第3回厚生労働省公共調達中央監視委員会

(第一分科会)審議概要

 

【問合せ先】

厚生労働省大臣官房会計課監査指導室

電話03−5253−1111(内7965)

 

催日及び場所

平成20年6月30日(月) 厚生労働省入札室

委員(敬称略)

第一分科会長  上野  淳  首都大学東京教授・基礎教育センター長

委 員     小川  広  独立行政法人日本原子力研究開発機構

財政部 上席参事

委 員     松原 健一  安西法律事務所 弁護士

審議対象期間

原則として平成20年1月1日〜平成20年3月31日の間における調達案件

抽出案件

10件

(備考)

「報告案件」とは、各部局に設置された公共調達審査会において、不適切等と判断した案件について、報告を受けたものである。

報告案件

 0件

審議案件

10件

委員からの意見・質問に対する回答等

意見・質問

回   答

下記のとおり

下記のとおり

 

 

意見・質問

回   答

 冒頭、事務局から、21都道府県労働局における第三者委員会の活動状況の報告を行った。

【審議案件1】(公募の実施・一者応募)

「画像診断棟内ネットワーク整備一式」(国立身体障害者リハビリテーションセンター)

公示は、どういう方法でしているのか。

ホームページの掲載、掲示板に貼るといったことです。

仕様書を取りに来た業者は何者か。

コニカ1社だけです。

 予定価格は、業者が決まってから見積書を取って作成するのか。

予定価格をつくる前に、公募のあった業者から定価証明であるとか、他の施設等への納入実績を出させまして、それに基づいて予定価格を作成しました。

見積書の前に予定価格は作成しています。

2月8日に公示をして、意思表示期限が2月22日、2週間とっているわけですが、これは通常そのくらいの期間をとっているのか。

通常1ヶ月くらいとる場合がありますが、今回については病院でレントゲンの画像がプリントアウトできないため、診療に影響するということで、短い公告期間を定めたといった状況でございます。

公募をしたが1社しか応募がなく、随意契約にしたわけだが、その作業のプロセス等、予定価格をリハビリテーションセンターとして主体性を持って設定するというプロセスに若干の疑義がある。

定価証明や見積を参考に予定価格を決めたということが、著しく不適正であるとは言えないが、発注者側として、どういう修理等をすればいいかということの手探りの状況では、やむを得ないと思われるが、やはり発注者としての主体性において予定価格を設定するということができなかったかどうかについては、若干の疑義が残る。

では、そのように指摘をさせていただき、この件は結構です。どうもありがとうございました。

 

【審議案件2】(低入札価格調査実施)

「宿舎棟改修工事」(国立神戸視力障害センター)

低入札案件で、著しく安い入札価格ではないという結論ですが、予定価格の積算はどのようにしているのか。

今回の工事は、専門性を有するので、設計事務所に外部委託し、それを参考に予定価格を作成しています。

工事費内訳書は、設計事務所に外注して積算をさせた結果が示されて、設計事務所のエアコン1台当たりの単価設定が甘かった、それが低入札になった原因ですか。

原因です。

一般競争入札の手続そのものには瑕疵はなかったが、予定価格積算において、設計業者のものをうのみにしないように、十分慎重にやっていただきたい。今後、よろしくお願いいたします。

 

審議案件3】(一者入札)

「輸入食品・検疫検査センター排気処理装置改修その他工事」(横浜検疫所)

1社しか応札しなかったというのは、何か理由は考えられるのか。

公示は合同庁舎5号館、入居している合同庁舎、それと整備局の掲示板、ホームページ、併せて建設業者の広報誌への掲載を依頼いたしまして、広報を図り、事前に3社の申込みがありました。

2社は応札には至っておりません。応札に至らなかった1社は、資格は持っていたが、近く処分があるという情報があったので、辞退をしてもらいました。結果的に、入札に応じた業者は1社のみでございました。

 このA社、B社と国際ビルサービスの間に、何かの話し合いとか談合があったというようなことはないのか。

確認できておりませんけれども、ここで申し上げましたA社が、近く処分を受ける予定という自己申告があったということしか承知できておりません。

一般競争入札の公告をし、3者に入札説明書を交付したが、1者しか応札しなかったので、こういう結果になった。

特段何か指摘するような事項もないということで、ご苦労さまでした。

 

【審議案件4】(不調による随意契約)

「愛知国際児童年記念館(平成19年度)改修工事」(雇用均等・児童家庭局)

