医療観察法の医療体制に関する懇談会(第4回)議事録(2020年1月29日)

日時

令和2年1月29日(水)10:00~12:00

場所

東京都千代田区霞が関1-2-2
中央合同庁舎第5号館11階 共用第8会議室
 

出席者

伊豫雅臣構成員、柑本美和構成員、関口暁雄構成員、竹村眞史構成員、寺田悦子構成員(代理:原子英樹 株式会社円グループ統括所長)、中島豊爾構成員、長谷川直実構成員、平林直次構成員、松田ひろし構成員、南砂構成員、村上優構成員

議事

議事録

○伊豫座長
皆さん、おはようございます。千葉大の伊豫でございます。今日は座長を務めさせていただきますので、よろしくお願いいたします。
まだお見えになっていない方もいらっしゃいますが、定刻ですので、ただいまから第4回「医療観察法の医療体制に関する懇談会」を開催させていただきます。
それでは、議事に入る前に、事務局から本日の会議資料の確認と出席状況等について、お願いいたします。

○石田医療観察室長補佐
皆様方には御多忙のところ御出席いただきまして、誠にありがとうございます。
私は、医療観察法医療体制整備推進室室長補佐の石田と申します。本日はよろしくお願いいたします。
事前に、配付資料の確認と構成員等の御紹介をさせていただきます。
初めに、本日の資料としては、座席表、出席者名簿、議事次第。
資料1、開催要項。
資料2、診療報酬の改定等について。
資料3、厚生労働省による医療観察制度の普及啓発の取組について。
資料4、保護観察所による医療観察制度の普及啓発の取組について。
資料4の参考資料としまして、医療観察制度のしおり、医療観察ガイドブック、社会復帰調整官のパンフレット。
以上でございますが、お手元にない資料はございますでしょうか。
なお、本日の懇談会は公開のため、資料、議事録は厚生労働省のホームページに後日掲載されますので、あらかじめ御了承ください。
続きまして、構成員等の出席状況についてなのですが、寺田構成員から、本日、所用のため御欠席という御連絡を頂いておりますが、代理としまして、円グループ、原子総括所長に御参加いただいております。
また、石津参考人からも、本日、所用のため御欠席と御連絡を頂いております。
なお、事務局、オブザーバーについては、時間の都合がございますので、省略をさせていただきます。
それでは、申し訳ございませんが、冒頭のカメラ撮りにつきましては、ここまでとさせていただきますので、御協力をお願いいたします。
以上でございます。

○伊豫座長
では、会議を進めさせていただきます。
議題(1)の「診療報酬の改定について」、事務局から御説明をお願いいたします。

○寺原医療観察室長
医療観察法医療体制整備推進室の寺原でございます。御説明させていただきます。
資料2を御覧ください。「診療報酬の改定等について」という資料でございます。
1枚おめくりいただきまして、右下にページ番号を振っておりますが、2ページ目の「医療観察法の地方裁判所の審判の終局処理状況」でございます。平成17年から30年度の司法統計の各年度のデータを集計したものになってございます。
医療観察法の医療の申立てのうち、約7割に当たる3,246名の方が入院処遇という形になっております。また、約13%の方が直接通院処遇という形になっております。
入院処遇のうち、既に退院をされた方のうちの約8割の方が入院処遇から移行通院処遇に移行されておりまして、また、約16%の方が入院処遇から直接医療終了という形になってございます。
3ページは、平成17から30年に移行通院処遇の決定がなされた時点での通院処遇の開始時平均年齢でございます。全体1,078名のうち、47.4歳でございました。約76%の方が男性、それ以外は女性という状況でございます。
4ページは、移行通院処遇の決定がなされた対象者の主診断でございます。F2の統合失調症圏が多くを占めているという状況でございます。
5ページは、移行通院処遇の決定がなされた対象者の対象行為でございます。こちらは傷害以外は未遂を含みます。御覧の数字のとおりとなってございます。
6ページは、移行通院処遇の決定がなされた対象者の通院処遇終了の有無でございます。こちらは今年度7月15日時点でございますが、約33%が処遇継続中、約67%が処遇終了という状況でございます。
続きまして、7ページは、移行通院処遇の決定がなされた対象者の通院の処遇が終了した時点での状況でございます。約83%の方が精神保健福祉法上の通院に移行されております。また、7%の方が精神保健福祉法上の入院をされています。3%が医療観察法の病棟に再入院という状況になってございます。
8ページを御覧ください。移行通院処遇の決定がなされた対象者の再他害行為の状況でございます。上の重大な再他害行為が医観法の対象者になり得る再他害行為になりますが、計が19名ということで、分母を1,078にしますと、約1.8%が重大な再他害行為に及んだということでございます。
次から、まずは診療報酬の現状について御説明をさせていただきます。
「急性期入院対象者入院医学管理料について」でございますが、まず、下のほうに、ガイドライン上、目安としている期間というものがございます。ガイドライン上、急性期が3か月、回復期が9か月、社会復帰期が6か月を一つの目安に示してございます。
まず、急性期での入院医学管理料についてでございますが、6,737点でございますけれども、このガイドラインで示している期間の3か月を超えた場合には減算される。さらに、1年を超えた場合にはさらなる減算をされるという形で入院医学管理料の評価をさせていただいております。
次が11ページでございますが、回復期の入院医学管理料でございます。こちらも4,962点という状況でございますが、ガイドライン上の9か月を超えた場合には、減算という状況になってございます。
次が社会復帰期の入院医学管理料でございます。5,870点でございますが、こちらもガイドライン上の6か月を超えた場合には、減算という形で評価をさせていただいております。
次に、13ページでございますが、ここからが通院の対象者の通院医学管理料でございます。通院に関しては、ガイドライン上も前期、中期、後期と設けておりまして、それぞれこのような点数で評価をさせていただいておりますが、期間が中期、後期になるに従って点数は下がるという状況でございます。
14ページは、医療観察の訪問看護ステーションが行う訪問看護の基本料でございますが、(Ⅰ)のほうが同一建物居住者を除く通院対象者に対する訪問指導です。下の(Ⅲ)のほうが同一建物居住者に限る指導の内容になっております。それぞれ週3日まで、30分以上、30分未満、あるいは週4日以降、30分以上、30分未満という形で評価をさせていただいております。
15ページは医療観察の訪問看護管理料でございます。こちらは今申し上げた訪問看護基本料を算定した上で、かつ、この管理料も算定できるという形になっておりまして、月の初日が744点、2回目以降が毎回300点という形で評価をしております。
また、医療観察24時間対応体制加算ということで、こちらに書かれておりますような要件を満たす場合には、このような加算の評価をいたしております。
16ページは訪問看護の情報提供料でございます。
(Ⅰ)のほうは、ケア会議に出席した上で、保護観察所を含む関係機関に対して通院対象者に係る看護または療養上必要な指導についての情報提供等を行った場合に評価をしております。
(Ⅱ)のほうは、ケア会議に参加しておらずとも、情報提供等を行った場合の評価でございます。(Ⅱ)に関しては、前回の医観法の報酬改定の中で新設した内容でございます。
次に、17ページは、医療観察法医療にかかる医療費の経年推移でございますが、近年は約160億円で横ばいで推移している状況でございます。
18ページ目は、指定医療機関の診療レセプトの請求状況から見たものでございます。医科入院、医科外来、調剤、訪問看護、合計とありますが、これを1月の処理分で見ますと、合計で請求レセプト数が1,658件で、約13億円という状況になってきております。このレセプト件数がほぼ実際の対象者の人数と考えていただければいいと思います。
この訪問看護に関しましては、現在、訪問看護ステーション179施設から請求されておりまして、そのうち264件のレセプト件数が上がってきたということですので、単純に考えますと、179施設のうち対象者が264名であったということでございます。
19ページは「医療観察訪問看護対象者の特性の分布」でございます。これは先ほど申し上げました通院処遇の方の対象者の特性と大きく変わるものではありませんで、男性が約75%で、年齢階級で見ますと40代の方が多いという状況でございます。
20ページは「医療観察訪問看護1月あたりの訪問日数の分布」でございますが、月に4回の訪問を受けている対象者が多いという状況でございまして、最大で月21回の訪問がなされておりました。
21ページは、訪問看護1か月の1対象者当たりと考えていただければよいのですが、請求点数の分布でございますが、平均で5,657点という状況でございました。訪問看護ステーションの一月当たりの請求件数は、こちらにございますように、3,000~5,000点である場合が50%という状況でございます。
続きまして、ここからは、診療報酬の今回の改定の事務局(案)について御説明をさせていただきます。
23ページでございます。
今回の改定におきましては、医療観察の訪問看護管理料に係る加算の新設の提案をさせていただきたく思います。医療観察法の対象者の訪問看護におきましては、指定通院医療機関である訪問看護ステーションが、退院調整や関係機関との情報共有に基づく指導等を行った場合の評価が必要であると考えておりますので、健康保険法の診療報酬に倣い、改定を提案したいと思っております。
詳細につきましては、次の24ページを御覧ください。こちらが訪問看護管理料に係る加算の内容の案でございます。
3つございますが、3件ともに健康保険法上は既に評価をされている加算内容でございます。こちらの加算内容案に関しましても、健康保険の内容に即して記載をしております。
まず、1点目が医療観察退院時共同指導加算でございます。指定入院医療機関に入院中の対象者の退院に当たって、今後、指定通院医療機関になり得る訪問看護ステーションの看護師等が、主治医または職員とともに対象者に対して在宅での療養上必要な指導を行い、その内容を文書により提供した場合に算定という内容でございます。
2点目が医療観察在宅患者連携指導加算でございます。訪問看護ステーションの看護師等が、対象者またはその家族等の同意を得て、月2回以上、医療関係職種間で文書等により共有された診療情報を基に、対象者またはその家族等に対して指導等を行った場合に算定という内容でございます。
3点目が医療観察在宅患者緊急時等カンファレス加算でございます。こちらは状態の急変等に伴い、関係する医療関係職種等が共同でカンファレンスを行い、当該カンファレンスで共有した対象者の診療情報等を踏まえ、それぞれの職種が当該対象者またはその家族等に対して療養上必要な指導を行った場合に算定という内容でございます。こちらの点数や算定回数に関しましても、健康保険に倣った内容にしてございます。
また、先ほど申し上げました診療情報提供の(Ⅰ)と(Ⅱ)が既にございますが、今評価しております診療情報提供の(Ⅰ)(Ⅱ)ともに、診療情報の提供をした場合に関する評価でございますが、今申し上げた3点の加算に関しましては、関係機関と情報提供をした上で、かつ、対象者あるいはその御家族に指導を行った場合の加算でございますので、内容は異なるものでございます。そのため、さらに点数が高い設定という形にさせていただいております。
次に、25ページでございます。今回、既に健康保険法に入っているこの3つの加算に関しまして、新設が考え得るのではないかという考えの下に、各訪問看護ステーションである指定通院医療機関にアンケート調査を行いました。その結果がこの25ページでございます。
40施設のうち、36施設より回答を頂いております。調査期間は平成29年1月から令和元年12月の対象者に対する内容でございます。
今申し上げた3件の算定要件を満たすと考え得る人数を回答していただいたところ、退院時共同指導加算については41件、在宅患者連携指導加算については19件、在宅患者緊急時等カンファレンス加算については16件、算定要件を満たすと考え得る対象者がこの調査期間中にいたということでございました。
最後でございますが、26ページは「診療報酬改定の方針案」でございます。
今申し上げた退院時共同指導加算、在宅患者連携指導加算及び在宅患者緊急時等カンファレンス加算につきましては、対象者の訪問看護において、指定通院医療機関である訪問看護ステーションが退院調整や関係機関との情報共有に基づく指導等を行った場合の評価が必要であること、また、今申し上げました実施状況等調査で算定要件を満たすと考えられる対象者が多数いることより、当該加算の必要性が認められましたので、当該加算を新設するのはいかがかと考えております。
そのほか、例年でございますが、2年ごとの改定時に、健康保険法にある「医科診療報酬点数表」及び「訪問看護療養費に係る指定訪問看護の費用の額の算定方法」に準じて、医療観察法のほうも改定を行いたいと考えております。
事務局からは以上でございます。

