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2013年7月17日 政策評価に関する有識者会議第2回医療・衛生WG議事録

政策統括官付政策評価官室

○日時

平成25年7月17日(水)15:00~17:00


○場所

厚生労働省省議室


○出席者

森田座長、井部委員、篠原委員、本田委員

○議事

(以下、議事録)

 

○森田座長

 第2回政策評価に関する有識者会議医療・衛生WGを開催いたします。委員の皆様におかれましては、お忙しい中お集まりいただき、誠にありがとうございます。なお、本日は川北委員が御欠席です。

 本日は、議事次第にありますように、5つのテーマの実績評価書について、委員の皆様に御議論いただきたいと思っております。

 早速ですが、「平成25年度に実施する政策評価について」、その進め方について、事務局より御説明をお願いいたします。

 

○政策評価官

 政策評価官の原口でございます。先週の710日付で政策評価官を拝命いたしました。まだ短いのですが、一生懸命勉強しようと思います。皆様方、よろしくお願いいたします。

 私のみならず、本年の331日付で、政策評価審議官の異動がありましたので、御紹介させていただきます。山沖政策評価審議官です。

 

○政策評価審議官

 山沖です。前職は、財務省で大臣官房を担当する参事官をしておりました。どうぞよろしくお願いいたします。

 

○政策評価官

 引き続き、資料の確認も含めて御説明いたします。お手元の配布資料ですが、議事次第、座席図、有識者会議参集者名簿、施策目標評価予定表の4つです。また、評価予定表は、厚生労働省の72の施策の目標を、どのWGで御議論いただくかを示したものです。当厚生労働省における政策評価に関する基本施策(3)のものに基づき、5か年の基本計画期間中に、少なくとも1度は施策目標の実績評価書を各WGにお諮りすることとしていまして、5年間で、全ての施策目標について御意見をいただくことを予定しているところです。赤枠で○を付けているものが、今年度、各WGにおいて意見聴取を行いたいと考えている施策目標です。資料1から資料5については、本WGで御議論いただく実績評価書及び参考資料です。

 参考資料1は「有識者会議開催要綱」、参考資料2は「5年間の基本計画」、参考資料3は「資料1-1~資料1-5の事前分析表」、参考資料4は「医療・衛生WG分野のモニタリング結果報告書」です。

 また、議事の進め方についてですが、議事次第の順番で、テーマごとに担当課の担当者の入替えを行いたいと考えています。1つのテーマごとに、約20分程度と考えています。まず、担当の説明者より、施策の有効性の評価、効率性の評価等を中心に約5分程度で御説明いただきまして、その後、15分程度御議論いただくというスタイルで考えていますので、よろしくお願いいたします。

 

<治療方法が確立していない特殊の疾病等の予防・治療等を充実させること>

○森田座長

 それでは、1つ目のテーマです。施策番号1-5-2「治療方法が確立していない特殊の疾病等の予防・治療等を充実させること」について、担当課から5分程度で御説明をお願いいたします。

 

○健康局 

 健康局疾病対策課長の田原です。資料1-1「実績評価書」と、その次にある「治療方法が確立していない特殊の疾病等の予防・治療等を充実させること」、この2つで御説明をしていきます。

 治療方法が確立していない特殊の疾病等に対しては、予防・治療等を充実させることを大きな目標として掲げています。実績評価書の冒頭です。具体的には、その下の概要の小目標にあるように、難病、ハンセン病、エイズについて、それぞれ疾病ごとの個別目標を立てているところです。

 まず、難病対策です。その下の「背景」に書いているように、昭和47年の「難病対策要綱」に基づいて実施しているところです。医療の進歩等により、患者数は年々増加しておりまして、実績評価書の裏の上に「測定指標」がございますが、指標1にあるように、医療費の助成の対象となっている受給者証の交付件数は増えてきています。平成23年度で約78万件、平成24年度で80万件以上になるのではないかと考えております。こういった方たちに対し、都道府県で、迅速かつ適切な審査を行っていただくことで、必要な方に必要な支援を行っていくということです。

 また、難病対策については、従来から、制度の安定性等について様々な御指摘がありました。参考資料の3ページを御覧いただきますと、赤い棒グラフがあります。これが、助成をしている医療費の全額で、年々伸びていて、一方で、黄緑色の国庫補助は横ばいになっているといった形で、問題点を御指摘いただいていますので、総合的かつ安定的な難病対策の構築に向け、対策を検討しているところです。

 参考資料の4ページです。「難病対策の改革について(提言)」とあるように、今年の1月に審議会から御提言を頂いていますので、医療の質の向上、医療費助成の仕組みの構築、社会参加のための施策の充実といった形で、難病対策をより充実させていきたいと考えております。今、申し上げたことが、実績評価書の様式の2枚目の下の「評価の総括」で、難病対策について述べています。

 続いて、ハンセン病対策についてです。ハンセン病対策については、関連する法律を基にして、ハンセン病に対する差別・偏見の解消を図るべく、理解の促進が重要であると考えております。このため、ハンセン病に関する資料の収集・保存、展示をしている国立ハンセン病資料館、参考資料の6ページに概要がありますが、ここの入館者数を指標とし、先ほどの実績評価書の指標2に入館者数の推移をお示ししています。ハンセン病資料館の入館者数は、平成20年度からほぼ横ばいとなっていましたが、小中学校・看護学校等に対する団体誘致活動等により、平成24年度の入館者数は24,957人と過去最大となりました。今後も、より一層ハンセン病に対する理解が進むよう、講演などを通じて各種取組を実施していきたいと考えています。

 最後に、エイズ対策です。参考資料は8ページです。エイズ対策は、感染を早期に発見し、適切に治療を行うことが非常に重要ですので、保健所におけるHIVの抗体検査件数を指標としています。参考資料の8ページの一番下にあるように、検査件数を挙げていますが、検査件数が13万件と、平成21年度などに比べて少し減少しています。これは、国民の関心が低下していることが1つの要因と考えていますので、参考資料の11ページにあるように、121日が世界エイズデーということですので、そういったものに向けてキャンペーン活動など普及啓発事業を実施することで、検査件数の向上に取り組んでいきたいと考えています。

 

○森田座長

 ただいまの御説明について、御意見、御質問等がありましたら、お願いいたします。

 

○篠原委員

 難病対策について2点あります。1つは、研究の者については一切書いていないのですが、十分に確保されているか、今後その辺の問題がないかということです。

2点目が、通常こういうものというのはマイナーですから、海外との連携などが要ると思うのですが、その辺もどのようなものでしょうか。

 

○健康局

 まず、研究のほうですが、参考資料の1ページ目です。先ほど御説明した医療費助成は350億円ですが、それ以外に、今回この審査の対象になっていなかったと思いますが、研究費の助成をしているところで、それが下の青い所になっています。ですから、ここの部分について、調査研究をしているところです。

 海外との連携については、海外の実情などは、この研究事業の中で調べているところです。

 

○森田座長

 ほかにいかがでしょうか。

 

○井部委員

 難病対策については、全体的にみて、うまく進行しているとお考えでしょうか、全体評価としてはいかがでしょうか。

 

○健康局

 全体としては、今まで予算事業として進めてきておりましたが、先ほど参考資料の3ページで御説明しましたが、患者数はどんどん増えていっている、事業費もどんどん増えていっている一方で、国庫補助が十分に行われていないと。折線グラフが黒字ですが、実際の要綱では、この事業費の半分を国が補助するとなっているのですが、その割合がずっと減ってきておりまして、平成23年度では5割を切っているという状況がありますので、ここで安定的な制度にしなければいけないというような御議論があって、平成2310月以降に審議会で御議論いただき、4ページにある難病対策の改革についての提言を頂いたところです。ここに問題点が集約化されていますので、この課題を解決すべく、必要な法制化なども念頭に置いて、今、具体的な検討を進めているところです。

 

○本田委員

 難病対策の評価の指標というのは難しいと思うのですが、特定疾患治療研究事業の受給者数がこれだけ増えているということは、漏れなく対象を網羅していっているというのは、重要なことだと思うのです。一方で、議論を続けているところだと思うのですが、実際に、本当に困っている難病患者に対して、ここに入っていない難病患者からの声が結構出ていて、見直しの議論の大きな課題になっているかと思うのです。まだ議論中の話だとは思うのですが、今後の見通しというか、どのように改革していくか、スケジュール的なことを教えてもらってもいいでしょうか。

 

○健康局

 医療費助成になっているのは、参考資料の1ページの赤い部分で、対象は56疾患になっています。そのほかに、今、御指摘がありましたように、医療費助成の対象になっていませんが、研究の対象になっているものが、下に130疾患、234疾患あるということで、こういう疾病に対しても、医療費助成をしてほしいという御要望を頂いております。それについて、平成23年度から御議論いただいて、4ページの提言の中の真ん中の黄色の第2の一番上の・にあるように、医療費助成の対象疾患の見直しというところで、これは、対象疾患も拡大していくことも念頭に置いて、見直しをしているところです。

 今後法律を出していくということであれば、例えば次の通常国会などに出していくということも考えられると思いますが、我々としては必要な準備をして、前に進めていきたいと考えております。

 

