の中で今回の指針に至ったので、もしそういうことの頻度が多く、このような事例の中にあっての危険であれば私はいいと思いますけれども、一般的に、先ほどから、再三申し上げています、私ども生食肉を提供している業者が今まで販売したものは、もうずっと販売提供以来、川上の製造・加工・流通の業者さん、会社さんとはそういう衛生管理のチェックや信頼関係を構築する中でやってきて、何らユッケの販売に関しての食中毒についての事件や記録数は少なかったからこそ、業界としては余りにもそういうことに驚いたというのが当時の実際であったと思ったものですから、そういうことを申し上げました。

 ただ、このように先生にアドバイスをいただきましたので、業界に帰りまして、私どもで皆さんに納得していただけるような業界の取り組みということをもう一度やらせていただきますので、ただ、今後とも、ここにありますように「必要な見直しを今後とも行う」というところはどこか文字の中に入れていただければありがたいということだけを最後に申し上げておきます。

○山本座長 ありがとうございました。

 これまで取り組みもやってこられて、大変な努力をされているというのは分かります。一部のそういう取り扱いの悪い方による事故が起こったという認識におられるかもしれませんけれども、やはりその事故が起こる背景に、肉そのものの汚染が基本的にあるということは認識されていると思いますので、今回、規格基準になっているやり方以外でそれをやろうとするときには、やはり科学的な論拠を示していただかない限り、なかなか次の取り組みへ我々の議論が進まないのだろうと思います。

 このままの状態で最終的な案をまとめるというのも、御提案があったということを踏まえて、少し修文をした内容を読み上げますので、それに同意していただけるのならばということですが、なお書き以降のところになるかと思うのですが「なお、既に制定されている生食用食肉(牛肉)等に関する規格基準についても、食肉等の関連事業者の今後の取組状況に留意しつつ、食肉の衛生管理に関する新たな科学的知見に応じて必要な見直しについての検討を行うとともに、また、」と続けたいと思うのですが、挿入するのは「関連事業者」の後に「今後の取組状況に留意しつつ」と、それから、次の行で「新たな科学的知見に応じて必要な見直しについての検討を行う」ということでよろしいでしょうか。このように修文させていただいて、もしよろしければ。御意見ございますか。

 ということで、座長が預からせていただきますので、よろしくお願いいたします。

 他に御意見ございませんか。

○小林委員 1つよろしいでしょうか。私の意見が理解されていない部分がございますので、このペーパーの最後から2段落目のさっき五十君先生が言われていたことなのですが、レバー、豚肉はこういう加熱をしないとだめだよなんていうことよりも、基本的には喫食の提供禁止。

 もう一つは、一々そういうものを決めていく場合、例えば、豚の生肉、あるいは豚のレバーについても、牛のレバーと同じような形で基準を決めていくと、一つずつ調理の方法とか、加熱の方法とかを言っていかなくてはいけない部分というのができてきてしまうのです。

 というのは、もっと我々が気をつけなくてはいけないと思っているのは、例えばハンバーグなのです。ミンチのハンバーグは中まで火を通してくださいということだけで、必ずしも何度で何分ということを言っていないのですけれども、そういうことをきちっと言っていけば、家庭で調理する、あるいは調理師さんが飲食店で調理する場合に、きちんと気をつけてやっていただけることだから、何度で何分だなんていうこと自体がおかしいのではないのですかという意見なのです。

 というのは、ハンバーグというのは厚みがいろいろありますし、極端な例を言うと、冷凍したマクドナルドあるいはモスバーガーのハンバーグパテ、これも解凍すれば生ですよね。これはそれぞれマニュアルをつくってやっているのですね。だから、そういうものはそういう方たちに任せればいいではないですかという意味なのです。ここで中まで火を通して加熱して食べましょうということを徹底して言うということでいいのではないでしょうか。そうでないと、全て、このステーキは何度で何分鉄板で焼きなさい、このハンバーグは何分加熱しなさいという話になってしまいます。

○山本座長 この文章は8ページの1の最初の○の3つ目のポツのところですか。下線が引いてあるところがありますが、これを修文してほしいという御意見でしょうか。

○小林委員 恐らく牛と同じような形で基準をつくろうとしているのではないのですか。五十君先生の実験室で実験して、あの場合だったら、85度で表面から1センチメートルまでを加熱しなさいという話だったですね。

○山本座長 豚については、法的に生食用としての提供を禁止するということですから、レバーも肉も全て生食はだめよという話でどうですかということです。

○小林委員 だから、加熱条件みたいなものは入れないということですね。

○山本座長 生食はだめですよということ。

○小林委員 いや、だから、加熱条件を入れない、こういうふうに加熱殺菌してやれば提供できますよということを入れないということですね。それなら分かります。

○山本座長 事務局、どうですか。

○事務局 牛の肝臓については、表面を加熱して中の部分を生の状態で出すということもあり得るので、中心部を63度で30分加熱するようにという規格基準になっております。今回、豚の食肉と内臓の規格基準をつくる際は、食品安全委員会のリスク評価も必要になりますので、それと併せて具体的に検討したいと思います。

