ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 厚生科学審議会(科学技術部会)> 第79回厚生科学審議会科学技術部会 議事録(2013年8月21日)




2013年8月21日 第79回厚生科学審議会科学技術部会 議事録

厚生労働省大臣官房厚生科学課

○日時

平成25年8月21日(水)14:00~16:30


○場所

金融庁 共用第1特別会議室(中央合同庁舎第7号館 13階)


○出席者

永井部会長
相澤委員 井伊委員 江藤委員 大澤委員
川越委員 菊池委員 桐野委員 塩見委員
玉腰委員 西島委員 橋本委員 福井委員
松田委員 宮田委員 門田委員 山口委員
山田委員 渡邉委員

○議題

1 厚生労働省の平成26年度研究事業に関する評価(案)(概算要求前の評価)について
2 遺伝子治療臨床研究に係る審査手続きについて
3 遺伝子治療臨床研究について
4 ヒト幹細胞臨床研究について 
5 戦略研究の新規課題案について
6 その他

○配布資料

資料1-1 平成26年度科学技術関係施策及びその重点事項の概要について
資料1-2 平成26年度厚生労働科学研究費補助金等研究事業に関する概算要求前評価(まとめ)(案)
資料1-3 厚生労働省の平成26年度研究事業に関する評価(案)(概算要求前の評価)
資料2 遺伝子治療臨床研究に係る審査手続きについて
資料3-1 遺伝子治療臨床研究実施計画及び遺伝子治療臨床研究に係る生物多様性影響評価に関する申請について(自治医科大学附属病院)
資料3-2 遺伝子治療臨床研究実施計画及び遺伝子治療臨床研究に係る生物多様性影響評価に関する申請について(岡山大学病院)
資料4 ヒト幹細胞臨床研究実施計画の申請について
資料5 戦略研究の新規課題案について
資料6 国立医薬品食品衛生研究所の評価報告等について
資料7 遺伝子治療臨床研究に関する実施施設からの報告について
資料8 疫学研究に関する倫理指針及び臨床研究に関する倫理指針の見直しに関する進捗状況
資料9 戦略研究新規課題に係る公募結果について
資料10 研究に関する不正への対応状況について
参考資料1 厚生科学審議会科学技術部会委員名簿
参考資料2 遺伝子治療臨床研究実施計画の申請及び遺伝子治療臨床研究に係る生物多様性影響評価に関する参考資料
参考資料3 ヒト幹細胞を用いる臨床研究実施計画の申請に関する参考資料
参考資料4 戦略研究について

○議事

○中山研究企画官 

それでは定刻になりましたので、ただいまから「第79回厚生科学審議会科学技術部会」を開催します。委員の皆様におかれましては、御多忙の中、お集まりいただき御礼を申し上げます。本日、2名の委員から御欠席の連絡をいただいておりますが、出席は過半数を超えておりますので会議が成立することを御報告いたします。

 続きまして、本日の会議資料の確認をお願いしたいと思います。資料1-1、「平成26年度科学技術関係施策及びその重点事項の概要について」というA4横のものです。資料1-2、「平成26年度厚生労働科学研究費補助金等研究事業に関する概算要求前評価(まとめ)()」、資料1-3、「厚生労働省の平成26年度研究事業に関する評価[概算要求前の評価]()」、資料2、「遺伝子治療臨床研究に係る審査手続について」、資料3-1、「遺伝子治療臨床研究実施計画の申請及び遺伝子治療臨床研究に係る生物多様性影響評価に関する申請について」、自治医科大学のものです。資料3-2は岡山大学病院からのものです。資料4、「ヒト幹細胞臨床研究実施計画の申請について」、資料5、「戦略研究の新規課題案について」、A4横の資料です。資料6、「国立医薬品食品衛生研究所の評価報告等について」、資料7、「遺伝子治療臨床研究に関する実施施設からの報告について」、資料8、「疫学研究に関する倫理指針及び臨床研究に関する倫理指針の見直しに関する進捗状況」、資料9、「戦略研究新規課題に係る公募結果について」、資料10、「研究に関する不正への対応状況について(報告)」です。参考資料として14までございます。

 資料については以上ですが、欠落などがありましたらお知らせください。よろしいでしょうか。

 それでは永井部会長、議事の進行をよろしくお願いいたします。

○永井部会長 

それでは、最初に厚生労働省の「平成26年度研究事業に関する評価()(概算要求前の評価)について」、御審議いただきます。事務局から説明をお願いいたします。

○中山研究企画官 

それでは、資料1-1、資料1-2、資料1-3を用いて説明させていただきます。

 通常、役所では8月末に概算要求を行うわけですが、厚生労働科学研究費の部分について、概算要求前の評価をお願いするということです。それに当たり、国全体としての研究推進の方針についてどのような状況になっているか。それを受けて、厚生労働省としては、厚生労働科研費について、どのような方向性で進めていこうと考えているかを御説明させていただき、それについて御了解をいただきたいということです。

 まず、資料1-1を御覧ください。「平成26年度の国の科学技術関係施策及びその重点項目について」です。3ページ、「健康・医療に係る科学技術を巡る最近の動向」です。国の科学技術関係の戦略としては、科学技術イノベーション総合戦略、日本再興戦略、健康・医療戦略と3つございますが、健康・医療分野に限らず、科学技術全般という切り口での戦略としてまとめられたものが最初のものです。日本再興戦略というのは、政府全体の成長戦略をとりまとめたものですが、その中で、健康・医療分野において、健康寿命の延進とともに成長戦略の部分、経済的な発展の部分を併せ持った形の戦略が立てられるのではないかということでまとめられています。健康・医療分野もその一部になっているということですが、そういった視点でまとめられているものということです。この3番目の健康・医療戦略というものの主な部分については、1番目の戦略にも2番目の戦略にも入れ込まれているという形を取っています。

 健康・医療全般については、この3番目の健康・医療戦略というものが、具体的な細かい施策も含め、網羅的に取りまめられているという形で、この戦略に沿う形で厚労省の研究分野も、重点化を図りつつ進めていきたいということになるかと思います。

 こういった戦略を受けて、予算に関する方針が打ち出されております。科学技術イノベーション総合戦略を受けて、総合科学技術会議では科学技術に関する予算等の資源配分の方針が示されております。一方で、通しページで17ページを見ていただくと分かりますように、現在、本部長が内閣総理大臣、副本部長が内閣官房長官、本部員がその他の国務大臣ということで、健康・医療分野の戦略の方針を決める健康・医療戦略推進本部が立ち上がっていますが、ここにおいて、医療分野の研究開発関連予算の要求の基本方針が、本年88日にまとまっております。この資料の23ページ以降に、関連予算の要求の基本方針というものがあります。具体的に、主な内容をまとめさせていただいたものが8ページです。

 「医療分野の研究開発関連予算の要求の基本方針(概要)」というもので、推進本部による一元的な予算要求の配分調整の進め方がまとめられています。基本的には、厚生労働省、経済産業省、文部科学省が要求する予算については、内閣官房の健康・医療戦略室でヒアリングを受け、予算の概算要求の段階から調整されるという手続が書いてあります。

 ここが大事な所かと思いますが、重点化すべき分野には、疾病領域ごとの取組として、がん領域、精神・神経疾患領域、感染症領域、難病・希少疾患領域等ということで、その他についても、見ていただくと分かりますように、免疫アレルギー疾患、小児疾患、あるいは肝炎とか、生活習慣病といったようなものも、疾患領域ごとの取組として書かれています。更に、医薬品とか医療機器開発に関して、それを支援するしくみを作ったり、研究費を付けたりということで、医薬品・医療機器の実用化につながるような所を重点化していくこととされています。

 更には臨床研究や治験といった取組。世界最先端の医療の実現に向けた取組ということで再生医療やゲノム医療。分野横断的研究としては、例えば、規制に係る研究の分野などが書かれています。これらを政府全体の方針として重点化する、という方向が示されています。 

 これに従って、厚生労働省についても重点化を図りつつ、各研究の事業については、これまでの研究の成果、政策課題を踏まえた上で、来年度の方向性を有識者の評価を得ながらまとめ上げたものが資料1-3です。各部局において、外部の有識者に取りまとめていただくという形を取って、各事業ごとに推進分野を定めて、個別具体的な研究の重点を置きつつ進めていこうということで取りまとめられています。

 この概算要求前の評価はこれだけ分厚いものですが、今までの国が示した戦略、有識者による評価を踏まえて、今後の方向性はどうであるか等について、概要としてまとめたものが資料1-2です。

 そこにありますように、科学技術施策関連の周辺動向等を受けまして、厚生労働省の方向性として、重点施策的分野、その中でも推進分野を定め、メリハリをつけて進めていくこととしています。加えて、厚生労働省独自の幅広い課題というものに対応する必要性もございますので、そういった部分についても、できるだけ対応できるような配慮をしつつ、分野を設定していくということが書かれています。なお、現在進めている創薬開発に係る厚生労働科研費については、「創薬支援ネットワーク」と十分な連携を図る。HTLV-1関連疾患の疫学的な実態把握等についても、引き続き推進していくということが、方向性としてまとめられている状況です。

 概ね妥当というような評価がいただけるかどうかということで、今後、御審議いただければと考えています。以上です。

○永井部会長 

今の御説明について、御質問、御意見をいただきたいと思います。いかがでしょうか。

○西島委員 

質問ですが、先ほどの資料1-18ページ目で、重点化すべき分野の御説明の中で、1つ分からなかった点ですが、最後の分野横断的研究の推進について、先ほど規制について云々ということにちょっと触れられたようですが、それを含めてもう少し具体的に御説明をお願いしたいと思います。