○篠原委員

 厚生労働省はPDCAをかなり推進して、この前の全体会議でも少し言ったのですが、そういう点でこれを見ると、今後の方向ということで、評価書には書かれているのですが、こちらの資料では、今の質問にあったように、具体的なことが書いてあるのです。これだけを見ると、ぼやっとしているから、もう少しという気がしたのですが、この辺をもう少し書けば、この評価書はすごくよくなるというか、大きな方向性として私はいいと思うのです。この辺りをちらっと入れておいたら、ずっとよくなるのではないかと思うのですが、どうなのでしょうか。

 

○政策評価審議官

 御指摘ありがとうございます。評価官室でも話をして、どのようにすべきか調整したいと思います。

 

○森田座長

 私から一言お尋ねしたいのですが、最初の施策目標名が「治療方法が確立していない特殊の疾病等の予防・治療等を充実させること」で、それが下位目標として、難病対策、ハンセン病対策、エイズ対策となっているわけですが、この中で、ハンセン病対策については、病気そのものの予防などではなく、むしろ、社会的な知識の普及啓蒙による偏見・差別の解消、患者・元患者の名誉回復ということで、大きな目的からいうと、少しずれている気がします。これはこれで事情がおありになると思いますが、本体については、解決済みなのか、いかがなのでしょうか。

 

○健康局

 ハンセン病については、年間の我が国での発症数は、1人出るか出ないかという状況ですので、そういう意味で、予防だとか治療。あと、昔、蔓延していた頃には、感染することはありましたが、いい治療薬ができて、感染も治療をすれば防止できることもありますので、そういう意味で、予防・治療に焦点を当てるよりも、法律の趣旨でもあるハンセン病対策の歴史に関する知識の普及・啓発によって、偏見・差別の解消、あるいは患者や元患者の名誉回復を図るところに焦点を当てているところです。

 

○森田座長

 施策目標と少しずれがある気がしたということです。了解しました。ほかによろしいでしょうか。

 それでは、所管課におかれましては、ただいまの議論を踏まえまして、実績評価書への反映をお願いしたいと思います。どうもありがとうございました。

 

(メインテーブル交替)

 

<今後の医療需要に見合った医療従事者の確保を図ること>

○森田座長

 続いて、施策番号1-2-1「今後の医療需要に見合った医療従事者の確保を図ること」について、担当課から5分程度で御説明をお願いします。

 

○医政局

 医政局医事課課長補佐の簔原です。よろしくお願いいたします。

 資料1-2です。座長から御指示いただきましたように、今後の医療需要に見合った医療従事者の確保を図ることが施策の目標名です。その下に書かれていますように、施策の概要としては、医師・看護職員数の増員、医療関係職種の離職防止、復職支援、チーム医療の推進等を行うことで、医療従事者の確保、業務の効率化を図って、地域における医療提供体制の整備をすることの実施です。

 下の所を見ていただきますと、測定指標です。人口10万人に対する都道府県の医師の最大格差等、次のページの3の診療科別医師数の増減割合、女性医師数、就業看護職員数ということで、各指標とも増加の実績が出ているところです。

 「評価結果と今後の方向性」です。有効性の評価に関しては、まず、平成20年度から文部科学省と連携しまして、医学部の入学定員の増加を図っているところでして、平成20年度と比較して、1,416人増やして、過去最大の9,041人となっています。あと、平成22年度からの定員増に関しては、地域の医療提供体制に根付いていただくということで、「地域枠」という制度を活用しまして、医学部定員増を図っているところです。具体的には奨学金の受給要件に、一定程度の期間は地域に従事することを条件として、奨学金を受けながら医学部に入っていただいて、その枠を「地域枠」と言っているというものです。

 女性医師ですが、今、医学部定員の3分の1を占めるまでになっていまして、女性医師はかなり増えているところです。全医師数に占める女性医師の割合が20%弱となっていまして、医師の中でも、女性の数は過去に比べますと、かなり増えてきています。

 看護職員は後ほど申し上げますが、女性医師の復職支援とか、ワーク・ライフ・バランスとの関係で、様々な研修制度や離職防止に努めていかなければいけない状況になっています。都道府県で研修の受付・相談窓口を設置したり、一定期間は医療現場から離れますので、復職後に離れた間の研修を一定程度受けて、医療現場に戻っていただくという事業として、女性医師等就労支援事業をやらせていただいています。

 あと、当然ながら復職していく段階では、段階的に復職していくことがあります。これは医師会に委託している事業ですが、まずはパートタイムから復職していくというところがありますので、そういう職業の紹介ができるような女性医師の支援センター事業を行っているところです。これらについては、毎年度目標を上回る実績を残しているところです。

 看護職員の確保に関しては、女性が多いものですから、ここについては離職防止が大きな課題になっていますので、そこについては院内報告書の整備のところで支援を行っています。あとは当然ながら、新人看護師の定着を促進しなければいけないところがありますので、新人看護師研修で定着促進を図っていくという事業をやらせていただいています。

 あと「ナースバンク」というのを各都道府県のナースセンターに作っています。そこで求人求職情報の提供をさせていただいたり、就職のあっせんをさせていただいています。これについても、看護職員数については、毎年度目標値を上回る実績を残しているところで、有効性は高いと考えています。

 「効率性の評価」です。医師の確保は、先ほど申し上げましたとおり、地域枠という枠組みを使って、医学部定員を増やしていくことで、地域枠を活用して、医学部は6年間かかるので平成22年度からの定員増ということで、平成28年度の卒業生から地域枠の学生が出てくるということですが、こういった枠組みを講じて、地域医療提供体制に残っていただけるような医師を養成しています。

 女性医師の関係については、先ほど申し上げましたとおり、医師会が6割ぐらい医師の会員割合がありますので、そういう医師会に委託することにより、広く周知ができる形で、効率的な事業を行っています。

 先ほど申し上げましたナースセンター、看護職員の離職防止のところで、就職あっせん等の事業を行っていただいています。そこに関しては、日本看護協会を中央のナースセンター事業としてやっていただいて、あとは都道府県の看護協会なりに、各都道府県のナースセンターをやっていただいて、一体的な運営を行っていただいていますので、ここについてもネットワークの中で一定程度効率的な事業をやらせていただいていると考えています。

 次のページの「評価の総括」です。現状分析としては、先ほど申し上げたとおり、医師については、医師数自体は毎年4,000人程度増加と、医学部定員は平成20年度から増員を図っていますので、医師数については、一定程度マクロとしては増加をしているところです。あとは地域枠を活用していますので、一定程度地域に残っていただけるような、医師数の確保はできるのではないかと考えています。

 女性医師については、先ほど申し上げたような、女性医師自体は、離職率が高く復職率が低いという問題がありますので、そこについては、安心して勤務を継続できるような、様々なライフステージに応じた環境の整備を図っていくことが重要であると考えています。

 看護職員については、現状、7次の看護職員の需給見通しを作っています。これは平成27年度までの計画ですが、これについては、需要が150万人に対して、供給見通しが149万人であるということと、社会保障と税の一体改革で、平成37年の絵姿としては、看護職員は196万人から206万人が必要ということで、かなりの増員を図っていかなければいけないという現状があります。看護職員については、引き続き、更なる確保のための対策を講じていく必要があると考えています。

 今後の方向性としては、医師については、平成20年度から増員を図っているところですが、今後は、医師養成数の将来の見通しとか、需要等に関しても、引き続き、我々として研究をさせていただきながら、それを踏まえて医学部の定員について、今後ともどうあるべきかといったことについても検討していくのと、チーム医療の推進等を図っていきながら、医療の効率化も併せて行っていく必要があると考えているところです。

 女性医師の離職防止については、先ほど申し上げたような事業をやっているところですが、引き続き現場の意見をお聞きしながら、現場のニーズに応じたような施策を展開していくことを考えているところです。

 看護職員の確保に関しては、先ほど申し上げたとおり、マクロで増員していかなければいけない状況がありますので、ここに関しては定着促進と養成の促進と、再就業の支援を、3本で一体的にやりながら、看護職員の確保対策を継続的にやっていきたいと考えているところです。

 

○森田座長

 ただいまの御説明について、御意見、御質問がございましたらお願いします。

 

○井部委員

 まず、医師の地域枠についてです。地域枠を使って、どの地域の医師の不足を補助しようとしているのでしょうか。

 

○医政局

 地域枠自体は、毎年医学部の定員増を図るときに、都道府県と各医学部に医学部の定員を増員するかを、毎年夏に御意見をお聞きしながら、来年度の定員についてどうかをお聞きしていますので、どの地域というよりは、それぞれの地域のニーズに応じて、地域枠を活用した増員を図っているということです。

 

○井部委員

 つまり、都道府県で、医療計画に基づいて地域枠をどの程度設定するかを決めることができるということでしょうか。

 

○医政局

 当然ながら、先ほど申し上げたとおり、奨学金との関係がありますので、そこの予算面の話も含めてですが、地域医療再生基金という基金を補正予算で積ませていただいて、その基金を活用しながら、都道府県でやっていただいておりますが、その中で必要性、ニーズも踏まえながら、全体として何人ぐらい必要なのか、医学部の定員増として何人ぐらい必要なのかというのを、各自治体と医学部で御相談いただきながら、御判断していただいています。

 

○井部委員

 看護職に関することですが、資料を見ますと、目標の人数について、例えば平成23年度は目標値が147万ですが、達成は149万になっているということで、目標値を上回っていると読むことができますが、実際はどの病院に行きましても、看護師不足は口癖のように言われておりますし、看護師たちは非常に疲れているというのが合言葉のようなのですが、実態と目標値達成に乖離があるように思うのですが、その点はいかがでしょうか。

