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2014年2月4日 薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会食中毒部会 議事録

医薬食品局食品安全部監視安全課

○日時

平成26年2月4日(火)
18:30~20:30


○場所

中央合同庁舎5号館(厚生労働省)
6階 専用第23会議室


○議事

○山本部会長 それでは、定刻になりましたので「薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会食中毒部会」を開催します。

 本日は、夜の会議となりまして申し訳ありませんでした。また、お足元の悪い中お集まりいただきましてありがとうございます。

 本日は、今村委員、賀来委員、工藤委員、寺嶋委員が所用のため御欠席です。また、五十君委員、砂川委員、渡邉委員が少しおくれていらっしゃるようです。

 さらに参考人として、浜松市保健所生活衛生課の寺田課長に御出席いただいております。よろしくお願いいたします。

 それでは、議事に入る前に、事務局から配布資料の確認をお願いします。

○事務局 配布資料の確認をさせていただきます。

 まず、お手元に議事次第。これは裏に委員名簿。それからもう一枚、配布資料一覧が載せてございます。2枚をとじたものがございますが、その配布資料の一覧を見ていただければと思います。

 資料1 浜松市内で発生した大規模食中毒事例について

 資料2 ノロウイルス食中毒発生状況

 資料3-1 ノロウイルス食中毒予防の衛生管理の概要

 資料3-2 ノロウイルス食中毒の発生防止対策について(案)

ということで、資料はこの4点となっております。

 また、参考資料は1から11のとおりとなってございます。

 資料の不足等はございませんでしょうか。

 それでは、報道の方の頭撮りはここまでとさせていただきます。よろしくお願いします。

(報道関係者退室)

○山本部会長 どうもありがとうございました。

 資料は皆さん大丈夫ですか。

 それでは、議事に入りたいと思います。

 本日は、浜松市におけるノロウイルス食中毒事件の調査報告。

 2番目として、今シーズンにおけるノロウイルス食中毒の発生状況。

 3番目、ノロウイルス食中毒の発生防止対策にについて御審議いただきます。

 それでは、浜松市におけるノロウイルス食中毒事件の調査報告について、まず事務局から、それから、浜松町保健所の寺田課長さんから御説明をお願いします。

 では、事務局、よろしく。

○西村食中毒被害情報管理室長 食中毒被害情報管理室の西村でございます。よろしくお願いいたします。

 資料1にございます「浜松市内で発生した大規模食中毒事例について」でございますが、この資料は浜松市のほうで作成していただいたものでございます。後ほど寺田課長のほうから詳細を説明していただこうと思っております。

 皆様、御存じとは思いますけれども、本年1月16日に浜松市におきまして、学校給食の食パンを原因食品とするノロウイルス食中毒が発生し、複数の学校で学校閉鎖等が行われました。概要につきましては、浜松市の立入検査等によりまして、共通食材であるパンが原因食材であるということで、食中毒と断定されております。その後に女子従業員、またパンからもノロウイルスが検出した事例でございます。

 詳細につきましては、浜松市生活衛生課長の寺田課長より御説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

○寺田参考人 浜松市の寺田と申します。よろしくお願いします。

 では、資料のほう、概要等を説明させていただきます。

 「浜松市内で発生した大規模食中毒事例について」1番目、食中毒発生の概要でございます。

 発生年月日は平成26年1月15日(水)、場所は浜松市内といったことで「摂取者」及び「患者数」につきましては、現在調査中でございます。

 「摂取者」ですが、パンを喫食した生徒及び先生ということで、おおむね8,000人から9,000人になるのかなというような形で今、調査票のほうを集計、集めているところでございます。

○山本部会長 800から1,000ですかね。

○寺田参考人 喫食は8,000から9,000です。

 死者のほうはゼロということです。

 原因の食品、1月13日(月)に製造された食パン。

 病因物質、ノロウイルスのG2でございます。

 発生の探知、事件の経緯ということです。

 探知は、26年1月16日、8時40分、事務所が開所した早々の時間でございまして、ここにありますように、A学校の校医から、校長から連絡があったよといったことで私どものほうに連絡が入りました。きのうの午後から急に体調不良を訴える児童がふえて、きょうになっても多数の児童が休んでいるという校長からの連絡で、時期的にインフルエンザも考えられるがどうも症状からそうではないといったことで、学校給食の食中毒の可能性を疑うという連絡がありました。このドクターは、過去にも幾度か食中毒の報告といったことで我々のほうに届け出等されて、そこら辺の見識の高いドクターであったといったことがあると思います。

 その後、同時期に教育委員会からも同じような症状を呈している患者、小学校がたくさんあるというような情報が入って、我々は食中毒事件の疑いということで調査を開始しました。

 3番目の経緯というところを簡単に説明します。

16日の午前、探知ということです。このときは、教育委員会から17校が多数休んでいる、欠席率で20%前後というようなことをいただきました。多数に及びましたので、まず発症率の高いところ3校、午前中に立入調査。同様に高いところの3校、午後に3小学校に立ち入りの調査をしたといったことです。

 これにつきましては、浜松市の東南部にある程度限局しているということが立地からわかりました。その中でこの3校、計6校ですが、かなり離れたところをチェックしようというようなことで始めた、そんな経過がございます。

 そこら辺を調べる中で、市内のつくった食品につきましてはこのパンが市内では唯一だといったところで、その日の午後、夕方ですが食パンの製造工場に立入調査といったものをやりました。これにつきましては、製造業者のほうがある程度情報を探知していたといったことで、保健所のほうに相談というような形で1回みえています。そこら辺の情報が入ったといったところで、立ち入りもスムーズにいったというような形もあります。

 その後いろいろ調査をしたのですが、やはり規模が大きいといったところで、抽出した6校の中からおおむね5名から10名ぐらい、症状のある程度激しい先生、生徒を抽出していただきたいといったところで、まず概要を知るためにこういった抽出をするような体制をとって、データをそろえたといったことでございます。

 この時点で、病院のほうでスワブのほうを20検体ぐらい先生にお願いしましてとりまして、その日の夜、ノロウイルスG2といったものが検出された経緯でございます。

 続きまして17日です。ここに書いてありますような患者調査、施設調査を行いまして、後ほど詳しく説明しますが、その夜、営業禁止命令といったことです。

 疫学的な調査、それとノロウイルスのG2検出ということです。食パンについてはかなり限定した範囲の中で症状が出ていましたので、疫学的にはかなり絞りやすい症例でございました。それもまた後ほど説明します。

18日の午前、夜間ということですが、この時点から検査のほうが進みまして、パンの従事者からノロウイルスG2が検出。これは3検体でございました。

20日の午前には、パンから同様にノロウイルスG2が検出。これは2検体でございました。

21日の午後には、食パンをつくっている作業員の作業服、最初の監視のときにかなり黒く汚れているというような情報がありましたので、一応残っているものを集めて検査にかけようということでいただいたものです。そのうち1枚からノロウイルスG2も出たというような状況でございます。

 その後、最終的な立入検査を実施し、再発防止策がとられたといったところで24日の午後、営業禁止命令の解除といったことを実施いたしました。この時点で遺伝子型がようやく判明しまして、G/4ということがわかりました。

 患者と死者の状況でございます。原因施設が製造した食パンが提供された全24施設。最初は18施設が食パンを食べたということがわかったのですが、食パンのほかにくるみパンとかそういったものを食べていました。くるみパンについてはやはりアレルギーということで、それを食べられない生徒の代用として食パンを配ったということで、枚数的に本当に1枚とか2枚のものなのですが、一応そういった学校を含めると全部で24になるといったことでございます。

 症例の定義としましては、当初は非常に慌ただしい中でございましたので、病院経由の患者検体からウイルスが検出されたため、これを根拠にしまして、発症から1日から2日前の給食を喫食し、体調の異常を訴えた患者。これを患者と一応定めました。

 原因確定後、1月14日の給食で原因施設がつくった食パンを喫食し、その後体調を崩したと訴えた者を患者と定めたといったところで、今のところそんな形でございます。

 今後は、解析が進んできたところでまた定義等を確定する予定でございます。

 「4 原因食品及びその汚染経路」といったことでございます。

 患者の多くが1月15日の午後から16日、ここら辺がピークでございまして、11日から13日は休校ということがありましたので、1415日の給食が原因と疑われたといったところです。

 ちなみに、ここの浜松の学校の給食の製造スタイルは全部自校式ということで、そこで全て調理をし、生徒に配って食べていただいている。そんな方式でございました。

 学校給食で提供されたメニューについて、いろいろ加熱状況等確認した中で大きな問題は見られないといったことがございます。あと食パンの経路等を調べる中、ほかに非加熱のものはどのようなものがあるかということで、牛乳とかここに書いてあるようなもの、そこら辺を中心に調べたといったことでございます。

 その調査結果をまとめたものが1から7までという形であります。

 1です。食パンについては、体調不良者が発生している学校全てに同一の業者が製造したものである。

 2としまして、このパンを喫食した学校のほとんどが高い欠席割合。ここにある6%でございました。

 3は、ここでつくられた菓子パン、多数つくっているのですが、体調不良者は発生していないと。工場のほうは2つのラインがございまして、ここら辺が1つ分類されていたと、従事者も分かれていたというようなことでございました。

