ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 医政局が実施する検討会等> 終末期医療に関する意識調査等検討会(平成24年度~)> 第4回終末期医療に関する意識調査等検討会議事録(2014年3月24日)




2014年3月24日 第4回終末期医療に関する意識調査等検討会議事録

○日時

平成26年3月24日(月)13:00~15:00


○場所

厚生労働省専用第22会議室(18階)


○議題

(1)終末期医療に関する意識調査等検討会報告書(案)について
(2)その他

○配布資料

資料1 終末期医療に関する意識調査等検討会報告書(案)の概要
資料2 終末期医療に関する意識調査等検討会報告書(案)
資料3 人生の最終段階における医療に関する意識調査報告書

○議事

○在宅看護専門官 それでは、第4回「終末期医療に関する意識調査等検討会」を開催させていただきます。

 カメラ撮りは議事に入るまでとさせていただきますので、御理解、御協力をよろしくお願い申し上げます。

 本日御出席の皆様方におかれましては、御多忙にもかかわらずお集まりいただきまして、まことにありがとうございます。

議事に入る前に、私から、本日の委員の出欠状況について御報告いたします。事前に御連絡いただいている先生方でございます。東京大学大学院法学政治学研究科教授、佐伯仁志委員、がんの子供を守る会評議員、田中徹委員、東京臨海病院病院長、山本保博委員から御欠席の御連絡をいただいております。

 それでは、まだお見えになってない委員もございますが、ただいまから始めさせていただきたいと思います。資料の確認のほうは既に終わっております。

 撮影は以上とさせていただきます。

 それでは、座長に以降の議事運営をお願いいたします。

○町野座長 それでは、まだおいでになってない方もおられるようですが、議事に入らせていただきまして、前回の検討会までの御議論と、その後いただいた御意見等を踏まえて、事務局と私とで相談して、報告書(案)を作成いたしました。本日、報告書を取りまとめたいと考えておりますので、御協力、よろしくお願いいたします。

まず、資料1から3について、まとめて事務局より御説明をお願いいたします。

○在宅看護専門官 それでは、事務局から、資料1、2、3について御説明させていただきます。

 資料1「終末期医療に関する意識調査等検討会報告書の概要」でございます。1.人生の最終段階における医療に関する意識調査の結果でございます。「調査の目的」ですが、最終調査から5年の月日を経て、昨今の一般国民の認識及びニーズの変化、医療提供状況の変化などに鑑み、国民、医師、看護師、施設介護職員及び施設長における意識を調査し、その変化等を把握することで、患者の意思を尊重した望ましい人生の最終段階における医療のあり方の検討に資するということでございます。

 調査の時期、調査方法、調査の対象者は、以下のとおりでございます。

 「調査結果の概要」です。自身の死が近い場合に受けたい医療や受けたくない医療についての家族との話し合いについて、一般国民では、「全く話し合ったことがない」との回答の割合が高かった。2つ目、自分で判断できなくなった場合に備えて、どのような治療を受けたいか、あるいは受けたくないかなどを記載した書面をあらかじめ作成しておくことについて、「賛成である」との回答の割合が高かった。3つ目、前問で、書面の作成に賛成と回答した者のうち、実際に書面を作成している人は少なかった。4つ目、書面の作成に賛成と回答した者のうち、自分で判断できなくなった場合に備えて、どのような治療を受けたいか、あるいは受けたくないかなどを記載した書面に従って治療方針を決定することを法律で定めることについて、「定めなくても良い」「定めるべきではない」という消極的な意見が多かった。特に医師は他職種よりも高かった。5つ目、自分で判断できなくなった場合に備えて、家族等の中から、自分に代わって判断してもらう人をあらかじめ決めておくことについて、「賛成である」と回答した者の割合が高かった。

 2ページ目に参ります。家族等から、治療の選択について代わって判断してもらいたいとあらかじめ頼まれた場合、引き受けるかどうかについて、「引き受ける」との回答が高かった。次いで「わからない」という回答も高かった。

 希望する療養場所については、居宅を希望する割合は、末期がんであるが、症状が健康なときと同様に保たれている場合を除いて1037%であり、医療機関や介護施設が多かった。

希望する治療方針は、状態像によって差があるが、概ね「肺炎にかかった場合の抗生剤服用や点滴」「口から水を飲めなくなった場合の水分補給」は希望する割合が高く、「中心静脈栄養」「経鼻栄養」「胃ろう」「人工呼吸器の使用」「心肺蘇生処置」は5778%が望んでいなかった。

終末期医療の決定プロセスに関するガイドラインを参考しているかどうかについては、「ガイドラインを知らない」との回答が最も多かった。

施設の職員に対する人生の最終段階における教育・研修は、介護老人福祉施設で「行っている」との回答が最も高かったという結果でございます。

 以上のことから、大きな「まとめ」ということになりますが、書面によるかを別として、一般の国民は事前の意見の形成・表明を重要と考えていること、そのためには、一般国民に対して考える機会を提供することが必要であること、しかし、人生の最終段階における医療は多様であり、実際の自分の人生の最終段階についてイメージすることは難しい、このようなことから、自分で判断ができなくなる以前から、自分の希望を理解していると信頼する者を指名しておくということも十分に考えられる、人生の最終段階における医療について、こうした本人の意思決定、家族の対応を支援するため、プロセスガイドラインの普及とともに、医療福祉従事者のための人材育成等の施策が必要である。

 以上のようにまとめさせていただいております。

 続きまして、こちらのもとになっております資料2、報告書(案)でございます。こちらも、29ページとかなりボリュームがございますので、かいつまんで御説明させていただきます。

お開きいただきまして、2ページ、「はじめに」は省略いたします。

3ページ目、「これまでの経緯」でございますが、昭和62年から、「末期医療に関するケアの在り方の検討会」、このときはがんによる末期医療を中心課題として検討されております。

 2)平成5年から「末期医療に関する国民の意識調査等検討会」が開催され、このときから意識調査がスタートしております。

3)平成9年、「末期医療に関する意識調査等検討会」、このときには、末期医療の国民の意識の変化等について検討がなされております。

平成14年から「終末期医療に関する調査等検討会」、このときから「終末期医療」という言葉が使われております。末期状態における療養の場所や、ICなどについての検討がされております。

平成19年、「終末期医療の決定プロセスのあり方に関する検討会」ですが、こちらはガイドライン作成を行った検討会でございます。

6)平成20年からの「終末期医療のあり方に関する懇談会」ですが、平成20年1月にまず検討会を開催しておりますが、その直後に大臣主催の懇談会に格上げしまして、懇談会として報告書を取りまとめております。

 続きまして4ページ、ここからが調査結果の概要になりますが、調査の目的、対象等は省略させていただきます。

 おめくりいただきまして、7ページ目、6番の「クロス集計について」です。意味があると思われる主なクロス集計については前回御議論いただき、今回の報告書に記載しております。すべての単純集計、クロス集計につきましては、今後、一般の方に広く御活用いただけるよう、政府統計の総合窓口、e-Statで公表を既にいたしました。御参照いただければと思います。

 続きまして7番、前回調査からの主な変更点ですが、まず、変更の経緯といたしましては、前回の検討会で、次回の調査に先立ち、検討期間を設け、調査項目等を検討すべきとされたことから、平成23年度の厚生労働科学研究で、池上先生を中心に御検討いただいたところでございます。その調査結果をもとに、さらにこちらの検討会で調査項目等を検討しまして、今回の意識調査を行っております。

 具体的な変更点につきましては、8ページに変更した内容、それから理由について、こちらで示させていただいております。

 続きまして9ページ目、意識調査の結果についてでございます。まず、一番上の四角囲みのところでございますが、【調査結果に関する留意事項】ということで、まずポツの1つ目、職種等について特に記載がないものについては一般国民の結果を示しております。それから、ポツの4つ目、クロス集計の結果の比較の際は、「5ポイント以上の差」を基準に設定しております。

 以下、1番、調査の概要になりますが、こちらは先ほど述べさせていただいたものと全く同じになりますので、省略させていただきます。

 おめくりいただきまして、11ページ目、「調査結果の詳細」です。以下の調査結果の詳細につきましては、第2回、第3回の検討会でお示しした数字と同じもので、新たなものはございません。コメント等を修正しているものでございます。主なもののみ、かいつまんで御説明させていただきます。

1)の回収率でございますが、前回の20年調査からは大分回収率が低下しておりまして、36.7%でございました。

2)の回答者の背景でございますが、ポツの2つ目、前回調査と比較して、全ての調査対象者で60歳以上の回答者の割合が今回かなり増加しております。特に一般国民では45.9%が60歳以上となっております。

 おめくりいただきまして、12ページです。3)人生の最終段階における医療についてということで、回答者は一般国民、医療福祉従事者でございます。人生の最終段階における医療についての家族との話し合いの状況についてですが、こちらは、先ほど申しましたように、一般国民は「話し合ったことがない」が過半数ということでしたけれども、その中でも話し合っている方に注目しますと、ポツの3つ目になりますが、性別では女性のほうが話し合っている方が多く、年齢階級別では、年齢が高くなるほど話し合っている方が多く、また、身近な人の死別経験がある人のほうが話し合いをしている方が多いという結果でございます。

 2つ目、意思表示の書面を作成しておくことにつきましては、全体としては賛成という回答が非常に多いということでございますが、ポツの3つ目、男女別では、女性が多い。年齢階級別では低年齢の方ほど賛成する方が多いという結果になっております。

13ページ目です。また、家族との話し合いをしている方、同居家族のいる方のほうが、書面を作成しておくということについて賛同しております。

意思表示の書面の作成状況ですけれども、こちらは作成している割合はごくわずかとなっておりますが、そのわずかな人たちの中でも、年齢の高い人ほど作成しているという傾向が見られます。

 一番下、意思表示の書面に従った治療を法律で定めることについてですけれども、こちらは消極的であったというのは先ほど述べさせていただいたとおりですが、賛成と言っている方に注目すると、家族との話し合いがあるという方のほうが、多くなっております。

 おめくりいただきまして、14ページは単純集計の結果になりますので、省略いたします。

15ページ、3)-2です。「さまざまな状況において希望する治療方針」ということで、今回は、この四角囲みに囲ってあります6つのケースを想定いたしまして、それぞれの状況について、どこで過ごしながら医療を受けたいか、どんな治療を受けたいかということを質問しました。まず、ケース1は、末期がんだけれども、その症状が安定している状態。ケース2は末期がんで症状増悪期の状態、ケース3は心臓病の場合、ケース4は認知症、ケース5は植物状態、ケース6は脳死状態という状況でございます。

 これらのケースの場合に、どこで過ごしながら医療を受けたいかということですが、一覧表は16ページのとおりとなっております。末期がんであるが、症状が健康なときと同様に保たれている場合を除いては、医療機関や介護施設が多いという状況です。それから、末期がんの増悪期の状況、それから重度の心臓病の場合は、一般国民は2040%ぐらい医療機関を希望していて、医療福祉従事者は、逆に4060%、居宅を希望する割合が最も高くなっております。認知症が進行し、身の回りの手助けが必要な状況という場合には、やはり介護施設を希望する割合が高いですが、医療福祉従事者では特に高い状況です。植物状態の場合は、いずれも医療機関を希望する場合が高いですが、一般国民で特に高い状況となっております。

