第10回厚生労働省公共調達中央監視委員会

(第二分科会)審議概要

 

【問合せ先】

厚生労働省大臣官房会計課監査指導室

電話03−5253−1111(内7965)

 

催日及び場所

平成22年3月17日(水) 厚生労働省専用第21会議室

委員(敬称略)

第二分科会長  浅岡 輝彦  あさひ法律事務所 弁護士

委 員     枝松 広朗  あおば公認会計士共同事務所

委 員     松永 賢次  学校法人専修大学ネットワーク情報学部准教授

審議対象期間

原則として平成21年10月1日〜平成21年12月31日の間における調達案件

抽出案件

10件

(備考)

「報告案件」とは、各部局に設置された公共調達審査会において、不適切等と判断した案件について、報告を受けたものである。

報告案件

 0件

審議案件

10件

意見の具申または勧告

なし

委員からの意見・質問に対する回答等

意見・質問

回   答

下記のとおり

下記のとおり

 

 

意見・質問

回   答

 冒頭、事務局から、24都道府県労働局における公共調達監視委員会の活動状況の報告を行った。

【審議案件1】

審議案件名:平成21年度院内感染対策講習会事業

資格種別 :役務の提供等(B、C又はDランク)

選定理由 :企画競争、1者応募

発注部局名:医政局

契約相手方:社団法人日本感染症学会

契約金額 :28,420,000円

契約締結日:平成21年8月19日

毎年講習会をやるという意味は何かあるのでしょうか。毎年やらなければいけない理由があれば教えて下さい。

また、受講者側からみて、どのくらいの頻度で受講しているのですか。

例えばノロウイルスであったり、新型インフルエンザであったり、その時々で新しい革新的な技術の周知が必要となります。

毎年募集枠一杯に応募がありまして、人によっては2年3年と待っている状況もあると聞いています。

これまでずっと感染症学会と契約しているということですか。

はい。

契約金額はどういう推移となっていますか。

契約金額は、企画書作成要領に予算額を明記しており、その範囲内で出来うる研修の方法や内容を企画して頂いています。今回は、予算額2,886万円に対し、企画書においては、2,842万円となっております。

講習会の品質のチェックはどのように行うのでしょうか。

事業終了後に実績報告が提出され、その内容を確認して支払いしております。

 

特に意見はありません

 

【審議案件2】

審議案件名 :平成21年度医療情報システムの相互運用性確保のための対向試験ツール開発事業

資格種別  :−

選定理由  :企画競争案件中契約金額最大、1者応募、再委託

発注部局名 :医政局

契約相手方 :一般社団法人日本IHE協会

契約金額  :132,090,000円

契約締結日 :平成21年10月19日

この団体はどういった団体でどのような事業を行っているのですか。

理事として医療情報部門の大学教授や、会員として電子カルテを推進しているような大きなベンダーも参画しています。事業としては企業相互で運用するための接続試験等を行っていると聞いております。

この団体が受託後、大部分の事業をベンダーに委託し、残りがこの団体の収入となるのですか。

団体とベンダーの事業に違いはあるのでしょうか。

 

 

残りの経費は、このツールを開発する上で医療機関との情報のやりとりなど、そうした部分について専門家を集めて検討する委員会経費になっております。

団体は進捗管理や企画立案の全てを行い、ベンダーはソフトウエア開発等の専門的な分野の事業を行います。

普及開発委員会というものは何をする委員会なのですか。

 

 

 病院がいろいろなシステム部門を入れる際、どのような方法が良いのかについて説明会を実施するなどの普及事業を行っております。

 