○中山研究企画官 

規制に関する研究というのを例示として挙げさせていただきましたが、通し番号でいう28ページを御覧いただければと思います。分野横断的研究という、ここに書いてあることはちょっと分かりづらい部分もあると思いますが、いろいろな疾患領域ごとや医薬品開発、医療機器開発、再生医療、あとゲノム医療ということがテーマとして挙げられているわけですが、そういった横断的に関係する基盤的な研究分野と思っていただければいいと考えております。レギュラトリーサイエンスと言われるような規制に関する研究は、厚労省が関係する1つの分野として例示に挙げられるのではないかと思います。

○西島委員 

はい、分かりました。

○永井部会長 

ほかによろしいでしょうか。

○福井部会長代理 

十分理解していなくて申し訳ないのですが、これは推進本部で、厚生労働省が出す研究費が、ほかの省庁と重複していないか検討して、重複したものがあればそれを一まとめにして出すということでしょうか。厚生労働省特有の厚生行政に必要な研究というのも随分あると思いますが、それは独自にされるという仕分けをするということでしょうか。

○中山研究企画官 

おっしゃるとおり、いわゆる「日本版NIH」と言われているところですけれども、そこで一元化されるというものは、医療の研究開発の部分です。医療であり、かつ研究開発に係る分野ということです。厚生労働科研費については、そのどちらにも引っ掛からないものは当然ありますし、行政的に推進しなければいけないものはたくさんあるので、そこについては仕分けた上で、医療かつ研究開発の分野のものについては一元化の方向で出すということです。

○宮田委員 

すみません、追加質問です。推進本部が日本版NIHだとすると、資料1-22ページの最初の段落を読むと、「一元的な研究管理を行う独立法人に約1千億円を集約」と書いてあります。これは1千億円が、日本版NIHが取り扱う予算だということですか。それでNIHと言ってしまっていいのかという問題もありますけれど。

○中山研究企画官 

1-1 19ページをお開きいただければと思います。一元的な予算要求配分の調整ということで書かれているものですけれども、まず、1千億円については、今年度の各省、文部科学省、厚生労働省、経済産業省で医療の研究開発に係る予算で、どのくらいの規模のものがあるかと言えば、これぐらいの規模になるだろうというところです。インハウス研究については別になっておりますが、推進本部全体としてどういう予算があるのか見渡す対象にはなっており、そうした研究予算もあります。更に研究者の発意によるボトムアップの基礎研究、科学研究費助成事業ですが、これについては別なものという整理になっています。1千億円というのは、国が定めた戦略に基づくトップダウンの研究と書かれている真ん中の部分で、3省の今年度の医療の研究開発予算ということで数え上げると、この部分になります。

 もしかするとこの部分も増える可能性はあり得ますし、インハウスの研究などを含めるとそれなりの規模になるということです。

○宮田委員 

分かりました、どうもありがとうございます。

○橋本委員 

資料1-22ページ、予算の方針についての最後の文章ですけれども、これは日本語の理解の問題かもしれませんが、「上記総合科学技術会議の方針は、推進本部の方針と整合性をとることとされている」と。これを日本語で理解すると、推進本部の方針があって、総合科学技術会議の方針はそれに合わせるというように読めますけれども、この辺はいかがなのでしょうか。

○中山研究企画官 

これは説明をしていなかったのですが、資料1-111ページにありますように、「平成26年度科学技術に関する予算等の資源配分の方針」ということで、731日に、総合科学技術会議が先にまとめられているものです。基本的な考え方の中で、「内閣官房の健康・医療戦略室との緊密な連携の下、『戦略的イノベーション創造プログラム』も活用した、当該分野への予算の重点化を進める」、というような記載ぶりとか、あるいは、12ページの戦略的イノベーション創造プログラムの創設のところには、「医療分野については、当該分野の研究開発の司令塔の本部として内閣に置かれる推進本部のとりまとめと整合性をもって具体化する」ということが、既に書かれているものです。ここの書きぶりと合わせているという形になろうかと思います。

○橋本委員 

一応それは理解しているつもりです。ただ、ここの書きぶりが純粋に普通に読んだら、総合科学技術会議は推進本部の方針に従っていくと、そのように読めると思うのですが、いかがでしょうか。

○中山研究企画官 

実際に、厚労省としての考えといいますか、解釈をここで申し上げるのはなかなか難しくて、実際にここに総合科学技術会議の方針として書かれている、ということまでしか申し上げられないかと思います。

○永井部会長 

ほかにいかがでしょうか。

○渡邉委員 

予算の資源の配分ということは、既存の予算を振り分けることと捉えていいのかということ。もう1つは、今、国の予算全体が10%削減というような方針が出されていると思うのですが、その場合、科学技術の予算もそれの対象になるのかということ。片や政府は、科学技術イノベーションを促進すると言っているときに、この予算の配分の意味が、こちらの科学技術に対しての予算を増加させることを意味するのかどうか、その辺の方針としてはどのようになっているのか、分かっていたら教えていただけますか。

○中山研究企画官 

その辺については、どのような方針でいくかを含め、今、作業を進めているということしか申し上げられないかと思います。

○菊池委員 

すみません、1つ確認です。この資料119ページに戻りますが、左のほうにある研究者の発意によるボトムアップの基礎研究というのは、矢印がトップダウンのほうに向いていますね。これはどういうことなのですか。

○中山研究企画官 

こういった基礎研究の成果が、こちらのほうにつながっていくという意味の矢印だと思います。この解釈は、この図でしか言えませんけれども。

○菊池委員 

これが全て吸収されてと。

○中山研究企画官 

そういうことを意味しているわけではないです。下の点線に、「発堀したシーズをシームレスに移行」と書いてありますので、これがこの矢印の意味だと思っていただいていいのではないでしょうか。

○永井部会長 

ほかに御意見はありませんか。

○門田委員 

多くの資料全部に目を通していないので分からないのですが、教えてほしいのが、1-15ページ、右半分に、3.具体的なアプローチという形で、新技術の創出、新サービスの創出等、4つのことが書かれているのですが、今、話題になっている日本版NIH、あるいは健康・医療戦略推進本部にしても、ここをやるためにと文章的にはなっていると思うのですが、このII、III、IVは、今はどのようになっているのでしょうか。

○中山研究企画官 

この新サービスの創出の部分とか、国際医療協力の推進の部分につきましては、内閣官房の健康・医療戦略室が事務局となって、各省を取りまとめて進めている状況です。先ほどの推進本部というのは、健康・医療戦略全体の推進本部ですので、そこでの方針はこういったIIやIVの部分も含め、方向性を打ち出すところでは対象になると思います。いわゆる日本版NIHというのは、推進本部で大きな方針を定めた上、新しい独法ができ、実際にそこで一元化の研究の管理がされることをセットにして言っているのかと思います。

○門田委員 

もう一度、確認ですけれども、その健康・医療戦略推進本部は、この4つが入っているのですね。

○中山研究企画官 

入っています。

○門田委員 

どこかの文章を見たときに、I をするために本部を置くというような文章があったような気がするのですが。

○中山研究企画官 

日本版NIHを作るということになったときに、推進本部を立ち上げ、更に新独法とセットで「日本版NIHと呼ぶ」という言い方をしていたときがありますが、推進本部自体はNIHだけではなくて、新サービス創出とか医療の国際展開も対象とした上での推進本部であるということでよろしいかと思います。

17ページを御覧ください。「健康・医療戦略推進本部の設置について」ということで、これは立ち上がったときの紙ですけれども、健康・医療戦略推進本部の四角囲みの中を見ていただくと分かりますとおり、健康・医療戦略の全体的な推進というところが1つのテーマです。更に、日本版NIHの本部の役割も併せ持つという形で書かれています。これが正しい表現かと思います。

○永井部会長 

よろしいでしょうか。ほかにいかがでしょうか。

 全体を理解するのはなかなか大変かと思いますが、時間の関係もありますので、お気付きの点がおありでしたら、メール等でお寄せいただきたいと思います。取りあえず1週間後の828日水曜日までに事務局へ御連絡いただけますでしょうか。事務局では、その意見を集約し、必要な修正を行い、最終的には私と事務局とで相談してまとめたいと思います。そういうことでよろしいでしょうか。

(異議なし)

○永井部会長 

それでは、そのようにさせていただきます。

 続きまして、議事の2、「遺伝子治療臨床研究に係る審査手続について」の御審議をお願いいたします。事務局から説明をお願いいたします。

○松倉専門官 

資料の2を御覧ください。遺伝子治療臨床研究に係る審査手続についてです。審査の迅速化・効率化を図るために、手続を若干変更というか確認をさせていただきたいところがあります。1番の経緯から御説明をします。(1)遺伝子治療臨床研究に係る審査体制については、本年41日をもって、従来の「遺伝子治療臨床研究作業委員会」及び「遺伝子治療臨床研究に係る生物多様性影響評価に関する作業委員会」を1つに統合し、新たに「遺伝子治療臨床研究に関する審査委員会」を設置しました。これは、平成2535日の科学技術部会において、既に決定をいただいています。

 この内容については、4ページに組織の見直しの図があります。左から右に見直しを行ったのですが、左の図で網掛けをしている部分、遺伝子治療臨床研究作業委員会がありまして、これには、その下の括弧書きのように、がん、小児免疫不全疾患等、疾患ごとに6つのグループがありました。更に、右側に遺伝子治療臨床研究に係る生物多様性影響評価に関する作業委員会、いわゆるカルタヘナ委員会と呼んでいたものですが、これらの委員会がありました。こちらについては、矢印の右側のように、1つの委員会に統合することを本年4月に行っています。