16ページ、「希望する治療方針」でございます。ケース2、3、4、5の場合ということで、1617ページに一覧表で結果をお示ししております。先ほど述べました全般的な傾向のほかに、認知症や植物状態では、ほかの状態像よりもさまざまな治療を望む傾向がより低かったという結果でございます。また、おおむね一般国民よりも医療福祉従事者のほうがさまざまな治療を望む割合が低かったという結果でございます。

17ページ、ケース6脳死状態の場合ですが、(あ)の「状態が悪くなるのに対して、薬の量や呼吸の補助のための機械の設定を増やすなどの更なる治療」というのは、8090%、「望まない」という回答でございます。(い)の「現在の治療を継続すること」も、70%前後、「望まない」という結果が出ております。

続きまして18ページです。「医療福祉従事者としての人生の最終段階における医療について」は、医療福祉従事者に対する質問でございます。丸の2つ目、関係者及び患者やその家族に対する話し合いの実施状況ですが、こちらについては、十分行っているという場合と一応行っているという場合をきちんと分けたほうがいいという御指摘を受けまして、それぞれ割合を別個にお示ししているところでございます。

続きまして19ページ目です。終末期医療の決定プロセスガイドラインの利用状況ですが、「ガイドラインを知らない」という方が最も多いという結果でしたけれども、ポツ2つ目、「参考にしている」と「参考にしていない」という回答もそれぞれ20%前後ございました。

続きまして丸の3つ目になりますが、「終末期の定義や、延命治療の不開始、中止等を行う場合の判断基準についての考え方」については、大まかな基準をつくり、それに則った方針はケアチームや家族等と検討して決定すればよいという回答が最も多かったという結果でございます。

その下で、その結果についてどのように示すべきかということについては、「ガイドライン等で示すべきである」というのが7080%ぐらいと最も高い結果となっております。

続いて20ページです。医療福祉従事者が「さまざまな状況においてすすめる治療方針」ですが、こちらは末期がんの症状増悪期のケースに限って質問しております。「療養をすすめる場所」は、医師と看護師は「居宅」という回答が最も高くなっておりまして、施設介護職員は「介護施設」という回答が最も高くなっております。

続きまして20ページの下のほう、「施設における国のガイドラインに沿った体制等の整備状況」でございます。こちらは施設長に回答していただいたものでございます。こちらにつきましては、基本的に全て単純集計の結果となっておりますので、改めての説明は省略させていただきます。

それでは、23ページをごらんください。本検討会での主な意見でございます。1番、まず「回答者の背景等について」。ポツの1つ目ですが、「前回の調査と比較して、回収率の低下が見られており、人生の最終段階における医療に関して意識が高い方の意見を反映している可能性がある。」。

ポツの2つ目、「前回調査と比較して、回答者の高齢化が認められており、前回調査よりも高齢者の意見がより反映されている可能性がある。」。

続いて、3番、意思表示の書面、事前指示書、リビングウィルについての考え方ですけれども、「意思表示の書面をあらかじめ作成しておくという考え方に70%の人が賛成している一方、実際に書面を作成している人は約3%であり、この原因を今後明らかにしていく必要がある。」。ポツの2つ目、「事前指示書、リビングウィルに関心はあっても、実際に作成するという行動を起こすのはかなり強く関心を持った人である。漠然としたイメージで「事前指示書/リビングウィルがあったらいい」と考える人が大半だと思われるので、今後は具体的なイメージにつながる情報提供が不可欠である。」。

それから、2つ飛びまして、その下のポツですが、「家族との話し合いの有無と事前指示書を分けて質問しているが、この2つ合わせて意思の確認をしていくことがアドバンス・ケア・プランニングであり、今後は別々ではなく、これからの過ごし方とともに話し合っていく、アドバンス・ケア・プランニングとして普及させていくことが重要である。」。

続きまして24ページ、4番の「人生の最終段階における治療方針を定める人をあらかじめ決めておくことについて」ですが、「自分が判断できなくなった場合に備えて、家族等の中から、自身に代わって判断してもらう人をあらかじめ決めておくことに賛同する方が60%に達するので、こうした体制を整備し、また引き受けやすい環境にする必要がある。」。

それから5番、「さまざまな人生の最終段階の状況において希望する治療方針について」です。ポツの1つ目、「末期がんで食事もとれ、痛みもなく比較的元気な状態を、人生の最終段階における医療の一つの状態像として含めるべきか疑問である。」という意見。ポツの2つ目、一方で、「がんの場合は弱っていくプロセスが非常に早く、ぎりぎりまで意識や判断力は保たれて、最後の数日で急速に弱る人も多いため、終末期と捉えてもよい。」という御意見。それから3つ目、「人生の最終段階であっても、できるだけ最後まで口から食事を食べられるように、専門職からの支援をしていくことが重要であり、そのような医療及びケアが提供できることを患者・家族及び医療従事者が知っていることが重要である。」。

続きまして7番目、「ガイドラインの利用状況」ですが、「終末期の定義や延命治療の不開始、中止等を行う場合の判断基準について、法律ではなく専門家によって作成されたガイドライン等で示すべきであると回答した者が多い一方、ガイドラインの利用状況が低くなっているのは、周知不足なのか、他に原因があるのかを検討する必要がある。」。

続きまして8番目。「患者(入所者)・家族と医療福祉従事者の話し合いの実施状況」ですが、ポツの1つ目、「医療・介護従事者が、どのような話し合いをして、合意できたと患者・家族が考えているのかという話し合いの内容までわかるとよい。また、その際生きることの全体を捉えた生活機能に着目して調査する必要がある。」。

25ページでございます。10番目、「院内(施設内)の倫理委員会等への相談の実施状況」です。「研究倫理審査委員会とは別の、臨床倫理に特化した委員会のあり方について、今後さらに検討する必要がある。」。

11番、「グリーフケアの体制について」、「約30%の病院がグリーフケアの体制を整えていると回答しているが、今後の調査では「体制を整える準備はある」というだけなのか、「実際に実施している」のかといった実態がわかるような調査が必要である。」。

続きまして26ページをごらんください。以上のような調査結果、それから主な意見を踏まえました「まとめ」でございます。一番上の四角につきましては、先ほどの概要で述べさせていただきましたが、全く同じ内容ですので、省略させていただきます。

1番目、「国民が人生の最終段階における医療に関して考えることができる機会の確保について」ということで、今回の調査結果では、前回の調査と同様ですけれども、一般国民については、話し合ったことがないという方の割合が高い状況でございましたが、例えば死別経験のない方や年齢の若い方にとってはまだ実感がわかないという可能性や、また人生の最終段階における医療について具体的にどのような選択肢があるのか知らないという可能性もあると考えられました。

また、2段落目ですけれども、書面作成という行動にはさらなるハードルがあるということが考えられました。書面の作成について、希望と行動に乖離が見られる理由としては、国民は一律に書面等を作成してそれに従うことを希望しているわけではなく、本人の揺れ動く気持ちや家族への配慮等に柔軟に対応してほしいという思いがある。また、考えたり書いたりという行為によって、正面から死を意識したくないという逡巡があるという可能性もある。

一番下のパラグラフですが、「このように、人生の最終段階における医療に関する国民の関心や希望はさまざまであり、こうした思いを支えることができる相談体制やそれぞれのライフステージに適した情報を提供すること等により、国民が主体的に考えることができる機会を提供することが重要である。」。

27ページです。3番目のパラグラフですけれども、「今後、高齢化の進展に伴い、ますます独居世帯が増加し、家族形態のあり方が変化していく中で、人生の最終段階における医療の選択において、本人のみで意思決定せざるを得なかったり、家族以外の第三者に相談しなければならない状況も生じ得る。また、認知症高齢者の増加も見込まれ、このような方々の意思決定支援をどう進めていくかということも課題である。」。

2番目、「本人の意思を尊重した人生の最終段階における医療提供体制の整備について」でございます。1)はプロセスガイドラインについてです。今回の調査結果では、プロセスガイドラインの普及や活用が不十分ということが明らかになりました。

一方、学会等のガイドラインも同じく活用がされていないとの結果になっております。平成26年度には、人生の最終段階における医療に係る相談員の養成を予定していますが、その養成プログラムは、厚労省ガイドラインの趣旨に沿って構成される予定です。ガイドラインに基づく具体的な支援方法を提示するなどの取組も取り入れていくことが必要です。

また、ガイドラインの中にあります専門家からなる委員会、倫理委員会やコンサルテーションチームのようなものの設置も少なかったことから、医療機関内のシステムとしてこれらを設置することで、医療福祉従事者の活動を支援することも重要である。

2)医療福祉従事者の資質向上についてでございます。教育・研修がやはり不十分であるという結果が得られておりますことから、おめくりいただきまして、28ページ目です。研修を行う講師の不足や効果的な教育プログラムが確立されてないといった理由も考えられますので、今後は、厚労省ガイドラインに準拠した意思決定支援の研修プログラムの開発、施設が研修に取り組みやすい環境を整えることが必要である。また、人生最後の時期の過ごし方についての国民の希望はさまざまですので、本人が誰とどこでどのように過ごしたいかという生き方に対する考え方も踏まえて支援していくことが重要である。

また、この中には、大切な人を失い、残された家族が悲しみを癒す過程を支えるグリーフケアも含まれ、生前の本人と家族、そして死後の家族全てに一貫して提供されるべき全人的なケアとして考えていく必要がある。

今後は、医療機関のみならず、地域包括ケアシステムを支える全ての人々に対し看取りを含めた人生の最終段階における医療・ケアの質を向上させるための教育・研修が必要である。

3番、「次回調査への提言」です。今回の調査では、調査に先立って過去の調査との連続性、整合性にも留意しつつ、調査項目の見直し等を行ったところでございますが、今後の調査においても、新たなニーズに適応した調査項目等を検討するということは重要ですけれども、回答者の負担とのバランスも十分に考慮する必要があります。また、調査ごとに回収率の低下が見られておりますので、次回の調査では、回収率を向上させるための方策を検討の上、実施することが望ましいとしております。

4番、「終末期医療」から「人生の最終段階における医療」への名称変更について、こちらに経緯を記載しております。

昭和60年から平成10年の3回の検討会は、主に痛みを伴うがんの末期患者や、治る見込みのない持続的植物状態の患者を想定して、医療がどのようにあるべきかを議論していたことから、「末期医療」という名称が使われておりました。平成16年以降は、高齢化の進展に伴い、高齢になって身体が衰弱し、長期に療養生活を送った後に亡くなる人がふえていることなどを背景として、状態像をがんに限定せずに議論する必要性が高まったことから、「終末期医療」という名称に変更いたしました。

さらに、今回調査の実施に際し、調査名を「終末期医療に関する意識調査」から、「人生の最終段階における医療に関する意識調査」に変更いたしました。「終末期医療」という名称から、平成24年に成立した社会保障制度改革推進法等を参考に、「人生の最終段階における医療」という名称に変更することで、医療行為のみに注目するものではなく、最後まで尊厳を尊重した人間の生き方に着目していくことに重点を置くという変更の経緯でございます。

