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2014年4月18日 第12回保険者による健診・保健指導等に関する検討会議事録

○日時

平成26年4月18日(金)16:00~18:00


○場所

厚生労働省専用第15・16会議室(12階)


○議題

1.「特定健診・保健指導の医療費適正化効果等の検証のためのワーキンググループ」における中間取りまとめ(案)について
2.保健事業の実施等に関する指針の改正について(報告)

○議事

○多田羅座長 

まだ定刻までには2分ぐらいありますけれども、委員の皆さんおそろいいただいたようでございますので、ただいまより「第12回保険者による健診・保健指導等に関する検討会」を開催させていただきます。

前回、11回の検討会は平成241212日に開かれておりますので、まさに1年4カ月ぶりということで、久しぶりと言うと怒られるかもわかりませんが、そういう時間があっという間にたった感じでございます。この間、保健指導の成果等について分析いただいたようでございますので、本日、その内容を御検討いただく予定にしております。委員の皆様には、非常にお忙しいところ、本日お集まりいただきまして、ありがとうございます。どうぞよろしくお願いいたします。

それでは、会議に先立ちまして、前回の開催から委員及び事務局の交代がございますので、本日の委員の出欠状況とあわせて事務局から確認をお願いいたします。

○安藤室長 

保険局医療費適正化対策推進室長の安藤でございます。どうぞよろしくお願いいたします。座って失礼いたします。

 それではまず、委員の交代について御紹介させていただきます。

 北潟委員にかわりまして、日本私立学校振興・共済事業団理事の金子正様。

 伊藤委員にかわりまして、日本労働組合総連合会生活福祉局長、平川則男様。

 それぞれ委員に御就任いただきました。よろしくお願いいたします。

 また、本日は御欠席ですが、中島委員にかわりまして、地方公務員共済組合協議会事務局長の鈴木茂明様に委員に御就任いただいてございます。

 次に、本日の委員の皆様の出欠状況を確認させていただきます。本日は、井伊委員、岡崎委員、山門委員、横尾委員、日本経済団体連合会、先ほど御紹介させていただきました鈴木委員より御欠席の御連絡をいただいてございます。

 また、欠席委員のかわりに出席される方について御紹介させていただきます。岡崎委員の代理といたしまして村岡参考人、山門委員の代理といたしまして高橋参考人にそれぞれ御出席いただいているところでございます。

 続きまして、事務局のほうに前回の開催から人事異動がありましたので、異動のあった者の御紹介をさせていただきます。

 まず、保険局保険課長の鳥井でございます。続きまして、健康局保健指導室長の山田でございます。

 事務局からは以上でございます。

○多田羅座長 

ありがとうございます。

それでは、早速でございますが、議事次第に沿いまして本日の議事を進めさせていただきたいと思います。まず、議題の1でございます。「特定健診・保健指導の医療費適正化効果等の検証のためのワーキンググループ」における中間取りまとめ(案)につきまして事務局から説明をお願いいたします。

○安藤室長 

御説明申し上げます。

 まず、この中間取りまとめ(案)でございますが、右肩に資料番号が振ってございますけれども、資料1-2と書いてございます、真ん中に「特定健診・保健指導の医療費適正化効果等の検証のためのワーキンググループ中間取りまとめ(案)」と書いております冊子が本体の中間取りまとめ(案)となってございます。

 あわせまして、資料1-2別冊資料と右肩に書いてあるものがございます。真ん中に大きく「別冊資料」と書いてあるものでございますが、こちらはその中間取りまとめ(案)のいわば附属資料でございまして、細かいデータについてまとめた資料として御用意させていただいております。

それ以外に、資料1-1といたしまして、この中間取りまとめ(案)の概要をまとめさせていただいてございます。本日は、お時間の関係もございますので、この資料1-1の概要を用いまして簡潔に御説明させていただきたいと思います。横紙のこの中間取りまとめ(案)の概要、資料1-1をごらんください。

 まず1ページ目でございますが、「特定健診・保健指導の効果検証の概要」ということで、今回の概要をまとめさせていただいております。こちらの効果検証でございますが、これは、今、委員の先生方に出席いただいております検討会のもとに、特定健診・保健指導による検査値の改善状況、行動変容への影響、医療費適正化効果等を検証するために、有識者の方々により構成されるワーキンググループを設置いたしまして、レセプト情報・特定健診情報等のデータベース、私どものほうにございますナショナルデータベースを活用しながら、これまで検討を行ってきたところでございます。

 ワーキンググループの構成員といたしましては、そちらに書いてあるとおりでございますが、多田羅座長を初め5名の有識者の方々から構成されてございます。今回、平成20年度から23年度までの特定健診・保健指導の4年間分のデータを使いまして、まずは特定健診・保健指導によります検査値の改善状況等の影響につきまして、このワーキンググループで中間的な結果として取りまとめが行われましたので、本日この検討会で御報告させていただくものでございます。

この4年間分のデータを用いた今回の検証でございますが、今回、20年度から23年度のデータを使ってございます。今回、単年度の1年間の効果検証をしておりまして、ですので、平成20年度と21年度から、21年度と22年度、22年度と23年度のそれぞれにつきまして単年度の比較を行ったものでございます。

 その下に【参考】で書いてございます。御案内のとおりでございますが、特定健診、特定保健指導の概略を付記させていただいております。特定健診につきましては、医療保険者の方々、4074歳の加入者の方々を対象として、毎年度、メタボリックシンドロームに着目した健康診査を行うということになってございます。

特定保健指導につきましては、その特定健診の結果によりまして、健康の保持に努める必要がある方に対して、毎年度、これも保険者の方々において実施される保健指導のことでございまして、この健診の結果に基づきまして、腹囲以外の追加リスクの大小、多い少ないと、喫煙歴の有無によって、積極的支援の対象者となるか動機付け支援の対象者になるかという階層化が行われた上で実施されているものでございます。

 2ページ目をごらんください。今回のこのワーキンググループにおける効果検証の結果について概略を御説明させていただきます。今回、大きくは3つの分析を行ってございます。まず、大きく1番と書いてあるものでございますが、「特定健診・保健指導による評価指標等の推移」ということで、こちらはいわゆる血糖値ですとか体重といった検査値データへの影響について分析したものでございます。

<分析内容>でございますが、まず特定健診の結果、一定の検査値以上の方については特定保健指導の対象となりますが、その特定保健指導の対象と判断された方のうち、実際に特定保健指導を終了された方とそれ以外の方、具体的には特定保健指導を中断してしまった方ですとか、あるいは特定保健指導そのものの対象でありながら不参加であった方が含まれますが、この2つのグループについて、翌年度の特定健診から検査値データを見て、その検査データの差というものをそれぞれの年度ごとに性・年齢階級別に比較したものでございます。

