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2013年6月27日 第16回シックハウス(室内空気汚染)問題に関する検討会 議事録

医薬食品局審査管理課化学物質安全対策室

○日時

平成25年6月27日(木) 10:00~12:00


○場所

厚生労働省白金台分室


○議題

・関係省庁、関係団体等のシックハウスに係る取組説明・ヒアリング
・その他

○議事

○事務局 それでは定刻となりましたので、ただいまから第16回「シックハウス問題に関する検討会」を開催いたします。
 委員の先生方には、御多忙のところ、御出席賜りまして、まことにありがとうございます。
 本日は池田委員、五十嵐委員より御欠席の連絡をいただいております。また、角田委員は所用のため、1時間ほどで退席いたします。委員総数12名のうち10名に出席いただいていることを御報告申し上げます。
 それでは座長の西川先生、以降の議事進行をお願いいたします。
○西川座長 まずは、事務局から配付資料の確認をお願いいたします。
○事務局 それでは、今回の資料の議事次第、資料一覧の1枚紙をごらんください。
 資料一覧のところをごらんください。
 議事次第の1枚紙と、座席表、委員名簿。
 資料1といたしまして「室内空気環境汚染化学物質調査の概要」。こちらは国立医薬品食品衛生研究所の資料となっております。
 資料2でございますけれども「車室内VOCの低減に対する自工会自主取り組みについて」は、財団法人の自動車工業会からの発表資料となってございます。
 資料3でございますけれども「芳香消臭脱臭剤の安全性への取り組み」ということで、芳香消臭脱臭剤協議会の発表資料となってございます。
 参考資料1といたしまして、本検討会の開催要項。
 参考資料2といたしまして「今後の検討スケジュール」を添付してございます。
 以上です。
 不備がございましたら、お知らせください。
○西川座長 ありがとうございました。
 それでは、議事(1)「関係省庁、関係団体等のシックハウスに係る取組説明・ヒアリング」として、まず「室内空気環境汚染化学物質調査の概要」について、国立医薬品食品衛生研究所生活衛生化学部の香川先生、御説明をお願いいたします。
○香川氏 おはようございます。
 国立医薬品食品衛生研究所の香川と申します。よろしくお願いいたします。
 私ども生活衛生化学部では、室内空気の実態調査と並行いたしまして、室内環境化学物質の発生源、原因を探る調査ですとか研究を実施しています。
 本日は、化学物質安全対策室からいろいろ御指導いただきながら実施しております、家庭用品から放散する揮発性有機化合物に関する調査の概要を、一部ですが御紹介いたします。
(PP)
 室内の空気は、例えば外気ですとか、部屋の中の床面や壁材から放散される化学物質で汚染されていると考えられますが、それ以外に住まい手が家の中に持ち込むこういう家具ですとか、このような消費者製品で、室内が汚染されていまして、これらの家庭用品が重要な室内の化学物質の発生源であると考えられます。
(PP)
 また、この図は一日のうちで室内の化学物質による汚染の程度がどのぐらい変化するのかというのを調べた結果です。縦軸は室内の総揮発性有機化合物の濃度、横軸は夕方の6時から翌日の6時までの時間で、1時間ごとにサンプリングした空気中の化学物質の濃度の経時変化を示します。
 この調査で使用した測定器は、ここにいらっしゃる東京都の斎藤先生にお借りしました。このシンボルの違いは家による違いを示していまして、室内の化学物質の汚染の程度は家によっても非常に異なっていますし、また経時的に見ても、例えば、換気によって一旦は下がる、しかしながら、恐らく家庭用品の使用によってこのように一過性に上昇するという室内の空気汚染というのは、人の生活様式に依存すると考えられます。
(PP)
 これは、国民生活センターの報告書の一部のデータを拝借したものですが、このような大型の戸棚とかベッド類、タンス類から発生するにおいや化学物質に関する相談件数が多数寄せられているということがあります。
(PP)
 また、これは消費者庁が公開している事故情報データなのですが、公開されているホームページからその文章をそのまま転記させていただいていますが、吸入事故の原因として登録された家庭用品として、例えばマットレス、スプレー缶のシール剥がし、柔軟剤、立体形の木製パズルのような製品が挙げられています。
(PP)
 このような背景から、家庭用品から室内環境中への化学物質の放散量を定量的に、また定性的に、どういう化合物がどの程度放散しているのかということを評価することによって、例えば人が家具を部屋の中に置きました、家庭用品を使いました、そういったときに、室内が化学物質によってどのくらい汚れるかということを予測することが可能になります。
 また、放散化学物質のTVOC構成成分の解析による(新規)室内空気汚染化学物質の探索と書かせていただきましたが、これはどういうことかと申しますと、10年ほど前に13物質に室内濃度指針値が定められましてから、それ以外の代替の化学物質によって室内が汚染されている、汚染物質が代替の化学物質にシフトしているという実態が予想されます。
 実際に、現在室内がどのような化合物で汚染されているのかは、私どもが実態調査で調べているのですけれども、実際に今どのような物質が放散源である家庭用品から放散されているのかを見極めることによって、ターゲットを絞って効率よく室内空気の調査を実施できるということになります。
 今、室内空気の全国調査を実施していますけれども、これは地方の衛生研究所のスタッフの方ですとか協力者の方に非常にしんどい思いをしていただいて、その上で成り立っている調査ですので、そういうことからも簡便に、ターゲットを絞った調査、効率よく調べていくということが重要であると考えています。
(PP)
 ここでは、発表内容といたしまして、家庭用品から放散する化学物質に関して、チャンバー法を用いる放散試験法と、JIS法で定められているチャンバー法を多種多様な家庭用品に適用するのは非常に困難なので、それ以外の方法で私たちが評価した結果を御紹介いたします。
 また、チャンバー法を用いる放散試験法では非常に正確に濃度をはかることができるのですけれども、ただ実施すると非常にコストが高いとか時間がかかるということがありまして、数多くの家庭用品を検査するということには難しい部分もあります。そこで簡便にハイスループットに放散化学物質評価する方法を確立する目的で検討していることに関しましても、最後に少しお示ししたいと思います。
(PP)
 まず、これまでに調査した家庭用品ですが、20リットルのステンレスの容器を用いる小形チャンバー法では、身の回りにあるこのような家庭用品を近くのスーパーですとか小売店に行って購入して、検体といたしました。
 大形チャンバー法では、これが人の大きさなのですけれども、ステンレス製の小屋といいますか、そういう部屋に大形の家具を丸ごと入れて、家電製品等に関しましては、稼働したときでどのように負荷が変わるのかということに関しても評価いたしました。
(PP)
 チャンバー法以外の方法といたしまして、除菌、消臭を目的としたような空間噴霧型ハンドスプレー式の家庭用品、整髪料等も含みます120製品をダイナミックヘッドスペース—
GC/MS法という方法で測定いたしました。
 また、容積負荷率が高い、すなわち部屋の中で使用する家庭用品として、たとえば、カーテンは面積が広いですし、カーペットも部屋一面に敷くと容積負荷率が高くなりますので、このような家庭用品に絞って、これは超小型形チャンバー法という、直径5センチぐらいのお釜の中に円形に切り抜いたサンプルをセットして簡便、ハイスループットに評価できる方法で、カーテンとかカーペットについて放散化学物質を調べました。
(PP)
 まず、20リットルの小形チャンバー法による放散試験で、51種類の家庭用品を調べました。例えばデスクマットですとかテーブルクロス、これはコルクマット、これは新聞紙のようなものを約16センチ四方の切片にしまして、切断面からの放散は抑えるようにシールをいたしまして、このお釜の中に入れて空気を流しながら、出てきた空気を捕集して化学物質を測定するという方法です。
(PP)
 その結果がこちらです。横軸は1時間当たり、1平方メートル当たり何マイクログラムの、トルエン換算値にしてTVOCが放散しているかということをお示しした図で、これは家庭用品の種類を示します。
 こちらでごらんいただけると思いますが、テーブルクロスとかゴム手袋に関しましては、これは1日後の放散速度で、経時的に1週間後の放散速度というのも測定しているのですが、テーブルクロスに関しましても手袋に関しましても、購入してすぐというのは非常に放散速度が高いのですけれども、やがて速やかに減衰するという家庭用品でした。
 この右側のパネルをごらんいただきますと、例えば目立つのが文具、玩具、印刷物です。文具では、例えばマウスパッドあるいはデスクマット、コルクマットは壁にかけるようなタイプですけれども、これらの製品からの放散速度が高いことがわかります。コルクマットに関しましては、括弧内に数字が書いてありますが、定量の上限を超過したために、参考値としてお示しします。
 マウスパッドとかデスクマットは、机の上,すなわち人の呼吸器に非常に近いところで長時間使うという家庭用品ですが、このように放散速度が高いという結果ですし、また、この玩具に関しましても、子ども、感受性の高い、年齢の小さいお子さんが使うものも、いろんなカラフルな色ですとか接着剤で張り固められたようなものもありますので、そういう製品からの化学物質の放散が高いという傾向がありました。
 それ以外に、これは印刷物なのですけれども、例えば新聞、1週間たつと減衰はしますが、新聞は一日、朝と夕方、新鮮に印刷されたものが家庭の中に持ち込まれるということもありますし、冬の時期ですと、ホットカーペットですとか床暖房で、床が熱くなっているところに新聞を積み重ねていくという御家庭もあるかと思いますが、そういう場合には、常温よりも非常に放散速度が高くなるという可能性があります。
(PP)
 実際に放散化学物質として検出されたものとしては、指針値策定物質でありますキシレンやエチルベンゼン、あとデスクマットですとフェノール、ジグソーパズルからは可塑剤として使われているTXIB、トルエンも検出されました。印刷物からもトルエンとかエチルベンゼン、キシレン、あと脂肪族の炭化水素が検出されまして、非常に身近な家庭用品で室内が汚染されているということがわかります。
(PP)
 次に、これはカーペット24製品を、これも素材別ですとかいろいろ集めまして、同じように20リットルの小形チャンバー法で評価をいたしました。