一般競争入札の公告を出したが、応募が一者もなかったということなのか。

そうです。

11月16日の入札公告は、どんな媒体で、どこに出しているのか。

愛知県庁の中に場所を借りて、そこに張り出しています。

 ホームページや、業者広告などはどうか。

ホームページには載せていません。

1者も応札がなかったので、随意契約にするということ自体は、特段手続におかしいことではない。随意契約にとって予定価格を下回っていると言うことにおいて、重喜防水に決まったわけですか。

 そうですね。予定価格は当初のものから変更しておりません。

意見を申し上げるとすると、県庁に張り出したという辺りの公報、公示の仕方が、今後、もう少しあまねく、広く知らしめるため、ホームページの掲載とか、その他の媒体を工夫して、1者も応募がないということを、できるだけ避けるような手段に努力していただきたい。よろしくお願いします。

 

【審議案件5】(指名競争入札・高落札率)

「国立療養所大島青松園第一管理センター雨漏り修繕その他工事」(会計課施設整備管理室)

指名競争にしているが、応募者数が少ないだろうという理由で指名競争できるのか。

一般競争しても競争するほど業者が集まらないというようなことが考えられる場合は指名競争できます。

一般競争入札にしておけば、指名以外の業者が応札してくる可能性があったのではないか、それを排除していいのか、指名競争というのは、ある程度資格がある者でないとできないだろうということで指名競争するのであって、今回のような場合は、もっと広くできる行為だから指名でやる根拠にはならないのではないかと思うが。

期間が余りに切迫していたことと、過去に、業界3誌に公告記事を掲載し、かつホームページにも掲載した一般競争入札の大きな工事で5社の応札があったが結局2社が辞退して3社での競争となったことがあり、それ以上集まるということは、まずないだろうというのは予測できましたので指名競争入札をしました。

応札が全くないことを、契約ができないことをおもんぱかって、あらかじめ10者の意思を確認し、7者の指名競争入札にした。それで、2回目の入札で99コンマ何%の落札率で落札者が決定した。

特段何か不適切であったという指摘をするまでには至らないが、範囲を狭める指名競争入札は、果たして適切であったかどうかという疑点がある。

どうもご苦労様でした。

 

【審議案件6】(不落による随意契約)

「国立療養所大島青松園排水路水門改修整備その他工事」(会計課施設整備管理室)

相当業者にとっては魅力のない仕事だったのか、あるいは予定価格が余りに厳し過ぎたのか。

予定価格が厳しいというのはないと思います。しかし、工事範囲が広範囲で、工期も厳しいということが原因かもしれません。

離島であること、工期が厳しいこと、季節も厳しいこと。こういうのは、例えば夏ごろとか秋ごろとか、早く工事を発表するということは難しいことなのか。

大体今時分に予算内示があり、内示後に設計等の手続きをするので、難しいこともあります。

そういう問題は、省庁全体としてあるような気がする。

結局、合田工務店が予定価格内の札を出したということなのか。

そうです。

C社が破産のため工事中断、出来高調査をして、12月18日に入札を実施したが、乖離が大きく中止となった。

 それらを受けて、指名競争入札にしたと。そして、3社が意思を表示したが、結局は2社が応札し、落札しなかった。第2回の入札でも落札しなかった。

 結果、最低価格の合田工務店が、2月5日、見積書を出し、予定価格を下回ったので、契約をした。

やむを得ないと判断できるのが、もともとそういう意味で時期的な問題、それから価格の問題、特に季節、工期の問題などで、相当厳しい条件だったのではないか、今後、こういう案件については再考の余地がある。ご苦労様でした。

 

 

【審議案件7】(コンサルタント業務)

「居住者棟更新築整備工事設計業務委託その2」(会計課施設整備管理室)

 第1回目の契約は、とういう調達種別なのか。

設計は指名競争です。

建築設計工事を3回に分けて発注することは、結構行われているのか。

3回というのは珍しい。あっても2回です。

第1回目に、頑張って低い入札価格を入れておけば、2回目、3回目は随契でくるに違いないと、そういう競争が働いてしまうという可能性はないのか。大きい建築工事の第1期の地下工事のときに、例えば50%ぐらいでとっておいて、2期、3期は随契だからとれるから元がとれるとか、そういうことと類似のことは起きないのか。

可能性はあるが、止める手段として、躯体だけ設計させれば、次はどの設計事務所でも入ってこられるということになります。

入ってこられるということは、随契にしなくてもいいということにならないか。

次に入るというのですかね、今回(業務委託その1を)やっていて、まさに履行期限が1月31日であったのだが、それと同じ日の(業務委託その2の)契約ですから、そのときにダブっている。期間がずれて発注するのならいいのですけれども、ほとんど契約期間の中で、次の工事が出たということもあって、現場もよく知っていますし、また現地調査に行って、新しい設計事務所に説明して、見てもらうと、かなり時間もかかるし、経費節減という観点もあり、随契にしました。