分析対象者数は、各年とも約200万人という数字になってございます。

<分析結果>でございますが、概略はそこの文章で書いてあるとおりでございます。特定保健指導の終了者の方は、それ以外の方々と比較いたしますと、各年度全ての性・年齢階級別において腹囲、BMI、体重が大きく減少してございまして、血糖、血圧、脂質等も改善しているという結果が見て取れたところでございます。グラフが載ってございますけれども、こちらは平成20年度と21年度の比較、積極的支援を受けられた方と、対象でありながら受けられなかった方ですとか中断された方のグループを比較したものでございます。

グラフの見方でございますが、赤が女性、青が男性。実線部分が実際に積極的支援を終了された方、点線部分がそれ以外の方という構成になってございます。

ごらんいただければおわかりになりますように、まず腹囲、体重でございますけれども、双方とも下がってはいるところでございますけれども、実線部分、すなわち、積極的支援を実際に終えられた方のほうがより大きく下がっているという結果になってございます。これは幾つかグラフ、線がありますけれども、左側から年齢階層別に分けてございます。一番右が総数となってございます。

数字でございますけれども、一番右側に簡単に書いてございますが、例えば腹囲で申し上げますと、男性では約2.2cm、女性では約3.1cmの減少が見られたという結果になってございます。先ほど申し上げましたように、今回、単年度で2021年度、2122年度、2223年度と3回に分けて分析してございますが、そこにも数字を書いてございますように、一番最初のとき、2021年度のときが最も大きな効果が出てございまして、例えば腹囲の男性で申し上げますと、最初は2.2cm、先ほど申し上げたとおりですが、2122年度の比較ですと約1.7cm2223年度ですと1.2cmというように、傾向としてはいずれも改善しているところでございますけれども、その改善幅については、年を経るごとに若干縮まっているという傾向が今回見て取れたところでございます。

3ページのほうをごらんください。その他の検査値データでございますが、血糖、血圧、脂質についても、今回、改善が見られたところでございます。こちらのグラフで例示的に書いてございますのは先ほどと同じでございますが、20年度、21年度の比較、積極的支援を受けられた方とそうでなかった方の比較でグラフを作成しておりますが、一番上が血糖値、HbA1cの傾向を書いてございます。真ん中が収縮期の血圧、一番下が中性脂肪という形で書いてございます。

傾向といたしましては、特に血糖値の部分については、実際に受けられた方とそれ以外の方と比較いたしますと、一定、改善の傾向というものが見られるところでございます。

血圧、中性脂肪についても、先ほどの腹囲ですとか体重と同じように、両者とも下がってはいるのですが、その下がり幅というものが実際に積極的支援を受けられた方のほうが大きくなっているという傾向が見て取れるところでございます。

右側に数字を書いてございますが、これは先ほどの腹囲と体重と同じように、最初の2021年度の比較の部分が一番効果としては大きく出てございまして、年を経るごとにその効果の幅は縮まっているという傾向が同じように見えたところでございます。

続きまして4ページをごらんください。大きな2つ目の分析内容になります。「保健指導レベルの改善状況」ということで、冒頭にも申し上げましたが、この特定保健指導、よりリスクの高い方に行っている積極的支援とそれ以外の動機付け支援という形で大きくは2つの類型に分けて実施されているところでございます。ここでの分析は、例えば積極的支援だった方が実際に積極的支援を受けられて、その翌年の検査値データから、保健指導のレベルがどのように変化したかということについて分析を行っているものでございます。分析内容でございますが、前年度の特定保健指導終了者の方について、翌年度の健診結果から、性・年齢階級別に特定保健指導を受ける前後の保健指導レベルというものを分析したというものでございます。

分析対象者数としては、各年とも約2030万人。分析結果でございますが、まず積極的支援終了者につきましては、保健指導レベルが全般的に改善傾向が見られたところでございます。特に性別で見た場合に、女性のほうが男性よりも、この改善効果、改善傾向が強い傾向が見られたという結果が今回見て取れます。動機付け支援終了者につきましては、積極的支援終了者ほどではないのですが、保健指導レベルが改善した方が一定程度見られたというのが今回の結果となってございます。

下の表につきましては、こちらも先ほどの検査値のほうと同じでございますけれども、2021年度の比較で、実際に積極的支援を受けられた方の保健指導レベルがどうなったかを図示したものでございます。左が男性、右が女性でございます。

左側の男性のところをごらんいただきますと、20年度は全ての方が積極的支援、100%となってございます。その方々が実際に受けられて21年度どうなったかというのが右側の棒グラフになるわけですが、そのうちの赤の太枠で囲ったところでございますが、13.3というのは動機付け支援に移行された方々、29.2%につきましては、特定保健指導の対象外になった方々ということで、単純にこの2つを足し上げますと、約42.5%の方が改善の傾向があったということが結果として見て取れるというところでございます。

他方、一番下に6.0と書いてございますが、こちらは服薬ありということで、服薬のほうに移行された方でございまして、そういった方も積極的支援を受けられた方の中でいらっしゃったということも今回の結果から見えてございます。

女性のほうが改善の幅が大きくて、右側にございますけれども、先ほどの改善の部分、男性のところが42.5%、女性ですと56.2%が改善しているという結果が見えたところでございます。

続きまして5ページをごらんください。「メタボリックシンドロームの改善状況」でございます。こちらは、今、特定保健指導のレベルの部分での改善状況というものを御説明させていただきましたが、それをメタボリックシンドロームの改善状況で見るとどうかということについて分析したものでございます。

<分析内容>でございますが、先ほどの特定保健指導の部分と基本的には同様でございますけれども、前年度の特定保健指導終了者につきまして、積極的動機付け支援別、あるいは性・年齢階級別に翌年度の健診結果からメタボリックシンドロームの改善状況を分析したというものでございます。

分析対象者数といたしましては、各年度とも約2030万人が対象となってございます。

<分析結果>でございますが、まず積極的支援終了者につきましては、メタボリックシンドロームの基準該当又は予備群該当の方のうち、男性では約2~3割、女性では約3~4割の方々が改善するという傾向が結果として見て取れます。動機付け支援終了者につきましては、その幅が若干縮まりまして、男性では約2~3割、女性では約1~2割が改善というのが結果として見て取れたところでございます。

下の表につきましては、先ほどと同じでございますけれども、平成2021年度の積極的支援を受けられた方の比較についてグラフ化してございます。左側が男性、右側が女性でございますが、男性のほうをごらんいただきますと、まず20年度に、この赤の太枠で囲ったところでございますけれども、6.0%となっているのは、特定保健指導の対象にはなってございますが、メタボリックシンドロームの非該当という方が、20年度6.0%いらっしゃったところが、積極的支援が終わった21年度について見てみますと、この割合が37.7%まで大きくなっているということで、単純に引き算いたしますと、約3割の方がメタボから脱出できているというような結果となったところでございます。