 

○医政局

 看護課課長補佐の田鍋と申します。井部先生の御指摘のとおり、目標値の立て方にもよると思うのですが、目標値を立てているのは、前年度の実績よりもどうなのか、当該年度は多くなっているかどうかということで立てています。

 毎年、看護職員の数自体は、3万人程度ずつは伸びているのですが、それにも増して、高齢化や医療の高度化等において、看護師等が不足していることは、実態としてはございます。

 

○井部委員

 そうしますと、この目標名が、医療需要に見合った医療従事者の確保ということですから、その点からすると、需要がどの程度なのかということの見通しをどう判断するかだと思うのですが、いかがでしょうか。

 

○医政局

 これについては資料としては付けていないのですが、先ほども少し説明があったのですが、大体5年に1度看護職員の需給見通しを取っています。それが平成23年から平成27年までということで、需給見通しについては、平成23年でおおむね需要と供給は96%程度満たされるということで、平成27年には、それが大体99%になるだろうという見通しの中で、各都道府県で離職対策や定着促進といったことで、それでも99%で100%へはいっていないので、できるだけ目標に沿った看護職員の確保ができるようにということで、対策を取っているところです。

 

○井部委員

 もう1つは、チーム医療推進会議が出している看護職の特定行為の研修制度は、この施策のどこに位置付けられるのでしょうか。

 

○医政局

 この施策にも関連するとは思うのですが、この施策のほかに、医療従事者の資質の向上に関することという施策が、1-2-2であったと思うのですが、そこの施策に、主に入っているのかと思います。

 

○井部委員

 少子化の時代に、看護職員をどんどん増やすというのは、非現実的だと思うのです。しかも、復職を促すとか、定着を促進するのは、もちろん大事なことだと思うのですが、看護の需要をどうやって見極めるかをそろそろやらないと、人ばかり確保するといっても限界があると思います。その1つは入院のベッド数を減らすとか、需要をコントロールできるところはコントロールして、訪問看護とか、在宅医療にもっと人を振り分けるような、抜本的な施策を考えてもいいのではないかと思っているので、この施策は、単に数を確保するところに主眼がありますが、ほかの要因との関連も考えていくべきではないか。これは私の意見です。

 

○医政局

 今、御指摘いただいた医療提供体制自体、ベッドの在り方も含めてですが、そこについては、平成28年度から作る新しい需給計画では、税と社会保障の一体改革の絵姿がありますので、それを踏まえた形で、需要をどう見込んで、供給ベースをどう考えていくかを考えていくことを想定しています。

 

○井部委員

 重点的に振分けができるように、お願いしたいと思います。

 

○本田委員

 今の看護師の需給の問題と構造的には一緒かなと思うのですが、医師の需給は数値的には、例えば診療科に関しても増、減少傾向にあった産婦人科、外科も増加傾向に転じているということで、これはよい方に向かっているという理解でいいのでしょうか。

 というのは、これまでに比べて増加している、減少しているということは、もちろんある意味大事なことかもしれませんが、今後の需給という考え方からすると、どういう分野がもっと必要とか、そういうことも考え合わせた上での充足度を見ていくべきではないのかなと思うのですが、その辺はどうなのでしょうか。

 

○医政局

 医師の需要も看護職も含めてそうなのですが、御指摘いただいたのは診療科の偏在と、地域の偏在が大きな問題でして、これはマクロの数を増やすという、この施策とは別のところではありますが、診療科の偏在をどうやって是正していくか、若しくは地域の偏在をどうやって是正していくかというところは、今は主には地域の偏在のほうですが、医療法の改正等を検討していまして、これは地域医療支援センターという、今は予算事業でやっている事業ですが、これは医師のキャリアアップを含めて、キャリア形成を図りながら、どの医療機関に勤めていくかを、支援センターという所が一元的な窓口になり、いろいろな医療機関を紹介しながら、各地域で医師を育てていただきます。それによって、地域に根付いていただくような支援をしていくというものを、法律にちゃんと位置付けて、これを全都道府県でやっていただくような制度として位置付けることも考えております。

 あとは、需要自体をどう見込むかというところが、前提条件として何を置くかによっても、かなり変わってきますので、例えば特定の診療科であれば、一定程度の指標は作れるのですが、内科になりますと非常に幅広いとか、そういう問題がありますが、今いろいろと研究の中で、医療需要をどうやって見込むか、需給推計をどうやってやるかは、どういうやり方があるかを研究できないかということを、内部で検討しているところです。

 

○本田委員

 是非、そういうような視点も、まだまだ現実は難しいとしても、そういう視点も取り入れていただければなと思っています。

 

○篠原委員

 今の質問に関連してです。年々、4,000人増えるというのを、ここの評価では、看護師などは将来このぐらいと言っていますが、医師の場合は言っていないですね、非常に難しいということで。我々、公認会計士とか、弁護士の話を聞くと、あれは試験でパカッと増やせるから、今の惨状は滅茶苦茶です。

 そうすると、重労働だと私は思いますが、今は医師は非常にいい商売。サチるところをどこにするかということ、この予想はものすごく重要な気がするのです。行き過ぎてから、後で増え過ぎるという話、その辺はものすごく大事なことです。

 もう1つは、非常に素人的なのですが、医療機械は非常に高度化しています。そうすると、医師は効率的に診療ができるのか、かえって大勢必要なのか。私は去年、がんの疑いがあるとなって、何もないと言われたのですが、あれを見ていると、非常にシステマチックによくできている気はするのですが、その後にいくと、1時間、2時間は待たされると。そうすると、医師は昼食も詰めてやっているなという、一方で大変さも分かるのです。

 そういう意味で、細かい分析はしているのかなと。今の会計士、弁護士のひどさを見ると、医師も、もう少しきちんとやってもらったほうがいいなと。予測力がそれほどないのかなという気がするのです。どうなのでしょうか。

 というのは、大事な職業を、専門を潰しているような気がするのです。私も、あるアカウンティングスクールの非常勤講師を7年間やっているのですが、はっきり言って、去年行ってがっくりきました。明らかに学力が下がっているのです。だから、医師がこうなっていたら大変だという気もするので、その辺は何とかなりませんか。

 

○医政局

 医学部の定員増自体は、飽くまでも時限的な措置として、先ほど平成20年度からと御説明しましたが、実は10年間に限ってだけ増員をするという形で、政府としては決定しているところです。

 そういう意味で言いますと、医師の需要をどうやって見込んでいくか、前提条件として、御指摘いただいたように、勤務時間をどのぐらいで見込むかとか。我が国では大変評価されているところではありますが、患者は基本的にはフリーアクセスで、どの医療機関にかかるのも自由ということもありますので、そういった前提の中で、どうやって置くか、医療提供体制の在り方をどうやって置くかというところで、いろいろと変わってくる部分はあるのですが、いろいろなケースを置きながら、どういうケースでやっていこうかというところはあろうかと思います。

 ただ、平成30年度には医学部定員の期限がきますので、それに関しては文部科学省と連携をしながら、それ以後の医学部定員の在り方については検討していく形になろうかと思っています。

 

○篠原委員

 ものすごく個別的なのですが、都道府県別に見た人口10万人対医師数。ある雑誌で見ていたら、茨城、埼玉、千葉というのは、医師過疎ということで延々と書いてあったのですが、これを見ると明らかに少ないですね。この辺はどういう分析をされているのでしょうか。今、言った地域枠だとか、先ほど出てきたもので、この辺は優遇されているのかどうなのかということも兼ね合わせて。

 

○医政局

 今は地域枠という学生は世の中に出てきておりませんので、今は当然ながら自由開業で、どこで開業するか、勤務するかは、医師の方が自由にやられています。

 それと、一般論的には、西高東低というか、西のほうに医師が多いと御指摘いただくことが多い現状ではありますが、ここは正に、御指摘いただいたような数値としては、地域偏在の形が出てきているところですので、当然ながら医療需要が前提にあることではあるのですが、医療需要に見合った地域医療提供体制をどう構築するか、それに対して必要な医師数は何人なのかというところは、今後は分析をしていかなければいけないと。その前提として、医師の需要をどうやって見込むかというところの前提条件の置き方を、少し研究させていただくことを考えているところです。

 

○森田座長

 回答は結構ですので、コメントです。1つは、今のこのテーマですが、医師あるいは医療従事者がどれぐらい足りないのか、それでどういう問題が起こっているのか。それに対して、どのような形で課題を解決するために、この場合ですと増員という政策になるわけですが、それが最終的にどういう問題解決に結び付くのかという、いわゆる政策全体のスキームの妥当性、これは需要をどうやって測定するかにかかわってくると思います。

 その話と、今、基本的にそれを前提にして、医師、看護師を増員するということになっていますが、それが、今のやり方でうまく増員されているかどうかは、少し次元の違う話かなと思っています。ここでの実績評価というのは、どちらかというと後者のほうの評価がされていると思います。

 そのときに、もう少しこの辺ははっきりと書いていただいたほうが、評価としてはいいのかなと思いますのは、有効性、効率性ということで、有効性というのは、やることによって何らかの意味があるということですが、効率性の場合には、ほかの手段と比べて、例えばこれが非常にコストが少ないとか、効果があるとか、その辺をもう少しクリアにしていただけると、評価としても、なるほどと理解できるのかなと思っています。

