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2014年3月24日 薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会食中毒部会 議事録

医薬食品局食品安全部監視安全課

○日時

平成26年3月24日(月)
14:30~16:30


○場所

都道府県会館
401号室


○議事

○山本部会長 それでは、定刻になりましたので「薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会食中毒部会」を開催します。

 本日は、お集まりいただきましてありがとうございます。

 本日は、石川委員、塩崎委員、砂川委員、渡邉委員が所用のために御欠席です。

 また、西渕委員におかれましては、おくれていらっしゃる御予定ということです。

 また、参考人として国立医薬品食品衛生研究所安全情報部第二室長、窪田先生、国立感染症研究所感染症疫学センター第一室、八幡先生に御出席いただいております。よろしくお願いいたします。

 それでは、議事に入る前に、事務局から配付資料の確認をお願いします。

○事務局 それでは、配付資料の確認をさせていただきます。

 資料1が、お手元にございますように「平成25年食中毒発生状況」ということで、70ページからになります。多少分厚い冊子になっておりますけれども、それが資料1でございます。

 資料2が「寄生虫による食中毒発生状況」ということで、クドア、サルコシスティス、1枚めくっていただきますと、アニサキスということで、寄生虫に関しての資料になってございます。2枚組の資料でございます。

 資料3が「食品媒介感染症被害実態の推定」ということでございまして、後ほど御説明いただく資料になっております。

 資料4が「腸管出血性大腸菌O157散髪例のリスクおよび発生動向」ということで、これも後ほど参考人でございます、八幡先生のほうから御説明いただく資料になってございます。

 資料5が「農薬(マラチオン)を検出した冷凍食品への対応について」ということで、2枚の冊子になっております。

 参考資料1~4がございます。

 以上、資料のほうでございますが、不足の資料等ございましたら、お知らせいただければと思います。よろしゅうございますでしょうか。

 それでは、よろしくお願いいたします。

○山本部会長 それでは、議事に入りたいと思います。

 本日は(1)の「平成25年食中毒発生状況」について御審議いただきます。

 それでは、資料1の「平成25年食中毒発生状況」について、事務局から御説明をよろしくお願いします。

○西村食中毒被害情報管理室長 食中毒被害情報管理室の西村でございます。よろしくお願いいたします。

 平成25年の食中毒発生状況を取りまとめましたので、御説明させていただきます。

 この食中毒発生状況の対象は、平成25年1月から12月までに発病し、食品衛生法第58条に基づき、都道府県知事等から厚生労働大臣に報告のあったものを取りまとめたものでございます。

 1ページ、年次別食中毒発生状況でございます。

 平成9年から事件数、患者数、死者数についての表になります。一番下の黄色のところが平成25年となっております。

 事件数でございますが、1,000件を切りまして931件、平成24年から169件の減少となっております。

 続きまして、患者数でございますが、2万802名、平成24年と比較しますと、5,897名の減少となっております。

 この数字では、平成21年に次いで低い数字となっております。

 平成25年は、ここ数年来、事件数、患者数とも低い数字ということであります。

 死者数でございますが、平成24年は浅漬け事件等がございまして、11名でございましたが、平成25年は1名となっております。詳しくは、後ほど説明させていただきます。

 平成24年から比べまして10名減ということになっております。

 2ページ、年次別食中毒事件数と年次別食中毒患者数をグラフで示してございます。

 上のグラフに示しました事件数でございますが、平成10年をピークに減少傾向があることがおわかりになると思います。

 下のグラフの患者数でございますが、平成8年から平成12年までは4万人前後で推移しておりましたが、ここ数年は2万人から2万5,000人で推移をしております。

 特徴的なピークといたしまして、平成8年の腸管出血性大腸菌O157による集団食中毒、平成12年の黄色ブドウ球菌による食中毒等々がございます。

 3ページ目から6ページ目につきましては、平成23年から平成25年、3年分の都道府県別食中毒発生状況を記してございます。

 4ページ目以降でございますが、全体のデータとは別に、患者1人の事例が載っておりますが、これは、カンピロバクターを中心とする1人事例を積極的に食中毒として取り扱っていくことがあることから別の表にしてございます。

 7ページに移らせていただきたいと思います。

 患者規模別発生状況についてでございます。

 平成23年から平成25年、3年分をグラフに示してあります。1事件当たり1名から10名の事件が最も多く、患者数が多くなるほど、事件数が少なくなるという傾向でございます。これは、例年どおりの傾向を示しております。

 また、501名以上の事例は2件ございました。これは、後ほど説明させていただきたいと思います。

 8ページ、年齢階層別食中毒患者数のグラフになります。

 例年どおりでございますが、20歳から50歳代の年齢層が多いという傾向を示してあります。

 冒頭に説明させていただきましたが、平成25年は平成24年に比べて5,897名減少しておりますが、年代別に見ましても、全ての年代で減少しております。中でも10代の方々が1,830名と多く減少しております。

 9ページ、先ほど、お話ししました500名以上の事例が上の表に載せてあります。500名以上といたしまして2例発生しております。

 1件は、病原大腸菌群によるもので511名、もう一件はノロウイルスによるもので526名の患者さんが発生しております。

 原因施設につきましては、病原大腸菌群によるものがその他となっておりますが、これは刑務所での食中毒事件ということになります。

 ノロウイルスにつきましては、仕出し屋さんからのお弁当による事件でございました。

 その下の表にあります、死者についての食中毒事例でございますが、自然毒-植物性自然毒、キノコによるものでございます。山でみずから採取したキノコを喫食した事例でございます。70歳過ぎの女性の方でございました。

 次の10ページから13ページにつきましては、月別の発生状況を示してあります。平成23年から平成25年の3カ年間を整理してあります。

10ページ目の上段に事件数と患者数の一覧表を掲載しておりますので、こちらをごらんいただきたいと思います。

 平成25年の事件数につきましては、3月と10月が93件、1月と9月が91件となっております。

 この内訳につきましては、お手数が14ページを開いていただきたいと思います。

14ページですが、25年3月のところでは、病因物質としてウイルスによるものが最も多く、10月は細菌によるものが一番多いということがおわかりになるかと思います。

 次いで寄生虫、植物性自然毒、キノコの例が続いております。

11ページに戻っていただきまして、月別発生状況の事件数を示したものでございます。

 上の2名事例と、下の1名事例を分けてグラフにしてございます。

 続きまして、12ページ、月別患者数の発生状況を示してございます。4月の2,667名が一番多く、次いで12月の2,657名、3月の2,547名となっております。

 この内訳は、お手数ですが、16ページに示してございます。

16ページの平成25年、一番右のグラフですけれども、3月、4月、12月ともウイルスによるものが最も多くなっております。

 9月の細菌数が多いということが示されておりますが、先ほど、説明しました500名を超える事例によるものだと思われます。

 戻っていただきまして、14ページ、病因物質別事件数の月別発生状況を示したものでございます。

 平成23年から平成25年までの3カ年間を示してございます。

 平成2412月に近年の食中毒発生状況を鑑みまして、食品衛生法施行規則様式第14号、食中毒事件票を改正しまして、クドア、アニサキス、サルコシスティス及びその他の寄生虫を病因物質種別に追加いたしました。

 これに従いまして、平成24年までは、その他に含まれていたものが、寄生虫として平成25年のグラフより、緑色の寄生虫の部分ですけれども、グラフの項目としてふえております。

 事件数の発生状況を中心に説明させていただきますが、平成24年特徴的であった12月のノロウイルスのようなピークはありませんで、夏場には細菌の食中毒が多く、冬場にはウイルス性食中毒が多いという傾向が見られます。

 先ほどお話ししました寄生虫につきましては、9月、10月の秋口に多く見られております。

 アニサキスにつきましては、9月に16件、10月に19件でございました。

15ページ、病因物質別、月別の事件数の推移を見ております。

 1名事例を見ていただきますと、下のグラフでございますが、1名事例につきましては、寄生虫が多いことがおわかりになるかと思います。

 これは、アニサキスを原因とするものがほぼ1名事例であるためでございます。

16ページ、病因物質別月別患者数につきましても、平成2412月のウイルスのような特徴はありませんでした。先ほどお話ししましたように、夏に細菌によるもの、冬季にウイルスによるものが多いことがわかると思います。

 平成2412月には、500名以上の食中毒事例が2件発生しておりまして、非常に高いグラフになっております。

17ページ、患者数の月別発生状況について、1人事例でございますが、先ほど述べましたように、平成25年から寄生虫として病因物質を入れました結果、緑の部分がグラフの中にふえております。

 平成25年の病因物質で、その他に分類される食中毒の発生はございませんでした。

18ページ、原因施設別の発生状況でございます。

 一番左に原因施設の種類、その次に事件数、患者数を示してあります。

 事件数で見ますと、最も多いものが飲食店の549件となっております。

 その次に不明、家庭、旅館、給食施設を含む事業所、仕出し屋という順になっております。これは、平成24年とほぼ同じでございます。

 患者数でございますが、飲食店の1万988名と最も多く、次いで仕出し屋、旅館となっております。

 平成24年に比べまして、仕出し屋での患者数が6,358名から2,989名へと3,364名減少しております。

 これは、先ほど申し上げましたように、ノロウイルスによる事例が多かったためと思われます。

19ページから22ページまでは、原因施設別に見た事件数、患者数をグラフに示したものでございます。

19ページでございますが、主な原因施設別に見た事件数の年次推移でございます。

 飲食店での事件が最も多く549件でございました。また、ここ数年の傾向である不明事例の減少とともに、全体的な傾向についても変化はございませんでした。

23ページ、原因食品別発生状況を示した表でございます。最も多いものがその他となりますが、総数として470件、次いで不明、魚介類、複合調理食品、野菜及びその他加工品の順番でございます。

 その他は、470件と御説明申し上げましたが、456件につきまして食事が特定されております。そのうち、ノロウイルスが244件、カンピロバクターが108件となっております。

 不明につきましては、138件のうちカンピロバクターの原因施設不明事例70件でございました。

 患者数につきましても、その他が最も多く1万4,013名、次いで複合調理食品、魚介類、野菜及びその他の加工品、肉類及びその加工品という順になっております。

24ページから27ページにつきましては、年次別に事件数、患者数の推移についてグラフであらわしたものでございます。

28ページ、病因物質別発生状況の表になりますが、事件数で最も多いのは、ノロウイルスによる328件、次いでカンピロバクター・ジェジュニ/コリによります227件、次いでアニサキスの88件、植物性自然毒の50件、サルモネラ属菌の34件、ブドウ球菌による29件の順となっております。