資料2の説明は以上でございます。

○在宅医療推進室室長補佐 すみません。事務局から数字の訂正がありますので、御確認いただきたいと思います。今の資料2の14ページ目の丸の4つ目、一番下でございます。「人生の最終段階における治療方針を定める人が決定した治療を行うことを法律で定めることについて」とあります。この数字が違っておりまして、一般国民においては、53.2ではなく、59.3です。医師に関しては、70.3ではなくて、76.1です。看護師に関しては、56.5ではなくて、63.4です。介護職員に関しては55.8ではなくて、61.0%になります。詳しくは資料3の29ページ目のグラフにありますので、それを御参考ください。

 以上です。

○在宅看護専門官 申しわけございませんでした。それでは、資料3でございますけれども、こちらにつきましては、第2回検討会で示したものと、一部、コメントの修正はございましたが、基本的には同じものでございます。

追加した点がございますけれども、まず、資料2で言及しているクロス集計の結果については、資料3にも表を追加しております。それから、医療福祉従事者の質問、これは全てにつきまして、亡くなる患者を担当する頻度が1カ月に1名以上の医療福祉従事者のみを、要は頻度が高い方のみを抽出したグラフを全体のグラフの下に追加しております。

 資料3の説明は以上です。

 資料の説明は、以上になります。

○町野座長 ありがとうございました。それでは、今の御説明に基づきまして、これから御議論いただきたいと思います。きょうはフリーディスカッションで、筋書きがなくやってみようということになっております。どちらからでも御発言をお願いいたします。

 では、樋口委員どうぞ。

○樋口委員 では、先陣を切ってということにしますけれども、今回のこのアンケートと、まとめ(案)ですけれども、きょう確定するのでしょうけれども、やはり全体としては非常にいい方向性を持っていると思っていて、それは2つの意味ですけれども、今まで以上に、単にアンケートだけとっていればいいのかという話があって、しかも、そのアンケートの内容が、昔の話ですけれども、昔の話をしてもしようがないけれども、単なる「延命治療をどう思いますか」とかいうような非常に作為的な、しかも、単純な設問なんかがあったのが、アンケートの、つまり、こういう世論調査の中身について、池上先生その他、いろんな御尽力があったのだと思いますけれども、中身についてやはり意味のあることを聞こうという話がまず一つのレベルとしてはっきりあらわれているし、それから、最後の「まとめ」のところでも、やや抽象的ではあるけれども、このアンケートをとった結果としてどういうことを考えていったらいいのだろうかということ。このアンケートの中身ではなくて、中身を読み込んだ上で、今後は一体何をもっと重点的に考えていかないといけないかということも相当程度明らかにしているので、私も委員の一人なのだから、自分たちをほめていてはいかんのかもしれないですけれども、前よりはいろんな意味で考えられてきたなという感じを持っていただけるのではないだろうかと思うのですね。そういう形で、メディアを通してほかの方にも伝わっていけばいいなと。これが第1点です。

その上で、いきなりパーソナルな話になるのですが、私の身内で、今月、1人亡くなりました。いやいや、こういう年齢の方が集まっていれば、みんな同じ経験持っているかもしれないのですけれども、やはり身近な人で亡くなると、この終末期医療の検討会に出ている話とは、つまり、感触が違うというのですかね。ただ、私のところの例だけで全部推しはかることはできないのですけれども、ちょっとだけ聞いていただきたいのは、その人は98歳だったのです。それで、既に認知症ももちろん始まっていて、要介護何とかというのになり、ケアマネージャーも訪問看護師も。それでも、元気に自宅におったのですけれどもね。元気にではないけれども、まあともかく。

それで、時々は近所の開業医の方に訪問もしていただいてと、そういう体制をとっていたのですけれども、突然吐血をしたのです。それで、お医者さんだと、このぐらいわっと血を吐いたって、全然見慣れているかもしれないけれども、周りの家族は、こんなにたくさん血を吐いて大丈夫かといえば、とても大丈夫には思えないわけですね。それで、まず問題になったのは、これで救急車を呼ぶかどうか。これがなかなかわからないのですよ。当然呼ぶのではないかという感じもあるけれども、もう98でもあるし、呼ぶと大変なことになるという話だって、大変なことというのかどうかわかりませんけれども、過剰な何とかという話にどんどんいってしまうというのもどうなのだろうという話があったので、しかし、それはやはりほうっておけないということで、訪問看護師さんかケアマネか、そういう人が集まってきてくれて、とにかく相談して、やはり救急車呼びましょうという話になったのですね。

 で、その救急車は2カ所断られました。3カ所目で受けてくれたのは、吐血をしているので、胃カメラを飲んでいただくということであればうちで受け入れるからということであったようです。それで、実際に運んでいって、では本当に胃カメラを撮るのかなという話になったときに、このぐらいの年齢の方でこういう状況だと、胃カメラ自身にも随分リスクはあるという話を聞いて、結局やめたのですね。それで、やめるとどうなるかというと、点滴を4時間やってくれただけで、うちの病院としてはもうこれ以上の手は尽くせないので、どうぞお帰りくださいと。今度、救急車で帰るわけにいかないから、介護タクシーというのを頼んで帰ってくるのですけれども、介護タクシーというのもなかなか便利な、お金だけはかかりますけれども、非常にありがたいものだということがよくわかりましたけれどもね。それで、結局、次の日に、つまり、その晩からまた何度か吐血をしたので、どうしようもなくて、これは胃カメラを受けないといけないかなと、次の日に入院をして、しかし、その夜、あっという間に亡くなってしまいましたが。

そこで、そういう経験をした中での上でですけれども、例えばこの資料2の15ページのところから、「どこで過ごしながら医療を受けたいか」というそこへ戻ってくるのですけれども、実際の話、認知症が少しあっても、いろんな病気であっても、認知症だけを取り上げる必要はないと思いますけれども、できるだけ居宅で、自宅でというような方向性がはっきりありますね。それがかえって認知症の進みを遅くしたりということも実際ありますので、その方針自体はいいと思うのですけれども、さっきのような話があったときに、そこで希望しているからといってすぐ施設に入れるのか。それはきっと簡単には入れない。病院に入れるのかというと、さっきのような話ですね。救急車で一旦は運んでくれるかもしれないけれども、ずうっとそこで、病院で死ぬことができるのですよという話にならない可能性だってたくさんあるので、こうやって選択肢並べてみましたけれども、本当に選択肢はあるのだろうか。初めに大手術か何かで病院に入って、もう退院しませんと言えば、それは選択があったのかもしれないし、あるいは退院させることが今度難しくなりますから、そういう話になりますけれども、あるいはそれぞれ、自宅と施設と病院ということになっていますけれども、本当にこうやって希望をとるのはいいですけれども、それぞれの場面で、そういう選択をしたからといってそのとおりになるという話が本当にあるのだろうかというのが第一の疑問でした。

こういうアンケートをとる必要がないという意味ではないですよ。一番初めに言ったように、このアンケート自体はすごく意味があるのですけれども、それぞれの人が直面する場面において、これが、こういう希望を述べておいたからどうかなるという話なのだろうかというのが第1点です。だから、コメントというか、感想というか、樋口さん、全然間違っているよと言われるのかもしれないですけれども、どなたかが補足か訂正か、何か教えてくださるとありがたい。

2つ目です。法律ではなくて、ガイドラインのような、もっと穏やかなことでやってもらいたいというのは、私は法学部にいますけれども、すごくよくわかります。だから、そういう人たちが多数であって、そうだとしたら、「まとめ」のところで、ガイドラインについてもう少し周知するような、知っていただくような話があってもいいかなというので、ここでは2つ申し上げますけれども、1つは、さっきの98歳の女性の場合もですが、私の身内ですけれども、実際には98でもありましたから、だから、ケアマネさんがやってきたり、家族と一緒になって、いざというときにはどうしますかというようなことはやはり話していたのですね。だから、その人たちがガイドラインを知っていようが知っていまいが、実際には、年齢にもよると思うから、全部について高齢者全部なんていう話かどうかよくわからないのですけれども、ある一定の状況になっていれば、実はこのガイドラインどおりのことが相当程度、現場ではむしろ行われているのではないだろうかということが半分です。これも身近な経験だけで判断してはいけないかもしれないけれども。

それから2つ目は逆に、そうはいっても、それがこういう形で、厚労省であれ、ちゃんとした学会であれ、同じようなことがみんな普通のプロセスとしてやっていいのですよというか、やったほうがいいのですよということは書かれているということは知ったほうがいいので、それはガイドラインの、例えばインターネット上に学会のところのあれに行けばあるし、厚労省だって、検索でプロセスガイドラインとかいうと出てくるのですけれども、ああいう受け身的な話ではやはりなかなかということですね。

そうすると、一人一人が知らないといけないのでしょうけれども、そうでなくて、これは本当に世の中に逆行する話になるかもしれないのだけれども、ガイドラインではだめだけれども、従来、厚労省から通知という形で病院とか施設に出ると、それは周知するのですよ。通知行政というのは行政のあり方としてはバツということになっているので、本当はどうかと思いますけれども、しかし、通知が出ないわけでもないのですね。今だってね。だから、それを例えば毎年繰り返し出してあげれば、つまり、これは周知をどうやってやるか、今後考えていくときの一つの方法としてですけれどもね。だから、そのようなことはあってもいいのかなということを感じました。

それから、もうちょっとだけすみません。長くなって恐縮ですが、書面にする、つまり、このような意思表示とか話し合いはしたほうがいいということは一般論として言うけれども、実際に書面をつくったりする人が物すごく少ないですね。ここでもね。しかし、これはもう少し数字は大きいけれども、アメリカでもそうなのですね。ナチュラル・デス・アクトとかリビングウィル法なんていうのは1970年代から、つまり、50年もやっているのです。50年もやっていて、アメリカ人ですら書面にするのが少ないのですね。いろんな方策をとっていても。だから、そうすると、つまり、強権を発動して書面をとかなんとかいうことは誰も考えないと思いますけれども、そういう話ではない。どうも人間がある書面をつくってというのは、何だかちょっとそぐわない感じのするような場面なのだと。人種を問わずというか、国籍を問わずというような面があるということは考えないといけない。

それから、もう2点だけでやめますけれども、本当は林先生に聞いてみたかったのだけれども、死ぬ前はやはり苦しむのですよ。それが家であれ病院であれ。そうらしいですね。私の知っているお医者さんは、死ぬというときは、肺と心臓がだめになっていくわけだから、物すごく空気も薄くなってくるところで、つまり、最後の生を闘っているようなものだから、全力疾走をやっているようなものだから、苦しいのは当たり前なのではないでしょうかとか言われて、そういうものなのかと思ったのですが、よくわからないですけれどもね。

緩和ケアの充実みたいな話が、苦しむのは見たくないし、本人にとっても気の毒だと思っていて、やむを得ないことなのかもしれないけれども、在宅で、あるいは施設であれ、それが林先生がおられるような立派な病院におられればきっと大丈夫だと思うのですけれども、それ以外のところで本当にどれだけのことが可能で、そうではないのだろうかというこの現状においてですね。そういうことをもっと聞いておくべきだったなということを思いました。