 4は、別の小学校で1クラスだけ食パン。ほかのクラスは御飯とか、そういった選択できるようなメニュー。それが1学校ございまして、ここにありますようにそのクラスだけ欠席率が31%と突出したというようなことも、パンを原因とするといったところが確認されたと考えております。

 牛乳、下の黒豆きなこクリーム。これはパンに塗るものですが、ここら辺、つくられた品数等を確認する中で、牛乳についてはほかの学校でも飲んでいる生徒がたくさんいます。でも発症者はいないというような、そこら辺を調べる中で否定的な結果につながっていったと。果物についても複数箇所から仕入れがあるといったところで、一元的な原因ではないだろうということでございます。

 以上のことから、本件の原因食品は1月14日(火)に提供された食パンと断定したわけでございます。これは1月13日(月)に製造されたものでございました。

 2番目の汚染経路等でございます。計量、1から焼成までは一般的なパンのつくり方でございます。その後、放冷をし、カットし、検品する。それで箱詰め等という形になります。それはここに書いてあるとおりでございます。

 その後は配送という形になります。配送過程もある程度調べたわけでございますが、一応8ルートぐらい車別に配送しておりまして、8ルート全てが学校が入っていたといったところで、配送上の汚染というものはないだろうと。ちなみに、番重の中にパンを入れるのですが、そのときに使い捨てのようなビニールでくるんだような形。そして、ふたをして配送車へ載せるといったところで、汚染の機会は非常に少なかろうと考えた次第でございます。

 食パンを焼成する温度は200度の50分といったところで、この以前に汚染があったとしても失活しているだろうといったことで、それ以降の工程についてかなり密に調べることにいたしたわけでございます。

 調査の内容をその下から書いてあります。かなり衛生意識の高い施設でございまして、帽子、マスク、作業着。こういったものは一応しっかりとした中で作業をしておりました。

 焼成以降の工程は、従業員は23名ということで判明しております。先ほど言いましたように、放冷は1時間ほどすると。その後スライサーにかけて、自動的といいますかパンの重みで切れていくというような形です。

 そして、スライス終了後、食パンを1枚1枚手にとって、異物ですね。少し前、やはりコバエが入ったといった苦情で、ここら辺、異物確認を厳重にしようといったことでこの会社みずからがやった、そんなことがわかってきております。

 その日、非常にたくさんつくったということで、応援に入った別のセクションから来たなれない職員も一人。結果的に、この方もノロウイルスを持っていたというような形が最終的にはわかりました。

 対象者とした23名中4名の検便の検査でノロウイルスG2検出。この4名いずれも検品作業を実施していたといったことでございます。先ほど説明しました3名分の作業着についても検査したところ、1名の作業着、これも検品をやっていた方ですが、ノロウイルスG2が検出されております。

 施設のほうですが、トイレのスリッパからノロウイルスG2が検出されたということもございます。トイレの使用前後、手袋といいますか使い捨て手袋の交換という指示は会社側

は出しておりましたが、ある程度マニュアル的なものがなく口頭で伝えるような指示といったことで、この辺は衛生管理が行き届いていないというような点があろうかと思います。

 トイレの履物交換とかそういったハード面。ハンガー等も用意して、作業服はトイレに持ち込まないとかいろいろ対策は講じております。手洗いをしないと扉が開かないとかいったハード面はかなり充実しておった。そういった印象はありました。

 以上のことから、汚染経路として、時期的なものがありまして十分に時間をかけて手洗いを行わなかった可能性が高い。それと手袋の使い方。ここら辺の不備が広げたのかなというようなことで、ここに書いてあるとおりでございます。やはり検品の作業を入念にやったのが逆に出てしまった可能性は非常に高いと考えた次第でございます。

 作業着からもノロウイルスが検出されたといったことです。作業着につきましては、これまで自己的な管理を会社としてやっていたということで、家庭に持ち込む中で家庭からノロウイルスを製造室に運んでしまった可能性も非常に高い。ルートとして非常に高いものではないかとあります。作業着は製造室の張り紙等もいろいろ如実に出ていまして、作業着のままで出勤しないようにしましょうとかそんな状況もありましたので、やはりそこら辺、従事者に対する衛生管理というものが行き届いていなかったのがわかろうかと思います。

 「5 原因施設及び従業員」といったところで、水は水道水でございまして、鼠族、昆虫のほうは委託業者にて実施していたと。

 それで、健康状態のチェックというところでございますが、全体で300名ぐらいの従事者がおりました。健康チェック表というものは完備しておりまして、入室前に必ずやるというシステムでございましたが、やはり自己申告式といったところで、そのチェックというものは少し曖昧さがありました。一応異常があればそこの責任者、チーフに連絡するという形はとっていましたが、そういった事例はちょっと前に1件あったという情報はありましたが、すべからくできたかといったところについてはやはり疑問符はつきます。

 学校給食関係の業務を行う従事者の検便ですが、この方々は毎月の検査、その他の方々は年2回というような形でございます。

 先ほど言いました1月11日なのですが、一応体調不良の従事者が1名いたという報告を受けた中で便検査をしたがノロウイルスは陰性と、こういったチェック体制はやっているよというような事業者側のアピールがあります。

 「6 原因物質の特定」です。

 「1 微生物学的検査」。患者の便検査、130名中113名からノロウイルスG2。パンの製造員でございます23名中4名からノロウイルスG2。学校給食調理員の便検査、62名中8名からノロウイルスG2ということでございます。繰り返しになりますが、作業員からもG2が出、学校で残っていた保存食、その食パンからもG2が出たといったことでございます。

 拭き取りでも、当時のスリッパからもG2が出たというようなことでございました。

 学校のほうの拭き取りの中で26検体やったのですが、1検体だけG1というものが出たという検査結果が出ております。ノロウイルスG2が検出された患者便13検体ですね、ここに書いてあるものの遺伝子型別の検査を実施した結果、全てG/4であったといったことも判明しているところでございます。

 ちょっと飛ばしまして「5 病因物質を特定するまでの経過及び理由」というところで、患者の便、職員からノロウイルスG2が検出され、患者の症状、潜伏時間等もノロウイルスG2の性状と一致。こうしたことから、原因物質はノロウイルスG2だということで断定したわけでございます。

 行政処分、浜松市が講じた措置といったところで、菓子製造業に対しまして営業禁止を1月17日(金)から24日まで禁止処分をし、解除は24日といったことでございます。

 衛生指導につきましては、現場に行った食品衛生監視委員の指導事項を文書で残し、先ほど言いましたマニュアル系、かなり整理されていないといったところで改善報告書。そういったものを中心にチェックをしたといったところで、内容はここに書いてありますように、食材の廃棄、製造室の洗浄・消毒、体調不良の管理とかそういったものもろもろでございます。

 「8 考察」ということでございます。

 浜松市内の複数の小学校から同時期に多数の患者が発生するという事例で、共通する食材を調べると。先ほど言いましたように、浜松市の場合各学校で給食をつくっているといった中で、ここの17施設全てが食中毒を起こすようなことが一斉に起こることはないということがまず前提でございます。ということで、共通食材のほうを絞り込んでいったというような事例でございます。最終的にパンにあったといったことでございます。

 あとはいろいろ今、説明したことが書いてございます。中段ぐらいに「以上のことから」といったところがあると思います。そこを読ませていただきます。

 「トイレの使用後に十分な時間をかけて手洗いを行わなかった」と。それと、ノロウイルスが手、作業着に残存し、そこから一応使い捨て手袋といったものを使っていましたが、その交換のタイミングも非常に不明瞭という。過去ですが、少し手袋が汚れたら洗って使うというようなことも過去はあったと。現在はないはずですがということですが、マニュアルをつくる中で、使い捨て手袋をかえた後アルコールで消毒をするというようなことも最後の最後まで書いてございましたので、そこら辺、逆に濡らすという行為でさらに食パンにノロウイルスを付着させてしまったので、濃密なものがたくさん出てしまったといったことが推察されるかなと感じているところでございます。

 「発生の探知において今後の改善を要すると考えられること」という項目でございます。

 発生の探知は非常にスムーズにいったと市では考えています。やはり当所から感染症を疑うということで、感染症を主管する、浜松の場合は保健予防課と言いますが予防課、それと教育委員会、危機管理課合同の部署。そこら辺が一丸となってやったといったことがございます。ちなみに、市をここまで挙げて非常に大規模だといったところで対策本部を設置したわけですが、これは11日の午後の早い時間帯に対策本部を設置してございます。

 原因究明の調査においての今後の改善といったことでございます。

 ここにありますように、保健所での探知と同時に、原因施設のほうでもある程度同様な情報を得ていたといったところで相談という形で訪れました。こういったことがありまして、浜松の中でもかなり有名といいますか、代表する施設でございます。そういった道義的責任といいますか、かなり真摯に受けとめていただきまして、非常に協力的な原因追求をしていただいたという印象はございます。

 そういった理由でスムーズにいきましたが、やはり今までの経験から、全てを正直に話すというようなものでもないといったところでそこら辺は今後の課題でしょうが、非常に難しいときもあったろうといったことも考えてしまいました。

 それと、原因追求なのですが、今回非常に報道機関が入りまして、結果をその都度の報告を記者会見という形でやってほしいといったことで、計7回、囲み取材につきましては9回ほど受けて、かなり濃密にやりました。この中で検査結果がだんだん明らかになっていくというような、ちょっと異質なケースだったかなと思います。