○伊豫座長
ありがとうございました。
ただいまの御説明に対して御意見や御質問がございましたら、挙手でお願いいたします。いかがでしょうか。
では、原子構成員代理、お願いします。

○原子構成員代理
円グループの原子です。
今、提案いただいた件なのですが、先ほども文章でありましたけれども、一般的に精神科の訪問看護も他科の訪問看護も同じなのですが、これらの加算というのはもともととられているものなのです。
なので、訪問看護の立場からすると、積極的に地域とか医療機関との連携がしやすくなるというのが1つで、それを評価していただいているということで、積極的に私たちも会社から職員を出せるということになるのですけれども、今まで医療観察法にはこういうものがなかったことと、あるとやはり職員も動きやすくなるということがあるのかなと思うので、これに対して評価していただくとなると、一歩前進かなと思います。
そもそも私は、医療観察法の診療報酬評価というのは、毎年少しずつよくなってきていると思ってはいるのですけれども、もともとあるものがこうやってようやく並べられたということに関しては、とても感謝しています。

○伊豫座長
ありがとうございました。
もともとあるものをということなのですが、とにかく医療観察法の場合は、1事例でも何かあると大きな問題となりますので、従来よりも高く評価していただけるような形が大事かなと思っております。
ただいまの御意見について、事務局から何かございますか。

○寺原医療観察室長
特にございません。

○伊豫座長
ありがとうございます。
では、関口構成員。

○関口構成員
医療観察法の訪問看護料につきまして、私が不勉強で知らないということもあるかと思うのですが、看護基本料で複数名加算というのはもう設定されているかどうか。医療観察法対象者の訪問をするときに、1名で行くには不安があるという看護師さんたちも多くいると聞いておりまして、複数名加算が算定の加算として組み込まれているかどうかの状況について教えてください。

○伊豫座長
事務局、いかがでしょうか。

○寺原医療観察室長
事務局でございます。
複数名加算のほうは、健康保険法上で評価されたときに、医観法のほうでも評価するようにさせていただいていますので、既に評価させていただいております。

○関口構成員
ありがとうございます。

○伊豫座長
よろしいですか。
そのほか、いかがでしょうか。

○中島構成員
ほとんど変わらないということだよね。

○伊豫座長
中島構成員、よろしいですか。

○中島構成員
それなら、一言だけ。
現在30床で、採算ラインの29床が埋まっていなければ、ほぼ赤字転落という状況にありますので、そこを勘案しながら、今後の点数改定と、ほかの身体科のいろいろな点数改正を平行移動するだけではなくて、十分考える必要があるのかなと思っております。

○伊豫座長
ありがとうございます。
今のは訪問看護ではなくて全体的にということですね。事務局のほうでも何か御意見がありましたら、少し頂ければと思います。

○寺原医療観察室長
御意見、御助言ありがとうございます。
今回の改定では、申し上げましたとおり、健康保険法上で既に評価されているものを医観法でもしっかり評価すべきではないかという提案をさせていただきましたが、今回御参加いただいている関係団体を代表された構成員の皆さんには、事前にいろいろと御意見は頂いたところでございます。
その中で、今、中島構成員が申されたような意見、あるいはそれ以外の意見も含めて、かなり建設的な御意見を頂いております。しかしながら、我々、データやエビデンスを現段階では十分持ち合わせていないということもありますので、頂いた意見をしっかりと参考にさせていただきながら、我々事務局、あるいは今、研究班も平林先生を代表としたものが走っておりますので、既に御相談はしておりますが、今後、しっかりとデータ等はとっていきたいと思っております。

○伊豫座長
一生懸命やっている現場が困った状況になると、崩壊していってしまうということになると思いますので、データ集め等の研究も含め、何とぞ早めに対応していただければと思っております。
そのほか、いかがでしょうか。もしよろしいようであれば、次に移らせていただきたいと思います。よろしいですか。
それでは、次に、議題(2)の「その他」に移ります。
この懇談会は関係者に幅広く意見を聞く場として開催しているものですが、今回、医療観察法対象者に対する差別・偏見をなくすための普及啓発活動等について、厚労省及び法務省から御説明したいとのことでしたので、説明を頂きたいと思います。
では、厚労省のほうから御説明をお願いいたします。