女性についてはこの幅が男性よりも若干大きくなってございまして、約4割の方がメタボから脱出しているというような結果となってございます。

こちらにつきまして、先ほどの保健指導レベルも同じでございますけれども、検査値データと同じように、これも一番最初の年、すなわち、20年度と21年度のときが最も大きく効果が出てございまして、年を経るごとに若干この効果の幅が縮まっているという傾向もあわせて見て取れたところでございます。

続きまして、6ページでございます。こちらはあくまでも御参考までにつけさせていただいている資料でございますが、実際によりリアルにイメージを持っていただくために、5054歳の男性を例にとりまして、実際に5054歳の男性で積極的支援を受けられた方の20年度、21年度の比較をまとめたものでございます。

一番最初の「評価指標等の推移」というのが検査値データについて見たものでございまして、実施前、実施後で、例えば腹囲につきましては、平均で91.2cmだったところが、積極的支援が終わった後ですと、平均で88.9cmと約2.3cm縮まっている。体重につきましても、実施前、実施後で約1.9kg縮まっているといった数値の変化が見て取れたところでございます。

それから真ん中が、先ほど全体でごらんいただきましたけれども、「保健指導レベルの改善状況」ということで、この年齢階層ですと約3割の方が特定保健指導の対象外になっている。一番下が「メタボリックシンドロームの改善状況」ということで、こちらも同様の割合ですけれども、約3割の方がメタボリックシンドロームから脱出しているという結果が、この5054歳男性の積極的支援を受けられた方について、今回、結果として見て取れたところをまとめたものでございます。

以上が、概略でございますけれども、今回の効果検証の中間まとめの概要でございまして、今後でございますけれども、冒頭ちょっと説明が抜けていましたが、もともとこのワーキンググループのミッションといたしましては、こういった特定健診、あるいは保健指導の医療費適正化効果について検証するというものでございます。したがいまして、今回、まずは検査値データへの影響ということで一旦中間まとめということで御報告させていただいておりますが、今年度引き続きワーキンググループのほうで、医療費との関係につきまして検証していただく予定としてございます。

あわせまして、今回、検査値データのほうについても単年度の分析をやって結果を御報告させていただいているところでございますが、それを経年で見た場合、例えば20年度に特定保健指導を受けられた方が、今回、21年度の結果を見ておりますけれども、22年度、23年度にどうなっているかといったような経年分析についてもやはり見てみる必要があるのではないかとワーキンググループの中でも議論がなされておりまして、それにつきましても、可能な限り、今年度、このワーキンググループにおいて継続的に検証作業を行っていただきまして御報告させていただきたいと考えてございます。

説明は以上でございます。

○多田羅座長 

ありがとうございました。非常にわかりやすく御説明いただいて、委員の皆様にも基本のところは御理解いただけたと思いますが、今、御紹介ございましたワーキンググループの構成員にもなっていただいて、この分析を直接指導いただいております津下先生のほうから少しコメントをお願いしたいと思います。

○津下委員 

それでは、御指名ですので、ワーキングの状況についてお話をさせていただきます。

 5名のメンバーと事務局で6回にわたり議論いたしました。その中でどのように効果を示していくのか、客観性を重視すること、そして被用者保険と国保では対象の年齢層や男女比が違いますので、性・年齢別にきちっとデータを出していくことが必要であろうと。それから、実施群と参加中断、未参加の対照群をどうとるかということも随分議論しました。特定保健指導は6カ月評価をもって終了するという仕組みであることから、今回は6カ月終了者とそれ以外の方ということで比較することにいたしました。

対照群といいましても、健診を2年連続受けていらっしゃる方ということになりますので、必ずしも放置されている方ではなく、情報提供受けられた方々であるということをまず念頭に置いてデータを見ていただけるといいかなと思っております。

 それで、今回、200万人のデータという非常に大きなデータで分析されました。国際的にもこのように大規模な介入、検証がなされたことはないと。私は、文献検索のチームにも加わり、どんな研究が世界でなされているのかということを調べましたけれども、外国の介入研究でも数千人規模といいますとかなり大きな研究ということになります。今回は研究というよりも実践の場で、200万人のデータが分析されたということは非常に大きな意義があると思っております。それができるNDBという仕組みが整えられ、保健事業の効果を検証することが可能となったこと、これからの保健事業のあり方を示唆する仕組みができ上がったということの意義が大きいこと、さらに、多くの方々、保健指導者、そしてメタボの該当になって頑張って減量された方の努力があった、こういう背景をもつデータであると思っております。

 今回注目したいこととして、積極的支援と動機付け支援で、やはり積極的支援のほうがどの検査項目も効果があったということが示されました。動機付け支援においても、どのように行動変容、生活習慣改善したらいいかという情報が提供されていますが、継続的にできることを一緒に探していく、励ましていくという積極的支援の優位性が示されたということは大きな意義があると思います。

 それから、HbA1cの結果をみて特に思うことですけれども、積極的支援該当にも関わらず積極的支援を受けなかった方では、翌年のデータがどちらかというと若干右肩上がりになっている。どちらかというと悪くなっていく傾向がありますが、保健指導を受けられた方では右肩下がりになっている。女性のLDLコレステロールについても同じような傾向がありまして、健診を受けただけでは若干上がっていく検査値が、実施群では下がる方向へ向いていくということは1つ大きな意義であったと思います。

 それから、減量の大きさについて見ると、女性のほうが階層化判定とかメタボの改善率がよかったという効果が出ていますが、男性では2.5%、女性では3.3%の減量効果が認められました。先行研究でも3%程度の減量が検査値の改善に必要ではないかというのも出ておりますことから、女性の効果がより大きかった原因としまして、減量幅が女性のほうが今回は大きかったことが影響しているのではないかと思います。

 一方では、翌年服薬になった方もありました。今回の分析では、階層化判定で「情報提供」になった方を「服薬ありの情報提供」と「服薬なしの情報提供」に区分して評価しました。このようなやり方をすれば、どこの保険者でも、どれだけの効果が上がっているのか、また、それぞれの保険者が、国のレベルと比べると、自分のところのデータがよかったのかどうなのか比較可能な方法が示せたのではないかと思っております。

 いずれにしましても、非常に大きなデータで、データクリーニングからいろいろと細かい作業までしていただきまして、また、ワーキンググループとしましてもかなりいろいろな注文をつけてこういう形になりましたけれども、事務局の方に非常に感謝しているところです。どうもありがとうございました。

○多田羅座長 

ありがとうございました。今、津下委員からもお話ございましたように、200万人という、前代未聞といいますか、国際的にもまさに初めてという大きなデータでございます。それに対しまして事務局のほうで実質1年間かかったわけでございますが、丁寧に取り組んでいただき、また、ワーキンググループのほうでもそれに対して細かな指示をいただいて、本日見ていただいているようなデータが明らかになったわけでございます。

 事務局のほうからも相当わかりやすくお話しいただいたと思いますし、図を見ましても、非常に一致した傾向が見られますので基本的に御理解いただけたと思いますけれども、内容につきまして御質問、御意見ございましたらよろしくお願いします。