 あと、被害拡大防止の今後の対応といったことでございます。

 最後のほうに書いてあります科学的な根拠の裏づけ、これを確実に行うこと。非常に情報が入って、翌日の遅くですが追いかけたといったことで、こういったことを非常に考えたわけでございます。やはり危機管理の観点から、一部証拠といいますか科学的なものが不十分な状態であったといったことは我々も認識しておりました。しかし、疫学的に食パンに非常に限られたことができたと、絞り込めたといったことがございます。あと、消去法的ではございますが、他の共通食材も指定は可能だと。ノロウイルスも製造室、トイレですが、それらも検出。そこら辺の科学的根拠と合わせる中で、被害拡大防止というところで今回このような命令を早くかけたといったことでございます。これはいろいろ今後我々も検証していかなければならないといったことで、この時点で命令をかけたことのメリット、逆にデメリット、そういったことを今後はよく検討しようといったことを今、うちの課では話し合っているところでございます。

 ちなみに、学校給食のほうでも非常に素早い対応で、学校・学級・学年閉鎖がとられました。それと同時に、給水施設全ての清掃・消毒も同時期に済ませてしまうと。今後におきましても、不顕性感染の患者の対応ということで、ノロウイルスの検査をまず1回やりました。2月、3月に1回ずつやるというような予算づけも済んでおります。来年度も時期を見て最低6回ぐらいの検査はやっていこうということで、今、その検査のやり方を検討している。そんなところで、拡大防止策というものはいろいろ考えながら、ある程度順調にできたかと考えています。

 最後に、再発防止のため参考になるというようなことでございます。

 原因施設の従事者は、ほとんどが短時間勤務の労働者といったところで、非常に外国人の方が多かったです。ということで、こういった従事者に対する衛生の意識を定着させるというのは、やはりなかなか困難ではなかろうかと考えた次第でございます。

 ここに書いてあるように幾つか対策はあるとは思いますが、今、言ったような従事者に衛生の意識を浸透させ、それをいかに継続させていくことが重要かといったことについて、非常に考えさせられた事例でございました。

 浜松市からは以上でございます。

○山本部会長 ありがとうございました。

 それでは、ただいまの御説明に関しまして御質問、御意見をお願いいたします。

 いかがでしょうか。

 はい、小澤委員。

○小澤委員 ここで科学的根拠というような話が出て検査室の証拠をつかまえるのが重要だと強調してあるのですけれども、このケースはもう疫学調査だけで十分な証拠があると断定していいというケースだと思うのです。やはり疫学調査の大事さというのをきちっと認識をさせるためにも、こういう解釈の仕方は少なくともすべきではない。つまり、疫学的に明らかであればそれはその科学的根拠であると考えるのが、こういう感染症とか食中毒のときには妥当な態度だと私は思います。

 要するに、検査室で菌が検出されるとか遺伝子型が合致するとかいうのは、もちろん重要なのでそれもおろそかにしてはいけないのですけれども、まずは疫学調査でこれぐらい証拠がそろったら、検査室診断を待たなくても十分これは100%食パンだと断定していいという状況なので、ここで科学的根拠ということを余り考慮する必要はない。そういうふうに考えるべきなので、こういう書き方をすると、全ての食中毒事件あるいは感染症に関して疫学調査では不十分であるという誤解を多分与えると思いますし、恐らくは堺市のO157のときの裁判所の判断が尾を引いているのかもしれないのですけれども、やはり疫学調査で十分、それは科学的根拠であると考えるというのが正しい考え方なのではないかと私は思います。

○山本部会長 ありがとうございました。

 座長から余り意見を言うのはあれなのですけれども、私も今回の事例としては疫学的な証拠は当然科学的であると考えますので、ほかに科学的な根拠という言い方をされるとちょっと心外なところはあります。

 ただ、補強するためにそういったデータを集めるというのは有用なことでありますので、続けていただければと思いますが、遺伝子検査だけを重視するという形ではないということにしていただければと思います。

 ほかにございますか。

 どうぞ。

○砂川委員 感染研の情報センターの砂川です。私はちょっとおくれてしまったので聞き漏らしているだけかもしれません。

 小澤先生と山本先生の意見に全く同意です。

 ちょっと質問というか、検品に従事されていた4名の方がおられて、その4名の方からノロウイルスG2が検出されたというお話で、この方々が関係している可能性があるというふうなことで認識しているわけですけれども、この4人の方がそれぞれ全く別の、位置的に遠いような形でお互い接触がなかった状況があったのかというあたりとかは情報として気になるところで、そういったあたりを考えますと、従業員の方たちの間でノロウイルスが事前にちょっと流行していたような状況というのがあったのかというあたりは、実際、御報告の中を読みながら感じたところでした。恐らくそれの前提となるようなところ、情報というのが浜松市内のノロウイルスの流行状況とかそういったあたりにもなってくるのだと思うのですが、そのあたり、全般的な状況でもいいのですが、ちょっと情報を教えていただければと思います。

○寺田参考人 はい。やはり感染性胃腸炎の定期的検査ということは常時見張っているわけですが、これが出るまでは、ちょっと数字はうろ覚えですが、5とか6ぐらいということで、非常に蔓延しているというような記憶は私はなかったです。

 それと、従事者の密接な関係ということですが、やはり一枚一枚の検品作業を限られたスペースの中でやるということで、接触ということはあろうかなと考えています。ただ、従業員全体の中で、先ほどちょっと言ったのですが、非常にたくさんつくらなければいけないということで1名だけ補充的に配置されたというようなことがございます。そういった面で、この方も保菌してございましたので、検品作業の中だけでちょっと前からはやっていたというようなことははっきり明言することはできないと私は考えておるところでございます。

○山本部会長 よろしいでしょうか。

○中村委員 よろしいですか。

○山本部会長 ちょっとすみません、さきに渡邉先生。

○渡邉委員 確認のためですけれども、23名中4名の検便においてノロウイルスG2が検出されたというのは、いつの検便になるのですか。1月のいつになるか。

○寺田参考人 事件というかそれが終わった、やっている最中でございますので。

○渡邉委員 これは実際に疫学的な点から1月13日の食パンが原因と考えられているわけですけれども、この検便は1月16日以降ですか。

○寺田参考人 そうですね。現場に入ったところで検便依頼をしていますので、日数的には161718とかそこら辺の中でこの23名の方々に検便を出してもらっていると。検便依頼は16日に一応したのですが、出てきたのが17日から19日にかけてでございます。

○渡邉委員 普通に考えると4名がポジティブというのは、以前にここでそういう感染が流行していたと考えたほうがいいのだと思うのです。そうすると、13日以前にもしかするとそういう感染者がいたと。この地域で13日以前にここの食パンなり何かを食べたことで、そういうノロウイルス感染症様のものが起こっていたという報告はないわけですね。

○寺田参考人 そういう情報はなかったです。

○渡邉委員 それともう一つ、1検体からG1がとれたというのは、学校でとれた。

○寺田参考人 そうです。学校の移動式の調理台からそれをキャッチしたということです。

○渡邉委員 学校のこういう調理台も含めて学校にもG2ではなくてG1のキャリアがいた可能性があると。

○寺田参考人 やはり発症している人は従事者の中ではいないという情報はあります。G1をどういうふうな形でキャッチしたかというのは今、いろいろ考えておりますが、今回の事件とは別物だろいうということは明確には言えると思うのですけれども、自然界なのか、それとも何らかの関係、従事者が健康で何か持っていたのか。そこら辺はちょっと解明はできない状況です。

○山本部会長 よろしいですか。

 では、中村先生。

○中村委員 済みません。ちょっと確認なのですけれども、この問題の食パンが製造された1月13日に、消化器症状を呈したような従業員がいたという、従事していたというような情報はないわけなのですね。

○寺田参考人 はい。検便の結果ノロウイルスG2が出たのですが、下痢等の症状、健康障害は起こしていないといった、何度も確認しましたが、会社はそのように答えております。

○中村委員 ありがとうございます。

○山本部会長 はい、益子先生。

○益子委員 確認させてください。学校給食従事者の便8検体からもG2が出ているということですけれども、要するに、学校給食調理従事者はこの給食を召し上がっているわけですか。

○寺田参考人 そうです。浜松の場合、検食ということで事前に学校の校長なり教頭が食べ、それと同時に調理従事者も同じ給食を食べるという形をとっておりますので、そのとおり食べておりました。

○益子委員 ありがとうございます。

○山本部会長 はい、五十君先生。

○五十君委員 7ページのところに、一番上から2番目のブロックですか「当該施設は学校給食納入業者として」云々ということで、そこのブロックの最後のほうに「専用の作業衣(上下)、帽子、マスク、使い捨て手袋の着用が徹底されていた」と書かれております。その次のブロックには、実際には手袋についての使い方等々が不備ではなかったかという推定がされていることと、そのさらに下に作業着を家庭に持ち帰っていたような記載があるのですが、このあたりのところは今後の再発防止策として、何らかのコメントをいただけるとよろしいのではないかと思いますが、いかがでしょうか。

○寺田参考人 ありがとうございます。行政処分をし、24日に解除したわけですが、今、先生からおっしゃられたようなことを業者に対して徹底指導したといったことがあります。