 いろいろなさっていることを書いているのですが、「だから効率的である」と書かれると、そうかなとは思うのですが、何をもってそう評価するのかということについて、若干疑問が残るということです。何か反論かコメントがございましたら、お願いしたいと思いますが、なければよろしいでしょうか。

 

○篠原委員

 私は10何年前、ここの委員になるとき、私は公認会計士ですが、工学部を出たと言ったら、今、幹部でいますが、お前は税金泥棒だと。私はそれを自覚していまして、工学部というのは、学生のときに金がかかるなと。

 何が言いたいかというと、医学というのはかなり国費を投入しています。特に、女性は途中で辞められたら、無駄になっているのです。極端に言うと、私は女性の入学定員を限定すべきだという気はしているのです。というのは、国費をものすごく、分かっていて無駄に入れているという気はあるわけです。国立というのは、ものすごく入れているわけです。私立も、私はかなり投入していると思っています。その部分について、入ってくる学生に対して、国費をこれだけ入れていると。

50年ぐらい昔なのだけれども、お前たちには年間400万という、おそらく投入された学生ですが、当時の400万というのはかなりの金額です。それを私は言われたから、やはり国に対して世話になったというのはあります。今の医学部というのは、頭がいいから入ったと。そういう部分が欠けているという気がするのです。

 だから、私などは、国費を投入しているから、地域枠といったけれども、5年ぐらいは長をやると。研究職などは違うと思うのですが、何かの強制があってもいいような気がするのです。余りにも、今は自由すぎるのではないかと思っています。これはなかなか難しいのです。余りその辺はきつくできないから、遠慮しながら施策をやっているなという気はします。

 

○医政局

 医師は臨床研修制度というのがありまして、そこのメニューの中には地域医療が入っていますので、一定期間ではありますが、2年間のうちの一定期間は地域医療に行っていただくことにしていますが、先ほど申し上げたように、そこで5年間働きなさいという話になると、いろいろと憲法上の問題も出てくるものですから、なかなか難しいところがあるというのは正直なところです。

 

○森田座長

 大変大きな政策論も出ましたが、この辺でよろしいでしょうか。ありがとうございました。所管課の方、今の議論を踏まえて、実績評価書に反映していただきたいと思います。

(メインテーブル交替)

 

<医薬品等の品質確保の徹底を図るとともに、医薬品等の安全対策等を推進すること>

○森田座長

 続いて、施策番号1-6-2「医薬品等の品質確保の徹底を図るとともに、医薬品等の安全対策等を推進すること」について、担当課から5分程度で御説明をお願いします。よろしくお願いいたします。

 

○医薬食品局

 医薬食品局安全対策課長の森口と申します。時間も限られることから、私からまとめて御説明させていただきます。お手元の資料1-3を御覧ください。

 施策番号1-6-2「医薬品等の品質確保の徹底を図るとともに、医薬品等の安全対策等を推進すること」については、この資料の「施策の概要」、それから「施策の背景・枠組み」にありますように、「薬害肝炎事件の検証及び再発防止のための医薬品行政のあり方検討委員会」の最終提言、それから「厚生科学審議会医薬品等制度改正検討部会」の取りまとめ等を踏まえて、医薬品や医療機器の品質確保の徹底、安全対策の推進に資する事業、また、薬害肝炎事件をきっかけとして成立した、C型肝炎感染被害者を救済するための給付金の支給に関する特別措置法に基づく給付金の支給といったような事業を行っているところです。

 予算としては、医薬品安全対策等推進費の項に対応しており、私の安全対策課のほか、監視指導・麻薬対策課、医薬品副作用被害対策室の21室が、それぞれ関係の業務をやっているところです。予算規模は多少の増減がありますが、当初予算ベースで毎年度32億円程度という金額になっております。

 施策の測定指標は4つ設定しておりまして、4つの指標ごとの目標と実績は、お手元の資料にあるとおりです。指標1「医薬品等副作用情報収集件数」ですが、医薬品等の承認までに得られる副作用情報には限りがあることから、その安全性を確保するためには、市販後の副作用情報の収集・評価と、その医療機関へのフィードバックが重要になるところです。薬事法で義務付けられている副作用報告の徹底を繰り返し指導するとともに、医療機関等に対しても、企業からの情報収集への協力依頼を行うなどにより、毎年、企業報告件数が増加してきております。また、医療機関等からの報告についても薬事法で義務付けられています。こちらは余り伸びておりませんが、毎年、ポスターや報告様式を関係団体を通じて医療機関等へ配布し啓発に努めているというところです。

 指標2「医療情報データベースの設置病院数」についてですが、指標の1で言いました企業や医療機関からの副作用報告では、副作用の発生件数は何件で、どういうイベントがあったかということは分かりますが、その医薬品を使用している患者数が分からないため、正確な発生頻度や、どちらの薬がより危ないのかなどといったことはよく分からないところがあります。医療情報データベースを構築することにより、医薬品のそういった定性的な評価もできるようになるということで、安全情報の正確性・迅速性を向上させ、安全対策を推進することを目的に、平成23年度から事業を開始しているものです。平成23年度に設置予定だった1医療機関については、システムの仕様の確定が遅れたことから、平成24年度に設置がずれ込み、また、平成24年度に設置予定だった6医療機関についても、平成23年度の設置の遅れの影響でスケジュール遅延が発生しましたが、この7月中には設定できるという状況になっております。また、今年度は、当初計画どおり、更にあと3医療機関を設置して全体を10医療機関にしたいと思っており、その作業に入っております。また、既に設置したデータベースを用いて、そのデータを試行運用することを今年度行うこととしております。

 なお、この医療情報データベース事業については、本年614日に閣議決定された「日本再興戦略 ジャパン・イズ・バック」、それから「世界最先端IT国家創造宣言」のどちらにおいても、医薬品の有効性・安全性評価や国民の健康増進、健康管理に有効に役立てるよう推進していくこととされている事業です。

 指標3「個人輸入・指定薬物に関する注意喚起情報提供件数」については、平成252月に「あやしいヤクブツ連絡ネット」を開設し、インターネットを介して個人輸入された医薬品等に起因する健康被害事例等の収集、それから、広報啓発ホームページを通じて消費者に情報提供、コールセンターを通じて消費者等からの相談対応業務を行っているところです。一元的かつ効率的な情報の収集・提供体制を整備しているところです。

 指標4「都道府県・PMDAでのGMP査察研修の実施回数」についてですが、現在、医薬品の品質確保に係る国際整合化を進めるため、我が国は国際的な枠組みであるPIC/Sへの加盟を目指しております。そのためには、国内の査察担当官のレベルの向上が必要であり、研修の開催回数を増やしているところです。研修1回当たりの開催コストは下がっており、効率的に事業を実施しているところです。

 最後に「施策目標の必要性と今後の方向性」についてですが、医薬品行政の使命は、国民の生命と健康を守ることにありますが、今回御説明しました施策目標の中で実施されている事業は、国民の皆様に安心して医薬品・医療機器をお使いいただくために必要不可欠のものと考えております。厳しい財政状況ではありますが、今後とも効率的な事業実施を行いながら、医薬品等の安全対策等のより一層の充実・強化を図っていきたいと考えております。私からの説明は以上でございます。

 

○森田座長

 ありがとうございました。それでは、ただいまの御説明について御意見、御質問等をお願いいたします。

 

○井部委員

 細かいことで恐縮ですが、この測定指標の指標4の年度ごとの目標値の決め方ですが、平成23年度が5で、平成24年度が24という、この開きは、どうしてこのような目標値になるのか教えてください。

 

○医薬食品局

 監視指導・麻薬対策課の赤川と申します。お手元の資料でPIC/Sの御説明をしたほうがよろしいかと思います。資料の後ろから2枚目です。このPIC/Sと申しますのは、ここに書いてあります「医薬品査察協定及び医薬品査察協同スキーム」ということです。これはEU、ヨーロッパを中心に任意の取組として始まったもので、医薬品の品質を確保するために行政当局が、各国、協同して査察を行っています。医薬品は非常にグローバルに流通していますので、その流通に当たって、各国に輸入されるものについて、各国がそれぞれ輸入先に全部調査に当たっていては、品質管理に関する査察の効率が悪いことから、EUを中心に共通してやるということでこういう制度ができました。近年、米国FDAも含めて、現在41か国が加盟している状況になりました。下のほうにありますが、日本も加わることが、安心・安全確保の観点から国民の世界標準のGMPをクリアした医薬品を日本国内に流通させるためにはどうしても必要であり、私どもとしても行政当局としてのリソースの有効活用という面もあるということであり、また日本から輸出する場合にも、諸外国のルールにのっとった品質が確保されている必要がありますので、こういった必要性から、PIC/Sへの加盟を、日本も昨年の3月に申請をしています。加盟はまだ認められていなくて、加盟を申請すると、PIC/Sの事務局が書面及び実地で、日本の医薬品の製造工場でどういう品質管理をしているかについて日本の行政当局がどういうチェックをしているかという点を調べるのです。PIC/Sの事務局のほうから、日本がどうやってチェックしているかを見に来るというようなことも含めて、今、審査をしていただいているところです。したがって、平成24年度というのは、ちょうど申請をして、日本の行政当局がどれだけチェック体制を整えているのかをチェックされるということもありまして、また特に日本の場合は、私ども厚生労働省、それから、審査機関であるPMDA(医薬品医療機器総合機構)、それと47都道府県と、多くの行政機関に分かれていますので、これが本当に一体的に規制当局として運営管理されているかといったところが、強く問われることもあります。当然のことながら、そういった査察をすることに対するクオリティを一定に保つ必要があることから、研修が必須になるため、平成24年度は、研修を急激に増加させていただいているという事情があります。長くなって恐縮です。