最後に、このガイドライン等も、それから、さっきの話し合いなんかでも、これは人に注意されたことですけれども、私も厚労省のガイドラインづくりに関与したものだから、あのときに家族の役割を重視してとか何とか言っているけれども、御存じのように、一定の高齢者以上になると、1人なのですね。だから、家族はそもそもいないのですよ。そういう人たちにとってどうすればいいということを何かどこかで本当は触れておいてもよかった。そういう人たちだって忘れていませんよという話が、この報告書の中では出てきてはいなくて、しかし、孤立死という話がはっきり出ているわけなので、そういう人のためにも何かという話があったらいいかなと。

すみません。長くなりましたが、感想です。

○町野座長 どうもありがとうございました。一番最後の点は、報告書の27ページの真ん中ちょっと上で、「独居世帯が増加し」云々というのがある程度の、しかし、どうしたらいいかということについてはまだわからないという話ですね。今の樋口先生の話について、事務局のほうから、先ほど、プロセスガイドラインを徹底させるために行政としてもうちょっとやるべきことがあるのではないかという御意見ありましたけれども、何かコメントありますか。

○在宅医療推進室長 来年度の事業として、先日来御紹介申し上げております、人生の最終段階における相談員の事業とあわせて各医療機関への周知を図ろうと思っていますが、単なる配布だけではなくて、この検討会でいただいた御意見とかも組み合わせる形で、そうやって少なくとも来年度は全ての医療機関に行き渡るようにと思っています。そこからさらにもう一つ上をどうやっていくかというのはまた並行して考えていきたいと思っています。

○町野座長 それでは、川島委員どうぞ。

○川島委員 今の1番の件に関してなのですけれども、実は私のところで、医政局の特別研究で、平成21年度に相談支援をどのようにしていくかということについてのマニュアルを策定しましょうという研究事業を行いまして、これはなぜかというと、プロセスのガイドラインをつくった後にあれが公表されて、私のところに実は非常にいろんな文句が来ましてね。例えば救急医療の現場からは、もう意識もなくて、呼吸器つけている人を終末期と認定して外せるようにしてほしいとか、がんの方は、6カ月以内はもう終末期と認定してほしいとか、つまり、ある何かマニュアル化されたことをつくってもらえば、もうそれに乗っていけばいいのだという。

御存じのように、お医者さんは科学的に考えていくような素養がありますので、どの人にでもうまくいくような標準化されたものが一番いいと思っている二十数万人の集団がいるわけですね。そうすると、標準化されたマニュアルをつくれば、それに乗って動けばいいのだと思ってしまうわけで、だから、そういうものを求める方が非常に多かった。しかし、そうではないのだと。樋口先生もそのときおっしゃられたように、野球であれば6回までなのだと。9回まできちっと決めると、そこから外れてしまう人たちもいっぱいいて大変なことになるから、みんなでそこは考えてくれということだったと僕は解釈していますのでね。そうすると、ではどのように相談するかということについて、お医者さんはほとんどそういう教育を受けてないという現状がございます。ですので、その相談の内容をどのようにうまく説明していくかということについて、この研究事業をやったのですね。

その際に、これも含めて、全国8カ所ぐらいで勉強会を開いて、そこで行政の方とか病院のトップの方とかにどんな話をしたらいいのかということを進めていきましょうという話があったのだけれども、結局、東日本大震災があったりして立ち消えになったまま、全くこれは忘れられているのですよ。今回また新たに医政局で来年度からやっていくということは非常に望ましいことでいいのですが、問題なのは、育てるということでなくて、育てる内容がどのぐらいまで踏み込んでいるのかということのほうがずっと重要なのと、そして、育てていく間にも、樋口先生おっしゃられたように、周知していかなければいけない。両方仕立てでやっていくということが大事なのではないかと思います。そういう意味では、立ち消えになった勉強会みたいなものを各地でやっていくとかいうことも一つの方法ではないかと思います。

○町野座長 ありがとうございました。それではほかに。

○伊藤委員 樋口先生の今のお話には、どこか機会があればまた補足させてもらいます。経験したばかりなので。救急車頼むのも、主治医とお話しするのも非常な困難を伴うということはよくわかっております。

ちょっと質問なのですけれども、資料2は「報告書(案)」と(案)がついているのです。もう一つは「報告書」だけですけれども、この2つの関係がちょっとわからないということが1点です。

それからもう一点は、質問の2の問6のところですが、資料2のほうで言えば14ページの「法律で定めることについて」ということは、患者会にとっては非常に関心あるところですが、今国会で尊厳死法を出されますけれども、ここでこの調査をされて、いろいろなデータを出しているということと尊厳死法との関係をどうするつもりなのか、何か厚労省事務局のほうではお考えがあるかということなのですか。

1つは、そのさらに延長ですけれども、これが僕らにとっては非常に大事な項目ですけれども、報告書の概要にはそこが触れられていないのはちょっと不思議ですが、とりあえずそこのところで、今後どう取り扱っていくのか、どのように影響というか、それをさせていこうとしておられるのか、そのことについてちょっとお聞きしておきたいと思います。

○在宅看護専門官 1点目の御質問ですけれども、申しわけございません。こちら、資料3も(案)をつけるべきでした。ですので、資料2、3につきましては、1もですけれども、本日の御議論を踏まえて、また座長と御相談の上修正をして、最終的な報告書ということで確定したいと考えております。

○町野座長 第2点目はかなりお返事がしにくいところだろうと思いますけれども、何かありますか。

○在宅医療推進室長 この調査を設計していただいた段階では、確かに超党派議連での御議論はありましたけれども、まさにこの委員の皆様の御議論の際にあったとおり、全く超党派議連での法制化の動きとは関係なく、この設問が行われたものと思っております。同様に、今回、調査結果がこうして出て、ただ、このタイミングで、一方で確かに各政党においても、尊厳死法案と呼ぶのかリビングウィル法案と呼ぶのかはありますが、議員立法の動きがありますが、基本的にはそれとはリンクはしていないものと事務局では認識しております。

○町野座長 では、林委員、よろしくお願いします。

○林委員 先ほどの樋口委員からの御質問に対して少しお答えしなければならないなと思ってお答えいたします。実際に亡くなられる前に全ての人は苦しむのかと言われると、そうではないと思います。その方の亡くなられるときの状況、状態、方針、そしてまたそれに応えられるような体制、それらが整った場合、がんの終末期とかであって、緩和ケア病棟であるとか、そういった整った体制の中であれば、恐らく苦しまずに最期を迎えることはできるだろうと思うのです。この中である程度選ぶことができる方針の部分については、あらかじめ話し合っておいたりできると思うのですが、人がどのような状況、状態で最期を迎えるのか、そして、それにどのような体制で臨むのかということについては、本当に緊急の場合ですと選択し切れない。先ほど選択があるのかということをおっしゃったのですが、選択できない場合というのはどうしてもあり得るのではないかなと思っています。

そのようなときに、救命救急を最善として選択して頑張る場合にはある程度の苦痛は生じるでしょうし、その中でどのようなことを大事にしていくのか、本当にそれぞれ千差万別だと思うのですね。これまでは方針もなかなかはっきりと定めることができない、方向づけはできない中で模索していました。今回このような制度が整っていくことによって方針がある程度固めることができれば、あとはその状況、状態、体制の中で最善を尽くしていけるような次の芽が見えていくのではないかと思っています。

お答えになっていますか。

○町野座長 それでは、次、木村委員、お願いします。

○木村委員 今のお話の続きが1つあるのですけれども、樋口先生おっしゃったような、臨床家としては、最終的に亡くなられた方がどういう形で亡くなられたのか、おうちに帰ったために苦しまれて亡くなられたのか、逆に、病院に入院したことによって、縛りつけられていろんなものをぶら下げられて、苦しんだ末に亡くなったのか。おうちで亡くなったのが安らかに亡くなったのであればそれはそれでいいかなとも思うのですね。ただ、どちらがいいとも悪いとも言えないと思うのですけれども、先ほども、リビングウィルというのはアメリカでもオランダでもどこでもつくっている人が少ないということでしたけれども、実際日本でリビングウィル書いてくるということはなかなか難しいので、臨床としては、現場としては、その場その場に応じてというか、その状況に応じて患者さんとか患者さんの家族とお話をして、どうするかということをその場で具体的に文書にしてもらうというふうに今対応しております。

 もう一つ、私が言いたかったのは、実は所属しております全日本病院協会でも、このガイドラインをつくって、もう時間がたったので、この間そのアンケート調査をやりましたところ、やはり実際に利用している人は少ないと。この結果と同じような状況だったわけですね。ではどうしたらいいかということで、それを周知徹底させるしかしようがないではないかということがありまして、ではどうやったら周知徹底できるかということについてはまだ全然答えが出てないのです。

ガイドラインはもうできてしまったので、それを広めるための方策として、1つは、講演会とか懇談会を開いて、まずそこから始めてみようということになったのですけれども、実際にはそれだけで広まるとも思えないので、先ほど厚労省のほうで、来年度の事業として研修制度を設けていくとかいろんなことを言っていただきましたけれども、いろんな機会を利用してこれを広めていく。ほかにもいろんなガイドラインありますから、そういうものを広めていくということが非常に重要だと思っているのですけれども、もし、こんなことやったらいいのではないかということがあったら教えていただきたいなと。御意見があればお聞きしていきたいなとは思っています。

 我々としては、近々懇談会をやって、その結果をまた、全日病のニュースとか、あとマスコミにも流して、少しでもそのガイドラインがあるのだということを皆さんに知っていただくということに努力していきたいと考えております。

 それで、先ほど法律の問題が出たのですけれども、法的に決めるということとか、それから厚生労働省の通知などでやるということは非常に好ましいと思っておりませんので、そういうことについては私どもは非常に反対の立場です。ですから、国民の中でこのガイドラインに沿ってやっていくということは、それはそれで正しいというか、それがいいのだというふうな考え方を育てていくというか、育てると言うのも変ですけれども、そういう考え方が広まっていくように我々努力していくべきではないかと思っています。

○町野座長 それでは川島委員、次に中川委員、それから池上委員、大熊委員、そういう順序でよろしいでしょうか。

○川島委員 ちょっと補足します。プロセスのガイドラインは、皆さんも御存じのように、意思決定させるためのガイドラインでなくて、意思決定に至るのは結果としてそうなるのであって、その前に、きちっとしたプロセスを経ているかどうかのほうが重要なのだという、ここを医者がほとんど間違えている。意思決定させてもらえるガイドラインでないと機能しないように誤解しているという、ここが最も問題だと思います。ですので、もう一度言いますけれども、意思決定に至るためのプロセスがきちっとできているかどうかということのガイドラインなので、ここは、皆さんわかっていらっしゃると思いますが、よろしくお願いします。

 あともう一つ、樋口先生がおっしゃられた、人って苦しむのかしらという話についてです。大ざっぱな話をしますけれども、日本人が一番元気なのは高校生のときで、1517歳で、このときが2,500キロカロリーとって、最も処理能力と体力がいいときです。死ぬというのは、処理能力も体力もゼロになるときです。ですから、緩やかに衰えていく分には、処理能力と体力がゼロになる日まで、わっはっはと笑ったり、痛い痛いと言ったり、すたすた歩いたりということはあり得なくて、大分前から、全くの臥床状態になって、しかも睡眠時間が長くなって、ほとんど24時間眠るようになります。ですので、原則的には本人はほとんど苦しまないで亡くなるというふうに考えていただいていいと思います。