1ページにお戻りください。経緯の(2)の遺伝子治療臨床研究に係る審査手続についてです。従来の2つの委員会については、科学技術部会長の了解が得られた場合には、部会の開催を待たずに委員会での審議を先行して実施できることとされておりました。これも少し昔の話ですが、平成18727日に科学技術部会において決定をいただいております。

 こちらについては7ページを御覧ください。平成18年当時の部会で御了承いただいた資料です。矢印の左と右を比べていただくと、左側が見直し前で、四角で囲ってある所に、科学技術部会にて審議とあり、遺伝子治療臨床研究作業委員会で審議することを了承というプロセスが書いてあります。その下に、同作業委員会にて審議とあります。まず部会において、作業委員会で審議していただくことを御了承いただくというステップを踏んでから、作業委員会で審議を始めるという手続を取っていました。部会を開催するまで、作業委員会での審議が始められないという点がありましたので、矢印の右側にありますように、科学技術部会長の了解が得られれば、遺伝子治療臨床研究作業委員会での審議を先行することができると改定をいたしました。これは平成18年当時の話です。

 再び1ページに戻りまして、先ほどの(2)2つ目の○です。一方、この点について、本年4月からの統合後の新たな審査委員会における取扱いについては、改めての決定や確認は行われていないという状況です。そこで2番ですが、今後の取扱いとして、統合後の新たな審査委員会についても、審議の迅速化・効率化のため、従前の委員会と同様に、科学技術部会長の了解が得られた場合は、科学技術部会の開催を待たずに、委員会での審議を先行して実施できることとさせていただきたいと思っております。この点について御了承をいただければと思いますので、よろしくお願いいたします。

○永井部会長 

ただいまの説明について、御質問、御意見はありませんでしょうか。これは迅速化されるということで、実質的にも問題ないと思いますが、御異議がなければ了承とさせていただきたいと思います。

(異議なし)

○永井部会長 

それでは今後、そのように進めてください。

 次に、議事の3にまいります。「遺伝子治療臨床研究実施計画及び遺伝子治療臨床研究に係る生物多様性影響評価に関する申請について」です。自治医科大学と岡山大学病院からの申請があります。 [m1]  

 自治医科大学病院からの申請となりますが、私はこのプロジェクトに少し関わっていますので、部会長代理の福井委員に進行をお願いいたします。また、本件の審議について発言を控えさせていただきます。よろしくお願いいたします。

○福井部会長代理 

それでは、自治医科大学の申請について御審議いただきたいと思います。事務局より説明をお願いいたします。

○松倉専門官

資料3-1、自治医科大学附属病院からの申請資料を御覧ください。まず申し上げますが、このあとの岡山大学の件も含め2件の申請がありますけれども、2件ともまだ審査委員会での審査は行っておりません。今回は委員会での審査の前に、このような申請が出てきているということの御報告をさせていただきたいと思います。したがいまして、説明内容としては、研究の概要について御説明をさせていただきます。審査結果については、審査委員会の審査が終了次第、また、後日の部会で御報告をさせていただきます。

 資料3-1ですが、申請者は自治医科大学附属病院で課題名は「CD19特異的キメラ抗原受容体発現Tリンパ球を用いた難治性B細胞性悪性リンパ腫に対する遺伝子治療臨床研究」です。こちらについて、遺伝子治療臨床研究指針に基づく審査と、もう1つ、カルタヘナ法に基づく第一種使用規程の審査を、今後行ってまいりたいと思います。研究内容については5ページを御覧ください。概要書です。申請日は右上にあるように本年73日です。研究実施期間は承認日から3年間。総括責任者は自治医大の内科学講座血液学部門の小澤敬也教授です。

 研究の中身については7ページを御覧ください。真ん中辺り、研究の目的の欄に従って御説明いたします。本臨床研究は、標準的な治療法(化学療法、放射線療法等)による効果が期待できない治療抵抗性のB細胞性非ホジキンリンパ腫を対象とした、養子免疫遺伝子療法の第I/II相臨床研究です。具体的には、CD19抗原、これはリンパ腫細胞、がん細胞の表面に出ている特異的な抗原ですけれども、これを特異的に認識するキメラ抗原受容体の遺伝子を導入した自己Tリンパ球を輸注します。患者さんの末梢血から血液を採ってきて、体外でこの遺伝子を導入したあとに、再び身体の中に戻すという流れになります。この自己Tリンパ球を輸注し、その安全性を検証することを目的としています。併せて、臨床効果とCAR遺伝子導入Tリンパ球の体内動態を評価するとされています。主要評価項目、副次的評価項目については、その下の丸1丸2に記載してあるとおりです。

 本研究については、アメリカにおいて同一のベクターを用いた治療が既に行われています。本件はアメリカで既に臨床研究が行われているベクターを導入し、これを国内で、B細胞性非ホジキンリンパ腫の患者を対象として、臨床研究を実施するものです。説明は、簡単ですが以上とさせていただきます。

○福井部会長代理 

ただいまの説明について、御意見、御質問等はありますでしょうか。よろしいでしょうか。これから検討していただくということです。

 それでは永井先生、よろしくお願いいたします。

○永井部会長 

続きまして、岡山大学病院からの申請について、事務局より御説明をお願いします。

○松倉専門官 

資料3-2、岡山大学からの申請です。表紙にあるように課題名は「悪性胸膜中皮腫に対するReduced Expression in Immortalized Cells/Dickkopf-3遺伝子発現アデノウイルスベクターを用いた遺伝子治療臨床研究」です。3ページ、右上にあるように申請日は本年88日、総括責任者は岡山大学大学院医歯薬学総合研究科臨床遺伝子医療学の豊岡教授です。

 研究の中身は6ページです。研究の目的の欄に沿って御説明いたします。本臨床研究は、悪性胸膜中皮腫に対し、REIC/Dkk-3遺伝子を発現するアデノウイルスベクターを単独で投与した場合に、以下のことを調べます。まず、1)安全性の検討(最大耐量の推定)を行うことを本試験の主な目的としております。2)治療効果の観察を行い、治療効果を総合的に判定します。これは副次的なエンドポイントです。3)当該遺伝子治療における有効性を来す可能性のある免疫学的な反応を解析するとともに、治療効果の病理学的評価を行う。これも副次的なエンドポイントです。

 具体的な治療内容は、その下に記載があるように、悪性胸膜中皮腫の症例に対して、REIC/Dkk-3遺伝子を発現するアデノウイルスベクターを単独で胸水または局所病巣内に直接投与をします。その際の質的、量的安全性を確認し治療効果の判定を行うとともに、腫瘍退縮や腫瘍マーカーの低下を期待する際の根拠となる組織学的、分子生物学的効果、ベクターの感染、mRNAレベル及びタンパク質レベルでのREIC/Dkk-3遺伝子の発現について、総合的に解析することを目的とした第I/II相試験です。

 こちらのベクターは、既に岡山大学において前立腺がんを対象に臨床研究が行われております。正確に申し上げると、完全に同一のベクターではなく少し異なるベクターですが、搭載遺伝子としては同じものを使ったベクターです。それを使った臨床研究が平成23年に既に国の承認を受けて現在も実施中で、20症例ぐらい実施されています。今回は、その対象疾患を悪性胸膜中皮腫に広げて、新たな臨床研究を行うという申請がありました。研究内容の御説明は以上です。

○永井部会長 

それでは御質問、御意見はいかがでしょうか。よろしいでしょうか。御意見がございませんでしたら、これはこのまま審査委員会で審査していただき、その検討結果は改めて報告がありますので、その時点で再度総合的に判断したいと思います。

 では、議事4です。「ヒト幹細胞臨床研究実施計画の申請について」、御審議をお願いします。医療法人徳洲会福岡徳洲会病院及び東京大学大学院医学系研究科からの申請です。726日に厚生労働大臣より諮問され、729日に当部会に付議されております。東京大学医学系研究科からの申請となりますが、私、このプロジェクトに少し関わったことがありますので、部会長代理の福井委員に進行をお願いいたします。また私と東京大学に所属していらっしゃる塩見委員は本件の審議について発言を控えさせていただきます。

 では、事務局から説明をお願いします。

○堀再生医療研究推進室長 

資料4に基づき御説明します。ヒト幹指針に基づき新たに2件の研究計画の届出があり、当部会に付議されておりますので、研究の概略を御説明します。

4ページ、まず1件目、研究課題名は「ヒト皮下脂肪組織由来間葉系前駆細胞を用いた重症虚血肢に対する血管新生療法についての研究」ということで、福岡徳洲会病院の下村先生より頂いております。対象疾患は閉塞性動脈硬化症、バージャー病、膠原病による重症虚血肢ということで、用いられるヒト幹細胞の種類はヒト皮下脂肪組織由来間葉系前駆細胞です。実施期間及び対象症例数については認められた日から5年間、40症例です。本研究については、名古屋大学、信州大学との共同研究で、名古屋大学については昨年8月、信州大学は本年3月に本部会で承認をいただいており、最後の3か所目ということで今回頂いているものです。

 治療研究の概要については、次のページの絵を用いて御説明します。まず、患者さんの腹部または臀部から約300gの脂肪組織を採取して、これを手術場で細胞分離装置を用いて脂肪組織から間葉系前駆細胞を分離して、同じ手術室内で分離した患者さん自身の細胞を虚血肢の骨格筋内、4060か所に注射器を用いて直接、移植をするものです。全体の採取から移植までの全行程が34時間ですので、オペ場の中で行われるものです。術後6か月まで副作用や合併症の発生がないかフォローアップを行うとともに、血管新生の評価を行う研究です。1件目については以上です。

○永井部会長 

それでは、ただいまの御説明に御質問、御意見を頂きたいと思います。よろしいでしょうか。もし御意見がなければ、今の件については審査委員会で審査を行っていただき、検討結果の報告を受けて総合的に判断したいと思います。続いて、東京大学の件は福井部会長代理に議事進行をお願いいたします。