 患者数で見ますと、ノロウイルスによる1万2,672人が最も多く、これは全体の60%を占めております。

 次いでカンピロバクター・ジェジュニ/コリによるものが1,551名となっております。

29ページ、主な病因物質別食中毒事件数の年次推移でございます。

 毎年、カンピロバクター及びノロウイルスが多くなっておりますが、25年度はノロウイルスが一番多く328件、次いでカンピロバクターの227件となっております。

 全体の傾向といたしまして、ノロウイルスを除いて減少傾向にあることがおわかりいただけるかと思います。

31ページ、食中毒患者数の年次推移を示したグラフでございますが、毎年ノロウイルスの患者さんが突出して多いことがおわかりになるかと思います。

 先ほどもお話ししましたが、ノロウイルスによるものが1万2,672名、次いでカンピロバクターによるものが1,551名となっております。

33ページ、主な病因物質、細菌別の食中毒事件数の年次推移グラフでございます。

 全体的に減少傾向にあることがおわかりいただけるかと思います。

 カンピロバクターにつきましては、平成24年から39件減少しております。

 サルモネラ属菌につきましても減少傾向にありまして、10年前350件ございましたが、平成25年では、約10分の1の34件でございました。

34ページ、患者数の年次推移でございます。

 平成24年に比べまして、ブドウ球菌は200名、ウエルシュ菌については743名、カンピロバクターにつきましては、283名減少しております。

 しかしながらサルモネラ属菌につきましては、191名増加しております。これは、患者数100名を超える事件が2回起きたためと考えられます。

 また、病原大腸菌につきましても501名増加しております。これも、先ほど説明しましたように、500名を超える病原大腸菌群による事件があったためと思われます。

35ページ以降のグラフでございますけれども、主な病因物質別に見た原因食品別及び原因施設別の事件数及び患者数の年次推移のデータとなっております。

 ページ数が飛んで申しわけございませんが、63ページをお開き願いたいと思います。

 こちらは、カンピロバクターによる原因施設別事件数でございますけれども、飲食店によるものが144件で、平成24年と比較して13件減少という結果でございます。

65ページ、こちらの下の表でございますが、原因施設別カンピロバクターの患者数でございます。飲食店が1,146名で、平成25年から47名の増加という結果になっております。その半面、不明というものが35名減少してございます。

67ページ、原因食品別ノロウイルスの事件数の年次推移でございますけれども、ノロウイルスの事件数は、例年どおり食事までは特定できておりますが、特定の食品まで至らないということが多いため、その他が多いという結果になっております。

 下の表の原因施設につきましては、飲食店が多いという結果でございます。平成24年よりも飲食店では65件の減少、旅館では28件、仕出し屋では22件と続いております。

 私からの平成25年食中毒発生状況についての説明は、以上でございます。

○山本部会長 ありがとうございました。ただいまの御説明に対しまして御質問、御意見をお願いしたいと思います。いかがでしょうか。

 今村委員、どうぞ。

○今村委員 御説明ありがとうございます。質問ではなく意見なのですけれども、今、原因別の説明を33ページでしていただいているのですけれども、全体にサルモネラと腸炎ビブリオの数が減ってきていまして、食中毒と言えば、今までサルモネラ、腸炎ビブリオというのが対策の主な目標であったと思いますし、我々もそう信じてやってきていたわけでけれども、その対策は成果として着実として成果を上げているかわりに、サルモネラ、ビブリオを主眼とした対策では、今後はなくなってくるのかなと思えます。

 特に、カンピロやノロといったちょっとサルモネラとビブリオの対策と違った原因細菌が残ってきているわけですので、全体に対策をシフトしていく必要があるのかなと思っております。

 実際、我々が今、公衆衛生で学生に教えるときにも、今までであれば、食中毒で言えば、サルモネラ、ビブリオというのがメインだったのですが、やはり資料を書いていくと、今、上位に、2位、3位にもなかなか上がってこないという状況になっていまして、患者数で割り戻すと、事件数では特にですかね、1桁になってきておりますので、全体の流れが変わってきたように思いますので、ちょっと御意見でございます。

○山本部会長 ありがとうございました。カンピロバクター、ノロウイルスについては、その対策がいまだに見えてきていないというか、有効な対策が見えてきていない。

 カンピロバクターにつきましては、厚生労働科学研究で、一応、農家の段階、食鳥処理場の段階、それから、流通の段階といった各段階において何らかの対策がないのかということの研究を進めているところでございます。その辺で、全部を合わせたような形で進めていかないと、なかなか難しいのかなというところ。

 ノロウイルスについては、やはり食品由来というよりは人がふやしているということで、人から食品にいって人に戻ってくるというような形。それまでの二枚貝の例は、ある程度気をつけてきているとは思うのですけれども、その辺がもうちょっと少なくなってくると、全体的には人での蔓延状況をどう抑えていくのかということも考える必要があると思います。

 その辺も含めて、皆様方からの御意見を、委員の先生方から有効な御意見というのがありましたら、またお聞かせ願いたいと思っておりますので、ぜひよろしくお願いいたします。

 事務局、特に何かそれに関してございますか。今言ったようなことで進めていくということでよろしいですか。

 ということで、なかなかすっきりとした対策が見えてきていないのが、今まだ苦しいというところですけれども、ほかに何か御意見はございますか。

 今村委員、どうぞ。

○今村委員 前々回の委員会でも申し上げましたけれども、ノロウイルスはヒト-ヒト感染がかなり多くなってきていることを考えると、本来、感染症予防法に位置づけてヒト-ヒト感染症の対策をとっていかなければいけない局面に来ているように思います。

 特に、腸管出血性大腸菌O157が就業制限がかけられることになっているのに対して、ノロウイルスのほうは、実質上、その対策がとれないという、とりづらい背景はあるのですけれども、検討をしていただくような背景さえも、まだないという状況にありますので、感染症対策として考えていくことが、今後、大きな課題かと思います。

○山本部会長 ありがとうございました。事務局、何か。

 滝本課長、どうぞ。

○滝本監視安全課長 ノロウイルスは、大変我々も頭を悩ましている問題なのですけれども、先ほど感染症法による就業制限というお話がありましたけれども、とりあえず、食品衛生法では管理運営基準というのがあって、体調異常の方は、少なくとも職場に出てきて、食に直接接触するような業務は避けてくださいということで、これは各県とも条例化をしていると思いますけれども、そういった形での対策が1つ。

 それでも、やはり不顕性感染の方がいらっしゃって、そこが感染源になるということがありますので、我々も製造所内にやはりノロウイルスがいるという前提で、それぞれの事業者に対策を立ててもらうということが必要ではないかということで、そういったあたりも事業者に対する注意喚起とか、それから、説明会とかも団体でも力を入れて、今シーズン5回ほど全国でやったと聞いておりますし、今後ともそういった形での事業者に対する指導とか、普及については力を入れていきたいと考えております。

○山本部会長 食中毒対策だけで済まない部分があるという御指摘でしたので、その辺のところを本省の中で調整をとっていただきながら対策会議等でもやっていただければというところと、我々からそういう提言があったということで、少し検討願えればと思いますので、よろしくお願いいたします。

 ほかにございますか。

 中村委員、どうぞ。

○中村委員 ちょっと教えていただきたいのですけれども、18ページの原因施設別発生状況の一番右の1人の事例の一番下ですけれども、施設不明が76人います。

23ページの原因食品別発生状況も同じ1人の事例で、不明が75人です。これは、恐らく7576とかぶっているところがほとんどだろうと思うのですけれども、何でこれが食品に起因する中毒という診断がついたのかなと、極めて私自身は不思議です。要するに、原因施設もわからない、原因食品もわからないのに何で食中毒なのという話なのです。

 それで、質問は、これは、以前からある特定の都道府県に、この75ないし76というのは集中しているのですか、それとも全国からぱらぱらとこういうのが出ているのでしょうか、どちらなのでしょうか。

○西村食中毒被害情報管理室長 確かに以前は、特定の都道府県からというのが非常に多かったのですけれども、ここのところは、そういったことは大分なくなってきているという傾向にはございます。

○中村委員 そうすると、全国的に施設も不明、食品も不明、だけど食中毒ということで医師から届けが出ているというのがあるということですね。

○西村食中毒被害情報管理室長 確かに多い都道府県というのはあるのですけれども、その多い都道府県から、こういったことで上がってきているというのが現状でございます。

○中村委員 わかりました。ありがとうございます。

○山本部会長 小澤委員、どうそ。

○小澤委員 今のカンピロバクターの1人食中毒の報告が、多分広島市だけが突出して多いということですね。これは、統計を見ると明らかなのですけれども、要は、広島市だけが多分、届け出に関して、別の行動原理で届け出ていると解釈をせざるを得ないのです、この食中毒統計において、それは、どういうことが原因でそうなっていて、それが結局、どういうふうに是正されないのか、つまり、全国的に統一した基準で、カンピロバクターの食中毒というものを扱えないのか、その辺の原因とか、あるいはそれをできるだけ全国的に統一したあれにしましょうという、そういう努力がなされているのかどうかを知りたいのですけれども、この傾向は、ずっと昔からそうですね。結局、広島市は1人のカンピロバクターの食中毒をほぼというか、物すごくたくさん報告をすると。だから、わざわざ1人事例を除くという格好で、2人以上の事例ということで、それを統計から外したりして、ある意味で不自然な操作をしなければ、この統計自体が何かゆがんだ形になってしまうということを、多分、それを意識してこれをやられているのだと思うのです。

 だから、もちろん、やむを得ない事情もあるのでしょうけれども、そういったことがどういうことで起こっていて、それに対して、どういうふうに行政として努力をしているのかということを、できれば教えていただきたいと思います。

○山本部会長 いかがでしょうか。

 どうぞ。

○西村食中毒被害情報管理室長 小澤先生がおっしゃるように、広島市というのは、非常に多く来てはいるのですけれども、先ほど申し上げましたように、過去の数年から比べますと、報告の件数自体は減ってきているというのは、現状ではございます。

 その先の質問でございますが、なかなか答えにくいのですが、我々としましては、広島市に対して特にこうしろということは、現在しているわけではないので、上がってきているものを淡々と表にしていっているというのが現状ではございます。

○小澤委員 広島市だけがこういうことをやるというのは、何か原因があるはずですね、そもそも過去にさかのぼって何かあったのですが、よくわからないのです、そこも知りたいのです。