ただ、それはやはり事例によって違って、がんのように、かなり急速にそのような進行が起こってくる場合とか、突発的に、自動車等にはねられて即死に近いような状態とかいうような事例はまた別になってくると思いますが、大部分はそのようにして亡くなると思ってよろしいと思います。今まで、多分、1,700名以上、在宅で看取ってきておりますが、大部分の高齢者はそのようにして、すやすや眠って、つまり、意識がないということは、全ての苦痛から開放された状態で亡くなる率が非常に高いと思っていただいてよろしいと思います。

○町野座長 続きまして、中川委員。

○中川委員 樋口委員が言われた、急性期で2ヶ所断られてという話はまさに現実のことですね。私は、日本慢性期医療協会の副会長をしています。高齢者が救急搬送されて救急救命センターに行くと、そこがもうパンクしてしまって、ほかの本当にそこを必要としている人を診きれない。そういう場合には、むしろ慢性期医療機関で診ていくという方向を取れないかということで、われわれ協会も結構そういう活動もしているのですけれども、それは全国的に言えばそれほど行き渡ってないというのが現状でしょう。

 大阪と東京のある部分では、急慢連携といって、例えば救命救急センターに高齢者が来て,どうしたら良いかというときには、慢性期医療機関に移すというシステムをつくっているところはあるのですが、それがまだ広がっていないのは事実ですので、今後はそのあたりが大きな問題かなと思っております。

 それともう一つですが、資料2の19ページの真ん中、上から3つ目の丸で、終末期医療の不開始,中止等に関する問題ですが、終末期、延命治療の不開始、中止等を行う場合の判断基準について、「大まかな基準をつくり、それに則った詳細な方針は、医師又は医療・ケアチームが患者(入所者)、家族等と検討して決定すればよい」と回答した割合が多かったというのがあります。以前は、こういう場合に、法律をつくったほうが良いという意見が、かなり多かったように私は記憶しています。調査用紙に「本人の意思表示に基づいて、医療従事者と十分家族が話し合って、その処遇を決める」という設問がでてきたときから、急にこちらが多くなってきたのですね。

 ということは、私は、日本人の考え方として、法律でがんじがらめにするよりも、それを基準にしながら、回りのご家族と話し合って柔軟に対応していくということ、そういう文化なのかと最近思っているのです。前回、私は自分の病院で取り組んでいる「当院における終末期医療~100の事例から学ぶ~」という冊子を皆さんにお渡ししました。その中でも何例か、患者さんが終末期になり、苦痛表情等が出てきた時、また、ご家族と話し合って方針を再考している場合もあるのですね。従って、意思確認の文書は基本ですけれど、全て文書の通りに行っているわけでは決してなくて、柔軟に対応しています。

 最近、メデファックスで見ましたが、超党派の議連が尊厳死法案を提出すると盛んに言っていますね。しかし、こういう意識調査で示された意思と、議連で述べられている事が少し乖離しているように思うのです。そのあたりの事を、医政局はどうお考えになっているか、差し支えない範囲でお答えいただければ幸いです。

 

○町野座長 もし可能であればということで。

○在宅医療推進室長 確かにきょうのメディファクスにも載っていますね。きょうのメディファクスに載っていたのは自民党PTでの議論ですが、私どもがコメントする立場にはないのですけれども、私どものまさに委員の皆様に御検討いただいているここでの資料は、折々に触れて議論の際に引用はされていると、そういう状況ですので、向こうが全くこっちのデータを無視しての議論ではないということは確かめられるかと思います。

○町野座長 それでは、大熊委員。

○大熊委員 今の中川先生のにつきましては、2月21日に私たちに配られたものには、意思表示の書面に従った治療を行うことを法律で定めることについては、その法制化には消極的な人が多くて、生き方は千差万別であり、なるべく標準化しないほうがいいと2月21日バージョンにあるのが本日突如として消えたのは、どう考えても、その超党派のほうに遠慮なさったのかなあと思ったことが1つと、それから、樋口先生の先ほどの例は、うちの母親もぼけて、94歳ですけれども、壁に大きくかかりつけの先生の電話番号が書いてありまして、ヘルパーさんも、家族一同、みんなそういうときはかかりつけのお医者さんに連絡するということで、そういう何とか書というのは書いてなくても、貼ってあるということが意思表明書ではないかなと思いました。

○町野座長 大熊委員、先ほど変わったというのは何ページのところですか。

○大熊委員 もとの2月21日バージョンですと、23ページの5というところで「意思表示の書面に従った治療を行うことを法律で定めることについて」というのがあるのですけれども、新しいほうだと、4から、それが飛ばされて、「さまざまな人生に」というところになって、なくなってしまっているということに気がついたものですからお尋ねしました。

○町野座長 何か事務局のほうでありますか。

○指導課長 それは3番の中に溶け込んでいる。3番の下から3つ目のところに。項目としての整理をしただけで、削ったわけでは。

○大熊委員 目立たないようになさったのだなということで、了解いたしました。けれども、これも結構大事な項目なので、本来は項目として立てたほうがよかったかなと思います。

ついでに、すみません。今回の最後のほうでこれを幅広く捉えて、どこでどうやって亡くなりたいかとか、そういうことを含めるのだということとか、名前を「人生の最終段階」と変えてくださったのはとてもありがたいと思います。これを短くしたほうがいいという話も大臣からあったやに聞きますし、けれども、例えばインフォームド・コンセントをICとしたり、説明と同意と短くしたことで、本来そのプロセスが大事なのに、そのプロセスが吹き飛んでしまって、「ICとっておきました」みたいな、そういう話になってしまうことと同じで、この人生の最後をどのようにするかという、このちょっと長目の言葉の中でみんながいろんなことを、どんな場でどうやって死にたいかということなので、死ぬ瞬間でなくて、死ぬ前のところからが含まれているので、このままでも、余程の名案が出れば別ですけれども、生半可な、短くする案はないほうがいいかなと思いました。

○町野座長 報告書のほうは少なくとも、このタイトルを変えるというあれはない。これからいろんなところで使うときに、このまま長い名前でいいかと、そういう問題が残っているということで、そういう了解でよろしいでしょうか。

○在宅医療推進室長 そうですね。前回の最後のところでも、この「人生の最終段階における医療」でよろしいですかという話と、あと、これの略称をということを御相談申し上げたところですけれども、単純に、これから先ずっとこのフルスペルでいくのかどうかということで、よりよい案があればというので、前回の最後のお願いの2点目をもう一度大熊委員とちょっと話をしていたというのがあって、今の発言になったという経緯です。なので、もちろん、略称がないという考え方もあろうかと思いますので、そこはそれで重要な御指摘だと思っております。

○町野座長 では、池上委員、次いでこちらのほうということでお願いします。

○池上委員 1点、修正の提案と、あとは樋口委員からのコメントにお答えしたいと思います。

1点、修正を検討していただきたいのは、資料1の概要版の最後の「まとめ」のところであります。3)「しかし、人生の最終段階における医療は多様であり、実際の自分の人生の最終段階についてイメージすることは難しい」。これはこのとおりでありますけれども、これは調査結果から得られることではなく、一般的な常識として言っているわけですので、ここであえて述べる必要はないと思います。むしろ、この調査結果においてこれまでちょっと誤解を招くような報告書が出ていましたけれども、基本的には医療施設で亡くなりたい。そして、認知症の場合には介護施設で亡くなりたい。そして、延命医療についても、水分補給や肺炎に対する治療は望むが、胃ろう等は望まないということが重要でありますので、それをこの中に加筆していただいて、この「しかし」をとって、人生の最終段階における医療は多様であるが、その中でも、亡くなる場所としては医療施設、そして認知症の場合では介護施設であって、そして、一言、延命治療と包括されているものの中でも2種類に大きく分かれるということを明記していただいた上で、続いて、4)のところは、そのように、全体としては亡くなる場として医療施設、そして、延命治療、医療としては2種類に分かれるが、それでも個人差があるから、4)のほうに続いて、自分で判断できなくなる以前から自分の希望を理解していると信じる者を指名しておくことがいいことだと。ここの部分はこれで結構だと思いますので、そのような修正をまず検討していただきたいということが1点です。

 それから、樋口委員から御指摘の点については、まず、アメリカにおいても、いわゆるアドバンストダイレクティブスを作成してないというのは事実でありますけれども、病院に入院する場合、あるいはナーシングホームに入居する場合には、これは書くことがほぼ必須になっておりますので、そうした観点から、アメリカでもほとんど普及してないので日本において考える余地はないというような誤った印象を一般に受けます。そうではなく、このようなことを考えなければいけないような場に移った場合には、ほぼ書いているということを、私として指摘したいと思います。

 それから3点目に、最初におっしゃった選択肢として病院があるかという点から、私が最初に申し上げた点を再度強調しますけれども、まさに病院に入院して亡くなりたいという方も一部には少なくともおられるわけですね。選択肢としてそれを抽象的に望んでいる国民がかなりいると。それは間違っていると思うかどうかはそれぞれの判断ですけれども、まずは医療施設や介護施設で亡くなりたいという意向があったということは真摯に受け取る必要があって、それがもし間違っているなら、間違っていることとして訂正するべきかもしれませんけれども、基本的にこの調査に基づいてまとめていただきたいと思いますので、最初の点を指摘したとおりでございます。

○町野座長 今の修正の御提案につきまして、事務局のほうで何かお考えありますでしょうか。

○在宅医療推進室長 先ほどの伊藤委員の御指摘もそうですし、最終的には、この形のまとめがよいかというのはきょうの御議論全体を踏まえて座長と相談させていただければと思います。

○町野座長 そのようなことでよろしいでしょうか。

○池上委員 もし資料1が残るのだったらそのように検討していただきたいと思います。

○町野座長 わかりました。それでは、田村委員。

○田村委員 ありがとうございます。私も、この国民の意向の結果を聞いて、わかったことですけれども、樋口先生がおっしゃった、「選択肢があるのか」ということは本当に重い問いだなあと思います。が、相談支援をやっている立場から言うと、「いろんな場面でどんなふうに過ごしたいかということを常に話し合うことで、選択肢を整える」。というこの言い方がフィットするかどうかわからないのですけれども例えば施設にいて、認知症の方で、がんになって当院のほうに見えて、緩和ケアで亡くなるのか?そのまま施設看取りの方向でいくのか?すごく不安があってというようなときにも、施設にいても、もし何かがあったときにお受けできる医療機関だとか在宅看取りとして入ってくれる在宅療養支援診療所の先生を整えておくとかいうふうに、いろんなシミュレーションをしながら、こうだったらこういう「選択肢をつくっていくことができる」のだけれども、どうでしょうか?というふうに、まさに「プロセスの中でその方が決めることが可能になる」ということを日々の実践の中では感じているところです。ですので、ぜひ来年度以降の相談の研修の中でも、結局、決めさせることをガイドするというようなことではなくて、そのプロセスをどうしていくのが妥当なのかというところに軸を置いた研修になっていければいいなあと思います。