 

○森田座長

 よろしいですか。ほかにどうぞ。

 

○本田委員

 ちょっと単純な質問で恐縮なのですが、例えば指標1の、医薬品等副作用情報収集の件数がどんどん増えているというのはいいことなのですか。副作用が増えているのですか。どういうふうに理解したらいいのですか。

 

○医薬食品局

 現実的には、法律上は副作用を知った場合には、企業のほうでは厚生労働大臣に副作用報告をしなければならないとされています。今、副作用報告の問題点はいろいろありまして、先ほどの指標2のようなデータベースのような事業もしているのですが、医師の方がお気付きになって、副作用だということを企業なりに伝えないと普通は報告に載ってこないという点で、実際には、今、77,748という数値が平成24年度の数値として出ておりますが、これは本当に日本全国から網羅的に集まりきれている数字かというと、必ずしもそうではないと思っております。そういう意味では、私たちもいろいろ周知の活動を進めてきて、報告の励行ということで指導させていただいております。医療機関のほうにも企業に情報提供のような形で協力してくださいというようなお願いもしてきていますので、その結果として数値が伸びてきているということがあるのかなと思っております。

 ただ、今後、副作用の発生状況というのは、そもそも薬がどれぐらい使われているのかというか、データもこれからデータベースなどの事業が進んでくると、もう少し精緻な情報が取れるようになるのではないかと思っております。

 

○篠原委員

 先ほどの、査察担当官という話が出ていたのですが、これは安全対策上十分にいるのかどうか。今、増やせないから不足しているのではないかという気もしないわけではないのですが、その辺りの分析はどうなのでしょうか。というのは、週刊誌等を見ると、偽の薬が出てきたとか、いろいろな話が出ているものですから、どうなのかなと。

 

○医薬食品局

 話が、指標3に関する事業と指標4に関する事業と、ちょっとややこしいのですが、今お尋ねの査察に関して、製造管理及び品質管理基準への適合性をチェックするという意味の査察を行うものということであれば、必要十分な者がいなければ、信頼性のあるチェックができませんので、私どもも、十分とまでは申し上げませんが、必要な人員は確保しているということではあります。ただ、これから医薬品の申請件数が増える、あるいは、バイオ医薬品などの製造技術上高度な製品に対する査察技術に対応する必要もありますので、そういう意味で、要員の確保は今後も当然、続けていかなければならないとも思っております。

 また、未承認薬、あるいは偽造医薬品などの監視については、指標3で書いている事業のほうでやらせていただいているものです。これは、先日も、特にインターネットをチェックする者がいないのではないかという御指摘もありまして、正にそういったことに応えるべく、本年、この2月から、委託事業ではありますが、この冊子の後ろから4枚目に付いている「個人輸入・指定薬物等適正化対策事業」というのがありまして、ここで偽造医薬品等情報センターへの業務委託して、消費者からの情報収集などをしております。今年の2月から運用開始したところですので、健康被害を含む薬物等の情報収集をすること、あるいは、広告などで未承認薬や偽造医薬品を健康食品として扱っているようなサイトを見つけ出すなどといった実績はこれから積み上げていかなければなりませんが。で、例えばインターネット検索で薬事法上問題ありとされた販売サイトは、平成24年度の実績(2ヶ月間)としてはまだ数十件ぐらいしかありませんけれども、そういった運用を開始したところということで御理解いただきたいと思います。

 

○篠原委員

 データベースを作るのは時間がかかると思うのですが、もっと早くやったら、という気もするのです。それから、対象がちょっと少ないように思います。医療機関の関係はこんなもので十分なのですか。ここの「本事業の協力医療機関」が、意外と少ないような気がします。それとも、データベースそのものが満杯になってしまうからこの程度なのか。なるべく多くしたほうがいいのではないかと思いますが、予算等の問題なのか人等の問題なのか。どの辺が問題なのですか。

 

○医薬食品局

 今回のデータベースについては、資料の7枚目ぐらいに「事業の概要」というのがあります。そもそも各拠点病院に、それぞれ本来病院がお持ちの医療情報が管理されています。その情報を、直接ということではいろいろ問題があります。個人情報の保護の管理とか、その情報に何か障害を与えてしまうと、医療にも差し障りもありますので。これは、まず標準化をするというステップと、それをもう1回、解析しやすい形にデータベース化するという2段階で病院ごとにデータベースを設置するということがあります。ですので、結構、ハードのところにお金もかかりますので、当面は10の医療機関でということで開始をさせていただいたという状況です。

 今のところ、現在動いているのは10ですが、当初は1,000万人規模のデータベースを目指しているわけです。アメリカやヨーロッパは、1億とか5,000万とかという規模ですので、今後、拡充を図っていきたいと思っております。

 

○本田委員

 表の見方が分からないのですが、指標1の医薬品等副作用情報収集件数という数字は、パワーポイントの資料のどれに当たるのですか。この副作用情報の収集のことなのかなと思っていたのですが、数字が全然違うので、どれのことなのかと思って。

 

○医薬食品局

 パワーポイントのほうは、企業報告と医療機関報告で、1例ずつの症例数で医薬品のほうだけを積み上げたものです。資料1の指標1のところに書いてある77,748のほうは、医療機器の不具合報告なども積み上げた数字ですので、もっと大きい数字になっているということです。あとは、研究報告と言って、文献報告なども足して全部で77,748になっているということです。

 

○森田座長

 私も1点だけ。今のところなのですが、これは目標値がみんな、前年度以上と書いてあるのですが、基本的に今の段階ではどんどん増やしていくという目標しか、なかなか設定できないということなのでしょうか。全体として分母の数は、先ほどもちょっとありましたが、なかなか特定できないと。もし分母の数がある程度推定できるとすると、比率でもってやっていくと、ある程度どこまでなどというのは、かなり具体的に出てくると思いますが、現在のところは、まだそこまでもデータがないと理解してよろしいでしょうか。

 

○医薬食品局

 御指摘のとおりで、分母が分かって、ある程度情報として然るべきものが十分取れているということであれば、そういった目標での設定も可能だと思いますが、まだ分母が不明な状況ですので、ここはもう少し引き続き情報を集めていく形での目標設定とさせていただいております。

 

○森田座長

 分かりました。そうすると、この77,748というのは、分母によっては60%ぐらいかもしれないし、もしかしたらほんの数パーセントかもしれないと、いろいろな可能性が出てくる気がするのですが。

 

○医薬食品局

1桁ということはないと思っていますが、そんなに、2桁の後半ということもないのかなという感じもしております。

 

○森田座長

 今は極端なことを申し上げましたが、分かりました。そういう意味で言うと、実質的に安全性が確保されるというクオリティを考えた場合に、できるだけその辺りの、どれぐらいやっているのかというのは、少し気になるところだと。コメントですのでお答えは結構ですが、そういう気がいたしました。ほかにはよろしいでしょうか。

 それでは、所管課におかれては、ただいまの議論を踏まえて、実績報告書へ反映をしていただけるようにお願いいたします。どうもありがとうございました。

 

(メインテーブル交替)

 

 

<適正かつ安定的・効率的な医療保険制度を構築すること>

○森田座長

 続きまして、施策番号1-9-1「適正かつ安定的・効率的な医療保険制度を構築すること」について、担当課から5分程度で御説明をお願いします。よろしくお願いします。

 

○保険局

 保険局総務課の大島と申します。よろしくお願いします。1-9-1です。実績評価書を御覧ください。「適正かつ安定的な医療保険制度を構築すること」という施策目標です。測定指標として指標123456と、6つあります。12は決算に関してのもの、3456は収納の関係、レセプトの電子化対応といった事務執行の観点の指標、指標7は社会保険診療報酬支払基金の手数料という組立てになっています。

3ページ、有効性の評価、効率性の評価、評価の総括ですが、決算についてかなり赤字の所が多くなっています。リーマン・ショックの影響等もあり、かなり厳しい状況が続いています。(指標12)、医療保険は単年度収支ですので赤字の分は積立金を取り崩したり、法定準備金や財政安定化基金を繰り入れてその年の収支を賄い、翌年度の保険料を上げて収支を合わせているということですので、現時点で各保険者は保険料率を上げるなりして対応している状況になっています。(指標3から6)、保険者の事務を効率的にやっていく、あるいは適切にやっていくことについてはかなり進んでいて、後発医薬品の差額通知や電子レセプトを前提とした処理について進んできています。(指標7)、社会保険診療報酬支払基金の手数料ですが、サービス向上化計画なども作っていて、手数料は近年、引下げが進んできています。

 効率性の評価については、医療保険者として生活習慣病対策、ヘルス事業の推進に努めてきていますが、来年度からは更にデータ・ヘルス計画という形で、レセプトや特定健診のデータを基にした効率的な保健事業、ヘルス事業を進めていく予定にしています。