 1つ目が手袋を使うということで、過信ではないのですけれども油断があったと。これをつけていれば大丈夫だろうといったところで、かえるタイミングとかそういったものが非常に大ざっぱだったと。ここら辺をしっかりマニュアル化してやっていただきたいといったところで、そういったマニュアルはつくっていただきました。

 それと作業着ですが、先ほども言いましたように、自己管理というような形で家庭に持っていって洗濯してきれいに洗うというようなことをずっと続けてきたのですが、やはり家庭からノロウイルスを引っ張ってくるといったことが非常に可能性として高い。これはやめたほうがいいということで、専門業者。ある程度高温の殺菌ができるような洗濯工程を有する施設と契約を結んで今後はやるというような改善報告をもらっております。

 そういったものをここに置いた原案の形で報告書をつくりたいと思います。ありがとうございます。

○山本部会長 ほかにありますか。

 1点確認しておきたいのですけれども、23名が検品作業に従事して、その方たちは交代もなくずっと同じ作業を続けて全部の検品を済ませているのでしょうか。

○寺田参考人 やはり23名の中でローテーションは組まれているかと思います。かなりの数でございますので、そこら辺ちょっと詳細なことはわからないのですが、4名ノロウイルスが出たのですけれども、その方々が最初から最後までいたというような時間的なローテーションの表というものを確認しようと向こうとのコンタクトはとっているのですが、やはりそこまでの詳細な動きまでは今となっては把握できないと。本人にも聞き取るようお願いはしておりますが、かなりショックもあるらしくて余り突っ込んだ話も今のところはできていない。そんな状況でございます。

○山本部会長 といいますのは、例えば手袋についていたとして、手で持って検品するわけですね。順番に検品していく間には、だんだんその手袋は逆にきれいになっていくはずと考えるのですけれども、そこで何らかの形でまた新たな接触があったとかそういうことがないと、なかなかウイルスの補給みたいなことが起こらないのではないかなということをちょっと考えたものですから、ずっとローテーションをどんなふうにしていたのかとか、4名の方がたまたま持っておられたけれども、その前にもう感染していて出なかった方もいるかもしれませんが、そういう状況というのがあれば、今後少し参考になるのかなと思いました。

○寺田参考人 やはり4名の方が持っていたということで、そこら辺たくさんの方も持っていた。それで広範囲に及んだという可能性もあろうかと思います。

 それと、作業着からも出る。先ほど少し説明した中で、非常に汚れた状態でございましたので、これも少し検査にかけようというところでやったところ検品をやっている方から出たといったところで、一つの仮説といいますか考え方なのですが、使い捨て手袋を少し汚れたところで水洗いをしてまた使うというようなちょっと濡れた状態が手袋に残り、さらにこういった作業着等に付着していたという事実もございますので、そこからまた拾って大量のパンにノロウイルスを付着させてしまったといったことは可能性として大きいのではないかなとは想定というか考えてはいます。

○山本部会長 ありがとうございます。

 では、砂川委員。

○砂川委員 たびたび済みません。先ほどのお話を聞く中で、実際検便が行われたのは1月16日から18日であったという情報をお聞きしますと、この4人の方から検出されたということが、いわゆる原因というよりは、2次的な汚染をこの方々も受けてしまってそういった検便で検出されるような状況になった可能性があるのではないかということが1つ。

 もう一つは、やはり流行曲線はないですが、情報などからするとかなりワンポイントで患者さんが一遍に出ているという様子を伺うと、かなり単一暴露に近いような状況があって、1月13日に集中して何か暴露を受けたというふうなことになると、例えばそこで調理従事者の方がどなたかかなり嘔吐された方がいなかったかとかそういった、作業着が慢性的に汚染されていたというような状況などであれば、もう少し持続的な形で出たりするようなことがないかなと。このあたり調査そのものに従事したわけではないのでお話聞くだけの中での想像なのですが、特にワンポイントであった可能性についてどう説明ができるのかなというところと、2次的な汚染の影響を受けているのではないかというあたり。そこは何とも気になるので、ちょっと確認で質問させていただきます。

○寺田参考人 非常に難しいと思います。やはりトイレのところからもノロウイルスが出ているといったところで、そこからある程度の従事者に引っ張っていったといったことはあるかなと思います。ということで、そこを起点とした2次的な汚染、2次感染等というようなことは可能性としてゼロではないと思います。

 もう一つは何でしたか。

○砂川委員 ワンポイントでと。

○寺田参考人 そうですね。ノロウイルスを保菌していた方が1名、非常に忙しい日だったということで、ほかの部署からわざわざ応援に駆けつけたというようなことがございます。その方の作業着からノロウイルスが出ているというようなことで考えれば、ここが単一暴露の原点といいますかスタートかなとは想定はしますが、それを今となっては確かめるすべがございませんので、私の中ではそういうふうに考えられるのかなと思います。

○砂川委員 大変に厳しい状況の中での調査だったと思いますので、了解しました。

 あとは意見として申し上げます。今回、今の情報の中で調理従事者の方が検食をされているということが、いわゆる結果の解釈が非常に難しい原因の一つにもなっているかと思うので、このあたり全国的にどのような状況なのかちょっとわからないのですけれども、これは少し考える必要があるかもしれないと思われました。これは作業着について家庭に持ち帰って洗濯したということも御指摘がありましたように、同様なポイントになってくるのではないのかなと思います。

 あと、やはりそういった注意すべき情報を裏づける情報として、感染症の発生動向調査などの情報というのは非常に重要だと思うので、特に市内の流行状況に関して調理に従事される方々にはよく目を光らせておいていただいて、注意していただくと。そういったものが出てきたときには、いろいろなものを強化するというあたりをやっていただくというのが重要なのではないかなと感じました。

 以上、意見です。

○山本部会長 ありがとうございました。

 給食の従事者は、普通、今まで大事故が起こった後はなるべく食べないようにというふうな指導はされているようには聞いているのですけれども、今後その辺のことも少し検討していただければと思うのですが、浜松市はどういうふうにやっておられたのでしょうか。

○寺田参考人 学校の調理員が給食を食べているということを今までやってきております。今回このようなことがありましたので、教育委員会としてもそこら辺は当然検証・検討するべきことだということで、検討を始めていると考えています。

○山本部会長 ありがとうございました。

 ほかに特にないようでしたら。

○竹内委員 済みません。

○山本部会長 はい、どうぞ。

○竹内委員 済みません。ちょっと今後のことということで、学校給食の検便ですけれども、冬場にノロウイルスの検便の実施という方向性はないでしょうか。うちのほうでは、指導として10月から3月ぐらいまではノロウイルスの検便をやってくださいということで指導しているのですけれども、今後そういうふうにされるというようなことは。

○寺田参考人 まず、今回このような事件が起こったということで、しかも、学校給食ということから今回一応従事者をやったところ、数名から不顕性感染の状態でノロウイルスが出たといったことがございます。といったことで、今年度、今、1回やりまして、2月、3月も学校給食の調理員は月1回はやるといったことは今、取り決めの中で進んでおります。

 来年度以降も、やはり10月、11月とかそこから始まって、翌年3月ぐらいまで。この中で一応6回分のノロウイルスの検査。従事者が200から300いると思うのですが、その全員を6カ月分の予算をとって、どういう形が一番ベストなのか。単純に月1回でいいのか、それとも感染性胃腸炎の発生とかそこら辺を見ながらある程度時期を絞って短期間にやったらいいのか。そういったことを含める中でちょっとやり方を検討していこうといったことを今、考えているということです。

○山本部会長 ありがとうございました。

 よろしいですか。

 それでは、浜松市の事例、まだこれから患者の確定とかそういうことがありますので調査は続いているわけですが、概要ということで御報告いただきました。

 何とかノロウイルスのこのような発生が防がれるような方策というものを今後も対策をとっていかなければいけないわけですけれども、なかなか難しい面があります。今回も、調理従事者の症状は出ていないというところが非常に対策としてはとりにくい部分ではないかとは思われます。

 それでは「今シーズンにおけるノロウイルス食中毒の発生状況について」事務局から御説明お願いいたします。

○西村食中毒被害情報管理室長 食中毒被害情報管理室の西村です。よろしくお願いいたします。

 本日は「今シーズンにおけるノロウイルス食中毒の発生状況について」御説明させていただきます。

 ノロウイルスの特性上、9月から8月までの期間をシーズンとしまして、今の場合には25年から26年シーズンとしてカウントをさせていただいております。

 全体的に見ていただきますとわかるとおり、今シーズンは平成25年・26年シーズンですので一番オレンジ色のラインになるのですけれども、比較的下のラインをたどっているという傾向がございます。

 一番多かったのが平成18年・19年シーズンで、2番目が昨年の平成24年・25年のシーズンということになります。

 ちなみに一番多かったときの数字が513件、2番目が432件という値でございました。

PP

 続きまして、ノロウイルスの食中毒の患者数の推移でございます。これも先ほどのグラフと同じように、今シーズンにあっては比較的低い値をとっているということでございます。

 ここの下の表には、個別にその月ごとの人数を書かせていただいております。

 一番多かった年ですけれども、3万人を超えた人数がカウントされております。それで、先ほど話しましたのと同じように2番目が昨年シーズン、1万9,000人ほどの患者さんが発生をしております。