 縦軸がTVOCの放散速度、横軸がサンプルのIDになりますが、このちょっと高く見えますのはコルクマットの類い、この辺にぽつぽつ高く見えますのは、断熱とかクッション材のようなウレタン加工の処理がしてあるものが張りつけられているもので、若干高い傾向にありました。
(PP)
 実際にこれらの製品を使用した際に、室内が放散化学物質によってどのくらい汚染されるかを評価をするために、単位面積当たりの放散速度から、モデル体積をここでは20立法メートルとして、1時間に0.5回この部屋の空気が入れかわるというモデルを考えまして、気中濃度の増分値を予測しました。
(PP)
 この図の縦軸は、TVOCの気中濃度増分予測値で、これらのカーペットが20立法メートルのモデル体積の部屋に一面に敷き詰められているという状態を想定して、室内の空気質にどのぐらい負荷をかけるか、化学物質の汚染がどのぐらい上乗せされるかを評価した結果です。
 今のTVOCの暫定目標値が400 µg/m3ですので、これをはるかに上回る敷物というのも検出されました。ただ、ここでちょっとコメントさせていただきたいのは、これは購入してからすぐ測定したもので、ここからまた減衰していく可能性がありますので、恒常的にこのレベルで室内汚染するというわけではないと思います。
(PP)
 カーペットから放散されたVOCといたしましては、まず指針値策定物質であるこれらの物質、それ以外にテキサノール、2‐エチルヘキサノールが検出されました。これらは、この検討会でもたびたび話題になっていますように、シックハウス症候群との因果関係が指摘されている物質ですが、かなりの頻度で検出されました。
 この4‐フェニルシクロヘキセンというのは、以前に米国でシックハウス症候群の原因の一つであるということが指摘されている物質で、国内でもカーペットのにおいがきついからということで調べたところ検出された物質で、今回の調査でも比較的高頻度にこの物質が放散されるという実態が明らかになりました。
(PP)
 次の大形チャンバー法による試験結果をご紹介します。大型のこのような冷蔵庫やタンスを丸ごとこのステンレス製の部屋に入れて、空気を流しながらサンプリングするという方法です。
(PP)
 先ほどと同じように、この室内空間モデルの中に一つぽんと置いたときに、どのぐらい室内濃度の増分になるかという、その予測値をこのような計算式で出しています。
(PP)
 先ず、これまでの私共の調査結果から、比較的高い放散速度で様々な化学物質が検出される家庭用品、家具として、ダイニングテーブルと椅子の結果を御紹介します。
 ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、TVOCについて、放散速度を測定して、その結果から先ほどお示しした計算式で気中濃度増分予測値を算出しました。
 ホルムアルデヒドの室内濃度指針値は100 µg/m3ですので、指針値をどの程度上回るかということを%で示してあります。
 ダイニングテーブル3製品、生産国や表示が違う3製品を検体としました。
 まず中国製、たまたま中国製なのですけれども、ホルムアルデヒドの放散が高くて、この製品によって室内濃度指針値の2.5倍高い室内濃度になる、著しい汚染を引き起こす可能性があることがわかります。また、TVOCも暫定目標値が400µg/m3ですので、2倍高い汚染を引き起こす可能性があります。
 2番目の中国製ですが、エフフォースター仕様というホルムアルデヒドの放散が低いという仕様が書かれている家庭用品で、確かにホルムアルデヒドの放散は非常に低くて安全な製品だと思うのですけれども、一方、TVOCに関しましてはかなり放散量が高くて400µg/m3の暫定目標値の4倍になってしまうという、そういう製品でした。
 また、3番目は日本製と書かれていまして、室内環境配慮製品というシールが張られているものを選びました。
(PP)
 室内環境配慮製品という、これは日本家具工業連合会様のホームページから拝借した図なのですけれども、そのまま読ませて戴きますと「ホルムアルデヒドの発散を規制した製品に環境配慮マークを添付する」という、自主表示制度を実施されていらっしゃいまして、実際にホルムアルデヒドの放散は非常に低く、安全な製品なのですけれども、TVOCに関しましては若干高目の製品でした。
(PP)
 次にタンス、これも中国製のものを購入しましたが、ホルムアルデヒドの放散が高かったです。日本製のこの製品に関しては、暫定目標値や指針値を上回るような汚染を引き起こすというものではありませんでした。
 また、こちらの日本製でかつ室内環境配慮製品というシールが張られてはいたのですけれども、たまたまだと思うのですけれども、ホルムアルデヒドに関しては若干高い汚染を引き起こす、TVOCに関しても暫定目標値の3倍ぐらいの汚染を引き起こすという商品でした。
(PP)
 これは同じようにソファーで、これも中国製、日本製、このシールが張ってあるもので、ソファーに関しましては、このシールの表示通り放散の程度は低いものでした。
(PP)
 このような家庭用品や家電、大型家具からどのような物質が放散するのか、すなわち構成成分に関するスライドですけれども、このような芳香族炭化水素や、木を使っているものが多いですのでテルペン類、脂肪族の炭化水素類、エステル類、あとは溶剤として恐らく使われているアルコール類やグリコールエーテル類、しつこいですけれども、2‐エチルヘキサノールは高頻度で検出されています。
 また、アルデヒドやケトン、あとは環状シロキサンも非常に頻度が高く検出されております。
(PP)
 次に、これはスプレー式の家庭用品から放散される化学物質ということで、ダイナミックヘッドスペース—GC/MS法で測定した結果です。
 これは、バイアルに一定量液体を入れまして、ふたをしてバイアル中に空気を流しながら出てくる空気を採取して分析するという方法で、消臭剤ですとか整髪料などのスプレーを使うとどのぐらい部屋の中の空気を汚染するのかということを調べた結果です。
 この図の横軸は、製品1グラム当たりのTVOCの放散量で、衣類や空間用の消臭剤、あとは整髪料や化粧品の類いですが、合わせて120製品を評価した結果です。
 この放散速度から、先ほどと同じように室内空間モデルの容積を20立法メートルとし、1回に使う量として5回噴霧する、また、瞬時にかつ均一に室内に分散すると仮定して、気中濃度増分値を予測しました。
(PP)
 その結果がこちらで、暫定目標値が400µg/m3ですので、それほどひどい汚染を引き起こすものというのは見出せないのですけれども、今の時期、消臭スプレーですとか制汗剤ですとか、アイロンをかけるときにもいろんなスプレーを使ったりもしますので、そうすると、何種類かの製品の総和で部屋を汚染する可能性もあります。
(PP)
 何が放散するかといいますと、ちょっと小さくて見にくくて申しわけないのですが、香料として恐らく使われるピネン、リモネン、リナロールとか、溶剤で使われるグリコールエーテルの類いが頻度が高く、比較的高濃度に検出されました。
(PP)
 次に、超小形チャンバー法による放散試験について、少し御紹介をさせていただきます。
 これは、このような小さなお釜に、直径5センチぐらいの円形に裁断して張りつけて、空気を流しながら捕集管で空気をトラップして、GC/MSで測定するという方法で、この装置には加熱脱離機能というものがついていまして、揮発性の有機化合物だけではなくて、沸点の高い放散しにくいもの、例えば可塑剤ですとか難燃剤のようなものも評価できる機械を使いまして、評価いたしました。
(PP)
 これは、そのSVOCと言われる準揮発性有機化合物としてどのようなものが放散されるかということを示したものですけれども、ちょっと小さいのですけれども、ジブチルアジペート、フタル酸エステルの代替可塑剤と使われているようなものが、非常に高頻度に検出されているということがわかります。
(PP)
 これまではどのような製品からどのようなものが放散してくるかということを御紹介したのですけれども、先ほど申し上げましたように、チャンバー法を用いる放散試験法というのはコストも時間もかかりますので、簡便な方法を用いて評価したい場合が多いので、どういう方法で評価できるかというのを幾つか試してみました。
(PP)
 まず、ダイニングテーブルとかタンスを大形チャンバー法で測定し、同じ製品から試験片として切り出して小形チャンバー法で評価した結果と比較しました。
 ただ、小形チャンバー法で評価するためには、ダイニングテーブルなどから試験片を切り出さなければいけませんので、破壊しないで測定できる方法はないかと思いまして、パッシブフラックス法とあとサンプリングバッグ法でいろいろな製品を評価してみました。
(PP)
 まずパッシブフラックス法ですが、例えば、ダイニングテーブルの上にお弁当箱のようなステンレス製の容器を置いて、丸いこの部分は重石なのですけれども、この中に拡散サンプラーをセットしまして空気を捕集して分析するというものです。
 この評価法ですと、ホルムアルデヒドに関しましては、比較的このパッシブフラックス法で見積もることが容易な製品も多いのですけれども、ただ、例えば接着してある部分というのは非常にはかりにくい、はかれない。平面ではないところははかれないので、この丸ごとの製品からどのぐらいどのようなVOCが放散するのかというのを評価するのは、結構厳しい方法だと思いました。
(PP)
 最後に、これはサンプリングバッグ法による放散速度の予測ということで、パソコンですけれども、チャンバー法でこのような部屋の中に入れて測定した値と、同じぐらいの容積に膨らませた吸着も放散もしないようなサンプリングバッグの中に、このような製品を入れて一定時間を置いた後に、ここの空気を抜き取って測定した値とを比較いたしました。
(PP)
 ちょっと字が小さくて申しわけありませんが、例えば木製のおもちゃとか本棚、ソファー、オーディオセット、これが靴ですね。
 部屋の中にある、家庭内にあるようなものを、横軸はチャンバー法で測定した結果、縦軸がバッグ法で測定した結果ですが、比較的これは相関しておりまして、例えば靴を入れてはかってみると、バッグ法で十分評価できるという結果となりました。
 製品によっては、十分サンプリングバッグ法が有用な方法であると考えられます。
(PP)
 まとめですが、家具や家庭用品から放散する化学物質によって、室内環境が汚染される場合がある。
 ここでお示ししたのは私どもがピックアップして購入したものなので、先ほど中国製の製品からの化学物質の放散が高かったということをお示し致しましたけれども、必ずしも中国製のものが全部高いということではありません。そういう家庭用品によって、室内環境が汚染される場合があるということです。