○山本座長 条件というか、十分に加熱して提供するということに結果的にはなるのだと思うのです。何度、何分という表現ではなくて。

○小林委員 そういう表現ならいいですよ。

○山本座長 でも、何度、何分が入る可能性は十分ありますよ。それは食品安全委員会のリスク評価によって、何度、何分以上の加熱が必要ということであれば、それはそのような内容になってくる話です。ですから、それはもう。

○小林委員 もう一点、お願いがあります。基準審査課の方にお願いしているのですけれども、この放射線照射も含めて、私どもは放射線照射できませんから、今、洗浄実験とか、もろもろのレバーの生食が提供できるような形で取り組みをしておりまして、今度、委員会を710日に開きます。山本先生にもお話ししていますけれども、新しい委員さんも入ってもらって、それから、基準審査課の方もどなたか参加いただいて、それは委員さんという形ではなくて、参加いただいてやると。

 その場合に、こういうことをやろうと思っているのです。要は、レバーを冷凍してしまいます。胆管も含めてあらゆるところの細菌検査を全部します。いないことがわかったものについて流通していきます。ちゃんとマークして流通していく。こういう方策はどうでしょうかという提案をするのと、あと、ここにある洗浄のことでいきますと、例えば、この前の話なのですけれども、厚生労働省のホームページに殺菌力のある過酢酸というのがあるのです。これが殺菌能力が非常にあって、アメリカあたりは加工品にそれが使われて流通している。今、食品安全委員会の審査を得ているという話でホームページに載っておりますけれども、そういうものも使った洗浄実験みたいなものもぜひやっていただければなと。私どもも同時にやっていきたいと思っております。

 以上でございます。

○山本座長 情報提供ありがとうございました。

 一通り御審議いただいたということですが。

○事務局 先ほどの小林委員からの御質問に対してなのですが、基準の具体的な規定の仕方でございますけれども、それについては、基本的に生で食べることを禁止するということで、具体的な設定については、レバー、食肉を含めて、加熱して食べる分については問題ないわけですから、生ではなくてきちっと加熱をしていただくという意味で、加熱条件を設定するというのはあるわけでございますので、その点について、具体的にどういう条件設定をするかというのは、リスク評価をもとに決定していくということがプロセスとしてございますので、誤解のないように改めて申し上げておきたいと思います。

○山本座長 それでは、加藤委員から御意見のあった箇所は修正させていただくということで、基本的には資料1を本調査会としての考え方として部会に報告するということでよろしいでしょうか。最終的な形は、文言の「てにをは」の修正程度だと思いますが、座長預かりということにさせていただきたいと思います。どうもありがとうございました。

 これまで生食に関して、総論としてリスクに応じた規制のあり方について検討を進めてきました。危害要因に関するデータ、それから、流通実態、事業者団体、業界等の取り組みについて検討して、優先順位を決めることができました。他に比べてリスクの大きいと考えられる豚の肉・内臓、牛の内臓(肝臓を除く部分)、それから、ジビエや羊・山羊については、スピード感を持って対応の方向をまとめることができました。

 今後は、鶏、馬のレバー等といった、引き続きリスク低減策を検討することとされたものもございます。そういうことですので、こういったものについて検討を進めていきながら、必要に応じて本調査会で議論ができればと思っております。

 委員の皆様には、さまざまな観点から御意見、御報告をいただき、生食に関するリスクや業界の取り組み等について、調査会の場で認識、理解を深めていただくこともできたかと思いますので、引き続き、衛生レベルの向上という共通認識のもとに、それぞれの立場からの御尽力をお願いしたいと思います。

 また、規制のない食肉等の生食は安全ということではなく、必ずリスクが伴うということを事業者も消費者も認識できるよう、積極的な情報発信が必要だと思いますので、その点についても皆様方の御努力をしていただければと思いますので、御協力をよろしくお願いいたします。

 議題2は「その他」になっていますけれども、事務局から何かありますか。

○事務局 特にございません。

○山本座長 ありがとうございました。

 それでは、次回の予定について、事務局から御説明をお願いします。

○事務局 加筆修正しました資料1について、乳肉水産食品部会での議論に用いることとしたいと思っておりますが、これを踏まえて、豚の食肉・内臓については、規格基準について乳肉水産食品部会で議論がなされた上で、食品安全委員会に諮問をすることになろうかと思っております。

 次回以降の本調査会については、審議事項も含めて、部会長と相談の上、調整させていただきたいと思います。

○山本座長 それでは、以上をもちまして、本日の調査会を終了いたします。どうも長い時間ありがとうございました。

 


(了)

<照会先>
医薬食品局食品安全部基準審査課
仲川(2488)
井河(2489)
代表:03-5253-1111

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