○寺原医療観察室長
事務局でございます。
資料3の「厚生労働省による医療観察制度の普及啓発の取組について」を御覧ください。
1ページ目でございます。平成30年度、昨年度からの第4次障害者基本計画でございますが、「新規」にございますように、医療観察法の対象者の社会復帰の促進を図るため、同法対象者に対する差別の解消を進めるということが第4次の障害者基本計画で初めて記載されたところでございます。
下のほうのもう一点でございますが、こちらは医療観察法の対象者への医療と福祉が連携した支援の提供を充実させるとございまして、こちらは既に障害者基本計画で明記されているものでございます。
今回は第4次の障害者基本計画の新規で記載されたものも用いて、今行っている普及啓発活動について御説明をさせていただきます。
2ページでございますが、平成30年度の障害者総合福祉推進事業におきまして、医療観察法対象者に対する差別の解消及び偏見を除去するためのプログラムを作成いたしました。こちらは、障害福祉サービス事業者に対して、差別の解消及び偏見除去に関するプログラムを作成したものでございます。
下に「シンポジウム開催案内」とございますように、平成30年度のこの事業の中でシンポジウムを北海道、高知、東京で行いまして、その結果も踏まえてプログラムを作成いたしました。また、障害福祉サービス事業者向けのプログラムの手引書を作成しております。
3ページでございます。この成果物は、昨年度、既に各関係自治体にはお送りをしているところでございます。
文字が小さく恐縮ですが、「はじめに」のところにございますが、精神保健福祉センターや保健所、市町村の精神保健福祉行政が行う内容として、このプログラムの展開をお願いしているところでございます。
4ページがプログラムの内容でございます。
プログラムの準備と考え方をまずお示ししておりまして「1.プログラムの準備」として、医療観察法の施行状況や地域のサービス事業所の受入れ状況の把握、地域の人材について、まず把握をしましょうということを記載しております。
「2.プログラムの考え方」としましては、医療観察法の理解の促進、関係機関の連携、プログラムの継続を記してしております。また、キーパーソンの育成も非常に大切なことであろうと思っております。
具体的なプログラムが右側でございますが、まず「1.シンポジウム」としまして、参加対象者やテーマ、アンケート等の内容を記しております。
具体的なワークショップの内容でございますが、医療観察法の病棟の見学をしていただく。その中で、対象者の治療プログラムの参加を通じて、治療プログラムや対象者の特性を知っていただくという内容にしてございます。
5ページでございます。
プログラムの活用につきましては、既にこの成果報告書、プログラムを各自治体にはお配りしているところでございますが、今年度の9月に改めて各自治体に通知を発出しております。
各都道府県及び各指定都市の精神保健福祉主管部におきまして、当該プログラムを用いて障害福祉サービス事業所に対する普及啓発活動を促すよう、改めてお願いをしたところでございます。
また、併せてアンケートを実施いたしまして、都道府県と指定都市における普及啓発活動の実施状況を把握いたしました。その結果が下の四角で囲んだところでございます。
平成30年度は、実施ありが4機関、今年度は、予定も含みますが、13機関ということで、増えている状況でございます。
また、実施ありの13機関のうち、4機関は当該プログラムを活用いただいているということでございます。今後、毎年度アンケート等を実施しながら、各自治体に障害福祉サービス事業者に対する普及啓発活動に対する取組の促しを続けていきたいと思っております。
6ページ、7ページは参考でございます。
以上でございます。

○伊豫座長
ありがとうございました。
ただいま御説明いただきましたが、引き続き、法務省保護局精神保健観察企画官の滝田様から御説明いただきたいと思います。お願いします。