○福井部会長代理 

それでは東京大学大学院医学系研究科からの申請について、事務局より説明をお願いします。

○堀再生医療研究推進室長 

引き続きまして、2件目について御紹介します。14ページです。研究課題名は「角膜内皮細胞減少眼に対する他家培養ヒト角膜内皮細胞シート移植の探策的臨床試験」で、東京大学の山上先生より頂いております。対象疾患は水疱性角膜症、用いられるヒト幹細胞の種類はヒト他家培養角膜内皮細胞ということで、実施期間は3年間、対象症例数は4症例ということで、安全性・有効性の評価を行うものです。

 本件と類似の研究としては、今年3月に他大学から申請がありました培養したヒト角膜内皮細胞の懸濁液を前房内に注入する方法が認められておりますが、本件については、培養した角膜内皮の細胞をシートにして移植するというところが新しい点です。

 治療研究の概要を次のページの絵を用いて御説明します。アメリカのアイバンクから購入した死体由来の角膜をCPC内で分離・培養して保存します。次に丸2ですが、水疱性角膜症の患者さんで移植の同意を得られた方が出てくると、保存しておいた細胞を取り出してゼラチンシートの上で角膜内皮細胞を培養する。この培養に約1週間かかるので、シートが作製できたら、丸3ということで、患者さんに細胞シートを移植するものです。丸4の術後経過観察を以下のスケジュールで行っていただきますが、主な評価項目として視力・角膜の厚さ・角膜内皮細胞の密度等を評価いただくということで、術後6か月の経過観察をする。また、その後も26か月の間、追跡するという研究計画です。以上です。

○福井部会長代理 

ただいまの御説明について御意見、御質問等はございますか。

○川越委員 

米アイバンクから角膜を購入して、それを分離・培養・保存するということですが、この物は何名かに使用する形を取るのでしょうか。一人だけですか。

○堀再生医療研究推進室長 

1 つ、一人のドナーの方から頂いた角膜から複数のものを作製すると聞いております。

○福井部会長代理 

ほかにはいかがでしょうか。よろしいでしょうか。それでは、ただいまの申請についても審査委員会で審査を行っていただき、検討結果が報告された時点で、科学技術部会で総合的に判断していただきたいと思います。

○永井部会長 

続いて議事5です。「戦略研究の新規課題案について」、御審議を頂きます。事務局から御説明をお願いします。

○宮嵜厚生科学課長 

資料5です。「戦略研究の新規課題案について、認知症予防のための戦略研究」についてです。今回、本課題の研究骨子を作成しましたので、御審議をお願いするものです。

1ページ、概要です。まず研究の背景についてです。我が国の65歳以上高齢者の28%が認知症あるいは軽度認知障害、(MCI)と推定されておりまして、これらについて国内のみならず国際的な関心も高まっております。

 一方、一部の認知症を除いて、根本的な治療法は現時点で存在しておらず、効果的な介入手法の確立が渇望されております。こうした中、限られた数の高齢者を対象とした研究ではありますが、有酸素運働等の有効性が報告されているという背景があります。このために今回、認知機能低下、認知症発症に関する諸因子の観察と認知症発症予防のための運動習慣獲得プログラムの有効性を検証するための研究を実施するものです。対象としては参加市町村に在住する65歳以上の認知症ではない方を考えており、割付については市町村を単位に運動習慣獲得プログラムを実施する介入群と、非介入群の2群に割り付けるものです。介入方法については、介入群に対し運動習慣プログラムを12か月間実施し、以降4年間、以下に記載があるような評価項目を継時的に観察していくものです。主要評価項目は認知機能評価法の結果。副次評価項目は、1.認知症の発症率、2.身体活動度、3.社会活動、知的活動等の認知症発症と関連が示唆される因子、4.CTMRI等の脳画像の結果も挙げております。次のページ以降に詳細を記載しておりますので、重なる部分もありますが改めて御説明いたします。

2ページ、研究の背景については先ほども申し上げましたが、1つ目の○、2010年時点で世界で3,560万人の認知症者が存在し、各国の保健上、経済上の大きな課題となっています。2つ目として、我が国における高齢化の進展により、2025年には65歳以上の人口は3,657万人に達すると推計されております。下のポンチ絵も併せて御覧いただければと思いますが、3つ目の○、平成24年時点で軽症者を含めた日本の高齢者の認知症有病率は15%、462万人と推計されております。また、軽度認知障害、MCIについては13%、400万人と推計されており、今後も認知症は増加することが予想されております。

3ページ、真ん中辺りで認知症の治療の現状として、原因疾患の中で最多であるアルツハイマー病に限らず、治療可能な認知症を除いて有効な根本的治療法がない状況です。次の○に記載のように、先行研究において身体活動、知的活動、社会活動等が高齢者の認知症の発症予防や認知機能の低下に効果があると報告されております。

4ページ、先行研究について記載しております。最初のポツ、身体活動については、運動をしていない群に対して、歩行より強い程度の運動を週3回以上行う群は、アルツハイマー型認知症等の罹患率が減少することが報告されております。2ポツでは、介入研究で、括弧内ですが、週に少なくとも150分の中等度の強度の身体活動による効果が示されているというような論文もあります。一番下、社会活動については、社会活動がより多い高齢者では認知機能の低下がより少なかったという結果が示されているという先行研究があります。

5ページ、改めて研究目的を申し上げると、本研究では高齢者の認知機能低下並びに、認知症発症に関する諸因子の総合的な観察に加え、運動習慣獲得プログラムに基づく介入を行うことによる、認知機能低下並びに認知症発症に対する抑制効果の評価を行うものです。本研究により高齢者の認知機能低下の抑制、認知症発症率の低下を政策目標とし、成果の施策への反映については、最初のポツにありますが、本研究の成果を現在市町村で実施している介護予防事業等に組み入れていくことなどを想定しております。

6ページ、研究方法、研究デザインです。7ページの図も併せて御覧ください。6ページ、対象については65歳以上の認知症でない者ということで、介入群、及び非介入群の合計で1万名以上を想定しており、研究実施計画書作成の段階で詳細について検討していただき、確定していただきたいと考えております。除外基準は資料のとおりで、割付も資料のとおりです。介入方法及びデータの収集についてです。1点目、エントリー時に、以下のデータを収集するということで、エントリー以前の身体活動、社会活動、生活習慣等。更にエントリー時の身体活動、社会活動、生活習慣、認知機能検査、血液検査、脳画像等の情報を収集することとしております。2点目です。介入群では運動に関する介入を目的とした講習・演習を12か月間行い、非介入群では、既にある取組のうち、運動に関するもの以外の取組を実施します。3点目、両群において、介入期間中の身体活動度データ等とともに社会活動、知的活動等のデータを収集します。4点目、研究開始後、それぞれ1年後、2年後、3年後に観察期間中の身体活動、社会活動、知的活動等のデータ収集及び認知機能検査等を実施するもので、最終年度の4年後にエントリー時と同様の全検査を実施するというようなデザインです。

8ページ、評価項目です。主要評価項目については認知機能評価として、MMSE-J等を用いて認知機能評価を行う。※印の所にあるように、詳細な認知機能検査を併用することも考慮して、実際には研究実施計画書作成の中で確定していただくことを現時点では想定しております。副次的評価項目については、認知症発症率、軽度認知障害、(MCI)の発症率、身体活動度、先行研究において認知症発症と関連する可能性が示唆されている社会活動、知的活動、生活習慣病等の因子。鬱などの精神機能評価、CTMRI等を用いた脳画像についても解析を想定しております。解析については一番下の欄ですが、エントリー時と終了時の主評価項目を比較して、運動習慣獲得プログラムの有効性を検証する。2点目として、運動習慣獲得プログラムが副次評価項目に与える影響を解析する。3点目として、認知機能低下及び認知症の発症と、社会活動、知的活動等の副次的評価項目との相互の関連を解析し、各々の関係性を明らかにすることとしております。

 最後は9ページ、平成25年度の取組についてです。一番上、科学技術部会の審議の結果も踏まえ、研究骨子に基づき、研究実施計画書を作成する研究者を公募して、研究実施計画書を作成していきます。2点目として、戦略研究の企画・調査専門検討会において、研究実施計画書を評価していただくことを予定しております。真ん中の欄です。研究実施計画書を作るに当たっての主な検討事項として、1点目、対象者の要件を詳細に検討していく。選択基準、除外基準などを詳細に検討していく。2つ目として、運動習慣獲得プログラムの詳細についてとか指導者への教育プログラムの作成もしっかりやっていく。3点目としては、データ解析システムの作成。4点目として、最終的には対象者数の確定をしていくことを考えております。以上です。御審議のほどよろしくお願い申し上げます。

○永井部会長 

それでは、ただいまの御説明に御質問、御意見をお受けしたいと思います。

○桐野委員 

いろいろよく検討されたのだと思いますが、戦略研究について、最近のものは全部知っているわけではないのですが、サンプルサイズ、アウトカム目標などをもう少し具体的に決めて、この研究を募集されるということが多かったように思うのです。もっと詳しく書いてある紙があるのかもしれませんが、結構難しい研究かなと思うのは、今まで認知症のない集団をクラスターで割り付けて、それを4年間フォローして結果を出すということなので、サンプルサイズを相当考えておかないと、なかなか出ないのではないかという感じがするのです。その辺の検討はどうだったのかを教えていただければと思います。