 低減策を考えたときに、例えば、先ほどご紹介した家具工業会様の室内環境配慮マークのようなシールを張っていただければ、化学物質の放散が少ない家具を消費者が選ぶことができる、そういう仕組みを構築することによって、家庭用品からの放散化学物質による健康被害を軽減できるのではないかと考えています。
 以上です。
○西川座長 ありがとうございました。
 それでは、ただいまの御説明について、委員の先生方から、御意見、コメント等がございましたら、お願いいたします。角田先生、どうぞ。
○角田委員 大変貴重な御発表をありがとうございました。
 データ的に気になったというか、最後に出されたものでやらなくてはいけないのかなと思うのですけれども、5ページ、ダイニングテーブル、タンス、ソファーの室内環境配慮マークをつけた結果でいうと、ダイニングテーブルだけは室内環境配慮製品というのは、ある程度効果的のような感じがするのですが、タンスとソファーはむしろ環境配慮製品のほうが高いぐらいの結果になっています。
 でも、それなりに何かやっている上でこういうのがついていると思うので、もしかしたら個々の製品でばらつきが相当あるのかなという気がするのですが、それを測定するにはお金もかかるし手間もかかるので大変かと思うのですが、そういう個々のばらつきみたいな検討は今後される予定がございますでしょうか。
○香川氏 御指摘のように、確かにこのシールが張られていても高いという場合、もともと高いのか、例えば倉庫にあってほかのものから移染して高いのかというところはまだ見きわめられていませんので、そういうことで高くなっている場合もあるかもしれません。
 このタンスに関しては、環境配慮品ということで、ホルムアルデヒドのほうも指針値をちょっと上回ってしまうという結果で、TVOCについても暫定目標値の3倍高い濃度になる可能性があるという結果でした。ただ、今のところこの室内環境配慮製品というマークは、ホルムアルデヒド以外には着目していないということで、今後はホルムアルデヒド以外の揮発性の有機化合物についても低放散であることを消費者の皆様が判断出来るシールが張られるような仕組みができると、非常にありがたいなと思っています。
○角田委員 これはタンスですかね、ただの何にもついていない日本製品において、ホルムアルデヒドが結構高いですね。
○香川氏 それで最後にもお断りしたのですけれども、たまたま選んだこの製品が高かったのか、そこはちょっとわからないのですけれども、その妥当性ですとか評価のシステムをより整備していただくことによって、消費者の方は助かるのではないかなと考えております。
○角田委員 何となく、私が消費者だったら環境配慮マークがついているほうを買ってしまいたい気がするのです。
○香川氏 そうですね。
○西川座長 ほかにございますか。
○中井委員 どうもありがとうございました。
 何点か教えていただきたいのですが、まず小型チャンバー法に関するところなのですけれども、実は私は小型チャンバーでやったことがないのでわからないのですけれども、特にカーペットとかデスクマットとかそういう類いなのですけれども、これはぶら下げる形でやるのですか。
○香川氏 ここでお示しした51製品に関しては、16センチ四方ぐらいの平面にカットして、その切断面から放散をしないようにシールして、それをお釜の中に入れて空気を流しています。
○中井委員 その置き方はどうなっていますか。
○香川氏 縦ですね。
○中井委員 ということは、これはどう評価すればいいのかわからないのでお聞きするのですけれども、実際の使用場面を考えると、裏側も測ってしまっているということですか。
○香川氏 裏はシールされているので、表面からです。
○中井委員 わかりました。ありがとうございます。
 それが1点目で、2点目は今度は大型チャンバーなのですけれども、このタンスなのですが、これは写真だと引き出しが開いているのですが、全部この類いのは引き出しは開けてですか。
○香川氏 そうですね。最悪な状況を想定するということで、タンスの引き出しはあけた状態で測定することとなっているようです。
○中井委員 たしかどなたかかの報告で、引き出しであるとか食器棚を開けて測ると、その中のほうが放散量がすごく高いとかというのもあろうかと思うので、もしかしたら、例えばその後に出てくる濃度予測等々というのは、その影響が強い、表面からというよりも、それが開いている影響が強いのかなと思ってお聞きしたのですけれども、そんなことはございませんか。
○香川氏 そうですね。最悪な場合を見積もるということで試験をしていますので、先生がおっしゃるように、実際にふたを閉めた合では、もう少し下がるかもしれません。
 ただ、引き出しをあけるという行為も一日に何回もしますので、洋服を入れたりするとまたそれも変わってくるのかもしれませんけれども、おっしゃるとおりかもしれません。
○中井委員 最後にもう一つ、最後のサンプリングバッグとチャンバー法の比較がおもしろかったのですけれども、これはたしかにすごくよく直線上に乗っかっているのと乗っかっていないのが結構あっておもしろいなと思うのですけれども、何か特徴か何か、うまく乗るのはこういう特徴であるとか、もしあれば、お願いします。
○香川氏 特に靴についてはきれいな相関関係が認められたのですが、おそらく化学物質の放散量の多いものに関しては、定量的に両方の試験法で精度よく測定出来るので、このようにきれいな相関関係が認められたということもあるかと思います。
○西川座長 よろしいでしょうか。ほかにございますか。東先生、どうぞ。
○東委員 近畿大学の東でございます。大変貴重なデータをたくさん拝見させていただきまして、ありがとうございました。
 今、中井先生のお話にもかかわりますが、小型チャンバーの51製品からのTVOCの放散速度というところになるのですけれども、ここは幾つかの物質が検出されたということで、主に有機溶剤系のものとかが検出されたということで御紹介いただいているのですけれども、TVOCが高い製品を拝見しますと、いわゆるゴム製品であったり、あるいはやわらかい樹脂製品が多いように見られるのです。
 こういう製品は、もちろん有機溶剤が使われているということもあるかとは思うのですけれども、こういうやわらかい製品ですので、ほかにもいわゆる残留モノマーと呼ばれる、もともと樹脂を構成する単分子をくっつけて高分子にして樹脂にしているのですけれども、それが若干残ってしまう、そういう残留モノマーというのがあるのですけれども、そういうものも随分このTVOCに寄与している部分があるのはないかなという気がしたのですね。
 ぜひそういう意味で、そのTVOCの中身のいわゆる分析のときに、通常、例えばラボラトリーとかで分析にかけて検出して同定する分以外に、何か特徴的な物質が、特に恐らくリテンションタイムが高い側にあるのかなという気がするのですけれども、あったのかどうかというところ、そういったところをぜひ今後少し検証をお願いしたいというのが1点です。
 それと、そういう意味で、今回TVOCをはかっていらっしゃるのですけれども、こういう残留モノマーというのは、比較的SVOCの範疇に入るものが多くて、いつまでも残って、ゴム製品なんかはなかなかにおいが消えないというのは、そこに起因するところがあるのですけれども、そういう意味で、SVOCの領域に入る部分もぜひ検証といいますか評価をお願いできれば、もう少しこういう製品による問題点、そういったものが明らかになってくるのではないかという気がいたしました。
○香川氏 ありがとうございます。私どもはより揮発しやすい揮発性の有機化合物を着目して調査を始めたのですけれども、後半のところでお示ししたような、SVOCに関しても、今後、取り組んでいきたいと思います。
○東委員 あと一点、コメントなのですけれども、これはかなりいろんな製品について、VOCの測定をされて、室内に対する増加分を測定されていますので、恐らく13物質とかほかの諸外国の物質で問題点とされている物質以外にも、たくさんの物質についてデータがあると思うのですね。全国の気中濃度の調査もされていると思いますので、総合的にいろんな物質に対するリスク評価をぜひお願いしたいと思います。
 これはコメントでございます。
○香川氏 ありがとうございます。
○西川座長 どうぞ、田辺先生。
○田辺委員 まず、手元に配られている3ページの20リットルのチャンバー法ですけれども、JISに基づいて試験をやっていただいているので、大変ほかのデータと比較ができてよいのではないかと思います。試料負荷率も合わせて測定されているので、これまで測定されたデータとの比較ができるという意味で、大変いいと思います。
 カーテンに関しては、もし試料負荷率2.2にするときは、こういうのは断面だけをシールしてただつるすという測定法もあります。裏面と足して1枚を入れて2.2というやり方も可能なので、必ずしもシールボックスに入れなくても測定する方法があるかなと思います。
○香川氏 ありがとうございます。
○田辺委員 それから印刷物は、チャンバー法だと定常になるのは8時間ぐらいかかるので、実は瞬時の放散が結構問題になるものは、測定が非常に難しくて、先ほどのパッシブフラックスとか、あるいは比較的速い時間に測定できる方法で測定しないと、印刷物をふわっと開いたときに放散された化学物質は24時間平均よりもっと高いので、それが何かうまくとれるといいのではないかなと思いました。
 それから、4ページの大型チャンバーに関してですけれども、これも危険側をとられて引き出しを開いていらっしゃるのは大変いいと思うのですけれども、これもJISの大型チャンバー法に基づいて測定されているので、JISの大型チャンバー法の付属書に、家具等の面積の計算の仕方というのを参考で書いていまして、内寸でどれだけ面積があるかという計算法が示してあります。
 それを使うと、例えばタンスの#6というのが、本当にF☆☆☆、F☆☆☆☆の性能が出ているかというのはある程度判断ができます。測定データをぱっとみると私は業界のマークは相当いい加減だなと思いました。表面積から単位表面積あたりの放散を一度計算を付属書に従って行ってみると、判断ができるかなと思います。
 ホルムアルデヒドに関してだけは、気中濃度の増分値がこういうふうにふえないのですね。材料に吸着と吸収を繰り返して平衡濃度で決まるので、ちょっとここだけは書き方を気をつけないと、気中濃度によって増分値が変わるという現象があるので、注をつけておかれるといいと思います。
 要は、ホルムアルデヒドに関しては、タンスを2個にすると2倍にならないのですね。2つ入れると2倍の濃度になるかというと、そういうのではない。試料負荷率がきいて、2倍にはならない濃度のところで平衡するのです。
○香川氏 抑えられるということですね。
○田辺委員 そうです。コメントはそれくらいです。