○西村食中毒被害情報管理室長 ちょっと確信たるものが、今、持ち合わせておりませんので、宿題にさせていただき、調べてこようかと思います。

○山本部会長 では、事務局で調べて、また、次回お答えいただくということにしたいと思います。

 中村先生に対するお答えになっているかどうかわからないのですけれども、やはり病因物質でカンピロバクターというのを見たときにどう考えているのかというところだと思いますので、本当は、もう少し追求して食中毒かどうかをわかるような形になるのが理想的だとは思いますけれども、病因物質としてカンピロバクターだとはわかってきているということだと思います。

 ほかにございますか。

 どうぞ。

○工藤委員 表の見方について、ちょっと教えていただきたいのですが、23ページでございます。

 その他という項目が、事件数、患者数も抜きん出て多いのですけれども、その上にあります項目に該当しないその他というのは、一体何だろうと疑問になるのですが、やはりこれだけ多いとも、もう少し項目がふやせないものなのでしょうかというのが1つの質問でございます。

 その中で、食品特定、食事特定もできているようですので、やはり、見るものにとっては、原因食品というのが大変関心が高いものですので、この数があれば、項目ももう少し出てもよいのではないかと思うのですけれども、その点はいかがでしょうか。

○山本部会長 事務局、いかがでしょうか。

○西村食中毒被害情報管理室長 確かに、その他というのが多く470件とございますので、中身をもう一度精査をして、どういったものが含まれているのかということを都道府県等に調査をする必要があるかと思いますけれども、調査をして対応していきたいと思います。

○工藤委員 ありがとうございます。

○西村食中毒被害情報管理室長 済みません、食事の特定までしか、特にノロウイルス等は指定できていないので、多分なのですけれども、調査することはできるかと思いますけれども、これより先のことというのは、なかなか出てこないというふうに考えられると思います。

○山本部会長 今のだと、食べた食事はわかっているけれども、その中のどれが原因かがわかっていないというのが、この食事特定のものなので、食品特定のものの中に、この上位の分類にないものが入ってくるということになって、多いものが出てくるようであれば、新たな分類を考える必要があるかもしれないということかもしれません。

○工藤委員 もう少し項目がわかると良いと思います。

○山本部会長 はい。ただ、大きな肉類とか卵類とか、乳類とか、かなり大ぐくりの分類になっておりますので、食品がと特定された場合には、それ以外というと、なかなか、一体どんなものが入ってくるのか、ちょっとぴんとこない部分もあるのですが、その辺も含めて、食品は分類を考えることが必要になってくる時代かもしれないということですね。

○工藤委員 基本的に上にあります、魚介類、肉類、卵類、加工品というのは、素材というふうに考えてよろしいのでしょうか。ですから、それ以外の揚げ物であったりとか、惣菜であったりということなのでしょうか。上の部分にかなりの大きな分類が多くありますので、そこに該当しないのが、やはり新しい、今、非常に使われている惣菜であったり、仕出しであったりということなのかなと想像もするのですけれども。

○西村食中毒被害情報管理室長 上から示している魚介類ですとか、肉類、卵類というふうになってきているのですけれども、この中に分類されないものがその他に入ってくるのですけれども、そういったものとして、酒精飲料ですとか、氷菓ですとかいったものがその他というものに分類されてくる。

○山本部会長 ありがとうございました。

 今村委員、どうぞ。

○今村委員 先ほど小澤委員からあった単発事例の話で、ちょっと私の知っている範囲で情報提供させていただきたいと思うのですけれども、私は、当時、感染症を担当していたのですけれども、たしか、平成8年に腸管出血性大腸菌O157が広域発生したときに、堺が起こる前に、広島や岡山を中心に結構起こって、そのときに単発事例が結局、追いかけられていなかったということが、随分あの辺で社会問題になって、その後、腸管出血性大腸菌O157の大事件が起こって、単発事例を報告するべきではないかというのが、一時社会現象になったような記憶があります。

 その後、たくさん最初のうちは単発で報告していたのでけれども、やはり同じような議論があって、統計的に無意味な統計になるということからやめていっている県や市が多くて、それでも今残っているところが幾つかある。今、広島だけなのでしょうかね。ただ、あそこはたしかそういうトラウマがあったような記憶があります。これは、全てではないと思うので、今後の調査の参考にしていただければと思います。

○山本部会長 ありがとうございました。

 西渕委員、どうぞ。

○西渕委員 今のことに関連して、ふと思ったのですけれども、原因食品が例えばその他ということで、明らかにしにくいということの可能性として何らかの理由がある。例えば、検査法が不適切で取りこぼしているとか、そういう可能性はないのですか。都道府県の検査によって差が出るとかいうこと。

 例えば、カンピロバクターなどについて申しますと、我々、マレーシアで調査したときに、生野菜から結構カンピロバクターが出てくるのですけれども、それは、PCR法をベースとした検査法で、原因は、鶏糞を介した生野菜、葉っぱものの汚染ということかわかっているのですけれども、そのようなことも視野に入れて調査・研究が進んでいるのでしょうか。

○山本部会長 食品ごとに分けるような形の検査というのでは研究が進んでいるということではなくて、今やっているのは、鶏肉を対象とした研究ということになっています。

 その先、いろんな複合食品の問題があるのですけれども、複合調理品でも、その中のどれかというのを特定するというのは、かなり難しいというのがありますけれども、お弁当とかの検査でしたら、それを丸ごと検査するという形になるので、そうすると、とれたとしても、どの食材だったかというのは、なかなか難しいのかなというのはあると思います。

 あとは、食材がどれぐらい残っているかも問題かと思いますので、食品は不明で、カンピロバクターは人からはとれているけれども、聞き取り調査によって、そういうのを食べたということがあれば、この食事が原因だったのだろうというようなところには行き着いているというような調査までができているような状況かなと推察されますけれども、事務局、それでよろしいですか。そんなところですかね。

○西村食中毒被害情報管理室長 はい。

○山本部会長 検査法の問題は、これからも絡んでくるかと思いますけれども、カンピロバクターで五十君委員、何か検査法のことで。

○五十君委員 今の原因不明の問題につきましては、今、統計の中でノロウイルスとカンピロバクターが結局一番多いほうから1位、2位になってきている。

 ノロウイルスは、ヒト—ヒト感染を含めて、従来の食中毒菌のように食品を介してくるという、そういうような経路のみで来ているわけではないのです。

 それで、カンピロバクターに至っては、ほとんどが鶏肉で、それから、その他の感染ルートとしては内蔵、レバー等の生食というのが主要なルートなわけです。こういった食品の場合は、原因究明をやるころには、比較的潜伏期間が長いカンピロバクターでは、特定に至らない、菌が死んでいたり、食材自体が残っていないという状況になっています、今のカンピロバクターとノロウイルスに関しては、こういった従来の検査では、食品からの分離が困難でなかなか原因食品が特定されないという状況です。そういう面では、この2つについては、別枠に考えたほうがよいのではないかと思います。

 ですから、特定しようと思ってもなかなかできないというのが現状ではないかと思います。

○山本部会長 カンピロバクターの場合は、食中毒ではあるけれども、食材がないことが多いと。ノロウイルスの場合は、もう少しカテゴリーとして食中毒以外の部分を考えた対策なり、そういう調査なりをしていく必要があるという御意見だったと思います。

 ありがとうございました。

 ほかにございますか。

 寺嶋委員、どうぞ。

○寺嶋委員 事務局のほうにお伺いしたいのですけれども、18ページの原因施設別の発生状況についてです。この中の事業所の中に保育所というのがありますが、患者数で見ると、これは443名で、もちろん飲食店や旅館等に比べるとずっと少ないのですけれども、単独の給食施設としては比較的多いほうで、いわゆる小学校や中学校での発生がほとんどないのに比べると、400名以上と結構多くなっています。この保育所というのは、立派な調理場と申しますか、そういう大量調理施設に該当するような大きな保育所だけということなのでしょうか。病因物質が分かりませんが、このような施設では、恐らくノロウイルスとか、また、保育所は腸管出血性大腸菌の発生数が結構多いと思います。

 ノロウイルスにしても腸管出血性大腸菌にしても、いわゆる二次感染が非常に発生しやすいので、それで、このような大きい数字になっているのか、それともやはり給食施設という形の施設の衛生管理が、今、不十分でこういうことになっているのかという点をお聞きしたいと思います。

○西村食中毒被害情報管理室長 保育所につきましては、正確なことは、ちょっと持ってきていないのですけれども、ノロウイルスによるものが多かったと思います。

 そこから先の話というのは、先生おっしゃられるように、報告が上がってきているので、当然、食中毒として上がってきているわけなので、ヒト-ヒト感染なのか、ということではなくて、我々としてはあくまでも食中毒として診断が上がってきているのは、この数字になっている。

○寺嶋委員 ありがとうございます。やはり義務教育のところの学校では、文科省は、かなり力を入れて、食中毒対策といいますか、そういう衛生管理の対策に力を入れているわけですけれども、保育所は多分、文科省ではなくて厚労省の管轄になるかと思います。その管轄の下で、これは、ほかの年の原因施設別の保育所の発生がどうなのかわかりませんが、このような状況が続くようだと、今後、保育所というか、いわゆるデイケアみたいなところは、多分どんどんふえて、収容人数も恐らく増えていくのだと思いますので少し心配です。

 そういう状況にある中で、そこら辺の管理と言いますか、そういうところの指導なりをきちんとしていかないと、今のところ腸管出血性大腸菌にしても比較的病原性の低いものが多いので、余り大事に至っていないかと思いますが、そういうものが発生すると、何分非常にリスクの高い年齢集団ですので、危険度が高いと思います。少しその辺も見据えて対策をとられたほうがいいのではないかと思いました。

○事務局 先ほど来、感染症対策という面でも御指摘をいただいているところでございまして、これまでにも感染症対策の担当課とノロウイルス対策を含めて連携してやってきておりますけれども、今の御指摘も踏まえまして、引き続き、そういった事業所、保育所、老人ホーム等々における食中毒対策という点では、連携して取り組んでまいりたいと思っております。

○山本部会長 ありがとうございました。まだあろうかと思いますけれども、資料2の説明をしていただいて、その後、もし、資料1のほうも質問し忘れたということがございましたら、質問を受ける、または御意見を受けるということにしたいと思います。