 評価の総括ですが、なかなか厳しい経済状況の中、国保については平成24年に法改正して、保険財政基盤強化の取組を行い、施行を待っているところです。協会けんぽについても特例的な財政支援を継続してやっていて、それぞれの保険者が、厳しい中でも何とか保険運営できるような取組をしているところですが、所得格差もありますので、それぞれの保険者の状況に応じた財政基盤の強化、それから保険者機能としてデータを用いて、被保険者の健康を向上させる取組は極めて重要だと思っていますので、こういったことについて強く取組を求めていきたいと思っています。関連する資料をお手元にパワーポイントで用意していますが、これは御質問等の中で適宜、用いさせていただければと考えています。説明は以上です。

 

○森田座長

 ありがとうございました。それでは、ただいまの御説明につきまして御意見、御質問等どうぞ。

 

○篠原委員

 今後の評価の総括で、大変なのは分かるのですが、今後やることをもうちょっと具体的に書いていただきたい。というのは、きちっと書かないでぼやっとやると、おそらく民間ではそれに向かってやって、できなければできない理由を言えばいい話で、どうも役人は、こういう評価をいろいろ見ていると書きたがらないのです。当然、できなかったらできなかった理由があって説明すれば納得する話ですが、見ていると、ぼやっとしすぎてしまっているような気がします。一方で、保険の制度は相手もいてなかなか難しいということで、この程度かなと。これはどうなのですか、これは難しさを表している。

 

○保険局

 若干、補足させていただきますと、お手元にお配りしているパワーポイントの3枚目を御覧ください。財政面に関して4つの保険者に分類して整理しています。協会けんぽ、健保組合、市町村国保、後期高齢者医療ということです。協会けんぽと健保組合はサラリーマンの医療保険です。特に中小企業、零細企業が入っている協会けんぽのほうが、組合健保に比べて財政的に厳しい環境に置かれています。特にリーマン・ショック以降、大幅な赤字欠損が平成21年に出ました。3年間かけて保険料を大幅に引き上げていて、8.2%だったのが今は10.0%、これは労使折半ですけれども、保険料を引き上げました。同時に法律も用意し、国庫補助等特例措置を講じるということで、国庫補助率を13%から16.4%に引き上げ、高齢者医療の支援金について、加入者の頭割りだったものを一部報酬割りに改め、その結果、所得水準が相対的に低い協会けんぽの負担が減る。その分、大手企業の健保組合の負担が増えますけれども、その措置を講じています。これを平成21年から3年間やり、先般の国会でこの内容を2年間延長する法律を出しています。それにより、今、10%まで上がった保険料率は2年間継続できる予定です。具体的には6ページ後に、「今回の法改正により、協会けんぽの保険料率の見通し」という折れ線グラフが入っていますが、10%の保険料率を平成26年まで維持する内容となっています。

 ただし、平成27年からはまた保険料率が上がる推計になっていて、結果的に高齢者医療に対する負担が増えていく一方で、被保険者が減って賃金が上がらない状況では、毎年、保険料率は上がらざるを得ない状況にもあります。ただし、あまり上がり方が急ですと、これに対する中小企業の負担、被保険者の負担が大きくなります。今、社会保障制度改革国民会議で医療保険全般にわたる議論がされていますので、平成26年に特例期間が過ぎた後の対応については、そこでの議論も踏まえながら今後の対応を検討していきたいと考えています。この協会けんぽに対する財政支援がどうあるべきかというのは、1つの大きな今の課題であると考えています。

 

○篠原委員

 書き方が、財政状況の安定化を図っているとかいろいろ具体的な措置、ここをどこまで書くかで難しいかなと。

 

○保険局

 確かにそうですね。細かくなって、法律も手当したりとかはあるわけですけれども、それはそれぞれに、協会けんぽは協会けんぽ、組合健保は組合健保ということで状況が違っています。

 

○篠原委員

 我々がこの実績評価を読むときに、今、言ったように「図る」と言うと、知識のある人は「なるほどな」と思うし、ない人だと「何だ」と思うし、その辺が書き方の問題であるのです。状況によってはどこを見ろとか。

 

○保険局

 分かりました。

 

○篠原委員

 おそらくデータベースがあるだろうから、この辺は書き方の問題かなという気もしているのです。

 

○保険局

 承知しました。この4つのそれぞれの分類ごとに、どういう状況で、どういう方針で臨んでいるか明確にこの中にも書いてあるといいと。

 

○篠原委員

 これはWEBに載って、結構、検索もされているのですよね。私が資料を見ているときに、より細かいのはどこへ飛べと指示があったり、そういうほうがいいと思います。必要とする人に、今、言われた詳細データがないといけないから、そういう発展形のデータにしておいたほうがいいという感じです。

 

○保険局

 分かりました。

 

○政策評価審議官

 その意味で、一番最後の参考関連資料等でWEBを付けるようになっています。あと、もう少し上のほうに多少書き込めるのであれば書き込むということで、そこは相談させていただきます。

 

○森田座長

 よろしいですか。ほかにいかがでしょうか。

 

○井部委員

 指標7の支払基金における審査支払平均手数料というのは、どのようなことなのでしょうか。

 

○保険局

 社会保険診療報酬支払基金で、各医療機関からの請求を処理する形になっています。通常、保険者が医療機関に対して請求書を受けてお金を支払いますけれども、そうしますと医療機関はいっぱいありますし、保険者もいっぱいあって事務も大変になりますので、一旦、医療機関は全部、社会保険診療報酬支払基金に請求書を送る扱いにしています。そこが保険者から代行を受けた形で審査し、査定した後の金額を保険者に請求して、そこで費用徴収して医療機関に支払う仕組みを取っています。その事務を代行する部分の手数料と、審査を代行する部分の手数料の2つの手数料を、この支払機関が各保険者から取っています。レセプト1枚当たり幾らという形で事務手数料を取っています。これが平成20年度ですと97.08円という単価だったのですが、この5年間の間に人員を減らしたり電子化のプログラムを導入したりして、徐々に手数料を引き下げてきています。平成24年度ではレセプト1件当たり83.50円という形で手数料を下げてきました。これについては支払基金における取組を、私どもとしては一定程度評価をしています。

 

○井部委員

 つまり、レセプト1枚の審査料が83.50円であるということですか。

 

○保険局

 そうです。

 

○井部委員

 私、間違って8,350円と読んでいたので、何でこんな高いお金なんだろうと思いました。失礼しました。

 

○本田委員

 この評価の指標は、どうしても財政管理の数値とかになってしまうのだと思いますが、今後の方向性の中で触れたデータ・ヘルスといったものが、何か評価で使えるようになってきて、取組数がこれだけ増えてきたとかなると面白いのかなと思います。不勉強で恐縮ですが、これは全くこれから始まるものなのですか。

 

○保険局

 そうです。実は生活習慣病対策により医療費適正化というのは1-9-2という別項目があって、若干、そういう意味で保険者による医療費に関してはダブるのですが、メインはそちらのほうかなと思っています。一応、資料はお付けしています。これは、なかなかこれまでにない取組をお願いしようと思っていて、資料を付けていなくて申し訳なかったのですが、データ・ヘルスの背景というのが。

 

○政策評価審議官

 一番下のところに14/20と書かれている資料になります。

 

○保険局

 ページが入っていましたか、失礼しました。14/20を御覧ください。今、保険者はすごく膨大な電子データを持つようになりました。特定健診の結果と病院からの請求書であるレセプトのどちらも電子化されていて、統一されたフォーマットでやっていきます。今、ほとんど使われていません。これを使うことによって、より効果的にヘルス事業を行うことができるだろうと考えています。

18/20を御覧いただくと、今、それぞれ医療保険の保険者は、保険料を取って病院に支払うことを自分たちの仕事の中心と考えていますが、このデータを使えば被保険者の健康増進のために貢献できるだろうということで、保険者の中でミッションの再確認をしてもらう予定にしています。その上でPDCAサイクルでデータを使った事業を展開していただく予定にしていて、まずはデータを分析する。そのデータ分析は、医療費の分析はできますので、自分たちの組合あるいは事業所は他の所と比べてどういう特色があるか。血糖値が高いとか体重が多いなど、そういう分析ができるようになりますからターゲットを決めます。個人ごとのデータ分析もできますので、血糖値が高い順番に並べることもできますし、血圧が高い順番に並べることもできますし、血圧が高くて病院に行っていない人も分かります。したがって費用対効果の観点から、どこにターゲットを当てると、より健康度が上がるか立案できるようになりますので、それを基に、それぞれの事情に応じた保健事業をやっていただく。今は特定保健指導ということで、メタボに着目したものは全組合でやっていますけれども、それ以外の、例えば体重は低いけれども血圧が高い人とか、かなり血糖値が高く腎症にもなっていて、透析直前のような人に対して特別に介入して透析を防止するとか、いろいろなバリエーションが出てきます。それぞれの組合の判断で、それぞれ必要と思うところに取り組んでいただくことを来年度からやっていただく予定にしています。

 来年度は、まず計画づくりです。これを実施していくためには計画を作ってPDCAで回していくことを考えていて、その方針でやっていきたいと思っています。それが17/20で、実は政府の方針としても閣議決定されています。細かくなりますが、「健康・医療戦略」の中で、「保険者によるレセプト等データの分析・利用が全国展開されるよう国による支援や指導を行うことを検討する」。1が先ほどのミッションの再確認、2が医療費分析システム利用を促進するとともに、医療費分析に基づく事業に関して国が指針を定めているのですが、そこをもっと具体化して各保険者に示す。平成26年度中には、全ての健保組合に対してレセプト等のデータ分析、それに基づく保健事業を書いた「データヘルス計画」を作ってもらい、それに基づく事業展開を再来年度から進めていく予定にしています。これにより、やればいいという保健事業から結果が出る保健事業に切り替えて、かつ、指標で管理してもらいますので、良いものは継続し悪いものはやめていく。そういう、だんだんとレベルアップしていくようなやり方で事業展開ができるかなと考えています。これを、今、各組合と進めるべく意見交換を始めているところです。