 あとサンプリングバッグは、これはいわゆるヘッドスペースの方法で、放散が比較的速い材料についてはよく相関が合うのですけれども、内部拡散性の材料に関しては余り合わないのですね。これは自動車のほうでよく研究が行われているので、それらを参考にすると比較がどういうもので合うとか合わないとかいう議論ができるかなと思います。
 以上です。
○香川氏 貴重なコメントをどうもありがとうございました。
○西川座長 どうもありがとうございました。
 続きまして「車室内VOCの低減に対する自工会自主取り組みについて」を、一般社団法人自動車工業会の黒岩様、石橋様、御説明をお願いいたします。
○黒岩氏 おはようございます。説明に入る前に、自己紹介をさせていただきます。自工会内に製品化学物質管理部会がございまして、その部会長を担当しております黒岩と申します。
 その部会の傘下に車室内VOC分科会がございまして、こちらはその分科会長の石橋でございます。2名にて分担して説明させていただきます。
 説明に入る前に自動車工業会ですが、簡単に説明いたしますと、我々は乗用車、トラック、バス、二輪車を含めて14社で構成されております。自動車産業の発達を図りまして、我が国の経済の発展等、国民生活に寄与するということを目的にしまして、その中で我々部会のほうなのですが、昨今グローバルで製品化学物質規制が非常に多くなってきておりますが、それに対して共通事項ということで対応を図っているということでございます。
 その中で、車室内VOCということも一つの施策としてやっております。その取り組みをきょう説明させていただきます。
 日本自動車工業会と書いてございますが、略しまして今後は自工会と申しますので、御理解いただければと存じます。
(PP)
 目次のほうですが、私のほうから、取り組みの経緯と取り組みの概要を説明いたします。石橋のほうから、技術的なところ、VOCの低減対策のほうを説明いたします。
(PP)
 まず経緯でございますが、これはもう先生方は御存じなので、13物質の話は割愛させていただきます。
(PP)
 適用範囲ですね。これは、自工会としてどう解釈したかということをもう一回説明いたします。
 車両も適用されるべきという位置づけから自工会も検討したということで、ここのところ「車両等、比較的長時間にわたって居する可能性のある空間への適用も考慮することが望まれる」ということを受けまして、車両ということで検討を開始したということでございます。
(PP)
 我々自工会としましては、自工会各社のところで、車室内VOC濃度データ収集、ドア、窓ガラスの開閉等、いろいろ条件を変えた形で影響の検証を行った。それと、ユーザーによる自動車の使われ方の調査も行いました。これを突合した形で自工会の車室内VOC測定方法を設定したということです。
 当然、我々自工会だけでは他社クラスターが検証できませんので、財団法人の日本自動車研究所への研究を委託しております。約3年間ほど、研究手法の構築でありましたり、我々メーカーサイドのデータのクロスチェックを行っていただいたり、最終的には測定方法の検証ですね、3年がかりでやっていただいております。
 ということで、外部の検証を踏まえた形で、最終的に車室内VOC低減に関する自主取り組みを制定しまして、対外的に発表したという経緯でございます。
(PP)
 取り組みの概要でございますが、住宅とは異なる自動車の使われ方や環境を配慮しまして、測定方法、それと自主取り組みを制定しております。
 乗用車におきましては2005年2月に策定しまして、トラック、バスも商用車は2006年3月に策定しております。
 13物質に対しまして、乗用車については2007年度発売の新型車から、トラック、バスについては2008年度の新型車から指針値を満足するということで、この目標は達成して今に至っております。
 特にこの住宅とは異なるということなのですが、非常に日本の代表的な地域の気象データでありましたり、そこにおける車室内温度の測定データなどを見ますと、非常に温度条件が異なるということもございまして、また、自動車の窓を開閉できることもございまして、かなり住宅よりも換気が容易であるということもありまして、そのようなことを踏まえた形で試験法と目標設定をしております。
(PP)
 捕集・分析対象物資なのですが、13物質と言われますけれども、この薄消ししてあるところは、この下の注意書きにあるとおり、このアリの防蟻剤、防虫剤であるので、住宅特有ということもございますので、これは除去してございます。ということで、自動車の対象は9物質ということで進めてきております。
(PP)
 ここからは技術的なことになりますので、専門のほうから説明をいたします。
○石橋氏 それでは、測定方法から概要を御紹介いたします。
 基本的には、建物の試験方法をもとに、捕集位置、捕集方法等を車両用として最適化するという考えでやっております。
 まず、試験層の概要ですけれども、こちらの絵にありますように、上面から照射ランプで車を加熱いたしまして、乗員の鼻位置付近の空気をサンプリングするという形にしております。
 こちらの自動車研究所様の設備の写真を一例として載せておりますけれども、このように車がすっぽり入るチャンバーの中で、上面から加熱するという形をとっております。
(PP)
 その試験スケジュールですけれども、乗用車の例ですが、まずバックグラウンドを測定した後に、上面のランプを照射しまして温度を上げていきます。鼻位置付近の温度が40度になったところで4.5時間キープをいたしまして、その後、密閉放置の状態でサンプリングをします。
 これは、急性毒性が指摘されておりますホルムアルデヒドを対象にしておりまして、炎天下放置した車両に乗り込んですぐの状態を想定してサンプリングしています。
 その後、エンジンをかけましてエアコンを運転して、通常の運転状況を模した形で、乗車モードと呼んでおりますけれども、ほかのVOC類に関しては、こちらのほうで測定をしております。
 写真に示してありますように、プローブをここにセットしまして、鼻位置付近、運転手の鼻位置を想定しておりますので、ステアリングとの位置関係を通常の運転状態にしましてここでサンプリングするということです。プローブからポンプを介しまして捕集管で物質をとるという形にしております。
(PP)
 続きまして、VOCの具体的な低減の対策の例について、幾つか御紹介いたします。
(PP)
 まず発生部位なのですけれども、内装系の部品からの揮発物質の例という形でございます。御承知のように自動車の部品は非常に多岐にわたりまして、大体3万点くらい部品がございます。ですので、一部の例として紹介しております
 例えばですけれども、インストルメントパネルの場合ですと、表皮に使われる接着剤であるとか表面処理剤、あるいは塗装のところから、トルエンやキシレンが揮発されます。シートとかカーペットなどは、ホルムアルデヒドあるいはアセトアルデヒドといったものが揮発されます。また、エアコンとかに使われていますリンク類、ポリアセタールを使っているものですけれども、こちらからもホルムアルデヒドが揮発される状況にあります。
(PP)
 続きまして、今度はボディ系の部品からも揮発の影響がございまして、例えばですけれども、ウィンドシールド、窓ガラスを接着する接着材、これからキシレンが揮発されたり、シーラー類、こういったところからは、アルデヒドであるとかトルエン、キシレンといったものが放散されます。また、フロアの防音材などからもアルデヒド、トルエン、キシレンなどが放散されております。
(PP)
 具体的な対策の例ですけれども、繰り返しになりますが、部品点数が非常に多く、また
1次サプライヤー様だけではなく、2次、3次のサプライヤー様の御協力を得て、商品として生産しておりますので、1次サプライヤー様だけではなく、サプライチェーンの上流にまでさかのぼって対策をするということをやっております。
 一例ですけれども、例えばボディシーラーでありますと、シーラーのサプライヤー様にシーラーを合成していただきます。
 この場合、まず溶剤をトルエン、キシレンフリー化するのですけれども、これでは効果が余り出てこなかったという実例がございまして、さらにそのシーラーを構成するポリマーの重合触媒、ここのトルエンを削除するという形で、総合的に製造、物流の工程までさかのぼってVOCを低減するというような対策をとりまして、結果としまして、指針値に対しましてトルエンで4分の1あるいはキシレンで25分の1以下という形になっています。
 ちなみにここの数字は、これだけの対策ではなく、その他の対策全てを含めた車両1台分での濃度の一例でございます。
(PP)
 同様に内装用塗料からの物質の削減例ですけれども、車両によりましては、ここのインストルメントパネルの上面を塗装していたりします。ここの塗料を、トルエン、キシレンを使っていた溶剤をトルエン、キシレンを使わないものに切りかえることで、VOCの低減をはかるということで、この場合ですと、トルエンですと9分の1以下、キシレンは80分の1以下という状況になっております。
(PP)
 もう一つ、内装には、表皮と呼んでおりますけれども、こういった合成皮革を張っているものもございます。
 断面を模式的にあらわしておりますけれども、裏基布と呼んでいますが、メリヤス等の布に主剤である合成樹脂を接着して、難燃剤を塗布したり表面処理を塗布したりというようなものなのですけれども、表面処理剤や接着剤、あるいは難燃剤にこのような物質が含まれておりまして、それぞれトルエン、キシレンを使わないものに変更するとか、一部乾燥工程を追加して揮発させてしまうといったようなことをしたり、ホルムアルデヒドを使わないタイプに変更するというような対策を行いまして、このような指針値に対して低減するということを達成しております。
(PP)
 結果ですけれども、あれは一例ですけれども、さまざまな取り組みをすることによって、トルエンを例にとりますと、大体3分の1から15分の1ぐらいの濃度に低減することができまして、乗用車、商用車ともに厚生労働省の定める指針値を満足している状況でございます。
○黒岩氏 非常に手短なのでございますけれども、最後になります。
 今後の方針なのですが、我々自工会としましての考えなのですが、我々の取り組みは世界に先駆けた取り組みでございまして、これは自主取り組みでございますけれども、ここで培いましたVOC低減の技術というのは、後退させることなく継続するつもりでございます。非常にサプライチェーンが複雑でございまして、サプライヤー様、材料メーカーさんの協力が必要なので、各社の購買を通した形で、今後継続いたします。