 実際、そのように長々とやればいいという問題でもないのでしょうが、4年間で、ある集団の中で2割ぐらいでしょうか、認知症と言われる状態にだんだんなってくるのが少し遅くなる、抑制されるなど、明らかにいろいろなパフォーマンスがいいということを出すのでしょうが、そこは検討されたのだろうとは思います。それからエントリー時に脳画像を全くやらないというわけではないけれども、全員にはやらないということになっていますが、これでいいのかなという感じがします。3つ目に、介入が有効かどうかを検証するのであり、運動したかしないかを評価するのではないのかなと思います。それが実際に運動した人としなかった人とに分けた場合には、この研究がほかにも、例えば糖尿病、心疾患、脳卒中などにも関係してくるかなと思います。その辺は検討されたのかということです。

○宮嵜厚生科学課長 

お答え申し上げます。まず大枠を申し上げると、今の段階でいろいろ有識者からも聞いて、実際に戦略研究企画・調査専門検討会での御検討も踏まえて、こんな感じかなというものを御提示させていただき、これから実際にこんな方向かなということであれば、実際のプロトコールを作るフィージビリティー・スタディを今年度やらせていただき、具体的にはそれも踏まえて、来年度やるかどうかという流れになるので、さらにフィージビリティー・スタディを踏まえて、先生が御指摘のような所も、詰める所は更に詰めてというような段階を考えております。そういう位置付けです。そんな中で、サンプルサイズについては、最終的には詰めないといけないと思っておりますが、今の段階で想定しているのは、介入群と非介入群で5,000ずつぐらいの人数を取って、発症率10%と取るか20%と取るかはありますが、10%と取っても500人ぐらいの認知症と軽度の認知障害が入ってくるのかなというところです。そこも詰めていく必要はあると思いますが、そのくらいの規模を想定しております。

 画像についても、確かに全部撮れればそれに越したことはないという考え方もあるかと思いますが、まず何と言っても費用の問題もあり、実際に画像を撮るキャパ、地域の医療資源などの問題もあるので、どのくらい撮ったら研究に耐えられるのかも、当然フィージビリティー・スタディの段階でいろいろ議論していただくことになるのかなと思っております。

 運動量というか身体活動量も当然ベースラインも取った上で、アクティブガイド2013に基づいた、どういう形でというところもあるとは思いますが、運動介入、あるいは身体活動で、介入している群としていない群を比較していくような設計を今の段階では考えております。

○永井部会長 

よろしいでしょうか。

○福井部会長代理 

桐野先生の御質問と一部オーバーラップしますが、かなりの研究費を使って、これだけの研究をやるわけですので、認知症についてのメインのフレームは変えないで、鬱病の予防、心血管系疾患の予防、がんの予防など、運動の効果は非常に幅広く、多いので、そのような視点からも、サブ解析でも結構ですし、データアーカイブになってからでもいいとは思いますが、違う切り口で解析できるような工夫もしていただければ、非常に多くの人にメリットがあるのではないかと思います。

○永井部会長 

そこはよろしいですか。

○宮嵜厚生科学課長 

桐野先生、福井先生から頂いた御意見も踏まえて、研究実施計画はさらに詰めていきたいと思います。

○玉腰委員 

この割付ですが、市町村単位で無作為に割り付けるが、評価は参加者の評価をするのですね。市町村単位で認知症の発症がどうなるではなくて、個人単位で発症を評価するのだと思うのです。そうすると無作為に市町村をいくら割り付けても、対象者は無作為割付になっていないので、比較性が保たれているかどうかが非常に疑問なのです。そこはどのように、今までの御検討の中では考えられていますでしょうか。

○老健局高齢者支援課担当者 

割付をどうするかは最初の段階で議論になった所ですが、個人で、もしランダム化すると、個人同士、やっている人とやっていない人が同一の市町村だと分かってしまう。それが与える影響が非常に大きいのではないか。つまりある人はやっているけど私はやっていないということが、どうしてもアウトカムに影響してしまうのではないか等の検討を踏まえて、人その他のクラスターランダム化の方法の上で比較する方法を現在では取らせていただいております。おっしゃるとおりフィージビリティー・スタディ等に、もしこれがデザインとして、ある程度おっしゃるような原因もしくは結果に影響を与えるようでしたら、そこは検討したいと思っております。

○玉腰委員 

御検討ください。

○井伊委員 

割付のことで今も御質問がありましたが、非介入市町村で、この研究に参加をする対象者の皆さまは、運動以外の講習等の実施ということでの何らかのサービスがあったりするのですが、本人に運動を禁止するわけではないと思うのです。そうしたときにいろいろな関連する可能性が示唆されている因子についても評価項目の中に挙がっているので、かなり詳細な情報をこの人たちは取られることになると思います。あなたの情報を誰が取るかということの許可、了解をどうやるのかという倫理的な配慮、そういうことをきちっとする必要があるのではないかなと思いました。それが1つです。それから後で資料9でも「戦略研究新規課題に係る公募結果について」という御報告がありますが、これに関して参加をした、選定された市町村はどこなのかということは、公表されるのでしょうか。

○宮嵜厚生科学課長 

手続についてはしっかりやっていきたいと思います。どこの地域、どこの市町村が対象になったかというのは、その段階では公表することは考えておりませんで、結果の段階で出てくることになろうかと思います。

○井伊委員 

最終結果ということですか。分かりました。

○永井部会長 

ただいまの御議論を踏まえて、この計画を進めさせていただくことにいたします。

 続きまして、報告事項にまいります。「国立医薬品食品衛生研究所の評価報告等について」、御報告を頂きます。本日は、国立医薬品食品衛生研究所の奥田副所長に御出席いただいておりますので、奥田先生から御説明をお願いいたします。

○奥田副所長 

国立医薬品食品衛生研究所の機関評価の報告書について説明いたします。資料は16ページ、横長の部分で、「機関評価結果及び対処方針」を用いて説明したいと思います。私たちの研究所、国立医薬品食品衛生研究所は国衛研と略称しています。国衛研は、医薬品や医療機器、食品のほかに、生活環境中に存在する化学物質の人間への影響について、品質や安全性、有効性をどうやって評価するかということの試験、研究や調査を行っている研究機関です。例えば評価法の開発とか、標準化研究などを実施しているわけです。

 また、最近はいわゆる安全衛生研究にとどまらず、医薬品や医療機器、再生医療等のイノベーションに関しては、科学技術を国民の利益に適用させるといったレギュラトリーサイエンスの立場から加速することも期待されています。後ほど触れますが、国衛研は川崎移転に伴い、再生医療などの革新的医薬品のレギュラトリーサイエンスの充実を当面の優先課題として取り組んでいるところです。私たち国衛研は、望月先生を長とします委員の先生方にお願いして、機関評価を実施していただいているところです。

 横長の資料に沿って説明いたします。1ページですが、全般的な研究、試験、調査及び人材養成等の状況と成果に関しては、研究、試験、調査において、各研究部がそれぞれ独立、あるいは協力し業務に当たっており、その研究レベルも高く、多くの優れた研究成果を上げているという非常に良い評価を頂くことができました。

 一方で、求められる科学技術は、より先進的、より広範になってきているにもかかわらず、国立衛研の資源不足は目を覆うものがあります。特に、人員については、何らかの改善方法を至急講じる必要があること。そのためには、国衛研として適切な情報発信をして、国民の理解を共有する必要性が強く指摘されていました。私どもも人員確保は最優先に解決すべき課題であると認識しており、当研究所が果たすべき役割を分かりやすく発信することなどによって、人的・物的資源の確保に努めてまいりたいと考えているところです。

 研究分野・課題の選定についても、全体としてはおおむね適切であるとの評価を頂いております。2ページですが、社会・経済の変化に対応し、必要な研究分野や課題を絶えず見直していくことが必要であると。また、ナノテクノロジー、再生医療やQSARといった分野については、複数の研究部等が携わっており、これらのテーマについては、一層の研究の進展を図るため、研究部間の役割分担、情報の共有等を所の主導で進めるべきであるとの御指摘を頂いております。これら大きな発展が期待される分野は所が主導し、それぞれの項目について、部間の役割を分担しつつ、情報の共有、課題への一体的な取組、ホームページを通じた分かりやすい情報発信を図ることにしたいと考えているところです。また、特に再生医療に関しては、現在、再生医療製品を中心とする部門の構築を予定しているところです。

 さらに、医薬品安全情報については、PMDAの拡充に伴い情報収集、評価、発信が強化されてきたことから、厚生労働省やPMDAと今後の連携や役割分担について、相談、協議すべきであるとの御指摘を頂いております。市販後安全対策の充実が求められ、PMDAの安全部門が充実し、また企業の取組も活性化してきた中、国全体としてこの問題を的確に実施することを前提にして、業務の在り方を関係機関と協議していきたいと考えているところです。

 組織、施設整備、情報基盤、研究及び知的財産権取得の支援体制に関してですが、今日の行政需要と研究環境の変化に応じて、適宜、組織の見直しや人員配置の適正化などによって、組織再生についてはおおむね適切に対応しているとの評価を頂いております。国衛研は現在、川崎移転を控えております。昭和63年に移転対象となって以来、長らく移転地が決定できずにおりましたが、今般、川崎市から国際特区への誘致のお申し出を頂き、平成28年度竣工を目指して、現在、作業を続けているところです。この点に関して、老朽化、狭あい化した施設整備をし、今日の研究需要に応えることができるという観点からは大きな意義を有しているとの評価を頂いております。

 一方、先ほど医薬品安全情報に関して紹介しましたが、情報部門全体の業務や食品中の微生物に関する業務体制に関する指摘を受けております。食品中の微生物に関する研究は、現在、2部門の間で連携して実施しているところですが、今一度、その在り方を検討していきたいと考えているところです。