 それでは、事務局から資料2について御説明よろしくお願いします。

○松井輸出食品安全対策官 引き続きまして、資料2について御説明をさせていただきます。

 資料につきましては、近年発生しました寄生虫を原因とした食中毒についてまとめたものでございます。

 内容として、クドアとサルコシスティス、アニサキスの3点になっております。

 まず、クドアの食中毒でございます。こちらにつきましては、従前より、本部会でも御議論いただいているところではございますが、食中毒を防止するためには、生産段階からの管理が極めて重要であるという御指摘をいただいております。

 その御指摘をいただきまして、私どものほうも農林水産省と協力しております。実は、この クドア セプテンプンクタータを原因とする食中毒は、養殖のヒラメが非常に多いということがございますので、生産段階、稚魚の段階から管理をしっかりと行うよう、対応させていただいているところでございます。

 また、この発生の状況を見ますと、実は国産だけではなくて、輸入の活ヒラメも多いという現状がございます。

 実際、特定の国から活の状態でヒラメが輸入されることが多く、そのヒラメを原因とする食中毒が発生しているということもございますので、その国から輸入される活のヒラメについても監視をしっかり行うということで、実際、国内で食中毒の原因となった際には、さかのぼり調査の結果、明らかになった養殖場につきましては、輸入段階で検査命令とし、必ず検査をしてから輸入するというような形の体制をとらせていただいているところでございまして、まだ、232425の3カ年しかございませんので、はっきりとしたことは、まだ早い段階かとは思いますが、食中毒の発生件数については、徐々に減少してきているものと考えております。

 したがいまして、今後とも引き続き、農林水産省と協力するとともに、輸出国政府に対しても管理を徹底する旨、お願いしていくということで対応していきたいと考えているところでございます。

 続きまして、下の段にございます、サルコシスティスを原因物質とする食中毒の事例でございます。

 サルコシスティスを病因物質とする食中毒につきましては、馬肉らの生食を原因としていることということですので、こちらにつきましては、従前より冷凍を行うことによって、その発生を防止することができるということが分かっております。馬肉ですので、冷凍が可能だということで、積極的な対応をお願いしているところでございます。

 青い線のところでございますが、昨年1件発生しております。こちらの原因につきましては、調査の結果、冷凍が不十分であったということが判明しております。

 したがいまして、従前より御指摘いただいておりました凍結による管理というものが有効なのではないかと考えられるところでございます。

 続きまして、裏のページでございます。アニサキスを原因とする食中毒の事例を掲載させていただいております。

 実は、このアニサキスにつきましては、こちらも青い線で写っているものでございますが、一見すると、増加傾向にあるようにも見えますけれども、従前から発生していたアニサキスの食中毒が、今回、食中毒事件票に項目として追加されたことによるためなのか、または本当に増加しているのかどうか、まだ、現段階においてはデータが少ないため、十分な調査が行えておりません。

 したがいまして、今後、こういった情報について、さらに収集を進めて分析を進めていきたいと考えております。

 また、アニサキスにつきましては、次の次のページ、一番後ろのページを見ていただくとわかるのですが、サバですとか、サンマ、こういった魚介類を原因とした食中毒が非常に多くなってきているのは明らかであります。

 従前からアニサキスにつきましては、諸外国の情報におきましても、凍結をすることで発生を十分抑えることができるというものもございますので、そこは明らかな点だとは思うのですが、いかんせん日本のサバというわけではないのでが、日本には生食の文化が存在するということで、一律に凍結するというのは非常に難しい点もあるのかなと思います。

 一方、サバですとか、サンマなどというものは、従前、日本で全国的に生食で食べられていたものではそもそもないと考えられます。コールドチェーンの発展に伴って、日本全国で食べられるようになり始めた、そういった事業もあるかと思いますので、普及啓発というもの、生食のリスク、リスクと言ってしまうとあれかもしれませんが、サバの生食、サンマの生食によるリスクというものの普及啓発に努めていく必要があるのではないかと考えているところでございます。私どもとしましても、情報提供を充実したいと考えておりまして、厚生労働省のホームページのほうに、アニサキスに関する情報提供のページを新たにつくりまして、国民に対する情報提供に努めてまいりたいと考えております。

 また、今後、冷凍、凍結の手法などの発展もあるかと思いますが、現時点においては、生食する魚を全て冷凍するというのは、現実的ではないところもあるかと思いますが、今後の冷凍技術の発展等も踏まえて、対応については引き続き検討してまいりたいと考えております。

 簡単ではございますが、以上で説明のほうを終わらせいただきます。

○山本部会長 ありがとうございました。1つ確認しておきたいのですけれども、クドアについては、農林水産省での養殖へ持ち込むときの検査というのが始まったのは、いつごろからでしたか。

松井輸出食品安全対策官  部会の御報告を受けまして、直ちに対応はしていただいたのですが、実行は、半年から1年ぐらいかかったのではないかと考えております。

○山本部会長 そうすると、平成24年の終わりごろ。

松井輸出食品安全対策官  そうですね、そのくらいになっているのではないかと思います。

○山本部会長 冷凍は、やはり24年でしたかね。

松井輸出食品安全対策官  そうでございます。

○山本部会長 馬肉の冷凍もその辺からですね。アニサキスが、25年の最初から統計に載せるようにしたということです。

 資料2もしくは資料1でも構いませんが、御意見、御質問がありましたら、どうぞ。

 益子先生、どうぞ。

○益子委員 資料2についてなのですけれども、2枚目の表ですか、神奈川が断トツに多いのですけれども、これはどういうことが考えられるのでしょうか、神奈川にアニサキスが多いというのは、ちょっと考えられないと思うのですけれども、教えてください。

松井輸出食品安全対策官  確かに大都市圏なので、消費量が多いというのは、もちろんあるのだと思いますけれども、この点に関しましては、アニサキスの食中毒というものが症状だけではなくて、胃の中から虫体を直接検出して初めて食中毒ということになりますので、最近は全国的に増えてきているのですが、当時の状況として内視鏡技術を持っている医師及びその知見を持っている医師というのが限られていたということもあって、若干多く見えているのかなと推測はしているところでございます。

○山本部会長 薄紫のところは2013年ですので、これはある程度全国的に報告が上がって来始めているという状況かと思います。その前の段階で、予備的に報告が上がっている分では、やはり大都市圏に集中していると。

○益子委員 東京をしのいでいるので。

○山本部会長 ありがとうございます。

 中村委員、どうぞ。

○中村委員 この図の国内不明というのは、どういうことなのですか。

松井輸出食品安全対策官  産地、発生状況、どこで飲食したのかというのが明らかになっていない部分がございまして、結局、どれが、いつ食べたものかというのが、すぐに出るわけではないので、若干のタイムラグがございますので、どこで食べたものか、特にわからないというものが発生してしまうと。

○中村委員 大体魚介類でしょう。

松井輸出食品安全対策官  はい。

○中村委員 それで、タイムラグがあるにしても、いつ食べたかというのは、だって1カ月前などという話はないですね。

松井輸出食品安全対策官  はい。

○中村委員 そうすると、どこで食べたかというのがわからないというのが一番多いというのは、ちょっと統計としてまずくないですか。

○事務局 この中には、魚介類を何カ所で食べている方がいらっしゃったとか、そういうことで、どの場所で食べたものに起因して発生したかというところまでの特定がされなかったというものが含まれるという意味でございます。

○中村委員 済みません、しつこいようで申しわけないのだけれども、それは、よくわかりますが、でもそれが一番多いというのは、やはり釈然としない。最後のページに原因食品というのが、推定を含むということで挙がっているわけでしょう。こういうのを、例えば1週間と区切ったときに、1週間以内、どこでこういうのを食べましたかというふうに尋ねて、いつ食べたというのが、複数あればどっちかわからないけれども、1つになれば特定できるわけですね。

 そういう状況の中で不明というのが、東京よりも神奈川よりも多いというのは、調べ方が大丈夫ですかというのをお尋ねしていますし、これ以上結構ですから、その辺は今後、少し御検討いただけたらと思います。

○山本部会長 発生地というか、食べたところなのか、発生して、そこで統計が上がってきているところなのかというと、どっちになるのですか。

松井輸出食品安全対策官  これに関しては、報告された場所、自治体でございます。

○山本部会長 報告された自治体だと、どこで食べたかが不明だというふうに上げてくるのか、その患者が。

○中村委員 県境越えて、このようなものを1週間以内にいっぱい食べましたと、そんなにいっぱいいるとは思えませんけれども。

○滝本監視安全課長 今後、我々も都道府県等から報告をもらったときに、この点について、しっかり書くようにしたいと思います。

○中村委員 よろしくお願いします。

○山本部会長 では、国内不明については、なるべくもう少し精査していただくということで、今後、対応していただきたいと思います。

 ほかにございますか。

 今村委員、どうぞ。

○今村委員 アニサキス症の数なのですけれども、今回、全国で88上がってきていますけれども、実際のアニサキスの数はこんなに少ないはずはないと思いますので、これは、結局、アニサキスの報告義務を知ったお医者さんの数に近いのではないかと思います。

 恐らく、大阪だけで見ても、こんなに少ないはずはなく、これの陰に物すごい数があって、もう少しアニサキス症が食中毒の対象になったということを医師会を通じて、お医者のほうに報告の義務があるということを周知してもらわないと、正確な数字にならないのではないかと思います。

 実際には、内視鏡をやっている先生が虫体を見たという数が上がってきてしかるべきなので、人口に比して本来分布するべきものだと思うので、それがこれだけ偏っているということは、周知が行き届いている県と、行き届いていない県という関係のように思えますので、今後、そういった面にも力を入れてもらえればと思います。

○山本部会長 事務局、いかがですか。

○事務局 食中毒事件票を公開した際には、医師会を通じても周知をさせていただいていますけれども、先ほど説明させていただいたように、周知ということについては、さらに徹底していく必要があるのではないかと思っておりますので、そのように努めてまいりたいと思います。

○山本部会長 よろしくお願いいたします。

 五十君委員、どうぞ。

○五十君委員 今、今村委員から指摘があったのですけれども、寄生虫は、今までその他の扱いで、それぞれの報告義務がなかったのが、報告義務が出てきています。おそらく年数を追って、特にアニサキスのデータだとふえていっているように見えているのですけれども、実際は検査によって明らかになって、今、ある程度検査体制が整うまでは見かけ上増えていくと思うのですけれども、その中で、サンマが割合から言うと、かなり高いのですね。今までの常識では、サンマはあまり生で食べなかった魚種だと思います。サバは、皆さんよく知っていてアニサキスという認識があると思うのですが、このサンマは報告されている中で1割くらい、最後の年に出てきてしまっているので、少し警告ではないのですけれども、サンマは本当に大丈夫か情報提供をしたほうがいいのではないかと思います。