 それと今後ですが、一つ国際協調のところもございます。我々自主で検討を始めたときは、グローバルではこのような取り組みはございませんでした。しかしながら、ドイツを中心としてプロジェクトができまして、各国の自動車OEM、分析機関が加わった形で昨年7月にISO化になっております。もちろん日本の我々自工会も参画した形で、グローバル調和という形でISO化になりました。
 これに我々は変更していく形になります。とはいうものの、我々が自工会でやってきたレベルを下げることなく、さらなる低減に向けた形で継続はいたします。それと我々は、ISO化は乗用車なのですが、トラック系は試験法が難しいということで、まだ継続検討中でございますが、日本においてはJAMA法を継続するという形で引き続き対応してまいります。
 ということで、我々自工会としても、世界に先駆けた形でやってきたものでございますので、これは継続した形で、自主でありますけれども、対応していくということになります。御理解いただければと思います。
 以上でございます。
○西川座長 どうもありがとうございました。ただいまの御説明について、御質問、コメント等ございましたら、お願いいたします。先生、どうぞ。
○東委員 近畿大学の東でございます。御発表どうもありがとうございました。
 1点お伺いしたいのですけれども、やはり自動車の内装材といいますと、ゴムとか樹脂製品とか、そういったものが多種多様な接着剤、塗料と含めて使われていると思うのです。
 今回お話しいただいたのは、主に厚労省の13物質に対する取り組みということであったのですけれども、いろいろそれ以外にもさまざまなVOCが出る可能性が考えられるわけなのですけれども、例えばTVOCのようなもので評価した場合に、どのようなレベルで今なっているのかというところが、もし何らかのデータ等がありましたら、御紹介いただければと思うのです。
○石橋氏 TVOCにつきましては、申しわけございません。データはとっておりませんで、まずは毒性が指摘されております物質を優先的に対応するという形で取り組ませていただいております。それをやることでTVOCについても低減していくものと考えておりますけれども、そのトータルVOCのデータとしては持ち合わせておりません。
○西川座長 よろしいでしょうか。中井先生、いかがでしょうか。
○中井委員 どうもありがとうございました。
 テクニカルなところで一点ともう一点、御質問させていただきたいのですけれども、まず、車両の測定方法のところを理解し切れていなかったのですけれども、ホルムアルデヒドは密閉ですぐのというお話をされていたのですけれども、そこの説明をもう一回していただいてよろしいでしょうか。どこで測定をされたとか、設定の仕方をもう一度教えていただけるとありがたいのです。
○石橋氏 ホルムアルデヒドとほかのVOC類と捕集管を異なるようにしておりますので、こちらでホルムアルデヒドをまず測定いたしまして、こちらのほうで残りのVOCを測定するというやり方をとっております。
○中井委員 密閉の状態のときにプラットに立っている状態でホルムアルデヒドをはかって、実際の測定の条件のエアコンを入れた状態で、その最後にということですね。
○石橋氏 補足しますけれども、密閉状態でエンジンはかけずにそのまま測定します。その後、エンジンをかけてエアコンを作動させて残りの物質をサンプリングします。
○中井委員 わかりました。そのときは当然ですけれども、窓とかはあけないということですね。
○石橋氏 あけておりません。
○中井委員 わかりました。
 もう一点、最後の御指摘、国際調和のところの、もし教えていただければと思うのですが、ISOとJAMA法の違いって何かあるのか。
○石橋氏 まず温度のところなのですけれども、JAMA法は温度制御をしております。ISOのほうは、よりグローバルということで、照射エネルギー制御になっております。
 ただし、そのエネルギー値なのですけれども、ここの乗員の鼻位置付近で、一番条件の厳しいコンパクトカーで40度くらいになるようなエネルギー値に設定しておりますので、JAMA法との相関性はあると考えております。
○中井委員 その点だけですか。
○石橋氏 もう一つ、エアコンの作動のときに外気導入にISOのほうはなっております。JAMAのほうは内気循環なのですけれども、これも急性毒性が指摘されておりますホルムアルデヒドに関しましては、密閉状態でエアコンをかけておりませんので、JAMAと同じような密閉状態での測定という形になっています。
○中井委員 変な言い方ですけれども、換気がない状態ではかっていたのを、換気がある状況に変えるということになるのでしょうか。
○石橋氏 ISOはそうなります。
○中井委員 ということは、若干濃度が下がる可能性がありますか。
○石橋氏 測定結果としては下がって出てきますけれども、我々自工会としましては、仕様の設定の仕方、開発の仕方はこれまでと変えませんので、物そのものは変わらずに試験方法は変わるという形で対応していこうと考えております。
○西川座長 では、田辺先生、お願いします。
○田辺委員 このシックハウス検討会の3回目に、適用範囲に車両が入ってから、5年ぐらいの間に急激に対策をされて、自主取り組みですけれども、世界で一番最初に出されて、いわゆる新車臭が減ったというのは、大変私は高く評価させていただいています。今の9ページの13物質の中のいわゆるSVOC、DHPとかこれらの物質は多分今は測定されていないと思うのですけれども、例えば車室内では大変こういうフタル酸類はもう使わないというような、対策をされているのかどうか、これを1点、お伺いをしたい。
 それからISOの方法が、ドイツが一番最初にこういう測定を始めて、それを元に出てきていますが、ドイツのほうではTVOCを評価されていますね。ただし、換気をして彼らはTVOCを測定しているので、そのあたり、国内でISOの方法を取り込むときに、TVOCを測定するとか、実質上はできている、捕集管でとっていれば計算はできるはずなので、そういう方法に移行するおつもりはあるかとか、国際整合をとるときに、どのように思っていらっしゃるかというのをお聞かせいただければと思います。
○石橋氏 まず、フタル酸類に関しましては、御指摘のようにほかでも毒性が指摘されているものもたくさんございますので、各社の判断によりますが、基本的にそういった物質は使わないという方向で対応しております。
 2点目の御指摘でございますTVOCにつきましては、自動車工業会の中でただいま議論をしているところでございまして、ISOの移行に伴って、TVOCを評価するかにつきましては、継続議論とさせていただいておりますので、御了解いただければと思います。
○田辺委員 今の件なのですけれども、DHPとかDOP、DBPに関しては、住宅の中とかではたくさん使われていますけれども、車に関しては、もうこれは使っていないというような認識でよろしいのですね。基本的にはほとんど何も使っていない、撤廃しているというようなものに近いということですね。
○石橋氏 各社それぞれレベル差はございますけれども、毒性が指摘されているものから優先的に使わない方向で仕様開発はしております。
○西川座長 ほかにはよろしいですか。神野先生、それから、東先生、どうぞ。
○神野委員 可塑剤については今もお話にあったと思うのですけれども、そうすると、難燃剤のようなものについて、自主的な取り組みを何かされていらっしゃるかということを一点お伺いしたいのです。
 もう一点は、先ほどのISO法の方法と今の自工会さんの方法での違い、ベンチレーションをする、しないということだと思うのですが、その場合の換気回数というか、換気効率はどの程度見積もれば、自動車でエアコンで外気を導入した状態で、エアコンを入れたときのその車室内の換気効率というのはどれくらいを見積もるかというのを、もしも御存じでしたら、教えていただきたいのです。
○石橋氏 まず、換気効率のほうにつきましては、申しわけございません。知見がございません
 難燃剤のほうにつきましては、各社の判断に基づき、HBCDですとか、当然ホルム系ですとか、ハロゲン化物とか、毒性が指摘されているものから、既に削減といいますか、使わない方向で検討を進めております。
○西川座長 東先生、それから、坂部先生、どうぞ。
○東委員 1点お伺いしたいのですけれども、一つ空気の汚れの指標としてにおいというのがあるかと思うのですけれども、いわゆるにおいに対する対策、においは必ずしも健康影響に結びつくというわけではないのですけれども、においの何か低減対策になるようものがなされているものがありましたら、御紹介いただければと思うのですけれども、いかがでしょうか。
○石橋氏 業界全体で取り組んでいるわけではないのですけれども、個々の物質あるいはにおいにつきまして、お客様からのさまざまな御意見をいただいたことがありまして、例えばアミン臭であるとか、かつては接着剤あるいは合板とかにアミン系の接着剤を使っていたことがございまして、そこで魚のようなにおいがするみたいな御指摘を特にアメリカのお客様からいただいたことがございまして、それにつきましては、アミンを使わない方向で対応したりということは、実例としてはございますけれども、そういった状況でございます。
○西川座長 では、坂部先生、お願いします。
○坂部委員 あと、シート類を合成皮革の車でやられているのですね。
○石橋氏 はい。
○坂部委員 例えばレザーシートの自動車の場合には、いろんな化学処理を多分レザーにしていると思うので、そのデータもありますか。
○石橋氏 一番車室内VOCに厳しいグレード仕様で測定をしております。
○坂部委員 それともう一つ、多分ディーラーで、車の中で使うようないろんなケミカル類というのを推奨されているものが、内装のクリーナーだとかあると思うのですね。そういったものに関しては、今後調べていかれる予定はあるのでしょうか。
○石橋氏 個社の対応によっては、純正用品などのトルエンとかキシレンとか、そういったものを削減した形の純正品に切りかえて対応したりはしております。
○西川座長 斎藤先生、どうぞ。
○斎藤委員 VOC対策をしていらっしゃるということで、トルエン、キシレンフリー化をどんどん推進していらっしゃるというお話なのですが、トルエン、キシレンをフリーにするかわりに、シンナーを変更されたという図も御紹介いただいたのですが、どのような溶剤に変更されていらっしゃるのか、もし差し支えなかったら教えていただきたいのです。
○石橋氏 具体的な物質名につきましては、仕様上の機密事項とかも絡みますので、御勘弁いただきたいのですけれども、アルコール類であったりとか、技術が進んできておりますので、最近では水に変えております。
