広報の取り組み~いのち支える自殺対策~

厚生労働省自殺対策推進室では、年間を通してさまざまな広報・啓発活動に取り組んでいます。

自殺予防週間と自殺対策強化月間とは?

イラスト 細川貂々「ツレがうつになりまして。」著者

日本では、自殺対策基本法に基づき、毎年9月10日から16日を「自殺予防週間」、毎年3月を「自殺対策強化月間」と定めて、国、地方公共団体、関係団体等が連携して「いのち支える自殺対策」という理念を前面に打ち出した啓発活動を推進しています。

令和5年度の取り組み

各種相談窓口や取り組みなどを紹介しています。

過去の取り組み

過去に実施した自殺予防週間・自殺対策強化月間の実施要綱や広報ポスター等のデータを掲載しています。

【9月10日が何の日かご存じですか?】

9月10日が何の日か知っていますか? イラスト 細川貂々「ツレがうつになりまして。」著者

9月10日は世界自殺予防デー(World Suicide Prevention Day)です。2003年に世界保健機関 (WHO)と国際自殺予防学会(IASP)が共同で開催した世界自殺防止会議(スウェーデン・ストックホルム)の初日を最初の世界自殺予防デーとして、世界的に自殺対策に取り組む責任があると決意表明(宣言)された日です。

The Day underlines the responsibility for all of us to help save lives that may be at stake. It is possible - we can do it.
(国際自殺予防学会(IASP)プレスリリースより抜粋)

Suicide can be Prevented! World Suicide Prevention Day - 10th September, 2003 Press Release

 
ゲートキーパーになろう!

誰でも、いつでも、あなたにもできること。

イラスト 細川貂々「ツレがうつになりまして。」著者

「ゲートキーパー」とは、自殺の危険を示すサインに気づき、声をかけ、話を聞いて、必要な支援につなげ、見守る人のことです。
ゲートキーパーという言葉を初めて聞く人にも、既にゲートキーパーとして悩んでいる人を支えている人にも、「青年期の方向け」「大人の方向け」「ゲートキーパーへの支援について」と、ページを分けてどなたにもわかりやすくご紹介しています。

 
うそ、ホント?自殺に関する迷信myth事実fact

イラスト 細川貂々「ツレがうつになりまして。」著者 うそ、ホント?自殺に関する迷信と事実

世界保健機関 (WHO)が各国の様々な研究を基にまとめ2017年に発表した「自殺対策を推進するためにメディア関係者に知ってもらいたい基礎知識」には「自殺に関する迷信(myth)と事実(fact)」が記載されています。以下にこの内容をご紹介しますので皆さんの「自殺」や「精神疾患」に対するイメージと比べてみてはいかがでしょうか。

迷信(myth)と事実(fact)

迷信 自殺について語ることは良くない考えであり、自殺を助長するものと捉えられてしまう可能性がある。
事実 世間に広く存在する自殺への偏見を考慮すると、自殺を考えている人の多くは誰にそのことを話せばいいのかわからない。隠し立てせずに自殺について語り合うことは、自殺関連行動の助長ではなく、その人に自殺以外の選択肢や決心を考え直す時間を与えることができる。結果として、自殺を防ぐことにつながる。
迷信 自殺について語る人は自殺するつもりはない。
事実 自殺について語る人は、外側に向けて助けや支援を求めているのかもしれない。自殺を考えているきわめて多くの人が、不安、うつ、絶望を感じており、自殺の他に選択肢がないと考えている可能性がある。
迷信 自殺を考えている人は死ぬ決心をしている。
事実 反対に、自殺を考えている人は「生きたい」気持ちと「死にたい」気持ちの間で揺れ動いていることが多い。例えば、農薬を衝動的に飲んでしまい、生きたいと思っても数日後に亡くなることがある。正しいタイミングで情緒的支援にアクセスすることができれば、自殺を防ぐことができる。
迷信 自殺の多くは何の前兆も無しに突然起きる。
事実 自殺のほとんどの事例で自殺前に、言葉か行動に周囲の人が気づくような兆候(warning sign)を示していた。もちろん兆候無しに起きる自殺もある。しかし、周囲の人が気づくような兆候とはどのようなものかを理解し、それに注意を払うことが大切である。
迷信 一度自殺を考えた人は、ずっと自殺したいと思い続ける。
事実 自殺リスクが高まることは一時的なものであり、その時の状況に依存することが多い。自殺念慮が繰り返し起きることはあるかもしれないが、長く継続するものではなく、過去に自殺念慮や自殺未遂があった人でも、その後の人生を長く生きることができる。
迷信 精神疾患のある人だけが自殺を考える。
事実 自殺関連行動は深い悲しみや不幸を示すものであるが、必ずしも精神疾患があることを示すものではない。精神疾患がある人の多くは自殺関連行動を示すことはなく、自ら命を絶った人すべてに精神疾患があった訳ではない。
迷信 自殺関連行動は容易に説明することができる。
事実 自殺は単一の要因または単一の出来事から生じた結果ではない。人を自殺へ追い込む要因は多様かつ複雑であることが多く、単純化して報道すべきではない。自殺関連行動を理解しようとする上では、保健、精神保健、ストレスを感じるような人生の出来事(stressful life event)、社会的要因、文化的要因を考慮する必要がある。衝動性の存在も大きな要因である。精神疾患はその人の生活上のストレス要因や人間関係の葛藤に対処する能力に影響を与えることがあり、精神疾患のある人は自殺のリスクが高くなる傾向にある。しかし、精神疾患だけで自殺を説明しようとするのは不十分である。ほとんどの場合、自殺は試験の失敗や人間関係の破綻といった、特定の出来事が原因であるという誤解につながって行く。死因がまだ十分に解明されていない状況では、原因やきっかけについて時期尚早な結論を出すのは適切ではない。
迷信 自殺は困難な問題を解決する適切な手段である。
事実 自殺は問題対処の建設的または適切な手段でもなければ、深刻なうつ状態への対応や苦しい生活状況に対処する唯一の方法でもない。自殺念慮の経験を持ちながら苦しい生活状況に上手く対処できた人の報道記事は、現在自殺関連行動を考えている可能性のある人へ、実行可能な他の選択肢の存在を示すことができる。また自殺は家族、友人、コミュニティー全体に甚大な影響を与える。そうした人々は自分が見逃した兆候があったのではないかと戸惑ったり、罪や怒りの感情を引き起こしたり、汚名を着せられた、あるいは社会から見捨てられたと思ったりすることがある。このような複雑な力動を慎重に追及する自殺報道は、悲しみに暮れる遺族を非難することなく、遺族へ適切な支援を提供するために必要なものを人々に伝えることができる。

引用文献:自殺対策を推進するためにメディア関係者に知ってもらいたい基礎知識2017年 最新版 付録4