 今シーズンは、現在までにこれを足してくることになるのですけれども、5,500人ほどということでございます。

PP

 こちらはシーズン別の原因施設別の事件数でございます。

 一番多いのは飲食店、2番目に旅館ということになるのですけれども、大体どの年も発生件数によってグラフはばらばらなのですが、パーセンテージで言いますと飲食店が70%程度。毎年同じような数字でございます。続きまして旅館が8%前後ということで推移をしておりまして、今シーズンにつきましても同じような推移をたどっております。

 今シーズンのここまでの数字でございますけれども、77件というのが今シーズンの数字でございます。

 浜松市の方がおられるのですけれども、ここに学校というのがございまして、今シーズンは3件、昨シーズンは8件、その前が3件、6件、9件という形で学校でのノロウイルスの発生の事件の件数でございます。

PP

 これは、先ほど70%ほどあった飲食店を除くという形で、残りの約30%を大きなグラフに書きかえたものでございます。

 先ほど申し上げましたように、傾向としてはどの年もほぼ変わらず、今シーズンにつきましても大きな差異はないということが見てわかると思います。

PP

 シーズン別の原因施設別患者数でございます。

 先ほどと同じ色のグラフになってくるのですけれども、飲食店、仕出し店、旅館という形で、どの年もほぼ飲食店が大体50%ぐらい。仕出し店につきましては、大体2030%ぐらいの推移でございます。大体毎年変わらない推移。今シーズンについてもほぼ変わらないということでございます。

 具体的な数字を申し上げますと、今シーズンの患者数としましては2,989という数字が出てきております。

PP

100名以上という形で大規模、患者数が多かった事例をグラフにとってみたものでございます。今シーズンにつきましては6件ほどございます。その中に学校というのが1件ございまして、皆様御記憶にあるか、埼玉県の女子大学の学食で起きた事例でございます。

 一番多かった昨シーズンで33件。その前のシーズンが18件という形の推移をとっております。

 これも先ほどから何度も申し上げていますとおり、毎年パーセンテージ的には大きな差異はなく推移をしているという状況でございます。

PP

 原因食品別の事件数でございます。

 一番多い食事特定ということになるのですけれども、これは原因の食事、昼食を食べたとか夜の御飯だったとかお弁当だったとかいうことまでしかわからなかった、そこがわかったという事例でございますけれども、毎年約6070%で推移をしております。

 今シーズンにつきましては、事件数77件のうち食事特定が63件で、82%ほどございました。

 2番目に多いところに魚介類というのがきているのですけれども、今シーズンにつきましては、まだ魚介類が特定されたという報告は来ていないというのが現状でございます。

PP

 こちらは、食品別の患者数の推移でございます。先ほど申し上げましたように、一番多い食事特定ということになるのですけれども、これは大体70%程度。毎年70%程度の割合で推移をしてきております。

 先ほど申し上げました今シーズンでございますけれども、2,989のうち2,519が食事が特定されたということでございます。

PP

 これは先ほどのグラフの100名以上のものを、原因食品別の事件数としてとったものでございます。

 食事特定というものが、これも大体70%か80%の割合で推移をしております。

 こちらは今シーズン6件ほどございますが、5件が食事特定で、残りの1件が複合調理食品という形で推移をしております。

 昨年の例でいいますと、33件のうち25件、76%のものが食事特定という形でありました。

PP

 こちらは、ノロウイルスの遺伝子型別のものをグラフであらわしております。

 見ておわかりのようにG2のものが非常に多くて、毎年6580%程度の割合でG2のものが検出されております。

G2とG1。G1、G2が一緒に保菌されているものというものも大体10%ぐらいずつあります。これを含めるかどうかはわかりませんが、G2が低く出てきたというものを足しますと90%ぐらいのものがG2が出てくるという結果が出てまいりました。

PP

 ノロウイルスの食中毒の発生要因の割合というものを、先ほど申しました77件について改めて調査をしたところ、調理従事者というものが8割ぐらいで、調理従事者が原因であると。その中で半分の方が不顕性感染であったという結果が出てきております。

 残りのものとしては食品由来。はっきりした食品が由来しているといったものが6%、残りの10%は不明であったという結果が出てきております。先ほどの話にもありましたように、不顕性感染というのは非常に多いのかなということがこの調査でわかってきました。

PP

 これは、ここ10年、2002年から。これは先ほど言ったシーズン別ではなくて年ごとにとっているものなのですけれども、平成25年につきましては、平成24年が多かったことにもかかわるのですけれども、患者数、事件数ともに減ってきているということでございます。

 一番多かった平成18年が一番ピークであったと、3万人を超える人数だったということから、今年は昨年に比べて減ってきているというのが現状でございます。

 これは、1件当たりの患者数がどの程度かというふうに見ているグラフなのですけれども、大体1件当たり39人というのがここのところの平均でございまして、その平均値を見ましても、一昨年から比べて昨年は減ってきているということがおわかりいただけるかと思います。

 簡単ではございますが、説明は以上にさせていただきたいと思います。

○山本部会長 ありがとうございました。

 野田先生、何か遺伝子型とかそういうことで補足とかありますか。

○野田委員 御報告ありがとうございました。

 遺伝子型ということに関してなのですけれども、先ほどの食中毒患者の流行規模といいますか、それから、それへの関連性から申しますと、過去10年間で最も多く流行した年というのは、ノロウイルスの遺伝子型の中のG/4という、それが大流行した年です。そのときにちょうどG/4の中の変異株というのが出現した年で、G/4の中にも90%以上その新しく出現した株が流行しております。

 昨シーズンも過去10年間で2番目に大きな流行だったのですけれども、やはりG/4という、今回浜松市さんの食中毒事例と同じ遺伝子型ですけれども、これが大流行を起こして、その年にまた新しい変異株というのが出現したという状況で、ノロウイルスのG/4という新しいタイプ、変異した株が流行するとこのように大規模な流行を起こして、食中毒も規模が大きくなるという状況です。

 今シーズンのことに関して申しますと、まだそれほど件数は十分集まってはおりませんが、主要な流行株というのはG/4の、昨年大流行を起こしたいわゆるSydney 2012タイプというのがメーンになっています。ただ、その割合自体は少し減っておりまして、違うタイプのノロウイルス、G/3であるとかG/13であるとかが流行を起こしているという状況です。

 したがいまして、ウイルス側の要因としましては、昨年大流行したウイルスは多少多くの方が感染したということもありまして、今年度は流行が起こりにくくなっている状況があるということも、流行がそれまで大きくなっていない要因の一つではないかと考えられます。

 以上です。

○山本部会長 ありがとうございました。

 変異型が出たときには一気に流行が広がって、その後、感染者が免疫を持つのかちょっとわかりませんけれども、それの影響もあってG/4の流行が少しおさまると。それで、またしばらくして変異型が出てくるとこういう流行は繰り返されるということなのですが、今までの御説明で何か御意見、御質問はありますか。

 どうぞ。

○石川委員 ちょっといつも言うことなのですけれども、今、こうやって事件だとか発生数だとかというのを説明を受けて、きょうは傍聴の方もいるので、事件というのがどういうことを定義しているのかとか、やはりちゃんと説明していただいたほうがいいと思うのです。

 私たち臨床家から見ると、今回この野田先生のパワーポイント、私は大変感銘を受けているパワーポイントなのですけれども、発生状況でいうと、ノロウイルス感染者数百万人と書いてあるのです。そういったところは、こういうデータはいつも2万人とかそんな感じです。だからそこのところの違いを言っていただかないと、いちいちここに書いておかないと、私はやはり対岸の火事みたいに考えるのではないかと思うのです。国民にきちんとリスクコミュニケーションしなければいけないというのは我々の一つのあれだと思いますので、ここにいる方はもうわかってはいても、パワーポイントにきちんと書いていただくとか、あるいはちゃんと一言言ってもらうとかやったほうがいいと思うのです。

○西村食中毒被害情報管理室長 わかりました。ありがとうございます。

○山本部会長 ありがとうございました。

 潜在的というか感染者ということでいけばその数になるということで、食中毒の場合の統計とちょっと違っていることを説明しておかないとわからないことになる可能性はあると思います。その辺のことを今後よろしくお願いします。

 砂川委員。

○砂川委員 食中毒の御説明でありましたので、いわゆる感染症としての感染性胃腸炎に関する状況をちょっとかいつまんで紹介させていただきますと、大体今、報告されている情報の中では、全国の情報ですが、定点当たりの患者さんの状況というのは約10人ぐらいという形になっていて、この状況というのはこれまでの過去5年間とかいうあたりで見るとそんなにすごく多いというわけではないのですが、平均よりは多いという状況になります。それで、感染性胃腸炎のかなりの部分をノロウイルスが占めているだろうということで考えると、そのような流行の状況であるのかなとは感じられるというところです。

 インフルエンザと違いまして、感染性胃腸炎の場合には今、自治体によっては注意報とか警報とかを独自でやって運用されているところもありますが、感染研の中でのそういった情報としてはそれらは示してはおりませんが、そういったあたりの動向をやはり食中毒の情報とあわせて見ていただくと、情報がまたよりわかりやすくなると思います。