○斎藤委員 以前、知り合いの新車を測定させてもらったことがあるのですが、確かにトルエン、キシレンが非常に少なくて、ただ、ジクロロメタンがかなり出ておりまして、ちょっとびっくりしたのですけれども、ジクロロメタンですと、VOCの範囲にも入りませんし、におい的には非常に少ないので、使われているのかなということを思ったのですが、ぜひともその代替としてお使いになっているものの濃度をお示しいただくと、使うほうは安心して使えると思いますので、よろしくお願いいたします。
○石橋氏 了解いたしました。
○西川座長 ほかにございますか。どうぞ。
○広瀬委員 細かい話です。15番目のところで、少し意外だったのは、触媒に入っているトルエンって、触媒はそんなに量を加えないような気がするのですけれども、これはどのくらい定量的にコントリビューションがあったかどうか、もし感覚的にあったら、お願いします。
○石橋氏 申しわけございません。私個人として、その知見がございません。
○広瀬委員 結果として、3次サプライヤーとかいろんなところまで対策すると、その4分の1になったということですか。
○石橋氏 はい。そうです。
○広瀬委員 ありがとうございます。
○西川座長 ほかにございますか。ないようでしたら、どうもありがとうございました。
 それでは、続きまして「芳香消臭脱臭剤の安全性への取り組み」について、芳香消臭脱臭剤協議会の長谷川様、御説明をお願いいたします。
○長谷川氏 それでは、よろしくお願いします。私は、芳香消臭脱臭剤協議会で事務局をしております長谷川です。
 本日は、芳香消臭脱臭剤に関する安全性への取り組みということで、シックハウスとは直接関係ない分野も含まれるのですけれども、芳香消臭剤の安全性全般について、少しお話をさせていただきたいと思います。
(PP)
 まず最初に、本日の内容なのですけれども、芳香消臭脱臭剤について、市場の動向であるとか、分類、用途についてお話しをさせていただきます。
 2つ目に、過去の製品事故とそれに対する安全性への取り組みということで、過去に厚生労働省の化学物質安全対策室様といろんな取り組みをしてまいりましたので、そのあたりの御紹介をさせていただきます。
 それと最後は、芳香消臭脱臭剤協議会では2012年からGHSの導入を進めておりますので、それについて少し御紹介させていただきます。
(PP)
 まず最初は、芳香消臭脱臭剤についてです。
(PP)
 まず、市場の規模と、我々が剤型と呼んでいるのですけれども、いろんなタイプがあるのでそのトレンドについてです。
 芳香消臭脱臭剤は、2003年以降、2003年を100としますと、2012年は市場規模としては128%の伸びになっておりまして、金額ベースでは約500億円の市場です。日本国内、今5,200万世帯ぐらいございますけれども、そのうちの約3,000万世帯で年間5個の芳香消臭脱臭剤が消費されております。
 タイプとしましては、スプレータイプと液体の置き型タイプが非常に伸びておりまして、逆に固形タイプの市場は小さくなっております。
(PP)
 用途と特長になります。大きくトイレ用、居室用、冷蔵庫用、車用というタイプがございますが、市場が伸びているのは居室用と車用、トイレ用は横ばいで、冷蔵庫用は下降トレンドにあります。
 トイレ用の特徴ですけれども、液体タイプで大容量タイプというものが、2カ月、3カ月持続するというものが多いです。対象空間がトイレということで狭いので、香料の量はやや少な目ということです。近年は、排便後のにおいを消すスプレーというのが市場全体を牽引しているという状況です。
 居室用は、剤型が多岐にわたっており、近年はこういうプラグに差し込んだり、エレクトリックタイプ、これはヨーロッパとかアメリカから入ってきたものが多いのですけれども、そういう市場、商品も拡大しております。
 冷蔵庫用は、食品の近くということで、活性炭とか備長炭とかそういう吸着能を利用した香料を含まない無香料タイプの商品が多いです。
 近年特に伸びているのが車用でして、エアコンの吹き出し口に差し込むようなタイプが今は少しふえてきていますけれども、車用の場合は車内の苛酷な環境、先ほども御発表がございましたけれども、非常に車内温度が高温になるということを考慮した製品設計がされていまして、特に冬場の凍結とか、日光暴露を考慮した油系タイプのものが多いです。置き場所を考慮した、やはり小型タイプというのが主流になっております。
(PP)
 これはいろんな処方のタイプなのですけれども、液体タイプ、固形タイプも水系ということで、香料、界面活性剤、消臭剤、水というようなタイプのものが一つと、先ほど車用でありましたように、油系タイプということで、香料、溶剤を使ったものがあります。それから、スプレーは噴射ガスと香料、溶剤というものになります。
 青字が揮発性のある物質ということで、香料がメーンの揮発物質となってまいります。
 それらに対する安全性の確認が重要ですし、揮発性のないものに関しましても、界面活性剤とか消臭剤は、接触を考慮した確認試験、安全性の確認というのが必要になってまいります。
(PP)
 ここで少し、芳香消臭脱臭剤協議会について、御説明いたします。
 設立の経緯は、1987年、当時の厚生省が芳香消臭脱臭剤の安全対策に関する調査を財団法人日本環境衛生センターに委託という形でなされました。その結果を受けまして、厚生省は一般消費者の安全性確保のための業界自主基準等の作成の御指示がありまして、1988年10月に協議会が設立しております。
 概要ですが、現在会員数は99社です。代表は小林製薬の高杉がしておりまして、理事8社、監事2社です。指導のほうは、厚生労働省化学物質安全対策室です。
(PP)
 具体的な活動の内容ですけれども、自主基準、これは主に有効性、安全性、あとは表示に関する自主基準を設定していまして、それの運用とか見直し、あるいは啓発活動というのを行っております。
 それから、適合マーク制度というのをつくっておりまして、それの審査、承認というのを行っております。
 また、会員企業に向けまして、記念講演であるとか技術研修会等の開催、それから、表示の適正化の活動、これとリンクしますけれども、関係諸団体との情報交換ということで、日本広告審査機構様とか日本エアゾール協会様との連携を行っております。また、経済産業省様、厚生労働省様とも関係を密にしていろんな情報交換をさせていただいております。
(PP)
 自主基準の目的ですけれども、本基準は自動車用を含む一般消費者に提供される芳香消臭脱臭剤等の成分の種類であるとか、表示並びに製造に当たっての基準を定める。それから、製品の安全性や有効性、安定性等の品質を担保していくことを目的につくっているものです。
 主に、これはホームページの中でも書かれていますけれども、効力試験の方法を標準化していたり、安全性や安定性の確認方法についての記載、それから、表示に関しての指針のようなものを示しております。
(PP)
 適合マークはこういうものなのですけれども、安全性や有効性、安定性が確認されていること、それから、製品にきちんと決められた表示がなされていることというのを審査した上で、適合マークを付与するような活動を行っております。
(PP)
 ここからは、実際の事故事例の御紹介と安全対策について、少しお話しさせていただきます。
(PP)
 芳香消臭脱臭剤の事故報告の推移と傾向です。これは、日本中毒情報センターのほうで受信された事故の件数になります。
 比較という意味で芳香剤と殺虫剤と洗浄剤を載せていますが、黒のバーが芳香消臭剤になります。カテゴリーは先ほど伸長していると申し上げたのですけれども、それに対しまして、受信件数は2003年以降、少しずつ減っている傾向にあるということで、2011年の受信件数は、2003年を100としたときに73という状況です。
(PP)
 もう少し分解して、全受診に占める5歳以下の小児の割合ということで、芳香消臭剤は2003年から横ばいになっていますが、逆に65歳以上の高齢者の割合というのが、2003年以降、やはり少しふえる傾向にございます。
 これは、まだきちんと調査したわけではないのですけれども、介護目的で消臭剤というのがやはり使われるケースが近年ふえておりまして、そういう現場での、後ほども少し出てきますけれども、誤食であるとか誤使用といいますか、そういうことが原因でふえてきているのではないかと推察しておりまして、今後の我々のカテゴリーの課題ではないかなと思っております。
(PP)
 では、具体的な事故事例の御紹介になります。一つ目は、トイレ用の消臭剤の誤点眼ということで、こちらの商品はトイレの前後に水たまりに消臭剤を一滴落とすというような商品になるのですけれども、キャップをあけて水たまりに落とすと、香りが広がってにおいを消しますという商品で、成分は香料、植物抽出系の消臭剤、グリコールエーテルになりますが、これが実は外出の際にポシェット等に入れて持ち歩かれる方が結構おられまして、目薬と間違えて点眼するという事故が多く発生しました。
(PP)
 これについて、化学物質安全対策室様ともいろいろ協議をして、2つ大きく対策をとっております。
 一つは、当然、表示による注意喚起でして、目薬ではないので絶対に点眼してはいけないとか、目のマークをつけて点眼厳禁というような表示での注意喚起が一つと、もう一つは構造による誤使用の防止ということで、ここの赤い長いノズルなのですけれども、これが当初の商品にはついていなかったのですけれども、これを長く伸ばして赤色にすることで注意を喚起するということで、誤使用への防止を行っております。
(PP)
 2つ目が、自動噴霧型スプレーの噴射ということで、これは最近起こっている事故になるのですけれども、御存じの方もおられると思うのですけれども、モーションセンサーといいまして、人が通ると自動でスプレーするというものであるとか、あるいは一定間隔ごとにスプレーするような商品がございます。
 商品説明はメーカーのホームページから抜粋したものなのですけれども、この商品はつけかえ式になっていまして、中のカートリッジがなくなると取りかえるというものなのですが、このとりかえのときとか、あるいは電池の交換時、電池で駆動しますので、突然スプレーが噴霧されてしまって目にかかるとか、皮膚に接触してしまうという事故が起こってしまいました。
 こちらについては、各メーカーと厚生労働省様のほうで、表示、警告表示のやりとりであるとか、場合によっては使い方、形状の変更も含めて現在取り組みが進んでいるという状況になります。
(PP)
 こちらが、芳香消臭剤の吸入、目に関する事故の件数の推移です。
 これは毎年いただいております病院モニター報告から抜粋したものになるのですけれども、吸入事故に関しては、芳香消臭剤は2000年から2006年の間に急激に増加しています。これはエアゾールを主体とした消臭剤の市場が伸長したということに連動していると思うのですけれども、ここの間に大きく伸びて、ここ近年は横ばい傾向にあります。全吸入事故における芳香消臭脱臭剤の割合なのですけれども、8~12%ぐらいで推移していまして、割合としては、ここ数年は少し減る傾向にございます。