○滝田精神保健観察企画官(法務省)
それでは、引き続きまして、法務省保護局から、保護観察所による普及啓発の取組の実際などについて、御説明をさせていただければと思います。
法務省保護局精神保健観察企画官の滝田と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
お手元の資料4「保護観察所による医療観察制度の普及啓発の取組について」に沿って御説明をさせていただきます。
1枚おめくりいただきまして、スライド資料の2ページ「保護観察所が携わる普及啓発の場面」ということで幾つか載せさせていただいております。
医療観察制度による処遇、とりわけ地域における処遇というのは、関係機関が相互に連携して、対象となる人それぞれに必要な医療や援助を確保するという枠組みでございますので、医療機関、保健福祉機関、関係する施設、サービス事業者の皆様の理解なくして、この制度は円滑には進まないと考えております。
逆に言えば、普及啓発の取組というのは、この制度を円滑に運用するための基盤づくりと考えております。社会復帰調整官は、この制度におけるコーディネート役という役割でございますので、制度施行当初から普及啓発は大変重要な業務と認識して、取組を続けてきております。
そういう意味では、あらゆる場面が普及啓発の場になり得るということで、資料には、個別ケースの連携の場であるケア会議から載せさせていただいております。
ケア会議は、御承知のとおり、指定入院医療機関に入院中の生活環境調整から、地域に移って精神保健観察の期間を通じて開催をさせていただいているものでございます。ケア会議等の場で、個別ケースを通じて、関係する機関の皆様にこの制度による処遇について御理解、御協力を得ていくというのは、ある意味、最も効果的な普及啓発の場にもなるかと考えております。
また、2つ目の都道府県運営連絡協議会と地域連絡協議会というのがございます。これは関係機関相互の平素からの連携確保ということで、これも制度施行当初から「地域社会における処遇のガイドライン」というものがございますけれども、これに基づいて各都道府県で運営要領を策定いただいておりまして、これに基づいて年1回あるいは2回、関係機関に参集いただいて、開催をさせていただいているものでございます。
県ごとに、構成する機関など若干の違いはございますけれども、保護観察所、都道府県主管課のほかに、精神保健福祉センター、指定医療機関、保健所長会、社会福祉協議会、精神保健福祉関係の民間団体の皆様や、精神科病院協会などの参加をいただいて、この制度の施行状況を共有するといったこととか、当面の課題について協議するといったようなことをやっております。
関係機関が一堂に会する貴重な機会ということで、各機関の報告だけではどうしても形骸化しがちなので、事例検討とか研修的な要素なども取り入れて、工夫をして開催しているという状況です。
3つ目の各種研修会等と4つ目の個別説明会等というのが、制度の周知と理解促進を図るという意味では、いわゆる普及啓発に当たる取組であると思います。いずれも各地域の状況に応じて開催させていただいております。研修会というのは、協議会とか、連絡会とか、ネットワーク会議とか、様々な名称で多数の関係者の皆様に参加を募って行うものでございます。
個別説明会は、その名のとおり、個別の事業者・施設にお伺いをさせていただいて、制度説明をさせていただくというものになります。
次の3ページを御覧いただけますでしょうか。実際、どの程度の回数、こうした取組を観察所で実施しているかということでございます。
これは平成30年の1年間の実施状況について調査した結果でございますけれども、保護観察所での研修会や説明会の実施回数は、全国で年間523回、総参加人数が9,723人ということになっております。
保護観察所というのは全国に50カ所ございます。北海道に4カ所と、各都府県に1カ所ずつございます。50カ所で約500回ですので、各保護観察所当たり年間10回ぐらい開催の機会を設けて、大ざっぱにいうと、500回で約1万人の参加ということですので、各回20人ぐらいの方の参加を得て実施させていただいているという状況かと思います。
参加者、参加機関の内訳のところを御覧いただきますと、やはり基本的には協力者をより広げていきたいということで、医療機関の中でもまだ指定を受けていない医療機関とか、障害福祉サービス事業者の中でも医療観察の対象者の受入れ経験のない施設を、できるだけ重点的にやっていきましょうという方針を掲げて実施させていただいておりまして、機関の数でいいますと、指定を受けていない医療機関89機関、障害福祉サービス事業者の中でも、医療観察のケースの受入れ経験のないところにも200施設に参加いただいているということでございます。
既に受入れ経験のある施設・医療機関を継続的にフォローしていくということ、関わりを持ち続けるということも大変重要な取組と考えておりますけれども、新たな理解者・協力者の開拓も引き続き取り組んでいく必要があると考えております。
4ページは「より効果的な普及啓発のために」ということです。
基本的には制度説明ということが基礎になるわけですけれども、できるだけ工夫した、より効果的な普及啓発のありようというのはどういったものだろうかということで、具体例などを含めて幾つか挙げさせていただいております。
1つは、今申し上げたことですが、指定を受けていない医療機関、受入れ経験のない障害福祉サービス事業者等への重点的な普及啓発ということが1点あるかと思います。
また、既に受けていただいた経験のあるところとそういった経験のないところとの横の連携づくりというのを2番目に書かせていただいております。そういった場を設けることによって、医療観察のケースというのは、もともと県によっては非常に限られたものになりますので、例えば指定通院医療機関でも、指定は受けているけれども、まだ実際の対象者の対応をしたことがないところですと、かなり不安が大きいということがございますので、受け入れたことのある機関、受け入れたことのない機関がともに集まるような場で、事例についてお話しいただくことを通じて、受入れ経験を共有して、不安が軽減されて理解が進むといった効果があるのではということで、関係者の皆さんにも協力いただきながら、そういった場をつくるということを進めております。
3番目は「見て、体験し、考える」というフレーズを使わせていただきました。先ほど厚労省さんから、平成30年度の障害者総合福祉推進事業で医療観察法対象者に対する差別の解消及び偏見を除去するためのプログラムを作成いただいたという御説明がございましたけれども、この研究結果の報告書の中から頂いた言葉です。
この報告書には、効果的な普及啓発に当たってのポイントが掲げられておりまして、医療観察法対象者に対する差別解消、偏見除去のためには、実際に「見て、体験し、考える」場を設けていくことが有効だという提言が書かれております。
具体的な実践方法としては、指定入院医療機関の見学会でありますとか、また、ただ見学するだけではなくて、その後にグループワーク、ディスカッションにもセットで参加いただくような取組が有効とされておりまして、幾つかの例ではございますけれども、保護観察所が関わる中でそういった取組も始めております。
この研究結果については、広く知っていただく機会を設けることが必要だと私どもも考えておりまして、実は、昨年の12月1日、私どもの関係の更生保護学会が主催する大会の中で、医療観察の分科会セッションというのがございまして、そこにこの研究に携わられた皆さんに来ていただいて、シンポジウムが行われました。本日お越しの関口先生も、この研究に実際に携わられ、学会の場でもシンポジストということで御参加いただきましたので、ぜひ後ほど御意見など頂ければと思っております。
4番目が、当事者、元対象者の話を聞く機会を設けること、これは非常に配慮の必要なことではあるのですけれども、実際に医療観察制度の処遇を受けられた方が、この制度を受けている間、どういったことを感じていたかということを直接聴く機会を設けるということは非常に重要な取組であるかと思います。
もちろん元対象者の方の同意が前提でございますし、どういった形でお話をしていただくかとか、個人情報をどの範囲まで開示するかとか、実際、運営連絡協議会等の場で行われたことがあるのですけれども、非常に配慮をしながら、ただ、実際にそういった機会を設けますと、関係者の皆さんが、対象になる方がどういった気持ちで処遇を受けてきたかということを直接聴く非常に貴重な機会になるということで、こういった場を設けるという取組もしております。
最後に、医療観察制度に限らない課題も取り上げるということを書かせていただきました。医療観察のための普及啓発ではあるのですけれども、精神保健福祉関係の皆さんが集まる貴重な機会ということですので、あまり医療観察に特化し過ぎた話題というよりも、一般の精神保健福祉にもつながる幅広の話題を取り上げることで、参加者の皆さんから関心を向けていただけるということで、そういったことも一つの工夫であろうかと思います。
例えば、医療観察制度の処遇に取り入れられている取組の中でも、ケア会議でありますとか、あと、クライシスプラン、これは対象者の病状悪化の状態像を個別に評価して、こういった状態になったときには関係機関の皆さんでこういった対応をしましょうというのを、御本人ともどもプランとして立てるという取組がありますが、これらの話題は一般の精神保健福祉でも参考になるということで、関心を持っていただいているということです。
5ページ以下は、実際の取組事例ということで、幾つか挙げさせていただきました。
まず、函館保護観察所でございます。ここは医療観察事例の少ない地域での連携維持の必要性ということで挙げさせていただきました。
函館に限らず、全国的に医療観察のケース、非常に多く出る県と非常に限られている県ではかなりの差がございまして、事案の多い地域では、いかに受けていただける機関を確保していくかという観点での普及啓発が必要なのですけれども、少ない地域では、医療観察制度に対する認識・意識を持ち続けていただく、ケースがないからあまり関係ないとなってしまわないように、いざケースが生じたときにスムーズに対応いただくためにも、常に医療観察制度を認識し続けていただくというところが必要でございまして、事案が少ないなりの苦労があるということでございます。
函館保護観察所においては、管内に2市18町1村の市町村があるのですが、市町村の精神保健福祉の担当の方、行政機関ですとどうしても異動があったりします。異動があると、前任者はよく分かっていてくださったのだけれども、もう一回改めて説明をしなければいけないということも生じますので、各市町村を個別に1年かけて回って普及啓発の取組をしているという事例でございます。
これは訪問をしてこちらから医療観察制度について説明するということもありますが、保護観察所として先方の市町村の精神保健福祉の状況を把握するといった取組にもなります。実際、御担当の方と顔と顔を突き合わせということで、よく言われる顔の見える関係をつくるということになり、非常に地道ではあるのですけれども、普及啓発の基本的な取組であろうかと考えております。
次が山形保護観察所でございます。これは、山形県立こころの医療センターさんでございますが、指定入院医療機関と協働して関係機関連絡会を開催したという事例でございます。先ほどの厚労省さんの事業の報告に即した活動になろうかと思います。
課題意識としては、運営連絡協議会では制度運用の全般的な話題を取り上げることになるので、実務者レベルの、より実感を持った制度のイメージをなかなか持っていただく機会にならなかったということがあって、保護観察所と指定入院医療機関で協働して、県内の指定通院医療機関、保健所等の皆さんに参加いただく機会を設けて、医療観察法病棟で開催させていただいたという事例でございます。
医療観察法病棟の見学をした後、指定入院医療機関の先生から入院プログラムの実際についてお話をしていただき、さらにグループワークによる意見交換を実施するというメニューになっています。アンケート結果の報告も受けているので、幾つか読み上げさせていただくと「指定入院医療機関と指定通院医療機関との情報交換がとても大事だということを改めて実感した」「病棟内を見学できてよかった」「治療プログラムや内省を深めるための工夫等が参考になった」「対象者への理解が深まり、支援を頑張ろうという気持ちが高まった」「受入れの不安や戸惑いが当施設のみでないことが分かってほっとした」「現場で少ないケースを担当し、悩むことが多いので、こういった場が数多くあるとよい」ということで、参加いただいた皆さんからは相応の評価をいただくことができたという報告を受けております。
続きまして、6ページでございます。
沖縄の那覇保護観察所も同様の例でございますけれども、琉球病院さんから、指定通院医療機関の横のつながり、ネットワーク協議会を立ち上げたいといったお話が保護観察所にありまして、相互に連携協力して協議会を設置し、また、研修会を開催したという事例でございます。
県内指定通院医療機関、入所施設、相談支援事業所等にも参加をいただきまして、事例を通じたグループディスカッションや、保護観察所による模擬ケア会議を行うなどして、この制度における処遇の実際を見ていただく機会を設けたということでございます。
最後に、鳥取保護観察所の例でございます。これは添付をさせていただいておりますが「医療観察ニュースレターとっとり」というものを発行しているという事例でございます。鳥取も医療観察の事例自体は少ないのですが、こういったニュースペーパーを送付する関係機関が50カ所ぐらいあるということであり、集まっていただくというのは本当に機会の限られたことになりますので、タイムリーに医療観察制度に関する情報共有、情報提供をさせていただいているということでございます。
また、添付させていただいたニュースレターを御覧いただくと、裁判所と検察庁の方に巻頭言を頂いております。関係者の皆様に巻頭言をお寄せいただくことも、医療観察制度への認識を深めていただく機会になりますし、こうした情報共有によって、実際にお集まりいただかなくても、医療観察制度についての認識・意識を深めていただくツールになっているのではないかということで御紹介をさせていただきました。
最後に「参考」というところでございます。この資料とは別にパンフレットを3冊お配りしております。まず、『医療観察制度のしおり~ともに生きる地域社会に向かって』というのがございます。これは一般的な説明用資料で、医療観察制度の流れでありますとか、基本的なQ&A、保護観察所の連絡先などを掲載させていただいているパンフレットでございます。
もう一点『医療観察ガイドブック』という振り仮名つきのパンフレットがございます。これは念頭に置いておりますのは、対象になる御本人、あるいは御家族の方にこの制度について知っていただくに当たって使っているものでございます。
ただ、関係機関の皆様にも、御本人にこういったもので御説明をしていますよということでお配りすると、ある意味、非常に分かりやすいものでもありますので、理解の促進につながるパンフレットかと考えております。
もう一点は『社会復帰調整官』というパンフレットでございます。これを御覧いただくと、若い調整官からベテランの調整官まで様々な調整官が出てまいります。これは、もともとはリクルート用のパンフレットでございます。
社会復帰調整官はブロック単位で公募しますが、公募に当たっての説明会など実施する際にお配りするものですけれども、こうした場面とは別に、普及啓発の制度説明の折に、医療観察制度全般のパンフレットと併せてお配りすると、社会復帰調整官というのが、一体どういう人たちがやっているのか、どんなバックグラウンドで、どういった考えで、実際にどういう業務をしているのかということを御理解いただくことになり、制度に対する理解をまた少し深めていただくことにもなります。
もちろん、リクルート的な意味で福祉関係の大学や専門学校などにも置かせていただいて、今は実務経験を採用の要件にしていますので、すぐに調整官にということにはつながらないのですけれども、そういった若い方にも医療観察制度を認識していただいて、将来的なことも含めて関心を持っていただければということでも使っているものでございます。
最後のページに「ペリハンさん」という絵が載っております。「ニュースレターとっとり」を見ていただくと、随所にペンギンの絵が出てまいりますが、このペンギンは更生保護のマスコットキャラクターになります。
更生保護というのも普及啓発がとても重要で、これは更生ペンギンの「ホゴちゃん」と「サラちゃん」というのですが、これをいろいろな資料に使って広報などをしているということです。ただ、これは更生保護のキャラクターなので、社会復帰調整官の中から医療観察の広報用のキャラクターもあったらいいのではないかという意見がございまして、このほど調整官の中で公募をして幾つか作品が上がったうち、「ペリカン」とリハビリの「リハ」と合わせて「ペリハンさん」ということですけれども、今後、このキャラクターを保護観察所が使う医療観察制度の説明用資料などに載せていこうということになりました。今後、保護観察所の資料の中で見かけるようになるかと思いますので、お見知りおきいただければと思います。
保護観察所における医療観察制度の普及啓発の取組についての御説明は以上でございます。どうもありがとうございました。
続きまして、先ほどお話をさせていただきました更生保護学会の医療観察制度の普及啓発に関するパネルディスカッションなどで大変御尽力をいただきました関口構成員から、御意見等があればお願いできればと思っております。よろしくお願いいたします。