○山本部会長 どうもありがとうございました。

 ほかにございますか。

 はい、小澤先生。

○小澤委員 今のことに関連してなのですけれども、要するに、食中毒として探知されたものというのはノロウイルスの感染症のごく一部であると。実際はその食中毒1件の裏に大体どれくらいの患者数がいるのか、何倍なのかという、ある程度推計できるような値はあるのでしょうか。

○山本部会長 砂川委員、何かありますか。

○砂川委員 インフルエンザと同じように、一応全国の推計の値というのはある程度は計算はしております。ただ、インフルエンザとは、ちょっと扱いとしてはそれほど重きを置いていないといったような側面はあると思います。

○小澤委員 いや、結局これは非常に大きな社会問題なので、幸いにして余り重症化しないし死者も出ないので人的被害というか健康被害は比較的軽微なのですけれども、何しろ規模が大きいということで、野田先生のあれには大体年間100万ぐらいはいると。

○野田委員 食品安全委員会のノロウイルスのリスクプロファイルの中にその辺のデータの集計が行われているのですけれども、感染性胃腸炎の発生数、3,000の定点当たりの発生人数。それを全部の数を掛けた、さらに感染性胃腸炎の中でノロウイルスがどれくらいの割合かというところを加味したときの数字が100万強ということです。

 実際問題、感染性胃腸炎とは小児の定点病院だけですので、大人の感染者というのは考慮されていません。かつ、不顕性感染者というのも考慮されていないということも考えたときには、恐らく100万人のさらに何倍の感染者が実際には存在しているのではないかと推定されるのではないかと思います。

○小澤委員 そうすると、年間数百万という、200万か300万かわかりませんけれども、それだけの患者数が推定されるということになります。これは経済的損失ということを計算すればかなり莫大な医療費なり、例えば休業を余儀なくされるとかそういうようなことも含めて、そういう経済的な損失がどれくらいになるかということをやはり計算して示すというのを一つの、ノロウイルスが社会に与えるインパクトを目に見える形で出すという意味では非常に大きいと思うのです。やはりそれをやらなければいけない。それをやるのは行政の責務なのではないかと私は思います。

 それが出ると結局ノロウイルスに対してどういう予防策をするか、どこまでお金をかけて予防策を講じるかということも、おのずとある程度最適なポイントといいますかバランスがわかるということになりますので、例えば調理従事者とか飲食店の従業員は月に1回はノロウイルスの検便をやらなくてはいけないということをルールで決めた場合に、それにかかる費用とそれによって予防できる患者数とかいうことはある程度わかるので、そういったプロセスというか方法論をしないと、食中毒の数が幾らだとか年間食中毒患者が1万人とか2万人とか言っている場合ではないのではないかと私は思うのです。

○石川委員 すばらしい。

○山本部会長 はい、石川委員。

○石川委員 私は大賛成なのですけれども、実は食品安全委員会で、みずから評価をノロウイルスをやるかどうかということで今、議論中なのですが、私がすごくこれをやったほうがいいと思っているのは、私はまだ臨床をちょっとやっていまして、実際に今、保険点数がこれキットで、迅速診断で認められていますね。それは65歳以上とか乳幼児ということだけなのですよ。ところがお寿司屋さんの店員がちょっとお腹がおかしいといって実際来ますと、プラスになっているのです。典型的なノロウイルス感染症の吐いて下痢するというのではなくてですよ。ちょっとお腹おかしいということでまだそんなに下痢も出ていないのに、とにかくお寿司屋さんのボスがちょっと検査してこいと、みんな自費でやっているのです。はやっているときは、自費でやっていてプラスになるのです。これが現状だと私は思いますので、やはり事実をきちんと把握できるのであったら把握して、そうやって対策を立てないと全然しようがないのではないかなと思います。

○山本部会長 ありがとうございます。

 渡邉委員。

○渡邉委員 同じというか、今、石川委員がおっしゃられたことは、私も食品安全委員会の企画委員会の一員で、この間話し合ったばかりなのです。

 食品安全委員会のところでは、現状ではリスク評価まで持っていくのはなかなか難しいということで、一つのデータのとり方としてやはりアクティブサーベイランスをやらないとなかなかわからないので、ぜひ厚労省は研究班を組織して、あるポピレーションあたりでどのぐらいの胃腸炎を示す人がいて、かつ、胃腸炎の症状を示す人の中でどのぐらいの割合でノロウイルス感染者があるのかということを出していただけると、全体の、先ほど100万と出ましたけれども本当に100万なのかもっと多いのか、その辺が出てくると思うのです。それをやることで今の問題はある程度は解決できると。そして、実際にリスク評価を食品安全委員会にやっていただくためには、いろいろな仮説を用いた段階でどういうことを行えばどのぐらいの削減率になるかというようなことは計算できると思います。ノロウイルスではなくてカンピロバクターのときに私が座長をやっているときにやりましたので恐らくできると思いますので、その辺のまずデータが必要なのかなと思います。

○中村委員 よろしいでしょうか。

○山本部会長 はい、中村委員。

○中村委員 もうちょっと後で発言しようかと思っていたのですけれども、事実に基づいたという話が出てきたのでここで発言しますが、例えば今回の浜松市の事例についても、消化器の症状を持った者は従事していなかったという話です。あるいは、先ほど厚生労働省からも説明が、件数で約半分は不顕性感染、症状がないと。でも、本当にそうなのでしょうかというのがやはり我々の頭の中にはあります。これは浜松市の調査が悪いとかいう話ではなくて、やはりこういった事件が起こったときに規制官庁であるその保健所が調査を行うということで事実が明らかにならないところもあるのではなかろうかというように私自身は思っております。

 これはまだノロウイルスだからそれほど重篤ではないですけれども、今後もっと重篤な健康障害を起こすようなことが食品を起因にして起こっているような状況が疑われるようなときに、今と同じような体制で事実が明らかになってこないというようなことがあると、とても大きな問題だと思うのです。そういう意味で、例えば事故調査委員会みたいな第三者機関がきちんとその事実を明らかにするとか、そういったシステムを今後考えなければいけないのではなかろうか。そういう時期に来ているのではなかろうかと私自身は思っております。

 以上です。

○山本部会長 ありがとうございます。

 実際にどのぐらいの調査をすれば事実が明らかになるかというのは難しいところがあるのですけれども、厚生労働省としても実態把握をそろそろもう少し別の観点から捉えていくべき時期に来ているのかなというところではないかなと思います。

 調査の方法としてどういうものがいいのかということ自体も議論がなされるべきだろうと考えるところです。食品を介するかどうかということ以外にやはり感染症としての側面が非常に大きいので、これは一概に食中毒対策だけで済む話ではないと思います。その辺も含めて、この食中毒部会の頭の中にはそういうことも念頭に置いた対策というのを考えていかなければいけないのかなということだと思います。

 ほかに御意見ございますか。

 それでは、資料の3-1と3-2があって、対策について事務局から少し議論のたたき台となるようなことを提供していただこうかと思いますので、御説明をお願いいたします。

○事務局 まず、資料の3-1に基づいて御説明をさせていただきます。

 いろいろと御意見をいただいているところですけれども、これまでの対策ということで参考資料に添付をしております。昨年来この部会でも3月、それから10月にも御議論をいただいております。

 例えば参考資料2では、今回の浜松市さんの事例を受けまして、立入調査の結果を各自治体さんのほうにお知らせをしています。

 参考資料3では、過去の取組みを記載をしております。お話がありましたように、平成18年と24年に大流行がございましたので、それぞれ、提言であるとか大量調理施設衛生管理マニュアル、管理運営基準指針等を改正をしております

 また、昨年の末には、24年の流行を受けて早めに注意喚起等の通知、リーフレットの作成、それから、年末一斉取り締まりを1カ月前倒しして、注意喚起を中心に実施をしていただくようお願いをしているというようなところです。

 参考資料3の裏面では、関係団体においても全国での講習会の実施、リーフレットの配布等を実施をいただいているところです。

 その後ろは、それぞれの先ほど御説明しました資料を添付しておりますので、また必要に応じて御説明をさせていただきたいと思います。

 一番最後、参考資料の11に、昨年10月に野田先生から御紹介をいただいた資料も添付をさせていただいております。特に9ページのところで、ノロウイルスの特徴としてやはり不顕性感染があるという点。少量でも感染をするという点。不活化がなかなかされないという点。エタノールが効きにくいとか粒子が非常に小さいということもあって「持ち込まない」「拡げない」「やっつける」「付けない」という対策が重要だというようなお話を昨年いただいております。

 これらを踏まえて、先ほどの最初の資料3-1に戻っていただいて、管理運営基準、それから、大量調理施設衛生管理マニュアルにおいて、おおむね記載のような内容を盛り込んでおります。

 特に消化器症状を呈している取扱者は、食品の取り扱い作業には従事させない。「拡げない」という観点では、調理従事者の衛生管理。作業着、トイレの維持管理、消毒。手洗い施設の管理、適切な手洗いの実施。器具等の洗浄・消毒ですね。それから、適切な加熱の実施。食品や器具につけないという観点で、2次汚染の防止や器具の消毒、洗浄、適切な手洗いの実施等を関連通知に盛り込んでおります。