(PP)
 3つ目の事故事例が、無香料消臭剤の誤食事故になります。これは無香料消臭剤ということで、吸水性樹脂に消臭成分を給水させたような透明の消臭剤になるのですけれども、介護現場での利用率が高いというのが特徴になります。
 やはり高齢者とか小児が食品と間違えて誤食する事故というのが起こってしまいます。各メーカー、やはり苦味剤というものを商品に配合しまして、食べにくい、食べられないようなものにしているのですけれども、小児の場合は、味覚が正常ですので苦味剤が入っていますとすぐに吐き出すので、重篤事故には至りませんが、認知症患者の場合は、味覚がきちんと機能していないというケースがございますので、大量に誤食してしまうというケースがまれに発生します。それによって、喉に詰まってしまうとか胃が荒れてしまうとか、そういう重篤事故につながるケースがございます。
(PP)
 こういう事故を受けまして、芳香消臭脱臭剤協議会では、2010年に自主基準の改定を行っています。エアゾール製品以外の誤食が考えられる製品の全てに「誤飲・誤食に注意」、固形タイプのものでは誤食、液体タイプのものでは誤飲に注意というような、ケースに応じてこういう注意表示を赤字で行うというのを自主基準で定めております。
 ここは、ちょっと細かいので読みません。
(PP)
 これは具体的なメーカーの対策事例になるのですけれども、実際介護ヘルパーさんのほうへのヒアリングなども行っているようです。認知症の方は、やはり食べようと思うと、床にたたきつけてでも容器から中身を取り出して食べます。ですので、食べさせなくするというよりも、食べられない環境をつくることに配慮してほしいという声をいただきました。
 こういう情報をもとに、容器の構造設計ではなくて、介護従事者の方へのよりわかりやすい注意表示、警告表示というのを行うことで事故を回避するという方向に動いた一例になります。
 この商品では、上のふたをあけて中身を開封するときに、誤食に注意する旨の警告表示がこういうふうに強く出てきます。また、使用中にはこういうシールのようなものが入っていまして、これを張って食べられませんということで、使っている途中もわかるような形の警告表示がされている事例になります。
(PP)
 これはこのメーカーの社内データからいただいて抜粋したものなのですけれども、無香料消臭剤の年度別の誤食発生件数の推移です。
 2004年以降、このように発生しているのですけれども、2007年にこの対策をとっておりまして、対策以降、少し減る傾向にはなっているかなということが紹介されています。
 ただ、まだそれでも年間19~32件の事故が発生していますので、数としては香りのついた普通の芳香剤レベルなのですけれども、こういう事故をさらにどういうふうにして減らしていくのかというのが課題になろうかと思います。
(PP)
 同じこの無香料の消臭剤、これは吸水性樹脂を使っていると申し上げたのですけれども、これは中毒情報センター様と共同実験をした例なのですけれども、誤食した場合、通常の芳香剤では水を飲ませてくれということが裏面で表示されているのですけれども、吸水性樹脂の場合、水を飲ませてしまうと中で膨潤してしまいますので、水は飲ませられないということで、では、どういうものを飲ませるといいのかということで、いろんな実験をした事例になります。
 写真が少し小さくてわかりにくいですけれども、一番左の絵が水道水を含ませたものなのですけれども、Bが牛乳、Cが、これはメーカー名が出ていますけれども、ポカリスエット、イオン飲料です。それで、生理食塩水ということです。
 こういうイオン系のイオンを含む液体を飲ませますと、吸水性樹脂の場合は膨潤しないということがわかっておりますので、こういうものを食べてしまった場合は飲ませてくださいというようなデータをとっておりまして、これは中毒情報センターの対応マニュアルにも反映させていただいたのですけれども、窒息とか膨潤というような2次リスクを回避するような策というのもしております。これは一例になります。
(PP)
 最後に「芳香消臭剤カテゴリーにおけるGHS表示の導入と課題」ということで、少しお話しさせていただきます。
(PP)
 芳香消臭脱臭剤協議会では、導入時期が2012年1月の製造分から、対象製品が空間に噴霧するエアゾール製品、ただし対物用のエアゾールとかミストというのは除くのですけれども、猶予期間2年ということで、GHS表示の導入を、今、進めていっている途中です。
 エアゾールというのはどういうものかといいますと、容器に充塡された液化ガス、ガス自身ですけれども、または圧縮ガスの圧力により容器またはその他の容器に封入されてある、ガス以外の香料とか殺虫剤も含む目的物質、エアゾールの場合は噴霧状ですけれども、これを排出するような機構を有する商品というのをエアゾールと定義しますが、こういうものでGHSの導入を、今、進めています。
(PP)
 これは導入に当たって少しやはり課題というものが出てきております。
 一つは、近年香りを楽しむ習慣というのがすごく日本でもふえてきていまして、いろんなアウトサイダーの企業様が海外からエアゾールを輸入されるケースがふえているということで、これらの商品と我々の業界団体で加盟してGHS表示をしているメーカーとの間で、温度差といいますか、一方ではついている、一方ではついていない商品というのがあるのが不公平ではないかという声も一部からはやはり上がってきておりまして、このあたりをどうしていくのかというのが課題の一つです。
 もう一つは、芳香消臭剤におけるキーパフォーマンスの成分となるのが香料なのですけれども、この香料というのが、多種多様な物質の混合物になっておりますので、またそれは香料会社様にとっては、やはり最大の企業秘密事項になるので、我々の川下メーカーのほうからすると、やはりブラックボックスな部分があります。
 その香料トータルとしてのGHSの分類結果は出てくるのですが、その中のどの成分が対象となっているのか、またそれが何パーセント配合されているのかというのがやはりわからないので、カットオフ値の算出というのができないというような状況、現状ではそういうふうになっております。
 ですので、今後、香料会社、香料業界様とも意見交換したり知恵を出し合いながら、ここの課題をどう解決していくのかというのを引き続き行っているところになります。
(PP)
 最後にまとめになるのですけれども、「芳香消臭脱臭剤の安全対策の考え方」ということで、商品の開発から発売後までを5つの品質に例えるのですけれども、設計品質、性能品質、表示品質、量産化品質、販売後品質ということで、その安全対策という観点でいいますと、大きく設計品質と表示品質、発売後品質というふうに分けられるかと思います。
 設計の段階では、やはり設計の初期の段階で十分な危険想定を行うこと、それに沿った原料の選定や製品の仕様というのを検討すること、発売前に十分なモニターテストを行って重篤な危険を回避すること、このようなことを各会員企業には我々のほうからも案内させていただいています。
 表示に対しては、やはり誰に何を伝えたいのかというのがはっきりわかるような表示であること、それから、想定される危険が十分認知されるような表示になっていることというのが大事かと思います。
 発売後ですけれども、不幸にして発売後に不具合や事故が起こったときには、当然ですけれども、迅速かつ的確に対応することというのが大事で、それから、やはり対応策がきちんと有効に機能しているのか、事故は本当に減っているのかというのを検証することというのが大事かなと思います。
 以上をもちまして、芳香消臭脱臭剤の安全対策ということでお話をさせていただきました。
 どうもありがとうございました。
○西川座長 ありがとうございました。
 それでは、ただいまの御説明について、委員の先生方から、御質問、コメント等がございましたら、お願いいたします。どうぞ。
○吉田委員 国立衛研病理部の吉田です。2点お伺いいたします。
 まず最初に、御説明いただいたこの協議会の構成が8社ということなのですが、これには、最後にも御説明がありましたが、海外からのメーカーも入っていらっしゃるのですか。
○長谷川氏 海外から商品を輸入してきて日本で販売される会社で、入られている会社もございます。入っていない会社もございます。
○吉田委員 もう一点お伺いしたいのですが、今回、事故報告ということで、例えば誤飲とか誤食ということが多かったのですが、通常の使用をしていて、例えば気分が悪くなったとか発疹が出たとか、そういうケースもあるのですか。
○長谷川氏 それは、協議会には直接は来ないのですけれども、各メーカーのお客様相談室とかそういうところにはそういう案件も寄せられています。
○西川座長 ほかにございますでしょうか。東先生、どうぞ。
○東委員 近畿大学の東でございます。
 幾つかお伺いしたいことがあるのですけれども、まず一点は、その自主基準の中身なのですけれども、例えばその成分の含有量に対して何か特定の物質について規定しているとか、あるいは何らかの放散等の試験で基準を決めているとかという、いわゆる定量的な基準というのがあるのかどうかというのを1点お伺いしたいと思っています。
 それと6ページの事故報告の推移というところなのですけれども、全体的に受信件数は減っているということではあるのですけれども、この中で、例えば実際に医療機関にかかった等、急性中毒症を起こしたような重篤な例に関してはどういった傾向にあるのかというところが、もう一点お伺いしたいことであります。
 それから、その中身として、例えばその使用方法等の誤りに基づくものなのか、あるいは何らかの本当に事故的なものなのかというような、その中身がどういう推移を示していて、どういう中身のものが逆に多いかというようなところも、教えていただければと思います。
○長谷川氏 まず、自主基準での数値目標に関してなのですけれども、具体的な数値目標は、例えば香料であるとか溶剤であるとかというものには、定めてはいないのですけれども、そのGHSの表示の中で、やはりその表示の対象となる場合は、その数値というのをきちんと把握した上で表示する、しないというのを定めていますので、各メーカーの中ではそういう基準というのは設けられていることはあるかと思いますが、協議会としては特には定めていないです。
 それから、重篤事故の件数推移に関しては、ここでお示ししているのは全体の数字になるのですが、重篤事故に関しては、個別に情報センターに問い合わせて集計すればまとまると思うのですけれども、協議会のほうでは特には把握できておりません。
 済みません、それともう一点は何でしたか。
○東委員 どういった内訳か、その事故ではなく、例えば使用方法の誤りだったとかという、そういう中身です。