まず、発注した後に、時期切迫して残りの3分の1の2番目を出さなければいけないというときに随契にした、そのこと自体は理解できるが、何でややこしく3分の1とかで発注するのかは、ちょっと納得できない。

一遍に予算が付いてできるならば、それが一番いいのですが予算が付かないときは、こういうことになります。

入札監視委員会を始めたのは、何年前でしたか。割と大きい案件がありまして、国立の医療センターでしたか、世田谷でしたかね、子ども病院ですか。第1期工事が地下の基礎工事、2期、3期というふうに工事が分かれていまして、かなり大きい工事だったのですが、1期工事が地下と基礎で、どこかの大きいゼネコンが相当安い金額で落札した。それで、2期、3期は当然随契になった。

これは極めて不透明で、1期目に頑張って安い金額で取れば、2期、3期が随契になることを見越してというような力が働くのは、極めて不適切だという指摘をそのときにしたのです。そのことを今、突然思い出したのですが、予算が3分の1しか付かないという事情は理解できるが、本来、一体的であるべき設計工事、それを3期に分けて、それで2期目以降は随契にするというのは、ちょっと我々一般人には理解できない。

1回目の設計期間は。

1回目が、19年10月26日〜1月31日の、3か月です。

今回、1月30日までに3分の1の設計が終わって、2月1日から次の3分の1の設計をするということにおいて随契ということは、また現地調査をやるという意味では、別の業者にやらせるのは無駄なので、この随契という意味はわかるが、繰り返しになるが、3回に分けておいて、まず始めは一般競争入札、次と次は随契というやり方そのものに、やはりどうしても納得できないものがある。

というのは、全体工事があって、それに対して設計を一括して、あと工事の発注額が年度ごとに予算が足りないからそれを分割して年度ごとにやるというのはわかる、最初の設計の段階から、3回ですか。

最初の年で補正が付かなければ、3月31日までに第1回目の工事の契約をしていました。

最初の設計をやって、それに合わせた工事が伴っていないのでしょう。

そうです。工事を次に出そうと思ったのですけれども、補正が付いたのがわかりましたので、そうしたら一緒にやろうと、それで一緒に発注した方がいいだろうと。

 一緒に発注するというのは何を、設計だけでしょう。

そうです。工事も合わせて。

 工事もやっているわけですか。

いや、そうではなくて、工事も一緒に合わせて発注した方がいいだろうと。

工事は21年度に付くことが補正で大体わかってきたので、設計も全部一気にやってしまおうと、そういう判断なのか。

それが19年度中に3分の2設計して、今年度の内示があったので、今、残りの設計を引き続きやり、全部の設計が終了したときに、工事発注を一遍にする、順序になっています。

わかりました。今回、この件について随契になったということはやむを得ないと思うが、そもそもこういう設計業務について、3分の1ずつ発注しているということ自体に疑念の指摘があったということを言わせていただく。

ありがとうございました。

 

【審議案件8】(一者入札・高落札率)

「走査透過型分析電子顕微鏡一式」(国立医薬品食品衛生研究所)

定価証明書、類似品契約実績表などを出しておられる、D社と研究所との関係、あるいは(株)バイオテック・ラボとの関係についてもう少し詳しく説明していただきたい。

定価証明書を出したD社は電子機器メーカーです。NMRや電子顕微鏡といった分析用の機器を製造しているメーカーです。

 (株)バイオテック・ラボは、落札した業者ですが、分析機器を販売する取扱業者、販売店です。

D社は、この種の入札には応募する資格はないのか。

D社は、製造のほかに販売もしているので、入札の参加資格は持っていると思われます。

定価証明書は出したけれども、応札はしなかったということか。

はい。

仕様書は、限られた業者しか納められない仕様になっているわけではないのか。

仕様を決めるに当たり、実験内容等に照らし合わせ、どの機器が必要かを会議で決め、必要最低のレベルのスペックを記載してあるので、これを上回る製品であれば、どこのメーカーのものであろうと一向に差し支えないと考えています。

この仕様であれば、もう何者か応募があってもいいという判断だったのか。

はい。

今回の場合は、1者しか応札がなくて、かつぎりぎりではあるけれども落札したということにおいて、不適切であったという指摘には至らないが、国立医薬品食品衛生研究所の関連する案件で、1者、しかもそれがバイオテック・ラボの案件がほかにもかなり目立つ。1者しか応札に応じずしかも極めて高率の落札率であるという辺りについて、今後工夫を要する点があると感じるので、その辺について努力をお願いする。ありがとうございました。

 

【審議案件9】(低入札価格調査実施)