○山本部会長 その辺のところは、今後、ホームページを通じてもそうですけれども、全国の課長会議等のときに、情報提供で周知していただくということにしたいと思います。よろしくお願いいたします。

 西渕委員、どうぞ。

○西渕委員 資料1でもよろしいですか。

○山本部会長 どうぞ。

○西渕委員 まれにナグビブリオによる食中毒の報告があるのですが、25年度の報告、28ページを見ますと、この年には3件の件数があって、合計の患者数が446という、かなり大規模な集団事例が3件起こったということでしょうかね、それについて、もし、わかれば、原因食品が同定されているのか、あるいは、もし原因菌が分離されているとすれば、何か共通の性質があるのかとか、もし、情報がありましたら教えていただきたいのですけれども。

○山本部会長 事務局、いかがでしょうか。ナグビブリオが3件報告されているということですが。

○西村食中毒被害情報管理室長 ナグビブリオにつきましては、1件大きな食中毒事例がございまして、患者数が396名という、これはニシガイを原因食材としているものがあったことで、人数が多くなっているのかと思います。

○山本部会長 そのほか、2件についても原因食品とかはわかりますか。

○西村食中毒被害情報管理室長 済みません、今はこの1件の分しか、ちょっと資料を持ってきていないので。

○西渕委員 その原因菌は分離されているのですかね、例えば、毒素の酸性性とか、特徴は、そこまではわからないのですか。

○西村食中毒被害情報管理室長 未開封の原因食品から分離されております。

○西渕委員 ありがとうございました。

○山本部会長 まだ御意見があるかと思いますけれども、時間が大分過ぎてまいりましたので、次の議題に移っていきたいと思います。

 次は、その他として、前回部会で話題に挙がりましたアクティブサーベイランスについて、国立医薬品食品衛生研究所安全情報部第二室長、窪田先生からお話をお願いします。15分程度でまとめていただければと思います。よろしくお願いします。

○窪田参考人 国立医薬品食品衛生研究所安全情報部の窪田と申します。よろしくお願いいたします。

PP

 本日は、アクティブサーベイランスの例といたしまして、厚生労働科学研究で2005年ごろから行っております、我々の研究班のサーベイランスについて御説明させていただきます。

 私と当部部長の春日で、当時、仙台検疫所長だった岩崎先生に宮城県の研究協力者を取りまとめていただきまして、まず、宮城県から始めまして、仙台市衛生研究所、宮城県医師会健康センター、塩釜市医師会検査センターからデータをいただきました。

 2年前より、民間の臨床検査機関3社様からも全国のデータをご提供いただけるようになりまして、それも組み合わせて解析しております。

 また、国立感染症研究所からも大腸菌O157の報告数等のデータをいただいております。

PP

 まず、目的といたしまして、科学的証拠に基づいた食品衛生行政における施策決定や評価に活用するため、食中毒のより正確な被害実態を長期にわたり継続して把握することを目的としております。

 その手法に関しましては、検査機関で宮城県及び全国について、多年度にわたる菌検出情報を収集し、また住民電話調査を行うことで下痢症患者の医療機関受診率及び検便実施率を推定しました。これらのアクティブサーベイランスデータを用いて確率分布を適用したモデルを構築し、モンテカルロシミュレーション法により被害実態の推定を行いました。

 具体的な細かいところは、これから説明させていただきます。

PP

 普通のサーベイランスは、まず、患者さんが発生して、その方が医療機関を受診する。そこで検便を実施することで、その検便から菌が検出される。そのうち、医療機関の医師もしくは保健所長等が食中毒として報告されたものが食中毒統計に食中毒として登録されるということになります。

 すなわち、下痢症患者で医療機関を受診しない人、我慢してしまって直してしまう方、もしくは医療機関を受診したのですけれども、検便を実施せずにお薬だけをもらって帰ってしまった方、もしくは菌は検出されたのですけれども、食中毒として報告すべきなのですが、医師がしなかったというケース等が、本来、患者としてある人数から抜け落ちてしまっている可能性があります。

 そこで、米国のフードネット等のアクティブサーベイランスにおきましては、菌検出情報から推定を始めまして、検査精度、感度等を掛け合わせ、それに、検便、検体数から医療機関受診率を推定し、最終的にその患者数がどれくらいいるかの推定を行います。

 それで、実際に医療機関をどれくらい患者さんが受診するかという率及び実際に医療機関に行ったときに、検便をどれくらいの率で実施するかという部分に関しましては、米国フードネット等でも電話調査による住民調査を行い、電話をランダムデジットで住民にかけて、過去4週間に下痢をしましたか、その際に医療機関を受診しましたか、しませんでしたか、というのを聞くことでここを推定しています

 またその際に、検便をとられましたかというのを聞くことで、検便実施率等を推定しています。

 フードネットでは、検査感度等も検査機関にアンケート調査等で推定しているのですけれども、我々は、菌がいれば100%出るということで、ここの調査はちょっとできていませんので、菌がいれば出るということで推定しております。

 それによって、本来、報告から抜け落ちているであろう散発事例等を含めた推定を行おうというのが目的です。

PP

 平成16年から18年、19年から21年の森川班及び22年から23年は岡部班、24年からは現在継続中であります砂川班で行っております。

 まず、初めに宮城県の臨床検査機関からのデータから菌検出情報をいただいて、電話調査を行ったものに医療機関受診率、検便実施率を掛けて、そのうち患者のうちの初期由来割合、これはデータがありませんので、アメリカで推定した米国のデータを利用して、どれぐらいが食品由来かというのを推定しております。

 それで、以前にインターネット調査を行いまして、下痢症発生率及び医療機関受診率、検便実施率を日本全国のインターネット調査と宮城県限定のインターネット調査を比較した際に、宮城県のほうが全体的に受診率及び検便実施率が高かったことから、人口比率で54倍なのですけれども、宮城県の推定を54倍することによって、日本全国ではどれぐらいだろうという推定を行いました。

 宮城県のほうが全体的に高かったので、純粋に人口比率で掛けても過剰推定(オーバーエスティメート)にはならない、本当はもっといるであろうということで、オーバーエスティメートにはならないということで、そのデータを利用しておりました。

 おととしから、全国を対象とした検査機関からデータをいただけるようになりましたので、それに関しまして、全国の電話調査を行った結果から、直接全国のデータを推定しております。

 それで、この2つのソースは、全く規模も場所も違うのですけれども、それらのデータを比較することで、それぞれのアクティブサーベイランスの特徴等も比較検討するようにいたしております。

 それと食中毒統計の報告数と、その動向の差を検討いたしております。

PP

 まず、宮城県データからの推定です。

PP

 前述しました宮城県医師会健康センター、塩釜市医師会検査センターからデータをいただきました。

 重要になりますのが、この検査センター2つがどれくらい地域の検便検査をカバーしているかですけれども、このデータはちょっとございませんで、この2センターの所長様、医師会の先生方に御意見をお伺いしたところ、50%よりちょっと上、52%ぐらいであろうとの推定でした。

 2機関合計で、年間検査数が約7,000件で、カバー率が52%と推定しました。

PP

 それで、実際にこのような感じで、これは平成23年単年度ですけれども、いただいたデータを集計いたしました。

PP

 それに組み合わせる電話調査のデータですけれども、宮城県で冬と夏と2回電話調査を2006年、2007年に行いまして、1万件ぐらい電話をかけて、2,000件ぐらい御協力いただけました。回答率が20%ぐらいになるのですけれども、過去4週間に下痢を起こした方は、大体3.3%、3.5%、そのうち医療機関を受診なさった方が38%、31%でした。それで、検便を実施した方が14%、8%ということで、この2つの夏と冬のデータを混ぜて平準化して、宮城県のデータで用いました。

PP

 ばらつきがありますので、確率分布入れてモデルを作成しました。電話調査データは人口年齢分布によって補正した後に使用しております。電話調査は、どうしても電話をとられる方とかがお年寄りが多いので、そちらに偏ってしまうため、我々の調査の中では、電話をかけた際に、その家にいる、次の誕生日の方に回答していただく等、ランダム化を何段階かに分けて行っております。

 それでも、実際の人口年齢分布と違うデータがとれてしまいますので、それを宮城県の人口年齢分布ととれたデータの人口年齢分布で補正するようにします。その結果、医療機関受診率が32%、検便実施率が10.9%となります。

PP

 これをそれぞれ腸炎ビブリオ、カンピロバクター、サルモネラ、3菌に関して推定を行っています。

 全体をモデルとして組んだ後に1万回試行し、さらにほかの部分も確率分布になっております。スタートの菌検出数にカバー率をかけて、県内全体ではこれぐらい検出するだろうと算出します。それで、推定被害者数という形で、最終的には、それぞれの菌で確率分布の形になるようになっています。

PP

2005年から2011年までのデータを示します。

 これは、宮城県の中の推定です。そのうちの食中毒として、どれくらいなのだろうということですが、アメリカの報告によると、カンピロバクターは8割が食品由来であろう、サルモネラは95%が食品由来であろう、腸炎ビブリオは65%が食品由来だろうということですので、そちらを利用して推定した結果が、これらの人数になります。

 その同じ年の食中毒統計で報告されている数を考えますと、散発事例等を含めると、かなり人数が多い可能性が考えられます。

 それから、人口比を利用して、全国の推定を行ったのが、次のスライドです。

PP

 単純に54倍しただけなのですけれども、全国の食中毒統計の数字と比較した際は、このような形になります。

PP

 次に、全国データからの被害実態推定です。3社から御提供いただいております。おととしから協力いただいているのですけれども、さかのぼってデータをいただけたので、2006年からの推定ができています。

A社2万3,000件、B14万件、C185,000件、それぞれカバー率を計算する際に、EHEC検出数、O157検出数を御提供いただきまして、全数報告であるこれらの菌の厚生労働省への報告数と比較することで、カバー率を推定しました。

 それぞれ1.2%、2.2%、12.1%であり、全体としては、大体15%カバーできていると考えております。

 各菌検出数に対して全国を対象とした電話調査を2009年に行った結果の、下痢症罹患率は3.7%、医療機関受診率は29.9%、検便実施率は8.7%を、同じように確率分布で当てはめます。