 いずれも不顕性感染の方がいるという前提で記載をさせていただいております。

 2ページ目以降が、主なノロウイルス関連の抜粋になります。下線部は関連すると思われる点についてになります。

 それから、資料3-2へまいりまして、今シーズン、先ほどの食中毒の事例、またその他の事例から、事件数、患者数、また遺伝子型発生要因等としてどうかと。先ほど、おおむね例年どおりという御報告があったかと思いますけれども、これらを踏まえて今後の対策として、特に不顕性感染者の方がいらっしゃるという前提に立って、調理従事者の衛生管理、手洗いや手袋の交換の適切な実施。それから、塩素系などのノロウイルスを対象とした消毒剤を用いた消毒などについて、引き続き現行の対策のさらなる徹底というものを図る。

 2つ目として、やはりまだ十分周知が行き届いていない点があろうかと思いますので、説明会の開催や、実際の手洗いなどの動画なども作成をしてホームページ等に掲載をする。

 それから、先ほど浜松市さんの報告にもありましたけれども、被害の拡大防止や再発防止のために、近隣自治体との連携という体制も整えるということが必要ではないかと考えております。

 また、先ほど御意見でいただいた作業着の洗浄の関係であるとか、従業員の喫食の関係等もあわせて周知ができればと考えております。

 以上です。

○山本部会長 ありがとうございました。

 御意見としてかなり既に出ている部分が多いとは思いますが、先ほど来出ている御意見に追加するということで、これに関連したようなお話、御意見をいただきたいと思いますが、いかがでしょう。

 西渕委員。

○西渕委員 今回の浜松の事例を聞いて、私は10年以上前に京都市で起こった事例を思い出しました。それは小学校で日曜日に餅つき大会をやって、次の日の月曜日に500人以上の患者が出たと。それは最初は京都市のほうはインフルエンザと言っていたのですけれども、実は最終的にノロウイルスだったと。当時はまだ遺伝子検査は普及していなかった時代で、SRSV、電子顕微鏡で調べないといけない時代だったので、そのときにもまた、まさかと思うようなことが起こるのだと。

 まさかと思うようなことというのは、ノロウイルスに限らず、一番大きな例はやはり黄色ブドウ球菌、雪印事件ですね。あんなところに汚染が起こっていた。しかし、その影響というのは非常に大きいということがあるので、今の食品の流通の形態を考えたときに、まさかが起こってはいけないような状況というのはあると思う。今回はそのいい例だと思うのです。

 特に食品を加熱しないで食べるようなですね。この食パンもそうですかね。餅つき大会のお餅なんかもそうですね。そういうときには、やはりこういうことが起こり得るのだということをちょっと考えながら対策を立てるというか、こういうことを今後のレッスンとして取り入れて、対策を立てるときに気をつけておくほうがいいのではないかという印象です。

○山本部会長 ありがとうございます。

 どうぞ。

○石川委員 冒頭、砂川委員のほうから、4人ではなくてもっとワンポイントなのではないかというふうに出たと思うのです。私もそう思っているのです。これはもっと厳格に突き詰める必要があるのではないかと思うのです。

 私は、これは糞口感染になりますけれども、そういう汚染が起こったということで考えれば、今後は例えばノロウイルスのはやっているシーズンは人的な操作をしないで、子供たちの口に入るものは熱を加えて運ぶということしか給食のときにあり得ないのです。それで、どこか恐らくどなたかのワンポイントの私は汚染だと思うし、これはもっと重大な、例えばO157でないからこういうふうに言えると思うのです。私は、そういうふうに徹底してこの時期は考えるというふうなことでやっていかないと、これは防げないと思うのです。

 それともう一つ。1週間で開業がされるということについては、終わりのときが収束宣言といいますか、いろいろな食品を扱うところの営業開始が1週間とかそういったことについてどうやって決めるのかということも、できたらここでやはり検討する必要があるのではないかと思うのです。

 私たちは感染症で学校だとか幼稚園だとかそういうのを書きましたけれども、一番難しいのは、これがそのままずっとお腹の中にいるということなのです。ですから、どの時点でその職員なりが来てもいいか、あるいは子供が集団生活に戻っていいかということをきっちりしないと、この時期というのは延々にしばらく流行が続くのではないかなと思うのです。

 その2点があると思うのです。

○山本部会長 大事な御提案ではありますが、なかなかこの場での結論が出にくいお話ではあると思います。

 野田委員から少し参考になる意見をいただきたいのですけれども、例えばどのぐらいの時期を目安というようなことに関する参考意見というのは、前にお話いただいたようにも思うのですけれどもね。

○野田委員 ノロウイルスの検査。

○山本部会長 ノロウイルスの検査と、ウイルスを排出している時期とかそういうもの、なかなか難しい、データが余りはっきりしたものがないとは思いますがね。

○野田委員 冬季にはノロウイルスの検便検査を含めてくださいということが大量調理施設衛生管理マニュアルのほうに出ていると思います。それで、基本的にはその時期等に関しては難しいとは思うのですけれども、やはりそれは感染性胃腸炎の発生動向を特に加味していただいて、流行が起きる時期には念入りにということになるかと思います。

 ウイルスの排出期間に関しては、大体2週間ないし1カ月ぐらいということですので、可能であればそれは2週間前ぐらいにやるというのがベストですけれども、結局それはコストの問題が絡んでくるということで、最低1カ月に一回ぐらいということは一つの目安になるかなと思います。

 ただ、現実の問題として、きょうも東京都のほうで講演を依頼されて質問を受けたのですけれども、遺伝子検査法は、高感度な検査法はコストが高くて、そうではない方法ですと安くつくのだけれども感度が悪いというお話があって、高感度な検査法を少ない回数やるのか、低感度な安い検査法で回数をたくさんやるのか、どちらがいいのですかみたいな御質問をいただいて、非常に回答に苦慮したところがあるのですけれども、現実問題として、現在の大量調理施設衛生管理マニュアルの中で記載されてあるリアルタイムPCR法というのは結構お金がかかるところで、それを実際にやるというのは、現実の業者さんにとってはハードルが高い部分が少なくないかなという部分はあるかと思います。

 現在、いろいろな方法を足したような方法が出てきていまして、それなりの検査感度がある程度担保できる方法というのは幾つかあるのではないかと思われます。ただ、そこが、実際はマニュアルには「リアルタイムPCR法等の」というふうに書いてはあるのですけれども、どうしてもやはり記載されているリアルタイムPCR法にこだわるという部分もあって、その辺の記載のところが現実の業者さんの運用にとっては大きなハードルになっている部分が否めない部分もあると思いますので、今後、不顕性感染者をできるだけ見つけると。もちろん本人の努力は必要でございますが、そういった検査で見つけるということをもっと普及するという側面を考えたときには、そこの表現をもう少しバラエティーに富んだ検査法、もちろん、ある程度感度が担保できなければいけないのですけれども、そういった検査方法が選択できるような形で、定期的な検査をより普及させるといった視点での対応というのも必要ではないかなとは考えています。

○山本部会長 ありがとうございます。

 検査方法の問題と、それによって見つかることで再開の時期というのもおのずと決まってくる話になると思うのです。ですから、今回の1週間が早いのかどうなのかというのはあると思いますけれども、今後どれだけ施設がノロウイルスというものを意識して対応するかということですので、これを教訓に、やはり普及啓発活動というのは非常に重要なことだと思っています。

 恐らく、ただ単に厚生労働省のホームページを見ろというだけではなかなか難しいところがあると思いますので、もう少し柔軟にマスコミを活用するような方向でうまく普及できないのかなということがあると思いますし、感染症情報センターのほうからの発信もいろいろとあるようですけれども、感染性胃腸炎とノロウイルス、もしくは食中毒との関係ですね。もう少しわかりやすい形で情報発信というのを今後も工夫していく必要があるのかなというのがあると思います。

 特に、今回のポイントでは不顕性感染というところですね。これだと工場がやっていた症状による申告制では防ぎようがないということですので、ある程度コストはかかっても検査というものが必要になるのかどうか。ちょっとこの中で今すぐにというわけにはいきませんけれども、例えば研究班をつくっていただくとかそういう形でどのような対策がとっていけるのかを少し検討していく必要があるという時期に来ているのではないかとは考えております。

 特にほかに御意見ありますか。

 では、小澤先生。

○小澤委員 やはり外食産業とか給食施設とか大量に食事を提供したり、あるいは飲食業のようなところでは、ノロウイルスのスクリーニングというのは今後絶対に必要になってくると考えたほうがいいのです。ただし、そのスクリーニングにPCRを使うというのは全く物理的に無理ということになりますので、ノロウイルスの、ある程度感度が高くて安価に検査ができるような方法が今はかなり開発されていますので、そういったものをできるだけ普及させていって、数が多くなれば当然単価が下がってきますので、そういった方向でまずやらなければいけないと思います。

○山本部会長 ありがとうございます。

 では、砂川委員。

○砂川委員 不顕性感染が非常に多い。先ほどの情報の中でもそういった話がありましたが、果たして本当にそうなのかというのは御意見が出たところでもあったのですけれども、やはりなかなか情報を、症状があったのですかというふうに聞いたとき、言い出しにくかったりする部分というのもどうしてもあるだろうと思うのです。そういった意味では、疫学調査という観点もあるのですが、予防という観点で考えても、やはり何らかの微細なというか、余り大きくはないような症状があっても、そういったことを調理従事者の方が申告しやすいような雰囲気をもっとつくっていくとか、場合によっては家族の中で調子の悪い方、ノロウイルス感染症みたいな状況になったときにも申告していただけるというような状況とかですね、そういった確実に感染の可能性のある人の状況に対して対応できるような雰囲気というか啓発というのは一つ重要だろうと思います。