 今村委員、お願いします。

○今村委員 

本当に200万人という大勢の方のデータをこのように分析されたワーキングの先生、あるいは事務局の皆さんには本当に感謝申し上げたいと思いますし、一定の効果が出ているということは大変よかったと個人的には思っています。諸外国にもない、このようなナショナルデータベースを活用して保険者がいろんなデータ分析をすることは、大変重要な取組だと思っております。だからこそ、あえて御質問をさせていただきたいのですが、腹囲というのは今回の特定健診・保健指導の一丁目一番地だと認識しています。けれども、今回のデータを拝見いたしますと、男性のベースラインでは、いわゆる介入した群と、そうでない対照群の数値がコントロールで全く一致しており、同じ値から始まっているのに対し、女性は物すごく大きな乖離をしている。これは、1つは腹囲の測定についてはさまざまなルールがあって、正確にはかられてないという可能性もありますが、このように男女に大きな差が出ているというのは、見たときに違和感をちょっと感じました。

 これについてはいろんな解釈があろうかと思いますけれども、今日すぐお答えいただかなくても結構ですが、引き続きワーキングで検討していただけるということなので、ぜひお願いできればと思っているところであります。

 それからもう一点が、先ほど津下先生からもお話があったHbA1cは右肩上がりに少し上がっている傾向がある。しかしながら、中性脂肪のほうはかなり大きく下がっているというデータで、この2つのデータの傾向の相違というのは、これも違和感があります。

 それについては、大変な作業になるのかもしれませんが、もともと積極的支援というのが、腹囲が入り口で、追加リスクは複数あり、その中で組み合わせて、結局、積極支援の対象者を選んでいるわけですから、その組み合わせによって何かそういう差異が出てくることがあり得るのかどうか、もし検証していただけるのであれば大変ありがたいなと思っています。

 もう一点、たくさんになって恐縮ですが、LDLコレステロールの話は、女性でも改善傾向が見られたというのですが、多分、年齢の階級によっては、いわゆる女性ホルモンの量が経年的に変わってくる。私ども、毎年健診していると、ある年に突然LDLが増加するというような方たちがやはりいらっしゃるので、その辺の年齢別の分析についても、もししていただければ大変ありがたいなと思います。

 以上でございます。

○多田羅座長 

ありがとうございます。非常に貴重な御質問をいただいたと思いますが、まず、事務局のほうから答えていただけますか。もし内容があれば。

○安藤室長 

内容はないのかもしれませんが、引き続き、今村先生おっしゃったように、今年度も継続的に分析をワーキングでやっていきますので、その中で、今、今村委員おっしゃったような点も含めて、またワーキングで御相談させていただきたいと思います。

○多田羅座長 

それでは、ワーキングのほうでどのような議論があったか、津下先生。

○津下委員 

今村委員のおっしゃられたように、ベースラインのずれがかなり気になって、議論にもなりました。それから、性・年代別のベースライン値のずれ、これが対照集団の特性の違いをあらわしている。若い世代は、どちらかというと血圧とかHbA1c、血糖ではなく、中性脂肪と体重が大きい人が多い。たばこを吸っていて、ほかに中性脂肪で腹囲と、こういう組み合わせが比較的多いのですけれども、年齢が高いほうですと、BMIとか腹囲のベースライン値が下がっています。それほど肥満でなくても、血圧とか血糖とか異常な人が対象者に挙がっているということで、性・年代で対象とする集団の違いが見えるということがわかります。

 それから、中性脂肪は体重の減少と連動してすぐに動くのですけれども、HbA1c、空腹時血糖は若い世代でもともと異常が少ないので影響が小さいのですけれども、50代ぐらいですと、食後高血糖などの糖代謝異常が出てきて、その辺の変化が見えてくるのではないか。それからこちらの冊子の14ページにLDLの女性の積極的支援の介入群と対照群、これもベースラインがちょっと違うので単純な比較はできませんが、対照群のほうが右肩上がり傾向がみられる。ベースライン値は40代と50代でどんと20ぐらい上がっている。今村先生のおっしゃるとおりですけれども、1年後の変化という点で見ると、介入群のほうでは低下傾向であり、その差が有意に対照群より良好であったというような結果で、やはり更年期だけの影響ではなく、体重の影響もこのメタボの該当者についてはあるのかなと見ています。

 もう少し丁寧に深く読んでいきたいところで、非常に貴重なデータが含まれていると感じています。

○多田羅座長 

腹囲のところの最初の立ち上がりのデータ、男女で少し差があり過ぎるのではないかという御指摘はいかがですか。

○津下委員 

腹囲の基準値は、男性が85cm以上、女性が90cm以上を対象にしているので、対象者の腹囲のベースラインは当然違ってくると思います。その影響もありまして、BMIも高く、HbA1c、血圧も高い傾向がみられます。ただ、中性脂肪は腹囲などが小さくても男性のほうが高いことがわかります。女性のほうが、腹囲が大きくて血圧が高い人が該当していて、男性は、腹囲は女性より低い85cm以上で対象になるのですけれども、中性脂肪が高い人が該当している。男女でも保健指導対象の該当になる理由が違っているというのがわかりました。

○今村委員 

よくわかりました。1点、腹囲の問題だけ、男女の差というよりも、男性は各年齢で全てコントロールが一致しているのに、女性がこんなに大きく離れているのはちょっと違和感があるというお話。

○多田羅座長 

そうですね。

○津下委員 

それは、1つは例数もあるかもしれないです。男性のほうが該当者が多く、データが収束するのですけれども、女性のほうが、対象者数が少ない影響でばらつきが出た可能性があるのかなと思っております。

○多田羅座長 

議論あるところかと思います。

○今村委員 

今、私も、別冊資料等を拝見しないで、概要だけでお話を伺って大変申しわけありませんでしたけれども、別冊を見ると、初年度だけが大きくて、あと2年目以降はそろっている。今、この資料を拝見いたしました。

○多田羅座長 

ちょっとページ数を言ってください。

○今村委員 

3ページですね。資料1-2の別冊資料の3ページを拝見すると、腹囲は、平成2021年度だけが、今私が申し上げたような状態になっていて、2122年度、それから2223年度については一致しているということなので、私はあくまでも概要版で御質問申し上げたということで御理解いただければと思います。

○多田羅座長 

わかりました。確かに21222223ではかなり立ち上がりが一致していますね。だから、なぜ2021でこれだけ差があるのかというのは若干議論あるところかもわかりませんが、きょうのところはそういうことで御了解いただきたいと思います。ほかにいかがでしょうか。