 

○森田座長

 よろしいですか。私も言いたいというか伺いたいことがいろいろあるのですが、1点だけ言っておきますと、これは施策目標名が「適正かつ安定的な医療保険制度を構築すること」になっています。やっていることは制度の構築というよりも、なるべく安定的な制度の運用の話かなと思っています。医療保険制度は、ある意味で根本的に見直すという課題もあるかなと思っていますので、施策目標と実際の活動の評価との間が少しずれている気がしました。コメントは結構です。ありがとうございました。

 

○保険局

 ありがとうございました。

 

(メインテーブル交替)

 

<化学物質の適正な評価・管理を推進し、安全性を確保すること>

○森田座長

 それでは、最後になりますけれども、続きまして、施策番号2-4-1「化学物質の適正な評価・管理を推進し、安全性を確保すること」について、担当課から5分程度のプレゼンテーションをお願いいたします。よろしくお願いいたします。

 

○医薬食品局

 化学物質安全対策室長の倉持と申します。よろしくお願いいたします。実績評価書のほうですが、施策目標としては「化学物質の適正な評価・管理を推進し、安全性を確保すること」としています。施策の概要としては3つの柱があります。1つ目が、毒物・劇物の適正な管理を推進すること、2つ目が、化学物質の毒性について評価し、適正な管理を推進すること、3つ目が、家庭用品に含有する化学物質の安全性を確保すること、以上の3つです。実績評価書の下のほうに、その3つについて測定指標を示しているところですが、この3つの施策の内容の概要については、パワーポイントの資料で説明させていただきます。

 表紙をめくっていただくと、生活環境中の化学物質対策が真ん中に書かれています。その周辺に3つの法律ごとの主な業務が記載されていて、それが今の施策の概要の内容と一致しているものになっています。毒劇物、家庭用品、化学物質という順番で概要を説明させていただきます。

 次のページの毒物及び劇物取締法についてですが、現在、毒物が117項目、劇物が377項目指定されていて、こういったものの製造業者、輸入業者、販売業者、業務上取扱者については、ここに書かれているような登録あるいは届出をしていただき、取扱いについての基準を定めて規制しているところです。

 めくっていただき、そういった各事業者について、このように製造販売等がされて、それぞれの業種で管理が行われています。また、譲渡する際にも手続が行われていて、その際、その毒物及び劇物についての情報提供なども規定で義務付けられているところです。

 次のスライドですが、毒物劇物の取扱いは、非常に危険なものですから、1)にありますように盗難や紛失防止措置、2)の施設外への飛散、漏れ等の防止措置を取ることなどが義務付けられています。また写真にありますように、保管にあたっても、他の物と区別して貯蔵するとか、鍵がかかる場所に保管するといった規定もされています。

 次のページになりますが、こういった毒劇法について各事業者が遵守していることを、主に都道府県の毒物劇物監視員が定期的に施設の立入検査をして確認し、何か問題があれば指摘を行って報告書を徴収したり、再度、立入検査を行うなどして、その違反状況が改善されたことを確認しているというのが現在の取組です。

 実績評価書のほうを御覧いただきたいのですが、測定指標の1として、毒物劇物営業者等立入調査における改善率を、実績値として挙げています。平成20年度から23年までの数字を挙げていますが、その立入調査における改善率はおおむね7080%程度で推移しているところです。ただ、ここに書かれていますが、目標値について、これは都道府県ごとに対象施設を選定していることもあり、一概に増加、減少で適正な管理が推進された、後退したといった達成度を測ることはなかなか難しいところがあります。もちろん実績値は把握して参考にはしていますが、目標値という形で、例えば80%を目標とするといった設定は、今のところ行っていないところです。

 スライドに戻って、家庭用品安全対策です。厚生労働省のほうで家庭用品の基準について、次のスライドを先に御覧いただきますが、家庭用品規制法に基づく規制基準ということで、服、おむつカバーといった家庭用品については、ホルムアルデヒド等20成分を有害物質として指定し、それぞれ基準値を示しています。それ以外にも有害な家庭用品が流通しないように各企業に自主基準の設定を求めていて、2に書かれているとおり、洗浄剤等について業界団体ごとに安全衛生自主基準を作っていただき、それを遵守していただくことにより、有害な家庭用品が流通しない対策を講じているところです。

 次のスライドになりますが、それ以外にも家庭用品健康被害病院モニター報告ということで、皮膚科や小児科をモニター病院として指定し、そこから毎年、皮膚障害や小児の誤飲事故、吸入事故といった健康被害情報の報告を受け、それを毎年度、取りまとめて公表することにより、家庭用品の安全対策の推進に努めているところです。4の製品事故情報の報告・公表ですが、消費者等から重大な製品事故について消費者庁に報告があった場合、特に重大なものについては、家庭用品に関係するものであれば厚生労働省にも通知があり、緊急性の高い事案については公表し、必要に応じ回収などの措置を取っているところです。ここに平成19年から最近まで実際に安全対策を講じた事例を幾つか掲載しています。

 次のスライドを御覧いただきたいのですが、こういった家庭用品に関する安全対策を行う一環として家庭用品試買調査を行っています。これは各都道府県において家庭用品を試買していただき、例えばここにありますように、おむつカバー、外衣を試買していただいて、先ほどのホルムアルデヒド等の有害物質が基準値を超えていないか検査していただいています。当然、超えていれば自主回収していただいたり、品質管理の見直しを図っていただくことになります。こういったことを都道府県等の家庭用品衛生監視員にやっていただくことになっています。

 この関係の指標値として、また実績評価書に戻りますが、測定指標の2で、家庭用品試買等調査における違反率について、平成20年度から23年度までの数値を示しています。大体、0.30.5%の間で違反率は推移しているところです。これも先ほどの毒劇物の改善率と同様、都道府県ごとに品目を指定して試買しているので、これも増加、減少で指標とするのはなかなか難しいところがあります。当然、実績値としては把握していますが、目標値という形では設定していないのが現状です。

 最後に、化学物質の関係ですが、工業製品にいろいろな化学物質が使われていたり、新たな化学物質が工業製品に使用されるようになる現状があるわけですが、そういった新たな化学物質を中心に、ここの目的にありますように、「人の健康を損なうおそれ又は動植物の生息・生育に支障を及ぼすおそれがある化学物質による環境の汚染を防止」する観点から、この化審法という法律が制定されています。

 この化審法に関する業務ですが、概要の1つ目の○にありますように、新規化学物質の事前審査ということで、新たに製造・輸入される化学物質については事前審査制度を設けています。具体的にどういった点を審査するかというのが、概要の3つ目の○で、例えば分解されにくいものか、体内や動植物に蓄積しやすいものか、毒性というのは主に長期毒性で、例えば発がん性がないか、環境中での残留状況としてどの程度リスクがあるか、こういったところを評価しており、性状や毒性などに応じて「監視化学物質」、「特定化学物質」等に指定し、必要な規制を行うものです。ただ、こういった形で事前審査の結果、使用が認められた後でも、概要の2つ目の○にありますように、それで評価が終わるわけではなく、毎年度、製造・輸入数量を把握して、例えば前年度に比べて製造・輸入数量が極めて増えた場合については、それだけ環境汚染のリスクが高まる可能性がありますから、そういった場合には、そういう届出を受けて有害性情報を再度評価した上で、リスク評価を継続して行う仕組みを取っています。

 スライドを1枚飛ばして「改正のポイント」に飛びます。化審法についてはいろいろな改正の経緯がありますが、時間の関係もありますので最後のスライドを説明します。現在、リスク評価については、分解しにくい、蓄積しやすい、長期毒性があるといった有害性に加えて、どれだけ排出されるのか、あるいは、どれだけ暴露する可能性があるのかといったところを総合的に評価し、特に暴露の程度が高く、また有害性も強いものを優先的に評価するということで、優先評価化学物質という形で指定し、国において長期毒性の評価を行うこととしています。国自らが試験を行ってそういった評価を行い、必要なものについては特定化学物質に指定して管理を強化していく仕組みになっています。

 ここのところが今回の測定指標につながってきて、また実績評価書に戻っていただきますが、測定指標の3の化学物質の安全性点検です。平成20年度から24年度まで、30試験から多い年は70試験ぐらい実施していますが、優先評価化学物質になったものについては おおむね1つの物質で平均4つか5つぐらいの毒性試験を実施することになります。ただ、物によってはそれより若干少ない試験で足りる場合もありますし、もう少し多くの試験を行う必要がある場合もあります。目標値としている20試験というのは、おおむね1物質4試験として、毎年度、5物質程度は国として毒性評価を行い、必要なものはリスクの高いものとして指定する作業をしているということです。毎年、5物質程度の毒性評価を目標にして、実績としてはそれを超える試験を毎年行っているところです。

 このような状況の中で、予算額は実績評価書の中にありますように、毎年、少しずつ減っていますが、業務の効率化を図るなどして、3つの業務を適切に遂行していると考えています。以上です。