○伊豫座長
関口構成員、どうぞ。

○関口構成員
御丁寧な説明、私も初めて知ることができた内容もございまして、厚労省と法務省でそれぞれ普及啓発について取り組んでいることが理解できたところです。
お聞きしたいところは、都道府県のほうにというお話でしたけれども、厚労省が行うこの偏見除去のプログラムの実施主体はどこがやっていくのかということが、私たちが地域でやっていくときに、やりましょうと言う先がどこになるのかと思ったところでございます。
それから、法務省さんのほうで御説明がありました病院の見学とかプログラム参加につきましては、平林先生とか医療観察病棟を運営されている先生方の御意見も私は聞きたいと思っているのですけれども、埼玉県で病棟の中に入るということをなかなか許してくれない、どのような生活をしているのだろうかということで許してくれない実情がありまして、そこら辺のハードルを下げるための御理解を得るための交渉といいますか、その辺についてどうしたらいいかというのは悩んだのです。
実際に運営されている平林先生方の御意見も参考にさせていただきたいと思ったところでございます。
普及啓発については、私は今まで50事例ぐらい支援をしてまいりました。そこで、非常にうまくいっているケースもあります。現在、ホテルの厨房で皿洗いをしている、放火を何軒もした対象者もいますし、両親を殺した人が地域の当事者活動のリーダーとして活躍しているという方もいらっしゃいます。
うまくいかない方も確かにいらっしゃるのですが、うまくリハビリして、地域で生活されている方もおりますので、そういう地域でうまくいった好事例をいかに発信していくかということがとても大事だと私は思っています。
実際にやりとりをした地域の中には、この医療観察法の附帯決議の中に、この制度が地域の精神保健福祉の底上げになるということが書かれておりました。そういう意味で地域が、この地域がこうなったという実感が持てるような、保護観察所の調整官が、この地域はこのようになりましたとか地域の評価を伝えていくという作業が、より地域のモチベーションが上がることではないかと思いますし、好事例をもって皆さんにお伝えしていくという作業が、私はとても効果が上がっていくのではないかと思っております。
以上です。

○伊豫座長
ありがとうございました。
皆様方からの御質問、御意見を受ける前に、関口構成員のほうから幾つか御質問も出たところでございますが、まず、厚労省のほうで。

○関口構成員
もう一点、言い忘れました。
その仕組みの中で、実は今、精神障害者にも対応した地域包括ケアというのが、都道府県の障害福祉圏域単位で、令和2年度末までには市町村単位で精神障害者にも対応した地域包括ケアの協議をする場を作りなさいとなっていると思うのです。
私は、医療観察法対象者がその地域で生きていくために、そこの中で協議をする対象者に入れ込んでほしいと思うのです。一般的な精神障害者よりも、その方をどう支援していくかということを考えていく必要はあろうかと思いますし、それが地域づくりの大きな柱になっていくと私は思っています。
ですから、精神障害者にも対応した地域包括ケアの中に、医療観察法対象者の支援をどう考えているかという項目も入れ込んだほうが、地域づくりにより資すると考えております。
以上です。

○伊豫座長
ありがとうございました。
今、関口構成員のほうから幾つか御質問もありましたので、まず、この医療観察法対象者の差別解消と偏見除去のプログラム群に関しての実施主体はどちらになるのかというところです。
厚労省のほうからいかがでしょうか。

○寺原医療観察室長
厚労省でございます。
こちらは自治体が行うということではございますが、先ほどの説明の中の「はじめに」のところにも、プログラムの中で書かせていただいているのですけれども、想定しておりますのは精神保健福祉センター、保健所、市町村の担当者が障害福祉サービス利用者等に行うことを想定しております。まだまだ実績は少ないところですが、しっかり取り組みを進めていきたいと考えております。

○伊豫座長
もう一つ、対象者に関しても包括ケアの協議の中に入れていただきたいということについても御意見等ございましたら。

○寺原医療観察室長
御意見として伺いたいと思います。
もう一点御質問の中で、いかに医療観察法の高度な医療を、精神保健福祉法上の精神医療につなげるかという御助言も頂きました。そちらも非常に大切な観点だと考えております。
一つは、村上構成員や中島構成員が中心となって、医療観察法の病棟の中でクロザピンの話を進めていただいていますし、それが精神保健福祉法上の精神医療にもつながっているものだろうとは思っています。
また、今年度の障害者総合福祉支援事業の中で今、連携パスというものをつくっております。これは保健・医療・福祉の関係者が同じ連携パスを使って、しっかりと地域づくりを進めるための内容のものでございまして、今、その地域連携パスを作成している中で、医療観察法のガイドラインの中にある指定通院のクリティカルパスも参考にしながら作成しているところでございますので、しっかり医療観察法の知見といったものも生かしていきたいとは考えております。

○伊豫座長
ありがとうございます。
今、お話がありましたクロザピンの普及とか、多職種チームとか、あとは認知行動療法とか、その辺のことは医療観察法で結構推し進めて、地域に物すごく普及してきているかなというのは、ふだんから実感しているところでございます。
あと、先ほど関口構成員から、病棟見学等について、平林構成員から御意見を伺いたいということだったのですけれども、いかがでしょうか。