 私も、意思決定プロセスのガイドラインの中の委員に入っておりまして、そのプロセスだという概念を共有することが医療の中でなかなか難しいのだなあというのをとても感じているところですので、ぜひお願いしたいと思います。

○町野座長 では、深井委員からお願いします。

○深井委員 樋口委員、それから大熊委員の御意見にも少し関連するのですけれども、1つ確認というか、質問してから追記の意見を述べさせていただきたいと思います。

 今回、「終末期医療」から「人生の最終段階における医療」へ名称変更するということですけれども、これについては、「終末期医療」と「人生の最終段階における医療」というのはほぼ同義だけれども、むしろ終末期医療の中で提供されるべき医療やケアを広げていくという解釈でよろしいでしょうか。それとも、終末期医療の中の本当に息を引き取る直前のような期間を限定した場合を「人生の最終段階における医療」というふうな議論になっているのでしょうか。私は前者と理解していますけれども、それでよろしいでしょうか。

○町野座長 事務局のほうでお考えありますか。

○在宅医療推進室長 非常に重要な御指摘ありがとうございます。これは恐らく事務局がどう答えるというよりは、まず国民の皆さんと今どういう合意が得られているのか、そして、国民の英知を集めているこの委員の皆さんでどういう合意が得られているかというところが非常に重要だと思いますので、今の御指摘は非常に重要だと思います。だけれども、これは事務局答弁がこうだからという性格のものでもないと。ちょっとずるい言い方かもしれませんが、そういう認識でおります。

○町野座長 今の点ですけれども、終末期という言葉は何といっても暗いイメージがつきまとうと。人生の生き方についての最後のところでどのようにするかという点で、だから、非常に狭い範囲に限定すると、いわゆる末期というようなそれに限定しないという考え方があることは確かだろうと思います。それからもう一つは、医療の中の一つとしてこれを理解するということですから、単純に延命医療の中止とかそういう問題だけではなくて、より広くなっていると私は理解いたしますが、いろんな人にはいろんな考え方あるだろうと思います。

○深井委員 それでは、3点の追記に関する意見を述べさせていただきます。まず1点目です。例えば「人生の最終段階における医療」と呼び方を今後変えていく場合に、延命治療とか、最後に受けたくない医療にフォーカスを当てるのではなくて、ある一定のプロセスの中で、受けたい医療と受けたくない医療というのはあると思うのです。ところが、この報告書の記載を見ると、むしろ受けたくない医療に集約するような表現の仕方が幾つかあるので、その点、少し修正と追記をお願いしたいと思います。

 報告書()26ページの「国民が考えることができる機会の確保」のところと、概要版の2ページの上から3点目「希望する治療方針」ですけれども、概要版を見ると「希望する治療方針は状態像によって差があるが」とあって、点滴とか抗生剤の服用、あるいは水分の補給は希望する割合が高いのに対して、胃ろう、人工呼吸器の使用等は望んでいなかったという書き方になっているのに対して、報告書のほうは、「一方、今回の調査では」とあって、「希望する治療法としては、状態像による差は認められるものの、概ね、こういう侵襲性の高い治療は望んでいない人が多かった」で切れてしまっています。こういう書き方がむしろ誤解を招くので、侵襲性の高い医療を望んでいない人が多かったのに対して、先ほどの水分補給とか抗生剤や点滴の服用を希望する人が多かったというふうに、文章は両面をここは記載すべきでないかと思います。

○町野座長 何ページですか。

○深井委員 26ページの「まとめ」の下から2段目のところに、「一方、今回の調査では」とあるところに、望んでいない医療のところで文章が切れてしまっていますので、これに対してどういう医療を望んでいたかということも併記して書くべきではないか。それは先ほどの池上委員の意見にも少し重なるのかもしれません。それがまず追記と提案の1点です。

2点目は、「次回の調査への提言」の箇所です。今回のこの報告書()の7ページのところに、「今回調査をした調査項目を設定する段階で、既にニーズが満たされた調査項目については削除する等の変更を行った」とあります。これは今まで行ってきた過去の調査の中から、ニーズが既に満たされているものは削除して調査を行ったと理解できます。しかし、前回の検討会でも申し上げたように、例えば食べることに対するケアとか支援というのはまだまだ提供体制が足りていない現状があります。それは、先ほど樋口委員が言われた、緩和ケアの充実を考えた場合にどれだけのケアが可能なのかという議論にも似ていて、むしろ国民にどういう医療を受けたいかということを聞くことで、ケアの提供体制を活発化することにもなります。今後、「次回の調査への提言」のところの文章が、「今回の調査では、調査の実施に先立って過去の調査との連続性・整合性にも留意しつつ調査対象・内容の見直しを行い、調査項目を整理した。今後の調査においては、調査毎に新たなニーズに適応した調査項目等を検討することは重要であるが、バランスをとらなければいけない」と文章が逆転していて、新たなニーズを調査したほうがいいと言いながら、でも、実際には難しいという文章になってしまっています。ここはむしろ今把握されていないニーズについては新たに調査することが必要であったり、あるいは、受けたい医療について、医療やケアも含めて、歯科医療も含めて、そういうことに関する、まだ把握されていないニーズの調査について検討することが必要だというような表現をぜひ、委員の先生方の了解が得られれば「次回の調査への提言」の中に入れていただきたいと思います。具体的には、「今回の意識調査では、調査の実施に先立って過去の調査との連続性・整合性にも留意しつつ、回答者負担とのバランスも十分に考慮して、調査対象、内容の見直しを行い、調査項目を整理した。今後の調査においては、これまでに調査されていない医療、歯科医療、ケア等を初めとした調査項目等についても検討することが必要である」という表現が考えられます。

3点目は、「人生の最終段階における医療」への名称変更に関する記載の箇所です。ここについても、下から3行目のところの「『人生の最終段階における医療』という名称に変更することで、医療行為のみに注目するのではなく、最後まで尊厳を尊重した人間の生き方に着目していくことに重点を置く」と書かれています。今私が申し上げたことも踏まえると、「人生の最終段階における医療のあり方については、今後、医療行為のみに注目するのではなく、最後まで尊厳を尊重した人間の生き方に着目し、幅広く医療及びケアの提供について検討していく」というような表現に変えたほうが、国民の受けたい医療、受けたくない医療、それから、提供すべきケアや医療の幅が広がっていくのではないかと思います。

 

○町野座長 すみません。具体的な提案としては、「次回の調査への提言」の中、ここのところをどのようにするかという話と、前のところ、変更の経緯等については、これはこれでよろしいですね。

○深井委員 はい。で、26ページのところの文章がいかにも受けたくない医療のところだけに文章が切れてしまっているので、受けたい医療はこうだったというふうに記載すべきではないかということです。

○町野座長 すみません。この点は調査はされているのですか。意識調査。

○在宅看護専門官 そこは、表現はあわせます。概要で示したものとまとめに入っているものは表現をあわせたほうがいいと思います。

○町野座長 わかりました。後の「次回の調査への提言」の部分については、今のような、要するに医療及びケアまで広げるという御提案のように受け取られましたが。

○深井委員 今、ニーズがまだ満たされていないことをもう解決済みとするのではなくて、そういうことも含めて新たに調査項目の中で検討したほうがいいと思います。

○町野座長 いかがですかね。これは将来の問題ですけれども、ここでやはり皆さん御議論いただく必要あるかもしれませんけれども、しかし、ここで結論を出すというわけではないですけれども、この中にその部分を入れるかと。より積極的な部分についてやるべきかということについては。事務局のほうとしては、これはよろしいでしょうか。それとも、もしここまで広げるということになると、この部局だけの問題なのかという、ケアまで入りますから、もしかしたら全体で、ある場合は内閣府全体でやるとかいう話にもなる可能性も出てまいりますけれども、事務局として何かお考え、今ございますか。もしあればお聞かせいただいて、後でもう一回検討した上で皆さんにお示しするということだと思いますけれども、何かお考えありますでしょうか。

○在宅医療推進室長 直ちには浮かばないですね。

○町野座長 では、ちょっと後で、今の点、十分考慮した上でやろうと思います。どうぞ。

○木村委員 それに追加してですけれども、先ほども言いました、今の資料2の24ページの7番のところに書いてありますけれども、「ガイドラインの利用状況が低くなっているのは、周知不足なのか、他に要因があるのかを検討する必要がある」とありますし、今後、「医療倫理教育の充実が重要である」ということがあるので、この辺もぜひ次回には、アンケート調査で出るかどうかわからないですけれども、そのアンケート調査をもとにして何か検討するということはぜひ必要ではないかと思います。

○町野座長 わかりました。今の部分というのは、5の検討会の主な意見として述べられたという、こういう意見が出たという話ですから、これをどのように考慮するかということは十分必要だろうと思います。

○川本委員 すみません。よろしくお願いします。「次回の調査への提言」のことがお話出ましたので、来年度から医療提供体制が変わって、都道府県で医療計画を練って、そして地域間の格差が出てくる可能性が非常に高いと私は推察しているのですけれども、そういうことになりますと、5年後、このような形の無作為でいいのかと思います。地域が似ているところをピックアップしたような調査体制も必要ではないかと思っておりますけれども、いかがでしょうか。

○町野座長 どのようにお考えですか。今、非常に難しいといいますか、どのようにやっていくか、かなり根本的なあれがあるだろうと思いますけれども、これは。

○川本委員 すみません。書いていただいてというのではなくて、一言述べさせていただいただけでございます。

○町野座長 わかりました。では、そこら辺もまた相談いたしまして、もし書けるものなら書くというような話にしたいと思います。こちらで次にお手を挙げられた方。

○村上委員 今回のこの一連の調査で特養を取り上げていただきまして、ありがとうございました。前回もちょっとお話ししていますけれども、特養は看取りをもう66%ぐらいやっているのですね。ここにありますように、研修についても、60%ぐらいやっているということを書かれておりますけれども、この間、看取りに関するフォーラム、北海道と東京と九州でやりましたけれども、500名のところ、倍来て、本当にこの看取りに関しての関心が高いという状況です。

 そういう中で、24ページのところにあります5のポツの2つ目、最終段階のことですけれども、医療の中での最終段階というのがどういうことを指しているのか、私、ちょっとわかりませんけれども、病院で、もう決して口から食べてはだめだと。食べなければ亡くなるよということを言われて、家族の方がそれを聞いて、たまたま特養にいる人なのですけれども、それであれば特養に戻るということで、帰ってきて、少しずつ口から食べて、最終的には元気になったという人がいっぱいいるのですね。

そのように考えますと、今回の28ページの、「人生の最終段階における医療」と名称変更されるということなのですけれども、これは医療の中にそういう機能も、介護の機能というか、ケアの機能も含まれているのだということをぜひ知っていただけたらなあと思っているのですね。

それから、23ページの意思表示の書面、リビングウィル等についてですけれども、これについて、特に我々のところに来る方々については、この意味を理解して、それで、自らの終末期を自ら決定できるという人がどれだけいるかということなのですね。御承知のように、我々のところは平均介護度も3.84超えています。ですから、そういう中では、これを自ら決定できる人は恐らく何割もいないだろうと思います。