 

○森田座長

 ありがとうございました。それでは、ただいまの御説明につきまして御質問、御意見等どうぞ。

 

○篠原委員

 素人的ですけど、毒物の管理とありますね。それとそれを使った製品、国内の場合、比較的私は分かるかなという気がする。輸入は何を使っているかよく分からない。そういう意味で母集団はなかなか決めかねると思うけど、どのぐらいのチェックをされているのか。毒物でなくて製品に入った場合、この製品にはこういうものが入っているとか、ほぼ申告ベースでやっているのか。

 

○医薬食品局

 化学物質としての毒物劇物と、それが製剤化されても、まだ毒物劇物としての性質を保っているものだけが規制対象になっています。毒物を使っていても、製品としては毒物でも劇物でもないものがあり、そういったものは規制の対象外になります。

 

○篠原委員

 ただ、最近のいろいろな報道によると、近隣諸国の製品は極めて危ないような気もするので今の質問をさせていただいたのです。結構、危険なものが入っているのではないかというので、その捕捉率というかチェックはどうなっているのか。それと、ひっくり返すと、ここにいろいろな事故があると。死ぬまではいかなくても皮膚が炎症を起こすとか、そこからいくのかなという気もする。その辺の捕捉というのは後追いになるけれども大事なのかなと。その辺の情報収集はされているのだが、かなりうまくやっているのか、どうなのですか。ちょっと漠然としていますけれども。

 

○医薬食品局

 基本的に輸入するときに、それが毒物劇物に該当するかは各輸入事業者が確認しています。それをダイレクトに国が確認しているわけではありません。政令で指定したものに当たるかどうかは、各事業者が点検しているところです。

 

○森田座長

 ほかに、いかがですか。

 

○井部委員

 私は、病院の看護師たちが扱う抗がん剤が非常に気になっているのです。抗がん剤は化学物質の範疇には入らないですか。

 

○医薬食品局

 医薬品は、毒物劇物ではなく、毒薬とか劇薬として薬事法の規制がかかることになります。

 

○井部委員

 分かりました。

 

○森田座長

 よろしいですか。

 

○篠原委員

 これ、動植物と入っていたのですが、ほかの省との関わりで、今の説明ではそっちで全部できるようになっている。

 

○医薬食品局

 説明が足りませんでした。化審法につきましては厚生労働省と経済産業省と環境省の3省で担当していて、動植物の生息・生育への影響は環境省が評価することになっています。厚生労働省は人の健康への影響、人への長期毒性を評価しています。経済産業省が、例えば分解しにくいか、蓄積しやすいかといったところを主に担当して、その三者の評価で規制を行う仕組みになっています。そこの説明が抜けていました。

 

○森田座長

 本田さん、どうですか。よろしいですか。

 

○本田委員

 はい。

 

○森田座長

 私がお願いというか、この測定指標のところで年度ごとの目標値が設定できないと書いていて、それはここを読むと「そうだな」と思いますが、要するに評価書で数字は出せるけれども何とも言えないというと、ちょっと評価書としては評価にならないという気がします。例えば、こういう場合にはパーセンテージでなく絶対数で確実に増えていますとか、先ほどのところは絶対数だけ書いてあって比率がないとコメントしましたが、要するに事態が改善されているか、きちっとそれに対して担当部署が努力しているか、その努力が十分なのか不十分なのか、ある程度この評価書を読んだ人に理解できる形の表現は可能ではないかと思います。

 

○医薬食品局

 毒劇物も家庭用品も都道府県の実績を厚生労働省が取りまとめているという、直接的でなく間接的なところがありますから、なかなか設定しにくい事情はあるのですが、例えば絶対数でできないか、あるいは過去の事例や傾向を分析して、もし目標値の設定が可能であればそういった点も考えていきたいと思います。

 

○森田座長

 お願いいたします。さらに言えば3の化学物質の安全性点検で、先ほどありましたけれども、毎年、大幅に目標値を上回っているというのも少し気になるところです。

 

○医薬食品局

 設定が甘かったかもしれません。

 

○森田座長

 表現の仕方の問題だと思いますが、多くの方はこの評価書だけを見て、どういう形でやっているか正に判断されると思いますので、そうした読み手に対する情報提供のあり方として、もう少し工夫ができればお願いしたいという気がします。

 

○医薬食品局

 分かりました。検討させていただきたいと思います。

 

○森田座長

 ほかに、よろしいですか。ありがとうございました。

 

○医薬食品局

 ありがとうございました。

 

○森田座長

 今、申し上げたようなことを踏まえて、評価書に反映していただきたいと思います。ありがとうございました。

 

○医薬食品局

 分かりました。

 

○森田座長

 以上で、本年度のWGで議論を行う実績評価書につきましては終了ということですが、最後に何かございますか。

 

○篠原委員

 今まで、こういうのを毎年やってきて、比較的細かい話を私は避けてきた。今年は、今、座長も言っていましたように、もう一歩レベルを上げてくれというか、PDCAでうまく、いわゆるCで見たのが次につながるようにしていただきたい。そういうところを今年は重点的に見るようにしたのですが、ちょうど10年経つのです。大体、10年経って様子が分かってきたから、いろいろな意味でもうちょっとレベルアップしてという部分が、何となく必要かなというのは、実はほかのところで評価ではないですけれども、PDCAがうまく回っていったら、そういうことは起こらなかったのではないかという気が私はあるものですから、もうちょっとこの辺を、PDCがちゃんと次のアクションにつながるようなCをちゃんとやってくださいというか、そんな感じがしているのです。

 

○森田座長

 ありがとうございます。ついでに私も2つだけ言わせていただくと、これは毎回言っていることですけれども、基本的に大きな制度のフレームの評価と、その制度の下で、どういうふうにそれぞれの担当課が運用しているか。その評価が、書き方の問題もありますけれども、きちっと区別されていない気がします。本日の例でも、2番目の医療事情に見合った医療従事者の確保を図ることというのは、医学部の定員を増やす、地域枠を設けるというかなり大きなレベルの政策だと思いますけれども、それを実施している段階でその効果が出ているかどうかという話は、また別かなと思いますし、そもそも制度に無理があるところを担当課に何とかしろというのは酷な話だと思います。同じことは医療保険制度の話もそうだと思いますので、何処の評価もそうですが、日本の評価制度の場合、そこのところが必ずしも明確になっていないというのが、やや評価で混乱を起こしている原因かなと思います。それが1点目です。

2点目は、今、最後のところでも述べましたが、評価書というのは特に評価をする人、あえて言えば国民も含めて外部にいる一般の方がこれを見て、きちっと仕事をしているかどうかを正に評価し判断するとすると、言わば読み手の目線に合わせる形で情報の作成と発信を心がけていただきたいという気がします。何か関連して、よろしいですか。

 

○井部委員

 参考資料4のモニタリング結果報告書というのは、どういう意味と受け取ったらよろしいのでしょうか。

 

○政策評価審議官

 これは、今回の事前評価になかったものということで、要は1-1の。

 

○森田座長

 資料1-1ですか。

 

○政策評価審議官

 先ほどの一番最初のほうの。

 

○森田座長

 全体の項目があるうち、詳細に御報告いただいたのは今日の○が付いているところですが、それ以外の部分について整理されているということです。

 

○井部委員

 ありがとうございました。

 

○森田座長

 それでは、大体、予定された時間に。

 

○政策評価審議官

1つありますのは、今、先生方からいただいた御議論で、特に効果、評価をどうしていくかという話については、実を言いますと、本来、これは昨年の3月に測定指標がいいかどうか御議論していただいたら、一番よかったのではないかと我々は考えています。その意味で今年は3月にやっていますけれども、来年はもう少し、要は自分たちで一度見た測定指標について、どうなっているかをチェックしていただく。我々も、10年経っているとは言いつつも試行錯誤の部分がありますので、そういう形でやらせていただいています。その意味で来年3月は、来年度の測定指標を事前に見ていただくということですので、そこのところでしっかり御議論いただければというのがあります。

 それと評価書について、最後に座長からお話がありました。評価書について分かりやすくというのは、私も最初に言いましたようにもともと財務省の人間で、横文字も結構多くて略語もあり、QOLはクオリティ‐オブ‐ライフだとPCで分かったような感じですが、それ以外にも幾つかありますので、そこら辺も引っくるめて、もう少し国民目線で分かりやすい表現を考えた上で保険課と相談させていただきます。

 

○森田座長

 ありがとうございます。よろしいですね。それでは、本日予定していた議事は全て終了したということですので、ありがとうございました。本日は誠に熱心かつ有意義な御審議をいたただきました。御礼を申し上げます。事務局より今後の議論の取扱いについて、これは、今、おっしゃったことで尽きているのでしょうか。

 

○政策評価官

 長時間にわたり御議論いただきまして、ありがとうございました。今、審議官から申し上げましたけれども、読み手となる国民の方々に分かりやすくなるように努力いたしますし、また指標等につきましても御意見をいただきましたので、保険課のほうと調整しながら変えていこうと思っています。また最後の欄のところにありますけれども、学識経験を有する者の知見の活用の欄のところにつきましても、御相談させていただければと思っています。今後、総務省への通知と公表の手続を進めたいと考えています。以上です。

 

○森田座長

 長時間にわたり、ありがとうございました。これで終わります。


(了)

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