○平林構成員
指定入院医療機関を見学していただく許可について御質問を頂いたと思ったのですが、実績的には見学の方が、集計してみると毎年250名ぐらい入っていらっしゃいます。
職種や所属団体を見てみますと、行政関係の方とか、法律関係の方とか、医療関係の方とか、直接あるいは間接にかかわっている方が中心で見学しています。
全員について細かい基準をつくるのは無理なので、一応許可の基準としては、対象者の社会復帰にとってプラスになる方たちは原則許可ということにしています。
ただ一方で、例えば一般の学生の方たちとか、あまり直接はかかわらない方たちに関しては、数のこともありますのでお断りしています。
これまで見学に来ていただいて、1時間とか2時間ぐらい見学して、意見交換をさらっとして終了していたのですけれども、昨年、滝田企画官に誘われてというか御案内いただいて、ワークショップに出てプログラムを聞いてみると、病棟見学をまずしていただいた上で、その見学していただく方たちも将来グループホームや地域のサービスを提供する機関のキーパーソンになって、その機関を動かしてくれそうな人をターゲットにして、少人数で集まってもらって、病棟見学の後、ワークショップをされていたと思うのです。
その人たちと継続的に連携をとられて、実際に退院のときにそこの施設にお願いしていくとか、そういう形での連携を進めようというプログラムだと思いました。
聞いた後に資料を頂いたので、早速、病棟のスタッフの者に、実際に自分たちのほうでも、250人という多数の方を受け入れるプログラムだけではなくて、ターゲットを決めて「見る、体験する、考える」をするようなプログラムに変更しようということで、去年話をしたところです。
ただ、まだ実際に一回も実施できていないのですが、来年度あたりは取り入れていきたいと思っています。

○伊豫座長
そうしますと、まず、見学等をしたい場合は、例えば指定医療機関の施設長等に申し込むと、見学などは許可していただけることもあるということでよろしいのですか。

○平林構成員
はい。

○伊豫座長
もう一つ、ワークショップ等を開いていただくというのはすごく大事だと思っていまして、地元に戻れないとか、もう御自宅に帰れないという対象者も物すごく多いと思うのです。ですから、そういったワークショップが非常に有効であれば、ぜひ全国に展開していただきたいと思うのですけれども、その辺について先ほど、併せて好事例についても社会復帰調整官の方々がそういうのをかなりやっていらっしゃると思うのですが、関口構成員のほうから好事例等を出していただいてという話があったのですけれども、法務省のほうは何かないでしょうか。

○滝田精神保健観察企画官(法務省)
御意見ありがとうございました。
事例検討というのは、特に医療観察制度による処遇に関係する皆さんに理解を深めていただく意味で重要だということで、先ほど琉球病院さんと那覇保護観察所との共同によるネットワークづくりの取組を御紹介しましたけれども、これに併せて事例検討を重点的に行う会も立ち上げたように伺っております。事例検討では好事例も、うまくいかなかった事例も取り上げることになると思うのですけれども、そういった取組に参加いただくことを通じた普及啓発は非常に重要ではないかと考えておりまして、保護観察所としてもできる範囲でそういった機会を設けるということで進めております。

○伊豫座長
ありがとうございます。
手前みそになってしまうのですけれども、千葉県でも、千葉大で私たちが中心になって、裁判官とか検察官、弁護士、社会復帰調整官の方々も含めて、あとは医療観察法関連の医療機関の方々に集まっていただいて、事例検討なども定期的に行っているのですけれども、対象者を様々な角度から支援していってあげるということが重要になりますので、ぜひこういう取り組みも進めてもらえればと思います。ありがとうございました。
それでは、ほかの構成員の方も含めて、ただいまの厚労省、法務省の方々からの御報告、御説明に御意見など頂ければと思うのですけれども、いかがでしょうか。
長谷川構成員、どうぞ。

○長谷川構成員
先ほどの保護観察所の研修会の件で質問があります。
琉球病院からの御依頼があって研修会を開いてくださったということですが、精神科診療所協会のほうでは、通院指定機関の連絡会がありまして、そこで指定にはなったけれども、まだ一例も受けていないというところもありまして、連絡会の構成のクリニックを対象に研修会などを申し込めば開いてくださいますでしょうか。

○滝田精神保健観察企画官(法務省)
先ほどの琉球病院さんとの共同の取組では、県内の指定通院医療機関全体にお声がけをさせていただいたように伺っております。
また、個別に保護観察所に御相談いただければ、そういった機会の御案内もできるかと思いますし、保護観察所の方でお伺いして説明をさせていただくような対応も可能かと思います。

○長谷川構成員
個別のクリニックではなくて、クリニックが20軒ぐらい集まった精神神経科診療所協会の通院指定連絡会に属している人たちのための研修会を御依頼すれば、開いてくださいますでしょうか。

○滝田精神保健観察企画官(法務省)
保護観察所の方で対応を検討することにはなるのですけれども、そうした機会を頂けることはありがたいことですので、ぜひ御相談いただければと思います。

○伊豫座長
ありがとうございます。
実際に通院を受け持っておられる方々にとってみたら、経験がないとどのようなものか分からず、突然依頼された場合は対応も難しいこともあると思いますので、ぜひ前向きにお願いしたいと思います。
そのほか、いかがでしょうか。
関口構成員、どうぞ。

○関口構成員
鳥取のニュースレターはとてもすばらしいと思ったのです。これはぜひ全国の保護観察所に、これをやったほうがいいと御案内をしていただいて、その地域がいろいろな情報を得られるような形をつくっていただきたいという希望です。

○伊豫座長
中島構成員、どうぞ。

○中島構成員
鳥取のことが先ほどから非常に褒められて、いいお話が出ておりますけれども、医療の内容と、啓発の仕方がうまいということは別ですから、これをちゃんと分かっておかないと、何か今日はよかったという話をするために集まっているわけではないでしょう。
よろしくお願いします。

○伊豫座長
ありがとうございます。
村上構成員、どうぞ。

○村上構成員
啓発というのは、地域の医療観察法の関係者の集まりをした原型というのは東京がスタートだったと思います。
東京がNCNPを中心として、そこが呼び掛けて、各調整官、通院指定、それから通院指定になろうとするところ、グループホームを含めた様々な援助機関から始まった。ただ、これはかなり私的に始まったものだと思うのです。
この形式が多分いろいろなところに広がっていって、私が前にいた三重でももう既にスタートしていますし、新潟でもしようと下準備をしているところでもあったり、その流れの中で沖縄の問題もあったのだろうと思うのです。
これを完成といいますか、例えば厚生労働省なり自治体なり、保護観察所のほうが取りまとめていこうという流れと理解してよろしいですか。
例えば三重などでやってくると、援助技術や援助の方法、考え方で、確かに物すごくばらつきが大きいのです。けれども、ワークショップなどを繰り返しやることによって随分理解が広がっていくということが確かに起こります。それも一つの医療観察法が到達したこと、例えばケースフォーミュレーションを使って物事を考えていこうという流れは、まだ一般的な医療現場ではあまり使われていないけれども、医療観察法の内部でもかなりこれはポピュラーになってきているので、例えばこういう方式がありますというのは、広げるにはすごく役に立っているのです。ですから、何か目的志向性みたいなものが明確にあったほうが広がっていくし、有効になっていくのではないかという気はしました。

○伊豫座長
ありがとうございました。
竹村構成員、どうぞ。

○竹村構成員
竹村です。
厚労省のほうにお伺いしたいのですけれども、啓発活動をするに当たって、民生委員の方が障害福祉の関係でも結構かかわってくると思うのですが、そちらのほうに対する研修みたいなものは考えておられないのですか。

○寺原医療観察室長
厚労省でございます。御質問ありがとうございます。
このプログラム自体は民生委員に対するものではございませんが、非常に大切な視点かと思いますので、御意見を参考にさせていただきたいと思います。

○伊豫座長
よろしくお願いいたします。
そのほか、いかがでしょうか。
一応、準備した議題は以上なのですけれども、それ以外で御質問や御意見を頂ければと思います。
原子構成員、お願いします。