 あと、急激な嘔吐とかそういった形で調理施設の中でばっとウイルスが広がるということ以外のことを考えると、基本は糞口感染というふうなお話になってきますので、それは手洗いとかそういったあたりの徹底といったことがかなり強調されるべきでありますので、清潔操作というところについてもいま一度見直していただいて、そこをまた強化していくと。

 私は検便というのは非常に大事だとは思うのですが、特にこの流行期において、逆に検便を余り強化するにも限界がある部分もあるのではないかなとも思うので、そのあたりはいろいろバランスを考えながら、症状などもしっかり抑えるというふうな対応というのもまた考えていく必要があるだろうと思います。

○山本部会長 小澤先生。

○小澤委員 ちょっと反論するようですけれども、要するに、予防するとすれば何らかの形でスクリーニングをやらざるを得ないので、それは現在ではやはり検便をする以外ないのです。

 それから、不顕性感染があるかどうかということに関しては、確定していないと思うのです。というのは、要するに、症状があっても1日、2日でおさまりますから、1カ月前にちょっと腹を下したなんていうことは大体余り覚えていないですね。例えば聞き取り調査をしても、1週間以内ならまあ確かにあのときにお腹を壊したということは覚えていると思うのですが、私なんかは物忘れが激しいので、1カ月前に自分がちょっと下痢したなんていうのはほとんど忘れてしまっていますから、そういう意味で不顕性感染という、それが要するに不顕性感染にカテゴライズされているという可能性もありますので、その辺はよく調査をしなければいけないと思います。

 でも、やはり検便をやるということに関しては、少なくとも飲食物を提供する人は定期的に検便をやるというのは、やはり今、考えられる最善の方法だと私は思います。

○砂川委員 検便に対しての否定的なことを言っているのではなくて、定期的な検便にプラス情報をもっととりやすくすることという意味でした。

○山本部会長 どうぞ。

○寺田参考人 再開の件でちょっと説明を忘れてしまったのですが、我々は、23名のこういった検品に携わった者は行政的なウイルス検査をやったと。そうではない200名近くの方々は、事業者みずからが検査をし、その結果数名は出ているという情報はいただいて、その方々は従事から外すような措置をとるというようなことを踏まえた中で、再開に向けた営業禁止の解除をしたということはあります。

○山本部会長 ありがとうございました。

 あとは、手洗い等もそうなのですけれども、消毒薬ですね。塩素系が効くとは言いますけれども、さらに野田委員、何かもう少しほかの有効なものも開発されつつあるのでしょうか。

○野田委員 消毒剤の効果に関しましては、どのような対象によるかによっても効果というのはまた大きく違ってきますので一概に申すことはできないのですけれども、ノロウイルスは培養できませんので評価できませんが、一般的な代替えのウイルスの評価結果では、次亜塩素酸ナトリウムの低濃度というか、200ppmあたりの通常の清掃、消毒あたりに使うレベルの濃度と同等あるいはそれ以上のものというのは、市販のメーカーさんのものでも幾つかあるというのはございます。したがって、そういった場面場面においては、次亜塩素酸ナトリウム以外でも使える消毒剤というのはあると思いますので、適宜選択して使っていっていただければと思います。

 ただ、汚染度が高いところに関しまして、やはり現在ではファーストチョイスというのは次亜塩素酸ナトリウムに頼らざるを得ないという部分もあるというのもありますので、使い方が重要だということになるかと思います。

○山本部会長 ありがとうございました。

 いろいろ御意見をいただきました。

 はい、どうぞ。

○渡邉委員 野田先生のスライドですけれども、8ページ目の「ノロウイルスの不顕性感染率や保有率」というところに、一般健康者は399で0%。次に、給食従事者が4.75.6、調理従事者が1.02と書いてあるのですけれども、これは何かアウトブレークがあった後の給食従事者なのですか。それとも、いわゆる一般健康人とこんなに違う理由というのは、何かあるのですか。

○野田委員 サンプリングの背景につきまして、給食従事者のパーセントが高い理由ということだと思うのですけれども、特にこれはアウトブレークがあった後にサンプリングしたというわけではなしに、特定の施設において定期的な検便をやった結果、このような数字になっていたと記憶しております。したがって、何かがあったから高くなったということではないと思います。

 ただ、やはり不顕性感染率とかいったものは、流行する時期であったり対象によって大きく異なるものですので、データはこのようにばらつきますよということをお示ししたかったということで、一概に何パーセントだと申すのは非常に難しいということがあるのではないかと思います。

○渡邉委員 給食従事者を別に擁護するわけではないですけれども、こういうデータがひとり歩きすると、さっきの検便の話にも結びつくのですけれども、給食従事者は何か普通の人と違うのではないかというふうにとられかねないので、これのバックグラウンドはちゃんとここに何か書いておいたほうがいいのではないですかね。出典はここに書いてあるのですけれども、これが一般の人の目に触れたときにちょっと誤解を生む可能性があるのではないかと思うのです。何か原因があるのだったらそれは原因があるということをちゃんと調べないと、給食従事者が悪者になるというか、やはり何かアウトブレークがあった後にとか、何か事件があった後の調査なのではないかと思うのです。そしたら、それをちゃんと書いておいてあげたほうがフェアだと思うのです。

○山本部会長 ありますか。

○野田委員 ですから、このレポートにおいてはそのようなアウトブレークの後のということではなかったと記憶しておりますけれども、確認して、もしそういうことであればそのような形で明記させていただきたいと思います。

○石川委員 済みません、ちょっと要望です。

○山本部会長 はい、石川委員。

○石川委員 済みません。お時間ないところ大変恐縮ですけれども、新村部長さんに私が要望したいのは、私たちは先ほどちょっとちらちらもう言って、どうしても言いたいことが最後にちょっと残ったのですけれども、老人と乳幼児は保険点数になっていると。これは保険点数全てにすると、例えば私は定点をやっていますけれども、定点のところは感染性胃腸炎ではなくてノロウイルスがどのぐらいという、一応そういう迅速キットですけれども一応は言えるのですね。それだけやるだけでも、私は全然違うのではないかと思うのです。

 なぜなら、今、私たちの流行のところでは、一家4人、5人が一気にやられるとかそういう少流行なんて日常茶飯事にあるのです。ところが年齢がそれに満ちていないと、全然確定しないで感染性胃腸炎としているわけです。三千円強の値段ですから皆さんに自費で出せなんてことはとても言えないですから、これはやはり保険点数に収載すればノロウイルスに対しての解決が少し前に進むのではないかなと思うので、医療経済学的にも大変だと思うのですけれども、その辺のところを検討していく余地はあるのではないかなと思います。そうすることによって、結構下痢も長いですから、やはり子供たちは本当に何週間も休むということがあり得るのですよ。

 そういうことで、よろしくお願いしたいと思います。

○山本部会長 はい、新村部長。

○新村食品安全部長 保険点数のことはちょっと別の部局の担当ですから直接はお答えできないのですけれども、感染性胃腸炎の中のノロウイルスがかなり多いだろうというようなお話が先ほど出ていましたし、食中毒で捉えられるのはごく一部だということはおっしゃるとおりでございます。

 それで、渡邉先生としてはアクティブサーベイランスという話も出て、確かにアメリカではそういったことをやっているということもありますし、日本ではその辺はまだ行政的にはやっていないと。ただ、研究班では、一部の地域だと思いますけれどもそのようなことをやって、現に受診した人をまずつかまえて、受診する割合とかそういったことを掛け合わせていって、実際には分母としてはこのぐらいあるだろうというような研究をした例もあります。ただ、あれはノロウイルスではなかったですかね。カンピロバクターか何かほかのものだったかもしれませんけれども、そういう研究の積み重ねもありますので、そういうことも参考にしながら日本の中でのそれぞれの食中毒も含めたそういった微生物による感染の広がりを抑えていく。それによって、おっしゃるように重症度なりも違いますから、ノロウイルスの場合の疾病負担とか経済的な関係も含めてその影響を考えていく。それによって公衆衛生上の重要性、どの程度の対策をとるべきかということを考えていくという。世界的にもそういう流れはございますので、その辺は十分、部としても考えていきたいと思います。

 いずれにしても感染症の側面もありますから、その辺も感染症の担当部局ともよく連携をとってやらなければいけないと思いますし、食中毒対策としては、当然調理従事者のような特に重点を置いてやるべきところはやりますけれども、それ以外の一般国民への普及啓発なり感染予防対策という意味では、いろいろな部局が連携してやる必要があるかと思っております。

○山本部会長 ありがとうございました。

 特にほかに御意見ございませんか。

 最後に新村部長からも、さまざまな意見を踏まえた上での厚生労働省としての対策、もしくは対応の仕方というのをこれから検討しつつやっていただけるということもお聞きしました。我々としても、これからのノロウイルスに関する普及啓発について、委員各位が尽力していっていただければなと思うところでございます。

 ほかに御意見ないようでしたら、事務局から何かございますか。

○事務局 特にございません。

○山本部会長 はい、どうもありがとうございました。

 それでは、本日の食中毒部会は、これで終了したいと思います。どうも遅くまでありがとうございました。


(了)

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