 特に認知症の人については、発症から現在に至るまで時期がずうっと長いですから、本人の意思というものがどれだけ尊重できるかという問題も含めて、大変難しい状態にあるのかなあと思うのですね。そういうことでは、病院は、がん末期の方だとか、あるいはそれ以外のさまざまな方がいらっしゃいますので、そういう方々の意思決定とは多少異なるところがあるのではないかと思っているのですね。

 我々のところは、そういう状態になりますと、ドクターから看取りの診断が出て、看取りの診断から、我々、ケースカンファレンスをしながら最終段階までやっていくのですけれども、この段階で、ガイドラインの話がありましたけれども、実際に介護をするのは医療に素人な介護職員なのですね。そうすると、例えば夜中だと変化するわけですよ。こういうときに、このガイドラインというのはやはり物すごい重要なのですね。

我々、ガイドラインというよりも、看取りに対するステージみたいのをつくって、第1ステージから第4ステージというものを一応つくりながら、この中で、介護になったばかりの新人なんかも含めて、そこを頭に置きながら状態を見て、必要に応じて看護師に連絡をし、看護師から医師に連絡するというようなことをする。あるいは、医師が家族に説明する段階で、担当者が一緒について、医師の説明を家族とともに聞く。こういうことをすることによって、これから先の流れについて知るということがあるわけですけれども、それにしても、どういう状態になったらどうするのだということ、これは必要なのですね。

これからは、在宅でもしも亡くなるとすれば、在宅の人たちというのは、私も含めて素人ですから。先ほど先生おっしゃったように。そうすると、自分の身内が家で亡くなるにはどういう状態で亡くなっていくのかということと、どういう状態になったらどこに連絡すればいいのかということ、これはやはりすごい必要なことだと思うのですね。ですから、これが医学的にきちっと証明できるかどうかわかりませんけれども、少なくとも素人がわかるような、こういうステージだとかガイドライン、それから、専門家がわかるものもまた別にあると思います。ですから、こういうことをやらないとなかなか安心できないという状況があると思います。

今、特養は、ドクター、看護師が、我々のところはすごい恵まれていまして、本当に心配しないで亡くなっていけるなというのと、それから、最終段階という中で、戻ってきてまた元気になっている人、いっぱいいるのですね。ですから、ここら辺のところも含めて、今後の最終の看取りについて、この中で何らかのガイドラインができてくればありがたいなと思います。

○町野座長 それでは、どうぞ。

○山口委員 私も、この報告書を拝見して非常に具体的な結果が出たのではないかと思っています。ただ、1つ、当たり前ですけれども、確認しておかないといけないこととして、このように数字が出て、報告書という形でまとまりますと、多いから正しい、少ないから間違いという方向性になってはいけないということです。人によって選択肢は違うのだということを大前提にしないといけないとまず感じました。それに加えて、実はこのアンケートに、かかわらせていただいたことで、COMLの活動の一つに「患者塾」というミニセミナーがございまして、終末期をテーマに、このアンケートをもとにして、参加者がアンケートに回答して話し合うという試みをいたしました。

そうしたところ、ある程度関心を持った方が集まってきているにもかかわらず、意思表示をするためには、こういうことを考えればいいのねという意見が大半だったのですね。ですので、多くの人は、何を考えればいいか、どういったことをあらかじめ考えて選んでおく必要があるのかということがやはりまだまだわかっていないのだと実感いたしました。

その上で、先ほど樋口委員がおっしゃったように、選んだからそれが実現するのかというと、実際そうでないということも、私たち、電話相談の中でたくさん経験しておりまして、理想と現実とのギャップも痛感しています。ただ、そうであったとしても、あらかじめ考えておくべきことを知っていると、問題に直面したときに冷静さを保てるかどうかがかなり違ってくると思います。知識として持っていれば、こういうことも考えられる、ああいうことも考えられると落ちついて考えることになるので、やはりもっと国民に対しての周知、先ほど、素人にもわかるガイドラインとおっしゃいましたけれども、私はそういうことが大事だと思っています。

この報告書の中に医療提供体制の整備ということが結構書かれていて、26ページの最後、資料2ですけれども、一言、「国民が主体的に考えることができる機会を提供することが重要である」と触れられています。せっかくこういう調査結果が出てきたわけですので、今度またアンケートしますということだけではなく、こんな結果が出て、やはりこういうことを考えておく必要があったのだというような何か情報発信ということにも使っていただけないかなと、そんなことを患者の立場として感じました。

ですので、この調査結果の使い方というのでしょうか、そういうことも考えていく必要があるのではないかということを1つ、提案としてですけれども、今後の方向性の中でぜひ考えていただきたいと思います。

○町野座長 それでは、松原委員どうぞ。

○松原委員 最初に樋口先生がおっしゃられましたように、終末期では、私たちも往診で看取りをしておりますが、とんでもないことが起きます。頭では理解していても、例えば目の前で自分の家族が吐血したり下血したりすると、当然、思っていたことと違うという判断になります。つまり、物事、特に医療においては不確定性が高くて、いつ何時どんなことが起きるかわからないので、例えばインターネットで何かオーダーするように、AとBならBです、Bの中でB1とB2はB1ですと選ぶようなやり方がインターネットの世界では当然になっています。例えば旅行に行くにも、どの旅館に泊まるか、どの乗り物に乗るか、それは自分たちの意思で簡単に決めることができるのですが、ところが、人を最期に看取るというときには、自らの予想してなかった状態が起きてまいります。そういったことに対応するということをまず踏まえながら考えないと、例えばハンバーガーチェーンのように、客に対する手順が全て書いてあって、そのフォーマットどおりにやっていくとうまくいくとか、そのようなものではありません。そこに至るまでのプロセスをきちっとやっていかないと、こうなっていますからこうですよと言われても、個々の幸福には結びつかない場合があります。

そのところも考えますと、今回この資料で感じたのは、自分で判断できなくなった場合について国民も医者も、法律で定めなくていいのではないかという意見がかなりあるということを再認識します。なぜ医者だけはこんなに多くそう思ったのかといいますと、最終的には、看取りのときの責任は全て医者にあります。そういった点において、医師は、こうあればよかった、こうすべきだったと常に考えながら、患者さんにとって最良の医療を求めていくわけです。だから、こういった結果が出ている可能性が高いのではないかと思っております。法律で決めますと、その法律で全てが決められるのではないか、あるいは、法律の中で適用がうまくいかない場合もあるだろうということ、あるいは法律で全ての人生を決めることについて、やはり抵抗が国民の中にあるということをしっかり踏まえながら、プロセスを十分議論していかなければならないのではないかと思っております。

○町野座長 ありがとうございました。それでは、林委員。

○林委員 前回の調査と比べると非常によくなってきていると私も思います。その中で2つほどあるのですけれども、こういった意思表示ができなくなった場合に云々という話をしていくときに大前提となっているのは、意思表示ができるときにはきちんと話し合って決めていくのだということが十分に伝わっている必要があると思うのですね。そうでないと、意思表示ができる、話し合いができる状況なのに、こういった方針があらかじめ定められていると、自分の意思とは関係なしに、状況がいろいろ想像してなかった状況なのに、あらかじめ自分が想像の中で考えていた、決めていた方針どおりにされてしまうのではないかというおそれが生じる可能性があると思っています。こういった事前の意思表示について論じるときに、自分の意思表示ができるときはきちんと話し合うのだと。そして、それをその都度その都度確かめていくのだということをまず1つは大事にしていきたいなと思っているのが1つです。

 あともう一つが、資料1の1ページ目の一番下に、「自分が判断できなくなった場合に備えて、家族等の中から、自分に代わって判断してもらう人」云々というのがあります。この表現ですと、誰か一人の人を定めておくことに対して賛成するというような表現にとられるのですが、実は資料3の26ページの「人生の最終段階における治療方針を定めることを希望する相手」というアンケートの結果を見ますと、一人の人に定めるというよりも、家族で話し合った結果に沿ってほしいという方々のほうが多いという結果になっているのですね。

これは、一人に決めるというのではなく、家族などに決めてほしいといいますか、決して一人に定めることを希望しているわけでもないのかなというのが、私、ここで感じるところでした。ここの表現は、「自分で判断できなくなった場合に備えて、家族等の中から」云々というのではなくて、「家族等、自分に代わって判断してもらう人をあらかじめ決めておくことについて」等に訂正していただいたほうがより現実に近い結果、報告になるのではないかと思っております。

 以上です。

○町野座長 今の点はそれでよろしいでしょうね。中のほうとあわせるということで。

 では、池上委員。

○池上委員 その点と、あともう一つ述べたいことがあるのですけれども、その点は、私は、家族の中で話し合って、それで合意に至るというのだったらそれでいいのですけれども、合意に至らない場合にはどうするかということで、できるだけ合意に至るように努力するけれども、合意に至らないときには、結局結論が出ないという事態を避けるためにも、私は1人にするべきであると思います。「もう少し合意になるように努めるが」という表現を挿入してもいいですけれども、家族の中で話し合って、ということですと今でも話し合っていますので、現状と何も変わらないわけですね。ですから、いわゆるアドバンス・ケア・プランニングにおいても、指名して、その人にしてもらうということは、別の設問の中でそういうことを任されたとき受けますかということをあわせて聞いているわけです。必ずしもそれに全面的に受けるということが100%賛成ではないですけれども、受ける用意があるということは、受けるまでにその当事者同士が話し合っているということでございますので、やはり私はこれは1人としたほうがよろしいというのが個人的な考えです。

○指導課長 御意見の話はよろしいのですが、今、林先生から、資料3の26ページをごらんになっていますけれども、この抜粋は27ページのほうのこれをもとに、賛成であるが多かったというのを資料1のここには掲載していると。資料2は両方とも掲載していて、だから、資料1をつくるときに、1つだけ書くか、どっちも書かないか、どっちを書くかみたいな話で、調査結果はそういうことでございます。27ページのほうを拾ってここには書いているということで、ベースとしてはそれで御検討願えればと思います。

○町野座長 わかりました。私もちょっと混乱したのですけれども、そういうあれですか。27ページのほうはいわば意思決定の代行者は1人ということだと、これはどうしても1人という話になるので、その質問であって、26ページのほうはそれとは違うようなあれだということですね。今のような理解で、皆さん、よろしゅうございますか。

(「はい」と声あり)

○中川委員 関連してちょっとよろしいですか。

○町野座長 はい。

○中川委員 これは、今回の設問の結果をまとめているわけですからよろしいですけれど、私の当院の経験から述べますと、当院では、終末期の意思確認書は可能な範囲で提出してもらうようにしています。ご本人が書けないことがほとんどですから、ご家族が署名する事になります。2004年10月から2009年3月まで使用した用紙には、家族署名の欄は1名のスペースでした。その用紙をその後改訂し、2009年4月から今日までは、家族署名欄を複数の方が書けるようにいたしました。すると、終末期意思確認用紙を提出する頻度は1.5倍になりました。ご家族1名の署名にすると、その1名の方の責任といいますか、負担感がとても大きくなるようです。今後、このような調査をする際には複数の方の意見も可能にするようにすると意思が出しやすくなるのかとも思います。