対向試験ツール開発事業というと狭い範囲を想像しますが、事業内容の範囲に含むという募集要項になっているのですか。

募集要項では、開発部門と普及部門ということでお願いしております。

募集要項では企画書提出期限が非常に短いのですが、他の業者が参入出来る十分な時間を取っているとは言い難いと思うのですが。

ご指摘の通りと思いますので、改善させて頂きます。

企画書の審査にあたり合格基準点は想定されているのでしょうか。

特に基準は設けておりません。

本件は企画競争する意味があるのでしょうか。

事業内容が曖昧で結果的にいつもこの団体と契約してしまうような印象を持ちました。

他の調達では、実施要領をより明確化して他の業者が入れるようにする工夫する方向にあるなかで、本件には少し特異な印象を抱きましたので工夫をお願いします。

 

【審議案件3】

審議案件名 :雇用保険トータル・システムにおける育児休業給付改正対応に伴うシステム改修

資格種別  :−

選定理由  :随意契約、高落札率

発注部局名 :職業安定局雇用保険課

契約相手方 :日本ユニシス株式会社

契約金額  :53,146,275円

契約締結日 :平成21年12月9日

法律改正によって計算式が変わるということは頻繁にあると思いますが、そうした場合でもシステム業者と随意契約するということが慣行なのですか。

最適化によりオープンシステムとなるシステムについては、改修案件も原則入札で調達することとなっていますが、本システムはそれ以前のレガシーシステムですので、随意契約という形になっております。

レガシーシステムの場合はシステム業者が著作権を持っているということですか。

基本的に本システムを契約相手方が全て持っており、著作権の関係もあるので、今回の相手方しか出来ないという流れになっております。

見積の妥当性についてはどのようにチェックするのですか。

部局に設けております外部委員も含めた最適化評価委員会におきまして、随意契約の適正化についても審査しております。

委員会では見積価格についても審査するのですか。

 

実際に価格交渉を行い、価格を下げて折り合った額で契約しております。

まず最初に見積を出して貰って、それをこちらでチェックして、相互に検討していって最終的な金額を詰めていくということでしょうか。

そういうことになります。

特に意見はありません。

 

【審議案件4】

審議案件名 :次期労働保険適用徴収システムに係るアプリケーション保守業務一式

資格種別  :役務の提供等(Aランク)

選定理由  :総合評価落札方式中契約金額最大、低入札価格調査

発注部局名 :労働基準局労働保険徴収課

契約相手方 :富士通株式会社

契約金額  :582,750,000円

契約締結日 :平成21年12月4日

アプリケーションを開発し、納入されたものに対してきちんと動くかどうかをチェックして、日々モニタリングして問題があれば手直しをアプリケーション開発業者に要求することになるのですか。

開発業者は今回の入札に参加して落札に至らなかった業者です。納品時点では既に総合テスト等は終わっており、どの業者であっても手順書に従えば動かせるようになっていますが、当然、開発後の瑕疵の対応や運用面でいろいろな不具合が生じる場合がありますので、この場合は、アプリケーション保守業者が一手に指揮をとり運用していくことになります。

本来はアプリケーション開発業者が有利になりそうですが、ちがう会社が落札したということですか。

実際に開発業者と保守業者が異なっているという例は初めての例ではないかと思いますが、総合評価による審査の結果です。

低入札価格についてですが、人件費の予定価格単価の根拠はどこからもってこられましたか。

リサーチ会社がIT関連開発業者の一般的な工賃額を企業別に一覧にした表がございまして、そこから平均的な価格を算出しています。

積算工数について、予定価格の積算と実際の見積の差はどういうところにあるのでしょうか。

入札をかける際に安全率として多めに工数を見積もっていますが、差は安全率の範囲内と思っております。

低入札価格調査にあたりヒアリングを行って、突発的事象によって一時期に膨大な工数が必要となり、結果として契約期間内に工数を超えた場合でも対応可能かどうか確認しております。

 この業務の場合、親会社と子会社が一緒に作業するという状況が多々見られると思いますが、子会社であろうと、契約相手方以外の人が入ってくるならば、必ず再委託申請を提出させているのですか。

 

基本的に全部提出させるようにしています。

 特に意見はありません。

 