「既存添加物の安全性に関する試験(メチルチオアデノシン慢性毒性・発がん性併用試験)一式」

(国立医薬品食品衛生研究所)

3か年計画とは、どんな内容か。

最初は4,600万円でやって、その次の年はどうなるのか。また同じことをやるのか。

最低価格落札方式を実施しているが、3か年の総事業費(ライフサイクルコスト)の参考として、入札額とは違う形で提示してもらった。初年度は低額のところであって、かつ全体的な総額も低いところということで落札者を決定した。次年度以降は、資料の中では若干見にくいですが、初年度入札額2,648万、次年度が2,850万、平成21年は3,300万ということで、全体的な金額を明示してもらい処理したものです。

事業そのものは3年間やるが、競争入札は初年度だけやったということか。

次年度以降は随意契約になります。

資料の事業総額では基準となり得る額を下回ってないこと、また最低価格であることというのは、どういう意味か。

これが事業として、例えば3年間トータルで入札をやった場合に、1億だった場合に、その60%という意味の基準額、要は普通の低入札と同じ基準額ということで考えています。それよりも大きく下回るということであれば、実際に事業をするうえで、何か足りないものが出てくる恐れがあるので、そういう考えで判断の材料とするものです。

この場合、基準となり得る額というのは、いくらか。

事業総額でいうと、基準額は、予定価格に60%をかけた金額になります。

無理な金額だが、絶対に取りたいから低い金額を入れたと書いてあるが、民間の業者でやれるのかわからないけれども、全体としても無理な札を入れたと、しかも1年目は一番安くなっていると見てとれる。

実際、財団法人が落札していますが、それに継ぐのが3番目のE社、これも2,800万円ということで、大体競合するようなところであれば、価格競争していると思います。どうしてもここの財団の設置目的が、このような安全性の評価とかですので、国のこういう業務を取ることが、一つのPRにもつながるため、どうしてもここは取りたいということが働いているのではないかと推察しています。

結果だけを見ると、当初の予定価格が、果たして妥当なものであったかどうかと疑問に思うが。

この調達案件については、19年度に初めて入札に移行した経緯があり、実際に見積書等を取って予定価格を作成しましたが、ちょうどこの案件の1週間前に、同様なマウスを用いた試験の調達があって、マウスよりもラットの方が若干大きい動物なので、いろいろと費用もかさむということで、事前の情報と合わせて考えたときに、この予定価格が妥当なものと当時は判断していました。

結果として、過去に2件のマウスの試験もあったので、どうしても取りたいと思うところであれば、やはり収益などを度外視して価格競争の域に入ってしまったというところではないかと考えています。

予定価格に対して、各社が相当頑張って取りたいと思って価格競争をした結果だということで。予定価格そのものの設定に若干の疑義はあるが、おおむねそういう意味では5者が応募し、価格競争がなされたということにおいては、納得できる結果です。ありがとうございました。

 

【審議案件10】(一者入札)

「共有メモリ並列計算機システム購入契約」(国立感染症研究所)

日本SGI株式会社の製品以外でも仕様は満たすのか。

この仕様書は、別にF社のものでなくても可能で、他のメーカーのものでも対応できる機械でございます。

問い合わせ等はほかのところからもありました。ただ、メーカー名などは記録が残っていません。

仕様書の最後の方に、それと同等のアーキテクチャーを採用した製品を提供することとあって、ここにF社という言葉が出てくるが、日本SGI株式会社製のサーバと将来共同して作業させるのか。

そうです。

ほかの会社の製品であっても、ほぼ同等な機械であれば問題はないと考えております。ただ、ここに書いてあるのは同等な機能を有しているものであるということです。

この価格証明書の性格を知りたいのだが、これは国立感染症研究所が日本SGI株式会社に依頼したものなのか。

はい。

この機械は幾らになるかということで依頼しました。

仕様書では日本SGI株式会社以外のものを排除しているわけではない仕様を設定したが、価格証明は日本SGI株式会社に依頼した。

結果として1者だけ応札があったということにおいて、特に不信ということではないが、1者に限定するように結果としてなってしまったことについて、今後、予定価格資料の提出を2者にする等の努力をする必要がある。ご苦労様でした。

 

【前回の宿題】

国立療養所菊池恵楓園不自由者棟U更新整備その他工事の追加工事」(国立療養所菊池恵楓園からの報告書)

本案件については、前回かなり強い御指摘があり、その後調査をしていただき、一期工事施工に伴う事情変更の追加工事として整理され、予定価格、落札価格については、入札予算の範囲内の追加工事ということになっているので、やはり疑義が発生したことの指摘をしたが、調査の結果、極めて不適切な事例でもないので、この案件については了承とする。