3ページ下から4ページ、共同研究・民間資金の導入状況、産官学の連携及び国際協力等外部との交流に関してですが、国衛研の研究は研究開発推進の立場とは異なるものの、更に新しい科学技術の成果をより早く、より効果的、効率的に国民の手元に届けることができるかという視点も重要である。その視点から、医薬品のイノベーションに国立衛研が一層貢献されることを期待するという御指摘を頂いています。革新的医薬品の創出は日本再興戦略でも求められているところであり、更に移転先の川崎市からも強く期待されているところです。先ほども紹介しましたが、組織の改変等を予定し、国の機関としてその役割を的確に果たすことができるよう、関係機関との協力を目指し、イノベーションの進展に取り組んでいきたいと考えているところです。

 共同研究、産官学、国際協力については、各研究部の間で考え方や取組に差があるように見受けられる点もあったという指摘を頂いております。この点に関して、レギュラトリーサイエンスに関わる人材養成とともに、国立衛研として効果的、効率的な取組方策について協議していきたいと考えております。国衛研は臨床部門は有しておりません。臨床部門との連携・協力を含め、患者の視点に立った研究の実施ができるよう留意することにしたいと考えております。

 研究者の養成・確保に関しては、引き続き努力するようにとの指摘を頂いているところです。レギュラトリーサイエンスを担う人材の養成は、現在、連携大学院や革新的医薬品の実用化促進事業の枠組みを利用して実施しているところですが、PMDAとの人材交流を含め、更に所としても人材養成について検討していきたいと考えております。

5ページですが、社会貢献に関しても、国衛研は所掌する研究、試験の業務は大変広く、多くの研究員が審議会や調査会のメンバーとして活動するほか、WH0などの国際的な会議にも参加しています。所員が一丸となったその取組が評価できるとの評価を委員から頂いております。日頃の研究成果を、このような場を通じて社会に還元することは、国衛研の責務と考えており、引き続き努力したいと考えております。一方で広報、分かりやすい情報発信の必要性が指摘されております。現在、新たな取組として月例報告などをホームページで発信しているのですが、更に何ができるか検討していきたいと考えているところです。

6ページ、全体の評価の最後ですが、部長の中で女性の占める割合が40%と高く、努力する人材を性別にこだわらず登用している姿勢は評価できるとの指摘を頂いています。人員削減が続く中、今後とも適材適所で効率の良い運営に努めたいと考えております。

 最後ですが、報告書3ページです。研究資金等の研究資源の配分ですが、研究費の適正な執行について、引き続き、職員全体に対し倫理基準や学術会議の行動規範等の徹底が求められるとの指摘を頂いております。86日の報道発表にもありましたように、国衛研で今般明らかになった不適切な経理が行われたことを、所全体として深刻に受け止めております。この問題は平成24年に会計検査院が当所の科学研究費の執行調査を行っている過程で、いわゆる「預け金」と思われる事例が認められたために調査要求があり、外部調査委員会にこの問題の調査、今後の改善方法の検討をお願いしてまいりましたところ、その調査結果がまとまったことから、先般、公表したものです。この問題を深く反省し、内部統制の再構築を図り、しない、させない体制作りを急いでおります。研究費の適切な執行に関して、内部研修を毎年開催する、内部監査の改善など、再発防止策をとることとしています。また、その一環として、現在、所内の発注や検収システムの見直しを行ったところです。このようなことは誠に申し訳ございませんでした。今後とも御指導のほどよろしくお願いいたします。以上です。

○永井部会長 

ただいまの御説明に御質問、御意見を頂きたいと思います。

○松田委員 

御報告、ありがとうございました。最初の全体的な総括の中で、資源不足、特に人員について、「目を覆うものがある」という非常に厳しい表現があるのですが、それ以降の報告を伺っていますと、「研究資金はおおむね充足している」とか、組織も「適宜、見直しを行い、人員配置の適正化などを行っている」とか、厳しい状況・条件の中で鋭意努力されて適切に運営されているということだと思いますが、最初の「資源不足は目を覆うものがある」とおっしゃられるのであれば、どういう所をもう少し強化したいのか。これは4名とか3名減ということを記述しておられますが、定員不足が非常に深刻であるということが余り出ていないのではないかと思えるのですが、そういう点をもう少し詳細に記載されたほうがよろしいのではないか、という印象を受けました。

○永井部会長 

いかがでしょうか。

○奥田副所長 

御指摘ありがとうございます。人員不足の中、国衛研はスクラップアンドビルドを求められています。そういう中で現在は、先ほどの説明でも申し上げましたが、できるだけ新しい革新的な医薬品の創製といった分野のレギュラトリーサイエンスの強化に向けて、人を充てようとしているところです。ただ、1つの問題は、全体として、まず定員が常に減っていくということと、特に今年、去年と新規採用の抑制があって、その定員までもなかなか充足することができないという問題があって、こういった厳しい御指摘を頂いたのかと思います。現状では、例えば室長が研究を主導するのですが、その下に常勤の研究員が置けないと。ポスドクの学生、派遣の研究者を使って、そういったことも含めて組織を回して努力しているという状況です。

○宮田委員 

御苦労なさっていることは報告書から読み取れるのですが、少し視点を変えて、川崎に移転されて、外側は立派な研究所になる。だから、その内部のことを少し考えないといけなくて、この医薬品食品衛生研究所は今後、何をすべきなのかということをもう少し所内で御検討いただかないと、今は何か撤退戦をずっとやっている感じで、国が資源投入を新たにしたくなるようなビジョンをもう少し作られたほうがいいのではないか。移転を機に、是非それはやっていただきたいと思っています。

1つ気になったのは、例えば再生医療ですが、再生医療新法は今度の臨時国会で成立するでしょうけれども、やっとその組織ができたと書いてありますが、それでいいのか。要するに研究機関であれば、もっとヴィジョ ナリー に攻めの形でやるべきではないか。しかし一方、試験所と考えると、今言ったように法的根拠ができて組織ができるのも、うなずけないわけではない。そうすると、この研究所はハイブリッドな組織であって、その両方の特性に苦しんでいるところがあるような気がするので、そういった全体的な厚生労働省の研究機関の中の立ち位置も含めて、業務内容も含めてですが、少し根本的に移転を期して精査すべきだろうと思います。

○永井部会長 

いかがでしょうか。

○奥田副所長 

ありがとうございます。その点に関しては、機関評価の先生方からも、最後の所で長期のビジョンをもう一度再整備するようにという御議論をいただいているところです。今、先生の御指摘がありましたように、国衛研はレギュラトリーサイエンスという立場で、ある意味で規制に関わる研究をするという部分が1つあります。その中で、新しい分野についてはそれを推進することができるような規制もまた、規制環境を国衛研として作っていかなければいけないという使命もあります。そういう意味では、先生の御指摘のように、2つのものをこれからも追い続けなければいけないのだろうと思っていますので、そこの部分を今後どのようにバランスをとるかについて、所として議論を深めていきたいと考えています。

○江藤委員 

どうでもいいことなので、質問していいかどうかなのですが、国際社会ですから、英語の名称もかなり重要だと思うのですが、National Institute of Health Sciencesというのが正式な名称なのでしょうか。医薬品云々というのではなくて、このままですと、まさにNIHなのですけれども。

○奥田副所長 

NIH National Institutes of Health で、私たちの研究所はNational Institute of Health Sciencesで一つの研究所なのです。正にこれが私たちの今置かれた国衛研の状況を表しています。医薬品食品、環境問題についても、衛生問題一般について、Health Sciencesという言葉で代表しているということかと思います。

○永井部会長 

ほかに御意見はありますか。以上、報告をお受けしたということにいたします。

 議事の6にまいります。遺伝子治療臨床研究に関する実施施設からの報告について、事務局から御報告をお願いいたします。

○松倉専門官 

資料7を用いて、遺伝子治療臨床研究に関する実施施設からの報告について説明いたします。表紙ですが、報告件数が多いので、まず全体像を説明いたします。名古屋大学医学部附属病院から変更申請が出てきております。また、多施設共同研究として、計4機関ありますが、三重大学、愛媛大学、藤田保健衛生大学、名古屋大学の各機関から変更報告が出てきております。上の変更申請と下の変更報告で、何が違うのかを最初に説明いたします。遺伝子治療臨床研究の指針の中では、重大な変更事項については、申請という形で厚生労働大臣の承認を受けるようにとなっております。一方、重大でないものについては報告、いわゆる届け出をすればよいという形になっております。何が重要かというのは、これは必ずしも一律の基準が定まっているわけではないのですが、今回の名古屋大学については総括責任者が変更になるということでしたので、従来より、この変更は申請に該当するものとして出させております。

 表紙の一番下ですが、北里大学病院から終了報告が上がっております。これは国の承認を受けて実施している臨床研究が終了した場合に、どのような研究成果が得られたかをまとめて報告いただくもので、これも指針に基づくものです。

 中身の説明をいたします。1ページです。名古屋大学からの変更申請です。課題名は1ページに記載されているとおりで、急性骨髄性白血病及び骨髄異形成症候群に対する遺伝子治療臨床研究です。

3ページです。具体的な変更内容について、下から2つ目に記載があります。変更内容という欄に記載があるように、人事異動による総括責任者の変更です。具体的な変更後の中身については5ページです。5ページは新旧対照表で、上から3行目に総括責任者の変更が記載されています。このとおり変更するという申請でした。こちらの変更は申請ですので、厚生労働大臣として承認をするかしないかという判断をしなければいけないのですが、これについては既に審査委員会の先生方の意見を伺った上で、変更してよいという回答を返しております。これについては審議会への諮問という手続は行っていないのですが、指針の中では従来行われている臨床研究と比べて新規性がない場合は審議手続は行わないという仕組みになっており、今回は総括責任者が変更されるもののプロトコール自体は変更がないということで、こちらは新規性なしという前提の下、事務的に既に回答を返しておりますので、その点を報告するものです。