【審議案件5】

審議案件名:新型インフルエンザA(H1N1)ワクチン(4950万人分)

資格種別 :−

選定理由 :随意契約案件中契約金額最大、再就職の役員(1名)、高落札率

発注部局名:医薬食品局

契約相手方:グラクソ・スミスクライン株式会社、ノバルティスファーマ株式会社

契約金額 :112,608,252,900円

契約締結日:平成21年10月6日

実際に接種希望者がワクチン接種を受ければ医療機関で費用を支払うということですが、どのような仕組みになっているのでしょうか。

国が一旦買い上げて、販社という販売部門に払い出し、その後、卸業者が都道府県の依頼に応じて販社から購入し、各医療機関へ販売することとなっており、販社はその対価を国に支払うこととなっております。

販社というのはどのような会社ですか。

 

 いわゆる医薬品では製造元と販売元がありまして、販売元を販社と呼んでいます。今回のワクチン製造元はまさしくワクチン製造メーカーですが、販売ルートを持っていないので、大手医薬品メーカーを販売元としています。

ワクチンには薬価基準が無いようですが、契約価格はどのように決定されたのですか。

 契約にあたり価格交渉を行いましたが、メーカー側は世界一律の価格ということで値引き交渉には応じませんでした。

契約書内容が非開示とされていますが、理由はなんですか。

各メーカーは世界各国で契約を結んでいますが、メーカー側として日本の契約条件が公表されると各国での契約交渉上不利益が生ずるということから、今回の契約交渉において譲れない条件とされたものです。

特に意見はありません。

 

【審議案件6】

審議案件名 :タミフル115,000,000カプセルの購入

資格種別   :−

選定理由  :随意契約、高落札率

発注部局名 :大臣官房会計課

契約相手方 :中外製薬株式会社

契約金額  :22,169,700,000円

契約締結日 :平成21年8月5日

処方箋医薬品として流通しているということは、薬価が存在するということですか。

 

 

一般に流通しておりますので薬価は存在しております。

購入単価につきましては、製造会社であるロシュ社が、各国政府の備蓄用タミフルの販売単価を10カプセルあたり15ユーロとして価格設定しており、為替レートを勘案して、日本における販売単価が設定されております。

ロシュ社から中外製薬が輸入をしてそれを備蓄用として購入されたということですが、販売価格はロシュ社が決めているのですか。

15ユーロという価格は固定されている価格であると理解しております。

備蓄されたものはどういうルートで流通するのですか。

国の備蓄分につきましては、パンデミック時に都道府県備蓄分が不足するという状況になったときに、国が要請をうけまして都道府県の卸業者へ送るということになっております。

 卸業者にはどのような価格で売却するのですか。

薬価から卸業者の販売経費や保管経費を差し引いた価格で販売することになっております。

有効期限はどれくらいあるのですか。

7年間です。

特に意見はありません。

 

【審議案件7】

審議案件名 :画像情報検索システムに係る運用業務等一式

資格種別  :役務の提供等(A、B又はCランク)

選定理由  :一般競争入札方式中契約金額最大、1者応札、単価契約

発注部局名 :大臣官房会計課

契約相手方 :新日鉄ソリューションズ株式会社

契約金額  :161,611,380円

契約締結日 :平成21年10月1日

システム開発した業者が運用もやりたいと言っているということですか。

 