PP

33%と10.3%、宮城県のデータと余り変わらないのですけれども、大体これくらいの医療機関受診率と検便実施率であろうということになります。

PP

 全国データから同じように食品由来割合をカンピロバクターが8割、サルモネラは95%、腸炎ビブリオは65%というのを掛け合わせた数字がこれらになって、食中毒統計における数字と組み合わせると、このような形になります。

PP

 この宮城県のデータと全国のデータを比較したのが、次の表になります。

PP

 宮城県データから全国に54.5倍したものと、直接全国データから推定したもの、そして、食中毒統計との比較となります。

 これは、一見すると3倍だったり、5倍だったり、8倍だったりとか、かなり大きな差に見えるのですけれども、もとのデータサイズが全く異なるアクティブサーベイランスデータ、さらに不確定な要素である検便実施率や医療機関受診率等、確率分布でかなりばらつきが出るデータを掛け合わせた結果として、全く異なるデータからスタートした割には、オーダーが変わらない、すなわち10倍以上は変わらないデータが推定できているというのは、この手法としてはそんなに悪くない結果ではないかというふうに考えております。

 本来でしたら、宮城県だけではなくて、例えば、西日本のどこかで同じようなデータがいただけて比較できると非常に興味深いデータになるとは思うのですけれども、なかなかこれだけまとまったデータを御提供いただける県が見つかっていない状況です。

PP

 まとめのスライドになります。全体として食中毒統計の50倍から2,200倍の患者数が存在することが推定されています。

 また、報告患者数の年度前の変化も必ずしも一致していない、菌によってふえる年と減っている年が完全には一致していないときもある。それは、散発事例が多い、単発の大規模アウトブレイクが起きた年、起きていない年とかで、それらのデータ等に影響を受けているという可能性があります。

 ただ、誤解のないように申し上げたいのは、これは、あくまで菌検出情報からの推定でありまして、食中毒として確認された数字の推定ではありません。食中毒統計は、食中毒統計として今まで長年にわたり統計として活用されてきたデータですので、それの年度変化、増減の変化等を見るのに非常に重要だと思いますし、あくまで散発事例等の、捉えられていない部分を補完するためのアクティブサーベイランスシステムとお考えいただけると、非常に効果的だと思います。

 実際、アメリカのCDCでもフードネットだけで推定は出していますけれども、食中毒の、実際起きた場合には、アウトブレイクネット等の、実際の患者数のデータをフードネットと組み合わせることで推定等を行ったりもしていますし、あくまで単独で、それぞれ何かができるというサーベイランスシステムではありません。

PP

 海外との比較ということでは、海外では、散発事例も含めた行政政策等の評価等がかなり進んでおりまして、米国等、英国、オーストラリア等はそちらを使った増減の検討をよく行っております。

 それと照らしあわせて、日本ではどうなのだろうと考えた場合に、やはり10万人当たり、散発事例も含めてどれくらいいると考えるのかというのをよく聞かれるのですけれども、その場合に、食中毒統計の数字からで10万人当たりを出してしまうと、やはりそれぞれの国の食中毒の報告システムと異なりますので、一概に比較できません。ただ、このような散発事例も含めた推定方法でいきますと、スタートとしているのが菌検出情報でございますので、ざっくり比較する場合には、こちらのほうが近いデータになるのではないかということです。

 参考までに、10万人当たりのデータをご紹介します。カンピロバクターの場合、例えば全国データからですと、10万人当たりに、2,600とか4,000とか、宮城データからだと800とか1,200人、いると考えられるのですが、それを米国、英国、オーストラリアと比較すると、アクティブサーベイランスシステムも全部違うのですけれども、これぐらいの差であるということは、比較することが十分可能であると考えています。

 サルモネラに関しましても、そんなにオーダーが変わるわけではなく、増減等を見ていくことは可能であろうと考えます。

 腸炎ビブリオに関しては、海外では推定が行われていなかったため比較ができませんでした。

食中毒統計からのデータですと10万人当たり換算値からだと海外と比較しにくいけれども、こちらのデータだと比較が可能ということです。このような活用方法も考えられます。

PP

 今回のデータはアウトブレイク患者に加えて、食中毒として報告されることのない散発事例の患者を把握するデータです。多年度にわたり継続して、その増減を見ることで本格的に活用できるということです。単年度で何十倍と比較するのではなくて、全体の増減の傾向を見ることで活用できていくというふうに考えております。

 大規模アウトブレイクが起きた場合には、食中毒統計を初めとするデータは一気にそこの部分がふえて、次の年減るというような大幅な変化が起きてしまうのですけれども、散発事例も含めていると、それが多少なりとも緩和されて、全体像を把握可能となるかと思います。本当に大規模の場合には、もちろん影響を受けてしまうわけですが、多少なりとも、全体のもっと長いスパンでの動向が見やすくなると考えております。

 その傾向の把握をすることにより、行政施策等の立案もしくはその施行前後を比較することで、効果の評価等が可能となると考えております。

 さらに、これはあくまで基礎(ベーサル)なデータで、どれぐらい患者がいるのだという話なのですけれども、そこからさらに活用して、この後お話しいただく、砂川半の八幡先生のAttribution研究、どの疾患がどの菌に、どの食品にかかわっているのかという研究や、東京大学の渋谷先生が行っておりますDALY、すなわち疾患によってどれくらい経済活動等やとは患者自体にどれくらい影響があるか等の計算を行うために基礎となるデータと考えております。

 以上です。御清聴ありがとうございました。

○山本部会長 どうもありがとうございました。ただいまの窪田先生からの説明に関しまして、御質問、御意見がございましたら、お願いしたいと思いますけれども。

 実際の食中毒統計で出ている数よりは多く推計値としては上がってくるということで、隠れているものが見えてくるやり方ではないかと考えておりますが、小澤先生から前に御指摘がありましたような、裾野がどれぐらいというようなことを見るには、こういう形のやり方もあるのかなというところでございます。

○窪田参考人 1つだけ追加させていただいてもよろしいですか。

○山本部会長 はい。

○窪田参考人 今回の菌検出情報として、データとしていただいているデータは、あくまで下痢症患者から検便が来た場合、必ず検査をする菌種だけを対象としています。ノロウイルスの推定はできないのかとよく海外の方やほかの先生にも言われるのですが、確かに興味深いところではあるのですけれども、ノロウイルスは基本検査としてやりませんので、ノロウイルスがこれくらい検出されましたと言っても、この推定の方法はそのままでは使えないという部分がございます。

○山本部会長 では、もし、御質問があるようでしたら、また後でお受けすることにして、続きまして、国立感染症研究所感染症疫学センター第一室の八幡先生から腸管出血性大腸菌O157散発例のリスク及び発生動向について、お願いいたします。

15分程度で、よろしくお願いいたします。

○八幡参考人 国立感染症研究所感染症疫学センターの八幡と申します。よろしくお願いいたします。

PP

 私のほうからは腸管出血性大腸菌O157の散発事例に関するリスクの推定と、感染症発生動向調査におけるO157に関する発生動向についてお話をさせていただきたいと思います。

PP

 まず、最初は腸管出血性大腸菌O157の散発例のリスク推定ということでのお話になります。

PP

 こちらは散発例と言いまして、アウトブレイク、集団発生が起きた場合は、その原因というのはわかりやすいのでが、感染症で散発例で上がってくる腸管出血性大腸菌に関して、どのような原因があるのかというのは、なかなか調べることが、保健所単体では難しいというのが現状です。

 何が原因であるのか、肉なのか、それとも野菜なのか、それとも環境なのか、何かわからないということで、このプロジェクトを始めました。

PP

 目的は、国内における腸管出血性大腸菌O157に関する散発例の原因について検討するということが1つです。

 もう一つは、どれぐらいの割合で患者が発生するものなのかという指標なのです。その指標として、人口寄与危険割合というPopulation Attributable RiskPAR%があります。詳細は後ほど申し上げますけれども、そちらの算出をいたしました。

PP

 対象と方法はデザインとしまして、マッチングをした症例対照研究といったものを使っております。

 その対象は8自治体ということで、東京都の多摩地区、それから県が幾つか、それから市が幾つかといったような分布になっております。

 症例に関しまして、腸管出血性大腸菌として、届けられた消化器症状がある患者で、そのうち1つ以上の症状を呈した方々で、かつ腸管出血性大腸菌O157が検出された人ということであることと、もう一つ条件があり、散発例のみとしました。集団発生を含んでしまいますと、そちらのほうの影響を受けてしまうという部分がありますので、その部分をなくしたということで対応しております。

 続きまして、対照群ということで比較の対象ですが、症例と同じ地域の方々で、郵便番号上3桁を用いました。7桁全て使ってしまいますと、個人のそのままの状況になってしまうのと、対象としてとりにくくなってしまうということで上3桁に絞りました。

 あと、性別、年齢といったようなものをマッチングの変数としました。年齢階級はアメリカのCDCで使っているものと同じ年齢階級を使用しておりますので、ちょっとふだん使っている5歳区切りといったようなものとは違っております。

 症例と対照の比率は1対5でとるようにサンプリングいたしました。

 あと、対照群を調査していく期間ですが、症状を呈していない人たちだけに絞り込みました。対照の中には下痢とか、腸管症状を示すような人が入っていましたので、その人たちは取り除いております。

 調査方法は、症例を保健所の職員による聞き取り調査、対照群は、インターネットを使った調査を利用しました。

 統計解析は、条件つきロジスティック回帰分析を利用しました。

PP

 続きまして、結果は、2010年、2012年、2013年ということで3年間分を示させていただいております。

 まず、生または半生ということで、牛肉、牛ひき肉、牛レバーといったようなものを挙げさせていただいておりますけれども、2010年の対策をとる前の段階でのオッズ比を見ると、生の牛肉、生の牛レバーといったようなもののオッズ比が13.25とか、28.20ということで、非常に高く、かつ有意である、ゼロをまたいでいないということで有意した。

2012年の前は、生肉の規格基準、牛生レバーの禁止といった対策がありました。

 その対策後、調査の結果は、オッズ比が計算できた項目は、牛肉、牛ひき肉で、それぞれ有意ではなく、生レバーは、計算ができませんでした。結局、食べている人が症例にも対照にもいませんでした。

 それから、2010年にはとっていなかったのですけれども、牛の生のユッケといったようなものがあるのですけれども、そちらのほうもこの年には食べている方が、症例も対照もいらっしゃいませんでした。