 こちらからは変更報告になります。7ページは三重大学です。研究課題名は7ページに記載されているとおりで、共同研究ですので、先ほどと同じ課題名です。具体的な変更内容について、10ページの一番上の変更内容に、人事異動による総括責任者以外の研究者の変更、モニター担当者や監査担当者が診療記録等の閲覧を行う旨を明記するといった内容の変更が報告されております。詳細は11ページ以降に新旧対照表がありますが、時間の関係で個々の説明は省略します。

14ページも同じく三重大学からの変更報告です。同じ三重大学なのですが、変更報告を出すタイミングが2回に分けてありましたので、報告書としては2通付いているということです。具体的な変更内容は17ページです。中ほどに変更内容という欄があって、総括責任者以外の研究者を追加するという変更です。こちらも詳細は18ページから20ページに記載がありますが、説明は省略します。

21ページです。愛媛大学からの変更報告です。具体的な中身については24ページです。変更内容の欄に、人事異動による所属職名等の変更及び総括責任者以外の研究者の変更、また、本文中の文言についての記載整備ということで、先ほど三重大学から変更のありましたモニタリング担当者等が被験者の診療記録を閲覧できるように変更するなどといった内容を含めて修正されております。具体的には25ページから28ページにありますが、説明は省略します。

29ページから藤田保健衛生大学からの変更報告です。具体的内容は32ページです。一番上の変更内容の欄ですが、人事異動による総括責任者以外の研究者の変更と本文中の文言についての記載整備ということで、先ほど説明した内容と同じような変更がなされております。

36ページ、名古屋大学からの変更報告です。こちらも具体的な内容は39ページの上から2行目、変更内容の欄にあるように、厚生労働省からの指摘事項に対応するための変更。これは国の審査委員会の中で修正指示があったところを修正したものということです。本文中の文言についての記載整備とありますが、具体的内容は40ページから41ページにあります。一気に説明してしまって恐縮なのですが、変更申請と変更報告については以上です。

 最後に42ページです。最初に申し上げましたが、北里大学からの終了報告書が提出されております。こちらの内容について、概要を説明いたします。研究課題名については42ページに記載があるように、前立腺がんに対する遺伝子治療臨床研究です。研究の概要を簡単に説明します。45ページの一番下の研究の目的の欄です。本研究は、単独治療では治療後に再発する可能性が高い限局性前立腺がんに対し、単純ヘルペスウイルスチミジンキナーゼ遺伝子を発現するアデノウイルスベクターを前立腺内に注入し、抗ウイルス剤であるガンシクロビルを全身投与した後、根治的前立腺摘除術を施行した場合の安全性及び直接的な抗腫瘍効果と、間接的な免疫学的効果の解析・評価を目的とした第I/II相試験です。

 こちらは遺伝子導入だけでなくて、抗ウイルス剤の投与とか、前立腺の摘除術といった複数の方法を集約したような研究になっており、全体の流れとしては47ページの一番上に図があります。こちらにあるように、まずDay0にベクターを投与して、その後、ガンシクロビルを投与する。再び同じベクターを14日目に投与して、更にガンシクロビルを投与するという形を反復します。さらに、56日目に前立腺の摘除術を行うという全体の流れになっております。

 研究結果ですが、47ページの下半分、研究結果の概要及び考察という欄です。全部で5症例が登録されて、その全例に対してこのベクターによる治療が実施されております。その後に研究結果が記載されているのですが、50ページの3.臨床研究の総括でまとめてありますので、こちらで説明します。1)安全性に関する考察と結論ですが、本臨床研究において使用されたレベルのベクター容量と回数において、その有害事象は保存的な対応で改善し、安全性が確認された。しかしながら、一過性の発熱を全例に認めており、先行する米国との比較において、日本人ではその反応性が強く認められる可能性も示唆された。また、生体内へのベクターの移行に関しては同定されず、その安全性が確認されたとされております。

2)治療効果に関する考察と結論ですが、当該遺伝子治療により、全ての症例でPSA、これは前立腺がんの腫瘍マーカーですが、その値の低下が確認され、その低下率は平均23.1%であった。また、末梢血におけるCD8陽性Tリンパ球を中心とした変化並びに病理学的な殺細胞効果が認められ、その明らかな治療効果が確認されたとなっております。

 以上ですが、安全性の点に関して、1点だけ補足して説明いたします。50ページの先ほどの3.臨床研究の総括の1つ上に、6)転帰の中で、「全5症例のうち3症例はPSA値が0.1未満で推移しており」の下、4行目の後ろから「また1症例においては、遺伝子治療臨床研究終了後の深部静脈血栓症に起因した肺梗塞にて死亡となり、他因子での死亡であった。また同有害事象については、遺伝子治療臨床研究重大事態報告として所轄官庁へ報告した」とされております。この1例の亡くなった方については、ここに記載のあるとおり、当時、国に報告をいただいて、審査委員会でも御確認いただいたものになります。

 詳細を口頭で申し上げると、臨床研究で治療を受けた結果、Grade3の肝障害がまず見られました。この肝障害を理由として臨床研究は中止という形になりまして、肝障害自体はその後、軽快をして退院されたという経過です。臨床研究は中断したのですが、原疾患自体は続いておりましたので、臨床研究ではなくて通常の治療として前立腺がんの摘出手術などを受けられたそうです。その手術の後に肺梗塞が発生して亡くなられたという経過です。当時の学内審査委員会の中では、臨床研究に起因するものではなくて、その後の通常診療における手術に起因するものと評価されておりました。以上、簡単ですが、説明を終わらせていただきます。

○永井部会長 

ただいまの御説明に御質問、御意見を頂きたいと思います。先ほどの肝障害は遺伝子治療によるものということなのでしょうか。

○松倉専門官 

先ほど説明したように、この臨床研究の全体像として、ベクターの投与以外にウイルス剤の投与であるとか、摘出手術を組み合わせた研究になっておりますが、肝障害については、ベクターによる直接的な影響というよりも、ガンシクロビルなどの抗ウイルス剤、薬剤によるものであるという疑いが高いと評価されております。

○川越委員 

終了報告書ということですが、終了の理由は、症例が集まったからということですか。よく分からなかったのですが。

○松倉専門官 

当初の計画どおり研究が終了したということです。

○川越委員 

この研究は副作用もほとんどなかったということで、治療効果もある程度期待できるということで、この後、こういう種類の臨床研究といいますか、これはどういう形で。もし、この後で同じような治療をする場合は、もちろん、こういう所の議題には上がってこないわけですよね。それは普通の治療として行うことになるのでしょうか。

○松倉専門官 

今回の終了報告に上がってきている研究は、安全性の確認を主目的とした第I/II相試験ですので、当然この後、有効性についての更なるエビデンスの確立という研究が必要になってくる段階だと思います。ですので、具体的な研究申請の相談を受けているわけではないのですが、一般的な流れで言いますと、今後、更なる臨床研究を行っていくということが考えられます。

○宮田委員 

1 つお尋ねします。これを見る限りでは、学会では発表しているようなのですが、論文として、この成果は発表されるのかどうかです。もう1つ言えば、終了報告書は論文との関係、プライオリティの関係がありますが、それをダウンロードしてみんなが見られるのかどうか、そこを伺いたいのです。これはせっかくよくできている報告書なので、そういう意味では臨床研究の成果を国民がシェアするという道を開いておかないといけないと思っておりまして、そこら辺はどうなっているのでしょうか。

○松倉専門官 

まず、論文として投稿されているかどうかというところは確認をしておりません。今回、終了報告書という形で出してもらったものは、本日の資料としてお付けしているように、これは公開されます。これは厚生労働省のホームページからどなたでも御覧いただくことはできます。

○宮田委員 

論文に関しては、ちょっとお尋ねになったほうがいいと思います。

○松倉専門官 

確認しておきます。

○永井部会長 

そのほか御意見はありますか。よろしければ次に進ませていただきます。

 続きまして、「疫学研究に関する倫理指針及び臨床研究に関する倫理指針の見直しに関する進捗状況」について、事務局より報告をお願いいたします。

○中山研究企画官 

報告させていただきます。疫学研究に関する倫理指針及び臨床研究に関する倫理指針の見直しに関しては、既に合同会議を設置して、検討が進められている状況です。明日、その合同会議において中間取りまとめがなされる予定という状況ですが、それに先立ちまして、その進捗状況について、科学技術部会で報告をさせていただくという位置付けです。

 「はじめに」ですが、経緯等、簡単に触れさせていただきます。疫学研究に関する倫理指針については、平成146月に文部科学省と厚生労働省で定められており、その後、平成198月に全部改正となっています。一方、臨床研究に関する倫理指針に関しては、平成157月に厚生労働省で定めて、平成207月に全部改正となっています。それぞれ5年を目途に見直しを行うことになっておりますが、平成20年の当時から、両指針の統合についての議論がありまして、平成2410月の厚生科学審議会科学技術部会で両指針の見直しを合同で進める旨の指摘がされているところです。

 資料828ページ以降になりますが、「検討の経過」があります。平成24年末から文部科学省と厚生労働省の委員会がそれぞれ設置されており、翌、平成252月からは文部科学省と厚生労働省の合同の委員会という形で進められてきました。委員については、疫学、臨床医学、法学、倫理学、あるいは国民の立場を代表する先生方などで構成されているということです。

29ページですが、今年の7月までに6回の会合が開かれております。それぞれの検討項目別に、国内外の動向なども踏まえて議論が進められてきたという経過です。

 一番最後のページですが、冒頭でも触れましたとおり、822日、第7回で中間の取りまとめを行う予定です。実際の中身については5ページ以降になります。それぞれについては説明申し上げませんが、5ページ以降を見ていただくと分かるとおり、それぞれの論点について現状と課題を掲げて、検討のポイントも挙げて、実際の見直しの方向性についてはこういった方向性ではないかということを、それぞれの論点ごとに集約して中間の取りまとめとさせていただきたいということで、明日、合同会議で議論がされるという状況です。説明については以上です。