○原子構成員代理
貴重な時間を申し訳ありません。
もしかすると、この前段階とかでも議論が出ていたのかもしれないですけれども、先ほど訪問看護の資料の中で、24時間対応体制加算というのが出ていたのですが、実は僕は東京都の措置入院の方たちの退院後支援ガイドラインの策定のところにも関わったときにも話をさせていただいたのですけれども、地域で退院してきた精神疾患の方たちを支えるときに、訪問看護というのはよくサポートの対象者というか、選んでいただけるのですが、そのときに、例えば措置入院の方にしても、医観法の方にしても、一般的に精神をやっているステーションであれば、最寄りのところとかいろいろなところに振り分けられてくるのですけれども、精神でやっているステーションでは24時間対応体制加算をとっていないところが結構多い。
地域性もあるのかもしれないのですけれども、結局、そういったところに訪問看護が割り当てられるということも多々あって、できればそういう措置入院も、医観法の方たちも含めて、例えば支援が手厚く必要だという状況で判断された場合には、24時間対応体制加算をとっている訪問看護ステーションが行けるような状況にするというのは、差別をするということではないにしても、サポートをする厚さからいうと、24時間対応体制加算をとっているステーションのほうがいいのではないかとずっと思っていて、これはほかでも言うのですけれども、なかなか受け入れられない意見みたいで、それはそれで仕方がないのではないかみたいに言われるのですれけれども、その性質上、サポートがもし厚く必要であれば、24時間対応体制加算をとっているところのステーションに訪問看護を依頼することは、選択肢としては難しいのかどうなのかということが一つです。
もう一つは、僕たちは医観法の方に限らず、とても重症な方とか、急性増悪をしている方たちのところに訪問に行くときには、通常、今の1日に複数回訪問というのは、ごくごく限られた範囲の中でしか認められていないのですけれども、診療報酬がとれなくても1日に2回行ったりとか、1日に3回行ったりとか、そういうことをしているのです。それでも1日に1回しかコストが取れないのですけれども、医観法の方たちに関しても同様で、うちのステーションでも朝、行った後に夕方もう一回見に行かなければならない場合とかがあって、それは無償でやらなければならないということが時々起こるということがあるので、これは一般的なステーションと並べても、同一日に2回行くというのはごくごく限られた状況ではないと行けないので、医観法だけというのは難しいのかもしれないのですけれども、今後の中ではその辺も検討していただけるとありがたいのかというのがもう一つです。
もう一つなのですけれども、これは今の訪問看護ステーション全体の中で問題になっているのですが、複数名加算というのが条件としては取れるのですが、先ほども出ていましたけれども、複数名加算は条件があって、一定の条件の中で複数名訪問加算というのを取ることになるのですけれども、今、かなり訪問看護ステーションの中では複数名で行くというのをおしなべてやっているところが多く、これは複数名で必要ではないところでも、例えば男性のところだから複数名で行かなければならないとか、過去に暴れたことがあるから、落ち着いている今でも複数名で行かなければならないとか、そういうアセスメントなしに複数名で行っているステーションも結構あって、ここはアセスメントをきちんと入れるとか、その辺のきちんとした明確なラインがあって複数名を使うというほうがいいのではないかと思うのです。今はもう医者の指示書があればどのような状況でも行けてしまうということが一方では起こっているということがあるので、この辺はどうしたらいのでしょうかということの3点を。

○伊豫座長
ありがとうございます。
最初の24時間対応加算の訪問看護ステーションというのは、どちらかというと対象者の弁護士さんとか社会復帰調整官とかで対応していくことが多いのではないかと思うのですけれども、その辺は何か事務局のほうで御意見がありますか。

○寺原医療観察室長
厚労省でございます。御質問ありがとうございます。
まず、医療観察24時間対応体制加算についてでございますが、まず、訪問看護ステーションの指定通院医療機関というものが、今年度の4月1日時点で416ございます。全体の訪問看護ステーションの数が約1万ちょっとでございますので、約5%が指定通院になっていただいている状況でございます。
その中で、今年度の2月から4月の診療報酬のデータになりますけれども、24時間対応体制加算を取っている割合が36%でございます。これは指定通院の訪問看護ステーションのうち、36%が24時間対応体制加算を取っておりますので、残りは取っていないという状況でございます。
まだまだ約5%しか訪問看護ステーションの中で指定通院になっていただいているところはない状況ですので、この加算を必須化すると、対象者に対して対応できないところが非常に増えてくるという問題もありますので、そこはしっかりと考えなければならないかとは思います。
ただ、原子構成員がおっしゃる点はいろいろな現場から聞きますので、それはどういう状況なのか、またいろいろとヒアリングを続けていきたいとは思います。
2点目と3点目でございますが、2点目の2回以降の訪問のことに関しては、健康保険のほうとの兼ね合いもありますので、そちらでこれまでどういった議論をされているのかというものを改めて確認したいと思います。
3点目の複数名の加算につきましても同様ですが、私が覚えている限りでございますけれども、健康保険の中医協の検証委員会の中に、どういった理由で複数名が必要かというデータもあったかと思いますので、そういったものを参考にしながら見たいと思いますが、医観法の中で、健康保険にはない独自のものを評価するということになるのであれば、しっかりと医観法の中のデータを取る必要があると思います。
今回はいずれにしましても、現時点でデータがないので難しいと思いますが、しっかり参考にさせていただきたいと思います。

○伊豫座長
ありがとうございました。
そのほか、いかがでしょうか。
長谷川構成員、どうぞ。

○長谷川構成員
前回も申しましたけれども、往診がある場合に報酬がないということと補完型でデイケアやグループホームなどを提供している場合に、ケア会議に出たときに報酬はないということを検討していただきたい。
また、診療所の立場から申しますと、診療所が指定になった場合に必ず後方支援病院という病院さんがつきますけれども、ケア会議などで出た場合に、その後方支援病院さんに何か報酬が認められるほうが、私たちのほうも連携しやすいということが言えますので、御検討いただければと思います。

○伊豫座長
コメントはいかかでしょうか。御検討いただいてよろしいでしょうか。
それでは、村上構成員お願いします。

○村上構成員
クロザピンのお話ですけれども、入院医療機関のクロザピン使用はほぼ全施設で可能になっています。通院のほうが問題になってくるのですが、この通院のほうの、指定通院医療機関の中でのクロザピンの使用の割合といいますか、使用する施設が増えていくかどうかについては、何かデータはございますでしょうか。

○伊豫座長
いかがでしょうか。

○寺原医療観察室長
まず、指定通院の中で、CPMSに登録している機関が5割ほどだったかと思いますが、一般の医療機関と比べると、施設になっていただいているところの中ではなるべくクロザピンが使えるようなところということをお願いしている状況でございます。
その中で今、どれぐらいクロザピンを使っているかというデータは、今の時点では持ち合わせてございません。

○伊豫座長
よろしいですか。
そのほか、いかがでしょうか。
どうぞ。

○村上構成員
先ほど一番最初の説明の中に、終局処理状況でこの表がございました。これは全体のデータなのだと思うのですけれども、ただ、どうしてもこの間ずっと言われているように、全体でどのような動向になっているか、要するに、医療観察法の対象から外れていく終了報告みたいなものがないと、なかなか全体像がつかめない。
入院に関してはデータベース事業があって、これはかなりきっちりとデータが押さえられるようになっていますけれども、通院のほうに関しては保護観察所のほうがデータを持っているでしょうが、我々のほうはどうしても調査という形でしかデータが出られないので、悉皆調査という意味では、この数だけではなくて、全ての医療監査が終了したときに、どのような状況にあって終了したのかというデータが必ず必要になってくるだろうと思うのです。
この辺のデータの取り方はお考えでしょうか。

○寺原医療観察室長
厚労省でございます。
先生が御指摘の点で、どういうふうに通院処遇が終わっているのか、あるいは、その後どうなっているのかというのは非常に大切だと思っています。
医療観察法の目的が社会復帰でございますので、処遇終了の状況、その後どうなったかも含めた状況の把握が必要と思っておりまして、これまでそういったデータも、研究班でも十分ではありませんでしたので、今後そういった終了の状況、あるいはその後の状況も追えるような形でアンケートの内容を来年度修正してほしいということを今、平林先生の研究班のほうに既に御相談をしている状況でございます。

○村上構成員
その場合に、法務省の協力というのが大事になってくると思うのです。厚生省と農水省のデータをどう突き合わせていくかという問題になるのですが、法務省のほうは何か御見解はございますか。