 どうぞ、白川委員。

○白川委員 

今村先生も冒頭おっしゃったとおり、私も、これだけのビッグデータを緻密に分析していただいて、なおかつ、非常にいい結果が出たということに感謝申し上げたいと思います。我々保険者としては、被保険者の方、事業主の方々に、特定健診はこんなに効果があるのだというアピールはこれからもしていきたいと思いますけれども、こういういいデータはぜひとも国のほうでもどんどんPRしていただいて、積極的に特定健診を受診するような働きかけに使っていただければとお願い申し上げます。

 その上で、2つほど意見というか、要望があるのですけれども、1点目は、今回は保健指導をやった効果ということが中心でございまして、そもそも特定健診は、特定保健指導が必要な方を階層化して選び出すために健診をやるという仕組みでスタートしたということは理解しておりますけれども、そもそも特定健診の内容、結果、これが例えば血圧で言いますと年齢別に、100から110の人がこれぐらいでとか、健診そのものの分析というのが発表されているのかもしれないですけれども、私ども、目にした記憶が余りないのですけれども、そういう、いわゆる基礎データですね。これは一度きちっとやられておく必要があるのではないかなと。それが、例えば5年後にどのように変化したかとか、あるいはほかの国でやっているかどうか知りませんが、ほかの国と比較して日本人はこういう特徴があるなとか、そういったことでも使えるのではないかと思いますので、ぜひ御検討いただきたいというのが1点。

 もう一つは、医療費の適正化効果についてはこれからワーキングのほうで検討していただけるということで、大いに期待しているところでございますけれども、津下先生がおっしゃったとおり、この保健指導による効果の手法というのは、我々保険者のほうも当然使えるわけでございますが、適正化のほうはもっと適正化効果をはかる、数値化するというのは非常に難しくて、我々保険者のほうもどういう出し方をしたらいいのか、長い間頭を悩ませているテーマでございます。

お願いというのは、これからワーキングのほうで適正化についていろいろ議論、分析されると思いますけれども、標準的な医療費適正化効果の出し方というのをきちっと決めていただいて、できれば保険者のほうも、保険者ごとにその手法を使って数値化するというやり方を広めていく必要があるのではないかなと考えております。

 と申しますのは、健保組合は本年度、実際は来年度からですけれども、データヘルス計画を実行するということが国で定められておりますので、そのときの効果額、目標値の設定とかそういったときに、こういう手法でやるのだということで統一していく必要があると思いますので、ぜひともそういう見方でワーキングのほうで御検討いただくようにお願いいたします。

○多田羅座長 

ありがとうございます。非常に貴重な御指摘をいただいたと思います。事務局のほうからまずお願いします。

○安藤室長 

3点、御指摘いただきました。まず1点目のPRにつきましては、我々も当然、積極的に国民の皆様に対してPRしていきたいと考えております。保険者の皆様方にもぜひとも加入者の方々によろしくお願いいたします。

 それから、御要望としていただきました、1つはデータの関係につきまして、一部既にホームページで公表しているものはあるみたいですが、そこは私どものほうで検討させていただきたいと思います。

 それから、2点目の要望でいただきました医療費適正化効果との関係でございます。こちら、ワーキングのほうで今年度まさに御議論いただくということでございますが、望むべくは、白川委員おっしゃるとおり、皆様のコンセンサスが得られるような、ある意味、合理的な形で、健診、特定保健指導と、それから医療費適正化効果というものがきちんとそのロジックが組めるというのをもちろん目指していきたいと考えているところでございますが、いろいろ白川委員もおっしゃっていたとおり、医療費の部分について本当にどういうロジックを組むかというところは大変難しいところがあるのかなあというところも一方で思っておりまして、いずれにしましても、ワーキンググループのほうで今後御議論いただきながら、何とか今年度中には少なくともこの場で御報告させていただけるように議論を進めてまいりたいと考えてございます。

○多田羅座長 

ありがとうございます。どうぞ。

○白川委員 

大変ありがとうございます。前向きに検討いただくということで、感謝申し上げたいと思います。結局、医療費の適正化効果ということになると、レセプトをデータとして使わなければいけないということになるかと思います。ナショナルデータベースでレセプトを当然持っているかと思いますけれども、大変な作業になりますし、それから、我々が気にしていますのは、特定健診を受けていらっしゃる方と受けてない方がどう違うのだというのが、ある意味では大きなポイントになると考えておりますので、そこの点だけはぜひとも最低限入れていただくようにお願いいたします。

 

○多田羅座長 

ありがとうございます。ワーキングのほうでも、今後、医療費への適正効果というのを見ていくわけですけれども、基本的な、白川委員もそういうことを踏まえてお話しいただいていると思うのですが、何しろ保健指導の対象者というのは、薬を飲んでない人、その関連に関して治療を受けてないということですので、医療費を、厳密に言えば使ってないわけですね。ですから、そこがどう変化していくかというところの分析をどのようにフォローしていくかというのは、断面ではわからないわけですね。だから、結果的に追跡するというのでしょうか、推移を見ていくというデータになっていくのではないかということもございまして、その方法というものはまさにこれからワーキングでも具体的な形を模索していかないといけないと思っています。私もワーキンググループの一員を務めておりますが、そういう議論がされております。

そういうことですので、ワーキンググループで明らかになった方式ができれば、それをやはり広く各保険者の方にも御理解いただいて、そういうものを活用しながら見ていただくことが必要になっていくのではないか。非常に難しいところですので、いろんな保険者がいろいろ多様な形でばらばらにやっていくことになってしまいますと比較もできないということがあると思いますので、ワーキングの役割もその辺で非常に重要だということは白川委員の御指摘のとおりかと思います。

 その点、津下先生、どうでしょうかね。ワーキングの模様などいかがでしょうか。

○津下委員 

多田羅委員長のおっしゃったとおり、レセプトがかなり情報量も多くて大変な作業だということはお聞きしつつ、できるだけ単純でわかりやすい方法で、どこでもできるような方法を検討していく必要があるということで今議論を進めているところであります。一方で、今回の医療費適正化の動きに合わせて、レセプトと健診データの突合で見ていく部分と、それから、これまでの研究の積み重ねで出てきたエビデンスとある程度組み合わせをしながら見ていくような形も考えられます。いろいろな方法を探りながら、生活習慣改善指導や健診を受けるということが医療費にどう影響を及ぼすかということを、できるだけ標準的で、誰でもわかりやすいやり方について委員の中で一生懸命議論しているところでございますまた事務局にはいろいろとお願いすると思いますけれども、どうぞよろしくお願いします。

 また、どんなやり方がよりやりやすいか、実際に今どんな分析をされているかということも、私たち研究しながら進めているところです。よい情報があればまたお聞かせいただければと思っております。

○多田羅座長 

よろしくお願いいたします。いわゆる保健指導を受けた人の医療費がこうであって、受けた結果、AがBになったというのだと非常に単純に比較できるのですけれども、最初がゼロですので、そういうところからの推移をどのように見ていくかというのは非常に新しい手法が要るということで、ワーキングでも苦労しているという点、御理解いただきたいと思います。