○永井部会長 

いかがでしょうか。

○福井部会長代理 

合同委員会の座長を務めております福井から、簡単にですが説明いたします。臨床研究と疫学研究をまとめることをこの合同委員会で随分検討しました。その作り方としては、両指針に書かれている共通部分を基にして、それに上乗せするような形で研究デザインごと、又はリスクの大きさ、被験者への負担などによって、補足すべきことを書き加えていくというスタイルで行うことをと最初のところで決めていただいて、一つ一つの項目について議論を進めてきたところです。ここにも委員の方々がいらっしゃいますので、個別の項目について、もし何か御説明していただくことがありましたら、お願いしたいと思います。玉腰委員も宮田委員も、御一緒している会議です。

 一つ一つの説明は、かなり時間がかかりますので省かせていただきます。最後のところで、研究の不正の問題も上がってきておりまして、研究成果の信頼性を確保するためには、どのような手順をとるべきかということもディスカッションになりました。研究の質の担保、利益相反の管理について、21ページに書いてあります。現状では、研究機関の長に何らかの措置を講じてもらうという方向で、更に検討を進めているところです。

 倫理委員会の役割についても、見直す予定です。委員会で検討すべき内容をガイドラインに組み込んだほうがいいのではないかとか、倫理委員の教育を組み込み、クオリティコントロールも現在以上にするべきではないか。倫理委員会の活動を公開する方向で、現在ある登録システムを活用して、それへの登録を含めて、外部に向かっての情報も今以上に行っていくことなどを検討してまいりました。読んでいただければと存じます。

○相澤委員 

まとめの段階ですが、できるだけ情報管理等に対する規制が研究の進捗の妨げにならないように、よろしくお願いしたいと思います。

○福井部会長代理 

ありがとうございます。是非そうしたいと思っております。

○永井部会長 

よろしいでしょうか。

 次にまいります。報告事項、「戦略研究新規課題に係る公募結果について」の報告を事務局よりお願いいたします。

○宮嵜厚生科学課長 

資料9です。本年418日に行われた科学技術部会において、平成25年度から実施することが了承されました「生活習慣病重症化予防のための戦略研究」について、資料のとおり公募を行い、研究実施者を決定しましたので御報告申し上げます。1.が公募の概要で、枠の中にありますが、研究課題名、研究目的、研究費等は資料のとおりです。

2.に応募状況及び評価結果がありますが、最終的に応募いただいたのが1件ということで、この戦略研究が属する「循環器疾患・糖尿病等生活習慣病対策総合研究事業」の中に、選考委員会、評価委員会を設置して、そこで審査を行った結果、法人名、国立大学法人大阪大学が選定されたということです。研究リーダーは括弧内にありますが、磯博康教授です。

 今後ですが、3.戦略研究については、戦略研究企画・調査専門検討会において、研究の進捗状況等に関するモニタリング等を行っていくこととしております。簡単ですが、以上です。

○永井部会長 

御質問、御意見はありますでしょうか。よろしければ、次へ進ませていただきます。

 議事の6ですが、「研究に関する不正への対応状況について」、事務局より御報告をお願いいたします。

○中山研究企画官 

「研究に関する不正への対応状況について」ということで、報告をいたします。研究に関する不正については、1つは経理上の不正というタイプ、もう1つは研究上の不正ということで、データの捏造とか改ざんが行われるものなどがあります。従来からも少なからずあったことはあったのですが、最近残念ながら不正、又は不正が疑われる事例が発生しているという状況にあるところです。他方、医療分野の研究開発は、冒頭でも説明したとおり、国が推進していく重要な施策として位置付けられているわけで、そうした研究に対する信頼性をしっかり担保することは重要なことになっていくと思います。

 これまでの対応状況などについては、参考1ですが、「厚労科研費の不正防止に関する取組」ということで、一番左にあるとおり、不正を行った研究者への措置としては、1つは返還命令をする、あるいは競争的資金への応募制限をする、あるいは不正事案の公表をするといったこと。さらには、管理体制の整備ということで、機関経理の義務付けなどを行う。あるいは、一番右ですが、制度・運用の改善としては、使用ルールの統一化・簡略化といったこともやるということで進めてきているわけです。

 さらに、参考2ですが、公表については基本的には実際に不正が明らかになった機関においての公表を行うということで、指導を行ってきているわけですが、厚生労働省としても基本的には本年4月の科学技術部会で挙げたとおり、不正があった場合の原則全ての事案を公表するということで、科学技術部会でも御議論をいただいた状況です。

 最初のほうの報告の1枚目ですが、現在、不正事案の公表の方法については、関係府省間における共通のルールを検討中であるということが1つ。さらに、2ページ目にあるとおり、最近、不正事案が相次いで報道されたということで、大学の協力も得つつ、厚生労働省と文部科学省が連携して、不正事案の状況調査を実施したところです。この状況調査を踏まえて、今後の改善策も検討することとしているところです。さらに、また違う事案でノバルティスファーマのバルサルタンに関して、臨床研究結果の信頼性に疑いがあるという事案があります。これについても再発防止が重要な課題となっておりますので、厚生労働大臣直轄の検討委員会を設置して、検討を開始しているところです。それに関しては、参考資料3に、その設置についての参考資料が付いています。以上です。

○永井部会長 

御質問、御意見をお願いします。

○松田委員 

2 枚目の参考1ですが、この中に点線で「機関内ルールの整理と周知、不正告発の受付窓口を設置」等々書いてありますが、これは今、実施しているということですか。それとも、これから検討するということなのでしょうか。

○中山研究企画官 

これは実施しているということです。

○松田委員 

それで質問ですが、不正告発の受付窓口を設置しておられて、どのぐらいの件数というか、そういうものがあるのでしょうか。

○中山研究企画官 

ちょっと今、その辺の数値は手元にございません。

○松田委員 

はい、分かりました。不正告発の受付窓口を設置しておくというのは、かなりの防止効果はあると思うのです。これは今、設置されているのは1つの窓口でしょうか。

○中山研究企画官 

この受付窓口は、研究費が交付されている各研究機関に置かれるという意味です。

○松田委員 

提案ですが、これは内部告発というとちょっと表現がきついかもしれませんが、積極的に、自分の周囲にそういう不正が行われていることを告発してほしいということをアピールすべきだと思うのです。そういう意味で、窓口は、企業の場合ですと複数置いておいて、弁護士に直結するとか、あるいは社内の受付専用の窓口を置いておくとかいうことで、積極的に告発というか、そういうことが行われていれば報告をしてほしいということを強くアピールしております。ですから、複数そういう窓口のようなものを設置して監視をするという姿勢が、もっと前面に出てもいいのかなという気がしましたので、参考までに意見を申し上げておきます。

○中山研究企画官 

委員の御意見を参考に検討させていただきたいと思います。

○松田委員 

もう1点ですが、競争的資金制度の運用の問題で、これは以前にもこの委員会で申し上げたと思うのですが、やはり各省庁の競争資金の使い勝手の差がかなりあると、私の身の回りの研究者からよく聞かされるのですが、やはりこういう公的なお金を使うに当たっての、ある程度の共通化というのですかね。省庁独特のものではなくて、できれば統一することによって、運用の柔軟性というのですか、そういうものをある程度許容して、それに起因する不正というのは、犯人探しではなくて未然防止という視点から、運用の柔軟性を省庁を超えてやられてはどうかなという感じがいたしますので、これもアドバイスですが、申し上げました。

○中山研究企画官 

ありがとうございます。正におっしゃるとおりで、参考1の右にもありますとおり、制度運用の改善の中身については、引き続き関係府省において協議中ということになりますので、御指摘も踏まえて検討させていただきたいと思います。

○相澤委員 

不正の告発ですが、通報者の秘密の保持、あるいは通報者に対する不利益の防止等について、公益通報者保護制度と同じような制度がとられているというように理解してよろしいでしょうか。

○中山研究企画官 

それで結構かと思います。

○宮田委員 

こういうものは全部、裏表だと思うのですが、通報だけでうまくいくと全然思っていないですね。アメリカの研究公正 ができた経緯などを調べると、もちろんガバナンスを含め監視を強化することは重要ですが、こういった不正に至る前の予防措置がやはりすごく重要になってまいります。その1つは教育ですし、もう1つは不正に至るところに結構パワハラがあったり、人事抗争があったり、いろいろドロドロしたものがあるので、そういったことに対する相談窓口も含めて検討する必要があると思うのです。単なる告発だけだと、要するに事件を拾うだけであって、全体のシステムを良くする方向にはならないので、是非その両面を検討していただきたい。そのためには、今、文部科学省と一緒にやっていらっしゃる管理体制に関わる調査がまとまったら、是非この場で議論させていただいて、皆さんのお知恵を借りて、いろいろなアイディアをここで議論する機会をいただきたいと思っています。

○永井部会長 

ほかに御意見はありますでしょうか。本日の議事は以上です。事務局から連絡事項等をお願いいたします。

○中山研究企画官 

次回の日程については、委員の皆様に改めて日程と開催場所等について御連絡を申し上げたいと思います。事務局からは以上です。

○永井部会長 

それでは、長時間、ありがとうございました。本日は、これで閉会といたします。


(了)
<【問い合わせ先】>

 厚生労働省大臣官房厚生科学課
 担当:情報企画係(内線3808)
 電話:(代表)03-5253-1111
     (直通)03-3595-2171

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