○滝田精神保健観察企画官(法務省)
法務省の方では御指摘いただいたとおり、処遇が終わった段階で、それが処遇終了という決定で終わったのか、期間満了で終わったのか、あるいは再入院という形で地域処遇が終わったのか、そういった統計自体は持ち合わせております。
ただ、その後、地域に引き継いだ後どうなっているかということになりますと、そこは法務省の立場ではなかなか難しい部分もありますので、研究の枠組みでやっていただくと非常に有用なデータになるかということでございまして、そのあたりの対応については、厚労省さんとも御相談をさせていただきながらと思っております。
研究への協力については、現に調整官の方でも調査結果をお返しするような形で対応させていただいておりますので、引き続き協力させていただきたいと思っております。

○伊豫座長
私のほうからなのですけれども、審判員を最近も何回かやっているのですけれども、そうすると、当然精神疾患の診断というのはどうしても年数を経ると、変わることもあるとは思うのですけれども、鑑定入院医療機関の診断能力とか、その辺の向上を相当望まれるのではないかと思っています。
かつ、指定入院医療機関においても、入院してから、何でこういう方がこちらに来るのかということも少なからずあるということで、そういった取り組みについても検討してもらいたいのですけれども、いかがでしょうかということです。
要望というか、平林先生のところとかはあまりないですか。実際に対象者が入院してきて、驚くべき診断がついていたといったことはあるのではないかと思います。

○平林構成員
御指摘のとおりかと思います。
鑑定入院医療機関の診断能力の向上というのは特に必須かと思います。
指定入院医療機関に入院してきてから診断が変更されるケースも実際にあるのは事実だと思います。
ただ、一方で鑑定入院医療機関、指定入院医療機関、通院医療機関から、さらに一般の精神医療を引き受けた医療機関と考えますと、徐々に情報量がかなり増えてきますので、必ずしもどちらがいいというわけではないのだろうと思います。
一応、厚生労働省から御指示を頂いて、一つは、入り口の問題として、診断をつけた後に三要件に沿って、どういう形でカンファレンスをして処遇を決定していくかというプロセスに関して、鑑定書の書式で診断や三要件の考え方、必ず踏まえるべき事項というのをつくってコントロールしようかということで、今、岡田先生が取り組んでくださっています。
同時に、裁判所の裁判官の方たちが参加してくださっていて、その判断していくプロセス、三要件をきちんと見た上で入院、通院の決定をしたかどうかというプロセスをフローチャートにして作り込んで、誰が判断してもある一定の水準が保たれるようにということで、ツールを作成中になっています。
それは来年後半ぐらいには案ができてくると思いますので、関係の先生方にはまたお使いいただいたりして、御意見を頂ければと思っています。

○伊豫座長
ぜひ推進していただきたいと思います。
そのほか、いかがでしょうか。
竹村構成員、どうぞ。

○竹村構成員
竹村です。
今のに関連して、こういう例がありましたというものなのですけれども、要は我々が対象者と付添人として接するときに、全然鑑定などやっていないみたいなことを言う方がいるのです。そのときに何を言っているかというと、多分、助手が何かやったということは排除して、ドクターと直接会ったのはほんの2~3回、合計15分ぐらいとかいう方も出てきたので、これは本当に鑑定しているのかとなるので、当然、意見書の中ではそれを指摘します。
裁判所はちゃんとやっていると答えてしまうのだけれども、そうすると、鑑定の過程についての透明性というのを、検察官の同意書証ではないですけれども、どこか確保できているといいのかというのは感じました。
御本人はそれで診断名が違うだろうとか言っているのですけれども、僕は間違っていなかったのだろうというケースだったのですが、それはあったほうがいいかというのがありました。
御報告がてらということです。

○伊豫座長
ありがとうございました。
村上構成員、どうぞ。

○村上構成員
そのあたりのことは、法律の根幹に関わるところだと思うのですけれども、この鑑定に関する部署といいますか、誰がこの鑑定書を検討する責任があるのかというのは、最終的には裁判所が決定しているから裁判所ということになるのでしょうけれども、その中の調査や検討ということについて、明確ではないと僕は思っているのです。
ですから、医療観察法の鑑定に対して、誰がこの検討に関して責任を負うのかという部署が決まっていない。厚生労働省でもない。法務省でもない。最高裁はそういうことはしないと言っているというところで、この問題は確かにあるのだろうと思うのです。ですから、これをどういうところで検証していったらいいのかということが、先ほど平林先生がおっしゃったような、医療側のほうでその手順を決めて、どういう問題があるかということについて、一つのガイドラインを示していこうという流れなのだと思うのです。
ですが、このあたりの三者の協議は僕は必要なのだと思います。法がスタートするときに三者の協議というのはあったので可能なのだろうと思うのですが、裁判所と厚生労働省と法務省が、この鑑定に関する協議をしていく。意見交換をして、問題点の整理をしていただく。これが大事なことなのではないかと思います。

○伊豫座長
ありがとうございます。
あと、もう一つは裁判所ということですけれども、精神科医としてかかわる審判員ですね。合議体の審判員の精神科医としてかなりしっかり対応していかないといけないと思いますけれども、その辺の教育も必要なのではないかと改めて思っているところです。
柑本構成員、どうぞ。

○柑本構成員
鑑定入院のことが出てきたので、論点は違うのですけれども、ぜひこれは記録にとどめておいていただきたいと思うのが、鑑定入院中に隔離、拘束をするといったことに関する法律の規定が全くないところで、厚労省が出した通知に基づいてそういったことをやっているという現状があるわけでして、それは法律施行後5年のときの見直しでも申し上げたのですけれども、現状問題がないからいいのではないかということで済んでしまっている事柄なのです。
ですけれども、法律的にはそこはきちんと整備していただかないと困ると思っていますので、いつかそれを検討する機会をつくっていただけたらと思います。
お願いです。

○伊豫座長
ぜひよろしくお願いいたします。
そのほか、いかがでしょうか。
どうぞ。

○村上構成員
多分、入院処遇になった場合にはかなりいろいろなところで検討するプロセスがあるのですが、例えば直接の通院処遇になったときに、それが妥当だったかどうかについて検討する場はすごく乏しいのだと思うのです。通院を受けたところが急に受けて、そこから始まるわけですけれども、そういうことに関しては、検討する主体はどこになるのでしょうか。
例えば、私が迷ったケースで、結局裁判所のほうに鑑定人を入れて協議をいたしまして、非常に短期間の入院という形をとるということもあり得るのではないか。例えば、半年以内で退院させていく。その中で、本当にこれは通院でよかったのか、入院だったのか、グレーゾーンがあるのです。グレーゾーンに関する責任はどこが検討する主体なのかというのはよく分からないのです。何か御意見はございますか。
今は入院か通院か、どちらかですね。処遇もありますけれども、通院か入院か迷うケースがあるはずですが、迷ったはずのところで、どこが検討しているのかというのはよく見えてこないのです。

○伊豫座長
検討というのは、後からということですか。

○村上構成員
後からです。それが妥当であったかどうかがあるからこそ、フィードバックをして、今度はこういう方向で行こうという修正が行われるはずなのだけれども、入院の場合には様々な議論があって、修正を行おうとしている努力をする場所があるのですけれども、通院になると、これはもう受けたところがばたばたして、不満があって、何も出てこないけれども終わっているというところが多いと思うので、直接通院になったときの検討は、もう一回しっかり光を当てるべきだと思います。

○伊豫座長
通院医療機関で何か問題に思ったときに、どこにフィードバック、相談等をすればよろしいかということなのでしょうか。
これは地方厚生局。

○寺原医療観察室長
厚労省でございます。
まず、当然、地方裁判所が処遇の決定をした上で直接通院になるわけですが、その後、何らかの状況に陥った場合には、保護観察所の長等が申立てをして、医療観察法の入院になるケースもあると思いますので、そういったケースはあると思いますが、一件一件、あるいは総体としてそれが妥当であったかという検証の場、それに特化したものがあるとは認識していないです。

○伊豫座長
今後の大きな課題かと思います。
そのほか、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。
それでは、皆さんありがとうございました。事務局のほうに進行をお返ししたいと思います。
よろしくお願いします。

○石田医療観察室長補佐
本日は貴重な意見をいろいろありがとうございました。
それでは、本日はこれで閉会とさせていただきます。ありがとうございました。

 

照会先

厚生労働省

社会・援護局障害保健福祉部精神・障害保健課
医療観察法医療体制整備推進室
TEL:03-3595-2195