このシステムは戦時中の資料の電子化というところですが、資料自体がカビや紙質劣化でさわっただけでも崩れてしまうという状況です。

普通の電子化する業者であれば自動給紙装置を使いスピード化を図っていますが、資料の状況からすべて人力でやっていくしかありません。

入札説明会で資料の現物を提示していますが、参加業者からこれでは手に負えないという声がいくつか聞こえております。

当初は随意契約でこの業者が運用もやっていたところ、一般競争に切り替えたということですか。

契約価格は随意契約時と変わらないのですか。

平成6年から随意契約で実施しており、平成19年に一般競争に切り替えたときには価格は下がっておりますが、その後は1者応札ですので価格は横ばいとなっております。

入札説明会には複数来て頂いているのですか。

今回につきましては5者が説明会に来られましたが、応札は1者だけでした。

 1年間で相当の枚数を処理するのでしょうか。

数十万件という数となっております。

戦後70周年であります平成27年度を持って全ての資料を電子化すべく、今、工程表を作成しているところです。

 言ってみれば、毎年15千万円かけてあと5年は続けていくということですね。

大臣から、国立公文書館へ移管するように指示がございまして、電子化したものを、順次、公文書館へ移管していこうという計画でおります。

 電子化したものを公開されるような形にして、使ったお金の価値に見合うものにするということでしょうか。

国民共有の財産という位置付けで、歴史的にも貴重な資料でございますので、国立公文書館へ移管を進めて行きたいと考えております。

 特に意見はありません。

 

【審議案件8】

審議案件名 :社会保障カード(仮称)の制度設計に向けた検討のための実証事業に関する請負業務

資格種別  :−

選定理由  :企画競争、1者応募、高落札率、類似案件複数

発注部局名 :大臣官房会計課

契約相手方 :株式会社日立製作所

契約金額  :279,244,980円

契約締結日 :平成21年8月20日

【審議案件9】

審議案件名 :社会保障カード(仮称)の制度設計に向けた検討のための実証事業に関する請負業務(第2次募集)

       他5件

資格種別  :−

選定理由  :企画競争、高落札率、類似案件複数

発注部局名 :大臣官房会計課

契約相手方 :株式会社エヌ・ティ・ティ・データ 他

契約金額  :1,885,972,881円

契約締結日 :平成21年8月20日

【審議案件10】

審議案件名 : 社会保障カード(仮称)の実証事業に係るマネジメント及び制度設計に向けた検討のための提案に

        関する請負業務

資格種別  :−

選定理由  :企画競争、高落札率、類似案件複数

発注部局名 :大臣官房会計課

契約相手方 :日本システムサイエンス株式会社

契約金額  :224,690,000円

契約締結日 :平成21年9月11日

全体としてこの3つの案件はどういう関わりになっているのでしょうか。1次募集と2次募集の違いは、提出期限が異なることだけですか。

1次募集につきましては当初予算で予算化されたものであり、2次募集分はその後、補正予算で予算化されたものです。実証の内容はそれぞれ異なっており、各コンソーシアムで地域の実態に応じた形で社会保障カードの実証実験をおこなうものです。

見積金額はほとんどがほぼ予算額に近い金額となっているのですが、予算は目一杯使ってその中でいいアイデアを持ってきて下さいということですか。

価格での競争としますと規模が小さいところが有利になるので、あくまでも企画での競争ということで、与えられた予算のなかで国民に理解いただけるような実証を行うこととしました。

 マネジメントの会社が後で決まるという意味合いはなにかあるのでしょうか。

当初は、当初予算措置のみでの事業でしたが、補正予算で6件が措置され、7件の事業となると国で全てマネジメントすることは困難なため、補正予算措置時にマネジメント事業も予算措置して頂きました。

お金が適切に使われているかどうかの判断は最終的にどのように確認するのでしょうか。

請負契約ですので、業務を仕様書どおりに行って、最終的にきちんとした報告書を提出頂くことをもって確認することとなります。

 

マネジメントする会社が、計画についておかしいといえるのでしょうか。

そこはマネジメント会社の方でやって頂くようにしています。

会計処理の確認も仕様書の中に業務として盛り込んでおります。

 

実証する地域とベンダーの関係というのは非常に強いのですか。

 各地域、自治体ではシステムを導入しており、例えば1次募集の契約の相手方の日立製作所は、実証地域である三重県名張市が導入しているシステムのベンダーということです。

 

 特に意見はありません。