 

○町野座長 ありがとうございました。今の後段のところというのは、まさに日本の意思決定のあり方について、非常に家族的な決定がどうしても強いということのあらわれだと思いますから、次回のときは少しそこら辺のことを考慮しながらの質問ということになるだろうと思いますけれども、今のこととの関連で何かございますか。

○松原委員 先ほど、自分の主治医の名を書いて張っているという話がありました。これは非常に大事な話でして、家族で決定すると誰かに重荷を負わせることになる。それで、多くの人たちは、自分のかかりつけの先生に相談してくれと。その先生は自分のことをよくわかってくれて、生きざまから財政状態から家族構成からよく知っていると。その先生に決めてくれという人がかなりいらっしゃいます。ただ、家族で決めてくださいと言うと、長男が決めるのか、長女が決めるのか、あるいは多数決で決めるのかとすると、いつも必ず誰かが反対して、とんでもないことになります。そういう意味では、医療について自分が任せているかかりつけの主治医にそれを決めてほしいという方もかなりいらっしゃいますので、アンケートのときにはそういうことも含めてお願いしたいと思います。

○中川委員 在宅の場合はそういうことがすごく多いと思います。私は入院している患者さんのことを言っているので、ちょっと違うかもしれませんね。

○松原委員 ですから、在宅の話をしています。それともう一つ、医者の側から、なぜこれが必要かといいますと、抜管すると、それをもって人が死んでしまいます。人が死んでしまったときのその責任の所在が、かつての福島の事件以来、刑法の問題として逮捕されたということで、かなりの医者がフリーズしてしまいました。つまり、正当な業務を行って、患者さんにとって一番いいと思ってやっていることでも、結果が悪ければ刑事罰になるのだということを認識したために、大変地域医療が混乱したと思っているところであります。そういったことも含めて、医者のグループの中には、法制化してガチガチに決めないとそういうことができないと思っておられる方々も多いので、いろいろな立場で物事考えていかねばならないのではないかなということを申し添えたいと思います。

○町野座長 どうもありがとうございました。だんだん時間が押してまいりましたけれども、発言御希望の方は挙手をそれぞれお願いしたいと思います。

 では、この3人、少し短目によろしくお願いします。

○川島委員 意思決定の話が1つと、それから、大熊委員が先ほどおっしゃられたことと、2つちょっとお話しさせていただきます。

 人間って関係性の中で生きているので、意思決定というのはそれに関係した人たち全員が同意したら全体決定なのだということが忘れ去られていて、本人の決定だとか本人の代理人の決定だとかいうことに終始しやすいと思うのですね。しかし、お医者さんもそれに関与している限りは自分も責任を持つという意味で、決定の内容に自分も責任を持っている一人として入っているのだということを認識していただかないといけないということは、やはりそこに関与した全体決定が本当は本筋なのではないかというのが意思決定の一つの考え方です。

 それから、大熊委員がおっしゃられた資料1の1ページ目、◆の下から2番目、「法律で定めることについて、『定めなくても良い』『定めるべきではない』という消極的な意見が多かった。特に医師は他職種よりも割合が高かった」という部分と、それから、さっきおっしゃられた資料2の23ページ。「意思表示の書面をあらかじめ作成しておくという考え方に多くの人が賛成している一方、法制化には消極的である。生き方は千差万別であり、なるべく法律で規制しないほうがよい」というここの部分は、資料1につきましては「まとめ」の中に入れていただけるとありがたいというのと、それから、資料2の23ページにつきましては、独立してここのところを、前回の資料の中にあったように、分離してこれを書いていただけるとありがたいと私は思っています。

○町野座長 済みません。今おっしゃられた具体的なページ数とそれをちょっとおっしゃってください。

○川島委員 資料1の1ページ目の◆の下から2番目で、「書面の作成に賛成と回答した者のうち」というのの下半分ですね。「法律で定めることについて、『定めなくても良い』『定めるべきではない』という消極的な意見が多かった。特に医師は他職種よりも割合が高かった」というのと、それから資料2の23ページ、先ほど大熊委員がおっしゃられた「意思表示の書面をあらかじめ作成しておくという考え方に多くの人が賛成している一方、法制化には消極的である。生き方は千差万別であり、なるべく法律で規制しないほうがよい」。下から3番目の点のところですね。これがここの3に組み込まれてしまっているので、独立させたほうがいいということには私は賛成です。

 それから、資料1の先ほどお話ししたところにつきましては、もし「まとめ」の中に組み込んでいただけるのだったら「まとめ」に入れていただけるとありがたいと思っています。

○町野座長 資料2の23ページのところはあくまで、こういう意見があったという、主な意見のうちの一つなので、これが全体的にこのようなまとめのところに入るべきかどうか、ちょっとまた問題があろうかと思いますけれども。

○川島委員 座長に一任します。

○町野座長 では、続きまして、あとお二人ですが、順番にお願いします。

○伊藤委員 概要版にきょうはちょっとこだわっているのですけれども、どうしても概要というのはいろんなところに出回るのですね。だとすれば、今、先生方おっしゃったようなことだとか、今、尊厳死法案が出てくるということで非常に重要なときに、そのことをきちんと概要版に書くかどうかというのは非常に大きな節目になる可能性があるのでしつこく言わせてもらっているのですが、そして、読むとどうも、「定めるべきでないという消極的な意見が多かった」とどちらにも書いてあるのですけれども、消極的な意見と言っていいのだろうかと。定めるか定めないかということに関しては消極的ということだけれども、そういう表現って全体のイメージがよくないのではないかという気がいたしまして、これは審議にもいろいろ影響することですので、少し慎重にお書きいただければなと思っております。

 それともう一点。先生方の議論に参加するとすれば、私、身内2人、今、1人は亡くし、もう一人は寸前ということですけれども、その中で何度か悔しい思いをしているのが、せっかくこういう方向でということでいろいろお願いしたにもかかわらず、主治医から、「私とあなたは人生観が違うのだから」と言われてしまったのです。人生観で片づけられていいのかということもあります。しかし、日常にはそういうことが起きるのです。ぜひ、そういう意味でも、きれい事の部分だけでなくて、実際にはさまざまなことがその場その場の選択のぎりぎりのときの現場では起きてくるということをどこかで何か補完しておくような必要があるのではないかと思います。

○町野座長 既に3時ですけれども、最後に池上委員。

○池上委員 医療者と国民の間でそごがあるという御意見もあるでしょうけれども、資料2の20ページを見ていただきたいと思います。その中で、「末期がんで、食事や呼吸が不自由であるが、痛みはなく、意識や判断力は健康なときと同様の場合」、こういう方に対してどういう場で療養することを勧めるか。そしてまた、どういう治療を勧めるか。これはいわゆる提供する側がどういうことを勧めるかと。

これを見ますと、基本的には国民が答えたのとほぼ同じように答えているわけですね。ですから、個別的事例は別として、基本認識は共有していると。医療者の方が、居宅の割合が少し高いということを除いて、基本的に認識しているということが重要であるので、国民は、医療者は自分たちと全く別なことを考えているということを不安に思っているかもしれませんけれども、決してそうではないということをどこかで強調していただきたいと思います。それを先ほどの資料2の「まとめ」のところで、深井委員からも御指摘あった、1のところで、治療として望む治療もあるということと同時に、こうした治療に提供者側とそれほどそごがないということもこの26ページの下の段落あたりに挿入していただくと理解をいただく上で役立つのではないかと思います。

 以上です。

○町野座長 わかりました。今いただきました議論というのは、まとめてといいますか、みんな記録にとどめられておりますから、後で事務局と私のほうで相談いたしまして、それで、恐縮ですが、そちらのほうに一任していただくということでよろしゅうございましょうか。

(「はい」と声あり)

○町野座長 それで、ちょっと気をつけなければいけないのは、きょうの、要するに法案が出そうだ、出るのという話ですが、このところで、書き方として、あくまでもこの質問というのは、今度の法案についての質問でないのですから、そうとられないように。これはマスコミの方にもちょっとそうですが、聞かれていることというのは、書面によって何とかしろとかそういうことは全然聞いてなくて、本人の意思がこういうことをやったことについて法律をつくることはどうかと、そういう範囲で聞いていますから、これがちょっと誤解を招きますと、先ほども室長のほうからありましたとおり、全然そういうことと無関係に意識調査スタートしているわけですから、これをそちらのほうに都合いい悪いのほうに引かれるというのはかなり問題があると思いますので、これはこちらの責任ではございませんけれども、誤解を避けるような格好でなるべく書かせていただきたいと思います。

 それでは、事務局のほうで何か次の議題とかございますか。

○在宅看護専門官 特にございません。

○町野座長 それでは、時間を超過いたしまして、座長の不手際と言うべきかどうかよくわからないですけれども。

○在宅看護専門官 座長、済みません。最後に御挨拶をさせていただきます。

○町野座長 どうも失礼いたしました。

○在宅看護専門官 済みません。事務局です。今後の進め方ですけれども、本日いただきました御指摘につきまして、最終的に座長と御相談の上、内容を反映させまして、その後、各委員に御確認いただいた上で、できれば3月中に報告書を取りまとめたいと考えております。

それでは最後に、事務局を代表しまして、医政局長の原より、一言御挨拶申し上げます。

○医政局長 先生方、御議論、ありがとうございました。報告書、細部、多分、一言一言の文言、もう一回慎重に考えないといけないようなところもあろうかと思います。座長と御相談しながらまとめさせていただきたいと思います。

 今回の調査、1年かがりといいますか、1年超になりますか、調査票の設計から、いろいろその分析等々について御議論いただきました。その間いろいろ、今も話題になっているような政治家の方々の動きもございます。ともあれ、私どもとしては、来年度の予算で、患者の意思を尊重した人生の最終段階における医療に関する体制整備支援事業という形で予算要求をして、今回通ったわけでございますけれども、これの思いは、ガイドラインをつくって普及啓発事業やってきましたけれども、それを実際に使っていただくためにはどういう体制が必要かと。

よく考えてみれば、お医者さん方は、命長らえるほうにというのが基本的な方向ですので、どうやって最後を迎えようかというのはなかなか相談しづらいのかもわかりません。そういう意味では、どういう体制をつくるのがいいのか、MSWさんとか、あるいはそういう心理がよくわかる方々が中心になってやるのがいいのか、あるいはまた看護師さんがいいのか、そういうところも含めて、このモデル事業でいろいろ検証したいということで、4月からですけれども、来年度やらせていただきたいと思っています。

 また、決してそれにとどまらず、きょうもいろいろな議論ございました。ガイドラインの名前としては「終末期医療の決定プロセスに関する」ということで、あくまでプロセスが大事だというお話もございました。そういう観点も含めて普及啓発にもさらに努めていきたいと思います。

 座長と一緒にまとめさせていただいて御了解いただけることと思いますので、顔をあわせるのは今回が最後かもわかりませんけれども、今後ともよろしく御指導のほどお願いいたします。

○町野座長 それでは、これにて閉会ということにさせていただきます。どうもありがとうございました。


(了)
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(代表電話)03-5253-1111(内線2662)

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