 それでは、よろしいでしょうか、ほかに。

○村岡参考人(岡崎委員代理) 

高知市の村岡でございます。

 市町村国保の立場から少し御質問と意見を述べさせていただきたいと思いますが、ワーキングの皆様と、それから事務局におかれましては、このような大量のデータ分析をして貴重なデータを出していただいたことにまず感謝申し上げます。

そこで、概要のほうの説明で資料を提示いただいたのですが、先ほど津下先生のほうからのお話の中にも、被用者保険と国保の違いというお話もあったのですが、今回、概要の中では、65歳以上のところがあえて資料から外されているということになっていますので、そのあたりというのがどのようなお考えで、特定健診自体は74歳までということで実施しておりますので、6574歳の10歳のところをどのように評価されておるのかというのをまずお伺いしたいと思います。

 特に国保につきましては、被用者保険から退職して国保に加入するということで、現在、本市の場合でも60歳以上の被保険者が約半分を占めるということになりますので、今回の特定健診、それから特定保健指導のあり方についても、そういう意味で言えば、年齢構成の違いによって、そのかかわり方、アプローチの仕方も変わってくるのではないかと考えますので、そのあたりのお考えをお聞かせいただきたいということと、あわせて、今後の分析の中では、年齢構成の違いに着目した方法といいますか、そういったところも必要ではないかと思いますので、そのあたりのお考えもお聞かせいただければと思います。

○多田羅座長 

この概要のほうで65歳までのデータになっているのはどういうわけですか。

○安藤室長 

申しわけございません。こちら、概要をまとめる際に積極的支援を例に出してしまいましたので、現行、積極的支援については65歳までの方に対して行われている、動機付けについては74歳までの方に行われているということで、結果的に、積極的支援を例に出してしまったがゆえに、ちょっとその上の年齢についてグラフに乗っかってこないということになってしまいました。

本体の1-2の報告書のほうにはきちんと動機付け支援のほうの目標を含めた結果も全部載せさせていただいてございます。その中では、65歳以上から74歳までのところの結果についても記載させていただいているところでございまして、積極的支援がないがゆえにどうかというところの議論はあるところかもしれませんけれども、65歳以上の方々についても、今回、動機付け支援でございますが、一定の効果というものが見られているところでございます。

 あわせまして、若干御質問とずれてしまうのかもしれませんが、今回はあくまでもマクロデータということで、保険者別ではなく、国保も健保も全く一緒に、とにかく全体としての傾向というものを分析するという形でまずはやらせていただきましたけれども、これを保険者種別にした場合にどのような結果が出るかとか、そこは1つ関心あるところでございますので、そういったことについても、今年度のワーキング、どこまで時間との関係の中でできるかというところもございますけれども、議論としては俎上にのせて、ワーキングの先生方に御相談していきたいと考えてございます。

○多田羅座長 

よろしいでしょうか。

○村岡参考人 

ぜひよろしくお願いします。

○多田羅座長 

ほかにいかがでしょうか。

吉田先生、何かございませんか。専門家として。

○吉田委員 

これだけ大きなデータをまとめられたということに対して感謝申し上げます。もしもよろしければ、1つ。検査項目の変動というのは比較的小さいのですけれども、保健指導のほうは大分、3割4割効果あると。この差はどのように理解したらよろしいでしょうか。

○多田羅座長 

では、津下先生から。

○津下委員 

今回の対象者の集団ですけれども、主に予備群の方を対象としているということもありまして、わずかな体重の減少がその検査値の改善をもたらしやすい、その結果、メタボの判定とか階層化判定から改善してくるというような対象者になっております。ですから、医療の対象者というと非常にデータが高くて大きいところにあり、なかなか判定から脱しえないということがありますが、今回、予備群を中心とした集団になっているということもありまして、わずかな変化が、結果的にはメタボや、そして階層化判定の大きな改善につながっていると考えております。

(*補足:平均値は異常のない人も含んだ数値であることに留意する)

○吉田委員 

どうもありがとうございます。

○多田羅座長 

ありがとうございます。それでは、よろしいでしょうか。

 それでは、次の議題に移らせていただきます。また、今いろいろ御指摘もいただきましたし、ワーキングでこれから取り組んでいくところももちろんございますので、その内容につきましては、またこの検討会を開いていただいて報告させていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 それでは、議題の2でございます。「保健事業の実施等に関する指針の改正について」、事務局より説明をお願いいたします。

○加藤室長補佐 

医療費適正化対策推進室長補佐の加藤と申します。

 私からは、先月末に大臣告示されました健保、国保、後期高齢者医療の保健事業の指針について御報告させていただきたいと思います。資料は、資料2が概要でまとめているものになります。指針の本体は、参考資料としてそれぞれ3つの指針をつけさせていただいておりますので、適宜御参照ください。

 説明は、資料2の概要に沿ってさせていただきたいと思います。まず、健保、国保の指針の改正についてですが、特定健診の導入やレセプトの電子化の進展など、医療保険者において、健康・医療情報を活用して加入者の健康課題の分析等を行うための基盤が整理されてきておりまして、こうした状況の中、昨年の「日本再興戦略」を受けて、全ての健保組合等に対して、平成26年度以降、レセプト等のデータ分析、それに基づく加入者の健康保持増進のための事業計画、いわゆる「データヘルス計画」を作成・公表、事業実施、そして評価を行うこととしており、その取組を求める改正を今回の指針で行っております。

 「改正の内容」としましては、保険者は、健康・医療情報を活用して、以下にあるようなPDCAサイクルに沿った効果的かつ効率的な保健事業の実施を図ることとしておりまして、その保健事業の実施計画を策定し実施していくというものです。

 P、D、C、Aとそれぞれの内容を盛り込んでおりますが、特にD(実施)のところでは、加入者に自らの生活習慣等の問題点を発見しその改善を促すための取組や、生活習慣病の発症を予防するための特定保健指導等の取組、また、生活習慣病の症状の進展及び合併症の発症を抑えるための重症化予防の取組などを実施するということを盛り込んでおります。

 以上が健保、国保の指針の改正の内容になります。

 続きまして2枚目になりますが、こちらは後期高齢者医療保健事業実施指針を今回新たに作成しましたので、その内容をお示ししております。こちらの指針につきましては、高齢者医療確保法に基づきまして、広域連合が行う保健事業について定めるものですが、高齢者医療確保法の施行以来、その制度の枠組に関する議論がこれまで続いていたこともありまして、指針という形では定められておりませんでしたが、昨年の社会保障制度改革国民会議報告や社会保障制度改革プログラム法で、現行制度を基本として必要な改善を図っていくとされたことを踏まえまして、今回、指針を新たに策定するというものになります。

 この指針については、「高齢者ができる限り長く自立した日常生活を送ることができるよう、生活習慣病等の疾病の発症・重症化予防や心身機能低下防止に向けて、広域連合は保健事業を行う」という考え方に立って策定されております。