 続きまして2013年、今年度の調査なのですけれども、牛の生肉に関しましてオッズ比が12.57ということで、食べられている方がいらっしゃるというようなこと。それから、牛生レバーに関しても食べられている方が出てきているといったようなことか見られるということ。

 牛肉に関しては、生または半生の方は、リスクとして有意になっていました。

 あと、十分加熱した肉類についても見てみたところ、2010年に関しては、有意なものがありませんでしたが、2012年に関しては、牛肉の加熱したもの、それから、牛内臓肉に関しても有意な関連がありました。2013年も同様に、牛肉、内臓肉といったようなものが有意な関連がありました。

PP

 これらを先ほどの指標、人口寄与危険割合を出して、どれぐらい患者さんに寄与している食べ物であるのかというのを計算いたしました。

 規制前の段階は、生から半生の牛肉が16.9%、患者さんの大体17%弱を占めていた。

 それから、牛生レバーに関しては3割ぐらいの患者を占めていたということで、これら2つを合わせますと、大体半分ぐらいがO157の原因だったといったようなことが推定されました。

 その一方で、2012年の調査は、調査前に、生肉の規格基準、それから、生レバーの禁止といったようなものがありました。これらの対策後は、どちらも患者さんとして届けられるのに割合がなくなってしまうというようなことで計算ができない状況になりました。

 一方、今年度の調査の結果を見てみますと、生か半生の牛肉に関しましては、9.5%ということで、やはり少し上がりました。

 生レバーに関しては、有意ではなかったので、計算するところまで至らなかったといったような状況になりました。

 ちなみに、ユッケに関しても計算をこの2年間は行いましたが、有意な関連はなかったので、この人口寄与危険率を計算することができませんでした。

 続きまして、1つの結果だけでは十分ではないかもしれないということで、感染症発生動向調査の中での調査結果ともあわせて検討してみたいと思います。

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 感染症発生動向調査のことを、我々はNESIDと言っています。このNESIDのデータを用いまして、病原体情報、患者情報などの情報からなのですけれども、10例以上の患者が報告されている場合を集団発生と定義づけて、この10例以上の場合は除いたものをデータとして利用させていただきました。

 それから、感染源・感染経路の検討方法ということで、この感染症発生動向調査の中に、届け出の中に、キーワードがフリーワードで入っているものがあるのですけれども、その中を3つの区分で分類いたしました。

 生肉、生レバーの喫食ありといったようなことが書かれているもの。それから、焼き肉関係のものが書かれてあるもの。それから、それ以外というようなカテゴリーに分類しました。

 ただし、食べていないといったような否定する語が入っている場合には、この1、2には該当せずに、その他のところに分類しました。

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 調査の分析は、データベースからデータをとってきて、そこから疫学情報として、届け出のあった症例の症状、発病日、感染経路といったようなものが書かれているものを取り出します。それで、そのデータセットをつくります。

 それから、疾病共通備考といったようなフリーワードで入っている部分があるので、こちらに関しては、まず、抽出をして、言語解析をして、それぞれのキーワードに振り分けていくような作業をしました。その作業を先ほど申し上げました3つのカテゴリーに分けてグループ化をしました。このデータを突け合わせして、グラフを作成していくというような作業をとりました。

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 こちらが暫定値ですが、2007年から2013年までの腸管出血性大腸菌の報告数になっております。

2007年がトータルで4,617件でしたが、徐々に減少傾向にあるように見えます。

 実は、昨年なのですけれども、2012年よりも若干ふえています。ここの部分は年末でけれども、ある2つの自治体のほうで保育所絡みの集団発生がありました。そのため少し数が増えてしまっていて、これがなければ、前年よりも若干ですが、少ない値でした。

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 こちは、先ほどのグラフで全ての届出数が含まれていましたが、こちらのグラフは、有症状者のみで、集団発生も取り除いております。集団発生の影響がありますと、有症状者以外にも無症状病原体保有者なども入ってきますので、症状がない方々も報告数としてカウントされることになりますので、比較が難しくなります。症状がある方で集団発生ではない方々で見ると、実は減少傾向が見られました。

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 こちらは年齢階級別にしたグラフです。0から4歳を除きまして、全ての年齢階級で過去と比べると減少しておりますが、ここの0歳から4歳のところだけが、過去2年と比べまして増加しているところが、この年の特徴です。

 この年、昨年ですが、散発例が非常に多く、大きな集団発生がありませんでしたが、散発例が多いことによる患者の増加が理由として考えられます。

 もう一つの特徴は集団発生が1つありました。そちらは、保育施設の中での集団発生がありました。それによる増加が、1つここのあたりにも考えられるのかもしれませんが、ここの人たちは、10例以上の集団発生を除いているというようなことで、もしかすると、10例未満の発生がノイズとして入ってきているかもしれないことが少し考えられます。

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 こちらは、O157に絞ったグラフになります。O157は、2007年に214件でしたが、対策をした年のあたりから、半分に減り、さらに生レバーの禁止の年に、2007年から比ると、4分の1程度に減少し、2013年も暫定ですが、若干少ない値で推移しました。

 ここで特徴的なものは、生レバーの禁止の前のところで駆け込み需要がみられ、このスパイクが出ているというのが1つ、特徴になります。

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 年齢階級別に見ると、各年齢でほぼ前年度よりも減少しておりますが、25から29歳のところが増加しているような動きがあります。もう一つは、やはりリスクの高い0歳から4歳のところのあたりとか、5歳から9歳が、なかなか減っていないというところがあります。

 こちらは生肉または生レバーを食べているというような記載があるということで、子供に生肉または生レバーを食べさせていることが、かなり懸念事項であるということが1つ考えられます。

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 まとめになります。リスクの検討は、生肉の規格基準、生レバーの禁止の後で、リスクは一旦なくなりましたが、やはり食べる人がいるとことで、リスクが再び算出される状況になっております。

 生レバーは、有意なリスクではなかったですが、今後、生肉を食べるような方々もいますので、やはりO157に感染リスクが高いといったようなことに関する知識とか認識の普及が必要ではないかということが考えられます。

 腸管出血性大腸菌O157の発生動向は、報告数が減少しているということで、いい状態にある、対策の効果が得られているといったようなことが考えられました。

 集団発生を除いた場合では、減少していますが、懸念材料は、0-4歳のところが、過去と比べて多いというところがあります。

 それ以外のところは減少しているといったようなことで、ある程度成果があるということが考えられました。

 生レバーと生の肉といったようなあたりの対策は、減少に効果があったと考えられ、リスクの検討と感染症発生動向調査で見ていきますと、効果が得られているという部分があります。一方で食べる人がいるといったようなところでの今後の対策が必要ではないかということが考えられました。

 以上で終わります。

○山本部会長 ありがとうございました。ただいまの八幡先生からの説明に関して、御質問、御意見がございましたらお願いいたしたいと思いますが、いかがでしょうか。

 中村先生、どうぞ。

○中村委員 2つ教えていただきたいのですけれども、前段のリスク推定なのですけれども、1つは、ケースとコントロールで、調査方法が違いますね。それから、コントロールはインターネットで、これは恐らく何らかの形で登録していた人から選んだ、そういう意味で、選択バイアスあるいは情報バイアスが起こっていると思うのですけれども、そこのところをどう評価されていますか。

○八幡参考人 選択バイアス、情報バイアスというのはかかっている可能性があると考えておるのですけれども、実はプレテストをした段階で電話調査とインターネット調査の両面をやりました。電話調査は5%の回答率で、インターネット調査が30%の回答率ということで、どちらがいいかということで考えますと、回答率の面で考えると、インターネット調査のほうが勝っているということで、選択バイアスなり何なりバイアスがかかる可能性というのはあるのですけれども、回答の面で考えた場合のほうが、優先的に考えてということで今回はインターネットを利用したということです。

○中村委員 その次のページに示されたオッズ比というのが、それこそセレクションバイアス、インフォメーションバイアスで、これくらい出ても不思議ではないという気もしていますけれども、これ以上、この点について申し上げてもしようがないと思うので、私自身はそう思っています。

 もう一つケースコントロールスタディーで、Population Attributable Risk%はどうやって出すのですか。

○八幡参考人 オッズ比を計算しまして、オッズ比が分母にあって、あと症例の中の食べた人の曝露された人の割合にオッズ比引く1というのを出したものというのをEIDに載っているものを利用して計算しています。

○中村委員 それは、ケースの曝曝露の割合がかかってきていて、一般の曝露の割合ではないですね。

○八幡参考人 変形式は余り詳しくないのであれですけれども、その式が示されていたのがEIDに示されていて、それで、この式を使うというようなことで、実は、私自身も著者のほうにもう少しそこのロジックがわからないのでということで質問をしたことがあるのですけれども、返事がメールだったので返ってこなかったのですけれども、ですので余り細かいところはわからないですけれども、リファレンスとして利用させていただいているということです。

○中村委員 わかりました。ありがとうございます。

○山本部会長 ほかにありますか。

 今村委員、どうぞ。

○今村委員 私も2点あって、1点は、今のまさにセレクションバイアスがかかっているかどうかの確認を、対照群をここ3年しておられるので、この対照群同士を比較して、差があったかどうかを見ていただけると、対照群が年によってばらついていたかどうかというのがわかるかなと思うので、それはまたぜひ、もし確認できたらお願いしたいと思います。

○八幡参考人 ありがとうございます。

○今村委員 もう一つは、資料3で御説明いただいた中で、全国推計のカンピロバクターの推計患者数が400万人でものすごく多いというのが実感としてあって、データを読んでいて、幾つか疑問に思うところがあって、カンピロバクターの、例えば2011年の人口10万単位の患者推計数で見ると、宮城県の人口10万単位の患者推計数は900人で、全国の方は3,400人になっているので、人口10万単位の患者推計数が宮城県と全国で差が出るなと思ったのですけれども、この差は、どういうことでしょうか。資料番号が書いていないのですが、全国データからの被害実態報告数にあるカンピロバクターの2011年の数は3,411名で340万人がいると。

○窪田参考人 純粋に推定した人数を10万人で全国の人口で割っただけです。もともとの推定結果が違いますので。そういうことではなくてでしょうか。

○今村委員 すると、宮城県では人口10万単位で900で、全国では3,400だという結果になりますね。宮城県の数表の人口10万単位の2011年のカンピロバクターの数と全国の数表のカンピロバクターの人口10万単位の数で見ると、4倍ぐらい差が出るので、人口構成で考えてもしんどいから、こんなに差が出るのは何ででしょうか。