○長谷川氏 先ほど気分が悪くなったとかという御指摘も当然ございまして、それは通常使用の中での、やはり体に合わないとか余りいい香りではないというような場合もございますし、先ほどの誤食とかのような、基本的には誤使用と考えられるようなケースもございまして、そこの内訳の把握というのは、残念ながらできておりません。
○西川座長 よろしいでしょうか。中井先生、どうぞ。
○中井委員 どうもありがとうございました。
 この次のスライドですけれども、多分これだけ見ると、ほとんどお子さんとお年寄りの方が非常に事故で多いというグラフなのだろうなとは思うのですけれども、ほとんどはやはり誤食、誤飲になるのですか。
○長谷川氏 一番多いのが、やはり誤飲、誤食が多くなります。
 特に芳香剤でフルーツの香りとか食べ物に近いような香りの商品もございますので、誤って口に入れてしまうとかそういうケースがやはりございます。
○中井委員 芳香消臭剤の吸入の事故というのはちょっとよくわからなかったのですが、食べるというのはわかるのですけれども、吸入の事故というのはどういうことですか。
○長谷川氏 これは、主にエアゾールなのですけれども、吸ってしまうというだけではなくて、皮膚にかかるとか目に入るとかという事故も、病院モニター報告の中では吸入という範疇に入ってきております。
○中井委員 わかりました。
 それで、誤食の対応として注意喚起シールという話をされていたのですけれども、なかなかこれは解釈が難しいかなと思うのですけれども、その次のグラフは、何か減ったけれども、またふえて、また減ったような、そういうふうにも見えるのですが、これはその前よりは減っているのだろうなとは思うのですけれども、いかがですか。
○長谷川氏 そうですね。だから、これが恐らく完全な満足できる数字ではないと思うのですけれども、さらに減らしていくためにどうしていくかというのは、各メーカーの課題としてはやはりあると思います。
○中井委員 わかりました。
 それで、最後なのですけれども、先ほど通常使用の中でにおいが合わなかったり気分が悪くなった方というのは、ここの検討会は多分その辺が一番興味があるところかなと思うのですけれども、何かそういうこと、これを使用することによって、例えばTVOC濃度であるとか何かが変化するとかいうことに何か情報とかがありましたら、お教えいただきたいのです。
○長谷川氏 そこはまだ協議会の中でもVOCに関する技術部会という検討が十分にできておりませんで、今後そういうVOCという観点での芳香剤の安全性というものの定量的な検討というのがやはり必要であろうというふうには、我々も認識しているという状況です。
○西川座長 ほかにございますでしょうか。どうぞ、神野先生。
○神野委員 中井委員の御質問と関連するのですけれども、そうすると、6ページの内容成分ということで、幾つか香料とか溶剤とかというのが挙がっているのですけれども、実際にその芳香消臭剤を実空間で使用したときに、香料あるいは溶剤の濃度がどの程度になるかという、それを見積もるための統一したプロトコルみたいなものはまだ存在しないということですか。
○長谷川氏 それは、最後に説明していたGHSの中の暴露評価のところで、基本的にNITEさんのほうで出されているガイダンスに沿って、例えば換気回数であるとか空間の広さとか、そういうところに芳香剤を置いたときの揮発成分の想定される濃度であるとか、そういうことをベースに計算はされています。
○西川座長 よろしいですか。ほかにございますでしょうか。どうぞ、斎藤先生。
○斎藤委員 この通常の使用に当たってなのですが、無香料の消臭剤を部屋に置いて調べたことがあるのですけれども、においが減るというよりも、このビーズの中に結構アルコール類の溶剤が入っていて、それが室内空気中にはっきり検出されておりまして、においがなくなるというより、部屋がアルコール類で濃度が高くなってしまったなという印象が非常にあったのですが、成分の表示を見ましても、そういうアルコール類の物質名というのが全く表示されていないということがあります。
 食べたり飲んだり、基本的にはそういうものではないですし、全成分表示とかという縛りももちろんないので、そういった表示になっているのだろうなとは思うのですが、やはり人が呼吸器から吸ってしまうものですので、できればこういうアルコール類が入っていますよという表示をしていただけるとありがたいなというのはあります。
 それから、エアゾール剤で振りまくものなのですが、スプレーなんかもそうですし、ハンドスプレーでしゅっしゅっと振りまくものもあるのですが、あれも成分表示が非常にやはりわかりにくいのです。
 香料などが非常に入っていますので、リモネンとかそういう系統の、どちらかというといいにおいのものですが、人によっては吸入によって呼吸器に炎症を起こしたりする方もいらっしゃいますので、テレビコマーシャルも見ておりますと、非常によいものという印象が一般的に非常に広く行きわたっていると思うのですが、人によっては使用によって、もしかしたらちょっと具合が悪くなるような方がいらっしゃるという情報を、一つ発信していただきたいなと思います。
 普通に使っていても何らかの健康的な影響が見られた場合は、すぐ使用をやめるようにと、そういうような注意書きをつけていただけたらなというのをいつも思っておりますので、業界として取り組んでいただければと思います。
○長谷川氏 ありがとうございます。
○西川座長 ほかによろしいでしょうか。では、お願いします。
○田辺委員 この業界団体の中に、スプレー式の消臭剤というのは入っているのでしょうか。
○長谷川氏 入ります。
○田辺委員 かつて厚労省のシックハウスの前の検討会で、ノナナールを検討しているときに、成分としてノナナールを含んでいたものがあったと思うのですけれども、現状表示をされていないのか、そのノナナールを使用されているスプレーがあるのかというのをちょっと教えていただきたいのが一点です。
○長谷川氏 個々の成分に関して、各メーカーでノナナールが実は含まれているかどうかというのは、ちょっと我々は把握できていないのです。
○田辺委員 2000年の検討会をやっているときまでは、製品ノナナールと書いてあったのですね。製品名の中に内容物ノナナールと書いてあったのですけれども、検討会で出た後に、製品から表示が消えているのですね。そのまま含まれているものがどの程度あるのかというのは、ぜひもしわかれば知りたい。
 それから、2点目は、幾つかの不飽和の化学物質は、空気中のオゾンと反応してパーティクルが非常に出るという指摘が海外でされているのですけれども、消臭剤そのものの成分ではなくて、反応成分については何かこれまで研究とか知見とかはございませんか。
○長谷川氏 配合されているような消臭剤というのが、これはメーカーの消臭剤の種類もさまざまですので、一概には言えないのですけれども、消臭剤というのは、においと基本的には反応して吸着して分子量の大きな無臭物質に変えるであるとかというような形で、反応性のあるものが配合されているケースがございます。
○田辺委員 今の質問は、消臭剤のほうではなくて芳香剤のほうで、物質によっては例えば不飽和系のものが入っていると、暗反応でも空気中のオゾンと反応してパーティクルが非常に出るという指摘が近年ヨーロッパを中心に行われているのですけれども、そういう知見、ですから、成分そのものではなくて、反応して出るものに関する知見というのはございますか。
○長谷川氏 知見は承知しているのですけれども、メーカーの中で実際にそういうものを配合しないとか、業界でそういうものを配合規制するというような議論はまだ起こっておりません。
○西川座長 ノナナールの表示と含量については、何もお答えできないということなのでしょうか。
○長谷川氏 ノナナールは、我々も室内臭気を分析すると、いろんな家庭から出てくるもので、原因をたどると、キッチンで油料理をしたときに発生するようなにおいというふうに、我々はどちらかというと悪臭として捉えていまして、ノナナールと反応するような消臭剤であるとか、そういうものが盛んには開発されているのですが、芳香剤中にノナナールが含まれているというのは我々も認識できていないですが、私もその2000年以前の検討会というのは十分存じ上げていないので、申しわけないです。
○西川座長 わかりました。表示がそれ以来なくなったという経緯も御存じないということですね。
○長谷川氏 そうですね。申しわけありません。
○西川座長 わかりました。ほかにございますか。どうぞ、東先生。
○東委員 1点、確認でお伺いしたいことがあるのです。
 このGHS表示の件なのですけれども、これは、例えば急性中毒を起こすようなものが入っていますというような、ああいうラベル表示がGHS表示ではあると思うのですけれども、そのラベル表示すら、まだ現在導入を進めている段階ということになるわけですか。
○長谷川氏 そうですね。エアゾールで進めているという状況です。
○東委員 では、そういう急性中毒あるいは慢性毒性とか、火気注意とかそういった表示さえ今はまだないということですか。
○長谷川氏 火気注意は多分されていると思うのです。
○東委員 ただ、人体に影響を及ぼすような表示に関しては、まだこれからということですか。
○長谷川氏 はい。そうです。
○東委員 それはぜひとも進めていただきたいと思います。
○西川座長 それでは、どうもありがとうございました。
○長谷川氏 ありがとうございました。
○西川座長 事務局から、その他、何かございますでしょうか。
○事務局 そうしましたら、次回以降の御予定について、簡単に触れたいと思います。参考資料の2をごらんください。
 「今後の検討スケジュール」について、一応ひととおりヒアリング等々は今回で終わりますけれども、8月以降、今までいろいろお伺いした調査結果であるとか各関係者の取り組みであるとか、ヒアリングの結果を踏まえまして、検討の仕方を取りまとめたいと思います。
 1枚紙、2枚紙ぐらいになるかと思いますが、見直しの仕方(素案)については昨年9月に骨子でかなり粗いものを示しましたが、その間を埋めるような形で、たたき台のようなものを次回提示できればと考えております。
 それが固まりましたら、今年度の後半ぐらい、一応ここでは10月以降と仮置きさせていただいておりますけれども、見直しの仕方(素案)に基づいて個々の物質について検討できればと考えております。
 以上でございます。
○西川座長 その他、よろしいでしょうか。
 ないようでしたら、これにて本日の検討会を閉会いたします。どうも、お忙しい中、御参集いただきましてありがとうございました。


(了)
<照会先>

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