 この指針につきましては、同じ地域保険である国保の指針をベースとしつつ、さらに、その右側にあるような「高齢者の健康の特性」や「制度の仕組み」を踏まえて策定しております。例えば「高齢者の健康の特性」ですと、加齢に伴い心身が衰え、運動機能や認知機能が低下する、複数の慢性疾患を有し、完治を見込みにくい場合が多い、若年期に比べ生活習慣改善の効果による予防効果は必ずしも大きくないとか、「制度の仕組み」としても、実施主体が都道府県単位の広域連合ですとか、そのようなものを踏まえまして、今回、後期高齢者の指針を定めており、そのポイントを左側に記載しております。

 「主なポイント」としましては、被保険者一人ひとりの状況に即して健康保持増進を支援する、特に、生活習慣病等の重症化予防、運動・認知機能の低下防止、低栄養の回避等に向けた生活習慣見直しに重点を置いているというものですとか、あとは、日常生活が制約される場合には、福祉・介護等の支援につなげるということですとか、都道府県広域連合は市町村と協力して実施するですとか、最後のところは、健保と国保の改正と同様に、データヘルス計画の策定に当たっての内容を盛り込んでおり、そのような形で後期の指針を定めております。

 簡単ですが、以上になります。

○多田羅座長 

ありがとうございます。データヘルス計画という、非常に画期的といいますか、すごい方針を政府のほうで示していただいているわけでございますが、その点での御説明をいただいたと思います。いかがでしょうか。御質問、この機会に。

 今村先生、いかがですか、このデータヘルス計画。済みません、突然で。このデータヘルス計画、かなり具体的で、かつ大きな方針が出されているのですけれども。

○今村委員 

これは国の政策として決まっていることですね。

○多田羅座長 

そうですね。方針化されて、もう内閣で決定いただいているわけですね。かなりデータベースを使った国民の健康増進、医療政策の推進ということでしょうかね。

○今村委員 

方向性としてはもう何も申し上げることはなくて、ある意味、当たり前の話だとは思っていますけれども、適正に運用していただきたいということだけです。

○多田羅座長 

かなり技術力も要ることになりますよね。

○今村委員 

恐らく、今、先生おっしゃったような保険者ごとの差が大きく出てくることも想定されますので、できるところからやって、徐々にという考え方もあろうかと思いますけれども、まずはそれぞれ始めていただいて、その中できちんと御報告をいただきながら、何か問題があればそれを改めながら進めていただくということになるのではないかとは思っております。

○多田羅座長 

そうですね。白川委員、いかがですか。

○白川委員 

健保組合は、本年度26年度に計画をつくり、27年度から実行するという枠組になっておりまして、今、健保組合、さまざまな取組を始めたところですけれども、先ほど来申し上げているとおり、このケース事業計画をつくるときに、どういう事業活動をやりますかというのは書けるのですけれども、その効果をどうするかというところが一番悩みどころでございまして、例えば健康課題をどういう目安でどれぐらい減らすだとか、ポピュレーションアプローチとしてどう減らすのだという話。それから、医療費の適正化でどれぐらい落とすのだという、そのもとになるデータが、今、残念ながらないものですから、先ほど、そういうこともあって、ワーキンググループのほうで御検討いただきたいという要望を出したのですけれども、被用者保険ですから、事業主、加入者に説明するときに、絶対に目標値というのは要るのですね。これはPDCAサイクルで回すということになっていますので、それが達していなければ、また翌年、さらなる事業というのを開始する必要があると、こういうサイクルになると思いますので、いずれにしましても、今年度から計画づくりという段階なものですから、今のところは、国で決められたことでありますし、加入者にとっても決して悪い話ではないといいますか、いい話でございますので、健保組合としては、このデータヘルス計画については積極的に取り組む覚悟だということだけ申し上げておきたいと思います。

○多田羅座長 

ありがとうございます。どうぞ。

○今村委員 

先ほど、突然の質問だったのでちょっと動揺してましたが、今、白川委員からポピュレーションアプローチというお話がありまして、これは当然保険者として被保険者に対してやっていただくこと。もう一つは、いわゆる被保険者の方のお一人お一人に対して相当積極的な介入を行っていくというような事業を実施していただく場合には、呉市における腎症予防の取り組み等も含めて、ここにも書かれていますが、行政だけでなくて、医療機関や地域の医師会等、特に国保なんかでは密接な連携をとりながら進めていただくということをお願い申し上げたいと思います。

○多田羅座長 

それは絶対大事ですね。わかりました。今、白川委員から、目標というか、戦略というものはどのように評価するか課題だという御意見ございましたが、事務局のほうではその辺はどのようにお考えですか。これは方法は示しているわけですね。それで、目標というか、戦略というか、それをどう評価していくのか課題だということをおっしゃったのではないかと思うのですけれども、その辺、事務局、何か。

○白川委員 

最終的には、医療費の適正価格は幾らだとか、そういう目標にしたいのですけれども、最初からそれはなかなか難しいものですから、特定健診の受診率とか保健指導の実施率みたいなものが一応今、各健保組合で事業計画として目標として設定されているわけですけれども、それをもう少し具体化した形でとりあえずやるしかないかなと。スタートの段階はですね。というふうには考えておりますが、何年か先には、具体的な数値で医療費適正化効果額幾らと積むことが多分必要ではないかなと思っております。

 それから、今村先生にも御発言いただいたので、御指摘のとおり、ポピュレーションアプローチだけではなくて、特に糖尿病性腎症の重症化予防のようなハイリスクの方に対するアプローチ、ある意味では特定保健指導と若干似ている部分も当然あるわけですけれども、場合によっては特定保健指導の対象にならない治療中の方、こういった方についても担当されているお医者さんと相談しながら、保健指導の部分は健保組合が一部手伝うとか、そういうバリエーションも当然あり得ると考えておりますので、ぜひ日本医師会のほうでも御協力、御支援賜ればと、こんな席でお願いするのは何でございますが、よろしくお願いいたします。

○今村委員 

エールを送っていただいたのでお返ししなければちょっといけないかなと思いますけれども、まさしく国民の健康度を高めるために医療機関や保険者が一緒になって仕事できるところはやるというのは当然の話だと思います。その際に、実際に信頼関係というか、とかく対立する部分もあって、それを一緒にすることがよくないことだと誤解されるといけませんので、ぜひとも何か具体的な事業等で一緒に共同してできると、そのことが国民にとってプラスなのだということを示せるようなことで進められれば大変いいなと思っておりますので、よろしくお願い申し上げたいと思います。