○窪田参考人 もともとの推定しているデータサイズ、宮城県は宮城県なのですけれども、そのもともとのデータの規模ですね、検査機関の、その差によってばらつきがかなり変わってきますので、その影響が大きいのではないと思います。それで、2倍、3倍ぐらいの差は、この手法だと出てしまうのではないかと思うので、その影響が一番大きく出ているのではないかと考えています。

○今村委員 では、全国で2種類出して400万人ぐらいと両方とも出ていますけれども、この宮城県のデータから逆算すると、100万人ぐらいということもあり得るということ。

○窪田参考人 そうですね、そのくらいのざっくりしたデータになってしまうというのは、仕方がないところだと思います。なので、多年度にわたって同じような取り方をして増減を見るというのが一番正確な見方ができるのではないかと思っています。

○今村委員 400万人になると30人に1人はカンピロバクターの食中毒になっているという意味になるので、大分意味合いが変わるかなと、100万人ぐらいだったら100人に1人ぐらいなので、何となく感覚的には合うのですけれども、ちょっとそういう感覚と数字が、2つにきれいに分かれていたので。

○窪田参考人 なるほど、ありがとうございます。検討項目とさせていただきます。

○山本部会長 ありがとうございました。これは、症状も加味していますものね。有症状者を推計。

○窪田参考人 あくまで菌検出数をベースとしていますので、あくまで検便をした人です。

○山本部会長 不顕性感染を含む400万人ということ。

○窪田参考人 推定結果はそうです。ありがとうございます。

○山本部会長 ほかにございませんか。

 寺嶋委員、どうぞ。

○寺嶋委員 八幡先生にお伺いしたいのですけれども、2番目のほうのお話についてです。年齢群・診断年別の腸管出血性大腸菌O157の報告数で、先ほど2013年の0歳から4歳のところが少し上がっているのに関して、これは集団発生を除いているけれども、10名以下の集団発生がかなり入っているために13年については上がっているのではないでしょうかというお話でした。これは、ほかの年についても同じようなことなのですか。それとも、実際に2013年だけは、そういう数名程度のO157のアウトブレイクが多かったということなのですか。

○八幡参考人 2012年から前と2013年を比べますと、10名以上でまず比べた場合なのですけれども、非常に多くて何倍かちょっと忘れましたけれども、過去よりもかなり多い割合でいたということが確認できております。10名未満に関しましては、数えておりませんでしたので、比較が今のところできないのですけれども、その部分もあって、先ほど10名未満のところが、アウトブレイクが入り込んでしまっていて上がっている可能性もあるのではないかと考えております。

○寺嶋委員 そうすると、別に2013年だけに数名程度のアウトブレイクが多かったというわけではないと。

○八幡参考人 2013年、そこまで確認はできていないのですけれども、ただ、散発例で上がってくる報告が非常に多かったというのがあって、それを住所とか、フリーワードで書かれている内容とか全てをあわせて、それを確認する作業というのが非常に手間取るので、実はそこができていないというのが現状でして、それをすると、もう少しクリアーにわかるとは思うのですけれども、そこをするには、多分もう何カ月か時間が必要だと思います。

○寺嶋委員 わかりました。どうもありがとうございました。

○山本部会長 ほかにございますか。

 五十君委員、どうぞ。

○五十君委員 八幡先生にお聞きしたいのですけれども、牛肉の喫食暫定値という表があったと思うのですけれども、ちょっと私、フォローアップできなかった部分なのですが、95%信頼区間が、1をまたいでいると、有意だと見ればよろしいのですか。

○八幡参考人 逆で、例えば、ここの1.64というのは、0.39から9.63なので1をまたいでいるので、有意ではない。

○五十君委員 有意ではないとすると、十分加熱した内臓牛肉は、規制後は非常に有意に出てきてしまっているという、そういう読み方をすればよろしいのですか。

○八幡参考人 はい、数字を見る限りでは、4.44とか4.92というのは、そのように読んでいただけたらと思うのですけれども、あと、先ほど数人の委員の先生方から指摘がありました、バイアスかかっているのではないかというチェックをもう一回してから見たほうがいいと思います。

○五十君委員 なるほど、そのバイアスで吸収される可能性はあると。もし、そのバイアスがなかった場合は、何らかの意味がある可能性もあるということですか。

○八幡参考人 はい。例えば、よく焼いて食べなかったとか、あと、クロスコンタミネーションがあったとかといったような可能性はあるのではないかということは考えております。

○五十君委員 規制前と随分様子が変わっているものですから、ちょっと不思議だなと思って見させていただきました。どうもありがとうございます。

○山本部会長 そこの表でもう一点だけ、13年に生レバーでオッズ比が出てきているのですけれども、これを食べている人は、飲食店で食べているわけではないですね。

○八幡参考人 そこまでは聞けなくて、一応、症例で3人食べていて、対照で1人食べているというデータにはなっています。

○山本部会長 もしわかれば、よろしくお願いします。飲食店だと大変ですので。

 ちょっと予定の時間を過ぎてしまっているのですけれども、この辺でこの話はよろしいでしょうか、済みません。

 それでは、両先生、どうもありがとうございました。

 続きまして、農薬マラチオンを検出した冷凍食品への対応についてですが、委員の先生、大変申しわけありません、ちょっと時間が延びておりますけれども、事務局から説明をよろしくお願いします。

○西村食中毒被害情報管理室長 「農薬(マラチオン)を検出した冷凍食品への対応について」の御説明を申し上げます。

 資料5をお願いいたします。

 事業者の当初の報道発表といたしまして、20131229日、17時からマルハニチロホールディングス及びその関連会社であるアクリフーズから、その記載されている2点についての報道発表がございました。

 これまでの対応といたしまして、マルハニチロホールディングスでは自主回収を発表、それとともに厚生労働省としましては、群馬県に対して原因究明、必要な調査を行うよう指示をしております。

 また、1230日の夜には、厚生労働省からアクリフーズに対しまして、マラチオンの毒性について過剰評価をしているため、急性参照用量を毒性評価の指標とするように事業者に指導しております。

 次のページに行っていただきまして、1月7日から厚生労働省として自治体が公表している事例について、取りまとめて情報提供を行っております。

 また、1月14日と3月14日の日、消費者安全情報総括官会議が開催されておりまして、厚生労働省から対応の状況について説明を申し上げております。

 先ほど1月7日から始めました公表資料につきまして、2月28日までで相談件数として2,385件、有症者数として2,879名、検査した件数998検体、うちマラチオン検出したものがゼロという結果が出ております。

 今後の対応といたしまして、厚生労働省では、事業者が設置した第三者委員会の検証結果を踏まえ、消費者から健康被害等の相談情報にかかる事業者から保健所への届け出、相談のあり方について、必要な対応等の検討を行うこととしております。

 また、具体的には、各自治体が条例で衛生基準を定めている管理運営基準につきまして、平成20年の中国産ギョウザ事件を受けて改正を行った際には、医師の診断を受け、健康被害の情報や食品衛生法違反について、保健所に報告するよう指示するよう指示するよう示しております。

 また、運用上の注意において、苦情事例の抽出、解析する仕組みの構築や、複数の同様事案があった場合の保健所への相談の指導を挙げております。

 これらの点につきまして、最終値やガイドラインに盛り込む等、必要な対応について第三者委員会の検証結果や、都道府県との意見を踏まえて検討を行うこととしております。

 以上です。

○山本部会長 ありがとうございました。それでは、ただいまの御説明に対しまして、御質問、御意見等ございましたら伺いたいと思います。いかがでしょうか。

 今村委員、どうぞ。

○今村委員 何回も済みません、この件の経緯で、ちょっと教えてもらいたいことがあって、農薬が検出された事例で、明らかに毒物が入っていそうなものに対して、群馬県は回収命令を結果的には出さなかったのでしょうかね。出していないように私には見えるので、これだけはっきり毒物が混入していると、普通回収命令を出すような気がするのですけれども、これは、出なかった理由か何かがあるのでしょうか。

○滝本監視安全課長 群馬県は結論から言うと、回収命令はかけておりません。と申しますのは、この件、アクリフーズによる記者発表があって、1229日、我々のほうもアクリフーズを呼びまして、まずは、消費者の手に、そういった疑いのあるものが手に触れないように、すぐ回収にかかってくれということで要望いたしまして、それで、1231日の日に、既に店頭からは撤去されたという報告がございました。

 残っているのは、バックヤードに残っているものを順次工場のほうに返すという作業でしたので、比較的スムーズに自主回収が行われたと。

 それから、アクリフーズが製造した全ての冷凍食品について回収をするというような、非常に幅の広い回収の対応が行われたということで、重ねて行政の側から命令ということには至らなかったというふうに聞いております。

 それから、やはり行政がかけるには、しっかりとした検査結果、県の機関あるいはそれに準ずるところでの検査結果も必要かなと思っておりますけれども、そういった意味からも既に自主回収がスムーズに行われて結果が出ているということから重ねてかけなかったというふうに我々は承知をしております。

○山本部会長 よろしいですか。

○今村委員 現実的な対応としてはわかるのですけれども、自分自身のいろんな経験から、例えば薬害エイズと全くよく似た構造があって、マルハニチロはまじめな会社だから、言っていることはそのとおりだと思うのですけれども、言っていることが、実は違いましたといったときに回収命令を出さなかったことで、刑事事件に発展していると思うのですね。だから、どこまで信用して命令をかける、かけないというのは、ちょっと現実問題の対応と行政上の対応というのは、少し差があるのではないかと思うので、これだけ明らかに毒が入っているならば、もうちょっと踏み込んでもよかったかなと思うところがあります。

 これは、意見です。

○山本部会長 ありがとうございました。ほかにございますか。

 今回のマルハニチロというか、アクリフーズでの記者発表以降の対応ということですので、今後、第三者検討委員会とかの報告も待って、その後の、我々での議論で行政への提言がどういうふうにできるかというようなことを議論していければと思っておりますので、そのときには、よろしくお願いいたします。

 ほかにございませんか。

 それでは、大分時間が延びてしまって申しわけありませんでした。

 事務局、ほかにございますでしょうか。

○事務局 特にございません。

○山本部会長 ありがとうございました。

 それでは、本日の食中毒部会は、これで終了いたします。

 遅くまで、どうもありがとうございました。


(了)

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