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あさコラム vol.42
感染症エクスプレス@厚労省 2017年2月17日

チョコレート

 こんにちは、厚生労働省健康局結核感染症課長の浅沼一成です。

 ジカウイルス感染症(ジカ熱)が感染症法の「4類感染症」に指定されて
から、1年が経ちました。
 昨年は夏の蚊対策強化月間などが功を奏したのか、国内定着事例は確認さ
れませんでした。
 しかし、海外からの輸入事例は確認されていますので、今年も蚊の駆除を
はじめとした蚊媒介感染症対策について、どうぞよろしくお願いいたします。

 さて、去る2月14日は「バンレンタインデー」。
 女性が男性に告白できる日として定着して久しいですが、皆さんも職場や
学校、家庭などで、チョコレートのプレゼントが行き来したのではないでし
ょうか?

 調べてみますと、バレンタインデーはキリスト教司祭の「バレンタイン」
が由来となっています。
 戦争に出陣する兵士となるため、若者の結婚が禁止だった3世紀のローマ。
 この状況を憂いたバレンタイン司祭が、愛を貫く若者たちを密かに結婚さ
せていたため、ローマ皇帝から迫害を受けて処刑されたのが西暦269年(270
年説もあります)2月14日です。
 その200年後のこの日、恋人達のために生命を落としたバレンタインを守
護聖人として祀り、祈りを捧げたのがバレンタインデーの始まりだそうです。

 西欧では恋人達がプレゼントやカードを贈り合うバレンタインデーですが、
記録によりますと1936年(昭和11年)、神戸にあるモロゾフ製菓さんが初め
てわが国にこの日を紹介したとのこと。
 1950年代に入り、「女性から愛する男性へチョコレートを贈る日」 とし
て、製菓会社さんや百貨店などが行ったキャンペーンから端を発し、定着し
ていきました。
 1970年代以降、「本命チョコ」や「義理チョコ」などの言葉が生まれるな
ど、激しいチョコレート商戦が繰り広げられる中、わが国ならではイベント
として拡大し、今日に至っています。
 なんと、わが国のチョコレートの年間消費量の4分の1が、この日に消費さ
れているとか。

 さて、このチョコレート、実はインフルエンザウイルスへの予防効果があ
るらしいのです。
 「えぇ?ホント?」とつい疑いたくなりますが、日本チョコレート・ココ
ア協会などによりますと、チョコレートやココアに含まれるココアポリフェ
ノールの効果には、血圧低下や動脈硬化予防といった生活習慣病の予防効果、
脳機能の改善効果、アレルギーの改善、便通改善などの他に、インフルエン
ザウイルスの感染抑制効果があるようです。
 ココア熱水抽出物の抗インフルエンザ効果についての研究レポートを読む
と、試験管での実験や動物実験などではその感染抑制効果が確認されていま
すが、ココア飲料を用いた人への臨床実験では明らかな有意差はありません
でした。しかし、免疫細胞であるナチュラルキラー細胞の活性については、
ココア摂取群は比較対照群に対して、上昇程度が有意に高いことが分かった
とのことです。

 もちろん、チョコレートやココアは医薬品ではありませんので、科学的根
拠を持ってインフルエンザの予防や治療ができるものではありません。
 とはいえ、こうした食の研究結果の積み重ねによっては、健康に役立つ機
能性食品として認知されていく可能性もあります。

 何はともあれ、国生さゆりさんの「バレンタイン・キッス」やPerfumeの
「チョコレイト・ディスコ」などの定番曲のとおり、いくつになってもドキ
ドキ・ワクワクのバレンタインデー。
 甘い甘いチョコレート(※結核感染症課女性陣からの嬉しい義理チョコ)
を美味しくいただきながら、
 「ワクチンや医薬品ではなく、食品であるチョコレートでちょこっとした
予防ができるものだろうか?」
 と、近未来のインフルエンザ対策のあり方を考えている今日この頃です。

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