○多田羅座長 

ありがとうございます。両先生から基本的な観点について御意見いただきましたが、ほかの委員の方、いかがでしょうか。何か追加の。

○津下委員 

ちょうどデータヘルスのモデル事業に動き出したところから相談を受けていますが、今まで十分に活用されていない健診データから見えてくることが多いです。本当は治療しなければいけないのに放置していた人がすごくいるとか、医療機関は医者の前に来て初めて患者さんになれるので、治療中断者とか、放置している人が多いことに気づいたとか、肥満者や糖尿病の割合など、事業所ごとにかなり違いがあるとか、そういうデータが見える化することでより戦略的に保健事業を打っていける。最終的な大きな目標となる適正化効果とか大きな効果の指標とブレイクダウンした形で、一つ一つの事業には個々の目標設定が可能だと思います。医療保険者と、予防・健診・保健指導にかかわっている専門家とかがうまく連携し、間違いのないデータの使い方をすること、そしてその人に合った情報提供ができるようにしていくことによって、また1つ、国民の健康に寄与できるのではないかと感じているところです。

○多田羅座長 

ありがとうございます。事務局の何か意気込みのようなものございますか。

○安藤室長 

先ほど白川委員と今村委員のほうでエールの交換いただきましたけれども、重症化事業につきましては、国のほうでも、当然そこは医療保険者が実施するわけですけれども、それぞれの地域の医療機関とそこは密接に連携していただいた上で実施していただくということでそれは推進していきたいと考えておりますので、まさにこれからデータヘルス事業の中でそういった事業も進めていきたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。

 あわせまして、データヘルスにつきましては、先ほど白川委員おっしゃられたように、まだこれから実際に計画をつくっていくと。保険者といっても、いろいろさまざまでございますので、身の丈に合ったと言ったら失礼な言い方になるかもしれませんが、それぞれの保険者の状況に応じた形で、まずはデータを使って計画をつくっていくということをとにかく今年の前半にかけてモデル計画をつくり、後半でそれを広めていく過程の中でやっていきたいと思ってございます。その際には、まさにここの検討会にいらっしゃる委員の皆様方にもぜひともさまざまな立場で御協力を賜ればと考えておりますので、よろしくお願いいたします。

○多田羅座長 

ありがとうございます。これは非常に大きな課題でございますので、議論すれば時間も要るということでございますので、今日のところは、この御報告を受けたということで御了解いただきたいと思います。ありがとうございました。

 それでは、議事の3でございます。「その他」となっておりますが、本日、委員からの資料として、私のほうからの資料と高橋先生のほうからの資料が提出されておりますので、もしございましたら若干コメントいただきたいと思います。

 まず、私のほうの資料、非常に僣越で恐縮ですが、私が日ごろ思っていることを「こくほ随想」というところに頼まれて書いたものでございます。特定健診・保健指導の意義ということで、座長がどのように思っているのかということを若干御理解いただきたいと思いまして、非常に僣越ですけれども、配付いただきました。こういうことを考えているということでございます。もし何か意見ございましたら、今日はお許しいただいて、ほかの機会にでも御意見をいただければありがたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

 それでは、もう一つの資料の「人間ドック健診施設における特定健診・特定保健指導の現状」ということについてお願いできますか。

○高橋参考人(山門委員代理) 

「人間ドック健診施設における特定健診・特定保健指導の現状」について、特定健診・特定保健指導対策委員会の委員長を務めております高橋が代理で報告いたします。

 最初のページをごらんください。特定健診・特定保健指導対策委員会は、2007年度に山門委員が初代委員長となり、3年後に私が引き継ぎました。本日は、人間ドック学会がこれまで行ってきた研修を中心に御紹介させていただきます。

 特定保健指導実践者養成研修会は、人間ドック健診情報管理指導士、通称・人間ドックアドバイザーという、医師、保健師、管理栄養士を対象とした研修会です。これまでに5,261名を認定しております。

 次のページをごらんください。2011年度の総受診者数は1,840万人で、そのうち特定健診として実施したのが約400万人です。国の特定健診受診者の約17%を占めていました。

常勤担当者がいる施設の割合は、管理栄養士が72%、医師69%、保健師64%が上位3職種です。

特定保健指導の初回面接実施者は、2008年度が約55,000人でしたが、2011年度の8万人まで毎年増加しておりまして、初回面接実施者の修了率は約80%、2011年度は国全体の特定保健指導終了者の10%を占めています。

 5ページの表3をごらんください。201212月末日現在、常勤の特定保健指導担当者のいる施設の割合を示しています。管理栄養士、医師、保健師が70%前後でありますが、私ども、日本人間ドック学会などの人間ドック健診施設においては、看護師のウエートもかなり大きゅうございまして、一定の経験を有する看護師が27%の施設で勤務しております。また、食生活改善指導者も11%おり、この75%以上は看護師です。

 ちなみに、表1の一番上にある、人間ドック健診機能評価認定施設ですが、全国に約300施設ございます。そこに勤務する看護師は約2,500人であり、そのうち3分の2以上は常勤です。人間ドック健診施設においては、医師、保健師、管理栄養士に加えて看護師も保健指導に従事しているということを御存じいただければと思い、この資料を提出いたしました。

 以上でございます。

○多田羅座長 

貴重な資料の提供、ありがとうございました。委員の皆さんで何か御質問ございましたら。

よろしいでしょうか。

 ありがとうございます。それでは、貴重な御報告をいただいたということで了解させていただきます。

 ということで、予定している内容の議論は終わりましたが、事務局のほうでよろしくお願いします。

○安藤室長 

1点だけ、御連絡に近い、御了承いただきたい事項でございます。

本日お配りしている資料の中に資料3がございますが、横紙の一枚紙でございますけれども、ちょっとごらんいただければと思います。タイトルが「実務担当者による特定健診・保健指導のワーキンググループにおける議論について」というものでございます。委員の皆様方御案内のとおり、この検討会のもとに、効果検証のワーキンググループとはまた別に、実務的な検討が必要な事項については、2312月から、この実務担当者によるワーキンググループを設置いたしまして御議論をいただいているところでございます。

しばらく、このワーキンググループについても開催してないところでございましたが、いろいろとこの検討会のほうで実務者ワーキングのほうで御議論すべき事項ということもございましたし、それから、消費税の増税がこの4月から行われてございますけれども、今後また消費税の増税が仮に行われた場合の特定健診・保健指導の費用の決済の方法等についても、この実務者ワーキングの中で実務的な御議論をさせていただきたいということで、今後、この実務者ワーキンググループをちょっと開催させていただいて、いろいろな課題について議論を進めさせていただきたいということで御了承、御了解いただければということでございます。

 以上でございます。

○多田羅座長 

参考資料のほうはよかったですか。

○加藤室長補佐 

それは大丈夫です。先ほどの資料2の関連の参考資料です。

○多田羅座長 

ありがとうございました。

ということでございますが、それでは、これで本日の検討会、終了にしてよろしいでしょうか。

○安藤室長 

はい。ありがとうございました。

○多田羅座長 

それでは、委員の皆様、御協力ありがとうございました。これにて検討会を終了いたします。


(了)

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